08/08/13 16:34:40 BCt9DQ45
彼女はいつも任務が終わると芳佳や他の隊員達にデザートを振る舞った。
今日はお手製のブルーベリー入りのヨーグルトだ。
「うん。リーネちゃんおいしいよ。これ」
「ありがとう~」
テーブルを挟んで芳佳とリーネの二人は談笑に興じる。
「実家から大量に送ってきたんで、こういうのもいいかなって思って」
「いいアイデアだと思うよ。リーネちゃん」
芳佳と話していると、安息が得られる。
―かつて常に自信なさげに振る舞っていたかつての姿と違い、れっきとした五〇一航空船団の一員という誇りを身につけているように見えた。
坂本少佐やミーナ隊長は「芳佳をスカウトしたのは戦力的なプラスになったわね」と評価し、今までその才覚を存分に振る舞うことがあ出来ず今一歩の評価を甘受していたリーネに関しても、徐々に信頼を持つようになった。
そんな訳だから、リーネからすれば芳佳は恩人であり、良き友人で、それは芳佳にとっても同じである。
しかし、それだけではなく芳佳に対してはそれ以上の感覚を抱いているように思われる。
現に基地内では二人、ペアで居ることが多かった。
その部分に関しては感覚の鋭いが口の悪いペリーヌに
「まったく仲がおよろしいことですこと」
とメガネを光らせながら、云われたことがあったが、肝心の二人には皮肉だとは受け取られていないようであった。
「今日も大変だったね」
「そうだね。リーネちゃん。ネウロイも突然侵攻してきたしね」
私室に続く廊下を歩きながら二人、互いの労をねぎらう。
芳佳の部屋の隣が彼女の部屋である。
そのドアを開き、芳佳の方を向くと
「うん。芳佳ちゃん。おやすみなさい」
「おやすみ。また明日」
とおやすみの挨拶をした。
芳佳はリーネがドアを閉めるのを確認した後、真っ暗な自分の部屋に入っていく。
家族に手紙を書く余裕も何もなく、柔らかい音とともにベッドに倒れ込む。
今日はネウロイの襲来もあり、派手に魔力を使ったせいか、ベッドに身を横たえた瞬間、疲れがドッと出た。
本来ならば重装備である機関銃などは魔法の力でカバーして装備しているのだが、振り回した日などには軽く筋肉痛になる。
腕を簡単にストレッチしながら、ぽつんと呟いた。
「明日は敵が来ないといいな……それと……」
そこまで口に出すと、芳佳は何かを思い出したのか、独り言を止めた。
(エッチな夢を今日こそは見ませんように)
最近やけに淫夢になやまされているのだった。
どうにもシャーリーやリーネのおっぱいを揉む夢ばかりを見てしまう。
だから大抵朝の目覚めは最悪だ。
隣室のリーネが胸の谷間を見せながら起こしに来ることもそれは更に悪化させていた。
起こしに来てくれる好意はとても嬉しいが、この場合余り有り難くない。
(今日は見ませんように…見ませんように…ぐぅ)
芳佳の体は大きすぎるベットに体を沈めていくと、うとうとと眠くなっていった。
「よく眠ることがよい兵士の第一条件よ」と言ったミーナ隊長の姿を思い出す。
そのミーナ隊長の姿もやがて頭の中でぼやけはじめる。
意識が少しずつ沈んでいった。