【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう10【アリソンシリーズ】at EROPARO
【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう10【アリソンシリーズ】 - 暇つぶし2ch450:SBI
10/05/13 02:31:36 JTEEfyau
そしてそして、問題はまた振り出しに戻る。
「へっくし!」
「へっくし!」
二人分のくしゃみが部屋の中に響く。
まあ、無理もない話ではある。
ずぶ濡れの服を着替えもせずに二人であんな事やこんな事をしていたのだから……。
一度は高まった体温も、たっぷりとかいた汗の気化熱にもっていかれ、今は体の芯まで冷え切ってしまった。
ここで悩むのはリリアである。
(うう…まずいわね。トレイズをこのまま待たせておいたら、本当に風邪ひいちゃうかも……)
互いに心と体を重ね合い、愛しあった先ほどの行為のオチがそれでは、どうにも侘しすぎる。
一方のトレイズはというと……。
「リリア、早くシャワー浴びないと、風邪をひいたら大変だよ……」
自分の事などまるで気にしていない様子。
この状況を打開するにはどうすればいいのか?
悩みに悩んだリリアはとびきり大胆な行為に出る事にした。
「トレイズ……」
「ふぇ?…リリア?」
壁に寄りかかっていたトレイズの手の平をリリアがぐっと握った。
「ど、どうしたの、リリア?」
「だから、シャワー。早く浴びないと、風邪ひいちゃうじゃない……」
何故だか顔を赤くして俯いたリリアは、トレイズの手を引っ張って廊下に出ようとする。
その先にあるものが何なのか、幾度かシュルツ家にお世話になっているトレイズはすぐに気付く。
そして、理解した。
リリアが何をしようとしているのかを……。
「リリア…まさか……?」
「だって、こんな状態でトレイズだけ待たせる訳にはいかないでしょ」
「でも、だけど……」
「それとも、私と一緒じゃ嫌?」
少し伏し目がちに、おずおずと問いかけたその言葉。
トレイズの中にその答えは一つしか存在しない。
「嫌じゃ…ない……」
「良かった………」
そして、その答えを聞いたリリアは心底安心した表情を浮かべて、トレイズの腕にぎゅっと抱きつく。
「お風呂、一緒に入ろ、トレイズ!!!」

451:SBI
10/05/13 02:32:45 JTEEfyau
これでお終いです。
久々に書きましたが、リリトレも良いものです。
それでは、失礼いたしました。

452:名無しさん@ピンキー
10/05/13 23:38:07 xcCI9L5W
('A`)
またコイツの独壇場か

453:名無しさん@ピンキー
10/05/14 00:49:36 ZdYe+WHF
GJ! やっぱこの二人は良いね

454:名無しさん@ピンキー
10/05/14 05:25:18 d0eKFJ/K
GJ!!
思わずにやにやしてしまったww

455:名無しさん@ピンキー
10/05/29 21:44:47 EwaWpswV
一日カキコがなかったらキノは俺の友達の親友

456:名無しさん@ピンキー
10/05/29 22:39:53 vSEtq3nK
>>455敢えて阻止する

457:名無しさん@ピンキー
10/05/30 00:01:13 EwaWpswV
>>455

458:SBI
10/05/30 03:31:46 sMD7+zpw
SBIです。
また書いてきちゃいました。
今回はアリソンのSS、どちらもヴィル×アリソンです。
エロなしの妙に真面目ぶった話が一本と、直球エロなラブラブ話が一本。
まずはエロなしからいってみます。

459:SBI
10/05/30 03:32:18 sMD7+zpw
穏やかに降り注ぐ陽の光の下、風が涼しげに吹き抜ける首都の午後。
ヴィルは窓の外を流れる雲を見上げながら、一人紅茶を飲んでいた。
猫舌の彼は何度もティーカップに息を吹きかけながら、ゆっくりとその味と香りを楽しむ。
慌ただしい首都の喧騒もこの時間はちょうど収まっているようで、流れて行く時間は平和そのもの。
そんな中、ヴィルはこのアパートのもう一人の住人、今は空軍の仕事で数日家を空けているアリソンの事を思い浮かべる。
「……今頃、この空のどこかでアリソンも飛んでいるのかな……」

空。
流れる風に乗ってどこまでも高く飛んでいく翼。
幼馴染の少女がかつて真剣にヴィルに語って聞かせた夢。
彼女は今、その夢を叶えて、空軍のパイロットの一人として任務に従事している。
ヴィルは思い出す。
二人がまだ『未来の家』で暮らしていた頃、ヴィルはいつもアリソンの傍にいて随分と彼女に振り回されたものだった。
遊んで、無茶な冒険をして、疲れ果てて二人で草群に座り込んだとき、ふと隣のアリソンが、空のずっと高い場所を見上げている事に気付いた。
きらめく青い瞳に、空の蒼が映る。
憧れるように、ただ真っ直ぐと空に向けられた眼差し、その横顔が何か神聖なもののように思えて、ヴィルは言葉もなくアリソンを見つめていた。
思えば、あの頃から彼女は遠く高い空への夢を膨らませていたのだろう。
二人が『未来の家』から旅立つその日が迫った12歳のある日、アリソンは庭の木陰で読書をしていたヴィルに言った。
「私、空を飛びたいの」
「空……」
本から顔を上げ、ヴィルが視線を向けた先には、まっすぐな瞳でこちらを見つめるアリソンの顔があった。
これまで隣から眺めていたあの遠い空を見つめる眼差しが、今はヴィルに向けられていた。
「だから、私、「未来の家」を出たら空軍学校に入って、軍人になって、パイロットになって、その中でもとびきりのエースになって……」
アリソンの語る言葉は淡々としていながら、同時に強い意思の力が込められていた。
「……飛行機に乗って、ずっと、いつまでも、高くて広い空を飛びたい。………おかしいかな?女の子がパイロット目指すなんて……」
「そんな事ないよ」
最後に少しだけ不安そうな表情を見せたアリソンに、ヴィルは優しく言葉を返した。
「そんな事、絶対にない。僕はアリソンのその夢、すごく素敵だと思うよ」
「ヴィル……うんっ!ありがとう!私、頑張るからっ!!!」
「うわ、アリソン!!?…ちょっと…痛いよ」
ヴィルの答えに満面の笑顔を浮かべたアリソンは嬉しさに任せて力いっぱいヴィルを抱きしめた。
その強引な、だけれども親愛の情に満ちた抱擁に苦笑しながらも、ヴィルは心の底からアリソンの夢が叶う事を願った。

そして今、彼女はかつての宣言通りに空軍パイロットになり、あの青い空を飛行機で飛び回っている。
『女性だから』、そんな理由でパイロットに相応しくないと言われた事もあったが、
アリソンの実力は次第に周囲に認められ未だ戦闘機乗りにはなれていないものの、飛行任務を任せられる事も以前より多くなった。
アリソンが自らの夢を現実の物として、大好きな空を飛んでいる事をヴィルは嬉しく思っていた。
「アリソン……」
窓の外に広がる空の蒼は、あの日夢を語った彼女の瞳と同じ色。
どこまでも、果て無く広がる空の中に彼女の面影を見ながら、ヴィルはようやく冷めてきた紅茶をゆっくりと口に運んだ。


ヴィルが”その知らせ”を受け取ったのはその翌日の事だった。
『空軍での任務中、飛行機事故のためアリソンが負傷した』
言葉を失い、表情を無くし、呆然と立ち尽くすヴィルは手にした電報をギュッと握り締めていた。
それからヴィルは、気を抜くとそのままその場にへたり込んでしまいそうな体を何とか動かし、家を飛び出した。
アリソンが収容されているという病院へ。
足をもつれさせながら路面電車の駅へと向かうヴィルを、昨日と変わらぬ青空がただ穏やかに見下ろしていた。


460:SBI
10/05/30 03:32:57 sMD7+zpw
病院までの道のりはせいぜいが一時間程度といったところだったろうか。
しかし、その一時間はヴィルにとって自分の体を切り裂かれるような痛みと、言い表しがたい焦燥に満たされたものだった。
一体、アリソンはどれだけ大きな怪我を負ったのだろうか?
命に別状はないのか?
意識はあるのか?
最悪のビジョンが何度となくヴィルの脳裏に浮かんでは消え、彼の心をめちゃくちゃにかき乱した。
止まらない体の震えを押さえつけて、乗り換えたバスが病院に辿り着くまでの時間を待つ。
ただひたすらに、アリソンの無事だけを祈りながら。

そして、ようやく辿り着いた病院の受付で、ヴィルはともすれば叫びだしてしまいそうな心を必死になだめながら、アリソンの病室の場所を聞き出した。
病室に向かう階段を一段登ろうとする度に足がすくんで震えた。
晴天の外に比べるとどうしても薄暗い廊下。
一歩進むごとに目眩でそのまま倒れ込んでしまいそうになる。
「…アリ…ソン……どうか…無事で………」
やがてヴィルは、視界の先に受付で告げられた番号の病室を見つける。
残り8メートル。
ゴクリ、唾を飲み込んで、ヴィルはその扉へと近づいていく。
狂わんばかりのスピードで早鐘を打ち鳴らす心臓。
辿り着いたその扉の前で、ヴィルは改めてぎゅっと右手を握り締め、止まらない震えを強引に押さえつける。
(この向こうに…アリソンがいる………)
アリソンの無事を確かめたい気持ち。
『もしも』の事態を恐れる気持ち。
ヴィルの心の中でその二つがせめぎ合う。
大切な幼馴染の、最愛の女の子の、無残な姿を見る事になったとき、自分はどうなってしまうのだろうか。
絶える事なくヴィルの胸中に渦巻く不安。
それでも、ヴィルは覚悟を決めて、その扉に手を掛けた。

「…ヴィル……っ!!」

扉を開いた瞬間、目に映ったのはベッドの上に腰掛けて、開け放たれた窓の向こう、青い空を見つめる少女の姿。
窓から吹き込む風に揺れる金色の髪が、光を反射してキラキラ、キラキラと輝いている。
少女は扉の開いた気配に気づき、ゆっくりとそちらに振り向く。
そこに立つ少年の姿を認めて、少女の青い瞳が大きく見開かれた。
「ヴィル…ヴィル……っ!!」
「アリソン……っ!!!」
心からの安堵の息と共に、彼女の名を呼びながら、ヴィルはベッドへと駆け寄った。
見た所、大きな怪我は特に無し。
体のそこかしこに巻かれた包帯が痛々しかったが、少なくとも彼女は、アリソンは無事だった。
「…よかった、無事で……」
溢れそうになる涙をぐっと堪えて、ヴィルはアリソンの体の感触を確かめようと、その腕を彼女に伸ばす。
しかし、抱きしめるその寸前で、彼女の傷に障る事を恐れてその手を止める。
「うー、何よ。危機一髪の事故から無事生還した恋人に、熱い抱擁の一つぐらいくれてもいいじゃない」
「ごめん。でも、アリソンの傷の具合がどうなのか心配だったから……」
「そういえばそうね。まだ体中のそこかしこが痛いし、手足を動かすたびに関節がギシギシ言うし……」
ヴィルの言葉に、少し不満そうな表情を見せたアリソンだったが、そこからしばらく考えて……
「えいっ!」
「うわぁ!?」
今度は自分から、ヴィルの体に抱きついた。
「えっと…体、まだ痛いんじゃなかったの?」
「そ、だから自分の状態を一番よく分かってる私からヴィルを抱き締めてあげる事にしたの」
そう言って得意げに笑う顔は、いつものアリソンのものだ。
その表情に改めてアリソンが今ここに生きている事を実感したヴィルは、彼女の背中にそっと自分の手を添えたのだった。


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10/05/30 03:33:37 sMD7+zpw
それからヴィルは、ベッドの傍らの椅子に座り、アリソンの語る事故の一部始終について聞くことになった。
当時の彼女は飛行機の輸送任務の最中、副座式の戦闘機の後部座席に座り、操縦はもう一人のパイロットが担当していた。
「その人は体も頑丈で、操縦も私よりずっと上手くて……だから、あんな事になるなんて思ってもみなかったわ」
同行する複数の機体と共に順調に飛行を続けていた戦闘機。
アリソンがその異変に気付いたのはほんの偶然の事だった。
前方に座るパイロットの様子がおかしい。
揺れる機体の上でも分かる、苦しげに震える両肩。
アリソンが電話で前方の席に話しかけようとした瞬間、それは起こった。
ガクン!!
飛行機の高度が一気に下がり、機体が傾く。
右に左に、まるで暴れ馬のように制御を失った戦闘機の座席の上でアリソンは自分の体がめちゃくちゃにシェイクされるのを感じた。
それでも、アリソンの腕前ならば、ここから機体の体勢を元に戻す事は容易かっただろう。
だが、必死で操縦桿を握るアリソンに追い打ちをかけるように、突然凄まじい気流が機体を呑み込んだ。
「……機体が暴走したほんの僅かな間に近くの山に近づきすぎたの。ああなると、飛行機なんてひとたまりも無いものね……」
木の葉のように舞う機体の中、アリソンは諦める事なく機体の制御を取り戻そうと奮闘していた。
だが、ようやく機体を水平に戻せたかと思った瞬間、かなり高度を下げて飛んでいた戦闘機の翼が一際高くそびえる針葉樹にかすった。
再びバランスを崩す機体。
アリソンは座席の上で振り回されながら、最後の賭け、不時着陸の決意を固めた。
「……そこからは無我夢中で、ほとんど何をやったのかも覚えてない。
足元の景色が森から草原に変わったのを見て、どんどん高度の落ちてく機体を何とか水平に保とうとして
左に傾いたままの体勢で地面に突っ込んで、片方の翼が折れて後ろに吹っ飛んで行くのを見た。
不時着した機体はぐるぐるコマみたいに回って、あれで気を失わず、もう一人のパイロットも助けられたのは幸運だったわ……」
何とか脱出に成功し、機体から離れたところで飛行機の燃料が爆発した。
そして、その衝撃と飛び散る破片を避けるためその場に伏せたところで、アリソンの意識は途絶えた。
気がつくと、全身のそこかしこに包帯を巻かれ、この病院のベッドに横になっていたという。
「まあ、とにかくそんなわけで、私たちはこうして無事に生還。
運が良かったのも事実だけど、私のパイロットとしての力量があってこその奇跡の大脱出だったわけ」
語り終えたアリソンは得意げな笑顔を浮かべ、右手でピースサインをしてみせた。
いつも通りのアリソンの明るさに、ヴィルはホッと安堵の溜息を漏らす。
ちなみにアリソンに同乗していた例のパイロットは病院での診断の結果、心臓に関する病気の疑いがあるという事で検査を待っているという。
恐らく、病気から回復し空軍に戻ったとしても、パイロットとしての復帰は難しいそうだ。
それでも、あの局面で自分を救ってくれたアリソンに彼は深く感謝しているという。

それからしばらくの間、ヴィルはアリソンとの数日ぶりの二人の会話を楽しんだ。
兎にも角にも、アリソンの無事が確認できたヴィルの胸中は心からの安堵の気持ちに満たされていた。
………だから、彼は気付く事が出来なかった。
いつになく饒舌なアリソンの笑顔に僅かに滲む僅かな陰に……。
重ねられた手の平の僅かな震えに………。


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10/05/30 03:34:52 sMD7+zpw
アリソンの話によると、この後、彼女は大事を取って一週間の入院が必要であると言い渡されているらしい。
「まったく…こんな病室に居たって退屈なだけなのに……」
「駄目だよ。怪我はちゃんと治さなくちゃ」
不服そうに頬を膨らせるアリソンの頭を、ヴィルの手が優しく撫でる。
病院に来てからかれこれ5時間、病室のベッドの上で過ごす時間に一晩でもう飽きてしまったと言うアリソンに付き合って、
ヴィルは随分長いこと、彼女の話し相手になっていた。
事故の一件にまつわる諸々や、任務中に起こった様々な出来事、アリソンが留守の間のヴィルの生活についてなど、
話して、聞いて、笑って、時間はみるみる内に過ぎていった。
やがて病院の面会時間も終わりが近づいてきた頃……
「うう、流石にちょっと話し疲れちゃったかも……」
アリソンはベッドの上に起こしていた体を横たえた。
「ちょっと、長くしゃべり過ぎたかな。アリソン、怪我してるのに……」
「ヴィルは気にしなくてもいいの。話してたの、ほとんど私だったし」
ヴィルの言葉にそう答えたアリソンは、そのまま毛布を頭から被り、その中に潜り込んでしまった。
少し子供っぽいアリソンの振る舞いに、ヴィルは思わず苦笑を漏らす。
そして改めて思い知る。
今回の事故、一歩間違えれば、この少女の姿は自分の目の前になかったかもしれない。
不時着に失敗した機体の中で、爆発に巻き込まれ、その体まで粉微塵に吹き飛んで、死体すら残らなかったかもしれない。
毛布に潜り込んだアリソンの姿を眺めながら、ヴィルはギュッとその拳を握りしめた。
人は死と常に隣合わせで生きている。
特に空軍に身を置き、パイロットとして危険な任務をこなすアリソンはいつ命を失ってもおかしくない、そんな道を歩いている。
(アリソンが事故にあった頃、僕は何も知らないであのアパートで一人過ごしていた……)
ヴィルの胸の奥から止めどなく湧き上がる感情の波。
それは自分の足元が崩れてしまいそうなほどの恐怖と、強烈な罪悪感だった。
無論、自分に何が出来た訳でもない事は理解している。
どんなに足掻いても人間は人間以上のものにはなれない。
愛する人が遠くで命の危機に晒されていても、それを知る事も、助ける事も出来はしない。
それでも、手の平からこぼれ落ちて行く砂のように、最愛の少女の命が失われてしまおうとしていた事、
その事実はヴィルの心を激しく責め苛む。
(もし、今度またこんな事があったら、僕は………)
夕方が近づき、病室の中は既に薄暗くなり始めていた。
窓から差し込む赤い夕陽に照らされ、毛布にくるまったアリソンの姿をヴィルは言葉もなく見つめる。
と、そんな時だった。
「ねえ、ヴィル……」
アリソンが、先ほどまでとは打って変わった静かな声で口を開く。
「心配、したよね………」
「うん………」
静かに問いかけるアリソンの言葉に、ヴィルはそれだけ返すのが精一杯だった。
アリソンはその答えを噛み締めるように、しばし押し黙る。
まるで世界中の時が止まってしまったかのような静寂が病室を包み込んだ。
それから、再び彼女が口を開いた時、その声はどこか取って付けたような明るさを帯びたものに変わっていた。
「でも…でもね。ヴィルは心配しなくていいから」
「………えっ!?」
「私が死んでも、軍からはきちんと保険が出る。ヴィルは優秀だから、きっと大学だって奨学金で通えるし……」
「アリソン…何を言って……!!?」
思っても見なかったその言葉に、ヴィルはただ驚き、目を見開いている事しかできない。


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10/05/30 03:35:45 sMD7+zpw
そこでヴィルはようやく気付く。
アリソンが被った毛布、その端っこをギュッと握り締める彼女の手が、細かく震えている事に……。
「……私、昨日からずっと考えてたの。あの事故で、もし私が死んでたら、ヴィルはどうなってたんだろう……って」
指先が真っ白になるほど、強く強く握られた手の平。
掠れて、震える言葉の一つ一つがヴィルの心を深く抉る。
「ヴィルは優しいから…凄く優しいから……私が死んだら、きっととても悲しむ。
その悲しみのせいで、ヴィルが前に進めなくなって、ヴィルが自分の幸せを掴めなくなったら……そう考えたら、とても怖くなった。
自分が死んで、もう二度とヴィルに会えなくなるのと同じぐらい……凄く怖いって、そう思った……」
事故現場から救出されてこのベッドで目を覚まし、軋む体を横たえながら暗い天井を見つめていたアリソン。
彼女がようやく自分に起きた事態を理解し始めたとき、その胸に沸き上がった気持ちは二つ。
根源的で拭い難い死への恐怖と、それと同じくらいに胸を締め付ける最愛の少年への思い。
アリソンは心底恐れた。
後一歩のところで、自分はヴィルの幸せを奪っていたのかもしれないのだと。
だから、言わずにはいられなかった。
無茶な願いである事は百も承知。
ヴィルがどれだけ自分の事を想っているのか、誰よりもそれを知っている。
それでも、彼から笑顔を奪うのは、絶対に許せない事だから………。
「……たとえ私がいなくなっても、ヴィルが前に進むためのものは全部揃ってるから……
私の事は忘れて、ヴィルはヴィルの夢を叶えて、きっと幸せに…」
「アリソン……っっっ!!!!!」
アリソンの言葉はそこで、ヴィルの叫びに断ち切られた。
「ヴィル……」
「ごめん、アリソン………だけど、僕は…」
俯いたヴィルの顔に浮かぶ何かを堪えているような表情。
そのまま何も言えなくなってしまった二人の間に残されたのは、重々しい沈黙、ただそれだけだった。

それからの数日、ヴィルは入院中のアリソンの看病のため、毎日病院に通った。
ただ、あの日の一件以来、二人の間からは会話が減り、お互い視線を合わせる事もほとんど無くなった。
沈黙に包まれた病室の窓から見える空は、まるで何かの皮肉であるかのように青く晴れ渡り、
今の二人の間に漂う空気のいびつさを、否応もなく際立たせていた。

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10/05/30 03:36:27 sMD7+zpw
そしてついに、アリソンの退院まであと二日となったある日、ヴィルは一人ぼっちの寝室で、ベッドに横たわりぼんやりと暗い天井を眺めていた。
『でも…でもね。ヴィルは心配しなくていいから』
こうして一人で過ごしていても、あの日あの時、アリソンが口にした言葉はヴィルの耳の奥にこびりついて消えてくれない。
『私の事は忘れて、ヴィルはヴィルの夢を叶えて、きっと幸せに…』
あの時、ヴィルはアリソンに向けてハッキリとした言葉を返す事が出来なかった。
ヴィルには理解できていた。
あの言葉が、死を間近のところで乗り越えたアリソンの、心からの願いであると。
そして、ヴィルはこうも考える。
もしも自分がアリソンの立場であれば、きっと同じ事を願うだろう、と。
自分のために、アリソンが傷つき、夢を、幸せを追いかける力を失う事。
それはヴィルにとっても、まさしく恐怖だった。
「それなら……僕はアリソンに、どう言ってあげれば良かったんだろう……」
生と死は表裏一体。
人が人生という道を進むその背後には、いつも巨大な鎌を携えた死神の影がある。
いつかは誰もが経験する絶対的で絶望的な別れに、果たして自分はどう向き合う事が出来るのだろうか。
茫漠とした思考の海を漂うヴィルの意識。
そんな彼がふと手を伸ばした先に、何かが指先にぶつかる感触があった。
「ああ、そういえばここ数日は書いてなかったな……」
ヴィルが手にとったのは枕元のチェストに置かれた日記帳。
ヴィルは『未来の家』にいた頃からずっと、毎日ほとんど欠かす事なく書き続けてきた。
「そうだ……」
そして、その日記帳をしばらく見つめていたヴィルは、何か思いついた様子でベッドから体を起こす。
立ち上がった彼が向かったのは勉強などに使う自分の机。
縦に並んだ引き出しの一番下に、目当ての物があった。
「…懐かしいな……」
そこからヴィルが取り出したのは、古びた一冊の日記帳。
引き出しの中には同じような日記が数冊並べられている。
そこには先ほどヴィルが枕元で手にとったものと同じく、彼が過ごしたこれまでの年月の事が記されていた。
ヴィルはそれを、窓の外から差し込む月の光と街灯りだけを頼りに1ページ、1ページ、その内容を噛み締めるようにゆっくりと読み進める。
ヴィルの思い出が綴られたその日記のそこかしこには、当然のように大好きな幼馴染、アリソンの姿があった。
(いつも、一緒だったんだ……)
あの日、『家』にやって来たばかりのアリソンを偶然に見かけて、その後の破天荒な自己紹介で『信頼できる部下』に指名されてしまったヴィル。
そこから始まった日々の中で、アリソンはヴィルが今まで見た事のなかった世界を、それを切り開く勇気を教えてくれた。
二人はいつも傍にいて、それは『未来の家』を離れて、お互いが自分の目標に向かって歩み始めたときも変わらなかった。
離れていても、ずっと近くに感じていた。
心の中にいる大切な人の存在が、ずっとヴィルを支えてくれた。
「……………」
ヴィルは打ち拉がれ、混乱していた自分の心がゆっくりと落ち着きを取り戻して行くのを感じていた。
今のヴィルがアリソンに伝えるべき言葉。
嘘偽りのない、自分の気持ち。
「わかったよ……アリソン……」
あの日聞いたアリソンの懸命な叫びに対する自分の答え。
その確かな感触を胸の内に感じながら、ヴィルはぎゅっと拳を握りしめた。


465:SBI
10/05/30 03:37:21 sMD7+zpw
開け放たれた窓から吹き込む風がカーテンを揺らす、その様子を見ながらアリソンはあの日、自分がヴィルに向けて放った言葉を思い返していた。
「…馬鹿だな、私……あんな事言ったら、ヴィルを余計に苦しめるだけだって分かりそうなものなのに……」
あの時言った言葉は、結局のところ自分の中にある恐怖、ヴィルの未来を奪う事に対する恐れを吐き出しただけに過ぎない。
自分の不安な気持ちを、一番言ってはいけない形でヴィルにぶつけてしまっただけ。
ちくちくと胸の中で疼く罪悪感に、アリソンは我知らず苦笑を浮かべる。
「…ごめん…ヴィル…ごめんね……」
今日もきっとヴィルはお見舞いに来てくれる。
だけど、今のアリソンには彼にどう言葉をかけて良いかが分からない。
制御を失い狂ったように暴れる機体の中、背後に確かに感じた死の感触。
アレは全てを喰らい尽くし、その後には何も残さない。
それに大切な者を奪い去られた人間が、どれほど大きな絶望に打ちひしがれるか、想像したくもない。
ヴィルにとって自分が、簡単に切り捨てられるほどの軽い存在ならどれほど良かっただろう。
だけど、アリソンは知っているのだ。
ずっと傍らで自分を支え続けてくれたヴィルの、優しさと、親愛と、ただそこにいるだけでアリソンを元気にしてくれるあのぬくもりを。
「ほんと、どうしたらいいんだろう……?」
ヴィルが病室を訪ねてくるのはいつも午後になってから。
それまでに自分は、ヴィルの眼差しを真っ向から受け止める勇気を奮い起こす事が出来るのだろうか?
それから、アリソンが視線を自分の手元に下ろし、深くため息をついた、その時だった………
「アリソン………」
「えっ……!?」
聞き慣れた声に思わず振り返ると、そこにはもう随分長い間見ていない気がする、彼の柔らかな笑顔があった。
「ごめん…ドア、開っぱなしだったから、勝手に入っちゃって……」
「う、ううん…ヴィルだったら、別に構わないわよ」
ゆっくりとこちらに歩み寄ってくるヴィルの姿を、アリソンは呆然と見つめる。
だけど、そこで彼女の心に『あの時』の記憶がよぎる。
背後から押し寄せる、全てを飲み込む圧倒的な虚無。
死の影。
胸をぎゅっと締め付ける痛みに、アリソンはうつむきそうになる。
だけど、その手をヴィルの手の平が握ってくれた。
触れ合った肌から、凍りついてしまいそうなアリソンの心を溶かす優しいぬくもりが流れ込んでくる。
「…ヴィル……」
「…今日は急いで来たんだ。アリソンと、早く話したかったから……」
「話……」
「うん。この病院に最初に来た日、アリソンが僕に言った事……それに応えたくて、ここまで来た」
穏やかな調子で、だけど一言一言を噛み締めるように、ヴィルの語る言葉。
それはアリソンの心を次第に落ち着かせていった。
やがてアリソンは顔を上げ、まっすぐにこちらを見つめる少年の瞳をしっかりと見据えた。
「…アリソンは言ったよね。『僕は僕の夢を叶えて、それで幸せになるように』って……」
「うん……」
「あの時は強引に話を遮ってしまったけど…今度こそちゃんと答えるよ。
もし、万が一の事があって、アリソンがいなくなっても、僕は立ち止まらない。
僕は僕の決めた目標に向かって歩き続ける。絶対に、諦めたりなんかしない。………だけど」
ヴィルはそこで、アリソンの手の平に重ねた自分の手に、ぐっと力を込める。
「だけど、あの時いっしょに言われた事、『アリソンの事を忘れて』………それはできない。絶対に無理だ。
僕が僕の夢を、幸せを掴むのは、やっぱりアリソンと一緒じゃなくちゃ……」
「一緒…って……?」
考えてもみなかったヴィルの言葉に、アリソンはオウム返しに聞き返した。
「僕はアリソンを忘れない。アリソンが死んだら、いなくなったら、きっと凄く辛いんだと思う。悲しいんだと思う。それこそ、心が粉々になるくらい……。
でも、きっと僕はアリソンを忘れない。……だって、僕を今の僕にしてくれたのは、アリソンじゃないか。忘れられるわけないよ」


466:SBI
10/05/30 03:37:55 sMD7+zpw
いつも一緒にいた、大好きな幼馴染。
彼女の勇気が、行動力が、優しさが、ヴィルに新しい世界を見せてくれた。ヴィルの目指す道を照らしてくれた。
そして、彼女を、アリソンを想う強い気持ちが、今のヴィルをヴィルたらしめている。
共に歩み、支え合った絆は、たとえ繋いだ手の平を引きはがされたって絶対に消えない。
死は全てを呑み込み、喰らい尽くす。
だけど、胸の奥に燃えるこの想いだけは絶対に消し去る事は出来ない。
たとえ、死に分かたれたとしても、その想いは残された者の背中を強く押してくれる。
あなたは一人ぼっちなんかじゃないと教えてくれる。
「どんな事があっても、僕はアリソンを忘れない。最後までずっと一緒だ」
「ヴィル……」
そして、ヴィルの言葉に触れて、アリソンも気付く。
自分の胸の中、どんな辛いときでも、苦しいときでも、消える事なく支え続けてくれた彼女の中の『ヴィル』の存在に。
とめどない不安を抱えて『未来の家』にやって来たアリソンの心を包み込んでくれたヴィルの優しさ。
無茶な計画を立ててはどこまでも突っ走っていく自分に、ヴィルはいつだってついて来てくれた。
そして、そんなヴィルに対していつしか抱くようになった想い。
そんなたくさんのヴィルへの気持ちが、今のアリソンを作り上げてくれた。
絶対に消えない、忘れられない、胸の奥で燃える炎。
いつだって、ヴィルは一緒にいてくれたのだ。
「…わかったわ、ヴィル……だから、ヴィルもこれから先ずっと、私と一緒に……」
「うん。一緒にいるよ。ずっと、アリソンの傍に……」
アリソンは自分の手の平の上に置かれたヴィルの手に、そっと指を絡める。
きゅっと握りしめたその感触には、他の誰にも代えることのできない、愛しい人の手触りがあった。
それから、この数日の間、押さえつけていた感情が一気に溢れ出したアリソンとヴィルの顔は、いつの間にか泣き笑いの表情に変わり、
「アリソン……」
「ヴィル……」
そのまま二人の唇は、惹かれ合うように重ね合わされたのだった。


467:SBI
10/05/30 03:39:14 sMD7+zpw
以上でエロなしの方のSSはおしまいです。
妙に重々しい話で申し訳ありません。
続いて、今度はエロの方のSS。
バニーなアリソンのお話です。

468:SBI
10/05/30 03:47:53 sMD7+zpw
夕闇迫る首都の一角、ポツリポツリと灯り始めた街灯の下、ヴィルヘルム・シュルツは家路を急いでいた。
大学での試験が一通り終わり、久方ぶりに味わう自由な時間。
勉強好きで成績も優秀なヴィルにとっても、試験だけにはどうにも緊張を感じてしまう。
これまでの勉学の成果をたった一回で判定される緊張感。
特にヴィルの場合は学費生活費を奨学金に頼っているので、試験の結果は死活問題でもある。
これからも大学で勉強を続けたいのなら、ミスをする事は許されない。
今回の試験に向けて、ヴィルは十分に過ぎるほどの勉強を重ねてきた。
その甲斐あって、どの試験も手応えはバッチリ。
今日などは三日前に受けた試験について、『満点でも足りない、素晴らしい出来栄えだった』と担当の教授からこっそり耳打ちをされたほどだ。
「帰ったら、アリソンにもちゃんとお礼を言わなくちゃ…」
ヴィルがこれだけ入念な試験勉強を行う事が出来た裏には、同棲相手であるアリソンの力があった。
彼女は『私が任務で忙しいときには、ヴィルも同じようにしてくれるじゃない』と言って、家事全般を引受け
ヴィルが疲れた頃合いにお茶を入れて持って来て、勉強の邪魔にならない程度にヴィルの話し相手になって緊張をほぐしてくれた。
彼女はヴィルが勉強に専念する為のおよそ考え得る限りのサポートをしてくれた。
今回の一連の試験で良い成績を収める事が出来たなら、その半分はアリソンの力だとヴィルはそう考えていた。

そんな事を考えながら歩いている内に、道の先にヴィルとアリソンが暮らす安アパートのシルエットが見えてきた。
最上階にある二人の部屋の窓からは暖かな光がこぼれている。
どうやら、アリソンはもう仕事から帰っているようだ。
「あんまり待たせちゃいけないな…」
窓から漏れる灯りの向こう、彼の帰りを待ち望んでいるだろうアリソンの笑顔を思い浮かべてヴィルは微笑む。
もっと早く、少しでも早く、我が家へ。
アリソンの待つアパートに向かって、ヴィルはいつしかスピードを上げて走り出していた。

最上階までの階段を一息に登る。
最初は何かと苦労したこの長い階段にも今ではすっかり慣れっこだ。
残り三段、二段、一段。
登りきった目の前には愛しい我が家のドアが待っている。
しばしその場で呼吸を整えてから、ヴィルはドアノブに手を掛けた。
「ただいま、アリソン!」
そして……
「ああ、ヴィル!お帰り、待ってたのよ!!」
その声に応えたアリソンの姿に、一瞬硬直した。
「えっと……その……ア、アリソン!?」
目の前の光景が信じられない。
そんな表情でヴィルはアリソンの服装をつまさきから頭のてっぺんまで何度も眺めた。
「うぅ…いきなりそんなに見つめられるとちょっと恥ずかしいわよ、ヴィル…」
なんて、恥ずかしそうに頬を染めるアリソンが着ているそれは、普通、一般的な家庭ではまずお目にかかれないもの。
黒く光沢を放つヒール。
すらりとした脚を覆う網タイツ。
細くしなやかなボディラインを強調するレオタード。
本来衣服の中で果たすべき役割、占めるべき位置から遠く離れて、装飾に特化した付け襟と付け袖は独特のエロティックな空気を放っている。
そして、頭で揺れるウサミミと、お尻にチョコンと突き出たウサギのシッポが否応なしに身につけた者の可愛らしさを増幅させる。
それは、紛れも無いバニーガールの姿だった。


469:SBI
10/05/30 03:49:57 sMD7+zpw
「うふふ、これ、似合ってるかな、ヴィル?」
「え…あ……すごく可愛いと思う……じゃなくて、その格好、一体どうしたのアリソン!!?」
「いやったーっっっ!!!ヴィルに可愛いって言ってもらえたっ!!!」
驚愕のあまりうっかり本音を漏らしてしまったヴィルの言葉に、アリソンは両手を頬に当てて心底嬉しそうに声をあげる。
その様子、改めてアリソンの口から聞く自分の言った『可愛い』という言葉に、ヴィルも赤面。
そして、完全に固まってしまったヴィルの胸に飛び込むようにして、アリソンが抱きついてきた。
「ちょっと驚かせすぎちゃったわね。でも、ヴィルがバニーを気に入ってくれて、凄く嬉しいわ!!」
「あの……アリソン。僕、全く事態が把握出来てないんだけど……そもそも、そんな衣装どこで手に入れたの?」
「ああ、うん。その事なんだけどね…」
アリソンがこの衣装を手に入れたのはおよそ一ヶ月前。
それは遠い場所からトラックに乗せられ電車に揺られてはるばる送られてきた。
「送られてきたって……もしかして?」
「うん。ベネディクトさんから、是非使ってくれって」
恐ろしい事にバニー衣装のサイズはアリソンにピッタリだった。
以前から大胆な格好でヴィルに迫ってみたい、なんて考えていたアリソンだったが、何分貧乏学生と年若い軍人の二人暮らしでは家計に余裕はない。
そこに送られてきたこの衣装はアリソンにとって、まさに渡りに船と呼べるものだった。
アリソンは考えた。
せっかくのこのバニー衣装、使うのなら最高のタイミングで使いたい。
そして、悩みに悩んだアリソンがついにバニー姿でヴィルの前に姿を現したのが……
「えっと、それがなんで今日だったの?」
「ほら、ヴィルって今日までずっと試験勉強ばっかりで息抜きする暇も無かったじゃない」
「う、うん……」
「私もちょっとは手伝ったけど、肝心の勉強自体の手助けができる訳じゃないし……だから」
そこでアリソンはニッコリと笑って
「試験疲れのヴィルをリラックスしてもらう為に、私のバニー姿で出迎えようって決めてたの!」
それからヴィルの背中に回していた腕を離し、二歩、三歩と後ろへステップバック。
金色の髪をなびかせながら、くるりとその場でターンして見せた。
「ちょっと不安だったけど、ヴィルには気に入ってもらえたみたいで嬉しいな」
ヴィルはそこで改めてアリソンの姿を眺める事となった。
根っからの朴念仁で異性との関わり合いからは一番遠い場所で生きてきたヴィルであるが、彼とて一人の男の子である。
最愛の幼馴染の艶姿に胸がときめかないワケが無い。
アリソンの着るバニー衣装の基本色は黒。
光沢を放つレオタード部分はアリソンの体にピッタリとフィットして、彼女のしなやかなボディライン、その優美な曲線をより一層際立たせている。
すらりと伸びた脚は網タイツに覆われる事でその肉感を増し、むき出しの白い肩が、鎖骨が眩しく瞳に焼き付く。
そして頭の上で揺れるウサミミは頬を染めたアリソンの笑顔と相まってとてもとても可愛らしく見えた。
正直、最初アリソンのこの姿を見たとき、ヴィルはただ戸惑うばかりだった。
だけど、目の前のアリソンの姿は彼のハートを鷲掴みにして離してくれない。
「もう、じっと眺めてるだけじゃなくて、もっと何か言いなさいよ。……これでも、ちょっと恥ずかしいんだから…」
「えっ…あ……でも、その…どうしたらいいか僕も分からなくて……」
「そんな事言って…さっきから私のバニー姿に釘付けみたいだけど?」
「あう……」
アリソンのその一言に返す言葉を失ったヴィル。
そんなヴィルに向けてアリソンが、さらに顔を赤くして、こんな事を言った。
「ねえ、ヴィル……私、今すごくドキドキしてるのよ。ヴィルに見られてるだけで胸がドキドキして、体の奥からどんどん熱くなってくのが分かる……。
きっと、相手がヴィルじゃなかったらこんな気持ちにはなれないと思う。
きっとヴィルの前だから、今の私は…こんな……こんなにエッチな気持ちになってるんだって…そう、思うの……」
自分の言った台詞が恥ずかしくてたまらないのか、真っ赤な顔を俯けたアリソンは、上目遣いにヴィルの瞳を見つめながら、さらにこう付け加えた。
「…ヴィルも……エッチになっていいんだよ……」
それが多分、ヴィルにとってはトドメの一言になった。

470:SBI
10/05/30 03:52:18 sMD7+zpw
(僕も…今のアリソンを見てるとドキドキして………)
高なる胸の奥の鼓動。
一人の男性としての自分が激しく目の前の少女を求めている事を自覚する。
さらには、そんな本能さえ呑み込んで、アリソンへの愛おしさがとめどなく加速していく。
二つの熱はヴィルの胸の中でないまぜになって、ギリギリの線で堪えていた理性を容易く溶かしていく。
「アリソン……」
ヴィルはその熱に浮かされたように一歩前へ……
「……すごく似合ってる……可愛いよ、アリソン……」
「ヴィル……」
そして今度は自分の方から、アリソンに腕を伸ばしその華奢な体を掻き抱く。
そのまま二人の唇は惹かれ合うように重なり、深く親密なキスが交わされる。
「ぷぁ……あ…ヴィルぅ…」
「アリソン、ちょっと僕に体預けて…」
「えっ…?」
それから、ヴィルは持っていた鞄を足元に置き、右腕でアリソンの背中を、左腕で両脚を支えて、彼女の体を抱え上げた。
いわゆる、『お姫様抱っこ』というヤツである。
「ほんとはずっと、やってみたかったんだ……アリソンは、こういうの嫌…かな?」
「う…ううん……すごく…嬉しい……」
恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに、呟いたアリソンの言葉にヴィルの顔にも笑顔が浮かぶ。
ぎゅっとしがみついてくるアリソンの腕の感触を愛しく思いながら、ヴィルはそのまま寝室へと向かった。

寝室に入り、ベッド脇までやって来たヴィルは、アリソンの体をそっと真っ白なシーツの上に横たえる。
ベッドサイドのスタンドの灯りだけに照らされた部屋の中では、アリソンのバニー姿はより艶めかしく見えた。
「あ、あのさ…ヴィル……」
「何?」
「重くなかった…私……?」
「全然。…本当のこと言うと、もう少しあのままアリソンの事を抱きかかえていたかったぐらい………」
それからヴィルは上着とシャツを脱いで、自分も上半身裸になってアリソンに寄り添うようにベッドの上へ。
二人は潤んだ瞳で見つめ合い、もう一度軽い口づけを交わす。
「せっかくだから、バニースーツは脱がせないでね。……私もこの格好でヴィルとするの、楽しみにしてたんだ…」
「うん…」
頷いてから、ヴィルはアリソンの体を起こして、背後から抱きすくめるようにレオタードに包まれた両胸に触れる。
「ふあ…ああっ……ヴィ…ルぅ……ああんっ!」
優しく、繊細な指先に愛撫されて、アリソンの胸の奥に火が灯ったかのような疼きが湧き上がる。
思わず声を上げた白い喉に、むき出しの肩にヴィルの口づけが降り注ぐ。
「ひぅ…ああっ…ヴィルっ…ヴィルぅ……ひゃ…ああああっ!!」
「アリソン…可愛い……」
刺激を受ける度にか細く声を漏らし、体を震わせるアリソンの反応にヴィルの中の熱情はさらに掻き立てられる。
繰り返されるキスと、アリソンの悩ましげな声が交互に部屋の中に響く。
何度も、何度も、湧き上がる愛しさに任せて、ヴィルはアリソンへの愛撫に熱中していく。
「あんっ…ああっ…ひ…ふあああっ!!?…あ…ヴィルぅううっ!!!」
全身を快感の電流が駆け抜けると、ヒールのままのアリソンのつま先がビリビリと震える。
張り詰めた全身の神経を、ヴィルの手の平に撫でられる度に、官能の波がアリソンの意識を、思考を押し流す。
触れ合う肌と肌に滲んだ汗が、快感に震える声が、乱れる吐息が、アリソンとヴィル、二人を分かつもの全てを取り払っていく。
もっと強く、もっと近くに、一つになって、愛しい人を感じていたい。
とめどない熱情に流されるままに、アリソンとヴィルはどこまでもこの行為の中に溺れていく。


471:SBI
10/05/30 03:54:22 sMD7+zpw
「はぁ…はぁ……あ…ヴィル?」
「アリソン……ちょっと、体勢変えるよ……」
背後からアリソンを愛撫していたヴィルは、彼女の体をベッドに横たわらせて、彼女の足元の方に移動する。
そして、その指先は今度は網タイツに包まれた、彼女の細い左脚に触れる。
「あ……」
ヴィルの指先がアリソンの膝から腿のラインをつーっとなぞり、そのまま自分の方に引き寄せる。
そして、アリソンの首筋や鎖骨にしたのと同じように、ヴィルの唇がアリソンの太ももにそっと触れる。
「きゃうっ!…そんなとこ…だめぇ……」
痺れるようなキスの刺激にアリソンが声を上げたのもつかの間、
ヴィルはさらに太ももに触れた舌先を滑らせ、網タイツ越しにアリソンの肌に舌を這わせる。
何度も繰り返し、アリソンがより感じる場所を探るかのように。
「…アリソンの肌……甘いよ……」
「ひうぅんっ!!?…あっ…ヴィルぅ!…わたしぃ…わたしぃいいいいっっっ!!!」
左脚が終われば、今度は右の脚に口づけて、絶える事なくアリソンに刺激を与え続ける。
走り抜ける得も言われぬ快感に、アリソンの顔が悩ましげに歪み、バニースーツに包まれた細い腰が激しく震え、踊る。
そして間断なく続く刺激の源はアリソンの太ももを遡り、やがて脚の付け根に近づいていく。
女の子の最も敏感な部分を隠した、その場所へと………。
「あっく…ふあ……ああ…ヴィル…だめ…今、そこ…すごく恥ずかしいことになってるから……」
「アリソンの体で、恥ずかしがったりする必要のある場所なんてないよ………ねえ、触れても…構わないかな……」
「…ヴィル………うん…わかった……」
小さな声で返答し、コクリと肯いたアリソンの顔を見て、ヴィルはその場所へと指先を伸ばす。
じっとりと溢れ出した蜜に濡れて、その部分だけ周りより濃い黒に変色した部分。
アリソンの一番大事で、敏感な場所にヴィルの指がそっと触れる。
「…あ…ひぁ…ああ……ヴィルの…指が…ふああ……っ!!」
「すごい…アリソンのココ…外から触ってもわかるぐらい…熱くなってる……」
布地越しに溢れて止まらない蜜を潤滑剤代わりに、ヴィルはその部分をくちゅくちゅと指先で弄ぶ。
他の部分とは比較にならない強烈な性感に、アリソンの視界は白く明滅する。
濡れた布が張り付いて浮かび上がった密やかな割れ目を、ヴィルは何度も何度も撫で回した。
部屋の中に響く甘い悲鳴に理性を蕩かされて、ヴィルはアリソンの熱を貪る事に夢中になっていく。
そんな時、ヴィルの愛撫に息も絶え絶えのアリソンが、途切れ途切れの声で話しかけてきた。
「ひあ…はぁ…ああ…ヴィル…もっと…もっと触って…ヴィルの指先で、わたしのアソコの奥まで、くちゃくちゃにかき混ぜて……」
「…えっ?……でも、それじゃあ……」
「…だいじょぶ…網タイツの替えはまだあるし、それだけならこっちで買う事も出来るし………
…わたし…もっともっと…ヴィルの指先を感じたいの……レオタード越しじゃなくて、直接………」
やはり口にして言うのが恥ずかしいのか、少しだけ小さな声で、おずおずとアリソンはヴィルに囁いた。
「わかった……」
ヴィルはその言葉に頷いて、脚の付け根近くの網タイツの一部をつまみ上げる。
アリソンの衣服を、身につけている物を破く。
その行為はヴィルにはなんだかとても背徳的に感じられて、その裏腹に高まる興奮が彼の鼓動を早めていく。
ドキドキと煩いぐらいに響く心音を聞きながら、ヴィルは網タイツをつまんだ両手の指に力を込めていく。
「うあ………」
ビリリ………。
ヴィルが考えるよりもっと簡単に、網タイツは敗れてしまった。
露になった肌は、アリソンの興奮を反映したかのように蜜に濡れ、火傷しそうな熱を放っていた。
ヴィルは網タイツに出来た隙間を広げながら、レオタードに覆われたアリソンの秘所にそっと手を潜り込ませる。

472:SBI
10/05/30 03:55:37 sMD7+zpw
「ひ…ああんっ…うあ…ヴィル…すごい…すごすぎるよぉおおおおっっっ!!!」
「ああ…アリソンっ!…アリソン……っ!!」
濡れそぼった割れ目に差し込まれたヴィルの指先に、内側からくちゅくちゅと思う様にかき混ぜられて
アリソンは体を駆け登ってくる形容し難い快感に、全身を震わせて嬌声を上げる。
ヴィルの指先の動くまま、その身をくねらせ、悲鳴を上げて、シーツの上で身悶える金髪のウサギ。
その姿は艶めかしく、それでいて可憐で、愛撫を続けるヴィルの心をさらに虜にしてしまう。
「あ…?…ヴィルぅ…?……だ…だめ…そんな…口で直接なんて……」
「だって…アリソンがあんまり可愛いから……僕も我慢できなくて……」
「ば、ばかぁ…ヴィルの…いじわるぅ……!!」
自分のアソコにヴィルの唇が、舌が触れる恥ずかしさに身を縮こまらせるアリソン。
しかし、体中のどこよりも敏感なその場所は、そこに触れるヴィルの舌先の動きを逐一に伝えてくる。
「ひあ…くぅん……あはぁ…あっ!…ヴィルぅ…ヴィルぅううううっっっ!!!」
指先よりも柔らかく、自在に動く舌先に弄られて、アリソンの秘所はしとどに蜜をこぼす。
めくるめく甘い痺れの中、アリソンはヴィルの名を呼び、泣きじゃくる。
気持ちよくて、もう何も考えられないくらい気持ちよくて、恥ずかしさも何もかも忘れてアリソンは淫らに喘ぎ続ける。
くちゅくちゅと、絶え間なく耳に届く恥ずかしい水音さえ、今の彼女にとっては快楽のスパイスになってしまう。
「…ふあ…ヴィルぅ…わたし…このままじゃ…おかしくなっちゃうよぉ!!!」
「いいよ。僕も可愛いアリソンを見てて、おかしくなっちゃいそうだから……だから、一緒に、二人一緒におかしくなろう」
ヴィルの舌先が彼女のアソコの奥へ深く深く突き入れられた次の瞬間、アリソンの体が一際大きくビクリと痙攣した。
何もかもを押し流す絶頂の波に飲まれて、瞬間、アリソンの意識がホワイトアウトする。
「ひああああっ!!ああっ!!ヴィルぅ!!…わたし…もう…………っっっっっ!!!!!!」
ビリビリと全身を駆け抜けた痺れが過ぎ去ると、力の抜けたアリソンの体はベッドにぐったりと沈み込んだ。
ヴィルはそんなアリソンの上体を抱き上げ、その頬に優しくキスをする。
「アリソン…素敵だったよ……」
「ああ、ヴィル………」

473:SBI
10/05/30 03:56:27 sMD7+zpw
うっとりと見つめ合う二人。
しかし、そこでアリソンはある事に気付いた。
「ヴィルのここ……苦しそう……」
「えっ?」
ヴィルがその言葉を理解するよりも早く、アリソンの指先はソコに触れていた。
ズボンの布地を押し上げてその存在を主張する、ヴィルの分身にアリソンの細い指先が触れる。
「あ……アリソン……」
「さっきは、ヴィルに気持ちよくしてもらったから…今度はわたしから、ね……」
「う、うん……」
張り詰めた部分にかかる吐息の熱さと、アリソンの甘い声音に、今のヴィルが抗える理由などなかった。
ファスナーが開かれ、露になったヴィルのモノを見て、アリソンが頬を赤らめながら呟く。
「すごい…ヴィルの…とっても熱く…硬くなってる……」
柔らかく優しいアリソンの指先。
それが自分の一番恥ずかしい欲望の集まった場所に触れる恥ずかしさに、ヴィルは顔を伏せる。
だけど、触れられる毎に増していく快感には逆らいようもなく、ヴィルのモノはますますその硬度を増していく。
そしてついに、アリソンの唇がヴィルのモノの先端にキスした。
「うぁ…くぅ…アリ…ソン……」
「…あ…ヴィルぅ…ぺろぺろ…ぴちゃ…くちゅ……」
唾液を絡みつかせるように、ねっとりとまとわりつくアリソンの舌。
幹の部分を丹念になぞり、エラの部分も余す所なく舌を這わせる。
そしてアリソンは、太く大きく膨張したソレを持て余しながらも、熱く張り詰めたヴィルのモノを口にふくんだ。
「ん…んくぅ……んんっ!…くちゅ…ぴちゅ……っはぁ…あ…ヴィルの…すご……」
「…アリソン……ああっ!」
アリソンはただただ夢中になって、口の中に広がる熱の塊に舌を這わせ、その味に酔いしれる。
(…すごい…ヴィルの…いつもより…硬くて…熱い……)
溢れ出る先走りとアリソンの唾液が混ざり合い、ヴィルは自分のモノが淫靡な粘液の熱の中に溶けていきそうな錯覚に陥った。
まだまだ経験の乏しいアリソンの舌先は拙く、だけどこれ以上無い情熱を持ってヴィルへの奉仕を続ける。
なめて、すって、ねぶって、またなめて……間断なく続く刺激の中でヴィルの体の奥深くに溜め込まれたマグマはその圧力を上げていく。
そして、それはついに臨界を突破して………
「…くぁ…ああ…アリソンっ!…僕はもう…っ!!」
「…んぅ!?…んんんっ!!?…ぷぁ…あ…ヴィルの…いっぱい…溢れて……」
先端から迸り出た白濁を受け止めようとしたアリソンだったが、その勢いと量に圧倒され、降り注ぐ白濁にその顔を、全身を汚されてしまう。
「はぁはぁ…うあ…わたしの体、ヴィルのでまっしろに……」
「ご、ごめん…アリソン……どうしても、押え切れなくて……」
自らの白濁でアリソンを汚してしまった事にヴィルはうろたえるが、アリソンはそんな彼にこう答える。
「大丈夫だよ…だって、これもヴィルだもん。…体中でヴィルの熱を感じて、わたし、ちょっとだけドキドキしてるみたい……」
そう言って、そっと寄り添ってきたアリソンの姿に、ヴィルは改めてドキリとさせられる。
ほんの少し前までカッチリと着こなされていたバニースーツはところどころが崩れ、黒い布地に、白磁の肌に、金色の髪に白濁が飛び散っている。
そして何よりもヴィルを興奮させるのは、アリソンをここまで乱れさせたのが自分であるというその事実。
完璧だったものが乱れ、汚されたその姿はヴィルの奥に眠る背徳への欲望を刺激する。
乱れて、汚れて、それでも一層、アリソンは美しく愛おしい。


474:SBI
10/05/30 03:58:11 sMD7+zpw
「アリソン……」
「ふあ……ヴィル……ん?…んくぅ!?」
ヴィルはまだ吐き出された白濁の残るアリソンの唇に構わずキスをした。
口に広がる苦味も、二人の間を流れる淫靡な空気も、とめどなく湧き上がるこの愛しさも、何もかもをアリソンと共有したい。
汗と粘液に汚れて、ぐちゃぐちゃになるまで交わって、快楽と熱の渦の中で一つになりたい。
抑えがたいヴィルのこの衝動に応えるように、アリソンの腕が彼の背中に回され、二人はそのまましばしの間、夢中になって互いの舌を絡ませ合った。
「アリソン…僕は……」
「ヴィル………」
唇を離した二人はしばし見つめ合い、コクリと頷き合う。
それから、射精を終えても未だ硬さを失わないヴィルのモノが、レオタードと網タイツの下から露になったアリソンの秘所の入り口に押し当てられる。
「いくよ、アリソン……」
「うん………」
その言葉を合図に、ヴィルのモノがその先端をアリソンの中へゆっくりと沈めていく。
唾液と愛蜜にまみれた二人のその部分はすんなりと互いを受け入れ、やがてくちゅくちゅと水音を立てながらピストン運動が始まる。
バニースーツを着ての行為。
いつもと違うその要素がやはり二人の熱情を高めているのか、ベッドを軋ませる二人の動きはいつもより激しい。
「くぁ…ああっ…ヴィルっ…すご…ひぁあああああああああっっっっ!!!?」
「ああ…アリソン…かわい……くぅ…っ!!」
強く強く抱きしめ合い、我を忘れ、時を忘れ、ひたすらに行為に溺れる二人。
突き上げる度にアリソンのバニー姿が乱れていくその様子が、ただでさえ抑えの効かなくなっているヴィルの衝動を加速させていく。
そしてアリソンもいつになく乱れている自分自身と、その様子を見つめるヴィルの存在に興奮を高めていく。
もっと強く、もっと激しく、粘液にまみれ、汗と涙に濡れて、快楽の泥沼の中に二人で沈んでいきたい。
「ひ…ひゃううんっ!!?…ふあ…ヴィルぅ…だめ…きもちよすぎるよぉ!!…きもちよすぎて…わたし…へんに……っ!!!」
「アリソン!!…僕もアリソンのことがもっとほしくて…もっと感じたくて…おかしくなりそうだよ!!!」
手が、脚が、腕が、指が、絡み合い激しい熱の中で溶け合っていく。
繋がり合った部分を無我夢中で擦り合せ、粘膜の摩擦の中に強く互いの存在を感じ合う。
アリソンのバニースーツは胸元がめくれ、付け襟はずれ、頭のウサミミは二人の行為の加速するままに激しく揺れ動く。
もはやアリソンにもヴィルにも、他の誰にも、この行為を止める事は出来ない。
理性は溶けて流れ出し、心と体もその境界を保てなくなっていく。
そんな感覚の中でアリソンとヴィルはさらに強く激しく、互いを求め続ける。
「はぁはぁ…アリソンっ!…アリソン……っ!!!」
「ひぅ…くはぁああんっ!!…ヴィルっ!!…ヴィルぅうううううっっっっ!!!!」
いつしか二人は互いの手と手を重ね合わせ、指を絡ませてぎゅっと握り合う。
必死に互いの名を呼び合い、幾度もキスを繰り返す二人の瞳からは、ポロポロ、ポロポロと涙が零れていた。
熱も、快楽も、愛情も、愛しい人の全てを教授する喜びが雫となって頬を流れ伝う。
もうこのまま消えてなくなっても構わない。
大好きな人の存在を全身に感じる今この時に、二人はこれ以上ない幸せを感じていた。

475:SBI
10/05/30 03:58:39 sMD7+zpw
「ひ…くぅ…あ…ヴィル…大好きだよ…大好き……っ!!!」
「アリソン…僕も……僕も大好きだ……っ!!!!」
荒れ狂う欲情と快楽の嵐は二人の意識を幾度も明滅させ、思考を奪い、ヴィルとアリソンの瞳の中にはただ一人、目の前の愛しい人だけが映し出されるようになる。
溢れ出る愛蜜、迸る汗、こぼれる涙。
身につけた衣服も、シーツも、触れ合った肌もぐっしょりと濡れて、二人の姿はまるで雨の中で交わり合っているようにも見えた。
それでも、身の内から溢れ出す熱は際限なく上昇し、アリソンとヴィルの行為をより強く激しいものへと変えていく。
溶けて、溶けて、混ざり合って、どこまでも続く熱と快楽の螺旋を二人は登り詰めていく。
「くぅ…ああっ!!…アリソン…もう…僕は……っ!!!」
「ひう…ああああっ!!ヴィルっ!!イこうっ!!いっしょにっ!!二人、いっしょにぃいいいいいっっっ!!!!」
やがて、アリソンもヴィルも自らの心と体が限界に近づいている事を感じ取る。
しかしそれでもなお、二人の行為はペースを落とす事なく、むしろより一層の激しさで加速されていく。
心と体が粉々に砕け散っても、今感じているこの愛しい人の熱を手放したくない。だから……。
そして、二人はついに限界を突破する。
「く…ううっ…出すよっ!…アリソン……っっっ!!!!!」
「…ああっ!!ヴィル…イっちゃうぅうううっ!!!…ふあああっ!!!…ヴィルぅうううううううううっっっっ!!!!!」
そしてアリソンとヴィルはは絶頂の高みへと昇り詰めた。
力尽きた二人はそのまま寄り添い合って、ぐったりとベッドに体を沈める。
それから、そのまま切れ切れの呼吸を整えていた二人は、どちらともなく互いに視線を向け合った。
「アリソン……」
「ヴィル……」
そして、囁くようなかすかな声で互いを呼び合い、その存在を確かめ合うかのように、そっと互いの唇に口付けたのだった。

それからさらに時間が経過して……
「うぅ……試験で疲れたヴィルを迎えるのに、やっぱりコレはなかったかしら。なんだか、余計に疲れさせちゃったみたいだし……」
冷静さを取り戻し始めたアリソンが苦笑しながらそう呟いた。
ヴィルはその言葉を聞いて
「うん。今日はもうくたくた……」
「あうう……ごめんね、ヴィル……」
まさに精も根も尽き果てたという様子のヴィルを見て、アリソンは深く頭を垂れる。
だけど、そんなアリソンの耳元にヴィルは楽しそうな、嬉しそうな声でこう告げた。
「でもね、アリソン。僕だって、試験勉強の間、もっとアリソンの近くにいたい。ずっと離れないで傍に居たいって、そう思ってたんだ。
だから、帰って来て、アリソンにぎゅっと抱きつかれて……本当に嬉しかった。…アリソンの可愛いバニー姿も見られたしね」
「うぅ…ヴィルぅ…ヴィルぅううううううううううっっっっ!!!!」
嬉しさ全開、幸せいっぱいといった様子で、ぎゅっと抱きついてきたアリソンの背中を、ヴィルも強く抱きしめる。
「さすがに今日はもうへとへとだけど、このまま一緒に、傍にいてくれる?アリソン……」
「もちろんよ!離れろって言われたって、ぜったいに離れたりしないんだから!!」
額をコツンと突き合わせ、見つめ合うアリソンとヴィル。
そんな二人の顔には、これ以上無い、最高の笑顔が浮かんでいた。

476:SBI
10/05/30 04:08:22 sMD7+zpw
二本目もこれでお終い。
いや、やっぱりアリソンとヴィルは良いものです。
それでは、失礼いたしました。

477:名無しさん@ピンキー
10/05/31 11:20:43 DZFDIfTd
おお、GJです!

478:午後の二人
10/06/04 00:46:31 2+jtePa4
「エルメス、そういえば話したっけ? この話」
「ん? なにさ?」
「いや、まぁ、これといって大した話でもないんだけど…」
「大丈夫だよ! こんななにもない荒野に比べたらさ!!」
「いや… やっぱり、いいや…後にとっておくよ」
「えー? あんなフリしておいてそれはないじゃん」
「まあまあ… ちゃんと練っておくから」
「ちぇー」
「…」
「…」
「ちょ、ちょっとだけ…言うよ…」
「え?」
「実はさ…」
「うん」

キィィィっ
キノは急にブレーキをかけ片足を地面に着け、軽く息を吸ってから

「…エルメス、好きだよ」
「え? な、なに、なに言ってんのさ??」
「聞こえなかった?? 『好き』って言ったんだ」
「あ、あはは、どうしちゃった…の、キノ?? なんかちょっとヘンじゃない?」
「まさかっ、ボクはいつもと変わらないよ」
「えー、だって…キノが…そんな、ねぇ?」
「うれしくないのかい?」
「いや、その…うれしくないって言ったらウソになるけどさー、その…ちょっとびっくりしちゃって」
「そう、で、返事は?」
「こっちだって好きさ! そりゃあ倒されたり置いてけぼりにされたりもするけど、…わ!!」

エルメスがびっくりした声を上げるのと同時にキノはアクセルを開けて走り出した。
スピードメーターに軽くキスをして…。

「び、びっくりしたなぁ もー」
「ごめん…、今のうちに言っておきたかったし、やっておきたかったんだ」
「うん、…そっか」


479:名無しさん@ピンキー
10/06/04 00:48:20 2+jtePa4
久々にキノ熱が出てきたので書いてみました
雰囲気が出せてればこれ幸いかと

480:名無しさん@ピンキー
10/06/19 02:18:18 SC3Y0oCH
保守代わりに
十日間レスがなかったらキノの照れ顔は頂いていく

481:名無しさん@ピンキー
10/06/19 18:29:06 aGzl+7+L
>>480
独り占めは良くないなぁ~

482:名無しさん@ピンキー
10/06/23 18:24:12 Vlmjaxyu
>480
キノの照れ顔は皆で分け合うものだよ

483:SBI
10/07/01 13:27:25 r3zGzRY8
エルメス×キノなSSを書いてきました。
それでは、いってみます。

484:SBI
10/07/01 13:27:49 r3zGzRY8
深い眠りの中をたゆたっていた意識が浮上していく。
気怠くも心地良いまどろみの中をしばしさまよってから、キノはゆっくりとまぶたを開いた。
「また……か…」
目を覚ましたキノは暗い部屋を見渡してから、それ以上に暗い窓の外の景色を見る。
そこには静かに輝く星々の下、ひっそりと静まり返った街のシルエットが見て取れた。
街灯さえもが一つ残らず明かりを消して、深く濃い闇が街の中を満たしている。
唯一、空に光る星々の存在が、地上と空の境目を教えてくれていた。
巨大な闇に沈んだ街の光景。
「これでもう…一体、何度目だろう……?」
キノはもう飽きるほどにこの窓の外の闇を見続けてきた。
今度こそはと期待を抱いてベッドに潜り込み、瞳を閉じて眠りに落ちる事、既に数十回。
だが、何度眠っても、どれだけの時間を睡眠に費やしても、窓の外の闇が晴れる事はなかった。
明けない夜。
昇ることのない朝日。
夢か現か幻か、キノはこの国のホテルの一室で終わらない夜に閉じ込められてしまったのだ。
本来なら、この夜が明ければ、滞在三日目のキノはこの国を立ち去る筈だった。
だけど、この国で過ごす最後の夜、真夜中に目を覚ましたキノは異変に気付いた。
真夜中になっても消える事の無いはずのこの国のビル街の灯りが一つ残らず消えていたのだ。
異様な雰囲気を感じ取ったキノは周囲を見回して、さらに驚くべき事態を発見した。
その時、キノは今自分の身に降り掛かっている事態が尋常のものではないと理解させられた。
それは………
「…あ……キノ、起きたの?」
キノが寝ていたベッドの左半分、そこからむっくりと小柄な人影が身体を起こす。
キノと同じようなシャツとズボンを身につけ、ベッドサイドのスタンドからの光を反射して少し癖のある金髪を輝かせる少年の姿。
整った顔立ちではあるが、格好いいというよりは可愛いらしいという表現が似合う子どもっぽい表情を浮かべた男の子。
キノは振り返り、そんな彼に声を掛けた。
「おはよう、エルメス………って言っても、外は相変わらずの夜だけど……」
「そっか……」
答えた声はまぎれもなく、キノの相棒、モトラドのエルメスのものだった。


485:SBI
10/07/01 13:29:24 r3zGzRY8
「眠って目を覚まして眠って目を覚まして、これじゃ本当にキリがないよね……」
「ねぼすけのエルメスでも、これだけ夜が続くとさすがに堪えてるみたいだね」
「む…走る事が本分のモトラドを相手にそーゆー事を言いますか」
キノの軽口にむっとした表情で答えてから、エルメスはふと自分の手の平、ある筈のない人間の身体を見つめて呟く。
「そりゃあ…今はキノを乗せて走る事は出来ないけどさ……」
少し寂しそうな声のエルメスの、その手の平に、キノはそっと自分の手を重ねる。
キノが現在の少年の姿に変わったエルメスを初めて見たとき、その人物が自分の相棒のモトラドである事に一切の疑いを抱かなかった。
自分に起こった変化に戸惑い、呆然とこちらを見上げてきたエルメスに、キノは躊躇うことなく手を差し伸べた。
「不思議だね。あの時、ボクはエルメスがエルメスだってちゃんと分かった」
「いつもなら、間違いなくパースエイダーで撃たれてたよね」
「いや、あの時の距離ならナイフで仕留めるかな」
「こ…怖い事言わないでよ、キノ……」
真っ暗闇の街の片隅、一つだけポツリと灯りのついた部屋の中でキノとエルメス、二人は軽口をたたき合いながら長い長い夜を過ごしていた。
この『夜』とエルメスに起こった変化には恐らく何か関係があるのだろう。
寝ても覚めても昇らない太陽、街に人の気配は無く、時間の経過も曖昧になっていく。
さらに奇妙なことに、相当な時間が経過している筈なのに、キノの身体は僅かな疲れも空腹も感じる事がない。
何もかもが現実感を欠いていた。
不条理、不可思議な出来事にさして疑問を感じない今のキノの感覚は、ちょうど夢の中の感じに似ていた。
実際、エルメスが人間に変わるなんて、とても夢だとしか思えない事である。
だけど、この夢と現実が曖昧になった世界の中で、そのエルメスの存在だけはキノにとって確かな実感・手触りをもって感じられていた。
黒髪の少女と金髪の少年は誰よりも何よりも近くで肩を寄せ合っていた。
「これは夢なのかな、キノ?」
「分からない。でも、それ以外の可能性もボクは思いつかない……」
「もし……もし、このまま目が覚めなかったら…?」
おずおずと尋ねたエルメスの心配げな顔に、キノは穏やかに微笑みかけて
「大丈夫。エルメスがいるし、ボクは怖くない」
「僕もキノの夢が生み出した幻だって、そうは考えないの?」
さらに問いかけるエルメスに、キノはゆっくりと首を横に振る。
「思わない」
「どうして?」
「ボクにも分からないけど……」
キノはエルメスの、確かな温もりを持った少年の肩に寄りかかって
「エルメスはエルメスだよ。ずっと一緒にいたんだもの。ボクには分かる……」
「キノ………」
穏やかに、静かに、ただ流れていく深い海の底で過ごすような時間。
二人肩を寄せ合い、ぽつりぽつりと言葉を交わして、時に笑いあう。
時折まどろみに身を任せ、またまぶたを開いて、同じく目を覚ました相棒とまた穏やかな語らいの時間を過ごす。
(どうしてこんな事になってるのに…ボクは少しも慌ててないんだろう。不安を感じてないんだろう……)
そんな時間の合間にキノの脳裏にふと疑問が浮かぶ。
(これがもし夢だというなら…ボクの心を映しだしたものだというなら……ボクは……)
キノは隣に座るエルメスの顔を、その青い瞳をまじまじと見つめる。
「ど、どうしたの、キノ?なんか照れるんですけど……?」
「あ……ご、ごめん……」
ドキドキと高鳴る胸。
これと同じ鼓動をエルメスも感じているのだろうか?
キノが『キノ』の名前を受け継いで、生まれ故郷の国を飛び出してからずっと一緒に過ごしてきた相棒。
いつも当たり前のようにその存在を傍に感じて、交し合う言葉に何にも代えられない親愛を感じてきた。
その中で、キノの胸にゆっくりと育っていった気持ち………。
(ぜんぶ、ボクが望んだから……ボクがエルメスとこんな風に触れ合いたいって…そう思ってたから……?)
「キ、キノ…さっきから…変だよ?」
「エル…メス……」
(それじゃあ、エルメスは…?エルメスはボクの事をどう思って……?)
自分でも知らず知らずのうちに、キノの顔がエルメスの顔にゆっくりと近づいてゆく。
ぼんやりと頭が霞むような熱っぽい感覚が、キノの意識を覆い尽くす。
対するエルメスもキノに何か言おうとして、だけど結局何も出来ず、もはや間近に迫ったキノの瞳を見ている事しかできない。

486:SBI
10/07/01 13:30:46 r3zGzRY8
「キノ…本当にどうしちゃったの?」
「わからない…ボクにも…何故なのか…どうしていいのか……わからないよ…」
どこか切なげに、苦しげにつぶやいたキノの顔には赤い色が差して、その表情はエルメスの知るいつものキノのものでは無くなっていた。
さらに近くに、華奢な身体をエルメスの胸元に預けて寄り掛かってきたキノの身体を、エルメスは思わず抱きとめていた。
旅の中で鍛えられてはいても、それでも細く小さなキノの肩。
その手触りがエルメスの鼓動を着実に早めていく。
彼本来の金属で出来た身体では決して感じられなかっただろう、キノの体の感触・熱。
否応なしに高まる興奮が、今までキノの行動に戸惑うばかりだったエルメスの背中を押す。
キノに応えるように、自分の方から顔を近づけていくエルメス。
互いの吐息が聞こえるその距離で、二人はじっと見つめ合う。
(エルメスのこの姿を見たときから、何となく気付いてた……この明けない夜の意味……)
「キノ……」
キノの体を抱きしめる、エルメスの腕に力が込められる。
(ボクは人間で、エルメスはモトラド……どんなに心が近付いても、人間同士のように愛を交わす事は出来ない。
だから、この誰にも邪魔をされない時間の中で、エルメスに触れて、触れられて、抱き締められたかった………)
「キノ…僕は……」
「エルメス……」
磁石の極が引かれ合うように、二人の唇と唇が重なる。
「好きだよ…キノ……」
「うん。ボクも…ボクも大好きだ…エルメス……」
(たとえ、これが夢でも幻でも………)
唇を重ねあわせるだけの一度目のキス。
そこから間を置かずに、熱に浮かされた二人は再びキスをする。
今度はおずおずと互いの舌を突き出し、絡め合わせて、お互いの口の中を味わう。
唇を離すと糸を引く唾液と、熱い吐息が、否応も無しにキノとエルメスの興奮を高めていく。
「キノの体…触りたい。いつもは触れてもらう事しかできなかったし……」
「うん。いいよ。エルメスの好きにして……」
その答えを聞いて、エルメスはキノのシャツのボタンに手をかける。
エルメスのなすがまま、ボタンを一つ外される毎に自分の肌が露になっていくその感覚に、キノは恥ずかしさと共に得も言われぬ幸福感を感じる。
信頼し、愛する相手に自らのすべてを委ねる幸せ……。
全てのボタンを外されたシャツの下、下着をめくり上げられてキノの幼く控えめな胸が姿を現す。
そこにエルメスの指先が、触れた。
「ひ…ぁ……!!」
極限まで高まった興奮がキノの神経を敏感にさせているのだろうか?
触れられただけで走り抜けた電流のような感覚に、キノは思わず小さな悲鳴を漏らした。
「キ、キノ!?だいじょうぶ?」
「うん…平気…だから……エルメス…もっと…触って……」
痺れるような感覚と、体の奥で燃え上がる熱。
エルメスに触れられている、その実感がキノの中にさらなる刺激を求める熱情を湧き上がらせた。
「…キノ…きれいな肌…柔らかくて…あったかくて……」
「んっ…うぁ…ああっ!…エル…メスぅ……ひぅ!!」
人間の体に自分の方から触れる。
そんな初めての経験に後押しされたせいだろうか。
エルメスの指先はキノの柔肌の上を滑り、そこかしこに触れて、思う様に愛撫を繰り返した。
「おっぱいの先…とがってきた……」
「あんっ…ああ…駄目…エルメス…そこ…感じすぎるからぁ……ああああっ!!!」
くにくにと、エルメスの指先に挟まれて、弄られる愛らしいピンクの突起。
感覚神経の集中したソコを刺激される度に、ビクン!ビクン!とキノの華奢な体が跳ねる。
「う…ああ…エルメスぅ……」
「はぁはぁ…キノ…キノ…可愛いよ……ん…ちゅっ…」
「ひぁ…ちくび…ひゃめっ!!…あああああああっ!!!!」
どんどんと乱れていくキノの姿を見ている内に、エルメスの興奮も高まっていった。


487:SBI
10/07/01 13:31:58 r3zGzRY8
ぼおっと熱に浮かされた思考の促すまま、彼は先ほどから自分の手の平が弄んでいる、キノの胸のささやかな膨らみに視線を向けた。
そして、躊躇うそぶりも見せず、その先端部分にキスを落とした。
「あ…ひんっ…や…あああっ…エルメス…はずかし……ひ…あああああっ!!!」
「ごめん、キノ…止まれない……キノが可愛くて…僕はもう……」
際限なく加速していく二人の行為。
キノを愛撫し、快感に漏れ出るキノの嬌声に完全に心奪われたエルメスは、次のステップへと進む。
ゆっくりと伸ばされたエルメスの手の平が向かう先は、キノの下腹部。
ズボンの留め金を外し、ファスナーをずらし、現れたショーツの上からまず一撫で。
「ふあっ!!?…ああ…エルメスっ…そこぉおおおおおっ!!!」
「キノのアソコ…すごく熱くなって…びしょびしょになってる……」
ショーツをずぶ濡れにし、ズボンにしみを作ったキノの愛蜜がエルメスの指に絡みつく。
エルメスはキノのショーツをずらし、まだ誰も触れた事のない秘裂へと指を潜り込ませる。
「ああ…エルメス……エルメスの指がボクのアソコに触れてるんだね…ああ…エルメスぅ……」
「キノ…可愛いよ…キノっ!!!」
エルメスは右手でキノのアソコを愛撫しながら、左の腕で彼女の背中を抱き締め、繰り返し何度となくキノの唇にキスをしていた。
求め合うように唇を突き出し、舌を絡ませ合いながら、その行為の熱の中に身を委ねていく二人。
キノの秘裂をかきまぜるくちゅくちゅという水音は、時間を経るほどに大きく激しくなっていく。
「エルメスぅ…気持ちいっ…気持ちいいよぉおおっ!!!!」
「はぁ…あ…キノっ…キノぉおおっっっ!!!」
腕の中で快感に震え、幾度となく痙攣し、身をくねらせる少女の息遣い。
それを感じ取るほどにエルメスの愛撫はより激しく、丹念なものに変わっていく。
二人の神経は興奮の度合いを高め、キノが感じる快楽はより大きなものになっていく。
もっと強く、もっと熱く、いやらしいほどの水音と互いの呼吸の狭間で、二人は互いを求め合う。
やがて高まり続けた熱情は、キノとエルメスに『今以上のもの』を求めさせる。
「はぁ…はぁ…ああ…エルメス…ボクは…もう……」
「キノ…キノ……欲しいよ、僕もキノの事が……」
少年に姿を変えたエルメスの下腹部、ズボンの布地を押し上げて苦しげに存在を主張する熱の塊。
同じ熱を帯びたキノの秘所にそれを受け入れて、受け入れられて、もっと一つになりたい。
とどまる所を知らない熱の昂りはキノとエルメスに同じ結論を選び取らせた。
「きて…エルメス…ボクとひとつになって……」
「うん。…わかったよ、キノ…僕も同じ気持ちだから……」
エルメスは答えると、ズボンのベルトを外し、燃え上がりそうな熱のこもった自らの分身をさらけ出す。
キノはそれを一瞬垣間見て、期待と不安に胸を激しく高鳴らせる。
ドキドキと脈打つ心音に耳がおかしくなってしまいそうな、そんな数秒間の後、エルメスはソレをキノの秘所の入り口に押し当てた。

488:SBI
10/07/01 13:33:08 r3zGzRY8
「いくよ…」
「うん……」
小さくうなずき合って、二人の営みが始まる。
エルメスが腰を動かして、ゆっくりと彼の分身が挿入されていく。
キノの小さなアソコは入り口の部分で硬く閉ざされなかなか奥へと進む事が出来ない。
それでも少しずつ少しずつ奥へと進み続けたエルメスのモノは、やがて行く手を阻む何かにぶつかる。
エルメスはそこでぐっと腰に力を入れ……
「痛ぅ…あ…エルメスのが奥に……」
二人が繋がり合った部分から流れ出る鮮やかな血の赤色。
身を裂く痛みに体を震わせながらも、キノはエルメスの背中にぎゅっと抱きつく。
「…ああ…痛いのにまざって感じるよ…エルメスがボクの中でトクントクンって脈打ってるのを……」
エルメスはキノの抱擁に応えて、自分もキノの背中をぎゅっと抱きしめた。
「…キノ…大丈夫?」
「わかんな…い……痛くて…熱くて…ジンジンして……でも、だけど……」
瞳を涙で潤ませたキノが切れ切れの息の合間にエルメスに向かって必死に訴えかける。
「…エルメスと繋がっていられるのが凄く…凄く嬉しい……だから、もっと感じさせて…エルメスの事、たくさん……」
「…キノ……わかったよ……」
キノの真っ直ぐな感情を受け止めて、頬を赤くしながら、エルメスはしっかりと肯いた。
「僕もキノの事、もっと感じたい……」
つぶやいてから、エルメスは自分の腰をゆっくり前後にグラインドさせ始める。
その度にキノの体の奥に、痛みと、熱と、痺れが、渾然一体となって駆け抜けていく。
絶え間ない刺激の波に、キノは何度も声を上げ、必死でしがみついたエルメスの背中に爪痕を残した。


489:SBI
10/07/01 13:35:58 r3zGzRY8
「キノっ!…キノっっ!!!」
「ああっ…エルメスっ…エルメスぅうううううっっっ!!!!」
互いの名前を呼び合いながら、キノとエルメスは一心不乱にまぐわい続けた。
気がつけば、破瓜の痛みを感じているキノだけでなく、エルメスの目元にもうっすらと涙が浮かんでいた。
叫んで、抱き合って、交わり合って、それでも押え切れない感情の波が、涙に変わってキノとエルメスの頬を濡らしていた。
大好きだ。
愛している。
そんな言葉を幾千、幾万重ねても、それでも表わしきれない強い想いが二人を突き動かしていた。
「あっく…ああっ…どうしよう…エルメスの…すごく熱くて…ボクは…あああああああっっっ!!!」
そして、二人の行為が熱を帯びていくにつれて、キノの反応にも変化が現れ始めた。
痛みに混ざって感じる、甘い痺れのようなものが幾度となくキノの全身を駆け抜ける。
苦しげだった吐息に艶のようなものが混じり始めて、その声音が喜悦に震え始める。
「キノっ!…キノの中、さっきよりぎゅっと絞めつけてくるよ……」
「ひぅ…ああっ…エルメスっ…すご…すごいよぉおおおっっっ!!!」
気がつけば、エルメスの腰の動きに合わせて、キノも自分の腰を使い始めていた。
二人の呼吸が重なり、溶け合い、キノが今まで知ることの無かった強烈な快感が小さな体を何度も貫いた。
熱が、痛みが、甘い痺れが、キノとエルメスの頭の中から無駄な思考をそぎ落とし、
ただ一つ目の前の愛しい人への感情だけが一層強く二人の意識を埋め尽くしていく。
「あっ…くぅん…うあ…エルメス…っ!!…好きだよっ!!エルメスぅううううっ!!!」
「キノっ!…愛してるっ!!愛してるからっっっ!!!!」
したたる汗と、必死に呼び合う叫び声、上昇を続ける体温の中で二人は溶け合い一つになっていく。
エルメスが強く腰を突き上げる度に、彼のモノの先端に膣奥を叩かれて、キノの口から甘い悲鳴が漏れる。
くちゅくちゅ、くちゅくちゅ、と繰り返される水音は、粘膜を濡らす愛蜜が量を増すほどに次第に大きくなっていく。
快楽と熱情のマグマはキノとエルメスの神経を焼き尽くし、それでも足りずに二人は互いを求め続ける。
「うあ…キノぉ…僕…もう……っ!!!」
「エルメス…ボクも…だから最後はいっしょに…いっしょにぃいいいっっっ!!!!」
そして、それは二人の心と体が限界に達しようとするその時も変わらなかった。
暴走する快楽と愛情に体と心をバラバラにされそうになっても、二人は行為を加速させ続ける事しか出来ない。
もっと強く、もっと激しく、際限なくお互いを求め合う熱情は、やがて巨大な津波となって二人を押し流す。
迸る快感が絶頂の高みで弾けて、二人の心と体を粉々にするような衝撃が襲いかかる。
「あああああっ!!!!キノっ!!キノっ!!キノぉおおおおおおおおおっっっ!!!!!」
「ふあああああっ!!!ボク…も…イク…イっちゃうよぉ!!!エルメスっ!!!エルメスぅうううううううっっっ!!!!!」
一際強く抱きしめ合いながら、怒涛の如き快楽の中で昇り詰める二人。
体の奥で迸り出たエルメスの白濁が波打ち、膣奥を愛しい熱で満たしていくのを感じながら、キノはその意識を手放した。

490:SBI
10/07/01 13:36:30 r3zGzRY8
…………そして、キノはベッドの上、窓から差し込む朝日の中で目を覚ました。
傍らを見ると、相棒のエルメスがモトラドのままの姿で静かに佇んでいる。
「………夢…だったのかな?」
一人つぶやいた言葉に応える者はいない。
窓の外では眩い陽射しの中、道を急ぐ人や車の群れが見えた。
あの、暗闇に覆われた街の面影はそこにはない。
「そうか…やっぱり、そうだよね。……あれが夢以外の何かである筈がない……」
そう呟いて、エルメスの方に視線を向けたキノの表情は、少し寂しげなものだった。

その後、ホテルをチェックアウトしてから、出国の手続きを済ませるまで、終始、キノは寡黙だった。
一体、あんな夢を見ておいて、どんな顔をしてエルメスと話せと言うのだろうか?
「ねえ、キノ…今日はやけに無口だね?」
「そう…かな……?」
さり気無く尋ねてきたエルメスの一言にも、キノの心臓はドキンと跳ね上がる。
夢の中でエルメスが幾度も囁いてくれた、『愛してる』『大好きだ』、そんな言葉たちが頭にこびりついて離れないのだ。
(やっぱりあの夢は、ただのボクの願望を映し出したもの……だけど、こんな気持ちをエルメスに知られたら……)
キノは胸の奥に湧き上がる苦い感情をぐっと堪えて無表情を装う。
……ただ、奇妙だったのは、どんなに鮮烈でインパクトの強い夢でも普通、目を覚ました時点からその記憶は曖昧になっていく筈なのだが、
キノが昨夜見た夢に限っては、そんな様子が少しも見られなかった。
むしろ、時が経つほどに細部のディテールまでが思い出されて、キノはたまらず赤面してしまいそうになる。
(何なんだろう…この感じ……?)
キノがその感覚に疑問について考え込んでいたその時、不意にエルメスがキノに声をかけた。
「今日は…いい天気だね。キノ」
「う、うん……」
「こういう日に走るのって、気持ちいいよね……」
「そう…だね……」
何気ない調子のエルメスの言葉に、なるべく平静を装って答えるキノ。
だが、それは次のエルメスの言葉で、脆くも打ち破られる。
「暗い街の中、僕が人間に変わって、キノとずっと二人きりでイチャイチャする。……そういうのも悪くないけどさ……
僕はこうやって、キノを乗せて走るのが、やっぱり一番大好きだから………」
「エルメス……どうして…!?」
呆然とするキノに、エルメスは照れくさそうに言葉を続ける。
「ああ、やっぱりあの夢…キノも見てたんだ。今朝から様子が変だったから、もしかしたらって思ってたけど……
夢の中だけど、キノに本当に好きって言ってもらえたんだ。…好きって言ってあげられたんだ………」
「エルメス……」
呆然としていたキノの心はやがてゆっくりと事態を理解し……
「エルメスっ!!エルメスぅ!!!」
「キノ…くすぐったいよぉ!!」
湧き上がる喜びに任せて、キノはエルメスのヘッドライトのあたりに抱きついた。
「僕は…キノと一緒に走るのが一番幸せ…だから……」
「うん。だから、これからもずっと、よろしく頼むよ、エルメス……」
そして心の底からの親愛を込めた言葉を交わし合い、キノはエルメスに乗って走りだした。
心を繋ぎ合ったモトラドとその乗り手の姿は、暖かな太陽の輝く青空の下、どこまでも続く長い道をまっすぐに走って、やがて地平線の向こうに消えていった。

491:SBI
10/07/01 13:51:48 r3zGzRY8
以上でおしまいです。
キノとエルメスは独特の気安さや信頼感が萌えると思います。
一番近いところで想い合ってる二人って良いです。

エロを書くには擬人化か、もしくは何か工夫が必要になるのが悩みどころですが。
ともかく、彼らのイチャイチャを書けて満足です。

492:名無しさん@ピンキー
10/07/01 22:45:53 zJnafUAv
GJ! エルキノ可愛いよエルキノ

493:名無しさん@ピンキー
10/07/02 06:38:04 UVOaC/j0
GJGJGJ!!!!
エルキノ最高!

494:名無しさん@ピンキー
10/07/09 22:53:45 e0X9edVU
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

495:名無しさん@ピンキー
10/07/26 02:46:06 unY7njqr
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

496:名無しさん@ピンキー
10/07/26 21:56:52 UJOKNDH8
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//


497:名無しさん@ピンキー
10/08/06 17:41:04 s3DUj6MR
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

498:名無しさん@ピンキー
10/08/06 18:29:31 913lx5Qt
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//

499:名無しさん@ピンキー
10/08/07 22:59:17 cSY9Yzuy
しってるか・・・
保守ってAA貼らなくてもできるんだぜ・・・

500:名無しさん@ピンキー
10/08/08 00:14:02 7bemO6q8
9のssがある保管庫ない?

501:SBI
10/08/25 02:52:51 DNvHNlhf
お久しぶりです。
夏バテで若干グロッキーでしたが、せっかくの美味しい季節ネタを逃すわけにはいかないと、
ヴィル☓アリソンで一本、新しいSSを書いてきました。

502:SBI
10/08/25 02:53:20 DNvHNlhf
夏で、海だった。
抜けるような青い空と立ち上る入道雲、遠く海の彼方から打ち寄せる波の音を聞きながら、ヴィルは大きなパラソルの下に座っていた。
周りの海水浴客達の数はほどほどといった程度、満員状態でとても泳げないという程でもなく、かといって閑散としているという程でもない。
同じように海水浴を楽しむ人達の賑わいが、心地良く耳に響く。
爽やかな夏を感じさせるその光景を眺めているだけで、ヴィルは何だか幸せな気分になれた。

そもそも、どうして彼がこんな場所に来ているのか、それにはそれなりの事情があった。
今回の海水浴の話をヴィルに持ちかけてきたのは、彼の幼馴染にして恋人のアリソンだった。
『空軍の同僚に穴場の海水浴場を知ってるって人がいて、ちょうど非番の面子を集めてみんなで海に行こうって話になったの!』
青い瞳をキラキラと輝かせて、図書館帰りのヴィルに抱きついてきたアリソンの言葉を聞いて、彼はすぐにこう答えた。
『わかった。僕も一緒に行くよ』
『あれ?何でそこまで分かっちゃっうのよ?』
彼女自身は気付いているのかいないのか。
少なくともヴィルはこれ以上ないくらいに分かっていた。
アリソンの瞳がキラキラと輝くときには必ず、ヴィルに悪戯や冒険、もしくはとびきり素敵な何かを持ちかけるのだ。
小さな頃からアリソンのそんな『キラキラ』に振り回されてきたヴィルだけど、それでも彼女のその表情が大好きだった。
輝くような笑顔を浮かべて、どこまでも駆けていくアリソン、その姿に憧れて心奪われて、ヴィルは彼女と一緒の道のりを歩いてきた。
アリソンの最初の一声を聞いたときから、勝負はついていたのだ。
こんな顔をされたら、もうついて行くしかない。
アリソン自身と同じくらいに、ヴィルもそれを望んでいる。
『最近、アリソンも任務で家にいない事が多かったしね。久しぶりに一緒に遊ぼう』
『うんうん!!今からもう楽しみで仕方ないわ!』
という訳で、二人はアリソンの空軍の仲間達と共に二泊三日の海水浴へとくり出して来たのだ。

パラソルの下、海を見つめるヴィルの所に三十代ほどの男性が近づいてくる。
「楽しんでもらえてるかな、ヴィルヘルム・シュルツ君」
男性はアリソンの同僚の一人だった。
ヴィルは自分の隣に腰を下ろした男に笑顔を向けて
「はい、とっても。…こうしてお話しするのは久しぶりになりますね」
「お、あんな昔の事を覚えてくれてたか」
ヴィルと彼の間には一度だけ面識があった。
まだ上級学校で学んでいた頃のヴィルがアリソンと共にイクス王国で繰り広げた冒険。
そのそもそもの始まり、アリソンがヴィルと二人きりになるべく決行した誘拐作戦、それを手助けしたメンバーの一人が彼だった。
この海水浴に同行している残り二人もその時に居合わせた面々だ。
「あの時はすまなかったな。ウチの伍長があんまり君に夢中なもんだから、見ている内にどうしても手助けしてやりたくなってな」
「構いませんよ。お陰であの時もアリソンと一緒に色んな事を経験できましたから」
「そうか、そりゃあ良かった」
笑顔で答えたヴィルの言葉に、男も満足げに肯く。
「何だかんだあったようだが、君が伍長と上手くやってるようで安心したよ。
ウチの隊の連中はみんな、彼女の事を末娘だとか妹だとか、そんな風に思ってる節があるからな」
「皆さん、アリソンの事、大事にしてくれてたんですね」
そんなヴィルの返答に、彼はニヤリと笑みを見せて
「何、君ほどじゃないさ」
見透かしたように言われた言葉に、ヴィルの頬が少し赤く染まる。
どうやら男は気づいていたようだった。
砂浜に座ったヴィルが先程から視線を向けているその先に、誰がいるのかを。
陽光を受けて輝く海面に白いしぶきが上がる。
それはだんだんと砂浜の方に近づいてきて、ザバっと水をかき分けてその姿を現す。
水に濡れた金色の髪がキラキラと輝いて、青い空に映える。
満面の笑顔を浮かべたその少女はヴィルの方に大きく手を振って叫んだ。
「ヴィルも早く泳ぎに来なさーい!!せっかくの海なんだから、目一杯楽しまなきゃ損よ!!」
眩しい白い肌。
空の色の瞳がヴィルを捉えて微笑む。
「伍長も呼んでる。好きなだけ泳いでくるといいさ」
「はい」
言われて、ヴィルは立ち上がり、その少女・アリソンの下へと砂浜を駆けていった。
「本当に良かったな、伍長」
晴れ渡った空の下、心底楽しそうに戯れるアリソンとヴィルの姿を見ながら、男はしみじみと呟いたのだった。


503:SBI
10/08/25 02:54:45 DNvHNlhf
この惑星唯一のジャガイモ型の大陸、その内陸部でこれまでの人生のほとんどを過ごしてきたアリソンとヴィルには、
そもそも海を見る機会自体があまり無かった。
もっとも、川遊びで泳ぐ機会は何度もあったし、アリソンの場合は軍で訓練も受けていた。
しかし、広い海をと真っ青な空に囲まれて、自由に海水浴をする楽しさはやはり格別のものだった。
「うおりゃー!!」
アリソンの打ち上げたボールが高く中を舞う。
「ナイス、アリソン!後はこっちに任せて!!」
現在、ヴィルとアリソンとその同僚の二人は男女に分かれてのビーチボール合戦の真っ最中だった。
アリソンから回されたボールを受けて、二十代半ばほどの女性がソレを相手方であるヴィルに向けて打ち込む。
絶妙な角度・スピードのボールを返す術はない、彼女はそう確信したのだけれど……
「えいっ!!」
ヴィルはそれをいとも簡単に受け止めて見せる。
「おお、流石は噂のカアシの六位!」
それを見て、もう一人の男性が声を上げる。
軍人ほどに鍛えられてはいなくても、ヴィルは幼い頃からアリソンのハチャメチャな冒険に付き合わされてきた。
そこらの連中とは地力が違うのだ。
加えて、得意の射撃の腕を支える動体視力がある。
四人の頭上を高速で行き交うボール、男女両チームの実力は伯仲していた。
一進一退の攻防は結局、決着のつかないまま終りを迎える事になる。
「ふう、やるわね。ヴィル君」
「当然っ!ヴィルはなんたってヴィルなんだから!!」
「しかし、よく俺達のペースについて来られたな」
「無駄な動きは最小限に抑えて、効率よくボールを返す事だけに専念してましたから……でも」
そこでヴィルはそう言って、
「でも、流石にそろそろ限界だったみたいです」
浅瀬にへたり込んでしまう。
現役軍人な三人について行く為に色々と工夫をしてはいたが、やはり限度があったようだ。
「大丈夫、ヴィル!?」
「平気だよ、アリソン。ちょっと疲れただけだから。それに、すごく楽しかったし」
そんなヴィルの下に駆け寄ってきたアリソンに、彼は照れくさそうな笑顔で答えてみせた。
それから……
「あ……」
「どしたの、ヴィル?」
「いや、その………水着、やっぱり似合うなって、そう思って……」
疲れのせいで少し油断してしまったのか、ポロリ、ヴィルの口から本音が零れる。
「…って、な、何言ってるんだろう、僕は……」
「い、い、いいのよ。……ヴィルがそう言ってくれると、やっぱり嬉しいし……」
思いがけず飛び出た言葉に、少年と少女は頬を染めてうつむく。
「いいわねいいわね、二人共可愛いじゃない」
「これ以上俺達がこの場にいるのは野暮かな?」
「えっ、せっかくいいシーンなのに!」
「その点にぬかりはないさ。こんな事もあろうかと、双眼鏡は既に用意してある」
一方、ニヤリと笑みを浮かべた同僚二人は、すっかり自分たちの世界に突入してしまったアリソンとヴィルを残してその場を退散した。
「……一緒に水着選びに行ったときもそう言ってくれたけど、改めて言われると、やっぱり照れるわね、ヴィル」
「でも、やっぱり綺麗だって、そう思ったから……」
実際のところ、その水着はアリソンによく似合っていた。
シンプルな白のビキニスタイルは、彼女の輝く髪と蒼い瞳に映えて、その魅力をより一層強めていた。
そのまま二人はしばしの間、互いに見つめ合っていたのだけれど
「……せ、せっかくの海なのに、いつまでもこんな風にしてたら勿体ないわよね」
「そう…だね……」
照れくさそうにそう言ったアリソンの手を借りて、ヴィルは立ち上がる。
「それじゃあ、私はまた泳ごうと思うんだけど……」
「僕も付きあうよ、アリソン」
笑顔で答えたヴィルの言葉に、アリソンの表情がぱっと明るくなる。
「それじゃあ、行きましょう、ヴィル!!」
アリソンはそのままヴィルの手を取り、輝く水面を蹴って二人一緒に走り始めた。

504:SBI
10/08/25 02:55:26 DNvHNlhf
遠い水平線に白いしぶきを上げて、少年と少女が泳いでいく。
金色の髪の少女はまるで人魚にでもなったかのように打ち寄せる波を物ともせずどこまでもまっすぐに。
普段は勉強三昧の生活を送る少年もこの時ばかりは全身で水をかき分けて進む喜びに身を委ねて。
アリソンもヴィルも、夏の海での一時をこれでもかという程楽しんでいた。
ただ、この時の二人は知る由もなかった。
彼らが今泳いでいるのは、遊び慣れた小川や湖などではない事。
もちろん、ヴィルは事前に海での危険について調べて、アリソンにもキチンと注意をしていたのだけれど、それでも不測の事態は起こり得る。
二人をその出来事が襲ったのは、アリソンとヴィルが泳ぎ始めてしばらく経った後の事だった。

その時、アリソンはヴィルがついて来ている筈の後方から、バシャバシャと必死に水をかく音が聞こえる事に気づいた。
「ヴィル……っ!?」
溺れている。
助けを求めて必死にもがいている。
一体何があったのか、原因は分からないが、早く助けなければ。
アリソンは必死で溺れるヴィルの下へと急いだ。
二人にとって不運だったのは、そこが砂浜から離れた沖合にあたる場所だった事だ。
陸側の人間が異変に気付く可能性が低い上、もし誰かが助けに来ようとしても距離が開きすぎている。
泳ぎに自信のある者でも、溺れた人間を助けるのには危険を伴うが、今は他の誰かの力を期待する事は出来ない。
「ヴィル、しっかりして……!!!」
水中に潜ったアリソンと、苦しみもがくヴィルの視線が交差する。
完全に体勢を崩してどちらが水上かも分からなくなっていたヴィルだったが、それでも残された僅かな思考力で下した判断は冷静なものだった。
自分が不必要に動けば動いただけ、助けに来たアリソンまでも危険に晒してしまう。
それだけ考えたヴィルは、アリソンが伸ばした手の平を握り返し、酸欠状態の苦しみをぐっとこらえて、彼女の手に全てを委ねた。
おかげでアリソンはそれほど苦労する事なく、ヴィルと共に水面へと浮かび上がる事が出来たのだが、ここでもう一つの不慮の事態が発生していた。
溺れるヴィルを必死で助けようとする内に、二人は沖へと流れる海流に捕まっていた。
その中では水泳の選手ですら、流されていく事しか出来ない。
「アリ…ソン……」
「だ、だいじょうぶ?ヴィル!?」
「うん……でも、このままじゃ、僕達、流されてしまう。だから……」
そう言って、ヴィルはちょうど海岸から見て右側になる方向を指さした。
「こっちへ泳いで、海流から抜けるんだ…」
「うん、わかった」
ヴィルに肩を貸しながら、アリソンが泳ぎ始めた。


505:SBI
10/08/25 02:57:54 DNvHNlhf
それからしばらくして、泳ぎ続けた二人が辿り着いたのは、元いた海水浴場からは随分離れた岩場の合間の小さな砂浜だった。
急な潮の流れに逆らえず、二人は遠くまで流されてしまったのだ。
「ヴィル、足の様子はどう?」
「うん。ちょっと腫れてるけど、もう平気だよ」
そもそもの原因はクラゲだった。
「この時期にはあまり発生しないって聞いてたけど、やっぱりいる時にはいるものなのね」
「僕も注意してたつもりだったんだけど……」
海岸に辿り着いてようやく一息ついたヴィルの右足には、クラゲに刺された赤い跡が残っていた。
いかに知識で知っていても、やはり実際に体験しなければ分からない事は多い。
それは、これまで海で遊ぶ事の無かった二人にとって、どんなに注意していても予測できない出来事だった。
それでも、『もしかしたら、そんな事もあるかもしれない』と頭の隅で考えていたヴィルは、刺された直後、何とか体勢を立て直そうと試みる事が出来た。
だが、そこにもう一つの災難が降りかかった。
外海からやって来る大きく高い波。
片足が痺れて使えないヴィルは、これに一発でやられてしまった。
波に巻き込まれたヴィルは水中で上下の感覚を失い、完全に溺れてしまった。
「ありがとう。アリソンが助けてくれなかったら、本当に危なかったと思う」
感謝の言葉を述べたヴィルだったが、一方のアリソンの表情は暗い。
「ごめんね、ヴィル……」
「アリソン?」
そう言って俯いたアリソンは、すっかり元気をなくしているようだった。
「どうしたの?アリソンのお陰で、僕は助かったんだよ?」
「そうかもしれない。でも……」
夢中になって泳いでいる内に、海岸から離れてしまっていた。
そのせいでアリソンはヴィルを一人で助けるしかなかった。
溺れている人間を助けるのは非常に難しい事である。
通常、溺れた人間はその苦しみのあまりにパニックに陥り、助けに来た人間までも水底へと引きずり込んでしまう。
ヴィルが比較的平静を保って、アリソンの助けに従ってくれたから良いようなものの、一歩間違えれば二人がどうなっていたかは分からない。
もし、二人が泳いでいたのがもっと陸に近い場所なら、アリソンの同僚や周囲の海水浴客達の助けを得られたかもしれないし、
そもそも、ヴィルが溺れる事だって無かったかもしれない。
「私もヴィルも、海に慣れてないのは最初から分かってたのに、私、またヴィルを引っ張りまわして……それで危ない目に遭わせて……」
アリソンの中にはいつだって、走り出したら止まらない、爆発的なエネルギーが満ちている。
それこそが彼女の美点であり、魅力でもある。
ただ、それが周囲の人間に、特にいつもアリソンの側にいたヴィルを危険な出来事に巻き込んでしまう事も少なからずあった。
二人が壁画を発見したあの夏の冒険などが最たるものだろう。
何とか無事に戻って来れたものの、一歩間違えれば、二人はルトニの向こうの異国の地で命を落としていたかもしれない。
しかし、そんなアリソンに、ヴィルは首を横に振ってみせる。
「アリソン、それちょっと違うよ」
「ふえ?」
「僕はいつも、アリソンを追いかけてた。そりゃあ、アリソンもちょっと強引な所があるから、一緒にいて大変な事もあったけど。
でも、いつだってアリソンの後ろをついて行こう、アリソンと一緒に走って行こうって、そう決めたのは僕の意思だった」
一人では未知の世界に踏み出す勇気を持てなかったヴィル。
その背中を押してくれたのが、アリソンの存在だった。
心の赴くまま、空を舞うように自由に、どこまでも駆けていくアリソンにヴィルはずっと憧れていた。
今まで経験してきた冒険だって同じ事。
ヴィルはいつだって、危険なんて承知の上で、アリソンの隣を走り続けて来たのだ。
「だから、今日の事もおんなじだよ。アリソン一人で突っ走った訳じゃない。
アリソンは僕を危険な目に遭わせたって言うけど、それならアリソンにきちんと『危ないよ』って言ってあげられなかった僕も同じ。
二人でいっしょに反省して、おしおきも僕とアリソンで半分こして、それでおしまいだよ」
にこり、笑ったヴィルの優しい表情に、アリソンの顔もほころぶ。
「ありがと、ヴィル……!!」
「わっ……」
嬉しさを満面に表して、ヴィルに抱きつくアリソン。
ヴィルもそんな彼女を苦笑しつつ、しっかり受け止める。

506:SBI
10/08/25 02:59:30 DNvHNlhf
「こっちこそ、改めてありがとう、アリソン。僕を助けに来てくれた時のアリソン、なんだか人魚みたいだったよ」
「な、いきなり何言うのよ!?」
「綺麗だったって事」
「………っ!?」
これでもかと赤面したアリソンを、自身も照れくさそうに頬を染めるヴィルがぎゅっと抱きしめた。
とくんとくん、濡れた肌が触れ合って、冷え切った体をお互いの体温が温めていく。
いつしか二人はおでこをくっつけ合って、互いの瞳をじっと見つめ合っていた。
「うぅ…ちょっと、ドキドキするわね……」
「僕も……」
つい先ほど命の危機を乗り越えたばかりの反動なのか、二人は自分の心の中で互いを想い求める熱情が高まっているのを感じていた。
周囲に人の気配はない。
とはいえ、いつ誰が来るとも知れない外で、このまま抱き合い続けるのはマズイと分かっているのだけれど……
(このままアリソンを抱きしめていたい……)
(ずっと、ヴィルとこうしていたい。ううん、それだけじゃなくて、もっと……)
衝動と理性の狭間で揺れ動く二人の心。
そして、その均衡を最初に破ったのは……
「ん…んぅ…ぷぁ…ヴィ…ルぅ……」
「アリソン…可愛いよ……」
ヴィルの情熱的な口づけが、アリソンを踏み止まらせていた最後の一線を軽々と飛び越えてしまう。
先程の会話で思いがけず、互いの気持ちを再確認した事も二人を後押ししたのかもしれない。
アリソンとヴィルは目の前の愛しい人に魅せられて、幾度となく強くくちづけを交わした。
もうこうなってしまえば、誰も止める事なんて出来はしない。
繰り返されるキスが二人の理性を溶かして、熱情を炎の如く燃え上がらせる。
「んんっ…ヴィル……好きっ!」
「ああ…アリソン…っ!!」
数えきれないほどのキスの後、一旦抱き合う腕を緩めた二人は、互いの水着姿に改めてドキリとさせられる。
もちろん、恋人同士になってから、ベッドの上での営みも経験した二人だったけれど、
燦々と太陽の降り注ぐ青空の下、隠すところもなく光に照らされた互いの体を見るのは、薄暗い夜の寝室でのソレとは違う興奮を与えてくれた。
陽光の下、ヴィルはアリソンの肌の白さ、絹のような滑らかさにただただ見とれる。
彼はそのまま、吸い寄せられるように、アリソンの鎖骨の辺りにキスを落とした。
「あっ…あんっ!…ヴィルぅ……」
海の水の塩辛さの向こうに、アリソンの肌の甘い味を感じる。
白い水着をたくしあげると、露になった形の良い乳房が、キスの度にピクンと震えるアリソンの体と一緒に揺れる。
アリソンはちょうどヴィルの膝の上に乗るような形で、ヴィルの指先や唇が体に触れる度、彼の背中に回した腕にぎゅっと力を込めて反応を返す。
「ふあっ…ああんっ!…ヴィルぅ…だめ…そんなに強くされたら…私……っあああ!!!」
ヴィルの手の平の中で、アリソンの双丘がくにくにと揉まれて、形を変える。
ヴィルの愛撫を受ける毎に、アリソンの乳房の奥で熱い疼きが塊となって、ジンジンと彼女の官能を責め立てていく。
刺激を受ける度に声は大きく、あられもない物に変わり、濡れた髪を振り乱しながら、アリソンは次第に乱れていった。
「アリソンの声…エッチで…すごく可愛い……」
「ばかぁ…ヴィルが…あんっ!…ヴィルのせいで…わたし、こんなにエッチになっちゃったんだから…っ!!!」
絶え間ない快感の波に耐えかねて、アリソンがヴィルにぎゅっと抱きつくと、今度は首筋にヴィルの舌が振れる。
「ひや…ああ…そこも…駄目なのぉ……ふああああああっ!!!!」
首筋に耳たぶ、そこから少し背中側に回ってうなじの辺りまで、ヴィルのアリソンの肌の上にヴィルのキスマークが刻まれていく。

507:SBI
10/08/25 03:01:17 DNvHNlhf
やがて、終わる事の無い快感の渦の中で、アリソンもより大胆にヴィルを求め始める。
「うあ…あ、アリソン……そこ、そんなに擦りつけられたら…!?」
「だって、ヴィルの熱くて硬いのが当たってるだけでもう我慢出来なくて……それに、ヴィルにも気持よくなってほしいから……」
白い水着の奥から海水以外の何かが滲み出し始めたアリソンの股間。
しとどに溢れ出した蜜でぬるぬるになった水着の布地が、既に膨張を初めていたヴィルのモノに水着越しに擦り付けられる。
やがて、ヴィルのモノの先端からも先走りが溢れ、粘液同士が擦れ合うぬちゃぬちゃといやらしい音が聞こえ始めた。
「あっ…くぅ…アリ…ソン……アリソンのアソコ…すごく熱いよ…」
「ふああっ!!…ヴィルのも…熱くて硬くて…わたしっ!!わたしぃいいいいいっっっ!!!!」
お互いの水着の二枚の布地を間に挟んでの接触。
そのもどかしさが、二人を余計に行為に夢中にさせた。
もっと互いの熱を感じたくて、アリソンとヴィルは我を忘れて自分の敏感な部分を擦り合わせ続ける。
「あっ!ああんっ!!…ヴィルっ!ヴィルぅうううううっ!!!!」
「アリソン……っ!!!」
二人の行為はとどまる所を知らずヒートアップを続け、ついにはアリソンが限界を迎える。
「ひあっ!!ああああっ!!!!ふあああああああああああっっっ!!!!」
全身をビリビリと痙攣させ、ヴィルの体にぐったりともたれかかるアリソン。
どうやら、擦り合わせていただけで軽く絶頂に達してしまったらしい。

「……もしかして、イっちゃったの?アリソン……」
「う、うん……」
ヴィルの腕の中、恥ずかしげにアリソンが肯く。
海水浴の疲れと、野外でこんな行為に及んでいるという緊張感とスリルが、彼女の体を余計に敏感にさせたのかもしれない。
「でも…まだ足りないの…ヴィルをもっと感じて、ヴィルといっしょに気持よくなりたい……」
それから、アリソンは力の抜けた体を砂浜に横たえ、潤んだ瞳でヴィルを見つめてそう言った。
愛する人を求めてやまない熱情。
その気持ちはヴィルにしたところで変わらない。
もっと強く、深く繋がり合って、快楽の渦の中で一緒に昇りつめたい。
「アリソン…僕も……」
「ああ、ヴィル……」
ヴィルは大きくなった自分の分身を水着から出し、アリソンの水着の大事な部分を守る布地にも手を伸ばす。
ゆっくりとずらされたそこには、薄桃の花びらが、愛しい人を求めて蜜に濡れていた。
その入口に、ヴィルは自分のモノの先端をあてがう。
「アリソン……っ!!」
「ヴィルぅ……っ!!」
互いの名前を呼び合いながら、繋がり合う二人。
敏感な粘膜が触れ合う刺激は、ヴィルとアリソンの感情の高ぶりも相まって、強い快感となって二人の体を駆け抜けた。

508:SBI
10/08/25 03:02:12 DNvHNlhf
「あっ…くぅううっ!!!…すご…ヴィルぅ……!!!!」
「アリソン…んっ……んむぅ…」
無我夢中で絡め合わせた舌先で、互いの唾液を混じり合わせながら、二人は動き始める。
既に二人の体を濡らしていた海水はほとんど乾いていたが、溢れ出す汗と愛液が雫となって彼らの肌の上を流れ落ちていく。
くちゅくちゅとアリソンの中をかきまわすヴィルのモノが、その最奥部を突く度にアリソンは一際大きな声を漏らした。
「ふあ…あああああっ!!!ヴィル…わたし…きもちいいよっ!!!きもちいいよぉおおおおおっ!!!!」
声が大きくなる度に、二人の脳裏に『誰かに聞かれてしまうんじゃないか?気付かれてしまうんじゃないか?』そんな危惧が浮かび上がる。
だけど、互いを求めてやまない情熱はそんな事では止まらず、むしろ『どうなってもいいから、もっと強く愛し合いたい』と二人をさらに激しく行為に没入させていく。
突き上げて、それに合わせるように腰を使って、甘い痺れと感情に身を任せてひたすらに交わり続けるヴィルとアリソン。
「ひっ…あっ…ヴィル…もっと…もっとぉおおおっ!!!!」
「アリソン…可愛い……」
もはやお互いの事しか見えなくなった二人は、強く強く抱きしめあいながら、ひたすらに互いの体を求める。
膣壁をヴィルのモノが擦り上げる度に、アリソンの背中に甘い電流が走り抜ける。
その震える細い腰を抱きしめて、ヴィルはより激しくアリソンの体を突き上げる。
止まらない愛蜜は二人の水着をぐしょぐしょに濡らし、それを潤滑油にして二人はどんどん行為をペースアップさせる。
「ヴィル…だめぇ…も…きもちよすぎて…わたし…おかしくなっちゃうよぉおおおおおっ!!!!」
「…アリソン…僕も…アリソンの中が熱くて…溶けちゃいそうで……でも、止まれなくて……っ!!!」
「…わかった、ヴィル…いっしょにもっときもちよくなろ!…おかしくなったって構わない…ふたりでいっしょに……っ!!!」
「アリソンっ!!わかった、僕ももっと激しくいくよ…っ!!!!」
ガクガクと動き続ける腰は、もう二人の意思では止める事が出来ない。
心が、体が、この快感と熱を求めている。
どろどろに融け合って一つになるまで、もっと強く、もっと激しく、愛しい人を感じていたい。
高まり続ける熱情の中で、ついに二人はクライマックスへと向けて加速を始める。
「ふあああっ!!!!ヴィル、私、もうっ!!!うあ…あああ…イっちゃう!!イっちゃうううううっ!!!」
「アリソン…僕も…いっしょに……っ!!!!」
強く強く抱きしめあった二人の中で、限界まで高められた熱が弾ける。
津波のように押し寄せた快感はいとも容易くアリソンとヴィルの心と体を高みへと押し上げ、二人はついに絶頂へと至る。
「アリソン…大好きだよ!!アリソン……っっっっ!!!!!」
「ふああああああああっ!!!!!ヴィルぅ…好き…私も…っ!!…ヴィルぅううううううううううっっっ!!!!」
ガクガクと全身を痙攣させ、上り詰めた二人。
凄まじい絶頂感が通り過ぎた後、少年と少女の体から一気に力が抜け、二人の体は砂浜の上に投げ出される。
息も絶え絶えで、絶頂の余韻に時折体を震わせる二人。
だが、その腕だけはしっかりと、互いの背中に回されたまま、放される事はなかった。
そのまま、しばらく抱き合っていた二人だったが、ヴィルがアリソンの瞳を見つめながらふとこんな事を呟いた。
「…うん。やっぱりそうだ……」
「…な、何よ、ヴィル?いきなり、何のこと……?」
「えへへ…さっきも言ったけど、今日のアリソンは人魚みたいに綺麗だよって話……」
「あう…ヴィ…ヴィルぅ……」
その言葉に赤面したアリソンを、ヴィルは強く強く抱きしめる。
一緒に海水浴に来たアリソンの同僚達に心配をかけないためにも、早く元の海水浴場へ戻るべきなのだろう。
だけど、今はもう少し、こうしていたい。
そうして、アリソンとヴィルはしばらくそのままの状態で、互いの体温に身を委ねていたのだった。


509:SBI
10/08/25 03:25:22 DNvHNlhf


……ところが
「いやはや、こんな外でするなんて、思った以上に大胆だな、あの二人は」
「でも、お互い夢中になってる感じで、ちょっと羨ましいかもな」
「そうそう、ラブラブで初々しくて、ホント、あの二人ってば可愛いんだからっ!!」
岩場の影からアリソンとヴィルの姿を見つめる人影が三つ。
例のアリソンの同僚三人である。
双眼鏡で二人の様子をのぞき見していた彼らはヴィルが溺れた事に気付き、二人が流されたこの場所まで歩いてきたのだ。
最初は普通に二人を助けるつもりだったのだけれど、いかにもラブラブな二人の会話を聞いている内に
いつしかその目的も忘れて、すっかり出歯亀に夢中になってしまっていたのだ。
「ふふふ、あんな可愛い所を見せられちゃったら、こっちも悪戯したくなっちゃうじゃない……」
同僚の女性が怪しい笑みを浮かべる。
今回の海水浴は二泊三日、時間はたっぷりとある。
その間にアリソンとヴィルに何が起こるのか、それは今はまだ、神のみぞ知る、といった所だろうか。

510:SBI
10/08/25 03:26:56 DNvHNlhf
以上でおしまいです。
アリソンSSばかりに偏りがちですみません。
でも、やっぱり好きなカップリングは贔屓しちゃうんですよね。
また他の作品のネタでも書いてみたいと思います。
それでは、失礼いたしました。

511:名無しさん@ピンキー
10/08/26 10:15:41 ZLbTfu12
GJ!

同僚×3…w

512:名無しさん@ピンキー
10/09/02 15:28:18 VT82YThj
乙!


ところで昔から待ち望んで居るのだがシグ×アメは無いかね?

513:SBI
10/09/14 02:58:33 vzcIEYp5
また書いてきました。
シグ×アメじゃないですが。
キノさんが奴隷にされちゃってるお話しです。
それでは、いってみます。

514:SBI
10/09/14 02:59:13 vzcIEYp5
間接照明の照らす薄暗い地下の酒場。
そこでボクはもうかれこれ半年もの間、太陽の光を浴びない生活を続けていた。
「おい、K-49番!ご指名だぞ!!」
「……はい」
もうすっかりお馴染みとなった管理番号を呼ばれてボクは指定のテーブルへと向かう。
ボクはもうキノではない。
×××××でもない。
今のボクは旅人ではなく虜囚。
他の大勢の人達と一緒にこの国に囚われ、その所有物となった奴隷の一人だ。
この国の国民全てに与えられる繁栄と享楽の為、国民の数を遥かに上回る囚われ人が働いている。

「おお、来たな来たな。ハハハ、胸こそ小さいが、相変わらずそそられる体つきだ」
「ありがとう…ございます……」
ボクが今身につけているのは黒いエナメルのレオタードに同色の網タイツ、ハイヒールの靴、そして同じく黒のウサギの耳飾りだ。
いわゆるバニーガール。
背中も肩もむき出しのまま、ボディラインも露なボクのその姿を、ボクを指名したその男はねっとりと絡みつくような視線で見つめてくる。
半年経っても消える事のない羞恥に顔を赤らめるボクを見て、男は満足気に笑う。
「さあ、来なさい。今日もたっぷりと可愛がってあげよう」
「あ…うあ……」
男の手がボクの肩を掴み、ボクを強引に自分の膝の上に座らせる。
「まずはご挨拶だ。唇を味わわせてもらおう」
「んっ…んぅ…んんうぅ!?…ぷあっ…ああ…ん…んくぅ…んんぅ……」
ボクは自分を捕らえた男の腕を振り払う事も、しつこく舌に絡みつくキスを拒む事も出来ず、ただ口の中を無抵抗のまま犯される。
酒臭い息と粘度の高い唾液がボクの口の中に流れこんでくる。
不快な筈のそんな感覚の中、だけれど、ボクは下腹部がねっとりと熱を帯びて、頭の芯がボオッと霞んでいくのを感じていた。
(ああ…ダメ…こんなことが…きもちいいなんて……)
耳を澄ませば、暗い酒場のあちこちから同じような女性達の喘ぎ声が聞こえてくる。
薄い胸をまさぐられながら、延々と続くキス地獄の中でボクの思考は蕩けていく。
息継ぎも許されず延々と続くキス責め、舌を滅茶苦茶になぶられる感覚がボクを苛み続ける。
やがて、じっとりと湿りを帯び始めたボクのアソコを撫でた男の瞳に性的興奮と征服感を得た満足気な色が浮かぶ。
「お前は本当に私のキスが好きだな。唇でされるだけでこんなに感じおって。淫乱め。……んぐぅ…ぴちゃぴちゃ…」
「ひむぅ…んん…んぅううううううっ!…んっ!…んっ!…んん――っっっ!!!!」
やがて、長い長い口内陵辱の果てにボクは全身を引きつらせて絶頂に達する。
ビリビリと痙攣する体に暴力的な快感が流れこんで、ボクの意識は一瞬、ホワイトアウトしてしまう。
そして、ぐったりと崩れ落ちたボクを休ませる事なく、男は今度はボクの素肌にキスを落として、全身を責め立て始める。
「あひっ…ひいいっ!…ああっ…だめっ!…だめーっ!!…そこされたら…ボク…おかしくなって…っあああああああああ!!!!」
全身をゴツゴツした指で嬲られる度に駆け抜ける快感に、ボクはあられもない悲鳴を上げる。
終わることなく注ぎ込まれる快感に、ボクの意識はズタズタに引き裂かれていく。
(…もう…ダメなのかな?…このままずっと…ボクはこの国で……)
抗えない。
反抗の言葉ひとつ放つ事すら出来ない。
奴隷たちは誰一人この国に、この国の国民に逆らう事は出来ない。
ボクを含め、多くの囚われ人達が苛烈な環境に置かれているというのに、この国では暴動一つ起きていないという。


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