零総合 十at EROPARO
零総合 十 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
09/03/07 00:22:54 qBaF/CZr
繭じゃなくて樹月紗重にしてくれ

151:名無しさん@ピンキー
09/03/07 00:29:14 1tPuqrHI
もう書き終わりに近い人にキャラ変えてくれとか鬼かよw

152:名無しさん@ピンキー
09/03/07 03:06:52 w+r8+7TY
リクエストのレベルが大償だな

153:樹月×繭(紗重)
09/03/07 21:14:15 IukmVpwV
注意書き
・繭に紗重憑依中
・樹月の過去捏造
・エロまでが長い



 謝らなきゃ。
 思い出したから、私は蔵を目指して歩いた。
 私は逃げろと言われたのに、だめだった。八重のようにはできなかった。
「樹月くんに、謝らなきゃ……」
 歩いて、歩いて、樹月くんのいる場所まで。
 閉じ込められているはずなのに、蔵の戸に錠はかかってなかった。
横に引くと、なんの抵抗もなく戸は開いた。
 樹月くん、と呼んでみる。しんと静かな蔵の中で、私の声が響いた。
……いつきくんって、誰だろう? 澪はどこにいるんだろう?
「……紗重?」
 名前を呼ばれて、はっとそちらを見る。
 鉄格子の窓から差す月の光を頼りに見る彼は、最後に見た時よりずっと青白かった。
「いつ、きくん……」
 彼に近付く。
 真っ白い男の子だった。服も、髪も。こんなに白い人、私は知らない。
「紗重……どうして、ここに……」
 男の子は、私のものじゃない名前で私を呼ぶ。
 ……別の人の記憶の中で、私と彼は仲良しだった。
 八重じゃない私を、八重と同じように大切にしてくれた、優しい、優しい男の子。
 樹月くんは私の肩にそっと手を置いた。
 ―そうだ、彼に謝りに来たんだ。

154:樹月×繭(紗重)
09/03/07 21:17:41 NY4jVgrQ
「樹月くん、私……」
「紗重……」
 私の言葉を遮り、樹月くんはなおも私を呼ぶ。
 どうしたんだろうと、ぼんやり考えていて、ふっと手の置かれた肩に意識が飛ぶ。
 いつの間にか、強い力で肩をがっちりと掴まれていた。
 痛いよって言おうと、彼の方に顔を向ける。その目をみて、何も言えずに息を飲んだ。
 樹月くんは、見たこともない鋭い目で、私を見ていた。

 ずっと昔、家の側で野犬に襲われそうになって、澪とお父さんに助けてもらったことがある。
 恐ろしい目で睨まれて、私はぴくりとも動けなかった。

 今の樹月くんの目は、その時の犬に似ていた。
 樹月くんの顔が近付く。後ずさりしようとして、竦んだ足がよろけた。
 素早く背中に腕を回され、ゆっくりと床に座らせられる。
「紗重」
 また、名前を呼ばれた。目は、まだぎらぎら光っている。
 動けない。

 ああ、樹月くんは怒ってるんだ。
 私が言われたとおりに逃げることができなかったから。
 私たちの代わりに儀式を行って、閉じ込められてまで私たちを逃がそうとしてくれたのに。
 襟に手が掛かり、そこから一気にワンピースが破かれる。
 声を上げることさえできなかった。

155:樹月×繭(紗重)
09/03/07 21:24:02 NY4jVgrQ
 小さい頃、僕たちは同じ顔をしているから、お互いを同じ人間だと思っていた。
 しばらくして、両親が僕を樹月と呼び、もう片方を睦月と呼んでいることに気付き、そこで初めて『違い』を意識したのだ。
 僕と睦月は好きも嫌いも皆一緒で、意見が割れたことも喧嘩したことがなかった。
 同族嫌悪、などと言うが、まったく同じ見た目で同じ考えの人間と諍いなど起こるはずないのだ。
 僕らは両親や妹さえ区別に困るほどよく似ていた。唯一違うのは、睦月の体が弱く、床に伏せがちだったことくらいか。

 双子とはそんなものだと思っていたから、黒澤の双子に初めて会った時、僕たちは大変驚いた。
 姉の八重が明るく活発なのに対し、妹の紗重は内気で、いつも姉の後ろに隠れていた。性格の違いは外面にも表れ、同じ顔なのに、八重と紗重は一目で見分けがついた。
 黒澤姉妹と僕らはすぐに仲良くなった。同い年で、何より双子の因果を持つ者同士、気安かったのだと思う。
 それから数年後、僕は女の子を好きになった。
 もちろん、睦月も。当然のように、同じ人に恋をした。
 僕らは、紗重が大好きになった。
 八重も大切な友人だが、紗重は僕らにとって特別だった。
 同じ顔なのに、どうして八重でなく紗重なのか。それも、双子の妹なのに。この村で、双子の妹がどんな業を持つか、僕たちはよく知っている。
 答えは未だ出ていない。
 しかし、八重は紗重のようなはにかみ笑いをしないし、暗闇を怖がって袖を握ってきたりはしない。たとえ同じことをしたとしても、紗重でなければ、あれほど煩く胸が鳴りはしないだろう。
 八重と紗重は別人だったけれど、僕と睦月は依然として同じだった。

 ―樹月は睦月と一つになるのだよ。
 双子御子としての役目を負った僕らは、幼少より繰り返し聞かされてきた。
 だが僕たちは、その意味がいつまでたっても理解できなかった。
 兄が弟を殺す儀式。それは睦月を殺して『自分』を一人にすることだと思っていた。
 僕は睦月を殺したくなかったが、病弱な睦月を置いて逃げるわけにもいかない。
 それに、僕らが逃げれば、八重と紗重に役目が回る。逆に、僕らが儀式を成功させれば、彼女たちは双子巫女の宿命から解放されるのだ。

 睦月は言った。
「紗重たちが助かる道を選ぼう」
 僕も同感だった。僕らは、死んで八重と紗重を生かそうと決めた。
 ……愚かにも、儀式の成功を疑っていなかった。

156:名無しさん@ピンキー
09/03/07 21:26:44 NY4jVgrQ
      儀式の数日前、睦月は紗重と二人だけで会った。
 最後の別れを言ったのだと、睦月は言っていた。
 二人きりだったのに、何もしなかったのかと聞いた。
「これで終わりだし、どうなってもいいやとも思ったけどね。……泣いたんだよ。紗重が、僕のために」
 そんな紗重を見たら、酷いことなど何もできなかったと言った。
「僕らは彼女を生かすために死ぬんだ。不幸にしたら、意味がないから」
 道理だと思った。
 僕が別れを言う時は、紗重に泣いて欲しくなかった。

 ―命を絶つ行為は儀式の通り道に過ぎない。ただの人殺しでは贄に足りぬ。
 それを理解したのは、睦月を縊り殺した後だった。
 当主さまは、思いが強すぎたのだろうとおっしゃった。
 ……違う。僕たちが一つになりたいと思ってなかったからだ。
 同じものは一つにならない。なる必要など、どこにもない。
 もう一人の僕は、蝶になることなく死んだ。

 それから僕は、八重と紗重を逃がす手はずを整えた。
 その間、二人にはほとんど会わなかった。特に紗重は顔を見ることさえ憚られた。
 いつ会っても、最後かもしれないと感じる。
 顔を見ていると、その口を吸ってみたくなる。姿を見ていると、服を剥いでみたくなる。
 白い肌に噛み付き、柔らかそうな膨らみに爪を立てて、足を開かせて、その紗重の一番淫らな部分に自分を突き立てたい。
 最後なら何をしたっていいだろうと、半ば本気で思いそうになる。
 儀式をしくじり、八重と紗重にその役目を回してしまった僕が、触れて良いわけがないのだ。
 本当に最後の時も、僕は紗重をまともに見られなかった。
 こちらが落ち着いたら追いかけて合流すると、僕は八重に言った。
 八重は頷き、紗重の手を引いて歩き出す。
 追手も村の外まで逃げれば振り切れるだろう。振り返らずに走れば、きっと逃げ切れる。
 後は、二人の無事を願うことしかできなかった。


 紗重が振り返った。

157:樹月×繭(紗重)
09/03/07 21:32:03 NY4jVgrQ
 動悸がする。
 顔が、熱い。
―樹月くん、また会おうね。
 僕は、上手く返答できただろうか。
 だけど紗重、もう一度会ったら、僕は今度こそ何をするかわからないんだよ。
 何も考えずに逃げればいい。逃げた先で、二人で手を取り合って生きて欲しい。
 八重は明るい子だから、きっと外の人ともすぐに打ち解ける。
 凝り性なところがあるから、学者気質な宗方とも気が合うかもしれない。
 人見知りの紗重も、いずれは心を許した男と結ばれるのだろう。
 穏やかな日々の中で、村や僕たちのことは遠い日の思い出となって、いつかは思い出すことさえなくなるのかもしれない。
 悲しくないと言えば嘘かもしれないが、それでも、僕らはその未来を望み、尽力した。
 ……そうなれば良いと、願っている。

 誰もいない蔵の中で、僕は睦月のように苦しんで死んだ。
 空事は好きじゃない。考え得る最悪を辿った今となっては、全てが虚しい。
 それなのに、断末魔に見たのはありえない夢だった。
 僕と睦月が一人で生まれて、八重と紗重は双子じゃない、普通の姉妹。
 幼い僕らは、三人で川遊びをしていた。




ーーーーーーーーー
とりあえず、今日はここまでしかないので。
明日明後日でエロいとこがんばって書きます。

158:名無しさん@ピンキー
09/03/08 00:46:16 FvMlhlgJ
いいね気持ちが盛り上がったところでエロとか最高

159:名無しさん@ピンキー
09/03/08 20:01:00 VXYbUd24
パソが全鯖規制食らってる事に気付いた。誰だ運営に凸した阿呆は

160:名無しさん@ピンキー
09/03/15 00:15:20 e/Ejmw8S
職人の規制解除を願いつつ保守

161:名無しさん@ピンキー
09/03/20 22:29:04 STZYrLt5
規制?
どれどれ。

162:名無しさん@ピンキー
09/03/20 22:29:42 STZYrLt5
お、いけたwww

163:名無しさん@ピンキー
09/03/27 02:10:26 yiPaJeIG
よっし、規制解除来た! 次の規制が来る前に書かねば!!

164:名無しさん@ピンキー
09/03/27 02:22:59 uipFAO6U
test

165:名無しさん@ピンキー
09/03/27 10:36:41 BovV39TB
解除おめ、長かったなw
気長に待ってるよ~

166:名無しさん@ピンキー
09/04/03 21:19:01 BnItW2I7
流歌「あっ」
浅葱「!」
流歌「………」
浅葱「………」
流歌「えっと…一応怨霊だし襲ってこようよ」
浅葱「嫌ですよ。だって射影機を極限まで鍛えてイージーですよ? こちらは負けるの分かってますもん」
流歌「………」
浅葱「………」
流歌「えっ、と…暇だねぇ…」
浅葱「はい…」

ぼうっと幽霊が突っ立ったまま襲ってこない事がたまにあるのはこういう事なのか


167:名無しさん@ピンキー
09/04/19 10:23:53 g9W+nH5m
あげておこう。

168:名無しさん@ピンキー
09/04/19 22:15:47 8pmjbey/
怜「みーくー、ちょっとPC借りるわよー・・・・・・と、ぐぐるぐぐる。」
怜「・・・・・・。縄?深紅ったら何を検索してるのかしら・・・・・・!?」
深紅「見ましたね。怜さん。」

誰かこんなの書いてくれ。

169:名無しさん@ピンキー
09/04/21 11:53:57 JqcW6uke
螢「さぁ、俺を縛れ!!」


170:名無しさん@ピンキー
09/04/23 07:59:14 7e0Flip/
怜「いいよ。」
蛍「あ、あざーす。」
怜「じゃあ、この柱にこう・・・。できた。」
蛍「あざーす。」
怜「んー。いまいちヤクザに沈められる前の多重債務者見たいで色気がないな。」
蛍「んー。ま、そーね。」
怜「よし、下、脱ごうか。」
蛍「え。まじっすかwww ちんちんとか見えちゃうけど、大丈夫?www」
怜「あのね。あたしがちんちんの一本や二本で恥ずかしがる女に見える?」
蛍「いやー。ってか、俺のあんまり可愛くないよ?」
怜「お、ゆーねwww よっしゃ、見せてみろw」
蛍「よし、こい!」

カチャカチャ。じーっ。ずるずるっ。

怜「やーん、テント張ってるーっ。」
蛍「だってwwww」
怜「よし、じゃあ、パンツ行くよ。」
蛍「あ、なんかちょっと恥ずかしくなってきた。」
怜「やめて欲しい?」
蛍「いや、ぜんぜん。むしろ、どきどきが気持ちいいw」
怜「ならおけ。はい、ごかいちょー!」

するするする。……ぴょん。

怜「わ。」
蛍「……。」
怜「……。」
蛍「えw ちょ、なんか言ってよwww」
怜「……。」
蛍「おーい。」
怜「……。」
蛍「えー。無言はないだろw 恥ずかしいんだぞ、こっちもw」
怜「……。」(ボソ)
蛍「え? なんて?」
怜「……のくせに。」
蛍「いやいや、聞こえない。何何?」
怜「ヘタレのくせに、って言ったの!」
蛍「え、なになに、なにそれwww」
怜「ヘタレのくせに! いいものもってんじゃない!」
蛍「え、まじで!? 俺のいい!?」
怜「優雨のは……。もっと可愛かったのに……。なんか、可愛くない……。」
蛍「あ、だめ? 可愛いほうが、あれ?」
怜「……。これはこれでいいかも。」
蛍「あ、まじで? これあり?」
怜「……。あり。」
蛍「ほんと? やったw」

蛍「……。」

蛍「……あ、え? ちょ、なになに?」

蛍「あ、あかんて。や、あかんて!」

蛍「ぎゃー、ちょちょ、あ、あ、はぐ……。」

蛍「ん、うが、はは、はう。」

怜「うん。これ、いい。」


171:名無しさん@ピンキー
09/04/23 18:58:07 jXYtsW2u
深紅「あれ? 忘れられてる? わたし、忘れらんらんるー?」
澪「もはやテメェには千歳の半分ほどの価値もねぇって事だ」
繭「腹黒はわたしのキャラじゃ………」

172:名無しさん@ピンキー
09/04/29 05:45:45 86RaR5JT
ウッウウッまだ出るよッ姉さんの子宮の中に注ぎ込むよッ
ビュクッビュクビュクビュクッ ビュッ ビューッ ビューッ
姉さん好きだッ姉さんは俺の自慢の愛妻だよッ
賑やかで笑顔の絶えない家庭にしようね。姉さん愛してるよ。一生愛してるよ。
姉さん好きだッ 大好きだぁッ ウウッ ドピュッ ドプッドクッビュクッ ほら分かる?
姉さんの子宮の中を10億匹の俺のおたまじゃくしが泳いでいるんだよ。
これが姉さんの卵子に受精して俺と姉さんの愛の結晶になるんだよ。
姉さん、俺と二人で朧月島一ラブラブな夫婦になろうね。亞夜子だけじゃ足りないよ
もっともっともっともっともっと子供いっぱい作ろうね 姉さんッ
姉さんの子宮の中ッ 俺のおたまじゃくしでいっぱいにするよッ ウッ
ドピュッ ビュルルルルルッ ビュクッ ビュッ ビュッ ビューッ ビューッ
ドピュッ ビュルルルルルッ ビュクッ ビュッ ビュッ ビューッ ビューッ
ドピュッ ビュクッ ビュクッ ビュッ ビューッ ビューッ
姉さんッ ビュッ 好きだッ 大好きだぁッ ビューッ ビューッ
ウッウウッ まだ出るよッ 姉さんの子宮の中に注ぎ込むよッ
ビュクッ ビュクビュクビュクッ ビュッ ビューッ ビューッ
ああああ姉さんッ ビュクッ ビュクビュクビュクッ ビュッ ビューッ ビューッ

173:名無しさん@ピンキー
09/05/04 12:03:50 4IGUDskm


174:名無しさん@ピンキー
09/05/04 18:33:55 ucXD+6dV
頭おかしいやつがいるw

175:名無しさん@ピンキー
09/05/07 00:38:34 CPj9rM6f
はじめまして。
自己プレイはヘタレの限りなので、
ニコ動のプレイ動画でカンニングしてしまった漏れが通りますよ…

誰が何といおうと真冬×深紅が好きだー!

という訳で投下↓
ハードモードのED後日談的な感じで、エロ無しで申し訳ない。

176:真冬×深紅(1)
09/05/07 00:40:01 CPj9rM6f
たった数夜の…幻のような悪夢が終わった。
強く、強く心の底から望んだ、兄が、帰って来た。私と一緒に。

少しずつ悪夢から立ち直っていく兄を、支えてあげたいと思った。
だけれど、今までの兄とは、違っていた。
時折見せる、寂しげな表情に私はその理由に気づいてしまって、ショックだった。

兄は、あの人に惹かれていたんだと思う。
そう思っただけで、酷く胸を締め付けられた。
一番身近であるけれど、独占は出来ない。そう思い知らされたようで。
それでも。
それでも、私が兄にできることは無いだろうか。
してあげたいと思う事、許してくれるだろうか。

酷く月明かりが眩しい夜だった。
「兄さん…起きてる?」
ノックはせずに呼びかける。答えは無い。気を遣って音を立てないようにドアを開ける。
明かりを消された部屋は、しんと暗く。開けられたままのカーテンから差し込む月明かりに其処にあるものすべてに長く黒い影を落としていた。
そろりと足音を忍ばせて、ベッドに近づく。枕元に立つと、暗くて表情こそ見えなかったが真冬を見下ろした形で自身が立ちつくしていることに、今更ながら臆病風に吹かれて抱えたクッションを抱く手に自然と籠った。
何のために此処に来てしまったのか、上手く理由を整理して置かなければいけないのに。
沢山悩んだ末に決断した行動なのに。後悔と、緊張と、戸惑いとで小刻みな震えが止まらなくなってきた。
(あとで、いっぱい謝ればいいんだもん)
(怒られるかな)
(ちゃんと謝ればきっと、許してもらえる)
そう自分に言い聞かせるように意を決して、真冬の横たわる隣にもぐりこむ。
毛布を頭まで被り込むと、彼の匂いに包み込まれるようで緊張で冷えた肌が心なしか弛んだ。
もっと小さい頃、こうやって彼のベッドにもぐりこんで酷く驚かれたことがあった。
雷が酷い夜に潜りん込んだ時には、ぶるぶると震えてばかりの自分の姿を小さく笑われた。
怖い夢を見たときには、色々なお話をしてくれて怖い気持を紛らわせてくれた。
だから、今度は私の番。


177:真冬×深紅(2)
09/05/07 00:42:13 CPj9rM6f
「……み、…く?」
空気が、パチンと小さくはじけたような気がした。
もそりと小さな身動ぎの後に薄く眠気を纏った掠れた声。ごめんなさい、と
消え入りそうな声で目を伏せて胸元に額を寄せる。
押し当てた肌の表面は一瞬、冷たいとすら思わせたが、程無くしてお互いの体温と混じり合う。
お兄ちゃんは、此処にいるんだ――。
その確信が、深紅の理性を弾けさせた。腕を伸ばして真冬の体にしがみ付いた。
今まで抱えていたクッションが、弾かれて床に落ちたがそんなことは気にならない。
「深紅っ?」
「…お、お説教なら…明日、朝いっぱい聞くからっ…だからっ…」
咄嗟のことで上手く舌が回らなかったが、離れたくない一心で力任せにしがみつく。
「……っ」
「…深紅…苦しいよ」
慌てて腕の力を緩める。
「ごめんなさい、私…わたし…っ」
こんな時器用に立ちまわれる性格でないことを恨んだ。勢いで動いた自分が情けなくて、恥ずかしくて。
「謝らないで。深紅」
深紅を包む声はあくまで優しく温かい。宥めるように泣きじゃくる髪や頬を撫でる掌は乾いていたが柔らかくて優しい。
触れ合う感触は全て、今までのまま。
「私…ずっと考えてた。兄さん、ずっと辛そうだったからっ……だから…何かしなきゃって…」
「うん…」
「私…守られてばかりだから…だから…」
今度は…私が兄さんを…って…思ったのに…上手くいかなかったの…。
だから、ごめんなさい。たくさんのごめんなさいを言わなければと必死に足掻いていたら、強い力で引き寄せられる。
「ごめんな、深紅……っ」
しがみ付かれた首筋に鼻先が押し付けられて、吐息がかかる。
包む腕は強くて硬かったのに、震えていた。
パジャマの襟元を通してじわりと滲む生暖かい感触が何なのかはすぐ分かった。それが切なくて、
腕の中に兄がいるという事実があるのに悲しくて。
嗚咽を殺しながら、兄を抱きしめていることで精いっぱいだった。


今度は、私の番。
今までずっと私を守ってくれていた、大事なお兄ちゃん。
今度は、私がお兄ちゃんを包んであげる番だ――。

ずっとは無理かもしれないけれど。
せめて今はいつかはやってくる朝を、一緒に迎えよう。一緒に。





178:名無しさん@ピンキー
09/05/07 00:50:37 CPj9rM6f
お目汚し失礼しました。
しかも、第一弾目の改行きちんとしてないし…

精進して、次はエロ行けるほどになりたいです。
聲でてこてこ歩く姿がツボったので浴衣ネタか、エプロンネタで。
真冬は表面クールだけど、
深紅のことが絡むと変態的(もしくは超人的)になればいいと思うよ、と。

なんか絡むと超人化
繭>>>>>もはや神>>>鏡華>>>真冬>>


179:名無しさん@ピンキー
09/05/10 12:50:29 jKbrUy4y
入りとしては悪くないんだけど、どうしても書きかけの印象が・・・。
散発でもいいわけだし、気が向いたら続きを書いて見ては?

180:名無しさん@ピンキー
09/05/11 00:36:03 booIK6dC
連投失礼します。
>>179
貴重なご意見ありがとうございます。自分自身SS製作が半年ぶりなので
リハビリの意味を込めて頑張りたいと思います。
そして皆様のお眼鏡にかなえば幸いです。

とりあえず、真冬兄さんは深紅に甘甘であればいいよと思いつつ
その甘さのツケが自分に回ってくる性分に違いないと思って書いてみた。↓


181:真冬×深紅その2(1)
09/05/11 00:37:10 booIK6dC
控え目に聞こえたノック音に、「こんな時間にどうしたんだ」とドアを開けると、目の前には誰もいない。
「兄さん……」
弱々しい声に視線を下に落とすと、視界に映るクリーム色の控えめのフリルをあしらった上下のパジャマ。
それと、廊下にへたり込んだ今にも泣き出しそうな表情の妹と視線がかち合う。
「――何、やってるんだ?」
次の瞬間、静かな筈の夜に似つかわしくない耳を劈く様な雷音が、深紅の怯えた表情に拍車をかける。
そして、其処で妹が深夜にパジャマ姿でこんな処にうずくまっている理由を思い出す真冬であった。

それは、春の終わりを告げる嵐の夜だった。
TVの天気予報で『今夜は暴風雨、雷にご注意ください』という情報は予め知っていたが、
夜が深まるにつれ予想以上の荒れ模様に資料整理もそこそこに床に就こうとした処に、
半泣き状態の彼女が恐る恐るやってきて『怖くて眠れない』と切り出してきたのだ。
――昔から、雷は大の苦手だったものなあ。
月日がたっても苦手は克服できなかったようで、気にせず布団を被って寝てしまえばいいのでは――
という方法では限界があったらしい。

しかし、彼女が切り出した言葉に素直に頷く事は出来ない。
「いつまでも子供じゃないんだから」
「…だ、だって…怖いものは怖いんだもの…」
「あのな…、深紅」
血の繋がった兄妹とはいえ、お互い年頃の男女が一つの寝床に、というのは
余りにも道徳的にも常識的にも宜しくない、という事はいつもなら理解している筈だ。
だが、苦手なものを目前にした妹の意識からはそんな事は欠片も吹き飛んでいるらしい。
怖さの余りか、その眼に黒い睫毛すら濡らすほどの大粒の涙すら滲ませていた。
再度、忠告をしようと言いかけた真冬であったが、再び轟く雷鳴に言葉をかき消される。
「ひっ」
追い打ちをかけられた深紅は、堪らず小さく悲鳴をあげてその場に固まってしまう。
立ち上がることもできず、抱えたクッションに顔を埋めた細い肩が、震え始めた。
「…その…だからな…」
…間違ったことはしていないはずなのだが、深紅の本気で怯えている様子に
逆に自分が悪いことをしているんじゃないかとさえ思えてきた。
出来るだけ、妹を傷つけないように良い方法は無いかと再び思考を巡らせる。
――、一人ではこの現状を打破できないから、勇気を振り絞って此処に来た。
自分を頼りにしているのだから、それに応えるべきなのではないのか。
これは、妹を安心させるためだ。
それ以外の何物でもないんだ。
そう自分に言い聞かせて、真冬は覚悟を決めた。
「――わかったよ、おいで」


182:真冬×深紅その2(2)
09/05/11 00:42:47 booIK6dC
腰が抜けた妹に手を貸し、抱き抱える様にしてベッドまで誘導すると
少し落ち着いたのか小さく「本当にごめんなさい」と深紅が謝罪の言葉を口にする。
…そんな表情をされると更に保護欲をかきたてられてしまう自分が、
何よりも妹に甘いなあという事を自覚してしまう。
「…兄さん、ちょっとお酒の匂いするね」
「まあ、ちょっとはな…酒臭いとかわがまま言うなよ」
「ごめんなさーい」
枕元に横たわりくすくすと微笑む妹の様子に、思わずこちらも笑みが零れてしまう。
お休みと言い残してベッドランプの電源を落とし、自分もベッドに潜り込む。
――但し密着することのないように背を向け、少し距離を空けて。
こちらの思惑などお構いなしで、雷は未だに遣りたい放題の大轟音を窓の外で轟かせている。
其の度に、布越しに妹が体をビクつかせるのが分かる。

早く空模様が落ち着いて、妹が落ち着いてくれるのを祈るばかりだ――。

……だったが。
もそりと背後で動く気配があった直後に背中に柔らかな感触が当たる。
これは、もしかしなくても。
「こ、こら、そんなにくっつくなっ――」
「……っ」
その感触に肉親といえど、彼女は「年頃の」少女である事を嫌と思い知らされる上に、
本能的に胸がどくりと高鳴った。
(何を焦っているんだ僕は――妹なのに)
振り向けない。そして振りほどけない。
元々人見知りな性格も手伝って、異性との接触も少ない為にこういうときにどう耐えればいいのか
どう対処すればいいのか、良い意見が浮かばない自身と、
血の繋がった妹を「女性」として認識してしまっている男の性に毒づく。
「妹」の感触に動揺を覚えている自身に驚きながらも、せめて悟られないようにぐっと拳を握った。
「…そんなにくっつかれたら、僕が眠れないよ」
「だって…」
動揺するな、と言い聞かせていながらも、五感は徐々に研ぎ澄まされて
背中にしがみ付く妹の存在を事細かに思い知らせてくる。
肩を貸した時に触れた肩と腕は、細く壊れてしまいそうだった。
布越しながら押し付けられている妹の胸の、マシュマロのような弾力のある感触。
鼻孔を擽る、自分が使用しているものとは違うシャンプーの甘い香り。
シャツにしがみ付く震える細い指。
稲光と雷音が起こる度に小さく上がる押し殺した悲鳴。
そして先程見た涙を滲ませた表情と女の子らしく可愛らしいパジャマ姿ですら、
妙な艶を色づけされた記憶として真冬の意識を侵食して脈拍を早める。

「兄さん…」
背中にしがみ付いた深紅の吐息が、ふわりと首筋にかかった。
(落ち着け、意識するな――でも)


183:名無しさん@ピンキー
09/05/11 00:49:26 booIK6dC
で、ちょっとここでいったん切ります。

この先は2択として
1:「理性を優先して生殺しに耐える兄」な
ヘタレED か
2:「男は理性の糸が切れたら狼になってしまうんだぞ、と体で教え込む兄」な
初夜ED の2種が用意してあります。

皆様はどちらがよろしいでしょうか…?

雷ネタはベタかもしれませんが、繭澪バージョンもありますので
覚悟ができたらアップすると思います。

184:名無しさん@ピンキー
09/05/12 13:38:04 MXP3zqhY
1が良いでーす

185:181
09/05/18 00:42:21 xY0k1rID
連投気味になってしまって申し訳ないですが…。

ノーマルEDのフラグが立ちました。↓


実の妹を「女性」として意識している自身が、
性別だけでの反応では正しいのだろうが時と場所と相手を考えない事を
浅ましいとすら思っているのに。
触れてくる女体の感触に体の芯がむずむず疼いて、
緊張していなければ言いようのない何かが爆発してしまいそうな。
(耐えろ、耐えるんだ…)
自分は、男である前に、彼女の「兄」であるべきなのだと。
彼女が好意を以って接するのは、「血の繋がった肉親であるから」だと。
突き放して傷つけたくはないし、だからと言って「それ以上」の接触を求めてはいけないのだと。

安心しきった深紅が背中にくっついたままで眠りに落ちた後も、真冬の中では
本能と理性の押し問答が続くこととなる。

ジワリジワリと圧し掛かる眠気が、悶々とする意識を断ち切ってくれたのは
それから一体何分、何十分、何時間後のことだったろうか。


ふ、と意識を引き戻した時、重い瞼を持ち上げて映し出されたのは
薄明るく照らし出された部屋の光景だった。


昨夜の荒れ模様が嘘だったかと思わせるほどに、カーテン生地の縫い目を通して
眩い程の日差しと青空が透けて見えた。
(――朝、か)
隣に密接していたはずの感覚が、無い。
自分一人しか横たわっていないベッドの、シーツの無造作な皺をぼんやり眺めていると、
ドアの向こうでぱたぱたと物音がする。
…きっと深紅が、朝食の準備をしているのだろう。
起きなければ、と体を起こす。寝不足気味のせいで少し体は重いが、それ以外の変化は無さそうだ。
自身の身なりが、ベッドに入る前と変化が無い事も確認したところで胸を撫で下ろす。

(それにしても、あんなに眠るまでが苦痛な夜があるとは思わなかった…)

そう思わせるほどの衝撃の一夜だった。

(もう、あんな生殺しは勘弁だ……)

そう、それにもう、あんな夜は来ることは無いのだ。
そこまで踏まえて昨夜より待ち望んだ安息の朝に、
改めて安堵する真冬であった。


186:181続き
09/05/18 00:43:37 xY0k1rID
「おはよう、兄さん」

ちん、とタイミングよくトースターが軽快な音を立てる。
台所には既にセーラー服の上にエプロンをつけた姿の深紅が、予想した通り
朝食と昼食の弁当の準備をしていた。
「…おはよう、深紅」
一瞬言葉に詰まったがいつもと変わりない妹の様子に動揺を与えてはならぬと、
こちらも何気無い振りして食卓に着く。
「昨夜は…本当にごめんね?わがまま言っちゃって…」
「い、いや、苦手なんだから仕方ないだろ…それより、お前こそちゃんと眠れたのか?」
そこで本来なら「何かなかったか。もしくは自分が何かしでかさなかったか?」と
聞きたかったのだが、多分この質問は理解されないだろうから胸の奥に押し込んだ。
「うん。お陰様で。…それに、兄さんの寝顔見れたしね」
「こ、こら、からかうなよ」
可愛かったよ、と屈託ない様子の妹がこの時だけは、少し小憎らしかった。

もとはと言えば誰のせいで寝不足になったのだと呟いてしまいそうになったが、
…一部は自業自得な訳であるからして、妹を責められない。
「コーヒーでいい?」
「ああ頼むよ…ちょっと顔洗ってくる」
「ついでに寝癖も直してきた方がいいよ」
「あ、あぁ…」
くすくすと笑う妹の笑顔が、眩しかった。


――しかし。
朝食の支度を終えた深紅の中でふと疑問がわき上がっていた。
(今起きてきた、ってことは…さっきまでは寝ていたのよね?
……じゃあ、私がさっき見た「アレ」は何だったのかしら……)
一足早く目を覚ました時に見た、あの……妙な下腹部の盛り上がりは。
(や、やだ、私ったら)
流石にそれ以上の詮索は、異性の摂理に詳しくない深紅には難し過ぎたらしい。


朝の「男の生理現象」をばっちり深紅に見られていたことを、真冬は知らない。
――そして、自室のベッドに残った妹の残り香に、
昨夜の「生殺し体験」を再び夢の中で反芻してしまい、苦悶するはめになる事になることも、
今の彼には知る由もなかった。

END

お目汚し失礼しました。

187:名無しさん@ピンキー
09/05/20 01:20:40 FZVgoIwg
ふぅ・・・・・・
兄さんは偉いなぁ

188:名無しさん@ピンキー
09/05/24 00:28:14 HnYFGNta
零のエロ同人誌出るみたいだな。深紅たんは出るのかな。

189:名無しさん@ピンキー
09/05/24 00:54:05 4rmdhbi9
ちょそれkwsk

190:名無しさん@ピンキー
09/05/24 01:19:40 HnYFGNta
直接サイト貼ったりしたら迷惑だからヒントだけな。
ZERO Searchでググってから、そこで思い当たるキーワードで
検索をかけれ。

191:名無しさん@ピンキー
09/05/27 00:25:10 4g9v8lXe
天倉姉妹待ちの方々には大変申し訳ないのですが、
性懲りもなくやって参りました。

某企画の零同人にて深紅タン成分が補充できればうれしいなと
思いつつ、仕上げた自慰ネタになります。

上のほのぼの兄妹の空気は忘れて読んでいただければ幸いです。


皆様にGJと言われるようなエロ描写ができるようになりたい…。

192:(1)
09/05/27 00:26:14 4g9v8lXe
知られてはいけない。
私はあくまで「血の繋がった妹」でいなければいけないのだから。
想いを閉じ込め戒めることは、自分への罰。
そして、これからもただ過ぎていくだけの
何よりもかけがえのない時間を守るための必然的な方法。


「兄さん…居る?」

居る訳ないよね、とその後に一人ごちて深紅は誰もいない部屋に足を踏み入れた。
前々から言われていた。仕事の都合で今日から取材の為に遠出すると。
3日ほどで戻る、そう言い残していたのも覚えている。
口実ついでに抱えてきた洗濯物をベッドの枕元に置くと、
机の椅子に無造作にかけられた白いシャツに目が止まった。

「もう、また脱ぎっぱなしで放り出して」

世話焼き女房よろしく口を尖らして、シャツをつまみ上げる。

(――残業続きだったのに、今日は早起きしなきゃいけなかったから慌ててたもんね)

寝起きの弱い兄の姿を思い出して、思わず笑みが零れる。
そして、この部屋には、この家には、自分一人誰もいない。

「…ちょっとくらい、良いよね」

ふと、思いつきで手にしたシャツに袖を通してみた。

「やっぱり……大きいな」

男性用と女性用ではサイズが違うのは当たり前だが、改めて試してみると身をもって自覚する。
自身が小柄な分も手伝っているだろうが、指先は袖口に到達しないし、裾も今深紅が身につけているセーラー服のミニスカートをぎりぎり覆う程度に長い。
細身な方だとは、思っていたが兄だって成人した男性なのだ今更ながらに自覚する。


193:(2)
09/05/27 00:27:56 4g9v8lXe
「3日かあ……」

現在の仕事に就いてからの兄は、職業柄残業や出張が多くなっていた。
そんな兄の負担をできる限り減らしたいと、深紅もまた出来る限りの家事と
我慢をしようと心に誓っていた。
それでも一人きりの時に感じる、しんとした空気の圧し掛かるような特有の感覚は
好きに慣れない。
用もないのに部屋に入り浸れるのは好まないというのは知っていたが、
寂しさを紛らわせるためにも兄の確実にいない時を狙って
こっそりと自由気ままにさせていただいていたりする。

たった一人の「家族」の空気を感じたい。――ただそれだけだった。

シャツを羽織ったままで、脇のベッドにそのまま倒れこんでみる。
兄のベッドは、ぼすんと深紅の体を容易く受け止め包み込んだ。

(兄さんの匂いだぁ…)

シャツごと、自分の体をかき抱いてじっと時が過ぎるのを待つ。
深く想う人の匂いと感触に包まれている、そう感じた途端ぞくん、と体の奥底で熱が滲む。

「……ぁ…」
(また……)

最近ではお互い多忙で会話も碌に出来ない状態だったからこそ、敏感になっているのかもしれない。
僅かに身動ぎをした時に、内股が軽く擦れただけで足の付け根が熱くなる。
湧き上がる疼きを抑えつける様に自らの体をかき抱くが、
もじもじと合わせている太腿がしっとりと汗ばんでくるのを感じていた。
(――こんな事、しちゃいけないのに)
頬が熱い。呼応するようにどきんどきんと胸の鼓動が嫌に大きく響く。
じんじんと痺れるような足の付け根の疼きに釣られるように、そろりと伸ばした右手で其処に触れる。
「兄さ……」
此処にはいない肉親の事を呟くだけで、どくどくと鼓動が速くなる。
控え目ながら下着越しに指で軽く押すように触れただけの箇所からじぃん、と
弱い快感が下腹部に立ち上ってきて、思わず息を呑んだ。


194:(3)
09/05/27 00:31:00 4g9v8lXe
「…ぁ……」

――当初は、「これ」が目的で忍び込んでいる訳ではなかった。

「…は…ァ…ふ……」

きっかけは隠してあった成人雑誌をこっそり読んでしまったから?
それともクラスで喧しい男子達の下品な会話を聞いてしまったから?
理由は、いくらでも探すことはできた。

好奇心と欲望に負けて行ってしまった悪戯。
何時しかそれは、ただ触れるだけの行為ではなく、無意識の内に肉親の姿を思い浮かべては
淫らな指戯へ拍車をかけるものとなっていた。

教わったわけでも習ったわけでもないのに、陰部に触れた途端深紅の清純な筈の指先は
刺激を求めて最初は控えめに…しかし段々と貪欲に其処を責め立て始めていた。
装飾も控えめな白のショーツの薄い布越しに触れる秘所のあたりが、
しっとりと湿り気を帯び始める。

「ン…ん…ふ…ゥっ」

指先でなぞる様に、ぷくりとした丘の形をなぞりその谷間に埋める様に押し付ければ、
電流を流されたように弱く腰が跳ねた。
其処を強く愛撫すれば、より感じる――。
何時しかそう植えつけられた意識が、指先を其処に留まらせ埋めた柔らかなクレバスを
更に爪先で引っ掻く様に擦っては更なる快感を深紅自身に与え続けていた。

(ダ…メ……なのに……)

快楽を感じているのに拙い指先がもどかしくて。切ない。

声を殺すために、食まれていた左手の指先は何時しかセーラー服の中へ侵入し、
ブラジャーをずりあげて現れた桃のように膨らんだ乳房をぎこちなく揉みし抱いていた。
ベッドの上であられもなく下肢を開く深紅のスカートは大きく臍まで捲れ上がり、
擦られている下着は執拗に触れられている中心部からじわじわと淫らな染みを広げ始めていたが、そんなことも気にならない程、深紅は自身で与える快楽に没頭していた。
やがて、布越しでの自慰では物足りないとばかりに、
秘所を苛む指先がするりと下着の中に侵入する。

「は……ぁ…」



195:名無しさん@ピンキー
09/05/27 00:46:15 4g9v8lXe
とりあえず今回はここまで。
かきこんでみたら見たで何か違うというか物足りないというかorz

続きはもうちょっと自分なりに推敲してみてから書き込みにまいります。

196:名無しさん@ピンキー
09/05/27 01:59:29 ROllD1SC
乙です。深紅かわいいな。
澪繭も待ってるよー

197:名無しさん@ピンキー
09/05/30 21:48:08 pgPWirAJ
おなじく~

198:名無しさん@ピンキー
09/06/07 12:04:52 DXqB1GJ2
EVEの時間の新作まだかなあ・・・。

199:191
09/06/28 09:28:02 Q9V2Y1h5
澪繭・もしくは繭澪待ちの方々には申し訳ない。
深紅自慰ネタ完結したので、アップさせていただきます。

200:(4)
09/06/28 09:30:55 Q9V2Y1h5


平たい下腹部をなぞる様に下に滑る指先が、既にしっとりと濡れていた薄い茂みに触れた。
くすぐったいような、弱く痺れるような…敏感になりつつある秘所に近づく指の感触にすら、
ぞくぞくとした快感が背筋を立ち上る。
そして、指先が熱を帯びて疼きづつける膣から分泌されていた粘液に触れて、
ぬちゃ…と厭らしい水音を立てた。

自分で見ることはできないが、
興奮と快楽で桜色にほんのり染まる内股の奥…瑞々しい淡い色をした淫唇も
其の奥の肉芽もたっぷりと愛液に塗れて居るだろうことが予想に容易くて、
今更ながらにそんな淫らな反応を見せる自分が恥ずかしくて眼尻に涙が滲む。

(私…こんな、はしたないこと……っ)

兄の部屋で、人知れず自慰に耽っているなんて。
兄を想って、自分の体をこんなに淫らに昂ぶらせているなんて。
――こんな事、絶対に知られたくない。知られてはいけない。
しかし、罪悪感とは裏腹に火照る身体はぎこちなくも更に強い刺激を、一番敏感な箇所に求め始めていて。
ぬるん、と愛液の滑りを借りて指先が割れ目の先端に到達する。
「…や……」
きっかけは何時だったか忘れたが、其処に触れたら抗えない強い快感を与えられることは知っていた。
拒否の意識とは裏腹に、震える人差し指が愛液に塗れた突起に触れる……。

(この先は、ダメ、なのに)
意識とは裏腹に揺り動かされた指先から、瑞々しい水音が零れた。
ぬちゃ…くちゅ…ちゅぷ……
「は…ァっ……!」
割れ目の中でぱつんと張りつめた淫豆を押し潰すように転がすように弄べば、
貪るように蠢く指先の刺激に負けて拒否の言葉はかき消され、
はしたなく腰が揺れ代わりに高い嬌声が零れる。
空いた親指と中指で割れ目を開き、突起からその奥の膣口へなぞるように指を滑らせると
其処は愛液が溢れんばかりに湛えられていてねっとりと指を濡らし、水音を更に高めた。
「ぁ…っあっあっ」
(ごめんなさい)
愛撫の指戯を止めるすべを知らぬままに秘所を荒らしながらも、
此処には居ない筈の兄にまるで許しを求めるかのように、深紅は虚空に懇願する。
(許して)

ましてや、こんな形で兄への想いを知ってしまうなんて。



201:(5)ラスト
09/06/28 09:31:53 Q9V2Y1h5



―――知られてしまったら、軽蔑されてしまう。嫌われてしまう。

望まれることも無い、受け入れられるはずもないであろう感情に気づいてしまうなんて。

開け拓くことの出来ない真実、それを押し込める秘密の行為だからこそ
余計に体が疼いて止まらないというジレンマを抱えてしまうなんて。
(ごめんなさい)
快楽によって蕩けつつある意識が、理性すら侵食する。
せめて乱れた声を上げたくないと、唇を引き結んで声を必死で殺す。
(ああ、でも、この触れる感覚が、兄のものであったなら)
ありえない理想。しかしその想像が、一層深紅の体をを淫らな熱で犯し、敏感にする。
下着の中で秘所を荒らす指先は、快楽を貪る為に既に遠慮も加減も無い。

