卓上ゲームエロパロ総合スレ23at EROPARO
卓上ゲームエロパロ総合スレ23 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/07/17 00:07:29 ceN9bmju
>>1

3:名無しさん@ピンキー
08/07/17 01:04:14 Xvq3NgHu
卓上でもぬるぽ

4:名無しさん@ピンキー
08/07/17 01:12:59 1dyX46+0
  ∧_∧
  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >__Λ∩
  _/し' //. V`Д´)/
 (_フ彡        / >>3

5:名無しさん@ピンキー
08/07/17 01:20:15 6nGw7Ngu
乙~
そして前スレラストの斬撃の人GJ!
やはり、アレによる生命維持(?)は王道ですよねー

6:名無しさん@ピンキー
08/07/17 03:42:31 E9ihhNAw
アレッ、もう次スレ!?
1乙。

7:名無しさん@ピンキー
08/07/17 07:26:14 QVZC9PKj
〉前スレ斬撃サマ
ご安心ください。ぷちべるは信じてたようにイイ子です(笑)。
ていうか、戦闘描写熱い!
緊迫感とかなんか色々、ああもう、うまく言えないけどこういうの憧れるなあ、と。
戦闘シーンをこういう風に書けること、素直に羨ましいです。
エリスのヒロインっぷりも、イイ!
読んでいて、嫁(くれは)の存在忘れたくらい(笑)。
GJでした!続き待ってます!この際もうHがあってもなくてもいいってくらい!

8:侵魔奉仕者1/2
08/07/17 16:07:57 rdlquCZY


「……は、あ……んん……」

 ―これは誰の声だろう?

 少女は熱に浮かされた思考で疑問を浮かべた。
 霞む視界の先では、見慣れた輝明学園の制服がはだけ白く艶かしい肌を露出させている。そこに覆い
被さるように蠢く褐色の肢体―三つ編みが揺れる赤い髪、眼鏡の奥には濡れた輝きを放つ青い瞳、そ
してその笑みのこぼれる口から覗く鮮血のように真っ赤な舌は白い肌を這いまわっている。


「あ、あああ、は……っ」


 少女はその光景に獲物を捕らえた雌豹がその肉を味わう前に弄っているような―純粋な快楽として
の嗜虐を連想させた。
 では、獲物の方はどうなのだろう? 雌豹の両肩に触れた細い左右の手は押し戻そうともがいている
様にも見える。だが、それはあまりにも弱く、ともすれば相手の嗜虐に火をつけようと試みている浅ま
しい行為にも見える。


「は、ああ、だ、め……え……」


 雌豹が、不意に少女へと視線を向けた。
 唾液の線が尾を引きつつ、獲物の肌から離れた口から言葉が放たれる。

「駄目、なのですか? ご主人様……私の奉仕は、下手だったでしょうか?」

 奉仕―先ほどまでの行為をそう呼ぶならば、どんな暴力だって優しい抱擁のようなものだ。
 他人からの愛撫の経験もない、一人で慰めた事しかない体に与えられたその快楽は、どんな拷問より
も人間としての尊厳を破壊し、心を残さず蹂躙し尽くす。

 だからこそ、少女は―最後の砦であった、傍観者という立場さえ堕とされ、自らの意志で言葉を吐
かされる。

「…………気持ちいい、エイミー……っ」
「―ありがとうございます、ご主人様」



9:侵魔奉仕者2/2
08/07/17 16:08:45 rdlquCZY


 侵魔召喚師―少女は、そう呼ばれるウィザードだった。
 裏界に住まう魔王たちと契約を交わしその邪悪な力を借りる、かつての偉大なる魔術師サロウォンの
御技を受け継ぎし者である。
 少女に思い出せるのは、新たなる契約を交わそうと契約の儀を行った―そこまでだ。
 身に付けようとしていたのは誘惑者の奉仕、“誘惑者”エイミーを召喚する魔法だった。

 準備は万端だったはずだ。召喚する相手を拘束する魔法陣、契約に必要な呪物、召喚する相手が魔王
であるならなおのこと、一つの過ちもなかったはずだ。

 なのに、何故―。

   ●     ●    ●

 
「よくお似合いですわ、ご主人様―」

 エイミーの上機嫌な声に、少女は耳まで真っ赤になる。
 頭にはフリルのついた髪飾り、黒一色の飾り気のないブラウスとロングのジャンパースカート、それ
に純白のロングエプロン―そして、リードに繋がれた首輪
 目の前の“誘惑者”と同じ装いの少女が、そこにいた。

「さあ、参りましょう? 皆様もお待ちしてますわ」
「…………はい、エイミー様」

 少女の口を自然とついて出てくる従属の言葉。
 それは、人としての尊厳や誇りを快楽に売り渡した、堕ちたウィザードのものだ。

 エイミーに引かれてたどり着いた先、裏界の名だたる魔王たちの集う大広間で少女は跪き、懇願する。

「魔王の皆様、どうかこの身の力を存分にお使いくださいませ……そ、そして、どうか、僅かばかりの
ご寵愛を……」

 その言葉が終るより先に、少女を引き寄せたのは誰の手だったろう? いくつも伸びる手、淫猥に満
ちた無数の笑い声、絶え間なく与えられる人間を超えた快楽に、少女は溺れていく。

 そうして、少女は―侵魔召喚師から、侵魔奉仕者へと堕ちていく……。



10:侵魔奉仕者
08/07/17 16:16:02 rdlquCZY

 NW2の“誘惑者”エイミー×クイックスタート侵魔召喚師です。
 カッとなって書いてみました、すみません。

 一番肝心なところが抜けておる気がプンプンしますが、そこは皆さんの妄想力で補填していただけると、
助かります……駄目ですか?orz

 機会があったら、濃厚な調教シーンを書き加えてあげたい……と思います、はい。


 お目汚し、失礼いたしました~。




11:名無しさん@ピンキー
08/07/17 23:36:51 e7ZVTmoJ
>>10 さま。
その妄想がSSへの第一歩です(笑)。
では、こちらも妄想に結末を(笑)。


12:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:37:55 e7ZVTmoJ
 異界の空を覆いつくしていた、膨大な質量の闇が晴れていく。
 二つの闇の衝突は一瞬の出来事で、より巨大な闇に駆逐された闇は、大魔王の仮
初めの肉体とともに爆ぜ、このわずかな時間の攻防をすべてのウィザードが、そして
すべてのエミュレイターが、心を奪われたかのように彼方の空を見上げていた。
 その放心から真っ先に我を取り戻したのは、ロンギヌスのオペレーターの一人であ
る。
 プチベルが大魔王ベール=ゼファーを撤退せしめた直後の戦況が、拡声器によって
いち早く、テラス中に放送される。
「敵残存総数二千八百 ! 敵密集隊形は、ほころび始めています ! 」
 歓喜と興奮に声が震えている。
 その報告に希望を取り戻し、勝機を見出したロンギヌスたちが、自分のブルームを構
え直し、まとまりを欠いて散り散りになったエミュレイター勢に追い討ちをかけた。
 飛び交う魔術、閃く剣閃。戦意を失い、恐怖に駆られた敗残の徒を殲滅するのに、
それほど長い時間がかかるとは思えなかった。上空からゆっくりと、まるで重さなどな
いかのように、ふわふわとテラス目指して降りてくるプチベルも、ロンギヌスの戦闘に
大いなる手助けをしてくれている。いっそ優雅にさえ見える下降。その中途で、プチベ
ルが虚空に手をかざし、そこから新たな闇が産み出されるたびに、百体単位でエミュレ
イターが消滅していくのだ。
「敵残存総数二千 ! 千八百 ! 」
 もはや、その報告はエミュレイター軍壊滅のカウントダウンをしているに等しかった。
 プチベルの姿が、地上で待っている柊たちの目にもようやくはっきりと見え始めた頃
には、アンゼロット宮殿のロンギヌスたちの半数以下に敵は減っていた。
 柊とくれはが、並んで少女の帰還を待つ。背後に控えたロンギヌス・コイズミが、掃
討戦の陣頭指揮を執るためにその場を立ち去ろうと振り返りざま、ぎくりと仰け反った。
「エ、エリス様 !? 」
 その声に思わず柊たちも振り返る。息を切らしながら、いまだ血風吹き荒れ死臭漂う
戦場へと、青い髪の少女 ---- 志宝エリスが走り寄ってきていた。燃えるように熱い呼
吸を漏らし、汗で額を濡らしながら。おぼつかない足つきで、何度も転びそうになりなが
ら。瞳にうっすらと涙を浮かべ、必死で走る。
 切羽詰った表情に、なにごとか、といぶかしむ間もなく。
「ベルちゃーんっ !! だめっ !! もうそれ以上力を使っちゃだめーっ !! 」
 上空のプチベルに向けて声の限りに呼ばわった。
 その声には深い悲しみと、喪失の予感がこもっている。柊がプチベルを振り仰いだ。
 くれはが、テラスを駆け出した。コイズミが、駆け寄ろうとしてついに転倒しかけたエリ
スの身体をすんでのところで抱きとめる。背後には、皆の気づかぬうちにいつの間にか
テラスへと登ってきていたアンゼロット。
 そして。
 プチベルが -------- 。
 その小さな身体から淡い黄金の輝きを放ちながら。
 テラスへと ---- 降り立った。
 とん、と爪先がテラスの床に触れる。
 重力の束縛から、プラーナの力で逃れていたはずのプチベルの身体。
 それが地表へ降り立った瞬間に気が緩んだのか。よろけ、膝をつき、小さな手のひ
らでくず折れる身体を支えようと両手を地につき、しかし懸命に伸ばした肘が折れ、や
はり自身の身体を支えきれず ----
 あまりに無様に。あまりに滑稽に。あまりに悲しく。
 プチベルは ---- 朽木が倒れるように、床にうつぶせに倒れ伏した。


13:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:38:29 e7ZVTmoJ
「ベルーっ !! 」
「はわっ、ベルちゃんっ !? 」
「しっかりして、ベルちゃんッ !! 」
 異変は、すでに起きていた。柊が声を張り上げ、くれはが叫び、エリスが涙声で、こ
の小さな小さな、勇敢なる少女の名を同時に呼んだ。
 ふるふると、身体が震え。大きなものなど掴めない、そんな子供の手で必死に床を
探り。ともすれば、なにもかも支えを失いそうな全身の関節に鞭打って。
 起き上がろうとしていた。ただ起き上がるだけ、という行為に、少女は全身全霊を注
いでいた。
 駆け寄ろうとした柊たちの足が ---- なぜかぴたり止まる。
 いや ---- なにものかに止められた、といったほうが正確であろうか。
 助けなければ。駆け寄って、その身体に手を添えて、助けてやらなければ。
 皆が皆、そう思いながらも、手を差し伸べることができなかった。
 子供なのに。小さな女の子なのに。倒れたまま、寝ていれば、この場にいる誰もが
手を差し伸べようとするはずんのに。それなのに。自分で起き上がろうとしている。
 誰の手も借りずに自分ひとりで起き上がろうとしている。
 今さらながらに思い出す。この少女は誇り高く、そして気高いのだ。ただ転んで、起き
上がるだけの行為に ---- たとえ自身が力尽きようとしているときでさえ ---- 人手を
借りることを凄烈に、無言で拒んでいるのだ。
 ここで手を差し伸べることは、プチベルの誇りを傷つけること。
 無意識に感じたその想いが、柊たちの歩みを止めた。
 柊が奥歯を噛み締め、立ち上がろうとする少女を見守る。
 くれはが両手を口に当て、こぼれそうになる嗚咽を必死でこらえている。
 エリスは涙を隠そうともせず、頬から顎へと伝う熱いものを拭いもしなかった。
 アンゼロットは ---- 眩しいものを見るように、プチベルを見つめ続けている。
 眩しすぎる光は、それゆえに目をそらしたくなるものだ。だが、この光からは目をそら
してはならない。どんなに眩しくても。その眩しさゆえに両の瞳を焼こうとも。
 幾対もの視線の見守る中。
 随分と長い時間をかけて、ついにプチベルは立ち上がった。
 膝が震えている。重心を失ったように、身体が前後左右に揺れている。見るからに
危なげな立ち姿でも ---- たしかに少女は自分自身の足で。自分自身の足だけで、
その場に立っていた。
 湯気が昇るように、上空へふわりふわりと放たれているのは、プチベル自身の持つ
プラーナの輝きであろう。いくら、自らの意志でエミュレイターに戻ったとはいえ、大魔
王の写し身となったとはいえ、本体であるベール=ゼファーの放つ闇を凌駕するほど
の闇を生み出した代償は、確実にプチベルの存在の力を蝕んでいた。
「ありがとう、は ? 」
 意外にしっかりとした声で、プチベルが言う。それが自分に向けられた言葉だと気づ
くのに数秒かかって、ようやく柊が、
「なん・・・だって・・・ ? 」
 かすれた声でそう訊いた。
 アンゼロットが、はっとなる。
 執務室でのプチベルとのやり取りが、まざまざと脳裏に甦った。


14:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:39:00 e7ZVTmoJ
(・・・おれい、いいなさいっ、て)
(え ? )
(わたしのこと、いろいろかんがえてくれり、まもってくれようとしてるからって。だから、
わたしのためにしてくれるひとにはおれいをいうんだよ、ってひいらぎれんじがいった)

