08/08/04 19:05:29 YcNQWi07
「終わった……!」
ボールペンを置いて思い切り伸びをすると、関節から気持ちの良い音が鳴った。
ゆっくり弛緩しながら窓から外を眺めると、今までにない程綺麗に見える朝陽が昇り始めていた。
こんなに清々しい朝を迎えるのは初めてだ。
達成感に酔いしれながら、先程まで机の上で格闘していた課題の数々を見つめる。
殆どが×だらけの赤い有り様だが、それでも自分で終わらせたものだ。
自己満足するなというのは無理な話だ。
「終わったんだぞ俺……!」
徹夜までして、俺は提出日である四月一日の朝にようやく課題を全て片付けることが出来た。
結局課題を貰った日以降佑子さんと遊ぶという当初の計画は叶わなかったが、今日から始業式までの一週間は休日のオンパレードだ。
佑子さんのことだから仮に宿題があったとしてもとっくに終わらせているだろうし、一週間以上会っていないんだから俺が誘えば快諾してくれる筈だ。
そうだと信じたい。
「そういえば……」
佑子さんのことを考えていたら、不意に佐藤早苗の顔が浮かんだ。
自分で一緒に宿題することを提案してきたのに、結局あの日以来音沙汰がまるでない。
どうしているのか気にはなるが、少なくとも課題を終らせてはいるだろう。
確かに俺と同じく赤点……というか0点取ってしまったのは事実だが、あいつは今までは中々に優秀ではあったからな。
テスト毎に廊下に張り出される成績優秀者の欄にも大抵は載っていたし。
別に成績がいいからと言って課題を終らせているとは限らないが。
「眠いな……」
とりあえず今はこの壮絶な眠気をどうにかして処理しなければならない。
一日中机に向かい続けるなんて性に合わないことしてしまったせいで、椅子にもたれかかっただけで寝てしまいそうになった。
まずは朝風呂して目を醒まそう。
佑子さんについての話はそれからだ。
佐藤早苗に至ってはどうせ今日学校で会うだろうから、その時直接訊けばいい。
立ち上がると、俺は酩酊状態の会社員のような足取りで制服片手に部屋を出た。
水を飲もうと一旦リビングに行くと、母が既にテレビを見ながらフライパンを巧みに使っていた。
時計を見ると、針は五時過ぎを指していた。