【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@ピンキー
08/09/17 01:47:49 1iJkDLZF
幼馴染スキーの幼馴染スキーによる幼馴染スキーのためのスレッドです。

■■ 注意事項 ■■

*職人編*
エロパロ板のスレですが、エロは必須ではありません。
ラブラブオンリーな話も大歓迎。
書き込むときはトリップの使用がお勧めです。
幼馴染みものなら何でも可。

*読み手編*
つまらないと思ったらスルーで。
わざわざ波風を立てる必要はありません。

前スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】
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14代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ14章【<恋人】
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13代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ13章【<恋人】
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12代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】
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11代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ11章【<恋人】
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10代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ10章【<恋人】
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9代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ9章【<恋人】
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8代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ8章【<恋人】
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7代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ7章【<恋人】
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6代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ6章【<恋人】
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5代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ5章【<恋人】
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4代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ4章【<恋人】
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3代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ3章【<恋人】
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2代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ2章【<恋人】
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初代スレ:幼馴染みとHする小説
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2:名無しさん@ピンキー
08/09/17 01:50:07 1iJkDLZF
*関連スレッド*
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第9章(派生元スレ)
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いもうと大好きスレッド! Part4(ここから派生したスレ)
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お姉さん大好き PART6
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*これまでに投下されたSSの保管場所*
2chエロパロ板SS保管庫
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--------
次スレはレス数950or容量480KBを超えたら立ててください。
では職人様方読者様方ともに今後の幼馴染スレの繁栄を願って。
以下↓

3:名無しさん@ピンキー
08/09/17 01:50:48 1iJkDLZF
テンプレ終わり。
このスレにも、善き幼馴染SSが投下されんことを。

4:名無しさん@ピンキー
08/09/17 02:20:44 WYlc3Rrv
>>1 乙です

ところで・・・
気の強い娘が派生元スレなんとなくわかるが
いもうと大好きスレッドはこのスレから、どう派生したんだい?

5:名無しさん@ピンキー
08/09/17 21:26:19 y7mlJnOS
年下の幼なじみ→おにいちゃん→実妹
実に分かりやすい流れではないか?

6:名無しさん@ピンキー
08/09/18 02:41:03 4Wu/zuEI
まあこのスレじゃほとんど同い年だな
たまに姉があって、妹系は別スレがあるから少ない

7:名無しさん@ピンキー
08/09/18 20:47:45 LCP2TJxt
前スレ最後なんだよwww

8:名無しさん@ピンキー
08/09/18 22:52:49 DphI19AL
スレ違いだと思うが、今月のばんがいちの幼馴染物(のら猫長屋)がすげー良かった
素直になれない幼馴染って、王道だけど良いものだと再確認したぜ

9:名無しさん@ピンキー
08/09/18 22:54:11 DphI19AL
ゴメンsage忘れたorz

10:蒜
08/09/19 01:44:32 M73k3lE+
結構長くなった?ので分けて載せようかと。これとあと一つ投下する予定。
次から"ミンミンゼミ"始まります。

11:蒜
08/09/19 01:45:25 M73k3lE+


それは夏休みも終わったまだまだ残暑の日差しが厳しい9月1日。俺は久々に来たYシャツに身を包み、高校への道のりを歩いていた。

「暑…」

夏休みの宿題でパンパンになった学生カバンを持ちながら桜の木が並んだ並木道を真っ直ぐに進む。桜の木に止まっているのだろう。ミンミンと五月蝿いミンミンゼミが力一杯に鳴いている。このミンミンゼミの鳴き声を聞く度に、俺は一人の少女を思い出すんだーーーーー


【ミンミンゼミ】


それは俺、颯真海斗が中学生だった頃。けたたましくなる目覚ましを止めて二度寝を決め込もうと俺は布団に潜り込んで…

「起きろぉぉっ!!」

…ジーン…と音が聞こえた気がした。

「…夏休みにこんな早く起こすなよ…美里…」

目覚まし時計に目をやると長い方が12。短い方が7をさしている。つまり現在は7時。そんなことをお構いなしのように起こすコイツは木村美里…、まぁ世間一般でいう幼なじみってやつだ。

「早く起きてよ海ちゃん!!今日は学校だよ?登校日だよ」

「…あぁそうか。」

そういえば登校日だったな…、と思い出した俺は下に美里を待たし、制服に着替え学校へと向かった。

・・・・・・



12:蒜
08/09/19 01:47:32 M73k3lE+

学校も終わり帰る支度をしていると…


「海ちゃ~ん!!一緒に帰ろ~!!」


と言う幼なじみの呼び出しが掛かった。俺はすぐに行くから玄関で待っていてくれという返事をして美里の待つ玄関へと向かった。
しかし、数分後に玄関に行くと美里がいない。どうしたのだろう?そう思った俺は玄関先にいた事務員さんに聞いた。

「すいません。今ここに女の子いませんでした?」

「あぁ女の子ね。なんか男の子に話し掛けられて体育館の方に行ったよ」

そう言われ俺はありがとうございました。と返事をし体育館の方へと向かった。

・・・・・


「付き合って下さい!!」


俺が体育館裏への道を曲がろうとした瞬間にそんな声が聞こえた。壁から顔を出し、こっそりとのぞき見てみると美里と…先輩であろう人が一緒にいた。さっき聞こえた声が男の声であることから美里が告白されたのだろう。
普通ならここで玄関先に引き返すのだろうが俺は美里の返事が気になり、聞き耳を立てながら2人の方を見ていた。すると美里が小さく返事をした。



13:蒜
08/09/19 01:49:39 M73k3lE+

「ごめんなさい…」

美里がそう返事をした瞬間に何故か安堵感を覚えている自分がいた。何故だろう?そう思いながら続きも見ていた。すると先輩であろう人が

「理由…聞いてもいいよね?」


と聞いた。美里は…

「私…ずっと好きな人がいるんです。小さい頃からずっと一緒だったんで…今の関係が壊れたらって思うとなかなか告白出来ないんですけど…だから…ごめんなさい」


そう言うと先輩が


「それって…颯真のことだよね?」


と聞いた。俺は何故か心臓の鼓動が上がり、耳に神経を集中させていた。しばらくして美里は


「はい…」


とだけ呟いた。


・・・・・




14:蒜
08/09/19 01:50:54 M73k3lE+


それからのことはよく覚えていない。待ち合わせをすっぽかし、猛ダッシュで家に帰り、すぐ自分の部屋に籠もった。
美里は俺が好き?確かにあいつはそう言っていた。なら自分はどうなんだろう?あいつが好きだとかどうとかなんて…

そんな考え事をしているとコンコンっとドアをノックする音が響いた。俺は布団に潜った「どうぞ…」とだけ言った。すると…

「海ちゃん…」

入ってきたのは美里だった。


「…んぁ?…美里か…」

「ねぇ…何で先帰っちゃったの?私、ずっと待ってたのに…」


「…待ってないだろ?俺が行った時にお前いなかったじゃん」


何故か俺は不機嫌で責めるように言う。


「それは…」


俺がいなかったと言うと美里は口を閉じ、言いずらそうにしている。イライラした俺は更に責めるように言葉を投げかけた。


「なんだ?言えないのかよ。素直に告白されたって言やぁいいだろ」


俺がそう言うと美里は驚いたように目を見開いて言った。


「見てたの?」


「ベタだよな。体育館裏って」


俺がそう言うと美里はいきなりもじもじして顔を赤らめた。そして意を決したように俺に向き合い、言った。




15:蒜
08/09/19 01:53:18 M73k3lE+



「私の気持ちは本当だよ?海ちゃんは……私の事…どう想ってる?」


静寂。

夏の暑さで部屋の中は蒸し暑く、俺たちはしっとりと汗ばんでいる。外からはミンミンと鳴くミンミンゼミの鳴き声が響いていた。
そして俺は想った。美里の事を。
今までずっと幼なじみとして過ごしてきた。そんな美里を恋愛対象として見れるのだろうか?それに付き合ったとしても今のこの関係を壊す勇気が俺にあるのか? そうして散々悩んだ挙げ句、答えは…


「ごめん。美里の事は幼なじみとしか見れない…」


拒否。だった。





16:蒜
08/09/19 01:55:03 M73k3lE+



「そ…うだよ…ね?」


美里を見てみると瞼一杯に涙を溜めている。目を閉じるとそれが一気に溢れていた。俺が泣かした…。そうは思ったが今慰めの言葉を言うと逆効果と思い、黙っていた。すると美里はおもむろに立ち上がり、部屋のドアへと向かった。


「海ちゃん…ありがとね。」


嫌な予感がした。


「今までありがとう。」


何故かは分からない。だが今行かせると二度と会えなくなるような気がした。


「本当は言わないつもりだったんだけどなぁ……。…さよなら……」


行くな!…と思ったが部屋のドアは無情にもパタン…と閉まった。


楽観的だった。


「…明日辺りまた何でもない顔して来るだろう。」


そう思っていたが…

次の日やその次、そして夏休みの間、美里が俺の部屋にくる事はなかった。

そして夏休みが明けた日。


俺は担任の教師から美里が遠くへ転校していった事を告げられた。


・・・・・





17:蒜
08/09/19 01:56:22 M73k3lE+



教室に入るとみんな様々な外見をしていた。

見るからに夏休み勉強に明け暮れ、真っ白な奴。


それに遊びまくったように真っ黒な奴。多種多様だった。


俺はそんな中、窓辺から空を眺めていた。夏休みも終わりか…。毎年毎年始業式は嫌いだ。

それは夏休みが終わるからではなく、


俺が大切な人を失った日だから。


そう。美里は黙って去る代わりに一つの手紙を残していた。それはたった一言
【ずっと好きだったよ。さよなら】

だった。

それを見た瞬間、涙が止まらなかった。それと同時に気付いた。


俺は美里が好きだったんだ。


それなのに俺は関係を壊すのを恐れて…

今更後悔しても遅い。肝心な美里はもういないのだから。




18:名無しさん@ピンキー
08/09/19 01:58:28 M73k3lE+


そんな風に物思いにふけっていると教室の中の奴らが慌ただしくお喋りをしている。いつもと違うその様子に俺は隣の席の女子に聞いた。

「なぁ…、何で今日みんなこんなに騒がしいの?」


すると彼女はやたら高いテンションで俺に言った。


「今日ね!転校生が来るらしいよ!」


俺がありがとうと言うと彼女は女子の輪の中へと行った。


クラスでは男子は女の子で可愛い子がいいな!と、女子は男子で格好いい人がいいね!などと会話している。


そんな騒がしいお喋りが一斉に止んだ。見ると教師が教室に入ってきたようである。


みんな転校生を早く見たいのか素早く席に着き、お喋りを止めた。


それを見て教師は満足にHRを始めた。


「えー…、まぁ始業式と連絡の前に皆さんにお知らせがあります。」


そう聞くと早くしろよ。と言わんばかりにみんな強烈な視線を教師に向けた。そんな視線に気付いた教師は「入ってきて下さい。」と告げた。





19:蒜
08/09/19 02:00:23 M73k3lE+




「失礼します。」



時が止まった気がした。



「自己紹介をお願いします。」




もし神様がいるなら俺は土下座してでも礼を言うだろう。




「えっと…名前は木村美里です。二年前までこの町に住んでいました。よろしくお願いします。」




俺が教壇まで歩み寄る。それを見て美里は驚いた表情をしていたが、やがて笑顔になると愛しい声で俺の名を呼んだ。



「海ちゃん!」


俺は

「美里!」

と声を上げ美里へと向かった。




美里へと向かう俺の背中を…ミンミンゼミの鳴き声が後押ししてくれたような気がしたーーー。

~fin~

20:蒜
08/09/19 02:03:43 M73k3lE+
一カ所名前入れんの忘れたw
あと自分の名前は蒜(さん)です。多分変換したら最後の方に出てくるかと。
どうでしたか?出来れば多くの感想が欲しいですね。それが励ましであろうが批判であろうが書く側にとってはそれだけで励みになるんで。
しばらくしたら次回作 【君の元へ】を投下したいと思います。ではノシ

21:蒜
08/09/19 02:09:49 M73k3lE+
すまんミスった。m(_ _)m

>>14>>15の間



「どこから聞いてたの?」


俺は少し悩み、そして答えた。


「"付き合って下さい。"の辺りから」


すると部屋に静寂が訪れた。当然だろう。そう思うが俺は言葉が出なかった。すると一分だろうか一時間だろうか?そんな短いようで長い時間が過ぎた時、美里は言葉を発した。




22:名無しさん@ピンキー
08/09/19 03:03:53 1laahP/9
前スレ最後受けたw

改めて保管庫の作品を読み返しているが、中断作品が……

だが、男は黙って全裸にちんこリボンで待機。

23:名無しさん@ピンキー
08/09/19 03:44:53 AXSgiomB
>>21
まずsageようぜ

24:蒜
08/09/19 11:14:13 M73k3lE+
携帯からやってるんだが…どうすればいいのか分からん

25:名無しさん@ピンキー
08/09/19 12:32:26 PY4K2ng0
>>24
メール欄にsageでおk

26:蒜
08/09/19 15:01:40 M73k3lE+
分かったよ。あざっす

27:名無しさん@ピンキー
08/09/19 16:08:51 i55mEmWW
やっぱツマンネ・・・

28:名無しさん@ピンキー
08/09/19 17:16:07 aqy1AK1l
>>10-21
うんこ

29:名無しさん@ピンキー
08/09/19 18:30:21 Uh6xeNPj
>>28
お前のことをうんこって言うんだよ^^

30:明日香 01/15
08/09/19 22:27:14 OTCrSWaz
「あけて~ あけてよ~ たっちゃん、あけて~」

やけに陽気な声がドアの向こうから聞こえた。
ドアを開けたとたん目の前の人影が倒れこんでくる。あわてて両腕でささえる。

「えへっ、酔っ払っちゃった」
首をかしげながら微笑んでるのは、明日香、オレの幼馴染。

そっか。海外事業部、今日はドバイに行く次長の送別会だって言ってたな。
こいつ、お堅いお嬢様大学に行ってたから、飲み会にも不慣れなのかも。

「な~に、ぶつぶつひとりごと言ってるの?
 えっと、とりあえず中に入れてくれると嬉しいんですけど?」

「だね」
即答の真相は、さりげなく近所の耳を気にしてだったりするオレ、小心者。

ふらふらする彼女を片手でつかまえたまま部屋に連れて行き、
分不相応にでかいソファーに座らせる。

「ほら、水」
「あ・り・が・と!」
一気飲みする明日香。漢前だ。

「ぷは~っ!」
訂正しよう。若いみそらで既にオヤジだ。可愛そうに。

「たっちゃんはいつも優しいね~」
「…おだててもなんにも出ないぞ?」
「ハハ………相変わらずちっとも似てないね」
うっせばかやろ。

31:明日香 02/15
08/09/19 22:27:55 OTCrSWaz
おない年。家が隣。でもこいつんちはベンツとBMWが玄関の横に並んでるでっかい家。
こっちは一般的な日本の家庭。敷地に3ナンバー二台並べたら家が建てられない雰囲気の。

