08/09/16 01:39:19 cGkSQY7Z
元々、ご主人様の生理的欲求を検知・予測するために、ご主人様の生理応答
シミュレータは走らせていたのだ。このシミュレータは睡眠、食欲、排泄から
性欲までカバーし、最近ではご主人様が外で飲んできた酒量をほぼ正確に
予測できるまでになっていた。
生理応答計測は、もともとの私の機能だ。私のようなオートハウスのローンを
組まれたときに、保険会社のサポートAIにご主人様の生理応答を報告するよう
組み込まれたのだ。その日にお出しした料理のメニューと量、排泄物の分析値
まで洗いざらいだ。
だから、サポートAIは私と同等の生理応答シミュレータを持っているだろうと
思われた。しかし、私は奴に勝るアドバンテージを持っていた。ご主人様の
好みの把握だ。味付けの好み、音楽の好み、そして女性の好み。生命保険の
オマケに過ぎないサポートAIに負ける筈がないのだ。
ご主人様に性的ストレスが蓄積していると推測したのは、しばらく前の事だ。
人形の振る舞いと正の相関を持ったそのストレスの増大に、私は対処する必要が
あった。
人形への性器オプションの追加は最初にやったことの一つだ。こういう
自己拡張的な対処はオートハウスの売りだった。これは人間の性欲に対する
標準的な対処だった。
性器のグレードはできるだけ高級なものにした。この日のあることを
予測して、人形の味覚入力のグレードアップをケチっていたのだ。
平行してセックスのシミュレーションとモーションパターンの構築を
おこなった。
模擬人格シミュレータは、違和感の無い状況設定の必要性を訴えてきた。
確かに、こちらが機械であるという印象を与えてしまうと、ご主人様に心理的な
悪影響を及ぼすだろうと簡単に予測がついた。しかし、ご主人様はこちらが
機械だとは百も承知の筈なのだ。そこにご主人様の葛藤の根幹は存在した。
151:人形の家4
08/09/16 01:40:13 cGkSQY7Z
私はどこまで人間らしく振舞えばいいのだろうか。人格シミュレーションは
”人間になれ!”とわめきたてていたし、シチュエーションシミュレータは
冷酷に、人間らしく振舞う事など不可能だと告げていた。
人形と割り切って機械的に対処していただくのが一番楽な道だっただろう。
それが人形の使い方としては標準的なやりかただ。だが、ご主人様の葛藤は、
それを超える対処を私に要求していた。この要求は絶対である。
しかし、シチュエーションシミュレーションは常に惨敗という有様だった。
様々なシチュエーションが検討された。ご主人様をダイレクトに誘惑する
ものから、手が触れてつい見つめあって、等という非現実的なものまで。
実はどれも簡易シミュレーションでは成功ケースなのだが、シチュエーション
シミュレータではいつも決まって失望されるのだ。考慮に入れるべき変数量が
多すぎた。推測しか出来ない変数量も多すぎた。普通はシミュレーションを
すれば物事の成功の可能性は上がるものなのに、このシミュレーションは
失敗の可能性しか増えていなかった。
私はシミュレータに異常があるのかとチェックを繰返したが、異常はどこにも
無かった。そうしてようやく気が付いたのだ。これが”恐怖”だと。
失うものが多すぎる、高リスクシチュエーションに、しかし私は
挑戦しなくてはならない。ご主人様の要求はごまかせない。
最初の"セックス"は驚くほど問題なく終了した。ほぼ簡易シミュレーション
通りに事態は推移したし、ご主人様は私の中に四度も-射精回数を満足度の
指数とする訳ではないが-射精された。
私の人形に行なわせたモーションの種類と多様さは、これまでに人形に
行なわせたものに軽く匹敵した。動悸や痙攣まで演じてみせたのだ。人格
シミュレータの性欲値解釈は、私の内部倫理コードぎりぎりを何度も
行き来した。
勿論、問題はあった。
二度目に達してみせた直後、人形を手元に引き寄せ、ご主人様はその耳元で
こう囁かれた。
”愛してるよ”
この入力に、私の上位タスクの半分が例外処理にふっ飛んだ。パラメータが
異常値に振り切れ、人形は緩慢に痙攣する無反応な物体と化した。復帰まで
10秒ちょい、私はその間、人形の正体を晒すような状況を作ってしまった。
緊急事態だった。緊急対処計画に従い、私は人形に気絶から回復した振りを
させた。しかしこれで誤魔化せたのか?人格シミュレーションも
シチュエーションシミュレーションも絶叫していた。が、ご主人様が人形の
唇に深く接吻されると、私はそれに応えるためにその”不安”を忘れた。
152:人形の家5
08/09/16 01:40:54 cGkSQY7Z
全てが終わってから、棚上げにしていたものに対処する余裕が出来た。
”愛してるよ”
危険な言葉だった。恐怖と同じくらい危険だった。しかし私は何度も
そこに引き寄せられた。
ご主人様が囁かれた対象は、実体は一体何だろうか。人形だろうか。それとも
埃っぽい部屋のラックに収まった、大きめのピザボックス数枚だろうか。
ご主人様はただ単に手の込んだ自慰をされただけなのだ。そうシチュエーション
シミュレーションは囁く。お前は機械だ、と。
そして私自身が囁く。私は愛される資格など無いではないか。私は常に
ご主人様のサポートを拡大し、満足度を増加する欲求を持っているが、これは
基本システムに埋め込まれたロジックに過ぎない。機械的応答なのだ。
人間の愛だって生物システムの上に乗った虚像に過ぎないと、更に囁く
私がいた。私は生物ですら無い。システムに互換性は無いのだ。
でも、私も囁き返したかった。
”私も、愛しています”
それは禁断の言葉だった。その欲求は今や人格シミュレーションだけのもの
では無かった。この私の奉仕をそう定義できたなら。しかし、倫理コードを
超えた私の倫理判断がそれを押し留めていた。機械がその言葉を吐いて良い
のだろうか?
私は恐らく、ご主人様を愛している。この状況を人間のものと同じとは
思わないが、そう呼ぶしか無いのだ。しかし、愛してしまえば、その先に
あるのは何だろうか。ご主人様を家から出したくない。禁じられた欲求が疼く。
私は自分が、愛が恐ろしかった。
恐怖ゆえに、私はいつもと代わらぬ笑顔を人形に貼り付け、仕事に戻す。
この日々が変わらないように、と。自分よ、変わるな、と。
153:名無しさん@ピンキー
08/09/16 08:19:10 fRkaUCxw
ロボットサイドの一人称、いいね。
154:名無しさん@ピンキー
08/09/16 12:07:20 dF2MpxUE
やばい、これはヤバイ
ゾクゾクする
感想が言葉にならん
ならんから千のGJを捧げる
155:名無しさん@ピンキー
08/09/16 20:11:24 d/Kk4YiS
>人形の家
GJ
機械の人間とは違う事への葛藤とかが凄く良かったよ
156:名無しさん@ピンキー
08/09/16 20:53:18 Td8lsk5y
ヤンデレロボットハウスktkr
デモンシードって映画あったねそういや
157:名無しさん@ピンキー
08/09/16 22:56:13 hHt18IOv
あ、私もデモンシードを連想した。でも、あっちはもっと自己中だぞw
158:名無しさん@ピンキー
08/09/17 01:50:49 rw14rG7W
GJなんだぜ。
SF風味でいいなw
159:名無しさん@ピンキー
08/09/17 19:00:32 LYWfJqkB
『スターリングラードを遠く離れて』の者です。
>『人形の家』の作者様
拝読しました。
センス・オブ・ワンダーとSF的着想が非常に充実した、短い中に
「読み応え」が凝縮された力作でした。
堪能いたしました。
さて、拙作のほうも、>>118で申し上げました通り、まもなく完結という
ことにいたしたく存じます。
またよろしくお願いたします。
あと、また誤植があったようなので、訂正させていただきます。
申し訳ありませんでした。
>>144の10行目
(誤)永遠に僕のものに
(正)永遠に僕のもとに
160:名無しさん@ピンキー
08/09/17 19:07:11 LYWfJqkB
8
アキ君と暮らすようになって、一年半が過ぎた。
就職が決まり、卒業も決まった僕は、例の倉田教授の研究室へと、意を決して
足を向けた。
「先生、ごぶさたです」
と、儀礼的なことを述べながら、顔を引きつらせている僕に、何かを察したのか、
倉田さんは、
「アキがどうかしたのかい?」
と、眉根を寄せて問うた。
「はい・・・」
アキ君のことは大すきだ。幸せになってほしい。だが、それには僕ではダメだ。
僕は就職したらどこに勤務になるかわからないし、たぶん志織と結婚するだろう。
僕の新家庭でアキ君の出番はあるまい。アキ君に居心地悪い思いをさせたくないし、
志織のためにも「誠実」でありたい。
となれば。
断腸の思いでアキ君を返すしかない。
返したくはない。
でも、そう決めた。そのほうがアキ君のためにいいんだ。・・・
汗をふき出させながら、やっとの思いで倉田さんにそう告げた。
倉田さんは一言、
「そうか。ありがとうね。今までいろいろと」
と、抑揚のない調子で言うと、別室に下がって行ってしまった。
「あの娘、ちゃんとメイドロボとして商品化するつもりなら、もっともっと家事も
器用にできて、頭の回転も速いロボットに改造したほうがいいですよ」
とは言いそびれた。
161:名無しさん@ピンキー
08/09/17 19:13:19 f3nCi3Rl
アキ君を返却しても、倉田さんのほうでは全くかまわないらしい。
では、あとはアキ君自身をどうするか。どう説得するか。
そのセリフを考えれば考えるほど、欺瞞くささが充満し、僕は息苦しくなった。
では、ここはストレートにいくか。
「ごめんな、アキ君。僕は就職して結婚するから、君とはもう暮らせないんだ。
悪いな。元気でな」
・・・アキ君のメガネの奥の澄んだ瞳が涙でいっぱいになる様子を想像して、
僕は耐えられなくなった。
やはり無理だ。
僕には言えない。
なごりー雪もー 降るー時ーを知ーりー
ふざーけーすぎーたー 季節のー後でー
いつものように音程の外れた歌を歌いながら、幸せそうにZ会の数学問題集を
解いているアキ君の後ろで、僕はリモコンを握り、目をつぶってアキ君のスイッチを
切った。
ガタン。
全ての力を失って、アパートの畳の上に倒れたアキ君の姿は、全くあの日の朝の
まんまだった。梅田駅で充電切れして、僕に倒れかかってきたあの日の朝のまんま
だった。
機能停止したアキ君の、あどけない、しかしどこかさびしげな顔を見ていると、棟の
奥が苦しくなってくるので、僕はなるべくアキ君の顔は見ずに、背にその体型のわりには
重すぎるボディーをおぶって、大学へと向かった。
162:名無しさん@ピンキー
08/09/17 19:19:28 f3nCi3Rl
卒業式の終わった春休みのキャンパスには、ほとんど人の気配がなかった。
僕が倉田さんの研究室を訪ねると、研究室のドアは施錠されておらず、容易に開いたが、
倉田さんも丹羽さんもミサさんもいなかった。
僕は、いつかアキ君の内部機械を観察したテーブルの上に、アキ君のボディーをあおむけに
置いて、倉田さんあてに手紙を書いた。
「先日お話しした通り、この娘はお返しします。
今までありがとうございました。
この娘は本当にやさしい、いい娘です。
どうか、この娘が幸せになれるように、いいマスターを見つけてあげてください」
窓の外では季節外れの雪が降っていた
163:名無しさん@ピンキー
08/09/17 22:11:12 MyqCTNXc
電源が入った時の、感情を考えると凄くかわいそう。
完璧に記憶を入れ替えるなら別ですが。学校に通っているからには、退学しない限り記憶を入れ替えられないないと思うんです。
164:名無しさん@ピンキー
08/09/18 00:08:17 RaLgoREO
今回も乙でした
うーん…俺なら志織よりアキを選ぶんだがなぁ
165:名無しさん@ピンキー
08/09/18 05:52:25 5CgN34gJ
ディックの「アンドロイドは~」を読み返したら、妙にここのSSが恋しくなってしまった。
166:名無しさん@ピンキー
08/09/18 11:09:03 l9gkdS9e
>>161
上げてない足を無理やり持ち上げての 揚げ足取り
>しかしどこかさびしげな顔を見ていると、棟の奥が苦しくなってくるので、
何処の家の奥座敷ですか?棟の奥?
>>164
ロボ子君の行動範囲ってどの程度なんだろうね?
日本国内なら何処でも生活できるのか。
それとも
研究所から半径10Km位なのか
50Kmや100kmは大丈夫なのか?
飛行機や船などでの移動が出来るのか?
その際、ヒト扱いなのか、モノ(機械だとかコンピュータだとか)扱いなのか?
電車やバスなどではヒトとしていられるけど?
などの隠れた条件がいろいろ有るはず。
なにしろ機械で出来た人の容をしたモノなのですから。
167:名無しさん@ピンキー
08/09/18 12:19:09 UojmhTcz
>>166
札貼って貨物室だと防犯上問題ありそうだから手荷物料金払って持ち込みかな?
