08/10/12 03:09:47 LLblfjqS
救助した沙慈・クロスロードを伴って、刹那は4年振りに新プトレマイオスに
帰還を果たし、懐かしい面々と再会を果たした。
ティエリア・アーデ、フェルト・グレイス、ラッセ・アイオンにイアン・ヴァスティ…。
死線をかいくぐって生き残った彼らとの4年ぶりの対面だというのに、
刹那の態度は以前と同じく、淡々としたものでしかない。
この4年、刹那は世界中を放浪してきたが、その間CBの理念を忘れた事はただの一度もなかった。
あの戦いの時の決意のままで4年を過ごした刹那にとって、今現在は過去の延長に過ぎない。
風貌が変わったり変わらなかったり、クルーごとに色々な成長を見せてはいたが、
懐かしくて感涙に咽ぶほどではないのも当然の事なのだった。
「なんか拍子抜けしちゃいましたぁ。もっとみんなと抱き合ったり、
泣いちゃったりするのかと思ってましたぁ♪」
ロッカールームに刹那を案内しながら、ツインテールの少女が語尾を延ばす独特の口調でずっと話しかけてくる。
黄色いボレロ姿の彼女は、刹那にとっては初めて見る顔だ。
「あっ、自己紹介ですねぇ?ミレイナですぅ。ミレイナ・ヴァスティ♪」
「…イアン・ヴァスティの娘か」
「はいですぅ♪」
ミレイナがローティーンの少女らしく、全く邪気のない感じでニコニコと笑った。
「よろしくお願いしますぅ。ええと…」
「セイエイ…。刹那・F・セイエイ…」
「そうでしたぁ。セイエイさんですねぇ?よろしくお願いしますですぅ」
ミレイナが刹那の前に走り出て、ぴょこんとお辞儀をする。
そしてまた無邪気にえへへと微笑んでくる。
「………」
CBの周りでは再び戦禍の火種が燻っているというのに、やたらお気楽な空気を振りまく
ミレイナに、思わず歩を止めて刹那は溜息を吐いた。
「どうしたんですかぁ?さ、早くお着替えしましょ~?」
ミレイナが刹那の袖を引っ張って歩き出す。
ぴょこぴょこ揺れるツインテールを横目に見ながら、まあこういう能天気な人間が
一人いる位が丁度いいのかも知れないと好意的に思い直し、
刹那はミレイナと二人、見慣れない艦の廊下を急いだ。