【ご主人様】メイドさんでSS Part5【召し上がれ】at EROPARO
【ご主人様】メイドさんでSS Part5【召し上がれ】 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
08/08/20 14:08:26 26SRD1Tv
「メイド・初音」のせいもあって小雪のビジュアルがリンにしか思えなくなりました

301:名無しさん@ピンキー
08/08/20 16:04:53 OtUlfvVX
>>300
ちょっと待て俺も頭から離れなくなったじゃないかw

302:名無しさん@ピンキー
08/08/20 20:03:02 DK23Fedr
>>300
リンがわからない自分に教えてエロい人。

303:名無しさん@ピンキー
08/08/20 20:04:04 26SRD1Tv
ボカロの鏡音リン

可愛いからいいけどさw

304:名無しさん@ピンキー
08/08/20 21:04:05 DK23Fedr
㌧!www

305:名無しさん@ピンキー
08/08/21 00:36:18 sc3E1Fqr
リンと聞いてFM5しか浮かばなかった俺

306:名無しさん@ピンキー
08/08/21 08:39:35 7/chdN49
リンと聞いてカイフン兄さんしか浮かばなかった俺涙目w

307:名無しさん@ピンキー
08/08/21 09:02:27 PsuAf9ZP
何故そこで兄さんの方なんだw

308:名無しさん@ピンキー
08/08/21 12:09:12 VoF0GRkB
カイ

309:名無しさん@ピンキー
08/08/21 12:13:33 VoF0GRkB
カイ糞氏ね

310:名無しさん@ピンキー
08/08/22 20:12:01 HfusPOt7
Maid in Japan

311: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:38:08 3xX161yc
『メイド・小雪 7』

十二月に入ると、朝の着替えのときに小雪が薄手のセーターを出してきた。
大学はもう暖房が入っているし、ぼくはそんなに寒がりじゃない。
だいたい、カッコ悪いじゃないか。
「そうでございましょうか。でも、もし直之さまがお風邪などお召しになりましたら…」
心配する小雪の頭を撫でてやる。
「いいよ、じゃあ来週になったらセーターを着る」
「は、はいっ」
小雪は嬉しそうにセーターをしまい、かわりに厚地のシャツを着せ掛けた。
まあ、このくらいは心配性の小雪に免じてよしとするか。
「あ、あの、クリスマスパーティーのお召し物でございますけれども」
シャツのボタンを留めながら、小雪が言う。
「今日、出来上がってくる予定でございます」
「ああ、そう」
「タイとカマーバンドは、ご用意したものでよろしゅうございましょうか。あの、カフスボタンは今お持ちのもので」
「うん、いいよ。小雪にまかせる」
「…はい」
小雪がぼくの担当メイドになってから、正式なパーティーに出席するのは初めてだ。
年末は、大学のクリスマスコンパといったものから、交流会のメンバーが集まる若手のパーティー、グループ会長である父が主催する正式なものまでが立て続けにある。
クリスマスが終わっても、小雪たち使用人は年越しと正月の準備に大忙しだ。
やることがたくさんあって、小雪の頭は最近やや混乱状態のようだった。

しばらく前に、今までのタキシードを着てみたところ、あちこち身体に合わないことがわかった。
背が伸びたのかなと思いながら、仕立て直すことにしたのだ。
「お背が伸びたと申しますより、お体が出来てまいりましたのですね。筋肉が増えて、たくましい大人の体型におなりです」
たテーラーの職人がそう言っていた。
そのタキシードが出来上がってくるのだろう。
「お靴は、ストレートチップでよろしゅうございましょうか…」
小雪の頭の中は、クリスマス期間にぼくが着る服のことでいっぱいのようだった。
正式な場であればあるほど、主人の装いには担当メイドの実力が試される、と脅かされたらしい。
ぼくは小雪の頭にもう一度、手を乗せて撫でた。
「それでいいよ。ありがとう」
小雪が着せてくれるのなら、ぼくはメイドの制服でだってパーティーに出る。

312: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:40:07 3xX161yc
その日の授業のあと、聡が買い物に付き合ってくれというのでぼくは一度家に帰ってから、倉橋家の車で出かけることになった。
予定外の行動だったので、小雪はお使いででも屋敷を空けているのか、出迎えに出なかった。
物足りない気はしたが、屋敷に入って着替えるわけでもない。
そのまま、迎えの車に乗り換えて走り出したとき、裏玄関のほうで小雪らしいメイドの姿がちらっと見えた。
ああ、すれ違いになったな。
そう思ったとき、小雪が一人ではないのに気づく。
やけにひょろっとしたその立ち話の相手は、使用人の誰かだろうか。
主人の帰宅にも気づかないほどの、なんの用があるんだ。
帰ったら、みっちり叱ってやろう。
うん、ひとつ楽しみができた。

で、聡がなにを買うのかと思えば、最近始めたというゴルフのウェア。
この寒いのに、ゴルフ。
誘わないでくれるといいな、と思っていたら、まだそんなレベルではなく、冬のうちに練習して春にコースデビューをするんだそうだ。
「直之はどれくらい飛ばす?あ、いいパターがあれば教えてくれよ。シューズはさ…」
などと言いながら、デパートの売り場を歩きまわり、そうそうに飽きてきたぼくはふらふらと別の売り場を見たりする。
選び終えた聡は、それらを家に届けるよう店員に言い、ぼくを引っ張ってエスカレーターに乗る。

「もう十分買ったじゃないか」
「違うよ、本命はこっちなんだ。うちの人間は今日ぼくがここに来たのを知ってるからね、今のはカモフラージュだよ」
そんな小細工をしてまでなにを買うつもりなんだ。
連れて行かれたのは、アクセサリーやバッグで有名なブランドのブース。
聡が時計好きなのは知っているから、ここでまたなにか買うのかと思うと、しきりにケースを覗いている。
奥から飛んできた店長らしい女性が奥へと勧めるのを片手を振って断り、ぼくを手招きした。
「これ見てくれよ。今年の新作なんだ」
「変わった趣味だな。似合うとは思うけど」
聡が指差したのは、クロスのモチーフに三つダイヤが光る、ネックレスだった。
「…直之。ぼくがこんなものを付けていても、お前は友達でいてくれるのか」
ぼくは笑いをこらえている店員の視線を感じながら、聡に向かってキッパリ言った。
「努力するよ」
ついに店員がこらえきれなくなり、聡も笑った。

「理奈だよ。クリスマスにこれを欲しがってたんだ」
理奈というのは、聡が夏ごろから付き合っている女子大の女の子だ。
あいにく、交流会で会うような令嬢ではなく、父親はサラリーマンで、母親はコンビニでパート、弟は高校を中退して音楽活動、といった家柄らしい。
グループ企業の一つを任される社長として跡取り息子に常識的な期待をしている親には、紹介できないだろう。
店員に言ってケースから出させ、確認してからカードでなく財布から現金で払って受け取った。
…なかなかいい値段がする。
聡が財布から出した札の枚数を見て、ぼくはちょっと感心した。
こういうものを、欲しいと言える理奈という女の子は、やはり聡の財布目当てで付き合っているんだろうか。
確か、ついこの間も誕生日だとか言ってバッグを買ってあげてなかっただろうか。
玉の輿でも狙っているんだろうか、でも聡はサラリーマンの娘とは結婚しないだろうし、などと勘ぐる。

ネックレスがラッピングされている間に、ぼくは順にケースの中を覗いてみた。
指輪やピアス、ネックレスにブレスレットといったアクセサリーが並んでいる。
プレゼントですか、と店員が声をかけてきた。
さっとビロード張りの台の上に幾つかの商品を並べてみせる。
「今、このシリーズが若い女性に人気なのですよ」
ピンクゴールドだというそのペンダントトップは、ころんとした球体に幾つかの突起があって、どの角度からもなんとなく雪の結晶のように見えるデザインで、上に小さな羽根とダイヤがついている。
確かに、かわいい。
ぼくがそれを見ていると、店員は手早くそのペンダントトップに細いチェーンを通して、自分の胸元に当てて見せた。
天使の羽のついた、小さくて丸い雪の結晶。
「…それを」
気づいたら、言っていた。
手の平くらいの紙袋を受け取ったぼくを、聡が笑いながら見ていた。
「なんだよ、隅に置けないな」
「…衝動買いだ」
天使の結晶4つぶんくらいの値がするネックレスを買った聡が、ぼくが指先に引っかけている紙袋を覗き込む。
「誰にだよ?」
ぼくは、返事を濁した。

313: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:40:59 3xX161yc
家に帰ってから、風呂に入っている間に見つかるように、わざと上着のポケットにネックレスの紙袋を押し込んでおいた。
しかし、主人の持ち物を勝手に見たりしない躾のいいメイドである小雪は、そのまま上着の埃を払ってクローゼットに片付けたらしかった。
風呂から出て、少しがっかりしながらクローゼットを開けたぼくの後ろから、小雪が背伸びして髪の毛からしたたる水を拭こうとする。

ぼくはポケットから紙袋を取り出すと、指一本でひっかけて、小雪の目の前にぶら下げた。
「小雪にあげるよ」
小雪はいつものように首をかしげた。
「小雪に、いただけるのですか?」
タオルと紙袋を取り替えて、ぼくは小雪の嬉しい顔を想像する。
「うん。ほら、見てごらん」
紙袋を開き、リボンを解いて箱を開けた小雪が、小さな悲鳴を上げた。
「え、どうした?」
もしかして雪の結晶が死ぬほど嫌いとか、天使の羽アレルギーとか?
小雪は両手で箱を持ったまま、ぼくを見上げた。
「あの、なにかお間違えではございませんでしょうか。ほんとうに、これを小雪がいただいてもよろしいのでございましょうか」
「もちろん、そのつもりで買ったんだけど。気に入らないかい?」
「とんでもございません!とても、とても素敵で…小雪は、驚いて」
もう、泣いている。
ぼくは小雪の頭のてっぺんにキスした。
「ちょっと早いけどね。メリー・クリスマス」

そういえば、小雪になにか買ってやったことなど今まで一度もなかったんだな。
……あれ、小雪の誕生日って、いつなんだろう?
触れることも出来ずに箱の中を見つめている小雪の後ろに回って、ネックレスをつまみ上げ、細い首に回してつけてやった。
「うん。いいんじゃないか。そこの鏡で見てごらん」
クローゼットのドアの内側についている鏡の前で、小雪が身動きせずに見入っている。
「きれい……」
「小さい雪の結晶みたいだろ?見た時すぐに小雪にぴったりだと思ってね」
「そんな…、もったいない…」
ぐすん、と鼻をすする。
「泣くことないじゃないか。気に入ったんならつけてなさい。仕事中は襟の中に入れてしまえば見えないだろう?」
鏡を見ながら、小雪がそっと指先でピンクゴールドの結晶に触れる。
「でも、こんな素敵な…、小雪などには」
「いいんだ。ぼくが、それを小雪につけさせたいと思ったんだ。小雪の喜ぶ顔が見たいんだよ」
後ろから肩を抱いて、鏡の中の小雪を見る。
「似合うじゃないか」
そう言うと、小雪はやっとはにかんだ笑みを浮かべて、頷いた。
「あの、あの、あ、ありがとうございます……」
「うん」
「あの、でも、小雪には、お礼できるようなものが」
ぼくは小雪の頭に手を乗せて、ぽんぽんと軽く叩いた。
「うん。お礼はね。小雪でもらうから」
意味がわからないようにぼくを振り仰いだ小雪が、たっぷり5秒考えてからぼんっとなった。

314: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:41:48 3xX161yc
「あのあのあのっ」
小雪が、パタパタと両手を振ってペンギンになる。
「喜んでくれて、ぼくも嬉しい」
小雪のこめかみの辺りを両手で挟んで、真っ赤な顔を上向かせた。
「あ、あの、あのあの、こっ、小雪は、あの」
「うん?」
「小雪は、小雪のいないところで、直之さまが小雪のことを思い出してくださったのが、一番嬉しゅうございます…」
ぼくは小雪の顔を挟んだまま、額に唇を押し付けた。
小雪は小さいから、立ったままだとどうしてもそうなる。
ぼくは小雪の両手を取ってソファに座った。
小雪を見上げる。
「ね、小雪。ちゅーして」
「え、え、え!」
上を向いて目を閉じる。
「あの、あの、あの」
「早く」
「は、はい…」
じっと待つ。
「失礼いたします…」
顔の近くで、小雪の声がした。

ぷるん。

小雪の唇が一瞬押し当てられ、すぐに離れた。
目を開けると、小雪がすぐ近くでぼくを見ていた。
「もう一回」
言うと、また小雪の顔が近づいてくる。
ぼくは握ったままの小雪の手をぐいと引っ張った。
「んきゃ…!」
腕の中に転がり込んできた小雪を受け止める。
「あのね、小雪、このペンダントね、チェーンが別売りだったんだよ」
「むきゅ…、しゃ、しゃようでごじゃいましゅか」
「今のちゅーはすっごく嬉しかった」
「きゅ…」
「でもさ、これってチェーン分くらいかな?まだ本体の分のお礼がさ」
「……」
「小雪?」
小雪がぼくの胸の中で窒息しそうになっていた。
「小雪、小雪!」
「むきゅ…、ひゃ、ひゃい」
腕を緩めると、小雪がくたっとしていた。
「ごめんごめん。悪かったよ、許しておくれ」
「ひえ、あろ、ひょんでもござ、ございません」
背中を丸めるようにかがんで、顔を上げた小雪の唇にキスした。
「お詫びに」
制服の上から、胸元をつつく。
「いっぱい、いいことしてあげるから」
ぼんっとなった小雪が両手で顔を覆った。
「ふぇ…」
ぎゅっと抱きしめると、小雪の髪から太陽の匂いがした。
鼻を押し付けみて、ああ、小雪は今日外出してたんだな、と思う。
ん。
待てよ。

315: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:42:53 3xX161yc
「小雪、今日ぼくが学校から帰ってきたとき、いなかったね」
「は、はい、申し訳ございません。ちょうど裏のお庭のほうにおりましたものですから…」
急に言われて驚いたように、小雪が顔を上げた。
「うん、いいんだ。車を置きに来ただけだし、すぐ出かけたからね。だけど、庭で誰かと話をしていなかったかい?」
ぼくの腕の中で小雪が身体を立て直して、首をかしげた。
「あの、あ、はい、お話をしておりました」
「誰?」
「葛城さんでございます」
「執事の?いや、他の人と話さなかったかい」
葛城も背は低くないが、ぼくが見たのはもっとひょろひょろした感じだったし、もっとずっと若い。
「いえ、あの、葛城さんでございます。あの、葛城康介さんでございます」
ちょっとわからない。
葛城は、康介なんて名前だったっけ。
「あのあの、申し訳ございません、あの。小雪がお話しておりましたのは、葛城さんの息子さんでございまして、あの、近々、お屋敷にお勤めなさるということでございましたのですけれども、あの」

思い出した。
そういえば、しばらく前に父が言っていたような気がする。
葛城の息子が、執事見習いで勤めることになったと。
あれがそうか。
しかし、あんなもやしみたいな体格で執事の激務がこなせるんだろうか。
父親の葛城は柔道と剣道の有段者で、いかにも頼りになりそうだけど。
だいたい、正式に勤めてもいないうちから屋敷の庭に入り込んで、主人家族に挨拶もなしにメイドとおしゃべりとはなにごとか。

「あの、あの、直之さま?」
ぼくがぎゅっと抱きしめたまま黙ったので、小雪はソファの上で手をパタパタした。
「なんか、やだ」
「は、はい?」
「いや。なんか、やだって言ったんだ」
「あ、あの」
「葛城の息子となにを話してたの」
「あ、あのあの、メイドは、お休みはいつなのですとか、お仕事は何時までですとか、そのような」
なぜ、そんなことを聞くんだ。
小雪は、朝までぼくと一緒にいるんだ。一日の終わりなんか、ない。
「あのあの、あの、いけませんでしたでしょうか…」
ぎゅう。
「むきゅ…」
「小雪はぼくの出迎えより、葛城の息子とおしゃべりしたかったんだね」
「ひょ、ひょんな、ひょのようなこと!」
だんだんムカムカしてきた。
「なんだよ、小雪のばか」
言葉と裏腹に、ぎゅうっとする。
「ふぇ、ええ?!」
小雪がパタパタと暴れた。

ぼくが出かければ、小雪は他のメイドと一緒に仕事をするけれど、普段ぼくが家にいる限り、小雪はぼくのそばにいる。
つまり、ぼくは小雪が他の使用人たちとどんなふうに接しているかを見ることはない。
今回みたいなことがないかぎり。
もしかして今までも、小雪に色目を使ったりする奴がいたのかもしれない。
康介みたいな若い男がこの屋敷に一緒に住めば、たくさんいるメイドの中から小雪に目をつけないとは限らないじゃないか。
もしかして、もう目をつけたのかもしれない。
それが、三条市武さんに感じたものとはまた違う種類の嫉妬、やきもちであることはぼくにもわかっていた。

316: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:44:04 3xX161yc
「で、なんて答えたの。お休みとか、仕事の終わる時間とか」
小雪が苦しそうにパタパタしたので、腕を緩めて膝の上に抱きなおす。
「あの、小雪は直之さまの担当メイドでございますから、そういうのは決まっておりませんと」
「…ふうん。葛城の息子はなんて?」
小雪は、ぼくの胸にほっぺたをくっつけた。
「あの、よくはわからないのですけれど、労働基準…なんとかが、どうですとか」
見習い未満のくせに、なまいきなことを。
「それで?」
小雪は、ちょっと考えた。
「その、小雪もちょうどお使いに参るところでございましたので、そのくらいでございますが…」
それから、小雪は心配そうにぼくを見た。
「あの、やはり、いけませんでしたのでしょうか」
「いけないに決まってるじゃないか」
小雪がわけもわからず不機嫌なぼくに、当惑している。
「申し訳ございません…」
そんな、耳にタコができるほど聞いたセリフでは許せない。
「だめ。小雪は、葛城の息子に話しかけられても、おしゃべりしちゃいけないよ」
「は、はい?」
理由なんか、うまく説明できない。
「…なんか、やだから」
「はい…?」
しゅる、っと小雪の胸元のリボンをほどく。
腰に手をかけてくるっと後ろを向かせると、背中のファスナーを下げた。
「あ、あのあのあの」
「お仕置き」
「え、え、え」

制服を床に落として、白い下着に包まれたお尻に手を当てた。
「イチゴじゃないんだね」
メイドは制服だけでなく、仕事中の下着は白と決まっているらしい。
「あ、あのあの」
「イチゴじゃなきゃ、だめ」
ほんとうはそれほどイチゴにこだわるわけじゃない。
白だろうが赤だろうが、小雪がどんなぱんつをはいてたって、かわいいに決まっている。
ただ、ちょっと小雪を困らせたい。
困ってぼくを見る、小雪の顔が見たい。
「ははははははい?」
小雪が、ぼくの望んだとおりの表情で顔を上げた。
うん。かわいい。
ぼくは小雪の制服のワンピースを肩の上に引き上げた。
「ほら、部屋にお戻り」
ファスナーを上げて言うと、小雪はびっくりした顔になる。
「…え」
さっと顔から血の気が引いていくのが見てわかった。
ぼくがほんとうに怒って出て行け、と言っていると思ったのがわかる。
みるみるうちに今にも泣き出しそうな顔になった。
落ちそうな制服を押さえて、ふるふると震えている。
ぼくは急いで小雪を抱きしめた。
「違う、違うよ、ばか。部屋に戻って、イチゴのパンツを持っておいでって言ったんだよ。前に見せてくれるって言ったじゃないか」
ぼくが、小雪のことを怒るわけがない。
小雪だってぼくのことを怒ったことがないのに。
「…むきゅ」
小雪が苦しそうに鳴いた。
「び、びっくりいたしました…、小雪は、ほんとうに、いま、ちょっと、心臓が、止まってしまいました…」
少しだけ腕を緩めてやると、小雪は鼻をすすりながら、途切れ途切れに言った。
「…ごめん。ほんとうに、ごめんよ」

ぼくはなんて器の小さい男なんだろう。
小雪が執事の息子とほんのちょっと立ち話をしただけで、こんなにやきもちをやくなんて。

317: ◆dSuGMgWKrs
08/08/24 17:45:51 3xX161yc
「ほら。行っておいで。急いでね、ぼくを長く一人にしないでくれるだろ?」
ほっぺたを両手で挟んでそう言うと、小雪はやっと安心した様子を見せた。
「……はい」
ぼくの手の中で小雪がはにかんだように笑った。
「小雪」
「はい」
手を離さないぼくに、小雪がちょっと小首をかしげた。
どうしても、ひとつだけ聞いてみたくなった。
「ね、小雪。ぼくのこと、好き?」
「あ、あのあのあのあのっ」
ぼくの大切な小さなペンギンが、パタパタした。
「どう?」
重ねて聞くと、小雪は湯気を上げそうになる。
ああ、まったくもう。
ぼくはイチゴのパンツをあきらめて、もう一度小雪を抱き寄せた。
イチゴは逃げない。
それに、どうせすぐに脱がせてしまうんだし。
抱きしめて、頭を撫でる。
「ペンギンの子供って、大きくなるとカッパになるんだよ。知ってるかい」
「は、ははははい?」
撫で撫で。
「うそ」
撫で撫で。
「…は、はい?」
どうしよう。

小雪が、かわいい。

どうしてもっと、小雪のことを大事にしなかったんだろう。
ふらっと現れた執事見習いに嫉妬してしまうまで、自分がどれほど小雪を愛おしんでいるのか気づかなかった。
ぼくは、小雪にしてもらうばかりで、なにもしてやったことがないんだ。
小さな小さなネックレスひとつを、こんなに喜んでくれるのに。
「ぼくはペンギンもカッパも大好きだから、ほんとでもいいんだけどね。でも、一番好きなのはね…」
「……」
「…小雪?」

くったり。

限界を超えた小雪が、ぼくの腕の中で真っ赤な芯のない人形のようになった。
しかたないか。
ぼくは一人で笑いながら、くたっとした小雪を抱きかかえた。

ぼくはその夜、ぼくの大事な大事なペンギンを、将来カッパになることを心配してばかりいるペンギンを抱いて眠った。

「…おゆき…さまぁ」
小雪が、寝言でぼくを呼んだ。
ぎゅってすると、すりよってくる。
ことの後ではないから、小雪はぶかぶかのぼくのパジャマを着ている。
そのパジャマの上から、小雪の背中を撫でる。
眠ったまま、小雪が笑っている。
どんな夢を見ているのだろう。
「……ちゅーで…ございます…」
起こさないように、ぼくは眠っている小雪の頭をそっと抱き寄せた。
夢の中で、小雪はぼくにちゅーをくれたのだろうか。
それとも、ぼくが小雪にちゅーしてるんだろうか。

朝になったら、聞いてみよう。
ねえ小雪、小雪の誕生日はいつだい?

――了――

318:名無しさん@ピンキー
08/08/24 18:36:29 GYrbL7Rd
GJ!小雪がかわいすぐる…

相変わらずいい仕事をしてくれるなあ

319:名無しさん@ピンキー
08/08/24 18:40:47 ZfSVMSMO
ヤキモチGJ!
小雪のセリフを読んでいると、なぜか脳内では
新井里美の声に変換される。新井は最近メイド役が
多かったのと、口調のせいだろうか。

>小雪が着せてくれるのなら、ぼくはメイドの制服
そんなプレイも見てみたいけど流石にそれはスレチだなw

320:名無しさん@ピンキー
08/08/24 18:49:02 Ii9VhPfv
>>317
なんで小雪はこんなにかわいいんだ。説明できないかわいさだ。


いや、説明する必要のないかわいさなのか。
超GJですよ!

321:名無しさん@ピンキー
08/08/25 00:14:26 8UijpYZ7
おおおお!
久しぶりに小雪が!!
GJ!!

322:名無しさん@ピンキー
08/08/25 00:50:36 PJC5qksj
>>319
俺はなぜか池田昌子だ・・・
いろんな意味で複雑だ、助けてくれ

323:名無しさん@ピンキー
08/08/25 01:52:39 3dmLrpfM
4時起きなのに保管庫の1から読んでしまった…

だがそんなのは問題じゃない!
GJ!!!

324:名無しさん@ピンキー
08/08/25 20:24:56 YygSiCjP
小雪の可愛さに目から汗が・・・。
あれ、こんなの初めてだ・・・。

325:名無しさん@ピンキー
08/08/26 00:12:55 U6iKeOt0


















……ふぅ

326:名無しさん@ピンキー
08/08/26 16:45:06 gZaj1Qy/
テスト

327:名無しさん@ピンキー
08/08/28 01:45:22 oQk/T0nS
麻由と武が更新されてた

328:名無しさん@ピンキー
08/08/28 04:50:55 B1waNN4j
>>327
新キャラが出てきてるね
二人の子供を希望していた者としては嬉しいが
娘、可愛いな

ところで、次スレの時は保管庫で二人を知った方の為にアドレスを関連サイトとして貼る方が良いのかな

329:名無しさん@ピンキー
08/08/28 07:43:42 UukGLlCP
サイト主の了承がとれればいいと思う

330:名無しさん@ピンキー
08/08/28 08:44:06 mK8v330d
その後はスレチなんだし
保管庫の最後の話の末尾にでも
誘導URL貼ってもらえばいいと思う

331:名無しさん@ピンキー
08/08/28 09:59:27 knviB78O
「以前ここで連載されていた作品のアフターストーリー掲載サイト」という形で
関連サイトに入れてもいいのではないかな
というか、その方が親切だと思う

332:名無しさん@ピンキー
08/08/28 11:59:40 nlz/6IHw
>>330が一番いいかな

333:名無しさん@ピンキー
08/08/28 13:26:22 wtxPpqpC
サイト主が拒否しなければ>>330でいいと思う。
一作品だけテンプレに載せるのはどうかと思うし、次スレになればどうせ新しい人は保管庫から読むんだから。

334:名無しさん@ピンキー
08/08/28 21:11:24 4Hgse2zw
真・専属メイドの人来ないかな

335: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:12:09 zoLo3o0B
『メイド・小雪 7』


年が明けて最初の交流会は、持ち回りの順でうちが主催することになっていた。

参加するのは、旧華族だの財閥だの成り上がりだの、いわゆる家柄や資産のある家の年頃の若者。
若いうちから人脈を作るのが目的で、その気になれば手っ取り早く結婚相手を見つけることが出来る。
同世代が集まるから昔からの幼なじみも多く、ちょっとした社交界めいたものである。

父の代かそのちょっと後くらいまでは、南の島を貸しきってヨット遊びをしたり、ヨーロッパの別荘で狩猟をしたりという、暇とお金を使うことが上流の証拠、みたいな交流会が盛んだったらしい。
でも今は、気取った振る舞いと格式そのものを楽しむようなブルジョワな集まりは敬遠される。
で、もっぱら最近は日帰りが可能な場所かせいぜい1、2泊で、人気のマジシャンを呼んだディナーショーみたいなものや、わざと田舎風にしたガーデンパーティーや、海辺のコテージでキャンプの真似事のようなものが多い。
もっとも、それらにも正式な招待状が届くし、暗黙のルールやマナーも盛りだくさんなわけだけれど。

今月は、うちの別荘をそっくり改造してどこかのテーマパークのお化け屋敷のようにし、一晩泊まってそこを歩きまわったり所々に用意されたテーブルで軽食や会話を楽しんだり怖がったりするという、ぼくから見れば軽く悪趣味な催しになるようだ。
もちろん、それを計画したのは主催者たるぼくの兄であって、ぼくではない。
「暗闇でどこかの令嬢に抱きつかれたり、手を引いてやったりぐらいはお前でもできるだろう。明るいところでよく顔を見てかわいいのを選んでおけよ」
とは、さすがに兄らしい助言。
そう言う兄自身、そろそろと父に言われたらしく、交流会でも未来の妻を探す気になったようだった。

イベント色の強い今回は、幼稚園から大学までずっと一緒、という腐れ縁の倉橋家の長男・聡も、楽しみにしている。
「直之自慢のメイドは?会場にいるんだろう?」
「誰のことだよ」
「新しい担当メイドだよ。どんな子だ?」
「どんなって、聡の好みじゃないよ」
まったく、なぜそんなに人の家のメイドが気になるんだ。
だいたい、交流会で主人が家を空ける日は、担当メイドにとって数少ない完全休日になっている。
とはいえ、三条市武さんと結婚した初音に、元メイドだと誰かが指さすような事がなかったように、もし聡がうちのメイドの誰かを妻にしたところで、「倉橋の社長も息子には鷹揚な」で済む。

家が格式にとらわれすぎなかったり、次男か三男だったりした場合、当主の息子や孫がメイドと結婚することはあまり珍しいことではないのだ。
メイドというのは、まったくの庶民階級で育ったお嬢さんなどより、よほど上流階級のしきたりに通じているし、礼儀作法も身につけているものだ。
うちはメイドの教育には定評があるし、初音に限らず、他家に望まれるメイドも多かった。
しかし、自分の家のメイドは手を付けることがあってもあくまでメイドであって、そのまま妻にするという前例はないようだ。

兄が企画したばかばかしいような楽しいような交流会は、悪ふざけの大好きなお坊ちゃんや世間知らずのお嬢さんたちに概ね好評のうちに終わった。
交流会といえば会場の隅に陣取って入れ替わり立ち代り寄ってくるご令嬢を愛想よく、かつ適当にあしらっているだけの兄も、さすがに幹事らしくあちこち歩き回ってみんなの世話をやいていた。

ぼくは聡やほかの幼馴染たちと女っ気なしで夜通し遊び話をし、酒を飲んだ。
そのほうが、楽しかったのだ。
交流会の後、まっすぐサークルの合宿に合流し、ぼくが屋敷に帰ったのはさらに三日後だった。

336: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:13:25 zoLo3o0B
さすがに疲れもあり、小雪の笑顔にに出迎えてもらうとほっとした。

交流会の話を聞きたがる小雪に、お化け屋敷の曲がり角で天井から落ちてきたシラタキのことや、廊下の床に塗られたワックスで転んだ聡がとっさにつかまったベンチからビックリ箱のようにろくろっ首が飛び出してきたことなどを、身振り手振りで大げさに小雪に話して聞かせた。
小雪は、驚いたり怖がったり、笑ったりしながらぼくの話を聞いた。
ぼくの膝の上の小雪が、たくさん笑った後で、ことんと頭を胸につけた。
「さぞかし楽しゅうございましたのでしょうね。あの、……小雪なぞには、縁のない場所でございますけれども…」
交流会の手伝いをしたメイドは一般職で、小雪や菜摘は連れて行かなかった。
「そんなに楽しいわけじゃないよ。気も使うし、仲の良い人ばかりでもないしね。ぼくは」
小雪の頭に手を回して、胸に押し付けた。
「こうして小雪といるほうが楽しいな」
「……」
「小雪?」
「……はい。小雪も、直之さまとご一緒しているときが、あの、一番楽しゅうございます」
そう言う小雪を、むきゅっとなるまで抱きしめた。
「ああ、そうだ。サークルの合宿ではね、みんなで闇鍋をしたんだよ。小雪は闇鍋を知っているかい?」
「……」
「小雪?」
「……」
抱きしめすぎて呼吸できなくなったかと腕を緩めて顔を覗き込んで、驚いた。
「小雪?どうした?お化け屋敷の話がそんなに怖かった?」
ぼくのシャツは、小雪が顔を押し付けていた部分だけ涙で色が変わっていた。
慌てて小雪の頬に手を当てる。
こらえきれないように、小雪は両手で顔を覆ってしゃくりあげ始めた。

なんだ?どうした?
ぼくといるのが楽しいと言ったばかりじゃないか。
なにを泣いているんだ?
「小雪、泣いてちゃわからないよ。なにが悲しいんだ、言ってごらん」
小雪が、息をするのも苦しそうに泣いている。
次から次へとあふれる涙が止まらない。
わけがわからず、ぼくは途方にくれた。
「小雪、言いなさい、どうした?」
小雪はただ、首を横に振り続ける。
こんな小雪を見るのは初めてだ。
「…小雪、わからないよ、なにかあったの?」
「も、も、申し上げられません…、小雪は……、口が裂けても…申し上げられません」
小雪の口が避ける前に、ぼくの心が引き裂けてしまいそうだった。

337: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:18:14 zoLo3o0B
次の日、ぼくは午後から小雪に買い物を頼んで出かけさせ、その間に千里を呼んだ。
担当を外れてから4年、ぼくが自分から千里を呼びつけるのは初めてだ。
それでも千里はまるで毎日そうしていたときのように、やってきた。
千里が部屋のドアを閉めると、待ちきれずにぼくは一気に吐き出した。
「千里、ぼくはまた小雪を泣かせたよ」
千里はウエストの前で手を組み、まっすぐぼくを見上げた。
「さようでございますか」
「だけど、わけがわからないんだ。ぼくには小雪を泣かせるような事をした覚えがない」
「…わかりました。まずはおかけくださいまし。落ち着いて、ゆっくりお話を伺ってもようございますか」
千里に言われて、ぼくはどさっとソファに腰を下ろした。

「昨日だよ。帰ってきて…、交流会のこととか、合宿のこととか話してたんだ。面白いことを教えて笑わせてやりたかったのに、小雪は急に泣き出したんだ。まったくわからないよ」
部屋の隅にある冷蔵庫を開けて、千里がミネラルウォーターをコップに注いでテーブルにおいてくれた。
「小雪に理由を聞いても言わないんだ。命令だから言いなさいと言っても、口が裂けても言わないと言うんだよ」
そこまで言って、コップの水をごくごくと飲んだ。
黙って聞いていた千里が、口を開いた。
「小雪が申し上げられないと言うのなら、尋ねずにいてやってくださいませ。メイドには、メイドの守秘義務がございます。本来、秘密を持っているということを主人に悟られること自体が誉められたことではございませんが」
「秘密?」
「さようでございます。一般メイドはもちろん、担当メイドは特に、自分の主人のことを他の者に話してはいけないのでございますよ」
「……」
そこで千里は目元をやわらかくした。

「わたくしも、直之さまが小学校の3年生のとき、最後のおねしょをいたしましたことを、今まで誰にも申しておりません」
いやなことを思い出させる。
「だけど、千里は今、ぼくに言ったじゃないか。小雪はぼくの担当メイドなんだ、ぼくにはなにかを秘密にする必要なんかないだろ」
「そうでございますね」
千里はちょっと考えた。
「でもそれは、直之さまのことではないかもしれません。もしかして旦那さまか奥さまか、正之さまか…、主家のどなたかのことでしたら、小雪は例え直之さまにも申し上げることはできません」
「…なんで、小雪が、ぼくが知らないようなお父さまたちの秘密を知ってるんだよ。それに、だからってあんなに泣くことはないだろ」
「もしかして、でございます。それに、使用人たちのネットワークは直之さまが思ってらっしゃる以上に張り巡らされております」
「……」
わたくしが他言しなくとも、直之さまのご様子を見たり、リネンのお洗濯を見たりして使用人の誰かが、今日は直之さまはおねしょなさったと気づかないとも限りません。
そして、それに気づいた使用人が5人おりましたら、例えそれぞれが誰にも他言せずとも、5人は知っていることになります。そのうちの一人が小雪だということもございましょう?」
「…おねしょの例えはもういいよ」
ぼくがむすっとすると、千里はぼくの足元に膝をついた。

「直之さま。わたくしが、以前申し上げたことを覚えておいででございましょうか」
「以前?」
「はい。小雪が担当メイドになりましたばかりの頃でございます。わたくしは、直之さまに小雪は一生懸命で、良い子ですと申し上げました」
「…うん」
「わたくしは、まもなくメイド長を拝命いたします」
いきなり、話が変わった。
千里はぼくの両親や他の使用人たちの評判もいいし、今のメイド長が退職すれば次のメイド長として千里の名が上がっても不思議ではない。
「今のメイド長からは、ずいぶん前からお話がございまして心構えはしておりました。そうでなくとも、若いメイドたちの教育はわたくしたちのような齢をとりましたメイドの務めでございますから、よく観察しております」
「……まだまだ千里は若いよ、きれいだよ」
そう言うと、千里はにっこりした。
「ありがとう存じます。でも、長くお屋敷におりますから、たくさんのメイドを見てまいりました。その中でも、小雪はとりわけ良い子でございます。多少不器用なところはございますが一生懸命で、なにより」
ぼくを見上げ、膝に手を置いた。
いつも、小雪が小さなお尻を乗せてくれる膝。

「小雪は、直之さまが大好きでございます」

胸が、ぎゅっと痛くなった。
千里は黙ってしまったぼくの膝を撫で、そして屈んだまま少し下がり、立ち上がった。
「失礼してもようございましょうか?」
ぼくは、黙ったまま頷いた。
ドアが開き、閉まった。


338: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:19:23 zoLo3o0B
わかってるさ。
小雪は、最初からぼくのことが大好きだった。
たぶん、4年ぼくに仕えてくれた初音より、ずっとぼくのことを大好きだ。
小雪なら、たとえ当主である父の持ってきた話でも、お嫁になんか行かない。
一般メイドでも下働きでも、この屋敷にとどまってぼくのそばにいてくれる。
初音も、ぼくのことが好きだったとは思うけど、それだからこそ離れることを選んだのだとは思うけれど。
もし、16からの担当メイドが小雪だったら、ぼくは従兄弟の涼太郎のように、離したくない、結婚したいと駄々をこねたかもしれない。
そして、それを反対されて小雪が暇を出されたら、一緒に出て行く。
裕福ではない暮らしをしたことがないから苦労するだろうけど、小雪がいてくれたら大丈夫な気がする。
涼太郎は、どうしてそうしなかったんだろう、と腹が立ってきた。
小雪が担当メイドになって1年にもならないのに、ぼくは小雪がぼくを大好きなのに負けないくらい、小雪が大好きなのに。

「あの、遅くなりまして、申し訳ございません」
小雪が頼んだ買い物を抱えて戻ってきた。
ちょうどぼくは夕食で部屋におらず、小雪は食堂の前の廊下でぼくを待っていてくれ、一緒に部屋に戻ってきた。
昨日の事については、ぼくは何も聞かず、小雪も何も言わなかった。
「あの、こちらでよろしゅうございましたでしょうか」
お使いそのものが小雪を遠ざけるためのものだったので、頼んだのはとりたてて急がないものだったけど、小雪はきちんと買って来てくれた。
「うん、ありがとう。外は寒かっただろう、大丈夫かい」
「は、はいっ、あの、あの、デ、デパートまで、北澤さんに…送っていただきました」
お使いに行くのに屋敷の運転手に車を出してもらったことに恐縮するのか、小雪が縮こまる。
「それは良かった。ぼくのお使いで風邪を引いたりしたら、大変だからね。すぐに見つかった?」
「はいっ、あの、あの、はい」

ん?
小雪の制服のスカートが変な形に膨らんでいる。
ポケットになにか入っているのだろうかと、荷物を受け取るついでに上から触ってみた。
「んにゃっ」
びっくりしたのか、小雪が変な声で叫び、両手で口を覆った。
「も、申し訳ございま、っ」
スカートの縫い目に沿って開いているポケットに手を入れると、小さな紙袋のようなものが入っている。
出してみると、今お使いに行ったデパートの包装紙。
「あのあのあのあのっ」
「小雪。これはなに?」
別に、お使いに行ったついでになにか自分の欲しいものを買ってきたりするくらい、とがめだてられるようなことではない。
それなのに小雪の慌てぶりを見ると、今のメイド長はことのほか厳しいという噂を聞いたことがあるから、もしかしていけないと言われているのかもしれない。
「あの、あのあの、申し訳ございません、あの、直之さまがお待ちくださっているのは、存じておりましたのですけれど、あの、どうしてもあの」
慌てる小雪の目の前で、包みを振ってみる。
固いものと柔らかいものが入っている。固い方には、大きさの割りに重さがある。
「見てもいい?」
小雪は涙ぐんだ目を伏せて、スカートを握り締めた。
「…は、はい」
叱るつもりはないけど、小雪がそこまでしてなにを欲しがったのかが気になる。
小雪が欲しいものなら、ぼくが買ってあげるのに。

339: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:20:59 zoLo3o0B
出てきたのは、小さな液体の入ったビンと2枚の布。
なんだろう。
「これはなに?」
聞きながら、ビンの裏に書いてある説明文を読む。
「あの、あの、あの、おっ、お手入れでございます。あの、きっ、金の」
「金?」
小雪が買ってきたのは、金細工品を手入れする布と洗浄液だった。
「あの、ほんとうでしたら、直之さまのお留守のときに参りましたらよろしかったのですけれども、あの」
「今日になってどうしてもお手入れしたい金があったのかい?」
「い、いえ、あの」
予想していなかったことを尋ねられて説明に困っている。
ぼくは小雪の手を引いてソファのところへ行き、腰掛けてから膝を叩いた。
「叱っているのではないよ。さ、お座り」
小雪がぼくの膝の上にお尻を乗せ、ぼくは小雪の手に紙袋を返した。
「小雪は、まだお給料が少ないだろ?ぼくはほら、余るほど小遣いをもらっているからね。ぼくが買ってあげられるものなら、なんでも言うといいよ」
「いえいえいえ、とんでもございません、あの、小雪はあの、あ」
ぽんぽん、と背中を叩いてやると、小雪は自分を落ち着かせるように何度か大きく息をした。

「あの、おととい、直之さまがお戻りになる前の夜に、小雪はリネン室でパソコンをしておりまして」
リネン室というのは、文字通りシーツや布団などの保管庫だが、同時に部屋の半分は使用人たちの休憩室のようになっていて、最新の雑誌やちょっとしたおやつが置いてある。
何年か前にはパソコンが置かれて、なかなか外出できない使用人たちがネット通販で必要なものや欲しいものを取り寄せたりするようだった。
「ふうん、小雪もネットでなにか買ったりするんだ」
「いえいえ、あの、小雪はまだあの、カードを持っておりませんので、お買い物はいたしませんのですけれども、あの。メイドたちのおしゃべりの中で、しまっておいたアクセサリーが傷んでしまったというお話を聞きました」
「ふうん?」
「銀のものなどは、空気に触れて黒ずんでしまったりするそうなのでございます。それで、小雪はちょっと心配になりまして、パソコンで調べましたら、ピンクゴールドというのはとても繊細で、
お手入れしないとピンクがピンクではないようになってしまうということでございました」
「へえ……」
「そうしたら、もういてもたってもいられなくなりまして、あの、そのままネットでお取り寄せできればよろしゅうございましたのですけれど、なにぶんあの」
「小雪はカードを持っていないんだね?」
「…はい。あの、大事なお使いの途中で、いけないことだというのはよくわかっておりましたのですけれど」
ぼくの膝の上で、小雪が自分の胸元のリボンの辺りを握り締めた。

あ、そうか。

小雪は、ぼくがクリスマスに贈ったピンクゴールドの小さなネックレスを、肌身離さず制服の下につけている。
チェーンが千切れてしまうのを恐れて、夜だけは外しているようだが。
小雪はメイドのおしゃべりで貴金属が変質することを知って、不安になったのだ。
ぼくが初めて小雪にあげたプレゼントのネックレスが、心配で。
そして、いつともわからない次の休日まで待つことができずに、お使いにいったデパートでついつい別の売り場を覗いてしまったのだ。
ぼくは、小雪をぎゅっとした。
「ありがとう、小雪」
「…はははは、はい?」
「ぼくがあげたネックレスを、そんなに大事にしてくれてるんだね」
「あのあの、でもでもでも、それはだってあの」
言いかけて、小雪はまた自分で口元を覆った。
『だって』は禁句だよ、と言ってある。
だけど、ぼくには小雪の言いかけたことがわかる。
だって、直之さまの下さったものですから、と。
「ごめんよ」
「ははははは、はい?」
「ぼくは毎日小雪にいろんなことをいっぱいしてもらっているのに、小雪にはその小さいネックレスをひとつあげただけじゃないか」
「と、とんでもございません、そのような!」
小雪の胸元のリボンをほどき、ワンピースの前の飾りボタンを二つ開ける。
天使の羽のついた雪の結晶は、小雪の白い胸の上で光っていた。

340: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:22:13 zoLo3o0B
「小雪の誕生日は、このあいだ聞いたよね」
「…は、はい」
半年も一緒にいて、ぼくはようやく小雪に小雪のことを聞いたのだ。
小雪の誕生日は、3月3日だった。
小さな小雪にぴったりの、小さなお雛さまでお祝いをする日。
「まだ先だけど、その日は大学も休みだし、二人でお祝いをしようね」
「そ、そのような、とんでもございません、こ、小雪の誕生日なぞ、そんな」
「プレゼントは、なにが欲しい?」
「い、いえいえ、そんなそんなっ」
「二人で出かけるのもいいね。小雪はどこか行きたいところがあるかい?」
「そ、そんな…」
小雪が声を詰まらせた。
「うちは女の子がいないから桃の節句のお祝いはしないんだ。お雛さまもないしね。小雪は、誕生日とお雛さまは一緒にお祝いしたの?」
なにげなく聞いたのに、小雪はぼくの膝の上できゅっと両手を握り締めて小さくなった。
「あ、あの。小雪の家は、あの、お雛さま飾りが、ございませんでしたし、あの、お誕生日も、あまりその」
「ん?」
「あの。あまり、あの、小雪の家には、余分なものがございませんでしたので」
遠まわしに、言いにくそうに、小雪が言った。

そうか。
自分の家がそうだし、周りもそういう家柄ばかりだから気がつかなかった。
使用人の実家が、裕福だとは限らない。
子供の節句や誕生日を、大々的に祝う習慣がなくても不思議ではないんだ。
「じゃあさ、小雪の誕生日には、おひな祭りをしようか」
そう言いながら、子供の頃、親戚の桃の節句に呼ばれたときはどうだったっけと考える。
部屋の壁一面に大きな雛段があって、女の子は赤い着物を着て、散らし寿司にハマグリのお吸い物、白酒に雛あられ。
雛飾りは無理かもしれないけど、小雪にも着物を着せてあげようか。
母はいつもメイドの成人式には振袖を一揃い贈ってあげる習慣だけど、ぼくにも貸衣装を着せてやるくらいはできるんじゃないだろうか。
それとも、千里の成人式の着物を借りようか。
まだ先だと思っていたけど、もう小雪の誕生日まで2ヶ月を切っている。
いろいろ計画するのに遅いことはない。
ぼくは膝の上で丸くなった小雪の頭を撫でた。
ねえ、小雪、お雛さまはさ。
そう言おうとして、ぼくはびっくりする。

ぼくの膝の上で、昨日と同じように小雪が泣いていた。
今度こそ、今度こそわけがわからない。
「小雪!」
ぼくは小雪の肩をつかんで胸から引きはがし、その顔を覗き込んだ。
「なんだよ、今度はどうしたんだ?お雛さまがいやなのかい?それとも、ぼくが小雪の家のことを聞いたのがいけなかった?」
小雪が、ほっぺたを濡らしたままぷるぷると首を横に振った。
「そうでは、そうではございませんのです…あの、こ、小雪は、あの」
また、口が裂けてもいえないようなことなのだろうか。
「小雪は…、ただの、ただのメイドでございますのに、な、直之さまに、クリスマスのプレゼントをいただいて、あの、その上、お、お誕生日まで気にしていただいて」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
「あんまり、あんまり幸せで、嬉しくて、あの」
「…ばか」
ちょっとほっとして、それから小雪をぎゅっと抱いた。
小雪の涙をぬぐってやり、頬に唇を押し付ける。
背中のファスナーに手をかけた。

341: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:23:52 zoLo3o0B
…ちょっと、いきなりすぎただろうか。
泣いてる女の子を押し倒すというのは、どうなんだろう。
少し迷ってから、でも我慢できずにぼくは小雪を抱き上げて寝室へ行った。
ベッドの横に立たせて、メイドの制服を下ろす。
いつもの白い下着を、ろくに見もせず脱がせた。
今は下着姿で回らせて眺めるより、まだ目に涙を浮かべている小雪をかわいがりたい。
小雪が、ぼくのシャツのボタンに手をかける。
この辺は、躾が生きている。
ジーパンを下ろしてもらって、小雪をベッドに腰掛けさせてから自分で下着を脱いだ。
その間に、小雪がピンクゴールドのネックレスを外して、そうっとベッドサイドに置いた。
今更ながらシャワーがまだだっけと思った時、ふいに小雪が自分の目の前にあるぼくのペニスに触れた。

びく、っとしてしまった。
小雪の唇が近づいてくる。
「…こ、ゆき」
ちろちろと舌が出てきて先っぽを舐める。
したいようにさせていると、どんどん大胆に舐め、咥えこんだ。
小雪なりの感謝の気持ちなのだろうか。
血液が一箇所に集まりだしたそれを、熱心にしゃぶる。
ぼくは小雪の頭に手を置いて、息をついた。
「上手になったね、小雪。講義が役に立ってるのかな」
「んぐ…ひゃ…ひゃい」
限界まで大きくなると、小雪の口には余る。
ぼくは途中でベッドの上に移動したが、小雪はペニスを離さない。
仰向けのまま、心地よさに身を任せていると、だんだんこみ上げるような快感が強くなってきた。
頭を上げると、身体を伏せた小雪が手と口で一生懸命しごいているのが見える。
時折、おっぱいが揺れているのが見え隠れしていた。

何もせずに気持ちよくしてもらうのもいいが、小雪の身体に触りたい。
すべすべの肌を撫でたり、小さな唇にキスしたり、すぐに引っ込んでしまう舌を吸ったり、ぷりんとした乳房を揉んだり、ピンク色の乳首をいじったり。
それから、ぽつんと引っ込んだお臍に舌を入れたり、脚を広げさせて小雪の一番恥ずかしいところをじっくり眺めたり、指で広げてみたり、とにかくいろいろしたい。
ちょっと休憩、と言おうとしたところで、いきなり小雪が強く吸い上げた。
「…う」
思わず、声が出た。
小雪がじゅぼじゅぼと吸いたてる。
こんなことまで教えただろうか、という上手さ。
もう、出る。
小雪の肩を押して引き離そうとした。
「ん、あんっ」
小雪がぼくから口を離した。
「く…」
間一髪、と思ったとたん、小雪がもう一度ぼくのペニスを咥えた。
「うわ、だめだ、こ、ゆっ」
やってしまった。
ぼくはこらえきれず、小雪の口の中に出した。

342: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:25:00 zoLo3o0B
「小雪!」
慌てて起き上がり、小雪の腕をつかむ。
「ん、む…」
飲み込もうとしている。
ぼくはベッドサイドのティッシュをばさばさと引き抜き、小雪の顎を両側からつかんで口を開けて吐き出させた。
「けほっ…ご…」
「ばか、なにやってるんだ!」
ごほごほと咳き込む小雪の口の中にもティッシュを突っ込んで拭く。
「んあ、も、もうひわけ、ご」
「ばか!あんなもの、飲むものじゃないだろ!」
「れ…れも」
「誰に教わったかしらないけど、いや、だいたいわかるけど!ぼくは小雪にそんなことさせたくないよ」
ぼくだって興味半分でそういうDVDを見たりしたことはあるし、それが男のロマンだと言う聡の意見にも反論したりはしなかった。

だけどそれはきっと、男のエゴだ。
小雪には、ほんのちょっとでも辛いことなんか、させたくないんだ。
「口をゆすいだほうがいいんじゃないか?まずいだろう?」
「あ、あの、いけません、でしたのでしょうか…、あの」
「まったく……びっくりさせないでおくれよ、小雪…」
もう一度口を開けさせて、自分の舌を入れる。
小雪の口の中を、舌でなぞった。
少し、変な味がする。
これが自分のものの味かと思うと、複雑な気分だった。
唇を離すと、小雪が息をついた。
「…あ、の、で、でも」
心配そうな目をしている。
「あのね、小雪。ぼくは小雪のことを舐めるけど、それはぼくがしたいからだよ。でも小雪は誰かにそうすることを聞いただけで、ぼくのを飲みたかったわけじゃないだろ?」
「そ、そのような…」
「今だって小雪はゲホゲホしちゃったし、おえってなったじゃないか」
「も、もうしわけ、あり…、で、でも、小雪は、小雪はあの」
ベッドの上に座り込んだまま、ぼくは小雪を後ろから抱きしめた。
「…ありがとう。でもいいんだ」
「で、でも、あの…」
誰に教わったかなんて聞くまでもなく、小雪の師匠は菜摘しかいないはずだ。
…そういえば、菜摘には飲んでもらったっけ。
ふと思い出して、ぼくは冷や汗をかいた。
菜摘には平気でさせたくせに、小雪にはさせたくない。
理由はわかっている。
菜摘とは、そのときそういう気分を解消したかっただけだ。
でも、小雪は違う。
小雪のことは、もっともっと大事にしたい。

343: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:26:03 zoLo3o0B
ぼくは小雪を抱き寄せたまま、そっとかわいい乳房を手のひらで包み込んだ。
ぷるぷると揺らしながら、反対の手で脚の間のふわふわした毛を指に絡めた。
「小雪に舐めてもらうのもすごく気持ちいいけど、でもぼくが一番好きなのはこっちの中だから」
人差し指を押し込むようにすると、小雪はぼくの腕にしがみついた。
「ね。ここじゃないところに出しちゃうなんて、もったいないだろう」
「あ…、んっ」
前から割り入れるように指を差し込むと、クリトリスに触れた。
小雪がぴくんと背を反らせる。
いきなりで刺激が強すぎたかもしれない。
「ごめん、痛かった?」
「い、いえっ、あの、あの」
小雪が身体をよじる。
後ろからではなく、前からぎゅっとされたいらしい。
仰向けに寝かせてから、身体を密着させるように覆いかぶさると、背中に腕を回して抱きついてきた。
小雪があまりくっつきたがるので、触りたいところに触れない。
密着したまま小刻みに身体を揺する。
秘所にぼくの指を挟んだまま、小雪が潤んだ目でぼくを見た。
縦に指を滑らせると、目を閉じた。
何度もそこを往復しながら、キスをする。
小雪がいつになく積極的に舌を絡めてきた。
腰を上げてぼくの手に押し付けてくる。
中をさぐると、じんわり潤ってきている。

「…う」
落ち着きかけていたペニスが小雪の手のひらに包まれて、ぼくは声を漏らした。
ぼくらは、お互いにお互いの一番気持ちいいところを捜し求めた。
弄っているうちに柔らかくなり、二本入れた指が熱くて膨らんだその場所を見つけると、小雪の目に溜まっていた涙が一筋、耳の方に流れた。
背中に抱きついていた小雪の腕が、ぱたっとシーツの上に落ちた。
息遣いが短くなっている。
ぼくのペニスを包んでいた手にも、もう力はない。
自分の気持ちよさに、頭がぼんっとなっているのがわかる。
「…気持ちいい?手がお留守になってるよ」
耳元で言ってやると、真っ赤な顔で小雪が首を振った。
中に入れた指がくちゅくちゅと音を立てながらかき回している。
焦れたように腰が動く。
それでもぼくは、小雪の中を弄り続けた。
ぎゅっと目を閉じて、胸を上下させるように息を乱しながら、小雪が腰を揺らす。
「まだ、だめ」
もっともっと、小雪が泣きながらぼくを求めるようになるまで焦らしてやる。
それから小雪が望んでいるものを与えるんだ。
そうすると、小雪は必ずイける。
「や、あ…」
ついに、小雪が泣き声になった。
耐えかねたように、ぼくに両手を伸ばしてくる。
やっと、小雪の中に入れる。
手探りでベッドサイドから避妊具を取り出して、装着した。
小雪の腰を抱きこんで、熱くぬめったそこにペニスを当てた。
「すごい、どぶどぶだよ、小雪」
「ん、ああん…」


344: ◆dSuGMgWKrs
08/08/30 21:27:01 zoLo3o0B
「いくよ」
何度も何度もしているのに、小雪のそこはたっぷり濡れているのにまだ少し固い。
少し飲み込んでから、つかえたように押し返してくる。
中のぬめりをかき出すように動いてやると、ほんとうに泣き出した。
「も、う…、んっ、いやぁ…」
上の方をこするようにすると、腰が持ち上がった。
ひくひくと痙攣するように締め付けてくる。
すごい。
速度を落として小雪の感じる場所を外さないようにじっくりと突いてやる。
「あ、んあ…、はあっ」
声を抑えようと必死になっているのに、どうしても漏れるらしい。
感じているのに恥ずかしがる、その様子がたまらない。
わざと外したり、強く突いたり、押し当てたまま動きを止めたりすると、小雪の表情が変わってくる。
だんだん早くして、激しく腰を振った。
もうそろそろ、ぼくもイきそうだ。
小雪が差し伸べてきた手を握り、小さな身体を揺さぶる。
「ん、んん!」
喉をそらして、小雪が硬直する。
そのまま叩きつけるように突き上げると、ぴんと手足を伸ばしてからがっくりと弛緩した。
「あ…ああん……」
その声を聞きながら、小雪の奥に当たるほど深くで、ぼくもイった。
すごく、気持ちよかった。
やや落ち着いてから、くったりした小雪のぐちょぐちょになったそこをぬぐってやり、髪を撫でてちょっとキスしてやる。
「すごかったね、小雪」
小雪は返事もできずに、ころんと転がってぼくにしがみついた。
「ね、よかった。小雪は?」
小雪は今更のようにぼんっとなり、いやいやをしながらぼくの腕の中に隠れる。
ぼくにすがりついたって、ぼくから逃げることにはならないのに。
それがかわいくて、小雪を抱きしめて、むきゅっと鳴かせてみる。

枕が、小雪の涙で小さな染みを作っていた。
小雪を、大事にしたい。
もう泣かせたくない。
もちろん、ベッドではもっともっと泣かせたいけど。
それは、いいよね、小雪。




―ぼくが、この頃の小雪の涙の本当の理由を知ったのは、ずっとずっと後のことだったのだ。

――了――

345:名無しさん@ピンキー
08/08/30 22:01:17 URBGtcNv
小雪がかわいいのはいつもどおりだ。

しかしなんだ最後の引きはっ!
一体どうしたんだ小雪ぃぃぃぃぃぃっっ!

GJ!続きが気になるぜ……。

346:名無しさん@ピンキー
08/08/30 22:06:15 SpWR9Pn+
小雪かわいいよ小雪

涙の理由にわっふるわっふる

347:名無しさん@ピンキー
08/08/30 23:15:23 MLxI9laW
小雪はお菓子をかってあげたくなる可愛さだな

348:名無しさん@ピンキー
08/08/30 23:44:22 /1v9Buwn
>>347
なんかわかるなw

349:名無しさん@ピンキー
08/08/31 00:51:53 bHN8aYwb
>>347は雛あられと菱餅を頼む
俺は5段飾りを用意する

350:名無しさん@ピンキー
08/08/31 03:02:07 eN1Ixm/N
GJ!!
小雪カワイイよ、小雪(*´Д`)


それにしても何か一波乱が起きそうな終わり方だな…

351:名無しさん@ピンキー
08/08/31 10:36:28 JEMYIBPg
GJ!

まさか小雪まで…
なんて事は絶対に無いんだぁっ!

352:前スレ続き小ネタ
08/08/31 17:50:34 RHjNnvAx
※ぬるいエロ注意

千春が新米メイドとして屋敷にやってきて、4ヶ月が経った。
仕事にも少しは慣れたのか、皿を割るなどの失敗は無くなった。
彼女の失敗に「お仕置き」を与えることを楽しみにしていた広樹にしてみれば、少し面白くない。
週に1~2度ほど千春の若い肢体を味わうことは、広樹にとってもはや欠くことのできない慣例になっていたから。
千春は相変わらず処女のままだが、何もまとうことの無い体は何度も「ご主人様」の目に晒され、触れられている。
そのためか、彼女に少々色っぽさが出てきたように思うのは、広樹の手前味噌ではないはずだ。
眠るまでの時間を千春と共に過ごすのは、もはや広樹の中に定着している。
夜着の支度や酒の給仕を教えるとの名目で、広樹は千春を自室へ呼び、二人きりで過ごすようになっていた。
小さなミスをさせるように仕向けては、叱って穴埋めを要求する。
つまり、彼女が失敗するのを待つのではなく、主人自ら失敗を捏造するような真似に及んでいるのだ。
両親が存命であれば、きっと嘆くであろうことは想像に難くない。

千春に触れるうちに、広樹は段々と彼女の体を開発していった。
最初は胸だけへの愛撫しか施していなかったが、今では下半身への責めも加えるようになった。
全くの受身であった彼女にも、男のシンボルに触れることを教え、口を使って主人を気持ちよくさせることを教え。
千春をよがらせ、また性の知識を与えることが何よりも先決で、抱くのはもう少し後でも良いと考えていた。
まずは、自分が見ている前で千春に服を脱がせる。
まだ「お仕置き」を与えていた当初は震えていた彼女の指も、今ではしっかりと動き、自らのボタンを外す。
脱いだ服を丁寧に畳ませたあと、ベッドに横にならせて覆いかぶさる。
そして、まだ成熟しきっていない体を堪能するのだ。

今日は、脱がせたところで先に奉仕することを申し付けた。
素直に屈みこんだ千春が、広樹のパジャマと下着を下ろす。
現れた男のシンボルをそっと手で包み込み、さするように撫で上げ始めた。
自分が教えたとおりに動く千春を見て、広樹の口角が上がる。
最初は手で撫でて、次には口に含み舌で愛撫する。出たものは全て飲み込む。
従順にそれを守らせているだけなのに、どうしてこんなに心が浮き立つのだろうかと頭の隅で彼は考えた。
「そう、もう少し…力を強くしてもいい」
やがて、千春がそれを口の中に迎え入れ、たどたどしく舐めしゃぶり始めた。
アイスキャンディーを舐めるようにしなさいと教えた如く、下から上へ丁寧に舌が這い、時折ジュッと吸い付いてくる。
まだ慣れないとはいえ、回数を重ねるごとに上手になっていく様子が分かって、広樹はまたニヤリとした。
股の間で動く頭を押さえ、腰を使って熱の解放を求める。
ややあって、むせそうになっている千春を尻目に、広樹は小さく呻いて絶頂を迎えた。

353:前スレ続き小ネタ
08/08/31 17:52:12 RHjNnvAx
「全部飲んだね?えらいぞ、千春」
広樹の言葉に、涙をたたえた目で千春は恥ずかしげにうなずく。
パジャマをギュッとつかんでいたその手が、ゆっくりと外された。
下からじっと見上げられ、広樹の胸に甘酸っぱい感情が生まれる。
気に入りの娘に見つめられ、柄にもなく照れているのだ。
「おいで、さあ」
面映さをかくすように、二度瞬きをして腕を広げる。
素直に立ち上がった千春を抱きとめ、ベッドにそっと組み敷いた。
頬を染め、恥ずかしげにしながらも、その若い体は期待に震えているのが分かる。
この子のこういった所が、自分をとらえて離さないのだと広樹は思った。
快感を覚え始めた少女の、純粋な性への興味。
女の下心などとは無縁の可愛らしい本能に、応えてやらねばという使命感のようなものが心に生まれた。
「あ…ご主人様、っ…」
再び胸に舌を這わされ、千春が小さく声を上げる。
はかなげな呟きに、広樹は顔を上げて短いキスを贈ってやった。
しばしのあと、開いた千春の丸い瞳に自分が映っているのをみとめ、微笑む。
「私の言いつけを守ったお前には、褒美をやろう」
小さく息を呑んだ千春の下着に手をかけ、一気に奪い去る。
折れそうなほど細い足首をつかみ、大きく開かせてその間を見やった。
「あっ…そんな…」
千春が羞恥に震え、緩く身じろぎをする。
年端も行かぬ少女が大股開きをし、大事な部分を覗き込まれているのだ。
心の底では触れられることを望んでいても、とっさに身をすくませるのは自然な流れ。
「濡れているようだね」
広樹が指で彼女の溝をなぞると、喉の奥で押し殺した悲鳴が上がる。
その千春の反応は、広樹をいたく満足させるものであった。
「もっと、滴るくらいに濡らしてやろう」
開かせた脚を押さえ、広樹は楽しげに囁いてその中心へ顔を埋めた。
「やっ!あ…んっ…ご、主人…様っ…」
わざと音を立てて舐めすすってやると、千春が切なげに声を上げる。
産毛を逆立てるように動かされる主人の手に、その腰がもぞもぞと動いた。
まるで誘っているかのようだ。
わざとらしい媚態などまだ身につけていない千春の、天然の誘惑に広樹の頬がほころぶ。
もっと触れてほしいと望んでいるのだ、応えてやらねばならない。
「やんっ!あぁ…ひゃんっ!」
舌に力を入れ、襞の奥に隠された肉芽をつつく。
千春の尻が大きく跳ね、彼女の弱点が広樹の舌に押し付けられる格好になった。
「いやっ…ダメ…」
だめなわけがなかろう、と広樹は心の中で言い返す。
腰をくねらせ、嬌声を上げていながらも、よくそんなことが言えるものだ。
わざと焦らしても楽しめそうだが、もっと千春を乱してもやりたい。
しばし迷ってから、広樹は後者を選択した。
肉芽を責め苛めるよう、千春の柔肉を指で左右に開く。
ぷくりと丸いそれが物欲しそうにひくつくのを一瞬眺めてから、広樹はそれを大きくべろりと舐め上げた。

354:前スレ続き小ネタ
08/08/31 17:53:42 RHjNnvAx
「ひゃああっ!」
一際大きく上ずった声をあげ、千春が身をよじって暴れる。
「大人しくしなさい」
広樹は威厳を込めてぴしゃりと叱りつけ、動く内股をつねった。
「痛っ」
悲鳴が上がり、つねる指を押しのけようと千春が広樹の手にかかる。
懸命な抵抗をすることが、逆に体の中心に隙ができていることにも気付かずに。
広樹は、千春の力に負けたふりをして、太股をつねっていた手を離した。
「はあっ…」
安心したように息をつき、千春が体の緊張を解く。
一番敏感な場所に舌を這わされていながら、緊張感を手放すとは早計にすぎる。
浮かぶ笑いをかみ殺し、広樹はもう一度、隙をついて千春の肉芽に舌を伸ばした。
押しつぶすように圧迫してやると、また色めいた悲鳴が上がる。
「ダメ、ご主人様…んっ、ああんっ!」
細いその手から力が抜け、肘がシーツにぱたりと落ちた。
軽く達してしまった千春は、はあはあと荒い息をつき、体中の力を抜いた。

広樹は、今まで寝た女にこういった反応をほとんどされたことがない。
そもそも、女のここを舐めてやることが、滅多にないことだったから。
手を付けたメイドたち、後腐れのない女たちを、必要以上に悦ばせる必要を感じなかった。
胸の感触をしばし楽しんだ後に、指で大事な部分をある程度ほぐし、さっさと挿入する。
相手の女がどんな反応をするかには、さほどの興味を感じなかった。
しかし、この少女を相手にするようになり自分は変わったと広樹は思う。
千春が恥ずかしがれば、もっと恥ずかしい目にあわせてやりたくなる。
すすり泣けば、もっと大粒の涙がこぼれるのを見たくなる。
ねだるような声を上げれば、もっともっと気持ちよくしてやりたくなる。
千春の反応の一つ一つに、広樹も敏感に反応し、一喜一憂する。
今までと違うのは、この少女に惹かれているからだと自覚しているのかいないのか。

「今日は、なかなか良かった」
いかめしい口調で言い、起き上がらせる。
シャワーを使ってくるように言い、大人しく浴室へ向かうその後姿を見つめた。
腰の辺りの肉付きが少し良くなってきたように思える。
千春の失敗をあげつらってお仕置きをするという名目も、そろそろ苦しくなってきている。
次はどうやった手を使おうかと思いながら、広樹は煙草に手を伸ばした。

=オワリ=

355:名無しさん@ピンキー
08/08/31 18:12:11 yYBd1bv9
どこがぬるいエロなのかkwsk

356:名無しさん@ピンキー
08/08/31 23:02:11 /9p9pjSA
多分もっと激しいプレイがあるんだよ!

357:名無しさん@ピンキー
08/09/02 11:26:37 E0FWiRZz
>>335-の小雪は「7」じゃなくて「8」の間違いでいいのかな?

358:名無しさん@ピンキー
08/09/05 10:31:06 SfKRgi03
道場破りをするメイドさん

359:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:42:40 sF8ZvUbi
282の続き。エロ無し。


あの夜から二週間ほどが過ぎた。
僕も雪恵さんも、何事も無かったかのように互いに接している。
でも、なんとなくしこりが残ったままのような気がして、しっくりこない。
元々そんなに仲が良かったわけじゃないが、今のままではなんというか、いけないと思う。
せめて、雪恵さんが僕の顔をまっすぐに見られるくらいまでには回復してほしい。
それにはどうすればいいか、勉強そっちのけで考え、接する時間を多く持つしかないという結論に達した。
家にこもりっきりの雪恵さんを、外に連れて行ってあげるなんてどうだろう。
何か特別なこと、例えば映画に行くとか。
そう思いついた僕は、帰宅するやいなや台所へ行き、いんげんの筋取りをしていた雪恵さんを誘った。
「映画…でございますか?」
「うん。駅前の映画館で、面白そうなのが公開してるんだ」
「ですが、坊ちゃま。私などより、お友達と行かれたほうが楽しいのでは…?」
予想どおり煮え切らない返事をする雪恵さんに、僕はとっておきの武器をポケットから取り出した。
「それが、だめなんだ。ちょっとこれを見てよ」
高校の生徒手帳を出し、校則のページを開く。
『保護者同伴の場合を除き、劇場・映画館・ボーリング場等への立ち入りを一切禁ずる』
この条文を指で示し、どうだと胸を張った。
「保護者…ですか」
「うん、そう。大人がいないとだめなんだ」
本当はこんな校則は死文で、今どき守っている律儀な奴はいない。
でも、雪恵さんを誘うためならこんなものでも使わなきゃ。
「保護者なら、大奥様や奥様では…?」
「婆さんはアクション映画じゃなきゃ見ないし、母はホラー専門なんだ」
「トキ江さんは…」
「老眼なんだから字幕が見えないよ。暗い所で座ったら寝ちゃうかも」
「そう、ですね…」
雪恵さんが前掛けのフリルをいじりながら、首を傾げて考え込んだ。
「他の大人に、お心当たりはないのですか?」
「うん。兄さんや義姉さんはアメリカだろう?だから、雪恵さんしかいないんだ。お願い!」
大げさに手を合わせ、拝み込むように頭を下げた。
「坊ちゃま、女中にそんなことをなさってはいけませんっ」
慌てたように雪恵さんが言い、僕の頭を上げさせる。
距離が近くなり、ふわりといい香りがした。
「うんって言ってくれたら頭を上げるよ」
しつこいかと思ったが、もう一押ししてみる。
意地でも、一緒に映画に行ってやるんだ。
「坊ちゃまが、そこまでおっしゃるなら…。
承知いたしました。私で宜しければ、お供させていただきます」
「えっ、本当!?」
耳に届いた言葉に、僕はばね仕掛けの人形のように一瞬で頭を上げた。
目が合った雪恵さんは、少し困ったように笑いながら僕を見ていた。
「大奥様と奥様に許可頂ければですが…。私が、坊ちゃまの保護者代理をするなど認めませんと仰るかもしれません」
「そんなことないよ、きっと大丈夫だったら。今から僕が行って、2人に許可をもらって来る」
だから待っててと言い置いて、僕は祖母の部屋へと走った。
外出がちな祖母ではあるが、今日は家にいるはずだ。
勢い良くドアを開けると、祖母はテラスの椅子に座っていた。

360:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:43:44 sF8ZvUbi
「お前、レディの部屋に入るときはノックくらいおし」
「誰がレディだよ、誰が」
いつもの軽口に、反射的に反論する。
その年で、よくもレディなんて言えるものだ。
「そんなに息を切らして。何かあったのかい?」
尋ねられ、ああそうだったと思い出し、咳払いを1つ。
「週末、雪恵さんを貸してほしいんだ。一緒に映画を見たいんだけど、誘ったら、あなたと母さんの許可がいるって言われて」
「なるほどねえ」
「普段は生意気ばかり言ってすみません。2人で出かけるのを許し…てください」
不本意だが、頭を下げて頼む。
許可が下りなければ、2人きりで出かける計画はパアだから。
「なるほど。お前にしちゃあ考えたじゃないか」
「うるさいなあ。許可してくれるの、くれないの、どっちなんだよ」
にやにや笑いながら言う祖母の態度にムカッとくるが、ここで怒ってはだめだ。
「そうだねえ。こないだは私が不用意なことを言ったから、雪恵さんに迷惑をかけてしまったし。
いいだろう、気晴らしをさせてやっておくれ。千鶴子さんには私から言っておく」
「ほんとかい?恩に着るよ!じゃあ」
許可が下りたことを雪恵さんに知らせたくて、さっさときびすを返したところでシャツをつかまれた。
「ちょいとお待ち」
「何だよ」
「これを持ってお行き」
祖母が袖から財布を取り出し、5千円札を差し出した。
「軍資金だ。映画の切符代とお茶代にでもおし」
「いいの?」
「お前にあげるんじゃないよ、雪恵さんの子守賃代わりだ」
「へっ?」
「お前のね。私がスポンサーなんだから、帰ったら会計報告をきちんとすること」
僕はデートのつもりなのに、祖母にしてみれば孫を雪恵さんに子守してもらうだけにすぎないか。
腹が立つが、しかし、懐が暖かくなるのはありがたい。
そういえば、小遣い日前なのに財布の中身のことをちっとも考えていなかったし。
「…分かったよ。ちゃんと報告する」
「みっともない真似をして、恥をかくんじゃないよ」
「分かってるよ」
ムッとしながら言い、お金を受け取る。
会計報告という名目で、僕にその日の行動をしゃべらせて、また一笑いしようと画策しているくせに。
しぶしぶ礼を言って祖母の部屋を後にし、許可が出たことを雪恵さんに話しに駆け戻った。
それでは、不束者ですがお役目を果たしますと頭を下げられ、僕も慌てて同じくらいに頭を下げた。


人生における初デートだから、失敗はなんとしても避けたい。
雑誌を読んだりしてイメージを描き、万全を期して当日に備えた。
言うべき言葉を実際に口にして、その似合わなさにベッドの上を転げ回ったことは僕だけの秘密だ。
にやけたり不安になったりと、忙しいウイークデーが過ぎ、そして週末がやってきた。
その日の朝、いつもより早く起きて身繕いをし、たんすの中のありったけの服を出して着ていく物を選んだ。
なるべく大人びて見える物を選んで着て、玄関へ行くと雪恵さんはすでに待ってくれていた。
いつもの白い前掛けをしていないのが、何だか新鮮に思える。
珍しく明るめの色の着物を着ているのが、出かけることを意識してくれたようで嬉しかった。
「じゃ、行こうか」
精一杯落ち着いた口調で言い、並んで歩きながら映画館へ向かう。
本当は、ここで手をつなげればいいんだけど…。
それは無理だったので、せめて見るだけならと、道中に雪恵さんの整った横顔を何度も盗み見た。
女性、しかも美人と並んで歩くなんて初めてだから、妙に緊張してしまう。
そんなに脚も長くないくせに、歩くスピードは大丈夫かなどと気を使って。
やっと映画館が見えたときには、早くも一仕事終えた気になっていた。
雪恵さんには入り口で待っていてもらい、窓口へ券を引き換えに行く。
当日券を買うんじゃなくて、それよりも数百円安い前売り券だから、あんまり見られたくない。

361:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:44:40 sF8ZvUbi
指定券を持って何食わぬ顔で戻り、館内に入った。
「あ、あの…足元、大丈夫?」
暗い客席を移動するどさくさに紛れ、雪恵さんの手を取る。
手と手が触れ合った時、ちょっとびっくりされたが、拒否するそぶりは見えなかった。
華奢なその手指をそっと握るだけが、今の僕には精一杯だ。
触れ合った部分の温もりを感じながら、映画館の暗闇に感謝した。

席についてしばし、予告編に続いて映画が始まった。
初デートに深刻な作品はふさわしくないと、洋画のオーソドックスなラブロマンス物を選んだ。
定まらぬ恋を繰り返していたヒロインが、最後はいつも傍にいてくれた男と幸せになるという筋書きらしい。
男は年下じゃなく、年上のエリートなのがちょっと引っかかるけど。
しかし、草食動物のようにおとなしかった男が、映画の後半で情熱的にヒロインに迫るシーンは圧巻だった。
僕も外国人ならああいうキザなせりふを言って、雪恵さんの心を動かしたりできるのだろうか。
自分が同じ言葉を言うことを想像し、空しく沈黙した。
ちょっと僕には荷が重い、この映画を参考にしようと思ったのは失敗だった。
溜息をつく僕の前で、ずっと思っていてくれた男の真心にヒロインは涙を流し、キスシーンでENDマークが出る。
照明がつき、隣をうかがうと、雪恵さんはぼうっとした目でスクリーンを見ていた。
映画の最中にもそれとなく窺ったところでは、雪恵さんはストーリーに集中していたように思える。
ヒロインに感情移入して、楽しんでくれただろうか。
屋敷にばかり閉じこもってないで、自分にもああいう恋愛をできる可能性があると思ってほしい。
できれば、その相手がこの僕だったら、とも想像してほしい。
…もっとも、僕はあの男ほど頭もよくないし、顔も普通だけれど。

映画館を出て、また並んで歩く。
さっきよりも二人の間の距離が少し近くなったみたいで、嬉しい。
でも、まだ手をつなぐには至らないのがもどかしい。
思い切って触れてみようかとも思うが、保護者代理にと頼んだ外出で手をつなぐのは変だ。
妙な小細工をせず、いっそのこと「デートをしよう」と誘った方が良かったのかと今になって考える。
微妙な距離を目で測りながら、うずうずする手を持て余した。

手のことばかり考えていてもしょうがないと、別のことに意識を向ける。
祖母にもらった小遣いは、前売り券2枚を買って2600円が消えた。あと2400円残っている。
映画代とお茶代にでもしろと言われたお金だから、どこかで一休みしようかと思う。
「ね、雪恵さん。喫茶店へ行こうよ」
多少遅くなっても構わないという言質を祖母からとってあるので、今日は強気だ。
だが、映画をおごって頂いたのだから今度は私が払います、と雪恵さんに食い下がられてしまった。
「だめだったら!僕が誘ったんだから僕が払う」
男としては、初デートくらい格好をつけたいのに。
意外に強情な雪恵さんもかわいいなと思いつつ、僕も一歩も退かずに主張を続ける。
「僕は年下だけど、今日は雪恵さんをエスコートするつもりで来たんだ。
高校生だから、洒落たレストランには連れて行ってあげられないけど、せめて喫茶店でパフェでも食べよう」
「パフェ…ですか?」
あ、雪恵さんの心が少し動いた。
やはり女の人だから甘いものには弱いとみえる。
「うん、僕も食べたいから付き合ってよ。家じゃ食べられないだろ?」
うちの食事は和食が中心だから、若い雪恵さんは物足りなく思うこともあるんじゃないだろうか。
そう予想して、女心に訴えてみる。
「そう、ですね…」
「じゃあ決まりだ。行こう」
こくりと頷いた雪恵さんの手を取り、喫茶店へと歩いた。
手をつなぐというよりは引っ張るという感じで、甘い雰囲気はかけらもなかったのだが。
しかしさっきとは違って、明るい場所で雪恵さんに触れているという高揚感のようなもので、僕の頭の中は一杯になった。

362:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:45:29 sF8ZvUbi
どうにか喫茶店に入り、狭い2人掛けのテーブルに腰を下ろした。
お辞儀をしたら頭がぶつかりそうなくらい小さなテーブルを挟んで、雪恵さんと向かい合う。
それだけのことなのに、何だかウキウキしてきた。
「雪恵さん、先に選んでよ」
メニューを取り、開いて置いてあげると、雪恵さんはそれに目を落とした。
僕も反対側からのぞき込み、書いてある文字を見る。
しかし、視線の先に俯いた雪恵さんの胸元が目に入ってしまい、目が釘づけになってしまった。
あの夜、一瞬だけ露になった胸の谷間は、今も僕の脳裏に焼きついている。
変に紳士ぶったりしないで、どさくさにまぎれて軽くでも触れておけばよかった。
惜しいことをしたと、今になって猛烈な後悔がこみ上げる。
女の人の胸にはまだ触れたことがないけど、聞いた話では男のそれとは違い、しっとりと柔らかく指先に馴染むらしい。
雪恵さんは肌がきれいだから、きっと僕の想像よりもはるかに触れ心地がいいんだろう。
メニューを見るふりをしながら、着物の胸元から透視するみたいにして、さらにその膨らみを凝視した。
今日の下着はどんなだろうか、普段の着物と同じで控えめか、それとも意外に大胆なデザインだったりして…。

「──、坊ちゃま?」
「はへっ?」
本人には絶対言えない妄想に浸っていたところ、いきなり呼ばれてすごくマヌケな声が出てしまう。
慌てて咳払いをし、何でもない様子を取繕った。
「な、何?」
「私、チョコレートパフェを頂きたく思うのですが、構いませんでしょうか…?」
「あ、うん。じゃあそうしなよ」
「坊ちゃまはどうなさいます?」
雪恵さんの胸元に夢中で、自分の注文を決めていなかったことに気付き、慌ててメニューに視線を落とす。
いつのまにかこちらを向いていたメニュー表。気がきくなあ雪恵さんは。
「えーと、どうしようかな…」
抹茶パフェの文字が目に入り、さらにはフルーツパフェ、特製モンブランの文字にも誘惑されてしまう。
注文をぐずぐず考えるのは男らしくないと、雑誌に書いてあったのに。
僕が決めるのを待っている雪恵さんの視線を感じて焦り、結局同じ物を頼むことにした。

注文を済ませてメニューが下げられ、何となく雪恵さんと目が合って微笑んだ。
いい雰囲気だ、ひょっとしたら周囲の客に本物の恋人同士だと思われるかも。
今の空気を壊さないような、気の利いた会話をすべきだな。
盛り上がる話題、話題……。
「雪恵さん、映画はどうだった?」
残念ながら、ムードのある話題というやつが思いつかなかったので、映画の話題に逃げる。
「はい、とても面白うございました」
「うん、僕も面白かった。思っていたより、コメディの要素も多かったよね」
「ええ、ヒロインの靴が池に落ちてしまったところ、とてもおかしくなりました」
「ほんとだね、せっかくおめかししたドレス振り乱して『私の靴ー!!』って叫んだところでしょう?」
「はい。あんなに綺麗な女優さんなのに、役のためならみっともなく叫びもするものなのですね」
「女優魂ってやつなのかなあ?当たり役だったよね」
話が盛り上がり、雪恵さんが楽しそうな顔になったのを見て僕のテンションも上がる。
いいぞ、大人っぽくはないが、会話は弾んでいる。

「ね、雪恵さん。また映画に付き合ってよ」
「えっ?」
気をよくした僕の言葉に、雪恵さんはパチパチとまばたきをした。
「僕、今度はあの予告編でやっていたのが見たいんだ。来月公開って言ってた、あれ」
「北欧の村のナントカという映画ですか?」
「うん。あの犬ぞりの男の人の話」
肝心な所で映画の題名を忘れてしまい、じれったい。
「雪恵さんはどう?見たくなかったら他のでもいいよ?」
僕は別にあの映画じゃなくても、雪恵さんと見られるのなら何でもいい。
ホラーやスプラッタは御免こうむりたいけど…。

363:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:46:12 sF8ZvUbi
「私でよろしいのでしたら、お供させていただきます」
雪恵さんがにっこりと笑って言ってくれた言葉に、僕は天にも昇る心地になった。
最初に誘った時の煮え切らない態度とは雲泥の差だ。
「ほんと?約束だからね?」
また来月、2人で映画に行けるんだ。
小遣いを貯めておかなくちゃ。
「でも坊ちゃま、あれは男同士の友情のお話ですから、お友達同士で行かれたほうがいいのではありません?
クラスメートを誘われた後、私が同伴いたしますから」
「だめだよ、僕は雪恵さんと行きたいんだから!」
友達となんか行けるわけない、恋敵をわざわざ増やすようなものだ。
「僕の友達は、映画よりテレビゲームなんかの方が好きみたいなんだ。だから2人で行こうよ」
雪恵さんの案を却下し、2人で行くことを強調する。
早く本人に「デート」と言えるようになりたい。
「来月の上映予定を調べておくから。祖母にも僕から言っておく、今回もすぐOKくれたから、来月も大丈夫だよ」
「坊ちゃまがそう仰るなら…」
雪恵さんが少し赤くなり、小さく頷いた。
…かわいい。
「忘れないように指切りしておこうよ」
素直に差し出された雪恵さんの細い指に、僕の指をからめる。
「指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲ますっ」
「指切った…」
雪恵さんも小さな声で唱和し、頬をほころばせた。
これで、来月も2人で出かけられる。
ああ、バラ色の未来が見えるようだ。
「…あの、坊ちゃま」
「ん?」
真っ赤になった雪恵さんが、からめた指を必死に解こうとしている。
どうしたのかと思ったら、パフェを運んできたウエイトレスが、テーブルの前で困ったように立ちつくしていた。

パフェを食べながら、また映画の話をした。
二人の共通の話題というのを模索すると、ふさわしいのはこれしかなかったから。
祖母を始めとする家人の話をするのは、せっかく二人きりでいるのにもったいないと思えた。
僕は何時間でもしゃべっていたかったのだが、テーブルの上が空になると、さすがに店を出ざるを得ない。
レジの前で、自分が支払いをすると言い合ってまた一悶着した後、外に出る。
ご馳走になりましたと頭を下げられ、こちらも慌ててお辞儀をする。
僕としては、もう少しぶらぶらしたかったのだが、夕飯の準備があるからと雪恵さんが帰宅を勧めた。
さすがに、夕飯をすっぽかすわけにはいかないので、しぶしぶ頷いて家路につく。
途中、水ようかんが名物の村雲庵の前を通ったので、土産でも買っていくかと店に入った。
来月も映画に行くから、祖母へのワイロの代わりにしようと思って。
5個1050円の水ようかんを買い、もらった軍資金の残りは50円になった。
帰宅し、夕食前に祖母の部屋へこっそりと行って、今日のてん末を報告する。
映画に喫茶店、全く私の言った通りじゃないか、センスが無いねえとからかわれてしまった。
しかし、来月もまた行くつもりだと告げると、祖母は得たりという顔でニヤリと笑った。
「ほう。じゃあ来月には何べんもお使いを頼もうじゃないか」と言って。
お駄賃という名のデート代をくれることを匂わせているのだろうか。
憎まれ口ばかり言うこの人も、本当は僕のことを気にかけていてくれるのかもしれない。
素直に礼を言い、祖母の部屋を後にした。

夕食時には、給仕をする雪恵さんはいつもの地味な着物と前掛け姿に戻っていた。
少し残念な気がするが、今日はとても楽しめたから、よしとすべきなのだろう。
来月の外出がもっと楽しくなるように、もっと策を練らなければいけない。
部屋に戻り、昼間の反省会を一人とり行う。
とりあえず、喫茶店で同じ物を注文したのは失敗だった。
違う物、例えばイチゴパフェなんかを注文しておけば、一口あげることもできたのだろうから。
そうすれば、もっと親密な雰囲気になれただろうに、返す返すも残念だ。
「坊ちゃまの物を頂くなんてできません」と遠慮されるだろうけど、そこを押して食べてもらう。
映画に誘った時みたいに、きっと少し困ったみたいに笑って、最後には言うとおりにしてくれるんだろう。
その時の表情を想像し、いい気分になったところで睡魔に負けてしまった。
寝る前にいいことを考えたせいか、その夜はとてもよく眠れたように思う。
翌朝、僕が食堂で目にしたのは、一足先に朝食を終え、デザートに僕の分の水ようかんを食べている祖母の姿だった。

364:大二郎と雪恵の話2
08/09/06 06:47:29 sF8ZvUbi
以上です。

>>290
5歳上が正しいです。後半ミスタイプしてた、指摘感謝。

365:名無しさん@ピンキー
08/09/06 09:26:58 82ZrHz2W
>>364
GJ!

366:名無しさん@ピンキー
08/09/06 13:54:27 vGWalhxF
>>364
雪恵さんいいですね。しかし振り向かせるのは至難ですな……GJ!

367:名無しさん@ピンキー
08/09/06 15:15:10 Qt1rX/X2
GJ!・・・・・・・・・・・か?

368:名無しさん@ピンキー
08/09/06 18:30:20 IXG125ng
初めまして
以下、9レスぐらい投下します

冒頭にレイプありです
苦手な人はスルーしてください

369:ひそかな願望1
08/09/06 18:31:25 IXG125ng
 ブリストル海峡を一望するビデフォード・パークの一室で、ジェイムズ・イングラムは息を潜めて待った。
深紅の絨毯と薄桃色の壁紙に包まれたこの寝室で、純白のマルセイユ織りの布団に身を沈めながら、
ジェイムズはひたすら胸の高鳴りをおさえて待った。
 と、マホガニーの分厚いドアをノックする音が響いた。
「入ってくれ」
 ジェイムズが答えると、寝間着の上からショールを羽織ったメアリが現れた。燭台はない。
廊下の暗がりを手探りだけでここまで来たのだろうか。煖炉のあかりを受けて、メアリの表情は
いくらか深刻そうに見えた。
「坊っちゃん、お話というのはなんでございましょうか?」
「今夜は特に冷える。こちらへ来て火にあたったらどうだ?」
 五月とはいえ、夜ともなれば二月に逆戻りしたような寒さだ。ジェイムズは手招きしたが、
メアリは首をふった。
「いえ、ここで結構でございます。寒いのにはなれておりますし」
「お前が結構でも、ぼくは寝台を出たくないのだ。大声を出す気力もない。だから、さあ、
こちらへ来てくれ」 
 メアリは渋々といった体で進み出た。
「できれば、お話は手短にお願いいたします。朝が早いものですから」
 ジェイムズは枕元に立ったメアリの腕をとると、強引にキスした。メアリが身体をよじって
ジェイムズから逃れる。
「坊っちゃん、いったい何をなさったんですか?」
 まだあどけなさの残る十六歳のメイドは、顔を真っ赤にして若主人をにらんだ。
「お前が好きなんだ」
 メアリは弾かれたようにしりぞいた。
「あたしは、あたしは……そんなこと、無理です」
「なぜだ?」
「だって、だって、あたしは坊っちゃんのこと、なんとも思ってませんもの」

370:ひそかな願望2
08/09/06 18:32:47 IXG125ng
 メアリの表情は真剣だった。ジェイムズに愛を告げられ、それを断った婦人などいたろうか。
 いや、いない。
 ジェイムズは寝台から下りると、メアリの腕を力任せにつかんだ。
「やめてください、坊っちゃん、痛いわ……」
 ジェイムズは寝台までメアリを引きずると、押し倒した。ガウンのひもで彼女の両腕を縛る。ガウンの下から
のぞいた寝間着のズボンは、猛々しく怒張したペニスによって、すでに限界まで張りつめていた。
「いや、何なさるの、やめて、いや、い―」
 ジェイムズは、かぼそい声で抵抗するメアリの口を唇でふさいだ。舌を押し込むと、メアリは口の中でも
逃げようとしたが、それを捕らえ、吸い上げる。その間に寝間着の襟元を強引に押し下げ、あらわになった
乳房を押しつぶすように揉む。
 口を離すと唾液がふたりの間につーと糸を張り、ジェイムズは誠意の表れとして、それを丁寧に舐めとった。
「お願いです、坊っちゃん。こんなこと、もうおやめになってください。あたし、誰にも言いませんから。
本当です。神に誓いますわ」
 ジェイムズはメアリの哀願を無視して、壁紙と同じ色の乳首に歯を立てた。それから乳首をごろごろと
転がすように舐めまわすと、メアリは口を閉ざし、代わりに荒い息を吐くようになった。片方を口で吸い、
片方を指先でつまんだりこねたりしていると、メアリがだんだんと背をのけぞらせ、右に左に頭をふるようになった。
 ジェイムズは手からはみ出るほどの乳房から離れると、舌をはわせながら下腹部に向かった。下着をはぎとり、
脚を大きく広げさせる。
「待って、いや、何するの、この人でなし! 卑怯者、いやいやいや、お願い、いやなのよ……!」
 ジェイムズは、大きく広げた脚の中央にあるメアリの陰部をつぶさに眺めた。てらてらと光った
薄桃色の陰唇が、深紅の女陰を縁どっていた。ジェイムズは、すでにふくれている小さな芽を
音を立てて吸った。
「……んん、んあっ、あっ、ああんっ、ああんっ、いやっ、だめっ、ああんっ……!」
 メアリは腰を浮かせ、背を弓なりにそらせ、髪をふり乱してよがり声をあげた。その声は涙に濡れ、
哀願はさらに悲痛なものとなった。
「お願い、やめて、ああんっ、ああんっ、んんっ、やめてっ、あんた、なんか、地獄に、んんっ……!」

371:ひそかな願望3
08/09/06 18:33:59 IXG125ng
 ジェイムズは、小さな芽を舌先でこね、吸い、甘く噛むといったことを繰り返した。やがて、メアリは
絶頂に達した。目尻からは涙が流れ落ち、口からはよだれが垂れている。細いももは朱に染まり、
上気した胸にそそり立つ乳首は、さらに肉欲を求めて硬くなっている。女陰からあふれ出した蜜はカバーを
ぐっしょりと湿らせ、まるで池でも出現したかのようだ。
 ジェイムズは、ぜいぜいと肩で息をしているメアリの女陰に指を差し入れた。親指で芽をいじりながら、
膣の内壁を指先でこするように往復させる。とたんに、ぐったりと横たわっていたメアリの身体が、
びくんとはねた。神聖な泉のように蜜は涸れることなく、ぐちゃぐちゃといやらしい音を立て続ける。
 ジェイムズは敏感な箇所を探りあてると、そこを執拗に責めた。
「いやあっ、んんっ、んっ、あっ、ああんっ、ああんっ、いやいやいや、んんっ、んっ……!」
 メアリは二度目の絶頂を迎えたが、ジェイムズは彼女に休息を与えようとはしなかった。口と手で責められ、
さらに一度ずつ絶頂を迎えたメアリは、とうとう気を失ってしまった。ジェイムズは、何の反応も示さない
メアリにペニスを差し込んだ。
 ぬらぬらと透明な汁におおわれていたそれは、数度行き来しただけですぐに果ててしまった。
ジェイムズはペニスでメアリをつらぬいたまま、彼女の胸に顔をうずめた。それは実にいやらしく
美しい身体だった。ペニスを抜くと、充血した性器どうしが名残おしそうに糸を引いた。
 メアリに寝間着を着せ、逆流してきた精液をきれいにぬぐいとり、布団をかけてやると、ジェイムズは
長椅子に横になった。心身ともに疲れ果てていた。

           ※     ※     ※ 

 メアリは見慣れぬ寝台の上で目を覚ました。天蓋からは真っ赤なカーテンが下がり、頭の下には
白い枕が雪のように積もっている。窓からは緋色のカーテンごしに朝日が射し込んでいた。
メアリは起きるべき時間がとっくのとうに過ぎていることに気づき、慌てて寝台から飛び下りた。そこで、
はたと思い出した。ゆうべ何が起きたのかを。いや、正確には何をされたのかを。メアリはあたりを見回した。
あの恐ろしい男はどこにいるのだろう。
 いた。
 ガウンを羽織ったジェイムズが、煖炉のそばの長椅子に寝そべっていた。静かな寝息を立てている。
メアリは火の消えた煖炉から火かき棒をつかみとると、それをジェイムズの頭上にふりかざした。

372:ひそかな願望4
08/09/06 18:35:08 IXG125ng
 だがジェイムズは、きのうの鬼畜じみた所業がまるで嘘のように、安らかな寝顔ですやすやと眠っている。
天使のようだと言っても過言ではない。 
 メアリは火かき棒をとり落とすと、大急ぎで寝室をあとにした。この身に起きたことはすべて忘れよう。
それが一番いい。
 だが、メアリの仕事ぶりは、あっという間に地に落ちた。ぼーっとすることが多くなり、些細なミスを
繰り返してばかりいるのだ。そのたびにメイド頭に注意されるのだが、いっこうによくなる気配がない。
 メアリは、このビデフォード・パークを追い出されたらどこへ行こうかと、真剣に悩みはじめていた。 
そんなある日の晩、メアリは意を決してジェイムズの寝室を訪れた。足が震えて仕方がなかったが、
恨みだけでも晴らしたいと思ったのだ。
 ドアをノックすると、「どうぞ」と短く返ってきた。あの日のようにまた乱暴されたらどうしよう。
そう考えただけで吐き気が込み上げてくる。メアリは逃げ出したくなるのを堪え、ドアを開けた。
 ジェイムズは、長椅子に脚を投げ出して本を読んでいた。明かりは煖炉だけだ。本からつと目を
離したジェイムズは、メアリの姿を認めて腰を上げた。
「やめて! お願い、来ないで!」
 メアリはそう叫ぶと、うずくまった。めまいがひどく、視界がぼやけて何も見えない。
「わかった。大丈夫だ。ぼくは何もしない。ここから動かない。本当だ。神に誓うよ」
 メアリは恐る恐る顔をあげた。ジェイムズは長椅子に腰かけ、両の手の平を見せている。
「安心してくれ。何もしない」
「……よくもまあ、そんな嘘がつけるものね」
 メアリは涙をぬぐうと、毅然と立ち上がった。ジェイムズが目を見張る。
「嘘だって?」
「そうよ。何もしないとか、安心してくれとか調子のいいこと言って、今まで何人も
メイドを手篭めにしてきたんでしょ。違う? この人でなしの外道野郎」
「信じてくれ。ぼくは無実だ。メイドに手をつけたことなど、今まで一度もない。あんな乱暴なことを
したのはきみが初めてだ」
「だったら、何だっていうのよ? 喜べとでもいうの?」

373:ひそかな願望5
08/09/06 18:36:01 IXG125ng
 ジェイムズがかぶりをふった。
「いや、違う。ぼくはただ、きみのことが好きで好きでたまらなかったんだ。どうしてもきみが欲しくて、
あんなひどいことをしてしまった。どうか許してくれ」
「それが許しを請う態度なの? まるで自分は悪くないような言い方じゃない。あたしはどうなるの?
ここを辞めたら行く場所がないわ。仕送りをちょっとでもやめたら、家族は飢えて死んじゃうのよ!」
「すまない。きみが謝れというのなら、いつまでも謝り続けるよ」
 メアリは窓際の机にかざられた写真立てをつかむと、怒りに任せて投げつけた。
「謝ればいいってもんじゃないのよ!」
 鈍い音がした。ジェイムズの額から、血がひとすじ流れ落ちた。メアリははっと我に返ると、
すぐに心の底からわびた。
「申し訳ありません、坊っちゃん。あたし、こんなことするつもりじゃなかったんです」
「いいんだ、謝らなくていい」
 ジェイムズはメアリの足下にひざまずくと、その両手をとった。
「本当にすまない、メアリ。ぼくは取り返しのつかないことをしてしまった。きみが許したくないと
いうのなら、許さなくたっていい。永遠に許さなくていい。ただ、ぼくが後悔していることだけは
信じてくれ」
 メアリはジェイムズの暖かい手の中から、自分の手を抜き取った。何かもっとひどいことを言って
やろうかとも思ったが、結局言葉にならなかった。
 メアリは背を向けると、寝室を飛び出した。耳の中で鼓動が早鐘を打っていた。

 それからというもの、メアリはジェイムズの姿を見かけるたびに、心臓が激しく脈打つのを感じた。
女性の来客があったり、馬車で舞踏会へ出かけていく日などは特に息が苦しくなった。メアリは気のせいだと
思うよう努めた。だが、ジェイムズの手の暖かさが忘れられなかった。ジェイムズの舌先も忘れられなかった。
ジェイムズにもてあそばれたあの日、身体を走った熱の荒々しさも忘れることができなかった。
 メアリは就寝前、屋根裏の湿ったメイド部屋で、こっそり自分を慰めるようになっていた。寝息を立てる
ほかのメイドたちに気づかれぬよう、枕に顔をうずめながら、メアリはジェイムズの指を思い出した。
舌がはった場所や、歯が立てられた場所、指がかき回した場所を同じように再現するのだ。
 メアリは切ない吐息をもらしながら、ジェイムズが自分の中で果てる姿を何度も想像した。それだけは
憶えていなかったからだ。

 夏の盛りの緑が萌え立つころ、メアリは夜中にこっそりと屋敷を抜け出した。月が照らす広大な庭を、
誰に気がねすることもなく歩く。毎晩のように自慰をしても、肉欲はいやましに募り、もはや自制することなど
不可能だった。

374:ひそかな願望6
08/09/06 18:36:54 IXG125ng
 メアリは鼻歌をうたいながら、あてどもなく庭をさまよい、厩舎を見つけると忍び込んだ。わらをしまっている二階なら、
ジェイムズを思いながら存分に芽をいじることができると思ったのだ。
 メアリは不審者を警戒する馬を怒らせないよう、そっと歩きながら、はしごを二階に立てかけた。足をかけると
ぎっときしんだが、馬をいななかせるほどではないようだ。メアリは気をよくして、走るように二階まで登った。
太陽をさんさんと浴びたわらの上にごろりと横になると、香ばしいかおりが胸を満たした。メアリは寝間着の裾をまくり上げ、
脚を広げた。
 彼女の身体もなれたもので、メアリが乳首を転がしながら芽をつつくと、たちまち蜜をあふれさせた。メアリは二本の指で
敏感な箇所を刺激しながら、ジェイムズに舌を入れられる自分を思い描いた。
 と、そのとき、はしごがきしんだ。メアリは急いでからげた裾を元に戻すと、わらの山に隠れた。息を殺してはしごを
見つめていると、なんと驚いたことに、現れたのは当のジェイムズだった。
「メアリ、メアリ」
 ジェイムズは小声でメアリの名を呼んでいる。
「どこに行ったんだい? 出てきておくれ」
 メアリはおずおずとジェイムズの前に進み出た。
「やあ、やはりきみだったんだね。出ていくところが見えたものだから、あとを追ってきたんだ。邪魔してしまったかな?」
「いえ、そんなことありません。あたし、何もしてませんでしたから」
 メアリは、ジェイムズと顔をあわせることなどできなかった。恥ずかしさのあまりうつむいていると、ジェイムズが
心配そうにたずねた。
「何か悩みごとでもあるのかい? 言っておくれ。ぼくにできることなら何だってする」
 その言葉にメアリは思わず顔をあげた。とたんに、ジェイムズと視線があう。メアリの頬は、紅葉したカエデのように
真っ赤になってしまった。
「ぼくの顔に何かついてるかな?」
 ジェイムズがごしごしと口元をぬぐった。
「いえ、あの、何もありません。すみません」
 ジェイムズがおかしそうに笑う。
「なんできみが謝るんだい?」

375:ひそかな願望7
08/09/06 18:37:43 IXG125ng
「だって、あの、あたし、あたし……」
 メアリは何か大事なことを伝えたかったのだが、それを言葉にすることはついにできなかった。その代わり、
無意識のうちにジェイムズの口元に手が伸びていた。メアリの指がジェイムズの形のいい下唇をなぞる。ジェイムズは
仰天したように、メアリを見つめ返している。メアリは今度は上唇をなぞった。と、次の瞬間、それはジェイムズの
口に根元まで含まれていた。ジェイムズはメアリの指を一本ずつなめ、指のまたを舌先でくすぐっていたが、突然、
表情をほころばせた。
「どうなさったんです、坊っちゃん?」
 ジェイムズは意地悪そうな目でメアリを見た。
「きみは今の今まで、自分を慰めていたんだろう」
 あとはもう、ふたりとも言葉にならなかった。ジェイムズはメアリにキスをし、メアリはジェイムズの舌をすすった。
ジェイムズはメアリの寝間着を脱がせると、壁に手をつけて立たせた。メアリが促されるまま脚を広げると、ジェイムズの
顔が局部にうずめられた。
 メアリは喜びに身体をわななかせた。ジェイムズはひだの奥に舌を走らせ、膣の天井をこそげ落とすようになめた。
ときおり、敏感な箇所を責めるのをやめ、膣の下部を舌の表面でくすぐることがあった。その不規則な動きに、メアリは
涙を流しながらあえいだ。
 メアリのももは蜜まみれになり、それがひざまでしたたった。ジェイムズはふと舌を抜き取ると、指で蜜を集め、
それを尻の穴に塗りたくった。
「あんっ、やめて、何をなさるんです」
 ジェイムズはそれには答えず、今度は舌で小さな芽を刺激しだした。そして、肛門に指を入れた。
「いやっ、ああんっ、そこはいやっ、ああんっ、あんっ、人でなし、んんっ、んっ、ああっ!」
 ジェイムズは、メアリの肛門に指を少しだけ入れたり出したりしながら、芽も責め続けた。そして、メアリのあえぎ声が
頂点に達しそうになると、芽から会陰を通り、肛門のまわりをなめつくした。
 メアリは身体が小刻みに震えるのを感じた。頭が真っ白になり、何かがあふれ出る。メアリは足下を見下ろした。
ジェイムズの寝間着のズボンにしみができている。
「坊っちゃん。今、あたし、どうしちゃったんでしょう?」

376:ひそかな願望8
08/09/06 18:38:27 IXG125ng
「ちょっともらしちゃっただけだよ」
 ジェイムズが何てことはないという顔で答えた。
「そんな……。すみません、坊っちゃん。あたし、あたし……」
 メアリは込み上げてくる涙を我慢しきれなくなった。そんなメアリの頬にジェイムズが優しくキスする。
「気にすることはない。よくあることだから。みんな、そうだ」
「ほんとですか?」
 メアリがジェイムズを見上げると、ジェイムズはほほえんでうなずき返した。
「本当だとも」
「よかった。あたし、もう坊っちゃんには会えないと思いました」
「それより、この味どう思う?」
 ジェイムズが舌を入れてきた。かすかに塩っぽい苦い味がした。
「よくわかりません」
「これ、きみの味だよ」
「……やだ、そんな、恥ずかしい」
 顔を伏せたメアリにジェイムズがふたたびキスをした。メアリは乳房と尻をまさぐられながら、
腹に硬いものがあたるのを感じた。さわってみると、それは熱を帯びて今にも火をふきだしそうだった。
 ジェイムズはメアリの身体に唇をはわせながら座り込むと、ペニスをメアリの女陰にあてがった。
ペニスはするりとメアリの中に吸い込まれた。不思議なことに、メアリの膣はジェイムズのペニスを隙間なくおおった。
メアリはジェイムズに催促されるまでもなく、自分から腰をふった。
 メアリの膣はよくしまり、彼女が力を入れるたびに、ペニスをきゅっとくわえ込むのだった。ジェイムズは早々に
果てないよう、歯を食いしばって耐えた。
「ああんっ、ジェイムズ様、ジェイムズ様、ああっ、ああんっ」
 メアリはうわ言のようにジェイムズの名を繰り返している。濡れた陰毛どうしのこすれあう音が、世界のすべてから
ふたりを隔絶していた。
「ジェイムズ様、ジェイムズ様、ああんっ、ああっ、だめっ、だめっ、もう、んんっ、んんっ!」
 メアリがいくと、それを追いかけるようにジェイムズも細かく痙攣した。ふたりは身体を重ねたまま、わらの上に転がった。
月はすでに西のかなたに消え、朝の近づく気配だけが、唇をあわせるメアリとジェイムズを包んでいた。


(了)

377:368
08/09/06 18:39:41 IXG125ng
8レスで済みました

378:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:33:06 mCrrKyGV
>>377
GJ!こういう展開は好きだ

379:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:34:59 LNXJ9rMq
>>377
GJ
俺はこういうの好きだ
この二人にはうまくいってほしい気がする

やっぱレイプモノは多少救済要素がないときついよな

380: ◆dSuGMgWKrs
08/09/08 07:14:30 HevMH1Qa
>>335-344の『メイド・小雪 7』は『メイド・小雪 8』の間違いでした。失礼しました。

以下、番外編になります。



『メイド・小雪 9 ―メイド・菜摘―』


菜摘でございます。

当家のご長男、正之さまの担当メイドを拝命して5年。
わたくしの全ては、正之さまのためにあると申し上げてもかまわないません。

朝、正之さまをお起こし申し上げ、お支度をお手伝いし、お見送りする至福の時。
正之さまのお部屋をお片づけし、お召し物を調え、お帰りをお待ちしながらメイドの務めを果たす間の幸せ。
お帰りをお迎えしましたあと、お着替えやお風呂のお世話。
そして、お気が向けば、わたくしをベッドに呼んで抱いてくださるのです。
身も心も蕩けるようなめくるめく時間。
朝、正之さまの腕の中で目を覚まし、そっと寝顔を拝見する喜びは何にも換えられません。
時にはわたくしが抜け出そうとする気配に正之さまがお目をお覚ましになり、わたくしの腕を取ってお引き寄せ下さることもございます。
まだうとうとなさっているのに、わたくしに朝のキスをくださるのです。
それから自室に戻り、身支度を整える間もつい笑みが浮かんでしまうのでございます。
その日がお休みであれば、正之さまは前夜たっぷりとかわいがってくださった余韻の残る場所に触れてくださり、そのままもう一度、ということも少なくはございません。


昨日から、正之さまは弟さまの直之さまとご一緒に、良家の子女たちが集まる定例の交流会に一泊でお出かけになりました。
今回は主催が当家でございましたので、正之さまはお忙しい中いろいろと趣向を凝らしたものを計画なさっておいででした。
主人がお屋敷を留守にするときが、担当メイドにとっては貴重な完全休日になるのですが、わたくしにとっては正之さまにお会いできない寂しい日でしかございません。
直之さまの担当メイドである小雪が休みだというのに外出しないので、わたくしも休日をどう過ごそうかと思案した結果、正之さまのためにエステに行こうと思いつきました。
お帰りになったときに、すべすべの肌をかわいがっていただきたいのでございます。
急ではございましたが予約が取れ、マッサージやサウナですっかりリラックスいたしました。
つやつやになった全身を鏡で見て、はしたないとは思いつつも、早く抱いていただきたくてうずうずするほどでございました。

そして、翌日の午後、お屋敷にお戻りになった正之さまは、わたくしにお風呂の支度を言いつけられましたのでございます。
まだ日も高いのに、と胸を躍らせながらお支度をいたしますと、正之さまはわたくしに小さなデジカメを手渡されました。
「これをプリントしておきなさい」
かしこまりました、と受け取り、正之さまがバスルームにいらっしゃる間にお机の上にあるプリンターにカードを差し込んで、自動印刷のボタンを押します。
シュッシュッ、という静かな音と共に吐き出される用紙には、交流会でのご様子と思われる写真が何枚も印刷されておりました。
どこかにお出かけになって、そこで写真をお撮りになるというのは正之さまにとってお珍しいことでございます。
見るとはなしにそれを見ていますと、わたくしは顔色が変わっていくような感覚になりました。
写っているのはどれも、交流会に参加したおきれいなご令嬢たちだったのでございます。

お風呂から出ていらした正之さまは、何度拝見いたしましてもほれぼれするような均整の取れたお身体でございます。
お帰りになったときとはうって変わっておくつろぎになり、上半身はバスタオルを肩におかけになっておられるだけのお姿。
わたくしが揃えた写真をセンターテーブルに置きますと、その前のソファに腰をおかけになり、わたくしの手をお取りになって隣にお導きくださいます。
「見てごらん、なかなかの美女揃いだろう」
「まあ、ほんとうに」
お隣に座らせていただきまして、お答えしましたものの胸は騒いでおります。
いよいよ、そのときが参りましたのでしょうか。
覚悟していたつもりではございますが、心臓が高鳴るのがわかります。

381: ◆dSuGMgWKrs
08/09/08 07:15:59 HevMH1Qa
正之さまはペンをお取りになり、写真に写っているお嬢様たちの幾人かに印をおつけになりました。
「母さまのお勧めは、このへんかな。私は」
色の違うペンで、また別のお嬢様のお姿を丸く囲われました。
「どう思う?」
正之さまが選ばれたお嬢様。
拝見したところ、まだ幼いと申し上げてもよいくらいのお年頃。
贅を競うようなお嬢様たちの中で、少しではございますが控えめなご様子です。
とは申しましても、わたくしどもからしてみますと、とても手の届かない装いではございます。
隠し撮りでしょうか、斜め後ろから少し近くで撮ったお写真も拝見しました。
アクセサリーは、小さな真珠の耳飾り。金具がチラリと見えますところ、ピアスではございません。
お顔の形がやや丸いのはお若いせいでございましょうか、黒目がちなお目元、小さなお口元などが上品でございます。
ご自分では何一つなさったことのない、白いお手でグラスを持っていらっしゃいます。
わたくしは、メイドの仕事で酷使されている自分の手を、そっと正之さまのお目に触れぬよう隠しました。

「こちらは中学高校と全寮制のお嬢様学校に通われてね。今は女子大に通っている。卒業したらすぐに結婚するつもりでお相手を探しているそうだ」
「まあ、すぐに?」
そこに生まれさえすれば、一生カクテルグラス以上のものを持たずに暮らしてゆけるお家が、ほんとうにあるのでございます。
「女性は下手に世間に出て知恵がつくと扱いにくいからね。純真無垢なうちに家に入れてしまったほうがいい。大事なのは健康で人形のようにきれいにして客に愛想よくできることだからね」
なぜでございましょう。
その正之さまのおっしゃいようが、少しだけ悲しゅうございました。
正之さまは、握り締めるように隠していたわたくしの手に、ご自分のそれを重ねられます。
「ま、ものの役には立たないだろうけど、私には菜摘がいるからね」
そっとお顔を拝見しますと、にっこり微笑んでくださいました。
「…そちらのお嬢様に、お決めになりますの」
お尋ねしますと、お写真をテーブルに放り出され、わたくしの頬にお手を当ててくださいました。
「父さまが良いとおっしゃって向こうがいやだと言わなければね」
「お人柄、ですとか」
「興味ない」
でも、と言いかけたところを唇でふさがれてしまいます。
「パーティーで連れていて見栄えがするなら、自我がなければないほどいい」
深い口付けの後で、わたくしの脚に滑らせたお手がスカートの中に入ってまいります。
「あとは、そうだな。子供は作る。一人だと何があるかわからないから、二人か三人か」
跡継ぎの責任だからね、とお笑いになりながら、わたくしのスカートをすっかりまくり上げてしまわれました。
ソファに横倒しにされ、正之さまが脚の間に入ってこられました。
「抱き心地がよければそれに越したことはないが、菜摘ほどは期待できないだろうな」
指先でそこを何度も擦りあげられ、わたくしはぞくっといたしました。
下着が下げられ、正之さまがそこに顔を近づけられます。
羞恥に頬が熱くなります。
正之さまはそれにかまわず、すでに熱を持っているそこを開いて指先でなぞってくださいます。
「結婚しても、菜摘は、私の世話だけしてくれればいい。妻には妻のメイドをつけるからね。今までどおりだ」
今までどおり。
なにが、どのように今までどおりなのでございましょう。
わたくしの弱いところを隅々までご存知の正之さまのお手が、休みなく動かれます。
「ん…」
思わず、声が漏れてしまいました。
「反応がいい。体つきも、感じ方も、中の具合もね。菜摘ほど相性のいい身体はないよ」
わざと音を立てるようにかき混ぜられて、わたくしはもう何も考えられなくなってまいりました。
ああ、でも、もし、奥様になられる方が、わたくしより相性のいいお方だったら。
正之さまは、こんなふうに。
「菜摘は、最高だよ」
身体を入れ替えた正之さまが、わたくしに熱いものを押し当てられました。
メイドの制服を着たまま、ソファで、こんなふうに性急に求められることに、わたくしは嬉しささえ覚えました。

自分が、正之さまに求められることが、幸せなのでございます。


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