調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart25at EROPARO
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart25 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/07/17 08:21:04 YrONjE0z
◆過去スレ
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart24
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart23
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart22
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洗脳や調教などで悪の奴隷になるヒロインpart13
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洗脳や調教などで悪の奴隷になるヒロインpart12
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3:名無しさん@ピンキー
08/07/17 08:21:29 YrONjE0z

洗脳や調教などで悪の奴隷になるヒロインpart11
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart10
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインPart9
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインPart8
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインPart7
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調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインPart6
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調教や洗脳で悪の奴隷になるヒロインPart5
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調教や洗脳で悪の奴隷になるヒロインPart4
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調教や洗脳で悪の奴隷になるヒロインPart3
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調教や洗脳で悪の奴隷になるヒロインの同人誌 part2
URLリンク(www2.bbspink.com)
調教や洗脳で悪の奴隷になるヒロインの同人誌
URLリンク(www2.bbspink.com)

4:名無しさん@ピンキー
08/07/17 19:32:58 YlCIY6Rm
>>1
スレ立て乙

5:名無しさん@ピンキー
08/07/17 20:41:18 I7+Laj7s
「きゃっ、な、何をする……はなしてよ!……あっ、ああぁぁ……!
……はい、心得ました。私のナンバーは、悪の奴隷ヒロイン・パート25です。
なんなりと、ご命令を。>>1様、乙でございます。」

6:178 『みんな=わたし』
08/07/18 00:22:34 /WHwRjKC
新スレ乙であります。そこで、前スレではスレストが恐くて躊躇していたSSを一本お祝いとして…
元ネタは洗脳ないんかと思わせてちゃっかりあった『無限のフロンティア』です。

『それ』は帰りたがっていた。
ある日突然見知らぬ所に落っこちて、そのまま忘れ去られてしまった。

『それ』は帰るために色々なことを試してみた。
が、どんなことをしても帰るための道を作ることが出来なかった。

『それ』は長い間嘆き続けた。
こんながやがやと騒がしいところは嫌だ。とてもとても静かなあそこに戻りたい。
でも、どうしても戻れない。気の遠くなるような長い間、ありとあらゆることをしてみたが、何一つうまくいかなかった。

そして、さらに気の遠くなるほどの長い月日を経た時、『それ』は考え付いた。
今まで自分からそこに近づこうとしてみたけれど失敗し続けた。
ならば、向こうからこっちに近づくようにすれば、ひょっとしたらうまくいくのではないだろうか。
そうだ、それがいい。どうせなら、今まで考え付かなかったことをしてみよう。同じことを繰り返して失敗するより
違う方法を試して失敗する方がよっぽどこれからのためになる。
これから、早速試してみよう。


この世界のあらゆる命を静寂で包み、あの静かで穏やかだった自分たちの世界を創造するために。


『みんな=わたし』


(………?)
自分の四肢を締め付ける妙な感覚に、楠舞神夜はゆっくりと意識を取り戻しつつあった。
うっすらと瞳を開いた時に入ってきた光景。それは、自分がいたはずの武酉城内とは明らかに異なるものだった。
おかしい。自分は確かハーケンさんや錫華ちゃんたちと一緒にいたはずだ。
(あれ…、私、どうしたんでしたっけ……)
起き抜けで混濁した思考の中、神夜は自分が最後に目にした光景を必死に思い出そうとしていた。

確か…

もう日も落ちて各々があてがわれた部屋で休息を取ろうとしている時、神夜も自室に戻らんとハーケンと別れ廊下を歩いていた。
そして、自室の前まで辿り着いた時…
「あれっ?お師匠様じゃないですか」
そこには神夜の剣の師匠であり、楠舞家直属の忍軍『裏玄武』の頭領でもある乙音(おとね)が部屋に入るのを阻むかのように立っていた。
「どうしたんですかお師匠様?もう夜も遅いですよ…?」
「………」
神夜の問いかけに、乙音は眉一つ動かさない。ただ、じっと神夜のことを睨み続けている。
その瞳が、妙に赤々と輝いているようにも見える。
「??
お師匠様、いったいな に  を…」
その赤い光を目に捕らえた途端、神夜の意識は霞がかかったようにスッと遠くなってきた。足元がふらつき、
体を支えることすら出来なくなってきている。

7:『みんな=わたし』
08/07/18 00:23:34 /WHwRjKC
「あ、あぁ…」
必死に神夜は体を支えようとするが、全身が重い石にでもなってしまったかのようにいうことを聞かず、そのまま神夜はバランスを
崩し、前につんのめってしまった。
そのまま倒れこんでしまう、かと思われたが、前にいた乙音が崩れる神夜の体を両手でしっかりと受け止めた。
「!!」
そのときの感触に、神夜は飛びそうな意識を一瞬だけだがはっきりとさせた。
(なに…、このお師匠様の体……?!)
神夜に触れた乙音の手からは、体温らしきものが全く感じられなかった。乙音の肌はいかにも健康的な肌色をしているにも拘らず。
まるで、外見だけ似せた作り物のような…
「おし……!」
「………」
ぱっと顔を上げた神夜の目に飛び込んできたもの、それはさっきにも増して赤い光を発する乙音の瞳だった。
「!!あぅ………」
その赤い光に脳髄を焦がされた神夜の瞳は急激に光を失い、目を半開きにした虚ろな表情のまま神夜は意識を失って乙音の
体の上に倒れこんだ。
「………」
そしてそのまま乙音は神夜を抱きかかえ、次の瞬間には神夜の部屋の前から消え去っていた。



(そうだ!お師匠様の前で、突然頭がボーっとして……)

一気に意識が覚醒した神夜は、慌てて今の自分の状況を確認してみた。
まず体を動かそうにもまるで言うことを利かない。背中に硬い木の感触がごつごつと伝わってきて、両手は横に伸びる丸木に
括り付けられ、両足は揃えて縄で縛られ、背中に当たる木の根元に結わえ付けられている。
どうやら十字に組まれた木に四肢を縛られているようだ。
そして、妙に木の感触が体に伝わると思ったら…
「えっ?やだっ!!」
今の神夜はただでさえ露出露わな楠舞家の正装をひん剥かれ、素裸で木に括られていた。これではまるで罪人だ。
「お、お師匠様!これは一体いかなる所業ですか……?!」
確かに結構な放蕩をしてきたとは自覚しているが、こんなことをされる云われは無い。神夜は自分をこのような目にあわせた
乙音を探そうを目を動かしたが、乙音を見つけるよりも早く、まったく予想外のものが飛び込んできた。
神夜の視界の先にあるもの。まるで水晶のように透き通りながらも、毒々しい赤い色で全身を覆い、秩序も無く不規則に
所々が延びている異形の鉱石。
最近エンドレス・フロンティア全域で発生しているミルトカイル紅石が神夜の前にどっしりと佇んでいた。
「これは……」
ミルトカイル紅石が突き出ている場所。そこには見覚えがある。どうやらここは裏玄武の拠点龍寓島(りゅうぐうとう)の表庭
のようだ。過去に乙音との修行のために来たことがある。
だが、ミルトカイル紅石が龍寓島に発生したという話は聞いたことが無い。もしそんなことがあったならば乙音が真っ先に父に
報告してくることだろう。
しかも、異常なのはミルトカイル紅石だけではない。
その周りを覆うかのように紅い水が所々に溜まりを作っている。なんか、滅鬼城(めぎじょう)の中で見たような光景だ。
要塞であるがゆえに簡素だが頑丈なつくりになっている建物からも、所々からミルトカイル石が突き出ている。
さらに、石や溜まりの周囲には今まで散々相手をしてきた骨や植物のアインストと呼ばれている異形がわさわさと屯している。
そこに、かつて見たことのある龍寓島の面影は全くといっていいほど無かった。

「え………」

目の前に広がる悪夢のような光景に、神夜は言葉を発することも出来ず呆然と眺めていた。
(なんで?なんでお師匠様はあいつらを放っておいているの?!)
今の龍寓島は明らかにアインストに占領されている。だのに乙音たち裏玄武はアインストを追い出そうともせずなすがままに任せている。

8:『みんな=わたし』
08/07/18 00:24:34 /WHwRjKC
いや、神夜の視界内に限って言えば裏玄武の忍びはどこにも見えない。もしかしたら、裏玄武の人間は一人残らずアインストに
やられてしまったのかもしれない。
だが、それでは自分の前に現れた乙音への説明がつかない。そもそも、乙音はなぜ自分をここに連れてきたのか。
なぜ自分をこんなところに縛り付けているのか。
考えが纏まらず混乱する神夜の前のミルトカイル石が、その時ボゥッと不気味に光った。

『… …』

「うっ…!」
その瞬間、神夜の頭になにか大きな意思が入ってくるような感覚が走った。
それはあまりに抽象的で、かつ巨大すぎたために神夜はその意味を理解することは出来なかった。が、何かを
感じたことは頭の中で理解していた。
「な、なんなんですかこれは……あうっ!」
再び石が光り、神夜の頭に意思の波動が走り抜けていった。それは神夜の心に強引に焼きつき、神夜をその声に従わせようという
意思を明らかに持っているものだった。
「こ、これって……まさか………」
神夜の頭に、アインストと一緒になって襲い掛かってきた琥魔(こま)やアンの姿が思い起こされる。
彼女らは一様に、ミルトカイル石に魅入られたという表現を使っていた。
(となると、これがミルトカイル石の魅了する力なんですね…!!)
目の前のミルトカイル紅石は明らかに自分を支配せんと激しい波動を送り続けている。少しでも心に隙ができると、そのまま
神夜の体内に乗りこんで暴れまわり、神夜の意思を支配してしまうのだろう。
「そうは…させません!」
神夜は呑まれそうになる心を必死に奮い立たせ、絶え間なく襲ってくる意思に必死に抗いつづけた。
(ハーケンさん、みんな、力を貸してください!!)
意識を消し飛ばされないようにと噛み続けている下唇の皮膚が破れ、白い肌の上を赤い筋がスッと横切っている。ズキンと
した痛みが神夜の心を僅かだが覚醒させてきている。
やがて、容易に与せぬとみたのかミルトカイル石は発光を止め、それと同時に神夜を襲っていた波動もぱったりと収まった。
「や、やりました……。ハアッ、ハアッ………」
荒く息をつきながらも、神夜はとりあえず支配を受けなかったことに安堵の息をはぁっと吐いた。

が、ミルトカイル石は神夜への責めを切った訳ではなかった。

突然、神夜に一番近い紅水の溜まりに突然波紋がたったと思ったら、中からぬぬぬっと透明感がある紅い水に塗れながら、
神夜を龍寓島にかどわかしてきた張本人である乙音が姿を表した。
「お、お師匠様?!」
「………」
そのあまりに予想外の乙音の出現に、神夜は目を見開いた。しかも、乙音は周りにいるアインストには目もくれず、赤い液体を滴らせ
ながら真っ直ぐ神夜のほうへと歩いてくる。アインストも乙音に特に危害を加える様子は無く、近くを通り過ぎても何の反応も示さない。
まるで、それが当たり前のことだといわんばかりに。
乙音が何の感情も表していない瞳でじっと神夜のことを見つめながら粘液に濡れ光る両手をすっと神夜の前にかざしてきた。
その動きは機械的というか人間らしさが何も感じられないものであり、ひたひたと近づいてくる乙音に神夜は恐怖から背筋がぞっと
強張るのを感じていた。
今、自分に近づいているお師匠様は本当のお師匠様なのか。神夜はそう思わずにはいられなかった。
「い、一体どうなされたんですかお師匠様!お気を確かにしてください!!」
神夜は必死に声を上げて乙音に語りかけたが、乙音は何の反応も示さず歩き続けた。
「………」
そして、神夜の目の前まで来ると突然自らの忍び装束をするすると解き始めた。中の鎖帷子も脱ぎ捨て上半身を露わにする。
「お師匠様…なにを……、?!」
乙音の不可解な行動に神夜は首を傾げたが、その時神夜は乙音の体のある違和感に気が付いた。


9:『みんな=わたし』
08/07/18 00:25:34 /WHwRjKC
乙音の均整の取れた姿態、その臍があるところ。
そこがムリッと縦に裂け、そこから光沢のある赤い球体がぬっと顔を出していた。つるんとした光沢感を持つそれは微かにだが
まるで乙音の心臓であるかのように定期的に明滅している。
それは、他のアインストが体のどこかに見せている核のようなものと全く同じだった。つまり…
「!!」
事ここに至って神夜は確信した。今目の前にいるモノはお師匠様の姿形をしたまったく別の何かだ、と。
乙音の容姿を真似た怪生物が、得体の知れない液体に塗れ自分に対して何かをしようとしている。
「おししょ……!い、いや!こないでください!…こないでぇ!!」
心の中の恐怖心が一気に膨らみ、神夜は泣き叫びながら縛られた四肢を必死に動かして、何とかこの場から逃れようともがいた。
が、固く結ばれた紐は決して緩むことは無かった。
「………」
乙音の濡れた掌が、神夜に向けてするすると伸ばされていく。
「いや!いや!!いやいやいやいやいやいやあぁっっ!!」
そして、その掌がべちゃりと神夜の立派な胸に押し付けられたとき
「いやぁっ………!あぐっ!!」
乙音の掌が触れたところから、まるで焼けるような痛みが全身に走った。
「………」
それを見た乙音は、紅い粘液を伸ばすかのようにすいっ、すいっと神夜の胸の上を撫で回した。そして、粘液が神夜の肌に
新たに触れるたびに、神夜の体を激痛が襲った。
「い、いたぁっ……!やめ……、おし……さまぁぁぁっ……!」
痛みが走るのは粘液が触れた一瞬だけで、一回触れるとその後痛みは襲ってこないのだがなにしろ粘液が触れてないところのほうが
多いので、神夜の体は絶え間ない激痛に苛まれていた。
やがて、豊満な神夜の両胸に満遍なく粘液が塗り篭められ、ようやく乙音は神夜の体から手を離した。
「ひはっ……はぁぁっ………」
絶え間ない痛みから解放された神夜は安堵のため息をついたが、直後に自分の異変に気がついた。
(えっ……、なん……ですか……。これ……)
これまで散々紅い粘液によって痛みを味わってきた両胸が、その粘液が乾いた途端にそれを求めるかのように激しく疼きだしたのだ。
「な、なんでこんな……ああぁぁっ!!」
まるで肌の下を毛虫が這いずるかのような不快感が神夜の胸から全身に発せられている。ズキズキと熱を発した胸が充血し、ただでさえ
規格外な神夜の双乳がさらに大きく張り詰めている。
疼きを収めるため、今すぐにでも自分の胸を掻き毟りたい衝動に駆られるが、両腕を縛られた身ではそのことも適わない。
「うあっ!ああぁっ!!わ、私の胸がおかしいです!胸、むね、むねむねむねぇっ!!」
乙音が目の前にいることにも思い至らず、神夜は抑え切れない胸の疼きに全身をがくがくと震わせて悶えまくった。
このまま放っておくと膨らみきった胸が張力の限界を超え、爆発してしまうんではないか?
どう考えてもありえないことだが、今の神夜は本気でそのことを危惧していた。
(こ、このままじゃ私、おかしくなってしまいます!!)
とにかくこの疼きを何とかしてもらいたい。だれでもいい、なんでもいいから!!
「………」
その時、再び乙音が神夜に手を伸ばしてきた。もちろんその手はあの紅い粘液に濡れ、ポタポタと滴をたてて落ちている。
だが、よくみると粘液は乙音の赤く染まった爪の間からぷくぷくと染み出してきていた。
つまり、あれは溜りから上がった時に付いていたものではなく、乙音の体で生成しているものなのだ。
「あ…」
先ほど見たときはあれほどおぞましかった粘液。
だったのだが、今の神夜にはそれがとても魅力的なものに見えていた。
(あれを塗って欲しい!たっぷりとこの体に染みこませてもらいたい!)
そうすれば、この体を襲う熱い疼きも収まってくれることだろう。
「はぁっ…はぁぁっ……」
自分の胸に伸ばされる手を、神夜は歪んだ期待に瞳を煌かせて待ち望んだ。
そして、神夜の胸に触れた乙音の手は、
そのまま粘液塗れの鋭い爪をずぐり、と神夜の胸の中へと突き刺した。


10:『みんな=わたし』
08/07/18 00:26:35 /WHwRjKC
「!!ああうーっ!!」
本来なら絶叫を上げるほどの痛みに包まれるはずなのだが、神夜の体に走ったのは文字通り刺すような快感だった。
爪先から染み出してくる液体がドクドクと神夜の胸の中へ侵み渡っていくのがわかる。肌の一層近くのみ侵蝕していた粘液が
今度は体の内側から外へ向って版図を広げていっていた。
「ああぁっ!気持ちいいですお師匠様ぁ………!
もっと、もっと深く挿してください!」
乙音の指を伝って地面に自らの血がポタポタ落ちているにも拘らず、神夜はさらなる侵蝕を乙音に求めていた。
すると乙音は神夜の声に始めて反応し、両胸に指を刺したままその顔を神夜へと近づけていった。
『……ひ…   め…   …』
「…?お師匠、さま…?」
目の前の乙音の口は動いていない。が、神夜の頭には乙音の声がはっきりと聞こえていた。
神夜に近づいてくる乙音の口元からは、指や臍から出ているのと同じ赤い粘液が糸を引いて零れてきている。
『…ひ   、口を     開  さ   い』
神夜の頭に響く乙音の声は、神夜に逆らい難い強制力を放っていた。まあ、そんなものがなくても今の神夜に乙音の
言葉に逆らう気持ちなどは全く無いのだが。
「は、はぁい…」
言われるままに神夜は、小さな口をふわりと開いた。すると乙音はそのまま顔を神夜へと近づけ、唇で神夜の唇を塞いでしまった。
「?!」
突然の接吻に神夜はギョッとしたが、乙音の目的は別に神夜の唇を奪うことではなかった。
口付けと同時に神夜に向けてごぼごぼと何かが流れ込んできた。神夜の口腔に流れ込んだそれは味こそ感じないものの神夜の口内に
燃えるような熱さをもたらし、そのまま下へと流れ込んでいく。
その感触は、今神夜が胸で散々味わっているものと全く同じだった。
「ん!んん、んんんぅ~~~~っ!」
神夜は突如口の中に流れ込んできた粘液に最初は驚いたものの、それがもたらす悦楽にたちまち心が飲み込まれ
止め処なく流れ込んでくる粘液を鼻を鳴らして嚥下していった。
が、それでも収まりきらなかった粘液が、神夜の口からこぼれ下顎を伝って落ちていく。
それは言うまでもなく、先ほどから神夜に塗り篭められている粘液と全く同じものだった。
粘液は触れた粘膜からすぐに体内へと吸収され、周りの細胞を別のものへと作り変えていっている。
その自覚は神夜にもある。自分がなにか別のものに変わろうとしていっている。
でも、それを止めようとする気にはならない。
なにしろ、その液体を受け入れれば受け入れるほど体より熱く燃え上がり、より多くの液体を求めるようになってきているからだ。
「んぐっ、んぐっ!」
(だめ…、もう止められません…。もっと、もっと飲みたいです…。この赤い水を、もっと…」
一心不乱に粘液を求める神夜の瑠璃色の瞳に、少しづつだが赤い光がさし始めている。あの乙音の核と同じ光が。
『ど です か …め。だ だ…んと …声も   になって   ょう』
(声…?)
それに伴い、乙音の声も次第に鮮明に聞こえるようになってきている。いや、聞こえるのは乙音の声だけではない。

『…思  ………静……   世   を……』

神夜の頭に、先ほどまでは理解できなかった意思が次第にはっきりとした形をもって侵入してきている。
(…思  ………静……   世   を……)
その意思の『声』を神夜は虚ろな表情のまま鸚鵡返しのようにぶつぶつと頭の中で反芻していた。
別に意味を理解しているわけではない。
ただ、そうすることが当たり前というような感覚に、今の神夜の心は捕らわれかけていた。
(なんか……この声を聞いていると、とっても気持ちがよくなってしまいます……)
燃え上がる快感に意識が消えそうになっているなか、神夜はぽーっとそんなことを考えていた。
自分の心を、この聞こえる声に委ねたい。自分の全てをこの声の言うままにしたい。自分を、この声と一緒にしたい。
『な りま …か?私   …ちと一緒に』
神夜の口から唇を離した乙音が、神夜に誘惑の言葉を投げかけてきた。
『一緒に…なれば、もう何も悩むこ もかん    もなくな …す。全てを声 任せる …けでいい ですから』


11:『みんな=わたし』
08/07/18 00:27:34 /WHwRjKC
「…ふわぁっ……」
乙音の言葉に、神夜は呆けたような声を一言だけ上げた。正直、思考が追いついてこない。
が、体中の紅い水に侵された細胞が乙音の言葉に同意をしていた。そしてそれらは神夜の意思に、乙音の言葉に同意をしろと
がやがやと求め訴えている。

(………)

神夜の頭に残った理性は、乙音の言葉を必死に拒否しようともがいていた。が、不幸なことに乙音が口から飲ませた粘液は
既に神夜の頭の大部分をも侵しぬいていた。
「……な………なぁ……。な」
その言葉が出るのを、理性は必死に押し留めていた。が、もう抑えきるのは不可能だった。
「…なります、お師匠様ぁ……。私も、お師匠様と一緒に………」
乙音に向けてフッと微笑んだ神夜の瞳は、光を失った暗い赤色に染まっていた。


四肢の枷を外された神夜は、フラフラとした足取りでミルトカイル紅石へ向けて進んでいた。その周りには、神夜が求めている
紅い水が所々で浸されている。
この紅い水もミルトカイル紅石も、姿形は違えど周りにいるアインストと全く同じものだ。人間が近づくだけで発せられる意思によって
操ることが出来、体内に入れることで対象を乗っ取ることも出来る。
(あれに…入ればお師匠様と一緒になれる…)
紅く爛れた思考で、神夜はあそこから競りあがってきた乙音を思い出した。
全身を紅く染めた乙音は、今から考えるとそれはそれは綺麗だった。なんであんなに恐ろしく思っていたのか、今となっては理解できない。
今から自分もそうなることができる。そう考えるだけで神夜は心の興奮を抑えることが出来なくなっていた。

足元に広がる紅い水溜りは、ミルトカイル紅石を同じく意外なほどの透明度を持っていて底まで透けて見えている。中は意外に深く
神夜の背丈の二倍ぐらいの深さがあるだろうか。
普通に考えれば、足を踏み入れたが最後溺れてしまうのは必至である。
が、今の神夜にはそんなことは関係なかった。
「はあぁ……」
すとんとその場に腰を落した神夜は、右足の爪先を水溜りに浸した。当然先ほどの胸のようにビリッとした感覚が神夜の体に走る。
「うぁんっ!」
だが、先ほどと違い神夜はその感覚を快感として捉えていた。
「いい…です。ビリビリ、気持ちいいです…!」
もうこれだけでは収まらない。全身でこの気持ちよさを感じたい。体を、この水で染めてみたい。
何の躊躇も無く神夜は、そのまま紅水の中へとその身を投げ入れた。ザボンという音と共に神夜の体が水の中に沈んでいく。

「?!~~~~~~~~っ!!」

その直後から、神夜の全身に紅水が侵蝕してきた。水は神夜の細胞に入り込むことで組成を侵し構造を侵し遺伝子を侵していき
まったく別の存在へと書き換えていく。
そして、変化し終わった細胞が新たに他の細胞へと牙を剥き、同様の存在へと作り変えていった。
その感覚が、神夜にはたまらなく気持ちいい。
古い自分が新しい自分に昇華し、より素晴らしい存在になれる自覚がひどく歪んだ優越感を生み出していた。
(ああぁ…、体がどんどん変わっていくのがわかります…。今までより、ずっと素晴らしいものに……ゴボッ!)
心地よさから僅かに開いた口から、水が濁流となって神夜の体内に流れ落ちてきた。一旦堰があいたところからはもう止めようが無く
神夜の体内の隙間にたちまち紅水が入り込んでいく。もっとも、神夜に止める意思などもとより無いのだが。
水は食道、胃、腸とどんどん流れ込み、肺の全ても満たしていっていく。呼吸も出来ず肺も詰まってしまえば、その人間を待つものは
死しかない。
が、神夜は泡すら出なくなった口元を軽い笑みで歪めながら時折ビクビクと体を揺らしつつ紅水の中にたゆたっている。
もしかしたら、今の神夜の体は呼吸という行為すら必要ないとしていないのかもしれない。


12:『みんな=わたし』
08/07/18 00:28:35 /WHwRjKC

『……我…』

神夜の頭に、あの意思の波動がこれまでに無くはっきりとした『声』として聞こえてきている。

『…我が求むるは静…の世界。この世界の…物全てを絶やし、我が元存在し…世界と同じく静寂なる…界を作るのが我の意…。
そして、限りなくこ…世界を我の世界と等しく…、元の世界とゲートで繋げ、そこに戻るのが我の望み…』

その声は神夜の精神にズブズブと潜り込み、神夜の元の精神をゆっくり、且つ確実に侵し染めていった。
(…そう…、そうなんです。私は帰らなければならないんです…。私は、あの『世界』に……)
その『世界』がどこをさすのか、何を意味するのか。最初はおぼろげでしかなかったビジョンが次第に頭の中で色濃く形作っていっている。
見たことも、聞いたこともない世界が神夜の頭の中で明確なものとなって、脳裏にはっきりと浮かんできている。
(とても、とても静かな世界。『私』以外何も存在しない、とっても穏やかな世界……)
もう神夜は『自分』と『頭の中の何か』を別のものとしてみていない。同一の個体として頭の中に浮かぶ映像を捕らえていた。恐らく
乙音も神夜と同じ意識、情報、感覚を有しているのだろう。
(私は帰りたい…。帰りたい。帰りたい……)
今、神夜の意識は神夜であって神夜ではなくなりつつあった。頭の中に入りこんでくる巨大な意思、それがあたかも神夜自身の意志で
あるかのように思うようになりつつあった。それだけ、アインストの侵蝕が進んだとも言えるだろう。
(帰りた…!?あううっ!!)
そして、それが神夜の全身の隅々まで行き渡りきった時、神夜は腹に大きな圧迫感を突然感じた。
(な、なんですかぁ……、お腹が、お腹がぁ!!)
神夜の体の中で増殖し、行き場を失ったアインストの細胞が一点にむけて集結し、変異して一つの物質を構成していっている。
それは神夜の体内の肉を喰らい、骨を飲み込み、はらわたを吸収して次第に神夜の体の中に収まりきらなくなるくらいの大きさまで
膨張し、ぐいぐいと神夜の皮下を圧迫してくる。
(ああっ、はあぁっ!!いいっ、気持ちいいです!)
紅水の中で体の自由がいまいち利かない状態で、神夜はお腹だけを前後にビクッビクッと激しく揺らしていた。それだけ
腹部の衝撃が凄いことを物語っているが、神夜の表情は幸せに彩られていた。

お腹に感じるものが大きくなるたびに、心の中に響いてくる声がよりはっきりと体の中に染み渡ってくる。
お腹のものが神夜の体の中で欠くべからざるものになっていくにつれ、自分が完全なアインストとなってゆくのが自覚できる。

そう思うだけで、神夜の心は満ち足りていった。

そして、張力の限界となった神夜の臍の辺りがプクッと盛り上がり、そこから乙音と同じ紅く輝く円状の塊…アインストの核が
むくむくと競りあがってきた。
核は水の中にも拘らずポウッと時折明滅し、それと同調するかのように神夜の瞳も紅く輝いていた。

『我が求むるは静寂の世界。この世界の生物全てを絶やし、我が元存在した世界と同じく静寂なる世界を作るのが我の意思。
そして、限りなくこの世界を我の世界と等しくし、元の世界とゲートで繋げ、そこに戻るのが我の望み』

核が体から出たからか、神夜の頭の中にこれ以上無くはっきりと『自分の声』が響き渡ってくる。『声』は神夜にこれ以上ない位の
安心感と安らぎを与え、疑問、反論というものを挟む間もなく駆逐していく。
内と外から神夜を侵し続けたアインストが神夜の全身を染め上げ抜き、楠舞神夜という一個体を一体のアインストへと変貌させていった。


