08/08/05 05:18:21 c2cFXDUj
だが、私が何を言っても聞く耳を持たない七海に、桂の言葉が通じるわけはなかった。
「離しなよ、桂!」
そう言って組み付いている桂を軽く振り払う七海。
「きゃっ」
桂は、あっけなく突き飛ばされてしりもちをつく。
でも・、七海には通じなかった桂の言葉だけど、
その言葉は、ついさっき私によぎったばかりの自虐的な迷いを払拭させた。
だから私は息苦しさをこらえながら桂に向かって微笑みながら言う。
「違うよ、桂・・・」
「え?」
「桂が悪いことなんて何もないでしょ?
だから、自分が悪いとか簡単に言っちゃ駄目だよ」
「加藤さん・・」
「それに桂、私は桂のためのこんなことになってるんじゃないよ」
「え?」
「私は・・私たちは・・、
私たちが知りたい本当の事を明らかにするためにここにいるんじゃなかった?」
「あ・・」
そして桂は立ち上がりながら、私の言葉に
「はい」
力強くうなずいた。
私はその桂の様子に満足する。
そうだ。桂のためじゃない。
私は私自身の、真実を知りたいという思い故にここにいるんだ。
その結果が今の状況だっていうんなら、意地でも後悔なんかしないんだから!
・・とは言えこれから一体どうしよう。
こちらの話は聞く耳もたれない上に、
この七海の腕もとても振り解けそうにないしなあ。
と、私が途方に暮れかけていたその時・・
「ちょっとあんた、その手を離しなさいよ!」
「そーだ、乙女ちゃんにひどいことすんな!」
え? この声は・・?
そして近くの物陰から三つの人影が姿を見せた。