09/01/14 22:21:48 Z9rhZx7S
蚊怪は御幸がお菓子の塊であるかのように殺到していた。いや、虫からすれば御幸はお菓子の
塊そのものかもしれない。血や肉はあくまで人間の主観なのだから。
胸の皿にぷるりと盛られたのはチェリーが乗ったミルクホワイトのプリン。
巫女装束という白と赤のリボンでデコレーションされた小麦色のパイを破けば、脂肪という濃厚な
白いクリームと血液という赤いストロベリーソースが溢れ、骨という硬焼きクッキーには甘いシロッ
プが満ちているのだ。
「ふううぐううう!? うー! ううーうー! ううううううう!」
小麦色のパイ生地がひしゃげて全身から白クリームと赤ソースが溢れ出した。胸は綺麗に平ら
げられ、蚊怪たちは硬焼きクッキーさえドリルのように穴をあけて中身を啜る。食い散らかされたパ
イ生地がぐちゃぐちゃ飛び散り、クリームやソースが釘ストローで刺し掻き混ぜ捏ねられる。
そこで蚊怪たちは気付く。
胴体パイ生地の奥にはクリームとソースとクッキーだけではない。
ふんわりとしたマシュマロや生チョコのインゴット、蕩けた飴を包んだ風船等の宝物が無数に存在
していたのだ。いずれも元気に脈打っている。
蚊怪たちは釘ストローで御馳走を耕し、ゆっくりとエキスを吸い上げていった。
助けてくれという心の叫びは、いつしか、もう殺してくれという懇願に変わっていた。
しかしながら、御幸の命はまだ続きそうで。
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残り三人。
続きはそのうちに。
ではまた。