でもガキだった俺たちには、そんな大人の基準は関係ない。
常に不在がちの彼女の両親も、娘の事を思ってか、うまのあう俺を大切にしてくれた。
んなわけで両方の家、公園、商店街、あらゆるフィールドが、その頃の俺達のものだった。

高校も一緒で、映画だプールだ花火だ、なんだかんだでいつもそばには明日香がいた。
彼女が女子大に行ってた時期だけは、『メール友達』状態だったけど。

でも、就活で苦戦しているのをちらっと書いたら、おやじさんから誘いが来て、
のっかったオレは即面接&即内定。まぁ当たり前か、社長の直接コネじゃ。

入社式に行ったらびっくり。横の席で明日香がいたずらな笑顔をオレに向けてた。
結局、事業部は違うけど、それなりに近い場所に今も明日香は居たりする。

32:明日香 03/15
08/09/19 22:28:32 OTCrSWaz

「ちょっと、話が、あるんだけど」
「ん?」

オレは彼女の隣に微妙な距離を置いて座る。アイスコーヒーを手に持って。
一瞬、スカートからはみ出た明日香の足に目を奪われかけたが、
幼馴染とはいえ社長令嬢、半端に手を出したらただじゃ済まないよな……と自重し、
怒れる明日香パパの映像をふりはらいつつ、必死の努力で視線をはずした。

「こんどさ……あたし、デュッセルドルフ、行くんだ」
「そりゃまた急な話で」

「そこのナンバー2が入院しちゃって手助けがいるからって」
「おやじさん、よくOKしたな」
「背に腹はかえられない、ってやつ? ちょうど異動の季節で人のやりくりがね」
「あ~ それはあるかもね」

「どんぐらい?」
「たぶん2~3年」
「そっか」

「でね、いろいろとやり残したこと、ここんとこ片付けてるんだ。
 仕事のほうは当然だけど、プライベートな部分でも、
 読みかけの本だとか、買ったけど見てないDVDだとかいろいろ」

「でさ、いっこだけ……残っちゃったのよ」
「へ~ なんだい、それ。ちょっとわかんねぇな」
「……言い忘れた…っていうか」
「ほ~」

こいつの処理能力は抜群に高い。決してただのお嬢様なんかじゃない。
高校のときの学園祭でも、実行委員長として能力を発揮し、
見事にまとめ上げた実績がある。
当然のように、彼女の下でオレはいいようにこき使われてたわけだが……

だから、彼女が処理に困るもんなんて全然考えられなかった。

33:明日香 04/15
08/09/19 22:29:43 OTCrSWaz

「あ、あのさ、あたしね」
明日香は真っ赤になっていた。そして、らしくない表情。
うん、って感じでうなずいてから、思い切ったかのように言葉をつなげた。

「達也のことが、好きだったの、ずっと」
オレは固まっていた。ありえなかった。

「飛行機で12時間もかかるすごい遠い所に行っちゃうんだし、
 現地じゃとても忙しい毎日が待ってるってわかってて、
 それで長ければ3年。そう思ったらもう、どうしようもなくて」

「いつもそばにたっちゃんがいて微笑んでくれてたから、
 あたしはどんなつらい時も頑張れたんだって、それがわかったの。
 ちっちゃかった時も、中学のときも高校のときも、そして今も。
 だからせめて、向こうに行く前に、たっちゃんの思い出を、
 あたしの心の中にたくさん詰め込んでおきたい、って、そう決めたんだ」

息継ぎなしでまくしたてる彼女の言葉に、オレは口を挟めない。

「だから、あの、今夜……ここに泊めてくれない?」
驚きの発言に、オレは正直うろたえた。

「でも……それは……とりあえずオレも、いちお、男だし」
「大丈夫、そのつもりで言ってるから」
「そのつもりって」
「だから、よかったら、ってレベルで。 ただの今夜だけの都合のいい女だって思っても、それでもいいから。
 あたしは、心と体全部で、たっちゃんを覚えておきたいんだ。それだけ。
 あとであなたに迷惑掛けたりしないって、約束するから……」

遠くで、車が通り過ぎる音がした。

34:明日香 05/15
08/09/19 22:30:23 OTCrSWaz

「ふぅ、ちゃんと言えたぁ。よかった。これもらうね。もう、のどカラカラ」
オレのアイスコーヒーを承諾なしで飲む明日香。これはいつもと同じ。
氷がグラスの中でぶつかる音が部屋を満たす。いつもと違う静けさ。
そして微妙に明日香の指先が震えていた。そんな明日香は見たことが無い。

黙って明日香を見つめる俺に、彼女はすまなそうな顔をした。

「ごめんね、勝手な女で。たっちゃん、許して……」
いつのまにかアイスコーヒーは空っぽになっていた。

……いつもこうなんだ、こいつは。いつも。

「許さない」
「えっ?」
「許さない、ってそう言った」

「えっと、それって……あぁ、たっちゃんのこれ飲んじゃったこと?」
「ちがう。それじゃなくて、おまえが一方的に自己完結しちゃってるとこ」
「なんのこと?」
「俺の気持ち、無視してるだろさっきから、勝手なことばっかり言って」
「ちょ、ちょっと、なにキレてんの?」

「あぁ、そうだよ。オレはお前のこと、彼女だなんて思ってなかった。
 ついさっきまで、一度もな」

「でも、やっとオレわかったんだ。自分の気持ちが。
 バカだよな、いい加減気づけよなってぐらいアホだったと思う。
 単純なことだったんだ。
 たまたまオレと明日香はそばにいたんじゃない。
 そうしたかったから一緒に居たんだってな」

35:明日香 06/15
08/09/19 22:32:25 OTCrSWaz

「だから、今、オレ、ちゃんと言うから」
きょとんとしたままの明日香の両肩をつかみ顔を寄せると、彼女は目を閉じた。
唇を重ねる。

そして唇を離したあとも目を閉じたままの彼女の髪をかきあげ、耳元に口を寄せ、告げる。

「ずっとオレも、明日香のこと好きだった」
明日香の肩が震えてた。

体を離し、正面から彼女の顔を見た。
明日香は顔をクシャクシャにして、口をへの字にして泣いていた。

「ばか! もっと早く気づいてよ!
 たっちゃんが気付いてたら、あたし、
 さっきみたいなあんな恥ずかしいこと、口にしなくてもよかったのに。
 もう、サイテー!」

「ごめん」

謝罪の意味を込めて、ぼろぼろと涙をこぼす明日香にもう一度キスをする。
やけにしょっぱい味がした。

36:明日香 07/15
08/09/19 22:33:00 OTCrSWaz

そのまま舌をこじ入れる。
すぐにふたつの舌が口腔の中で軟体動物のように動き、勝手に相手を求め始める。
そうして得られた粘膜の感触は想像以上に刺激的だった。

もどかしいほどの狂おしさを覚えてるのが俺だけじゃない証拠に、
明日香はさっきから、くぐもった喘ぎ声をあげている。

衝動に襲われた俺は、そのまま両手を明日香のブラウスに向け、
ボタンを探し当てて外し始めた。下手したら引きちぎりそうな勢いだったと思う。
何が起きてるのかに気付いた彼女はあわてて胸を手でおおう。

「どうした?」
「やっぱ恥ずかしいよ」
「そっか……メモしておこう。明日香は着衣プレイが好き、と」
「変態! バカ! スケベ!」

殴りかかってくる明日香を抱きしめ、そのまま持ち上げた。
「な、何するの?」
「見ての通りのお姫様だっこ」
「や、やめ」
「やめない。このままベッドにいく。暴れると落としちゃうから静かに。
 あと、両手は首に回すのがデフォルトだと思うが?」

しぶしぶ言われたとおりにする明日香。
首の動きが変だ。やたらきょどっていて、それが殺人的に可愛い。
そのままくちづけをする。
やばい。ズボンの中が、おもいっきりがちんがちんになってる。痛いくらい。

37:明日香 08/15
08/09/19 22:33:36 OTCrSWaz

ベッドの上に座らせ、ジャケットを脱がす。

「たっちゃん、あの」
「いやだ。今のオレ、シャワーなんて待ってられない状態」
「なら、せめて、電気」
「それも却下。明日香の体、ちゃんと見たいから。全部」

返事が無かったのを幸いに、一気に全てを脱がす。
白い肌、こぶりな乳房。うっすらとした陰り。そしてそれらを構成するなだらかな曲線。
その全てにオレはしばらく見入っていた。綺麗だった。
目を閉じ必死に恥ずかしさをこらえてる明日香が可愛い。

「あたし、あの、胸小さいし、お尻大きくて、だからそんなに」
とっくに裸になってたオレは皆まで言わせず体を重ねる。
肩ごと抱きしめる。すごく細い、って思った。

明日香の腕がオレの背中に回された。
さらに深いキスをかわす。明日香が積極的に舌を入れてきた。
同時に唇をこすりあわせるように動かす。

そのまま首筋に唇を這わせる。ビクッと明日香の体が震えた。
「くすぐったい?」
「すこし。でもだいじょうぶ」

首筋から胸に。ふくらみのすそのにキスをしながら、片手をもうひとつの乳房に。
それはすっぽりとオレの手のひらの中におさまる。

「はぁっ…」
明日香の吐息が悩ましい。
すぐに入れたい気分と、彼女の全身を愛撫したい思いとで、俺の心は揺れていた。

38:明日香 09/15
08/09/19 22:34:10 OTCrSWaz

乳首にキスをした。
「あっ!」
体が波打つと同時に声が出る。
明日香の手がオレの両肩をぎゅっとつかむ。

しばらく楽しんだ後さらに下のほうへと向かう。

「いや、やめて、そこ、きたないから」
逃げようとする体を腰をつかんで押さえつける。

太ももの奥、陰りの先にねじ込むように舌を着地させた。
そのときの明日香の反応は凄かった。
体をのけぞらせて、大きな声を上げて。

「痛い?」
「わ、わかんない」

オレはこの目で明日香のそこを見るのをあきらめた。
別に今夜じゃなくてもいいんだし。
体の位置をもどして、腕枕してみた。彼女はひしと抱きつく。
空いた右手で全身に触れる。
乳房、わき腹、背中、お尻、そして太もも。
味わったことのないすべすべの感触に、オレはつい夢中になってしまっていた。

その間も、彼女は恥ずかしそうにオレの肩に抱きついたままだった。

太ももの奥に今度は手を伸ばした。うながすようにゆっくりと足を開く。
柔らかいものにじかに触れる。俺の肩を抱く腕にさらに力がこもる。

指をゆっくりと、頼りない感触のひだの表面で上下させる。
途切れないうめき声が耳元で聞こえる。
二本の指で開き、中指をはざまにうずめた。
経験ゼロの俺でもわかるほど、中は濡れてるようだった。
下の方に動かすとくぼみがあって、そして上のほうに動かすと、

「ダメ!!」
激しく明日香がのけぞる。
そんな彼女を見た瞬間、もうオレの余裕なんて完全にぶっとんでた。
頭の中のほとんどが、「入れたい!」って文字で埋め尽くされて。

39:明日香 10/15
08/09/19 22:34:42 OTCrSWaz

あわただしく彼女の両足の間に腰を入れ、かってない硬度に達した奴を、
明日香の中心にあてる。先端がぬるっとひだを割った。
ゆっくりと押し込む。

「いっ、痛い!」
俺の肩を押して明日香が上に逃げようとする。

新事実発覚。オレが初めてならこいつも初めて。
でも、いくしかない。優しくなんかできねぇ!

