☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第82話☆ at EROPARO
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第82話☆ - 暇つぶし2ch300:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA
08/08/26 00:21:49 lzfDSOIc
「…で…では…その…」

チンクは絶句して姉を見つめた
トーレはチンクを見て、済ました顔でお腹に手を当てた

「ああ…私も迂闊だったんだが…どうもこの中にあの男が居るらしい、先日検査で解った」

まったく親子揃って無口だ、居るなら居るで何とか言えばいいのだが、とか
どうやらドクターが生きてる場合避妊機能は働かないようだな、などとぶつぶつとと言っている

絶句しているチンクがようやく
「…あ…その…何と言うか…おめ、おめでとう…ございます…申し…申し遅れましたが…」
と言った

くっ…
それを見てトーレは噴出し、くくくと耐えかねたように大きく笑い出した、先ほどまで沈みがちに見えた人物とは思えない
やがて笑いを収めると
憑き物が落ちたようなすっきりしたような顔で、ああ、とまたお腹の辺りを撫でた
チンクもまじまじと珍しそうに、未だ妊娠の兆候が外見からは解らない姉の腹部を見た

「で、…まぁそんなわけだ…そういうわけならいつまでも引き篭もっている訳にもいくまい…
  どうやら私は『母』になったらしい、ここの機能も使う事になりそうだ…」

と胸をぽんぽんと叩いた、形のよい大きな胸がぷるんと揺れる、一瞬チンクは微妙な顔つきになったがトーレはそれには気が付かなかった









「ではよろしく手続きを頼む」

「あ、…いや、はい…では早速ゲンヤ殿から所管の…いや…あっ…いや先に病院の手続きが…い、いや…しかし」
チンクはあたふたと軽くパニくっている

これから忙しくなるだろう、トーレはまるで関心の無かった事なので妊婦に対する知識は皆無だった
本を買って、それからセミナーを受けるよう、ギンガだったか…指導教官どのにも面倒をかける事になるだろう
他にもたくさん…む、と、ふと気が付いた

「ん…お前はもう少しそこに居てもいいぞ、聞くところによると…生涯で一番居心地が良い場所だそうだからな」


小さな騎士どの、とトーレは少し笑って付け加えた

トーレは自分のお腹の中で小さなゼストがむっつりと頷いたように見えた

ああ、気の済むまでそこにそこに居るがいい、いざとなれば私が引っ張り出してやるから

鉄格子を見た


私は出よう、もうここから…




おわり

301:y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA
08/08/26 00:26:28 lzfDSOIc
おわび、エリオ隊長が書けませんでした、すいません
(いや書こうと努力はしたんですが書いても書いてもゴミ箱行き…いつか書きます)
えーこのままだと全部放り出しそうなのでリハビリのつもりで書きました
言い忘れましたが原作準拠です、では失礼しました

302:名無しさん@ピンキー
08/08/26 00:41:43 pu4wxCKh
いやすばらしい。乙女で女なトーレさんは是非見てみたかった物の一つでした
やはりこういう男勝りな女性が女の子をしてるとギャップがあっていいですな

次は二番で純愛物を希望してみたり……

303:名無しさん@ピンキー
08/08/26 00:44:22 veQZDYT+
GJ!!です。
かなり良かったです。
生まれてくる子供はISを引き継いで高速戦闘ができる槍使いになるのだろうかw
情事をするのはルー子がスカ博士に調整してもらっているときと妄想すると、ちょっと台無しになるwww


304:名無しさん@ピンキー
08/08/26 00:45:17 GPfvRjAq
おおう! トーレの姉貴のエロとはなんと貴重な!! GJですたい!!!

シロクジラ氏の純愛バトルエロも素晴らしいが、この姉貴も素晴らしい。
このままナンバーズにもっと活躍(無論性的な)が与えられると嬉しいっすね。

305:名無しさん@ピンキー
08/08/26 01:35:22 RMVUnJOc
>>301
よしわかった。
リハビリは済んだな?では次こそエリオ隊長だ。

いや、ぶっちゃけユーノ教授とキャロの遺跡探検活劇でもいいんですが><

306:名無しさん@ピンキー
08/08/26 02:00:38 Y8XAZ4J4
ゼスト!
貴様ァァーー!!
お腹の中の子を残して
勝手に死ぬんじゃねええええええ。・゚・(ノД`)・゚・。

チンクに続いてトーレとはやられたぜw
しかもエロGJ!おっぱい星人には耐えられません!!


んで、ターン氏の偉業(?)からこういう展開を思いついた。

・最終決戦前
ウーノ「実直な人……嫌いではありませんよ?」
ドゥーエ「貴方、本当にからかいがいのある人ねぇ」
クアットロ「ここをこうしますとですねぇ~……ほ~ら、またおっきくなりましたわ♪」
セイン「んッ、私のお腹の奥に、ディープダイバーしてます」
セッテ「騎士ゼスト、貴方に勝つにはこの方法がもっとも効率が良いと、え、演算結果が……あァッ!」
オットー「お願いします!ディードと一緒に!!」
ノーヴェ「ゼストのことか?べ、別に好き……でもなんだ、この脈拍は!?」
ディエチ「来てぇ!貴方のイノーメスカノンで私の子宮に頂戴!!」
ウェンディ「あはは~♪こんなキモチイイのクセになるッス!一日中してたいッスよ~」
ディード「オットーと同じようにッッ―で、出てます!熱くて濃いのお腹の中にビュクビュク出てます!!」


・最終決戦中
スカ「フッ、たとえ私が捕まっても、ナンバーズ全員の胎内にはすでにゼストの子が宿っているだ。
   プロジェクトFの応用技術を用いて、約半年後には元気な赤ちゃんが産まれてくる。
   知らなかったのか?
   旧暦時代の権力者の間では、このように自身の予備を準備するのは常識。
   しかも私よりも健康かつ戦闘力に優れた騎士ゼストの血を引いてるのだ!!
   さぞや恐るべき人間兵器になるに違いない、クククッ」

フェイト「そんな!下手に危害を加えれば、彼女たちの中の赤ちゃんに悪い胎教になってしまう!」
はやて「あかん……手が出せん!おのれスカリエッティ。なんちゅうヒドイ手段をつかうんや!!」

ゼスト「……頼む。いろんな意味で私に止めを刺してくれorz」


そうそう、エリオ隊長は気長に待ってるから焦らんでいいぞ。



307:名無しさん@ピンキー
08/08/26 11:46:28 5W3tC00q
>>306
ディエチが明らかに別人じゃねえかwwwwwwwww

308:名無しさん@ピンキー
08/08/26 12:46:34 mx5qgti6
GJ!
ゼストさん、アンタはちゃんと生きて責任をとるべきだったよ…
なのに最終的には…

私はエリオのごとくをお待ちしておりますと言ってみる。

309:名無しさん@ピンキー
08/08/26 15:37:51 uSzVJDt2
エリオのごとくと言えば、何時かのエリオスレの流れであったな。
施設にいた時、助けたのがフェイトさんではなくゼストだったら
スカ陣営にいて管理局に怨恨を持っているとか。

何が言いたいかと言うとつまり、続きを待ってます。

310:名無しさん@ピンキー
08/08/26 16:05:00 veQZDYT+
自分は娼婦になったティアナを放っておけなくて、独占契約という事でユーノの家で、
一緒に生活する作品の続きが読みたい。

311:名無しさん@ピンキー
08/08/26 16:46:20 6h6xwigZ
ザフィーラに犯されて獣姦に目覚めるギンガはまだですか?

312:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:47:44 XPaQA/9W
 投下行きます。 

 非エロ。
 レス数7。
 あぼんはコテか鳥で
 タイトル「ヴィータの抱っこ」


313:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:48:18 XPaQA/9W
     1

「シャマル、いるかぁ?」

 ヴィータは医務室をのぞき込む。
 シャマルどころか、人の気配がない。

「シャマルぅ、いないのか?」

 返事はない。気配を隠しているわけでもなさそうだ。

「あいつ、どこ行ったんだ?」

 誰かが怪我でもして、駆けつけているのか。
 大きな事件ならば、スターズ副隊長の自分に連絡が来ないわけがない。たいしたことのない事故か、それとも個人的な怪我か。
どちらにしろ、大きな事件ではないということだろう。

「勝手に入るぞぉ」

 特に緊急な用事というわけではない。副隊長の義務として準備しておかなければならない応急治療キットに不足を見つけたので、補充しに来ただけだ。
ついでに、キットの構成に不備があるような気もするので、その点はシャマルに相談しようと思っている。
 戻ってくるまで待とうと、ベッドに腰掛ける。
 患者も誰もいないし、たまたまだろうけれど外に誰かが通る気配もない。珍しく、今日のこの区画は静かだ。
 いつの間にかヴィータはベットに寝転がっていた。

「あ、制服が皺になったらはやてに怒られる」

 起きればいいのに、上着を脱いでしまった。それほど、ベッドがふかふかで気持ちいいのだ。
ちなみに、今日のお昼にアイナとヴィヴィオ、そしてザフィーラ、シャマルの四人で医務室のお布団を干していたらしい。
 干したばかりの布団が気持ちいいのは、古今東西あまねくすべての次元において共通の概念である。
 干したばかりの布団の列、抗う術は我が手にはない。

「遅いなぁ、シャマル……」

 語尾がかなりまずい状態で弱くなっているのに、ヴィータは気づいていなかった。
 ただ、
 …このお布団、気持ちいいな……
 瞼がとろんと下がっていく。


314:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:48:52 XPaQA/9W
       2

「どうよっ! スバル!」
「うん、凄いよ、ティアの新魔法!」
「あのね、スバル。褒めてくれるのは嬉しいんだけど。なんというか、褒め言葉よりも、批評というか、感想というか」
「……だから……凄いと思うよ? ティア」

 スバルは困ったように同じ言葉を繰り返す。

「んーとね……はっきり言って、粗探しをして欲しいんだけど」

 褒められるのは嬉しいが、欠点を指摘したもらいたいのが本音だ。
攻撃魔法の類ならば自分で判断できるが、幻術は本人よりも第三者に見てもらわないことには話にならない。

「んーーーーー? ごめん。粗なんてわかんないよ」

 ここで「自分の幻術は完璧だ」と思ったりしないのが、努力の人ティアナ・ランスターである。

「あんたに聞いた私が間違ってたわ」
「えー、そんなことないよ、本当に凄いってば」
「ありがと。でも、こういうのはやっぱり意地の悪い人に見てもらわないとね」
「意地の悪い人って…………そんな人、六課にいないよ?」
「ああ、違うわよ。性格が悪いっていう意味じゃなくて、厳しいっていう意味よ」
「ああ。……やっぱり、なのはさんかな」
「ヴィータ副隊長やシグナム副隊長でもいいと思うけれど、やっぱり自分たちの隊長が筋よね」

 フェイトの名前が出ないのは、実戦なら知らず、それ以外の部分でのエリキャロ可愛がりぶりを見てしまっているからだろう。

「でも、できれば隊長たちには見せたくないのよね」
「あ、ティアってば、隊長たちとの模擬戦に使う気?」
「隠し技の一つくらい、ね」
「うーん。隊長たちには内緒にできて、隊長たちと同じくらい目利きのできる人……八神部隊長かなぁ」
「話が大きくなるわね」
「あ、シャマル先生は? 確か、元々はシグナム副隊長やヴィータ副隊長、八神部隊長とチームだって聞いたことあるし」
「そっか。シャマル先生なら、秘密守ってくれそうだし。副隊長たちとチーム組んでいたんだったら目も確かなはずよね」

 言うが早いか、ティアナは座っていた椅子から立ち上がると部屋を出ようとする。

「遅くなっても迷惑だし、思い立ったが吉日ね。シャマル先生のところに行ってくるわ」
「あたしは、デバイスの整備があるから」
「うん。それじゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」


315:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:49:25 XPaQA/9W
     3

 幻術魔法による幻像には実体がない。
 ただし、実体にあるものに上から幻像を被せたらどうなるか。
 さらに、多少の齟齬は誤魔化せる程度に、触覚を騙すことができたら。
 自分の体表に魔法効果を及ぼすことによって、別人に成りすますことができるのだ。
 幻術と言うよりは変装に近いかもしれない。しかし、任意の別人に成りすますことができるというのは大きいだろう。さらに、声を変えられるなら完璧だ。
 こうなると、幻術と言うよりもナンバーズ二女ドゥーエのISライアーズ・マスクに近くなってくる。
 しかし、ティアナは何とかそれをものにしようとしているのだ。


 医務室の前で、ティアナは深呼吸した。
 どうせなら、最初から騙すつもりの気合いで入っていこう。
 シャマル先生を騙すのに格好の人物。
 よし。
 ティアナは八神部隊長の姿を脳裏に思い浮かべていた。そして術式を構築。身体の回りに幻像を張り巡らせていく。

「シャマル先生?」

 ティアナは医務室に入った。
 返事はない。
 さらに呼びかけようとして、ベッドの人影に気づいて口を閉ざす。
 誰かが寝ているのなら、大きな声は出せない。

「……ヴィータ副隊長?」

 そこには、上着を脱ぎ捨てたヴィータが眠っていた。
 どう見てもただ眠っているだけで、調子が悪そうには見えない。そもそも昼間はいつも通りに教導をしていたのだから。
 単に寝ているだけ?
 確かに、シャマル先生と副隊長は古いつきあいらしいから、それくらいの融通は利くのだろう。
だけど、肝心なシャマル先生がいない。ということは、勝手に寝ているということなのだろうか。
 ティアナはふと、ヴィータの寝顔を観察している自分に気づいた。
 …可愛い。
 訓練中には間違ってもそんなことは思ったことがない。というよりそんなことを思う暇などない。
 しかし、こうやって無防備に眠っている姿を見ていると、とても可愛らしいのだ。
 白い肌。小柄の身体。赤い髪。
 自分から見ると小さく子供のような身体。だからといって相手を侮ることはない。魔法世界では相手を外見で判断するほど危険なことはないのだ。
 現に、自分と副隊長が本気で戦えば、一矢報いる前に二桁回は殺されてしまうだろう。それぐらいの力の差がある。
 しかし、今の寝姿を見ているとその事実すら信じられなくなってくる。

316:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:49:57 XPaQA/9W
      4

「えっと……」

 起こしていいものだろうか、とティアナは悩んだ。
 気持ちよく寝ているところを起こされて気分のいい者はいない。それに、この姿をもう少し見ていたいという気持ちもある。

「ん……」

 ヴィータの身じろぎ。ティアナはいつの間にか、微笑みながらヴィータを見下ろしていた。
 …なのはさんがヴィヴィオを引き取った理由、今ならわかるような気がする。
 無意識に、手が伸びた。

「ん……」

 反応が面白くて、ヴィータの頬を指先でくすぐる。

「あれ?」

 まずい。冷や汗が流れるのをティアナは感じた。唐突に、ヴィータが目を開いたのだ。
 驚いたように自分を見上げる副隊長と目が合う。

「どうしたの? はやて」

 言われるまで、自分が幻像をかぶっていることを忘れていた。

「あ、ここ、シャマルの部屋じゃん。そだ、シャマルがいねえんだ。はやては、あたしを起こしに来たのか?」

 ティアナは一瞬で覚悟を決めた。どのみち、部隊長に変装していることは動かぬ事実なのだ。このまま誤魔化し通すしかない。

「はやて?」
「え? あ、そ、そやよ。ふ……ヴィータを起こそ思てな」
「うふふ。うん、ごめん。あたし、寝てたみたいだ」

 目をこすりながら、ベッドの上にぺたりと座り込んで、ティアナを見上げて笑う。
 …な、なに、この可愛らしいお子様は!?
 ティアナはヴィータの無防備加減に唖然としていた。これが、あの、鬼の副隊長?
 ヴィータは辺りを見回すと、静かに聞いた。

「はやてだけ?」

317:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:50:30 XPaQA/9W
      5


「う、うん。あたしとヴィータだけやで」
「じゃあ……。この前の仕返し」

 手を引かれ、ティアナはベッドに引きずり込まれた。

「はやて、抱っこ」

 ぎゅっと抱きしめられて、ティアナの顔が真っ赤になる。

「副……ヴィータ?」
「はやてがいっつもあたしのこと捕まえてばっかりだから、今日は仕返しだよ」

 …えっと……副隊長と部隊長ってそういう関係だったの!?
 驚いているうちに、温かくて柔らかくていい匂いのものがティアナの頭を包んだ。ヴィータが、ベッドに倒れ込んだティアナの頭を抱きかかえているのだ。
 …副隊長、温かくて柔らかくて……スバルより……じゃなくて!!
 自分を叱咤しながら、ティアナは頭をフル回転させていた。

「ヴィータ、ちょお放して?」
「んー? どしたの? はやて」

 渋々放したヴィータから離れたティアナの動きが止まる。

「仕事の話か?」

 寂しそうな目が自分を見ている。何かが、ティアナの中で弾けた。

「ん、やっぱ、なんでもあらへんよ、ヴィータ。ほら、おいで」

 ベッドサイドに座り、ヴィータを膝の上に招く。

「えへへっ」

 素直に膝に座って、のけぞるような体勢でティアナにほほえみかけるヴィータ。
 …可愛い。副……ううん、ヴィータちゃん、可愛い!
 ティアナはヴィータの髪を撫でると、頬や額、鼻をくすぐるように触りまくる。

「やぁん、くすぐったいよぉ、はやて」

 ゾクゾクッとティアナの背筋に走る電流。
 …ごめん、スバル。あたし、浮気するかも……

「あんなぁ、ヴィータ」

「なに? はやて」

「なにしてるの?」

 突然の声にティアナは顔を上げた。
 そこにはシャマルが。

318:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:51:03 XPaQA/9W
       6

「あ」と気まずそうなヴィータ。
「あ、あのな、シャマル、これは」
「ヴィータ、何してるの?」

 シャマルの背後から現れたのは、本物の八神はやて。

「はやてっ!?」

 ヴィータは振り向きざま、ティアナから飛び離れると、即座にグラーフアイゼンを構える。もちろん、ティアナに向けて。

「誰だ、てめぇ!」
「え? あ、あの……」
「よくもあたしを騙してくれたなっ!! だけど、もう誤魔化されねえぞ!」

 はやてがとことこと、二人の間に入る。

「はやてっ、危ないっ!」
「あー。大丈夫。これ、ティアナや」
「な゛」

 ティアナは肩を落として幻術を解いた。

「バレバレ、ですか……」
「うーん何となくやけどな。そやけど、あたしの姿でヴィータを騙すいうんは、たいしたもんやと思うよ。
これがフェイトちゃんやなのはちゃんの姿やったら、あたしもわからんかったかもしれへん」

 ひゅん、とティアナの前に突きつけられる騎士杖。

「で、あたしに化けてヴィータに何しようとしとったんかな?」
「えっと、そういう目的ではなくて……」

 ティアナの背後には、目の据わったヴィータがギガントフォルムのグラーフアイゼンを構えている。

「あたしもとっても聞きたい。何のつもりだったんだ、おめえ」

 ヴィータの顔には「こいつの頭殴って記憶消す」と書かれている。が、ギガントで殴られると記憶と同時に命もなくなるような気がするティアナだった。


319:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:51:36 XPaQA/9W
       7

「ヴィータが可愛すぎるんが罪やったんやな」

 経過をすべて聞き取ったはやてが笑うと、ヴィータがまたティアナをにらみつけた。

「絶対、人に言うなよ。あたしとガチでやりあいたいんなら話は別だけどな」
「は、はい。わかってます。ヴィータ副隊長。絶対に言いません」
「それから」
「はいっ」
「戦ってる最中に敵に化けるってのは、相手を混乱させるためには悪くねえ。だけど、それができるのは相手に突っ込んだ後の話だ。
ガンナーのお前が真っ先に突っ込むってのは、どういう状況だ?」
「え、えーっと…………あ……」

 ティアナはヴィータの言わんとすることに気づいた。

「そだよ。突っ込む前に墜とされちまうぞ。そういうのは、元々先陣切って突っ込んでるあたしやスバルが使えれば一番効果的なんだ」
「すいません。私が浅はかでした」
「まあ、直接戦闘以外の機会では使うことも多いかもしんねーけどな。そういうのは執務官やってるフェイトのほうが詳しいだろ」
「はい」
「わかったらさっさと帰って休め。今日のことはくれぐれも誰にも言うんじゃねえぞ。スバルにもなのはにもだぞ!」
「はいっ」

 解放されたティアナが部屋に戻ると、スバルは先に寝ていた。
 静かにベッドに潜り込み、小さく「おやすみ」と呟く。
 翌日の夜。

「ティアナはこういうのが好きだって、シャマル先生が言ってた」

 そう言ってスバルがヴィータのバリアジャケットそっくりのドレスを着ていたときは、かなり本気でティアナは逃げ出すことを考えたという。


320:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
08/08/26 19:52:46 XPaQA/9W
以上です。お粗末様でした。
StSのサウンドステージ04を再聴したら、ヴィータのあまりの可愛さについ…

321:名無しさん@ピンキー
08/08/26 20:04:13 Cb8hp3yP
GJ
だがヘルプが入るのがはやいしタイミングが良すぎるな
もしかしてタヌキ様は最初から見てたんじゃないのかとw

322:名無しさん@ピンキー
08/08/26 20:26:45 vtOKgipb
>>301
トーレ姉さんかわいいなあ
でも夫がもういないってかなり苦しいだろうな
いや、結婚してるわけじゃないから夫ってわけでもないのか…なんか切ないな…
GJ!!

自分はエリオ隊長とアリシアの義父さんだーい好き!な義親子の近親相姦を希望!

            ティ、ティアナさん撃たないで、アッーーーーーーーーーーーー

323:名無しさん@ピンキー
08/08/26 21:36:52 lzfDSOIc
>>320
うんティアナの変身ネタはええな、次は男の誰かに化けたら
男湯に連れ込まれて出られなくなったティアナとかw
しかし何でヴィータははやてが二人になった時点で即座に見破れたんだろ?

324:ザ・シガー
08/08/26 21:52:43 GPfvRjAq
はい、投下いくよ~。

前スレで投下したヴァイ×シグSSの続き、「烈火の将は狙撃手がお好き」の番外編夏祭り編です。
今回はエロエロ、ヴァイスの股間の狙撃中がシグナム姐さんを蜂の巣にするお話。

325:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:54:18 GPfvRjAq
烈火の将は狙撃手がお好き 番外編 夏祭り (後編)


シャクシャクとプラスチック製のスプーンが氷をかき分ける小気味良い音を立てながら、鮮やかな紅色の甘味が口に運ばれる。
暑苦しい夏の熱気を忘れるような冷たさと堪らない甘さが口の中に溶けていった。


「ふむ、やはり日本の夏はカキ氷だな」


そう漏らしながらシグナムは久しぶりに食べるカキ氷の甘さに酔い痴れる。
ミッドにも地球から派生した食事はあるが流石にカキ氷は見当たらない、数年ぶりに食べるカキ氷はなんとも懐かしかった。
隣にいた青年は、アイスとはまた違うこの清涼とした甘味に少しだけ驚いていた。


「なんていうか不思議な味っすね。アイスとはまた違う感じで」


青年、ヴァイス・グランセニックは彼女が食べているものと同じく、イチゴ味のシロップのかかったカキ氷。
二人はお揃いの甘味を口へと運び、夏の暑さを涼やかな甘さで和らげた。
雑踏の賑わいの中を練り歩きながら食べるカキ氷は暑さのせいか、傍にいる相手の為かひどく美味しく感じられる。

そんな折、ふとヴァイスの目にシグナムの身体の“ある部分”が目に付いた。それは彼女の魅力的な巨大かつ美しい乳房。
機動六課の美女・美少女の中でも最大・最高・最美乳と呼ばれる胸、素晴らしいラインとサイズを誇るそこにヴァイスの視線が釘付けになる。
いや、別に“いやらしい事を考えてる”とか“今すぐ押し倒したい”と思ってる訳ではない。
いつも床を共にする時に視覚・触覚・味覚・嗅覚、考えうるあらゆる感覚で味わっているシグナムのたわわな乳房に違和感を感じたのだ。
最初はなにか分からなかったが、即座にその違和感の正体に気が付いた。途端にヴァイスは顔を僅かに驚愕と羞恥で歪める。
そしてそっと囁くようにシグナムに声をかけた。


「姐さん……その、一つ良いっすか?」
「ん? なんだ?」
「いや……その、胸……っていうか、下着付けてないんっすか?」


本当にシグナムに聞こえる程度の声量でヴァイスはそう言った。
彼の視線の先、浴衣に包まれたシグナムのたおやかな肢体、その中でも一際目を引く豊かな乳房。
そんな胸には下着特有のラインは浮いておらず、代わりに乳房の頂点にポツンと小さな膨らみがある。
腰の方も同様、素晴らしく豊かに実った尻のラインにも下着の線は浮いていない。
つまり今のシグナムは上も下も下着無し! ノーパン・ノーブラ、オーイェ~♪ な状況だという訳である。
それはヴァイスの持つ常識では考えられない格好だった。


「ん? ああ、コレか。なに浴衣は下着を付けずに着て問題ないものだ、気にするな」


シグナムはさも当然のようにそう言う。浴衣が下着の着用を前提としないのは確かだが、しかしそれは昔の話であり現在は普通に下着を着けて着用する人が大半である。
どういう経路で彼女が浴衣に関する知識を得たかは分からないが、どうやら前述の昔の知識しか持ち合わせていないようだ。
まあ、こちらの世界の常識に疎いヴァイスがそれを確認する術はないので彼女の意見を信じるより他は無い。


「はあ、そうなんですか……」


ヴァイスは軽く頷きながらそう応えた。
そして、一度意識すると自然とシグナムの身体のその凄まじく凹凸に富むラインに視線が否応にも引き寄せられる。


326:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:54:53 GPfvRjAq
彼女の身体は何度見ても何度抱いても飽きない、むしろ見れば見るほど抱けば抱くほどのめり込む中毒性を持っていた。
そんな魅力的な烈火の将の肢体は、浴衣に覆われてさらなる艶を帯びている。
普段は凛とした雰囲気を持つシグナムだが、今日は形容し難い艶めかしい色香を漂わせていた。


『綺麗だなぁ姐さん、やっぱ浴衣の効果なのかねぇ……っていうか、なんか視線感じるな……周りから見られてるような感じが……』


彼女の艶やかな雰囲気と姿にヴァイスが見惚れていると、ふと何か周囲から向けられる気配に気が付いた。
目を周囲に向ければひしめく雑踏、その中から取り分け男の視線がこちらに向けられている事に気付く。
人ごみの中の無数の男の視線は言うまでもなくシグナムのその美しく艶めいた肢体に注がれていた。
浴衣によってくっきりと浮き上がった彼女の素晴らしいボディラインに、明らかに劣情を宿したやましい視線が絡み付いている。
それも一つや二つではない、周囲の雑踏に紛れた男の視線は十重に二十重にシグナムの身体を這いずり視姦の限りを尽くす。
その視線に込められた欲望と劣情はどろどろとした粘度を覚えるほどに濃密だった。
一度意識すると、熱のこめられた不快な視線はそこら中から感じられる。
まあシグナムのような美女を伴っていれば無理もない話しではあるが、ヴァイスはそれに例え様の無い怒りを感じた。


『クソが……何見てんだ……』


そう思うや否や、彼はシグナムの手を取って歩き出す。いや、その強い足取りは歩くというよりも走る一歩手前だった。


「ちょ! ヴァイス?」


突然手を掴んで歩きだしたヴァイスにシグナムは声を上げるが、彼はそんな事は構わずにどんどん勝手に進む。
人ごみを掻き分け、夜店の間を駆け抜け、二人が辿り着いたのは祭りの会場の外れにある木々の生い茂る茂みだった。
僅かに息が切れそうになる、ヴァイスは薄暗い茂みの中に入ってようやくシグナムの手を離した。


「まったく……突然どうしたんだ?」


突然の事に理解が追いつかず、シグナムは首を傾げてヴァイスに問う。
だがヴァイスは少しだけ荒くなった息を整えるだけで応えない。
彼女の姿を静かな暗がりで見つめていると先ほどの男供の視線が思い出され、ドス黒い怒りと嫉妬心や独占欲が沸きあがってくる。
そして次の瞬間にはシグナムの瑞々しい唇がヴァイスのそれで塞がれた。


「んぅぅ!?」


突然唇を奪われてシグナムは驚き、後ずさって距離を取ろうとするがそれは叶わない。
ヴァイスは彼女の肩を掴むと近くに立っていた木に押し付けて身動きを封じる。
いきなりこんな事をされれば無論シグナムは抵抗しようともがく、覆いかぶさってきたヴァイスの胸板を手で押し退けようと叩く。
だがその抵抗に、抗い難い快感という名の暴力が襲い掛かった。


「んぅ……ヴァイス止め……ちゅぷっ……あむぅ」


制止するために声を上げようとするシグナムだが、言葉は濃密な口付けに無理矢理中断させられる。
ヴァイスの舌が彼女の舌に絡まり、口内を満遍なく愛撫し歯の裏側まで舐め尽くし快感を刻み込んでいった。


327:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:56:18 GPfvRjAq
熱い舌の蹂躙、さきほど食べたカキ氷のシロップの味かキスは蕩けるように甘い。
口付けの快感に抵抗の力が弱まったのを感じると、ヴァイスの片手が肩からうなじに移った。
敏感なシグナムの性感の中でも一際弱い首筋や耳を彼の指が慣れた手つきで愛撫を行う。
さらにもう一方の手は浴衣の裾をめくり彼女の白く美しく締まった太股を撫で、その上にある蜜壷に触れる。
先の愛撫の為か、そこは既に汗以外の粘性の湿り気を帯びている。ヴァイスは迷わず秘裂の入り口や淫核を優しく撫でた。
重ねられる快感にシグナムは塞がれた唇からくぐもった嬌声を漏らす。


「んっ!……んむぅぅっ!」


屋外での情事に抵抗しようとするシグナムだったが、与えられる快楽は彼女のツボを知った的確なもので、徐々に理性という名の防壁を破壊する。
口付けられている唇と指に弄られる秘所から粘性の水音が響き、聴覚まで淫らに染めていく。
堅牢な筈の将の理知は圧倒的な肉の悦びに打ちのめされ・侵食され・溶かされる。十分にも満たない時間でシグナムの抵抗する力は完全に失われた。
そっと唇が離れて透明な唾液の糸を宙に残す、そしてヴァイスはズボンのファスナーを下ろすと硬くいきり立った肉棒を素早く取り出す。
彼はシグナムの片足を膝裏に手をかけて持ち上げ挿入の体勢を整えると、十分に果汁で濡れた蜜壷の入り口に自身の肉棒の狙いを定める。


「な!? ヴァイス止めろ……はぁぁあぁっ!!」


彼の意図に気付いた将が止めようとしたが時既に遅し、硬く硬く隆起した肉の槍は蜜壷を一気に姦通した。
ゴツゴツとした肉棒が愛液の溢れる淫穴を突き進み、挿入可能な最大限の侵入を果たす。
それだけで、既に熱く火照りきったシグナムは絶頂寸前まで昂ぶった。
あと数回肉棒が前後すれば彼女はあえなく達するだろう。だが、期待したその突き上げは一向に来なかった。
もう少しで絶頂の高みに昇れるところで寸止めされて、シグナムは恨めしそうな瞳でヴァイスを見つめる。
彼は薄暗がりでも分かるくらい、嗜虐的な黒い笑みを浮かべていた。


「んぅ……ヴァイス……どうして……」
「え? どうしたんですか姐さん」
「なんで……動かないんだ?」
「だって姐さん言ったでしょ? 止めろって。どうしてもして欲しいなら、ちゃんとお願いしてくださいよ」


その言葉にようやく理解できた、彼は言わせたいのだ、シグナムのその口から淫猥な要求を引き出して嗜虐心を満たしたいのだ。
いつもの情事ならばそうやって彼の欲求を満たす事もするが、しかし今は屋外である、そんな痴態を演じるなどあまりに恥ずかしく出来るわけが無い。


「そんな事言えるか!」
「へぇ、じゃあこのまま抜いちゃって良いんすか? 別に俺は構わないっすけど」
「そ、それは……」


熱くて硬い肉棒で貫かれ、絶頂寸前で寸止めされて生殺しにされ、シグナムはもう我慢の限界だ。
眉を歪め、彼を恨めしげに睨みながら彼女はボソボソと蚊の鳴くような小さな声で囁く。


「うご……いてくれ……」
「え? もう少し大きい声で言ってくれないと聞こえませんよ?」


徹底的に意地悪な態度を取るヴァイスにシグナムは視線に怒りを込めるが、快楽で蕩けた今の彼女に大した迫力は出せなかった。
潤んだ瞳で視線を注ぐ様は、むしろさらに欲情をそそる。
そして烈火の将はこれ以上焦らされるのに耐え切れず、悦楽の前に跪いた。


「分かった……言う、言うからちゃんとしてくれ……」

328:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:57:17 GPfvRjAq
「ええ、それじゃあ分かり易いようにハッキリ言ってくださいね」


シグナムの言葉にヴァイスは愉悦を極めたような心底嬉しそうな笑みを零す。
彼女のような凛然とした美女を肉欲で跪かせるというのは、嗜虐心と征服欲をこれ以上ないほどに満たすのだから無理も無いだろう。


「早く……動いてくれ……私の中をメチャクチャに掻き回してくれ!」


烈火の将は瞳を恥辱の涙で濡らしながらそう懇願した。
正に辱めの限りを尽くされた様だが、彼女にあるのは屈辱や羞恥心だけでなくしっかりと悦びもある。
ヴァイスによって刻み込まれてきた快楽と共に、シグナムの中にはしっかりと被虐癖がマゾヒズムの悦びが育まれていたのだ。
その証拠に蜜壷から流れる愛蜜の量は足首まで伝うほど溢れているし、膣壁は埋没した肉棒を美味しそうに律動し美味しそうに味わっている。
そして、シグナムの懇願を受けヴァイスは面悦として黒い笑みを深めた。


「言ったぞ? 言ったから早く……」
「ええ、分かってますよ」


シグナムの言葉が言い切られる前にヴァイスは返事と共に己が腰を全力で突き上げた。
ただ埋没していただけの肉棒が一瞬で体内を掻き回す凶器へと変貌し、烈火の将に凄まじい快感を刻む。
今まで焦らされた分、その快楽刺激はたったの一突きでピークへと達した。


「はぁぁあぁっ!!」


シグナムの濡れた唇からとびきり甘い声が零れ、浴衣に覆われた肢体がのけ反り、膣肉が収縮して肉棒を締め付ける。
待ちわびた律動に将は呆気なく達してしまい、たった一回の突き上げで迎えた絶頂で普段は凛々しい彼女の顔はだらしなく蕩けきっていた。
達した余韻に口からはただ荒くなった吐息だけが漏れ、身体は小刻みに震える。だがまだ少しも動いていないヴァイスがこれで満足する訳が無い。


「はぁ……はぁ」
「姐さん、それじゃ動きますよ」
「え? ちょっと待っ……んあぁぁっ!!」


シグナムが静止を口にする暇もなく、ヴァイスは再び腰の動きを再開する。
だが今度は先ほどとは比べられない程激しい動き、強く突き上げる衝撃に彼女の身体は揺さぶられた。
木を背に預けて片足立ちしているシグナムの肢体が肉棒の突き上げで大きく上下する、その度に緋色の髪と浴衣が乱れて彼女を淫蕩に飾っていく。


「待て……はんっ!……もう少し、ゆっくり……ふぅあぁぁあっ!」


達したばかりの状態で敏感な身体に刻み込まれる快感はあまりに強く、将は力ない声でそう懇願する。
だがそんな彼女の声はヴァイスを制止するどころか、むしろ彼の中に湧き上がった獣染みた肉欲をさらに昂ぶらせるだけだ。
ズンズンと子宮を押し上げるような衝撃と背筋を溶かすような快感に、シグナムは意識を失いそうな程の性感を感じる。
そしてヴァイスもまた同じく、凄まじい快感に唸り声を殺しながら酔い痴れていた。
一度達しても貪欲に雄を欲する膣肉は埋没する肉棒を蕩かすように絡みつき、まるで“早く精が欲しい”とでも言っているかのように緩急をつけて締め上げてくる。
将の女体は筆舌に尽くし難い極上の快楽をヴァイスに与え、早くも一度目の射精感を呼び起こす。


「くっ! すげえ締まる……姐さん、そろそろ出しますよ!」


シグナムを肉棒で突き上げながら、ヴァイスが呻くようにそう囁いた。


329:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:57:46 GPfvRjAq
そして次の瞬間、彼女の体内で白いマグマが火を吹いた。
まるで身体を内側から焼かれるような凄まじい灼熱感、ヴァイスの遺伝子除法を持つ煮え滾る子種が膣の奥で放たれる。
射精のあまりの勢いに陰茎と膣の結合部からはドプドプと音を立てながら泡となって精子が零れ落ちる程だった。


「はぁぁ……あつぅい……」


快楽で蕩けてだらしなく開いた濡れた唇からは、ただ甘い喘ぎが漏れる。
膣の奥、子宮口に与えられる熱にシグナムもまた再び軽い絶頂を迎えていた。
立て続けに二度も達した将は息も絶え絶えだったが、まだ一度しか発射していないヴァイスの剛直は衰える事無く硬度を維持している。
無論肉欲の方も猛る様に燃えている、少なくともあと一度は吐き出さねば収まりはつかなかった。


「姐さんちょっと体位変えますよ」
「へ? ひゃっ!」


無論返事は聞かなかった。
ヴァイスはシグナムの片足を掴んでいた手をさらに持ち上げ、彼女と繋がったまま器用に体位を変える。
シグナムが今まで背を預けていた木に両手を付き、尻をヴァイスの方に突き出すような形、いわゆる立ちバック・立位後背位の形となる。
この体位ならば、肉付きが良くそれでいて引き締まったシグナムのいやらしい尻に、美しくくびれた腰のラインやうなじをじっくりと堪能できるのだ。
ヴァイスの欲望も俄然燃え上がり、股間の屹立はさらなる硬度を得る。
だが反対に、シグナムは獣染みた姿勢で犯される羞恥で顔を朱に染めて恥らった。


「んぅ……ヴァイス……せめて普通にしてくれ……この格好は……嫌だ……」


シグナムは振り返ると、涙で潤んだ瞳を向け弱弱しい囁きで懇願を訴える。
羞恥心もさる事ながら、彼女はこの体位で与えられる快感の凄まじさを知っている。
だから恐いのだ、強烈過ぎる快楽で理性も何もかもが悦び一色に塗り潰されるのが。
しかし、シグナムのその姿は余計に劣情と嗜虐心を誘うもので、ヴァイスの蹂躙をさらに加速させるに終わる。
ヴァイスは口の端を吊り上げてどす黒い笑みを浮かべると、彼女の背中に覆いかぶさりその耳元で嬲るような言葉を囁いた。


「でも姐さん、“嫌”って言う割には姐さんのマンコ、さっきからエロ汁駄々漏れで俺のチンポを美味しそうにキュンキュン咥えてますよ?」


その言葉にシグナムは薄暗がりでもハッキリと分かるほどに、耳まで真っ赤になった。
ヴァイスの言葉に彼女の理性は限界まで羞恥心を煽られる。自分をまるで変態のように言われて将は即座に反論に移った。


「違う! これは……はひゃぁんっ!」


だが反論などするだけ無駄だった、彼女が言葉を言い終わる前にヴァイスは背後から抉り込むように腰を突き上げる。
石のように硬い肉棒で膣を抉られれば、シグナムの口からは途端に甘えた喘ぎ声が溢れ出す。
今度は後ろからという事もあり、さらに深く刺さった肉の槍が与える快楽は倍増していた。脳を焼く悦楽の甘い陵辱に、もはや理性の抵抗など一瞬で霧散するより他は無い。
ヴァイスは腰を激しく動かし背後からこれでもかと強く深くシグナムを突き刺しながら、彼女の纏っている浴衣の襟元に手を伸ばす。
そして襟元から服の内側に侵入した彼の手は、迷う事無く将の豊満極まる乳房を鷲掴み手馴れた愛撫を開始した。


「んはぁっ!……むねぇ……もう少し、優しく……ふあぁぁっ!」


たわわに実った彼女の肉の果実、それを丹念にそして力強く揉みしだきながら、無論その先端への刺激も忘れない。


330:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:58:18 GPfvRjAq
手の平全体を使って大きな乳房を揉むと同時に時折、指で先端の小さな豆を転がし摘み引っ張る。
その度に膣がさながら喜びを表現するかの様に収縮し、咥え込んだ肉棒を美味しそうに咀嚼してきた。

乳房への愛撫を開始しても腰の動きは少しも衰えない、むしろその動きはどんどん速さと強さを増していく。
果汁をしとどに垂れ流しているシグナムの膣をヴァイスの肉棒が全力で抉り貫き掻き乱す。しかもその一突き一突きが的確に彼女の性感帯を捉えている。
あまりに正確で容赦の無い責めに、バックでのセックスが始まってシグナムは既に数回軽く達していた。
そして軽い絶頂の連続に続き今度は今までのものを超える大波が近づいていた。


「はうんっ!……まっれ……たのむ……あんっ! おねがいだから……すこしやすませ……ひぃんっ!」


シグナムはヴァイスに何度も哀願するがそれらが聞き入れられることは無い。むしろ甘えた声と蕩けた目を彼に向ける度に責めは激しさを増す。
彼女は恐かった、あまりに強すぎる快楽と絶頂は、永い時で築いてきた自分自身という存在を溶かしてただの雌に変えてしまうから。
後ろから膣を抉られ、子宮口を突き上げられる度に徐々に最大の決壊が迫っているのが分かる。
膣の最奥への蹂躙は否応なく気を失いそうな程の絶頂をもたらすのを経験で知っていた、今それが目の前まで迫っていた。

そして、そのあと一歩、ほんの少しの刺激は唐突に訪れた。

白い歯を覗かせてヴァイスの口が開かれ、シグナムの後頭部に近づく。
堪らなく甘い香りを放つ彼女の髪に頬ずりして恍惚を味わうと、頭の横に鎮座している器官に舌を伸ばした。
それは耳、暗がりでも緋色の髪の横にある白い耳たぶへと伸びた舌がそっと這うと、次いで僅かな力を込めて甘噛みする。
その瞬間、シグナムの中で何かが弾けた。


「ひはぁぁああぁっ!」


脳がショートしそうな程の凄まじい絶頂の甘い電撃が彼女を襲い、背がのけ反り全身が小刻みに震える。
膣肉が痙攣するように収縮し、痛いくらいに肉棒を締め上げて精が欲しいとオネダリをしているようだ。
この刺激にヴァイスも堪らず射精感を解放する。再び吐き出される白いマグマ、灼熱の粘液が将の体内に注ぎ込まれていった。


「くあっ! すげえ……」


呻くように漏らしながら、ヴァイスは長い射精の余韻に浸る。
吐き出される精液が子宮口を叩くドクドクという音が耳まで響いてくるような錯覚すら感じる、それほど彼の射精の勢いは強かった。
ヴァイスは深い快楽に身を委ねながらシグナムを後ろから思い切り抱きしめた。
身体を密着させて浴衣越しに体温を求め、ポニーテールに結われた彼女の髪に顔を寄せてその熟れた果実のように甘い香りに酔い痴れる。
互いに絶頂を迎えた気だるく心地良い陶酔を、二人は存分に味わう。


「ふぅ……ああ、やっぱ姐さんの髪……良い匂いだ」


そう漏らしながら、ヴァイスは鼻腔から脳まで蕩かすような甘い香りを“もっともっと”と欲して彼女に身体を寄せ長く美しい髪に頬ずりする。
いささか汗で濡れてはいるが、シグナムの緋色の髪は相変わらずの素晴らしいキメの細かさでサラサラとした心地良い触感を与えてくれた。
そうして顔を押し付けていると、ふとした事で彼女の髪を束ねていたリボンが解けてしまった。


「あ……」


想いもよらぬ事に彼女の口からそんな声が漏れる。


331:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 21:59:12 GPfvRjAq
そして紅い絹糸を思わせるような長い髪が唐突に下ろされ、シグナムの髪型が一瞬でストレートに変わった。
汗に濡れた長く美しい緋色の髪は暗がりでも分かるほど艶を持ち、同時に解かれた事で今まで以上に濃密な甘い香りを放つ。
そして彼女の上気した頬に濡れて張り付き、涙で潤みきった瞳と相まって筆舌し難い凄絶な色香をかもし出していた。

彼女のその姿が目に映った瞬間、ヴァイスの胸の鼓動が一段早く高鳴る。
二度の発射で萎えかけていた肉棒が瞬く間に硬度を取り戻す、それも今までで一番隆起しているのではないかと思えるほどに硬い。
散々シグナムにぶち撒けた獣欲は薄まるどころかより激しく燃え始めた。


「こりゃ反則ですよ姐さん……」


シグナムに聞こえないような小さな声で呟くと、ヴァイスはその手を彼女の良く引き締まったウエストに回す。
そして肉と肉をぶつけ合う律動がまた再開した。
凶器のように硬い肉の槍は容赦なく膣肉を抉り、子宮口を突き上げ、正気を失いかねない程の快楽をシグナムに刻み込む。


「ひゃぁっ!……らめぇ……もう、やめ……はぁんっ!……ゆるひてぇ」


蜜壷を剛直で削られながらシグナムはろれつの回らぬ言葉で必死に許しを請うが、それが燃料となってさらにヴァイスを激しくさせる。

夏祭りの行われる夜店の列の傍ら、茂みの暗がりで濡れた肉同士をぶつけ合うような水音と蕩けるような甘い女の嬌声が奏でる狂想曲が響く。
夕暮れに鳴くひぐらしの歌と風になびく木々のざわめき、そして祭りの雑踏の音に紛れたその淫らな曲を聞く者は誰もいなかった。

ただ空に照る星と月だけを除いて。


終幕。





332:烈火の将は狙撃手がお好き
08/08/26 22:00:32 GPfvRjAq
オマケ

「う~ん。ヴァイス陸曹とシグナム副隊長いないね」
「ほんと、どこいったのかしら」


スバルがその低い身長で必死に背伸びして周囲を見回すが一向にお目当ての二人は見つからない。
祭りの雑踏ではぐれたシグナムとヴァイスを探すフォワード四人だが、通信も繋がらないし行き先の検討もつかず、彼らは夜店を見ながら既に二時間近く歩いていた。
まあ、屋台を見ながらの捜索は苦ではなく、むしろ楽しいものだった。
しかし、いい加減に帰り支度をする時間が迫っていたという事もあり、彼らは真剣にはぐれた二人を探し出す。
特にティアナは鬼気迫る程の集中力であたりを見回していた。


「ったく、どこにいんのよ二人とも……もしかしてどこかの茂みでシッポリ致してんじゃないでしょうね……」


ブツブツと呟きを嫉妬の黒いオーラと共に漏らしながらティアナは眼を血走らせて捜索している。
彼女のその様子にスバルは苦笑しエリオとキャロは理解できず首を傾げていた。
そして四人が祭りの雑踏の中を歩きながらヴァイス達を探していると、エリオが少し離れた場所の異変に気付いた。


「あの人だかりなんですかね?」
「ん? ちょっと見てみようか」


集まった人の間を掻き分けてみればそこにはお目当ての二人がいた、それも衝撃的な格好で。


「姐さん……やっぱこれ恥ずかしいっすよ……」
「うるさい。そもそもお前が原因なんだから責任を持て」
「うう……」


フォワードの目の前ではヴァイスがシグナムを抱きかかえながらそんな会話をしていた。
そう! それは相手の背中と膝裏に手を回して雄雄しく抱き上げる由緒正しき抱っこの中の抱っこ“お姫様抱っこ”である。
いつもはポニーテールにしている髪を下ろし、幾分着崩れ所々が僅かに汚れた浴衣を羽織ったシグナムの姿は扇情的な艶で満ちており、嫌でも一目を引き付けていた。
それがヴァイスにお姫様抱っこなんてされていればなおさらだった。
とりあえずティアナは嫉妬と怒りで歯軋りし、他の面子は二人の恥ずかしい姿に僅かに頬を赤くする。


「あ、あの……お二人ともなにしてるんですか?」
「って! エリオ!? お、お前らいたのか!?」


意を決して話しかけたエリオの声にヴァイスが面白いくらい驚く。
恥ずかしいこと極まりない姿を見られ、二人の顔はそれこそトマトのように赤くなった。


「今お二人を見つけまして。でも本当にどうしたんですか?」
「いや! こ、これはだな……その、こ、転んで足を捻ったんだ……うん……」


真っ赤に染まった顔を恥ずかしそうに俯けながらシグナムが言い訳を述べる。
まあ“本当は腰が抜けるまで激しく屋外セックスしていた”なんて言える訳はないだろう。

その日、結局シグナムはミッドに帰るまでヴァイスに抱っこされっぱなしだったとかそうでないとか。


めでたしめでたし。

333:ザ・シガー
08/08/26 22:04:02 GPfvRjAq
はい、投下終了。
夏も終わるというのに夏祭りのお話でした、もうちょい早く仕上げればよかったと反省。

そして、自分で書いておいて言うのもなんだけどシグナム姐さん最高~!!
なんつうか、シャマとかナンバーズとかレジアスとかマッチョも良いけど、その何よりもシグナム姐さんが最高だ。
ポニテからストレートになるとかマジ最終兵器じゃね?

334:名無しさん@ピンキー
08/08/26 22:46:18 uSzVJDt2
そのうちティアナが鉈持って暴れそうだなw

本編は病んでいたけど、それは別に

335:サイヒ
08/08/26 22:52:23 /6vr7dO3
>ザ・シガー氏
GJ!!
浴衣と言ったらお外の茂み。
これもはや日本の常識!

>ポニテからストレートになるとかマジ最終兵器じゃね?
もろ手を挙げて大賛成。


二十三時頃から投下させてもらいます。

336:名無しさん@ピンキー
08/08/26 22:54:57 sDfTSfpV
>ザ・シガー氏
エロ過ぎだw
エロ過ぎなんだよ!!

>ポニテからストレートになるとかマジ最終兵器じゃね?
全くだ。
ティアナの髪型チェンジも反則すぎだぜww

337:サイヒ
08/08/26 22:59:37 /6vr7dO3
連載一回お休みして番外編のエロなんぞを。

クロフェで母乳プレイ再び。搾乳と呼ぶにはちと生温いレベル。ほんのちょっとだけ尻も有り。
「あの日見上げた空に」の外伝としてますが、「本編一年後、クロフェが結婚して子供作った」程度の認識でも読めます。
クロフェ・ユーなの・ゲンはやの子供であるオリキャラが0歳児として出てきてます(おまけその三だけは大人状態)。
全体的に登場人物がダメダメな思考の持ち主になっちゃってます。特に執務官。

338:おっぱい禁止令
08/08/26 23:00:49 /6vr7dO3
 我が子が無心で乳を吸っているという光景は、心和むものだった。
 フェイトとクロノの愛の結晶である息子、クロードは元気良くフェイトのおっぱいにしゃぶりついて母
乳を吸っている。
 だが突然、こくこくと動いていた喉の動きが止まった。母乳が出なくなったらしい。
 もうちょっと出ないかと粘って乳首をしゃぶる息子に、フェイトも乳房の根元を揉んで手助けしてみる
が出る気配はない。
 フェイトは反対側の胸もはだけてクロードに与えるがまたすぐに母乳は途切れ、空腹の収まらないクロー
ドの顔がだんだん泣き顔に崩れてくる。

「ごめんアルフ、粉ミルク溶かしてくれないかな」
「またおっぱい出なくなったのかい?」

 家事スキルについてはフェイトの数段上をいくようになっている使い魔は、手早く常備してある粉ミル
クを湯で溶かし人肌温にまで冷まして持ってくる。
 省エネモードのため五、六歳程度の身長しかないアルフだが、しっかりとフェイトからクロードを受け
取って哺乳瓶を口に当てた。
 たちまち泣き顔を引っ込めたクロードは、嬉しそうに哺乳瓶に吸いつきごくごくと飲みだす。

「なんか周期があるみたいだね。そういう症状の病気は聞いたことないけど」
「う、うん……」
「一回シャマルのとこで検査でも受けた方がいいんじゃないかい?」
「そ、そうだね。今度の休日にでも……」

 気遣いしてくる使い魔に生返事を返しながら、アルフには見えない角度でフェイトははだけたままの乳
首の脇に触れる。
 そこには、ぽつりと赤い歯型がはっきり残っていた。

(やっぱり……これのせいだよね)

 指でなぞりながら赤面するフェイトをよそに、哺乳瓶のミルクを全部飲み干した息子は気持ちよさそう
なげっぷをしていた。



          あの日見上げた空に 外伝  『おっぱい禁止令』



「だから、しばらくおっぱい触るのも吸うのも駄目」
「……そういう理由なら仕方ないけど」

 その夜、自室で二人っきりになったフェイトの宣言にクロノはあっさりと頷きはした。しかしすぐに問
うてくる。

339:おっぱい禁止令
08/08/26 23:02:12 /6vr7dO3
「けど、君は我慢できるのか? いつもいつもあんなに悦んでたのに」
「あうっ……」

 クロノに問われて、フェイトは顔を赤らめる。
 フェイトの母乳が時々出なくなる理由は病気でもなんでもなく、夫婦の営みの際クロノにあげているか
らクロードの分が無くなっているだけである。
 性交の最中に母乳が出ると、フェイトの官能はとんでもなく刺激されるのだ。
 赤子のひ弱な吸い方ではなくクロノの吸引力で根こそぎ吸われるのも、無骨な指で力強く母乳を揉み出
されるのも、出産前の交わりでは不可能だった快感を与えてくれてフェイトは積極的に頼んでクロノに飲
まれたり搾られたりしていた。さすがに、息子に吸われた時もいやらしい気分になったりはしないが。
 クロノも母乳の味が気に入ったらしく、これまで止めようと言い出したことはなかった。

「……平気だよ。別に、胸を触らないっていうだけで、他のことはちゃんとするんだから」
「粉ミルクでも別に栄養値的には問題ないと思うんだが」
「だって、育児書に母乳を与えた方が自然に母子の愛情が育ちますってあったから」

 フェイトにとってプレシアが母親として欠落した部分の多すぎた人物だっただけに、余計フェイトは親
子の絆を大切にしたかった。大量の育児書を買うだけでなく、リンディやレティから実体験に基づいた知
識を聞いてノートにまとめたりもしている。
 なによりもフェイトにとって母乳を与えるということは、自分がちゃんと人の親になれたという証のよ
うに思える重要な行為だった。

「とりあえず、お互い自重するということでいいか」
「うん」
「なら、しゃべるのはこのへんにして……」

 頷いたフェイトに、クロノの顔が近づいてくる。
 キスしながらゆっくりと押し倒されていき、シーツの上に横たわる。いつもならパジャマのボタンが外
されるところだが、クロノの指は下半身に向かってズボンと下着を引っ掛ける。膝の辺りまでずらすと、
そのままクロノは顔を埋めてきた。

「い、いきなり舐めるの?」
「胸を揉めないんだったら、他にやり方が無いだろう。……それとも、こっちがよかったのか?」

 後ろの穴をちょんちょんとつつかれ、フェイトは菊座に舌が入ってくる時の感触を思い出す。指には及
ばない浅さだが、クロノの舌が腸壁を這いずると背筋がぞわぞわして全身が痙攣するぐらい気持ちいい。
記憶を反芻しただけで思わず括約筋に力が入って、肛門がきゅっとすぼまった。

「……やっぱりこっちを舐めて欲しそうな顔してるな」

 早くもスイッチが切り替わったらしく、黒い笑みの混じった声を合図に舌が一度離れて腰が持ち上げら
れる。
 だがクロノの舌が向かったのは尻穴ではなかった。前と後ろの穴のちょうど中間地点。蟻の戸渡りと呼
ばれる部分であった。

340:おっぱい禁止令
08/08/26 23:03:53 /6vr7dO3
「ひゃん! くすぐったい……よ」

 湿った舌に敏感な部分を舐められ身をよじるフェイトだったが、身体が震えるのはくすぐったさだけで
はない。
 すぐ近くにもっと直接的に愛撫できる場所があるため滅多と触れられることはないが、クロノに舐めら
れている部分はしっかりと感じる場所の一つである。
 皮膚のすぐ下にある性感神経が、舌で優しく触れられて微弱な電流を頭に送ってくる。
 後ろの指も徐々に深く進んでくるがまだほんの入り口までで、硬く閉じた秘門をほぐしてリラックスさ
せようという動きだった。
 腰で隠れているためクロノが具体的に何をやっているのかフェイトには分からず、その分だけ神経が過
敏になり、じんわりと股間が濡れてくる。

「お尻、もっといろいろしてくれても、いいよ」

 蕩け出した声で囁くフェイト。許可のような口調だが、実態は己の欲望を形を変えて伝えただけである。
もちろんクロノもそこは心得ていて、やや奥深くまで抜き差ししながら肉壁を擦る。
 尻から上がってくる刺激にいっそう顔を緩ませるフェイトだったが、いきなりぴりっと胸の先から快感
が走った。
 思わず我に返って胸に眼をやると、自分の右手がゆっくりと乳首を転がしていた。完全に無意識下の淫
らな行動に、フェイトの頭はかっと熱くなる。
 幸いクロノが気づいた様子は無い。慌てて手を引っ込めるが、どうしても突き出した乳首に眼がいって
しまう。
 思い返せば、これまでクロノに性器を舌で愛される時は体勢上どうしても胸がお留守になってしまい、
必ずと言っていいほどフェイトは自分で自分の胸を慰めていた。
 それ以外の場合でも、抱き合う時はクロノに揉まれたり吸われたりされなかったことなど無い部分であ
る。なのに今夜は指一本触れられはしないとなると、逆に禁止を破って思うさまいじってみたいという思
考が沸いてくる。
 今もフェイトが息をする度に、柔らかく大きな双丘と中心に咲いた花は触って欲しそうにふるふると揺
れている。

(だめだめ! 自分から触っちゃいけないって言ったんだから、我慢しないと)

 頭を振って、胸への欲望を追い払う。
 フェイトの葛藤など知らぬクロノは、順調に愛撫の段階を上げていく。

『そろそろ、こっちも欲しそうにしてるな』

 念話と同時に、舌が逆戻りして秘裂に攻め入った。
 焦らされることなく、溢れる愛液がすすられ舌が突き入れられる。単純に入れるのではなく、丸めるこ
とで厚みと尖りを持たせてフェイトの蜜壷が味わわれている。さらに歯が硬くなった淫核を甘噛んだ。

341:おっぱい禁止令
08/08/26 23:05:05 /6vr7dO3
「ふぁ、っあぁ……!」
『そういえば、お尻にもいろいろしてよかったんだっけ』

 ぐいっと指が押し込まれる。
 もう撫でる程度だった最初の優しさはどこにもない。根元まで突っ込まれた指が、容赦なく尻穴をえぐっ
て引っかき回す。舌を越える激しさでフェイトの後ろの穴を侵略し尽くす。
 かと思えば、いきなり指も舌も抜いてクロノは顔を寄せてきた。

「ほら、前も後ろもこんなに濡れてる」

 クロノの口の周りは明らかに唾液とは違う液体でてらてらと光っており、目の前に出された指も腸液で
ねっとりと濡れていた。
 自分の分泌した恥ずかしい液体を見せられて、頬を染め反射的に顔を背けるフェイトだが、クロノの唇
が追ってくる。
 唇が重ねられ、舌を絡め取られる。自分の愛液がたっぷりとついて汚れたクロノの舌だが、まさぐり合っ
てクロノの唾液を飲むうちにそんなことはどうでもよくなった。
 その間も右手は尻に戻り、残った左手は秘裂に二本まとめて差し込んで指の腹を使って膣壁をなぞり上
げる。

「指と舌、どっちがいい?」
「どっちも、気持ちいいよ。もっとして、クロノぉ……!」
「お尻も?」
「うん、指ももっと挿入れて……ひぁっ!」

 前と後ろの指が、相反する動きを取り出した。
 秘裂の指が前後して奥底を突けば、尻の指は腸壁を擦ったり引っかいたりしてくる。
 かと思えばその数秒後には後ろが抽迭を始め、前は親指で秘芯が捏ねくり回される。
 両方からくる快感の種類が目まぐるしく変化し、フェイトに息を吸う暇さえ与えず絶頂へと引っ張り上
げられていった。

「ああ、気持ちいい……! 私、イッちゃうぅ……っ!」

 一際強く淫核を押し潰された瞬間、全身の筋肉に力が入り秘裂と尻穴がぎゅっと締まってクロノの指を
強く噛んだ。
 完全な受身での半強制的な絶頂だったが、そんなことは快感の大きさの前には些細なことだった。
 フェイトが果てるのに合わせて尻の指は抜いたクロノだが、前はなおしばらく動かしてフェイトを高み
からゆっくりと下ろしてくれる。
 喘ぐフェイトに満足そうな視線を落としながら、クロノもパジャマを脱ぎ去って、いきり立っている性
器を握った。

342:おっぱい禁止令
08/08/26 23:05:55 /6vr7dO3
「じゃあそろそろ、始めようか」
「……うん」

 身体が貫かれる衝撃と快感を思い出しながら、フェイトは自分からゆっくりと股を開いて、溶けなぐら
い熱を帯びた身体をクロノに差し出す。
 だが胸の奥にだけ、ほんのわずかな切なさが残っていた。



          ※



「二回目、出すぞ……!」
「あ、はぁあ……! あ、熱いぃ!」

 ごぽごぽと音を立てて、子宮に入りきらなかったクロノの欲望が結合部から滴り落ちていく。
 犬のように四つん這いになって背後から抱かれていたフェイトも同時に達し、絶頂の陶酔に涙と唾液を
流す。下の口からも、白濁液の後を追って新しい愛液が洪水のように流れ落ちていた。
 激しく喘ぐフェイトだったが、官能が満たされたわけではけっしてない。
 クロノの倍以上の回数絶頂に達し、たっぷりと精液を注がれてなお、フェイトの身体は乾いていた。

(おっぱい……触ってほしい……)

 前戯の段階から不満を訴えていた乳房は、もう媚薬をたっぷり塗り込められたかのようにじんじんと全
体が疼いていた。
 どれほど激しく達しても、すぐに胸の感触に引きずられる。イキたいのにイけない生殺しの状態に極め
て近い。

(先っぽだけなら……おっぱい出ないよね)

 クロノの肉棒はまだ硬さを保ったままフェイトの胎内にあるが、休憩中なのか特に動きもせず尻や背中
を撫でたり髪の毛をいじくったりして遊んでいる。
 クロノの様子を窺いながら、フェイトはそろりと折りたたんだ右腕を胸の先端へと持っていく。
 胸中の血が集まったように尖りきった乳首をきゅっと捻った瞬間、頭がずくんと痺れた。

「あぐぅ!?」

 背後でクロノの呻きが上がる。快感に反応して膣の具合が急激に変化したのが、両者にとって予期せぬ
不意打ちになったらしい。
 だが、クロノに気づかれたかもしれないという懸念など、フェイトの頭の中にはなかった。

343:おっぱい禁止令
08/08/26 23:07:02 /6vr7dO3
(乳首が、すごく気持ちいい……!!)

 強く愛撫されるのを待ちわびていた胸にとって、軽い愛撫でも十分すぎる刺激になった。
 片手だけでは足りない。反対側の乳首にも手を伸ばし、フェイトは夢中になって乳首をいじくり続けた。
 しこった乳首を徹底的に揉みほぐし、爪で引っかき、思い切り引っ張る。
 その一つ一つの行為が肉棒で突かれるぐらいに気持ちよく、全身が悦びに打ち震えじりじりと肉体の限
界へと引き金が引かれていく。
 フェイトは確信する。このまま乳首を触っているだけで自分は膣内射精に匹敵する絶頂を迎えられると。
 乳首だけでこれなら、母乳を搾ればどれだけの快感が待っているのか、予測がつかない。

(一回だけ。一回おっぱい出すだけなら、クロードの分も残ってる、よね?)

 答えの分かりきった自問自答を終え、フェイトが自分の乳房を握ろうとした時だった。
 ぐいっと強く両手首が掴まれる。はっとして首を回せば、唇の端を吊り上げてクロノが笑っていた。

「僕には触るなと言っておいて、自分であれこれするのはルール違反なんじゃないか」
「こ、これは、そうじゃなくて…………きゃっ!?」

 言い訳など聞く耳持たぬとばかりに、乱暴に上体が起こされる。そのまま激しく何度も腕が引っ張られ
た。

「ひぁっ! あふんっ! や、めて、クロ……はぁぁぁん!!」

 上半身の振動が下半身にも伝わって、繋がったままの膣がかき回される。
 だがそれ以上に、揺らされる乳房からの刺激がフェイトを悶絶させていた。勢いよく左右に身体を揺ら
されると、乳房同士が軽くぶつかり合う。たったそれだけの小さな衝撃が、胸の神経を通る間に何十倍に
も増幅されてよがり声を上げさせた。
 一度自ら禁を破った身体は、あっという間に理性をかなぐり捨ててクロノに懇願した。

「クロノっ、お願いだからおっぱい触って揉んで吸って、気持ちよくして……!」
「明日クロードにおっぱいやれなくなっても、いいんだな?」

 クロノの言葉にほんの数瞬だけ母性が甦り、否定の声を出そうと口を開く。
 だがすぐさま浅ましい雌の本能が取り代わり、欲望の示すがままにフェイトは叫んだ。

「いいからぁ、私のおっぱい絞って……いっぱい出してぇ!!」

 手首の拘束が解かれ、布団の上へと墜落するようにフェイトの上半身は落下する。
 胸に手が回り乳房をぐっと強く握られた瞬間、三種類の音がした。
 胸からは、母乳が吹き出す小さな音。
 股間からは、溜まった愛液が肉棒と秘裂の隙間から噴出する音。
 そして最後が、フェイトの口から漏れた絶叫だった。

「は、ああああぁぁぁん!!!!」

 がくがくと全身を痙攣させながら、尾を引く叫びをフェイトの喉は上げ続ける。

344:おっぱい禁止令
08/08/26 23:08:00 /6vr7dO3
「くっ……また締まる……! 一回搾られただけで、イッたのかフェイト」
「だってぇ、だってぇ……!」

 半開きの口から涎と意味の無い言葉を垂れ流しながら、クロノの手のひらに乳房を押しつけてフェイト
は催促する。
 何度もフェイトの乳を搾り慣れているクロノは、絶妙の指遣いで胸を揉み母乳を搾り取っていく。あっ
という間に、眼前のシーツが白く重く濡れそぼった。
 一度先端から母乳が滴る毎に、フェイトは絶頂に襲われ意識を飛ばしかける。同時に、流した分だけ別
の白色の液体を求めようと膣が収縮しながら蠢いた。

「もうちょっと、力を抜いてくれ。このままだと……挿入れてるだけで出しそうだ……!」

 クロノの頼みを聞き入れることなどなく、鼻腔から入ってくる乳臭さに脳髄までも犯されたフェイトは、
逆に自分の堕落した願いだけを口にした。

「私のおっぱい、搾るだけじゃなくて……飲んで。でないと、クロノの精液このまま枯れるまで全部出さ
せちゃうんだから……!」
「それは困る、なっ!」
「ひゃああん!?」

 身体が引っ張り上げられ、胎内をえぐり続けていた肉棒の角度が変わる。
 一気に後背位から背面座位に移行したクロノは、すかさずフェイトの右胸を強引に歪ませて乳首を口に
含んだ。
 肺活量だけでなく乳房を揉みあげる握力も加わり、あっという間にフェイトの母乳は吸い取られていく。
逆の胸を揉む手も止まりはしない。途中に乳首を歯で挟むことも忘れない。

「あ、ひあああっ!! もっといっぱい吸って!!」
 
 自分の体内で作り出した液体を、最愛の人が極上の美味として飲んでいる。
 その一事だけで、恋愛心・母性・肉欲といったフェイトの中のあらゆる要素が歓喜の悲鳴を上げて肉体
を打ち震えさせた。きっとクロノの精液をフェイトが飲んでいる時も、クロノは近い気分になっているの
だろう。
 小水のように蜜を垂れ流して感じながら、フェイトはこの交わりに唯一足りていない物を求める。

「全部っ、私の全部クロノにあげるからっ……! クロノもちょうだい!!」

 ありったけの力できつくクロノの分身を包みながら、同時にフェイトは腰を捻った。
 肉棒が激しく痙攣したかと思うと、どっと切っ先から灼熱の液体が発射され子宮を直撃する。

「はあっあああっああああぁぁぁぁんん!!!!」

 フェイトの身体も視界も真っ白に染まった。
 半分意識を失ったまま前のめりに倒れこめば、母乳を吸ったシーツがべったりと頬に張りついた。

345:おっぱい禁止令
08/08/26 23:09:24 /6vr7dO3
          ※



(…………う~~~~)

 事が終わって意識が回復し頭が醒めると、フェイトはあまりの自己嫌悪に寝台の隅っこで頭からシーツ
にくるまり呻いていた。
 自重しようと思っていたのに、結局は肉欲に負けて母乳を絞り尽くされてしまった。明日もクロードの
ご飯は粉ミルクだ。

(母親失格かな……)

 落ち込んで涙ぐみかけているフェイトに、クロノが声をかけてくる。

「すまない。我慢できなかった」
「…………クロノは悪くないよ。先にして欲しいって言ったのは、私なんだから」
「だけど僕も自重すべきだった。……まあ、君に喘ぎながら絞って欲しいなんて言われて、我慢できる訳
がなかったか」

 クロノの言葉でついさっきまでの痴態を思い出し、赤面したフェイトはますます強くシーツを引っかぶっ
てしまう。
 そんなフェイトの身体をあやすように、シーツ越しにクロノが優しく撫でてくれた。

「なんだったら、君の母乳が出なくなるまでこういうことするの止めようか?」
「……我慢できる? 溜めちゃうの、身体に悪いよ」
「妊娠中はずっとしてなかっただろ。一回やったら、二回目は簡単だ。期間も短いだろうしな」

 背中を撫でていた手が止まり、優しくフェイトを抱きしめてくる。

「するかしないかは、君に任せる。母乳は僕やクロードの物である以前に、君の物なんだから」
「……明日の夜までに、考えとく」

 考えると言いはしたが、心が多少は平静を取り戻し母乳の甘ったるい匂いとクロノの温かさに包まれて
いるうち、どちらを選ぶか全く決まらぬままに性交の疲労からフェイトの精神はゆっくりと眠りに落ちて
いく。

(……明日もクロードにおっぱいあげれないから……その分いっぱい抱っこしてあげよう)

 歌を歌ってあげて、絵本を読んであげて、母親が子供にして上げられることをいっぱいしてあげよう。
 それだけはちゃんと決めて、フェイトは緩やかに瞼を閉じた。



          終わり

346:おっぱい禁止令
08/08/26 23:10:20 /6vr7dO3
          おまけその一「スクライア家」



 どろりと、三度目なのに濃さの薄れない液体が舌に零れた。舌の上でたっぷりと味わいつくしてから喉
に送って、熱さと粘りを内臓の感覚で愉しむ。
 最後の一滴まで飲み干してからなのはが顔を上げれば、口淫を受けていたユーノも満足そうな表情を浮
かべている。
 だが同時に、どこか満ち足りない色も顔に表れていた。

「ねえなのは。口も気持ちいいんだけど、そろそろ本番したいなぁって……」
「駄目だよ。今晩は口だけでしかやってあげない」
「ええっっ、なんで!?」
「昨日私のミルクいっぱい飲んだんだから、今日は私が飲ませてもらう番なの」
「……ひょっとして、昨日ユーナの分まで飲んじゃったこと……怒ってる?」

 無言のままにっこり笑うと、ユーノの顔色が面白いように青ざめた。そのくせ肉棒は張り切ったままな
のが少し滑稽である。
 笑顔のまま唇から舌を覗かせ、亀頭をつんつんとつついている時だった。部屋に置いている端末が鳴っ
て、よく知ったデバイスの声を発する。

『マスター、ユーナお嬢様が起きられました。空腹かおしめが原因かと思われるのですが』
「分かった。今いくね」

 ちゅぽんと口から出して、なのはは若干乱れた服装を整える。

「えっ、まさか僕このまま放置プレイ!?」

 股間を露出したまま情け無い声を上げているユーノを置き去りにして自室へ戻り、ベビーベッドの隣の
机に置いてある愛機になのはは軽く礼をする。

「レイジングハート、お守りご苦労様」
『お気になさらず。アイナさんがおられない時に面倒を見るのは私の義務ですから。ヴィヴィオお嬢様は、
妹の面倒を見るにはまだ幼いですし』

 ぐずっているユーナを抱きかかえてはだけた胸元に近づけてやると、すぐに元気よく吸い始める。
 やがて乳首を口に含んだままことりと眠りに落ちた娘を下ろしユーノの部屋へ帰ると、夫がベッドの上
で土下座していた。

「お願いだから挿入れさせて」



『マスター、またお嬢様が起きられたのですが』
「あ、はぁぅん、レイジング、ハート……あと五分だけ……くぅんっ! ユーノ君、そこ、もっと!」
『了解しました。では僭越ながら私が子守唄など。ぼうや~良い子だねんねしな~。い~まも昔も……も
う眠られましたか。本当に空気の読める良い子ですねお嬢様は』



          まだ続く

347:おっぱい禁止令
08/08/26 23:12:16 /6vr7dO3
          おまけその二「八神家」



「最近、トウヤが不満あるみたいなんです」
「何に対してだ?」

 夜更けに自室へとやってきた妻に、ゲンヤは服を脱ぐ手を止めて訊ねた。
 誕生したばかりの息子の異常は、どんな些細なことでも気にかかる。
 だが一足先にベッドの上で全裸となって三角座りしていたはやての言葉に、ゲンヤは思い切り拍子抜け
した。

「私のおっぱいに」
「…………へぇ」
「私のおっぱい飲み終わった後は必ず、シグナムやらスバル見てあっちの方がうまそうやって顔してるん
です」
「生まれたばっかりのガキがそんな顔するか」
「けどこないだ試しにシグナムのおっぱい吸わせてみた時は凄かったですよ?」
「吸わせるな」
「ちなみにヴィータの胸も吸わせてやろうとしたらトウヤめちゃめちゃ嫌がりました」
「…………だからあいつ部屋の隅でいじけてたのか」

 息子の将来が本気で心配になるゲンヤだった。我が子は間違いなく、母親最大の悪癖である乳への妄念
を受け継いでいる。

「だからせめてもうちょーっとだけ自分の胸を大きくしてやりたいな、と母親として思うんです」
「どうやってだ? シリコン入れたりするのか」
「まさか。周りのバスト成長に貢献し続けた私が断言します。そんなニセチチ手術せんでも、乳は揉まれ
て大きくなる。……だから」

 胸の前で脚を抱いていた腕をほどいたはやてが、猫のような姿勢と笑顔でにじりよってくる。

「現状、私の乳を揉む唯一の権利者である旦那さんに頑張ってもらいたいなぁと思ってるわけですよ」
「……ああ、つまり」

 遠回しすぎる誘いの意味を遅まきながらもようやくゲンヤは悟り、残っていた服を手早く脱ぎ捨て、は
やてを膝の上に抱き上げる。

「今夜はいっぱいしてほしいってことか?」

 ゲンヤの回答に、はやてはたいそう嬉しそうな顔でこくりと頷いて、口づけてきた。

「トウヤにけっこう飲まれましたけど、まだ二口ぐらいはゲンヤさんの分、残ってますよ?」



          まだまだ続く

348:おっぱい禁止令
08/08/26 23:13:11 /6vr7dO3
          おまけその三「二十年後のクロード・T・ハラオウン宅」



「よあ~けのない、世界なんてな~いから~」


「なんかあの歌、聞いたことあるな」
「第九十七管理外世界の歌。この間実家に帰った時に、母さんがクロナに子守唄で歌ってた。ユーナも教
えてもらったんだろ」
「言われてみりゃ歌詞が日本語っぽい気がするな。……子供で思い出したが時にクロードよ、お前を一児
の父親にして俺の親友と見込んで訊ねたいことがある。正直に答えてくれ」
「なんだ?」
「母乳って美味いのか?」
「ぶっっっ!?」
「やっぱり由緒正しき二代目乳揉み士としては、揉んだら出る物の味も知っとかないとな。避妊具無しで
初体験に臨んで見事にホールインワン達成したエロード大先生だったら、母乳プレイの一回や二回やって
んだろ?」
「エロード言うな! そ、そ、そんな非常識なこと、やってるわけないだろう!」
「お前ってさぁ、嘘つく時必ず天井見るわどもるわで丸分かりだよな」
「う、うるさいっ! いくら親友だろうが答える義理はない! 自分で結婚相手を見つけて確かめろ!」
「そんな理想の相手が見つからないから訊いてんじゃないか」
「ハードルを下げろ。はやてさんぐらい料理上手でシグナム先生ぐらい胸があってシャマルさんぐらい優
しくてヴィータさんぐらい強い女性なんているわけないだろ」
「いいや、絶対いるはずだ! レトルト食品しか作れなくて胸がAAカップで優しさの欠片も無くて運動
神経ゼロな女が身近にいるんだから、その逆もこの世のどこかにいるに違いない! だいたいお前なんか
昔は理想の女性はフェイトさんだって言ってたくせに貧乳のユーナ……」
「 ふ た り と も ?」
「うわっっ!?」
「ユ、ユーナ!? お前いつからそこに……」
「お酒は飲んでもいいけど、あんまり騒ぎすぎてクロナが起きたりしたら…………怒るよ?」
「す、すまない! 静かに飲むから!」
「お、俺もぼちぼち帰るから!」
「静かにしてくれるなら、泊まっていったってかまわないよトウヤ君。私はもう寝るから、お皿とグラス
は水洗いだけしといてね。じゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。…………なんか最近、あいつキャラクター変わってないか? こう、笑顔に凄い迫力
があるっていうか」
「たしかに結婚したあたりからちょっとずつなのは義母さんに似てきてたような……」
「高町の血が今頃になって覚醒してんのか。そしてお前はどんどん尻に敷かれていってると」
「まあ、僕の知り合いで奥さんの尻に敷かれてない人なんていないし……」
「例外はうちの親父ぐらいか。なんでこんなに男が肩身の狭い思いする家ばっかりなんだろうなあ」



 その頃、教会にて。

「母乳と血液の成分はほぼ同じ。ということは、授乳行為とは言葉を変えれば吸血行為でもあるというこ
と。親子関係とは麗しき捕食関係でもあるのですねえ」
「…………フレイヤ、あなた何を突然?」
「いえ、お母様がコーヒーにミルクを入れているのを見て、ふと思いついただけのことです。うふふふふ」
(……本当にこの娘、苦手だわ)

 いつもの胡散臭い笑みを顔に貼りつけたままブラックコーヒーに生チョコのすり下ろしを浮かべて優雅
に飲んでいる養女を眺めつつ、カリムもコーヒーを口に運ぶ。
 ミルクも砂糖も入れたのに、やたらと苦かった。



          今度こそ終わり

349:サイヒ
08/08/26 23:15:40 /6vr7dO3
以上です。
自分で書いといてなんですが、三人娘のおっぱい吸い放題な子供達に軽く殺意が沸いた。


連載のプロット見直してたら、クロフェ時空のくせしてクロフェの会話シーンが最終回にしかないという
致命的な問題点(俺にとって)を見っけたんでクロフェ分自給自足。
おまけで盛大に連載のネタばれしてますが、特に先の展開を秘密にするような話でもないですし。

番外編第二段として「ルー子のエリオ寝取り計画(失敗編)」もやる予定。

350:名無しさん@ピンキー
08/08/26 23:21:32 XPaQA/9W
GJ!

>>「けどこないだ試しにシグナムのおっぱい吸わせてみた時は凄かったですよ?」
>>「ちなみにヴィータの胸も吸わせてやろうとしたらトウヤめちゃめちゃ嫌がりました」

 試しに吸わそうとして頭から囓られるリィンを幻視しました。
 って、何やってんですかはやてちゃん。


>>「ルー子のエリオ寝取り計画(失敗編)」

 正座して待ってます。がんばれルーちゃん

351:名無しさん@ピンキー
08/08/26 23:48:16 GPfvRjAq
GJ!!!  やっぱオッパイは良い、いや凄く良い!!!

相も変らぬエロさ、脱帽にございますよお師さん。
しかし、フェイトが胸だけで徹底的に悦楽を感じるようになったのは間違いなくクロノのせいだwww

352:名無しさん@ピンキー
08/08/26 23:49:58 sDfTSfpV
>サイヒ氏

  _   ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡



353:名無しさん@ピンキー
08/08/26 23:51:24 1Vtg+ZSQ
GJ!!

>>「ルー子のエリオ寝取り計画(失敗編)」
失敗篇、ってことは性k……もとい成功篇もあるんですよね?!
あるといってください、お願いします

354:名無しさん@ピンキー
08/08/27 00:29:14 DVNqak4F
超GJ!
実にいいおっぱいでした
性格の3分の2は遺伝で決まるらしい……

355:名無しさん@ピンキー
08/08/27 06:29:28 +gcDj7nW
>>349
GJ!
相変わらずな色ボケ具合ですね、この二人w
あと何気に親として子供を気遣うフェイトと、そんなフェイトを気遣うクロノが
いい感じです。

でも、これだけのことやっても、子供はクロード一人だけなんですよね。この時空のクロフェ。
実はもう一人、弟か妹ができていても面白いけど、どうなんでしょう?

356:名無しさん@ピンキー
08/08/27 08:09:16 CnRR4V1B
プロバイダが規制されていて投下ができないorz
文章多いからケータイは厳しいし・・・泣けてきた。

357:名無しさん@ピンキー
08/08/27 09:20:47 nDSkLRI2
よし!会社か学校のPCから投下するんだ!ww

358:名無しさん@ピンキー
08/08/27 09:47:09 B+sNQsHZ
>>356
もっと推敲しろという神のお告げだよ、きっと
マターリしとけ。スレは逃げやしないからw

359:名無しさん@ピンキー
08/08/27 10:07:43 uBIWUml1
>>358

魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第82話 は逃げ出した!
しかし( )に周りを囲まれてしまった!

( )内に入る言葉を答えよ

360:名無しさん@ピンキー
08/08/27 10:57:17 7u+UDM+e
>>359
変態紳士達 だな

361:名無しさん@ピンキー
08/08/27 11:46:23 mrFnBBKJ
ウホッ☆

362:名無しさん@ピンキー
08/08/27 12:16:32 F/wgW+ox
ちょっと懐かしいネタだがなのはエロパロと言えば、
納豆、G、キシャーに囲まれるべきじゃないかと思う。

363:名無しさん@ピンキー
08/08/27 18:12:49 i5rCkqcA
>>362
あの頃のスレはカオスだった……今はだいぶ落ち着いたね

364:名無しさん@ピンキー
08/08/27 18:27:55 ZQPv4w5L
G…ってなんだっけ?

365:名無しさん@ピンキー
08/08/27 18:33:46 PUwldMaG
調理場の黒い悪魔

366:名無しさん@ピンキー
08/08/27 19:10:04 aG1zxmMo
ルールーのインゼクトですね、わかります

367:名無しさん@ピンキー
08/08/27 19:29:46 UkQl5JNL
ガリューだろがりゅー

368:名無しさん@ピンキー
08/08/27 19:41:03 NhnrqKFD
>>349
フェイトさんみたいな立派なおっぱいを持つ妻ならクロノのようになっても仕方がないかと

ルー子のエリオ寝取り計画(失敗編)…ものすごい楽しみ!!!!
個人的には成功編が見られたらヘブン状態になりそう

369:名無しさん@ピンキー
08/08/27 22:45:55 CDEPQNpe
GJ!
エロノが凄くうらやましいです。
フェイトさんには頑張って大切な夫と子の相手を頑張って欲しい


そしてどうしてもルー子のエリオ寝取り計画が気になってしまう。
成功編…キャロが空鍋かきまわす想像が一発でできてしまうほど楽しみです。

370:名無しさん@ピンキー
08/08/27 23:13:49 zogC6wtA
GJ!
続きが楽しみだぜ!

371:詞ツツリ ◆265XGj4R92
08/08/27 23:19:50 zogC6wtA
長い冬が明けた……
ようやく規制解除されましたので、30分から【空へと響く銃弾】第二話を投下してもよろしいでしょうか?


372:名無しさん@ピンキー
08/08/27 23:20:32 Ydm2ivte
遅かったじゃないか・・・

373:名無しさん@ピンキー
08/08/27 23:21:05 1zDK6k95
全力でOK! あなたのSS、一日千秋お待ちしておりました。

374:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:30:05 zogC6wtA
そろそろ投下開始します。
注意:脇キャラですが、オリキャラが出ます。
残酷描写がこれからの物語で登場する可能性があります。
さほど露骨にではありませんが、SSXの設定が織り込まれています。
それらをご注意してください。


375:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:30:54 zogC6wtA

 ボタボタと口から零れ出る液体が酸っぱかった。
 胸が、喉が焼けそうで、どこまでも吐瀉物が止まらない。

「うぼぇえ」

 ゲロまみれの無様な姿。
 耳に嵌め込んだイヤホンから冷たい報告連絡。

 ―射殺完了。

 胸が燃えるようで。
 下半身が凍りついたようで。
 頭蓋骨の裏側が掻き毟られているかのようで、ジンジンした。
 その日、買いに行った商売女が泣き叫ぶほどに犯した。

 それが俺の初めての人殺し。

 スコープの中の世界を砕いた日のことだった。




 空へと響く銃弾

 2.薬室に弾丸を詰め込んで、ボルトを引き、閉鎖する。




 ミッドチルダ首都航空隊。
 それが今のヴァイスの職場でもあった。
 そして、その場所にはかつての同僚がよく顔を合わせる場所でもある。
 それは―

「あー、ヴァイス先輩~!」

 地上本部、航空隊宿舎の廊下から一人の女性が小走りに現れた。
 アルト・クラリッタ。
 元機動六課のオペレーター、今は陸士108部隊に所属し、その正式ヘリパイロット。
 その身に纏うフライトジャケットが何よりの証拠。

「よぉちびアルト、こんな場所で会うとは珍しいな。なんか用か?」

 ヴァイスがアルトに訊ねると、彼女は少しだけ頬を膨らませて答えた。

「用が無いとあっちゃいけないんですか?」

「ぇ?」

「ぶー、まあいいですけどね! これ、JF-704の整備報告です。整備課の人からついでに渡してくれって頼まれまして」

 別部署なのに、わざわざアルトに渡されたという事実は普通に考えれば少しおかしいことだろう。
 しかし、この地上本部はあまり変わって事ではない。
 何故なら彼と彼女はとてもある意味において仲良しだからだ。


376:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:31:25 zogC6wtA

「ん、サンキュ」

 そういってアルトにお礼の言葉を呟くヴァイス。
 ヴァイス先輩。
 アルトの二年前からさほど変わらない態度、グランセニック陸曹という呼び方の皮がはがれて、彼女は昔通りヴァイスを先輩と呼ぶ。
 長い付き合いだ。
 どこか子供っぽさの抜けないアルトの態度に苦笑しながら、ヴァイスはぺらぺらと書類を確認。
 そして、最後に付けられたヘリパイロットのローテーションスケジュールを見て、眉を歪めた。

「あれ? また俺の待機時間が減らされてるんだが、どういうことだ?」

「いや、私に聞かれても……あ、そういえばヘリに見かけない顔の若い子がいましたけど、新人でも入ったんですか?」

「そういやこの間入ってきたな? ということはその分の割り引きで―くそ、あのおっさん……俺の楽しみを奪うつもりか」

 ガシガシと頭を掻いて、ヴァイスが呻く。
 ヘリパイロットとスナイパー、その二束わらじを履いているヴァイスのスケジュールは不規則だ。
 武装隊に人手が足りなければ引っ張り出されるし、ヘリパイロットに余裕がなければパイロットに移行する。
 どちらも手放せない、大切な仕事になっているからこそ、片方に比重が傾くのがヴァイスには苦悩だった。
 そして、傾く仕事―狙撃手としての時間が長いのは彼にとって苦痛だった。

「先輩?」

「ん、あ、いや……サンキュな。悪いなアルト、わざわざ届けてもらって。生憎俺はここ最近自分も操縦するヘリだって言うのに見にいけなくてさ」

 ヴァイスがヘリの操縦桿を握ったのは一体何日前だろう。
 ストームレイダーのグリップを握る感触だけは生々しく残っているというのに、操縦桿を握る時の感覚は、空へと舞い上がるなんともいえない喜びである感覚が朧だった。

「いえ、別に対した手間でもないですからっ」

 アルトがどこか心配そうに答える。
 ヴァイスの浮かべる影を帯びた表情に、彼女はどこか心配そうな目を浮かべていた。
 そんなアルトの視線に気付いて、ヴァイスは取り繕ったかのように笑みを浮かべると、不意に手を伸ばした。

「よし、アルト! 今度飲みにでもいくか!」

「え? いきなりなんですか!? って、人の髪をくしゃくしゃにしないでくださいよ~!」

 なでなでとアルトの髪を弄るヴァイスに、うきーとアルトが抗議のパンチをするが、届かない。
 長身の上に手が長いヴァイスの手で押さえられると、小柄な彼女の手は微妙に彼の身体には届かないのだ。
 ぶんぶんと空を切るアルトの手。
 からからと笑うヴァイス。

「先輩、本当に28ですか? もう少し大人になってくださいよ!」

 アルトの反論。
 三十路、二歩手前のヴァイスには辛い言葉だった。

「うるさいぞ、アルトのくせに」

 ぴんとデコピンがアルトのデコに命中。
 のののぉとうめき声が上がった。


377:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:32:27 zogC6wtA

「よし、んじゃ俺は仕事にでも戻るかねー」

 ぜーぜーとアルトが真っ赤な顔で息を吐くころになって、ようやくヴァイスは手を離した。
 うぅ、いじめっ子だぁと涙目でアルトが呟くのは聞かぬふりである。

「あ、ヴァイス先輩っ」

「ん?」

 自分の部署に戻ろうとするヴァイスに、慌ててアルトは声を上げた。

「そういえば、鑑識班のラードさんが先輩を探してましたよ? なんか用事が終わったから、さっさと来いって。アタシ、伝言板じゃないのに」

「ん? わかった」

 何頼んだんですか? と訊ねるアルトに、ヴァイスは野暮用だと軽く誤魔化す。

 不思議がるアルトを置いて、ヴァイスはその場から立ち去った。




 午前中のデスクワーク作業。
 報告書の草案をまとめ終わり、データを保存したヴァイスは昼飯時にも関わらず食堂に向かわず、ある一室へと足を運んでいた。
 地上本部での捜査任務に属する鑑識班、その部署である。
 武装捜査員と呼ばれる武装隊と鑑識班の繋がりは深い。
 単純な捜査や武力での鎮圧では解決出来ない、科学捜査や最新のテクノロジーなどを用いての分析など彼らの重要性は高いのだ。
 そして、その中の鑑識員の一人にヴァイスは個人的なつてがあった。

「おーう、ヴァイスじゃないか。よく来たな」

 鑑識課の部屋の中、昼飯に出て行ったらしい無人の空間に一人だけコーヒーのカップを持った男がいる。
 にこやかな笑顔、低い身長、少年を思わせる童顔に、藍色の髪。その口から出るのはどこか年老いた男の声。
 少年のような男の名はラード。ラード・グラス。
 年齢にして40にも至る見かけだけならば、十代半ば程度の―幼年成熟の特性を持つ次元世界の住人だった。
 地上本部の古株でもある人物に、昔からヴァイスは世話になっていた。
 元々は質量兵器―弾痕分析などの権威でもある人物である。彼の住まう次元世界は管理世界においても、魔力素が存在しない世界のため例外的に質量兵器が解禁されており、硝煙と鉛玉が行き交う世界だ。
 そのためあまり魔法を好いていない変わった人物でもある。


378:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:33:12 zogC6wtA

「なんか呼んでたらしいっすね」

「ほれ、頼まれていた奴出来とるぞっ」

 ぽいっとバインダーに挟んだ書類をヴァイスに投げるラード。
 それを慌てて受け止めると、ヴァイスはそれを捲った。
 事件発生時の風速、予想射撃角度、打ち込まれた弾痕のひび割れと発見された弾丸からの予測距離、ヴァイスが求めていた情報がずらずらと羅列されている。

「かー! 魔法ばっかりで銃器の硝煙も、力も、恐ろしさも、素晴らしさもわかっとらん海の連中は手抜きばっかりだ」

「さすがっすね」

「ふん。この程度は写真からの予測に過ぎんし、信憑性も高くないわい。ミッドチルダで起きた事件だというのに、陸には指一本触れさせてくれんのだ」

 ガツンとカップを叩きつけ、気息を吐き出すラード。
 その少年じみた顔には似つかわしくない憤怒の表情が浮かんでいた。

「たまらんたまらんたまらん。レジアスの阿呆め、あやつが死んでからわしらの仕事が窮屈になりおった。そう思わんか、ヴァイス?」

「え? あーそう……っすね」

 ラードの言葉に、ヴァイスは躊躇うように返事を返した。
 それは全て事実だった。
 二年前レジアスが暗殺され、彼の補佐官であり、娘であったオーリスが後送されてから地上本部には海からの介入が激しくなった。
 上層部は海からの派遣人員で埋め尽くされ、海派の派閥とシンパによって、元々所属していた陸の人員は肩身の思いをし、古株だった人間は何かの理由で左遷され、或いは退職に追い込まれていった。
 魔力素養が高いものは率先してエリートの道を進み、低いものは出世が遅れて、ハードな現場に送り込まれる。
 もはや陸は海の傀儡だと、単なる飼い犬だと吐き捨てて去っていった人間もいる。
 地上本部はもはや元の原型など留めていないも同然だった。
 そして、海の象徴でもあり、“奇跡の部隊”とさえ褒め称えられた機動六課に所属していたヴァイスは低い魔力量であったが、そのお陰で海からの風当たりは弱かった。
 ハードな環境ではあるが、幸い上司も海からの派遣人員ではなく、運よく生き延びている陸のベテランであり、彼には壁を解消した妹もいる。
 全ては順調、だといえる。
 そう、ただ生き延びるだけなら―

「で? これをどうするつもりなんだ、ヴァイス?」

「え?」

「本局鑑識班からの報告書を渡してきたってことは、どうせお主の“元同僚”の嬢ちゃんたちが絡んでおるんだろう?」

 ラードの目線が厳しく、ヴァイスの胸を貫いた。

「これを見せて、ただそれでお終いというわけにはなるまい。これを理解し、追う人間が必要となる」

「それ、は―」

「海は嫌いだがのぉ、お主自身はわしは気にいっとるよ」

 ずずぅとコーヒーを啜り、少年の姿をした男は足を組んだ。

379:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:33:44 zogC6wtA

「質問じゃ。お主は何のために手を貸す? 友情か? それとも愛情か? それともコネと恩売りか? この件の解決に協力したとあらば、貴重な貸しになるだろうな」

「俺は―別にそんな理由で」

「ならば、なんだ?」

 言葉が突き刺さる。
 視線が突き刺さる。
 衝動が突き刺さる。
 ヴァイスは心臓を握り締められたような感覚がした。ナイフに刺されたような衝撃がした。
 吐き気、吐き気、吐き気。
 汗が浮かぶ、中途半端な自分。


 ―何故俺に協力を仰いだ?



 つい数日前に自分が吐き出した問い。
 その答えは、答えは―

「まあええわ」

 ブルブルと拳を震えさせたヴァイスに、ラードはあっさりと言葉を撤回した。
 え? とヴァイスが呆然とするほどにあっさりと。

「わしには興味が無い。ただ適当に楽しめればええからのぉ」

「楽しいって」

「ヴァイス―殺意の重さを思い出せ」

 え? とヴァイスが呆然となる。
 そんな彼に背を向けて、ラードは再び書類に目を通し始めた。

「主が誰かを殺すことを決めた理由を、思い出せばそれでいい」



「鉛だろうと、魔法だろうと、引き金を引くための重さは変わらんのだから」




380:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:34:52 zogC6wtA
 それは夜。
 仕事が終わり、宿舎に戻る時間。
 そんな時間に、ヴァイスは約束した場所でバイクを傾けて、煙草を吸っていた。
 紫煙が肺に染み渡る、苦い味、吐き気がする―けれどやめられない、やめるつもりもない自傷行為。

「煙草……吸うようになったんですね」

 声がした。
 振り返る必要も無い、呼び出した相手。
 ティアナ・ランスター。かつての同僚、ヴァイスの知る一人の男の妹。
 その事実を彼女は知らない、教える気も無い、だから紫煙を吐き出すことを返事にした。

「まあ、な。別に法令違反じゃないぜ?」

「確か路上喫煙は禁止の場所ですが」

「そりゃ失礼したな」

 すうーと煙草を吸い尽くし、胸ポケットから取り出した携帯灰皿に仕舞い込む。
 風に舞った僅かな灰が、夜空に散った。
 軽い大気汚染、多めに見てほしいけど駄目か?

「それで、返事を」

 ティアナが問う。
 こちらの真意を。
 彼女の捜査に協力するかどうかを。

 答えは決めた。

「協力するさ」

 煙草臭い息を吐いて、ヴァイスは答えた。

「いいんです、か?」

「おいおい、誘ったのはお前だろう?」

 ティアナが少し動揺したのを見て、ヴァイスは肩を竦める。
 腰掛けていたバイクから降りて、ティアナを見る。

381:空へと響く銃弾 第二話 ◆265XGj4R92
08/08/27 23:35:51 zogC6wtA

「でも、これは本当なら海の私たちが解決する問題で―」

「そんなわけがない」

 ティアナの言葉を封殺。
 海に所属しているなどという言葉はいらなかった。
 無意識にテリトリーを主張して欲しくなかった。
 アイツが護りたかった地上のことを忘れるような言葉を告げて欲しくなかった。
 かつての機動六課。
 誰もが見捨てた、忘れている、重視していない世界をのけ者にして欲しくなかった。

「これは俺たちの問題だ」

 そうだ。
 これは陸でも、海でもない。
 俺たちの、アイツの、住んでいる、或いは住んでいた世界の問題。

 そして。

「それに」

 ヴァイスはたった一つだけ理由を見つけていた。


「殺意の重さ、それを知りたいんだ」

「え?」

 銃器を、同じ引き金を引き続ける誰かが知りたかった。
 その痛みを知りたかった。


 ただそれだけだ―



382:名無しさん@ピンキー
08/08/27 23:37:22 LlGiPwSR
渋いヴァイスに支援

383:詞ツツリ ◆265XGj4R92
08/08/27 23:38:37 zogC6wtA
投下完了です。
いやはや、色気の欠片も無い内容ですみません。
次回からヴァイスとティアナの捜査が始まる予定です、少しは色気も出てくるかな?


あとまとめ管理人氏にお願いです。
大変申し訳ないのですが、SSXの設定によると二年後の時点では既にティアナは執務官になっていたようなので、

まとめの

 彼に告げるのは小柄な少女。
 オレンジのかかったブロンド、決意を秘めた目つき、中に誇る野生の魅力を漂わせる子猫のような体躯、まだ二十歳にも満たない少女が纏うのは白い制服、執務官補佐の制服。
 ティアナ・ランスター執務官補佐。
 かつてはツインテールにまとめていた髪を肩下まで伸ばした少女。

↑ の内容を

 彼に告げるのは小柄な少女。
 オレンジのかかったブロンド、決意を秘めた目つき、中に誇る野生の魅力を漂わせる子猫のような体躯、まだ二十歳にも満たない少女が纏うのは黒い制服、執務官の制服。
 ティアナ・ランスター執務官。
 かつてはツインテールにまとめていた髪を肩下まで伸ばした少女。

に変更し、補佐官という言葉を全て執務官に修正してもらえないでしょうか?
誠にお手数をかけてすみませんがお願いします。

以上です。

384:名無しさん@ピンキー
08/08/27 23:40:52 LlGiPwSR
投下乙です!
詞ツツリ氏の作品はダークシリアスで大好きです。
こちらもクロはやも楽しみにしています。

385:名無しさん@ピンキー
08/08/28 00:14:02 Q95Afx1I
>SSXの設定によると二年後
結局ティアナは二十歳の壁を越えなかったのか(一般待ち組)

386:名無しさん@ピンキー
08/08/28 00:22:42 K2tsX7Gb
GJ!!です。
シリアス感が堪らないですw
やっぱり、本編後の陸は海の介入を受けるだろうなぁ。
その場合、下手すると人材の引抜が、さらに増加して陸の治安が凄く悪くなりそうだ。

387:名無しさん@ピンキー
08/08/28 11:30:34 SzRtnGEB
そのうち陸士によるクーデターが起きるかもな
でもあいつらじゃすぐに鎮圧されるか・・・・・・

388:名無しさん@ピンキー
08/08/28 13:10:09 K2tsX7Gb
ゲリラ戦法や、質量兵器による暗殺(狙撃や車爆弾)を海の重鎮を標的にしたら、
結構いいところまでいけそう。
ただそうなると、もはや、ただのテロ組織www

389:名無しさん@ピンキー
08/08/28 13:58:31 GDqRxG1N
GJ!!!
なんだろう、ヴァイスって本編じゃ結構かっこよかったのにssじゃあギャグキャラばっかりだよな


久しぶりにシリアスなヴァイスにもう一度GJ!!!

390:名無しさん@ピンキー
08/08/28 17:17:28 hGHdOk7F
>383
GJです、しかし……

>その日、買いに行った商売女が泣き叫ぶほどに犯した。

まさかソープじゃあるまいなwww

391:名無しさん@ピンキー
08/08/28 17:43:09 qNuAaMd3


392:名無しさん@ピンキー
08/08/28 18:44:33 EeddWgoX
>>390
ソープ・ナンバーズと申したか
…このネタも随分懐かしい響きがするな、一頃はあんなに隆盛したというのに

393:名無しさん@ピンキー
08/08/28 19:42:57 SzEqqGLY
ここでソープ一期二期…………い、いや、なんでもない。

394:名無しさん@ピンキー
08/08/28 20:13:12 mvnC7vq2
>>390
なぜかセインが頭に浮かんだ。

395:69スレ264
08/08/28 21:03:01 7FJXwbdT
業務連絡です。
81スレの保管完了しました。
職人の方々は確認お願いします。


野狗 ◆gaqfQ/QUaU氏(>>235-244)と276氏(>>277-283)へ
それぞれアンカーをつけた作品にできれば題名を付けてもらえると助かります。

396:名無しさん@ピンキー
08/08/28 21:10:37 UagDBnoX
>>395
乙かれー
-━ ポッキードゾー

397:名無しさん@ピンキー
08/08/28 21:26:06 FbGoVH58
司書殿に傾注!

398:名無しさん@ピンキー
08/08/28 23:21:21 UKJss0By
>>395 司書様、業務お疲れ様です!

>>390 ソープシリーズは大好きなので、たくさんの職人さんに書いて欲しいですね~

399:246
08/08/28 23:41:14 A5o/nDiX
今日は誰も投下が無いなぁと言う事でユノフェイ長編三話投下です。
前回感想レスありがとうございました。
以下ご注意を。
・メインはユノフェイ。後同じくらい高町母子の物語。
・鬱展開。鬱エンド。誰も救われませんし、誰も助かりません。
・なのはさん、フェイトさん、ヴィヴィオ、ユーノ君、八神家、ハラオウン家、ナカジマ家、テスタロッサ家好
きな方は要注意。
ではでは。

400:名無しさん@ピンキー
08/08/28 23:41:27 nKqXO2Kt
>>349
遅レスですがGJ!!
親子2代あわせて乳とは
そんなにおっぱおがいいのか!
ええ、すごくよくわかります。

「ルー子のエリオ寝取り計画(失敗編)」ってことは成功編もありますよね。
そうだといってよバーニィーーーーーーー!!!!!!!!

401:246
08/08/28 23:45:04 A5o/nDiX
ごめんなさい。今回前の話の続きなのであらすじ。
なのはさんの体調が悪いと様子を伺うヴィータちゃん。なのはさんは大丈夫だと言い張ります。
ややあって、なのはさんが修理中のレイジングハートを受け取る為に教導隊オフィスを出て行きます。そこにいたのは
フェイトちゃん。なんか様子がおかしいぞ。
一方その頃、ヴィヴィオが在学中の学校で、聖王の鎧が発動したりして―。
以下から前回の続きです。



402:Cursed Lily
08/08/28 23:45:57 A5o/nDiX
 突然なのはがオフィスを飛び出してから数分。ヴィータは、なのはに確認してもらったスケジュールを再確認
しながら彼女の帰りを待っていた。
 腕を組み足を揺すらせ、苦笑する周りの視線を気にせずに。

「くそっ、こっちは心配してるって言うのに」

 昔からだ。本当にそう言うところだけは何が起こっても、どんな目にあっても変わってくれる気配は無い。
 恐らく高町なのはを良く知っている人間ならば、必ずと言って良いほど目にしてしまう彼女の最も駄目な所。
もう癖だと言い換えても良いだろう。
 それをまた目の前にしてもう我慢なんて出来る筈も無く。一度思いっきり怒鳴りつけてやらないと気がすまな
いと、ヴィータが拳をデスクに叩きつけた。
 それと同時、ヴィータのデスクに積まれていた資料が隣の席に音を鳴らして崩れていく。慌てて崩れた資料を
戻そうと立ち上がったヴィータが見たのは、見慣れた、この苛立ちの原因である彼女の手。

「もぅ、ヴィータちゃん何やってるの。あんまり暴れちゃ駄目だよ」

 今まで無かったレイジングハートがきちんと定位置にあると言う事は、レイジングハートを受け取る為にオ
フィスを出たのだろう。
 見上げたなのははヴィータの崩した山を元に戻す為、資料を一つずつ手に取り始めている。
 その笑みはオフィスに出る前から変わない。違っているのは先ほどよりも血の気が引いて白かった顔が青く
なっているのと、唇が震えているくらいか。
 途中、なのはが手にしていた資料が床へとこぼれ落ちた。ごめんと拾い始めるなのはの手を見て気付いたが、
その指先も滑稽な程に震えていて。
 なのはが床に落ちた資料を屈んで拾う。その度に拾った資料が手から落ちるものだから、それを拾う為にまた
屈む。何度も何度も、寒気がする程にそんな事を繰り返していた。笑顔で。

「お前さ、もう帰れよ。そんで休め。ヴィヴィオだって心配するだろ?」
「またさっきの? ほんとに私は大丈夫なんだから、ね?」

 その普段と変わらぬ口調に。その言葉に。そして何よりも、その笑顔に理解した。
 何を言っても無駄なんて当たり前。なのは本人が全く辛いと思っていないのだから、何度言っても焼け石に水
で終わってしまうのだ。

「やばいな……どうしよ……」

 きっと、自分なんかではどうしようも出来ない。
 故に呟きながらヴィータが出来るのは、なのはの様子を、笑顔の裏側を伺おうとする事のみ。
 ややあって、なのはが突然帰り支度を始めた。上司といくつか言葉を交わし、制止を求める上司の言葉を半ば
振り切る形でなのはが鞄を持ってオフィスを出る。
 なのはとすれ違う寸前、ヴィータが目にした横顔は今までの笑顔が嘘に思えるほど切羽詰っていて。何となく
ではあるけれど、ヴィータが察した。恐らくヴィヴィオの事で間違いない。
 なのはのデスクは資料が散乱したままだった。それを片付けながら、ヴィータが願うように呟いた。

「テスタロッサが何とかしてくれればいいんだけどなぁ―」



 辛くなんて無かった。それがあの子の為なのだと思っていたから。
 苦しくも無かった。あの子が苦しむほうが、何倍も、何十倍も辛いから。
 例えあからさまに避けられても、こちらを見ようとしてくれなくても、名前を呼んでくれなくたって構わない。
どうでもいいと思うことにした。一番最初に戻っただけと思うことにした。
 だって、あの子にママじゃないと言われる事の方が辛いから。
 あの子の温もりが傍に無い事の方が、彼女に拒絶されることよりも辛いから。
 自分はただ、あの子の事だけを考えていれば良い。あの子が笑顔でいられる事だけを考えて生きていれば良い。
 きっとそれが、あの子の母親として役割だ。


魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Cursed Lily―
(3)

403:Cursed Lily
08/08/28 23:46:43 A5o/nDiX


「―あぁ、これもいいかな」

 数え切れるほどの本が宙を浮いていた。
 場所は無限書庫のとある一画。本と同じように宙を漂うユーノ・スクライアは、手にしていた本を一通り確認
してから頷くと前もって用意していたいくつかの本と共に自室である司書長室へと戻って行く。
 彼が手にしているのは、ここ最近に出版された執務官試験の為の参考書だ。何でも新しく執務官補佐になった
元機動六課のメンバーの子に必要との事で、依然にフェイトから以来されていたものをユーノが探す事と相成っ
たのだ。
 そんな訳でユーノは書庫から引っ張り出した数冊の参考書をデスクへ置き、今はコーヒーカップ片手に持って
きた本の内容を吟味しようと言う訳だが、これが中々難しい。

「しっかし、なんで僕がこんな事やらなくちゃいけないんだよ」

 そもそもユーノは執務官では無い。漠然と執務官試験に役立ちそうな参考書と言われても、首を傾げたくなる
のが現状だ。
 フェイトの兄であるクロノ・ハラオウンも無理難題を押し通そうとすることで無限書庫内では密かに有名だが、
それと同等の事を意識せずにやる妹の方が性質が悪いかもしれない。
 既に参考書を捲る事数十分。あまり知らない情報の波にやる気を揉まれ、ユーノは一人読書をする時の半分以
下の時間で目頭を強く抑えて本を閉じた。
 別に自分が選ぶ必要は無い。後でフェイト自身に選んでもらえば良いだけなのだ。
 が、約束の時刻になってもフェイトは訪れる気配がない。どこで油を売っているのかと時計と参考書の表紙を
交互に睨む事、更に三十分弱。

「―ごめん、遅れちゃった」

 やっとの事で無限書庫に姿を見せたフェイトは、ユーノが思わず駆け寄る程に血色の悪い顔で応接間のソファ
に座っていた。


404:Cursed Lily
08/08/28 23:47:29 A5o/nDiX
「なんか、顔色良くないけど……体調悪いの?」
「ちょっとだけ。毎月の事だから」

 暗に触れるなと言いたいのだろか。
 ユーノ自身、その事に触れる度胸も経験も勿論無い。内心慌てふためきながらもフェイトと反対側のソファへ
座り、秘書の差し出したコーヒーを飲み干し、何とかその場を切り抜けることにした。
 早速参考書を手に取ったフェイトは本の内容と自身を持ち込んだ資料を比較し、二三度頷き本を閉じるを繰り
返す。
 閉じた本に確りと付箋をしている辺り、どうやらフェイトの目に適う本を選ぶ事は出来たようでユーノが僅か
に安堵の息を零していた。

「ありがと。これ全部借りてくね。後、無理言ってごめん」
「いいけどさ、これからはもっとちゃんと探して欲しい本を教えてくれないと嫌だからね。そう言うとこちょっ
とクロノに似てきてる」
「ごめん……善処します」

 しゅんと身体を小さくするフェイトに苦笑し、ユーノがフェイトを促して立ち上がる。
 フェイトとの約束事はこれで終わり。後は溜まっている仕事を片付けて今日の仕事は終了だ。
 が、その前にもう一つ。仕事以外のプライベートな用件だ。

「ねぇ、フェイト。今日仕事何時に終わる予定?」
「え、……どうだろ。そんなに遅くならないと思うけど」
「じゃあさ……ええっと、ちょっと夕食付き合ってくれないかな。君が六課で言ってたやつの話しがしたいんだ」

 突然の誘いだ。
 ユーノの表情は強張ったまま。フェイトも俯いてユーノと同じ様に。

「うん、私もユーノに話したいこと……あるから―」

 ややあって頷いたフェイトに、ユーノが若干表情を和らげる。
 だがそれとは逆に、フェイトは俯いたままだった。


 彼のその一言で、嫌でもあの時の事が甦る。
 なのはからの突然の呼び出し。機動六課が解散してまだ一日しか経っていない日の事。
 伝えたい事がある。そんな事をなのはは言っていた。


* * *



405:Cursed Lily
08/08/28 23:48:31 A5o/nDiX
 教導隊部署を通じて突然入った連絡に、なのはは一心不乱にそこへ向かっていた。
 レールウェイに乗る時間も惜しく、タクシーを飛ばして彼女が向かうのはベルカ自治領、聖王教会本部だ。
 聖王教会に着くや否や自動で開く扉を強引に開き、財布に入っていた一番貨幣価値の高い札を投げ捨てるよう
に運転手に渡して聖王教会へ駆けていく。
 勿論つり銭の事なんて頭に無い。彼女は、焦っていたから。

「―お待ちしていました、高町一尉」
「ヴィヴィオはどこですか!?」

 碌な挨拶もせず娘の名を叫ぶなのはに、シャッハが僅かに表情を強張らせる。
 呼吸を乱しているなのはは落ち着いている時間なんて要らないと睨んでいるようで、シャッハは何も言わずな
のはを案内する事に終始した。
 シャッハがなのはを招いたのは、カリムの自室だ。部屋に入ってなのはが見たのはソファで寝息を立ててい
る愛娘の姿。
 今朝学院へ向かった時と同じように制服を着ていて、けれど膝には見覚えの無い絆創膏がいくつも。きっと、
転んでしまったのだろう。
 気付いたときには、カリムとシャッハの視線など忘れていて。なのははヴィヴィオの元へ駆け寄り声をかける
寸前だった。

「起こさないで上げてください。ようやく眠ってくれたところです。後シスターシャッハ、なのはさんにハーブ
ティーを」

 それをカリムが制止する。普段とは打って変わった厳格さを声の端々に感じさせながら。

「結構です。それよりヴィヴィオの事を話してください」
「シスターシャッハ、お茶の準備をお願いします。後なのはさん、申し訳ありませんがこのままヴィヴィオを休
ませてあげる気はありませんか?」

 嫌でも分かる遠まわしな物言いだ。娘に大事があってそれで落ち着けるなんて出来るはずが無いのに。
 感情的にカリムを睨むつけるなのはに対し、カリムは涼しげになのはの視線を交わしてヴィヴィオを見ていた。
 連絡を受けたシャッハがここへ連れて来てからも、ヴィヴィオは泣き止まなかった。疲れてしまったのだろう。
なのはがどれだけ怒気を撒き散らそうとも、ヴィヴィオにが起きる様子は微塵も無い。
 残念なのは、この少女の母がその事に今も気付いてくれないこと。

「ヴィヴィオがクラスメイトの子と先生を聖王の鎧で傷つけてしまったと伺いました。それは本当ですか?」
「はい。ヴィヴィオがそう言っていましたから」
「何故ですか?」

 カリムは無言。ソファにも座らずカリムの眼前のデスクに両手を着いているなのはを見上げ、溜息を吐くだけ。
その態度が、今はこの上なく不快だった。

「黙ってちゃ分かりません! 答えて下さい!」

 故にデスクに両手を叩きつけ、なのははカリムを睨む。落ち着かせようとするシャッハの手を払い、怒声と共
に撒き散らすはここへ訪れる間感じていた切なる欲求。
 ヴィヴィオがあんな事、自分の意思でする筈が無かったから。
 きっと、あんな事をした原因がどこかにある筈だから。
 何とかそれを知って、抱きしめたかったのだ。
 ―なのに。

「あなたがヴィヴィオの事を娘としてとても愛しているのは良く分かりました。それで、何故あなたは先程から
ヴィヴィオの心配しかしないのですか?」
「……だからっ、そんな事を聞いてるんじゃ―」
「この子が傷つけてしまった教師と、周りのクラスメイトの子達の事は全く気になりませんか?」

 無言になったのは、なのはだった。
 カリムの言葉に後ずさり、ソファに音を立てて腰を下ろす。瞬間、寝返りを打ったヴィヴィオに肩を震わせて。
それを見つめている表情からは血の気が引いていた。



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