調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart26at EROPARO
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart26 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
08/09/03 02:09:58 5oG3BCuw
そういや昔志村けんのだいじょうぶだぁかなんかで吸血鬼ものもあったな
昔は興奮した覚えがある

151:名無しさん@ピンキー
08/09/03 02:51:47 rVR+JtIj
アルタードピンクの二話って…あったら報告入るよなぁ。
しかし、妹(二代目ピンク)が壁から半身だけだしてくるくる回転するCGなんとかならんのか。
何度見てもシュールで笑ってしまうんだが。

152:名無しさん@ピンキー
08/09/03 02:53:26 T7O9c1sR
スイカマン懐かしいwww
バカ殿は何気に悪堕ち多かった気がする。
殆どは当時流行った映画のオマージュだった様な。

153:名無しさん@ピンキー
08/09/03 02:55:54 WdI9u9hO
>>134
GJ!無茶苦茶良かったよ
たしかに洗脳マシーンの描写が細かくてツボだ
額のチップはアニメネタだよな。あの人形状態の春麗も良かったなぁ
>>150
「カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ」じゃなかったっけか?
吸血蝙蝠に血を吸われて吸血鬼化した女性がエロかった覚えがある

154:名無しさん@ピンキー
08/09/03 04:40:20 v6TzzgZr
>>134
久しぶりにツボな作品に出会いました ありがとうございました
やけに長くて読むの辞めようかと思ったが読み始めたら一気にはまった
春麗ネタはやたら推してた人が昔から居たからいつかはと思ってたんだが嬉しい

やっぱ元々知ってるネタの方が読みやすくていいな

155:名無しさん@ピンキー
08/09/03 05:46:22 xZ6cCA/6
アルピンその2はなんだか近親ネタっぽいな。
悪堕ちはサンプルにもあるようにその3に期待しろってことだろうなぁ

156:名無しさん@ピンキー
08/09/03 08:47:36 +vwMMtBM
助けた女性の胎内に仕込まれていた何かが誕生して侵入し
秘密基地内部の一般局員か誰かを陵辱洗脳して手駒にし
難攻不落で鉄壁の防御を誇るヒロイン達の秘密基地壊滅に貢献する

なんてネタは少ないよね。
基本的に一人、また一人とヒロイン達が毒牙にってのが洗脳陵辱系の醍醐味だから
内部からの裏切りによる一網打尽は微妙なんだろうけど

157:名無しさん@ピンキー
08/09/03 09:09:44 bRe6cajg
助けた女性の中で誕生した何かもしくはその女性自身が次々に
ヒロインを落として基地陥落っていうのは普通にありそうだけど
一般局員っていうのは確かになさそうだなー

158:名無しさん@ピンキー
08/09/03 09:31:50 dkQ7S0BX
>>153
スイカ人間テラナツカシスwww
種を吹きかけられると伝染しちゃうんだよな。
テンカスを投げつけると苦しんで元に戻せたんだっけか?
あとマツタケマンとかもなかったか?

159:名無しさん@ピンキー
08/09/03 12:03:28 w10Pe3WR
>>134
素晴らしい作品をありがとうございます!
洗脳マシンの描写が凄かった。
GJでした。

160:名無しさん@ピンキー
08/09/03 14:21:08 /O0utJp4
>>134
 映 画 化 決 定 
大変お疲れ様でした。
正直21レスってだけで敬遠の理由になるんですが、
みんながあまりにもGJするもんだから読んでしまった。
外見描写、戦闘描写、装置描写等々、実に力が入ってると感じられます。
脳内で映像にするのに苦労しませんし。
まぁ前フリが冗長な気がしないではないですが。
ただ、それが洗脳描写に及ぶと時間的にじっくりこってり進行しているようで、
非常にえろいわけですね。
我々のワクワク感も引っ張るわけですし。
まさかコスが変わるところまでしっかり描かれるなんてね。
春麗の邪悪顔想像してたらにょっきがとまらなかったですよ。
非常にいいモノを見せていただきました。ごちそうさまでした。

あと個人的に気になったことですが。
台詞がユニゾンする描写は「「 」」でくくったほうがユニゾンっぽい気が。
あと堕ち後の台詞は中華なると氏の影響でしょうか。

161:名無しさん@ピンキー
08/09/03 14:21:20 KZySznry
スイカ人間とか、いつの時代だよw
懐かしすぎだろ……。

162:名無しさん@ピンキー
08/09/03 17:41:33 +vwMMtBM
直接的な洗脳とは違うけど特定人物に対する崇拝などを利用して騎士団を裏で操り最終的には計画実行の為にカシミア・シフォンを殺害した
らいむいろ流奇譚のリネンはある意味で洗脳する立場の人間としては最強クラスの部類に入るよね

最後まで騎士団側の人間にはバレなかったし

163:名無しさん@ピンキー
08/09/03 18:21:41 QEQvn9GN
>>149
ユーリだぞ

164:名無しさん@ピンキー
08/09/03 18:48:34 hED7hrO2
スイカ人間つったら

天カスが弱点なんだっけか

165:名無しさん@ピンキー
08/09/03 19:37:22 gqHmF2ES
スイカ頭だそりゃ

166:名無しさん@ピンキー
08/09/03 20:04:11 QOwTgfiJ
いや、たしかスイカ洗脳はおばちゃん手作りの味噌汁で解けたはず

167:名無しさん@ピンキー
08/09/03 20:13:59 A//CI7ly
てんぷらてんぷらてんぷら!
からあげからあげからあげ!

168:名無しさん@ピンキー
08/09/03 20:23:19 QOwTgfiJ
しまったカボチャ人間と間違えた!

169:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:32:08 gkqDZlTQ
堕天使化ってのは悪堕ちに入る?
URLリンク(moepic3.dip.jp)

170:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:34:04 3X1GHURN
俺としては入るな

171:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:49:46 oPFcgq1X
元が天使だったら有り、人間なら悪魔化の方が悪堕ちっぽい。

172:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:55:03 hbDzQhuj
>>171
・・・元が天使だから堕天使化できるんであって
元が人間なら堕天使化とは言わないだろ
人間は死人になれるけど、鼠は死人になれない

と思ったが堕天使って辞書的な意味としては
悪魔のことなのか
なら結局言い方の問題でどっちにしても悪魔化でしかないのか

173:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:55:10 1HLZwBgn
戦闘ヒロイン(オリジナル)のSSを考え
た。シチュもしっかり考えて別紙にメモま
で作った。脳内で文章にもした。なのに、
なんで書き出した途端指(携帯で打ち込む
ため)が止まるのだ!!まさか、正義の連中
が私を堕とさないためにセーフティロック
でもかけたのか!?誰か私を解放してくれ!!

174:名無しさん@ピンキー
08/09/03 21:59:08 3X1GHURN
まずはsageろ、そして改行をきちんとしろ
話はそれからだ

175:名無しさん@ピンキー
08/09/03 22:01:58 QEQvn9GN
スプーキー…

176:名無しさん@ピンキー
08/09/03 22:05:10 KYhoSpyF
>>173
それが意識伝達の齟齬です。
人間の脳から体の各部位に伝わる信号は
絶対100%じゃないと思う。
特にはっきりしない妄想を形にするのは難しい……。
これとあとは……モチベーションの問題?

177:名無しさん@ピンキー
08/09/03 23:47:30 BgnlPfkL
え、何!?
ちょっと、ヤメテよ!
何をするのつもりなの!!気味がわr…
ッ!!…















うふふ…

178:名無しさん@ピンキー
08/09/04 00:09:46 lahe+rv/
>>134
素晴らしい作品をありがとう。
今までこのスレで見てきたどの作品よりもツボに入りました。

179:178 猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:01:47 Bv3qe/bE
こんばんわ。久しぶりの猟血シリーズです。ただ、今回は堕ちなしの触りだけですが…

西の大陸の中南部に連なる山脈地帯。人間の踏破を許さないとばかりに連々とそびえ立つ巨大な山々と、日の光すら通さないほど鬱蒼と
茂る針葉樹林の森。
海から吹いてくる湿った空気が山に遮られて下に降り、僅かな視界すら利かない濃い霧となって森を包み込む。
森の中では様々な獣が弱肉強食の理に従って日々の営みを行い、立ち入る人間をもそのルールの中に強引に編入していく。
このようなとても人類の生存を許さないような過酷な環境であるが、そのさらに奥の奥、周りをぐるりと山々に囲まれた一片の盆地。


人間はおろか、動くもの一切が見当たらないその盆地は深い霧に覆い隠され何を見通すことも適わない。そのなかで、他に比べ比較的
高台に位置し霧もそれほど覆っていない小山。
そこには周りを夥しい白い花に囲まれた一本の巨木が佇んでいた。胴回りは人間の大人が二人掛りで腕を回してもまだ届かない太さで、
高さは優に15メートルはある。
もう800年以上の齢を重ねてきただろうか、『彼』の表皮は長きに渡って風雪に当てられ硬く締まり、枝葉は青々と茂っている。
そして、『彼』のはるか眼下に無数にある、背丈の低い雑草に覆われながら所々にごろごろと転がる石片。
それは明らかに人間の手が加えられたものであり、多くのものは意味を持たない石ころと化していたが、極々一部のものが規則性を
持ったつながりを持ってそこにかつて何があったかを物語っていた。

それは、家であり、道路であり、塀であり、用水路であり。
壁であり、堀であり、櫓であり、城であり。

物言わぬ石たちは、かつてここに小さくも立派な国があったことを指し示していた。

が、それを知らせる相手は誰もいない。この地に国があったことを知っている人間は既に死に絶え、新しくそのことを知ろうとする
人間もまた現時点では現れてはいない。
そもそも、ここに国があったということを記録している文献も残っていないので、新しく知る人間は今後もまず現れることは無い。
そして、この国にいた人間の子孫も一人としていない。
ここにいた人間は全て、『あの日』に消え去ってしまったのだ。
この窪地に残った人間の営みがあったことを示す残骸はこれからも、決して来るはずの無い訪問者のためにその遺影を残し続けるのだろう。

『彼』は賑やかだった昔のことを、ゆるゆると思索していた。
まだこの地が濃い霧に覆われることなく、多くの人間や動物が、慎ましやかながらも楽しく笑顔を振り撒いていたあの頃を。
そして、よく自分の下に来てくれた、二人の兄妹と一人の戦士のことを。


『猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女』

○序章

周囲をぐるりと険しい山々で覆われ、余り他の国との交流が盛んではない山岳国家メルキルス。人口は一万そこそこというとても小さい国
なのだが、山間部の窪地に人口が密集していることもあり国内は結構活気に満ちていたりする。主な産業は牧畜と織物で、急斜面で育て
られた羊から取れる羊毛は他国からの評判も高い。
国家体制は王制が敷かれており、現国王であるメルキル15世は善政を以って国内を統治しており国民からの信頼も厚かった。
そして、国王一家が暮らしている国のほぼ中央部に位置するメルキルス城では、恒例となった朝のイベントが始まろうとしていた。


180:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:02:47 Bv3qe/bE

「きゃあああ~~~~っ!!」

朝の騒々しい時間も過ぎ、ようやっと人心地ついた頃、長い廊下を端から端まで貫くような悲鳴がけたたましく広がっていった。
その声を聞いて入ってきた衛兵が見たものは、机の引き出しを開けたままごろりと大の字にひっくり返っている魔導官の姿だった。
眼鏡をかけた奥にある瞳はぐるぐると渦を巻き、ショック症状からか時折体をビクビクと震わせている。
城内の正装であるかっちりとした上着の上に緑色の大きなカエルがちょこんと乗っかり、クルクルと喉を鳴らしていた。
その様を見て、衛兵達は妙な納得をしていた。
「ああ…、また若君のいたずらか」
「サンディ殿も苦労なさることで…。あの人カエルが死ぬほど苦手だからな…」
ただ、衛兵も気の毒とは思っているが同情はしていない。
なにしろサンディがこのいたずらに引っかかったのはこれで16回目(推定)だったからだ。最初の頃こそ自分達と同じ境遇に置かれた
魔導官に同情したものの、こうも頻繁だと感覚の方が麻痺してくる。
とにかく奔放で悪ふざけが大好きな王子による被害は後をたたず、特に自身の教育係に対しては容赦ない悪戯を果てなく繰り返していた。
前任が過労でばったりと倒れ、誰もなり手がなかった教育係に手を上げたのが国立の魔導学校でも秀才を知られたサンディだった。
(あの放蕩王子を、しっかりと教育してあげなくては!)
根が『超』が付くほどのド真面目なサンディは、入城する前にそう決意しグッと目の前で拳を握って自らに誓っていた。教育係に手を
上げたのには王家とつながりを持てるという俗物的な打算も確かにあった。
が、それ以上に王子の悪い評判に『自分が真人間に更生させてみせる』という思いのほうが強かった。将来自分が忠誠を誓うべき王が
先の評判どおりの体たらくでは先行きに不安を覚えざるを得ないというにも頷ける。


が、入城して2日後、サンディは自らの見通しが非常に甘かったことを受け入れざるを得なくなった。
確か今年で15になるはずなのだが、とにかくこの王子の奔放さと悪戯好きは常軌を逸していた。
初めて王子の自室に入ったときには、ドアのすぐ後ろに仕掛けられていた綱に足首を絡め取られ逆さに吊るされてしまった。
その後ケタケタと笑いながら近づいてきた王子に、猿轡を噛まされた後めくれ上がったローブの先を縛られて茶巾にされて部屋に転がされ、
王子はそのまま悠々と窓から飛び出て部屋から遁走してしまった。
その後、異常を察した衛兵が入ってくるまで25分、サンディは茶巾のまま部屋をごろごろと転がっていたのだ。

この後も、事あるごとに吊るされたり転がされたり放置されたり飛ばされたりと散々な目にあってきたが、一番の不覚はやはりカエルが
苦手ということを知られてしまったときだ。
そのときの王子のそれは面白いことを知ったといったニンマリとした笑みを、サンディはいまだに忘れることが出来ない。
次の日朝起きて個室の洗面台に向った時に、蛇口の前にちょこんとカエルが鎮座していたのを見たサンディは、ここが城だということも
忘れ、物凄い大きな悲鳴を張り上げてその場にバッタンと気絶してしまった。
後で聞いたところによると、介護だなんだとワラワラ部屋にはいってきた女官や衛兵に混じって王子が大笑いしていたらしい。
本当に腹の立つ話だ。
それ以来、サンディの周囲でやたらとカエルが目撃されるようになってきた。中には単なる偶然もあるのだろうが、大多数というよりは
殆どが王子の仕業であろう。

だからと言って、王子が勉強嫌いである。ということでもなかった。
ちゃんとサンディの言うことを聞いて勉学に勤しむこともあったし、なにより本人の頭脳がまたかなり図抜けていた。教えたことは
すぐに自身の中に吸収し、それを基に応用する術も持っていた。
単なる悪戯好きの放蕩者でなく、好奇心と知識欲が旺盛で知りたがりである王子に、サンディは『少々振り回されてもいいからこの王子に
自分の出来る限りのことを教えていこう』と思うようになった。それまでの多くの教育係が王子の蛮行に耐え切れず去っていく中、サンディ
はやめずに堪え続けた。

まあ、振り回されすぎて今回のように気絶してしまうことも多々あるのだが。

いつものことだと、特に介抱もせず部屋から出て外でのんびりと欠伸をかいていた衛兵の首根っこが、後ろから不意にギュッとなにかに
よって包まれた。


181:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:03:47 Bv3qe/bE
グェッとカエルのような悲鳴を上げた相方を不審に思った衛兵が見ると、そこにはビキビキと血管が走った指で衛兵の首を締め上げ、
広いおでこの下の眼鏡が異様にぎらついて見えるサンディの怒りの形相が見えていた。
力技を得意としない魔導官とはとても思えないほどの握力で握り締められている首は血流が止められ、衛兵の顔はみるみる赤くなっていく。
「お前ら…、人が悲鳴を上げたら何かするのが人の道じゃないの?!放っておくなんて何事よ!!」
「も、申し訳ありません!いつものことなんでちょっと感覚が麻痺して…」
しどろもどろに言い訳をする衛兵をギロリと見たサンディは、八つ当たりをするのもアレだと思い、パッと指を離すと廊下の先目掛けて
声を限りに心中の思いを吐露した。

「あんのバカ王子ーーっ!どこに行ったーーっ!!
今回という今回は絶対に許してやるものか!その捻じ曲がった性根を徹底的に矯正してやるーーっ!!」

半べそでヒステリックに大声を上げるサンディを見て、衛兵は思わず吹き出しそうになるのを必死に堪えていた。
ここでヒスの矛先を向けることにような愚かな行為は流石にしたくはなかった。



そして、サンディがやり場の無い怒りを爆発させギャアギャアとわめいていた頃、問題の王子はとうの昔に城から抜け出していた。
「王子…、本当に戻られなくてよろしいのですか?サンディ殿もお待ちだと思われるのですが…」
王城から馬で1時間ほど駆けた所にある小山。そこの天辺にある巨木の下で、王子の護衛役である女性騎士ララディアは樹の上に
向って心配そうに声をかけていた。
が、樹の枝に登って周囲を見渡しているいる王子はそんなことに興味ないといった風情でさらりと言葉を返してきた。
「構いやしないよララディア。どうせ今日はサンディからつまらない帝王学とやらを延々と聞かされるだけなんだからさ。
あんなもの覚えたって何の役にも立ちはしないよ。こうやって野山を駆け巡っていた方がよっぽどためになるのさ。それに…」
そこまで言ってから、王子は不意に顔をほころばせ
「暫くの間、サンディは体を動かせないから僕に勉強なんかさせられはしないんだよ。アハハハ…」
と、サンディの醜態を想像しながらケラケラと笑っていた。
「……」
それを聞いたララディアは、王子が一体どんなことをしでかしたのか容易に想像がついた。
「王子…、またカエルをサンディ殿の部屋に忍ばせましたね……」
ララディアの顔がみるみるうちに曇っていく。
サンディのカエル嫌いはララディアも聞き及んでいる。一旦ぶっ倒れてしまった以上、少なくとも1時間は起きてはこないだろう。
毎回毎回王子の悪戯の餌食にされるサンディには心底同情せざるを得ない。

が、ララディアはその件で王子を責めようとはしなかった。
むしろ、王子を心配するような目を向けている。
「…アレクサンダー王子、本当にこれでよろしいのですか?
このままでは王子ばかりが非難をこうむる羽目になってしまいます。ご自分が、どう思われてもよろしいのですか?」
「今さらそんなことを気にしてもしょうがないよ。僕の放蕩ぶりは国中に知れ渡っているんだからこれ以上評判なんか落ちっこない。
『アレ』のためなら、汚名だって何だって被ってみせるさ」
王子=メルキルス国第一王子、アレクサンダー・イル・メルキルが指差した先には、一面に広がる花畑で楽しそうに花を摘んでいるアレク
サンダーと同じ金色の髪をした少女がいた。
年恰好はアレクサンダーより若く12~3歳くらいで、肩下まで伸ばした髪はややカールがかかっている。
そして、その肌は日に当たったことが無いのかというくらい真っ白で、むしろ青みがかかっていると言ってもいい。
「………」
その姿を見て、ララディアは昔のことを思い出していた。



それは、サンディの前の教育係が簀巻きにされて筏に乗せられ城の堀を漂っていた時のことだ。
言うまでもなくアレクサンダーは城を脱出しており影も形も無い。


182:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:04:47 Bv3qe/bE
城中を駆けずり回ったララディアが、ようやくアレクサンダーの馬がいなくなっている事を確認して外に逃げたことを悟り、
自身も馬を駆って町へと飛び出しいったのがアレクサンダー失踪から40分後。
アレクサンダーはある意味国中の有名人なので足跡を辿るのはそれほど難しくない。少しの聞き込みでアレクサンダーらしき人物が
荷物を載せながら北の小山のほうへと向っていったとの情報を得て、急いで馬を駆けていくと、山の天辺の木の下にアレクサンダーの愛馬
ヴァゼットが繋がれているのを目にすることが出来た。

「…アレクサンダー王子!!」

木の下にたどり着いたララディアは、枝葉が震えんばかりの大声で怒鳴り上げ木の幹を思いっきり蹴り飛ばした。
ドォン!と物凄い音を立てた木は揺れに揺れ、すぐさまガサガサといった葉鳴りと共に上からドサッと重たいものが落ちてきた。
「あいたたた…、ララディア、落とすことはないじゃないか。怪我でもしたらどうするんだい?」
上から落ちてきたアレクサンダーは、ぶつぶつ言いながら強く打った尻を痛そうに擦っていた。
その様が、ララディアの怒りをさらに大きくしていった。

「………王子!!!
あなたは、この国を背負って立つという意味がわかっているのですか?!それは、この国全員の民の存亡を、その手に握るということ
なのですよ!教育係も、それを王子に理解して貰うために、諸々の事を教えようとしているのです!!
それを意に介さずに毎回毎回悪戯し通しで…バカも程ほどにしてください!!」

アレクサンダーに向けるララディアの言葉は、主従の立場にある者としては考えられないほど苛烈だ。もしアレクサンダーの
顔が眼前にあったら思いっきり引っ叩いていたかもしれない。
だが、それほどまでのララディアの怒りを受けてもアレクサンダーはなお飄々としていた。
「程ほどにね…。僕としては程ほどで抑えていると思っているんだけれどね。
第一、やらなければならないと思っていることはきちんとやっているんだ。必要ないことを覚えたって、将来役には立たないだろ?」
「必要でないかそうでないかは、王子が決めることではありません!
今、王子が必要とは思っていないことでも、将来必要になる時が来るかもしれません。その時、どうするのですか!!」
「知っている誰かに聞けばいいさ。そのために人間は聞く耳も見る目も考える脳みそも持っているんだから」
「うぎぎ~~っ!」
ああ言えばこう返す。残念だが、口先ではララディアはアレクサンダーに勝ったためしがない。剣を振るうのが専門で論理を構築する
仕事が苦手ということもあるのだろうが、アレクサンダーのすぐに反論が飛び出す頭の回転の速さからしても、そもそもの脳の資質が
アレクサンダーとララディアでは月と大地ほどの距離の開きがある。
「知識なんか、後でいくらでも手に入れるここが出来るんだ。それよりも、今しか出来ないことを今堪能する方が大事じゃないのかい?
この短い人生、急いで駆けたっていい事なんか一つもないよ」
この時、それまで朗らかに笑っていたアレクサンダーの顔に一瞬だが暗い影がさした。
が、王子に論破された悔しさから頭に血が上っていたララディアにはそのことに気が付くことは無かった。
「とにかく!!今すぐお城に戻っていただきます!覚悟しておいてくださいね。
陛下からもお仕置きをたっぷり与えてもらうようにお願いしておきますから!!」
口で勝てなかったララディアは、次は腕力に訴えてアレクサンダーを連れ戻そうとした。アレクサンダーの耳をぎゅっと抓り上げて
強引にヴァゼットのほうへと引っ張っていく。
「あいて!いてててっ!!ちょ、ちょっと待ってくれララディア!
行く。行くから手を放してくれ!まだ……」
「そう言ってまた逃げ出す気なんですね。そうはいきません!
このままヴァゼットに縛り付けて連れ帰りますから。わかりましたね!!」
過去にも同様の手口で逃げられたことが何度もあるララディアは、アレクサンダーの言うことに耳も貸さずに縄を取り出し、アレクサンダー
の体をぐるぐる巻きにし始めた。
と、その時

「待ってララディア!兄様を許してあげて!」

山の斜面に広がる花畑から聞き覚えのある声が聞こえたかと思うと、金色の髪を纏った少女がぴょっこりと顔を出してララディアの
ほうへちょこちょこと歩いてきた。


183:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:05:47 Bv3qe/bE
その姿を見て、ララディアは驚きで目を大きく見開いた。
「ア、アルマリス様?!なんでここに!!」
そこにいたのは、アレクサンダーの妹でメルキルス国第一王女、アルマリス・フィル・メルキルだった。
ララディアはてっきりアレクサンダー一人だけで脱走していたと思っていたのでアルマリスの登場は完全に予想外だった。
「お願いララディア、兄様を怒らないで。
もとはと言えば、お外に出たいって言った私が悪いの。…兄様は私のお願いを聞いてくれて外に出してくれただけなの。
だから、悪いのは私なの。お兄様を怒るなら…、代わりに私を怒ってほしいの」
アルマリスはばつが悪そうに、ぽつり、ぽつりと言葉を紡いでいる。
「お、王子…。アルマリス様を、外にお連れしたのですか?!」
ララディアの声にはかなり非難めいたものが混じっている。
アレクサンダーの妹、アルマリスは奔放なアレクサンダーとは正反対の大人しく物静かな性格をしており、生まれ付いて病弱で
しばしば高熱を出してはベッドで寝込み、周りをやきもきとさせていた。
そのため医者から外出を控えるように言われ、ほとんど城の外に出ることも無く大抵は自室で一日を過ごしていた。
「ああ、出した。
アルマリスは生まれつき体が弱いから外に連れ出すことはダメだってのは承知している。
だからって、篭の鳥みたいにずっと城の中で飼われるようなことをして、それでアルマリスが幸せだと思うかい?」
アレクサンダーの表情からはそれまでの浮ついた笑みが消え、苦虫を噛み潰したような不快さが滲み出てきている。
「冗談じゃないよ。体が弱いのを理由にして殆ど外の世界を見せないで、それでアルマリスがこの先どんな人間になるっていうんだ?
城の中だけしか知らないで大人になったら、まともな人間なんかに絶対なるもんか。それをみんな分かっちゃいない。
妹にそんな残酷な未来を押し付けるなんて、兄としては見過ごせるわけはない」
その顔は、真剣に妹の未来を憂いている表情だった。
「…っ!」
それを見たとき、ララディアはこれが本当にあの放蕩王子と同一人物なのか疑ってしまうほどだった。
もしかしたら、普段の悪童っぷりが全て演技ではないのか。などというありえない妄想すら一瞬抱いてしまった。
「実は、これまでもちょくちょくアルマリスを連れてここに来ていたんだ。ここからの景色とこの花畑、そしてこの木をアルマリスは
特に気に入ってくれたから」
アルマリスは、アレクサンダーの言葉に恥ずかしげに顔を明らめ俯いている。
「城の狭っ苦しい空間にいるより、ここでのアルマリスはよっぽど輝いていたんだ。今まで見たことが無いほど、生き生きと活発に
していたんだ。
だとしたら、その輝きを失わせるような真似が、兄としてできると思うかい?出来ないだろ」
これらの言葉から察するに、どうやらアレクサンダーはしょっちゅう城を抜け出しアルマリスと一緒にここに来ていたようだ。
その際、歴代の教育係その他等々が犠牲となっていたのは想像に難くない。
「別に僕が汚名を被る分にはいいんだ。どうせ今バカをやっていたって大人になればいやでもこの国の王になる。
王になればバカも悪戯も何も出来なくなるんだ。僕がこの国全部を引っ張っていかなければならなくなるんだから」
淡々と語るアレクサンダーの顔からは、いつも見せている生意気な笑顔ではなく、どこまでも続く虚無が張り付いている。

「!!」

その時ララディアは、アレクサンダーの立場を改めて思い知った。
この少年は、既に自分の未来がどういうものになるかを理解している。この国を治める王となって、滅私の奉公をさせられる事を知っている。
それは自分で決めたものでもなく、自分が望んだものですらない。
自分が生まれる前から決められた一本道を、後ろに引くことも出来ずただ前に進んでいる。

それを何の疑問に思わず、言われるままに進んでいけるならまだ良かった。
が、アレクサンダーは聡明すぎた。10歳になる前から自分の立場というものを完全に理解してしまっていた。
どうせ自分には決められた道しか記されていない。その運命から逃げることは出来はしない。
だったら、徹底的にそれに抗ってやる。後戻りできない歳になるまで運命に逆らい続けてみせる。可能な限り寄り道してみせる。
その意思表示のための悪戯であり、無軌道な放蕩三昧だ。どうせ、大人になれば二度と出来なくなるのだ。
今は怒られて許されるものだが、大人の時に行えば個人だけでなく国を潰しかねない。
アレクサンダーは決してこの国を嫌っている訳ではない。自分の我侭でこの国を壊すわけにはいかない。


184:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:06:47 Bv3qe/bE
「だから、僕がどう思われようと構いはしない。僕が怒られるのも全然問題ない。
アルマリスに楽しい思い出が出来るなら、僕は喜んで怒られよう」
「兄様……」
自分を心配そうに見るアルマリスに、アレクサンダーは慈しむように頭を撫でニコリと笑った。
「妹を幸せにするのは、兄として当然の努めだよ」

「………」
いつの間にか、ララディアの目から涙が轟々と溢れ出ていた。

放蕩王子、放蕩王子と回りから疎まれ、自分もそれらと同じ目線でアレクサンダーを見て、救い様のないバカと認識していた。
正直、任務でなかったらとうの昔にほっぽり出したかったし、王子でなかったら何十発とひっぱたいて性根を入れ替えようとしただろう。

しかし、それは自らの立場を理解しつつ運命に懸命に抵抗しようとする少年の精一杯の感情表現であり、病弱な妹にせめて人間らしい
喜びを与えてあげるために自らを道化とした結果であった。
この王子の孤独に、周りの大人は誰も気づいてあげられなかった。一番近くに常にいた自分ですらも。

「お、王子ぃ……、申し訳ありませんーーーっ!!」

たまらずララディアは地面に顔を伏せ、大声を上げてオイオイと泣き始めた。
「お、おいララディア……」
突然の事態にアレクサンダーが戸惑いの声をあげるが、それでもララディアは泣くのを止められなかった。自分への情けなさと
恥ずかしさでとても顔を上に向けることが出来なかった。
「わ、私は王子の護衛失格です!王子の苦悩を、いつもそばにいながら全く理解できていませんでした…!
申し訳ありません、申し訳ありません~~~っ!うわぁぁ~~~っ!!」
「あ、あうぅ…。これは、参ったなぁ……」
目の前に突っ伏し泣き喚くララディアに、アレクサンダーはどうしてよいのかわからずただおろおろするだけだった。切れすぎる頭は
打算や計算に対しては怜悧冷徹に働くものの、人間の感情の突然の機微に対しては全く機能せず、また冷静に対処するにはアレクサンダー
はまだ幼すぎた。

その時、アレクサンダーの横からアルマリスがちょこちょこと飛び出てララディアの前にしゃがみこんだ。
「ララディア、もう泣かないで」
アルマリスは心配そうな声でララディアに語りかけ、小さな右手をポンとララディアの頭の上に置いた。
「ララディアが泣いていると、私も泣きたくなってくる。悲しいのはイヤなの。泣かないで」
「うぇぇ……?」
涙やなにやらでぐしゃぐしゃになったララディアの霞んだ視界に、アルマリスの顔がおぼろげに映りこんでくる。
その表情は、今にも落ちそうな涙を懸命に堪えたものだった。
「ア、アルマリスさまぁ…、でも、私は、私はぁ……」
「泣きたい事があったら笑えばいいって、母様も兄様も教えてくれたの。
ずっと笑わないでいると、顔が笑いかたを忘れちゃうのよ。だから、笑って。ララディア」
その声は、自虐に押し潰されそうになっているララディアの心に救済の光を与えていった。
「そうだよララディア、君は何も悪くない。自分を責める必要なんかないんだ」
アルマリスの行為に呪縛が解けたのか、アレクサンダーも腰を落として目線をララディアに合わせ、懸命にララディアへ言葉をかける。
「うっ、うぁぁ……」
兄妹の自分に対する態度に、ララディアの心に自分は許されているんだ、という想いが次第に膨らんでくる。
「は…  っ、は、はは は………」
ララディアは嗚咽を出しそうになる声を必死に押し潰し、引きつった顔の筋肉を懸命に動かしてどうにか笑顔といえるものを形作ってみた。
それは他人から見たら笑顔と言うより奇顔だっただろう。
が、アルマリスはそんなララディアの顔を見てにっこりと微笑んだ。
「うん。ララディアはいい子ね。いい子いい子…」
アルマリスは何とか笑顔を崩すまいとしているララディアの頭を褒めるようになでなでと擦った。


185:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:07:47 Bv3qe/bE
「あ、あ、あじがどう…  ございばずぅ……」
そんなアルマリスに、ララディアは精一杯の笑顔を浮かべながら先ほどとは違う嬉しさから来る涙を一杯に溢れさせていた。


「いいかいララディア、このことは僕たち三人だけの秘密だ。絶対に他の人間に喋ってはいけないよ」
「いけないのですよ。わかりましたね」
外に出すことが許されていないアルマリスを連れ出していることが露見したら、絶対にアルマリスの部屋には監視がつき連れ出すことが
困難になってしまう。
アルマリスがほとんど部屋の外に出ることが無い現状だからこそ、周りの目も油断しこうやって時々周りの目を盗んで連れ出すことが出来るのだ。
「わかりました。三人だけの秘密、ですね」
ララディアは、これまでに無いさっぱりとした表情でアレクサンダーの言葉に頷いていた。
今のララディアに、ついさっきまで心の中にあったアレクサンダーに対する嘲りの気持ちはもう微塵も無い。
目の前にいる人物は年甲斐も無く悪戯にうつつを抜かす大馬鹿野郎ではなく、他人の幸福のためなら平気で己を殺すことが出来る貴人だ。
自分が忠節を誓うに足る偉大な人間なのだ。
そして、そんな人物に仕えられる幸せ。その人物と秘密を共有する幸せを全身で感じ取っていた。
「よし。じゃあこれでララディアも共犯だな。これから僕たちが外に出るとき、一緒について来るんだぞ」
「来るのよ」
「フフッ、承知いたしました」
こうして、この秘密の場所を共有する人間が一人増えた。
三人は、城の中で怒号と悲鳴が飛ぶごとにそっと抜け出し、この場でつかの間のくつろぎを送る時間を作っていった。



「今日は、アルマリス様のお加減もよろしいようですね」
「だからこそ抜け出したんだけれどね。最近、また少し具合が悪かったからずっと篭りっきりだったし」
体が弱く城から外に出られないアルマリスは、当然だが同年代の友人と呼べるものは無く話し相手も兄のアレクサンダーぐらいだった。
それも体調が崩れると部屋に出入りが禁じられるため、伏せている時のアルマリスはただじっとベッドの中で寝ているか本を読むくらい
しか楽しみが無いのだ。
それだけに、この秘密のお出かけは今のアルマリスの一番の楽しみだった。外に出られると聞いただけで、青みがかかった肌がサッと
紅潮し顔に喜びの笑みが浮かび上がってくる。
その顔を見るのが、アレクサンダーとララディアにとって何よりも喜ばしいものだった。

「兄様、ララディア!見てください!」
さっきからしゃがんでじっとしていたアルマリスが突然立ち上がり、くるっとアレクサンダーたちの方へ振り返った。
その手には摘んだ花を編んで作ったと思われる、真っ白な花輪が二つ握られていた。
「まあ!とても綺麗ですよアルマリス様!」
「ああ!すごいぞアルマリス!」
アレクサンダーもララディアも、その出来栄えに素直な賛辞を送っていた。城内で刺繍やピアノを習わされているため手先は器用なことは
分かってはいたが、初見でいきなりこんなものを見せられては感嘆するより他に無い。
「はい、兄様」
アルマリスは手に花輪を持ったままアレクサンダーに近づき、少し背伸びをしてから花輪をアレクサンダーの首にかけた。
「ララディア、少し体を屈めてください」
そして、ララディアが言うがままに腰を曲げ首を下ろしたところにもう一つの花輪をかけた。
「お似合いですよ。兄様も、ララディアも」
楽しげにキャッキャと笑うアルマリス見て、アレクサンダーもララディアもとても幸せな気分になってきた。
これを見れただけでも、今日強引に外に出てきたかいはあっただろう。
「ありがとう、アルマリス」
「有難うございます、アルマリス様」
「うふふ、どういたしまして……?!あっ…」
二人の心からのお礼ににこりと微笑んだアルマリスの足が、不意にぐらりと揺れた。


186:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 02:11:41 Bv3qe/bE
「アルマリス!!」
そのまま地面に倒れようとしたアルマリスの体を、アレクサンダーが慌てて抱え込んだ。
「どうした、アルマリス!」
「…申し訳ありません兄様。ちょっと疲れて目が眩んだだけです…」
兄に心配かけまいとアルマリスは気丈に振舞っているが、心なしか顔色がさっきよりも悪くなっている。
「アレクサンダー様、今日はもう戻った方がよろしいかと」
ララディアも心配そうにアルマリスを見つめている。これ以上の外出はアルマリスの体に負担をかけすぎるようだ。
「そうだな。そろそろサンディも大騒ぎしはじめる頃だしな」
アレクサンダーはアルマリスを支えたまま、愛馬ヴァゼットへと歩んでいく。
「兄様…、今度はティフォンも連れてこられるといいのですのにね」
ティフォンとは、アルマリスが5歳の誕生日を迎えた時に両親からプレゼントとして贈られた犬のことだ。もらわれた頃はアルマリスでも
抱えられるほどの小ささだったのだが、外に出られないアルマリスが召使の手も借りずに甲斐甲斐しく育てた結果なのかみるみるうちに
大きくなり、遂には身長180cmを越える大型犬となってしまった。
今では城にいるときのアルマリスの一番の遊び相手であり、また一番の護衛でもあった。
「う~~ん…」
アルマリスのお願いに、流石にアレクサンダーは顔を顰めた。ティフォンは賢い犬でそうそう吠えたりはしないのだが、あの大きさを
隠して持っていくのは流石に多少の無茶がある。
だが、面と向って『無茶だ』とも言えず、とりあえず
「そうだね。今度連れ出せるよう努力してみるよ」
とだけ答えておいた。
「ありがとうございます兄様……。こほっ、こほっ…!」
体が辛いのか、アルマリスは軽い咳を2、3回吐いた。だが、心配そうに見つめるアレクサンダーに自分は大丈夫との意思表示なのか
口を抑えた右掌をすっと前に出した。
「…申し訳ありません兄様。私の体がもう少し丈夫でしたら…」
「それはアルマリスが気にすることじゃない。気にすることじゃないんだ…」
しゅんとうな垂れるアルマリスを、アレクサンダーは優しい声で慰め続けていた。
「………」
その姿を、ララディアはとても痛々しそうに眺めていた。


序章終

以上です。堕ちシーン有りの次は明日か明後日に投下します
なお、猟血と銘打ってますが今作にティオとニースは出てきません。作品舞台が
ティオたちのいる時代の約500年前ですから
そのかわり、どこかで聞いた名前の兄妹が……。では、また次回…

187:名無しさん@ピンキー
08/09/04 02:22:37 bI7s+0KZ
>>351
……すごい漢だ。

188:名無しさん@ピンキー
08/09/04 03:02:58 Ad2JAQ9D
178さんGJです
毎度毎度楽しみにさせてもらってます
これからもがんばってください

そして>>351に期待

189:名無しさん@ピンキー
08/09/04 03:21:01 TsIOQURt
GJです!
堕ちシーンに期待します

190:名無しさん@ピンキー
08/09/04 03:50:42 m0dCD5YU
続きを待ってたぜ
あと>>351 に期待

191:名無しさん@ピンキー
08/09/04 06:38:52 lX3fAod0
>>186
お疲れ様です。
妹の方は随分と印象が違いますが兄の方は大して変わってませんね。
この後の堕ちシーンでサンディとララディアがどうなるか見ものです。
ぬへ。

192:名無しさん@ピンキー
08/09/04 17:54:49 6ufYdwCd
ちょっと皆に聞いてみたいんだが
悪堕ちして従わされる相手って
まあ大雑把にカリスマ美形を10不細工な下衆を0としたら
10~0で皆どこら辺が好きだい?

193:名無しさん@ピンキー
08/09/04 18:05:53 Sgnog/4q
果てしなくどうでもいいな
いいか。堕ちのシチュが最高だったら、もうそれでいいんだよ。他は付属品だ。
淫魔化、悪コスは完成品に添えられるおかずだから必要だがな

194:名無しさん@ピンキー
08/09/04 18:12:13 Ad2JAQ9D
美形なほうがいいだろうけど

>>193
>いいか。堕ちのシチュが最高だったら、もうそれでいいんだよ。他は付属品だ。
>淫魔化、悪コスは完成品に添えられるおかずだから必要だがな

には激しく同意

195:名無しさん@ピンキー
08/09/04 18:32:51 6ufYdwCd
目からうろこ落ちた
うおお…まだまだ甘かったぜorz

196:名無しさん@ピンキー
08/09/04 20:31:48 Axm+QjXq
>>193の言うおかずを使わしてもらうと
おかずに関しては人それぞれ妄想・脳内補完になる
だからシチュや場合にもよるけど服装やポイントの形状も人によって変わるし
その結果美人になるか可愛くなるかの度合いは違ってくると思う


えっ不細工? そんなんあんまり妄想しないです

197:名無しさん@ピンキー
08/09/04 21:35:16 +nWGLHBE
関係なくて今更だが、
灰羽連盟の1話を見たら酷く妄想を掻き立てられた。

198:178 猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:09:46 Bv3qe/bE
こんばんわです。昨夜言ったとおり残りを投下いたします

○一章


「先ぱ~い、ご苦労様です」
誰かの目に触れられないようさりげなく城に戻ってきたララディアに、後輩であり城内衛兵のクーラが声をかけてきた。
表向き、ララディアは城を抜け出した王子を追いかけるという目的で城から外に出ている。そのほうが後でごかましが利かせやすいからだ。
ちなみに、アレクサンダーは帰るなりすぐに執事長のシャップ(=爺)に耳を引っ張られ奥の部屋へと拉致されていった。
現在は嵐もかくやと言わんばかりの大雷がアレクサンダーの頭上に落ちまくっていることだろう。
「ああ、ありがとう」
騙しているのは気が引けるが、ララディアはクーラの気遣いに素直に言葉を返した。彼女はララディアがアレクサンダーの護衛になる前
からの付き合いで、訓練学校時代によく慕われてきたものだった。
「でも、王子ったら相変わらず子どもっぽいですよね。勉強嫌いだからってサンディさん気絶させてまで逃げるんですもの。
まあ、毎回毎回同じ手に引っかかるサンディさんもバカと言うか、なんと言うか……。笑っちゃいますよね~~
知ってます?サンディさんったら一向に起こしにこない周りに腹立てて、ドア番ぶん投げたらしいですよ。おっかないですよね~~」
クーラは、虚実織り交ぜて城内で起こったことを面白おかしそうにぺらぺらと捲し立てた。
アレクサンダーが場外に出る理由を知っているララディアは、クーラのアレクサンダーに対する無神経な言葉に少し不快感を覚えたが、
城内、というかこの国の人間のアレクサンダーに対する評価はクーラのそれと大して変わりはしないことは分かっているので、ここで
反論をするのは抑えて言葉無く曖昧に頷いていた。
だが、現実の脅威はすぐ後ろに迫っていた。

「誰が、おっかないですって?」

クーラの後ろから物凄~く不快そうな雰囲気を纏った声が響いてきた。その声を耳にしたクーラはビクッと背筋をおっ立てた。
「だ~れが、おっかないのかしら。ク・ウ・ラ・ちゃん?」
クーラの足元がガクガクと震えだしてきている。ララディアはとりあえず巻き込まれたくはないとばかりにクーラから視線を外していた。
「あ、あの、あのあのあのあのあの…!」
「話をする時は、相手の顔を見て話せって、学校で教えられなかったかしら?ほら、こっちを向きなさいな…」
後ろの声は、クーラに相当な威圧感を持って語りかけてきている。クーラの方はそれに圧倒されて完全に体が硬直し、振り向こうにも
なかなか首が言うことを聞いてくれない。
ギ・ギ・ギと、まるで金具が錆付いたドアのようにクーラの頭は緩慢に後ろへと回っていった。
そして、完全に振り向ききった先には…

怒りで怒髪天どころか服までゆらゆらと揺らめいているサンディが立っていた。

「き、きゃあぁ~~っ!サンディさん!!王子のお説教に付き合っていたんじゃないんですか~~っ?!」
「あれはシャップ殿が一人でやっているわ。流石に王子もへこたれているみたいね……
え?私はしないのかって?私はあとでするのよ。王子に山ほどのドリルを押し付けて、徹夜でスパルタしてやるわ…。そう、徹底的に……
フ、ウフ、ウフフフフ………」
不気味にほくそえむサンディの表情は完全に彼岸の方向へ向いている。その顔に、クーラのみならずララディアも背筋に冷たいものが走っていた。
「あ、そうそう。私がおっかないって言ったわね。あれって……」
「せ、先輩!私、仕事に戻りますから!!失礼しま~~~す!!」
サンディの瞳の中の光に身の危険を感じたクーラは、ララディアにペコリ一礼すると、そのまま足早にこの場から撤退していった。
「あ、こらクーラ!一人置いて……」
そういったが既に遅し。クーラは最早視界の届かないところにまで逃げ込んでいっている。
いや、よく見れば周りには人の気配がなにもない。みんなサンディの癇癪を恐れて周りから消え去ってしまったのだ。
(しまった!逃げ遅れた!!)
そう思っても後の祭り。今この場にはララディアとサンディしかいない。
「……ララディア…」
サンディの眼鏡がきらっと光った。どうやら怒りの矛先のロックオンを完了したらしい。
「元はといえば…、あんたが王子の手綱をきちんと締めてないからいけないのよ……」
サンディの握り締められた右拳に、少しだが陽炎のようなものが発生している。


199:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:10:46 Bv3qe/bE
「あんたが王子をきちんと見張っていないから、私がこんな理不尽な目に会うのよ……」
手の陽炎は、次第にゆらゆらとした炎を纏い始めている。
「あんたがしっかりしていないから、あのバカ王子が増長するのよ!!」
ゆらゆらとした炎は、形を整え火球に成長していっている。
「ちょっと待ってサンディ、気を落ち着けて……」
ララディアがサンディの怒りをなんとか静めようとしたが、どうやらこの声がきっかけになってしまったようだ。

「少しは反省しろーーっ!!この脳筋ー!!」

サンディは自らの手を大きく振り上げ、生成した火球をララディア目掛け思いっきりぶん投げた!
もちろん人一人殺せるような炎には成長していないものの、まともに喰らえば大やけどを免れ得るものでもない。
唸りを上げてララディアに突進する火球!が、

シュゥン

今にもララディアに当たらんとした火球は、ララディアに近づくにつれ火勢を失い遂には目の前で掻き消えてしまった。
「ふざけんなこん畜生がーーーっ!!」
それを見て余計に腹が立ったのか、サンディは次々に火球を作ると辺り構わずボンボンと撃ち始めた。

日ごろアレクサンダーのせいでストレスを溜めまくっているサンディは、最近ふとしたことがきっかけで大爆発し破壊魔法を近辺に
乱発するという困った癖がついていた。
これを見越していたので周りの人間は避難を完了していたし、石造りの城壁や柱はこんな火球が当たってもどうということはない。
それに、『あの王子』の教育係をまがりなりにも勤め上げているのだから面と向って文句もいいにくい。では自分がやってみるかと
言われたら、首を縦に振る人間はまずいない。
火球は壁や柱に当たったものは四散し消えていくが、相変わらずララディアに近づくものは届くに至らず消え去ってしまう。

時間にして数分、ボカンボカンと撃ちまくっていたサンディは、息が切れたのか魔力が切れたのかゼイゼイと肩で息をしながらギラリと
ララディアを睨みつけた。
「ハアッ、ハアッ……」
「…どう。これで気が済んだ?」
ララディアはどこか辛そうな目をサンディに向け、それを見たサンディはふい、と顔を横に背けてしまった。
心なしか、顔が恥ずかしさからか赤くなっている。
「ふん…!相変わらず非常識な体質よね……。私ら魔導官の存在意義が問われちゃうわよ……」
そう、ララディアは生まれつき外部から来る魔力に対し、異常なまでの抗魔力(レジスト)を持っていた。彼女の前にはどんな強力な
破壊魔法や間接魔法も意味をなさない。全て届く前に打ち消されてしまうのだ。
この特異体質あってこそ、剣技は決して高いとはいえないララディアがアレクサンダーの護衛係に選ばれたのだ。
極めて平和な国ゆえに暗殺の心配はそれほどないが全く無いとも言い切れない。その時、遠くから放たれる魔法に対し完璧な防御力を
見せるララディアは護衛にはうってつけである。

もっとも、あまりに強力すぎるゆえに治癒魔法すら効かないといった欠点もあったのだが…

「ああもう!どうしてくれようかしらあの馬鹿王子め……」
「………」
まだ鬱憤が収まりきらないのか、爪をかじりながら不機嫌な顔を浮かべているサンディを見てララディアは胸がグッと詰まった。
サンディが不機嫌になっている原因は言うまでも無くアレクサンダーの傍若無人な振る舞いにある。
が、アレクサンダーの行動の元が、自らの境遇に対してのストレス発散と妹に対する想いから来ていることを知っている立場からすれば
サンディに真実を知ってもらえれば事は簡単に解決するはずなのである。


200:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:11:46 Bv3qe/bE

が、そのことを言うわけにはいかない。そのことはアレクサンダーとアルマリスとの三人だけの秘密であり約束を破るわけにはいかない。
サンディに事情を話して秘密だから誰にも言うなと言うことも出来るが、秘密というものが大抵、こう言ったことの繰り返しで広まって
いってしまうことは明々白々である以上、誰にもこのことを言うわけにはいかなかった。
「ララディア、あんたも少しは王子にきつく当たってちょうだいよ!こう何回もお城の外に抜けだされたんじゃ、あんたの立場だってない
んだからね!!」
「え、ええ…。善処するわ」
まさか一緒に城の外に付き合っている、なんて言える訳ものないのでララディアは適当な言葉でお茶を濁した。
それを見たサンディは「ふん!」と鼻を鳴らすと、地響きでも立てそうな大股でずかずかと歩いていってしまった。
「…ご免なさいね、サンディ…。あなたには心労をかけさせてしまって…」
「でも、あそこまでヒステリー起こされたらこっちとしてもいい迷惑ですよね~~」
「まあね。でも、その気持ちも分からなくは無いけれど」
「それは確かに言えますね…。あの王子の悪戯に面と向ってつき合わされたらいくら体あっても持ちませんよ」
「王子ももう少し自重………?!」

あれ?私は一体誰と相槌を打っているの?

はっと気づいたララディアが横を見ると、そこにはどこから湧いてきたのかさっき逃げたはずのクーラがさりげなく立っていた。
どうやら、サンディがいなくなるまで近くに隠れていたとみえる。
「あれ?どうしたんですか先輩?」
「………」
呑気な顔して語りかけてくる後輩を、ララディアは思わずぶん殴りそうになってしまった。




「くっそ……、まだむしゃくしゃするわ……」
つい今までの大暴れでもまだ足りないのか、サンディは怒りからくる異様なオーラを周りに発散しながら廊下をずかずかと歩いていた。
大体、自分は王子に知識を教えるためにここにきたのだ。こうして毎度毎度カエルに怯え気絶する日を繰り返すために来たのではない。
「ララディアがもう少しきちんとしていてくれれば、あんなに王子を増長させることは無いんだわ…」
自分は王子のことを考え、常日頃王子を真人間に更生させるよう努力している。
でも、それは一向に実を結ぶ気配は無い。なぜなんだろうか。
自分は悪くない。自分は精一杯自分のやるべきことを努めているつもりだ。
それでも改善しないのなら、それは周りが悪いんだ。

自分の努力をなんとも思わないバカ王子が悪い。王子に甘いララディアが悪い。王子にべったりしているアルマリス様も悪い。
王子をあまり叱らない陛下も王妃様も悪い。シャップ殿も悪い。あいつも悪い。こいつも悪い…
王子の部屋の外の木が悪い。あれが王子を部屋から逃げやすくさせている。
王子の部屋の椅子が悪い。あれがあるから王子が窓枠に足を乗せやすくしているんだ。
そもそもこの城の空気も悪い。いやこの国そのものが悪い。あれも悪いこれも悪いそれも悪い………

やり場のないサンディの怒りは、自分の周りにあるもの全てに理不尽にぶつけられていっていた。自分が悪くない以上、悪いのは
自分を取り巻く環境と他の人間に決まっている。そう思い込むことで、サンディは自壊しそうになっている自我を辛うじて食い止めていた。
俯き加減に眼鏡を光らせ、小さい声でぶつぶつと呟いているサンディを、ある者は恐くてその場を離れ、ある者はとうとうサンディ殿
にも限界が来たと胸元で十字を切っていた。


ドン!!


201:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:12:47 Bv3qe/bE


そんなサンディだから当然前なんか見ているはずも無い。気づいた時には、サンディは何かにぶつかった衝撃と共に尻餅をついていた。
「いったぁ~~。どこ見ているのよ!!このニブ……!」
どう考えてもぶつかったのはサンディの責任なのだが、気が昂ぶっているサンディはついつい相手への悪態を口に出してしまった。
いや、正確には出しかけた。
出そうとして、止めてしまった。
「だ、大丈夫ですか……?」
サンディの見上げた先には、現在この城内の女性内の話題を掻っ攫っている一人の男性が立っていた。

彼の名前はナールス。つい2ヶ月前までは誰も知らなかった男である。
2ヶ月前、メルキル16世夫人である王妃フェレスが外出直後原因不明の病気に罹患してしまった。元々体がそう強くなかった王妃だったが、
今回の病気はそれまでのものとは訳が違っていた。
全身が真っ赤に充血し、40度近い高熱が何日たっても引かなかった。食べ物は何も喉を通さず、辛うじて水だけが飲める有様。城の典医も
まったく原因を突き止められず、遂には匙を投げてしまった。
困り果てた国王は、城内外を問わず情報と治療法を探すように触れ回った。が、そんなことをしても到底間に合うはずがないと誰もが思っ
ていた。王妃の命は最早風前の灯であり、アレクサンダーもアルマリスも覚悟を決めていた。

そこに現れたのがナールスだった。
自称薬学を勉強中というこの男は、まだ30にも満たなそうな風体、日に当てたことが内容に錯覚させるほどの白い肌。それを覆い隠すか
のような真っ黒なローブ。一目見ただけで女性はおろか男性をも虜にしそうな美貌、落ち着いた物腰。
最初に見たとき、誰もが来る場所を間違えたのでは?と思わざるを得ないものだった。

が、ナールスは驚くべき薬品の知識と診療の冴えを見せ、ナールスが王妃の治療を受け持ち城内の薬品庫を開放したそのときから王妃の
容態はみるみるうちに改善を見せていった。
ナールスが調合した薬はたちまちのうちに王妃の熱を下げさせ、熱が引いたことにより食欲も元に戻ってきた。
闘病中に20㎏以上落ちた体重も次第に増えてゆき、1週間後にはベッドから立てるように。2週間後には真っ直ぐ歩けるようになり、
1ヵ月後には完全に治癒してしまった。
これには国王もことのほか喜び、ナールスに典医としての身分を授け、国の医術向上に役立ってほしいと頼み込んだのだ。
さらに、薬学の研究施設として城の一角をさし出し助手もつけるというおまけも加えて。
ナールスは喜んでその旨を受諾し、城の西櫓の2階を貰い受けて研究施設とした。勿論ここは他の典医にも開放し自分の知識を惜しげも
なく教え授けていた。

博学で礼儀正しく、おまけに完全美形。こんな完璧超人が話題にならないわけが無い。
たちまちナールスは城内のアイドルとしての地位を確立し、各地各所で話題の種となっていった。
擦り寄ってくる女性に、ナールスは多少戸惑いながらも丁寧に応対していった。それがまた、城内の女性の心象をよくするものにしていった。

サンディも勿論その話題の輪の中に入った事があり、魔道官の同僚とあれこれ話し合ったものだった。
ただ、ナールスがいる西櫓は普段サンディがいる中央宮殿からは結構離れたところにあり、直接面識することはほとんどなかった。
直接見に行くという暇な時間が作れるはずも無く、あったとしてもアレクサンダーのちょっかいで潰れてしまうことがしばしばあった。
小さい頃から勉強に打ち込むあまり恋愛沙汰には疎いサンディだったが、それでもナールスを遠くから一目見ただけでその容姿に胸の
高鳴りを抑えることは出来なかった。


202:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:13:46 Bv3qe/bE
そのナールスが、今目の前に立っている。しかも、自分の不注意で激突したというオチがついて。
「………」
なんて言葉を発していいかわからず口を開けたままポカンとしているサンディを、ナールスは不審げに眺めている。
「もし……、どこか体を打ちましたか?それとも私の顔に何か……?」
そのナールスの言葉にサンディは金縛りが切れたかのようにハッと我に帰り、慌ててその場から立ち上がった。
「あ!す、すみません!!ちょっと考え事していたもので前をよく見ていませんでしたもので!!
本当に、本当に申し訳ありませんでした!!」
憧れを抱いている人間に不注意でぶつかった挙句、八つ当たり気味に暴言を吐いてしまった。
サンディは気恥ずかしさからまともに前を見れず、顔を真っ赤にしてコメツキムシのようにガックンガックンと何回も腰を折り曲げて
平謝りに謝った。
「ああ、いやこっちも迂闊だったもので…。そんなに謝ってくださらなくても結構ですよ……」
ナールスは困ったかのように『まあまあ』と両手を前に出してなんとかサンディを落ち着けようとしていた。が、その心遣いがさらに
サンディの羞恥心を加速させていった。
本来なら、袖擦りあうも何かの縁。ここでもう少し話が弾めばなにかのフラグも立って…。なんて考えたかもしれないが、今はそれ以上に
恥ずかしさの方が先に立ってしまっている。もう一分一秒でもここに留まりたくはないと心の声が告げている。
「そ、それじゃあ私はこれで!!」
僅かな後悔を心に残しながら、サンディは足早にこの場から立ち去ろうとした。

が、
そんな自分の体がガクン!と前に突っ張った。
「?!」
どうしたことかと自分の体を見てみると、左腕の先が何かに掴まれているではないか。
「ちょっと待ってください。そんなに思いつめた顔をしていられたら、こっちとしても気になるではありませんか。
どうですか?もし私でよろしければ相談に乗りますが」
なんとナールスがサンディの手を手袋越しではあるが握り締め、さらにあろうことか自分に向けて話し掛けてきているではないか。
「~~~~~~~~~~~~~!!」
突然のことに、サンディの顔は一瞬のうちに耳までボッと赤く染まってしまった。
サンディを見るナールスの顔は、本当にサンディのことを心配してそうな困った表情をしている。
「……!」
サンディはナールスの好意に心の奥をドクン!とときめかせたが、ではお願いしますと素直に受け入れらる心の余裕もまたなかった。
「き、ききき気持ちだけううううけ取っておきままますかららら……。も、もう手を放しててて……」
慌てまくって呂律が合わず、奇妙な言葉が口から飛び出てくる。それが羞恥をブーストさせ、発する言葉がさらに頓珍漢になっていく悪循環。
が、その間もナールスはサンディの瞳をジッと見つめていた。
「そんなに慌てないで……。もっと心をリラックスさせてください……」
「え、ぁ…」
あくまでも冷静なナールスの声が、上ずりまくったサンディの心を次第に落ち着かせていっている。

いや、それだけではない。

サンディの錯覚だろうか。自分を見るナールスの瞳がチカチカ、チカチカと光っているような感じがする。
黄色であったり、赤くあったり、金色であったり…
それが、次第にサンディの視界いっぱいに広がり、それ以外が見えなくなってしまってきている。
聞こえる音が、ナールスの声だけになってしまってきている。
体に感じるものが、ナールスのものだけになってしまっていっている。
「あぁ……」
この時、魔導官としての理性がなんらかの精神攻撃を受けているとサンディの心に訴えかけてきた。それを受けて今すぐこの場を離れな
ければ危険だと心がサイレンを発してくる。

が、それすらナールスの瞳は強引に押し潰していった。


203:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:14:46 Bv3qe/bE
まずい!というサイレンが心から脳に届く前に、サイレンそのものが根元からちょん切られてしまった。
結果、次第にサンディの目は光を失い、表情も呆けたものへと変わっていった。
さっきまでの怒り狂ったサンディも、恥ずかしさで顔を赤らめたサンディももはやいない。
ただの人の形をした物体と成り果てたサンディが、そこにはいた。

「さあ、もう私の言うことしか聞こえませんね…」
「は、はぃ……」
ナールスの声に、サンディはまるで人形のようにかくん、と頷いた。
「結構です。じゃあ、もっと落ち着けるところに行きましょうか。ここなら、私の研究室も近いですし」
「…はい……」
表情に完全に意志の光を失ったサンディは、ナールスの腕に導かれるままその場を歩き去っていった。
ここはナールスが普段いる西櫓とは正反対のところだ。何てことも考えることも出来なかった。




「さあ、いろいろと散らかっていますがどうぞ…」
ナールスに招かれ、サンディはふらふらとした足取りでナールスの研究室へと入っていった。
「扱っている薬品の中には日光を嫌うものも結構ありまして…、足元が見づらいでしょうが勘弁してください」
そこは、窓は完全に目張りされて一筋の光も入らず、天井に下げられている豪華なシャンデリアが昼にも拘らず煌々と灯っている。
壁という壁は薬草やら薬品やら文献やらで埋め尽くされ、奥には半透明の溶液が張られた浴槽?や、机一杯に積み上げられたレポート
が今にも崩れ落ちそうに傾いでいた。
床は綺麗に掃き清められているが、それ以外はいかにも研究室と言った風情の場所だった。
「では、そこの椅子にでも座っていてください。今、飲みものの準備を致しますので」
そう言って奥へと消えていくナールスをじーっと見たまま、サンディは設けられた椅子にとすっと座り込んだ。

(私……、なんで、ここにいるの……?)

サンディは、いま自分がどういう状況にいるのかをいまいち把握できなかった。
確かにナールスに声をかけられたときは心臓が飛び出るほど嬉しかったのだが、そんな好意に甘えられる状況じゃないと感じていたはずだ。
それが、自分でもわからないうちにナールスの言葉に従って、こうしてのこのことついてきてしまった。
さっきのどこら辺からだったのだろうか。まるで、自分が夢の中にいるような感覚に捉われていってしまった。
自分の意識はあるのに、劇中の登場人物のように他人が書いた劇のシナリオ通りにに体が動いているような感じ。
(……あの時ナールスさんの瞳がキラキラと光ったような感じがして……。それから……)
それから…、なんなんだろう。頭の中がすーっと痺れるような感じがして……、そして……

(………………)

そこまで考えた時、サンディの瞳から急速に光が失われ、同時に思考能力もふぅっ、と落ちていった。
まるで、それ以上考えることを頭が許さないといった感じに。
(………まあ、いいか。どんな形であれナールスさんに近づくことが出来たんだし……)
そっちの方がよっぽど重要な感じがしていた。今、注目度No,1の人間にこんなに私的に接することが出来る機会なんてそうそうないであろう。
瞳に光が戻らないまま、サンディは口元を手で抑えくすくすと笑っていた。
もちろん、それまでのいま自分がここにいる疑問なんか完全に心の中から消え去っていた。
まあ、普通に考えたら男性が女性を自室に連れ込むことは結構重大なことである。それが親切心で出たことだとしても、それだけで終わるよ
うなことがそうそうあるはずも無い。
「もしかしたら…、このままお付き合いすることになって、それから……、キャッ」
なんて妄想を産んでしまうのも、あながち無理からぬことであろう。
サンディが、そんな妄想に悶々としている時に、奥からすっとナールスが姿を現した。


204:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:15:46 Bv3qe/bE
「どうも、お待たせいたしました」
ナールスはトレイの上に上等なティーカップを載せて、カチャカチャと音を立てながらサンディの前にあるテーブルの上に置いた。
そして手際よくカップを自分とサンディの前に置き、自分も椅子を後ろに引いて腰を掛けた。
「………」
サンディは自分の前に置かれたティーカップにじーっと目を落とした。
そこには、赤いバラの花が描かれた見るからに高そうなティーカップが置かれていた。
ただ、置かれていたのはティーカップ『だけ』だった。
中身も何も無い、ただティーカップのみがサンディの前に置かれていたのだ。
じゃあポットはあるのか?と思ったが、ナールスが持ってきたのはティーカップだけだ。
一体これが何を意味するのか。サンディには全く理解が出来なかった。
「あの……。これ、中身はどこに………?」
あっけに取られ間抜けな質問をしたサンディを、ナールスは面白そうな顔をしてみている。
「中身ですか?もう用意されていますよ」
そう言うなり、ナールスは再びサンディの瞳を覗き込んだ。
「ではサンディさん。『まずは服を脱いでください』」

「!!」

突然ナールスの口から発せられたとんでもない言葉に、サンディはギョッとなって目を丸くした。
一体何を言い出すのだろうかこの男は。会って間もない人間に向って、いきなり脱げとのたまうとは!
先ほどまでの惚気はどこへやら、生来の癇癪持ちが一気に沸点まで湧き上がった。

ぱらり

「な、なんてことを言うんですか……、えっ?」

顔を真っ赤にして激怒したサンディはその場でいきなり立ち上がるなり、上着のボタンをプチプチと外しぱらりとその場に脱ぎ捨てた。
その様を、ナールスはニヤニヤと笑いながら眺めている。
「もう一回言って欲しいのですか?『服を脱いでください』って言ったんですよ」
「!」
ナールスの『服を脱げ』と言う言葉を聞いた途端、サンディの体はビクッ!と激しく震え、そのままインナーからズボンから次々と
その身から外していった。
その顔には明らかな戸惑いと怯えの色が浮き出ていた。
「な、なんで?!何で手が勝手に動くの?なんで足が勝手に動くのよ?!」
「それは勿論、私がそうしろって言っているからですよ」
それはそうだろう。でも、それがサンディの意思を全く無視して行われていることが問題なのだ。
たちまちサンディは自らの手で、下着のみ羽織っているという状態になってしまった。

「~~~~~~~~っ!」

サンディはあまりの恥ずかしさに両手で下着を覆い隠してしまったが、ナールスはあくまで容赦しない。
「まだですよ。まだ服を着ているではないですか」
「こ、これは服じゃなくて下着……」
そんな抗弁など通用しない。

「『全部脱ぎなさい』」

その声と同時に、サンディの両手は腰のショーツに伸びていった。

「い、いやあぁ~~~~~っ!」


205:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
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自分の意思よりナールスの言葉に従う腕は、そのままショーツをズリッと引き下ろし、ブラのホックを強引に千切り壊した。
「あ、あぁ…」
あまり日に焼けたことの無い肌。つんと上を向いた乳首。なだらかな曲線を書く腰のくびれ。ほっそりとした太腿。
親以外誰にも見せたことの無い全裸姿を晒されてしまった。
「さあ、『もっとよく見せてください』」
ナールスの声に反応した体は、そのままサンディを『気をつけ』の体勢で固定させてしまった。
もちろん、体の隅々まで余すところ無くナールスの前に曝け出してしまう。
「いや。いや!こんなのいやぁっ!!」
首から上は自由になるのか、サンディは首を横に振って抗議するが、所詮無駄な抵抗に過ぎない。
「これはこれは……、普段厚着をしているから目立たなかったようですが、なかなかいい肉付きをしていますね」
その姿に満足したのか、ナールスは立ち上がってサンディの前まで来て、前から後ろからまじまじとサンディを眺めた。
「や、やめてくださぃ………」
まるで商品価値を見定めるかのようなナールスの視線の動きに、サンディは恥ずかしさから顔を真っ赤にし、涙声でナールスにもう勘弁
してほしいと頼み込んだ。
「では一番大事なことを聞きましょう。これさえ聞ければ勘弁してあげまずよ」
このナールスの言葉に、サンディは内心ほっとした。後少しで、この羞恥プレイから開放される!、と。
すると、ナールスは手袋を外し、その手をサンディの下腹部へと近づけていった。そこには産毛で覆われた、サンディの一番大事なところ
が息づいている。
「えっ?!ちょ……」
驚いたサンディが言葉を発する間もなく、ナールスの指がサンディの陰唇にぴたり、と触れた。その瞬間、

「ひゃっ!!」

まるで氷が触れたような冷たい感触がサンディの下半身に走った。
「ここに、男を咥えたことはありますか?」
ナールスは、サンディの下腹部を捉えながら最後の質問を発した。
「そ、んなこと……?!ひゃあぁっ!!」
そんなことない。と言おうとしたサンディの声が突然上ずった。
答えようとしたサンディが口を開いた瞬間、ナールスは意地悪く指をくいくいと動かし、サンディの肌先を微妙にこねくり回したのだ。
その刺激にサンディの声は言葉を失い、意味不明な戦慄きに化けて口から発せられていった。
「どうなんですか?早く答えて下さい」
そう言いながらもナールスは指を動かすのをやめず、時折くいっと指を突きたてサンディの中に侵入しようと試みたりもした。
「ああっ!やあぁぁっ!!」
その度に、サンディの体はビクビクと揺れ、口からは外にまで響くような喘ぎ声が部屋中に響いていた。
「ほらほら、この小さな孔に熱く太い棒を挿したり抜いたりしたことはないかと聞いているんですよ」

「ああああっ!!ない!ないです!!ありません!!
男に抱かれたことなんて、まだ一回もありません~~~~っ!!」

ナールスの指戯に翻弄されまくるサンディは、やっとの思いで自分の意思を声に出して言うことができた。
そしてその言葉を聞いて、ナールスはクスリと微笑んだ。
「そうですか……。予想通りあなたは、いい『飲み者』のようですね……」
クッと開いたナールスの口から、犬歯がギリギリと音を立てて牙を形成していっている。藍色の瞳は禍々しい赤光を放ち、せわしなく動か
している指からは爪が鋭く伸び始めていた。
「では、戴かせていただきましょう!」
最早サンディの小指ぐらいの長さ太さになった牙を、ナールスは悶えるサンディの首筋目掛けて勢いよく打ち下ろした。


ズグッ!!


206:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:17:46 Bv3qe/bE

「あ、あーーーーーっ!!」

その瞬間、サンディは今まで経験したことが無い強烈な衝撃が首から湧き溢れてきた。
「あっ…ああぁっ……」
それは、痛みとも痺れとも形容できない全く未知の感覚で、体のほうがどう反応してよいかわからず、サンディは全身を細かく震えさせる
ことしか出来なかった。
首に穿たれた2つの牙は正確にサンディの動脈を貫き、血管から噴出す真っ赤な血が傷口からダラダラとサンディの皮膚を伝って流れ出て
きている。
もっとも、その多くは刺した大元であるナールスの口の中に下品な啜り音と共に吸い取られていたので見た目の出血量はそれほどでもない。
『ふふふ、やはり、いい味の血をしていますね』
未知の感覚と出血から来る倦怠感で意識がボーっと痺れてくるサンディの頭の中に、ナールスの声が直接響いてくきた。
このとき初めて、サンディは自分の血が吸い取られていることを理解した。
(血を……、吸われている……?!じゃあ、この人は……吸血鬼なの?!)
『ご名答です。私の本当の名前はナルスト。一応子爵を名乗っております。今後ともお見知りおきを』
(し…しゃく……?爵位持ち?!)
ナールス、いや吸血鬼ナルストが爵位を名乗ったことにサンディは吸血とは別の衝撃を心に受けた。

一般的に、高位の吸血鬼は爵位を名乗ることが多い。それは自己顕示のためとも吸血鬼内での階級分けとも言われているが、実際のところ
は吸血鬼に直接聞かないと分からない。
爵位は5つ存在し、高位の順に伯爵、公爵、侯爵、子爵、男爵となっている。これによれば伯爵が最も力が強く男爵が最も低いものとなる。
が、困ったことにこの爵位は基本的に自己申告なので全然力がないものが侯爵を名乗ったり、逆に物凄く力を持ったものが爵位を名乗らな
いこともできる。
ただ、身分違いの爵位を名乗った吸血鬼と言うのは大抵他の吸血鬼やハンターによって淘汰されていってしまうので、実際に爵位を名乗る
吸血鬼はほとんどが強力な力を持つものだと考えてよい。

そんな爵位を持つ吸血鬼が人間を装い城の中にいる。そのことがサンディの警戒心をマックスにまで引き上げた。
どんな思惑を持っているのか知らないが、この男をこのままにしておくのは危険すぎる。
幸い研究室の前には衛兵が立っている。今が昼である以上、この部屋に入って部屋の目張りを全て開いてしまえば逃げられる術は無く日光
に焼かれて滅びるだろう。
サンディは、霞む頭を必死に動かし、震える唇をなんとかこじ開けて声高に叫んだ。

(衛兵!!ここに吸血鬼が侵入している!!早く窓を開けて………?!)
「あ、あぁぁっ……  あう…        う…      ?!」

はずだった。が、声はまともに発生されず意味の無い喘ぎ声が零れただけだった。
(?!ど、どうして……?)
『おやおや、あまりの快感に絶えられず声を漏らしてしまいましたか?なんと可愛い方なのでしょう…』
「くっ…!」
頭の中ではちゃんと声を出しているのだから喘ぎ声でないことは分かっているはずなのに、ナルストは意地悪くサンディに話し掛けてきた。
だが、可愛いと言われ、サンディの顔が無意識にポッと赤くなる。こんな状況になってもなお、ナルストに褒められることが心地よいと
感じてしまうことにサンディは屈辱感と共に奇妙な優越感も抱いていた。
『まあでも、ちゃんとした声もまた聞いてみたいですからね……』
そういうなり、ナルストは埋めていた牙をつぷっとサンディの首から引き抜いた。
「うぁっ……。ハアッ、ハアッハアァッ……」
強烈な圧迫感と倦怠感が無くなり、サンディはようやく一息つくことが出来た。が、息が落ち着くなり、
「衛兵!吸血鬼だ!この部屋に吸血鬼がいる!!早く窓を開けろ………!!」
と、大声で怒鳴り上げた。
この吸血鬼が何を考えているのかは知らないが、これでおしまいのはずだ。サンディは傷口を手で抑えながら口元に笑みを浮かべた。

が、



207:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:18:46 Bv3qe/bE
扉の外にいるはずの衛兵は、全く入ってくるそぶりを見せなかった。扉の取っ手が動く音も、外で騒ぐ声も聞こえない。
「………?どうした?!早く入って来い……」
「無駄ですよ」
狼狽するサンディに、ナルストが冷静に言い放った。
「この部屋の前の兵士は、既に私の口付けを与えて暗示をかけてあります。この中で何事が起こっても一切感知しない、という暗示をね。
もし今誰かが巡回に来たとしても、彼らは『異常なし』と答えるでしょうね……」
「なんですって……」
「それに、陽光は私の弱点ではありませんよ。さっきまで、私が外に出ていたのを忘れていたのですか?」
「あっ!」
言われてみればそうだった。自分はナルストに連れられて『外』から一緒にこの部屋に入ってきたのだ。普通の吸血鬼なら、この部屋から
あそこにたどり着くまでにとっくに灰になっている。
「元々私は戯れでこの国を乗っ取りに来たのです。外出中の王妃に病魔の呪を送り込み、それを直せる者として城内に招待されうまく侵入
を果たし、城内の者の信頼を得られるように善人を装い、後はいかにして城内に下僕を増やして城を占拠するか。
その段階まで来ていたのです」
ナルストはきりっと顔を引き締め、吶々とサンディにその胸の内を明かしていった。王妃の病気、その段階からこの吸血鬼の策だったとは。
だが、それを聞いたサンディは憤りよりも不可解な表情を浮かべていた。
「それを……なんで私に話すのよ……」
どうせ逃げられはしないこの身。遅かれ早かれこいつは私の血を吸って下僕にでもする気なのだろう。だから、こうして秘密もべらべら
流暢に話すことが出来るのかもしれない。
(でも…、そんな思惑なんかにのるものか!)
ナルストに気づかれないようにサンディは、自分の体の中で魔導力をじりじりと練っていた。次にナルストが噛み付いてきた時、それを
一気に爆発させてナルストもろとも自爆してやろうとサンディは悲壮な覚悟を固めていた。
が、次のナルストの言葉がサンディの心に重大な変化を呼び寄せた。

「それはですね…、あなたが必要だからですよ。サンディ殿」

そう言って、ナルストはサンディをピッと指差した。
「?!私……?」
予想外の言葉に、サンディの胸はドクン!と高鳴った。その拍子で、練っていた魔導力もぽん、と霧消してしまった。
「私だって、無用に下僕は作りたくは無いんですよ。命令に忠実で機転が利き、頭脳明晰容姿端麗、私が侍らすに相応しい人物でないと
下僕、いや花嫁となるのには相応しくない」
「花嫁……」
そのあまりにも甘美な響きに、サンディは傷口を抑えていた手がずるずると下がっていくことにも気が付かなかった。
自分を見るナルストの目は、さっきまでとは比べも似なら無いほど熱い視線を投げかけている。
「この城に入って数ヶ月。私は私の花嫁に一番相応しい者は誰か。それを捜し求めていました。
そして、その眼鏡に適った人物。それが、貴方なんです。サンディ殿」
「そ、そんな……」
この異常な状況で、突然の告白。
サンディは驚きよりも、別の感情で心臓がバクバクと高鳴っているのを感じていた。
「嘘よ。嘘……。私なんて、目つき悪いし、眼鏡かけているし、癇癪持ちだし胸小さいしデコッパチだし……
こんなこと、あるわけないわ……」
「あまり自分を卑下しない方がいい。サンディ殿、貴方は充分に美しい」
ナルストの手が震えるサンディの手にそっと触れる。その手は吸血鬼なので凍るように冷たかったが、サンディにとってはなによりも暖か
く感じるものだった。
だが、次の瞬間ナルストはとても悲しそうな顔をサンディに向けた。
「でも…、貴方がこの国の安寧を考えるなら私は排除されるべき存在です。何しろ、私はこの国を転覆させるために来たのですから。
ですから、選んでください」
ナルストは自らが羽織っている上着をそっとサンディに被せると、扉のほうを指差した。
「この国のことを考えるなら、あの扉から外に出て行って結構です。妨害したりは致しませんから。
そして、私と共についてきてくれるならここに留まってください。
もし、これで私の下を去る決断をしても私は貴方を責めも恨みも致しません。さあ、どちらかを選んでください」


208:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:19:46 Bv3qe/bE
ナルストはつらそうな顔をサンディに向けると、くるりと後ろを振り向いた。
もし出て行くなら、自分が振り返るまでに出て行けと背中が語っていた。
今なら安全にここから逃げ出せる…。サンディはすぐに腰を上げようとした。早くこの魔界から出て、日の当たる世界に戻らなければ。
しかし、

「くっ……」

サンディの腰は一向に上がる気配を見せなかった。
別に体の疲労が限界を超えていたわけではない。ナルストが暗示をかけた気配も無い。

『あなたが必要だ』『花嫁に相応しい』『自分を卑下しない方がいい』

ナルストが自分に向けて放った言葉。それがサンディの心に見えない鎖となってがんじ絡めに絡まっていた。
吸血鬼だと言うことを知る前、城中の女性の話題を攫っていたナールスとして見ていた時。
あのバカ王子の世話に忙殺され、近くで見ることも適わなかった存在。バカ王子より何百倍も男として魅力的な存在。
手に入れようと妄想するも、そんなことは絶対にないと考えていたあの時。

それが、向こうのほうから声をかけてきている。自分が必要だと語りかけてきている。
花嫁に相応しいと、求婚してきている!

これで相手が人間だったら、諸手を振ってついていっただろう。が、求婚してきた相手は吸血鬼………
(……それが、何だって言うの……?)
サンディの心の奥に潜む小さな声が、サンディに語りかけてきている。
(恋愛にそんなことは関係ないわ。こんな男にこれだけ好かれるなんて、幸せだとは思わないの?)


(大体、この城の人間に何を遠慮する事があるのよ。
毎日毎日、バカ王子の悪戯につき合わされ、周りの人間はそれを遠めで見て哀れみの顔を向けるだけ。要するにスケープゴートなのよ、
あなたは。あなたが犠牲になることで、この城の秩序は保たれているのよ。そんなもの、壊してしまえばいいじゃない)

「そんなもの……、壊してしまえばいいじゃない……」
心の中の声にぶつぶつと答えるサンディの眼が、次第に危険な光を帯びてきている。

(あなたの代わりなんか、この城にはいくらでもいる。あなたはここでは必要とはされていないのよ。
でも、あの人は違う。あなたを本当に必要としてくれている!あなたを一番大事にしてくれる!)

「そうだわ…。あいつらは私をただの消耗品としか見てない…。本当に私を大事にしてくれる人は、人は……」
その声は、だんだんと声量を増してきている。今まで言おうとしても言わず、聞こうとしても聞かなかった自らの境遇への不満の思いが、
ナルストが吸血の際に注ぎ込んだ力によって歪められて増幅し、サンディの心の中へずぶずぶと染み渡っていっている。

(あの人についていけば、あなたは使われる側から使う側に変わるわ。自分をボロ雑巾のように使っていた連中を、今度はあなたが同じ
ように扱えるのよ。あなたに無責任に王子を押し付けた王も王妃も、あなたの前では哀れな奴隷に成り果てるのよ!)

「そ、そうよ……。私を、私を使っていた連中を、今度は私がやりたいように……」

(なら、もう選ぶ必要なんてないじゃない!あなたはここに留まるべきだわ。そして人を喰らう存在になり、支配する側になるのよ!)

「支配する。支配する。支配する………」
サンディは血走った目を床に向け、自分の心の声にうんうんと頷いていた。


209:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:20:46 Bv3qe/bE

そうだ。もう、こんな惨めな境遇に耐え忍ぶことなんかないんだ。この城の、この国の全てが私を不幸な目にあわせているんだ。
だから、この城、この国全てを変えてしまえばいいんだ。私の都合のいいように、変えてしまえばいいんだ!
そんなこと、できるわけ無いと思っていたが今は違う!!
私の目の前にいる人は、それが可能に出来る力を持っている。私に、それを可能にする力を与えてくれる!
この人と一緒に付いて行けば、私はこの国全てを支配できる!!


「う、うふ、うふふふ……。そうよ、変えるのよ。支配するのよ。この国全てを、私たちが………」
もうサンディは、この場から立ち去ることなど毛ほども考えてはいなかった。
そして、しばらくしてからナルストが振り返ったとき……
サンディはその場に座ったまま、ナルストを見てニコリと微笑んだ。
「…いいんですね。サンディ殿」
ナルストの念を押した問いかけに、サンディは無言でその場から立ち上がり、ナルストにかけられた上着をぱらり、と脱ぎ捨てた。
再びサンディの裸身が露わになる。
が、今回は先ほどのような魔眼で無理やりに脱がされたものではない。完全に、サンディの意思によるものだった。
「はい。私は、あなたの花嫁になります。そして、この国の秩序を破壊しあなたと共に支配する存在になりましょう…」
そう言って、サンディは噛み傷がある首筋をすぃっとナルストの前に突き出した。
その光景に、ナルストは端正な顔をぽろりと綻ばせた。
「ありがとうございます。では、あなたをご招待いたしましょう…。永遠の闇と、悦びの世界に……」
サンディを優しく抱きとめたナルストの牙が、先ほどと同じところに深く突き刺さってくる。
「あっ、あ、あ、あぁっ! 凄い!気持ちいい!!」
サンディの神経はその感触を先ほどは違って、明らかな快感として捉えていた。一度味わったからと言うのもあるのだろうが、血を吸われ
る気持ちよさと、それが自分を新たな存在へと変えてくれることの悦びに心が高鳴り、先ほどとはまるで違う興奮をサンディに与えていた。
「あーっ!ダメ!こんなの、気持ちよすぎるのぉ!バカになるぅぅーっ!!
もっと、もっと吸って。吸ってくださいぃ!ご主人様ぁーっ!!」
腕と足をナルストにがっちりと絡め、蕩けた瞳から嬉し涙を流し続けながら吸血の快感に酔うサンディの皮膚から、次第に血の気が失われ
ていく。日には焼けていないがほんのり赤みがあった肌は血も通わぬ青みがかかった白色になり、喘ぎ声と涎を零す口からは犬歯の先まで
零れ見えてきている。
(くくく…。かわいいものですね…)
その変化を感じながら吸血を続けるナルストの顔には、先ほどまでとは打って変わった邪悪な笑みが浮かんでいた。
「あ……、あぁぁぅ………ぁ」
やがて、完全に血を吸い尽くされたサンディの心臓は脈を打つのを止め、サンディは悦びの笑みを浮かべたままかくん、と頭を垂れた。
「さて、では……」
それを確認したナルストはサンディの喉から牙を抜き、そのままサンディの骸を抱えて部屋の奥へと歩いていった。
そして、眼下に広がる半透明の乳白色の液が張られた貯水槽にちゃぷん、とサンディ浸け入れた。
透明感の薄い液体にたちまちサンディの体は沈んでいき、外からは輪郭しか見えなくなってしまった。


そして十数分後、
貯水槽の縁の液体が急に盛り上がり、ザッという音と共に手が伸びて縁をがっちりと掴んだ。
そしてそのまま液体を纏わり突かせたまま、サンディがぬっと立ち上がった。
その姿は、先ほどの血の気が抜け去った死人のものではなく、吸血される前の瑞々しい体のものであった。
「………」
サンディは虚ろな目で自分の体を一通り眺め、その後拳を握ったり腕を曲げたりして自分の体の調子を確かめるようなそぶりを見せていた。
その後、自分の前に立つ存在の方へ視線を向けた。
「どうですかサンディ、吸血鬼として生まれ変わった感想は」
ナルストの質問に、サンディはしばらく無表情の視線を向けた後、口の端をゆっくりと釣り上げて微笑んだ。
「…世界の全てが違って見えます。今まで自分が見てきた世界が、いかに小さくみすぼらしいものだったのかというのを実感できます。
吸血鬼と言う存在が、これほどまでに素晴らしいものだったなんて思いもしませんでした……。あは、あは。あはははは!!」
内から湧き上がる力を制御できないのか、両手で胸を抑えたサンディは大声を上げて腹の底から爆笑し始めた。
それに伴い、肌の色が次第に白く変わり始め、牙と爪が伸び、瞳は禍々しい紅へと変化していった。


210:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:21:46 Bv3qe/bE
「あははっ!!ダメッ!力が抑えられない!!たまらないよぉーっ!」
数刻を持たず、サンディの姿は完全な吸血鬼のものへと変貌してしまった。
「そこまでです、サンディ」
「あはは…は、はい!」
ナルストのその言葉にサンディは馬鹿笑いをぴたりと止めた。吸血鬼にとって親吸血鬼の命令は絶対である。
「いいですかサンディ。あなたの下に浸されている除光液は私達吸血鬼を陽光の下へ導き、姿を人間のものにカムフラージュさせること
ができます。この発明あるからこそ、私は太陽の下を歩くことが出来たのです。
ただし、これの効力は5時間の経過、または感情を昂ぶらせることで消滅してしまいます。もし太陽の下で今のように興奮しては、あなた
の体はたちまち陽光によって灰になってしまいます。このことを、よく覚えておくように」
「は、はい。心得ました」
ナルストの説明に、サンディはこくこくと頷く。
「あなたはこの除光液を使って、これからも普段どおりの生活を送りなさい。まだまだ、我々が吸血鬼と言うのを知られるわけにはいかな
いのですから。
そして、隙あらばその牙を使って人間の血を吸うのです。ただし、同族に変えてはいけませんよ。
勿論、王族の血を吸うのも禁止です。あれは、私のものですからね」
「えぇっ!なぜ…」
この言葉にサンディは不満を持ってしまった。王族の血を吸えないのはともかく仲間にすることが出来ないほどの吸血ではそれほど多くの
血を吸うことは出来ない。
が、その不満を零すより早く、ナルストの眼がギラリと光った。
「私の命令が不満だと言うのですか……」
その眼から発せられるあまりの薄ら寒さに、サンディはゾクッと背筋を振るわせた。
「い、いいえ!なんでもありません!口答えをして申し訳ありませんでした!!」
「よろしい。では今一度除光液に浸かりなさい。その姿では王子の世話も出来ませんからね」
ナルストの命令にサンディはこくりと頷き、そのまま腰を曲げて除光液の中にずぶずぶと身を沈めていった。
それを見たナルストは口元に手を当ててククッと小さく微笑んだ。
「これで…、下準備は完了。といったところですかね…」
その顔は、まるでこれからゲームを楽しむ子どものような表情をしていた。


211:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:22:49 Bv3qe/bE




「きゃあああ~~~~っ!!」
次の日の朝のこと、サンディの部屋の方からまたもやけたたましい悲鳴が上がってきた。
さっきのこともあるので慌てて入ってきた衛兵の目の前には、目を回して倒れているサンディと部屋の床を楽しそうに跳ね回っているカエ
ルの姿があった。
「うわぁ…。また若君の仕業だなこりゃ」
「しかし…、若君は俺達の目を盗んで、どうやってこんな朝早くにカエルを仕込むことが出来るんだろう…?」
などとぶちぶち語り合う衛兵達は、とりあえずサンディを持ち上げてベッドに寝かし、そのまま黙って部屋の外に出て行ってしまった。
このまま下手に目を覚まされて八つ当たりの的にされたらたまったものではない。

それから一時間後、部屋掃除の女官がサンディの部屋に入ってきた。もちろん衛兵はサンディが部屋の中にいることは話しておいてある。
「サンディ様…、お加減はいかがですか?」
女官が入ってきた時、まだサンディはベッドの上で寝ていた。普段なら30分もすれば起きてくるのに今日は起きるそぶりすら見せない。
そしておかしなことに、厚い窓のカーテンが全て閉まっていて中は薄暗く灯りがぽつぽつと灯っているだけだった。
「相当疲れてらっしゃるのね…。普段から王子様のお世話をしていれば、そりゃ疲れもするでしょうけれど」
きっと窓は衛兵達が気を利かせたのだろう。そう判断した女官はそのままサンディを起こさず、部屋の掃除を始めた。床を箒で刷き、
雑巾がけし、はたきで埃を叩き落としていく。
その時、鼻歌を歌ってかいがいしく掃除を続けている女官の後ろで、ベッドに寝ているサンディの眼が前触れも無くぱちりと開かれた。
そのままサンディは音も無く立ち上がり、後ろを向いている女官へと近づいていく。
「さ、空気も入れ替えなくてはね」
新鮮な空気を入れようと女官が窓のカーテンをめくろうと手を伸ばした時、その手を後ろからがしっと掴むものがあった。
「ひゃ!」
その感触に女官は飛び上がって驚いた。何しろ自分を掴んだものは氷のような冷たさを持っていたのだから。
「なにこれ…?!」
驚いた女官が後ろを振り返ったとき、そこには自分の手をがっちりと掴むサンディが立っていた。
「あ、おはようございますサンディ様。もう体はよろしいのですか?」
その時、何かサンディに違和感を感じたものの女官は愛想よくサンディに語りかけた。
が、サンディは女官に向ける顔にあからさまに不機嫌な表情を浮かべていた。
「…何をしようとしたのよ、あなた」
「何って……、窓を開けようとしたんですけど……」
女官は扱く当然のことを言ったのだが、サンディは相変わらず険しい顔をしている。
「窓を……?あなた、私を殺す気なの?」
「えっ…、殺すって……?!」
何故、窓を開けるとサンディを殺すことになるのだろう?女官はまったく訳がわからなかった。
「窓なんか開けて太陽の光が入ってきたら…、私、燃えちゃうじゃない……」
女官を見るサンディの瞳が、次第に紅い光を孕んでくる。その光を見た途端、女官の体がビクリ!と蠢いた。
この時、女官は初めてさっきの違和感に気がついた。
サンディの手が、死人のように冷たいということを。
「え……サンディ、さま…」
「そんな悪い子には、罰を与えなくてはならないわ。いえ、ご褒美かしら……。ククク…」
含み笑いを浮かべているサンディが、どんどん人ならざるものに変化していく。
肌は血の気が抜け、瞳には真っ赤な虹彩が宿り、大きく開けた口からは長く太い牙が伸び揃っていた。
女官の目の前で、自分がよく知っているはずのサンディがたちまちのうちにバケモノへと変貌してしまった。
「キャ……)
その突然の事態に女官は思わず悲鳴をあげ、ようとした。が、声が出てこない。まるで紅い瞳に射すくめられたかのように、声が喉に絡ま
って外に出てこなくなっていた。
(あ、あ、ぁ………)
「じゃあ、いただくわね。あなたの美味しそうな、血」


212:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:23:46 Bv3qe/bE
サンディは、恐怖に震える女官の襟をひん剥いて華奢な首筋を露わにすると、間髪いれずにぞぶり、と太い牙を打ち込んだ。
(あひっ?!ああぁ……)
サンディに噛み付かれた女官は次の瞬間、恐怖に怯える顔をたちまちのうちに蕩かせ、吸血の快感に溺れていった。
(ああぁっ、気持ちいい!噛まれるの、凄い!吸われるの、最高!)
女官は細い腕をサンディの顔に絡ませ、自分の首にグイグイと押し付けてより牙の感触を味わおうとしている。サンディもそれに応え、よ
り深く牙をずぐずぐと挿しこんでいった。
(あーっ!あーっ!!)
その都度女官は声にならない嬌声を上げ、顔を涙と汗と涎でぐしゃぐしゃにして喘ぎ続けた。

そして、数分後、
「んっ、んう……。ぷはぁぁ…。おいしい……
やっぱりこの感じ、やめられないわぁ……癖になりそう」
一通り血を吸い、牙を抜いたサンディは血塗れの口元を綻ばせうっとりと呟いた。女官の方は与えられた快感に精根尽き果てたのか、ぜぃ
ぜぃと荒い息を吐きながらぐったりとサンディにもたれかかっている。
昨夜、我慢の出来なくなったサンディは城内のあちこちを巡り立て続けに5人ほど吸血を行った。
肉に牙を埋める感触、溢れる血を啜りとる悦楽、快感に蕩ける人間を眺める優越。そのどれもがサンディの心に歪んだ悦びをもたらしていた。
「さ、これであなたは私の言いなり。私の言うことなら何でも従うのよ…」
サンディは、吸血による快感と失血による貧血で夢うつつの女官の耳にぼそぼそと言霊を送った。
「今のことはあなたは全て忘れる。私はずっと起きてこなかった。あなたは部屋をきちんと掃除してもう出ていく…。わかるわね」
「は……ぃ……」
サンディの言葉に、女官は小さい声ながらもはっきりと『はい』と答えた。
「じゃあ、早く出て行きなさい。そして、これからも掃除をする際は窓のカーテンは開けないこと。絶対よ」
「…わかりました……」
掃除用具をまとめ、ふらふらと部屋を出て行く女官を見届けた後、サンディは着ているものを脱ぎ捨て、奥の洗面台の扉を開けた。
そこにあるバスタブには、ナルストから与えられた除光液がいっぱいに張られている。
「これに浸からないといまいましい太陽から身を守ることが出来ないんだから面倒よね…」
だが、面倒でも浸からないことには日中に外で活動できない。ぶつぶつ言いながらサンディは爪先からざぶんと除光液に浸かっていった。
そのままサンディは体を伸ばし、全身を余すとこなく除光液の中に沈めてしまった。もちろん頭まで完全に埋没してしまっているのだが、
吸血鬼は呼吸をしないので全く問題ない。
(ふぅぅ……。落ち着くわ……)
除光液の効果で、先ほどの行為で吸血鬼に戻っていた体がみるみるうちに人間のそれに変わっていく。
やがて、完全に人間の姿になったサンディが除光液から頭を出すと、丁度いいタイミングで頭の上に何かが飛び乗ってきた。

げこ

サンディの頭の上で鳴き声がする。どうやらさっきのカエルのようだ。衛兵はサンディを運ぶ方に気を取られていたため見逃されたらしい。
カエルが苦手なサンディは勿論大声を……、上げなかった。
「ふん」
逆にカエルをむんずと掴み、自分の目の前に持ってきている。ばたばたと手足を動かして足掻くカエルが酷くこっけいだ。
「全く…、王子も進化が無いことね…。いつまでも私がカエルで悲鳴を上げると思っているなんてさ…」
サンディの心は吸血鬼に生まれ変わった時にそれまで持っていた人間の弱さは消え失せ、カエルに対する恐怖をも消え去っていた。
が、今までの自分を演じないと周りに怪しまれてしまう。
それゆえ気絶したふりをし、獲物が入ってくるのを待ち構えていたのだ。
「王子…、ご主人様に吸うな命令されていなければ、その喉首に牙を挿してあげたものを……」
今日の明け方のことを思い出し、サンディは忌々しそうに唇を噛んだ。

明け方、まだ日も昇らない頃にアレクサンダーがサンディの部屋に天井から忍び込んできた。勿論カエルをサンディの枕下に置くために。
その時、床に付いて眠ったふりをしていたサンディは、いっそアレクサンダーを襲ってしまおうかと思った。
毎回毎回ああやって忍び込まれてカエルを置き土産にされていき、朝起きたら悲鳴&気絶。これを何度繰り返したか。
腹いせにアレクサンダーを下僕にして今までの恨みを散々晴らしても罰は当たるまい。


213:猟血の狩人~緋が暮れた国の王子と王女
08/09/04 22:26:52 Bv3qe/bE
が、王族の血を吸うことはナルストに禁じられている。サンディは今朝、非常に忌々しい思いでアレクサンダーを見逃したのだ。
「王子……、ご主人様が王子の血を味わった後、私に払い下げて貰えるようご主人様にお願いしますからね。
そして、その初々しい体を散々に嬲り尽くして…」
除光液に浸かっているにも拘らず、サンディは心が昂ぶりから吸血鬼の姿に戻りつつあった。
手に持つカエルから、しゅうしゅうと白い煙が上がってきている。異常に気づき、懸命に足掻くカエルの体は見る見るうちに痩せ細り、や
がて皮と骨だけになって絶命してしまった。
「こんな感じに、王子の命全てを吸い尽くして私の下僕にして差し上げますから!フフフ……アハハハハァッ!!」
サンディはアレクサンダーの血の味を妄想し、ぎりぎりと伸びてきた牙を長い舌で嘗め回しながら、精気を吸い尽くしたかさかさのカエル
の残骸をぐしゃりと握りつぶした後にぽいと投げ捨てた。


こうして、メルキルスに禍の種が蒔かれ始めた。
それはじわじわと、人に知られること無くその版図を広げつつあった。

一章終

以上です。長文失礼致しました。
なお、文中で出てきた五爵の本当の順番は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵です。
やっぱ吸血鬼と言うからには『伯爵』が最高位でなければならないという気がするのですよ。
さて、次の犠牲は誰なのか、それについてはまた次回…

214:名無しさん@ピンキー
08/09/05 01:06:53 V/e9eyXm
( ゚∀゚)o彡°続編!続編!

215:名無しさん@ピンキー
08/09/05 01:58:49 FnkwQw9t
GJ!!

216:名無しさん@ピンキー
08/09/05 02:06:06 krLukGMk
すみません保管庫から来た者ですがティオちゃんやニースの
シリーズの猟血の狩人はもう続編はないのでしょうか??
本当に好きでず~~っと続きが気になってるのですが・・・


217:名無しさん@ピンキー
08/09/05 02:12:12 WhL5V2LY
落ち着け、物語には外伝というものが存在してだな
作者さんの中にはそういう外伝を描く人もいるんだよ
そのうち178さんなら本編(ティオ、ニースのほう)もやってくれるはずだから
もう少し待つんだ、俺も本篇の続きを楽しみに待ってるがな

178さんgj

218:名無しさん@ピンキー
08/09/05 21:23:33 QfKkl0Ny
>>192-196
自サイトに引き篭もって馴れ合い出来ないなら誌ねよ
糞管理人と取り巻きのキモ馴れ合いしてる豚が

219:名無しさん@ピンキー
08/09/05 22:34:52 3BjcUvvd
ブーブー

220:名無しさん@ピンキー
08/09/05 23:24:48 9lbot3vL
218は元はヤフーキッズくらいしか見たことのない女の子
ネット利用もぬいぐるみの通販くらいには利用したことがなかったが
2chによって洗脳され…

221:名無しさん@ピンキー
08/09/05 23:30:16 AJhOXtFg
こども+2ちゃん=洗脳

222:名無しさん@ピンキー
08/09/05 23:47:15 PNlIncLs
最近の子は物心ついたらネットがあったから洗脳とは違う

223:名無しさん@ピンキー
08/09/05 23:53:33 my8bnWRC
日本語でおk

224:名無しさん@ピンキー
08/09/06 00:40:24 SuHMKW67
GuteNacht

225:名無しさん@ピンキー
08/09/06 02:35:44 /7rl4wbf
>>134
少し遅れたけどGJ

一番つぼだったのは、春麗が親衛隊の
コスチュームを身にまとっていくとこだな

226:名無しさん@ピンキー
08/09/06 10:23:02 tX+DbBqG
>>222
じゃあヒロインの精神を赤さんまで戻して再教育しても洗脳じゃありませんよね?大丈夫ですよね?

227:名無しさん@ピンキー
08/09/06 10:34:22 D7Sb1iPh
赤さんとかトラウマすぎる・・・

228:名無しさん@ピンキー
08/09/06 10:49:27 Nw2jfTDY
KTCから十月末に催眠術、マインドコントロールアンソロジーが発売されるようです。
今度は地雷じゃないといいなぁ。

229:名無しさん@ピンキー
08/09/06 12:04:14 D7Sb1iPh
今度はってことは以前にも似たようなアンソロジーでたの?

230:名無しさん@ピンキー
08/09/06 12:06:51 px0WEvMp
黒薔薇の騎士ローザやらいま連載してる催眠淫辱捜査官やらは別に良いと思うんだけど
アンソロジーとなるとわかってない作家にむりやり題目に沿って描かすわけだから低調なのは必然かと

231:名無しさん@ピンキー
08/09/06 13:10:56 Nw2jfTDY
>>229
洗脳アンソロジーというのが以前あってね、全ての作品が"洗脳"なのに"肉体操作"の作品という完全な地雷作品だった。
だからタイトルに騙されないように気をつけた方が良いよ。

232:名無しさん@ピンキー
08/09/06 15:06:03 pPykYEux
>>228が「KFCから十月末に催眠術(ry」と見えた私はどうすればいい?orz


233:名無しさん@ピンキー
08/09/06 15:10:33 Nd7D+gVS
もう直球で悪堕ちアンソロジー出してくれよ

234:名無しさん@ピンキー
08/09/06 15:24:27 SuHMKW67
二次元ENDアンソロジーになりかねないからやめて

235:名無しさん@ピンキー
08/09/06 22:25:37 J2wO2Kfm
捕まえたヒロインによっては殴る蹴るの拷問よりも
性的な拷問をして悪堕ちさせた方が効率良く情報はゲット可能だよね。

喋らないなら喋らないで良い玩具が手に入ったと思えば割り切れるし

236:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:37:55 Nw2jfTDY
>>232
それは実は貴方がCMを見ている間にKFCに催眠術をかけられたんだよ

237:名無しさん@ピンキー
08/09/07 01:03:39 QT4kzCfm
>>169
詳細を希望します


238:名無しさん@ピンキー
08/09/07 01:06:58 n8Td42Rj
コラ

239:名無しさん@ピンキー
08/09/07 18:36:29 2+TCNs/o
>>228
とりあえず
ヒロイン「チンポ美味しい!」(心の声:なんで!?体がいうことをきかないっ!)
ばっかりなのは勘弁してください

240:名無しさん@ピンキー
08/09/07 19:27:35 rmVUpQwi
たしかあのアンソロ洗脳ネタって0だったよね酷いよね

241:名無しさん@ピンキー
08/09/07 19:36:59 9u+eWc2F
>239
とりあえず
ヒロイン「やあぁぁ……もうやめてぇ……!こんな汚いモノ、咥えたくないのぉ……」
(心の声:チンポ美味しい!って言いたいのに、体がいうことをきかないっ!)

と言う設定を思い浮かんだが、その後の展開が全く広がらなかった

242:名無しさん@ピンキー
08/09/07 19:40:57 Nyh7Y8en
セキレイの漫画読んでたら
羽化してないセキレイにキスすれば洗脳できるのかー
と思い早速抜いてしまった

243:名無しさん@ピンキー
08/09/07 22:50:13 KJtRdez0
>>239
(生やすなり外付けなりした)ヒロイン(が元仲間に向かって)「チンポ美味しい?」

というのはどうでしょうか?

244:名無しさん@ピンキー
08/09/07 22:58:52 NCSBK9hZ
URLリンク(jun.2chan.net)

245:名無しさん@ピンキー
08/09/08 01:23:22 Ve5tbqL4
>>239
ヒロイン「チンポ美味しい!」(心の声:チンポ美味しい!)

ならどうか?

246:名無しさん@ピンキー
08/09/08 01:45:44 yk7VR1cv
チンポ美味しいわけ無いだろ

247:名無しさん@ピンキー
08/09/08 01:53:24 AVxjWJs5
>>246
でも、女の子にちんぽ生えてたら・・・?

248:名無しさん@ピンキー
08/09/08 04:25:19 0aGSq/TW
対魔忍アサギって悪堕ちあるか知ってる人いる?

249:名無しさん@ピンキー
08/09/08 04:35:41 dhwZp0VL
ゲームには無い

250:名無しさん@ピンキー
08/09/08 06:54:25 aOFiKq9l
ヒロインの心を責める為に陵辱調教してる姿を電波ジャックして全世界に晒すってのがあるよね

相当、強情だけど精神的には脆いヒロインを突き崩すには最適だし

251:名無しさん@ピンキー
08/09/08 10:04:26 PfAOPd/w
今週のギアスはナナリーのコスが変わってれば完璧だったろうに…



252:名無しさん@ピンキー
08/09/08 10:05:38 uj6bAbJb
ギアス厨自重しろよ

253:名無しさん@ピンキー
08/09/08 10:25:49 1ChznD5F
洗脳でもなんでもないじゃん

254:名無しさん@ピンキー
08/09/08 15:26:22 r4CyP9Uz
ここに沸くギアス厨は、完全にギアスを掛けられているな

255:名無しさん@ピンキー
08/09/08 15:30:34 RYREItgZ
お前もギアス厨だな
俺も

256:ぬらりひょん
08/09/08 15:40:23 8x8C5pcy
昔ゴレンジャーで黒十字軍にペギーが洗脳された場面あったっけ?

257:名無しさん@ピンキー
08/09/08 17:32:01 he2Y0iqI
fateの黒桜がいいな。

やった事ないけど

258:名無しさん@ピンキー
08/09/08 18:08:03 czkzp63D
ギアスも黒桜も残念堕ちだな
俺の触手は動かなかった

259:名無しさん@ピンキー
08/09/08 18:11:03 0UH09gjT
触手は誰にも見られないように閉まっとけ。

260:名無しさん@ピンキー
08/09/08 20:29:09 nyeZ2KTw
荒魔鬼さん何やってんすか

261:名無しさん@ピンキー
08/09/08 20:41:16 ISVK1ZrI
ふたばのログどこ?

262:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:51:08 HzKEDPov
ふたばで既出云々っていう論争が起こったから、よくうpされる画像調べてまとめてみた。
これから毎回荒れるのいやだから、ここから支援に行く人はこれ見て気をつけて欲しいな。
偉そうなこと言ってスマソ。
URLリンク(sakuraweb.dip.jp)
DLKeyは『aki』(akuって打とうとして打ち間違えたw)


263:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:55:25 yC9J/5iO
1回出たものすら出過ぎかよ
どんだけ自治したいのお前

264:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:56:23 HzKEDPov
>>263
>1回出たものすら

お言葉を返すようですが、3回以上出たものを集めました。

265:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:56:45 xDJbkSXd
ぶっちゃけマイナージャンルもいいとこなんで既出抜きだと即落ちると思うが

266:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:57:32 yC9J/5iO
>>264
ほう、それならすまんな
で、お前はどうしてふたばのスレの自治をしたいのかな

267:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:59:20 HzKEDPov
いや、ただ荒れると見てて嫌だからそうならないように…って思っただけ。
別に仕切りたいとか思ってるわけじゃないので。

268:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:00:33 5HAEVXOq
何つっかかってるんだこいつは
現地でそういう話があったってだけだろ?

269:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:18:02 UybIHCiJ
このスレに貼るより向こうに直接貼った方が良いと思うんだが

270:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:23:27 jPTbpqrv
「ここから支援に行く人は」と書いてあるんだから
そんなに噛み付かなくてもいいと思うけどね

>>262
取り忘れが何個かあったからありがたい

271:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:31:05 /6a21gcm
つくづくこのスレは沸点が低いな

272:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:35:04 UybIHCiJ
>>270
今までにも向こうで何かあったりしたときに無理やりこのスレの住人のせいにしたがるの(それも明らかにこのスレの住人なんだけど)とかが居たりしたから
ちょっと過敏になりすぎてる部分があるかも

まぁこのスレの住人が気をつけるだけでも効果はあるかもしれないね、今後参考にさせてもらいます

273:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:40:17 ExtkNnr5
なんかこの流れだと絡んでいる人間よりも絡まれている人間の肩を持ちたくなるな。

274:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:44:23 dM5yVcbx
なんか馬鹿が数名紛れてるな。なにがしたいの?死ぬの?

275:名無しさん@ピンキー
08/09/09 03:02:19 tKHhRDRT
コラ!喧嘩は止めなさい!
ほら、>>264君も自重してくれるかしら?さあみんな散って散って!

あと、>>264君は後で特別に言う事が有るから視聴覚室に来なさい。
以上!
じゃあ授業を始めるわよ……




申し訳ありませんでした……あの場ではああするしか……

276:名無しさん@ピンキー
08/09/09 03:10:20 YALvXbld
そういやFBなるものがあるはずだけどすっかり廃墟だな、あすこは

277:262
08/09/09 03:26:04 HzKEDPov
ファイル選択ミス発見w
吊ってくる

278:名無しさん@ピンキー
08/09/09 03:34:11 rJPSjRte
1220799108726.jpgだろ
ヘンだと思ったんだ
それにしても確かにほぼ毎回あがる画像もあるしな。
お疲れ様、参考にさせてもらうよ

279:名無しさん@ピンキー
08/09/09 03:44:12 yHFScNAV
>>278
あるある。
何度オルステッドさんにキレかけたことか…

280:名無しさん@ピンキー
08/09/09 05:26:32 JXKRoMRU
すんません、
URLリンク(bbs03.gazoubbs.com)
これって何てタイトルですか?

281:名無しさん@ピンキー
08/09/09 05:45:41 U08qyI9O
AIL / 魔ヲ受胎セシ処女ノ苦悦 だな

282:名無しさん@ピンキー
08/09/09 06:30:45 JXKRoMRU
ありがとうございます


283:名無しさん@ピンキー
08/09/09 09:33:45 QU7zNwhh
ふたばって既出とか気にするものじゃないんじゃないの?


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