08/07/31 00:50:10 YD71egTU
「(今なら……今なら塩田鉄人の気持ちがわかるっ!!)」
かつて同じ状況に陥った尊敬すべき(ジャンプの)先輩を思いながら自らの無力を呪う。
「(やばい……!!)」
「(やばい……チ○ポが馬鹿になってしまったっ!!)」
自然と前のめりになる姿勢に感付かれぬよう、少し足を速める―が、
「……キリさん?」
流石に不自然だったのか、怪訝な顔をしながら声をかけられてしまう。
「な、なにかな!?」
不自然さに拍車をかける反応に自分で気付きつつも顔だけなんとか
彼女の方に向ける。
「いえ……その、特になんでもないんですけど……」
うかがうようにこちらを見るエルーに、空気を読まずに馬鹿度が上がっていく。
「(可愛い……じゃなくて、このままじゃ気付かれる!! た、確か……)」
先人の知恵を借りるべく必死に静める方法を記憶から―
「……赤木ゴリ子?(ぼそ)」
「えっ?」
「い、いやいやいや何でもない」
思わず口に出してしまった事に更に慌てながらも愚息を確認すると
少し馬鹿度が下がっている!!
「(よしっ!)」
「どうかしたんです―あ」
喜びも束の間―おそらく愚息を確認した視線を追われてしまったのだろう。
エルーの視線は完全にエレクトした愚息にロックオンされていた。
「い、いや、これは違っ!!」
「ご、ご、ご、ごめんなさいっ!!」
顔を真っ赤に染めて目を逸らすエルー。
「キ、キ、キリさんだってそういう時もありますよね!!(?)」
「いや、ほんとに違くてコレは―」
「ごめんなさいっ! わ、私がずっと近くにいるからですよね!!」
こうなったらこの暴走機関車は簡単には止まらない事を俺は知っている。
ようやく「そういう事もある」と説明できたときには既に2分近く経過していた。