08/11/12 03:13:56 HpTBW2kk
草木もそろそろ眠りにつこうとしている深夜。
乱崎家の大黒柱兼専業主夫の乱崎凰火も
主に専業主婦である筈の妻が汚したり溢したり放置してあるアレやコレを片付けて、
お風呂の湯を抜いたら寝ましょうかね明日の朝は夜の味噌汁が残っているから
炊飯だけセットして・・・と一日の終業作業へと勤しんでいた。
「こ・づ・く・り しましょ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
まくらを抱きしめ、(なぜかYESという字が印刷されている)
いつもはきぐるみお子ちゃまパジャマを愛用している筈の猫奥様は
なぜかニットのVネックセーター一丁という本性を知らない人が見たら
インモラルの波に飲まれてしまうだろう愛らしさで立っている。
[注釈]----------裸にYシャツいちまいとか裸にだぶだぶの上着いちまいは
太古の昔からその筋の方々には決して見せてはいけないスタイルである!
長男銀夏は仕事。
長女千花 は友達の家にお泊り会。
次男帝架はペットサロンにてもふもふの一泊トリミング。
次女優歌は
三男雹霞は半年に一度の総合メンテナンスでスリープモード。
三女月香はまたどっか行ったのか行方不明。
と、本日は狙ったかのような子供不在の夜である。
決してSS書いている人の都合ではない。無いのだ。
凶華語が理解できずに立ち止まる凰火。
「あのね凶華。うちには6人も子供がいるのに。これ以上増えてどうするんですか。」
「うむ。既に《乱崎さん家(ち)が大変だ!2064夏スペシャル》の枠は貰っているぞ。」
「そんな全日本国民に子々孫々語り継がれる黒歴史番組のオファーを取らないで下さい」
いつもの他愛も無い夫婦の会話と一笑に伏して終わらせるべきと淡々と話す凰火だが、
不意に凶華の調子が変わった。
「・・・貴様は」
「宇宙人や娘とはできても、なぜ妻にはできないというのだ?」
「・・・・・・・・・・・え?」
「だっ、だから、一緒におふろー、とかっ。」
「いやそのそれはですね。僕がどうこうした訳ではありませんので」
「ずるい。ずるいぞぉ・・・凶華様だって…凰火と…」
それ以上の言葉が出せない。瞳が潤んで薄緑色の揺らめきを作り出した。
「凶華!?そ、そんな事で泣かないでください」
「…じゃあ、いい?」
ズキュンと夫のハートを狙い撃ち。
「仕方ありませんね・本当に貴女って人は僕の心ばかり掻き乱して、全く」
苦笑しつつも丁寧な所作で、妻を導く。
今宵も最後まで勤めを果たす高性能な旦那様でありました。