ケロロ軍曹でエロパロ 其の7at EROPARO
ケロロ軍曹でエロパロ 其の7 - 暇つぶし2ch174:名無しさん@ピンキー
08/10/12 00:23:55 ObHHMjQm
めんどくさくなった、と一言いえばいいのに。

175:名無しさん@ピンキー
08/10/13 17:25:14 sHiFsfoV
>>173 今まで乙でした 良ければ又来てくださいね

>>174 ◆K8Bggv.zV2氏が投下を始めた時のここの状況知ってて言ってんのかよ
お前こそ「僕、オナニーは得意だけど日本語読むのは不得意だから、長文読むのが辛かった」って正直に言ったら?wwww
自宅警備の夜勤中の書き込み乙

176:名無しさん@ピンキー
08/10/13 18:52:34 guFGDhQq
>>175
>◆K8Bggv.zV2氏が投下を始めた時のここの状況知ってて言ってんのかよ

そんな事情、誰も興味ないって


177:名無しさん@ピンキー
08/10/13 20:57:10 uO5oJlFq
>>175
本人乙w

178:名無しさん@ピンキー
08/10/13 21:15:47 sHiFsfoV
なるほど ◆HegzoUyjQs=>>174ね 失礼しました

179:名無しさん@ピンキー
08/10/14 01:19:23 7RxKcDWQ
>>178
誰かこの超理論を説明してくれ。
俺には何をどうしてそういう結論になるのかわからないんだ

180:名無しさん@ピンキー
08/10/14 08:49:28 AykFR8dB
ただのアンカミスだろ

181:名無しさん@ピンキー
08/10/14 18:33:43 sZ5OMpwq
一通り見たんだが、ダークケロロの話はないんか

182:名無しさん@ピンキー
08/10/15 08:03:09 RNanuS34
>>◆K8Bggv.zV2
長い間乙でした!
書き手にしてもROMにしても、また来てくれるといいな。と思います。

>>178
違うよ違うよ(';ω;`)!

183:クル夏(1/3) ◆HegzoUyjQs
08/10/15 08:07:09 RNanuS34
突然ですがクル夏投下。クル夏好きはあまりいないみたいだけれども・・・。
夏美オナニー要素含みます。
-----
エロ本。18歳未満の所有、閲覧は禁止されている。
それが、何故弟の部屋にあったかは分からない。ただ、偶然にも見つけてしまった。
そして疼く好奇心を抑えきれず、気付いた時にはしっかりとその内容が脳に焼き付いて離れない。

冬樹の部屋に勝手に入った事がまずよくなかった。
はさみを借りるという些細な理由でも、家族間のプライバシーというものは大切だとしみじみ思う。
文房具なら机の一番取り出しやすい引き出しに入れているものという偏見は間違いではなかったのだが、同時に何かを一時的に隠し、忘れてしまう場所でもあったようだ。
引き出しを開けた途端に、どーん。と見せられたのは平面に描かれた女の子。
前かがみのポーズに、両手を自らの股間にあて、頬は羞恥色に塗られ、口から唾液を垂らす、濃厚に塗られたイラストはいやらしさ満点だった。
家族として、すぐに見なかった事にするのが一番良い対処なのだが、夏美の好奇心と外出したばかりの弟の帰宅時間の想定が『見てから見なかった事にしよう』という悪魔の囁きを支援した。
開いてみればそれは漫画の短編集のようなもの。
一人の部屋。誰もいない。えっちな事しても・・・ばれないよね?もし自分の大事なトコロを触られたら・・・。
あ、あぁん。なんか自分で弄ったら気持ちいいよぉ。手が止まらない・・・!もっと気持ち良くなるには・・・あぁぁぁ!ココ弄ると気持ちいい!
ぁ!お兄ちゃん勝手に部屋に入らな─えっちな事してるのバレちゃったぁ・・・でも、もう気持ちいいの止められないよぅ。
ねぇお兄ちゃん、なんだかもっこりしてるよ?あ、お兄ちゃんもしかして・・・。ねぇ、お兄ちゃん私と──

「夏美?居るのか?」
「ななななにギロロ!?」

突然の呼びかけに光の速さで本を元に戻す。片付けた直後、手には何も持っていないが、なんとなく背中で手を揉み解す。
焼き芋の誘いに「た、食べる食べる」と応じてギロロより先に縁側に向かう。
「・・・冬樹の部屋で何をしていたんだ?」「ち、ちょっとはさみを借りただけよ」「・・・そうか」となんだか挙動不審の夏美にとりあえずの形でギロロは納得。
その後は1人と1匹縁側に並んでもぐもぐと焼き芋の甘さを堪能した。

その日から、夏美は自分を慰める夜が始まる。
あの漫画の女の子の痴態を見てからというもの、夜、ベッドに入ると、秘部に手を伸ばしてしまう。
はじめは少し下着越しに擦るだけ。次の日は指先でクリクリと。その次の日は─。
誰に犯されているだのの妄想は特にない。ただ、自身が誰にも言えないような事をしている背徳感。それでも手を伸ばしてしまう体の疼き。
そんな淫らな自分に興奮して濡らしていたのかもしれない。
慰めて、気付いたら腰を自らほんの少し浮かしていたり、そしてそれがこの快感をさらに高めてくれる事も発見した。
快感を高めて、高めて、高めて・・・・・疼く体をベッドに丸めて朝を迎える日々。

184:クル夏(2/3) ◆HegzoUyjQs
08/10/15 08:08:39 RNanuS34
「クーックックック。今夜もオナニーか」

大画面に映し出されるもぞもぞと動く毛布。枕に乗せた頭も映る表情は寝る前の余興に浸っている。
クルルのラボではその映像が生中継されていた。
日向家に取り付けた隠しカメラも、いつしかどんどん追加されていった。
暇だし風呂でも覗くか。夏美の体が成長しているな、データでも取っておこう。着替えも覗いてブラジャーのサイズでもチェックするか。
なんだ日に焼けた肌も結構綺麗だな。覗かれてるとも知らずなんとまぁ無邪気な寝顔。ローアングルもまた堪らないな。ついでにここにもつけとくか。
気付けば机の上、枕の近く、床から天井への斜め目線と夏美の部屋のカメラだけが必要以上に増えていった。
思春期かコノヤロー。と自分で自分に突っ込む。そんな自分の苛立ちをこの女が悪い。と八つ当たりに思っていた矢先のオナニー映像。
──これ、イってんのか?
ふとした疑問。やり始めの頃よりは腰を少し上げたりしてまぁ気持ちいいのだろうが、それにしてもオナニーの時間が短い。
当人の体感では長く感じるのかもしれないが、実際3分としていない。
しばらく思考して、腹の底が笑う。イイ事教えてやろうじゃないか。と。

次の日。アンチバリアで見えなくなった状態でクルルはある物を持って夏美の部屋に潜む。
夏美はいつものように一頻勉強に勤しむと、ベッドに腹ばいになり何やら雑誌を読み、あくびが出た所で電気を消して布団に潜り込んだ。
布団に入ってから自慰行為に至るまでにしばしの時間があるのは、少女の理性と本能の葛藤。
やがて本能が勝ると、横に向き直りもぞもぞもぞもぞ。
─さて。楽しませてくれよ。
事前に部屋から音が漏れないバリアを張った今、準備は完了している。
手に持っているのは、スイッチをオンにするとちょっぴり煩い振動音を立ててぶるぶる震えるアレ。

「お楽しみだな」
「へ? え、えぇ!? ちょ、ななななな」

突然の出現に目を丸くし、途端顔を真っ赤になる夏美。
とりあえず飛び起きベッドに座るが、クルルとより多く距離をとるため壁に背中をくっつける。
一呼吸置いて「何しにきたのよ。覗きなんて悪趣味よ」とは言うが真っ最中だった彼女の未だ朱に染まっている顔には特に凄みもない。
さらに事前に拘束用として待機させていたニョロロに合図を送る。ひょこり、と姿を見せたニョロロに夏美に嫌な予感を過ぎらせる。

「まさか・・・─いやぁぁぁぁ!」

夏美は抵抗から逃亡への作戦変更も虚しく、後ろ手にされ足を引っ張られバランスを崩す。
うつ伏せで足元にいるついでとばかりに下半身を露出させられる。
即座に使命をまっとうし、想像以上の働きのニョロロに満足するクルル。
お尻をよく観察できる位置に移動すると彼はアレのスイッチをオンにした。
ヴヴヴヴヴヴという変な音に、驚き振り向こうとするがうつ伏せではなかなか首の自由がきかない。

「な、何よソレ! 今なら許してあげるからやめ─」
「上から言える状況じゃねーだろ淫乱女。クーックックックク」
「い、淫乱じゃ─っ!」
「オナニーでこんなに濡れてやがる。何想像してたんだかな」

尻を上げさせて性器に触れやすい体制にさせて、さっそくそこに触れると愛液が手につく。
誰を想像していたか予想は出来るがそれが妙に頭にくる。苛立ちついでに先ほどからヴヴヴと煩いやつを性器にあてる。
ビクッと夏美の体が驚く。

「何─ぁん─っ! や・・・ぁ!」
「淫乱には丁度いい玩具だろ?ククク」
「やめ、てぇ・・・・・・あぁ・・・やっ・・・」
「ここを自分で弄ってたんだろ?」

185:クル夏(3/3) ◆HegzoUyjQs
08/10/15 08:11:21 RNanuS34
クリトリスに強く押し付けると、夏美は一層高い声を上げた。
びくびくと震える腰。初めての快感に体がついてきていないようだ。
問いかけに否定しないのは肯定の意。否定したとしても事実だ。
今、クルルの力加減一つで彼女は微弱の振動に足を震わせ、大きな波に体を反らせる。
─なんか楽しくねぇ?
おもむろにスイッチを『強』にする。

「ふぇぁ! ─あぁ! はぁ、んっ! あ、あぁぁぁぁぁぁ!!」

動ける範囲を腰が逃げ回る。
勿論たいした移動が出来ないその場所を逃がすはずもなく、動きに合わせて玩具もついてまわる。

「おねが─っ! だ、めぇ! 変、なる─っ、ぁぁ!」
「ほーれ、ほーれ」
「やだぁ! もう、だ──ん、あ、あぁぁぁぁぁ!」

─おもらし?いや、これが潮吹きってやつか。
しつこくに攻めすぎた。予想以上にシーツの上に滴る水分を見るとちょっと焦る。
大丈夫なのかコレ。一度スイッチをオフにする。
びくん、びくんと最後の波を受けると夏美は息を整える事に専念していた。

「は・・・ぁ、はぁ。くる、クルルぅー・・・あんた─」
「なんだまだ元気だな。クーックックック」
「え、ちょっと! 無理に決まって─!」

─今絶対生意気な事口走ろうとしやがった。
喋れるなら元気。そう断定してスイッチをオン。
一度イって敏感になったクリトリスはもはや刺激が強かろうが弱かろうが関係なく、未知の快感を夏美に与える。
勿論、強く的確な場所への刺激はそれ相応の快感となる。

「あ・・・・はっ─だめ! も、だめ、だ、って─あぁ、はぁ! あぁぁぁ!」

しばらくして、また、びくん、と大きく震え、掠れるような声が聞こえたのを機に、スイッチをオフにする。
今度は何か言う様子がない。動かない。
否、酸素を求めて肩が動いている。ニョロロが離れると布団に埋もれる。
─気絶?
まだ楽しむ予定だったのに。と手の玩具を持て余す。
快楽に困惑する顔を見ておけばよかったと少々の後悔はあった。
が、今度大きい玩具で処女喪失の痛みに耐える顔を見よう。その次は快楽に溺れていくのを堪能しよう。
さらにその次は・・・─先の予定を考えてクルルは一頻いつもの笑いを木霊させた。
笑い済んだらちょいちょいと汚れを始末して夏美を温かくして寝かせた。

~fin~
あのウネウネした長い触手みたいなのってニョロロだったっけ・・・と自信がないですが・・・。

186:名無しさん@ピンキー
08/10/15 20:25:50 I9yWg9gr
GJです!
クル夏いいなぁ

187:名無しさん@ピンキー
08/10/15 21:49:29 kfar+kho
GJ! 夏美受けならなんでもおいしい。
ていうかエロ本隠してる冬樹君にちょっと萌えてしまったw

188:名無しさん@ピンキー
08/10/18 21:51:29 v3tJjztc
age

189:名無しさん@ピンキー
08/10/21 10:26:58 U9afAjDO
貧乳くのいち小雪って需要ありますか?

190:名無しさん@ピンキー
08/10/21 22:06:06 S9mPU/y8
>>189
ある!

191:名無しさん@ピンキー
08/10/22 12:19:11 afH/mTp8
>>189
そりゃあもう

192:名無しさん@ピンキー
08/10/23 09:40:28 PjVQWhtm
>>189
小雪なら愛しているけど何か?

193:名無しさん@ピンキー
08/10/25 11:19:04 mip1Nn96
アリサは俺の嫁で、小雪は俺の愛人だよ

194:名無しさん@ピンキー
08/10/25 13:44:04 bIcoPXBo
今月のエースのケロロはタママやギロロが怖じ気付かなきゃ間違いなく18Rな展開になったはず
ボスのケロロに秋ママが凌辱されるSS希望

195:名無しさん@ピンキー
08/10/28 19:31:55 8pCxh/vR
アゲ

196:名無しさん@ピンキー
08/11/02 02:20:47 qDQQxm8e
それにしても、レスもSSも少ないな
とりあえず保守

197:名無しさん@ピンキー
08/11/02 19:44:02 MODkOgVe
プルも小説に出してくれ~~~~

198:名無しさん@ピンキー
08/11/06 00:12:18 rIxH5zLy
保守


199:名無しさん@ピンキー
08/11/08 05:00:55 eDC+wlPo
カラチロのレズ小説下さい。

200:名無しさん@ピンキー
08/11/08 18:20:39 P0rTbVrg
以外にここも持つねぇ
んで ちびの話を書いてください お願いします


201:名無しさん@ピンキー
08/11/08 18:38:50 MYMkD/Yt
夏ギロ読みたい。
書きたい。

202:名無しさん@ピンキー
08/11/08 19:08:17 6Wa8guZz
>>201
はげど
逆なら多いけど、あえてそのカプで読みたい

203:名無しさん@ピンキー
08/11/10 23:57:00 VsFSPlz7
逆カプか…
プルガルとか雪ドロとかモアタマとか見てみたい

204:名無しさん@ピンキー
08/11/12 03:05:57 LIR4ceZi
秋冬はありがちすぎるか

205:名無しさん@ピンキー
08/11/17 00:03:21 UsGklq9d
hosyu

206:名無しさん@ピンキー
08/11/21 23:45:02 m+LP/j35
気長に待つ

207:名無しさん@ピンキー
08/11/22 11:16:51 QYhOLwGX
仔プルを~~
それかDケロを~

208:名無しさん@ピンキー
08/11/22 11:43:20 4Rll2s2z
そういえば劇場版3ネタのSSって無いな

209:名無しさん@ピンキー
08/11/23 11:41:08 KsEI+c81
だからこそやるべきかと

210:試しに作ってみた~もはや王では無いけれど~
08/11/25 00:47:45 +ylFN7r/
夜、日向家、冬樹の部屋にて

部屋の主は2冊の冊子を本棚から取り出す
その冊子は両方ともアルバムであり学校行事での写真が詰め込まれている
そう、例えば修学旅行や運動会等が定番だろう

アルバムの適当なページを開くと主である冬樹少年は服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿となった
何枚かの写真とにらめっこらしきことをした後に少年は自身の尾を握りしめ、そして扱き始めた

少年の相手の定番は普段学校でつるんでいる青髪の少女だ
付き合ってこそいないが常に近くにいる分意識してしまうことが多く、たまに今夜の様に発散する必要に迫られる
ちなみに今夜はプール開きの写真である

最初は四つん這いで扱いていたが気持ちが高ぶったのか発情期の室内犬の如くクッション相手に腰を振り始めた「はあっはあっ・・・西澤さん・・・!」
放出が近くなり再び手による刺激に切り替える

「も、桃華!いく「久しぶりだな冬樹」

・・・・・・
硬直する少年をよそに詰め込みすぎ教育で微妙に空気の読めない元王は持論を述べる
「冬樹よ、桃華が好きならはっきりと告白した方が良いぞ。そうやって溜め込むのが一番良くない」

211:~もはや王では無いけれど~
08/11/25 01:01:45 +ylFN7r/
>>210続き
本人曰く「我はもう王ではないが、友達としてアドバイスをしてやっている」とのこと
友達相手に微妙に尊大な態度で話し終えた元王は踵を返し
「もう一人の我に会ってくる。今日1日はペコポンにいるから、何かあったら友達である我に頼ってくれ。何でもしよう―」

バタン

ドアが閉じられ残された冬樹少年
突然の乱入で尾は萎える一方で放出を止められたために体はまだ軽く興奮を続けている

「・・・」
写真を変え、硬さを失った尾をしつこく扱き始めた

「・・・」
冬樹少年のなんとなく寂しい夜はまだまだ長い―





続くかもしれない?

212:名無しさん@ピンキー
08/11/25 22:43:32 6tB1fOc4
続いてほしいかもしれない

213:名無しさん@ピンキー
08/11/27 17:04:49 paLpVIiy
>>211
だれがギャグを書けと

214:名無しさん@ピンキー
08/11/29 09:57:08 /pJU7F8f
まぁ・・・うん
・・・いいんじゃない!!?
どせならDケロで 書いて欲しかったがw

215:名無しさん@ピンキー
08/11/30 10:19:30 dYfFmEjN
軍上層部による夏輪姦フラグ立ちますた



326はカエレ

216:名無しさん@ピンキー
08/12/02 11:17:29 hgExMKQD
ほとんどなさそうなギロモア、ドロモアに興味あり。

217:名無しさん@ピンキー
08/12/02 23:11:48 kllFe6gt
プルタマねーかな

218:名無しさん@ピンキー
08/12/03 18:53:57 KZjzS+Sx
夏ギロとか書いたら読む奴おる?

219:名無しさん@ピンキー
08/12/03 20:24:29 meYmGJri
>>218
全力で頭じべたにこすりつけておぬがいしちゃいます。
書いてください。せひぜひ。

220:名無しさん@ピンキー
08/12/04 19:38:24 N//5Rzoq
めっちゃ見たいんですが!! 夏ギロ!
この二人の組み合わせなら何でもOKですから!

221:名無しさん@ピンキー
08/12/05 21:24:03 BRbImhkV
ギロ夏もかな~り好きだがやっぱ
いつも見ないCP見たいな~

222:名無しさん@ピンキー
08/12/09 08:50:46 db+Pyppe
ほすあげ~

223:名無しさん@ピンキー
08/12/09 15:00:45 DySHmy3e
>>218
夏美攻め派の自分には涎モノです!
書いてください。
夏ギロ萌え!ギロ夏あるのに夏ギロ少なくて悲しい・・・

224:名無しさん@ピンキー
08/12/10 15:25:18 S4QxPtZb
そのころ日向家近辺は、カエルたちの鳴き声に包まれていた。
・・・といっても別に、軍曹達が共鳴していたわけではない。

「あ~もう、うるさい!このカエルの声なんとかならないの?!」

夏美が耐えかねて耳をおさえ、叫ぶ。

「ハハ・・・。たしかにスゴイ声だよね。」
「笑い事じゃないわよ冬樹!・・ただでさえ普段からカエルどもには悩まされてんのに、このうえ本物の蛙まで来られちゃたまんないわよ!――いったいどこから聞こえてくるのかしら?」
「ああこれ、東谷センパイの家からだよ。」
「――小雪ちゃん家、から?」

冬樹が読んでいたオカルト本を脇において、説明する。

「あのね、宅地造成で近所の池が埋め立てられちゃったんだって。いま蛙の繁殖時期だから、せめてその間だけでも・・・ってドロロがおとなりにため池を作って保護してるらしいよ。
卵が生まれたら田舎へつれていくって言ってたから、それまでの辛抱だよ。」
「う~ん・・・まあ、そういうことなら・・・。」

夏美がしぶしぶ納得する。

「――まあ、本物の蛙にツミはないもんね。・・悪ダクミするわけじゃないし。
オフロにでも入って気分をリフレッシュしようかな。」

本の続きを目で追いながら、冬樹もニッコリ笑った。

「そうしなよ。さっき軍曹がおフロ洗っていたからちょうどいいんじゃない?」

・・・さて、その日のフロ掃除当番・われらがケロロ軍曹は――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゲロ~~~今日もピカピカに磨き上げたであります!」

 ケロロ軍曹は、腰に手をあてて自分の作業の成果をながめた。あたりに満ちる蛙の鳴き声が、こころなしか自分の偉業をたたえる歓声に聞こえる。あとは洗剤を流すだけだがまだ水が冷たいこの時期、水作業は
正直気が乗らなかった。―我輩こんだけガンバッたんだし・・あったか~いお湯で流すくらい、イインジャネ?
 思い立ったら即座に実行!が彼・ケロロ軍曹のポリシーである。
過去にそれで何度も事件を引き起こし、そのつど痛い目にあってきたわけであるが――。このときも即刻シャワーの給湯で熱い湯をひねり出した。モウモウと湯気が立ち、洗い場の鏡が白く曇る。
からだを包む湿気に気分がますます高揚する。うかれて石鹸を足に履き、軍曹はかるくスケートのようにすべらせてみた。
―――ヲヲヲヲッ!ちょ、ちょっとこの動き!なんかドムのホバーみたいでカッチョイイでありますッ!

「フハハハハハッ連邦の白いモビルスーツめ!覚悟するでありますッ!」

 湯の噴出するシャワーの首をオルテガハンマーのように両手で頭上にかかげながら、調子にのって洗い場をところせましと滑走する。のけぞって高笑いをしようとしたところで、ふいに足元の石鹸がはずれた。

「ゲロ――――――――ッッ!!」

 大きくもんどりうって水道の角で腰を打ち、そのままフタが半分閉じられた浴槽の中へと転がりこむ。シャワーの首がお湯を吐き出し続けたまま床に転がった。立ち上がろうとしたがあまりの激痛に声が出ない。
 いれちがいに夏美が入ってきた。この惨状をみて、怒りに声をふるわせる。

「・・・あのボケガエルッ!またやりっぱなしでッ!!」

夏美は軍曹の存在には気がつかない。
(・・・・な、ナツミドノッ・・・たすけて、でありますっ・・)
「お湯がもったいないじゃない!―あとでとっちめてやらなきゃッ!!」

 夏美は浴槽の栓がはまっているのを目で確認して、シャワーのカランを水道側に切り替えた。
もうすこし奥まで覗きこんでいさえすれば、軍曹が浴槽の隅で倒れていたのを見つけられたであろう。
だが・・・怒り心頭の夏美にそんな余裕はなかった。
(ナツミど・・・・ゴボッガボガボゴボゴボ・・・ッ)
――この瞬間、せまいオフロ場はさきほどからのシャワーにより充分暖められ、局地的に軍曹の故郷であるケロン星の湿度にかぎりなく近づいていた。この湿気とあたりに満ちみちる発情期の蛙の鳴き声・そして
夏美にたいする暗い復讐心がケロロ軍曹にかつてない変化をもたらし、やがては甚大な被害を自分にもたらすことを、このときの夏美はまだ知るよしもないのであった―――。

225:名無しさん@ピンキー
08/12/10 15:27:27 S4QxPtZb
そして夏美は鼻歌を歌いながら、脱衣所でシャツを脱いだ。
――ん~、なんか・・また育っちゃったかなァ。ママみたいになると体育の授業ん時にからかわれるし可愛いデザインの服がなくなるし・・・困るなァ。
 タオル一枚をからだに巻きつけ、湯気に満ちたオフロ場のガラス戸をひらく。洗い場にしゃがんで水道のお湯を止める。かかり湯をしようとオケを湯船に沈めかけると、ガツンとかたい手ごたえを感じた。
・・・・・ガツン?

 とたんにオフロ場にダース・ベイダーのテーマが高らかにひびきわたる。
オケを押しのけて水面が渦をまき、異様な盛りあがりをみせた。あまりの出来事に
あいた口がふさがらない夏美をよそに、水面は高まりつづける。そして・・・。

ぐぽ~~~~~~~~ん!

――――嫌な機動音をひびかせて、ケロロ軍曹が登場した。

「ち、ちょっとボケガエル!なにしてんのよッ!」
「――それはこちらのセリフであります・・。キュートでケナゲな我輩がコシを強打して湯船で倒れているにもかかわらず、カイホウどころか熱湯をお見舞いしてくれるとは・・・。
我輩チョーブッチギレでありますッ!・・オノレ夏美殿、いやポコペン人日向夏美め!今日こそ目にモノみせてくれるわァ~ッ!」

コホオォ――ッと不気味な呼気を吐き出しながら、軍曹が両手ぶらリ戦法のかたちで体をゆらめかせる。

「いいからさっさと・・・出ていきなさ―いッ!!」

 状況を思い出して、夏美が渾身のパンチを軍曹のボディにあびせかける。当たった瞬間、拳がぬるりと滑った。いつもならガラス窓を突き抜けて、おとなりまで吹っ飛んでいくはずの軍曹が今日に限っては微動だにしない。

「・・・な、なんでッ?!」
「フ、フフフ・・・ふはははははッ!今日の我輩はひとあじ違うのだよ・・・ッ!」

 夏美は驚愕の表情で軍曹を見つめる。つやつやつやつや・・と、肌に異様な光沢があった。―こ、これってもしかして・・・梅雨の時のアレ?!

「そのとおりッ!アノ頃の我輩だ!しかも・・いつものアノ頃ケロロをマスターグレエドとするならば今日の我輩はパーフェクトグレエドVer,Er!(←十八禁仕様のことらしい)!!
――発情期のカエルさんたちのタマシイの鳴き声が、我輩に原初のパウァーを思い出させてくれたゼ・・!覚悟するがいい日向夏美ッ!これから大人仕様の我輩がッ!ちいさなお友達立ち入り厳禁なスッゲーことをしてくれるわッ!!」

 メゲメゲメゲメゲ・・・とこれまた嫌な呼吸音?をたてながらじりじりと軍曹が夏美に迫った。からだに巻いたタオルの端をむんずとつかまえる。

「さ・・・させるものですかッ!」

夏美も必死でタオルをおさえる。軍曹の手を叩き落そうと手が触れた瞬間、またもやヌルンと滑った。

「ハアァ――ッッ!!!」

奇声とともに、唯一の砦であるタオルを奪われてしまう。

「イヤアァ~~~~~~~ッ!」

 夏美はあわててからだを隠してしゃがみこんだ。この格好ではもはや反撃できない。

「みるがいい日向夏美。我輩のこの動きを・・・ッ」

 軍曹が左右にゆっくりとからだを振りはじめる。その手の動きはまるであの伝説の男のように北斗七星をかたちづくっていた。しかもだんだんと動きが速くなる。それをみているうちに夏美の頭が、なぜだかぼうっと霞んできた。

「さあ、とりあえずは数々の無礼を・・・土下座して謝ってもらうでありますかな?」
「バ、バカいわないで。それはアンタが・・・ええッ?!」

 言っているそばから夏美のからだが、意思とは逆に軍曹に向かってひざまずく。

「ゲーロゲロゲロ。よい格好でありますな。夏美殿が催眠術や洗脳電波にかかりやすい体質であることは夏の海岸や623のペンですでに立証済みであります!
・・・さて、ここはエロパロ板にふさわしく、我輩にご奉仕をしてもらうでありますかな?」
「・・・そ、そんな―ことッ・・・んッ、んんんッ!」

 浴槽のヘリにドッカと座りこんだ軍曹に、夏美のからだが引き寄せられる。
ひざまづいたかたちのまま、意思に反して夏美は自分から軍曹に唇を重ねた。黒々とひらいた瞳孔が大写しになる。そのしまりのない口に自分から舌を挿しこむ。自分のしていることが信じられない。だが、止められないのだ。

226:名無しさん@ピンキー
08/12/10 15:29:04 S4QxPtZb
「んう・・ッ・・・ん、ん~~~ッ!」

夏美のキスの奉仕を受けていた軍曹が、いったん口を離してふんぞりかえった。

「――どうしたのかネ?夏美殿・・・おててがオルスでありますよ?
我輩の股間のMSM-04アッガイの、ヘッドユニットの面倒を見てもらえますかな?
・・・大気圏突入時に耐熱フィルムは出ないが、かわりにもっとスッゲーシロモノが飛び出すことでありましょう。ゲロゲロゲロ・・・。」

 言葉の意味はよくわからないが、なにやら非常にヒワイなことを言われているらしい。
ぶっとばしてやりたいが、からだがいうことを聞かなかった。
 それどころか、いわれたとおり軍曹の下肢のあいだに手が動いてぎょぎょっとする。
自分のゆびがその未知の器官をそっと包み、前後にさするのを夏美は気が遠くなるような思いで眺めた。
手のなかのその器官が徐々に膨張する。手を動かしつづける夏美の顔に、ケロンスターのついた白い腹が押し付けられる。
このガンプラ職人のからだに染みついたシンナー臭が、鼻をついた。その腹部にキスをする。というか、させられる。
 手の動きはそのまま、だんだんと自分の顔が下方にむかって下がっていくことに夏美は慄然とした。

「夏美殿・・・。表面処理はていねいに、であります。バリが残っているとあとで引っかかってイタイ思いをするでありますよ?」

 この場合、実際には丁寧にすればするほど逆効果なのであるが――。
夏美にはそんな知識もなかったし、そもそもそんな考えをめぐらす余裕もなかった。
 そんなことより自分の唇が、白い腹部のさらに下――股間のアッガイにむかってすすんでいくことにパニックに陥る。
夏美のちいさな唇がふるえながらひらかれる。アッガイのモノアイ軌道路に舌がふれた。
舌の先がモノアイ軌道路をつたって、つつつッ・・と105mmバルカン砲射出口をからめとる。唾液が糸をひいた。
 さらに伏せようとする自分の頭を懸命に阻止しようと努力する。
夏美の逡巡に業を煮やした軍曹が凶悪な糸目になって、その頭をガッシとつかんで引きおろした。
 軍曹のパーフェクトグレエド・アッガイが夏美の口の中を乱暴に侵略する。

「んッ!んぐッ・・・ん―――~~~~~~ッ!!」

そのくるしさに涙目になりながら、夏美は心のなかで必死に叫んだ。

――そんな、このままいったらあたし・・ッ・・ダメ!こんなのダメェ~~~ッ!!

227:名無しさん@ピンキー
08/12/10 15:30:28 S4QxPtZb
からだの強制するままに、身をのりだした夏美のひざがふいにすべった。洗い場の床がそこだけ白くぬめっている。
――じつはその部分は、軍曹がドムごっこをした際に流しそこねた石鹸の跡だったりするわけなのだが・・・。そんなことは夏美は知らない。ただ滑ったことでからだのバランスを大きくくずし、そのまま軍曹の腹にもろ頭突きをカマすかたちになった。

「オウッ?!」

 そのまま軍曹ともども、浴槽になみなみと張られた湯の中へなだれこむ。
夏美のくちのなかに、あきらかに湯ではない苦い液体が満たされた。と、同時に
湯へ飛びこんだショックでからだの拘束が解ける。当然夏美は、ひたいに青筋を浮かべて立ちあがった。

「ボ~ケ~ガ~エ~ル~~~ッ!!!」

 湯船にへろへろと浮かぶへっぽこ侵略者の頭部を片手でわしづかみ、そのまま持ち上げる。
その憤怒の表情に軍曹は、ややビビりながらも果敢にファイティング・ポーズをとった。

「おッ・・や、やる気でありますか?このパーフェクトグレエドな我輩に、かなうものなら・・・。」

 夏見が空いている手で、オフロ場の窓をガラリと開けた。――春間近とはいえ、空気はまだまだ冷たい。
たちまちオフロ場の暖気が消え、ツヤツヤと照り輝く軍曹の肌もその光沢を失う。タオルを巻きなおした夏美が、じりじりとせまった。

「アンタ・・・。ぶつけた腰はもう平気なの・・・?」
「ゲロッ?――イヤもう、なんともないでありますが・・・・。」
「・・・・倒れてたアンタに気づいてあげられなくて悪かったと思うし、そこは反省してるわよ?でも・・・でもね・・・・ッ!」
「ゲ・・・・ゲロ・・・・夏美殿・・・?」
「飲んじゃったじゃないッ!どうしてくれるのよバカ―――ッッ!!!」
「ゲ――ロ―――――ッッ!!!」


 うなりをあげる夏美のアッパー・カットをまともに浴び、軍曹はキリモミしながら戸外へと飛んだ。
蛙たちの合唱がひときわ大きく聞こえる。昼間だというのに、軍曹の目には満天の星空が見えた。

―ワァ、きれいなお星サマだナァ。北斗七星が良く見える。その脇に輝くちいさな星までも・・ウフフフ・・・。




――それ以降、ケロロ軍曹が「アノ頃ケロロ・大人仕様」になったという話は聞かない―

          [END]

228:名無しさん@ピンキー
08/12/11 14:53:34 7ygf2wkm
土曜日、午前8時。

 週休2日制だから、今日は学校は休みである。

 アスカはリビングで面白くなさそうな顔つきで、レモンティーを啜っていた。

 キッチンの方で洗い物をしているキョウコは、知らぬ顔をしているが内心面白くて仕方がない。

 娘の不満の原因を承知しているからである。

 それは…。

 

 まったく!

 ど~して、土曜も日曜も学校は休んじゃうのよ!

 お休みだったら、シンジに会うのに理由をつけるのが難しいじゃない!

 あ~あ、小学校の間だったら、『あっそぼっ!』って簡単にお隣へ行けたのにな…。

 つまんない…。

 やっぱり何かの部活に入って、シンジともっと会えるようにした方が良かったかな?

 2年生だから、今更どこかに入るわけにはいかないわよねぇ…。

 ま、部活をしていないおかげで、シンジと勉強する時間ができるってもんだけどね。

 シンジの成績がいいのは、この天才アスカ様のおかげだって、ユイおば様から感謝されているんだから、

 このシンジのお部屋でうっとりする2時間……じゃない、復習と予習の2時間は確保されてるってわけよ。

 もうっ!何か、シンジに会えるネタはどっかにころがってないの?

「ママ!回覧版ない?」

「ないわよ」

 キョウコの背中が微かに震えている。

 昨日の夜、回覧版をだしにして3時間以上お隣に居座ってきたのは、いったい誰?

 母親に笑いものにされているのも知らず、アスカは必死に考え続けている。

 お隣に侵攻できる作戦はないものかと。

229:名無しさん@ピンキー
08/12/11 14:58:08 ypTqfHec
土曜日、午前8時。

 週休2日制だから、今日は学校は休みである。

 アスカはリビングで面白くなさそうな顔つきで、レモンティーを啜っていた。

 キッチンの方で洗い物をしているキョウコは、知らぬ顔をしているが内心面白くて仕方がない。

 娘の不満の原因を承知しているからである。

 それは…。

 

 まったく!

 ど~して、土曜も日曜も学校は休んじゃうのよ!

 お休みだったら、シンジに会うのに理由をつけるのが難しいじゃない!

 あ~あ、小学校の間だったら、『あっそぼっ!』って簡単にお隣へ行けたのにな…。

 つまんない…。

 やっぱり何かの部活に入って、シンジともっと会えるようにした方が良かったかな?

 2年生だから、今更どこかに入るわけにはいかないわよねぇ…。

 ま、部活をしていないおかげで、シンジと勉強する時間ができるってもんだけどね。

 シンジの成績がいいのは、この天才アスカ様のおかげだって、ユイおば様から感謝されているんだから、

 このシンジのお部屋でうっとりする2時間……じゃない、復習と予習の2時間は確保されてるってわけよ。

 もうっ!何か、シンジに会えるネタはどっかにころがってないの?

「ママ!回覧版ない?」

「ないわよ」

 キョウコの背中が微かに震えている。

 昨日の夜、回覧版をだしにして3時間以上お隣に居座ってきたのは、いったい誰?

 母親に笑いものにされているのも知らず、アスカは必死に考え続けている。

 お隣に侵攻できる作戦はないものかと。

230:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:00:20 ypTqfHec
そのお隣から、鴨が葱を背負ってきた。

 

「キョウコぉ、いるぅ?」

 いるに決まっている。

 ユイが惣流家の扉を開けるときは、必ずこのセリフなのである。

「いるわよっ!」

 手を拭きながら、キョウコが玄関に向かう。

 相変わらず仏頂面でテーブルに頬杖をついている娘の横を通り過ぎて。

 

「ごめんっ!今日一緒に行けなくなっちゃった」

「えっ!ど~してよ。あんなに楽しみにしてたじゃない!」

「それがねぇ、うちのシンジが…」

 

 そのユイの言葉は、アスカのシンジアンテナに敏感に反応した。

 アスカの眼がきらりと光り、即座に玄関に通じる廊下側の壁面に移動した。

 二人の様子は見えないが言葉ははっきり聞こえる。

 

「あら、シンちゃんどうかしたの?」

「うん、実はね…」

 

 もうっ!早く言いなさいよっ!

 シンジがどうしたのよっ!

231:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:02:17 ypTqfHec
 その途端、リビング方向からガタッと音がした。

 驚いた拍子に肩で額を落としそうになったのだ。

 わかりやすい。実にわかりやすい娘である。

 ユイは口を手で蓋をした。むろん、キョウコも同様である。

 そして、話の先を促す気配がリビング方面からひしひしと伝わってくる。

 

「だからねぇ、看病してくれる人がいないと、私、出かけられないのよ。うちのは仕事だし」

「あら、そんなのダメよ。優勝セールは滅多にないんだから」

「わかってるわよ、そんなこと。あ~あ、どこかに看病してくれる人いないかしら?」

 

 ごとごとと微かに音がする。

 出ようかどうしようか迷っているようだ。

 ここで、キョウコが救いの手を差し伸べた。

 さすがに母親。笑いものにするだけではなかったのだ。

 

「ちょっとアスカぁ!アンタ、アルバイトしない?」

232:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:03:01 ypTqfHec
どたばたっ!

 物凄いスピードでアスカが飛び出してきた。

「あら、アスカちゃん。おはよう」

「あ、お、おはようございます!な、何?アルバイトって!」

「あのね、シンちゃんの看病」

「ええ~っ!馬鹿シンジがどうかしたのぉ?せっかくのお休みなのに、私ヤだな」

 キョウコとユイは目だけで笑いあった。

 本当に馬鹿娘なんだから、アスカは。

 誰にも気付かれてないって、どうして思うのかしら?こんなにバレバレなのに。

「セールでお土産買ってきてあげるから。ねっ!」

「そうそう、おばさんも名物イカ焼き買って来てあげちゃう」

「うっ!」

 シンジの看病ができるだけでなく、あのイカ焼きも手に入れることができる。

 アスカは内心舌なめずりをした。

「し、し、仕方ないわねぇ。そこまで言われたら、すっごくヤだけど、看病してあげよっかなぁ…?」

 首の後で手を組み天井を見上げながら、アスカは嘯いた。

「はいはい、それじゃ、さっさとお隣に行ってきなさい」

「ホントにもう…。熱出すなんて、馬鹿シンジは!人に迷惑かけるんじゃないっての」

「アスカ、どこ行くの?」

「着替えてくる」

 スキップしながら階段を上がるのは危険この上ないし、下で母親二人が見ている。

 浮き立つ心を必死で押えて、アスカは階段を登った。

 そして、アスカの部屋の扉が閉まる音がしたとき、若々しさを失わない母親たちは抱き合って爆笑するのであった。

「き、き、着替えだって。パジャマから着替えて、まだ、さ、30分もたってないのに…」

「わ、わ、笑っちゃダメよ。で、でも、熱なんてワタシ言ってないのに…き、聞いてましたって白状してるじゃない」

233:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:03:38 ypTqfHec
階下の喧騒を知らずに、アスカは何を着ていこうか悩みに悩んでいた。

 ナース服とか白衣なんて持ってないし…。

 メイド服もないわよねぇ…。

 クローゼットの前で腕組みをするアスカであった。

234:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:13:40 ypTqfHec
シンジは眠っていた。

 ただし、息は荒く、顔色も悪い。

 その顔を見た途端に、アスカは泣き出しそうになった。

 可哀相なシンジ。

 ワタシが治してあげるからね。

 その一方ではこのまま一生シンジを看病して生きるのも健気でいいかも…と、とんでもないことを妄想してしまってもいたのだが。

 散々悩んだ末の服装はというと、白のカッターにピンクの薄手のカーディガン、それにベージュのキュロット。

 本人はナース風のつもりらしい。

「さてと、熱を測らなきゃね…」

 出かける際に、ユイが言い残していったのだ。

 今朝は熱測ってないから、アスカちゃん頼んだわよ…。

 そうにっこり笑ってユイは出て行った。

 任せなさい!と胸を叩きたいところだが、アスカの恋心は誰にも秘密なのである。

 もっともその秘密がしっかりと保たれているのは、当のアスカ本人とシンジの超鈍感カップルだけなのだ。

 中学校でもあまりに公然なカップル過ぎて、誰も突っ込みをいれようとしない。

 但し、数名の猛者だけがシンジへの恋心が敗れた腹いせにアスカの目の前でわざとらしくシンジにモーションをかけてはいる。

 もっともシンジは丁寧にその人たちにお断りを申し上げているので、大丈夫だと確信してごく普通に彼女たちと接している。

 ただ、そのことをアスカに一言も話していないのだ。

235:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:14:43 ypTqfHec
何故ならそんなことをアスカに言って、自分はもててるんだと自慢してるように誤解されてしまうかもしれない。

 そうなれば、アスカに嫌われてしまう。

 アスカを好きで好きでたまらないシンジにとっては、告白されたことは絶対に秘守事項なのだ。

 ところが、そうやって彼女たちと普通どおりに話していることがアスカの癇に障っていることをシンジは知らない。

 それはシンジにも同情される向きもある。

 彼女たちはシンジにわからないように、ちらちら見ているアスカに向かって『どうよっ!』と言いたげな視線を送っていたのだ。

 単純なアスカは完全に彼女たちのペースにはまっていた。

 やたらいらいらして、これ見よがしに「ベタベタしちゃってヤねぇ」などと友人のヒカリに大声で話し掛けたりする。

 完全に情緒不安定状態である。

 そして、「シンジ、来なさいっ!」と叫び、シンジを教室の外に連れ出す。

 その後どこに行くのかは決めていないので、延々と校舎の廊下をずんずん歩いていくのだ。

 「アスカ、待ってよ」というシンジの情けない声を引き連れて。

 そういったことで、彼女たちはせめてものの腹癒せをしていたのだが。

236:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:16:56 ypTqfHec
さて、熱の測定である。

 アスカは手の中の電子体温計を見つめた。

 やっぱり、計るのって腋に挟むのよね。

 アスカは次にシンジの身体の、それに該当する場所を見た。

 掛け布団の下。

 パジャマ。

 その前をはだけて、腋に体温計を挟む…。

 前をはだけて…。

 シンジの裸の胸…。

 

 ぼふっ!

 

 アスカには自分の頬が真っ赤に染まった音が確かに聞こえた。

 し、シンジの裸の胸を至近距離で見る。

 そ、そうよね。見なきゃ、体温計を腋に挟めないじゃない。

 そ、そうよ。これは立派な医療行為なのよ。

 で、でも、し、シンジのパジャマのボタンを外すなんて…。

237:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:20:45 ypTqfHec
ぼふっ!ぼふっ!

 

 ダ、ダメ。

 想像しただけで…。

 熱が出たかも。

 ちょっと計ってみよっと。

 ……。

 ピピッ。

 36度5分。

 何よ、こんなに暑いのに、平熱じゃない!

 アスカは体温計を睨みつけた。

 事実を公正に伝えているだけなのに、体温計もいい迷惑である。

「う、う~ん…」

 その時、シンジが微かに呻く。

 アスカははっとした。

 そうだ、看護をしなきゃ!ごめんね、シンジ!

 アスカは恐る恐る掛け布団をめくった。

 中にこもっていた熱がぶわっとアスカに襲い掛かる。

 わっ!気持ち悪い。

 でも、こんなになってるなんて、シンジ可哀相…!

 アスカは頷くと、パジャマのボタンに手をかけた。

 さすがに指が震えている。

 白く細い指がたどたどしくボタンを外す。

 ようやく一番上を外し終わった時、思わずアスカは溜息を吐いた。

 そこから覗くシンジの白い肌。

238:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:24:28 gXaEBgJ6
アスカはフリーズした。

 ……。

 ……。

 パラパラパッパァッ~!

 フリーズしながらも考えていたアスカはありきたりの回答を導いた。

「そうよ!見なきゃいいんじゃない!目を瞑って…ううん、誘惑に負けちゃあダメだから目隠しすればいいの!

 私ってやっぱり天才っ!」

 この世は天才ばかりなり。

 ただ唯我独尊のアスカは、名案にご満悦で準備に取り掛かった。

 乾いたタオルよりも蒸しタオル。

 目が見えなくてもわかりやすいように、パジャマと…トランクスを整理してベッドの傍に置く。

 アイマスクなど用意していないから、タオルを目に当てて頭の後ろでしっかり結ぶ。

「よし、真っ暗。これで何にも見えないわよ!」

 手探りでアスカはシンジのパジャマを脱がせにかかる。

「見えないから、楽勝じゃんっ!」

 運動神経や勘の良さには定評のあるアスカだ。

 それほど困らずに上半身を剥き出しにできた。

 シンジはそれに目を覚ますようなこともない。

 時々軽いうめき声を上げるくらいだ。

 その声のひとつひとつに、はっとしてしまう。

 そして涙さえ瞳に浮かべている、秘めたるアスカの優しさを知るものはその両親くらいなものだろう。

 実はシンジもそれを知っているのだけど、彼はそれをおくびにも出さない。

 アスカが喜ぶわけがない事を知っているからだ。

 複雑怪奇で変化球投手のアスカは単純ではないのだ。

 ただし、そのことをシンジが知っていて黙っているということをアスカが知ったならどうだろう?

 確実に狂喜乱舞することだろう。

 もちろん、シンジの見ていないところだろうが。

239:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:27:16 Ydu1MRS4
さて、アスカの目隠し汗拭き&着替え作戦は進行中である。

 上半身の汗を蒸しタオルで拭き、パジャマの上を着せボタンをかける。

 その手際は素晴らしく、アスカの身体能力の良さを浮き彫りにした。

 だが、次の段階でアスカは再び急停止してしまった。

 作業が下半身に向かうということが、彼女の思考をループ状態へ突入させてしまったのである。

 下半身…パジャマだけじゃなくて下着も取り替えないと…シンジの下着を脱がす…●△×■◎▼!

 目隠しをしているが上に、アスカの想像は膨らむ一方である。

240:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:28:14 Ydu1MRS4
最後にシンジの裸を見たのはいつだっただろうか?

 そう、あれは小学校3年生のある夏の日。

 シンジが生体解剖された、あの暑い昼下がりのことである。

 二人で人生ゲームをし、シンジの楽勝かと思いきや、アスカが大逆転したのである。

 すべてを賭けた人生最大の賭けに勝利したのだ。

 そして、勝者の権利としてアスカはシンジを解剖した。

 そんなことなど約束も了承もまったくしていないシンジは抵抗を重ねたが、当時は10cmも頭が高いアスカに敵うはずもない。

 哀れにも身ぐるみを剥がれた上に、全身をチェックされたのである。

 もちろん、シンジはついには泣き出し、両親への露見を恐れたアスカが事実の隠蔽に努めたのだ。

 簡単に言うと、シンジを脅したわけだ。

 『早く服を着なさいよ、馬鹿シンジ!それからこのこと誰にも言ったらダメよ!そんなことしたらもっと酷い目にあわせてやるから』

 確かにシンジは一言も言わなかった。

241:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:28:58 Ydu1MRS4
ところが、このことを双方の両親はよく知っている。

 シンジはこの事を日記に書いていたのだ。

 『ぼくはアスカにすべてを見られてしまった。これでもうぼくはアスカのおよめさんに』

 と、書いたところで<およめさん>の<よめ>を2本線で消して、その下に<むこ>と書き加えている。

 『ならないとダメだ。すごくはずかしいけど、ものすごくうれしい!!!』

 その上、シンジはその簡潔な名文を様々な色のカラーペンで囲っている。

 これは過去、及び現在に到る彼の日記を紐解いても例を見ないことだ。

 そして、シンジはその日記を机の鍵の掛かる引出しに隠した。

 アスカが中を見たい見たいと常々熱望している、その引出しにだ。

 では、何故両親たちがその事を知っているばかりか、毎年その日を婚約成立記念日として4人でどんちゃん騒ぎをしているのは…?

 当然、目的のためには手段を選ばないゲンドウの仕業であった。

 挙動のおかしいシンジの様子に両親がピンと来たわけだ。

 興奮の余り寝つきの悪いシンジがようやく寝静まった午前2時、ゲンドウが音もなく息子の部屋に消えた。

 その数分後にその重大情報は惣流家に伝わり、1回目の婚約記念パーティーが開催されたのである。

 もちろん熟睡している当事者の子供たちを余所にしての話だ。

 余話終了。

242:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:30:07 Ydu1MRS4
アスカはまだ戸惑っていた。

 しかし、大好きなシンジをこの状態で放っては置けない。

 そして、アスカは決意した。

3分58秒後、アスカは目隠しを取った。

 彼女の14年近い生涯の中で、この数分ほどドキドキしたことはなかった。

 胸を押えて立つアスカの荒い息の下、シンジは気持ち良さそうに寝息をたてている。

 この10年余り後に、愛児シンイチのおちんちんをつまみ上げ『きれいきれいにしましょうねぇ~』と丁寧に汚れを拭き

 平然としてオムツの取替えをする自分のことなど、今のアスカには想像もできないだろう。

 当然、その長男の父親は言わずと知れた、現在発熱中の彼である。

 無論、この時アスカは何もつまみ上げたりはしていないことを彼女の名誉のために書き加えておこう。

243:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:30:52 Ydu1MRS4
嵐は去った。

 

 アスカの興奮も一段落している。

 シンジの汗で重くなったパジャマ類も1階の洗濯機で洗っているところだ。

 まだまだ汗をかくかもしれないからだ。

 ことシンジのことに対してはよく気がつくアスカなのである。

 そして、シンジが目を覚ました時に何か欲しがるんじゃないかと考えた。

 お水?お茶?スープ?お粥?何がいいのかな?

 散々考えた末、アスカは声に出した。

「ねぇ、シンジぃ。アンタ、何が欲しいの?」

 アスカとも思えない甘えた声に、シンジが口を開こうとした。

「げっ!今の声聞かれたんじゃないでしょうねっ!」

 赤くなるより先に、うろたえてしまったアスカであった。

「うっ……あ……」

 必死に何かを言おうとするシンジの様子に、アスカは集中する。

「な、な、何か欲しいの?」

「れ……」

「れ?」

「レイ………」

244:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:31:47 Ydu1MRS4
綾波レイ。

 13歳、東京都出身。アスカの同級生にして、シンジに纏わりつく最大最強のライバル。

 もちろん、これはアスカの視点にすぎず、現在彼女はシンジにふられたことをアスカを弄ぶことで癒そうとしている。

「れ、れ、レイっ!レイが欲しいんですってっ!」

 アスカが青ざめる。

 シンジは苦しい息の下で、ぎこちなく頷いた。

 息をするのも苦しい。

 い、い、いつの間にこの二人は…!

 そんなことがないように私はシンジから目を離さないようにしているのに!

 ま、まさか!私が入ることの出来ない男子更衣室でシンジを待ち伏せしていたとか…。

「冷凍みかん」

「はい?」

 ようやく言いたい事を言えたのに満足したのか、シンジはまた眠りに入った。

 後には、エネルギーを使い果たしたかのようにアスカが虚脱状態になって座り込んでいた。

 しばらくして、ぼそりと言った。

「はいはい、冷凍みかんね。わかったわよ。どこか売ってるかな……?」

 

 眠ったままのシンジを独りぼっちにしておくことはアスカには許されない。

 アスカは超スピードでペダルを踏んだ。

 2軒のコンビニ、1軒のスーパーマーケットでそのものずばりがない事を知り、アスカは方針を変える。

 果物屋さんで一ざるのみかんを買うと、アスカは疾風の如きスピードで坂を駆け登った。

 籠の中の袋からみかんが飛び出さないように注意しながら。

245:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:32:45 Ydu1MRS4
冷凍庫にみかんを収めて、アスカは階段を上がる。

 1時間くらいかなぁ…よくわかんないけど。

 扉をこっそり開けると、シンジはまだ眠っていた。

 アスカは少し笑うと中に入り、そして…仰天した。

 枕もとにお皿が置いてあるではないか。

 白いお皿の上に、赤くて小さなフォークが一本だけ。

 アスカは絶句した。

 い、一体誰が…?

 部屋の中を素早く見渡したが、誰もいない。

 机の下。クローゼットの中。そして、シンジの布団の中。

 どこにもいない。

 アスカは猟犬のように部屋から飛び出した。

 数分後、必死の捜索も虚しくアスカは手ぶらで帰ってきた。

 敵は私のいない間に疾風のように現れ、そして疾風のように去っていった。

 アスカはそう確信していた。

 実際はシンジが目を覚まし、水分を求めて階下に降り、冷蔵庫に半分になったリンゴを発見しただけだったのである。

 怪我もなくナイフを使い、律儀にお皿に載せ枕元でその二切ればかりのリンゴを食べたのだ。

 アスカに余裕があればキッチンに置かれた俎板の上のナイフに気がついたのだが、今のアスカは猪武者だった。

「シンジ!誰が来たのよっ!」

 シンジに隠し妻がいる。

 そんなわけは絶対にないのだが、嫉妬に狂うアスカには常識的な判断を求めることができない。

 そもそもそこが面白いがゆえに、綾波レイたちにからかわれているのだ。

 自分を買い物に出した隙に…しかもそんじょそこらに売っていないものを欲しいと言って…うわごとだったが。

 その間に女を引き込んだ……!

 アスカの嫉妬パワーは爆発の臨界点に来ていた。

 そして、さっきまでの健気な看護ぶりは完全に姿を消したのだった。

246:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:34:08 Ydu1MRS4
冷凍庫にみかんを収めて、アスカは階段を上がる。

 1時間くらいかなぁ…よくわかんないけど。

 扉をこっそり開けると、シンジはまだ眠っていた。

 アスカは少し笑うと中に入り、そして…仰天した。

 枕もとにお皿が置いてあるではないか。

 白いお皿の上に、赤くて小さなフォークが一本だけ。

 アスカは絶句した。

 い、一体誰が…?

 部屋の中を素早く見渡したが、誰もいない。

 机の下。クローゼットの中。そして、シンジの布団の中。

 どこにもいない。

 アスカは猟犬のように部屋から飛び出した。

 数分後、必死の捜索も虚しくアスカは手ぶらで帰ってきた。

 敵は私のいない間に疾風のように現れ、そして疾風のように去っていった。

 アスカはそう確信していた。

 実際はシンジが目を覚まし、水分を求めて階下に降り、冷蔵庫に半分になったリンゴを発見しただけだったのである。

 怪我もなくナイフを使い、律儀にお皿に載せ枕元でその二切ればかりのリンゴを食べたのだ。

 アスカに余裕があればキッチンに置かれた俎板の上のナイフに気がついたのだが、今のアスカは猪武者だった。

「シンジ!誰が来たのよっ!」

 シンジに隠し妻がいる。

 そんなわけは絶対にないのだが、嫉妬に狂うアスカには常識的な判断を求めることができない。

 そもそもそこが面白いがゆえに、綾波レイたちにからかわれているのだ。

 自分を買い物に出した隙に…しかもそんじょそこらに売っていないものを欲しいと言って…うわごとだったが。

 その間に女を引き込んだ……!

 アスカの嫉妬パワーは爆発の臨界点に来ていた。

 そして、さっきまでの健気な看護ぶりは完全に姿を消したのだった。

247:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:35:08 Ydu1MRS4
 眠れるシンジの肩を両手で掴み、前後に揺さぶると大声で叫んだ。

「こらっ!馬鹿シンジっ!誰よっ!誰が来たのよっ!何処の女狐を引っ張り込んだのよっ!」

 碇シンジ、まだ熱は37度以上あった。

 最悪の目覚めである。

「うえっ…」

 胃袋にはりんごがまだ消化されていない。

「はん!吐けばいいのよ。そんな女に食べさせてもらったものなんか…!」

 アスカは冷たく見下ろした。

 そう言いながらも、乱暴に揺さぶるのは止めている。

 シンジは何とか吐き気を抑えて、ボケた頭でぼやけた目を開けようと努力した。

 アスカが怒ってる。

 何だかわからないけど、起きなきゃ…。

「さあ、答えなさいよ、馬鹿シンジ!誰に、何を食べさせてもらったの?」

「あ…」

 片付けてなかった。

 俎板の上にナイフも置きっ放しだ。

「まな…いた……」

「マナぁっ!」

 アスカは了解した。

 霧島マナ。

 隣のクラスからのスパイ。

 シンジを狙って自分たちのクラスに出没する女。

 アイツか……。

 でも、“いた”って何よ。

 いた…いた…板…洗濯板…!

 わかったっ!あのツルペタボディのことねっ!

 そ、その…洗濯板の様な胸を私のシンジに見せたってことなのっ!

 霧島マナ…コロスっ!

 少年法に触れる行為を決意した瞬間、シンジの頭が少し回復した。

248:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:35:47 Ydu1MRS4
「ご、ごめん…」

「はん!謝ったって遅いわよっ!私の胸は傷だらけなのっ!」

「えっ!」

 シンジが飛び起きた。

「わっ!あ、アンタ、ど、どうしたのよ!」

「アスカ怪我したの!あのナイフで!」

「へ?」

 普段からお惚けで通っているシンジだ。

 今日は熱があるから、拍車がかかっている。

「ぼ、僕の所為だ。あんなところにナイフを…」

「ちょっと、アンタ何言ってんの?」

 アスカの嫉妬パワーは急速に減衰した。

 シンジが嘘をついているかどうかは100%見破る自信がある。

 彼女の身体を心配するシンジを大丈夫だと寝かしつけて、アスカはキッチンに下りた。

 テーブルの上に置きっ放しの俎板の上にナイフ。

 ナイフの近くにりんごの皮もくるくるっと丸まって落ちている。

「あ~あ、これかぁ…」

 そして、アスカはりんごの皮をつまみあげてしみじみと言う。

「ホント、熱があるのに、私より巧いなんてちょっと癪よね」

 アスカは鼻を鳴らすと、その皮をむしゃむしゃと食べた。

「皮だけって、やっぱまずいわね……」

249:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:37:36 Ydu1MRS4
その3時間後、完全に目覚めたシンジの熱は36度8分まで下がっていた。

「はい、冷凍みかん。これ剥くのって案外むずかしいわね」

「ありがとう。これって熱出すたびに食べてるから、習慣みたいになってるんだ」

「ふ~ん、そうなんだ」

「うん、だから今度も買ってきてくれたんだな、母さん」

 アスカは否定も何も言わなかった。

 アンタのために買って来たのだとは、恥ずかしくて言えなかったのだ。

「でも、いつもと少し味が違うような…」

 売り物の冷凍みかんと違って、家庭用の冷蔵庫で冷凍したのだ。

 どうしても旨みが違ってくる。

 その違いがわからずに少し首を捻っているシンジだったが、それでもアスカは幸せだった。

 まだ恋人じゃないけど、シンジの看病はこの私の仕事なの。

 実際シンジの熱が下がったのだから、アスカの満足感は充足されていた。

 ま、いっか…。今日も告白できなかったけど、私、幸せだもん。

250:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:38:13 Ydu1MRS4
 シンジはそんな暖かいアスカのまなざしが眩しかった。

 早く告白しなきゃ!

 こんなに美人なんだから、いつカッコいい男が現れてアスカをかっさらっていくかわかったもんじゃない。

 それに、敵は男に限ったわけじゃないんだ。

 綾波さんだって言ってた。

 碇君が交際しないんだったら、私、惣流さんをいただくわ…って、

 あの真剣な目で言われたら冗談だかどうなのか全然わかんないよ。

 アスカ…本当に綺麗だな…。

 わっ!

 シンジったら、何見てんのよ。

 そ、そりゃあ、私は天才美少女なんだから見とれるのは当然でしょうけどさ…。

 あ、アンタに見つめられたら…私……。

「アスカ、風邪感染ったんじゃないの?顔、赤いよ」

 鈍感シンジに効く薬はない。

 ところがアスカはさらに顔を赤くして、何も言わずに部屋の外に飛び出していった。

 バタバタという足音が下降していく。

「トイレ……?」

 熱が下がっても、シンジはやはり馬鹿シンジである。

251:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:39:06 Ydu1MRS4
「あれ?アスカは?」

「あら、ご挨拶ねぇ。やっぱりシンジはアスカちゃんの方がいいのね?」

「な、な、な、何言ってるんだよ、母さんは!」

 ユイはニンマリと笑った。

「アスカちゃんなら真っ赤な顔してお家に走って帰ったわよ。

 アナタ、まさか無理矢理…?」

「してない、してない!何もしてないよっ!」

「どうだか…?だって、イカ焼き買ってきたのに、目もくれずに帰っちゃったわよ。あやし~い!」

「怪しくなんかないよ!もうっ!」

 毎度ながらの母親のからかいにふてくされるシンジだったが、

 やはり回復途上にある所為か“イカ焼き”という単語に卑しくも反応した。

 上体を起こすと、ユイに問いかけた。

「ねぇ…、食べていい?イカ焼き」

「ダメ。これで、我慢しなさい」

 ユイは後ろで持っていた冷凍みかんをシンジの目の前にぶら下げた。

 ゆら~りゆらりと、揺れるみかんにシンジの目が丸くなる。

「あれ?じゃ、さっき食べたのは?」

「ん?」

 ユイはベッド脇のくずかごを覗き込む。

 散乱しているみかんの黄色い皮。

「はは~ん、アスカちゃんか」

「えっ?じゃ…、アスカが買ってきてくれたんだ」

252:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:39:48 Ydu1MRS4
「甘いわよ、シンジ」

「へ?」

「冷凍みかんなんてこのあたりのお店には売ってないわ。きっとみかんを買ってきて冷凍してつくってくれたのね」

「そ、そうだったんだ」

「で、食べる?これ」

 なおも赤い網にぶら下がったみかんを揺らせるユイ。

「いらないよ。それより…」

 ベッドを降りようとするシンジにユイは指を突きつけた。

「ダメ。今日一日は安静」

「で、でも…!」

「はい、これ」

 ユイがみかんを下げて、シンジにぽいっと何かを投げた。

 お腹のところで両手で受けるシンジ。

 携帯電話である。

「長電話しないでよ。あ、それと、中のデータ見たら酷い目に合わすわよ」

「わかってるよ、そんなことしないよ」

 そう言いながら、すでに指はアスカの家の電話番号を叩いている。

「ふ~ん…」

 なおもからかいの種を探そうとするユイだったが、すでに自分の存在を忘れてしまっている息子にユイは唇を尖らせた。

「ばあさんは用済み…ってことかしら?」

 もちろんその声もシンジには届いていない。

 ユイは冷凍みかんを目の前にかざし、小首を傾げて、そして赤い網越しの少し青いみかんにちゅっとキスした。

253:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:40:43 Ydu1MRS4
数分後、アスカが息を弾ませて飛び込んできた時には、部屋にはシンジ一人しかいなかった。

 彼女の真っ赤に染まったその頬は、息弾ませ駆け上がってきたためではなさそうだ。

「電話なんかじゃ許さないからねっ!」

 開口一番、これである。

 何を許さないのか皆目わからないのだが、当然当事者であるシンジは百も承知だ。

「う、うん。じゃ言うね。

 えっと、今日は本当に…」

「あぅぅっ!そこはパス!待ち切れないよぉ!」

「あ、ごめん。あ、あの…好きです!わっ!」

 シンジの告白と同時に、アスカはベッドサイドに座っている彼の首にダイブした。

 

 どすんっ!

 

 ユイは天井を見上げた。

 電灯のセードから埃がちらほら舞い落ちる。

 咄嗟にホットコーヒーのカップに手で蓋をする。

「あっつぅ~!」

 湯気で濡れた手をひらひらさせて、ユイは再び天井を見上げた。

 あれから物音はしない。

 ユイは肩をすくめて、コーヒーカップを手にした。

 よし、ゴミは浮いていない。

 これを飲み干すまでは大目に見てあげるわ。

254:名無しさん@ピンキー
08/12/11 15:41:20 Ydu1MRS4
2階では勢いで抱きついたもののユイの期待通りには到底進行できそうもない、

 初心な二人は幸せそうに手を繋ぎ、並んで天井を見上げているだけだった。

「来週はデートしよ!」

「うん、映画行こうか?」

「遊園地がいいな」

「うっ、小遣い前だから…」

「はは!じゃ、映画でいいわ。でも、割り勘よ」

「でも…」

「もっと大きくなって、バイトでも始めたら、ばっちり奢ってもらうから」

「う、うん…」

「楽しみだなぁ…何、見る?今からわくわくしちゃうっ!」

 ああっ!来週まで、あと何日?

 どうして、学校なんかあるんだろう?

 毎日がお休みだったらいいのに!

 

 

 一週間後の土曜日。

 アスカは寝込んでいた。

 デート前夜に興奮しすぎて、高熱を出したのだ。

 おかげでシンジはアスカの看病に土日を費やすことになった。

 但し…。

 さすがに、キョウコはアスカの汗拭きだけはシンジにさせようとはしなかった。

 それをアスカは不満に思ったのかどうか、それは本人にしかわからない。

 

 

<おしまい>

255:名無しさん@ピンキー
08/12/11 16:59:55 jmvsOUl1
…あれ?
ここってケロロスレじゃ…

256:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:01:48 A7/Gl+gs
ここまで盛大な誤爆は久しぶりに見たな

257:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:29:17 8luXUtjL
  ホッホッホ。
わたくしこの西澤邸で執事を任されておりますポール・森山と申します。
この西澤家についてはもはや説明の必要はございますまい。
みなさまもご存知のとおり、世界経済の半分を手中にしているといっても過
言でない「あの」西澤グループでございます。

旦那様、グループ総帥・西澤梅雄様はあのとおりお忙しいお方でございま
す。このご自宅へお戻りになることも年に数えるほどしかなく・・・。
したがってお留守の間のこの屋敷の管理と、愛娘・桃華様のご養育と
身辺守護は不肖このポールの肩にかかっているのでございます。
イヤハヤなんと責任重大な職務かと、省みてわが身のつたなさに呆然とす
る次第ではございますが・・・。
しかしわが身を捧げて悔いない、男子一生の仕事であると感じております。
お任せいただいた旦那様の期待にこたえるためにも、このポール全身全霊
をかけて桃華様をおまもりし身を粉にして働く所存でございます。
(誇らしげに胸を張る所作)

  桃華様がお戻りになる時刻まで、まだ少しございます。
この、屋敷内の清掃も終わり、桃華様が吉祥学園から戻られるまでのわず
かな時間がわたくしポールのささやかな自由時間なのでございます。
もちろん学園内で桃華様の身に、なにか異変でも起こればその限りではご
ざいませんが・・・。基本的に我ら屋敷の者は、桃華様のたいせつな学園生
活には極力踏みこまぬよう、心がけているのでございます。

――おや、湯が沸きましたな。
英国王室ご用達の紅茶がございますが、お召し上がりになりますか?
いらない?・・・・・ハイ、左様で。
ではこのポールだけが頂戴するといたしましょう。

  (湯気の立つ紅茶をひとくち啜りつつ)
ハテ、なんの話でございましたかな。
――そうそう、桃華様の話でございました。
このポール、まことにふつつかものではございますが、これまで桃華様の
ご成長振りをご幼少の頃より見守ってまいりました。
なんとまあ、おやさしくお可愛らしく育たれたことでございましょう。
傍に控えている者の欲目かとお笑いになるやもしれませんが、このポール
の眼には失礼ながら、桃華様以上に魅力的なお嬢様はこの世界に存在し
ないかと。・・・・ハイ。つねづね考えているのでございます。

大企業のご令嬢として、何不自由なくお育ちになったとお思いでしょうが
桃華様はあれで、たいへんおさびしいお育ちなのでございます。
さきほども申し上げたとおり、お父上である旦那様は滅多にお戻りになら
れません。
まして桃華様がおちいさい頃は、お仕事の都合上なおさらでございました。
この西澤邸には常時二~三百人は人間がおりますが、いずれも大人の使
用人ばかりでございます。
―――桃華様は、手のかからないお子でございましたな。
それこそどんな我儘も言える立場にありながら、私ども使用人を煩わせる
ことはほとんどございませなんだ。それどころか雑務の多い私どもを逆に
思いやってくださって、いつもひっそりひとり遊びをしているような―。
そんなおやさしいお子様でございました。
ときには窓ガラスに映った自分をお友達に見立てて、話しかけたりもして
おいででした。もうひとりのお嬢様が生まれた素因は、実際そんなところに
あるのかもしれませんな。まことにおいたわしいことでございます。


258:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:29:56 8luXUtjL
 身に余る事ながら、このポールめには懐いておいででございました。
わたくしも育児には不慣れながら、精一杯の愛情をお嬢様には注いだつも
りでございます。しかし、やはり主人と使用人では・・・血を分けた家族の
ようにはまいりませんな。
夜になるとちいさな桃華様はいつも窓辺に身を寄せられて、その大きな瞳を
じっと外へ・・・西澤家の専用飛行場の方角へと向けられておいででした。
もしかしたら・・。今日こそはふいに、旦那様がお帰りになるのでは、と・・。
幼心に、そう期待されていたのでございましょうなァ。
その寂しそうな後姿と―。ついに待ちくたびれて眠っておしまいになり、
わたくしがベッドにお運びしようと抱き上げたとき・・・・。
つい見えてしまった、ほおにの残るなみだの跡は・・・・・。
・・・・・・・。
このポール、忘れようとしても忘れられるものではございません。
(ハンカチを取り出し、しばし目頭を押さえる所作。)

  そんな風にお育ちになったせいか、お嬢様は同じ年頃のお友達を作る
のが不得手でいらっしゃいますな。それもこれも我らの責任でございます。
桃華様をお守りしようとするあまり、つい他の子供達とのあいだにどうし
ても目に見えないカベを作ってしまうのでございます。
「大富豪のご令嬢」そんなレッテルがついてまわるのですな。
屋敷にお呼びしたお友達が、また遊びに来るようなことは滅多にございま
せん。わたくしなどには見慣れた光景でございますが・・・・。
やはり一般人にこのお屋敷は、気後れするのでございましょう。
逆に桃華様の家柄目当てで近寄ってくる者もございます。
しかしそんな輩の下卑た雰囲気は、鋭い桃華様は敏感にさとられます。
しだいにどちらも、桃華様からは距離を置くことになる次第で。ハイ。
まことに・・・。桃華様の出自をご承知の上で、緊張するでもなく妬んだ
り卑下したりすることなくごくふつうに振舞っておいでなのは
あの、日向冬樹殿くらいでございましょう。
桃華様が冬樹殿に惹かれるのも、無理のないことなのでございます。

 冬樹殿に思いを寄せられるようになられてから、桃華様は別人のように
明るくおいでになられました。ましてタママ殿がこの屋敷に住むように
なられてからは共通の話題も出来、ひんぱんにあちらへお行きになられた
りもして・・・これほど活き活きとした桃華様を、かつてポールは見た事が
ございませぬ。――桃華様の喜びは、我ら屋敷の者みなの喜び。
・・・タママ殿に実はわたくし、ひそかに感謝しているのでございます。
タママ殿は侵略者ではございますが、このポールにとっては地球の命運な
どよりも、桃華様がわらっていてくださる事の方がよほどたいせつな事の
ように思われるのでございます。
――これはむろん、タママ殿には決して言えぬことではございますが。

 ただ、残念なのは桃華様の想いが冬樹殿にはいっかな届いていないこと
でございます。まあ冬樹殿のこだわらない器の大きさというものは、裏を
かえせば鈍感さに通じるわけで。
人間の長所と短所というのはコインの裏表のようなもので、どちらか一つ
をとるという訳にはいかぬもののようですなァ。
しかしこのポール、たとえ旦那様が反対されようと、全力で桃華様の恋を
応援する所存でございますとも。

259:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:30:32 8luXUtjL
おや、ドアが開きましたな。ちょっと失礼。(席を立って入り口へ)
・・・これはタママ殿。このポールの私室までお越しになるとはお珍しい。
ハテその大荷物。――しょんぼりして。どうか、なさいましたかな?
――ホホウ。今日は朝早くから秘密基地の大掃除を?
ふむふむ。そのために色々な荷物を地上に移動させて。――ホウ。
そうしたら、夏美殿が大激怒。
・・・・まあ、あそこは一般の民家ですからな。無理ございますまい。
それで・・・?ああ、ケロロ殿が。―――なるほど。
・・・・・つまりタママ殿は押しつけられた、という訳で。ホッホッホ。
エ?
なんですと?武器もある?
だからお世話になってるこの西澤家に迷惑かける訳にはいかないんですぅ、
――と。・・・ナニ、そんなことを気にされていたのでございましたか。
タママ殿の自室に置くぶんには何も問題ございますまい。
たしかに我らは、本来は敵同士。
しかしタママ殿とこのポールは、男の友情でかたく結ばれた仲ではござい
ませんかな?お荷物がある間はお部屋に踏みこまぬよう、メイド隊にも
よく言い聞かせておきましょう。困ったときはお互い様でございます。
――ハイもちろん。このポールが請合います。
それにしても・・・わざわざ事前に許可を求めに来られるとは、タママ殿
の男気と律儀さにこのポールいささか感服つかまつりました。
地球の命運をかけて戦うそのときも、お互いにフェアプレーで参りたいも
のでございますな。ホッホッホ。

・・・・・ああ、行ってしまわれた。
おや、これは忘れ物でございますかな?
なにやら懐かしい。――ガシャポン、でございますな。
取り出し口になにかが。・・・おやまあ、これは冬樹殿の人形でございますな。
ホッホッホ。よく出来ておりますな。そっくりでございます。
ははあ。さてはタママ殿、荷物のお礼でございますな。
親衛隊の報告によれば、冬樹殿は今日は学校をお休みされているとの事。
桃華様は吉祥学園でさぞ寂しい思いをされていることでございましょう。
そこへきて、このそっくりなお人形。――なかなか粋な計らいでござい
ますな。それにひきかえ親衛隊どもときたら、GPSで捜索しても冬樹殿
が見つからないなどと。いけませんな。タママ殿の爪の垢でも煎じて飲ま
せてやらなければ。
・・・・・それにしても、この顔など実によく出来て・・・。
(チョンッ)
(むくむくむくむくむくむく・・・・・)

・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
おおおッ?!なにやら目眩が。
冬樹殿の人形の顔を触っていたら、突然。
なにが起こったのですかな?・・・・・ハテ、人形はどこに。
おや?これはわたくしの人形でございますな。冬樹殿の人形はどこに。
――ふらふらッとした拍子に、どこかへ落としてしまったのですかな。
いけません。このポール、まだまだ若いつもりでおりましたが。
・・・おや?あれは桃華様がお帰りになった合図。こうしてはいられません。
お迎えしなければ。―――おお、お帰りなさいませ桃華様!!

260:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:31:08 8luXUtjL
 どうなされたのです?桃華様。
そんな、ビックリしたお顔を。
・・・・・・今日はどうしたのですか、と?――わたくしが?
むろん、わたくしはこうしてずっと桃華様のお帰りをお待ちしておりまし
たとも。
エエ?!・・・・・・って。なにをそんなに驚かれて。
どうなされたのです?
そんなに赤くなってモジモジされて。
それにしても今まで気づきませなんだが桃華様、おおきく成長されました
な。もはやわたくしめと変わらぬほどの背にお育ちでございます。・・ハテ。
――桃華様がわたくしの方へとにじり寄ってこられて。
ギュウッと両のこぶしを握りしめて。
「言えッ!!今がチャンスだろうがよ言っちまえ!!」
「そんなッ・・・・でもわたし・・・・・。」
などと裏と表の桃華様が。はは。桃華様はまことにお忙しいお方でござい
ますな。・・・・なんですと?――自分のことをどう思うか、と?

桃華様。桃華様はわたくしにとってもちろん、だれにも替え難い大切な
お方でございます。
え?・・・・・桃華様にとってもそうだ、と?
――ありがとうございます。そう言っていただいてこんな嬉しいことは
ございません。
・・・・・・本当にそう思うか、と?もちろんでございますとも。


・・・・・わあッ!
も、桃華様。
どうなされたのです。
そんな、しがみついたりなどなされて。
桃華様の目が見たこともないほどうっとりと、このポールの顔に注がれて。
・・・・・うん?
桃華様の目に映る、わたくしの顔が。
これは――冬樹殿、でございますな。
わたくしが瞬きすれば、瞳の中の冬樹殿も目をパチパチと。
冬樹殿は今朝、学校をお休みされた――のでしたな?
親衛隊の報告によれば、居所がまったくわからない――のでしたな。
タママ殿の荷物に、冬樹殿の人形。
触ったわたくしの姿は、いつのまにか冬樹殿に、と。
・・・・・もしやわたくし、冬樹殿の身体に入ってしまっているのですかな?
ややや。
これはひょっとしてたいへんマズい事態に。
冬樹殿が受けるべき愛の告白をいまわたくしが受け、しかも承諾してしまっ
た・・・・・・ということでございますかな?
も、桃華様。
誤解、誤解でございます。
わたくしは身体こそ冬樹殿ではございますが心はポールなのでございます。
ああッそんな哀しそうなお顔を。
わたくしが茶化して、桃華様の真剣な告白をなかったことにしようとして
いると?
・・とんでもございません。桃華様に対するわたくしの気持ちに嘘偽りのあろ
うはずがございません!―ああッいけない。火に油を注いでしまった!

261:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:31:42 8luXUtjL
 桃華様が後ろ手にわたくしの私室のドアを閉めて。
二人きりですね。ひなたくん・・・・と。
そ、その前提がすでに間違っているのでございますが。
ああッお嬢様を傷つけず、一体どう申し上げたらわかっていただけるのか。
桃華様のほそいきゃしゃな両腕が、わたくしの頭に廻されて。
やさしい眉がせつなげにひそめられて。
小鳥がくびをかしげるように、桃華様が。
・・・い、いけませぬ。これは、キスのシチュエーションではございませんか。
くッ・・・!困った!!も、桃華様、存外にちからがお強い!
いや、冬樹殿が非力でいらっしゃるのか?しかし裏の桃華様はあのとおり
腕っぷしの強いお方で、もちろんおこころがおやさしいのは裏も表も同じ
桃華様なのでございますが・・・。やはりお父上のお血筋が――って、
いかんッ!そんな悠長なことを言っている場合ではないッ!!
こ、このままではこのポールが桃華様のファーストキスのお相手という事
に・・・・そ、それは断じてマズいッ!!
――しかし身体は冬樹殿な訳でございますから、この場合どうなること
なのでございましょう?冬樹殿ならばべつだん差し支えない・・のですかな?
いやいやッ意識はあくまでポールなのでございますから、それはやはりマズ
いのでは。
しかし桃華様から見た場合、相手は冬樹殿であることには違いなく・・・。
ううむ。なにやら頭がこんがらがってまいりましたな。
ああッ・・・ソウコウしている間に、桃華様のやわらかな唇が。
やさしいゆびがそっとわたくしの髪の中に埋められ―――。
桃華様の甘い吐息が、わたくしの口の中に。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・~~~~。
~~~~~~~~~~~~~。
って・・・・ウウッ!も、もももも桃華様ッ!!
い、いったいドコでそんな高等テクニックをッ?!
――あ、いや、そういう意味ではございません。
桃華様の純潔はむろん言われるまでもなく承知しております。それはもう。
うれしい、とおっしゃる?・・・・う~ん、どうしたものか。
―――え?メイド隊の連中に?
想いをうちあけるにはどうしたらいいか相談なされたのでございますか?
・・・・ほう。そうしたら、連中がひそかにまわし読みしている本を。
貸してもらった、と。・・・そしてガンバッテくださいお嬢様!と激励を
受けた、と。・・・・そしてその本が――なんですと?
『男のコを夢中にさせるヒ・ミ・ツのテクニック(はぁと)』
・・・・・・・・。
――あやつら・・・。穢れなきお嬢様になんという本を。
けしからん!あの耳年増どもには相応の処遇をきっちり与えておかねば。

262:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:32:24 8luXUtjL
・・・・・・・。
あの。
桃華様。
なんと申し上げたものか。
あまりわたくしの足のあいだに・・・そうも踏みこんでこられますと。
いえいえ!近寄って欲しくないという意味ではなく。
その・・・いろいろとマズいのでございます。
なんと申しますか・・・・あまり密着されますと。
このポール、これでも若い頃はそれなりに場数を踏んできております。
東欧の内戦に参加した際の帰り道には、それこそ飾り窓の女達に
「夜の撃墜王」なる異名を冠されたこともございます。
たいていの誘惑には屈せぬ自信がございますが。
しかし――いかんせん今の身体は冬樹殿の身体。
・・・・・・思春期の男子中学生の身体にはちと、毒で。

ええッ?!
なにを泣いていらっしゃるッ?!
―――あ、いや。今の話はポールの昔話でございますッ!!
断じて冬樹殿の話ではございません。もちろんでございます。
え?――ひなたくんにとってわたしのような幼児体型は、きっと魅力
がないでしょう、と?
ああ、またお嘆きになられる。
・・・・・・・・・・・・・・。
あの、桃華様。
わたくしつねづね思っていたのでございますが。
世の男性がすべてしぇくしーな女性を好むとは、あながち申せないのでは
ないかと。
ほっそりした女性がよいという方もいらっしゃいますし。
逆にふくよかな女性でなくてはダメという方もいらっしゃるでしょう。
まして、冬樹殿はお姉様とお母様がああいったお方で。
しぇくしーには、耐性ができていると申しますか。
逆にしぇくしーには性的魅力を感じないといった可能性も充分ありえます。
・・・・・・それほどご自身の体型を卑下なさらないほうが。
桃華様はそのままで充分お可愛らしく魅力的であると、わたくしめは拝察
いたしますが。


・・・・・って、うわぁぁあああああッ!!しまったッ!!
そうでした!!いまわたくしは冬樹殿でございましたッ!!!
い、いかん!自分で自分の退路を絶ってしまった!マズいッ!!
ももももも桃華様ッ!?
あの、お着替えは・・・・ここにはご用意してはおりませんが。
ウッ・・・・・・・そんな、うるうるした瞳で。
わたし、勇気を出します――って、なにを。も、桃華様ッ?!
あの・・・・な、なにゆえに制服のボタンをッ?!

263:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:33:01 8luXUtjL
桃華様―――ふるえていらっしゃる。
両手でわたくしの手をとって、そっと唇に押しあてて。
そのまま、桃華様のほおに。――これは、涙?
桃華様・・・・・・ひょっとして泣いておいでなのでございますか?
あの・・・・ブラウスが落ちて。お風邪を召しますぞ?
わあッ!
スッスカートは、お履きになられたままのほうが。
どうか涙をおふきください。桃華様に泣かれるとわたくし辛うございます。
ハイ。それこそ身を切られるように。
うわあッ!!
そんなッ!下着姿で飛びこんでこられてはッ!!
くうッ!あ、あのッ!桃華様なりません!!!
そんなあられもないお姿で、しがみつかれては!
さきほども申し上げたとおり、これはお若い冬樹殿の身体でございまして。
その・・・・同じ年頃の、桃華様のおからだには。
なんというか、抑制が効かなくなってしまうと・・・それはたいへんマズい
ことかと。ハイ。
エ?
・・・・・・かまわない?
も、桃華お嬢様~~~~~~~~ッ?!!!

264:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:33:35 8luXUtjL
こ・・・・困りましたな。
さきほどから半裸同然の桃華様が、わたくしの胸のなかに。
しがみつくように飛びこんでこられましたので、自然と抱きとめるような
かたちに。
視線を下げますと、ほくろひとつない桃華様のなめらかな肩ときゃしゃな
鎖骨の影。その、さらに下には・・・・ひそやかに息づく胸元が。
これはいかんッ!これ以上、わたくしは見るべきではないッ!
(と、あわてて顔を上向ける。)
うッ・・・・桃華様がわたくしの手をとって。
じれたように。
わたくしの手を桃華様の喉元に押しあてて。
―――そのまま鎖骨をなぞるように、横に。
も、桃華様のランジェリーの、シルクの肩紐が。――はらりと。
桃華様がほおを染めて、わたくしの肩にこつんとおでこをお乗せになり・・。
うおッ・・・・・!ててて手を、あの。
わたくしの手を引き下げて、そのまま下に。・・・・・桃華様ッ!
な、なにやら、なにやらやわらかく熱い感触がッ!!
―チクショォ・・ドキドキが止まらねェんだよォッ!・・・と裏の桃華様が。
―ひなたくん・・桃華の気持ち、受けとめてください・・・と表の桃華様が。

ああ・・・。ポール、絶体絶命でございます。
このままその・・そういう行為にいたる訳には断じてまいりません。
それはあるじにお仕えする執事としてご法度、というだけではなく。
そういったことは桃華様の冬樹殿に対するこの純な気持ちをたばかる事に。
とはいえヘタに拒絶すれば、桃華様にとってわたくしはいま冬樹殿なので
ございますから、おこころにそれはそれは深い傷をお残しすることになる
やもしれませぬ。
事ここにいたっては、わたくしが実はポールであることも説明しにくくな
ってまいりました。なぜって・・・。桃華様はいま、渾身の勇気をふりし
ぼっておいでであるからでございます。
いくらそれが現実であるからといって――執事としてあるじに恥をかか
せるわけにはまいりません。冬樹殿の心がこの身体のどこかに眠っている
ものならば、このポール今すぐにでも喜んでこの身体を明け渡す所存なの
でございますが。・・・・もしやちからいっぱい念じれば、冬樹殿の心に
通じるのではありますまいか。
―――冬樹殿ッ!
―――冬樹殿ッ!
―――冬樹殿、どうかッ!

・・・・・・うッ!
冬樹殿の心に通じるどころか、男子中学生の身体の生理現象のほうがッ!

265:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:34:10 8luXUtjL
 こ、このポールッ・・・。
職務上、桃華様のこうしたお姿は見慣れている・・・はずなのでございますが。
それこそおしめを換えたり、お風呂に入れてさしあげたりした経験もある
のでございますが。
そもそも桃華様は、このようなせつなく艶っぽいまなざしでわたくしを見
ることはついぞございませんし。
それにやはり、この身体を流れる若い血がそうさせるのでしょうか・・・?
―って、若い血がッ・・・・身体の、ごくかぎられた一部分にどんどんッ!
ええッと円周率はッ!π=3,14159・・・って、アアッ思い出せないッ!
――ヌウッ!ももも桃華様、あまり太ももを押しつけられますと・・・ッ!
だいたい冬樹殿はこのお年頃で桃華様にこうまで想いを寄せられてどうして
ああも淡白でいらっしゃるのだかッ・・・わたくし、理解不能でございます!

・・・・・・・・・。
――しかし、いっそここで既成事実を作ってしまうという手も・・・。
冬樹殿はいまだ恋愛には目覚めてはいらっしゃらないご様子。
むしろ先に形式をかためてしまって・・・・・ヌウ。(←狩る者の眼。)
・・・・・ハッ!!
ぬぉおおおおおッッ!!いかんッ!断じていかん!
(両の拳でおのれの頭をポカポカ殴りつつ)何を考えておるのかポールッ!
おまえは桃華様の忠実なしもべではなかったのかッ!!
旦那様に、桃華をくれぐれも頼むと一任されたのではなかったのかッ!!
(←血の涙。)
・・・うッ桃華様がこのわたくしの身体の変化にお気づきになられたッ!
――お許しください桃華様、その・・・。
申し訳ございませぬ。これ以上は。
わたくしは・・・このわたくしで桃華様を穢したくないのでございます。
どうか・・・・どうかご理解ください。(ふかくうなだれる。)
・・・・・・・・・桃華様?
――うれしいです、と?
桃華を気遣ってくれているのですね、と?・・・・それはもう。
ご理解、いただけましたか。ありがたい。
――でも、無理しないでください。ひなたくん、と。・・・・おや?
いま桃華が、ラクにしてあげますね・・・・ッて。フヲォオオオオッ!
桃華様ッそれはッ!そッれッはッ!!なりません!!あああファスナーがッ!

266:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:34:49 8luXUtjL
わたくしを抱きしめたまま、桃華様の白いやさしいゆびがそっと。
はずしたズボンのボタンの内側にしのびこみ――。
あたたかな温度をもったほそいゆびさきが、からみつくように、その。
それからため息に似た桃華様のせつない吐息が、わたくしの首筋に。
その首筋に語りかけるように笑みをふくんだ桃華様の熱くやわらかなお声が。
ひなたくん。―――こんなに。・・・・・と。
ななななんのことで。
アッいや、よろしいですッ!!
おっしゃらなくて結構ですッ!
桃華様にそのような言葉を言わせる訳にはまいりません!
――くぅうッ!あの、そのようにキュッっとゆびにちからをこめられ
ますと。
いえ、痛い訳ではございませんが・・・。むしろもっとマズい事態に。
いや、そのように動かされるとッ!ますます事態が悪化いたしますですッ!
手が・・・・桃華様の背に廻されたわたくしの手が、汗ですべる。
なんとかして、桃華様のおからだをわたくしから引きはがさねば。
――って、抱き寄せてどうするッ!!
いかんッ制御できん!これは一体どうしたことだッ!?
シベリアでのあの消耗戦を思い出すのだポール森山ッ!!
もももも桃華・・・・様ッ?!ひざを折られて、なにを。
そのように、ひざまづかれ・・・・て・・・?
うおおおおおッ!ポ、ポール・・・大ピンチでございますッ!
桃華様にそんなことをさせてしまったら、わたくし旦那様に生涯顔向け
できませぬ!!
・・・・って、桃華様の頭が下がったおかげで、視界がひらけて。
ん?――入り口のドアが少しあいている?!
ドアの影に、ホホを赤らめながらも興味シンシンといった風情の・・・・
―――タママ殿。
あああッタママ殿ッ!!ちょうどいいところにッ!!!
助けてくださいッ!(当然声には出せないため、口パクとジェスチャーで)
わたくし、ポールでございますッ!なぜか冬樹殿の身体にッ!!
―――タママ殿がニヤッと笑って親指を突き出されて、なにか。
(タママの唇の動きを読み取りながら)
・・・・・フッキー、なかなかやるですう、と。
・・・・・お邪魔虫は消えるですう、と。
きッ消えないでくださいッ!ダメェッ行かないでッ!!ど、どうか後生で
ございますッ!!!・・・・アッ足元をごらんください!そう!!
――その、ポールの人形を。そしてその脇のガシャポンの機械を。
そう、その人形・・・わたくしでございます!!
わかっていただけましたか!!なにとぞ、桃華様をお止めくださいッ!!
―――って、あああ?!タ、タママ殿、どこへッ?!

267:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:35:48 8luXUtjL
アッこ、こちらもたいへんでございましたッ!ひざまづいた桃華様が。
その桜の花びらのような唇を、ちいさくひらかれて。
ゆびがやさしく、先端から根元までをそっとつたい――。
わたくしの腰に、桃華様が顔を寄せられ――。
ほおにかかる髪を、かるく頭をかしげて除けられると――。
ふるえる唇が。・・・・・・ああ。
―――・・・・・。
ってッ!あきらめるなポール森山ッ!!
あきらめたらそこで試合終了でございますよッ!!!
ヌォオオオッ!!このうえはなんとしてでも桃華様をお止めしなければッ!
~~~~~桃華様!!
~~~~~桃華様!!!!
~~~~~桃ッ華ッ様!!!!

・・・・・・??

ん??????
・・・・桃華さま?
――突然おからだが崩れ落ちて。桃華様?
そのすぐ向こうに、銃を構えたタママ殿が。
タママ殿?
・・・・・?
・・・・・。
・・・・・!
タ、タママどのぉおおおおおッ!!(←滂沱の涙。)
やっぱりッ!やっぱり戻ってきてくださったんでございますねッ!!
いまッ・・・このポールの眼には、確かにタママ殿のまわりに後光が差して
見えましたッ!!!
ハッ!桃華様は?!――首筋に矢が。大丈夫なのでございますか?
エ?―――クルル殿ご愛用の麻酔銃?!荷物の中に?
おからだには問題ないと。ありがとうございます!
このポール、感謝の言葉もありませぬ。・・・え、なにか?
ただクルル先輩に都合がいいよう、撃たれた人の前後の記憶が飛んじゃう
んですぅ、と。
・・・いえいえ!それは問題ございません。むしろ願ったりかなったりで。
クルル殿に都合がいいとは一体どういう状態なのか、いち地球人として
聞きたくもありますが。――いえ、それはこの際申しますまい。
そのおかげで今回は助かったのでございますから。
ん?―――ああ、いえこれは。(←目線を下げて、苦笑。)
あ、どうかお気になさらず。(←いそいそと桃華に制服を着せながら。)
・・・・いえいえ、放っておけば治まるものでございます。(←同上。)
・・・本当に大丈夫でございます。どうか、お気になさらずッ(←同上。)
・・・・・・・。
////////・・・。
コホン。
ところでわたくし、もとの姿に戻りたいのでございますが。

268:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:36:21 8luXUtjL
それから冬樹殿の心のほうは、どちらに?
・・・・ガシャポンの?・・・・・アッそんなところに?!
ほほう、そのフロッピーが。――あ、わたくしめの人形は、そこに。
・・・・・・・。
・・・・・・おおっ!
わたくしの、身体でございます!このなかに冬樹殿の心が?
――なるほどもう一度、今度はわたくしがガシャポンを廻す、と。
了解いたしました。
冬樹殿が意識を取り戻されぬうちにサッサと済ませてしまいましょう!
(冬樹とポール、入れ替わり作業――以下省略。)


(小声で)おお・・・。冬樹殿が、気がつかれたご様子。
タママ殿われわれは・・ささ、こちらへ。(タママをいざなって扉の影へ)
・・・・おとなりの、桃華様に気がつかれたようですな。
エ?タママ殿のところからはよくわからない?
――いま冬樹殿は、桃華様をゆすぶって起こしておいでです。
西澤さん、大丈夫?・・・・・と。
――桃華様もお目覚めのご様子です。
あら?わたし・・・・いったいどうしたのでしょう?と。
――桃華様が冬樹殿に気づかれてほおを染められましたぞ。
ひ、ひなたくんッ・・・・どうしてここに?と。
・・・・ぼくも覚えていないんだ。朝出かけるとき軍曹の大荷物があって、
面白そうだったんで触ってみようとして・・・ダメだそこから思い出せない
よ、と。――なるほど。

――お二人が首をかしげておいでですな。しまった・・・・。
記憶喪失が二人。ウ~ムそういえばあまりにも不自然すぎる状況でござい
ますな。
・・・わかった!僕たち二人してUFOに攫われたに違いないよやったぁ!
――って、冬樹殿ッ!ナイス!!ナイスフォローでございますッ!
(こぶしを握りしめ)タママ殿!わたくし邸内の者の力を結集させそのよう
に工作いたしますので!!!タママ殿もなにとぞそのように口裏合わせを
お願いいたしますッ!!
―――桃華様。・・・・・桃華様は?!
恥ずかしそうにほほえまれて・・・・・。
・・・・ふたりいっしょに?――それはステキですね、ひなたくん、と。
・・・・・・・・・。
―桃華様・・・。あんなにうれしそうに。よろしゅうございました・・・。
よかった・・未遂ですんで、本当によろしゅうございました・・。(滂沱の涙)
わたくし、タママ殿には大きな借りができてしまいましたな。
ひとまずお礼代わりにパティシエに命じて、タママ様用に特大ケーキを
作らせましょう。

269:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:36:57 8luXUtjL
――桃華様と冬樹殿はオカルト話に花が咲いているご様子。
よい雰囲気でございます。このままここはお二人だけで――。
折をみて、お二人にもお茶とお菓子をお出しいたしましょう。
それではわたくし手配をいたしますので、タママ殿――のちほど。
はい。ケーキのほうはご期待に沿えるものを必ず。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
(ふり向いて)おや。
ずっと、ご覧になっていたのでございますか。
いや、お恥ずかしい次第でございます。(頭を掻きつつ)
ああ、わたくしの私室にいらっしゃるお二人は、どうかあのままに。
もちろんあそこはむさくるしい所でございますので、あとでわたくしが
客間にお連れいたします。
結局なんにもお構いできませんで、申し訳ございませぬ。
いや、正直申し上げて・・・このポール、寿命が十年は縮まりました・・・。
(嘆息)
お荷物のあるあいだは、わたくしタママ殿の部屋には決して近寄らぬ事に
いたします。今日はたいへんな自由時間でございました・・・・・。
さいごに見た桃華様のあかるい笑顔だけが、せめてもの救いでございます。
実のところ、今すぐ自分のベッドにもぐりこんでしまいたい心境でござい
ますが・・・・。
いや――このあと・・いろいろなことを手配してしまわなければ。
(蝶ネクタイを締めなおし)では・・・・・わたくし、参ります。


あ。――さいごにどうか。
このたびの顛末は・・桃華様の名誉としあわせのために、どうかくれぐれも
ご内密にしてくださいますよう。
―――このポール森山、伏してお願い申し上げます。
            〈END〉

270:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:46:05 8luXUtjL
私、モールポリ山でございます。

271:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:47:03 8luXUtjL
  カタカタカタ・・・とキーボードに指を走らせる音が響く。
それに反応して、ヴン・・・ッピピピ!と地下室中のモニタが電子音とともに
起動する。薄暗い室内にその無機質な光が、このラボのあるじの分厚い
メガネを青白く反射した。
しかしおなじみの黄色い身体にナルトマークは、今は見られない。
 痩せぎすの身体、金色の頭髪。神経質そうな顔立ち――。
そこにいるのは、どうみても地球人の男の姿であった。

「あっ!クルルさん。また今日もポコペンのみなさんの姿になってるん
ですか?・・・・てゆ~か、同一人物?」
「なんだ。――おまえかヨ。」
  顔を出したモアのあかるい微笑みに対し、うるさげにクルルが答えた。
「さっきまでイベンタ星人のヤツが姿を見せてたんでな。・・まあいつもの
ことだ。」

 隊のPR活動のため、ちょこちょこCMなどに出演するケロロとは別に
この男も独自にイベンタ星人と接触していた。ただしこちらは主に非合法
な物件に・・・である。ガンプラ始めそのレトロな手作り感のあるポコペン
のホビーや、マニアの間でひそかに人気のポコペン女性の盗撮映像は、
宇宙では非常にプレミアのつく商品である。
クルルはしばしば極秘にポコペン人に姿を変え、アキバに出かけては陰湿
な手段で大量にその手の物を入手して、イベンタ星人に横流ししていた。
その中にはハイ・クオリティな自作の映像も当然含まれている。
この姿でケロロ小隊の代理人を詐称し、正規?の価格とは別に中間マージ
ンをたっぷり取ることも忘れてはいなかった。
捏造ドラマである「ケロロ小隊戦記」のもとネタとなる情報を、捏造映像
とともに高く売りさばくのもクルルの腕の見せ所である。

 そんな訳で――これまでもクルルは、小隊の皆の知らないところで
しばしば地球人の姿になっていた。こんな便利な装置があるのなら、ガン
プラ入手に毎回四苦八苦しているケロロに貸してやればよさそうなものだ
が、それを言ったら間違いなくこの男はこう答えるだろう。
「だって頼まれてねェからな。―まァ隊長が頭下げてお願いに来るんな
ら、貸してやらなくもないぜぇ・・・・く~っくっくっく。」

―――つくづく嫌なやつである。

「売れましたかクルルさん?いつもお疲れさまです。てゆ~か商売繁盛?」
商品の中に自分の映像が含まれているのも知らぬ気に、サンパァアアッ!
とモアが邪気のない笑顔をみせた。クルルが舌打ちして苦々しく答える。
「・・・今回はダメだ。値段の折り合いがつかなかったんでな。」
  それきり、無言でキーボードに指を走らせ続ける。
今日のクルルは非常に虫の居所が悪いようであった。イベンタ星人との
交渉がよほど納得いかないらしい。
それとも不機嫌の理由は、イベンタ星人が別れ際に言ったセリフ――。
「いや~それにしても厳しい時間帯にもかかわらず、ケロロ小隊さんの
人気は宇宙うなぎ昇りで。・・・あとは黄色だけがその、ねえ?
――アナタからもケロロ隊長サンになんとか隊員のテコ入れをしてもら
えるよう、口添えしていただく訳にはまいりませんかね?」
・・・・という、よけいな一言にあるのかもしれなかった。

272:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:47:53 8luXUtjL
  クルルの隣で一緒にモニタを覗きこんでいたモアが、ちらりとクルル
の横顔を盗み見た。そのまま赤くなってうつむき、モジモジとゆびを組み
なおしながらモアが恥ずかしそうにつぶやく。
「あの・・・クルルさん。その姿を変える装置――。モアにちょっとの
間だけ、貸してもらえないですか?」
「なんだ?――おめぇが使ってどうする気なんだよ。」
「いえ、わたしにではなくその・・・・おじさまに――。」
  モアがさらに赤面し、消え入りそうな声で続ける。
「・・・・おじさまと一緒にガンプラ買いに行ったり、街をお散歩できれば
いいなって思って・・・・。」
「さてな。この装置は今んとこオレ仕様に作ってあるから、隊長に流用
できるかどうかはわからねェぜ。」
「あ・・・・そうですか。スミマセン・・・。」
  しょんぼりとうなだれるモアに、クルルがイライラと言葉を続ける。
「――たかだか一緒に歩くくらいで何が楽しいんだか。
一文の得にもならねぇじゃねェか。」
「ええっそんなことないですっ!おじさまと並んで堂々とお散歩するのは
モアの夢です!・・・きっとギロロさんも、本当はそう思っているんじゃ
ないかなァ。・・・・・夏美さんと。」

 本人がひた隠しにしているのにもかかわらず、機動歩兵の意中の相手は
小隊の中ではすでに周知の事実であるらしい。はたしてモアのいうとおり
ギロロがそんな乙女チックな願望を胸に抱いているかは疑わしいところだ
が――。うっとりと目を潤ませるモアに、クルルがまぜっかえした。
「興味ねえな。――オッサンの化石級にアナクロな純愛にも、おめぇの
その、お子様ランチな恋愛ゴッコにもな。」
  クルルの不機嫌はどうやら根が深いらしい。
そのままモアに椅子ごと背を向けて、キーボードの操作をし続ける。
その後姿に2,3歩歩み寄り、いたずらっぽく微笑みながらモアが言った。
「そんなコト言って・・・・・・モア、最近わかっちゃいました♪
クルルさんって口では冷たいこと言っても、本当はとってもイイヒトなん
ですよねっ!・・・クルルさんは嫌な奴なんかじゃなくて、嫌なやつ!って
他人から思われたいだけなんだとモアは思いますっ。てゆ~か面従腹背?」
「なにをぅッ?!」

273:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:48:29 8luXUtjL
  思ってもいない評価を下され、クルルは無視するつもりだったことも
忘れて振り返った。
―本当はとってもイイヒト、だぁ?・・・なんだそりゃ。このオレが?!
 考えただけで身が総毛だった。
これはもう自分に対する侮辱である。イイヒト?――気色悪い。
女子供のタワゴトは鼻で笑って聞き流すのが信条だが、これだけは聞き捨
てならない。一点の汚れもない澄んだ笑顔で、わかった風な口を利くこの
同盟種族の娘に、ふつふつといらだちがこみ上げてくる。
「オイ・・・口を慎めよテメェ。オレがイイヒトな訳がねえじゃねェか。」
「そんなことないですよっ♪ クルルさんは、いいひとです。」
  ニコニコと笑い続けるモアを、クルルは睨みつけた。

――このアマ・・・ちょっとばかりオペレーターの仕事の手伝いをさせて
るからって図に乗りやがって。クルルさんはいいひと?・・ふざけるな。
陰湿・陰険・陰鬱・嫌な奴。・・加えて傑出した才能。それこそがオレ様だ。
このオレのオリジナリティあふれる性格に怯え嫌悪しつつも、この才能の
おこぼれを頂戴するべく、しぶしぶ頭を下げる他人のヒクツな目を見るの
が楽しいんじゃねえか。
そんなオレ様を形容するのに、始終隣にいるコイツがよりにもよって
「いいひと」!!――ダメだ。壊滅的にこいつはわかってねぇ。
・・・その言葉が間違いであることを、いっぺん痛いほど思い知らせてやる。

「――そうかい。思ってもいねェおべんちゃらを、ありがとよ。」
「そんな。モアは本当にそう思っています!クルルさんは頼りになるイイ
ヒトですよっ」
「信じられねェな。きちんと証明されねえことには、オレは信用しないぜ」
  純粋な瞳で力説するモアに、不愉快気に喉の奥でうなるクルルの声音
はどんどんと冷えてゆく。
「ハイ!モア、なんでもします!どう証明すれば信じてもらえますか?」
カンタンなことと太陽のようにニッコリ笑うモアに、クルルも笑みを返す。
「なんでもします、ね・・・・。そんなこと言って後悔しなきゃいいけどな。
言っておくがこのオレ様を説得するにゃ、だいぶんホネが折れるぜ。
―おめぇが途中で泣こうがわめこうがオレはやめねェよ。く~っくっく」

 よくわからないままモアが笑う。クルルもかわいた笑い声をたてる。
あかるいモアのとは違い、その笑声にはくらい邪悪な意図が込められていた。

274:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:49:13 8luXUtjL
「わぁ・・・クルルさん。なんですかこれ?とってもキレイ!」
モアが自分の両手にはめられた腕輪を見て、うっとりとため息をついた。
銀色の金属でできたその腕輪は、中央にうす青く輝く水晶がはめ込まれて
いる。
「そいつはただのデータ取りの装置さ。・・別に気にすんなよくっくっく。」
  あからさまに怪しいクルルの笑いにも、動じる気配はない。
自分の背後に廻りこんだ白衣姿のクルルにモアは天真爛漫な笑顔をみせた。
「わかりました!なにかの実験をするんですね?モア、がんばります!」
「いいねェ。――ま、せいぜい頑張ってくれ。」
  クルルがモアの首筋に、銃の形をした注射器を押し当てる。
プシュッと鋭い音がして、アンプルの液体がモアのからだに打ち込まれた。
モアの瞳が一瞬、焦点を失う。しかし痛みは感じなかったらしく、すぐに
いつもの笑顔に戻る。首をさすりながら、モアがクルルの後姿に聞いた。
「???・・・いまの、なんですか?」
 デスクに戻り、なにやら忙しげにキーボードに指を走らせ始めたクルル
が、ひどく優しげに唇をつり上げた。
「そのうちわかるぜ―嫌でもな。なに心配すんな、何せオレはイイヒト
らしいからな。・・・・く~っくっくっく。」

 それからしばらく、ラボの中にクルルがキーボードを叩く小さな音だけ
が響き続ける。モアは部屋の中央にへたり込んだまま、動けない。
モアは上気した顔をうつむかせ、はあ・・はあ・・・っと荒くなる呼吸を
何とか鎮めようと努力している。最後の仕上げとばかりにENTERキー
を押したクルルが、モアに声をかけた。
「さてと。・・・・いま、どんな感じだい?」
「―――は、はい・・・・あの・・・。」
 モアがもじもじと太ももをすり寄せて、顔を恥ずかしげにそむける。
「な、なんだか・・・へんなカンジ、です・・あついような、からだのシンが
キュウッとなるような―それに、ちからがはいらない・・・で、す・・。」
「ああ、力が出ないのは腕輪のせいだねェ・・。そいつはさっきも言ったよう
にただの測定器だが、ちょっとばかり飾りに凝ったからな。
――その水晶はアンゴルストーンだ。」
 こともなげに凄いことをクルルがつぶやく。
「この前のアレをちょいとな、なにせオレ様は物持ちがよくてねぇ。・・・
っていうか、廃物利用?――てな。あとで暴れられて、星ごと消滅させ
られたんじゃ敵わねェからな。・・・あとの現象は注射のせいだ。ま、気に
すんなヨ。からだが敏感になるだけだからな。」
  クルルが再度ENTERキーを押した。すると部屋の隅からぶよぶよ
とした半透明の触手が現れ、モアに向かってたちまち殺到しはじめる。

275:名無しさん@ピンキー
08/12/11 17:49:54 8luXUtjL
「あッ・・・なに・・・?――なん、ですか・・これは・・・ッ」
「何言ってるんだ。おなじみのニョロロじゃねえか。――ま、オレ好み
に品種改良してあるけどな。」
 通常よりはるかに水分の多いニョロロが、モアのからだの上を這いずり
廻りはじめる。そのなめくじのような質感にたまらずモアが悲鳴を上げた。
「あッ・・・ひやぁっ!――んッ!はあぅう・・・っ」
 注射された薬のせいか、その皮膚に感じる悪寒は通常の何倍もするどく
感じられた。あるものはモアのソックスの中にしのびこみ、またあるもの
は制服のブラウスの肩から胸にかけてぶよぶよと蠢きながら移動し、その
裾からさらに内側へ潜りこもうとする。奇怪なことにニョロロが通った後
のぬれた衣服が、徐々に透けて溶け出しはじめた。
「そいつはポコペンの繊維が大好物でな。勝手に溶かしてくれる。
・・・・服を脱ぐ手間がはぶけてラクチンだろ?く~っくっくっく。」
「あッ・・・!や・・あの・・・ッ――クルル・・さん・・・」
 モアが必死で声をあげた。ぞくぞくする悪寒が、からだのなかで徐々に
異様な熱を生み出しはじめていたからである。
「あのッ―服なら・・モア、じぶんで・・脱ぎますか、らッ!ひあッ!」
 その言葉を聞いて、クルルがいかにもおかしそうに声を立てて笑う。

「何言ってんだ。おめェがさくさく自分で脱いだんじゃ、面白くも何とも
ねえじゃねェか。いいか、脱ぎ方にはこだわれよ。――それが美学って
もんだぜ、覚えとけ。く~っくっくっく。」


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