08/08/17 13:06:08 omq1RXRo
(っく、生きていて下さい、教官殿!!)
手に一冊の本を持ち、サンダースは紅蓮の焔に包まれる【闇の森】に走る。
自身にミサイルの発射を命じた教官と、行方不明だったクラスメイトを助けるために。
全ては、自分のミスだとサンダースは痛感していた。
闇の森などという危険区域に、まさか踏み込むはずがないと決めつけてしまった愚かしい判断を。
ただ命じられるままにミサイルを発射した今しがたの判断を。
(油断?違う!これは全て我輩の見通しの甘さ故の惨劇!ならば我が手で救うのが軍人としての役割ではないか!?)
サンダースは疾駆する。
虎のように。
紅蓮の森までは、後わずかだった。
サンダースが森に踏み入れて、数分。
漸く見慣れたスーツ姿の者が、何かに覆い被さるように倒れているのを発見した。
「え、エリーザ教官!」
サンダースの悲鳴のような声に、しかし返事はない。
「エリーザ教官!意識を確かに!助けに参りました!」
サンダースがエリーザに声をかけ続けても、全く反応はない。
仕方無く手首に触れ、脈を見るが、それは既に弱々しく、正に消える寸前の灯火のようだった。
「っちぃっ!この様子では二人とも一時を争う命か!」
予想はしていた。
当たって欲しくないと思いながらも、最悪の未来にはまだ届いていないのが、サンダースにとっては希望の欠片だった。