触手・怪物に犯されるSS 17匹目at EROPARO
触手・怪物に犯されるSS 17匹目 - 暇つぶし2ch600:588の人
08/09/02 20:51:03 ceRjuWO5
レスどうもです
和姦というよりは堕ちでしたか・・・
>>596
初めて知りました。教えていただいてありがとうございます

601:名無しさん@ピンキー
08/09/02 21:49:23 bynxLmAu
母乳を通じて精気をすってるってことにしといてやれ。

602:名無しさん@ピンキー
08/09/02 22:33:53 fWiDh0kA
妖怪なんだから普通の生物の法則は通用しなくてもいいと思うんだ
あんまり逸脱しすぎてるとちょっとアレだが・・・

603:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:30:22 LzQh3iGR
《ジャンル》陵辱・伝奇・魔法・学園・オリジナル
《形式》長編連載形式?

やたらめったら長い上に、エロは最初と最後だけですので
めんどくさかったら途中は飛ばしてください

604:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:34:24 LzQh3iGR
 狭い個室の中で、少女が目を開けた。
 くすんだ蛍光灯の明かりに照らされて視界に飛び込んできたのは、灰色の天井。
 周囲から漂うのは、埃と鉄の匂い。
 首を左右に傾けると、体育倉庫のマットの上に仰向けで寝ていることが分かった。
(あれ? 私、どうして、こんなところに……?)
 霞がかった思考は、目をこすっても醒める気配がない。
 それどころか、一夜漬けの朝のように、気だるい感覚が少女を包んでいた。
 窓一つない倉庫からでは、時間も分からない。
 ただ、身に纏っていたオレンジのユニフォームから、部活の前後に何かあったということだけは想像がついた。
「あ……」
 ふと気づけば、目の前には初恋の相手。
 長身にして顔立ちの整った男が一人、寝ている自分に覆い被さるようにそこにいた。
 名前も思い出せないが、確かに好きだった男がいた。
「んっ……」
 男が唇を寄せ、重ねてくる。
 柔らかく、蜜のような味の口づけ。
「んっ……。あっ……」
 求められるままに応じると、脳髄が痺れて、下半身まで疼いてくる。
 十分以上もそうした後、やがて男の手がシャツをめくりあげる。
 僅かな日焼けにも曝されていない胸のふくらみがまろびでた。
 今なお成長を続ける果実のように、つんと張った双球が期待に震える。
 ストライプのスポーツブラの上から、やわやわと乳房全体を揉みつつ、そしてすぐに尖り始めた先端をこねくり始める。
「あふっ……。いっ……んっ……」
 少女は喘ぐ。
 夢にまで見た、淡い光景。
 男の手が、ユニフォームの下とショーツを脱がし、その中心にひたひたと舌を這わせる。
 鼻息が繊毛に当たり、溢れた愛液が、唾液と混ぜ合わせられる。

605:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:38:49 LzQh3iGR
(やだっ、先輩の前なのに、こんな……)
 くちゅりくちゅりと、淫猥な水音が反響して、宙に浮くような気分になる。
「あ、ああ……う、はあうう……」
 次々に与えられる羞恥と快感で、もはや舌が回らない。
「あ、う……?」
 夢見心地で虚空を見ていると、男の影が動いた。
「あっ、やっ……!?」
(何これっ!? いつの間に、ズボン下ろして―) 
つぷりっ。
「ひうっ……!?」
 少女が気付いたときには、既にはめ込まれていた。
 やや固めともいえる抵抗を弾いて、ずぶずぶと一物をねじ込まれる。
 痛みの恐怖に顔をしかめるが、すぐにおかしなことに気付く。
(あ、あれ……? 初めてじゃ、ない……?)
「気持ちいいよ……明菜ちゃん。ううっ、くっ」
(ああ、そうか)
 少女はここで思い出す。既に数日前、目の前の男に処女を捧げていたことに。
(なんだ、じゃあ。心配はないわね)
「ああっ、明菜ちゃん……」
「はあっ、気持ちいっ、はああんっ。先輩っ! あふうっ……」
 身もだえしながら、快楽の波に身を委ねる少女。
 肌に赤みが差し、スポーツで引き締まった筋肉が、柔らかくほぐれ始める。
「はっ、んっ……。先輩っ、先輩ぃ」
 甘い喘ぎをあげながら、唇と腰の二箇所でつながる。
 ぐちょぐちょと溢れた愛液が攪拌されて、
「あっ、も、だめぇ……イクッ、イキますっ!」
 唾液と愛液でウェアをぐしょぐしょにして、少女の青さを残した体が激しく震える。
「うおっ、おおおおん」
「あっ、いああああーーーーーっ!?」
 男は獣のような叫びを上げ、ぎゅっと締め付けられたペニスから、どぷりと大量の精液が解き放ち、少女の胎内を焼いた。

606:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:46:22 LzQh3iGR
***

 宴の開始から、早二時間が過ぎた。
「はふ……ああっ。あうっ……ううう」
 深夜の体育倉庫の中で、断続的に少女の喘ぎが響いている。
 そこに他人の目があったなら、たちまち顔を背けるほどの異臭と光景が繰り広げられていた。
「あふっ、あひぃ……んくぁ……」
 焦点の定まらない目で天井を見続ける少女は、陵辱の限りを尽くされてなお弄ばれる人形のようだった。
 つんとすぼめられていた唇は、だらしなく開かれ、唇の端から、泡だった唾液が垂れ続けている。
「うっ、ぐおおっ……!」
 男が射精する度に、時折ぴくんと、全身を震わせる様は、さながら仰向けにされたカエルのようだった。
 全身余すところなく、ヘドロのような精液に塗り込められ。常人なら吐き気を催す異臭を放っている。
 トリートメントされていたショートの黒髪は、精液にパックされて、パリパリに固まっている。
 男一人分とは思えない、異常な量だ。
 この場に少女以外の人目があったなら、あるいは、少女が三日前の正気を少しでも保っていられていたならば、あるいはこの異常に気付けたかもしれない。
 そもそも、少女とまぐわい始めたその瞬間から、男は人ではなかった。
 精液の量でも、行為の回数と長さより先に気づく。絶対的な、姿という異常。
 豚とアリクイを混ぜ、ふた周り大きくしたたような奇妙な生き物が、少女に覆い被さり、若い肢体を貪り喰らっていたことに。
「せん、ぱい……」

「おぉぉおん!」
 豚のような生き物の長い舌が、生気を失った少女の健康的な胸をべろべろと舐め上げる。
 ぬちゅりと、ドリル状に捻りのついた浅黒いペニスを引き抜くと、濃厚な精液が、少女のほぐれきった秘裂からどろりと溢れ出した。
「あ……う……」
 ぴくりと、少女の体が思い出したように震える。
「おおおおおん」
 獣はうなり声を上げた。
 あらゆる欲望を満たした、絶頂と歓喜の叫びを。

607:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:52:34 LzQh3iGR
***

「ふう……」
 早瀬ミナミは憂鬱だった。
 それはよくある思春期の少女のように、自分と周囲を取り巻く環境のこともあったし。 現在この場、放課後の生徒会室で行われている、数週間ぶりに行われた学年会議の内容についてもそうだった。
「で、あるからだな! もう少し厳しい罰則を与えるべきなのだ! 甘やかしては生徒は育たん」
 ロの字型の長机を囲んだ、2学年全クラス、計7人の委員長たちの揃った生活指導室
 その中心に陣取って、しきりに怒鳴り声を上げているジャージ姿は、先月四十路を迎えたばかりの体育教師にして、生活指導員の室田茂という。
 会議の内容は、最近、行方不明や素行が悪化するを生徒が増えていることに対しての注意と対策だった。
 その意見をミナミは律儀にメモしていたが、室井の自分本位な教育論の講壇と化してからは、もっぱらノートは落書き帳へと早変わりした。
(具体的な指導方法も挙げずに精神論を言われてもね……、私たちにはどうしようもないわよ……)
 呆れた顔を見せないよう取り繕う。程なくして、会議は終わった。
「では、失礼します」
「おい、待て早瀬」
 ミナミがいの一番に席を立とうとすると、室井に呼び止められてしまった。
(あちゃー)
 捕まってしまったと、内心でミナミは歯噛みする。
 どうも入学して1年と半、顔合わせから約半年はしたが、ミナミはどうも、この室田という男に対する嫌悪感を隠しきれないでいる。
 潰れた鼻と耳、ニキビに覆われた醜顔はさておくとしても、自分や他人を見るときの視線と、そこに含まれる何か言いようのない粘度が、耐え難かった。

608:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 00:58:36 LzQh3iGR
「何か御用ですか?」
 真っ直ぐ見据えるのは苦痛なので、気付かれない程度に視線を逸らす。
 開いた口から、黄ばんだ歯を見せて、室田が笑った。
「お前の素行については心配していないが―ヤツは大丈夫だろうな?」
「それは、そういう意味でしょうか?」
「お前のAクラスにも、最近問題が増えたろう?」
(はあ、気づかれちゃったか……)
 登下校の記録データと、成績のリスト程度しか見てないくせに、偉そうなものだとミナミは呆れる。
「気をつけておきます」
 この横暴な男に、むざむざ親友の心の傷を抉らせるわけには行かない。
 そう意志を決めて見返すと、室田の大きな手が、ミナミの肩をつかんだ。
「そうか、だがくれぐれも言っておくが、ミイラ取りがミイラになるなよ。せっかくの我が校の逸材が失われるのは、慙愧に耐えんからな、ふははは」
 しばらくそうして肩に触れられた後、ようやくミナミは解放された。
(うへえ。気持ちわるぅ……)
 生徒会室を出ると、顔に全てが出てしまった。
 廊下を歩きつつ窓から校舎を見下ろすと、白亜の巨大な建物が並んでいた。
 聖宝学院。連立した高等部と中等部の校舎からなる地元でも最大の私立校だ
 全寮制で、生徒は各学年男女合わせて五百人を超え、それゆえにその質もピンキリまである。
 対外的には華やかで歴史ある学院も、いや、それだけに裏には様々な事情が隠されていることを、ミナミは知っている。
「はあ……。どうしたものかしらね」

609:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:05:08 LzQh3iGR
「年頃の乙女がため息だなんて、似合わないわよ?」
「きゃっ!?」
 ミナミの背後から、快活そうな笑みのポニーテールの女生徒がふわりと抱きつき、両腕を首に回してきた。
 隣のクラス委員長にして、ミナミの昨年のクラスメートの橘茜(たちばな あかね)がそこにいた。
「にしても、さっきのセクハラよねえ。室田のヤツ、絶対あんたに気があるってー」
「ちょっと、冗談でもやめてよ! 鳥肌立っちゃうじゃない!」
「あっははは、ごめんごめん」
 悪気の欠片もない笑顔を見せる茜と、そのまま長い渡り廊下へと歩いてゆく。
 長引いた会議のせいで、6時を回っていたが、夏至から半月ほど経った太陽は、まだ高く上っていた。
「ところで、さっきの問題って、何のこと? まさかミナの成績が落ちるなんてないと思うし」
「杵島明菜って、あなたはクラスメイトになったことあったかしら?」
「んー、ないけど。確かにミナの親友でしょ? てことは、もしかして……」
「まさにさっきの通りなのよ。生徒会室での議題。生徒たちの素行悪化」
 ミナミの言葉に、茜は意外そうに目を丸める。
「へえ、あの健全なスポーツ少女がドロップアウトなんて、意外ねえ」
「失恋よ、失恋」
 茜の両手を振り払って、ずんずんとミナミは先を歩く。
 昔のクラスメイトを邪険にしたいわけじゃなかったが、今はそれより気がかりなことがあった。
「どこのどいつよその、贅沢な相手は。あの子確か、結構可愛いかったじゃない」
「男子バスケット部の部長」
 その言葉に、茜の表情が苦いものに変わる。
「あー、それはちょっと分が悪いかも……てかあの人、最近彼女できたんじゃなかったっけ?」
 茜の言葉に、ミナミがうつむいてため息をつく。
「タッチの差だったのよ。あの子がもう少し思い切りが良ければ、先に告白できたかもしれないし、もう少し慎重にしていれば、負け戦にも挑まずに済んだかもしれないのに……」

610:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:12:27 LzQh3iGR
 当人のことのように項垂れるミナミとは対称的に、茜はけろりとして、組んだ両腕を頭の後ろに回していた。
「……ま、この年頃には仕方ない傷じゃない? あんたにとっちゃ、人ごとじゃないんだろうけどさ」
「全くもって悩みのタネだわ」
「それより、ミナミこそどうなのよ? 十七にもなって好きな男の一人でもいないわけ?」
「忙しくてそれどころじゃないわよ」
 茜の悪戯っぽい視線をさっと受け流して、ミナミは目を閉じる。
「さっすが連続学年トップは言うことが違うわね。でも、もったいないなあ。あたしが男だったら、放っておかないのになー。メガネの隠れ美女ってすんごく好みなんだけど」
「バカなこと言ってないで、あなたも気をつけなさい」
 大げさにため息をついてみるが、内心ミナミもどきりとしていた。
「おっぱいまた大きくなった? まったく、頭にも胸にも栄養が行ってるなんて、うらやましいことで」
「ちょっと、セクハラやめなさいよ!」
 茜のスキンシップを振り払いつつ、ミナミは廊下を抜けていった。

611:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:17:27 LzQh3iGR
***

 ミナミが教室に戻ると、既に西日が教室を赤く染めていた。
 放課後から数時間が経過しているとはいえ、気持ちのいいくらいの無人。
 そこには当然、件のクラスメイトの姿はない。
 相談したいことがあるなら、教室で待っていて欲しいと明菜には伝えておいたのだ。
「今日は学院に来ただけ、マシかしら」
 明菜はつい先週に失恋して以来体調を崩し、数日おきに無断欠席を挟む日々を送っていた。
 他のクラスメートはもちろん、ミナミと話す時でも、どこか上の空だ。
「素行不良、か……」
 失恋でのやさぐれ。一時的な現実逃避。
(その程度であれば、いいんだけど)
 ミナミの心配は、単なる友人の成績の低下ではない。
 もちろん、大人数の学校ゆえ、ドロップアウトの人数もそれなりにいるが、数ヶ月前からその数が異常に膨れ上がっていることに由来する。
 しかも、学生寮にすら戻らない、いわば《行方不明者》が多発しているのだ。
 ついさっきの対策会議も、それが理由だ。
(何もなければいいけど)
 おまけに最近、変なサークルや、薬を配っている人間がいるという話も聞く。
 失恋の隙に付け込まれて、道を誤らなければいいのだが。
「早まっちゃ、ダメだからね」
 明菜の机をそっと撫でて、ミナミも教室を後にした。

612:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:24:46 LzQh3iGR
***

 ミナミは学生寮に戻り、夕食と入浴を済ませた。
 時計の針は既に九時を回っているが、相部屋の同居人はまだ帰ってこない。
 門守夕里という、美しい黒い髪を持った寡黙で精悍な剣道少女だが、どこか得体の知れない雰囲気をもっているので、ミナミはイマイチ親しい仲になれずにいる。
 彼女の帰りは基本的に遅いので、気を余り遣う必要がないのが唯一の利点である。
 授業の予習復習の為にノートを開いていると、とんとんとノックの音が聞こえてきた。
(誰かしら? こんな時間に)
「やっほー。お姉ちゃん!」
 ドアの覗き窓を見ると、パジャマ姿の幼顔がひょっこり顔を出した。
 早瀬イリス。ミナミの妹にして中等部の二年生だ。
「あのねえ……。こんな時間に何しにきたのよ」
「ちょっと勉強教えて欲しくて、テスト近いんだあ」
「敷地内だからって、夜に出歩くのは危ないって言ってるでしょ。そうでなくても、最近は何かと物騒なんだから……」
 そう言いつつも、冷蔵庫の中から麦茶を出してやる。
 どうもミナミに比べると、イリスは決して頭が悪いわけではないのだが、根がおおらかなせいか、成績には大きな開きがある。
 相方の寮生がほとんど不在のせいもあってか、イリスが勉強を見てもらいに訪れるのは珍しいことではなかった。
 テーブルで向き合い、しばらく無言でペンを走らせると、次第に勉強の内容から、世間話へと移行した。
「そういえばお姉ちゃん。まだ悩んでるの? 明菜先輩のこと」
「良かったら相談に乗ってあげて。朴念仁の私よりは、あなたの方がよっぽど力になれるわ」
 教科書を閉じて、ミナミは天井を仰いだ。
「あはは、無理だよ。あたしだってまだ彼氏いないもん」
 そうおどけてみせるが。そんなことはないだろうな、とミナミは思う。
 この鉄面皮な自分と違って元気で愛らしい妹を、周囲の男たちがいつまでも放っておくはずがない。

613:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:36:32 LzQh3iGR
 少なくとも、恋人候補のボーイフレンドはいくらでもいるだろう。
 そう考えると、なんだか微笑ましくも羨ましいような、何ともいえない気分にミナミはなる。
「そういえばお姉ちゃん、占いの魔女って知ってる?」
「占いの魔女?」
 勉強が終わると、途端に饒舌になるのはいつものことだが、そんな話は初耳だった。
「実は中等部の方でちょっとした噂になってるんだけど……。なんでも相談に乗ってくれてアドバイスをくれたりするの」
 そのまま数分間、イリスは興奮気味に『占いの魔女の話』を続けた、が。
「私は、占いは信じない主義なのよ」
 最終的に、ミナミはすぱっと断ち切った。
 普段は周囲のみんなと話を合わせているが、どうしてこう女というのは益体もない占いが好きなのだろうとミナミはいつも思う。
 ミナミは占いを信じない。
 単に自分がリアリストだから、というだけではない。
『占いで出たから』とか『占いのせいで』というのが、何かどうも酷く他力本願な気がして、気に入らないのだ。
「でも、友達も悩みが解決したって話を、ちらほら聞くんだけどなあ」
「早く帰って寝なさい。寝坊してもあなたのとこまでは、起こしに行ってあげられないんだから」
「もう、遅刻はしてないよ。あたしにもルームメイトがいるんだし」
「迷惑かけちゃダメよ」
「うん、じゃあお休みなさい。お姉ちゃん」
 寮部屋から出て行くイリスを見送った後、ミナミも二段ベッドの上に横になり、灯りを消した。
「占い師、か……」
 暗闇の中、ミナミはイリスの話を思い返していた。

614:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:42:55 LzQh3iGR
***

 虫も寝静まった深夜、カチャリと開かれたドアの隙間から、かすかに光が差した。
 霞がかった意識の中で、ミナミは光源にそっと目を向ける。
 夜行性の獣のように鋭い赤い瞳と、しなやかなポニーテール。
 間違いなく特進クラスの門守夕里だった。
 見覚えのある洗練されたシルエットに、早瀬は安堵する。
 例え女子寮にいるとしても、誰かに入ってこられるのはドキリとする。
「…………」
 そのまま彼女がシャワーを浴びる音を聞いていると、ミナミの意識は再び闇に吸い込まれていった。

615:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 01:51:42 LzQh3iGR
***

 翌日、ミナミが登校すると明菜の姿はなかった。
「はあ……」
 携帯電話にメールもしてみたが、反応がない。
 明菜の寮部屋に直接訪れるべきだろうか。
 不安で授業に集中しきれないまま、時間が過ぎていく。
(本当に、私はこんなことをしていていいのかしら……)
 公式と英文を黙々とノートに刻みながら、ミナミは考えていた。
 本当は自分も休んででも、明菜のそばにいてやるべきではないかと。
 既に何日も、今でも説得は続けていたが、明菜の心は開かれなかった。
 結局は私事を優先する自分は、あの無関心な先生たちと、何も変わらないのではないかと。
 ため息を堪え続けたまま、放課後が来た。
(どうしたものかしら)
 言葉と文字の説得は、一週間以上前に出し尽くした。
 ミナミは攻めあぐねていた。
 失恋の悩みや苦しみなんて、経験者しか―いや、本当の意味では当事者しか分からないのだから。
 考えたって、何も出てくることはない。
 ただ、それを言い訳にいつまでも傍観しているのも、ミナミには耐え難かった。
「よし……」
 放課後。ミナミは意を決して中等部へと向かった。

616:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:01:12 LzQh3iGR
***

 学院の中には、1年前に新しく建てられた図書館棟がある。
 中等部と高等部で兼用できる大きな建物であり、パソコンでの書籍検索や、ビデオルーム、学習机なども完備されている。
 既に過去の遺物となった中等部校舎の小さな図書室に寄りつく人間など、今はほとんどいない。
 その図書室に占いの魔女は出没していると、イリスは言っていた。
「…………」
 閉館間際の図書室は窓から既に西日が差し込んでいた。
 放課後の遅くにその魔女は現れるという。
 だが、黒目がちの無表情な図書委員が1人、カウンターで本を読んでいるだけで、それらしい人物はどこにも見当たらない。
 どこを探せばいいのやら、夕日に染まった黴臭い図書室で、しばらくミナミは赤茶色の絨毯をすり減らしていた。
(どうしよう。誰もいないみたいだけど。やっぱりタダの噂かも)
 まさか図書委員の女の子に、「占い師を捜してるんですが」と尋ねるのもマヌケ過ぎる。

617:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:03:41 LzQh3iGR
 そうして十数分が過ぎた頃、ミナミはふと我に返った。
「何やってるんだろ、私……」
 思わず独り言が漏れてしまう。
(占いの魔女? そんなものに相談して、本当になんとかなると思ってたのかしら)
 そこまで考えてふとミナミは、自分が藁にも縋りたいほど困っている事に気づく。
(バカバカしいわね。帰ろう……)
 踵を返そうとした、そのとき。
「何か……本をお探しですか?」
 今まで沈黙を保っていた少女の唇が、綻びと共に開いた。
 本を立てて顔を隠していたその少女を見て、ミナミは心臓を打ち抜かれたような衝撃を覚えた。
 Sサイズの制服が大きめに見えるほど小さな体躯。しなやかなショートの黒髪。底なしの闇を映す瞳。
 一見、どこにでもいるような風貌の少女だが、身に纏う空気は、得体の知れぬ異様さを醸し出していた。
(この感覚……前にもどこかで)
「どうかしましたか?」
「あ、いえ。私は本を借りにきたわけじゃ―」
 しばし見とれた後、慌てて否定しようとすると、少女が机の下から本を取り出しカウンターの上に置いた。

618:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:11:11 LzQh3iGR
「まあそういわずに、例えばこんなものなどは?」
 少女の言葉に、ミナミは目を見開いた。
 その本はただの本ではなかった。
 大きさは美術部員の使っているスケッチブックほど、しかし厚さは国語辞書並みの分厚い本。
 しかも相当な年代物らしく、表紙には銀箔の印が捺してある。
 その印は六芒星―いくらミナミがオカルトの知識に疎くても、それが魔術において重要な意味を示すことくらいは知っている。
「まさか、あなたが―」
 占いの魔女なのか、そう聞こうとしたとき、少女が立ち上がって室内に視線を走らせる。「失礼ですが、カーテンを閉めていただけますか?」
「えっ……? あっ、はい?」
 一瞬意味が分からず、少女がカウンターの内側から“清掃中の”立て看板を取り出すのを見て、それが話をするための個室と暗幕を作る作業であることに気付く。
 それを外に立て掛け、内側から図書室のカギを閉めると、少女はゆっくりと中央のテーブルに移動した。
「えっ!?」
 指示された通り全ての窓をカーテンで隠した後、室内を振り返って、ミナミは目と口を丸くする。
 少女の姿が、一変していた。
「えっ……!?」
「ああ、これですか? お気になさらず、ただの気分出し用の小道具です」
 魔女帽子とでもいうのだろうか。先端が尖って少し折れ曲がった三角の黒帽子と、同じく黒のマントを羽織っていた。
 ハリーポッターのコスプレと違うのは、帽子があることと、杖の代わりにどでかい魔術書があるだけだ。
 しかしミナミが驚いたのは、その格好が滑稽には見えず、むしろ少女に不思議な雰囲気に異常なほど似合っていたことだった。
「さて、あまり遅いとうるさいですし、さっそく始めましょう」
 魔女姿の少女は、暗幕の張られたカーテンの中で電気を消し、一本のろうそくに火をともす。そして、そのまま中央のテーブルに陣取って、少女は手を差し出した。
「それでは、寄付金をお納め下さい」
「…………は?」
 たっぷり五秒ほどの間をあけて、ミナミは目と口を丸くした。

619:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:20:00 LzQh3iGR
「ど、どういう意味よ? もしかしてこれ……」
 唖然とするミナミに向かって少女は平然と言い放つ。
「なんだ、聞いてなかったんですか? 一回三千円になります」
 それを聞いて、怒りと呆れがミナミの中でわき起こった。
「って、あなた! これでお金取るつもりなの!?」
 そんな話は、イリスからも聞いていなかった。
「当たり前じゃないですか? むしろ安過ぎるくらいですよ。私の手間暇を考えれば」
 さらりと言い放つ少女に、ミナミは眉をひくつかせた。
 どうやら少女の顔色を見る限り、正真正銘の本気らしい。
「どうしました? まさかいい年したお姉さんが、三千円ぽっちも持ってないんですか?」
「あなたねえ……。学院内で商売していいと思ってるの?」
 ミナミは呆れてぐうの根もでない。
 が、少女は動じた様子もなかった。
「教会だって寄付をしないと、毒の治療すらしてくれない世の中ですよ? ギブアンドテイクです。ほら早く」
「ったく、もう……」
 挑発されて、ミナミはしぶしぶ財布の口を開ける、そのまま紙幣三枚をテーブルに叩きつけた。
「ひい、ふう、みい。はい、確かに……。それで、相談内容は?」
(ほんとに大丈夫なのかしら、この子……)
 なんか妙に不安になってきた。田舎の縁日のおじさんが、当たりくじを初めから作っていないような嘘くささだ。
 不審に思いつつも、ミナミは明菜のことについて話した。
 彼女の失恋と、最近の素行不良について。
「……ということで、どうしたらいいのかしら?」
「ふうむ……」
 全く悩んでいるようには見えない顔で、少女は顎に手を当てる。
 ミナミの中で、急速に気分が冷めていった。
 妹と同級生のコスプレ少女に、友人の真面目な問題を話している。
(何やってるのかしら、私は……。こんな後輩のごっこにまで付き合って……)
 ため息をつこうとした瞬間、少女が顔を上げた。
「彼女の体毛や皮膚の一部、着衣、もしくは最近の所持物などはありますか?」
 真顔で、急に儀式めいたことを聞いてきた。
 しかし、真剣な少女の口調とは裏腹に、ミナミの少女を見る目は急速に冷めていった。

620:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:22:25 LzQh3iGR
(そういう手で来たのね……)
 要するに、これはインチキなのだ。占いの内容を何も思いつかなかったから、他に適当な理由付けの材料を探しに来た。
 ミナミはそう解釈した。
「……ノートでもいいのかしら?」
 明菜の部屋に押しかける口実に、机から抜いておいた親友のノートをミナミは手渡した。
 ここまで来たからには、中途半端な誤魔化しをされたくない。せめて、三千円を奪った償いをさせなくては。
「どうも……」
 少女はそれを手に取ると、開いた本の上にのせ、念じるように両目を閉じた。
「“Analysis”」
 分析、の単語を発すると共に。金属の平と、そこに浮かんだ魔法陣が一瞬赤く滲むように光った。
(何これ? 光って……これって、トリック?)
 光ったのは一瞬だけで、ミナミが瞬きをすると、もう消えていた。
「……1日ほど時間を頂けますか? 少し調査をします」
 目を開けた少女はろうそくを吹き消して立ち上がり、カーテンを開けていく。
「えっ? ちょ、ちょっと、占いはどうなったのよ!?」
 何か置いてきぼりにされたミナミがくってかかると、少女は静かに視線を向けてきた
「少しやっかいですね。残り香があります。これは運良く―。いやあなたとお友達の方にとっては運悪くですが、当たりを引いたかもしれません」
 どこかさっきより冷たい表情で、少女がつぶやく。
「ちょっ、ちょっと! どういう意味よ。変な言い方して不安を煽らないででくれる!
 結果を先延ばしにされたミナミは、文字通り煙に巻かれた気分だ。
 少女の肩をつかんで引き留めると、感情の見えない目でミナミを見つめてきた。
「っ……?」
 その底なし沼のような得体の知れない黒の瞳に、思わず手を離してしまう。
「結果は私からご報告させていただきます。明日はこの部屋には来ないで下さい。そしてそれより重要なことは、お友達には絶対に近寄らないで下さい。話しかけられても無視して、人目の多い場所にいて下さい。では、失礼します」
 少女がマントと帽子を脱ぎ去って鞄に詰めると、返事も待たずに出て行った。
「……どういう、ことよ」
 ぽかんと口を開けたままのミナミが、無人の図書室に取り残された。
 最後の問いを、ミナミは口にできずにいた。
 その言い方はまるで、明菜が危険に晒されているのではないかと。

621:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:24:39 LzQh3iGR
***

 もやもやとした気分のまま一夜が明け、翌日ミナミが登校すると、昨日までの空席に親友の姿があった。
(よかった……)
 ほっと胸を撫で下ろして、ホームルームが始まる前に穏やかな笑顔で声をかける。
 ミナミが心底安心したのは、明菜が登校した事実もさることながら、その表情が、失恋以前の―いや、それより明るかったからだ。
「今日は、大丈夫なの?」
「うん、心配かけてごめんね、ミナ」
 快活な返事。いよいよ吹っ切れたのだと思った。厚い壁を乗り越えたのだと。だが、その直後、ミナミは戦慄した。
「ちょっと、先輩が具合悪くて心配だったんだあ。もう、自分の食欲もなくなっちゃうくらいに」
「えっ……?」
「ほんと、恋は病って本当よね。でも、昨日看病したら、すっかり元気になったから。もう大丈夫よ!」
「…………」
 先輩とは、誰を指しているのだろうとミナミは思う。明菜にとっての“先輩”とは、男子バスケ部のキャプテンであり、初恋の―乙女の傷そのものである。
 まさか、明菜が欠席をしている間に、先輩を前の彼女から奪い取ったのだろうか?
 それとも、何かの事情や勘違いで、和解を……。
 いや、これは何か“そういう気配”とは違う。
(何これ、なんだか。何か、おかしい……)
 真実ならば、暑苦しいほどののろけと、明菜の屈託のない笑顔。だがミナミはそれを見ているうちに、急速に不安が高まっていった。
 明菜の上機嫌が、4時限目まで続く中、ミナミは喉に小骨でもつかえたような息苦しさを味わっていた。
(本当に、それって先輩なの? あなた、嘘をついてるんじゃ……)
 幾度となくこみ上げてくる言葉を、吐き出せないまま。
「それでさ。もう、聞いてんの、ミナってば」
 ミナミの緊張が、限界に達しつつあったそのとき。
「ミナミさーん。手紙が来てるわよー。中等部の子から」
 教室の外のクラスメイトから、声がかかった。
「えっ!? あ、あ。うん……」
 教室の窓際から離れて、手紙を受け取りに行く。
 預けた人間は去っていたらしいが、心当たりはあった。
「なんか、不思議な感じの子だったけど……。それよりミナミって中等部まで顔が利くのね」
「う、うん。……まあね」
 嫌な予感を押し殺して、ミナミは手紙を受け取った。
 赤い蝋で封をされたそれには、『占いの魔女』と書かれてあった。

622:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:28:45 LzQh3iGR
***

 放課後。ミナミは明菜には委員会の用事が出来たと言い残して、教室を抜け出し、女子トイレの個室で手紙の封を開いた後、屋上に向かった。
 ポールのバリケードを乗り越えて、カギの壊れた屋上への扉をこじ開ける。
「遅かったですね」
 そこに、占いの魔女がいた。
 昨日と違い、明るい空の下で見ると、少女は少し大人しそうなだけの、普通の女の子に見えた。
「どういうつもりなの?」
 ミナミが見た手紙の内容は『件の友人とは一切関わるな。理由が欲しければ放課後、屋上に』とだけだった。
「どうもこうも、説明を聞いても正直どうしようもないと思いますが、聞きますか?」
「当たり前でしょ!」
 ミナミは自然と声を荒上げていた。
 それは、この少女の不可解さに対してというより、明菜の心情が一変している得体の知れない恐怖によるものだった。
 が、魔女は何の感慨もない目で、さらりと言い放った。
「申し訳ないですけど、彼女が立ち直るのはしばらく無理ということです。諦めて下さい。後、私がいいと言うまで、彼女には近づかないで下さい」
「……どういう意味よ?」
 ミナミの問いにも、少女は顔色ひとつ変えない。
「だから、“そういう意味”です。残念ですが、少しばかり手遅れでした」
 その淡々とした区長が、更にミナミの不安を煽った。
「意味が分からないわよ!」
「ここ数ヶ月で、やたら素行不良の学生が増えているのは、ご存知ですよね? 2年A組クラス委員長の早瀬ミナミさん」
「…………」

623:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:32:30 LzQh3iGR
「聡明なあなたに簡単にご説明しますと、“それ”は偶然や、ましてや流行病などではなく、ある意志に従って起きている現象なのです」
 抑揚のない口調のまま、じっとミナミを見つめてくる。
「彼女は、“それ”にかかってしまったのです。それはもはや、あなたの手に負える代物ではありませんし、近づくだけ無駄というものです」
「遠まわしじゃなくて、はっきり言いなさいよ! どういうことなの!? クスリ? ヤクザにでも絡まれてるの!?」
 まさか、覚醒剤などを流しているチームにも捕まったのだろうか。最悪の想定が、ミナミの脳裏をよぎる。
 そこまで親友が危機に晒されていて、黙っているわけにはいかなかった。
「……頭いい癖に、バカなんですね、あなたは」
「なっ!?」
 ミナミが目を見開いたのは、後輩の暴言だけではなく、その目が今までとは比較にならないほどの冷たさを宿していたからだった。
「もう一度言いますよ。“あなたの手には負えない”んです。すぐに始末はつけますから、大人しくしていてください」
 そう言って、屋上と校舎を繋ぐ階段に向かう。
「あなたのちっぽけな正義感など、何の役にも立ちませんから」
「ふざけないでよ!」
 その肩をつかんで引きとめると、涼しげな顔で、ミナミを睨んできた。
「分けわかんないこと言って! 逃げないでよ!」
 だが、今度はミナミも怯まない。
「さっきの話は、言った通りにお願いします。そうでないと私も責任を持てませんので……」
 ミナミの手を振り払って少女は去っていった。
「ったく! なんなのよ! あの子は!」
 アテにしようとしたのがバカだった。
(やっぱり、私がどうにかするしかないわね)
 決意を込めて、ミナミは屋上の階段を降り、リノリウムの廊下を歩き出した。

624:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:33:28 LzQh3iGR
***

「あれ……?」
 教室に戻って明菜を捜すと、何故かその姿は見えなかった。
 周囲のクラスメートに行き先を聞くと、こっそり教室を抜け出てしまったらしい。
(まさか、入れ違いなんて……)
 その胸に、一抹の不安がよぎる。
 ミナミは小走りで、聖宝学院の敷地内を散策し始めた。

***

 五時間後。
 世界の終わりのような夕焼けが落ちて、巨大な校舎は薄闇に染まった。
「どこに、行ったのよ……」
 もはやため息すら吐き尽くしたミナミが、高等部校舎の中庭でがっくりと膝をついた。
 既に月が見え、寮の門限も迫りつつある。
 それはどうでも良かった。
 ただ、今は親友の明菜だけが。
「どこに……行ったのよ」
 どこにもいなかった。
 明菜の所属するバスケ部の部室と体育館から始まり、聖宝学園の広い敷地内と校舎、学生寮。挙げ句の果てに校舎外の遊戯施設やアーケードまで探したが、見つからなかった。
「もう、何が起きてるのよ……」
 もしかしたら、人目のつかない場所にさらわれてしまったのかもしれない。
 例の、薬を配っているような怪しげなグループに……。
「っ……!」
 突如襲ってきた想像に、ミナミは身震いした。
 そんなことをさせるわけにはいかない。
(このまま、諦めるわけにはいかない)
 ミナミは知っていた。
 本当は教師陣の、いや、同じクラスメイトだって、ほとんど、行方不明になった生徒の心配などしていないのだと。
 ただ、対外的にまずいから。受け持っている自分の点数を下げられたくないから。
 それが、我慢できなくて、だから……。
「…………」
 闇雲に走っても仕方がない。
(部活は終わっている時間だけど、もしかしたら―)
 一縷の望みを込めて、ミナミはもう一度体育館へと向かう。
(えっ!?)
 既に戸締まりの終わった体育館が遠目に見えたとき、ミナミは驚愕と共に足を止めた。

625:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:37:48 LzQh3iGR
 いた。
 暗がりで分かりにくいが、確かに明菜の後ろ姿だった。
(でも、何アレ? 様子が……)
 探し求めていた親友を発見しても、ミナミは駆け寄るどころか、声すら発することができなかったのは、遠目に見ても明菜が虚ろな気配を発していたからだった。
 しかし、このまま手をこまねいていて明菜を見失っては、元も子もない。
 意を決して足を踏み出そうとしたとき、ミナミは明菜の少し前を歩く“それ”に気づいた。
(人影、それも、男の……)
 一瞬ミナミは、薄暗さのせいも相まって、それが例のバスケ部の先輩なのかと思った。そうであれば一応の納得はいく。だが、それは見たこともない―いや、ほんの僅かに見え覚えがあった。
(2-Dの猪川君!?)
 猪川治夫。同学年の人間であり、成績も容姿も性格も運動も光らない……どちらかといえば人気のない中肉中背の男だ。
 A組のミナミが委員長であり、かつ几帳面な性格でなければ、とても気づかないであろうほど普通の、特徴のない男。
 あえて上げる特徴といえば、顔の面積が微妙に大きいせいで、あまりよいルックスとはいえないことである。
 しかし、何の接点も存在なかったはずの二人に、ミナミは違和感を覚える。
(どうして、二人が……)
 そのまま、当然のように体育館の鍵を開け、中へ消える。
(何が、どうなっているの!?)
 息を殺して、後を追う。
 辺りは既に真っ暗で、素早く助けを求めにいけるような状態じゃない。
 いや、そもそも“本当に危機的な状況”なのかすらも分からないのだ。
 そんな躊躇が、ミナミの思考を鈍らせる。
(そうだ、まだ決まったわけじゃない)
 ここは、確かめないと―。
 二人が入った扉が閉まり、内側から施錠される音が聞こえる。
 本来なら焦るべき状況だが、ミナミは落ち着いていた。
 体育館に入るルートはひとつではなく、ほとんどの人間に知られてはいないが、校舎から繋がる道もあることを知っているのは、委員会の仕事上知った情報だった。
(これなら、気付かれないかもしれない!)
 急いで回れ右をして、ミナミは高等部の校舎に駆け込んだ。

626:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:38:43 LzQh3iGR
***

 息を殺し、忍び足でミナミは急ぐ。
(あれ……?)
 秘密の通路を通って体育館に進入すると、既に二人の姿はなかった。
 館内に障害物はなく、差し込む僅かな月明かりだけでも、一目で全体が見通せる。しかし―。
(どこに、行ったの?)
 少しの間、ミナミはさっきの目撃が幻覚だったのではないかと自分を疑い始めた。
 が、暗闇に目がなれると、うっすらとした光の線が、壁から伸びていることに気付く。
(あれは、体育倉庫……)
 二人の発見に安堵したのもつかの間、直後に妙な不安に襲われる。
 男女が夜に逢引して、何故こんなところにいるのかと。
「…………」
 一瞬、自分の行為がただの覗きではないかと躊躇したが、どうもあの男は、顔も性格も明菜のタイプとは程遠い気がする。
 まさか、明菜は失恋のショックで別の男に付け入られたのではないか?
 そんな不安がミナミを突き動かし、一歩、また一歩と僅かに開かれた体育倉庫の扉に近づいていく。
 次第に声と、妖しげな水音が聞こえてきた。

627:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:40:18 LzQh3iGR
***

「んぅう、じゅるじゅる……。あああ……明菜ちゃあん……ちゅぱじゅぱっ」
 まずは盛って声の上擦った男の声、聞き覚えはないが、それが猪川のものであることは想像がついた。
(って、これ、まさか……!)
 行為が既に始まっていることに気付き、ミナミの顔が熱くなる。
 恐る恐る扉の隙間に顔を寄せて、中の様子を伺った。
「あっ、ううん……。んちゅ、せんぱ……ぃいよぉ……」
「……!?」
 紛れもなく、明菜がそこにいた。
 男に覆い被さられ、舌を絡めるほどの濃厚なキスをされながら、露にされた白い胸をくにくにと揉まれている。
「あふっ、やっ……ふあっ……いいっ……。そ、そこっ……ああ」
「ああ、明菜ちゃん……君は本当に可愛いよ……。俺はずっとこうしたかったんだ、でも……みんな俺のことを馬鹿にして……。んちゅ、れろれろ……」
 二人の顔は、ちょうど用具の陰に隠れて見えない。だが、甘く上擦った明菜の喘ぎ声から、その行為に感じていることは、容易に予想がついた。
 石にでもされたようにしばらく動きを止める。
 いつの間にか、ミナミはごくりと、口内に溜まっていた唾を飲み込んでいた。
(な、何考えてるのよ! 私は……!)
 親友の情事を想像しているうちに、なにやらむず痒いような感覚に襲われて、ミナミは戸惑った。
 これでは本当に覗きではないか、立ち去るか止めるか、早々に決めなくては。
 そうだ、仮にこれが和姦であれば、止めるミナミの方が滑稽になる。
(さ、最後に確認だけ―え?)
 そうして、もう一度覗き込んだとき、ミナミは目を疑った。
 ディープキスをしていると思った猪川の顔が、二十センチ近く離れていた。
 離れたまま、舌を絡めあっていた。
「ああ、明菜ちゃん。君の体は最高だよ……うおっ、うおおおおっ!」
 猪川の舌が、伸びていた。それだけでない。首にかかっていたカギのようなアクセサリーが光を帯びると。
「えっ……!?」

628:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:42:37 LzQh3iGR
 ミナミは危うく叫ぶところだった。
 男の大きな馬面が更に浅黒く変形し、鼻が大きく伸び、耳は頭の上の方に。
 制服を過ぎ捨てながら、あっという間に、まるで巨大な豚のような生き物へ変貌していった。
「おおおっ、んふおおおっ」
 獣が、いや、バケモノがくぐもった声を上げて、明菜のスカートを捲くり、下着を剥ぎ取る。両足を開かせると、その中心にキリンのような長い舌をぺっとりと張り付かせた。「あ、ふあああっ、せんぱい、せんぱぃぃぃい」
「おおおん。ぐお、おおおお、じゅる、ぴちゃっ……」
 唾液でぬめった舌が、明菜縦裂を這い回る。硬く閉じた割れ目を押し開いて舌を入れると、そのままぐちょぐちょと中でかき回し始めた。
「あああ、いあああっ。はくぅ……。んあああっ!?」
 明菜は目を虚ろにしながら痙攣を始める。怪物に蹂躙されているとしか見えないその光景の中で、明らかにその声色は、快楽を帯びていた。
(な、何これ……。何が起きてるの? こんなことが……)
 ミナミは現実を圧倒する出来事に夢を見ているのかと疑う。
 助けにいくだとか、止めるという発想は既に消え、ただ目の前の光景に動けずにいた。「あふっ、ふああっ? せ、せんぱひぃ……。く、くらはい。せんぱいの、おちんちん……」
 明菜の声にミナミは我に返った。
(先輩? そういえば先輩って……)
 そう。猪川はそもそも同級生で“先輩”ではない。
 それなのに、何故か明菜は歓喜の表情で、怪物を求めている。
 何か異常があることは明らかだった。
「おおお……。げっげっげっげ……」
 豚の化物が上擦った声を上げる。ねじれたような形の浅黒いペニスが、明菜の秘裂に押し当てられる。
「待っ―」
 声を上げようとした瞬間、ミナミの口が背後から塞がれた。

629:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:43:55 LzQh3iGR
「お静かに、私です」
 ミナミは心臓が口から飛び出るかと思った。
 ゆっくりと振り返ると、あの魔女の少女がいた。
 以前と同じように何の感情も見えない、黒塗りの瞳。
「んっ、くっ……」
 どうにか悲鳴を飲み込んで、後輩の魔女に視線を向けた。
「聞きたいことは山ほどあるでしょうが、今は私に従って下さい」
 少女は小声でそう言いつつも、隙間の向こうの化物から視線を外さない。
「んはあああぁぁぁぁぁああっ!」
 ミナミが平静を取り戻しかけた時、明菜が歓喜の悲鳴を上げた。
 怪物の長い肉棒が明菜の中にズプリと根元まで埋まっていた。
「っ……!」
 慌てて飛び出そうとするミナミを、強い力で少女が押さえつけた。
「まだです。敵を殺すにはタイミングがあります」
 射抜くような強い目に、ミナミはどうにか自分を抑える。
「おおおっ、んおおおおっ!」
「ひいっ、せんぱい。あふあああっ!? んぐう、ひあああっ!」
 豚の腰が卑猥に動く。じゅぽじゅぽと膣をえぐる音と、攪拌される愛液がかき混ぜられて滴るり落ちる音が、二人分の―いや、一人と一匹分の嬌声に混じって聞こえてくる。「あうっ、あいっ……! うあああっ。うううんっ……!」
 不気味な獣に犯され、歓喜の声を上げる親友。直視し難い光景から逃れるように、ミナミは隣の少女に噛み付いた。
「なんであなたがここにいるのよ!?」
 あくまで小声だが、怒気をこめたミナミの視線に、少女は呆れた顔を見せた。
「あれだけ忠告したのに……全くあなたという人は」
 小さくため息をついて、少女はちらりとミナミを見る。
「前向きな足手まといほど始末に負えないというのを、あなたは実感させてくれますね」 少女の嫌味に反論している余裕はなかった。
「あれは―あの化物はなんなの!?」
 ミナミの問いに、すぐに隙間の向こうの化物に少女は視線を戻す。
「“サタニック”」
 抑揚なく少女が答える。
「そう私たちは呼んでいます」
 ミナミが次の質問をかぶせる前に、少女が続けた。
「あれはただの化物ではなく、人の心と肉を生け贄に異界より呼び出された悪魔です」
「明菜は? 明菜を早く助けないと! さっきから様子が―」
「落ち着いて下さい。彼女は夢を見ているだけです。どうやらそれが、あのサタニックの能力のようです」

630:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:45:54 LzQh3iGR
「……どういうことよ?」
「獏という空想の生き物をご存知ですか? ヤツはあの女生徒に夢を見せています。失恋した相手と結ばれている幸せな夢を。本来、獏は悪夢を食らうはずなのですが、あれはどうやら、性質だけ似通った別の存在のようですね」
 あくまでも冷静な口調に、逆にミナミは苛立った。
「そんなことはどうでもいいわよ! 明菜を早く助けなさいよ!」
 そう言っている間に、獏は腰の動きを早めている。
「んぐおお、おおおおおうっ!」
「あっ、ああああっ、ひいいぃ!」
 腰をぶるりと震わせると、明菜が背筋をえびぞりに逸らして痙攣した。
「あふ、あふぅ……」
 舌を突き出して、明菜は絶頂を迎えていた。
 たっぷりと吐き出された獏の精液が子宮を叩く旅に、ひくひくと身体を震わせる。
「はひぃ!? やあっ、ひゃああああああっ……!」
 円錐状に尖りきった乳首を獏の長い舌が弄ぶと、半ば意識を失ったような表情で明菜は声を上げた。
「ああああ、いいなあ。ぎちぎち締めてくるよ、明菜ちゃあん……」
 獏が猫撫で声を上げつつ、射精を終えたペニスを挿入したまま、ゆるゆると腰を動かし、精液をかき混ぜてゆく。
「んひっ、ら、らめそれぇ……! あっ、うっ……ああああ……」
 絶頂の余韻で敏感になっている明菜の体が、涙と涎を垂れ流して打ち震える。
「くっ……!」
 あまりに悲惨な親友の光景に、ミナミは思わず引き戸に手をかける。
 それを魔女の手がつかんで止めた。
「もう少しだけ、お待ちください」
「何言ってるのよ! 何か知ってるなら助けてよ! 早くしないと明菜が―」
 ミナミが怒りと共に少女の手を振り払おうとした瞬間。
「え……?」
 明菜の体が、紫とピンクの混じった光に薄く覆われていることに、ミナミは言葉を失った。

631:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:48:44 LzQh3iGR
「な、何、あれ……?」
「蜘蛛などが捕らえた相手を喰らう際に、消化液を送り込むのはご存知ですか?」
 隣の魔女が、静かにミナミの耳元に口を寄せた。
「サタニックは、人の精神を喰らって進化を遂げる化物なのです。その為にまず、性行為による絶頂を与え、相手の精神をドロドロに溶かします」
 倉庫内の獏が、放心状態の明菜の身体に舌を這わせると、纏っていた光が泡を拭く様に舐め取られてゆく。
「そして、喰らう。溶け出した部分がなくなればまた犯して、何度も絶頂を与えます。餌の精神が、完全に溶けて自我を失うまで……」
「っ!? 早く行かなくちゃ!」
 魔女の手が、ぎゅっとミナミの手首を握り締める。
「落ち着いて下さい。あの程度ではまだ、彼女の自我は崩壊しません」
 獏は舌を伸ばして、明菜の脱ぎかけの制服に舌を入れていく。
 同時にゆっくりと螺旋型のペニスを引きぬくと、ひくついた割れ目から、とろりと生クリーム状の精液がマットの上に水溜りを作ってゆく。
「彼女の精神は捕食されていますが、まだまだ浅い傷です。治療すれば数週間で自我を取り戻します。だから今はヤツを逃がさないように、少しこのままにしておいてください」「待ってどうするのよ!?」
「すべての動物にとって、食事中と性行為中は無防備だということはご存じですか? そこを確実に捕殺するためです」
「っ……!?」
 と、一応は少女の説明に納得しかける。
「私の方も戦う体制は整えて来ました。後はタイミングだけです」
 そう言って少女が魔術書を開く、表紙の刻印が赤く光って、今にも動き出しそうな禍々しさを帯びていた。

632:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:50:04 LzQh3iGR
(待つしかないの……? 明菜があんな目に遭ってるのに……)
 ミナミは爪を噛みながらもう一度明菜に視線を走らせる。
 巨大な黒い豚の舌に舐め回されて、恍惚の表情を浮かべる明菜。
「あふ、せんぱ、い……」
 明菜の顔に、つい最近までよく見せていた悲壮感はなかった。
 今頃、失恋の記憶も抱かれて、甘い夢を見せられ快楽の海にたゆたっているのだろう。「でも……でも、そんなのってないわよ!」
「なっ―!?」
 魔女の手を振り切って、ミナミは倉庫の中に飛び込む。
 化物が人間なのか、その正体も未だロクに分からない。
 だが、人の弱みに付け込んで、こんな非道な真似を、黙って見ていられなかった。
「明菜から離れなさい! この化物!」
 巨大な豚は、一瞬顔を上げて、ぎょっとしたように目を見開き。
「げっげっげっげ!」
 と、くぐもった不気味な笑いを浮かべた。
「コイツは驚いた。早瀬さんが来てくれるとはなあ……」
 完全に自分を認識した言葉を発してきたことに、ミナミは逆に動揺した。
「あ、あなた、猪川君なの? 何でこんな真似を―」
「はっ! 分かんねえさ。あんたみたいな可愛い優等生にはさ。声をかけることすら憚られる、俺みたいな下々のことはよお!」
 覆いかぶさっていた明菜から、離れると、獏はにやりと笑みを浮かべて、ミナミに向き直った。
「ちょうどいい、あんたはコイツを使って捕らえる予定だったが、手間が省けた。今すぐ脳がとろけるまで犯してやるぜえ……」
「なっ! ふざ―」
 けるな。そう反論しようとしたとき、ミナミの四肢から力が抜け、白昼夢のように視界が真っ白に染まった。

633:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:52:21 LzQh3iGR
(う、何これ、意識が―)
 味わったことのない眩暈がミナミを襲う。神経の糸を切られたように五感が抜けて足元がふらついた。
「おっと、げっげっげ」
 倒れかけたミナミを支えたのは、獏の頭だった。
(なんだろう、何か、何も分からなくなって―)
 醜い顔と、生臭い獣臭。それすらが獏の瞳を見ているうちに何か初恋のような甘酸っぱさに変わって、ミナミの胸を浸していく。
「あっ……ん」
 明菜の隣に寝かされ、獏の前足が制服越しにミナミの胸を押し潰す。
「ほほお。着やせするんだな委員長さんよお。あああ、ますます楽しみになってきたぜえ」
「や、いや……」
 ぐにぐにと窮屈そうに押し込められた胸を揉まれ、でろりと伸びた舌が、太股の内側に這わされると、痺れるような快楽がミナミを襲った。
「おおお、最高だな。今夜はたっぷり楽しめそうだなあ……げっげっげ」
 獏が悦に入った表情を浮かべたその時。

634:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:53:42 LzQh3iGR
「お楽しみはそこまでですよ畜生」
 冷たい声を聞いて、さすがの獏も余裕の笑みが消える。
 魔女の格好をした少女が、いつの間にか体育倉庫のど真ん中に立っていた。
 食事中で完全に油断していたさっきとは違い、ミナミを見つけた後は、鼻を利かせて周囲を警戒していたのだから。
「なんだぁ。お前は」
「あなたには名乗るだけ無駄というものですが、せっかくだからそこのおバカさんの為に教えて差し上げましょう」
「う、ん……」
 霞がかった意識の中で、ミナミにも魔女の姿がはっきり見えた。
「アンチサタニックソーサラー。降魔六式委員会が一人、門守小夜音」
 喋りながら、ゆっくりと巨大な魔導書を広げ、微笑む。
「“flamma”」
 小夜音が魔導書のページに手をかざすと、獏の体が赤く光る六芒星に捕らわれた。
「なっ、これは、お前も、まさか……ああああっ!?」
 喋り終える前に瞬時に青い炎に包まれ、燃えてゆく。
 周囲のものには全く燃え移らない炎だった。
 ぱくぱくと叫ぶように口を開けるが、もはや誰にもその声は届かなかった。
「おご、おごごごおがあああああ!」
 やがて火が消える。黒こげで崩れかけた獏がどさりと床に崩れ落ちると、小夜音は魔導書を閉じて、そっと手をかざした。
「では、喰らいなさい。“グリモワール”」
 小夜音の言葉と共に、本の表紙にギロリと赤い目が浮かび上がる。
 そして、ひとりでに本が開かれると、分かたれたページの上下から、鋭い牙がびっしりと突き出した。
「しゃあああああっ!」
 グリモワールが息絶えた獏を貪り喰らっている間に、小夜音はミナミの傍に歩み寄った。

635:闇サバト-降魔六式委員会-
08/09/03 02:55:10 LzQh3iGR
「さて、意識はありますか?」
 小夜音がぺちぺちとミナミの頬を叩く。
「う、ん……。あなた、さ、さっきのは、あれは……」
「どうやら、あなたまで送っていく手間は省けそうですね」
 そうぼやきながら、小夜音は携帯電話を取り出して耳に当てる。
「う、あれは。あれは一体なんなの? あの化物は、あなたは―」
 霞がかった意識で、ミナミは立ち上がり小夜音に食ってかかる。
「この町の行方不明者がここ半年で何人いるか知っていますか?」
 そう言って、小夜音は静かに微笑む。
「私たちは、あれらの化物を倒すためにここに来たのです。探していたサタニックの巣窟である、この学院に」
 ミナミが薄れた意識の中、ぐらりと体勢を崩す。
 その背後で、小夜音の魔導書が化物を喰らう音だけが延々と響いていた。
 夜が更けてゆく。
 闇の住人たちの宴の、始まりの夜が。


Ep1 END

636:闇サバトの作者
08/09/03 03:03:51 LzQh3iGR
以上です。長くなりすぎてしまってごめんなさい。
何か要望を言ってくだされば、次回から前編後編とかで分けようと思います。

投下時間の長さとか容量とか、
その他色々反省すべき点がありますが今は眠いので寝ます。

長文失礼致しました。

637:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:14:15 lIeeoMbz
>>636
GJ!!お疲れ様でした

638:名無しさん@ピンキー
08/09/03 12:54:39 Al8ezS2Z
NGIDにして一気にすっきり

639:名無しさん@ピンキー
08/09/03 14:28:33 eT92DCPS
>>636
>何か要望を言ってくだされば、次回から前編後編とかで分けようと思います

乙!つーか投下すんのも大変だったろこりゃ…。
読み終わる頃には「目が、目がァ~!」状態だぜ。
掛け合いも上手くて文章綺麗なんだから勿体無いぞ~!

あ、導入部分としては完璧だと思う。
ただ俺最近サタニックて聞くとクラウザくぁwせdrftgyふじこlp

640:名無しさん@ピンキー
08/09/03 17:23:11 HBH/xO17
乙ッ!これはいい長編物の予感
投下だけでも相当苦労してそうww

641:名無しさん@ピンキー
08/09/03 23:20:28 DGOA4TqA


642:名無しさん@ピンキー
08/09/04 02:23:27 tLx1MFd3
GJ!たくさん謎がありそうで、続きが楽しみです
投下大変だったら分割でもいいと思いますよ

643:名無しさん@ピンキー
08/09/04 03:01:07 k9Sn5KvQ
乙!

一気に読ませてもらったw
さすが神々の乱立する触手スレだぜw

644:名無しさん@ピンキー
08/09/04 03:18:52 NyOpj2jC
触手の神ってやっぱあれか、多数の手を持つ者とかか?

645:名無しさん@ピンキー
08/09/04 04:24:57 hYwh7gTt
いや、触手の太さで決まるのかもしれんぞ

>>639
それどこのムスカ?

646:名無しさん@ピンキー
08/09/04 13:06:08 ls6ZOaN8
斬られたら斬られたら分。
魔法で倒したら倒した分。
切断面や破片から再生するタイプは無敵だと思う。

この手のタイプは破片が一片でも残れば自己再生+増殖が可能だから茂みからの予想外の奇襲でヒロイン達を一網打尽も可能だし

647:名無しさん@ピンキー
08/09/04 14:04:59 cNXU8VsE
>>636
確かに長いが文章が非常に読み易いのでスラスラいけるZE!!
使い古されたジャンルなのにこのスレだと舞野リティだから期待大

>教会だって寄付をしないと、毒の治療すらしてくれない世の中ですよ?

軽くフイタwww考えてみれば免罪符より悪質だよな

648:名無しさん@ピンキー
08/09/04 14:58:00 eEh1UBdL
>>647
でも某ディーキューじゃ金さえ払えば人間すら生き返らせる教会なんだよなww

649:名無しさん@ピンキー
08/09/04 18:41:16 8+ZE5lK9
学校を舞台にした退魔モノか。
淫妖蟲プレイし終えたトコなんで何気にタイムリー⊂⌒~⊃。Д。)⊃

こっちは西洋風か。応援してるぜ、だっしゃぁぁぁあ!!

650:名無しさん@ピンキー
08/09/05 04:23:08 9iVsbZwP
>646
再生のエネルギーが持つのかとゆー疑問が

651:名無しさん@ピンキー
08/09/05 08:34:44 n3WExRz6
バスタードのリリスネタで誰か御願いします

652:名無しさん@ピンキー
08/09/05 10:56:03 Zi2Uv3Lc
戦う人魚姫VS海の触手モンスターとか見てみたい
普通の人間なら息が続かない海の底でも偵察が可能で
私に任せてと討伐対象の居場所確認に向かったがって感じに

653:名無しさん@ピンキー
08/09/05 19:58:10 W7fnX5CD
>>652
遊戯王のカードの人魚キャラが怪物に犯されて、卵植え付けられるSSをどっかで見かけたな。
まさにそんな感じだったよ。

654:名無しさん@ピンキー
08/09/05 23:46:11 FPxT5B+7
人魚って股なくね?
どうするの?

655:名無しさん@ピンキー
08/09/06 00:56:25 mSY5lfqz
>>654
イルカあたりをさんこうにすればいいとおもうよ!!

656:名無しさん@ピンキー
08/09/06 01:37:05 aO4qszqg
>>654
さっさと角煮のモン娘スレにでも行って勉強して来い

657:名無しさん@ピンキー
08/09/06 03:56:30 5IOPhb3n
>>654
ていうか、おまいさんは人魚姫の話をよんでないのかね。



つまりだ、魔女と触手が結託すればいいだけの話だ。

658:名無しさん@ピンキー
08/09/06 06:08:34 OIIorSwE
魔女「ひっひっひ、足をあげる代わりにお前の処女をもらうよ?(もちろん触手で)」

659:名無しさん@ピンキー
08/09/06 11:24:26 /0md0tnP
某ネズミ所属の映画だと人魚姫の魔女は蛸だったから完璧じゃん

660:名無しさん@ピンキー
08/09/06 11:41:42 ZoXjs4Du
人魚姫とイソギンチャク?

イソギンチャクと戯れる、擬人化したクマノミとか、イソギンチャクカクレエビが脳裏に浮かんだ

661:名無しさん@ピンキー
08/09/06 16:39:49 CiKtHi4s
>>654の妄想力の無さに唖然とした・・・


それにさ、穴が股の間にあるとはかぎらんだろ

662:名無しさん@ピンキー
08/09/06 17:30:16 t4AxyjpY
毛穴という毛穴をイソギンチャクが陵辱するんですねわかります!

663:名無しさん@ピンキー
08/09/06 17:39:48 I0MQevt4
阿刀田高だったかの小説に、人魚とやる話があったな。
あれだと、腹側の腰の少し下くらいに穴があったはずだ。

664:名無しさん@ピンキー
08/09/06 18:24:03 ZoXjs4Du
星新一だと、鮭と同じ方式だったな。

665:名無しさん@ピンキー
08/09/06 22:28:39 jWlod7aS
魚でも、卵胎生のサメだつたりすると、ちゃんと○ん○があったりするからな。

666:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:20:23 onBrREfW
海+触手=ルルイエ

こうですね!わかります!!

667:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:35:57 J2wO2Kfm
人魚姫や竜人(メス)みたいな卵生の種族と胎生の種族のハーフの場合って

卵生と胎生のどっちで繁殖するんだろ?それ次第で触手が陵辱した際の孕ませ方も変わって来るし

卵生なら脅威のどんな生物でも100%妊娠させちゃう精液君を注ぎ込んで強制受精

胎生なら産卵管をぶち込んで大量の卵を産みつける。もちろん抵抗したり暴れて卵が潰されないように拘束もあり

668:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:44:26 CidCz51b
現実的に言うと魚類なんて体外受精だがなw

人魚姫と触手という新しいジャンルを>>667には是非やってもらいたい

669:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:45:54 ZoXjs4Du
>>666
いや、御大が出てくると人類滅亡だから。
(そもそも人類には理解不能な『何か』だし)

眷属の、下っ端の下っ端の下っ端の更に下くらいでないと
交配までいかないのでは?

670:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:08:01 jW+Vli1J
>>668
つまり触手を突っ込んで無理矢理卵子を摘出して触手側で受精。
んで異形に変化した受精卵を触手を通して胎内に入れるということか


素直に中出ししろという意見は却下

671:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:21:41 LNXJ9rMq
>>663
>腹側の腰の少し下くらいに穴があったはずだ。
これが普通だわな

672:名無しさん@ピンキー
08/09/07 05:15:14 caQ3Z55I
さあ、卵を産め

673:名無しさん@ピンキー
08/09/07 09:39:41 18hFRVTw
ヌンサ(だっけ)乙

674:名無しさん@ピンキー
08/09/08 05:21:30 X6k+Rr4T
スレイヤーズかww

675:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 00:51:19 jSc+b7KI
久しぶりにのぞいたら面白いネタを見て思わず勢いでかいた
いざ投下しようしたら規制…
携帯から投下なのできながにまってね

676:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 00:54:05 jSc+b7KI
お姫様のヒミツ


「姫様ーっ!姫様ーーっ!」
大陸からそう遠くはない海の底
そこに魚人族の都はある。
貝殻などを積み重ねた宮殿の廊下を、一人の小太りの魚人がオロオロと叫びながら走っていた。
「またどこかへ……シズー!シズはおらんか!」
小太りの魚人は立ち止まると、エラを張らせてしきりにシズという名を叫ぶ。
手に持った木の棒をしきりにバンバンと壁に叩きつけ、いらだちを隠そうとはしない。
しばらくすると廊下の奥から、手に槍を持ち鎧に身を固めた女性が泳いできた。
人間の足に当たる部分は尾鰭になっており、器用に魚人の前で止まると直立状態になり位置を保とうと
尾鰭を小刻みに震えさせる。
しかし直立するのは難しいのか、槍を壁に押し当ててバランスを取っていた。
「グリューさま。いかがなされました」
「いかがもなにも、また姫様がいなくなられた!シズお前は何をしていたんだ!
 姫の警護の身でありながら側にいないとはどういうことだ!」
凄い剣幕でグリューと呼ばれた魚人は、直立したシズをしかりつける。
「はっ…ハッ!申し訳ありません!
 あの姫様はグリューさまと勉強があるから近寄るなt」

ビシッ

「あうっ」
持ってい木の棒で鼻先を叩かれ、シズは少しなみだ目になりながらも直立を保とうとする。
「姫が私と勉強しますなどといい出すわけがなかろう!
 何年側についておるのじゃ!
 いますぐ捜してまいれ!いますぐじゃ!
 そして見つけたらすぐにつれてくるのじゃ!よいな」
「ハッ!」
シズは慌てて廊下を泳いで、廊下の角を曲がると急停止した。


677:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 00:55:56 jSc+b7KI
「ふうぅ」
空いた左手でそっと胸を撫で下ろし、そーっとグリューがいた廊下のほうに顔を出してみる。
さっきまでグリューがいた位置にはもう誰もおらず、シズはそーっと顔を戻すともう一度大きく息をつ
いた。
「いったかな……」

バチーン!

「きひぃっ!」
突然背後からお尻の辺りを強く叩かれ、シズは飛び上がった。
お尻の部分には鎧は無く、むき出しの状態なのでシズは槍を落として叩かれた尻を押さえる。
「あぅぅぅっ……ひいぃっ」
なみだ目になりながらも、なにが起こったのか確認しようと顔を上げると
そこにはグリューがパシパシと木の棒を手のひらに叩きつけ、すさまじい形相でこちらを睨んでいる。

「あうぅぅ…ぅ」
「シズ。私がなんといったか覚えてるかい?」
そう引きつった笑顔で怒るグリューに慄き、シズは慌てて槍を拾い上げて逃げ出した。
「はぃぃぃ!すぐにみつけてきますぅぅぅぅ」
ものすごいスピードで泳いでいくシズを見ながら、グリューは逃げ出した姫の躾け方を思案するのであ
った。


678:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 00:58:29 jSc+b7KI
「ひどいですぅ…私のお尻がぁ(泣」
強く叩かれた為、少し鱗が剥がれてしまったお尻をさすりながらシズは宮殿から少し離れた海溝に来て
いた。
「やっぱりここかなぁ………いくのやだなぁ…」
槍を両手で抱え、キョロキョロと背を丸めて奥へ奥へと進んでいく。
途中何度か横穴に入り、さらに奥へと進んでいくと奥から泣くような声が聞こえてきた。
(やっぱり……)
そーっと、そーっと音を立てないように近づき、岩影から顔を出してみる。
奥は行き止まりになっており、その奥には何体かの大き目のイソギンチャク。
その中心に、イソギンチャクの触手に身を任せて喘ぐ人魚の姿があった。
「あぁぁぁっ!いいぃっ!」
何十本の触手に身を任せ、人魚は気持ちよさそうに喉をそらして尾鰭を振る。
腹の少し下辺りにある生殖器には太い触手がねじ込まれ、ぐいぐいと激しく動いていた。
(どうしよう。止めたらまた怒られちゃうし。でもつれて帰らないと怒られちゃうし。うぅぅ~)
シズはその場で頭を抱えて小さく唸ったつもりだった。


679:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:01:24 jSc+b7KI

カツーン

「あぁぁ!」
持っていた槍が落ちて、岩に転がる。
「だれ!」
喘いでいた人魚はイソギンチャクの中に身を潜め、顔をだして叫んだ。
美しい顔立ちにはきつすぎるくらいの鋭い目。
流れるような黒髪はイソギンチャクの触手に絡み、黄色と黒のストライブを描いている。
シズがおずおずと岩陰からでてくると、きつい目を和らげて人魚はイソギンチャクの中から出てきた。

「あら、シズじゃない。もうグリューにバレたのかしら」
悪びれることなく姫は舌をちょんと突き出し、少し太めの触手の上に横たわるとヒラヒラと尾鰭を振っ
た。
「もういい加減にしてほしいのよね。毎日毎日花嫁修業って、私姫なんだから料理や掃除とか必要ない
じゃない!
 それをグチグチとあーでもないこーでもないって、お前はお姑かっての!けっ」
姫とは思えないような悪態をつきながら、眉間に皺を寄せて不機嫌を隠そうともしない。
「それにまだこの子達満足してないんだもの。
 まだ帰れないわよねぇ」
姫はそう言いながら細めの触手を手に取ると、先端を口に含んでいく。
「んっ…んっ」
喉を鳴らしながら、目を閉じ情熱的に舐めしゃぶる。
「ぷほっ、まだまだ元気♪」
側によってくる触手を次々に頬張り、頬を染めて熱心にしゃぶり続けていく。
そんな様子をシズは、オロオロと見守るだけだった。

680:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:04:18 jSc+b7KI
「こっちにきなさい!シズ」
熱心にしゃぶりながら、姫はシズをイソギンチャクの側に手招きする。
「えぇえぇ…い…いやです」
シズは顔を真っ青にさせると、ジリジリと下がろうとする。
「なに?私の言うことが聞けないの?そんな事はないわよね?」
舐めていた触手から顔を離すと、とびきりの笑顔をシズに向ける。
「ひぃぃ」
笑顔の裏の顔にシズは慄き、慌てて姫の側へと近寄った。
震えながら姫の側によってきたシズを、姫はやさしく抱きとめる。
「いい子いい子。あらこんなに震えて…どうしたの?」
姫はシズの顔を両手で掴み、シズの目を覗き込む。
「わかってるくせにぃ…」
目を潤ませながら、シズは肩を落として視線をそらせた。
姫には兵士であるシズは逆らえないのだ。
「ほらっ、あなたも咥えて」
姫は触手の一本を掴むと、シズの顔の前に突き出した。
触手の先端は小刻みに揺れ、シズの閉じられた唇をそっとなぞる。
シズは目をギュッと閉じ、口を閉ざして抵抗しようとする。

チュプ

触手はゆっくりと閉じられた唇を割り開いていくが、歯は閉じられている為に葉をなぞることになった



681:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:08:20 jSc+b7KI
ちょいミス一行訂正

触手はゆっくりと閉じられた唇を割り開いていくが、歯は閉じられている為に歯をなぞることになった。
「あら、生意気」
姫はそんなシズの様子が楽しくて仕方ないのか、笑みを浮かべた。
そしてシズのお尻のあたりにウロコが剥げた後を確認すると、そっと手をよせてさわさわと撫でる。
「ひぃっ」
痛みとむずがゆさにシズは目を開き、思わず口をあけてしまう。
「ほら!今よ!」
姫の声と共に触手はシズの口の中へと収まった。
「うぅぅうぅぅ」
喉を突かれた為になみだ目になりながらも、シズは口内の触手を舐め始めた。
(こうなったら早く終わらせて戻るしか…)
そう決意したシズは口内の触手に積極的に奉仕をはじめる。
「そうそう…いいわよ」
姫はシズのお尻を撫でながら、時折ウロコのない部分をつねりあげる。
「いたひぃ…やめてください、そこはぁ」
「悪い子にはおしおき。当然の事でしょ」
あまりの痛さにシズは涙を浮かべ、姫の体にしがみつく。
「私の楽しみを邪魔したんだから当然の事よ。
 ガマンなさい」
「そんなぁ、私はグリュー様に……あぅぅ!ごめんさぁい!」
口答えをしようとしたシズは再びきつく抓られて、涙を浮かべて謝る事になった。

トントン

シズをいじめて遊んでいた姫の肩が叩かれた。
姫が振り向くと、肩をトントンと何度もイソギンチャクの触手が叩いている。

トントン トン トントントン

「ふんふんむ」
姫は思案顔で何度かうなずくと、シズを見てこう言った。


682:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:10:32 jSc+b7KI
「あら、この子またあなたを孕ませたいんだって」
姫が優しく一番大きなイソギンチャクの触手を撫でると、触手が喜ぶように大きく震えた。
「えぇぇぇぇっ!いっ!いやですぅ!」
シズはブルブルと顔を左右に振り、さらに手を前に突き出して振って全身でNOと表現する。
「あら、もう何度も孕んでいるじゃない?ほらそこにあなたの子供もいるし」
姫は大きなイソギンチャクの影に隠れて、ゆらゆらと揺れる小さいイソギンチャクを指差す。
小さいイソギンチャクは3匹おり、波に揺られながら小さな触手を震わせていた。
「ちっ!ちがうんです。これは!えっと……あぅ」
シズはオロオロと小さいイソギンギャクを見やり、がっくりと肩を落とした。
「私またシズの出産が見たいわぁ、ねぇいいでしょ?ねぇ」
姫はニコニコとしながらシズの肩を抱き、前後に揺する。
「あぅぅぅ…だめっていってもやらせる癖にぃ……もう好きにして下さい」
シズは不貞腐れたように顔を背け、姫のなすがままにイソギンチャクに押し付けられる。

シュッ

両手尾鰭の付け根にビシッと触手が絡みつきシズの体が固定されると
イソギンチャクの中央から細い透明な触手が伸びてきた。

683:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:13:01 jSc+b7KI
「はじまった♪はじまった♪」
「あぁぁ…」
触手はゆっくりとシズの生殖器にたどり着くと、なじませるように入り口をいじり始めた。
「あっぁ…あぅっ…あぁぁっ…」
もどかしい感覚に、身をよじろうとするものの、ガッチリと体は固定されており動く事は出来ない。
しばらくすると生殖器からは潤滑油がぬめりだし、触手をねっとりと濡らすことになった。
「相変わらず濃いわねぇ……ふふふ」
あふれ出た潤滑油を指に纏わせ、シズのエラに塗りつけていく。
「はうっ…エラはやめて……きゃうっ」
姫に舌を這わされ、シズは体をそらせた。
「ここが弱いのよねぇ、ほれほれぇ」
「あぁぁっ!やっ!うあぁぁあっ」
生殖器からはさらに潤滑油があふれ出し、海水をにごらせて行く。
シズの味が海水に広がり、イソギンチャクの触手は歓喜するように揺れ動いた。

ズブッ

「ああぁぁぁぁぁっっ!」
触手は止まる事なく進みついに奥深くまで突き刺さる。

ドプッ

「あうぅぁぅぅっ」
胎内に熱い粘液が吐き出され、シズは暴れるように体をゆすった。
固定されていなかったら、岩などに体をぶつけていたに違いない。
暴れるシズの頭を姫は優しく抱きかかえて、頬を撫で続ける。

684:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:16:16 jSc+b7KI
「大丈夫…大丈夫よ」
しばらく吐き出され続けた粘液はようやく止まり、シズも落ち着きを取り戻した。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒い息を吐き続けるシズの頬は紅く染まり、目は空ろに天井を見上げていた。
「そろそろかしら」
姫は優しくシズのお腹を撫で始める。
「あぁぁっ!」
ビクッとシズの体が跳ね上がり、震え始めた。
「やあぁっ!いひぃっ!いいいっ」
シズは何度も何度も体を痙攣させて跳ね回る。
俗にいうイキっぱなしの状態になっているシズは、涙を流しながら顔を振り続ける。
「イクっ!あぁぁっ!らめえぇぇ」
生殖器に刺さっていた触手がほんの少し太く変化した。
「ふとくぅっ、くるしいぃの…ひめさまぁぁ」
シズは髪を振り乱し、錯乱したかのように叫び続ける
触手は徐々に徐々に太さを増し、限界いっぱいの太さになるとゆっくりと引き出されはじめた。
「ふぐぅぅ……うぅ」

ズボッ

深々と入っていた触手は、大きな音と共に引き抜かれる。
引き出される頃にはシズは完全に意識を失っていた。
引き抜かれた触手の先端は透明でコブのようにふくらみ、こぶの中央には小さな黄色の点が見える。
「きれい……」
姫はそっとコブを撫でて見た。

685:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:20:35 jSc+b7KI
しばらくすると触手の根元から、白い線が触手内に走り徐々に先端に近づいていく。
白い線はゆっくりと先端までたどりつくと、黄色の点は白い線の中に沈んでしまう。
「ふふふ…さぁこれからよ…」
姫はコブを手に取り、シズの生殖器に当てるとゆっくりと押し込み始めた。

ビクン

挿入されたのを感じるのか、シズは奥へおしこまれる度に体を痙攣させる。
「うぅ……うぅぅ」
子宮の辺りまで触手が押し込まれると、触手の先端が口のように開き、子宮口にびっちりと隙間なく吸
い付いてしまう。
「ひぃっ!きゃああぁあぁぁぁああぁぁ」
強烈な熱感で意識を取り戻したシズは、姫が思わずエラをふさいでしまうほどの悲鳴を上げた。
目は見開き、口は半開き、手は力なく空を握る。
そんなシズの手を姫はギュッと握り締め、指先に口をつけた。
「もうすぐよ…もうすぐ」
姫は手を握り締めたまま、顔をシズの腹に押し付ける。

ドクッドクッ

シズの胎内でそんな力強い音が聞こえ、姫は思わず自分の股をおさえた。
触手は徐々に細くなり、少し太めの糸ほどの太さになると力なく引き抜かれた。
「おつかれさま」
姫は萎んだ触手を手に取ると、優しくイソギンチャクの中へと触手を戻してやる。
そうしている間に、イソギンチャクはシズの体の固定をはずし、何本かの触手で岩肌に向けて横たえた

686:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/09 01:23:07 jSc+b7KI
シズはぐったりと体を伸ばし、完全に意識を失っている。
「はじまる……」
しばらくするとシズの生殖器からゴポっと粘液が溢れ、キラキラと光るナニかが出始めた。
姫はその様子を興奮を隠し切れない様子で見つめ続ける。
キラキラ光るナニかは広がり続け、しばらくするとシズの生殖器から金色の卵が生まれ始めた。
卵は外に飛び出るとふわふわと水の中を漂い、小さなイソギンチャクの側に着床する。
着床した卵は最初は震えるだけだったが、しばらくすると口を開き、小さな触手を伸ばした。
触手は必死にキラキラするナニかを捕まえ捕食していく。
姫はそっと小さなイソギンチャクの側までいくと、優しく触手を撫でてやる。
「かわいいシズの子……はやく大きくなりなさいね」
姫はそうつぶやくと、大きなイソギンチャクの触手に口付けをし、気絶したシズを抱きかかえた。
「ほんとに可愛い子」
完全に気絶しているのを確認すると、シズの唇に自らの唇を重ね目を閉じた。
しばらくそうしていた姫は優しくシズを背負うと泳ぎ始める。
「さて、グリューの愚痴を又聞かないといけないわね」
ややうんざりした表情を浮かべながらも、姫は穏やかな笑みを浮かべたまま帰途についたのだった。

おわり

ではよい夜を
おやすみ

687:名無しさん@ピンキー
08/09/09 01:52:29 a7SqqbJj
>>675
ぶっ、ご存命でしたか。シロの続きまだー?

688:名無しさん@ピンキー
08/09/09 07:27:39 t8iGJ1qI
媚薬と催淫ガスだけでは、すぐに対策されるので触手にも属性攻撃をつけたい

触手から強烈な火炎弾や雷や吹雪に水流を出せるようにすれば
触手その物にはマトモな戦闘能力は無いとナメてるヒロインをきりきり舞いに出来るし

689:名無しさん@ピンキー
08/09/09 08:53:43 H/T7280u
>>675
スレの流れに乗った投下GJです
女兵士なのにいじめられっこのシズさんかわいいよ

どうもごちそうさまでした

690:名無しさん@ピンキー
08/09/09 12:27:35 RN7pXc1A
>>「姫様ーっ!姫様ーーっ!」
この台詞だけで木○の坊を連想する俺はもう病気

691:名無しさん@ピンキー
08/09/09 12:47:16 kiTUiCDn
姫様ーっ!シズどのーーっ!

692:名無しさん@ピンキー
08/09/09 19:02:31 +ymwUuVA
>>686
クソエロ過ぎてGJ!!!

>>691
(´゚ω゚):;*.':;ブッ

693:名無しさん@ピンキー
08/09/10 04:57:56 neMbjwlT
このスレには鬼獣淫界出身の触手はおらぬのか

694:名無しさん@ピンキー
08/09/10 05:01:37 L4kJAvhi
亜衣?麻衣?

695:名無しさん@ピンキー
08/09/10 21:38:24 wJPMfu9l
美衣?

696:名無しさん@ピンキー
08/09/11 00:18:00 lfajGYjF
優&魅衣?