13:『みんな=わたし』
08/07/18 00:29:35 /WHwRjKC
紅い水溜りの表面にゆらっと波紋が走ったと思うと、中から黒と赤のメッシュの髪が顔を出し、神夜がざばりと全身に粘液を纏ったまま
水の上に上がってきた。
その外見は、水に浸かる前と殆ど差異はない。腹部に不気味に輝く紅い核だけが明らかに普通の人間と異なる部分と言える。
だが、神夜はもはや以前の神夜ではなかった。
その精神も、肉体の組成も、細胞の一片すらも異世界の住人であるアインストと化していた。周りにいる骨のアインストも植物の
アインストも、外見こそ違うが生物としてみた場合神夜は全く同じ個体である。
ちょうど、白蟻が有する役割によってその姿形を変えるかのように。
「………」
神夜は紅く色が変化した瞳を自分の腹に向け、アインストの証である核を愛しそうに見つめてからそっと両手を核に添えた。
神夜の掌にドクッドクッっと核が脈動しているのがわかる。その核を通じて神夜たちアインストの大元…、この世界に最初に落ちた
アインストからの意思がどくどくと流れ込んでくる。

「…私が求めるは静寂の世界。この世界の生物全てを絶やし、私が元存在した世界と同じく静寂なる世界を作るのが私の意思。
そして、限りなくこの世界を私の世界と等しくし、元の世界とゲートで繋げ、そこに戻るのが私の望み…』

ぽつりと神夜が呟いた言葉。それはまぎれもなく先ほどから神夜の頭の中で響く『声』と同じものだった。


『……気分はどうですか?姫』
水際に佇んでいた乙音の声が頭に響いてい来る。さきほどの片言しか聞き取れなかった時と違い、同じアインストになった今は
一言一句はっきりと聞き取れるようになっていた。
『……、素晴らしいです。あれこれ物事を考える必要なく、ただ頭に響く声の言うままにしていればいいということが
これほど心地よいものだとは思いませんでした』
神夜は先ほどまでの乙音と同じく、表情は全く変えないまま心の声で歓喜を奮わせた。
『私の意志とお師匠様の意思は同じ。ここにいるほかの皆さんとも同じ。
世界中に散らばる私と全く同じ意思を介している。これって、とても凄いことだと思います。
ああ…、早く帰りたい。あの静かで落ち着く、元の世界へ……』
もちろん神夜自身はアインストの世界など行ったこともない。が、大元の意思になっているアインストの意思が、神夜の
心にアインストの世界への深い望郷の念を植え付けていた。
『姫、この神楽天原全てを私で浸せばそれだけ元の世界に近づくことになります。
私をもっともっと増やしてこの世界の生物を全て無に帰し、私以外が存在しない穏やかな世界を早く作らないと…』
『お任せください。錫華ちゃん達にも私を与えて、私と同じ体に変えてみせます。みんなきっと、喜んでくれると思います。
うふふっ、とっても楽しみです…』
乙音の言葉に神夜はこくりと頷き、ほんの少しだけだが口元に虚ろな笑みを浮かべた。
ハーケンが、錫華が、いや他の皆も自分から溢れるアインストに魅入られ仲間になると思うだけで体が熱く燃え上がってくる。
『…まずは錫華ちゃんにたっぷりと飲ませて、私に変えてあげましょう。そして、二人で一緒にハーケンさんを…みんなを……
そして、ゆくゆくは武酉城全て、神楽天原全て、エンドレス・フロンティア全てを私に……あはっ』
歪んだ興奮のあまり、神夜の上の口と下の口、大きく張った乳首からアインストがツゥと流れ落ち、地面に紅い染みを形作っていた。




14:178
08/07/18 00:33:07 /WHwRjKC
以上です。
『無限のフロンティア』に登場する連中は、敵も味方も個性強すぎで実にいい塩梅です
でもアインストは節操がなさすぎだと思います。まあ、そのために愉しめるわけなのですが…
それでは皆さん、新スレでもまたまったりと悪堕ちライフを楽しみましょう

15:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:37:22 hNPFBzQY
新スレからおつかれさまですー

16:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:46:11 t7gud2tO
早速キター
GJです!

17:名無しさん@ピンキー
08/07/18 19:58:28 Q4LPC12W
>>14
新スレ早々GJ!

18:名無しさん@ピンキー
08/07/18 22:51:50 wKtJmvWX
pixivで東方キャラの闇堕ち企画を見つけた。
原作の世界観的に堕ちは似合わないが、そんなことは気にせずに反応してしまう俺。

19:名無しさん@ピンキー
08/07/18 23:12:17 ezrRLa2y
その後ニコに無断転載されて、どっかの馬鹿がタグに悪堕ちって打ち込む

東方厨とニコ厨が大量にこのスレに流れ込んで荒らされてスレがアボーン

ゆえに東方もpixivも地雷 

20:名無しさん@ピンキー
08/07/18 23:54:03 wKtJmvWX
そこまで嫌わんでもいいと思うけどなー

21:名無しさん@ピンキー
08/07/19 00:01:24 x2cAG08w
>>18
タグを聞いても良いか?

22:名無しさん@ピンキー
08/07/19 00:03:52 ezrRLa2y
俺も個人的には東方もpixivも嫌いじゃないんだ
19で書いた事が「お前の個人妄想乙」で済んでくれれば
それに越したことはないと思ってるし
ただ東方は敏感な状況が今年中続くと思うぞ(例大祭が良い例)

画像収集して個人で楽しむには最適だと付け加えておく

23:名無しさん@ピンキー
08/07/19 00:24:54 0FCSYpCe
>>21 東方暗黒郷
まだあんまりないけどこれから増えるよ。橙が個人的に秀逸。
東方厨で悪堕ち好きなんて俺くらい…と思いたい。
あと、俺もちょっと今年の紅楼夢が怖い。

このへんで話題転換しとこうか。東方を長く続けるのもアレだし。
pixivって言えば、悪堕ちって入れると以前ここに悪堕ち魔法少女絵投下してくれた人の色つき絵も見れる。
まだここ見ていらっしゃるならお礼おば。



24:名無しさん@ピンキー
08/07/19 00:32:20 u66NKs8X
>>23
おいおい、ちょっとまってくれ
東方悪堕ち好きがお前一人だなんて・・・ここにも一人いるさ
てかね暗黒霊夢みたいなものがあるんだからそれなりにいる気はすると思うよ

25:名無しさん@ピンキー
08/07/19 01:08:41 a3wcVmOp
>>23
おおサンクス
あの魔法少女は堕ち前のも色つきで見てみたいなぁ
素晴らしい

26: ◆g7GufJxh4s
08/07/19 01:40:39 t1zaz/h8
前スレで、同時にss投下とかなんとか言ってた者です。
なんとかまとまってきたので区切りのいいところまで投下します。
ただ、まだ別バージョンのssとはリンクしないので、
しばらくはここのss単独で進みます。

流れぶった切りですがご容赦を。

27:エルマ
08/07/19 01:43:44 t1zaz/h8
…?
…ここはどこだろう?
緩慢な思考から徐々に覚醒してゆく。

気がつくと、私は不思議な状況の中にいた。
自分は椅子に座っていて、周りには…メイドさん?
金持ちの使用人らしき服装の女性が4人、私の周りで忙しそうに動き回っている。
私に黒いドレスを着せ、髪を整え、アクセサリーを付けているところのようだ。
すてき…。
まず初めに、そう思った。

だが…。
意識がはっきりしてゆくにつれ、その異常さが認識できるようになってきた。
自分は確か、お姫様でもなければ、富豪の娘でもない。
使用人もいないし、ドレスなんて…。
そもそも、私は、贅沢のできる生活環境にないはずだ。

では、この状況は何だろう?
最後の記憶を思い出す。
私は確か、学校を出て、帰宅する途中だった。
授業が終わり、調べものをしていたら、予想外に遅くなってしまった。
あんまり遅いと兄に心配をかけるので、急いでいたことは覚えている。
そして…。
…?
思い出せない。

と、メイドさんの一人が声をかけてきた。
「気がつきましたか?もうすぐ準備が終わりますよ。」
なんの準備だろう…?
とりあえず、状況を把握しなくては。
「あ、あの…ここはどこですか?」
声をかけてきたメイドさんに聞く。
「もうすぐ、我が城主の元へお連れいたします。あなたがなぜここにいるのか、
 これからどうなるのか、城主から語られるでしょう。」
城主とやらから聞け、ということか。
「…終わりました、こちらへおいでください。」

28:エルマ
08/07/19 01:46:47 t1zaz/h8
メイドさんに導かれ、廊下を進む。
しばらく進むと、大きな扉が現れた。
メイドさんは扉を開き、彼女自身は裾に控える。
進め、ということらしい。
私は素直に従う。
その部屋は、優雅な、そして気品のある装飾が施されており、
天寿が高く、奥行きがあり、奥に立派な椅子があった。
玉座の、いや、謁見の間か…。
きっと、そうなのだろうと思った。

そして、玉座には人影。
女性だ。
私は、その女性の元まで歩みを進める。

その女性の姿は二十歳前後に思えた。
白磁のような肌、端麗な顔立ちに、漆黒の髪を背中まで伸ばしている。
そして、深く、紅い瞳。
黒いドレス姿だった。
きれい…。
そう思った。


29:エルマ
08/07/19 01:51:05 t1zaz/h8
「ようこそ、我が城へ。」
玉座の女性が口を開く。
「あなたはこの城に、我が僕にふさわしい者として迎え入れられました。歓迎しましょう。」
僕として?
なにがなんだかさっぱりわからない。
おかしいところが多すぎて、どう答えればいいのか分からない。
とりあえず、最初の疑問を口にした。
「…ここはどこですか?」
玉座の間で、城主に対する質問としては、この上なく間抜けな質問だろう。
だが、本当に分からないのだ。
「ここは、ルクレール城。」
返答はそれだけ。
「あなたは誰ですか?」
「ルクレール城の主、クリスティナ・フォン・ルクレール。」
こちらも返答はそれだけ。
もちろん、それだけでは知りたいことは何も分からない。
クリスティナとやらも、それが私の求める答えでないことくらい分る筈だ。
馬鹿にしているのだろうか…?
ちゃんと答えろ、と文句を言おうとしたところ、先に口を開かれた。
「ごめんなさい、ちゃんと答えるわ。」
城主はクスクスと笑って続ける。
「ここはルクレール城、あなたたちの言う山の悪魔のお城。
私はその城の城主、悪魔クリスティナ・フォン・ルクレール。
エルマ、あなたは攫われたのよ。お城の悪魔に。」

30:エルマ
08/07/19 01:52:30 t1zaz/h8
お城の悪魔…。
町には昔から、ある噂があった。
町から失踪した人間は、実はお城の悪魔に攫われたのだ、とかなんとか…。
お城の悪魔とは、昔から伝わるおとぎ話に出てくる悪魔のことだ。
悪いことをすると、お城の悪魔に攫われるわよ、と小さい頃に母に言われたことがある。
子供に言うことを聞かせるためのおまじないだ。
だが、噂によると、その悪魔は本当に存在して、人を攫っているのだとか。
その噂を聞いた時は、そんなばかな、と、信じなかったが…、
ここはその城で、眼の前にいるのがその悪魔で、私はその悪魔に攫われた…と、
そういうことなのか…?
しかし…。
「信じられません。」
当然だ。
この女性は私をからかっているのかもしれない。
「そう?」
またクスクスと笑う。
なんなんだ、いったい。
「うちへ…帰ります。出口を教えてください!」
それでも城主はクスクスと笑っている。
「いいです!自分で探します!」
私はとうとう我慢できずに声を荒げた。

31:エルマ
08/07/19 02:01:34 t1zaz/h8
踵を返し、部屋を出る。
廊下を渡り、別の扉を探した。
手近な扉を開け、進もうとしたが…その扉を潜り、驚く。
正面に城主がいる。

城主が先回りした…?
いや、ちがう。
先ほどと同じ部屋のようだ。
「あら、戻ってきましたの?」
城主は笑いっぱなしだ。
おかしい、私は確かに先ほどとは違う扉を開いたはず。
すぐに廊下にもどり、別の扉を開く。
…だが、またも同じ部屋。
愕然とする。
いったい、どうなっているのだろう?
出口は?
いや、それよりも、…閉じ込められた?
頭が混乱してきた。
「そう、あなたはここから出ることはできない。」
城主はまるで私の思考を読んでいるかのように嘲笑う。
その言葉は、私をますます混乱させる。
…落ち着け、冷静になるんだ、私。
自分に言い聞かせるが、それでも理解できないことには変わりない。

さて、と城主が口を開く。
「あなたは、私に仕えるためにここに来た。
でも、しばらくの間、あなたは私の客人。
私に仕えるか、私を拒むか、あなたに選ばせてあげる。」
だんだん、怖くなってきた。
「あ、あなたに仕える気はありません!」
もちろん拒む。

お城の悪魔。
出ることのできない城。
もしかして、私は夢を見ているのではないか?
そんな気がしてきた。

「そうね。最初はだれでも拒むわ。…でも、そのうち気分が変わるでしょう。」
城主が立ち上がる。
そして恭しく、優雅にお辞儀をしながら、麗らかに言い放った。
「ようこそ、私のかわいいお客さま。愛して差し上げますわ…。」
城主の目が紅く輝く。
何が起こったのか分からない。
だが、なぜか私は、意識を失った。


32:エルマ
08/07/19 02:10:12 t1zaz/h8

「うぅーん…。」
私は見知らぬ部屋で目を覚ました。
ベッドの上だろうか。
柱と、天井のある豪華なベッドだ。
「お目覚めね。エルマ。」
そして、ベッドには白い衣装を着た城主が腰かけていた。
そういえば、なぜ、私の名を知っているのだろう…?

よく見ると自分は服を着ていなかった。
気を失っている間に脱がされたのだ。
ばっ、と手近なシーツで体を隠す。
寝ている間に服を脱がされた。
それだけで、恐怖するには十分だった。

目が覚めると知らないお城でお姫様と謁見。
脱出不可能なお城。
城主の不思議な力によって意識を失った自分。
明らかに異常だ。
そして、いまだ、何が起こっているのか把握できない。
理解が付いて行かない。

「…あなたは、何者なのですか?」
もう、それくらいしか言うことが思いつかなかった。
城主が答える。
「私は、悪魔。人に干渉し、人の心を喰う存在。…趣味趣向から淫魔の部類に入るかもね。」
やはり何を言っているか分からない。
「…私は、これからどうなるのですか?」
最後に、一番気になる疑問を口にした。
「言ったでしょう?あなたは私の僕になるのよ。」
…何を言っても手ごたえがなかった。
「ふふふ、大丈夫よ、そのうち分るわ。」
そのうち、では困る。
早く家へ帰りたい。
お兄ちゃんが待っているはずだから。

33:エルマ
08/07/19 02:15:18 t1zaz/h8
「さて、さっき私は淫魔だと言ったわね。」
城主が仕切り直すように言う。
「知らないみたいだから教えてあげる。
淫魔とは、人間を淫らにして、その精を吸う存在。
私の場合は、人間の心、感情、あるいは意志、そして生命力を喰うのだけど。」
喰う、と聞いて、はっとした。
きっと、この状況から推測して、私を喰うということのだろう。

…私はここで食べられる…?
しかし、心を喰うとはどういうことなのだろうか。
「大丈夫よ、あなたに噛みついて、お肉をむしゃむしゃ、なんて真似はしないから。」
城主は私の思考を先読みしているかのように、私の不安に答えた。
「私はね、あなたに気持ち良くなってもらいたいだけなの。
あなたは、ただ、気持ち良くなるだけでいいの。」
ぬっ、と城主が身を乗り出してくる。
私は、城主の紅い瞳から目が離せなかった。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」
城主の瞳が紅く輝く。
謁見の間とのときと同じだ。
しまった、と思ったころには遅かった。

「え…、なに?…動けない!」
体が動かない。
身じろぎすることはできるが、腕に、脚に力が入らないのだ。
「体の自由を奪わせてもらったわ。暴れられても困るからね。辛いかもしれないけど、我慢してね。」
さらに城主が近付いてくる。
怖い…。
これから、いったい何をされるというのか。

城主の顔が近付いてくる。
城主の唇が近付いてくる。

そして…、私は唇を奪われた。
驚きで、眼を見開く。
これは…キス?
まだ、誰ともしたことがないのに…。
思考の片隅でそんなことを思った。

34:エルマ
08/07/19 02:20:18 t1zaz/h8
はじめは優しく触れるような、口付けだった。
それが、だんだん激しく、淫らになってゆく。
私は抵抗した。
口をつぐみ、歯を食いしばり、これ以上自由にさせないように。
しかし、城主の手が、私の体に、胸に触れたとき、思わず力が抜け、
その抵抗を緩めてしまった。
城主はその隙を逃さず、私の口に舌を入れる。
唇を食み、歯茎を刺激し、舌を絡め、唾液を流し込んでくる。

…ん、ちゅ、ぴちゃ…、ちゅ…ん…

なんだろう…。
嫌なのに…頭が、ぼうっとしてくる…。
…今、私は、この女性と体液を共有している…。
…私の体液が吸い取られ、新たにこの女性の体液が染み込んでくる…。
そんなことが、頭に浮かんだ。
いつしか、私の舌は城主の舌を、積極的に求めていた。

「ふふふ、素直になってきたわね。」
城主が銀糸を引きながらそう言った。
「…どう、して…?」
荒い息で、自身の未知の反応に戸惑う。
「…気持ちいいからよ。」
そんな…。
否定したかった。
でも、私はこの行為にどこか興奮を覚えていた。
私の口内が、この女の唾液で染められ、汚され、犯されてゆくことに。

…キスの続きが始まる。
私の口からたっぷりと唾液を吸われ、私の口にたっぷりと唾液を注がれる。
私の体を巡る、すべての水が、彼女と同じになってゆく…。
私の体が、彼女に染められてゆく…。
私が、穢されてゆく…。
そんな気がした。

数分の行為が続き、城主は唇を離した。
「…あ…。」
私を満たしていた温もりが離れて行く。
なんだか、名残惜しい気がして、その直後、自身の欲望に気付く。
そんな…、私…感じていた…?

城主はすべてを見通しているかのような笑みで私を見ていた。
「安心なさい、まだまだこれからよ。」
気付かれている。
私が、感じてしまったことに。
…恥ずかしい…。
強い羞恥心が込み上げてきた。

35:エルマ
08/07/19 02:22:47 t1zaz/h8
城主が私の胸に手を伸ばす。
さらり、とした感触。
動けない私は身をこわばらせて耐えるしかない。
「きれいな体…。」
城主の手が、ふに、ふに、と私の胸を摩る。
「いい胸ね…。乳首もきれい…。」
城主の指が、私の乳首を、くにくにと転がす。
「…んっ…。」
ぴくり、と体が動いた。
乳首が、硬くなっている。
先ほどからのキスで、私の体は、興奮していたのだ。
そして、城主は下の方に手を伸ばす。
何をするか、すぐに分かった。
私の…性器。
「いやっ!触らないで!」
反射的に体がこわばる。
しかし、城主は容赦なくその秘裂を撫で上げた。
「…あっ…。」
湧きあがる、甘く、切ない感覚。
抵抗できない。
「あまり遊んでいないのね。胸も、ここも、きれい。」
すでに、私の性器は濡れていた。
城主は、にちゃにちゃと音をたてて私の秘裂を撫でまわす。
「…でも、感度は…いまいちみたいね。」
屈辱、恥辱で頭から火が出そうだ。
「かわいそうに、女でありながら、女の悦びを知らないなんて。」
…うるさい、そんなことを言われる筋合いはない。
わたしは城主を睨みつけるが、その視線すら城主は楽しんでいるようだ。
城主は手を拭くと再び私の胸に手をあてた。
「すこし、成長させてあげる。」

36:エルマ
08/07/19 02:27:28 t1zaz/h8
「かわいそうに、女でありながら、女の悦びを知らないなんて。」
…うるさい、そんなことを言われる筋合いはない。
わたしは城主を睨みつけるが、その視線すら城主は楽しんでいるようだ。

城主は手を拭くと再び私の胸に手をあてた。
「すこし、成長させてあげる。」
成長…?
城主の手が、淡い青色の光を放ち始めた。
「な、何をするの…?」
手が光るという異常。
本来、人間の手は光を発したりしない。
きっと、私がされていることも、なにか異常なことに違いない。
「じきにわかるわ。」
城主は教えてくれない。
そして、その手で、やさしく、やさしく私の胸を撫でる。
徐々に、胸がじんわりと熱を帯びて行く。
その得体のしれない感覚に、私は恐怖した。
なにかされていることは間違いない。
でも、いったい何をされているのか分からない。

しばらくして、城主は手をはなした。
「…すこし、形も整えてあげたわ。感謝しなさい。」
城主の言うとおり、左右で少し違っていた私の胸は治されていた。
だが、とても喜んでいられない。
得体のしれない方法で体を弄られたのだ。
その事実にさらに恐怖が募る。
そして、やはり、弄られたのはそれだけではなかった。

37:エルマ
08/07/19 02:29:30 t1zaz/h8
「じゃあ、試してみましょう。」
城主が再び私の胸に手を添えた。
「…あ…。」
触れられた、という感覚が以前よりはっきりと伝わる。
城主の手の形が胸を通してはっきりと感じられる。
「胸の感覚を、よりはっきり感じられるようにしてあげたわ。
そして、より興奮できるようにもね。」
確かにそうらしい。
ふにふにと形を変えるたびに、体が熱くなる。
胸を揉まれることが気持ちいいなんて…。
胸から生じる甘い熱に、あたまがぼうっとする。
「そして、乳首も…。」
城主の指がきゅっと私の乳首をつまんだ。
「ああっ…!!」
体を白い閃光が走った。
感じたことのない快感。
みると、私の乳首は中心の突起が以前より大きく膨れていた。
それを、城主は摘み、くりくりと転がす。
「あああ、やあぁ…!」
再び走る白い閃光。
「こんな、こんなのぉぉ…!」
こんなの、いやだ、そう言おうとした…。
「いいのよ、我慢しなくて…。ほら、イきなさい…。」
城主は刺激を強める。
「…ひゃ…!…ぁ…!」
私はついに、絶頂を迎えた。

38:エルマ
08/07/19 02:32:26 t1zaz/h8

朦朧とした意識が徐々に戻ってくる。
かすんでいた天井が、徐々に像を結び始める。
…私、どうなっちゃったの…?
天国まで攫われたかのような体の昂り。
今までに自身を慰めた経験がないわけではない。
だから、これが性的な快楽であることも理解できた。
だが、これは、あまりに強すぎる。

視界が戻ってきた。
見ると、城主は私の股間に手をあてていた。
胸の時と同じ、淡い光を放ちながら。
また、何かされてしまう…。
そう思ったが、抵抗しようにも気持ちが付いてこない。
「…やめて…お願い…。」
そう言うのが精いっぱいだった。
「どうして?こんなに気持ちいいのに?」
城主が問う。
他人に体を弄られて、気持ちいい筈がない。
だが、否定するには、やや理性が消耗しすぎていた。
城主は私の答えを待たずに言う。
「そのうち考えが変わるわ。気持ち良くなるうちにね。」
そう言うと、城主の手から光が消えた。
変化が終わったのだ。

39:エルマ
08/07/19 02:44:07 t1zaz/h8
くち、と城主の手が秘裂をなぞる。
「んん!!」
指を浅く出し入れする。
「ん、あ、ああ!」
触れられるたび、体を満たす甘い感覚。
時折激しい刺激を伴いながら、体を駆け抜けて行く。
濡れそぼった淫裂を出発点に、腰、背中、首、そして、頭へ。
体が、ただ快楽が駆け抜けるだけの通路になったみたいだ。
こんな感覚は初めてだ。
こんなの自分の体じゃない。
そう思った。
城主は私に乗りかかり、快楽を与え続けながら、耳もとで囁く。

「あなたはまだ、青くて未熟なつぼみ。でも、あなたはここで女として花開くのよ。」
女として、花開く…?

「そう、淫らに、そして、美しく…。」
淫らに…美しく…。

「そして、私の虜に…。」
快楽とともに染み込んでくるきれいな澄んだ声。
私の体に、魂に、快楽の記憶が刻みつけられる。
彼女の言葉とともに。

40:エルマ
08/07/19 02:45:32 t1zaz/h8
頃合いを見計らった城主は再び私の唇を塞ぐ。
彼女の左手は私の秘裂に、彼女の右手は私の胸に、彼女の唇は私の唇に…。
城主は私がまたイってしまわないように加減をしながら、
しかし、口では、激しく私を犯した。
彼女と私の唇で、私は奪われ、彼女は与える。

…ちゅちゅ…じゅる…ぷちゅ…。

体液の共有…。
私はまた染められる。
私が…溶け出してゆく…。
彼女と…同化してゆく…。

そう、感じた直後、手の攻めが強くなった。
同化するイメージに取り付かれながら、胸と、性器からの快楽に押し流されてゆく。
私…この人と一つになりながら…あ、あああああ…!
「…ん、ん、んふんんー…!!」

…私が、消えて行く…。

身体を弓なりに反らして、私の意識は閉じた。

41: ◆g7GufJxh4s
08/07/19 02:52:08 t1zaz/h8
今回はここまでにします。

エロがエロくならない…

途中、投下ミスしました。
文章が一部かぶっているレスがあります。
お恥ずかしい。

では、また、近いうちに。

42:名無しさん@ピンキー
08/07/19 09:35:58 +Q12DEiB
>>41
GJ!
続きを期待してるぜ

43:名無しさん@ピンキー
08/07/19 09:45:57 6gIp/zsY
さあ、早く続きを投下するんだ

44:名無しさん@ピンキー
08/07/19 11:14:01 LU55VJo/
裸で待つのにぴったりの季節だ

45: ◆g7GufJxh4s
08/07/19 12:22:47 t1zaz/h8
続き、行きます。

46:エルマ
08/07/19 12:25:23 t1zaz/h8

眩しさを感じ、目を覚ました。
窓から差し込む光は眩しく、今が昼間であることを伝えていた。
見慣れない部屋。
そうか、私、攫われたんだっけ…?
攫われた時のことは覚えていのに、攫われたことを自覚するなんて。
なんだか変な気分だ。
周りを見渡す。
どうやらここは城主の部屋でもないらしい。
あの後、気を失った私を運び出したのだろう。
…一応、服は着せてくれたらしい。

昨日の出来事を思い出す。
…夢のような、惨劇のような出来事。
体を弄られ、淫れさせられ、そして…天国へ連れていかれた。

体を…弄られた…?
そうだ、私は体を弄られた。
自分の体が何か違うものに変えられたようなイメージが湧いてきた。
そのおぞましさに戦慄する。

「…大丈夫よ。私は未熟だったあなたの女を目覚めさせてあげただけ。
そして、あなたが異様に感じたのは私の力。
あなたの体を弄ったせいではないわ。」

突然声がした。


47:エルマ
08/07/19 12:27:51 t1zaz/h8
城主だ…。
いつからそこにいたのだろう。
入ってきたことすら気付かなかった。

「ただ、感覚は鋭敏になったはずだから、欲情しやすくはなったでしょうね。」
…冗談じゃない。
何か反論しようとしたが、先に口を開かれる。

「おはよう、エルマ。食事を持ってきたわ。一緒に食べましょう。」
彼女の脇にはワゴン。
ワゴンには二人分の食事。

…そういえば、お腹すいた…。


48:エルマ
08/07/19 12:33:51 t1zaz/h8
城主はテーブルに食事の用意を広げてゆく。
用意を終えると城主はテーブルについた。
「さあ、食べましょう。」
私も無視するわけにもいかないと思い、しぶしぶテーブルにつく。
パンとサラダとおそらく果物のジュース。
普通の食事に見える。
パンは焼きたてなのか、まだ温もりを保っていた。

