【ご主人様】メイドさんでSS Part5【召し上がれ】at EROPARO
【ご主人様】メイドさんでSS Part5【召し上がれ】 - 暇つぶし2ch335: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:12:09 zoLo3o0B
『メイド・小雪 7』


年が明けて最初の交流会は、持ち回りの順でうちが主催することになっていた。

参加するのは、旧華族だの財閥だの成り上がりだの、いわゆる家柄や資産のある家の年頃の若者。
若いうちから人脈を作るのが目的で、その気になれば手っ取り早く結婚相手を見つけることが出来る。
同世代が集まるから昔からの幼なじみも多く、ちょっとした社交界めいたものである。

父の代かそのちょっと後くらいまでは、南の島を貸しきってヨット遊びをしたり、ヨーロッパの別荘で狩猟をしたりという、暇とお金を使うことが上流の証拠、みたいな交流会が盛んだったらしい。
でも今は、気取った振る舞いと格式そのものを楽しむようなブルジョワな集まりは敬遠される。
で、もっぱら最近は日帰りが可能な場所かせいぜい1、2泊で、人気のマジシャンを呼んだディナーショーみたいなものや、わざと田舎風にしたガーデンパーティーや、海辺のコテージでキャンプの真似事のようなものが多い。
もっとも、それらにも正式な招待状が届くし、暗黙のルールやマナーも盛りだくさんなわけだけれど。

今月は、うちの別荘をそっくり改造してどこかのテーマパークのお化け屋敷のようにし、一晩泊まってそこを歩きまわったり所々に用意されたテーブルで軽食や会話を楽しんだり怖がったりするという、ぼくから見れば軽く悪趣味な催しになるようだ。
もちろん、それを計画したのは主催者たるぼくの兄であって、ぼくではない。
「暗闇でどこかの令嬢に抱きつかれたり、手を引いてやったりぐらいはお前でもできるだろう。明るいところでよく顔を見てかわいいのを選んでおけよ」
とは、さすがに兄らしい助言。
そう言う兄自身、そろそろと父に言われたらしく、交流会でも未来の妻を探す気になったようだった。

イベント色の強い今回は、幼稚園から大学までずっと一緒、という腐れ縁の倉橋家の長男・聡も、楽しみにしている。
「直之自慢のメイドは?会場にいるんだろう?」
「誰のことだよ」
「新しい担当メイドだよ。どんな子だ?」
「どんなって、聡の好みじゃないよ」
まったく、なぜそんなに人の家のメイドが気になるんだ。
だいたい、交流会で主人が家を空ける日は、担当メイドにとって数少ない完全休日になっている。
とはいえ、三条市武さんと結婚した初音に、元メイドだと誰かが指さすような事がなかったように、もし聡がうちのメイドの誰かを妻にしたところで、「倉橋の社長も息子には鷹揚な」で済む。

家が格式にとらわれすぎなかったり、次男か三男だったりした場合、当主の息子や孫がメイドと結婚することはあまり珍しいことではないのだ。
メイドというのは、まったくの庶民階級で育ったお嬢さんなどより、よほど上流階級のしきたりに通じているし、礼儀作法も身につけているものだ。
うちはメイドの教育には定評があるし、初音に限らず、他家に望まれるメイドも多かった。
しかし、自分の家のメイドは手を付けることがあってもあくまでメイドであって、そのまま妻にするという前例はないようだ。

兄が企画したばかばかしいような楽しいような交流会は、悪ふざけの大好きなお坊ちゃんや世間知らずのお嬢さんたちに概ね好評のうちに終わった。
交流会といえば会場の隅に陣取って入れ替わり立ち代り寄ってくるご令嬢を愛想よく、かつ適当にあしらっているだけの兄も、さすがに幹事らしくあちこち歩き回ってみんなの世話をやいていた。

ぼくは聡やほかの幼馴染たちと女っ気なしで夜通し遊び話をし、酒を飲んだ。
そのほうが、楽しかったのだ。
交流会の後、まっすぐサークルの合宿に合流し、ぼくが屋敷に帰ったのはさらに三日後だった。


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