戦国BASARAでエロパロ 信者5人目at EROPARO
戦国BASARAでエロパロ 信者5人目 - 暇つぶし2ch650:名無しさん@ピンキー
09/03/14 03:44:56 TKs+BQgI
GJ!!
どっちもかわいすぎる

651:名無しさん@ピンキー
09/03/14 10:52:45 tZL2lVCI
ほのぼの長市いいなー。長政様も市もすごく幸せそうだ。

>>648
俺なんかピンクのトリュフの上のアザランをピンクのアザラシに読み間違えた。あれ。地面から手が……。

652:名無しさん@ピンキー
09/03/14 11:52:29 q3Jy+tA5
アザラシ?アザラシ型のチョコか…珍しいな

皆の感想を見るまでそう信じていました

653:名無しさん@ピンキー
09/03/15 04:46:29 vxF5suje
GJでござる!

ほのぼの長政様とお市がいい!
あと正確にはアラザンでござるよ。

654:646
09/03/15 09:49:23 5rKTvumP
うわホントだ「アラザン」だよ何やってんだ自分orz
ちょっと姉川で成敗されて来る。
GJくれた人ありがとうございました。
クリスマスイヴの時のGJもありがとうございます!

655:名無しさん@ピンキー
09/03/16 01:55:51 UcqdOtz2
やはりクリスマスの時の人と同じでしたか
両方ともニヤニヤしました!


656:名無しさん@ピンキー
09/03/20 21:15:29 nL1tPecT
あげ

657:風魔×かすが1
09/03/21 01:24:24 SqRFvwDO
風魔×かすが
鬼畜エロ
小田原潜入戦な感じ
風魔ちょっと喋ってるので注意

――――

「……」
「はっ…はぁ…」
謙信の命により、かすがは単身北条の地である小田原城に潜入していた。目的は北条が上杉を裏切るつもりなのかどうかを調べ、裏切るようであれば現当主を抹殺する事だった
夜更けに潜入したかすがは、あまりにも静かな城に疑問を持ったが、早く謙信の下に戻りたい一心で任務を開始した
しかし、それが間違いだった
かすがが北条最大の難所である栄光門に差し掛かった時、この男が現れたのだ
伝説と呼ばれる風魔小太郎である
慌てて武器であるクナイを小太郎に向けるも、素早い風魔の動きにかすがはついていく事が出来ず、両手の自由を奪いとったのだ
「離せッ!!」
日本ではほとんど見かけない金色の髪を振り乱しながら、かすがは己の両腕を強く掴む、これもまた珍しい髪色をした男に罵声を浴びせる
「離せと言っているんだッ」
「……」
しかし、そんなかすがに男は何も言葉を発せず、さらに手に力をこめてかすがの頭を地に押しつける。顔から倒れてしまったかすがの顔には、小さな傷がつき、そこから少量だが血が溢れ出た
「…ッきさま…」
「……」
「ッ教える訳ないだろう、さっさと殺せばいい」
任務失敗は死を意味する。今のかすがはいつ殺されてもおかしくない。口から出る強気な言葉とは裏腹に、かすがは怯えていた。目の前にいる男は声こそ発しないが、唇の動きで「目的をいえ」と言っている
「殺せ」
どんな状況であろうと、自分の愛してやまない謙信の事を話すつもりはかすがにはなかった
「……」
目を閉じ、かすがは死を待った。しかし風魔が切り裂いたのはかすがの身体ではなく、身に纏った服だった
「なッ…何をするッ!」
慌てて身体をじたばたと動かすも、元々際どい格好だったのが、もっとひどくなるばかりで。背中から破られた服は、かすがの身体からぱさりと音を立てて地面に舞った
慌てて落ちた服で身体を隠そうとするが、破られた服はもう布と呼ぶしかないモノになっているし、両腕は風魔につかまれており、動くに動けない
「ッ…ぅ…こんな……」
顔に熱が集まっていく。恥ずかしくて、悔しくて、こんな男に辱めを受けているなど、かすがは理解したくなかった
「…………ろ」
「何……?」
かすかに聞こえた声は、確かに風魔から聞こえるものだ。地面に向けていた顔をゆっくりと風魔に向けると、風魔は口を開いた
「……やらせろよ」
「な……ああああッ!!」


658:風魔×かすが2
09/03/21 01:26:54 SqRFvwDO
その問いに答える間も無く、かすがは悲鳴をあげた
風魔はかすがの露出した秘部に己の立ち上がった肉棒を無理矢理挿入したのだ。濡れてもいない秘部への挿入はまるで処女を失った時の痛みのようで、かすがの瞳からは涙が零れ落ちた
「いや…やめ、て……いたい…ッ」
「……ッ」

「うぁぁぁぁあッ!!」
無理矢理の挿入のせいで、膣が傷つき秘部からは血が滴り落ちる。しかしそのお陰ですべりがよくなり、風魔はかすがの腰をしっかり掴み、何度も肉棒を往復させた
地獄だ、とかすがは土に爪を立てた
「…あッあッあぁぁん……ッ」
痛みしかなかった秘部が段々と熱くなっていく。さっきまで聞こえなかった水音と自分から発せられる歓喜を帯びた声にかすがは頭がくらくらした。露出した背中を赤い舌で舐め取られると、気持ち悪くて仕方ないはずなのに、その快感にかすがの身体は震える
「…ふ、あッいい…そこ…ッ!!」
「………ハァ…ッ」

「あぁぁ、も…ダメ……ッ」
「…ッ……く…ッ」
「ひゃぁぁぁぁあんッ!!」
子宮に届きそうなほど奥に肉棒を差し込まれた瞬間、かすがは声を張り上げながらイッた。あまりの快感に動かなくなったかすがにかまわず、風魔はガツガツと腰を振り痙攣する膣内を味わう
「……ッ……は……」
「…あ……あぁ…」
動きが止まったかと思うと、風魔はかすがの腰をしっかりと掴み膣内に射精をし始める。びゅるびゅると吐き出される精液が気持ちよくて、かすがはまた震えた
数回腰を振り精液を全て出し切り、肉棒を秘部から抜く。風魔の放った精液がかすがの太ももを伝い地面に落ちていった
「……はぁ、はぁ…」
「…………」
冷たい風が一つ吹いたと思うと、月夜の下には荒い息を吐くかすがしかいなかった

――――
お粗末様でした


659:名無しさん@ピンキー
09/03/21 16:59:37 qjd2l1xO
GJ!!!
非情なのにエロス
規制中でうなだれてたけど、小太郎のおかげで漲ってまいりました

660:名無しさん@ピンキー
09/03/26 16:10:51 pq8fpbhp
それでは聞いてください、
いつき親衛隊with片倉で、「お野菜音頭リミックス」

661:名無しさん@ピンキー
09/03/26 16:12:27 pq8fpbhp
すみません誤爆しました

662:名無しさん@ピンキー
09/03/26 17:51:26 vaTwVVts
>>660
ちょwww何処への誤爆だよw

663:名無しさん@ピンキー
09/03/26 17:55:22 NNYB8UOg
>>660
ちょwww良い誤爆www

664:名無しさん@ピンキー
09/03/27 00:44:22 Ifw5bWTQ
続いての曲は
サンデーMouriさんで
「Sun Shine Again.」

665:名無しさん@ピンキー
09/03/30 20:31:14 I87htrto
「ねえねえ、まつ姉ちゃん保守がてらおっぱい揉ませてよ」
「なにを言っているのです。慶次。私がそのような事をさせると思っているのですか!きゃっ」
「まあまあ、そう言わないでさ。ほら、俺巧いでしょ。」
「ああっ駄目、駄目です。慶次……。あ、あん。」
「ね…ここが落ちたらさ……利とちちくりあうのも出来なくなるんだよ。」
「はぁ、あ、あぁ。そんな……慶次、や、め。」
「ん、やっぱ想像通り、まつ姉ちゃんの胸すげえ……。ふ、濡れてんじゃないの。」
「ひぁ、そ、そこは、あぁ!やめ…さい、けい、じ。」
「挿れないよ。ただ、こうやって……ん、どう?」
「ひあ、や、そ、そんなとこ……ろに。」
「ふふ、素股も良いでしょ?だいたいさ……」
「あん、あ…は、な、なに……ん。」
「嫌なら、く、そんな必死に挟み込んで腰振らないで…よ。」
「っ!……ん、っ……あぁん。」
「まつ姉ちゃんのここ凄い溢れてる…よ。いれて欲しい?」
「や、だ……だ、め。」
「凄いひくひくしてる。欲しいんでしょ?大丈夫、利には黙っててあげるから…そう、じゃ挿れr

ここから先は五郎丸にクラッシュされました

666:名無しさん@ピンキー
09/03/31 15:40:51 JWE0VYzO
わっふるわっふる

667:名無しさん@ピンキー
09/04/01 02:04:44 tfjvNrxd
ワッフルワッフル!

668:名無しさん@ピンキー
09/04/02 01:15:09 3M9Omo80
わっふるわっふる!!!

ところでけんしんさまは肌が白いから、顔が赤くなるとすぐに分かるんだろうな
お館様の前で顔が赤いのを隠しようがなくて顔を伏せるけんしんさま萌え

669:名無しさん@ピンキー
09/04/02 01:28:36 DxQs9D/y
>>668
なんだその萌えるけんしんさまはw

PSPの新作のかすがのストーリーは消えたけんしんさまを探すらしいけど、
このスレ的にはお館様のところに遊びに行ってればいいと思います。

670:名無しさん@ピンキー
09/04/04 00:12:17 ZbWIreE5
アニメも始まったことだし
ここも盛り上がってくれますようにあげ

以下ちょっとネタバレ







一話の川中島で
きつつき戦法の真のねらいを幸村とかすがだけ知らされないとか
自分たちの闘いそっちのけで山頂の爆発を一緒に眺めたりとか
別れ際に見つめ合ったりとか
萌え要素満載だったのに
アニメ謙信様は男前すぎて龍虎萌えできなかったぜ

かすがの色仕掛けに期待するかな…

671:名無しさん@ピンキー
09/04/04 03:44:59 k9BicSOr
龍虎は各々の立場もだけど体格差が良い
お館様の影に、けんしんさますっぽり隠れてしまうんじゃないか?

あと、多分今規制中の人多いんだと思う
ヤフーBBなんて全規制で解除見込み無しらしいし、ocnやdionも相変わらずだとか。
かく言う私も巻き添え規制を食らってね、パソコンから書き込めずにいるのだよ
ははは、瑣末瑣末w

672:名無しさん@ピンキー
09/04/04 19:20:57 dfoyuZjy
>>671
dionは半端無いよ
連休直前に規制とか深夜に規制発動とか
高確率で土日とかな……

673:名無しさん@ピンキー
09/04/05 18:22:17 qza8fOzM
>>670
アニメ版はかすがの谷間と濃姫の太腿に期待。

674:名無しさん@ピンキー
09/04/05 19:11:10 jLFpEU7B
ニュータイプに全キャラの全身像が載ってたけど
市の尻とふとももがいい食い込みだった


あれなんか十字の光g

675:名無しさん@ピンキー
09/04/06 14:41:57 acBq4vmj
>>671
ヤフーは解除されたみたいだね

アニメ見れる地域の人裏山
自分はDVD出るまで待ちます
伊達いつ小十郎があればいいな

676:名無しさん@ピンキー
09/04/06 20:47:29 1l/l1MN1
いつきは出てきても回想なのかなぁ
けんしんさまが北端平定の手際云々とか言ってたから
もう筆頭と顔合わせた後みたいだし


677:名無しさん@ピンキー
09/04/07 11:12:17 ds38FWzx
いつきは中の人が病気療養中だからどうだろう
このスレ的にはすでに筆頭にお持ち帰りされてるってことで
いいんじゃあないか

678:名無しさん@ピンキー
09/04/08 12:25:37 5guO7854
昨日(今日)見たんだが、顕如様一発退場ワロタww
英雄外伝クオリティじゃなくて安心したけど、女の子達の髪がいまいちに見えた。あと兄貴もなw
でも皆身体がいやらしい。
次回予告の濃姫の太腿つか脚はすげぇ色っぽかったよな!
あの脚に蹴られたいはぁはぁ

679:名無しさん@ピンキー
09/04/09 01:01:08 IJWre2/W
佐助×かすが×幸村 投下します

・佐助とかすがが最初から両思いです
・一応、佐助とかすがと幸村の3Pですが、どちらかというと幸村×かすがっぽいです
・ギャグっぽいです
・パロディネタが所々にあります

苦手な方はスルーしてください


680:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:02:25 IJWre2/W
布をかませられて腕を縄で縛られてはいたが、足は自由だった。もしかしたら、
ちょっと力をこめれば縄はちぎれたかもしれない。それなのに幸村がその場から離れず、
目が離せなかったのは、きっと好奇心のせいだけではない。
「はぁっ、ん……」
かすがが艶っぽく呻いた。はれんちだと耳を塞ぎたい思いと、女子はこのような声も
出すのか、と感心する思いが交錯している。
「ほら、かすが。真田の旦那が見てるんだから、もうちょっと淑やかに、ね」
そう言って佐助はかすがの乳首を指でつまんだ。淑やかに、と口では言っているが、
手はそれとは正反対の動きでかすがを翻弄している。そして不思議なことに、彼女は耳まで
紅潮させているものの、声や表情は上機嫌であるようにしか見えないのだ。
あのような場所を、あのように攻め立てられてよろこぶとは、と幸村は疑問に思いながらも
佐助とかすがから視線を逸らさなかった。


幸村が佐助の部屋へおとずれたのは、今から半刻ほど前。眠ろうとしたが天井にあるシミが
人の顔に見えてきて眠れなくなった彼は、なにか気を紛らわせないかと佐助の部屋におもむいた。
「佐助ぇ!」
小気味好い音を立てて、いきおいよく戸を開けた幸村は次の瞬間仰天した。部屋には
佐助だけではなく、かすがまでいたのである。しかもあろうことか、かすがは佐助の腕の中で
裸同然の格好だった。
はれんちぃぃ! と、幸村は反射的に叫ぼうとした。だが、『は』のかたちを
つくったところで幸村の口はなにかで塞がれてしまい、声を出すことはできなかった。
口を覆うものが佐助の手のひらだと認識したときには、体を部屋のなかに入れられ、
かすがが戸を閉めていた。叫ぼうとして叫ぶことができなかった言葉を口内で持て余しながら、
なんと素早いことか、と幸村は感じ入る。
「ちょっと旦那ァ、寝てなかったの?」
佐助が問いかけるが、彼の手のひらがまだ口を塞いでいるため幸村は応えることができない。
「佐助、どういうことだ」
かすがが言った。仰天したのは幸村だけではなかったらしい。思わぬ闖入者に、
ふたりとも困った風な表情だ。
「いつもこれくらいには寝てるんだよ、旦那は」
「寝ていないじゃないか」
けれど口調は普段のままだ。かすがはどこからか取り出した縄で幸村の両手首を縛り、
佐助は布を幸村の口にかませて両端を後頭部でくくった。彼らは最初から幸村に返答を
もらうつもりがなかったのかもしれない。
目の前で惜しみなく揺れるかすがの乳房が視界にはいり、反射的に視線を逸らした。
しかし、一度見てしまったものはなかなか頭から離れてはくれず、結局幸村は薄目を開けて
かすがの胸部を見つめた。すると、見られていることに気付いていないかすがが
不意に胸のしたで腕組みをしたので、乳房が寄せられてより卑猥な光景になってしまった。
「ふふんふふふふ!」
「え? なんだって?」
細めていた目を思いきり見開いて「はれんちである!」と叫んだつもりだった。
が、布のおかげでちゃんとした声にはならなかった。それが幸か不幸かは、わからない。


681:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:04:12 IJWre2/W
とりあえず座って、と促されるまま、並んでいる二人の忍びの前に座ると、
佐助が説明をはじめた。彼の話を要約すると、彼らは実は恋仲であるものの、
立場上やすやすと外で会うこともできず、時折こうして夜半にどちらかの部屋まで来ては
肌を温めあうのだということだった。いまだ混乱がおさまらない頭で、幸村は必死になって
理解しようと唸る。
しかし、と幸村は思う。いくら恋仲といっても、彼らは忍である。武田の情報が
上杉に流れているということはないのだろうか。
そんな考えが顔に出ていたのか、ふと幸村の顔を見た佐助が、へらっと笑ってこたえた。
「大丈夫だよ、真田の旦那。俺たち、ちゃーんと自分の立場わかってるからさ。
たとえば、こんなことしても―」
佐助が、おもむろにかすがの乳を揉みしだき始めた。男の手のひらによって、柔らかそうな
乳が形をかえて幸村を誘惑する。
「こんなことしても」
人さし指と親指で、胸の頂点をつまむ。そこだけは、乳房で唯一硬くなっているようだ。
指先をこするように動かされ、かすがの白い肌がたちまち薄桃色に染まっていく。
彼女が視線を上に向けて佐助と目をあわせると、どちらからともなく、くちびるを重ねた。
最初はそこに相手がいるのか確認するように。そして次第に角度をかえていき、ついには
舌を絡めはじめた。幸村が頭のなかで精一杯絶叫しているあいだも、ふたりは息を荒くして
口元から漏れる粘っこい音を虎の若子に聞かせていた。
「―俺たちはお互いの軍の情報を漏らしたりしない。ちゃんとわきまえてるって。
な、かすが」
ようやっとくちびるを離した佐助がかすがに目を向けると、上杉の忍びは首肯した。
たしかに、二人の言うとおりかもしれない。最近武田の動きが上杉に筒抜けだという話はない。
逆もまた然り。幸村は自分なりに頭の整理をして、佐助を見遣ってうなずいた。
合点がいった、と。
「わかってくれた? それじゃ俺たちはさっきの続きやるから、旦那はそこで見てな」
事も無げに言い放たれた佐助の言葉に、幸村は固まった。その間に佐助はかすがに
覆い被さってしまい、しかも彼女も嫌がる素振りを見せず、どこか悦んでいる。
「んんん! んんんんんんんッ!」
はっとした幸村が声にならない声で抗議する。ふたりの関係はわかった、理解した。
だから解放してくれるんじゃあないのか、と。だが忍たちは幸村など最初から
いなかったとでもいうように、お互いの体を擦りあわせている。もしかしたら幸村の口元と
腕の自由を奪ったのは、彼が大声を出したりしないようになどではなく、
見せつけるためだったのではと思えるほどだ。
佐助がかすがの胸部に舌を這わせる。かすがは体をふるわせて、短く息を吐き出した。
「ふんんんんんーッ!」
なおも幸村の抗議はつづく。
男の舌は胸乳のうえを移動して、頂点に行き着いた。そして舌を尖らせてつついたかと思えば、
佐助は乳首を口に含んでしまった。それから耳を澄ませばちうちうと音が
聞こえてきそうなほどの勢いで吸い始めたのである。
そんな稚児のごとき事を―幸村は佐助の行動に目を疑ったが、かすがが何も抵抗せず
これまた悦んでいるのを見て、さらに目を疑った。深い関係にある男女の行いとは、
己の理解を軽々と超えている。
しかし、そのような行為から視線を逸らせない自分がいるというのが現状だ。抗議の声は
いつのまにか消えていた。


682:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:06:44 IJWre2/W
そして話は冒頭にもどる。
佐助とかすがは相変わらず幸村の前で肌を寄せあっていて、お互いの名を切ない声で呼ぶ声や
女の嬌声が聞こえてきている。
佐助は今、かすがの秘部に指を突き立てて、激しく抜き差しをくり返していた。先ほど二人が
くちびるを重ねて舌を絡ませていたときの比ではないほどの淫らな音が立てられている。
骨張った指が粘液で濡れていて、それが音を奏でているのだと幸村は思った。
その指で彼女が悦んでいるのだ、とも。
「やっ、ぁあっ、ぅ、ん……っ」
軍神以外に対してこんなに甘い声と顔を見せるかすがを初めて見た。
「や、じゃないだろ。かすがはここも好きなんだよな?」
佐助は言って、指を挿しこんでいるところより上にある突起を親指で押した。その瞬間、
かすがは悲鳴にちかい嬌声をあげた。あまりにも突然のことだったので、幸村は
飛び上がりそうになるほど吃驚する。しかし佐助はそのかすがの嬌声に気を良くしたらしく、
指の抜き差しをつづけながら親指を突起に押しつけている。なんと器用な、と幸村は
妙なところで感心した。
「あっあっ、あっ、だめ、そんなとこ、ん……っ! い、イッちゃ、う……!」
「ん? かすが、もうイキそう?」
たずねられて、かすがは喘ぎながら肯定した。
「で、でもっ……イくなら、ん、ふ、佐助ので、イっ、イキたい……っ! や、ぁんッ!」
男女が乳繰り合うときは、ふだん言わないような言葉を発するものらしい。
耳にしただけで、言ったわけでも言われたわけでもない幸村が、その場で一番恥ずかしい
気持ちになった。どうしていいものか分からず視線をさまよわせるも、結局ふたりに
視線を向けてしまう。
「そんじゃ、かすがのお望みどおりに」
秘部から指を抜いて、佐助は自分の陰茎を取り出した。赤黒いそれは一見すると
不気味で毒々しい形をしているが、それがかすがの胎内におさまっていくにつれ、
彼女の顔は恍惚さを増していった。根元まで入りきったときには、長い脚を佐助の腰にまわして、
もう離さない、とでも言っているようだった。散らばった光沢のある髪の毛が
そこにあるだけで卑猥に見える。
「は、ぁあ」
息を吐く口の動きさえ淫猥だった。だが決して下品さなどは感じられず、不思議な艶っぽさで
幸村の目を引いていた。


683:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:09:31 IJWre2/W
佐助が身を屈めて、かすがと顔を近づけた。またくちびるを重ねるのかと幸村は思ったが、
そうではなかったらしい。かすがの耳元に口を寄せて、なにやら耳打ちした。
そう離れていないところに座っているのに男の声がまったく聞こえなかったのは、
彼がなんでもありの忍びだからである。
耳打ちされたかすがは、一瞬だけ佐助と目をあわせてフッと笑ったように見えた。
そして顔だけ幸村のほうを見遣り、静かに手招きした。解放してもらえるのだろうか、と、
どことなく名残惜しげに思いながら彼女に近づくと、伸ばされたかすがの手によって
口元の布と、腕を縛っていた縄が取り払われた。
「絶対に大声を出すなよ」
布を取ったその人さし指でくちびるをなぞられる。解放されるわけではないようだが、
幸村はさほど遺憾に思わずに「しょ、承知したっ!」と、わけも分からないまま返事をした。
そのとき佐助がのどの奥で笑ったことには気付かなかった。
かすがの手はするすると下に向かい、寝間着の合わせ目に辿りついた。手が寝間着のなかに
潜り込み、細い指の先がかたい肌に触れる。その感触がくすぐったくて気恥ずかしくて、
思わず大声をあげてしまいそうになったのだが、先ほどのかすがの言葉を思い出し、
くちびるを噛んで我慢する。と、寝間着の合わせ目を広げていたかすがの手がとまった。
なんだこれは、と、しかめられた彼女の顔が言っている。幸村も黙って視線を下へやると、
そこには彼が身につけている真っ赤な褌があった。武田の者がいくさの際に
着用している具足と同じ、真っ赤な褌。それに武田と真田、両家の家紋、
そして『真田源次郎幸村』と持ち主の名が刺繍されている。佐助もそれを視界にいれたのか、
ちいさく声を出して笑った。
「それがしの、しょ、勝負褌でござる」
沈黙に耐えきれずに口を開いてみたが、かすがは何の感慨もなく「ああ、そう」と
言っただけで、褌をゆるめる作業に戻った。佐助は笑いを押し殺そうとして変な声が出ていた。
幸村の顔が褌と同様に真っ赤に染まっていく。
「この褌はお館様が御上洛を果たされるまで、いや、果たされた後もお館様のため
勇んで参るという、それがしの決意の表れ! 常に武田菱と六文銭を身につけておくことで、
志気を高め、気を緩めずにいられるようにということだ! だ、だから笑うな、さす―」
部下の名を最後まで言えずに幸村は固まった。
「大声を出すなと言ったはずだ」
いつの間に取り出されたのか、幸村の陰茎がかすがに握られていた。白い手が揉むような動作で
刺激をあたえているが、そんなことをしなくても幸村の下腹部はもうずっと前から
熱を帯びていて、かすがが触れる前から先走り汁が垂れていたのだった。
「もうこんなにして……。ふふ、熱い……」
竿を握り、親指で先端を撫ぜる。頬擦りでもされるのはないかというほど顔の至近距離まで
近付けられ、じっくりと眺められる。味わったことのない快感に、腰が浮き上がりかけた。
しかし、幸村には幸村なりの葛藤があった。かすがの指の動きは、えも言われぬ快感を
生み出して腰部に疼くほどの熱が集まる。だが、よく知らない女子に己の急所を弄ばれるなど、
もののふとして面目ないのでは。様々な思いが入り乱れて収拾がつかないままの頭で、
幸村は口をひらいた。
「かっ、かすが殿! いい加減にしてくださらぬか! それがしは二人のことを口外などせぬ。
それに、こっ、こんな事をされても、それがしは快いわけではござらん!」
吠えるように一息に言うと、かすがは動かしていた指をとめた。ほっとした幸村の顔を
一瞥して、親指の腹についた体液を舐める。そしてそのまま幸村の男根と、
その先端から垂れる『汗』をベロンッと舐めて、凄みのある顔と声で言った。
「この味は! ……ウソをついている『味』だ……真田幸村!」


684:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:12:30 IJWre2/W
「うをッ―!?」
幸村は出しかけた大声を、空気といっしょに呑み込んだ。
ほんの少し触れただけだというのに、舌の柔らかさが伝わってくる。揉まれていたとき以上の
快感に瞠目する幸村を気にも留めず、かすがはレロレロレロレロとしつこく亀頭をねぶる。
まるで桜桃を舌の上でころがすような動きだった。
その動きがはじまると、佐助も動きはじめた。かすがの腰をつかみ、自身と彼女の腰を
ぶつける勢いで突き上げる。突然のことに驚いたかすがは、小刻みに動かしていた舌をとめて
佐助になにかを言おうとするが、その間もずっと律動はつづいていた。先ほど目にした
赤黒い肉塊がぬらぬらとした粘液をまとって女の胎内に出入りしている光景は、
幸村の脳裏に焼きついた。
「ふぅ、ぅううッ、んんぅ……ん」
かすがは眉間にしわを寄せて、今まで舐めていた男根を今度は口内に含んだ。
いきなり奥深くまで含んだうえに下半身を突き上げられて、喘ぎとも呻きとも取れる
くぐもった声を出す。
口を窄め、吸い込まれる。そして舌先でちろちろと先端を舐められたり、裏筋をつつかれる。
細やかに動く手で陰嚢をやさしく揉まれ、「おっ、ぅおお……」と情けない声が漏れてしまう。
液体が弾む音が二か所から聞こえて、幸村の頭のなかで木霊した。そんな濃厚な濡れた音が
自身の下腹部から発せられているとは、にわかには信じられなかった。
溜まるばかりで発散されない熱がもどかしくて、幸村は無意識のうちに腰を浮かせた。
「んぐっ!」
のどの奥に幸村のものが突き当たり、かすがが苦しそうな声をあげた。含んでいた陰茎を
口の中から出し、くちびるやその周りに付いた体液を手の甲で拭う。
「も、申し訳ない」
慌てて謝るが、かすがは何事もないとでもいうような微笑みを浮かべる。
「気にするな……ん、あ、ああァ! さ、佐助、激し……ッ」
微笑みが幾分か崩れて、すこし淫靡さが増した表情になった。腰を振る佐助に
かすがが視線をやると、
「今日のかすが、なんかいつもよりきつく締め付けてくるんだけど。旦那がいるからかなァ」
と、まったく悪びれる様子を見せずに言い放つ。口元には下卑た笑みがあるように見える。
いささか驚いた幸村がかすがを見遣るが、かすがはわざとなのか目を合わせようとせずに
再び男根に手をのばしただけだった。
今度は竿の部分をにぎり上下に動かして摩擦される。先までのものに比べれば、
いい子いい子と頭を撫ぜられているような感覚だった。先端にはくちびるが宛てがわれ、
柔らかな肉を押し付けられたかと思えば隙間から出した舌で、あふれ出た先走り汁を
舐め取られる。ときおり、ちゅっ、と短い音を立てて吸い取られもする。
かすがが『激しい』と言った佐助の動きに合わせて、彼女の嬌声があがることもあった。
「旦那ァ、かすがの口ん中、気持ちいい?」
佐助の問いかけに、幸村は無言で何度もうなずいた。気持ちいい、なんてものではない。


685:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:15:41 IJWre2/W
己の下腹部で揺れる、こがね色のまるい頭をなんとはなしに撫ぜてみる。するとその頭が
動いて、かすがと目が合った。艶やかな色をした瞳から目が逸らせずにいれば、
かすがは目を細めて、自身の頭に置かれた幸村の手を手に取る。
槍を手にいくさ場を駆け回る己のかたい手とくらべて、かすがの手は細くてやわらかい。
得物がちがうというだけではない、手にあらわれた男女のちがいに、幸村は改めて顔を赤くした。
「こっちも、さわって……?」
蕩けそうな声と動きで手を誘導された先にあったのは、彼女の豊満な乳房であった。
手のひらを押し付けられ、否も応もなく乳房のやわらかさを感じてしまう。
「うおおぉおおぉぉお!?」
「静かにしろ……」
かすがは目を伏せて、また男根にくちびるを寄せた。彼女の手は幸村の手に重ねられており、
そしてその幸村の手ごと自身の乳房に押し付けたり揉んでいるものだから、
幸村も柔肉を味わっているかたちとなっている。
しばらくそうしている内に、かすがの手が離れていった。残された自分の手を、かすがが
そうしていたのを真似して同じように揉んでみたが反応は薄い。ならば、と、佐助が
やっていたのを思い出して乳首をつまんでみると、亀頭にくっ付けられているくちびるが
一瞬揺れた。佐助が「旦那、そこいじってあげて」とニヤニヤしながら言う。
「う、うむ」
勝手はわからないが、親指と人さし指をつかって乳首をきゅっとつまむ。
かたく尖った乳首を更にかたくしたかすがの指が、少しぎこちなくなったように感じた。
「かすがはねぇ、乳首いじられるのが大好きなんだよね」
佐助はそう言って、幸村がさわっていないほうの乳首を指で弾いた。
かすがは苦悶などからではなく、止め処なく湧き出る快感にどうしようもなくなって
眉間にしわを寄せた。
幸村もおそるおそる乳首を弾き、それから親指と人さし指両方の腹を擦りつけるように
動かした。「ちょっと痛いかなー、って思えるくらいつまんで。ひねるように」と佐助の声が
聞こえたのでそうしてみれば、とうとうかすがは陰茎から口を離して喘ぎはじめたのだった。
「や、あん、それは……はっ、反則ぅ……くァ、あ! そこは、あ、だめ、ぇ、
はあぁ……っ、佐助ッ、よけいなことを……ッ!」
「こういうときの女の『ダメ』『イヤ』は『もっとして』ってことだから」
かすがの睨みを無視する佐助の言葉に、幸村は「勉強になる」とまじめな顔をしてうなずいた。
もっとも、その時のかすがの顔は悦楽に負けてしまっていたので、睨まれても
まったく怖くなかったのだが。
「あっ、あっ、ん、ふああァっ……」
佐助の言うように、かすがの『ダメ』を『もっとして』と受け取って乳首をいじる。
かすがは懸命にまた男根にくちびるを寄せるが、ふたりの男に攻め立てられて喘ぐばかりだ。
先端にくちびるをつけたかと思えば、すぐに離れていって近くで喘ぐため、
熱い息が亀頭にあたって背筋がぞくぞくする。竿に添えられた手は力の強弱が
うまくつけられず、たまにひどく強くにぎられたりもするが、それはそれで気持ちがよかった。
「くう、あぁっ、やぁんっ! イっ、イくっ! イッちゃうぅぅ、も、だめぇ……っ!」
そう言った瞬間、幸村の男根をにぎる手に力がこもった。同様の動きが下半身でもあったのか、
腰をうごかしていた佐助がほとんど聞き取れない声で呻く。手と膣内はそれぞれの男根を
締め付けて、ふたりの男はほぼ同時に射精した。幸村の精は顔を、佐助の精は胎内を
白く汚した。かすがは顔に飛び散った精液を指ですくいとって、舐めた。
うつろな瞳の奥は、まだ満足していないようだ。


686:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:18:19 IJWre2/W
かすがが離れていった。ぐったりしたかすがの身を起こしてやっている佐助の姿が
視界の隅に入った。
幸村の脳は、なんだかぬるま湯に浸かっているような心地だった。ついさっきまで体中から
湯気が出そうなほど熱かったのに、出すものを出してしまうと大部分の熱が引いていった。
虚脱感と倦怠感によって体が支配されている。だのに、ふと己の下腹部に視線をやると
まだいくらか硬さをもった男根があった。急激に羞恥が込み上げて、見つからないうちに
褌を締めなおそうと慌てたが、佐助に「旦那」と声をかけられた。
「まだ旦那は挿れてないだろ」
見遣った幸村の目に飛び込んできたのは、佐助の胸に凭れかかるかすがであった。
ただ凭れかかっているだけならば問題はない。だが、彼女は片脚を佐助に
持ち上げられていたため、秘所が丸見えだったのだ。かすがも抗うことなく、
熱っぽい視線を幸村に向けている。汗で首筋にはりついた髪の毛が幸村を魅惑的だった。
「かすがも物足りないみたいだし」
ひらいた花が物欲しそうにひくついている。先ほど佐助に出された精液が垂れてきて、
真っ赤に色づいた花弁と似つかわしかった。幸村の陰茎は、その様子を見て
なぜかまた元気を取り戻しつつある。
「し、しかし……俺はこういったことは初めてだ……俺はこういったことは初めてだ……」
大事なことなので二回言った。
「知ってるよ、そんなこと。見てたら分かるって。真田の旦那もいつまでも
未経験のままじゃ困るっしょ。だったらさぁ、今のうちに経験しててもいいと思うぜ? 
あきらめたらそこで合戦終了、ってなァ」
「真田幸村……私だと不満か?」
そう言って、かすがは秘所に自身の指を挿し込んだ。白濁にまじって肉に呑まれていく指。
事後の余韻のためか潤んだ瞳。いまだ立っている乳首。それにしてもこの二人、ノリノリである。
「不満など、ありはしないが……」
彼女の体を見て不満がある男などいないだろう。幸村はかすがの汗ばんだ肌を
見ているうちに、脳が浸かっていたぬるま湯がふつふつと滾りはじめた心地がした。
これ以上はいけない。そう思っている自分もいるのに、もっと薪をくべて、
さらに熱くさせようとしている自分もいる。幸村は膝の上でもじもじと手を
動かしながら逡巡した。
「で、では、かすが殿っ」
頭のなかでは『これ以上はいけない』という思いが勝っているというのに、
口をひらいた幸村はかすがの腕を引っぱっていた。急に近づいて、自分のものとは違う、
どこか甘さを含んだ汗のにおいが漂う。胸が高鳴ったのをごまかすように、かすがを抱きしめた。
「最初は、ほ、抱擁からであろう!」
力任せに抱きしめる、相手の息苦しさなど気にも留めない、稚拙な抱擁だった。
だが、それでも幸村の熱情は十二分に伝わってくるので、かすがは何も言わなかった。
というより、言えなかった。幸村のかたい胸板に顔を押し付けられていたので。


687:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:21:16 IJWre2/W
「次は、く、くくくくっ、口吸いでござるっ」
パッと腕の力をゆるめてかすがを解放したかと思えば、やっとまともに息が
出来るようになった状態のかすがのくちびるに、自分のそれを勢いよく重ねる。
性急すぎる―かすがが思っていると、「旦那、それはちょっと慌てすぎ」と、
似たようなことを考えていたらしい佐助の声が聞こえた。けれども自分自身のことだけで
手一杯な幸村は、部下の声が耳に入っていない。真一文字に結んだ口を、
ひたすら肉厚なくちびるに押し付けていた。
「つ、次はッ!!」
顔をはなした幸村は、鼻息荒くかすがの腰を両手でつかんだ。彼がなにをしようと
しているのか、瞬く間に見当がついた佐助が「ちょ、旦那!」と声を荒げたが、
やはり耳に入っていない幸村は、そのままかすがを持ち上げる。それから自身の
立ち上がった男根に狙いを定めて、かすがの腰を落とした。
「あああああッ!」
かすがが目を白黒させた。自身の愛液と佐助の精液、両方のおかげで
滑りはよくなっていたものの、突如として胎内に入り込んできたものに驚きを隠せない。
一方、結合部を見遣った幸村は頬を染めつつ満ち足りた表情をしていた。
「だ、旦那ァ、いきなり挿れちゃダメだって」
「む……そ、そうなのか?」
挿入したことでほんの少し落ち着いた幸村は、ようやく佐助の声が頭の中に入ってきた。
そういえば、佐助も挿れる前に体の至るところに触れていたような気がする。
虎の若子は熱で満ちた頭で思い返した。
挿入の衝撃に体をふるわせるかすがに、大丈夫かと佐助が声をかける。
「大丈夫だ……動いていいぞ」
腕を幸村の首にまわして応える。言葉とともに顔にかすかにかかった息が熱くて甘かった。
「う、動く、とは……?」
「挿れただけで満足するつもりか? お前は。よく分からないなら私が動くから、
このまま仰向けになれ」
「そ、それは駄目でござる!」
首にまわしていた腕をほどき、幸村の胸をおして上半身を倒そうとしたかすがに、
幸村は焦って首を横にふった。胸に置かれた細腕を、首にもどす。
「それがし、初めてのときは対面座位と決めておる!」
彼には彼のこだわりがあった。


688:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:24:10 IJWre2/W
「抱きしめあうことも、顔をあわせることも、そしてそのまま口を合わせることが出来る! 
お互いの熱を身近に感じられる、非常に素晴らし―」
幸村の口は、こだわりを語っている途中でかすがのくちびるに塞がれてしまった。
くちびるはすぐに離れていったが、男を黙らせることはできた。かすがは親指で
幸村の乾いたくちびるを撫ぜる。
「どっちにしろお前はよく分からないんだろう? このまま私が動くから、それでいいだろう」
目を細めて言ったかすがに返事をするより速く、彼女は自身の腰をうごかしはじめた。
男根が、狭い胎内で肉路とこすれる。その柔らかさと快感は、口内や手のひらと
比べものにならないほどだ。聞こえる音は今夜耳にしたものの中でいちばん近くて、
そして『はれんち』だ。
「おおっ、う、おぅう……」
かすがの中におさまっている一物から腰が、蕩けてしまいそうだった。今までずっと
目を背けてきた『はれんち』な行為をしているという事実を意識すると、
抑えようもない熱波が幸村に襲いかかる。同時に、佐助は今までこんなに気持ちいいことを
俺に黙っていたのか、と、どこかずれた悔しさも湧き上がってくる。
熱い手のひらでかすがの腰部をつかんだ。それから、拙いけれど力強い動きで
かすがを突き上げる。
「ひぃ、あッ! あっ、あ、あああ!」
唐突に動きだされ、かすがは天を仰ぐほどの勢いで喘ぐ。力に任せた手加減なしの動きは、
男の鬱勃たる人格をあらわしている。ただひたすら最奥を目指して男根を突き立てるだけで、
技巧もなにも考えられていないはずなのに、なぜかかすがの中で快楽を生み出すのだった。
揺すりたてられて、半開きになった口元からよだれがこぼれて鎖骨に垂れた。
幸村は動きをとめずに鎖骨に口を寄せて、ちゅっ、と音を立てて吸った。かすがが
彼の陰茎に口を寄せていたときに立てた音と、よく似ている。
「あぅ……ん、やっ、だめ、だめぇぇ……っ」
口を寄せた鎖骨から下へ向かい、乳首に舌を這わす。『ダメ』は『もっとして』と
佐助から教えられている幸村は、乳首を口に含んで吸いはじめた。するとかすがの中が、
さらに幸村を圧迫した。柔肉を蠢動させて、悦んでいる。汗ですべる手で改めて腰を
しっかりつかみ、幸村はかすがの顔を見た。白い首を反らせて、短い息と声を吐きだす彼女は、
とても官能的で、美しい。なだらかな首にくちびるを落とした幸村は、一層深くまで
突き上げた。まるで、隙間をこじ開けるように。
「あっ、あっああ! はあぁああ―ッ!」
かすががかたく目を瞑るのと、彼女の胎内で幸村が握り締められるのは同時のことだった。
不規則に蠢く秘肉に包み込まれた男根は、我慢できずに白濁を放出する。放出する瞬間、
目の前で火花が散った幸村は無意識に「ぅうおおおおお館さむぁぁあああああ!!」と
雄叫びをあげたつもりだったのだが、それを見越していた佐助の手のひらによって
口を塞がれてうまいこと声が出せていなかった。そして糸がぷつりと切れたように
気を失ってしまった本人は、そのことを知らない。白い体液が、幸村とかすがの間からこぼれた。


689:佐助×かすが×幸村
09/04/09 01:26:50 IJWre2/W
「―旦那、起きてよ、旦那。寝るなら自分の部屋で寝てくれない? 旦那ってば」
無遠慮に体を揺すられ、何度も声をかけられて幸村は目が覚めた。数回またたいて
身を起こすと、佐助が「やっと起きた」と安堵の表情をしたのが目に入る。
不明瞭な頭のまま、あたりを見回したがまだ暗く、夜が明けていないことが分かる。
ふと視線を窓のほうへやると、かすがが自身の腕に白い鳥をのせていた。暗がりの中、
白い羽毛が浮かび上がっている。
「かすがも、もう帰るって」
佐助の言葉に、かすがが幸村の顔を見てうすく笑った。白い皮膚のすぐ下に妖艶さを
かくしたような笑みに、幸村はぼんやりしていた頭が急に覚醒し、気を失う前のことを瞬時に
すべて思い出した。ふたりの忍びがなにをしていたのかも、自分がなにをして、されたのかも。
「先のことは他言無用……わかっているな?」
「もっ、もももっ、も、勿論でござる! それがしにお任せを!」
幸村は顔が熱くなった。かすがも佐助もそれぞれ着物を正しており、
どちらかがやってくれたのだろう、幸村も身なりが整えられていた。表面的には、
あの秘め事など最初からなかったかのようである。気づけば燃え殻だけが残されていた。
「ふふっ……では、これは記念に貰っていくからな」
かすががどこからともなく取り出して見せた赤いものに、幸村は目を見開いた。
なんの記念だ、と思うどころではない。彼女の手にあったもの、それは、
幸村が身に着けているはずの褌だった。そういえば、股のあたりに隙間風が
吹き込んでくるような気が―折りたたまれた赤い布がかすがの着物の中にしまわれるのを、
幸村は口をぱくぱくさせて見ているしかなかった。
佐助と一瞬だけ目をあわせて、かすがは窓から身を乗り出した。それから白い鳥に
つかまって飛び去っていく。暗闇でも目立つだろうと思われた彼女の髪の毛や猛禽の羽は、
存外すんなりと闇に消えていった。彼女もまた忍びなのだと、幸村は改めて思う。
わけもなく佐助の顔を見てみると、彼は無表情で遠くを見つめていた。きっと、この男も
それなりに辛いのだろう。いついくさ場で好いた女と刺し違えるかわからないのだ。
他人事であるにもかかわらず、幸村の胸は苦しくなった。
「このような立場でなければ普通の夫婦になれたものを。佐助……敵対しているというのは
不便なものよな」
寝間着の襟をととのえながら幸村は言う。世知辛い世の中だ。しかしながら、
そのような世の中でしか生きていけない自分もいる。
佐助は、にや、と笑って「だがそれがいい!!」とだけ、こたえた。その笑顔はどこかの
傾奇者のように爽やかで、幸村はもうなにも言えなかった。

おしまい

690:名無しさん@ピンキー
09/04/09 13:46:39 drPpiqcS
世界まwるwみwえwwwwwww
GJ!

691:名無しさん@ピンキー
09/04/10 07:38:10 MZiP1MiF
こだわりうぜえwwww
GJGJ!

692:名無しさん@ピンキー
09/04/11 00:33:45 fjUEzDG5
十分エロイ上に面白いとかGJですぞぅお館さばぁあああああwwwwww

で、幸村の勝負褌貰ってどうするんだよかすがw
最後劇画タッチの佐助を想像して吹いたwww

693:名無しさん@ピンキー
09/04/11 02:31:10 f4sRxFVP
BHネタバレ



けんしんさまがお館様に恋に落ちた瞬間を見た。
二人はもっと古い仲なのかと思ってたけど、意外に最近出会ったんだな。
かすがとけんしんさまの出会いの方が古いのか。

694:名無しさん@ピンキー
09/04/11 03:54:05 V+4l1ZJD
>689
幸村のチェリーを舌の上で転がすかすがですね、わかります
gjgj!

695:名無しさん@ピンキー
09/04/11 23:58:00 CbBrgE5p
BHやったら俺の中の政いつ熱が燃えてきたぜ



あといつきのストーリーでもし政宗に「女の道を教えてけろ!」と頼みに行ったら、やはり手取り足取り(ry

696:名無しさん@ピンキー
09/04/12 10:51:18 ue57ag9k
Ok同志。早速その情熱を形にする作業に戻るんだ。

いつきストーリーED後は米持参で伊達んとこでおにぎり振る舞って
玉の輿狙ってると信じてる
まぁ玉の輿に乗る前に伊達に乗られ…おや空からハンマーが

697:名無しさん@ピンキー
09/04/12 11:08:17 5aEjkLrg
アニメのかすがエロすぎだろ…
あのおっぱいに顔をうずめたいのは俺と佐助だけじゃないはずだ

698:伊達いつ 初夜
09/04/12 13:48:52 m7rl4zNi
695ではないけど伊達いつ書いてみた。

伊達がいつきを娶ったって設定で、伊達いつ初夜。
途中までですが投下します。

699:伊達いつ 初夜
09/04/12 13:49:59 m7rl4zNi
肩までおりた銀色の髪が、柔らかく香る。
政宗は胡坐をかくと、その上にいつきを座らせて、後ろから抱きしめた。
「っ…」
ぴくん、といつきの体が動く。
小柄な体はひんやりと冷たく、こんな子供でも一丁前に女の匂いを放っているから不思議だ。
「…怖いか?」
出来る限りの優しい声で、いつきの耳元で尋ねる。
「…怖くなんか…ねえだ…」
言葉とは裏腹に、か細い声でいつきが答えた。その声がまた愛らしく思えて、政宗の背中はぞくりと痺れる。





こんなにも幼い少女を、妻として娶る事に、抵抗がないわけではなかった。
最初はただの悪友だったいつき。
憎まれ口を叩き合い、拳を交え、共に悪戯して笑っていた。

そんな彼女を、こうして女として扱う日が来ようとは…


700:伊達いつ 初夜 2
09/04/12 13:51:01 m7rl4zNi






政宗は片手でいつきの体をぎゅっと抱きかかえると、空いた方の掌を彼女の胸元に滑り込ませた。寝巻きは既に帯が緩んでいて、政宗の大きな手を容易に着物の中に迎え入れる。

骨ばった指先は、柔らかくひんやりとしたいつきの胸元を弄った。
小さな突起を探り当てて指で転がすと、いつきから小さく甘い声が漏れる。
「…いつもと違って大人しいじゃねぇか。」
いつきの反応に、満足そうに政宗は囁いた。

「…この、ロリコン。」
押し寄せてくる背徳的な快楽を堪えながら、容赦なく言葉で反撃するいつき。
「Ha、言ってくれるねぇ。」
政宗は、歯に絹着せぬ言い方をするいつきのこういった所も気に入っていた。
胸の突起をぎゅっと摘み上げる。胸の先に集まるきゅんとした切ない痺れに、
「ひゃっ…」
堪らず声をあげるいつきの耳元で、
「そのロリコンに、こんな風に悦ばされてんのは誰だ。」
…と、意地悪そうに尋ねた。


701:伊達いつ 初夜 3
09/04/12 13:52:00 m7rl4zNi
「…やぁ…」
白い肌を真っ赤に染めて、いつきは全身に力を入れて抵抗するが、所詮、小さな少女だ。大柄な政宗の力に敵うはずもない。
「まさむね…」
後ろから抱きかかえられ、好きなように胸を弄ばれるいつき。それだけでも生まれて初めての経験であるのに、そこに言葉攻めは加わるとなれば、いくら気の強いきつきとてたまったものではない。

政宗は、そのまま指を下へと滑らせていく。
胸元から、腹部へ。そして、その下へ。
指が滑り降りていくにつれて、寝巻きがはだけて、いつきの白い肌が暗闇の中でぼんやりと光った。
(雪みてぇ…)
暗闇の中でうっすら光る彼女の首筋に、政宗はそっと唇を落とした。
指は太股の付け根まで辿り着き、薄い腰布の感触を確認すると、その隙間から内部に侵入する。
「ぁっ…」
腰布の中で、指を弄る政宗。
いつきの小さな蜜玉を見付けると、指先でそっとなぞる。



くり…



「ひゃんっ!!!」

その瞬間に、いつきのからだが大きく跳ね上がったかと思うと、
「やだぁ!!そこはやだぁ!!!」
未だかつてない快楽の波に耐えかねて、いつきが政宗の腕の中で大きく暴れだしたのだった。


702:伊達いつ 初夜 4
09/04/12 13:53:04 m7rl4zNi
「わっ、おま、ちょっ…待てって!」
いきなり暴れだしたいつきに驚きながら、慌てていつきを押さえにかかる政宗。
「そんなトコ触んなぁ!!このド変態!!」
相変わらず口悪く悪態をついて殴りかかってくるいつきに、
「うっせぇ、こうでもしなきゃ挿入んねぇだろうが!!」
政宗はいつきの腕を掴み、抵抗されないように押さえつけて敷布団に押し倒した。

いつきの上に、政宗が覆いかぶさる形になる。

「…それとも、今日はもう、やめとくか?」
怪力少女を押さえつけるのは一苦労だ。
軽く息切れをしている政宗は、自分の下で涙目になっている少女の瞳を見つめて、精一杯優しい声で尋ねた。

揉めたせいで二人の寝巻きは相当に乱れていて、政宗の懐も大きく開いていた。
男の下でその広い胸板を間近に見た少女は、ごくり、と息を呑む。


703:伊達いつ 初夜 5
09/04/12 13:53:45 m7rl4zNi




先ほどよりも少し落ちついたいつきは、自分の上に覆いかぶさっている大きな男の顔を見つめる。
切れ長の瞳に、しゅっとした鼻筋。真っ黒でサラサラとした髪。
右目に眼帯をつけたその男の目はまっすぐで、少し困惑しているようでもあり、いつもの余裕は見当たらなかった。

(…あぁ、おらはこの男が好きなんだな…)
いつきは思う。

先ほどの恐怖を覆すほどの愛しい気持ち。

いつきは抵抗する力を弱めると、政宗の首もとに両腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。


「…いんや、続けて…」



704:698
09/04/12 13:55:37 m7rl4zNi
ここまでです。
最近はまった新参者なので、キャラの性格とか違ってたらごめん。

ロリコン筆頭萌え。

705:名無しさん@ピンキー
09/04/12 16:27:14 NpN6eouj
うおおおおおおおッ
萌えましたぞおやかたさぶわあああああ!!
GJ!

706:名無しさん@ピンキー
09/04/12 17:53:21 gAT2NfMP
GJGJ!
こいつぁcoolなロリコンだぜwww

707:名無しさん@ピンキー
09/04/12 17:58:50 ue57ag9k
ロリコンぐっじょぶ!
さー続けて続けて。わっふるしちゃうよ俺様。

708:名無しさん@ピンキー
09/04/12 18:37:18 mdrsJSVV
>>704
GJ!わっふるわっふるだべ!

>>705
幸村乙
>>706
小十郎乙
>>707
佐助乙

709:名無しさん@ピンキー
09/04/12 18:54:31 GaepxVrM
>>704
GJ!

というか、29歳と22歳だとなんとも思わないのに、19歳と12歳だと犯罪チックなのは何故だ

710:名無しさん@ピンキー
09/04/12 19:09:24 r336roPr
そりゃ12才だからチックどころかそのものっていうか…
704GJ!

711:名無しさん@ピンキー
09/04/12 20:25:26 wD8m+U2f
>>705-707
wwwwwwww



712:名無しさん@ピンキー
09/04/12 20:54:32 1bqO9r0H
>>697
よう、俺

713:704
09/04/13 00:42:32 BTd5A7NS
みんなレスありがとう。
伊達いつ好評みたいで嬉しい。

終わりまで投下します。

714:伊達いつ 初夜6
09/04/13 00:43:20 BTd5A7NS
抱きつかれた政宗は、彼女の首筋に顔を埋めて。
その肌を唇でゆっくり啄ばむと、柔らかい肌の感触。
「…もちみてぇだな、お前の肌。」
いつきの抵抗を受けて一瞬うろたえた政宗だったが、彼女の仕草と体に引き付けられた瞬間再びスイッチが入った。

「OK, 分かった。…後悔しても知らねぇからな。」
低い声でそう囁くと、いつきの耳たぶをぺろりと舐める。
「ふあっ」
感じて背中を反らせるいつきの寝巻きを素早く剥ぎ取ると、腰布に指を絡め、するすると解いて脱がせてしまった。
「あ…」
一糸纏わぬ姿になったいつきを見下ろし、政宗はニヤリと笑う。
「…いい眺めだ。」

真っ白な肌。布団の上に仰向けに横たわったいつきの乳房は遠慮がちに椀状に膨らんでおり、その先端には薄桃色の小さな蕾がついている。
無駄な肉のない手足はほっそりと華奢で、こんな体のどこからあんな怪力が繰り出せるのかと疑いたくなる程だ。

「…まさむねのド変態。ロリコン。」
恥ずかしそうに膨らみかけた乳房を両手で隠して、いつきは政宗を睨んだ。しかし、そんな視線ですら、サディストの政宗には心地よい。
無言で笑うと、再びいつきの上に覆いかぶさり、自分の体の上に掛け布団をかける。
裸のいつきが風邪をひかないようにとの気遣いだったが、いっぱいいっぱいのいつきがそれに気づいたかは疑問である。


715:伊達いつ 初夜7
09/04/13 00:43:56 BTd5A7NS


布団の中で重なる二つの体。
その温もりを全身で分かち合いながら、政宗は壊れ物を扱うように、いつきの唇にそっとキスを落とした。
「ちっせぇ体。」
太ももを撫で上げると、
「おめぇが大きすぎるんだべ。」
そう言っていつきが笑った。
「めいっぱい可愛がってやるよ、お姫さん。」
いつきの髪に指をからめ、優しく撫でる。
「キザなセリフだべ…」
悪態をつきながらも、段々といつきの表情はトロンとしてくる。その表情に満足げな顔をして、政宗は再び、いつきの小さな胸に指をかけた。

大人の女と違い、乳房はまだ小さく、少し硬い。
その先端に触れないよう、じらすように胸全体を優しく摩りながら、政宗はいつきの唇を吸った。
「んっ…」
徐々に激しくなってくる唇の動きに、必死に応えようとするいつき。
「ふぁっ…」
唇を啄ばみ、歯で甘噛みして、舐めて。
甘い痺れは唇から次第に頬に広がり、頭の中さえも侵す。
唇と胸を弄られている筈なのに、腿の付け根までがなぜかじんわりと疼くのを感じた。

丹念にほぐした両胸がうっすらと汗をかいてきたのを見計らって、政宗はもぞもぞと布団の中に潜る。
いつきの胸元に顔をうずめると、小さく立っている突起の先端を口で含んで、優しく歯を立てた。
「ひゃんっ」
再び、背を反らすいつき。
そんないつきを片腕で抱き、政宗はそっと蕾を吸い続ける。


716:初夜8
09/04/13 00:44:31 BTd5A7NS


ちゅっ、くち…ちゅっ…

わざと音を立てて吸うものだから、聴覚にまで卑猥さが届いて、余計にいつきの腿の付け根はきゅんとする。
「や…ひゃっ…ま…さむね…おら、おちちは出ねぇだよ……?」
胸元の政宗の頭をぎゅっと抱いて、いつきはか細い声をあげた。
「…知ってる。」
そう言うと、政宗は片手をいつきの体の下に下ろしていき、再び腿の付け根を触った。
「ひゃん!」
先ほどの甘い電撃のような痺れが、再びいつきを襲う。
たまらずに太ももを閉じて政宗の指を追い出そうとしたが、骨ばった指はぐりぐりと強引に股の間に入ってきた。

股間の先端をなぞられるたびに、途轍もない快感が全身を貫く。
「やっ………ひゃぁっ………!!」
その度に、幾度となく体が反応してしまい、ぶるっと身震いした。
「いつき…」
いつきの胸元に顔をうずめながら、政宗はいつきを安心させるように、幾度となく愛する姫の名前を呼ぶ。


717:初夜9
09/04/13 00:45:13 BTd5A7NS


いつきの体全体が熱を帯び、股間がさらに熱くなってきた頃合を見計らい、政宗はいつきの腿の付け根の割れ目をそっとなぞる。
とろりと暖かい液体が溢れている事を確認すると、
「すごいことになってんぞ?ここ。」
そう言って、わざといつきに聞こえるように、指先を使ってぴちゃぴちゃと音を立てた。
「あ…や…」
恥ずかしそうにイヤイヤをするいつきの仕草に、満足そうに微笑むと、愛液溢れるその場所に、政宗はつぷりと人差し指を沈めた。
「ゃ…」
長い指は、するするといつきの中に入っていく。
指で体をこじられていくほどに、その感触で股の部分が蕩けそうになる。
いつきは太ももにぎゅっと力を入れて、すがるように政宗の頭を抱きしめた。
「とろけちまうべ…」
そう言われながらも、政宗は乳房への愛撫も止めなかった。
舌の先で、ころころと胸の先端を転がす。
上からも下からも攻められ、いつきの思考は停止する。ただただ押し寄せてくる快楽の波を受け止めて、すがるように男の名前を呼んだ。
「まさむね、まさむね…!!」

人差し指の付け根まで、完全にいつきの中に沈んでしまうと、政宗は指にくっと力を入れて、いつきの内部を摩る。
「ひゃっ」
摩る度に、とろとろと溢れ出てくる愛液を、さらに他の指に絡めて。
政宗は一瞬、つ…と人差し指を引き抜いた。

「あ…」
切なそうな声を漏らすいつき。

「そんなに良かったか?」
胸元からいつきの表情を見上げ、政宗はにっと笑うと、次の瞬間、愛液を絡めた指を再びぐっといつきの中に突き刺した。
「ひゃぁぁぁ!」
突如、再び内部に侵入されたいつきは、たまらず大きく声を出す。
しかも、先ほどよりも内部がきつい。


718:初夜10
09/04/13 00:45:38 BTd5A7NS

いつきの中でゆっくりと動く政宗の指が、腹の奥まで快感を伝える。
「狭ぇのな。指、二つ入ったけど。」
「えっ?」
狭いと思ったら、指が増えていたなんて。
「二本、入った。痛いか??」
そう言うと、政宗は胸元から起き上がり、再びいつきの顔を見下ろす。
(いたくねぇべ…)
いつきは無言で、ぶんぶんと首を振った。
「…にしても、キツイ。これ、俺のモノ、入んのかよ。」
いつきの体の中にある二本の指を、そっと動かす政宗。
内壁からきゅうきゅうと締め上げられて、指を動かすのも困難だ。


政宗が女遊びを覚えたのは、今からだいぶ昔の事だった。
だが、相手はいつも年上の豊満な女。雌として熟した大人の女ばかりだ。
いつきの若く幼い体を目の当たりにして、政宗は僅かに困惑していた。
しかし、自分の下半身は確実に血を集めて熱くなっており、今までにない程に大きく硬く感なっている。
こんな大きなモノが、この小さな少女の中に挿入るのだろうか。
入れてしまったら最後、いつきの体は裂けてしまうのではないだろうか??


