麻生優子妄想同盟(夢幻戦士ヴァリス) 第七幕at EROPARO
麻生優子妄想同盟(夢幻戦士ヴァリス) 第七幕 - 暇つぶし2ch50:ARCH DUKE
08/07/01 22:34:04 C/fIPNWX
(31)

「それにくらべると、麻衣、って妹の方は素直な娘だったわね~。
お姉ちゃんを助けてやる、って言ったら、拍子抜けするぐらい、あっさり降伏してくれたし。
ま、それじゃ、つまんないから、電撃で少し遊んであげたけど・・・・」

得意とする電撃の魔法から、前述の二つ名を奉られている彼女だったが、
同時に、きっぷの良さと人情味溢れる性格で好感を集め、
駆け出しの冒険者(特に同性)からは憧れの対象として意識される存在でもあった。
・・・・だが、隣を歩く麗夢と同様、今のライディの瞳には、
飽くなき闘争への渇望と共に、大地に這い蹲り慈悲を乞う敗者を心ゆくまで痛めつけたい、という、
おぞましい嗜虐欲求がメラメラと燃え盛っている。



51:ARCH DUKE
08/07/01 22:34:37 C/fIPNWX
(32)

「・・・・そう言えば、聞いた?
夢幻界の女王が、<戦士>たちを集めてる、って話」

麗夢の問いかけに、少し首を捻りながら答えるライディ。

「アスカから聞いてるわ。どうやら、こっちの動きに気付いての事らしいわね。
もっとも、アイツの話じゃあ、夢幻界の連中は例の<法則>って奴に縛られてるから、
暗黒界側が優勢を保ってる世界にいる<戦士>たちには手が出せないみたいだけど」



52:ARCH DUKE
08/07/01 22:36:11 C/fIPNWX
(33)

「フフッ、さすがは<変幻戦忍>ね」
「ああ、エルス大陸にもいたけど、ニンジャってヤツらは、とにかく、地獄耳で、何処にでも入り込める。
きっと今頃は、ヴァニティ城に忍び込んで、<戦士>共の中に上手く潜り込んでるんじゃないか?」

いささか羨ましそうな表情になる<雷の戦士>を横目で見やりつつ、
<ドリーム・ハンター>もまた、その光景を想像して、
遥か時空を超えた場所にいる、くのいちの少女に想いを馳せる。

「噂に聞く、<ヴァリスの戦士>がどれほどのものか、早く手合わせしてみたいよな~」
「二人いるみたいだけど、どっちが好み?わたしは、麗子っていう赤毛のコを頂くつもりだけど」
「そうか。じゃあ、あたしは、優子の方を貰うよ。
クククッ、楽しみね~。あの綺麗な顔を、あたしの電撃で苦痛に歪ませてやるのが・・・・」



――――TO BE CONTINUED.


53:ARCH DUKE
08/07/01 22:49:28 C/fIPNWX
以上、第3章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます。

次回以降、本格的にエロ描写を盛り込んでいく予定です。

アスカの淫術によって、一人、また一人と絡め取られていく、ヴァニティ城の<戦士>たち。
世界に起きている異変の真相を探るべく、麗夢とライディの後を追う麗子を待ち構える狡猾な罠。
垣間見えた真の敵の恐るべき姿とは・・・・。

といった感じで物語を盛り上げていこう、と考えています。
・・・・もっとも、次章の発表は(これまでのペースですと)大体一年後ぐらいになりますが。
それでは今夜はこの辺で~。


54:名無しさん@ピンキー
08/07/01 22:56:59 8lVupWiF
おつかれ~~
って一年後かよw

55:名無しさん@ピンキー
08/07/02 15:18:12 8w2W1Z3U
面白かったです(・∀・)
読み応えがありコーヒータイムに一気に読みました
次回が一年後って…(;´Д`)

56:名無しさん@ピンキー
08/07/02 18:13:09 B8cbGEXJ
平行世界で一年後だから、望めばすぐとかw

57:ARCH DUKE
08/07/02 22:19:19 AFinGB5k
>>54->>56
応援有難うございます~。

『戦士集合!』は、不定期連載でして、
これまでは、スレが切り替わるたびに一章ずつ更新してきました。
1つのスレを消費するのにかかる期間が大体一年ぐらいですので、
次回の更新も一年後になるかな~、と考えている次第です。
ご理解いただければ幸いに存じます。

58:名無しさん@ピンキー
08/07/02 22:40:21 wiDggdAt
続きが読みたいので早く埋めてしまおうw

59:名無しさん@ピンキー
08/07/02 23:10:55 Ww1ufdPn
んじゃ梅

60:名無しさん@ピンキー
08/07/03 00:25:53 i4Rq1YCJ
同感!梅


61:名無しさん@ピンキー
08/07/03 20:53:34 IIB+U6SD
待てw
100も行ってないのにもう埋めかいw

62:名無しさん@ピンキー
08/07/03 22:14:16 MdF1wGJ8
埋め尽くすなら作品で埋め尽くそうぜ!

63:名無しさん@ピンキー
08/07/04 00:27:18 p26QHrlN
埋めだ楳
早く読みたい!
ところで今回の全員集合で優子は勿論たが優子以外なら誰が好き?

俺は妖子

64:名無しさん@ピンキー
08/07/04 21:46:19 ibY2ZzG9
ここのキャロンが『はえてない』ほうだったらいいんだけど・・・

65:名無しさん@ピンキー
08/07/04 23:50:40 28D3y3DN
麗子をヤりまくりたい


66:名無しさん@ピンキー
08/07/10 01:12:27 XcRdQTS0
hoshu

67:名無しさん@ピンキー
08/07/14 03:08:13 PR7vhzCX
久しぶりにスレ見る暇出来たから前スレ探して見てみたら
いつもの絵師さん来てたのね…ファイルをダウンロードしようとしたらもう消えてたorz

68:名無しさん@ピンキー
08/07/15 03:04:26 2tHMr3md
個人的に見てみたいシチュエーション


・泥沼のような場所で戦ううちに足元からズブズブと沈んでいき、
 身動き取れない状態で陵辱される優子

・スライム状の敵にまとわり付かれ、ベトベトの状態で苦しむ優子

・蜘蛛糸のような粘着系触手で絡め取られる優子



69:名無しさん@ピンキー
08/07/15 14:57:38 NHCNC7Ta
>>68
泥沼ではなかったけど沼で触手に縛られ
凌辱されるシチュエーションはどっかで見たことあるな

あと蜘蛛の巣に縛られる優子も見たことあるな

70:ARCH DUKE
08/07/18 00:36:48 3GsNaGUD
進捗状況~。

『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章は、現在、進捗率約30パーセント。
コミック・ヴァルキリー本編の流れで言えば、
第10話の終わりから第11話の冒頭の部分(アイザードの死亡シーン)に対応する部分を描いています
(もっとも、私のエロパロSSの中では、アイザードが本当に死ぬのはもう少し後になりますが)。
また、このあたりに関しては、エロパロ化出来るシーンが殆ど見当たらないので、
少し想像を働かせて、ログレスの干渉により、現実界への時空転移に失敗し、
優子やベノンと離れ離れになってしまった麗子が、
異形の怪物に陵辱されるオリジナル展開を付け加えたいと考えています。

完成・発表は、(『コミックヴァルキリー』の発売を挟んで)来月末を予定しています。
しばらくの間、お待ち下さいませ~。

71:名無しさん@ピンキー
08/07/18 20:13:57 eopUt0iM
期待age
今更ヴァリスXを買ってしまった...

72:名無しさん@ピンキー
08/07/19 07:55:59 W06gD7FY
オレなんて
ヴァリスcomplete予約>購入>開封してフィギュア見てニンマリ
>ソフトを一回も開封してない
ですがw

73:名無しさん@ピンキー
08/07/19 09:35:41 k3XxMM8r
進捗状況とか一々いらないから

74:名無しさん@ピンキー
08/07/19 15:07:35 mEZ1czsv
立ち読み見てきた
次回は腹パンチや優子の乳握りとかwktk

75:名無しさん@ピンキー
08/07/19 15:45:41 Cb3pO586
>>73
君のレスはもっといらないからw

76:名無しさん@ピンキー
08/07/19 20:13:25 cQ+M4Ou3
>>71
レポの報告と絶望を欲望に変えてSSを書くんだ。w

77:名無しさん@ピンキー
08/07/21 22:42:57 78QZFDhI
いつもの絵師さんが今度来た時はまた過去絵の再アップして欲しい
DL販売でも良いけど

78:名無しさん@ピンキー
08/07/26 22:16:11 NBUVvi41
hoshu

79:名無しさん@ピンキー
08/08/01 00:18:09 XEA4UHqb
保守

80:名無しさん@ピンキー
08/08/07 22:36:09 1VV/tH6a
捕囚

81:名無しさん@ピンキー
08/08/13 21:28:59 j6fuXX4x
もうすぐ夏コミか・・・ヴァリスの新刊はあるのかな?

82:名無しさん@ピンキー
08/08/18 22:05:29 znOI9V9G
残念ながら見付けられなかったよ。

83:名無しさん@ピンキー
08/08/21 22:58:02 qbHTyVvz
残念だ・・・

84:名無しさん@ピンキー
08/08/25 22:44:53 w5e82HY6
本州

85:名無しさん@ピンキー
08/08/29 12:08:37 8Zbh43Lb
今度は粘液系や汚辱系(泥まみれとか)のピンチシーンが見たいなー


86:ARCH DUKE
08/08/31 02:15:22 aNHeMY79
大変お待たせしました~。

『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章、たった今、完成いたしました。
なお、投下作業は、本日の23:00頃より開始の予定です。
あともうしばらく、お待ち下さいませ~。


87:名無しさん@ピンキー
08/08/31 17:26:18 q0H90yPO
期待age

88:ARCH DUKE
08/08/31 23:09:05 aNHeMY79
お待たせしました~。

只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第11章の発表を開始いたします。
なお、この章は、ほぼ全編、エロパロSSオリジナルのエピソードで構成されていますので、
ZOL先生のコミックと読み比べる際にはご注意ください
(コミック本編の時間軸で言うと、11話の中間あたり、
アイザードによって優子が現実界へと転移させられたのと同じ時期に起きた出来事とお考え下さい)。


89:ARCH DUKE
08/08/31 23:10:47 aNHeMY79
(1)

ヴェカンティ。アイザードの居城。

「――逃げるんだ、優子」

禍々しく熱せられた大気が憎悪を孕みつつ吹き寄せてくる中、
切迫した声で、蒼髪の少女を急かすプラチナ・ブロンドの魔道士。
しかし、彼女は、茫洋とした表情で周囲を見回すばかりで一向にその場から動き出そうとはしなかった。
危険が迫っている状況はかろうじて理解できているようだが、
それが、一刻も早く逃げなくては、という思考に結び付いていない。
・・・・否、むしろ、自分自身で何かをしようとする意志そのものが、完全に消え失せてしまったかのようだった。



90:ARCH DUKE
08/08/31 23:11:25 aNHeMY79
(2)

(・・・・麗子がいる・・・・?)

気だるい感覚に支配された世界。
優子の意識は薄明の海原を行くあてもなくあてどもなく漂っていた。
視界は寒々とした灰色に染まり、海底に潜っているかのように聴覚も鈍っている。
目に映るもの、耳に聞こえるもの、肌に感じるもの、全てが曖昧で、
まるで、無声映画のフィルムに閉じ込められてしまったかの如く、現実味が無い。

(・・・・どういう事?これも、夢?それとも・・・・現実?)

麗子とアイザードの姿は視認出来ているのだが、
両者が何をしているのか?という所までは思考が働かない。
ましてや、ベノンの存在など、関心の対象にさえなっておらず、
せいぜい、二人以外の誰かが近くにいるようだ、という漠然とした感触しか持てずにいた。

(分からない・・・・一体、何が真実で、何が幻なのか・・・・?)

外の世界では、魔力を帯びた暴風が渦を巻き、
邪悪な瘴気を纏った剣が猛々しく唸りを上げ、灼熱の炎が嵐となって吹き荒れているが、
<戦士>の力を失い、魂までも病み衰えてしまった少女には、どうでも良い事でしかなかった。
そもそも、何故、自分がこんな場所にいて、こんな恐ろしげな光景を目の当たりにしなければならないのか?
という最も基本的な認識ですら、完全に崩壊してしまっていて、
バラバラになったジグゾーパズルのピースのような、無秩序なイメージの集積と成り果てていた。


91:ARCH DUKE
08/08/31 23:11:58 aNHeMY79
(3)

(チィッ・・・・深層心理への干渉が強すぎた、か?)

一向に動き出す気配も無く、茫然としたままの<ヴァリスの戦士>の姿に、
内心で舌打ちを禁じ得ない、暗黒界の魔道士。

単なる洗脳や意識操作によって、自我を消し去り、捻じ曲げるのではなく、
心底から自分に依存し、追い求める――下世話な言い方をすれば、自分に惚れる――ように仕向ける・・・・、
青年の目論見は、九分九厘まで達成された状態にあったものの、最後の最後で齟齬を来たしていた。
彼女の心は、まさに彼がそうあれかしと願ったものへと変容を遂げているにも関わらず、
優子は未だ自身に起きた変化には気付いていない・・・・少なくとも、はっきりと意識しては。



92:ARCH DUKE
08/08/31 23:12:33 aNHeMY79
(4)

(こうなったら、やむを得ないな・・・・)

小さく呟いて、アイザードは決断を下した。
目の前の少女が、心の在り様をしっかりと認識し、受容するには、きっかけが必要だ。
だが、(当初の予定とは異なり)ベノンによる襲撃・・・・迫り来る死の恐怖だけでは不足だった。

(恐怖では足らないのなら、実際に誰かの死に様を知覚させてやれば良い。
・・・・危険な賭けだが、現状では他に方法が無い以上は仕方ない)

万が一、それでも、混乱状態を脱し切れなければ・・・・万事休す、だ。
彼女はベノンに殺され、苦労して準備を積み重ねてきた計画も水泡に帰す。
ヴァリアが次の<戦士>を見付け出し、召喚を試みる頃には、
おそらく、ログレスの軍団が夢幻界を席巻し、ヴァニティ城への総攻撃さえ始まっているかもしれない。

「・・・・だが、賭けるしかない」

自分と夢幻界、いや、三界全ての命運を、優子――<ヴァリスの戦士>の覚醒に・・・・。



93:ARCH DUKE
08/08/31 23:13:05 aNHeMY79
(5)

帝都ヴェカンタニア。暗黒王の宮殿。

「何だッ!?」「宝物殿の方じゃないのか?」

慌しく駆けずり回る近衛兵共の足音に、暗黒界の支配者は、仮面の裏側で僅かに眉をひそめた。
やや間を置いて、近習の者が玉座まで走り寄り、恭しく頭を垂れる。

「陛下ッ、ご報告申し上げますッ!!」

『<ファンタズム・ジュエリー>か?』

玉座の主から発せられた言葉の響きは、下問というより、確認のそれ。
驚きのあまり、声を詰まらせた側近をつまらなそうに一瞥して、下がってよい、と退出を命じた仮面の帝王は、
この問題については一切興味を失ったと言わんばかりに、じっと黙り込んだ。
・・・・もっとも、無機質な黄金の仮面の奥では、未だ奇妙な熱を帯びた双眸が冷徹に計算を巡らせているのだが。



94:ARCH DUKE
08/08/31 23:13:38 aNHeMY79
(6)

(アイザードめ、良く踊っておるではないか・・・・これまでのところは、だが)

<ヴァリスの戦士>と<ヴェカンタの戦士>――・夢幻界と暗黒界、双方の切り札を手中に収め、
意のままに操る事によって、戦いをコントロールし、己に都合の良い状況を作り上げる・・・・、
元夢幻界人の魔道士の野心の大胆さと数々の下準備の周到さは、
今まさに三界の覇王の座を掴もうとしていたログレスにとってさえ、非常に興味深く感じられるものだった。
だからこそ、暗黒界の支配者は、敢えて夢幻界との決着を急ごうとはせず、
青年の野望の行き着く先を見届けようと、静観を決め込んでいたのだが・・・・。

(・・・・興が、醒めたわ)

麗子こそ首尾良く篭絡し、優子を捉える事にも成功したものの、
結局、彼女を完全に支配下に置く前に、
ベノン如きに――無論、真の意図を気取られた訳ではないにせよ――計画を阻まれ、
進退窮しているとは、興ざめも良い所だった。
勿論、アイザードの事だから、絶望的な状況の下にあっても、
逆転の可能性を探して、必死で智恵を働かせている所だとは思うが、
肝腎の<ヴァリスの戦士>が腑抜け同然の有様では、勝算など立つ筈もない。



95:ARCH DUKE
08/08/31 23:14:11 aNHeMY79
(7)

(――あるいは、あの夢幻界人には、まだ何か、秘策があるとでもいうのか?)

先刻、宝物庫から姿を消し去った宝玉の欠片を脳裏に思い浮かべながら、
もう一度考え込んだ黒衣の魔王は、しかし、すぐにかぶりを振って、その可能性を否定した。
魔道士が何を企んでいるにせよ、現実界の小娘に再起の目が無い以上、
いくらファンタズム・ジュエリーといえども、宝の持ち腐れに過ぎない。

(惜しかったな、アイザード・・・・所詮、あの娘では役不足だった、という事だ)

最後に、クククッ、と、ひとしきり喉を鳴らすと、
ログレスは優子についての検討を打ち切り、もう一人の<戦士>の処遇へと関心を移した。
――<ヴェカンタの戦士>桐島麗子。
<ヴァリスの戦士>の命数が尽きたに等しい今、
彼女の利用価値ももはや無くなったも同然、と言っても過言ではない。
ましてや、アイザードの陥穽に嵌まったとはいえ、暗黒界の支配者たる自分を欺こうとした事実は事実、
重い処分を下されたとしても文句は言えない立場だろう。

(・・・・さぁて、如何にしたものかな・・・・?)



96:ARCH DUKE
08/08/31 23:14:44 aNHeMY79
(8)

――ヴェカンティ。何処とも知れぬ場所。

(ここは一体・・・・?)

訝しげな表情で周囲を見回す、赤毛の少女。
漆黒の闇に閉ざされた空間は、地底の迷宮なのだろうか、
重く淀みきった空気が、ぬばたまの<鎧>から伸びる華奢な手足をねっとりと包んでいる。

(・・・・つい、さっきまで、アイツの城で戦っていた――いや、戦うフリをしていたのに)

あるいは、これも、プラチナ・ブロンドの魔道士の仕業なのだろうか?
たしかに、飛ばされて来る直前、
空間転移の呪文を詠唱するアイザードの声を耳にしたのは覚えている。
だが、優子は兎も角、(表向き、ベノンとの共闘関係を維持していた)自分まで、
あの場から転移させねばならない理由があったは思えない。
・・・・それとも、ここに飛ばされたのは、呪文の失敗か何かが原因なのだろうか?



97:ARCH DUKE
08/08/31 23:15:19 aNHeMY79
(9)

(そもそも、あのイヤミなキザ野郎は何処にいるのよ?
いくら役立たずの優子を抱えていると言っても、
ベノン如きの追撃を振り切れない程の低能でもないでしょうに。

口の中でブツブツこぼしながら、
周囲の暗闇に目が慣れるのを待って、ゆっくりと歩き出す麗子。
わずかに感じる大気の流れは、この隘道が外界から完全に隔絶した空間ではないと教えてくれる。
同時に、微量に含まれている瘴気・・・・ヴェカンタの気配は、
足元にある大地が、現実界や夢幻界ではなく、暗黒界のものであると物語っていた。



98:ARCH DUKE
08/08/31 23:15:55 aNHeMY79
(10)

(・・・・あのグズ、ちゃんと逃げ延びたかしら?)

どんよりと濁った黴臭い空気に内心閉口しながら、かつての親友の姿を思い浮かべる。
魔道士の罠に落ちて力を奪われた上、
記憶と感情まで操作されて、彼の意のままに動く木偶人形と化したハズのトロ臭い娘。
・・・・だが、最後の最後で、彼女は男の期待に背き、
差し伸べられた偽りの使命と偽りの愛を受け取ろうとはしなかった。
無論、その全てが抵抗の結果ではなく、偶然による部分も大きかったのだが――。

(まぁ、アイツの事だから、これで終わりってワケではないでしょうけど)

アイツとは、(無論)アイザードであり、優子ではない。
本来ならば、再覚醒を遂げた<ヴァリスの戦士>と共にベノンを討ち取り、
次いで、ヴォルデスをも屠って、ログレスを孤立無援の状況に追い込んだ後、
反逆の狼煙を盛大に放ち上げる、という算段だったのだが、
優子が最後まで覚醒前の無気力状態を脱し切れなかったせいで、計画は振り出しに戻ってしまった。
まあ、何処までも冷徹で奸智に長けた青年の性分から言って、
ヘタレ娘と共に身を隠し、再起の機会を窺っていると考えてまず間違いはないだろうが。



99:ARCH DUKE
08/08/31 23:16:29 aNHeMY79
(11)

(・・・・それにしても、嫌な雰囲気の場所ね)

全身にねっとりと絡み付いてくるような澱んだ息吹に、少女は苛立たしげな舌打ちを漏らした。
暗黒界の支配者から<ヴェカンタの戦士>の称号を授かった者とはいえ、
光の差し込まない場所でも自由に動けるという能力が備わった訳ではないし、
特段、暗闇の中にいると心が落ち着けるという訳でもない。

「・・・・まるで、あの家(ウチ)にいるみたい・・・・」

――むしろ、長時間、漆黒の闇に包まれていると、
ヴェカンティの人間として生きる、と決断した際に捨て去った筈の、
苦々しい記憶の数々が脳裏に蘇り、過去からの亡霊の如く、執拗に追い縋ってくる。
戦前から続く名門にして近隣に名高い大資産家、という虚飾の下、
己の欲望のためには、血を分けた肉親ですら平然と犠牲にする、家族とは名ばかりの冷血動物の群れ。
何世代にも渡って骨肉相食む争いを繰り返してきた、桐島一族の当主の一人娘として、
麗子は、生まれた時から、嫉妬と羨望のまみれた大人たちの視線に曝され続けてきたのである。



100:ARCH DUKE
08/08/31 23:17:03 aNHeMY79
(12)

「・・・・ええい、あんな奴らの事なんて、もうどうでもいいのよッ!!
今のわたしは、<桐島家のお嬢様>なんていう小綺麗なだけの飾り物の人形じゃなくて、
<ヴェカンタの戦士>――暗黒の力をふるって自分の道を切り開く、人間なんだからッ!!」

必要以上の大声を張り上げ、激しくかぶりを振りながら、
赤毛の少女は、思い出したくもない想い出を頭の隅へと追いやった。
荒々しい怒号が生温い大気を鳴動させ、
ヌルヌルとした黒いカビ状の物体に覆われた地底の岩盤の間を木霊する。

(馬鹿みたい・・・・こんな状況で、何やってるんだろう?)

