08/11/29 04:11:08 wX09AkCl
積み上げられた本。
書いては捨て、書いては捨てられた紙くず。
乱崎家のリビングはそういった物体に征服されようとしていた。
ちょっとした図書館戦争状態である
「猫さん、何をしたいのかわからないけど紙が勿体ないわよ」
「ちょうどよかった千花、貴様も考えろ」
「考える?」
「名前だ。この前の検診で男だという事もわかったしそろそろ決めねばならん」
「ここまで大きくなぅて、呼び名も決まらないのは感じ悪いですしね。」
乱崎家の子供たちの名前は、全部超常現象対策局が選定したもので、正直このメンバーの中に
ネーミングセンスのある者は居なかった。
「この本とやらも没個性でつまらんものばかりだ」
「ちなみにほかの子どもたちにも聞いてみたのですが・・・銀夏くんのはなんだか源氏名みたいなのだし
帝架も月香も雹霞もよくわからないという事で当てにはなりませんでした」
そばにいてうんうん悩んでいたらしい優歌もまだ選びきれないでぐるぐる目玉になっている。
「そうねえ、昔からよくある方法だと、親の字を当てるとか、繋がりのある字を持ってくるとか」
「ふむ。それも簡単でいいかもな」
「太郎、次郎のような付け方ですね」
「凰火さんが『鳳凰』の『凰』だから・・・」
さらさら、
「『鳳』と『火』で『鳳火』なんてどうかしら?」
「千花さん、その漢字ですがちょっと音読みしてもらえませんか」
「【ほう か】 だけど・・・ あ。 」
「やっぱ駄目だな…ああもう、我が家にセンスのある奴はおらんのか!?」
・・・結局その日も決まらなかった。
なお、後日大日本帝國民法の一部改正が行われる事(出生届提出日の延長)
になるとはこの時は誰も思っていなかった事である。