卓上ゲームエロパロ総合スレ22at EROPARO
卓上ゲームエロパロ総合スレ22 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:05:16 PuIcjPb+
おまえwww

GJです。ちくしょうやられたw

101:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:17:25 qRXYQj9r
急転直下で和みモードに突入したw
面白い設定だと思う

102:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:34:38 EMm29dUn
これは予想外wwwwwwwwwwwGJwwwwwwwwwwww
だがひとつだけ主張する。
>>99!!俺にも殴らせろ!!!

103:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:51:28 jI4iPs4j
アゼル様がお母さんで、ルー様が娘とな!?
なにその俺の理想!GJ!!

だが、ルイズ。てめーはダメだ!
俺も>>99に混ざらせて貰うぜ!

104:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:53:09 jI4iPs4j
アゼル様がお母さんで、ルー様が娘とな!?
なにその俺の理想!GJ!!

だが、ルイズ。てめーはダメだ!
>>99!俺も混ぜろよ!

105:名無しさん@ピンキー
08/06/26 05:11:37 QVe++y5+
後半の一転した団欒に思わず和んだ
だがルイズ、てめーだけはダメだ
俺も>>99についていくぜ!

106:名無しさん@ピンキー
08/06/26 07:29:38 MSuoDLbh
……俺がルイズだ!

107:名無しさん@ピンキー
08/06/26 08:20:06 TmXcSXM9
なんという一家団欒、GJです。


だがルイズ、てめえだけは許さねえ!
>>99、これを持っていけ!
つ天使核爆弾

108:名無しさん@ピンキー
08/06/26 08:51:38 RluyLtyK
オチで目が点になったw
何この和み光景w

「いってきまーす」してるルー様(10歳)をみてたら
「裏界には写し身を倒され弱体化し、幼女化した魔王達が
安全にプラーナを回復できる施設、魔王保育所が存在する」
という電波が来た。

あとついでに、
「ルイズ! その身体、アモーレ!!」と言っておく。

109:名無しさん@ピンキー
08/06/26 09:20:35 t/ziXxIN
まあ、色々と言いたいことはあるにしても
節制の宝玉関連でひたすらキャラを幼児化させまくった俺が言うことではないな。

ロリベルとかロリアンゼとか。

110:名無しさん@ピンキー
08/06/26 09:34:31 ehj9t0k+
        ,. -‐───--- --、
       ,. '´::::::r-'´ ̄ ̄ ̄` ー- 、:::::::::::::\
.    /::::::::::::::::`7    /`_ー--、  ̄ `ー‐'\
    /:::::::::::::::::::::::/         `ヽ.::::\ , iヽ r=ミ、
.   /::::::::::::::::::::::::.′       _,. -‐ミ、 }ノノ} ノ/'⌒ヽ. >ルイズ
  /::::::::r─-、::::.′    <⌒`ー一' }一'‐'、イo`ヽ }
. !::::::::::i__>‐、   _,.--、  ` ̄ ̄`ヽ.   \ー' ( 
. !::::/´/  ./ ̄    .',ヾ    `ヽ`    .冫  ヽ
. レ´             ',.:.ヾ.     \. '/    .',
. /                  ∨ `ヽ.    ヽ.   -‐、 i
/            ノ}   ヽ.:.:.:.:.:}    }-‐‐ァノ  i
           ,.-‐ヘ    ',.:.:.:.:j    i⌒/´___ .!
            f´  .i、...:\   i.:.:./     ノ ̄ ̄_)/
            |   / ̄ ̄  ノ.:/   /   '´/ /
            ト、___,.-‐'´`ヽ   /    /  .′
          ヽ、         ノ、        /
                ,.-'´.:.:.:\_____.ノ
                /      _,. -‐'´


111:名無しさん@ピンキー
08/06/26 10:32:42 omTXt5f8
>108
何故か、大冒険大陸とかゆー単語が脳裏をよぎったんですよデスフォート様

112:名無しさん@ピンキー
08/06/26 11:29:54 ZvI+MfZV
よし、ルイズ。
>>99とその取り巻きが繰り出す攻撃を無抵抗で受けろ。
何度でも、だ。

113:名無しさん@ピンキー
08/06/26 11:30:56 qRXYQj9r
>>109
なにぃ、その素敵なユートピアはどこだ~!?
保管庫見ても分からんorz

114:名無しさん@ピンキー
08/06/26 11:54:09 ehj9t0k+
>>111
誰のせいだと思ってるんだ!(邪神ビーム!!)

115:名無しさん@ピンキー
08/06/26 11:58:30 t/ziXxIN
>113
ああ、すまん。実際のセッションで、だ。

116:名無しさん@ピンキー
08/06/26 12:00:04 8Li7WL1c
つまり、“神殺しの保父”柊が大活躍するわけですね。

117:名無しさん@ピンキー
08/06/26 13:16:28 qRXYQj9r
なんだってー

118:名無しさん@ピンキー
08/06/26 14:33:22 zrAVhXQp
ところで……
ルーはどこに遊びに行ったんだ。

119:名無しさん@ピンキー
08/06/26 17:48:54 U1siE9XI
そりゃベルさまのところですよ。
普段は犬猿の仲なのに、ロリルー相手だとなぜか強く出れないベルさまモエス

120:名無しさん@ピンキー
08/06/26 18:26:07 jI4iPs4j
いやいや。自分を刺し貫いた柊のとこへ、敵情視察に行ってるかもしれん。

121:名無しさん@ピンキー
08/06/26 19:11:55 yoQd9hrp
こんな感じかね
URLリンク(www9.atwiki.jp)

122:名無しさん@ピンキー
08/06/26 19:57:31 OyKhX0kY
ところで話変わって希望コンの話だが、雷火の大人化のネタで霞みがちだが、
りゅういっちゃんがるんちゃんの群れに弄ばれるのは、神凪4コマを考えても性的な意味でしかあり得ないんだぜ!

123:名無しさん@ピンキー
08/06/26 20:01:08 8Li7WL1c
>>122
どう見ても後ろの純潔をるんスタッフで失ってると思う俺はアッー!

前からは絞りつくされ、後ろには異物を入れられ、
全身を舐め舐めされて、それでも正気を保っていられた
彼の精神力は特筆に値すると思われる。

どう見ても妄想が間違っています。
本当にありがとうございました。

124:名無しさん@ピンキー
08/06/26 23:57:57 SZsSOLap
ルイズの人気に嫉妬



しつつ、読んでくださった皆さん、暖かいご声援くださった皆さんに感謝。

125:名無しさん@ピンキー
08/06/27 02:25:10 NLUZNSFs
>>123
いつかのスレで見た井上純弌ハードを思い出した。

126:名無しさん@ピンキー
08/06/29 00:35:32 0g+DKKck
NWアンソロ読了。
「エリス、赤羽神社で世話になってる!?マンションでリッチに暮らしてると思ったのに!?くそ、SSで散々書いてしまった!?
うぬう、しかしアニメ公式シリーズ構成作家の書くことには逆らえん!?しょ、しょーがないな、もう!!」
(本音:「エリスの巫女服!?いいな、それ!?よし、私も以後それに準拠!」)

127:名無しさん@ピンキー
08/06/29 00:40:04 TOhRZxUv
つまりエリスとくれはでの3Pというわけですね。わかります

128:名無しさん@ピンキー
08/06/29 01:03:53 QL+bMzaQ
>>127
あかりんマジ鬼畜だな!

129:名無しさん@ピンキー
08/06/29 02:09:05 4VyuD12Y
>128
待て待て。
そっち方面に知識と実践の足りないあかりんにくれはとエリスが手取り足取りでレクチャーをというパターンもあ(射殺斬首コンクリ封印の上海底投棄)

130:名無しさん@ピンキー
08/06/29 02:23:06 Q+cLde0q
燃料といえば空砦柊の魔器が魔剣さんからポッと出のウィッチブレードになって寂しい俺参上

……ずっと一緒にいるもんだと思ってたんだけどなー
ウィッチブレードには魔器の知恵詰まれてるからしゃべろうと思えばしゃべれるし
くそぅ、あのウィッチブレードは魔剣さんの忘れ形見とかそんな設定出てこないかな
もしくは魔剣さんの新しい姿とかそんな設定でも可

あと新しい装備にロンギヌスのらしきエンブレムが。みかき補正と考えるべきか、アンゼの仏心と考えるべきか、それとも束縛と考えるべきか

131:名無しさん@ピンキー
08/06/29 02:36:53 IeUbl07C
>新しい装備にロンギヌスのらしきエンブレム
噂のロンギヌス装備か?
高い修正値を持つがアンゼに絶対服従する呪いが掛けられてると言う……

132:名無しさん@ピンキー
08/06/29 02:42:05 q6usneul
データ的にはスターイーグル。
多分、支給品なんじゃね? 危険な任務だし

133:名無しさん@ピンキー
08/06/29 04:09:28 3/8AzmKN
つまり、アンゼロットによる所有物宣言ですか
「柊さんは私のモノ」という

134:名無しさん@ピンキー
08/06/29 04:56:45 K0JJBVoH
NWのアンソロ、P96のエリスの台詞を二行目から読んでくれ。
一見なんでもないセリフの筈が、すごい事になる。

135:名無しさん@ピンキー
08/06/29 07:54:12 QL+bMzaQ
>>134
お前は天才だな、いい意味でも悪い意味でもw

136:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:52:25 DfPSIp7h
 腐れ縁 ---- という言葉があります。
 もしも、わたくしたち二人の関係を一言で言い表す言葉があるとしたら、一番近いの
がそれなのではないでしょうか。
 なにかの折にふと顔が浮かぶ。人手が欲しいときについその名前を思い出してしま
う。暇を持て余したとき、ついついかまってしまいたくなる。そして、そのことがなぜか
楽しくて仕方がない。
 楽しい、という感情を抱いてしまう間柄が、腐れ縁と呼べるものかどうかはともかく、
それ以外の言葉で表現しようとすると、なんとなくしっくりこなくて。少なくとも、相手の
方は、そんな言い方で二人の関係を表現しようとはしないでしょうね。
 いや、ひょっとしたらもっとひどい物言いを、自分の見えないところではしているかも
しれません。
 でも、お生憎様。情報網の広さと地獄耳には、ちょっと自信があるんです。
 わたくしの悪口をどんな小声でいったとしても、絶対に聞きつけてお仕置きを・・・い
えいえ、コホン。
 わたくしの悪口を言うような方のところには、きっと神様がばちをお与えになるに違
いありません・・・・・・たとえば、頭の上に空から金だらいが降ってくるとか・・・。
 まあ、わたくしにとってはそれなりに優秀な人材と言えますし、そこそこの実績も経験
もある方なのは存じ上げていますから、有事の際には優先的にスケジュールを空けて
いただくことが多くなるのも事実です。
 わたくしがそのことでいつも胸を痛めていることなど露知らず、わたくしの出動要請
にいつでも駄々をこねるというのは、どうなんでしょうね?
 ああ、わたくしがこんなにも全幅の信頼を置いているというのに !
 わたくしがこんなにも世界の危機を憂いているというのに !
 今日も今日とてわたくしは、毎度毎度の度重なるコンタクトに心苦しい思いを抱きな
がら、彼の元へと訪れるのです。でも、それはこの世界を守護する者としての重責。
 仏の心を鬼にしてでも、行動しなければならないのです !
 さあて、あの方はいま、どこでなにをしているんでしょう?
「巨大捕獲用クレーン、ワイヤーつき超☆強力吸盤に、ヘリコプター。拡声器の用意も
出来ていますね?結構。あとはエミュレイターによる世界の危機さえ迫っていれば、
言うことなしなのですが」
「・・・恐れながら、目的を履き違えていらっしゃるのでは・・・」
 わたくしに余計なツッコミを入れる無粋な台詞が背後から聞こえます。
「お黙りなさい。コイズミ」
「はっ。出すぎたことを申しました」
 わたくしの忠実なる臣下の一人に、きちんと分をわきまえさせておいて、あることに
気がつきます。別に、世界の危機などなくとも彼と会うことにはなにも問題などありは
しないのではないか、と。わたくしとしたことが、彼と会うときはどうしてもそういう状況
であることが多いので、「普通の顔をして普通に会いに行く」ということが、いまひとつ
ピンと来なかったのでしょう。
 そうですわね。
 別段大した用事がなくても、ふらりとなんとなく出かけていって、顔を見に行くことだっ
て、わたくしたちの間柄なら「それもあり」なのではないでしょうか。
「コイズミ。外出の準備を」
「は。その・・・・・・やはりヘリで?」
 いまさらなにを聞くのでしょう !
「当然です。わざわざ用意したのですから使わない手はありません」
 意気揚々と、わたくしは外出の準備をします。彼の元へとおもむく前の、どことなく浮
かれた気分はいつものことですが、それも世界の守護者という立場のものとしては、
やはり自嘲するべきでしょうか?いえいえ、世界の守護者としての息をつく暇もない
激務の合間を縫っての、ひそかな娯楽ですもの。少々、浮かれ気分になってしまった
としても、どうか責めないでくださいましね?

 世界を守護するもの ---- そう、それがわたくし、アンゼロット。
 毎度のように行楽気分で訪れたファー・ジ・アースの地で、あのような大惨事・・・・・・
いえ、大珍事に巻き込まれてしまうとは、さすがのわたくしも、このときは気づかなかっ
たのですわ -------- 。


137:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:53:01 DfPSIp7h
※※※
「---- 柊レーダーに反応あり。対象の現在地は秋葉原・赤羽神社」
 仮面の男が至極真面目な態度で報告するのを、満足げに頷いて聞きながら、銀髪
の少女が湯気の立つティーカップを口元に運んだ。立ち昇る香気を楽しみながら、一
口紅茶をすする。小さな唇が一瞬、感嘆のために開かれると、
「このお茶は誰が用意しましたか?」
 弾んだ声でそう言った。
「恥ずかしながら、不詳この私が」
 仮面の男とは別にもう一人、ヘリの操縦桿を握っているのは年若い少女で、銀髪の
少女 ---- アンゼロットの問いに、妙にしゃちほこばった口調で返答する。 
 身につけたものはまだ真新しいロンギヌスの女性隊員用制服。肩肘張った感じが抜
けきれていないのは、少女がごく最近ロンギヌスに入隊したばかりであることを物語っ
ている。
「このお茶の味と貴女の顔、覚えておきましょう」
 と、アンゼロットが微笑みながら言うのに、
「こ、光栄です ! 」
 感極まって上ずった声で言いながら ---- 操縦桿を握ってさえいなかったら、おそら
く直立不動の姿勢を取って最敬礼をしていたであろう ---- 、新米ロンギヌスの少女
が頬を高潮させる。
 ロンギヌス隊員は、このように世界の守護者アンゼロットに対し、最高の敬意と絶対
の忠誠を払う精鋭たちで構成されたエリート部隊なのである。数多の隊員たちの中か
ら、こうして彼女の外出の供に選ばれることさえ光栄なのに、紅茶を淹れる手前を褒
められた上に顔まで覚えられる、ということがどれほどの栄誉であることか。
 敬愛する女主人への生涯の忠節を、少女は改めて誓ったに違いない。
 もっとも、長く接すれば接するほど、アンゼロットの「親しみやすさ」 ---- 言い換える
ならば「俗っぽさ」 ---- に触れることになるであろう彼女が、アンゼロットへの忠節を
保ち続けていられるのかどうかは、また別の話ではあるのだが。
「赤羽神社上空、到着まで六十秒です」
 あくまでも冷静な報告の声が、レーダーを注視していたもう一方のロンギヌス隊員か
ら、アンゼロットに向けられた。
「監視カメラからの動画像を」
 きらきらと瞳を光らせて、アンゼロットが指示を出す。その目にはいかにも楽しげな、
遊び相手に出会えた子供のような無邪気な輝きが宿っていた。
「は。かしこまりました」
 背後で承ったのは、ロンギヌス・コイズミ。アンゼロットの側近中の側近である。
 手元のリモコンを操作すると、

「ANZELOT TV」 ------ 。

 ヘリ内部のなにもない虚空に、テレビ画面大の映像が映し出される。
 左右に灯篭を配した石段、数え切れないほどぶら下がった絵馬、真っ赤な鳥居と、
次々に映し出される赤羽神社の映像。カメラが次第に境内へと迫っていくようなライヴ
感満載の画像である。石段を登りきったところで、境内の全景が見渡せるアングルに
切り替わる。


138:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:53:28 DfPSIp7h
「いましたわっ」
 アンゼロットが小さな歓声を上げた。
 境内のど真ん中。カメラに向けて背を向けてはいるが、その大きな背中は紛れもなく
目的の相手 ---- 柊蓮司に間違いなかった。
「・・・・・・ ? なにをしていらっしゃるのかしら ? 」
 ふと、アンゼロットが不審げにつぶやく。
 後ろ向きの姿の柊は、境内の土の地面にしゃがみこんでいた。
 首をひねり、頭をがくんと下げ、また顔を上げる仕草をしては、視線を低く落とす。
 両手をわさわさと動かしたり、頭をかきむしったり、なんとも忙しい様子である。
「音声も拾ってください」
 好奇心に駆られてそう命じたアンゼロットの耳に、あの、いつもの柊蓮司の声が届く。
 
《・・・・・・で、結局お前はなんなんだ ? 》
《そのカッコ見りゃだいたい想像はつくけどよ》
《今度はなに企んでんだ、お前》

「・・・・・・・・・ ? 」
 よくわからないが、柊蓮司は誰かと話をしているようだった。
 しかし境内には柊の背中しか人影は見えず、どうも携帯で話しているのでもないよう
である。あの、しゃがみこんだ背中の向こう側に、確かに“誰か”がいるはずだった。
「カメラ、回り込みなさい」
 その命令に忠実に、カメラがぐるりと柊の背後から前方へ向けて右回りに移動した。
 カメラが柊の横顔を映す。心底困ったような、苦りきった顔である。視線は下方へ、
うつむき加減。その視線の先に、話し相手はいるようであった。

「しつれーなこといわないれ。わたしはなにもたくらんれなんかいないやよ」

 呂律の回らぬ口調。年端も行かぬ子供が一生懸命大人びて喋ろうとしているかの
ような話し方。アンゼロットの背中に、ぞわぞわと悪寒が走る。この違和感の正体に
彼女が気づくのは、実にその十秒後のことであった。
「大体、ついてくるって言われても俺も困るんだが・・・・・・」
 頭をぽりぽりとかきながら、視線の下の誰かをなだめるような柊の物言い。

「ひいらぎれんじ、わたしのゆーことききなしゃい ! 」

 肩口まである銀色の髪はウェーブのかかったくせっ毛で。
 両手を腰に添えて居丈高にふんぞり返った、年の頃で言うなら五、六歳の幼女。
 身につけたものは、そのサイズに見合うように特注で作られたのであろうか、ずいぶ
んと小さな輝明学園の制服(幼児用)。
「・・・・・・なん・・・・・・ !? 」
 アンゼロットが、回転を止めてフォーカスを合わせたカメラからの映像に絶句した。
 後にロンギヌス・コイズミが語る。
 あれほど驚愕にわななくアンゼロットさまを拝見したのは、宝玉戦争の折、宮殿内に
て二人の大魔王に一連の事件の真相を知らされたとき以来であった・・・と。
「な、な、な、な、な、なんですのあれは !? 」
 震える指で画面を指差し、口元をぴくぴくと引きつらせながら。
 画面の中には、柊蓮司がしゃがんだのとほぼ同じ身の丈しかない小さな女の子。
 それはどこから誰がどう見ても、五歳児の姿へと変貌を遂げた、大魔王ベール=ゼ
ファーにしか見えなかったのであった -------- 。


139:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:53:56 DfPSIp7h
※※※
「ガッデム ! どういうことか説明してください、柊さん ! 」
 背後からいきなり罵声を浴びせられた柊蓮司が前につんのめる。
 危うく態勢を崩しかけるのをなんとか立て直し、唐突なそして理不尽な発言者を振り
返ると、嘆息混じりに天を仰いだ。
「またうるせーのが出たな・・・」
「まあっ !? なんて言い草ですの !? 」
 売り言葉に買い言葉で怒鳴り散らすのは、無論アンゼロットである。
 本来ならば、柊蓮司専用捕獲用クレーンで吊り上げてやるところを、驚愕の映像を
見せられたことで頭に血が昇り、こうして転移魔法を使い神社の境内に降り立ったの
であった。背後にはロンギヌス・コイズミが控え、柊と目が合って目礼を交わす。
「なんだよ、その様子じゃお前も知ってて出てきたわけじゃねえんだな」
 それはそれでどうしたもんかな、とこぼしながら立ち上がる柊。
「当たり前ですっ ! そもそもどうして・・・・・・」
 つかつか ---- いや、神社の境内なので足音は土を蹴ってざりざりと、柊に歩み寄
るアンゼロットが、はたと足を止める。
 その瞳は吸い寄せられるように柊の足元へと。
 小さな大魔王と目が合ったのである。
 柊蓮司の背後に身を隠し、彼のズボンをぎゅうっと小さな手で握り締めながら。
 顔を半分だけ覗かせて、ずんずんと近づいてくる大きな自分をじぃーっ、と見つめて
いるのである。珍しく、アンゼロットが「ひるんだ」。さすがの彼女も幼児相手では勝手
がわからないのであろう。しかも、この小さな魔王は、わたくしに対して反感のような
ものを抱いている ---- そんな気がしたのであった。
 しばし見つめあうアンゼロットとベール=ゼファー。
 両者の間の微妙な均衡は、プチ大魔王によって破られる。
「・・・んべーーーーーっ ! 」
「・・・・・・ま、まあっ、なんてお行儀の悪い・・・ !! 」
「ですわっ」
「いまさら遅いですわっ ! 」
 なんと、喧嘩が始まってしまったのである。
 眉を吊り上げて思わず手を伸ばすアンゼロット。さすがに後で大人気なかったと猛省
したが、このときの彼女はなぜか、いたく冷静さを欠いていた。我に返ったのは、
「こらっ ! やめねーか、アンゼロットっ ! 」
 よりにもよって、柊蓮司などにたしなめられたからである。ハッ、と普段の自分に立ち
返ったアンゼロットが呆気に取られる目の前で、
「ったく、いきなり喧嘩なんてすんなよ。まして、こんなちいせえ子に」
 こともあろうに、身をかがめた柊が、その大きな両手をベール=ゼファーに差し出した
のである。とてちて、と危なっかしい足取りでなんの警戒もなく、ベル(推定五歳)がその
腕の中へ飛び込み、柊は軽々とその小さい身体を抱き上げた。
 ぎゅううっ。
 抱え上げられた自らの身体を思いっきり柊に預け、しっかりと彼の首に両腕を回すと
ベルは力いっぱい柊に抱きついた。
「ひいらぎれんじ、ちゃんとだっこしなしゃい」
「ちっさくても態度はでけーなぁ・・・はいはい、これでいいのか ? 」
 逆らうことなく、ベルのことを抱っこしてやる柊に、アンゼロットのこめかみが青筋を
立てる。


140:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:54:23 DfPSIp7h
「ちょっと柊さん !? なにをしてるんですの !? よ、よりにもよってだ、大魔王を、だ、だっ
こしてあげちゃうなんて、ハレンチにもほどがありますわっ !? 」
「人聞き悪いこと言うな !? ハレンチとはなんだハレンチとはっ !? 」
 柊が声を荒げたところで、のんびり境内へ現れ、二人に声をかけたのはお馴染みの
二人である。
「はわ~、ひーらぎお待たせー。ちょっと準備に手間取ったよ~」
「すいません、柊先輩。まだ着付けに慣れてなくて、お時間とらせちゃいました」
 最初の声の主は赤羽くれは。苗字が示すとおり、ここ赤羽神社の跡取り娘で巫女。
 彼女自身、力あるウィザードであり、柊蓮司の幼馴染みでもある。
 二人目は志宝エリス。かつての宝玉戦争における最重要人物であり、いまは戦いを
経てそのウィザードとしての力こそ失ったものの、こうしていまでも柊たちの大切な仲
間である。激動の一ヶ月間を戦いの内に暮らした彼女は、当時住んでいた秋葉原の
一等地にある高級マンションを引き払い、こうして赤羽家でお世話になっているので
あった。
「あ、アンゼロットもいる~。珍しいね~」
「こんにちは、アンゼロットさん」
 仏頂面をして突っ立っているアンゼロットに気づいて、二人が挨拶をした。あえて、
彼女の不機嫌そうな顔の理由は問わない。
 ひーらぎがどうせ余計な失言をかましたんだろうなー、とくれはは思っているし、エリ
スにいたってはアンゼロットが機嫌が悪いことにすら気づいていないふしがある。
 一方、柊蓮司は空気も読まず ---- 。
「おっ、ようやくエリスの巫女服姿拝めたぜ。うん。可愛いな」
 にこりと笑ってエリスに声をかけた。そう。エリスは赤羽神社で暮らすかたわら、神社
の境内の掃除や雑務を買って出ているのだ。
「せ、先輩・・・・・・あ、ありがとうございます・・・ ! 」
 褒められて、エリスが耳まで真っ赤になる。実のところ、
「やっぱ巫女服でしょ、巫女服ー」
 と、嬉々としてエリスに神社の娘としての正装をしつらえたのは、他の誰でもないくれ
はなのだった。もともと後輩の面倒見は大変良かったくれはでもあるし、一緒に暮らす
ようになった可愛い後輩に、いろいろキュートな格好をさせたいとうずうずしていた彼女
は、これ幸いとばかりにエリスに巫女服を着せてやっている。
 エリス自身も、そこはそれ、年頃の女の子であるわけで。
 普段は着られないような可愛らしい和装ができることが楽しいらしく、神社での用事
のときにはなるべく、この服装でいられるようにしている。
「うん。やっぱりエリスみたいなおしとやかな娘のほうが、そういうの似合うぜ。どうも、
巫女服っていうとなぜか俺にはがさつなイメージが・・・」
「ひーらぎ、なんか言ったっ !? ・・・・・・・って、ひーらぎ。なに、その女の子・・・ ? 」
 あわや、小コントが始まりそうになったところを、くれはが止める。もとより、柊の抱き
かかえたベル似の少女に気づかないはずもなく。後ろから、ひょいっと柊の腕の中を
覗き込んだエリスなど、
「きゃ~っ !? 可愛い~ ! 柊先輩どうしたんですかこの子~ ?」
 可愛いものを目の当たりにした女の子特有の反応を過剰に示しつつ、瞳をウルウル
させている。


141:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:54:47 DfPSIp7h
「どうしたもこうしたもありませんわっ。よく御覧なさいっ、どう見ても大魔王ベール=ゼ
ファーじゃありませんかっ」
 アンゼロットが指摘するのに、
「はわわっ」
「えええっ」
 と、柊の腕の中の少女をまじまじと見やる二人である。
「改めて見直さなくても、紛うことなき大魔王ですわっ。柊さんっ、事の顛末を説明して
いただかなくては、納得いきませんっ。事と次第によっては・・・って、なにしてらっしゃ
るんです、エリスさん、くれはさんっ !? 」
 柳眉を逆立てアンゼロットが二人を叱り付けた。
 世界の守護者たるアンゼロットは、この異常事態もエミュレイターの仕業 ---- 有体 
に言えば、大魔王ベール=ゼファーの新たなる陰謀であることを視野に置いて行動し
なければならないのである。それなのに柊ばかりか、頼みの常識人二人ですらが、
「はわわ~、ほっぺぷにぷに~、あはははは~」
「あ、ほら、くれはさん ! 私の人差し指握り返しましたよ ! もう~、可愛い~」
 などと、きゃいきゃい言いながら戯れているのである。アンゼロットが、ついつい厳し
い声で叱責を飛ばしたのもやむなしといったところであろう。
「はわわわっ !? お、怒られちった・・・・」
「・・・ご、ごめんなさい・・・」
 悄然とうなだれるくれはとエリス。
 柊の腕に抱かれた小さなベルはと見れば ---- 眼下のアンゼロットを威嚇するよう
に睨みつけながら、ますます柊にきつく固くしがみついており。
 その態度が、ますますアンゼロットの癇に障る。五歳児と同じレベルで、互いの視線
を火花を散らしながら交し合い、「うう~~~~」とキャンキャン吠える寸前の子犬のよ
うに、うなり声をあげている。
「子供なんだかオバハンなんだかわかんねーな・・・」
 ぼそりと失礼なことをつぶやいた柊の言葉にも気づかぬように、剣呑なにらみ合いが
続く。
「・・・とりあえず、くれはやエリスにも聞いといてもらわねーといけねえ、とは思ってたか
らな。一から説明するから聞いてくれ。うーん・・・どこから話したもんか・・・」
 少し長くなるかも、という前置きつきで柊が語りだす。

 これこそが、宝玉戦争時に続く、『第二次ベル・アンゼ戦』と ---- 呼ばれることにな
るかどうかはさておいて、二人の強大で偉大なる力をもつ少女たちの、二度目の直接
対決として後に語られる(かもしれない)、戦いの幕開けなのであった ---- 。

(続)


142:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/06/29 18:55:08 DfPSIp7h
「まったく、この世界(スレ)は・・・」とキリヒト風に言ってみる。
ちょっと前の保父・柊ネタとアンソロ本に触発されて、見切り発車で書き始めてみたり。
ああ、そうさ、思い付きさ !! だってDVD最終巻とアンソロ発売されて、NW熱が全然冷め
ないし(笑)。 あと、あまり日の目を見せて上げられなかったアンゼ様が書きたくて。
大丈夫か ? ちゃんと着地できるか、私・・・(笑)
 ともあれスタート、でございます。またしばしのお付き合いを・・・。


143:名無しさん@ピンキー
08/06/29 19:52:20 QL+bMzaQ
一番乗りか? ぐっじょぶ。
その方向性、応援する! 着地など考えるな! ただただ高く飛べ!