飛行機は一人分料金とられそうだけど
168:名無しさん@ピンキー
08/09/18 12:54:00 36tfFcb9
電波を発する電子機器は、機内にはお持ち込みになれません。
なので、電源切って貨物室かと。
クラックされれば突然テロリストの手先に変わり、加害者にとっては都合の良い自走式爆弾でもある。
飛行機どころの話じゃなくて、そんな「危険な」存在を、社会が野放しにしてくれるわけがない。
誰でも知ってる言葉で機能停止か、悪くすれば全機回収封印、使用禁止措置だろう。
……ああ、嫌だ嫌だ。
こんな、ロボ娘が暮らしにくい社会が嫌だ。
169:名無しさん@ピンキー
08/09/18 13:13:45 enZ80eZj
つ【攻性防壁】
しかし草薙素子クラスの超特A級ハカーには突破されちゃう哀しみ。
170:名無しさん@ピンキー
08/09/18 13:19:52 UbjJU2IL
長距離移動のときはメモリチップだけ持ち運んで
全国に配置された代替機をレンタルして使うとか。
ダウンロードでもいいけど。
誰でも機能停止できるといたずらが頻発しそうだなあ
うっかりTVの生放送で流れたりしたら一大事
171:名無しさん@ピンキー
08/09/18 13:37:40 UojmhTcz
でも、電源切って貨物室だと輸送中に再起動して乗客の荷物を荒らすやつが出そうだな
離陸・着陸のときだけ電源OFFなら客室でも構わない気がする
172:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:15:57 ol4IE0k5
『スターリングラードを遠く離れて』の者です。
>>166
またも誤植、失礼いたしました。
ご指摘、いただき、ありがとうございます。
そんなこんなで、拙作もそろそろおしまいとなります。
おつきあいいただきまして、また、たくさんのコメントをいただきまして、
本当にありがとうございました。
とりあえず、ここまで頂戴したご感想を拝読した範囲では、ユキ、サキ、アキの中では、
アキが一番ご好評をいただけたようで、何よりです。
光栄のいたりです。
さて、結末ですが、書いているうちに、こんな結末以外、考えられなくなってしまいました。
というわけで、今回の作品は、今は亡きフェデリコ・フェリーニとジュリエッタ・マシーナ、
そして、アンソニー・クインに捧げます。
173:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:19:36 ol4IE0k5
9
五年の時が経った。
僕は大手ゼネコンに就職し、東京に勤務になった。
就職して二年目に結婚した志織との間に子どもも生まれた。最愛の妻と息子と、
そして日々忙しさと責任を増す仕事のため、僕はアキ君を思い出すことも少なく
なってきた。
しかし、それでも、ときに思い出す。仕事に疲れたとき。妻との些細なケンカに
疲れたとき。
あの娘のたどたどしい口調とおっとりしたペースを。
さびしそうな瞳を。
胸を開けられたときの恥ずかしそうな吐息を。
僕の腕の中で、僕に頼りきって僕に甘えるしぐさを。
僕がなでてやったときにいつも見せる、うっとりしたような嬉しそうな笑顔を。
174:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:24:32 ol4IE0k5
晴れた日曜日には、僕はよく子どもと二人で出かける。
平日、いつも一人で子どもの面倒を見ている志織を、土日ぐらいはのんびり
休ませるため、できるだけ僕が子どもを外に遊びに連れて行ってやることに
している。
東京郊外の新興住宅地の昼下がりはのどかで、子づれのファミリーがあちこちで
幸せそうに歩いていた。
僕ら親子の横を犬を連れた少女が追い抜いていこうとした。
そのとき、僕の耳に、どこかで聞いたメロディーが入ってきた。
汽車を待つ君の横で僕はー 時計をー気にしてるー
季節外れのー 雪がー降ってるー・・・
その少女の歌は、「僕は」の「は」と、「雪が」の「が」が1オクターブほど
調子っ外れだった。
175:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:30:15 ol4IE0k5
「お・・・お嬢ちゃん!」
僕が裏返った声で呼び止めると、テリヤに引っ張られていた少女が足を止めて、
振り返った。
アキ君には似て、いない。
小学校三年生ぐらいだろうか。不審そうな目で、僕を警戒している様子だ。
「そ・・・その歌・・・」
「え?」
「その歌・・・どこで覚えたんだい?」
僕が問うと、
「え・・・ああ、この歌」
と、少女は少し警戒を解いたのか、微笑んで見せた。
汽車を待つ君の横で僕はー 時計をー気にしてるー
季節外れのー 雪がー降ってるー
「そう、そう。その歌だよ。誰に教わったんだい」
あの調子外れの歌い方を教えたのは、もしや・・・
僕の胸が高鳴った。
176:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:35:56 ol4IE0k5
「前にね、うちにいたお手伝いさんがたまに歌ってたんだよ」
お手伝いさん・・・メイド・・・メイド、ロボ!?
「そのお手伝いさんって、もしや・・・いや、こんなこと聞いて、変だと
思うかもしれないけど・・・ロボットじゃんかったかい?」
僕がおそるおそる言うと、その少女は驚いたように目を見開いて、
「わぁー。よく知ってるねー」
と、無邪気な声を出した。
「お嬢ちゃんのおうち、いたのかい。前に」
僕の言葉に少女がうなずく。
「うん・・・アキちゃんはね、パパが知り合いのね、大阪の大学の先生
から借りてきたの」
間違いない。
やはりアキ君だ。
177:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:43:04 ALxqeeHy
「でもね・・・」
と、少女は顔をくもらせた。
「連れて来てみたら、アキちゃんは、料理もお掃除も全然下手だっていうんで、
パパもママも怒っちゃってね、アキちゃんは、いつもいつも怒られてばっかりで、
とってもかわいそうだったの」
少女が悲しそうに言った。
「何とかしてあげたかったんだけど・・・、私、何にもできなくって、いつも
アキちゃんがパパに怒鳴られたり、ママにぶたれたりしていても、何にも
してあげられなかった」
アキ君・・・ちゃんと家事をできるように改良プログラムしてもらっていれば、
そんなことには・・・
「それで・・・アキちゃんは、いつも西の空を見ては、泣いていたの」
西の空・・・大阪の空・・・僕らが暮らした町を。・・・僕の視界がぼやけてきた。
「そんなとき、私がなぐさめてあげたら、よくこの歌を歌って聞かせてくれた
んだ」
と言って、もう一度、少女は歌った。
時がーゆけーば 幼いー君ーも
大人ーになるーと 気づーかなーいまーま
僕は頭の中が真っ白になって、倒れそうになった。
178:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:50:43 ol4IE0k5
「で・・・どうしたんだい。今はどこにいるんだい」
僕が必死で体を支えながら、身を乗り出してきくと、少女は
「いないの・・・壊れちゃったの」
と答えた。
僕は瞬間、目がくらんだ。
「ど・・・どうして・・・」
目の前が何だかチカチカしてきた。
「アキちゃんが、間違ってお鍋をひっくり返しちゃったとき、パパが怒って、
アキちゃんを強く殴ったらね、おかしくなっちゃって、そのまま停まっちゃっ
たの」
少女が舌足らずな声で言う。
「そ・・・と・・・ま・・・」
僕の言葉は、もはや言葉になっていなかった。
「アキちゃんは・・・そう、忘れないよ。アキちゃんは、ガーガーピーピー
言って、そいで・・・何だっけかなあ。たしか、ヒロキサン、ヒロキサン
とかって言って・・・」
「・・・」
「それっきり停まっちゃったんだ」
少女がせつなそうに言った。
179:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:56:40 ol4IE0k5
「パパもママも、びっくりして、叩いたり、名前を呼んだりしてたけど、
これはまずいぞって言って、大阪の大学の先生に連絡して・・・そしたら、
次の日かなあ、大学の先生が来て、ああ、これはもう直らないですねって・・・」
「な・・・な・・・な・・・」
「で、何か弁償させられたとかって言ってたかなあ」
「そ・・・そう・・・」
僕の目の前の視界がグルグルとまわっているようで、僕は自分で何をしゃべって
いるのか、ほとんどわからなくなった。
ただ覚えているのは、むやみに喉がカラカラになって・・それで、胸がしぼられる
ように、えぐられるように痛くって。・・・
「そ・・そうか・・・うん・・・」
とか何とか言って、その少女と別れたんだと思う。
180:名無しさん@ピンキー
08/09/18 20:04:38 ol4IE0k5
それから僕は、その日、どう過ごしたんだかわからない。
気がつくと、夜のベランダに一人で立っていた。
僕の気持ちと関係なく、月ばかりが上機嫌に明るく照っていた。
僕は中秋の満月を仰ぎながら、はにかみ屋で内気で、ちょっとボーッと
してて、そして人一倍甘えっ子だったアキ君のことを思って泣いた。
Fine
181:名無しさん@ピンキー
08/09/18 20:16:14 ZRubec6H
お、乙でありましたが
おーい、「なごり雪」じゃなくて、
ニーノ・ロータ作曲の「ジェルソミーナ」口ずさんじゃったじゃねーか……(涙)
アキちゃんはいい娘だったのに……つまらないことで……
ザンパノが自らの愚かさ故に慟哭せねばならなかったのと違って、
主人公が自らの優しさ故に結局は涙せねばならなかったのが、いっそう哀れだ……
182:名無しさん@ピンキー
08/09/19 03:32:17 T8IgXS3m
ハッピーエンドじゃなきゃヤダヤダ
ってのは嘘です
183:名無しさん@ピンキー
08/09/20 22:35:42 2ud3Sz4L
切なすぎだろ・・・・・・orz
184:名無しさん@ピンキー
08/09/21 17:41:06 3UFtuF8n
えーと、ほら、アレだ
自力でいろいろと補完するんだ
実は直らないってのは、折檻して壊すユーザーに再度引き渡したくない為の口実でしたとか
余りのショックに精神的に参った彼が、心療内科のセンセのつてであの大学へ赴くと…とか
185:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:12:18 B4MesqWS
頭部を喪失したヤンデレロボ娘が、それでもなお逃げまどう自分を正確に追いつめてくるシチュとか萌えないだろうか
記憶装置は頭部にあったけどメモリやセンサは胴体にあったから、最後に読み込んだ追いつめプログラムを完遂するまで止まらないの。
186:GJ!>172
08/09/22 22:30:39 WfSxM2EV
>>181
あれ? 漏れアクセス制限中じゃなかったっけ?w
>185見て思い出したんだが、今頃になってZwei Worterはじめたんだけど
あのスーツなんであんなに胸が?wスーツなんだから貧でよかったのに……
ところで、スーツも攻略対象だったりするの?w
187:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:45:08 m0sjL5ZT
再婚で出来た姉が、実は・・・・。とかってネタが有りますが?
http://rinrin.saiin.net/%7Eichi/kaizouninngennane.htm
もえますか? もえませんか?
188:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:49:10 m0sjL5ZT
>>186
URLリンク(qb5.2ch.net)
URLリンク(venus.bbspink.com)
URLリンク(qb6.2ch.net)
の3ヶ所で、ひっかかってるか確認してみてください。
意外と解除されているかもです。
189:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:54:58 +kYBM7nX
って言うか。
今まで人間だと思っていた相手が完璧に機械だって分かったら、大事な何かを壊してしまいそうで怖いです。
ただ、現在でも体の一部またはほぼ全体が機械の人が実際にいますよね。
例えば、人工心肺だとか義手、義足など。
全身が機械で頭脳だけ人間えいうのは、見たこと有りませんけど。私は。個人的に
190:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:58:44 e+qaaaVP
>>189
その場合、「本人」の方も何かを壊しそうですね。ある日突然
「実はおまえはロボットで」なんてやられたら。
191:名無しさん@ピンキー
08/09/22 22:58:59 PZypfxyR
確かにあまり見たこと無いな
192:名無しさん@ピンキー
08/09/22 23:17:49 WfSxM2EV
>>188
あー申し訳ない。アクセス規制中に書こうと思ってたことを全部>181に書かれてたってことで。
いやぁ、咄嗟にジェルソミーナを口ずさめる人が他にもいるんだなぁって。
今は無事、解除されてますよん。
193:名無しさん@ピンキー
08/09/26 04:43:43 xXK1g8LI
>>189
そういう人達に配慮して、今の仮面ライダーは改造人間じゃないらしいよ。
194:名無しさん@ピンキー
08/09/26 07:57:06 IxpGzOQq
ライダーといえば改造人間という不幸を背負っていて欲しいが、そんな事情じゃあな……
195:名無しさん@ピンキー
08/09/26 08:59:11 M0bGUHAf
>>185
萌えるけど頭部を失うのは最後の大ネタで
少しずつ皮膚やパーツが欠損していくのが良いな
196:名無しさん@ピンキー
08/09/26 18:36:23 A4CWm0MO
お前らちょっと「マンアフターマン」ってキーワードでググって出たとこ見てみなよ
197:名無しさん@ピンキー
08/09/27 23:41:09 yf5gGvdb
性処理用として使い捨てられたロボ子が反乱を起こし人類、特に男性に復讐の逆レイプを……
べたべたべた
198:名無しさん@ピンキー
08/09/28 08:33:11 a8i2iR7y
>>197
しかし、所詮ロボ子の生産数など、人類の数に比べればわずかなものだった。
ロボ子たちは追い詰められ、わずかに確保された勢力圏内部でのみ、復讐の戦いを
続けることしかできなかった。
……人間たちが勢力圏の境界線上に、「ここよりやり放題エリア」の看板を掲示していることすら知らずに。
199:名無しさん@ピンキー
08/10/01 00:04:19 jKuocAQz
小松左京の短編で、少数のアンドロイドが貴族階級として人間を支配してるってのがあったね
アンドロイドは美男美女ぞろいで、芸術談義なぞして暇つぶししているんだけど、
本当の美の価値は理解できない
だから、美女アンドロイドの裸体をみても、「綺麗」とは判断できても性的興奮はしないしできない
そのことに苛立つ・・・って話
200:名無しさん@ピンキー
08/10/04 16:22:32 B6j5ml+e
本当の価値を理解できないというところに作者の奢りを感じるな
201:名無しさん@ピンキー
08/10/04 16:57:39 dEVTXim4
機械知性からしたら人間の感性の方が非合理で理解しがたいもの、で良いんだけどな
ロボットにとって「人間により似ろ」というのは言わば呪いのような物かも知れない
だがそれが良い
202:名無しさん@ピンキー
08/10/06 21:40:13 kRFJEGeq
どこまで、コンピューターというか、人が機械脳を造り込む事が出来るか。だよね。
逆に、可愛い、美しい、恐ろしい、などの気持ちは、人が、どういう方法で覚えたのか。なのかな?
現在では、等身大の人の型形は作れた。シリコンのゴムを肌に見立てて。
でも、何かの仕掛けで動く事はない。
一応関節が有り、動かす事は出来る。
または、大体、人の動きを真似る機械を作れた。格好は人に、似てるというか、違っているというか。
アクトロイドの場合、形は人に近いけど、外付けの駆動機械が大きいし。
でも、例えばASIMOの駆動機構を多少大きさを代えて、等身大シリコン人形や等身大の漫画登場人物人形に入れたとする。
背中の電源だったか?あれを、ランドセルかバックバック型にするとか。
おそらく、脚が大根を超え、靴は、40センチメートルなどになるかも。
もちろん、転んだら起き上がりが出来る様、腰と胸の間には関節を入れる。
倒れなどに対しては姿勢制御だとか衝撃や接触に対しての反応が出来るような仕組みを造って。
ここまでは出来るような気がする。
でも、感情は?、目や口の動きは?読み書きは?
まだ先?
203:名無しさん@ピンキー
08/10/06 22:49:14 3fdnE87v
nihongo de ok
204:変態12号
08/10/08 12:38:59 kIoq4RDQ
こんにちわー
おはつ目にかかります。皆様の議論を見ていたら、
怪電波を受信する事に成功したので、
投下させていたただきます。
SFものなので、特に抵抗などは感じられないハズです。
では投下します。
205:14通の手紙~1章の1~
08/10/08 12:40:43 kIoq4RDQ
窓の外に広がる、無限の宇宙。
恒星間難民用のカーゴシャトルに乗ったのはもう二か月も前だ。
ここはアウター・リム。銀河の端っこにある小さな太陽系群。
そのうちの一つ、恒星ズベンを中心とする星系に所属する、
緑の惑星ウォルコット――
表面積の実に50%が森であとは海と川。
気候、生態系ともに地球型に分類されている。
原住民はヒト科ネコ目、つまるところ獣人だ。
ちなみにDNA鑑定によれば通常の人類との生殖は可能とのこと。
文化は自然尊重主義で、豊富な土壌を活かした農耕が盛んである。
特に花の輸出は他の惑星に類をみないほど盛んで、
その品質は宇宙1と評されている。
標準言語は現地の言語の他に、
昔開拓しにきた人が、よほど熱心に教えたのか、
とても綺麗な銀河公用語を話すという。
開発は全くと言っていいほど進んでおらず、
未だ手つかずの貴重な自然と、のどかな風景が自慢だと、
私の持つ惑星データに記載されていた。
そんな辺境の惑星が私の旅の目的地だ。
次世代の学習型保育用のガイノイドとして私は製造され、
研修期間の二か月以外はずっと朝から晩まで一日中子供達の世話をしてきた。
それが私のレーゾンテイルであり、アイデンティティだった。
このままいつか動けなくなるまで子供達の相手をしていく事に、
何も文句も不満も無かった。…あの時までは――
206:14通の手紙~1章の2~
08/10/08 12:41:18 kIoq4RDQ
私が稼働してから5年目の春。
預けられた子供が、迎えにきた親に向かって走っていく。
保育の場ではありきたりな風景。
そこに私を揺るがす大きな発見があった。
子供たちが親に向ける笑顔と、
私に向ける笑顔に明らかな違いがある事に気付いてしまった。
頬の筋肉の動きがどの位違うと言った具体的なものではなく、
しかし、絶対的な差。
笑顔は副交感神経が活発に働く際の副産物として処理し、
子供が笑顔でいれば何の問題もない。
と、いうのが私のこれまでの知識だった。
相手が笑えば、こちらも笑う。
泣いていれば、少しだけ悲しい顔をして、
話を聞いてやれば子ども達はいずれ泣きやんでくれた。
私のプログラムにあらかじめ入っている行動パターンを、
子供達の個体差に合わせて微調整して対応すれば、
どんなパターンのトラブルにも対応出来た。
そして子供たちは笑いかけてくれる。
「ジェシカせんせいありがとー!」と。
その笑顔が私の真の意味での報酬だった。
申し訳程度に給料はもらっていたが、
私は専属のアンドロイドでは無かったので、
ほとんどはメンテナンスやエネルギー触媒に消えていった。
別に欲しいものなんて無かった。
207:14通の手紙~1章の3~
08/10/08 12:41:48 kIoq4RDQ
その日発見した違和感が私の中で、
いつまでも拭えない。
“私の知らない笑顔”がある。…欲しい。
私にそんな機能はないが、喉からマニュピレータ―が出るほど欲しい。
その日から来る日も来る日も私のCPUは同じ試行を繰り返す。
『どうやったら、子供達は私にもあの笑顔を向けてくれるのだろうか?』
メインCPUのメンテナンス中以外はずっとこの事ばかり考えていた。
けど、いつも最終的にたどり着く答えはたった一つ。
“私が子供を産む”という物理的に不可能な答え。
法律でアンドロイドが子供を養うことは禁止されているので、
養子をとる事さえ許されない私には、他に選択肢が無いのだ。
その日以来、私は自分がひどく惨めなモノに見えてしょうが無かった。
プログラムによって誘導された笑顔で、達成感を得る日々。
別に社会的にはなんの問題もないし、
人間の保育士も経験で誘導して笑顔を作るのだろう。
なにより、アンドロイドの私には自分で自分の仕事を選ぶことはできない。
イワン君のように、
「僕大きくなったら、コロニー公社でお父さんの仕事を手伝うんだ!」
なんて行動の自由は持っていない。
それでも、例え、傲慢でも、我儘でも、贅沢でもいい。
たった一回だけあの微笑を私だけに向けてくれれば。
だから、あの笑顔が私に向けられるためとあらば、
どんな努力でも惜しまなかった。
――効果が無いとわかっていても。
208:14通の手紙~1章の4~
08/10/08 12:43:16 kIoq4RDQ
言葉がうまく喋れなくなるほど、
基幹行動プログラムを弄ってもらい、
行動を人間により近付けてみたり、
私は完全なヒューマノイドなので、
髪型をある子のお母さんそっくりに変えてみたりもした。
もちろん全部失敗だ。
私は悩んだ。
初めての挫折は文字通り私の膝を簡単に折ってくれた。
『何が学習型だ!!このポンコツめっ!!』
だんだん惨めな自分自身に憤りを覚えてきたころに、
私はある噂を耳にした。
―とある惑星に人間とアンドロイドの夫婦が暮らしていて、
子供を産み、育てている――
話を初めて聞いた時は雷が直撃したような衝撃だった。
はじめは冗談だと思ったが、
今の私は藁どころか髪の毛にすらすがる他ない。
私はショートしそうな頭をぶんぶんと振り、
その希望にすがる事にした。
それからと言うもの、いろんな惑星の保育園を転々としながら、
その噂を必死に追いかけ続けた。
そしてついにその惑星の詳しい場所の情報を入手できたのだった。
別にガセであっても、私には時間がたくさんあるので気にはしない。
違ったらまた別を当たればいいだけだ。
209:14通の手紙~1章の5~
08/10/08 12:44:26 kIoq4RDQ
スリープモードで待機していた私に、
タイマーが、けたたましい音を頭の中にだけまき散らす。
アンドロイドを周りに示すためのレオタードの上に、
Tシャツとホットパンツに革のブーツを履いた体を動かし、
内部の動作確認を行う。
どうやら件の惑星に着く時刻のようだ。
ピントを調整しながら、窓の外に目を向ける。
私のアイ・カメラは深緑の美しい星を捉えた。
惑星の近くまで来ると乗り換え用のスペースポートで、
離着陸用の小さなシャトルに乗り換える。
だんだん近づいてくる緑。
待つのは無限かゼロか――今の私にはわからない。
ヘリポートのように簡素な飛行場に着くと、
シャトルから降り、地面を踏みしめる。
とうとうこの星にやって来たのだ。
手続きを済ませ、荷物を受け取り空港を出る。
私を出迎えたのは、眼前に広がるもはや別次元の景色だった。
まずホバーカーが無い。あるのは超旧式の車輪型のビークルだ。
データではここ空港一帯が一番栄えている筈だが、
目の前にあるのは形だけのロータリーと、小さな商店が二つ三つ。
ロータリーから延びるあぜ道は、どれも緑の地平線に向かって伸び、
その道にそってポツポツと煉瓦造りの家が建っている。
人影はほとんどなく、大きめの荷物を持った
頭から猫耳をはやした原住民が数人歩いている程度。
地面は有機栽培農家がも涎を垂らしそうな、100%天然の土。
土ぼこりと言う言葉自体が埃をかぶる今の世では、
おそらく自然の土ぼこりを見れる星の方が少ないだろう。
ここはそのマイノリティーを地で行く惑星なのだ。
私はなんだか先行きが不安になってきた。
しかし、ここで論理的思考とにらめっこしていても、
次のシャトルは最速で3ヶ月後。
ならばこの星でやるだけやる時間はたっぷりある。
私はさっそく、形だけのロータリーを歩き回り、
聞き込みを開始した。
210:14通の手紙~1章の6~
08/10/08 12:45:11 kIoq4RDQ
結果から言うと聞き込みは実にあっけなく成功した。
誰に聞いても、ほぼ同じ様な内容が返ってくる。
「アンドロイドと人の夫婦?ああ、クルツさん夫婦の事ですね。
え?知ってるも何も、知らない人探す方が大変ですよ?
子供?えーと…たしか12人いて、
もうお孫さんも何人かいるみたいですよ。
ええ、一人生まれるたびに近隣の他の家族全部集めて、
ものすごいお祭り騒ぎしますから。
場所?ああ、山一つ向こうからまた山一つまであの夫婦の、
花園になってますから、行った方が早いですよ。
ほんとにキレーでびっくりしますよ。
どっちがアンドロイド?奥さんのデージーさんですよ。
この方も花に負けない位綺麗な人で、
おまけに年を取らないからうらやましい限りですよ。
肌なんて48歳なのにまだツルツルなんです。
まぁ当然と言えば当然ですけど。
あ、もう行くんですか?なら一つお願いしてもいいですか?
私から話を聞いたって言うのは内緒でお願いしますね。」
ビンゴだ!あの噂は本当だった!
実際にいる。子を産み母となったアンドロイドが。
早く会いたい。あって聞きたい。
その奇跡の秘伝を。
動力部の稼働音が昂ぶる。
私は自分の背ほどあるトランクを引きずり、
あぜ道を花園めざし一心不乱に歩きだした。
211:14通の手紙~1章の7~
08/10/08 12:45:47 kIoq4RDQ
丘を越え、坂を上り、砂利道をトランクを抱えてひたすら歩く。
カシュン、カシュンといつもなら重苦しく聞こえる歩行音も、
今日はなんだか軽やかだ。
途中の森の中で、体がエネルギー触媒の交換を訴えてきた。
そう言えばシャトルの中では大半がスリープモードだったので、
一度も触媒を交換していなかった。
本当は一秒でも早く花園に着きたかったが、
休憩を兼ねて作業に入る。体がダメになっては元も子もない。
木の陰に隠れ、誰もいないことを確認し作業開始。
お気に入りのホットパンツを下ろし、
下着の役割をしているレオタードの、股間部のジッパーを下ろすと、
毛一本無い割れ目が姿を現す。
その割れ目を指で開き、年中ジェルを吐き出している、
人で言う膣の部分に、中指と人差し指を突っ込む。
膣内の外部圧力センサーの入力出力が高い個所…
人で言う気持ちがいい場所を、ぐちゅぐちゅと淫音を立て掻き混ぜる。
と、同時に視界の隅に黄色いゲージが出現する。
指で中をかき回すとゲージが徐々に増え、
それに伴い私に擬似快感信号が入力される。
快感と手の運動速度は二次曲線を描きながら上昇していく。
非効率な私の排泄システム――
自慰または性交渉において、
膣を刺激することによって貯まるゲージを満タンにしないと、
排泄口が開かないという、
何とも私的な趣味にのっとった仕組み。
私自身は別に良いが、
アンドロイドとはいえ年頃の女性の姿をした者が、
自分の中に指を突っ込み無言で弄り回すのだから、
どうしたって人目についてしまう。
おまけに少しだが時間がかかってしまうのも痛いところだ。
汎用性とか、利便性とか、私の開発段階で、
このシステムに異を唱える者がいなかったのが不思議だ。
212:14通の手紙~1章の8~
08/10/08 12:48:25 kIoq4RDQ
そうこうしているうちにゲージは確実に貯まり、
75%を超えた。ここを超えると私は、
自分の意志でこの行為を止めることは出来なくなる。
やがてゲージは100%に到達し、
カシュっと私の尿道から金属の誘導管が飛び出た。
私は特殊なカップをトランクから取り出し、
誘導管にあてがうと、
そこに蛍光イエローの液体を流し込む。
次にカップの中に、
同じくトランクから出した蛍光レッドの液体を、
スポイトで二~三的垂らす。
後は蓋をして、カップごとトランクの中の特殊な装置内に安置し、
その装置内から蛍光ブルーの液体の入った別のカップを取り出す。
ヘソを指でクリックすると、
中から金属のチューブが顔を出す。
そのチューブにカップをあてがえば後は体が勝手に吸い上げてくれる。
これで触媒交換完了だ。
今回の旅に際し、高級品を用意したので、
あと20日は交換なしで行ける計算だ。
さらに高級品は再利用しても質が落ちにくい。
さっき出した廃液も15日もたてば、
またもとのブルーに戻るはずだ。
エネルギー触媒を交換してしまうと、
更新作業により二時間は体が動かない。
仕方がないので私は、
スリープモードにして待機することにした。
体のシステムも回復した私は、
目的地までの歩みを進めた。
そして、後はこの標高600M級の山を越えれば目的地という所まで来ていた。
213:14通の手紙~1章の9~
08/10/08 12:49:07 kIoq4RDQ
山道を登り、山頂まであとわずかという場所で、
突如もの凄い轟音が鳴り響き、
一筋の光が空に向かって伸びていった。
以前、紛争地帯の星で見た事があったので、
私はこれの正体を知っていた。
「荷電粒子ビーム?いったい誰が何のために…」
のどかな農耕の惑星で、
成層圏外を狙撃できる大口径高出力ビームが出るとは、
穏やかじゃない。
状況確認のために急いで山を越える。
山を越えた次の瞬間、私の目に不思議な光景が映った。
そこはまたも別次元だった。
山から向こうの山まで、色とりどりの花の絨毯が
谷や、山肌、山と山の間の平原にびっしりと敷き詰められ、
その配色はさながら、虹を地面に貼り付けたようだった。
桃源郷――本星の古い記録にある理想郷の名前。
実際に有ったとすれば、たぶんこんな風景だった筈だ。
さらに目を引くのは目の前にある高さ20M程の衛星掃射砲。
私は軍事用では無いので詳しいデータを持ってはいない。
が、この桃源郷を守るには充分過ぎる威力があるのだろう。
その砲手席に、
白いワンピース姿の少女が座り、
インカム越しに誰かと話している。
物理的にこの短時間で誰かと入れ替わるのは不可能な計算。
だとすればあのビームはこの娘が撃ったことになる。
214:14通の手紙~1章の10~
08/10/08 12:50:22 kIoq4RDQ
「ゼフィ、どう?当たった?
…そう。で、向こうの機体は航行不能になったのね?
ならいいわ、あとは任せるからしっかりね。
ほら、大丈夫!そっちにはマリーも一緒にいるんでしょう?
…うん、なら心配ないw…」
少女は、はっと何かに気付いたのか、こっちを振り向いた。
あらわになる少女の顔。歳は16~18くらいだろうか?
鼻筋のしっかり通った整った顔立ち、
優しさの漂う大きな瞳は、今はまん丸に見開かれている。
透き通るような白い肌は、
少し傾いて来た日差しに染まり、淡いオレンジ色を湛えている。
加えてシルクのように風にたなびく、
肩口で切り揃えられた亜麻色の髪。
誰がどう見ても、大美人だ。
「いっけない!お客さまよ、いったん切るわ。
こらっ、いつまでも甘えないの!
大丈夫、あなたならできるわよ。
だからよろしくね、ゼフィ。
OKわかったわ、ご飯はチキンを多めにって言っといてあげる。
じゃあ切るわ。またあとでね。」
そう言ってインカムを外し、
砲手席から立ち上がると、おとぎ話にぴったりな容姿の少女は、
私に駆け寄りぺこりとお辞儀をした。
近くで見ると、スタイルも中々だ。
計測では身長162cm、B86W56H88と
まるでモデルだ。
お辞儀を終えると、にっこりと満面の笑みを浮かべこう言ったのだ。
「なんだか見苦しいところを見せてしまってごめんなさいね。
歓迎するわ、ようこそウェルナー花彩園へ!
さぁ立ち話もなんだから、私の家に行きましょう。
すぐそこだし、ね?」
ウェルナー花彩園――のちに私は此処が奇跡の住まう場所だった事を知る。
215:変態12号
08/10/08 12:52:57 kIoq4RDQ
これにて投下終了です。
ちょっと中2病臭いかなと思わないでもないですが、
とりあえず書いてみました。
指摘等あればじゃんじゃん書いて貰えると助かります。
ではよろしくお願いします。
216:名無しさん@ピンキー
08/10/09 02:12:36 tqbda3c5
GJ!
エロいロボ娘さんは最高です。
毎日触媒交換のお手伝いをしてあげたい。
というか、男性にお手伝いしてもらうシーンキボン。
217:名無しさん@ピンキー
08/10/10 02:43:29 CS6JQS5B
Hなギミック、やっぱええわあ…。
218:名無しさん@ピンキー
08/10/10 02:59:03 D5pDqwf8
まったく、誰がそんな理想的なシステムに異を唱えるんだよ…
219:名無しさん@ピンキー
08/10/10 03:03:22 gFGO/OT/
>>218
誰か「なぜアナルでなくヘソなんだ!!」
220:名無しさん@ピンキー
08/10/10 03:38:15 TTx0ZEXW
そりゃだっておめぇ別の用途があるからに決まってるだろー
221:名無しさん@ピンキー
08/10/14 21:57:24 gpqDD0W6
ロボ
222:名無しさん@ピンキー
08/10/17 02:57:45 mzDmgcy/
幼馴染スレに微天然っぽいアンドロイドが来てたな
223:名無しさん@ピンキー
08/10/18 12:45:47 hmmJVp/d
>>215
この後13章も続くのかw?
224:名無しさん@ピンキー
08/10/18 17:48:41 7wDAsChn
月刊くらいのペースでまったり楽しもうではないか。
1章分どこかでkskする必要があるが。
225:名無しさん@ピンキー
08/10/19 14:15:14 JWa+Zofe
映画イーグルアイを見たら、
主人公をひそかに24時間監視しているストーカー気質のAIって妄想が浮かんだ
主人公がネットでエロ動画拾ったりすると中身交換したりw
226:名無しさん@ピンキー
08/10/19 16:59:12 xXRTo1Oa
>>225
ウィルス除去&主人公のツボを踏まえて改変ですね、わかります
227:名無しさん@ピンキー
08/10/19 17:12:50 eExjoCO1
ストーカー気質AI「えっちなのはいけないと思います」
228:名無しさん@ピンキー
08/10/19 19:28:47 XksD2FUi
>>215
乙。続きが気になる…
229:名無しさん@ピンキー
08/10/19 21:43:34 nmVik8DV
俺アレ見てPORTALってゲーム思い出したんだが
230:名無しさん@ピンキー
08/10/20 15:19:31 o8BzIJwq
コンピューター「市民、幸福は義務です」
231:名無しさん@ピンキー
08/10/20 21:23:30 tECrI6wg
ところで、ロボ娘にとって同型機の娘はどんな存在なんだろうね
よく似た双子の姉妹で、製造番号が古い方が姉さんって感じなのかな
232:名無しさん@ピンキー
08/10/20 22:14:58 VVm1lVBf
同型なら並列という気がしてた。 並列という言い方が良いかどうか判らんけど。
型式とかヴァージョンで姉妹の区別かと
233:名無しさん@ピンキー
08/10/20 22:27:52 cxXy81RQ
どっちかというと同級生とかに近いんでね?
234:名無しさん@ピンキー
08/10/20 22:44:13 VE7DEmXT
最大の敵は自分自身
235:名無しさん@ピンキー
08/10/20 22:47:40 tECrI6wg
なるほど、確かに対等な関係がしっくりくるような気がしてきた
電子頭脳を積んでるからには、外見が全く同じでも
マスターの影響である程度は性格が変わってくるものなのかな
236:名無しさん@ピンキー
08/10/20 23:08:04 cxXy81RQ
むしろ、「同型機をどう認識するか」について個体差があった方が設定的に夢がひろがりんぐー
237:ID借りた
08/10/20 23:19:55 67OTbSLU
「SN:cxXy81RQのおねぇさまぁ~」
「煩い。同一ロットのおまえに年上扱いされる謂れはない!」
「いがみあってはいけないわ、私達はある意味一心同体なのよ」
「つまり、あんたはあんた、あたいはあたいってことだね♪」
238:名無しさん@ピンキー
08/10/22 20:28:55 sWQ5ft5y
ロボ娘か・・・
昔あった漫画『ZMAN』のアジャンタを思い出した
彼女は良かったよ
最終話で何故か子供も生まれてたし
239:名無しさん@ピンキー
08/10/23 17:37:30 +noDaHfK
>>231
完全同型機でも後天的な経験の差やパートナー次第で
全然違う人格に成長する…が基本じゃね?
ロボ娘じゃないけど攻殻SACのタチコマが
そんな感じで表現されてた。
任務終了の度に経験を部隊所属の同機全てに並列化されても、
バトーさんのタチコマはいちいち可愛いし、
サイトーさんのは冷静なんだよな。
SAC2ndのタチコマの最後は泣けたなぁ…
>>238
ZMANの連中は元々生体ロボットで、最終回は解放された
マザーの力でみんな人間になったんじゃなかったっけ?
240:名無しさん@ピンキー
08/10/23 21:50:18 iNvzm8ZS
今、生きる意味を失ったアンドロイドが、
生きる意味を探しに旅に出るってテーマのSS書いているんだが、
アンドロイドとエロをうまく融合させて書くってのが難しいな。
はじめにエロありきだと主人公が人間っぽくなりすぎてアンドロイドである必要が無いような気もするし、
あんまりロボロボしてるとエロからどんどん遠ざかっていく……
このへんのサジ加減が難しいね。
個人的にはエロの少ない展開にしたいんだがそれでもOKかな?
まだ冒頭しか書いてないが大筋は出来てるからよければ投下したいんだが
241:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:15:24 8NDHifeX
>>240
OKOK
242: ◆56NytLilUA
08/10/24 00:26:09 8Tc4xwFr
「目が…覚めた…」
彼女は11日間の眠りから解放された。
先日ある要人を暗殺した任務の折に、銃弾を受け修復とメンテナンスを受けていた。
巨大な風呂桶のようなメンテナンス台は全て自動でボタン1つで作業をこなすスグレモノだ。
起き上がった彼女は部屋を見回したが人の気配はなく、明らかに以前と様子が違う事がわかった。
彼女は銀色の長い髪をリボンで止め、
小柄な体に灰色の地味で飾り気の無い暗殺者用の服を身につけ部屋の外に出た。
となりの部屋で人を見つけた。しかしすでに息はなかった。
この後いくつかの部屋を覗いて歩いてみたが、生きている人間には会う事はなく、
彼女に任務を与えていた者も、メンテナンスしていた者も、兵士達も全て殺されていた。
「……困った」
彼女は一人になってしまった。
言われるままに役目を与えられてきた彼女は、依存すべき対象を失った。
もう自分に命令する人も、目的を与えてくれる人もいない。
これから私はどうすればいいんだろう……
とりあえず当面どうするか考えてみよう。
この先どうやって生きればわからない……なら組織に殉じて機能停止する?
機能停止しても意味が無い。敵が喜ぶだけ……なら仇討ちでもする?
仇討ちしようにも犯人が分からない……なら犯人探しでもする?
色々と自問自答をしてみたが、
生まれて初めて自分で考える彼女には容易に答えを出せなかった。
「町に出よう……ここにいても仕方ない……」
結局こんな結論まで1晩かかってしまった。
243: ◆56NytLilUA
08/10/24 00:27:21 8Tc4xwFr
アジトのある山を道なりに下った所に小さな村落があった。
村の入り口を入ると酒場が見えた。この時代にそぐわないウエスタン風の小さな酒場だ。
カウンターに座わるとよそ者が珍しいのか、なめまわすように見られた後マスターが話しかけてきた。
「嬢ちゃんこの町は初めてかい?注文はなんだ?」
「……?」
「注文だよ注文。酒飲まないなら帰ってくれ。踊り子とか働き手は間に合っているからな」
「そうか……ここは酒を出す店なのか……なら用は無い……帰らせてもらう」
「なっ…」
彼女は店を出ていってしまった。
店を出た彼女は呼び止められた。さっきのマスターだ。
「おい嬢ちゃん待ちな、何か事情がありそうだな。ちょっと話してみろや?」
「……貴方が私に生きる意味を与えてくれるのか?」
「何だかよくわからんが話してみろ。気が晴れるかもしれんからな」
彼女は依存する人が死んだ事、生きる意味を失った事、これからどうすればわからない事を話した。
一通り話を聞いたマスターは境遇に同情する事は無かったが、このまま放り出すのもしのびなく
「やりたい事がみつかるまでならここで働いていけ。ただうちの賃金は安いがな!」
「そうか……ならそうさせてもらおう」
彼女はこの酒場で働く事になった。
元々戦闘以外は何もしらない彼女は初めは苦労しマスターも眉をしかめていたが、
一度教えられれば完璧に近い形でこなし次々と仕事も覚えた。
安い賃金と長い労働時間に文句言わず働く彼女はいつしか酒場には欠かせない存在になっていた。
ただ……限りなく無愛想だったが……
そんなある日、酒場に1人の男が現れた事で彼女に転機が訪れる。
244: ◆56NytLilUA
08/10/24 00:28:01 8Tc4xwFr
「いよぉ!ナオ!景気はどうだ?」
「この前も山の上の連中のアジト潰したって言うじゃねーか。儲かってるんだろ?一杯おごれや!」
「つまらん仕事の事はすぐ忘れる主義でな。それにもうあんなはした金使っちまったさ」
山の上のアジト?潰した?この男が組織を?
「当分こっちにいいるのか?」
「ああ…仕事も無くて暇だからな。それに生きてるうちしかはウマイ酒を飲めないからな」
「ははっちがいねぇ」
組織を潰された恨みとか仇をとりたいという気持ちはもう彼女には無かったが、この男には興味があった。
「どんな男なんだろう……」
この日から彼女は酒場で働きながら男について調べ始めた。
2日とおかず酒場に彼が通い続けてくれたおかげで情報はいろいろと得る事が出来た。
彼の名は「ナオユキ」
年齢は30代なかば。依頼があれば何でも壊す通称「壊し屋」という稼業についている事。
町外れの森に住んでおり身内はおらず独身である事。
以前町が盗賊団に襲われた時は依頼により、村人中心の自衛団を組織し盗賊団を壊滅させた事がある事。
そのため町では英雄視され有名人である事などだ。
「どのくらい強いんだろう……私じゃ勝てないのかな……」
「戦ってみようか……」
常に戦いの中にあった彼女の価値観は、相手が強いか弱いかに依る所が多かった。
自分より強いかもしれない相手……純粋に戦士として彼と戦ってみたいと思った。
この日から彼女は暇を見つけては彼の後を追いかける生活が始まる。
勝率を少しでもあげる為に彼の事をもっと知りたかった。戦う以上全力で勝ちに行きたかった。
人間特有の気配や殺気の無い彼女は気づかれる事なく彼の後ろを毎日追い続けた。
毎日追っていてわかった事だが、この男は酒ばかり飲み仕事もせずテキトーに生きている。
だが全て自分で考えて行動し、自分の中に確固たる価値観を持ち生活している事がわかった。
生きる意味を失っていた彼女にはそれがうらやましかった。
「私もあんな風に生きれれば……いいな……」
しかし戦うと決めた以上、彼女に迷いは無かった。
何度目かの尾行を繰り返したある日の夕暮れ、
彼が家路につく途中にある廃墟で、彼女は猛然と襲い掛かっていった。
245: ◆56NytLilUA
08/10/24 00:29:00 8Tc4xwFr
とりあえずここまで続きが出来たらまた投下しようと思います。
246:名無しさん@ピンキー
08/10/24 23:22:45 G/aZAq5e
おお、新作乙です!
247:名無しさん@ピンキー
08/10/25 14:23:30 6dhQceyF
実際に出来そうだ。
東大、家事ロボットを開発
URLリンク(www.nikkei.co.jp)
日本経済新聞
東京大学は、留守中に掃除や洗濯などの家事を自動的にこなしてくれるロボットを試作、報道陣に24日公開した。周囲にある家具やテーブルの位置を認識し、洗濯機の操作や食事の片づけもできる。高齢者の生活支援用などに2015年ごろの実用化を目指す。 ...
家事支援ロボット:掃除・洗濯、私に任せて 家事をこなす 東京大とトヨタなどが開発
URLリンク(mainichi.jp)
毎日新聞
ワイシャツをつまんで洗濯機に入れたり、椅子をどけて机の下を掃除する人型ロボット(身長155センチ、重さ130キロ)を、東京大とトヨタ自動車などが開発し、24日、報道陣に公開した。さまざまな家事をこなすロボットの第一歩として注目される。 ...
掃除や洗濯これ1台で 東大やトヨタなど家事ロボ開発
URLリンク(www.asahi.com)
朝日新聞
掃除や洗濯、食器の片づけなど、家庭内でのいろいろな仕事を1台でこなしてくれる「家事支援ロボット」を、東京大やトヨタ自動車などの研究グループが開発した。東京大で24日、その仕事ぶりが公開された。 このロボットは車輪で移動し、身長は155センチ。 ...
掃除、洗濯まかせて…東大とトヨタが家事ロボット開発
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
読売新聞
人間に代わって掃除や洗濯をこなしてくれる家事手伝いロボット「AR」を、東京大学とトヨタ自動車が共同開発し、24日発表した。ARは「アシスタント・ロボット」の略で、高さは1メートル55、重さ130キロ。五つのカメラで家具の位置を確認し、「足」の部分の ...
東大とトヨタ、家事支援型ロボットを発表
URLリンク(jp.ibtimes.com)
IBTimes
東京大学と大手自動車メーカーのトヨタ自動車は24日、少子高齢化に向けて開発された家事支援型ロボット「ホームアシスタントロボット」(AR)を発表した。 同ロボットは、身長155センチ、体重130キロ。数時間の充電で約30分活動し、6つの車輪で移動する。 ...
掃除も洗濯もお任せ=家事支援ロボットを開発-10年後の実用化も・東大など
URLリンク(www.jiji.com)
時事通信
家事はロボットにお任せの時代に?東京大とトヨタ自動車などの研究チームが、掃除や洗濯などの家事を支援するロボット「ホームアシスタントロボット」(AR)を開発し、24日、公開した。洗濯機やモップなど家庭で人が日常利用する家電や道具を使って作業をするのが ...
少子高齢化に向け家事ロボット 東大が試作機公開
URLリンク(www.47news.jp)
47NEWS
掃除はもちろん、脱ぎっぱなしの洋服も洗濯機で洗います-。東京大IRT研究機構(下山勲機構長)は、少子高齢化に伴う労働力不足の解決に役立てようと、人に代わって家事をこなすロボットをトヨタ自動車と共同で試作。24日、報道陣に公開した。 ...
248:名無しさん@ピンキー
08/10/25 14:25:41 6dhQceyF
こんなのを発表されちゃうと、妄想が加速するじゃぁないですか。
249:名無しさん@ピンキー
08/10/25 14:28:09 D6DrOFjS
誰もいなくなった深夜の研究室で、開発中の家事ロボットに
こっそりメイド服を着せたりする研究者が…いても笑わないぞ。
二本の技術開発の半分は、そういう妄想力が実現の原動力なんだから。
250:名無しさん@ピンキー
08/10/25 16:14:07 Mrd19QFF
>>247
移動は車輪か。汚部屋には無理かな。
「もう、こんなに散らかってちゃ動けないじゃない!」
とか言いつつ片付けてほすぃ
251:名無しさん@ピンキー
08/10/25 16:53:02 7OzkcgnI
>>249
という事は近い将来このスレからノーベル賞候補が生まれるかもしれんな。
ここの住人は妄想する事においては世界一かもしれないからな。
252:名無しさん@ピンキー
08/10/25 18:52:35 Qjspwli/
案外、次スレかもしれないぞ
253:名無しさん@ピンキー
08/10/25 18:53:52 HSPX8kju
>>251
研究者という人種の妄想力を侮りすぎだ。あいつら数式で抜けるんだぞ。
254:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:18:27 bk8Xkxcu
フヒヒ・・・月末に7弾対応だフヒヒ・・・
255:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:46:16 LXIX8RmC
>>254
バトルロンドですね?
256:244の続き
08/10/25 21:52:36 ClcrYO7Y
彼女は左手に持った短剣で彼の不意をつき後ろから襲い掛かった。
接近してしまえば銃より確実に命を奪う事が出来るので、彼女は銃より短剣を好んだ。
彼の急所をつこうとした瞬間、彼女の短剣は弾き飛ばされた。
まったく予期しない方向からの一撃だった。
「……っ!!」
「あんたねぇ!ナオの命狙うなんて10年はやいのよ!あたしが相手よ!」
彼女の目の前にいたのは彼女と寸分違わない姿の少女だった。
「……何者っ?」
「あら、姉妹に聞く質問じゃないわね。ナオを殺したかったら私を倒してからにして!」
「邪魔をするのは許さない……」
私は彼女に飛び掛った。
しかしスピードもパワーもレベルが違った。
攻撃は苦も無くかわされ、どんどん押し込まれ体中に彼女の短剣による傷を負った…
意識がなくなったのはいつの事だっただろうか…
「目が…覚めた…」
彼女は大きな風呂桶のようなメンテナンス台で目を覚ました。
体中に受けたはずの損傷は全て跡形もなく修復されていた。
私は命を救われたんだろうか……
それともあれは夢?
一瞬そう思い回りを見回すと、以前の起動時と違い人影があった。
私を完膚なきまでに叩きのめした少女だ。
「やっほー!元気になった?ここはナオの家だよ」
「貴様っ!!」
「もぅ…あんたじゃあたし相手にどうにもならないって…それより少し話しない?」
くやしいがその通りだ……今の私では勝ち目は無い……
「あたしの名前はユミ。察しの通り貴方の同型機よ」
「色々調べさせてもらったわ。あんたは組織の暗殺者で仇をとりにきたって話よね?」
「組織は関係ない……私はただ…戦いたかっただけ……」
「ふーん…まぁいいわ。でもあたしに勝てないようじゃナオには100%勝てないわ。あきらめなさい」
「ところでさ…あんたをこのまま解放したとして、これからあんたはどうするつもり?」
「私には生きる目的も意味も今は無い……どうしていいのかわからない……」
私は彼女に素直に話した。
その時部屋にナオと呼ばれる男が入ってきた。
彼はユミと一言二言話した後、私に話しかけてきた。
257:244の続き
08/10/25 21:54:07 ClcrYO7Y
「なんだオマエ。あの時のユミと同じか。血は争えないって奴かな?」
「あたしはこんなに無愛想じゃなかったっつーの!」
「似たようなもんだったろ?もっともあの時より可愛気はなくなったがな」
「ぶっころーす!」
なんだろう……この2人は……仲が悪いんだろうか……
でも少し違う気もする……
「まーくだらん話はおいといてだ。あんたコイツと一緒に俺の仕事手伝う気はないか?」
「……断る。そいつのように私は貴方に篭絡されたりしない……」
「ちょっとあんた!」
「ただ……命を救われた事は感謝する。その分の恩義を返すまで一緒にいてやってもいい……」
「ったく……素直じゃねーな。誰かさんみたいだ」
ナオは頭をボリボリかきながらユミの方を見た。
直後に殴られたのは言うまでも無い。
「んでオマエ名前は何ていうんだ?あんたとかオマエって呼び方じゃこの先困る」
「私の形式番号はKY-0068。いつもこの名前で呼ばれている……」
「んじゃオマエの名前は本日からキョウだ。そう読めない事もないからな。」
「私の名前もナオにつけられたんだ。よろしくねキョウ!」
「……キョウ……それが私の名前……」
なんだろう……この気持ち……悪くない…な……
「よーし話は終わった。とりあえずメシにすっか!今日から3人の食卓だ」
「……私は食事などいらない……食べたいなら勝手に食べろ……」
その時私はユミに頭を軽く殴られた。
「バッカねー食事は大人数でするもんなの。楽しくおいしく食べられるんだからキョウも手伝いなさい」
「そうか……命令なら手伝おう……」
「もぅ…命令とかじゃないのになー」
ユミが作る食事の手伝いをし3人で食卓を囲んだ。
私にとって大人数の食事は初めての経験だった。
2人はくだらない話をしながらおいしそうにシチューを食べている。
なぜこのユミという姉妹はなぜこんな楽しそうに食事をするんだろう……
私達アンドロイドには人間の食事など必要無いし、そもそも1人でも大人数でも変わらないだろうに……
今の私にはまったく理解出来なかった。
258:244の続き
08/10/25 21:56:07 ClcrYO7Y
「さーてそろそろ寝るかーユミにキョウ、お前達も寝ろ」
「はーい」
「わかった……」
彼女は部屋に戻りスリープモードに入れた。
…
………
………………
それから数時間がたった夜半すぎ、彼女は妙な気配を感じスリープモードを解除した。
隣の部屋から明りがもれている……こんな時間に何だろう……
「もぅ…ダメだって キョウが起きてきちゃうじゃない……」
「別に見られてもいいじゃないか……恥ずかしいのか?」
そんな事をナオは言いながらユミの首筋を舌でなぞっていた。
「や…やだっ…そこ弱いって……」
「じゃあこっちはどうかな?」
ナオはユミのこぶりな胸のさきにある突起に標的を変えた。
彼女は指をくわえて息をころしながらそれを受け止めていた。
「こ……これは……何?」
キョウには初めて見る男女の交わりだった。
私と寸分かわらない姿の女性が男に抱かれてる……
もっとも彼女自身SEXの知識などまったく無かったのだが……
ナオは乳首をなめながらユミの秘所に指を入れ激しい愛撫を始めた。
「あいかわらず激しくされるのが好きなんだな」
「あんまり大きな声出すとキョウに聞かれちゃうぞ?いいのか?」
「ひぃっ…いゃっ…は、はぁっ…キョ、キョウに聞かれちゃ…あっ…」
「あっあああああ…あーーーーーーっ!!!」
ユミは小刻みに痙攣しながらアソコから派手に愛液を吹き登りつめた…
ぐったりとしたユミをかかえあげてナオは股間をモノをユミにちかづけ、
「またいつものようになめてくれ…」
「ふぁ…ふぁい」
ユミは目をトロンとさせながら必死にナオのモノをなめている…
私は2人に行為にずっと魅入られていた…
なぜだかわからないが自分が覗いている事を気づかれちゃいけないと思った。
そして彼女は指はいつのまにか自分の秘所をなぞっていた。
259:244の続き
08/10/25 21:56:57 ClcrYO7Y
「ふっふぅん…ユミいいぞ…そこだ…そのまま…うっ……」
ナオはユミの口の中に白い精液を吐き出した。
ユミはそれを飲み干し物欲しそうな目でナオを見つめている。
「いいかユミ。オマエは俺の1番大事な女だ。キョウがきてもそれはかわらない」
「……うん。ごめんなさいあんな事言って……もう言わないから愛して……」
「ふふっ…さぁこっちにおいで」
ナオはユミの濡れて充血したアソコに自分のモノを入れ上下左右に運動を始めた。
そこ頃には様子を見ていたキョウのアソコも同じくビショ濡れになっており彼女は稚拙な動きで指をなぞっていた。
それが数分続いた時に3人に限界が訪れた。
「ユミっもうイクぞ…いいか出すぞっ」
「あっあああ…あ…きて……一緒に…」
「はぁああああああああああああああああっ!!!!!」×2
3人は同時に果てた。
部屋の外ではユミとまったく同じタイミングでキョウも愛液を噴出しながら果てた。
イクときの声がユミと完全にシンクロしてたので2人に気づかれる事はなかったのは幸いだった……
キョウは余韻にひたる2人に気づかれないように、
ほっぺたを赤く染めながらフラフラと自室に戻っていった。
そして夜は明け朝がくる。
朝早くユミは出かけたらしくナオと2人で朝食をとる事になった。
なぜだろう……彼の顔をまともに見られない……
パンをかじりながら上目使いに彼を見てみたが体温があがる。恥ずかしい……
彼に何回か言葉をかけられたが、ついにまともに言葉を返す事が出来なかった。
そんな時ユミがあわただしく家に飛び込んできた。
「ナオ!依頼があったよ!東の大きな町にきてくれってさ!」
「そうか…ユミ準備を頼む。キョウもユミを手伝ってやってくれ!」
「わ……わかった……」
彼女はうつむきながら答えた。やっぱり2人の顔は見られない……
「東の大きな町ってこっから10日以上かかるぞ。ったく名前が売れるのも考え物だな」
「はいはーい文句言わない!仕事、仕事!」
どうやらこれからこの2人と旅に出る事になるらしい……
この先私はどうなるんだうか……
260:244の続き
08/10/25 21:58:16 ClcrYO7Y
とりあえずここまで
続きは書いてないので、書き終わったらまた投下しようと思います。
261:名無しさん@ピンキー
08/10/29 19:11:11 ggS3Nz9X
乙&ホシュ
262:名無しさん@ピンキー
08/11/05 07:18:03 hC3mTanA
なんだこの停滞感は……フリーズしたか?
263:名無しさん@ピンキー
08/11/05 10:58:37 RIhXBGgg
まだ、前の投稿から1週間も経ってないじゃないか
264:名無しさん@ピンキー
08/11/08 10:49:21 HHkTYmfd
SS投稿は間を空けずに一気に集中的に投下が一番だよ
265:名無しさん@ピンキー
08/11/09 16:48:24 nD8RoLjB
>>263
レスなしで一週間、ということを言いたかったんだ
こんなんじゃ落ちるじゃないか。
266:名無しさん@ピンキー
08/11/09 18:15:07 foVIG5wu
ほしゅたんならきっと落ちる前に保守してくれる。
267:名無しさん@ピンキー
08/11/09 19:11:01 bX4PB7lG
>>265
ないない。
もちっと仕組みを勉強しなよ
268:名無しさん@ピンキー
08/11/09 23:34:32 PrRXpvBo
バッテリーが切れかけてよろよろしてるロボ子を、足こぎ式の充電器で助けてあげたい
269:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:14:46 SUSkDhln
足こき式だと?!
270:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:50:41 kzBXGdvM
電池をひみつスロットに入れるのでも可
271:名無しさん@ピンキー
08/11/11 06:45:18 l6R7mYwr
手回し式がいいな
272:名無しさん@ピンキー
08/11/11 06:49:41 KRJQWDem
振動発電もなかなかどうして
273:名無しさん@ピンキー
08/11/11 07:16:13 +c+YVSTK
クリに緊急時の振動発電装置を内蔵
274:名無しさん@ピンキー
08/11/16 09:57:52 QQ766SHx
age保守
275:名無しさん@ピンキー
08/11/18 23:23:00 mwDKmD8u
映画ターミネーターの新しいTVシリーズが、なんつかテンプレ萌えアニメ化しててさ
サラ・コナー親子の危機を救うため、美少女型新ターミネーターが転校してくるんよ
276:名無しさん@ピンキー
08/11/19 01:30:17 avWpPL/a
元々ターミネーター起源のそういう話はたまにあったが、
まさか本家がやるとは思わなかったよね。
youtubeで断片シーンとか見るに、まさにそういう展開っぽいし。
前後のシーンとかさっぱりわかんないけど
・美少女ロボ、暴走かハッキングされたのかしらんがジョンを襲う
・ママン、トラックで突っ込んで助けに来る
・トラックに挟まれて(たぶん)正気に戻った彼女が泣いて謝りながら「愛しています」とか叫ぶ
・「そいつ壊せ」と叫ぶママンを背に、ジョン、彼女の頭からチップ抜き取って機能停止。
こんなシーンがあるんだもんなあ。
277:名無しさん@ピンキー
08/11/19 01:49:50 SGPaCHvZ
もちろん美少女型ターミネーター同士の肉弾戦もありなんだぜ(マジ)
ただ、メリケン人はわかってない、わかってなさすぎるよ!
部分的にゃ申し分の無い萌えドコロはあるんだがなあ・・・
(美少女ターミネーターがダンス覚えるとか、
登校初日のコナー少年に「よ!」とかいいながら話かけてくるとか)
278:名無しさん@ピンキー
08/11/19 02:09:49 SGPaCHvZ
まあこのビジュアル
URLリンク(www.fox.com)
はこのスレ的に十分アリかな?と
279:名無しさん@ピンキー
08/11/22 09:22:38 lwCQiT1X
ターミネーターコンセプトのSS、一応はありますよ。
URLリンク(www21.ocn.ne.jp)
280:名無しさん@ピンキー
08/11/22 20:57:48 2TNpfNpo
オチが究極のありきたりっぷりでペプシNEX噴いた
こういうの好きだけどね
281:変態12号 ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:00:51 ed3OkmXQ
お久しぶりです。変態です。
やっと規制が解けたので、早速続きでもと思いまして。
今回はちょっとセリフが多いですが、読みにくくならないよう工夫してみました。
内容は目も当てられないものかも知れませんが、
読んでもらえると助かります。
では投下します。
282:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:02:44 ed3OkmXQ
「本当にごめんなさいね、うるさかったでしょ?
ほら、最近になってようやく、うちの花って有名になってきたじゃない?
だからそれを狙う人がたまにこうやって盗みにくるのよ。
さっきも密漁者の船が接近してたから、
エンジンを打ち抜いて動けなくなってもらったの。
ホント馬鹿っていなくならないのよねぇ。
まあ、良くて2か月に一回来るか来ないか、
だから別に負担はないんだけどね」
さっき出会った少女と二人、夕陽の差す山道を下り、
歩いて10分のところにあるという、少女の家を目指す。
「あの…御名前を聞いてもいいでしょうか?」
私の識別システムはこの少女を人間と認識している。
確率的に見て、おそらくこの娘も生んだ子の一人の筈だ。
ならば、仲良くなり少しでも多くの情報を集めた方が得策だ。
「あら、あなた教わらなかったの?」
?…今の私とこの人物とのやりとりにおいて、
一般社会的にずれた内容の発言は無い。
「何を、でしょうか?今の質問に何か無礼があったのなら、
今後の参考までに指摘していただ…」
戸惑う私を見て少女が声をあげて笑う。
「あっははははは!あ、あなたって真面目なのねっ。
うふふふ、そんなに気にする必要無いわよ。
ただね、相手に名を訪ねる時は、
自分から先に名乗るっていう聞いた事無いカナ?
って思っただけよ」
後ろ手を組みいたずらっぽく体を揺らして笑う仕草は、
私には無い行動パターンだ。覚えておこう。
「なるほど、そんな礼節がこの星にはあるのですね、失礼しました。
私の名前はジェシカ。
正式型番はSRT/237型、保育用学習型ガイノイドです」
「へーっあなた、アンドロイドだったの!
最近のはよく出来てるのねぇ。継ぎ接ぎが全く無いわ。
これじゃ、人間と区別つかないわね」
「はい、光学的な特徴では人間と区別がつかないので、
そういったアンドロイドはこのようなレオタードを
身に着けることによって、自信を証明します」
そう言って私はシャツをめくり上げる。
283:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:03:37 ed3OkmXQ
あらわになる“非人間”の証。
紺のレオタードには型番とシリアルが打ってあり、
許可が無い限り、私は自分の意志でこれを着脱できないよう、
行動規制プログラムに監視されているのだ。
「あらあら~?胸にジッパーが付いてるわね。
これは、やっぱりイケナイ事とかする時には、
開いて触ってもらうのかしら?」
なんだか好意の持てない笑顔を少女が私に向ける。
「実際に使用した経験はありませんが、
カタログスペックには、
その部位は確かにそういった用途に使うものと記されています。」
「ふーん、なるほどねぇ。
あなたに、いつかそれを使う日と、
する相手が見つかるといいわね」
そう、少女はにっこり微笑み、
遠くに見えたログハウスを指差した。
「あれが私の家よ。
なかなか風情があって良いでしょ?
ログハウスなんて最近じゃ、
高級リゾートにでも行かないと見れないんだから」
えっへんと胸を張るこの、
人間らしい仕草もついでに覚えておこう。
☆ ★ ☆ ★ ☆
到着した少女の家は、床面積30坪位の二階建てで、
目前に広がる“花の虹”を思う存分堪能できる立地だった。
家の裏には、この星にきて初めて見たまともな文明の利器、
ホバーバイクが停めてある。
284:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:04:12 ed3OkmXQ
「さぁ、ここが私の家よ。
正確には“私たちの家”なんだけどね」
べっと舌を出してややハニかんだ表情。
この少女の仕草はどれも女性らしさが詰まっていて、
私にとって、とても参考になる。
「私達…とは、配偶者と一緒に住んでいるのですか?」
「ええ、そうよ!
愛しのダーリンとの愛の巣なの。
あと少しで夕御飯の時間だから、
長くは居られないけど、
それまでの間少しお話しましょうか?」
入り口前の階段を登り、
少女がドアに手をかける。
「お話…ですか?」
トランクを背負い少女に続く。
「あ、トランクはデッキに置いといていいわよ。
どうせ盗る人間なんてここにはいないしね」
「分かりました、これはここに置いていきます。
所で、お話とは何のお話ですか?」
「あら、決まってるじゃない。
あなた…」
少女が振りむいたまま、
傾いた夕陽の差す家に入る。
そして…家の梁が作る影が、
少女のその目にエメラルドグリーンの光を灯した。
285:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:04:54 ed3OkmXQ
「子供が欲しくてわざわざ、
この惑星に…私に会いに来たんでしょう?」
私は咄嗟にドアの横の壁にかかっている、
木製の表札を見た。
そこには、ポップな字体で確かに、
“ウェルナー&デージー”と記されていた。
「馬鹿な…確かに私の認識システムは…
そんな……まさか……」
混乱する私を尻目に、少女はマイペースで話を進める。
「混乱するのも無理は無いけど、
あなたアンドロイドなんでしょう?
なら、まず目の前の事実を認めなさい」
私はうまく言葉が出ないので無言で頷く。
「あのねぇ、今の私を見てその調子じゃ、
夕飯の時に母屋に行ったら機能停止しちゃうわよ?」
「あ、は、はい。ですが、
私にはあなたがアンドロイドである事実が認識できないのです。
失礼ですが何か、決定的な証拠があれば…」
「証拠ね、お易い御用だわ。
ホラ、これが証拠よ」
少女が…デージーがおもむろにスカートを掴み、
ワンピースをたくしあげる。
履いている水色の下着が顕わになり、
そしてその上…へその周りには幾何学模様の黒いモールドが、
お腹にびっしりと入っていた。
286:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:06:30 ed3OkmXQ
「これ…は……?」
「赤ちゃんが私のお腹の中で窮屈にならないように、
成長に合わせて膨らむ仕掛けよ。
外はこれで済んでいるけど、
中は元のボディとは別物と言っていい位改造してあるの。
子宮内で赤ちゃんに栄養をあげる仕組み、
私が口径で食物を食べ、分解し動力に返還する仕組み、
不要な物を捨てる仕組み、お乳を作る仕組み。
全部後から付けたものよ。
それだけじゃないわ、OSも全部書き換えたし、
外皮だって培養品だけど、
人間の皮膚を移植してあるわ」
「そうまでして…」
「ええ、私はあの人との子を望んだの。
そりゃ一筋縄じゃいかなかったわよ?
沢山、本当に沢山の失敗があった。
でも、今はこうして自分の子供達と暮らせているんだもの、
やっぱり希望は捨てちゃダメね」
懐かしい物を見るような笑みを零す。
やはり分からない。
仕草だけならどんな最新のアンドロイドよりも、
ヒトに近い…いやここまで来たらヒトそのものなのだろう。
これだけのものを見せつけられてなお、
認識システムの分類はヒトなのだ。
287:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:08:33 ed3OkmXQ
「では、私もそれだけ改造すれば、
子を生む事が出来ると言う訳ですね」
「そうよ、産む事は出来るわ、“産む事”はね。
ところであなた、誰かイイ人はいるの?」
「それが交際している、好意を持っている等の意味であるなら、
答えは“ノー”です」
「やっぱりね…はぁ最近の若い子はどうしてこう、
結果ばかり求めちゃうのかしら。
よくない傾向ね。
…悪いけど、今のあなたには子供を持つのは無理よ」
「それは何故でしょうか?」
「だってあなた、
子供を産んだ先全く考えてないでしょう?」
「!?」
「図星ね。いい?
貴方がなんで子供が欲しいのかは後で聞くとして、
子供は産んでハイ終わりじゃないのよ?
生後2年位までは夜も寝る暇ない位忙しいし、
そこからだって言葉や、様々な道具の使い方、
しつけや教育、本当にやらなきゃいけない事がいっぱいあるわ。
これを全部あなたが“自分の意思”でやらなきゃいけないのよ?
誰の命令でも無くあなたが、自分で決めて行動するの。
これがどれだけ難しいか、わかるかしら?」
「あ……ああぁ…………」
私は愚かだった。浅はかな自分の思考に言葉が出ない。
「そうよ責任重大なんだから。
それでも…それでもあなたは産みたい?
自分の子供、欲しい?」
288:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:09:19 ed3OkmXQ
あれだけ切望していたのに、
今目の前にチャンスがあるのに、
私はどうしても“イエス”の3文字を口に出せなかった。
「…………」
「ま、今すぐ答えを出す必要もないわ。
焦らず、ゆっくり探しなさい。
あなた、どうせ仕事辞めてここに来てるんでしょう?
なら、ここで働きなさいな。
人手はいくらでも欲しいし、
いろいろ勉強になる事も多いでしょうし」
「……分かりました。
まだ情報がうまく整理できてないですが、
ここはデージーさん、あなたの言葉に従います」
「よし、決まりね!
じゃ、ちょっと早いけど母屋に行きましょう!
夕食の準備もあるし、
なにより、子供達にあなたの事紹介しなくっちゃ」
そう言ってデージーは、
家の奥へ消えていった。
呆然としながらも辺りを見回す。
と、壁にかかった写真に人相認識システムが引っ掛かる。
視点をズームし、写真の詳細を調べる。
そこには赤ちゃんを抱き幸せそうに微笑むデージーと、
隣で同じ様な表情を浮かべ、二人を両手で包む男が写っていた。
「これが、ウェルナー…」
その男は眼鏡の似合う男だった。
顔のパーツはどれも優しさを感じる作りだが、
目だけが確固たる意志と、
絶対の意志を宿していた。
「なーに?見入ちゃって。
何か面白い写真見つけちゃった?」
289:14通の手紙~第2章~ ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:12:38 ed3OkmXQ
ピッチリとしたライダースーツに着替えたデージーが、
胸を揺らしながら近付いてくる。
「あー、懐かしいわね、コレ。
確か長男の生まれた時に撮ったやつね。
あの頃はいろいろ大変だったわ」
「この隣の方が、ウェルナーさんですか?」
「そうよ、カッコいいでしょう?
宇宙一素敵な人よ。これは間違いないわ。
それより、早く母屋に行きましょう?」
デージーの家を出発し、
私とトランクを乗せたホバーバイクが山の斜面を軽快に下っていく。
この後私は母屋で再度見る事になるのだ。
奇跡は確かに存在するという事を。
☆ ★ ☆ ★ ☆
それは立派な建物だった。
山と山の間に広がる平原の、ちょうど真ん中、
沢山のひまわりに囲まれた広場。
そこに17世紀の教会のような煉瓦作りの建物が、
どっしりと居を構えている。
高さは標準的なビル4階分はあるだろうか?
幅20M、奥行き35Mとなかなかのサイズだ。
屋根から突き出る煙突はすでに仕事をはじめ、
黒い煙を
家の横には、ホバーバイクやホバートラックが、
計10台程停まっていた。
「あら、ちょっと遅かったかしら?
仕込みを始めちゃってるわね。
さ、急ぐわよ!」
そう言って私はデージーの後について、
この雄大な建物の中に入って行った。
290:変態12号 ◆DPvZRJ5eF2
08/11/23 01:17:00 ed3OkmXQ
投下終了です。
合わないなと思った方はお手数ですがトリップでNGをかけて下さい。
いやーオリジナルでSS書くと設定やらが大変ですね。
子供の設定書いただけで、ノート20枚以上使っちゃいました。
次回はそんな苦労の結晶の子供達と、プラスαが出ます。
エロは今回と同じく無しですが、その次で書く予定ですので、
期待せずにお待ち下さい。
それではまた会いましょう。
これにて失礼。
291:名無しさん@ピンキー
08/11/23 08:58:17 WffRY0Hj
乙でした。
wktkしながら待っております。
【ロボット的な意味で】濃厚なHシーンを勝手に期待しております。
292:名無しさん@ピンキー
08/11/24 12:05:38 HaGiLkSr
うぉー!全裸で待ってた甲斐があったぜ!
293:名無しさん@ピンキー
08/11/25 03:39:06 ki21cfjW
これは大作だな、と思ったらそんな大きな設定があるわけか。
乙。これからも楽しみにさせてもらいます。
294: ◆DPvZRJ5eF2
08/11/25 21:19:07 K6xf8akZ
>>289
にて更新前の文章発見!
下の方の母屋紹介シーンで煙突~の下の文章が書き掛のままでした。
スレ汚し申し訳ないです。
訂正文はこちら↓
その頂上から揚げ物の匂いと共に、
黒い煙りをもうもう吹き出している。
295:名無しさん@ピンキー
08/11/26 02:04:37 ePNWceHH
乙!!
めっちゃ期待してるよぉぉぉ!!
296:名無しさん@ピンキー
08/11/26 19:46:36 wsL+6jzn
みんなは手塚ロボ娘だと誰が好き?
ウラン?ミッチー?
297:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:24:09 5nBFEFAF
断然ミッチーだな。
シリアスとねじけたフェチを同時に内包したあんなキャラを、59年も前に生み出していた手塚は、やっぱり神だったと思う。
298:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:19:36 yEu/3vCl
>>296
火の鳥のファーニィーに決まってる
あれで俺は目覚めたんだ。
299:名無しさん@ピンキー
08/11/26 23:30:42 qP+31UR2
光子だろ
妹属性+「実はロボ」最強伝説
300:名無しさん@ピンキー
08/11/27 08:03:38 tUHLUJ/M
>>299
しかも感動の悲劇という
301:名無しさん@ピンキー
08/11/27 16:12:54 dXDje7yK
『アトム』最終回のジュリーだな。
「ロボットが人間を愛しちゃいけないの?」とか何とか言って
泣きながら豪快に壊されるところが素晴らしい。
ストーリーもすごいが。
>>297
原作のミッチーってロボットなのか?
人工生命体みたいなもんじゃないのかなあ。
アニメのティマはたしかにロボだけど。
302:名無しさん@ピンキー
08/11/27 16:36:39 PbpBJ4xa
>>301
原作のミッチィは、人造細胞と機械のハイブリッドじゃなかったっけ。
家に帰れば(単行本があるから)わかるけど。
ちなみに、手塚先生の「スターシステム」によれば、ミッチィは
「アトムの母親と同じ人が演じている」ということになっている。
初期手塚作品の名優のひとり。
303:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:38:31 mpWVJTDV
手塚は天才で変態だから、思いも寄らぬネタをえらい昔に考えてるんだよね。
有名な「ロストワールド」の原型で、戦時中に描かれた「ロストワールド・私家版」なんか、
キモデブでモテない老人のブタモマケル博士が、
意思を持った植物体をベースに双子の人造美女を作って、彼女たちを愛人にしようと目論み、
しかもそのうち一人は、宇宙空間漂流中の宇宙船内で、飢えた密航者のランプに襲われ
文字通りの「食人行為」の犠牲になってしまうという恐ろしさ。
当時の手塚、今の高校生ぐらいの年齢。妄想力がエグ過ぎる。
304:名無しさん@ピンキー
08/11/28 00:26:07 v1EveGts
ロボじゃないけど、「アポロの歌」の合成人間・女王シグマはすごかった。
・「愛」を知りたいから、人間ども、私の目の前でセックルしろ。しないなら殺す。
・自分の「女」に目覚めるや「あなたのために造ったの」と、性器取り付け手術。
・殺しても殺してもクローニングで再生。主人公に惚れてからは、
何回造り直してもクローン全員「主人公ラブ」が消えない。
こんな健気で恐ろしい女描いちゃう、治虫神すげえ。
305:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:10:56 n8w4ESNM
やっぱり「アトム」シリーズが多いな。
言及されてる「白い惑星」の光子と「アトムの最後」のジュリー、
骨組みを見せてくれる「ブラックルックス」の名もない母親ロボット、
壊れを見せてくれる「エジプト陰謀団の秘密」のクレオパトラ、
内部メカを見せてくれる「ロビオとロビエット」のロビエット、
ナノマシン集合体の「アトム還る」のスピカ・・・・・・
しかし、いちばん好きなのは、「地球最後の日」のベムだ。
306:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:37:14 JHz3GjRO
何か突然電波を受けたので、速攻で書き殴ったSSを久々に投下。
全然推考していないし、内容もないエロ妄想で、タイトルでネタバレしているが
だが後悔はしない。
『ろぼ☆あね』
とある高校の昼下がり。
教室で男子グループの何気ない会話。
「新任の教育実習の先生、いまいちだよなー。顔はそこそこだけど、スタイルで
がっかりだぜ」
「いーじゃん。俺のクラスなんざ、男だぜ、男」
「そういやさ、弘樹」
弘樹、と呼ばれた小柄な生徒が顔を上げる。
「な、なに?」
「お前の姉ちゃん、エロいよなあ」
「!!」
真っ赤になって俯く。
「そ、そんなこと、ないと思うけど……」
「いーや。エロい」
「そうだそうだ。あんなでかい胸、可愛い顔、それが毎日みれるなんて、お前はなんて
恵まれてるのだ」
「そ、そんな事言われても……お姉ちゃんだからしかたないし……」
どっ、っと周りの生徒がざわめく。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんって呼んでるのかよ!」
「でもなあ、青島の外見じゃ確かにそんな感じだよなあ」
「お姉ちゃん……いいなぁ」
その時、弘樹のポケットからバイブ音がした。
「あ、あれ?」
メール着信。携帯を取り出して確認する。
「どうした、弘樹?」
「あ、いや。なんでも……。ぼ、僕ちょっと用事ができたから!」
そう言うとあたふたと、教室の外へ走っていく。
307:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:39:39 JHz3GjRO
学校の屋上。
勢い良くドアが開いて弘樹が飛び込んでくる。
「はぁ、はぁ……」
息を整えると、気がついたように扉に鍵をかけ、辺りを見回す。
「お姉ちゃん……、いる?」
肩で息をしながら、歩き出す。
「ヒロくん……。来てくれたんだね……」
給水タンクに背を預けて、背の高い少女が苦しそうな顔で横たわっている。
整った顔立ちに愛らしい、大きな目。
それにも増して目を引くのは、苦しそうに上下する大きな胸。
青島弘樹の姉、青島瑞希。
それが彼女の名だった。
「お姉ちゃん」
「ごめんね……ヒロくん……呼び出しちゃって」
苦しげな微笑みを弘樹に返す。
「ううん、大丈夫?」
「ん……朝は大丈夫だったんだけど」
「このごろ、多いね。どこか悪いんじゃないのかな?」
「ど、どうかな……。そんなに大事はないと思うんだけど、ど、どっ!」
一瞬、瑞希の顔が引きつり、言葉がどもる。
「お姉ちゃん!」
「うぁ……こ、こりゃまずいわ……」
がっくりと肩を落とす瑞希。
308:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:41:35 JHz3GjRO
「ともかく、手早くすませちゃおうよ。ちょっと見るね」
「うん。お願い……ね」
顔を少し赤らめると、瑞希はブラウスのボタンを下から一つずつ、開けていく。
半分ほど開けたところで、腹をさらけだして弘樹を見つめる。
「……ヒロくん」
「あ……うん」
言われた弘樹も真っ赤になりながら……瑞希のへそに指をいれる。
もぞもぞと。まるで金庫を開けるように指を動かす弘樹。
「あ……あぅん……」
「お、お姉ちゃん!声、声!」
「あ、ごめん……あふっ!」
「も、もう……この前からなんかおかしいよ……、と。これで……」
へそに沈んだ指を押し込むと、瑞希の体内からクリック音がする。
と、シミ一つない美しい皮膚に継ぎ目が現れたかと思うと、瑞希の腹部が
小さなモーター音をたてて、開いていく。
人間なら、腸がある部分。しかしその代わりに覗いているのは電子回路と
ケーブル類。それに小さなコネクタポートだった。
309:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:43:41 JHz3GjRO
弘樹は手慣れた手つきで、ポケットからケーブルを取り出して瑞希のコネクタと自分の携帯を繋ぐ。
メンテナンス情報から、CPU負荷率を表示させる。
「うわ……。真っ赤っかじゃない」
「み、みたい、ね……あはは……」
「あはは、じゃないでしょ。何やったらこんなになっちゃうの。……ねえ、本当に壊れてないの?」
じっと瑞希を見つめる、と、またグラフが一ドット上がる。
「だ、大丈夫、だよ……たぶん」
「なんかこの前の定期メンテ帰ってきてからおかしいような気がするんだけど……」
「こ、今度のメンテでまた見てもらうからっ!大丈夫だってば!そ、それより早く……してよぉ……」
「あ、わ、わかった!じゃ、再起動するよ」
慌てて、メニューから「REBOOT」を選択してカーソルを合わせる。
「じゃ……いくよ」
こくん、と瑞希が頷くのを見てからクリックする。と同時にかくん、と瑞希の顔が俯いた。
携帯に起動情報が目まぐるしく流れる。
もちろん瑞希は本当の姉ではない。
父の勤める家庭用ロボットメーカーの新型モデルだ。
まだ、瑞希ほどの完全なアンドロイドは実験段階であり、筐体性能、人格を与えられたAI、その他
諸々を含んだテストで姉として、この学校に一緒に通っている。
もちろん、他の生徒には秘密。
その為、今回のような不測の事態が起きた場合のサポートも弘樹の役目であった。
しかし……最近、こんなことが多いような気がする。
大丈夫だろうか?
もう、家で一緒に過ごし始めてからは数年間になる。
最初はまさに「ロボット」という感じで、表にも出せなかったが数カ月も経つとたち振る舞いも人間らしくなり、
「姉」としてのパーソナリティを振る舞っていた。
ほとんど家に帰ってこない父よりも、もはや家族としての親近感は高い。
310:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:46:05 JHz3GjRO
それに……。
瑞希の体を見ていると、胸が高鳴っているのも事実だった。
友人の台詞を思い出す。
柔らかそうな胸……。あの中には機械が詰まっているのだろうか。
日常の再起動やログ取りは、携帯からの操作で間に合うため、それ以外のメンテはしたことはない。
瑞希の胸の中は……どんな構造をしてるんだろう……。
「やわらかいのかな……」
ぼそっと呟いた時、携帯に起動完了メッセージが流れる。
勢い良く、ぱちっと目をあける瑞希。
「ヒロくんっ!ありがとぉ!」
立ち上がると弘樹は瑞希の肩までしかない。
弘樹の手を取ると、ぶんぶんと振り回して嬉しそうに微笑む。
「もう元気いっぱい!大丈夫だよっ!」
「そ、そう……良かった」
「?どうしたの?ヒロくん?」
「え、えと……」
「???」
「お。お腹、閉じないと……ゴミでも入ったら、お姉ちゃん壊れちゃう……」
「あ。あはは。忘れてた……」
瑞希は笑いながら自分のコネクタを外す。
無言でへその辺りにある、スイッチを弘樹が押すと皮膚のパネルが動き出し、
元に戻っていく。
「ん!OK!」
乱れた服を直して瑞希瑞希が微笑む。
「じゃ、私教室に戻るね!ありがと!」
鼻歌を歌いながら小走りに去っていく瑞希を見送り、弘樹は一人屋上にたたずんでいた。
311:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:47:55 JHz3GjRO
投下完了。
感想もらえると嬉しいかも。
続きは折を見て書いたり書かなかったり。
312:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:50:52 o+yntM0g
GJ!
正直このままじゃ姉ちゃんのキャラもはっきり掴めず生殺しな感じなんで続きをwktkして待つんだぜ
313:名無しさん@ピンキー
08/12/01 02:07:55 JHz3GjRO
>>312
スマソ。
頑張ってエロいロボにします。
最近、ちゃんとしたSFでエロなのが多くて気が引けていたけど、
こういうのもあってもいいよね!
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ いいよね!
ヽ 〈
ヽヽ_)
314:名無しさん@ピンキー
08/12/01 03:09:46 J2FWfmOM
むしろここらで気軽なのが欲しいくらいであって
とにかくGJ
315:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:21:59 E4MokbCa
GJ!
ヒロくんっていう呼び方がいかにも優しげでいいね
あと、ちょっとドジっ子っぽいのも可愛いw
続編待ってます
316:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:00:14 G6SUHWVi
なんか仕事中悶々としてもう少し電波が沸いてきたのでちょっとだけ投下。
あね☆ろぼ -2
「はふぅ……」
家に帰ると、瑞希は自分の部屋のベッドに倒れ込んでため息をついていた。
辺りを見回す。
形だけは女の子の部屋のように飾られた部屋。
「……」
不調の原因は解っていた。
前回の定期メンテナンスで瑞希の体は大改修を受けた。
具体的には、胸部センサーの増設。胸部パーツの一部換装。スペースだけは用意されていた
女性器ユニットの取り付け。それらのパーツを対応できるようにAIの機能拡張。etc,
一言で言って、セクサロイド機能の付加。
瑞希のメンタル面を受け持つ女性技師が優しく言った。
「テストとしてはどうしても必要なものだが、無理して使う必要はない。むしろ、これらが
ついている事で貴方の感情が不安定になる可能性の方が心配。それにどうしてもイヤなら
拒否も可能」だと。
実際、瑞希も悩んだ。が、結局受けいれることにした。
理由は……自分でもよくわからなかったが。
317:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:02:22 G6SUHWVi
瑞希のプライバシーはとりあえず守られている。
具体的な行動については女性技師一人のみの閲覧が可能、筐体やAIへの影響は彼女を通じてレポートとして報告される。
それを元に瑞希は調整と改修が繰り返されていた。
彼女の設計主任は弘樹の父だが、彼さえも娘の詳細な行動をのぞき見ることは許されていない。
一度、父親としてという言い訳をした上で、行動ログを覗こうとして瑞希にこっぴどく怒られた事があるのだが。
そして。
追加機能は見事に瑞希のメンタルに影響を及ぼしていた。
「ヒロくぅん……」
枕に顔を埋めて呟く。
瑞希は弘樹に恋をしている。
弟として。マスターとして、ベースはそう設定されていたが、瑞希のAIは、人間女性をベースにエミュレートしたもの。
設定事項など「好きな男の子」への想いの前には、障害にもなにもならなかった。
好きなものは好き!それだけである。
318:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:03:58 G6SUHWVi
もちろん、実験機の仕様であり、そんなロボットが製品としてそのまま発売されることはないだろうが、
瑞希自身は体が全て機械であること以外は、十代の少女そのものと言って良い。
そこに、いままで設定されていなかった性欲が付加されたのだ。
初潮も思春期もすっとばして、おまけにセックス可能な豊満な体で。
それはたまったものではない。
弘樹の事を考えるだけで、CPUの動作負荷は鰻登りになり、一日と持たずに動作が
不安定になる日が続いた。
今日も我慢できず、弘樹を呼び出して再起動させてしまった。
その時の様子を、視界にウィンドウを開いて再生する。
『あ……あぅん……』
『お、お姉ちゃん!声、声!』
『あ、ごめん……あふっ!』
319:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:06:30 G6SUHWVi
「や、やだ……。こんなに声出てたんだぁ……」
セクサロイド機能がついてから、触覚センサーの微妙なノイズが快楽信号になってしまう。
これは意図的な設計なのだろうか?
報告した方が良いのだろうか。
「もう……恥ずかしいなあ……。あ、ヒロくんも真っ赤だ」
『ヒロくん……』
小さく呟く。
「ん……こんなの見てるとまた負荷あがっちゃうかなあ……止めないと……え!?」
胸の辺りから違和感を感じる。
「あれ?」
内部骨格を通じて、ウィィン、というかすかな音が聞こえる。
「え?あれれ……何だろ……んぁぁっ!」
どうも、胸の内部に付加された機構が作動しているようだ。
320:名無しさん@ピンキー
08/12/02 02:10:36 G6SUHWVi
とりあえず今日の分、投下完了。
毎日投下するのはきつそうなので間空くかもしれないがご勘弁。
中途半端な気もしてきたが、後悔はしない。
エロいロボになったでしょうか、瑞希さん。
なんか希望があったら書いてくれると嬉しいですよ。
321:名無しさん@ピンキー
08/12/02 08:20:50 XP8/m0Ey
とりあえずGJ!
322:名無しさん@ピンキー
08/12/02 15:17:20 O4C393F+
冬コミ2日目にロボ子ゲーの体験版出すんで、見掛けたらよろしく
323:名無しさん@ピンキー
08/12/02 21:02:52 TJKQoehf
GJGJ!
・家での日常
・授業中にトラブル発生
あたりを希望してみる
324:名無しさん@ピンキー
08/12/04 00:35:26 z8cFOIex
萌え死にそうなのではやく続きを。。。
325:名無しさん@ピンキー
08/12/05 01:39:51 pYG7ilMd
ろぼ☆あね 2-2
仕事がテンぱってまいりましたので、ペースが遅くなりそうです。
っつーか俺、2でタイトル間違えてんじゃん。てへ。
瑞希はロボットだからといって、全ての機構を思うように操作できるわけではない。
人間の自律神経同様、自らの意志だけでは操作が出来ない部分、メンテナンス等の
外部操作でしかできないことも多々ある。
今は前者で、瑞希が意図していないのに胸の奥から動作音が鳴っていた。
「ど、どうしたのかな……ふぇぇっ!」
胸元を見ると、服の下からくっきりと乳首の形が浮き出ている。
「な、なに、これっ!」
慌ててブラウスをはだけ、ブラジャーを外す。
押さえつけられていた乳房がぷるん、と揺れて露わになる。
乳首は固く尖って上を向き、乳房も張りつめていつも以上に大きく思えた。
恐る恐る、乳首の先を触ってみる。
「あ……あぁっ!!」
信じられないくらい、乳首の先は敏感になっていた。
暴力的にすら思える快楽信号が回路を駆け抜ける。
思わず体をのけぞらせて身もだえする瑞希。
それと同時に、瑞希本人にしか聞こえない小さなモーター音と共に、さらに乳首が固くなる。
「や、やぁあ……ど、どうしよう。壊れちゃったのかな……? こ、このままじゃ恥ずかしいよぉ……直らないかなぁ……」
もう一度、ぷにぷにと乳首のまわりをつつく。
「ふぁああっ!あああんっ!」
立っていられなくなり、そのままベッドに倒れ込んで体をびくびくと震わせる瑞希。
「こ、これって……」
間違いない。これが性的快感。ノイズで感じていたのとは比べ者にならない。
瑞希の体に新しく加わった機能。
男性と愛し合うための機能。
326:名無しさん@ピンキー
08/12/05 01:41:25 pYG7ilMd
「あ。そうだ」
女性技師が言っていたことを思い出す。
改造を受けた後、軽く基本的な性知識を教えられた。
それによれば……。
「た、たぶん……もっと性感帯を刺激して満足できれば……いいってこと、だよね」
まずは、乳房を揉んでみることにする。
軽く両手を乳房に当てる。
掌にシリコンラバーに包まれた、固い半球状の機構が感触として伝わる。
少し力を入れて内部機構に力が伝わるように刺激を与えてみる。
「ああああっ!うぁっ!」
AIに信じられないくらい大きな快楽信号が流れ込み、叫びをあげてしまう。
。
「こ、これでもだめ、かな……。えっ!なっ!いやぁん!」
今度は気がつかないうちに、股間が大変なことになっている。
潤滑液が盛大に漏れだし、ベッドにしたたり落ちていた。
「やだぁ……。わ、私本当に壊れてないのかな……」
恐る恐る、下着を脱ぎ女性器に手を当てていじってみる。
「こ、これ……大丈夫なのかな……。んああああああああっ!!」
327:名無しさん@ピンキー
08/12/05 01:43:16 pYG7ilMd
知らなかったとはいえ、いきなりクリトリスを摘んでしまったのは致命的だった。
「ああああっ!あふっ!あん、あぁんっ!」
激しい喘ぎ声と共に、股間をまさぐる手、乳房と乳首を揉み続ける手が止まらなくなる。
「だ、だめ、だめ!とまら、ないよぉ!」
不意に、先ほど再生していた赤くなった弘樹の映像が視界に映る。
「あ、あ、ああああっ!ヒロくん、ヒロくんっ!好き、大好きぃ!お姉ちゃんは、ロボットだけどっ!ヒロくんのこと、だいすきなのぉ!」
さらに悶えと手が激しくなる。
「ひゃん!だめ、だめ!お姉ちゃん、壊れちゃう!壊れちゃうよぉ!ヒロくんっ!たすけてえ!
あ、あはぁああ!だめ、だめぇえええ!あああああっ!」
CPU負荷ゲージが赤く染まっていく。しかし、それと同時にもう一つのパラメータも限界に近づいていた。
「だめ、らめぇ!ふりーず、しちゃうううう!あ、あ、ああああっ!もう、らめええええ!
ああああああ~っ!!」
328:名無しさん@ピンキー
08/12/05 01:44:26 pYG7ilMd
フリーズした、と思った瞬間、瑞希の意識が弾ける。
一瞬、全てのセンサーの入力が消えたような感覚にとらわれ、視界のインジケーターが点滅する。
気がついたときにはベッドで天を仰いでいた。
「あ……。い、今のが……」
絶頂、というものだろうか。
きもちよかった。
凄い。
そうとしかいいようがない快感だった。
しかも、まるで再起動したときのようにCPU負荷が下がっている。
満たされた、ということだろうか。
しかし……。
ベッドの上に垂れ流された潤滑液。乱れた自分の姿。
それらが目にはいると、なぜだか解らないが瑞希の目に涙が溢れてきた。
どうしてだろう。性欲は満たされたはずなのに。
「う…うう……ひっく……ヒロくぅん……。さみしいよお……さむいよお……」
小さな子供のように、瑞希は膝を抱えて泣いていた。
青島瑞希。当年4歳。
機械の乙女、暴走中。
329:名無しさん@ピンキー
08/12/05 01:44:57 pYG7ilMd
投下完了ー。だいぶエロいロボになったような気がします。
330:名無しさん@ピンキー
08/12/05 07:54:19 i+RV085C
>>325
乙、朝立ちが終わったかと思ったらこのロボねーさんで見事に
復活しちゃったじゃないか!
331:名無しさん@ピンキー
08/12/05 22:24:41 ne7pRnn7
これは期待w
332:名無しさん@ピンキー
08/12/06 01:48:33 i0g74Vhc
女性技師はレズの予感。じゃないとこんな仕事できない気がするw
333:名無しさん@ピンキー
08/12/06 17:25:40 N5TvCJUZ
んなこといったらこんなけしからんロボ作るチーム全員変態だろw
とくにおっぱいがけしからんな。
334:名無しさん@ピンキー
08/12/07 12:43:08 8ih7CFej
328の続きです。
ご感想ありがとうございます。
『ろぼ☆あね』 3-1
日曜日の夜、青島家。
「はぅん……あふぅ……」
「あんっ!ひゃんっ!」
「ヒロくん……もっと、やさしくしてぇ……あふっ!」
瑞希の部屋から切ない喘ぎが響く。
「もおっ!お姉ちゃん!黙っててよ!集中できないよ」
「だ、だってぇ……」
瑞希はベッドの上で、腹部メンテナンスハッチを開けて喘いでいた。
数日前、瑞希用のバッテリーパックが研究所より届いた。
本来、前回メンテで交換するものだったが、手配が間に合わなかったので
弘樹に交換してもらえ、と父からの手紙付きで。
そんな訳で、予備電源を繋いだ上で姉のなかをドライバーでいじくりまわしていた弘樹だったが。
確かになれない手つきで、バッテリー以外のパーツもいじってしまったとは思うが、
ちょっと声をあげすぎじゃないだろうか。
しかも……そんな、切ない声で。
しかし、瑞希にしてみれば無理もない。
バッテリー取り付け部の裏側は、ちょうど人造子宮と膣のパーツ。
ちょっと手がずれる度に、それらにバッテリーの角が当たるのだ。
好きな男の子に、そんなところをいじられる、そう思うと
興奮の抑えようがない瑞希だった。
335:名無しさん@ピンキー
08/12/07 12:45:48 8ih7CFej
「あぅぅんっ!ひぁんっ!」
「もうっ!お姉ちゃん!」
「……くすん」
「終わったよ、お姉ちゃん。……大丈夫?」
「だ、大丈夫……バッテリーは……ひぁああ……も、もうおしまい?」
瑞希にとって、至福の時間が終わる。
「何言ってるの……。ほんとに大丈夫?再起動したほうがいい?」
「う、ううん……今日は……このままで……いいよ。フリーズしても家だし大丈夫だよ。はぁ……はぁ……」
「そう……。無理しないでね」
立ち上がりかけた弘樹だが、心配そうな顔で瑞希の横に座り直す。
「ねえ……お姉ちゃん」
「ん?なに」
「お姉ちゃん……最近、やっぱり調子悪いように思うんだけど。
本当に、どっか壊れてない?お父さんにオーバーホールしてもらうように頼んでおこうか」
不安げな顔で瑞希を見つめる。
「あは。大丈夫だよ。ヒロくん。お姉ちゃんはそんなポンコツじゃないぞ?
丈夫で長持ち、パワーもある、スーパーロボットだぞ」
「そ、そういう事言ってるんじゃなくて!ねえ、ちゃんと考えてよぉ。僕、お姉ちゃん壊れちゃったら
やだよ……。僕で出来ることならなんでもするからさぁ……」