【貴方なしでは】依存スレッド3【生きられない】at EROPARO
【貴方なしでは】依存スレッド3【生きられない】 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
08/10/27 15:46:17 TR+p+ZNi
しゅ

151:名無しさん@ピンキー
08/10/27 19:29:02 937rqB/H
インラインスラッシュ!!!

152:名無しさん@ピンキー
08/10/27 22:20:47 XKjBEfua
のーじゃっく!

153:名無しさん@ピンキー
08/10/30 07:46:31 XecLW2O2
保守

154:名無しさん@ピンキー
08/10/31 16:59:47 jUKMa6Ej
保守

155:名無しさん@ピンキー
08/11/03 00:17:00 euwKx+zW
保守


156:名無しさん@ピンキー
08/11/06 01:29:38 jCSID1Y2


157:名無しさん@ピンキー
08/11/09 01:20:28 lOKzOvm4
保守するしか能がないのも悲しいな、俺

158:名無しさん@ピンキー
08/11/11 08:55:24 ftUq+XQD
そんなことはない
書きたまえよ諸君

159:名無しさん@ピンキー
08/11/16 00:54:45 eGFuzfh/
保守

160:名無しさん@ピンキー
08/11/20 08:14:40 ykeI5FzF
ほしゅ

161:名無しさん@ピンキー
08/11/22 20:07:52 5YwDvI1P
ほっしゅ

162:名無しさん@ピンキー
08/11/22 22:28:02 0hWUdL+d
このスレ保守してる人とおれしか見てない気がしてきた

163:名無しさん@ピンキー
08/11/22 22:58:53 SvYNjoRq
安心し…ろとは言いがたいが俺もいるぞ!!

保守ついでにチラ裏
先日、ヤンデレと依存が区別がイマイチついていない潜在的に依存好きな友人に対して
ヤンデレが例えば「あなたが私以外のものになるなんて我慢できない」「あなたを殺して私も死ぬ」だとすると
依存は「私をあなただけのものにしてください」「あなたが死んだら後を追います」みたいななもんと説明
→友人を依存同志に転向させることに成功したぜ!

164:名無しさん@ピンキー
08/11/22 22:59:18 QVeREJ0e
このスレはROM専です。

165:名無しさん@ピンキー
08/11/23 01:11:43 qvjc4Mi6
>>163
GJ!!
そうだよね依存ってそういうもんだよね
ヤンデレでハーレムは血の臭いしかしないが依存でハーレムはありえそうなあたりも違うよね
お互いがいればそれで良いっていうのも好きだけどね

166:名無しさん@ピンキー
08/11/23 01:54:31 4PldqAaB
今、ちょっと書いてみてる物がある
こういうのは初めて書くからあとどれくらいかかるかわからんが、一週間以内を目標に頑張ってみる

167:名無しさん@ピンキー
08/11/23 02:00:55 AzP5gdML
>>165ヤンデレてやっぱそういうイメージなんだな

168:名無しさん@ピンキー
08/11/23 14:32:59 SVxv2U01
依存は「何番目でもいいから、時々でいいから私を見て」
ヤンデレは「一番でいさせて、ずっと私を見ていて」

こういうイメージだな。

169:名無しさん@ピンキー
08/11/23 15:03:30 f02PKS9e
自分が一番になるまで他の女を消すのがヤンデレじゃね?

170:名無しさん@ピンキー
08/11/23 15:59:47 SVxv2U01
>>169
そうそう。
「一番じゃいられないなら……」って感じでザクッと行っちゃうんだよな。
依存は「……全然見てくれなくなった。死のう」とザクッと行っちゃう感じ。

171:名無しさん@ピンキー
08/11/24 05:51:56 cHT9ePZA
ヤンデレは積極性の極地だが、依存は受身的という分け方が適切だと思う。
例えば男に裏切られて遂に無理心中を図ったとしよう。

ヤンデレなら死ぬことで一緒になるという意味合いがある。

依存なら、何もかも依存しきっていた対象に裏切られたことで世界全てに絶望し、
愛情転じた憎しみで相手を殺し、裏切られた悲しみから完全に決別するために自分も死ぬ。

俺のイメージはこんな感じかな。

172:名無しさん@ピンキー
08/11/24 21:33:17 HB2B3OhW
>>171わかりにくい

173:名無しさん@ピンキー
08/11/24 22:24:59 rx1AUxsX
>>170 のイメージの方がはるかに分かりやすいし俺もそっちだろうと思う。


174:名無しさん@ピンキー
08/11/25 00:45:03 Ir18/ZIX
心中を図る時点で俺にとっちゃヤンデレかな
依存はひっそり消えていくイメージ

175:名無しさん@ピンキー
08/11/25 01:13:27 zE9LiiZA
俺はヤンデレはもっと包括的なイメージで、その中の依存型て感じなんだが

176:名無しさん@ピンキー
08/11/25 02:05:14 yri4n00+
>>175
まあ最近誤解されてるが、ヤンデレは精神的に異常な状態であることが重要であって、人を殺したりとかはヤンデレであることに必要な要素ではないからな
もっとも人には何かしら大事なものはあるから、軽度か重度かの違いはあれど人はみんな何かに依存してると考えれば病的に依存してる人は割と少なくなるが
とはいえ仮にも依存シチュのスレである以上、ここに投下されるものはほとんどが病的な依存を描くものだろうから>>175の認識も正しいと言えるかも知れない

177:名無しさん@ピンキー
08/11/25 08:53:15 MikYktjH
そんな語られても

178:名無しさん@ピンキー
08/11/25 20:24:58 8KLn7NYc
何でもいいからSS投下しろ

179:名無しさん@ピンキー
08/11/25 20:47:20 A6MVtyxh
なに過疎スレで殺伐としてるんだ
ちょっと落ち着け

180:名無しさん@ピンキー
08/11/25 21:12:36 LwUc0M4B
>>177
>>176は「依存」に依存しちまってるんだよ。

たとえば依存君が学校を休んでバイトして、バイトが終わって一人暮らししている家に帰るとだな
依存「なあ…俺の部屋になんで>>176がいるんだ?」
>>176「もちろん、貴方が今日学校を休んだからですわ!」
依存「理由になっていない気が猛烈にするんだが……」
メイド「>>176様は、貴方が学校にお越しにならないばっかりに禁断症状が出まして」
依存「うぉ!いつのまに後ろに!……禁断症状って俺は麻薬か!」
メイド「>>176様にとっては変わりませんわ。午前中はそわそわなされたり授業に集中されなかったりですみましたが、
    午後には手の震えや異常な発汗、果てにはパニックになり貴方に会いにここまで貴方の名前をつぶやきながら幽鬼のごとく歩いてきました。
    貴方が帰ってくるまでは貴方の枕に顔をうずめることによって依存様分を(ry」
>>176「(依存に抱きつきながら)すごく……さびしかったです」
依存「(くっ この上目づかいは反則だ…!) ちょっ!首に鼻を擦り付けないでくれ!こそばゆい!」
>>176「いやです。我慢できませんわ!」
メイド「この後の予定は>>176様と一緒に(>>176様が抱っこちゃん人形状態で)散歩、そのあとは一緒に(きゃっきゃうふふしながら)お風呂に入っていただいて
   その間に私が作った(ハッスルできる粉入りの)料理を出た後に食べていただき、(>>176様を膝の上にのせながら)ホラー映画を鑑賞、
   その後に(>>176様をお姫様抱っこしながら)布団に入り(激しい運動をしたあと)就寝です」
依存「何か間に嫌な言葉が入っている気がするんですけど!? それに勝手にそんな予定を」
メイド「ちなみに明日には、依存様分を定期的に補充できる環境を作るため、市役所に行き婚姻届を受け取り、>>176様の両親に(ry」
>>176「そうなれば貴方は私の体を自由に弄べますわ。それに私の家の財産だって好きにできますし、私ができることならなんだってしてみせます
    だから…お嫌かもしれませんが、私をそばにおいていただけませんでしょうか・・・?」
依存「(胸!胸があたってる!)うっ、それは・・・ううう・・・」
メイド「今>>176様をお買い上げいただけえればもれなく私もついてまいりますが(依存の股間をなでながら)」
依存「うわああああああああああ!!!!!(ヘブン状態!)」

なくらいに>>176はもう依存無しでは生きられない体になっちまったんだよ!
だから…語る事ぐらいは許して…やってくれ……orz

181:名無しさん@ピンキー
08/11/25 21:18:16 L0jBoDkh
安価がSSに入ると急に読む気が失せる、不思議!

182:名無しさん@ピンキー
08/11/26 00:19:45 WFfNLAPX
ううん、上手く「でも、もし〇〇だとしたら…?」につなげられないよう

183:名無しさん@ピンキー
08/11/26 02:38:34 kLgn47u4
>>180の妄想フィルターのほうがヘブン状態www

184:名無しさん@ピンキー
08/11/26 04:10:07 Uj7cll7s
>>180
そんな妄想力があるならSS書いてくれww

185:名無しさん@ピンキー
08/11/26 22:59:10 qjy3BIwI
>>181
それはアカンな ナンチテ

186:名無しさん@ピンキー
08/11/27 00:35:45 MyttAnHJ
>>180その力を何故SSにしない? 180にSSを書いて欲しい奴挙手

187:名無しさん@ピンキー
08/11/27 02:12:29 kdFaX5+r
飢えてきてんなあ…
>>166が本当に投下してくれりゃ助かるが

188:名無しさん@ピンキー
08/11/27 21:40:41 1/xGeyvD
>>176は俺の嫁

189:名無しさん@ピンキー
08/11/28 03:12:38 5e3x7CKv
誰かー
この前上げられたまとめのHTMLくれー
間違えて消してもーた

190:名無しさん@ピンキー
08/11/30 22:52:32 U3UP7k+3
土日に保守すらないとはw

そういえば漫画ガンスリンガー・ガールの義体少女達も見方によっては薬物や担当官に依存してるよな。

191:名無しさん@ピンキー
08/11/30 23:00:17 DpzdZdJw
担当官には、そうなるように条件付けされてる節もあるな。

四巻以降読んでないが。

192:名無しさん@ピンキー
08/12/01 07:42:45 oJUMIxWw
電撃大王購読組だが「節もある」どころかほぼ間違いなくされてるw

最近じゃそれふまえた上で担当官にまっとうな恋愛感情持ってるキャラとか出てきたが、
依存系としてはどうなんだろうかね

193:名無しさん@ピンキー
08/12/01 11:58:03 YsLQfAxu
依存心に表面的な抵抗をみせる、ツンデレ依存系かぁ…複雑すぎるw

194:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:24:29 SSIsO/Rr
投下したいと思います。
エロなし・男視点
依存と呼べるかは自分も、不安です。
苦手な方はスルーして頂ければ幸いです。

195:チョコレート中毒
08/12/01 17:25:15 SSIsO/Rr
彼女はぷくんとした唇にそれを運ぶ。桜貝のような爪で大切そうにつまみ、赤い舌でちろりと舐める。
その光景をみるのが僕は好きだ。
「そんなに好き?」
「うーん。それは難しい質問だな、ツトム君」
ブレザー姿の小柄な少女は小さく首を傾げながら、名探偵のように言った。
年頃の男女が放課後の教室に二人きり。だが僕らの間には緊張感はない。
「中毒なんだよ」
「中毒?エリカが?」
エリカの口から出た物騒な言葉に驚く。


196:チョコレート中毒
08/12/01 17:28:14 SSIsO/Rr
「チョコレート。食べ過ぎだもん私」
「自覚があるなら、食べなきゃいいだろ」
再びチョコレートを口に運んだエリカは、指を舐めながら僕を見つめた。
思わずドキリとする。
「それが出来ないから、中毒なの。正しくは依存っていうらしいけど。」
「ふーん」
エリカがチョコレートを食べる姿に再び僕は魅とれてしまう。
「ツトムはないの?」
ぼんやりしていた僕は、唐突な質問に頭が追いつかない。
「何が?」

197:チョコレート中毒
08/12/01 17:33:32 SSIsO/Rr
「だから、ツトムは何かに依存してる?」
―している。
だが僕は笑って答えた。 「してないよ。それよりそんなに食うと太るぞ」
机の上の箱からチョコレートを取り出し、口に放り込もうとした。
「あ、ダメ!最後の一個なのに!」
ツンと唇を尖らすエリカがかわいくて、余計にからかいたくなる。
「いいだろ一個くらい!エリカのケチ」
「ケチじゃないもん」
エリカは僕に飛びつき、手で口を塞ごうとした。
さっきまでエリカが舐めてた指が僕の唇に触れる。 甘いコロンの匂いと触れたエリカの柔かさに、僕はチョコレートを落とす。

198:チョコレート中毒
08/12/01 17:50:06 SSIsO/Rr
―僕は依存している。 幼なじみという心地よい関係に。友達より近くにいられ、家族にも似た信頼を築けるこの居場所に。
エリカに恋人が現れても、結婚しようとも、僕らの関係は変わらない。
僕らは「幼なじみ」なのだから

彼女はぷくんとした唇にそれを運ぶ。桜貝のような爪で大切そうにつまみ、赤い舌でちろりと舐める。
その光景をみるのが僕は好きだ。
そのために僕は幼なじみであり続ける。たとえ心が悲鳴を上げても。


199:名無しさん@ピンキー
08/12/01 17:56:34 SSIsO/Rr
投下終了です。
書かせて頂き
ありがとうございました。

200:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:08:47 ihuSofIj
一番槍GJ

201:名無しさん@ピンキー
08/12/01 23:35:43 gyLp+yAp
二番槍GJ

202:名無しさん@ピンキー
08/12/02 17:09:19 kEjYVTgs
三番槍は頂いた
GJ!

203:名無しさん@ピンキー
08/12/03 12:32:53 lr7xXz/7
保守

204:名無しさん@ピンキー
08/12/07 05:55:28 SqiShMTW
チョコレート中毒いいね
中毒という言葉は依存に似合う
今更だがGJ

205:名無しさん@ピンキー
08/12/10 08:12:55 CjiBpNf/
ほしゅ

206:名無しさん@ピンキー
08/12/10 11:22:46 tUhIN+AY
私が私でいられる時の続きを全裸で待ってる

207:名無しさん@ピンキー
08/12/12 00:02:49 jfzw+5Bz
>>206
馬鹿野郎!


全裸にネクタイ・靴下着用が正装だろうが

208:名無しさん@ピンキー
08/12/12 01:12:42 76p3GcvP
シルクハットもつけようぜ!!

209:名無しさん@ピンキー
08/12/12 13:59:35 f2Jvsev7
オプションで蝶々マスクモ付けようか!

210:名無しさん@ピンキー
08/12/12 18:47:06 HgCGpJh0
投下されたら蝶サイコーなGJを捧げねばなるまい!

211:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:48:57 yl2tgwY1
>>206-210
ありがとうございます。
いつの間にか冬になって、止まっているシーンの季節が回ってきました。
この冷気で当時のインスピレーションを思い出して描きたいと思います。全裸で。

その前に、犬な依存ものを保守代わりに。
依存度は高め。今回はまだエロエロには行きません。
たぶん、お漏らしとか、唾液とかそういう描写が出ると思います。

212:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:49:31 yl2tgwY1
<やまいぬ>・1

車から降りると、山の中腹のせいか、風が冷たく感じられた。
雪が積もっているのは、下の街でも同じだけど、
枝のない木々に積もった雪が、見た目にも寒さを強調しているように思える。
「ありがとうございます」
運転手さんに頭を下げる。
立場的に、下げる必要はないけど、僕はいつもそうしている。
厳密に考えれば、僕―犬養友哉(いぬかい・ゆうや)が頭を下げるべき相手は、
この山には、一人しかいない。
目の前に広がる大伽藍、一宗派の総本山にも匹敵する寺院の中にいる数百名の人間は、
すべて僕の下位にある、ということだ。
もっとも、それは便宜上の話だ。
いくら僕が、宮司であっても、まだ十五歳の少年が、
千年以上の伝統があるこの「神社」で二番目に偉いとは僕自身も思っていない。
だから、駅から運んでくれる「神社」お抱えの運転手にもきちんとお礼を言う。
それは、どこかで、自分が普通の人間であることを確認する儀式なのかもしれない。
普通の、十五歳の男の子。
ただの、高校生。
そう。
普通の、ただの─。
「ふう……」
鳥居の代わりにある大門をくぐったときに、ため息がもれた。
冷えた空気の中で、白く白く、僕の目にもそれが見える。
形になったため息を目にして、僕は、自分に言い聞かせている「それ」が、
虚しい自己暗示であることを改めて思い知らされた。
「……普通なわけ、ないよな」
山中のとほうもなく広大な私有地に建つ、巨大な「神社」。
信者の一人、観光客一人も立ち寄らない、「神社」。
─そんなものが、普通のはずがない。

213:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:50:03 yl2tgwY1
本殿に入って用意されている部屋で着替える。
学生服を脱いで、神官衣に。
黒褐色の袴を穿いたところで、禰宜(ねぎ)の岩代(いわしろ)さんが入ってきた。
「―友哉様。佐奈(さな)様が、お待ちです」
「はい、すぐ行きます」
「今日は昼餉(ひるげ)も召し上がりませんでした」
「またですか。じゃあ……」
「はい。ご機嫌がとても……」
岩代さんは語尾を濁した。
才色兼備のこの女性が、こういう言い方をするとき、
それは、彼女たちの手に負えない状態であることを遠まわしに言っている。
「相馬(そうま)さんは?」
「権宮司(ごんぐうじ)は、来客中です」
禰宜の岩城さんより偉い、この神社の神主の第二位の人、
つまり、事実上この神社を切り盛りしている人の名前を口にしてみると、
黒髪の美女は、意外な返事をした。
「来客? 誰?」
「双奈木(ふたなぎ)の方だそうです」
「双奈木が? ……面倒なことのようですね」
この神社にも縁の深い名門<支族>の名前は、久しぶりに耳にする。
ということは、あまり面白くない内容の相談だろう。
「それも佐奈様のご機嫌を損ねている理由の一つのようです」
「そうですか」
ため息を押し殺す。
佐奈がそうなったら、相馬さんや岩代さんでどうこうなるものではないことは、
宮司、すなわちこの神社の神主の長である僕が一番よく知っていた。
「とりあえず─台所に行きます」
「そうしてください」
岩代さんは頷いて足早に出て行った。
僕はもう一つため息をついて、部屋の外に出た。

214:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:50:34 yl2tgwY1
赤身の肉。
京野菜。
貝。
米。
味噌。
鰤のいいのが入っていたので取りあえず、捌く。
用意された食材を、手当たりしだいに使う。
献立は、いつも適当。
考えすぎないことの大切さは、<修行>先で教えてもらった。
<神食>(かんじき)の作り方は、技術ではない。
もちろん技術も大切だけれど、それよりも、
食べる側が食べたいと思うか、思わないか、が大事だ。
そして、厄介なことに、あいつらは、往々にして
「何を作るか」よりも「誰が作ったか」のほうを重要視することが多い。
─佐奈は、その最たるものだ。
三十分でざっくりと仕上げて、膳に並べる。
相馬さんも、岩代さんも、もっと古式にのっとってきちんと盛り付けろと
小言を言うけど、今の僕にはこれが精一杯だ。
「渡ります」
部屋の外に声をかけると、緊張しきった様子の巫女さんたちが、観音式の扉を左右に開ける。
「寒っ!」
思わず言いかけて、慌てて口を閉じる。
料理を膳ごと持ち上げて、扉の向こうに出る。
僕の後ろですぐに扉が閉められる気配。
「向こう」までは、屋根付の渡り廊下。
長さは、百間(約180メートル)。
だけど、この寒さの中では永遠に続くように思える。

215:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:51:07 yl2tgwY1
走るように、渡り廊下を進む。
奥の院─神様の住まいに渡るときに、
それに仕える人間が、ゆっくり歩いて行くなど失礼だから、
必ず小走りに渡らなければならない。
─そういう作法だ。
だけど、実際は、そうせずにいられない。
足袋が踏みしめる白木の廊下はまるで氷の板のようで、
じっと立っているほうが、よっぽど辛い。
そういうことも考えてこの吹きさらしの渡り廊下を作り、
小走りに走って「向こう」に渡ることをもっともらしい作法にしているんじゃないか?
思わずそんな事を考えてしまう。
あながち、間違っていないかもしれない。
何しろ、僕の先祖どもがやらかし続けていることの悪辣さを考えれば、
それくらいの欺瞞はお手の物だ。
しょうもないことを考えているうちに、百間の廊下は尽きた。
奥の院。
古びた木作りの建物は、しかし、千年を閲(けみ)して、いささかの揺るぎもない。
どんな人間が、どんな技術で建てたのか。
僕にはわからないが、きっと「何か」があるのだろう。
ここに棲むものが、ここに棲んでいられるように、
あるいは─ここから逃げ出さないようにする技術。
ただの木材を千年保(も)たせる技術など、きっと、その副産物に過ぎない。
「……宮司、参りました」
本式の祝詞はめったに使わない。
どうせ、ここから先は、僕以外に誰も進むことは出来ないし、
佐奈はそういうことに特別気をかけないから。
相馬さんたちはうるさく言うけど、案外、本物の神様はそういうことを気にしないものだ。
そう。
この神社の奥の院は、本物の女神の棲家だ。

216:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:51:38 yl2tgwY1
「遅かったでないかえ……?」
陰々とした声が響く。
部屋の中央でうずくまっている白い布の塊。
部屋に入ったとたんに、こっちに駆け寄ってこないのは、
─重症だ。相当機嫌が悪い。
「ごめん。……いったいどうしたの?」
できるだけ刺激しないように声をかけながら、そっと膳を置く。
「わらわは昼餉も取れずにおったのに……」
こちらの質問には回答せず、ただ文句だけを返す。
瘴気が、渦巻いた。
最低限。
僕の鼻先─膳のぎりぎり手前でそれは巻き戻って散る。
相手に、それをわからせる程度。
本気ならば─膳の上の料理は腐り、僕は発狂するだろう。
そして、佐奈は僕以外の相手にそれを躊躇することはない。
「ごめん。……でも昼ご飯は用意していたよ?」
向こうに手付かずに残っているもう一つの膳を見ながら言う。
紙をかぶせたそれは、朝、僕が作っておいた「おにぎり定食」だ。
「わらわに、あんな冷たい物を食わせる気かや?」
ねっとりとした声に含まれる怒りと苛立ちは、耳から入って腹の底に沈む。
僕以外の人間なら、一週間で胃潰瘍、一ヶ月で胃癌だ。
しかし、毎度のことながら、佐奈の言うことは理不尽だ。
……そりゃ、朝作ったおにぎりは、昼には冷めているだろう。
でも、普段はそんなものでも喜んで食べる。
「わかった。そっちは片付けるよ」
「……後で食す」
食べないとき、捨てようとすると慌てて抱え込む。
仔犬のころから変わらない。
この辺の呼吸は、他の人にはわからないらしい。
あるいは、わかっても、どうしようもないのか。

217:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/15 01:52:09 yl2tgwY1
僕が佐奈に対して、「こうできる」のは、昔からの関係によるものに過ぎない。
「じゃ、とりあえずお昼にしようよ」
少し強引に会話を切り上げ、膳を置くのも他の人にはできない。
─次の瞬間、床に突き飛ばされた。
佐奈が座っていたところから僕の場所まで、軽く10メートルはある。
膳を飛び越えて体当たり。
何が起こったのか見当がついたのは、床に思いっきり頭をぶつけてからだ。
「おそいおそいおそいおそいおそい!!」
一瞬気が遠くなるが、なんとか踏みとどまる。
僕の身体の上に、白い神衣の女が乗っていた。
白磁の美貌。
黒髪と、そこから生えた獣の耳。
鋭い牙。
そして堅く閉じられた目と、空気に渦巻く凶気。
佐奈、この神社に祭られた女神は、
盲(めしい)た犬神。
病み、狂気に陥った凶神(まがつかみ)。
そして、その凶神は、叫んだ。
「なぜ早く戻らない。なぜ早く戻らない。
わらわが待っているというのに! わらわが待っているというのに!」
千年の間、代々に犬神の血を受け継ぐものの間に生まれてきた、
人が作った、美しく、狂った、強力な女神。
そして─。
「―わらわは、友哉だけを待っているというのに!」
……そして、佐奈は、僕の飼い犬。
この娘が、産まれたばかりのまだ力に目覚めない仔犬の頃から飼い育て、
僕の匂いを覚えさせ、食事を、用便を、生きることのすべての世話をして、
犬神の血が目覚めても逆らえないように作った、女神。
僕は、犬養の宮司。
─盲目の女神を飼う、神官。

ここまで

218:名無しさん@ピンキー
08/12/15 02:29:20 OyaAlJld
>>211
縁側越しに日本庭園を臨む和室で
黒檀の文机に向かって端座し
巻紙に筆で書き付けるゲーパロ専用師の
全裸のお姿が浮かんだ

GJ !!

続きをお待ちする
まっぱで

219:名無しさん@ピンキー
08/12/15 12:44:36 IrJ8NMnJ
全裸だと風邪引くぜ
靴下履けよ

220:名無しさん@ピンキー
08/12/15 18:17:17 zDZ+hO39
>>217
犬×呪術的要素×依存関係とは、これはまた一味違うものを出してきなさったな。
舞台設定を現代系じゃなくてファンタジーっぽくするのは、目から鱗の発想。一刻も早く続きが読みたいです

221:名無しさん@ピンキー
08/12/15 18:25:47 xpT8CWIX
おぉ素晴らしい
続きをwktkしながら待っております。

222:名無しさん@ピンキー
08/12/15 18:29:42 vY1uaX2/
獣系だと鋭い眼光とかを想像するけど盲目なのか。歪みを感じていい感じ。
口は人間のなんだよねきっと。激しい性格っぽいのでつい獣口を想像してしまう。
とにかくGJでございました!

223:名無しさん@ピンキー
08/12/16 21:35:14 zDl6KmNM
盲目ってそのままの意味で目が見えないって
いう意味なの?
てっきり主人公のことしかみない、狂った様を
表現しているのかと思った。

224:名無しさん@ピンキー
08/12/16 21:57:10 DMvTslg9
おそらく犬は色盲という話から生まれた設定だろうから、そのまま目が見えないんでしょう。
文中でも主人公視点から、堅く目が閉じられているとかいう描写もあったし

225:名無しさん@ピンキー
08/12/17 21:31:41 RT9M5rGV
GJ

226:名無しさん@ピンキー
08/12/21 15:27:04 tobtolHe
直接的な行為は何一つ描写されてないのに
濡れているような文章で勃起してしまった
GJ

227:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/21 23:59:22 c+S4/sRs
続きをいきます。
まだ本番までは行きません、ごめんなさい。
おしっこのシーンがあります。
苦手な人はパスしてください。

228:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:00:13 c+S4/sRs
<やまいぬ>・2

ほんのわずかな時間でも貴方と離れていることは辛いことなのです 。
私と暮らす前にどうかそのことを覚えておいてください。(犬の十戒より)

「……飯は左手前、汁は右手前。汁は、けんちん。
左の奥は、バイ貝の肝と大根の煮物。
右の奥は膾(なます)の代わりに鰤の刺身と水菜。
中央は香の物。
焼き物膳は、牛の赤身を塩胡椒で焼いたものでございます。
箸は一番手前にございます」
……盲いた神様に膳を供えるときは、膳の位置と料理を申し上げる。
もとは、稲の葉で目を突いて目が見えなくなった豊穣の神様への儀式だが、
目が見えないことが多い「病犬(やまいぬ)の神」へ食事を献じるときの儀式として、
何百年か前のご先祖様がこれを取り入れた。
─多分、それは宮司の考え付いたことではない。
僕と同じく、「病犬神」を飼う宮司なら、
そんなものが必要でないことを、最初から知っているだろう。
目を閉じた佐奈は、僕のことばのたびに膳の上のその料理に正確に顔を向ける。
そして、そわそわと僕の顔を「見る」。
「……召し上がれ」
儀式は、この後、長々と祝詞をのべることになっていたが、
僕はいつもそれを省略している。
佐奈が我慢している顔を見るのは、好きでないから。
きっと、儀式を考え出したのは、「犬」を飼ったことのない人間だろう。
相馬さんや、岩城さんのような立場の人にとっては、
神社を運営するために必要なこと─権威とかそういうもの─を細かく考える必要がある。
でも、多分、「犬」と直接触れ合っている宮司は、
代々それをこっそり無視しているにちがいない。
僕と同じように。

229:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:00:46 c+S4/sRs
「いただきます!」
許可のことばを耳にするやいなや、佐奈は箸を取って食べ始めた。
昼を抜いたせいか、いつもより「喰い」の勢いが良い。
焼き物も、煮物も、サラダも、刺身も、素晴らしい速さで消えて行く。
箸使いは、僕が教え込んだ。
僕が母上に教え込まれたときよりは厳しくはないだろうけど、
それでもかなり徹底して教えた。
目が見えなくても、皿の位置が分かるのは─佐奈は鼻が利くからだ。
犬の嗅覚は、人の一万倍。
でも、佐奈は─それどころでは、ない。
「犬神」は、この世ならぬものの「匂い」も嗅ぎ分ける。
そして、「病犬神」の「嗅覚」は、普通の「犬神」の比ではない。
だから、佐奈は、閉じ込められた。
この「神社」の奥底に。
接するのは、彼女に仕える宮司の、「飼い主」の、僕一人。
そうしないと、佐奈は─。
「喰(く)らい終えたわ」
つぶやいて、佐奈が箸を置いた。
いつの間にか、膳の上は、何も残っていない。
苦手なサラダも、鰤の味がよかったのか、統べて平らげている。
残す残さないで叱らないですむ。
「おそまつさまでした」
「……ごちそうさまでした」
膳を片付けはじめると、佐奈はあわてて手を合わせて言った。
女神になった今では、僕に対して言わなくてもいいことばだが、
佐奈は、どんなに機嫌が悪くても、これだけはやめない。
それは、出された料理が、僕の作ったものだから。
そして、佐奈は、他のものを食べることが出来ない。
僕以外の人間が、佐奈の世話をすることが出来ないのと同じように。

230:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:01:18 edYG/sM9
佐奈の嗅覚は、鋭い。
外法によって強化された「病犬神」は、
文字通り「法(のり)」の外の嗅覚を有しているのだ。
それは─普通の世界に出たら、たちまちのうちに狂って
周りにあるもの全てを殺しまくり、自分も狂死するくらいの。
もともと狂った、そして強力な犬神を、さらに強化して「作られた」女神は、
ごく普通の空気の中にある匂いから、あらゆる事象を読み取る。
─そして、その「匂い」に耐え切れない。
だから、佐奈は、「神社」の奥の院に閉じ込められる。
幾重にも結界を張り、匂いを抑える術を重ねた、特殊な空間の中でしか
この女神は生きられないのだ。
だが、それを世話する人間が要(い)る。
生きている以上、様々な匂いを身にまとう、生きた人間が。
女神に、その匂いを耐えさせるために、
「神社」の外法使いたちが考え出した方法は、「飼い主」だった。
「病犬神」が生れ落ちた瞬間、最初に匂いを嗅がせ、
以降、衣食住、全てにわたり世話をする、飼い主。
髪を、肌を、肉を、血を、汗を、涙を、排泄物を、精液を─。
全てを刷り込むように嗅覚になすりつけ、「慣れ」させる。
それは、女神の一生に一人だけ。
赤子の持つ、順応力にのみ許される業(わざ)。
生れ落ちた瞬間からはじめる、ただ一度の機会を逃せば、
「病犬神」の嗅覚にそれを慣らすことは不可能だ。
そして、その飼い主は、長じて「宮司」となる。
生れ落ちた、犬とも人ともつかない無力な赤子が、
人の数倍の速さで成長し、自分の背丈を追い越すころ、女神の力に目覚めるとき。
凶神の「飼い主」は、彼女に仕える神官になるのだ。
─佐奈の飼い主は、僕だ。
佐奈は、僕の匂いにだけは「慣れ」ている。
だから、僕が作ったものだけは食べることが出来るし、僕の手だけが彼女を世話することが出来る。

231:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:02:00 edYG/sM9
「―嫌な匂いがするぞえ……」
食事を終えた佐奈が、ぽつりと言った。
僕は、はっとして振り返った。
「きょ、今日は何もないはず、だよ……?」
僕が高校に通うようになってだいぶ経つ。
佐奈も慣れたはずだ。
四月の頃はひどかった。
僕の身体に移った、クラスメイトの女の子たちの匂いに反応した佐奈は、
荒れ狂って奥の院を破壊するところだった。
六月にラブレターを貰った日には、
「神社」の職員の三分の一を衰弱死寸前にするくらいの瘴気を放った。
七月と八月には─いや、やめておこう。
とにかく、半年近くをかけて、僕は佐奈に、
僕が高校で「普通」の学生生活を送ってくることを慣れさせた。
佐奈の嗅覚は、尋常のものではない。
それは、文字通りの意味だ。
食べ物の匂い、汗や排泄物の匂い、服に着いた空気の匂い……。
普通の犬なら、匂いで主人の体調を嗅ぎ取るくらいはできる。
普通の犬神なら、さらに進んで、主人が何をしてきたか、過去を「嗅ぐ」ことができるだろう。
だが、「病犬神」は─。
嗅ぎ取れないはずのものを嗅ぎ当てる。
10メートルも離れて座ったクラスメイトから僕の学生服に移った匂いから佐奈が嗅ぎ当てたのは、
─彼女の素性と、僕に対して好意を持ったという、僕さえ知らない相手の心の中。
本殿に置いてきたカバンの中のラブレターから嗅ぎ取ったのは、
─ラブレターの一字一句ちがわない文面。
「病犬神」の嗅覚は、この世のあらゆる事象を嗅ぎ取る。
当たり前の話だ。
「病犬神」は、この世ならざるものの「匂い」を嗅ぎ、悟る女神。
そのために目から光を奪われ、「神社」の外で生きる術を奪われ、
ただ飼い主だけを与えられて力を強化された凶神。

232:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:02:31 edYG/sM9
「……違う。今日の友哉は、良い匂いじゃ」
佐奈がそう言ったので、僕はちょっとほっとした。
機嫌の悪い日の佐奈には、気を使う。
……待てよ、機嫌が悪い?
はっとして、本殿のほうを振り返る。
もちろん渡り廊下に続く扉は閉まっている。
でも、佐奈にはわかる。
呪法を重ねた分厚い木の扉を通して、
百間の渡り廊下を隔てて、
本殿のいくつもの部屋を越えて。
「双奈木の来客か」
「……嫌なものを持ち込んできたぞえ」
先ほど岩城さんから聞いた、<支族>の人は、
何か厄介ごとを頼みに来たのだろう。
─きっと、「病犬神」が必要なくらいに厄介な、「あちら側」の問題を。
「……」
「……」
僕と佐奈は黙り込んだ。
佐奈は、何を「嗅ぎ取った」のか。
それが、「良くないもの」なのは、僕にも分かる。
凶神といえど、「こちら側ではない世界」のことに関わるのは、危険なのだ。
でも、僕は、この「神社」を預かる僕は─。
「良い。聞かせてたも」
佐奈は、軽く頭を振りながら言った。
「……ごめん」
「わらわの仕事じゃ。のう、主どの?」
僕は答えられなかった。
犬養の宮司は、そのために、女神を飼う。
病犬に、この世ならぬものを嗅がせ、識(し)るために。
「神社」は、その外法を欲する者たちの莫大な援助によって成り立っているのだ。

233:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:03:27 edYG/sM9
「そのような顔をいたすでない。わらわは、そういうことをする犬神じゃ」
佐奈は笑った。
釣りあがった唇から、白い犬歯が見える。
黒髪の間から、犬の耳が見える。
硬く閉じた目蓋から、暗い光が見える。
くすくすと笑う、美しい女。
僕の喉が、ごくりと鳴る。
それは、恐怖だ。
僕は、佐奈の飼い主。
この凶神を、生まれたときから飼ってきた、飼い主。
だから、佐奈は僕だけは傷つけない。
僕の言うことだけは聞く。
だけど─。
「どうしたかえ、主どの?」
時が経ち、身体も力も僕よりも「早く」成長していく佐奈に、
僕は時々恐怖を覚える。
この娘は─昨日と同じ、僕の飼い犬なのだろうか。
ひょっとしたら、幼い頃から縛り続けていた見えない鎖は、
今日は、もうこの娘を縛るだけの力を有していないのではないか。
─歴代の宮司には、女神を縛り続けることが出来ずに、食い殺された者もいる。
僕が、そうならない保証はどこにもない。
「……なんでもない。双奈木さんの話を聞いてくる」
僕は、ちょっとだけ歯を食いしばって、その恐怖に耐え、佐奈に返事をした。
「……ふふふ」
佐奈が、また笑う。
「どうした?」
「駄目じゃ。―その前にわらわに湯浴みさせてたもれ」
佐奈は立ち上がって、するすると神衣を解き始めた。

234:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:04:03 edYG/sM9
「―腕、上げて」
「こうかえ?」
僕の言葉の通りに佐奈は腕を上げた。
白い腕。
生まれてから、一度も陽の光を浴びたことのない肌は、
妖しいまでに白くなまめかしい。
腋の下は、もっと白いように思える。
僕は、そっと唾を飲み込んで、そこを布でぬぐった。
ゆっくりとこすり、流す。
お湯は、霊峰から湧き出る清水を沸かしたものだ。
水と空気は、術法を加えれば、なんとか「病犬神」が耐えられる匂い。
─そのために、「神社」はこの地に作られた。
「ふふふ、どうしたかえ?」
湯気の中で、佐奈が笑う。
「なんでもないよ」
僕は目をそらしながら言った。
「もそっと強く洗ってたもれ。胸乳を、の」
佐奈が胸をつき出した。
まだ背の伸び盛りを迎えていない晩生の僕より、今の佐奈は背が高い。
日を追うごとに成長の差は開き、佐奈の身体はどんどん成熟していく。
おっぱいは─ものすごく大きくなった。
「仔犬」のころの、まるで人形のように小さく薄い身体を見ている僕には、
その成長は、目の前にしていても信じられない。
だけど、これは現実だった。
「どうしたかや? 早う……」
促されるまま、布越しに触れる、弾力と重みも。
「ふふふ」
佐奈の含み笑いが、湯殿に小さく反響する。
「くそっ……!」
僕は小さく毒づいた。

235:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:04:36 edYG/sM9
最近、いつもこうだ。
佐奈は、どんどん大人になっていく。
そして、こうして戯れる。
弄うように。
いつからだろうか。
彼女が女神として目覚め、僕との力関係が逆転してからか。
僕はため息をついて、今度はお腹をこすり始めた。
女体。
嗅ぐ能力を別にすれば、犬神とて、普通の人間と変わらない。
人間に神を「下ろ」して作られた神様だから当たり前だけど。
耳と、牙と、爪を除けば、佐奈は、まるっきり人間の女だ。
それもとびっきりの。
その身体を洗うのは、高校生には刺激が強すぎる。
─三年前までは、考えもしなかったことだけど。
それまでは、佐奈は、まさに僕の愛玩動物だった。
小さく、弱い、盲目の生き物。
人間とか、犬神とか、そういうものを別にして、
とにかく、僕が世話をしなければ今にも死んでしまう、小動物。
それが、成長するにしたがって、妹のような存在になり、
同世代の女の子のような存在になり、
今では、完全に僕を追い越した大人になっている。
そんな女神の身体を洗うことには、どういう意味があるのだろう。
「ふふふ」
また、佐奈が笑った。
僕の「匂い」から、僕の思考を読み取るくらい、この娘ならなんということはない。
だから─。
「怖いかえ? わらわが?」
佐奈が、そう言ったとき、僕の心臓は、どきんと音を立てた。

236:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:05:37 edYG/sM9
「……な、何を……」
一呼吸、いや二呼吸遅れて、答えた。
「……」
佐奈は、沈黙していた。
白い湯気が全てを隠す湯殿。
聞こえるのは、お湯の沸く音と互いの息遣いの音だけ。
僕の目の前にいるのは、「病犬神」。
僕の飼い犬だろうか。
もう僕の手に負えない病んだ女神だろうか。
「―さ……」
「―小水じゃ。見てたもれ」
思わず名を呼ぼうとした瞬間、いつもの甘えた声が聞こえた。
「え……?」
「小水をしたい」
佐奈は、照れたように笑った。
「あ、うん」
用便の世話は、仔犬のころから僕の仕事だ。
医者さえも近寄ることができない犬神の主治医は、宮司が務める。
そうした管理は、犬を飼うときの基本中の基本だ。
だけど、こんなにまで成長した女神のそれは─。
「いくぞえ。見てたも」
佐奈は、立ったまま大きく足を広げた。
腰に手を当てて、突き出すように。
飼い主に全てを見せる、無防備に、あまりに無防備に見せる姿勢。
透明な液体をしたたらせはじめても、佐奈のその無防備さは変わらなかった。
「―」
僕は、気がついた。
佐奈は、笑っている。
先ほどの、弄うような笑みではなく、心底うれしそうな笑みで。
もっと小さな頃、まだ女神になっていないときに、いつも浮かべていた微笑で。

237:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/22 00:06:44 edYG/sM9
「……洗ってたも」
我に返ると、佐奈の放尿は終わっていた。
慌ててお湯で足と床とを流す。
「布は嫌じゃ。指で洗ってたも」
佐奈は、腰をつき出したままの姿勢でささやくように言った。
甘えるような声に、昔と違う響き。
それは女の媚びか─それとも……。
操られるように僕は腕を伸ばした。
白い阜(おか)の上に、僕の手が這う。
薄桃色の秘裂は、今まで何度も触れて世話してきた飼い犬の排泄器官。
いやらしい意味なんか、ない。
だけど、それは、僕がはじめて触れた女性器でもある。
それは、いやらしい意味そのものが形をとったものだ。
「ああ……」
かすれた声は、明らかに嬌声。
溝に沿って撫でる男の指に反応する女の声。
その秘めやかな響きは、僕が知り、理解しているどの佐奈の声とも違う。
「ふふふ、主どの─友哉の指は、良いのう」
佐奈が、ささやく。
僕は生唾を飲み込んだ。
わからない。
理解できない。
まだ─この佐奈が「何」であるのか、僕は識(し)らないのだ。
「ふふふ、どうしたかえ? 男根(へのこ)から、精の匂いがしてきたぞえ?」
佐奈が、笑う。
完全に、僕が心のうちを読めない笑み。
「抱きたいかえ、わらわを。犯したいかえ、わらわを」
笑い声は深くなった。
「抱くが良い、犯すが良い、いつもの通りに。のう、主どの?」
佐奈は、唇を釣りあげて笑った。
白い白い犬歯を見せて。
僕は、その笑顔の意味がわからない。
数ヶ月前、誘われるままに佐奈を抱いてから、僕は彼女のことがわからなくなってしまった。
だから、僕は、恐怖する。
佐奈に─僕の飼い犬、僕の女神に。


あなたがどんな風に私に接したか、私はそれを全て覚えていることを知っておいてください。(犬の十戒より)


                     ここまで

238:名無しさん@ピンキー
08/12/22 00:51:57 kcbOF1ja
先鋒でGJ

239:名無しさん@ピンキー
08/12/22 01:23:08 b1Jl1iwn
この怖い病犬神の心中が早く読みたいっ。本当になに考えているんだろうか?
しかしまあ、こういう圧倒的に上位の立場の者が、自分からその首を差し出している、
差し出さずにはいられないっていうゲーパロさんの依存シチュの表現手法は本当にいいなぁ。

240:名無しさん@ピンキー
08/12/22 02:38:25 17K3hhEW
佐奈が何考えてるかわからなくて怖い 

と最初は思ったんだが、>>239を見て目が覚めた。
そうだよな、ゲーパロさんだし・・・

241:心の隙間
08/12/23 02:30:31 Ew1MHl/M
夜8時、部活帰りの途中ふと道路を挟んだ反対側の公園に目をむける。

「・・・・・・なにしてんだあれ?」
暗いためハッキリとは見えないが女の子がベンチで座ってるのが見える。

すこし様子がおかしい。
「・・・泣いてる?」
街灯の灯りで少しだけしか見えないが、震えてるみたいだ。
「どうしようかな・・・」
少し公園から離れたとこで足を止め公園のほうを振り返る。
「なにかあったのかもしれないし、話すだけなら危険はないか」
少し迷ったが意を決してもときた道を戻りさっきの公園が見える場所までもどる。

「まだいるな、話しかけるぐらいなら大丈夫だろ」
深呼吸をし自分に言い聞かせ道路を渡る。

242:心の隙間
08/12/23 02:54:25 Ew1MHl/M
道路を渡り終えて公園の門の前にたってもう一度彼女を見る。
「・・・歳いくつだこの子?」
うなだれてて顔が全く見えないが、少し小さくないか?
(やっぱり警察に)と思ったがまず話を聞かなければならないと思ったので少し遠めから話しかける。
「あの~大丈夫ですか?」
反応が全く無い。
少し大きな声でもう一度言う。
「スイマセン、大丈夫ですか?」
すると女の子は少しビクッとする。

この反応で近づいていいか迷ったが意を決して彼女に近づく。
ベンチで体育座りをしなが顔を隠してるため顔は全く見えないが、かなり幼い感じがする。

「大丈夫ですか?なにかあったんなら警察呼びますか?」
彼女の目線まで顔を下げて話しかける。
するとようやく顔をあげた。

「・・・キミ歳いくつ?」
(やはり声をかけて正解だったな)
心の中でそう思った
なぜなら見た目は小学生そのものだった(変態が見つけたら最悪だったな)
「こんな夜中に危ないよ?早く家に帰りな」
優しく声をかけてあげる
その子は小さく聞き取りづらい声で呟く。
「帰るお家ない・・・お父さんいなくなっちゃったから」
そう呟くと少女は涙をボロボロ流しながら下をむいてしまった。

243:心の隙間
08/12/23 03:29:55 Ew1MHl/M
はぁ・・・俺じゃどうしようもないな。
心の中でそう思った。
話を聞く限り問題がかなり複雑そうだ。(やっぱり警察だな)
そう思い少女に
「それじゃお巡りさんに助けてもらおっか?」
極力怖がらせないように優しく話しかける。
しかし少女は
「嫌!お兄ちゃんも私を置いてどこかいくんでしょ!?」
いきなり大きな声で叫ぶ。
(お兄ちゃんって俺だよな?置いていくって今会ったばっかだろ)と思ったが。

「こんな暗いとこに置いていくわけないだろ?一緒にお巡りさんのとこまで連れていってあげるよ」
優しく手を差し伸べると
10秒ほど俺の顔色伺ってオドオドしながら手を握ってきた。
ただまったく動こうとしない
「どうしたの?早くいこ?」
問いかけると
「嫌、お巡りさんのとこにいくとあの家に連れていかれる・・・」
「家があるの?なら帰らなきゃ心配するよ?お母さんだって今頃探してるかも」
しかし少女は握った手を振りほどくと
「あの家に帰るならもうここでお家つくるもん!!」
といいながらまたベンチに座りこんだ。
(はぁ・・・めんどくさいことになったな。)
そう思いながら少女を見下ろすとなぜか俺の指ばかり見てる。
(しかしこのまま置いてく訳にもいかないしなぁ・・・)
10分ほど考えてある決断をした

「キミが嫌じゃなかったら一晩だけ家にくるかい?」
少女はよくわからないといった顔をしている。
「ここじゃ寒いでしょ?風邪ひくし寝る所ぐらいなら用意するよ?」
彼女は小さく
「いいの?迷惑じゃないの?」と聞いてきたので
「大丈夫だよ、てゆうかキミをここに置いていったら心配で眠れないから」
笑いながら話すと
彼女は嬉しそうに抱きついてきた。
こんな小さな子が笑うとこっちまで嬉しくなる。

この出来事がこの先彼の人生を大きく変えるようになることを、まだ彼はしらない。

244:名無しさん@ピンキー
08/12/23 19:55:47 eWb+sUOF
二つも新作が投下されたとは!
これはGJせざるをえない。

245:名無しさん@ピンキー
08/12/24 00:34:01 y4f007jm
うぉぉおぃ!GJだろ!

246:名無しさん@ピンキー
08/12/24 02:16:38 EgVqrmQG
続きが気になる!とにかくGJです!

247:心の隙間
08/12/24 02:28:32 Xuj+cdYA
少女を家に連れていくことになったが・・・。


「姉ちゃんなんて言うだろ・・・」
両親は離婚し、一緒に暮らしてた父は去年癌で亡くなった、だから今家には俺と姉の二人暮らしだ。

一年前に女の子(同級生)を家に入れただけで、普段おとなしい姉が怒り狂って一時間も説教食らったのにこんな小さな子を連れていくとなると殺されるかもしれない。

「・・・・・・お兄ちゃん怒ってる?」
顔にでてたのか、少女が不安そうに上目使いで話しかけてくる。
「ん?怒ってないよ~ちょっと考えごとしてただけだよ、あっそうだ!!名前聞いてなかったね、俺は中村 勇(ゆう)、高校1年生だよ、よろしくね。」
頭を撫でながら自己紹介をする。
「私は高原 凪(なぎさ)○○小学校の六年生だよ。」
礼儀正しく頭をぺこりとする。前髪を髪留めで一つに纏めてるのでピコピコっと動くのが可愛らしい。
「凪ちゃんの家は隣町にあるの?○○小学校ってあの有名な小学校だよね?」
隣町に有名な私立のお嬢様お坊っちゃま小学校がある。
「そうだよ!お兄ちゃんしってるの?」
「よくテレビで見るよ、でかい学校だよね。」
まぁ俺には無縁の場所だから直接見たことは無いけどね。




あれ?
高原ってどこかで聞いたことあるような・・・・・・

248:心の隙間
08/12/24 03:26:54 Xuj+cdYA
「・・・凪ちゃんのお父さんってなにしてる人?」
変な汗が出てくる。
「えっとね、あんまり知らないけどなにかの社長してるんだってさ。」
あぁ・・・終わった。

高原ってあの高原□□かよ。
一週間前からニュースで社長の高原 修司が事故で亡くなって妻の高原 恭子が女社長になったとかで騒いでたな。

「あの高原□□の娘さんなんだね・・・それじゃあなおさら家に帰らなきゃお母さん心配するんじゃない?」
「イヤッ!もう帰らないもん!!家に帰ったらまた一人になるもん・・・」
最後のほうは涙声で聞き取り辛い。
「わかった、もう言わないからね」
そう言って涙を拭いてあげようと思って手を離そうとすると
「やっ!ダメ!」
俺がどこかに行くと勘違いしたのだろう。ぎゅっと両手で力一杯握りしめてくる。
「どこも行かないから、涙拭かなきゃね」
優しく言うが、右手で俺の手を強く握り、左手を離して自分で涙を拭いてしまった。
拭き終わるとまたすぐに両手で握りしめてくる。

(あの高原□□の社長だもんな
そりゃ両親は忙しいわな・・・
子供まで目が届かないか。)

そう考えながら歩いていると知らない間に
我が家の近くまできていた。
「・・・・・・はぁ、大丈夫かな」
そう呟きながら玄関の前に立つ。
玄関のガラス越しに見える一人の影。
「ははっ・・・今日は鬼の影に見えるな」

開けるのを躊躇したが玄関を開ける。
「ただいま、姉ちゃん」


あ~これはやばいな。



「おかえり・・・・・・いま何時?」

249:名無しさん@ピンキー
08/12/24 07:34:47 XE7ov61Y
さすがに今のご時勢で見知らぬ女の子を家に連れ込む展開は無理が無いか?
どうみても逮捕フラグ

もしかして逮捕されて人生オワタな主人公を慰める女の子という展開になるのか!

250:名無しさん@ピンキー
08/12/24 12:43:50 Xuj+cdYA
>>249
ちょっとまってよw

無理がないかってまさかエロパロで言われるとは思わなかった
周り俺より無茶してる作品ばっかりだと思うけどw

251:名無しさん@ピンキー
08/12/24 13:23:20 ndtYNTXC
>249
気が早すぎるwww

>250
落ち着いてくれ、幻想ありきの場所で現実感を本気で持ち出すような人はそんなに居ないって。


252:名無しさん@ピンキー
08/12/24 14:26:26 RaF9EQyA
まぁ、
・主人公が高校生
・姉と同居

以上2点からするとそう無理はないと思うぞ。
本人が交番をいやがってるんだから、
自分の家以外つれてく先を思いつかんのが普通だろう。
高校生で児童相談所の存在を知ってるほうが不自然だろうし。

主人公が30歳童貞無職ニートの一人暮らしのところに
連れ込むなら、確かに無理があるが。

253:名無しさん@ピンキー
08/12/24 19:32:00 qiuLpw0u
>>252
30歳童貞無職ニート+キモオタデブの俺は生きてていいですか?

254:名無しさん@ピンキー
08/12/24 21:03:13 XTbnXt8z
35歳童貞ほぼ無職すねかじりキモオタメタボの俺が「生きてていい」って言ったら楽になる?

255:名無しさん@ピンキー
08/12/24 21:16:06 6/TqT888
他人を見下して安心しようとする自分が嫌になるだけ。

256:心の隙間
08/12/25 02:24:47 rwIVt/5J
遅い・・・・・・・・・。



玄関で弟の帰りを待ってるがまったく帰ってくる気配がない。
壁に掛けてる時計を見上げる。

「門限って意味しってるのかしらあの子・・・・・・。」
もう二時間近く立って帰りを待っている。
門限が7時、もう9時を過ぎている。
電話しても出ない、メールしても返ってこない、学校に電話したら担任がもう帰ったと言う。

「なにかあったのかしら・・・」
イヤな予感がする。
冷や汗が止まらなくなる
「あの子になにかあったら私・・・」
頭では最悪の出来事しか想像できなくなっている。

「やだ・・・嫌ッ!!!私の前からいなくなるなんて考えられない・・・」

足が震えて崩れ落ちそうになる。
「早く帰ってきて・・・」
携帯の画面に移る弟を見ながら口ずさむ。

すると扉の向こうから足音が聞こえてくる
小さい声だか声も聞こえる





あの人だ

257:心の隙間
08/12/25 02:30:35 rwIVt/5J
「・・・帰ってきてくれた・・・」

嬉しさで玄関の扉を開けて迎えに行こうと思ったが、安心したらなぜか怒りがわいてきた。

こんなに心配させてほっつき歩いてたんだから私から行くことないんだ、あの子から謝らないと許さない。
「でも・・・・・・あんまりしつこくすると嫌われるかな。」
嫌われることを考えると怒りよりも不安のほうがでかくなる。
でも心配したことは伝えなきゃ!

「ただいま、姉ちゃん」





「おかえり・・・・・・いま何時?」

258:名無しさん@ピンキー
08/12/25 15:34:53 kJMgwwle
犬神のやつマジ楽しみなんだが(*゚ω゚*)次の月曜日あたりかなぁ
すげー耽美な設定で最高やわ

259:名無しさん@ピンキー
08/12/25 21:54:51 IXLNevsk
神々が集うスレがあると聞いてやって来ました

260:名無しさん@ピンキー
08/12/26 01:37:31 72KwzLpo
>>257
オーケーオーケー、姉は弟依存なのか。続きが楽しみだぜ、GJ!

261:心の隙間
08/12/26 01:51:26 32uqUvJo
ものすごく怒ってる・・・

ここは素直に謝ってたほうがいいな
「ーー姉ちゃん、ごめん、部活が長引いてさ。」
なにも言わず近づいてくる姉に少したじろぐ、
すっと姉の手が頬に近づいてくる
殴られるッ!!

とっさに目をギュッと瞑ってしまった。
しかし痛みではなくかわりにヒヤっとした冷たい感触が頬に伝わる。

「遅くなる時は電話して・・・メールでもいいから・・・」
目を開けると涙をためている。
「(手が冷たい・・・姉ちゃんずっと玄関で待ってたんだ)次からはちゃんとメールするね。」

姉の頭を撫でると、姉は目を細め大きく息を吐きながら勇の胸にもたれ掛かった。
甘えようとしてもたれ掛かったのでは無く、足に力が入らないのだ。
(早く一緒に寝たい・・・このままベッドに連れていこうか)
姉は勇と添い寝をすることで頭がいっぱいだ。
週に一度だけ一緒に寝てくれるこの日を姉は一番楽しみにしている。

ーーしかしこの唯一の楽しみを2時間後に壊されるどころか、奪われることを姉はまだしらない。

「姉ちゃん、それでちょっと相談なんだけど・・・」
勇が玄関の影に向かって手招きをする
すると玄関の影から姿を現す小さな破壊者。



「おじゃまします・・・・・・」


262:心の隙間
08/12/26 01:56:47 32uqUvJo
こんなんでいいのかものすっごい不安なんだけどw


263:名無しさん@ピンキー
08/12/26 03:14:12 NfoMDO+y
GJ
先が気になるぜ!

264:名無しさん@ピンキー
08/12/26 03:29:36 0+TYYegl
つづき!
つづき!!!!

265:名無しさん@ピンキー
08/12/26 17:43:27 ST1ZlDAO
>奪われることを姉はまだしらない
お姉ちゃんヤンデレ覚醒フラグw
見事にフラグを叩き折ってくれることを期待




266:心の隙間
08/12/27 01:32:55 2qbeJ2Sg
ーー姉ちゃんはまったく状況が飲み込めていないみたいだな・・・

姉は口を半開きにしながら凪を見ている。
(まぁ、いきなり小学生連れてきたらこうなるわな。)

頭を掻きながら、なんて説明するか考えていると。
姉ちゃんから小さな声で聞いてきた。
「・・・・・・なにこの子?」
隠しても余計に怪しまれるから、今日あったことを全部姉に話した。

ーー始めは頷いてるだけだったが、状況を少しずつ把握してくると、顔を真っ赤にし勇に向かって怒鳴った。
「勇!!なに考えてるのッ!!!なぜすぐに警察に電話しなかったの!?親御さんが心配して、探してるかもしれないじゃない!!」

息を荒げて勇を怒鳴る。
「いや、警察に電話しようとしたんだけど嫌がってさ、公園に置いていく訳にもいかないし、だから今日一日だけ泊めてあげようとおもってね。」
「あのね・・・周りからみたら勇が連れ込んだって思われるでしょ!?勇が警察に連れて行かれたら私死ん!ッ・・・」

姉はハッとなって勇から目をそらす・・・
ーー感情が溢れ出そうになる。
(早く、この子を警察に引き取ってもらわなきゃ!!)

なんとかいつもの2人の日常を取り戻そうとするがうまく頭が働かない。

267:心の隙間
08/12/27 01:34:56 2qbeJ2Sg
ーー頭が追いつかない・・・
なぜ、よりによってこの日にこんな災難がくるの。

いきなり現れた子供は私からしたら邪魔者以外の何者でもない、
子供は好きだけど今の状況で好きか嫌いか聞かれたら、間違いなく嫌いだ。

「ーー警察に電話するから待ってなさい・・・」
凪を一睨してからリビングに歩いていく。
勇にも目をむけようとしたが、今さっき怒鳴ったばかりなので、心の距離をとられることを恐れて、これ以上は言えない・・・

今は感情的になってしまったが私が勇にむかって怒鳴ることはまずない。
一度同級生を連れてきたことがある、その時の同級生の勇を見る目は、表には出ていないが見るからに好意を寄せている目をしていたのだ。
その時は我を忘れて怒鳴ってしまったが、その後一週間勇とはギクシャクしてしまった。
今考えても胃が痛む、
なにか言えば勇の機嫌を損ねるんじゃないか、なにを作れば勇は喜んでくれるか
ーーあの同級生とは違う・・・私の目は勇しか写らない目



その目をこの子も持っている。

268:心の隙間
08/12/27 01:41:44 2qbeJ2Sg
夜勤の休憩に書いてるから少しずつになるんですよ、ごめんなさいね。
まぁゲーパロさんや、ほかの人が書いてくれるまでの繋ぎとして、見ててくださいね。

269:名無しさん@ピンキー
08/12/27 02:12:49 +m5xDUpg
最初のレスかな?
まずはGJ

繋ぎと言わずに、隙間も期待してみてるよー



270:名無しさん@ピンキー
08/12/27 07:36:52 GKT0b5vR
お疲れ。

まだ序盤っぽいので内容には触れないけど
「ーー」は使わないほうがいいかな。

271:名無しさん@ピンキー
08/12/27 10:19:03 JZ8r6ldR
つか「ーー」じゃなくて「―」だね

272:名無しさん@ピンキー
08/12/27 11:02:53 Tp4qAKXM
前々から気になってたんだが「―」ってどうやったら出てくるんだ?

273:名無しさん@ピンキー
08/12/27 11:19:58 OcxVifK7
うちのは、「だっしゅ」と打ち込んで変換すると「―」がでるです。

274:名無しさん@ピンキー
08/12/27 11:44:45 Tp4qAKXM
―おお本当だ。ありがたいありがたい
これをきっかけに>>273には依存せざるをえない

275:心の隙間
08/12/27 14:01:33 2qbeJ2Sg
OK、やめるわ

276:名無しさん@ピンキー
08/12/27 22:14:35 qGBBKm+w
勇と聞くとブレンを思い出す

277:名無しさん@ピンキー
08/12/27 23:22:12 lMgLTN6P
>>276
ごめん、覚えてない。

278:名無しさん@ピンキー
08/12/28 04:32:09 EsxkaK1H
>>276
ブレンパワードの主人公か。
あれも姉がブラコン風味だった気がする。

279:名無しさん@ピンキー
08/12/28 10:52:39 b1+MsJBJ
>>278
イイコ姉さん(漢字忘れた)は明らかにブラコンの域を越えた方です。

考えりゃブレンは登場人物が何らかに依存していた気が。
ジョナサンや艦長とか。

280:心の隙間
08/12/28 19:35:32 lC8W8hhB
書いてたらヤンデレと依存の違いがわからなくなってきたw

281:名無しさん@ピンキー
08/12/28 22:17:27 sVZFVDeu
>>280
ヤンデレ 要するに自己中心。自らの快楽が全て。 否定されると殺しにかかってくる

依存 献身的。相手の喜びが自分の喜び。 否定されると泣くか、謝罪&捨てないでコールをしてくる

さてどちらが現実にいてほしいかな

282:心の隙間
08/12/28 22:34:38 lC8W8hhB
>>281
あぁそういうことか、
依存は現実にいっぱいいてるけど、ヤンデレはちょっと危険すぎるよねw

今まで書いたのヤンデレになるんじゃないかなって思ったからちょっと不安になったの
すぐに続き書きますね。

ほかに誰か書いてくれないかなぁ

283:名無しさん@ピンキー
08/12/29 00:02:41 M1GR0GxL
ここはゲーパロさんが定期的に投下してくれるから、過疎スレ化を免れている危ういスレだからねぇ、
というわけで、心の隙間の作者さんには勝手ながら期待させてもらっているのです、頑張ってね。

284:名無しさん@ピンキー
08/12/29 01:42:09 hpiBKAbq
俺はヤンデレは愛しすぎて病んでしまうというか愛情表現が過剰になってしまう人の事だと思ってる。
だから依存型のヤンデレとか猟奇型ヤンデレとかそんな感じで広義な意味でヤンデレを認識してるわ。


285:心の隙間
08/12/29 02:29:44 lVbRlJtr
私は警察に電話をするためにリビングに入って電話の受話器を持つと、バタン!と玄関から扉の閉まる音が聞こえた。

「勇?」
なぜか胸の鼓動が早くなる

少し遅れてリビングの扉から、冷たい夜風が入ってくると同時に、勇の気配も、声も、匂いも、一瞬にして消え去った。
受話器を置き、恐る恐るリビングの扉から玄関を覗く。

「・・・・・・え?」
勇がいない・・・
カバンは置いてあるが靴がない。
血の気が一瞬で引いていく。
なんで・・・どうして?怒って出ていった?
「ッ!早く追いかけなきゃ!!」

靴を履くことすら忘れて、裸足で家を飛び出すが、家を出たらすぐにT路地になっている。
「どっちに行ったかわからない・・・早く謝らなきゃ」

足が震える。
「勇・・・・・・ゆうユウ・・・」

口から出るのは弟の名前ばかり、こんな時にも私は座り込むことしかできない。

周りには闇しかない・・・・・・光(勇)が見えない

286:心の隙間
08/12/29 02:31:35 lVbRlJtr
「なんで小学生ってあんなに足が速いんだ!!」
凪を追いかけながら呟く。

姉が警察に電話をしようとリビングに入ったら
凪はいきなり走って逃げてしまった。

「ハァ、ハァ、凪ちゃん!!ハァ、ちょっと待って!」
大声で叫ぶと凪は走るのを辞めた。
(こんな真夜中に・・・周りが聞いたら間違いなく警察に捕まるだろうな。)

凪は息切れ一つしていない。

「(俺が歳なのかな?)凪ちゃん足速いね、ビックリしたよ」
「お兄ちゃんも速かったよ、絶対に見失うと思ったもん」
凪は笑いながら話しかけてくる。
「もう鬼ごっこはおしまい、風邪引くからお家に行こう、お姉ちゃんには俺が言ってあげるからね」

しゃがんで凪に話しかけると少し悩んで凪がコクッと小さく頷いた

俺がそっと手を差し伸べると、凪は顔を少し下げ照れた仕草をしながら、手探りで人差し指と中指を握ってきた。


凪と話しながら歩いていると、家の前になにかうずくまっているのが遠目でもわかる。

凪は勇の顔ばかり見ているので全く気づかなかったが勇はそれを見て一瞬で体が硬直した。



「・・・・・・姉ちゃん!?」

287:心の隙間
08/12/29 02:40:48 lVbRlJtr
>>283
ありがとうございます。
少しずつですが書いていくのでよろしくお願いします。

288:名無しさん@ピンキー
08/12/29 09:54:57 e+Ty9FNx
>>287
超GJ!!
依存好き&お姉ちゃん大好きの自分としてはたまらんだぜ

ただまとまってから投下したほうがよいかも

289:名無しさん@ピンキー
08/12/29 13:45:30 B3uSNMAz
>>281
お前とはいい酒が飲めそうだ。

290:281
08/12/30 00:42:20 7aMdJy0Z
あともう一つ違う点があるな。
ヤンデレ バッドエンドが多い
依存 ハッピーエンドが多い かな?
ヤンデレのバッドエンドは「あーあ死んだか」程度にしか思わんが
依存のバッドエンドは心が痛い

291:名無しさん@ピンキー
08/12/30 00:58:09 6r7Rf1Lw
依存型は普段は暴れてたりツンツンしてても、いざ破局間近になると泣いて縋りそうだよね。
そりゃ心も痛むってもんだよ。

292:心の隙間
08/12/30 04:32:58 lziqKQYF
凪の手を離し、うずくまっている姉に走って近づく。
背中に手を置くと小刻みに震えているのがわかる。
「姉ちゃんどうしたの!!?怪我はない!?」
なんで道路で倒れてるのかわからない、なにか事件に巻き込まれたのかと嫌な考えが頭によぎる。
「ユウ・・・・・・ゆう?・・・・え!?勇!!」
いきなり抱きつかれ姉の全体重が胸にのしかかってくる、
「ちょッ!!姉ちゃん?、どうしたのこんなとこで?心臓とまるかと思ったよ・・・」
「勇が怒って出ていったから探しにいったんでしょ!?」
(怒った?俺が?)

勇を離すまいとしがみついてるので、無意識の内に背中に回している手の爪が、服を通り越して皮膚に食い込む。

「痛ッ!!ちょっと!背中に爪が食い込んでるよ!!」
「やッ!嫌だッ!!」
離そうとするが姉は混乱して全く離れようとしない、それどころか、しがみつく力が増してきた。
「ッ!!・・・姉ちゃん、大丈夫だからね?早く家に行こうね?風邪引くから」
髪を撫でながら小さい子を宥めるように、優しく言う。
「・・・・・・」
「まだご飯食べてないんだよね~、お腹空いたから早く家に帰ろうよ」
なるべくいつもの会話みたいに、違和感の無いように話しかける。



「・・・・・・なに食べたいの?」

293:心の隙間
08/12/30 04:34:55 lziqKQYF
背中から痛みが和らいでいく。

「う~ん、部活で身体動かしたからさ、ものすごくお腹へってるんだよね、肉が食べたいかな」
「うん・・・それじゃいっぱい料理作るよ」
背中から手が離れていく、その手が勇の左腕に移動する
「それじゃ早く帰ろう。」
左腕に姉がしがみついるから歩きにくいが、拒んだらまたややこしくなりそうなので、そのまま歩こうとすると。


「あの・・・・・・お兄ちゃん・・・」

忘れてた・・・・・・
「凪ちゃんごめん、こっちにおいで」
凪が泣きそうな顔でこっちを見ている。
左腕は姉で埋まっているので右手で凪を手招きする。
子供が2人いきなりできた気分だ。
小さな女の子と女性に挟まれて歩く光景は周りから見たら微笑ましく写るかもしれない。

しかし勇は息苦しくて仕方がなかった。
勇の頭の中は寝ることでいっぱいだ、
(早く帰って寝よう、今日はイロイロなことがありすぎた・・・)

疲れはてた身体で考えることは難しく、姉との週に一度の約束も忘れてしまっていた。

294:心の隙間
08/12/30 04:40:51 lziqKQYF
「ただいま~」
玄関を開けて誰もいない家に声をかける
「おかえりなさい」
一緒に入ってきた姉が小さな声で答える。
少し後に続いて凪がおじゃましますと家の中に入ってくる。
玄関で立ち止まってても仕方ないので、靴を脱ぎ凪を連れてリビングに入る。
姉は靴を履いてないので先にリビングに入ってくれてよかったのだが
何故か靴を脱いでリビングに入るまで、玄関を離れなかった。

ふぅ、やっと落ち着ける。
ソファーに腰をかけため息を吐くと、凪はオドオドしながら部屋の中を見渡している。
「凪ちゃん、こっちに座りな」
隣をポンポンと叩くと、凪はそれに従ってソファーに座った。
姉を見るとチラチラとこちらを意識しているが、なにも言わず冷蔵庫を覗いている。
「お腹へってるから早く食べたい」
「うん・・・それじゃ簡単な物にするね?」

正直早く寝たい・・・
欠伸をしながら目を擦る。
凪を見ると下を向いたまま動かない。
寝てるのかな?と思い顔をのぞき込むと、目は開いている。
目線をたどると俺の手を見ている。
少し凪の顔を眺めていると、やっと顔をのぞき込まれてることに気づいたのか、凪がヒャァッと変な声をあげて飛び上がった。
「手になにかついている?」

295:心の隙間
08/12/30 05:03:08 lziqKQYF
「・・・・・・お父さんみたいに優しい手してる」
勇の手を握り小さく呟く。

お父さん亡くなったんだったな・・・そりゃ寂しいよな。
「そっか、お父さん優しかったんだね」
凪はポロポロと涙を流しながら勇にしがみつき、小さな声で泣き出した。
俺からはなにも言えないよな・・・
自分の無力さにイラッとするが、どうしようもない。
明日はちゃんと家に帰さなきゃ、親が絶対に心配してるはず、でも今日だけはこの子の父親でいてあげよう。


この子は一年前の俺だ・・・父に依存していた俺は父が死んだ時一瞬で自分の世界が崩壊した。

父が死んだ後、依存する対象が姉しかおらず、父から姉に移った。
結果俺は立ち直ったが、その「代償」は大きく、俺の心の隙間が姉の心に伝染したのだ。

その隙間が大きな亀裂となり家族を失う恐怖と、一人になる寂しさから、姉は俺を離さなくなった。
今の姉はしていることは違えど「あの人」を思い出す、
「暴力」でしか愛せない。唯一歪んだ愛を俺にむけた人・・・
もう誰もいない夫婦部屋に目を向ける。


「2人には広い家だな・・・・・・」
姉も凪にも聞こえない小さな声で呟いた。

296:名無しさん@ピンキー
08/12/30 14:00:24 dP/GKZ2J
>>270「―」がなんでダメなの?


297:名無しさん@ピンキー
08/12/30 14:12:55 v6Q/Ru01
>>296
あんた本当に21歳以上か?

298:名無しさん@ピンキー
08/12/30 16:12:45 ik28Fdtz
今は18歳以上なのだが

>>296
指摘されてる作品はそれを連発しすぎていたからだろう
三点リーダーと同様に多用するとくどくなるからね


299:心の隙間
08/12/30 16:23:20 lziqKQYF
>>298
あっそうなの?
―とーの違いを指摘されたかと思ってた

300:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/12/30 20:05:40 bNGYkHt4
「─」「……」依存症がここにも約一名。
そりゃあもう辞書登録するくらいに依存症。

「ー」とい「―」は携帯で見るとほとんど同じに見える場合もありますね。
モニターで見ると「ー」の左側の上にあがっている部分が気になりますが。

301:名無しさん@ピンキー
08/12/30 20:26:02 5IQZ65BB
「・・・・・・」は「……」に直した方がもっと読みやすくなるぜ。
面白いのにリーダのせいで読み辛いとちょっと悲しいぜ。

302:心の隙間
08/12/30 20:30:00 lziqKQYF
依存者だらけたなw
まぁ俺も最近ここに依存してるけど、ちょっと控えなきゃ出れなくなるw
>>300
そんなんですよ、
それに俺の携帯は古いからかーは端があがってないんです・・・
長さで区別するしかないんですよね。
だから始め間違えて使っちゃったんだけど



303: 【大凶】 【1704円】
09/01/01 02:19:32 jdsjBq15
あけおめー

304:名無しさん@ピンキー
09/01/01 12:08:51 rvcYO4rN
>>302
携帯だと確かに横棒系記号の区別は辛いものがある。自分のには4種あったけど内2種は区別困難だった。
「・」を重ねるよりは「…」の方が主流というかそこが気になる人は多いようだから気をつけた方が吉。

305:心の隙間
09/01/02 04:29:26 ZtMlyIiv
あけましておめでとうございます。

「…」があるってことを今の今まで知らなかったです
みんな「・」を並べてると思ってた……
次からは気をつけますね。
ありがとうございました。
楽しみにしてくれている人が何人いるかわからないですが、なるべく早く続きを書けるように頑張ります。


306:名無しさん@ピンキー
09/01/02 05:10:33 8c/5rAxc
あけおめ!
期待させてもらいます。

307:心の隙間
09/01/04 05:43:34 QUwcrSkA
―昔のことを思い出しながら、夫婦部屋の扉を眺めていると、姉が料理を運んできた。

「買い物行ってないから、冷蔵庫の中にあるもので作ったんだけど、こんな物しか作れなかった……ごめんね。」
そう言うと、サラダ、味噌汁、肉じゃがを申し訳なさそうにテーブルに置く。

「いや、作ってくれるだけ有り難いよ、姉ちゃんの料理はなんでも美味しいからねぇ、いくらでもお腹に入るよ。」

姉は親が離婚してから家事を一人でしているからか、料理が人一倍美味い。
感謝の気持ちをこめて、たまに俺が料理をつくると。
「嬉しいけどお姉ちゃんの仕事が無くなるから……」
と複雑な顔をするので、ほとんど俺が台所にたつことはない。
だから家事全般は姉がすることになっている。

「ありがとね、勇」
姉が嬉しそうに笑う。
こんなに綺麗で優しい自然な笑顔を、なぜ家族以外の異性に見せられないのだろう。
スーパーの定員におつりを渡してもらう時も、どことなくぎこちない笑顔になっている。
ナンパなんてされた日には、顔が引きつるどころか、泣き出してしまいそうだ。
こんな姉が家族として心配でならない。

308:心の隙間
09/01/04 05:44:30 QUwcrSkA
ふとテーブルを見ると、俺の前にしか料理が無い。
そういや凪にも聞くの忘れてた……
「凪ちゃんご飯食べた?」
「……グゥ~…」
口からでは無くお腹から返事が聞こえた、
「ちゃんと作ってあるわよ、今持ってくるわ。」
姉が背中を向けて凪に話す。
凪はお腹の音を聞かれたせいか、顔を真っ赤にして下を向いてしまった。

「はいどうぞ、召し上がれ。」
凪の前にも俺と同じ物が並ぶ。
「美味しそう……。」
「姉ちゃんの料理は美味しいよ!この料理食べたら毎日食べにきたくなるよ」
凪の耳元で小さく姉に聞こえるように言う。
「馬鹿言ってないで早く食べましょ、冷めるわよ。」
「うん!それじゃ~いただきま~す。」
「いただきま~す。」
「いただきます。」
礼儀よく三人で手を合わせて食べ始める。

「美味しい!!」
「そうだろう?美味いだろ?家の自慢は姉ちゃんの料理だからな」
笑いながら凪の頭を撫でる。
「ボソッ……作ったの私なのに…」
「え?なに?」
姉が小さい声でなにか呟いたが聞こえなかった。
「べつに、なんでもないよ早く食べよう」
「うん…」
てゆうかテーブルに三人並んで食べるって変な感じだな……いつもならテーブルを挟んだ俺の前に座るのに今日は何故か横に座ってきた。

309:心の隙間
09/01/04 05:45:44 QUwcrSkA
姉の行動の意味がわからないので放置する。
よく解らないことに口をだすと、後々変なことに巻き込まれそうだからだ。

凪は少し距離を置いて座っているが姉は太ももが密着してる状態なので、非常に食べにくい。
「姉ちゃん…ちょっと食べにくい」
「…」
たまに姉は頑固として言うことを聞かない時がある。
今がその時なんだけど。
俺が横に少し移動をすると姉も膝を上げ正座の状態でススッと移動してくる。
一度それを繰り返したことがあるが最終的に膝の上に座られた。
(凪は料理に夢中だな。)
凪はさっきとは違い、余程お腹が空いていたのか、花より団子と言った感じだ。
(美味しそうに食うな……ほっぺたに米粒がついてる)
妹ができた気分で嬉しくなる。
「凪ちゃん、ほっぺにお米ついてるよ」
凪は慌てて米粒がついていない反対の頬を触る。
「そっちじゃないよ、取って上げるね」
そう言うと口元についてる米粒を人差し指でとってあげた。
「ありがとうお兄ちゃん!」
「どういたしまして」
そんなやりとりを一部始終見ていた女が一人
おもむろに茶碗に手を伸ばしご飯を手で一掴み。

「ピトッ…ピトッ…ピトッ…」


310:心の隙間
09/01/04 05:46:25 QUwcrSkA
「姉ちゃん……」
どんだけ腹へってたんだ…
凪の米粒を取って振り返ると、料理を食べる訳でもなく口の周りの米粒を取るでもなく前を向いたまま動かない姉ちゃんがいた。

いや目だけはこっちをチラチラ見ている。
「……(取れって意味だよな)ね、姉ちゃんも米粒ついてるよ、ほら)」
一つずつ取ってやると
「あっほんとだ!ありがとう」
と胡散臭さ抜群の返しをしてきた。
なにをしたいのか、今一解らないが早く食べたほうがよさそうだ。
残っている料理を素早く食べると10分後に姉と凪も食べ終わった。
「いや~美味しかった!!ごちそうさま」
「ごちそうさま」
「はい、ごちそうさま」
姉が纏めて食器を流し台に持っていく。
「ふぅ~食った食った。」
「お兄ちゃん、ありがとう美味しかった。」
「俺が作ったんじゃないけどね、お姉ちゃんに御礼いっときな」
「うん、ありがとうございました!、ものすごく美味しかったです!!。」
凪は台所の姉に向かって御礼を言った
「そう、喜んでくれて嬉しいわ」
姉も洗い物をしながら凪に言う。

311:心の隙間
09/01/04 06:13:06 QUwcrSkA
―やっぱり家族が多ければ楽しい。
思い出すな……
(父さんと俺と姉ちゃん、いつも楽しかったな。)

父から色々なものを貰った。
思い出やプレゼント、土日になれば俺と姉ちゃんのために、どこにでも連れていってくれた。

周りから見たら「甘すぎる」かもしれない。
しかし俺はそんな父の優しさ、背中の広さ、人に対する心遣いをこの目で見て育った。
だから凪もほっとけなかった。
父なら同じようにしたと思うから…。

ただ唯一父が激怒したことがある。
離婚する時に言った「あの人」の言葉「勇は連れていく」
その言葉に父は「ふざけるな!!姉弟を離ればなれにさせる訳にはいかない!絶対に俺が育てる!!」

ある日「あの人」が俺にしていたことを父は知った…いや、見てしまった。
そのことが離婚の引き金を引いたのだから正義感強い父の性格上、絶対に渡すわけにはいかなかったのだろう。
そんな父にいくら感謝をしてもしきれない。

感謝をしたくても、もう親孝行すらできない。

312:心の隙間
09/01/04 06:13:40 QUwcrSkA
父のことを考えると涙が出そうになる。
「勇、お湯を沸かしたから、お風呂入ってきなさい。」
姉の言葉で現実に引き戻される
「うん、わかった」
眠気が襲ってくるので早く風呂に入ろう」
ソファーから立ち脱衣場に足を進めようとすると凪もついてこようとする。
「……今からお風呂入るんだよ?先に凪ちゃん入る?」
(こんな時にもレディーファーストしなきゃいけないのか…)
「……お兄ちゃんと入る」
その瞬間ガシャーンッ!!と大きな音が鳴り響く。
「姉ちゃん大丈夫!?怪我ない?」
フローリングには皿が割れて飛び散っている。
拭いている途中で手を滑らせて落としたらしい。

一瞬姉ちゃんが停止したが我を取り戻したのか慌てて皿をかたづようと、しゃがみ込む。
「ごめん、ちょっと手滑っちゃった」
「怪我がなければいいけど、気をつけてね」

下に落ちた皿の破片を全部拾いゴミ箱に捨てる。

「んじゃ風呂行ってくるね」
「まって!!凪ちゃんと一緒にお風呂入るの!?だ、だめ!!駄目だからね!!」
姉がえらい剣幕で話しかけてくる。

「わかってるよ……凪ちゃん、ごめんね?お風呂は一人で入ってくれる?」
流石に一緒には入れない。


313:心の隙間
09/01/04 06:14:12 QUwcrSkA
凪は露骨に嫌な顔をした。
「まぁ、風呂ぐらい入れるだろ?先に入っておいで。」
凪を風呂場に連れていく。
「……」
完璧、膨れてるな……
凪は下を向いたまま勇の手を取り風呂場に向かう。
「まぁ、こればっかりはちょっと許してね」
凪の頭を撫でる。
「……それじゃ、お風呂出るまでここにいて」
「ここって脱衣場なんだけど…」
「うん、すぐに入るから」
そう言いながら服を脱ぎ出す
「ちょッ!まッ!まって!!」
脱衣場から出ていこうとすると
「やッ!ダメダメ!!ここにいて!!」
ガシッ!と凪が背中にへばりついてくる。
「わっわかったから!!早く背中から離れて!!」
そう言うと凪は勇の手を掴んだまま服を脱ぎだした
「もう、服脱いだよ」
「う、うん、それじゃ、お風呂に入って(小学生相手にアホか俺は!)」
「逃げない?」
「に、逃げないよ!」
「絶対に?」
「ぜ、ぜったい!」
「……」
やっと解ってくれたのか風呂場に入ってくれた。

「ふぅ……疲れた」
一人になり一気に肩の力が抜ける。

「お兄ちゃんそこにいる?」
「ちゃんといるよ~」
……今日はなかなか休めないな。

314:心の隙間
09/01/04 06:14:50 QUwcrSkA
凪が出た後は俺だ。
流石に脱衣場から出ていってほしいと言ったら
顔を真っ赤にして脱衣場から出ていった。
見られるのは大丈夫なのに見るのは恥ずかしいのか?
よくわからない…
なるべく早く身体を洗い頭を洗う。あまり湯につかることができなかった。
「―お兄ちゃん、まだ?」
「もう出るよ、ちょっと待ってね」
脱衣場の扉の前で待ってるのか…
凪を待たすと風邪を引きそうなのでさっさと身体を拭き、服を着て、姉に出たことを伝えにいく。
すると、姉は入る用意してたのか、すぐに風呂場に直行した。
俺と凪はリビングのソファーに腰を掛け、テレビを見ていたが凪がウトウトしている。
時計を見るともう22時だ。
流石に小学生に22時は無理があるな
「凪ちゃん、眠たい?それじゃ寝よっか?」
「………うん。」
ボーッとしているのか声が小さい。
「それじゃ二階に行こうか?」
凪をつれて二階の勇の部屋に向かう
(凪をベッドで寝かせて俺はソファーで寝よう、明日休みだし大丈夫だな)
2人とも頭で考えることは同じ、「早く寝たい」これだけだ。
ただ凪の思考には純粋なオマケがついてくる。




(お兄ちゃんと早く寝たい。)

315:名無しさん@ピンキー
09/01/04 13:13:38 IWaudGV3
GJ!!!!!!
凪の依存度が増えていくw



もう7時間も正装でまってるんだが続きは無いのか
この寒い中、裸に靴下ネクタイはきついんだが

316:名無しさん@ピンキー
09/01/04 19:27:48 AodhF/hW
GJ!!

胸にキュンキュンくるww

317:心の隙間
09/01/04 20:50:08 QUwcrSkA
>>315
寝てましたw
まだ続き書いてないので出来次第また来ますね
あと服着て待っててくださいw

>>316
ありがとうございます
まぁ携帯なんでちょっとずつになりますがなるべく早く頑張ります

318:名無しさん@ピンキー
09/01/05 09:42:02 A8vWONKk
>>317
PC持ってないの?

319:名無しさん@ピンキー
09/01/06 00:59:32 NMNblGtY
しかし依存スレでなければ登場人物の命が心配なレベルw

320:心の隙間
09/01/06 06:56:13 HeA4JfUN
―お父さん…



いつもある「毎日」が一本の電話で音を立てて崩れ落ちた。
お手伝いさんのヒソヒソ声が、偶然扉越しに聞こえてしまった。
ハッキリと聞こえた「事故」、「即死」と言う言葉。
トラックとの接触事故らしいがどうでもいい……
お父さんがいなくなった今、私の居場所はもう無かった。

お母さんはいつも忙しく、私の周りのことは、全部お手伝いさんがしてくれた。
だからお母さんとの思い出がまったくない。
だけどお父さんは違った、忙しいけど暇をみつけては私と一緒にいてくれた。
夜寝る時も、私が寝るまで側にいてくれた。
私の大好きなお父さん。

なのになんでだろう……
お父さんの葬式の時も、お父さんが火の中に入れられるのを見た時も、涙は出なかった。

なんでだろう―お父さんの顔が思い出せなくなっていた。

321:心の隙間
09/01/06 06:56:41 HeA4JfUN
お父さんの葬式から5日も経てば、周りのみんなは、なにもなかったかのように普段の日常を取り戻していた。
私だけ日常に戻れず、学校と家の行き帰りだけになっていた。
外に遊びに行くわけでもなく、家でなにかするわけでもなく、窓の外を見るだけ。
お父さんの部屋の前に行ったが扉を開けようとすると手が震えて開けられなかった。
扉を開けてお父さんがいなければ、私は多分泣き叫ぶと思う。
いや…絶対に壊れるという確信があった。
だからお父さんのことは、頭では解っていたけど心が現実を拒んでいた。
お父さんがいないこの家は私の家ではない……

どうせお母さんは私のことを探さない。
そう思うと行動は早かった。
財布とお父さんから貰った携帯以外なにも持たず家を飛び出した。

―なにも考えず歩いた。
夕方になり空が薄暗くなるとカラスが鳴き始める。

財布の中を見てみると千円と小銭がちょっと
「…」
近くのコンビニで肉まんを買いまた歩き始める。
「寒い……ここどこだろ…」
なにも考えずに、歩いて来たため、ここがどこかまったくわからなかった。

トボトボと歩いていると近くに自販機が見える
「…なにか暖かいの飲もう…」


322:心の隙間
09/01/06 06:57:15 HeA4JfUN
自販機の前に立ち、財布から千円札をだそうと手をかけたその時。

後ろから図太い男の声が聞こえた。


「ねぇ、どうしたの?…… 」
いきなり声をかけられたので、ビックリしてお金を下に落としてしまった
「あぁ…ごめん、怖がらせちゃったね。」
振り返ると小太りの30代の男の人が立っていた
「うぅ…あの、えっと…わたし…」
「大丈夫だよ、おじさんがとってあげるよ」
そう言うとしゃがみ込んで千円札を拾う。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」

御礼を言うとまた自販機に向き直る。
なにも買わずに走って逃げたら怪しまれると思って手が震えるのを我慢し、千円札を入れる。
「髪になにかついてるよ……」
そう言うとり小太りの男は髪を触ってきた
「ありが……ざいます…」
背筋がゾッとする
(早く逃げなきゃ!!)
ジュースを買い、とるためにしゃがみ込むと
男の手が肩に置かれる。
「夜遅いから……家まで一緒に行ってあげるよ。」

この瞬間、身の危険より、家に送り返されることが頭が浮かんだ。
「やッ!!」

ジュースもお釣りも取らず、走って逃げようとした。
ガシッ
「まってよ…大丈夫だからね?こっちおいで」

腕を掴まれ、恐怖で足が動かない。

323:心の隙間
09/01/06 06:57:44 HeA4JfUN
「それじゃ、僕の家においでよ…」
凪がピタッと止まる。
それを見た男は、汚らしい笑顔を浮かべた。
「……家?」
私がこの人の家に行く?
「そう……遊ぼうよ」
意味がわからない、私を家に連れて帰るんじゃないの?
「遊ぶってなにして?」
「楽しいことだよ」
男はニコッと笑って頭を撫でてきた。

本来なら嬉しいはずが、男の行為すべてに嫌悪感しか抱けない。
この時になってやっと本当の身の危険を感じ取った。
(この人おかしい…ついて言っちゃダメだ!)
男が凪の頭を撫で終わった直後、男を両手で、力いっぱい突き飛ばした。

すると男は、中腰で立っていたため、女の子の力でも勢いよく派手に転んだ。
その隙に凪は、男の横を全速力で走り抜けた。
男もすぐさま立ち上がり、追いかけようとしたが凪の足の速さに勝てる訳もなく、ただ呆然としてるだけだった。

324:心の隙間
09/01/06 06:58:16 HeA4JfUN
―後ろを振り返らず、がむしゃらに走った。
「ハァ…ハァ…ハァ」
どれぐらい走ったかわからないが、追っかけてくる足音も声も聞こえない。
後ろを振り返ると誰もいない、
「……はぁ~怖かったぁ」
安堵か恐怖か解らない足の震えが来る。
「これからどうしよう、お金もう無いし…戻るのは嫌だし。」
お釣りを置いてきてしまったので財布は空っぽだ。

またトボトボ歩き出す。
(私このまま死んじゃうのかなぁ?…そしたらお父さんに会えるかな…)
ふとそんなことを考えながら歩いていると
視界に薄暗い公園が入ってきた。

空を見上げればもう真っ暗だ…
無論公園には誰もいない。

夜の公園は怖いが仕方がない。
街灯に照らされている一つのベンチが目に入る。
(歩くの疲れた…ちょっと休もう)
フラフラになりながらベンチに腰を落とす。

(少し休んだらまた歩こう)

どこに?

(はぁ…心配してるかなぁ)

だれが?

(………)

私を心配する人や、帰りを待ってる人なんて、誰もいない。

325:心の隙間
09/01/06 07:04:16 HeA4JfUN
「……お父さん」
公園で遊んでいれば迎えに来てくれた。
「…ウッ…グスッ…」
いつも私の頭を撫でてくれた
「お父さんに…会いたい…」
顔を思い出せないんじゃなくて、思い出したくないんだ……
(お父さんが探してくれるまでここにいよう……お父さんなら見つけてくれるはず)
今は、唯一この街灯の照らす光が、私の居場所。


お父さんのことを考えていると、少し遠くから小さな声が聞こえる。
お父さんの声ではないので私ではない。
しかし足音は公園内に入ってくる。
(もしかして……追いかけてきた?)
嫌な汗がでる。
(ヤダ、怖い!逃げなきゃ!!)
そう考えていると視界に靴のつま先が入ってきた。
(もうダメ!逃げれない!!)
ギュッと目を瞑り膝を強く抱え込む。



―「大丈夫ですか?なにかあったんなら警察呼びますか?」

326:心の隙間
09/01/06 07:06:20 HeA4JfUN
―あの人じゃない?
聞こえてきた声はもの凄く優しい声だった。
お父さんと同じ優しい声
何故か分からないけど、その人の顔を見たくて自然と目線が上がる。

お父さんに似てる…
顔や背格好が似てる訳じゃなく、雰囲気がお父さんに似てる。
「帰るお家ない…お父さんいなくなっちゃったから」

なぜこの人にこんなこと言ったんだろう…自分でもよくわからない
ただこの人が、本当に心配してくれてるのが声でわかった
こんな優しい声を私にかけてくれる人なんて、お父さん以外にいなかった。

気が緩んだのか見知らぬ人の前で私は泣いてしまった。
私が急に泣き出したのを見て、男の人が困惑してるのが分かる
だが感情が溢れかえってる今、涙を止めることはできなかった。
オロオロしながら男の人が私に言う
「それじゃお巡りさんに助けてもらおっか?」

おいて行かれる!!
「嫌!お兄ちゃんも私を置いてどこかいくんでしょ!?」


327:心の隙間
09/01/06 07:10:41 HeA4JfUN
言い終わった後にハッとなった。
(もうダメ…私おいていかれる…)
「こんな暗いとこに置いていくわけないだろ?一緒にお巡りさんのとこまで連れていってあげるよ」

考えていたことと違った答えが返ってくる。
どうしたらいいか考えていると、彼が私にスッと手を差し伸べてきた。
(…握ってもいいのかな?)
少し警戒したが思い切って手を握る。

(……暖かい)
手袋もせず、何時間も真冬の夜の街を歩き回っていたから手の感覚が無かった。
「どうしたの?早くいこ?」
手の暖かさを感じていると声をかけられた。

「嫌、お巡りさんのとこにいくとあの家に連れていかれる…」
「家があるの?なら帰らなきゃ心配するよ?お母さんだって今頃探してるかも」
「あの家に帰るならもうここでお家つくるもん!!」

感情的になって繋いでいた手を離してしまった。
(手……離れちゃった…)
よくわからない感情がこみ上げてくる。

もう一度手を繋ぎたい、そう思いながら彼の手を見ていると。
「キミが嫌じゃなかったら一晩だけ家にくるかい?」

328:心の隙間
09/01/06 07:15:33 HeA4JfUN
―え?今なんて?私がこの人の家に行く?…

(さっきのおじさんと同じこと言ってる…どうしよう、でも…おじさんみたいに嫌悪感がまったく感じられない。)

父の顔色ばかり伺う人を見てきたからなのか、上辺で話してる人と、心から話してる人の区別がつく。
「ここじゃ寒いでしょ?風邪引くし寝る所ぐらいなら用意するよ?」

でも…もう、私にはこの人しかいないんだ。
「いいの?迷惑じゃないの?」
「大丈夫だよ、てゆうかキミをここに置いていったら心配で眠れないから」
彼が優しい笑顔で答えてくれる。
思わず嬉しくなって抱きついてしまった。
彼は倒れそうになるのを支えてくれた。
(お兄ちゃん…)
何時間もかけて、ここまで歩いてきた理由がやっとわかった…。



―この人に会うためだ。

329:心の隙間
09/01/06 07:18:00 HeA4JfUN
終わりです(-.-)zzZ
仕事行ってきまーす。
では

330:名無しさん@ピンキー
09/01/06 09:01:40 4fqB5ygN
超GJ!!
凪ちゃんは頭いい子なんだなー。語彙がすげぇ
これからも楽しみにしとるよ

331:名無しさん@ピンキー
09/01/06 23:11:29 HeA4JfUN
>>318
もってないですね、PC使うことがないんで。
>>330
ありがとうございます。
俺ばっかり書いてるけどあんまり書きすぎると、他の人投下しにくくなるかな?

332:名無しさん@ピンキー
09/01/07 01:23:14 zLfw8c9e
自己主張はほどほどにしといたほうがいいと思うよ。

333:名無しさん@ピンキー
09/01/07 01:37:35 Ff5SGBw1
>>332
OK、気をつける


334:名無しさん@ピンキー
09/01/07 01:40:14 xnHVUBCc
>>331
丁寧に個別にレスしたりしていると、たまに変なのに絡まれて面倒なことになるんで
気をつけた方が良いよ、作品に直接関係しないようなことで作者さんの意見やら個性を出すと
付け込まれる恐れがある

あと、今ここで書いてくれているのは貴方の他はゲーパロ氏しかいないから特に遠慮する必要はないかと

335:心の隙間
09/01/07 06:01:09 Ff5SGBw1
―はぁ……どうするかな。

勇は今、少し困った状況に追い込まれている。
「凪ちゃん…ベッドは一つしかないんだよ?小学生の凪ちゃんと違って身体が丈夫だから俺がソファーで寝るよ。」
「だからさっきから言ってるでしょ?このベッドを2人で使おうよ。」

勇の部屋に入った2人は、ベッドで2人で寝るか、1人で寝るかについて押し問答している。
凪の意見は、「お兄ちゃんがソファーで寝るなら私がソファーで寝る、それが嫌なら2人で寝たい」

勇は「凪ちゃんはお客さんだからソファーで寝てもらう訳にはいかない、風邪でも引かれたら困る、一緒に寝るのは反対」
凪の本音は「2人で寝る」しか選択肢が無いのだが
勇も一筋縄ではいかない。

なにもないとは言い切れる……が、如何せん姉が許すわけがない。

家に連れてきただけでも、犯罪臭がするのに、一緒に寝るとなったら……
「それじゃ横にいてあげる、じゃダメ?」
「ダメ」
即答。
はぁ…
ため息がでる
なにを言っても最終的には「一緒に寝る」に行き着いてしまう。
どうしたものか。

336:心の隙間
09/01/07 06:01:45 Ff5SGBw1
―早くしなきゃ…あの人がくると、確実に一緒に寝るのは無理になる。
多分あの人は私のことを良く思っていない。

話しかけられた初めの声で解った、お兄ちゃんは気づかなかったが、あの罵倒の言葉は私にぶつけていた。
お兄ちゃんのほうを見ていたが、すべての罵倒は私に容赦なく突き刺さってきた。
あの人の私に対する感情は、憎悪しか感じ取れなかった。
食事もお兄ちゃんに言われなければ、私に出すことは無かったと思う。
(ものすごく、美味しかったけど)
だから、怖くてあの人の顔もまともにみれなかった。

―お父さんによく使っていた最後の手段……
純粋なお兄ちゃんには使いたくない作戦だけど、しょうがない。
勇が凪を説得してる途中、凪は下を向き、肩をフルフルと震わす
「……凪ちゃん?」
お兄ちゃんが心配して声をかけてくれる。
罪悪感がでるけど、お兄ちゃんのガードが堅すぎる。
「グスッ……お父さんがいつも一緒に寝てくれてたから寂しくて…グスッ…ごめんなさい」

下を向きながら泣いてる真似をする…
(お父さんは私の泣き真似でいつも騙されてた…)
お兄ちゃんこれで「一緒に寝る」っていって!!お願い!!!

「……凪ちゃん…」

337:心の隙間
09/01/07 06:02:42 Ff5SGBw1
凪ちゃん……



泣き真似下手すぎたろ………
凪は下を向いて一生懸命泣き真似をしている。
泣き真似をする前の、「閃いた!!」みたいな前フリから始まり、小さな手の平で顔を隠しているが、指の隙間から時々チラッとこちらの様子をうかがっている。
隙間から見える横顔が一生懸命なので、本気で俺を騙せてると思ってるらしい。……
(はぁ……この歳で姉ちゃんと同じようなことをしてくるのか…いや、姉ちゃんの精神年齢が幼すぎるのか…)
2人とも騙すならしっかりと騙してほしい…
変なことを考えていると、階段を上がってくる足音が聞こえる。
この家には今3人しかいない。
凪と俺はここにいるので、必然的に階段を上がってくるのは姉になる。
階段を上がり、勇の部屋の前で足音が止まる。

コンコンっ…
「勇…入るわよ?」
ノックをした後、姉の静かな声が聞こえる。
「うん、いいよ」
姉は、入ると言っても俺からOKがでない限り絶対に入ってこない、まぁ普通かもしれないが、朝これで何度遅刻したことか。

338:心の隙間
09/01/07 06:03:17 Ff5SGBw1
ガチャッと扉が開くと、パジャマ姿の姉が入って来た。

風呂からでたばかりなのだろう、髪から湯気が出ていて、石鹸とシャンプーのいい匂いがする。
「勇、その子の布団をお父さんの部屋に敷いたわ」
「あぁ…うん、凪ちゃんどうする?」
「グスッ……」
「それ………私に通用すると本気で思ってるの?…」
凪がビクっとする。
「姉ちゃん、怖がらせちゃダメだよ」
「……」
どうしよう…ややこしくなってきたな。
「私…お父さんと寝てたから…一人で寝れない…お兄ちゃんと寝たい」
「ダメに決まってるでしょ?なに考えてるの?…てゆうかなにベッドに座ってるの?そこは私とゆッ」
「姉ちゃん!!」
今度は姉がビクッとなる
「はぁ…わかった、それじゃ今日は凪ちゃんと一緒に寝るよ」
凪の顔がパァっと明るくなる
逆に姉の顔は青ざめていた。
「ただし、姉ちゃんもこの部屋で寝ること。
ベッドの横に布団を敷いて同じ部屋で寝れば、姉ちゃんも俺のこと監視できるでしょ?だから今日はこの部屋で三人で寝る。」

まぁ姉から言ったらなんで私が?って感じだろうが、正直これぐらいしか思いつかない。

339:心の隙間
09/01/07 06:04:17 Ff5SGBw1
お風呂に入っていると二階に上がる足音が聞こえた…

一つは聞き慣れた落ち着く足音
もう一つは聞きづらい小さな足音…だが心に重くのし掛かる足音。
嫌な予感がする。
いつもは念入りに身体を洗うのだが(勇と寝る時は特に)素早く頭と身体を洗うと、身体をてきとうに拭き、ドライヤーで乾かさずに勇の部屋に直行した。
勇の部屋の前に立つとノックをする。

コンコンっ…
「勇…入るわよ?」
勇の返事を待つ
「うん、いいよ」
勇の返事を聞き中に入るとあの子が勇のベッドに座っている
(勇と私のベッドよ?)
心の声がでそうになるのをおさえて勇に言う。
「勇、その子の布団をお父さんの部屋に敷いたわ」
本当はまだ敷いてないけど、この子を早くベッドから降ろさなきゃ。
「あぁ…うん、凪ちゃんどうする?」
「グスッ……」
この子…やっぱり勇しか見てない。
「それ………私に通用すると本気で思ってるの?…」
(フフ…よく私も使うけど、嘘泣きで騙せるのは勇だけよ)

「姉ちゃん、怖がらせちゃダメだよ」
「……」
勇に言われるとなにも言えなくなる。


340:心の隙間
09/01/07 06:04:44 Ff5SGBw1
「私…お父さんと寝てたから…一人で寝れない…お兄ちゃんと寝たい」

は?なに言ってるのこの子?

「ダメに決まってるでしょ?なに考えてるの?…てゆうかなにベッドに座ってるの?そこは私とゆッ」
「姉ちゃん!!」

私と勇のベッドと言いかけたところで勇が私を睨む。
…勇に嫌われることをなにより嫌う私からすれば、勇に睨まれただけで心臓を掴まれた錯覚に陥る。
「はぁ…わかった、それじゃ今日は凪ちゃんと一緒に寝るよ」


いま……なんて言ったの?勇が他人と寝る?、何故?、勇を怒らせたから?、今日は私と寝る日じゃ……
思考が追いつかない。
勇がなにかを言ってるがなにも聞こえない……聞こえるのは自分の心臓の音だけ。
私の目は勇しか写らないはず……。


なのに見えるのは、勇の優しい顔ではなく。
初めて私にむかって笑みを浮かべる凪の笑顔だった。

341:名無しさん@ピンキー
09/01/07 06:11:45 Ff5SGBw1
>>334
忠告ありがとうございます、気をつけます。

今日はちょっと少くなくて申し訳ないです。
人がいれば仕事終わりか明日の朝に投下します。
では

342:名無しさん@ピンキー
09/01/07 06:57:48 /Xa6pOPv
GJ!! 私もこれから仕事なので良い活力剤になります。


343:名無しさん@ピンキー
09/01/07 08:29:04 /Xa6pOPv
GJ!!
まさか姉が、ナンパされたくらいで泣きそうになるのに
そんな気の強いキモ姉だとは思わなかった。

344:名無しさん@ピンキー
09/01/07 09:00:58 pvBWrQZR
GJ!!


345:名無しさん@ピンキー
09/01/07 10:57:47 QYwMtuNM
下手な泣き真似萌え。姉にもいいことありますように! GJ!

346:名無しさん@ピンキー
09/01/07 15:23:56 x+gfQrz7
(つД⊂)エーンエーン
(つД・∩チラッ

347:名無しさん@ピンキー
09/01/07 17:50:31 a0Nxyz5p
いい仕事だ

348:名無しさん@ピンキー
09/01/08 08:35:09 QQhTbCfm
そろそろ来るかな

349:心の隙間
09/01/09 03:39:04 CXTYMzZR
――1年前――



「……勇、男の子だろ?もう泣くな」

「イヤだ!!お父さん、いかないで!!!」

「勇が…麻奈美(まなみ)を守らなきゃ駄目だぞ…」

「うぅ…お父さ…まってよ……」

「麻奈美……」

「……お父さん」

「今まで苦労かけてごめんな…これからも苦労をかけるだろうけど……勇を……頼んだからな……」

「……わかったわ」

「わかったってなんだよ!!!お父さんも頑張って!まだお父さんと、したいことがいっぱいあるんだ!」

「二人とも……俺の子供に産まれてきてくれてありがとう…幸せだったよ…」

「まってよ!!お父さん!!!」

「勇………」

「イヤだ!!お姉ちゃん、離してよ!!!」


(お父さん………。
勇は私が守るから…安心して)


350:心の隙間
09/01/09 03:40:36 CXTYMzZR
―父の葬式には、たくさんの人がきた……。

職業、年齢、性別は幅広く、父が知人にどれだけ愛されていたかわかる。

そんな、老若男女が集まれど、思う気持ちは皆一緒だった。

棺桶にしがみついて離れない小さな女の子。

―おじさんを連れていかないで!!

泣き叫ぶ子供の頭を撫でながら、「ありがとう」と言う。
でないと自分が崩れ落ちてしまう。

この女の子と同じように、父にしがみつき、泣きたかった。
もっと甘えたかった…
遊びたかった…
怒られたかった…
一緒に居たかった………

怒りか悲しみか解らない感情が溢れ出そうになる。

「………姉ちゃんは守らなきゃ。」

最後に父から言われた、
―麻奈美を守れ……
もう家族は姉ちゃんしかいない、俺がしっかりしなきゃ駄目だ。
姉を見ると忙しなくテキパキと行動している。

その後ろ姿を見ると心から感心する。

351:心の隙間
09/01/09 03:43:17 CXTYMzZR
外にでて空を見上げる。

雨が降りそうな曇り空。
昼間なのに日差しがまったくなく、冬独特の乾燥した風が肌寒い。

「……家に帰りたい」
ここから歩いて帰れば30分で帰れる。
でも姉をおいて帰るわけにはいかない。
帰ったら一人になる、それだけは避けたい。

「勇、外寒いよ?中入ろうよ」
自販機で買ったコーヒーを、ベンチで飲んでいると、姉が探しにきた。
「うん、わかった。」
飲み終わったカンをゴミ箱にむかって投げるがゴミ箱からハズれる。
チッと舌打ちしながらカンを拾いにいくと、女性に拾われゴミ箱に捨てられる。
「あっすいません、ありがとうございます。」
慌てて頭を下げ御礼を言う。


「勇……大きくなったわね、三年ぶりかしら?」
どこか懐かしく、優しい声。
「もう、中学3年生になったんだね…」

俺の頭に女性の手が近づいてくる…頭を触られた瞬間、昔の記憶がフラッシュバックする。

全身から脂汗と震えが止まらない。

「勇に触らないで!!」
姉が俺と女性の間に割り込んできた。
「あら…麻奈ちゃん、いたの?あなたも大きくなったわね」

女性がニコッと笑い姉に言う。

「今更なにしにきたの……お母さん」

352:心の隙間
09/01/09 03:46:23 CXTYMzZR
「お父さんに会いに来たのよ」

「ふざけないで!!!お父さんと会ってどうするのよ!?もう関係ないでしょ!!」

「最後のお別れを言いに来ただけよ…」

「ふざけっ「いいですよ…父は中にいますから、どうぞ」
姉の言葉を制して母に言う。
「勇!!!」
「ありがとう、案内してくれる?」
最終的にはどうせ親戚が母を中に入れるので、ここで言い合ってても仕方がない
姉は母を父に近づけたくないのかイラついた雰囲気を醸し出している。

母を父が眠る場所まで連れていくと親戚の目が母に向く。まったく気にならないと言った感じで父に近づき、父の顔をのぞき込む。
「あなた……死んでも優しい顔をしてるのね」
母が父の頬を優しく撫でながら呟く。

「本当に、ごめんなさい…」

母の涙をはじめてみた……それは後悔の涙なのか、悲しみの涙なのかわからないが、それを見た瞬間、今まで母にされたことが嘘みたいに「昔の思い出」となった


353:心の隙間
09/01/09 03:48:11 CXTYMzZR
お母さん元気かな……
一年前の葬式以来まったく会っていない。

葬式の後の半年間は姉に辛い思いさせた。
自分が姉に依存してることに半年間も気づかないなんて……。


―「てゆうか、凪ちゃん……早く寝ようよ…」

さっきまでは半分眠てるような顔をしていたのに、ベッドに入るが寝る気配がない。

「お父さん以外の人と寝たことないから……恥ずかしい…」
「今更はずかしいの?さっきまでは普通だったじゃん。」

顔を真っ赤にして布団を頭まで被ってしまった。
そのくせ掴んでる俺の手は離さない。

まぁ年頃なんだろうな……

姉が布団を取りに行ったが部屋を出ていく時に「忘れてる…」と呟きながら部屋を出ていった。

なにかを忘れたみたいだ
よくわからない。

まぁいろいろあったがやっと寝れる!!
明日は凪を帰さなきゃならない。
たぶん今日よりもっと疲れるだろう。

354:心の隙間
09/01/09 03:49:33 CXTYMzZR
―勇は完璧に忘れていた。

私と一緒に寝る約束。
私が人生の中で一番楽しみにしている至福の時。

今日会ったばかりの子にもっていかれた…
一年前、葬式の帰り際、母に言われた言葉。
「私と同じ苦しみだけは味わわないように」の意味が今ではなんとなくわかる気がする。

母も勇を愛していたのだろう…しかし勇は父に愛情を求めた。
結果、母の嫉妬心から愛が歪み、勇を縛った。

母はよく勇にキスをしていたみたいだが、キスでは飽きたらず、その先に踏み込もうとして父にバレたのだ。
自業自得。

私は母のようにはならない、勇を傷つけない。
私が勇を守る。
勇が言ってくれた
「お姉ちゃんは俺が守るから。」
この言葉を聞いて私は決心した。

勇と生きていこうと。

355:心の隙間
09/01/09 03:52:34 CXTYMzZR
……早く布団もっていかなきゃ。

こうしてる間にも私の居場所が無くなっていく。

父の部屋から強引に布団を掴むと階段を走り、布団を引きずったまま勇の部屋にむかった。

勢い良く扉を開けると二人はまだおきていた。
(小学生…おめめパッチリじゃない…)
さっきまでウトウトしてたのに…早く寝てほしい…。
そしたら勇を嘘泣きで私の布団に連れ込もう。
私自身我慢ができなくなっている、早く勇と寝たい!!

頭の中はそのことでいっぱいだ
「それじゃ、電気消すわよ?」

パチッと壁のボタンを押すと部屋が真っ暗になる。
「姉ちゃん豆電球にして。」
凪のことを考えてだろう。嫉妬心が沸き上がってくる
(ダメ、私はお母さんとは違う)
自分に言い聞かせ豆電球にしてから布団に入る。

布団をベッドに極限まで近づけている為、なにをしても止めに入れる。
勇は信用できるけど……凪は危ない。
私がいる限り勇には手を出させない。



てゆうか、豆電球ってなんであんなに心地いい光なんだろう……布団暖か…い…




「………zzZ」




「姉ちゃん……よっぽど疲れてたんだな。」

356:名無しさん@ピンキー
09/01/09 03:54:55 CXTYMzZR
遅くなって申し訳ないです……
今日も少なくてごめんなさい。
多分夜には続きかけると思います。


357:名無しさん@ピンキー
09/01/09 10:09:18 /lAq8iRv
GJ!!
姉ちゃんに萌えた!!

358:心の隙間
09/01/10 03:06:24 m1Fu2zaR
―寝てしまった……

携帯の時計を見るともう3時だ。
0時ごろから記憶が無い…
計算すると三時間、2人の行動を見逃したことになる。

ふと上に視線をむけると、いつの間にか豆電球の光が消えている…
だか、窓から射す月明かりの光が、部屋の中を照しているので、薄暗くてもある程度見えている。

音を立てず上半身だけ起きあがると、ベッドに目をむける。…
「勇?」
「…ウ…ン…」
(かわいい…)
携帯の液晶の光を勇にむけると眉間にシワがよる
少し眩しそうに顔を隠してしまった。

微笑ましい…
(お母さんが手を出すのも……唇触るぐらいなら…)
と考えるが頭を振り邪念を振り払う。
(勇のトラウマになるわ!!それだけはダメよ…)

悪魔と天使が頭の中で戦っていると、横に凪がいないことに気がついた。
「…?」
あれ?どこに行ったのかしら
トイレにしては遅いし多分一人ではトイレまでいけない。

ふと勇のお腹あたりに目をむけると布団越しに膨れ上がってることに気づく。


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