719:初夜11
09/04/13 00:46:11 BTd5A7NS

困惑しながらも、政宗は二本の指をゆっくりと動かし、緩やかに回転させながらいつきの内部を広げていく。
「んっ……」
「おら、力抜け。」
口は悪いが、めいっぱいの優しさを込めて。
「痛かったら言えよ。」
いつきに囁くと、政宗はくちくちと指を抜き差しする。
「ん……」
耐えるように、枕元のシーツを掴んで目を瞑るいつき。
愛液はますますとろとろと溢れ、シーツをも濡らす。

(そろそろか?…)
火照るいつきの体にキスを浴びせるように落とすと、政宗はもう片方の腕で器用に自分の寝巻きを脱ぎ捨てた。

するすると、衣擦れの音がする。

「あ…」
いつきがうっすらとまぶたを開くと、政宗の広い肩が目に飛び込んできた。
広い胸板には無数の傷痕があり、政宗の今までの戦歴を物語っているかのようだ。
見上げると、政宗と目が合う。
眼帯をしていない方の目が優しくいつきに微笑みかけて、いつきの心はきゅうとしめつけられた。
むせるような、男の匂い。しかし、薫りを感じれば感じるほど、いつきはどこか安心して、切ない気分になった。
(あぁ、おらはこれで、この人のものになるだな…)
そう思い、にこ…と政宗に微笑みかける。


720:初夜12
09/04/13 00:46:37 BTd5A7NS
「挿入れるぞ」
「ん…」
そう言うと、政宗はいつきのとろとろになった入り口に、自分の一物を宛がった。
いつきの腰を片手で支えると、ゆっくりと腰を突き上げる。

じゅぷ…

「つっ……」

二本の指など比ではなかった。
大きな肉棒に入り口をこじ開けられたいつきは、鋭い痛みに襲われて、思わず政宗の背中に手を伸ばし、爪を立てる。

「いつき、力抜け。」
余裕のなくなってきた政宗は、いつきの股間に手を置くと、さするように先端の突起を愛撫する。

「やっ…!!」
痛みと快楽が同時に襲ってきたいつきは、頭の中が真っ白になって政宗の背中にぎりぎりと爪を立て続ける。
背中に刺さるような痛みを感じながらも、政宗は愛撫をやめなかった。いつきの痛みはこんなものじゃないはずだ。
(っ…キツ……!!)

それでも少しずつではあるが、いつきの体は政宗を受け入れはじめていた。

じゅぷ…つ…

ゆっくりと、ゆっくりと。いつきの中に腰を沈めていく。
「っ…………!!!」
背中にぐっと爪を立てるいつき。相当痛いのだろう。
「いつき…!!」
少しでも痛みが緩和するように。政宗は、名前を呼んで優しく愛撫を続けた。


721:初夜13
09/04/13 00:47:09 BTd5A7NS
ずぷ…

半分ほど、挿入っただろうか。
政宗は一度、突き上げるのをやめていつきの様子を伺う。
いつきの大きな瞳からは大粒の涙がこぼれており、唇はぎゅっとへの字に結ばれていた。
痛いという言葉こそ放たなかったものの、そうとう辛いのだろう。
政宗自身も、いつきの内部からぎゅうぎゅうに締め付けられて、気を抜くと一気に意識が飛びそうだった。

「…ま…さむ…ね…」
消え入りそうな声で、小さくふるえながら政宗を見上げるいつき。
その表情があまりにも辛そうで、政宗はこの少女が愛しくてたまらなくなる。





「いつき…これ以上は挿入んねぇよ。」
愛撫をやめて、そっと囁く。
「…なしてだ?おら、まだ余裕だべ??」
強がるいつきをぎゅっと抱きしめて、政宗は続けた。
「だめだ。お前が壊れちまう。」

そう言うと、熱く膨張した自分の一物を、ゆっくりと腰を引いて抜き取った。
「あ…」
ちいさくため息を漏らすいつき。

全て抜き出してしまってから、政宗はいつきの股間に指を宛がい、周囲の液体を絡めとると、指を持ち上げて月明かりに照らしてみた。

指には、真っ赤な血がついていた。


722:初夜14
09/04/13 00:47:37 BTd5A7NS

「お前、よく、我慢したな。」
指先の液を舐め取ると政宗はいつきをぎゅっと抱き寄せる。
小さな体は、未だに赤く火照って震えていた。
「こんなの…余裕だべ……。」
そう言って政宗の胸元に潜ってくるいつきがたまらなく可愛く思えて、政宗はさらにぎゅうと抱きしめる。

「嘘。もう無理。お前は限界。」
そう言うと、いつきがぷぅっと頬を膨らませたので、政宗はそのほほを摘んでぐいっと引っ張った。
「俺の前でくらい、強がらなくていーの。お前は子供なんだから、子供らしく正直にしてていーんだ。」
そう言うと、再びいつきの頭を優しく撫でた。

「先は長いんだ。焦らずゆっくり行こうぜ。…俺の可愛い愛姫さんよ。」










723:初夜 エピローグ
09/04/13 00:48:11 BTd5A7NS
「でも、殿方は我慢したら体に毒なんだべ??」
いつきは心配そうに、政宗の股間に手をやる。
「ば、Shit,触るな…!」
政宗とて、健全な十九の男だ。
いつきの体を知ってしまった政宗の一物は、夜伽をやめたからといってそう簡単に静まるわけなかった。
いつきは熱い一物をぎゅっと握ると、
「おらが変わりに手でやってあげるだ。」
そう言って、にやりと笑った。
小悪魔じみた笑みを浮かべた瞬間、いつきのちいさな両手が、政宗の一物をしゅっとしごく。
「ぁっ…………!!!」

その瞬間、政宗はぎゅっといつきを抱きしめると、身を強張らせて小さく震えた。







「…大丈夫だべ?」

布団の中でいつきが尋ねる。

枕に顔を埋めた政宗は、しばらく黙っていたが、そっと顔をあげるといつきをきっと睨んだ。
「いつき、布団から出ろ。」
「えぇ、そんなことしたら、おら風邪ひいちまうだよ。」
「出ろ。出ろったら出ろ。」
「なして」
「布団が汚れちまったから変えるんだよ!!!」
いつもの調子に戻った政宗は、顔を真っ赤にしていつきにがなりつけた。

「…。」
きょとんとしたいつきは、いちど瞬きをして、もぞもぞと布団の外に出る。

素っ裸で枕元に立ったいつきは、もぞもぞと動いている政宗を見て、ちょんとしゃがみ込んでにやりと笑った。

「まさむねの、そーろう。」


724:704
09/04/13 00:50:03 BTd5A7NS
以上です。
本番期待してた人、すみません。

まぁロリなんで、初めてはこんなものかと。

では、楽しんでいただけたら幸いです。

725:名無しさん@ピンキー
09/04/13 01:25:02 GzP63lTh
>>724
Good Job!
coolだったぜロリコン筆頭!!

726:名無しさん@ピンキー
09/04/13 09:53:18 pNhYaow0
萌えた…!

ロリコンいいな。

727:名無しさん@ピンキー
09/04/13 11:45:04 v0u5xwOr
全裸で待ってたよー!GJ!
いつきに無理させまいと自重したのに
そーろーにされてしまったロリコン筆頭www

ところで全部入らないならスマタにしとけばよかったんじゃね?と思った
やったことないからよくわからんが

728:名無しさん@ピンキー
09/04/13 16:50:13 aPaVMp5Y
>>724
GJ!!
いつきの体を気遣いながら行為に及ぶロリコン筆頭に激萌えさせて頂きましたw

729:鳥無き島
09/04/14 03:29:54 7TSKVy0G
なんか自分にしてはすごい電波を受け取ったのでこんな時間に投下してみる。
ものすごい勢いで書き上げてしまった……
以下注意書き。


・元親×まつというか元親→まつというか元親+前田家というか、微妙なものです
・エロなし。エロなしスレに投下した方がいいのではないかというほど潔くエロなし
・それなのに長い
・きつくはないけれど死にネタがあったり、一部キャラが故人だったりするので苦手なかたはスルー推奨
・一部キャラがちょっと悪役っぽい書かれかたをしているけれどそれは単に書き手の力量不足です
・史実とかには詳しくないです、すみません
・NGはNameの「鳥無き島」、もしくはIDでお願いします
・すみませんもう二度としませんorz

730:鳥無き島 序
09/04/14 03:30:47 7TSKVy0G

燃える。焼ける。蹂躙される。
それは圧倒的な力。
疲弊した兵を丸ごと呑みこんで津波のごとく成長する。

もの言わぬ屍の中、その男は威風堂々と立っていた。
その両の手が、ひとりの兵を吊り上げている。
吊り下げられている男とて均整のとれた長身だが、吊り上げている方は常人離れした巨躯だった。

吊られている男の口からは、なにがしかの言葉も、悲鳴も、うめき声さえ聞こえなかったように思う。
轟音のせいか、自分の耳鳴りのせいか、それとも本当に苦痛に耐えているのか。
無力な身体は、それをただ見守ることしかできなかった。


―今、生命を落とそうとしているのは、自分が心から大切な人なのに!


ごきり、という骨の砕ける音だけは、残酷なほど鮮明に聞こえた。
動かぬ身体は、悲鳴さえあげられなかった。




この戦で、前田家はかけがえない当主を失った。

731:鳥無き島 一 1/6
09/04/14 03:32:15 7TSKVy0G

「兄貴ィ……」

長曾我部元親の部下は、暗い顔で姿を見せた。
その表情だけで、報告内容がわかってしまい、元親は憂鬱になる。

「前田家の嫁さんは、まだ気がつかねえ、か」

若い部下は、無念そうに唇を突き出し、涙をこらえているようだった。
元親もため息をかみ殺して色素の薄い髪の毛を乱暴にかきまわす。


―敵は、本能寺にあり。


天下に手を伸ばそうとしていた織田信長の足元をすくったのは、家臣でも腹心中の腹心であった明智光秀だった。
わずかな手勢のみをつれて本能寺に滞留していた信長は、完全に虚を突かれたが、犠牲を出しながらも信長は落ち延びた。
織田の重鎮である前田利家はすぐに兵を出し信長らと合流、明智軍と雌雄を決する。
―はずだった。

互いに兵力を削り合ったまま陣を構えたそのとき、狙い澄ましたかのようにやってきたのが、
新興ながら織田に次ぐ勢力を誇っていた豊臣の軍勢だった。

ただでさえ精鋭ぞろいの豊臣軍は、大将を豊臣秀吉とし、副将を竹中半兵衛とする、全兵力を投入した大軍だった。
お互い疲弊していた両軍は、豊臣に呑みこまれ、壊滅した。
天王山は屍で埋められ、信長、光秀を筆頭に両軍で名の知れた将兵はことごとく討ち死にした。
そしてそれは、豊臣秀吉の知己である前田利家も例外ではなかったのだ。


―長曾我部軍と前田家の付き合いというのは、少々さかのぼる。

ぜひともカジキマグロが釣りたいと、前田利家とまつは四国までやってきた。
それだけのために大将とその奥方が、という驚きはあったが、何より気持ちのいい夫婦だった。
元親は自ら快く船を出してやり、まつはお返しとばかりに腕を振るった。
海の荒くれは、おふくろの味に飢えている。
身分の差など気にしていないと言うかのように、まつは下っ端にも笑顔で膳を準備した。
「人参が嫌いだ」と言う若造には、自分の良人の隣に並べ、とくとくと説教するような気安さがあった。
利家もまた、一国の主でありながら、兵卒に交じって食事するのも嫌がらなかった。
海の男というのは単純なもので、すぐに前田夫妻の人柄に惚れた。
それは元親も例外ではない。

732:鳥無き島 一 2/6
09/04/14 03:33:41 7TSKVy0G
夫妻が帰郷する際に、長曾我部軍の庖人らが「ぜひともその味を学びたい」と頭を下げた。
利家もまつも快諾し、今度はぜひとも加賀にと誘われた。
しばらくして、本当に前田家に向かった長曾我部一行は、思いのほか暖かく迎えられた。
城主の性格を反映するように、将兵はみなおおらかで気持ちのいい人間たちばかりだった、と元親は聞いている。
いくらなんでも、元親自らが出向くわけにもゆかない。
織田家の重鎮である利家とは違い、しょせん長曾我部は鳥無き島の蝙蝠だ。
付け入らせる隙を与えるわけにはゆかない。

しかしながら、それからもたびたび、元親は庖人に信頼できる部下をつけ、前田家に送るという関係が続いていた。
おかげで、男所帯の長曾我部軍の食生活はだいぶ豊かになったのだ。

そして先日、加賀への道を進む際、庖人たちの護衛についていた谷忠澄は不穏ならざる話を耳にした。
曰く、明智光秀が謀叛を起こした、と。
すぐさま土佐に連絡を飛ばし、あるだけの足を使って情報を集めてみれば、それは紛れもない事実だった。
織田の中でも大きな力を持つ前田家に、長曾我部の客を迎える余裕はあるまい。
戻ろうとしたとき、草の者がさらに驚くべき情報をもたらした。


豊臣の大軍が恐るべき進撃速度で動きだした、と。


彼らは逡巡した。しかし、結局は庖人を宿に残して、ほんの数名だけで天王山へと向かった。
そこに広がっていたのは、海賊である彼らが目をそむけたくなるほどの凄惨な光景。
―そんな状況で、倒れ伏しているまつを発見したのは僥倖以外のなにものでもない。
血に汚れ、意識を失っているが、脈があった。
時期は梅雨、雨と日差しに交互にさらされた骸はすでに崩れ始めている。
そんな中、生命のあるおかげで、彼女の血は巡り腐敗を免れていたのだ。

谷は腹をくくり、まつを土佐に連れ帰ることにした。
捨て置くわけにはゆかない。
海の男には、海の男なりの美学がある。
なにより主である元親は、恩のある女性を戦場に見捨てることを決して許しはしまい。

身体の下敷きになっていた薙刀ごと、彼らはまつを宿まで運んだ。
女将に頼み汚れを落としてもらったはいいが、一向に目を覚まさない。
かつて健康的な美しさにあふれていたその顔は、血色も悪く痛ましいほどだった。
意識のない怪我人を連れながら、谷らはできうるかぎりの速度で土佐への道を急いだ。

元親は、まつを拒まなかった。
むしろ、彼女のために床を整え、医者を呼び、力を尽くしている。
―まつが元親のもとにやってきて三日目の朝、彼女はまだ目を覚まさない。

まつの部屋から出てきた泣きそうな顔をしている部下は庖人だった。
すなわち、まつの弟子のようなものだ。
彼女のために用意した膳は、箸をつけられることなく冷めて下げられる。
やるせなさに肩を落とす部下を励まして、元親はしかし内心で舌打ちする。

733:鳥無き島 一 3/6
09/04/14 03:34:57 7TSKVy0G
―まつのことだけ考えていられないのが元親の立場でもある。

織田を破ったことで、豊臣は天下に一番近い勢力へと躍り出た。
今は、魔王の妹が輿入れした浅井と交戦中だという。
兵力は圧倒的に豊臣、しかしながら浅井の本城は堅牢な砦に守られる要塞だ。
籠城に持ちこんでいるのならすぐに落ちることはあるまい。
だが、いずれは豊臣の勝利に終わる。

元親が考えねばならないのは、浅井を落とした豊臣が兵をどこへ向けるか、ということである。

強くあるというのは弱点でもある。
豊臣は確かに大勢力ではあるが、兵力差をもってして日の本を席巻できるほどには突出していない。
現に、奥州・伊達と三河の徳川はすでに同盟を組んでいる。
そしておそらく武田、上杉、北条は昔の縁で三国同盟を結ぶだろう。
東の大国から成る同盟と真っ向から勝利するのは、いかに豊臣の軍事力でも難しい。

しかし、西はどうだ。
長曾我部はもちろん、本願寺、毛利、島津も今は独立勢力という方が近い。
浅井、本願寺は以前、武田とともに織田包囲網を組んでいたが、織田家が瓦解した今、それが有効に機能するとは言えまい。
浅井攻めの後、豊臣はおそらく西を目指す。
そして、豊臣と真っ向で戦っては、今の長曾我部に勝ち目はない。
地理に恵まれた島津はともかく、本願寺が崩れれば次は毛利か長曾我部なのだ。
兵を集め、育てるには時間があまりにも足りない。

田舎者の猿に膝を屈し恭順するなどということは、鬼と呼ばれる元親にとってはそもそも念頭にない、あり得ない選択だった。

734:鳥無き島 一 4/6
09/04/14 03:36:17 7TSKVy0G

「よう、気分はどうだい?」

もしやこのまま目覚めぬのでは、と危惧されていたまつは、あれからすぐ意識を回復した。
取り乱したのは最初だけ、すぐに理性を取り戻したのは、さすがでもあり哀れでもあった。

すぐさま駆けつけた元親に、まつは丁寧に礼を述べ、事情を語った。
豊臣軍に織田・明智両軍が蹂躙されたこと。
利家の死を語るときは口数が少なくなり、気丈な彼女らしくもなくはらはらと落涙した。
彼女がひときわ心を痛めている理由のひとつには、甥の前田慶次が珍しく出陣し、おそらく戦死したことによるのだろう。
何でも、利家の影武者を務めると自ら志願したのだという。
まつ自身は甥の骸を見つけたわけではないが、あの状況で生存しているとは考えにくいし、
まして傾奇者で名高い慶次が敗戦の後なにもせず黙っているとも思えない。
元親自身は顔を知らないが、長身とその長身を上回るほどの長刀、派手な着物と長髪に飾った羽飾り、
そのうえ小猿を連れて歩くという前田慶次の噂は、土佐にまで聞こえている。

元親は、その後も時間を見つけては、まつのところへと足を運んでいた。
子分たちも元親と考えることは同じで、彼女の部屋で顔を合わせることも少なくなかった。
太陽のように明るかった女性が、今では消えぬ憂いの影を背負っている。
一度彼女に情を移した海の男は、どうにもそれがいたたまれない。

元親に気を遣い退出した部下を見送ると、まつはそっと微笑んだ。
床からは完全に起き上がれてはいないものの、怪我は順調に回復しているようだった。

「このようなご時世、お役目もお忙しいのでしょう。わたくしのことはどうぞお構いなく」
「海に出なきゃあ暇なもんだぜ。退屈しのぎの相手をしてほしいだけさ」

まつは、ふふと笑う。
その笑い声にも、以前とは異なり影が落ちている。

「殿方は、嘘をつくものではありませんよ。お顔が煤で汚れています」
「ん? んん? お、おう」

袖口で適当に顔をぬぐいながら、元親は答えた。
今、長曾我部軍は、国を傾ける勢いで新兵器の開発に努めている。
先頭に立っているのは、当然元親である。
正確に言えば、以前から案としてはあった。
ただ、実現には莫大な費用がかかるので保留状態にあった計画を、急遽再開したのだ。
金を惜しんで国を潰すわけにはいかない。
元親の背中には民が乗っている。

735:鳥無き島 一 5/6
09/04/14 03:37:22 7TSKVy0G

静かに目を伏せているまつを見て、元親はふと別の女性を連想した。

元親がまだ四国を制する前、今よりもずっと気楽な身分だったころ、
のちに第六天魔王と自称する「尾張のうつけ」を見物に行ったことがあったのだ。
ただのうつけとは思えぬような何かを持っていた信長も、その傍らに控える女性らも印象的だった。
艶やかな華を持つのは信長の正室・美濃の姫。
そして、魔性としか形容できぬ美貌の少女は、浅井に嫁ぐ前の市姫―信長の妹だった。

年若い少女を遠目に見て、元親はぞっとした。
輿入れして女としての幸せを手に入れた濃姫とは対照的に、市は少しも幸せそうには見えなかった。
ただ、底のない暗い眼をした少女は異様な―退廃的で不健康な魅力を備えていた。
庇護欲を誘うようでいて、同時に果てのない深淵にまで引きずりこもうとしているような―良人に先立たれた未亡人のような。

男が悪いのだと元親は思った。
信長のように良くも悪くも傑出した人間を兄に持ってしまえば、ああ生きるしかないのかもしれないと。
今目の前にいるまつは、あのとき見た自らを恨み嘆く少女の悲しみを彷彿とさせる。

何とかしてやりたい、と声をかけようとはするが、元親とまつとに共通する話題は、利家と慶次のことだけだった。
そもそも、まつが利家を伴って土佐にやってきた理由が、
「利家と慶次においしいご飯を食べさせるため、カジキマグロを釣りたい」というものだったのだ。
傷口をえぐるしかできない自分は、しょせん死人には敵わない。

まつが、このまま市のような傾城の美しさを持つ女性に変化してゆくのは耐えられなかった。
人を惑わせるような美貌を誇る市よりも、匂い立つような艶を持つ濃姫よりも、
元親は、健康的で肝の据わった彼女が好みだった。
香ではなく、洗濯物か、そうでなければ炊き立ての米の匂いをさせている彼女が。

ガキは苦手だ。
怖がられて泣かれた記憶しかない。
年上がいい。
情が深くて芯が強く、少々柄の悪い野郎どもを可愛がってくれるような懐の広い女がいい。
それで料理上手の別嬪なら言うことなしだ。

―自分の心情をある程度冷静に分析できている元親ではあるものの、
良人を亡くしたばかりの女につけいる気など端からないところが、彼が彼であるゆえんでもある。
欲しいものは実力で奪うのが長曾我部軍の行動原理だが、そこには侵さざるべき見えぬ一線が存在している。

736:鳥無き島 一 6/6
09/04/14 03:38:29 7TSKVy0G
「……正直言うとな、煮詰まったときの話し相手になってくれると助かるってわけだ」

政をよくわきまえている才媛に、どうやって「ここにいるのは少しも迷惑ではない」と伝えればいいのか、
元親は言葉を交わすたびに悩んでいる。
鋭い女と相対する男の苦労は身をもって体験しているが、
なんでも見通して人より早く気を回すことができてしまう女もそれはそれでつらいだろう。
文字通り、湯水の如く兵器に金をつぎこんでいる最中の国だが、女ひとりかくまうぐらい知れている。
元親をはじめ、ここにいる連中はその程度の認識だ。
世間一般の、人質としての価値だとか、交渉の材料とか、
そういうことにがんじがらめになっているのが彼女の方なのだから、まったく救われない。

「まあ。まだまだ子供にござりますること」

鈴のような声で笑う彼女から見れば、元親など本当に子供なのだろう。
鬼と恐れられる自分が手のひらで転がされるのは、ばつが悪い。

「ちぇ。根の詰めすぎは逆にはかどらないんだぜ。
 ―あんたも、頑張りすぎると身体に毒だ。ちぃっとのんびり休むぐらいの方がいい、余計なことは考えずにさ」

彼女は笑顔を凍らせ―そしてその表情のまま涙をこぼした。
嗚咽や慟哭に表情をゆがますことなく、こんな自分がおかしくてたまらないというように涙を拭いながら言った。


「犬千代様と、同じことをおっしゃる―」


                                      長いので切ります

737:名無しさん@ピンキー
09/04/14 09:10:06 382gqfyt
最近投下多くて嬉しい限りだ。

いつきにかわいいよいつき

738:名無しさん@ピンキー
09/04/14 09:17:01 VMQa+YD4
まったくだ
スレが賑わうのは良いことだ

>>736
GJ!!
ぜひとも続けて!!

739:名無しさん@ピンキー
09/04/14 11:49:52 BjSgSYPX
>>736
GJ!続き待ってます。
まつ…(つД`)

740:名無しさん@ピンキー
09/04/14 20:31:08 RS6A5oAq
悲しいけどエロい…そんなまつの喪服姿を想像してしまった。

741:鳥無き島 二 1/11
09/04/14 23:48:52 5DI1mKUj
>>730-736の続き 注意書き>>729


浅井が落ち、次いで本願寺が豊臣の軍門に下った。
そして元親の予想通り、豊臣はそのまま西へと進路をとるようだった。
甲相越三国同盟と正面から陣を構えるのは分が悪いと見たのだろう。
それとも、他国の強兵をこだわりなく引き入れている豊臣軍には、
毛利の水軍と長曾我部の最新鋭の機巧兵器は魅力的な戦力に見えたのかもしれない。

恭順すれば、生命までは取られまい。

だが、鬼が猿に従う道理などない。
そして、惚れた女の良人を殺した男にへつらうなど、反吐が出る。


願うだけで叶えば策など要らない。
分の悪い博打に勝つためには、考えなければならないことも、やらねばならないことも、数多かった。

742:鳥無き島 二 2/11
09/04/14 23:49:34 5DI1mKUj

水軍といえば毛利。兵器といえば長曾我部。

―しかし、この豊臣の戦艦ほど見事な船は、どちらの陣営も持ってはいまい。
豊臣の副将にして天才軍師と名高い竹中半兵衛は、誇るわけではなく客観的な事実として思う。

眼前には、瀬戸内の青き海。
煙るような不確かさで、遠くに島影が見え隠れする。
どこかの愚者は、鬼ヶ島と自称しているとか。

頬をなでる風は向かい風。
穏やかなふうを装っても、まじる火薬のにおいは消せやしない。
最新の兵器を開発しているという話が真実か、そうでなければ大筒をそろえたか。

「―どう見る、半兵衛」

傍らに立つ巨躯の男が、太い声で半兵衛に尋ねた。
敬愛すべき大将であり、友でもある豊臣秀吉だ。
半兵衛は意識して表情を緩めた。

「火薬のにおいが混じっている。はったりではなく、本当になにか仕掛けているようだね。秀吉、いくら君でも油断は禁物だよ」

日の本に名をとどろかす覇王は、笑う。

「我が前には無力よ。玩具に頼るような使い手など、我の敵ではない」
「そう言ってやるものではないよ。才能にもいろいろな種類がある。元親君は、間違いなく兵器開発の天才だ」

秀吉が半兵衛を興味深げに見下ろした。
かばっていると思われているのかもしれないが、そんなことはない。
半兵衛は他人を過小評価しないが、決して過大評価もしない。
最強の剣豪が天下を統一できるかといえば、そうではない。
同様に、兵器開発においての天才が、国を統べる器の秀吉に勝てるかといえば―言うまでもないことである。

海の戦では長曾我部に、陸の戦では豊臣に分がある。
兵器では長曾我部、兵の精強さでは豊臣。
しかしながら、それらの要因を押しのけるほどに、数は圧倒的に豊臣に分がある。
さらに秀吉がいて、半兵衛がいる。
どのような戦況になるのであれ、負けるはずなどない。

743:鳥無き島 二 3/11
09/04/14 23:50:24 5DI1mKUj
―しかし、半兵衛の直感が、何か引っかかりを捕まえかける。
形をつかむ前にすり抜けていってしまうので、具体的に言葉にできないのがもどかしい。

豊臣軍が浅井、本願寺を攻めている間、
長曾我部が新たな兵器を開発しているという情報が半兵衛のもとに届いてきていた。
同様に、徴兵を進めているという情報も。
次は自分たちの番だという心づもりなのだろう。

秀吉はああ言うが、長曾我部の開発する兵器というのは、おしなべて厄介なものである。
秀吉は別格として、それ以外の兵卒の士気を削ぎ一気に無力化しかねない。
できるだけ早いうちに長曾我部を落とし、兵器だけをいただく。
―誰だって、そう考えるはずだ。

あまりに当然すぎるのだ。
兵を募っている、武装をしている、そしてそれは幾人もの斥候や草の者が報告している事実だ。
だから当然のようにそちらへ軍を向ける。
……しつらえたかのように、できすぎていないか?

「力に敗れる策ならばそれを知略とは呼ばぬ。何があろうとも、我が拳がうち砕けば問題あるまい」

仁王立ちで、徐々に近づいている陸地を見やる秀吉に揺らぎはない。

「……うん」

うなずいて、半兵衛は用心深く表情を引き締めた。
揺らぐのも、余計な気を回すのも、汚れ仕事をするのも、自分ひとりで十分だった。

744:鳥無き島 二 4/11
09/04/14 23:51:12 5DI1mKUj

まつの部屋を訪れた元親は、ぎょっと目を見張った。
床がもぬけの殻だったから、ではない。
戸の前で、三つ指をつき頭を下げている彼女に迎えられたからだった。
医者によると、まだ身体は万全ではないそうだが、それを感じさせない凛とした仕草だった。

静かに顔をあげ、丸い瞳が元親を見上げた。
涙の膜が張っていたのはすでに遠い過去のことだった。


「―ご武運を」


彼女の良人は、いつもこのように送り出されていたのかと、無意識のうちに想像する。
あの気のいい男がどう応えを返していたのか、少し考えても像は浮かばなかった。


「任せな。あんたはおとなしく寝てりゃいい」


やれるべきことはやった。策も尽くした。
―ここが、かつて鳥無き島の蝙蝠と揶揄された、長曾我部元親の天下分け目だ。

745:鳥無き島 二 5/11
09/04/14 23:52:06 5DI1mKUj

豊臣軍の第一陣が、岸に上陸した。
不慣れな者にとっては足を取られるはずの浜であるが、精鋭ぞろいの豊臣軍は、統制を失わず進軍している。
規律という点では、長曾我部が及ぶべくもない。
兵器を警戒してだろう、慎重な足並みだ。
その様子を、元親は離れた場所からじっと見つめていた。
彼の周りを囲むのは、主に長曾我部軍の精鋭、わずかな手勢のみである。

第二陣が続く。
秀吉も半兵衛もまだ動かない。
どん、どん、と地を揺らす音が響く。
待ち構えていた部下が大筒を放ったのだ。
しかし、性質上絶え間ない砲撃ができるというものではない。
ただの牽制である。
数が減ったら僥倖というものだ。

小舟に分乗し、第三陣が浜へと向かっている。
頃合いか。
元親は、あらかじめ準備していた狼煙に火をつけた。
わずかな間ののち、腹に響く轟音が空で爆ぜた。


豊臣軍の兵士が、怪訝そうに振り返った。
狼煙の上がった先は海だ。
当然ながら、秀吉にも半兵衛にもそのような指令は与えられていない。


―そのとき、何か軽いものが風を切るような音が、豊臣兵の耳にまで届いた。
近づいてくる、そう思い視線を転じた瞬間、―意識が四散した。


一撃だけではない。すぐにまた、あの独特の風を切る音が空を裂く。
二撃目は、白い砂を豪快に散らしただけに終わった。
しかしわずかな間をおいて三度音は空を切る。

常識外の砲撃速度。
そして、射程距離だった。
あるときは第一陣の最前線をかすめるようにして爆ぜ、あるときは海辺まで届かんとするその砲撃。
一定の時間で、しかし狙う場所は定まらぬ。
容赦なく砂と人とを粉砕し撥ね飛ばすそれは。


―要塞・富獄、起動。

746:鳥無き島 二 6/11
09/04/14 23:52:58 5DI1mKUj

滅機の最新型を開発していたというのは本当だ。
万が一のときのため、本丸近くに準備している。
しかしそれは本命ではない。

大口径の大砲を多数設置し、絶え間ない砲撃を可能とする要塞―それが富獄だった。
砲撃の精度も距離も速度も、すべて元親手ずから改良した会心の作だ。
何より苦労したのは試射。
豊臣に知れたら最後、苦心して大筒の試し撃ちにまじえようやく済ませたものだ。

しかし、なにもこれで豊臣兵を全滅させられると思っているわけではない。
砲撃が可能なのはこの浜辺一帯で、例えば陸地から攻められたら富獄の真価を半分も発揮しえない。
冷静になった竹中半兵衛あたりが、それを指示すれば無力化させるのもたやすいだろう。

これすらも、ただの足止め。
足止めのために本気で国が傾きかけた。


「―ほんじゃ、任せたぜ」
「戯言はよい、見事盤上を動いてみせよ。貴様も我が策の糧となれ」


元親は今、海の上にいる。岩陰に隠れるような小舟だ。
同乗しているのは、主に長曾我部軍の精鋭、わずかな手勢のみである。
その唯一の例外が―毛利軍の大将・毛利元就だった。

冷たく言い放った元就は、体重などないような動きで横付けされている小舟に跳び移る。
すぐにその舟は進んでゆく。
そして元就は、手にしている采幣を、何かに祈るように高く掲げた。

芸術としか言えない速度で、先ほどの豊臣兵の動きと遜色ないほど整然と、小舟があちこちから現れた。
豊臣の戦艦と比較したら鯨と蟻だ。
しかし、元就の采配のもと、無数の舟から無数の矢が射かけられた。
狙いは軍船ではなく―岸を目指している第三陣。海の上の豊臣兵だった。

日の本一を謳われる毛利水軍は、強弓でも知られている。
矢は惜しむことなく雨のように浴びせられ、瞬きするごとに豊臣兵を減らしていった。
豊臣軍も、不意を突かれたなりに反撃をしているが、いかんせん毛利水軍には及ばない。
巨大な軍船からの砲撃も、毛利軍は巧みに船を操って被害を最小限に抑えている。
稀代の策略家・毛利元就の本領発揮である。
元親とは根本から相容れぬやりかたではあるが。

747:鳥無き島 二 7/11
09/04/14 23:53:59 5DI1mKUj
―大事業を成す際に、どこからもその情報を漏らさず進めるというのは難しい。
相手が天才と呼ばれる知略の持ち主・竹中半兵衛ならばなおさらだ。
優秀な間者も信頼のおける情報網も無数に持っていることだろう。

最新型滅機のことが漏れるのは構わなかった。
それよりも重要だったのは富獄であり、毛利軍との同盟締結だった。
これを悟られたら、長曾我部の命運は絶たれる。
正攻法の陸戦では豊臣には到底及ばない。

毛利と長曾我部は、長年にわたり争いつづけている敵である。
それも、武田と上杉のような、互いを認めあう好敵手のような間柄ではない。
少なくとも、好敵手の好が必要ない関係であることは確かだ。

しかし、毛利元就は天下への欲はないものの、自らの領土を侵すような者には容赦がないのは事実だった。
当然、豊臣の動向は気にしているはずだ。
そして、豊臣との国力の差も理解できているはず、と。
そこに利害を一致させる要因があった。

元就は、利がなければ動かぬ男だ。
おびき寄せるのは長曾我部の城であり、毛利軍は後詰、
そして一番面倒なところを元親が引き受けるというところまで譲歩した。
おまけに、策を実行するのにやむを得ないとはいえ、瀬戸内の隠れ島や潮流などの情報もごっそりと持って行かれた。
それですんだのは不幸中の幸いと言えるかもしれないが。
正直、滅機の一機や二機持っていかれるのも覚悟だったのだが、元就はそちら方面には興味がないらしい。

富獄の砲撃と、毛利軍の射撃は絶え間なく続いていた。
元親を乗せた小舟は、盾の力も借りて器用に矢を避けながら豊臣の軍船へと迷いなく近づいてゆく。
元就が舟を下りた今、この舟に残っているのは元親を含む曾我部軍のわずかな精鋭だけだった。

「野郎ども、最後までついてこいよ!」

景気づけに叫んだ元親に、部下たちは勢いよく答える。

「海の底までお供しますぜ、アニキィ!」
「俺たちゃどこまでもついていきますぜ!」
「大船に乗った気で任せな、アニキィ!」
「腕が鳴るねえ。まっかせな!」

小船が、豊臣の戦艦に横付けされる。元親を先頭に乗りこんで、次々に散ってゆく。
豊臣秀吉と竹中半兵衛が退かない限り、結局のところ豊臣にとっての痛手にはなり得ない。
元親を含む軍屈指の精鋭が討って出ている今、秀吉の力と半兵衛の知略の前には、長曾我部の本陣は紙に等しい。

748:鳥無き島 二 8/11
09/04/14 23:55:24 5DI1mKUj

「豊臣の戦艦に小舟で突っこんできたんだって? それは策か無謀か、それとも冗談かい?」

本陣への侵入を果たしてもなお、竹中半兵衛の表情すら変えさせることができなかった。
軍船に残っていた兵をなぎ倒しながらここまでやってきた元親を、
何の感慨もなく見降ろして半兵衛は言い放ったのだった。

船内に散った部下たちは大丈夫だろうか。腕の立つ連中ばかりをそろえたが、不安はよぎる。
元就のように割り切ることは、自分には無理だった。
だが、それを面に出さず、元親は半兵衛に相対する。

「いい天気にまどろんでいる暇はねえぜ?」

矢の雨の勢いは衰えたものの続いているし、富獄からの砲撃は止まない。
白く美しい浜も、青く輝く海も、屍だらけの無残な光景だった。
全兵力を四国攻めに費やしたわけではないということを差し引いても、豊臣の被害は甚大だ。
―それなのに、この半兵衛の平静さはどうだ?

「のんびりしているつもりはないのだけれどね。しかし、元親君。君の兵器は興味深い……もちろん君以上にね」
「あぁん?」
「ここで君を倒して、いただいてゆくことにしようか」

微笑みさえ浮かべて、半兵衛は佩いていた刀を抜いた。
野戦で鍛えた元親とは対極の、洗練された動作だった。
まつから聞いていた。
ただの刀ではない、繰り手の技量で自在に長さを変える関節剣の使い手だと。

そしてそれは、元親の得物や戦いかたと、すこぶる相性が悪かった。

半兵衛の華麗な剣さばきは、力を捨て技に特化しているように元親の目に映る。
一撃必殺の剛剣ではなく、手数で徐々に体力を削っていき、隙を見せた相手の急所を狙っているかのような。
一方、巨大な碇槍を振り回す元親は、力に特化している。
一撃の威力が大きければ、隙も大きい。
そして、それを逃す半兵衛ではない。
元親にとっては、手数よりも一撃の重さで戦う秀吉の方がまだやりやすい相手であろう。

致命的な一撃をもらっているわけではない。
しかし、元親は半兵衛だけにかまけているわけにはいかないのだ。
秀吉が動かぬ限り、豊臣は常に余力を残しているということだ。
たとえどれだけの兵が散っても、たとえ半兵衛が抑えられていても、覇王と恐れられるあの男はただの一騎で戦局を覆す。
半兵衛が足止めされているということは、裏を返せば元親も足止めされている。
早く片づけて、秀吉のもとへ行かねばならない。

焦り始めた元親の喉を狙って関節剣が伸びる。
飛び退ると、壁に背中がぶつかった。
次の半兵衛の一撃が先か、槍を握り直した元親の一撃が先か。
間に合わない。
剣は眼前まで届いている。
ほとんど本能か反射の域で、左腕を犠牲にしようとしたそのとき、鞭のようにしなる剣がはじき落とされた。

749:鳥無き島 二 9/11
09/04/14 23:56:08 5DI1mKUj
剣よりもはるかに長い、乱入者のその武器は―


「長曾我部殿、僭越ながら、ここはまつめにお預けください」


薙刀に戦装束。腰に佩くは長刀。
三つ指ついて元親を見送ったまつがなぜここに。
元親たちが乗ってきた小舟にもぐりこむのは時間的にも不可能だし、隠れる場所もない。

だが今は、悩んでいる場合ではない。
一刻も早く秀吉のところへ。


「助かったぜ! 間違っても死ぬんじゃねえぞ!」
「心得てござります。皆さまが拾ってくだすった生命、どうして無駄にできましょうか」

半兵衛の、心なしか焦ったような声が踵を返した元親の背を追うが、それで足を止めるほど親切ではない。
走りながら、カジキマグロを釣りに来たときに前田夫妻に船の繰りかたを教えたことを思い出したりした。
夫婦そろって恐ろしく筋がよく、あんたらきっといい船乗りになれると、元親は舌を巻いたのだった。
小舟を見つけ、腕一本で軍艦に乗りこんできたのだろう。


そしてきっと、あの奥方はずっと、良人を三つ指ついて戦場に送りだし、遅れて自分も出陣してきたのだろう、と思った。
戦場でさえも、槍の又左との勇名をとどろかす良人のそばに控えて。


―いいねえ、ますます好みだ。

750:鳥無き島 二 10/11
09/04/14 23:56:45 5DI1mKUj

燃える。焼ける。蹂躙される。
それは圧倒的な力。
疲弊した兵を丸ごと?みこんで津波のごとく成長する。

もの言わぬ屍の中、その男は威風堂々と立っていた。
その両の手が、ひとりの兵を吊り上げている。
吊り下げられている男とて均整のとれた長身だが、吊り上げている方は常人離れした巨躯だった。

「犬千代様……!」

まつはもがいた。薙刀を支えに身体を起こそうとするが、それすらままならない。

「ああ……どうか、どうかまつめの生命と引き換えに!」


―おお、よく来たな。
―慶次、お友達が来ていますよ!


あの懐かしい日の記憶は、まだ鮮明に残っているというのに!


震える膝を叱咤して立ち上がったまつは、そのときを目の当たりにした。
ごきり、という骨の砕ける音が、残酷なほど鮮明に聞こえた。
満足に動かぬ身体は、悲鳴さえあげられなかった。

もの言わぬ良人の身体は、どさりと重たげに地面に落とされた。

751:鳥無き島 二 11/11
09/04/14 23:57:31 5DI1mKUj
「犬千代様……!」

まつを見下ろす巨体の男は、かつてとは違い、感情の読めない目だった。


「……今なら見逃してやろうぞ」
「いいえ、豊臣様」


薙刀を握り直したまつは、屍の並ぶ地を見渡して、甥の前田慶次の姿を探した。


―明智んとことやりあうんだって? ……俺もついていこうかな。
―どうしたんだ、慶次。珍しいなあ。
―どうっていうわけじゃないんだけどさ……なんか、嫌な感じがするんだよな。
―まあ、慶次もようやく、前田家男子としての心構えができたのですね。まつは嬉しゅうございます。
―そんな大層なもんでもないんだけど……まあいいや、利の影武者務めるぐらいならできそうだし。


……あのとき、あなたは自由に生きなさいと、そう言ってあげればよかったのか。
慶次にただ済まない。
どこかに落ち延びていてくれさえすればそれでいい。
かつての友の軍に手をかけられてさえいなければ、それだけで。


「豊臣様、ひとつだけ。まつめに詳しい事情はわかりませぬ。ですが今一度、慶次と話を……」


息も絶え絶えに訴える女を、男はただ見下ろしている。
かつて飯をふるまったことがあった。
あのときは、強面が柔らかい表情を浮かべていたのに。


「その心遣い痛み入るが……許せ、我にそのつもりはない」


慶次、慶次、ごめんなさい。どうか無事で―


「……心は、決まりましてござりまする。さあ、どうぞ、遠慮なくおいでませ」


                                         続

752:名無しさん@ピンキー
09/04/15 00:24:02 THKPAHQA
終わり

753:名無しさん@ピンキー
09/04/15 00:43:11 KUVOVJae
>>751
わっふるわっふる!!
すっげえゾクゾクした!

