【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】at EROPARO
【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@ピンキー
08/09/10 16:32:34 NCqy835S
スレでの投げ宣言は憚られる職人様は是非ご利用ください
また書き上げられない、完結させる気の無くなったSSの投下もお待ちしております
このスレで投げ捨ててすっきり忘れましょう

※このスレはあくまで投げるためのスレです
 少しでも続きを書く気があるのならそのSSは投下しないであげてください
※職人さんへの投げるな、続き希望というレスは極力控えましょう
 読み手さんの続きを待ちたい気持ちも投げ捨ててください

2:名無しさん@ピンキー
08/09/10 17:30:56 /AiixZ6n
長澤まさみ ハダカになって見えた意外と小ぶりなおっぱい!
URLリンク(photo.hgazo.info)
URLリンク(photo.hgazo.info)
URLリンク(photo.hgazo.info)"

3:名無しさん@ピンキー
08/09/11 21:00:46 nreq02k1
【宇宙から】電波系な女の子【受信中】
スレリンク(eroparo板)
このスレに投下しようと思ってたけどいつの間にか落ちちゃっていたようなので
こっちでお炊きあげさせてください

では投げます

4:名無しさん@ピンキー
08/09/11 21:03:26 nreq02k1
「ここでわたしは重大な情報を提供しましょう『猫は人類の敵』!! 膝の上
から地球侵略を狙っているのです」
「はいはい、分かったから目ぇ開けたまま寝てないで教科書とノート出そうな」
 男一人と女一人の十畳間。この部屋はこの家で最も小さいと言うのだから金
持ちの考えることはよく分からない。
 そこの主である彼女は足は正座の形で上半身を後ろに倒す形で布団につけて
いつも通り夢物語を真顔で語る。
 つーか部屋に客が入ってきてるのに布団しきっぱか、どんなしつけされてん
だお前。
「重大情報を知った人間らしくもっと慌てたらどうなんですか、地球の危機が
回避されるかそうでないかの分かれ目なのですよ」
「分かったから教科書出せ、お前留年かかってんだぞわかってんのか」
 二進も三進もいかない状況だが彼女が頼るべき家庭教師は居ない。
 もうすでに現実とおとぎ話の区別が付いていて当然の年齢でありながら彼女
は未だに変態行動を行うためにまともな家庭教師は続かないのだ。
 彼女があまりに真顔で妄想を垂れ流すためそれに毒されて精神を病んだ家庭
教師もいるという。
「ああまさかここまで事態が把握できていないなんて。オメガプラニティ界よ
り使わされた使者の言葉を信じられない貴方には天罰が下ることでしょう。…
…はっここで天啓が! 貴方の愚鈍さを責め立てるのは間違っている! これ
は実に強固な洗脳なのでしょう。真実を真実と思わせない猫の力なのですね、
恐るべしねーこー!」
 何故か彼女は両手を広げ天井を仰ぐ。その視線は明らかに天井を見ている。
 掃除が行き届いているらしく天井には蜘蛛の巣どころかホコリ一つ見あたら
ない。当然蛍光灯の傘にもそれらは見あたらなかった。
 ハウスキーパー雇ってんだっけな。これだから金持ちは。
 明らかに掃除などするはずもない部屋の主を半眼でにらみつければ彼女はゆ
らゆらと上半身を起こしたり倒したりねじったりしている最中だった。
「この社会不適合者が。お前のことはどうでもいいがこっちはお前のご両親か
ら泣き付かれてんだ」
 本人はマジでどうでもいいが、こいつのご両親は金持ちで俺の両親とは若い
頃からの友人らしい。
 その縁で俺はこいつのご両親からちょっとばかり援助を受けている。そのた
めこいつのご両親の頼み事は断れないというわけだ。
 例えその頼み事がこのバカ女に留年を免れさせるという途方もないものであ
ったとしても、だ。
「おいバカ。最後通牒だ、教科書とノートを出せ」
「バカなんてこの部屋には居ないのです。いるのは真実を理解できない洗脳さ
れた貴方です!」
 上半身を起こし両手を握りしめてなお彼女は言いつのった。

5:名無しさん@ピンキー
08/09/11 21:04:01 nreq02k1
 思わずその頭を思いっきり揺さぶってから床にたたきつけてやりたい衝動に
駆られるがそれを数字を一から十まで数えることでやり過ごす。
 これ以上いらいらしないために黙って立ち上がり部屋の隅に置かれたままの
学習机からノートと教科書を取り出した。
 マジで傷一つ無い新品同様の教科書の姿に思わずめまいがする。
 所謂一貫性のエスカレーター式の学校だからこそどうしようもないバカが時
折生み出されるが、彼女はそういうやっかいさに加えて性格がダメだった。
 ぶっちゃけ早いうちに金を積んで今の学校に入れたと彼女のご両親は言って
いたがそれは正解だ。
 高い金を払う私立だからこそ彼女は引っかかっているのであって、予算も人
間の余裕もない公立校ではまずこういう彼女から切られていくであろう事は想
像に難くない。
 そのエスカレーター式校に居てさえ彼女はどうしようもないレベルで引っか
かって留年の憂き目に遭いつつあるのだが。
「……おい、この教科書名前も書いてないぞ。お前これに今の今まで触ったこ
とあるのか!」
「ロックボトムにおけるスーサイダルカンパニーであるわたしは無意義に地球
の物質に触れることを禁じられているのです」
「いいから黙ってここにちゃんと名前を書いてみろ」
 また机から真新しいサインペンを取り出し彼女に握らせる。
 そしてその目の前にそっと教科書を差し出した。
 彼女は軽く首をかしげ考え込んだ後素直に名前欄にサインペンを走らせる。
「……」
 数秒の間の後、俺は黙って教科書の名前欄に訂正線を引いた。
「ああっ!」
「ふざけんな!『緋藍姫羽炎愛』ってなんだ!!! 読めるかー!!」
 ぶっちゃけ彼女はこんな何かを勘違いしたような名前ではない。
「ネガティブクリープな存在のわたしは母星からのからの要求により抽象輪廻
のため常に変名を求められているのです!」
「偽名って分かってやってんのかよ!」
「偽名ではありません、無上の存在からによる秘文を用いた絶対的な名であり
今世界に置いてのわたしの存在を秘密裏に示すのに最もふさわしいと思われる
文字の並びなのです」
 何故か彼女は胸を張っていた。張られた胸に肉は少ない。
 金持ちだから良い物を食べているだろうにどうして必要な場所に肉が付かな
いのだろうか。
「まず名前をまともに書かせるところからやるってなんなんだよ畜生!」
 悲鳴に近い気持ちを叫ぶと彼女は明後日の方向を向いていた。
「ああ、こうしている間にも猫は鯨と手を組みフラッシュバックエクソダスを
引き起こそうとしているというのに!」
 そして部屋から出て行こうとしたので思いっきり足を引っかけてやるとたや
すくその場にすっころんだ。

6:名無しさん@ピンキー
08/09/11 21:05:35 nreq02k1
投げ終了です、失礼しました

7:名無しさん@ピンキー
08/09/12 13:05:06 QNceJRUE
>>6
乙。元スレで読みたかったな

8:名無しさん@ピンキー
08/09/12 22:00:01 rGtPwpXu
なかなか面白かった。乙

9:名無しさん@ピンキー
08/09/13 23:39:03 JiFRzZOg
ここって読み手が停止したSSを待つのを諦めるときにも使っていいのかな?

10:名無しさん@ピンキー
08/09/13 23:39:58 JiFRzZOg
ごめん、上げてしまった

11:名無しさん@ピンキー
08/09/14 00:22:50 Vm2/QrSX
>>9
〇〇スレの××っていう作品を待つのは諦めましたとか言うのか?
もし作者がまだ書いてたらいい気分はしないだろうし、
なんだか荒れそうだからやめといたほうがいいんじゅない?

12:名無しさん@ピンキー
08/09/14 01:15:02 5HfK7Ghg
そもそも未完のSSを投下する行為自体が読み手を舐めてる。連載作家様かよ。
自分でここに来ない奴は読者が晒すのもアリかと。

13:名無しさん@ピンキー
08/09/14 01:41:57 3TriC1Jz
読者様降臨。



14:名無しさん@ピンキー
08/09/14 02:46:32 Vm2/QrSX
>>12みたいな荒らしではないにせよ火種を持ってくるやつが大量に流入してきそう
まあ、スレの目的からして他のスレも巻き込んで荒れそうだけどな

15:名無しさん@ピンキー
08/09/14 18:46:27 PsJw12FN
9です
ちょっと荒れる話題だったようで申し訳ない
スレや職人さんの具体名を出すんじゃなくて、ただ諦める宣言をここで出来たら
すっきり出来るかなと思ったんだが確かに荒れる元だったな、すまん

16:名無しさん@ピンキー
08/09/15 21:48:13 9kMOcRs9
むしろ職人さんにはどんどん投げ宣言して貰いたい
待たれることが職人さんにとって負担ならこっちでそう言って貰えれば
職人さんの負担になりたくないし、諦められると思うんだ

17:名無しさん@ピンキー
08/09/17 05:34:51 y1qcjdpU
投げSS待ちage

18:sage
08/09/18 20:01:15 q1QQl2Zb
人間♀×人外♂スレ落ちてるし女の子責めむずい投げ
-----------------------------

「おとなしくしな! こんな森の奥に助けなんか来やしないんだよ!」
 うっそうと茂る森の奥深くに、まだ若い娘と言って差し支えない声でそれは不似合いな脅し文句が響き渡る。
「俺が何したっていうんだよぉー」
 それに応えて悲痛な悲鳴を上げるのはふさふさの毛に全身を覆われた茶色の狼人。
 ロープでぐるぐる巻きに縛り上げられて地面に転がされている。
 それを赤頭巾の娘は見下すように見下ろしながらも油断無く猟銃を構えていた。
「黙れ、犯人はみんなそう言うんだ」
「だから俺じゃないってぇ」
 既に狼人の瞳には涙さえ浮かんでる。
 元々森で赤頭巾の娘が一人で歩いていたものだから、狼人が心配のあまりちょっと声をかけて森の外まで案内してやろうとしたのが運の尽き。
 最近森では盗人が現れるという噂も立っていたから放っておけずに狼人が声をかければそれは見事な悪人笑いでにやりと微笑まれ、その瞬間赤頭巾の持っていたバスケットからは猟銃が飛び出し面食らう狼はあっさりとぐるぐる巻きにされてしまったというわけだ。
 それはもう見事な手際でまさにプロの犯行だったと半ば現実逃避のように狼人は思い返す。
「誤解なんだってば、俺は君が一人で歩いてたから心配になって声をかけただけでなんらやましい気持ちは」
「狼人がなんの目的もなく人間の、それも見ず知らずの娘に声をかけるわけ無いだろ。この盗人め」
「そりゃ普通はそうかもしれないけど」
「自分だけは違うとでも? 犯罪者に限ってそういう事を言う」
「ううううぅ」
 頭から盗人と決めてかかられてはどうしようもない。
 それよりも善意を悪意に取られてしまったことが狼人は悲しい。
「さぁ盗んだ物の隠し場所をきりきり吐きな!……言わなきゃその毛皮剥ぐ」
「やめてぇぇぇぇぇ!」
 毛皮を剥ぐという台詞にとうとう狼人がびくぶるふるえ出す。
 赤頭巾はそれに気をよくしたのかにこりと笑ってバスケットからそれはよく切れそうな銀色の小振りなナイフを取り出した。
「女の力じゃナイフがあってもたいしたことは出来ないが、まぁ剥ぐぐらいならやれるだろ」
「だめぇぇぇぇ! 目が本気に見えるぅぅぅぅ」
「冗談だとしたらそんなブラックな冗談を言う人間とは付き合いを考えた方がいいな。むろんアタシは本気だからなんら問題はない」
「なお嫌ぁぁぁぁぁ!」
「さぁーて、耳からそぎ落とそうか、それとも指を一本ずつ切り落とそうか。ふふ、耳は二つしかないが指なら両手で十回、足も含めたら二十回いけるな」
 既に毛皮から逸脱した言動をしながら右手にナイフ、左手に猟銃を携えた赤頭巾がじりじりとその距離を詰める。
 狼人はその姿におそれをなして後ずさろうとするが全身ぐるぐる巻きにされた状態では芋虫以下のスピードだ。
 ずるずると全身を使ってはいずる狼人を赤頭巾は何故か嬉しそうに、ことさらゆっくりと追いかける。
 だが初めから結果の見えていた追いかけっこは狼人の背中が木に当たったところで終わりを告げた。
「う、ぁ……ちょ、待って待って待ってまってぇぇぇ!」
「つーかまえた。あと、待たない」
 この上ない笑顔で赤頭巾が狼ににじり寄りその耳をひっつかむ。
 そしてひたりと銀色のそれが押しつけられているのを直に感じて狼人はぎゅっと目をつむり震え上がった。
 けれど一向に想像していた痛みは襲ってこない。
 おそるおそる狼人が目を開くとうっすらとにじんだ視界の真っ正面に赤頭巾が居た。
「さぁ、吐く気になった?」
 どうやら赤頭巾は脅して狼人から自白を引き出そうとしていただけらしい。
 乱暴に掴まれたままの耳は痛いが決して切られたわけではないという事に安堵する。
 そして今しか反論の機会はないということを悟る。
「だから違うんだ! 誤解だよ! 俺は盗人じゃないし、その証拠に盗品だって一つも持ってない、ちゃんと調べて!」
 ぐるぐる巻きのままもぞもぞと体を動かす。
 確かに狼人は毛深いから分かりづらいが、その体にまとっているのはすすけたズボンぐらいなもので盗品をかくしているようには見えないだろう。
「そこまでいうなら確かめてあげる。けど少しでも変な動きをしたら……分かってるな?」
 そう言うと赤頭巾は狼人の耳からナイフを動かした。
 つっと銀色の冷たいナイフが耳から目の横を通り首筋と通ってゆく。
 人と違って厚い毛皮に覆われた肌だからこそ傷付かずにいられたが、普通の人間だったら切り傷が付いていてもおかしくない動きだった。

19:名無しさん@ピンキー
08/09/19 10:10:28 1AgXXE3V
それsageやない、sageはメール欄に書くんや!


……ゼイゼイ
狼男が月の光を浴びるとなぜかイケメンになる設定なら、
そこらの小屋に連れ込んで「ばっちゃのお股に角生えてるのはなぜかしら?」
なレディコミ話が誰でも書けそうなものだが

20:名無しさん@ピンキー
08/09/19 10:48:06 WBMe8rnV
「んが、ぐっぐっぐ」「んも~そんなに暴れないでよ~
縛ってても膝とか危ないんだよ~?」
ナース服の弓子はいつの間にか俺の手をパイプベッドに縛り付け
足は曲げた状態で片足ずつ足首とモモが開かないようビニールテープで縛られていた
「もうちょっとで気持ちよくなるんだから~
私のメガネにたっぷりかけるんだよ」
無理な話だった。精液より血が出そうだ
丸顔ショートにメガネの彼女は
「ごめんね胸でするのはちょっと無理かな
それ以外は全部叶えてあげる」
と胸はBにギリギリ足らない細身の体を俺は膝で挟み耐えていた
彼女の口は俺をほおばり舌で先を撫でるだけでストロークはしてくれない
予定だとこのあと薬を飲まされ逆にむちゃくちゃにしてやるはずだ
やめてくれ死にそうだ口で鬼頭を責め続けられ俺の口に入れられた彼女の下着を
歯から血が出るくらいに噛み締めて耐えた腹上死で殺されそうだ
俺が悪かった。彼女の小ぶりの胸を愛しすぎたのだろう
彼女の舌はその感覚を覚えて俺をいじめている
机の中のあれにはそこまで書いてなかったはずだあれが悪い俺が悪い


21:名無しさん@ピンキー
08/09/19 10:59:59 WBMe8rnV
「えっと次は…
はい。お薬出しますね。私をめちゃくちゃにしてね」
彼女は俺にマムシドリンクを渡し微笑んだ
今度は俺がせめる話を書いて机に入れよう
書きかけの小説でかまわないなら…

22:名無しさん@ピンキー
08/09/19 18:41:05 Wl4CMh3A
>>19
ばかばか!なんで追い打ちかけるようなこと言うんだよ!
指摘されなかったらみんな気付かないかもしれないじゃんか
ちょっと間違えたの!だから無し!ノーカウント!

23:名無しさん@ピンキー
08/09/20 20:12:10 PQges7V4
>>20-21
ナイス投げ

24:名無しさん@ピンキー
08/09/21 23:36:24 quON6W51
意外と投下はあっても宣言がないな
つまり自分が待ってるあれとかこれとかの作者さんは
連載続ける気も完結させる気も満々ってことなんだな!

25:名無しさん@ピンキー
08/09/24 22:51:03 EV2ooxLA
>>24
つ すでにエロパロ板を見ていない可能性

26:名無しさん@ピンキー
08/09/30 23:13:01 wyQD//gj
投げー

27:名無しさん@ピンキー
08/10/04 21:10:35 0E7SWE2K
>>25
ここに鬼が居るw

でもまぁ一回書き始めちゃったら愛着?みたいなのが沸いて
投げるところまで行かない人もいるんじゃない
思いついたら続きを書こうってふとした瞬間に思い出す感じ

28:名無しさん@ピンキー
08/10/05 00:38:03 4CIrAddx
途中で筆が止まっちゃったSSもおkなのか
いつかお世話になるかもしれない
地味に続いてくれると嬉しいな

29:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:21:55 MsBh54SX


知らない女の人の名前を呼んで、師はアルを乱暴に攻めた。
幼少に声を失ったアルに否定する術はない。
―あっ あっ ししょっ……ひ んっ くぅんっ
体験したことのない激しい行為にアルは為す術もなく、あえ
ぐしかなかった。何度も師を受け入れた体は、例え乱暴にさ
れても痛みはなく、激しい快感だけをアルに伝えた。
師はアルの腕をシーツに縫いつけ、容赦なく腰を打ち付ける。
聞いたことのない、ぐちゃり、ぐちゃりという音、肉と肉が
ぶつかり合う音。
―ゃあぁぁあっ! ぁんっ ししょ ししょう!
怖い。感じたことのない快感に自分が流されてしまいそうだ
った。何度達したかわからない。
わけがわからないくらい乱れても、頭の隅で愛人さんたちは
師匠とこんな激しくしているのかと考える。アルは師匠とこ
んなに激しくしたことは無かった。虚弱な体に負担がかかる
からと言って、ゆっくりとした動きだった。とろかされるよ
うな。
師匠の気質からして、セックスが優しいはずはないと常々思
っていた。師はアルの体だけでは満足はしていない。師が達
しないまま終わることもよくある。人を好き勝手抱く師匠だ
ったが、なんとなく申し訳なく思っていた。



30:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:22:50 MsBh54SX


今まで、そんな風にアルのことを考えて抱く人はいなかった。
あの頃はまだ心臓にまでそれほど負担がなかったので、激し
い行為にも耐えられた。今はどうかわからない。心臓がばく
ばくと打ち、正直苦しい。それとも、激しいとこうなのだろ
うか。
師の動きが一段と激しくなり、奥にがつがつと当たり、アル
は潰されてしまいそうだった。
師が苦しそうな顔でアルの顔を見ている。
見ないでほしい。ひどい顔をしているだろうから。
―きゃんっ あんっ あんっ ししょ 師匠っ
中に師の熱が吐き出された。どうも師匠のは熱く、量が多く
て勢いがあるためか、中に出されたことがよくわかる。
白濁を奥に押し込まんとでもいうのか、師が数回大きく挿入
を繰り返す。
とりあえずはフィニッシュを迎えたらしい。意識を保った自
分に乾杯。
出しきったらしい師はモノを抜く。信じられない、まだ立っ
ている。アルは荒い息をしながら、半ば呆然と見た。絶倫だ。
師はぐたぐたのアルを軽々抱き上げ、膝の上に乗せる。
「アル」
師は案外はっきりとした目をしていた。やっとアンジェリカ
とかいう人じゃなくて、自分の弟子だと気がつきましたか。



31:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:25:59 MsBh54SX

アルはうんざりして、目を反らした。やっと酔いが治まった
らしい。
一発してから気がつくとか、最低だ。ましてや、アルを自分
の愛人の勘違いして抱くなど。これは強姦に等しいのでない
のか。……これで気持ち良くなかったら殺している。
むすっと顔を背けていると、顎を捕まれてキスされる。無理
矢理口内に割って入る舌が上顎をなぞり―思わず師のシャ
ツを握った―服着てやがるこいつ。ムカつく。舌を噛んで
やろうかと思ったが、口内を侵す舌に翻弄され、そんなこと
はとてもできなかった。
キスを受け止めるのに精一杯で、師のモノがアルの、師の
白濁がこぼれ落ちる秘所に当てられたことへの反応が遅れ
る。しまった、と思ったときにはもう、侵入が始まってし
まい、アルの体が刺激に跳ねる。師の腕はしっかりと身を
よじろうとするアルを押さえつけ、アルの中へ身を沈めて
行く。師によってこの上ないほどどろどろに溶かされ、ま
だ行為をして幾ばくも経たないそこは、簡単に受け入れて
しまう。アルはもうあえぐしかない。



32:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:31:18 MsBh54SX

まだ口内を舐め回されているアルは、息継ぎままならなくなりながら、
必死に刺激に耐える―が師のものが収まったときにはもう、
一度達してしまっていた。
「敏感すぎだろう」
 は、は、と荒く呼吸を繰り返すアルを師は鼻で笑う。
じゃあテメェもされてみろと思うが、うらみがましい視線を
送る余力はなかった。
というか師匠が同じ立場だったとしても、二度目で入れられただけでは
イかないだろう。師匠は女でも絶倫なはずだ。
「もう一度耐えろ、アル」
アルの腰を掴んで揺さぶり始めた師は、にやにやと笑いながら
悪魔のような宣告をした。
「一応手加減はしてやる。発作起こして死ぬなよ。
師匠が弟子を腹上死させたなんて、笑い話にもならん」
変態のレッテルを貼られるだろう。
年端もいかぬ体の弱い弟子に手を出して、殺したと。
ああもう、いっそそうなりゃいいのに。
激しくなっていく揺れのなか、快感に支配される思考のなかで思うが、
すぐ何も考えられなくなる。

体を貫く師の感触と、そのから生まれる快感だけが全てだ。






33:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:36:06 MsBh54SX



目を覚ますと、師匠にしっかりと抱き込まれていた。
「……」
しかも、モノが中に入ったまま。
どうせよと。
二度目の行為についてはよく覚えていない。
途中で意識がなくなってしまったらしかった。ただ、気が狂いそうなくらい
気持ち良かったのは覚えている。ぐしゃぐしゃに乱暴に犯されて、あえいで、何度も達して。
思い出したらうっかり師を締め付けてしまい、慌てて身を離す―
と、師が抜け出るとどろりと何かが溢れた。
うっ、とアルは固まる。
いったいどれだけ出されたんだろう。あと一回と言ったが、
本当に一回だったのだろうか。かなり怪しい限りである。
うらみがましく師を見ると、思いがけず眠そうな目とかち合う。
「よう」
ようじゃありません。
つか、なんであんたは服を着たままなのか。
こっちは全裸な
のに……いや、靴下は履いている。まぬけ過ぎる。
しかし例え布団に隠れていようとも、師匠はスボンを半分下ろして、
下着からぼろんとナニを出して状態である。師匠よりはマシだ。マシに違いない。
無性にむかむかして、ベッドから這うように降りる。
ああ、足が生まれたての小鹿ちゃんのよう。


34:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:40:01 MsBh54SX
すっく、と立ち上がろうとして、目の前が真っ暗になった。
平行感覚を失って、思わず床に膝を着く。ぐわんぐわんと頭の中が
揺れるような感覚に、頭を抑えた。
「おい。足腰が立たないか?」
にやにやと笑いながら言っているのが容易に想像できる。
それにまた苛々したが、それどころではない。アルは首を振った。
めまいがする。心臓が妙に早鐘を打つ。行為の後だからだろうか。
呼吸が浅く、早くなる。胸が、きりきりと痛む。
「おい」
珍しく焦った声を出す師匠がおかしい。
すくい上げられて、また師の腕の中に逆戻りをした。
咳き込むアルの背中を師の手が撫で、なだめようとする。
アルは師の肩に頭を押し付けて治まるの待った。
アルの脈を計り、首筋に手を当て、眉を寄せた師は
「寝て待っていろ」と言って、錠剤と水を持って戻ってきた。
……股間ポロリは直っている。当たり前か。

薬を飲み、着替え、少し横になる。
一応悪いと思っているのか、師が横に添い寝をして、横向きになった
アルの頭やら肩やらをなだめるように撫でる。
「……お前が悪いんだぞ」
怪訝そうに師を見ると、不機嫌そうに言われる。
「あんな顔するから」
どんな顔だ。



35:名無しさん@ピンキー
08/10/06 23:47:08 MsBh54SX

大体誰が誰だかわからなくなるほど飲んでくる師匠が悪い。
師匠が乱暴しなければおそらく倒れずにすんだのだ。
師匠にはわからないだろう。どこもかしこもガタが来て、
虚弱なアルの不安など。
発作が出るたびにもう時間がないのではないのかとひやひやする。
アルはすねてベッドの隅まで転がって、師に背中を向けた。
「冗談だ。嫌われたか?」
苦笑が混じる、後悔の混じった声に、アルはしばらく背を向けたままでいた。
そして眠ったふりをして師の方へ寝返りをうつ。髪を撫でる
手を感じながら、とろとろと眠りについた。



おわり。




どうしようもない師匠と声のでない虚弱体質な弟子。
弟子のセリフがないおかげで男に見えるっていうorz


突発ネタお炊き揚げ
壮絶に読みにくい気がする。
それもまた、ゴミなんだーということで

以上でした




36:名無しさん@ピンキー
08/10/07 15:53:16 JuRz8EpR
>>29-35
GJ!おもしろかった

37:名無しさん@ピンキー
08/10/08 00:52:27 6lghoTKp
グッジョーブ!
師弟関係はおいしい

38:名無しさん@ピンキー
08/10/08 08:04:11 qKS3rMcT
面白かったぜ!

39:名無しさん@ピンキー
08/10/08 20:15:23 QDLua4Al
>>35
確かに最初の方弟子が男に思えるな

40:名無しさん@ピンキー
08/10/09 18:32:40 0b4qiNl/
おお!面白かったです!
よかった、弟子が女の子で…
弟子と男子って字が似てるよね

41:名無しさん@ピンキー
08/10/09 18:56:25 eymgYtpa
>>28
おkおk

42:名無しさん@ピンキー
08/10/10 02:47:05 swSWLxFQ
面白かった。途中♂×♂?って思っちゃったけどでも面白かった。

>40
でも妹子だとおっさんになっちゃう不思議

43:名無しさん@ピンキー
08/10/10 18:58:47 CgGhdAZs
いもこと読むから駄目なんだ。
まいこと読めば何の問題も無い。

44:名無しさん@ピンキー
08/10/10 23:06:35 xf8f7b/W
此処は、一般的に良く言う、ごく普通の一軒家…。
此処に、ごく普通の家庭を営む、一つの家族が居た。
苗字を山岸と言う。
この山岸家…両親ともに、共働きで父親はサラリーマン、母親はパート…といった、
居たって現代的で普通な、暮らしをしている。

余りにも普通過ぎて、事件らしい事件も無く、最近の目新しい出来事と言えば、
父の買ったサマージャンボ宝くじで、5等の一万円が当たった位だ。
何も起こらないと思っていたこの山岸家に、今、ちょっとした(?)出来事が起ころうとしていた…。

此処の息子・隆之は、深夜の下らないTV番組を、誰も居ない居間で大音量のまま、笑いながら見ている。
その気になれば、友人から借りたAVも、正々堂々この音量の侭で視聴出来てしまうだろう。
腹が減れば、冷蔵庫や貯蔵庫を漁って、菓子やカップラーメン等の食料を探し、空腹を満たす。
普段なら自分の部屋で一人、宿題もせず漫画を読み、動画サイトでお目当ての動画を漁っているか、
ヘッドフォンをして、ゲームをプレイしている様な時間帯だ。
何故、彼がこんなに悠々自適な暮らしを送っているのかと言えば、
丁度両親が、この家に揃いもそろって居ない事に起因している。
居ない理由…それは、至極簡潔で父方の親戚の息子…即ち彼にとっては、
従兄弟の結婚式に出席するため、此処二、三日程泊まりで海外へと出かけているからだ。
因みに隆之も、その結婚式に参加の予定だったのだが、欠席を決めた。
確かに祝いたい気持ちもあったし、海外旅行は魅力的だったが、
余り勝手の分からない自分が出席しても、相手の負担になるだけだと思ったからだ。

―― これは勿論、建前の話。
本当の理由はまあ、皆様ご察しの通り、旅行に行くのが急に面倒になり、まったりゴロゴロと、
両親の居ないこの家で、思う存分羽根を広げ、自堕落に過ごしたい…。
勿論、これが彼の本音である。

こんな山岸家だが、もう一人、家族が居る。
そのもう一人の家族とは、彼の4つ上の姉、夕菜(ゆうな)の事である。
夕菜は、仕事の都合上、どうしても従兄弟の結婚式に出ることが出来なかった。
即ち、この家には今の所事実上、二人しか居ない事になる。

―― こうして、何かが起こりそうな予感を残して、二人だけの三日間が始まった。

45:名無しさん@ピンキー
08/10/10 23:14:49 xf8f7b/W
「あー…友達と呑んでから帰るって言ってたけど…姉貴遅いなぁ…」
TVに映る時計を見ながら、隆之は一人呟いた。
本当は姉を待たずに、電気を消し、もう寝ても良かったのだが、

『家の鍵を忘れたから、起きてて待っている事!』

と明記されたメールが、突然隆之の携帯に届いた為、隆之はその言葉に従って、
姉が帰宅するまでの間、だらだらと、起きなくてはならなくなってしまったのだ。
「ふあああぁぁぁ…全くいい迷惑だよな…こっちはもう眠いんだって…」
大きな欠伸をしながら、そう姉への愚痴をもう一言付け加える。
ついに、体力の限界で耐え切れなくなったのか、ソファーでうつらうつらと、居眠りをしている間に、玄関から、
ドアノブを、勢い良くガチャガチャと回す音が聞こえて来た…。
程なくして、ドアが開き、今までそのノブを弄っていた人物が姿を現す。
その人物の正体は、言わずもがな、件の彼の姉、夕菜だった。
「た~かゆきぃ~たっらいまぁ~!」
既に出来上がって、上機嫌な夕菜の帰宅第一声が聞こえてくる。
その声に、目が覚めたのか、眠そうな瞳を擦ると、隆之は、欠伸交じりの溜息を吐きつつ、一度伸びをした。
「あ~あ…たく…今何時だと思ってんだよ…姉貴…」
そして、鍵をかけるためと、酔った姉の様子を伺うため、そう言いつつ不機嫌な表情のまま、
ドスドスと大股で歩くと、玄関迄姉を出迎えに行く。

何がかんだ言っても、この兄弟…昔から仲が良く、その仲の良さは、
時折、二人で遊びに行く出掛け先にて、恋人に間違われる程…だった。
間違われた瞬間、姉も姉で、本気なのかふざけていたのか分からないが、隆之の腕に自らの腕を回して絡め、
「えへへ…そう見えますー?」
なんて間違えた人に、笑顔でおどけて見せたこともあり、どちらかと言えば、姉の方が、弟の事を良く構っていた。
弟の方も、恋人が出来たとしても、最終的には、何処かその相手を姉と比べてしまい、結果的に長続きせず、
結局別れてしまう事が、多かったようだ。

「こっちは、眠いの我慢して待っててやったんだからな…」
膨れっ面の隆之が、大きな欠伸と共に、帰ってきたばかりの姉へと向かってクドクド説教を零す。
やはり眠さで、少し苛ついている様子だ。
「あはは~ごめん、ごめんってばー」
泥酔までとは言わないが、ほろ酔い気分の夕菜は、余程機嫌がよろしいらしく、
何処吹く風的な態度で、お気に入りのパンプスを適当に脱ぎ始めた。
「…んー…よいしょっと…これで脱げ…きゃっ…!」
フラフラ状態の酔いの所為で靴が中々脱げず、バランスを崩し、転びそうになった、
夕菜の華奢な肩を、隆之は、慌てて抱き止める様に、身体ごと支える。
「…っと…セーフ…」
姉が怪我をしなかった事と、そのままの勢いで自分も転ばなかった安堵感で、
ふう…と小さな溜息を台詞事吐き捨てる。



姉×弟モノですがここまで書いたものの途中で
書く気力が無くなってしまいました…

この度はお焚き上げさせて下さって有り難う御座いました!

46:名無しさん@ピンキー
08/10/12 16:13:19 NpKn7dGR
>>45
これから!ってところで止まってしまったんだな(´・ω・)ザンネン
グッジョブです

47:名無しさん@ピンキー
08/10/13 00:57:45 WtBzq4dh
「本日はお日柄も良く、聡明な貴方様におきましてはどのようにお過ごしでしょうか?
 それはそれとしまして本日不肖わたくしが貴方にお聞かせたい事があると存じ上げます。
 さりとて灰色脳細胞を酷使するわけでもないし、永遠に永久にお聞かせいたしましても
 よろしいのですが。時間というものは加速度的に流れ過ぎ終わり過去と化しました。
 さて私の人間的論理展開から出される主義主張としまして脳髄は物を考えるところに非ず。
 わかりますか? 世界に無数に広がる頭を開く事が答えへの最短経路になります。
 ああ、このように学問を説き道徳を問う事はこの場において似つかわしくない。
 ならばどういたしますか?さりとてわたくし恥の概念を捨て去り申し上げますと
 心躍る話も体踊る話も得意とはしておりません。自分の頭の中を語り聞かせる事の難しさ。
 けれどもそれは信憑性がありません。私の頭を知るのは私であり他の誰でもない私。
 気づいておられるのでしょうか。あなたはあなた、私は私。
 人と人との分かり合い触れ合いその全てにおいてもたらされる事。
 屁理屈ですね。例えばただ思うがままに話せば人は幸せになれるでしょう。
 幸福、あなたにとっての幸福とは何でしょう? 私にとっての幸福とは何でしょう?
 あなたの瞳を見つめその中に入る事が私の幸せならばそれ不幸となるのでしょうか。
 人の世で生きるという事は幸福と不幸の連続。私はあなたの中に入る事と出る事を
 繰り返す事により人の世の流れを感じ生きているのです。
 諸行無常の世の中にありながらそれだけは全て絶対」

 俺は男である。男ならば女性に好意を寄せられるのは嬉しい。
 ならば今嬉しさを感じない俺は男ではないのだろうか。
 いや、そもそもこれは本当に好意なのだろうか。彼女も言うように彼女の考えは彼女にしかわからないのだ。
「告白って事でいいのかな?」
「はい……」
 嬉しい事か残念な事かはわからないが、どうやら事実であるようだ。
 どうしようか? なかなかに素敵過ぎる告白に正直迷ってしまう。
 断ろうかとも思ったのだが、そう判断するには、彼女は魅力的過ぎた。
 整った顔立ち、腰にまで届く黒髪、きっちりと着こなした制服。
 艶やかな唇に切れ長で鋭い瞳。
 全体的に冷徹な印象を受けるが、頬を赤く染め、恐々と答えを待っている姿がそれを打ち消していた。

 一体俺のどこが好きになったというのだろう。
 疑問に思うが恋愛は理屈ではないのだ。だからそれは些細な事だ。
 彼女の不安げな様子を見て男なら断れるはずがない。
 じゃあ俺は男じゃなくていいや。
「ごめんなさい」
「えっ……」
「誠に申し訳ありませんがお断りさせて頂きます」
 人は負い目のある時に何故か敬語になるというが今の俺が正にそれだった。
 それ程までに俺の言葉で涙目になった彼女は、俺に罪悪感を与えた。
「……なんで、ですか? 私が可愛くないからですか? 私が暗い性格だからですか?」
「いえ、可愛いと思いますよ。性格に関しては知らないので何とも言えないですけど」
「そ、そうですよね。知らないからですよね。
 私の事をもっと知ってくれればきっともっと分かり合えると思うんですよ。
 私としては、子供は二人で一姫二太郎が理想でして
 あ、でもでももちろんあなたが望むなら私は多くても少なくてもいいですよ。
 世の中には子供がいらないっていう人もいますし、そういうのもおっけーおーるおっけーです。
 子供がいないならいないで夫婦の時間が増えるというのも魅力的ですよね。
 もちろん子供が出来てもあなたが私に注いでくれる愛が減るとかそういう事を言ってルンじゃないですよ。
 ただですね、分かっていても言葉にして欲しいというのが女なんですよ」
 長々と続く説明を聞きながら、まず名を名乗れと思うのは俺だけではないはずだ。
 というかこの子は、あれだちょっと頭の可愛そうな子だ。
 もうね、いきなり女の子に二人きりで呼び出しされた俺の胸のトキメキ☆を返してください。
 このまま走って逃げようとも思ったが家まで追跡されそうなのがこの女の恐ろしい所だ。
 だから言葉をもってして止める。人類が人類たる所以は言葉があるからのはずだ。

48:名無しさん@ピンキー
08/10/13 00:58:21 WtBzq4dh
「あーちょっといいかな?」
「花嫁衣裳はもちろん純白です。純白の意味は勿論あなた色に染まりますという私の心の表れ。
 あなたも無垢な者を犯し穢していくという背徳的な行為にその身も心も震わせて欲望に身を任すはずです。
 新居は、レンガ造りで煙突のある家がいいですよね」
「ちょっとでいいから止まって!一時停止でいいから止まって!」
「はい、なんですか?」
 正直この女に対して色々思うところはあるが、もういい。もう関わりたくない。
 家に帰って二次元の世界に帰ろう。うん、そうだそうしよう。
 二次元の世界の住人の俺には三次元の空気は重たいのだ。
「すいません。どうあがいてもナニが何でもあなたと付き合うと言う事はできません」
「えっ……」
 俺の言葉に彼女が止まった。先程の言葉とは違い今度の言葉には俺の本気を感じたのだろう。
 このまま止まったままでいてくれたらきっと世界は平和になる。 
 しかし俺のそんな儚くとも大きな望みは崩れ去った。
 彼女の時が動き出したのだ。
「やだ!やだ!離れたくなんかない!ずっと傍にいてよ!あたし、何でもするから!いかないで!」
 キチガイを刺激したらこのようになりますという例のように取り乱す彼女。
 そんなに取り乱したらせっかくの美貌が台無しですよ。
 ああ一番台無しにしてるのはその頭でしたね。
「……何でもしてくれるんだね?」
「うん!する!あたし何でもする!だから!」
「それじゃあ……俺を諦めて」
「私は、あなたの為なら何でもできます。
 お洗濯もお掃除もします。ご飯だって今は作れないけど作れるようになります。
 エッチだっていくらでもさせてあげます。
 私、処女なんですよ。初めてはあなたって決めてるんです。
 もちろん口と尻は経験済みだけど前は処女ですなんて事もないです。
 というかですねそんな女は屠殺ものです。
 処女っていうのは、キスさえもした事がなくて初めて言えるもの。
 初体験の時には膣内射精。
 子宮に入りきらず溢れる精液と破瓜の血が混じったものを見せて、私を女にしたモノに口の初めてを捧げる。
 そういった初体験の時にだけ出来る事は当然の如くしますし、SM、スカトロ、なんでもありです。
 あ、でもでも他の男の人に見せたり、奉仕させたりとか無しにしてください。
 あなたの欲望は全部叶えたいのですけど
私はあなたに全てを捧げたのであって他の男には触られたくもないのです」
 すいません。もう勘弁してください。
 好意を寄せられるのは嬉しいですが、理由の分からない好意は無理です。
 しかもその好意が異常に重くて桃色方向に突っ走ってるのなら尚更だ。
「まあ待て落ちつ……えっ」
 言葉を最後まで言い切る事はできなかった。
 薄れゆく意識の中、最後に見えたのはスタンガンを握り締めている彼女の姿だった。

49:名無しさん@ピンキー
08/10/13 00:58:35 WtBzq4dh
 目が覚めたら例の頭の中が茹ってる彼女がいた。
 しかも体が大の字に広げられた状態で縛りつけられていた。
 いったい何が起きたというのだろうか。
 まだ働いてない脳では現状の把握に苦労する。
 そもそも脳とうのは目覚めてから2時間はたたないと完全に働かない。
 だからこの状況でまともに思考するのは不可能であり……
「起きましたね」
 このままずっと気づいてくれなかったら嬉しい彼女は誠に遺憾ながら気づいてしまった。
 うん。まずは挨拶からだな。言葉というのは人類の考えた最高の宝なのだ。
「えーと、こんにちわ」
「や、優しくしてください!!」
 こんにちわ→優しくしてください。
 会話として成立していないと思うのは俺だけじゃない。
「あーあーあー」
 言葉にならない言葉が漏れる。
 あれだ、何て言ったらいいかわからない。
 そんな俺の態度をどう捉えたのか知らないが眼前の少女は怯えている。
「大丈夫だよ」
 何が大丈夫なのかまったくわからないが、とりあえず優しい言葉をかける。
 怯えた少女をそのままにしとくのは男として問題があるからだ。
 まあそんな事を言った所で彼女の頭が大丈夫じゃないという事実は変わらないわけだが。
「ところでなんで俺ってこんな状況なの?」
「愛し合う二人は一緒にいなければいけないんです!!」
 それは確かにそうだろう。よくある悲恋ものの話を認めずハッピーエンドしか認めない俺としては同感だ。
 だがしかし俺と彼女は別に愛し合ってないからそれは関係ない。
 勿論それを口に出す事はしない。俺は空気を読める男だからだ。
「一緒にいるのはいいんだけどそれは、縛られる理由にはなっていないんじゃない?」
「あなたが悪いんです。だからこれは仕方のない事なんです」
 それはあれですか?俺が告白を断った事を言ってるんですか?
「とりあえずこんなだと何にもできないしさ」
 異常な状況下に関わらず俺は、意外と冷静だった。
 それはきっと俺が追い詰められた時こそ真価を発揮する人間というわけではなく
 おそらく現実を受け入れられていないだけなのだろう。
 もうどうにでもなーれ。
「貴方が何もできないなら私がすればいいじゃないですか」
 そう言いながら彼女は俺のズボンへと手を伸ばしてきた。
 マリー・アントワネットだ。こいつは性のマリー・アントワネットだ。
(^p^)焚き上げ

50:名無しさん@ピンキー
08/10/13 10:48:07 gmoD+SbE
>>49
すごく面白かったぞ!?

51:名無しさん@ピンキー
08/10/13 23:12:30 9gjfA4Y+
>>49
グッジョブ。面白かった。

52:名無しさん@ピンキー
08/10/14 19:18:39 VR+xrU2J
>>47-49
GJ!

53:名無しさん@ピンキー
08/10/19 20:22:03 Bcjr1Zxw
またぐっじょぶなお焚きあげはないべさか

54:名無しさん@ピンキー
08/10/19 20:59:01 V6jlX2q2
中断してるSSはいくつかあるけど、お焚き上げした後、気が変わって続きを書きたくなるかもしれんからなぁ。



55:名無しさん@ピンキー
08/10/19 21:01:15 mEN50NRg
それはあるな
お焚き上げしたけどたまに続き書きたくなるし

56:名無しさん@ピンキー
08/10/21 19:47:13 2MusJbf7
供養

57:名無しさん@ピンキー
08/10/21 20:23:17 xlt2+13y
水子。改行テスト。
母子ものにつきスルー推奨

58:名無しさん@ピンキー
08/10/21 20:24:08 xlt2+13y
「いい?綾小路くんのお母さんにご迷惑かけちゃ駄目よ?」
「うむっ、まかせておけ」
「好き嫌いしない。それと寝る前にちゃんと歯は磨くこと。いいわね」
「当然だっ。では母よ!行ってくるぞっ!!」
一々噛んで含めるように言い聞かせる母親と、早く出掛けたくてうずうずする子供。
夕方、新太が学校から戻ると我が家の門前ではそんな光景が繰り広げられていた。
だぶだぶのリュックを背負った弟は母親にビッと敬礼したかと思うと一目散に駆け出していく。
「なんだありゃ」
間の抜けた声で新太が呟くと、母親が振り向いた。
「あら、おかえり」
「ただいまー。あのバカ、こんな時間に何処行くんだ?」
「綾小路さんの所にお泊まりですって」
「ふーん」
興味なさげにさっさと家に入る新太。鞄を畳に放り投げ、よっこらせと言わんばかりに腰を下ろした。
テレビのスイッチを入れ、ごろりと横になる。…うるさい弟の居ないせいか、家の中が随分静かだ。
縁側から真っ赤な夕陽が差し込み、畳も障子も赤く染め抜いている。秋、深し。
「今日の晩飯は何でしょーか。」
メランコリィな気持を吹き飛ばすように、間伸びした声を台所に投げ掛ける。返事は直ぐ戻って来た。

59:名無しさん@ピンキー
08/10/21 20:24:59 xlt2+13y
「焼き魚とおひたしよ。なぁに?手伝ってくれるの?」
「いやいや、滅相もない」
軽く舌を出して寝返りを打った。静かな台所に包丁のリズミカルな音が響いてくる。
テレビに視線を戻すが、何を見ても面白くなくてスイッチを切った。彼の意識は別な所に向かっている。
鞄に忍ばせた一本の映像テープ。年頃の男子の事だ、言うまでもなくいかがわしい内容のテープである。
過激過ぎて市場には出回らない作品だと、持ち主の級友は声を潜めて洩らしていた。
無気力に見える顔つきの裏に動悸と期待を潜ませながら、新太は独りほくそ笑んだ。
─おとんは出張、うるさい弟もいない。後はおかんが寝静まるのを待てばゆっくり楽しめるな。
夜に備えて少し寝ておくか─
腕を枕に目を閉じる新太。規則正しく俎板を叩く音を聞きながら、程なく眠りに落ちていく。
恐らくは、若い女性のあられもない姿を夢に見ながら。

「新太─、ご飯できたわよ?」
いくら呼んでも返事が無いので覗いてみると、新太は畳の上で静かに寝息を立てていた。
「ったく……たまに静かだとこれなんだから」
浮島の夜は冷える。母親は溜め息をつきながらも、穏やかな寝顔を浮かべる新太に毛布を掛けた。


60:名無しさん@ピンキー
08/10/21 20:26:46 xlt2+13y
「おっと、そうは問屋が卸さないわよ」
楽しそうな笑み。有無を言わせず没収する程頭の堅い母親でない事は解ってる。
しかしこんな状況で堂々と居直れる程、新太は摺れては居なかった。
「…ツイてねえ。わかった、今夜は諦めるからよ。それ明日にゃ返さないといけないんだよな」
しおれた様子で訴える新太。母親とて悪戯以上の思惑でテープを抜き去った訳では無い。
案外神妙な態度の息子に、彼女は負い目を感じた。ぶっきらぼうに見えても相手は繊細な年頃なのだ。
パジャマ姿のまま部屋に踏み込むと息子の傍らに座り、慰めるような声音で言った。
「…ほら、そんなに気を落とさないの。遠慮せずに見たらいいじゃない、男のコなんだから。……ただし」
そこで言葉を切ると彼女はテレビのスイッチを入れ、問題のテープを再生デッキに攻撃的に挿入した。
「我が子に見せていい物かどうか、ちゃんとこの目で改めさせて貰いますっ。
……という訳で、お母さんと一緒に見ましょ?」
「…………マジっすか……」
嬉々として振り向く母親に、新太は軽く眩暈のする頭を抱え込む。
─自分も興味津々って、顔に書いてあんぞ…
テープの内容よりも、直ぐこの場から逃げ出したい。新太は切実に思った。

61:名無しさん@ピンキー
08/10/21 20:32:07 xlt2+13y
…間違えて途中消してしまったので中断。
この調子で何コマ使う気かと思い挫折。
字数制限と投稿の面倒な携帯なんて大っ嫌いだ。

62:名無しさん@ピンキー
08/10/30 18:26:02 Zvy2zRBq
>>57-61
遅くなったがGJ

63:名無しさん@ピンキー
08/11/02 00:24:09 tZaLgUkG
ここは二次もおk?

64:名無しさん@ピンキー
08/11/02 21:20:37 XzgiPDbO
なんでもいんじゃね? 焚いてやれ

65:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:05:44 3b4nsSdS
はっきり言いましょう
レイプNTR要素ありのこの展開を覆すだけの和姦が書けねぇ
そーゆー訳でお焚き上げ



冷たい雨のそぼ降る街をあたしは傘もささずに歩いていた。
何故なら、あたしには居場所がないから。
昨日まで、あたしはそう思い込んでいただけだった。
でも、今日、本当に居場所を失った。
産みの親の言葉で。
『私の実継を誘惑しないで、この泥棒猫!』
あれは本心からの言葉だ。
実継を今でも待ち続けている女から奪い取ったのは他ならぬ母さんなのだから。



あれは今から一年に十日ばかり引いた、あたしが高校にあがる直前の事だ。
もう10時を回っているのに、母さんがお客さんを連れて来た。
飄々として、いやに馴れ馴れしい、狐顔。
珍しくあたしも同席するよう言われて、変に思った。
お客さんが来ると酒を酌み交わすから、お酒の飲めない未成年は部屋にあがりなさい、
って言うのがうちの家訓なのに。
そうして終電で帰って来た父さんに、母さんは一枚の紙を渡した。
母さん?
……それ、離婚届けだよ……?
父さんは何も言わずにサインした。
父さん?
なんで何も言わないの?
書斎で荷造りする父さんを罵った。
父さんはぽつりと独り言のように答えた。
「本当に相手を想うなら、身を退くのも一つの選択なんだよ」
父さん、それが世間に顔向け出来ないような恥知らずな真似でも退くのが正しいの?

父さんは答えなかった。
翌日、実継の彼女と名乗る人が家を訪ねて来て、実継を返してほしい、と土下座まで
していった。
実継はそんな元カノに帰れとウィスキーを浴びせ、実継が帰ってくるのを待っている、
と言い残して立ち去る彼女に、母さんは二度と来るなと塩を撒いていた。
当然、母さんがセフレ連れ込んで父さんと離婚したことはあっという間に知れ渡り、
あたしの高校生活は、一人裏庭で購買のパンをかじる毎日から始まった。
母さんはすっかり変わった。
髪や服、お洒落に気を遣うようになって、シャンプーやボディソープなんかを奢るよ
うになった半面、掃除は雑になり、食事も度々手を抜くようになった。
洗濯物も一日置きにしていたのが、二日三日と溜め込むようになった。

66:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:11:20 3b4nsSdS
それでもあたしの前ではなるべく実継に甘えたりはしないよう気をつけているみたいだった。
だから、あたしは自分の身の回りくらいは自分で片付けるようにしたし、何も言わなかった。
週末にはおかずをつくって、三駅離れた町のアパートにいる父さんにお弁当を届けた。
そんな生活が続いて半年後、父さんは飲酒運転のドライバーに跳ねられて死んだ。
母さんは「もう関係ない人だから」と葬式にも顔を出さなかった。
葬儀の次の朝、母さんは起きてこなかった。
起こしに行くと扉の向こうから猫が喉を鳴らすときみたいな変な声がした。
あたしは台所で一人、夕べの残りのサラダをつついて泣いた。
学校帰り、路地裏に隠れてビールを飲んだ。
美味しいとは思わなかった。でも、今の母さんがつくるご飯よりはずっとマシだ。
そんな時、奴が声をかけて来たのだ。
「こら、女子高生。飲酒はいかんでしゅ」
飲酒といかんをかけた駄洒落をのたまう三十歳くらいの人の良さそうな背広姿のおっさん。
「変だな、この位の歳の娘って箸が転がっても笑うんじゃなかった?」
「笑う訳無いじゃん」
その時のあたしは多分自暴自棄になっていたんだと思う。
お酒入ってたし。
埃を払って立ち上がると、ベンチ替わりに腰掛けていた、自販機の横っちょに転がって
いたブロックの廃材に足を乗せ、制服のスカートの裾を、パンツが見えるぎりぎりまで
弾くようにめくった。右手を突き出しちょっと腰をくねらせ、おっさんを誘うような
ポーズを決める。
「くだらない駄洒落なんかより一緒に踊ろうじゃないか」
蓮っ葉な声でおっさんを挑発した。
あたしは、母さんみたいに一生添い遂げると約束した人以外の男をくわえ込んで喜ぶ
ふしだらにはならない。
ささやかな幸せすら守る力もない法律も糞くらえだ。
法の平等の元に守られ、ぬくぬくと日々を過ごすおっさんが、小娘に色目を使われ、
へどもどとうろたえる様を見て嗤ってやる、そんなつもりだった。
おっさんの両肩に手をかけて、腰を落とし、胸を突き出し、映画に出て来るキャバレー
嬢がするみたいに、背広の腹から胸の辺りにこすりつけた。
自慢じゃないけどあたしのバストはD65。
ウエストは61、ヒップ89。
それなりにめりはりのあるサイズだと思ってる。
「どうだ?女子高生のおっぱいは。キモチよかろ」
こんな事もしてやるぞ、と脚を腿で挟み込んだ。

67:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:15:46 3b4nsSdS
「全く最近の女子高生は、けしからんな」
おっさんがため息をついてネクタイを緩めた。
片手でシャツのボタンを外す。
ちらりと覗いた胸板。
ドキリとした。
それまで優位に立っていたのが嘘のように脚がすくんだ。主導権を握っていた筈の自
分が、それだけの事で、立場が入れ代わった気がした。
薮をつついて遊んでいたら虎が出て来た、そんな心地だった。
おっさんの手がスカートをまくり、下着を下ろした。
腰が押し付けられて、脚の間に何かがするりと入り込んできた。
なにをどうされたのかわからない位、自然な、無駄の無い動き。
あ、と思う間もなく、熱い塊が、あたしの中で蠢いていた。
「やだ、嘘っ」
おっさんを押し退けようと胸板を叩いた。
おっさんの腕は力強くて、どうあがいてもあたしは身動きが出来なかった。
「嘘じゃねぇよ、男をこんなにしといて未成年ですから、は無しだぜ、お嬢さん」
おっさんがあたしのベストとブラウスをたくしあげ、乳房を剥いた。
大の男が赤ちゃんみたいに乳首に吸いつく。
「やぁっやめてっ」
嫌、お腹の中がムズムズする。
あそこを意識しちゃう。
んん、おっさんがくぐもった呻き声をあげた。
それまでがっちり食い込んで内側から圧迫していたのが、どんどん萎んでいく。
おっさんが腰を引くと、あたしの脚の間からちゅぷ、と音を立てて、黒いしわしわの
鰻みたいのがでてきた。
何故かおっさんは胸ポケットに入れてあったあたしの生徒手帳を抜き取っていて、返
してほしかったら明日またここで待ってな、そう言い残して立ち去っていった。

あたしは、自分の身体を抱え込むような恰好で、その場にへたりこんだ。
脚の間から何かが溢れてる。乳首を吸われた感触が、生々しく残っている。
気持ち悪い。
あたし、セックスしちゃった。
もしかしたら妊娠したかも。
こんなの、クラスメイトの誰もしてない(と思う。話なんかした事ないし)。
誰にも相談なんか出来ないよ。
どうしよう。
どうしよう。

怖いのにどうすることも出来ず、それからあたしは何度もおっさんに抱かれ続けた。
学校でも、家でも出来ないこと……他愛のないお喋りがおっさんとなら出来たから。
おっさんはあたしを抱くときだけは酷く怖い顔をしたけど、それ以外の、喫茶店で待
ち合わせの時や、その後の食事の時にはよく喋り、よく笑った。
地理と生物にはやたら詳しかった。
いつしか学校より家よりおっさんと逢うのが楽しみになっていた。

力ずくで犯された相手なのに。
あたしはどれだけ人に飢えていたんだろう。



そうして半年が過ぎ、あの日が来た。

その日はおっさんは出張だとかで、あたしは久しぶりに早く家に帰ることが出来た。

68:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:19:18 3b4nsSdS
実継は夜にならないと帰ってこないから、今日はほんの少しだけ、あの頃の時間に戻れる。
筈だった。
居間に実継がいた。
「よーう、麻衣ちゃん」
ソファーに寝転んで週刊誌を読んでいたニットセーターを着た狐顔が起き上がる。
いつ聞いても軽薄な声音に、楽しい気分が一瞬で冷たいピリピリしたものに変わる。
仏頂面と嫌悪をミックスさせた表情を隠す事なく問うた。
「母さんは」
「珍しく買い物だよ、今日は久々に腕奮ってオムライスだとさ、お前の好物なんだっ
て?」
あたしは返事をしないで居間を出ようとした。
母さんが帰ってくるまで駅前か近くの本屋に逃げるつもりだった。
自分の生まれ育った家から逃げるのも変な話だけど、仕方ない。もうここはあたし達
家族の場所じゃなくて、母さんと実継の住み処で、あたしはその一角を間借りさせて
もらっているだけなんだから。
実継があたしの左の二の腕を掴んだ。
掴まれた部分が苛々とした熱を帯びる。
触るな。穢らわしい。
「離せ」
離せと言ったのに実継は更に身体を密着させて来た。
「麻衣ちゃん、最近すげぇ色っぽいのな」
変な熱を帯びた目。緩んだ口元。
「日本語が理解できないか?」
「最近佳津子ばっかりだから飽きちまってんだよ、やらせろよ、麻衣ちゃん」
体中が総毛だった。
こいつ、あたしに欲情してる。
「母さんに言い付けるぞ」
母さん、早く帰って来て。
あたしに手を出してるとこを見たらきっと母さんも目が醒める。
実継が馬鹿にしたような声音で笑った。
「はっはぁママに言い付ける、麻衣ちゃんは子供だねぇ」
いきなり身体が支えを失ったように勢いよく廊下に倒れ込んだ。
実継が腕を掴んでいた手を離したのだ。
突然の事に受け身も取れず、したたかに倒れたあたしの上に実継が跨がる。
上体を重ねて、耳元に囁く。
体中が嫌悪感にビリビリする。
「どうせあちこちでハメまくってんだろ?オレで何人目よ?」
「お前と一緒にするな」
へ、実継が鼻で笑ってあたしの乳房をわしづかみにした。
「伊達に何人もこましてるわけじゃねぇよ、御望みなら乳首だけで逝かせてやるぜ?」
その言葉に嘘はなかった。
実継の指が乳首に触れただけで、おっさんに抱かれ、ほんの少しだけ綻んだ雌の部分
が激しく反応する。


69:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:49:37 3b4nsSdS
あたしは理解した。
あたしが実継を嫌いなのは、到底深みのない薄っぺらい人間性と、撒き散らす牡の本
能が同居した存在だからだ。
そして父さんは牡として実継に負けた。
だから、身を引かざるを得なかったんだ。
人の姿をした獣。
嫌だ、こんなのに触られたくない。
あたしは抵抗した。
実継を罵り、脚をばたつかせ、頭を振り乱て暴れた。
「うっさいなぁ」
実継が顔を近づけて来た。
つ、と唇が塞がれて、生臭い、蛞蝓みたいなのが口内に押し込まれた。
歯茎を、上あごの、凹んだ部分を撫でられ、それだけで、身体にあの痺れが走った。
イクまい、とそれだけに必死になっていて、下着を降ろされてるのにも気付かなかった。
キスしたままの状態で、実継が一気に押し入ってきた。
それだけであたしは軽く達した。
思わず漏らした苦しげな呻きに満足したのか、実継が唇を離す。
混じり合った唾液が、か細い糸をひいていた。
唇は離れたけど、まだ接吻は続いているように思えた。
「突っ込んだだけでイッたのか?大洪水じゃねーか」
実継が腰を使い始めた。
おっさんのより僅かに細い。
なんだ、アンタの自慢の逸品、粗品じゃん。
それだけが、乳房を揉まれ、口も内も凌辱されたあたしを支えていた。
「実継、アンタ、あたしの、知ってる、人の、より、小さい、よ」
「ぁあ?」
実継の指が乳首を捩りあげた。
快楽を通り越した鋭い痛みに悲鳴をあげる。
「その小さいナニをハメられてあへあへ言ってるテメェはなんだ?この売女」
俯せにされて、犬の姿勢で貫かれた。
ゆっくり引き抜いて、わざと滴る音を聞かせる。
ボタ、パタタ、と粘っこい液体がフローリングの床に垂れる。
余りに恥ずかしい音に、気がとおくなりそうだった。
「佳津子だってここまで濡らしたりしねぇよ、麻衣はとんだ助平だな」
「違うっ違う……っ」
「違わねぇよ、このエロマンコ」
実継が結合部を撫で、指を目の前に差し出す。
人差し指と親指には濁った粘液の橋がかかっていて、それが何を意味するのか火を見
るより明らかだった。
まだ実継は中に出してない。
つまり、あたしは実継に犯され、本気汁を溢れさせているのだ。
実継はさっきの報復だと言わんばかりにあたしを淫売だ雌犬だと、罵倒し、その度に
あたしは心を傷付けられる痛みに現実に引き戻された。

70:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:53:56 3b4nsSdS
もう死にたい。そう願う半面、おっさんに逢いたくてあたしは泣いた。
おっさん。おっさん。死ぬ前に一目逢いたい。逢ってから死にたい。
あたしをこんな身体にしたのはおっさんなのに、何故かおっさんには怒りも憎しみも
沸かなかった。
目茶苦茶に泣きじゃくるあたしを実継のぼっくいが追い詰める。
「いけよ、淫乱娘」
それまで放置されていた小さな肉の芽を摘みあげられた。
あたしは言葉にならない悲鳴をあげて、実継をしっかり締め付けた。
実継にイカされた……。
放心し、ぐったりと倒れ伏すあたしの腰を実継が抱え込んだ。
「一人でヨガって満足してんじゃねぇよ」
さっきまでのはまだ本気じゃなかった、と言わんばかりに激しく打ちつけてくる。
「やっ、あっ、イクッ、イクッ」
あたしは着崩した制服姿で髪を振り乱し、何度も果てた。
汗と涙は勿論、よだれまで床に垂らした。
いっそ行為に没頭して気を失ってしまったほうがまだ楽だったかも知れない。
そうすれば、あんな言葉を聞かずに済んだかも知れないんだから。
ふ、と家の中の空気が動いた。
カツ、とパンプスの響きが、続いてドサ、グシャリ、そんな音が聞こえた。
涙で滲んだ視界に、母さんがいた。
母さんは般若のような形相だった。
実継に腰を掴まれたままあたしは母さんに手を差し延べた。
母さんが迫ってくる。
母さん、助けて、母さん。
こいつを追い払って。
次の瞬間、目の前に星が瞬き、鼻がつんときな臭くなった。
続いて身体をしたたかに床に打ち付けた。
顔をあげると、勃起したイチモツを晒した実継が膝立ちのままポカンとした顔をして
いて、その脇に、母さんが仁王立ちで肩で息をしていた。
身を盾にして、実継を守るように。
何が起こったのか判らなかった。
頬が熱い。
口の中に錆臭い味が滲みている。
あたし、母さんに張り飛ばされた……?
なんで?
あたし何もしてない。ううん、されたのはあたしだよ?
「母さ」
「私の実継を誘惑しないで、この泥棒猫!」
それだけ言い放って母さんは実継の方に向き直った。
「嫌よ、やめて……小娘なんかに振り向いたりしないで、私だけを見てよ、実継」
実継を口に含み、それから顔を背けて何かを吐き捨てた。
再び実継を頬張る。
母さんは実継についていたあたしの愛液を舐めとって、吐いたのだ。
物理的に、とか衛生的にとかじゃなくて、何か違うところが、母さんを汚らしい、
厭わしい。そう認識した。
もう、母さんは母さんじゃない。
母さんの姿をした、色情だ。


71:名無しさん@ピンキー
08/11/13 10:56:31 3b4nsSdS
実継が女の髪を弄び、囁く。
「馬鹿だなぁ、佳津子が最高に決まってるじゃないか」
しゃぶりついたまま、女が甘えた声をあげる。
「んん、実継ぅ」
卑猥な水音が廊下に響く中、あたしは身繕いをして、自分の鞄から財布を取り出すと、
足音を立てないように靴を履き、玄関のドアを開けた。
ドアの脇には女が買ってきた卵や挽き肉や何からが一杯入ったビニール袋が落ちてい
ていて、その脇に、紙で出来た小さな箱が転がっていた。
駅前のケーキ屋さんのロゴが捺された箱だった。
箱から小さなロウソクの入った袋と、生クリームが零れていた。
それが何か悟って、胸が詰まった。
鳴咽を堪え、冷たい雨のそぼ降る中に飛び出した。
今日はあたしの誕生日だったんだ。
あたしだって忘れていたのに……母さん、母さん……!



もうどれだけ歩いたのかわからない。
頭のてっぺんから靴の中まで、すっかり雨で濡れている。
駅前の繁華街で、かわいい私服に着替えてはしゃぐクラスメイトを何度か見かけた。
彼女達はあたしと目があうと、困ったような、迷惑げな顔で視線や顔を背けたり、
わざとこっちを指差してゲラゲラ笑った。
実継が羨ましかった。
あいつが死ねばどんなにいいだろう。
でも母さんが哀しむ。
そして実継を待っている元カノも泣くだろう。
あいつにはそれでも泣いてくれる人がいるのだ。
あたしには哀しんでくれる人すらいないのに。
いっそ消えてしまいたい。
どうやったら死体も残さず、誰にも迷惑かけずに綺麗さっぱり消えてしまえるだろう。
ここなら死んでも見付からないかな。
繁華街から少し離れた新興住宅地の外れの、鬱蒼と繁った雑木林の前でぼんやり立ち
尽くしていたその時だった。
「お前、何やってるんだ?」
背後から声をかけられた。
辺りを見回した。近くには誰もいない。
それでその声があたしに向けられた事にようやく気付き、振り返る。

訝しい顔をしたおっさんがいた。

どうしてだろう、あたしは馬鹿みたいにおいおい泣いておっさんに縋り付いた。
なにやってるんだろう。
あたしは誰にも必要とされていないのに。
だから、死のうとしていたのに。
なのに、おっさんの姿を見たら、そういうのが全部どこかに吹っ飛んでいってしまった。
おっさんはあたしを抱きしめてくれた。
いつもなら恐いだけのおっさんの腕が、この時だけは冷たい世間から守ってくれる力
強いものに感じられた。

72:名無しさん@ピンキー
08/11/13 11:15:55 3b4nsSdS
おっさんの家は雑木林の向こう側、隣町に立っている3LDKマンションの一室だった。
バブルの頃に建った物らしくて、無駄に贅沢なつくりだった。
壁一面に、紅葉した山野、雪化粧の町並み、緑滴る渓流、朝焼けの海、夕暮れの薄野
原、アップで撮られた昆虫や小動物のパネルが飾ってあった。
写真が仕事なのかと聞くと
「それは趣味が高じたもんだ、休みにはよく野山を歩き回っている」
と返って来た。
だから、地理と生物に詳しいんだ。
ほんの少し、おっさんを知った気がして嬉しかった。
おっさんはまずはシャワーを浴びて着替えてこい、話はそれからだと言って男物のパ
ジャマを寄越した。
いつもみたいにくだらない駄洒落を口にしなかった。
おっさんは怒ってるみたいだった。
風呂場を出ると、おっさんは温かいミルクを用意して待っていた。
「何があった」
ぽつりぽつりと語り、思い出しては泣き、泣いてはおっさんが宥め、全部話し終わる
まで、長い時間がかかった。
話を聞き終えたおっさんは、深いため息をついた。
そうして、とにかく今日は泊まっていけ、そう言っておっさんは和室に布団を敷き始めた。
それから、水の入ったコップと、風邪薬の乗った盆を枕元に置いた。
「寝る前にちゃんと飲んどけ」
布団に横たわっても、ずっと神経が昂ぶっていた。
おっさんは今日もあたしを抱くんだろうか。おっさんに、実継と同じ事をされるのが
怖い。
そんな中、おっさんがぼそぼそと何かを呟いているのが襖越しに聞こえた。
誰かと電話で話しているみたいだった。
結局一睡も出来ないまま、朝を迎えた。
おっさんは更にふさぎ込んだ顔をしてダイニングでカメラをいじっていた。
テーブルには飲みさしのコーヒーと、灰皿の上で山盛りになった吸い殻。
おっさんも眠っていないみたいだった。
「なぁ、お前さん料理は出来るか?」
なんでそんな事を聞かれるのかわからないまま「一通りなら」と答えた。
おっさんは大きなため息をついて、重い口を開いた。
「夕べ、お前さんが寝た後、お前さんの親御さんと話をした」
「…………」


73:名無しさん@ピンキー
08/11/13 11:16:50 3b4nsSdS
「正直、帰らないほうがいい」
(中略、麻衣はの暴行の最中、親ではなくおっさんの事を想っていたことに思い当たる)
「俺はな、あの時お前さんは欲しい服を買ってもらえないだの、勉強したくないだの
つまんねぇ我が儘こねて悲劇のヒロインぶってるだけだと思ったからお前さんを犯し
たんだ、でもお前さんは、もっと辛い境遇にいたんだな」
(ここからあたし穢されたから綺麗にしてよ和姦→一緒に住もうエンドに至る)

以上

パズルの完成が見えているのにピースが無いって、せつねぇ……

74:名無しさん@ピンキー
08/11/13 13:25:55 oC5pIJX6
GJ!未完ながら読み応えがあった・・・!
グッドエンドになるはずだったんだなぁ。せつな~

75:名無しさん@ピンキー
08/11/14 12:07:23 hD4TQ5LA
GJ!
良いお炊きあげでした

76:名無しさん@ピンキー
08/11/28 18:11:23 BjWlITYK
保守ー

77:名無しさん@ピンキー
08/12/05 16:16:08 fOxPkJfI
保守

78:名無しさん@ピンキー
08/12/12 16:27:20 BXE8t5sv
保守

79:名無しさん@ピンキー
08/12/14 01:33:47 EQe04Ubm
原作の進展で満足してしまった二次物供養
アタマとケツのみ

 一時間ほど前から始まった「異変」によって、聖ベドラム病院は未曾有の混乱に包まれていた。
 室内にいる者の目を焼くほどの光が辺りを包んだかと思うと、数呼吸の後に凄まじい衝撃と轟音が
襲った。大地震か、それとも、核爆弾が投下されでもしたのか。混乱の中、辛うじて我を取り戻した
何人かは、窓から病院の外を覗き、そして、再び絶句した。一面の砂嵐。その中に、舞い上がる樹木、
家々、鉄筋、アスファルトの塊。不可思議な結界によってなぜか院内は無事であるものの、外界との
連絡は途絶。医師も、看護師も、患者達も、皆が何をすればよいか見当もつかないまま、ただただ
東京が滅びてゆく様を傍観しているしかなかったのである。

 狂乱した人々の悲鳴。それを宥める者たちの声も絶叫に近い。今なせることなど何一つないという
のに、駆けずり回る無数の足音は止まず、無意味な作業によるものか、それとも混乱の果ての破壊行為に
よるものか判別のつかない騒音が鳴り響く。院内はどこもそんな有様だった。

 ただ一箇所、この病院の全責任を預かるものの私室だけは、不気味な静寂に包まれていた。
 聖ベドラム病院院長の肩書きを持つその初老の男は、取り乱すでもなく、指で押し広げたブラインドの
隙間から、外界が破壊されていく様をただ無言で見つめていた。
 院長室の扉がノックされる。
 しかし、男は外の光景に魅入られた様子で、応えを返さなかった。一寸の間を置いて、「失礼します」
という若い女の声とともに扉が開く。入ってきたのは、場違いなセーラー服に身を包んだ女であった。
長身で、奇妙に老成した雰囲気を漂わせている。服装からすればまだ十代のはずなのに、数枚の書類を
綴じたパネルを小脇に抱え、きびきびと立ち居振る舞う様はまるで熟練のナースのようにも見えた。

「壊劫(えごう)が始まったな……」
 女を振り返りもせず、男は独り言のように呟いた。
「ええ」
 深い感慨を込めた男の呟きを、しかし女は素っ気ない様子で返す。手慣れた手つきで書類をめくり、
淡々と報告を始めた。
「産婦人科からの報告では、インパクトの瞬間から十三名の新生児を確認したそうです」
 病院の他の職員が聞いたら目を回したことだろう。正体不明の大惨事の最中でさえ、一向に取り乱す
様子のないこの二人の人物にとって、最大の関心事とは病院が確認した新生児の人数であるらしい。
 その報告に男はようやく窓際から離れ、女へと向き直る。
 目を閉じて、報告の内容をしばらく反芻している風であったが、やがて何かを諳んじるようにして
口を開いた。
「慈変泰は人為にて革を成し天子を生み出す」
「……果たして何人がアートマンとして覚醒するかしら?」
 あたかも神の託宣を告げる預言者のような厳粛さをもった男の言葉に、女はどこか面白がる様子で
問うた。男はその特徴的な口ひげを指でしごきながら、沈思するように答える。
「再び黄金の卵へと還る者は少なく、梵天(ブラフマン)に至る者は更に少ない……」
「それでも異能さえあれば使い道はありますわ」
 女はそう付け加え、小さく嗤った。理知的な容貌ともあいまって、それはひどく酷薄な笑みだった。
手元のリストを眺める女の唇がなまめかしく蠢く。男には聞こえないほどの小さな声でそっと呟いた。
「可哀そうね。この子たち。とても可哀そう」
 そして、再び、小さく嗤った。

80:名無しさん@ピンキー
08/12/14 01:34:51 EQe04Ubm
 トタン葺きのアパートの前に一台の自転車が停まった。
 黒のヘルメット、そして、黒地に赤いラインを引いたライダースーツ。光沢を放つ革の生地が
しなやかで優美なラインを描き、その人物が女性であることを強調していた。
 女は自転車から降りると、無造作にヘルメットを脱ぐ。
 解放された濡羽色のショートボブが宙を舞った。
 あたりは無人であったが、もし観察者がいたなら、ここで思わず感嘆の吐息を漏らしていただろう。
それくらい、ヘルメットを脱いだ女の素顔は美しかった。くっきりと弧を描く眉、涼しげな目元、
鼻筋の通った、一種東洋的な造形美を湛えた顔立ち。切れ長の瞳には三白眼気味の鋭い眼光が宿る。
それはどちらかというと見る者を畏怖させる類の非人間的な美であったかもしれない。