 ・・・・・・・・・・・。

「柊さんったら。ご自分でこの子に教えたことじゃありませんか。誰かが自分のために
してくれたことには、お礼をきちんと言うこと・・・って、そう言ったんじゃありませんか ? 」
 ちょっとおどけて、いつもと変わらぬ口調のままで、アンゼロットが柊をたしなめた。
 そうでもしないと、この健気な少女の言葉に、自分が泣き出してしまいそうだった。
 だからわざと、ことさら平静を装い、
「助けてくれてありがとうございます、ベルさん。わたくしからもお礼を言いますわ」
 深々と頭を下げる形のお辞儀をした。そして ---- その姿勢のまま数秒。普段の、
なんでもない表情の仮面を作り直すのに、アンゼロットがかけなければいけなかった
時間が、彼女のお辞儀の時間であった。
「そ、そうだよな、俺が教えたんだよな。へへ、悪かった。自分で教えといて、お前に
注意されてりゃ、世話ねえな」
 鼻の下を人差し指でぐしぐしとこすり。
「アリガトな、ベル。助かったぜ」
 柊が微笑みながらプチベルに頭を下げる。
「・・・よし。よくできました、ひいらぎれんじ」
 一歩、また一歩。プチベルが震える足で柊に歩み寄った。柊が大きな一歩を踏み出
し、その前に片膝をついた。なにかあれば、プチベルの身体をすぐに抱き止められるよ
うに。
 膝をつき、目線の高さを同じくした柊の頭の上に、なにか温かいものが乗せられた。
 それは ---- プチベルの ---- 手のひら。
 弱々しく。緩慢に。さわ、さわ、と髪を触られる感触。
「よーくできました・・・えらいわね・・・ひいらぎれんじ・・・よし・・・よし・・・」
 蚊の泣くような声で。聞き取れないほどの声で。プチベルが精一杯の微笑を浮かべ
ながら ---- 柊の頭を撫でていた。柊を、褒めていた。
 子供のとき、なにかいいことをすると、こうやって大人に褒めてもらったっけな ----
 ぼんやりと、柊はそんなつまらないことを考えていた。
 エリスが肩を震わせながら、そんな二人を見ている。涙でなにも見えないが、それで
もエリスはしっかりと二人を見つめていた。くれはも、もはや涙を流すことに遠慮はして
いなかった。滝のような涙を流しながら、子供のように泣いていた。
「・・・じゃあね・・・ひいらぎれんじ・・・わたし、もういくわ・・・」
 ひとしきり柊の頭を撫で、その感触を自分の手に十分に記憶させるように。
 その儀式を終えたプチベルが、最後の別れの言葉を紡いだ。
「おいっ、待てよっ、ベル !! 」 
「わたし、えみゅれいたーだから。ひいらぎれんじとは、いられないわ。それにちょっと
がんばっちゃったから、もうここにはいられないとおもうの」
 プチベルの姿がかすむ。不鮮明な、まるでホログラムの映像を見ているかのように
薄れていく。
「どうにかできねえのかっ、どうにかならねえのかよっ !! 」
 それが自分に向けられた言葉であることは嫌というほど分かっているアンゼロットで
ある。しかし、答える言葉を与えることは出来ないのだ。それは、自分だけではなく、
柊も、くれはも、エリスも本当は分かっていること。


15:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:39:35 e7ZVTmoJ
 エミュレイターであるからウィザードや普通の人間と一緒にいることは出来ない。

 これは、覆すことの出来ない真実なのである。
 エミュレイターである以上、他者のプラーナを奪わなければ存在できないのは自明の
こと。共存できないのは言うまでもないことなのだ。

 でも。
 それでもなお。
 プチベルは大好きな人たちを守るために、その選択を選んだ。
 覚悟をして。すべてを受け入れて。なにもかも、認めた上で。
 それは、この小さな女の子が自らの存在を懸けて選んだこと。
 優しさ。尊厳。誇り。そして、彼女の愛 ---- そんなものすべてに誓って選択したこと
なのである。
 なんとかできるならばしてやりたい。だが、それを願って駄々をこねるようにじたばた
することは、プチベルの覚悟を侮辱することではないだろうか。
 だから、アンゼロットは思う。
 さっきわたくしがしたように ---- 柊さんがしたように ---- ただこう言えばいい。


「どうも、ありがとう」、と。


 泣きじゃくりながら、くれはが、エリスが、口々に「ありがとう、ありがとうね」と、なに
を言っているのか不鮮明な発音で御礼をする。それはきっと涙と嗚咽が混じったせい
であり。
 プチベルが、そのお礼の言葉に、鷹揚に頷いた。
 柊もアンゼロットも、最後に、
「本当にありがとうございます、ベルさん」
「おう。たいしたガキンチョだぜ、お前・・・・・・ホント、アリガトな・・・」
 そう言った。
 そのひそやかな別れが終幕を迎えようとしたとき -------- 。
「全隊、整列ーーーーーーっ !! 」
 大音声で号令をかけるコイズミの声。
 はっと、顔を上げるプチベル。振り返る、柊たち。
 そこには。
 幾十の。幾百の。ロンギヌスメンバー一同が、横一列に直立不動で立っていた。
 さっきまで戦っていたもの。傷つき、血を流しているもの。仲間の肩を借りて、ようやく
立っているもの。
 彼らが皆一様に、仮面の下に浮かべているのは畏敬と感謝の気持ちに他ならない。
 コイズミが、敬礼の形で手をこめかみに持っていこうとして ---- はたと、それをやめ
た。なにをしようとしているのだ、私は。敬礼などとは無粋千万。やはりこの場に相応し
いのは一糸乱れぬ最敬礼などではなく -------- 。


16:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:40:08 e7ZVTmoJ
「ありがとうございます、ベル様 ! 」
 コイズミに続いて幾十の、幾百の感謝の言葉がテラスを飛び交う。
 「ありがとう」「どうもありがとう」「ありがとうございます」「ありがとう」・・・。

 その声たちは、ばらばらでまとまりがなかったが、最敬礼で送るよりもどれほど温か
い別れの言葉であることか。この場にいる全員の感謝の言葉を受けて、プチベルが
うっとりと至福の微笑を浮かべた。
「・・・うふふ・・・あー、いいきもちー・・・うん・・・うん・・・もうじゅーぶん・・・かな・・・」
 と、寂寥に満ちた呟き声。
「・・・・・・それじゃあね。ひいらぎれんじ。ばいばい・・・」
 霞み、朝霧のように、風に流れ、たなびく細い雲のように。
 プチベルの姿が消えていく。
 存在を、失って。
 時が経てば、この小さな少女のことは忘れ去られてしまうのだろう。プラーナを喪失し
ての消滅とは、そういう意味だ。だからこそ、最後までその瞳に焼き付けよう。
 忘れてしまうかもしれない。
 でも、できれば。
 できることなら忘れないように。
 
(・・・・・・それじゃあね。ひいらぎれんじ。ばいばい・・・)

 その言葉だけが、木霊のように、テラスに残っていた --------- 。





 数週間後。
 アンゼロット宮殿。
 テラスにしつらえられた白い丸テーブルは、この宮殿の主が紅茶の時間を楽しむの
に、よく利用する場所である。香り豊かなジャスミンティーをこくり、と飲みつつ。

「コイズミ~ ? まだお茶請けの用意は出来ないんですの~ ? 」
 
 “世界の守護者”という通称の仰々しさ、“真昼の月”という二つ名の麗しさとは縁遠い
だらだら間延びした声で。
 アンゼロットは側近のロンギヌス・コイズミに文句を垂れた。
「は、お待たせいたしました ! お喜びください、アンゼロット様。本日はなんと、エリス様
からお届けいただいた、焼きたてのマドレーヌがございます ! 」
「まあっ ! それを早くお言いなさい、コイズミ ! ほんとにもう、気が効きませんわね ! で
も、エリスさんのマドレーヌに免じて許して差し上げますわ ! 」
「はっ ! ありがたき幸せにございます ! 」
 主が主なら臣下も臣下。
 二人揃って、浮かれに浮かれている。
 主は、お茶請けのマドレーヌに舞い上がり、臣下はお菓子を届けてくれたという青い
髪の少女に久しぶりに会えたことで舞い上がっていたのだった。


17:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?) エンディング
08/07/17 23:40:41 e7ZVTmoJ
「さあ、早く用意を・・・ああ、もう、いいですわ ! その箱をこちらへお寄越しなさい、コイ
ズミ ! わたくしが自ら開封しますっ ! 」
 コイズミの手からマドレーヌの入った箱を奪い取るアンゼロット。
 厚紙に、可愛らしいウサギの絵柄がプリントされたケーキ用の菓子ケース。
 うきうきわくわくしながら、その箱を手ずから開けたアンゼロットが、中身を覗きこんで
硬直する。
 菓子箱の中にはマドレーヌ。
 きちんと並んだキツネ色のお菓子が、十と一個。
 整然と並んだ十個のマドレーヌと、その脇に、列からはみ出したようにたった一個の
マドレーヌ。
「い、いつもより一つ多いですね・・・も、もしかして、エリス様・・・私のために・・・ !? 」
「そんなわけありますか」
 びしりと突っ込むアンゼロット。
 菓子箱の中から、一個余分なマドレーヌを取り出して、アンゼロットは立ち上がる。
 どうして、エリスがいつもより一個多くマドレーヌを焼いたのかはアンゼロットにもわか
らない。
 だけど ---- でも ---- 
 きっとそうすることが相応しいことのような気がして -------- 。

「ア、アンゼロット様・・・ ? 」

 テラスの手摺に手をかけて、アンゼロットはマドレーヌを虚空に投げた。
 放物線を描きながら、宮殿を囲む異界の海へと、お菓子がひとつ、落ちていく。
 その様子を、しばらくの間アンゼロットは眺め続けていた。


(まどれーぬ、やくそくよ ? )


 小さな女の子の声が聞こえたような --------
 そんな気がした -------- 。

(了)


いつもよりも短いですが、そこはエンディングということでご容赦いただいて。
最終回でございます。
長らくお付き合いいただいてどうもです。
またネタが浮かびましたら、いつか。
ではでは。


18:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:02:28 9f8Mn1Bf
GJ!!

涙目の俺キモス

19:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:09:45 +ma/2XUv
グッジョブ。
なんと言う誇り高き幼女。

20:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:25:19 q8Utcxsl
やばい、モニターが霞む…
御達者で。

21:名無しさん@ピンキー
08/07/18 09:15:02 3WtTLqJL
気高いなぁ・・・すごすぎる
GJ!

22:名無しさん@ピンキー
08/07/18 09:43:37 xMjJb7nI
ごちそうさまでした
良い一品でした


気高いね、プチベル
それに引き替えポンコツでカスな扱いの本体ときたら

ま、今回の作品ではそれなりにアンゼロットをいじってくれた分マシだけど

23:名無しさん@ピンキー
08/07/18 20:37:31 Uwz6rvyi
>>22
>ポンコツでカスな扱いの本体

プチベルたん時代から延々ヨゴレ役
こんなにスレてしまった本体カワイソス・・・・゚・(ノД`)・゚・

24:名無しさん@ピンキー
08/07/18 21:18:27 YhoVFNP7
感動をありがとうございますプチベル様

25:名無しさん@ピンキー
08/07/18 22:43:30 R6Fy7ruk
グゥレィトゥGJ! 誇り高き小さな大魔王万歳!
そして……

> 「全隊、整列ーーーーーーっ !! 」

男だぜコイズミ! ロンギヌスの面々もいいなぁ……

26:名無しさん@ピンキー
08/07/19 01:38:25 dC3psajc
コイズミは、産まれた時から男だぜっ!

…多分。

仮面を外すと美女になったりは…
…しないよね?

27:名無しさん@ピンキー
08/07/19 01:53:40 hPmChkaR

コイズミ「ウィザードの神秘で仮面をとったら美少女であるという新設定がついたでごわす」

こうですかわかりませry

28:名無しさん@ピンキー
08/07/19 12:34:46 32vZKAd4
>>27
セブンフォートレスなら、普通に付きそうな特徴だな。

29:名無しさん@ピンキー
08/07/19 16:59:16 fRlVCLxu
仮面を取ったら幼女になる呪いをかけられたコイズミだとッ!?

30:名無しさん@ピンキー
08/07/19 17:52:48 QzJ98nAR
エリスにお風呂に入れて貰ってウハウハですねッ!?

>10
アレだ、大好物なシチュなので是非詳細を頼む。

31:名無しさん@ピンキー
08/07/19 20:49:50 WqLV4NBC
>>エリスにお風呂に入れて貰ってウハウハ
そのシチュだと『コイズミに呪いをかけた敵に襲撃されて胎児にまで戻されてしまうエリス』を思い浮かべてしまう

32:名無しさん@ピンキー
08/07/19 21:15:30 oShpSnto
>>31
で、その敵はコイズミと知恵比べして負けた挙句、子供に戻っても強かった柊に
殴り倒される、と?wwwww

33:名無しさん@ピンキー
08/07/19 22:11:00 G+bimQ4J
>>32
それなんていうジョジョ


ところで唐突だか、やっぱりさなえはエロイな(発想的な意味で)

34:名無しさん@ピンキー
08/07/19 23:45:52 nA2X63Lj
>チビラギが敵をフルボッコ
 
敵「柊ーッ! お前がウィザードに覚醒したのは二、三年前!!
つまり、子供の頃は月衣を張れなかったって事だ!」
敵「ベル様ッ(仮)! この俺が“神殺し”柊を倒すんです! プラーナは弾んでもらいますぜー!」
 
ボゴッ
 
敵「な、何・・・」
柊「やれやれだぜ。こちとら姉貴に散々鍛えられてんだ。
・・・ガキだからって舐めんなよ」
 
うろ覚えであれだがここまで一気にイメージが思い浮かんだ

35:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:39:53 Vn+rBNFO
>>34
ちびらぎの敵フルボッコ……そんな話あったなぁ、卓上作品スレだっけ?
まぁ、あれは子供に戻った柊じゃなくて子供時代の柊の話で、今出てる設定だといろいろ矛盾が生じるわけだが

36:名無しさん@ピンキー
08/07/20 00:45:16 Pq072gNc
>>34
それだったら、
京子お姉さん本人の方が、説得力があるよーな…

>>32
そこはアレだよ、obsんに戻ったアンゼ様が(以下自粛

37:名無しさん@ピンキー
08/07/20 02:12:49 YDej0nSz
>36
ソレはどっちかというと幽遊白書だな


38:名無しさん@ピンキー
08/07/20 02:21:07 EXkVwlFg
第二次ベル VS アンゼロットを読んだんだ
そしてちょっと過去ログを見てたんだ

一桁ベル様に攻めシチュも受けシチュもコンプリートさせたこのスレに驚愕
なんてこった!

39:名無しさん@ピンキー
08/07/20 08:08:33 qaEjOIY3
エミリアに激しく萌えたわけだが、オーヴァードだから実験で研究者にいたずらされちゃうネタ不可。
対抗種だからオーヴァード同士も無理っぽい。
ちくしょうちくしょう!

40:名無しさん@ピンキー
08/07/20 08:38:46 +Wp09uDJ
ならば一人寂しく自室でこっそりいたしてる妄想をだな!

後は薬物や催眠で正常な認識を阻害して虚ろ目で研究者に弄られたり。
測定の為に羞恥プレイにしか思えない実験をやらされたりだな。

…書けんな…文才とかそういう色んなものがない俺ざまぁorz

41:名無しさん@ピンキー
08/07/20 11:39:56 +an8oQUJ
ふと、気づいたが…
Xナンバーズって06も出てきてないよな…?

それはともかく。
ニーラムのエミリアへの執着っぷりは結構アレなのでちょっと考えてみた。
…じつは『被虐』の衝動も持ってるとか…
さりげなくスキンシップしては対抗種の力に焼かれてはふんはふんしてたとか。

…なんかまぬけなw

42:名無しさん@ピンキー
08/07/20 11:41:48 +an8oQUJ
X06はピクシーじゃないかなにやってんだじぶんー!<確認した

43:名無しさん@ピンキー
08/07/20 14:38:29 Vn+rBNFO
えーと、エミリアとアイヴィは顔見知りっぽいし、危機感のないエミリアに苛立った12歳アイヴィの凌辱劇とか、
アイヴィを捕まえる時のオーヴァード部隊による味見とか……

……俺はアイヴィをSにしたいのかMにしたいのかどっちなんだ

44:名無しさん@ピンキー
08/07/20 15:26:03 qaEjOIY3
>>41
先にゆにばーさるを読んだせいか、ニーラムはヤンデレという妄想が…。
エミリアを連れて帰れてたら、監禁とか軟禁とかしそうなイメージに。

45:妄想えくそだす
08/07/20 16:03:30 Q5uPYY2b
 エミリアは幻視する。 
 自分を取り囲む “世界” のイメージを垣間見る。
 世界の中に世界があって、その世界の中にもっと小さな世界がある、という揺ぎ無い
イメージだ。
 その “世界たち” の境界線は堅牢であり、決して打ち崩されることはない。広大な
海という世界の中に、絶海の孤島という世界があり、実験棟という世界の中には与え
られたXナンバーズの個室という、これまた小さな世界が存在している。
 世界が、より小さな世界を自分の中に押し込め、従属させ、囲い込み、束縛する。
 Xナンバーズという囲いに押し込められた自分を、ファントムセルの無機質な建物が
包み込む。少女を捕らえるその鳥篭にしたところで、所詮はこの広大な海という牢獄
に捕らえられた虜囚に過ぎないのだ。
「・・・どーして、もっと自由でいちゃいけないんだろう・・・」
 エミリアは独白する。
 少女一人が生活するには十分すぎる広さの、個室という “牢獄” で。
 互いが互いを束縛しあい、自分と他者の間にすら境界線や砦を築き上げ、がんじが
らめになっていく。ローマにいた頃、母親と暮らしていた頃には、こんなことはなかった
のに。エミリアの、持ち前の明るさ、奔放さをもってしても、この薄暮の闇を思わせるX
島の陰鬱な雰囲気には辟易させられる。
 初めて連れてこられたときは、自分に秘められた力を開花させてくれる研究施設が
ここなんだ、って嬉しく思った記憶がある。だけど、そんな思いは最初の二週間で打ち
砕かれてしまった。
 繰り返される実験。過酷な戦闘訓練。自分と同じく、連れてこられた人々が、週単位
どころか日単位で現れては消えていく、という言い知れない不安感。他者から容赦なく
浴びせかけられる恐怖の視線。
 うんざり。もうこんなところいたくない。ママ。会いたいよ、ママ。
 近頃ではそんなことばかりを考えている。
 エミリアの、ともすれば沈みがちになってしまう気分を、なんとか普段の快活な彼女
に繋ぎ止めてくれるのは、ここへ来てからできた優しいお姉さん ---- X07、ニーラム
の温かい笑顔や言葉、それにスパイスたっぷりのカレーの味。
 それと ---- 。
「マーク・・・・・・・」
 この秘密の施設で、自分と同じ年頃のただ一人の少年。とても優しい ---- いや、と
ても “優しかった” 少年だけだった。
 初めのうちはとても気さくに話してくれた少年が、どことなく変わってしまったように感
じられるようになったのかは、実はエミリアもよく憶えていない。彼女の天性の明るさを
いつもどことなく眩しそうに見つめながら、エミリアのとりとめもないお喋りを聞いていて
くれた少年の瞳の色には ---- いつしか暗い炎が灯り始めていた。
 それが恐怖や嫉妬や激情の、不恰好にごちゃ混ぜになった感情の顕れだ、と気づく
には、エミリアはまだ子供過ぎたし ---- また、天真爛漫すぎた。
 一方的にお喋りをするエミリアに微笑んで頷いてくれていたのが、そのうち話を早く
切り上げてそそくさと立ち去ってしまうようになり。声をかけようとする彼女に、わずか
な狼狽の色を見せながら、急ぎの実験があるからと口実を作って話もさせてもらえな
いようになり。エミリアの姿を意図的に見えないふりをしたり、呼びかけても聞こえない
ふりをして。
 ついには、あからさまに迷惑そうな、敵意のこもった視線を向けるようにまでなってし
まったのである。


46:妄想えくそだす
08/07/20 16:04:00 Q5uPYY2b
「・・・マーク・・・いつのころからかな・・・あたしのことまた、“08”って呼ぶようになった
の・・・」
 人格も、個性もありはしない。無機質で、味気ない呼び名。Xナンバーズと呼ばれる
彼女たちをただ、製造順に識別するだけの個体名。
 そんな名前で呼ばれることが、悲しい。プロフェッサー・アマガや研究施設の人間た
ちにいくら番号で呼ばれとしても、マークに番号で呼ばれるのは、少し、辛い。
 エミリアが ---- 彼女の常識や観念を吹き飛ばすほどの衝撃的な光景に出くわした
のは、そんな煩悶を抱えていたある夜のことだった。





 なんとなく寝苦しい夜だった。
 特別なオーヴァードである自分に与えられた広すぎる部屋のベッドの上で、目が冴
えて眠れずにいたエミリアは、幾十回目かの寝返りを打った後で、むくりと起き上がっ
た。ふわり、とサテンの黒がひるがえる。
 お気に入りの、レースのたくさんついた黒のネグリジェは、駄々をこねて無理矢理FH
に何着も用意させたもののうちの一着だ。
「喉、渇いたな・・・冷蔵庫 ---- 」
 言いかけて、思い出した。個室に備え付けの小型クーラーボックスにストックしてお
いたジュース類を切らしてしまっていたことに。
「もう・・・昼間のうちに言いつけて用意させとけばよかったよ・・・」
 最近のエミリアは、日頃蓄積する鬱憤を少しでも和らげるため、この島の研究員たち
は、あたしというお姫様にかしずく召使いなんだ、と思うようにしている。
 自分を見て恐れおののくあの人たちのことだもん。ジュース持ってきなさい、って一言
あたしが言えば、すぐに用意してくれるはずだもんね・・・と、エミリアは溜息をつきなが
らベッドから降りる。時刻は何時だろう。少なくとも、外の世界の常識では真夜中といっ
ていい時間であるはずだ。
 個室から滑るように抜け出すと、エミリアは廊下に出て息を潜める。
 こんな時間に誰がいるわけでもないはずだが、もしかしたら研究員の誰かとか、あの
アマガのことだから巡回用に対オーヴァード用のロボット兵士でも放っているかもしれ
ない。そんなのと真夜中に出くわしていざこざを起こすのは御免だった。
「ぬきあーし・・・さしあーし・・・しのびあしー・・・」
 囁くように ---- 見つかりたくなかったら黙っていればいいものを、ついついそんな
ことを言ってしまうのがエミリアという少女の変わったところだった。
 ジュースなんてものがこの島に常備してあるとも思えないから、結局は研究員の誰
かを捕まえて用意させることになるのだろう。寝静まっているところを叩き起こして、し
こたま驚かせたところで島の外へ買いに行かせるのも面白いかも ---- すでに目的
がすり替わっているのにも気づかないで、エミリアはなんとなくわくわくした気分になっ
ている。
 研究員が暮らす棟には、あのアマガもいるのだろうか ---- そう思うと気が重くなる
のだが、できることなら彼と遭遇することだけは避けて、この小さなミッションを達成し
てやりたいものである。


47:妄想えくそだす
08/07/20 16:04:40 Q5uPYY2b
 この、エミリアの小さなほんの気まぐれが ---- 彼女に “その” 光景を目撃させる
ことになってしまったのである。





 研究棟の廊下に、明かりが差していた。
 こんな時間まで起きている研究熱心な研究者でもいるのかしら、とエミリアは感心す
るのではなく、嫌悪感を抱いてしまう。
 あんなくだらない実験に熱心になるなんて、サイテー ! ・・・と。
 まーったく、もう ! 誰がこんな時間にろくでもない研究をしているのかしら。顔を見て、
今度廊下ですれ違いでもしたら脅かしちゃおうかな ---- そんな悪戯心を起こして、
廊下の窓の下に身を隠し、顔の上半分だけをひょいっ、と覗かせた時 ---- 。

「・・・・・・っ・・・・・ !! 」
 エミリアは息を飲んだ。プロフェッサー・アマガがそこにいたからだ。幸い、アマガは
横を向いており、エミリアには気づいていないようだった。だが、エミリアが息を飲んだ
のは、アマガがいたせいではない。
 アマガの他にもう一人 ---- ニーラムが、そこにいたからだ。
 いや ---- 。そんなことではない。それくらいでエミリアは驚いたりはしない。
 もっと正確に言うならば ----
 アマガとニーラムがいて ---- 二人が、一糸纏わぬ全裸であったからだ。
 自分の腰に手を当て、ふんぞり返ったアマガの股間の中心に、居丈高にそびえる肉
棒がそそり立っていた。肌色というよりは黒ずんでたくましく、六十歳の老人のものとは
思えぬほどの剛直である。
 その足元に、まるでかしずく奴隷のように、ニーラムが跪いている。
 美しい褐色の横顔は、普段の温和で理知的な表情をどこかへ置き去りにしたかのよ
うに、熱を帯びて汗にまみれている。
 まるで吸い込まれるように、ニーラムの顔が ---- いや、口が大きく開かれてアマガ
の股間へと近づいていき ---- 猛る剛棒を頬張った。

 ぶっ、ぼぶっ、じゅっ、ぶぽぽっ。
 ぶっ、ぼぶっ、じゅっ、ぶぽぽっ。

 頬をすぼめ、音を立て、熱のこもった、しかし虚ろな目で。
 ニーラムが顔を激しく前後させた。これが、口腔による男性器への奉仕 ---- フェラ
チオと呼ばれる行為であることも、また、こんな行為が存在することすらも、エミリアは
知る由もない。
 ただただ、震えながら、魔法に魅惑されたかのようにこの行為に魅入られている。
「ふむ・・・なかなか上達したの・・・X07・・・こちらの “商品” としての価値も、なかな
かのものじゃ。ほれ、手がお留守じゃぞ。揉み潰せ。まさぐれ」
 商品を値踏みする者の視線と口調。アマガの冷酷な指示に従い、ニーラムの手が
動いた。いつも着ているゆったりとした衣類に隠されていた豊満な乳房を、左手で持ち
上げ上下に揺らす。褐色の、張りのある乳房の中心で、ピン、と突き立った乳首だけが
ピンク色だった。すぐに汗ばみ、しっとりと濡れていく素肌が、白く湯気を立たせる。
 右手はとうに、開かれた脚の間へと吸い込まれており、激しく己の股間をかき回して
いた。ぐちゅっ、ぐちゅっという水音が濁って聞こえ、エミリアの耳朶を叩く。


48:妄想えくそだす
08/07/20 16:05:09 Q5uPYY2b
 エミリアは震えた。まるで、ニーラムの発する水音に、自分の耳が犯されているような
錯覚を感じる。
 なにしてるの、ニーラム。なんであんなこと。なんだか不潔だよ。なんだかいやらしい
よ。
 心の中で激しくニーラムを責めながら、無意識にエミリアの手がネグリジェの裾を割っ
た。指でそっと、自分の両脚の間にある、その器官へと触れる。
 十五歳の少女の股間は。
 ねとり。
「うそ・・・・・・」
 自身の分泌した得体の知れない粘液によって汚れていた。
 同じ音。ニーラムが発している音と同じ、いやらしい音が私のあそこからも聞こえてく
る。背筋を電流のようなものが駆け抜け、エミリアはおもわずネグリジェの裾を掴み、
それを自分の口元へと持っていった。声が漏れないように黒地の布を口に含み、噛み
しめる。声をふさぐことはできたが、ネグリジェが引き上げられて、エミリアの大人になり
きっていない秘密の幼蕾が外気にさらされた。
 つつー、ぽた。つつー、ぽた、ぽた。
 切りつけた樹木から蜜が滴るように、エミリアは研究棟の床に愛蜜を滴らせる。
 指は、いつしか秘裂の筋をなぞるように蠢き、つたない自慰行為を開始している。
 研究室ではアマガが呻き声を上げた。
「全部飲むんじゃ。出すぞ、それ。う、うおうぅぅぅっ・・・」
 肉棒がびくんびくんと震え、その様が遠目でも分かるほどに激しくわななく。
「ぐ。ん。ぶ、うぅ、うぐんんんんんんっ・・・」
 ニーラムは喉を鳴らしながら、渇きを潤すようにアマガの股間から “なにか” を飲み
干した。ごきゅ、ごきゅ、と二度三度。ニーラムの細い喉元が嚥下のためにぐいぐいと
動く。心底、味わうように。甘露を愉しむように。
 ちゅ、ちゅうっ、と吸引音が続けざまに起きる。ニーラムは ---- 奉仕の仕上げとして
アマガの男根に残った最後の一滴 ---- 尿道に残留したわずかな精液すらも啜りとろ
うとしていた。
「・・・口のほうはまあまあかの・・・では、次を試すぞ。後ろを向いて四つんばいになる
んじゃ。床に手をつけ。犬のようにな。そして高く高く尻を立て、お前の雌壷をワシに
さらけ出せ」
 ちゅっぽん、っと口から男根を引き抜き、ニーラムがアマガの指示に従おうと身をよじ
る。その姿勢の転換の時 ---- ニーラムの目がエミリアに気づいた。
「あ・・・・・」
 気づかれた。見ていたことを気づかれちゃった。ううん、それだけじゃないよ。あたし
があそこを濡らして、いじって、気持ちよくなっているところ、ニーラムに気づかれちゃっ
たよ・・・・・・。
 激しい羞恥は、さらなる甘美の呼び水となる。
 己が痴態を見られたと、エミリアが認識した瞬間、十五歳の少女の肉体は ---- 生
まれて初めての絶頂を味わったのだ。
「~~、~~、ん、~~~ぐ、~~~っ、ふ、~~~・・・・っ !! 」
 黒い布地にふさがれて、幼いオルガスムの悲鳴はくぐもって消えた。ずりずり、と床
にくず折れるエミリアの耳に、アマガとニーラムの声だけが響く。


49:妄想えくそだす
08/07/20 16:05:39 Q5uPYY2b
「X07よ、お前は “商品” じゃ。FH の戦闘員としての価値、慰問婦としての器量、す
べてを兼ね備えてこそのわが作品じゃ。ほれ、今の今までワシのモノをくわえ込んで
いた淫らな口で、男を喜ばせる言葉を吐いてみせよ」
 声に続いて聞こえてきたのは、さらなる水音。湿った布を詰め込んだ穴へ、すりこぎ
棒を埋めこみ、ねじ込みでもしたかのような濁音。
 ぶじゅる、ぶじゅる、という音に続いて、ニーラムが叫ぶ。
「あっ、おーっ ! プ、プロフェッサーのたくましいモノで、私、貫かれていますーっ!! わ、
私のアソコのお肉を巻き込みながら、ずぶずぶ奥へとねじ込まれて、ひ、ヒイィィッ !? 」
 やめて、やめて。言わないで。そんなこと、そんないやらしいこともう言わないでよ。
 お願い、ニーラム。優しくて温かくて、あたしのお姉さんみたいなニーラムが、アマガ
とあんなことして、あんなことされて、どうして嬉しそうに叫ぶの。どうしてあんなに気持
ちよさそうにしているの。どうしてあたしの身体まで気持ちよくなっちゃってるの。
 エミリアの崩れ落ちた身体が痙攣する。今しがた、味わった絶頂だけではまだ足りない。
 もっと欲しい。理性が否定したところで、身体がそれを要求する。エミリアは両手を駆
使し、自分の身体をまさぐった。さっき、アマガに命令されてニーラムがしていたことを
真似るように。
 ぶじゅ、ぶじゅる。
 ニーラムの発する音。
 くちゅくちゅっ、ちゅくちゅく。
 これはあたしのあそこの音。
「あひっ、あひぃっ、激しい、激しい、いやあーっ ! 」
「よがれ、もっとよがれ、X07 !! 」
 ニーラムも気持ちいいのかな。あんなに凄い声、私も出せるかな。でも、恥ずかしい
から我慢するよ。頑張って歯を喰いしばって、声、出さないようにするから。
「ひっ、い、いや、いく、うっあーーーっ!! 」
「うむ。なかなかの名器に仕上がったぞ !! 」
 ニーラム、褒められてる。アマガが、私たちに“愛”の話をするときと同じ口調だから
すぐわかる。あっ。あたしの指、止まんなくなってる。あたし、もっと気持ちよくなってる。
 これ、どうしたらいいの。
 どうしたら -------- 。

「・・・っ、出すぞ、X07 !! ワシのすべてを受け止めるんじゃ !! 」
 アマガが吠えた。

「あ、あーーーーっ !! 出ていますっ、中、出て、イク、ひっ、ひいぃぃぃぃーーーっ !? 」
 イクってなに。もしかしてさっきのあたしと同じ感じなのかな。だとしたら、あたしもイク
よ。一緒にイクよ。ニーラムと一緒にイク・・・よぉ・・・・。


50:妄想えくそだす
08/07/20 16:06:29 Q5uPYY2b




 エミリアは幻視する。 
 自分の中にある “世界” のイメージを垣間見る。
 この世界は、あたしを押し込め、従属させ、囲い込み、束縛する。
 少女を捕らえる鳥篭は、牢獄の堅牢さをもって、エミリアの心身を虜囚にするだろう。

「っ、ア、ア、あぁ、あ、あ、あふぅ・・・・・んんっ・・・」
 エミリアが果てる。床に頭をゴツッ、と打ちつけながら、気を失って。
 辺り一面飛び散った液体に身を浸しながら、エミリアはいつ果てることなく痙攣し続け
ていた。
 十数秒後。研究室から出てきたアマガとニーラムの二人が、裸身をさらしたままで、
倒れ伏したエミリアに歩み寄る。
「ふん・・・対抗種がいっちょまえに色気づきおって・・・。カウンターレネゲイド持ちでは
迂闊に慰安用としても使えんわい」
 毒づくアマガに、ニーラムが囁く。
「それでは・・・この子は私が好きに預からせてもらっても・・・ ? 」
 その瞳は情欲に煮えたぎり、加虐の光をたたえて濡れている。
 アマガは汚物を見るように、ニーラムを一瞥し。



「好きにせい」



 ニーラムが。
 にんまりと笑み崩れた・・・。







エクソダス読んで、エミリアの可愛さに思わず発作的に書いてしまったり。
勢いとは恐ろしいものですね(笑)。
この後、加虐衝動のままにエミリアを監禁調教するニーラム・・・とか夢はいろいろと
広がりますが、とりあえずこんなもので(笑)。


51:名無しさん@ピンキー
08/07/20 17:26:22 bdzNc55e
>>45ー50
ポップアップで読めるようにしとこう

買い忘れてたゆにばーさる買って久しぶりのこいのぼりに興奮しております。
こいのぼりと綾は、いいわぁ

52:名無しさん@ピンキー
08/07/20 17:35:08 k/ZZyvCX
志村ー
-がーになってるー


>45-50

こうだね。
あと、一応容量の事があるから、>>ではなくて>にしておいた方がベター


さて、ようやく新刊三冊届いたんで、読むぞー。
そしてここのも読むぞー。

53:名無しさん@ピンキー
08/07/21 02:43:05 o2a/fJs5







ここまでガンドッグネタなし

54:名無しさん@ピンキー
08/07/21 12:51:15 yRz50msH
>>53
じゃあ君が書くといいよ、待ってます

55:名無しさん@ピンキー
08/07/21 16:28:42 UHIVxU8C
>>53
リプレイ、特にマリオネットネメシスの方は
かなり面白かった覚えがあるが、いかんせんルールが
いまいち把握しきれてないので・・・。

リプレイ専の弱みだよなぁ。
まあ、こだわらずに書けばいいのかもしれないけどもw

56:名無しさん@ピンキー
08/07/22 07:51:32 woau4qp1
『ゆにばーさる』読んだ。
ケイト×こいのぼりよりも、頸城×こいのぼりとか、あまつさえ頸城×ケイトを思い浮かべてしまった俺を誰か叱ってくれ。

57:名無しさん@ピンキー
08/07/22 08:56:07 /2oSJf7c
>>56
はんにゃーッ!

…というわけで、その妄想をkwsk語っていくように。

58:名無しさん@ピンキー
08/07/22 09:23:20 1YzMxjub
>>56
フィン×隼人を思い浮かべた俺よりはましだ、
というか、フィンがあそこまでいいキャラに化けるとはおもわなかった。

かつて委員長がいないときのダメダメ柳也を投下したものとして、
『エクソダス』の柳也のある意味壮絶な駄目っぷりにはさまざまな妄想をかきたてられるw

59:名無しさん@ピンキー
08/07/22 10:16:03 WxbkmyJH
>>56
もう3Pでいいんじゃないかな。

60:名無しさん@ピンキー
08/07/22 12:58:38 XpxeGmEb
頸城とケイトが「どっちがより結紀を気持ちよくさせられるか」で勝負を始めて
こいのぼりがコワれてしまうんですねわかります。

二人がかりだとあっさりジャーム化してしまいそうだな。

61:名無しさん@ピンキー
08/07/22 13:00:20 FY7aWoC0
>60
そんなエロゲーあったよな、昔。

62:名無しさん@ピンキー
08/07/22 21:52:17 FYF2Ck2T
キュマの巨大なモノで肉体的に責められ
ソラリスのクスリで精神的に責められるんですね
 
・・・いや、そりゃジャーム化もやむを得ないだろ

63:名無しさん@ピンキー
08/07/23 02:05:45 S9RMuw5t
首輪もしてるし、ケイトと離れ離れで性欲を持て余す結希に調教される頸城、というビジュアルを幻視した俺は少数派なのか?

64:名無しさん@ピンキー
08/07/23 02:22:12 y2FfXXNS
>>63
書け。

65:名無しさん@ピンキー
08/07/23 06:45:59 Bc5jL+V7
俺の脳内では、ゆにばーさるは『昼はメイド喫茶・夜はメイドコス風俗店』という設定ですがなにか?

66:名無しさん@ピンキー
08/07/23 07:31:46 nf17DRdO
春日恭二が通って勝ちプレイさせてもらってウサ晴らししてるのを幻視した。
でも昼間は相変わらず負けている。

67:名無しさん@ピンキー
08/07/23 07:33:44 vZa4uOKL
エンドラインに行っちゃえよもう

68:名無しさん@ピンキー
08/07/23 09:09:28 7KKLkGFg
エンドラインに行ったからって勝てるようになるワケじゃないだろうw

69:名無しさん@ピンキー
08/07/23 09:28:31 HmEP7DhG
ケイトはエンドラインの鍵の一つ→安定に必要なのは支えてくれる人?(要はロイス)→プランナーによるケイト誘惑作戦で。
いつの間にか春日恭二は勝ち組に!

70:名無しさん@ピンキー
08/07/23 09:50:15 jhYTmF8A
つまり春日恭二がケイトを誘惑するんですねわかりたくありません。

…実は春日恭二は両刀だとかだったら本気で嫌だなぁ…

71:名無しさん@ピンキー
08/07/23 09:58:10 HSbTBFyj
ヒント:春日のシンドロームはエグザイルとキュマイラ

72:名無しさん@ピンキー
08/07/23 10:34:20 YjqYU1KZ
つまり、性別を自在に変化させてるうちに、両方同時に使える形態で両方の性器を
同時に刺激されないと満足できなくなったんですね

73:名無しさん@ピンキー
08/07/23 10:47:44 ru/A6eqn
>>72
いいから、SCの追い込みとMHEのFAQ作成に戻るんだ

74:名無しさん@ピンキー
08/07/23 10:47:45 CPvWcKLG
ハッタリ仕事しろっ!!?

75:名無しさん@ピンキー
08/07/23 11:11:12 wIfbr1Qt
そこでパラレルワールドの春日恭子と檜山ケイによる百合展開ですよ

76:名無しさん@ピンキー
08/07/23 12:47:44 zTc0+Shx
新ステージ:ムーンライトドローン(適当

霧谷雄子を調教するプランナーというのを幻視した。何故か。

77:名無しさん@ピンキー
08/07/23 15:03:21 gsyXbpol
ムーンライトドローンでの こいのぼりは
色々ちっさくてかわいい男の子なんだろうなあ とか
なぜかそこでも女のままの頚城さんに手え出されてんだろうなあ とか

78:名無しさん@ピンキー
08/07/23 19:18:41 IBut2Kva
つまり、アキバステージの頸城さんは生えてると。
そう仰りたいわけですね。

79:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 19:52:34 sz2LmvdU
20時30分ごろから宝玉少女の斬撃舞踏曲 ラストを投下したいのですが、いいでしょうか?

80:名無しさん@ピンキー
08/07/23 19:56:57 zTc0+Shx
正座して待ってます。

81:名無しさん@ピンキー
08/07/23 20:02:42 BbzW6IYJ
こう暑いと全裸になるのにも躊躇いがなくなるね

82:名無しさん@ピンキー
08/07/23 20:15:36 IBut2Kva
俺とりあえず中の人出しとくよ

83:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:29:48 sz2LmvdU
そろそろ投下します。
全部で28KB(なげえ)エリスがごっつヒロインです。
エロイかどうかは分からない(え?
ご注意を。

84:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:30:43 sz2LmvdU

 ただ好きなのだと少女は泣き叫ぶ。
 世界よりも。
 誰よりも。
 彼が大切で、好きなのだと、少女は叫ぶ。

 どこまでも純粋なる想い。




 エリスと柊は繋がっていた。
 唇で、唾液で、舌で、結合していた。
 魔術の概念において、人同士が結合する術は複数ある。
 指先を切り裂き、血管を露出した指同士で混じり合う方法。
 互いの性器を持って、結合する方法。
 そして、その中でもっとも簡単なのが接吻による接続だった。
 血の味がする柊の口の中に舌を絡める。息が苦しくなる、それでもエリスは必死に口に舌を入れて、息を吹き込む。
 柊の呼吸は虫の息のようで、ほぼ止まりかけていた。
 その息が止まれば、彼が確実に死んでしまうと思った。
 かつてウィザードだった頃の感覚を必死に思い出す。
 あの時、使いこなした力の感覚を必死に再現する。
 プラーナを、存在力を、目の前の大好きな青年に注ぎ込む。
 キスもろくにしたことがないエリス。
 喀血を繰り返し、血生臭い柊の唾液は吐きたくなるほどに不味い。
 それでも彼女はキスをする。

「先輩」

 柊が窒息しないように何度も唇を離しては、柊の口の中に残る血をエリスは吐き捨てる。
 憧れだった男性とのキスの味は血しかしない。
 それでもそれは彼女を護るために、柊が流した血だと思えば許容できる。
 エリスの口元もまた柊の血で染まるけれど、彼女はそれでも口付けをやめない。

「しなないで」

 彼女は柊の頭を抱きしめながら、唇を交える。
 吐息が混じり合う。
 痺れるような感覚。
 粘着質に繋がる舌から痺れるような触感が、体の心が熱にうなされたかのように熱くなる。
 プラーナとは存在の力。
 そして、存在とは想いそのものだ。
 この世は泡沫の夢。
 幻のように儚い世界。
 けれど、否、だからこそ想いが力になる。

「しなないで!」

 想いを込めて唇を重ねる。
 血まみれのエリスが、血まみれの柊に口付けする。
 好きだという想い。
 助かって欲しいという願い。
 色んな、色んな願いを、想いを、希望を込めてキスをする。
 それはどれだけの想いが篭ったキスなのだろうか。

85:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:32:18 sz2LmvdU
 彼女はもはやウィザードではない。
 全身に幾重の刃を突き刺され、少なからずのプラーナを奪われたイノセント。
 本来ならば即失神してもおかしくないほどのダメージを受けている。
 ウィザードではない少女には耐え切れないほどのダメージ。
 それでもエリスは意識を保つ。
 己の命ともいえるプラーナを柊に注ぎ込む。エリスと柊、その二人は燐光を帯びる。命の煌き。
 エリスの全身に汗が吹き出す。
 エリスの喉が喘ぎ出す。
 それほど運動をしたわけでもないのに、エリスの露出した肌から滝のような汗が流れていた。
 こびりついた血を溶かし、妖艶といえるほどの汗が、額から、顎から、指先から、全身から滴り落ちる。
 確実に削れていく生命力。
 それでも、彼女は止まらない。喘ぎながら、柊を抱きしめる。想いを注ぎ込む。

「これで」

 唾液と血に濡れて、テラテラと糸を引く唇を持って柊に口付けする。
 少女の柔らかい唇が、柊の唇と重なって、押し付けられる。
 傍から見れば異様な光景だろう。
 気が狂っていると形容されても可笑しくないほどの血まみれな二人。
 ロマンチックなんてものじゃない。
 乙女が抱いている夢も、願望も、願いも何もかも空しい血臭漂う世界。
 それでもエリスは目を閉じる。
 大好きな人へと捧げる唇。
 魂すらも与えても惜しくない、そんな想いと共にプラーナを、命を、心を捧げた。
 血まみれの味がする舌を絡みつかせながら、吐息が粘着質な音を立てて入り混じり―

「ごぶっ」

 柊が息を吐き出した。

「先輩!?」

 慌ててエリスは唇を離す。
 柊はごふりと息を吐いて、肺に残る血液を派手に石畳の上に吐き捨てた。
 ビチャビチャと湿った音がエリスの耳に響く。

「わ、りぃ……ちょっと、ねて、た、みたいだ、なぁ……」

 柊が虚ろに目を見開いていた。
 意識が戻っていた。
 見れば、ゆがんでいた柊の体がはっきりとしている。

「よ、よかったぁ」

 エリスは涙を流す。
 何度流したかもわからない涙で、エリスの目元は真っ赤に染まっていた。

「わるいぃな、エリス」

「え?」

「キス、させちまった……だろ」

 途切れ途切れの柊の言葉、彼の顔は申し訳なさで染まっていた。
 彼は分かっていたのだ。
 朦朧としていた意識の中で、エリスがやった行為を。


86:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:32:38 sz2LmvdU
「気付いて、たんですか?」

「あぁ。うごけなかったけどな、意識はびみょうにあった」

「そう……ですか」

 エリスの顔が真っ赤に染まる。

「まじで、わるぃ。俺がこんなことに―あぁぐっ!」

 言葉の途中で呻き声に変わる。
 脇腹を押さえて、柊の額から脂汗が噴き出した。
 絶叫にも似た声が噛み殺しきれずに洩れ出る。

「柊先輩!」

「だ、だいじょうぶだ。悪いが、くれはの家まで連れて行ってくれないか」

 治療をするにしても、この場所だと目立ちすぎる。
 血痕とかは後でどうにかするにしても、こんな境内で声を上げていれば、通報されかねない。

「は、はい」

 エリスが慌てて差し伸べようとするが、カクリと彼女の膝が折れた。
 石畳に倒れようとする彼女を、柊の手が抱き留める。

「っぅ~!」

 激痛に柊の口から絶叫が飛び出しかけるものの、辛うじて噛み殺す。

「す、すみません!」

「気にすんな、エリスの体調を考えてなかった、おれが、わりぃ」

 エリスは外傷こそ少ないが、プラーナを奪われ、なおかつかなりの量を柊に供給していた。
 常時よりも弱っているのはもちろん、柊を抱えられるような真似が出来るわけが無かった。
 なんとか柊自身が立ち上がり、よろめきながら足を踏み出す。
 それを支える程度にエリスも歩き出した。

「ははは、ずたぼろだなぁ、ぉれたち……」

「そう、ですね」




87:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:33:34 sz2LmvdU
 なんとか玄関まで柊を運び込んだエリスは自分の怪我の治療もそこそこに救急箱を漁っていた。
 つい数時間前に柊にまきつけた包帯、消毒薬、そしてさらに何かないのか探す。

「ヒールポーションがどこかにあるはずです」

 そう思ったのは柊の言葉からだった。
 ウィザードにとってもっとも安心出来るのは自分の日常である自宅であり、一番長く過ごす場所でもある。
 万が一の場合に備えて予備の武器を隠すこともあるし、なおかつポーション類や魔道具などの非常時に備えての道具はウィザードならば常に備えておいてあるものだ、と。
 どこかにあるはずなのだ。

「どこ、どこ?」

 記憶を探るものの、エリスはくれは家にお世話になってから異変などないに等しい。
 精々エリスの護衛としてロンギヌス・コイズミが来たぐらいだが、それも短期間であり、灯が戻ってきてからは護衛の任から外れている。
 その際には怪我などはしなかったし、したとしてもくれはが居るためにポーションを使う余地は無い。

「一体どこに」

 ないという選択肢はないと信じたい。
 エリスは必要なものを取った救急箱を仕舞い、部屋を見渡す。
 仮にもポーション類は現代科学ではなく、錬金術などのウィザードによるものだ。
 迂闊にも一般人が目にしていいものではない。
 とすると。

「こっち?」

 先ほど仕舞った救急箱とは違う、古めかしい器による救急箱。
 古い薬などを仕舞っているものだとエリスは教わっていたし、使い方もくれはなどに教われないと分からないものばかりの箱である。
 その棚を開いていくと―あった。
 見覚えのある透明なビン。中に薄緑色の薬液が入ったそれは紛れもなく―ヒールポーション。

「ありました!」

 それも三本。
 慌ててそれを引っつかみ、エリスが玄関に戻る。
 すると、柊は壁に寄りかかりながら、荒い息を吐いていた。
 血が流れようとする脇腹を手で押さえ、僅かに残っているプラーナで出血を食い止めようとしていた。

「柊先輩! ポーションです」

「あ、ぁあ」

 虚ろな手つきで、柊が二本受け取る。

「え? あの、あともう一本」

「それはエリスが飲め。俺は二本で足りる」

「そんな、柊先輩のほうが重傷なんですよ!」

「エリスも怪我してる、だろ?」

 そういう柊の目は痛々しく、エリスの傷を見ていた。
 足を貫かれ、肌のあちこちに切り傷のあるエリス。その怪我を見つめて、柊は苦悩するかのように顔を歪める。


88:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:34:26 sz2LmvdU
「わるぃ、護ってやれなくて……」

「そんな……」

 柊は十二分すぎるほどに護ってくれたのだ。
 謝られる筋合いなんてない。むしろエリスがお礼を言うべきだった。
 けれど、柊はそう考えない。

「俺が、エリスを巻き込んじまった……」

 彼は自分を責める。
 責任は誰なのか、冷酷なまでに考える。
 本来エリスは巻き込まれるわけがなかったのだ。考えなしに、柊が赤羽神社に立ち寄ったから巻き込まれた。
 それが事実。
 揺るがない真実。

「もうエリスは戦わなくていいのにな」

 彼女を取り巻く残酷な運命は終わりを告げたのだ。
 彼女の前身であった古代神は既になく、彼女を作り上げた神の移し身は既に消失した。
 因果はない。
 彼女が巻き込まれる必然は存在しない。
 だからこそ、柊は責任を感じていた。
 けれど。

「先輩。それ以上いうと怒りますよ」

 エリスは柊のそんな言葉に、頬を膨らませていた。

「え?」

「柊先輩がそんなこと言ってたら―ありがとうが言えないじゃないですか」

 エリスは怒っていた。
 必死に助けてくれたのに。
 必死に戦ってくれたのに。
 彼は自分に責任を感じている。それがどうしても許せなかった。

「胸を張ってください、柊先輩」

 エリスは柊の頬を撫でる。
 血まみれの顔のまま、血まみれの青年に微笑みかける少女の笑み。

「柊先輩は立派に私を助けてくれました」

 とんっと綿を叩くような柔らかい手つきで、エリスは柊の胸を叩いた。

「ありがとう、って言わせてください」

「……ああ」

 柊が口元を笑みに変える。
 微笑み返す。
 エリスがこれだけいっているのだ、そこで笑わなくていつ笑うのだろうか。
 柊は笑う。
 誰かのために。
 大切な仲間―にして大切な少女のために。


89:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:35:17 sz2LmvdU

「それで、いいです」

 ニッコリと柊の笑みを見て、エリスは満開の花が咲き誇るように笑顔を輝かせた。

「じゃあ、治療しましょう。柊先輩」

「ん、あ、いいんだけどな」

 エリスの言葉に半ば賛同しながら、不意に柊が呟いた。

「その前にエリス……着替えてこいよ」

「え?」

「ちょっと、その格好のままだと不味いだろ」

 ボリボリと頬を掻いて、柊が告げる。
 そんなエリスの格好は散々なものだ。
 私服は切り刻まれ、胸は露出し、スカートに至っては切り込みだらけの残骸。血に濡れて白い肌は目立たないものの、露出度でいえば下着といい勝負である。
 緊急事態故にお互い気にしてなかったが、この時に至ってようやくそれだけの余裕が出来た。

「あ」

 エリスが慌てて胸を隠す。
 顔を真っ赤に、モジモジと恥らった。

「み、見ました?」

「……す、すまん」

「……エッチです」

 ボソリとエリスが呟いた言葉に、ガガンと柊はショックを受ける気持ちだった。
 わざとないんだぁと呻く柊に、スクッとエリスは立ち上がり、舌を軽く突き出しながら。

「冗談ですよ。もう柊先輩には裸見られてますし」

 それは柊がエリスの護衛をしていた時の頃、風呂場で起きた事故のことだった。
 柊が入浴中に、何も知らないエリスが浴室に入ってしまった事件。
 悲惨な事故だったと柊は記憶し、半ば忘れていた。

「すぐに着替えてきますね」

 柊の傍らに包帯などを置くと、「水とタオルも持ってきます」と言い残してエリスが足早に姿を消す。
 エリスもかなり疲れているはずなのに、その気丈な態度には柊は頭が下がる一方だった。


90:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:36:29 sz2LmvdU
「さてと」

 柊は片手でポーションの一本のフタを開けると、そのビン口を口に咥える。
 薄緑色をした液体が、生臭い血の味と共に喉を通る。吐き戻しそうになるほど不味い味と臭い。
 元々ポーションという薬品に味を求めるほうが愚かだが、血が混じった味は最悪といいたくなるほど不味い。
 何度も咳き込み、その度に激痛が走りながらも柊はポーションの中身を飲み干す。
 そして、二本目のビンの蓋を開けたところで咳き込んだ。

「が、がほぉっ」

 喉に詰まった痰を吐き出し、手についた紅い物体を服に擦り付ける。
 手に付けていたフィンガーグローブを歯で咥えて脱がしながら、柊は自らの脇腹から手を離した。
 血に染まったTシャツの裾。
 鋭利な刃物で刻まれたその隙間から露出した筋繊維が見えている。

「内臓は出てないのが幸いだったな」

 ビリビリとシャツの邪魔な部分を引き千切り、柊は生臭い血に染まったフィンガーグローブを歯で噛み締める。
 血臭の臭いに吐き戻しそうになりながらも、鼻で息を吸い、フタの開いたポーションを持ちながら覚悟を決めた。

 ポーションの中身を脇腹に注ぐ。

「―ッッウ     !!!!」

 絶叫が零れた。
 噛み締めたグローブが噛み砕かれそうなほどに食いしばられて、柊の汗が吹き出し、のたうつように痙攣する。
 焼きごてを押し付けられたかのような熱い痛み、激痛、苦痛、衝撃。

「ァ ァ ァ   ―!!!」

 ジュッと白い煙が上がり、掛けられたポーションが傷口を焼きながら、その液体に含まれた成分が傷口を洗い流し、癒していく。
 それは途方もない苦しみだった。
 安らかな癒しである回復魔法とは異なり、薬効と保有された魔力による回復を齎すヒールポーション。
 それは本来飲んで回復力を高める薬だが、傷口の消毒と即効性を持つために傷口に塗布することも可能。
 しかし、それには傷口が大きければ大きいほど苦痛を伴う荒行だった。
 それでも柊は耐える。
 死なないために、そしてエリスに心配させないためにグローブを噛み締めて、声を殺した。

 静かな苦行を終わらせた。



91:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:39:21 sz2LmvdU
 バケツに水を汲み、それに数枚のタオルを入れた。
 場所はエリスの私室。
 そこで彼女は自らの体を清めていた。濡れたタオルで顔を拭い、乳房を拭い、手を拭い、肌を拭う。ポーションを飲んだことによって新陳代謝が活発化し、吹き出していた汗も濡れタオルで拭う。
 それだけでさっぱりした気分になれた。

「何を着ればいいのかな?」

 血と汗で汚れた下着を着替え、彼女はショーツだけを穿いた状態でエリスは悩んでいた。
 彼女が服装で悩むことなんてあまりない。
 少しドジっ子で天然な彼女だが、気の利く彼女は判断力に長けている。服を選ぶ時も大体の目安をつけて、すぐに着替えるのだ。
 けれど、今回の彼女には服装を選ぶのに悩む理由があった。
 それは彼女の負っている傷が原因だった。
 スカートやシャツなど、普通の服を着るにはどうしても傷を刺激してしまうし、時間が掛かる。
 となると、洋服はあまり向いていない。

「あ、これでいいかな」

 そう考えながらエリスが箪笥からあるものを取り出す。
 薄い布地、簡素な染め上げが行われた一枚の布。
 それは浴衣と呼ばれるものだった。
 エリスは元々一般的な女の子として洋装を多く所有していたが、赤羽家に居候し始めてから幾つもの和装を購入し、或いは譲られていた。
 神社の娘にして、生粋の巫女であるくれはが和装を好んで着るように、エリスにも和装を着る機会が多かったのだ。
 これなら涼しいし、ブラジャーを着けなくても失礼ではない。
 白い素肌の上にエリスは浴衣を羽織る。
 前中心で裾を合わせて、背負いが背中の中心に合わさるように気をつけ、くるぶしの高さまで裾を引き上げる。
 浴衣の上前を右の腰に合わせ、下前を入れる。
 浴衣は普段のパジャマと同じぐらいに寝巻きにして使っているエリスである。
 なれた手つきで、腰布を巻き付けた。
 傷口を刺激しないように柔らかく結んだそれは少しぶかぶかだったけれど、外出するわけでもないので問題はないだろう。
 格好の問題がないことを軽く確認すると、最後にタオルでもう一度軽く顔を拭い、バケツを持って部屋を出る。
 そのまま一直線に玄関にエリスは向かった。

「お? エリス着替え終わったか」

 そこには上半身裸になって、自分の腹に包帯を巻きつけている柊の姿があった。
 全身から汗を吹き出し、どこか艶かしい、けれど凄惨な傷だらけの肉体がそこにあった。
 幾重もの実戦のみで鍛え上げられた肉体。
 ボディビルダーのように仰々しいものではなく、けれど貧弱とは呼べない肉体。
 うっすらとした肉の下に鋼鉄のように編みこまれた繊維が、何匹もの異形を斬り殺すために使われた筋肉。
 何度も誰かを助け、護るために傷ついた傷だらけの背中。
 つい先ほど切り刻まれた傷口から涙のように血は流れ、赤黒い泡を浮かび上がらせていた。

「ひどい……」

 生々しく露出した傷口を見て、エリスが息を飲む。
 彼が背負った痛みと怪我の重さを知った。

「あ、大丈夫だ。この程度なら、慣れっこだしな」

 エリスの不安を和らげるためだろうが、ニカリとどこか子供っぽい笑みで柊が笑う。
 彼は何故笑えるのだろうか。
 こんなにも苦しくて、痛くて、辛いはずなのに。
 それが、エリスには分からなかった。


92:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:40:31 sz2LmvdU

「すぐに治療しますね」

 バケツを置いて、エリスは濡れタオルを絞る。
 血臭がした。
 汗臭い男の香りがした。
 なれない臭い、けれどそれをエリスは許容する。
 誰かを助けるために流した血ならば、汗ならば、彼女は恐れない。
 優しく、柊の頬を、腕を、背中を、濡れたタオルで拭う。
 血に塗れるタオル。何度も何度もバケツの水が洗う。紅く染まる水。
 それでも彼の汚れを取りたくて、彼を綺麗にしたくて、エリスは彼の肌を拭いて、包帯を巻きつける。

「いつつ、もうちょっと優しくしてくれ」

「あ、ご、ごめんなさい」

「あ、いや、冗談だ。これぐらい、平気だからさ」

 ニカリと笑う痩せ我慢の笑み。
 柊の精一杯の強がり。

「優しくしますから」

 エリスもまた微笑む。
 彼の心に答えるために、精一杯優しく治療を続ける。

 そして、始まる二人の時間。

 何度もバケツの水を取り替える。
 包帯を用意し、足りなければ白いシーツを切り刻んで簡易包帯に変える。
 グルグルグルっとまるで包帯男のようになる。
 エリスが笑う。
 柊が怒ったふりをして、やっぱり笑う。
 包帯を巻き終わる、雑巾で廊下を掃除する。血まみれだった玄関を綺麗に、血臭が取り除かれる。
 エリス一人では時間が掛かる。
 柊が手伝おうとして、エリスに怒られる。
 浴衣の裾をたくし上げて、エリスが必死に拭く、拭く、拭く。
 柊が目を覆う。
 ブラジャーのないエリスのその姿は目に毒だったから。
 彼女は気付かずに掃除を続行。
 結局夕方まで掛かった。
 カラスが鳴き始めた。
 柊の容態が落ち着く。出血は大体納まり、一安心。
 エミュレイターの気配もなし。任務完了の通達をしようとして、0-Phoneを出そうとして柊はそれが見事にぶっ壊れていることに気付いた。
 あれだけの斬撃の嵐に懐に入れておいたそれは見事に破砕。
 月衣の中に放り込んでおくことを失念していた。ため息が出る。
 明日最寄のウィザード組織に連絡をつけてもらうことを柊は決めた。
 それにエリスは泊まっていくように提案する。
 柊、しばし悩んでOKする。
 念のため、一日だけでも警戒すべきだろうと思ったから。
 食事を取るだけの余裕がないので、柊はお茶を啜り、エリスはそれを見つめて笑っていた。
 ゆっくりとした時間の流れ。



93:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:41:14 sz2LmvdU
 そして、夜。

 時刻は真夜中。
 月が昇る時刻。

「あー疲れたぁ」

 毛布を被り、柊は玄関の壁に背を預けて呟いていた。
 最初、エリスに客室に布団を用意しましょうかといわれたのだが、柊はそれを断った。
 理由は三つある。
 一つ目として、万が一のための警戒として布団で寝ると熟睡する可能性があること。
 二つ目は、別段硬い床で寝ることに柊が慣れているということ。
 そして、三つ目は―

「移動するだけの体力がねえぇんだよなぁ」

 情けないことを足元がふらふらしすぎて、今ここでも立ち上がれる気がしない。
 客室まで動けるかどうか自信がない。
 そんな事実を知られたくない男の意地っ張りである。見栄とも言う。
 というわけで、エリスから提供された毛布と枕を共に柊は夜を過ごしていた。

「あー、今日は月が綺麗だな」

 紅い月ではない白い月。
 丸い、月が玄関の窓から夜の闇の中で輝いていた。
 紅い月には散々な目にはあっているが、白い本物のお月様には怨みは無い。
 月面にいったことはあるが、あそこから見た地球は壮観だったと三度ほど宇宙空間で魔王と戦った男は思った。

「なんか寒みぃな」

 夏の夜だというのに、どこか寒かった。
 それが大量に失血したからだということを知らずに、柊は毛布を被って歯を鳴らす。
 毛布を巻きつけて、包帯に覆われた手で体を抱きしめた。
 呼吸を整える。
 歯を噛み締めて、いずれ訪れる眠りに誘われようとして―

「先輩?」

 ギィっと板の軋む音と共に聞こえた声に振り返った。

「エリス?」

 そこには浴衣姿のエリス。
 どこか蠱惑的に、目を細めたエリスが其処に立っていた。

「どうしたんだ?」

「やっぱり寒いんですか」

「え?」

 柊の声を無視して、エリスがゆっくりと柊の横に座る。
 ポンッと何気ない手つきでエリスは柊の頬に触れた。

94:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:41:49 sz2LmvdU
「やっぱり体温が低い」

「え、あ、いや」

「沢山血を流すと、寒く感じるって聞いたんですよ」

 そう告げて、エリスは触れ合うように柊に持たれかかった。
 彼が羽織る毛布の中にごそごそと赤い顔を浮かべて入り込む。

「お、おい、エリス!?」

「大丈夫です! 私、体温高いですから」

「そ、そんな問題じゃないだろっ!?」

 もっともなツッコミ。
 けれど、そんなのは乙女には通用しないのだ。

「恩返しさせてください」

「え」

「今日は私のこと、抱き枕にしていいですよ」

 そう告げるエリスは呆然とするほど可愛かった。
 上目遣いに、ただ純粋にそう告げる声音に嘘はなかった。
 こつんとエリスの頭が、柊の胸板にぶつかる。

「これが私の恩返しです」

「え、あ、いや、でもなぁ」

「女に恥をかかせる気ですかぁ?」

 クスリといたずらっぽい顔でエリスが笑う。

「そんなことしたら、くれはさんに言いつけちゃいますよ?」

「エリス……くれはに悪影響受けてないか?」

「少し、逞しくなったといってください」

 エリスの両手で、柊の左手を抱きしめる。
 ひんやりとして冷たい手。血が足りない証拠、それを自分の体で暖めようと思った。
 浴衣の裾から零れ出る白い素肌が、柊の包帯に覆われた腕を抱き抱えた。

「っ、ぁー……しょうがねぇなあ」

 柊は右手でエリスの頭を撫でると、彼女を抱きしめた。
 それは恋人の抱擁なんかではなく、兄妹に対する親愛のような抱擁。
 けれど、それでもエリスは嬉しかった。
 好きな人に抱きしめられて、嬉しくない乙女なんていないのだから。


95:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:42:38 sz2LmvdU
「ほら、少し冷たくて迷惑だろうけどな」

 自分の体温を自覚しているのか、柊がどこかぶっきらぼうに告げる。

「迷惑なんかじゃ、ないです」

 抱きしめられた柊の体からは汗の臭いがした、薬の臭いがした、血の臭いがした。
 けれど、全部柊の匂いだと思った。
 大好きで、たまらなくて、好きな人。
 想いを寄せる大切な人。
 大好きです。
 大好きです。
 この身、この心、全部を貴方に助けてもらった時から、大好きです。
 世界が敵に回っても、護ってくれるといってくれたあなたが大好きです。
 どんなに辛くても諦めないあなたが大好きです。

「せん、ぱい」

 私はあなたの役に立っていますか?
 私はあなたの支えになれますか?
 私は。
 あなたの。
 傍にいることは出来ますか?

「……きです」

「?」

 エリスはすすり泣く。
 涙を流す。

「大好きです」

「え? あ、俺も好きだぜ」

 違う。
 それは私の好きじゃない。
 それは、仲間に対する好きでしょう?

「違います」

 エリスは告げる。
 思いを吐き出す。

「私は、柊先輩が……好き……です。仲間とか、先輩とかじゃなくて、ただ柊先輩。あなたが好きなんです」

「……は?」

 柊はどこか呆然とした思いで、それを受け止めた。

「返事はいりません」

 エリスは柊に抱きつく。
 胸板に顔を被せながら、囁くような声で告げた。

「ただ知って欲しかっただけですから」

 夜は更けていく。
 沈黙と互いの熱だけが伝わる夜はゆっくりと更けていく。

96:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:43:27 sz2LmvdU


 いつまでも時間が止まっていたような気がした。
 夜は変化がわかりにくくて、腕の中の暖かさがいつまでも留まっているような気がした。
 腕の中の少女。
 エリス。志宝エリス。
 彼女は柊にとって大切な仲間だった。
 命を賭けて護るべき大切な人、その一人だった。
 愛だとか情欲とかそんなのはどうでもよくて、ただ大切だから、護らないといけないから、彼は戦ったのだ。
 救おうとしていたのだ。
 恋愛など考え事もなかったし、そんな感情を抱かれているなんて夢にも思わなかった。
 だからこそ、柊は戸惑っていた。
 彼はとても鈍いから。
 自分を過小評価しているから。
 ただ恋愛だとか、人間関係だとか、そこまで目が付かなくて。
 そんな余裕もなかった。

 どうすればいいと考える。

 腕の中の少女を抱き抱えながら、目を閉じて眠ってしまったらしい、彼が好きだと告げた大切な仲間だったはずの少女に対する対応を考える。
 がじがじと唯一自由な右手で頭を掻く。
 エミュレイターと戦うほうがまだましだった。
 こんな正解も見当たらないような問題よりは遥かにましだ。
 断るのか。
 それともOKするのか。
 柊には分からない。
 エリスのことは嫌いじゃない。けれど、恋しているのか。愛しているのか。といわれれば分からないと答えるしかない。
 そんな想いではないのだ。
 彼にとっての仲間とは。
 図れるような、言葉に出来るような、簡単なものじゃない。
 だから、だからこそ―

「朝、か」

 朝霧が出てきた窓の光景に、柊は目を覚ました。
 眠った気がしない。
 半ば起きて、虚ろになっていたのかもしれない。
 眠気が残る頭を軽く振る。
 すると、不意に重みを思い出して、下を見た。
 そこにはエリスが眠っていた。甘い匂い、温かい感触。

「はぁ」

 静かに息を吐く。
 優しく柊は彼女の頭を撫でてやった。
 たった数ヶ月前。数ヶ月前まで同じ学園に通っていた少女はいつのまにか成長していた。
 どこか大人っぽく、気丈に、そして優しいままで。
 自分はどこも成長していないような気がした。


97:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:44:00 sz2LmvdU
「そう簡単には変われねえよな」

 柊は呟く。
 言葉を噛み砕き、自分にしか聞こえない言葉で。
 エリスの頭を撫でる手を止めて、ゆっくりと傍に置いてあった枕の上に頭を乗せてやる。
 毛布をかけて、柊は静かに立ち上がった。
 一晩休んだ会があって、それなりに体力は戻っていた。
 勝手知ったる他人の家ならぬ幼馴染の家。
 台所に足を踏み入れ、コップを借りて水を飲む。まずい東京の水だが、冷たく、美味く感じた。
 喉を通る音を聞きながら、柊は軽くコップを洗って置いておく。
 頭は多少冷えていた。
 眠気もあるが、今の水で多少目が覚めた。

「ふぅ」

 答えを考える。
 けれど、思いつかない。
 だからこそ―思いついた。

「男らしくねえよな」

 自嘲げに笑う。
 客室に向かう。確か使われていない部屋があったはず。
 埃臭い部屋に入り、月衣から取り出した予備の衣服を着る。
 一度家に戻ってまた何着か持ってくる必要があるかもしれない。後で家に帰るかと考えた。
 まだ痛む足を引きずりながら、柊は玄関へ。
 エリスは眠っていた。
 答えを告げようと思う気持ちはある。けれど、起こすのは忍びない。

「よく寝てんなぁ」

 こつんといたずらっぽくエリスの頬を指で突いた。
 うぅんと寝息が立つ。子供っぽい寝顔。
 こっちは一晩中眠れない時間を過ごしたのに、告白した張本人は眠っていた。
 女は強いな、とつくづく思う。
 柊は笑いながら、玄関で靴を履く。
 血まみれの靴は月衣に放り込み、新しい靴を取り出す。準備万端憂いなし。
 靴を履いて、柊は赤羽家の玄関をがらりと開けた。

「ふぇ?」

 瞬間、声がした。

「お? エリス起きたか」

 柊が振り返る。
 そこにはだらしなく浴衣の裾を乱れさせたエリス。

「あ、せんぱぃ……せんぱい?」

 ごしごしと目を擦っていたエリスが、不意に目を見開いた。

「あ、あの、あぁああの!!」

 その顔が真っ赤に染まる。
 やかんのようだと柊は思った。

98:名無しさん@ピンキー
08/07/23 20:44:01 YYK+nk9u
一応支援

99:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:45:11 sz2LmvdU
「えっと、昨日のことなんですけど!」

「ああ」

「あ、あれ気にしないでください! その、あの、寝ぼけてたようなものですから!」

 昨日自分が何を告げたのか思い出したのだろうか。
 そういえば昨日はいつになく積極的に動いていたなと柊は思う。
 慌てるエリスの頭にぽんっと柊は手を置いた。

「んーあー、悪いが、気にしないのは無理だわ」

 告白されたのだ。
 どうやって気にしないでいられるというのだ。無理がある。

「あぅ」

「だからな」

 柊は笑う。
 優しくエリスの頭を撫でながら、ふてぶてしい何時もの笑みを浮かべた。

「返事を返すぜ」

「は、はい」

 エリスが唾を飲む。
 真剣な眼差し。期待と不安が入り混じった瞳。

「そのな、俺も色々考えたんだ」

 一晩中ずっと悩んでいた。
 どうすればいいだろう。
 どれが正しいんだろうか。
 悩んで、悩んで、悩みまくって―

「でも、どうしてもな。答えが出ないんだ」

「え?」

 エリスの顔が悲しみに歪む。
 拒絶されたと思ったのだろうか。それは違うというのに。

「だから、少し時間をくれないか?」

 柊は答える。
 最適だと思った答えを。

「時間、ですか?」

 エリスの顔が困惑に変わる。

「多分、今の俺がどう答えても違うと思うんだ。エリスは嫌いじゃねえ、けれど好きだとかそういう気持ちはあるのかどうかも……俺にはわからねえ」

 くれはにさえも柊は恋をしたという感情はなかった。
 大切な相棒だと、幼馴染だと思う。
 けれど、それが恋なのか、愛なのか。訊ねられると、それは分からないと柊は答えるだろう。
 だから、だから。

100:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:45:39 sz2LmvdU
 答えを出すために。
 納得出来る時間が欲しいと告げた。

「……」

 エリスは沈黙する。
 柊は焦る。
 どうしょう。最低な答えだったか。
 よくよく考えると単なる保留だよなっと遅れて回ってきた回転が追いついてくる。
 だらだらと柊の顔に汗が流れ始めるころ、エリスが口を開いた。

「よかった」

「は?」

「私、迷惑だと思ったから」

 エリスは笑っていた。
 笑いながら泣いていた。
 喜んでいた。

「私、柊先輩の横になんかいたら駄目だと思っていたから」

 告白する権利なんてないと思っていた。
 ウィザードですらない、ただ護られるだけの人間だから。

「それはちげえよ」

 柊はそんな彼女の思いを否定した。

「俺は多分、エリスが一緒にいてくれたら幸せだと思える」

 感情の答えは分からない。
 けれど、確信は出来る。
 彼のよく知るエリスなら一緒にいて楽しいと、嬉しいと、幸せだと断言出来る。

「ありがとうございます」

「れ、礼を言うようなことかぁ?」

 戸惑いながら、柊は頬を掻いた。
 エリスが笑った。楽しげに。

「じゃあ、そろそろ行くわ」

 照れ隠しに柊が靴を吐き直す。
 外は綺麗に晴れていた、青空。
 光差す夏の空。
 風はどこまでも吹いていた。


101:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:46:01 sz2LmvdU
「いってらっしゃい、先輩」

「ああ。エリスも元気でな」

 そういって、柊が玄関から足を踏み出そうとした瞬間。

「あ、先輩!」

「ん?」

 柊が振り返る。

 ―柔らかい感触がした。

 感触に戸惑い、見てみればそこには真っ赤な顔をした彼女が居た。

「先にこれだけ貰っておきますね」

 エリスは笑う。
 まるで向日葵のような微笑を。
 夏の空の光に照らされて、咲き誇っていた。


 それが斬撃舞踏曲の終わりだった。







102:宝玉少女の斬撃舞踏曲
08/07/23 20:47:07 sz2LmvdU
 虚無。
 終わりなき地獄。
 悪夢、悪夢、悪夢、悪夢―異形。
 おぞましい。
 嗚呼、嗚呼、絶望せよ。
 おぞましい怪物たちに発狂せよ。

「これが、例のミュレイターですか」

 正視に堪えないおぞましい生き物。
 幾重もの封鎖結界、錬金術と科学による拘束具、それらに捕らえられた化け物。
 それを見つめる一人の少女が居た。
 美しい月のように輝ける銀髪、月光に照らされた雪原のように真っ白い肌、神の如き腕前を持つ人形師が生涯をかけて作り上げたかのような美貌。
 それが世界を護る守護者の姿。
 真昼の月 アンゼロット。

「はい。通常のエミュレイターよりも数段、否、別規格の力を備えたイレギュラーです」

 それに答えるのは仮面を付けた美青年。
 ロンギヌス・コイズミ。

「そして、調査の結果、これは本当に“裏界”からのものではないのですね」

「ええ。このエミュレイター―否、クリーチャーが持つ波長は裏界からの発生物ではなく」

 虚無。
 闇。
 漆黒。
 ありとあらゆる怨嗟を練りこめて、心を失い、全て発狂せよとおぞましく声を上げるその怪物は泣き叫ぶ。

「“闇界より這い出るもの”―【冥魔】です」


 世界の危機に終わりは無い。
 終焉が訪れないことがないように。


 世界は狙われていた。


103:斬撃舞踏曲の人
08/07/23 20:54:06 sz2LmvdU
投下終了です。
たった短い短編なのに長々とすみませんでした(謝罪)
こんなの柊じゃねえよ&エリスじゃねえよ、という意見もあるでしょうが、それら全て自分の力不足です。
拙いお話でしたが、少しでも楽しんでもらえれば幸いです。
本格的なエロも書こうと思いましたが、技量が足りないのと、エリスと柊の関係がそれで決定的になってしまいそうなので控えました。
あと雰囲気が壊れてしまいそうでしたので(汗)

あと。ネタバラシをすると、
最初に柊と戦ったエミュレイターは冥魔に喰われ、パワーアップしました。
TV版の後も世界結界が弱まり、冥魔がちらほらとようやく観測され始めたばかりの話つもりです。
アンソロジーの後日談といったところでしょうか。
冥魔が強すぎる気もしますが、下手すると魔王も食うのでこれぐらいが妥当かなっと自己判断です。すみません。

あと、我ながら拙い技量で言い難いのですが。また機会があれば書かせてもらおうと思います。
次回のヒロインはどこぞのポンコツ魔王様の予定ですが、もし他のヒロイン&こんな冥魔と戦って欲しいとか、あのキャラを出せというのも受け付けております。
例えばアルシャードガイアの某錆びたシャード持ちとか、ガイアの病弱男装娘でもおkですw

それではまたのちほど(あったら)レス返しなどをさせていただきます。
ありがとうございました(謝礼)

104:名無しさん@ピンキー
08/07/23 21:02:54 HSbTBFyj
ぐっじょーぶ。
エリスはヒロイン力高いなぁ。
なにせ、あの柊にフラグを意識させるほどだし!w

> あのキャラを出せというのも受け付けております。

よーし言ったな、後悔するなよ?w
皆きっとここぞとばかりに無茶キャラ要求するぞきっとw


個人的には好きだけど誰も触れない、勇士郎withダブルメイドとか希望してみる。

105:名無しさん@ピンキー
08/07/23 21:29:17 bwY9EUei
ベルとちゃんさまで

106:名無しさん@ピンキー
08/07/23 21:31:12 1NkyUoRD
斬撃の人、完結お疲れ様でした。
まさしくこれこそヒロイン&ヒーローといった感じのエリスと柊、堪能させて頂きました。
エロ成分の少なさはお気になさることはないかと。
むしろ、文章の格調の高さ故か、「エロ」よりも「艶」を感じましたから。
次回予告ではポンコツ様がヒロインということで、こちらも投下を楽しみにしています。
私も拙作「蓮司×くれは」の後日談でベル様ヒロインにした後、
「よーし、今度はポンコツじゃなくて魔王の名に相応しい怖くて冷酷な魔王らしいベルを ! 」
と、「ぷちべる」書いたら、なにをどこで間違えたのか、ベル様ご本人の株を下げる結果に(泣)。
ですので、ぜひ私の代わりにリベンジを ! (笑)
ともあれ、完結お疲れ様でした !

107:名無しさん@ピンキー
08/07/23 23:57:43 Rd0Vmsdw
斬劇の方乙です~
エリスさんのヒロイン底力を見せられたお話でありました~

108:名無しさん@ピンキー
08/07/24 01:46:24 b4HLh5ss
>>104
んー?確か流鏑馬弟×ふゆはるネタは旧保管庫にあったよーな……

>>103
ともあれ、お疲れ様でした。
いやいや何をご謙遜を
確かに表現や言葉の取り回し上で首を傾げたくなる点はいくつかありましたが、それを補ってあまりある描写力、雰囲気の構成力でした
すげー、どうやったらこんないびつなもの書き的成長の仕方できるんだ(ほめ言葉)

なにより、です。なによりも、公式以外で、俺は、これほどの、「柊蓮司」を、見たことが、ないっ(断言)!
これだけ二次で柊蓮司を堪能したのははじめてに近いくらいな気がします。

大変いいものを拝ませていただきました。これを原動力に自分も頑張ろうと思います
次回作を期待しています、今からもぅドキドキするーっ!

109:名無しさん@ピンキー
08/07/24 03:16:50 4Na5FqA7
完結お疲れ様でした。そしてありがとうございました。NWアニメからなんで
エリス大好きなんですけど本妻くれはやネタにも使いやすいアンゼロットに
ベルなんかが強くてなかばあきらめかけてたんですがこんなクオリティの高い
作品に出合えるとは本当に感動しました。
 ところでガイアの病弱病弱娘というのが気になってしょうがないのでネタが
浮かんだら是非お願いします。

110:名無しさん@ピンキー
08/07/24 03:59:12 rzZylOD3
こんなユメを見た。

GM「今度、エンドラインのリプレイやるんですけど。
かわたなさん、やりたいキャラあります?」
かわたな「じゃ、ケイトを…」
GM「結城と戦うケイトですか。いいですね。」
かわたな「…それで、結城を寝とる」
GM「…」

111:名無しさん@ピンキー
08/07/24 10:46:29 B0RYx8OP
ムーンライトドローンステージネタを読んだおかげで、
薬王寺勇希(男)×檜山ケイ(女)とか、上月姉妹(永子・つかさ)の姉妹モノとか変な妄想が。

112:名無しさん@ピンキー
08/07/24 10:59:20 Lyq+7N0g
隼美「普通っていうなー!(CV:新谷良子)」

113:名無しさん@ピンキー
08/07/24 12:39:55 0XJlvccN
隼乃がいいな。女性化するなら。

114:斬撃の人
08/07/24 14:19:20 7urZO5Cn
そろそろ感想が出終わったようですので、レス返しです。

>>104
勇士郎withダブルメイドですかw
ちょいやくぐらいなら次回(書くとしたら)出せるかもしれません。

>>105
ベル様はともかく、ちゃん様まで!?
辺り一帯が焦土と化しますよw(バトル前提で考えている)
でも、あまりメインになるのは少ない気がするから出していいかもしれませんね。
……柊が死なないといいけど。

>>106
いえいや、まだ修練が足りません(汗)
そちらのプチベルと比べて、儚さとか足りない模様です。
出すとしたらポンコツ+カリスマモードを魅せ付けたいですね。
頑張ります。

>>107
エリスはヒロイン。
これは譲れませんw 個人的に好きなヒロインだと、ベルとレンとエリスです。
くれははまあ王道ということでw(マイナースキー)

>>108
出来るだけ柊らしさを出そうと頑張りましたけど、戦闘に関してはかなり好き勝手やってますw
あそこで答えをはっきり出すのは柊らしくないかなーと(優柔不断というよりも優しさです)
お褒めの言葉に恐縮です。

>>109
アニメからの方ですか。
お褒め頂きありがとうございます。自分もエリスが好きなんですが、あまりにエリスとかのSSがないので自分で書きました。
広いネット世界にはまだまだ自分よりも上の方がいるでしょうが、技量を褒めてくださってありがたく思います。
ガイアの病弱男装娘というのは、ファンブックに出てきた柊 レンという柊の平行存在のことです。
個人的には好きなキャラなので、いつかネタが浮かんだら書きたいと思います。

では、多数の感想ありがとうございました。
次回は今回の話の続編予定です。いつになるかは分かりませんが、いつか書きたいタイトル。
【魔王少女の爆撃舞踏曲】です。

115:名無しさん@ピンキー
08/07/24 16:02:54 H7ygUHT+
>114
……魔王……爆撃……た、高町式交渉術!?

「お話……聞かせて?」(ドカーン)

116:名無しさん@ピンキー
08/07/24 18:47:44 BEC37QR2
ようやくエクソダス読了したが、
アィヴィーのエンディングを見て、思わず柳也がアイヴィーとのフラグを立ててしまって、
そしてミナリが嫉妬して、さらにそこにジェラルドが絡んできて、
ドロドロな昼ドラ展開を想像してニヤニヤしていたのは俺だけだろうか。

どう見ても俺だけです。
本当にありがとうございました。


なんかこう、アイヴィーがまどろみから目覚めたら、
柳也が上着とかかけてやってそうな、そんな感じのを連想してしまったんじゃよぉ~。

117:名無しさん@ピンキー
08/07/24 19:45:18 yzpM7j+k
そこにセント・ジョージが加われば更に(大惨事的に)完璧だなw

118:名無しさん@ピンキー
08/07/24 19:54:18 gg3y+sjk
そして新生Xナンバーとして現れる柳也妹であった

119:名無しさん@ピンキー
08/07/24 19:59:22 YkwQnQ6D
むしろスティングがXナンバーのプロトタイプとか
ほらクローンだのフルボーグだの

120:名無しさん@ピンキー
08/07/24 21:40:37 zoZLMujJ
>スティングとXナンバーズ
真面目な話何らかの技術供与や交換がセル間であった・・・てのは有り得る話かもしれないな
 
リプでそういう話が出ることは無いだろうけど
今後のサプリでそんな設定が出たら面白いな
 
・・・ここまで書いたところで、
エクソダス終了後のサプリにネオ・ファントムセルなる組織が収録された光景を幻視した

121:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:08:37 yaQppIUR
>>120
(ノエルと白馬の王子を読みながら)
 え?携帯マスターファントムやファントムおみやげセットとかのアイテムや
ファントムセル戦闘員、影武者マスターファントムといったエネミーが追加されるって?


122:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:13:00 YkwQnQ6D
ゲル・ファントムセルじゃねぇの?

悪魔的天才からダインスレイフ研究所、ヘルメス、ファントムセルと
DXにマッドサイエンティストは欠かせない要素だな

123:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:13:50 eM32tOkV
( ゚∀゚)つ/∪⌒☆ <魔王少女の爆撃舞踏曲 マダー?) チンチン

124:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:34:08 BEC37QR2
というわけで(だry)投下します

雷火×武田の続きです。

ハンドアウト OP1~2 マスターシーン1
マスターシーン2 ミドルフェイズ1
スレリンク(eroparo板:249番)-254

ミドルフェイズ2 これから

今回1レス分のみです。エロもありません。
牛歩の歩みで申し訳ないです。
いやあ、他のリプレイ読んでるとそっちでの妄想が広がって(以下言い訳なので略

では投下します。

125:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:34:24 BEC37QR2
 クエスターは、どのようにして奈落の気配を察知するのか。
 答えは簡単である。魔力……マナの欠如が、奈落発生の予兆であり結果である以上、
マナの感じ取れない場所に奈落は存在するという事になる。
 本来、ありとあらゆる物体、存在に宿っているはずのマナが、存在しないという事。
その違和感こそを、クエスターは奈落の気配として捉えるのだ。
 無論、意志のある奈落はマナの欠如を覆い隠し、自らの存在が露見する事を避けようと、
細工を弄する事もままあり、クエスターであれば奈落を必ず察知できるかというと、
そうは言えない場合もある。
 だが……
「……これは」
 最早呆けている場合ではない事を、雷火は眼前に広がった光景に教えられた。
「おっ、気づいたか、服部?」
「はい。……変、ですね」
「だよな……」
 どこがどうおかしいと言うわけではない。そこにあるのは学校の建物だ。
 どこがどうおかしいと言う事ができない。全てが狂った、学校の建物がそこにあった。
「なんなんだ、これ?」
 時刻は当に始業時間を越えていて、本来ならば学校は教師の声、生徒の声、その他
もろもろのざわめきに包まれているはずの時間だ。
 だが、そこには静寂だけが満ちている。そして、本来満ちていなければおかしいはずのマナが……ない。
「なんで、こんなに……静かなんだ?」
「………………」
 正一の疑問に、雷火は答える事ができない。
 そこにあるはずのマナが感じられない。それが示すのは、奈落の存在だ。それを雷火は
当然理解できる。だが、それを傍らにいる少年に自らの理解する所を教える事もまた、
当然の如くできない。
「……武田殿」
「なんだ?」
「それがし、様子を見てまいります。ここで待っていて下さい」
「様子って……俺も行くよ」
「駄目です。……危険……そう、危険ですから、それがしが行きます」
 雷火の心に焦りが満ちる。まさか、奈落の動きがここまで早いとは。
 そして、本来喧騒に包まれているはずの学校が、静寂によって満たされている意味。
「なんだよそれ……危険って……だったら先生とか、親とか、大人に言って……」
「時間がありません。それがしは……行きます!」
(皆……無事であってくださいっ……!)
 そう、そこには先生達が……そして、クラスメイト達がいるはずなのだ。
 焦燥が、雷火の足を動かす。
「ちょ……服部!?」
 正一を校門の前に一人残し、雷火は駆け出した。
 クエスターとしての能力を全開にしたその速さに、正一が面食らうのも気にせず。


「は……はえぇ……」
 あっという間に豆粒のように小さくなった雷火の背中を呆然と見送りながら、正一は
考えた。一体、何が起こっているのだろうかと。
 彼に理解できる範囲では、目の前に起こっているのは異常からは、危険の有無は
わからない。だが、雷火は言った。危険だから、と。
「……じゃあ、お前は危険じゃないのかよ」
 彼女は、どうやらこの異常に、何か心当たりがあるらしかった。
 自分には、この異常が一体何なのか、皆目見当がつかない。
 先生が既に中にいるだろう事を考えれば、大人達もあてにはならないだろう。
「俺、次第……」
 何故か心に刻まれたその言葉を、正一は噛み締めた。
「だったら……俺も行かなきゃだめだよな」
 記憶の中には既に無いはずの夢に見た光景が、一瞬だけ脳裏をよぎる。
「大丈夫……多分、やれるさ」
 そう呟くと、懐の中にあるカードの宝玉が緑色に光った。まるで、呟きに応えるように。

126:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:34:39 BEC37QR2
ここまで投下です。

127:名無しさん@ピンキー
08/07/24 22:58:52 PXUvSQHL
おつ、まってたぜー!
でもやっぱり、もうちょっと読みたいとわがまま抜かす。

128:名無しさん@ピンキー
08/07/24 23:36:10 WqzwcOl5
続き来たー!

気長に待ってるぜ

129:名無しさん@ピンキー
08/07/25 22:54:11 mI2iyVlX
URLリンク(moepic3.dip.jp)

130:名無しさん@ピンキー
08/07/25 23:11:49 hHx+iFwQ
ベベベベルたんのお尻の穴あぁぁ!?

131:名無しさん@ピンキー
08/07/26 02:03:58 PycaY3Xp
アンゼロット様のスジと微乳と困ったような表情がもう辛抱たまらんですたい!もう一生ついていきます!!

ところでこれってやっぱりコラかな?

132:名無しさん@ピンキー
08/07/26 09:40:16 6pzmecxE
コラだな、元絵はサイトにあるし。
しかしこのアンゼ様可愛いな。

133:名無しさん@ピンキー
08/07/26 13:12:58 MQs4m3W8
古本屋に「合わせみこ」が出ていたので買いました。
やらしい夢―巨乳女子高生が毎日、男子高校生の剣(隠語)を胸に差し込まれて熱い液体が飛び散る夢を見るだとか、
81pのパジャマのお尻のラインとか、ベル様の「ふふ……あたしを相手にして、三十秒保ったらほめてあげるわ?」とか、
私なんか五秒持たない自信がありますよ?
こんな妄想↓でスレを汚しても構いませんね! 

134:無力化ベルさま
08/07/26 13:13:33 MQs4m3W8
世界結界の暴走で無力化したベルは、げすなウィザードたちに捕らえられてしまう。
「げひゃひゃひゃ、魔王ベール=ゼファーもこうなっちまったらただの女だなぁ?」
強大な力を誇っていた魔王も魔力を失っては無力な羊に過ぎない。
「ただの女とは失礼ね。とびっきりの美少女、と言って貰えないかしら」
力を失い、拘束され、敵に囲まれているというのにベルの顔には余裕がある。
「けっ、生意気な女だぜ」
いかにも主人公に絡んで瞬殺される町の暴漢といった風情のスキンヘッドの男が舌打ちをしながら、身動きの取れないベルのスカートを捲り上げ、青と白の縞々を顕にする。
「身動きの取れない女の子にこんなことをするなんて、ウィザードの質も随分落ちたものね」
「うるせぇ! 今の手前なんざ、人権もねえただの穴ぽっこなんだよ! おい、準備はできたか」
スキンヘッドが背後を振り返ると、痩せすぎた眼鏡の男が撮影機材の準備を終えたところだった。
「へへ、恥ずかしくて二度と人前に出てこれないような目に合わせてやるぜ」
スキンヘッドがそういいながら、縞々の股を覆う部分を乱暴に右手で掴み、持ち上げる。
正面に置かれた撮影機材にベルの幼い、まだ毛も生えていないツルツルの割れ目が写る。
スキンヘッドは、そのまま持ち上げた布地を左手にもったカッターのような刃物で切り取る。
「貴方、魔剣使いだったの。でも随分とお粗末な獲物ね」
「うるせえ! 俺様の獲物を馬鹿にするな!」
スキンヘッドは、ズボンからすでに起立した男の武器を取り出した。
「じっくりとねぶってやろうと思ってたが、もう止めだ! いきなり突っ込んでやるぜ!」
小さなベルの穴には、とても入りそうに無い肉の凶器。
だが、ベルは余裕を失わない。
「ふふ……あたしを相手にして、三十秒保ったらほめてあげるわ?」
「生意気言いやがって!」
愛撫もなく、荒々しくスキンヘッドがベルの小さな体を押し倒し、その蜜壷に凶器を差し込む。
「う、おおおおおおおおぉぉぉおぉおぉ」
急な挿入に顔をしかめるベル。その小さな体は、だがすんなりと男をくわえ込んでいた。
世界結界の力で封じられたとはいえ、これが魔王の力なのか、ベルの体は男の全ての精を吸い取ろうするかのように広がり、収縮し、蠢き、飲み込んだ。
スキンヘッドは、あっという間に全ての精という精を搾り取られ、至上の快楽の中、何もかもをもベルに捧げた。
仲間が抜け殻となって、地に倒れ伏しても周りの男たちは動かなかった、否、動けなかった。
白濁に染まった女の穴を見せ付けるようにしながら、ベルが微笑む。
「さあ、貴方たちもいらっしゃい。私が食べてあげるわ」
何かに操られるように、男たちが自らの凶器を取り出し、小さな雌に群がる。
小さな体で大勢の男の欲望をぶつけられるベル。しかし、一見捕食者である男たちはその実、被食者。
前の男の白濁汁をたらす穴に突っ込んだ男が、前の男のように全てを奪われた。
ベルの後ろの穴、前よりもさらにきつい場所を求めた男も同様に、ベルの小さな、そして妖艶な唇をわって口膣を味わった男も同様に。
拘束からとかれたベルの白魚のような手は、触手のように絡み付いて同時に二人の男を噴出させた。
ベルの小ぶりな胸に吸い付き、その小さな果実を味わったものも、太ももの張りを頬擦りして味わったものも、黒いニーソックスに自らの凶器をこすりつけたものも、等しく、イってイった。
永遠のようなわずか五分間、その場にいた20をこすウィザードたちは全てをベルの子宮に、体内に捧げていた。
「これだけプラーナを吸収すれば、しばらくは大丈夫ね。でも、私がこんな方法を取らなくちゃいけなくなるなんて……ルー=サイファー覚えてなさいよ。貴方の計画は私がつぶす」
そうしてベルは、向かう。あの忌まわしい計画をつぶしうる力を持った男の元へ、餌では無く敵と認めた男、柊蓮司の居る所へと。


135:合わせ貝のみこ
08/07/26 13:14:05 MQs4m3W8
「んっ、声が、壁、薄いのにっ」
狭い、部屋の中、暗闇で絡み合う艶かしい女体。
「なら、我慢すればいい」
そういいながら、灯の指が翠の最も敏感な場所をまさぐる。
「だっ、駄目、ですっ、あっ、んっ、んっ~~」
あの事件で500年前の伊那冠命神としての記憶を取り戻した翠。
その記憶は、歴史の闇に埋もれるはずだったある出来事をも含んでいた。
500年前、激しさをますエミュレイターへの対処法として、金色の巫女がもたらした秘儀。
世界結界を暴走させるための魔王ルー=サイファーの一手。
碧き月の神子と紅き月の巫女を魔術的に結びつけるための原始的で、根源に近いゆえに強力な儀式。
女同士の、二人の体の交わり。
そこで味わった快楽は、体だけでなく魂までにも刻み込まれ、よみがえった記憶は、永の年月を自分に仕えた従者であり恋人となった男のことも忘れさせ、翠を灯の元へと導いた。
そして、灯もそれに答えた。
以来、二人は自らの恋人に秘密の逢瀬を何度も重ね―今に至る。
「おかえしですっ!」
必死に手で口を押さえて喘ぐのを耐えていた翠が、今度は灯を攻撃しようと、胸に手を伸ばす。
「っ!」
むにゅっと膨らんだ乳房を鷲づかみにして、その大きさを確かめるように揉んでゆく。
「ふふー、攻めるのは得意でも、攻められるのは弱いんですかー?」
顔を名の通り赤らめながらも灯も翠の胸に手を伸ばす。
「そう、だから攻める」
二人の少女がお互いの指先でその年頃としては豊かな乳房をまさぐり、掌で包みあう。
「また、大きくなっている。時雨に揉まれているの?」
「違っ、んっ、でも食事を奢ってもらったり、ウィザードとしたの仕事で、ご飯食べられるようになったからっ!」
「そう、ならまだ大きくなるかも。楽しみ」
灯はそういいながら、翠のサクランボを口に含み、舌で転がして、歯で甘噛みする。
「ひゃっ、ん、灯さんこそ、恋人さんとどうなんですか?」
灯が翠の乳首から口を離すが、そこはヨダレでベトベトに汚れ、透明の液体が未練がましく灯と翠を繋いでいる。
「……バイトで忙しいって、言ってある。私たちは互いに快楽に溺れて恋人を裏切っている者同士」
灯の身を背徳が、欲情の炎となって焦がす。
「なら、とことん快楽を味わうべき」
仰向けに押し倒した翠のむっちりとした太ももを持ち上げると、灯はそこに抱きつくようにして体の位置をかえ、うつ伏せになって足を差込む。
二人の足の根元、女の最も敏感な場所が重なり合わさる。
そして二人は、汗とヨダレと愛液をベッドに撒き散らしながら激しく、その場所をこすり合わせる。
何度も何度も、尽き果てぬ快楽に身を任せて。


136:いやらしい柊
08/07/26 13:14:52 MQs4m3W8
「柊の腕にぶら下がるようにくっついていた女の子だけど……」
そういって後の言葉を濁し、何か言いたそうに灯を見つめるくれは。
「……毎晩」
「毎晩!?」
「柊自身の分身ともいえる。太くて大きくて硬くて長い獲物を翠の目の前で取り出して」
「なっ!」
くれはの頬が、羞恥と嫉妬で赤く染まる。
「あの大きな胸に差し込んで」
「っ!」
一瞬、自らのささやかな胸を見下ろして拳を握り締めるくれは。
「とびちる熱い液体」
ぎり、ぎり、と歯が軋む音。
「そしてイってしまう翠」
無言で立ち上がり、幽鬼のような形相で部屋から出て行くくれは。
「そんな夢を見ていたそう」
淡々と最早いない相手に言葉を紡ぐ灯。
「人に話を聞いて、途中で席を立つのは無礼」
居なくなったくれはを追おうと立ち上がった灯だが、探すまでも無く、戻ってくるくれは。
「あははは。ちょっと大切な用事が出来たんで出かけてくるけど、わたしはずっとここに居たって証言してくれるカナ、カナ?」
無言でうなずいた灯は、くれはが出て行った後、ぽつりと呟いた。
「でも、包丁を手にもって外に出るのは非常識」


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