08/08/20 02:55:26 Gn23AhPU
天宮椎菜の秘策
『一寸先は闇』と言う言葉がある。
まぁ、意味は誰でも知っている通り、未来の事はたとえ少し先の事でも予想がつかない事が起こるかもしれなくて、結局は何が起こるのかは分からないと言う意味だ。
いや、何で今更こんな分かりきった事をいちいち言わにゃならんのかと言うと、今回俺に起こった出来事がまさに予想外だったと言うか、野良犬も歩けば保健所の役人からしょっ引かれると言うか、瓢箪から暴れ馬と言うか。
人生、何が起きてもおかしくないが、何が起きても良いって言うわけではないと俺は思う。
自分で言っておいて、何が何だがさっぱり分からんな。いかん、まだ俺自身混乱から醒めていないのかもしれん。
状況の整理も兼ねて、先ずは何が起きたのか順を追って一つ一つ挙げていきたいと思う。
事の始まりは、そうだな、先週の金曜日の放課後の辺りだと思う。
「ねぇ、裕人。これからちょっと買い物に行くんだけど、ちょっと付き合ってくれないかな?」
「ん?別に構わんが、何を買うんだ?椎菜」
今週最後の授業が終わり、クラスの連中が次々と放課後モードへと移っていく中、教科書を鞄にしまっていた俺に椎名が声を掛けてきた。
「いや、これから用事があるなら別に無理して付き合って貰わなくても良いんだけど…」
「用事はあるが、実は俺も買い物に行く用事だ。休日の前には、いつも買い物をして食料を買い溜めておかないとイカンからな」
既に社会に出ているものの、未だに家事を一向に覚えない姉とその親友の世話(主に食事)と、食料が尽きた時に深夜に買出しに生かされる羽目になる俺自身の為である。
「へぇ、裕人ってお姉さんがいるんだ」
俺の説明に、椎菜が少し驚いた様な表情を浮かべた。そう言えば、椎菜はウチのアホ姉に会った事は無かった気がするな。まぁ、俺としては身内の恥は隠しておきたいのだが。
「そう?私は裕人の、その、お、お姉さんに会ってみたい気もするけど…」
何故か吃り、「そ、それに…。あ、挨拶って私結構大事だと思うんだ…」と、椎菜が人差し指を捏ね始めた。
心なしか頬が赤い気もするが、ちょうど窓から差してくる夕陽の色が俺たちの教室を照らしているので多分その所為だろう。
まぁ、確かに初対面での挨拶は大事かもしれんが、何もそこ迄緊張せんでも良いと思うが。
「それより、椎菜。時間は良いのか?買い物に行くんなら早目に済ませておかないと売り切れたり、店が閉まるかもしれんぞ?」
「あ!?そ、そうだね。それじゃ、悪いけどちょっと付き合って。裕人」
俺としてはちっとも困らんのだが、いくらフレンドリー娘の椎菜でも親しき仲にも礼儀を欠かないのだろう。
ウチの姉とその親友(担任)、そして幼馴染(♂)にも見習って欲しいモンだが、そんなのは柔らかく炊いた米を固く炊き直すくらいに無理なので早々に諦める事にした。
そして、荷物を纏め終えて教室を出た俺たち二人は、さっきよりも少し傾き始めた夕焼けの中、足早に買い物に向かったのだった。
突発的に書いてみたので、続くかどうかすらワカランです
このスレで椎菜×裕人の需要はあるでしょうか?…orz