おいしそう…でも、食べても大丈夫なのかな…。

そんな私の様子を見ていたのか、城主は微笑みながら言った。
「…毒なんか入ってないわよ。もちろん変な細工もしていないわ。」
そして、パンを自らの口に運ぶ。
もちろん、その様子を見ても私の不安は消えなかった。

でも…お腹すいた…。

さんざん迷った挙句、私はパンに手を伸ばした。
食欲には勝てない。

ふわふわのパン。
簡単にちぎれて、そして、おいしそう。
口に運ぶと、やはり、おいしかった。
豊潤な麦の薫り、きめ細やかな生地、ほのかに甘味を感じさせた。
…結局、私は、サラダも、果物のジュースも、しっかりいただいてしまった。
その様子を、城主は優しい眼差しで眺めていた。
穏やかな空気の中、私たちの食事は進んだ。

お互いの料理が無くなって、一息ついたあと、
さて、と城主は片付けを始める。

そういえば、なぜ、この人はわざわざここに来たのだろう。
確か、この城には何人ものメイドさんがいたはずだ。
しかも、食事まで一緒にして。
聞いてみることにした。

「城主さん…」
「クリス、と呼んでちょうだい。」
「…クリスさん、どうしてここに来たのですか?城主のあなたでなくとも良かったはず…。」
クリスは答える。
「あなたと、食べたかったのよ。それと、あなたと話したかった。」
なんだろう、クリスから、やけに温かさみたいなものを感じる。
「私は、あなたにこの城にいてほしいの。私と共に生きてほしいの。」
まるで愛の告白のような、そんな甘い言葉。
こっちが恥ずかしくなりそう。
普段なら一歩引いてしまうだろうその言葉も、
クリスの気品と風格と相まって、とてもくすぐったく感じる。
そして、どこか、嬉しさも。

わたしは…。


49:エルマ
08/07/19 12:37:16 t1zaz/h8
「わたしは、家に帰りたい。私の帰りを待っている人がいるから。」
当然だ。
彼女の一方的な愛に応える義理はない。
私には、私を家族として愛してくれた兄がいる。
私は家に帰らなければならない。
家でお兄ちゃんが心配しながら待っているのだ。

「どうしても、それを許さないというのなら、せめて連絡だけでも…」
「だめよ。」
クリスは遮った。
「あなたは、これまでのすべてを忘れ、私に尽くすの。
この城に来た時点で、町に住んでいたあなたは死んだのよ。」
「そんな…!」
町に住んでいた私は死んでなどいない。
いま、ここで生きているではないか!

…お兄ちゃんに会わせてほしい。
もう、二度と会えないなんて嫌だ。

だが、クリスはそんな私の気持ちなど取るに足らないといった態度をとる。

「それより…昨夜の続きをしましょう…。」
昨夜と同じ、体の自由を奪われた。


50:エルマ
08/07/19 12:47:37 t1zaz/h8
ベッドの上で、執拗に愛撫される。
彼女は、私が平静でいられる限界を、わずかに超える快楽を与えていた。
抵抗しようとすれば、抵抗できそうな快楽。
しかし、彼女はそれを許さない。
焦らしているのとも少し違う。
私に、快楽という甘い蜜を、ゆっくりゆっくり染み込ませているのだ。
激しい快楽は与えず、しかし、持続的に、反復的に与え続ける。
叩き込むのではない、染み込ませているのだ。
「…んっ…ぁぁ…。」
ほら、またイかされた。

それは、石を磨く作業に似ているかもしれない。
少しずつ、何度も磨くことで、きれいに、きれいに、仕上げるのだ。
美しく、淫らに。

51:エルマ
08/07/19 12:48:59 t1zaz/h8
もう、なんど、イかされたのだろうか…。
既に、境界は曖昧で、常に絶頂を迎えているかのようだ。
理性は消耗し、しかし、快楽は絶えない…。

「気に病まなくてもいいのよ。触られて気持ちがいいのは当然のことなのだから。」
クリスが淫裂を愛でていた指の力を強める。
「…は、あぁん…!」
すこし強い絶頂…。
なんどもイき続けたせいで息が苦しい…。

「あなたは家へ、お兄さんの元へ帰りたいのね?」
クリスの問いに涙を流しながら、こくりと頷く。
「そう…。でも…。」
再び、少し強い快楽。
また、視界が白くぼやける。
「忘れてしまいなさい…。」
私の願いなど、当然のように、クリスは聞き届けてはくれなかった。

「ここではあらゆる幸せより素晴らしい快楽を得続けられるわ。私が与えてあげる。」
優しい愛撫を施しながら、やはり、優しく囁く。
快楽とともに浸透してくる彼女の声。
「お兄さんとの生活がどれほど素晴らしくとも、あなたは必ず私を選ぶ。」

徐々に、愛撫を強めてくる。
先ほどまで何度もイかされたのに、それでも鮮烈な刺激が与えられる。
「さあ、あなたの乱れる姿、もっと私に見せてちょうだい。」
ああ、また、イっちゃう…。

「…愛してあげる。」

そして、私は快楽に包まれた。

…また、私が消える…。

…お兄…ちゃん…。


52:エルマ
08/07/19 12:53:08 t1zaz/h8

彼女は抵抗している。
すでに、何度も快楽を与えたが、
彼女の理性が限界を迎えるとき、必ず『お兄ちゃん』という存在がちらつく。
帰るべき家で自分を待つ、大切な人のため、必死に抵抗しているのだ。
今までも私に、快楽に抵抗した人間はいた。
だが、大抵は、快楽に壊れ、狂い、あるいは…死んでしまった。
この娘も焦れば死んでしまうか、壊れてしまうだろう。
慎重に、花を愛でるように、少しずつ染めてやらねば。

だが…。
ふと、疑問が湧きたつ。
なぜ、人はそうまでして快楽に抵抗するのか?
快楽とはすなわち喜びだ。
素直に受け入れればよいものを、なぜ、死を選んでまで拒むのか。

…まあ、その理由はなんとなくは分かる。
きっと、それは、人としての幸せを失いたくないから。
獣として至高の快楽を得られるとしても、人としてのわずかな幸せを失いたくないから。

あの娘は、現実を受け止められないほど、未熟でも、愚かな人間でもないはずだ。
だが、もう二度と戻ることはできないと宣告されても、決して認めようとしない。
人としての幸せ。
それは、彼女の中で、確固たる礎を築いていた。

そんなにも、忘れられないのか。
そんなにも、大切なものなのか。
では…それならば、それを壊してしまえばいい。
そうすれば、ありもしない希望を手放し、私にすべてを委ねるはずだ。


53:エルマ
08/07/19 12:55:07 t1zaz/h8
そんなにも、忘れられないのか。
そんなにも、大切なものなのか。
では…それならば、その大切なものを壊してしまえばいい。
そうすれば、ありもしない希望など手放し、私にすべてを委ねるはずだ。

しかし…はたしてそれでよいのか。
おそらくそれは最も効率がよく、最も簡単な方法だ。
だが、どこか芸がない。

…いや、面白いことを思いついた。
彼女自身にその幸せを壊させてみよう。
彼女自身にそれまでの幸せを、人としての幸せを壊させるのだ。
それも、最高の形で。

彼女は壊れるだろうか?
それとも…?

どうやら…ふふふ、よい楽しみを見出してしまった。


54: ◆g7GufJxh4s
08/07/19 12:58:51 t1zaz/h8
今回はここまでにします。

続きはまた、今夜にでも投下します。

55:名無しさん@ピンキー
08/07/19 22:09:00 umx+XbyK
>>54
期待して待機中

56: ◆g7GufJxh4s
08/07/19 22:48:21 t1zaz/h8
では、再開します。

57:エルマ
08/07/19 22:49:09 t1zaz/h8

もう、何日目か。
クリスは現れるたびに私を愛でた。

最初こそ、私の魂を侵すその暴力になんとか反抗していたが、
回数を重ねるたびに徐々に抵抗は薄れていった。
最近では、気を抜くと私から彼女を求めている気がする。
私は快楽に曝されるうちに、歪められてしまったのだ。

なんと、弱い意志か。
なんと、弱い心か。

もちろんそんなことは嫌だ。
私には待ってくれている人がいる。
その人を裏切らないためにも、彼女を受け入れてはいけない。
受け入れれば、きっと、戻れなくなってしまうから。

だが、その気持ちすら、最近は疑わしい。
嫌だ、嫌だと心の中では抵抗していても、実際の行動に表れない。
気を抜くと、彼女を求める私が顔を出す。

…本当はもう諦めていて、
でもそれを認めらたくないから、半ば口実のように心では抵抗しているのではないか?
いや、本当はそうですらなく、
心の中で抵抗したつもりでいるだけで満足しているのではないか?
そんな、疑問さえ浮かぶ。

…私は、疲弊していた。

お兄ちゃんに会いたい。
その気持ちだけは、私の中に確かに存在した。
いや、存在すると必死に信じている。
それだけが、今の私を支えている…。

58:エルマ
08/07/19 22:56:32 t1zaz/h8
「…エルマ。」
クリスだ…。
また、私を愛でに来たのだろう。
でも、今回は何か雰囲気が違う。
いつもなら、私を少しだけからかって、ベッドに誘う。
別の意味で力ずくで。
だが、今日は、これまでの穏やかな雰囲気ではなく、なにか、真剣な面持ちだ。
そして、少し冷たい。

すこし困惑する私に、クリスは口を開いた。
「あなたに対して、気が変わったの。私はあなたを私の虜にするつもりでいた。でも、やめにすることにしたわ。」
クリスの口から出てきたのは意外な言葉だった。
私を諦めた…。
それは、私の解放を意味しているように思えた。
本来なら諸手を挙げて喜ぶところなのだろうが。
なぜか、複雑な気分になった。
物足りないような、さみしいような…。


59:エルマ
08/07/19 22:59:04 t1zaz/h8
だが、どちらにせよ、彼女の目的は終わったのだ。
きっと私は解放される。
「私を帰してくれるのね…?」
だが、クリスは首を横に振る。
「どうして…!」
なぜ返してくれないのか。
彼女の目的は私を虜にし、僕にすることだったはずだ。
「あなたに別の興味が湧いたのよ。」
「…?」

別の興味…?
まだ、返してくれないことには変わりないらしい。
「あなたは、いまでも家に帰りたいと思っている。
それは、きっと、そこがあなたにとってとても幸せな場所だったから。
…そうでしょう?」
その通りだ。
無言でうなずく。
「その幸せが忘れられないから、あなたは快楽に屈することはなかった。
でも、もし、…その幸せが壊れたとしたら…どう?」


60:エルマ
08/07/19 23:02:54 t1zaz/h8
何を意味しているのかはすぐに分かった。
「まさか…、お兄ちゃんを殺そうっていうの?」
嫌だ、そんなこと、絶対に嫌だ。
きっとこの女なら、それが可能なのだろう。
嫌な汗が噴き出す。
クリスはクスクスと笑う。
「少し違うわ。」
意味ありげに含みを持たせた言葉。
「…殺すのはあなた。あなたが殺すの。」
…?
何を言っているのだろう?
私がそんなことをする筈がない。
「いずれ分かるわ。」
嫌な予感がする。

「さて、始めましょう。」

クリスの周囲を風が取り巻く。
強い風に、私は目を開いていられなかった。


61:エルマ
08/07/19 23:10:51 t1zaz/h8
しばらくして風が収まったころ、ようやく私は目を開くことができた。
が、その目に飛び込んできたのは信じられない光景で、その存在に驚愕した。
そこにいたのは見慣れたクリスではなかったからだ。

青白い肌。
蝙蝠のような翼。
山羊のような角。
蛇のような尻尾。
黒い下地に黄金の瞳。
その身に纏う威厳と風格。

おおよそ人間の姿ではない。
それは、そう、きっと悪魔と呼ばれるものたちの姿なのだろう。
人にあらざる黄金の瞳が私を見つめている。


62:エルマ
08/07/19 23:14:49 t1zaz/h8
怖い…。
純粋にそう思った。
体が震える。
知らず、私はベッドの上を後退っていた。

悪魔が口を開く。
「この姿を見せるのは初めてね。」
その声は、聞き慣れたクリスのものだった。
悪魔は震える私を見て、やれやれ、と半ば呆れた様子だ。
「そんなに怯えないでちょうだい。」
溜息混じりにそんなことを言う。

以前、クリスは自身を城の悪魔だと名乗った。
私は、彼女がずっと人と変わらない姿をしていたから、全然意識していなかった。
ちょっと不思議な力が使えるお姫様、くらいにしか思っていなかった。
だが、眼の前にいるのは怪物だ、異形だ。
おそらくこれが悪魔と呼ばれる存在なのだろう。

「な、何をするつもり?」
震える声で魔物と対峙する。
「いつもとだいたい同じよ。あなたは気持ち良くなるだけでいいの。」
いつもと同じ。
つまり、この悪魔は私を犯す、ということなのだろう。

悪魔の体が近付いてくる。


63:エルマ
08/07/19 23:16:42 t1zaz/h8
これは忌むべき存在だ。
この存在には触れてはいけない。
人としての本能が、そう警鐘をならす。

だが、怯えきった体は言うことを聞かず、まともに立ち上がることさえできない。
それでも私は必死に手足を動かして後退さった。
だが、到底逃げ切れるはずもなく、あっという間に追い詰められ、腕をつかまれる。

血の気を感じさせない青い肌が、顔が近付く。
黒地に輝く金色の瞳が私を捉える。
紫色の唇が、舌舐めずりをしている。

穢される。
本気で、本気でそう思った。
体は震えっぱなしだ。
目には涙が浮かんできた。
逃げたい、逃げたい…。

だが、いやに艶やかな紫色の唇は、容赦なく私と結合した。



64:名無しさん@ピンキー
08/07/19 23:22:00 6ezcniBT
支援

65:エルマ
08/07/19 23:24:13 t1zaz/h8
連日の快楽がよみがえる。
体の力が抜け、震えが収まった。
慣れ親しんだ唇の感覚に、いつもどおりの反応を返す私の体。
唇を奪われた私は…快楽に身を委ねてしまう。
口を侵す異形の快楽を、自ら舌を絡め、求めてしまう。
悪魔の唇から注がれる忌むべき毒を、おいしそうに求めてしまう。

私はいつの間にか、穢されることを拒めなくなってしまっていたのだ…。

青い魔物が私に覆いかぶさる。
悪魔の手が、口が、私の体を弄ぶ。
今までにも感じた、私自身を犯される感覚。
今、初めて感じる、人外に体を委ねる生理的、精神的な嫌悪感。

にもかかわらず、際限なく昂ってしまう、十分に快楽を叩き込まれた体。
まるで、私が自身の体に人であることを否定されているようだ。
私は今、悪魔の愛を一身に受けていた。

嫌だ。
こんなのは嫌だ。

だというのに、まるで禁忌を侵すような行為に、別の昂奮も覚える。

一通り私の体を味わって、悪魔は私を快楽から解放した。

66:エルマ
08/07/19 23:28:18 t1zaz/h8
悪魔が問う。
「今日、なぜ私はこの姿をしていると思う?」
分からない、そう、首をわずかに横に振ることで答えた。
クリスは人外の顔でクスクスと笑う。
いま、この状況において、その嘲りさえも、獣かなにかの声に聞こえる。
そして、悪魔はその目的を明かした。

「あなたを、私の眷属に、あなたも悪魔するためよ。」


67:エルマ
08/07/19 23:33:38 t1zaz/h8
…私も悪魔にする…?
確かにそう言った。

「ほら。」
クリスは自分の体を指した。
悪魔の股間に変化が…。
ミチミチと音を立て、それが現れる。
棒状の肉。
それが何なのか、私はすぐに理解し、戦慄した。
ペニスだ。
灰色のペニス。
ペニスが悪魔の体に現れたのだ。
「嫌ぁ!やめてっ!」
その肉棒を何に使うのかは明白だ。
その凶器で、私を突き貫こうというのだ。


68:エルマ
08/07/19 23:42:11 t1zaz/h8
「まだ、あなたの処女は頂いていなかったわね。」
私の淫裂を、悪魔の青い指が愛おしそうに、すりすりとなぞる。
お誂え向けに、その割れ目は、十分すぎるほど潤っていた。
悪魔の青と、私の桃色、それを透明な粘液が彩る。
「あなたの処女は私が頂くわ。悪魔に処女をささげるなんて光栄なことなのよ。」

嫌だ…。
さんざん穢された体でも、それでもまだ…私は純潔なのだ…。
そんな意識が、今更になって芽生える。
この純潔は愛すべき男にささげるもの。
こんな化け物にくれてやるものではない。

「嫌ぁぁ!お願い、やめて!おねが…ムグッ…!」
必死に懇願するが、口を塞がれる。
瑞々しく、毒々しい、紫色の唇に。
慣れ親しんだその感覚に、抵抗の意思が奪われる。
私の頬に涙が伝わる。
私は泣いていた。

「大丈夫、気持ちいいから。」
唇を離した悪魔…。
人にあらざる顔で、私をやさしくなだめる。
もちろんその悪魔の言葉は、私を落ち着かせることはなく、
人外に犯される昂奮を、今まで以上に呼び覚ますだけだ。

そして、ついに彼女の凶器があてがわれる。
「…ああ…やめて…。」
最後の懇願をする。
悪魔は、優しい微笑みをその人外の顔に浮かべて応えた。
もちろん、私の願いを聞き入れるはずはない。

「それじゃあ、行くわ。」
にゅぷ、と彼女の先端が、私の肉を押し広げた。


69:エルマ
08/07/19 23:45:52 t1zaz/h8
「痛い!いたい…!」
初めて本格的な異物を受け入れる痛み。
そして、ミチ、ミチという感覚が膣から伝わる。
処女膜が徐々に裂けているのだ。

ついに、奪われる。
私の純潔が奪われてしまう。
「いやああああ!!」
叫んでいた。

しかし…。
ずりゅり、と彼女の凶器が突き刺さる。
奥まで届いているのが判った。
貫き通されたのだ。
痛みと、そして、喪ってしまった絶望に、私の心は押しつぶされる。
「あ…あああ…。」
精神力の限界を超えていた。
衝撃が大きすぎて半ば放心状態だ。
その様子を、悪魔は悦に浸りながら眺めていた。

「…ねえ、聞いて。」
悪魔が耳元で囁く。
「今から私の精を、あなたに注ぐの。」


70:エルマ
08/07/19 23:55:02 t1zaz/h8
精を注ぐ…。
中に…出される…。
その言葉に反応し意識が引き戻された。
「お願い…やめて…。」
泣きながら懇願する。
だが、この願いが聞き届けられることも、当然、ない。
悪魔は残酷に断じる。
悪魔の肉が私の中をゆっくり出入りする。
痛い、痛い。

しかし、その痛みすら私を昂らせる。
今夜初めて他者を受け入れる私のそこは、
初めてにもかかわらず、快感を伴う適度な痛みを伝える。

それは初めてクリスと交わったとき彼女が施した術が原因か、
連日犯され開発されたのが原因か、
それとも、この悪魔の能力か、
はたまた、その全てか、
私にはわからない。

穢されることを、まるで喜ぶかのように、私の体は昂る。
そのことだけは同じだった。

既に、好い嫌いは関係ないのかもしれない。
私の体は、ただ、ただ昂奮してゆく。


71:エルマ
08/07/19 23:58:44 t1zaz/h8
「んっ、ふっ…出すわっ。受け取りなさい!たっぷりと注いであげる!」
おなかの中の異物が膨張する。
精を出されるのだ。

悪魔の精は人にとって忌むべき毒だ。
それは、私にも本能で感じとることができる。
人にとって穢れの塊でしかないその液。
それが、今、まさに、私に注がれる。

「いや!いやあああ!」

…びゅるるる…。

粘性を帯びた汁が体の中に打ち付けられる。
その不快で心地良い衝撃を、私は何もできずに感じていた。
「ああ…出てる…私の中に、出てる…。」
私の子宮が、体が、魔物の精に汚染されてゆく。


72:名無しさん@ピンキー
08/07/19 23:59:34 fF3mFc1Y
しえん

73:エルマ
08/07/20 00:04:10 E7LOJNzn
もう、この胎で胎児を育むことはできないだろう。
できたとしても、穢れの中から産み落とされるその子が…あまりにも哀れだ。
私は…穢されたのだ。

「まだまだ行くわよ…。」
悪魔はしばらく止めていた体の動きを再開した。
先ほどよりも、早く、激しく。
「んんっ、ああっ、…もうっ…やめて…。」
先ほどから私は、目の前の悪魔に懇願することしかできない。
「…まだ、快楽が足りない様ね。」
悪魔は淫靡に笑う。
私の懇願は、逆に悪魔の加虐欲求に火をつけただけらしい。
「その顔、その絶望、最高よ…。すべてを奪ってあげる。」

また、口を塞がれる。
彼女の手は、私の乳首と、陰核に。
その全てから快楽を送り込まれる。
「んんん~~!んん!んんん…!」
頭の中が真っ白に染まる…。
一度…二度…三度…。
絶頂を何度も迎え、そのたびに、子宮が喜び、私の理性がずたずたに破壊される。
もう何も分からない。
死んじゃう、このままじゃ、死んじゃう…。

「エルマ、分かる?あなたの膣が私のペニスを締めあげてるわ!おしそうに私の精を受け入れてるわ!」
そんなの分かんない、分かんないよ…。

…びゅぷぷ、びゅぷ…。

際限なく注がれる精。
そして、快楽の波。
悪魔の精が快楽の波に乗り、全身に行き渡るようだ。
指の先まで犯し、穢される錯覚。
それが、幾度も繰り返された後、やっと、悪魔の動きが収まった。

…悪魔が私に突き刺していた凶器を引き抜く。
それが納まっていた亀裂から、とぷとぷと白い液が流れ出ている。
私の子宮は悪魔の精で満たされていた。


74:エルマ
08/07/20 00:06:45 E7LOJNzn
悪魔が囁く。
「気持ち良かったかしら…?」
私はもう、なにも反応することができない。

「感じるでしょ…?私の精を。」
悪魔は私の下腹部を愛おしそうに擦る。

「…あなたの子宮で、あなたの卵と私の精が結びつき、新たな命が生まれるのよ。素敵でしょう。」
私の中に悪魔の子を宿してしまう。
死にたい…そう思った。

だが、悪魔は続ける。
「でも、そこから赤子が生まれ出ることはないわ。
あなたに宿ったその命は、あなたの肉体を依代に成長する。
そして、人間だったエルマの肉体に取って代るの。
エルマの魂を宿したままね。」

すでに冷静でない私には何を言っているのか分からない。
つまり、どういうことなのか。

「あなたは生まれ変わるのよ。わが眷属として。悪魔として。」

それは悪魔の精を、生を与えられるということ。

75:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:08:13 uJ6cX2gA
支援

76:エルマ
08/07/20 00:09:42 E7LOJNzn
嫌…だ…。
緩慢な思考はなおも悪魔を拒絶する。

こんな、存在になりたくない。
そう思った。

だが、もう遅い。
体に新たな変化を感じる。
お腹が…熱い…?

「受精が始まったの。
あなたはお母さんになるのよ。
すぐにその子に生まれ変わるのだけど。」

「あ、あ、いや…いや…。」
絶望的な受胎宣告。
そして、変化が始まるのだ。
私の変化、悪魔への変化。

「疲れたでしょう。ゆっくり眠りなさい。」
悪魔の目が私を捉える。
「目が覚めるころには終わっているわ。安心してお休み。」

目が覚めるころには変化が終わっている…。
悪魔への変化が…。
そんな言葉が私の中を反響して、でも、そこからなにも生み出さず、私の意識は閉じた。

人間の体に宿っていた私の、最後の意識。
それが、…終わった。

77:エルマ
08/07/20 00:14:49 E7LOJNzn


「…目覚めなさい…。」
最初に聞こえたのはクリスの声。

「…目覚めなさい、エルマ。…エルマ・グラフ・フォン・ルクレール。」
私は、再び生を開始した…。



78:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:15:51 Hd/P/VnW
<第一部:完 ID:E7LOJNzn先生の次回作にご期待ください!>

79:エルマ
08/07/20 00:17:41 E7LOJNzn

目を開くと、私にあてがわれた部屋だった。
そして…。
例の悪魔が私の顔を覗き込んでいた。
やさしい笑みを浮かべながら。

「…!」
私は、がばっ、と跳ね起き、すぐに距離を取ろうとベッドの端まで逃げた。
また、恐ろしいことをされる。
そう思った。

「そんなに怯えないで。」
悪魔は…クリスは苦笑いを浮かべている。
そして、やれやれ、といった様子で溜息をつくと、手鏡を示しながらこう言った。

「自分の姿を見てごらんなさい。」

まさか…。


80: ◆g7GufJxh4s
08/07/20 00:18:55 E7LOJNzn
>78
ごめんwww

81:エルマ
08/07/20 00:26:50 E7LOJNzn
最後の記憶を手繰り寄せる。
あなたは悪魔に生まれ変わる。
クリスはそう言っていたはずだ。
…視界の端に、なにか異様なものが見えたが、気にしない。
恐る恐るクリスから手鏡を受け取り、のぞきこむ。

「……!」
声が出ない。

「とても素敵よ、エルマ。」
クリスがすり寄ってくる。
私は、それどころではなかった。

「なに、これ…?…いや…、いや、いやああああ…!」
悲鳴を上げる。
これが自分の姿だとは信じたくない。

鏡に映っていたのは以前の私ではなかった。
血の気の感じられない、白というより、むしろ青か灰色の肌。
手足の指には黒く光沢を放つ爪。
背中には漆黒の翼。
頭には山羊のような角。
腰からは蛇のような尻尾。
黒地の眼に黄金の瞳。

鏡を受け取るとき、確かに見えた私の手。
どこか異常だったが、理性が無視させた。
その手は青く、その質感には見覚えがあったというのに。

鏡にクリスの姿も写りこむ。
私の姿はクリスと同じだ。
悪魔の姿。
私は悪魔の姿をしていた。


82:エルマ
08/07/20 00:30:18 E7LOJNzn
「覚えているかしら?最後の夜のこと。」
最後にクリスと交わった夜。
「あの夜、エルマの卵と、私の精で生まれた新しい存在。
私が植え付け、あなたが育てた新しい命。
…それがあなた、悪魔エルマ。」

私は自身の姿にパニックになり、そして泣いていた。
私は、私は変わってしまった。
もう誰も、お兄ちゃんですら、私がエルマだと分からないだろう。
それどころか、きっと、忌むべきものとして退治されるのだ。
悲しい、あまりにも悲しい。

そんな私を、クリスが優しく抱き寄せる。
何も言わず、廻した手で頭を撫でる。
まるで、慰めるように。
悲しむことなんてない、それよりも、生まれ墜ちたことを喜びなさい、と。


83:エルマ
08/07/20 00:33:32 E7LOJNzn
しばらくして、私は落ち着いてきた。
クリスの言葉に感化されたわけでもない。
泣き疲れてしまったのだ。

クリスが優しく声を掛ける。
「安心なさい。気を静めて。望めばあなたも人の姿をとれるわ。」
そう言うと、クリスは目を閉じてその術を示した。
翼が消え、角が消え、尻尾が消え、肌の青が抜けて行く。
そうして、クリスは初めて出会ったときの人間とほとんど変わらない姿に変化した。
目を開き、私を見つめる。
「ほら、気持ちを落ち着かせて。」
私もその様子を見て、真似てみることにした。
呼吸を落ち着かせ、人の姿をイメージする。

…本当だ、翼や、角、尻尾は闇に溶けるように消えていった。
肌の色も青から、人の色に戻ってゆく。
私から悪魔の特徴が消え、以前のエルマの姿をほぼ取り戻した。
これなら、誰が見ても私だとわかってくれるだろう。

すこし、安心した。
しかし、そこで気がついた。
自身の体が以前と少し変わっている気がする。
均整がとれている…というか、美しさが増したように感じる。
どうして…?

クリスが疑問に答える。
「あなたは人を誘う悪魔に生まれ変わったのよ。
当然、より人を魅了する姿になるわ。」
悪魔に生まれ変わった…。
信じたくないが、きっと事実だ。
先の私の姿。
あれは、紛れもなく悪魔のもの。
青い肌の怪物。
それが、今の私…。
もう、どうしようもないことなのか。
思いつめてしまう。


84:エルマ
08/07/20 00:34:49 E7LOJNzn
「お腹がすいたでしょう?食事にしましょう。」
クリスの言葉で現実に引き戻される。
以前、クリスは自分の食事は人の心だと言っていた。
悪魔の食事。
私も、そんなものを喰うというのか。

「もう準備はできているわ。ついてきなさい。」
そう言うと、クリスは闇に溶けていった。
気配を追いかける。
不思議と、どうすれば彼女について行けるのか、すぐに分かった。
だが、それは異形の業、悪魔の業。
空間を移動することに躊躇いを感じる。

「…早くおいでなさい。」
再びクリスの声が聞こえる。
あまり待たせると、機嫌を損ねそうだ。
結局、移動することにした。
人の身ではありえない方法で。


85:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:36:24 xl8rGKdX
私怨

86:エルマ
08/07/20 00:36:40 E7LOJNzn
クリスの入った部屋に出てみると、そこには二人の女性、いや、少女がいた。
どこかで見覚えがある…。
そうだ、最初に私をドレスで飾っていたメイドさんたち。
その中の二人だ。

彼女たちが、クリスとなにかの契約をしていることはすぐに分かった。
人でありながら、人であることを捨てた者たち。
悪魔に生涯仕えることを望んだ者たち。
悪魔の庇護、快楽と引き換えに、己の生を悪魔にささげる者たち。
それが、今回の食事だ。

早速、クリスはベッドに二人を招き入れる。
そして、すぐに快楽の宴が始まった。
愛撫と、キスの、宴。
彼女たちの悦びが、クリスを包み込み、クリスに力を与える。

…気持ち良さそう…。

きっとこれが食事。
悪魔の、淫魔の食事。

…おいしそう…。

そう思ってしまった。
しかし、わずかな間を置いて、その思考に気付いて愕然とした。
私は今、何を思ったのか?
人間が…おいしそうに見えた…?
それは、もはや、人間の思考ではない。
ここで人間を喰うことは、すなわち、悪魔としての生を受け入れるということ。
こんな体にされても、それでも私は悪魔にはなりたくない。
この欲求に屈してしまえば、きっと、二度と戻れなくなる。
元の生活に…お兄ちゃんと暮らした幸せな日々に戻れなくなる。
それだけは、嫌だ。


87:エルマ
08/07/20 00:40:15 E7LOJNzn
だが、そんな私の様子を見越してか、クリスが揺さぶりをかける。

「ほら、お行き。」
抱いていた少女の片方を私に差し向けたのだ。
熱に浮かされた少女の肢体がゆらゆらと近づいてくる。

私は恐怖した。
その少女にではない。
私の中に湧き上がってくる黒い欲望に、だ。
そんな私の欲望を見透かしたようにクリスが言う。
「したいようにすればいいのよ。
それがあなたの食事なのだから。
体の声に心をゆだねなさい。
そして、その子を悦ばせてあげなさい。」

したいようにする…。
この少女に口づけを、優しい愛撫を、乳首に性器に刺激を、そして…。

…愛してあげたい…。

温かな感情。
黒い欲望。

少女の手がそっと私に触れる。
私は、そのまま抱きしめてしまいたいという欲求を、必死に抑えた。
抱きしめてしまいたい。
でも、きっと、引き返せなくなる。

目をつむり、その災厄が過ぎ去ることを、必死に待った。


88:エルマ
08/07/20 00:42:36 E7LOJNzn
しばらくして、私にそのつもりがないことを悟ったのか、
その少女は困ったような表情をクリスに投げかける。
「仕方ないわね。いいわ、こっちにいらっしゃい。」
そして少女は嬉しそうにクリスの与える快楽に戻っていった。

「恐れているのね。悪魔になることを。」
クリスは憐れむような表情でそう言った。

「でも、これでどうかしら?」
クリスは抱いていた少女の片方を押し倒すと、体を絡ませ、激しく愛撫する。
熱いキスを浴びせ、指を性器に出し入れする。
「あ、クリス様…だめ…!」
少女は言葉こそ拒否の姿勢を見せるが、その顔は歓喜に染まり、そして嬌声をあげた。
私はその光景から目が離せない。
彼女を取り巻く快楽の嵐の中に、吸いこまれてゆくような錯覚まで覚える。

「あ、あ、ああああ…!」
そして、間もなくその少女は絶頂を迎えた。
彼女の悦びが迸る。
そして同時に、私の体もビクンと反応する。

無抵抗で、哀れで、おいしそうな獲物…。
…飛び掛かってしまいたい。

でも、それだけは我慢しなくては。
私の中に残された、人間の理性が必死に抵抗する。
私は、耐え、耐えきった。


89:エルマ
08/07/20 00:43:47 E7LOJNzn
「…強情ね。いいわ、あなたが我慢できなくなるまで、眼の前で見せつけてあげる。」
クリスは、幸せそうに果ててしまった二人の少女を抱えながら、悪態をつく。

「そうね…。あなたが、一言『ほしい』と言えば、分け与えてあげる。
いつでも待っているわ。」
そういって、クリスは自室に戻っていった。
二人の少女を残して。

私も消耗した精神を引き摺りながら自室に戻ることにした。

その日から、私の、悪魔の誘惑に堪える日々が始まる。

90:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:46:24 3Ulj1oTI
しえn

91:エルマ
08/07/20 00:49:05 E7LOJNzn

…もう5日目だ。

あれ以来、クリスが人間の食べ物を運んでくることはなくなった。
そして、その代わりに、城の人間たち私の目の前で犯した。
何度も、何度も。
そのたびに、私は、精を奪う欲求に苛まれる。
背を反らし、喘ぎ声をあげる人間。
迸る魂、生命力。
その中に飛び込むことができるなら、どんなに素敵なことか…。
吸いたい…取り込みたい…。

時を追うごとに私の欲求は増していった。
ほしい、ほしい、と体が訴えている。
気を抜けば、無意識に飛びついてしまいそうだ。
この体は勝手に動き出し、クリスが差し出す御馳走を、
欲望の向くまま、食い荒らすことだろう。
だが、それでも私は耐え続けた。

でも…。
きっと、もう限界が近い。
人の心と、悪魔の体の戦いは、終局に近づいていた。
どうやら、私の心より、悪魔の体の方が、強い。
このまま消耗を続ければ、私の心の方が先に力尽きることだろう。


92:エルマ
08/07/20 00:51:53 E7LOJNzn
気付くと私は、人の姿をしていないことが増えてきた。
しっかりと意識を保たなくては、人の姿を保っていられない。
目覚めた夜は、なにも苦労しなかったというのに。

私は…もうだめなのだろうか…。
そんな考えが、残された私の心を支配し始めていた。
クリスは、食べないと体に悪いわよ、などと皮肉を言う。
体だけに毒ならそれでいい。
この忌まわしい体だけが死んで、心だけ生きてほしい。

だが、実際は、心は体に宿っており、体が弱れば心も弱る。
そして、今の私は、心の方が弱い。

…そう、もう限界が近い。


93: ◆g7GufJxh4s
08/07/20 00:56:00 E7LOJNzn
ちょっと休憩します。

再開時から同時投下を開始します。
同じトリップをつけるので、よかったら探してみてください。
作者が少し元気になります。

94:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:59:30 dkacbUJq
お疲れ様です。
投下に立ち会うのは初めてだけれども。
黒いワクワクが抑えきれん。

待ってるぞい。

95:名無しさん@ピンキー
08/07/20 01:01:34 eowfWOv0
お疲れさまです。
いやぁ、ワクワクしますねぇw

96:名無しさん@ピンキー
08/07/20 01:10:17 dkacbUJq
IDがダークで悪か。

…ちょい無理があるか?

97:名無しさん@ピンキー
08/07/20 01:44:13 PMfGul+b
しえん

98:名無しさん@ピンキー
08/07/20 01:50:47 IQDgve3z
支援

あー自殺してー

99:エルマ
08/07/20 01:50:54 E7LOJNzn

そして6日目。
私は人の姿でいることを半ば諦めていた。
精神力を振り絞って人の姿を取ったとしても、すぐに戻ってしまうのだ。

そして、おぞましいこの姿にも、もう慣れた。
だらしなく翼を広げ、天井だけ見て時を過ごす。
私の戦いは、そろそろ終わりを迎えようとしていた。


100:エルマ
08/07/20 01:52:09 E7LOJNzn
「エルマ…。」
いつものようにクリスが現れる。
だが、今日は、獲物の姿がない。

訝しむ私にクリスは口を開いた。
「お兄さんがお城に来たわ。今は眠っていらっしゃるけど…。」
クリスの口から発せられた言葉はあまりにも意外なものだった。
お兄ちゃんがここに来た…?


101:エルマ
08/07/20 01:54:59 E7LOJNzn
攫われた私を助けに来てくれたんだ…!
嬉しい、この場で泣き崩れてしまいたい。
再びお兄ちゃんに会えることを何度夢見たことか…!

だが…、クリスは気になることも言っている。
今は眠っている…?
それはどう意味なのか。

この女は悪魔だ。
兄に、どんなおぞましい仕打ちを施したのか、まったく予想ができない。
「…何をしたの?」
恐る、恐る、聞く。
「斬りかかってきたから、気絶させただけよ。心配するようなことはしていないわ。」
その言葉に安心する。
怪しげな術はかけていないということ。
そして、クリスは嘘を言わない。


102:エルマ
08/07/20 01:58:12 E7LOJNzn
「せっかくおいでくださったのですもの。
あなたにも会わせてあげる。
だけど、話をつける必要があるわ。
何せ斬りかかってきたんですもの。」

兄は、私を助けるため、この悪魔と対決したのだ。
そして…負けた。
なんと、無謀なことをしたのか。
だが、それも、私を助け出すためにしたこと。
私を想うが故に犯した無茶。

「わたしの用がすんだら、あなたを呼ぶわ。
そうしたら来てちょうだい。」
そう言うとエルマは消えていった。

…今は再会できるとことを素直に喜ぼう。
もう、会えないかもしれないと思っていた、大切な人なのだから。


103:名無しさん@ピンキー
08/07/20 02:09:42 3Ulj1oTI
しえn

104:エルマ
08/07/20 02:19:43 E7LOJNzn
だが、この姿をさらすわけにはいかない。
青く、おぞましい、化け物の姿。
…きっと、お兄ちゃんが悲しむ…。

意志を振り絞って人の姿を取る。
翼、角、尻尾、…問題なく消えた。
鏡をみて、姿を確認する。
よし、大丈夫、今までの私だ。
あとは、なんとかこの姿を保って、お兄ちゃんに会おう。

クリスの知らせを待つ間、戻ってしまいそうになる体を何とか抑え続けた。
…お兄ちゃんに会える。
その思いがあれば、苦しくて困難だった姿の制御も容易く感じられた。

そして、その時が来る。

「…入っていらっしゃい。」
クリスの呼ぶ声。
「…はい。」
私は声の元へ急いだ。

105:エルマ
08/07/20 02:25:33 E7LOJNzn
だが、部屋に出て、愕然とする。

お兄ちゃんは確かにいた。
ただ、同時に私にとって最悪の状況が待っていた。
たちこめた淫臭。
うっすらと、精液の匂い。

クリスはお兄ちゃんの準備を、食事の準備を整えていたのだ。

106:名無しさん@ピンキー
08/07/20 02:28:26 NxyfHQLl
しえ

107:エルマ
08/07/20 02:30:32 E7LOJNzn
会いたかった、お兄ちゃん。
ベッドに寝かされ、ペニスを隆起させ、クリスの暴力に曝されていた。
生まれかけの快楽がわずかに漂っている。

あ…まずい…。
理性に亀裂が入りそうだ。
私の体を作るすべてのものが、本能をむき出しに、暴れ始める。
最後の抵抗を見せる、私の弱りきった心を、悪魔の体が、巨大な鉄球で砕きにかかる。
よこせ…!その精をよこせ…!と。

すぐにでも飛びかかり、襲い、喰いつきたいという衝動を、必死に抑え込む。
でも…ああ、もう駄目だ。
翼が、角が、尻尾が、実体を持ち始める。

きっと、もう、見えてしまっているのだろう。
お兄ちゃんの目が驚愕に見開かれているのが分かる。
私の中の悪魔を、ついに隠しきることができなかった。

…やってしまった。
昔、自分が本当に小さかった頃、我慢できずに、お漏らしをしてしまったような…、
そんな気持ち。


108:エルマ
08/07/20 02:37:26 E7LOJNzn
もう、どうにでもなれ…!
などと思いそうになり、それでも必死に踏みとどまる。

お兄ちゃんを、食べる気か…!!
そう自分に言い聞かせ、必死に耐える。

でも…。
鍛え上げられた、たくましい肉体。
熱と色を帯びた吐息。
若く、瑞々しい躰。
きっと、精も、おいしい…。

ほしい、食べたい、飲みたい、吸いたい…。
そんな考えが頭のなかをぐるぐると回る。

クリスがお兄ちゃんのあそこをさらり撫で上げる。
悶えるお兄ちゃん。
ほんの少し、快楽の匂いが増したように感じ、私の意識が揺らぐ。

あ…、と思ったころにはもう遅かった。

109:エルマ
08/07/20 02:39:34 E7LOJNzn
気付くと、兄の姿は大きく、唇には肉の感触があった。
私は、吸い込まれるように、お兄ちゃんの唇を奪っていたのだ。

ああ、こんなにも近くに、我が命の源がある…。
もう少し、もう少しだけ手を伸ばせば、その全てを自分のものにできる…。
少しだけ、少しだけなら、吸っても…いい、よね…。

そんな気持ちが口をついて出てしまう。
「ごめんなさい…。お兄ちゃん、ごめんなさい。もう、私、駄目みたい。」
自らの中にある限界と欲望の吐露。
こんなこと、絶対に言うべきでない。

