【忍たま】忍たま乱太郎のエロ小説【落乱】 其の参at EROPARO
【忍たま】忍たま乱太郎のエロ小説【落乱】 其の参 - 暇つぶし2ch76:名無しさん@ピンキー
08/06/18 23:20:33 /Mm/gR/u
しろべ神・・・・・・!!!!6年生をありがとうううううううう

楽しすぎて嬉しすぎて、ほんとに涙でた6年とお風呂とかむさくるしすぎるよ
てゆうかむさくるしさの98%はキモンジだけどな
こへ・仙蔵・伊作・長次・食満だけだったらフーン楽しそうとか思うのになw

こへ→お風呂で口笛・歌・てぬぐいを湯につけてブクブクとかやってそうで楽しい
仙蔵→驚きの色白さに圧倒されそう
伊作→すべって転ばないか心配
食満→背中流してくれそう(保父さん的な意味で)
長次→静かに風呂入れそう

文次郎→なんか急に室温高くなりそう・風呂なのにすいとんの術とかやりだしてuzeeeeeeee!!
てゆうか、銭湯にこういうオッサンいてそう


ところで・・・・・「閨事」が読めない私はしろべだろうか・・。。orz



77:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃2
08/06/18 23:23:34 JJhnYTcl

「厚着先生ー!」
恵々子は正門の前に立っている厚着先生を見つけて、駆け寄ります。
「あれ?恵々子ちゃん、どうしたの?」
厚着先生の隣に立っていた小松田さんが、出張届けを胸に抱えて首を傾げました。
恵々子は小松田さんの質問に答える前に、後ろに隠していた包みを前に差し出します。
「先生、出張なんでしょう?これ、お弁当です!持って行ってください!」
にっこり笑って、無理やり先生の手にお弁当を押し付けます。
「ほう、すまんな。うっかり食堂のおばちゃんから弁当をもらってくるのを忘れて困っていたところだ。
ありがたくいただこう。」
「うふふ、ありがとうございます!お気をつけてくださいねっ。」
頬を赤くすると、恵々子は一回お辞儀をして、来た道を戻ってゆきました。
くの一の制服の、桃色が見えなくなったのを確認してから、小松田さんは怪訝そうな顔をして包みを見ます。
「先生、大丈夫なんですか?」
大丈夫、というのは、もちろん、食べても大丈夫か、という意味です。
なにしろくの一ときたら、実験だ、実習だといって、毒や火薬を仕込んだお団子やオニギリを男子忍たまに食わせようとするんですから。
しかし厚着先生は頬を吊り上げて、包みを小松田さんの顔まで持ち上げました。
「安心しなさい。これは大丈夫だ。」
「ふえ?」
「あの子はなぁ、滅多なことをしない子だからな。」
そういうと、厚着先生は笠を深く被って門を出て行きました。

78:しろべの人
08/06/18 23:39:55 tp+UTC38
>>76
文次郎の98%はむさ苦しさとウザさとキモさで出来てます。
彼のウザい、キモい、暑苦しい、むさ苦しいは褒め言葉。残りの2%誰だw

「閨事(ねやごと)」
閨=寝室。現代で言うセクロス、房事(ぼうじ)とも言う。
因みに閨での語らいは睦言と言うそうです。

昔話の人空気読まずごめんなさい。そしてGJ!

79:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃3
08/06/19 00:13:50 YgLRkWKK
「どうだった?」
教室に残っていたクラスメイトが、戻ってきた恵々子に声をかけます。皆、期待に目をきらきらと輝かせていました。
「ばっちり!情報ありがとうね!」
「よかったー!間違ってたらどうしようかと思っちゃった!」
「どう?ちゃんと毒見した?かんしゃく玉なんか入ってない?」
なんて、ぴーちくぱーちく、わいわいがやがや声を掛け合います。
そりゃあ、そうでしょう。なにしろ、女の子は恋の話が大好き。
誰かが男の子を好きになったと言えば、全力で応援しますし、誰かがひどい目にあったといえば全力で男の子をつぶしに掛かります。
特に、今回の恵々子みたいに、年がうんと離れている上に、教師と生徒なんていう、禁断の関係という美味しいシチュエーションなのですから参加しないわけがありません。
「なんだか、嬉しいな。最初、皆に話すのが怖かったのに。」
恵々子は頬を赤らめて目を伏せます。瞼の裏には、はっきりと、さっき会った厚着先生の姿が焼きついているのです。
「なーに言ってるのよう!こんな障害のある恋、応援しない方がまちがってるわよ!」
しおりは肩を叩きました。
「よーし、じゃあ、早速次回の作戦を立てましょう!」
「おー!!!」
元気の良い掛け声が、教室の中に響き渡りました。

「あらあら、随分と元気がいいわねぇ。」
そんな生徒たちの様子を、山本シナ先生はこっそり隠れながら眺めていました。
初恋に燃える、なんとも可愛らしい、女の子らしいくの一たちの様子がほほえましく、頬を緩めます。
「恋に障害はつき物、っていうけど、恵々子ちゃんの相手は、ちょっと手ごわいかしらねぇ。」
だって、あの厚着先生ですもの。
シナ先生は教本を抱えなおすと、教室の戸を開けました。
「皆さん、何かに盛り上がるのはいいですけど。
 もう、授業は始まってますよ?」
話し声が大きすぎて、始業の鐘の音すら気づかなかった皆は、あわてて席に座りました。

続く


途中で投下ストップしてごめん。

80:竹谷×なおみ 0
08/06/19 01:54:29 DQF0lYSe
いつもロムってるけど、乱交試験五年生の竹谷がすごく良いキャラしてたので、
竹谷となおみちゃんの続きを勝手に書かせてもらいました。
設定はそのまま使わせてもらってます。
エロ無しでギャグでもなく中途半端なラブコメのような…

書いてから気付いたけど、全体的に孫兵(本人は出てこないけど)に失礼な内容な気がしてきた

81:竹谷×なおみ 1
08/06/19 01:56:05 DQF0lYSe
「あ、おーいなおみちゃーん!」
太陽が眩しい昼下がり。青紫の制服を着た忍たまが、暑さを吹き飛ばすかのごとく爽やかな笑顔を振りまいている。
「身体の調子はどう?どっか悪くなってたりしないー?」
「大丈夫です何もないですだからこっち来ないで下さい!」
「酷っ!」
呼ばれた側であるくのたまは、その忍たまの顔を見るとそんな言葉を吐いて塀の向こうに消えた。
塀の向こうは、男子禁制くの一教室である。

くのたまが忍たまに追いかけられる(しかも何の反撃もせずにくのたまが逃げた)という珍しい事態に、
他のくのたまは驚きを隠せなかった。
「…ねぇなおみちゃん…」
「な、何?」
何やら神妙な顔を向けてくる級友に当事者のなおみは、
「あれ誰だっけ?」
「そこかよ!!」
自分にツッコミの才能があることに気付いた。


五年ろ組生物委員会、竹谷八左ヱ門。
実はなおみ自身、あの試験の直前までその存在を全く認識していなかった。
五年ろ組といえば例の名物コンビが有名すぎるし、生物委員といえば伊賀崎孫兵の印象が強すぎる。
いわば、没個性である。

試験の対策を立てる為に五年達を尾けたこともあったが
(ちなみに速攻鉢屋にバレたうえに試験では4人いっぺんに攻められて、手も足も出なかった。)、
やはり没個性。
生物委員らしく生き物は大事にする性格だということがわかったくらいだった。
…その生き物というのがみんなが避ける毒虫や毒蛇だということは、評価してもいいと思うが。

そんな竹谷が試験の後になおみにプロポーズまがいの言葉を言ったのは、五年の中では有名な話だった。
「俺、責任とって君と結婚するわ!」
「「「はぁ???」」」
なおみも心の中ではぁ?とつぶやいた。ついでに「あんたバカぁ?」とかなんとか言いたかった。
疲れ果てた体がそれを許さなかったが。
そこから竹谷が生き物がどうの最後まで育てることが大切だのまくしたてていたが、混乱したなおみには何も聞こえていなかった。
ただ、結婚するんだったらこういうタイプの男の人が安心なんだろうな…とのん気なことを考え、再び意識を手放した。

目が覚めたら医務室の布団の上だった。
全部夢だと思い込むことにして忘れようとしたのに、それ以来ことあるごとに竹谷が接触してくるのだった。

82:竹谷×なおみ 2
08/06/19 01:56:51 DQF0lYSe
噂好きのくのたまにその事が知られていなかったのは、単にみんなが揃って「竹谷?何それおいしいの?」状態だっただけらしい。

(さすがにそれは酷いんじゃないの、生き物を大事にする優しい先輩よ)

口に出しかけたその言葉に自分でもびっくりして、なおみは思わず無言になる。
「なおみちゃん?どうしたの?」
「……ストーカー。」
「へ?」
「この前の試験の相手で、ただのストーカー。」
「ストーカー!?」

びっくりするあまり真逆のことを言っていた。どう考えても一番酷いのはなおみだった。

「面と向かってもう付きまとわないでって言えばいいじゃないの」
「顔…ちゃんと見れないのよ」
「どうして?」
「だって…みんなだってあの試験のあと、しばらく先輩の顔見れなかったでしょ?」
うぐぅ、とほぼ全員が呻いた。数人だけは頭に?マークを浮かべたが。(主にそうこである)
「私はその対象が四人もいる上に、その一人が勝手に歩み寄ってくるのよ!?逃げたくもなるわよ…」
一気にまくし立て、なおみはがっくりうなだれた。

(悪い人じゃないのはわかるけど。)

それでもなおみにとって竹谷は、今学園内で一番会いたくない人物である。




会いたくない人に限ってよく会う、というのは最早お約束ではあるけれど。

83:竹谷×なおみ 3
08/06/19 01:57:44 DQF0lYSe
「何で竹谷先輩がくの一教室の敷地内にっ…!」
予想外の遭遇になおみは体をぐるんと反転させ、そっぽを向きながら叫んだ。
「生物委員会の仕事だよ。先生にも許可とってあるし…連絡とか聞いてない?」
「き…聞いてません…」
今日の授業で忍たま長屋の近くを通るとわかった瞬間、なおみはサボりを決意したのだった。
もちろん仮病。
きっとその授業内で連絡があったのだろうけど、ほかのくの一達はまだ授業中でその連絡がなおみまで届くにはもう少し時間がかかる。
(ああ…私って保健委員に向いてるわね)
不運ってこんなに理不尽なものなんだ、となおみは保健委員会の面々に少し同情した。


いつも冷たくあしらっているにもかかわらず、目の前にいる竹谷は相変わらず笑顔だ。
「なおみちゃん、あれから体の具合とか…大丈夫?」
そしていつもどおり話しかけてくる。これは、いつものやりとり。
「…竹谷先輩、人の心配ばっかりしてどうするんですか。しかもあくまで試験の相手じゃないですか、私なんて」
「へ?」
しかし、答えがいつもと違った。竹谷は間抜けな声を出してそのまま固まっている。
その表情は端から見ると結構おもしろいものだったが、背中を向けているなおみにはわからない。

「だってほら、俺の不注意で子供ができちゃったかもしれないし、君はくの一とはいえやっぱり俺から見たら年下の女の子だし…」
「……」
「生き物は大事にしないとね!毒虫とか毒蛇と同じで!」

何かがぷつんと切れた気がした。

「…っっっ人を虫なんかと一緒にすんなあああああ!!」
「ちょっ…待ってなおみちゃん!そっちは今…」
一瞬でもいい先輩だとか思った自分が馬鹿だった。
この人は私を思って優しい言葉をかけてくれるんじゃないんだ。
ただの生き物としか思ってないんだ。
そう思うと、何だか涙が溢れてきた。

焦ったような竹谷の静止の声も聞かず、なおみはその場から逃げ出した。
もう、声も聞きたくないと思った、

84:竹谷×なおみ 4
08/06/19 01:58:53 DQF0lYSe
なおみは全力で走りながら、涙で歪む視界の端に何やら見慣れない看板を捉えた。
「これ、より、先…き、け、ん…立ち入り禁止ぃ!?」
その文字のすぐ下に『生物委員会』という文字も見えた。
その看板の意味をすぐに察知したなおみは一気に血の気が引くのを感じた。
すでに看板から一丁ほど進んでしまった。
周りの気配に気を配りながら、そろそろと後退する。
慎重に行動しないと、今のなおみは丸腰だ。仮病を使った為、手裏剣などは長屋に置きっぱなしである。

「なおみちゃん!そこから動かないで!」
「せ、先輩!ここここ来ないでくださーい!」
「そんなこと言ってるバヤイかー!すぐ行くから動いちゃダメだ!」
追いついてきた竹谷に驚き、なおみは一歩後ずさりした。


むにゅ


何かを踏んだ。
「いっっっやあああああ!!蛇いいい!!!」
(んでよりによって蛇なの!しかもこれ確実に毒持ちでしょそうなんでしょ!?)
パニクりすぎてなおみの体は完全に固まった。
(あ、蛇がこっち見た。やばい怒ってる…いやああこっち飛びかかってくるううう!)
「なおみちゃん!!」


最後に聞こえたのは、竹谷の声だった。

85:竹谷×なおみ 5
08/06/19 02:00:37 DQF0lYSe
「…あれ?」
「あ、気づいたんだねなおみちゃん!良かった…」
「たけ…や…せんぱ…って何やってるんですかぁ!!」
竹谷がなおみの袴に手をかけようとしていた。
「ちっちがっ…!どこか咬まれてたりしたら大変だから調べようとしただけだから!」
「何が…あれ?そういえば毒蛇は?」
「仕留めたよ。最初は捕獲するつもりだったけど、背に腹は変えられない」
いつのまにかくの一長屋まで戻ってきていた。
蛇に襲われ気絶したなおみを、竹谷が運んできたらしい。

「あの草むらで毒蛇が大量発生してさ、駆除する予定だったんだけど伊賀崎孫兵がゴネてね…
虫獣遁用に捕まえようって話になったんだ。まぁ十中八九孫兵のペットになるんだろうけど」
これも連絡してあるはずなんだけどなーと、竹谷は苦笑した。

「…良かったんですか?そんなにあっさり殺しちゃって…毒蛇だって大切な命なんででしょう?」
「何を言う!いくら大切でもなおみちゃんと毒蛇を一緒にしたり………してるようなこと言ったよな、俺」
「……はい」
なおみが怒って逃げ出した一番の理由をようやく察知したらしく、竹谷は思いきり頭を下げた。

「ごめん。ほんっとごめん。孫兵に影響でもされてんのかな俺…女の子と虫を同等に考えるのはいくらなんでもなぁ…」
「…はい」
「それに、ずっと追いかけ回して迷惑だったよな」
「はい」
「そうはっきり言われるとちょっと傷付く…」
「え、あ、ごめんなさい」
「でも、今回は逃げないでいてくれてるね」
「!」
そういえば、なおみが逃げずに竹谷と面と向かっているのは珍しい。

「子供の話だとか虫の話ばっかりしてたけど、俺が本当に言おうとしてたのは…」
「え?は、はいはいなんでしょう」

何故か耳まで真っ赤にした竹谷は、言葉を選ぶように口を少しもごもごさせていた。
ずっと鬱陶しくて、嫌っていた先輩が何だか小さく見える。
そんな竹谷のことを、なおみはなんだか愛しいとまで思った。
そして、

「初めて見た時からずっと思ってたんだけど、やっぱりなおみちゃんって…かわいいね」


初めてまともに見た竹谷の顔は、とても優しく微笑んでいた。






お粗末様でした。

86:名無しさん@ピンキー
08/06/19 02:43:25 sHk163Nc
な ん と い う G J

私も5年乱交SSの竹谷の男前さに惚れてたのでかなりワクテカしたよ


87:名無しさん@ピンキー
08/06/19 03:10:53 U2xyO0hY
おおおGJ!!
5年乱交SSのこの二人が気に入ってたからすげー嬉しいよ
最近神作品が投稿されまくりで幸せすぐる
こうなると絵神の作品も見たいと思う欲求も出てくるな
わがままなのは分かってるんだが

88:名無しさん@ピンキー
08/06/19 12:02:51 nZyGO366

ユキちゃんの人…投下してくれないかな

89:名無しさん@ピンキー
08/06/19 17:21:32 BZwQbKPa
絵神の作品を見たいのはやまやまだけど、
絵は文章以上に特徴が出るからなあ
サイト餅の人は身元バレを恐れてなかなか投下してくれないだろうから
絵板やうぷろだを用意してもやっぱり過疎ってしまいそうだな…

ところで早漏で申し訳ないが、次スレのタイトルの【】の中は
【落第】【忍者】の方が語呂がよくない?

90:名無しさん@ピンキー
08/06/19 19:29:17 keulkVat
>>89
忍たましか見てない人もいるからでは?
あ、でもスレタイには忍たまってついてるな。
次スレ立てるあたりにもう一度提案してみては?

91:四郎兵衛×しおり 42
08/06/19 23:05:12 i6Jn31aD
竹谷の人GJ!!
二人とも可愛らしいぞ!!!竹谷カコイイよ竹谷。なおみちゃん可愛いよなおみちゃん。

それでは続きドゾ

夏は夜、月の頃はさらなり。
紫の髪をゆらゆらと揺らし、幸せそうに目を細めながら廊下を歩いている少年が居た。
頬は桜色に染まり、瞳は宙を仰いでいる。
やがて自室に辿りつくと、そのまま扉の所にばたりと倒れこんだ。
それを見るなり、癖毛が目立つ少年が慌てて引き起こす。

「おい数馬大丈夫か?!」
「あ、あははは・・・。のぼせちゃって・・・。」

どうやらさっきまで風呂場に居たらしい。
目を回し、視界は自分のほうをまるで向いてない。
浦風藤内は何処までも不運なこの少年を見やり、憐れみの溜息を吐いた。

「所で、藤内は何してんの?勉強?」

三反田数馬が指を指す方向を見やると、先程まで執筆していた事柄の帳面が開きっ放しだった。
普段予習、復習を欠かさない藤内だが、本日は違う。
勉強も大事だが、もっと面白い事が、今日の昼に振り込んできた。
最もそれは、作法委員長である立花仙蔵のお陰なのだが。

「まあ、勉強と言えば勉強だけどねぇ…。ぐふふ…。」
「…何、また女の子の事??」
「あったりー。二年は組の四郎兵衛の恋を応援する事になったんだー。」

隣でにやにやと不気味に笑う藤内に、少しどころか可也辟易した視線が降り注ぐ。
普段は真面目な藤内だが、如何せん色恋話や女の子絡みとなるとそれを放り出してまで熱中してしまう。
100点よりも、大事なのは女の子にもてることかと突っ込みたい衝動をぐっと飲み込み、深々と溜息を吐く。
真面目なくせに女たらし、どう言った性格だ。
げんなりしてると、ろ組の3人がやって来た。


92:四郎兵衛×しおり 43
08/06/19 23:45:00 i6Jn31aD
緩む頬を元に戻し、よお、と3人に声を掛ける。
見ると作兵衛と三之助はげっそりと肩を落とし、作兵衛に居たっては泥だらけだ。

「作兵衛どうしたの?何か泥だらけだけど。」
「…左門と三之助がウロウロするからだよ。」
「何を言う!私はは組の近道を探そうと。」
「ただ真っ直ぐ行くだけだろ!何でお前迷える訳?!」
「そうだぞ左門。」
「お前が言うな三之助!どっこい方向音痴め!」
「喧嘩するならあっちでやれよー。今取り込み中だぞ。」

言い争いを始めるろ組3人に、藤内が口を尖らした。
軽く謝ると、此処に来た理由を左門が話し始める。
6年から5年の長屋を行き来していたら、丁度四郎兵衛の恋の応援について語り合っていたらしい。
それを聞かされてなかった左門は、途中から出合った三之助に問い詰めた所で、作兵衛に捕まえられた。

「ずるいじゃないか皆、私をのけ者にするなんて!」
「ごめん、悪かった。じゃあ皆で相談しようよ、孫平も呼んでさ。」
「呼んだ?」
「あ、丁度良かった。」

話している最中、い組の孫平がひょっこり顔を出した。
同じ生物委員の竹谷八左ヱ門に事情を聞かされ、今まさに3年生全員で相談しようと言いに来た所だ。
それならば話は早いとばかりに、6年が円を囲み、ちらちらと灯りが灯された部屋で会議を始めていた。

とは言っても、お互い12歳という年齢も手伝って、その提案は実に可愛らしい物。
花を贈る、お茶に誘う、ロマンチストな孫平は、一緒に星空を見る、等案が出された。
左門は迷っても仕方ないと言い、四郎兵衛の所に行こうとして止められた。
ぎゃあぎゃあと騒ぐ3年生の長屋に、教師の怒声が響くのは数秒後だった。


その数十分前、四郎兵衛はぐったりと上せあがり、食満の背中に担がれている。
本当は小平太がやる予定だったのだが、これ以上四郎兵衛の身体に負担を掛けさせてはまずいと判断し、
その申し出を一刀両断したのだった。
上せたのは自分たちの所為でもあるし、自室まで連れて行こうという事になったらしい。
ゆらゆらと揺れる感覚に、四郎兵衛の丸い目が数回瞬く。

「うえ?」
「お、目が覚めたか。悪かったな、あんなになるとは。」
「でも元気だったぞー!真っ直ぐ天井むいグリコ!」
「黙ってようか小平太君。」
「あ、あれ?食満先輩に七松先輩。」

状況が掴めずに、暫く先程の事を思い出していた。
そう言えば自分は風呂場で上せてしまったと漸く思い出せたのか、ごめんなさいと頭を下げる。


93:四郎兵衛×しおり 44
08/06/20 00:23:59 DTDx2V26
「気にするな。原因こいつだから。」
「ひどっ!私はただ感心したんだぞ!四郎兵衛がちゃんと立派な男になってくれて!
確かにまだちっちゃいし一皮剥けた方が」
「いい加減にせんとナメクジ漬けにした後砲弾諸々使うの禁止にするぞマジで。」
「御免なさい言い過ぎました。」

ぎろりと鋭い目が光り、流石の小平太も素直に頭を下げる。
先程も全員に風呂場に沈められたばかりだというのに、全く懲りていない。
お前は発情期の猿かと小一時間問い詰めたい所だが、あいにく今は後輩を背負っている。
渡り廊下を通り抜け、一年生の長屋まで進んだその時、後ろから声を掛けられた。

「食満先輩に七松先輩~、こんばんわ~。」
「時友先輩、どうされたんですか?」
「お、金吾に喜三太。」

ぽてぽてと可愛らしい足音を響かせ、先輩に嬉々として声をかけたのは
1年は組の山村喜三太と、皆本金吾だ。
これから風呂に入るらしく、浴衣を手に持っている。

「ちょっとのぼせっちゃって~。でも大丈夫だから。」
「時友先輩、あまり無理しないで下さいね。」
「…お前、もっと後輩労わってやれ、な?」
「何で哀れみの目で俺を見てるの?!ちゃんと可愛がってるぞ、なあ金吾、四郎兵衛!!」
「は、はあ…。」

元気の無い返答に、どうやら自分は可愛がっているつもりなのだが、振り回されている後輩達にとっては
半分嬉しく、半分迷惑と言ったところで、可也微妙な表情だった。
あれ?と眉を顰めるが理由は解ってないらしい。

「喜三太、お前風呂場にナメ壷を持ち込んでないよな?」
「そんなことしたらなめさん達が死んじゃいますよ~。ぼくは幾ら可愛くても流石にしません!」
「…なら良いんだが。」

安堵の溜息を吐くと、二人はくるりと踵を返そうとした時、金吾に呼び止められた。
明日の天気のことだ。
今夜は満天の星が輝いているが、生憎水無月に差し掛かり、天気はどうなるか解らない。
もしかしたら地面がぬるぬる滑って、穴を掘る時ぐちゃぐちゃのどろどろに濡れてしまうかもしれない。

「穴に入れる時は余り力入れちゃ駄目だぞ、些細な事で壊れるかも知れないからな。」

穴について語るのは良いが、如何せん後輩の目はぼけーっと小平太を見上げている。
湿り気について語っていると、今度は喜三太がナメクジの話をしてきた。
ぬるぬるだの、湿り気だの、濡れてびしょ濡れだの。
ナメクジ好きな後輩に些かうんざりした食満の背中に、「何か」が軽く押し当たっている。
後ろを見ると、四郎兵衛の顔が真っ赤に染まっている。
どうやら今までの会話の中で、色んな想像が頭の中を駆け巡って大変な事になっているらしい。
慌てた食満は、四郎兵衛の様子を悟られない様、一歩ずつ後ろへ下がる。
だが相手は好奇心旺盛な1年生。何かの遊びかと思い、二人は食満を追いかけ様とする。


94:四郎兵衛×しおり 45
08/06/20 00:25:34 DTDx2V26

「お前ら追い掛けるな!遊びじゃない!早くお風呂入って寝なさい!!」

ぐるりと勢い良く身体を捻ったのがいけなかったのか、遠心力が強すぎたのか、
四郎兵衛はずるりと廊下に落とされてしまった。
異変に気付いた喜三太が、食満に問いかける。

「食満先輩、時友先輩の浴衣、どうして膨らんでるんですか?」

あまりにも無邪気で残酷な質問に、3人はそこが氷河期よろしくブリザードが身体を打つ感覚に囚われた。
硬直が解けたのか、食満は光の速さで四郎兵衛を抱え、2年生の長屋へと走っていった。
小平太は、後で教えてやると言い残し、後を追い掛ける。
二人はぽつんと廊下に残されたまま、目的を思い出し、風呂場へ向かう。

本日二度目の元気な状態を後輩に見られ、四郎兵衛は布団の中でうずくまったそうだ。



四郎兵衛受難www



95:ひみつの転校生 田村編
08/06/20 21:54:33 FcXWCEyV
>>68
秘密の人てwアッコちゃんみたいだなw
自分の設定でこんな素敵な文を…!ありがたやありがたや!!
全くもって不快ではないので是非とも続きをわっふるわっふるwww

しろべの人そろそろ四郎兵衛を幸せにしてあげてくれw
ついでに食満も楽にしてやってくれw

昔話の人待ってたぜ!なんか昔話の人の話はねっとりエロで好みだw
パンツ脱いで干して待ってる!

竹谷の人、なんていうか や ら な い か
その後っていいなwいい心の洗濯をしたぜ。

投下ラッシュで追いつけねえwww(性的な意味で)
田村編投下させて頂きます


転校してきてから数時間。
数時間の間に知らぬ者が見れば何があったのかというくらい転校生は男らしくなっていた。
もの凄い形相でがに股で歩いていただけだが。
早々に女性器にローリングサンダー、お口でバキューム、菊門をボーリング…。
「破廉恥学園か。ここは忍術破廉恥学園か。」
ふと近くにあった建物の戸の鍵が外れているのが目に入るやいなや、
今までで一番忍者したのではないか、といわんばかりの静かな潜入をした。
その瞬間の目撃者がいたのであれば、きっと「消えた!」と騒いだであろう。
静かに建物に入った転校生は、窓から光が差し込む場所を頼りに壁を見つけてヨロヨロとその場に向かった。
壁に手をついた瞬間、頭をガンガンと打ち付け始めた。ただただ頭を打ち付けていた。
横に同じような頭を打ち付けた後があったが、転校生は知る由もなかった。
「絶望した!」
そう叫んだ瞬間、後ろで人の声と物音がした。
「!?」
転校生が振り返ると、窓から差し込む僅かな光に浮かんだのは、い組の田村三木ヱ門だった。
気配を消して入ったので気づかなかったのだろうか。
「あ…。確か隣のクラスの…」
と言いかけて、三木ヱ門の尋常じゃない表情に気づいた。
すー…と目線をゆっくり下にやると、三木ヱ門は袴をはいていなかった。
いや、それまではいい。褌も一緒に脱ぎ捨てられており、尻を丸出しにしていた。
いやいや、まだそれまではよかった。
着用物を脱ぎ捨てて生まれたままの姿の下半身の先には、火器が置かれていた。
「あ、あわわ…。」
三木ヱ門は「ついにバレてしまった」という表情で、身動きできずにいたが、
「あわわって…。こっちの台詞だ…。火器の穴って…。」
どいつもこいつもドイツ人、と転校生はその場にガックリとうなだれてしまった。

96:ひみつの転校生 田村編2
08/06/20 21:55:27 FcXWCEyV
「穴が空いてればなんでもいい年頃か…。しかし火器のどこに勃ち所が…。」
「ハルコを馬鹿にするな!!」
さっきまであわわなんて言ってた三木ヱ門が突然吠えた。
「ハルコって…、お前床に『ユカちゃん』とか名前つけてマスかく派?」
「違う!過激な武器を扱わせたら学園一!この田村三木ヱ門は全ての火器を愛し、名付けている!」
火器の銃口にブツをハメたまま三木ヱ門は語り始めた。
「滝夜叉丸みたい…。」
「何!?」
滝夜叉丸という言葉に反応した三木ヱ門はハルコからモノを引き抜いて険しい表情になった。
「私を滝夜叉丸なんかと一緒にして欲しくないな!あんな自慰も知らぬネンネ!」
「あ、やっぱり。」
「ん、何だ知ってるのか。」
「あー。まーな。」
まさかさっき口淫をして一皮剥いたなんていえやしない。ましてや性別がバレてしまう。
適当に話をはぐらかそうとしていたが、ノッて来たのかなんなのか、三木ヱ門は突然
「よし!気に入った!今日は特別にハルコの穴を貸してやる!」

「な、なんだってー!?」

急展開。何を考えているんだコイツは。
遠回しに「俺と穴兄弟になれ」と言っているようなものではないか。
いやいやいや!それ以前に自分が男であろうと火器の穴でなど出来やしない!ましてや私は女だ!
「い、いいよ!三木ヱ門の彼女みたいなもんだろ!?」
と強く断って倉庫を後にしようとしたが、「まあまあ」と袴の紐を捕まれた。
今度は強く結んでいたのでほどける事はなかったが、三木ヱ門は容赦なくハルコを勧める。
「ダマされたと思ってやってみろって!まず先に挿れてだな」
「ちょ、やめ、うああああ!」

説明しながら三木ヱ門の丸出しの下半身は興奮したのか、ギンギンになりはじめていた。
「私とお前の秘密だ!ハルコの穴は本当に最高だぞ!」
そう言って三木ヱ門はついに転校生の袴を引っぺがした。
引っぺがされた転校生の視界はコマ送りのようにゆっくりと流れ、
『私 オワタ 』そう脳内テロップと涙が流れた。
二人で後ろに倒れ込んでしまったが、転校生はただならぬ痛みを感じた。
おそるおそる痛みの場所へ目をやると、ギンギンになっていた三木ヱ門のモノが入っていた。

「本格的に…終わったわ…。」
女として、とか体の事、とか、そんな物は二の次で後輩に囲まれた学生生活を送るビジョンが浮かんだ。
「ど、どこに入って…!?」
「あぁ…。」
涙目で振り返ると、さっき会った時と同じ顔をして三木ヱ門は固まっていた。
「なんたる絶望…。なんたる不運…。これなんてエロゲ?」
なんかもうどうでもよくなってしまった転校生は、今度こそ本気でヤケを起こした。
「…私は風魔の進級試験で潜入操作中のくノ一。バレたらお終いだっけどもうどうでもいいわ。」
すうっと目つきを変える。三木ヱ門の背中に喜三太のなめくじでも這った様な感覚が走った。
「火器と女を一緒にしてもらっちゃ困るわね。女ってものを教えてあげる。」
さっきまでの「男」の顔ではない。艶を帯びた女の顔になった。

97:ひみつの転校生 田村編3
08/06/20 21:56:24 FcXWCEyV
ゆっくりと腰を上に上げると、三木ヱ門は「ぅぁ」と小さく声をあげて顔をしかめた。
上げた腰を一気に三木ヱ門の腹に打ち付けるように下ろすと、また三木ヱ門は声をあげた。
段々とその行動を早めていくと転校生からも艶を帯びた声がもれた。
薄暗い倉庫の中、僅かに差し込む光は二人の結合部分を照らし出していた。
上下する肉厚の尻と濡れた女の穴にギュウギュウに入ったモノを
目の当たりにした三木ヱ門は吐きそうなくらいの快楽を全身で感じた。
響き渡る水音とぶつかる肉の音で二人は酔う。
「もう…出るよォ…っ!」
三木ヱ門が喉の奥から苦しそうに声を出す。
「あん…、も…中に…」


「それと火縄銃が…。」
絶頂寸前。倉庫の戸が開いて誰かが入ってきた。
倉庫の中と外の境界線を挟み、世界の違う者同士の目が合った。
「な、な、な…ッ!?」
「あ…。」
「お、お前…ら…!?」
「あぁ…。」
入ってきたのは教師、土井半助と五年い組の久々知兵助だった。

「何をやっとんじゃお前らああああああああ!!!」

土井と久々知の声が同時に響き渡った。
本日…もう数えまい。もう顔面蒼白回数などどうでもいい。私は留年決定なのだ。
転校生は親指を立て、元気よく笑顔で叫んだ。

「ご一緒にいかがですか!」

98:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:09:01 BwuHCQMk
すごいテンポのよさにハゲワロタ
男前だよ転入生!
四年生全員見事な斜め食い。まさかこのまま
五年生と教師にまで!?
ありがとう感動した!

99:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:09:55 dTSF0an5
初めてリアルタイムで読んだ!!
秘密の人乙&gj!!最後のセリフで吹いたww

しろべの人もgj!!
学習能力のない小平太わろすww





100:四郎兵衛×しおり 46
08/06/20 22:28:50 DTDx2V26
転校生の人GJ!!!!四年制覇おめでとう!!
てwwんwwwこwwうwwwせwwいwww
男前過ぎて腹抱えて笑ったwww俺の水返せwwww


忍術学園の朝は早い。
朝日が昇る前位から起きていて、自主訓練をし始める者も居る。
くの一教室のしおりは、昨夜全くと言って良いほど眠れず、悶々とした夜を過ごしていた。
汗をたっぷり掻いた所為で、熱は何とか下がった物の、心の内は晴れない。
この曇った朝の空の様に、霞が掛かったままだ。
体調もまだ万全でないのに、思いを振り払おうと朝も早く鍛錬に向かおうとしている。

忘れたいのに忘れられる事が出来ない。
自分は気付かない振りを貫き通ていたい。その本当の気持ちを知ったら、四郎兵衛を見れなくなってしまうかも知れない。
それに自分はあんな事をしてしまったのだ。嫌われてしまっても無理は無い。
あの子には、もっと自分なんかより可愛い彼女のほうが相応しい。
そう思いながら髪を結い直し、制服に袖を通す。

「…四郎兵衛。」

誰も居ないのに、ぽつりと名前を呼んでみるも、声はしない。
日々こみ上げる切なさは、胸を締め付け、身体をも疼かせてしまう。
ぶんぶんと頭を振り、勢い良く地を蹴ると同時に、彼女は忍術学園の鍛錬コースへと走って行った。

同時刻、時友四郎兵衛も同じく起床していて、こちらは暇を持て余していた。
ぽてぽてと朝の光を浴びようと庭に出るも、生憎曇り空だ。
顔を洗い、ふと前の方を見ると、くの一教室の誰かが走り抜けて行った。

「…しおり、ちゃん?」

間違いなくあの黒髪はしおりだ。
病み上がりだと言うのに、無理をしたらまずい。しおりを引き戻そうと、その後を追い掛けた。




101:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:43:55 EAL7h/KJ
しろべーの人ちょっと長すぎ。

102:四郎兵衛×しおり 47
08/06/20 22:59:56 DTDx2V26
薄闇の竹林に、霧が立ち込める。
気を抜くと怪我じゃ済まさない。やはり大事をとったほうが良かったのか。
今更引き返す事も出来ず、丁度手頃な木を的に、手裏剣の練習をする事にした。
小気味の良い音が響き、手裏剣も的を外れてはいない。腕は落ちてはいないようだ。

ほっと一安心すると、後ろで小さい物音が聞こえた。
獣かと一瞬警戒し、鶉隠れで身を隠し、その場をやり過ごそうとした。
そっと草陰から覗いて見ると、獣なんかではなく、四郎兵衛がきょろきょろと誰かを探している。

「あの馬鹿…、何してんのよ…。」

さっさと離れて欲しい所だが、全然離れてくれない。寧ろ近づいて来ている。

「しおりちゃーん、どこー?無理しないでー。」

自分を呼ぶ声に心臓が跳ね上がる。
自分の身を案じてくれて此処まで追い掛けて来た事に、喜ばすにいられようか。
気が緩んでしまったのか、小さく頭を上げてしまい、草の動く音に四郎兵衛の身体がこっちを向いた。
足音が止まったと同時に、自分の目の前が明るくなり、四郎兵衛の顔が間近に迫っていた。

「うひゃぁああ!」
「しおりちゃん、無理しちゃ駄目だよー。帰ろうよ。送っていくから。」
「ここここ、来ないでええええ!!!」
「しおりちゃん!?」

手を伸ばす四郎兵衛を振り払い、それこそ某赤白の正義の味方の如き速さで竹林を駆け抜けて行くしおり。
顔は見るも耐えられない程赤く染まり、顔を隠してたのが不味かった。
がくんと身体は下に落ち、そこは深い穴で、ご丁寧に尖った竹まで埋められていた。
幸いにも竹の数が少なかったので致命傷ではないものの、足を怪我してしまい、穴から出られそうも無い。
紅い雫が太ももを伝い、桃色の装束を紅く染める。

「…こんな事なら、拒むんじゃなかった。」

傷の痛さと、胸の奥が切なくて、しおりは穴の中で涙を零し始めた。
どうせ誰も助けてくれない。
四郎兵衛も気付かないだろうと思った矢先だった。

「しおりちゃん!!」

自分を呼ぶ声に上を向くと、そこは四郎兵衛が顔を覗かせていた。
喜ぶ暇も無く、四郎兵衛は穴の中へ入ってきて、颯爽と自分を抱き上げて、穴から引き上げてくれた。
普段のぽやんとした姿からは想像もつかない位で、思わず胸が高鳴った。

しおりを木陰に座らせ、持っていた水筒で傷を洗い流し、布で縛り応急処置をした。
足の他にもあちこち擦り傷があり、四郎兵衛は常備していた傷薬を取り出した。

「…何で、来たの?」

ぽけっとした顔が不思議そうに此方を振り向き、やがて恥ずかしそうに俯いてしまった。
何よ、と素っ気無く答えるものの、もじもじするばかりだ。

「しおりちゃん…、病み上がりだから、心配になって…。」
「あ、あたしに構わないでよ!!」

有難う、と言いたい筈なのに、口は正反対の言葉を放ってしまう。
気付いた時は遅く、また素直になれない自分に嫌気が差す。
どうしてこの子と一緒に居ると素直になれないんだろう。

「あんたがいなくても、あたし自力で登れたんだから!」


103:名無しさん@ピンキー
08/06/20 23:15:13 0Sc0Mrk7
自分は長いとは感じないけどな
しろべの葛藤や二人のもどかしさなんかが可愛いし、甘酸っぱさが何とも言えずwとても楽しく読ませていただいている

文字での応援しかできないけど頑張ってください

104:名無しさん@ピンキー
08/06/20 23:52:01 QCTU709v
>>101
・投下だけでもありがたや、腹に入ればみな同じ。
・名無しは味の濃淡を問わず、品の多少を選ばず、 ただひたすらいただきますだ!

職忍の皆様、GJ&御馳走さまです(-人-)

105:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:08:42 H9r7onvT
しおり×庄左ヱ門の続きまだー

106:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:11:04 ChQ6g7wV
>>103>>104がいいこと言った。

しろべの人、いつも楽しませて頂いてますありがとう。
長編読みごたえあるよ。これからも応援してる。


107:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:54:29 opsaIF7b
長さは気にならない。作品にケチつける気もない。
ただ前の人が投下して一時間もしないのに投下するのは
どうなのかなと思う。
過密スレでもないんだし、そんな焦ることないんじゃないか。

108:名無しさん@ピンキー
08/06/21 01:36:14 D36+9gqB
その考えはわかる。
だけど、四郎兵衛の人や他の職人さん達が投下しづらくなったら、ちょっと、、せっかくの良いスレなんですから、、
携帯から失礼

109:名無しさん@ピンキー
08/06/21 06:29:55 XEQ21P9z
混み合っているときは、仕事の早い保管庫でSS読んでる俺勝ち組。
スレに勢いがあるってのは良いことです。

>ひみつの人
田村wwwちょwwwおまwww転校生の男前っぷりが何か清々しいですな。
続きワッフルワッフル!

>しろべの人
二人の、もどかしくもほんわかする間柄が好きです。
あと6年生の空回りっぷりもニヤニヤさせて頂いてます。
『閨事=子作り』のもんじはそこはかとなく妖精さんフラグが立っているのではと…ん?誰だ早朝かr

110:名無しさん@ピンキー
08/06/21 11:15:32 aNrbNnQA
秘密の人GJ!!
もうどこから笑ったらいいのか萌えたらいいのか分からんwwwww
最後のシーンは私の中で伝説になったよ
本当に楽しませてくれてありがとうwwwww

111:名無しさん@ピンキー
08/06/21 11:16:32 g8Z8U3mG
転校生の男前度に惚れたw
マジで忍たまにこういうキャラほしいな。

それにしても同じ女として、4連発はキツイ…転校生の体が心配だ…
あそこ痛くなってきたお…

112:名無しさん@ピンキー
08/06/21 12:50:46 m29SwtqV
たしかにあまりに長期に渡る連載だと
いいから早く「エロパロ」部分に到達してくれ!!と
思ってしまう気持ちはわからんでもないw

113:名無しさん@ピンキー
08/06/21 14:16:20 W55M+ZkM
わかるww
エロがほしい
もちろん、エロパロ板だからな

114:名無しさん@ピンキー
08/06/21 16:19:08 mCRK1lwv
個人的にはエロは無いなら無いで構わないかな。
楽しめればいいよ。



かと言ってエロが読みたくないワケじゃないww


115:名無しさん@ピンキー
08/06/21 18:07:26 g8Z8U3mG
エロネタ、下ネタが入るとやっぱこのスレにしか投下できないだろうから、
別にガチセクースがなくても忍たまで下ネタ読めれば私幸せだな

じらされプレイもたまらんし。職忍さんに任せる。
よく考えたら忍たま達小学生中学生だしなw


116:名無しさん@ピンキー
08/06/21 18:14:32 3Bfk+k/j
そうそうマターリいこうマターリ

117:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃4の前書き
08/06/21 22:52:23 naaZ00ex
厚着×恵々子の続き投下します。
エロは次回と言うことで勘弁してください。

118:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃4
08/06/21 22:54:10 naaZ00ex
あ、すいません、注意書き。
先生の過去捏造ありです。



厚着先生が出張から帰ってきて、三日経ちました。
今日も恵々子の恋を応援するクラス全員参加の作戦会議が開かれています。
円座になり、お茶とお饅頭をその真ん中に広げて、これがいい、あれがいいと話しをします。
「男は胃袋で掴めって言うじゃない。やっぱりこのままお弁当作戦で行くべきよ。」
「うーん、でもそろそろメニューがワンパターンじゃない?ここは実用品作戦で行きましょうよ。」
なんて喧々諤々している中、恵々子は誰か一人、いないことに気づきました。
「あれ、卯子ちゃんは?」
あちらこちらを見回しても、卯子ちゃんの姿はありません。
お饅頭を半分に割りながら、そうこが答えました。
「卯子ちゃんね、厚着先生の身元調査。」
「身元ぉ?」
一斉に声が上がります。
厚着先生の身元なんて、事務のおばちゃんに言えば表面上のこと、例えば現在の住まいとか、そんなのは簡単にわかることです。
そうこは半分にしたお饅頭の一つを口に入れました。
贅沢にお砂糖を使ったお饅頭は、これでもか!というほど甘く、とろけるようです。
「正確に言うと、なんていうかな。酒癖は悪くないかとか、そんなのを調べに行ったわ。こういうのって、結婚する上で大事よ、やっぱり。」
「け、け、結婚なんて!そんな、私、ただ。」
恵々子は顔を熟した柿みたいに赤くしました。
お付き合いを飛び越えて、いきなり先のことを、しかも自分以外の人に考えられてしまったからでしょう。
「ただ、お付き合いしたいなぁ、とか、そんなこと、考えて。」
「でも結構大事なことよね。賭け事しないとか、女癖が悪くないかとか。」
「お給料は大丈夫かもしれないけどねー。」
「あ、あのさ。一つ、いいかな?」
小さな、恥ずかしそうな声が聞こえます。右から三番目に座っていたみかが、手を挙げながら言います。
「厚着先生って、結婚されて、ないよね?そこからじゃない?」
あたし厚着先生っていまいち知らないのよね……と、最後の部分は松千代先生みたいに、あやかの身体の陰に隠れながら呟きます。
「大丈夫よ。」
恵々子の代わりに、ユキが自信たっぷりに返答しました。
「お付き合いする上で大事なことだもん。ちゃんと調べたわ。」
厚着先生、結婚されてないし、恋人もいないらしいわよ。


119:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃5
08/06/21 22:56:21 naaZ00ex
卯子は池の近くに置かれた火山岩に腰を下ろしてため息をつきました。
これでもう八回目です、いえ、九回目かもしれません。
とにかく、自分でも回数があやふやになるくらい息を吐いていました。
情報収集の第一歩は、聞きやすい相手を選ぶこと。忍者にとっては当たり前のことです。
卯子はもちろん、ちゃんとその手段に倣いました。
まず、厚着先生より年が下すぎる人はだめ。遠慮して聞いていない可能性が高いからです。
ここから、一年生の先生は二人も消えてしまいました。
次に、厚着先生に近しい人。ここに至ると、数は三人ほどになってしまいました。
そして最後に、自分がその相手と話せるかどうか。これが結構重要です。
安藤先生だと、あのくっだらないギャグと毒舌を入り混ぜた話を長時間聞かねばなりませんから、却下。
山田先生はお話しやすいでしょうけど、口を割るかどうかわかりませんし、
うっかり化粧の話をして女装の話題になったら大変です。
そんな取捨選択を繰り返していって、辿り着いた相手が、日向先生でした。
日向先生は厚着先生より年下ですが、同じ一年生の担任ですし、
なにより体育委員会の顧問同士ですから、きっとなにか情報を持っているはずです。
卯子は早速日向先生を探しました。
日向先生は授業がない時は外で日光浴をしていることが多いと聞いていたので、
日当たりの良い場所を中心に探しているとすぐに見つかりました。
先生の隣に座り、卯子はまず、世間話から始めることにしました。
あちらへ曲がり、こちらへ足を向け、時には後退しながら、厚着先生に関わることを聞き出しています。
(酒癖も悪くないし、当たり前だけど、賭け事もされていない。あとは恋人とかいるかどうか。)
悟られないように会話をする、というものはかなり疲れるものです。
話した時間は、おそらくたったの30分ほどだったでしょうが、卯子は額に玉の汗を浮かべていました。
「結婚と言えば、先生方の中でご結婚されていない人っていらっしゃるんですか?」
ほかほかと甘い光は落ちていきます。
こんな力の入った会話をしていなければ、卯子はこの暖かさを晴れ晴れとした気持ちで受け止めていたことでしょう。
「そうだな、若い先生方はまだ子供たちのほうで手一杯だそうだしなぁ。ああ、厚着先生が。」
と、言いかけて日向先生は黙ってしまいました。
「厚着先生、が?」
卯子は慌てて日向先生の方を向きます。なによりも、もっとも重要なことなのです。
くのたまと対照的に、先生はいつもの声で遮った言葉を続けます。
「いや、うっかり話を混ぜてしまっていた。厚着先生はご結婚されていない。」
「あの、混ぜたって、どんなお話とですか?」
「えーと、確か、厚着先生には婚約者が、いたって話とだ。」

120:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃6
08/06/21 22:58:33 naaZ00ex
―どうしよう、こんなこと盛り上がっている皆に言えることじゃないわ。
目を伏せ頬に手を当てて頭を垂れます。
手に入れた情報が重過ぎて、このまま池に落ちてしまうんじゃないかと思うほどでした。
「卯子ちゃん、危ないわよ、そんなに頭を下にしちゃ。」
声をかけられ、背筋を伸ばした途端、バランスを崩して池に落ちそうになりました。
腕をばたばた動かしてなんとか姿勢を保ってから、後ろを振り向きます。
「山本、シナ先生。」
「どうしたの、随分と考え込んでいるようだけれど。」
真っ白い手が、頭を撫でてくれます。包み込むようなその感触は抱え込んだ不安を吸い取ってくれるようでした。
「厚着先生のことでしょ。」
唇を噛んで俯いていた卯子に、シナ先生はずばり指摘します。
驚いて顔を上げると、先生は柔和に微笑んでおられました。
「わかりますよ。くの一教室全体で探っていることは、厚着先生以外の教師にばれています。」
秘密にしていたことがばれてしまい、がっくりと肩を落します。
まあ、目当ての人にはまだ気づかれていないから良しとしましょう。
胸をとりあえず撫で下ろす卯子を見て、シナ先生は更に爆弾を投げてきました。
「恵々子ちゃん、いらっしゃい。」
ええ、と声を上げるまもなく、茂みから恵々子ちゃんが飛び出してきます。
「恵々子ちゃん。」
「卯子ちゃん、話して、お願い。」
目を合わせ、しっかりと手を握って恵々子は願い出てきました。
「好きな人のこと、全部知りたいもの。」
そうなんです。恋って。
どんな瑣末なことであっても、相手のことが知りたくて仕方がなくなるのです。
例えそれが、足が致命的に臭いとか、借金が小国の予算分だとか、
子供が実は五人居て、しかも来年二人生まれるとか、そんなことであっても、です。
それを聞いて、燃え上がるか、それとも醒め上がるかは本人次第なのです。
卯子はじいっと、恵々子の顔を見て、手を握り返しました。
「……わかったわ。」
卯子は岩に座ると、静かに、ゆっくりと、お話を始めました。

121:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃7
08/06/21 22:59:16 naaZ00ex
それは古い恋のお話。
あるところに男が居ました。
男は、暮らしていた村の女と恋に落ち、結婚の約束をしました。
女との暮らしのために、男は一生懸命働きました。
男は腕の良い忍びだったので、仕事には困りません。
ある年の冬、男は仕事に出ました。
この依頼をこなした後、男は忍びを辞めるつもりでした。
それは、二月も掛かる長い任務でしたが、
女との暮らしのために、男はがんばって終わらせ、意気揚々と村に帰りました。
しかし、そこに女は居ませんでした。
男が仕事に出てすぐに、流行病にかかって帰らぬ人になったのです。
墓を参った後、男はすぐに村を出て行きました。
それから男を見たものは誰もいないのです。

沈黙には沈黙なりの音があります。しかし、今、この池の周辺は真の沈黙に包まれていました。
長くて、短い話を終えた後、最初に口を開いたのは恵々子でした。
「……あたし、身を引くわ。」
「そんな!」
いきなりの言葉に、卯子は思わず手に力を入れます。
「だめよ!あきらめたらそこでおしまいじゃない!」
「あたしだって、本当はあきらめたくない。」
でも、と言葉を続けます。
「厚着先生を、そこまで思わせる人に、勝てるかわかんない。」
言葉の塊を吐き出すと、目からぽとぽとと真珠が零れました。
澄み切った空から鳥の声が聞こえてきます。
求愛をしているのでしょうか、いつもと、どことなく違うような気がしました。
「……厚着先生はさっきの話を聞いても、本当に素敵な人。
だって、ずっと昔に亡くなった人を、今でも思っているんでしょう?普通だったら、もう忘れちゃっているのに。
でも、そんな先生が好きになった人は、きっと、あたしよりも、ずっとずっとすばらしい人に違いないわ。
きっと、さっきあたしが言った、恋に勝つとか、そんなこと口にしない人よ。」
「恵々子……そんなこといわないでよ。」
堰が切れた恵々子は、思わず卯子に抱きつきました。堪えていた声が、かすかに零れます。
「恵々子ちゃん。」
じっとその様子を見ていたシナ先生が、恵々子の頭を撫でました。
「ごめんなさいね。でも、貴方にこの話は聞いていてほしかったの。」
「山本、シナ先生……。」
恵々子は今度は、シナ先生に抱きつきます。彼女は生徒の頭を、変わらずに撫でました。
「卯子ちゃんもごめんなさい。」
「いいえ、いいんです。でも、どうして。」
シナ先生は少し目を伏せると、小さく呟きました。
「歪んだ噂を耳にする前に、真実を聞かせたかったの。」
どこかで雨が降っているのでしょうか、冷たい風が、柔らかい若芽を撫でていきました。

122:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃8
08/06/21 23:00:34 naaZ00ex
「厚着先生、ちょっと。」
職員室から出ようとした厚着先生に木下先生が話しかけます。
辺りを窺い、廊下のドン詰まりにある何度の前まで来ると、彼はやっと話を切り出しました。
「実はですな、今度行われる閨房術の試験なんですがな。」
「ああ、来週の。どうかされましたか?」
「はあ、例年通り教員も借り出されるのですがな、
私は抜けたことによって、少し人数が足りなくなってしまったんですよ。」
試験は通常、男子忍たま対くのたまの一対一ですが、一部は一対多数だったり、未婚の教員が相手だったりします。
「なるほど、私にその役を、と。」
「はい。厚着先生さえ良ければなので、強制は致しませんが……。」
厚着先生は口を閉ざします。今まで既婚者でないのに、この試験に立ち会わなかったのは結局のところ自分の我侭でした。
足りないと言う今、それを貫き通すことができましょうか?
「いえ、行いましょう。」
「そうですか。ありがとうございます。」
木下先生は、笑っても怖い顔を明るくしました。
独りになった後、厚着先生は、自分の手を見ました。
あの頃と違い、掌はいよいよ硬く、ひび割れています。
瞳の奥にある、あの手はいつまでも変わらずに白く柔らかいと言うのに。
「無常だな。」
嘲るように唇を吊り上げると、静かにそこから立ち去りました。
静かな陽光が、納戸の戸を照らしています……

123:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃9
08/06/21 23:02:29 naaZ00ex

「以上で試験の説明は終わります。それではおまちかね。くじを引いてくださいね。」
太い竹筒の中に、何本もの竹串が入っているものを渡されます。
顔を少し染めた生徒たちは、一本引いて、ある子はガッカリしたり、ある子はガッツポーズをとったりしています。
恵々子はじっと、自分の番が来るのを待っていました。前だったら、意中の人が当たるように願っていたことでしょう。
(当たってほしくない。でも。)
当たってほしい。二つの気持ちが縮んだり膨らんだりを繰り返して、苦しくなります。
「でも残念ねー、恵々子ちゃん。」
まだ事情を知らないトモミが竹筒を渡しながら言います。
「厚着先生って、これの試験に出たことがないらしいわよ。」
せっかくお近づきのチャンスだったのにねー、と言われ恵々子は軽く笑うと、クジを引いて、名前を確認します。
「……!」

神様というのは、なんという気まぐれを起こすのでしょうか。
恵々子は指を震わせて、竹串を机に置きました。一番下が削られ、真新しい墨で厚着、と書かれたくじを。
最後の一人が引いたのを確認し、ざわめく教室を静めてからシナ先生は声を出しました。
「皆さんクジを引きましたね。試験は一週間後に行われます。それまでに、相手を調査して、対策を採っておくように、以上!」

続く

124:名無しさん@ピンキー
08/06/22 00:26:09 /5QmplNT
昔話の方、つづき楽しみにしてます!ワッフルワッフル

トモミちゃんやユキちゃんの相手が誰になっちゃうのかも気になるぜ

125:名無しさん@ピンキー
08/06/23 13:25:08 EsMTeM+H
閨房術、楽しみ!

兵太夫のからくり部屋を見て、授業として忍たまから拷問を受けるシナ先生を想像してしまった。

126:四郎兵衛×しおり 47
08/06/23 13:27:12 ib3z3LnL
皆さんの厳しくも温かい意見に全俺が泣いた。
何時もグダグダですいません。幸せにするのでマターリ待っててやって下さい。

昔話の人>
温かくも味のある内容、何時も楽しく読ませて頂いています!
恵々子ちゃんの恋、幸せに実ると信じております。

投下

自分の放った言葉は何時も裏だらけ。本当は有難うと言いたいだけなのに。
違うと心の中で強く思っても、言葉に出来ないならば意味が無い。
暫くの沈黙の後、しおりは俯いてしまい、何も言う事ができない。
四郎兵衛は徐に立ち上がり、ぽふんとしおりの頭の上に手を乗せ、優しい手付きで撫で始めた。

「な、何、よ。」
「早く気付いてあげられなくてごめんね。後でぼくの事殴ってもいいから、まずは帰ろう?」
「一人で帰れる…。」
「どうやって帰るの?この天気じゃ何時か雨が振る。余計に体調崩しちゃうよ。」

女の子はもっと身体を大事にしなきゃ、と言うと、呆然としているしおりを背負い
元来た道を歩いて行く。
何処までも優しい馬鹿なんだろう。放っておけば良いのに。
こんな事また言うと、無理矢理にでも付いて来るんだろうな、と思った。

背負われて揺れる背中は、何時もより頼もしく思えて、しおりは密やかにこの時が止まればいいとさえ願った。
こつん、と軽く四郎兵衛の後頭部に頭を付けると、心地よい鼓動が伝わって来た。
今ならば、素直に言えるだろうか。

「着いたよ、しおりちゃん。」

顔を上げると、そこは忍術学園の門。御礼も言えず、時が過ぎてしまった。
門を開けると小松田がサインを求めて来た。
サインした後、しおりを背負ったまま保健室へと連れて行くことにした。
無論、人目も憚らずそのままで。



127:四郎兵衛×しおり 49
08/06/23 13:58:38 ib3z3LnL
すいません48でした。↑

あちこちで刺さって来る視線が痛い。四郎兵衛はそんな事お構いなしに、自分のペースでしおりを運んでいた。
それを、見られてはいけない人物達に見られていると言う事も知らずに。
保健室へ着くと、善法寺伊作が救急箱の整理をしていた。
事情を説明すると、伊作は手馴れた手付きで手当てを始める。
大事に至らなかったのは、四郎兵衛のお陰だろう。

「これなら、完治まで2、3日あれば治るよ。」
「有難うございます、善法寺先輩!」

御礼を言うしおりに、伊作はちょっと、と手を前に突き出す。
二人は意味が解らず首を傾げるだけだ。
優しげに微笑み、そっとしおりに耳打ちをした。

「僕よりも、四郎兵衛君に言ってあげて。…たまには素直に、ね?」

かぁっと顔を赤らめると、伊作はそそくさと保健室から出て行き、二人きりにさせた。
こうでもしない限り、発展はしないだろう。伊作にその思惑があったのかは、不明だが。
水を打った様に静まり返る保健室で、しおりは息を飲んだ。
このまま素直になれなかったら、ずっとこのままの様な気がする。決心した様に顔を上げ、徐に口を開く。

「あ、あの。しろ、べえ。」
「何?」
「あ、あの…。有難う…、あたし…あんな事言ったのに。御免なさい…。」

消える様な言葉が自分でも腹が立つ。
だが四郎兵衛には聞き取れたようで、にっこりと笑顔を作ってくれた。

「しおりちゃんが無事ならいいよ~。」
「あ、あのね!四郎兵衛!あ、あた、あたし…。」

今なら言えそうな気がした。
けれど、女の子としてはもうちょっと雰囲気のある場所での方が良い。
自分が積極的ならば良かったのだろうが、生憎くの一では控えめな部類に入る。
自分に出来る事は、これしかない。多少順番を飛ばすが、鈍感な四郎兵衛には丁度良い。
恋する乙女は、時として大胆になる。

「あ、あの。目を瞑って。」
「うん?こう?」
「あ、有難う。」

混乱していて、最早自分でも制御出来ない位胸の高鳴りが五月蝿い。
そっと目を閉じた四郎兵衛の頬に、白魚のような手が触れる。
口元に柔らかい感触が伝わり、何処か甘酸っぱい。
その感触に目を開けた四郎兵衛は、少し理解に時間が掛かったようだ。

時がゆっくりと流れ、しおりはそっと唇を離した。
自分でも大胆な行動に出たと、まだ心臓が五月蝿い。



128:四郎兵衛×しおり 50
08/06/23 14:19:59 ib3z3LnL
「しおり、ちゃん??」

丸い目はこの上なく見開き、顔を紅葉どころか曼珠沙華を散らしている。
きっと自分の顔もそうだろう。
気付いてしまった気持ちは、ずっと隠して行こうと思っていた。

目の前の少年はひたすら優しく、何処までも純粋で。
それに惹かれてしまった自分の負け。

「…好きです。時友四郎兵衛君。」
「ぅえっ!!?…ぼぼぼ、ぼくも、好き、です。」

穏やかな風が吹きぬけ、曇り空には光が一滴零れる。
どちらかともなく、唇を重ね合い、二人の空間が保健室に立ち込める。

ガタン、という音と共に、保健室の扉が開き、上級生が流れ込んで来た。
今までの雰囲気も全てぶち壊し、二人はお互いの肩を抱いたまま硬直している。

「良かったな四郎兵衛!!おめでとう!!」
「いやはや、私たちの案が台無しになってしまったな。」
「…睦まじき事、実に良き事。」

2年生から6年生までその場で立ち聞きや覗き見をしており、気まずそうにする者、持て囃す者、羨ましがる者様々だ。
水無月の空に虹が掛かり、紫陽花の水玉に光が反射する。
風は何処までも爽やかで、これからの二人を見守っている様だ。

もうじき梅雨の季節が終わり、眩しい夏がやって来る。
幼い二人の恋は、これから始まる――。


一旦此処で終わります。次回からエロ入ると言う事でご勘弁を。


129:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:31:50 eEPaGdv9
しろべの人ー!!待ってた!超待ってた!
のぞき多すぎワロタwwwいよいよエロだとけしからんもっとやれ
楽しみすぐるよ!

130:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:55:40 uLgawXQ6
しろべさんありがとう!!!
もっともっと発展しろwktk

131:名無しさん@ピンキー
08/06/25 21:09:41 Hjx8hJ6m
kyが他スレに本放送の話をしに行ってやがる。
何がしたいのか妙な伏せ字で。
しかも容量一杯で埋められないから板のために放置してなるべく早く落とそうとしているのに。
今日のカキコのせいでまた落ちるのが遅くなるって判らないのか。
それとも自分の言いたいことを書きたいということしか考えていないのか。
だからどこに行っても腐女子は嫌がられるんだよ。

132:名無しさん@ピンキー
08/06/25 21:49:21 JKBH3ah8
とうとう個々にもクマーが…

133:名無しさん@ピンキー
08/06/26 17:42:59 WAumnK2l
???

134:名無しさん@ピンキー
08/06/26 17:51:52 +pUe4bdM
まー当事者が判って恥ずかしい思いすればいんじゃね。
ハイ、ツギー

135:名無しさん@ピンキー
08/06/26 20:41:57 t2T5sGmx
思ったんだが女体化はアウアウだけど男体化はどうなんだろう
見る人から見ればグロに含まれるんだろうか

136:名無しさん@ピンキー
08/06/26 21:11:46 2IxnciNR
原作くノ一ならふたなりでも許せるw

というのはおいといて、
まあ男体化もTSスレに行った方が無難ではあると思う

137:名無しさん@ピンキー
08/06/26 23:04:08 WJ3aA9Fk
実は忍たま百合スレもあるんだね

138:名無しさん@ピンキー
08/06/27 05:38:24 NM2k+sPm
昔、喜三太のナメさん擬人化エロスとか考えたけど、ナメさんの性別のフリーダムっぷりに
結局心の引き出しにしまい込んだ自分が通り過ぎますよ…。

139:名無しさん@ピンキー
08/06/27 07:44:30 o6tha03X
>>138
さあ、今こそ投下の時だ!


自分ネタは思い付いても文才がついていかない…orz


140:名無しさん@ピンキー
08/06/27 10:17:19 L/q/5Slb
男女の絡みでもたとえば女キャラがペニパンで男キャラを掘るような話だと
普通の男女エロからは外れるような気がするんだけど
ここはそういうの投下してもおkなんだろうか…

別に書く予定はないけどなんとなく気になったw

141:名無しさん@ピンキー
08/06/27 17:32:17 cPGcP7jT
ナメクジのセクロスは激しいんだよなw
人間になったナメ菊が喜三太としようとしたら
与四郎にみつかって天然ローションプレイとか読んでみたい。

142:名無しさん@ピンキー
08/06/28 09:05:27 5hgQZC3l
エグい…もはやエロじゃない

143:名無しさん@ピンキー
08/06/28 18:51:42 C1DQgfbC
エロ的な意味でなく気になってしまったじょまいか<ナメクジ

144:宵の恋 1
08/06/28 22:52:40 c1/5R1IF
しろべの人です。
前回の続きと言う事で投下します。相変わらず上級生出張り気味。
なるべく短く纏めます。

水無月も終わる頃、忍術学園はじめっとした熱気に包まれていた。
じりじりと焼ける様に肌を指す日差しは強く、外に居る生徒の額には珠のような汗が光っている。
木陰に入るも、生憎と風は吹いて来ない。げんなりとした様子で、少女は手拭を水に浸している。
冷たい水が心地よく、丁度水浴びには良い季節かも知れない。

「…まだかなぁ。」

周りを見回せども、辺りは若草色の3年生が二人居るだけで、目当ての人影は無い。
日は傾き、朱色に染まった太陽が周りを紅く染め上げる。
軽快な足音を響かせ、一際大きな影に気付き、少女の頬は桃色に染まる。

深緑の制服に身を包んだ少年と、菫色の制服に身を包んだ少年の後に、若草色の制服が引き摺られている。
もう直ぐ来るだろう待ち人を、今かと心躍らせながら手拭を水に浸したり絞ったりと忙しい。
今日は此処まで、と言う元気の良い声に、二人の少年はその場に突っ伏した。
遅れて、小さい影が二つ重なり合い、青い制服の少年が、一年生を背負っている。

「四郎兵衛!!」
「…うえ?」

やがて力尽きてしまったのか、どさっとその場に腰を下ろし、息を整えている所に駆け寄る。
濡れた手拭を、気付のために無造作にそのぽけっとした顔に叩き付けた。
訳が解らず視界が遮られ、手足を蠢かせたが、少しすると気付いたのか手拭で顔を拭き始めた。

「今日もお疲れ様。」
「しおりちゃんありがとー。」

屈託の無い笑顔に、しおりの顔も思わず綻ぶ。傍で見ていた他の生徒は、苦笑するばかりだ。
くの一教室のしおりと、二年は組の時友四郎兵衛。
二人は紆余曲折の末、この間から交際を始めている。

漸くしおりが一歩を踏み出し、くの一教室の中でもその話は盛り上がっている。
男子生徒の方でも例外ではなく、委員会でも委員長の七松小平太率いる6年生が、恋の発展を執拗に聞いてくる。
最も、お互い清い交際で、見ている此方がもどかしくなる様なお付き合いだった。
二人の仲睦まじい様子を、遠目に見ている上級生3人が口を開く。

「しかし良いんですか、七松先輩。あの二人、あれから進展してるんですか?」
「仙蔵によると、この間お茶屋さんに行ったそうだ!」
「何で知ってるんですか?」
「そりゃあ私たちが仲をより深い物にしようと、色々と提案してるんだ!」

豪快に笑い飛ばす小平太を尻目に、滝夜叉丸と三之助は溜息を吐いた。
幼い恋は可愛いもので、見ている此方の心も洗われる様だ。
何もいきなり発展させずとも、まだ幼いのだし、此の侭でも良いのではないか、と思った。
学園一優秀と豪語する少年、平滝夜叉丸。そんな彼も、恋はまだまだ先の様だ。




145:宵の恋 2
08/06/28 23:50:53 c1/5R1IF
夕焼け空が山々を染め、辺りを茜色が包む。
二人は笑いながら今日の出来事を話し合い、汗が引くまで談笑していた。

その和やかな雰囲気の後ろに、六つの影が落とされる。
六年生全員が木陰に隠れ、その様子を見守っている。
にやにやと緩む頬を押さえつつ、次は何が良いのかと早々提案を出している。
お節介とも言える所業だが、こうでもしない限りあの二人は発展しないだろう。
元々しおりは控えめで、四郎兵衛に限っては鈍感だ。

建前は応援と言った形だが、本音は皆面白いからと言う理由らしい。
他の学年も挙って四郎兵衛に提案を持ち掛けてくる。

「仙蔵、この間の二人、どうだった?」
「いやいや、実に可愛らしかったぞ。二人でお互いに食べさせ合ったりしてて。」
「ひゃー。で、その後は?」
「………帰る時、手、繋いでた。」
「うんうん、実に清い交際だ!」

長次、仙蔵の報告によると、仲は順調の様だ。
二人がどうしても気になり、提案を出し合った委員会や学年二人ずつ組んで、その様子を観察しているらしい。
最早これはストーカーの域に達しているのではないか、と食満は疑問に思った。
だが彼自身も何だかんだで楽しんでおり、嬉々としてその出来事を帳面に記し、他の6年生と共同で回している。
(小平太命名『四郎兵衛の恋模様記録日誌(6年バージョン))

「そう言えば、もう直ぐ始まるよね。くの一の…。」
「へ?」

ふと、伊作の言葉に五人が素っ頓狂な声を上げた。
夏の宵に行われる、くの一と5・6年生の合同授業「房術」。もう直ぐ日時が迫っている。
その事をしおりは知っているのだろうか。一抹の不安が、6人に立ち込める。


ぱたぱたとくの一長屋に足音が響く。
自室に居たしおりは、何事かとひょっこりと顔を覗かせた。
そうことあやかとみかが息を切らし、無遠慮に部屋へと入ってくる。

「ちょ、ちょっと三人とも如何したの?!」
「しおりちゃん、落ち着いて聞いてね?」

戸をぴしゃりと閉められ、厳しい面持ちで3人はしおりを囲む。
見るからに大事のようだ。
ごくりと唾を飲み込み、部屋に重苦しい雰囲気が立ち込める。
先陣を切り出したのは、みかの一言だった。

「あ、あのね。2週間後に行われる、房術の授業…知ってる、よね?」
「え…っ?!」

そう言えばシナ先生がそんな事を言ってた気がする。四郎兵衛と遊ぶのが楽しくて、そんな事は上の空だった。
自分の不注意もあるが、迫り来るその授業まで、どうやって過ごすかが問題だ。

しおりはまだ、男を知らない。
くの一とは言え、初めては好きな人とが良いと心の何処かで思っていた。
けれど授業で散らせてしまうのは忍びない。かと言って、四郎兵衛を誘惑するのにも気が引けるし恥ずかしい。
迷うだなんて、くの一失格だとしおりは溜息を吐いた。

「それでね…って、しおりちゃん、聞いてる?」
「えっ?!あ、うん。」
「しおりちゃんって、四郎兵衛と付き合ってるんだよ、ね?した事…ある?」


146:宵の恋 3
08/06/29 00:06:10 c1/5R1IF
あやかの質問に、ぼっと顔が熱くなる。馬鹿な質問をしたとあやかは後悔した。
俯くしおりを見る限り、経験は未だ無いようだ。
同い年ながら清い交際をしているのは、自分達も知っている。
接吻がやっとなのに、閨事なんかしたら恥ずかしさの余り四郎兵衛をぶっ飛ばしてしまうのではないだろうか。
四郎兵衛の方も、見るからに知識も経験も無さそうだ。

「しおりちゃん、先輩とする?」
「…でも…あたし…。」
「じゃあ四郎兵衛?」
「…………………。」
「しおりちゃん!恥ずかしがっちゃ何も始まらないわ!」
「そうよ!くの一はガッツよ!恋も閨事もどこんじょーよ!」
「でででで…でも…。」

二人の言う事も最もだが、女の方から誘うだなんて恥ずかしすぎる。
その事を想像して、益々しおりの顔が紅く染まり、きゃあきゃあと騒いでいる。
純な級友を目の前に、3人は肩を竦めた。

薄暗い行灯の光に、影が4つ落とされる。
5年生の長屋で、竹谷八左ヱ門、久々知兵助、不和雷蔵、蜂屋三郎の4人は腕を組んで唸り声を上げている。
眉間に皺を寄せ、これからの事を如何するべきか悩んでいた。
つい先程の情報で、房術の授業が2週間後に始まるとの事だった。
もうそんな年頃なのかと感慨深い溜息を吐く間も無く、問題が降り注いできた。

「しおりちゃんだっけ?四郎兵衛と付き合ってる子。」
「あの子と当たったら如何する?」
「やるしかないだろ…。でも何か四郎兵衛には悪いなぁ…。」
「四郎兵衛君を優先させるか…それとも授業を優先させるか…。」

雷蔵よろしく文字通り「迷った」4人は、頭を抱えている。
自分は別に構わないのだが、付き合っている二人の事を考えると心が痛む。
何しろ応援して来た仲だ。今までの関係が崩れてしまうかも知れない。
まるで死霊の呻き声の様に、5年長屋に声が響き、通りすがりの生徒達の間で、奇妙な噂が広がったとか。

しおりの相手は誰か。
そしてしおりは四郎兵衛と如何すべきかと悩んでいた。
時が過ぎなければ良いと言う思いとは裏腹に、時間は無情に過ぎて行く。
初夏の夜空に、星が一つ瞬いた。



147:名無しさん@ピンキー
08/06/29 01:20:36 EDT/ZWIb
いいかげんにしろよ、金吾萌え腐女子
あっちに書き込むな
お詫びとかももう良いから
スレ容量の見方も判らない子供はエロパロくるな
専ブラでスレ読んでたら判るもんなんだよ!>スレ容量
だいたいちょっと前のレス読んでたら判るだろ

148:名無しさん@ピンキー
08/06/29 01:43:35 ShKEj0g+
891 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/25(水) 19:57:11 ID:97Sll1Df
ここでなら言える…!
今日の○たま、昔話の人のSSのおかげで、無駄にキラキラしてた金吾に動悸が止まらなかったよ!

ありがとうありがとう新しい世界に開眼しました!

892 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/29(日) 00:55:05 ID:IaPTvU/4
スレの容量ってどうすれば調べられるの?

これか…。

149:名無しさん@ピンキー
08/06/29 01:48:00 c17RAIJ2
うーm
本スレに投下できないSSの避難所として使われる事のあるシチュスレに
SSの感想以外でだいぶたってからそのネタでカキコしに行くのは正直迷惑だからなぁ。
こっちにも宣言されてるんだし。
しかも伏せるあたり嫌な感じだなぁ。
もう行くなよ…。あそこに投下した作家さんだって迷惑だと思うぞ。

150:名無しさん@ピンキー
08/06/29 01:51:16 EnlBL3rC
晒しても全く恥ずかしいと思ってないみたいだし無駄だろう。
腐は迷惑の代名詞みたいだな。

151:名無しさん@ピンキー
08/06/29 10:34:07 sWNT0zm+
あれは腐じゃなくて嫌腐。数字荒らすのに仲間が欲しくて腐のふりしてる。

152:名無しさん@ピンキー
08/06/29 10:44:41 c17RAIJ2
ガーン
吊られた訳か…orz
腐同士の抗争ってキメエ。

153:名無しさん@ピンキー
08/06/29 12:52:17 1MQ4HORx
しろべの人!清すぎてこっちまでムズムズするじゃないかwww
焦らしプレイがうまいな本当に…w

154:名無しさん@ピンキー
08/06/29 15:34:14 N3H2IDTj
>>148のレス、
ひょっとして自演で称賛コメつけたのかと思ってしまった…
さすがに穿ちすぎだよな、昔話の人ごめんw


155:名無しさん@ピンキー
08/06/29 15:46:52 Gvw4GCL2
一生懸命書いてこんなことまで言われて不幸な…
一人のKYで何人が迷惑被ってるんだ。

156:名無しさん@ピンキー
08/06/29 16:23:48 Gu9WsV5u
しろべの人も巻き込まれ不幸ら。GJ

157:名無しさん@ピンキー
08/06/29 19:58:19 vt/YgIeb
154もKYだな。
wつけながら書くようなことじゃないだろ。
失礼すぎ。

158:名無しさん@ピンキー
08/06/29 20:14:43 a3UNEmje
昔話の人が投下しにくくなるのが心配だ・・・
続き楽しみに待ってます!


159:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃10
08/06/30 01:35:40 mXRNQ1e0
居待ち月が明るく、星はすっかり色を無くしてしまった夜。
学園のあちらこちらから、甘い囁きや嬌声や悲鳴が聞こえてくるのは、今日が閨房術のテストの日だからです。
茂みの陰や図書室の本棚の間、忍たま長屋や、はては厠と、試験の場所は個人個人で違いました。
くの一教室の自室が試験会場のユキはこっそり障子を見ました。その方向には、離れを当てた恵々子がいるのです。
(恵々子ちゃん大丈夫かしら?辛くないといいんだけど。)
「ユキちゃん、よそ見してると一気に行っちゃうよ?」
「うっるさい!デリカシーなさすぎ!」
ユキはそう言って、乱太郎の腰に絡めていた足に力を入れてカニバサミをしました。

かすかな声に囲まれ、恵々子は小さく息を吐きます。部屋の中には月光が満ち満ちて、明かりをつけなくてもよいほどです。
だからこそ、恵々子はため息を吐いたのです。
もし、新月だったならば、いえ、曇りだったならば、厚着先生の顔を見なくてすんだのに、と。
そして、厚着先生も自分の顔を見ずに済んだのに、と。
苦しくなった恵々子はそっと体を前に倒しました。ひんやり冷たい床に耳をつけると、廊下が鳴いている音がしました。
この重く低い音は、男の足音です。そして、ここへ向ってくるということは……。
恵々子は身体を起こし、襟を直しました。薄く塗った白粉の匂いが優しく鼻腔を擽ります。
八日前の自分だったら、この状況を嬉々としていたことでしょう。憧れている人に、試験の上とはいえ抱かれるのですから。
むしろ、ここで告白して恋人同士になったり、なんて甘く考えていたかもしれません。
足音が近くなり、障子に影が写ります。恵々子はお腹に力を入れて、背筋を伸ばしました。


160:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃11
08/06/30 01:36:17 mXRNQ1e0
離れへの廊下はぎしぎしと鳴き、そろそろ点検を考える時期に来ているようです。
合図のように、わざわざ音を立てながら厚着先生は歩きました。
試験の一週間前から生徒が調査を始める、と聞いていましたが、その気配は一向にないまま当日になってしまいました。
(まあ、相手が誰であろうと、自分は試験官なのだから関係ないだろう。)
厚着先生は乾いた笑いを浮かべて、障子を開けました。
月の明かりが部屋の隅まで行き届く中、その子は部屋の真ん中に敷かれた布団の前に行儀よく正座をしています。
「先生、よろしくお願いします。」
三つ指を突いて頭を下げると、ふんわりと柔らかそうな髪が肩から零れます。
この声は恵々子のものです。久方ぶりに耳にした恵々子の言葉に、なぜか安心を覚えました。
知っている生徒ならば、少し厳しくしたほうがいいか。教師らしいことを考えながら腰を下ろします。探りあいが始まるか、と思った途端に恵々子が先に動きました。
「先生、これを。」
恵々子は立ち上がり、胸元から帯を取り出すと、厚着先生の目をそれで塞いでしまいました。
「恵々子?」
生徒の思惑がわからない厚着先生は、思わず頓狂な声を出しますが、恵々子は答えてくれません。
自身の油断に舌打ちしてももう遅いのです。真っ暗になった世界では、四つの感覚のみが便りでした。
襟が捲られ、隠れていた肌にすっと冷気が当たります。柔らかいものが首筋に触れ、それはゆるゆると下に下りていきます。
厚着先生は、行動しているであろう恵々子の肩に手を置きました。
おとなしい子だと思っていたが、やはりくの一か。頭にそんなことをぼんやり浮かべていると、柔らかいものが、下腹部に到着します。
細い指が下帯にかかり、ゆっくりと自身が外に出されます。恵々子の息遣いが耳に届き、厚着先生は心の中で小さく笑いました。
(もうずっと、任務でしか使われていないそれを、このくの一は扱い切る事が出来るかな?)
冷え切った柔らかい肌が震えながら男根に絡みつき、緩慢に動き始めます。それは稚拙で、平素ならば満足のいくものではないでしょう。
しかし視覚を奪われてしまったせいか、それはわりとすぐに反応し始めました。
ひくひくと動くそれの先に、指以上に柔らかいものが当たります。どうやら口淫を始めたようです。
ぴちゃり、ぴちゃり、という音の中に、恵々子のくぐもった吐息が聞こえます。
(視覚を奪うとは、なかなか考えたものだ。)
行う方は大胆に出来るし、受ける方は残された感覚がいつも以上に働くせいで隙が大きくなる。
厚着先生はあくまで試験官として対応していました。手を伸ばし、実技が上手く出来た子供を褒める様に、恵々子の頭を撫でます。
張り切ったのか、恵々子は亀頭に唇を押し付けると一気にそれを口に入れます。
さすがの行動に、厚着先生は息を呑みました。久しぶりの口の中はとても暖かく、まるで。
そう、まるで…・…遠い記憶の彼方に放ってしまった……
思い出そうとしても、もう欠片ほどにしか出てこない、顔すらも薄れ始めたあの女の。
「恵々子。」
意識を引き締めると恵々子の肩を掴んで引き剥がします。
白い靄が掛かり始めた頭をふるい、視覚を封じている帯の結び目を解きます。
「お前ばかりが攻めていては仕方がない。私もやらせてもらうぞ。」
暗闇に閉じこもっていた瞳に、今日の月の明かりは毒でした。一瞬視界が真っ白になり、すこうし瞼を閉じてから、厚着先生は目を開けました。
徐々に輪郭を成してゆく世界の中、目の前の恵々子の眸から真珠粒が零れ落ちています。それは次第に数を増してゆき……とうとう一本の川になってしまいました。
「え、え、子?」
手を伸ばすと、恵々子は厚着先生の胸に飛び込みました。先生、先生、と、泣きながら。
ただただ嗚咽する恵々子の背を、先生は撫でることしか出来ませんでした。



161:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃12
08/06/30 01:36:56 mXRNQ1e0
「はい、お疲れ様。」
渡された報告書を持って、シナ先生は笑顔を見せました。恵々子はそれに対し、ただ力なく笑うことしかできません。
結局、試験は不合格。通常ならば、相手を変えての再試験なのですが、今年は問題行動が多発した(結婚の申し込みだとか、穴を間違えたなど)とかで、
不合格理由を考察して報告書にまとめる、というものになったそうです。
(もしかしたら、山本シナ先生は考えてくれたんだろうか)
自分のことを、と恵々子は思いますが、シナ先生はきっと答えてくれないでしょう。
部屋を出た後、恵々子は男子側の方に面している廊下に座っていました。柔らかい日差しの中に、甘い花の香りが混ざります。
「……で、校庭……だ。始め!」
あの人の声が風に紛れて、ここまできました。恵々子はびくん、と身体を震わせると、自分を抱きしめます。
「……先生……。」
(やっぱり、ダメ。……あきらめるなんて、出来ない。)
あの夜の、自分を呼ぶ声が、泣きじゃくる自分の背中を摩ってくれた優しい手が消えてくれないのです。
恵々子は、もう一度、先生、と呟くと膝を抱えて目を閉じました。
厚着先生の声はもう聞こえません。……

その夜、厚着先生は山本シナ先生の部屋を訪れていました。今度の出張の打ち合わせをするためです。
声をかけて了解をもらい、障子を開けた先は、紙の海になっていました。
「えらく大量の報告書ですな。」
苦笑いを浮かべながら、厚着先生は一枚一枚を重ねて整えます。一年は組のきり丸ではありませんが、もったいないですから。
「ええ、私もえらい目にあいましたよ……二本挿しとか。」
「何か言いましたか?」
「いいえ、ちっとも!」
一枚を手に取った瞬間、動きが止まりました。見慣れた名前を厚着先生はじっと正視します。
「あ、もしよかったらどうぞ。恵々子ちゃんだったんでしょう?お相手。」
シナ先生はこちらを見ずにそう言うと、忙しい忙しいと、採点をします。腰を据え、恵々子の報告書を読み始めました。
最初は、きちんとしたものを書こうとしていたのでしょう。女の子らしい丸い文字で、整然とした文章が並んでいました。
しかし、途中から千々と乱れ始め、次第に自分への気持ちの吐露になっていました。
それは若い者に特有の熱さと甘さと、青さを含んだもので、最後の一文字を読み終えた時、厚着先生の額には玉の汗が浮かんでいました。
「……シナ先生。」
読み終えたものを整えると、読むように薦めた人を見ます。しかし彼女は、やっぱり振り向いてくれませんでした。
「若いっていいですわね。」
「……ずるいですな。」
一言を無視して、シナ先生は報告書をとんとん、と音を立てて整えます。
「じゃあ始めましょうか。今度の出張で連れて行く子は……。」
話し合いをしながら、ちらり、と山の頂上に置かれている恵々子のものを見ます。
それは、一見綺麗のようですが、よく見ると皺が入り、汗を吸ったのか波打っていました。
「なにか、おかしいことでも?」
「いいえ、ちっとも。」
くすり、と目の前のくの一が唇を吊り上げたのを、厚着先生は見逃しませんでした。


162:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃13
08/06/30 01:37:38 mXRNQ1e0
空の色はあくまでも青く、日の光は柔らかい鳥の子色をしています。
暖かい、穏やかな昼下がりです。どこからか、鶯の鳴く良い声がしました。きっと、裏に生えている梅の木にいるのでしょう。
「お茶ですよ。」
頬杖を突いて寝転んでいる自分に声がかけられます。
身体を起こし、その人がいるだろう場所を向きます。
「あ……。」
厚着先生は固まります。もう、のっぺらぼうにしか思い出せないその人の顔がはっきりしていたからです。
「どう、私、こんな顔だったのよ。」
その人はそういうと、隣に座りました。声すらも、鮮明に聞こえています。
硬く握られた手に、優しい指が触れました。
「二度と思い出せないと思っていた。」
やっと絞り出した声は上ずり、掠れています。顔を一撫でして、その手を握りました。
「何年も、私のこと、思っていてくれたのね。」
ひばりの声が三回聞こえた後、女は感慨深げに呟きました。
目の奥が熱くなり、視界がぶれますが、何度も擦って正常に戻しました。
二度と、その姿を忘れない為に。
「私はきっと、一番の幸せ者ね。ありがとう。……覚えていてくれて。」
「これくらいしか、できないからな。」
でも、と目の前の人は言います。
「もう、忘れてもいいわ。」
その人は、とんでもないことを言っているのに、満足げに笑っていました。
「好きな人が出来たんでしょ。」
「好きだなんて……ただ、気に掛かっているだけだ。」
「あら、私の時もそうだった。」
白い手が一層白くなっています。体温も、さっきは日差しのようだったのに今では氷のように冷たくなっていました。
「忘れたくない。」
「貴方は真面目な人だから。……いつまでも、囚われてなくていいわ。」
「だって、お前。

お前の傍にいてやれなかった。」

鳥が飛び立つ音が聞こえます。一拍置いて、その人はまた笑いました。
「あら、ずっといてくれたじゃない。私の傍に。」
手が厚い胸板を撫でます。
「今日までずっと、私のことを思っていてくれた。それは、私の傍にいてくれたってことでしょ?」
心の中ではあの日から今日まで、共に暮らしていた。
目には見えないけれど、ずっと隣にいた。
「今度は、あの子の傍にいてあげて。」
「お前は……それでいいのか?」
厚着先生の問いに、彼女は頷きます。その顔は変わらず明るいものでした。
「誤解しないでね。耐えるとか、そんなんじゃないわ。馬鹿みたいに真面目な貴方の手を繋げる人なんて、そうそういないわよ。」
「馬鹿って、お前。」
「そんな人が貴方を見つけてくれたから、私は行くことができるの。」
日差しが強く瞬きました。まるで、迷う者を誘う様に。
「私の代わりなんかじゃなくて、精一杯その人を愛してあげてね。」
その人は静かに立ち上がりました。もう足はうっすらと消えています。
「行くのか。」
「ええ。ありがとう。……さようなら。」
待ってくれ、と手を伸ばした瞬間に


「……あぁ。」
目が覚めました。熱病に罹ったように熱い体を起して、目を塞ぎます。
以前だったら、もうぼんやりとした輪郭しかない彼女の顔が、はっきりと見えました。
「置き土産、か……。」
優しい人だった。
厚着先生は小さく呟いて、一滴を目から落としました。
「ありがとう。愛してい、た。」

続く

163:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃
08/06/30 01:39:12 mXRNQ1e0
中の人です。
次回で最終回です。予告してたよりもエロ少なくてすいません。
むしろリリカルですいません。
むしろおっさんの(略)

次回はがっつり行きたいです。

164:sage
08/06/30 01:58:08 wyeZ1RfC
昔話の人GJ!!
本文もさることながら、さりげに乱交試験とリンクしててすごい!
続きまってます

165:名無しさん@ピンキー
08/06/30 11:50:50 5jE1I3lI
昔話の人に悪いと思うならこっちにかけよ
しかし全く誠意が感じられん。またやるなコイツ。


291 名無しさん@ピンキー sage 2008/06/29(日) 07:19:49 ID:4il+pL8F
ちょっとまて>>891>>892は別人だぞと891本人が誤爆しておく!

まあ、確かにアタマ悪い文章だったのは反省しているが、
関係ないレス繋げたコピペまでネタ元スレに貼るか?
あと容量が501KBまでなの位知ってるよ!

本当、件の書き手さまには申し訳ありませんでした。
元スレの話も楽しみにしてます。

166:名無しさん@ピンキー
08/06/30 12:09:09 UWCCgcTY
>>165
だから釣りなんだろ
これ以上触らないのが賢明だ

167:名無しさん@ピンキー
08/06/30 12:34:15 0bFI3NJh
すごい勢いで厚かましいな。判っていない。>>165
これ以後スルーだな。

168:名無しさん@ピンキー
08/06/30 12:37:37 FVP998C8
昔話の人GJです!お疲れ様です

169:名無しさん@ピンキー
08/06/30 21:08:19 ehPBhTLs
昔話の人GJ!!
泣きそうだったよ自分・・・。
続き待ってます。

170:名無しさん@ピンキー
08/06/30 21:23:06 GfehBBXc
くそ…泣いたぞ昔話の人!
謝罪と(ry

171:宵の恋 4
08/06/30 22:26:19 i8v+0xuu
昔話の人GJ!
不覚にも夜中に泣いてしまったじゃないか…。

続き投下

宵の空は群青に塗られ、空には満点の星が瞬いている。
涼やかな夜風を浴び、寝られずしおりは校庭を散歩していた。
黒髪を風に靡かせ、しおりは月を見上げた。
雲一つない済んだ宵に、月が煌煌と照り映えている。

房術の試験を知らされ、未だ心の内は晴れない。
四郎兵衛に知らせた方が良いのか、それとも知らせずに試験を行った方が良いのだろうか。
どちらにせよ後者は先輩に迷惑が掛かってしまうだろう。生娘が相手だなんて、向こうも戸惑ってしまう。
四郎兵衛に言うとしても、彼は何て言うだろう。はしたないと思われてしまうのだろうか。

「…はぁ…。」

こんな時自分に足りないのは積極さだ。肝心な所で怖気づいてしまう。
散々自分を追い詰めて、やっと紡ぎ出せた想い。
いきなり「抱いて下さい」だなんて言ったら、流石に四郎兵衛も戸惑う。
しおりの心は彷徨い、どんな答えを出せば良いのか解らない。

「…四郎兵衛。」

呟いた言葉は、夜の虚空へと消えていった。


日は無情にも昇り、忍術学園は明けの空に包まれた。
空は何処までも青く、白い雲が泳いでいる。

結局しおりは一睡も出来ず、会計委員長よろしく隈をこさえ、夜を過ごした。
眠たいのに寝れない。この状態が二週間続くのかと思うと、しおりは肩を震わせた。

「しおりちゃん…、大丈夫?」
「…何とか。」

みかが心配そうに覗き込み、弱弱しい笑みを作る。
それがかえって辛そうに見えて、何とも痛々しい。
奥手な級友に何とか良い案は無い物だろうか、頭を捻って案を出している。
数分、みかが目を輝かせながら提案を投げ掛けて来た。

「言葉で言えないなら、手紙なんかどうかな?」
「…てが、み?」
「そう。手紙なら気持ちが伝わると思うし。」
「……そうだ、ね…。やってみる…。」

ふらふらとよろめくしおりをあやかが支え、どうしたものかと溜息を吐いた。
手紙を書くのは良いが、この様子じゃ保健室へ一旦運んだ方が良さそうだ。
一旦休ませてから手紙を書かせよう。
そうみかに伝え、二人はしおりを保健室へと連れて行く。


172:宵の恋 5
08/06/30 22:56:06 i8v+0xuu
場所は変わり、此処は6年は組の長屋。
珍しく食満留三郎は部屋に篭り、朝食も食べずに居た。
その場所に座り、険しい顔をしながら唸っている。眉間に皺を寄せ、元々鋭い目つきが更に鋭くなる。
知らない者が居合わせたら、竦み上がることだろう。

「何でこんな事になったんだ…。」

うああ、と嘆きの声を上げ、ごろごろと床をのた打ち回る。
二週間後に行われるくの一との房術試験。相手が知らされる日にちはまだ先の筈だった。
所が如何言う訳か早々と相手が知らされる事になり、6年生は昨夜、シナ先生に呼び出されていた。

しおりの相手は誰なのか。
皆誰しも、同じクラスの善法寺伊作がしおりの相手を勤めるだろうと思っていた所だった。
だが結果は残酷な知らせで、しおりの相手は自分だと言う事が判明した直後の記憶がない。
どうせなら小平太に変えて欲しいと思ったが、あの体力馬鹿の事だ。彼女に無理をさせるに決まってる。
伊作の不運が感染したんだ、と他のクラスでは実しやかに噂される始末だ。

「食満ー。早くご飯食べろって。」
「うっわあ!!こここ、小平太?!」

不意に背後から声が掛けられ、口から心臓が飛び出そうな位驚いた。
6年生にもなって何やってんだと自分に言い聞かせ、一呼吸置いて小平太を見やる。
当の本人はにこにこと上機嫌で、房術を楽しみにさえしている。
最も、小平太は誰であろうと構いはしないだろう。その能天気さがつくづく羨ましい。

「どうした?ご飯食べないのか?」
「…食べる気力がない…。何でよりによって四郎兵衛の彼女…。」
「仕方ないじゃないか、くじで決まったんだし。」

肩を落とす食満とは対照的に小平太はからからと笑い飛ばしている。
確かに決まった物は仕方ない。だがこれでは寝取る様な気分がして四郎兵衛には申し訳ない。
頭を抱えて悩む食満を困ったように小平太は頭をかいた。
当たった食満は可哀想だと思うが、自分は他の子と行う事になってる。
暫く考え込むと、とんでもない提案が発せられた。

「なあ、いっその事、四郎兵衛としおりちゃんとお前で、3人でやったら?食満が教える係りで。」

ひゅう、と涼しい風が通り抜ける。
刹那、廊下中に叫び声と破壊音が木霊した。扉を突き破り、小平太の身体が宙を舞う。

「何考えてんだお前はああああああ!!!!さっ…三人だなんてっ…、あの子に負担掛かるだろうが!」
「良い提案だと思うんだけどなぁ。じゃ、シナ先生に申し出を…。」
「やめろやめろやめろ!!!!!」

校庭に投げ出された小平太は受身を取り、衝撃を物ともせずに立ち直った。
見事な巴投げで、着地が遅かったら地に穴が開いてただろう。
真っ赤に顔を染め、食満が怒鳴り込んでくる。意に介せずシナ先生の所に行こうとする小平太を、必死で食満が押さえ込む。
その光景に、遠目で見ていた下級生たちが何事だと目を丸くした。


173:宵の恋 6
08/06/30 23:45:06 i8v+0xuu
くの一と5・6年生の房術が2週間後に行われる事など知らない少年、時友四郎兵衛。
相変わらずぽけっと空を見上げていたら、目の前に二つの影法師が身体を包んだ。
見上げる先には、作法委員長、立花仙蔵と、会計委員長の潮江文次郎が立っていた。
い組の二人が自分に直接出向くとは珍しい。何の事かと腰を上げようとしたら、待ったと手を翳された。

「四郎兵衛君、君に大事な話がある。落ち着いて聞いて欲しい。」
「そして、何があっても他言してはならない。良いな?」
「はい…。」

真剣な面持ちで二人は自分の前に腰を降ろし、極力回りに聞こえない様に囁いた。
知らされた内容は、まず第一にくの一と5.6年生で房術の試験が2週間後に開催される。
第二に、しおりの相手が早々と決まった。相手は食満留三郎。

「以上を踏まえた上で率直に問おう。君としおりちゃんは、経験済みか?」
「…………ほえ?」
「…こりゃ経験済みじゃないな…。」

一気に捲くし立てられた所為なのか、それとも理解出来てないのか。
文次郎が簡潔に説明をしてくれて、漸く意味が解ったのか、顔が見る見る内に変色して行った。
紅く染まったり、青く染まったりと見ている分には面白い。

「…あの子はどうなんだ?」
「私に聞くな。…多分彼女もまだだろうな、あの様子じゃ。」
「…お互い未経験、か。」

複雑な表情で四郎兵衛を見やり、深く溜息を吐いた。
微笑ましい事には変わりないが、いずれはお互い通る道だ。それが二人には早まっただけだ。
男女の関係の最も核心に触れられ、四郎兵衛は如何する事も出来ず、ただおろおろとするばかりだった。


保健室へ運ばれたしおりを見るや否や、伊作は颯爽と布団を敷いた。
何時でも患者が来たら寝れる様に、布団は清潔な物に取り替えてある。

「最近、しおりちゃん良く運ばれるね。…何か悩み事かい?」
「いえっ!とんでもないです!!」

穏やかなくせに、時折この人は鋭い。
やはり腐っても6年生なのだろうか、それとも、長年人の世話をして来た貫禄なのだろうか。
悩みなら、言って解決出来る物なら言いたい。けれどやはり男相手だと言い辛い。
見かねたあやかが、そっと耳打ちをした。

「…しおりちゃん、ちょっと恥ずかしいかもだけど…。一緒にお風呂入るのどう?」
「!?!?!?!」
「ああ、御免ね…。でもさ、肌を触れ合う事で、恥ずかしさが紛れるかもよ?」
「ででででで、でもでも…。おおおおお、おふ、お風呂…。」
「きゃあっ?!しおりちゃん!?」

あやかの提案にしおりは言葉も出なかった。
一緒にお風呂に入って背中を流してその後に***…。
ダイレクトな提案にしおりの体温は急上昇してしまい、その場に突っ伏した。
悲鳴が遠くに聞こえた。薄れ行く意識の中、それも良いかも知れない、と頭の片隅に思った。

そして、今宵――。
しおりは動き出す事を決心した。

続。


174:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃14
08/07/02 20:03:54 FPD7hbqv
しろべの人ご苦労様、いよいよかと想うとwktkするぜ
というわけで、最終回です


道を行く旅人の姿は様々で、中には牛や馬もいます。脇に生えている花をつけた野草を眺める人も入れば、無言で目的地へと急ぐ人もいました。
恵々子は前を行く厚着先生の背を、ただ黙って追いかけます。
「出張に行く厚着先生のお供をして欲しい。」
なんて山本シナ先生に言われた時はどうしようと思ったものです。名前を聞いた途端に心の臓が壊れるほどの音を立てていましたし。
(先生はどうして、私に言ったんだろう。)
私のことを知っていたから?それとも……。わからぬままに、恵々子はその広い背を見失わない程度の間隔を開けて歩きます。
出張といっても、堺の福富屋さんに今度授業で使う品々を注文しただけのもので、それはすぐに終わってしまいました。本当に自分が必要なのかと内心疑ったぐらい簡単な仕事なのです。
なぜだかわからず、ぼんやりとした頭で歩いていると、何か柔らかいものを踏みました。驚いて足をどけると。
「危ない!」
厚着先生は恵々子が踏んだそれに小刀を刺します。茶色い、長い蛇です。刃物は頭のすぐ近くに辺り、大きく口を開けると蛇は小さな痙攣をして動かなくなりました。
「大丈夫か?」
刀を抜いて、尻餅をついた恵々子に声をかけてくれます。
「毒のないものだが……噛まれていないか?」
蛇を踏んだ足を触りながら、丹念に調べます。視線が突き刺さって、恵々子はなんだか恥ずかしい気持ちになりました。
「だ、だいじょうぶですっ……ありがとうございます……。」
乱れた裾を直すと、厚着先生の手を借りて立ち上がります。まだ、どきどきと鼓動が煩いのは、蛇のせいだけではないようです。……

その日のうちに学園まで帰れず、二人は茶屋で一泊することにしました。
茶屋の風呂に入りながら、恵々子は厚着先生に触られた足に、丹念に湯をかけます。倒れた時に出来た擦り傷の消毒のためですが、ひりひりと沁みこんで痛みます。
(あの時、先生ちょっと安心してたよね……?)
立ち上がった時、先生は確かに安堵したような表情を浮かべていました。なんだか勘違いしてしまいそうで、恵々子は首を振ります。
(生徒に怪我がなかったからに決まっているじゃない。)
「私」に怪我がなかったから、じゃない。
それはわかっていることなのに、どうしても勘違いしてしまいます。もし他の先生だったら、すぐにそう思うはずなのです。
恵々子は湯から上がり、手早く着替えました。山からの夜風は冷たくて、湯にのぼせたのか、それとも自分の考えにのぼせたのかわからない熱い頭を冷やしてくれます。
なんだか、部屋に帰るのが怖い。
そんなことを感じながら、恵々子は風呂を後にしました。

175:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃14
08/07/02 20:05:54 FPD7hbqv
「ただいま戻りました。」
戸板を開けると、一際涼しい風が迎えてくれます。
目を閉じて風の感触をやり過ごし、恐る恐る開くと銀色の月がまず見えました。
格子を掲げて月見をしていた厚着先生に影が差します。浮き出た陰影に恵々子は思わず息を呑みました。
普段はかっこいい、という言葉が似合う人ですが、今の彼には美しい、という単語の方が当てはまるのです。
「恵々子、戸を閉めなさい。」
ぼんやりと見とれていた恵々子に喝を入れるように厳しい声で言うと、彼女は慌てて戸を閉めます。
その様子が可愛らしく、厚着先生は少し頬を緩めました。
「……。」
戸を閉め終えた恵々子は、視線に気づいてそちらを向きます。
先生が、何かを言いたそうに自分を見つめているのです。
期待させないで欲しい。
柔らかい唇を噛んで、少しだけ視線をずらします。
勘違いをさせないで。
しかしそれでも、眼の気配を感じるのです。
「恵々子。」
空気が動き、音が聞こえました。厚着先生は静かな表情で、手招きをしています。
「こちらに来なさい。もっと、近くに。」
恵々子が言葉通りに近寄ると、厚着先生はゆっくりを話を始めます。
あの、古い、遠い時の向こうに霞んでしまった恋の話を。
そして、この間見た、夢の中の会話を。
最後の一文字まで語り終えた後、先生は震える恵々子の手をとりました。
「……わしは多分、お前を好いている。」
声をかけられ、恵々子は顔を上げます。
好いているというなら、どうしてこんなことを言うの?
恵々子はそんなことを言いたかった事でしょう。
しかし厚着先生は言葉を続けます。
「お前はきっと、あいつの代わりじゃないかと思うかもしれないがそれは違う。
お前に話した全てが積み重なって、今の自分になれた。だから、こそ……聞いてほしかった。」
握られている手に力が込められます。かすかに肩が震えていることがわかりました。
人を好きになるということは難しいことです。
その人の過去も好きにならなければならないからで、現在だけをつまむわけにはいかないのです。
「私が……。」
握り返しながら、恵々子は口を開きます。風呂から出てだいぶ経つというのに、身体は熱いままなのです。
「私が好きなのは、先生です。
でも、その人のことがなかったら、先生はきっと、全く別の性格の先生になっていたかもしれません。」
だから、と恵々子は続けます。喉の奥でどくんどくん、と音が聞こえます。
血管が膨れているのか、圧迫されているような痛みがありました。
「先生の昔も含めて全部好きです。……大好き、です……。」
最後の言葉は痛みに震えて掠れていました。
ぽろり、と涙が零れたのは痛みのせいだけではきっとないでしょう。
厚着先生は恵々子の名前を呼ぶと、ゆっくりと腕を背に回しました。


176:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃16
08/07/02 20:10:27 FPD7hbqv
格子が下げられた部屋の中、恵々子は敷かれた薄い布団の上に寝転んでいました。
「あの、これって。」
目隠しをされ、暗闇の中恵々子は先生の腕を探します。
空に手を彷徨わせ、やっと袖を見つけた途端に唇を吸われました。
「ふぅ……う……。」
かさついた唇は、本来なら心地のよいものではないでしょうが、今の恵々子にそんなふうに感じられませんでした。
柔らかいものが口に入ってきます。歯や上あごを舐めて探っていたそれは恵々子の舌を見つけると、ねっとりと絡み付いてきます。
「ん、ふぁ、あ……。」
唇が離れてた後、口の端から唾液が零れていることに気づきましたが、それを拭うまもなく胸元を開かれます。
硬い指先がいくらか膨らんだ乳房を鷲掴みます。
掌は空気に反して熱を持っていて、目隠しをされているせいで恵々子はその熱さだけで身じろぎしました。
指の間に乳首を挟まれ、ゆっくりと揉まれます。
優しい手つきでしたが時々意地悪するように強くなったり早くなったりするので、恵々子は声を抑えることができません。
「あ……あぅ……う……。」
感覚から、乳首が立ち上がっていることはわかります。
先生はころり、とそれを転がして、口に含んで、先ほどと同じようにころころと舌で遊びます。
片方を舐め回し、もう片方を口に入れると、こちらはかるーく歯を立てます。
痛くて、でもなんとなく気持ちがよくて、恵々子は白い喉を仰け反らせますと、先生は今度はそこに唇を押し当てて音を軽く立てて吸いました。
「ん……。」
こんなとこですらも感じてしまい、恥ずかしくなりますが先生は遠慮しません。
首筋から、鎖骨まで、伝い落ちるように音を立てています。
口の動きばかりに気をとられているうちに、手が足の間に入ってきました。内股を摩り、こちらは上へ上へと昇ってゆきます。閉じようとしますが先生の腕の力のほうが強くて敵いません。
人差し指が膨れかけた実を揺らします。胸の時よりも強い刺激に恵々子は息をつめました。
「……は、……ふぅ……あぁ……。」
指が動く間、口は胸で遊びます。
両方の刺激は心地よく、けれども経験のない(閨房術の時はやらずに終わりましたから)ない恵々子にはちょっときついようです。
次第に喘ぐ声は早く、回数を増してゆきます。
「意外と慣れているな。」
耳元で囁き声が聞こえます。息の乱れた自分と違い、厚着先生はいつもどおりのしゃべり方です。
「自分で触ったことがあるか?」
わしを想って。そう続けられ、恵々子はこくん、と頷きます。素直に答えないと、止められてしまいそうだからです。
「なら、ちょっとばかし、無理をしてもらおうか。」
そう言うと先生は指を実から蜜壷へと移動させます。少し太めの指が、湿り気を帯びてきた中に入ってきました。
「あ、ふと……っ。」
荒れた指の腹で内壁を摩ります。出し入れするものですから、ぐぷんぐぷんとくぐもった音が耳に届きました。
「あ、あ、アぅ……はぁ……ア。」
親指で実を、中指と人差し指(いつの間にか増えていました)で中を弄られ、恵々子はもう降参寸前です。
しかし先生は、丁度いいところでわざと動かなくなるので、達することはありませんでした。
「せん、せ……ヒィ……イカせ……フゥっ……。」
強請っても先生はそれを叶えてくれません。ほどなく、指が完全に離れてしまいました。
「あ、厚着……せん……?」
衣擦れの音の後、足を掴まれて広げられます。
目隠しされているので、詳しいことはわかりません。けれども自分の現在の様子を想像して、恵々子は周知に身震いします。
濡れたその部分に、何かが触れます。


177:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃17
08/07/02 20:10:53 FPD7hbqv
割れ目をなぞり、指で開いた入り口を見つけると、指よりも太くて硬いそれは中に入ってきたのです。
「アアッー!!」
引き連れるような痛みに、恵々子は堪らず声を上げました。
授業で痛いと習っていましたが、まさかこんなものとは。呼吸をして力を抜きますが、ずくずくと入ってくるそれには焼け石に水でした。
「ア、ハ、ウウ、フゥっ……。」
一番太い部分が入り、少し隙間が出来て、でもまたきつきつに満ちてきて……。肌が触れ合うまでの時間が長く感じられます。
「あ……。」
「全部入ったぞ。」
頭を撫でながら先生は言います。確かにそこには、ざりざりとした毛の感触がありました。
「先生……目隠し、解いて……。」
胸板に触れながら、恵々子は懇願します。ここまで来て、先生の顔が見れないのは嫌でしたから。
先生は先ほどと違い、今度はすぐに解いてくれました。
「先生……。」
月明かりの中、やっと見れた先生の顔はとても優しく笑っていました。
手を伸ばして、繋がっている部分を撫でます。きっちりと、根元まで入っていて、恵々子もまた、笑いました。
「では、動かすぞ。最初はゆっくりだが、次第に早くなってくるからな。」
頬を意地悪げに吊り上げると、先生は腰を打ちつけ始めます。
最初は、本当に予告通り緩慢なものでしたが、次第に早くなってゆきました。
「あ、ア、せんせっ、ハン……っ。」
ほんの僅かでも離れないように、身体に足を絡めます。途中で唇が降りてきて、肌に痕を残してゆきます。
恵々子は本当に幸せで、もうこれ以上の幸福はないように思えました。
「せんせ、せんせぇっ、ア、ア、ヒャアぁっ……っ!」
だから、絶頂に達した時、先生が離れないように、しっかりとしがみ付いて、
そのせいで背中に爪を立ててしまったとしても仕方がないことなのです。

178:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃 終わり
08/07/02 20:11:43 FPD7hbqv
春が逝き、夏が去り、秋が果て、冬が散り……
そんなことを五回ほど繰り返したある日、厚着先生は校門の前で人を待っていました。
来年は自分の教え子たちが巣立つ番なのだな、と想うと、今目の前で散ってゆく桜にも感慨が浮かびます。
ふと、塀の隅に生えている花に目が行きました。黄色い、花びらが十重にも八重にもなった花です。
珍しい。そう呟きながら花に触れようと手を伸ばすと、それは煙のように消えてしまいました。
「……。」
黄色い、かすかに残った煙を掴もうとしますが、霧散して掌には何も残りません。
ふと、耳に、あの人の声がかすかに聞こえました。
幸せに、とそんな言葉のような……。
「先生ー!」
ふ、と空を見上げた厚着先生に声が掛かります。卒業証書を持った恵々子です。
「すいません、遅くなって!早く行きましょう!」
「あ、ああ。なあに、今からなら十分間に合うだろう。」
手を握り、二人は歩き出します。これから、恵々子の両親に挨拶に行くのです。


終わり

179:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃 あとがき
08/07/02 20:13:49 FPD7hbqv
しばらく厚着先生がまともにみれなさそうな中の人です。
題名の黄薔薇は、花言葉からとりました(黄色のバラの花言葉はさようなら。ただし諸説あります。
長い話ですいません。今度はギャグっぽい奴でいきたいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

180:名無しさん@ピンキー
08/07/02 22:49:21 +JyqI9ij
ヤヴァイ・・・
泣けるよ!

泣けてエロくて女の子が可愛くて男がカコイイって
最 高 ジ ャ マ イ カ !!

恵々子ちゃんお幸せにw
次回ギャグっぽいの、期待してます

181:名無しさん@ピンキー
08/07/03 08:26:30 57HY5wOS
しろべの人も昔話の人もGJです!

182:宵の恋 7
08/07/03 20:10:05 0cdUESSF
昔話の人GJ!切ない恋、とても感動しました!
笑える話、期待してるぜ


此処は忍術学園のある一室。その部屋は多分誰も知らない。
この部屋に集まっている、6年生以外は………。
もう直ぐ日が沈む頃とはいえ、それでも夜中の部屋の様に薄暗い。
熱気が立ちこめ、額から汗が零れ落ちる。不意に無機質な音がぱたりと止んだ。

「…よし、こんなもんで上出来だろ。どうだ?」
「流石修補のスペシャリストの用具委員長!」
「色合いも完っ璧だ!」

作業が終わり、食満留三郎は手を休めた。
それは皆が賞賛するほどの出来栄えで、小さく拍手が送られた。
後はあの二人をこの部屋に案内するだけだ。
これからの事を考えると、湧き上がる好奇心と期待を隠す事は出来ない。
6人は顔を見合わせると、小さく笑いながら、互いに手を重ね合った。

「…絶対に抜かるなよ。」
「お前に言われるまでもない。成功させるさ。」
「…小平太。」
「必ず成功させるって!此処まで皆やったんだ。」
「うん、やってやろう!」


そう言うと6人は部屋を後にし、それぞれの計画を実行させる為、定位置へと赴いた。



茜色の夕日が沈み、空には夜の蒼が塗られかかっている。
保健室で休養を取り、体調も万全となったしおりは、落ち着きなく庭を歩き回ってる。
多分今が決行の時だろう。級友の後押しのお陰で、一歩踏み出す決心が出来た。
幾度となく応援してくれたりしているのだ。後で必ず恩を返そうとも思っていた。

四郎兵衛は多分遅くなる。その方が都合が良い。
ちょっと抜けているけれど、何時も自分を気遣ってくれる四郎兵衛。
もう決心は付いた。

(あたしのたった一つのこの操…。貴方に捧げます!!)


「あ、えーっと…、しおり、ちゃん?」
「うひゃっ!」

不意に背後から声を掛けられ、その場から飛び上がる。
独り言が聞かれたのだろうか、おろおろしていると「あの、」とまた声が掛けられた。
後ろを向くと、深緑の制服を包んだ6年生が立っていた。
目付きがキツく、短い髷を結っている。

確か用具委員長の食満留三郎だ。
武闘派と名高く、あの潮江文次郎と互角に戦える6年生と聞いている。
だが目の前に居るのは、目付きこそは鋭いものの、何処か人の良さそうな雰囲気を纏っている。

「な、何でしょうか、食満先輩。」
「えーっと、その。ちょっといいかな?」


183:宵の恋 8
08/07/03 20:50:52 0cdUESSF
ばつが悪そうに頭をがしがしと掻き、用件を言い難そうに口をもごもごとさせている。
どうも様子がおかしい。怪訝に見つめるしおりの視線に気付いたのか、はた、と目が合う。

「食満先輩?」
「あ。その、2週間後に房術の試験があるだろ?」
「…はい。」

俯くしおりをちらりと見やり、食満の心臓がずきずきと痛む。
言わなければいけないのだろう。何で俺がこんな事に。そう思うだけで今度は胃も痛くなってきた。
罪悪感に苛まれつつも首を横に振り、言葉を選んでいる。

「試験の相手、俺なんだ…。」
「え?!」

放った言葉に、しおりは目を丸くさせている。だから言いたくなかったんだと思いつつも、次の言葉が出て来ない。
嫌な予感がしつつも、口を開こうとしたその矢先。

「しおりちゃーん、お待たせ~。」

その場面に何とも気の抜けた言葉が聞こえて来た。
後ろを振り向くと、泥まみれになった四郎兵衛が、ふらふらと歩いている。
この様子だとまた振り回されたらしい。四郎兵衛を見るなり、食満は頭を下げた。

「四郎兵衛すまん!!しおりちゃんの試験の相手、俺なんだ!!」
「…知ってます。」
「え?」
「立花先輩と潮江先輩に聞きました~。」
「嫌じゃないの、か?」

そう言うと、四郎兵衛は下を向き、うーんと考え込んでいた。

「…決まった事なら…仕方…ないです…。」

それは消えそうな言葉だった。疲れの所為もあるのだろうが、顔はとても悲しそうで見るに耐えない。
御免な、と小さく謝ると、首を小さく横に振る。

ばつの悪い空気が流れ、しおりはただおろおろするばかりだ。
取り敢えず二人になりたい、そう思い四郎兵衛の手を引いた。

「食満先輩報告有難うございました!!それじゃ2週間後お願いします!!」

手を取った後に、電光石火の如き速さで四郎兵衛を引っ張って行った。
力が強いのか、四郎兵衛は宙へと浮いている。
その後姿を見つつ、食満は草叢へと目配りをした。
ぎりぎりと目付きが吊り上り、仙蔵と文次郎はすまん、と笑った。



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