【MH】モンスターハンターでエロパロ 15匹目【モンハン】at EROPARO
【MH】モンスターハンターでエロパロ 15匹目【モンハン】 - 暇つぶし2ch500:名無しさん@ピンキー
08/11/07 22:29:27 ICT30wQB
青菜に保守

501:名無しさん@ピンキー
08/11/08 10:42:27 yCQ8dRcc
このスレ自由度高くて面白いね
もう普通のエロパロじゃ満足出来なくなりそうw

502:名無しさん@ピンキー
08/11/09 09:48:15 iLARAA7f
まあ人手が足りないのが現状

503:14匹目スレ768
08/11/09 16:16:14 txhqvgId
前スレ>>768-778ヤマツカミ続き投下しますよ、と。
不手際なければ話に14レスほど拝借。
エロスに期待してはいけない。
注意書きは擬人化っぽいような原形っぽいようなヤマツカミとハンターの話。
同性愛的表現あり。長い。MH的要素薄。
ある意味ホラー。むしろオカルト。
設定間違ってたら心の中でそっと補間して。
 
スルーしたいという方はタイトル『喰い遺しにつかれ』をNGにどうぞ。

↓久し振りなんで粗筋。
チビ・ガリ・非力と三拍子そろった貧乏ハンター・サイレ。
密林で消息を絶った、友人の植物学者の捜索を試みようとする美人依頼主の泣き落しにより、鳥竜の群れ相手に時間稼ぎをする依頼を請けた。
現地での活動中、サイレは大きなタコに似た謎の生き物に捕らえられてしまう。
タコに似た生き物・ルークは、サイレに筆談で語りかけてきた。
元は人であったルークは密林で命を落とし、死体を喰われた事で、タコ似の生き物の体を乗っ取ってしまったというのだ。
時間稼ぎの肩代わりをする代わり、自分の遺品を捜して欲しいと頼み込むルーク。押しに弱いサイレは頷く事に。
ルークの願いを聞き届けたサイレは、ルークこそが依頼主の探し人その人だと知る。
サイレは依頼主とルークの境遇に同情し、遺品を依頼主の元へという更なる頼みをきくことにした。
知り合ったばかりのサイレからの好意にルークは感謝するも、現状では満足な謝礼も払えない事を心苦しく思う。
容姿に自信のあった生前ならば、体で払う事もできたろうにと冗談をいうルークに、サイレはそれで構わないと返し、ルークを酷く慌てさせた。

504:喰い遺しにつかれ 1
08/11/09 16:18:35 txhqvgId
木板から鉄筆を抜くのをあきらめたのか、ルークは筆の柄から指を放した。
「労働力を提供してくれるのかと思ったけど、そっちさえ構わないなら正気を疑われる方のでも、有難く戴く」
木板の両端を支え持ち、ルークは触手を軽く左右に振るう。
ひたりとそれが動きを止めた。
乾いた音を立てて、板は真っ二つに割れた。断面からは刺さっていた鉄筆が転げ落ちる。
へし折ったのか、叩き割ったのか、どちらだかはわからないが、ルークは改めて筆を手にした。
『今 わたしは かつてないほどの冒険者を前にしています』
「先に話振ったのはそっちだろうに、失礼な」
笑いながら言ってやると、べちべちと触手が砂を叩く。
『この体じゃ そんなのお礼になるわけ ないじゃないですか』
私は至極真面目なのに、からかっていると思われているらしい。
短さのおかげで乾いてきた髪を掻きながら、どう口説いたもんだか考えた。
「逆に考えてみようか。手が多いから、思わぬアレコレが可能かもだ」
『そっちが 受身大前提ですね はい 攻め手は得意ですが
 現実的に考えましょう 今はわたし タコですよ
 ううん タコじゃないけど』
解らんタコの人だな。
いや、解らんなりに察そうとする気だけは大事なはずだ。
「操を立てた相手がいたとかで、したくないとか」
依頼主さんが恋人なのかなと、思いついた。それなら諦めなきゃいけないな。
『そんな相手がいたら そもそも 言い出しません
 そうじゃなくて タコっぽいんですよ』
なら問題なくないか。
 
私は立ち上がって、ルークを見上げた。
目の前に揺れている触手を捕まえて引いても、ルークはびくともしない。
「ちょいと降りて来てみ。でなきゃ登るぞ」
触手を引っ張ったまま言った。
触手にも苔が生えてるけど、節がある分とっかかりが多くてたぶんよじ登れる。
三呼吸くらい待って無反応だったから、真珠を足元に置き、そのまま登攀し始めてやった。
文句ありげに、もう片方の触手が私の背中を軽く叩く。それと同時、彼の体が下降した。
大きな体に押された空気が風となり、彼の下から逃げる。
狭い場所に無理矢理降りたものだから、ルークの体はいろんな物を下敷きにしながら、こんもりと緑の丘と化した。
私は触手を一本掴んだままその丘を裸足で踏み登り、彼の赤い眼の間に伏せるように身を寄せた。
「ルーク」
たぶん、眉間に当たる場所に顔を擦りつける。
苔くさくてじっとりもしてるけど、微かに甘いような匂いも混じり、不快ではない。
ふかふかしてる。
掴んだ触手が私の手から逃れようと身をくねらせるのを、掴みなおした。
「人に触れたいんだろう」
手の中の触手が一瞬止まり、忙しなく左右に振られる。
散々撫でまわしてくれておいて今更否定しても信用ならんな。
大暴れの触手をひっぱり唇を押し当て、少し大人しくなった所に囁いた。
「私はあんたに触れられたい」
重く低い音が彼の内から響く。そろりと触手が動き、何度も私の頬の上を往復する。
もう一方の触手が脚に乗った。
背中には腕が乗り、その重さに潰されるようにルークの目の間に押し付けられる。
ヤる気なのか殺る気なのかどっちにしろ堪らんな。
 
私が息苦しくなってきた頃、ぐいと襟首をつかまれて、私は彼から引き剥がされた。
心なしか慎重に砂の上に下ろされて、それが終わると同時、両頬を触手に軽く打たれた。
早速に鉄筆を取り、彼は何かを書き始める。
『その気にさせないでください 私が力加減間違うと死ぬのですよ バカですかあなたは』
打たれた頬を打った触手がまた撫でる。
疑問形で済まされる話じゃない。バカだが、何が悪い。
『人間 おかしな状況に置かれると 逃避に走るものです
 ねえ サイレ 落ち着いて
 同情と錯乱だけで 異常な事を しようとしているんですよ』

505:喰い遺しにつかれ 2
08/11/09 16:19:58 txhqvgId
異常者を前に、正気に返らざるを得ない状態っぽいな、彼は。
確かに異常だなとどこか他人事のように私は認めた。それは開き直りだったのかもしれない。
情にもろいのとは、少し違う。ただ私は流されやすいだけだ。
「ガタガタ抜かすな。私の同情心を満たすために触られてやろうって言ってるんだ。理性の限界に挑みつつ、触れ撫でろ慈しめ」
言って、笑った。
我ながら、なんて嫌な要求の仕方なんだ。
仕方なさげにぐしゃぐしゃと髪を掻き回され、もっと笑った。
可愛いな、このタコの人は。自称ろくでなしだけど、きっと悪い人じゃない。
 
ルークの触手の間に背を預け、触手の節を爪先でたどり始めてみた。
触手はたまにそろっと動いて私の指を逃れようとする。意味なんぞないが楽しい。
そういえば、大事なことを確認するのを忘れていた。
「ルーク、荷物のことだけど。あれは誰に届ければいい」
先程、彼が頼もうとした事の内容はこれでいいはずだ。誰にかは、もう想像がついてる。
ややあって、ルークが差し出した木板には思った通り、依頼主さんの名前が書いてあった。
遺品を託すほど仲が良いんだと思うと、ちょっと、なんだろう。羨ましい。私にはそんな相手いないぞ。
『彼女には いざという時の事を頼んでいます』
研究資料の取扱いなど良いようにやってくれると期待していると、彼は書く。
信頼してるんだな。思わず口に出た言葉にルークはいそいそと返事する。
『はい 彼女は親友です ここに来て得た一番の大事なものですよ』
「恋人じゃないのか」
ルークは触手をふらふらと横に振り、それはないと私の脚に指でかいた。
左腕を軽く巻き取られ、掌に何か乗せられる。さっきの真珠だ。
ルーク曰くの『わたしの気持ち』をすっかり忘れていたのに気付いて、ちょっと気まずい。
『だから 恋人はいないと 何度言えば』
更に何かを書きかけて、タコの人の手は動きを止めた。
「ともかく、荷物を届けるのもしっかりやり遂げるさ。それくらいしないと、依頼主さんに申し訳ないしな」
頼まれた仕事は結局すっぽかしたようなものだ。
 
私が依頼主さんから請けた仕事について、ルークに尋ねられた。
実質の拘束時間と仕事内容と報酬を聞き出した辺りで、彼はまたそれはないと私の脚に書く。
『安すぎでしょう 彼女 最近装備を新調して
 金欠だとか言ってましたから 彼女としては 仕方なしかもしれませんが』
言ってくれるな。美人の泣き落しに負けて請けちゃった私がバカみたいじゃないか。
頭を撫でられ、頬や顎や鼻の頭を撫でられ、ついでに口元を宥めるように撫でられた。
『得られる物も少ないのに 彼女を助けてくれて ありがとう』
「私は何もしてないだろう。仕事中だってのに、あんたの上で寝っ転がってるだけだし」
案外寝心地はいいんだが、ちょっと背中とか尻が冷たい。
雨降りの後に苔の上に乗るのは失敗が過ぎる。
『結果の一つですよ 善意で行動したのに全部裏目に出ることだってあります
 今回はそうじゃないんですから 良しと思いましょう』
触手が髪の中に入り、耳の上辺りを優しく掻いた。温度のないそれに違和感を覚えなくなってきている。
彼の年長者の気配、弟がいると言っていたのは伊達ではないな。
私にも弟妹がいたが、どうしているのやら。ほんの数年の別れだと思いきゃ、もう二度と会えそうにない状態だ。
つい貧乏くじを引きに行ってしまうのは、私の中の年上気質の名残りなのかもしれない。
私より年下らしいこのタコの人、歳は幾つなんだろう。
 
慰撫とも言うべき触手の動きにうとうとしかけた時、鼻をつつかれ我に返った。
ぼんやりと瞬きしていると、目の前におずおず板を差し出された。
『サイレ お願いしたいことが 三つほど あるのです』
三つ、の部分は微妙に修正してあって、どうやら二つから数を増やしたらしい。
「多いな。いいさ、言ってみなよ」
我に返ってみれば、結構雷光虫が眩しい。彼らの光のおかげで文字が読めるんだから、別に文句はない。
髪を掻き上げようとしたら、左腕が上がらない。見ればルークの腕に絡み付かれ、握る形に固定されていた。
掌の中に丸っこい物の存在を感じる。真珠を落とすなってことか。

506:喰い遺しにつかれ 3
08/11/09 16:20:41 txhqvgId
また文字を書きつけ、タコの人の腕が板をかざす。
お願いの内容は、生前のルークのメモに名前があった人への届け物と、可能なら依頼主さんと仲良くして欲しいという事と。
依頼主さんとは以前からの顔見知りの仲だ。彼女はとても快活で、頼まれなくたって仲良くしたい人だと思う。
頼み事の後者は努力するが、前者の届け物はどこの何者へ何をかと尋ね返した。
彼が答えるには、植物学者の卵である故郷の弟の元へ、タコの人の体表に生えた苔を届けて欲しいそうだ。
何気なく尻に敷いているこの苔、何か特殊なものらしい。
『職権乱用でも この際知るもんかですよ 死んじゃったからには 転んでも ただじゃあ起きません』
ある意味殉職だから遺族に何かしらの手当を出ないかなと、板の隅っこに小さくルークの走り書きが加わった。
そんなの出る職場なのか。すごいな、さすがよく分からないけど偉そうな肩書持ち。
しかし内容が、弟にお土産あげてね、友達を慰めてあげてね、とは。死者から言い遣ったにしては、なんとも。
お願い事が一つ足りないが、私はそれを請けると約束した。
そう、このタコの人は死んだ人なんだ。
 
サイレ、と腹に指が文字をかく。くすぐったい。
顔を上げればまた板が出てきた。
『お願い増やしたからには やはり謝礼が必要かと思うのです 先払いで』
どう見ても無一文なタコの人から無理繰り何かを巻き上げようとは思わない。
今の時点でいろいろ貰っているしな。
「それなら気持ちだけでいい。どうしてもってなら、体でお礼、だね」
自分のしつこさにちょっとおかしくなって、笑いをかみ殺す。
左腕に絡み付いた彼の腕が、私に自身を叩かせた。
ちっとも威力のないそれを何度か繰り返されて、私はしまいに噴き出す。
そういう反応が面白いから、しつこく言うんだ。
『もう それでお願いします このお馬鹿さんめ どれだけ挑戦者なんですか
 あなたが後悔しようと もう一つのお願いも聞いて貰い易そうですし』
後悔はするかもしれないな。その場のノリとか勢いとか、そんなもので色々後悔しがちな自覚はある。
さて、もう一つのお願いとやらは何か。
 
じゃあ早速と腰を浮かした途端、左腕をぐいと引かれた。
相も変わらず、私に握り拳を作らせたままの彼の腕を引き返して尋ねた。
「放してくれないのか」
触手の先が私の鼻先で、『まって』と宙に書く。
この期に及んで何だ、待ってって、あんたは乙女か。
触手を退け、代わりに私の顔の前に出された木板には殊更小さく何か書きつけられていた。
逆光状態で読みづらかったので、板に右手をかけ傾けた。
目を凝らして見るそれには。
『今更訊くのもなんですが わたし 臭くないですか 腐敗臭とか』
すん、と鼻を鳴らしてみると、ルークは板切れを引っ込め、私の鼻の前で触手を扇ぐように振る。
もう匂い嗅いだ後だからそんなことしても無駄なのに。
苔くさい。でも腐敗臭はしない。生臭い匂いももう感じない。
辺りからは雨が降った匂いや、岩肌の匂い、木々の匂い、湖の匂いはする。
このタコの人は自称腐肉喰らいのわりに、今はあまり生き物らしい匂いがしない。
しいて言えば、腐葉土の匂いならする。
「苔くさいけどそりゃ周りの草くささとあんまり変わらない。強烈に臭かったらわざわざくっつかない」
鼻先をはたはた扇いでいた触手が止まった。
それが、鼻をつつき、頬をつつき、また髪を掻き回した。
視界の端から、そろっと現れた板切れには少し大きくなった文字がつらつらとある。
『苔のあちこちに 落陽草植え付けたり それ食べたり 臭わないようにしてるつもり ですが』
鼻も人と違いますので、身嗜みが完璧かは自信がなくて、だそうだ。
落陽草とは日陰に育ついい匂いのする草で、消臭作用がある。
何度か見た、体から草をむしって食べてたのはそれか。
自臭を気にするタコの人。彼は生前は潔癖症か洒落者だったんだろうなと思う。
自画像も高嶺の花っぽい雰囲気だったが、それに関しちゃあんまり信用してない。
 


507:喰い遺しにつかれ 4
08/11/09 16:21:19 txhqvgId
それはそれでそろそろ放せと左腕を揺する。ようやく彼の腕が解かれ、少し感覚が鈍くなった腕を振った。
掌の熱が移った真珠を右手に持ち替えて、ルークの触手の間から砂地へ滑り降りる。
自分の荷袋の口を開け、彼曰くの『わたしの気持ち』を大事にしまい込んだ。
何気なく髪を掻き上げると、まだ少し砂っぽい。これはよろしくない。つんと、その手の甲をつつかれた。
肩越しに振りかえったところに、待ち構えるのは小さな木切れ。
『あのですね サイレ』
「今度はなんだ」
木切れに代わって、木板が差し出される。
『するならするで わたしの方には色々と 準備が必要です
 身を清めるとか そう いろいろと
 しばらく お待ち頂けますか』
水浴びするタコの人は、想像しちゃいけないんだろう。
どっちかといえば、泳いでるタコの人の方が想像しやすいというのは禁句なんだろう。
「ああ」と生返事をする私の前で、ルークは触手同士をべちっと打ち合わせる。
彼の腕が彼の巨体の後ろへと回り、板を一枚引っぱり出す。
例によってカカッと軽快な音がする。その僅かな間に文字が刻まれた面を、ルークは私に向けた。
『サイレも 水浴びとかしては如何 あ 一緒には やですよ 恥ずかしいから』
タコの人は、合わせたままの触手の先端を目の前まで引き上げ、顔を隠すような仕草をしてみせる。
不気味だが可愛いと思ってしまった。人じゃないから逆に可愛いと思えるのかもしれない。
これで生前が自画像通りの顔じゃなきゃ、ある意味犯罪だろうよ。目の毒って意味で。
「あんた、歳幾つだ」
十代ならまぁ、ありか。二十代なら、ちと無理か。顔を隠したままのルークが二十四という数字を示す。
それはないと一瞬思った。が、今の彼はタコの人だからどうでもいいや。
「私と二つしか違わない」
考えてみれば、彼は学者様とやらだ。
何となくおっさんしかいないような職種だと勝手に思いこんでいたが、その中ではかなり若年で幼い者という扱いを受けてたのかもしれん。
その、周りを誑し込んで好きなようにしてたってくらいだから。
 
 
肩を揺すられ、目を開けた。なのに光は見えない。塗り込められたような闇だけがある。
眠っていたらしい。いや、まだ眠りの中なのか。
あれから、ルークに促されて湖の水を浴び砂を落とした。
あちら側の準備がまだ続くようだったから、少し仮眠をと横になり、今目覚めた、んだと思う。
たぶんそのはずなんだが、様子がおかしい。
体を横たえたのは、確かにベースキャンプに浮かぶ船に備え付けられた寝台の上だった。ここは何処だろう。
瞬きしても目を凝らしても、見えるものは何もない。鼻を摘ままれたってわからないというヤツだ。
軟らかいような、滑らかでいて何の温度もない奇妙な感触が背中に当たっている。
嗅ぎ慣れない不思議な匂いがする。嫌なものではない。鎧戸の向こうの嵐のような、絶え間ない低い音が小さく聞こえている。
そっと二の腕に何かが触れた。
「ルゥ、クオンド」
私の尻上がりの声に応える様に、闇の中に白く人の顔が浮かび上がる。
骨を思わせる妙な色艶を持つ輪郭を、深緑色の癖毛がふわりと覆う。緩やかな眉、目蓋は伏されて濃い睫毛が弧を描くのが見える。
血の気のないのに瑞瑞しい唇が、うっすらと笑む形を取っていた。ルークの描いた自画像そのままの少女めいた美しい顔だった。
闇から染み出す様に、ルークの体全体が見え始める。仰向けに寝る私の横に座るそれは、人の形を備えていた。
「サイレ」
形のいい唇が動いた。その声は耳に残らない。
私は信じられない気持ちで、ルークの体を見上げた。
一糸纏わぬ生白い肢体。
それに付いてる、チチ、乳。いうなればおっぱい。何故にそんなにぼいんぼいん。
「あんた、オンナか」
うっかり声も裏返る。何そのええカラダ。
男でも女でもいけるクチだが、こういう不意打ちだとなんというか。
彼、もとい彼女は口元に笑みをたたえたまま。その目蓋は閉じられているのに、実に正確に顔を近付けてくる。
いいんだけど、いいんだけど。そっちはいいのか。
覆い被さられ、ますます間近に迫る彼女の睫毛の存在感など見惚れる内に、口付けられた。
軟らかくていい匂いがして、甘い。
花弁のような唇ってこういうものかもと、どこかぼんやりと思った。
 


508:喰い遺しにつかれ 5
08/11/09 16:23:05 txhqvgId
比喩抜きに甘い口付けをされる中、覆いかぶさる体からじわりと重さがかかる。
圧し掛かる彼女の体は少し冷たいようで硬い。私より背丈がありそうだ。
滑らかな指が私の腹を撫で上げ、インナーの中に潜り込んだ。彼女の指が階段を登るように肋骨をたどり上がって行く。
動悸を激しくし始めた胸に、意外に大きな掌がぺたりと乗った。
心を丸ごと掴まれるような見透かされるような錯覚にくらくらする。
ルークの顔が少し離れ、私の顔のすぐそばでその唇がまた笑む。
彼女は体勢を変えたらしく、股間へと布越しに彼女の太腿が押し付けられた。
「ない」
うっすらと微笑んだままのルークは、そう呟いた。
何が、と聞き返す前に、彼女の目蓋が初めて開く。私は息をのむ。
眼球の白くあるべき部分が黒い。大きめな虹彩はタコの人と同じ赤。そして瞳孔は横に長い。
異貌だ。髪の毛が深緑色だなんてどうでもよくなるほどの異貌。ひとならざる者の眼。
なのに美しいと思えるのはどういうこった。
「すこし まって」
言うなりルークの片手が柔らかく私の目を覆う。また、視界は黒でもなく闇に閉ざされた。
片手で襟元が開かれ、インナーは流れるような動作で体から剥がれてしまう。
目蓋を塞がれていることもあって、何をどうされたんだか解りもしない。
鎖骨に胸にひやりとした口付けが落ちる。遠くから、乾いた音がした。
彼女の体に手をかけようと腕を伸ばしたけれど、その手は宙を掻いた。上に乗っているのに、何処にいるんだかわからない。
 
ルークの手が退き、赤い目が私を見つめている。
「女の人だったんですね、勘違いしてました。すみません。同性相手で攻め手は初めてですが、為せば成ります」
変わらぬ微笑と、微妙に不安を覚える言葉。
私も同性相手で受け身なのはあまりないんだが。代わった方が良くないか、これ。
身を起こそうとすると、有無を言わさぬ力で押し留められた。
「じっとしていてください。わたしが頑張らないと意味がないでしょう」
わたしからのお礼なんですからと囁くルークの唇は、うっすらハチミツの匂いがする。
唇艶々だから、蜜蝋入りの保湿クリームでも塗ったんだろうか。でもあれは甘くない。さっきキスした時は甘かった。
彼女の両手が私の髪に潜り込み、そっと頭を包まれた。
「ねぇサイレ。どういうのが好きですか」
どういうのって、あんた。
「負けん気が強いのにどこか頼りない感じの人が。女顔も好きだな」
ぐっと頭蓋が圧迫される。痛い痛いって。
お前の男の趣味なんぞ訊いてないと言わんばかりのルークは、それでもほのかな笑みを絶やさない。
まぁ無粋だわな、私が。
「すまん。ええと、改めてどことも明言しづらい」
「なるほど」
ルークの両手が力を緩めた。と思うと、彼女の指はいやにねっとりと頭皮の上を這う。
半球をなぞる様に滑り、耳の上から頬へと下りる。
「好きにしますよ。触れられたいって、あなたが言ったんですから。余すところなく堪能しますとも」
含むところのなさそうな声。異貌の美貌に浮かぶ表情は変わらず。
手だけは熱心に、私の顔面の凹凸を丹念に触れていく。
それは何かを塗り込めるかのようでもあり、舐めるようでもある。
「鼻の穴とか、好きじゃないですよね」
本気とも冗談ともつかないそれには、「当然だ」と答えておいた。
 
「大事なものは目に映らないと言われます。案外そうでもなかったりするんです」
間が持たないと思ったのか、そもそもこういう時に饒舌なのか、ルークは話し出した。
彼女の手は今、私の首とその近辺を『堪能』中だ。喉探っても喉仏はないってば。
「じっくり観察して初めて見えてくるものもあります。目蓋でもって世界から切り離して、暫く寝かせて、ある日ようやく見えてくるものもあります」
両の鎖骨をたどり、彼女の手が肩を包み、ぺたぺたと貧相な肩を撫でまわす。
筋肉少ない上骨っぽくて、触り心地悪いんじゃないか。触られる分には悪くないんだが。
「自分の目で見ておくことは無駄じゃないのです。本当ですよ」
淡々と、何を言うのだろう。
教養のある人は小難しいことをうなるものだと相場は決まってるらしいが、何故に今。

509:喰い遺しにつかれ 6
08/11/09 16:24:23 txhqvgId
彼女の片手が私の胸へ移動した。
「何が言いたいかっていうと、つまりはです。自分の目であなたを見たかったなって思うんです。あなたをよく知りたいのに」
赤い目も、私を撫でまわした触手も、本来の彼女の物ではないんだった。見え方感じ方が違うって言ってたっけな。
肉付きが薄いを通り越し、肉のない胸をそろそろと撫でられている。
揉むところなんざ皆無のあばらの浮いたようなとこだ。
「人の心はその胸の器に宿ると言いますが、そうなら今、わたしの手はあなたの心に近いんですね」
心臓が跳ねた。何言ってんだ、本当に。
肩に残っていた方の手が離れて、また目隠しをする。目蓋の裏に、切り取った世界を仕舞い込めってか。
少しずつ私の息が熱くなるのに、あちらは一向にそんな気配がない。あたたかいと胸に指が書くのすら、ちょっと気持ちいいのが解せん。
 
薄い唇が柔らかく耳たぶを挟む。目蓋を閉じられたって、流石に何されてるんだかわかる。
軟い肉が合わさり離れる、チ、チという濡れた音が、触れられるくすぐったさと併せて興奮を煽る。
目隠しを外されて目に入るのは、深緑色。髪だ。
手に取り、唇を寄せる。手触りは頼りないけれど、苔の匂いと花のような香りがした。
「だめですよ」
やんわりと手から髪を奪われる。そのまま手首を握り込み、ルークは言った。
「サイレは温かくて生きてるって気がします。素敵ですね」
彼女の手は大きいだけじゃない。細いように見えて、結構がっしりしているというか、硬い。
指の縁は何やら軟らかいような感触もあるが、まさか体の縁のヒレヒレしたアレだろうか。
手首に口付けられるのを息を詰めて見つめた。
「はやく なってますね」
舐めるでも吸うでもなく、歯も立てずに、ただ柔らかに小さく唇が動いて脈を食む。
何かに濡れた唇からの口付けは心地よかった。やがてゆるゆると、私は溜め息を吐く。
「ねぇサイレ。わたし、思うんです」
「……ぅん」
手首を放してくれた代わりのように、顎をついと上げられた。
好みの顔形なのに赤いヤギ目で、ルークの顔はちょっと心臓に悪い。見ると動悸が激しくなる。
びっくりするけどやっぱり好ましくて、ある意味堪らない。
「わたしも裸です、あなたも裸。それが公平でしょう」
はじけイワシは魚です、のような口調で言われたが、今の私には理解できない。
「そういうわけで」とルークが私の唯一残った衣服、腰部を覆う下着に手をかける。
「あ、や」
「『私も裸だヒャッホーイ』と脱ぎましょうよ、さあ」
言うや否や、私が腰を浮かす事もしないのに、下着が尻を通り越して両膝の辺りまで下げられていた。
汗とかで脱がせにくいだろうにどうなってんだ。いや、それ以前にだ。
「それが、一緒に水浴びするの恥ずかしいって言ってた人の、することか」
呆然と呟く私の脚から抜いた下着をくるくると丸めながら、ルークは薄く笑うばかり。
 
触れるか触れないか、そんな微妙な力加減で内股に手を滑らせて、彼女は妙にたどたどしく言った。
「おとこのひとだと おもってましたし」
あんたが同性だから私は却って恥ずかしい。
そう返してやろうとしたところ、胸の突起をルークの唇が挟み込んだ。
「っは、あ」
「知っていましたが、人の命は温かくとも死は冷たいのです」
そんな状態で喋るものだから、彼女の唇の感触でこっちは堪ったものでない。
学者様のおっしゃることは難しくて先程とは違う意味で、ちっとも理解できない。
息を乱し上擦る声を漏らす私と、声がくぐもる事すらないルークと。本当にどうなってんだ。
彼女の掌が、私を摩り上げる。汗ばみ火照る肌、温度のないままの指。ちぷ、と粘めく音がした。
「熱を生んで温めてくださいな」
ルークは胸に顔を押し当て囁く。心に近いと言ったその位置で。
ぬめりを受け止めた手が、さらに熱を吐けと催促するように、割れ目を開いて押し当てられる。
それは円を描くように動いた。
「ん……ぃあ、あぅ」
指が中に食い込むことはないが、一番敏感な部分も入口も一緒くたに圧迫され、痛みを覚えない程度の力加減で揉みくちゃにされている。
思わずきつく目蓋を閉じればその裏に光が走るようだった。こぼれた涙が頬に流れて汗に紛れた。
跳ねる体の動きも難無く抑え付けて、ルークは手の動きを縦の往復に変える。
呼吸は全部嬌声になり、腕が勝手に彼女の頭を抱え込む。汗まみれの腕にあたるふかふかしたもの。 
「は、あふ……ッル、ん、ク」

510:喰い遺しにつかれ 7
08/11/09 16:25:37 txhqvgId
垂れそうになった涎をあわてて飲み込みもって、ルークを呼んだ。
勝手に眉が寄る。寒気のように、背筋からゾクゾクした快感が拡がりへばり付いている。
「なんです」
変わらぬ調子で彼女は返した。彼女以外何も見えない闇の中、私だけが乱されている。
いい様にされているのが悔しいような、嬉しいような、おかしい気分だった。規則的な湿った音に、耳すら侵されていく錯覚がする。
けれど、一つ物足りない。
「……ね、いれ、てっ」
 
私の腕をするりと解いて、ルークが頭をあげた。私は目を開き、何事かと彼女の顔を窺う。
涙に霞む視界で、彼女は瞳孔が横に割れてる目をそっと細めて笑っていた。
「むり」
淡々きっぱりとした拒否。だが私を焦らそうというわけではないらしく、ルークの手は止まらない。
不満は鼻にかかった甘え声になって口からこぼれ出た。
「やぁ……ん」
「だめ」
腰が彼女の手を逃れようとするのだが、例によってどうにもならない。
ルークは手の動きに合わせるように「むり」と「だめ」を繰り返している。
そんな機械的とも言える単調な刺激に、どんどん追い詰められていく。
再び彼女の頬が私の胸に押し当てられた。ほとんど反射的に、しがみ付くように抱きしめた。
「かわいいですね サイレは」
何を、言われたんだ。
考える間もなく、ルークの指が止めとばかり小さく立ち上がるものを啄ばむ。
「――ッ」
 
声にならない声というのは、それが音でしかないという意味もあるんだろうなと、ぼんやりしながら思いついた。
涙が目尻を滑って耳に落ち、変に冷たく感じる。手で拭っても溢れてなかなか止まらない。
整わない息に上下させる胸の上には、ルークの頭が乗ったままだった。
頬を擦り付け軽く口付け、彼女は半身を起こす。
目蓋を大きな手にのしっと塞がれて、汗の流れる額に口付けられた。 
りりる……と耳に滑り込む音があった。
  
砂を擦る音、波音、風音、低い音、そんな音達を乗せた涼しい風が吹いた気がした。
そちらに気を向ける前に、ぬるりとした何かが胸の上を這う感触に身がすくむ。
手が退いて、少し歪なルークの顔が見えてきた。
「…………」
何か言われたのだが、よく聞こえなかった。私は目を凝らしてもう一回言えと催促する。
「中が、いいんですか。ちょっと困りましたね。サイレは、あ……いや、腕とか入れたことありますか」
いきなり高難度な事を。
冒険は仕事だけでと決めているつもりなんだ、私は。
絵に描いたような微笑へ、私は否定を表しておいた。「でしょうね」とルークは頷く。
股間にあてがわれていたルークの手は、気づけば私の胸に移り、粘つく液を塗り広げている。
汗で薄まったそれはおかしな具合の滑らかさを得ていて、奇妙な感触を伝えてきた。なんだ、その。悪くないというか。
「まぁほら、女の子同士で何か入れちゃうなんて邪道ですよ。うん。……と言うことにしておきましょうね」
邪道好きで悪かったな。手っ取り早くも気持ちいいのに。
強く言葉で反論する気も起きず、とりあえず不満を露わに鼻を鳴らしておいた。
「局所ばっかりじゃなくても気持ち良くなれますって。わたしも頑張りますよ。よくなったサイレはいい声で喘いでくれますから」
声の事を言われると、どうにも反論のしようがない。仕方ないだろ、勝手に出るんだから。
大人しく堪能されてくださいなと淡々と言うのに、ルークは妙に優しい。
一度達したせいか、どこに触れられてもゾクゾクする。私が熱い息を吐くのにそう時間はかからなかった。
 
 


511:喰い遺しにつかれ 8
08/11/09 16:26:30 txhqvgId
波音、水音、木の軋む音がする。少し肌寒いが、体は妙に温かい。
うっすら目を開けると、薄暗いもやもやした視界に剥き出しの膝が見えた。その向こうには見覚えある岩壁と、そこに這う太いツタ。
カカッと馴染みある乾いた音が耳に入る。温かく濡れた触手が顔を一撫でしていった。
呆然としたままの私の目の前に、文字の彫られた板切れが現れる。
『おはようございます サイレ』
目で追うと、板切れを摘まんだ大きな鉤爪付きの指、それを備えた腕、苔生したタコもどきの巨体が宙に浮かんでいる。
「おはようって、……ルークか」
お礼の時のボインボインの体に可愛い顔は見る影もなく、どう見たって出会った時のままのタコの人だ。
ちょっと腕の苔が剥げている気もする。
目を戻し、私の状況を確認する。素っ裸で、大きな箱を湯船代わりにして入浴中。というか、ルークに入れられているようだ。
何の箱かと少し身を捩ってみれば、外側は空色の塗装がなされているのが見えた。支給品ボックスじゃないか、これ。
『湯加減 如何ですか』
水面から出た肩や脚にちゃぷちゃぷと湯をかけてくれながら、ルークは尋ねた。もやもやしてると思ったら、湯煙とは予想もつかなんだわ。
箱の底が深いせいか、私はルークの腕の上に寝そべるような形で湯に浸らされていた。
「ああ、少しぬるめだけど丁度いい」
『それは 何よりです』
相変わらず、あちらからは筆談だ。それにしても、知らない間にタコの人に風呂入れられるって、どういう状況だよ。
意識がはっきりするに従って、疑問がふつふつ湧いてきた。
目覚めるまでの最後の記憶は、『体でお礼』をたっぷり払われて、疲れたろうから起こすまで眠りなさいと目を閉じられたところまで。
彼女の言葉は憶えているのに、その声を思い出せない。そもそも何故彼女は人の形をとっていたのか。
 
また私の前に木板が差し出された。
『サイレは 身支度しててください 朝食になる物をとって来ます 湯の始末は 後程 わたしがしましょう』
体の下のルークの腕がずるりと動き、私の姿勢は変えられる。
私の足が木箱の底に付いたのを確認してか、彼女の腕は湯から引き上げられた。
私が口を開く前に、ルークは山刀一本引っさげ、どこかへ飛び去ってしまった。訊きたい事が沢山あるのに。
そうは思うものの腹はグゥと鳴り、食糧を確保してなかった事が思い出される。
せめてその辺にサシミウオでも泳いでいれば、と目を船の方へ廻らせる途中に気付いた。
視界一杯に広がる光景は、早朝の薄暗さの中、轟音と共に湖へ降り注ぐ瀑布。
この風呂、もとい支給品ボックス、滅多にない絶景ポイントにあるんだ。見知っていたのに、気付いていないことってあるもんだ。
微妙にハチミツの香り漂う湯の中から、私は暫くその光景に呑まれていた。
 
タコの人が肉塊と血の滴る山刀をぶら下げて帰ってきたのは、私がすっかり甲虫素材の鎧を着込み終えた後。陽がほんの少し昇った頃だった。
爽やかな朝の陽の下で見るにはまだマシだが、闇夜に紛れてこんなもんが近付いて来てたら、子供じゃなくても泣くくらい怖いと思う。
触手を振り振り、ルークは砂面に『ただいまですよ』と書いた。
その後ろ手に山刀を水に浸け、血を濯ぐ器用さはさすが多足のものよ。
手に鉄筆を握り、木板に文字を彫り付ける動作も流れるように滑らかだ。
『気の利いたもの 持って来たかったんですが いいもの 見つけられなかったので お肉をどうぞ』
自称・元植物学者は無い肩を落とした、ような気がする。
彼女の腕が草食竜のものだろう肉塊を私に差し出すついでのように、触手は顎だの頬だのを撫でてくる。
「いや、十分だ。ありがとう」
『礼には及びません わたしのお礼の内です 肉焼きはちょっと自信ないので 申し訳ないですが あなた自身でお願いします』
「あんたの分は、どうすれば」
何気なく訊いたところ、ほんの少しの間、ルークは無反応だった。触手が彼女の口元辺りに添えられて、その後もじもじと突き合わされる。
その後ろで鉄筆が軽快な音を立て、板に文字を彫り付けていた。


512:喰い遺しにつかれ 9
08/11/09 16:30:57 txhqvgId
後ろ頭の開いた兜に触手を突っ込み、私の髪をワシワシと掻き回しながらも、ルークは板切れを差し出す。
『気遣ってくれて 優しいんですね この体 食事の頻度は 人ほど高くないのです どうかお構いなく』
そう言えば昨夜大きなカニを食べたとかなんとか、書いてたっけ。
納得しつつ、私は自分の荷袋から肉焼きセットを取り出しにかかった。
 
私が肉を焼く間、タコの人の口元からはボリバキベキリと鈍く乾いた破砕音が響いていた。
それと同時、鉄筆が木板に線を彫り付ける音もわずかに耳に届く。
あちらのは食事ではなく、これまで筆談に使用した木板の処分を始めたのだという。
放置すれば誰の目に止まるとも知れないから、証拠隠滅は確実にせねば、だとかなんとか。
『単純に 見られて恥ずかしい会話とか 有りますし』とのことだ。
タコの人はまた隠滅せねばならぬ物を増やした。
彼女への幾つかの疑問を、胸の内で反芻してみる。
ルークの『体でお礼』について、あれは夢なのか。体に残る事の後の気だるさからして、夢ではないのだろう。
では何だったのか、なんとなしに理解できそうな気がするのだ。たぶん、私はその答えを既に見ている。
支給品ボックスに張った湯はどうやって沸かしたのかについては、想像がつかない。
私が寝ている間に、肉焼きセットでチマチマと湯沸かししたとも思い難い。
ふと思い出したふうに、ルークは支給品ボックスの縁に手を掛け湖に向けてひっくり返す。
中のぬるま湯がすっかり流れ出た頃、何でもないように彼女はそれを元のように設置し直した。
中身の物とか、どうしたんだろう。
肉がいい具合に焼けてきたので、私はそこで物思いに耽るのを中断し、朝食を摂ることにした。
 
それにしても、木板が小さな山をなすほど、私と彼女は会話を重ねたろうか。今一つ実感は無い。
書いた物が残るというのは、文字の利点であり欠点でもあるらしい。
ルークが今まさに口に運ばんとする『余すところなく堪能』の文を読む気もなく読み取りながら、私は焼けた肉を食む。
彼女の自画像だけは、ちょっと欲しい。もう砕いてしまったろうか。
尋ねてみれば、あれは別に取って置いてあるそうだ。譲って欲しいと頼むと快諾して貰えた。
 
食事を終えて肉焼きセットをしまい込み、タコの人からルークの自画像をいそいそと受け取った。
少女めいた顔はとても二十四歳のものには見えないが、外見年齢については私だって他人の事を言えたもんじゃない。
女性の顔だったにしろ、やはり好ましい。木板に見惚れていると、破砕音の合間より、ルークの腕が伸びた。
『あんまりうっとり見られちゃ 変な罪悪感が 芽生えます 女の顔は ある程度 作れるんですよ』
年上のひとに言う事じゃないかもですが、とルークは書き添える。生憎、私に化ける技術は備わってない。
作る、ねぇ。言われて初めて、私に今更の疑問が湧いた。
「そういえば、私は生前のあんたを見た覚えがない。一応ハンター同士だし、これだけ好みの顔なら憶えてなきゃおかしいのにな」
憶えがないっていえば、タコの人の正体もよく分からん。空飛ぶタコもどきがいるなんて、噂に聞いたことすらない。
ルークは余程私に気を配っているのか、私が話す時には木板の噛み砕きを控えめにしてくれているようだ。
噛み砕きの再開と文字の書き付けが同時に行われるにぎやかさも、もう何となく耳が慣れてきた。
『ハンターになってあまり間もないですからね わたし 独りで居ることが多かったせいもあるかと』
行動を共にする機会が少なければ、じっくり顔を覚える事もないかもしれない。
そもそも彼女に親しい人が多ければ、この依頼が私に回ってくる事もなかったろうな。
ルークは鈍い音立てる口元の前で触手を小さく横に振った。
『ちょっと 化けるの止めた頃を 絵にしてみました』
私が肉焼いてた時に何かかいてたと思ったら、それなのか。
彼女が後ろ手に持っていた板に重ねられた、小さな木切れにはこうある。
『あまりの地味さに腰抜かすなよです』
 


513:喰い遺しにつかれ 10
08/11/09 16:33:43 txhqvgId
先程の物よりも明らかに力の入ってない、簡略な絵だった。しかし注釈が沢山付いている。
なんというかルークオンドのすっぴんというのは、顔自体の美醜より何よりまず目をひく物がある。
何かって、金属の丸い枠に透明な板をはめ込んだ物。メガネだ。『酷い遠視持ち』とある。
髪型も先程の物より随分無造作に見えた。注釈は『手がかかってない、伸ばしてくくっただけ』。
他にも『眉毛、手入れせず。ほっといたら数年ぶりに垂れ眉化』とか書いてある。この簡略さでも伝わるあか抜けない雰囲気。
すっぱりと華やかさの削げた、何かの小動物を思わせる幼さの強い顔立ちに、やはり見覚えはない。
単純に生前の彼女とは会ったことがないのかもしれない。
「眼鏡の人は珍しいから逢ってたら憶えてるだろうが、記憶にはないな」
それにしてもなんという劇的な化けの事前事後。むしろ何故に化けなくなったんだろう。
タコの人は酒の肴でも摘まむかのように、木板を口に運んでいる。
『そうですか ある意味 わたし 腫れ物みたいなものですから 会わせなかったのかもしれませんね』
意味深な事を書き付け、私の目の前に板を置く。
「それは、どういう……」
ルークの触手が私の口回りを押えた。苔くさ……くない。主に先端部の苔が剥げているせいだ。
 
触手の、のしっとした重さや感触に、一つ確信した。
木肌を削る乾いた音がし、目の前に文字の彫られた板が現れる。
『朝食を終えたなら あの子を迎えに行ってやって 一緒にお帰りくださいな 一刻も早く』
あの子とはルークの『ここに来て得た一番の大事なもの』という親友、依頼主さんのことだろう。
こういう事態でなければ、用の済んだ狩猟場に長々と留まりたいわけでもないから、言われるまでもなくそうする。
依頼主さんは、私が見付けたルークの遺品を恐らく今も捜し続けているはずだ。だが。
口を塞ぐ触手を舌でつつく。温度がなく滑らかなそれは、驚いたように私の顔から離れた。
大は小を兼ねるなんて絶対じゃないのです、だっけな。なるほど。
内心納得しながら、私は彼女に尋ねた。
「今私が帰ったとして、またいつか、あんたに会えるのか」
ルークの触手は私の顔前で否定を示す。
幾分か荒い音を立てて、彼女は板に文字を書き付けた。
『サイレ 急いでください どうしてこの体に わたしの意識があるのか わかってないんです
 急に意識が芽生えたように 急に わたしが消える事だって 有り得るのです』
そうなれば、私の安全の保証なんかできるわけもない。現にルークの体は喰われているそうだしな。
下手すれば私どころか依頼主さんだって、このタコもどきの腹の中、ルークが噛み砕いた木屑と混ざり、ゆるりと溶けて崩れるはめになる。
私がこのタコの人に出会った瞬間から、その可能性はあったろう。
けれどその危険性を私に伝えなかったルークの真意は、目的のためなら他人の命などどうでもいい、なのだろうか。
人を誑し込んで、自分のいい様にしてきたと言った彼女なら、そうかもしれない。
 
私の肩を、ルークの触手が軽く押した。
宙に『はやく』と書くその触手をひっ捕まえて、抱き留める。
パタパタ物言いたげに小さく暴れる触手の反応を見て、昨日自分が言った事を思い出した。
「いつ消えるかわからない。逆に言えば、いつまでそのタコもどきのままなのか、わからないって事だよな」
触手は動きを止める。
このタコもどきの寿命がどんなものだか、知ったこっちゃないが、こんなに大きくて苔まみれなんだ。
たぶん人よりよっぽど長生きする。
「もしかすると、あんたが会話する事はこの先の一生無いかもしれない。そうも思ったんだろ」
小さく『はい』と宙に書いた後、触手はくったりと力を抜いた。
それを体に巻き付けるみたいに抱え直してみたが、ルークはされるがままになっていた。
昨日、このタコの人は構って欲しい時のアイルーに似ていると思った。
けれど、散々道に迷って帰って来た後のアイルーにはもっと似ている。
人恋しいとか寂しいとか、不安だとか、触れたがりなのはそこ由来なんじゃなかろうか。
彼女が人の体を失ってから、最初で最後かもしれない人との触れ合いを望んだ事を、責めようという気にもならん。
そこに懸かっていたのは私の命だが。
 
脱力しているルークの触手を撫で撫で、ふと思いついたままを口にしてみた。
「私があんたを喰ったら、あんたは私の中に来るのかね」
体に巻き付けるように抱えたルークの触手に少し力が入った。柔らかく抱きしめられて、相手がタコの人なのに妙に落ち着く。

514:喰い遺しにつかれ 11
08/11/09 16:36:35 txhqvgId
『その発想は無かったわ です』
タコもどきがルークを食べたから、今、彼女がタコの人化していると限った話でもなかろうが。
「逆に、私があんたに食われたら、そのタコもどきの中で共存できるかもな」
言ったそばから、頬をぺちっとはたかれた。間をおかず、はたいた所を触手の先が撫でていく。
バカなこと言うなってとこだろう。
タコの人の口の中で木板の砕ける音と共に、またルークの書いた文字が目の前に現れた。
『ずっと一緒に居られたら とも思います
 でも わたし一人でどうしようもない状況に あなたが来てくれただけで どれだけわたしは救われたか』
ゆるく抱きしめられたまま、私は我知らず呟いた。
「誰かに必要とされる事が、どれだけ私を満たしたか。あんたにゃ解って欲しかない」
そうだ。私は人に誇れる物など何も持たないからこそ、利用されようと頼られようと必要とされたい。
ある意味、酔っ払いがいると自分が酔い潰れられない時の責任感にも似た、優越感と言おうか。
ムニとルークの指が頬をつつく。
『ね サイレ あなたはなんて言うか ダメな人ですね』
自分をよく見られたいからって、自分の力量を弁えてない自覚くらいある。見栄っ張りというのかもしれない。
しみじみと年下に指摘されると情けない気もするが、まあどうでもいい。
だから私は「ああ」と答える。 
木切れを噛み砕く音が続く中、鉄筆が走る音も小さく発されている。
ルークは私の頭を兜ごと、暫くわちゃくちゃと撫でまわし続けた。
『でも ダメな人だからこそ 離れ難いなんて思うわたしも 大概ダメな人です
 まさか 死んだ後にも 未練が増えちゃうなんて思いませんでした』
 
言われた意味を理解できずぼんやりしていると、くるくると触手が解け、再度ルークは私の肩を押す。
『行ってください お願いですから あなたを大事にしてください』
見上げた目は、相変わらずどこに焦点があっているのかもわからない無表情なのに、なんとなしに優しいように思える。
私の頬から唇を触手が横に撫で、タコの人はそれを口元に持っていった。
彼女は自分の閉じた口の上を、触手の先端で軽く叩くような仕草をしてみせる。
意図がわからず首が傾いで行くのを感じていると、ルークの触手は口元を押さえたまま、動きを止めた。
一瞬の後、触手の先端は何かを弾くような仕草と共に、口元から離れた。
タコもどきの動きからは意図が読めないので、人の姿に置き換えて、今の仕草を頭の中で再生してみる。
手で唇辺りを抑えて、前方にポイと離す。
……投げキスか。
自分の頬に血が昇る音が聞こえたような気がした。
 
行けと言われたのに心身共に固まる私の前、ルークはまた何事かを書き付けているらしい。
彼女の手元の鉄筆はまともに姿を捉えられない程の速さで動いていた。まさに筆が唸りを上げるが如き。
幾枚かの板を重ねた頃、彼女は筆を置いた。そして手に手に板を持ち、次々と私の目の前を横切らせる。
『あなたが好きです 息もできないほど そもそもしてませんが』
『所謂 吊り橋効果というやつかもしれません 幻滅とかする時間すら』
『もう一つのお願いは わたしを憶えてて貰おうと思ってました けど』
『あなたにはわたしの事 知って欲しいと思いましたが 知るだけでも』
『出会った時には あなたのためになる存在じゃなかったのが 悔しい』
『本当は あなたの顔も声も どんなのだか わからないんです 小さ』
私が全文を読み切る前に木板は通り過ぎ、容赦なくタコの人の口の中に消えていく。
一際音高く木板を噛み砕くルークは、今度はゆっくりと私の前に板を置く。
『伝えたいけど 伝わって欲しくない事は 以上です 見苦しい真似してすみません』
触手がまた私に伸びかけ、宙で止まった。
誤魔化すようにそれを左右に軽く振るい、しっかり読める速度で彼女の言葉は続く。
弟への届け物についてや、依頼主さんと仲良くして欲しい旨の念押し。
見る限り穏やかなそれらは、まるで人が変わったかのようだった。タコもどきだけど。
 


515:喰い遺しにつかれ 12
08/11/09 16:39:05 txhqvgId
ルークについに送り出されてしまった私が、ベースキャンプから遠く離れた場所で依頼主さんを見付けたのは陽が空の真上にかかる前くらいか。
酷く疲れの滲んだ表情は痛々しく、ほんの暫くの間にやつれたようにすら見えた。
私を見るなり、依頼主さんは子供みたいに表情をクシャクシャにして「あらへんの」と呟いた。
そりゃそうだ。彼女のお探しの品は丸っきり違う場所で、私が回収したんだもの。
彼女の青い眼に大きな涙が浮かび、ぼろぼろと零れだす。泣きそうな顔が、ついに泣き顔になってしまった。
一生懸命しゃっくりを堪えてちょっと鼻水出かけてる依頼主さんを宥めながら、メガイ氏の遺品らしき物を見付けたと伝えた。
涙のたっぷり乗った長い睫毛をパタパタ振るうように、彼女は瞬く。
背高くしなやかな体躯と、黙ってれば冷たそうな綺麗な顔をした依頼主さんは、喋ってみれば印象が違うと言われがちだ。
あけっぴろげな性格と、どこのだかわからない訛りとで、見た目に反してとても人当たりが良いというか、とっつきやすい。
「え……、サイちゃん、ほんまに」
眼を丸くした依頼主さんの表情は二十前という年相応で、悲愴感が一時的にでも飛んだ事に私はほっとした。
まさか遺品の持ち主本人に現物を確認させたと言えるはずもなく、あくまで『それらしき物』だという事を強調しておいた。
物を確認してもらうべく、「とりあえずベースキャンプへ」と声をかける。
この間にルークはどこか別なところへ移動しているはずだし、ちゃんと支給品ボックスに早期帰還の連絡用品も入れ直しておくと言っていた。
ルークは、命を落としただけでなくタコもどきになったなんて、依頼主さんに知らせたくないんだそうだ。
心残りだったはずの喧嘩別れのままというのは、遺品から謝罪の意思があったことは伝わろうし、良しとするんだと。
死人に口はないのですよと言う割に、私が彼女の故郷を訪ねる口実の仕込みをやっていたタコの人の事に、思いを馳せる。
 
涙を打ち払った依頼主さんが「ほな急ごか」という声に顔を上げれば、何故か彼女は私に背中を向けて屈んでいた。
悪い予感に眉根が寄る。
「サイちゃん軽いし、乗ってきぃや」
依頼主さんはそれこそ軽くおっしゃった。
いくらランゴ装備や私が軽いったって、合わせて大剣よりは重いと思うんだが。
黙っている私の思いを読み違えた彼女は更に言う。
「あ、遠慮せんとって」
私を背負って走る気満々の依頼主さんは、そう言い出すだけあって、かなりしっかりした体を持っている。
体型、私とは少し違う意味で男みたいだもんな。胸がないのは同じだけど。
断るのもちょっと骨が折れそうだと思い、「じゃ、失礼」と依頼主さんの背中に身を預けてみた。羨ましいほど逞しい。美人さんなのに。
「肩車とおんぶと抱っこやったら、おんぶが一番安定ええんやろけど、そーやんなぁ」
独特の、間延びしたような口調がこちらに確認するように問うが、ほとんど独り言なんだろう。
依頼主さんは私を背負って軽々と立ち上がる。目の位置が高いと世界が広い。
とつとつと走り出した依頼主さんは、やたらに足が速かった。ランポスとだっていい勝負するんじゃなかろうか。
走る彼女から汗の匂いがして、きっと根を詰めて遺品探しをしてたんだろうなと考えた。
のうのうと水浴びだの入浴だのしていた自分を思えば、ひたすら申し訳ない気持ちになってくる。
 
ベースキャンプに帰り着いた時、当然のように、あの大きなタコもどきの姿は影も形もなかった。
私は少しの安堵と大きな落胆を覚えながら、それらを胸の内に留める事に成功した。
船に積んだ何の変哲もない地味そのもののズタ袋を依頼主さんに指し示すや否や、彼女の表情は変わる。
つかつかと歩み寄り、真鍮のプレートに浮いたメガイの文字を穴が開くんじゃないかってくらい凝視する。
うっかり息を詰めて見守っていると、依頼主さんはその長い睫毛を伏せた。
「おおきに。……確っかに、これル……メガイのやわ」
震える涙声で、それでも彼女は始めに礼を言う。


516:喰い遺しにつかれ 13
08/11/09 16:41:36 txhqvgId
続いて、遺体や装備は見当たらなかった旨を聞きながら、依頼主さんは本格的に泣き出すまいと奥歯を噛み締め、目に一杯涙を溜めていた。
そんな彼女に意地悪をしたいわけではないけれど、ルークが伝えたかった事がちゃんと伝わるように、後押しをせねば。
「中身もちゃんとあるのか、見といた方が良いと思うな。一応私も見たけど、足りてるのかそうでないかは解らなかったし」
持ち主曰くは、身に付けていたもの以外は概ね欠ける事無く揃った荷物だそうだが。
依頼主さんは神妙に頷き、ズタ袋の口を開く。
仕掛けられた罠のように、詰められた物の一番上に鎮座ましますのは、件のメモだ。
ルークの癖字を追う依頼主さんの目から落ちる水滴は、にわか雨の雨粒みたいだった。
 
瀑布に負けじと、幼い子みたいに大泣きしている依頼主さんはそっとしておくことにして、私は引き揚げの支度を始めようとした。
ルークに頼まれたからには、依頼主さん共々帰還するまで気は抜けない。
予定より早い帰還は、信号を打ち上げて迎えに来てもらうんだったか。それとも狼煙だったか。さて。
支給品ボックスに目をやりながら考えていると、左後方でサクリと砂の音がした。
振り返ってみれば、砂面に突き立つ細長いもの。
手に取れば、木切れを大雑把な魚の形に削った物だった。その横っ腹には紫色がかった薄い滲んだ文字が書かれている。
『上を見て』
すっかり見慣れたその癖字。弾かれたように見上げれば、崖の上から宙へと突き出た何かが横にゆらりと振られた。
それまた見慣れた、タコもどきの腕だ。まだこの場を離れていなかったのか。
そっと背後を窺うが、依頼主さんは崖上のおかしなものに気付く事もなく号泣中だった。
ちらちらとタコもどきの腕を見上げていると、また何かが投げ落とされ、砂に刺さる。
先程と同じような、魚型の木切れだ。
『読んだら水に』
まだ乾ききっていない文字は、酷く滲んでいたがなんとか読めなくはない。
意図はわからないが、書かれた通りに木切れ二枚は波打ち際に突き立ててみた。
木切れは波に洗われ、倒されて、文字などみるみる滲んで読めなくなってしまう。
証拠隠滅は抜かりなく、か。
 
波間に沈みつ浮かびつしている木切れから視線を離し、また崖上を見上げると木切れらしき物をつまんだ爪先が、ぷらぷらと揺られていた。
ルークの腕が少し反り、木切れを砂面に投げつける。
またも突き立つ木切れは、前二つに比べれば少し大きかった。
『わたしの形見が出てきました あなたに 持っていて欲しいんです』
出てきたって、どこからだ。その疑問を今ルークに伝える術はない。
ついでに形見とやらの受取を拒否することすらできるのか、怪しいもんだ。
もう一度見上げると、既にタコの人の指先には何かがつままれており、ルークはこれ見よがしにそれを左右に振る。
タコもどきの腕が陽の光を受けてきらめくそれを、私めがけて投げ落したのと、私の背後から大きな風が吹いたのは同時だった。
崖の上へずるりと腕が引っ込んだのが視界の端に映りながら、落ちてくるものを目で追うのに必死だった。陽光がかなり邪魔だ。
落下点の下には既に入っているんだから、きちんと手を構えさえすれば受け止められるはず。
気に入らん事に手も小さい私だが、タコもどきの投げ方が良かったのか、それを掴み取ることに成功した。
 
「……あれ、うつってる」
一瞬、誰かがいつの間にか傍に来ていたのかと思った。少し鼻にかかったその話し方は、聞き覚えないものだったから。
慌てて辺りを見回すが、船の上で依頼主さんが風に煽られた髪にてんやわんやしている以外、誰もいない。
さっきの声は聞き覚えがある、なんてものじゃなく。私の口が動いて言った。
独り言が知らずに口をついて出るという事は無くもない。けれども、全く思考にもない言葉が出るというのは、体験した事がない。
混乱しながら、ふと掌に目を落とした。
ルークの形見だという、掴んでいた物は、少しへしゃげた細長い金属と透明な板を組み合わせた物、眼鏡だった。
意識もせず、私は私の手をしげしげと眺め口の中で小さく呟く。
「手、ちっちゃい」
好きで小さいんじゃない。

517:喰い遺しにつかれ 14
08/11/09 16:44:20 txhqvgId
ムッとしている間に、空いている方の手が最後に降ってきた木切れを引っ掴み、水中に突っ込む。
それも波に洗われ、おそらくは植物の汁で書かれていたんだろう文字が、消えていく。
「近くもしっかり見えるって、いいですね」
両手が私の全身を、いや鎧の各所を軽く探る。当然、私の意思ではない。なんなんだこれ。
私の体は、依頼主さんに背を向け、兜の紐を緩めた。額当ての部分を浮かせ、その下に眼鏡をしまい込むように兜を直す。
ちょっと兜は浮いているんだが、派手に動かなきゃずれもしなさそうだ。
それを確かめた私は、振り返った。
「アーサ、荷物の確認はできま、……できたか。いろいろ思うところもあろうが、ここは長居するべき場所じゃない」
依頼主さんは顔を上げ、鼻をすすりながら頷き、手鼻をかんだ。
あんまり乙女らしくないのは、彼女自身は田舎者のせいだというが、そういう問題じゃない気もする。
依頼主さんは水面に鼻をかんだ手を突っ込み軽く洗いつつ、答える。
「うん、ごめんな。帰る準備すんわ。サイちゃんも荷物まとめたり済んでたら、もう座っといてくれてええよ」
彼女は両手を振り振り、手の水を飛ばして支給品ボックスの方へ歩み寄る。
私は朝の内に船に荷物積んでるからあんまりする事もないんだ。
 
さて。先程の私は依頼主さんの愛称、アーサと呼んでも良いって言われてたけど未だ呼べなかったそれを、あっさり口にした。
船の縁から湖の魚を眺めつつ、自分の現状について考える。何となく、理由はわからなくても理解はできている。
不意に口元を私の手が覆う。
「ねぇ、サイレ。ついて、きちゃいました」
私の口が、私の名前を呼んだ。
「意図してこうなったんじゃないんですって言って、信じてくれますか」
ひそひそと、ほとんど口の中で呟くだけの私の言葉に、私は自分の意思で頷いた。
支給品ボックスを覗く依頼主さんの「なんや箱えらい湿気っとるでー」の声を聞きながら、私の口はまだぼそぼそと、言葉を続ける。
「眼鏡が食べカスみたいに歯に挟まってたんです。さっき投げた途端にアレから意識がするっと抜けまして、なんだかこっちにお邪魔してます」
彼の体にいつまでもお邪魔もどうかと思ったけど、あなたに乗り移りなんて企んで無かったんですから、等々。
くどくどと続きそうな口の動きを、意識して止めてみた。ちゃんと、止まる。
私は我が身を抱きしめる。鎧の上からだから、心持ち緩やかに。
「いらっしゃいって言えばいいのかな。ま、ゆっくりしていってね」
自分の中にいるらしいルークに、そう語りかけた。嫌気がさすぐらい、ずっと一緒にいられるかもな。
少なくとも彼女が私に幻滅する時間は十分にありそうだと、風を受けながら思った。
風は湖から崖を登ってその向こうへ吹き流れているらしい。ルークの意識が抜けたタコもどきは、流されただろうか。
湖面に陽光が輝き、眩しさに目を細める。
「眩しいのに、クシャミ出ないんですね」
心底不思議そうなルークの呟きの内容こそが私には不思議だ。
自分を大事にしろという言葉が、意図した以外の意味を持ったもんだ。私はなんだか可笑しくなった。
我が身は今のところ酷い疲れもないので、依頼主さんを手伝おうと立ち上がった。
そこへどこか嬉しそうにルークが囁く。
「ね、サイレ。もしかしてこれでわたし達、心の友ってものでしょうか」
私は「さてね」と返しておいた。
そうなるかは、今から次第なんじゃないかね。
 
 
独り言が極端に増えて幾日目が過ぎ、私は旅の空の下。
寒いわけでもないのに外套を口元まで引っ張り上げ、その下で私の口は、ひたすら喋っている。
当然、それは私の意思ではない。
私に、正確には私のかけている眼鏡に憑いてしまったルークが、数日間喋れなかった鬱憤を晴らすかのように、喋り続けているんだ。
遠視だった彼女の眼鏡から度を抜いて、少し曲がっていたつるを直しても、中の人は変わらず元気だった。死人だが。
さて今どこへ向かっているかと言えば、ルークオンド・メガイの故郷へだ。
依頼主さんと共に無事帰還した後、私は学者メガイ女史の遺品を彼女の弟の元へ送る役を、親切ぶって買って出た。
……主に、その遺品の元持ち主が張り切って言いくるめるのには、微妙な気分にさせられたが。
私よりルークの方が口達者なようだから、彼女が喋るに任せた。


518:喰い遺しにつかれ 15
08/11/09 16:45:26 txhqvgId
あくまで私の立場、私の言葉としてでも、ルークが親友と話す機会を取り上げる気もない。
中身がルークと知らない依頼主さんは、妙に親身なこちらの態度に大いに恐縮されていて逆に申し訳ない感じだった。
 
道すがら、ルークが私の事を色々尋ねるのだが、口の主導権を譲る私の反応は鈍い。
そのせいか、いつの間にか彼女の身の上話を語り始められていた。
 
そもそも王立書士官とかいうものは、基本的にこんな辺境に来ないもので、多くは都の方の研究施設に勤めているらしい。
研究のために辺境に来、ハンターとして狩猟場に出る者もなくはないが、そういう者は隊を組んで来る。
ならば、一人で来ているルークは何なのか。手付かずの自然の研究を出来る地へ出向、というのが表向き。
実は周りを誑し込んで云々の延長で、きな臭い関係に組み込まれていて、何らかの不正の片棒を担ぐはめになっていたんだそうだ。
悪い事やったら怖い人に睨まれかけまして、だと。その辺のせいで揉み消しも兼ねた左遷をくらう。
頑張る方向がいつの間にか大間違いとルークは自嘲気味に言った。
地方へ追いやられた形になったが、彼女はその環境や業務内容の変化を楽しんでいたらしい。
ハンター稼業を楽しいとは、学者っていうと何となくひ弱いイメージがあるのになかなかに剛毅な人だ。
こう言っちゃ失礼かもだが、武器なんか扱えたのかと訊いてみた。
例えば私は、貧弱な見た目に似合って体力も筋力も乏しく、ハンターは適職でないと思う。
重い荷物を引っさげ狩猟場に出ていたルークは、顔に似合わぬ力持ちだったのかもしれないが。
遠くを見る分には支障がなかったので、ボウガン使って十分戦えたと答えがあった。
「狙って撃てばいいだけですから」と事も無げに言われ、私はほんの少し苦い顔になる。
狙って撃って当てられる人間の言うことは、これだから。
 
ルークの言葉はまだ続く。
彼女はまずい秘密を握った身であったため、辺鄙な土地に行きつくまでに密やかに消される可能性も覚悟していた。
だが拍子抜けする程無事に目的地へ辿り着き、暫くしてルークは悟った。
竜を相手に戦わねばならない立場に置く事自体、緩やかな口封じになる。
ところがルークは、ただの学者上がりの身でハンター稼業をこなし、なかなか死ななかった。
そんなある日の事、密林の採取ツアーに向かってみれば、何故か現れるドスランポスが二体。
採取ツアーのつもりだったため、ろくな備えのないままに苦戦を強いられた。
結果的に事故や手違いで片付けられたルークの死を決定的にしたのは、普段ならなんでもないような事だった。
私は聞いた事もないが、眩しいとクシャミが出てしまう体質なんてものがあるんだそうだ。
竜の牙や爪から逃れつつ洞窟から外に出る瞬間に、どうしても堪えられない鼻のムズつきが襲い来た。
一瞬の、けれども致命的な隙を生み出した己の体質を恨んだ彼女の心を察する事は難しくない。
人間、何かと自分に不満があるものだが。
そんな疎ましさがあった自分の体でも、無くしてしまった今、ルークはどういう心境なんだろう。
 
「でもね、眩しいとクシャミ出るって鬱陶しいけど、光使った催眠術にかかりにくいとか、変なとこで役に立つんですよ」
酷く限定的な状況での例を持ち出した彼女に、思わず苦笑が浮かんだ。
「そんな風に、短所は長所にも化けます。今だって死んじゃってるけど、好きな人と四六時中一緒に居られる素敵状態」
前向きにも程がある。
死んで間もない人が、こんな調子だとは思わなかった。
「……って、何の話でしたっけ。喋りたい事が多すぎて、こんがらがって来ちゃった」
むぅと彼女は私の唇を尖らせ、それに指を押し当てる。元の体なら可愛かったかもしれないが、私だと様にならない。
そう言ってみたら、私の唇は笑む形を作る。
「私はサイレも可愛いと思うんです。でもサイレが嫌なら、やらないように気をつけ……あ、頬が熱いですね。照れちゃってもう」
幸いにして人目はないし、あっても口元は隠れているから大丈夫だろうけれど、人の顔でニマニマしてくれるな。
明るい口調で、ルークは私に呼びかけてくる。
弟がわたしそっくりなんですよ。うちに着くの、楽しみにしててくださいね。等々。
私の口ってこんなに動くものだったのかと感心する。
この触れる事の適わない新しい友との付き合いが、長いものになる予感がした。
 
 
―終―

519:珍味のひと
08/11/09 16:49:34 txhqvgId
投下終了。不手際あって15レスになった。スマンです。
ついでにあらすじがなんか間違ってた。ともあれ、この話も終了。
だがおまけという名の回収し損ねのネタをば。
 
―ある者の独り言―
居候:ところで、お礼として渡した真珠をご覧くださいましたか。
女:見たけど、何か? 
居候:ええー。ちゃんと見て下さいな。
女:はぁ。
居候:この角度から光に透かして見たら、……わかりますよね?
女:輪郭がいびつだけどハート型、だな。
居候:はい、そのとおりです。
女:『わたしの気持ち』がこれか。
居候:真珠って、綺麗なものを塗ったくった石ころとか、なんでしたっけ。
女:綺麗げな見せかけを取っ払えば本質は大違い。何かみたいだ。
居候:ですよねー。人の思い込みって面白い。
 
志半ばで亡くなった悔いたっぷりなタコもどき(生前は美形)へ冥土の土産にイイ思いさしてあげよかと仏心出したら、
何故か幽霊女に惚れこまれましたってチビガリハンター。悪い気はしないものの、きっぱり恋愛感情無い。
 
前編と投下間隔空き過ぎてすまんです。近日中って、嘘になった。
悔い遺しに疲れたルーク&アーサ、喰い残しに憑かれたタコもどき&サイレがタイトル。
現実のタコは賢いけど無脊椎で動きが素早く寿命が短い。吸盤と柔軟な肢体が特徴の水棲生物。嘴持ち。
本文中タコもどきことヤマツカミは、どうやら骨格ある龍で長寿で、爪と指があって、うす鈍くて飛ぶし火を吐く。歯列持ち。
原型らしきもののアテにならないっぷりがお見事。
汁っけや吸盤のない触手(しかもごんぶと)なんて、触手の旨味はいずこ。ヤマツカミ難しい。
人ならざる者との意思疎通って萌え、が原動力。
そこはマスコット萌えに通じると思う。
本文一人称だから説明不足感は大いにあるけれど、いちいちアレがコレだと書かれるのも鬱陶しかろう。
解らんところは「ハイハイ、ナポリタン」で済ませて欲しい。思わせ振りで意味は無い、とでも。

520:名無しさん@ピンキー
08/11/09 18:48:22 iLARAA7f
おもしろかったねーっ!って本当にもうGJって感じで

521:名無しさん@ピンキー
08/11/09 20:15:16 MJzx3MTV
GJ

メガネが本体ワロタ

522:名無しさん@ピンキー
08/11/09 21:02:01 bChx/YLw
ヤマツさんは数あるモンスターの中でも得体の知れなさというか、特に人間とかけ離れてる感がある。
その辺りの雰囲気を出しつつも意思が通じるというのは不思議感。GJ。

523:名無しさん@ピンキー
08/11/09 21:37:33 7+KJp36x
GJ。やっぱり珍味のひと氏だったのか

何か凄くほのぼのして、泣きそうになった。こういう雰囲気の小説いいな

524:名無しさん@ピンキー
08/11/09 22:09:50 3WVJWdjW
GJ、面白かった!
予想外のオチに驚愕
元々ヤマツカミ好きだったが、もっとヤマさん好きになったよ
つか、見覚えある好きな文体だと思ったらやっぱ珍味の人だったかw

525:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:53:54 tjmjd1m1
GJ、なんか見たことある文体だと思ったら珍味氏だったのか
そうとわかればあれをいわざるを得ない

今回も「ご馳走様でした」

526:名無しさん@ピンキー
08/11/10 01:56:23 VyOG6QIQ
ええい、なんだか覚えがある文体だと思ったらっ
これはGJこの上ない

527:名無しさん@ピンキー
08/11/10 03:08:20 QgD9y7X3
珍味の人キター
前スレ見られないから誰か前編をwikiの方に載せてくれると嬉しい

528:名無しさん@ピンキー
08/11/10 21:36:05 fVxoZdL0
>>527
やってみた。
 
ところで誰か、前スレの『霞の女王様』と『艶夢』をwikiに載せてくれたら嬉しい。

529:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:38:18 QgD9y7X3
>>528
おおおおーサンクス!!!!これから読んで来るよ
補完出来ず、申し訳ない

530:名無しさん@ピンキー
08/11/11 00:58:52 6WxjioVK
>>529
よく見たらちょっとコピペミスってた。ゴメンね。
直して来たから許してー。
 
先に言っとこ。保管庫更新乙&GJです。

531:名無しさん@ピンキー
08/11/11 01:28:33 CA/EqoQC
メガネ本体吹いたw

てか、性別をあやふやにするの上手いですねぇ~


532:名無しさん@ピンキー
08/11/11 02:53:00 olbjLGsC
久々の業務連絡:まとめwikiに前スレの「霞の女王様」、「艶夢」および
今スレの>14-18、>88-95、>137-142、>232-239、>328-335、
「GENERATION LOST」、「狂い始めた野獣の弦」、「tournesol」、「ぬこの春」、
「喰い遺しにつかれ」の後半部分を保管しました。

盾蟹挽歌は未完のため勝手ながら今回は保管を見送らせていただきました。
また一部の作品では中黒(・)を用いた三点リーダー(・・・)表現が行頭にきた場合
wikiの構文仕様上の問題で最初の中黒が箇条書きのビュレット(見出し)になってしまうため
こちらも勝手ながら修正させていただきました。

533:名無しさん@ピンキー
08/11/11 03:09:59 1rO60oVZ
>>532
大量更新乙&GJ!

534:名無しさん@ピンキー
08/11/11 18:18:15 6WxjioVK
>>532
重ねて乙です。
 
リンク切れてたところ直そうとしてみた。
画像保管庫へはちゃんとできたけど、『クイーンに首ったけ ~新婚編~』下巻がうまいかなかったorz
ヘタレだからもう投げちゃう。

535:名無しさん@ピンキー
08/11/11 22:24:46 8rAfcbq6
>>532
GJ哉GJ哉

536:名無しさん@ピンキー
08/11/13 14:58:11 arAFtHXu
今回は完(食)じゃないんだな
食い残しだから?

537:名無しさん@ピンキー
08/11/13 18:44:29 8KSy/PQq
スレ違いも承知で聞くんだが、コミケとかでモンハンの二次小説本(18禁)
出してるサークルっている?
漫画はコミケ情報サイトとかで良くみかけるんだけど、小説は見つけられないんだよなぁ
冬はモンハンの島に行ってみようと思うんだが

モンハンの二次創作を語れるスレが見あたらなかったからここで聞いてみた

538:名無しさん@ピンキー
08/11/13 19:37:07 arAFtHXu
スレ違いどころか板違いじゃないかなー

539:名無しさん@ピンキー
08/11/13 20:08:32 8KSy/PQq
>>538
そうだな、すまんかった

540:名無しさん@ピンキー
08/11/15 08:14:59 eoyya9ZZ
なんかまたWikiが荒らされてる orz

541:名無しさん@ピンキー
08/11/15 08:41:52 vkLTvLIO
直しといたけど、再度書き換えられる可能性もある。
飛ぶ前のアドレス確認お忘れなく~。

542:若火竜を追って
08/11/15 12:37:25 gdM20JLQ
カマレウスはとても書けなかった…

代わりに男ハンター×若レウス
ショタ気味だけど、中性設定

色々無理があるし
>>497のレウス像とは果てしなくかけ離れてると思うんだけど、投下します

543:若火竜を追って1/11
08/11/15 12:38:03 gdM20JLQ
ザシュザシュッ!!
リオレウスの眉間に容赦なく太刀の連撃が浴びせられる。
既にかなりのランクまで上り詰めている俺にとって、レウスは特に恐ろしい相手ではない。
今日のレウスはややスモールサイズだったから、なお手ぬるい。
いつもハンターを張り飛ばしてきた、憎々しいヤツの尻尾も既に切り落とした。
額もぱっくりと割れて、レウスの濃赤の体にはぶしゅうと鮮血が迸っている。
勢いよく突進してきた所を華麗に交わし、隙だらけの背中に再び太刀を打ち込んだ。
『ギャオオオオオオオンンンッッ!!』
レウスの咆哮は、最早断末魔の様相を呈している。
レウスが一旦俺に飛び掛ろうと身構えたが、すぐにくるりと背中を返して足を引きずり、
ねぐらに逃げ去ろうと翼をバタつかせ始めた。

「逃がすかよ!!」
余裕しゃくしゃくで、俺はもう一撃をお見舞いする。
レウスが痛みに飛び跳ねて、進路を変えた。
─狙い通り。そっちの方向には、前もって仕掛けておいた落とし穴がある。
今日の狙いは討伐ではなく、捕獲なのだ。
思ったより小さいレウスだが、それでもそれなりの報酬は頂けるはず。
俺はもはや戦利品の事しか頭になく、捕獲用麻酔玉を取り出した。
レウスが落とし穴に足を踏み入れる、
片足が地面にめり込んだ瞬間、俺は麻酔玉を投げつけた。
2個、3個、4個─。
ばしゅばしゅっと煙幕が上がる。
その向こうで、リオレウスにしては標準よりも小さいながらも、
対人間としては充分に大きすぎる飛竜の巨体がぐらりと揺らめいた。
煙の中で、その影がこっちに向き直ったのが分かる。

まだ眠り込んでいない。
「しまった!早まったか…!」
余裕をかます余り、レウスが完全に落とし穴に嵌まりきるまでに
麻酔玉を使ってしまった事に、ようやく俺は気付いた。
くそっ、なんという失態─。
ヤツを強引に落とし穴に叩き落して、余った麻酔玉を再び投げつけるか、
それとも手負いでますます凶暴になる事を見越してさっさと殺してしまうか─。
一瞬考え込んで、俺は即座に答えを出した。
どうせ今日のレウスはちびっこい。
この程度の獲物なら、殺して素材を剥ぎ取った方が余程マシだというもの。

544:若火竜を追って2/11
08/11/15 12:38:35 gdM20JLQ
太刀を構えて留めをさそうとした時、俺の目に思いがけない光景が飛び込んできた。
─レウスが、いない。どこにも。
ずっと見ていたのだから、逃げたはずはない。
なのに、目の前にいたはずのあの巨体が消え失せている。
まだ煙のくすぶるその場所に一歩近づき、目をこらして辺りをうかがう。
ゆらりと煙の中で蠢く影があった。
太刀を構えてその影の正体を確かめるべく、もう一度そこを凝視した。

何と、わずかに煙が晴れたその場所に、裸の人間が座っていた。
俺は目を疑った。
ごしごしと乱暴に目を拭ってみるが、確かにそれは人のようだった。
しかしそこに座っているその人物は、いつも俺が群れている人間達とはどこかが違っている。
髪は濃い赤だが、人間のものより明らかに重厚に見える。
全裸のその肌は薄いピンクのようにも見え、ところどころに黒いあざのような模様が見える。
俺よりも遥かに小さく、かつほとんど凹凸のない体つきは少年のようにも見えた。
「まさか…、レウス…なのか…?」
直感的にそう思い、俺はおずおずとその人に語りかけた。
人の形をしているだけで、さっきまでの殺意がみるみる萎えていく。
その人はかすかに震えながら、そっと顔を上げた。

間違いない。この少年はリオレウスの変化した姿なのだと確信した。
しかしあの見慣れたレウスの荒々しい容貌とは裏腹に、少年は想像以上に中性的な顔つきで、
俺はあっけなく毒気を抜かれてしまった。
見た所15,6歳の少年にしか見えない。
それも何となく雰囲気がそう思わせるだけで、実際の体つきや表情なんかはもっと幼くも見えた。
体が随分痛むのだろう、血にまみれた肌をかばうように両手で掻き抱き、
助けを乞う様に俺を見上げてくるその視線に、思わず同情心が湧き起こってきた。
「君は…、リオ…レウ…ス…?」
もう一度、問い掛けてみる。
少年は痛々しく表情を歪めながら、こくんと頷いた。
やはり─。
一体どうしてこんな事態になったのかは分からない。
麻酔玉乱発による副産物なのか、それともレウス自身のどうしても生き残りたいという
生存本能がそうさせたのか。
まるっきり答えはわからないが、さっきまで俺目掛けて火を噴き、
乱暴に突進してきたレウスは、傷ついた美少年へと姿を変えてしまったのだ。

545:若火竜を追って3/11
08/11/15 12:39:07 gdM20JLQ
まあ、美少年という言い方もまた正しくはない。
狩猟中は気にもしなかったが、まだ若い竜だったらしく、
普通のレウス種に比べてえらく体の小さかった彼だ。
少年というにはか細く、それでいて空を駆け回っていた時と同じく
その体の線は人間離れして優美で、俺を見上げてくる瞳はどこまでも無垢なのに、
一方で燃えるような獣性も漂わせている。
その姿はまさに少女と少年の中間、人智の及ばぬ神秘性さえ感じさせた。
俺はもう敵意を完全に無くして、レウスの美しい肢体をただぼんやりと見つめた。
レウスの体には至るところに深い傷が出来ている。
他の誰でもない、この俺が付けてしまった傷だ。
俺が一歩足を踏み出した時、レウスがあからさまに恐怖の表情を浮かべて後ずさり、
激しい痛みに表情をゆがめた。

「大丈夫か…!?」
思わずレウスに駆け寄る。
「──!!!」
レウスは血が迸るのも構わずに、俺から逃げようと冷たい地面を這った。
あまりに痛々しいその姿に、罪悪感が強まった。
ぎゅっとレウスの体を抱き締める。
「…っっ!!!」
レウスが怯えきって俺の腕の中で体をよじり、いやいやと首を振って必死に抵抗してきた。
「大丈夫、大丈夫だから落ち着いて…!」
俺はレウスのか細い体を掻き抱きながら、まるで女に対するように優しく耳元で囁いて
レウスを落ち着けるべく、努力した。
髪の毛を優しく撫でながらしっかり抱き締めていると、ようやくレウスは落ち着いて
ふうっと大きな溜息を吐いた。

レウスの髪の毛から、血に混じってえもいわれぬいい匂いが漂ってくる。
竜の形状の時、飛び去った時の風圧の中で確かに嗅いだあの匂いが、
どうやら人間向きに香水のように香っているらしい。
もしかしたら、それはフェロモンなのかもしれない。
もしくはハンターを酔わして油断させる媚薬。
それほどにその香りは、俺の心をうっとりと蕩かしてしまった。
レウスがようやくおずおずと俺の顔を見つめた。
怯えながらも、決して折れないしなやかさをも持ち合わせたその瞳、
傷跡も生々しいふるふると震える冷たい体、
そしていまや体全体から立ち昇ってくる芳しすぎる体臭─。
俺は夢うつつの心持で、レウスの艶かしい魅力の虜になってしまった。

546:若火竜を追って4/11
08/11/15 12:39:39 gdM20JLQ
「レウスたん…」
普段から堅物で通る、この俺とは思えぬほどの甘い言葉が飛び出た。
レウスが何か言いたげに軽く口を開き、口腔内から真っ赤な舌が覗いた。
俺に向かって火を吐いていた、あの生意気な口が、今は可愛くて可愛くて仕方ない。
「んん…っ!!」
レウスが戸惑いの声を上げるのも構わず、俺はその濡れた唇に強く口付けた。
レウスが数秒、俺の体を押しのける様に力を入れたが、俺が舌を挿し入れて
レウスの舌を絡め取ると、途端に力を抜いてしまった。
そんなあっけないところがまた可愛らしい。
レウスの喉奥から時折火花が飛んでいるのが分かる。
それを二人の唾液が一瞬で散らしてしまう。
人間の女とのキスよりも遥かに深い一体感を感じながら、俺はレウスの舌を堪能した。
ようやく唇を離してレウスの顔を見ると、やけにうっとりとした表情で俺を見つめ返して来る。

このあどけない仕草、確実にこのレウスは子供なのだ。
俺はこんな未熟で可愛い飛竜を狩ろうとしていたのだ。
胃の奥がじゅんと痛くなった。
「ごめん、ごめんな…。随分酷い事をしてしまった…。本当にすまない…」
そっとレウスの頬を撫でてやると、レウスは潤んだ瞳で俺を見つめ、
『死にたくない…』目の色だけで確かにそう伝えてきた。
急に愛しさが満ちてくる。
再びぎゅっとレウスの体を抱き締め、
「大丈夫…!ちゃんと手当てして逃がしてやるから…!」
俺は本気でそう言ってしまった。ハンターにあるまじきセリフなのは分かってはいたが、
あまりにレウスが儚げで、そうしてやらなければいけない気になっていたのだ。

大量の血を流して冷え切った、レウスの肌を温めるように抱き締め、
首筋に軽くキスをしてやる。
ちゅくりと舌で肌の表層を舐めてやると、
「ひああっっ…!」
声にならない声を上げて、レウスがびくびくっと大げさなほど体を奮わせた。
レウスの肌からはやはりあのいい匂いがしていて、まるで桜の蜜のような繊細な味がした。
俺の欲情を高めて仕方ないその微細な味をもっと味わう為、
もう一度べろりとレウスの首筋を舐め上げる。
『やだあっ…!』
声には出さないが、レウスの強張った表情は確かにそう訴えていた。
どうやらレウスもまた、竜の姿をしていた時とは
比べ物にならないほどの触感を得ているらしい。

547:若火竜を追って5/11
08/11/15 12:40:15 gdM20JLQ
少し舐めてやっただけで早くも顔を赤らめ、息を乱すレウスの艶かしすぎる表情に、
もとは竜なのはおろか、人間的な性別の概念までも一瞬で飛び越えて、
俺の性欲には火が点いてしまった。
「レウスッ…!」
「あううっっ!!」
石の転がる硬い地面に押し倒すと、レウスは強まった傷の痛みに泣くように叫んだ。
俺は慌てて防具を脱ぎ去り、アンダーシャツをレウスの下に敷いてやる。
レウスがぼんやりと俺の顔を見た後、俺の裸をも間近で見てしまい、
素早い反応で顔を真っ赤に染めた。
そんな処女性がますます俺の欲望に火を注ぐ。
まだ晴れ切らない麻酔玉の紫がかった煙が、やけにレウスを色っぽく見せてしまう。
我慢できずに俺はレウスの肌に吸い付いた。
「はう…っっ!」
レウスの肌をゆっくりと舐めながら、体を切り裂いた太刀筋に
唾液混じりに薬を塗りこんで行く。
レウスは痛みか快感か分からないほどにパクパク口を開けて喘ぎ、
俺の舌が、指が、体のあちこちを這い回る度に、何度も仰け反った。

見える範囲の傷跡全てに丁寧に回復薬を塗りこんで一息つき、
俺はぽつんと付いている、レウスの乳首を舌で突付いてみた。
「あんっ…!!」
レウスは甲高く叫び、まるで人間の女のように俺の髪の毛を掴んできた。
「ふうん…。敏感なんだな…、ココ…」
そのままレウスのピンクの乳首に舌を押し付け、ゆっくりと上下に舐め上げてやる。
「あ…っ、あ…う…っ、んん…っ…」
レウスの声がどんどん艶かしくなって俺の耳に届いた。
責め続けたままでレウスの顔を見やると、その中性的な美顔は気持ちよさそうに蕩け、
俺の舌がそこを前後する度に可愛い口がパクパクと開いていた。
間違いない。レウスは俺の舌で快感を感じているのだ。
そう思ったらもう我慢できない。
俺のモノはあっという間に硬くなり、レウスの股間にゴツゴツと当たった。

と、ようやく俺は違和感に気付いた。
そう言えば、リオレウスはオスのはず。
なのに、オスにあるはずのあの感触が、触れ合っている俺の股間に伝わってこない。
そっと体を起こしてレウスのそこを見てみると、驚いた事にそこには何も付いていなかった。

548:若火竜を追って6/11
08/11/15 12:40:47 gdM20JLQ
レウスが泣きそうな顔で見つめてくる。
「どういう事だ?君は男の子だよね…?」
レウスはただふるふると首を振るばかりだった。

もしかして、性成熟期間に入るまで、ペニスなんてものは現れてこないのか?
それともただ単に、人間に擬態するのに不必要だからか?
いや、まさか俺が切った尻尾とレウスのそれが繋がっていたのかも─。
色んな考えが頭を駆け巡ったが、この場でその答えが出ようはずがない。
そしてレウスに訊いても、満足な答えが返ってくるとは思えなかった。
俺の脳は身勝手にも都合よく、考えをまとめていった。
そうだ、むしろペニスがついていないのなら好都合。
この子は男の子でも女の子でもなければ、人間でさなく、今はリオレウスでさえないのだ。
ただ俺の淫欲を誘う存在として、ここにいるだけなのだ。
改めてそういう目でレウスの全裸を見下ろすと、我知らずにペニスが一段と硬くなった。

例え性的に未成熟でも、レウスも生きている以上、何かしら穴の一つでもないだろうか…。
期待を込めて、俺はレウスの足を開き、その体の真ん中を調べてみた。
思ったとおり、やはりそこには穴があって、俺は勝利の笑みを漏らした。
その小さな穴の役割は、あえて考えたくはない。
少なくとも生殖器官ではない事は確かだろうが、俺は指を舐めて湿らすと、
具合を確かめようと、そっとそこに指をあてがった。
しゅしゅっと軽く擦っただけで、レウスは大きく腰を揺らした。
その反応が快感なのか単なるむず痒さなのか、判別がつかない。
俺は更にレウスの桃色の秘蕾の入り口を軽く擦ってみる。
「ふあ…んっ…!」
レウスは腰をがくがく揺らして、自分で足を開いてしまったが、
それはどう見ても無意識のようだった。
どうやら特に不快な様子はないらしい。
俺はぬぷりと指を中へと突き入れてみた。
想像以上の熱さと締め付けが俺の指を襲う。
俺の指がレウスの内壁をこじ開けて、奥までずぶずぶと侵入していく。

549:若火竜を追って7/11
08/11/15 12:41:20 gdM20JLQ
「あぁぁぁ~っっ」
レウスは中心を貫かれてさすがに不快感を感じたのか、
体に力を入れてその感触に耐えようとした
しかしその事が俺の指を一層締め付け、逆に男の欲情を刺激してしまう。
息を乱しながら指を第2関節まで埋め込んだ所で、ようやく俺は挿入を止めた。
「はう……」
レウスが惚けたような視線で俺を見てくる。
恥ずかしい所に指を突っ込まれながらも、どこまでも無垢なレウスが可愛くて仕方ない。
俺はそっと指を抜き差しし始めた。
ずるりと指を引き抜いた時、レウスの顔が「あっ…」という感じで強張った。
内壁を擦り立てながら、レウスの中へと再び指を突き入れる。
「あううっっ!」
今度はレウスの顔がぱっと紅潮した。
「大丈夫、痛くないよ、痛くない…」
力付ける様に言いながら、俺は指の抜き差しを速めていく。

ジュッ、ジュッと肉壁を擦るいやらしい音を響かせながら、
しばらく内壁を擦り続けていると、レウスの様子が変わり始めた。
「あん…、あんっ、あん…っ…」
俺の指が内部を往復する度に随分可愛い声を出して喘ぎ、
乳首を責めてやった時と同じく、その顔が快感のものへと変わっていく。
「気持ちいいのか…?」
更に内壁を押し込みながら、指の抜き差しを遠慮なく繰り返していく。
「ああ…っ、あんっ…、ん…んん…っ」
レウスの腰が俺の指使いに合わせて揺れ続けている。
どう見ても、レウスはそこに快感を感じているらしかった。
「ん?どうなんだ?」
意地悪く囁きながら、俺は空いた手でレウスのぷっくりと勃ち上がった乳首を
擦ってやる。
「ふあああんんっ…!」
レウスが一段と大きな嬌声を上げて俺の手を掴み、苦しそうにこくこくと頷いた。
「そっか、よかった」
俺は湧き起こってくる喜びを噛み締めながら、乳首と秘穴の同時責めを続けた。
「ふあ…っ、ああんっ、あんっ、あぁっ…!」
レウスは俺の指に浮かされるまま、ひたすら喘ぐばかりになった。
それほど時間は経っていないのに、えらく敏感な体らしい。
レウスの中が燃えるように熱くなっていく。
今まで何人かの女を抱いてきたが、彼女達のどれよりも熱い血潮を滾らせて、レウスはただ乱れ続けた。

550:若火竜を追って8/11
08/11/15 12:43:00 gdM20JLQ
「すごく熱くなってるぜ、レウス…?ほら、ほら…」
「ああっ、や…ん…っ、はう…んっ…」
夢中で責め続けていると、その穴から更に上部の皮膚に
いつの間にか僅かな突起が浮かび上がっているのに気付いた。
最初の頃には確かに存在しなかったはずのその突起は、まだ皮膚にしっかりと覆われて、
その肌ごと持ち上げるようにぷっくりと小さく膨れている。
どうやら、レウスの快感の高まりと共に現出したらしい。
これはレウスの生殖器の芽なのか、それともまさか、クリトリスなのか。
しばらく観察してみたが、どちらにしても既に淫欲に苛まれていた俺にとっては
たいした問題ではなかった。

秘穴に指を突き入れながら、レウスの体に新たに現れたその肉芽を素早く擦ってみる。
「あ…っ、あぁぁんっ!!」
レウスは一際大きな嬌声を上げて完全に浮き上がるほどに腰をバタつかせ、大きく首を振った。
「気持ちいいんだね?まるで人間みたいな反応をして…」
指を止めて低く囁くと、レウスがうっすらと目を開き、切なげな瞳で俺を見上げてくる。
背中にぞくぞくと悪寒にも似た、どす黒い欲望が駆け上がってきた。
肉芽を押し潰して乱暴なほどに擦り上げ、同時に秘穴への指の抽迭もいきなり激しく再開する。
「や…っ、あぁぁぁんっっ…!!」
レウスの表情が一瞬で快楽に歪み、強すぎる快感を持て余したのか、その全身が震え出した。
両手の指にレウスの口火と紛うような熱量を感じる。
腕を僅かに開いて地面を苦しそうに掴むレウスの姿が、こんな痴技の最中だというのに
飛翔中の雄姿を思い起こさせた。
「ああっ、あぁっ、ああんっ、ああんっ…!!」
レウスの甲高い喘ぎが、俺の指の動きとともに間断なく響く。
その声に触発されて、俺の下半身は爆発寸前になってしまった。

もう我慢できない。
すぐにレウスと繋がって欲を発散させたい。
俺は堪らずレウスから指を抜き去ると、足首を持って大きく股を開かせ、
ついさっきまで指でほぐしきっていた、レウスの中心の秘穴目掛けて自身を埋め込んでいった。
恐らく誰も受け入れた事のないレウスのそこを、完全に猛り狂った人間の肉勃起が
めりめりと引き裂いていく。
「あああ~~っっ!!」
レウスは今度こそ泣きそうな声を上げたが、もう止めてやる事は出来はしない。
人間の女よりも遥かにきつい締め付けを感じながら、
俺はゆっくりと肉棒を根元まで埋め込んでいく。

551:若火竜を追って9/11
08/11/15 12:43:36 gdM20JLQ
膣なのか排泄器官なのかも定かではなかったが、そこの微細な神経と肉壁は、
確かに俺の勃起をしっかりと包んで締め付けてきた。
少し揺らしただけで、ペニスには最高の快感が走る。
しかしレウスの方は、初めての交合の痛みにただ顔をしかめて耐えていた。
「う、うう…」
埋め込んだペニスの隙間から、レウスの破瓜の証しが溢れ出てきた。
募る罪悪感を、レウスの体の至る所に残る生々しい傷跡が薄めた。
あれだけ手酷く傷つけたのだ。
今更多少傷つけた所で変わりはないと、身勝手すぎる思考が俺の全身を支配していく。
もう俺の淫欲は抑えきれないところまで来ていたのだから仕方ない。

レウスの足を大きく開かせ、結合部をしっかり凝視したままで
俺はいきなり激しく突き入れはじめた。
「ひゃうううっっ!!」
レウスが明らかに痛みを感じて叫ぶ。
「ごめん、でもすぐに終わる方が君のためだから…!」
勝手な事をほざきながら、俺はガンガンとレウスのそこを突き上げた。
レウスの体内に、血にまみれた肉棒が根元まで素早く埋め込まれていく様は、
とてつもなくいやらしい光景だった。
女ほど濡れてはいないレウスのそこだったが、人生最高とも言えるほどの興奮の結果として
大量に溢れ出した俺自身の先走りと、レウスの血液が結合を滑らかにしてくれた。
肉棒がレウスの肉壁を抉る度に、俺の全身にまさに電流そのもののような快感が走る。
レウスの足首を引き寄せながら結合を深め、ずんずんと乱暴に薄桃色の体を揺さぶり続けた。
レウスの内壁が、まるで生き物のように粘着的に蠢いて俺を締め付けてくる。

腰を浮かせるようにして深くまで突き上げ、レウスの肉壁を先端が鋭角に抉った時、
勃起に未知なる感触を感じた。
俺の亀頭が、レウスの内部で僅かに膨れた何かを擦ったのだ。
「あううっっっ!」
その瞬間、レウスは今までで一番気持ち良さそうな声を出した。
どうやらそこがレウスの弱点らしい。
痛みばかりを与えずにすんだ事に感謝しながら、俺はその箇所目掛けて
ずんずんとペニスを突き入れていく。

552:若火竜を追って10/11
08/11/15 12:44:09 gdM20JLQ
膨らみきった亀頭が、レウスのいい所を確実に擦り立てる。
「ああっ、んんっ、ああんっ、ああっ!」
レウスはそこを突かれるたびに快感の声をあげ、あからさまに身をよじって
その悦楽の深さを伝えてきた。
「ここか!?レウスッ…!どうだ…!?」
ずんっと勢いづけて腰を突き出す。
「あんんっっ!!」
レウスの体が大きく上下に揺れて、その瞳から涙が一筋迸った。
「いいだろ!?レウスっ!!」
俺はもう制止も効かない状態で、欲望のままにレウスを突き上げた。
どんどんピストンが小刻みに、かつ速度を増し、射精感が満ちてくる。

レウスの揺れる淫らな体と顔を見つめながら、俺は足首を解放し、
レウスに覆い被さって抱き締め、最後の抽迭を送り込んでいった。
「ああっ、ああっ、ああっ!!」
レウスの声もまた切羽詰ったものになり、俺の背中に腕が回される。
ぐいっと俺の体を強く抱き締め、それだけでは飽き足らないとばかりに
俺の腰にレウスの足が巻きついてきた。
俺とレウスの腰がぴったりと密着し、レウスの股間にあった、
例の肉芽のコリコリが俺の肌と擦れる。
「んああっ…!」
ぐんぐんと腰を押し出す度に、その肉芽も俺の肌で勢いよく擦られ、
それでレウスは更に快感を深くしたらしく、一段と声が大きくなった。
足が巻きついているせいで否応なしに結合が深まり、俺の限界があっという間に近づく。
「く…っ、いやらしいレウスめ…っ…!」
つい口からは恨み言のような言葉が出てしまう。
それでも構わずにレウスは俺にしがみ付いて、俺の下で快楽に咽んでいた。
「ああんっ…!も…ダ…メ…!は…や…く…ぅぅ…っ!!」
俺のラストスパートを奥深くまで受けながら、レウスは初めて人間の言葉を喋った。
その卑猥すぎる響きに、俺の欲は爆発した。
「ぐうっ、レウス…!!イクぞ…っ!!」
最後数回レウスを激しく揺さぶって突き入れ、勢いよく駆け上がってきた欲を
レウスの体内へと放った。
どびゅどびゅっと熱い精液が、レウスの中へと撃ちつけられて行く。
「あぁぁぁっっ!!」
その瞬間、レウスが絶頂に叫んで硬直し、俺のペニスをぎゅぎゅっと締め付けた。
レウスの絶頂を感じながら得た射精は、間違いなく今までで一番快い経験だった。

553:若火竜を追って11/11
08/11/15 12:44:54 gdM20JLQ
完全に満足して、俺はまだ埋め込んだまま、レウスのあどけない顔を見つめた。
「レウス…。すごく良かったよ…」
そっと汗の張り付いた濃赤色の髪を撫でてやると、寝物語に興じる余裕さえなく、
瞬間、レウスがかっと目を見開いた。
いつも俺を狙って襲い掛かってきた、あの凶暴な色を滾らせて─。

ああ、そうか、悪いのは俺だ。
わざわざ棲家にまで遠征していって、毎日一生懸命生きているレウスを
素材が欲しいから、報酬が欲しいからというよく分からない理由で狩りまくって来たんだから…。
レウスが毎回燃えるような殺意を持って俺に向かってくるのは、自己防衛本能に過ぎないのだ。
そう思ったら、このままレウスに焼き尽くされても構わない気にさえなってしまった。
「レウス…」
この世の出来事がもうどうにでも良くなって、俺はただレウスに見とれた。
しかし、レウスは俺を焼き殺そうともしなければ、噛み殺そうとさえしなかった。
「く…っ」
一瞬苦しそうに瞳を細めた後、レウスの体が急に熱くなり、
まだ繋がったままだった俺自身に焼ける様な痛みが走った。
ずしゅっ!!
派手な音を出して俺のペニスを己の体内から一気に引き抜くと、
レウスの体が弾かれるように空中に舞い上がった。
目がくらむ様な閃光が走り、自身を花火のように輝かせながら、レウスが形状を変えていく。
何が起きたのか分からずただ呆然と見つめるだけの俺の目の前で、
レウスはあの美しくも凶暴な、火竜へと戻った。

グオオオオッッ!
レウスは腹の底まで揺るがすかのように地を震わして咆哮し、俺の姿を一瞥した後、
一気に空高く舞い上がった。
あの芳しい香りが、一瞬で竜の猛々しい匂いに変貌する。
レウスは生きている喜びに打ち震えんばかりに躍動しながら、飛び去ってしまった。
夕焼けにレウスの艶やかな赤色が映える。小さくなる飛姿に、咆哮の声が混じる。
その声は、確かに牡としての逞しさも予感させるものだった。
恐らく次に会う時には、彼はもう立派なリオレウスに成長し、
なまはかな事では狩らせてはくれないだろう。
どこかで彼を見つけた時に、俺は一体どんな態度に出るのか。
今まで通りに容赦なく切り殺すのか、それとも今日の甘い一時を忘れられずに、
逆に全く抵抗さえ出来ずに焼き殺されてしまうのか。
その時になって見なければ本当に分からない。
それでも、今この瞬間から、俺のハンター人生は尻尾のない、
手負いの若いリオレウスを探すだけのものになった。
                end

554:名無しさん@ピンキー
08/11/15 18:27:51 4y1+LRAC
GJ!お持ち帰りエンドじゃないのがいいな
でもゲーム画面じゃなくて竹宮恵子の絵で再生されたのは内緒なんだぜ


555:オトモアイルーとともに
08/11/16 16:27:05 U+9bweCU
ざしゅっ!

大剣の斬撃音が砂漠に響き渡る。

そしてぶざまに転がるのはハンターに切られたマヌケなメラルー……もとい、ハンターのもとへ戻って来た黒いオトモアイルーだった。

「いってぇ……いい加減にしろよ……」

これはオトモの呟き。名をコマという。
もちろんコマの呟きはハンターには通じてはいないが。

「あ……ごめん。てっきりメラルーかとっ(汗」

こっちはポッケ村の女ハンター。名をクリスという。

「たくよー…砂漠に来るたび切り付けやがって……これはあの計画を実行するしか…………」

コマのぼやきは砂漠の砂に消えて誰の耳にも止まらなかった。
上位に上がって間もない、やっと中堅にとどくか、といったレベルのハンターだった。
どんな装備かははぶくが、ディアブロス討伐をしに高耳抜刀見切り1という中途半端な装備だった。
周りを見渡すがディアブロスの姿はない。クリスはディアブロス討伐の経験は少なく、どこにいるかがよくわからなかった。

「よぅし、千里眼の薬を使って……きゃっ。うぅ……」

前方不注意ならぬ、後方不注意によって、ガレオスに気絶させらされてしまった。

「……。…………。おぅ!チャンスだ!」

コマは人間にはわからない、アイルーの表情で極悪な笑みを浮かべてご主人の元へ走る。
そして待っていたチャンスを無駄にしないよう、ご主人をカブレライトなハンマーで叩いて起こす。と、共にクリスにぶつかってしまう。
が、それに気付く者はいない。

「ふふふっ」

意味深な笑みを浮かべ続けるコマ。

556:オトモアイルーとともに2
08/11/16 16:27:43 U+9bweCU
「ぁーもぅやだぁ、一発で気絶なんて恥ずかしい……。これ飲んで___ふぅ。苦いから嫌いなんだよね。___あれ、千里眼の薬だから飲んだらモンスターの位置が解るはずなのにぃ。」

薬の入っていたビンを一気飲みしたのにもかかわらず全くモンスターの位置が解らない。
焦りのタメか、はたまた砂漠の熱気のタメかクリスの身体はほてってきていた。

「ん……。なんか……だるい。」

クリスは身体の怠さを感じていた。疲労とは明らかに違う未知の怠さだった。身体の底からわきだすような、しかしけっして外には出ていかない、ふわふわ浮くような、それでいて上から押し付けられるような。
自分の身体の感覚が鋭敏になっていくのをクリスには手にとるようにわかった。

「なにこれ……この前と違う。ん……ひゃん!」

身じろぎした途端、身体の中に稲妻が走った。
知らず知らずのうちに内股になっている。

「な、なにいまの……ふ、ゃあっ!」

自慰というものをクリスは知らなかった。男性経験などあろうはずがない。
性的快感というものに始めてであったのだ。しかも自分の意志とは無関係に。
そう。クリスがさっきのんだ千里眼の薬は、コマが気絶から復活させるために叩き、クリスにぶつかったとき、媚薬にすり替えられていたのだ。
そうとも知らず、クリスは必死に歩こうとしていた。
しかしそれがいけなかった。ハンターのインナーはシルクで出来ているわけではなかった。もっと荒い材質だった。
そんなインナーを身につけ、重い武器や防具を纏って重心が若干ズレる状態にあったらどうなるか。

「_________っ!!」

クリスとて人間だった。薬によって敏感にされた乳首やクリトリスを擦られたら……。
努力のかいなく崩れ落ちた。

「予想以上の効き目だなぁ……こりゃ」

呟くなりクリスの股下にもぐり、あろうことか秘部を爪で引っかき始めた。
いくら防具があろうとも、完全に敏感になってしまったクリトリスは強すぎる快楽をクリスに送った。
所謂生娘のクリスはそんなものに耐えられるはずもなくコマの成すがままになっていた。
それから40分程後。

「もっ、もぅ、やめっ、______っ!!」

あれからずっと秘部を防具の上から引っかかれつづけたクリスは、もう何度達したか解らない。
ただ解ることは、クリスの周りの砂がびちゃびちゃになっていたことだ。



こうして、クリスの上位昇格後初のディアブロス戦はディアブロスに一度も相敵せぬまま時間切れで終わった。


557:名無しさん@ピンキー
08/11/17 07:52:35 ErqYlorB
>>553
>>556

558:名無しさん@ピンキー
08/11/17 16:46:30 SqhPQkzs
>>556
乙だが、ところどころ文章がおかしい
もうちょっと自分の手になじんだ文で書いてみたらどうだ?

559:名無しさん@ピンキー
08/11/18 16:51:59 aTIlX6z3
>553
ショタレウスタンハァハァ

560:名無しさん@ピンキー
08/11/19 03:09:11 VA9+YPsg
擬人化ありならそう書いておいて欲しかった…

561:名無しさん@ピンキー
08/11/19 03:27:33 ptv6TUwz
作家さんに文句言うな
嫌なら読むな
荒らしは巣に帰れ

562:名無しさん@ピンキー
08/11/19 03:28:12 h2V+iTzo
>>556
以前レウス萌えを叫んだものです
ありがとうございます、全力で萌えさせていただきました


563:彼女が狩人になった理由
08/11/19 03:29:54 R0xvtvUV
枯れ木も山の賑わい つーことで投下します。

 ・女新人ハンター×クシャルダオラのかっぷりんぐー。
 ・正直スマンカッタレベルの獣(龍?)姦モノ。
 ・エロに期待はしないでちょ
 ・擬人化・擬竜化は「なし」です。
 ・無理矢理犯すシチュが嫌いな人はスルー推奨。
 ・突っ込みどころ満載だと思いますが、ご都合主義万歳的なノリで。

タイトルの読み方は「かのじょがハンターになったワケ」
・・・どっかで聞いたような聞いてないような。

564:彼女が狩人になった理由 1
08/11/19 03:32:39 R0xvtvUV
今私・・・「アメルド」はハンターズギルドの受付でハンター登録を済ませたトコロ。
小さい時、憧れていたハンターの人々。 親との縁を切り、村に家を借りて住まうことになった。
その憧れへと一歩でも近付くための、第一歩を踏み出したところである。
「それでは、こちらで手続きは終了となります。続いてはクエストの説明ですが・・・。」

説明を受け、言われるがままに採集クエストを受ける。
新人ハンターなら誰もが通る、簡単なクエスト。
彼女の場合は雪山草を規定数納品するものであった。
意気揚々とベースキャンプの設営を終えるとハンターボウを背に携えて、マフモフ装備を一式身に

纏い

「いよっし!頑張るぞー!!」

自らに気合を入れるように叫び、支給品をアイテムポーチにつめると、抑えていた気持ちを解き放

つように全力疾走して、湖の畔に出る。
広大に広がる湖、優雅に雪化粧をした雪山。ポポの親子が、草を食む姿。

「・・・キレイ・・・。」

普段は立ち入らなかった、本でしか見なかったその場所を始めて見た時に出たm
その言葉で我に返り、壁を登って洞窟の中へ入る。
-山頂にある、小さな穴の向こうには雪山草が一杯生えてるんだ。-
昔、そんな話をハンター達から聞いたことがある。
それを頼りに山頂へと歩みを進め、小型ながら新人は苦戦すると言われるギアノスと遭うこともなく洞窟を抜ける。

「さぁて、この先ね・・・。」

一般に-6-と呼ばれる場所、吹雪が吹きすさぶ山の中腹に出る。
まあ普通はホットドリンクを飲まなければ寒さに身を震わせ、あっという間に体力を奪われるのだ

が、流石マフモフ。何とも無い。

クエストを受けた時、特に飛竜や大型モンスターの目撃情報は無かったため、安心していた矢先だった。
巨大な、シルエット。
アメルドは昔、ハンターの武勇伝を聞いては本を読み、その知識を吸収していった。
そして、その姿は頭の中で整理され、出された答えは間違いなく

「クシャルダオラ・・・!!」

一瞬の油断が死を招く。
本の一説が頭の中で反芻される。 どこか抜けていたのかもしれない。

敵う筈が無い。 踵を返して逃げようとした瞬間。

目が合った。

565:彼女が狩人になった理由 2
08/11/19 03:36:24 R0xvtvUV
巨大な威圧感が身体を突きぬけ、そして一瞬の後に身動きが取れなくなる。
その姿が何倍にも膨れ上がり、小さな自分を見下している様に思えた。
身体を支えている足が崩れ、へたりこむ形でクシャルダオラを見据えている。
そんな私を見て、ソイツは勝ち誇った笑みを浮かべて一歩。 また一歩と近付いてくる。

動け。動け。動け! そう頭では分かっている。
しかし身体は反応しない。
何か強い力で無理矢理縛り付けられているような、そんな状態のままクシャルダオラが目の前まで迫ってきた。

「・・・い、いやぁ・・・!」

声が漏れる。 その瞬間身体に力が戻り、全身を使って逃げ出そうとした。
しかしそれは読まれていたのか、身体を動かした瞬間に前足で仰向けに抑えつけられてしまう。

「ひっ・・・!!」

恐怖からか、声が漏れる。
しかし、そのクシャルダオラは自分を抑えている前足を肩にかけて翼を羽ばたかせる。
殆ど抵抗も出来ないまま、空中を飛ぶ。 
寒くは無いが、あまりの高空に恐怖心が限界まで上り詰める。
と思ったら、すぐに降下を始めて先程通った湖畔に着陸する。

意図が分からぬまま、そのクシャルダオラは私を仰向けに押し倒したまま自分の顔を覗き込んで、
ニヤっと笑ったと思うと、自分のマフモフコートをインナーごとをその鋭い爪で引き裂く。
ご丁寧に肌は一切傷つけることなく、下半身も同じようにされてしまう。
生まれたままの姿でクシャルダオラの下に敷かれ、その鋼の身体が冷たく感じる。

「・・・」

何も言えず、ただ黙っているとクシャルダオラの顔が近づいて唇とその口が重なる。
冷たい。と感じた瞬間に滑った何かが口の中に入ってきた。

「んんっ!?」

声を出したことにより、更に口が開いてしまって結果、舌の侵入を許してしまう。

「ん・・・くっ、んんん!」

わざと乱暴に、抵抗する力が弱いのをいいことに開いた前足で胸を触っては掴むように力を込めて、
声が漏れているのを楽しんでいるようだ。
少なくとも痛みは感じているが、微々たる物。
快感が身体をゆっくり支配していくのが自分でも分かる。

だが、それから逃れるなど到底不可能だった。 頬が紅色に染まってくる。

566:彼女が狩人になった理由 3
08/11/19 03:41:43 R0xvtvUV
「ん、ふぅっ、ハァ、っ・・・」

口が離れ、ネットリとした唾液が糸を引くのを見て思う。
ああ、初めてのキスを龍に奪われちゃったな、と。
背徳感を感じながらも、不思議と冷静に戻った思考で冷静に思い返してみた。
彼女は文字通り本の虫だった。
ハンターの武勇伝を聞いて、分からない事は本を読み、知識を吸収していった。
が、対人関係に関しては世間知らずとも言えそうなレベルだ。
まだ発展途上な体は、それなりのスタイルを持っている。
しかし、この歳まで自慰すらも知らないまま育ってきた彼女。
それと同じ様に性に関しては殆ど知らないまま育って、唯一知っているのは流れのハンターから聞いた、全てのモンスターには繁殖期があると言うことだけだ。

クシャルダオラはこの少女に発情していた。
番を探していた所に現れた、小さな獲物。 しかし先程狩りをしたため腹は満たされていた。
しかし、この少女からは自分の同族と同じ匂いがする。 それも雌の。
アメルドが遭ったクシャルダオラは、不幸にも雄だった。
それを示すかのように、鋼のような身体から温もりを持ったペニスが現れた。
ソレを彼女の腹部に押し付け、擦り付けるように揺する。
アメルドの身体は揺すられる度に前後へと動き、彼女もクシャルダオラも快感に染まっていく。

「ひぅっ!! んぁっ、あぁぁ!」

愛液で濡れている股間を尻尾が何度も表面を撫でていくだけだが、それすらも強烈な快感に変わる程で、
絶えず口からは喘ぎ声と秘所からは蜜が漏れていく。
一方のクシャルダオラは、擦り付けに飽きたのか、体を動かしてペニスをアメルドの顔に押し付ける。
勿論尻尾で秘所への愛撫を続けながら、だが。
巨大なペニスを眼前に突きつけられ、一瞬口は閉じたが愛撫のせいで喘ぎ声を抑えられず開いた口。
そこに、クシャルダオラがペニスの先端を突き入れた。

「んん゛っ!? ん、んぅっ!」

喘ぎ声が呻き声に変わって、漏れてくる。彼女の目はカッと見開かれ、その異物を吐き出そうと噛みつき、舌を動かして吐き出そうとするが、
それは力の無さのあまり逆効果となってしまった。
クシャルダオラは快感に震え、突然彼女の口を突き上げる。
雄叫びをあげ、口の中へ勢いよく精を吐き出す。

「んぐぅっ?! ん・・・んっ、けほっ、げほっ!」

喉に雪崩れ込むように叩きつけられた龍の精液を、否が応でも飲まされ、とうとう飲みきれずに咳き込んでしまう。
しかしそれまでにかなりの量が喉に流れ込んで、その不快な味と臭い、纏わりつく精液が存在を示している。
クシャルダオラは口からペニスを抜き、再び体位を変えると正常位から精液まみれのペニスをアメルドの秘所にあてがう。

567:彼女が狩人になった理由 4
08/11/19 03:44:26 R0xvtvUV
愛液で濡れ、そしてペニスも自らの精液と唾液で十分に濡れている。
数秒後、覚悟を決めてもいない彼女の秘所に巨大なソレの先端が突き刺さる。

「ひぐっ・・・! ん、痛、痛いっ!!」

大きさもさながら、無理矢理に突き入れてくるそれは処女膜を簡単に貫き、
狭い秘所内をこじ開けながら、ゆっくりと奥へと進んでいく。
痛みで悶え、その身体を握った拳で叩くがそんなのを気にする様子もなくクシャルダオラは腰を押し付け、
進めないと感じると少し腰を引いてから、再び腰を押し付けて無理矢理に侵入を試みた。
ずっと痛みで苦しむ彼女のことを見るクシャルダオラは、思いついたように胸を口に含み、傷つけないようにと甘噛みする。

「ぁ、ぁっ! 痛・・・んぁっ、はぅっ!!」

快感と痛みで悶える彼女の表情を見て、それを意地悪そうに見ているクシャルダオラ。
そのまま、生殖の為の準備が整ったことを知らせる・・・入り口へと、先端が到達する。
しかし、それ以降は動こうとしない。 彼女を慣らすのだろうか、甘噛みや舌、口を使って胸を愛撫していく。

「ひっ、んぁあっ、はぅっ、ん・・・。 ぁ、ひゃあっ!?」

喘ぎ声だけが響き、彼女にとって数時間とも思える愛撫が終わった。
かと思うと、中にある暖かな何かが動いた瞬間に、先程感じていたのよりも数倍強い快感が身体を駆け巡る。
初めての経験を、龍に。モンスターに無理矢理犯されて、大切な人に捧げる筈だったモノも簡単に奪われて。
殆どの人間はこの行為に憎しみを感じるだろう。 だが、彼女はそんなことを考える余裕もない程に快感を与えられている。

「ぁっ、ん、ひぅっ、んぁっ」

最初は揺らすように、段々に動きを激しくして彼女の反応を確かめるように。
痛みはあった。 しかし、彼女をそれ以上の快感が支配していたためか、表情には苦痛よりも快感の色が強く伺える。
すると突然、クシャルダオラが深く、鋭く突き上げてきた。

「んぁっ!ぁ・・・あ・・・」

次の瞬間、咆哮と共にその精を最奥に放つ。
熱く、勢いのある精は止まることを知らず、彼女の中へと欲望を吐き出していく。
収まりきらなくなった精液は結合部から溢れ、地面に水溜りを作っていく。
彼女は弱々しい声を出すが、中では強い締め付けが行われており、その精を余すことなく受け止めようとしている。
本能がそうさせているのか、それとも単なる反射なのか。
誰にも分からないソレは、クシャルダオラが最後の一滴まで出し終わると同時に緩んだ。

「ぅ・・・んっ、はぅっ、っぁ」

ペニスが抜かれ、クシャルダオラは満足気な顔をして彼女を見てから、後は知らんと言わんばかりに飛び去る。
地面に伏したまま中に出された精の残留感と水溜りから匂ってくる獣の香りを嗅いで、意識は闇に落ちていった。


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