そうすれば下がる勢いも一層と(ry

144:名無しさん@ピンキー
08/06/29 21:36:21 TLBEMSQ/
>>143
それは自由落下と言わないかw

145:名無しさん@ピンキー
08/06/29 21:49:11 nkZOZgew
>>134
普通に読んでて、そう読んでしまったんだぜ。
慌てて前の行を読み直して『お菓』を確認したぜw

>>142
ポンコツ魔王グッジョブ!
アンソロ読むとリオンがなにかしたように思えるな>幼女化

146:名無しさん@ピンキー
08/06/29 22:28:07 cT2IHsiw
アンソロのリオン先生の所業を見たあとだと

ぽんこつ幼女をお世話する保父柊
→育児に疲れたところでリオンお母さんがぽんこつを迎えに
→柊、リオンお母さんの大人の魅力にちょっとドキッ
とゆー策略にみえる気が。

147:名無しさん@ピンキー
08/06/29 22:52:21 wKfQ2+0A
ロリベル×ロリオンで妄想を膨らましつつあったのだが、これはアンソロ必読か!?
必読なんだな!?

148:名無しさん@ピンキー
08/06/29 23:28:48 nkZOZgew
さてさて、続け様ですがゴンザ×ノエルの続きを投下させていただきます。
迷走を続ける馬鹿勝負もいよいよ最後の“ポージング勝負”です。

149:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:30:16 nkZOZgew
“ポージング勝負”

「ふっふっふっ、なかなかの気合いですな。そうでなくてはこちらも張り合いがない。
 あなたを徹底的に陵辱し、淫乱痴女として生涯恥を晒し続ける人生をおくっていただきましょう!」
ふぬーっ、ふぬーっ!
ノエルは性的な意味だけでなく勝負に興奮して鼻息が荒くなっていた。
体も、心も、中の人まで汚された。もう何も恐くない。
ポージング勝負、言われなくともエッチなポーズをとらされることはわかる。
今更恥ずかしがってもしょうがない。
(勝つためになんでもやってみせますっ! 考え付く限りのエッチなポーズをとって絶対に勝ってみせますっ!)
これから行なう自分の行為を想像して、ノエルはまたも昂ぶった。
踊り子の衣装の下で乳首が硬くなり、短いスカートの中の股間がジュンと濡れるのを感じる。
(ふふふっ、今の私のエッチさなら勝機はあるはずですっ)
ノエルはまたも間違った方向に自信をたぎらせていた。

「では、特別審査員をご紹介しようっ!」
ゴンザレスが宣言すると舞台中央にスポットライトがあたる。
床に穴が開き、そこから一人の男がせりあがってきた。どうみても変態さんだった。
上半身は裸の上に原色が多く使われた奇抜な上着を着ている。
下半身は黒のビキニパンツだけでもっこりと盛り上がりを晒している。
なにより異様なのは顔に女性物のパンティを被っていることだ。
しかもあのパンティは、先ほど脱ぎ捨てたノエルのものだ。
その変態仮面の下の顔は……なにやら見覚えのあるダリ髯がみえる。全体の輪郭もそっくりだ。
「……ピエール先生?」
「ノン! 今の私は流浪の変態紳士マスク・ド・ピエール! 天才画家ピエールではない!」
臆面もなく自分を天才と言ってのける、やっぱりピエール先生だ。
「えーと、ピエール先生ですよねっ!? なんでそんな格好してるんですか?」
「ふむ、よい質問です。これはピエールの裏の顔なのです。」
「裏?」
「天才画家ピエールは至高にして究極。真の芸術家は低俗なものは描かぬという信念を持っています。
 しかし、ピエールといえども肉体を持った人間。肉欲という宿業からは逃れることは出来ないのです。
 そこで、純粋に芸術を極めるため芸術以外の時間に発散することにより、その宿業に打ち勝っているのです。」
「な、なるほど~」
「さらに、マスク・ド・ピエールは裏トラベルガイドの編集長でもある。今回御呼び立てたのはそのためでもある。」
ゴンザレスが横から追加説明する。
「裏トラベルガイド?」
「エリンディル各地の風俗情報をまとめたガイドブックだ。
 毎年一回発行しており売れ行きは通常のトラベルガイドよりも良いそうだぞ。」
「へ、へ~、そうなんですか~」
裏なのに表より売れてるんだ……。人が性欲に掛ける情熱に驚く。
確かにエッチなことは嫌なことも多いけど、とても気持ちいいということはもうノエルにもわかっていた。
夢見ていたような素敵な恋の一幕とは違うが、皆がエッチなことをしたいという気持ちは確かに理解できた。

150:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:30:24 nkZOZgew
「そう、そして今回私がこの場に現われたのは! 裏トラベルガイドの表紙絵を描くためなのですっ!」
おおーっ! ピエールが高らかに宣言すると会場にどよめきが走る。
「表紙絵?」
トラベルガイドの表紙絵ならピエール先生が描くのも納得できる。
なにしろ今年のトラベルガイドの表紙絵はピエール先生がノエルを描いたものなのだ。
「って、まさか、また私を描くんですか~!?」
ヒュンッ! ピシッ!
「あいたっ!」
ノエルの頭に投げられた筆が当たり高い音を立てる。抜き手も見せぬ瞬速の投擲だった。
「うぬぼれてもらっては困ります、ミス・ノエル。
 表で表紙モデルが務まったとはいえ、裏でも務まるかと言うと答えはノーです。」
厳しい表情……はパンツで見えないが雰囲気で告げるピエール。
「裏ガイドの表紙モデルには裏ガイドなりの素質がいるのです。
 それを見るために、私はこの“ポージング勝負”の審査員を引き受けたのです。」
「その通りだノエル君。名誉ある裏ガイドの表紙モデル、君に渡すわけにはいかんな。」
やる気満々にゴンザレスが言い放つ。
「ふっふっふっ、なにを隠そう前年度のモデルはこの私なのだよ。
 史上初の二年連続モデルの座を勝ち取るためにも、この勝負負けるわけにはいかん。」
ゴンザレスが懐から昨年度の裏トラベルガイドを取り出し見せつける。
両腕で力瘤をつくった裸のゴンザレスが仁王立ちしている。
腰のあたりにフィルボルらしき少女が、やはり裸で縛られたままゴンザレスに絡み付いている。
背中からしか見えないが、おそらく挿入されて繋がっているのだろう。
振り向いた顔はとても気持ちよさそうな表情をしている。
(今年の表紙がわたしになったら……)
同じようにゴンザレスと繋がり、あられもない表情をしているところを想像する。
その様子は本を手にとった人全てに見られるのだ。股間がまた濡れるのを感じる。
ブンブンッと頭を振り想像を止める。その未来図がとても魅力的に思えてしまったのだ。
エッチなことに積極的になっている自分をしっかりと自覚してしまった。
「ゴンザレス氏の二年連続記録も楽しみですが、ミス・ノエルの表裏同時モデルもかつて例の無い事。
 どちらにせよとても素晴らしい作品が出来上がることでしょう。とはいえ安心してもらっては困ります。
 貴方達のポージングで私がインスピレーションを感じられないのなら、モデルの話は当然なしです。」
「わかりました。」
ゴンザレスが承諾する。
「ミス・ノエル、いいですか?」
未だ考え込んでいるノエルにピエールが話し掛ける。
「……は、はいっ! 頑張りますっ!」
どうせ勝たねばならない勝負なのだ、やるしかないっ!
(エッチな自分は認めたんだっ。ノエルは淫乱な変態さんなんだっ)
そう認めていても先の勝負では精神面の弱さを突かれて負けてしまった。
足りないのは強固な意志、自分は他人の意見に左右されすぎる。いつも叱られている通りだった。
(ノエルはエッチな娘、ノエルはエッチな娘、ノエルはエッチな娘……)
自己暗示をかけるべく、考えを繰り返す。どうせエッチな事をやらされるのは目に見えている。
ならばこちらから仕掛けるしかないっ!
ノエルは気づいた。大切なのは『開き直り』なのだ!

151:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:30:40 nkZOZgew
「では、勝負を始めましょう。二人のポーズを見て私の魂を奮わせることが出来たほうが勝ちです。」
曖昧な条件だったが、ノエルには自信があった。
(エッチなモデルさんなら、かわいい女の子の方が有利に決まってますっ!)
もっともな意見だった。
「はいっ! わたしからいきますっ!」
手を挙げてやる気を見せる。
「ほほう、随分やる気があるようですな。ではお手並み拝見といきますか。」
ゴンザレスが脇へと下がる。
ノエルは舞台中央に用意されたお立ち台に立つ。
勝負開始からもう何時間も経って日付もかわろうかという時間だというのに、観客席は満杯で熱気が溢れていた。
正面には特別審査席がつくられピエールがキャンバスに向かいつつ、こちらを見つめている。
「みてくださいっ!」
ノエルは踊り子の衣装を脱いで全裸になると、その場に座り込む。
胸を突き出し左腕でおっぱいを下から押し上げ強調する。
脚をM字に開き股間を露わにし、右手の人差し指と中指で割れ目を開き中身を見せつける。
(はずかしいっ! 今、わたし自分からもの凄く恥ずかしい格好してますっ!)
観客席からもひやかしの声援が聞こえてくる。
(ああっ、皆喜んでくれてますっ!)
ブルブルッと快感が背筋を駆け上る。
「みてくださいっ! ノエルの恥ずかしいところっ、みてくださーいっ!」
見られることがこれほど楽しいとは、これほど快感だとは思ってもみなかった。
観客達の歓声を聞いて、ノエルは激しく昂ぶり、見られているだけで絶頂に達してしまった。
股間からはダラダラと愛液が垂れ流しになり、顔は羞恥と歓喜で真っ赤に染まり口の端からよだれが垂れていた。
ヒュンッ! ピシッ!
オルガスムスの余韻に浸るノエルの額に飛来した筆が激しく打ち据え、ノエルを現実に引き戻した。
「いたたーっ」
ピエールが怒りの表情でノエルを見つめていた。
「ミス・ノエル、あなたには失望しました。」
「えっ……」
「確かに過激なポーズはエッチには欠かせません。
 性経験が少ない貴女にはわからないかもしれませんが、過激なエロスは熱するのも早ければ醒めるのも早いのです。
 淫乱娘が股をおっぴろげている絵など、ぶっちゃけ二束三文の価値しかありません。恥さえ捨てれば誰でもできることです。
 貴女のポーズは本の半ばや後半に大量にあるエロ絵の一枚としてならとても素晴らしいものだったでしょう。
 ですが、そのようなものは表紙には相応しくありません。表紙に必要なエロスと中身に必要なエロスでは質が違うのです。
 誰もが手にとりたくなり、誰もが貴女に欲情し、犯りたいと思うポーズ。それが表紙に必要なエロスです。
 そこのところをよく考えてくださーい。」
ピエール先生はエロポーズにも厳しかった。
ノエルはピエールの言ったことはよくわからなかったが、安易な手段を選んだことを批判されたことはわかった。

152:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:31:01 nkZOZgew
「残念だったね、ノエル君。」
背後からポンと肩に手を掛けるゴンザレス。
「今度は私の番だよ。」
背後から縄がノエルに巻きつけられた。
「えっ、むがっ、むー!」
口にギャグボールを差し込まれる。
ノエルはあっという間に縛られて身動きがとれなくされてしまった。
先ほど自分でとったポーズと同じくM字に開かれた両足に、両腕が縛り付けられる。
胸や股間を強調するような複雑な縛りは、ノエルにはどうなっているのかサッパリわからなかった。
「むーっ! むーっ!」
抗議の声をあげてみるが、ギャグボールでふさがれた口からはよだれとうめき声しかでなかった。
「なに、ノエル君に我が輩のポージングの手伝いをしてもらおうと思ってね。」
前年度の表紙絵を思い出す。あの少女が自分だったら……!
「では……いくぞっ!」
「むーっ!」
濡れたノエルの股間にゴンザレスの剛直が挿入される。
本日何度目かの刺激にもはやノエルの体は喜びしか感じなかった。
そのままノエルの体をかかえあげ、立ち上がるゴンザレス。
股間に体重が掛けられノエルに強烈な刺激を与える。
落ちまいとしたのか、それとも刺激に喜んだのか、ノエルの体は自然に反応し膣を強く締め上げた。
「ふっふっふっ、なかなか頑張るねぇ、ノエル君。」
正面からノエルの両足抱えたまま、ゆっさゆっさと上下に軽く跳ねるように動くゴンザレス。
ノエルの体重とゴンザレスの剛直が子宮を貫くように刺激を与える。
連続した上下運動が与えるあまりに強い刺激と快感に、ノエルは気絶しそうになる。
「おっと、まだ気絶してもらっては困る。」
お尻の穴に何かが当たる。ゴンザレスがアヌス用の張り型を挿入しているのだ。
前後、上下の口全てをふさがれたノエルは息が詰まって呼吸が苦しくなる。
ギャグボールの隙間から洩れた激しい呼吸音があたりに響き渡る。
前後の穴を同時にふさがれたことで、ノエルの膣が急激に締め付けれた。
「きたぞ、いい締りだノエル君。これが私の真のポージングだ!」
ノエルの両足から手を離し、左右で力瘤を作るゴンザレス。
ゴンザレスとノエルをつなぐのは股間の挿入部分だけ。
だが、ノエルの体はそのままゴンザレスと垂直に繋がったままだった。
いや、それだけではない。そのまま斜めに持ち上がっている。
ゴンザレスは己の勃起力だけでノエルの全体重を支えているのだ!

おおおおおーーーーーっ!!

ゴンザレスの驚異的な能力に会場から感嘆の声があがる。
その反応にゴンザレスもニカリと笑顔で応える。見事なポージングであった。
己の勝利を確信しピエールを見る。
ヒュンッ! ピシッ!
ナイフ投げで開いた額の穴に飛来した筆が突き刺さる。
「うがぁっ!」「ふごぉっー!」
額を押さえ尻餅を付くゴンザレス。その衝撃でひときわ激しい突き上げを受け、ノエルはまたもイッてしまった。
「ゴンザレス殿、貴方の技は確かに素晴らしいものでした。
 相方の女性の体重は去年より重く、難易度の高い技に挑戦しているのは理解できます。
 ですが、去年とネタが同じでは困ります。質を高めるのも重要ですが、新しいテーマに挑戦してこそ真の芸術なのです。
 それに今回はロリ好みの前年度と違い、女性の体の美しさをアピールできるミス・ノエルでした。
 勃起のみで支えることに拘らず、バックで繋がり彼女の体を正面から見せたほうが、よりポージングとして完成されたでしょう。
 更にその際、ミス・ノエルのポージングも併せることで更なる高みを目指すこともできます。
 拘束するのもいいですが、その際に彼女を美しく飾ることを考えるべきでした。」
「くっ! ……おっしゃる通りです。」
ゴンザレスも苦々しく顔を歪めながら失敗を認めた。

153:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:31:23 nkZOZgew
ノエルは全身を縛られ恥ずかしいポーズで身動きが取れないまま舞台に放り出されている。
(また失敗してしまった……)
朦朧とした意識を保ちながらノエルは涙を流した。
「二人とも私をエレクトさせるほどのポーズは見せられなかったようですねぇ……」
ピエールが残念そうな声で告げる。
「ですが、二人ともいいところまでいってました。お二人にもう一度チャンスを差し上げましょう。」
「なんと!」「ふごっ!」
ピョコンと起き上がろうとして、そのままつんのめる。
「私としても不本意な結果です。次こそ期待していますよ。」

ゴンザレスに舞台裏に引きずり込まれ、拘束を解かれる。
「ノエル君、ここは一つ協力してはどうだろうか?」
「はあ……協力ですか?」
「そう、我が輩もなんとしてもピエール先生を納得させるポーズを決めてみたい。
 ノエル君としてもその想いは同じだろう?」
先ほどのピエールの指摘を思い出す。頑張ったけど認められなかった、その悔しさはある。
折角チャンスをくれたのだ、挽回してピエールにあっと言わせて見たい。
「はい、私もピエール先生に勝ちたいですっ!」
「うむ、打倒ピエールだっ!」
二人は揃って間違った方向に進みだした。
「そのために我が輩とノエル君、二人の合体ポーズというアイデアはどうだろう?
 先ほどのピエール先生の指摘を考慮するに、そう間違ってはいないと思う。」
確かにノエルにとっては強引な方法だったが、ピエールは褒めていた。
しかもその際にノエルがポージングを決めるとなお良いとも言っていた。
それにゴンザレスに貫かれるのにももう慣れてしまった。むしろ体が求めているとも思える。
裸を見られるだけでもとても気持ちいいのだ。
先ほどは堪能できなかったが、見られながら自由にセックスできたらどれだけ気持ちいいのだろう。
思考が脇へそれたのを頭を振って冷静になる。
「でも、ピエール先生の考えている事をそのまま出しても、多分ダメだと思います。」
「うむ、そこでノエル君にもアイデアを出してほしいのだよ。」

(過激なエロスは熱するのも早ければ醒めるのも早いのです。)
(誰もが手にとりたくなり、誰もが貴女に欲情し、犯りたいと思うポーズ。それが表紙に必要なエロスです。)

ピエールの指摘を思い出す。
「ゴンザレスさん、服を着ている女性と裸の女性、どちらを犯したいと思いますか?」
「む? ふむ、なるほど。それは好みによると思うが、質問の内容はわかる。チラリズムの問題だな。
 男は全裸の女性よりも、スカートから覗くパンツに欲情するというものだ。」
うぶなノエルにとっては意外な回答だった。しかしそれでピエールの言いたいこともわかったような気がする。
「なにか衣装とかありますか?」
「うむ、なにかいいアイデアが浮かんだようだな。こちらに小道具類を用意してある。色々考えてみよう。」
ノエルとゴンザレスは共にピエールを倒すポーズの相談を始めた。

154:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:32:42 nkZOZgew
「遅いでぇす。まだでしょうか?」
会場ではピエール達が待ち焦がれていた。
「お、お待たせしました!」ノエルの声が会場に響く。
舞台裏から長マントを羽織ったノエルとゴンザレスが現われた。
ノエルの顔は紅潮している。どうやらマントで隠したせいで股間を刺激する呪いが発動しているようだ。
「ほう、準備は万端といったところですね。ではみせてもらいましょう。渾身のポージングを!」
「は、はいっ!」「うむ、いくぞノエル君!」
ゴンザレスがノエルの後ろに立ち、二人のマントをバサッと投げ捨てる。
マントの下から現われたのは意外なことに、ごく普通の衣装を着た二人だった。
ゴンザレスはいつも通りの貴族風衣装。
ノエルはショールを纏い、民族風のドレスのようなものを着ている。手には篭をつるしており、買い物帰りの少女のように見える。
「む、この衣装は……」
ノエルの格好はトラベルガイドの表紙で着ている服装だった。
「ふむ、犯したい少女という要因を同じ表紙内ではなく外部のトラベルガイドから持ち込みましたか。
 絵画としては邪道ではありますが、エロ絵としてはとても効果的です。
 しかも、それだけでは終わらないようですね……」
ノエルはショールをとめている赤いリボンをゆるめる。開いた正面から奥に肌色が見える。
シャツもブラも付けずに素肌にコルセットを直接つけていたのだ。
ショールの丈も短めになっており、チラチラと胸の先端のピンクが見えそうになっている。
しかもよく見ると、素肌の上を斜めに走る縄が見える。
「ほう、この少女は調教中なのですか! なかなかよく仕込まれていると見える。」
ノエルは篭にかけてあった布を取り、篭の中身を見せる。
本来果物が入っていた篭の中には、幾本もの張り型やローション入りポーション等のエログッズが山盛りになっていた。
「ほほう、しかもそのまま買い物に行かせるとは、いやはや大したご主人様だ。では、その張り型は……?」
エプロンの裾を持ち上げ、口に咥える。胸への視線を邪魔しないように斜めに体を向けエプロンを誘導する。
両足を広げて立ち、スカートを持ち上げて中身を見せつける。
フトモモまである白いストッキングとそれを吊るすガーターベルト、そしてやはり白いパンティ。
白いパンティは既にぐしょぐしょに濡れて中が透けていた。ノエルにかけられたぱんつ禁止の呪いの効果もあるのだろう。
だが、最大の原因は他にある。パンツのなかで暴れる太い筒状の物体とそれを固定する縄。
「錬金バイブですかっ! 流石はゴンザレス殿、いい品をもっておられる。」
会場の視線を集めて昂ぶったノエルは絶頂に達しそうになり思わず膝をついてしまう。

155:ノエルと恥辱の舞台
08/06/29 23:33:04 nkZOZgew
「ノエル君、最後の決めだ、いくぞっ!」
「ひゃ、ひゃあい……」
ゴンザレスが後ろからノエルの膝をかかえて体を持ち上げる。
既に剛直はズボンから解き放たれ、ノエルの股間めがけてそそり立っている。
そのままノエルのパンツをずらして一気に菊門を突き上げる!
ノエルの目が見開かれ、意識が飛びそうになる。口が開きエプロンを落としてしまう。
ローションを塗ってあるとはいえ、この尻の穴が裂けそうな痛みはまだ慣れない。
「ノエル君、ポーズをっ!」
ゴンザレスの声に意識を取り戻す。
最後の決めをしなければっ!
篭から張り型を取り出し、口に咥えるようにそっと伸ばして先っちょを舐めるようにして、平静を装った笑顔をみせる。
細部は違うが、これでトラベルガイドと同じポーズになっているはずだ。
ピエールの反応を窺う。
「……ブラボー、おお、ブラボー!! 二人ともすばらしいでぇす。
 トラベルガイドの気になる女の子、その裏の顔を描いてみせるポージング。しかと見せていただきました。
 おお、創作意欲が沸き起こるっ! 描かずにはいられないこの昂ぶりはっ!」
フオオオオオッ!
両手に筆を持つと物凄い勢いでキャンバスに描き出す。
そこには今のノエル達の痴態がみるみる間に描かれていった。
ノエルの今のポーズとは若干違い、背後のゴンザレスだけでなく左右に男が立ちペニスを突き出している。
ノエルが両手にペニスを持ち紅潮した笑顔を浮かべながら舐めている。
ゴンザレスは背後から胸を揉み上げ、ショールも多めにはだけている。乳首は見えそうで見えない微妙な位置だ。
パンティは半脱ぎ状態で片方の太ももに引っかかっている。服の下でノエルを拘束している亀甲縛りで股間のバイブが固定されている。
更に背景に四つの絵が描かれている。それぞれノエルが様々な辱めを受けている絵だ。
先ほどの、舞台の上で股間を見せ付けているノエル。
前後の穴と口までふさがれ男達に犯されているノエル。
裸に首輪をつけられ犬のように街中を散歩させられているノエル。
最後の一つはよく見えないが、大の字に磔にされて皆に見られるノエルのようだ。
「ふう、ラフはこんなものでしょう。とても素晴らしいインスピレーションを得られました。お二人には感謝いたします。」
ピエールがノエルとゴンザレスに握手を求める。
「貴方達のポージングには感動いたしました。この勝負の勝者は、お二人ということでよろしいですかな?」
「はいっ!」「いいですとも」
ノエルは勝利の味をかみ締めた。なによりもピエールに褒められたことが嬉しかったのだ。
この勝負に負けたらトランの胴体は戻ってこなかったとか、この後ゴンザレスと戦うとか、
そういうことは既に頭から抜け落ちていた。

156:名無しさん@ピンキー
08/06/29 23:34:52 nkZOZgew
以上です。

この後クライマックス戦闘1回のあとエンディングの予定です。
書きたいものを適当に書きなぐってきた作品ですが、ようやっと終わりが見えてきました。
つたない作品ですが、最後までお付き合い願えたらと思います。ノシ

157:名無しさん@ピンキー
08/06/29 23:36:03 CTxU5czb
開き直んなwww

って書こうとしたら、

開きな女www

って誤変換した俺のPCは助平だと思います。

GJ!

158:名無しさん@ピンキー
08/06/29 23:56:24 H2KoeeNE
一体何処に行こうというんだw

159:名無しさん@ピンキー
08/06/30 00:34:03 NaO5gC3J
ピエール先生帰って来いwwwwwwwwwww
最近エロよりもネタのキレ味が鋭すぎて抜けないよ!!www

160:名無しさん@ピンキー
08/06/30 00:52:12 ZanoMSZz
まったくだw
まあ、俺は>>156のいい意味で品が無くて直球エロな作風は好きだぜ!

161:名無しさん@ピンキー
08/06/30 02:36:24 N18usa0s
貴方はどこへ行こうというのだ……w
というか、ゴンザレスとノエル意気投合しすぎだw

162:名無しさん@ピンキー
08/06/30 08:13:54 8aIkKNmg
おいおい…
なんかひーらぎ、失っちゃいけない大切なものを失ってるんだが…



ようやくその身を癒やして愛する主の許へと帰還を果たす魔剣タン。
しかし、自らがあるべき場所には既に新たなウィッチブレイドタンが居座り、
こともあろうか最初からクライマックスぐらいにしか出番のない自分とは違い、
移動シーンなどでも行動を共にする程の親密ぶりを見せつけられるのであった。

その身は傷一つなく蘇ったとしても、その心に走る無数の皹割れ…

多くを望んでいた訳ではない。ただ愛する主の側に在る事を望んでいただけ…。
心を持つという事がこの苦しみを得るという事であるならば自分はモノ言わぬ鋼のままで在るほうが良かった!

そして心の疼きのままに引き起こされる血の惨劇…

次回ナイトウィザード

「剣帰りたらば、幸遠からじ」

nicesowrd

163:名無しさん@ピンキー
08/06/30 12:36:47 NloSEY0F
和解してヒルコの様に融合すればいいじゃない(マリー

後、ソードの綴り違うぜ

164:名無しさん@ピンキー
08/06/30 16:56:00 Gf7VoXxT
あと、帰りたらばじゃなくて帰りなばじゃないかと思ふ。

165:名無しさん@ピンキー
08/06/30 17:13:36 jPQOXW+d
>>162
んー?俺<三千世界の剣>使用時に数多ある剣の中から間違うことなく魔剣さんを引き抜く柊を幻視してるからノーダメージだぜー?