怒りを発散させたせいだろうか、幾分すっきりした気分になった麗子は、
やや自嘲気味に笑みを漏らすと、足を止めて額の汗を掌で拭った。
肌に触れる大気の感触は、相変わらず、不快さに満ちているが、
出口に近付いた分だけ、空気の流れがはっきりと知覚出来るようになっている。
おそらく、あと小一時間も歩けば、忌々しい穴蔵ともオサラバできる筈だ・・・・、
そう判断した彼女はゆっくりと呼吸を整え、前進を再開すべく、更なる一歩を踏み出そうとした。

――だが、次の瞬間。


101:ARCH DUKE
08/08/31 23:18:09 aNHeMY79
(13)

・・・・・・・・ズブリ。

何気なく踏み出した爪先を受け止めたは、
硬い地面ではなく、ドロドロとした汚泥の感触だった。

「し、しまったッ!!こんな所に地割れがあるなんて・・・・!!」

驚愕の声を発する麗子。
急いで脱出を計るものの、絡め取られた足首は、
岩肌を覆っているカビ類が沈殿して出来たタール状の底無し沼にズブズブと沈んでいき、
すぐに膝の辺りまで呑み込まれてしまった。
手近な岩石に必死にしがみ付き、大地の亀裂から這い上がろうとするが、
渾身の力を込めて握り締めた岩盤は、あろう事か、両手の指の間で脆くも砕け散ってしまう。



102:ARCH DUKE
08/08/31 23:18:43 aNHeMY79
(14)

「そ、そんなッ・・・・あぐうううッ!!」

信じられない、という目で、麗子はボロボロと崩れ去っていく命綱を眺めやった。
悲痛な呻きと共に、沈降を食い止める術を失った彼女の身体は、
再度、腐敗した臭気を放つドロドロの液体の中へと引き摺り込まれていく。
無論、どす黒く濁った汚汁を跳ね上げつつ、何度も泥地獄から脱け出そうとするのだが、
その度に、カラダはますます深みにはまっていき、ついには殆ど自由が利かなくなってしまった。

「あああッ・・・・こ、こんなッ・・・・こんな事がぁッ・・・・!!」

汚泥の中からかろうじて顔だけを突き出して、
刻一刻と迫り来る理不尽な死に対し、あらん限りの悪態をぶち撒ける<ヴェカンタの戦士>。
これまでの人生も、生まれ育った世界も何もかも捨て去って、やっと手に入れた、自分が自分でいられる世界が、
何の前触れも無く、幕を下ろされようとしている不運へのやり場の無い怒りが空気を震わせる。
だが、すでに無力となった手足は地の底へと誘われていき、
溺死の恐怖に青褪め、引き攣った表情もまた、一秒ごとに、泥に埋もれて見えなくなっていく。

・・・・やがて、不幸な赤毛の少女は、完全に底無し沼に没し去り、
最後まで喧しく響き渡っていた叫び声も、
漆黒の水面の遥か下層、貪婪に顎を開いた暗渠へと吸い込まれて、聞こえなくなった――。



103:ARCH DUKE
08/08/31 23:19:14 aNHeMY79
(15)

『・・・・麗子』

わたしを呼ぶ声。
もう、何も聞こえない筈なのに、一体、どうして・・・・?

『・・・麗子・・・・』

――また聞こえてくる、あの声。
・・・・一体、誰なんだろう?
酷く禍々しい、それでいて、とても懐かしい、男の声。

『・・・・お気の毒ですが、お嬢様はもう・・・・。
発見があと少し早ければ、回復の可能性もあったのですが・・・・』

これは・・・・この声は・・・・まさか!?



104:ARCH DUKE
08/08/31 23:20:17 aNHeMY79
(16)

(やめてッ!!思い出させないでッ!!)

『それで・・・・警察の方には何と連絡を・・・・。
お嬢様のご様子では、事故と言い張るのは難しいかと存じますが・・・・』

(やめてッ!!・・・・お願い・・・・その先は・・・・!!)

『それはならん・・・・断じてならんぞ。
私の一人娘が、男に勧められて覚醒剤に手を出したというだけでも十分に恥さらしな話だ。
ましてや、薬物性ショックで植物状態に陥ったなどと世間に知られたら、桐島家の体面は丸潰れになる』

『では、どのように?』

『男の方は口を塞げ。
麗子は・・・・やむをえん、何か適当な病名をつけて『病死』させろ。
いいな、警察やマスコミは勿論、私以外の家の者にも絶対に知られてはならんぞ・・・・』

(・・・・ああ・・・・やめて・・・・もう・・・・やめ・・・・て・・・・)



105:ARCH DUKE
08/08/31 23:20:59 aNHeMY79
(17)

『――久しぶりに、前世を思い返してみるのも一興だったかな?』

(・・・・!?)

聞き覚えのある声――否、頭の中に直接響き渡ってくる、思念――に、
ぎょっ、となって、顔面を凍りつかせる麗子。

『フフフ、いささか刺激が強すぎたのかな。我が<戦士>殿?』

「・・・・・・・・」

黙り込んだまま、返答を返さない少女に向かって、暗黒界の支配者は低く笑ってみせる。
喜怒哀楽をはじめとする感情の一切を感じさせない、乾き切った笑い。
・・・・それは、アイザードとの関係がすでに察知されている、という事実を悟らせるに充分なものだった。
反射的に<影の剣>を実体化させ、身構えようとした<ヴェカンタの戦士>だったが、
手足は、すでに何らかの魔術的手段によって、雁字搦めに緊縛されており、
愛剣を出現させる事はおろか、満足な身動きさえ叶わない。



106:ARCH DUKE
08/08/31 23:21:40 aNHeMY79
(18)

『・・・・心配は無用だ。生命まで奪おうとは思わぬ。
予は過ちに対しては寛大だ・・・・汝の父親とは違って、な・・・・』

発した言葉とは裏腹に、ログレスの口調には寛大さなど微塵も含まれてはいない。
だが、目に見えないロープによって縛り上げられ、指一本動かせない赤毛の女囚は、
鳩尾に冷たいものを覚えつつも、成り行きに身を任せる他無かった。

(殺しはしない・・・・でも、あっさり許す気も無い、という訳?)

努めて平静を装おうとはするものの、表情を取り繕うのが精一杯で、
カラダの震えや心臓の戦慄きまでは止めようも無かった。 
実際、黒衣の魔王は、生命は保証する、とは言ったが、
それ以上のもの――自我、あるいは、正気――についてまでは、何の約束もしていない。
麗子にとっては、面と向かって処罰を言い渡されるよりも、この沈黙の方が何倍も不気味で恐ろしかった。



107:ARCH DUKE
08/08/31 23:22:15 aNHeMY79
(19)

『フフフ・・・・まずは、こんな趣向はどうかな?』

暗黒王の人指し指が、パチン、と乾いた音を立てた。
同時に、強大な魔力が、四方八方から華奢な身体に向かって吹き寄せ、包み込む。
思わず、ぎゅッ、と目を瞑り、全身を硬直させる麗子。
両手両足が今にも引き千切られそうなくらいの怪力で引き伸ばされてビキビキと悲鳴を発し、
関節が許容出来るギリギリの所まで強引に捩じ上げられていく。

「あぐぅうううッ・・・・!!」

苦痛に呻く虜囚の足元から、何か大きなモノがせり出して来る。
――次の瞬間、麗子は、拘束された姿勢のまま、ガクン、と真下に落とされ、
全く無防備な状態の内股を、その物体・・・・硬く冷たい大理石製の拷問器具の上へと叩きつけた。
少女のカラダの中で最も柔かく、打たれ弱い部分を、強烈な衝撃が貫き、
一瞬、視界が閃光の嵐で埋め尽くされたかと思うと、
腰椎を巨大なハンマーで粉砕されたかのような激痛が股間から脳天へと駆け上がっていく。



108:ARCH DUKE
08/08/31 23:22:47 aNHeMY79
(20)

「ひぃッ・・・・ぐがぁああぁぁッッッ!!!!」

痛みと恐怖のあまり、カッ、と見開かれた双眸に映ったのは、
黒大理石を彫り込んで作られた、筋骨隆々たる悍馬の彫像。
そして、背中を跨ぐ格好で、打ちつけた両脚の付け根を深々と鞍上に食い込ませている自らの下半身・・・・。

「ま、まさか・・・・これは!?」

更によく目を凝らせば、石像の背中の部分が、
子供の頃に図鑑で目にした、アジアの砂漠地帯に住む双コブ駱駝のように、異様な形に盛り上がり、
黒絹のプリーツ・スカートと下穿きに包まれた乙女の腰周りを、
前後から挟み込み、ずり落ちないようにがっちりと固定している。
異形の馬体は、彼女の下半身にピッタリとフィットし、薄気味悪いほどの密着感を演出していた。
それだけならまだしも、鞍下にあたる場所には、
股布一枚隔てただけの恥裂の形状にぴったりと合致する細長い溝が穿たれており、
空洞内では、這いうねる無数の触手がジュルジュルと妖しい粘着質の旋律を演奏し続けている。



109:ARCH DUKE
08/08/31 23:23:25 aNHeMY79
(21)

「くッ・・・・ううう・・・・あうぅぅ・・・・!!」

薄い布地越しに秘所に伝わる冷たい石肌の感触に慄然となり、うなじを逆立てた赤毛の少女は、
必死に身を捩るものの、魔性の呪縛は依然として手足を絡め取ったままだった。
漆黒の恥刑台からの脱出はおろか、満足に身動きもままならない美しき反逆者に可能なのは、
自分を処罰するために特別にあつらえられたのであろう、陰惨な責め具の効能を思い浮かべながら、
押し殺した声を漏らし、拘束された弱々しく体を揺らす事のみ。
胸郭の内側では、心臓が早鐘のようにバクバクと鼓動を刻み、
背筋には無数の汗粒がじっとりと滲み出して、皮膚の上を油膜のように覆っている。

『・・・・どうした?一体、何を怯えているのだ?
暗黒界の支配者たる予を相手に勝負を挑む程の<戦士>に、怖いものなど無かろうに?』

相変わらず、ログレスの思念には、一片の憐憫も感じられない。
そこにあるのは、裏切り者に対する冷たい怒りと嘲り、
・・・・そして、この機会に、死よりも、遥かに辛く、おぞましい懲罰を与えて、
二度と反逆など思い付けないよう徹底的に躾を施さねばならぬ、という断固たる決意。
冷酷非情の統治者としての本性を露呈させた暗黒王を前にして、
抗う術とてない少女は、極限まで恐怖を募らせ、打ち震えるだけだった――――。



110:ARCH DUKE
08/08/31 23:24:07 aNHeMY79
(22)

「あぐぅッ!!ああッ・・・・だめぇ!!くひいィィッ・・・・!!」

不可視の荒縄に縛められたカラダが見事な半月形に反り返っている。
魔力によって身動き出来なくされた下半身が責め嬲られるたび、
あちこちの関節が、ギシッギシッ、と不気味な軋ばみ、
汗の飛沫が銀色の輝きとなって周囲に飛び散っていった。

「ダ、ダメェ・・・・グリグリしないれェェッ・・・・ひはぁああッ!!」

一体、どれぐらいの時間が経過したのだろうか?
すでに正確な思考も感覚も、麗子の頭からは完全に消え失せてしまっていた。
馬上に引き据えられた格好のまま、触手の群れによって性感を貪られている女囚の体は、
屈辱感と羞恥心を存分に煽り立てようとしての事だろう、
腰から上を覆う漆黒の甲冑は、バンダナとスカーフだけを除いて全て剥ぎ取られ、
色白な肩口もやや小ぶりな胸の脹らみも露わにされて、暗黒界の生物のおぞましい愛撫に晒され続けている。
唯一の救いは、淡雪のような柔肌の中でも特に白さの目立つ一対の美乳の山頂で、
ツン、と先端を尖らせているピンク色の乳首は、今の所、触手生物の標的からは外されている事だったが、
それとて、魔王の気分一つで、どうなるか知れたものではない。



111:ARCH DUKE
08/08/31 23:24:42 aNHeMY79
(23)

一方、腰から下の甲冑はと言えば、奪い去られた物こそ無かったものの、
無数の怪生物がひしめく馬の背に固定された恥部を護るモノと言えば、
元より、薄手の絹地で出来たスカートと同色のショーツ以外には存在しない。
無論、普段の状態であれば、単なる下穿きといえども、
<ヴェカンタの戦士>の鎧を構成する武具の一つである以上、強力な闇の加護が込められており、
下等な魔物如きが束になって襲ってきても、触れる事さえ出来なかっただろう。
だが、今の彼女は、ヴェカンティの支配者によって、その力の全てを封印された状況にあり、
知能さえ無い下等生物からの責め嬲りという、最低最悪の恥辱を甘受せざるを得ない立場にある。

・・・・・・・・ぐちゅッ・・・・ぶちゅる・・・・じゅちゅッ・・・・ぶじゅるるる・・・・!!

間断なく響き渡る、卑猥な粘着音。
何処にも逃げ場の無い馬体の両側では、色とりどりの触手に巻きつかれたしなやかな太腿が、
気味の悪い分泌液を塗りたくられ、不規則な痙攣を繰り返していた。
さらに視点を移動させると、半透明な粘液に穢されたスカートを、
ヌメヌメとした鈍い光沢を発する、鱗の剥げ落ちた蛇のような肉縄が捲り上げ、
ビショビショに濡れまみれたショーツの中にまで頭を突っ込んで、暴れ回っている。



112:ARCH DUKE
08/08/31 23:25:14 aNHeMY79
(24)

「んぁあッ・・・・はくぅッ!!ああッ・・・・もう・・・・い、いやぁッ!!」

紅潮しきった顔面はあさましい欲情に支配され、だらしない愉悦の表情を浮べつつ、蕩けきっている。
不可視の魔縄に緊縛され、後ろ手に拘束されている両手は、
手の平に爪が食い込んで血が滲むほど、固く、きつく握り締められ、
全身に広がった快楽の火照りに煽られるまま、ブルブルと震え慄いていた。

(――ハァハァハァ、だめェ・・・・ガマンできないッ!!
あああ・・・・アソコもお尻も・・・・熱くて・・・・グチョグチョで・・・・おかしくなりそう・・・・!!)

喉元まで出かかった、あさましい嬌声を、
僅かに残った理性で必死に押し留めながら、火照ったカラダを波打たせる。
とりわけ、この期に及んでもまだ攻撃対象から外されたままの胸元では、
真っ白な汗粒にびっしりと覆われた乳房の上で、淡いピンク色の肉突起が、精一杯、背伸びをしつつ、
あたかも、他の場所と同じように情け容赦なく弄って欲しい、と懇願するかのように、
びゅくん、びゅくん、と、扇情的なひくつきを披露していた。



113:ARCH DUKE
08/08/31 23:25:49 aNHeMY79
(25)

「ふひぃぃッ!!・・・・はぁはぁ・・・・あくぅうううッ!!」

無論、その間も、異界の生物は前後の穴に対して次々に攻撃を仕掛け、
下半身の感覚がなくなる程の快楽を注ぎ込んでいる。
最後の守りである黒絹のショーツは、奇跡的に未だ形を留めているものの、
吐き出されたドロドロの分泌液と己自身の秘裂から溢れ返る愛液とによってグジュグジュに濡れそぼり、
もはや、衣服としての最低限の機能すら果たせなくなってしまっていた。

「あくうううッ!!あッあッあッ・・・・ひはぁあぁぁッ!!」

肩口に達する手前で切り揃えた紅い頭髪を盛大に振り乱しながら、
肉欲に歪みきった表情を涙と涎と鼻汁とでベトベトにする麗子。
あさましい欲情に洪水状態となった恥丘の上では、
普段は慎ましく縮こまっているピンク色の陰核が、
今にも破裂しそうなくらいに腫れ上がった脹れっ面を、肉莢の内側から、ぴょこん、と突出させている。
その真下に位置する恥ずかしいクレヴァスの裂け目には、
沖縄特産のニガウリを連想させる、外皮に小さなイボイボのついた触手が数本
代わる代わる没入しては、狭い膣道をこじ開けて、子宮に到達するまでタイムを競い合っていた。



114:ARCH DUKE
08/08/31 23:26:21 aNHeMY79
(26)

すでに抵抗を諦めてされるがままになっている秘裂に向かって、
異形の魔物たちは、入れ替わり立ち代り、執拗に侵攻を繰り返す。
疲れも倦みを知らない侵略者の前に、少女の体力はすぐに底を尽き、
しばらくすると、気力さえも限界へと近付いていった。

(く、悔しいッ・・・・こんな、触手なんかにッ・・・・!!
あああ・・・・で、でも・・・・イイッ・・・・気持ち良過ぎるぅッ・・・・!!)

弱々しくかぶりを振りながら、自身の不甲斐なさを呪い、責め苛む。
快美感に屈した肉体はトロトロに蕩け切り、
サーモンピンクの花弁からは半透明な淫汁が止め処なく流れ落ちていた。
限界まで膨らんだ陰核が、滑らかな黒大理石の表面に押し付けられるたび、
ぞっとするような冷たさと綯い交ぜになった法悦が下半身をガクガクと揺さぶって、
まるで、別の生き物のように、ビュクン、ビュクン、と激しく脈打たせている。



115:ARCH DUKE
08/08/31 23:26:54 aNHeMY79
(27)

「ふひゃああッ!!ら、らめぇッ・・・・お尻もなんてッ!!」

一方、白桃色に色付いたヒップの谷間に息づく、密やかなすぼまりを担当していたのは、僅かに一本だけ。
太さは麗子の親指よりも一回り大きい程度、表面には目立った凹凸やヒダなどもなく、
一見、何の変哲も無い、ごくシンプルな形状をしたその肉蛇は、
しかし、女体を責め嬲る能力において、膣を受け持った連中に優るとも劣らなかった。

「くひゃぁぁッ!!な、なんなの・・・・これぇぇぇッ・・・・!?」

恥裂と同様、トロトロに蕩けかけていた菊門の、形ばかりの抵抗をものともせずに潜り抜けた直後、
平凡な見てくれの触手生物は恐るべき本性を明らかにした。
排泄器官の中へと侵入を果たした肉突起は、何本かのより細い触腕へと枝分かれし、
さらにその一本一本から、何十もの繊毛が生え出てきて、一斉に蠢き始めたのである。
もしも、彼女の皮膚と内臓を透視して、体内の様子を直接視認出来る者がいたとすれば、
肛門と直腸とを繋ぐ、狭い回廊の内側を何匹もの奇怪な毛虫がひしめき合いながら這いずり回っている、
一目見ただけで吐き気を催すような、おぞましい光景を瞼に焼き付ける事になっただろう。
幸か不幸か、少女自身がその光景を目にする事は無かったものの、
アナルの奥で蠢いている得体の知れない怪生物についての想像は脹らむ一方で、
頭に思い描くその姿形は、時間と共に、実態以上の恐怖をもたらす存在となって彼女を責め苛むのだった。



116:ARCH DUKE
08/08/31 23:27:28 aNHeMY79
(28)

・・・・グチュッ!!ギュプッ・・・・グチュルルッ!!

腸壁の許容出来る体積を遥かに上回る異形の軍団が、
肛門から直腸にかけての狭い空間に潜り込み、激しくのたうち回った。
そのたびに、半剥けになった尻たぶが、ブルブルッ、と震え、
内股の筋肉がキリキリと引き攣って、黒大理石の馬腹をあさましく締め付ける。

「ヒィィッ・・・・ひゃ、ひゃめてえェェェッ!!
オヒリの穴・・・・も、もうダメ・・・・あああ・・・・漏れる・・・・あふれちゃううッ!!!!」

真っ赤に上気した顔面をクシャクシャに歪めながら、赤毛の少女は盛大に泣き叫ぶ。
だが、非情な魔道の呪縛によって拘束された四肢に許されているのは、
鞍上から僅かに数センチメートル腰を浮かせて、最大で彼女の肩幅分程度、左右にスイングさせる事だけ。
無論、アナルを深々と穿ち抜いた淫蟲を振り払う事など出来る筈もなかった。

極限まで拡がったすぼまりからは、
僅かに黄色く濁った粘汁・・・・通常は、排泄物の通りを良くするために、直腸の肉襞から分泌される腸液が、
不規則な間隔を置いて、ピュルッ、ピュルッ、と間欠泉のように迸っていた。
幸い、暗黒界の住人として転生した後は、
食事を摂らねば生命を維持出来ない、という現実界の原理からは解放されており、
従って、腸内には糞便や消化中の食物といった見苦しい代物は一切存在していないのだが、
だからと言って、こんな格好のまま、腹中の物体をひり出すという行為が最悪の恥辱であるのは変わり無い。



117:ARCH DUKE
08/08/31 23:28:02 aNHeMY79
(29)

「あああッ・・・・も、もうだめぇッ!!
しょ・・・・触手に犯されて・・・・ヒィィッ・・・・イッちゃうぅぅッッッ!!!!」

拘束された下半身が、ひときわ大きく波打つのと同時に、
赤熱した快感の塊が子宮の奥底から込み上げてくる。
強烈な肉悦の衝撃波が瞬時に全身へと広がっていき、
脳味噌の内部を快楽物質で満たし、神経という神経をズタズタに寸断して、
最後に残っていた理性の残滓をも綺麗に吹き飛ばしてしまった。

・・・・ぶじゅううッ・・・・じゅぼじゅぼッ・・・・ぐじゅじゅるるる・・・・!!!!

ほぼ同時に、限界に達した尻穴からも、
腸液に濡れまみれた繊毛まみれの肉塊が派手な飛沫と共に噴き出していく。
内臓が弾け飛ばんばかりの内圧が下腹部をビクビクと痙攣させ、
今まで一度も味わった経験の無い快美な感覚が肛門のすぼまりを無様に押し拡げた。
もはや、悲鳴を発する気力さえ萎え尽きてしまった麗子は、
灼けつくような業火が直腸を熱く煮え滾らせ、屈辱的な馬上排泄を強要するたびに、
肛虐の悦楽にだらしなく表情を蕩かせ、拘束されたカラダを不規則にびくつかせる。



118:ARCH DUKE
08/08/31 23:28:34 aNHeMY79
(30)

アクメに達した前後の淫穴からもたらされる恥辱のエクスタシー。
為す術もなく屈服した赤毛の少女は、更なる悦楽を求めて牝犬のように腰を振り始めた。
熱気を帯びた肉体は喜悦の波動に浮かれ騒いでザワザワと総毛立ち、
身体中の毛穴から、壊れた蛇口から溢れ出す水道水のように、沸騰した汗粒が湧き出してくる。

「ふひゃあああ・・・・ら、らめぇ・・・・もう・・・・もう・・・・」

頬は紅く色付き、白痴のように、ぽかん、と開け放たれた口元からは、
鈍い銀色に輝く涎の糸が細長い滝となって垂れ流れている。
ラベンダー色の瞳は、酩酊状態に陥ったかの如く、トロン、とぼやけきり、
怜悧な知性の光も苛烈な意志の力も悉く姿を消してしまっていた。
視界にはショッキング・ピンクの靄が深々と立ち込め、
あたかも、目に映るもの全てが形を失い、渾然一体となって混じり合っているかのように、
曖昧で捉えどころの無いものとしてしか認識出来なくなっている。



119:ARCH DUKE
08/08/31 23:29:07 aNHeMY79
(31)


「あああ・・・・お、お許しを・・・・どうか・・・・もう・・・・もう・・・・」

弱々しく擦れかかった声で、涙ながらに哀願を繰り返す囚われの<戦士>。
勿論、冷酷非情な暗黒界の支配者が願いを聞き届ける可能性は皆無に等しい、と分かってはいるのだが、
どんなに無意味な言葉であっても、舌を動かしていなければ、
増大し続ける淫靡な欲望が言語中枢を支配してしまうような気がしてならなかった。
実際、今この瞬間も、頭蓋骨の内側では、
『お尻の穴をもっと虐めて』『膣も子宮も徹底的に弄り抜いて』などと、
あさまし過ぎる叫びが木霊し合い、幾重にも重なり合って蟲惑的な和音を奏でている。

『フフフ、他愛ないな、麗子。・・・・だが、まだ終わりではないぞ?』

「あああッ・・・・そ、そんなッ!!」

母親に駄々をこねる幼児のように激しくかぶりを振る赤毛の女囚。
だが、両の眼には、恐怖と嫌悪の感情の他に、
更なる肉のヨロコビを欲し求めるあさましい牝の劣情がチラチラと垣間見えていた。
事実、触手生物達の波状攻撃によって、最低最悪の絶頂へと引き摺り上げられた挙句、
恥辱と苦悶とにのた打ち回っている筈の意識の中は、
もっとおぞましく、背徳的な行為によって穢し尽くされたい、という被虐願望によって席巻されつつある。



120:ARCH DUKE
08/08/31 23:29:40 aNHeMY79
(32)

