◆変わりゆく心 ジルオール闇小説 その7◆at EROPARO◆変わりゆく心 ジルオール闇小説 その7◆ - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト252:4/14 09/02/18 01:06:54 8xe659TI フレアはやけに冷たい瞳(おそらく俺の錯覚だろう)でこれらの道具を見やると、ぽつりと呟いた。 「これは?」 「全部、お前のだと思う。シェムハザの家にあった」 「ほとんどが記憶にないのですが」 確かにエロ関係はほぼ未使用だった。あの変態、こんな美女を手元に束縛して道具まで 用意しておいて、相当なヘタレだな。 「それでもお前のだ。自由に使っていい」 「……」 見るからに戸惑った様子のフレア。別に嫌悪とかではなく、本当にどうしていいのか わからないのだろう。無表情ではあるが、反応に困ったフレアというのはかなり新鮮である。 きっと自らに残された使命の意味を図りかねているのだろう。 それはともかくとして、さっきの発言に気になる部分がある。 「大半てことは、覚えのあるものもあるのか」 「あ、はい」 フレアはなだらかな動作で腕を上げ、ガラス瓶とティーセットを指差した。 なぜかお茶会が始まった。 253:5/15 09/02/18 01:07:49 8xe659TI 俺が金属製(重いわけだ)の黒い折りたたみ式椅子とテーブルを用意する間に、フレアは 手早く紅茶を入れる準備をしてしまう。精霊神の炎で紅茶用の湯を沸かすという前代未聞に 罰当たりな行為の後、フレアはカップに湯を注いだ。マグマの燃え盛る音と水を注ぐ音とが 奇妙に調和し、洞穴に反響する。 「……」 フレアは流れるような動作で紅茶をカップに注いでいる。生前というか前世の記憶が、 身体に染み付いているのだろうか。巫女が茶坊主やってたとも思えんが。あるいはシェムハザが 何か仕込んでいたのか。 準備が終ると俺とフレアは向かい合って座り、熱い紅茶を飲む。溶岩の熱気が漂う洞窟で、 むき出しの赤と茶色の岩壁を背景にして、言葉も交わさずに飲み物を口にする。 雰囲気のせいもあろうが、何もかもを忘れられそうに香りと味に没頭することができた。 「うまいな」 俺が言うと、フレアは瞳を俺に向けた。心の底を見抜かれそうに深い黒の瞳だ。 ティーカップをことりと置いてフレアは言った。 「そうですか。私にはわかりません」 「味覚が無いのか」 「感覚はあります。このお茶には甘みと苦味が両立しています。 しかし評価できません。基準点が無いからだと思います」 淡々と分析する。フレアの知性は人並み以上だし、一通りの世間一般の知識は俺が授けた。 ただ感情が薄すぎる。シェムハザの日記で見たとおりだ。 「やはり私は、ここで朽ち果てていくのを待つだけなのでしょう」 「まてまて。大事な使命がまだあるぞ」 二度目の待て。どっちかというとこっちのほうが本命だ。 俺がここに来た最大の理由はシェムハザの遺産を笑うためや紅茶を飲むためではない。 「約束を忘れるな」 「約束……ああ」 フレアはゆっくりとした動作で自らの胸に手を当てると、俺を正面から見つめて、 それまでと変わらぬ落ち着いた口調で、その言葉を口に出した。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch