卓上ゲームエロパロ総合スレ23at EROPARO
卓上ゲームエロパロ総合スレ23 - 暇つぶし2ch45:妄想えくそだす
08/07/20 16:03:30 Q5uPYY2b
 エミリアは幻視する。 
 自分を取り囲む “世界” のイメージを垣間見る。
 世界の中に世界があって、その世界の中にもっと小さな世界がある、という揺ぎ無い
イメージだ。
 その “世界たち” の境界線は堅牢であり、決して打ち崩されることはない。広大な
海という世界の中に、絶海の孤島という世界があり、実験棟という世界の中には与え
られたXナンバーズの個室という、これまた小さな世界が存在している。
 世界が、より小さな世界を自分の中に押し込め、従属させ、囲い込み、束縛する。
 Xナンバーズという囲いに押し込められた自分を、ファントムセルの無機質な建物が
包み込む。少女を捕らえるその鳥篭にしたところで、所詮はこの広大な海という牢獄
に捕らえられた虜囚に過ぎないのだ。
「・・・どーして、もっと自由でいちゃいけないんだろう・・・」
 エミリアは独白する。
 少女一人が生活するには十分すぎる広さの、個室という “牢獄” で。
 互いが互いを束縛しあい、自分と他者の間にすら境界線や砦を築き上げ、がんじが
らめになっていく。ローマにいた頃、母親と暮らしていた頃には、こんなことはなかった
のに。エミリアの、持ち前の明るさ、奔放さをもってしても、この薄暮の闇を思わせるX
島の陰鬱な雰囲気には辟易させられる。
 初めて連れてこられたときは、自分に秘められた力を開花させてくれる研究施設が
ここなんだ、って嬉しく思った記憶がある。だけど、そんな思いは最初の二週間で打ち
砕かれてしまった。
 繰り返される実験。過酷な戦闘訓練。自分と同じく、連れてこられた人々が、週単位
どころか日単位で現れては消えていく、という言い知れない不安感。他者から容赦なく
浴びせかけられる恐怖の視線。
 うんざり。もうこんなところいたくない。ママ。会いたいよ、ママ。
 近頃ではそんなことばかりを考えている。
 エミリアの、ともすれば沈みがちになってしまう気分を、なんとか普段の快活な彼女
に繋ぎ止めてくれるのは、ここへ来てからできた優しいお姉さん ---- X07、ニーラム
の温かい笑顔や言葉、それにスパイスたっぷりのカレーの味。
 それと ---- 。
「マーク・・・・・・・」
 この秘密の施設で、自分と同じ年頃のただ一人の少年。とても優しい ---- いや、と
ても “優しかった” 少年だけだった。
 初めのうちはとても気さくに話してくれた少年が、どことなく変わってしまったように感
じられるようになったのかは、実はエミリアもよく憶えていない。彼女の天性の明るさを
いつもどことなく眩しそうに見つめながら、エミリアのとりとめもないお喋りを聞いていて
くれた少年の瞳の色には ---- いつしか暗い炎が灯り始めていた。
 それが恐怖や嫉妬や激情の、不恰好にごちゃ混ぜになった感情の顕れだ、と気づく
には、エミリアはまだ子供過ぎたし ---- また、天真爛漫すぎた。
 一方的にお喋りをするエミリアに微笑んで頷いてくれていたのが、そのうち話を早く
切り上げてそそくさと立ち去ってしまうようになり。声をかけようとする彼女に、わずか
な狼狽の色を見せながら、急ぎの実験があるからと口実を作って話もさせてもらえな
いようになり。エミリアの姿を意図的に見えないふりをしたり、呼びかけても聞こえない
ふりをして。
 ついには、あからさまに迷惑そうな、敵意のこもった視線を向けるようにまでなってし
まったのである。



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