もしくは新しい魔剣を手に入れる時に
「魔剣は死んだ。もういない」
「けれど俺の心に魂に」
「一つになって生き続ける!」
とか言う柊を(ry

166:名無しさん@ピンキー
08/06/30 17:53:44 ipdT5Q4Y
擬人化ワイバーンがノコギリを奮うわけですね、分かります

最初「猥バーン」と変換されてしまったのは何故だろう

167:名無しさん@ピンキー
08/06/30 18:48:49 EHHuoJ8/
猥褻な格好をした大魔王バーン様が頭に浮かんで吹いたw

168:名無しさん@ピンキー
08/06/30 20:19:04 DHBmnb6O
こんばんは。
「いつか」などと言っていましたが、思いついたままのネタを下げて戻ってきてしまいました。
今度はコメディ。「ノエルと恥辱」氏の作品などと比べると、赤面してしまう出来なのですが…。

システム:真女神転生X
キャラクター:苺、チャーリー(退魔生徒会シリーズ)
傾向:コメディ(キャラ崩壊注意)

今度は書きながらなので、ペースの目途もつかない状態ですが、暇つぶしにでも付き合っていただければ幸いです。

169:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 1
08/06/30 20:22:39 DHBmnb6O
むせ返るような夏の残暑が消え、空の色が高く澄み―
そして、その空にも、日によってはときどき鈍色が見えるようになった―そんな、
秋の終わりのある日のこと。

昇降口を出ると、澄んだ寒気が鼻に満ちた。
息を吸うごとに、口元にたつ白い靄。校門へと向かう足は、自然と速くなる。
風が吹けば、なお冷たい。
ザァッと波音をたてて、校庭の庭木が枝を振る。秋風に落とされた紅葉が、
サラサラと足元を流れてゆく。
世界は茜色。
雲間に顔を出す夕日は、ロウソクの火みたいに小さく弱々しく、どこか寂しい。
学園の正門を出たポニーテールの少女は、門柱のところで立ち止まり、
「はぁぁ~~」
ジトッと重い溜息を、秋風に流した。

ここは東京郊外に位置するミッション系学校、聖華学園。
明治年間より良家の子女を教育し、気品と文武を重んじてきた、名実共に備えた名門校である。
神代の丘にそびえ建つ校舎と、それよりも更に高く、天に向かって高々と十字架を掲げた
学園聖堂の尖塔は、周囲から見上げても、抜きん出た威容を誇る。
翻って学園からは、深大寺の緑を間近に見下ろす事が出来、森閑とした落ち着いた空気の中、
生徒達は勉学と技芸に励む。
―しかしてこの学園には、1つの秘密があった。
神代の丘。そこには名の如く、古代神を祭った祭場が隠されており、学園はその上に鎮護の
ために設けられたもの。
神気に呼ばれ、または龍脈より力を啜り上げようと、この学園には様々な魔物が跳梁する。
ゆえに学園の筆頭者たらんとする生徒達は、退魔の技を磨き、人知れず、日々悪魔との戦いに
身を投じる宿命にあった。

知る人は、彼らをこう呼ぶ。―【退魔生徒会】と。


「―はぁぁ~~」
……その退魔生徒会の切り込み役にして、現生徒会長、豊野香苺(とよのかいちご)は、
再び重い溜息をついていた。
それは、普段の彼女を知る人間には、らしくないと映る姿に違いなかった。
大きくキリッとした瞳に、一筆書きの眉。
小ぶりの鼻と、引き締まった唇。鋭角を描く顎。
立ち姿は白樺のようにすっきりと美しく、足取りは野鹿のように、静かでありながら力強い。
豊野香苺とは、そんな凛とした大和撫子だ。
だが今、目をしょぼつかせ、開いた口から延々と溜息をこぼし続ける彼女は、どこから見ても
疲れた人間にしか見えない。背中に揺れるポニーテールも、畑仕事に疲れた牛の尻尾のように、
プラプラと頼りなげで、背負った剣の包みも、重たげに傾いている。
「生徒会長、か」
呟いて、苺は歩き出す。特に当てもないままに、学園正門から伸びる坂を
下ってゆく。

170:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 2
08/06/30 20:28:45 DHBmnb6O
先日の体育祭での活躍で、苺は学園の実力者である【十武神】らに打ち勝ち、見事生徒会長の座を射止めていた。
当初は荷が重いと、遠慮していた苺だが、前会長である結城柊のたっての頼みもあり、平和な学園生活を守るため、立候補したという経緯がある。
しかし一度決意してしまえば、元から正義感も責任感も強い彼女のこと、会長の役職を謹んで拝領し、学園と退魔生徒会を引っ張っていく気概を十分に燃やして
いた。

「……うう」

―筈なのだが。
「結構大変ね、会長って。……いや、それ自体はいいんだけど」
トボトボと坂道を下りながら、苺は鬱々と独り言を呟いた。
実際、就任早々なかなかにハードな日々が続いていた。
代替わりした生徒会が最初に手がける仕事は、来る10月30日の万聖節。
即ち、ハロウィンパーティーである。
毎年行われるお祭で、たいへん賑やかな行事らしいのだが、それだけに準備の方も膨大な作業が必要になってくる。
今日は放課後に、2回目となる打ち合わせがあった。
予算だなんだという実務レベルの調整は、副会長の渡会百合や、会計の星など、出来る面子が計らってはくれるが、意見要望への対応については、生徒会長が対応しなければならない。
道場で試合に立てば無類の胆力を発揮する苺も、会議室での言葉を用いた立会いには、いたく不慣れだ。
各クラスの委員の質問に晒され、苺はかなり気力を消耗する事となった。
……そして会議が終わったと思いきや、次には退魔生徒会の仕事が待っていた。
黒魔術研究会の召喚実験で湧いて出たグレムリンが、パソ研を襲撃するという事件があり、その掃討に
追われ―気が付けば時刻は6時前。下校時刻ギリギリである。
急いで出動記録をしたため、身支度を調えて、校門を出る頃には、苺はヘトヘトになっていた。

―緩やかな坂道を下りながら、苺はぐったりと目を閉じる。
「別に、学園のために頑張る事自体に不満なんかないけど……」
確かに疲れるし、時に怪我もする。だがそれは、程度の違いはあれ、いつもの事だ。
ただ……。
「なんか、流されてるなぁ」
振り返れば、入学以来、怒涛の勢いで様々なトラブルが降りかかってきた。
根性コートの生首事件。
プラズマ研の雪ダルマロボ暴走事件。
七夕のターミネーター事件、等々……。
それらに気を取られているうちに、気が付いてみれば生徒会長で、おまけに1年生の終わりも近い。
充実しているのは間違いないのだが、こんなふうに流されたまま、学園生活を終えてしまうのだろうか。
そう考えると、苺はなんだかやり切れない気持ちになる。
何故ならば―。
「……らぶが、ほしい」
疲れた声音で、少し壊れたセリフを呟きながら、苺は目を細めて夕空を見上げる。

―そう、恋だ。
足りないのは恋愛なのだ!

171:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 3
08/06/30 20:36:02 DHBmnb6O
その容姿と立ち居振る舞い、そして学園でも五指に入る剣術の腕前から、苺はクラスや学年では、むし
ろ同性からの人気が高い。
しかしながら、苺自身は至ってノーマル、そっちの気は欠片もない。なので百合系の視線を向けられて
いる事は、大いに遺憾に思っている。
確かに、女にしては逞しいかもしれない。剣術の家に生まれついて、幼い頃から木刀を握らされてきた
し、夏には山篭り、冬には寒中稽古と、きつい鍛錬も課せられてきた。
手の剣ダコはとっくに潰れて、皮膚は厚く張ってるし、二の腕も腹筋も、筋肉がついて硬くて、女の子
らしい柔らかさなんか全然無い。
けれども、いやだからこそ、苺は女の子らしい恋愛に憧れる。別に男子に守って欲しいとかいう憧れは
―少しは、あるけど―いやいやでも、それは無くてもいい。要は自分を女の子として扱って欲しい
のだ。ドキドキするようなラブラブが、心の潤いがあれば、それでいい。
今年の春、真新しい制服に身を包んで、初めてこの坂を登った時に思ったこと。
―この学校で、『女の子』になる!
密かな希望を抱いて、入学してからは、身だしなみに気を使うようになった。
たとえば消臭スプレーの銘柄。
毎日稽古三昧で、または悪魔を追って走り回ってばかりで、いつも汗臭い自分。スプレーは前から使っ
ていたけど、どうせならいい匂いのするものに変えようかと思ったり。
たとえばリップのグロース。
以前は唇のコンディションなんか頓着しなかったけど、ある時欲しくなって、一本買った。
きっかけはクラスの友達が塗っているのを見た事。
唇を引き締め、片手に手鏡を持って、クリームの筒をそっと当てる、あの仕草。
その子が可愛い子だったためもあるが、とても艶かしい仕草に思えた。そして、自分もあんなふうにな
れれば、と思った。
あんなふうに―
そう、もっともっと、『女の子』したい!

……しかし現実は―。
「いい出会いって、なかなか無いものね」
坂の終わり、交差点の赤信号に立ち止まり、苺はうなだれる。
もう少し歩けば、最寄のバス停だ。
家に帰って、風呂を使い、疲れた体を休める事が出来る。そう考えようとするのだが、苺の気持ちは少
しも振るわない。
―恋は遠い。
入学してから今に至り、それなりに男友達も出来はしたが、恋愛に発展しそうな相手など皆無だ。
―黒魔術研究会の変態メガネ。
トラブルの種と呼ぶのが相応しい、生粋のバカだ。魔王ベルゼブブを召喚するとほざいて、変な儀式を
やった挙句、学食の食材を全部腐らせられたのは、今も鮮明な悪夢として脳裏に焼きついている。
―M字ハゲの若社長。
来世がどうの、新世界の創造がこうのと、いつもアブない話ばかりする男。これも論外。まあ言動以前
に、M字ハゲの時点で苺には許容できないが。
退魔生徒会の仲間は、さすがにもっと心を許せるが、こちらも恋人候補からは程遠い。
保険委員の溝呂木鱗(みぞろぎりん)は、クールで知的だが、時に好奇心を暴走させるマッドサイエン
ティストだ。それにどうも、恋愛には興味がないように見える。
そしてもう一人、生徒会2人目の副会長というポジションを、分不相応にも与えられているお調子者。
いつもヘラヘラして、勉強嫌いで遊ぶ事ばかり考えているような奴。友人としては気が許せるが、恋愛
対象なんて、ぶっちゃけあり得ない。
……そう言えば、今日の仕事が終わってから、姿が見えなかったが、どうかしたのだろうか。
「まあ、どうでもいいか」
あっさりと片付けて、苺は考えを引き戻す。


172:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 4
08/06/30 20:38:48 DHBmnb6O
―ここまで恋愛運が悪いのは、もう前世の因縁というか、なにかの呪いなんじゃないだろうか?
だとすると、この先も?
黒瓜の召喚した悪魔の尻拭いをさせられたり、氷川の妄言に付き合わされたりする日々を、延々と送り
……気が付けば卒業式とか?
「……嫌」
呪殺(ムド)のような重低音で呟き、苺は体を震わせた。
「嫌、嫌、嫌……ぜぇーったいっ、イヤ!!」
―苺の叫びは木霊する事も無く、神代の山に、虚しく吸い込まれていく。
何が悲しゅうて、花の女子高生が変態やハゲの相手で学園生活を終えねばならないのか。
女の子が『女子高生』でいられる時間なんか、一生の内で一度しかないのに。
……いや、負けない。運命なんかに、負けてられない!
「そうだ。この際、あそこにお参りしていこうかな」
ふと思いついた考えを胸のうちでしばし転がし、苺は一人頷いた。
せっかくだし、あそこに寄って行こう。
決心すると、苺は普段使っているバス停を通り過ぎ、夕日に背を向けて歩いていった。


***

武蔵境の大通り。
いつものバス停より1つ先に行った所にある、そのバス停の名前。
「深大寺入口」。
端的な名前が示すように、そこが、その寺へ至る道の始まりだった。
バス停そばの脇道に折れ、1車線の細い道を進んでいくと、次第に周囲の雰囲気が変わっていく。
花屋やアパートなどの並ぶ普通の町並みが、徐々に、山の中に吸い込まれていくように、人家がまばら
になっていき、かわりに樹の気配が強くなっていく。
道沿いの街路樹は、だんだんと大きいものに替わる。大人三人でようやく抱えられそうな、太い幹の楠
。頭上広くに張られた枝の天蓋。道路から分かれる路地も次第に消え、家屋の影が―人の気配のある
空間が、次第に狭まっていく。
―かと思いきや、森を背にした大きなレストランが立ち現れたりして、まるで飛騨かどこか、山奥の
観光地へでも迷い込んだような気になる。
やがて道路の左手に、石畳の道と、その両脇を埋めるように建つ土産物屋や茶店が見えてくる。深大寺
の門前町だった。

浮岳山昌楽院深大寺。
その起源は奈良時代にまで遡るという。
かつてこの地に暮らした夫婦の間に、一人の美しい娘が生まれた。年頃になった娘は若者と恋に落ちた
が、娘を大事にする両親は、彼女を湖の島に閉じ込めてしまう。若者は水を支配するという神仏・深沙
大王に祈願し、娘と結ばれた暁には、大王を丁重に奉ると誓願。後に霊験で二人は結ばれ、その息子が
誓いを果たそうと興したのが、この寺であるという。

……そんないわれから、この寺は縁結びのご利益があるとされ、若者にも人気がある。
参道の石段を登りながら、苺は以前に聞いた寺の縁起を思い出し、決心を新たにしていた。
境内に入り、さっぱりとした庭の眺めなど目にも入れず、苺はジャリジャリと砂利を踏みしめ、本堂の
前まで進む。
サイフの中身を検分し、五円玉があった事に、内心密かにガッツポーズ。
が、そんな事は全く表に出さず、いかにも神前といった風な、神妙な表情で、賽銭箱に硬貨を落とす。
合掌して拝む。一心に、ひたむきに。
(いい出会いがありますように、悪縁はこれっきりになりますように!)
深沙大王の返事は、もちろん苺には聞こえなかった。
しかしなんとなく気持ちが晴れ、お祈りを終えた苺は、自然と微笑を浮かべた。


……深沙大王の返事が無かったのは、もしかしたら怒っていたからかもしれない。
後に、苺はそう思う事になる。
賽銭の額が少なかったからだろうか? それとも神仏の前で失礼があったから?
やがて訪れる悪夢を、この時の苺は、まだ知る由も無かった。


173:名無しさん@ピンキー
08/06/30 20:42:33 DHBmnb6O
以上、短いですが書き込ませていただきました。
どうも改行に失敗したようで、申し訳ありません。

さて、前回は「闇のプロファイル」のシナリオフック、「救世主狩り」
がソースになっていますが、今回も同じく「闇プロ」が元ネタです。
それが何かは……いずれまたと言うことで。

174:名無しさん@ピンキー
08/06/30 21:10:36 Gf7VoXxT
をを、メガテンの人じゃありがたやありがたや…
今度は苺がコメディタッチにひどい目に遭うみたいですね。
続きを楽しみに待ってます。
さて、闇プロ読み返してみるか

175:名無しさん@ピンキー
08/07/01 00:38:26 T3MiaWh7
続きまだー?

176:名無しさん@ピンキー
08/07/01 19:42:08 8dWNR4H6
NWアンソロでまゆりんのナマチチをみて、
「ああ、きっと安藤さんはこいつを揉みながらいろんなプレイでハメまくったんだろうなぁ」
と瞬時に妄想した。

177:名無しさん@ピンキー
08/07/01 20:04:20 8P/XLv4j
安藤さんを責めるな!
けしからん乳にけしからんことをして、なにが悪い!
そのあと、どんなプレイをしたとしても、だ!!

