08/08/10 17:36:39 +YOqXlQy
「七海・・・あんた、私の友達を侮辱する気?」
私はそう問いながら七海を睨みつけるが、
「何言ってんだ? 最初に私の友達を侮辱したのはそっちだろ」
七海もそう言ってこちらを睨み返してくる。
「ちょとあんた、本当にわからない奴だね。さっきから乙女が言ってるでしょ。
もともと友達を裏切って、さっきまで平気な顔でへらへら笑ってたのは
その西園寺って奴だっての」
「そうよ泥棒ネコはその西園寺じゃないの!」
夏美と来実が私と同じように七海を睨みつけ、私の加勢をするように言う。
すると今度は黒田が七海の加勢をする。
「あんたら、まだそんないい加減な事言ってるの?!
世界も泥棒ネコなんて言われて黙ってる事ないでしょ?
少しは何か言ってやりなさいよ!」
その黒田の言葉に煽られるように西園寺は、
「泥棒ネコなんて・・・私・・そんな事・・・」
僅かにそれだけをぼそぼそと口にするが、また俯いて黙りこんでしまう。
「ほら、世界だって違うってはっきり言ってるよ」
いや、はっきり言ってないし・・。
まあそれは口にしないでおいたが・・。
ともあれ、もはや西園寺を責めようとする私と夏美、来実の3人と、
あくまでこちらの言うことを聞こうとせずに西園寺を庇う七海と黒田は
一触即発の対立ムードだった。
ただ、同じように西園寺の味方と思われる清浦だけは、ずっと争いに加わらずに
黙って俯いている西園寺と伊藤を何処か観察するように見つめている。
西園寺と伊藤は何かを口にすることを恐れているかのようにじっと俯いたままだった。
そして桂は、きっとこんな争いになることを望んではいなかったのだろうが、
それでも止めることも出来ずに、ただ不安そうに私たちを見ていた。