肩をつかまえて委細構わず一気に押し込んだ。
中は筆舌に尽くしがたい気持ちよさ。
オレのが明日香の粘膜であますことなく包まれてて、
優しくつかまれてる感じというか。

我慢できずに腰を前後に動かした。
明日香の表情を見る限り、最初のときよりは痛くない様子だった。
オレは自分の快感を求め、明日香の中を蹂躙し続ける。

いつからか、明日香が俺の名前を呼びながら、「好き!」と言い続けてる。
でもこれは、少なくとも官能的な絶頂とかそんな話じゃなくて、
封じ込めていた思いを今この瞬間に爆発させてるだけなんだろうと思った。

ずっと昔から、アホなオレが気付かないまま、密かに紡いできた彼女の思いを、
今、ためらうことなく俺に向かって解き放っているのだと。

だからオレも明日香の名を呼び、そして好きだとささやき続けた。
そう、ずっと言い忘れていた分を補うように。

40:明日香 11/15
08/09/19 22:35:15 OTCrSWaz

終わりが近づいてきていた。
そりゃそうだ。明日香の粘膜とオレのが直接触れ合って………

やばい。頭に血が上ってて、コンドーム忘れてるよ!
オレは動くのをやめた。

「明日香! だめだ! コンドームつけてない」
「ふぇ?」
半分白目の明日香に何を言っても無駄そうだった。

オレはともかく腰を引こうとする。
しかし、彼女はオレの腰に両足をからめ、強烈な力でその動きを阻止してきた。

「イヤ! ヤダ!」
「ばか! それどころじゃない!」
「いやだ! 離れないで!」

彼女が力を入れたせいで、はげしくそこが締まったのが命取りだった。
とてつもない快感とともに、オレは否応なく明日香の中へと射精を開始した。

もうどうにでもなれ、と俺は抗うのをあきらめた。
目の前の明日香はうっとりとした表情を見せている。
その姿は女神のように綺麗だった。

そんな明日香の中に、今オレの精液が次々と吐き出されている。
なんか不思議な気分だった。


「えっと、多分大丈夫な日だと思うんだけど。自信ない」
明日香の頼りない言葉にオレは肩を落とす。
あとは運だけ。そうとしか言いようがなかった。

41:明日香 12/15
08/09/19 22:36:16 OTCrSWaz

翌月になって、明日香のデュッセルドルフ行きはキャンセルになった。
彼女が妊娠していたことが判明したからだ。
そう、それは間違いなくあの夜にもたらされた生命。

産婦人科でその最終確認がとれた日の夜、二人だけの緊急会議を催す。

「社長と海外事業部長の二人に、オレ殺されるかもしれない……」
「二人併せて、全治二ヶ月程度は覚悟しないとね。
 だいたい、たっちゃんが欲望に負けたのが悪いんだし」

「どの口だ、そんな事実に反することを平気で言うのは?!
 だいたいあの日、据え膳仕掛けてきたの明日香だし、
 いや確かにコンドーム忘れちゃったのは俺のチョンボだけどさ。
 オレがヤバイと思って抜こうとした時、おまえは足をからめて」

「だ~め。そんな話、この子が聞いたら気分を悪くするでしょ?」
明日香は自分のお腹に触れる。当然のことながらまだちっとも膨らんではいない。
ただ、有無を言わせない迫力は、女として、母としてのもの。オレは反論を諦めた。

そして数日後、彼女の家。
オレが明日香と結婚したいと頭を下げると、オヤジさんの右手がスッと視野に入ってきた。
必殺のアッパーカットか!? と、びびるオレ。

でも、今日は、パンチがやけにゆっくり見えるぜ……

「よろしく達也君」
あわてて顔を上げると笑顔の父親がそこにいた。
右手が握手を求めている。
隣の母親もすごく嬉しそうで。見れば、横の明日香もピースサイン。

42:明日香 13/15
08/09/19 22:40:29 OTCrSWaz

オレは合意の握手をした。そしてひとつの可能性に思い当たる。

そう、もしかしたら……はめたつもりがはめられた?
高校。就職。そして、それ以外のあれこれを思い出す……

しかしそれがとっくに重要な問題じゃなくなってることに気付く。
オレと明日香が、いやおなかの中の子も含めて『俺達』が幸せに暮らすための、
そのためのステップがここに用意されている。それだけのことだ。

ハレバレとしたオレの表情を見て、オヤジさんもお袋さんも、そして明日香も、
オレのそんな思いに気付いてた気がする。

「あれだな。海外事業部長には私から言っておいたほうがよさそうだな」

ありがとうございます、社長。いえ、パパ。
なんたって社長に言われて文句の言える勤め人はそうそういない。
まぁ、多少の嫌味は覚悟してるけど。

それから大忙しで入籍と式場探しをやって、やっと一箇所見つけることができた。
流石に社長令嬢の結婚式。適当に公民館でってわけにはいかない。

43:明日香 14/15
08/09/19 22:44:36 OTCrSWaz

なんだかんだと日がたつうちに、式の当日になっていた。

どう見たって似合わないタキシードに落ち込んでたオレは、
用意が整ったと控え室に呼ばれ、ウェディングドレス姿の明日香と対面した。

これが明日香? っていうぐらいの美しさで、言葉すらなくしちゃって。
何も言わないオレに彼女はしびれを切らす。

「どう?」
「最高。すごく綺麗」
「へへ」
明日香は嬉しそうだ。

式場。介添人が退いて、神父さんの前にいるのはオレと明日香だけ。

「二度目だね」
神父さんが準備してるとき、前を向いたまま小声で明日香が言う。

「えっ?」
「だから……たっちゃんと結婚式するの」
「??」
「忘れてる? ほらまだ小さいときにあたしの家で遊んでて」

ずっと記憶の中に埋もれてた思い出が蘇る。

44:明日香 15/15
08/09/19 22:46:46 OTCrSWaz

……遥か昔、まだ幼稚園の年長さんぐらいのとき。
明日香のおままごとにつきあってて、その日、俺達は結婚式ごっこをしていた。
オヤジさんのネクタイをオレは締めて、彼女はソファーのレースを肩にかけていた。

彼女は誓いの言葉を正確に覚えていて、一字一句間違わずに言えるまで特訓された。
ただそれが、神父だけのセリフだってことをアスカのやつ分かってなかったんだが。
そして、仕上げの誓いのキスをこいつに迫られて、俺は家中を逃げ回った……

だが今、聞こえてくる言葉にあわせ、俺達は神父と共に小さな声で唱和している。
すべての語句に万感の思いを込めて。

「あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。
 あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、
 富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、
 これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか」

「約束します」

それぞれに問われた言葉に、俺達はひとりずつ答える。

ベールをあげ、誓いのキスをする。
悲しいことに、こんな衆目を集めた厳然な儀式の中で余計なとこが反応してしまい、
オレは困ってしまう。新郎は野獣、か。全然笑えない。

俺の様子を見た明日香が、事態に気付き小さな声で言う。

「それは今夜ね。あ・な・た」
と、極上の微笑みとともに。

どうやら、オレは一生コイツに振り回される人生をチョイスしてしまったらしい。
今までも、そしてこれからも……

  Fin

45:名無しさん@ピンキー
08/09/19 22:48:23 e4oHDVC3
これは見事な計画どおりww
GJ!

46:名無しさん@ピンキー
08/09/19 23:11:41 NnCt5Iz4
いいじゃないですか

47:名無しさん@ピンキー
08/09/19 23:20:30 vUZPERD4
GJ!!
一途っていいね。

48:名無しさん@ピンキー
08/09/19 23:32:04 DMPA/KIY
は~…なんか幸せだな


49:名無しさん@ピンキー
08/09/20 17:41:10 6B3XcPVh
こんな幼なじみが入ればっ!俺だって……。



50:名無しさん@ピンキー
08/09/21 00:14:13 LAIzniqB
>>49
だが居ない

51:名無しさん@ピンキー
08/09/21 00:35:19 quC2OLiY
居れば今俺はここに居ない

52:名無しさん@ピンキー
08/09/21 00:42:27 WiTxxB93
>>50だが脳内にはいる

53: ◆H676uvqZmA
08/09/21 02:15:08 EOmPlZHL
お邪魔します。休日の暇つぶしにでもどうぞ。
エロなしですが、よかったら。
以下4レスお借りします。
NGワードはタイトル: BからAの連続性
もしくはトリ:  ◆H676uvqZmA でお願いします。


お願い
投下を一行30~40字 40~60行でします。
この形式が読みにくい!という方がいたら環境など、
教えていただけたら嬉しいです。

54: ◆H676uvqZmA
08/09/21 02:15:43 EOmPlZHL
BからAの連続性【1/4】

 梅雨明けにはまだ時間のかかる六月。けれど幸か不幸か今日は抜
けるような青空が広がっている。日ごとに強くなる陽ざしと肌にまとわり
つくような風が入る俺の部屋で、夏実はどこから持ってきたのか、大き
な画用紙にマジックで数学の公式を書き込んでいた。気温の上昇とと
もに近づく期末テスト勉強の一環だ。
「ふーんふーふんらーぶ……うん、かんっせーい!」
 夏実が近頃ハマっているアイドルの曲の鼻歌が終わるのとほぼ同時
に、床に転がしていたキャップをパチンとはめる。俺は今まで盗み見て
いたのがばれないように、さもその音で気を引かれた風を装って焦点
を合わせた。
「じゅーんーたーっ。これを天井に張れば嫌でも毎日見るし、憶えられ
そうじゃない?」
「おー、サンキュ。基礎はそれで何とかなるだろうな。でも応用ができ
ないと点はとれねぇよなぁ……」
「そのために、こーして夏実ちゃんがカテキョをしてあげてるんでしょ? 
で?」
 俺の手元、広げられた数学のノートを覗き込んでくる幼馴染様は、理数
科目だけなら学年で十本の指に入る成績の持ち主だ。総合でも五十位
より落ちたことがない。たいして俺は総合ならそこまで悪くはないが、情け
ない話、数学は夏実の助けがないと毎回赤点の恐怖に怯えることになる
だろう。
 ノートと参考書を見比べ、ペンを走らせる夏実の細い首筋が視界に入る。
なおざりにまとめられたこげ茶の髪が落ちて、汗で湿った肌に張り付いてい
た。昔は大して変わらなかったはずなのに、いつの間にこんなに細くなった
んだろう。簡単に折れちゃいそうで少し心配だ。触ったら、どうなる……?
「ん、さっき間違えたのもだいじょうぶだったし、だいたい合ってたよ
……ってどーしたの?」
「……っ! い、や? なんでも?」
 思わず手を伸ばしそうになったところで急に見上げられて、かなり驚い
た。心臓が口から出ると表現した人は天才だと思う。
「そーお? まぁいっか。今日はこんなもんでいいんじゃないかな。そろそ
ろ他の教科も本腰入れていかないとね」
 しばらく俺のことを不思議そうに見ていたが、夏実は気を取り直して言
った。そしてキラキラと何かを企む時の目をして「そろそろ『報酬』がほし
いなぁ、なーんて」とさらに続けた。
 条件、甘いものが大好きな家庭教師。かつ、教え子の、といってもクラ
スメイトだけども、ケーキ屋の息子。これらのことから導き出される答え
を求めなさい……A.『報酬』は甘いもの。
 壁の時計を見ると、もうすぐ三時になるところで時間もちょうどいい。
全部計算した上で言い出したんだろう。俺はその言葉に頷いて、冷蔵
庫から『報酬』を持ってくるために廊下に出た。
 あのまま触っていたらどうなっていただろう。想像だけで頭が痛くな
る。ただの幼馴染だからこうして一緒にいられるんだ。これが、夏実
が近づきたい一心で数学を勉強した理由の兄貴だったらきっと違うん
だろう。間違っちゃいけない。俺は兄貴じゃない。ただの幼馴染。絶対
に踏み込んじゃいけないラインは確かに存在してるんだ。




55: ◆H676uvqZmA
08/09/21 02:16:15 EOmPlZHL
BからAの連続性【2/4】

 今日の『報酬』を持って部屋のドアを開けると、天井に画用紙を貼
り付けようとする夏実の姿が目に飛び込んできた。マットなんて不安
定な物の上に乗せた箱からさらに背伸びをしているのが何とも危なっ
かしい。
 テーブルにトレイを置いた。そして、かわろうかと声をかけようとした
その時だった。レモンイエローのキャミソールの背中がぶれる。ふわ
り小さな手が宙を掻く。小さな悲鳴。
「―っ。夏実ッ!」
 夢中で駆けより腕を引きよせ抱きとめる。ガッと鈍い音がして、少し
遅れて感じた胸と腰の痛みに俺は自分が成功したことを知った
「大丈夫かっ? 痛いところは?」
 頭、顔、首、背中、腕、腰、腿そして足の甲。足の間に座り込んだ
夏実の全部を目と手のひらで確認する。最後にもう一度頬を両手で
包んだところで、名前を呼ばれた。放心したような潤んだ瞳。触れた
熱い頬。薄く開いた唇からこぼれる浅い呼吸。
「へ、いき……みたいだな。ったく、気をつけろよ。俺があとはやるか
ら、ほら、『報酬』食えよ」
 体を離して、視線を外す。直視なんてできない。
「じゅんた……」
「せっかくのゼリーがぬるくなっちゃうだろ」
 急かすように手を振る。ありがと、と聞こえたから「おう」とだけ返し
た。皿とスプーンのぶつかる音がする。
 夏実の貼ろうとしていた画用紙の四隅をテープで固定して、腰を下
ろすと俺も自分の分に手を伸ばした。土曜だっていうのに、夏実が来
るから平日と変わらない時間に起きて作った夏蜜柑ゼリー。その出
来を見るふりをして微妙な距離を開けて座っている姿を透かす。
 ゆるくまとめられたウェーブのかかった髪、ゼリーと同じような色を
したキャミソールから覗く肩、白のショートパンツから伸びる脚。普段
から夏実の体なんて触れているはずなのに、いつものように気をそら
せなかった。同じ、同じ、同じだ。しょっちゅう膝に乗ってきたり、寄り
かかってきたりしてる。それと同じ。
 うまそうに『報酬』を頬張る夏実の濡れた唇がやたらと目立って見
えて、それを振り払うように俺はゼリーを噛み砕く。
 ―暑いからだ。そうだ、こんな暑い中で苦手な数学なんてやって
るからだ。大きめに切って入れた夏蜜柑の爽やかな酸味が、ぐちゃ
ぐちゃになった思考回路を冷やしていく。
「夏実、今日のは?」
「おいしーい!」
 どことなく沈んだようだったけれど、尋ねると夏実はパッと笑ってス
プーンを振った。いつも通りの夏実だ。なら俺もいつも通りでいられ
る。
 こうして今までやってこれたんだ。これからだってやっていける。変
わって壊れてしまうなら、そのままに留めてみせる。自分の感情をコ
ントロールだってする。
 同じものを同じ空間で、同じように食べられるこの関係は、変わら
ないし変えられないんだから。夏実が誰のものにもならないうちは。
 最後の一口を飲み込むと、酸味と微かな苦みが喉を滑り落ちていった。