――今だけは、秘所を責め弄ぶ指は兄のもので。
火照り乱れる自分自身を見下ろし、腕に優しく抱く兄がいて。
『許して、想いに応えてくれる兄がいて』

「にい、さ……!」

そんな都合の良い想像と戸惑いと罪悪感入り混じる深紅の意識を
一段と大きい絶頂の波が、全て吹き飛ばす。
「あ……っ!」
一瞬頭の中が真っ白になるほどの衝撃。
ぎゅううとシーツが乱れるほどに握りしめ、弱くのけぞった体は糸が切れた人形の如くベッドにぐたりと沈んだ。
「はぁ……はぁ…」
役目を終えた指先が離れても尚、愛液に濡れそぼった淫唇と膣口はヒクヒクと痙攣して
腹の奥に快楽の余韻を沁み通らせていた。

「やだ…私……」
体中はじっとりと汗ばんでいたが、意識を侵していた熱は呼吸が落ち着くと同じ頃に
憑き物が落ちてしまったかのようにすーっと冷めてどこかに行ってしまったようで。
我に返って、自身のあられもない姿に赤面する。取り繕うように真冬のシャツを脱ぎ、
ショーツとプリーツスカートの裾を整える。愛液と汗に湿った下着が、
外気に暫く中てられていたためか冷やりと肌に当たって気持ち悪かった。

(――こんな厭らしいことする私を、真冬兄さんはきっと軽蔑する)
身体は絶頂を迎えたが欲望に負けた自分自身を思い知らされたようで、酷く惨めな気分だった。
兄を穢してしまったような罪悪感に、胸の奥からこみあげる様に涙が滲んできて袖口で乱暴に拭う。
(…シャワーでも、浴びて来よう)

そしたら食事の支度をして、明日の学校の支度をして。
いつも通りの自分で居続けなければ。

とにかく、この穢れにも似た感覚を洗い流さなければ、そう言い聞かせるように深紅は腰を上げた。







202:191
09/06/28 09:34:54 Q9V2Y1h5
これで完結になります。
読んでいただいた皆様、ありがとうございました。


姉妹飢えの方々のために、神が降臨してくださることを願います。




203:名無しさん@ピンキー
09/07/04 16:15:21 fBwJ2gfF
静かだな……落ちるの惜しいから保守

204:名無しさん@ピンキー
09/07/05 20:45:15 9lfDudGR
円香タン(*´д`*)ハァハァハァハァハァハァハァハァ

205:名無しさん@ピンキー
09/07/08 13:17:06 jtRW0uKZ
深紅エロイよエロイよ深紅

206:名無しさん@ピンキー
09/07/11 00:16:00 YXuL8Tly
皆さん夏コミの原稿に励んでいるのでしょうか…保守。

207:名無しさん@ピンキー
09/07/23 23:10:15 fOzgNWkp
落としたくないのでほしゅ

208:名無しさん@ピンキー
09/07/29 20:50:28 lbz0DRB6
hosu

209:名無しさん@ピンキー
09/07/31 00:19:57 jo9TDHEt
新参なんだが、過去のSSのまとめってどこに保管されてるの?
>>1のまとめwikiは落ちているみたいだし、知っていたら教えて欲しい

210:名無しさん@ピンキー
09/08/04 03:59:38 8gSP4P7V
保守

211:名無しさん@ピンキー
09/08/05 16:25:46 msYgYJxx
>>209
URLリンク(logexp.hp.infoseek.co.jp)
ここから入ればいいと思うよ。

212:名無しさん@ピンキー
09/08/05 20:17:00 Yv6SsdKO
>>211
ありがとう。助かった。

213:名無しさん@ピンキー
09/08/14 11:17:41 gYKEX8iS
保守

214:名無しさん@ピンキー
09/08/19 06:23:12 GhGrKaTn
緊急浮上

215:名無しさん@ピンキー
09/08/20 18:41:30 mDEqd1VP
>>211
最近のやつは保管されてないんだよね

216:名無しさん@ピンキー
09/09/04 09:49:44 H3y516xy
ほしゆ

217:名無しさん@ピンキー
09/09/05 00:20:09 DlVhH5YO
澪タン繭タン

218:名無しさん@ピンキー
09/09/11 11:04:08 dw7SbkZ8
零の夢見た保守
繭可愛かったけどリフォーム前の実家が舞台で非常に心臓に悪かった…

219:名無しさん@ピンキー
09/09/15 23:32:23 B0JV3tmA
どきどき

220:名無しさん@ピンキー
09/09/20 16:25:16 G+LEf9tX
ageてみる

221:名無しさん@ピンキー
09/10/09 16:40:35 MlxsGQMt
流歌は一人で冒険していたからカプできねぇ

222:名無しさん@ピンキー
09/10/10 15:27:54 kSqHUJHb
つ怨霊

223:名無しさん@ピンキー
09/10/13 21:47:03 Wq2ifL+S
hosu

224:名無しさん@ピンキー
09/11/08 08:13:08 6hB8BpxC
定期保守。

225:名無しさん@ピンキー
09/11/11 10:39:23 kNlnC61U
保守。規制でPCがほぼ全滅だそうだな。
くわばらくわばら。

226:名無しさん@ピンキー
09/11/15 22:51:44 Tu4ZCC5c
どれ。
復活したかな?

227:名無しさん@ピンキー
09/11/15 22:52:06 Tu4ZCC5c
PC復活記念上げ。

228:名無しさん@ピンキー
09/11/16 02:18:45 eYfFieX8
>>221
捏造であのビリーのおっさんか
欲求不満でオナニーか
幼女時代とか

229:名無しさん@ピンキー
09/11/18 17:04:32 K+DJiNJ1
霧島ビリー「お母さんに(エロパロ成立させるよう)頼まれてきた」

230:名無しさん@ピンキー
09/11/22 11:43:17 jAWS1ONz
その日は公園でのんびりしていた。
だいぶ寒くはなってきていたが、それでも今日みたいに天気のいい日なら、ベンチに座っていても、割と暖かい。
もう1ヶ月もすれば、そうも行かなくなるだろう。

缶コーヒーに口をつけながら、怜はぼんやりと周囲の人影を目で追っていた。
明るい日の光の中で、みんな穏やかな時間を過ごしている。
この公園には、しばらく来ていなかった。
彼がいた頃はよく来たのにな、と独り言を言う。優雨はこの公園が気に入っていたようだった。

と、噴水の近くに座っている一人の少年に目が行く。
中学生だろうか? 小柄な少年。なんだかその立ち姿に引かれた。

考えるより早く、立ち上がっていた。
少年に歩み寄る。
向こうもこちらに気がつく。不思議そうな表情。
「ね、キミ。」怜はそう、声をかけた。「写真、撮らせてくれない?」

それが二人の最初だった。



玄関の扉に手を掛けると、鍵はかかっていなかった。
もう、怜さんてば。家にいるときでも鍵は掛けてくださいね、って言ってるのに……。
深紅は食品を詰め込んだマイバッグを持直しながら、ドアを開いた。
中に入り、扉を閉め、きちんと鍵を掛ける。

まっすぐ、台所に向かう。
よい、しょ。と。
心の中でつぶやきながら買ってきた物をテーブルの上においた。
品物をより分けて、冷蔵庫に納める。

居間に向かうと、上着を脱いだ。
「……?」
怜の姿を探したが、いない。
その時、浴室の方から物音がした。

ああ、もう風呂掃除を始めてくれているのだろうか。
そんなことを思いながら、深紅は浴室に向かった。
廊下を歩いて行くと、浴室のドアが開く音がした。

「怜さん─。」そう声を掛けながら、脱衣所を覗き込んで、深紅は息を呑んだ。
裸の怜。それは予想していた。が、さらにもう一人見知らぬ人間がいる。
濡れた黒い髪。色の白い、小柄な少年だった。
まだ、子供っぽい顔立ち。ほっそりとした華奢な体つき。でも、意外と筋肉質……。

と、ずーっと下に下りていく深紅の視線に気づいて、彼はぱっと前を隠した。

「あ。」ふと我に返って、一気に汗が噴出す。(ばかーっ。何をまじまじ見てんのよ、あたし!)
「あ、ご、ごっ。」言葉が出ない。
が、とにかく視線を切る。深紅はぱっと後ろを向いた。
「ごめんなさいっ!」
そのまま、慌てて、台所にとって返す。
が、頭の中はパニック状態だ。

(だ、だ、だ、誰?)



「えー。紹介します。」


231:名無しさん@ピンキー
09/11/22 11:44:14 jAWS1ONz
服は着ているものの、まだ髪の毛の濡れている怜が、かしこまって声を発した。
「ゆきおくんです。」
「畑山由起夫です。」
頭を下げた少年の髪もまだ、濡れて光っていた。

ソファに座って、湯上りの二人に相対して座った深紅が、つられて頭を下げる。
「あ、で、二人はどういう……。」
言いながらも、頭の中である言葉が浮かぶ。
(まさか、まさか、まさか……。)

援助交際。
しかも、「逆」。

─いやいやいや。いくら型破りな怜さんでもそれは。

「ええ、とですね。」少年が口を開いた。
「あ、いい、あたしが説明する。」それを制して怜が話し始める。
「由起夫君はね、あたしのモデルをしてくれてたの。」
「してくれていた?」深紅がその部分を聞きとがめる。
「うん、えーと、まあ、そもそもはね。」
怜は、一週間ほど前に公園で由起夫を見かけて、声を掛けたことを説明する。

「でまあ、部屋に呼んで、撮影を。」
「部屋に?」
「カメラ持ってなかったから、じゃあ、家に来て、見たいな感じで。」
未成年者を自宅に連れ込んだ、と。
「で、ここでぱらぱらと何枚か撮ったんだけど、その内、ちょっと、肌が見たくなって。」
「─なんだか、話が見えて来ましたね。」
「で、上半身だけ脱いでもらおうかな、と思って、ポーズをとってもらったまま、
彼のワイシャツのボタンをはずしてたら、なんか変な気分になってきちゃって……。」



少年のワイシャツの前をはだけさせると、意外に厚い胸板が現れて、
怜はどきっとした。
(へえ。可愛い感じだけど、やっぱ男の体だな……。)
思わずその肌の表面に指を走らせる。
─ぴくりと少年が身じろぎする。

「うん。綺麗な肌してるね。」思わずそう言っていた。
「そ、そうですか?」緊張した面持ちのまま、少年は答える。
「うん。由起夫君って言ったっけ。なんかスポーツやってるの?」
「部活はテニスやってます。」
「おー。だからかな。意外と男の子っぽい体つきなんでびっくりした。」

そのままワイシャツの隙間から手を滑り込ませ、まだ瑞々しい少年の体に指を走らせる。
「あ、」ぷるるっ。由起夫は体を震わせた。
「くすぐったい?」
「ぞくぞくします。」
「鳥肌立ってる。寒い?」
「そうじゃなくて、なんか……。」
「あ。」
「え?」

怜は赤みを帯び始めた少年の顔を覗き込みながら、声を低くした。
「乳首も硬くなってる。」
少年の体にある、小さな突起に指を掛ける。
「んっ……。」
素直な反応に、怜はにこりと微笑んだ。


232:名無しさん@ピンキー
09/11/22 11:44:51 jAWS1ONz
「可愛いなあ。ねえ。こんな風に女の人に触られるのって、気持ちいいでしょ。」
「はい。」
「もっとして欲しい?」
「はい。」
「いい子。─じゃあ、とりあえず、ズボン脱ごっか。」

怜はちょっと由起夫から体を離した。手を前に伸ばし、少年のそれに、服の上から手を重ねる。
「こんなに大きくなっちゃってたら、痛いでしょ。ベルトはずして。」
かちゃかちゃ。じーっ。由起夫はベルトをはずして、ジッパーを下ろした。
下着のやわらかい布地を押し上げるものが、頭を出した。
ズボンのポケットに携帯が入っていたらしく、ベルトから手を離すと、どすん、
と音をたてて、少年の下半身を覆っていたものが、足首まで落ちた。

「パンツも。」短くそう指示する。
「いや、でも……。」
「だめ。自分で脱げないなら、してあげないよ?」
のろのろと由起夫は自分のトランクスに指を掛けた。
硬くなったものに引っかからないように、前を広げるようにしながら、ゆっくりと膝まで下ろす。
手を離すと、それも足元に落ちた。
彼は足元に出来上がった布の山から足を抜き、つま先で傍らに押しやった。
「これでいいですか?」
所在無げに、手でシャツの裾をたくし上げている。

怜は黙って、由起夫の前に膝をついた。
そして、目の前にある、少年のものを愛おしそうに見つめた。
「おちんちん、おっきいね。」やさしくそう声を掛けた。
「そうですか? よくわかんないですけど……。」
「おっきいし、綺麗。もともとの色が白いからかな。ピンク色。」
言葉で攻めると、それに反応して、さらに目の前のものが力を増すのが分かった。
「触るよ。」
「あ、はい。」

左手を硬く上を向いた陰茎に添える。由起夫の体にさっと緊張が走るのが見て取れた。
右手は手のひらを上に向け、下からそっと陰嚢を掬いあげる。
怜の人差し指の腹が垂れ下がった部分の、裏に触れた。
軽くなぞると、しっとりと汗ばんでいるのが分かる。
「あ。」由起夫が身をよじる。怜はかまわず、少年のものを左手で柔らかに、さする。
その手つきは慣れたものだ。右手の掌は陰嚢を包み込み、指先でやさしくその裏側をくすぐる。
「うあ、あ。」静かな部屋に、少年の声だけが響く。

やっぱりいいなあ。
「あたし、おちんちん大好き。」怜はぽつりと言った。
「─え?」
「でも由起夫君のは特にいいかも。ね。これ、食べていい?」
「なんですか?」
「ってか、食べちゃうよ? 我慢できないんだもん。いただきます。」
怜の唇が、少年の先端に寄せられた。
顔を近づけると、それがすごい熱を発しているのが感じられる。
怜は唇を開いた。やわらかい唇を掠め、歯と歯の間にそれが滑り込んでいく。

「あ。」
由起夫は、自分のものが、暖かく、濡れたものの中に包まれるのを感じて、全身を振るわせた。



ごくり。深紅は自分のつばを飲み込む音を聞いた。
喉がからからだ。
テーブルの上の紅茶に手を伸ばすと、自分でも分かるくらい、指先が震えていた。
ソーサーごと取り上げた、カップはかちゃかちゃと細かい音を立てた。


233:名無しさん@ピンキー
09/11/22 12:09:11 jAWS1ONz
「で、あたしがフェラしてると、由起夫君が可愛い声を上げるから、あたしもなんだか変な気持ちになってきちゃって。」
怜はよどみなく言葉をつなげて、由起夫をどんな風に愛したのか、説明を続けている。
(え、これ、なんの罰なの?)
深紅は、わきの下を汗が伝わるのを感じた。
(あたし、なんか悪いことしたっけ?)

顔を上げると、怜の隣で、やはり件の少年が真っ赤になっているのが見えた。
少年の膝の上には怜の手が乗っていた。その手がゆっくりと少年の太ももをなでている。
(これはいじめだ。)
深紅はちょっと涙ぐみそうになった。

「少しして、由起夫君が行ったんで、あたしは後始末をして、その日はお開きにすることにしたの。」
怜の説明は続いていた。
「でも、あたしはその日、何にもしてもらえなかったから、欲求不満で。
また会える?って聞いたら、由起夫君が来てくれるって約束してくれたのね。
それからあたしたちは時々会うようになったの。」

「詳しく説明してくださってありがとうございます、怜さん。」
「事情はそんな感じ。」
「じゃあ、二人は付き合ってるんですね。」
「え。」
「なんですか、え。って。」
「由起夫君、彼女いるし。」
「え。」
「なに、え。って。」
「じゃあ、二人は付き合ってないのに、そういうえっちなことをしてるんですか!?」
「うーん。まあ、大人の関係?」
「由起夫君は子供じゃないですか!」

深紅は少年に目を向けた。
「由起夫君。君はそれでいいの?」
「僕は。」問い詰められて、由起夫はおずおずと声を出した。
「いろいろ、そういうの、自信がなかったんですけど、怜さんが教えてくれて、すごくよかったです。」
「彼女ともまだ、キスしかしてないんだって。」怜が口を挟む。
「ん? あ、じゃあ、由起夫君はまだ……。」
「そう。今日までドウテイだったわけだしね。」
そこでまた、深紅はぴくりと言葉を聞きとがめた。
「何ですか、今日まで、って。」
んふーん。怜が得意そうに隣の由起夫の体を抱いた。
「今日、とうとうしちゃったんだよねー、あたしたちー。ねー、ゆきおくーん?」

ぷつ。

深紅の中で何かが切れた。
「な、え、じゃ、じゃあ……。」
「由起夫君の初めてはあたしでーす。いえーい。」

ぱたっ。

ソファの上で、深紅の体が横倒しになった。
「あれ? 深紅? 深紅! 大丈夫っ!?」

それが三人の最初だった。


234:名無しさん@ピンキー
09/11/24 19:29:43 fF7x6Ibq
GJです

235:名無しさん@ピンキー
09/11/24 22:40:14 D67bRG2K
最高だわw
怜さん政権交代(麻生優雨→は“た”山由紀夫)ってわけですね
ユッキー羨まし杉

236:名無しさん@ピンキー
09/12/14 13:29:13 hKFAOnPC
保守

237:名無しさん@ピンキー
09/12/21 17:46:19 aIR14d+9
流歌「流歌♪流歌♪ないとふぃ~ば~♪」



海咲「………(どん引き)」

238:名無しさん@ピンキー
09/12/24 01:59:51 l2QIjx95
ちとせちゃん、おじさんのぞうさんをなめなめしたら、サンタさんがくるよ。

239:名無しさん@ピンキー
09/12/24 05:27:19 4UNliIen
千穢

240:名無しさん@ピンキー
09/12/26 18:49:01 xfqnLao5
院長に治療と偽られ処女を奪われる海咲とかいいと思うんだ
学生の設定だとなおいい


流歌とのまったりとしたラブラブなエチもいいと思うんだ

241:名無しさん@ピンキー
09/12/29 10:57:07 mLlLW7hc
誰か海咲×円香のSS書いてくれんかね
エロ有りで

242:名無しさん@ピンキー
09/12/31 04:43:16 4KYtzwWM
いやなこった

243:名無しさん@ピンキー
10/01/02 04:08:40 5YYiN20B
俺も待ってるよ。>海咲円香
エロ有見た事ないよなこの二人…

244:名無しさん@ピンキー
10/01/03 23:31:12 BacNE30U
>>234-235
由紀夫くん話書かせてもらった者です。
規制にかかって書き込めなかったんだけど、わざわざレスありがとう。


245:名無しさん@ピンキー
10/01/12 03:07:35 8WVMGOnX
これからも素晴らしい出会いに期待をしつつ捕手

246:名無しさん@ピンキー
10/01/17 14:40:39 vIZ4pMmS

iphone3GS
バージョン3.1.7(7D11)
モデルMC133J
モデムファームウエア05.11.07

使ってるんだけど、これで脱獄ってできるの?
なんか仮釈放くらいしかできないって聞いた。
具体的にはデザインとか変えたいんだけど。

247:名無しさん@ピンキー
10/01/17 14:41:13 vIZ4pMmS
やべ、誤爆
すまそ

248:名無しさん@ピンキー
10/01/17 14:45:51 wNxQV9d3
>>247
保守乙。

249:名無しさん@ピンキー
10/01/27 14:35:32 OkM8TROB
保守

250:海咲×円香
10/02/02 11:27:25 f9V2qc3z
あまりにも誰もいないみたいなので海咲×円香で妄想駄文初投稿
誰も書かないよりはマシだよね…

百合(微エロ)注意
始めて書いたものなので本当に駄文です
みさまどだとッ!?なんでも構わん!!というお方や仏のような寛大な精神の持ち主のお方はどうぞ読んでやって下さい



251:海咲×円香
10/02/02 11:28:04 f9V2qc3z
疲れた。円香、ちょっとお茶いれてきてよ」
「まだ始めてそんなにたってないよ海咲…」

蒸し暑い夏の季節も遠のき、秋の雰囲気の漂う少し肌寒い夜、二人の少女、
麻生海咲と月森円香がせまりくる中間テストに備え、テスト勉強にいそしんでいた

「やめる、とはいってないでしょ。お茶入れてきてって言ってるの」
「ご、ごめん…紅茶?」
「うん」
「ちょっと待ってて」

トトト…と部屋から出ていく円香を尻目にサラサラとノートを写していく海咲

二人でテスト勉強、といってもほとんど別の作業で海咲が円香のノートを写し、
円香はいつも通りの予習をしているだけである

真面目な円香は後に海咲が見るということもあってか授業の内容をしっかりノートに写し
なおかつ復習やテストに出そうな所を几帳面にメモまでしている。

そんなノートのお陰もあってか円香はもちろん、海咲の成績は上位であった

だが海咲の場合普段ほとんど真面目に勉強をしないのにもかかわらずテスト前のちょっとの
勉強で点が取れるという事をみると元々頭が良いという事なのだろう


円香がお茶を入れに行って数分後「海咲、入っていい?」とドアの外から声がかかってくる

「どうぞ、いちいち確認いらないわよ…」
と答えるがなぜか部屋に入って来ない

「えと…その…」と扉の外でモゴモゴと聞こえる

「どぉしたのよ…」
「あの…両手がふさがっちゃってて…」
「あぁ…」
開けてほしいならそう言いなさいよ…と思いつつ扉を開けるとほのかに湯気のたったカップを両手に持ったまま
「ごめんね、ついでだから自分のもいれちゃって…」
と心底申し訳なさそうに謝る円香
「…お盆とか使いなさいよ」
「ごめん…」
「て言うか寒いから早く入って」
「あ、うん…ごめんね」
「全くもぅ」
とスゴスゴと入ってくる円香を迎えれ、やれやれと溜め息をつきながら扉を閉める海咲

どう見ても紅茶を入れるのを頼んだ人間の態度ではない
そもそも紅茶を頼んだのは海咲であり、部屋に入れなくなった事など諸々海咲が原因なのだが
労いの言葉はおろか、気のきいた言葉もはない。
二人にとってこのような光景は常であったが不満を漏らしたところで海咲が
不機嫌になるだけ、と言うのは誰よりも円香がわかっているし、物心ついた頃からずっと一緒にいるので
ほとんど慣れっこであった


252:海咲×円香
10/02/02 11:28:40 qM46mNKG
「ストレートで良かった…?」
「うん」
二人で勉強するには少し小さめなテーブルに紅茶の入ったカップを置き心配そうに聞く円香
「こんな時間だしミルクティーって気分じゃないわ」
そう言って紅茶を一口飲み
「…美味しいじゃない」

いつもの気の強そうな顔がフワリと柔らかい笑顔になる

「ホント?よかった」
それを聞いた円香もパァっと明るい表情になる

普段から凛とした表情崩さず、特に笑顔などは見せたりしないので周りの人間には美人だが近寄りがたい
存在となっている海咲だが、時おり円香だけに見せる笑顔が、円香は好きであった

他人には見せないその笑顔が見れただけで、どんな苦労も何も溶けてなくなってしまうのだから単純だな…と円香は自分でも思う


それからは特になにかあるわけでもなく、静かな時間が過ぎていった
プライドの高い海咲はノートを見せてもらうことは許すくせに、円香に勉強を教えて貰うといったことはしたことがなかった。

その為部屋には二人のノートにペンを走らす音、時おりページをめくる音、そして窓の外から
控えめな虫の声だけが少々聞こえるだけであった


そうこうしてる内に時刻は深夜0時を過ぎた辺り
「終った…疲れた…」
「あ…お疲れ様」
「ノートは全部写し終えたし後は明日やるわ…私はもう寝るけど円香はまだ続けるの?」
「え、と…海咲が寝るなら私も部屋に戻ろうかな…」
「…そう」

明日も学校があるのでそろそろ寝なければならない
円香が自分の部屋に戻る為に片付けてをしていると

「…今日はこっちで寝れば?」
とベッドに座りながら円香の方を見ずに問いかける海咲

予想外の申し出にドギマギしながら
「え、でも…明日学校だし…」
「…いいから」

とベッドから円香の手を取る海咲

二人で一緒に寝る、というのは始めてではない
円香が麻生家に引き取られたばかり頃海咲は隣に誰か寝てないと落ち着かないから、とほぼ毎日
一緒のベッドで寝ていたのだがそれも小学生までで、中学、高校に進むにつれて減っていった
しかし、元々霊媒体質の海咲が霊的なものを見てしまった日や、感じたりする日はやはり円香と二人で寝ることはある

そしてもう一つ…



253:海咲×円香
10/02/02 11:31:16 f9V2qc3z


海咲に導かれるようにしてベッドに座った円香
少しの間見つめ合うが、恥ずかしさからか頬を紅く染めて目線を少し下にずらす円香


繋いでない方の手をソッと円香の頬に置き
「円香…」
といつもよりも少し甘い声で囁くようにこえをかける海咲

そこで観念したのか顔を紅く染めオズオズと頬に置かれた手に自分の手をかさね、スッと目をつむる円香

それを見て満足そうに微笑み、海咲はそっと円香の額に唇を落とす
額に触れた瞬間「ん…」と声をもらす円香
その様子に胸がくっとしまる感覚を覚える海咲
そのまま唇を重ねようとすると…

「み、みさき…」
「…なによ」
「伯父さん達が起きちゃうよ…」
麻生の家に引き取られた円香は海咲の父親と母親を伯父さん伯母さんと呼ぶ

「大丈夫よ…もうとっくに寝てるし」
「でも…」

これからって時に…
とその時、海咲の心に悪戯心にも似た何かが芽生えてきた

「それに…誰も最後までやるなんて言ってないでしょ?」
「…え?」
「私はただ一緒に寝たらって言っただけよ?」
「そ、それは…」
「もしかして期待しちゃった?」
「ち、違うよ…」

フフ…とどこか艶のある含み笑いをしながらサラリと言う海咲

「今のはお礼よ、ノートの」
「…」
「ひょっとしてがっかりしちゃった…?」
「そ、そんなこと…」
「ウソ…そんなに顔紅くして説得力ないわよ…?」
「うぅ…」

少し虐め過ぎたかしら、と思ったがこれからって時に余計な事を言ってきた円香が悪いんだから
と悪びれる気は全く無い海咲なのであった



254:海咲×円香
10/02/02 11:32:23 f9V2qc3z


「でも…」
「ん?」
「海咲だって顔…真っ赤だよ…」
「えっ」
ハッとして自分の頬に手をあてる海咲
(熱い…)

透き通る様な白い肌の海咲は円香に負けず劣らず真っ赤になっていた

「な、なによっ…もぅ電気消してきて!」
「ご、ごめん」

予想外の反撃に少し声を荒らげてしまった

パチッ

程なくして扉の傍の電気を消す音と共に部屋が暗くなり窓から入ってくる月の光だけがうっすら照らしているのみとなった
海咲はその時になって始めて今日は月明かりがとても綺麗だと知った

月の光と手探りを便りにベッドに近づく円香
と、ぼんやりと窓の外の月を眺める海咲がうっすらと見えてくる

(…綺麗)
日本人離れした目鼻立ちのしっかりした海咲の顔は月の光に照らされていつにも増して艶めかしく、美しいく写っていた

思わず見とれてしまう円香
と、それに気付いた海咲は
「なに…どうかしたの?」
とうっすらと見える円香に視線を向けて尋ねる
「…え?あ…海咲が綺麗だなって思って…」
と伏し目がちに正直に答える円香
言われた海咲は「バカじゃないの…」とついっと顔をそむけるが月の明かりでも耳が紅く染まっている様に
見えるのは円香の気のせいだろうか


255:海咲×円香
10/02/02 11:33:03 f9V2qc3z

そしてベッドまでもう少し、というところで突然腕を掴まれ、そのままベッドに押し倒されてしまった

「み、海咲…?」
「…今日は優しくしたげようと思ったけど」
「…」
「気が変わった」
「寝るだけじゃ…なかったの…」
「言ったでしょ?気が変わったって…」
「でも…ぅん!?」

言い終わらない内に唐突に唇を塞がれたため最後まで言うことはなかった

ちゅ… ん…ふっ…んん…

部屋にはどちらとも取れぬ声がうっすらと聞こえる

始めこそ少しの抵抗をしていた円香だったが、直ぐに海咲を受け入れ始めていた

始めはお互いの唇をついばむように重ね、そして海咲はうっすらと開かれていた唇の間に自らの舌で少し舐める
するとオズオズと円香も舌を絡めつつその舌をを自らの口内に受け入れる

その頃になると円香の腕がそろそろと海咲の背中に回ってくる


こうして二人の甘い長い夜はふけていった







翌朝…と言ってもまだ外はかなり薄暗い時間に携帯のアラームがピピ…と一瞬だけ鳴り、反射的にアラームを止める円香
両親が起きる前に自室へ戻らなければならない円香は自分だけに聞こえる様に携帯のアラームをセットしていた

元々寝起きは良い方のなのだが、流石に起きるのが億劫だった
でも起きない訳には行かない

ふと、起こしてしまってないかと隣で眠っている海咲を見る
寝る直前お互いを抱き合うようにして眠りについたが今は仰向けでスヤスヤと規則正しい寝息立てて眠っている
普段の大人びた顔付きではなく、まるで子供のようなあどけない寝顔に、円香は少し胸がざわつくような気がした

「…みさき?」
ソッと愛しい人の名前を呼んでみる
やはり眠っているようで返事は帰って来ない

ちょっとぐらい良いよね…
ごめんね…と心の中で詫びつつゆっくりと海咲の顔を寄せ、もう少しで唇が触れる寸前で
「海咲…大好き…」
と吐息の様な切なげな言葉を囁きソッと唇を合わせた

これからも海咲の気分で冷たくされたり、わがままを言われたり素っ気なくされたりするだろう
だが海咲さえ望んでいてくれるならずっと側にいたいと願う円香なのだった

ちなみに翌朝、起きたら隣に円香が居なかったという理由で半日以上ずっと不機嫌だった海咲に
原因が分からない円香が振り回されるのはまた別のお話



256:海咲×円香
10/02/02 11:38:21 f9V2qc3z

以上です
作品を投稿するのもはじめてなので区切るとことか規制がかかったりして
中途半端なとこで区切ったりしてますすみません…orz

感想とか一言でももらえるとうれしいです

誰かこれをきっかけにSS投稿増えるといいな…

257:名無しさん@ピンキー
10/02/03 17:30:24 +rsbb7/S
乙!
やっぱみさまどはいいな!

258:名無しさん@ピンキー
10/02/03 23:49:18 KTqvVnx8
まさかこの時期になってみさまど読めるとは夢にも思って無かったわw
内容もすごく良いしGJ!

259:名無しさん@ピンキー
10/02/04 17:34:05 XfVuIO7I
規制で書き込めなくてレスが遅れましたみさまどSS書いたものです
>>257-258
うおぉぉレスありがとうございます!
みさまどいいですよね!零SSは昔から読んだりしてたんですがみさまどにはまったのは最近ですw
実はもう一本みさまどでSS書いてるんで完成したらまた読んでやってください!

260:名無しさん@ピンキー
10/02/06 02:41:17 x5g0hCts
久しぶりに覗いたら上物が来てるじゃないか(*´ω`)ハァハァ
新年一発目だし、こりゃGJだぜ

261:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:36:29 4OEAryLp
どうも前回みさまどを書かせてもらった者です
レスありがとうございます!自分にはもったいないお言葉でとても嬉しい限りです
と、いうわけで性懲りもなくまた書いてしまいました

一足早いですがバレンタインネタで作ってみました
また海咲×円香です 百合注意
長いです。本当に長いです。ちゃんと短くまとめれないのも文章がないせいです…すみません…
長すぎて規制されたりして変な所で区切っちゃうかもしれないので日を分けて投稿させていただきます
一応もう書き終わってるんですけどね
なにっ!みさまどだと!?長ければ長いほどいい!!てか短くてもいい!えぇい何でもいいっ!早くしろ!というお方や
どんなSSにしろ作品が投稿されるのはいいことです。といった悟りを開いてるお方などよければ読んでやってください
長すぎて規制されたりして変な所で区切っちゃうかもです。変なところで終わってたら規制されたと思っててください


262:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:37:41 4OEAryLp

今日は2月14日のバレンタインに後一日と迫った2月13日世間はバレンタイン一色に包まれていた
一歩街を歩けばバレンタイン、テレビをつければバレンタイン、誰かと話をすればバレンタイン
麻生海咲はうんざりだった
はっきり言って海咲はバレンタインが好きではなかった
チョコレートが嫌いと言うわけではなく、バレンタインの雰囲気が嫌だった
男も女も何やらソワソワとして落ち着かないし、世間がバレンタインへの参加を強要するかのような煽りも不快だった


その夜、風呂から上がった海咲は台所で食事の後片付けの手伝いをしていた円香に風呂が空いた事を伝える為に食堂に行こうとすると
食堂に近づくにつれ、台所から甘い匂いがしている事を気がつく
あぁ…明日はバレンタインだったわね…
2月に入ってからのそこら中でのバレンタインプッシュのお陰で嫌でも直ぐにわかる

そんな事をぼんやりと考えつつ、食堂を通り過ぎ台所を覗く海咲

そこには友達であり家族でもある月森円香の見知った華奢な背中があった

「円香」
と声をかけるとビクリと驚いた用に振り向き
「あ…海咲」
と少しバツの悪そうな顔をしてニコリと笑った

何故そのような顔をしたかと言えば、単純に海咲がバレンタインというイベントをあまり良く思ってないというのを知っているのと、だからといって円香が海咲に何も贈らなかったりすると一週間以上は不機嫌になる事は確実なので
何だかんだで毎年何かしらチョコレートを送っている円香はなるべく何を作っているか内緒で進めたいというのがあるからである

「何作ってるの?」
分かってるが一応聞いてみる
「えと…クッキー…今年はちょっと頑張ってみたんだけど中々うまくいかないの」
そういって少し照れた様な顔をしてえへへと笑う円香

ふぅん…と興味の無さそうな返事をした後お風呂空いたから、と伝え、その場を後にしようとしたのだがふと、いくつかの出来上がったクッキーが目にとまった

それに気付いた円香が
「あ、それ失敗作…焼きすぎちゃったみたいで、ちょっと固くなっちゃった」
「そう…一つ貰うわよ」
その中の一つを摘まんで尋ねる海咲
「いいけど…ちょっと苦いよ?」そんな答えを聞いてか聞かずかお構い無しにひょいと口に放り込む海咲

出来たばかりと思われるクッキーは香ばしくて味も悪くない
強いて言えばちょっと固いが全く気にならなかった
「これが失敗作?…普通に食べられるし美味しいわよ」
「ホント?ありがとう」
素直に喜ぶ円香
「でも駄目なの甘さも足りないしもっとサクサクしてる筈なんだけど」
「わからないわね…充分食べられるならいいじゃない」
そう言う海咲に円香は首を軽く横に降り
「海咲には…ちゃんとしたの贈りたいから…」
そう言った後にもちろんお義父さんとお義母さんにもね、と少し慌てたように付け足す円香の頬は少し赤い

そんな様子に一瞬ドキリとなりながら、それに気付かない様にして
「…まぁ頑張りなさい」
とそのまま自室へと戻る海咲

「よくやるわね…」
自室に帰りベッドに座りながらポツリと呟き、何気なくベットの上にあった雑誌を開いた

必勝!!大切な人にチョコレート!バレンタイン大特集!!

パタンと読まずに雑誌を閉じそのまま雑誌はまた枕元に放り投げておいた

263:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:38:25 4OEAryLp
そして次の日の2月14日バレンタイン当日

海咲は朝食を食べながらテレビから流れるバレンタインチョコ人気ランキングを聞き流しつつ今日が何事もなく終わってくれることを密かに願った
実を言うと海咲がバレンタイン嫌いな理由はもう一つあった
言うまでもなくモデルの様な美少女の海咲は男女問わず人気があった
基本的に他人に態度は冷たいので余り表だってモテてる、と言うのとは違うが交際を申し込まれることは決して少なくは無かった
そんな男女問わず人気な海咲がバレンタインと言う絶好のイベントに何事も無く過ごせた試しほとんどは無かった
憧れのアイドルにプレゼントするつもりでチョコを渡してくる後輩女子学生
ガチで告白にくる女子学生、どさくさに紛れ告白してくる男子学生等からチョコ等を貰うものの、正直知らない他人から物を貰った物を食べる気は全くしなかったし、だからといって「いらない」と断ると泣き出す様な女子学生まで現れる始末

海咲がそんな事を思い出し少し憂鬱になっていると
先ほどまで隣に座って朝食を食べていたいた円香がいつのまにやらいなくなっている事に気付いた
と思うと円香が綺麗にラッピングされた袋を持って食堂に現れた

「お義父さんお義母さんバレンタインのクッキーなんだけど…良かったら貰って」といって両親に包みを渡す円香
「おぉありがとう円香」「私にも?ありがとうね円香ちゃん」

そう言って嬉しそうに受け取る両親を尻目に(はいはいどうせ私はお菓子とか作れませんよ、親孝行な娘じゃなくてごめんなさいね)と心の中でぼやきつつトーストをかじる
「あの…海咲?」
と、いつの間にか隣に少し不安そうな円香がオズオズと話しかける「なによ」
「…海咲にも…良かったら」
「…そりゃ貰うけど」
「ありがとう」
そう言ってホッとした様子でにこやかに、可愛らしく包装されたプレゼントを渡してくる円香
ありがとうって逆でしょ普通…
自分でわかっているのにお礼の言葉は素直に出てこない

その横では「開けていいかい円香?」「まぁお父さんたらせっかちね」と幸せそうな両親が早速円香の手作りクッキーに舌鼓を打ち「うん、流石円香美味しいよ」と感想を述べている
それを聞いた円香もホッと安堵した表情を浮かべている

…なにか面白くない
「ごちそうさま」
そう言って円香から貰ったプレゼントをテーブルにおき、そのまま学校指定のコートを着てマフラーを巻いてカバンを持ち学校に行こうとする海咲
「あ、海咲…これ…」
とテーブルのクッキーの袋を遠慮がちに指差す円香
「帰ってきてから食べるわよ。もう学校行くわよ?」
「え、あ…ちょ、ちょっと待って」
少し何か言いたげな円香だったが慌てて準備をしはじめる

そんな円香を尻目に「行ってきます」と両親に告げ円香を待たずにそのまま玄関の扉を開けた


264:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:38:58 4OEAryLp
2月の半ばだけあって外の空気はまだとても冷たく少し身が縮むようだった
その寒さを誤魔化すように歩いていると少しして後ろから円香が追いついていた
そんな円香を一瞥だけし、そのまま歩き続ける海咲
そんな雰囲気の海咲を察してか円香も何か話すわけでもなく、しばし無言で並んで歩く二人の少女

とそこへ少し強めの風がふいたて思わず身をすくめる
(今日ニュースでは冬のわりに暖かい方とか言ってたのに…)そんな事を考えながら何気なく隣の円香を見ると…
「…あなたマフラーはどうしたのよ?」
円香はコートを着てるだけでマフラーをしていなかった
「え?あ…」
「忘れたの?」
「そうみたい…」
「全くもう…取りに帰ったら?」
「あ、いいよもうだいぶん駅に近いし、今日はあったかい方みたいだし」
どこがよ…と海咲は思ったが「そう…」とだけ返してそのまま登校することにした
心の何処かに自分が急かせたせいで円香はマフラーを忘れたんじゃないかと思い申し訳なく思う自分がいたがやはり素直に詫びを入れる事はできない
そんな自分に対して軽い憤りを覚えながら海咲と円香は学校に向かった

まだ登校時間には少し早い時間と言うこともあってか学校に登校してくる生徒はポツポツとまばらである

校門をくぐり駄箱をカチャリと開けるとなんとチョコレートらしき袋が入っている
今時珍しい方法ね…半ば呆れつつそれを何気なく手に取り、取りあえずカバンにしまう。
勿論食べるつもりはない。ただでさえ他人から貰ったチョコを食べるのを嫌がる海咲が顔も知らない他人のチョコを食べる気はサラサラ無かったがこのまま入れっぱなしにするのもおかしい
毎年の事だがこういったチョコをどう処理するかが悩みの種であった
食べないからといって捨てるのは勿体無い、というか気が引ける

海咲は溜め息を付きながらしょっぱなから幸先が悪いわ…とうなだれるのだった

それからは休み時間や教室移動の際に呼び止められたりしてチョコ等を渡されようとするが基本的に受け取るのを断れば諦めていたのでそれほど大変ではなかった
しかし女子校じゃあるまいし何故に渡す相手が私なのよ…と海咲は心底複雑な思いであった


265:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:39:50 4OEAryLp

そしてそんなこんなで昼寝みの時間になった
いつものように少し小さめな弁当を持って海咲の席にくる円香
自分の弁当のフタを開けながら
「やっと半分過ぎたわ…早く学校終わらないかしら…」
と独り言の様に呟く海咲
そんな様子の海咲を少し心配そうに気遣いながら
「海咲今年はいくつ貰ったの?」
と聞きにくそうに尋ねる円香
「そんなのいちいち数えて無いわよ」
ぶっきらぼうに答える海咲
「ごめん…」
そう言って悲しそうにうつ向く円香を見て(円香に八つ当たりしてどうするのよ…)とまた自分に嫌気がさす海咲
そこからは特に会話もなくただ弁当を食べる二人

そして先に食べ終わった海咲が弁当のフタを閉めつつ席を立った
「何処行くの?」
「手を洗いにいくだけよ」
「うん…」
そう言って教室を出ていく海咲
手早く手洗いを済ませ、まだ人がまばらな廊下を歩いているとそこへ「麻生先輩!」と声をかけられる
嫌な予感がしつつ顔だけをそちらに向け「何か?」と対応する海咲
「あ、麻生先輩…これ…貰って下さい…!」
そう言ってこれまたやけに派手なチョコレートらしき袋を差し出して来るのは一つしたの後輩の女子学生だった。上履きの色で分かる。そしてもちろん見覚えはない
「ごめんなさいね、受け取れないの」
取りあえずテンプレの反応を返す海咲
「迷惑なのはわかってます…でもお願いします貰って下さい…気に入らなければ捨てて下さって結構です」
だからその捨てるのが嫌だから受け取れないって言ってるのよ…
最早捨てるのが前提である
「不味いとか美味しいとかそう言う問題じゃないの、人から物を貰うのが嫌なの。だから受け取れないわごめんなさいね」
海咲なりにだいぶ優しく言ってるつもりだが、そう言ってる間にもチョコを差し出す女子の目はどんどんうるんできているのがわかる
途方にくれる海咲だがここで泣かれたりするのが一番面倒だ
「わかったわ…受け取るだけよ…」
「…!!ありがとうございます!」
途端に先程の涙目はどこへやらパァァっと顔を輝かせ嬉々としてチョコを差し出す後輩
溜め息混じりに受け取る海咲
お礼を言って足早に差って行く後輩は見ながらどうしたものかと考える海咲であった


266:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:40:17 4OEAryLp
教室に戻った海咲だが自分の席の回りに4、5人程の人が集まっているのを見る
いや、正確には海咲の席の隣にいる円香の回りに人だかりが出来ていた
珍しいわね…と遠巻きによく見ると少し戸惑ったような顔をしている円香の手の中には少し大きめの袋が握られている

「やっぱり月森さんって料理上手なんだね」「いつも麻生さんと食べてるお弁当も月森さんの手作りって本当?」「一度食べてみたかったんだぁ」「いつも手伝いしてるの?」「お菓子も作れるんだ~」

どうやら昨日の試作クッキーの余りを配っているようだ
「え、どれどれ俺も貰って良い?」「あ、俺も俺も」
そんな騒ぎを聞き付けてか他のクラスメイトにも騒ぎは感染しつつある
ただでさえ普段余り人と喋らないのに男子生徒との会話(?)まで入りあたふたとした様子の円香

…なにそれ

邪魔だし。私の席の周りに人混み作らないでよ
何故か無性に腹が立った海咲は人混みになりつつある自分の席に戻る気にもならず、そのままくるりと反転して教室を出ていった
手には少し派手なプレゼントを持っているのでそのまま校内をうろつく気にもならずとりあえず人が少なそうな屋上に行く事にした


重い屋上の扉を開けると今朝程じゃないにせよ2月の風が容赦なく吹き付けてきたがそんなのお構い無しにそのまま屋上の空の下に出ていった
それに今の海咲にはこの冷たい風がむしろ心地よかった
予想通りこの寒さの下では人は誰もおらず海咲一人だけだった

そのまま柵にもたれかかる様にして校庭を眺める。しかしやはり屋上と同じで2月の空の下ではやはり人はほとんどいなかった
「なによ…」ポツリと呟く海咲
先程までは意味不明な感情で教室を飛び出すように出てきた海咲だが冷たい風に吹かれていくぶんか頭も冷え少し冷静になりつつあった

私はなにをこんなに怒っているんだろう
円香が目立つのが気に入らないの?円香がチヤホヤされてるのが悔しいの?
引っ込み思案で友達が決して多いとは言えない円香に他の友達や男友達だって出来るならそれは良いことじゃない。なんで素直に喜んであげれないの…それが…友達…ってものじゃないの…

ホント…私って最低…

そこまで考えるとそれ以上考えるのを止め、柵に項垂れる様に額をつけた
氷の様な鉄製の柵が額の温度を奪っていく
このままこんな汚い感情も一緒に吸いとってくれればいいのに
そう願う海咲だったがこの意味不明感情は海咲を解放してはくれなかった


267:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:40:51 4OEAryLp
キーンコーンカーンコーン
無機質な昼休み終了のチャイムの音が鳴り、ハッと我に帰り慌てて腕時計をみるとなんと十分以上そこで項垂れていた事に気が付く
体はすっかり冷えきっている
なにやってんのよ私は…そんな自分にまた嫌になりながら急いで教室に戻る海咲

教室に入ると運の良い事にまだ先生はきていなかった
当たり前だが先程の席の周りの人混みも消えている
そのまま自分の席につく海咲
と、何処からか視線を感じる海咲
そちらに視線を向けるとやはりというか、パチリと円香と目があった
どこ行ってたの?
心配そうなその目はそう言っていた
関係ないじゃない
プイッと直ぐに視線をそらす海咲
と、もぅ充分頭は冷えたかと思ったがまだ円香に対して八つ当たりしている自分に気が付き、また落ち込む海咲
それでもまだチラチラと心配そうな視線を向けてくる円香だったが先生が教室に入って来たので二人の無言の会話は終わりを告げた


そして何も内容が入って来ない授業も終え、帰りのHRの時間になった
ありがたいことに担任の教師と先程の授業の教師は一緒なのでそのままHRとなった
空き時間があってはその間円香とうまく喋れる気がしなかった
殆ど意味の無いHRが終わりようやく帰る時間になる
いつもの様に円香と一緒に帰るつもりも待つつもりも無かった
今円香と喋ると必ず傷つけてしまう…そんな確信があった
もう直ぐに帰ろう…
しかし、そんな思いは直ぐに崩れさった
「麻生ちょっといいかな」
見れば同じクラスの男子生徒。普通に好青年で女子からの支持も高い。が、正直全く興味なかった
「ごめんなさい、急いでるの」
この間約0,3秒。即答である
「頼むよ麻生…どうしても聞いてほしいことがあるんだ」
「ここでいいわ。なに?」
「えと…ここじゃ駄目なんだ…」
伊達に何度も交際を申し込まれてはいない。最初からそんな気はしていたが長年の経験からすればこれは間違いなく告白の類いだ。いやむしろ経験の必要もないくらい明白だ
「私はここで構わないわよ」
流石の麻生さんは公衆の面前で振る気である
「た、頼むよ麻生…時間はとらせないから」
「…」
ここまで食い下がらないのも珍しい…もうこれは遠回しのノーサインととらえてもおかしくはない言い回しであるにも関わらずまだ諦めない
玉砕覚悟というやつだろうか
「…わかったわよ。さっさとしてくれるかしら」
折れた。言うこと言わなきゃ気がすまないということなら言わせてやってもいい。
それにこれで円香と帰らなくてすむ言い訳も出来る、というのが大きかった
「ホントか?!?すまん麻生」
嬉しそうな男子生徒を尻目にあんたがそれ(玉砕)で満足ならね
と、そんな冷めた事を思いつつ円香を探すと少し離れた所でうつ向き気味にこちらの様子をうかがっているようだった。聞いていた様なら話は早い
「円香」
呼ばれた円香はビクリと顔を上げる
「先に帰ってて」
「え、でも…」
「待たないでいいから」
「…うん」
円香の顔を見ないで言う海咲に円香の瞳が悲しく揺れているのを気付くことはなかった

268:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/12 14:41:45 4OEAryLp

「それで、何処へ行けば良いのかしら?」
「じゃあ屋上で」
またあそこに行くの…
嫌でも昼間の事を思い出し行く気がぐっと失せたが仕方ない。
「…わかったわ」
もうさっさと終らせて早く帰りたかった
そしてその場に立ち尽くす円香を残し教室を出ていった

本日二度目の屋上にでる海咲。やはり人は一人もいない
昼間と違うのは校庭にクラブ活動をしている学生が何人かチラホラと見える所か
「麻生」
声を聞いて目的を思い出す海咲
呼び掛けに答えずそちらに体向き直す
「その…逆チョコって知ってるか?」
知ってるわ。女だけに飽き足らず男にまでにもチョコを買わせようという企業戦略の事でしょ、と口には出さずにひねくれた事を考える海咲
「俺…作ってみたんだ」
少し恥ずかしそうに無機質な袋を出す男子
「そう」
たしかこの男はサッカー部のエースだったかしら。きっとこの男のファンの娘ならこんな逆チョコなんてしてる事さえギャップが良いとかいって余計好きになるのかしら…と言うかそれがこの男の狙いなの?ホントわからないわね…
この状況にまるで他人の事の様に観察をしている海咲
「あの…よかったらさ…付き合ってくれないかな」
「ごめんなさい。興味無いの」
シレッと答える海咲
「わ、分かってるんだ、好きじゃなくてもいい。友達になってほしいんだ」
「ごめんなさいね、ありえないから」
恐ろしい程容赦ない。ただ本来ならそもそも別の場所を指定してきたら絶対に行かない。海咲がわざわざこんな所まで付き合っているのは奇跡に近い
…たとえ円香と帰らずにすむ、というのが一番の理由だとしてもだ
「友達ってだけでもいいんだ…携帯アドレスとか駄目かな?」
「駄目ね、無闇にアドレスは教えない主義なの」
「そうか…」
「ごめんなさいね。じゃあもう行くわね」
「あ、あぁ…ありがとうな…わざわざ」
「別に」
さてこれで帰れる
ふと何気なく校庭をみると先程より人が増えている。帰宅する学生、クラブ活動をしている学生、バレンタインらしく告白らしき事をしてる男女までいる
…校庭からじゃ見えにくい場所を選んだつもりかもしれないけどここからじゃ丸見えね…
そんな事を思いその男女を何気なく見ていると…
……!?円香!?
よく見ればなんと女は円香だった。物心ついた頃からずっと見てきた姿だ。見間違う筈は無い
「ちょっとごめんなさい急ぐから!」
「え、あ、ちょっと」
チョコの袋を持ってつっ立っている男子をその場に残し屋上を出ていく海咲
行ってどうするとか何か考えているわけではなかった。ただ、いてもたってもいられなくなったのだ

269:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/13 00:44:42 0JMPJsE+

見付けた…!
真っ直ぐに屋上から見た場所に行き、円香を見付けた海咲。しかし、夢中で屋上を飛び出してきたがいざ来てしまうとどうすればいいかわからない
とりあえず状況を把握しなきゃ…
そう思いソッと二人からは見えない柱の影に背中を預けもたれるようにして円香と男の様子をうかがう事にする
チラリと円香の顔を見てみると遠目でも分かるくらいに顔が赤い…
恐らくこんなこと初めてで恥ずかしさと困惑してるのが大きいのだろうが海咲にはそれが面白くない
「バカ…そんな顔したら男はますます脈ありとか思って調子にのるだけじゃないっ…!」
思わずそんな心の声が漏れる海咲
男の方は…と見ると何処か見覚えがある…と、ふと先程告白してきた男といつも行動を共にしてる男ということを思い出す
これは偶然だろうか…
少し考える海咲だが直ぐに想像がついた
なるほど…さっきの男がまず私に声をかけて円香を一人にしてそこへあの男がアタックにいったのね…
いつも円香と一緒にいる私が邪魔だったって訳…どおりで必死に食いついてくると思ったわ…さっきの男もチョコまで用意したからには私を遠ざけるだけが目的じゃないでしょうけど、お友達にチャンスも作ってあげれて一石二鳥ってわけ…泣かせるじゃないの…
ハァ…と思わず呆れて溜め息が漏れる海咲
あくまで推測の域なのでなんとも言えないがとりあえず今はそんな事はどうでもよかった

もう一度ソッと柱の影にから顔を覗かせる海咲
なにやってんのよ私は…と心の隅で呆れ返ってる自分がいるがそんな自分の声に耳を塞ぐ
残念ながら会話は聞こえないがどうやら告白を断っているようなのは確かのようだ
こっちが情けなくなる程何度も頭を下げている…
しかし、男の方は諦めていないようで中々解放しようとしない。
気の弱そうな円香の性格を見て強めにいったら付き合えるかも、とか思ってるのかしら?ふざけないでよ…!
そんな光景を見ているとだんだんとイライラが増していく海咲
と、なんと円香が携帯を取り出した
ちょ、ちょっと!まさかアドレス交換する気なの!?
ギョッとして思わず少し身を乗り出す海咲
しかし携帯を持ったままオドオドとしているだけの円香
どうやら交換する気は無いようだが男に言われて出してしまったと言うところか…
そんな円香の様子に痺れをきらしたのか、なんと男が円香から携帯を受け取り、操作し始めた
…!!あの男いい加減に…!!
気が付けば海咲は柱の影から出て真っ直ぐに二人の方へ肩を怒らせて歩いていっていた
そして二人の間に割って入り男の手から円香の携帯をパシッと奪い取った
「えっ!?海咲っ!?」
「あ、あれ…麻生さん?」
驚く二人を無視して円香の手を掴み
「帰るわよ!」
とそのままその場を離れようとする海咲
「え、あ、ちょっと待てよ!」
呆気にとられていた男が我に帰り呼び止めるが
「……何かしら…!」
いつもの澄んだ綺麗な声でなく低めの少しドスの気いた声と共にゆっくりと振り向く海咲
その瞳は氷の様に冷たく、普段の美しい顔にも闇が入り、零シリーズのラスボスも裸足で逃げ出す形相である
「な、なんでもないです…」
思わず後退りをしながらそう言うのがやっとの様子の男
「あらそう…じゃあさようなら…」
そのまま円香を引っ張る様にしてその場を後にする海咲
「こ、こぇぇ…」
後にはそのままその場にへたりこんでしまった男だけが残ったのだった


270:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/13 00:45:37 0JMPJsE+
先程の興奮醒めやらぬまま、円香の手を引っ張る様にして校庭を突っ切る海咲
「み、海咲…」
背後から声が聞こえるがそれに答えずにそのまま校門を抜けても止まらず円香の手を引いたまましばらく歩き続けた

そしてそのまま歩き続け、人通りの無い場所までくると繋いだ手をふりほどく様にして離し円香の方へくるりと向きなおした

「……」
「海咲…?」
「なにしてたの?」
「え…」
「なにしてたのって聞いてるの!」
声を荒げる海咲
「えと…その…」
言いにくそうにうつ向く円香
「あなたがボーっとしてるから変な男につけこまれるんでしょう!」
「……ごめん」
やっとそう言う円香
「全くもう!携帯まで出して信じられない…あなたがそんなだから…!」
「……」
「そんなだから…」
そこから言葉が続かなくなる海咲。涙が溢れそうになっている自分に気付いたからだ
対する円香も何も言わずただうつ向いてしまっている

そこから何も言わずくるりと身をかえし、そのまま歩き始める海咲
このままでは円香の前で泣き出してしまう。それだけは絶対に避けたかった

少し歩くと、後ろから遠慮勝ちに付いてきている気配がする
「ついてこないでっ!」
後ろを見ずに叫ぶように言い放つ海咲
ビクリと止まる足音の気配
もうそこから後ろを気にする余裕はなかった
そのまま何も考えず逃げるようにその場から立ち去った

271:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/13 00:52:28 0JMPJsE+
すみませんここでいったん区切らせていただきます。ここで、と言っても既に昼の貼り付けの規制で弾かれていましたが…w
続きはまた明日に貼り付けようと思います。無駄に長くてホントすみませんスレ汚ししてしないか心配です…

272:名無しさん@ピンキー
10/02/15 01:39:29 4gCG6wjH
円香かわいいよってバレンタイン終わっちゃったよお!

273:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:14:45 nFy8zg7k
すみません規制されて書き込めませんでした…orz
読んでくれてる人いるんですね!嬉しいです!一人でも読んでくれる人がいるとわかるだけでもだいぶ励みになります!ありがとうございます
というわけで続き張っていきます


274:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:15:27 nFy8zg7k
ふと気が付くと家に着いていた。どうやって帰ってきたかほとんど思い出せない
何も考えていなかった。頭が考えるのを拒否していた
ガチャリと扉の鍵を回し、少し大きめの扉を開ける
当然だが誰もいない
シンと静まり帰った家の中に入りフラフラと自室に向かう海咲
ふと、テーブルに置いてある今朝円香から貰ったクッキーの袋が目に入った
手に取る気にはならず部屋に向かう海咲
そして自室の扉を閉めようとしたのだが…

パタン、と部屋の扉を閉める
持ってきてしまった…
どうしても無視できなかった
コートとマフラーをハンガーに掛け洋服タンスにしまうと力なくベッドに座る海咲
「…」
ソッと袋を開ける海咲。まさかこんな気持で食べることになるなんて…
クッキーの袋を開けるとフワリと甘い匂いが漂ってきた
その甘い香りで気分が落ち着いていくのが分かる
一つをを摘まみ半分をかじる海咲
「…美味しい」
思わず口からそんな感想が漏れる。本当に美味しかった。一日置かれたクッキーはとても甘くて、それでいて甘過ぎずサクサクと柔らかくて…昨日つまみ食いしたクッキーとは明らかに違った
料理に詳しくない自分には上手く言葉にできないが本当に美味しかった
円香はこれを完成さすまでどれだけ費やしたんだろう…大量の失敗作を出してまで…私と…お父さん達の為に…
手に持っていた半分を食べ、もう一つを手に取ろうとするとクッキーの袋の横にもう一つ袋が有ることに気が付く
何かと思い袋を開けてみるとなんと円香の手編みらしい手袋が入っていた
「これ…」
円香はわかっていたのだこんな私のこと…
そこまで考えて不意に視界が涙で歪んだ

分かっていた。今朝からのこの感情は…嫉妬だって事
円香にとって自分が誰よりも特別な存在じゃないと気がすまないのだ
それが例え両親であろうとプレゼント等が同じなのは気に入らない
自分が一番になりたかった
円香の一番大切な人に
私が…円香を一番大切な人と思っているのと同じように、円香に思って欲しかったのだ

私は…円香の事が…好き…

ポタリ…と制服のスカートに大粒の涙が一つ落ちる

今まで考えないようにしていた。それを自覚してしまうと何かが壊れてしまうような気がして
円香が友達に囲まれたり男の子と話したりしている時でもそれを嫉妬と自覚しないようにしてただただ、イライラとしたり嫌な気分になっていた
円香が自分以外の誰かを見るのが嫌なのだ。どうしようもなく
理不尽な八つ当たりもした。円香は悪くないのに悪いのは全部私なのに…
それなのに円香はいつも私の傍にいてくれた。ただ、寄り添うように傍にいてくれた
今回だって私だけの為に手袋まで用意してくれてた
それなのに私は…


275:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:15:56 nFy8zg7k
手袋を胸に抱きかかえるようにし唇を噛み締める
涙が次から次へと溢れでてくる
円香……円香に会いたい…円香に会って謝りたい…円香…早く帰って来て…会いたいよ…

とその時ガチャリと玄関の扉が開く音がする

ハッとして慌てて涙を拭い自室を飛び出し玄関まで降りていき
「円香!?」
と出ていったが
「んー海咲ちゃん?ただいま~」母親だった
「…お帰りなさい」
「どうしたの?円香ちゃんまだ帰ってないの?」
「別に…なんでもない」
「そう?なんだか元気がないみたいよ?」
「何でもないっていってるでしょっ」
そのまま部屋に戻る海咲

辺りはもう暗くなりはじめている。いくらなんでももう帰って来てもいい頃なのにまだ帰ってこない
今更ながら帰り道での行動が海咲に重くのしかかった
どうして私はいつもこうなんだろう…ずっと傍にいてほしいにのに遠ざけてしまう

とにかく謝まらなきゃ…そう思い制服のポケットから携帯を取り出し(今何処にいるの)と短い文章を作成し送信した
取りあえず今何処にいるかだけでも知りたい…

ところが五分たっても十分たっても円香から返信が来ない
いつも円香は海咲のメールの返信を怠ったことはなかった。直ぐに返事をしてくれていたのに
返事をしたくないほど落ち込んでしまったの…
嫌…円香にだけは嫌われたくない…
自分からあんな仕打ちをしておきながらこの様だ。…私は本当に弱い人間だ…ほんの少し円香が遠のいていく事を感じると途端にもうこんなに弱ってしまっている
(お母さんも心配してるの。何処にいるかだけでも教えて)
また送信。もはや返信をまっていられなくなった。母親の事を言えば円香もきっと返信するはず
しかし、やはり返信は来ない
電話をしてみるがしばしの呼び出し音の後に留守電に繋がるだけだった
(ごめんなさい私が悪かったから何か返信して)
(どうしたの?無事なの?何かあったかと思うじゃない。お願い返信して)
そんなメールを時間を空けつつしばらく送りつけ、合間に何度も電話をする海咲だがどうしても返信は来ない。最初のメールが送信されてからなんと既に一時間もたっていた
いよいよ海咲は本当に不安になってきた。まさか円香の身に何かあったの…?強姦に襲われたり…ってまさかあの男に捕まってるんじゃ…
探しに行かなきゃ!
いてもたってられなくなる海咲
制服のポケットに円香から貰った手袋をいれ、洋服タンスからコートをひっつかみマフラーを巻くと部屋を飛び出していった


276:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:17:02 nFy8zg7k

「あら?海咲ちゃんどこいくの?」
それは私が一番聞きたい
「ちょっと出てくる」
「ちゃんと仲直りして帰ってくるのよ~」
お見通しと言うわけか…
「行ってきます」
気にせずにそのまま玄関を飛び出した

もう辺りは暗くなっており、寒さは今朝よりも増しているようだった
こんな寒い中何処にいるのよ…
そして最後にもう一度…と電話をかける海咲
携帯からは虚しく響く呼び出し音がなるだけだ…とその時
ヴヴ…
コートのポケットからわずかな振動を感じる海咲
まさか…と恐る恐るコートのポケットを探ると……あった…円香の携帯
そういえばあの男から円香の携帯を取り返してから円香に返してなかった…
最悪だわ…ということはあの子携帯も持たずににこんな時間まで…
もぅ…何処にいるのよ…こんな時円香が行きそうな所っていったら…
あそこ…かしら…

家から少し遠い場所にある子供の頃二人でよく遊んだ公園がある
取りあえず一番近くのそこへ行く事にした。

少しして公園に着いてはみたが暗くなった公園には誰もいないようだった
いや…一人いた…電灯の照らすブランコにポツリと一人キコキコいわせながら座っている女らしい人影ががみえる
円香だ。まさか一発で見付けれるとは
直ぐにでも駆け寄りたい衝動に駆られる海咲

しかし何て声をかければいいのだろうブランコに座ってうつ向く円香はこちらに気付いている様子はない
まさかこの寒空の下ずっとここにいたの…風邪ひいたらどうすんのよ…
とにかく謝らなきゃ…


277:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:17:24 nFy8zg7k
ゆっくりと円香に近づく海咲
と、足音に気付いてか不意に顔を上げる円香
「「あ…」」声をハモらす二人
そしてビクリと足を止める海咲
「海咲…」
謝らなきゃ
「…高校生にもなってブランコ?」
「…」
そうじゃないでしょ!謝りなさい海咲!
「…探したわよ…心配かけて…」
海咲の気持ちとは裏腹に言葉は上手く出てこない。
円香はと言えば先程顔を上げたかと思えばまたうつ向いてしまったきり黙ったままである
「…」
「…何か喋れば?」
そう言って円香の前まできてその場に膝を抱えるようにしてしゃがみこみ、円香と目線を合わせる海咲
「…ごめん……」
「っ…謝らないでよ…」
悪いのはこっちだし謝りたいのもこっちなのに
「ごめんなさい…私…いつも海咲に迷惑ばかりかけて」
ポタリ…とうつ向いたままの円香の顔か涙が地面に落ちて行き、そのまま地面に吸い込まれていった「円香……」
「み、海咲に心配かけて…余計な事したり…嫌な気分に…させたりして…」
涙ながらに語る円香の言葉は途切れ途切れだ
「…止めて」
「私なんか…海咲の傍にいないほうが…よかったんじゃない…かなって!?」
唐突に言葉が切れる円香。
気が付けば海咲は円香をそっと抱き寄せていた
「止めて…お願い…そんな事言わないで…」
「み、みさき…」
「…私が悪いの…全部…」
「…そんな」
「迷惑なんて思ってない…私は…――円香とずっと一緒にいたいの…」
思っていたよりもずっと簡単に言葉は出てきた
「……みさき…私…も…」
「…うん」
涙を流す円香に対し抱き寄せた腕を少しずらしよしよしと頭を撫でる海咲。切り揃えられた髪は撫でるのに合わせてサラサラと滑り海咲をどこか懐かしい気持ちにさせた
「……私も…海咲の傍に…いたいよ…」
エグエグと涙声でそう告げる円香。ソロソロと円香の腕が背中に回って来るのを感じる
「うん…ありがとう…」
「みさき…寂しかったよ…!」
「私も…円香に会いたかった…」
それからしばらく無言で抱き合う二人。時折スンスンと鼻をすする音につられて自分も泣き出しそうになるが我慢する。それに先程まであんなに不安になり弱気になっていたのに円香が傍にいるだけで途端に落ち着いている自分に気が付いた
やはり私には円香がいないと駄目みたいね…
離れていたのはほんの数時間。しかし二人にとってはとても長い時間離れていたように感じ、その隙間を埋めるかのようにお互いを抱き寄せる二人


278:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:18:14 nFy8zg7k
「…海咲ありがとう…もぅ大丈夫」
「うん…」
そっと体を離す二人
円香が泣き止むまでお互いを抱いていたせいか顔を合わせるのが久々な気がした
「「…」」
なにか気まずい…
と突然円香がフフっと笑う
「な、なにがおかしいのよ…」
「うん…ちょっと昔を思い出したの…海咲…子供の頃からちっともかわってない」
「…?」
「うん…子供の頃ね…私が寂しくて泣いてた時とか…いつもこうやって私が泣き止むまで頭撫でてくれたよね…」
「…あなた泣き虫だったものね…」
えへへ…と恥ずかしそうに笑う円香
「ありがとう…海咲」
そう言って微笑む円香の笑顔をみて頬が少し熱くなるのを感じる海咲
「…別にたいしたことじゃないわよ…寒いしもう帰るわよ」
それを誤魔化すようにしながら言う海咲
「うん」
スッと立ち上がる二人

そこに少し冷たい風が吹き付けてくる
少し身震いをして円香の方を見るとやはり寒そうにしていた
そういえば円香は今朝マフラーを忘れて出てきていた。この寒い中コートだけだ
「円香」
と声をかけると此方を向く円香
「寒いから…」
「え…」
と困惑してる円香を他所に自分が巻いていたマフラーを外し円香に巻き付け始める海咲
「でも…海咲が寒くなっちゃうよ」
「大丈夫よ…私にはこれがあるから」
と、いったん手を止め、制服のポケットから円香の手袋をはめる海咲
「あ…それ…」
「あ、ありがとう…あったかいわ…」
「…良かった」
そう言って再び円香にマフラーをクルクルと巻き付けてから気付いたがお互い正面を向いていたので凄く顔が近い
気付かなければ良かった…と思ったがもう遅い
らしくもなく少しうつ向き気味にマフラーを巻く海咲
円香の方も顔を赤くしてうつ向いている


279:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:18:38 nFy8zg7k
「お、終わったわよ」
「…ありがとう海咲…」
スッと顔を上げる円香
至近距離で視線が絡む二人
いつもは恥ずかしさから直ぐに視線をそらすのだが今日は何故かお互い視線をそらせなかった
薄暗い電灯の灯りでも充分に分かるほど顔が赤い円香。少し熱が入ったようにうっとりとした瞳に目が離せない
円香があの男に告白された時のただ恥ずかしさからくる赤い顔とは明らかに違う自分を見る熱の入った瞳
綺麗過ぎてどうかなってしまいそうだった
あぁ私は…こんなにも円香の事…愛してる…
改めてそんな事を思う海咲
見つめ会った時間は数秒なのかもしれないが二人にとってとても長い甘美な時間が流れる
気付けば海咲はマフラーの端を持っていた手をソッと引き寄せるようにして円香の顔を寄せて自分の唇と円香のを合わせていた
二つの影が一つになったのは一瞬で直ぐにまた二つに別れた
「…海咲!?」
「……!」
当たり前だが驚いたような円香の顔
海咲自身もなぜあんな事をしたのか分からない。自然と引き寄せられるように唇を合わせてしまっていた
火が出るんじゃないかと思う程顔が赤くなっている円香
対する自分も熱い程顔が熱を帯びてる事がわかる
「海咲…」
唇を指先で軽く触れるようにしてワタワタしている円香
「…バ、バレンタインだから」
「え…」
「バレンタインだからプレゼントよ…これでアイコだからホワイトデーはお返ししてあげないから…」
軽くソッポを向きながらそう言う海咲
円香はというと目をパチパチとしてポカンとしてたかと思うと
「…ズルい」
と言ってクスリと笑った
「でもありがとう…海咲…」
「…べ、別に」
2月の寒空の下だったが二人は身体も心も暖かだった
「さぁ帰りましょう。お母さんが心配してるわ」
「あ、うん」
そう言って歩き始める二人
と…円香がオズオズと手を握ってきた
大丈夫…もう離してあげないから
そんな気持ちをこめて何も言わずただギュッとその少し冷えた手を握り返した

毎年憂鬱でしかなかったバレンタインだがたまには悪くないわねとしみじみ思う海咲なのだった



280:海咲×円香 バレンタイン編
10/02/20 02:22:57 nFy8zg7k

以上です
なんかもう色々すみませんでした
落ちがないのは一応仕様です
ほんと長くてすみません
もしよろしければまたなにかコメント入れてくれれば凄く嬉しいです
駄文の分際でコメントを欲しがるなんて厚かましいですがコメントをいただけると本当に嬉しいのでw
またSS職人さんが再び現れてみさまどを書いてくれるその日まで私のみさまど普及活動は続きます(ぇ
実は一応この話の円香視点も書いてはいるんですが…まぁこれもまた同じくらい長いので貼り付けるかちょっと反応見てから考えます…


281:名無しさん@ピンキー
10/02/20 12:03:18 DAEVrSmc
GJ!!
はじめから両想いなのにすれ違ってしまう
この微妙な距離感が個人的にたまらないんだよなみさまどはw

実はここ数日続きが投下されるのを
wktkしながらこっそり待ってたりしたんだが
レスした方がよかったな、スマソ
俺みたいな人は複数いると思うので気にすることはないと思うが…
これからもどんどんみさまど投下してくれると嬉しい
円香視点もぜひみたいw

282:名無しさん@ピンキー
10/02/20 14:06:52 h8nCo8YU
GJ
ニヤニヤしながら見てますたww
ぜひ円香視点も!


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