【古味直志】ダブルアーツinエロパロ板 第2話at EROPARO
【古味直志】ダブルアーツinエロパロ板 第2話 - 暇つぶし2ch17:2
08/08/03 21:44:19 0teuGA/a
朝の日差しが苛立たしいほどに煌いている。
今日も良く晴れるのだろう。
よるべなく夜を明かしてまだ人の少ない街の通りを歩くスイに、遠くから声をかける
者がいた。
「おう、どこ行ってたんだよ」
「…お前らには関係ないだろ」
声の主をちらりと見て、スイはあからさまに嫌そうな顔をして見せた。
それはスイが良く知る、幼馴染のキリとシスターのエルーの二人だった。訳あって
常に手を繋いでいなければならないというのに、それほど不自由をしているように
は傍目からは感じない。まあそれなりに二人とも今の状況に慣れているということ
なのだろう。
そんな、どうでもいいことすらも何故か無性に苛ついた。八つ当たりだとは分かって
いるのだが。
「心配してたんですよ、スイさん。これから御一緒に朝食でも如何ですか?」
自由な方の片腕でパンの包みを抱えたエルーは、そんな心中も知らぬ様子でふ
んわりと幸せそうに笑っている。
二人のそれぞれの荷物からするに、食材を買いに街外れの市場にでも行っていた
のだろう。
「あたしはいいよ、別に」
「お前さー、自由行動はいいけどせめて飯ぐらい一緒に食えよな。姿も見せないん
じゃどっかで怪我でもしてるかって気になるだろ」
「あたしがそんなヘマなんか!」
キリの言葉にいつものように返しかけて、咄嗟に口を噤んだ。そういえばあの男に
完敗したのはこの二人の目前だった。あんな醜態はみっともない。そんな感情だ
けが心の中に血のように真っ赤な飛沫を上げて迸った。
「ヘマなんか絶対に…」
呟いたまま俯くスイの鼻先を、突然オレンジの香りが掠める。キリの抱えた紙袋に
は幾つもの果物が顔を覗かせていた。
「お腹、空いていますでしょう?あまり悩むのは良くないですよ」
微笑むエルーにつられるように、ぐううと腹が鳴る。途端にこれまで禄にものを食
べていないことに今更気がついた。
「お前らなあ、あたしは」
「いいから飯食おうってば。腹に詰め込まなきゃ何も始まらないぜ」
二人はスイの苛立ちをやんわりとかわして、宿屋へといざなった。仕方なくという
風を装って従うしか今はないようだった。戦うばかりでは腹は少しも満たせないの
だから。


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