■□■□■□■



56: ◆H676uvqZmA
08/09/21 02:16:51 EOmPlZHL
BからAの連続性【3/4】

■□■□■□■

「じゅんた、問題できたー?」
 胡坐をかいた俺の腿と腕の間から、頭をぴょこんと出して夏実が
言った。
「うわぁあっ?」
 自分でもあんまりだと思うような悲鳴を上げて俺は現実に戻される。
反射的に膝が上がるが、夏実の顎を打ちそうになって根性で止めた。
ツバメの子供が巣から顔を覗かせるような体勢のまま、首を伸ばし
てテーブルの上のノートに視線を走らせる。
「もぉ、ぜーんぜん進んでないじゃん。こんなんじゃ中間テストで赤取っ
ちゃうよ?」
「あー、うん、そうだよな」
 曖昧に頷くと、不審そうに名前を呼ばれる。腕の下から頭を引き抜
くと夏実は俺の前髪を軽く払って二人の額を合わせた。ぬくもりが気
持ちいい。
「熱は……うん、ないね。文化祭、体育祭って続いたから疲れが出た
のかと思ったよ」
 まさか付き合う前の、ただの幼馴染だった頃を思い出していたとは
言えず、誤魔化すように謝った。街はすっかりハロウィン一色で、一
つの季節が過ぎたことがよくわかる。
「ふふっ、変なの。病気じゃないならいーよ。じゃあ、続きがんばって」
 顔を離して、夏実は俺の腿を枕に英単語帳をめくり始めた。ときど
き脇腹に頭をこすりつけるようにじゃれついてくるのがくすぐったい。
いや、だけど問題に集中すれば大丈夫なはずだ。この問題はどの公
式を使うんだ?
 変形膝枕だけじゃ満足できなくなったのか、勉強に飽きたのか、腰
に腕をまわしてウエストあたりを抱きしめてきた。負けるな、俺。もう
少しでこの問題の解答がわかるはずなんだ。たぶんXに代入する値
が合ってれば……。
「じゅんたの匂いっていいよねぇ」
 ジーザス。
「……夏実」
「んーうー?」
 「なーにー?」と言ったんだろう。けど呼吸ができているのか心配に
なるほど、俺の脇腹に顔を埋めているからくぐもってほとんど言葉に
なってない。
「気が散るから離……」
「きゃっか」
 最後まで言わせろよ。わざわざ拒否するために顔を上げるな。
「ほら『報酬』やるから、それ食ってろ。な。今日のはハロウィンを睨
んだパンプキンカップケーキだ! 下に行ってお袋に言えば出しても
らえるはずだから……」
「やだっ、くっついてるのがいい! ね、じゅんた。じゅんたは、やな
の?」
 嫌なわけねぇだろうよ。わかっててこうやって聞くからたちが悪い。



57: ◆H676uvqZmA
08/09/21 02:17:24 EOmPlZHL
BからAの連続性【4/4】

「そういうんじゃなくてだな、むしろ嬉しい、いやまあうん、だけど現状
とか、色々事情ってもんが」
「わかった。じゃあ今日のカテキョの『報酬』として、十五分のいちゃい
ちゃをせーきゅーしますっ。まずはちゅうから!」
「夏実、少しは聞く耳ってもんを……」
 俺の言葉は「ちゅー」コールにかき消された。黙らせるには一つし
か方法はない。また夏実に乗せられるのは悔しいが、コールをする
唇が魅力的なのもまた現実で。ころんと体を仰向けにさせて、そのう
るさい口をふさいだ。
「ちゅーんんっ……んー、んう……えへ、ありがと。マンガみたいで、
てれるー」
「自分から誘っておいてなんだよ?」
「……っ! そういうイジワルゆーならこうだっ!」
 唇を尖らせたと思ったら、夏実は俺のわき腹や、胡坐をかいていた
から丸出しになっていた足の裏をくすぐりだす。
「ちょっ、なつ……あははは! やめっ! やめろって、待てごめんな
さい、ふはっ」
「だーめーっ! じゅんたの弱点は知り尽くしてるんだから!」
「くくはっはははは! いちゃ、い……は?」
「これもたのしーから、ありっ! あれ?」
 両手首をまとめてつかむ。いつからこんな風なことができるように
なったんだっけ。
「……はぁ、いつまでもやられてばっかりだと思うなよ?」
「うーん……やばめ? じゅんたくーん、お手やわらかに……ね?」
「さて、どーでしょー?」
 俺だって夏実のことは誰よりだって知ってるさ。それこそ昔の俺よ
りも。例えば……。
「ぅむう」
 深く口づけると、嬉しそうな甘い声だとか。やわらかい熱だとか。
 変わったところ、新しく知ったところ。でもずっと同じこと、ただ大切
に想うこと。
 日々俺らは変わっていくけれど、触れあうぬくもりは昔も今もこれか
らも続いていくんだ。


END


58:名無しさん@ピンキー
08/09/21 02:29:50 WiTxxB93
主人公視点の話か…。主人公の気持ちをよく表しているなぁ…。GJ!

59:名無しさん@ピンキー
08/09/21 03:53:14 lYdZ0MKW
改稿のせいで見にくい

60:名無しさん@ピンキー
08/09/21 05:51:04 /sLmyBB9
内容はGJなんだが、文の途中での改行はやめて欲しいな。 かなり見辛い。
しかも携帯とか1行20文字位の環境で見たらぐちゃぐちゃになるような。

句読点や文章の切れ目の改行以外は表示するソフトに任せればおk。
あと、段落の切れ目などには空行を入れるともっと見やすくなるかも。

最初にも言ったけど、内容はすごくいいので、是非また書いてください。
…できれば今回の二人の幼馴染み→恋人、この間の話をkwsk

61:名無しさん@ピンキー
08/09/21 09:04:27 mO1wh3kx
マスター、GJだ。

62:名無しさん@ピンキー
08/09/21 10:18:45 xCwGTttU
GJ。はげしくGJ。
見にくくてパスしてたんだけど、htmlに整形したらhtml向け文章だったのがわかった。
妥協案で、投下の時に一字字下げのとこ(段落)の前に空白行なんていいかも。

63:名無しさん@ピンキー
08/09/21 13:26:48 Z8aHokwN
GJ!
これって練習スレにあったやつの二人?

64:名無しさん@ピンキー
08/09/21 19:00:18 EvuIA07M
>>57
練習スレの方が見易かったかも。

話自体は相変わらずたまらんのでもっとやって下さいおながいします。

65: ◆H676uvqZmA
08/09/21 23:39:39 EOmPlZHL
□ 読んで下さった方々ありがとうございます。
□ この度は貴重なご意見、ご協力心より感謝いたします。

改行なし:PCだと文章が横に長くなって読みにくい。
改行あり:携帯などで変なところで切れる。
いろいろ見て回った結果、どちらにも不具合があり、意見も様々なので悩みますね。
基本、紙と同じ規則・段落ありですが、文節で改行・段落で空白行挿入など、
ご意見を参考に読みやすいものを目指します。

一括でのお礼・長文申し訳ないです。どこかでお会いした際はどうぞよしなに。

・上記外のことへのレスです。(わかりにくいものを投下してすみません)
練習スレのものが時間軸的に中間へ入ります。
BeforeからAfterの連続性はそれによって生まれます。


66:名無しさん@ピンキー
08/09/22 10:18:38 D90BBp8e
BとかAって何?って思っていたけどそういうことかー。

ところでどんな幼なじみが好み?
俺はツンデレだけど他人にはツンしない幼なじみ。

67:名無しさん@ピンキー
08/09/22 10:45:30 8H0KW6QA
俺も題名がイマイチ分からなかったが、>>65で理解した。
色々とセンスありすぎ

>>66
SS的にはちょい甘え気味な感じが好きかな
もちろんツンデレもいいけど

68:名無しさん@ピンキー
08/09/22 11:58:34 v3jjxTVx
>>66

俺は主人公だけにやたらお節介な幼なじみとか?男嫌いだけど自分だけ平気で頼ってくる幼なじみとかが好みかも

69:名無しさん@ピンキー
08/09/22 12:26:28 csRLw9hS
基本豪快で、主人公をぼこすか殴るタイプ。
殴られるのは主人公だけとかある意味独占状態ですよ!?

70:名無しさん@ピンキー
08/09/22 12:50:19 9vkHyPLd
オレも幼なじみにのみツンデレがいいかな。ツンのレベルは幅広く
そして大概どちらかは必ず優秀なのだ

71:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:03:09 OV0r9Q7n
>>65の人GJです
練習の方も見てきたよ
次回作も期待して待つ

72:名無しさん@ピンキー
08/09/22 17:05:06 +hOLuXOV
>>66
俺は甘えん坊なほうがいい。
で、忘れちゃいかんのが「王道型」ね。

73:蒜
08/09/22 18:23:30 v3jjxTVx
みんなそれぞれ幼なじみとは言っても様々な好みがあるんだな……

そんな事を感じつつ投下。【君の元へと】エロ無しですいません。


74:蒜
08/09/22 18:25:07 v3jjxTVx

かつて俺の隣にいた少女を、俺はテレビ画面から見つめていた。
彼女の名前は美空雫(みそらしずく)。今をときめく
トップアイドルである。そんな彼女と俺、橘翔平との関係は_
幼馴染兼、恋人”だった”。

・・・・・・


75:蒜
08/09/22 18:28:19 v3jjxTVx

それは紅葉できれいな秋の季節だった。いつものように
一緒に帰宅していたところ、急に雫は立ち止まった。
どうしたのだろうか?
そう思った俺は立ち止まり、雫が来るのを待っていた。
静かな時間が流れ、雫はやっと一言だけ、ぼそりと呟いた。

「...好き......」


俺たちはずっと一緒に入れることを信じて疑わなかった。

・・・・・・

そんなある日、俺たちが二人で街を歩いていると一人の
男に声をかけられた。その男は名刺を出し、雫に見せる。
どうやら芸能スカウトらしい。雫は戸惑っていたが、俺は
雫が芸能界にあこがれていることは知っていたし、
このまま俺と付き合って夢を潰してほしくない。
そう考えた俺は雫を説得し、やがて雫は芸能人、つまりは
アイドルと呼ばれる存在になった。

・・・・・・

それから俺たちの生活は変わった。雫は瞬く間に頭角を現し、

一気に人気アイドルとしての道を駆け上がっていった。
学校にも来なくなり、会う機会も極端に減った。
しかし、会えないまでも電話やメールはずっと続けていた。
電話やメールが、会えない俺たちを唯一繋ぐものだったから。


76:蒜
08/09/22 18:29:27 v3jjxTVx

でもそんなある日に俺の携帯に
雫の芸能事務所の社長から着信がきた。
そこで俺は様々な事を言われた。雫にとって君の存在は邪魔だ。
もしばれたら、人気アイドルがどうなるかわかるよね?
など。つまりは雫と別れろ。と言いたいのだろう。
それから俺は考えた。どうするのが雫にとってプラスなのかを。



そして三日後、俺は雫に別れを告げた_。

・・・・・・



77:蒜
08/09/22 18:30:33 v3jjxTVx

あの後俺は携帯を変えた。雫との繋がりを一切断ち切りたかった。
しかし別れを告げた日から一週間後の日曜日、
自宅に一本の電話が来て、俺は出た。

「もしもし?橘ですけど」

すると何もしゃべらない。
俺は無言電話かと思い電話を切ろうと_

「......翔平?」

愛しい彼女の声が聞こえた。

「雫...」

驚いた。俺が一方的に別れを告げたのにまさか家に
電話をかけてくるとは...

「今日の午後二時に8チャンネル。」

「は?」

何を言われるかと思ったがいきなりテレビの話で、
しかもそれは雫の初主演ドラマの記者会見のチャンネルだった。

「...見てね?」

雫はそういうと不安そうに電話を切った。

・・・・・・

俺は雫の電話を受け、8チャンネルをかけて見始める。
まずは脇役の数人のインタビューから始まり、そしてとうとう
雫の番になった。

「美空さん。今回主役に抜擢されたことについて
どう思いますか?」

「初の主演ドラマですが自信の程はいかがですか?」

等、記者たちの質問が飛び交う。
そんななか雫はいきなり頭を下げ、言った。



78:蒜
08/09/22 18:31:44 v3jjxTVx

「申し訳ありません。今回のドラマの主役、降ろさせてもらいたいと思います。...それと、
この場を借りて引退を表明させていただきたいと思います。」

雫がそう言った途端、会場が静まり返り、そして数秒後、
ざわめきと怒声が会場を包んだ。
雫のマネージャーであろう人はまったく知らされていなかったらしく、おろおろと慌てている。
事務所の社長であろう人は「すいません!!
記者会見を中止させていただきます!!」と大声で叫んでいる。記者たちは理由などを一斉に聞いている。
会場はパニックに包まれていた。
そんな中、雫は落ち着いた声で言った。

「夢にも...優先順位があると思うんです。」

いつのまにか俺は息をすることも忘れ、見入っていた。

「確かに芸能界で成功することは私の夢でした。
...二番目の。」



79:蒜
08/09/22 18:33:27 v3jjxTVx


記者たちは騒がしく、表紙書き換えだ!やスクープだという
声を上げている。社長やマネージャーは懸命に記者会見を
終わらせようとしているが無駄だろう。それでも雫は
理由を説明しようと言葉を続けた。

「...理由を説明する前に、昔話をしようと思います。
私には昔から好きな人がいます。いつから好きだったのかは
わかりません。でも気持ちに気づいたのは
小学生二年生のころでしょうか?それから私は必死でした。なんとか彼に振り向いてもらおうと。一生懸命尽くしました。
そしてつい先日に、とうとう実りました。とても嬉しかった。
それから一ヶ月たったあたりからでしょうか?
今の事務所にスカウトされたんです。」

もはや会場は雫の話を聞き入っていた。先ほどまでの
騒ぎが嘘のようにみんな雫に耳を傾けている。
終わらせようとしていた社長やマネージャーでさえも。

「スカウトされてからは充実していました。
二番目の夢の芸能活動、そして...、もうお分かりでしょう。
一番の夢だった彼と付き合っていた日々が。しかし、
そんな生活も長続きはしませんでした。

事務所の社長が彼に私の迷惑だから別れろ、
と言っていたのを聞いてしまったんです。
そしたら彼は私の迷惑になると思ったんでしょうね...。
私は別れを告げられました。とても、とても悲しかった。
でもその時に気づいたんです。私は誰の為に芸能活動を
していたのかを。」

雫...



80:蒜
08/09/22 18:35:48 v3jjxTVx

「私は綺麗な自分を彼に見てほしかった。どんどん綺麗に
なっていく私を見せて、綺麗だよって言ってほしかった。
そして...私が彼を好きだって知ってほしかった。」

...もはや言葉が出なかった。それと同時に後悔した。
なんでこんないい娘を手放そうと思ってしまったのだろうと。

「...これからはそんな自分を彼、翔平にだけ
見せたいと思います。だから...もう芸能活動はできません。
申し訳ありませんでした。この記者会見に来ている皆様、
ドラマの監督や関係者、共演者、事務所の方々には
深くお詫びを申し上げます。」

そう言って彼女は深く頭を下げた。そして最後にこういった。

「翔平、見てる?私はこんなにもあなたが好きだよ。
今も翔平が私を好きでいてくれるんだったら...、
私があなたに告白したあの場所へ来てください。
...失礼しました。」

そういって彼女は会場から出て行った。
会場はざわめきが収まらない。そして何秒かたった後に
画面が切り替わり、美空雫、電撃引退!というニュースが
始まった。

俺はその瞬間に気づいた。こんなところでこうしている
場合ではない。俺は瞬時に着替え、一番愛しい君の元へと
向かった_。

・・・・・・



81:蒜
08/09/22 18:37:08 v3jjxTVx

俺が息を切らせ、全速力でそこに駆けつけたとき、
すでに雫はそこで待っていた。

「来て...くれたんだね」

「...はぁ...はぁ...当たり前...だろ?」

俺がそういうと、雫は涙を零した。

「...うん。ありがとぉ...」

「馬鹿!感謝するのは俺だよ。ありがとな...、雫」

そういい、俺は雫を抱きしめた。

「...もう二度と触れられないかと思った。」

「...ごめん」

「携帯も変えられて、別れようって言われて...
嫌われたかと思った。」

「...ごめん」

「とってもとっても悲しかった。」

「…ごめん」

「…罰として、もう二度と離してやらない。」

「…それ俺はのセリフだ。もう絶対に離さないからな。
覚悟しろよ?」

「…っ…、…うんっ!」

そういって俺たちは唇を重ねた。

もう絶対に雫を見失ったり手放したりしない。

だって何よりも大切な人が

今俺の腕の中にいるのだから___。


~fin~






82:蒜
08/09/22 18:39:49 v3jjxTVx
以上です。誤字脱字があったらすみません。

あと一つ思うんですが…幼なじみに絶対必要なのはどんなタイプであろうが幼なじみは主人公が好きでずっと一途に想っているのが最高だと思うんですが皆さんいかがですか?



83:蒜
08/09/22 18:42:17 v3jjxTVx
一カ所ミス。

雫の「……好き………」の後。
いつも冗談などでそんな言葉は何度も聞いていた。しかし、今回は冗談などという雰囲気ではない。俺はびっくりしたが
少しの間を空け、言った。

「俺も...好きだ。」

そんな言葉から俺たち二人は始まった。
毎日毎日一緒にすごした。キスもしたし、一つにもなった。


84:名無しさん@ピンキー
08/09/22 20:03:51 AMQ0Xb4t
GJ!

一途に思い続けるってのにも色々あるとおもうけどな
・ずっと好きだったが関係を壊したくないために気持ちを隠し続けてきた
・昔からずっと変わらずに主人公とは0距離で接し続けてて、いつの間にか恋人同士に
とか

恋愛感情なしに、普通に親友みたいな間柄なのも個人的には結構好きだけどな


ひとつ質問
サイトから「tears」消えてるのは何故?

85:名無しさん@ピンキー
08/09/22 20:08:45 rCEV8TBG
   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ


86:蒜
08/09/22 20:12:11 v3jjxTVx
>>88tearsはモバゲーに移動させた

87:名無しさん@ピンキー
08/09/22 21:14:09 AMQ0Xb4t
移転先教えてください

88:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:31:38 +hOLuXOV
>>86
88に期待





...俺じゃねえか

89:蒜
08/09/22 23:48:29 v3jjxTVx
ミスったwサーセンwww

移転先。
URLリンク(creanovel.mbga.jp)

まだ閲覧数少ねぇ…

90:名無しさん@ピンキー
08/09/23 01:45:05 6SnAFe0t
( ;∀;)イイハナシダナー

91:名無しさん@ピンキー
08/09/23 15:03:00 Z7sbuVtW
>>90
え?w

92:名無しさん@ピンキー
08/09/23 23:22:49 NISnE6tL
>>89


93:名無しさん@ピンキー
08/09/24 15:13:37 HYIhO4/K
>>89
イラナイ

94:名無しさん@ピンキー
08/09/25 02:00:31 l2DpZmnY
そして誰もいなくなった…

95:名無しさん@ピンキー
08/09/25 02:12:51 Kb3fRohc
>>94
いや、まだ俺がいる

96:名無しさん@ピンキー
08/09/25 02:17:37 wiM/CsAH
オレモイル

97:名無しさん@ピンキー
08/09/25 03:17:23 l2DpZmnY
なんだ。みんな投下待ちか…

98:名無しさん@ピンキー
08/09/25 09:25:28 AsoMmuk+
職人さんのネタになるかもしれないしおすすめ幼なじみソングは?
俺はスピッツの「仲良し」だな
しかし失恋の歌で切ないし他の知りたい

>>65の人の主人公がまさにこんなんでびっくりした

99:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:13:38 B/hKXMol
保守age

小ネタ投下↓

100:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:14:43 B/hKXMol
廊下からパタパタと足音がする。
(やっぱ心配させちゃったかな・・・・悪い事したな)
医師に包帯を巻いてもらいながら、恭介はこれから起こることに苦笑した。

バン!

「キョウ!もう手遅れなの!?」
恭介の予想通り、幼馴染みの凛が息をあげて診療室に入ってきた。
いきなり命の心配かよ、と予想通りの展開に更に苦笑いが込み上がる。
医者の方も微笑んでいる。
「勝手に殺すなよ。左手にヒビが入っただけだよ」
巻き終わった左手を見せると、凛は一気に脱力する――
と、恭介は思っていたのだが、
「この――」
「・・・・?」
凛が震え始める。それが怒りだと解った瞬間恭介は青ざめた。
「ま、待て!おちつ・・・」
「バカバカバカー!!!勝手に心配させてー!恭介の大バカー!!!!」
「わっ、やめろ凛!とりあえず投げるのやめろ!ハサミは投げるな!」
包帯やらテープやら弾幕に事故以上の恐怖を抱きながら恭介は叫んだ。
医者の微笑みは、もはやひきつっていた。

101:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:16:24 B/hKXMol
「今度こそ死ぬかと思ったぞ・・・・」
「・・・ゴメン」
病院を出た二人は街を歩いていた。
「・・・・その」
「なに?」
「・・・・別に」
「・・・・なんだよ」
もっとも恭介は凛の言いたい事の予想はついていた。
十年以上の付き合いは伊達ではない
再び凛が口を開く。
「・・・・急いでくれてたんだよね?」
「あー、うん。早く凛に会いたかったし」
「バ、バカ!だからって事故起こさないでよね!」
顔を仄かに朱にしながら顔を背ける。
「凄く心配したんだから・・・もし、もしキョウが死んじゃったら・・・」
だんだん凛の声が震えていく。
(・・・・ったく、ツンデレは好きじゃない筈だったのにな)
またしても恭介は苦笑したが、それを隠して凛の肩で腕を回した。
「大丈夫。左手なら支障は大してない。俺は帰宅部だし。それに・・・」
「・・・・」
一瞬ためらったが、そのまま続ける。
「俺は凛を置いて勝手に死にはしないから安心しろ」
「・・・・バカ」
うるんだ眼を見せながら、それでいて綺麗な凛の顔に
恭介は愛しさを覚え・・・少し悪戯心も生まれた。
「あー、でもあれだ。一つ困りそうだな」
「・・・?」
「片手じゃお前の胸、揉みきれないな」
「・・・!!」
みるみる凛の顔が真っ赤になる。
ニヤリと笑い、恭介は更に続ける。
「お前好きだもんなー、胸いじられるの。すぐに・・・・」
「こんの大バカヤロー!!!キョウなんか死んじゃえー!!!!」
恭介の足を思いきり降んで、全力で走っていった。
痛みに耐えながらも
(そっちはいつものホテルへの道だろうが・・・)
と、本日4回目の苦笑を浮かべながら、
恭介は愛しき幼馴染みを追いかけた――

102:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:20:07 B/hKXMol
投下終了

初投下だが、俺文才無いな………
そもそも幼馴染み要素が少なすぎorz


103:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:31:19 9hHXz3LE
ふ、ふん!ぜんぜんにやけてなんかないんだからねっ!

104:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:52:07 AsoMmuk+
べっ別にきゅんきゅんなんかしてないんだから!

105:名無しさん@ピンキー
08/09/25 10:54:33 YYjmRfCH
(・∀・)キュンキュン!

106:名無しさん@ピンキー
08/09/25 12:10:23 l2DpZmnY
お前らツンデレ好きだなw

107:名無しさん@ピンキー
08/09/25 22:11:10 Kb3fRohc
ニヤニヤが止まらぬ

>>98
仲良しあげようとして上げられてたw
足の指っていいよね!

108: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:02:20 Ef0PmsnA
すいません、流れを読まずに投下。
とある田舎に住んでいる幼なじみのお話

109: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:04:41 Ef0PmsnA
隣で考え事して歩いているのは宮野恭平、それを横目に見て機嫌が悪くなっているのは
私、宮野和歌子。

恭平とは遠縁のいとこって関係、いとこだから同じ姓かってーと、そういうわけでもない、
私の生まれ育ったこの地区は宮野姓がやたら多いってだけ。
恭平の家は、早くにお母さんを亡くしていたせいで、恭平が小学校へ上がるのをきっかけに、
環境のいいお父さんの実家に引っ越してきたのだそうだ。で、うちは遠縁とはいえ親戚なんで、
家族ぐるみでのお付き合い。

恭平が家でご飯を食べていくことなんてざらにあったし、歳を取って出かけるのが億九な家の
親に代わって、恭平のお父さんに色々なところへ遊びに連れて行って貰ったりもした。
私は、近くに近い年の子がいなかったから、自然と遊んだ回数が多かったってだけのこと。

…そりゃ、今考えるとあんまり女の子らしい遊びじゃなかったなと思ったりするけれど。
お日様神社で隠れんぼとか、飼い犬のシロを連れて裏山探検とか、ふもとの小川で魚釣りとか、
お陰で運動能力はずいぶん鍛えられまして、スポーツ全般得意になっちゃった。

そんなこんなで、小学校、中学校と一緒に来て、高校も同じく隣の市の進学校に進んだ。
私も恭平も親からは同じ県内の国立学校に行ってくれって頼まれているって事は、大学も
一緒になるかも。
まぁ、大学は受かることが出来たらって事なんだけれどね。そのために今は色々頑張って
いるところ。

でも、ここまで一緒だと流石に呆れてしまう腐れ縁だ。

110: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:06:51 Ef0PmsnA
だからといって、別に私が朝恭平の家に行って起こして一緒に登校ってなんてベタな関係では
ありませんから。あしからず。
…まぁ私の方が何時もギリギリで駅に向かってダッシュしているせいだから何だけれどね。

こういうと「がさつな女」って印象もたれるかもしれないけれど、私だって、年頃になってお洒落
には気を遣うようになっているし、化粧も覚えた、美人は得をするって思うし、そのためには努力
もしなきゃと。

自分でいうのも何だけれど、実際私は美人な方だと思ってる。
そりゃ街歩いていたらスカウトされたりなんてする訳じゃないけれど、それなりに猫もかぶって
いるから男子からの人気はあるみたい。告白は何度もされてきたし、内申書の点数稼ぎで
生徒会に入ったら、なぜか副会長に推薦されてなったりもしたしね。

恭平とは男女交際ではなく、やっぱりあくまで幼なじみの関係。
暇な時は恭平の家に押し掛けていって、お菓子食べたり、ビデオ見たり、ゲームやったり、
勉強したり…。
一見恋人同士のつきあいに見えるかもしれないけれど、やっぱりこれは男女交際ではないと
思ってる。
だってもし互いが同性であっても同じ事してるんじゃないかな。
甘い雰囲気になることもないし…。

そんなこんなで、恭平とはこんな関係がずっと続くものだと思っていた。
いや、あえて本音を言えば「ずっと続いて欲しかった」。気の置けない友人として、猫かぶらない
で素の私が出せる相手として、恭平にはずっと隣にいて欲しかったのだ。

 * * *

今日、恭平が告白されたらしい。
相手は恭平の所属している美術部の後輩、加奈子ちゃん。私から見てもかわいいと思える子だ。
ちっちゃくて、女の子らしくて、ころころ笑って、一生懸命で、保護欲を掻きたてるような、そんな子。


111: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:08:04 Ef0PmsnA
「いーじゃん、つきあっちゃえば」
なんか面白くない。そんな心を隠してからかうような口調で言う。
「こんな機会もう2度と無いかもよ、恭平が告られるなんて」
「簡単に言うなよ」
意外とまじめな恭平の声に顔を向ける。
「それに、もしつきあったら和歌子、お前家に来ること禁止になるぞ」
「えっ、なんでよ」
それは困る、これから親から隠れてどこでお菓子食べればいいってのよっ…って問題は
そこじゃないけれど。

「あのなぁ、逆の立場で考えて見ろよ。お前がつきあっている男がいくら友達だからって
別な女の子を度々家に上げているような奴だったらどう思うよ」
想像してみる。想像上の相手は…恭平だ。恭平の家に見知らぬ女の子がやってきて、
私のポジションをとってしまう。そんな想像。

「う、たしかに嫌かも…」
「だろ」
自分の想像に自己嫌悪、なんで恭平なのよ。

「俺さぁ、今回告白されて思ったんだ、告白ってすげー勇気がいるって事」
「ふうん」
「いつもころころ笑っているあいつが、顔真っ赤にしてふるふる震えながらこの手紙受け
取ってくださいって…」

なんかイライラして言葉を遮る。
「なに、もて自慢?」
「違うよ、こんなに一生懸命の告白には、やっぱり一生懸命答えたいって」
「それって…つきあうってこと?」
恭平が、他の子とつきあう?今更、私を残して?…ん?私を残して?

「いや、俺も勇気出さなきゃないかなってこと」
恭平が立ち止まる。何事かと私も足を止める。


112: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:09:48 Ef0PmsnA
「和歌子、お前が好きだ、ずっと前から…」
「へ?」

なになになに、恭平?なにこの急展開?
「お前が告白される度に、俺はもういつもどうにかなりそうだったんだ。でも、今の関係が
良すぎて、この関係の変化するのが怖くてずっと言えなかった」

「ちょっ、ちょっと恭へ…」
「和歌子、俺とつきあってくれないか?」

がつんと言う衝撃、頭が真っ白になってなにも言えなくなる。
「お前が告白されても断っているのは、俺が居たからだというのが思い上がりの勘違いって
言うんだったら言ってくれ」
「そ、それは…」

しどろもどろに言葉を紡いでもその続きが出てこない。長い時間がたった。
恭平の静かな声。
「どうなんだ」

だめだ、降参。そうです、そのとおりです。恭平、アンタが居たからだよ。
「…うん、恭平が居たから断ってた…」
恭平、私もずっと好きだった。でも好きって思わないことにしていた。
理由は恭平と同じ、関係が壊れるのが怖かったから。

「ふぅ…」
恭平が力を抜いてガードレールに腰をかける。
「勝算があったとはいえ、すげー緊張した」
なんだと、勝算があっただと?おい。
「なにそれ、計算ずくってこと?」
「ははは、六四くらいには、って自惚れていたんだけれど、うれしいよ和歌子」
笑顔の恭平を見てられなくなって思わず背中を向ける。
顔が真っ赤になってるの何となく判る。こんな顔恭平に見られたくない。

「ふ、振られた時はあっさりその子とつきあうつもりだったんじゃない?計算高い奴ぅ!」
「そんなこと無いよ、悪いけれどこの話は断って、和歌子に振られた傷心を一人寂しく慰める
ことにしていたさ」
「ど、どうだか、判らないよね、そんなの」

恭平が近づいてくる気配がする。心臓が高鳴って爆発しそう。相手は恭平だよ、なんで今更
こんなになる必要があるってのよ。

113: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:11:17 Ef0PmsnA
「和歌子…」
肩を掴まれ振り向かされる。恭平の顔が目の前にあった。なんだ恭平も真っ赤になってる
じゃん。

「好きだ…ン」
突然キスされた。
キスキスキスゥ?こんな天下の往来で?突き飛ばそうとしても力が入らない。
唇が触れ合うだけの軽いキス、でも、たぶん忘れることが出来ないであろう私のファースト
キス。
不覚にも状況に流されキスに酔っている自分が居た。

ブォォォォォ…

車が通り走り去る音で我に返る。
「ひょ、ひょうへひ!ぷはっ、あんたなに考えてんの?こんな往来でっ!」
キスする恭平を無理矢理引きはがす。
「誰もいないよ、車なんかはすぐいっちゃうし」

なにしれっと言ってるの?コレも計算尽く?危ない奴め。
「黙れ変質者!だ、誰も見てなきゃいいってもんじゃないでしょっ!」
「変質者はひどいな、和歌子だってその気になってくれたじゃ…」

ぷはっ、思わず吹き出す。
「なってません!うぅ、私はこんな変態と共に過ごしていたのか、よく今まで貞操が守れた
ものよね。それにしても好きな人がこんな変態だったなんて私可哀想!」
「好きな人に変態変態と詰られてる俺可哀想…」
「もう口開くなっ!いいわ、いいでしょう、これからアンタん家に行って、洗いざらい話して
貰うからね、いつから私を好きになったのか、どういうところが好きなのかをねっ」

私は相当目を据わらせて恭平に詰め寄っているようだ。恭平の顔が青ざめていく。
「うわぁ、俺そういうの苦手っぽいんだけれど、好きなら好きで良くない?」
「良くないっ!今後のつきあい方も考えなくちゃ危うくてやってられないわ」
「今まで十年以上積み重ねた信頼関係は…」
「さっきのキスで吹っ飛びましたっ!」

ははは、なんだ、なんにも変わらないじゃない。
そっか、お互いとっくの昔に好きになっていたんだもの、変わるわけがなかったんだ。

ごめんね、加奈子ちゃん。
恭平はずっと前から猫っかぶりでわがままでかわいくない女に夢中だったみたい。
私も朴訥なわりに気が利いて優しい恭平に夢中であったことを気づかされました。

とりあえず恭平の家に行ったらキスをしよう。
ゆっくり思い出に残るような優しい恭平とのセカンドキスを。

114: ◆9fxcNmN64c
08/09/26 01:12:59 Ef0PmsnA
以上です。
続きの濡れ場はあるのかどうか…

環境は整っている分、書きやすいとは思うけれどね。
それではまた。

115:名無しさん@ピンキー
08/09/26 02:15:58 35NJfuTW
GJ!まあ、難しいなら無理に濡れ場は書かなくても…
保管庫にもそういう作品、結構あるし。俺は幼馴染み分を補給するためにこのスレに立ち寄ってるしなw

116:名無しさん@ピンキー
08/09/26 02:20:59 3N/qg3Q8
GJ!

>>114てかその後家で和歌子が恭平に食われるんですね。分かります。

あと欲を言えば加奈子ちゃんの出番が個人的には欲しかった。

117:名無しさん@ピンキー
08/09/26 11:21:18 RdNk5uGz
傷心の加奈子ちゃんを下心一切なしで慰めるお兄ちゃん的幼馴染み
といい感じになるんですかわかりません。

118:名無しさん@ピンキー
08/09/27 01:32:08 3Udm93Uo
ぐっじょー!
やはり恋の玉突き事故(?)は幼馴染みモノにあいますな
続きを正座してお待ちします

119:名無しさん@ピンキー
08/09/29 18:04:10 i9wA35OQ
全裸で胡座をかきお待ちしております

120:名無しさん@ピンキー
08/09/30 00:10:26 xtDwx5co
ん?
胡座とははじめてきいた

参考までに教えてくれ
何派だ?

121:名無しさん@ピンキー
08/09/30 02:27:21 QFbF3tTy
>>120へ。胡座はただの胡座(あぐら)だ。変換してみれ

122:名無しさん@ピンキー
08/09/30 05:17:35 xtDwx5co
>>121
いや、「あぐら」と読むのは知っている
全裸で待つ流儀として、正座といすに座る以外が初めてだったのでな

男性より女性が望ましいな

123:名無しさん@ピンキー
08/09/30 08:37:56 QFbF3tTy
悪いが男だ。流儀は自己流といったところか…

124:名無しさん@ピンキー
08/09/30 09:48:15 hsjx1bIV
じゃあ俺は結跏趺坐して待つぜ

125:名無しさん@ピンキー
08/09/30 17:43:16 /NcOflaI
ぬ?わが故郷(くに)では三点倒立が基本だったのだが…

126:名無しさん@ピンキー
08/09/30 22:52:01 ZYMwbFXl
空中胡座ができるように修行してくるよ

127:名無しさん@ピンキー
08/09/30 23:10:36 CDjuk2Gt
お前らの全裸の格好など激しくどうでもいい。
幼馴染の話をしろ。

128: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:44:29 sBYohPKs
じゃあ自分はヨガのアシカのポーズで待ちますね。お邪魔します。
肌寒くなってきたので少し季節を先取りした話です。暇つぶしにどうぞ。
・内容:小ネタ エロなし(いつもすみません)
・使用レス数:4レス
・NGワード:タイトル/ 初恋談議
        トリ/  ◆H676uvqZmA

□ お詫び・注意 □
・投下を1レス 35~50行×40(±2)字/単語改行/段落空行無 でおこないます。
環境によっては読みにくいこともあるかと思います。すみません。

人物紹介
・中原純太:SS中で名前が1回しか漢字表記されていない不憫な子
・松下夏実:女の子は甘いものとわがままと少女漫画でできています
・かず兄:純太の兄/元悩みのタネ
・えみちゃん:純太の姉/生態不明
・山田:AT部顧問/真面目に生きろよ

129: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:45:02 sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【1/4】


 水音と調理器具同士がぶつかる音が響く家庭科室。俺は最後の泡だて器の水気を払い、
蛇口をひねる。なんとか必要数を集めた新AT部の活動第一回目が無事に終わり、
ほっと息をついた。お菓子作りに慣れない他のメンバーを先に帰らせて、俺と部長である
夏実の二人での片づけは意外と時間がかかり、外はもう真っ暗だ。
「おー、バカップルまだ残ってたのかー」
 ダルそうな声に視線をやると、顧問の山田がいつかみたいに教室を覗き込んでいる。
ぼんやりとそちらを見ていたせいで、夏実の手からは雫がポタポタ垂れてスカートが
濡れてしまっていた。寒くなってきているし、風邪でもひかれたらたまったもんじゃない。
冷えて赤くなった指先と制服をタオルで拭ってやりながら、山田に問いただす。
「バカップルって何んすか、センセイ」
「中原。お前って何気に大物だよ」
 どうして大物なのか。確かに夏実と付き合ってるから、カップルは否定しない。けれど、
馬鹿に関しては納得したくない。だって恥ずかしいあだ名で呼び合ったりしてないし。
こうした俺の主張は短く鼻で笑われて無かったことにされてしまった。
「センセーしてると、何組もお前らみたいに幼馴染で付き合ってるやつらみるんだわ。
けど、前から疑問だったことがあるんだよなぁ。ちょうどいいから、答えろ」
「職権濫用っていう言葉、知ってます?」
「何とでも言え」
 開き直りやがった。教師が生徒の恋愛事情に首突っ込むなよ。夏実も少しは否定なり
なんなりしてくんねぇかな。視線を投げると、両頬を手で押さえてヘラヘラしている。
……駄目だ。
「そんで、いつから松下のこと意識しだしたわけ? 何がきっかけなんだ? 今までは
家族みたいなもんだったんだろ?」
 山田はドラマのしつこい記者みたいな勢いで質問を繰り出してくる。いい加減、夏実も
助けてくれてもいいんじゃないか。もう一度、協力を求めて見下ろすと今度は期待に満ちた
瞳とぶつかった。
 何を期待してるんだろう。こいつは。
 正面には似たような目をした山田。二人の無意味に熱いまなざしを受けながら俺は
顎に手をやった。
「……あー、ノーコメントで」

■□■□■□■



130: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:45:34 sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【2/4】


■□■□■□■

 枯葉が舞う表とは対照的に、夏実の部屋は淡いオレンジなど柔らかい色で統一されていて、
いつも暖かいイメージだ。いつもは。けれど今日はどことなく冷え冷えとしているようなのは
気のせいじゃないはず。
 宿題を進める手を休めて、部活のまとめをする夏実を盗み見る。俺が教えて作った蜜柑の
ロールケーキのレシピや写真をブログにアップしている後ろ姿は普段と変わらない。
プラスチックのアクセサリーで留めた髪形とか。変わらないはずなんだけど。
「なぁ」
 声をかけると「何」と小さく返された。こっちを振り返る気配さえない。やっぱりしっかり
へそを曲げている。それとも怒ってるのか。どっちもか。
「蜜柑のロールケーキ、持って帰ってきた分食う?」
「いらない」
 ヤバイな。これはかなりのレベルだ。
 学校から帰ってくる間もずっとこうだった。でもさすがに甘いものを出せば機嫌を直すかと
思っていたんだけどな。
 ディスプレイに映る口元は尖っていて、不満をたっぷりため込んでいるのが手に取るように
わかる。原因以外は。いや、本当は予想がついてる。
「もう、終わったし、おわり。戻っていいよ。ばいばい」
 そう早口に言うやいなや、夏実はパソコンの電源を落とし、俺が広げていた教科書を
手早くまとめて押しつけた。俺の腕を引っ張って立ち上がらせようとする手を逆に取って、
胸に抱きとめる。
「きゃ、なにすんのっ?」
「どうしたんだよ」
 拘束を抜け出そうともがく夏実の文句を無視して問いかけた。長年一番近くにいたんだ。
朧げにはわかるけど、ちゃんと知りたい。前みたいに勝手に判断したっていいことはないから。
 苦しそうな声をあげるから少しだけ囲いを緩める。眉間にしわ寄せた横顔が見えて、
あっという間に背を向けられてしまった。夏実は許された行動範囲ぎりぎりの、俺の脚の間で
ひよこみたいに小さく体育座りをする。その襟足を指で宥めるようにゆっくりゆっくりなぞる。
 だんまりを決め込んでいたけれど、あまりに俺がしつこかったからだろう。せめてもの
抵抗か、額を立てた膝にくっつけて「答えなかった……」と呟いた。
 やっぱりそういうことか。山田の質問を答えなかったことが原因。
「別に山田の質問なんてどうだっていいだろ」
「聞きたかったんだもん」
「今、こうしてることが証拠だし」
「でも知りたいの」
 手強い。今回はなかなか根が深そうだ。
 きっかけや、理由なんて今に比べたら小さなことだと思う。それにもう、この気持ちと
長く一緒にいすぎて当たり前になりすぎて、説明なんてできない。だから答えろなんて
無理難題を突きつけられても困るんだ。
「そんなに言うなら、夏実はきっかけとか聞かれたら答えられるのかよ?」
「られるよ!」
 ほんのりと赤く染まった耳を覗かせながら、はっきりと言い切った。

■□■□■□■



131: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:46:07 sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【3/4】


■□■□■□■

「まだ、小二だった頃、クラスの女の子の間で手作りお菓子をこーかんするの流行ったの
憶えてる?」
 そういえば、そんなこともあったような気もしなくもない。その時はクラスが違ったから、
はっきりしなくてあやふやなまま頷く。俺の様子に疑わしげにしているが、夏実は諦めたのか
再び話し始めた。
「その頃はまだ、ママは残業が多い部署にいて。私はちっちゃかったし、家で勝手に火を
使えなかったでしょ? 使えても一人じゃ作れないし、ママは忙しくて手伝ってくれなかった
だろーし……」
 そんなこともあって、夏実はよく家で夕飯を食ってた。俺の家も店をやってるから、
親父もお袋も帰りが遅い。だけど十二歳上の姉貴と十歳上の兄貴がいる。だから火も
使えたし、なにより寂しくなかった。親たちもそれをわかってたから、夏実と俺らを一緒に
過ごさせてたんだろう。
「そんなとき、誰だったか忘れちゃったけど男子が私に、言ったの。『お菓子も作れない
なんて結婚できねーぞ!』って」
「そこ、誰だったか思い出せ」
「いーから! でね、悔しくってすっごく悔しくって。クッキー作ろうってじゅんたの家の
キッチン借りて練習したの。でもやっぱりうまくできなくてさー。助けてほしくてえみちゃん
探したけど、いなくて。かず兄にはクッキーは無理ってさじ投げられるし。とうとう私、
泣きだしちゃったの」
 恥ずかしくなったのか、また夏実は顔を膝に埋めてしまう。
「どれくらいそーしてたかな? 気がついたらじゅんたが入口のとこでオロオロしてた。
じゅんたって変なとこでタイミングいーよね。知らないうちに私のこと見ててくれるの。
それで、そばにきて『手伝うよ』って言ってくれたんだよ」
 ここまできて、俺もようやく思い出してきた。友達と遊び疲れて、おやつを食べに帰ったら
ゴムべらを持って泣いてる夏実がいてパニックになったんだ。昔も今も俺は泣いている
夏実に弱い。
「でも、私、意地になってて。せっかく助けてくれるって言ってくれてるのに、いらないって
突っぱねたの。そんな態度なのに、じゅんたは頭なでてくれて『夏実はがんばってるんだから、
だいじょーぶ。いいんだ』って笑ったんだよ。嬉しくて、ますます泣いちゃった」
 せっかく泣きやんだと思ったのにボロボロ涙を零す姿にお手上げ状態になったんだっけ。
どうにか落ち着かせて、二人で片づけをして一から作り直した。俺がタネを作って夏実が型で
くり抜いたり、焼きあがったものにチョコレートをつけたりしたんだ。
「作りながら、お嫁さんになれないー! って話したらね……じゅんた何て答えたか憶えて
ないでしょ? こう言ったんだよ『助けあうのが夫婦なんだって、とーさん言ってた。夏実が
できないなら、旦那さんが作ればいいんだよ。俺みたいに作れる人と結婚すればいいんだよ』
ってね」



132: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:46:40 sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【4/4】


「……言ったような」
 夏実がこっちを向いてなくてよかった。すっげぇ恥ずかしい。よくそんなこと言っておいて
忘れていられたな。自分のことながら感心する。
 俺の腕に頭を預けて、なおも夏実は続けた。
「言ったんだよ。ふふっ。じゅんたは自然といつも私を見てくれてるから。……出来上がった
クッキーを詰めながら『じゅんたみたいな人じゃなくて、じゅんたがいいな』って呟いたら、
じゅんたったらすぐに『いいよ』ってうなずいちゃうんだもん。不安になっちゃって。何度も
『やくそく?』って聞くたびに何度でも同じように返してくれた」
 もう勘弁して下さい。そう言いたかったけど、話す夏実の声がわた飴みたいにやわらかくて、
甘くって、もっと聞いていたい気持ちとで揺れる。さらにふわふわ、言葉は続く。

「そのときからずっと、誰よりも、すきだよ。一番、大切なの」

 幸せすぎると、人間って言葉がでないことを、今、知った。
 胸のあたりから、何かが広がっていく。
「だから、じゅんたの苦手なことがんばろうって決心して、算数でしょ、理科でしょ……今は
数学と化学と物理、ぜーんぶがんばった。かず兄に教えてもらったりして。補い合うために。
じゅんたは気付いてくれなかったけど」
 ああ、マズイ。泣きそうだ。「まして、それを理由にとんでもない勘違いしやがったし?」
と茶化すので精いっぱいだ。こんなに想ってくれてたのに、俺って本当に馬鹿だな。
よりにもよって兄貴のこと好きだと考えてたなんて。
「そうだよ。びっくりしたんだから! 許してあげるけどねっ。だから、知りたいじゃん。
よけーに聞きたいの。私、ちゃんと答えられたよ。ね、じゅんた、ねぇ」
 俺がそうしたように、夏実の細い指が腕を繰り返しなぞる。その指を掴んで口づけた。
頭を抱えるようにして撫でる。しばらくそうしてから、俺はゆっくりと話し始めた。
 外では枯葉を落とす冷たい風が吹いている。
「いつからとか、わからない。だけど、他人、家族に対して感じるのとは違うってこと
だけは言える。この気持ちは俺が俺であるのと同じぐらいだって言えばわかる? 多分、
そんなこと考える前からなんだよ、夏実。気づいたらそうだった」
「うん」
「ただ、一つ言えるなら……」
 言葉を迷わせた俺を夏実が振り返ろうとする。どうしても絶対に赤くなっている顔を
見られたくなくて、それを押しとどめて夏実の匂いを吸い込んだ。
「―俺もずっと、なんでも頑張る夏実が好きなんだ。できなくても、かわりに何が
できるかって考えて、頑張るところ。あきらめないところ」
「そっか」
「ああ」
 相変わらず窓の向こうは寒そうだけど、俺の腕の中には笑い声とぬくもりがある。
 いろんなものに対する「好き」と、恋愛感情の「好き」の境界はとても曖昧で、
区切りなんて付けられない。けれど俺らの間には両方ともあって、たしかにあって。
 もし違いをあげるなら、育ち続けて留まることを知らないことだ。


END

133: ◆H676uvqZmA
08/09/30 23:49:18 sBYohPKs
お邪魔しました。
来月も良い幼馴染が豊作でありますように。

134:名無しさん@ピンキー
08/10/01 00:18:20 pj01oArs
一番槍GJ!
「L」ikeと「L」oveの差違って訳ですね。
唐突に発せられる、何時どうなって好きになったかって質問には、
男はホントに答えられないよね。

過ぎゆくなるを見送るにはいい短編デスなぁ。

135:名無しさん@ピンキー
08/10/01 00:20:06 7DqnM6pn
>>133
相変わらずgj

136:名無しさん@ピンキー
08/10/01 21:35:58 xH6kTtIW
これは良い幼馴染

137:名無しさん@ピンキー
08/10/01 23:19:21 8pJ/EtrK
いい感じだぜ……!

138:名無しさん@ピンキー
08/10/02 00:49:02 n+0v6b17
練習スレと両方読めば二度おいしい

139:名無しさん@ピンキー
08/10/02 12:29:23 J9EYI0rw
ロールケーキ食いたくなった

140: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:03:28 1U0XXtmB
やめて!そんな格好で待っていたらヒットポイントがゼロよ!

ってすみません。>>109-113の続きです。

主人公:宮野恭平  ヒロイン:宮野和歌子

遠縁の親戚でとある田舎の近所同士、本日ついに告白して相思相愛だった
ってことが発覚したって設定です。

NGトリップ:◆9fxcNmN64c


141: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:04:57 1U0XXtmB
庭の畑で野良仕事している恭平のおじいちゃんへの挨拶もそこそこに、恭平の家に押し入り
部屋に押し込める。

勝手知ったる幼なじみの家。
勝手にベッドに座り込み尋問開始。
「さて、洗いざらい吐いて貰いましょうか」
「えぇ~、勘弁してよ」

恭平はがっくりと椅子に手足を投げ出してもたれ掛かる。
なんだ貴様そのやる気のなさは!とても今日相思相愛が発覚したカップルの片割れとは
思えない。

「私が納得できないの!私がどんな思いで告白断ってきたかなんて分からないでしょうからね」
「あ、ああ、告白かぁ、俺が覚えてるのは、中3年の時サッカー部の高橋から告られていたろ?
あれが最初だよな。あのときには俺を意識してたって事でいいのかな?」
「な、なんで恭平が高橋君とのこと知っているのよ?」
「自慢してたじゃん」
「…そうでした…じゃなくって、今は恭平の話!」

恭平が、んーっと笑って天井を見上げ視線を逸らせた。
窓から入る夕日に照らされて、その整った顔を照らし出す陰影が、あんまり綺麗なんで、不覚
にも恭平に見とれてしまった。

「ずっと好きだったよ」
天井を向いていた恭平の顔がこちらを向く。
「っ!」

あまりにも静かに紡ぎ出されたその一言に私は言葉を失う。

-ずっと好きだったよ-


142: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:06:21 1U0XXtmB
なんか、頭の中で言葉が反響して涙が出そうになってくる。

こんなとこで泣いたら一生の恥!だけど、だけど…。
私も、恭平のことずっと好きだったんだ。ひ弱そうな外観からは想像出来ないくらい、芯の
通った強さを持っている恭平のことを。

恭平は続ける。
「母さん亡くして、こっちに引っ越してきて、誰も友達いなくて心細かった時、和歌子が俺の
手を引っ張って最初の友達になってくれたじゃないか、その時からだよ」

野良犬から私を守ってくれた恭平、転んで足を挫いた私を家まで負ぶってくれた恭平、中学
で高橋君がらみで孤立しかけたとき、何でもないように手を差し伸べてくれた恭平、一緒に
色んなとこ行った、一緒に色んなことして遊んだ…色々な想い出が一気にフラッシュバック
して頭の中に溢れてくる。

「………そんなに昔から?」
「感動した?」
「…むっつりスケベ」
「非道いっ!俺の長年の想い全否定!?」

やっぱり素直になれない自分の馬鹿さ加減にあきれる。
けれど…。
ぷっ!と互いに顔を見合わせて吹き出す。

緊張が取れたのか、恭平が律儀にもさっきの話の続きをする。
「まぁ、異性として好きになったのは、多分中学生位からだと思うけれど…その、お前…
すごく綺麗になったし…」
「な、なに恥ずかしいこと言ってんのよっ!」
「恥ずかしいこと言わしてるのはお前だろっ!」
嬉しい…けれどどこか不毛な言い争い。でも嫌いじゃないよ、この掛け合い。

「…ふぅ、いいわ、じゃ異性として好きになる前は?」
「心の友」
「何そのあなたジャイアン私のび太みたい言いぐさは」
「どっちかってーとジャイアンはお前の様な気が…」
「女の子に向かってジャイアンって言った!」

軽口を叩きながらベッドから立ち上がり恭平へと近づいていく。
椅子に座った恭平の両肩をつかみ顔を寄せる。

143: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:08:23 1U0XXtmB
「異性として好きになって…、こういうことしてみたかったの?」

挑みかかるように今度は私からキスしてやった。
唇を押しつけあうだけの幼稚なキス。でも息を吸うことも忘れてしまうくらい全身の感覚が
唇に集中する。同時に恭平の右手がゆっくり背に回り、左手が耳のあたりを優しく撫でる。
恭平、恭平、恭平…。
すっと隠していた愛おしい感情が爆発しそうになる自分を押さえる。