697:名無しさん@ピンキー
08/09/11 00:36:44 jad1trms
♪レッツロックンロール


698:名無しさん@ピンキー
08/09/11 05:37:00 a7te4pgn
おじょ~ずぅ~

699:名無しさん@ピンキー
08/09/12 03:06:49 eJMWfj+a
「エリー?エリーなの?」
「違うわよ!とにかく聞いて、この電話は盗聴されて・・・」
「今アニーもハンナも・・・あふん・・・きてるのよ・・・」
「だから話聞いてよ!この電話は盗聴・・・されて・・・」
「今からマリーが触手注文するんだって、それで、お金はおいてくって」
「この電話は、盗聴、されて、おおおおおおおおおおおおおおおい!」

~~~

「ばか」
「にょろ」
「ばかばかばか」
「にょろにょろにょろ」
「ばかばかばか・・・・・ばかばかばか、ばか!」
「にょろにょろにょろ・・・・・にょろにょろにょろ、にょろ!」
「にょろ」
「にょろーん」

700:名無しさん@ピンキー
08/09/12 03:17:35 bJEPYiHR
ちゅるやさん乙

701:名無しさん@ピンキー
08/09/12 04:30:38 zJi5DwlM
>>699
へび男、乙

702:名無しさん@ピンキー
08/09/12 07:34:06 rtzDJSev
本官は小悪魔にょろよ

703:名無しさん@ピンキー
08/09/12 10:45:08 uxhl3vBj
触手の住処にして本拠地でもある魔界(淫界?)には

女神の一族を全滅させ全員、一人残らず犯し殺すまでは行かないにしても再起不能のメス豚にしたって言う武勇伝を持つ最凶の触手なんてのも居るのだろうか?

704:名無しさん@ピンキー
08/09/12 12:30:30 YMQvPHFd
>>703
田中さんの事か

705:名無しさん@ピンキー
08/09/12 14:45:23 K5YMVje5
世紀末救世触手伝説
女神に敗北した世界
虐げられる触手達の前にあの伝説の触手が!
「お前はもうイッ(ry」



仕事中にこんな事考えているオレもうだめポ

706:名無しさん@ピンキー
08/09/12 16:02:45 esYDTDdg
>>704
田中さんは結婚して子供生まれてからは
すっかり丸くなっちゃったからなぁ・・

707:名無しさん@ピンキー
08/09/12 21:33:47 rtzDJSev
>>706
親バカで過保護気味だから息子には期待できないしな

708:名無しさん@ピンキー
08/09/13 10:15:11 dWEKyv0H
ヒロインによってはかなりの負けず嫌いで触手に汚された事を人生最大の汚点として
リベンジで何度も挑んでは返り討ちにあって陵辱されるってパターンもあるけど

この手のパターンは最初はリベンジ目的だったけど何度も陵辱される内に徐々に心の奥底で何かを期待するようになりって最後には
って感じで本人も気付かない間に触手に調教されてるってタイプだよね

709:名無しさん@ピンキー
08/09/13 13:22:51 pzNvYzZh
>>708
だから、襲う娘の性格によって、すぐに嫁がせるか、あえて放っておくジゴロ的触手もいるわけで。

710:名無しさん@ピンキー
08/09/13 17:46:20 AjHtD31y
その御仁にレスしてもキリが・・・

711:名無しさん@ピンキー
08/09/15 10:19:52 haTSHaYy
正直某同人STG見たせいで魔界が魔物が徘徊してる混沌とした世界ではなく平和でアットホームな世界にしか妄想できなくなった

712:名無しさん@ピンキー
08/09/15 13:56:16 1zgdklKo
落ち着け同志。あの弾幕を全て精○だと思うんだ。

713:名無しさん@ピンキー
08/09/15 15:31:13 ehnOusOw
そ、そうだったのか・・・
つまり、当たったら妊娠してしまい、怪物に嫁がされるのか
なんというすばらしい世界だ!

714:名無しさん@ピンキー
08/09/16 15:31:47 ut70RZtI
>>704
今じゃ元女神の奥さんの尻に敷かれてサラリーマンと言った有り様だ

715:名無しさん@ピンキー
08/09/16 15:58:48 oaLdwDd6
痴漢電車ならぬ触手電車とかあったら都市伝説になるよね
神出鬼没で外見は普通の電車だが内部は触手がルールの異空間で足を踏み入れたら最後、無事で帰れた者は退治に来た女性霊能者も含め一人も居ない

716:名無しさん@ピンキー
08/09/16 20:19:08 KvfgsTRu
>>715
地下遺跡とかの方が…
入ったら最後戻ってきた者はいない…

717:名無しさん@ピンキー
08/09/16 22:30:28 0qgVLBqp
>>716
風頼のシレン外伝で階段を降りた先がゲイズハウスだったアスカと申すか


ガチであれは絶望する。
特に+40ぐらいまで鍛えた風魔の盾が変化の壺に入っていく瞬間を見た日にゃ……

718:名無しさん@ピンキー
08/09/17 00:42:06 kbv3QkKG
>>717
逆に考えるんだ、アスカが混乱して変化の壺に入ると考えるんだ!
やり過ごしの壺とか、中に入れるのもあるからアリじゃね?んでもって中には触手がわさわさと

719:名無しさん@ピンキー
08/09/17 00:48:20 lJ0ZV+le
早速誰か書いてたも

720:名無しさん@ピンキー
08/09/17 03:30:52 bwT7WjLE
満員触手電車
ターゲットの女性客以外は全員人間に擬態した触手怪物

721:名無しさん@ピンキー
08/09/17 09:06:13 n4HZPqgK
阿部さんが乗って来た日にゃどうなるんだ触手電車

722:名無しさん@ピンキー
08/09/17 20:10:00 wzgMBQ/L
触沢村

入ると二度と戻れなくなる呪われた村。
廃墟から触手が…

赤い触手、青い触手
応えた色の触手が便器から伸びてくる。

723:名無しさん@ピンキー
08/09/17 21:44:15 aMxXxIxE
触沢村ダム化計画

完成の際は、周辺地域のご家庭に洩れなく触手が便器から

724:名無しさん@ピンキー
08/09/18 00:03:10 4G/ekEvG
こうしたネタから、新たなSSが……産まれるのか?

725:3-170 ◆QC3LRmFAWo
08/09/18 00:50:13 dt5EQhjs
上の人魚ssはネタから産まれたものだし
書き手としてはネタが多いほうが嬉しい


規制きついっす…

726:名無しさん@ピンキー
08/09/18 02:29:18 D2cXnnPB
>>725
シロまだー!?

727:名無しさん@ピンキー
08/09/18 03:27:37 4G/ekEvG
>>725
逆に考えるんだ。
規制中に書き溜めておけば…

728:名無しさん@ピンキー
08/09/19 08:33:43 4mqcLFx7
触手や怪物が捕らえ陵辱したヒロイン同士を
戦わせるコロシアムがあるらしい。ルールは戦闘不能にするか絶頂させるかで勝敗が決まり。負ければお決まりの陵辱

それでヒロインが何度も勝ち進めるくらいに強ければ、その分だけ強い女性を屈服させたランクの高い触手や怪物に認定って事になる

729:名無しさん@ピンキー
08/09/19 10:28:14 BZeE4cUL
>>728
ツマンネ

730:名無しさん@ピンキー
08/09/19 13:26:52 Rh25K7i2
触手と女の立場が逆なら勝ったご褒美に朝までヤラせてくれたり
負けたら踏みつけられたり、叩かれたりするわけだね 
特訓と称していろいろと…

731:名無しさん@ピンキー
08/09/19 16:04:28 wl6VEDz3
触手ブリーダーとかシチュであってもいいよね
餌は基本的に愛液で飼い主がそのお相手になる
どっちがどっちに飼われているか分らない

732:名無しさん@ピンキー
08/09/20 00:45:49 wnybJBRh
触シュー、ゲットだぜ!

733:名無しさん@ピンキー
08/09/20 01:45:38 IrDKBf4K
・・・枯れてきてるな。ガッデム。

去年の今頃はもっとこう、ニョロニョロニョロニョロしてたのだが。

734:名無しさん@ピンキー
08/09/20 04:12:56 oSr+NOxe
ジブリール・ゼロ を つかまえてきました
コロシアム のしあいに しゅつじょうさせて よかとですか?

 はい
>いいえ

しくしく…

735:名無しさん@ピンキー
08/09/20 09:39:27 yMiwN06U
さっき見たアニメ精霊の守り人
 巨乳ヤリ使いと触手プレイ、美少年の産卵が観れた。

736:名無しさん@ピンキー
08/09/20 10:39:35 IuJJHf6a
>>735
触手「尻じゃねーのに真っ二つになったじゃねーか!」

737:名無しさん@ピンキー
08/09/20 14:14:12 clACRFVN
巧兄さん乙

738:名無しさん@ピンキー
08/09/21 14:41:22 Sq9hkg56
触手の絞め上げ攻撃って一度でも巻き付かれたら最後
相当、馬鹿力で人間離れした怪力の持ち主でも無い限りは逃れるのは不可能だよね

男ならそのまま絞め殺し。女なら意識を奪う止まりでいただきます

739:名無しさん@ピンキー
08/09/21 14:51:24 VvneJtTw
>>738
「逃れることはできないが、食いちぎることならできるぅ!!」
と美味しくいただかれてしまった触手もたまにはいるかもしれない。


740:名無しさん@ピンキー
08/09/21 17:02:47 uxFhEawP
むしろ、力の強さには、繊維そのものの強さに関わってるかもしれないぞ

一本が象をも支えるほどの強度の繊維すら開発できるご時勢だ。
そんな繊維で出来ている海綿体で作られた男根は、容易には噛み千切れまい。
女を犯すには、そのくらいのたくましき触手でないといかんかもしれない。

弱い触手でも、一般モブ女性なら犯れる。退魔師や天使の目から隠れて
何とか目先の快楽をいただくんだ・・・何とか・・・。

741:名無しさん@ピンキー
08/09/21 17:04:23 VvneJtTw
>>740
しかし、その象をつるせる繊維は、ナイフ一本で簡単に切れたりするから
世の中奥が深いのです。

742:名無しさん@ピンキー
08/09/21 18:26:05 6/8S/Frd
ダイヤモンドも切られるのならその硬度を存分に発揮できるけど
叩かれたら簡単に砕けるみたいだしな

743:名無しさん@ピンキー
08/09/21 18:43:24 uxFhEawP
最近は横斬りに対しても強い繊維とかもあるみたいだし、
噛み千切りや一般の切断程度だったらびくともしないというのが、
強い触手の条件なのでは?

ただ、天使や退魔師のカッターに対抗するとなれば、
やはり相当上位でなければいかんけど・・・

744:名無しさん@ピンキー
08/09/21 18:45:19 A/1YA7y1
>>743
食いちぎって脱出したと思ったら、一部の組織が胃の中に潜り込んでいて…
(続きは寄生スレの守備範囲なので自粛)

745:名無しさん@ピンキー
08/09/21 19:27:32 rH3PXnPJ
食いちぎったら中から媚薬が!

746:名無しさん@ピンキー
08/09/21 19:55:07 Gs68g7e4
投下来ないし完璧雑談タイムだなー…。
触手責めの主な流れって概ねこんな感じだよなあ。

1:「まさか!う、ウソでしょ!?…やだっ、やめてってばあ!!」
パンツを降ろされM字開脚。これから何をされるのか気付いちゃうシーン。

2:「い、嫌あああぁぁーーー!!抜いて!抜いてぇーーー!!!」
挿入&破瓜の瞬間。既に媚薬で出来上がっちゃてるケースも。

3:「ひっ、ああ!!やめてえー!おかしくなっちゃうー!!」
ズチュズチュとピストン運動。快楽系と苦痛系に大別される?

4:「ひぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあーーーー!!」
絶頂&射精。膣内はたまたぶっかけ、精力吸収etc…。

5;「な、中出し…された…の?い……っ、いやぁぁあー!!」
事後。妊娠、出産、卵孵化…。快楽墜ちや2クール突入も。

俺個人としてはもっと事後の充実した作品が流行って欲しいが住人的にはどうよ?

747:名無しさん@ピンキー
08/09/21 20:37:43 uxFhEawP
それには同意だが、事前の充実ももっと図るべきだ。

ていうか、モブへの充実もこのさいもっと図るべきだ。

ようは何がいいたいかというと、モブにも(強引な)愛を!

748:名無しさん@ピンキー
08/09/22 12:23:49 KWZqcJ6e
最近は(無意味な)雑談ばかりだな。

749:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:00:58 AoSoTaT9
SS投下されても、数人がGJとだけ言ってその後は華麗にスルー
すぐにどうでもいい雑談でニョロニョロしだす
これじゃここに書いてくれる人が減るのも当然だよなw

750:名無しさん@ピンキー
08/09/22 14:31:18 865J4IM9
マジレスだが俺もそう思ってる。
SSが投下されない間に雑談は構わない。むしろ歓迎だ
だが、SS投下直後に限って空気読まずに雑談振る奴がいるように思えるのは何でだろうな。

751:名無しさん@ピンキー
08/09/22 17:20:56 J9hg9ryj
ふーむ。。俺はむしろ投下が原因でスレが止まるのが怖くって後書きに
次の話題へ繋げられるようなネタを入れようと苦心した事があるけどな。

…気の弱いエロ書きの戯言でスマソ。

752:名無しさん@ピンキー
08/09/23 07:27:13 rJSaMmWg
あるあるw

つーかどっちもありすぎて困るorz

753:名無しさん@ピンキー
08/09/23 12:38:46 wBNKATeH
触手も嫌いじゃないけど人外の極太で犯されるおにゃのこが一番好きだから
ニョロニョロ言い過ぎて触手なしの異種姦系が場違いにされそうな気がしてちょっと困る

754:名無しさん@ピンキー
08/09/23 12:53:08 dngh4YDO
そんなことないぜ同士!

755:名無しさん@ピンキー
08/09/23 14:56:28 oqqWA7nV
現状、雑談は単なる穀潰しにしかならないから、自重しようか。
このままだと雑談でスレ一つ終わりそうだ。

756:名無しさん@ピンキー
08/09/23 15:13:58 fyvqKDf4
これを機に、おまいらも雑談でにょろるだけじゃなく
作品でにょろってみようぜ!

という元職人の戯言。

757:名無しさん@ピンキー
08/09/24 05:44:16 UXOJ1ZR9
事後…
異種姦ならまだしも触手ネタ(こと通り魔的事故)だと難しいなあ
発狂堕ち系だとマジ無理

個人的には救出されるもまた襲われてしまい絶望ネタが好きだが

デスパイアの人の妹はすごい好きだ

758:名無しさん@ピンキー
08/09/24 20:13:18 X5fatRWp
雑談自重


759:某SSスレのルール
08/09/25 20:33:11 H31SLIlO
1つ.雑談、スレ違い発言、なり茶の禁止
1つ.作者の邪魔になる展開予想は厳禁
1つ.作者叩きは勿論、過度の馴れ合いは愚者の諸行と知れ
1つ.「投下マダー?」「~なんてSSどうだろう?」等の乞食レスをする案山子頭は規制されてろ
1つ.無理して面白い米をするくらいならまず書くべし

760:名無しさん@ピンキー
08/09/26 00:10:15 AhjHVVSP
要約すると「空気読んでね♪」ですね。分かりました。

761:闇サバトの作者
08/09/26 01:16:11 ncqxQpPq
なんか奇妙なタイミングですが、出来上がってしまったので投下します。
短くしようとしましたが、あんまり減らせませんでした。
ま前回の2/3くらいの長さです。
後今回は【虫系】が登場しますので、苦手な方はNGIDなりスルーでお願いします。
ではでは。

762:闇サバトの作者
08/09/26 01:25:29 ncqxQpPq
 水橋真帆がその夜、女子寮から抜け出して中等部校舎へと走ったのは、ただの偶然だった。
 栗色のセミロングの綺麗な髪と、まだあどけなさを残した顔をキッと固めて、真帆は閉じられた校門を飛び越えた。
「きゃっ……?」
 陸上部で鍛えられているため、アクションに問題はなかったが、人目がないとはいえスカートのまま開脚をしてしまったことに気付く。
 着地に成功した真帆は左右を見回して、ほんの少し頬を赤らめた。
 午後八時過ぎの中等部校舎には、宿直室の明かりがひとつあるだけで、他はほぼ暗闇に閉ざされていた。
(よりによって、やろうと思ってた日に忘れるなんて、あたしもバカだなあ……)
 宿題をやるためのノートを、机の中に置き忘れていたのに気づき、慌てて舞い戻ったのだ。
 せっかく寮の同居人が、難しい問題の答えを教えてくれるのだ。朝でもいいが、別のクラスなので寝坊したら忘れてしまう。
 チェックのスカートをはためかせ、既に日の落ちた校舎の中に忍び込む
 戸締まりはしてあったが、同級生が昨月窓を壊して以来できた秘密のルートを使えは、自分の教室に入れることを真帆は知っていた。
(それにしても、夜の校舎ってどうしてこう不気味なんだろう?)
 そんなことを考えながら、目的のノートを手に入れる。
 急いで校舎を出ようとすると、帰ろうとした出入り口の窓枠に、ふと奇妙な違和感を覚えた。

763:サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:30:21 ncqxQpPq
「やっ……。な、なにこれ……? 気持ち悪……」
 それは虫だった。マカロニほどのピンク色のゼリー状の芋虫のような生き物が、無数に這っていることに気づいた。
 まるでルアーのようでもあるが、それにしてはやけに艶めいていて、生き生きとしている。
「きゃっ!?」
 入るときにいなかったその虫が、ノミのように跳ねて真帆の腕に触れた
 慌てて平手を使って払おうとすると、幼虫はぷちりと潰れて、同色の体液が肌の上に染み出していく。
「いやあっ、もう、何よこれぇ……」
 不快感に涙目になった真帆は、急いで窓をくぐり抜け、中庭に出て―
「えっ?」
 真帆は自分の目を疑い、立ち止まった。
 見慣れているはずの草藪のあちこちに、さっきの幼虫が、コードライトのように点在していた。
 ふとさっき粘液のついた自分の腕を見る。ピンク色の液体は体に浸透し、既に跡形もない。
(何これ……? もしかして、毒でもあるんじゃ?)
 真帆の推測は当たっていた。ただし、それはただの毒ではなく、人の性感を溶かす淫毒であった。
(なにこれ、なんか、体が熱い……)
 突然下腹部のうずきを覚えて、真帆が立ち止まる。その機をついたかのように、大量の虫たちが、真帆に飛びかかってきた。
「いやああぁぁあぁ!?」
 恐怖で我に返った真帆は、体に虫と粘液がつくのも構わず、中庭を突破しようとする。
「誰かぁ、助けてぇ!?」
 ふと、草藪の向こうの街灯の下に、警備員の後ろ姿があった。
 救いと見た真帆は必死に手を伸ばし、その肩に触れた。
「た、助けて下さいっ! なんか変な虫が、いきなり―え?」

764:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:33:53 ncqxQpPq
「…………」
 警備員は振り向かなかった。返事もしなかった。代わりにばさっと、まるで砂細工のように崩れ落ちた。
「え? あ、あああ……」
 疑問が氷解した後、真帆の双眸が恐怖で見開かれる。それは、初めから人ではなく、人型をしたものだった。
 制服の隙間から無数に出てきたのは、白っぽいカブトムシの幼虫にも似た大量の生き物。人の指ほどから、二の腕ほどまでのが、わっと大量に這い出てきた。
「ひ、ひあああああ―!?」
 “それ”が、人の形を模していたことに気づき、真帆は絶叫を上げた。
 この一連の動作で、既に真帆の抵抗意識は崩壊していた。
 すとんと腰が抜けた真帆の上に、ヒタヒタと虫たちが襲いかかる。
 体育座りを崩したような格好の真帆のふくらはぎから太股へ、制服の上と下から虫たちはその膨らみかけの胸まで登ってゆく。
「あ、ああ……んぐっ!?」
 真帆が思い出したように悲鳴を上げようとする。
 だが、首筋か顔にまで到達した人の指二本ほどのぬめった芋虫が、そのさくらんぼのような艶やかな唇を割り、ずるりと口内に忍び込んできた。
(あ、いやあ……)
 その芋虫の頭が亀のように伸び、エラを張って。口腔内をかき回す。まるで、本体そのものでありながら、男性器を模しているように。
 残りのワームは潰れたゼリーと同じピンクの粘液を吐き出しながら、真帆の制服の中を這い回る。
(あああ……、何これ。いやぁ……気持ち悪いのに……)
 ぬるり、ぬるりと、まるでローションを塗った手に愛撫されているような快感と恍惚感が、真帆を襲う。

765:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:36:32 ncqxQpPq
 二匹の芋虫がストライプのスポーツブラの下に潜り込み、未発達な乳房に張り付き捏ね上げると、真帆はぴくんと身震いした。
(はあっ、何これ……、気持ちいいよお……)
 そういう行為は知識としては知っているが、試しに何度か自分でした時とは、比較にならない快楽だった。
 芋虫たちはけして噛みついたりなどはせず、あるときは下着や制服の上から、あるときは張りのある肌をぬめぬめと這い回り、時にはその脚や口吻で、少女を愛撫し、汚していった。
(あ、ああ、やだぁ……。なんか、変になりそう……。嫌なのに、なんで、わたし……)
 真帆の体から完全に力が抜けて、草藪の上に仰向けになる。
 全身を虫と粘液塗れにした真帆の肢体は、煌々とした月明かりを身に受けて、魔性を帯びたように光っていた。
「んっ? ふぐううっ!?」
 太ももを愛撫していたワームがショーツの上から秘裂をなぞり、下着の内側に潜り込もうとしているのを感じて、真帆は我に返った。
(やっ!? そ、そこはあっ……!?)
 陶然としていた真帆が恐怖に目を覚ます。
 弛緩しきった体で最後の抵抗を試みようとしたとき。
「いぎっ!?」
 ずるん、と幼虫が薄膜を破って胎内に呑み込まれた。
 同時に、口を塞いでいた幼虫の先端から、ゼリーのような液体が溢れ、抵抗できないまま喉を落ちてゆく。
 すると、秘芯を貫かれた痛みとショックもすぐに薄れ、全身が泡立つそうな快感に包まれていく。
(はあっ……、な、なんで? 怖いのに、痛いはずなのに……。も、もうだめ、おかしくなる……)
 墜ちる。
 そう思ったとき、小さな足音が聞こえた。
「夜分遅くとはいえ、貴様らも随分と節操のないことだ。こんな人目につく場所で捕食などと」
(……?)
 朦朧とした真帆が見たシルエットは、剣道部の部活帰りの少女だった。
 本来ならば既に部活は終わりの時間であり、通常それはありえないはずだったが、そんな些細な違和感に気を取られている余裕はなかった。
「キシャアッ……!」
 数十匹のワームが、部活帰りの少女に襲いかかったその刹那。

766:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:41:41 ncqxQpPq
「―“レーヴァテイン”」
 大量に飛びかかって来る芋虫たちに動じた様子もなく、少女は腰に帯びていた竹刀袋から木刀で居合いを放つ。
 ただの木刀であったはずのそれは、光を帯びる剣となって、紙切れのように幼虫たちを切り裂いてゆく。
 二秒と持たずに、空中で無数の幼虫は切り裂かれ街灯の光に溶けて消えた。
「あ、うう……?」
 光に反応して、真帆が虚ろな目をしばたたかせると、剣道部らしき少女が、木刀を納めて見下ろしてきた。
「ふむ。発見が遅れて済まなかったな」
 真帆に見覚えはなかったが、一度見れば忘れられないほどの特徴があった。
 強い意志を赤みがかった目に宿した、凛とした少女だった。
「しかし、まだ精神も食われてはいないようだし、問題はないな。すぐに回復するはずだ」
 呟きつつ、弛緩した真帆の体を抱き上げる。そして、虫たちが消滅した辺りに視線を走らせた。
「“ゲート”が見あたらないということは、本体は逃した、か……。まあいい、とりあえずは保護と報告だ」
 呟いて、木刀の少女は黒塗りの携帯電話を取り出した。
「あ、う……」
「大丈夫か? 待っていろ、帰ってから治療する」
「あ、あたしはどうなって……。あ、あなたは……?」
 真帆の問いに、切れ長の目を赤く光らせて、剣道部の少女が答える。
「降魔六式委員会がひとり、門守夕里。だが、君の方は何も覚えておかない方が幸せだ」
 少女が真帆を抱きかかえ、女子寮へと歩き出す。
 その夜はそれ以上何も起こらず、幕を閉じた。


767:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:45:56 ncqxQpPq
***

 学院の敷地外、駅前のカフェテラスの一席で、聖宝学院女生徒の制服が並んでいた。
 つけ加えるなら高等部と中等部、一人はいかにも真面目そうな、縁無しメガネと黒のロングヘアーの少女。
 対面に腰かけているのは、気だるげな顔つきの黒のショート、小奇麗だが目立たなそうな雰囲気の黒髪の少女だった。

 ミナミが目撃した事件の日から、早くも三日が経過した。
 明菜は鬱病ということで一時的に自宅療養にしてもらい、徐々に快方に向かっている。
「結局、明菜は何も覚えてなかったみたい。あんなに酷いことがあったのに……」
 ミナミが呆然と呟くと、小夜音が水の入ったコップに軽く口をつけた。
「それはそうでしょう。サタニックに精神を捕食される過程で、表層の記憶も削り取られますから」
「で、今日はやっと説明はしてくれるのよね?」
 翌日以来、明菜の容態が安定してから、ミナミは真実を問いただす為に図書室に通い詰めた。
 “占いの魔女”たる小夜音は酷く嫌がったが、根負けしてついに話をすることにしたのだった。
「その前におなかが減ったので、何か注文してもよろしいですか?」
 メニューを片手に小夜音がちらりとミナミを見る。
 わざわざ聞くということは、ミナミの奢りという意味だろう。
「いいわよ。でも私、今月厳しいから、お手柔らかにね」
「分かりました。ところで私はチョコレートパフェが好きです。注文は任せます」
「…………」

768:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:47:43 ncqxQpPq
 程なく、二人の席にウェイトレスがやってくる。
 ミナミはメニューを開いてパフェの値段を見る。それなりに高かった。
「ご注文よろしいでしょうか?」
「チョコレートパフェとレギュラーコーヒーを」
 ミナミが財布の中身を思い出しながら、ため息を吐く。
「あ、それとエスプレッソもお願いします」
「……ってえ! ちょっと何勝手に追加してるのよ!?」
 ミナミが慌てて小夜音を睨むと、
「私の飲み物がありませんでしたので」
 平然とした顔で返された。
「…………」
 お金のことで小競り合いをしてる場合じゃない。
 仕方なくミナミは折れることにした。
「で、どこまで話ましたっけ?」
「その、あの化け物は本当に猪川君だったの? それとも―」
「あれは紛れもなく本人ですよ。ただし、現実を捨てて闇に身を落とした召喚師(サモナー)と呼ばれていますが―」
 といいながら懐に手を入れ、
「ところで、これをあなたは覚えてますか?」
 小夜音は真っ黒な鍵を取り出して見せる。
「それは―」
「この鍵を、門(ゲート)と、私たちは呼んでいます。これに召喚師の身を生け贄に捧げることにより、悪魔(サタニック)を召喚します。まあ、化け物への変身プロセスはそんなところです」
「そんな鍵……どこで手に入るのよ?」
「ま、具体的に説明してもダルいでしょうから、まあとある宗教団体から盗み出されたもの、とでも言っておきます。そしてこれは変身アイテムと共に、サタニックの心臓も兼ねています」
「……ってことは、その盗まれた鍵の分だけ敵がいるだけで、増えることはないってこと? 時間さえあれば、あなたたちが倒してくれるってことかしら?」

769:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:50:10 ncqxQpPq
「お待たせしました」
 ウェイトレスがやってきて、注文の品をおいていく。小夜音は無表情のまま、スプーンをどでかいパフェに突き刺した。
「そのはずです……が。もしかしたら今回は、ちょっと事情が違うかもしれません」
「……?」
「気にしないでください。憶測でものを話しても仕方ありませんから」
 パフェのチョコアイスを口に運びながら、小夜音は虚空を見つめる。
「何か気になるんだけど……っと」
 さりげなくミナミはスプーンをパフェに伸ばすが、小夜音のスプーンにガードされ、小さな金属音を立てた。
「…………」
「なんですか行儀の悪い」
 冷ややかな目で見られて、ミナミは呆れつつもレギュラーコーヒーに取り掛かった。
「それにしても、あの化け物たちの目的はなんなのよ? なんで猪川君は変わってしまったのよ?」
「彼らの目的は、破壊と快楽の享受。ただそれだけです。もともとこの門(ゲート)というアイテムは、そういう負の思念を色濃く持つ人間しか扱えないのですよ。ま、あなたみたいな顔も頭もいいリア充には、縁遠い話ですがね」
 パフェを黙々と口に運びながら、小夜音は呟く。
「あの男は、自分の長所が一切無く、周囲に認めてもらえなかった。だからあのように他人に錯覚させ、夢を見せる能力が発現したのでしょう」
 いいながら、“門(ゲート)”と呼ばれた鍵を、懐にしまう。
「彼らはおそらく、ゲートを十数個持ち出した人間から、何らかの形で受け取ったのでしょう。配布者の狙いは、自分の存在を眩ます為、私たちのような退魔の存在から……」
 不思議なことに、喋りながら食べているようには見えないのに、小夜音のパフェはどんどん減っていく。
「そして、学園で精神を喰らいつつなりを潜めて成長し、いずれはこの土地そのものを支配するつもりなのでしょう。私たち対抗組織は、それを食い止めるために動いています」
 言い終えて、小夜音は空になったパフェグラスに、スプーンをおいた。

770:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:54:14 ncqxQpPq
「では、説明は以上でよろしいですか?」
 すぐに立とうとした小夜音を見て、ミナミははっとした。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。その、退魔師みたいな人は、あなただけじゃないんでしょ? 教えてくれれば、協力して―」
 ミナミの縋るような視線を、小夜音はあっさりと受け流した。
「助力を拒むつもりはありませんけどね、無理はしない方がいいですよ? 何せこの学院は中等部と高等部、教師、他係員含めて三千人近いです。
その中のたった十数匹など、私たち降魔六式委員会のメンバーでは、特定しきれませんし、カバーもしきれません。
どちらにしろ、後手になるのは避けられないんですよ」
「……でも、じゃあ事件が起こるまでは、私たちは何もできないわけ、そんなの―」
 小夜音は思い出したように、エスプレッソにミルクとガムシロップを落とし、口元に運ぶ。
「だからああやって細々と探してるじゃないですか? 私は後衛ですから、まともに殴り合うとすぐやられるんですよ。ドラクエとかでいうと魔法使いのポジションです。分かりますよね?」
「いや、あの私、あんまりゲームとかは……」
「……そうですか」
 しばらく沈黙が満ちて、小夜音がエスプレッソをちまちまと啜る音だけが聞こえる。
 ミナミは焦る、何か質問をしなくては。
「じゃあ、つまり、この学院はあなたたちの抗争に巻き込まれたってことなの?」
「どこまで私にケンカを売れば気が済むんですか? 私たちは雇われて対処しに来ただけの者ですよ。ただのお仕事です」
「仕事って、そんなのあるの?」
「年収は八百万ほどですがね。全くもって、割に合わない仕事ですよ」
「ええええっ!? そんなにもらってるの!?」
 椅子から飛び跳ねるミナミを、小夜音はジト目で睨め付ける。
「そんなに、って。むしろ全然割に合っていませんよ。定期的に化け物に犯されるわ、精神崩壊程度で済めばまだいい方で、常に殺される危険だってつきまといます」
「えっ……じゃあ、あなたも……その」
 明菜のように、とその先に続く言葉を、ミナミは告げられずにいた。
「こんな商売を二年も続けていたら、誰だってこうなりますよ。ムツゴロウさんだってそりゃ指をなくすわけです。まあ、私たちの精神耐性は常人の五倍なので、そうそうおかしくはなりませんが。その分長くて酷い陵辱を受ける羽目になります」


771:闇サバト-降魔六式委員会- Ep2 【worms】
08/09/26 01:59:17 ncqxQpPq
「…………」
「では、私も暇じゃないので、そろそろおいとまさせていただくということで」
 飲み終わったカップを置いて、小夜音は立ち上がる。
「ま、待って! せめて連絡先だけでも……! 私の周りに、また誰か被害に遭ったら―」
 逃げてゆく制服の裾をミナミがつかむと、小夜音は侮蔑の目で見下ろした。
「偽善ですね。あなたを特別視して、守って差し上げるつもりはないのですよ。これ以上面倒な真似をするなら、あなたの記憶を飛ばしますよ?」
「……魔法って、そんなこともできるの?」
「私は魔法なんて使えませんよ。あの呪文っぽい喋りはただの命令で、使うのはこの子です」
 小夜音がため息をつきつつ、小脇に抱えていたスケッチブック指でをなぞる。あの魔術の格好でならいざ知らず、普通の制服姿にそれは、全く似合っていない」
「それは―」
「この本、“グリモワール”は他のサタニックを喰らい、その能力を吸収して使用できます。まあ分かりやすくいうとFFでいう“てきのわざ”みたいな感じですね」
「……? 何の話、それ?」
「だんだんあなたと話すのが苦痛になってきました……」
 露骨に嫌そうな顔を見せて、小夜音はエスプレッソを飲み終えた。
「まあ、そんなわけで攻め手は幅広いんですが。その分、後手に回るともろいんですよ。あと、魔力消費も大きいですしね。前回だってあなたを助けなければ、無駄に力を消耗することもなかった」
「でも、だからって……!」
「周囲の索敵、罠感知、サタニック本体の特定と、やることは色々あるんですよ。私が失敗したら、あなたが代わりに倒してくれるんですか?」
「…………」
 そう言われればミナミは口を塞ぐしかない。
「では、そろそろ失礼します。連絡先はさっきの通りですけど、別件ではかけてこないでくださいね」
「ちょ、ちょっと……」
 それだけ言うと、さらりと小夜音はカフェテラスから去っていった。
 後にはただ、伝票とミナミが残された。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch