【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】at EROPARO
【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
09/09/10 12:47:47 J+3eQ0Mz
保守

251:名無しさん@ピンキー
09/09/13 01:37:45 DNdE4wTm
何となく良スレ

252:名無しさん@ピンキー
09/09/15 10:33:58 C340fP7A
ほんとに「何となく良スレ」だよな

253:名無しさん@ピンキー
09/09/16 10:32:44 qtZwUImE
SSを「この子」と呼んでいる人を初めて見た

254:名無しさん@ピンキー
09/09/22 00:31:12 4Ixi/Do9
保守する

255:名無しさん@ピンキー
09/09/23 23:24:47 ZN4JBakW
取調官と向かい合って座った尚子は、しばらく眼鏡の奥の瞳を泳がせていたが、ついに口を開いた。
「えと、あの……、私小さい時に『誕生日には18金の指輪がほしい』って父に頼んだんです……。
でも、父が買ってきたのは18禁のエロビでした。指輪とエロビ、『ビ』が被ってるだけじゃん!
なんて……まぁでも、大好きな父が買ってきたものなんで、大切に見ました。
繰り返し食い入るように見た結果、目を悪くしました……。それ以来眼鏡です。
そして私はある時素晴らしい発見をしました。眼鏡を外すと、周りがまるでエロビのボカシを一面に
かけたかのような世界になることを! それはひどく想像力をかきたてる、神秘的な光景でした……。
……そう、私は眼鏡を外すとどうしてもエロビが頭に浮かんでしまう体質なんです! ですから!
さっきは眼鏡をうっかり落としてしまい、身体がうずいてしょうがなくなって……!」
「だからといって街中でいきなりマスターベーションを始めないで下さいね……」
取調官はうんざりした顔つきで溜息を漏らした。
「……テヘッ」
尚子は頭をコツンと叩いてぺろりと小さく舌を出した。


新規開拓スレ「眼鏡を外すと淫乱になる娘」。保守小ネタにしようとしてたら圧縮で落ちてしまった…

256:名無しさん@ピンキー
09/09/24 12:10:01 zoCUYqOb
ナイス投げ
あのスレ落ちたのかー、もったいねぇw

257:名無しさん@ピンキー
09/09/25 13:26:15 iGyVOlX7
あったのかそんなスレww

258:名無しさん@ピンキー
09/09/26 16:39:50 NK96u3HI
落ちたのか、あのスレw
書き手も読み手も選ぶスレだったけど残念だなー

259:名無しさん@ピンキー
09/09/26 20:00:24 Bpn0b+1g
ナイス投げ
そんなスレあったのか
見てみたかったな

260:名無しさん@ピンキー
09/09/30 00:04:18 xKDy7+2b
ナイス投げ

261:名無しさん@ピンキー
09/10/01 17:16:15 lqZvLFBC
相棒inモンスターハンターをやってみたかったんだが
色々まずそうなのでこちらにお焚きあげ

・親子丼
・モンス一切関係なし

朝、ギルドでも名の通った一流ハンターが死んだ。
死因は爆死。
樽爆弾の調合に失敗し、木っ端みじんに吹き飛んだのだ。
ギルドから調査員が派遣され、早々に下手人は捕まった。
犯人はハンターズギルドショップの売り子だった。



わたしの父はあいつと一緒に組んでいた中堅ハンターでした。
わたしの生まれた村にやってきたクシャルダオラを
討伐したのが父とあいつでした。
あいつは宴席で村一番の美人と謳われた母にやたら
付き纏ったそうです。
それを庇ったのがわたしの父で、程なく父と母は
恋に落ち、わたしが生まれました。
父はハンターとしてあまりよいとは申せない腕前でしたが、
よく魚を釣っては台所で捌いてくれました。
今でもハリマグロの刺身とハジケイワシのつみれ汁を囲んだ
温かい、笑い声の絶えない食卓を、思い出すことが出来ます。
わたしが6才の時、父が死にました。
狩猟中、ババコンガに側頭部を殴られたのだそうです。
あいつは、母の元にやってきて、父の形見の
護りのピアスを渡すと、母に迫りました。
『彼が死んだのは私の責任だ、君の面倒を見させてほしい』
最初、母は断っていました。
でも、
『君一人ならいいだろう、しかしあの娘はどうする?君一人で育てていけるのかい?』
そう言われ、首をたてに振りました。
答えを聞くや否や、あいつは直ぐさま母を組み敷きました。
母は泣きながらわたしにキッチンに下がっているよう言い付けました。
あいつにのしかかられ、肩をはだけた母の姿が
今でも目の裏に焼き付いています。
女のわたしが言うのもなんですが、母は本当に美しい女性でした。
容姿は勿論、仕草のひとつひとつがたおやかと申しますか、清楚と申しますか、
村の他の女性達とはなにかが根本的に違う、そんな人でした。
あの毛むくじゃらは、そんな可憐な人を押し倒して、組み敷いていたのです。
何をしているのかわからないながら、異常な事態が
始まる事だけは分かりました。
わたしはただ流しの隅で目を閉じ耳を塞ぎ、
母がやってきて抱きしめてくれるのを待ちました。

262:名無しさん@ピンキー
09/10/01 17:17:41 lqZvLFBC
しばらくしてやってきたのはあいつでした。
猫撫で声で『今日からお父さんと呼びなさい』そう言いました。
あいつの向こう、開け放たれた居間の床に横たわる母は裸でした。
美しい母から生気が抜け、まるで人形のような抜け殻になって
一年で母は父の後を追うように亡くなりました。
葬儀が終わると同時にわたしはあいつの元を飛び出しました。
あいつの世話になるなんて死んでも嫌でしたから。
近くの畑の農作物を盗んで食べたり、放牧された
ポポの乳を飲んで飢えを凌ぎました。
ギルドに捕まった時にはあいつが父親面して
迎えにくるんじゃないかと生きた心地がしませんでした。
幸いにもあいつは来ませんでした。
それからはあなた方の調べた通り、わたしは施設で
読み書きを習わせてもらい、長じてギルドショップの売り子になりました。

父が死んだ理由が、本当にババコンガにやられたのか知りたかったのです。
父が死ぬ訳無いのです。父は必ず家に帰れるよう護りのピアスを付けていたのですから。
程なく親しくなった女性ガンナーから、うっかり
散弾で仲間を撃ってしまった、キリンはこれだから
やりづらいと愚痴を聞かされた時、全てが繋がったのです。
あいつはガンナーだった。
あいつがババコンガと父が射程に入るよう散弾を撃ち、
動けない父はそのままババコンガの爪に引き裂かれて死んだのです。
わたしは一計を案じました。
ええ、そうです。あの服はあなた方のおっしゃる通り、
ドンドルマで誂えた物です。
給金で購える代物ではない?
わたしには貯金がありましたから。お洒落も
彼氏も必要ありませんでしたし。
胸も背中も丸出しの踊り子が着るような衣装を纏い、
あいつの元を訪いました。
あいつはなんの疑問も持たず、わたしを家にあげました。
わたしの生まれ育った、思い出の場所。
「お父さん、今まで音信不通にしてごめんなさい」
そう詫びてしな垂れかかると、あいつは下卑た顔で笑いました。
『どこでこんなのを覚えてきたんだ?この放蕩娘』
酒臭い息を吐く唇で頬を、首筋を、肩を吸われました。
裾を托しあげられて指でくじられました。
中々濡れないわたしの秘処をあいつは何度も舐め、啜りました。


263:名無しさん@ピンキー
09/10/01 17:30:30 lqZvLFBC
逃げ出したい気持ちと吐き気を堪えて、感じているふりをしました。
どうせ朝には五体飛び散って死ぬ運命なののですから。
僅かに綻んだそこにあいつは自身を突き立て、激しく腰をふりました。
形だけとはいえ、父と娘の交合。あるまじき行為です。
わたしは請われてお父さん、お父さん、と泣き叫びました。
ええ、請われたんです。
あいつはそういう性癖だったのです。
わたしが果て、くず折れても、あいつは色々な
体位を試し凌辱しつづけました。
朝方、あいつがぐっすり眠っているのを確かめて、
わたしは樽にハジケイワシを仕込みました。
父は魚を捌くのが上手かったんですよ。
わたしにも、弾けない捌き方のコツを教えてくれましたし。
擬装?そんな気はありませんでした。
父も母もいない、そんな世界で生きていたって……。
早くわたしを処刑してください。



彼女の告白を最後まで聞いた後、二人のうち、年配の男が口を開いた。
「なるほどわかりました、ところで貴女はお聞きに
なられたでしょうか、三日前テオテスカトルがある村に現れ、
村は壊滅しました。村にはハンターはおらず、
ギルドにハンターを寄越してもらうよう要請していたそうです」
「……それがなにか」
「何かってアンタ」
売り子につかみ掛かる体格のよい若輩を年配が
まあまあ、と軽く宥める。
「要請を受けたのは被害者だったそうですよ。受けた
依頼は必ずやり遂げる、ギルドからの信頼は厚かったそうですね」
「存じ上げませんでした……わたしはただの売り子ですから」
「おかしいですね、貴女はギルドに所属していらっしゃる。
噂が聞こえてこない筈がない。貴女はそう言った被害者の
一流ハンターとしての一面を敢えて見てみぬふりを
し続けていたのではありませんか?」
「………………」
「そして被害者は事あるごとにこう言っていたそうです、
自分はつまらない嫉妬と些細なミスで素晴らしい
相棒を失った、遺族は自分を恨んでいる、
自分は許されるつもりはない、……もしかしたら、
貴女に復讐される覚悟がおありだったのかも知れませんね」
「そんな……身勝手すぎる……身勝手すぎます……」
売り子は黙って泣き崩れた。






264:名無しさん@ピンキー
09/10/01 19:34:17 oNP4wkRX
ナイス投げ!
相棒もMHも好きなので、かなりツボりましたっす。


265:名無しさん@ピンキー
09/10/01 20:23:54 eO/2UASC
いい投げだった。
非常に面白く読ませて頂きました。


266:名無しさん@ピンキー
09/10/01 20:50:51 Cv530/Qb
ナイス投げ。いい話だなぁ
相棒って見たことなかったけどこういう話なのか

267:『チューペット』
09/10/13 00:12:31 fgVD5Y5y
 なんつうか、キスしたいなぁと思う。

 恋したいとかやりたいとか、そうじゃない。誰と、という訳じゃなくキスがしたいという
気持ちの方が先だ。もう一年くらいはしていない。もしかしたら人恋しいのかもしれな
いが、彼女が欲しいと強く思ってる訳じゃない。
 キスがしたい。
 キスという行為自体が好きなんだと思う。だって気持ちいい。唇の感触とか、上気
した女の子の頬の感じとか、舌の動きとか、唾液の味とか。俺が上手いのか下手
なのかは、さておいて。そりゃあ男だからやるのだって好きだけど、キスさえいっぱい
出来るのなら、結構というかかなり満足してしまう。だって気持ちいいし。ちょっと酸欠
になる、頭がくらっとする感じ。
……久しく味わってねえなぁ……。

欲求不満なせいか、最近どうにも、唇に目がいってしまう奴がいる。

「ほら、木崎くんもかんぱーい」

 サークルの定期飲み会。いい具合にまったりしてきたところで、離れた席にいたはず
の奴が俺達のテーブルにやってきた。
 同じ経済学部の橘未央。
 派手で目立つ訳じゃないが、パーツひとつひとつが整っている。和風美人ってものだ
ろうか。同級生と比べると落ち着いた格好で、洗練されていると感じていた。他の女の子
とはちょっと違う雰囲気を持っていた。
 そこそこ話はするが、特別仲がいい訳じゃない。二人でどこかに遊びに行くなんてあり
えないくらいには、遠い。

「今日は久々の飲み会参加だし、皆といっぱい話したくて」
「ああ、確かに未央ちゃん久しぶりかもなぁ」
「だって未央、ここんとこバイト入れすぎじゃん」
「夏休みの留学資金貯めるのに必死だったんだもんー」

そう言って、橘はグラスを傾けた。酒で少し唇が濡れて光る。……やばい。

「木崎くんとは、よく会ったんだけど。ね?」
「……まぁ」

 俺がお前を見て何考えてるか、わかってないんだろうなぁと思いながら。

「基本的に学校いるしさ、俺。橘と違って、真面目に授業出てる訳じゃねえけど」
「そこは出ようよー」

268:『チューペット』
09/10/13 00:25:47 fgVD5Y5y

 あはは、と橘が笑う。笑い方も綺麗なんだよなぁ。
 それでも、目が行くのはやっぱり唇だった。
 口は小さめで、でも下唇がぷくっとしてて可愛い。上唇とのバランスもいい。きちんと化粧
しているけど、どうやら元々唇が赤いみたいだ。
 多分、柔らかいんだろうな。甘噛みしたら……
 やばい、今はだめだ。
 とりあえず、橘の唇をしっかり覚えておくことにして、意識をそらした。

 俺が橘とのキスを想像してるなんて、あいつは知る訳がない。



『ん……』

 唇を重ねると、橘の緊張が伝わった。でも、それもすぐにほどけて、俺の胸に手を添えた。

 離れようとすると、舌に吸い付いたまま橘が囁いた。

『ゃ、もっと……』

目は潤んで、頬は上気して、ねだる声が可愛かった。
甘えるように俺の首に手を回す。頬に触れてやると、ますます表情がとろけた。 

『もっと、何?』
『……キス、して……』



 不毛だ。
 こういう妄想は、もう何度目だ。
 別に、橘とやりたい訳じゃない。と思う。
 実際、あいつとやってる妄想はしたことがない。キスだけだ。まぁ、その妄想の後どうにも
こうにも収まらず、抜かなきゃならん状況は多々あったが、それでもあいつをおかずにした
ことはない。いや、結果的になってるのか?
だけど、それ以上、キス以上の何かをしたい訳じゃない。橘とどうにかなりたい訳じゃない。
そりゃ可愛いよ。嫌いじゃないよ。いい奴だよ。
ただ、そういう対象じゃないっていうだけだ。

これだけ、あいつとのキスの妄想してるくせになあ!

言い訳がましいと思いつつも、やめられないのが本当に。本当に男って駄目だ。
ていうか、俺が駄目だ。
相当、頭が参ってる。

なのに、今日もまた橘に会ってしまった。

269:名無しさん@ピンキー
09/10/13 00:27:08 fgVD5Y5y
チューペットって単語やらしいです><と思って書き始めたが、
どこのスレに投下していいのか悩んでるうちに行き詰ったのでお焚き上げ~

270:名無しさん@ピンキー
09/10/13 01:30:14 qg2BA8y/
>>267-268
ナイス投げ
読んでてこっちまで悶々としてきたw

271:名無しさん@ピンキー
09/10/13 01:48:36 /OlHtTlu
ナイス投げ
やるだけじゃないのも味ってもんだ
そうそう、キスフェチのスレかなんかあったぜ、たしか

272:名無しさん@ピンキー
09/10/14 13:41:22 ne8ELodD
キスフェチスレで待ってるぜ

273:名無しさん@ピンキー
09/10/18 15:44:40 zBw4IlSC
お焚き上げさせてください。
とあるドラマ二次で書いてたやつです。

スレの住人さんの嗜好に合わない、4P書くのがなかなか面倒、
ドラマ終了から数年が経ち、書く気が失せてしまった、
ということで、今に至ります。

設定は、4人兄弟と、長男のところに嫁いできたヒロインとの
明るい4P生活w というものです。
けれど、長男への想いを秘め、戸惑いながらの新婚生活を送る、
という内容です。長男は鬼畜設定でした。


 

274:名無しさん@ピンキー
09/10/18 15:45:07 zBw4IlSC
           
「かよっぺ、どう? 縛り加減は最高だとおもうけど…このくい込み方、すばらしく俺好み」

今日は修と、の日。
1週間に1日ずつそれぞれ修、智に抱かれる。ただ、智が来ない週もあるのだが。
3人一緒の日もあれば、4人の日もある―航も加わるのだ。
航とだけは好きな時に好きな場所で好きなように求められ、夏世もまたそれに応じ、求める。
そんな日々を送っていた。

夏世は片岡航と結婚し、片岡の嫁となった―いや、片岡4兄弟の嫁になったのだ。

夏世は、彼の弟2人との行為に自分の体が悦ぶのを心の奥では許すことができないでいた。
だが、3人や4人での行為はいいのだ。その中に航が混じっていれば。

夏世は弟たちとの行為の最中に航に見られるのも好きではない。
自分が航以外の男と1対1で行為に耽っているのを見られるのは、どこか後ろめたさを伴い、
航に対して背信行為をしているような気になってしまう。

もちろん普段は、航と二人仲睦まじく暮らしている。
全ては夫の航―だけでなく片岡兄弟と夏世との合意の上であるのに。

「……で、こんな変態プレイでも、ちゃんと感じちゃうんです。でも後ろめたいっていうか……」
「あーだから、それは夏世っぺがダンナさまを特別にとても愛してるっていう証拠なんだからさ」
「や!キツ…イタ…いっ、あん…修さん、もう少しゆるくして……」
「だめ。このおっぱいが飛び出るみたいに縛られてるのが…イイ!のでその要求は却下」
「えぇ~ッ、修さぁん! あ、なに? どうす…る…の?」

縄で拘束され動けない夏世を、修は、たたんである掛け布団に上半身を預けさせ、
少し起こした状態にさせると、修は待ってましたとばかりに、夏世の歪んだ乳房にむしゃぶりついた。
空いたほうの乳首を親指と人差し指で摘んだり、ひねったりしながら弄ぶ。
夏世の喘ぎがたちまち艶を帯びて、時折体がビクンと揺れる。

「あ、ああん…ああ…は…あ!」
「かよっぺ…すごくいやらしくて、可愛い! もっと声出してよ…この口からさ…」

そういうと修は、夏世の額に汗で張り付きはじめた髪をそっとなで上げ、喘ぎが漏れる唇を覆うように口づけ、口内を蹂躙していった。

ふと目をあけると、帰宅した航がコートのまま傍に立って見下ろしていた。

「ん! んん~っ、むっふ! やっ……おさっ……」
「むは……かよっぺ、なに? あ、兄ちゃん……」

修も気がついて、振り向くと、航がすっとしゃがみこんだ。
穏やかな微笑を浮かべて、修に声を掛ける。

「続けて、修。夏世のイクところ、見届けてあげるよ、いいね、修?」
「いいよー。この娘さ、お兄さまに後ろめたい、っていうんだよぉ。俺とのソフト緊縛プレイに感じちゃってるくせに」
「や、あの……航さん、できれば………見ないで……」

消え入りそうな声で、夏世は顔を背けた。

「修、少し…いいか?」
「いいよ、兄ちゃん。かよっぺをいつもみたいにしちゃってよ」

275:名無しさん@ピンキー
09/10/18 15:45:48 zBw4IlSC
                      
夏世をじっと見つめながら、縛られて開脚させられたその内股を、付け根のほうへと指を滑らせていく。
航が、ぬらぬらと愛液に光る襞へ指を滑らせると、震えていた夏世の体が、ビクリと跳ねた。
二本の指を泥濘の奥へ押し込んでいくと、夏世が身を捩って悶えはじめた。

「は……っ…あっくあ! んあああ」

後ろでに縛られて、畳んだ布団に預けられた体を捩らせる。
喉を反らせて、快感に顔を歪ませる。
航は微笑みながら、肩膝をついたままの姿勢で指を抜き差ししはじめた。
ぬちゃっぬちゃっ……卑猥な音がやがてじゅぶっじゅぶっ……というたっぷりの水音に変わっていく。
夏世は唇をかみしめ、なるべく声を堪えていた。
大きく開かされた体に抜き差しされる航の人差し指と中指。
時折それは、探るように夏世の中をかき混ぜる。

「なに、ガマンしてんの。かよっぺの可愛い声を俺とダンナ様に聞かせてよ。ほら、力抜いてさ……」

修の手が夏世の乳房を包み込み、やわやわと揉みしだいていく。

「あ……お、おさ……むさ……修さ……は…う」




――ここまでです。
     ここが無い時は、練習スレに投げてました。
     ありがとうございました。 なむなむ……

276:名無しさん@ピンキー
09/10/18 17:16:08 8RH/9sVe
ナイス投げ

277:名無しさん@ピンキー
09/10/31 09:47:05 DosmbuS0
保守

278:名無しさん@ピンキー
09/11/05 10:57:51 1isAxPNx
ちょ、ふらふらしてたらあのスレの投げ作品が!
4Pとか素晴らしい。投下してほしかった
乙!

279:名無しさん@ピンキー
09/11/06 11:24:24 gqruwoDg
ナイス投げ

280:名無しさん@ピンキー
09/11/09 17:54:31 oWHaBddA
良かった

281:名無しさん@ピンキー
09/11/14 21:18:12 OedZiWc3
保守

282:名無しさん@ピンキー
09/11/19 17:15:13 60NNKNXO
ここには大変世話になった
保守しておこう。

283:名無しさん@ピンキー
09/11/19 22:32:02 PwCpZ6QN
二次ものです。
完成しないうちに本編が進んでしまったので焚き上げさせてください。
クールな女性監督とショタ。



「吹雪くん、ちょっといい?」
瞳子の呼びかけに吹雪はびくりと肩を震わせた。
彼女に促されるままにグランドから遠ざかり、車へと向かう。
しんとした車内で向き合って座ると、吹雪は顔を伏せたまま呟くように問いかけた。
「……監督、ぼくはやっぱりキャラバンを……」
「降りたいの?」
彼女の鋭い声に吹雪は身を縮ませた。
「いえ、ぼくは……」
「そうね。私もあなたに降りてほしいとは思わないわ」
さらっと言ってのける彼女にハッと吹雪が顔を上げる。
「でも……」
「わかっているわ。―キャラバンに残る理由が必要なら私があげるわ」
その言葉の意味を問う前に彼の唇を彼女のやわらかい唇がふさいだ。
口を閉じたキスから口を開いたキスへと変わり、彼女の舌が彼の歯茎を舐め、驚きで開いた歯の間に
侵入していく。
舌を撫でるザラザラした感触に吹雪の下腹部に熱が起こる。
「―んっ」
瞳子の口から洩れた熱い息が吹雪の口内を満たす。
滑らかな手が彼の手を取り、彼女の胸元に導いた。
服と下着越しにもわかる膨らみに吹雪が顔を赤らめた。
瞳子は着痩せするタイプのようだ。
彼は手に余る乳房の重みとやわらかさを持てあました。
乳房に手を押しつけたまま固まる吹雪に瞳子がフフッと笑みを漏らす。
「こうやって触るのよ。下から掬い上げるように」
「こう…?」
「そうよ。潰しちゃ駄目。……うまいわね」
尖った乳首がカットソーとブラを突き上げる。
彼女の息に熱が混じりだし、吹雪の息も上がる。
瞳子の手が彼の股間に伸びた。
ジャージ越しに形を確かめるように撫でると、形の良い指の先をすっと根元から先端へ滑らせた。



以上です。
後はフェラから対面座位の予定でした。

284:名無しさん@ピンキー
09/11/19 23:34:55 60NNKNXO
おお、ナイス投げ!

285:名無しさん@ピンキー
09/11/21 01:19:37 hmhBYEu0
ナイス投げ

286:名無しさん@ピンキー
09/11/22 16:35:09 0ygThtrK
いいスレだ

287:名無しさん@ピンキー
09/11/23 19:56:07 NgLusr5t
最後尾か

288:名無しさん@ピンキー
09/11/23 23:36:50 Ue24+Z9C
ごめん、あげておく
もったいないから

289:こんな思いっきり生電話はイヤだ!!~エリィの場合
09/11/29 23:16:14 57cSsNE8
 主人が働かないんです。

 主人?今どこに居るのか全然知りません。いや別に行方不明とかじゃないんです。
 今は拳法の修行と称して、どこかへ出かけています。行き先までは教えてくれません。
 ……まさか。あの人に限って、浮気とか絶対ありえません。ええ、ありえませんとも。
 主人と私とは、前世からの強い絆で結ばれていますから―

 そうですね。まずは家族構成から話した方がいいかも知れません。
 私と主人、娘が一人の三人家族です。それとペットが一匹。ちょっと聞いて下さいよ。
 あの子―ペットの事なんですけど、主人がどうしても飼いたいと言うから家に置いているのに、
ご飯をあげるのはいつも私なんです。あの子はあの子で主人にばっかり懐いて、私の事なんか
『ゴハンくれる人』程度の認識しかないみたいなんです。これってほとんど下僕じゃないですか!
 ……そうでしょう?ペットのご飯は、飼主が責任を持ってあげるのが普通ですよね?
 なのにうちの主人と来たら、あの子の世話を私に任せっきりにして他所をほっつき歩いているんですよ。
帰ってきたら帰ってきたで、都合のいい時だけあの子を可愛がって、それであの子がご飯を欲しがると
「チュチュのエサ頼む」とか言って、自分はさっさとアトリエに引き篭もってしまうんです。
 あ、説明が遅れました。チュチュというのがペットの愛称です。
『ドデスカチュチュポリン』というのが本当の名前なんですけど、長すぎるので略して呼んでいます。
 まあ、可愛いんですけどね。ご飯の時は私にも懐いてくれるし。

 え、ペットは関係ありませんか?それよりも娘がいるんじゃないかって?
 わかりました、お話します。娘は14歳です。
 ……そうですよね。娘も難しい年頃になったというのに、あの人はいつまでもフラフラ遊び歩いて―
 私たちですか?
 私と主人が18歳になります。もうすぐ19歳―
 すみません、驚かせてしまって。確かに18歳の親に14歳の娘なんて変な話ですよね。
 そうです。実の娘ではありません。4000年前に、私たちの前世がもうけた子です。
 私と主人は一万年の間に五度ほど生まれ変わっている訳ですが、五回とも強い縁で互いに結ばれていました。
その中でも一番の蜜月時代が4000年前です。
 あの時の私たちも今と同じように、いやもっと仲睦まじい関係でした。娘が生まれたのもその時です。
 ますます話が解らなくなってきた?4000年前に生まれた娘が、なぜ14歳なのかって?
 分かりました。じゃあもう少し話しますので、ちゃんと聞いて下さい。

290:こんな思いっきり生電話はイヤだ!!~エリィの場合
09/11/29 23:16:35 57cSsNE8
 4000年前のゼボイムにいた頃は、主人もちゃんと働いていたんです。
 当時の主人は医学と分子工学を修めた天才科学者でした。16歳でゼボイム大学の医学部に入学して、
それから医学と分子工学を勉強して―
 でも分子工学の分野では、主人の評価は芳しくありませんでした。別に内容が悪かった訳ではありません。
むしろその逆です。彼の研究内容は当時の分子工学のあり方を、いや生命の考え方そのものを一新するほど
画期的なものでした。
 だからこそ生命に対する―ひいては神に対する冒涜であると周りから見なされたのでしょうね。
 分子工学の学会を追放された主人は、止むを得ずゼボイム大学の附属病院で外科医の職に就きました。
そこでナースとして勤務していた私は、主人と三度目の出会いを果たしたのです。
 彼の素早くて正確無比なメス捌きに見惚れてしまった事を、今でもはっきりと覚えています。
 ええそうです。あの人の手先が器用な事だけは、何度生まれ変わってもちっとも変わりません。

 ほどなく主人と愛し合うようになって解ったのですが、彼は本当に孤独な人でした。
 当時のゼボイムでは、人の平均寿命は三十代。おそらく遺伝的な欠陥が蔓延っていたからでしょうか、
子供の生まれない夫婦も数多くありました。社会不安も最高潮に達していて、このままでは全人類が
滅びてしまうのは誰の目にも明らかでした。
 だからその危機的な状況を何とかしよう、遺伝的な欠陥を治療して皆が明るく暮らせる世の中を取り戻そうと、
医学に加えて分子工学も必死で学んで研究を積み重ねたのに、その結果を誰も評価してくれない。挙句の果てに
彼に何の責任もない停電事故のせいで手術に失敗し、幼い命を奪ってしまった―
 世の中どころか人ひとりの命も救えない、街を見下ろして彼はそう嘆きました。
 私はそんな主人に対して、もっと絶望的な話を打ち明けるべきかどうか迷っていました。

 彼と出会って数年が経とうとしているのに、私には妊娠の兆候が一向に訪れませんでした。
 他の誰でもない、愛する人の血を引いた子供を産みたい。
 その望みがなかなか叶わない事に焦った末、もしやと思って主人には内緒で検査を受けました。
 思い過ごしだったら、どれだけ安心した事でしょう。けれども現実は残酷です。
 淡々とした口調で担当医から結果を告げられた時、目の前が真っ暗になりました。
 私には赤ちゃんを産む事ができない―
 ほんの些細かな私の願いは、永遠に打ち砕かれてしまいました。

 結局その晩私は主人に、絶望的な話を伝えました。
 隠していた方が、主人にとっては優しい妻でいられたかもしれません。
 だけど私には、二人が永久の別れを告げるまで主人を騙すことなんてできませんでした。
 あの人が子供好きなのは、それまで何度か転生を遂げる間にわかってましたから。
 ちゃんと主人の子供を生んであげられる彼女さんを見つけて、それで私は身を引いてもいい。
 全ての事情を打ち明けたうえで、主人に未来を選ばせてあげないと。
 たとえどんなに残酷な未来が待っていたとしても、嘘偽りなく伝えるのが妻の役目だと信じてましたから。

 主人は泣きました。
 お酒の勢いも手伝ったのかもしれません。
 泣きながら私を抱き締め、狂ったように私を求めました。
 身に付けていたドレスを破り、裸にした私をベッドに押し倒して、乱暴な手付きで私の胸をわし掴みにしました。
 無駄な努力だと知りつつも、それでも主人は諦めきれずに私の中へと何度も何度も押し入り、
 決して身を結ばない種子を注ぎ続けるのです。
 辛くて悲しくて、ただ彼の思いを受け止めるだけで精一杯でした。

 ……ってもしもし?聞いてるの?聞いてますかみ○さん?!おかしいわね、返事がないわ。
 誰もでんわ、って奴かな?いつの間にか番組終わっちゃってるし。
 お~いもしもし、もしもし?!

 冗談じゃないわよ!何で電話切っちゃうのよ!
 これからが面白いのに!なんで18歳の夫婦に14歳の娘がいるのか、その答えを今から説明しようと思ってたのに!
 というか。
 どうしたらフェイが働いてくれるのか、私まだ全然聞いてないじゃない!

291:名無しさん@ピンキー
09/11/29 23:17:31 57cSsNE8
元ネタ:ゼノギアス
改変アイデア:かってに改蔵

以上!ういーっし!

292:名無しさん@ピンキー
09/11/30 00:41:55 xgBoiXOM
乙。このSDえりぃ人形をあげよう

293:名無しさん@ピンキー
09/11/30 19:48:06 dRXyyv3T
ワロタw乙!

294:名無しさん@ピンキー
09/12/07 00:17:08 +W20iZWp
良レス

295:名無しさん@ピンキー
09/12/11 12:29:09 GvWPGv3e
超GJ!エロ切ないのに、最初と最後笑えたw
しかし何故焚き上げスレへ…ゼノスレに投下したら喜ばれたと思うんだが…

296:名無しさん@ピンキー
09/12/20 16:44:05 6oYeP5cm
保守

297:名無しさん@ピンキー
09/12/21 05:09:42 5eEmBTbg
めっきり寒くなりましたなぁ

298:名無しさん@ピンキー
10/01/02 20:04:23 KJzy6REz
保守

299:ウィンターウォーズ
10/01/06 23:08:00 e596juei
・エロ無し
・非常に厨二
勢いに任せて書いてみたけど、スレで求められてるモノじゃないようなのでお焚き上げ

三学期初日、久しぶりに友達とPSPを持ち寄って、モンスターハンターをやったんだ。
外は風吹きすさぶ寒さだけど教室は日だまりの暖かさ。
集まって過ごすには最高の場所なんだもの。
本当に久しぶり……てか半年以上ほったらかし、だったから、
一番難易度の低いP2にしようって事になってドスランポスや
イヤンクックでリハビリして、コツやらなにやらを思い出した辺りで
ランク1リオレウス討伐を受注したんだ。
ガンナーのマキはエリア9で狙撃、レイとユキと僕の近接部隊はエリア4で
待とう、って話になって、僕のティガ蒼レウス混合装備の自マキアイコンが
エリア5を離れたのを見計らって、エリア4に突入した。
その時だった。
アイコンがふい、と消えた。
「故障かよ!?」
マジ?
マキにペイント弾持ってきてないか聞こうと
画面から目を離した次の瞬間、窓の外、雲一つない空が光った。
光源がないのにパァッと一点から光が放たれる様は
しょっぱいCGでつくった超常現象映像のように見えた。
「超新星?」
ちょっぴり天文オタクのレイがわくわくと眼鏡をかけ直し、
大のオカルト嫌いのユキがやだやだなにあれと騒ぎ立てる。
そんな中、忘れようとも忘れられない、飛竜種のあの咆哮が響いた。
PSPのスピーカーからじゃなくて、遥か天空から。
そして、やや褐色のかった赤い甲殻の飛竜が、光の中から現れた。
「わ、リオレウス」
嬉しそうなレイ。
「やだ何、何でリオレウスがいんのよ……」
ヒステリー寸前のユキ。
言葉も出ない僕とマキ。
赤い飛竜は風を切るように、空の彼方に飛び去っていった。



その日のテレビは一様に突如首都圏に現れた謎の飛行物体
(勿論リオレウスの事だ)関連の報道一色だった。


300:ウィンターウォーズ
10/01/06 23:08:40 e596juei
当然、首都圏の交通網は全部マヒ。
空港も全面閉鎖。
父さんは安全のため会社に缶詰になって三連休の家族旅行もパァになった。
でも僕はそれどころじゃなかった。液晶テレビの向こうで血の気の多い某知事が
「県民を安心させるためにさっさと撃ち殺せ」とわめき立て、他所の特番では超常現象
関係の面々が、あれはプテラノドンが進化した貴重なUMAだいやいや宇宙から飛来した
何やらだとはしゃぐ中、僕は部屋に篭ってPSPを放り出してガタガタ震えていた。
恐る恐る覗いたYOUTUBEにもリオレウスの映像がテンコ盛り。
偶然だと思いたいよ。
でもあの場にいて、出現する直前に不思議な現象を見てるんだもの。
きっとよくある特撮物のように今にも家に政府の高官とかがやってきて……。
途端、ピリリと携帯が鳴って僕はホントに悲鳴をあげた。
着信はマキからだった。
「おい、テレビ見てるか?凄いことになってる」
古典SFとネイチャー雑誌をこよなく愛する筋金入りの変人ガンナーは
僕の返事も待たずにリオレウスの動向をまくし立て始めた。
「あいつは動物園のシマウマを食った後、23区上空を周回、今は風にのって房総半島に」
「おれが知るかよ!」
僕は怒鳴った。
僕のように怯える事もなく余裕ぶっこいて情報を語るマキの気持ちが理解できなかったんだ。
「おれはハンターじゃねぇよおれのせいじゃねぇよ!」
そんなに冷静になれるんなら自衛隊にでも教えてやれよ、あいつには毒がよく効くってさ!
「落ち着けよ、誰もお前にどうにかしろなんて言ってない、逆だ」
マキの声はしっかりしていた。
「お前は小心者だから今頃パニクってるんだろうと思って電話したら案の定だ」
意外だった。
マキはあんまり他人に関心を示さない本の虫だと思っていたから。
実際僕は、学校から逃げ帰る時、片思いのユキに現実逃避目的で
家に来てくれとお願いしようかと思ってたんだ。
「ゲームキャラが実体化した時点でガキの手に負える範囲なんか
とうに越えてるよ、だから気に病むな」
「……ありがとうな、マキ」
僕は泣いていた。


301:ウィンターウォーズ
10/01/06 23:09:42 e596juei
そうして、お腹が空いていたのに気が付いてリビングに出て来たら、
カプコンの開発部の責任者がテレビに写ってた。
やっぱりというか、何と言うか、動物園の監視カメラの映像や、YOUTUBEの動画から
関与を疑われたらしいのに、マイクを向けられた開発部の人は嬉しそうな顔をしていた。
モンスターハンターの世間的浸透度を喜んで、鋭意製作中のスピンオフ新作、猫の里を
アピールして事態を茶化したついでにリオレウスの存在自体を完全否定していた。
そこで画面が慌ただしくなって、サーチライトに照らされる夜の森が映し出された。
房総半島上空を飛んでいたヘリコプターがリオレウスを見つけたとかで、
実況中継に切り替わったらしい。
わらわら集まる光源を嫌がって、リオレウスが首を尻尾を振って雄叫びをあげる。
その様子に興奮した女子アナがわめき立てた。
『ご覧下さい、怪物がこちらを威嚇しています、あっ、自衛隊です、
自衛隊のF戦闘機がミサイルを放ちました!』
白いハレーションと轟音の嵐の中、リオレウスの悲鳴が聞こえた。
『あっ、怪物が飛びますきゃあこっちにひいいぃいいい』
唐突に画面がスタジオに戻って、生物学者や流体学?とかの学者さん達が、
腹部には空気を溜める器官があって、それで飛翔が可能と思われる、とか
意外とぐんにゃりした動きから甲殻を持った無脊椎動物の可能性もある、
とか、色々この世界の物理法則でリオレウスを分析して語っていた。
その間にもあちこちのカメラがリアルタイムで捉えたリオレウスの様子を
流しまくり、時折ミサイルが撃ち込まれる。
なんだかリオレウスが可哀相になってきた。
そりゃカプコンもなんとかしろ、って言われても困るだろうけどさ、あれがナナテオや
クシャルだったら、どんな顔をしてインタビューを受けるんだろう、爆撃に晒されて
追いかけまわされて苦しむ姿を見たらどう感じるんだろうって思ったら……。
やる瀬ない気持ちでマキに電話した。


302:ウィンターウォーズ
10/01/06 23:10:55 e596juei
「見てた今の?」
「さっきまでレイが憤慨していた。あいつ大のリオレウス好きだから」
「マキ、リオレウスを帰す方法ってなんかない?」
「そいつは難題だね」
「そこをなんとか、スペースファンタジーだとなんかあったりするだろ」
「そうだね、神様が筒井康隆のような意地悪でなきゃ、条件が揃えば帰せる
可能性はある。それからSFはサイエンスフィクション、空想科学小説だ」



戒厳令が敷かれた静かな夜明けの街を、僕らは誰にも
見つからないよう学校に向かってひた走った。
一世一代の大博打。
見つかったらおしまいだ。
教室に入って、席に座るなりPSPの電源を入れる。
きっかけは夜中の3時に届いたマキのメールだった。
「ニュースを見てて気が付いた、学校がエリア5、気の毒なシマウマのいた動物園は
エリア9の水呑場、都心はエリア6、房総半島はエリア2に合致するんだ。
(エリア2は正確には東京湾になるんだけど、陸地じゃないから足を伸ばしたんだね)
あちらの時間経過とリオレウスの疲労度から推察すると、午前6時に学校に来る」
祈るような気持ちだった。
リオレウスが戦車やミサイル爆撃で死ぬと思えないけど、
世界中の人達の嫌悪と好奇に晒されるのは嫌だから。
神様、どうかお願いです、ユキにフラれても泣かないから、
リオレウスを帰してあげて下さい。
ドスランポスを、イヤンクックをクリア、ランク1リオレウスを受注。
装備もあの時と全く同じに、アイコンを確認する。
飛竜のマークはない。
これは……確変!?
思わず空を見る。
朝焼けの空に白く輝く基点が現れ、みるみる輝きを増していく中、窓がビリビリ鳴り始めた。
きた……!
傷だらけのリオレウスが咆哮し、光の渦に飛び込む。
水の王冠のような軌跡を描いて光も消えていった。
「マキ、あんたクールだわ」
ユキの声がした。
振り返ると、ユキがマキのほっぺたに何回もキスをしていた。
嘘……っ、ユキがマキにっ……。
「あたし、あんたに惚れたかも」
ちょっと困った顔で視線を逸らしてこめかみをポリポリ掻いてるマキの頬は真っ赤だし。
そりゃフラれても泣かないって願掛けしたけど、
ホントにフラれるなんて、あんまりだぁぁぁ。
へたりこむ僕の頭上で、(顔は知らないけど)筒井康隆に似た顔の
神様があかんべぇをした気がした。





303:名無しさん@ピンキー
10/01/11 00:46:01 VrP1CAh/
ナイス投げ

304:普通?のカップル
10/01/11 21:57:45 ZqggBXX6

ピン、と中途半端なピンポンの音。
ボタンが壊れていて後半の音が出ないのだ。
時計を確かめると、約束の時間ぎりぎりだった。
俺はインターフォンを確かめもせずにドアを開けた。

「おじゃましまーす。間に合った?」

と奈緒が入ってきた。
顔半分がマフラーに埋もれているくせに、鼻と頬が赤い。

「ちょうど。外そんなに寒かった?」

「うん、わりとね」

勝手知ったる他人の家、奈緒は手持ちの鞄を定位置の本棚の前に置いた。
今日は久しぶりの連休でうちに泊まり込みに来たのだ。
このところ仕事が忙しくて暇がなく、数週間会ってない。
しばらく耐え忍んだせいか今日は一段とかわいく見えるような……気のせいか。

とりあえず、今日は荷物を置いた後で買い物に出かける予定だ。
奈緒が何やら買いたいものがあるらしい。
さぶさぶ、とこたつにもぐりこむ奈緒。
出かけるんじゃないのか、と思ったがまあ一服入れるのもいいだろう。
コーヒーを淹れてやるとありがと、とこたつの中から手を出した。

「おいし」

マグカップを手に自分もこたつに入った。
一口コーヒーをすすった後で、奈緒の顔がまだほんのりと赤いのに気付く。

「風邪引いてるんじゃないよな?」

「え、何で?」

「顔赤い」

額に手を当てるが、冷え症で寒がりの奈緒の額はまだひやりと冷たかった。
確かに熱もないし、声もかすれていないし鼻声でもない。

「ちょっと寒かっただけだよ」

だがそう言って顔を伏せた奈緒の、目が少し潤んでいたのを俺は見逃さなかった。
一気にコーヒーを飲み干して、

「ごめん、ちょっとトイレ借りるね!」

と立ち上がった時の不自然な立ち方。なんでスカートを押さえてるんだ。
妙な予感がする。
俺は怒られるのを覚悟で、後ろを向いた奈緒のスカートをめくりあげた。

「なっ……!」

ぱんつはいてない。


305:普通?のカップル
10/01/11 22:05:22 ZqggBXX6
「ちょっ、馬鹿何してんの!」

奈緒は俺の手をひっぱたいて慌ててスカートを直したが、そりゃこっちのセリフだ。
黒のタイツは色が濃くて透けにくいが、そのほんのりと透けた肌色のエロスといったら、まあ。

「なんではいてねーの!?しかもその上からタイツとか、えっろ……」

奈緒はそういう、色っぽいことを積極的にするような性格じゃない。
なので、これは。

「うううう、うっさい!いいじゃんなんだって」
「いやいやいや、あの、おもらしじゃない……よな?」
「な、ち、違うに決まってるでしょ!」
「じゃあ何」
「それは……」
「本当は用足したかったんじゃないよな」
「……うん」
「さっきからそわそわしてたのはそのせいだよな?」
「……うん。なんでバレたんだろ」
「そりゃあ、お前、愛の力っていう」
「馬鹿」
「いーじゃん、俺たちの仲じゃん、教えよーぜ。なんで?」
「やだ。だって絶対馬鹿にするもん」
「わかったわかった、絶対馬鹿にしないから。おせーて」
「……絶対?」

俺はぶんぶん首を縦に振った。
あんまり勢いよく振ったので、奈緒もちょっと苦笑した。

「だってさ。総一、時間に遅れるの嫌いじゃん。予定が狂うって」
「んー。まあ、ほどほどにしてくれると、ありがたいかな」
「今日も時間に遅れちゃいけないと思って急いで支度したんだけど、
 やっぱりギリギリになっちゃって。
 でも何とか電車には間に合ってさ、乗ったところで気付いたの」
「……はいてないことに?」
「さすがにそれはない!あのね、気付いたのは、その、下着の上下が違うってこと」
「はあ」
「いやホラ、今までは一応、ちゃんと上下同じの着てきてたんだよ!
 今回はついうっかり違うの付けてきちゃって。
 で、駅のトイレで着替えようかと思ったんだけど乗り換えの電車が来るから。
 で、しょうがないからタイツだけは履いたの」
「……はあ」
「そういうのも総一はだらしないと思うかな、って気になっちゃって。
 とにかく着いてから履けばいいか、って考えたの」
「いや……それは、別にそこまで気にしないけど……」
「そ、そう?ならいいんだ」

ほっとした表情で俺を見る奈緒の顔がやけにかわいく見える。
あれ、これって。もしかして。

「奈緒。お前、……感じてる?」

306:普通?のカップル
10/01/11 22:07:41 ZqggBXX6
「奈緒。お前、……感じてる?」

奈緒の顔がかっと赤くなる。

「何いってんの。そんなわけ」

「ノーパンで電車乗ってきて感じてるとかエロすぎるだろ。……奈緒?」

後ずさりする奈緒の肩を左腕でがっちり捕まえて、右手をスカートの中に差し入れる。

「や、やだっ、総一、待って」

暴れる奈緒の隙を突いて、スカートの中をまさぐる。
タイツのちょうど股の部分は実際の足の付け根からは少し空間があるが、タイツはうっすらと湿り気を帯びている。

「濡れてんじゃん」
「やだ……」
「そんな状態で電車乗って、痴漢に襲われでもしたらどうするんだよ。
 俺は別に下着のことは気にしないから」
「うん、そうだよね。なんか焦っちゃって。今は何やってんだろって思う」
「……で。何かエロいこと考えてたんじゃないよな?」
「へ?」
「やらしーこと想像してたんじゃないよな、って言ってんの。」

スカートの中に手を入れたまま、ゆっくりと太ももを撫でる。
肝心の股の部分は微妙に距離があって届かない。タイツめ、なんてにくい構造をしているんだ。

「あのね」
「うん」
「……総一のこと、考えてた」

その一言で理性は吹き飛んだ。狭いワンルームのこと、すぐ傍にベッドはある。
俺は抱えた奈緒ごとベッドの上に倒れこんだ。
むしゃぶるようにキスを重ねる。
奈緒もいつになく積極的で、舌を入れても抵抗せずむしろ自分から絡めてくる。
セーターの上から、夢中で奈緒の胸を揉む。
奈緒の呼吸が荒れてきてキスの合間に吐息が漏れた。

「あ、あっ、……はあっ、そ、……ーいち……」
「ん」
「だめ……こんな、明るいっ、うち、から……」
そうは言っても、身体は正直だ。
感じやすくなっているのか、キスと胸だけでこんなによがってるのに。

「やだ。俺もう我慢できねえもん」


307:普通?のカップル
10/01/11 22:24:24 ZqggBXX6
俺の息子もとっくに硬くなっていた。
数週間のお預けの上、この据え膳で我慢できる男がいるものか。
既に奈緒に突っ込みたくて大暴れしている。
でもいつにない奈緒の痴態を味わいたくて、わずかな理性でとどまっている。
「奈緒こそこんなに濡らしてるのに、出かけられないじゃん」
「……うん……」
奈緒のセーターを胸の上まで捲り、さらにブラも外さずずり上げる。
巨乳というほどでもないが、柔らかくって触り心地のいい奈緒の胸が現れる。
「久しぶりー、俺のおっぱい」
胸の間に顔をうずめると、奈緒が顔を上げた。
「なんで総一のなのよ」
「だって俺のだろ」
「……ん」
恥じらいつつ頷く奈緒。
やばい、エロかわいいっていうのはこういうことか。違うか。
じかに胸に触れると、ん、と奈緒が眉根を寄せる。
すべすべして気持ちいい。
奈緒の肌は全体に気持ちいいけど、中でもここが格別だ。
乳首はガンガンに立って硬くなっていて、ちょっとつつくだけで奈緒の身体がぴくんと跳ねた。
しばらく舌で優しく転がした後、きゅっとつまむ。
「ひゃ、あぁんっ!」
いつもは恥ずかしいからって、声を堪えてるのに。
今日の奈緒はやばい。
「奈緒、悪い。俺もう、限界なんだけど、いい?」
「うん……、いいよ」
そう言って服を脱ごうとする奈緒に、俺は待ったをかけた。
「え?」
「せっかく奈緒がやらしい格好してるんだし、そのままで」
「着たまま、するの?」
奈緒はちょっと意外そうな顔をしている。
そういえば着衣エロはしたことなかったか。
まあ、奈緒のエロ知識は俺が育てたようなものだからな。
といっても今日のようなケースになるとは思いもよらなかったけど。
「そのほうが興奮するって。いーだろ、たまには」
「……総一のどすけべ。変態」
「褒め言葉として受け取っておこうか」
言いながら奈緒のスカートをめくる。
黒いタイツの中に、うっすらと透ける肌と陰毛。
エロい。エロすぎる。
ああ、息子が痛いほど張ってきた。
名残惜しいがタイツを膝下あたりまで引き下げる。
「え、タイツも履いたままなの?まさか」
その状態で奈緒の身体をころんとうつ伏せにする。

「そのまさか。奈緒、四つん這いになって」


308:普通?のカップル
10/01/11 22:26:45 ZqggBXX6
「……恥ずかしいよ」
「何をいまさら」
何回俺が見たり突っ込んだり舐めたりしたと思ってるんだ。
「明るいし」
カーテンを引いているとはいえ、隙間から真昼の日差しが差し込んでいる。
今日はいい天気だ。
いつもは暗いところなのでまだしも、明るいところで見られるのが嫌らしい。
うつ伏せたままもじもじしている奈緒の、割れ目を指先で撫でてやった。
「ふあぁあんっ!」
不意打ちでびっくりしたのか、驚くほど大きな声が出た。
奈緒は顔を真っ赤にして首だけ振りかえった。
「ば、馬鹿!」
「すっげー濡れてるんだもん」
「だって……あっ……」
再び指でなぞると、それだけでぬちゃ、といやらしい音がする。
形のいい尻が震えてきゅっと力が入る。
「奈緒も、……欲しいだろ」
「ん。……も、今日だけ、だからね」
すっと腰を上げてくれた。
割れ目とそのすぐ上の穴が露わになって、良く見える。
てらてらに光って、きれいなピンクのはずがやけに怪しい色に見える。
「あんまり見ないで……」
めくりあげられたスカートに、中途半端に下ろしたタイツ。
誘うように、締まった尻が俺に向かって突き出される。
本当はもっと舐めたりいじくったりしたかったが、我慢も限界だった。
焦る手でベルトをはずして、下着をおろす。
ベッドの下に隠してあったコンドームを付けると、奈緒の腰に身体をあてがった。
「いくよ」
ずぶ、と音が立ちそうなぐらい引きこまれた。
奈緒の中はぬるりとぬめって、少しずつ入れようと思っていたのに一気に入ってしまった。



309:普通?のカップル
10/01/11 22:29:45 ZqggBXX6
「あ……やばい、奈緒。すげー気持ちいい……」
正直すぐイキそうなぐらいやばい。
動くよ、と言いながら既に腰が動いてしまっていた。
「ん、っ、ああ……っん!」
奈緒がたまらず嬌声を上げる。
いつにない奈緒の甘い声に、自然こちらの動きも激しくなる。
奈緒の張りのある尻をひっ掴んで、がつんと打ち付ける。
奥まで深く突くたびに、奈緒の尻が痺れたようにぷるぷる震える。
それがいやらしくて、もっと見たくなって、何度も何度も突きいれる。
「ふぁ、あっ、そう、いち……」
どこからかテレビの音が聞こえる。
そうだよな、休日の真昼間だもんな。
ってことは、こっちの声も聞こえてるかもしれないな。
そう思ったら、嫌だと思う半面もの凄く興奮してきた。
「奈緒っ……」
押し進めるごとにまといつくような感触。
「あん、そー、いち……すごっ……んん!」
引き戻すたび襞に引き絞られる感覚。
「やぁんっ!そーいち、やだ、あたしっ」
奈緒が悲鳴を上げる。
あ、と思った瞬間には熱い液が迸っていた。
それこそどばっ、ていう擬音がつきそうなぐらい大量に。

「……っはぁ……」
しばし放心状態。
数回、勢いに任せて動いた後ゆっくり引きぬくと、ご無沙汰だっただけに
どろりと濃いのが溜まっていた。
「うわ、すげ……あれ、奈緒?」
身体を離した途端、奈緒の腰がかくんと落ちた。
慌てて奈緒を横たえると、寝起きみたいなぼんやりした表情をしている。
「ん……」
「もしかして、奈緒、イった?」
「そう、なのかな……。なんとなく、こんな感じになったことはあるんだけど、
今日はなんか、凄かった」
そう言って目だけで俺を見上げる。
そんな顔で凄かったとか言われると、嬉しいんですけど。
やばいんですけど。
すると奈緒の手が伸びてきて、ベッドの上に引き倒された。
「ね、総一。もうちょっとゆっくりしよ……?」
それは望むところだけど。
「買い物は、いいの?」
「うん。だって、明日もあるし」
「いいならいいけど」
「久しぶりに会ったんだもん。今日は、ぎゅっとしてたい、かなって」
「……そんなこと言うとまた襲うよ?」
早くも息子が復活しつつあるのを感じながら、奈緒の頬に軽くキスした。
たまには予定が狂うのもありかな、と思いながら。

310:普通?のカップル
10/01/11 22:31:51 ZqggBXX6
以上投げ。

普通すぎて面白くないとか、タイツのネタとかがもっと活かせそうなのに
思いつかないとかいろいろ。


311:名無しさん@ピンキー
10/01/12 17:00:32 DBepjGoJ
ナイス投げ!
これは良いエロ

312:名無しさん@ピンキー
10/01/12 19:49:42 VA/RZwT7
メインとして考えていたSS
ところがサイド用SSを早漏投下してしまい、つじつまが合わなくなる
続きが書けなくなったのでお焚き上げ 

*

「おまえだけはなんとしても助けてみせる。愛しい子、愛しいわが娘」

 ザナハリ軍に王都を幾重にも囲まれ、もはや猫の仔さえ逃げ出すこともかなわないと認
めたとき、タウフェジット聖王妃は降伏を宣言した。
 主力の聖騎士団は王とともに戦場で散った、地方領主は動けまい。いまの戦力では早晩
崩れ落ちるだろう。すこしでも余力を残した状態で危機をしのぎ、再起に備える。それが
上層部の判断であった。
 降伏調印ののち、聖王妃はすべての権限を剥奪され、王城の一角に幽閉される。 
「おまえのためならば、タウフェジットを差し出すことも厭わぬ」
 狂気の相を浮かべた母に強く抱きしめられ、聖王女はそっと瞳を伏せた。
 母からすればタウフェジットを思っての降伏ではない。じわじわと握りつぶされる恐怖
に心蝕まれた人々が暴徒と化して城に押し寄せ、聖王女をなぶり殺しにする、その未来を
避けるための行動。
 娘を守るためだけに。
「ただ一人の聖王女。おまえだけだ。おまえだけ。宝石の姫よ。世界はおまえにひざまづく」
「尊い御心、ありがとうございます、お母様」
「この艶やかな銀の髪、渦なす白銀の輝き。瞳はどうだ、なんという緑。美しきわが娘。
おまえは誰よりも美しい……そう……あの女より……」
「お疲れになりましたか。お水はこちらに。さあ、ゆっくりなさってくださいませ」
「どこへ行くの……だめよ……」
「私はどこへも参りませんよ。いつでもお母様のお側に。こうしてずっと手を握っていま
すから」


 聖王女はザナハリ軍が支配する王城で、精神の均衡を失った母親を見舞うため、わずか
ばかりの自由を許されていた。
 部屋から部屋へ。
 前後を黒衣の兵士に挟まれ、女官も伴わず歩む姿は、しかし凛として美しい。
 敗者の屈辱に苛まれていた者も、ひそやかに伝わる聖王女の誇り高さに涙せずにはいら
れなかった。

313:名無しさん@ピンキー
10/01/12 19:51:31 VA/RZwT7
 つまらないこと。
 聖王女は失望していた。
 吟遊詩人がこぞって歌いあげた麗しさ、貴公子は熱情をこめて恋を囁き、行き交う人々
の羨望のため息は途切れることがなかったというのに。ザナハリの蛮族どもときたら、折
に触れてちらちら目をやるだけの卑しい所作が苛立たしい。
 東方、身体に墨を入れる習俗を残す未開の小国にタウフェジットが負けるとは、想像だ
にしなかった。軍旗は黒、軍装も黒、洗練とはほど遠い姿に眩暈がする。
 このような者どもが蠢く地に嫁がれたのか、姉上様は。
 

「待て」
 礼儀を知らぬ声につ、と視線だけを流す。
 黒髪ばかりのザナハリ兵では初めての、赤を宿した男がいた。
「こちらへ」
 かなりの地位にあるのか、見張りの兵士たちが無言で従う。
 背が高い。聖王女の頭頂がようやく胸元に届くだろう。わずかに顔を傾ければ、たく
ましい戦士の体躯と荒削りな容貌が窺える。
「気が済まれたか?」
 不躾な視線を揶揄されて、聖王女は頬を染め俯いた。好奇を見透かされた怒りを隠す
ために。
「大公妃様はこのことをご存じでいらっしゃるの」
「立場を弁えろ」
「大公妃様に謁見の申し込みを。私は王族にふさわしい扱いを望みます」

*

ここまで
ザナハリ大公妃は聖王女の異母姉
幼い頃に母親が権力争いに負け、王族としての存在を抹消されました
侵略軍の先陣を率いる恐ろしい女性
このあと聖王女は玉座のない謁見の広間へ行きまして、商人と引き合わされます

314:名無しさん@ピンキー
10/01/12 19:53:08 VA/RZwT7
 何度か見たことのある顔だ。
「素晴らしい」
 たしか……プラーマの商人。
「まさに聖王女と見まがう気品、色香ではありませんか」
「痴れ者が。この私を誰と心得る。タウフェジットの聖王女ぞ」
「いや、演技も堂に入ったもの。王侯のごとく血肉にまでとは望みませんが、ある程度の
不遜さは必要でありますからな」


みたいな感じで偽物認定くらったあげく


「おお、聖王女様は母君のご乱心により落命なされたとか。タウフェジットの方々にはお
悔やみ申し上げまする。比する者なき花と謳われた姫君はかくてザナハリの魔手より逃れ、
清らな身のまま人々の心に刻まれるわけですな、いやはや」


弔鐘が鳴り響き、聖王女は死んだということに
そしてプライドが高く認識の甘いお姫様は奴隷商の手に落ちてしまいます
<聖王女そっくりの娼奴>という触れこみで金持ち達からエロいことをされまくり、タウフェ
ジットという国はザナハリが吸収、地図から消えましたとさ


令嬢、女官、王女の三部作となる予定でしたが断念
なーむー

315:名無しさん@ピンキー
10/01/15 22:56:20 7TZt4uxs
ナイス投げ

316:名無しさん@ピンキー
10/01/20 15:24:10 XGmlkEjx
あれ三部作だったのか、残念
投げ乙

317:名無しさん@ピンキー
10/01/25 16:23:27 EvubSR2S
保守

318:名無しさん@ピンキー
10/01/28 01:52:47 SCJu8SXt
書いてる途中で漫画本編が進んでしまったので投下



千鶴は大いに悩んでいた。
放課後に風早をつかまえて口を割らせてからずっと、家に帰るまではおろか
家に帰ってからも、床をごろごろと転げ回りながら悩んでいる。
既に風呂も食事も済ませ、そろそろ寝る時間だというのに、一向に眠気が訪れない。
先程の爽子の件、ではない。
大きく関係しているのは事実だが、今の千鶴にはそれ所ではなかった。

「男は好きな女に触りたいと思うもの」

風早に言われた台詞が、頭でぐるぐると廻っている。
自分は龍に触れられた事はない。
頭を撫でられたり、慰める為に抱きしめられたことはあっても
男女として触れ合う事など皆無だった。
部屋に二人きりでいる時でも、ゲームや漫画、お喋りをするだけ。
あいつは、本当に自分のことを好きなんだろうか。
友達の延長、幼なじみの延長という事はないんだろうか。
風呂の中で見下ろした自分の身体を思い出して、思わずため息が出てしまう。
女らしい柔らかさのない身体。
「美しい」「可愛い」といった修飾語を付けようのない顔には
目つきが悪いと評するに遜色ない雰囲気が纏わり付いている。
これで女を感じろ、と言う方が無理なのかもしれない。
「やっぱ、触り甲斐がないよな」
自分の肩や足に手をやり、硬い感触に眉をしかめる。
大体、龍が悪いのだ。
自分に好きだと言っておきながら、何をする訳でもない。
部屋に行けば以前と同じ、口を開けば相変わらず。
これで安心しろと言う方がおかしい。
今日ずっと悩んでいたのは龍のせいだ。
ぜんぶ龍のせいだ。
決めた、龍が悪い。
折しも明後日からはゴールデンウイーク。
時間はたっぷりある。
対決して、白黒はっきりさせてやろう。
そもそも何を悩んでいたのか、主旨がずれている事にも気付ない。
千鶴は鼻息も荒く布団に潜り込み、苛立ちに任せて荒々しく寝返りを打った。

319:名無しさん@ピンキー
10/01/28 01:54:17 SCJu8SXt
しかも投下中にメモ帳とぶとかorz

320:名無しさん@ピンキー
10/01/29 00:57:11 O75CVXJa
>>319ヾ (゚Д゚ )…イ㌔

321:名無しさん@ピンキー
10/01/29 19:19:03 qhMK9xvT
>>318
ナイス投げ

322:名無しさん@ピンキー
10/01/31 20:12:19 ynLjQ/Fg
>>318


323:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:30:29 to1EOBLN
ヤンデレスレに投下しようと書いた長編のプロローグ的な話
完結させる暇がないのと、ヒロインの吃音症を上手く表現できず、投げてしまいました

 夕焼け。
 開け放った窓から、生ぬるいそよ風と共に聞きなれた掛け声が聞こえる。
 頬杖をついて、見下ろすグラウンドには、青春に汗を流す同年代の少年少女。
 その中のある場所に、俺の視線は固定されている。
 グラウンドに敷かれたダイアモンド。
 その中心、小高い丘に立つ一人の少年。
 彼は腕を大きく振りかぶって、手の中の小さなボールを投げる。
 直ぐに、カーンと小気味よい音が響く。
 高く上がった白球は勢いよく、空へ吸い込まれていく。
 このグラウンドに柵はなくホームランは存在しないが、普通の球場なら間違いなくホームランだろう。
 俺が通うこの、県内いや、全国でも十指に入るとされる強豪校の神明学園野球部で一番の強打者相手に、馬鹿正直に速くもない速球で勝負すればこうなることなんて明らかだろうに。
 ―俺が投げるなら、あんな惨めな醜態さらさないのに。
 そんな愚にもつかない考えが浮かんだところで、はん、と自分を鼻で笑う。
 何を今更。
 こんなところで、未練がましくかつて俺がいた場所を眺めている自分のほうがよほど惨めじゃないか。
 ズクンと左肩に鈍い痛みが走り、ち、と舌打ちして窓から視線を外す。
 放課からしばらくたち既に人気のないはずの教室に、一人、俺以外の少女がいた。
 同じクラスの少女で、名前は雛森小夜。
 見かけるたびにいつも一人で、誰かと話しているところなんて見たことなかった。
 なんでも、何ぞやの楽器がうまく多くの大会で賞をもらっているというような話を聞いたことがあったような気もするが、どうだっただろうか。
 つまり、俺にとっての彼女は容姿はいいが、今の今まで特に印象を抱くことのなかった少女だ。
 彼女は、机の上に置いてある教科書を、じっと見つめて微動だにしない。
 窓の外から少しでも意識をそらしたくて、俺は彼女にそっと近づいた。
 そして、彼女の視線の先にあるものを見て、
「成程」
 思わず声を漏らした俺に、びくりと肩を震わせ、少女は顔をあげた。
 どうやら、彼女も自分以外に誰かがいることに気づいてなかったのだろう。
 驚いたように見開いていた黒目がちな瞳が、やがて怯えの色を濃くしていく。
 俺はと言えば、彼女から視線を外し、再び彼女の机の上の教科書を未だ眺めていた。
 当然ながら俺が持っているモノと何ら変わりのないただの教科書。
 けれど、その教科書には汚い文字で悪辣な言葉がいっぱいに踊っていた。
「今時、こんなことする奴いるんだなあ」
 漫画やテレビの中でしか見たことのなかった、いじめの王道ともいってもよい代物に感心した声がもれた。
「あ……」
 少女が震えるような声で鳴く。
 かなり小さな声だが、透き通るような声。
 同じクラスになって、3ヶ月近くたつのに、初めて声を聞いた気がする。
 彼女はと言えば、ようやく俺の視線に気づいたように教科書をあわてて机の中に引っ込めた。
「なあ、お前ってエンコーなんてやってるの?」
 教科書にあった悪辣な言葉の一つの真偽を尋ねてみる。
 かなりデリカシーのない行為だが、今の俺はとにかくムシャクシャしていた。
 つまり、ムシャクシャしてやった、相手ならだれでもよかったっていうやつだ。
 ……あれ、なんか違うか?
 まぁ、半ばというか100%八つ当たりの俺の言葉に彼女は今にも泣きそうな顔をして、
「や、やって、ない……です」
「え、そうなの?でも教科書に書いてあったけど」
「あ、あそこに、か、書いてあるの……嘘、ばかり……です」
「ふうん」
 確かに目の前の少女は印象からしてそんな事をするようには見えなかった。
 触ると冷たそうだと思わせるほどの白い肌、黒目がちで大きな瞳は大粒の涙をたたえ、
 両側の一部を兎の耳のように黄色いリボンでまとめた肩よりも長い柔らかそうな黒髪。
 絶世の美人というほどでもないが、学年の女子の中でも上位に入るんじゃないかと思うその容姿からはどことなく、育ちの良さが感じられた。
 まぁ、だからといって、そういうことをやっていないとも限らないんだが。

324:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:32:19 to1EOBLN
「他にも何かされてんの?」
「……え?」
「いや、それって所謂いじめだろ。だったらこれだけじゃないのかな、と」
「……」
 彼女は俺の無神経な質問に答えず、俯く。
 それが、雄弁に答えを語っていることに彼女は気づいているのか。
 数秒の後、コクリとうなずいた。
 それから、興味本位な俺の質問に、彼女はやはりオドオドしながらも何故か答えてくれた。
 俺がもしも彼女だったら絶対に、一発殴るなり引っ叩くなりして罵倒して、逃げるだろうけど彼女はそうはしなかった。
 彼女の性格がそうさせているのかもしたら、それよりも彼女は話したかったんじゃないだろうか。
 誰でも、どんなことでもいいから、彼女は同年代の人と話したかったんじゃないだろうか。
 未だ濃い怯えの色の中にほんの少し、嬉しそうな色が混ざっているのを見つけ、何となくだがそう思った。
 

 彼女の説明によるといじめは、去年、つまり高校1年の春過ぎから続いていて、いじめの原因はある同級生の告白を断ったことが発端となったという。
 告白を断っただけで、いじめなんてどこの漫画の中の話ですか、と言いなくもなったが真実らしかった。
「こ、こ、告白だけなら、今まで何度か、け、経験があるの」
 話しているうちに敬語は治っていたがうざったい吃音は相変わらずだった。
「……自慢か!告白なんて日常茶飯事ですよってことか!」
 何となく、場を盛り上げようとそんな風におどけてみる。
 すると彼女は、びくりと体を震わせて、
「そ、そ、そんなんじゃ、ない、もん」
 と、泣きそうな顔をした。
「泣くなよ、ただの冗談だろ」
「う、うん。わかって、る、けど……」
「で、告白され慣れた雛森は他の女子の嫉妬を買いましたってことか?」
「だ、だか、ら、別に慣れてる、わけ、じゃない……。それに、い、いじめられてる、原、因はそうじゃなくって……」
 そこで彼女は言葉を切って考え込むようなそぶりを見せた。
 窺うように俺の瞳を覗き込んでくる。
 その上目遣いに少しだけ、心臓が跳ねたが、気付かないふりをする。
「なんだ、相手のことを気遣ってんの?別に誰にも広めたりしないって」
 そんなことよりも、こんな中途半端で話を止められたら気になって今夜眠れなくなってしまいそうだ。
 しかし彼女は、ふるふると首を振る。
 どうでもいいが、さっきから雛森の行動はやけに小動物チックだ、と兎の耳のように跳ねる髪を見て思った。
 ……狙ってやってるんじゃないだろうな?
「そうじゃ、なくて、う、う、宇佐美、くんは、知らない、の?」
「は、何を?」
「え、と、わたしが……い、い、いじめられてる、原、因」
「なに、そんなに有名なのかその原因って」
「わかんない、けど、多分……」
「ふむ、まあ俺はそういうのに頓着しなかったからな」
 正確にはそれどころではなかった、というところだろうか。
 1年前はそれより夢中になることで忙しかったし、最近は、周囲のことに気を配る余裕もなかった。
 だから、その有名な原因とやらを知らなくても不思議ではない。
「い、飯尾くんって、知って、る?」
「……飯尾、ね。このクラスの委員長で野球部のエースだろ」
「うん、去年その人に、こ、告白されたの」
「へぇ……あいつがねえ」
 クラス委員長である飯尾一樹の姿を、思い浮かべてみる。
 中学から一緒だった背が高く、切れ長の目をした彼は、性格も誰とも分け隔てなく接し、優しく温和で女子、男子ともに信頼が篤く、人気もそこそこあるほうだろう。
 学力、運動神経ともに並み以上の才能を持っていることも人気の一因と言える。
 しかし、俺に対しては以前から必要以上に突っかかってくるので正直辟易としていた。
 それは、俺が野球をやめた今となっても変わらず、たびたび俺に対し勝ち誇ったような、小馬鹿にしたような表情を見るたびに殴りたくなる衝動抑えるのに苦労していた。
 表では愛想良く、人当たり良い人間を演じているが、気に食わない人間などには才能を鼻にかけた傲慢さで見下した態度をとるような男であった。
「んで、その飯尾が断られたのを逆恨みしていじめを主導してるってわけ?」
 少し剣呑になった俺の声色に雛森は、びくつきながらも小さく首を振るような、頷くような曖昧な仕草をした。

325:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:35:47 to1EOBLN
「正確にはそうじゃ、なくて。何故、か、わたしから飯尾、君を誘惑して、告白した飯尾君を、こっぴどく、ふった、ことになってて。
 みんな、その話を信じて、気が付いたら、誰も、わたしと、はなしてくれなくな、ってて……。も、ものを、かくされたり、らくがきされたり、してっ……。好きだった、ぶかつもやめなきゃ、いけなくなって」
 途中から雛森の声に嗚咽がまじる。
 また泣くのかよ、と心中で舌打ち交じりのため息をつく。
 好きだった部活、のくだりでまた痛みが走った左肩をさすりながら雛森を初めて可哀そうだと思った。
 暫く―雛森が落ち着くまで待って、
「んで、いじめの原因となる噂を流したのが飯尾ってわけか」
「うん……」
「証拠は?」
「告白の、次の日、い、飯尾君、が、話してるの、みた、から」
「はあ?それならその時、違うとでも否定すれば良かったんじゃないのか?」
「ひ、否定、したけど、誰も……」
「信じてくれなかったってわけか」
 小さく、頷く。
 そういえば、と思い出す節があった。
 友達との会話の中でそういう噂を聞いた気がする。
 その時は、俺の精神状態は最悪で話半分に聞いていたし、特に俺を馬鹿にするようになった飯尾の話題は当時の俺にとってタブーに近く、友達もそのことを重々していたのか、その話は直ぐに終わり、以来話題に上らなかった。
「にしても、誰かを振ったってことでいじめにつながるとはな」
「飯尾君、人気者、で、い、い、良い人、だから」
「ふん、良い人、ねぇ」
 まあ、大多数の評価がそのまま、その人物の姿を的確に表すとは限らない、ということだろう。
 それに、雛森がいじめられる原因は、もちろんその噂とやらが最大であろうが、彼女の容姿なんかも関わっているのかもしれない。
 なんというか、なんともベタな話である。
 使い古されて、カビでも生えてるんじゃなかろうか、というくらいには。
 そんなことをぼんやりと考えていると、チャイムがなった。
 時計を見ると、どうやら下校のチャイムらしい。
 あと幾分もすれば、教室のカギが自動的に閉められ、教員の見回りが始まる。
 見つかったからと言って別に何ということでもないが、女子と二人遅くまで教室に残っていると変な誤解を買いそうだし、いろいろと面倒そうだ。
 それに、あと数十分後には駅前のスーパーで夕方のセールが始まる。
 わけあって一人暮らし中の俺にとって、食費というのは決して馬鹿に出来ないものである。
「じゃあ、俺もう帰るわ」
 そう言って席を立った俺を、雛森が見上げてきた。
 何故かその顔が、残念そうに見えるのは気のせいだろうか。
「あ……は、はい」
 わたしも、帰り、ます、と雛森は呟き、鞄の中に件の教科書や筆箱を入れ始めた。
 何となく気付いていたが、彼女の動作は何と言うか無駄が多く、鈍い。
 簡単に言うと、トロ臭い。
 その様子を何とはなしに眺めていると、準備を終えた雛森が、俺の様子をうかがってくる。
「え、えと……」
 雛森を眺めて動かない俺に、戸惑ったように、きょろきょろと周囲を見わたしたり、自らの髪の毛をなでつけたりと忙しない。
 ふと、俺の手が吸い込まれるように、彼女の頭に乗った。
「ふ、ふぇ?」
 戸惑う雛森をよそに、ふわふわと柔らかい髪の感触をたのしむ。
 そして、わしゃわしゃと髪の毛をないかき回しながら、
「一緒に帰ろう」
 雛森は、え?と目を白黒させて。
 俺は笑みをこらえながら彼女の返事を待たずに、くるりと踵を返した。
 我ながら俺らしくない行動だとは思うが、
「え、え、え?」
 何が起こったのか理解できないというような声を背中に聞きながら、教室を出る。
 すると、ぱたぱたと慌てたような足音が聞こえてきた。
 足音は俺の数歩後ろで、ゆっくりとなる。
 背中に、彼女の窺うような視線を感じながら、
「なあ、雛森の家ってどこだ?」
「え……」
「ちなみに、俺の家は新市街あたりなんだけど」
「あ、わ、わたしも……」
「あ、そうなん?んじゃあ、同じ電車に今まで乗ってたんだな。朝何時発?」
「えと、7時5分」

326:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:36:31 to1EOBLN
「えと、7時5分」
「早すぎだろ、いくらなんでも。そんな早く来て何してんの?」
「本、読んだり、授業の、予習とか」
「……」
 暗っ!という言葉を飲み込み、下駄箱から靴を出し、上履きと履きかえる。
 まぁ、皆からシカトされてるならそれ以外にやることはないか。
 横を見ると、のろのろと雛森が靴を履き替えている。
 生来のものであろうドン臭さに、俺を待たせてる意識があるのか、妙に慌てていて、わをかけて遅い。
 はあ、とため息一つ。
 しかし、そのため息が少し、弾んでいることには気のせいだと信じたい。
「置いて行ったりしないから、そんなに慌てんな」
「あ……うん」
 うなずき、ようやく靴を履き終えて、黒目がちな目でじっと見上げてくる。
「よし、行くか」
「う、うん!」
 喜色に声を弾ませて、雛森はうなずいた。
 初めて見た彼女の笑顔に、心臓が小さく一つ跳ねた。
 気付かないふりをして、少し速足で歩きだす。
 彼女が告白に慣れている理由も、まあ、頷ける。
 雛森は、再び俺の後をついてくるが、今度は俺の半歩から一歩後ろ、ほぼ俺の隣を歩いていて彼女の表情がうかがえた。
 雛森は目を細め、柳眉をさらに下げて口角を小さく上げている。
 その表情を横目で見ながら、俺は自分の行動の原因を考えていた。
 正直、俺は今まで生きてきて自分のことを優しいと思った事なぞ一度もないし、他人からそう称されたこともない、と思う。
 かといって、冷血人間ではないと信じたいが、真っ向から否定できるかと言われると痛い。
 この至って俺らしくない行動の原因は、やはり雛森が言った好きだった部活云々が関係しているのだろう。
「なあ、雛森って何か楽器がうまいって聞いたけど本当か?」
「え……う、うん、ヴァイオリン、なら……」
 俺の質問に雛森は予想外にも、頷いて見せた。
 お、と思って彼女を見つめると、彼女は照れくさそうな顔をして。
「わ、わたし、小さいときからいっぱい努力したから。その分の自信はある、から」
 彼女にしては妙に滑舌よくしゃべるその姿には、自信の色が見て取れた。
 でも、とすぐに雛森は声を落とす。
「でも、オケ部でも、部員皆に、む、無視、されて。わたし、悪くない、のに、やめなくちゃいけなく、なって……」
「何で?好きならずっと続ければよかったんじゃないのか」
「ううん。お、オーケストラは、まとまってなきゃ、だから。一人でも、な、仲間はずれが、いたら、その人がどんなに上手でも、足手まといにしか、ならない、から」
 今度は自慢か!と茶化すことはしなかった。
 また、ぼろぼろと涙を流す彼女にかける言葉を探したが見つからなかった。
 どうすればいいのか迷っていると、彼女はすぐに泣きやみ、
「ひ、弾くのは好きだけど、一人でやっても、つまんないし。やっぱりコンクールとかで、たくさんの人の前で弾くの、楽しいし」
「へぇ、緊張してコンクール苦手な印象があるけどな」
「うん。緊張はするけど、ね、でもやっぱり、皆に聞いてもらいたいって気持ちが、強いから」
「やっぱり、プロを目指してたりするのか?」
「うん!ソリストは、難しいけど、国内のオーケストラに所属できたらな、って思うの」
「じゃあ、留学とかするのか?」
「ううん、今は留学しなくても、国内の学校でもレベル高いところが、一杯あるから」
「へえ……」
 彼女の眼に涙はすでになく、キラキラと別の輝きをもっている。
 その様子を見て、彼女を応援したいと強く思った。
 ―俺は、とうに夢に破れてしまったから。
 破れてしまった俺の夢を、彼女に託したいと、身勝手な想いが湧いてくる。

327:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:38:36 to1EOBLN
「……なあ」
「はい?」
「友達になってくれないか?」
「……ふぇ?」
「雛森が弾く、ヴァイオリン聴きたいし。お前のこと、もっと知りたいって思ったし。だから、俺と、友達になってほしい」
「……」
 突然の俺の言葉に雛森は目をぱちくりとさせる。
 彼女は心の中で何を思っているのだろう。
 分かるはずもないが、あまりいい印象は抱かれてないだろうな、と思う。
 彼女とまともに話したのは今日が初めてだし、今思っても無神経な事をズケズケと聞いていた気がする。
 ……態度も悪かったしな。
 少しだけ、一時間くらい前の自分に戻りたいと思った。
「まぁ、俺も雛森に好かれてるとは思ってないし、寧ろ、嫌われてる自信があるしな。……だから、その……普通に断ってくれて、いいから」
「あ……」
「わ、悪かったな。変なこと言って。忘れてくれていいから」
 じゃあ、と軽く手を挙げて走り出そうとする。
 グイと、かすかな抵抗。
 振り向くと、雛森がシャツの裾を握っていた。
 じ、と彼女の眼が俺を見据える。
 何だか、俺の醜い心の中が見透かされているようで、目をそらしたくなる。
 なのに、彼女の眼に引きつけられて、そらせない。
「な、なりたい……」
 蚊の鳴くような少女の声。
「わ、わたし、もう、友達いないし。それどころか、皆に、嫌われてるし、1日に家族以外の誰とも喋らない日が、良くあるし、
そういう日は、夜になると、寂しくて、泣いちゃうし……。ヴァイオリンも聴いてくれる人も、少なくなったし……。それに、それに、えと、えと……」
「お、落ち着け。何ていうかつらい思いをしてきたんだな」
 今になって周囲を見渡す。
 幸い人通りは多くないが、それでも0ではない。
 いぶかしげな視線を送ってくる人もいる。
 無理もない、俺だって第三者なら怪しむと思うし。
 あー、通報されない、と信じよう。
「う、うん、つらかった。つらかった、よ。だから、わたし、宇佐美君となりたい、友達に、なりたい」
「いいのか?本当に気にせず、断ってくれていいんだぞ」
「ううん!断ったりなんか、しないよ!宇佐美君には、今日、デリカシーのないこと一杯聞かれたし、今から、やっぱり嘘だって、言ってもゆるさないもん。
だから、わたしと、宇佐美君は、もう友達、なの……」
「そ、そうか。良かった。誰かに友達になってくれ何て言ったことないし、何ていうかかなり緊張した」
 多分、これから先もその言葉をいう機会はないだろう。
 普通は友達というものは自然となるものだと思うし。
 でも、こういうのも悪くないとも思うのだ。
「じゃあ、改めて。俺は宇佐美、悠。宇佐美とか悠とか何とでも呼んでくれていいから。よろしくな」
 す、と手を差し出す。
 雛森は数秒首をわずかに傾げ、考えるしぐさを見せた。
 そして、二三度俺の手と顔を見比べて、
「え、えと、雛森、天音。よろしくね、宇佐美、君」
 そっと、俺の手をとって。
 えへへ、と嬉しそうに彼女は笑う。
 その笑顔を見た瞬間、かあ、と顔が一気に火照った。
 ていうか、さっきから俺は何をやってるんだ。
 友達になってくれなんて言葉を告げるのもそうだが、握手なんて。
 自分の行動のあまりの青臭さに、無性に恥ずかしさがこみ上げて思わず顔をそむけた。
 顔をそむけた俺を不思議そうに、見上げてくる少女をよそに、手を振りほどくように離して、速足で歩く。
「あ、待ってよ」
 声とともに、慌てたような足音が追ってくる。
 もう、なんて妙に大人びた、呆れたような声が聞こえて、恥ずかしさを倍にする。
 ―気付かないふり、気付かないふり。
 すでに、どっぷりと陽が落ちた道に長い影が二つ、伸びていた。

328:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:41:32 to1EOBLN
投下終了
改めて読み返すと、支離滅裂だなあとかエロまで何話かかるんだとか、
ヒロインのヤンデレ状態まで何話かかるんだとか、突っ込みどころ盛り沢山
これですっきりしました。
なむ、なむ。

329:名無しさん@ピンキー
10/02/04 01:43:43 H47O/v/F
ペッコリ45℃

330:名無しさん@ピンキー
10/02/04 15:25:52 K9m1OOkL
ナイス投げ

どもりは最初の一文字から先がなかなか言えない感じかな
「あ、ああああああ、あのね、こっ、ここ、ここここ、今度、いっしょに買いもの行ってくれる?」
みたいにちょっと過呼吸っぽいしゃべり方
ぜんぶ途切れとぎれだと単純に弱気っぽく見えてしまうかも

331:名無しさん@ピンキー
10/02/09 18:52:35 K4FChput
緊張すると吃る自分の感じだと舌が固くなって縺れる
例えば「ありがとう」と返す時
あ、の次の「り」を出したいのに下顎の筋肉が強張って舌が空回りする
ずっと同じ「あ」「あ」を出し続けるわけよ
しかも自分もそれが恥ずかしいと感じるからさっさとありがとうを吐き出してしまいたい
で「ああありゃとう」になってしまうという
これは喉咽から顎の筋肉が緩いせいもあるらしい
時々、呼気吸気を同時にやってしまって唾液が気管に入る事しばしば

332:名無しさん@ピンキー
10/02/10 19:07:16 Som63UgV
ナイス投げ。
何話掛かっても完結してほしいな何て思ってしまった。


333:名無しさん@ピンキー
10/02/10 23:47:36 8wF3tNW+
二度ほどスレ立ってた間に書き上げられず寝かせておいたものの、
気力体力尽き果てたので投げて楽になります。
今秋映画公開なのにorz


334:Secret Profile
10/02/10 23:49:29 8wF3tNW+
尾形が戻った時、床に女の肢体が無造作に転がっていた。

「…笹本!」

片頬は腫れ、口から血が滲んでいる。ブラウスと下着は無惨に引きちぎられ、
白い乳房が露出していた。スーツのパンツも前が開いている。

尾形は駆け寄って注意深く上体を起こした。
「大丈夫か、笹本」
「つ……。…大丈夫…です……」
話ができる事にとりあえず安堵し、尾形はコートを脱いで笹本の体を包んだ。
「すまん、お前独り残すべきじゃなかった。俺の判断ミスだ」
「…いえ、ミスったのはあたしで…。……拳銃に気付かれなくて、幸いでした…」
「すぐ病院へ行くぞ」

病院へ行けばなにがしかの書類が増える、尾形に何らかの影響がないとは言えない、
そんな考えが笹本の頭をよぎった。
「いや、こんなの大したこと……」
そう言って手で頬を拭うとぬるついた感触がある。
指についたのは血ではなく、異臭のする白い液体だった。
おぼろげな記憶が甦る。

眉間に皺を寄せたままの尾形が尋ねた。
「他に怪我は」
「…何ともありません」
「―本当か?」
そこでようやく笹本は察した。尾形は男には生じない類いの怪我を案じているのだ。

335:Secret Profile
10/02/10 23:50:25 8wF3tNW+
笹本は口を歪め、吐き捨てるように言った。
「……幸か不幸か、ヤツら変態で。生身の女には触らない主義だそうですよ」
スタンガンで笹本の動きを止めた男達は、散々彼女を小突き回した挙句に、
卑猥な言葉を浴びせながら彼女の顔から胸のあたりへ射精して去ったのだった。
畜生、と大声で叫びたいのを抑え唇を噛む。

「そうか」
尾形は短くそう言うと、笹本の肩を支えて立たせた。
「歩けるか?」
「は…い、多分」
汚された顔を上司に向けるのがためらわれて、笹本は目をそらし答える。
尾形は笹本の頭からすっぽりとコートをかけると、ぐっと抱き寄せた。
「…係長、コートが汚れます」
「いいから」
尾形に支えられ外に出て車に乗るまで、マルタイはこんな気持ちなんだろうかと
笹本は考えていた。

乗った車は間もなく停まり、下りたところで建物に入る。
「待っていろ」
尾形が離れた。
襟の隙間から窺うと、どうやらビジネスホテルのエントランスらしい。
戻ってきた尾形に伴われるまま笹本は歩いた。

そこはこじんまりした清潔な部屋だった。それ以上でもそれ以下でもない。
部屋の中にぽつんと立ったきりの笹本に、バスルームから尾形が声をかけた。
「まず、風呂に入って傷を洗え」
勢いよく落ちる湯の音がする。
体を洗ったところで、この憂鬱な気分はしばらく消えないな、と笹本は思った。
汚れた部分を切り取って焼き捨てたい気分だった。

336:Secret Profile
10/02/10 23:51:07 8wF3tNW+
「一度戻ってお前の服を取ってくる。後処理で軽傷を負い、病院ヘ行って直帰すると
 みんなには説明しておく。いいな」
「はい」
「少し休んでいろ。すぐ戻る」
尾形が消えると、笹本は深く溜め息をついた。
自分が女でさえなければ、尾形はこんな気の遣い方はしなかっただろう。男なら、
そもそもあんな目には遭わないはずだった。
普段は忘れているつもりでも、時々手ひどく思い知らされる。
「畜生」
小さくつぶやいて、笹本はバスルームに入った。

熱い湯が傷口にしみたが、構わず頭と体を3回ずつ洗って、ようやく我慢ならない
不快さが消える。
バスタオルで全身を拭いてからよく見ると、手足にいくつも痣ができていた。
鏡の中の顔の、頬の腫れも引いていない。
しばらく自分を睨みつけていた笹本は、ちっと舌打ちして髪を乾かし始めた。

尾形が帰ってきた時、笹本はバスタオル一枚巻いた姿でベッドの縁に腰掛けていた。
立とうとするのを尾形の手が制する。
「…怪我はどうだ」
「派手なだけで、大したことはありません」
「念のため消毒しておけ」
紙袋から出した消毒薬の小さな容器を笹本に手渡す。
「はい」
笹本は小さく一礼して洗面台へ向かった。

337:Secret Profile
10/02/10 23:51:46 8wF3tNW+
「つ…っ」
鏡の前で消毒した頬を軽く押さえているところへ、コーヒーの香りが漂ってくる。
戻ると、備え付けのカップがテーブルの上に置いてあった。
「コートと鞄、それに着替えだ。俺のシャツで悪いが我慢してくれ」
「係長…」
笹本は唇を噛んで頭を下げた。
「ご迷惑をおかけして、本当に…申し訳ありません」
語尾が震える。

悔しそうな表情の笹本に尾形は言った。
「謝るな。お前が悪いんじゃない」
「でも、もし私が、………」
笹本はその後を言わずに拳を握りしめた。飲み込んだ言葉は尾形にも予想がつく。
「女性であることをマイナスだと考えるな。それはお前の個性に過ぎない」

笹本の眉根が寄った。個性にも有用なものとそうでないものがある。
「……井上の勘も…、個性ですか」
皮肉や嫉妬に聞こえるかも知れないと思ったが、つい口に出た。
「そうだ。―山本の大食らいもな」
尾形は悪戯っぽい目をして笑う。

笹本は首を振って苦笑した。
「…ふ……」
「そういう事さ。……飲んで少し休め、ほら」
「あ…。すみません、いただきます」
窓辺に歩む尾形の背を見ながら、笹本は受け取ったカップに口を付ける。
コーヒーは冷め始めていたが、濃い苦味はむしろ清々しく感じられた。

338:Secret Profile
10/02/10 23:52:40 8wF3tNW+
尾形は険しい表情でカーテン越しに外を見る。
笑いに紛らしたものの、井上にしろ笹本にしろ、獲得した個性のために払う代償は
余りに不当で理不尽だと思わずにはいられなかった。

と、黙考する尾形の目の端に飛んでくる肘が映った。

小さくかわしたその先へ、さらに拳が飛ぶ。
「何の真似だ、笹本」
手のひらで受けた拳がくるりと翻り手刀に変わる。他方の手が突きを繰り出す。
笹本の動きは実戦とは行かないまでも、訓練並みに激しかった。
次々に飛んでくる拳を受けるが埒が開かない。
防戦一方の尾形が、ようやっと笹本の両手首を掴んで動きを封じた。
「やめろ、痣が増えたらどうす―」

ふいにバスタオルが生き物のように笹本の体を滑り落ちる。
ずっと笹本の顔から視線を外さないよう努めていた尾形だが、反射的に目が追った。
その目の前で、笹本の白い裸身が露になる。
「………!」
尾形は咄嗟に顔を横に向け、目を閉じた。遅れて笹本の手首を離し、手を下ろす。
「…すまん、…早く……」

黙って尾形の横顔を見ていた笹本は、ひた、と尾形に体を寄り添わせた。
尾形は驚いて目を開け、しかし穏やかな声でゆっくり尋ねる。
「……どうした…」
笹本は何も答えず、動こうともしなかった。
「……………」
だらりと手を下げたまま、尾形は窓を見て目を細める。

339:Secret Profile
10/02/10 23:53:39 8wF3tNW+
泣くのかと思ったが、そうでもないらしかった。
尾形の脳裏に先程の笹本の姿が浮かぶ。
暴力が肉体を痛めつけるのに等しく、性的な侮辱は精神を痛めつける。
受けた苦痛をやり過ごすには時間が要るだろう。
普段は意識せずにいた甘い匂いが尾形の鼻孔をくすぐった。

笹本がそっと顔を上げ、尾形は動きに反応して顔を下げる。
その唇に、笹本は無造作に口付けた。
「………」
尾形は眉をひそめ瞬きをしたが、目を伏せると、柔らかな感触を確かめるように
笹本の唇を押し戻す。さらに笹本が唇を押し当てる。少し開いた唇から舌を出し、
尾形のそれを誘う。尾形の舌を探し当て、性急に絡める。
白い指がシャツの胸元を握り、大きな手がくびれたウエストに回る。
立ったまま、尾形と笹本は唇を貪り合った。

笹本の細い指先が尾形のシャツのボタンをまさぐり、外し始める。
ベルトにまで指がかかった時、その手を尾形が押さえた。
「―自分でやる」
そう言って、笹本をベッドに寝かせる。
笹本は放心した様子で尾形を見つめていたが、すぐに壁に顔を向けた。

尾形はネクタイを緩めながら横たわる裸身を眺める。
痣さえなければ人形かと思うほど、均整の取れた美しい体だった。
この容姿であの聡明さなら、職業の選択肢は数多くあったに違いない。そこから
敢えて警察を志した笹本の選択を、尾形は保証してやりたい気がした。

340:名無しさん@ピンキー
10/02/10 23:58:50 8wF3tNW+
以上

お楽しみはこれからだなんだけど
脳内映像が分岐するしいろいろ疲れました

映画コケないといいなあ
ありがとうございました 合掌

341:名無しさん@ピンキー
10/02/11 00:19:16 s1R9bMQm
ナイス投げ!!!
とても残念だけど、お疲れ様

間が空きすぎて、忘れてたが、
おかげで思い出したよ。

342:名無しさん@ピンキー
10/02/16 03:23:15 VZ/aRV+b


343:名無しさん@ピンキー
10/02/19 18:26:29 41sWJOgn
保守

344:名無しさん@ピンキー
10/02/27 18:06:57 JiMUeYRi
保守

345:名無しさん@ピンキー
10/02/28 16:03:20 Ab5OQiH6
念のため保守

346:名無しさん@ピンキー
10/03/03 15:09:47 bPmlKnWg


347:名無しさん@ピンキー
10/03/06 23:55:26 ODI6xuTP
そろそろかな

348:名無しさん@ピンキー
10/03/07 00:15:00 10lYqtrm
スレのみんなに嫌われたのでここに捨てていきます
そしてきっぱり忘れます、永遠に

349:1996年、パタヤ
10/03/07 00:15:19 10lYqtrm
"……で、その金庫は無事手に入ったの?"

ベッドの上、初めて会った頃からは想像もつかないような妖艶な顔で、男物のアロハシャツの間から布の面積が少ないいかにも『それ』用の下着を覗かせたジェーンが言う。
本当に、女は魔物だ。

"ああ……鮫ってやつは自分より体長が大きな相手には警戒してなかなか近寄らないからな、その習性を利用したってわけだ。"

"あなたも潜ったの、その吹き抜けの水槽に?"

"いや、俺は例のごとくパソコンの前でモニタと睨めっこさ。
ジェームス・ボンドは性に合わないのは君も知ってるだろ、チョコパイ?"

"いや、だって最初のビジネスだって言うし、ボロボロのバンでマフィアと白昼ケチャップを演じたんでしょ?"

"クルマとか機械は得意だが生き物は苦手でね、特に人間が一番苦手さ。
海洋生物学で博士号取った人間の言うことじゃないかもだが。"

ジェーンの砂糖菓子のようにフワフワなカールの髪を、俺は優しく撫でた。
裸の上半身に髪が当たってこそばゆい。

"あら、ドクター・ベーグル、もしかしたら私のことも苦手かしら?"

"そうは言ってないぜ……ん。"

"……ん。"

350:1996年、パタヤ
10/03/07 00:15:49 10lYqtrm
俺たちは、そっと口づけを交わす。
ジェーンの、さすがパンジャブ系らしい特徴的な体臭と香水……多分バーバリーのブリットだろう……の匂いが混ざったかぐわしい香りが、狂おしい。

鼻腔を、快楽中枢を、ジェーンの存在が次第に犯していく。
その豊満なカラダを、いまはオトコを刺激することを意識して、わざとそう見せているが、以前のカラダの線を隠すようなダサい恰好でもそれとわかるほどだったそのカラダを、俺は自由にしたい衝動と戦う。
ちゃんと俺の生き方を知って欲しい、今までの俺を、そしてこれからの俺を、知って欲しい。
理性ある人間として、生物の本能である肉欲より先に、俺にはそうしなければいけない義務があった。
それは、また危ないビジネスにこのチョコパイを引きずりこんだ責任でもあった。
中共の連中を出し抜くなどという綱渡りの前に、二人が本当の意味での恋人になったと、人生のパートナーとなったという、証明でもあった。
そしてゆくゆくは、俺の片腕としてジェーンにも商会の一員になって欲しかった。
福利厚生の厚さなどこの稼業には望めないが、俺はオトコとして、ひとつの生き物のオスとして、どうしてもそうしたかった。

351:1996年、パタヤ
10/03/07 00:16:11 10lYqtrm
だがしかし、俺の理性は本能にはどうしても勝てなかった。
気がついたら俺はジェーンの細い褐色の首筋に舌を這わせながら、その大きなやわらかい双球を下着越しに、俺のコレクションの一部であるシグ・ゼーンのアロハ越しに、まさぐり始めていた。

甘いジェーンの声を、、みずみずしい肉体を、俺は楽しんでいた。
スパイシーな匂いに交ざるメスの匂いに、俺はくらくら惑わされていた。

しとどに濡れたそこを、その部分を隠すには小さすぎる布をずらして、俺は自らの怒張で一気に貫いた。
ジェーンが、艶っぽい声で鳴いた。

俺の腰の動きは次第にヒートアップし、そのプルプルしたジェーンのそこを、既に低いところまで降りてきたコリコリとした子宮口を、肉の芽の裏側のざらざらした部分を、次々と俺は責め立てた。
半分白目を剥きながらジェーンは、声にならない声で俺の名を呼び続けた。
俺も、ジェーンをずっと呼び続けた。
それは、二人がカラダだけでなく心までも一緒になっている証拠かもしれなかった。

パタヤの夜、あのフロリダの夕日から四年後の夜は、こうして更けていった。
南十字星が、カーテンの隙間から覗いていた。

〈完〉

352:名無しさん@ピンキー
10/03/07 00:16:31 10lYqtrm
以上でした
南無阿弥陀佛

353:名無しさん@ピンキー
10/03/14 03:27:47 GT8Dr8WF
姉妹スレ
スレに投下し辛い/迷うSS【元・追い出され3】
スレリンク(eroparo板)
専用スレに投下できないSS
スレリンク(eroparo板)
【うpろだ】専用スレのないSS その2【代わり】
スレリンク(eroparo板)

354:名無しさん@ピンキー
10/03/14 14:00:06 +wiZOrhV
話の舵きりを間違えてしまったので、投げます

355:名無しさん@ピンキー
10/03/14 14:00:55 +wiZOrhV
 森を抜けると、ちょうど無人駅に列車が到着していた。
 臼井は俺を見ると肩だけ竦めて、何も言わずに車両に乗り込んだ。
 俺も後に続き、座席へと座る前に、彼を先に通す。
 景色が動き出す。
「…何故譲った」
「深い意味はありませんね」
「……」
 こういう時、果たしてどんな顔されるのかと思っていたが。
 分かっている。俺は自分が嫌になって、不貞腐れている―そうだろ?
「…若いとは、己を見失うことだな」

 目を覚ますと、隣に臼井はいなかった。
 外は夜。夜行列車は近代的な装飾のはずが、何故か薄暗い灯火に木の匂い。
 膝掛を退け、俺は席を立つ。車両は全体的に空いている。
 ふらふらと歩いてみる。と、誰かの肘が、俺の太腿に当たった。
「あら、失礼」
 そう言って、見慣れぬ貴婦人はその面を見せた。
「…貴方、チョコ・レートはお持ちなさって?」
「いいえ、持っていませんが」
「そう。お互い、良い旅を」
 何だか、ドレスが妙に時代がかっているのだが、仮装パーティでもあるのか?

 臼井を探したが、どの車両に行っても見つからない。
 それどころか、こんな列車に乗った覚えがない。一体、どうなっている?
「探し物かしら、お兄さん」
 考え事をしていると、目の前が留守になっていた。
 通路の道を塞いでいることに気づく時は、とても恥ずかしい。
「すいません」
「あ、退いてほしくて言った訳じゃないよ。どうせ空席だらけだし」
 そう言う彼女はブランデーを二本、ぶら下げている。
 ほんのり赤い顔に、漂うアルコール臭ね。映画のワンシーンなら次はきっと、
「一緒に飲まない?」

「キミの名前を当ててみせようか」
 隣に座った彼女が、そう言って絡んできた。
「その前に、あなたの名前を聞いていませんが」
「はい」
 スーツの胸ポケットから、手慣れたように名刺を差し出す。
「バジリスク通信の番記者、ボニー・アイカワよ。よろしく、ジョー」
「俺の名前はサトル・イシドウです。誰です? ジョーというのは」
 へ? といった顔をされても、こっちが困る訳ですが。
「妙じゃない? この列車にそんな人、乗ってないはずなんだけど」
 そんなこと言われてもなぁ…。

 持ち物を探ると、確かにあった。
 乗車券と、そこに名前が”ジョー・ハミルトン”とはっきりと。
「イシドーってのは、偽名ね? 確かにキミ、東洋人って顔してるけど」
「……」
 非現実的にも程がある。これは、明らかに違う世界だ。
 夢、か? それとも”エルオーネ現象”か?
 あれ、そもそもエルオーネ現象って何だっけ? 科学誌にそんな論文が載っていたと思うのだが。
「ブランデー、飲まないんだ?」
 いや、俺未成年だから。それにアルコール類は好きじゃない。
 しかし…もし夢なら覚めてほしいものだ。ここはリアル過ぎて、居心地が悪い。

356:名無しさん@ピンキー
10/03/14 14:01:49 +wiZOrhV
「あなたは一体、この列車で何を?」
「教えない。ヒントだけなら良いけどね。プライベートじゃないってこと」
 番記者が仕事をしている―それって、誰かのスクープでも狙っているということか。
 俺? の訳はないだろうが、この列車内にいるのかもしれない。
「じゃ、同じ質問をキミにも良いかな?」
「…ガーデンに帰る」
 しかし、ピンとこないようだ。
「キミは庭師さん? 私の知ってるジョーは、神出鬼没の名探偵よ」
「はぁ」
 夜行列車に名探偵か…昔やったゲームのようだ。ウンザリしてきた。
 
 事勿れ主義と言われるかもしれないが、いくらSeeD目指しているとはいえ、得意苦手はある。
 こんな疲れている時に、見る夢か? それとも俺の体力不足なのか?
「何故俺をご存知で?」
「よく新聞に載るわ。…実際に見たのは初めてだけど、結構好みよ」
 肩と頭が、触れてくる。酔っ払って、これで本当に仕事になるのだろうか。
「夜も更けて、間も無く日付が変わる。…逢魔の刻が訪れる」
 独り言か? 逢魔の刻なんて古びた言い回しだが、随分含みを感じる。
「……アイカワさん?」
「…だから、駅に着くまで二人で行動しない? 名探偵さんと一緒なら、多分安全な気がするもの」
 つまり俺といないと、安全は保障されないということ?

 果たして彼女を、信用して良いものかどうか。
 と言っても、この列車内で俺の味方になってくれそうな人物は、彼女くらいか。
 そうでなくても、とりあえず現状を把握する為には、その力を借りるべきかもしれない。
「キミは自分を見せない。それでいて、人を油断させる……んー、魅力的だなぁ」
 半目で緩んだ表情は、明らかに酔いが回っている。
 彼女は正面から俺の目を見つめ、その手で太腿を撫でる。
 意味深なことを呟くのは厄介だが、それ以上に今、俺の身の安全の方が、どうも怪しい。
「あの?」
 いつの間にか彼女の蝶ネクタイは緩み、シャツのボタンは上から二つ三つ、外れている。
 しかし、ジャケットの色合いと言い、これではどちらが探偵か分からない。

「止めましょう。こんな所で」
 思わず流されかけたが、口づけされそうな前に、彼女を制す。
「…釣れないのね。もうちょっとキミのこと、調べたかったのに」
 洒落た冗談ですが、
「自分の席に戻ります」
 よく考えたら、俺がここで”ジョー・ハミルトン”を演じる義務は、別に無い。
 夢だろうと何かの現象だろうと、いずれ元通りになるはず。
 だったら、当たり障り無くやり過ごそう。イチャイチャしても疲れるだけだ。
「じゃあ、後でそっちに行っても、構わない?」
 真面目に仕事しろよ番記者さん。

 俺は素直に後列車まで戻って来た。端に車両番号が書かれている。
 ”五”からここ”七”までは一般車両。他、一~四が個室付きの専用車両、八以降が貨物車両。
 さて、閉鎖されたこの列車内で、一体何が起きると言うのか。或いは、何も起きないのか。
「?」
 一定のタイミングで聞こえるのは、何だ? 汽笛?
 俺はポケットに、懐中時計を所持していた。見ると、針は出鱈目な位置で止まっており、動かない。
「零時三十八分二十四秒、か」
 そういえば、摩り替わったかのようにストップウォッチが無い。
 暗示的ではあるが、何、結局これは夢だということなんだろう。
 俺は懐中時計を窓際に置くと、狭い座席に上半身だけ、横になった。

357:名無しさん@ピンキー
10/03/14 14:07:03 +wiZOrhV
 自然とそのまま、俺は眠りについた。
 夢の中で寝るとか大した皮肉だと思うが、割と心地良い。
「―?」
 ふと意識が戻る。念の為、周囲を確認する。
「…はぁ」
 まだ、夢の中だった。そしてこつこつと、聞こえてくる足音。
 こんな真夜中に、誰だ? そう思いながら再び目を閉じていると、足音はすぐ近くで止まった。
 例の番記者さんだろうか? 俺はもう寝る。
「おい」
 起こさないで下さい。お休み中です。

「眠った振りしてんじゃねぇぞ。チョコ・レートを何処へやった」
 は? もしかして、俺に訊いているのか?
 極めて小声ではあるが、かなり柄の悪い兄ちゃんのようだ。
「何だよ煩いな」
「答えろ。あれがないと、ヤバいんだよ…!」
 チョコレートの一つや二つ、無くて困るなら常備しとけよ。
「何してるんですか?」
「! …っ!」
 彼は俺に絡むのを止めて、足早に去って行った。
 面倒事に巻き込まれるのはもう嫌だってのに、これはいよいよどうしようもなくなってきたか。

「大丈夫ですか、お兄さん」
 視線だけ向けると、眼鏡をかけた女性が立っている。
「はい。助けられたようで、ありがとうございます」
 寝たままでは流石に失礼なので、体を起こす。
「一般客に因縁付けるなんて、キーラも堕ちたものです」
「知り合い、ですか?」
「知り合いなものですか。悪名高いマフィアですよ」
 マフィアが列車内うろついているのか。まともじゃないな。
「じゃあ、あなたは?」
「パメラです。パメラ・ケルビン」

 改めて見ると、やや幼い容姿だった。
 髪は二又の三つ編み、格好は継ぎ接ぎの目立つ質素なドレス。
 何故か分からないが、初見で親近感を持ってしまった。番記者には、そこまでは思わなかったのだが。
「サトル・イシドウです」
 この世界では俺の顔、一般に触れているようだが、一応そう言った。
「イシドー?」
「そうです。あなたは一人でこの列車に?」
 一目見てマフィアだなんて、分かるものだとしたらこの子も只者じゃない。
「あ、立たせたままで…良かったら隣にでも」
 とりあえず、彼女を座らせる。


みかん
複雑な話書く技量と意欲がないのに、よくもまぁ

358:名無しさん@ピンキー
10/03/21 08:58:49 +QyNgfR6
だれになりすまし?

359:名無しさん@ピンキー
10/03/24 11:01:16 W294DXz/
 やや古風な西洋風の大豪邸に美和子が閉じ込められてもう三日になる。最初の
一日は混乱と恐怖で男の言いなりになっていた美和子だったが、二日目になって
漸く状況を受け入れ、恐怖が怒りに火をつけた。そうして激情の赴くままに、此
処に監禁した男に逆らった。そしてその罰として、昨夜から水の一滴も与えられ
ていない。
 空腹を抱えた美和子が目をつけたのは、長い廊下の途中の大きな窓の傍に置い
てあった、ピンクの新鮮なチューリップだった。一度気になってしまうと、口内
に溢れてくる唾液を止められない。もう、我慢など出来なかった。
 美和子は一輪のチューリップを取り上げる。瑞々しいチューリップだった。そ
の花弁を一枚、千切ってみる。
 白い細い指で摘まんだ薄紅色の花弁を、薔薇色の口唇の奥に隠されていた米粒
のような歯と、濃いピンクの舌が出迎える。
 ビロードのように肉厚の花弁を、陶器の如き歯が噛み締める。
――ぷつり、つぷん――
 噛み千切られた花弁は、口内で無残に咀嚼され、嚥下された。
「……レタスみたい」
 それが美和子の、初めて口にしたチューリップという植物に対する過不足のな
い感想だった。
 美和子は今度は茎を持って、二三枚の花弁を一度に口に含む。そして次の瞬間
、ガクの付け根、茎の部分へと一気に歯を立てた。
 ぷつん、
 くちゅ、
 あっさり口内に転がり込んできたチューリップが、磨り潰され唾液と共に撹拌
され、ごくり、細い咽喉を通じて食道へと落ちていく。
 それから美和子は、餓鬼のようにチューリップを貪った。青臭い茎を頬張り、
肉厚の葉の葉脈を引きちぎり、十数本あった花を全て、胃に収めていたのだ。
 こふ、と小さなゲップを溢した美和子が次に目をつけたのは、白磁の花瓶その
もの。美和子は一瞬の躊躇もなく、花瓶を手に取った。縁には金の飾りが施され
、表面には青い小鳥の飛ぶ見事な花瓶。
 美和子は意外に重量のある花瓶を両手に持ち、ゆっくりと持ち上げる。たぷん
、内部で水が揺れた。
 花瓶の縁が美和子の口唇に触れる。柔らかな唇を硬質な花瓶が押し潰す。ゆぅ
っくり、美和子は花瓶を傾けた。
 つつぅ……っ、清純な水が頬から顎、細い首筋と華奢な鎖骨を通って胸元へと
滑り落ちていく。小さな咽喉が、何度か上下する。
 こくん、こくん
 陶器の中身が空になるまで、その行為は続いた。


 中身を飲み終えた花瓶から、美和子は無造作に手を放した。
 ガシャン、硬質な音と共に、高価な花瓶は砕け散った。
 美和子はその欠片を無造作に踏みつけて、窓辺にそっと寄り添う。真っ白な陶
器に、生々しい深紅の血が付着する。鮮烈な対比を、窓から差し込む夕陽の日射
しが中和する。
 美和子は窓の外に広がる赤く染まった森を見て、ぼんやりと溜め息を吐く。コ
ンクリートの森しか見たことのない美和子には、こんな森を見るのは初体験に近
い。
 涙すら、出てこない。美和子は割れた陶器の欠片を手に取った。


女性っぽい文体に挑戦したらおもいっきりこけた上に
スレ自体流れたのでお炊き上げ

360:名無しさん@ピンキー
10/03/26 20:36:23 EnU2upUl
テスト。

361:名無しさん@ピンキー
10/03/28 10:53:04 JrUh5Hg+
投げ乙

362:シンケンジャー 薄雪と新佐
10/03/28 23:11:09 42566JdU
開け放した窓から遠くの座敷の宴の音が流れ込んでくる。
芸妓の小唄。拍子を取って皿を箸で叩く音。幇間が何か下卑た冗談でも
言ったのか、酔客の哄笑や女達の嬌声が遠く響く。
さまざまな音に耳を傾けながら窓辺に座る新佐。その横で三味線を爪弾く薄雪。
二人は部屋の灯りを落とし、ただ静かに時を過ごしている。
窓から差し込む月灯りが、その月を見上げる新佐の額と頬を照らしている。
薄雪は惚れ惚れとその愛しい男の顔を眺める。
初めて本気で愛した男。そして自分を本気で愛してくれている男。

その男の横顔をこうして眺めるだけで薄雪の心は沸き立つ。
三味線を脇に置き、薄雪は徳利を手にし新佐が手にした杯へと酌をする。そして
新佐の足の間に割り込むように座り、その胸に寄りかかる。
新佐は、はだけた薄雪の胸元に片手を差込みそのやわらかな手触りを楽しみつつ
無言のまま杯をぐい、と呷る。

「おまえも飲むか?」
問いかける新佐に薄雪は艶のある笑みを浮かべ、顎をつん、と上げて答える。
「飲ませておくれ」
応じた新佐は徳利から直接酒を口に含むと、薄雪の首筋に手を添え上を向かせる。
新佐を見上げながらうっすらと微笑む薄雪。その半開きの唇に、新佐は自分の
唇を押し当てる。そして口に含んだ酒を薄雪の口へと流し込む。
ごくり、とその甘い口当たりとなった酒を飲み込み、薄雪はさらに求めるように
新佐の口に舌を伸ばす。
新佐の歯や舌に残る酒の味を舐め取りながら、「もっと」とせがむ薄雪にさらに
応じた新佐は繰り返し、口に含んだ酒を薄雪に飲ませる。二度、三度と。

心地よく唇や口の中をくすぐっていく、ちろちろとした薄雪の舌の動き。
新佐の体は反応する。硬くなったものが、薄雪の尻に当たる。

「ふふ」
嬉しげに微笑んだ薄雪は体の向きを変え、新佐の裾から股間へと手を伸ばす。
隆々と固くなっているその部分。薄雪の指がそれを上下に撫でる。
素知らぬ顔でまた月を見上げる新佐。だが薄雪の指の動きにつられ、うぬ、と
耐えるような表情を浮かべ始める。
薄雪は裾を開き褌の紐を緩め、その物を露わにする。
新佐の足の間に座り嬉しげに股間に顔を寄せてきた薄雪に、新佐はそっと呟く。
「見られているぞ」
「誰に?」
「月に」
見上げた夜空。満月にやや欠けるその月が二人の顔を照らす。
ふん、と鼻を鳴らした薄雪。
「わちきはかまわない。月め。好きなだけ見ればいい」
挑発するようにそう言うと、再び新佐のそれをそっと握り、口に含む。

363:シンケンジャー 薄雪と新佐
10/03/28 23:11:35 42566JdU
薄雪の鼻を新佐の強い匂いがくすぐる。汗と、漢の匂い。
それだけで薄雪は何やらうっとりとした気分になる。他の客であればすぐに
湯を浴びて来いと部屋から叩き出すところだが、新佐の匂いは愛しい。
目を閉じゆっくりとそれを頬張りながら、薄雪はその舌触りと形を楽しむ。
これが愛しくて愛しくて仕方がない。その思いは我ながら驚くほど強い。
いっそ食いちぎりたいとすら思う。食いちぎったそれを咀嚼し飲み込み、己の血肉と
できたらどんなに幸せだろうか。
だがそれは無理な話だ。代わりに薄雪は唇と舌を使い、それを味わうことだけで
我慢する。舌を這わせ絡め、強く吸えるだけでも幸せだ。
新佐のものなら。愛しい男のものならば。

先端の丸みを口に含み舌先で清めるように舐める。親指と人差し指で作った円で
根元の部分をきゅっと強く握る。
指をゆっくりと上下させながら、その先端の複雑な筋や段に丹念に舌を這わせていく。
新佐は薄雪の襦袢をゆっくりと剥ぎ取る。露わにされた白い肌。
その背中と尻をまた月が照らす。月灯りを浴びたその肌はそれ自体がぼんやりと
輝いているように見える。

「薄雪、こちらに」
新佐は横たわると薄雪の身体の向きを入れ替えさせ、自分の顔の上に跨らせる。
大きく開かれたその脚の間にあるものが期待に息づく。
「まだ見ているの?」
「…月か?あぁ」
新佐は夜空を見上げる。煌々と輝く月が、まるで二人を叱りつけるかのように
まばゆく照らしている。
「見ているぞ。おまえの、ここを」
新佐は指先でその部分をゆるやかにこねる。雫が月灯りにきらりと光る。
「おお、いやらしい…月、め…」
呟く薄雪の白い背中が喘ぎと共に震える。その身をくねらせながら、薄雪はまた
新佐の物に唇を寄せると喉の奥まで飲み込み、顔を上下に動かし始める。

新佐も薄雪のそこに唇をつけ、舌を這わせる。重なり合った襞を舌先で掻き分け
開く。そして滴ってきたものをすくい上げながら舐め取る。
新佐の舌先が一番触れて欲しい突起を見つける。その周囲をぐるりと舐め上げ、
そして触れたか触れないか、程度にそっとつつく。
「んぅ…っ!」
声を出せない薄雪はもっと強くとせがむように腰を振る。新佐はそれに応えて
舌先をそこに押しつけ、ほじくり始める。
同時に指先で雫を滴らせる場所を撫でつつく。かりかりとくすぐり、引っかく。
指先だけをそこに沈め、ゆっくりと出し入れを繰り返す。
薄雪は快感に堪えきれず激しく身を捩らせる。その白い肌が薄桃色に染まる。
新佐の舌がそこを穿るたびに薄雪の体はびくんと震える。襲いかかる快楽の
波に囚われてしまいたいが、そうなれば新佐を愛撫する指と舌が止まってしまう。
どうすれば良いか判らず薄雪はそれを咥えたまま首をふり、さらに激しく顔を
上下させる。


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