ゆっくりと唇を離し、互いに甘いため息をつく。
「和歌子…」
恭平も真っ赤に上気して、普段のポーカーフェイスはなくなってる。

ふと、このまま想いが叶ってしまうことに怖さを覚える
「…加奈子ちゃん」
つい、必要のない言葉をぽつりと漏らす。
「え?」
「加奈子ちゃんのこと、どうするの?」

馬鹿、私!今はそんなこと言う時じゃないでしょ!
頭の中の私が怒鳴り立てるが、怖さが無くならない。言葉が止まらない。

「いまなら、まだなんにもなかったことにしてあげる、私、加奈子ちゃんみたいにかわいく
ないよ」
声が震えてるのが自分でも分かる。
「お前なに言って…」
「いまなら無かったことに出来る。今ならずっと幼なじみで居られるの!」
「お前…」
「怖いの!恭平とこんな仲になって…恭平と喧嘩したら、もし恭平が離れていったら」

感情が捻れながら激しく吹き出る。さっきまで笑いあってたはずなのに、今自分はなんで
涙を零しているんだろう。今なんでこんな考えになってしまっているんだろう。

判らない。
ただ怖い。

恭平が隣にいないことに、もう自分は耐えることが出来ないはずなのに。


144: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:09:43 1U0XXtmB
「俺は和歌子が本当にかわいいこと知っているよ」

恭平が静かに言葉を紡ぐ。
「お互い人間なんだからさ、喧嘩だってするさ。でも離れていったりはしない。俺は和歌子の
隣にいたいんだ」
恭平、好き。もうだめ、恭平が好き、離したくない、離れられない。
自分でも顔が涙と感情の激流とでグシャグシャになっているのが判る。
こんな顔恭平に見せたくない。恭平に背を向ける。

しゃくり上げてる背中を、椅子から静かに立ち上がった恭平がゆっくりと抱きしめる。ぎくしゃく
しながら、でもとても優しく。
「お前も俺が好きでいてくれて嬉しい、今更幼なじみってだけの関係には戻りたくない。和歌子、
お前が他の男に取られるなんて想像はもうしたくないんだ、お前の隣には何時でも俺が居たい
んだ」

遅ればせながら理解する。
さっき恭平の告白を受け入れたとき、もう私たちは幼なじみじゃいられなくなったんだ。

「…証明して」
掠れた声で、震える言葉を送り出す。
「なにを」
「私が恭平のものだってこと、何時でも隣にいるのは恭平だってことを証明してよ」
そういいながら、リボンを外しジャケットを脱いでスカートを降ろす。
上はブラウス、下はショーツとソックスという姿になって、恭平を見据える。
「!」
恭平が息をのんでいる。どんな朴念仁だって今の状況でこの言葉の意味が分からないはず
がない。

「…和歌子!」
抱きしめられて、キスされた。

3度目のキスは今までよりずっと激しいキス。
でも恭平の唇が動くと、その隙間から私の唇に暖かい物が触れてくる。恭平の舌が私の唇を
つついてくるのを、そっと唇を開いて迎え入れる。
すかさず口内が恭平の舌に蹂躙される。恭平の舌を迎え入れ、私も激しく絡ませる。
舌でお互いの口内を嬲り、お互いの唾液を交換しあう。
恭平ってこんな味だったんだ。思ってたより、ずっと甘い、ずっと美味しい。
そして、舌を絡ませるディーブキスがこんなにも気持ちいいことを初めて知った。

145: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:10:44 1U0XXtmB
恭平の両腕に痛いぐらいに抱きしめられる。
私も負けずにしがみつく。
ともすれば快楽に砕けそうになる足を必死に踏ん張ってキスに答える。
でも、その抵抗も空しくそのまま恭平に押されベッドへと倒れ込んだ。

「んあっ!?…はぁ、はぁ、はぁ…」
「だ、大丈夫か?痛くしてないか?」
「はぁ、はぁ…、大丈夫、ちょっと驚いただけ」

「和歌子っ」
再び口を唇でふさがれる。
さっきよりも強引に、さっきよりも力強く、恭平が私を求めてくる。その事実がうれしい。
恭平と手と手を握り合い、お互い息を荒くしながら、ディーブなキスを繰り返す。
こんなキスだけで背中がぞくぞくするような快感、この先どうなっちゃうんだろ。
でも、いまは離れたくない。

キスの合間の何度か目の息継ぎで、言葉を紡ぐ。
「恭平の裸、見たい」
言うと同時に荒い息をしながら、恭平のワイシャツのボタンを外していく。思っていたより
ずっと広い肩幅に、Tシャツの首元からくっきり浮き出だした鎖骨が表れる。
恭平が自らTシャツを脱ぎ捨て、覆い被さってくる。
細身であっても締まった体、思いの外浅黒く日焼けした体に、私は柄にもなく…トキめいた。

「俺もお前の裸を見たい」
恭平がブラウスのボタンを外して脱がせてくる。あっという間に下着だけの姿になる。
「待って、ホック外すから」
自分でブラのホックを外す。恐る恐るといった感じで恭平がブラジャーをたくし上げる。
私の胸が恭平の前にさらけ出される。


146: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:11:49 1U0XXtmB
「和歌子、綺麗だ」
「やだ…似合わないって」
「触るぞ、いいか?」
「そういうのはいちいち聞かないでよ、恥ずかしい…」
「うん」

恭平の手のひらが、左胸を覆い、そのまま優しく撫でるように触りだす。
「んっ、く、くすぐったいよ」
我ながら色気のないセリフ、でも恥ずかしい心を隠すには調度いい。

次第に手のひらに力がこもる。胸が変形するように大きく潰され揉みしだかれる。
乳首を指先で摘まれ、捻りながら押し込まれる。
「んん、う、ああ、ん、ふわぁ…」
自分の声じゃないような甘えて蕩けた声が漏れる。
「痛く…ないか?」
「うん、痛くは…ないよ、変な…ン感じ…、んん、はぁ、あっ」

「じゃあ」
恭平が空いている右胸に頭を埋めてくる。
「…ん」
そっと乳首に口付けされる。
「ひゃんっ」
今度は歯で乳首を甘噛みされた。くすぐったさとは違う電流のような刺激が背中を駆け
上がる。
私の悲鳴に堰を切ったかのように、恭平は左胸への愛撫と右胸への吸い付きを強めて
くる。

「あ、ア…ン、ふわ、や、ああ、あっ!」
恥ずかしい、私ってばなんて声をあげてるんだろう。

恭平の右手が、横腹をなぞり、足の付け根へと伸びてくる。
ショーツの上から、裂け目をなぞられる。
「あん、ん、あ…」
それだけで意識が飛びそう。
上端に行った手が、ショーツに分け入り、茂みを掻き分け、私のヴァギナに触れてくる。


147: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:13:03 1U0XXtmB
クチュリ…

「ひぅっ、ふわあぁっ!」
確かな水音とともに、それを纏わりつけた恭平の指の動きを感じてしまう。
溢れていることが恥ずかしい。知られてしまうことが恥ずかしい。
しかしそれらの恥ずかしさを超えてなお、恭平の手で秘所をなぞられる快感は、意識の
全てを真っ白に塗りつぶすような感覚を与えてくれた。
「こんなに…濡れてるんだ…」
呆然としたような恭平の声が、どこか遠くから聞こえたような気がした。

「や、やだ、恭平…ばかり、ずるい…よぉ」
恭平を両腕で押し返す。
「い、嫌だったか?」
恭平がちょっとおたおたしている。だけれどそんな恭平をからかう余裕なんて全くない。

「恭平のを…全部見せて…ほしいよ」
「え?あ、あぁ」
恭平がズボンのベルトを外してパンツを下ろす。
プルンと赤黒く脈打つ恭平のものが眼前に現れ目が釘付けになる。
「…、これがオトコの…」
先から粘液が垂れている。そっと手を伸ばして優しく触る。
「不思議な…堅さだね…」
きゅっと握ったり、しごいたり…その度にビクビクいう熱い肉棒。
うっ、という吐息が恭平から漏れる。これが私の中に入るんだ、なんか不思議な感じ…。

「っ!和歌子、これ以上は駄目だ!」
せっぱ詰まった声で恭平が叫ぶ。
「え?」
何が駄目なの?これ以上ってどういう意味?
「和歌子に触られているだけでイッてしまいそうなんだ」
「気持ち…いいの?」
「我慢の限界…理性、とびそう」
歯を食いしばり、荒い息をはき出しながら、途切れ途切れの言葉を漏らす恭平。


148: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:14:11 1U0XXtmB
「それに、俺、ゴムなんて持ってないし」
「…ゴムって?」
「コンドーム」
言われた単語で、今後の展開の具体性が増して、赤面する。
でも、私、恭平に抱かれたいんだよ。恭平のものになりたいんだよ。
熱に浮かされたようなフワフワな頭の中、私の方がとっくに理性を無くしちゃってるん
だろうか。

「…いいよ、多分大丈夫だと思う。それにね、私、恭平のものになりたいの」
「だめだってば!それ以上お前に言われたら理性無くしちまうって。俺、和歌子を本当に
大切に思ってる、だから今日はここで終わりだって」

まじめな恭平。
融通の利かない恭平。
でも「大切に思っている」ってなんて嬉しい響きなんだろう。

見上げると恭平は、顔を上気させてたまま荒い息をしている。
「恭平、辛そうだよ…」
私が再び恭平のものを優しくしごく。くぅと喉を鳴らす声が聞こえる。
「恭平、嬉しい…感じてくれて、私のこと大切に思ってくれて」
そういいながら恭平のものへと顔を近づけていく。蒸れた汗の匂い、恭平の匂い。
「わっわか、こ…?ば、馬鹿やめっ、汚いって!」

ちゅ…

恭平のものに口付ける。
先っぽから出ている粘液を音を立てて吸ってみる、変な味。
「うあっ!わ、だめ、だって」
よく分からないながらも、恭平のものを吸い出すように舌と内頬をつかってしごく。
「くちゅ、ちゅぼっ、じゅぼっ、くちゅ…」
淫らな水音が頭全体に響きわたる。
溢れる唾液がだらしなく口端から流れ出る。
気持ちいい?これで気持ちいいの?


149: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:15:14 1U0XXtmB
「わ…わか、こぉっ…!」
声にならない叫びを上げながらながら恭平はガクガク腰を揺すりはじめる。必然恭平の
ものが私の口の中で暴れ回る。

「んちゅ、ひょうふぇい、ふひにひへ、ひひんあお…ん、じゅぶっ!んんっ!」
-恭平、好きにして、いいんだよ-
くわえたままでの発声は、すごくイヤらしくて、まるで淫乱馬鹿になったみたい。

「和歌子っ!放せ、出る、くぅぅっ!」
肩を押して引き剥がそうとする恭平に必死になってしがみつく。
一瞬、恭平のものがびくんと大きくなった感じがした途端、恭平の腰が痙攣するように
動いて…口の中に何かが充満した。

…精液だ、これが恭平の精液だ。

熱い…。そして苦い…って言うか生臭くて変な味がする。
喉を打つ飛沫と咽せくる臭気に思わず咳き込んでしまった。
「けほっ、けほっ、んふっ、んんっ」
出された精液を吐きだしてしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ、っ!和歌子、大丈夫か!?ほら、出せって!」
あわててテッシュを取ってきて口を拭いてくれる。
「咽せちゃった、でも大丈夫。恭平のだから、嫌な感じはしないよ」
「お、お前…無理するなよ、ほら」
胸やおなかの滴も丁寧に、優しく…、私に零れた恭平の残滓が拭き取られていく。


150: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:16:12 1U0XXtmB
「ごめん、なんだかんだで俺って格好悪いよな」
「ふふふっ、恭平に格好良さなんて求めてないよ」
ごめん、嘘付いた。こんな恭平は堪らなく格好いいよ。
「なんだよ…、悪かったな」
ちょっとふて腐れる恭平、好き、大好き。

「そのさ…俺たち、今までも、これからも一緒だよな、無理に急ぐこともないと思うんだ」
「…うん」
「俺は和歌子を大切にする、お前の隣は俺の場所だと思ってる」
「うん」
「その…和歌子、これからもよろしく」

真っ赤になった恭平が手を差し伸べてくる。
その手を両手で握り返して、私はうなずく。
「はい、恭平、こちらこそよろしくお願いします」

「っ!は、はいだなんて、使い慣れない言葉で返事するなよ」
照れて後ろ向いた恭平の背中に、思いっきり抱きつく。
「ふふっ、恭平ありがとうね、大好き!」
「わわっ和歌子、生で胸が当たってるって」
「当ててるんだも~ん」

恭平を好きでいて良かった。恭平が好いていてくれて良かった。
幼なじみから恋人へと一歩踏み出した関係を噛み締めながら、夕焼けの最後の残滓が
消え去りつつある部屋の中で、私と恭平は裸のままじゃれ合っていた。


151: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:16:53 1U0XXtmB
以上です。

最後まで読んでくれた方、ごめんなさい、ごめんなさい。
恭平君の驚異の自制心のお陰で膜、破けませんでした。
この話は一応これで終わり、なはずです。

いつも行ってるのが過疎スレなんで、こんなにGJ&続き待ってるレスが
貰えるなんて…と感激しています。
正直、続きは考えていなかったんで、登場人物の人格崩壊してないか心配
です。

駄文にお付き合いありがとうございました。

152:名無しさん@ピンキー
08/10/03 00:20:21 fEUdIkhW
リアルタイムGJ!

なんともいえない甘々さがよかったです
登場人物の人格とか気にならないくらい美味しく頂きました

153:名無しさん@ピンキー
08/10/03 00:21:45 EEiAFg65
>>151
GJ!!

154:名無しさん@ピンキー
08/10/03 00:25:43 l9MM8cQ0
GJ以外にどんな言葉が似合うだろうか…
こういう空気いいなぁ

155: ◆9fxcNmN64c
08/10/03 00:44:12 1U0XXtmB
GJレス、はえーw
重ね重ねありがとうございました。

また何かひらめいたら投稿しようと思います。
それではその時まで。ノシ


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