『フフフ、考え違いをするではない。
最初に言った通り、予には汝を罰するつもりなどない。ただ・・・・』

石像の胎内では、一度はおとなしくなった異形達が、再度、活発に蠢き始め、
まるで獲物を前にしたハイエナが舌なめずりをするような、粘ついた水音が聞こえてくる。
その音を耳にし、動きを感じ取った少女は、
我知らず、くはぁッ、と、小さな喘ぎ声を漏らし、達したばかりの膣穴を、キュウウ、とすぼめてみせた。

『・・・・ただ、汝の予に対する忠誠を確認したいだけなのだ。
今後も予の臣下で在り続けたいという、汝の意志が真実かどうかを・・・・』

麗子の哀願に対するログレスの回答は(予想通り)にべもなかったが、
言葉にはならなかった、本当の願望については寛容だった。
華奢な裸身を緊縛し、自由を奪っていた不可視の荒縄が、すううっ、と消え去ったかと思うと、
大理石の黒馬が、前脚を折って、馬首を下げる。
『降りろ』という意味だと気付いた<ヴェカンタの戦士>が、
フラフラと力の入らない体を苦労して動かし、どうにか指示に従い終えると、
漆黒の石像は、再び立ち上がった・・・・今度は、二本の後ろ脚だけで。



121:ARCH DUKE
08/08/31 23:32:04 aNHeMY79
(33)

『――!?』

驚きに両目を瞠る虜囚の前で、黒い魔像は、みたび変容を開始する。
隆々たる筋肉に鎧われた黒い馬体は、重厚な威厳をまとった裾長の大マントへと、
今にも動き出しそうなくらいの精悍さに溢れた面立ちは、
見るからに威圧的な雰囲気を宿し、不吉なオーラを放つ、無表情な黄金の仮面へと・・・・。

『・・・・さあ、麗子、汝の忠誠を示してみよ。
汝が、予の<戦士>たるにふさわしい者だという事を・・・・』

――バサァアアアッッッ!!!!

漆黒の長衣が大きくはだけられ、筋骨隆々たる鋼の肉体が姿を現す。
ブロンズ像を思わせる浅黒い肌、一分の隙も無く引き締まった筋肉、赤黒く浮き上がった太い血管。
麗子自身、初めて目にする、マントの下のログレスのカラダは、
禍々しい程の美しさと猛々しさと共に、内に秘められた強壮無比な力を感じさせずにはいなかった。
とりわけ、密林のような剛毛の中から天を衝いて聳え立つイチモツは、
人間離れした巨大さは勿論、嗅いだだけで窒息してしまいそうな濃密な牡のフェロモンを漂わせており、
触手生物によって散々に弄ばれた女囚少女が魅惑に堪え得るのは到底不可能だった。



122:名無しさん@ピンキー
08/08/31 23:41:18 OEJBnMHs
支援?

123:名無しさん@ピンキー
08/08/31 23:43:52 OEJBnMHs
下げ忘れorz

124:ARCH DUKE
08/08/31 23:44:25 aNHeMY79
(34)

「ふはぁ・・・・ああ・・・・あああッ!!」

吸い込まれるようにしてログレスの許へと這い寄った赤毛の少女は、
ビクビクと小刻みに脈動する逞しいイチモツを仰ぎ見ながら、ハァハァと荒い吐息を漏らした。
拘束を解かれたばかりでまだ痺れの残る腕が自然に伸びて、
白く細長い指先がはちきれんばかりの充実感を蓄えた肉竿を包み込む。

「・・・・・・・・」

もはや、言葉は不要だった。
熱っぽく潤んだ瞳で、無表情な仮面の支配者を見上げた麗子は、
発情した牝犬のようにハァハァと息を荒らげながら、
圧倒的な迫力で迫る剛直を両手で押し戴き、黒光りする亀頭に唾液まみれの舌先を這わせていく。

・・・・だが、そこまでだった。

(精神はともかく)彼女の肉体は、あらゆる点で常識を逸脱したイチモツを受け容れるには未熟過ぎた。
口腔でさえ、桁外れの巨根を喉奥まで導き入れるにはあまりに小さく、
まだ半分近くを残しているというのに、早くも気道を塞がれて、苦しそうに噎せ返ってしまう。
はずみで、陰茎に歯先が当たったらしく、
仮面の下で冷やかな笑みを浮かべていた両の眼が、ほんの一瞬、不快げに細められた。


125:ARCH DUKE
08/08/31 23:46:37 aNHeMY79
(35)

(フン、こやつも所詮は小娘か。
・・・・まあ、良かろう。一応、まだ利用価値はある)

微かな失望を覚えつつ、暗黒界の支配者は、
やにわに、漆黒のマントを反転させて、跪く<戦士>のカラダを包み込んだ。
突如として、視界を漆黒の闇に奪われた赤毛の少女は、
剛直の先端を口に含んだまままま、驚きに声を震わせ、全身をびくつかせる。

「むぐッ・・・・ぐぅううッ!?」

『――さあ、行け。行って、もう一度、<ヴァリスの戦士>と戦うのだ。
ただし、殺してはならぬ・・・・必ず生かしたまま、予の前に引き連れて来い。分かったなッッ!!』

雷鳴のような怒号が響き渡った、次の瞬間、
麗子の意識は、ぷつり、と途切れ、
・・・・そして、底知れぬ無明の闇の中へと転がり落ちていった――。



126:ARCH DUKE
08/08/31 23:48:11 aNHeMY79
(36)

次元の狭間。何処とも知れぬ場所で。

『どうやら、優子とベノンは向こうに辿り着いたようだな。・・・・問題は、麗子か』

ユラリ、と揺らめく、影法師のような曖昧な輪郭の何か。
それが、己れが生まれ育った世界を捨て去ってまで手に入れた、
ログレスの君寵と暗黒五邪神の座をフイにしてしまった青年魔道士、アイザードの成れの果てだった。

『それと、この体だな・・・・早く依代となる者を見付けなければ』

ベノンの炎の魔術によって、美しいプラチナ・ブロンドの肉体は灰燼へと帰していた、
かろうじて逃亡に成功した霊体も、
時間と空間の狭間――三界を律する法則が曖昧に入り混じっているこの場所でなければ、
長く留まっている事は出来ない、ひどく不安定な存在と化している。
誰か、あるいは、何かに憑依しない限り、三界への影響力は微々たるものでしかないばかりか、
時間が経てば、世界の法則に抗しきれずに存在自体が希薄化し、消滅してしまう可能性も否定しきれない。

『・・・・選択肢は、あまり多いとは言えないな。
デルフィナか、あるいは、あの子竜か・・・・さて、どうしたものか?』


――――TO BE CONTINUED.


127:ARCH DUKE
08/08/31 23:52:02 aNHeMY79
以上、第11章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば幸いに存じます~。

なお、途中で一度、連投規制のため作業が中断いたしましたが、
適切なフォローのお陰で再開する事が出来ました。
ご支援を頂いた方、大変有り難うございました。

128:ARCH DUKE
08/09/01 00:18:40 bvltUABt
今章で、麗子がログレスの側に引き戻された事により、
エロパロSSとコミック本編のストーリー展開の齟齬は(一応)解消された形となりました。
次章(第12章)は、現実界に戻ってきた優子がデルフィナと出会い、
ベノンに襲われて渋谷の市街地を逃げ回る、コミック本編とほぼ同じ流れで進行する予定です。
ただし、コミックでは、優子・デルフィナとベノンは、そのまま戦いに雪崩れ込むのですが、
そこまで忠実に展開を追うとなると、エロ描写を挿入するシーンがなくなってしまいますので、
エロパロSSでは、一旦、デルフィナのアジトに隠れ、手傷を癒しながら、
相互の心を近付け合っていく・・・・という感じで考えています(ちなみに、デルフィナ×優子です(笑))。

完成・発表は10月末頃を目指しています。
しばらくの間、お待ち下さいませ~。 

129:名無しさん@ピンキー
08/09/01 01:02:09 1UyDXD08
乙です

いつも楽しみにしています

130:名無しさん@ピンキー
08/09/01 01:39:23 oo6Hq7Tw
御馳走様でした


131:名無しさん@ピンキー
08/09/04 11:09:13 4IYOnyP9
【表現規制】表現の自由は誰のモノ【104】
スレリンク(news2板)

132:名無しさん@ピンキー
08/09/07 13:27:07 y43wHEhB
業者乙

133:名無しさん@ピンキー
08/09/10 23:57:20 aQUfiYR+
hoshu

134:名無しさん@ピンキー
08/09/13 07:49:51 mE5C2RZA
私生活が忙しくてこのスレのこと忘れてしまい
4年ぶりに探してみたら、まだ続いてたのですね。すごい・・・
っと、乙であります!!

135:名無しさん@ピンキー
08/09/15 04:39:03 oiu5s8E5
ヴァリアさまがメガスに陵辱される
シーンってどこかにないかな?

136:名無しさん@ピンキー
08/09/21 02:35:22 ACOxH2+S
コミヴァ更新来た

137:名無しさん@ピンキー
08/09/24 00:25:13 PN0CHSpb
  _______________________
 || 朝日新聞が支持                       ||
 ||辻元清美、村山富市、土井たか子、加藤紘一、民主党 ||
 ||外国人参政権、従軍慰安婦(1991年捏造)、ゆとり教育 .||
 ||南京大虐殺(1972年捏造)、人権擁護法案         ||
 ||                                   ||
 || 朝日新聞が不支持                      ||
 ||橋下徹、石原慎太郎、前原誠司、安倍晋三、麻生太郎 ||
 ||公務員改革、防衛庁、靖国参拝(問題化)、        ||
 ||スパイ防止法、竹島は日本領土、道徳教育       .||
 ||           ∧ ∧   。                   ||
 ||         ( ,,゚Д゚)/                    .||
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ  つ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          /  ̄ ̄ ̄ /|
            | ̄ ̄ ̄ ̄| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|____|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

麻生支持でおk ∧,,∧  ∧,,∧  おk
       ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
  おk ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` ) おk
      | U (  ´・) (・`  ) と ノ
       u-u (l    ) (   ノu-u
      おk   `u-u'. `u-u'  おk


138:天照大神
08/09/24 08:34:24 JuZEKn+h
サンドイッチマン

139:名無しさん@ピンキー
08/09/28 01:56:00 jAKOfnOw
hoshu


140:ARCH DUKE
08/10/02 01:26:22 /4bGh+Ks
『コミック・ヴァルキリー』最新号購入しました。

ZOL先生のヴァリスは・・・・やっと、優子が<ヴァリスの戦士>として戦う宿命を受け入れた模様。
まあ、麗子との戦いには未だ躊躇を感じているようですが、これは致し方ないでしょう。
最後の暗黒五邪神である雷邪ヴォルデスも登場しましたが、
(ゲーム本編とは違い)非常に理性的で、かつ、麗子に対して一定の好意を持っている印象を受けました。
今後、優子とどう関わっていくのか?興味深いところです。

細かい所では、新たに優子の装備に加わった盾のデザインが、
FC版のそれを忠実になぞっていた点に、よく研究してるな~、と感じました。



141:名無しさん@ピンキー
08/10/02 23:30:55 PRdsR9+2
で?

142:名無しさん@ピンキー
08/10/05 22:04:36 rT0pMb85
>>140
優子ちゃんが戦士の自覚に目覚めてベノンに立ち向かう姿は格好良かったけど
これからは悩んだり苦しんだり時には泣き出したりする優子ちゃんを見られなくなると思うと少し寂しい気がする

143:名無しさん@ピンキー
08/10/06 09:41:35 P1Gv2NpO
心を折ってやればいい

144:名無しさん@ピンキー
08/10/10 02:53:40 rRUj15Yz
ヴァルキリー版ヴァリスの二巻はマダ~?

145:名無しさん@ピンキー
08/10/10 22:07:58 5cDt+8ej
>>144
2月発売予定だそーだ。もうちょい辛抱しろ。

146:名無しさん@ピンキー
08/10/11 16:27:36 LpMZ264c
URLリンク(up2.viploader.net)

147:名無しさん@ピンキー
08/10/12 17:48:40 vnsYidXS
>>146
つ、続きがみたいです

148:名無しさん@ピンキー
08/10/12 19:09:53 T2QI5vAw
「鎧も粗末な、かような扇情的な衣装でそれを言うか…」

い、いかんセリフが勝手に思い浮かぶ…

149:名無しさん@ピンキー
08/10/16 01:12:12 iNur7Dr6
hoshu

150:名無しさん@ピンキー
08/10/16 01:45:46 0GrB7vP5
>>147
Pixivからの広い物です絵は単品なので続きはありません><

151:名無しさん@ピンキー
08/10/17 19:18:16 glDDEBCa
>>145
まだ連載やってるんだw wktkして来た!

152:名無しさん@ピンキー
08/10/22 10:09:00 T0GtTn3P
そろそろ保守

153:名無しさん@ピンキー
08/10/27 23:36:46 9ExKDhBh
hoshu

154:名無しさん@ピンキー
08/10/31 20:35:38 LqQXtZAN
パンツ脱いで待機

155:名無しさん@ピンキー
08/10/31 21:37:21 vdDdMUot
パンツじゃないからはずかしくないもん!

156:ARCH DUKE
08/11/02 01:58:21 FEYxnUTV
お待たせしました~。

『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第12章、
たった今、完成いたしました。
なお、発表は、本日の22:00頃より開始する予定ですので、
お手すきの方は、連投規制回避のためのご支援を宜しくお願いいたします。


157:名無しさん@ピンキー
08/11/02 02:34:25 msTGXIAn
もしあなたが携帯電話からの書き込みが出来るのなら以下の方法を試さない理由を私は知りません。
連投規制にかかったあなたはこれを行ないます。
大抵はスレッドの一番上にある■24時間でおとどけ■ 2ちゃんねるが採用した T-Bananaサーバー に携帯電話からの書き込みを実行します。
このスレッドは書き込みを実行してもスレッドにメッセージが表示されません。
しかしあなたの書き込みと別のIDが書き込まれたと認識した板はあなたのIDの続けての書き込みを規制しないでしょう。
そしてあなたはあなたの書き込みを誰の手も借りずにあなた自身の手で行なう事が出来るのです。
あなたはこの方法を実施するべきだと私は確信しています。

158:ARCH DUKE
08/11/02 22:14:38 FEYxnUTV
お待たせしました~。
只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』エロパロSS第12章の発表を開始いたします。

なお、私は、携帯電話を持っていませんので、>>157の方法は利用できません。
御手数をお掛けして誠に申し訳ないのですが、
御時間に余裕のある方がいらっしゃいましたら、どうか、ご支援方宜しくお願い申し上げます。

159:ARCH DUKE
08/11/02 22:16:23 FEYxnUTV
(1)

――時間と空間の狭間。

『・・・・優子・・・・優子』

仄かな光に包まれた少女が、永劫に続く漆黒の闇の中を流されていく。
彼女に呼びかける若い男の<声>。
<戦士>の力を奪い、捕縛し、言語に絶する陵辱と調教によって手駒と為そうとした憎むべき敵
だが、同時に、彼は、同胞である筈のベノンから、自分を庇ってくれたのみならず、
己れの生命を投げ出してまで危地から脱出させてくれた、恩人でもある・・・・。

「アイザード・・・・どうして!?」

叫びかけに応えるかのように、虚空の彼方に魔道士の姿が現れる。
うすぼんやりとしたそのシルエットは、
まるで、幻影の如く現実味が無く、今にも掻き消えそうなくらいに弱々しい。



160:ARCH DUKE
08/11/02 22:17:51 FEYxnUTV
(2)

――フラッシュバックする、イメージの奔流・・・・。

優子に向かって放たれる魔道の業火。
射線上に在るもの全てを灼熱地獄に叩き込み、消し炭へと変えてしまう、暗黒五邪神ベノンの炎の魔術を、
もう一人の五邪神アイザードの風の魔力が、間一髪の所で防ぎ切る。

次の瞬間。

殆ど無防備状態の胸元を、瘴気をまとった漆黒の刀身が走り抜けた。
一瞬、青年の身体が、ビクン、と大きく跳ねたかと思うと、
ザックリと切り裂かれたローブの胸元から真っ赤な血飛沫が噴き上がる。
肩口から脇腹までを袈裟懸けに斬り下ろした<ヴェカンタの戦士>の太刀筋は、
魔道士を一撃で絶命させる程深くはなかったとはいえ、
その抵抗を終焉に導くには十分すぎる手傷を負わせていた。

『・・・・ゆ、ゆう・・・・こ・・・・』

糸の切れたマリオネットのように、力なく崩れ落ちた彼は、
自らの体から溢れ出た血溜まりの上に倒れ込み、断末魔の痙攣に見舞われながらも、
殆ど感覚の無くなった指先を懸命に動かし、懐をまさぐった。
そして、掴み出したその物体を目の前の少女に向かって差し伸べると、
呼吸の度に鮮血が溢れる口元から、最後の言葉を搾り出す。

『受け・・・・取ってくれ・・・・これを・・・・』



161:ARCH DUKE
08/11/02 22:18:52 FEYxnUTV
(3)

「<ファンタズム・ジュエリー>!?」

同時に発せられる、優子の呟きと麗子の叫び。
二人の<戦士>の声が重なり合った瞬間、
血まみれの指の中で、夢幻界の宝玉のカケラが二つ・・・・いや、三つ、眩い光を放出する。

「こ、これはッ!?」

強大な風の魔力が蒼髪の少女を包み込むや否や、
有無を言わさず、穿ち抜いた次元の断層へと吸い込んで、
時間と空間の彼方へと猛烈な勢いで押し流してしまう。

「な、何ィィッ!!ま、まさか、アタシもなのかぁぁッ!?」
バ、バカな・・・・アイザードめ、一体、何のつもりだぁぁッ!?」

前後して、炎の魔人の口から、素っ頓狂な悲鳴が放ち上げられる。
どうやら、青年が最後の気力を振り絞って解放した、<ジュエリー>の魔力は、
ベノンをも捕捉して、強制的に別の次元へと転移させようとしているらしい。
しかし、優子には、怒りと焦りに半ばパニックに陥った暗黒界の大貴族が、
怒号と呪詛を交互に吐き散らしながら、時空の裂け目に飲み込まれたまでは辛うじて知覚できたものの、
もう一人の少女・・・・麗子の運命についてまでは、確認出来なかった――。



162:ARCH DUKE
08/11/02 22:20:01 FEYxnUTV
(4)

――再び、次元の狭間。

「お願い・・・・教えて!!
アイザード、何故、わたしを助けてくれたの!?」

声を限りに叫ぶ<ヴァリスの戦士>。
<ファンタズム・ジュエリー>のエネルギーに触れたせいだろうか、
ずっと曖昧なままだった自我は、未だ混乱してはいたものの、思考力を取り戻していた。
その事に、安堵と・・・・そして、若干の口惜しさを覚えつつ、
魔道士の幻影は僅かに表情を緩め、静かに語り始める。

『優子、良く聞いて欲しい。
ログレスは、世界を――連なる世界全てを、破壊しようとしている。
私は、それを防ぎたかった・・・・』

話している間にも、アイザードの身体は明滅を繰り返し、徐々に輪郭が曖昧になっていく。
彼の強靭な精神と卓越した魔道の技は、
ベノンの邪悪な魔術によって肉体が焼き滅ぼされてなお、
魂魄が因果地平の彼方へと吹き流されてしまうのを頑なに拒んでいたのだが、
それとて、最早、長くは保てない事は明らかだった。



163:ARCH DUKE
08/11/02 22:20:53 FEYxnUTV
(5)

「知ってるわ・・・・ヴァリアさまから聞かされた」

脳裏に蘇る、夢幻界の女王の慈愛と威厳に溢れた姿。
・・・・そして、苦悩に満ちた、その言葉。

『・・・・このところ、あなたたちの住む現実界では、
戦争などの暗い出来事が多く起こっていませんか・・・・?』
『・・・・それはすべて、人の心の<暗>に作用する<ヴェカンタ>という力のせい・・・・』
『・・・・そして、その力を操っているのは、夢幻界とは別の時空――暗黒界を統べる王、ログレス・・・・』

あの時は、いきなりガイーダに襲われ、<戦士>として夢幻界に召喚されたばかりで、
訳も分からず、ヴァリアに喰ってかかりさえしたのだが、
暗黒界の邪悪な怪物たちとの死闘を経験した今ならば、彼女の苦しさも辛さも理解できる。



164:ARCH DUKE
08/11/02 22:21:39 FEYxnUTV
(6)

「アイザード、何故、あなたは夢幻界を・・・・ヴァリアさまを裏切ったの?
どうして、<ファンタズム・ジュエリー>を奪ったりしたの?」

『答えは、すでに伝えてある筈だよ。覚えていないのかい?』

「何時・・・・あッ!?」

小さな叫び声を上げて、優子は頬を紅く染めた。
・・・・そうだ、あの時、侍女達の手で黄金の甲冑を取り除かれ、
産まれ落ちたままの恥ずかしい格好に変えられた自分に向かって、
――彼は、たしかに言い放った筈だ。

『君が今まで見聞きした事全てが真実とは限らない。
今の君は、まるで、糸の切れた凧のような存在だ。
誰かが傍らにいて正しい道を示してやらねば、いつか君は自らの力によって破滅するだろう・・・・』



165:ARCH DUKE
08/11/02 22:22:47 FEYxnUTV
(7)

『その通りだ。もっとも、私はこれ以上君のそばにいてあげられそうにないが』

一瞬だけ、寂しそうな表情をしたアイザードは、
何かを発しようとする優子を制するかのように、小さくかぶりを振った。

『ヴァリアから君が教わったのは、一つの真実だ・・・・だが、全てじゃない。
世界には、ヴァリアが知らない、いや、知る事さえ出来ない真実が幾つもある』

魔力が底を尽きつつあるのだろう、
殆ど透き通らんばかりに擦れていく魔道士の姿。
青年は、一瞬でも長く、世界に存在を留めようと歯を食いしばりつつ、先を続ける。

『ヴァリアは光だ。闇と相対し、寄せ付けまいとする存在。
逆に言えば、闇を受け容れたりは出来ないんだよ、決して・・・・』



166:ARCH DUKE
08/11/02 22:23:34 FEYxnUTV
(8)

『だから、私は・・・・いや、もうやめておこう。
ここから先は、優子、君が自分で答えを見付けて欲しい。
私は、君の答えが、私の出したものと同じである事を祈るだけだ、永劫の彼方から・・・・』

「ま、待って・・・・分からないわッ!!何が真実かなんて、わたしにはッ!!」

急速に小さくなっていくアイザードに向かって、蒼髪の少女は精一杯声を張り上げた。
ほぼ同時に、彼女を包み込んだ純白の光が輝きを増し、幾つかの塊へと分かれて、
身体の各部――胸、腰、両肩、両肘、両脚――を覆っていく。
以前にも同じ感覚を経験した優子は、その意味を悟り、慄然となった。

『大丈夫、君なら、必ず辿り着ける筈だ。
だから、忘れないで欲しい・・・・全ては、君次第だという事を・・・・』

三つの<ファンタズム・ジュエリー>が少女の頭上で眩い閃光を放った。
<明>のエネルギーを注ぎ込まれたカラダが清浄な霊気に包まれ、
美しく輝く黄金の甲冑――<ヴァリスの鎧>が次々と実体化していく。
それに安堵したのだろう、元夢幻界人の青年は微かに笑みを浮べると、
そっと目を瞑り、あるべき世界の法則に従って、静かに自らの存在にピリオドを打った。



167:ARCH DUKE
08/11/02 22:24:27 FEYxnUTV
(9)

「アイザード・・・・」

因果地平の彼方へと消え去っていく、プラチナ・ブロンドの青年を見つめながら、
優子は、自分の五体を覆う聖なる防具の表面に、そっと指先を滑らせる。 
ひんやりとした、だが、心落ち着くその感触に、
彼女は、改めて、<戦士>の力を取り戻したのだ、という実感を覚え、
喩え様も無い安堵感と高揚感に包まれる一方で、
しかし、胸の奥に頭をもたげてきた疑問を否定し去る事が出来なくなっていた。

(わたしは、何のために戦わなければならないだろう?
一体、何のために・・・・?)



168:名無しさん@ピンキー
08/11/02 22:24:50 P6LPXf1p
連投支援

169:ARCH DUKE
08/11/02 22:25:37 FEYxnUTV
(10)

――深夜。現実界。東京都内。ホテルの一室。

「ん?この気配は・・・・?」

気だるそうにダブルベッドから身を起こした全裸の女が、
不審そうな視線を、厚手のカーテンに覆われた窓
・・・・否、カーテンと嵌め込み式のガラス窓の向こうにある、夜の街へと向けた。

肩口で綺麗に切り揃えられたブロンドが、
窓から差し込む月明かりを受けて、やや冷たい光沢を放つ。
ベッドから抜け出した女は、スリッパも履かずに、
女性としては大柄な部類に属するカラダを窓際へと運び、
異和感の正体を見極めようと、呼吸を整え、精神を集中させた。

「どうしたの?」

夜具の中にいたもう一人の人間――まだ十代半ばの少女だった――が、
寝ぼけ眼をこすりつつ、起き上がろうとする。
作業を中断させられた長身の女は、
軽く一瞥を送っただけで、気にせずに休むように、と指示を送り、
自身は窓際に置かれた藤椅子に腰掛けて、何かを考え込むように目を閉じ・・・・すぐにまた、開いた。



170:ARCH DUKE
08/11/02 22:26:47 FEYxnUTV
(11)

「寝ていろ、と言っただろう」

言いつけに従わず、背後に近付いてきた少女に向かって、
背中を向けたまま、今度は、やや不機嫌な声を発する金髪女。
カーテン越しに入ってくる青白い月明かりが、
キリリ、と引き締まった顔立ちを一層厳しい印象にさせている。

「だってぇ・・・・」

たじろぎはしたものの、娘はなおも引き下がろうとはしなかった。
よく見れば、彼女も薄物のネグリジェを一枚羽織っているだけで、下着さえ穿いていない。
上目遣いに自分を眺めやる視線は、媚びるようでもあり、同時に、誘うようでもあった。
仕方ない、という表情で、背後を振り返った全裸の女は、ベッドを指差すと、先に入るよう促した。

――そして、嬉々としてベッドに潜り込み、高々と尻を持ち上げたばかりか、
まるで交尾に臨む雌犬よろしく、プルン、プルン、と挑発的に揺らしてみせさえした彼女に対して、
口の中で素早く眠りの呪文を唱える。

「なかなか可愛い娘だったが、今夜でお別れだな。
夜が明ける前に記憶を消して、駅のホームにでも寝かせておこう」

可愛らしい桃尻を突き出した格好のまま、
スースーと安らかな寝息を立てている少女をチラリと一瞥すると、
女――暗黒界出身のエルフにして暗黒五邪神アイザードの腹心たる、デルフィナは、ボソリ、と呟いた。

「この部屋は、3人で使うには少し手狭だからな」



171:ARCH DUKE
08/11/02 22:27:50 FEYxnUTV
(12)

――パァアアアァンッッッ!!

視界が急に開けたような感じがした直後、
少女の身体を排ガス混じりの生温かい空気の感触が包み込んだ。
騒々しいクラクションの音が耳朶に押し入り、鼓膜に突き刺さる。

「・・・・こ、ここはッ!?」

ハッ、として、自分の体を、そして、周囲に視線を走らせる蒼髪の少女。

前者――やや色白だが申し分なく健康的な肌の上では、
完全に復活を遂げた<ヴァリスの鎧>が優美な黄金の輝きを放っている。
・・・・だが、後者――すなわち、優子の前に広がっている光景は、
夢幻界のものでも、暗黒界のものでも、(断じて)あり得なかった。

林立する高層ビルの群れ。
日光を浴びてキラキラときらめくショー・ウィンドゥ。
交差点を足早に行き交う若者達・・・・一人や二人ではなく、何千何百という数の。
頭上高く聳え立つファッション・ビルを見上げると、
そこには、かつて、彼女自身、何度と無く目にした、『109』のロゴマーク・・・・。



172:ARCH DUKE
08/11/02 22:28:55 FEYxnUTV
(13)

「ここって、もしかして・・・・渋谷・・・・なの?」

その場に立ち尽くしたまま、茫然と周囲を見回す優子は、
たちまち、何百人もの群集によって取り囲まれ、奇異の眼差しを浴びせられた。
白昼、引っ切り無しに人や車の往来する、渋谷駅前の交差点に、
コンピュータ・ゲームの画面から飛び出したかのような、
目のやり場に困る衣装を身に纏った少女が現れたのだから仕方ない。

『何あれ?』『撮影か何かだろ?』『カメラ何処だ?』

さいわい、通行人の多くは、渋谷という場所柄とあまりにも非日常的な甲冑姿との組み合わせから、
テレビ番組か何かの収録だろう、との錯覚を抱いたらしい。
未だ混乱から立ち直れていない<ヴァリスの戦士>を遠巻きにし、あれこれと推測を述べ合うだけで、
近付いて正体を確かめようと試みる者は皆無だった。

ただ一人、足音を忍ばせながら背後に近付いてきた長身の女を除いては。



173:ARCH DUKE
08/11/02 22:29:59 FEYxnUTV
(14)

「そうだ。ここは、お前が元いた世界――現実界だ」

背中越しに掛けられた、張りのある女の声にまず驚いた優子は、
次いで、彼女の発した『現実界』という単語に愕然となった。

慌てて振り返った双眸に映ったのは、
自分と同じく、若者達で溢れ返る渋谷の路上には絶対に似つかわしくない、
黒艶を帯びた皮革製の甲冑に身を包む、隻眼のエルフ。

「あ、あなたはッ!?」

サラサラとしたブロンド・ヘアが、降り注ぐ陽光を浴びて、やや冷たい光沢を放っている。
いささか彫りの深い、くっきりとした目鼻立ちの相貌の中では、
右目を覆う無骨な眼帯と、反対側に位置する澄みきったアイス・ブルーの瞳とが、
不釣合いなコントラストを描きながら、対峙していた。
身に着けているのは、ヴァリアやアイザードが纏っていた、ゆったりとした長衣ではなく、
身体のラインがはっきりと浮き出た、実戦仕様の鎧で、
デザインはかなり異なっていたものの、何処か、麗子が身に纏っていた鎧と似た雰囲気を漂わせている。
そして、腰に佩いているのは、黒塗りの鞘に収められた大振りな曲刀・・・・。



174:ARCH DUKE
08/11/02 22:31:00 FEYxnUTV
(15)

「私はデルフィナ。アイザード様の忠実なる臣下」

告げられた元夢幻界人の青年の名に、優子から、あッ、という驚きの叫びが漏れる。
少女の表情を、一つだけ残った瞳で油断無く見据えつつ、
魔道士の部下と名乗った女剣士は、抑制した口調で囁きかけた。

「お前を、導き手の許に誘うよう、命令を受けている」

「導き手?」

鸚鵡返しに聞き返す蒼髪の少女。
隻眼の美女は、一瞬、何か言おうとしたものの、結局、答えは口にせず、
彼女の腕を掴み取り、ズンズンと前方に向かって歩き出してしまう。
周囲を取り囲んでいた人垣は、一睨みされただけで異様な威圧感に気圧され、
ササッと左右に分かれて、二人に道を明け渡した。

「ちょ、ちょっと待って・・・・ちゃんと説明を・・・・」

半ば引き摺られるようにして後をついていく優子は、
女エルフの強引な態度に戸惑いつつ、無意識にその肩を引き寄せようとする。
――次の瞬間、猛然と振り返った魔道士の腹心は、
端正な顔立ちを怒りに歪めて、<ヴァリスの戦士>の胸倉を掴み上げた。



175:ARCH DUKE
08/11/02 22:31:48 FEYxnUTV
(16)

「ゴチャゴチャ言わずに私に従えッ!!」

眼帯に覆われていない方の眼が真っ赤に血走り、
紛れも無い憎悪を浮べて、突然の変貌に怯え竦む少女を睨みつける。
わなわなと震える口元から発せられた声は、
先刻までの彼女とはまるで別人のような激しい感情に満ち溢れていた。

「勘違いするなよッ!!私にとって、お前はあの方の仇も同然ッ!!
もし、命令が無かったなら、今すぐにでもお前を八つ裂きにしているところだッ!!」

細く白い首筋を覆う、真紅のスカーフをギリギリと締め上げながら、
憎しみに満ちた呪詛の言葉を吐き散らす、隻眼のエルフ。
悪鬼の如き形相で凄まれて、慄然となった優子は、
しかし、次の瞬間、双眸の端に滲んでいる水滴
――見落としてしまったとしても不思議ではない程小さな、だが、紛れも無い涙の粒――に気付き、
もう一度、衝撃を受けた。

(も、もしかして・・・・この人、アイザードの・・・・)



176:ARCH DUKE
08/11/02 22:33:04 FEYxnUTV
(17)

「フンッ!!」

少女の視線に気付いたのだろうか、
隻眼の美女は、乱暴な動作で掴んでいたスカーフを手放すと、
くるり、と、優子に背を向け、構わずに歩き出した。

「ま、待って・・・・デルフィナさん!!」

まだ痛む喉を押さえながら、
逃げるように先を急ぐ女剣士を追いかける蒼髪の少女。
彼女の態度から、先程の直感は確信へと変化を遂げている。

――だが、デルフィナ本人にそれを確認する機会は、(この場では)得られなかった。



177:ARCH DUKE
08/11/02 22:33:58 FEYxnUTV
(18)

ズゴォオオオンッッッ!!!!!!

道玄坂の方角から凄まじい爆発音が響き渡り、巨大な火柱が噴き上がった。
金属やガラスの破片――おそらくは、自動車の一部だったものが、爆風と共に降り注ぎ、
辺りにひしめいていた群集の間から悲鳴が巻き起こる。

「な、何・・・・!?」

驚愕の表情を浮べて振り返った優子の鼓膜を、続けざまに轟く大音響が激しく打ち据えた。
黒煙と共に、オレンジ色の炎が溶岩流の如く、坂道を流れ下り、
商店も車も人間も、行く手にあるもの全てを飲み込んでいく。
生きながらにして松明に変えられていく者たちの絶叫があちこちで空気を引き裂き、
全身火ダルマと化した人間達が、焦熱地獄の中で断末魔のダンスに興じる姿が遠目にもはっきりと見えた。

「テ、テロだッ!!」「こっちに来るぞッ!!」「早く、逃げろぉッ!!」

二人の<戦士>を取り囲んでいた群衆はパニックに陥り、
口々に大声で助けを求めつつ、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。
パトカーか、それとも、消防車か、サイレンの音が大挙して近付いてくるものの、
数秒間隔で炸裂する爆発音と不気味な地響き、
そして、逃げ惑う人々の悲鳴の間では、ひどく頼りない存在でしかなかった。



178:ARCH DUKE
08/11/02 22:34:58 FEYxnUTV
(19)

「チッ、ベノンめ、もう追い付いてくるとはッ!!」

鋭く舌打ちを漏らしたデルフィナは、
足をすくませた優子の腕を掴み、乱暴に引っ張り上げた。
更に、反射的に抗議の言葉を口にしようとする蒼髪の少女を、
限りなく苛立たしげな視線によって黙らせ、鋭く言い放つ。

「戦闘は避けろと言われている。ここは退くぞ」

「で、でもッ!?」

女エルフの返事は、容赦ない怒声と平手打ちだった。
張り飛ばされた頬を押さえ、茫然と自分を見つめる少女の前で、
金髪のエルフは、きつく握り締めた左右の拳をワナワナと震わせる。

「我が儘を言うのもいいかげんにしろッ!!
私だって、アイザード様の仇に一指も触れずに退く屈辱を堪えているんだぞッ!!
・・・・それもこれも、元はと言えば、お前の腑抜けぶりが原因だろうがッ!!」



179:ARCH DUKE
08/11/02 22:36:07 FEYxnUTV
(20)

「・・・・ッ!?」

顔色を変える<ヴァリスの戦士>。
青年の死に様が脳裏をかすめ、坂道を流れ下りてくるオレンジ色の濁流と重なり合う。
今まさに何百人もの人間を生きながらにして消し炭へと変えている、魔性の業火
・・・・そして、ゴウゴウと逆巻く炎の向こうから聞こえてくる、狂気の哄笑。

「今のお前では、ベノンに打ち勝つなど到底ムリだ。
それどころか、まともな戦いさえ出来はしないだろうが・・・・違うか、現実界の小娘!?」

怒りと蔑みを燃料にして、一気にまくし立てると、
デルフィナは憎悪に煮え滾る目で蒼髪の少女を睨みつける。
対する優子は、わずかに唇だけが、『違う』という形に動いただけで、
冷酷な宣告への反論は、ついに一言も発する事は叶わなかった。
暗黒界の女剣士が、フン、と吐き捨てるように鼻を鳴らしかけた――次の瞬間ッ!!!!



180:ARCH DUKE
08/11/02 22:37:06 FEYxnUTV
(21)

――ゴォオオオォォォッッッ!!!!

二人の頭上で、鮮血の色をした閃光が、カッ、と炸裂し、
凄まじい衝撃と爆風が、地上に向かって悪意を剥き出しにしながら降り注いでくる。
一瞬早く、気配に気付いた隻眼の剣士が、間一髪、目の前の少女を突き飛ばした直後、
ジュウウッ、という不快な音と共に、肉の焦げる臭いが優子の嗅覚神経を串刺しにした。

「ぐッ・・・・あがぁあああッ!!!!」

「デ、デルフィナさんッ!?」

苦痛に満ちた唸り声。
恐怖に顔を引き攣らせた<ヴァリスの戦士>の視界に飛び込んできたのは、
片腕を押さえて呻く、アイザードの腹心の姿。
咄嗟に自分を庇ったせいで、かわし切れなかったのだろう、
右腕の肘から先の皮膚は見るも無残に焼け爛れ、
一部は完全に炭化して、幾筋も走り抜ける亀裂から暗紫色に黒ずんだ体組織が覗いている。



181:名無しさん@ピンキー
08/11/02 22:38:00 P6LPXf1p
支援

182:ARCH DUKE
08/11/02 22:38:05 FEYxnUTV
(22)

「さ、騒ぐな。これしきの傷、時が経てば再生する」

狼狽する蒼髪の<戦士>に向かって、デルフィナは精一杯の気を張ってみせたが、
完全に機能を失った右腕は勿論、他にも全身に大小の火傷を負った女エルフは、
もはや、到底、戦闘に耐え得るカラダとは思えなかった。
ましてや、相手にしなければならないのは、
暗黒界を統べるログレス直属の軍団長たる暗黒五邪神が一将、炎邪ベノンである。

「今は退くぞ・・・・分かったな?」

彼女自身も、現在の状態で勝ち目はない、と十分に理解しているのだろう、
燃え盛る業火の中に立ち、四方八方に向かって、闇雲に炎の槍を投じている宿敵・・・・
忠誠を誓った主であると同時に、理想を共にする同志でもあった男を葬り去った暗黒界の大貴族に、
憎悪に煮え滾った視線を突き立てつつも、激情に身を委ねようとはしなかった。
坂道の上の悪魔が自分達の存在に気付かないうちに、
安全な場所――少なくとも、彼の追跡をかわせる可能性の高い場所――への退避を完了する、
それが今の自分に可能な唯一の事だ、と確信していたのである。



183:ARCH DUKE
08/11/02 22:38:59 FEYxnUTV
(23)

虐殺に熱中していた暗黒界の大貴族が、ようやく二人の存在を視界に捉えたのは、
アイザードの<戦士>が、口早に転移の呪文を唱え終えた直後だった。
急いで追尾を試みるベノンだったが、
傷付いた体に残っていた最後の魔力を注ぎ込んだのだろう、
転移空間の周囲には魔術による追跡を不可能にするための障壁が張り巡らされている。

(次に会った時こそが貴様の最期だッ!!)

地団駄を踏みながら罵声を浴びせる宿敵を眺めつつ、
女エルフは、血の気を失い青褪めたクチビルに、ニヤリ、と笑みを浮かべ、
全身を包み込んだ空間転移の力場に身体を委ねる。
傍らでは、己れの無力さに歯噛みするしかない現実界の少女が、
次々と炎に飲み込まれていく渋谷の街並を両眼に焼き付けていた。

・・・・直後、魔力の繭に包まれた二人の姿は、焦熱地獄と化した渋谷の市街地から忽然と消失する。
後には、憤怒の形相で悪態を連発する魔将軍と、
街路に蹲って、迫り来る死に打ち震えるしかない、無力な人間達だけが残された――。



184:ARCH DUKE
08/11/02 22:39:53 FEYxnUTV
(24)

『・・・・ザザ・・・・ほ、本部応答願います・・・・こちら、渋谷駅前・・・・ぐあああッ!!!!』
『何故だッ!?何故、銃が通じないッ!!ぎゃあああッ・・・・!!』
『ヒィィッッ!!熱いッ・・・・助けてくれ・・・・熱いッ!!』

「ヒャーハッハッハッ!!それにしても、現実界って、人も物もよく燃えるわねぇッ!!」

音程の外れた哄笑を轟かせ、彼――暗黒五邪神が一将、炎邪ベノンは、
被害を食い止めるべく、阻止線を展開した警官達を、
あたかもボール紙で出来た紙人形でもあるかの如く、次々と火達磨にし、炭の塊へと変えていく。
一人でも多くの市民を避難させるべく、勇敢に踏み止まった警察官だったが、
暗黒の魔術が相手では為す術もなく、彼ら自身の姓名が犠牲者のリストに書き加えられただけだった。

(アイツ、たしか、デルフィナとか言ったかしらねぇ?
まだアイザードの周りをうろちょろしてたなんて、まったく往生際が悪いったらありゃしないわ)

無力な現実界人を、生きたままバーベキューに変えていく快感に酔い痴れながら、
暗黒界の大貴族は、炎の壁に四方を取り囲まれた警官隊に向かって大仰に腕を一振りした。
オレンジ色の火線が地を這う大蛇のように伸びて、
哀れな巡査達をパトカーごと包み込み、骨も残さず、焼き尽くしてしまう。
こたえられない、といった顔で、殺戮を見届けた暗黒五邪神の背後では、
渋谷の象徴とも言えるファッション・ビルが猛火に包まれて黒煙を噴き上げ、
正面では、駅の建物が完全に焼け落ちて、飴細工のように折れ曲がった鉄骨だけになっていた。



185:ARCH DUKE
08/11/02 22:41:03 FEYxnUTV
(25)

「さぁて、どうしようかしらねぇ。
小娘はデルフィナちゃんと愛の逃避行中だし、麗子は行方知れずだし」

未だ冷めやらぬ殺戮の悦楽に口元をにやけさせながら、今後について思考を巡らせる炎の魔人。
女エルフの行方を追おうにも、空間転移の痕跡は巧妙に隠蔽され、
まともに調べようとするならば、かなりの時間が必要だろう。
無論、そんな無理を重ねたからには、彼女の魔力も完全に底を尽いており、
態勢を立て直して勝負を挑んでくるのは先の話と考えて間違いない筈なのだが・・・・。

「ウフフッ、仕方ないわねぇ。
あの二人が隠れていそうなトコロ全部、シラミ潰しに灰にしてやるわ」

満面に笑みを浮かべ、ベノンは己れの導き出した結論にウットリとなった。
ログレスの台頭によって、ヴェカンティの内戦が一応終結して以後、
都市を丸ごと焼き払い、人々を殺し尽くす戦いは久しく絶えていただけに、
心ゆくまで虐殺の愉悦に浸るチャンスは願っても無い。
それに、この方法ならば、同じ時間をかけるにしても、
地道な探索活動などよりも、余程自分の性に合っている・・・・。



186:ARCH DUKE
08/11/02 22:41:58 FEYxnUTV
(26)

現実界。東京都内。某ホテルの一室。

『・・・・ご覧下さい。渋谷の中心街は火の海です。
駅前付近から発生した原因不明の大火災はなおも延焼を続けており、火の勢いは留まるところを知りません。
ヘリの中の我々にも、凄まじい熱気が伝わって・・・・』

「ベノンめッ」

小さく吐き捨てると、女剣士は備え付けのTVの電源を切り、忌々しい画像を視界から追い払った。
それでも、窓の外からは消防車や救急車のサイレンや報道ヘリのプロペラ音が容赦なく侵入し、
彼女と、新しくこの部屋の住人となった少女の感情を掻き乱さずにはいない。

「デルフィナさん」

思い詰めた表情で口を開きかける優子。
画面の中の、市街地を舐め尽くすように燃え広がっていた猛火の様子、
・・・・数え切れない程の人々をその地獄に置き去りにして、
自分達だけ安全な場所に逃げ延びてきたのだ、という後ろめたさによって、
顔色は青褪め、黄金の肩当ての先端がカタカタと揺れ続けている。



187:ARCH DUKE
08/11/02 22:43:01 FEYxnUTV
(27)

「・・・・駄目だ。今はまだ駄目だ。」

まるで、自身に言い聞かせるような口ぶりで、ダメだ、と繰り返す女剣士。
だが、彼女もまた、火傷を負っていない方の拳をきつく握り締め、必死に感情を抑えていた。
八つ裂きにしても飽き足らない仇敵を目の当たりにしつつ、逃げ延びるしかなかった悔しさ、
そして、その男が勝ち誇りながら己れの存在を誇示しているにも関わらず、
息を殺してじっとしている事しか出来ない無力感が、怒りに油を注いでいる。

「この腕では到底まともには戦えない。
お前だって、導き手の元に連れて行かない限り、<戦士>としての覚醒は望めまい」

冷徹な指摘に、押し黙るしかない優子。
たしかに、ベノンの炎を浴びて、表面が炭化するほどの重度の火傷を負ったデルフィナの右腕は、
すでに組織の再生が始まっているらしく、少しずつ生気を取り戻してはいるものの、
自由に動かせるようになるにはまだまだ時間が必要だろう。
何より、もう一つの指摘に対して、『違う』と断言するのは不可能だった。
アイザードは(己れの身を犠牲にして)自分を助けてくれたが、
同時に、自らの中にある<ヴァリスの戦士>としての戦いへの疑問
――今まで、過酷な戦いを生き延びるのに精一杯で、敢えて無視し続けていた心の声――を、
決定的なものにしたのも彼である。
女エルフの言う通り、心底から納得できる答えが得られない限り、
自分自身を欺き続けるのは難しいと言わざるを得ないだろう。



188:ARCH DUKE
08/11/02 22:43:47 FEYxnUTV
(28)

「・・・・汗をかいた。シャワーを浴びてくる。
私の次で良ければお前も使え。少しは頭も冷えるだろう」

これ以上話し合う気は無い、という意味なのだろうか、隻眼の女剣士は、クルリ、と背中を向けると、
カチャカチャ小騒さい音を立てながら、身に纏った甲冑を外し始めた。
ベッドの上に座り込んだまま、ぼんやりとその後ろ姿を眺めやる蒼髪の少女。
投げかけられる視線が気になったのか、デルフィナは独り言のように呟きを漏らす。

「私は、生まれながらの戦士だ。
だから、正直、お前の気持ちは良く分からない。
私の人生において、戦いとは、すなわち、生きる事だった」

カチャン、という乾いた音を立てて、革製の胸甲を固定していた金具が外れる。
姿を現した白い肌には、肩口から背中にかけて、鋭い刀傷が走っていた。
他にも、幾つも散見される矢傷や打撲の跡は、
彼女の独白が何ら誇張されたもので�さに、
己れの考えの至らなさを思い知らされ、暗澹たる気分に襲われる、隻眼の美女。
優子を――主から託された<ヴァリスの戦士>を逃がすためならば、
たとえ、剣士のプライドをかなぐり捨て、女としての恥辱にまみれようとも悔いは無い、と決意してはいたが、
それすら叶わないのであれば、何の意味も無いのではないだろうか・・・・?




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