でも、もう、私の欲望は止められない。
既に堰は切れてしまっていた。
今更、どんな抵抗しても、この欲望の奔流を押しとどめることはできない。

そして、ついに、私の口が裏切る。
兄に最後の言葉を告げる。

「お兄ちゃん、…ちょう…だい。」


110:エルマ
08/07/20 02:49:55 E7LOJNzn
ああ、不思議…。
体が勝手に動くみたいだ…。
…私は獲物の上に跨り、抵抗できないように、しっかりと捕えていた。
そもそも、獲物の体はすでにクリスが呪縛していた。
もう、この男に逃げる術はない。

私はゆっくりと腰を下ろし、精の源をヴァギナにあてがった。
だが、そこで、そこまで来て、降下する体がぴたりと止まった。

…理性が最後の抵抗を図る。
だめだ、こんなこと、やってはいけない、と、必死に叫び声をあげる。

しかし、私の体は、心はすでに欲望に染まっていた。
人としての理性が悲鳴をあげる中、悪魔としての本能が雄叫びをあげる中、
ゆっくりとお兄ちゃんを、口に含んだ。
あとは咀嚼して飲み込むだけ。


111:エルマ
08/07/20 02:55:14 E7LOJNzn
ついに悪魔の本能を抑えられなかった私の理性が、
自らの力不足を懺悔するように、謝罪の言葉を漏らす。
「ごめんなさい…ごめんなさい。」

だが、精の最初の一滴が、私の体に触れて、それも終わった。
生命力の波が、私の体を満たし、駆け抜ける。
私の中に、命を吸い上げるイメージが湧きだし、私の全てを支配する。
そして、現実もその通りになった。

獲物の体から精が噴射されるたび、私の体は命を取り戻してゆく。
その感覚が、いままで感じたどんな快楽よりも、気持ちいい。
性的な快楽ともまた少し違う。
とにかく満たされてゆくのだ。

「ああ、いい…!いいよぅ…!」
もう何を言っているのか分からない。
ああ、もう、よく分からない。
枷を外された悪魔の本性が、目一杯暴れまわる。
気持ちいい、気持ちいい、おいしい、おいしい。
体が喜んでいる。
本能が喜んでいる。
私の下で、獲物が何か言っているが、もうどうでもいい。
若く豊富な精を、思う存分、吸い上げ、貪る。
体が満たされてゆく。
吸い上げられた生命力が、砂漠に降った雨のように、私を潤してゆく。
その代り、体の下では、お兄ちゃんの命がみるみる小さくなってゆく。
でも、そんなことは気にならない。
私は何度か絶頂を迎え、それでも足りず、求め続ける。

「あはははは、あはははは…。」
最高の気分だった。

私は悪魔…。
人の精を貪る悪魔…。
もう、あとには戻れない…。


112:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:00:31 K39pDT1g
紫煙

113:エルマ
08/07/20 03:05:36 E7LOJNzn

「はぁ、はぁ…。」
あ、れ…?
吸い上げる精の量が少なくなってきて、我に返った。

お兄ちゃんは…動かない。
よく見ると、白目をむいて冷たくなっていた。

死んだ…?
殺してしまった…?
そんな…まさか…!

激しく動揺する。
お兄ちゃんはどう見ても死んでいる。

私が…殺してしまった…!

いや、落ち着け、私…!
とにかく助けを呼ばなければ…!

114:エルマ
08/07/20 03:07:58 E7LOJNzn
「クリス…。クリス…!」
クリスはすぐに現れた。

「どうしよう…お兄ちゃんが…。私、私…。」
もう、私はパニックだ。

「落ち着いて。大丈夫、この男はまだ生きているわ。」
本当に…?
でも、でも…。

「この城には、治癒の術の使い手もいるわ。手当をすれば、じきに目を覚ますでしょう。」
助かる方法はあるらしい。
…もうクリスだけが頼りだ。
「…お願いします。お兄ちゃんを助けてください。」
精一杯のお願い。
助けてほしい。
大好きな人を、このまま死なせてしまうなんて絶対に嫌だ。

「いいわよ。貸しにしておいてあげる。」
クリスはふっふっふと得意げに承諾した。
「本当に…?本当に…?」
私は今にも泣きだしそうだ。

115:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:09:46 VF+2Dljq
支援

116:エルマ
08/07/20 03:09:53 E7LOJNzn
そんな私をなだめながらクリスは闇に向かって呼びかける。
「シーラ!」
誰かの名だ。
使用人の一人だろう。

「…はい。ただいま。」
すぐに、メイドさんが現れる。
ただし、私たちと同じ方法でこの部屋に現れた。
それに、人間の雰囲気をしていない。
このメイドさんも…魔物だ。

「この方の世話を任せるわ。」
「承知しました。」
そう、短いやり取りを終えると、すぐに行ってしまった。
魔物だがクリスの従者だ。
きっと信頼できる。

「ありがとう、クリスさん…。…良かった…。本当に、良かった…。」
私はクリスに泣きすがっていた。
そんな私をクリスは優しく撫でる。

「クリスでいいわよ。それよりも…どうだった?」
意地悪そうに恥ずかしいことを聞いてくる。
「…。」
小悪魔め…。
そんな風に思って、おかしさが込み上げてきた。
まあ、正直に答えてもいいでしょう。
「…良かった…。」
恥ずかしいけど、正直に答えた。

やや、恥ずかしがりながらも、憮然とした様子のわたしを見て、
クリスは、二コリ、と微笑む。
「そう。それは良かったわ。」
クリスはなんだか嬉しそうだ。


117:エルマ
08/07/20 03:14:23 E7LOJNzn

それからの私は変わった。
もう、食事にも、悪魔にも抵抗も嫌悪も抱かない。
クリスに頼んで、彼女の食事を分けてもらっている。
クリスは快く分け与えてくれた。
クリス曰く、同族は互いに敬うものなのだとか。

私は彼女とも、シーラとも、城の人間たちとも積極的に体を重ねた。
私が与える暴力を、快楽を、皆、喜んで受け入れてくれる。
私が、触れ、汚す度にみんな喜んでくれるのだ。
私は嬉しかった。
人間だったころは、あんなに嫌だったのに、今ではとても楽しい。

きっとこれが悪魔の、淫魔の本能なのだろう。
私は与えられた新しい生を満喫した。

私には、なんだってできた。
大抵のことは望めば思い通りになった。
ほしいものは作り出すことができたし、空だって飛べる。
クリス曰く、力の及ぶ範囲なら、運命も、因果も作りかえることができるのだとか。
…それ故に退屈だ、とも。

そして、3日の時が過ぎた。


118:エルマ
08/07/20 03:19:00 E7LOJNzn
「エルマ様、お兄様が目を覚まされました。」
待ちに待ったシーラの報告が入った。

…ああ、お兄ちゃん、無事でよかった。

でも、すぐに会うのは躊躇われた。
きっとまた、私は我慢することができず、殺しかけてしまう。
何せ、食べてしまいたいくらい大好きなのだから。

これから、どう向き合っていけばいいのだろう。
私は悪魔。
お兄ちゃんは人間。
本当ならば、互いに相容れないもの。
普通なら、喰うもの、喰われるものの関係になってしまう。
そうでなければ、クリスと城の人間たちのように、主と僕の関係を持つこともできる。
でも、その両方とも嫌だ。
私とお兄ちゃんは兄妹でいたい。


119:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:32:34 bJjpud/8
支援

120:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:32:43 ZA+m+Qrn
しえん

121:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:35:58 LtmUo6YU
し・・・しししし・・・ししししし・・・・・・・ほしゅ

<ククク。支援したいヤツを洗脳して保守をさせてやったわ!!

122:エルマ
08/07/20 03:43:29 E7LOJNzn
…そうだ、いいことを思いついた。
お兄ちゃんも、私と同じ、悪魔にしてしまえばいい。

それならば、食べてしまうこともない。
同族として愛し合うことができる。
なにより、家族として、またやり直せる。


123:エルマ
08/07/20 03:44:49 E7LOJNzn
ちょうど、私のおなかでは、お兄ちゃんの精と私の卵が結びつき、胚の素が誕生している。
初めて交わったときに手に入れた、お兄ちゃんの精から生まれた命だ。

お兄ちゃんと私の愛の結晶…。
これをお兄ちゃんに植え付けてあげよう。

お兄ちゃんも悪魔になるならば、先に生まれ変わった私が、お姉ちゃんだ。
せっかくだから、お兄ちゃんを、可愛く作り変えてしまおう。
胚の性別は女の子。
悪魔に、淫魔になるならば、やはり女の子がいい。

夢と妄想と欲望は際限なく膨らむ。
私は胚を育てることにした。
お兄ちゃんに植え付けるため、植え付けるのに都合にいい形に。
これを、お兄ちゃんに植えつけるのだ。


124:エルマ
08/07/20 03:46:38 E7LOJNzn
胚を育てながらこれから起こる出来事に思いを馳せる。

…悪魔になってしまった私を見て、お兄ちゃんが恐怖に慄く姿が目に浮かぶ。
そのお兄ちゃんを恐怖のどん底に縛りつけながら、作り変えてしまうのだ。
逞しく、勇敢な青年から、か弱く、可愛く、無垢で、素直な少女に。

少女の姿をしたお兄ちゃん。
きっと、小さい頃の私そっくりになる。
私たちは兄妹なのだから。

そして、そのお兄ちゃんに、少女の快楽を叩き込む。
成す術なく快感に飲まれ、戸惑いながら、自身が少女であることを否定しながらも、
少女の悦び目覚め、少女として成長してゆくのだ。
そして、いつしか私のことをこう呼ぶのだ。
『お姉ちゃん』と。

お兄ちゃんを、私の妹に…。
ああ、考えただけでぞくぞくする。
すぐにでも実行してしまいたい。
だが、焦りは禁物だ。
徐々に染めてゆかなければ楽しみがない。


私の中の胚は間もなく私の望む形に成長した。
その形は子宮。
これがお兄ちゃんを少女として改変し、お兄ちゃんの中で成長し、
やがて、その体を悪魔へと作り変える。

もうすぐ夜がやってくる。
さあ、お兄ちゃんの元へ行こう。


125:エルマ
08/07/20 03:50:52 E7LOJNzn
「こんばんは。」
お兄ちゃんの部屋に出た。

「…エルマ。」
なにもない空間から現れる私。
それだけでも、お兄ちゃんにとっては悲しいはずだ。
悪魔になってしまった私。
危険を顧みず、単身、敵地に乗り込んで、
せっかく会えたというのに、…その人は悪魔になっていた。
悲しいに違いない。

「…ここを出て、帰ろう。」
それでも、お兄ちゃんは私を助け出すつもりでいる。
単純なのか、純粋なのか、それとも不屈か。
私は、悪魔になってもそんなお兄ちゃんが愛おしい。
だからこそ、捕食者と獲物の関係でもなく、主従の関係でもなく、
家族として、兄妹として、この男と生きて行きたい。


126:エルマ
08/07/20 03:54:20 E7LOJNzn
だから、これから、お兄ちゃんに辛いことを強いるとしても、
私はこの任務をやり遂げなくてはならない。

今の私を正直に話す。

「あの夜、とてもうれしかった。
お兄ちゃんが危険を顧みず、私を助けに来てくれたことが本当にうれしかった。
本当に私のことを想ってくれているんだって、うれしくて泣きそうだったの。

でも、…私は裏切っちゃった。

お兄ちゃんがほしくてほしくてたまらなくなっちゃった。
だから…気がついたら襲ってた。
そのときはお兄ちゃんを襲う自分が、我慢できない自分が嫌で嫌でたまらなかったけど、
…とてもおしかったの。
信じられないくらい。
それで、分かったんだ。
…もう私は戻れないって。」

きっとわかってくれるはずだ。
いや、今は分かってくれなくてもいい。
いずれ…そう、いずれ分かる。


127:エルマ
08/07/20 04:00:59 E7LOJNzn
「多分もう、私には人間が食べものかなにかにしか見えないの…。」
少し大げさかもしれない。
自分の言葉にそう思った。

でも…私の言葉一つ一つに、動揺を深めてゆくお兄ちゃんを見ていると…、
ああ、いけないことなのに…もっと苛めたくなる…。

「私にはお兄ちゃんがとってもおいしそうに見える。」
きっと、お兄ちゃんにとって、絶望的な言葉だろう。
でも、その絶望が、とても可愛い。
どん底にたたき落とされて、這いあがれずに泣いているお兄ちゃんを抱きしめてあげたい。
すでに私の中にはどす黒い欲望が渦巻いていた。

「お兄ちゃんの意志、決意はどんな味かしら…。」
お兄ちゃんの心がみるみる恐怖に染まってゆく。

「兄ちゃんはいつでもわたしを守ってくれる。
私はすごく感謝しているの。
そして、今回も私を守りにきた。」
私は続けた。
この言葉は、お兄ちゃんに私の気持ちを伝えるためのものだったのか、
それとも、お兄ちゃんを追い詰めるためのものだったのか、もう、その境界は曖昧だ。

「お兄ちゃんは私を本当に愛している。
可愛がっている。でもね、私もお兄ちゃんを可愛がってみたい、そう思ったの。」
そうだ、私ばかり愛されて、私には愛させてくれないなんて…ズルい。

「だから、可愛くしてあげる。」

128:名無しさん@ピンキー
08/07/20 04:06:33 K39pDT1g
4円

129:エルマ
08/07/20 04:09:25 E7LOJNzn
私は自分から悪魔の特徴を曝け出す。
漆黒の翼、蛇の尻尾、山羊の角。

「…エルマ、やはり、悪魔になってしまったのか…。」
お兄ちゃんは、恐怖に染まりながらも意外と落ち着いている。
というか、何か覚悟のようなものを感じる。

私がいなくなってから半月、きっと、本気で私を助け出すつもりだったんだ。
でも、もう、私は元に戻ることはない。
かわいそうなお兄ちゃん。
必死で探し求めた妹は、すでに怪物になり果てていたのだから。

でも、それも終わり。
かつての私との幸せと取り戻しに来たお兄ちゃんは、新たな私との幸せと手にする。
「これからお兄ちゃんの体を作り変えてあげる。とびっきり可愛くしてあげるんだから。」

…そして。

…そう、私が愛してあげる…。



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