【忍たま】忍たま乱太郎のエロ小説【落乱】 其の参at EROPARO
【忍たま】忍たま乱太郎のエロ小説【落乱】 其の参 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/06/13 11:51:13 rf4oCpEv
おおお!1乙!
今スレもたくさんの職忍さんがきますように!

3:名無しさん@ピンキー
08/06/13 12:03:28 ts65FvPJ
いちおつ!
職人さんも乙!
まとめサイトの人も乙!仕事早いなー

4:名無しさん@ピンキー
08/06/13 19:26:10 CkG784q3
いちもつ!
昼間立てようとしたら規制で立てられなかったから助かった

5:四郎兵衛×しおり 29
08/06/13 20:57:06 8qGMByJM
いち乙、しろべの人ですノシ
スレ立て記念に一発ぶちかまします。

>>4
いちもつとは破廉恥なwww


火薬倉庫の中は、何時も独特の匂いが立ち込めている。
薄暗がりの中に、じりじりとした日光が差し込む。中は熱気で包まれ、ぽたりと一滴の汗が落ちた。

「ねぇ兵助君、そろそろ終わりにしようよ…。俺もう暑くて…。」
「教えて欲しいって言ったの斉藤じゃないか…。」
「でも兵助君顔から湯気でてるよ。」

忍者としても一際目立つ金髪からぽたぽたと汗が流れ落ちる。
4年は組の斉藤タカ丸は、同じ委員会である久々知兵助に、火薬の扱い方を教えて貰っていた途中であった。
久々知は快く承諾し、まずは見るより実際に経験したほうが良いと考え、先程から二人で火薬室に篭っている。
中が異様に暑かったのは、久々知の誤算であった。
まさかここまで熱気に包まれるとは思わず、
その暑さは例えるなら真夏の炎天下の中で激辛ラーメン早食い競争と言った所か。
考えただけで余計に体温が上がる気がした。

「っもう限界!!俺外に出る!!」
「あ!こら…って、俺も無理!!!」

暑さに耐え切れなくなった二人は、目的も忘れて外へと飛び出す。
火薬庫の外は、打って変わって爽やかな風が吹いており、火照った身体には心地が良い。
暫く涼もうとその場に腰掛けると、池田三郎次が息を切らしながらやって来た。

「丁度良かった!タカ丸さん、久々知先輩!」
「三郎次君。どうしたの?」
「そんなに慌てて、何かあったのか?」
「いえ!僕の事じゃなく、友達の様子が変なんです!!」

僕たち二年生だけじゃ解決出来なくって、と付け加えると、二人は顔を見合わせた。

「良いよ、俺達で良ければ。」

にっこりと二人は笑いかけると、三郎次の顔に笑みが浮かぶ。
有難うございます!と元気良く頭を下げ、事の次第を説明した。


6:四郎兵衛×しおり 30
08/06/13 22:01:10 8qGMByJM
「ふんふん、その四郎兵衛が何か様子が変、か。」
「…………。」
「うーん、何でそうなったのか解ったら苦労しないよな、ごめん。」

大よその原因を聞かされ、タカ丸と久々知はメモを取りながら順を追いながら思案を巡らせている。
先程から珍しくタカ丸が押し黙り、真剣に考えていた。
そう言えば忘れがちだが15歳、この中では一応最年長だ。

「タカ丸さん、何か思い当たることでもあるんですか?」
「あ、んー。ついこの前、四郎兵衛君とくの一の子とちょっとあったじゃない?多分その事かと思うんだけど。」
「四郎兵衛がその事とどんな関係があるんだ?」

タカ丸は何となく感づいている。
忍術学園の情報の速さはとんでもない。四郎兵衛の様子が変なのも、多分くの一絡みだろう。
感慨深そうにため息を吐くその様は、普段の彼とは違った、大人びた姿だった。
その様子を解らず、只三郎次はきょとんと見ているだけで、久々知は首を傾げるばかりだ。

「斉藤、どうしたんだ?」
「んー、強いて言うなら『振仰けて若月見れば 一目見し 人の眉引思ほゆるかも』…かなぁ。」
「………タカ丸さん、意外と博識なんですね…。」
「うん。俺も以外。」
「二人とも酷いなぁ。」

三郎次は歌の意味は解っていたが、何故四郎兵衛に関連するのかは解らないでいた。
久々知はその歌の意味と、四郎兵衛が何故様子がおかしい事の意味が解り、
そしてその二つの答えをいとも簡単に当てたタカ丸に、ただ感嘆の溜息を吐くばかりだ。

「四郎兵衛、上手くいくと良いな。」
「うんうん、じゃ、協力しようよ。兵助君。」
「はあっ!?」
「だって兵助君だって解ったんでしょ?尚更だよ。」

いや、と口篭る久々知に、有無を言わせない満面の笑みが帰ってきた。
わかった、と肩を落とす久々知と反対に、何故か意気込むタカ丸。

三郎次は、ただぽかんと二人を見つめるばかりだった。




7:しろべの人
08/06/13 22:02:30 8qGMByJM
睡魔に現在進行形で襲われますた。
歌の意味はまた後ほどノシ

8:名無しさん@ピンキー
08/06/14 00:01:54 oxCJTWbI
1さん乙!いくいくどんどーん!
まとめサイトの人も愛してる。

職忍さんたちもいつもありがとう!

近々こんなものを書いてみたい。
塹壕プレイ…?

URLリンク(www.uploda.org)

両キャラファンの方すまん。

9:名無しさん@ピンキー
08/06/14 00:05:56 oxCJTWbI
1乙!いくいくどんどーん!
まとめ職忍も愛してる。
このエロ忍術学園だいすきだよ。

近々こんなものを書きたい…
塹壕プレイ…?

URLリンク(www2.uploda.org)

ファンの人すまそ。

10:名無しさん@ピンキー
08/06/14 00:07:50 nXrMvZGI
二重ごめん…!

11:名無しさん@ピンキー
08/06/14 00:17:33 izyFOzlm
いちおつ!!
しろべの人も早速GJ!!
続き待ってます。
そして>>8に期待。

12:転校生の人
08/06/14 01:26:50 thLu2XOL
>>8
塹壕プレイだとけしからんもっとやれ!
綾部編で似たシーンが出ちゃうけど許して下さいorz

13:名無しさん@ピンキー
08/06/14 08:34:37 /oJQ5pKO
>8
何の画像だ?もう落ちてるから別のとこに再うpしてくれー

暫壕プレイとは確かにけしからん!
綾部の人も待ってます

14:名無しさん@ピンキー
08/06/14 20:40:36 nXrMvZGI
>13
うぉ、再うpするほどのもんでもないけど・・・

URLリンク(bbs.avi.jp)

>11
SSがんがってみます!
>12
綾部で見 た い !裸で待ってます!!!


15:名無しさん@ピンキー
08/06/15 02:45:14 Rr6lPqRG
こへ×ユキ神…!
見たい見たすぎる

16:名無しさん@ピンキー
08/06/15 21:37:17 iMne7V1Q
URLリンク(www7.oekakibbs.com)
こwwwwれwwwwはwwww

17:四郎兵衛×しおり 31
08/06/15 23:28:37 haCpthxU
>>16
けしからん!!!実にけしからん!!!いいぞもっとやれ!!!!

この間の「振仰けて~」の意味は、振り仰いで三日月を見ていると、一目見た
あの人(女の子)の眉引が思い出される。
初恋の歌だそうです。

ちまりとうp

これから一体如何すれば良いのだろうか。
久々知兵助は先程から頭を抱え、うだうだと悩んでいる。
あの二人と別れ、いざ後輩の恋の応援をしようにも、如何したら良いのかが検討も付かない。
自身、まだそんなに人の恋路の相談に乗ってやれるほど経験豊富でもない。
うああ、と搾り出すような溜息を吐くと、その場に突っ伏した。

「どうした久々知、んな所に居ると、毒蛇のじゅん子にやられるぞ。」

頭上からする声に空を切り裂いたような悲鳴を上げ、久々知はその場から飛び退いた。
顔を向けると、ぼさぼさの癖毛を靡かせた、5年ろ組、竹谷八左ヱ門が立っていた。
どうやらまた3年い組の伊賀崎孫兵のペットが逃げ出したらしい。

「どうしたんだ?さっきから百面相して。面白い事になってたぞ。」
「あ…、いや。何でも…。」

流石にこれは言ってはまずいだろう。何せ個人情報だ。
竹谷は人が良いし、責任感も強い。相談役には打ってつけだとは思う。
だが久々知がそれを拒むのは、何だかこれ以上人に話すと大掛かりになってしまいそうな予感がしたからだ。

「何だ?悩みでもあるなら相談に乗るぞ?」
「大丈夫大丈夫何でもないいやいやそんなお前が出る様な事じゃないさ。さあー、今日の食堂のランチは何かなあ?」
「お前さっき食ったろ。」

それは下手な役者が棒読み台詞の様に久々知の口から散弾銃のように迸る。
背中に冷たい雫が伝わって来るのを感じ、それを竹谷に悟られない様にくるりと踵を返す。
が、竹谷本人からすると、何か隠しているのは一目瞭然で、食堂に逃げようとする久々知を引き止めた。


18:四郎兵衛×しおり 32
08/06/15 23:57:24 haCpthxU
それこそ蛇に睨まれた蛙、いや、この場合は焼きそばに絡んだ豆腐と言った所か。
蛇の如きその眼は、久々知を石化していた。
冷や汗が滝の様に流れ、意識が朦朧とする中で、そう言えば図書室で南蛮の妖怪があったっけ。
そう文字が浮かんできたと同時に、ぱたりとその場に倒れた。



忍たま長屋を、涼しい風が吹き抜ける。
烏の濡れ羽色を優雅に靡かせ、じりじりと焼ける様な日差しを物ともせず、
6年い組の立花仙蔵は、作法委員で使うフィギュアを運んでいた。
後ろには綾部喜八郎と、3年は組、浦風藤内もいる。
廊下を歩いていると、綾部が徐に口を開く。

「あ、滝夜叉丸。」

へ?と後ろを振り向く間もなく、綾部と同じ紫色の制服の生徒が目に入った。
そして力強く綾部の肩を掴み、持っている物を落とそうとしてもお構いなしにぐらぐらと揺さぶる。

「どう言う事だ喜八郎!!先程タカ丸さんと出合ったら、四郎兵衛の事を聞かされたぞ!!」
「僕に言われても困るんだけど、ちょっと落ち着いてよ。」

多少くらくらする頭をどうにかして正常に戻そうと、こつんと自分の頭を叩く。
一呼吸置いて落ち着いたのか、滝夜叉丸は切々と話し始めた。
タカ丸いわく、四郎兵衛が今悩んでおり、二年生と相談したが如何にも解らなかった。
そこでついさっき、二年生の三郎次が説明をしてくれて、一緒に考えてる所だ、との事らしい。

「そこで何で僕が出てくるのさ。」
「えぇい五月蝿いっ!!私は気に入らんのだ!!何故私の所に真っ先に相談に来ない!!
この文武両道、成績優秀、完璧な平滝夜叉丸を差し置いて!!!」
「だから何で僕に当たるの。」
「お前が四郎兵衛の様子に感づいていそうだったから!」
「何のこっちゃ。」

二人を我関せずといった風に、仙蔵と藤内はその様子を見ている。
何やら面白そうな予感がし、にやりと吊り上り気味の瞳を光らせ、口は弧を描いた。
その横で、藤内は何となく同級生が悩んでいた事を思い出している。
ぽんと手を打ち、仙蔵は他の仕事を放り出して、四人の肩を軽く叩いた。

「どうしました?先輩。」
「此処は我々作法委員も協力してやろうじゃないか。面白そうな事になりそうだ。」

これほどまでに無い笑顔を輝かせ、後輩四人を引き連れて四郎兵衛の元へと足を運ぶ。
四郎兵衛はこの時まで、既に色んな人を巻き込んでいる事に気付くはずも無く、左近に連れられ
保健室へと足を運んでいた。

続く


19:名無しさん@ピンキー
08/06/16 00:06:06 Gb5Tagz5
>>16
どこかのサイトからの拾い物か?
本人でないなら消したほうがいいと思う。

20:名無しさん@ピンキー
08/06/16 01:45:29 u73BeKEU
たしかにー。
荒レルゲンになりそうだ

しかし早くね?
スレ立ってから3日しか立ってないのにもう20・・・
ホントwktk!

21:しろべの人
08/06/16 02:28:12 wpQ00rp9
>>19
携帯からでスマソ。自分の家の本から引用したんだが・・・。
その場合はどうなるのでしょうか

22:名無しさん@ピンキー
08/06/16 03:58:25 5clOlr3z
>>16のアドレスにある絵板の絵の話じゃないか?
直リン=どっかのサイトの絵板と繋がっている のだったら、アドレスはっちゃっていいのかよ
ということを言いたいんだと思う

23:名無しさん@ピンキー
08/06/16 07:14:09 +gAHsNTm
>>21
>>19が示している安価は>>16
しろべの人は>>17-18。
貴方のことではないと思いますよ。

24:23
08/06/16 07:17:27 +gAHsNTm
うっかり肝心な事を書き忘れた…、すみません。
しろべの人乙です。
色んな人たちを巻き込んでいってますね…
どこまで広がるのか、続きが楽しみです。

25:名無しさん@ピンキー
08/06/16 07:17:27 uC87/yGG
>>16はどう見ても個人サイトのオエビだよな
せめてうpロダにあげるとかにして(それも本当はよくないが)
直リンは悪意がなくてもやめた方がいい
2に晒されたってだけで最悪閉鎖してしまう人もいる

26:しろべの人
08/06/16 07:39:22 wpQ00rp9
携帯からで失礼。
レス番号を読み間違えてレスしてました。
何やってんだ自分orz

27:名無しさん@ピンキー
08/06/16 08:09:04 oehm2WAq
あそこのサイトはここの職人さんだから閉鎖は無いと思うけど>>16は半年ROMって過去スレも全部読んで出直した方がいい

28:名無しさん@ピンキー
08/06/16 12:57:32 n+gUL4em
お絵書き掲示板とか作ってみる?w
でもまぁ絵師はあまりいないか…。

こへユキの人待ってます!
どう絡ませるのか期待。


しろべの人もいつも楽しみにしてるよー

29:名無しさん@ピンキー
08/06/16 13:55:45 zufIXeJP
>>16です
>>27さんのおっしゃられているとうり、ここの職人の方のサイトなので
いいかと思い、軽い気持ちで貼ってしまいました
不快な気分になられた方、管理人さん、すみませんでした
半年ROMってきます

30:名無しさん@ピンキー
08/06/16 16:04:10 Sv5NKr4U
>>28

…自分、絵師だったりするw
他にも絵師さんいないの?

31:名無しさん@ピンキー
08/06/16 17:42:53 /Aixt8nm
>>28

文章は書けないけど絵なら描けますぞー

32:名無しさん@ピンキー
08/06/16 18:33:05 g7ekKpke
くっ…。
今日のアニメ、絡みは無くとも潮江とそうこちゃんが出てきて無駄にテンション上がっちまったじゃないか!
いいぞもっとやれ!(スタッフ)

結局ぐちゃぐちゃ焼き飯が晩ご飯になった潮江に饅頭あげるといいよ饅頭。

33:名無しさん@ピンキー
08/06/16 18:37:05 QVwNdVI5
そういや、障害物レースのくの一代表はそうこちゃんだったなぁ




文次郎が選手だったらよかったのに

34:名無しさん@ピンキー
08/06/16 19:27:11 n+gUL4em
なにぃ、アニメにきもんじとそうこちゃんとは!
見れなかった自分は負け組。もんじカッコイイよもんじ。

絵師さんもいるみたいだね!オエビか何か設置してみようか。



35:名無しさん@ピンキー
08/06/16 21:08:42 7fEd0mqy
今日のアニメ見損なった
潮江とそうこが出たって ちょ マジですか

再放送はいつですかえねちけぇぇぇ

36:ユキちゃんの人
08/06/16 21:18:27 Sv5NKr4U
いちおーサンプル的な
URLリンク(b.pic.to)
こんな絵でよかったら^^

37:四郎兵衛×しおり 33
08/06/16 22:11:49 g9fAoe7P
>>36
わわわわわっふるううううう!!!!あ な た が 神 か
もう最高だよハァハァ(*´Д`)
自分も描きたいが、他の絵師様を見てハァハァしときますノシ

続き投下


長屋の廊下を、青い制服に身を包んだ少年が二人歩いている。
一人の少年は顔は青ざめ、何処か落ち着き無く目を空に彷徨わせている。
四郎兵衛は左近に連れられ、保健室の主、又は不運の申し子、保険委員長の善法寺伊作の所へと案内されていた。
保健室へ行くのはこれが初めてな訳は無く、寧ろ委員会の都合により何度もお世話になっている。
だが、四郎兵衛はこの悩みを伊作に言っても良いのだろうか、
そして軽蔑されないかとどんどん不安の渦に飲み込まれ、早くもその瞳には涙が浮かんでいた。

「大丈夫だよ、きっと先輩なら聞いてくれる。」
「……うん。」

ぽんと肩を叩き、四郎兵衛を安心させる様に同じ速度で歩いてゆく。
左近が丁度保健室の戸に手を掛けようとした時、濃淡の緑の制服を来た少年が4人と鉢合わせになった。
その4人とは、四郎兵衛と同じ体育委員会に所属する、無自覚方向音痴こと3年ろ組、次屋三之助と、同じクラスの富松作兵衛。
後ろには委員長の七松小平太と、何故か用具委員長の食満留三郎まで居る。

「先輩、どうしたんですか?」
「良かった!丁度四郎兵衛に用があったんだ!!探したぞー。」

にこにこと屈託の無い笑みを浮かべ、四郎兵衛の頭を乱暴に撫でる小平太。
事情を三之助が説明すると、今度は左近が思い悩む。
二人のほうが良いのか、それとも先輩方にも相談に乗ってもらった方が良いのか。
自分が悩んでいても、それは四郎兵衛が決める事だ。
そう思い、こっそりと四郎兵衛に耳打ちをする。

「四郎兵衛、先輩方にも聞いて貰う?」
「………そうする…。」
「よし、先輩方、どうぞ中へお入りください。」
「すまないな、こんなに一気に押しかけて。」

気遣ってくれる左近に、何故か申し訳ない気持ちになり、4人を代表して食満が謝辞を述べる。
案内され中へ入ると、善法寺伊作が胡坐をかき、薬を調合していた。

「あれ?何か今日は人が一杯だね。何処か怪我でもした?」

穏やかな笑みを浮かべ、薬を調合していた手を止めて、5人と向き合う。
ふと伊作と目が合い、四郎兵衛は気まずそうに下を向いてしまった。

38:四郎兵衛×しおり 34
08/06/16 22:47:45 g9fAoe7P
「いやいや、怪我はしていないぞ!今日は私達と、四郎兵衛の悩みについて話あブルァッ!」
「もうちょっと包んで話そうか七松君。」

いきなり話題の確信に触れる小平太を、何処から取り出したのか砲弾で殴って沈めておいた。
どくどくと額が割れ、保健室の床を血に染めている。
その横で3年生二人はガタガタと震えている。この時彼らはこう確信した。
あまり用具委員長を怒らせてはならない、と。

「え、と。今朝から四郎兵衛の元気が無くて…。それで俺達が先輩達に聞こうって話に…。」

もそもそと気まずそうに三之助が口を開く。始まりは今朝、四郎兵衛とすれ違った時だった。
事の次第を話すと、伊作は合点が言ったように大きく頷いた。
そしてにっこりと笑みを浮かべ、四郎兵衛と向き合う。

「大丈夫、四郎兵衛君は何処も悪くないし、おかしくない。寧ろこれは一つ成長した証なんだよ。」

伊作の言葉を聞き、5人は顔に安堵の笑みを浮かべた。
が、四郎兵衛だけは何か腑に落ちないようで、また下を向いてしまった。

「…でも、ぼくはどこかおかしいんです…。先輩の言う様に、成長したのは嬉しいんです…。けど…。」
「…けど?良いよ、話してご覧。誰も君を責めたりはしない。」
「…………………。」

そう肩を優しく叩くと、四郎兵衛を囲む先輩達は、ゆっくりと四郎兵衛の言葉を待つ。
やがて暫くすると、ぼそぼそと言葉を紡ぎ始めた。

「ぼく、昨日からもやもやして、胸が苦しくて…。くの一の子の事を考えると、苦しくて…。
でも、今までこんな事無くて…。それで…、昨日お風呂場でその子の裸を見てしまってから…、何だかおかしいんです。」

四郎兵衛はなおも言葉を続ける。
まるで熱に浮かされたように、その言葉の本流は止まる事を知らない様子だった。

「その子が足を滑らせて、ぼくが支えようとしたら一緒になって倒れちゃって、気付くとその子に叩かれて
ぼくは雨に濡れると風邪を引くかもしれないと思って追いかけたら、大嫌いって言われて…。何だか凄く悲しくて…。」

うんうん、と伊作達6年生は只何も言わず相槌を打つ。
四郎兵衛を誰も悪くは思わない、寧ろその様子さえ微笑ましいものだ。

「…ぼく、ぼく、昨日の夜からあそこから変などろどろしたものが出てきて…。
それで止めようとしたらあの子の事が浮かんで……っ…う…、うわああああああああああん!!!!」

まるで湯気が立ちそうな位に顔を紅潮させ、息を荒げ、目は血走っている。
こんな四郎兵衛は今まで見た事が無く、只三之助は戸惑うばかりだ。
やがて四郎兵衛は、昨夜の自分の愚行を思い出したのか、徐々に言葉尻は消え
ふるふると肩が震え、嗚咽が聞こえ始めた刹那、保健室に盛大な泣き声が響いた。
せきを切った様に涙を流し、咽び泣く。

三年生二人はどうしようと顔を見合わせ、うろたえるばかりだが、小平太が泣きじゃくる四郎兵衛の前へと進んだ。
その影に、ひっと息を飲んだが、大きな手が頭上に置かれ、ぽんぽんと優しいリズムで背中を叩かれた。


39:四郎兵衛×しおり 35
08/06/16 23:31:16 g9fAoe7P
目を真っ赤に晴らし、未だ涙を零している視界からは小平太の顔は判別出来ない。
だが、多分穏やかに微笑んでいるのだろう。
徐に小平太が口を開く。

「そっかー。四郎兵衛も立派な男の子だ!!」
「大丈夫、ちっともおかしくない。寧ろ正常そのものだ。」

何の事かさっぱり解らないが、自分のこのもやもやした気持ちは正常な物らしい。
伊作曰く、自分達だって未だそんな事があるとさえ聞かされ、下級生3人は目を丸くした。

「女の子に関心がある事は正常だよ。作兵衛君達はどう?」
「…え?」
「…どうだっけ??確かに可愛い子を見たら、つい目で追っかけちゃいますけど。」
「うんうん、大変正常でよろしい。」

どうやら自分たちも正常と言う事が解り、良かったと胸を撫で下ろす。
自分達も四郎兵衛のように、こんな時期がくるのだろうか、と二人は四郎兵衛を見やる。

「で、四郎兵衛君はその子の事が好きかい?」
「うえ!?」
「うは、四郎兵衛真っ赤!解りやすい!!」
「あはははははっ!!可愛い可愛い!!!」


突然伊作の問いかけに、四郎兵衛はそれこそ湯気でも出た様に顔をぼっと赤くさせる。
その純な反応に、食満は悪いと思いつつも腹を抱えて笑い、小平太に居たっては抱腹絶倒している。
その様子に作兵衛と三之助も笑い出す。

笑い声が響く中、コトリと天井から物音がした。
その物音に一斉に保健室が静寂に包まれる。緊張が走り、じろりと天井を睨みつける。

「そういう事か。ならば我々もその恋、応援しよう!!」
「何やってんだ作法委員に図書委員!!!ってか全部盗み聞きかコラ!!」
「いやー、立花先輩に案内されたらこんな話が始まってたとは。」
「何わくわくしてんだよ藤内…。」
「………恋愛の手引き…、特別に……。」

緊張も何もかもぶち壊したその連中は、天井の板を外した直後に降りてきた。
作法委員会、図書委員会の2年生から6年生まで今までの話を盗み聞きしていたようで、
事実仙蔵を始めとする作法委員会の面子は面白い物を見つけたとばかりに瞳を輝かせている。


40:四郎兵衛×しおり 36
08/06/16 23:32:36 g9fAoe7P
「やあ君が四郎兵衛君か。安心しなさい、立花仙蔵、恋愛事の手引きには少々自信がある。」
「おやまあ面白そうだ。僕も手伝ってあげよう。」
「四郎兵衛、女の子は繊細だ。ちょっとした事で喜び、怒ったりもする。けれど諦めるな!!」

一方的な展開に、食満は呆れ、小平太は面白がり、伊作は乗り気。
ただ四郎兵衛はぽかんとするだけだ。
その時に扉が勢い良く開かれ、目に飛び込んだのは五年生率いる火薬委員会と生物委員会だ。

「その話聞かせて貰いましたよ先輩方!!!」
「蜂屋三郎!!竹谷八左ヱ門!!久々知兵助に斉藤タカ丸!?」
「三郎次君から話は聞きましたー。四郎兵衛君、一緒にがんばろうね!」
「済まん四郎兵衛!俺は止めたがこいつら3人聞いてくれやしないんだ!」
「一度聞話を聞いてしまったからな!責任を持って仲を取り持とう!!」

会計委員会に知らされなかったのが不幸中の幸いか。殆どの先輩達が本人そっちのけで作戦を練っているか、
事を大きくさせてしまった事に只ひたすら謝るかだった。

この後、2年生3人は此処まで話が大きくなるとは思わずに、四郎兵衛に土下座で誤ったらしい。



えらい事になりました。四郎兵衛の恋の行方は如何にww

41:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:37:08 I5JhuL6b
オールスターきたこれwwww
やっぱ楽しいなぁwww

42:しろべの人
08/06/16 23:44:55 g9fAoe7P
あ、誤字発見
誤る⇒謝る。



43:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:16:16 V+JgcS1J
>>28>>30
ノ 
ラクガキ程度なら何とか
ところでPCだから>>36の絵が見れねえぇぇぇ
ひょっとして>>14の人か?

そして四郎兵衛の人GJ!!
ますますややこしく楽しくなりそうな展開にワクテカなんだぜ

44:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:21:39 r490Q1Uy
しろべの人ー!!
何だかどんどん大事にww
この先どうなるかwktkしながら待ってます!

絵の投下もおkなのかな?
日記の人の潮江xそうこを読んで我慢できなかったブツ
エロじゃなくてスマソ
URLリンク(bbs.avi.jp)

45:ユキちゃんの人
08/06/17 00:40:47 jMxQs8xg
>>43
ごめーん
PCで見れるやり方わからない!
ちなみに>>14さんじゃないよ^^

>>44
スゲー!!
萌えました^^

46:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:43:44 oX+oIjld
絵は半角二次なのでは…

47:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:45:44 /yczy+YM
しろべの人Gj!!
食満強いwwww
続き待ってるよ!
>>44
た ま ら ん
ありがとう・・・文次郎そうこありがとう・・・!!

48:名無しさん@ピンキー
08/06/17 01:01:14 gnUQMUIk
ユキちゃんの人の今後wktk
上級生って誰でもOKなのかな?

49:ユキちゃんの人
08/06/17 01:07:54 jMxQs8xg
>>46
ん!どゆことでしょうか?^^

>>48
ありがとです!
リクエストとかあるかな?
個人的には5年×ユキちゃんですな^^
さぶろーとか久々知とか

50:名無しさん@ピンキー
08/06/17 01:25:50 oX+oIjld
>>49
絵以前に半年ROMってくれ頼むから

51:名無しさん@ピンキー
08/06/17 01:31:47 bQAvNS/2
半角二次になっちゃうのかぁ。それだとめんどくさいなぁ
絵版あったほうがいいのでは・・

52:名無しさん@ピンキー
08/06/17 02:55:35 uGOpfC3P
なんでこんな気持悪いことになってんの

53:名無しさん@ピンキー
08/06/17 03:10:14 HtBA8/2q
確かにURL増えるのは板的に違うもんなぁ

54:名無しさん@ピンキー
08/06/17 05:24:19 bGgQ0GB+
この前からなんか流れがおかしいね

>>49はもうちょっと空気嫁
せめて山崎だけでも自重汁

55:名無しさん@ピンキー
08/06/17 07:16:11 3p2LmM6I
絵板でもたてて移動するか、半角二次にスレ立て汁
ユキちゃんの人とやらはあと半年はROMして空気嫁

56:44
08/06/17 07:51:58 oNoQ382H
確かにここじゃ板違いだな、自重すべきだった
ごめん

とりあえず自分の絵は消しとく
不快な思いをさせて本当にスマンかったorz

57:名無しさん@ピンキー
08/06/17 10:24:53 jMxQs8xg
そういうことでしたね
すみませんorz

半年ROMります
嫌な思いさせて申し訳ない
職忍さん頑張って!

58:名無しさん@ピンキー
08/06/17 11:43:04 O66mWDpz
まあまあ、絵の需要はあるから絵師さん達も気を落とさずに…。萌えをありがとな
ほれ、もんじのおにぎりをお食べ  つ△△

しかし、画像スレと絵板だったらどっちがいいかな?
あまり過疎になるようなら分けても無駄だよねぇ…。
しかし自分は物書きだが、ここのSSにリンクした絵も見てみたいし、
もしも自分のSSをもとに絵描いてくれるような神いたらかなり嬉しいし。

あまり住み分け住み分け言わない感じでSSも絵も楽しみたい雰囲気がほしいな

59:名無しさん@ピンキー
08/06/17 12:08:46 ARgUgfHq
では自分はそうこのまんじゅうを つ○○●

絵板設置しようかといってくれた人もいたし、
絵師さんはそこで描いてここで告知すれば
いいんじゃないかな。
女体化の投下みたいに。

60:名無しさん@ピンキー
08/06/17 12:15:04 3p2LmM6I
絵板に挿絵書かせてもらいましたー、とかそういう報告ならいいんじゃないかな
>>58の気持ちも解るが、絵の投下とそれに関するレスでスレが埋まるなら
エロパロ板からは移動した方がいいんじゃないか


61:名無しさん@ピンキー
08/06/17 13:10:35 b/cbpeay
最初だけ言っとけばどうせここも絵板も両方みんな見るから過疎らないかと
とりあえず自分は>>36の作品見たい

62:名無しさん@ピンキー
08/06/17 14:03:05 gnUQMUIk
たしかに挿絵なら楽しみだが、個人個人作品に抱くイメージって結構違うからなぁ・・・
絵師叩きとか起きたりしないか?

63:名無しさん@ピンキー
08/06/17 20:35:27 bGgQ0GB+
まあ試しに絵板か専用うpロダでも設置してみたらいいんじゃない?
どっちにしろ絵師さん各自がそれぞれ勝手なとこにうpして
アドレス貼りまくりーとかになってはこのスレの趣旨から外れてしまうだろうから

64:秘密の転校生 綾部編
08/06/17 21:16:25 SJYerJtL
しろべの人GJ!平和解決しない忍術学園w

絵板は欲しいが難しいところだな。避難所的な感じにするとか。

空気読まずに投下しまs



滝夜叉丸に忍装束をもって来させ、ほぼ脅しの様に約束に念を押して来た。

「忍術学園…恐るべし…。でも進級の為に私頑張る。超頑張る。」
両手にグッと力を込めて気合いを入れた瞬間、フッと視界が真っ暗になった。
「!?」
驚くのと同時に、全身に痛みが走る。イマイチ何が起こったのか脳が着いていかない。
少し目線をずらすと、青い空が視界に入った。
「おや。」
ひょっこりと人影が青い空を遮って視界に入る。
「分かりやすく目印をしておいたのに…。転校生とはいえ分からなかったの?」
そうか。落とし穴に落ちたのか。そういえば土の匂いと口の中がジャリジャリ言う。
「ちょっと考え事してて…。」
「油断大敵火がボーボーだよ。これとか。」
そう言って人影は手に持っていたものを掲げた。

「は か ま」

本日三度目の顔面蒼白。ひっくり返ったままの転校生はようやく下半身がスースーな事に気づいた。
よいしょ、と陰の人物は、何故か助け出さずに穴の中へと入ってきた。
「い組の綾部喜八郎です。趣味はご覧の通りの落とし穴掘りです。」
こんな状況で淡々と自己紹介されても。転校生は吐血をしそうな勢いで胃が痛くなってきた。
「はいはい私は女の子ですよー。くノ一ですよー。これ他校の試験ですよー。」
とやる気なく答え、もう留年は決定した、と腹をくくった。

65:秘密の転校生 綾部編2
08/06/17 21:16:45 SJYerJtL
「へー。」
しかし綾部はもっとやる気のない返答をした。
「…とりあえず袴返して。いくらなんでも恥ずかしいわ。」
天地が正常になるように何とか体制を整えて綾部の顔を見た。
「や。」
「は。」
「僕の趣味は穴掘りです。」
「…さっきも聞いたわよ。…あ。 ま さ か 。」
今世界で一番短時間で血の気が引いているのは私だ、と転校生は思った。
「くノ一ってそういう事に長けてるんだってね。秘密厳守の為ならしちゃうとか。」
何というストレートさ。真顔で言うセリフではない。

「いやあああ!もう不合格でいいから!誰かあああ!!」
「目印置いてるから誰も来ないよ。明日辺り一年は組が全員埋まるだろうけど。」
涼しい顔して恐い事をさらりと言い、ギンギンの股間を露わにする。
「ちょ、どういう体質してんのよ。どこに勃ち所があったのよ。てかデカぁっ!」
狭い穴の中で、僅かでも逃げようと壁にピッタリと張り付く。それでもお構いなしに綾部は躙り寄った。
「理由はよく分かんないし興味もないけど、『黙っててあげる』から。」
そう言って綾部は顔に似合わぬ巨根を転校生の中に埋めた。
「ひぎィ!」
ただし、後ろの穴に。

着物をはだけさせ、穴を掘るような手つきで後ろからサラシを剥ぎ取る。
ハラハラと落ちていくサラシの下から、サラシに負けを劣らぬ白い肌が露わになった。
後ろからなのでもちろん綾部には見えないが。
とりあえず揉んどくか、といった感じで乳房を手に収め、腰を強く振り続ける。
流石に後ろなんて自分でもいじった事がない転校生は声を抑える事が出来ずに喘ぎ続けた。
『…ていうか…、綾部?だっけ…。全く息切れてない…!』
「綾部です。穴掘りって体力使うからこのくらいじゃあね。」
「さらりと人の心を読むなアァァ!あああああ!」
絶叫と共に2人で白く濁った。

66:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:35:47 bGgQ0GB+
ちょwwwwあwwwやwwwべwwww
最強すぐるwwww

67:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:53:44 ARgUgfHq
穴ってそっちの穴かい!誰がうまいこといえとw


68:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:54:03 SFPdvLsl
くノ一だとバレる事無く
一月過ごして
忍術学園の図面を持ち帰る
という3つの課題

素敵すぎるwのでネタを借りるぜ秘密のひと!!
不快だったらごめんなさい

単発的なものですが。
風魔から忍術学園にくるんだったら、逆もあるよね! という。



風魔流忍術学園の生徒が忍術学園に転入し、とっても大変な目にあっていたその頃。
なおみはその逆に、風魔流忍術学園に居た。
一方の生徒だけが相手の学園の図を手に入れるのでは後々面倒なことが起こるかもしれない、そんな理由でこの課題は交換学生ということになり、その栄えある代表に選ばれたのがなおみだった。
しかし山の中ということもあり、風魔の学園は入り組んでいて、右に曲がって左に行ったら先のところへ戻るというような、ややこしいつくりになっている。
「これじゃ、図面に起こすのも大変だ」
校舎から離れ、林へ続く庭だかなんだか手入れが悪くて枯れ葉ばっかりの場所を見つけ、腰を下ろす。
仁之進さんは良い人だけど、逆に人が良すぎて自分が彼をだましているような、まぁ実際だましているのだけれど、そんな気持ちに苛まれて気疲れしてしまう。
ここは誰もいないようだし、これだけ葉っぱがあれば誰か来ても足音がするだろう。
と思っていると。
「んなとこしゃごんでたらはがちに噛まれんべな」
後ろからかけられた突然の声に、驚いて振り返る。
枯れ葉が絨毯のように敷き詰められた庭で、まさか足音がしないなんて思わなかった。
「え、と・・・与四郎先輩、でしたよね」
背の高い、釣り目の先輩の名前を記憶の中から引っ張り出し、さっと立ち上がると、与四郎はぐいっと手をひいて体を引き寄せる。
「え」
「ほれ、けつっこに付いて」
「わ!」
ぱし、と先輩の手が尻をはたく。目の端で小さなものが叩き落とされたのが見えたが、それよりも。
「あのー、先輩?」
引き寄せた体を放すどころか、いつの間にか腕の中にすっぽりと収められていることに気づき、与四郎の顔を見上げる。
「おめー、やっけぇなぁ。んでもって十一つーとるにはちっちゃこいし・・・」
ぎゅ、と抱きしめながら、与四郎は独り言のように呟く。
ただでさえ細い釣り目の瞳が、ほんの少しだけ細くなる。そしてそれは若干好色な目つきに見えた。
「本当にやろごけ?」
確信を突く言葉に、ひく、と一瞬喉が音を立てたような気がした。気がしただけで、面には出していないはずだけれど。
なにしろ、"くノ一だとバレる事無く、一月過ごして、学園の図面を持ち帰る"という3つの課題をこなさなければならないのだ。
"絶対無理"
なおみの脳裏にこの四つの漢字がちらつくが、ここでこの局面を乗りきれなければ、この課題はクリアできない。
しかしさっきから手を掴んでいるのとは反対の手が、滑らかに体の線を辿るその動きは、なおみが女だという確信を持っているようで。
「あの、与四郎先輩? なにしてるんですか」
「おめー、くの一か。なんしにここへ入った?」
もはやなおみを男子とは思っていないらしい断定的な声だった。
「え」
忍術学園との交換学生という話だったのだが、与四郎には伝わっていないのだろうか。
そういえば、彼は背負い袋を負っている。どうやらどこかから帰ってきたばかりのようだ。
「夕べはねずっこで忍務でよぉ。ちっとんべー気ぃ立ってんだ」
いいながら与四郎は手に力を込める。ぎりっ、と掴まれた手が急に痛み、思わず身を竦めるとその一瞬でぐるりと景色が回転し。
「わわっ!」
枯れ葉の上に押し倒された。
おかげで痛くは無かったが、さっきはがちが出るといったのは与四郎では無かったか。
「先輩、ちょっと!」
「言わねーならしょーがんねー、体に聞いてみっけぇ?」
気の短すぎる与四郎の発言。そしてにやりと笑うその表情に、今度と言う今度は間違いなく。
なおみの喉から小さな悲鳴が漏れた。

69:四郎兵衛×しおり 37
08/06/17 22:38:15 EZRPG8jc
転校生の人GJ!忍術学園に平和?なにそれおいs(ry)
しかし綾部wwww何ということをwwwwww

>>68
まさかの与四郎先輩!!!GJ!!!
強引な殿方ハァハァ

空気読まずに投下


忍たま長屋の夜は長い。夜は彼らにとっては一番都合の良い時間帯だ。
涼やかな夜風の音と共に、庭の方で軽く音がする。
暗闇に紛れ、僅かな月の光が頭上に二つ瞬き、反射していた。
苦無を頭に結わえ、目の下に隈をこさえ、およそ少年とは言い難い風貌の少年。
地獄の会計委員長こと、6年い組の潮江文次郎だった。
夜毎夜毎に敵を警戒し、トレーニングを欠かさないのは良いのだが、如何せん張り切り過ぎる。
同級生の忠告も無視し、更に隈を深くさせているというのに、一向に寝る気配は無い。

いっその事強力な睡眠薬を食事に混入して、ギンギン五月蝿いその口と暑苦しい姿を見られなくしてやろうかと
同級生である誰かが語っていたらしい。

一頻り汗を掻き、泥まみれな自身をじろりと見つめ、流石に暑くなって来たのだし
一風呂でも浴びる事にしようと考え、風呂場へと向かう。
ふと廊下の方を見ると、6年生である長屋の一室に灯りが灯されている。
あの部屋は確かは組の伊作と食満の部屋だ。
足音も立てずその場に向かい、こっそりと聞き耳をたててみた。
盗み聞きの様な気もするが、彼にとっては大事な鍛錬の一つ。同級生のプライバシーも何処吹く風で
お構いなしらしい。

「…さては会計委員会に対する抗議か?」

そう思いそっと耳を欹てると、どうも自分を除く5人が話し込んでいるらしい。

「…だから違うだろ。まずは順序良く、手を繋いでいく事だ。」
「食満は硬いって!恋も閨事も、いけいけどんどんだ!」
「積極的な事は良い事だが、少し違う気がするぞ、」
「長次は何か提案ある?」
「…………交換日記。」
「古!!!めっちゃ古っ!!!てか王道!!!」



70:四郎兵衛×しおり 38
08/06/17 23:07:19 EZRPG8jc
長次の出された、何とも可愛らしい提案に、すかさず総出で突っ込みを入れた。
当の本人は解っておらず、首を傾げるだけだ。
扉の向こう側には文次郎が張り付いている事を知ってか知らずか、提案は次々と出されて行く。

「だーかーらー、小平太はがっつき過ぎなんだよ!相手の子がどんな子か知らないんだろうが!」
「そうだけど、やってみなきゃ解らないじゃないか!」
「私はまず景色が綺麗な場所に連れて行き、そしてお茶でも飲んでから、あわよくば…という考えだが。」
「お前は送り狼か!!くの一とはいえまだ11歳の女の子だぞ!!」
「それなら可愛い小物を送ったら良いんじゃないかな?女の子は好きだろうし。」
「…………花を贈る。」
「おお、長次と伊作はなかなか良いな。」

一体何を話しているのだろうか。
声の様子からすると、どうも色恋沙汰の事のようだ。忍者が恋に現を抜かす等言語道断!!
お前らは女かと苛立ち、ギリギリと歯軋りまでしている。
周りから見ると、まるで変態そのものだ。
我慢の限界が来たのか、乱暴に扉を開け放った。

「お前ら一体何の騒ぎだバカタレぃ!!!忍者が恋などげぶっ!!!」

言うが速いか、その投げ付けられた物が速いか。
空気を読まずに乱入してきた同級生に、苦無、縄標、焙烙火矢、手裏剣、マッチ箱、
首のフィギュア、アヒルの船首飾りや鉄双節棍が乱れ飛んで来た。
それらは全て文次郎に直撃し、ひくひくと痙攣する文次郎を冷ややかな視線が襲った。

「空気読め。お前には関係ない。」
「お前が関わっても、人生の一割程度にも満たない話し合いだ。」
「頼むからこれ以上話をややこしくしないでよ。じゃないと一服盛るよ?」
「……貸した本…早く返せ。」
「バレーボールの的にされたい?」

日頃の恨みか鬱憤か。
それらを全て言葉と行動にぶつけた後、何事も無かったかのように提案を続ける五人。
自分が一体何をしたと怒りを露にし、勢い良く立ち上がる。

「何なんだお前ら!!!俺が一体何をした!!」
「積もる恨みは色々とあるが、小平太の後輩の恋の応援だ。」
「そうだ。お前は興味ないだろ。」
「お前ら言いたい放題いいやがって!!俺だって女に関心が無い訳じゃ無いわあ!!寧ろ無きゃおかしいだろ!!」
「はい三禁破った!!!はい忍者失格ー!!!」
「おお、日々頑なに三禁、三病を守り、学園一忍者している潮江文次郎とあろう者が簡単に破るとは。」
「自分で言ってた癖に。」

情け容赦ない辛辣な言葉が刃となり、文次郎の心臓を抉り、貫く。
確かに頑なには守ってはいるが、一応15歳。思春期のど真ん中と言う事もあり、異性の関心はある。
何も言い返せなくなり、普段の暑苦しさは飛んで行ってしまい、一年ろ組よろしく人魂を背後に漂わせている。


71:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:43:32 SFPdvLsl
もんじw可愛がられてるじゃないかww

72:四郎兵衛×しおり 39
08/06/17 23:44:49 EZRPG8jc
「…どうせ俺は色恋とは一生無縁の暑苦しい存在だよ…。悪かったな…。」

がっくりと肩を落とし、ふらふらしながら5人に背を向ける様は、年不相応な哀愁を漂わせている。
流石にやり過ぎたかと5人は顔を見合わせ、文次郎を引き止めた。

「まあ待て。お前が健全な事は解ったし、一緒にどうだ?」
「何だよ、俺とお前らとは感性が違うし参考にもならん。ほっとけ。」
「卑屈になるなよ謝るから!!ほら、忍者の試練の一環だと思って!」
「忍者の試練か。よし俺も混ぜろ!」
「早っ!!!!ってか伊作何の試練?!」
「えー、あ、ほら。敵のくの一を惑わせるって事…で。」

このまま仲間外れにしてしまったら、また予算の事で一悶着起きそうだと思い、
撮り合えず適当な理由を付けて文次郎も四郎兵衛の恋の応援に参加する事となった。
忍者と言えば何でも飛び付くのかと、仙蔵は同じクラスの一員として少し哀れに思った。


一方此方は男子浴場。
硫黄の香り立ち込める湯気は、少し目に染みる。
大泣きしてすっきりしたのか、四郎兵衛は誰も居ない湯船を一人満喫していた。
伊作が言った、自分はしおりの事が好きなのか、と。

確かにしおりの事は好きだ。自分の気持ちを偽るなど、四郎兵衛は器用ではない。
左近たちが謝って来たが、自分は迷惑とは思った事は無く、寧ろ感謝している。
もし話さなかったら、一人で抱え込んでいただろう。

「…でも、どうすれば良いんだろう?」

好意を示すにも、自分は未だ幼すぎる。事実初恋故に、如何して良いのかさっぱり解らない。
うーんと口元まで湯船に浸かると、戸の向こうからがやがやと声がしてきた。

「あれ?四郎兵衛。よし、私たちと一緒に入るか!!!」
「うええええ!?」

飛び込んで来たのは6年生6人と言う、何ともむさ苦しい集団だ。
小平太は四郎兵衛を見るなり湯船に飛び込もうとしたが、長次によって死守された。
身体洗え、と言う事らしい。
しぶしぶと身体を洗い、湯船に浸かる6年生。その隣にちょこんと四郎兵衛が小さく浸かっている。
6年生ともあれば、体つきは大人に近づき、長次に至っては年齢より身体が大きい為、大人そのものだ。

「しほーろっぽーはっぽー、しゅーりけーん。」
「つーきはーしずーんでーほしかげもーなーしー。」

小平太の歌声が湯船に響き、それに敏捷するように6年全員の合唱となってしまった。
一年生の頃良く歌ったなーと笑い合う顔は、15歳そのものだ。
その様子をただ不思議そうに四郎兵衛は眺めるだけで、その様子に仙蔵が気付いた。


73:四郎兵衛×しおり 40
08/06/18 00:03:50 tp+UTC38
「気になったんだが、君の好きな子とやらは何ていう名前だ?」
「うえええ?!」
「照れるな照れるな!教えろ、な?」
「し、しおりちゃんです。」
「しおりちゃん!?え?!あの子!!??今日保健室で休んでたよ!」
「ええっ?!」

その言葉に伊作は驚き、四郎兵衛はそれ以上に目を丸くさせた。
まさか今日保健室で休んでいた子が四郎兵衛の想い人とは知らなかった。
体調を崩したと伝えれば、途端に四郎兵衛の眉が下がる。

「…しおりちゃん、大丈夫なんですか?」
「ああ、季節の変わり目だからね。薬も良く効くのを渡しておいたから。」
「よっぽど好きなんだな、そのしおりちゃん、って子が。」
「あ、その、いえ…。」
「じゃあ嫌いなのか?」
「ちちちちち違います!!!好きです!!!大好きです!!!」

口篭る四郎兵衛に、意地悪く文次郎が問いかけると、のんびりした普段とは違い、速攻で否定の合図をし、その言葉を口にした。
気付くのも束の間、6人は顔を隠してふるふると笑いを堪えている。
やがて耐え切れなくなったのか、どっと笑い声が響いた。

「あははははは!!!!可愛い!!可愛いぞ君は!!」
「いや…っすまん…っぷわはははは!!駄目だ笑うぅぅ!!」
「皆しつれ……四郎兵衛君…ごめっ…あははははは!!!!」
「よく言った四郎兵衛!!!」
「…恋は焦らず…。ふふふふふふ…。」
「お前ら言ってる事とやってる事全然ちが…っ俺も駄目だすまん!!!」

盛大な笑い声が響き、中には腹を抱え笑い過ぎて呼吸困難を起こしている者もいた。
一頻り笑いの渦が立ち込めた後、その後はうってかわってしんと静まり返った。

「いやいやすまない、久し振りに純粋な者を可愛いと思ったよ。」
「腹筋いてぇ…。すまんな。」
「四郎兵衛はやっぱりしおりちゃんとまず何したい?やっぱり閨事?」
「ちょ!おい小平太!!」

直球ど真ん中をすっ飛ばし、いきなり男女の関係に持って行く小平太の発言に五人は噴出し、目を丸くする。
普段無表情な長次でさえ口を押さえ、顔を赤らめている。
しかし四郎兵衛はきょとんと首を傾げるだけで、意味は解ってないらしい。

「先輩、閨事ってなんですか?」
「閨事って言うのは、男女が裸でまぐわごぼべがぶぶぶぶぶ…。」
「お前ちょっと黙ってろマジで。」
「俺が説明しよう!閨事、すなわち子作りだ!!」
「いや一応やる事はあってるが色々何か違う!!!!」


74:四郎兵衛×しおり 41
08/06/18 00:23:20 tp+UTC38
小平太の言葉が終わる前に、音速の速さで頭を掴み、湯船に沈める。
変わりに文次郎が説明をするが、何処か論点がずれている。
四郎兵衛はますます首を傾げるだけで、その口から驚く言葉が発せられた。

「赤ちゃんってコウノトリが運ぶんじゃないんですか?」
「…へ????」
「小さい頃母上が言ってました。」

良く言えば純粋、悪く言えばアホの子。純粋天然恐るべし!
眩暈を覚え、くらりと湯船に沈みそうになったが、何とか持ち直した。

「あー、では図書委員長の中在家長次君、説明を。」
「男女の…、愛の営み。…互いに求め、思いやる事が大切…。先走ってはならない、乱暴にしてはならない。
自分が想う者を大切にし、ゆっくりと想いを育めば良い…。」

ぽそぽそとだが、長次は含蓄のある言葉を四郎兵衛に投げ掛ける。
その言葉に5人は感心し、言い終えた後、盛大な拍手が送られた。
何となくだが四郎兵衛にも伝わった様子で、うんうんと頷いた。
だが肝心の「行為」は未だ解っていない様子で、此処は保健委員長の伊作へとバトンを渡した。
大きい声で言うのもはばかれるし、四郎兵衛を端の方へと移動させ、耳打ちをする。
やがてにこやかな笑みを浮かべた伊作と、真っ赤に茹で上がった四郎兵衛が戻ってきた。
どうやら意味が漸く解ったらしい。

「やっぱ四郎兵衛もやりたいと思うか?」
「ち、違います!!!!」

小平太の言葉に立ち上がると、6人の視線は四郎兵衛の下半身に一転集中している。
否定はしても身体は正直、らしい。本日二度目の爆笑が木霊した。


「うんうん、まだまだ可愛らしいな。」
「大丈夫だ。何とかなる!」
「やっぱ男の子だねー。」
「な、何のはなしですかあああああああ。」
「いや、まあ。生理現象だ、仕方ない。」
「……今度、本、貸す。」
「よーし四郎兵衛!しおりちゃんと一緒に一皮剥けてあばべぶぼぼぼぼぼ…。」
「だから黙れっつーのお前は!!!!」

自重をしない小平太に、今度は5人掛かりで押さえつけ、湯船に沈める。
前を押さえ、これ以上までになく顔を真っ赤にさせた四郎兵衛が、やがて湯船に沈んで行くのは時間の問題だった。
沈む四郎兵衛を慌てて引き出し、長屋まで送って行く。
気絶した四郎兵衛が見た夢は、しおりと団子を食べている夢だったそうだ。
夜は、これから始まる。




75:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃1
08/06/18 23:12:00 JJhnYTcl
しろべの人GJ!どんどん人物が増えていくwwww


では厚着先生のお話をば。



空の色はあくまでも青く、日の光は柔らかい鳥の子色をしています。
暖かい、穏やかな昼下がりです。どこからか、鶯の鳴く良い声がしました。きっと、裏に生えている梅の木にいるのでしょう。
「お茶ですよ。」
頬杖を突いて寝転んでいる自分に声がかけられます。いや、これは声と違うようです。
耳に響いたわけではなく、目の前に字が浮かんだようでした。これでは、誰が話しかけてきたのか、わかりません。普通ならば。
そう、知っている人なのです。ただ、声が聞こえないのです。言っている内容と、話しかけてきた人物はわかるというのに。
身体を起こし、その人がいるだろう場所を向きます。ふわふわと、輪郭のぼやけた人が浮かんでいました。
視線を上げて行き、顔で止まったその瞬間。





「…………。」
厚着先生は、目を覚ましました。湿り気を帯びた掌で顔を拭い、重い瞼を擦ってあげ、夢から逃れたことを確認すると、やっと息を吐きました。
また、夢を見ました。これまで、もう、何回も、いえ、何十回、何百回と見た馴染みの夢です。
「…………くそう…………。」
頭を抱え、厚着先生は呟きました。今までさんざ誤魔化してきましたが、とうとうはっきりと突きつけられたのです。
自分は、忘却を始めていると。


76:名無しさん@ピンキー
08/06/18 23:20:33 /Mm/gR/u
しろべ神・・・・・・!!!!6年生をありがとうううううううう

楽しすぎて嬉しすぎて、ほんとに涙でた6年とお風呂とかむさくるしすぎるよ
てゆうかむさくるしさの98%はキモンジだけどな
こへ・仙蔵・伊作・長次・食満だけだったらフーン楽しそうとか思うのになw

こへ→お風呂で口笛・歌・てぬぐいを湯につけてブクブクとかやってそうで楽しい
仙蔵→驚きの色白さに圧倒されそう
伊作→すべって転ばないか心配
食満→背中流してくれそう(保父さん的な意味で)
長次→静かに風呂入れそう

文次郎→なんか急に室温高くなりそう・風呂なのにすいとんの術とかやりだしてuzeeeeeeee!!
てゆうか、銭湯にこういうオッサンいてそう


ところで・・・・・「閨事」が読めない私はしろべだろうか・・。。orz



77:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃2
08/06/18 23:23:34 JJhnYTcl

「厚着先生ー!」
恵々子は正門の前に立っている厚着先生を見つけて、駆け寄ります。
「あれ?恵々子ちゃん、どうしたの?」
厚着先生の隣に立っていた小松田さんが、出張届けを胸に抱えて首を傾げました。
恵々子は小松田さんの質問に答える前に、後ろに隠していた包みを前に差し出します。
「先生、出張なんでしょう?これ、お弁当です!持って行ってください!」
にっこり笑って、無理やり先生の手にお弁当を押し付けます。
「ほう、すまんな。うっかり食堂のおばちゃんから弁当をもらってくるのを忘れて困っていたところだ。
ありがたくいただこう。」
「うふふ、ありがとうございます!お気をつけてくださいねっ。」
頬を赤くすると、恵々子は一回お辞儀をして、来た道を戻ってゆきました。
くの一の制服の、桃色が見えなくなったのを確認してから、小松田さんは怪訝そうな顔をして包みを見ます。
「先生、大丈夫なんですか?」
大丈夫、というのは、もちろん、食べても大丈夫か、という意味です。
なにしろくの一ときたら、実験だ、実習だといって、毒や火薬を仕込んだお団子やオニギリを男子忍たまに食わせようとするんですから。
しかし厚着先生は頬を吊り上げて、包みを小松田さんの顔まで持ち上げました。
「安心しなさい。これは大丈夫だ。」
「ふえ?」
「あの子はなぁ、滅多なことをしない子だからな。」
そういうと、厚着先生は笠を深く被って門を出て行きました。

78:しろべの人
08/06/18 23:39:55 tp+UTC38
>>76
文次郎の98%はむさ苦しさとウザさとキモさで出来てます。
彼のウザい、キモい、暑苦しい、むさ苦しいは褒め言葉。残りの2%誰だw

「閨事(ねやごと)」
閨=寝室。現代で言うセクロス、房事(ぼうじ)とも言う。
因みに閨での語らいは睦言と言うそうです。

昔話の人空気読まずごめんなさい。そしてGJ!

79:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃3
08/06/19 00:13:50 YgLRkWKK
「どうだった?」
教室に残っていたクラスメイトが、戻ってきた恵々子に声をかけます。皆、期待に目をきらきらと輝かせていました。
「ばっちり!情報ありがとうね!」
「よかったー!間違ってたらどうしようかと思っちゃった!」
「どう?ちゃんと毒見した?かんしゃく玉なんか入ってない?」
なんて、ぴーちくぱーちく、わいわいがやがや声を掛け合います。
そりゃあ、そうでしょう。なにしろ、女の子は恋の話が大好き。
誰かが男の子を好きになったと言えば、全力で応援しますし、誰かがひどい目にあったといえば全力で男の子をつぶしに掛かります。
特に、今回の恵々子みたいに、年がうんと離れている上に、教師と生徒なんていう、禁断の関係という美味しいシチュエーションなのですから参加しないわけがありません。
「なんだか、嬉しいな。最初、皆に話すのが怖かったのに。」
恵々子は頬を赤らめて目を伏せます。瞼の裏には、はっきりと、さっき会った厚着先生の姿が焼きついているのです。
「なーに言ってるのよう!こんな障害のある恋、応援しない方がまちがってるわよ!」
しおりは肩を叩きました。
「よーし、じゃあ、早速次回の作戦を立てましょう!」
「おー!!!」
元気の良い掛け声が、教室の中に響き渡りました。

「あらあら、随分と元気がいいわねぇ。」
そんな生徒たちの様子を、山本シナ先生はこっそり隠れながら眺めていました。
初恋に燃える、なんとも可愛らしい、女の子らしいくの一たちの様子がほほえましく、頬を緩めます。
「恋に障害はつき物、っていうけど、恵々子ちゃんの相手は、ちょっと手ごわいかしらねぇ。」
だって、あの厚着先生ですもの。
シナ先生は教本を抱えなおすと、教室の戸を開けました。
「皆さん、何かに盛り上がるのはいいですけど。
 もう、授業は始まってますよ?」
話し声が大きすぎて、始業の鐘の音すら気づかなかった皆は、あわてて席に座りました。

続く


途中で投下ストップしてごめん。

80:竹谷×なおみ 0
08/06/19 01:54:29 DQF0lYSe
いつもロムってるけど、乱交試験五年生の竹谷がすごく良いキャラしてたので、
竹谷となおみちゃんの続きを勝手に書かせてもらいました。
設定はそのまま使わせてもらってます。
エロ無しでギャグでもなく中途半端なラブコメのような…

書いてから気付いたけど、全体的に孫兵(本人は出てこないけど)に失礼な内容な気がしてきた

81:竹谷×なおみ 1
08/06/19 01:56:05 DQF0lYSe
「あ、おーいなおみちゃーん!」
太陽が眩しい昼下がり。青紫の制服を着た忍たまが、暑さを吹き飛ばすかのごとく爽やかな笑顔を振りまいている。
「身体の調子はどう?どっか悪くなってたりしないー?」
「大丈夫です何もないですだからこっち来ないで下さい!」
「酷っ!」
呼ばれた側であるくのたまは、その忍たまの顔を見るとそんな言葉を吐いて塀の向こうに消えた。
塀の向こうは、男子禁制くの一教室である。

くのたまが忍たまに追いかけられる(しかも何の反撃もせずにくのたまが逃げた)という珍しい事態に、
他のくのたまは驚きを隠せなかった。
「…ねぇなおみちゃん…」
「な、何?」
何やら神妙な顔を向けてくる級友に当事者のなおみは、
「あれ誰だっけ?」
「そこかよ!!」
自分にツッコミの才能があることに気付いた。


五年ろ組生物委員会、竹谷八左ヱ門。
実はなおみ自身、あの試験の直前までその存在を全く認識していなかった。
五年ろ組といえば例の名物コンビが有名すぎるし、生物委員といえば伊賀崎孫兵の印象が強すぎる。
いわば、没個性である。

試験の対策を立てる為に五年達を尾けたこともあったが
(ちなみに速攻鉢屋にバレたうえに試験では4人いっぺんに攻められて、手も足も出なかった。)、
やはり没個性。
生物委員らしく生き物は大事にする性格だということがわかったくらいだった。
…その生き物というのがみんなが避ける毒虫や毒蛇だということは、評価してもいいと思うが。

そんな竹谷が試験の後になおみにプロポーズまがいの言葉を言ったのは、五年の中では有名な話だった。
「俺、責任とって君と結婚するわ!」
「「「はぁ???」」」
なおみも心の中ではぁ?とつぶやいた。ついでに「あんたバカぁ?」とかなんとか言いたかった。
疲れ果てた体がそれを許さなかったが。
そこから竹谷が生き物がどうの最後まで育てることが大切だのまくしたてていたが、混乱したなおみには何も聞こえていなかった。
ただ、結婚するんだったらこういうタイプの男の人が安心なんだろうな…とのん気なことを考え、再び意識を手放した。

目が覚めたら医務室の布団の上だった。
全部夢だと思い込むことにして忘れようとしたのに、それ以来ことあるごとに竹谷が接触してくるのだった。

82:竹谷×なおみ 2
08/06/19 01:56:51 DQF0lYSe
噂好きのくのたまにその事が知られていなかったのは、単にみんなが揃って「竹谷?何それおいしいの?」状態だっただけらしい。

(さすがにそれは酷いんじゃないの、生き物を大事にする優しい先輩よ)

口に出しかけたその言葉に自分でもびっくりして、なおみは思わず無言になる。
「なおみちゃん?どうしたの?」
「……ストーカー。」
「へ?」
「この前の試験の相手で、ただのストーカー。」
「ストーカー!?」

びっくりするあまり真逆のことを言っていた。どう考えても一番酷いのはなおみだった。

「面と向かってもう付きまとわないでって言えばいいじゃないの」
「顔…ちゃんと見れないのよ」
「どうして?」
「だって…みんなだってあの試験のあと、しばらく先輩の顔見れなかったでしょ?」
うぐぅ、とほぼ全員が呻いた。数人だけは頭に?マークを浮かべたが。(主にそうこである)
「私はその対象が四人もいる上に、その一人が勝手に歩み寄ってくるのよ!?逃げたくもなるわよ…」
一気にまくし立て、なおみはがっくりうなだれた。

(悪い人じゃないのはわかるけど。)

それでもなおみにとって竹谷は、今学園内で一番会いたくない人物である。




会いたくない人に限ってよく会う、というのは最早お約束ではあるけれど。

83:竹谷×なおみ 3
08/06/19 01:57:44 DQF0lYSe
「何で竹谷先輩がくの一教室の敷地内にっ…!」
予想外の遭遇になおみは体をぐるんと反転させ、そっぽを向きながら叫んだ。
「生物委員会の仕事だよ。先生にも許可とってあるし…連絡とか聞いてない?」
「き…聞いてません…」
今日の授業で忍たま長屋の近くを通るとわかった瞬間、なおみはサボりを決意したのだった。
もちろん仮病。
きっとその授業内で連絡があったのだろうけど、ほかのくの一達はまだ授業中でその連絡がなおみまで届くにはもう少し時間がかかる。
(ああ…私って保健委員に向いてるわね)
不運ってこんなに理不尽なものなんだ、となおみは保健委員会の面々に少し同情した。


いつも冷たくあしらっているにもかかわらず、目の前にいる竹谷は相変わらず笑顔だ。
「なおみちゃん、あれから体の具合とか…大丈夫?」
そしていつもどおり話しかけてくる。これは、いつものやりとり。
「…竹谷先輩、人の心配ばっかりしてどうするんですか。しかもあくまで試験の相手じゃないですか、私なんて」
「へ?」
しかし、答えがいつもと違った。竹谷は間抜けな声を出してそのまま固まっている。
その表情は端から見ると結構おもしろいものだったが、背中を向けているなおみにはわからない。

「だってほら、俺の不注意で子供ができちゃったかもしれないし、君はくの一とはいえやっぱり俺から見たら年下の女の子だし…」
「……」
「生き物は大事にしないとね!毒虫とか毒蛇と同じで!」

何かがぷつんと切れた気がした。

「…っっっ人を虫なんかと一緒にすんなあああああ!!」
「ちょっ…待ってなおみちゃん!そっちは今…」
一瞬でもいい先輩だとか思った自分が馬鹿だった。
この人は私を思って優しい言葉をかけてくれるんじゃないんだ。
ただの生き物としか思ってないんだ。
そう思うと、何だか涙が溢れてきた。

焦ったような竹谷の静止の声も聞かず、なおみはその場から逃げ出した。
もう、声も聞きたくないと思った、

84:竹谷×なおみ 4
08/06/19 01:58:53 DQF0lYSe
なおみは全力で走りながら、涙で歪む視界の端に何やら見慣れない看板を捉えた。
「これ、より、先…き、け、ん…立ち入り禁止ぃ!?」
その文字のすぐ下に『生物委員会』という文字も見えた。
その看板の意味をすぐに察知したなおみは一気に血の気が引くのを感じた。
すでに看板から一丁ほど進んでしまった。
周りの気配に気を配りながら、そろそろと後退する。
慎重に行動しないと、今のなおみは丸腰だ。仮病を使った為、手裏剣などは長屋に置きっぱなしである。

「なおみちゃん!そこから動かないで!」
「せ、先輩!ここここ来ないでくださーい!」
「そんなこと言ってるバヤイかー!すぐ行くから動いちゃダメだ!」
追いついてきた竹谷に驚き、なおみは一歩後ずさりした。


むにゅ


何かを踏んだ。
「いっっっやあああああ!!蛇いいい!!!」
(んでよりによって蛇なの!しかもこれ確実に毒持ちでしょそうなんでしょ!?)
パニクりすぎてなおみの体は完全に固まった。
(あ、蛇がこっち見た。やばい怒ってる…いやああこっち飛びかかってくるううう!)
「なおみちゃん!!」


最後に聞こえたのは、竹谷の声だった。

85:竹谷×なおみ 5
08/06/19 02:00:37 DQF0lYSe
「…あれ?」
「あ、気づいたんだねなおみちゃん!良かった…」
「たけ…や…せんぱ…って何やってるんですかぁ!!」
竹谷がなおみの袴に手をかけようとしていた。
「ちっちがっ…!どこか咬まれてたりしたら大変だから調べようとしただけだから!」
「何が…あれ?そういえば毒蛇は?」
「仕留めたよ。最初は捕獲するつもりだったけど、背に腹は変えられない」
いつのまにかくの一長屋まで戻ってきていた。
蛇に襲われ気絶したなおみを、竹谷が運んできたらしい。

「あの草むらで毒蛇が大量発生してさ、駆除する予定だったんだけど伊賀崎孫兵がゴネてね…
虫獣遁用に捕まえようって話になったんだ。まぁ十中八九孫兵のペットになるんだろうけど」
これも連絡してあるはずなんだけどなーと、竹谷は苦笑した。

「…良かったんですか?そんなにあっさり殺しちゃって…毒蛇だって大切な命なんででしょう?」
「何を言う!いくら大切でもなおみちゃんと毒蛇を一緒にしたり………してるようなこと言ったよな、俺」
「……はい」
なおみが怒って逃げ出した一番の理由をようやく察知したらしく、竹谷は思いきり頭を下げた。

「ごめん。ほんっとごめん。孫兵に影響でもされてんのかな俺…女の子と虫を同等に考えるのはいくらなんでもなぁ…」
「…はい」
「それに、ずっと追いかけ回して迷惑だったよな」
「はい」
「そうはっきり言われるとちょっと傷付く…」
「え、あ、ごめんなさい」
「でも、今回は逃げないでいてくれてるね」
「!」
そういえば、なおみが逃げずに竹谷と面と向かっているのは珍しい。

「子供の話だとか虫の話ばっかりしてたけど、俺が本当に言おうとしてたのは…」
「え?は、はいはいなんでしょう」

何故か耳まで真っ赤にした竹谷は、言葉を選ぶように口を少しもごもごさせていた。
ずっと鬱陶しくて、嫌っていた先輩が何だか小さく見える。
そんな竹谷のことを、なおみはなんだか愛しいとまで思った。
そして、

「初めて見た時からずっと思ってたんだけど、やっぱりなおみちゃんって…かわいいね」


初めてまともに見た竹谷の顔は、とても優しく微笑んでいた。






お粗末様でした。

86:名無しさん@ピンキー
08/06/19 02:43:25 sHk163Nc
な ん と い う G J

私も5年乱交SSの竹谷の男前さに惚れてたのでかなりワクテカしたよ


87:名無しさん@ピンキー
08/06/19 03:10:53 U2xyO0hY
おおおGJ!!
5年乱交SSのこの二人が気に入ってたからすげー嬉しいよ
最近神作品が投稿されまくりで幸せすぐる
こうなると絵神の作品も見たいと思う欲求も出てくるな
わがままなのは分かってるんだが

88:名無しさん@ピンキー
08/06/19 12:02:51 nZyGO366

ユキちゃんの人…投下してくれないかな

89:名無しさん@ピンキー
08/06/19 17:21:32 BZwQbKPa
絵神の作品を見たいのはやまやまだけど、
絵は文章以上に特徴が出るからなあ
サイト餅の人は身元バレを恐れてなかなか投下してくれないだろうから
絵板やうぷろだを用意してもやっぱり過疎ってしまいそうだな…

ところで早漏で申し訳ないが、次スレのタイトルの【】の中は
【落第】【忍者】の方が語呂がよくない?

90:名無しさん@ピンキー
08/06/19 19:29:17 keulkVat
>>89
忍たましか見てない人もいるからでは?
あ、でもスレタイには忍たまってついてるな。
次スレ立てるあたりにもう一度提案してみては?

91:四郎兵衛×しおり 42
08/06/19 23:05:12 i6Jn31aD
竹谷の人GJ!!
二人とも可愛らしいぞ!!!竹谷カコイイよ竹谷。なおみちゃん可愛いよなおみちゃん。

それでは続きドゾ

夏は夜、月の頃はさらなり。
紫の髪をゆらゆらと揺らし、幸せそうに目を細めながら廊下を歩いている少年が居た。
頬は桜色に染まり、瞳は宙を仰いでいる。
やがて自室に辿りつくと、そのまま扉の所にばたりと倒れこんだ。
それを見るなり、癖毛が目立つ少年が慌てて引き起こす。

「おい数馬大丈夫か?!」
「あ、あははは・・・。のぼせちゃって・・・。」

どうやらさっきまで風呂場に居たらしい。
目を回し、視界は自分のほうをまるで向いてない。
浦風藤内は何処までも不運なこの少年を見やり、憐れみの溜息を吐いた。

「所で、藤内は何してんの?勉強?」

三反田数馬が指を指す方向を見やると、先程まで執筆していた事柄の帳面が開きっ放しだった。
普段予習、復習を欠かさない藤内だが、本日は違う。
勉強も大事だが、もっと面白い事が、今日の昼に振り込んできた。
最もそれは、作法委員長である立花仙蔵のお陰なのだが。

「まあ、勉強と言えば勉強だけどねぇ…。ぐふふ…。」
「…何、また女の子の事??」
「あったりー。二年は組の四郎兵衛の恋を応援する事になったんだー。」

隣でにやにやと不気味に笑う藤内に、少しどころか可也辟易した視線が降り注ぐ。
普段は真面目な藤内だが、如何せん色恋話や女の子絡みとなるとそれを放り出してまで熱中してしまう。
100点よりも、大事なのは女の子にもてることかと突っ込みたい衝動をぐっと飲み込み、深々と溜息を吐く。
真面目なくせに女たらし、どう言った性格だ。
げんなりしてると、ろ組の3人がやって来た。


92:四郎兵衛×しおり 43
08/06/19 23:45:00 i6Jn31aD
緩む頬を元に戻し、よお、と3人に声を掛ける。
見ると作兵衛と三之助はげっそりと肩を落とし、作兵衛に居たっては泥だらけだ。

「作兵衛どうしたの?何か泥だらけだけど。」
「…左門と三之助がウロウロするからだよ。」
「何を言う!私はは組の近道を探そうと。」
「ただ真っ直ぐ行くだけだろ!何でお前迷える訳?!」
「そうだぞ左門。」
「お前が言うな三之助!どっこい方向音痴め!」
「喧嘩するならあっちでやれよー。今取り込み中だぞ。」

言い争いを始めるろ組3人に、藤内が口を尖らした。
軽く謝ると、此処に来た理由を左門が話し始める。
6年から5年の長屋を行き来していたら、丁度四郎兵衛の恋の応援について語り合っていたらしい。
それを聞かされてなかった左門は、途中から出合った三之助に問い詰めた所で、作兵衛に捕まえられた。

「ずるいじゃないか皆、私をのけ者にするなんて!」
「ごめん、悪かった。じゃあ皆で相談しようよ、孫平も呼んでさ。」
「呼んだ?」
「あ、丁度良かった。」

話している最中、い組の孫平がひょっこり顔を出した。
同じ生物委員の竹谷八左ヱ門に事情を聞かされ、今まさに3年生全員で相談しようと言いに来た所だ。
それならば話は早いとばかりに、6年が円を囲み、ちらちらと灯りが灯された部屋で会議を始めていた。

とは言っても、お互い12歳という年齢も手伝って、その提案は実に可愛らしい物。
花を贈る、お茶に誘う、ロマンチストな孫平は、一緒に星空を見る、等案が出された。
左門は迷っても仕方ないと言い、四郎兵衛の所に行こうとして止められた。
ぎゃあぎゃあと騒ぐ3年生の長屋に、教師の怒声が響くのは数秒後だった。


その数十分前、四郎兵衛はぐったりと上せあがり、食満の背中に担がれている。
本当は小平太がやる予定だったのだが、これ以上四郎兵衛の身体に負担を掛けさせてはまずいと判断し、
その申し出を一刀両断したのだった。
上せたのは自分たちの所為でもあるし、自室まで連れて行こうという事になったらしい。
ゆらゆらと揺れる感覚に、四郎兵衛の丸い目が数回瞬く。

「うえ?」
「お、目が覚めたか。悪かったな、あんなになるとは。」
「でも元気だったぞー!真っ直ぐ天井むいグリコ!」
「黙ってようか小平太君。」
「あ、あれ?食満先輩に七松先輩。」

状況が掴めずに、暫く先程の事を思い出していた。
そう言えば自分は風呂場で上せてしまったと漸く思い出せたのか、ごめんなさいと頭を下げる。


93:四郎兵衛×しおり 44
08/06/20 00:23:59 DTDx2V26
「気にするな。原因こいつだから。」
「ひどっ!私はただ感心したんだぞ!四郎兵衛がちゃんと立派な男になってくれて!
確かにまだちっちゃいし一皮剥けた方が」
「いい加減にせんとナメクジ漬けにした後砲弾諸々使うの禁止にするぞマジで。」
「御免なさい言い過ぎました。」

ぎろりと鋭い目が光り、流石の小平太も素直に頭を下げる。
先程も全員に風呂場に沈められたばかりだというのに、全く懲りていない。
お前は発情期の猿かと小一時間問い詰めたい所だが、あいにく今は後輩を背負っている。
渡り廊下を通り抜け、一年生の長屋まで進んだその時、後ろから声を掛けられた。

「食満先輩に七松先輩~、こんばんわ~。」
「時友先輩、どうされたんですか?」
「お、金吾に喜三太。」

ぽてぽてと可愛らしい足音を響かせ、先輩に嬉々として声をかけたのは
1年は組の山村喜三太と、皆本金吾だ。
これから風呂に入るらしく、浴衣を手に持っている。

「ちょっとのぼせっちゃって~。でも大丈夫だから。」
「時友先輩、あまり無理しないで下さいね。」
「…お前、もっと後輩労わってやれ、な?」
「何で哀れみの目で俺を見てるの?!ちゃんと可愛がってるぞ、なあ金吾、四郎兵衛!!」
「は、はあ…。」

元気の無い返答に、どうやら自分は可愛がっているつもりなのだが、振り回されている後輩達にとっては
半分嬉しく、半分迷惑と言ったところで、可也微妙な表情だった。
あれ?と眉を顰めるが理由は解ってないらしい。

「喜三太、お前風呂場にナメ壷を持ち込んでないよな?」
「そんなことしたらなめさん達が死んじゃいますよ~。ぼくは幾ら可愛くても流石にしません!」
「…なら良いんだが。」

安堵の溜息を吐くと、二人はくるりと踵を返そうとした時、金吾に呼び止められた。
明日の天気のことだ。
今夜は満天の星が輝いているが、生憎水無月に差し掛かり、天気はどうなるか解らない。
もしかしたら地面がぬるぬる滑って、穴を掘る時ぐちゃぐちゃのどろどろに濡れてしまうかもしれない。

「穴に入れる時は余り力入れちゃ駄目だぞ、些細な事で壊れるかも知れないからな。」

穴について語るのは良いが、如何せん後輩の目はぼけーっと小平太を見上げている。
湿り気について語っていると、今度は喜三太がナメクジの話をしてきた。
ぬるぬるだの、湿り気だの、濡れてびしょ濡れだの。
ナメクジ好きな後輩に些かうんざりした食満の背中に、「何か」が軽く押し当たっている。
後ろを見ると、四郎兵衛の顔が真っ赤に染まっている。
どうやら今までの会話の中で、色んな想像が頭の中を駆け巡って大変な事になっているらしい。
慌てた食満は、四郎兵衛の様子を悟られない様、一歩ずつ後ろへ下がる。
だが相手は好奇心旺盛な1年生。何かの遊びかと思い、二人は食満を追いかけ様とする。


94:四郎兵衛×しおり 45
08/06/20 00:25:34 DTDx2V26

「お前ら追い掛けるな!遊びじゃない!早くお風呂入って寝なさい!!」

ぐるりと勢い良く身体を捻ったのがいけなかったのか、遠心力が強すぎたのか、
四郎兵衛はずるりと廊下に落とされてしまった。
異変に気付いた喜三太が、食満に問いかける。

「食満先輩、時友先輩の浴衣、どうして膨らんでるんですか?」

あまりにも無邪気で残酷な質問に、3人はそこが氷河期よろしくブリザードが身体を打つ感覚に囚われた。
硬直が解けたのか、食満は光の速さで四郎兵衛を抱え、2年生の長屋へと走っていった。
小平太は、後で教えてやると言い残し、後を追い掛ける。
二人はぽつんと廊下に残されたまま、目的を思い出し、風呂場へ向かう。

本日二度目の元気な状態を後輩に見られ、四郎兵衛は布団の中でうずくまったそうだ。



四郎兵衛受難www



95:ひみつの転校生 田村編
08/06/20 21:54:33 FcXWCEyV
>>68
秘密の人てwアッコちゃんみたいだなw
自分の設定でこんな素敵な文を…!ありがたやありがたや!!
全くもって不快ではないので是非とも続きをわっふるわっふるwww

しろべの人そろそろ四郎兵衛を幸せにしてあげてくれw
ついでに食満も楽にしてやってくれw

昔話の人待ってたぜ!なんか昔話の人の話はねっとりエロで好みだw
パンツ脱いで干して待ってる!

竹谷の人、なんていうか や ら な い か
その後っていいなwいい心の洗濯をしたぜ。

投下ラッシュで追いつけねえwww(性的な意味で)
田村編投下させて頂きます


転校してきてから数時間。
数時間の間に知らぬ者が見れば何があったのかというくらい転校生は男らしくなっていた。
もの凄い形相でがに股で歩いていただけだが。
早々に女性器にローリングサンダー、お口でバキューム、菊門をボーリング…。
「破廉恥学園か。ここは忍術破廉恥学園か。」
ふと近くにあった建物の戸の鍵が外れているのが目に入るやいなや、
今までで一番忍者したのではないか、といわんばかりの静かな潜入をした。
その瞬間の目撃者がいたのであれば、きっと「消えた!」と騒いだであろう。
静かに建物に入った転校生は、窓から光が差し込む場所を頼りに壁を見つけてヨロヨロとその場に向かった。
壁に手をついた瞬間、頭をガンガンと打ち付け始めた。ただただ頭を打ち付けていた。
横に同じような頭を打ち付けた後があったが、転校生は知る由もなかった。
「絶望した!」
そう叫んだ瞬間、後ろで人の声と物音がした。
「!?」
転校生が振り返ると、窓から差し込む僅かな光に浮かんだのは、い組の田村三木ヱ門だった。
気配を消して入ったので気づかなかったのだろうか。
「あ…。確か隣のクラスの…」
と言いかけて、三木ヱ門の尋常じゃない表情に気づいた。
すー…と目線をゆっくり下にやると、三木ヱ門は袴をはいていなかった。
いや、それまではいい。褌も一緒に脱ぎ捨てられており、尻を丸出しにしていた。
いやいや、まだそれまではよかった。
着用物を脱ぎ捨てて生まれたままの姿の下半身の先には、火器が置かれていた。
「あ、あわわ…。」
三木ヱ門は「ついにバレてしまった」という表情で、身動きできずにいたが、
「あわわって…。こっちの台詞だ…。火器の穴って…。」
どいつもこいつもドイツ人、と転校生はその場にガックリとうなだれてしまった。

96:ひみつの転校生 田村編2
08/06/20 21:55:27 FcXWCEyV
「穴が空いてればなんでもいい年頃か…。しかし火器のどこに勃ち所が…。」
「ハルコを馬鹿にするな!!」
さっきまであわわなんて言ってた三木ヱ門が突然吠えた。
「ハルコって…、お前床に『ユカちゃん』とか名前つけてマスかく派?」
「違う!過激な武器を扱わせたら学園一!この田村三木ヱ門は全ての火器を愛し、名付けている!」
火器の銃口にブツをハメたまま三木ヱ門は語り始めた。
「滝夜叉丸みたい…。」
「何!?」
滝夜叉丸という言葉に反応した三木ヱ門はハルコからモノを引き抜いて険しい表情になった。
「私を滝夜叉丸なんかと一緒にして欲しくないな!あんな自慰も知らぬネンネ!」
「あ、やっぱり。」
「ん、何だ知ってるのか。」
「あー。まーな。」
まさかさっき口淫をして一皮剥いたなんていえやしない。ましてや性別がバレてしまう。
適当に話をはぐらかそうとしていたが、ノッて来たのかなんなのか、三木ヱ門は突然
「よし!気に入った!今日は特別にハルコの穴を貸してやる!」

「な、なんだってー!?」

急展開。何を考えているんだコイツは。
遠回しに「俺と穴兄弟になれ」と言っているようなものではないか。
いやいやいや!それ以前に自分が男であろうと火器の穴でなど出来やしない!ましてや私は女だ!
「い、いいよ!三木ヱ門の彼女みたいなもんだろ!?」
と強く断って倉庫を後にしようとしたが、「まあまあ」と袴の紐を捕まれた。
今度は強く結んでいたのでほどける事はなかったが、三木ヱ門は容赦なくハルコを勧める。
「ダマされたと思ってやってみろって!まず先に挿れてだな」
「ちょ、やめ、うああああ!」

説明しながら三木ヱ門の丸出しの下半身は興奮したのか、ギンギンになりはじめていた。
「私とお前の秘密だ!ハルコの穴は本当に最高だぞ!」
そう言って三木ヱ門はついに転校生の袴を引っぺがした。
引っぺがされた転校生の視界はコマ送りのようにゆっくりと流れ、
『私 オワタ 』そう脳内テロップと涙が流れた。
二人で後ろに倒れ込んでしまったが、転校生はただならぬ痛みを感じた。
おそるおそる痛みの場所へ目をやると、ギンギンになっていた三木ヱ門のモノが入っていた。

「本格的に…終わったわ…。」
女として、とか体の事、とか、そんな物は二の次で後輩に囲まれた学生生活を送るビジョンが浮かんだ。
「ど、どこに入って…!?」
「あぁ…。」
涙目で振り返ると、さっき会った時と同じ顔をして三木ヱ門は固まっていた。
「なんたる絶望…。なんたる不運…。これなんてエロゲ?」
なんかもうどうでもよくなってしまった転校生は、今度こそ本気でヤケを起こした。
「…私は風魔の進級試験で潜入操作中のくノ一。バレたらお終いだっけどもうどうでもいいわ。」
すうっと目つきを変える。三木ヱ門の背中に喜三太のなめくじでも這った様な感覚が走った。
「火器と女を一緒にしてもらっちゃ困るわね。女ってものを教えてあげる。」
さっきまでの「男」の顔ではない。艶を帯びた女の顔になった。

97:ひみつの転校生 田村編3
08/06/20 21:56:24 FcXWCEyV
ゆっくりと腰を上に上げると、三木ヱ門は「ぅぁ」と小さく声をあげて顔をしかめた。
上げた腰を一気に三木ヱ門の腹に打ち付けるように下ろすと、また三木ヱ門は声をあげた。
段々とその行動を早めていくと転校生からも艶を帯びた声がもれた。
薄暗い倉庫の中、僅かに差し込む光は二人の結合部分を照らし出していた。
上下する肉厚の尻と濡れた女の穴にギュウギュウに入ったモノを
目の当たりにした三木ヱ門は吐きそうなくらいの快楽を全身で感じた。
響き渡る水音とぶつかる肉の音で二人は酔う。
「もう…出るよォ…っ!」
三木ヱ門が喉の奥から苦しそうに声を出す。
「あん…、も…中に…」


「それと火縄銃が…。」
絶頂寸前。倉庫の戸が開いて誰かが入ってきた。
倉庫の中と外の境界線を挟み、世界の違う者同士の目が合った。
「な、な、な…ッ!?」
「あ…。」
「お、お前…ら…!?」
「あぁ…。」
入ってきたのは教師、土井半助と五年い組の久々知兵助だった。

「何をやっとんじゃお前らああああああああ!!!」

土井と久々知の声が同時に響き渡った。
本日…もう数えまい。もう顔面蒼白回数などどうでもいい。私は留年決定なのだ。
転校生は親指を立て、元気よく笑顔で叫んだ。

「ご一緒にいかがですか!」

98:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:09:01 BwuHCQMk
すごいテンポのよさにハゲワロタ
男前だよ転入生!
四年生全員見事な斜め食い。まさかこのまま
五年生と教師にまで!?
ありがとう感動した!

99:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:09:55 dTSF0an5
初めてリアルタイムで読んだ!!
秘密の人乙&gj!!最後のセリフで吹いたww

しろべの人もgj!!
学習能力のない小平太わろすww





100:四郎兵衛×しおり 46
08/06/20 22:28:50 DTDx2V26
転校生の人GJ!!!!四年制覇おめでとう!!
てwwんwwwこwwうwwwせwwいwww
男前過ぎて腹抱えて笑ったwww俺の水返せwwww


忍術学園の朝は早い。
朝日が昇る前位から起きていて、自主訓練をし始める者も居る。
くの一教室のしおりは、昨夜全くと言って良いほど眠れず、悶々とした夜を過ごしていた。
汗をたっぷり掻いた所為で、熱は何とか下がった物の、心の内は晴れない。
この曇った朝の空の様に、霞が掛かったままだ。
体調もまだ万全でないのに、思いを振り払おうと朝も早く鍛錬に向かおうとしている。

忘れたいのに忘れられる事が出来ない。
自分は気付かない振りを貫き通ていたい。その本当の気持ちを知ったら、四郎兵衛を見れなくなってしまうかも知れない。
それに自分はあんな事をしてしまったのだ。嫌われてしまっても無理は無い。
あの子には、もっと自分なんかより可愛い彼女のほうが相応しい。
そう思いながら髪を結い直し、制服に袖を通す。

「…四郎兵衛。」

誰も居ないのに、ぽつりと名前を呼んでみるも、声はしない。
日々こみ上げる切なさは、胸を締め付け、身体をも疼かせてしまう。
ぶんぶんと頭を振り、勢い良く地を蹴ると同時に、彼女は忍術学園の鍛錬コースへと走って行った。

同時刻、時友四郎兵衛も同じく起床していて、こちらは暇を持て余していた。
ぽてぽてと朝の光を浴びようと庭に出るも、生憎曇り空だ。
顔を洗い、ふと前の方を見ると、くの一教室の誰かが走り抜けて行った。

「…しおり、ちゃん?」

間違いなくあの黒髪はしおりだ。
病み上がりだと言うのに、無理をしたらまずい。しおりを引き戻そうと、その後を追い掛けた。




101:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:43:55 EAL7h/KJ
しろべーの人ちょっと長すぎ。

102:四郎兵衛×しおり 47
08/06/20 22:59:56 DTDx2V26
薄闇の竹林に、霧が立ち込める。
気を抜くと怪我じゃ済まさない。やはり大事をとったほうが良かったのか。
今更引き返す事も出来ず、丁度手頃な木を的に、手裏剣の練習をする事にした。
小気味の良い音が響き、手裏剣も的を外れてはいない。腕は落ちてはいないようだ。

ほっと一安心すると、後ろで小さい物音が聞こえた。
獣かと一瞬警戒し、鶉隠れで身を隠し、その場をやり過ごそうとした。
そっと草陰から覗いて見ると、獣なんかではなく、四郎兵衛がきょろきょろと誰かを探している。

「あの馬鹿…、何してんのよ…。」

さっさと離れて欲しい所だが、全然離れてくれない。寧ろ近づいて来ている。

「しおりちゃーん、どこー?無理しないでー。」

自分を呼ぶ声に心臓が跳ね上がる。
自分の身を案じてくれて此処まで追い掛けて来た事に、喜ばすにいられようか。
気が緩んでしまったのか、小さく頭を上げてしまい、草の動く音に四郎兵衛の身体がこっちを向いた。
足音が止まったと同時に、自分の目の前が明るくなり、四郎兵衛の顔が間近に迫っていた。

「うひゃぁああ!」
「しおりちゃん、無理しちゃ駄目だよー。帰ろうよ。送っていくから。」
「ここここ、来ないでええええ!!!」
「しおりちゃん!?」

手を伸ばす四郎兵衛を振り払い、それこそ某赤白の正義の味方の如き速さで竹林を駆け抜けて行くしおり。
顔は見るも耐えられない程赤く染まり、顔を隠してたのが不味かった。
がくんと身体は下に落ち、そこは深い穴で、ご丁寧に尖った竹まで埋められていた。
幸いにも竹の数が少なかったので致命傷ではないものの、足を怪我してしまい、穴から出られそうも無い。
紅い雫が太ももを伝い、桃色の装束を紅く染める。

「…こんな事なら、拒むんじゃなかった。」

傷の痛さと、胸の奥が切なくて、しおりは穴の中で涙を零し始めた。
どうせ誰も助けてくれない。
四郎兵衛も気付かないだろうと思った矢先だった。

「しおりちゃん!!」

自分を呼ぶ声に上を向くと、そこは四郎兵衛が顔を覗かせていた。
喜ぶ暇も無く、四郎兵衛は穴の中へ入ってきて、颯爽と自分を抱き上げて、穴から引き上げてくれた。
普段のぽやんとした姿からは想像もつかない位で、思わず胸が高鳴った。

しおりを木陰に座らせ、持っていた水筒で傷を洗い流し、布で縛り応急処置をした。
足の他にもあちこち擦り傷があり、四郎兵衛は常備していた傷薬を取り出した。

「…何で、来たの?」

ぽけっとした顔が不思議そうに此方を振り向き、やがて恥ずかしそうに俯いてしまった。
何よ、と素っ気無く答えるものの、もじもじするばかりだ。

「しおりちゃん…、病み上がりだから、心配になって…。」
「あ、あたしに構わないでよ!!」

有難う、と言いたい筈なのに、口は正反対の言葉を放ってしまう。
気付いた時は遅く、また素直になれない自分に嫌気が差す。
どうしてこの子と一緒に居ると素直になれないんだろう。

「あんたがいなくても、あたし自力で登れたんだから!」


103:名無しさん@ピンキー
08/06/20 23:15:13 0Sc0Mrk7
自分は長いとは感じないけどな
しろべの葛藤や二人のもどかしさなんかが可愛いし、甘酸っぱさが何とも言えずwとても楽しく読ませていただいている

文字での応援しかできないけど頑張ってください

104:名無しさん@ピンキー
08/06/20 23:52:01 QCTU709v
>>101
・投下だけでもありがたや、腹に入ればみな同じ。
・名無しは味の濃淡を問わず、品の多少を選ばず、 ただひたすらいただきますだ!

職忍の皆様、GJ&御馳走さまです(-人-)

105:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:08:42 H9r7onvT
しおり×庄左ヱ門の続きまだー

106:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:11:04 ChQ6g7wV
>>103>>104がいいこと言った。

しろべの人、いつも楽しませて頂いてますありがとう。
長編読みごたえあるよ。これからも応援してる。


107:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:54:29 opsaIF7b
長さは気にならない。作品にケチつける気もない。
ただ前の人が投下して一時間もしないのに投下するのは
どうなのかなと思う。
過密スレでもないんだし、そんな焦ることないんじゃないか。

108:名無しさん@ピンキー
08/06/21 01:36:14 D36+9gqB
その考えはわかる。
だけど、四郎兵衛の人や他の職人さん達が投下しづらくなったら、ちょっと、、せっかくの良いスレなんですから、、
携帯から失礼

109:名無しさん@ピンキー
08/06/21 06:29:55 XEQ21P9z
混み合っているときは、仕事の早い保管庫でSS読んでる俺勝ち組。
スレに勢いがあるってのは良いことです。

>ひみつの人
田村wwwちょwwwおまwww転校生の男前っぷりが何か清々しいですな。
続きワッフルワッフル!

>しろべの人
二人の、もどかしくもほんわかする間柄が好きです。
あと6年生の空回りっぷりもニヤニヤさせて頂いてます。
『閨事=子作り』のもんじはそこはかとなく妖精さんフラグが立っているのではと…ん?誰だ早朝かr

110:名無しさん@ピンキー
08/06/21 11:15:32 aNrbNnQA
秘密の人GJ!!
もうどこから笑ったらいいのか萌えたらいいのか分からんwwwww
最後のシーンは私の中で伝説になったよ
本当に楽しませてくれてありがとうwwwww

111:名無しさん@ピンキー
08/06/21 11:16:32 g8Z8U3mG
転校生の男前度に惚れたw
マジで忍たまにこういうキャラほしいな。

それにしても同じ女として、4連発はキツイ…転校生の体が心配だ…
あそこ痛くなってきたお…

112:名無しさん@ピンキー
08/06/21 12:50:46 m29SwtqV
たしかにあまりに長期に渡る連載だと
いいから早く「エロパロ」部分に到達してくれ!!と
思ってしまう気持ちはわからんでもないw

113:名無しさん@ピンキー
08/06/21 14:16:20 W55M+ZkM
わかるww
エロがほしい
もちろん、エロパロ板だからな

114:名無しさん@ピンキー
08/06/21 16:19:08 mCRK1lwv
個人的にはエロは無いなら無いで構わないかな。
楽しめればいいよ。



かと言ってエロが読みたくないワケじゃないww


115:名無しさん@ピンキー
08/06/21 18:07:26 g8Z8U3mG
エロネタ、下ネタが入るとやっぱこのスレにしか投下できないだろうから、
別にガチセクースがなくても忍たまで下ネタ読めれば私幸せだな

じらされプレイもたまらんし。職忍さんに任せる。
よく考えたら忍たま達小学生中学生だしなw


116:名無しさん@ピンキー
08/06/21 18:14:32 3Bfk+k/j
そうそうマターリいこうマターリ

117:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃4の前書き
08/06/21 22:52:23 naaZ00ex
厚着×恵々子の続き投下します。
エロは次回と言うことで勘弁してください。

118:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃4
08/06/21 22:54:10 naaZ00ex
あ、すいません、注意書き。
先生の過去捏造ありです。



厚着先生が出張から帰ってきて、三日経ちました。
今日も恵々子の恋を応援するクラス全員参加の作戦会議が開かれています。
円座になり、お茶とお饅頭をその真ん中に広げて、これがいい、あれがいいと話しをします。
「男は胃袋で掴めって言うじゃない。やっぱりこのままお弁当作戦で行くべきよ。」
「うーん、でもそろそろメニューがワンパターンじゃない?ここは実用品作戦で行きましょうよ。」
なんて喧々諤々している中、恵々子は誰か一人、いないことに気づきました。
「あれ、卯子ちゃんは?」
あちらこちらを見回しても、卯子ちゃんの姿はありません。
お饅頭を半分に割りながら、そうこが答えました。
「卯子ちゃんね、厚着先生の身元調査。」
「身元ぉ?」
一斉に声が上がります。
厚着先生の身元なんて、事務のおばちゃんに言えば表面上のこと、例えば現在の住まいとか、そんなのは簡単にわかることです。
そうこは半分にしたお饅頭の一つを口に入れました。
贅沢にお砂糖を使ったお饅頭は、これでもか!というほど甘く、とろけるようです。
「正確に言うと、なんていうかな。酒癖は悪くないかとか、そんなのを調べに行ったわ。こういうのって、結婚する上で大事よ、やっぱり。」
「け、け、結婚なんて!そんな、私、ただ。」
恵々子は顔を熟した柿みたいに赤くしました。
お付き合いを飛び越えて、いきなり先のことを、しかも自分以外の人に考えられてしまったからでしょう。
「ただ、お付き合いしたいなぁ、とか、そんなこと、考えて。」
「でも結構大事なことよね。賭け事しないとか、女癖が悪くないかとか。」
「お給料は大丈夫かもしれないけどねー。」
「あ、あのさ。一つ、いいかな?」
小さな、恥ずかしそうな声が聞こえます。右から三番目に座っていたみかが、手を挙げながら言います。
「厚着先生って、結婚されて、ないよね?そこからじゃない?」
あたし厚着先生っていまいち知らないのよね……と、最後の部分は松千代先生みたいに、あやかの身体の陰に隠れながら呟きます。
「大丈夫よ。」
恵々子の代わりに、ユキが自信たっぷりに返答しました。
「お付き合いする上で大事なことだもん。ちゃんと調べたわ。」
厚着先生、結婚されてないし、恋人もいないらしいわよ。


119:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃5
08/06/21 22:56:21 naaZ00ex
卯子は池の近くに置かれた火山岩に腰を下ろしてため息をつきました。
これでもう八回目です、いえ、九回目かもしれません。
とにかく、自分でも回数があやふやになるくらい息を吐いていました。
情報収集の第一歩は、聞きやすい相手を選ぶこと。忍者にとっては当たり前のことです。
卯子はもちろん、ちゃんとその手段に倣いました。
まず、厚着先生より年が下すぎる人はだめ。遠慮して聞いていない可能性が高いからです。
ここから、一年生の先生は二人も消えてしまいました。
次に、厚着先生に近しい人。ここに至ると、数は三人ほどになってしまいました。
そして最後に、自分がその相手と話せるかどうか。これが結構重要です。
安藤先生だと、あのくっだらないギャグと毒舌を入り混ぜた話を長時間聞かねばなりませんから、却下。
山田先生はお話しやすいでしょうけど、口を割るかどうかわかりませんし、
うっかり化粧の話をして女装の話題になったら大変です。
そんな取捨選択を繰り返していって、辿り着いた相手が、日向先生でした。
日向先生は厚着先生より年下ですが、同じ一年生の担任ですし、
なにより体育委員会の顧問同士ですから、きっとなにか情報を持っているはずです。
卯子は早速日向先生を探しました。
日向先生は授業がない時は外で日光浴をしていることが多いと聞いていたので、
日当たりの良い場所を中心に探しているとすぐに見つかりました。
先生の隣に座り、卯子はまず、世間話から始めることにしました。
あちらへ曲がり、こちらへ足を向け、時には後退しながら、厚着先生に関わることを聞き出しています。
(酒癖も悪くないし、当たり前だけど、賭け事もされていない。あとは恋人とかいるかどうか。)
悟られないように会話をする、というものはかなり疲れるものです。
話した時間は、おそらくたったの30分ほどだったでしょうが、卯子は額に玉の汗を浮かべていました。
「結婚と言えば、先生方の中でご結婚されていない人っていらっしゃるんですか?」
ほかほかと甘い光は落ちていきます。
こんな力の入った会話をしていなければ、卯子はこの暖かさを晴れ晴れとした気持ちで受け止めていたことでしょう。
「そうだな、若い先生方はまだ子供たちのほうで手一杯だそうだしなぁ。ああ、厚着先生が。」
と、言いかけて日向先生は黙ってしまいました。
「厚着先生、が?」
卯子は慌てて日向先生の方を向きます。なによりも、もっとも重要なことなのです。
くのたまと対照的に、先生はいつもの声で遮った言葉を続けます。
「いや、うっかり話を混ぜてしまっていた。厚着先生はご結婚されていない。」
「あの、混ぜたって、どんなお話とですか?」
「えーと、確か、厚着先生には婚約者が、いたって話とだ。」

120:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃6
08/06/21 22:58:33 naaZ00ex
―どうしよう、こんなこと盛り上がっている皆に言えることじゃないわ。
目を伏せ頬に手を当てて頭を垂れます。
手に入れた情報が重過ぎて、このまま池に落ちてしまうんじゃないかと思うほどでした。
「卯子ちゃん、危ないわよ、そんなに頭を下にしちゃ。」
声をかけられ、背筋を伸ばした途端、バランスを崩して池に落ちそうになりました。
腕をばたばた動かしてなんとか姿勢を保ってから、後ろを振り向きます。
「山本、シナ先生。」
「どうしたの、随分と考え込んでいるようだけれど。」
真っ白い手が、頭を撫でてくれます。包み込むようなその感触は抱え込んだ不安を吸い取ってくれるようでした。
「厚着先生のことでしょ。」
唇を噛んで俯いていた卯子に、シナ先生はずばり指摘します。
驚いて顔を上げると、先生は柔和に微笑んでおられました。
「わかりますよ。くの一教室全体で探っていることは、厚着先生以外の教師にばれています。」
秘密にしていたことがばれてしまい、がっくりと肩を落します。
まあ、目当ての人にはまだ気づかれていないから良しとしましょう。
胸をとりあえず撫で下ろす卯子を見て、シナ先生は更に爆弾を投げてきました。
「恵々子ちゃん、いらっしゃい。」
ええ、と声を上げるまもなく、茂みから恵々子ちゃんが飛び出してきます。
「恵々子ちゃん。」
「卯子ちゃん、話して、お願い。」
目を合わせ、しっかりと手を握って恵々子は願い出てきました。
「好きな人のこと、全部知りたいもの。」
そうなんです。恋って。
どんな瑣末なことであっても、相手のことが知りたくて仕方がなくなるのです。
例えそれが、足が致命的に臭いとか、借金が小国の予算分だとか、
子供が実は五人居て、しかも来年二人生まれるとか、そんなことであっても、です。
それを聞いて、燃え上がるか、それとも醒め上がるかは本人次第なのです。
卯子はじいっと、恵々子の顔を見て、手を握り返しました。
「……わかったわ。」
卯子は岩に座ると、静かに、ゆっくりと、お話を始めました。

121:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃7
08/06/21 22:59:16 naaZ00ex
それは古い恋のお話。
あるところに男が居ました。
男は、暮らしていた村の女と恋に落ち、結婚の約束をしました。
女との暮らしのために、男は一生懸命働きました。
男は腕の良い忍びだったので、仕事には困りません。
ある年の冬、男は仕事に出ました。
この依頼をこなした後、男は忍びを辞めるつもりでした。
それは、二月も掛かる長い任務でしたが、
女との暮らしのために、男はがんばって終わらせ、意気揚々と村に帰りました。
しかし、そこに女は居ませんでした。
男が仕事に出てすぐに、流行病にかかって帰らぬ人になったのです。
墓を参った後、男はすぐに村を出て行きました。
それから男を見たものは誰もいないのです。

沈黙には沈黙なりの音があります。しかし、今、この池の周辺は真の沈黙に包まれていました。
長くて、短い話を終えた後、最初に口を開いたのは恵々子でした。
「……あたし、身を引くわ。」
「そんな!」
いきなりの言葉に、卯子は思わず手に力を入れます。
「だめよ!あきらめたらそこでおしまいじゃない!」
「あたしだって、本当はあきらめたくない。」
でも、と言葉を続けます。
「厚着先生を、そこまで思わせる人に、勝てるかわかんない。」
言葉の塊を吐き出すと、目からぽとぽとと真珠が零れました。
澄み切った空から鳥の声が聞こえてきます。
求愛をしているのでしょうか、いつもと、どことなく違うような気がしました。
「……厚着先生はさっきの話を聞いても、本当に素敵な人。
だって、ずっと昔に亡くなった人を、今でも思っているんでしょう?普通だったら、もう忘れちゃっているのに。
でも、そんな先生が好きになった人は、きっと、あたしよりも、ずっとずっとすばらしい人に違いないわ。
きっと、さっきあたしが言った、恋に勝つとか、そんなこと口にしない人よ。」
「恵々子……そんなこといわないでよ。」
堰が切れた恵々子は、思わず卯子に抱きつきました。堪えていた声が、かすかに零れます。
「恵々子ちゃん。」
じっとその様子を見ていたシナ先生が、恵々子の頭を撫でました。
「ごめんなさいね。でも、貴方にこの話は聞いていてほしかったの。」
「山本、シナ先生……。」
恵々子は今度は、シナ先生に抱きつきます。彼女は生徒の頭を、変わらずに撫でました。
「卯子ちゃんもごめんなさい。」
「いいえ、いいんです。でも、どうして。」
シナ先生は少し目を伏せると、小さく呟きました。
「歪んだ噂を耳にする前に、真実を聞かせたかったの。」
どこかで雨が降っているのでしょうか、冷たい風が、柔らかい若芽を撫でていきました。

122:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃8
08/06/21 23:00:34 naaZ00ex
「厚着先生、ちょっと。」
職員室から出ようとした厚着先生に木下先生が話しかけます。
辺りを窺い、廊下のドン詰まりにある何度の前まで来ると、彼はやっと話を切り出しました。
「実はですな、今度行われる閨房術の試験なんですがな。」
「ああ、来週の。どうかされましたか?」
「はあ、例年通り教員も借り出されるのですがな、
私は抜けたことによって、少し人数が足りなくなってしまったんですよ。」
試験は通常、男子忍たま対くのたまの一対一ですが、一部は一対多数だったり、未婚の教員が相手だったりします。
「なるほど、私にその役を、と。」
「はい。厚着先生さえ良ければなので、強制は致しませんが……。」
厚着先生は口を閉ざします。今まで既婚者でないのに、この試験に立ち会わなかったのは結局のところ自分の我侭でした。
足りないと言う今、それを貫き通すことができましょうか?
「いえ、行いましょう。」
「そうですか。ありがとうございます。」
木下先生は、笑っても怖い顔を明るくしました。
独りになった後、厚着先生は、自分の手を見ました。
あの頃と違い、掌はいよいよ硬く、ひび割れています。
瞳の奥にある、あの手はいつまでも変わらずに白く柔らかいと言うのに。
「無常だな。」
嘲るように唇を吊り上げると、静かにそこから立ち去りました。
静かな陽光が、納戸の戸を照らしています……

123:日本昔下話  黄薔薇の咲く頃9
08/06/21 23:02:29 naaZ00ex

「以上で試験の説明は終わります。それではおまちかね。くじを引いてくださいね。」
太い竹筒の中に、何本もの竹串が入っているものを渡されます。
顔を少し染めた生徒たちは、一本引いて、ある子はガッカリしたり、ある子はガッツポーズをとったりしています。
恵々子はじっと、自分の番が来るのを待っていました。前だったら、意中の人が当たるように願っていたことでしょう。
(当たってほしくない。でも。)
当たってほしい。二つの気持ちが縮んだり膨らんだりを繰り返して、苦しくなります。
「でも残念ねー、恵々子ちゃん。」
まだ事情を知らないトモミが竹筒を渡しながら言います。
「厚着先生って、これの試験に出たことがないらしいわよ。」
せっかくお近づきのチャンスだったのにねー、と言われ恵々子は軽く笑うと、クジを引いて、名前を確認します。
「……!」

神様というのは、なんという気まぐれを起こすのでしょうか。
恵々子は指を震わせて、竹串を机に置きました。一番下が削られ、真新しい墨で厚着、と書かれたくじを。
最後の一人が引いたのを確認し、ざわめく教室を静めてからシナ先生は声を出しました。
「皆さんクジを引きましたね。試験は一週間後に行われます。それまでに、相手を調査して、対策を採っておくように、以上!」

続く

124:名無しさん@ピンキー
08/06/22 00:26:09 /5QmplNT
昔話の方、つづき楽しみにしてます!ワッフルワッフル

トモミちゃんやユキちゃんの相手が誰になっちゃうのかも気になるぜ

125:名無しさん@ピンキー
08/06/23 13:25:08 EsMTeM+H
閨房術、楽しみ!

兵太夫のからくり部屋を見て、授業として忍たまから拷問を受けるシナ先生を想像してしまった。

126:四郎兵衛×しおり 47
08/06/23 13:27:12 ib3z3LnL
皆さんの厳しくも温かい意見に全俺が泣いた。
何時もグダグダですいません。幸せにするのでマターリ待っててやって下さい。

昔話の人>
温かくも味のある内容、何時も楽しく読ませて頂いています!
恵々子ちゃんの恋、幸せに実ると信じております。

投下

自分の放った言葉は何時も裏だらけ。本当は有難うと言いたいだけなのに。
違うと心の中で強く思っても、言葉に出来ないならば意味が無い。
暫くの沈黙の後、しおりは俯いてしまい、何も言う事ができない。
四郎兵衛は徐に立ち上がり、ぽふんとしおりの頭の上に手を乗せ、優しい手付きで撫で始めた。

「な、何、よ。」
「早く気付いてあげられなくてごめんね。後でぼくの事殴ってもいいから、まずは帰ろう?」
「一人で帰れる…。」
「どうやって帰るの?この天気じゃ何時か雨が振る。余計に体調崩しちゃうよ。」

女の子はもっと身体を大事にしなきゃ、と言うと、呆然としているしおりを背負い
元来た道を歩いて行く。
何処までも優しい馬鹿なんだろう。放っておけば良いのに。
こんな事また言うと、無理矢理にでも付いて来るんだろうな、と思った。

背負われて揺れる背中は、何時もより頼もしく思えて、しおりは密やかにこの時が止まればいいとさえ願った。
こつん、と軽く四郎兵衛の後頭部に頭を付けると、心地よい鼓動が伝わって来た。
今ならば、素直に言えるだろうか。

「着いたよ、しおりちゃん。」

顔を上げると、そこは忍術学園の門。御礼も言えず、時が過ぎてしまった。
門を開けると小松田がサインを求めて来た。
サインした後、しおりを背負ったまま保健室へと連れて行くことにした。
無論、人目も憚らずそのままで。



127:四郎兵衛×しおり 49
08/06/23 13:58:38 ib3z3LnL
すいません48でした。↑

あちこちで刺さって来る視線が痛い。四郎兵衛はそんな事お構いなしに、自分のペースでしおりを運んでいた。
それを、見られてはいけない人物達に見られていると言う事も知らずに。
保健室へ着くと、善法寺伊作が救急箱の整理をしていた。
事情を説明すると、伊作は手馴れた手付きで手当てを始める。
大事に至らなかったのは、四郎兵衛のお陰だろう。

「これなら、完治まで2、3日あれば治るよ。」
「有難うございます、善法寺先輩!」

御礼を言うしおりに、伊作はちょっと、と手を前に突き出す。
二人は意味が解らず首を傾げるだけだ。
優しげに微笑み、そっとしおりに耳打ちをした。

「僕よりも、四郎兵衛君に言ってあげて。…たまには素直に、ね?」

かぁっと顔を赤らめると、伊作はそそくさと保健室から出て行き、二人きりにさせた。
こうでもしない限り、発展はしないだろう。伊作にその思惑があったのかは、不明だが。
水を打った様に静まり返る保健室で、しおりは息を飲んだ。
このまま素直になれなかったら、ずっとこのままの様な気がする。決心した様に顔を上げ、徐に口を開く。

「あ、あの。しろ、べえ。」
「何?」
「あ、あの…。有難う…、あたし…あんな事言ったのに。御免なさい…。」

消える様な言葉が自分でも腹が立つ。
だが四郎兵衛には聞き取れたようで、にっこりと笑顔を作ってくれた。

「しおりちゃんが無事ならいいよ~。」
「あ、あのね!四郎兵衛!あ、あた、あたし…。」

今なら言えそうな気がした。
けれど、女の子としてはもうちょっと雰囲気のある場所での方が良い。
自分が積極的ならば良かったのだろうが、生憎くの一では控えめな部類に入る。
自分に出来る事は、これしかない。多少順番を飛ばすが、鈍感な四郎兵衛には丁度良い。
恋する乙女は、時として大胆になる。

「あ、あの。目を瞑って。」
「うん?こう?」
「あ、有難う。」

混乱していて、最早自分でも制御出来ない位胸の高鳴りが五月蝿い。
そっと目を閉じた四郎兵衛の頬に、白魚のような手が触れる。
口元に柔らかい感触が伝わり、何処か甘酸っぱい。
その感触に目を開けた四郎兵衛は、少し理解に時間が掛かったようだ。

時がゆっくりと流れ、しおりはそっと唇を離した。
自分でも大胆な行動に出たと、まだ心臓が五月蝿い。



128:四郎兵衛×しおり 50
08/06/23 14:19:59 ib3z3LnL
「しおり、ちゃん??」

丸い目はこの上なく見開き、顔を紅葉どころか曼珠沙華を散らしている。
きっと自分の顔もそうだろう。
気付いてしまった気持ちは、ずっと隠して行こうと思っていた。

目の前の少年はひたすら優しく、何処までも純粋で。
それに惹かれてしまった自分の負け。

「…好きです。時友四郎兵衛君。」
「ぅえっ!!?…ぼぼぼ、ぼくも、好き、です。」

穏やかな風が吹きぬけ、曇り空には光が一滴零れる。
どちらかともなく、唇を重ね合い、二人の空間が保健室に立ち込める。

ガタン、という音と共に、保健室の扉が開き、上級生が流れ込んで来た。
今までの雰囲気も全てぶち壊し、二人はお互いの肩を抱いたまま硬直している。

「良かったな四郎兵衛!!おめでとう!!」
「いやはや、私たちの案が台無しになってしまったな。」
「…睦まじき事、実に良き事。」

2年生から6年生までその場で立ち聞きや覗き見をしており、気まずそうにする者、持て囃す者、羨ましがる者様々だ。
水無月の空に虹が掛かり、紫陽花の水玉に光が反射する。
風は何処までも爽やかで、これからの二人を見守っている様だ。

もうじき梅雨の季節が終わり、眩しい夏がやって来る。
幼い二人の恋は、これから始まる――。


一旦此処で終わります。次回からエロ入ると言う事でご勘弁を。



次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch