08/11/22 20:47:53 rFKY5GN2
「お、凰火」
「おや」
玄関には銀夏の言った通り超常現象対策局に向かうらしくスーツを着た凰火が靴を履き、とんとんと爪先を揃えていた。
「珍しく早いですね。今日は鉈でも降るのでしょうか。
で、どうしたのです?」
「うるさい。……そこに屈め」
「は?」
「いいから屈め、馬鹿!」
なにがなにやら分からないが、凶華の言われるが侭凰火はその場に屈んだ。
「…その」
「な、何でしょう」
凶華が凰火のワインレッドのネクタイを掴んでくる。殴られるのかと思い冷や汗が流れる。
が、
「…いってらっしゃ、い」
凶華の唇が近付く。
理由とかなんだかは分からないが、凶華は朝から甘えたかったのだろうか。
凰火は推測し、凶華の唇を待つ。
…だが、一向に唇と唇の距離が縮まらない。
「凶華?」
「――う、うう、ネ」
「…ネ?」
「ネクタイが緩んでるぞぉぉおお!!!!」
ぎゅううううぅぅう!!!!
「はぐわぁぁああ"あ"?!ぐ、くるしッ、ぎゃああああ!!!!」
あろうことか凶華が掴んでいた凰火のネクタイを思いっ切り、力の限り締め上げたのだ。
そしてその影では。
「これじゃ行ってらっしゃいのチュー、
…ってより逝ってらっしゃいのギューね」
銀夏がウマい事を言っていた。
おわり