754:名無しさん@ピンキー
09/04/15 01:38:06 KayVbcDx
>>751
元親→まつがいい感じな上に、話もすごく面白い!
続き期待してます。

755:名無しさん@ピンキー
09/04/15 07:56:54 pe38+Tzt
終わり

756:名無しさん@ピンキー
09/04/15 12:50:18 j6AWpMWO
>>751
面白い!!エロパロスレなのを忘れて読みふけったよ
続き楽しみにしております

757:名無しさん@ピンキー
09/04/15 15:53:59 kLQeA0zZ
>751
すごい文章力!
続きワクテカしながら待ってるよ~

自分上の伊達いつ書いたものだけど、
>727
そうそう、まさにスマタにする予定だったんだけど、長くなりそうだからやめたの。指摘されると思わなかったから何か嬉しいわw


758:名無しさん@ピンキー
09/04/15 20:11:15 itY8Ed5n
>>757
その何だあまり言いたくないが>>2

759:名無しさん@ピンキー
09/04/15 21:01:59 7Wi2oDnV
>>757
そしたら是非続きでスマタ編をw

760:鳥無き島 三 1/8
09/04/15 23:29:06 hAFsKaLY
>>741-751の続き 注意書き>>729


「……生きているとは驚いたよ。それも長曾我部軍に身を寄せていたとは、意外だね」
「竹中様、お退きくださりませ」

半兵衛は吐息をもらしたが、それはため息にも似ていた。
珍しくいらだちという感情をあらわにしているのは、まつが元親を秀吉のもとへと進ませたからだろう。

「君は豊臣の軍艦でそれを言うのかい。なるほど、君があの癇に障る男を甘やかしたというわけだ」

そう言って、一度剣を振る。
まつは、その冷たく透き通る瞳をまっすぐ見つめ直した。

「どうか自重なさりませ。それほどに動けるお身体ではありますまい」

半兵衛の瞳が逡巡するのを、まつは初めて見た。
一瞬で翳りを隠し、半兵衛は平然と答える。

「何を言っているのか、意味がわからないな」
「女は子をなす身体を持っておりまする。お身体の変調、殿方のようにはごまかされませぬ」

―病んでいるのだ。なぜ今まで気づかなかったと不思議なほど、はっきりと。
半兵衛の生命はそう長くあるまい。

「豊臣様は知らぬご様子。胸に秘めておきたいのならば、お退きください」

秀吉の名を出したそのとき、半兵衛がひるんだ。
その隙を見逃さず、まつは思い切り踏みこむ。
薙刀を手放し、ほぼ同時に腰の刀を抜刀した。
神速の居合術。
半兵衛の鞭のようにしなる関節剣を絡めとり、強引に奪う。

761:鳥無き島 三 2/8
09/04/15 23:29:42 hAFsKaLY
悔しげに顔をゆがめた半兵衛が距離をとる。
まつには好都合だ。これ以上攻撃に転ずるつもりはない。
空に高らかに指笛が響く。

「おいでませ、太郎丸!」

翼を広げ、巨大な鷹が一直線にまつのもとへと飛んでくる。
すれ違いざまに関節剣を受け取った賢い鷹は、そのまますぐに空の住人になる。
そこでようやく刀をおさめ、再び薙刀を手にする。
十分に距離をとられてしまえば、居合いの二撃目は通用すまいが、それで構わなかった。

「ここまで厳しくなるとは、予想外だね」

ここだけ時間の流れが遅くなったかのように、やけにゆっくりと動いた半兵衛が、懐から取り出したのは―

似たようなものを見たことがある。
良人の主君であった織田信長の奥方、濃姫が忍ばせていたそれ。
南蛮渡来の―

手の中の薙刀を再び捨て、まつは半兵衛に飛びかかり、反動でふたりまとめて船に転がった。
半兵衛の銃を争って、互いの口が吸えそうな距離で上へ下へ、
遠目に見たらまるで閨の中のような光景が広がっていたが、当人たちだけは命がけの真剣そのものである。

撃たせてはならない。まだ死ぬわけにはいかない。

―……今なら見逃してやろうぞ。
―間違っても死ぬんじゃねえぞ!


拾ってもらった生命なればこそ、これは自分だけのものではないのだ!

762:鳥無き島 三 3/8
09/04/15 23:30:21 hAFsKaLY

籠手と槍がぶつかって火花が散った。
あの手につかまれては終わりだ。元親は踏みこんだのと同じ速さで飛び退った。
竹中半兵衛に比べればやりやすい。
だからと言って楽な相手であるはずもないが。

碇槍をうならせて、元親は思う。
これほど頑強な人間は初めてだ、と。
たとえ鎧や籠手が刃を防ごうとも、その衝撃までを吸収することはできない。
元親の槍は、それこそ何度も秀吉の身体をとらえているのに、揺るぎさえしない。
魔王を斃し、そして槍の又左と呼ばれるほどの利家を討ったというのも納得せざるを得ないような力だった。

すでに大勢は豊臣の負けだ。
岸は富獄が制圧し、海に浮かぶは毛利の舟ばかり。
それですらもなお、この男が両の足で立ってさえいれば、戦況はどうにでも変わる心地がする。
初めて魔王を見たとき感じたものと同じものをこの男にも感じる。純粋な力。

まつから、秀吉の戦いかたを聞いていたのがよかった。
攻撃範囲はこちらの方が上だ。
腕にだけはつかまれないよう、元親はなかなかに器用に立ち回っていた。

「その技を、なぜ我がために使わぬ! 我のもとで働け、我が国のために!」
「嫌だね、俺は自由に生きる!」

叫んだと同時に渾身の力で振り下ろした碇槍を、信じられぬことに、秀吉は片手でつかんだ。
思わず元親の口から「馬鹿な……」と言葉が漏れる。
歯を食いしばりこらえるが、単純な膂力では元親は秀吉に及ばない。限界はすぐ間近に待っている。

そのとき。
秀吉が槍をつかんでいた手を離しその場から退き、彼が今までいた場所を、長刀が横切った。
元親はあまりのことに、こんな状況にあるにもかかわらずぽかんとしてしまった。
刀は壁にぶつかって、刺さるようなことはなく地に転がった。

距離を十分に取ってから振り返ると、そこにいたのは先ほど別れたまつと、
そして元親と同じ舟に乗ってやってきた長曾我部軍の兵士だった。

763:鳥無き島 三 4/8
09/04/15 23:30:58 hAFsKaLY
声をかけようとした元親だが、秀吉の方が早かった。
わずかに動揺をにじませた声で、言う。


「―慶次……!」
「半兵衛ならあっちで倒れてる。この戦に豊臣の勝ちはない。退け、秀吉」


まつは目頭をぬぐっている。
元親は、ひとり置いてけぼりの状況だ。
それでも、何とか想像力を働かせてみる。

―まつの隣に立っている男は、精鋭のひとりとして、元親とともにこの戦艦に乗りこんだ長曾我部軍の兵だ。
それは間違いない。確か利益という名の。
古参どころか、徴兵に名乗り出たのはつい最近のことだが、それでも恐ろしく腕が立つ。元親とも気が合った。


秀吉は、利益のことを、慶次と呼んだ。


長身とその長身を上回るほどの長刀、派手な着物と長髪に飾った羽飾り、
そのうえ小猿を連れて歩くという前田慶次の噂は、土佐にまで聞こえている。
でも、目の前にいる男は違う。長身ではあるが、使う武器はごく普通の刀だ。
身につけているものは長曾我部軍の鎧だし、髪だって短い。猿も連れていない。
だけど、これは―


天下に名高き傾奇者・前田慶次。

764:鳥無き島 三 5/8
09/04/15 23:31:48 hAFsKaLY

燃える。焼ける。蹂躙される。
それは圧倒的な力。
疲弊した兵を丸ごと呑みこんで津波のごとく成長する。

もの言わぬ屍の中、その男は威風堂々と立っていた。
その両の手が、ひとりの兵を吊り上げている。
吊り下げられている男とて均整のとれた長身だが、吊り上げている方は常人離れした巨躯だった。

「利ィ!」

嫌な予感ばかりが的中する。
目を覆いたくなるような戦場で、それでも大きな怪我なく生き残っていた慶次は、はるか遠くにその人物を見つけた。
秀吉と、利家の姿を。
倒しても倒しても次々に現れる豊臣の兵に邪魔されながらも、何とか助けようと。

そのとき慶次の目の前に立ちはだかったのは、竹中半兵衛だった。
細身で小柄な身体を兵卒に紛れこませて、ただ一点しか見えていない慶次を袈裟斬りに斬り裂いた。

急激に、身体から力が失われていく。倒れこむようにして慶次は膝をついた。
誰にいつ斬られたのかさえ気づかなかった。見えているのは、ただ。

吊られている男の口からは、なにがしかの言葉も、悲鳴も、うめき声さえ聞こえなかったように思う。
轟音のせいか、自分の耳鳴りのせいか、それとも本当に苦痛に耐えているのか。
無力な身体は、それをただ見守ることしかできなかった。


―今、生命を落とそうとしているのは、自分が心から大切な人なのに!


ごきり、という骨の砕ける音だけは、残酷なほど鮮明に聞こえた。
動かぬ身体は、悲鳴さえあげられなかった。


膝ですら支えられなくなった身体は、均衡を失って転がった。
そのまま滑って、崖のような急斜面を落ちた。痛みはすでになかった。

麓で拾ってもらえなかったら、そのまま死んでいただろう。
まともに動けるようになるまで一月かかった。
完治までにはほど遠いと止められたが、慶次は西へと向かった。
浅井を落とした豊臣は本願寺と交戦中、そしてそのままの勢いで西へ軍を進めるだろうというもっぱらの噂だった。

765:鳥無き島 三 6/8
09/04/15 23:32:47 hAFsKaLY

「半兵衛は、貴様を斬ったと言っていた」
「見事に斬られたさ。ただ、あいにく閻魔さまには嫌われててね」

利益―慶次は、吐き捨てるように言った。


「退けよ。この戦はおまえの負けだ。
 ―これだけの犠牲を出して、自分さえ無事ならまだ覆せるなんて言うなよ。
 そんなこと言ったら、俺は大将としてのおまえも見損なう」


大将としての秀吉を見損なうということは、以前、別の意味でこの男を見損なうような出来事があったのだろうか。
蚊帳の外に追い出された元親は場違いに想像するが、考えても詮無きことではあった。
正解は慶次の胸にしかない。

慶次もまつもこれ以上戦うつもりはないようだった。
秀吉は慶次を見、まつを見て、そして元親に再び向き直った。得物の柄を握り直す。

しかし目の前の覇王は、存外穏やかな声で言った。


「長曾我部……おまえの力はわかった。今日のところは退こう」
「お、おう」


こんな堂々と言われても、反応に困る。
しかしなぜ俺の力なんだ? と元親は我ながら疑問だった。
そうまで言われるようなことはしていないような気もするのだが、まあどうだっていい。
とりあえず、長曾我部家の危機は過ぎたのだ。


―大きな損害を出した豊臣軍は、大坂へと兵を退いた。
秀吉や半兵衛を捕虜にしていれば、というような声もなくはなかったが、あんなのを捕虜にしたら面倒で仕方ない。
化け物を生け捕りにしようなどとしたら、こちらが喰われつくしてしまうところだ。


こうして、四国上陸戦は豊臣の敗北に終わり、毛利水軍と、何より長曾我部軍の名は一気に高まり、
天下に最も近い勢力のひとつとして語られることとなった。

766:鳥無き島 三 7/8
09/04/15 23:33:49 hAFsKaLY

「慶次ともどもお世話になって……心より御礼を」
「いいってことよ。大事にな」

戦の後の始末があらかた済んで落ち着いたころのある晴れの日、まつと慶次はともに加賀に戻ることになった。
まつに憧れている部下たちは、元親とまつの顔を交互に見ながら「ここにいてくれ」と繰り返し懇願していたが、
それはこちらの勝手が過ぎるというものだ。
彼女の胎には利家の忘れ形見がいる。

同行する慶次は、まつの前で短い髪をさらしているのが落ち着かないようで、盛んにいじっている。
なんでも、崖から転がり落ちたときにぼろぼろになってしまい、短くするしかなかったということだ。

丁寧に頭をあげたまつは、傍らの慶次に向き直り、ちょっと唇を尖らせる。

「慶次、なにもあなたまで城に戻ることないのですよ。
 もう立派な大人なのですから、自分の心の思うまま生きなさい」
「何度も言ってるだろ。別にまつ姉ちゃんのためってわけじゃないさ。
 ……ただ、ちょっと休みたくなっただけだよ。ちょっとだけ」

慶次の言う「ちょっと」は、まつの子が産まれるまでの間だろう。
元親の勝手な想像にすぎないが、おそらくは的を射ている。
長くもない、深くもない付き合いだったが、前田慶次という男はそういう男だ。

そして、それ以上の追及を避けようとするように、慶次はさっさと船に乗りこんでいった。
元親に微妙な、何とも言えない表情を向けて。
ああ、そういえば恋だの愛だの、甘ったるい話が好きなやつだった。

船出のときが近づいている。元親は送っていってはやれない。
長曾我部は、それほどの大勢力になりつつある。
鳥無き島の蝙蝠が、今では本気で天下をも狙えるという。

767:鳥無き島 三 8/8
09/04/15 23:34:35 hAFsKaLY
まつは小首をかしげるようにして微笑んだ。

「―かつて信長様は、長曾我部殿のことを鳥無き島の蝙蝠と言ったとか」
「ああ、そういや、最初に言い出したのは魔王だったっけな」

「鳥無き里の蝙蝠」の里を島に変え元親に形容したのは織田信長だった。
鳥無き島の蝙蝠。鳥、すなわち強者のいない四国で権勢を誇る蝙蝠を揶揄した言葉。
どうでもいいと思っていたが。


「猛禽ですら住めぬ地で生きる蝙蝠というのは、きっと常人では計りしれぬ器を持った生きものなのでしょうね」


まつは視線を空に転じた。
釣られて元親も天を仰ぐ。
大鳥―鷹か鷲か、翼を広げ飛ぶ影が見えた。


「―長曾我部殿のつくる新たな天下を、まつも見てみとうござりまする」


そう言って、まつは笑った。
かつて見かけた市姫のような傾国の笑みではなく、男を後ろから立てるような賢妻の莞爾とした笑顔だった。


―やっぱいい女だな、と思う。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch