08/07/02 02:57:18 2HAwA6gY
「私、今日は食事の用意の当番なんです。支度があるのでそろそろお暇します。それじゃ、また後で…」
「い、いやっ…あぁ…っ!」
言葉はベッドから離れて出口へと歩き出す。
言葉が部屋のドアを開けると、全裸で足を鎖に繋がれて横たわる衰弱した世界の姿が、外から入り込んだ明かりによって照らされた。
「誠くんと食事が終わったら、西園寺さんの分も持ってきてあげますから。それまで、ゆっくり…おやすみなさい…。フフッ……」
扉がパタンと閉められると、再び部屋を暗闇が包み、西園寺世界は一人取り残された。
静かになった部屋に、既に何度目になるか分からない世界の嗚咽が響き渡る。
気が幾ばくか晴れるまでそれが続いたあとは、同じく何度目になるか分からない呟きを口にした。
(私……なんでこんなことに…………)
『……次のニュースです。一月前から行方不明の榊野学園在籍の西園寺世界さんについて、警察では家出や誘拐の線で現在も捜査を続けていますが、進展はなく……』
終