178:名無しさん@ピンキー
08/07/01 20:21:11 WXor0jqR
ぶっといナスとかお口につっこんでるしな!
あと温泉占領してることを知ってるあたり、実は覗いたことが一度はあるしな!

179:名無しさん@ピンキー
08/07/01 20:44:12 rislpV9l
安藤さんの敵は大魔王猥バーン、アバン先生的な意味で

猥バーン「やりすぎてしまうかもしれん」

180:名無しさん@ピンキー
08/07/01 21:26:18 3L/KSFz+
こんばんは。
NWアンソロジー、どうやらこのスレ的にはヒットのようですね。
私は買っていないため、話題に入れないのが、少し悔しいです。

さて、昨日の続きですが、一応ぼちぼちコメディが入り始めるところです。
そして、スレ的に一番の見所、Hですが……すいません、今回も後ろの方まで
ありません。
こんな代物ではありますが、暇つぶしとでも割り切ってお付き合い頂ければ、
幸いです。

181:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 5
08/07/01 21:31:11 3L/KSFz+
お参りの帰り。
参道の店をひやかしながら歩いていた苺の鼻に、その香りは届いた。

―糖が焦げて、蒸しあがるような、甘く香ばしい匂い。

かいだ途端、ギュッと胃袋がすくみ上がる。
口の中がじわっと濡れて、喉がごくんと鳴る。
意識した途端、猛烈にお腹が空いてきた。
考えてみれば、会議やら悪魔退治やらで駆けずり回って、随分とエネルギーを使ったと思う。
そして時間は、もう晩御飯時だ。ならば、これぐらいの空腹は当たり前。今日はご飯3杯食
べても、自分で自分を許せてしまいそうだ。
(って、ダメダメ! 夏休みのダイエット失敗してるんだから!)
ブンブンと頭を振って、苺は己を戒める。
が、しかし。
元々体育会系の苺は、よく食べる。激しい運動をすれば、それだけカロリーは使うから、
当たり前だ。
まして苺の剣術は、一撃必殺を旨とする示現流。瞬発力と膂力を付けるトレーニングを重ねて、
もう随分と筋肉が付いてしまっている。
この状態でダイエットというのは、けっこう難しい。……食欲を抑えるのも。
キュルルッと、間の抜けた声で、腹の虫が鳴く。
苺は火を噴きそうなくらい、真っ赤になった。
慌てて辺りを見回し―誰もいない事に安堵し、溜息をつく。
「……そうよね、これはむしろ、夕飯を食べ過ぎないように小腹を満たしておくのよ。
つまりダイエットよ。これもダイエット、これもダイエット……」
ブツブツと自分に対する言い訳を呟きながら、苺は匂いに釣られて歩き出す。
やがてたどり着いたのは、道沿いに建つ茶店―ではなく、その隣の屋台だった。
屋台の裏手には、農作業に使うようなリヤカーが置かれており、荷台には小さな煙突がついた
ドラム缶型の釜が乗っかっている。主人と思しき男が、その前で何か作業をしていた。
―間違いない。やはり、石焼き芋だ。
『体重』という言葉が、一瞬、頭を掠め、苺は動きを止めた。が、もはやここまで来ては止まれない。
「すいません、1つください」
「ヒーホー、毎度あり!」
……聞き捨てならないセリフを聞いたような気がして、苺ははたと店主を凝視した。

―黄色い。

見間違いかと思い、目を擦る。
―やはり、黄色い。
店主の顔は、のっぺりと平坦で、真っ黄色い。
……お面だ。目鼻の部分がくり抜かれ、黒い空洞になっている。
ていうか、これは、カボチャ?
スーパーでよく見かける、緑色のやつではない。ハロウィンで使う、あれ。
緑のカボチャは、確かスクァッシュとかいうらしいが、これはまがうことなき、パンプキン。

182:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 6
08/07/01 21:34:34 3L/KSFz+
「ヒホホッ、お客さん、大きさはどのくらい? 大、中、小とあるけど?」
そんなセリフを聞き流しながら、改めて店主の姿を見回してみる。
煤けて薄汚れたズボンと上着―工場とかで使ってる、ツナギと呼ばれる服を着て、その上からは、
やはりところどころ煤汚れのついた、紺のエプロンを付けている。
―そして、顔だけカボチャ面。
なまじ黒い頭髪が頭頂部(茎?)から生え出ているため、異様な違和感がある。
ホラーなのかコメディなのか、判別しがたい、シュールな光景だ。
……まあ、いいか。とりあえず無かった事にしよう。うん。
「……章姫(あきひめ)」
ちょっと気の抜けた呼びかけだったけど、愛剣は忠実に答えてくれた。
背中に負った包みが、ハラリと自然に解け、鞘に収まった古めかしい刀が姿を現す。
魔晶剣「章姫」。
日高示現流の家に伝承される、炎の精霊を宿した魔剣。
これまで数多の強敵を屠ってきた、苺が最も信頼する相方である。
引き抜かれた白刃が夕日を受けて燃えるように輝き、カボチャ店主は泡を食って手足をバタバタ振った。
「待つホ! オイラなんにも悪い事はしてないホ!」
「とりあえず、そういうセリフは、その顔をナントカしてから言ってね?」
冷たい笑顔でそう言うと、カボチャ男は一転、くり抜きの目口を(どうやってか)釣り上げ、憤慨の表情を作った。
「ひどいホ! アクマを顔で差別するなんて、ジンケン侵害だホ!」
「……突っ込みどころは沢山あるけど、まず、悪魔が往来で堂々と商売すなっ!」
スパコーンッ! と小気味のいい破裂音が、参道沿いの森の中に響き渡る。
峰打ち―ではなく、苺のもう片方の手には、仲間達への突っ込み用に持ち歩いている、ハリセンが握られていた。
無意識のうちに……習慣とは恐ろしい。
「―じゃなくてっ」
苺は目を回している(らしい)カボチャ男を引っつかむと、屋台の影に引きずり込む。
「とにかくあんた、その顔! それで【人間変身】してるつもりなの!?」
「あ、当たり前だホ! 今のオイラは、どこからどう見ても焼き芋のオジサンだホ!」
「……パンプキンパイの促販とでも言えば、まだ説得力はあるかもしれないけど」

183:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 7
08/07/01 21:37:47 3L/KSFz+
そんなふうに苺が呟くと、カボチャ男はしょんぼりとうなだれた。
「そうなんだホ。今日一日あそこで店を出してたけど、たまに足を止めてくれるニンゲンはみんな、
『カボチャのお菓子ですか?』とか聞いて来るんだホ。それ以外のほとんどは素通りしていくか、
こっちを変な目で見てから、行っちゃうばっかり―上手くいかないんだホー。
……って、なんだホ、その生暖かい笑いは?」
「あー、まぁ、ねぇ」
曖昧に笑って、苺はヒュンヒュンッと、ハリセンを振り回す。
「それ以上何か話されたら、また一発かましちゃいそうだから、先に言うわね。―顔の変身の練習
しなさいよ、あんた」
「ヒホッ? この顔じゃダメなのかホ?」
「ダメも何もっ、変身して無いでしょうがっ!」
「毎年このくらいの時期になると、ニンゲンもみんなこういう恰好するホ?」
「あんたの故郷じゃどうか知らないけど、日本じゃハロウィンはそう盛んでもないのよ! あと寺に来て
ハロウィン仮装する奴はいない!」
ホーと、感心したような声でカボチャ男が言う。
「そうだったのかホ。だからお客さんが一人も入らなかったのかホ」
目をきつく閉じ、頭痛に耐えるように額に手を当てて、苺は呻く。
「そもそも、なんで悪魔が商売なんかやってるの?」
「世界征服のための資金だホ。指しあたっては、オイラがジャアク帝国内で成り上がる為のゼニだホ」
「……それは悪事なんじゃ?」
「人に迷惑はかけてないホ。おいしいイモでみんなハッピー、お金が入って、オイラもハッピーなんだホ」
章姫を鞘に納め、苺は溜息をついた。
バカバカしい。
どうも善悪という以前に、何も考えていないような手合いらしい。まともに相手をする必要も感じられなかった。
「まあ、頑張って―ていうか、頼むから騒ぎにならないようにしてね」
悪縁これっきりと願ったばかりなのに、こんな変なのに当たるなんて。
気疲れを覚えながら、苺は背を向け、さっさと退散しようとした。

184:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 8
08/07/01 21:39:59 3L/KSFz+
「待つんだホ。いい事教えてくれたお礼に、今日はサービスするんだホ」
ム、と苺の動きが止まる。
しょうもない寸劇で忘れていた空腹が、猛烈な勢いで蘇ってくる。
サービス。
サービスとは……魅力的な言葉だ。先週買った秋物のセーターで、今月のお小遣い厳しいし。
だが、悪魔の売ってる食べ物なんか口にして、大丈夫だろうか?
「いや、そうね。問題があったらマズイから……私がまず確かめておく。うん、そうよ、それ」
ブツブツとひとしきり呟いて、苺はカボチャ男に向き直る。
「それじゃ、大―じゃなくて、中で」
「分かったホー」
リヤカーの釜を開け、カボチャ男がゴソゴソと火掻き棒を突っ込む。
中から黒いパリパリした塊が取り出されると、甘い香りがひときわ強くなった。
熱さもなんのその、カボチャ男は湯気を吹き上げる塊を新聞紙にくるみ、苺に差し出した。
「中一個、お待ちだホ。本当なら500円は取ってるところだホー」
「わっ、結構大きいのね」
両手で抱えるような大きさの塊を受け取り、苺は目を丸くする。
見たところ、フライドチキンとかの―鳥の腿肉の、1,5倍ぐらいの大きさはあるだろうか。
これで中とは―。大にしなくてよかった。
「食べてみるホ」
「う、うん」
焦げた皮を剥くと、中からしっとりと黄金色に光る、芋の実が現れる。
一口、齧って―
「――おいっしいっ!?」
信じられないような顔で、苺は言った。
皮の中で蒸し焼きになった芋の果肉。
火傷しそうに熱く、齧ればホクホク、舌の上で転がせば、トロトロになる。
そして、この甘さはどうだろう。
砂糖を使った甘さではない。植物の持つ、天然の甘み。
ほのかで、香り高く、すっきりとして後に残らない。
石焼独特の、焦げたような香りが、味をぐっと引き立たせ、ほのかな甘みを鮮烈なものにしている。
まるでいくら食べても、飽きが来ないよう。
二口目を齧りながら、苺はカボチャ男に、素直な賛辞を送った。
「すごいじゃない。これはお客さんが並ぶわよ」
「ヒホ、そうかホ。そう言われると、なんだか元気が出てきたホー」
上機嫌になったカボチャ男が、もう一個包みを差し出す。
「おまけだホ。オイラこの辺で店を開いてるから、気に入ったらまた来て欲しいホ。あんたなら、
またサービスするホ」
「ありがと! うん、今度はちゃんとお客として来るかも」
笑顔で手を振り、苺は今度こそ背を向ける。
―悪縁これっきり。ちゃんと聞き届けられてるよ。これは得したもん。
そんなふうに、苺は無邪気に思っていた。

まだ、この時は。

185:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 9
08/07/01 21:42:40 3L/KSFz+
「気になる噂を聞いたのですが」
白衣のマッドサイエンティスト、溝呂木鱗がそう言ったのは、会議も終わった放課後の事だった。

10月に入って、はや10日が過ぎていた。パーティーに向けた準備が本格化して、学内は騒がしい空気に包まれている。
生徒会の仕事も、目に見えて増えてきた。
買出しや資材調達といった力仕事から、各係の作業の調整、全体スケジュールの手直しなどの事務まで、仕事はたくさんあった。
今日も当日に用意する照明の件で、プラ研の大月先生をなだめすかし(プラズマ照明など、ハロウィンで使える筈がないのに!)、
生徒会室に引き上げてきた所で、鱗が口を開いたのだった。

「鱗が気になるって言う事は、またお仲魔がらみかにゃ?」
行儀悪く机の上に腰掛けて言うのは、ボブカットの髪型の、ボーイッシュな感じの少女。
笹塚千代。
やはり退魔生徒会の仲間ではあるが、彼女は人間ではない。霊猫の血を持つ、れっきとした悪魔だ。
しかし日頃のだらしない言動を見る限り、そこらのダメ女子高生にしか見えないが。

―モグ

「?……って、千代ちゃん! 下、下見えてる!」
「大丈夫にゃ。ちゃんとスパッツ履いてるにゃ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
慌てる苺に、シシシッと悪戯っぽい笑いを向けてから、千代は鱗に視線を戻す。
「で、どうなんだにゃ?」

―モグモグ

「ええ、その可能性が高いです。でなきゃ、僕がこっちに来る理由は無いですから」
黒縁メガネを指で押し上げながら、鱗は壁にもたれかかる。
実は彼は、生徒会の役員ではない。退魔生徒会の仕事では一緒だし、表の生徒会運営でも、実質的に苺たちのブレーンなのだが、
どうも役員を面倒くさがっている節がある。

―モグモグ

「水臭いコト、言わないでください。仲間ナンですから」
そう言うのは、退魔生徒会最後の正規メンバー、件のお調子者、チャーリー・ウェリントン。
アメリカからの交換留学生で、見た目は金髪碧眼のハンサムボーイ、しかしちょっとその人柄に触れれば、その極楽トンボぶりに
幻滅する女子が後を断たなかったという、ひどい男だ。
おまけに、年増好みだし。
「? 今何か、聞こえたような?」

―モグモグ

186:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 10
08/07/01 21:46:38 3L/KSFz+
「っていうか苺、あなたはさっきから何喰ってんですか?」
呆れたような顔で鱗が言った。
「あ、みんなも食べる? 美味しいんだよ、この焼き芋」
そう言う苺の会長席には、焼き芋の包み。
昼休みに抜け出し、まとめ買いしてきたのである。……だって、美味しいし。
「いえ、僕は」と、鱗は目を逸らすが、
「1つ貰いマース!」
「2個貰っとくにゃ。後でオニの兄貴と食べるにゃ」
他のメンバーはわっと群がる。
仲間達を横目に、鱗はどこか含みのあるそぶりで、頬を掻いた。
「……苺、あなた夏休み前に、焼き芋みたいに太りそうなのは気が引けるとか言ってませんでした?」
ゴフッ! と、血を吐くような勢いで、苺はむせた。
『太る』―太る、太る!
その一言が、どれほどの威力を秘めていることか。
電撃魔法(ジオ)でも喰らったみたいに、苺はSHOCK状態に固まった。
「こら鱗、苺のパラノイアを刺激するようなこと言っちゃダメだにゃ!」
「ングング……そうですよ。それにこれ、ホントにオイシイですヨ?」
仲間達の抗議に、鱗は溜息をついてみせた。
「僕の聞いた噂というのが、それと関係ありそうな話なんですがね?」
狐につままれたような顔で、チャーリーと千代が見詰め合う。
「それというと……」
「芋にゃ?」
「ええ。最近学内で、ある焼き芋が流行らしい、と」
デスクの芋に、ちらと視線を投げて、鱗は顎に手をやる。
「秋だし、別に変じゃないにゃ」
「ただ焼き芋が流行ってるだけなら、問題では無いと思いますがね。話題になっているのは、
『特定の焼き芋』らしいですよ」
「特定の?」
「ええ。他のスーパーや自前の焼き芋ではダメで、『その店の焼き芋』でなければ満足できない、とか」
「単に、その店がメチャクチャ美味いだけでは?」
「美味いのは確からしいですが……」
口ごもりながら、鱗は目を伏せる。
「何にゃ?」
「いくら美味いといっても、ダイエットしていた女の子が、我を忘れて貪るなんて事がありますかね?」
「リバウンドってやつにゃ?」
「……その子、保健室に運び込まれた時は半狂乱だったらしいですよ。『食べたいけど食べたくない』って」

187:イモ! タコ! カボチャ!! ~TrickingTreat 11
08/07/01 21:49:14 3L/KSFz+
異界化でも起きた様に、その場の空気が重くなる。
保険委員の後輩から聞いた話です、と鱗は言った。
なんでもその子の他にも、似たような相談を持ち込む生徒が増えてきているのだとか。
圧倒的に多いのが女子で、ダイエットが失敗しただの、太ってしまっただのといった、美容や健康に関する話がほとんどらしい。
いわく、『我慢しようと思っても、どうしても食べたくなる』。
いわく、『呪われているとしか思えない美味しさ』。
女生徒達からは恐怖を込めて、『悪魔の焼き芋』と呼ばれているらしい。
笑い話のようであるが、中には心を病んで不登校になったり、拒食症になった女生徒もいるとか。

「そして、これが一番、この噂の不気味なところなのですが」
前置きをして、鱗が言う。
「その芋を食べ続けると、10本目辺りから、本当に常軌を逸した太り方をすると言われているのです」
「そりゃ、食べ過ぎれば……」
「確かにサツマイモは高カロリー食品ですが、幾らなんでも、5、6本食べた位で劇的に体型が変わったりはしません。それに太るという事には、
体質からくる個人差があります。計ったように10本目から、というのは、おかしな話なんです」
「それ、実際に太っちゃった人って、いるんデスか?」
「残念ながら、既に2、3人いるらしいです。男子生徒だそうですが……」
「その店ってのは、どこなんだにゃ?」
「深大寺の周囲に出没する屋台、と聞いていますけど」
なんとなく―
特に合図があったわけでは無いのに、その場の全員が、苺を振り返る。

―苺のステータスは、SHOCKから、FREEZEへと悪化していた。

まさに『凍りついたような顔』と言うのが相応しい、軋んだ表情。
大きく剥かれた白目。
瞳孔が縮まって、瞳が点のように浮き出ている。
芋のかけらを口元につけているのが、少し間抜けだった。
「……思い当たる事があるようですね」
「苺、もしかして……?」
やれやれと頭を振る鱗。
パクパクと口だけを動かすチャーリー。
「……食べるの後にしといて、よかったにゃ」
千代の薄情な一言が、やけに大きく、生徒会室に響いた。

188:名無しさん@ピンキー
08/07/01 21:52:49 3L/KSFz+
以上、二回目の書き込みとなります。
書きかけを含めて、ストック分はこれで全て……次回は当分先になりそうです。

……ムウ、コメディも難しいですね。
善処したいと思います。

189:名無しさん@ピンキー
08/07/01 22:47:58 8dWNR4H6
>>177
別に責めてないって。
ただその妄想で今日だけで4発ヌけたから御馳走様という意味で書いただけだYO。
3発目からきつくなってきたから紅巫女のカラーページのスク水並べたけど。
んじゃ、最後にもう1発ヌいて寝るお。

190:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:29:43 pLXkxeTB
これが・・・若さか・・・

191:名無しさん@ピンキー
08/07/02 01:59:39 GHlnSNgp
「コイズミの恋」を読み終えて、
「一緒に宿題やりませんか?」
「私、保健体育が苦手で」
「じゃあ、お願いします!」
と脳内変換したのはナイショだ。
コイズミに手取り足取り腰取り、保健体育を教えこまれるエリス・・・
た、たまらん!

192:名無しさん@ピンキー
08/07/02 22:26:10 ASvvFxYr
>>156さま。
相変わらずの破壊力・・・ラストバトルではどんなエロが・・・ ?
淫乱というよりおバカなノエル笑えるwww
>>188さま。
 コメディ物、難易度高いジャンルだと思いますけど、ぜひ頑張ってくださいませ。
 続きは当分先とのことですが、ギャグもHも期待してます !

ではでは、ちょっと間が空きましたが。


193:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:26:54 ASvvFxYr
 柊蓮司が赤羽神社を訪れたのは、アンゼロットが到着する三十分ほど前のことだっ
たらしい。たまたま任務もなく、家族も不在で暇な一日を持て余していたところに、くれ
はからの連絡があったのだ、という。
 別段たいそうな用件があったわけではなく、「はわ。ただ呼んでみただけ。どーせ暇
なんでしょ。だったら来なさい」という、考えてみれば随分な呼び出しを喰らったという
わけだ。実際、任務やらなにやらがなければこの柊蓮司という男、いたって無趣味な
上に、時間の有意義な潰しかたというやつにも無頓着である。
 自宅のマンションでぼーっとしているよりはマシか、と「ああ、それじゃいまからお前ン
家行くぞ」と、二つ返事をしたというところだった。
 赤羽神社へ行く道すがら、くれはから一通のメールが届き、《ついし~ん。はやくおい
で。いいものみれるかもよ ? 》、と意味深なことを書いてきたのも、実は少し楽しみだっ
たりもする。まあ、あのくれはの言うことだから、と過度な期待はしないものの、それで
もやはり神社へとおもむく足取りは軽く、速くなる。

「待ち合わせよりも、ちょっと早かったかな・・・」
 場所は変わって赤羽神社境内。
 携帯の時刻表示を見ながら、柊蓮司がつぶやいた。
 時刻は午後三時を少し回ったところ。約束の時間が三時半だったので、二十分以上
も早く来てしまったことになる。
 正直、しまったな、と思った。二十分の時間の潰し方が思い浮かばないのである。
 いまどきの若者らしからぬどこか不器用なこの男は、例えば友達と愚にもつかない
メールのやり取りをするとか、携帯電話に備え付けのゲームで時間を潰すとか、そう
いった発想がない。しばし考え、境内までの石段をもう二、三往復してみればどうだろ
う、とか、暇の潰し方を考えているうちに約束の時間が来ないだろうか、などと、なか
ば真剣に無駄な思考を繰り返している。
 さすがにそれはないな・・・とようやく思い至ったのが、十分も経ってからだった、とい
うところが柊蓮司らしい。
「お、随分時間が潰れたじゃんか」
 と、会心の笑みを浮かべて機嫌を良くする所も、この男の愛すべき一面であるかも
しれない。ふと思い立ち、境内のあちらこちらをぶらぶらと歩くことにする。
 歩いてみると、やはり真っ先に目に付くのは奉納の絵馬。
 赤羽神社には参拝客もなかなかに多いので、それだけで一枚の大きな壁が出来上
がってしまうほど。なんとなく微笑ましいものを感じてか、柊がその中の一枚を手に取っ
てみる。合格祈願、恋愛成就、その内容も様々な絵馬の中で、柊が手にしたものには、

《祈・天文部存続 -------- 志宝エリス》

 そう書かれていた。
「神頼みか・・・そんなに深刻なのか、今年の天文部は・・・」
 思わず呟いた柊の視界の片隅で、小さな影が蠢いたのはそんなときだった。
 視線をなにげなくそちらへと。ちょこちょこと、一生懸命にこちらへ向かって走ってくる
のは小さな子供の姿である。思わず口元がほころび、
「ああ、いまでも神社の境内で遊ぶ子供なんているんだなあ・・・」
 そうつぶやいた柊の背中に、なんとも言えぬ悪寒のようなものが走った。


194:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:27:23 ASvvFxYr
(なんか、あの女の子俺に向かって走ってきてねえか ? こっち目指して一直線って感
じだぞ・・・それに、なんというか見覚えもあるし・・・おかしいな、俺、あんなちっちゃな
子に知り合いなんかいねえぞ・・・。でも、見たことある。絶対見たことある・・・。そうい
や、あのくせっ毛、銀髪なんて珍しいな・・・着てる服が輝明学園の制服そっくりだ・・・
ポンチョなんか羽織っちまってまあ・・・)
 このときの内心の動きの鈍さを、後に柊蓮司はこう弁解する。
 ありえないものや認めたくないものは、人間なかなか認識できないものなんだ、と。
 ともあれ、その小さな女の子が至近距離に走り寄ってくるまで、ぼけっと突っ立って
いたというのだから、歴戦の魔剣使いとしてはあまりにも不覚であろう。
 あっ、と思ったときにはもう遅かった。柊の手前、ちょうど一メートルのところで、その
少女は全力疾走からの助走つきジャンプを敢行したというわけだ。つまり、柊蓮司の
脇腹めがけて。
「ぶほおっ !? 」
 みぞおちのあたりに鈍い衝撃 ---- 解説するならば五歳児の全体重を乗せた体当
たり分の衝撃を受けて、柊はそのまま真後ろにひっくり返った。
「お、おごぉぉぉ・・・な、なにしやがる、こ・・・の・・・ガキ・・・・・・」
 仰向けの身体を苦しげに起こしかけ、自分の真上にぴょこんと馬乗りになったその
女の子を叱ってやろうとする。銀色の髪の少女と、見上げた柊の目が合った。

「きゃははは、これだから、ひいらぎれんじはー」

 嬉しそうに笑いながら、自分の腹の上でぴょんぴょん飛び跳ねる少女。
 そのとき初めて柊蓮司は、

「べ、ベルぅっ !? 」

 遅まきながら、そのことに気がついたのであった -------- 。

※※※

「・・・ことの成り行きはわかりました。それで・・・ ? 」
 類いまれなる精神力で平静を装いながらも、わたくしは堪忍袋の緒がぷちぷちと切
れる音を聞いたように思いました。柊さんときたら、あれだけベール=ゼファーと事を構
えた経験を持ちながら、どうしてそこまでこの子の接近を許してしまったのでしょう !?
 わたくしに言わせれば、この子が視界に飛び込んできた瞬間、月衣からご自分の魔
剣を引き抜いて斬りかかろうとしなかったのが、不思議でなりませんわ !! 
「それでって、さっきお前も見たとおりだ。なんか、自分の名前がベルだってこととか、
俺のことが柊蓮司だってことくらいはわかってるみたいなんだが、どうにもそれ以外の
ことがはっきりしねえんだよ。だから、いろいろと聞き出そうと話してみたんだけど・・・
まあ、やっぱこんくらいの子供のいうことは要領を得なくてなー。困ってたところに、お
前が怒鳴り込んできて、待ち合わせてたくれはたちが来て・・・ってなわけだ」
 事の重大さがまるでわかっていない太平楽な顔をして、柊さん。
 しかも・・・・・・相変わらず大魔王を抱っこしたままで !!


195:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:27:52 ASvvFxYr
 わたくしの心の内などわかっていないのでしょうね、きっと。どれだけわたくしが怒り
に打ち震えているか。ああ、もう。さっきからくれはさんたちまでそわそわしています。
 柊さんの腕の中にいるあのぽんこつ魔王を構いたくって仕方がないご様子で。
 プチ魔王に向かってひらひらと手を振ってみせて、愛嬌なんか振りまいて。
 エリスさんなど、こともあろうに一生懸命ご自分の名前を教えながら、
「エ・リ・ス。エリスだよ ? エリスおねえちゃんって言ってみて ? 」
 などと、完全に篭絡されてしまっています。
「はわー、エリスちゃんばっかりずるい~。あたしは、くれは。く・れ・は。くれはだよ ? 」
 ああ・・・・・・頼みの綱が二本とも切れていく・・・。
 でも、だからといってここでへこたれてなんかいられません ! 断固とした態度を取る
べきなのは自明の理ですから ! キッ、と三人をしっかりと見据えながら、
「とにかくその子はこちらで引き取ります。もし、ベール=ゼファーの新たな陰謀だとし
たら・・・」
 と、シリアスにわたくしがキメているのに、
「はわーーーっ !? ちょっとちょっと、だめだよ、この子連れてっちゃダメーっ !! 」
 だの、
「この子なにも悪いことしてないじゃないですか !? 連れてくなんてひどいですっ ! 」
 だの、まるでわたくしを鬼か悪魔でも見るかのような目で騒ぎ立てる、くれはさんに
エリスさん。・・・お二人とも、わたくしのことを普段どういう目で見ているんですの・・・ ?
 それはそれとして、いくらお二人の頼みでも、これには首を縦に振ることなどできませ
ん。断固として、毅然とした態度で接するべきでしょう。
「お黙りなさい」
 氷点下の声色で、わたくしは言い放ちます。
「エミュレイターの、大魔王の姿など、いかようにも取り繕えるものです。いくら愛らしい
姿の女の子だとしても、です。それに、悪いことをしていないとおっしゃいますけど、悪
いことをしでかしてからでは遅い、とは思わないのですか」
 くれはさんを、エリスさんを睨みつけながらいつものように理を説くわたくしの前で、
「は、はわ・・・・・・で、でも・・・」
「だからって・・・あの・・・」
 みるみるしおらしくなるお二人の様子に、少々胸が痛まないでもありませんでしたけ
ど、ここでわたくしが甘い顔を見せては、この世界に重大な危機をもたらすかもしれな
いのだ・・・・・・ということだけは理解していただきたいんです・・・。
 そうそう。ここで一番釘を刺しておかなければいけない方にも、ビシッと言っておかな
ければいけませんね。
「よろしいですわね、柊さん。この子はわたくしが責任を持って連れ帰りますけれど ? 」
 反論など許しませんからね、と言外に匂わせて、柊さんを真正面から見据えます。
 ところが、柊さんときたら、時々こちらの予想とは違う言動をなさるから気が抜けませ
ん。なかば気負いながら、反対されることを前提で柊さんに言葉を向けたわたしくは、
「ああ、それでいいんじゃねーか ? 俺も半分は、賛成だ」
 なんておっしゃる柊さんに、なんだか肩透かしを食らった気分で闘志を削がれてしま
いました。


196:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:28:19 ASvvFxYr
「ひ、ひーらぎっ !? ちょっとそれ本気で言ってるのっ !? 」
「柊先輩までひどいです ! ひんな小さな子を・・・う、うううっ~・・・」
 お二人の矛先が柊さんへ集中します。
「おう・・・・・・って、くれは、破魔弓しまえっ !! エリスも泣くなってっ ! ・・・ったく、お前ら
最後まで話は聞けよっ !! 」
 くれはさんとエリスさんのただならぬ迫力に、柊さんが後ずさります。それにしても、
腹立たしいのは柊さんの腕の中の大魔王。この一触触発の空気をまったく読むことな
く、やたらと楽しそうにきゃっきゃとはしゃいでいるんですから・・・。
「い、いいから聞けっ ! お前らも、冷静に考えてみろよ ? この顔、この格好、俺の名前
が柊蓮司だって知ってて、自分の名前がベール=ゼファーってこともわかってる。たと
え他のことはなにも知らなくても、なにも悪いことはしてなくても、本当にこいつがベル
と無関係だと思うか ? お前ら、本当にそう思うのか ? 」

 ・・・・・・びっくりですわ。
 柊さんのくせに、筋道立てた正論で相手を論破しようとするなんて。
 気色ばっていたくれはさんたちも、意外といえば意外すぎる柊さんの変化球に、言葉
をつまらせています。まあ、わたくしさえも驚いたのですから、お二人の胸中はいかばか
りか・・・といったところでしょうね。

「でも・・・・・・でもさぁ・・・ひーらぎぃ・・・」
「柊先輩ぃ・・・・・・」
「あーーっ ! そんな目で見たって、こればっかりはしょうがねーだろ !! こいつが、どうい
う関係かは知らねーけど、あの大魔王ベール=ゼファーとつながってるのはまず間違
いないってことだっ !! 」
 言い切る柊さんを恨めしげに見つめるくれはさん。悲しそうな涙目で見つめるエリス
さん。ちょっと意外な思いに打たれて言葉を失っているわたくしのほうをちらりと見て、

「・・・・・・と、ここまでが、アンゼロットに賛成する、俺の半分の意見だ」

 ・・・・・・ほーら、来ましたよ。あらあら、またいつもの甘ったるい理想論を振りかざして
わたくしのことを困らせる、いつもの柊さんの顔になっているじゃありませんか。
 でも、そのことが。そのことのほうがなんだかわたくしには嬉しくて。
「・・・半分、とはどういうことでしょうか」
 自然とわたくしは挑戦的に、柊さんに言葉の続きをうながしたのです。
「ほんの十数分かも知れねえが、俺はこいつと一緒に二人きりでいた。だけど、その
間エミュレイターの気配とか、危険な感じとかはまるでなかったことは確かだぜ。だか
ら俺には、こいつがアンゼロットの言うような危険なやつだとは思えねえ」
「・・・ひーらぎ・・・」
「柊先輩っ、そう、そうですよっ」
 くれはさんとエリスさんの好感度をしっかりとアップさせておいて、柊さんが続けます。
「直感って言われればそれまでだがな。だから俺は、お前がこいつを連れ帰ってどう
こうしようっていうんなら、それは反対だ」
 そこまでいうからにはそれなりの覚悟はおありなのかしら、柊さん ?
「だから、アンゼロット。お前に頼みたいのは、こいつを連れていくにしてもきちんと調
べて、身の潔白を証明してやって欲しいんだ」


197:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:28:51 ASvvFxYr
「・・・身の潔白を証明、ですか ? つまり本心では、その子が潔白であると、もう柊さん
の中では決定しているんじゃありませんか」
 わたくしの皮肉にも動じることなく ---- というか皮肉が通じていないようで。
「ああ。俺はそう信じてるぜ」
 力強くそんなことをおっしゃいます。なんて、甘い。毎度のことながらこちらが呆れは
てるほどの甘ちゃんっぷりですわね。こんな柊さんだからこそ、意地悪なことも言いたく
なるというもので。
「それで、もしその子がベール=ゼファーとつながりのあるエミュレイターだとしたら・・・」
 それに対する柊さんの返答は、わたくしの予想と一言一句違わぬものでした。
「そん時は、一番最善の方法を、俺たちみんなで考えるんだ ! 」
 後ろでくれはさんとエリスさんが何度も何度も、うんうんと頷いています。
 はあ・・・・・。柊さんという方は本当に・・・。わたくしの知る、一番有能で、一番扱い
やすくて、一番厄介なウィザードなんですから、もう・・・・・・。
「調べてもらうからには、俺たちもついていくぜ。調査の結果もお前と一緒にきくから、
そのつもりでいろよ。俺たちに黙っておかしなことはすんなよ、絶対に。これが、こいつ
を引き渡す条件だ」
「・・・・な、なんて条件を出すんですの !? そんな勝手な・・・」
 激昂するわたくしに、柊さんが溜息混じりに言います。
「引き渡したくても引き渡せねえだろ、これじゃ」
 苦笑しながら柊さんが、ご自分の腕の中を目線で示すと。

 大魔王の姿をした小さな女の子は、柊さんの胸元にしっかりとしがみつき、親から引
きはがされるのを拒む子供のように、小さく震えているのでした ---- 。

※※※

 柊さんに言いくるめられたようで癪なのですが、結局わたくしは言うとおりにせざるを
得なくなってしまいました。
 いくらなだめすかしても、コイズミが柊さんの腕からあの子を引き剥がそうとしても、
頑としてそれを受け入れないのです。哀れコイズミなど、手を伸ばした途端に思い切り
指を噛まれ、情けない悲鳴を上げていました。つまり、ロンギヌスの精鋭たるコイズミ
に、“歯で噛むことで”ダメージを与えられる力を持っている、ということです。
 このことに柊さんたちが気づいているのか、はたまた気づかないふりをしているのか
はわかりませんけれど、ね・・・・・・。
 ともあれ、わたくしたちはわが宮殿へとやってきました。
 あれだけ駄々をこねていた大魔王が、
「しょーがねーんだよ。わかってくれ。な ? 俺も一緒に行くから、さ」
 と、柊さんが言うと、しぶしぶながらもこくりこくりと頷くのですから余計に腹が立ちま
す。こうして、くれはさんやエリスさんも同行して、宮殿のテラスでお茶を飲みながら、
いまこうして時間をつぶしているというわけです。
 ロンギヌスの魔術師たちを総動員しての、あのプチ魔王の調査結果を待つ間。
 本日のお茶は、ちょっとひねりはありませんが、フォートナムアンドメイスンのダージ
リンエクストラ。とはいえ、最高級品の茶葉を最高の腕前の給仕が淹れているのです
から、お味の方は格別です。


198:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:29:21 ASvvFxYr
「そろそろ、ですかしら・・・・・・」
 時刻はすでに調査開始から三時間をとうに過ぎ。
 柊さんが、紅茶を風情なくガバ飲みして、三つ目のティーポットが空になった頃。
「お待たせしました。アンゼロットさま」
「待ちかねましたよ、コイズミ」
 場の緊張感が高まり、コイズミの報告を待ちかねる柊さんたち。誰からともなく、ごく
りと生唾を飲む音が聞こえました。
「えー・・・なんと申し上げていいものやら・・・」
 言葉を濁して、ちらりとこちらを見るコイズミ。
「なんですの ? 早くなさい」
「ははっ。それでは・・・調査結果を報告いたします。まず、あの少女の発する魔術波の
波長ですが、我らロンギヌスにおいて観測保管されている、大魔王ベール=ゼファー
の放つ特有の魔術波と、完全に一致しております。つまり、この一点においては、あの
少女はベール=ゼファーと同一存在であることが証明されました」
「同一存在 ---- というよりも、彼女はベール=ゼファーの写し身なのではありません
か ? 」
 当然の疑問をわたくしは口にします。魔術波だけを観測するならば同一存在、という
奥歯に物の挟まったような言い方が、どうにも解せません。あの子が大魔王と同一存
在と言われて、緊張に強張った柊さんたちもその点は気にかかったようで、コイズミの
報告をじっと待っています。
「いいえ。あの少女が大魔王の写し身であるとするならば、疑問点がいくつか。まず、
あの通常時と異なる少女態形に関しては、エミュレイターがどのような姿をとろうが論
ずるにはおよびませんので、この際、問題とはしません。ただ、柊様のおっしゃってい
た、柊様と自分のこと以外の認識がない、という点に関しては、なぜベール=ゼファー
が自身の写し身にそのような記憶の操作を施したのか。または、それは単なる事故か
イレギュラーなのか、という疑問が残ります」
「その疑問の答えを後回しにしたとしても、結局あの子はエミュレイターなのではあり
ませんか ? それならば ---- 」
「あ、違います。エミュレイターではありません。あの少女は、エミュレイターではありえ
ませんから、その点は誤解なきようお願いいたします」

 ・・・・・・・・・。

「「「「 は ? 」」」」
 
 恥ずかしながら、柊さんやくれはさん、エリスさんと一緒にこのわたくしまでもが、コイ
ズミの予想外の報告に、間の抜けた疑問の声を発してしまったのです。
「そ、それってどういう意味なんでしょう、コイズミさん。私、混乱しちゃいそうで・・・わか
りやすく説明してもらえませんか ? 」
 おずおずと、教室で教師に質問を求める生徒のように手を挙げるエリスさんに、
「はっ。これからご説明いたしますので、しばしご清聴を願います、エリス様 !! 」
 背筋を伸ばしてやたらと張り切って返事をするコイズミ。なんだか、わたくしに対して
よりもずっと敬意を払っているように見えるのは気のせいかしら・・・。


199:第二次ベル VS アンゼロット戦 (?)
08/07/02 22:30:12 ASvvFxYr
「さまざまな調査や実験の結果をご報告いたしますと、まずあの少女はエミュレイターが
エミュレイターたる所以・・・月匣を展開することができません。加えて、プラーナを吸収
する能力も持っていないのです。かつ、体細胞を摂取・分析した結果、その身体は我々
人間となんら変わりなく、年齢とともにあの姿から人間と同様の成長をおこなうであろう
ということがわかりました」

 ???????
 つ、つまりそれはどういうことですの・・・ ? まさか -------- 。

「かつ、精鋭の夢使いたちによる深層心理調査も含めて端的に申しあげますと、以下
のように言えるかと」
 ごくり。思わず四人揃って身を乗り出してしまいます。

「簡潔に申し上げますと、あの少女は ---- 大魔王ベール=ゼファーによって産み出
された写し身でありながらエミュレイターではなく、その身体調査からは人間となんら
変わりないとはいえ、魔力を持っている以上はウィザードである。すなわち、ベール=
ゼファーによって生み出された後、かの固体とは別の独立した自我を持つようになっ
たウィザードの少女である、というのが調査の結論です」

「そ、そんなことがありえるのですか ---- ? 」
 おもわず茫然自失と言葉を漏らしてしまい(不覚ですわ ! ) 、その直後にハッ、と気づ
きます。
 もしも、ベール=ゼファーの産み出した写し身が、なんらかの不慮の出来事によって
通常の姿からかけ離れた姿を取るはめになり、かつ彼女の制御下から離れるようなこ
とになったとして。仮初めの自我を得た写し身が、大魔王の下から自由になりたい、エ
ミュレイターをやめたい、と願ったとしたら・・・・・・。
 それは可能なことでしょうか ?
 当初は写し身であった以上、その能力はおそらく大魔王に準ずるもの。
 大魔王に準ずる力を持ったものがそんな願いを叶えたい、と思ったら。
 “大いなるもの”が、そんな“小さな奇跡”を願ったとしたら・・・。

「・・・ありえないことでは、ありませんわね」

 おもわずつぶやいてしまったわたくしの顔を、くれはさんとエリスさんが揃って覗きこ
んで。
「はわわー ! それじゃ、あのコ、エミュレイターじゃないんだねー ! 」
「なにもしませんよね !? なにもしないですよね !? 」
 きっと、わたくしは苦虫を噛み潰したような顔をしていたのではないでしょうか。なに
げなく視線を柊さんのほうへ向けると、実に嬉しそうなしてやったりという顔をして。

 わたくしもついに、折れることを認めざるを得なかったのです -------- 。

(続)


200:名無しさん@ピンキー
08/07/02 22:31:25 ASvvFxYr
・・・説明文多くて長く感じたらスイマセン。
相変わらずエッチシーンの到達までは気長に待っていただくことになるかと
思いますが・・・。
では、また。


201:名無しさん@ピンキー
08/07/02 23:21:24 vdIO/b5j
ぐっじょぶです。
コレはアレか。ロリ魔王ブームか。

202:名無しさん@ピンキー
08/07/03 01:14:17 u9e3R21Q
いつもGJです。こういう原作っぽい描写のしっかりしてる作品は、
自分的にはかなり好み。Hシーン外もきっちり楽しんでます


そしてアンソロ読んで、コイズミ×エリス普通にいいんじゃね?と思った俺がいる

203:名無しさん@ピンキー
08/07/03 01:16:15 /OZVybRT
コイズミって二十歳なんだよな
まぁマスクだから顔見えないだけではずしたら普通に美形の兄ちゃんかもしれんが

204:名無しさん@ピンキー
08/07/03 01:21:24 8zKQoTOI
FEARの新しいサプリが売ってたので買ってみたが・・・
追加スキルのところ見て吹いちまったぞ、戦艦の装甲版とか大艦巨砲とかw

読参時代にもそんなこと言ってたからまさかと思ったら、流石きくたけ…ネタとしては最高だった
しかも、性別制限がないって言うのがちょびっと恐怖を煽られたぞw

205:名無しさん@ピンキー
08/07/03 11:09:25 kfBxj3jS
輝く腹筋と盛り上がった胸筋(相応品)

206:名無しさん@ピンキー
08/07/03 12:18:35 N08mPSot
(女性の)輝く腹筋と盛り上がった胸筋(相応品)


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