 女はアパートを見上げる。
 その引き結ばれた唇には、いかなる表情も浮かんでいなかった。
 そして、無言のまま、アパートの、玄関扉が開け放たれたままの一室へと歩を進める。

 塗装が剥げ、所々に亀裂の入った木製の扉が、錆付いた蝶番によって辛うじて支えられている。
その開け放たれた入り口は、しかし黄色のテープによって何重にも封印されていた。事件現場などで
よく目にする類のテープに見えたが、黒字でプリントされた「立入禁止」の文字の合間に見慣れぬ
渦巻き文様が並ぶ。呪法に精通した者が見れば、それが霊的に施された強固な封印であることが
わかったであろう。
 女はライダースーツのファスナーを引き下ろす。豊かな双丘がこぼれそうになる際どい寸前で
手は止まり、懐中より赤く染め上げられた数珠を取り出した。
 数珠をかけた右手に左手が合わされ、合掌を形作る。
「おん……あぼきゃ……べいろしゃのう……」
 女の艶やかな唇から、その出で立ちに不似合いの真言が紡がれる。
「吽(うん)」
 最後の一音とともに、合掌が解かれ数珠を握る右手が軽く打ち下ろされた。
 同時に、何かが弾ける音が鳴り響き、玄関を封鎖していたテープが次々とひとりでに千切れてゆく。
 遮るもののなくなった玄関に、女はブーツのまま踏み込んでいった。

 ステンレス張りのシンクの脇を抜けると、直ぐに、息が詰まりそうなほど狭い室内の全貌が見渡せる。
型の古いテレビとビデオ一式を除けば、家具と呼べるものは何一つない殺風景な部屋。フローリングと
呼ぶのが憚られるような剥き出しの板床には、白いビニールテープで仰臥した人間の形が模られていた。
 テープの中の、ちょうど人型の頭部にあたる部分にはどす黒い血痕がこびり付いている。
 床の染みと見分けがつかぬほど変色しているわけではないが、乾ききったそれに流れ出た直後の
生々しさはない。おそらくは二、三日ほどは以前のものであろう。生活感のない部屋の様子から
見ても、すべては、後処理も含めて終わってしまった後であることが伺われた。この部屋の住人であった
はずの兄妹も、もはやどこか遠くへと移されてしまっているのだろう。

「そう……間に合わなかったのね」
 呟きが漏れた。
 前回は早過ぎた。そして、今回は遅過ぎたのである。
 能面のような無表情であった女の顔に、初めて、悔恨のような、あるいは憐憫のような痛ましい表情が
浮かんだ。

以上

81:名無しさん@ピンキー
08/12/14 19:49:17 GRz14u6K
すげぇ、もしかしてソワカちゃん?

82:名無しさん@ピンキー
08/12/15 02:14:25 i9HhXmS8

元ネタ分からない
しかしGood ジョブ

83:名無しさん@ピンキー
08/12/15 23:14:39 CD9A91nr
>>81 
正解
マイナーな二次を供養させてもらえてこのスレに感謝

84:名無しさん@ピンキー
08/12/16 10:01:06 GBEZlboG
被ったうわああああああorz
雑談リクのカプにインスパイアされていそいそと書いてるうちに同じカプが投下されましたw
遅筆な自分を呪います

というわけで、激しく未完のゴミ二次をお焚き上げ供養
エロ途中まで書いてもうイヤン


85:名無しさん@ピンキー
08/12/16 10:01:41 GBEZlboG

「ひゃっ」
「ごめん、冷たかった?」
 素肌に触れるひんやりして骨ばった指。
 気遣うような眼差しでわたしを覗き込むギア。
 少し乱れた黒髪が頬にかかり、そこはかとなく色っぽい。
「だ、大丈夫だよ」
「すまない」
「あのな、こいつが冷血動物なのは先刻承知だろうが。そんなことでいちいち悲鳴をあげるな」
 ずずいと割り込む上から目線な物言い。
 悔しいけど立場上言い返せないわたし。
 せめてもの抗議に、ぷーっと膨れて唇を噛む。
 と、その唇が上から柔らかいものに塞がれた。
 手と同じように冷たいギアの唇。
 はむ、とやさしくわたしの唇を包むようにキスしながら、低い声が呟く。
「ごめんよ。邪魔なのがいて」
「ん……」
 ぬめりを帯びた舌が唇の上から歯茎をそっとなぞり、吸い上げながら舐めまわす。
 間接から力が抜けてしまうようなキスがふと離れる。
 少しとろんとしてしまった目を上げると、全く遠慮というものが感じられないぎょろ目が至近距離からわたしを覗き込んでいた。
「おい、お前ら。ふたりの世界を作るんじゃない」
 当然のようにギアを押しのける大きな体。
 こんがり日に焼けてがっちりと大柄。鎧みたいな分厚い筋肉の肉体は、ギアの細いけれど弾力ある鋼みたいな体とはいいコントラストになっている。
 だってギアは白くてダンシングシミターは浅黒くて。
 身長はあまり変わらないのかな?
 こうして裸体で並ばれると、ついつい見比べてしまう自分がちょっとやだなあ……
「おいおい、こいつと比較しないでくれるかい? この筋肉バ……いや」
「ギア! 貴様いま馬鹿と、筋肉馬鹿と言おうとしたろうが!!」
「言ってない言ってない」
 含み笑いをしているギアに、真っ赤になって怒っているダンシングシミター。
「全く、貴様の毒舌と女の転がし方にだけは勝てん気がするぜ」
 しれっと受け流されて、怒りのやり場に困っているようにブツブツ言いながら、わたしの上にのしかかってきた。


86:名無しさん@ピンキー
08/12/16 10:02:18 GBEZlboG
 んもう、こんなことなら、こっそり抜け出したりするんじゃなかった。
 シルバーリーブに来ていたギア逢いたさに、夜中にみすず旅館を抜け出したわたし。
 ギアの泊まっていた旅館の部屋で久々の再会を喜び合い、ついそういう流れになったところで……
 前触れなく開いたドア。
 立っていたのはギアとパーティを組んでいる辮髪の男、ダンシングシミターだった。
 彼はベッドの中のわたしたちを見て無表情なまま一瞬眉を上げると、
「ほほぉ、そういうことか。邪魔したな。飲み直してくる」
 と言うとドアを閉めようとした。
 その時真っ青になって、つい叫んで呼び止めてしまったのはわたしの失敗だった……のかな、やっぱり。
「ちょ、ちょっとちょっと待ってーーーっ!!」
 閉めかけたドアがまたギイッと開く。
「なんだ」
「いやあの、その、えっと」
 わたしを抱きしめたままだったギアが体を起こし、苦笑した。
「パステルが何か言いたいらしい。とりあえず入ってドアを閉めてくれ」
 フォローありがとう、さすがギア。って違う! 言いたいことってえっと、えっと……
「飲み直すって、ど、どこで?」
「この町にそんなに何軒も飲み屋があるのか」
「……猪鹿亭だけだよね」
 猪鹿亭には今、クレイとトラップがいるはず。
 彼らが出かけるのを確認して抜け出してきたんだもの。
「あの……うちのパーティのメンバーがいると思う……んだけど」
「そうか。言っておけばいいんだな」
「違うってばーー!!」
 そんなこと言われてしまったら、あのクレイが、あのトラップが果たしてなんて言うか、考えただけで眩暈がする。
 ただでさえふたりともギアを嫌ってるっていうのに、いやいつかは言わなきゃいけないんだけど……
 いやいや、とにかく今言われるのはまだ時期尚早よ!
 とりあえず恐る恐る口止めをお願いする。
 でも、そのずるそうな表情を見るに、なんだか嫌な予感はしてたんだよね。
 案の定、口止めの交換条件を提示してきたダンシングシミター。
「げっ。わたしそんなお金持ってないよ」
「誰も金なんぞと言っとらんだろうが」
「じゃあ何よ?」
「……俺もまぜろ」
「はあ!?」
 まぜろって、まぜろって、ちょっとどういうことよ!?
 すぐ傍らのギアをすごい勢いで振り向くも、彼は片手でおでこのあたりを押さえてはぁ……とため息をつきたげな表情をしていた。


87:名無しさん@ピンキー
08/12/16 10:02:51 GBEZlboG
「ダンシングシミター。言っていいことと悪いことがある」
「そうか? ごくまっとうな取引だと思うが」
 その表情には、あくまでも悪びれる様子がない。
 ギアはいつものポーカーフェースも崩れ、おそろしく困り果てた表情でわたしに向き直った。
 ダンシングシミターは全てにおいて果てしなくビジネスライクな人間であること。
 彼が「取引」と言い出したらそういった意味では手が付けられないこと。
 ……なんかどこかで、すごく似たような人の話を聞いたことがあるような気がするなぁ。
 虚しい既視感を感じていると、ベッドから降り立ったギアがおもむろにソードを取り出した。え、いやまさか。
「パステルがどうしても嫌なら、剣に訴えるしかないな。負けるつもりはないが勝つ保障もない」
「ふふ、そこまでするかい、ギアよ」
 望むところと言わんばかりの嬉しそうな表情で、背中に背負った剣に手を伸ばそうとするダンシングシミター。
 それはもう、一緒即発寄らば切るぞ状態の張り詰めきった雰囲気。
「パステル。怪我するから下がって」
「人の心配とは随分悠長だな」
 余裕の表情のダンシングシミターと、緊張の表情で少し青ざめてすらいるギア。
 こんなことで、こんなことでこの二人に斬り合われたりしたら、ギアが怪我でもしたらっ!
「やめて、ふたりともやめてっ! わたしはいいからっ!!」
 一瞬固まった男達。
 と思うと、辮髪の毛先を揺らして、坊主頭が天を仰いで爆笑した。
 がっくりと頭を垂れたのはギア。
「はーっはっはっはっ。そう来ると思ったぜ。この賭けは俺の勝ちだな」


……そしてわたしはこうしている。
 全裸の男二人とベッドの上。
 幸いにしてというべきか、ギアの泊まっていた宿屋は一応シルバーリーブで一番お高いところだったから、部屋も広いしベッドも大きい。
 とはいえこの図体のでかい男二人プラスわたしじゃ、どうやったって狭苦しいのは否めないんだけどね。
「まあ俺のことはあまり気にするな。オプションと思え」
「つけてくれって、頼んだ覚えはない、わよ……っ、ぁんっ」
 どうにか言い返すも、体の上を滑るギアの愛撫に文句にも迫力が出なくて。
 服なんてとっくに剥ぎ取られ、4つの目が全身を舐めるようにじろじろと這い回り、火が出そうなほど恥ずかしい。
 開かされた両脚の間にはギア。
 細い指に茂みをいとおしげにさわさわとまあるく撫ぜられ、背筋をぞくっと何かが這い上がる。


これで明日からまた頑張れる……
お焚き上げさせて頂いてありがとうございました

88:B.B.H.(00)1/11
08/12/26 22:48:04 FHSOnfzJ
本編の展開上他諸々で本スレ投下は没の二次物。
年の差体格差上司と部下。もうそれなりにヤッてる前提10レス分+オマケ。

------------

カティが自分の為に選んでくれたバスジェルを試してみて以来、
香りの良い泡をたっぷりと蓄えた、あたたかいバブルバスが
ピーリスは大好きになった。

ドードーと音を立ててバスタブに落ちるお湯の勢いで、
シトラスローズの香りの泡が、モコモコとわいて来る。
適温のお湯と白い泡をたっぷりと浴槽にためて、
裸身にまとったバスタオルを外し、傍らのハンガーにかけると
ピーリスは海綿スポンジを手に、ゆっくりとバスタブの中に体を沈めた。
長い銀髪は、タオルで包んであげてある。
大佐の体のサイズに合わせた、細長くて大きな猫足のバスタブに、
半ば横たわるように背を預け、足を伸ばす。

泡のお湯にとぷんとつかると、その心地よさに思わず、
ふうっとため息がでてしまう。

スポンジを湯の底に沈めたまま、ピーリスは泡を両手ですくっては、
その香りと感触を楽しんだ。
手に盛った泡をふうっと吹くと、小さなシャボン玉がきらきら、
ふわふわと舞い上がる。

「超兵」である自分が、こんな振る舞いをするなんて。
他人から見れば、おぞましく腹立たしく、
滑稽に映る光景だろうなと、ふと思う。

明日は大佐も自分も、久しぶりに揃っての休日だ。
だから。
この香りで、自分の体を彩りたかった。
大佐もいい香りだと、言ってくれたから。

不意に背後のドアが開く音がした。
湯気の立ちこめる明るいバスルームに、
自分以外の人の気配が入って来る。

「一緒にいいかな、中尉?」

声に驚き、一瞬だけドアの方を見上げて、ピーリスは動揺した。
「えっ!あ、たっ、大佐?!」

腰にバスタオルを捲いただけの、セルゲイの姿がそこにあった。

89:B.B.H.(00)2/11
08/12/26 22:48:40 FHSOnfzJ
浴室の明るい光の中でまじまじと男の体を観察出来る程、
そして自分の裸を見せられる程、ピーリスはまだ「慣れて」はいない。
突然の事に、あわてて顔と体を背ける。
思わず両肩を抱く様にしてバスタブの中で背を丸め、
泡の中で見えないはずの体を隠してしまう。

セルゲイがバスタオルを外し、ハンガーに掛ける様子が、
見ていなくても音でわかった。

動揺するピーリスに全くおかまいなしに、
当然の様に男が湯の中に入ろうとしているのが、
肩越しの気配でわかる。

ピーリスは伸ばしていた足を縮め、
背を向けたまま逃げる様にバスタブの半分を空けた。

「ああ、すまんな」
言いながら大柄な男はそのまま、湯の中に体を沈めてしまう。

どうしよう…。
その言葉しか、浮かばない。
恥ずかしくて顔を伏せれば、湯気があたって頬が
かあっと火照って来る。

「中尉はもう、体は洗ったのかね?」
いつもと代わらぬ口調で声をかけられても、
今のピーリスには振り向く勇気がない。
「いえ、まだ、これからです」
彼女の目の端に、泡をたくわえたスポンジと、
男の大きな手がちらっと映った。

「そうか…」
問われれば律儀に返事をし、決して出て行けとは言わない彼女の
丸まった小さな背中を、セルゲイは自分の体に引き寄せた。

「あ!」
湯の中でピーリスの体が浮き、仰向けにコロンと傾く。
そのままセルゲイの胸に背を預けるようにして、
小柄な彼女の白い体が、男の腕の間にすっぽりと収まった。

真っ赤になって身を固くしているピーリスの背後から手を回し、
セルゲイはスポンジを片手に握って、クシュクシュと泡を立てる。

「では、一緒に洗ってしまおうか」

赤く染まった彼女の小さな耳に唇を寄せて、
セルゲイは囁いた。

「そんな!いえ、あの、自分でっ」
「いいから」
スポンジを奪おうとするピーリスの手をかわし、
セルゲイはそっと、彼女の首筋にそれをあてがった。
「……っ!」
細い肩がぴくんと震え、ピーリスが首をすくませる。

90:B.B.H.(00)3/11
08/12/26 22:50:29 FHSOnfzJ
くるくると小さな円を描く様に首から肩、そして背中がこすられる。
まるで子供にする様に腕をとり、肘から指の先、そして脇へと
スポンジが動く。同じ調子で泡に隠れた慎ましやかな二つの胸や
腹まで、丁寧に優しく洗われる。
恥ずかしいのは確かだが、本当に「洗う」だけに徹した動きに
意味の分からない安心感を得て、少しだけ、ピーリスは体の力を抜いた。

セルゲイの片腕が、ピーリスの太腿の下に差し込まれる。
背に男の胸がのしかかり、ピーリスは前屈みになる。
「あ…」
そのまま腿の下で、男の腕が持ち上る。
再び男に背を預ける格好でピーリスの膝が曲がり、足が浮いた。
泡の外にでた膝頭も同様にスポンジで洗われるのだろう。
そう思って油断した彼女の隙をつく様に、
セルゲイは丸い膝を、指先でぞわりとくすぐった。
「やっ…ん…!」
ちゃぷんと水音を響かせて、ピーリスが身をよじる。
男は無言で、そのまま膝から太腿へと指を遡らせる。
「えっ?!あ、あのっ、大佐、あのっ…あ…」
どう考えても、すでに体を洗う行為ではない。
そのまま腰骨の辺りまで指が這い、
今度は小振りな尻に向かって下って来る。
「あ、あ、やっ、大佐、あ…あのっあ、んっ」
ぞくぞくする様な快感が、白い皮膚の下を這いずり回る。
ピーリスの細い腕に、ざあっと鳥肌が立つ。

「寒いのかね?中尉」
両足の間の核心には触れず、セルゲイの指が尻の丸みを辿る。
「鳥肌が立っているが…」
しらじらしくそう言いながら、意地の悪い男は
耳や首筋に唇を寄せて吐息をかける。

「やっ!…ん、ち、違います…これは、ぁ…ちが、んぅっ」
耳を甘噛みしながら、セルゲイは無骨な指先を
太腿から腹、そして胸へと滑る様に移動させる。
下からすくいあげる様にして彼女の胸を手の中に包み、
親指を使って押し捏ねるようにその先端を揉みしだく。
「あっいや…っ!あ、ぁ、あっ!」
弱い所ばかりを攻められて、ピーリスの体が震えた。

顔が熱い。
頭がぼうっとする。
こんなところで。
こんな風にされるなんて。
これ以上されたら…。

「…ま、待って、下さい…あっ、あの、大佐っ」

「んん?」
唇を離し、彼女の体からそっと手を引きながら、
セルゲイは、気のない風を装った返事をする。
愛撫の手から解放され、肩ではあはあと息をしながら、
ピーリスは小声でつぶやいた。
「の…のぼせて、しまいます、から…私、そろそろ」
「もう、あがるのかね?」
背を向けたまま、ピーリスはこくん、と頷いた。

「…バスタオルを、取っていただけませんか」
背を向けたまま告げるピーリスに、
セルゲイが意地悪な追い打ちをかけた。

91:B.B.H.(00)4/11
08/12/26 22:51:04 FHSOnfzJ
「泡を流してから、だな」
「…あ、はい」

素直なピーリスはバスタブの泡をできるだけ体に纏わせながら、
おずおずと立ち上がった。
これから泡を流そうというのに、男の視線が気になって、
隠すために矛盾した行動をとってしまう。

シャワーヘッドに手を伸ばし、そこでふと、微かに首を巡らせて
背後のセルゲイを気にする。

「あの…大佐。そのままでは、顔にお湯がかかってしまいますが」

だから背を向けるなり何なりして、こっちを見ないでいてほしいと
暗に匂わせたつもりだったのだが。

「それもそうだな」

セルゲイは何の躊躇もなく、ザアっと湯の中から立ち上がった。
はっと息を詰め、ピーリスは咄嗟に顔を背ける。

セルゲイの腕が彼女を引き寄せ、後ろから抱きすくめた。
片手に握っていたシャワーヘッドが、背後の男に奪われる。
「た、大佐っ!」
悲鳴に近い声が、バスルームの中で大きく響く。
自分の声に驚いて、ピーリスはあわてて口を塞いだ。
「じっとしていなさい」
ヘッドの止水スイッチを押して、セルゲイはピーリスの体に
温かい湯の雨を振らせた。
「……っ!」
シャワーへッドが上下に動かされ、
全身に纏った泡がみるみる流され消えてゆく。
「あっ…や…」
自分の体を抱く様にして、ピーリスは
露になる肌を隠そうと無駄な抵抗を試みる。
その手をどけろとは言わないセルゲイだが、
湯にやわらかくなったピーリスの肌を、
シャワーを持たぬ方の手でいい様に弄ぶ。
背筋を指先でつうっとなぞってやると、
ピーリスの体がしなやかに反りかえった。

下へと降りて来たセルゲイの指が、
後ろから女の体の底をぬるり、とすくいあげる。

「やあっ!んっ!」
ビクンと跳ねる彼女から指を離し、セルゲイは
絡んだ粘液をわざわざピーリスの目の前にかざして、
ゆっくりと開いて見せる。

「君のだ…中尉」

気泡を蓄えた透明なゼリー状のそれは、
ピーリス目の前で、
開いた男の指の間に橋をかけるように粘り、伸びた。

92:B.B.H.(00)5/11
08/12/26 22:51:35 FHSOnfzJ
「いっ!…いや…ぁっ」
初めて見せつけられる自分の淫らな歓びの証に、
ピーリスはうろたえた。
 そんな…では、大佐はいつも、これを、口に?
 舌で、舐めて、音をたてて…。

「う、うそですっ…そんなっ」
股間を隠していたピーリスの手が、
後ろからセルゲイに掴まれ、強引に脇にのけられた。

「うそ呼ばわりとは、心外だな」
「え、あ!大佐…っ」
代わって勢いよく湯をふきだしているシャワーヘッドが、
彼女のそこにあてがわれる。
「やっ、あぅっ!」
ピーリスの鋭い悲鳴があがった。
足の間の狭い空間に注がれて水音がくぐもり、
じゅわじゅわと卑猥な音色に変化する。

「大佐ッ!あっとめて、とめてください、大佐!あ、あんっ!」

バスタブのフチに掴まり、水圧を避ける様に腰を引き、
体を折って、白い体が悶える。
幾つもの湯の筋が、ピーリスの敏感な所を容赦なく叩く。

「だめ…大佐…だめ、ですっ!!や、あっ!いやぁあ!」

セルゲイが少しだけヘッドを離してやると、
湯は叩くのではなく、局部一帯をざわざわと奏で始める。

「ん、あっ…は、っん…ん…っ!あ、あっ、ああっ!」

再び強く押しあてられて、強い刺激に肉芽が晒される。
セルゲイの操るシャワーに嬲られ、なす術もなくただ啼き、喘ぐ。
初めて経験する刺激と快感に、開いた小さな唇から
悲鳴にも似た鋭い吐息が上がりつづける。
眉根を寄せ、目をきつく閉じ、悩ましげに腰をくねらせる。

 いかされる…。
 このまま、
 お湯でいかされちゃう…。

ぼんやりとそう思った瞬間。シャワーの湯が、ぴたりと止まった。

あてがわれていたシャワーヘッドが離れ、
同時に背後のセルゲイの気配もまた、離れるのを感じる。

「はっ、はあッ…は…、は…ぁ、あ…」

ガクリと頭を垂れ、バスタブのフチに手をついて
ピーリスは力の入らない体を支えていた。
助かったという思いと、漠然とした不安が、彼女の心を支配する。

後ろで再び、シャワーの音がした。
体を離したセルゲイが、自分の泡を流しているのがわかる。

「あがるのではなかったのかね、中尉?」
水音に混じる突き放す様なセルゲイの言葉に、
ピーリスは絶句する。

93:B.B.H.(00)6/11
08/12/26 22:53:01 FHSOnfzJ
バスタブを掴む手が、震える。
解放されなかった快感が、恨みがましく体の中で暴れ、騒ぎ、
ピーリスの体をぞわぞわと蝕む。
あれほどシャワーで流されたはずなのに
新たな蜜がじわりと湧いて、奥からとろとろと溢れて来る。

水音が止まる。
シャワーヘッドを元あった場所にカタンと戻す音がした。

今のピーリスにはもう、裸の体を隠す余裕さえなかった。
ねだる様に尻を後ろに突き出して、目を伏せ、
冷めてくれない体の疼きに、切なげに喘いでいる。

震えるピーリスの背後から、セルゲイが肩を抱いた。
昂った男の熱いものが、彼女の腰に当たる。
「あ…」
ピーリスの唇が、戦慄いた。

羞恥と官能の狭間で震えている彼女の首筋を、
指先でそっとくすぐりながら、男が低く甘い声で、囁く。

「…言ってごらん、ピーリス」

ピーリスがビクッと首をかしぐ。
彼女の耳元に唇を寄せ、ふうっと吐息をかけながら、
セルゲイは更に促した。

「どうしてほしい…?」

彼女の潤んだ瞳が、薄く開いた。

「ほし…い……。たいさ…」
セルゲイの言葉尻にすがる様に
ピーリスの唇から、吐息まじりの渇望が漏れる。

「たいさ、が…ほし、い…」
消え入りそうな語尾で、たどたどしく、はしたない欲求を口にする。

「おねが…い、です…いつもみたいに……。おねがい…っ」
自分の言葉に昂りながら、小さな声を震わせて、ピーリスは正直に訴えた。

唇を首筋に滑らせながら、セルゲイが問う。
「…ここで?」
整えられた薄い口ひげにゾクリと肌を奏でられ、
ピーリスは声も出せずに、ただ頷いた。
「今、すぐ…?」
さっきよりもなお強く、ピーリスは頷く。
熱を持った彼女の耳元で、セルゲイが微笑む気配がした。
「キスは…どうする?」
「…キス……キス、も」
男に誘導されるまま、首を巡らせピーリスがねだる。
うつろな表情で、セルゲイを見つめ、誘う。

セルゲイは彼女を向き合わせると、無言でそっと、唇を重ねた。

94:B.B.H.(00)7/11
08/12/26 22:54:48 FHSOnfzJ
求めに応じても、セルゲイは決して深くは、しない。
わざと軽く触れるだけの、もどかしいキスをする。
ついばむ様にせわしなく、幾度も幾度も触れては離れて、
彼女を煽り、炙って、追いつめてゆく。
罠にかかったピーリスが、セルゲイを追って
少しずつ唇を開き顔をつきだせば、
意地悪く顎を引いてその求めをかわしてしまう。
「たいさ、もっと…深く…んっ…」
半開きの口の中で、焦れた彼女の小さな舌が
セルゲイを求めて淫らに動くのが見える。

普段の勇ましい彼女からは想像もつかない、
淫らで熱っぽい女の表情だ。

セルゲイは舌を伸ばし、彼女の口腔に侵入する。
ピーリスの舌先に、自分のそれを触れさせて、
からかう様に舐めてくすぐってから、唇を深く噛み合わせた。
ようやく与えられた深い口づけを逃すまいと、
ピーリスの腕がセルゲイの背に回ってしがみつく。

「っ…ん、ぅん、ふ、…ぁふ…んっ…」

キスの合間の息づかいに、彼女の昂った声が、混じる。
その声が、セルゲイの欲望を煽った。
彼女の体を引き寄せ、掌で体の形を確かめる様に
ゆっくりと撫でまわす。
下に指を伸ばして、茂みの奥に滑り込ませると、
彼女のゼリーは、すでにとろけたジュースに変っていた。
そのままくちゅくちゅと、ひとしきり弄ぶ。
男の手の動きに合わせて、腕の中の女が太腿をすりあわせ、身悶えた。

湯気でソフトフォーカスのかかった空間の中。
二人はしばらくの間、ひたすら互いの唇を貪りあった。
舌を絡ませ、吸い上げ、激しく、深く。
いやらしい音を立てて。

そっと彼女の潤みから指を引き離す。

濃厚なキスを交わしながら、セルゲイはピーリスを抱きあげて、
緩やかな曲線を描いて反り上がるバスタブのフチに座らせた。

唇を離し、見つめ合う。

男の大きな手が、ピーリスの滑らかな太腿を掴み、
ゆっくりと左右に押し開く。

「あ……」

挿入の期待感にピーリスが瞼を閉じ、喉を反らす。
乱れた息を隠そうともせず、男の来るのを待ちわびている。

そんなピーリスの姿をじっくりと目で楽しみながら、
セルゲイは自分の熱い昂りに手を添えた。
先ずは自身を誇示する様に、先端をそっと、彼女の潤みにあてがう。
「あ、ああっ…ん」
ただ触れただけなのに、ピーリスの体がピクリと跳ねる。

残酷な衝動が、セルゲイの胸に湧きおこった。

もう少し、焦らして乱したい。…狂わせたい。

95:B.B.H.(00)8/11
08/12/26 22:55:54 FHSOnfzJ
セルゲイは彼女の谷間を遡る。
わざと入り口に向かわずに、シャワーの湯にさんざん嬲られ、
充血して固くなったピーリスの粒に、自身の先端を押しつけた。

「あ!やあああっ!大佐っだめぇ!」

押し込むと、彼女がぬるりと滑って逃げまわる。
セルゲイはそれを、自身の切先で執拗に追った。
捕らえて押し突き、くにくにと捏ねまわす。
ピーリスが激しく乱れ出す。

「たいさっ!あっ!そこっもう、だめっ!あっ!ああおねがいっ!」
鋭い刺激に耐えられず、彼女の腰が、くねり逃げる。

「いれてっ…ください、おねがいっ!中っ、塞いでっ!埋めてっ!」
泣きそうな声と表情で、ピーリスは初めて、男の楔を身の内にねだった。
激しく哀願する姿に、セルゲイの背筋にもゾクリと妖しい戦慄が走る。

さらにもう一声を欲して、セルゲイはしつこく女をなぞる。
互いの零すぬめりを使って。
「ああ許して!もうおねがいっ!たいさっ!いじわるしないでぇっ!」

初心な彼女にここまで必死にねだられれば、本望だ。

「すまんな…今、いく」
すがる彼女のこめかみや目元にそっとキスをしながら、
セルゲイがささやいた。

年甲斐もなく逸る気持ちを抑えながら、
セルゲイはできるだけゆっくりと、彼女の中に自身を沈めた。

「ピーリス…」

細い腰を掴んで拘束し、逃がさない様にじわじわと、深く、貫く。

「あ…あ、あ!…ああっ!」

待ちわびていた愛しい男の侵入に、子猫の様な声があがる。

セルゲイの形に添って押し開かれた、狭くて浅めな彼女の中は、
いつも以上にぬめり、温かかった。
セルゲイは獣じみた愉悦の息をつく。
ゆっくりと根元まで埋め込むと、そのまま
早いテンポで小刻みに腰を振リ始める。
貫き納めたままの姿勢でピーリスを揺らし、
振動で内から彼女を犯す。

「んっ、あっ、あっ、あっ…は…ぁっ…ん」
恥毛を擦りつける様にして揺らされるピーリスもまた、
拙いながらも腰を使ってセルゲイを迎える。
小さな体で懸命に、男の激しい欲望を受けとめようとする。
浮いた足を男の足にきつく絡ませ、求める。

男の刻む早いリズムに合わせて、あっ、あっ、という
甘い声があがる。
うわごとの様に、たいさ、たいさ、とセルゲイを呼ぶ。
首にかじりつく彼女の背を、頭を抱える様にして
セルゲイはさらにきつく抱きしめた。

96:B.B.H.(00)9/11
08/12/26 22:56:29 FHSOnfzJ
体を密着させて、互いの肌の匂いと温もりとを確かめ合う。
それぞれの耳元で、求める相手の荒くて熱い息づかいが響く。
痺れる様な快感が、繋がった場所から甘いさざ波となって
二人に押し寄せて来る。

高く、細くなるピーリスの悲鳴に合わせて、
彼女の中が別の生き物の様に淫微に蠢めきだす。
埋め込まれた欲望に、粘液で満たされた温みがまとわりつく。
官能的な女の内部に包まれて、徐々に自分の猛々しさが溶かされ、
呑み込まれてゆくのをセルゲイは感じた。
誘いの手を振りほどくかの様に、セルゲイは一旦、軽く腰を引いた。

「いや…抜か、ないで…っ!!」
置き去りにされると恐れたピーリスが、絶望的な声を上げる。
…抜くものか。
セルゲイは、最奥に向けて深く強く、打ち付けた。
ぐっと奥を押してから、再び小刻みに腰を振る。

「い…っやぁぁあああああっ!!」
ピーリスが、啼いた。
男に揺すられる度に注がれる細かい振動が、彼女を絶頂の淵へと追いつめてゆく。

「あ、あっ!たいさ、それだめっ!もう…もうっ!」

いやいやと激しく頭を振って、きつく、きつく、セルゲイにしがみつく。

「やああっああだめ!おねがい!も、動かさないでぇっ!」
迫り来る絶頂感に、いや、いや、だめ、と繰り返し叫び、
心の内でまだ来ないでと、自分の体に懇願する。

達する寸前の、ピーリスの癖だ。

「イっていいぞ…ピーリス」
彼女の変化を見て取って、セルゲイが最後のタガを外してやる。
掠れた声で、彼女の耳元で、囁く。
ピーリスの最後の理性が、崩れ落ちた。

首が、背が仰け反り「あ、あっ、ああ…」
足が、膝が、上がって「たいさっ…たいさぁっ…」
閉じようとする女の部分が、じいんと痺れて
「あぁっ!たいさああぁああ…っ!」
大きな快 感 の 波 に、呑 ま れ る… 。

「ーーーーーーっ!」

声にもできない悲鳴を上げて、ピーリスは達した。
男をくわえこんだ場所で、激しい肉の収斂がはじまる。

ビクッビクッとくり返される生々しい収縮に晒されて、
セルゲイが、唸った。
彼女の奥が、いつも以上に激しくセルゲイを攻めたてる。
さんざん焦らして悪戯をした仕返しだとでも言わんばかりに、
男を貪欲に吸い上げ、吸い尽くそうと淫らに蠢く。
セルゲイは腰を止めた。
彼女の施す襞の愛撫に身を任せ、背を反らす。
尻の筋肉が、固く引き締まる。
自分の腰をさらに押し付け、ピーリスの腰を強く、強く、引き寄せる。

欲望がひと際、大きく膨らむ。
引き絞り、内の白濁を一気に、潤みの中に放った。

97:B.B.H.(00)10/11
08/12/26 22:57:40 FHSOnfzJ
「はあっ…はあっ…はっ…はっ…あ…」

戻って来た聴覚が最初に捕らえたのは、
互いの荒い、息づかいだった。

「初めて、だな…」
繋がったままピーリスを抱きしめ、セルゲイが囁く。
「…?」
男の体に頭を預けたピーリスが、微かに顔を巡らせる。
とろけた後のうっとりとした表情でセルゲイを見上げる。

微笑みながら、男が呟いた。

「君の方から、あんなに…求めて、くれたのは」

うれしかったと告げるセルゲイに、
ピーリスの頬が、みるみる真っ赤に染まった。

「…今日の大佐は、いじわるです」
ふいっと顔を伏せながら、小声で控えめな抗議をする。

「嫌だったかね?」
「……やっぱり、今日はいじわるです」
言葉に詰まったピーリスが拗ねた様に言い返す。
「すまんな。そんな時もある」
笑いながら、男は再びピーリスの頭を自分の胸に抱き寄せた。

互いの肌が、汗と湯気とでしっとりと濡れているのを感じ合う。

「……離れたくないな」
セルゲイが呟いた。
「…私もです、大佐…」
今度は素直にそう答えると、
ピーリスはセルゲイの裸の胸に頬を擦り寄せた。

セルゲイの匂いに混じって、シトラスローズの香りがする。
幸せな匂いだと、ピーリスは思った。

----(終)-----



…そしてそのままポリネシアン・セックス。
無駄に長くてサーセン

98:B.B.H.(00)11/11【おまけ(一ヶ月後)】
08/12/26 22:59:33 FHSOnfzJ

「先月の水道料金が、いつもの倍近いんだが」

リビングで紅茶を嗜みながら、何気なくセルゲイがそう言うと、
向かいの席のピーリスがあからさまに動揺し、真っ赤になって俯いた。

「……その…シャワーは、ほどほどにな、中尉」

コホンと咳払いをしてそれだけ言うと、セルゲイは再び紅茶を啜った。


---(終)---


以上。お粗末。

99:名無しさん@ピンキー
08/12/28 03:31:33 MW8ji/oG
エロかった!GJ!!
おまけもいいね。

100:名無しさん@ピンキー
08/12/30 18:39:31 +v+Romaq
保守

101:名無しさん@ピンキー
08/12/31 22:36:28 Jdea9Wip
>>99
供養つき合ってくれてTHX
よいお年を

102:名無しさん@ピンキー
09/01/03 01:18:27 XYuIMPDo

「ごめん。」

とける白い息に、混じらせて体育館の倉庫で先輩は俯いた。
小窓から見える冬空は水色に澄んでいて、手をかけたポールは冷えていた。



「さる。いつまで落ち込んでんだよ」

角のスーパーへお使いに行くとジャージ姿の友人がいた。
隣の家に住む幼馴染だ。
「……うるさいな。誰がサルよ」
"卵1パック/牛乳2本(低脂肪の)"と書かれたメモを握り締めて、がっくりする。
人が落ち込んでるのにやめてほしい。
「勝利には関係ないでしょ。あたしが落ち込んでようと暗かろうと」
「んー。愛が寝てると朝が静かだよな」
「うるっさいなあ」
眠ろうとしても買ったばかりの携帯を無駄に見つめてしまって眠れないんです。
今までの時間に起きられなくて遅刻しそうになるのもしょうがないでしょうが。
賞味期限をチェックしつつ奥に手を伸ばして新鮮なのを引き寄せる。
よ、とパックの両脇に指を入れて籠に移した。
スーパー特有のBGMに特売タイムサービスのアナウンスがカットインした。
勝利が反応してパン売り場に去っていった。
忘れることにして、さっさとレジに並ぶことにする。
ひとつ向こうの台ではクラスメートのお母さんがレジを打っていた。

冬の外は寒い。
夕方ならなおさらそうで、黒い電線がやけにくっきり空に写っている。
マフラーに顔を埋めるようにして歩いた。
高めの位置で二つ結びにした髪が、頬にかかってちょっと邪魔だった。
ポケットには安全のためにとお母さんが持たせた携帯電話。
荻野部長とつきあうときに新しく買ってもらったのに無駄になってしまった。

―もちろん、振られたことはショックだったのだけれど。
(暫く跳び箱の影で、マットに伏せって泣いた。)

荻野部長が悩んでいたことを全く気づかなかったことに
もうどうしようもないくらいのショックを受けて立ち直れなくなった。
結局、あたしは子どもなのだ。
こんなに、自分のことで精一杯だっただなんて。

---------------

年明け早々ですが。
幼馴染のふたりで時々埋めネタに投下していたもの、
もう続きが思いつかないのでお炊きあげします。

103:名無しさん@ピンキー
09/01/11 11:16:32 Uo1Xc/BM
保守

104:名無しさん@ピンキー
09/01/11 21:16:53 hxVSQD9f
>>102
幼なじみ萌えたよー

105:名無しさん@ピンキー
09/01/22 23:09:27 iZG0u4BO
ホッシュホッシュ

106:名無しさん@ピンキー
09/02/01 19:20:28 GIRGX/wJ
保守

107:名無しさん@ピンキー
09/02/03 23:36:30 PwMDszzs
「ね、アルノルト先生、なんだかごつごつしているでしょう」
「はい、いや、ええと……」
この状況でどう答えたものか。アルノルトは眉を歪ませて「なんとなくですが」と曖昧な返事をした。
視界は彼の使える主人の背中で遮られていた。彼女と同じ名前のバラ色、薄いピンク一色である。
柔らかく寄った皺まで美しい絹の生地がさらりと動いた。セシリアが振り向いたのである。
「なんとなくですか?」
ゆっくり、はっきり、おっとりした発音でセシリアが尋ねた。
小さな頭を傾げたときに長い金の髪が背中に流れ、セシリアを抱えるアルノルトの腕を擽った。
唇を引きつらせ、ますます硬直したアルノルトをじっと見おろすのは目尻の柔和に下がった小鳥のような目。樅の幹の色をしている。
アルノルトは彼女の眼差しを常々温かい素敵なものだと思っていたが、この至近距離だと話は違う。
彼はセシリアの顔から目を逸らし、自分の太腿に乗る小さなお尻を見、また慌てて目を閉じた。
「先生?」
「あ、申し訳ございません。ええ……いえ、痛くなんてありません。決して」
「そうですか。ありがとう。下ろしてください」
「はい」
心底ほっとして、アルノルトは少女の腰を抱いた。
猫を持つように(主人に対して失礼な例えだが)セシリアを床に下ろし、自分も大急ぎで椅子から立ち上がる。
彼女の座っていた太腿から、さっと熱が逃げてゆく。
体の前面にわずかに残ったぬくもりと重みの余韻、それから髪の甘い匂い。勘弁してくれ、とアルノルドは胸のうちに呟いた。
大体今の時間は詩文学の時間だったはずだ。
さあ今日はお嬢様は何分でお眠りになるだろうかと思いながら扉を開けたのが五分前のこと、彼女はアルノルトに仕事をさせてくれなかった。
開口一番こう言ったのだ。
『アルノルト先生、私のお尻ごつごつしているらしいの』
お母さまが昨晩仰ったのです。ええと、昨晩というのもお食事のときで、ええ、あらかた食べ終わったところなんですけれども。
そうそう、デザートのバニラアイスにかかったラズベリーソースが、(中略)、
それで、あなたは小さい頃お尻が薄かった、膝に乗せるとお尻の骨が当たって痛かったのよ、と仰られて。
『……なのです。先生、お膝の上に座らせていただいてもよろしいかしら?』
『よろしくありません』
いつもの要領を得ない長話を聞き流し、アルノルトは結論にだけ当然の即答をした。
セシリアは心の底から驚いた顔で、「まあ」と一言だけ発した。
これはあれだ。断られることを想定していなかった顔だ。
このあとはきっと不思議そうな顔になり、悲しそうな顔になり、泣きそうな顔になり―最後には花も恥じらう笑顔で、絶対にこう言うのだ。
『ありがとう、アルノルト先生。はい、どうぞ。私の椅子に腰かけてくださいね』
折れたアルノルトは胸中を見せない無表情で、瀟洒な花柄の椅子に腰かけた。
傍から見るとさぞや面白い絵であっただろう。無骨な青年が小さな椅子に座り、その上に華奢な美少女が腰掛ける、という。
ちなみに、教師たるもの教え子に嘘は教えない。
セシリアのお尻は丸くて小さいという事実は、アルノルトのよく覚える頭に鮮烈な体感として刻まれたのである。

108:名無しさん@ピンキー
09/02/03 23:37:11 PwMDszzs
クロフォード家の次女であるセシリアは御年十七歳。
それぞれ二つずつ年の離れた姉と妹がいるが、明晰揃いの姉妹の中で彼女だけは(いい意味でもその倍ぐらいの悪い意味でも)毛色が違っていた。
良く言えばおっとりと慎み深く清楚で大人しい。悪い意味では一言、ぼけている。
深窓の令嬢の世間知らずが行き過ぎたというレベルではないこともしばしばで、七歳の頃から彼女を知る家庭教師のアルノルトは、
諦め半分苛立ち半分、はみ出たところにどうとも表し難い妙な愛情を持ってセシリアに接してきた。
「ねえアルノルト先生、どうしてここは十二分七だなんて中途半端な答えになるのかしら?」
「正解です。良くできました」
「できました先生。答えは七です。私、七って好きです。アルノルト先生のお誕生日は七月七日ですし、私が初めてあなたにお会い……」
「間違いです。やり直して下さい」
「はい……」
 数学の時間ならばこう。
「それより、先生の国の言葉で、愛してるってどういう発音だったかしら?」
「イッヒ・リーベ・ディッヒ」
「まあ嬉しい!」
「知りませんよ」
外国語の時間ではない。政治学の時間である。とにかく万事がこんな風で堪らないのだ。
アルノルトはスーツのズボンを引っ張った。
皺など寄っていないと分かってはいたが、まだ柔らかい感触の消えない太腿がどうにも収まり悪かったのだ。
詩を朗読するセシリアの肩越しに、ちょこんとした耳越しに、ふっくらとした頬を見る。
アルノルトは溜め息をついた。
セシリア本人に直接その容姿を褒めたことはないが―何と言えばいいのか分からない―心底思う。
こんなに可愛らしいのだから、中身がもう少ししっかりしていれば申し分なかった。
家庭教師として自分が不甲斐ない。嫁に出すのにも先々不安である。いやそもそも貰い手があるだろうか。
春を讃える言葉がアルノルドの耳に流れ込む。
仕事中のこと、口先だけはしっかりとセシリアのラテン語の発音を訂正するのを忘れずに、アルノルドはぼんやりと窓の外を見つめた。
色とりどりのバラと昨夜の雨に艶めく芝生、季節の花のアーチと噴水は小さくともおしゃれで凝っている。
この授業が終わったらテラスでお茶にしましょう、とセシリアが言っていた。
クッキーをつまみながら脈絡も取り留めもない長話をテンポ悪く自分に語りかけるセシリアを想像し、アルノルトは苦笑した。
『そう思いませんか? アルノルト先生』、柔和な頬笑みを浮かべ、小首を傾げて尋ねるセシリア。
今日も庭を散歩する時に手を繋ぎませんかとせがむだろうか。家庭教師離れをさせるために断り続けてもう三か月も経つのだが。
「アルノルト先生、どうかされましたか?」
は、と顔を上げ、アルノルトは自分の意識がここにあらずだったことに気がついた。
「申し訳ございません」


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch