嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 講和(50)条約at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 講和(50)条約 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/05/23 16:19:38 H/Mb4qxe
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 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第25章   
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3:名無しさん@ピンキー
08/05/23 18:34:48 0OqbsuZv


4:名無しさん
08/05/23 18:35:41 mxTNzJ07


5:名無しさん@ピンキー
08/05/23 18:45:49 eG0dKlYP
 う
>>1乙!

6:修正
08/05/23 18:59:37 H/Mb4qxe
■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ あの女49も!
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7:名無しさん@ピンキー
08/05/23 20:04:33 wprMv8yp
>>1もつ!

8:名無しさん@ピンキー
08/05/23 23:19:04 hQlvFdiu
>>1

乙カレー

9:名無しさん@ピンキー
08/05/24 00:56:31 g0i+cEaA
>>1乙!

10:名無しさん@ピンキー
08/05/24 03:28:15 t+uY6wNH
容量、レス共に余裕があって埋められもしないのに
また語呂オナ派が強引なスレ立てしてるのな…

11:名無しさん@ピンキー
08/05/24 14:53:28 IK9G9Zb1
>>1
俺は900越えたらあとは埋めネタの為に次スレ立ててもらいたいと思ってるから、
早めに立ててくれてよかった

12:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:07:01 cZ+9IHtA
お疲れ様です。

投下します。


13:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:08:22 cZ+9IHtA
 松下さんの突然の告白、
 それは僕にとって、正しく晴天の霹靂だった。

 それは僕が、松下さんを、友人以上に見ていない、
 そうするように努力してきたからだ。

 友人以上の関係になってしまえば、松下さんとの付き合いが終わる、
 それが僕には怖かったから。


 「変わらないから!」
 別れ際に松下さんが言った言葉、
 「私の本庄君…」
 「光彦君に対する想いはずっと変わらないから!」
 その言葉がやけに耳朶に残った。

 それに対して、僕は何も言えない。


 人の心なんてたやすく変わる。

 僕の両親がそうだったし、
 僕と里沙がそうなのだから。

 昔、中学2年のあの頃までは、僕にとっての里沙は掛け替えのない、大事な女性だった。
 それが今は見る影もないのだ。


 人の心の明日に絶対はない、
 その考えに変わりはない、
 それでも、それを言う事が出来なかったのは、
 松下さんから強い意思を感じたから。

 信念、
 そう言っても良い物を感じさせる雰囲気に、
 僕は何も言えなかった。


 松下さんと別れた後の帰り道は、至極違和感を感じる物だった。

 自分の思考が混乱しているせいか、
 目の前の光景からは、何かが欠けている、そんな印象を僕に与えた。


14:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:09:21 cZ+9IHtA
 違和感の感じる光景を見ながら、僕は家に帰る。

 そして考える。
 松下さんの告白を。

 いつまでも親友でいたかった相手からの告白…。


 この告白に、僕がどんな答えを返そうと、僕と松下さんとの関係は絶対に変わる。
 少なくても、今までのような、同性異性を考える必要のない、気楽な親友に戻る事は難しくなるのは間違いない。

 「松下さんは女性なんだよなあ…」
 微かに唇に残った松下さんの感触、
 その時に嗅いだ松下さんの女性としての香り、
 それを感じながら、思わずそんな呟きが口から漏れた。

 「はあ…」
 小さな溜め息が出た。

 異性を感じる事が、松下さんとの関係の終わりを、僕に考えさせてしまうから。


 ネガティブな思考から抜け出せないまま、何もする気が起きずにベットに横になっていると、携帯が鳴った。

 気分転換になれば、
 それだけのつもりで電話に出ると、
 その相手は、宮田だった。


15:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:12:00 cZ+9IHtA
 「本庄ー、ヒマしてる?」
 何時も通りの、明るいとも軽いとも言えるような宮田の声が、僕の耳に入って来た。

 「何だ、宮田か…」
 電話相手が宮田だと分かると、僕の口調は自然といい加減になる。
 嫌っている訳でもないが、別段と何も思わない相手だからかも知れない。

 「せっかく人が、ヒマだから電話してあげたったってのに、そんな言い方ないでしょー」
 僕の言い方に、抗議の声を上げる宮田だけど、
 その顔には、何時もの悪意なき嘲笑が浮かんでいるだろうから、気にする事はない。

 「何か用か?」
 「別にー、ヒマだっだけえ!」
 わざとぶっきらぼうに質問した僕に、宮田は特に動じた様子も感じさせずに答える。
 正直にやりづらい相手だと思う。

 「はあー」
 「何?何か悩み事?悩み事ならアタシが相談に乗って上げるよ!」
 小さな溜め息が出た僕に、しゃしゃり出るように突っ込んできた宮田。

 コイツに悩み事を相談する気は僕にはないし、
 それに今、抱えているなやみは、安易に人に喋るような類いのものでもない。

 だから僕は、
 「別に悩みなんてない」
 と言い切ろうとしたけど、
 その言葉は、宮田の
 「恋愛の悩み?そうでしょー」
 という、得意げに言った言葉に遮られた。

 コイツの言った事が事実だっただけに、返答に窮した。
 とにかく、否定の言葉を言わないといけないと思い、
 「そんなんじゃねえ!」
 と逆切れ気味に答えたのだが、
 宮田にはまるで通用しなかったらしく、逆に、
 「親しい相手にでも告白されて、どう答えたら良いかって悩んでる?」
 と、的確に今の悩みを突いてきた。

 コイツはあの時の情景を見ていたのだろうか、
 そう思いもしたが、すぐに否定した。
 俺と別れた後、コイツは真っすぐに駅へと向かって歩いていったのだから。


16:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:13:53 cZ+9IHtA
 あの時の事を、宮田が見ていたにしろ、ただ勘だけで言っているにしろ、ここはきちんと否定しなければいけない。

 松下さんにどう答えるかはまだ決めていないし、何とか親友としてやっていく方法を考えているのだから。


 だが、僕が口を開こうとする前に、宮田が先に口を開いた。

 「もしそうなら…」
 「親友として、なんてくだらない考えは捨てた方がいいよ」
 また、的確に人の考えを言い当ててきた。
 「あ…うっ…」
 何か言おうと思った僕の口から漏れたのは、
 こんな情けない言葉だけだ。

 「やっぱりねえ」
 僕の言葉に、宮田がそんな一言を言いながら笑い声が上げる。
 そして言葉を続けた。

 「アンタが、何を悩んでんだかは知らないけど…」
 そう前置きした上で、
 「オトモダチ、ならいくらでも関係が続くなんて、ただの甘えだよ?」
 と言った一言は、何時もは感じさせない、真面目さを感じさせる一言だった。

 「えっ…?」
 自分の考え、逃げ道を的確に塞がれた気がした僕は、思わずそう聞き返した。

 「だからさあ」
 普段の悪意なき嘲笑で宮田が答える。
 「ヒトとヒトとの関係なんて、二人で努力していかないとイケないってコト!」


 宮田が言ったのは、何の変哲もない、至極当たり前の事実、
 その当たり前が僕に重くのしかかる。

 ”松下さんは勇気をだした…、なら僕は…”
 思わずそんな考えが頭を過ぎった。


 「まっ、アタシが言えるのは、そんだけだから!」
 宮田は明るい声でそう言うと、
 「後は一人で考えな」
 とばかりに電話を切った。


 宮田が電話を切った後、僕はしばらく携帯を握りしめたまま、松下さんに対する返事を考えていた。

 既に答えは出ている。

 後はどれだけ真剣に応えられるか、だけだ。


17:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:14:41 cZ+9IHtA
2

 「脚本通り…かな?」
 本庄との電話を切った宮田が一人呟く。
 「これなら、里沙に言うコトは嘘にはならないだろう、ね」
 その顔に浮かんでいるのは、普段の嘲笑的な笑い顔ではなく、
 満ち足りた喜びと、どこかに暗さを感じさせる笑いだ。


 宮田は里沙に電話する為、携帯を操作する。

 里沙にある事実を伝える為に。

18:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:15:52 cZ+9IHtA
3
 翌朝、僕は妙に晴れ晴れとした気持ちで学校へと向かっていた。

 松下さんに何て応えるか、
 それが決まったからだ。

 僕の用意した応え、
 それは僕と松下さんとの関係を変えさせるモノとなるだろう。

 でも、僕に不安はなかった。
 松下さんとなら、一緒に頑張って行けると、努力していけると、
 そんな確信が抱けていたから。


 昨日に感じた違和感は、今日も感じている。

 何かが欠けている風景のままだったけど、
それを特に気にする事もなく、僕は何時もの通学路を進む。


 そして、歩道橋の下り階段に差し掛かった時、
 誰かに背中を押された。


 その後の事は良く覚えていない。

 思い出せるのは、スローモーションの様に一段一段と、自分が階段を転げ落ちていった事、
 その後、見知らぬ人達の騒ぎ声が、他人事の様に響いていた事、

 そんな騒ぎの中、一つだけ僕に囁きかけてきた言葉、
 「コレが始まりだからね」
 「二人だけの全てがココから始まるから」
 そんな言葉を最後に、僕は意識を失った。

19:全部欲しい! ◆YiiBfqbdxs
08/05/25 06:16:27 cZ+9IHtA
投下終了です。

20:名無しさん@ピンキー
08/05/25 06:40:56 yxTsl9DX
>>1
>>19GJ!

ゴクリ・・・遂に始まりましたな
次回をwktkしながらお待ちしております

21:名無しさん@ピンキー
08/05/25 12:01:17 6TvldW5+
思わぬ伏兵が・・・
次回も楽しみに待ってます
GJ!

22:名無しさん@ピンキー
08/05/25 13:11:18 EbppoTTN
>>1
>>19投下乙
だ、誰だ
誰が突き落とした
先が気になるぜ

23:修正
08/05/25 14:52:50 tMoVJP6J

■SSスレのお約束
・sage進行(メール欄にsage)
 ・指摘するなら誤字脱字
 ・展開には口出ししない
 ・嫌いな作品なら読まない
 ・荒らしはスルー!
 ・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
 ・指摘してほしい職人さんは事前に書こう
 ・過剰なクレクレは考え物
 ・投稿の前後には、
   ① 投稿への割り込み防止のためリロードをお願いします
   ②「投稿します」「投稿終わりです」等をいれてください
 ・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちらへどうぞ
  (URLリンク(yuukiremix.s33.xrea.com)
 ・スレは作品を評価する場ではありません
 ・作品を投稿してくださる神々に超感謝しましょう!


24:名無しさん@ピンキー
08/05/25 19:57:48 6QY5lyUy
いつからテンプレが変わったんだ?

25:名無しさん@ピンキー
08/05/25 21:25:17 eQ9znebZ
どの辺が代わったの?

26:名無しさん@ピンキー
08/05/25 21:57:05 KonQOfG6
風味と心意気

27:名無しさん@ピンキー
08/05/25 22:04:13 vA2EPj31
前スレのテンプレをコピペしているみたいだけど前のテンプレが違ってるな

ちなみにこのスレのテンプレも1、2行抜けてる
荒らしはスルーの部分とか

いままでのテンプレ(~48スレ)
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら
URLリンク(yuukiremix.s33.xrea.com))へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません

28:名無しさん@ピンキー
08/05/26 21:10:33 LQzy4S05
正式なテンプレは>>27でおk?


29:名無しさん@ピンキー
08/05/27 01:59:26 KX3aw6Hd
G O K U R I

30:名無しさん@ピンキー
08/05/27 08:32:17 p8Rx/nFN
>>1はやや表現が軟らかめで、住人に配慮した表現
>>27は~48スレまで使ってきたもので、命令型
どっちを取るかな

31:名無しさん@ピンキー
08/05/27 14:19:25 YjmYsDMt
どっちかじゃなくて>>1の抜けを修正する方法もある
ただ俺はいままでので十分だと思うがな

32:名無しさん@ピンキー
08/05/28 21:25:25 +JQO1/DG
>>1の抜けを修正=いままでの=>>27

少なくとも個人的に>>23はないわ
ここ数スレはテンプレ変更の議論もなかったのにな

33:名無しさん@ピンキー
08/05/29 00:35:29 issEQzAe
>>30が表現を問題にしてたから
>>1の命令形じゃない表現を取り入れつつ抜けは修正するのもあるんじゃないってつもりでいった
解りにくくて申し訳ない


34:名無しさん@ピンキー
08/05/29 16:40:00 6W78ZjUB
一気に寂れてきたな

35:名無しさん@ピンキー
08/05/29 18:33:05 dEOZnP/A
他スレがにぎわってるからな

36:名無しさん@ピンキー
08/05/29 18:55:09 JnMLQL9T
嫉妬した彼女に刺されたとか?

37:名無しさん@ピンキー
08/05/30 18:34:16 xE+na3Ll
過疎かよ・・・・・

38:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:01:35 TfS3uQGp
過疎だけは俺が許さんよ

39:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:24:37 iOoO/jn+
投下します

40:私の女難 第一話  ◆m5UvgQ1Ebw
08/05/30 23:26:23 iOoO/jn+
女性が男性に求めているものは顔の造型の良さ、つまり容姿である。
特に成人しておらずかつ子供がいない女性にはそれが顕著で、容姿さえ良ければ他の要素で劣っていようともかまわない。
私の通う高等学校もそれに当て嵌まり、容姿の良い男子学生が容姿の良くない男子学生に比べ明らかに多くの異性交際をしているのである。
何しろ私達学生は親に養ってもらっている身。社会に出て働いたこともなければ、学校という狭い共同体のなかでしか人間関係を築いていない。どうして人を見る眼を養うことができようか。
そのような理由で女子学生は容姿を基準にするしかないのだろう。
容姿だけしか取り柄のない愚図と、学力的、人間的に尊敬に値するが容姿の悪い男子学生とでは、選ばれるのは前者である。
私が独自に調べた学年内での童貞率は、前者がわずか一割であるのに対し、後者はほぼ十割である。
手前味噌なのだが私も容姿が良く、学力が高く、さらに口先が上手いと自負している。
両親から受け継いだこの容姿に見合うだけの後天的な特長を持ち合わせていなければ、何の苦労もなく手に入ってきたものに満足している先の愚図と変わらないと考えた私は、日々努力を惜しまない。
勉学にもスポーツにも人間関係にも妥協しないことが大事なのである。
ともなれば私は女子学生の好意の対象になる。何度も告白された。しかし大半が私の容姿だけを気に入り、中身はどうでも良いらしい馬鹿女だ。
そんな人間に限って外見ばかりを着飾り人間的な部分はからっぽの、まるで風船のような存在なのだから私としても嬉しくない。
何度も断ることになった。しかし中には例外もいて、私を本当に好きな人もいる。そのような時、私は言うのだ。

「今のところ君に恋愛感情がないんだけど、それでも付き合う?もしかしたら好きになるかもしれないし、それでいい?」

このように軽薄な態度を取っても相手からNOと言われたことがないのだから、正に恋は盲目である。
相手は恋愛感情を芽生えさせようと健気に尽くしてくれるし、私もそれがなかなかに嬉しい。
しかしながら愛情を抱くかと問われれば首を縦に振ることはなく、たとえ性交渉を終えても添い遂げたいという気持ちが起こらない。
今まで五人の女子学生と性交渉を行うまでに至ったが、結果はいつも同じである。
やはり私に相応しいのは許婚である件の子だけだろう。
十年前に交わした契りは強制ではなく、二人の間にだけ有効な細くて切れやすい糸だ。
他に愛情を共有したい誰かが現れれば解消される脆い関係なのだ。だが、私にはそのような相手が見つからなかった。
勿論、それらから得た経験値は私を大きく成長させてくれたし、件の子と結ばれた際には役に立つことだろう。
今度、久しぶりに再会してみようと思う。


先日女子学生から告白された。プライバシーの点でその子をRと呼ぶことにしよう。
Rは男子学生から人気が高く高嶺の花として半ば崇められていた。なるほど清楚で容姿が良く、人望も厚い。
さらに同年代の娘達より遥かに豊満な肉体で、体育の授業時には男子の目の保養剤になっていた。
そんなRと付き合うことにしたのは数カ月前。前々から私はRの外見よりも人間的な部分、特にプライドの高い点を評価していた。
誰に媚びることなく己の主張をしっかり持ち、男子からの好奇な目線にも動じない。
そんな彼女が明らかに緊張した様子で誰もいない教室に私を連れて行き、顔を赤くして交際を申しこんできた時は正直驚いた。
Rにとって自分から告白するのは大分勇気が要ったことだろう。
だが私は敢えていつものように台詞を吐いた。

「君のことは良く知らないし好きという気持ちもない。それでも付き合ってみる?」

何故なら先の言葉が事実であり、相手の貴賎で態度を変えご機嫌取りをするつもりもないからである。
そして要求に応えるのは私。
圧倒的に有利な立場にあるのだ。不実な態度に相手が怒って帰ればそれで良し、こちらの条件に甘んじれば付き合う。
据え膳は頂いておいたほうが経験になるからという理由で。
さて、私はRにある期待をしていた。今まで付き合うことになった女子学生は皆それでもいいと答えたが、Rはどうだろうかと。
怒って帰るのか、もしくは前例に則るのか。実は少し前者に期待していた。そうなれば今まで巡り会ったことのない経験だからである。
私の答に少し顔を歪めるR。その麗しい唇から発せられるのは前者か後者か、私は少し心を弾ませつつ待った。しかしRの答はどちらでもなかった。

「ええ……かまわないわ。いずれ貴方をわたくしの虜にして差し上げますから」

41:私の女難 第一話  ◆m5UvgQ1Ebw
08/05/30 23:27:39 iOoO/jn+
なるほど、そうきたか。
どうやら彼女は己の一大決心の告白が軽んじられたことにプライドを傷つけられたらしく、しかし私への想いがほんの少し上回り、そのような自信に溢れた返答を紡ぎ出したのだ。
自分が交際を申し出せば断る男がいないという潜在的な過信が砕かれ、だがそうだとしても主導権は握っていたいという心の表れなのだろう。
私はRが気に入った。
もしかすると愛情というものを芽生えさせてくれるかもしれないと思ったからだ。
「よし、付き合う記念ということで接吻をしよう」
私が言うとRはようやく平静を取り戻した顔を再び赤くさせた。
「わ、わたくしをからかってらっしゃるの!?」
その通りである。私も主導権を手渡すつもりは毛頭ない。
「僕を虜にしてくれるんだろう?」
人が、特に女性がうろたえ取り乱す際に見せる表情こそが最も可愛らしい。
Rのそれは特に素晴らしく、平時の近寄りがたい雰囲気との相違が一層引き立たせている。
「したことがないのかい?それなら僕のほうから……」
もっとからかってやろうかと思ったが残念ながら続きをRの唇に阻まれてしまった。
女性からの、しかも半ばやけくその接吻。互いの前歯がカチンと音を立てた。
やはりRは今までの女子学生とは違うと思い嬉しくなった。
「もう少しムードというものがないのかな」
「ふん、そ、そんなことおっしゃるけれどわたくしに……」
今度は私から唇を塞いだ。不意打ちには不意打ちで応えるのが礼儀というものだ。
きっと目の前の女史は驚き目を見開いていることだろう。さらに困らせてやろうと身体に腕を回し、その柔らかな感触を楽しんだ。
するとRも負けじと抱きしめ返してきた。夕暮れ時の静かな教室に二人。
目を閉じている私は、Rの良い匂いと微かな肢体の震えを一身に感じていた。

私達は間もなく別れることになった。先例通り、愛情など育たなかったのである。
しかしRは別れる気などさらさらないようで、しつこく付き纏うようになった。まったく、こちらの気持ちを察してもらいたいものである。
少なからずあった情が霧散した相手に何をされようとも、心が揺り動くことはないというのに。 (続く)

42: ◆m5UvgQ1Ebw
08/05/30 23:29:21 iOoO/jn+
初投下&初トリップです
全二話か三話です

43:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:37:14 Z3Kq4jKV
何というリア充ww
こんな奴はさっさと刺されてしまえばいいのに!!
続き期待してますw

44:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:47:48 9gEy+9cP
この先主人公がどうなるのか楽しみ。
期待です

45:名無しさん@ピンキー
08/05/31 00:10:02 DV5Lxi3k
>>42
久しぶりの憎まれ主人公で楽しみだ

46:名無しさん@ピンキー
08/05/31 02:25:47 Jq0a5+8i
ま自覚があるなら文句は言わない。
結果刺されるのは本人なのだから。続き、楽しみにしてます。新作GJ!

47:名無しさん@ピンキー
08/05/31 09:32:17 igstcr0M
何も分からずヒロインのせいで人生転落させられた主人公の事を思うと
こういう主人公はいっそ死んでしまえと思うな。GJ

48:名無しさん@ピンキー
08/05/31 12:32:22 gnOf4jWv
こうもはっきりと、頭上で死兆星が輝いている主人公は久しぶりだなww

49:名無しさん@ピンキー
08/05/31 12:39:13 7UkArU0k
>>48
そうか、見えるのか・・・
成仏してくれ

50:名無しさん@ピンキー
08/05/31 13:19:39 FOotlhWl
でも、逆玉は確実

51:名無しさん@ピンキー
08/05/31 15:40:24 KOZzfx5P
テーレッテー

52:名無しさん@ピンキー
08/05/31 20:39:06 w6ALynfR
ウマイ!テーレッテレー♪

53:名無しさん@ピンキー
08/05/31 23:26:35 FOotlhWl
ねればねるほど色が変わって

54:名無しさん@ピンキー
08/06/01 00:55:44 9MZfP4sh
こうやってつけて

55:名無しさん@ピンキー
08/06/01 02:38:07 O2Kxv+7+
どうでもいいがテンプレと修正ってレスのどっちも前スレのアドレス間違えてるんで一応張り
スレリンク(eroparo板)

56:名無しさん@ピンキー
08/06/01 03:33:20 46DlqPqE
>>55
まずはウマイって言ってやってくれ。

57:名無しさん@ピンキー
08/06/01 12:38:21 1U4I500F
>>52

58:名無しさん@ピンキー
08/06/01 19:16:07 6wq0kt/P
これで、ここにいる連中の歳がだいたいわかった。おっさん乙!

59:名無しさん@ピンキー
08/06/01 22:17:51 BT0u9MtZ
20代ならギリギリわかるネタだと思う
ソ、ソ、ソクラテスもプラトンも♪を知らない俺が言ってみる

60:名無しさん@ピンキー
08/06/02 01:54:54 a7XeYOBe
阿修羅さん 
保管庫更新乙です

61:名無しさん@ピンキー
08/06/02 02:56:16 WUFh/gIR
>>51

北斗有情破顔拳ッ・・・ チニャ

62:名無しさん@ピンキー
08/06/03 12:38:56 zdQPy4yJ
だいたいこういうのって男がヘタレなんだよな。
まあ男がヘタレで鈍感って設定をぱくっとけば
楽だからな。
でもいい加減パクリ横行で飽きた。

男が一途で鈍感でない嫉妬もん書いてくれ

63:名無しさん@ピンキー
08/06/03 19:47:20 Iqqg5bRM
お前が書けよと突っ込んで欲しいのか?

64:名無しさん@ピンキー
08/06/03 19:55:58 hZBelY/p
>>62
つ「赤と黒」
つ「ゲームの達人」(第一部)

長いが読め

65:名無しさん@ピンキー
08/06/03 22:23:54 bKvB5Ed4
携帯からだと保管庫の作品が古くて見れないやつが多いんだが、どうすればいいんだ?

66:名無しさん@ピンキー
08/06/03 22:50:21 5bBgd6iq
ファイルシークで見れば?
まとめのトップにあるだろ

67:名無しさん@ピンキー
08/06/04 00:02:31 VF2KxzQ1
むしろ最近はmobazillaがおすすめ、軽いし

68:名無しさん@ピンキー
08/06/04 03:55:35 RwweVvIW
阿修羅氏
忙しいなか保管庫更新乙です!

69:名無しさん@ピンキー
08/06/04 07:44:51 ONZvYi8X
66-67ありがとうございました。今携帯から転帰予報読み返しています。

70:名無しさん@ピンキー
08/06/05 21:22:23 7R6/+Kej
>>62
保管庫にある「リボンの剣士」
少々クセのあるキャラだが、一途で優柔不断ではない。

71:名無しさん@ピンキー
08/06/06 15:12:23 UaEGVpUr
ふーん そういうのもあるんだな
読んでみるわ

72:名無しさん@ピンキー
08/06/06 19:50:33 5iSvZbfC
そんなものって…
あれかなり長くなかったっけ?凄く見入ったけど。

73:名無しさん@ピンキー
08/06/06 20:58:59 vWe4KEeQ
リボンの剣士ってENDによっては主人公があまりにも不遇。

嫉妬によって男の人生を滅茶苦茶にする女って最低だよな。


74:名無しさん@ピンキー
08/06/06 22:58:34 Rh3+usJ1
男に危害を加えるヒロインなど底が知れている

75:名無しさん@ピンキー
08/06/06 23:43:31 obzGzRdD
リボ剣は泥棒猫があまりにも糞だったからな。
ヒロインと相討ちになったときはふざけんな!と思った。

76:名無しさん@ピンキー
08/06/07 00:28:13 hnFthjS0
リボ剣の作者及び話はとても良かったが
ヒロインが主人公に危害を加えたこと時ははぁ?と思ったな。

リボ剣の主人公の報われなさは異常。

77:名無しさん@ピンキー
08/06/07 00:42:17 b0sZ26AW
俺は好きだったけどトラウマになってて再読できない

78:名無しさん@ピンキー
08/06/07 01:41:05 vZ6V2G+t
俺はやり場の無い怒りとトラウマだけが残ったな。
(シグルイの世界で大暴れ出来そうなww)
そのせいか自分の作品を書く際、やられたらやり返すを徹底的に意識してるな。

79:名無しさん@ピンキー
08/06/07 03:04:47 EfFgI9od
それは危険な考え、まず右の頬を殴られたら左の頬を差し出す、左の頬を殴られたらっ!初めてやり返していいの。
それは、もうボッコボッコにして最後は灰皿代わりにしよう!!

80:名無しさん@ピンキー
08/06/07 17:51:04 vZ6V2G+t
まあ修羅場はなんでもありだとはいえ、最低限のルールはあると思う。
ヒロインのNTRって、わかり易く例えるなら
リングのビデオを見ていたら、劇中で貞子がテレビから出てくるシーンで、
さらに自分が見ている目の前のモニターから現れて、自分が殺されるようなものだ。


81:名無しさん@ピンキー
08/06/07 17:54:36 hY3BUn7J
>>80
おれもNTRは嫌いというか吐き気を催す

だがしかし、好きなやつもいるのも事実だし
書き手のほうがNTR注意って書いておいて
読まないという選択肢が選べるようにしてくれるならそれはそれでいいと思う

82:名無しさん@ピンキー
08/06/07 18:47:41 pAQobL8V
リボンの剣士で興味深いのは男が一途でへタレで無くともバットエンドになってしまう所か。
漫画版のスクールデイズでも誠が原作やアニメに比べて非常にまともでも(二股はするが)バットエンドになる。

男がまともでもバットエンドになってしまうのは何故だろう?

83:名無しさん@ピンキー
08/06/07 20:40:17 0tfi8cki
NTRは嫌悪感を示す人が多いしその度合いも大きいからなあ、ある意味ホモ展開と同じぐらい嫌われてるかも
でも好きな人がいるのは確かだし無くせとは言えないから注意書きを作品の最初に書いてくれれば俺は問題無い
面白い作品で釣っといて「この話にはNTRがあります」と途中で言われるのは困るけど

84:名無しさん@ピンキー
08/06/07 21:08:39 TuVFxsig
修羅場スキー自体マイノリティだけど、それ+他属性はさらにマイノリティになるからね
だからこそ、百合・薔薇・ふたなり・TS・NTRは事前に注意書きがあった方がいいな

俺の場合、純愛+NTR+TS+ハーレム+修羅場の属性持ってるけどな

85:名無しさん@ピンキー
08/06/07 21:14:56 eslI0ei4
異端気取りですね、分かります

86:名無しさん@ピンキー
08/06/07 21:36:45 TuVFxsig
>>85
異端を気取るつもりはなかったんだ
どんな属性を付加しても読む人間はいるんだから
前もって注意書きして欲しいって意味だったんだ
文章力なくてすまん


87:名無しさん@ピンキー
08/06/07 23:01:28 45valtVV
>その他の属性の注意書き
気持ちは解らんでもない
だが作者が書き始めた当初からそういった属性を付加させるつもりだったのか
最初そういうつもり無かったのに書き進めていくうちに気付いたらそうなってた
そういう場合もあるのもご理解願いたい

88:名無しさん@ピンキー
08/06/07 23:10:00 f9hDOat4
どうでもいいから誰か書けよ

89:名無しさん@ピンキー
08/06/07 23:27:39 wHLjMyq+
ハハハかかったな
言いだしっぺの法則を知らんのか

90:名無しさん@ピンキー
08/06/08 00:19:52 mI0CitvQ
冬の星空の続編マダー

91:名無しさん@ピンキー
08/06/08 03:00:31 3WT7NoCU
>>88
SSとか一度は書いてみたいって気持ちだけはあるんだぜ
でも、いざ書いてみようとPCの前に座った瞬間に、もうどうでもよくなっちまうんだよな


SSと掛けまして背中の痒みと説く
その心は、
かきたいけどかけない


みたいな
はよだれか投下してくれ


92:名無しさん@ピンキー
08/06/08 13:34:05 OjGYKiFX
SS投下は無いけどスレが荒れてなくてほんとに良かったと思う。俺は勝ち組

93:名無しさん@ピンキー
08/06/08 19:28:49 vYbHf5sd
平和。

94:名無しさん@ピンキー
08/06/08 21:06:42 Uh5khJx0
ピンフ

95:名無しさん@ピンキー
08/06/09 19:34:55 iVkv1MZf
NTRでも事前に告知してあればおk?
ま、投下どころか書くかどうかすら怪しい段階だが

一応案としては大国の皇女と小国の王子と王子の剣の女師範と……
そんなの考えてます

96:名無しさん@ピンキー
08/06/09 19:58:31 a+aG8YB5
おお、なかなか期待できそうな案ですな

97:名無しさん@ピンキー
08/06/09 20:09:57 2JUE5iNR
うん
俺自身はNTRは嫌いだが、毎回事前にNTR注意って書いてくれれば見ないからOkだとおもうよ

98:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:07:25 9pDnD1nJ
というわけで執筆作業に戻ってください。
期待してますよ。

99:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:55:51 MQzsU8QU
NTRありは結構だが、NTRばっかりに比率偏重するのはスレ的にカンベンな

100:名無しさん@ピンキー
08/06/10 00:15:59 52I+neft
ちなみに念のために言っておくが、始まってからちょっと経った辺りぐらいまで、
まだ感情移入してないうちにNTRが出てくるなら、警告しなくても別に問題ないと思うぞ。
まあ、精神的ショックは受けない。

101:名無しさん@ピンキー
08/06/10 01:09:43 QEvHvhBh
なぜそんな結論に至ったか分からない、グロなんかもそうだが特殊属性の告知は最低限のマナーだろ

102:名無しさん@ピンキー
08/06/10 01:24:20 uWrIq2AV
おまいらのNTRに対する過剰なまでの注文にフイタw


103:名無しさん@ピンキー
08/06/10 06:51:20 AvURsZWA
>>102
おまえはグロ注意とかの警告も不要なのか?

104:名無しさん@ピンキー
08/06/10 07:20:42 uWrIq2AV
>>103
グロ耐性はあるからチンコ切断くらいまでなら平気なんだが、そういう意味じゃなくて
~なNTRにして欲しい ってのはただの注文だろ
なんというかお化け屋敷に入る前のビクビク感みたいな気持ちがひしひしと伝わってきて吹いたんだ

105:名無しさん@ピンキー
08/06/10 11:03:09 tf1tujZ/
・NTRの警告してほしい
・ここは嫉妬スレだからNTRに偏りすぎないでほしい

たったこれだけしか挙げられてないだろ
どのへんが「~なNTRにしてほしい」で、過剰な注文なんだ
一人は「軽度なNTRなら警告しなくていいよ!」とかパーなこと言ってるけど

106:名無しさん@ピンキー
08/06/10 11:31:53 db0VLzQx
いろんな嗜好のやつがいるからこそ、スレの趣旨と違う属性を入れるときは
注意が必要だって話だろ
NTRと嫉妬修羅場は共存できないとはいわないがしにくい属性なので
注意書きが必要にきまってるだろ

107:名無しさん@ピンキー
08/06/10 12:13:36 uWrIq2AV
>>105
へえ、「NTR警告はいらない」なんて言ってるやつがいるのか

というか前後から見る限り、ひょっとしたら俺のことを言ってるのかも知れから言わせてもらう
それはさすがに拡大解釈のしすぎ
誰もそんなこと言ってないよ

あなたは国語0点のコですか?

108:名無しさん@ピンキー
08/06/10 12:20:17 2Bu+2RHa
NTRはスレが別にあるんだからそっちでやれ

109:名無しさん@ピンキー
08/06/10 12:27:33 cqhsa2zh
NTRスレにもこっちにあってもおかしくない作品あるしな

110:名無しさん@ピンキー
08/06/10 13:26:27 SV2Ni4tk
また、変な荒らしが沸いているな
時代はツンデレの嫉妬と修羅場なんだけどね

111:名無しさん@ピンキー
08/06/10 13:52:36 GbTCXYo4
06/05 06:17
 作業場行ったら修羅場が無かった
 辞めろってか
 わかったよ
06/05 06:19
 鮮やかに帰宅
 隣の住人がヤンデレ化していた
 やってらんね
06/05 06:26
 着信99件
06/05 06:36
 お前らが修羅場しといて、当時者だから来いだと?
 おかしいだろ
06/05 07:00
 修羅場発見したってメールきた
 行かなきゃ
06/05 07:05
 また俺が刺されるのか
06/05 07:07
 誠にはめられた
06/05 07:12
 会社のヤンデレが部屋に先回りしてる予感
06/05 07:32
 やっぱり悪いのは俺だけなんだよね
 こうやって泥棒猫を排除するわけですね
06/05 07:45
 やっぱりヤンデレの奴がいた
 修羅場あったよ、だと
 自分で起こしといてよく言うよ


112:名無しさん@ピンキー
08/06/10 14:42:24 tf1tujZ/
>>107

>へえ、「NTR警告はいらない」なんて言ってるやつがいるのか

>>100参照

>というか前後から見る限り、ひょっとしたら俺のことを言ってるのかも知れから言わせてもらう
>それはさすがに拡大解釈のしすぎ
>誰もそんなこと言ってないよ

>>102
 >おまいらの過剰なまでの拡大解釈にワロタ
>>104
 >~なNTRにしてほしいってのはただの注文だろ

>あなたは国語0点のコですか?
そのまま返させてもらうっす^^

113:名無しさん@ピンキー
08/06/10 14:45:15 tf1tujZ/
>>111
>>102
 >おまいらの過剰なまでの拡大解釈にワロタ
↓修正
 >おまいらの過剰なまでのNTRに対する注文にワロタ

114:名無しさん@ピンキー
08/06/10 14:48:17 cqhsa2zh
上記の様に荒れる元になるので、できるかぎりNTRは避けましょう
どうしても入ってしまう場合は事前に警告しておきましょう

以上で実演終了でございます

115:名無しさん@ピンキー
08/06/10 14:51:59 qekZWtC8
>>102 >>104
まずアホがどーでもいいことに鬱陶しく突っかかって、
>>105
それに別のアホが突っかかるっていうアホの連鎖だな

116:名無しさん@ピンキー
08/06/10 15:50:29 AZCy03mH
皆穏やかにいこうぜ。

117:名無しさん@ピンキー
08/06/10 16:14:52 X/ODHIIN
ワロタなんて今更感漂う単語連呼すんな

118:名無しさん@ピンキー
08/06/10 16:47:47 XzaNabev
結局、遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がってスレを押しつぶすのだ。
ならばスレ住人は、自分の手で自分を裁いて職人に対し、スレに対して贖罪しなければならん
なんでこれがわからん

119:名無しさん@ピンキー
08/06/10 16:48:18 XzaNabev
誤爆

120:名無しさん@ピンキー
08/06/10 17:23:47 MHbZzbRV
アホ連鎖だな

121:名無しさん@ピンキー
08/06/10 18:58:31 CnXhLnHP
銀河鉄道の夜に書いてあった「みんながめいめい~」の件の部分はこういう事にも当てはまるんだな

しかし、宮沢作品は名作が多いけど嫉妬話がないのが残念だ
銀河鉄道ではジョバンニの軽い嫉妬シーンあるけど、対象が男の子だしな・・・

122:名無しさん@ピンキー
08/06/10 22:49:14 0/DZeOFv
>>118
それはエコだよ、シャア!!

123:名無しさん@ピンキー
08/06/11 02:11:18 gxk5jGcQ
かま猫の涙は嫉妬
雨ニモマケズの歌詞はどうしても嫉妬してしまう自分の詩。知らんけど
嫉妬を積極的に肯定するこのスレにおいてでもそういうキャラがいていいと思う

スケッチブックはなんとなくそれっぽい雰囲気があってよかった
悲しかったが

124:名無しさん@ピンキー
08/06/11 11:36:30 cGrswor7
やはり、言葉様にスレを盛り上げさせてもらおう

            \   . :.:.i:.:.:k;//;;;;;;;:i : /   :.;;;,;;ハヾ; i:.:.:.i !:.:! ! / .  |: |A  ≫
      _     \ :.:.:!.:.:i ゙、;;;;;;;;::ノ;      :;;;;;;:},.' ノ:.:.ノ !:ノ / /  _ _ |: l    ≫
    '´/ ,、ヽ     \:..!:.! ゞ''⌒      ゞ< イ:.ノ! ノ  /   '´/ ,゙|:丶_/
    i (ノノ"))i ニヤー  \.ヽ   r、_  '  ヽ  /:.:.:.   /     i (.ノ,) |言i
    li l|#"ワノl|       \ \  ヽ ̄ ̄/'  /:.:.:.:.|i /       li l|゚ ヮ゚|目|
    リ /)允iヽ___       \\ 丶--',  イ!:.:.:.:.:./       リ./(二つO
   (=U=l|l,、,、,、,、l}         \ ∧∧∧∧  /     .    ((゙く/_lj)目|
      じフ              < 予 言 >     :::::::::::::::::::::::::::じフ|目|
―――─――――<  感 葉 >―――─――――
  ホラホラ、サトイモクエー♪       <  !!! 様 >          | | | ||||ヒュウウ…
  キャハハハハ♪            <    の >           | | | ||||
       _              /∨∨∨∨\
    '´/ ,、ヽ           / |  |_      \          ∩∩
    i (ノノ"))i <  .       /  |  | ,、ヽ + .   \      ((.くヾl!〉))
    li l| "ワ,''´ `´ ゙ヾ   / .    |  | ノ"))i  .      \     |i とj孕!つ
   ○=と)允リ_   ; ! /  .   |_|"ー ノl|        \ .    l! |。 A。Y|
   (( く/_lj∩i、l)゙wwv'/  .      |桂|【◎】0          \  i い),,))!
     (ヽ__)___ノ/     .    | ̄|_lj〉))           \.弋 ヽ ~_丿
           /             |  |'ノ               \ ` ̄



125:名無しさん@ピンキー
08/06/13 08:15:18 bVvzbgKT
1日も書き込みがなくなるとは……
ついにこのスレは人気がなくなってきたんだね

126:名無しさん@ピンキー
08/06/13 14:42:43 gmbcPBvb
転帰予報をまとう

127:名無しさん@ピンキー
08/06/13 15:17:10 +RHYlxah
>>124
クロスデイズでどれだけ言葉様が病んでくれるか期待しなきゃいけないな
というか、虐められレイプされて捨てられた以上に酷い目に遭うのは難しいんじゃないのか?

世界が痛い目に遭うのかwwww


128:名無しさん@ピンキー
08/06/13 15:37:31 vIMuaZm+
全部欲しい!の続きも待ってます

129:名無しさん@ピンキー
08/06/14 17:54:13 f3ZcEz3X
というか前スレうめようぜ

130:名無しさん@ピンキー
08/06/14 20:23:18 JteDXKQl
まだ生きていたのかッ

131:名無しさん@ピンキー
08/06/15 04:11:30 9tUbuvLb
かツ・コバヤシ

132:名無しさん@ピンキー
08/06/15 09:12:46 2QVi7B0J
シゅらば

133:名無しさん@ピンキー
08/06/15 10:07:10 QrFtQkHc
亀だが
前スレ>>947-953
埋めでこんなの読めるとは
どこの私小説かと思ったw
GJ!!

134:名無しさん@ピンキー
08/06/15 18:43:11 cRvtdfcM
>>133
あそこで終わるなんて生殺しもいいとこだよな。
埋めネタに止まらず、こちらで再開してほしい。

135:名無しさん@ピンキー
08/06/15 18:49:14 cRvtdfcM
あ、違った。オレの読んだの前スレの>>982-995でした。
133の指したところも読んでくるよ。

136:名無しさん@ピンキー
08/06/15 21:19:14 zwaZJVCQ
俺も前スレの>982-995「俺と素直クールとツンデレと」は最高だった
是非続き書いて欲しいと思う
って言うかアソコで終りはマジ生殺し

137:名無しさん@ピンキー
08/06/16 01:58:42 l/UNWXWO
俺もどストライクだったわ。続きが読みたくてしょうがないw

138:名無しさん@ピンキー
08/06/16 02:16:48 5krfd4Cj
後生でござる~続きを書いてくだされ素直クールとツンデレ職人様

139:名無しさん@ピンキー
08/06/16 02:48:39 n939OFTS
URLリンク(www30.atwiki.jp)

140:名無しさん@ピンキー
08/06/16 03:20:23 XxsYB9Aq
>>139
てっきりもう完成してるもんだと思ってた
いまさら過ぎる

141:名無しさん@ピンキー
08/06/16 19:07:49 D38MUFYU
既出すぎるぜJK
絵師が逃げ出したとかなんとかいうとこまでは把握してたが

142:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:30:36 VNbEU2mQ
きょろきょろ、誰もいない。

ランタタンランラン 投下するなら今のうちぃぃ

143:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:35:40 VNbEU2mQ
「浩介、デートのキャンセルの話だが、実行委員が忙しいなら、別の日でも良いぞ?」
「はい?」
 朝、いつものように通学路で俺達はおちあった。開口一番、一見わからないが実はやや沈んだ顔をした沙羅が、俺に意味不明なことを言ってきた。
 それぞれの話を確認した上で、沙羅が彼女の携帯電話を俺に見せた。
 忙しいからデートは中止。そんなメールが受信BOXにあった。送信は、俺になっている。
「……やられた」
 俺は額を手で押さえた。
「おはよー、浩介」
 その声は問題の主、美那だった。彼女はなんら悪びれずに俺達に声を掛けてきていた。
「美那! おまえなぁ!」
「その日は実行委員の仕事の予定よ。どうせ浩介は断るのに時間が掛かるから私がやっといてあげたわ。宇崎さんもそういうわけだから」
 その言葉と共に俺の携帯電話が、俺に向かって放り投げられる。両手でおたつきながら受け止めたときには、美那は既に学校の方に去っていっていた。
「……どういう顛末なのか、聞きたい」
「わかってる。ちゃんと話すよ。……話すから、俺の腕をそんなに握りしめるのはやめてくれ」
 彼女は俺の腕を放さなかった。むしろ抱き込んで、そして俺にぴったりと寄り添い、後ろ姿が小さくなる美那を睨んだ。


「及川が、浩介の部屋に来るなんて初耳だ」
「今まではそんなに多くなかったから、別に話すほどのことも無いと思ってた……喜多口とつきあってると思ってたし」
「思ってた? 付き合ってないのか?」
「別れたって美那が昨日言ってた」
 顔を寄せ合っていきさつを話している、その相手、沙羅の眉が、寄せられる。
「……浩介っ!」
「は、はい! 」
 突然、顔をあげた沙羅が、恐ろしい勢いで迫ってきた。
「今日は浩介のうちに行く」
 黒瞳から刺さりそうな視線が発せられ、俺の首の筋肉を自動的に動かした。
「ど、どうぞ」
 機械人形のごとく首を振っていた俺は、さらなる変化に戸惑った。
 睨んでいた沙羅が突然頬を染めて呆けたのだ。そして、さらにいきなり顔を青ざめさせる
「浩介の……うち。……浩介のうち? ま、まずい! まずいぞ!」
「あ、あの沙羅?」
「浩介! 私は用事があって家に帰る。女として一生の大事な用事なんだ。だが、浩介のうちには必ず行く。だから学校で待っててくれ!」
 それだけを言うと、彼女は今来た道を走って戻っていく。俺はわけのわからなさに、途方に暮れた。

144:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:38:56 VNbEU2mQ
 その日のロングホームルーム。
「文化祭、うちのクラスの出し物は、コスプレ喫茶よ。文句があったら聞くけど?」
 開口一番、美那はそう言いはなった。もちろん、事前の打ち合わせとは全然違う。
 だれもが、担任すら口を馬鹿みたいに開けて、静止していた。
「チョット待て! 喫茶店じゃなかったのか?」
 あまりにあまりでつっこめないクラスメートに代わり、さすがに俺が反射的につっこむこととなった。
「だから喫茶店じゃない。ついでにコスプレして浩介の望みをかなえてあげるから感謝してよね」
 だが俺の抗議は、美那のいたずらっぽい笑顔に跳ね返されて、あえなくたち消える。
「藤沢ぁ! いいぞぉ!」
「ナイス、藤沢!」
「藤沢くんってエロいよねー」
「もっと真面目かと思ってたよー」
 どっと教室が沸いた。主に男子が歓声を、女子が不平を漏らしたのだ。
「どうしてなんだよ……」
 俺が頭を抱えているところに、突然音をたてて教室のドアが開いた。

「遅くなりました」
 どよめいていた教室が、再びあっけにとられた静寂に変わる。
 その静寂の中を、沙羅は全く表情を変えずに、絶対零度のクールさを維持したまま着席する。
「……遅くなりましたって、もう授業おわりじゃない」
 誰かがひそひそとささやいたが、沙羅はまるで聞こえないように振る舞った。
「それで、浩介のコスプレ喫茶店だけど、反対の人は? 宇崎さんはどう? コスプレ喫茶?」
 美那が、笑顔で沙羅に話しかける。
 あくまでも美那は笑顔で、沙羅は無表情。なのに、そこはかとなく、緊張が走るのは、俺の気のせいだろうか?
「こ……藤沢……くんが、コスプレ喫茶を提案したのか?」
「そうよ。宇崎さんのメイド姿とか見たいって」
「ちょっと、美那!」
「浩介は黙ってて!」
 再度の俺の抗議は、斬りつけるような美那の声に封じられる。
「……藤沢くんが、言うならそれで構わない」
「ほんとに? 恥ずかしい格好させられちゃうかもよ? 浩介は結構ムッツリスケベだから」
 美那の言葉でクラスが爆笑の渦に飲み込まれた。
 笑っていないのは、美那と、苦り切った顔の俺、そして沙羅だけだった。
 やがて笑い声がゆっくりと潮がひくように下がり、全員の興味が沙羅に集まり始めた。
 沙羅は笑いの中でもまったく動じず、澄んだ泉のように、平静を保っていた。
 その幾分低い、しかし艶やかな声がゆっくりと流れ始める。
「……愛する人のためなら、コスプレぐらいなんでもない。浩介がそれを望むなら、私に出来ることをするだけだ」
 美那の言葉が花火だとするなら、沙羅の言葉は爆弾だった。
 クラス全員の心を吹き飛ばして真空にしたあげく、吹き戻しの風のようにクラス全てを狂乱にたたき込んだ。  
 俺も、そして美那ですら驚きのあまり、絶句していた。
 ただ爆心地の沙羅のみ、いつものごとく平静だった。

145:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:42:36 VNbEU2mQ
「私は不適切な対応をしてしまっただろうか?」
「……俺個人としてはすごく嬉しかったけど、きっと卒業まで……卒業してもネタにされるだろうなぁ」
「そうか」
 少し沙羅の顔が曇る。こういうとき、沙羅は結構落ち込んでいるらしいというのが最近わかるようになってきた。
 だから俺はそっと沙羅の手を握った。
 ホームルームは収拾が付かなくなったあげく、時間切れで終わった。コスプレ喫茶で行くのか、俺ですらわからない。
 唯一決まったのは明日の朝のミニホームルームで決をとることだけだ。そう言うわけで俺達は一緒に下校していた。
「気にするなよ。個人としては嬉しかったって言っただろ?」
「うん。でもその、浩介も、その、私のコスプレを見たい?」
 沙羅の顔が元に戻り、目がかすかに揺れる。
「いや、俺そういう属性ないし。だいたい、沙羅ってメイドよりも、……なんというかなぁ、もっときりっとしたのというか」
 俺は頭をひねった。沙羅にメイドとかそういうのは似合わないと思う。
 ご主人さまぁって媚びた声を出す沙羅は、不自然なことこの上ない。
「……どっちかというと、女神とか天使とか……そういう感じだよな」
「て、天使?」
「うん、地獄にいた俺を救う、清らかで、でも威厳があって、そして優しい天使」
 どこか超然としているくせに、結構熱い心をもっているのも似合っていると思う。
 そして彼女が俺にとっての天使であるのは、紛れもない真実。
 ふと黙り込んだ沙羅を見た。
 彼女は、顔を真っ赤にしていた。首から上を赤一色に染めて、瞳すら潤ませていた。
 その姿が、不条理にも、俺のなにか急所を射抜いた。
「て、天使は、か、過剰な、け、形容だと、思う。……ひ、人を、ほ、褒めるのも、や、やりすぎると、し、真実みが……」
 俺は答えなかった。答えることが出来なかった。俺の目に映っていたのは、ただ恥じらう乙女と、その可憐な唇のみ。
 欲しいとしか思わなかった。獣と言われればそうだろう。獣はただむさぼることしか考えないのだから。
 手を掛けた肩は、とても華奢だった。そして柔らかかった。沙羅が驚いたように俺を見つめていた。
 引き寄せて、そして何らためらわず、唇を奪った。そして腕の中の彼女をしっかりと抱いた。
 彼女は少しだけ驚いたように体をこわばらせて、やがてその熱い体から力が抜けた。沙羅の臭いはかすかに甘く爽やかだった。
 唇は、思ったよりも柔らかく、そしてその柔らかさが何かを心に満たしていくのがわかった。……それは、どうしようもない愛おしさだった
 二人の鼓動が一つになってしばらくして、ようやく唇が離れる。
「……道の真ん中で、いきなりだなんて……浩介は……ムッツリスケベどころじゃなくて……ケダモノだ」
「あう……ごめん」
 そう言いながら沙羅は、頬を染めたまま、俺の腕から逃げようとしなかった。むしろ、俺の胸に顔を埋めて、体を寄りかからせる。
「うれしい」
 やがてぽつっと彼女が呟いた。
「私が、私だけが、浩介の恋人だ」
「……当たり前だろ」
「浩介は優しすぎる。……だから浩介が及川のことを、まだ好きなんじゃないかって、つい、心配になる」
「俺は沙羅が好きだ。……沙羅が愛おしい。……美那は好きだったけど、でもきっと、……それは俺が勝手に作り上げた幻の美那だった……今ならそう思う。
俺は本当の彼女を……、いや、沙羅も美那も誰も、ちゃんと見ていなかったんじゃないかと思う」
「浩介?」
「自分で独り相撲をしていたんだよ。……馬鹿なことに。あの時沙羅に言われたとおりだよ。
勝手に好きになって、でも勝手に怖がって告白もせず、わざわざ他の男に美那を紹介して、勝手に落ち込んで泣いて……」
「それは仕方がないと思う。私も浩介になかなか思いを伝えられなかった……」
「でも沙羅はちゃんと思いを言えたから。沙羅こそ本当に強くて優しい。……俺のは、ただ無難に生きているだけ」
「そんなことない。私だって浩介の優しさに救われた。あんなに悲しいときだったのに浩介は私を拒まなかった。だから……だから、私は浩介が大好きだ」
 もう言葉は要らなかった。ただ俺達はお互いを溶け合わせるかのように、抱きしめた。

146:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:44:58 VNbEU2mQ
「……でも視線が痛いな」
 俺の胸で沙羅は呟いた。
「……考えて見れば、道の真ん中だったような」
 沙羅の肩で俺は答える。
 十分はゆうに過ぎると、さすがに二人とも理性が回復してきたらしい。
 作業服の中年男性や、買い物帰りの老女、子連れの主婦たちが、露骨に俺達を避けていた。ただし目つきは興味津々だったが。
「ところで沙羅、俺のうちに来るとか来ないとか?」
「!? 突発的大イベントが、あまりにもあまりだったので、大事なことを忘れていた」
 するりと沙羅が俺の腕から抜け出た。沙羅の居たところに冷たい空気が入り、それがひどく寂しい感じを俺に与えた。
 だが沙羅は俺の左腕をとり、腕を絡ませた。
「では、彼女としての重要イベント、彼氏の自宅訪問に出発!」
 沙羅が、心からの笑顔を浮かべていた。俺はまた抱きしめたくなって、自分を抑えるのにすこし苦労した。
「……まあ、見ても面白い部屋ってわけじゃないけど、沙羅のご希望なら、ご招待させていただきますよ」
「安心して欲しい。私が見るとまずいものを、片付ける時間はちゃんととるから」
 そういうと彼女はすこしからかうような目つきをした。それもまた魅力的だった。
「……美那が勝手に出入りするのに、俺がそういうものを放り出しておくとでも?」
 俺は顔だけ憮然としたふりをして、抗議を試みる。
「……では、彼女チェックに耐えられる部屋というわけだ。……ふふ、実に楽しみだ」
「あ、沙羅さん、そこのところは、是非お手柔らかに。……頼むから、ね? ね?」
俺の言葉に彼女が笑う。それがとても愛おしかった。

147:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:50:36 VNbEU2mQ
「どう? 別に普通だろ?」
 興味深げに俺の部屋を眺め回す沙羅の姿に、俺はどこかくすぐったいものを感じていた。
 しかし沙羅は、相変わらずわかりにくいが、その目にどこか楽しげでそして安らいだ光を浮かべている。
「そうでもない。やはり男性の部屋というのは、やはり独特の雰囲気がある。少し乱れているところとか、隙みたいなものがあるんだ」
「隙?」
 彼女はストンと床に座り込むと、俺の出したマグカップに両手を添えた。そして何かを考えるようにすこし首をかしげた。
「そう。……別に他人の部屋に詳しいってわけじゃないけど、女性の部屋は、もっとこう、部屋の主の意識が隅々まで行き届いているんだ。
カーテンや壁紙や小物で部屋を自分の支配下に置くというか……。それが客にとっては少し落ち着かない感じにさせる」
「ふーん」
 理解が追いつかない俺の中途半端な相づちを聞いて、彼女はカップを傾けた。細い喉がコクコクと上下するのがやけに色っぽかった。
「男性の部屋は、違う。例えば私が自分のものをここにおいても、頓着せず、ずっと置いてあって、そういう入り込める隙や乱れがあって、それが心地良い」
 カップを戻して口を開いた沙羅は、手を伸ばして側にあったベッドをなでた。
「ふーむ。わかるような、わからんような」
「別にたいした話じゃないからわからなくていい。それよりもこの窓……」
 柔らかな光を放っていた彼女の目が、一つの窓のところで止まり、きらりと光った。
「うん? ああ、そこから美那の家のベランダに入れる。建築基準とかが古いから、子供でも渡れるほど接近してるんだ」
 俺がカーテンを開けると、家のベランダが見え、そしてそこからわずか20cmもないところにほぼ同じ高さで美那の家のベランダがあった。
 沙羅が立ち上がって俺の側に来ると、部屋のベランダとその先の美那の家を見つめた。
 互いの家は狭い敷地の上に古い建築基準でぎりぎりのところまで建てられている。
 今建て直せば、建築容積とかで家の敷地として使える面積は大幅に減ってしまうから、俺の家も美那の家も、せいぜいリフォームでお茶を濁している。
 ゆえに、この接近しすぎたベランダは、建築されて以来手はつけられていない。
「こういうのは、なんというか、渡ってくださいって言うようなものだな」
 複雑そうな光を目に漂わせる沙羅に、俺は肩をすくめて、親父達の言ってた事をそのまま話した。 
「業者が、出来るだけ広い家を建てようとして、ぎりぎりまで頑張ったんだって。美那のうちも同じ業者が建てたから、こんなことになったんだってさ」
「なるほど」
 そういうと沙羅は、窓に鍵を掛けて、カーテンを閉めた。
「なあ、浩介。これからも私、部屋に来ていいか?」
「当たり前だろ」
 カーテンを閉めた姿勢のまま、沙羅は俺を見つめた。
「毎日でも?」
「いいよ。……何を気にしてるんだ?」
「……仕方がないとはいえ、これはさすがに近すぎると思う。及川と浩介に、なにか特別な絆があるような気がして……」
 沙羅が、どこか不安そうな光を目に浮かべた。
「沙羅が思うほど、美那は来ないよ。それに来ても漫画読んだりゲームしたりしてただけだし」
「……それが特別だと思う」
「気にしすぎだと思うが……、んと、ちょっと待って」
 そういうと、俺は机に向かう。引き出しの奥をさぐった。目当てのものはあっさりと出てきた。
 それは小さな巾着だった。じゃらりと金属音が鳴る。

148:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 22:53:27 VNbEU2mQ
「確かここの中に一本あったはずだけど」
 机の上に中身をぶちまける。
 自転車の鍵、チェーンの鍵、おもちゃ箱の鍵、親父の昔の車のキーホルダー、鞄の鍵に机の鍵。何の鍵かわからないものもある。
 その中に目当ての鍵はあった。
「あった。これこれ」
 そういうと俺は変哲のない鍵をつまみ上げ、沙羅にかざした。
「これは?」
「この家の鍵。沙羅に渡しておくよ」
 そ� 美那には悪いが、美那は少しボリュームが足りないと思う。
「……腰も細くないし……胸もかわいくないし」
 なぜか沙羅は落ち込んでうなだれた。
「…… なあ、沙羅」
「な、なんだろうか?」
「俺に美那と沙羅を比べてほしいの? 俺は沙羅を、沙羅だけを愛してるんだけど?」

149:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 23:03:03 VNbEU2mQ
 途端に、俺の顔が柔らかいものに埋まる。胸の間に抱き込まれたとわかったのは数秒後だ。
「沙羅、ちょ、ちょっと!」
「浩介ぇぇぇぇ」
 俺の頭を強く抱き込んだせいで、ブラがずれ始め、当たる素肌が増え始める。
 熱いしずくを頭のてっぺんに感じながら、口元に小さな固まりが当たり出した。
 少しは我慢したと思う。なし崩しはよくないとか、もう少しわかり合ってからとかきれい事が脳裏のどこか遠いところでぐるぐるしていた。
 だけど、俺も男であるわけで、好きな女のかわいい乳首と胸が目の前にさらされていれば……。
食べたくなるのは、……本能な訳で……我慢はすぐにつきて、……俺は乳首を口に含んで吸い始め、余った手で反対側の沙羅の胸をつかんだ。
 沙羅はただ体を震わせただけだった。
 沙羅の胸は、どこか懐かしくて、でもいつまでも吸い付いていたくて、何も考えたくなくて、ひたすら吸って転がした。
「浩介、は、反対側も……」
「うん」
 かわいそうだと思った。沙羅の体で左右に差をつけるなんてかわいそうだった。そう思って沙羅の胸を一生懸命可愛がった。
 気がついたとき、沙羅が体を離していた。
「あ、い、痛かった?」
 沙羅は首を振って、俺の膝からよたよたと降りた。
 そして、スカートを脱ぎ、靴下を脱いで、ショーツだけになると、彼女の鞄を探り箱を差し出す。
「浩介……ゴムをつけて、……」
「え? あ、うん」
 顔を赤らめて言う彼女の言葉に逆らうはずがなかった。
 説明書をみながら、コンドームをなんとかつけた。……沙羅がベッドに寝転びながらそれをじっと見ていた。
「さ、沙羅?」
「うん」
 コンドームをつけた肉棒を沙羅の股間にあてがう。だけど、どこが膣なのか全くわからなかった。
「そ、その、ど、どこなんだろう?」
 沙羅のひんやりとした手が伸びて、俺の肉棒に添えられた。
「そのまま、入ってきて」
 いきなり入れるとすごく痛いと聞いたことがあった。だから、できるだけゆっくりと入れるようにした。
 二三度滑って、逸れた。けれども、沙羅は根気よく俺の肉棒を導いた。
 やがて先端が熱く狭い肉に飲み込まれる。
「は、入った」
「うん」
 沙羅が唇を噛みしめていたのに気づき、少しだけ興奮が収まった。
 腰をゆっくりと進めていく。沙羅の足の指が震えて曲げられていた。
「い、痛い? こ、ここでやめる?」
「……いい、から……」
 目をつぶり口を引き締めていた沙羅が首を横に振った。
 さらに進めるとかすかな抵抗を感じた。
 すこしためらいはあった。しかしここまできて止められるはずもなかった。
 意を決して腰を進めると抵抗はなくなった。そのままゆっくりと進み、やがて肉棒がすべて埋まった。
「沙羅、全部入った。……大丈夫?」
 涙をにじませながらも、沙羅はほほえんだ。それがいとおしくて、もう一度唇を重ねる。
 沙羅の舌を吸い、唾液をすすっていると、肉棒をがちがちに包んでいたものが少し和らいだ。
「う、動くよ?」
 沙羅が嫌などと言うはずもない。唇を交わしながらうなずく沙羅をみて、少しずつ腰を動かす。
 限界はすぐに来た。
 沙羅じゃなきゃ早漏だって絶対に言われそうだと思いながら、俺はのけぞって、沙羅の一番深いところで放った。

150:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 23:07:04 VNbEU2mQ
「浩介」
「うん?」
 そして事が終わって、俺たちは裸のまま寄り添っていた。
「コンドームまで用意してエロい女だと思わなかった?」
「へ? いや。むしろ、その用意しておかない自分のうかつさのほうがね」
 けだるい疲れの中、物語でも語るように、沙羅がとりとめもないおしゃべりを続ける。
「……こんな風になるなんて思っても見なかった。あのコンドーム、お母さんたちのなの」
「え? あ、そうか、そうだよな」
 つながらない会話、間抜けな相づち。それでも俺たちは満ち足りていた。
「私、浩介の赤ちゃんなら欲しいと思う」
「いい? そ、それはちょっと」
「うん、わかってる。いきなり赤ちゃんはきついし、変に妊娠したら浩介とのこと、終わってしまいそうだから」
「……ごめん、沙羅。……俺、自分のことしか考えてなかった」
 赤ちゃんと聞いて、恐れてしまうのはなぜだろうかと思ってしまう。
 そしてそんなことまで考えていた沙羅に対し、目先の事に振り回されている自分が情けなくなった。
「わかってる。浩介はこんなこと考えてなくて……でも私は……及川にいつも嫉妬して、不安だった。
あんなに近いから、とられてしまいそうで、怖かった。だから……証が欲しかった」
 俺は無言で沙羅を抱き寄せた。美那を意識しすぎる沙羅の心がとてもかわいそうに感じたからだった。
「浩介?」
「この窓、鍵を掛けるよ」
 沙羅が息を呑んだ。
「けじめをつけなかった俺がいけないんだよな。……もう沙羅に心配はかけないから、だから、こんな証がなくても俺は……」
「うん、うん。でもね……」
 沙羅がまた泣きながらうなずいた。でも彼女は続けた。
「こうなりたかったのも本当」
 そういうと彼女は俺の裸の胸に顔を満足そうにこすりつけた。


 このとき、なぜ美那が来ないと決めつけていたのか、今の俺にはわからない。
 翌日、ベランダに残った、雨でも洗濯物でもないはずの濡れたしずくの跡に気付きながら、何も意味を見いださなかった自分の迂闊さには呪うしかない。
 幸せは、俺の目を確実に塞いでいたのだ。 

151:俺と素直クールとツンデレと
08/06/16 23:07:50 VNbEU2mQ
ステルス投下終わり。 誰もいないうちに撤退。

152:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:08:14 YK5yVuvl
フハハハハハ! 何たる僥倖! 宿命! 数奇!
よもや私に一番槍の栄誉が得られるとは!
お、ぉぉぉお、おねがいです。GJさせてもらえますか?

153:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:09:01 bMeYzjzz
GJすぎるだろ

154:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:09:26 ZRCt3uDl
素直クール>>ヤンデレ>>超えられないいちゃラブの壁>>ツンデレ

155:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:09:38 XR5UJEoG
埋めネタの続きキター
なぜか美那のことがキライになれない。ちょっと小物っぽいのがポイントだと思う

156:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:12:19 x4KQDpEz
沙羅テラカワユス
幼なじみ属性のあった俺があっさり転んでしまった

157:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:18:36 6LiodVvX
今日は祭りだな。GJ

158:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:24:37 AYG+aZCJ
gj!!
美那のデレデレもみてぇぇぇ

159:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:30:32 KoPZMwgd
今日はいい日だ
そう思える自分がいます

160:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:35:46 l/UNWXWO
たまらん。まさにGJ。

161:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:43:00 aMu/d/Dj
浩介が美那に逆レイプされるのを希望

162:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:46:19 xX8vRdm8
なんだ、ただの神か。
GJ!続きを待つぜ!

163:名無しさん@ピンキー
08/06/16 23:55:33 MRGbOa4y
>>152
GJ、GJ、GJ!!!
素晴らしい、素直クールの素は素晴らしいの素!(興奮し過ぎ)

164:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:07:43 HE+IueoE
直人の母読みたいな

165:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:08:41 2u+GXqHo
ただ素直にありがとうと言う言葉しか出てこない
それぐらい良かった
本当修羅場スレの住人で良かった

166:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:16:07 EHVW+z8d
誰もいないときにしか降臨しない神に届けGJ

167:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:16:40 45DxcKfd
続きが気になる、助けておねーちゃーん!

168:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:26:47 jUtZQPs2
>>152
久しぶりのソフトな嫉妬をありがとう。GJ

169:名無しさん@ピンキー
08/06/17 00:43:59 Ng+ilz7R
もうこのスレに希望はないと諦めていたのに……
ずっと言えなかったこの一言を贈らせてもらおう…
ディ・モールトGJ!!

170:名無しさん@ピンキー
08/06/17 04:10:24 09mI7E7g
よし!この>>152のSSが完結したら俺このスレから消えるよ

171:名無しさん@ピンキー
08/06/17 19:16:14 wViL8Av1
沙羅かわいいよ沙羅

172:名無しさん@ピンキー
08/06/17 19:52:57 dsC8Q4Th
そろそろ、プロットとか考えるか

173:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:26:33 CdQhQElF
俺、続きをずっと待ってんだけど、なんの続き待ってるのかわからなくなってんだ。


174:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:26:33 33nI8o72
>>152
GJ
このスレでこんなに甘いのが読めるなんて、
こういうライトな嫉妬もいいな

>>153
オレンジ愛してるよ

175:名無しさん@ピンキー
08/06/17 22:31:04 gzhKDoXm
>>174
冬の星空と転帰予報だろ

176:名無しさん@ピンキー
08/06/17 22:47:07 SOWlaXhE
螢火マダー(ry

177:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:07:26 Lx5bxtVO
>>174
バッカ、おめー待ってるつったら両手に嫉妬の華をと一番目の彼女だろ。
一緒に全裸待機しようぜ兄弟。

178:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:14:53 0wvJypsh
たぬきなべマダー?

179:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:22:18 0YNsqGJK
冬の星空ってまとめに完結って書いてあるけどまだだよね?

180:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:23:43 gzhKDoXm
>>180
3部昨のうち2部まで完結

181:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:24:26 3fbG3TK/
>>181トン
山本くんマダー(ry

182:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:35:08 /kQmfXjf
夕焼けの徒花と押しかけ三角、また来て修羅場の続きを待ってるのは俺だけじゃないはずだ

183:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:46:42 qR7vN8oB
雨の音、不義理チョコパラレル、わたあなまだー!!

184:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:58:41 3thKxSDM
草はまだかね?

185:名無しさん@ピンキー
08/06/18 01:32:39 tOJQjxr6
>>185
俺が除草剤撒いたから枯れたよwww

186:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:44:04 UabfwgJM
誰もいないと思ったのに、結構潜伏しているな。
ふふっ、だがこの時間には誰もいない!

投下するなら今のうちぃぃ

187:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:45:59 UabfwgJM
俺と沙羅は、エロ猿になった。
「ん……んふ……」
 もちろん、沙羅に無軌道に欲望をぶつけたりしないよう自重をしているつもりだったが。
「浩介……、どうした? さわらないのか?」
「う……、そのさ、なんか沙羅に悪いような気がしてさ。エロいことばっかりしてるからさ」
 昼休み。人気のないクラブ棟の予備室。沙羅は大胆にも俺の膝の上に座って、そして俺は沙羅に口移しで昼飯を食べさせられていた。
 沙羅が言っているのは、俺が沙羅の胸を触らないのかということだ。
……誰がなんと言おうと、俺たちが爛れきっているのは間違いなかった。
「私は、浩介に触ってもらえるのがうれしいんだ。浩介がおそるおそる私に触ってこようとするときなんて、抱きしめたくなるんだぞ」
「いや、まあ、そのさ、エロイことばかりしていると、女の子が「私の体だけが目当てなの!」って怒るって聞くからさ。
俺は、エロイことばかりじゃなくて、ほんとに沙羅が好きだから……」
 そこまで言うと、またもや俺の顔は胸の谷間に挟まった。というか押しつけられて、息が苦しくなる。
「……浩介っ! うん、わかってる。わかってるから。……ね、浩介。今日はだいぶん痛まないから、私の中に……」
 どうにもまた沙羅が「いってしまった」らしい。沙羅は何かの拍子にスイッチが入ると俺をすごい勢いで抱きしめる。
 なんでも精神的に「いってしまう」らしい。
 いつもは絶対零度のクールさなのに、俺といるときはこんな風に暴走することが多かった。
 しかも動かすとまだ痛いらしいのに、その……入れることを……求めた。かえって俺が心配になるほどである。
 けれども彼女自身は痛くても入っているとなにか満足するらしい。
 そこのところは、俺にはよくわからない。
 それはともかく、だ。俺は最大限の精神力をふるって、魅力的な柔らかいふくらみから頭を引きはがした。
「いや、沙羅、それって学校でSEXだろ。まずいって」
「うん、でも、浩介が苦しそうだし、私の中で出してほしいし」
「さすがにさ、見つかったらまずすぎるからさ、沙羅。 今はいっぱいキスしてあげるから我慢してくれ」
「ん。でも帰ったら……ね」
 その唇に軽くキス。残念だが彼女の期待に添える言葉が言えないからだ。
「……ほんとに悪いんだけど、今日は実行委員会の日なんだ」
「じゃあ、待ってる。浩介の部屋で待ってるから。……そうだ、今日のお母様の勤務は?」
「えと、夜勤だったかな?」
 けなげなことを言う沙羅が、思いついたようにお袋の事に話を飛ばした。俺のお袋は看護師をしている。
「じゃあ、私が夕食も作る。一緒に食べよう?」
 沙羅のお袋への紹介は、あの後次の日にした。お袋も沙羅をわりと気に入ってくれたようで、沙羅はちょくちょくうちにくるようになった。
「それはありがたいけど、あんまり遅くまで待ってちゃだめだぞ。沙羅のおばさんに、申し訳ないから」
「母さんにはちゃんといっておくから、ね」
「わかった」
 そして欲情抜きで100%の愛情を込めた口づけを沙羅にした。沙羅の顔がうれしそうに輝くのをみて、俺も心が温かくなる。
 その途端、そんな俺たちを引きはがすかのように携帯電話が鳴った。

188:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:47:24 UabfwgJM
「浩介! いったい、どこにいるのよ!」
「み、美那?」
「実行委員の事前打ち合わせしたいのに、休み時間になればどこかいっちゃうんだから! とにかく、実行委員会室まですぐ来て!」
 耳を電話から十五センチ話しても、ゆうに聞こえるキンキン声が響く。
 沙羅が音を立てずに俺の頬にキスをした。
「わかった、わかった。すぐに行くよ」
「ほんとにもう。三分で来て!」
「三分は無理だけど、すぐ行く」
 通話を終了し、肩をすくめる。
「というわけだ。ごめんな」
「だいじょうぶ。……でも浮気はだめだぞ」
「おいおい。そもそも美那が相手にしてくれないよ。俺を男としてさえみてくれてるかどうか」
 軽口を叩いただけなのに、沙羅は目に少し屈託の色を浮かべた。まだ気にしているらしい。
「沙羅はほんとうに心配性だな。少女漫画じゃあるまいし、三角関係なんかそうそうないさ」
 俺はそういうと沙羅を促して、クラブ棟を出た。そして沙羅は別れるときまで笑顔を浮かべなかった。


「おそーい!」
 実行委員会室、という名になっている使用されていなかった教室にたどり着くと、その声で出迎えられた。
「俺にだって大事な用事はある。三分でいけないって言った」
「どうせ、宇崎さんといちゃいちゃしてたんでしょ」
 美那のあまりに図星な指摘に、たぶん、俺はぎくりとした顔をしていたに違いない。
 俺の表情を読んだ美那が、さらに不機嫌になった。「沙羅で」不機嫌になったかも知れない
「と、ともかく必要品の計算とかからやろう」
 あの衝撃のロングホームルーム、その次の日、コスプレ喫茶は、割とあっさりと実施が決まった。
 たぶん他の奴はその他の案を持っていなかったに違いなかった。
 なんといっても、仮装をする以外は喫茶店である。手軽と言えば手軽だった。
 とんとん拍子にスタッフが決まり、必要物品の手配と予算の申請が急務だった。
 上級生に頭を下げて借り出した、前年や一昨年の喫茶店をやった時のデータをみながら、買い出すものなどをピックアップしていく。
 すぐに時間が経ち、午後の授業開始が迫った。

189:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:51:05 UabfwgJM
「ねぇ?」
 ぽつりと美那が声を掛ける。
 俺は顔をあげた。美那は視線を合わせず、窓の外を見ながら呟いた。
「浩介はさ、私のこと、好き?」
 少しだけ心がざわめく。だがすぐに落ち着かせた。
「好きさ。幼なじみとして」
 それきり沈黙が落ち、俺はノートに視線を戻す。
「浩介は、私のことを見てくれなくなったんだね。前はもっと私のことを見てくれたのに」
 はっとして再び顔をあげる。美那は相変わらず外を見ていた
「どういう意味?」
「言葉通りだよ」
 俺の質問に間髪入れず答が返る。
「美那は喜多口と付き合うようになったから、人の彼女、あんまりじろじろみてちゃ悪いと思ってさ」
「嘘」
 少し考えて口に出した答は、即座に否定され、俺は言葉に詰まった。
 チャイムが鳴り始め、美那が俺に顔を向ける。

「泥棒猫が浩介をとったから、だよ」

 その言葉で俺は息が止まった。
「美那っ!」
「浩介が好きだったのは、私だったのに」
 美那の目が、光を吸い込むかのように、暗く輝く。
「今なら、許してあげる。私も、浩介にいっぱい悪いことしたから」
「なんのことだよ」
「今、私にキスをして、泥棒猫と別れるって誓ってくれたら、私、浩介の浮気を忘れる。そして今度こそ浩介の良い恋人になる」
「う、浮気って、なにがだよ? いや、いい恋人ってなんだよ、それ!」
「せっかくやり直すチャンスを作ったんだよ? 私も浩介が好きだってやっとわかったから、だから二人は今からやり直すんだよ?」
「……うそ……だろ?」
「嘘? 何を言ってるの、浩介?」
 美那が重力を感じさせないような仕草で起ち上がる。
「浩介は悪い女にたぶらかされたの。あれほど別れなさいって言ったのに」
「悪い女って、沙羅は、そんなんじゃない!」
 ゆらりと美那が近づく。
「まだ、たぶらかされてるんだね。でもしょうがないか。浩介は初めて優しくされたからね」
 さらに近づいた美那が、一枚の折りたたんだ紙を取り出し、俺の手に落とした。
 無意識にそれを広げて、俺は目を剥いた。それは全裸で寝ている俺と沙羅だった。
 驚愕のあまり、紙と美那を交互に見ることしか出来なくなった俺に、美那が笑いかける。

 その笑みは、目が全く笑わず、ただ口だけが三日月のように赤く割れただけ。

「泥棒猫の公開処刑ってどう思う?」

190:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:53:36 UabfwgJM
「美那っ!」
「……浩介。私はね、女の子にひどいことをしたくないの。だからね……」

 浩介がほんとうに好きなのは私だよね

 禍々しく赤い三日月は、そんな音を出し、俺は視界が歪むのを感じて、机に突っ伏した。

 吐きそうなほどの不快感と焦燥感が俺の中を駆けめぐった。
 そんな俺の首にするりと白い腕がまきつく。
「ごめんね、浩介。……大丈夫だよ、そんなひどいことしないから。私だって浩介にきらわれたくないもん」
 俺の背後から聞こえる声は、いつもの美那の声だった。
「……美那」
「今はキスで我慢してあげる。でもそのうち泥棒猫にしたことは、全部私にもしてもらうから」
「美那っ!」
「浩介はね、今まで我慢してきたことをいっぱい私で楽しめばいいの。私もね、浩介とならなんでも楽しいと思うよ。
そうしていけば、浩介はきっと本当の気持ちを思い出すよ」
 背後から抱きついた美那が、俺の耳をひとなめした
「そして本当の気持ちを思い出したら、あの女に私も一緒に謝ってあげる」

 その言葉で俺の混乱は、限界に達した。訳のわからない衝動に突き動かされて起ち上がり、美那に振り返った。
「……どうして、……どうして今頃になってなんだ! 俺は美那が喜多口と付き合うから、……あきらめたのに、……なんでなんだ!」
 わめく俺に、驚いた顔をしていた美那が、やがて顔を歪め、大粒の涙を落とし始める。
「なんでってこっちが聞きたいよ。好きだったら、どうして告白してくれないの! どうして勝手に諦めるの! 
私の気持ちをちっとも聞いてくれなくて、どうして勝手に他の女の子を好きになっちゃうの!」
 その言葉で俺は自分の犯した間違いの大きさに気付いた。
「あ、うあ……」
「ひどいよ! 好きな癖して、他の男の子を紹介して! 嫉妬もしてくれないで、勝手に悲しい目をして、勝手に遠ざかって! 
やり直してよ! もう一度好きになってよ! 私を愛してよ」
 そのまま美那は、背を向け、走り去っていき、紙を持った俺だけが部屋に一人取り残された。


 そして曇り空だった空のどこかで、遠雷が響き始める。空にも俺にも嵐が訪れようとしていた。

191:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:56:24 UabfwgJM
 放課後、ついに空は崩れ始める。
 雨音が激しくなる中、実行委員会全体会議が行われ、部屋の割り振りと、予算申請の確認が行われる。
 窓ガラスに雨粒がたたきつけられ、教室は蛍光灯がともっているにもかかわらず、寒々とした暗灰色に塗りつぶされた。
 俺はともかく、美那も涙の後を見せずに会議に出た。
 退屈な議題をこなして、会は散会となり、荒れた天候にぶつぶつと文句を漏らす者達を傍目に、俺は無言で自分の教室に向かう。
 その後を、美那がやはり無言で歩いていた。
 人気の絶えた教室は、天候もあいまって、より寒々とした印象を与えた。
 俺は自分の机に戻り、鞄に資料を押し込む。
 強い風が窓ガラスを鳴らし、たたきつける雨が時折波のような音を立てた。

 帰ろうと振り向いたとき、美那がそこにいた。
 驚きはしなかったが、彫像のごとく動かず俺を見つめる美那に言うべきことも無かった。
 無言で退治する俺達を煽るように、風と雨が勝手にダンスを踊り、とりとめのない音楽を鳴らした

 やがて、意を決したように、美那が口を開く。
「浩介、あの女が帰ったら、私の部屋に来て」
 その言葉が終わると共に、稲光が光り、教室を一瞬照らした。
「来ないと、……わかるでしょう?」
「……どうしてもなのか?」
「全てを今日から、やり直すの。……今のまま、浩介に避けられて、終わるわけにはいかないの」
 美那が、まるで沙羅のように、全く感情を見せずに、淡々と語った。
「どうして俺なんだ? 美那なら、誰だって愛してもらえるだろう?」
 きっとこのとき、俺の顔は悲しみと苦しみで歪んでいただろう。
「誰も、私の表面しか見てなかった。明るくて美人で優しくて人気者で。勝手なイメージを押しつけるだけ。
 わがままだったり、愚痴ったり、ジャージで寝転がって本を読んだり、そういうところを受け入れてくれたのは、浩介だけだった」
「美那……」
「あの女に取られて、浩介に無視されて、それでわかったの。私が私で居られるのは、浩介の側だけなの」
「でも、俺は幼なじみとしてなら……」
「ダメ! あの女にメールを打ってたときも、その前も、浩介は私を構ってくれなかった。それに、浩介は、あの窓に鍵を掛けた」
 轟音が教室をつんざいた。雷が鳴ったのだ。
「私の居場所だったの。私だけの居場所だったの。だから、浩介も私の居場所も返してもらうの」
 美那が何かを抱くように、手を胸の前で組み合わせた。
「そして、今夜、私は私を、浩介に捧げるの。私の居場所のために。私のやり直しのために」
 今度こそ、ずしんと腹に響くような音が駆け抜け、重々しい雷鳴がそれに続く。

 蛍光灯が、光を失い、学校が闇に落ちる。

 そして光が戻ったとき、

 俺の唇に、

 美那の唇が

 重ねられていた。

192:俺と素直クールとツンデレと
08/06/18 01:57:00 UabfwgJM
投下終了 全力で退避ぃぃ

193:名無しさん@ピンキー
08/06/18 01:59:44 TW2pD4KN
全力で一番槍いいいいいいいい!GJ!


194:名無しさん@ピンキー
08/06/18 02:11:02 6mXOpXy/
GJ!

195:名無しさん@ピンキー
08/06/18 02:15:45 40A4xYep
おお!今日も投下があるとは!!職人さんGJです。
どうか無理せず自分のペースで頑張ってくださいね。

196:名無しさん@ピンキー
08/06/18 02:22:58 wEIOxj2p
なんという連日投下GJ!

197:名無しさん@ピンキー
08/06/18 03:18:03 qR7vN8oB
>>193
敢えて言おうGJであると!!

三年待つのも当たり前な俺らが二日も連続でご馳走にありつけるとは

198:名無しさん@ピンキー
08/06/18 03:42:17 Z/6a4Q2F
これは何というすばらしい嫉妬・・・連日GJ!!
沙羅の嫉妬も心待ちにしてます

199:名無しさん@ピンキー
08/06/18 07:21:40 myEce3ve
>>193

GJぇぇぇっ!
何と言うネ甲投下&内容!

美耶のビッチめ!
とうとう強攻手段に出やがったか!

しかし、その手段は浩介の心をますます離れて行くとも考えずに…


沙羅の勝利を確信したぜ!

200:名無しさん@ピンキー
08/06/18 07:42:30 rOR7wWmc
テンパっている美那様が可愛い

201:名無しさん@ピンキー
08/06/18 10:01:50 6ksWUaMO
>>193
GJ! 投下が早くて素晴らしい!

しかし美那もたいがいだね。寝っ転がって待ってれば油揚げが勝手に口の中へ飛び込んでくるとでも?
ひどい根性だ。こんなのが恋敵だなんて沙羅がかわいそう。

202:名無しさん@ピンキー
08/06/18 19:47:25 3thKxSDM
>>193
GJ!



203:名無しさん@ピンキー
08/06/18 20:35:08 3ion+It1
久々の良作キター!!


204:名無しさん@ピンキー
08/06/18 20:36:01 rF0LtNdG
>>193
ありがとう、本当にありがとう。

205:名無しさん@ピンキー
08/06/18 22:06:05 uAKLNHsM
早すぎて漏らした

206:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:39:32 88r7kWnE
一日だれもいない。
投下するならいまのうちぃ

207:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:40:51 88r7kWnE
 叩きつけるような雨の中を、俺は傘も差さずに走る。
 雨だろうと風だろうと雷であろうと、今の俺には気にならなかった。
 水を吸って張り付くシャツもスラックスも、そしてパンツすらどうでも良かった。
 髪の毛から流れ落ちる水も、隙あらば目を差そうとする雨も、意識することはなかった。
 何かに追われるように地面を蹴り、冷たい雨風の中、焼け付くような息であえぎ、黒い雨雲の暗い空の下を泳ぐように走る。
 駆り立てていたものは苦しみと恐れだった。
 信じていたものが崩れ落ち、あこがれていたものが変転した。
 三流ホラーのように化け物に変わるのなら、出来の悪いサスペンスのように狂ったのなら、ここまで恐くはなかった。
 好きだった女が、昔から良く知っていた少女が、正気のまま、俺への好意のために、俺の行いによって、変わってしまった。
 豪雨の中で頼りない光をともす街灯の下を走りぬけていく。
 雨にけぶってかすむ我が家が見えたとき、俺はようやく安堵感を覚えた。
 だが、影絵のように揺らぐその向こうの隣家を見てしまい、ゆるまりかけた足は再び全力疾走になった。
 門を体当たりするように開けて、しかし何かに怯えて乱暴ながらもきちんと締め、震える手でかんぬきをかける。
 そして俺は玄関に飛び込むと、扉を閉め後ろ手に鍵を掛けた。
 制服の上にエプロンをつけて出てきた沙羅の姿に、一瞬美那の姿をだぶらせ、俺は震える。
「……傘を差さなかったのか?」
 少し目を丸くしながら問いかける沙羅に、俺は濡れた体を投げ出すように抱きついた。

208:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:43:48 88r7kWnE
 沙羅に下着以外をはぎ取られて、バスタオルで体中を拭われた後、俺は自室で着替えて、ダイニングに降りた。
 やけどしそうに熱い緑茶を少しずつ呑みながら、俺は起こったことを思い返す。
 沙羅は、何も語らず椅子に座る俺の背後に立って、湿り気の残る俺の頭を丁寧に拭いていた。
 雨音だけが続き、二人とも言葉を発しなかった。
 それでも沙羅の心遣いがしみた。彼女はこういうときじっと何も言わず待てる女だった。
 そんな温かさが俺に少しずつ人心地を取り戻させ、湯飲みの茶を飲み干したときには、俺の考えはまとまっていた。
 少しだけためらい、心を決めて俺は沙羅の名を呼ぶ。
「沙羅」
「うん?」
「ご飯を食べたら送っていくけど……そしたら、しばらくこの家には来ない方がいい」
 ひとときだけ頭を拭く手が止まる。だが、沙羅は応えなかった。
「沙羅?」
「いやだ」
 短いながらも本気の否定が返り、俺は思わず沙羅に振り返った。
 沙羅は相変わらず無表情だった、目にも怒りも悲しみも浮かんでいない。ただ何か強い光だけがあった。
「沙羅のためなんだ。頼むから、俺の言うことを聞いてくれ」
「……理由を言うべきじゃないのか?」
 当然の返答に、俺は少し迷った。だが、隠す理由はなくて、鞄から例の紙を取り出す。
 それを見た沙羅に動揺はなかった。
「……及川か?」
 カラープリンタで普通紙に印刷された、俺と沙羅が裸で寄り添って寝ている写真。
 染みいった水でところどころインクがにじんでいる他は、なにも説明はない。
 これだけ出されても、何のことかわからなくても無理はないのに、彼女はわずかな沈黙の後で正答した。
「ああ。美那につきあわないとばらまくって脅された。……俺が迂闊だったせいだ」
 写真の左右には俺の部屋のカーテンが写りこんでいる。間違いなく、美那の家と隣接したベランダから写されたものだった。
 自室だからと油断したわずかな隙、そこをこの写真は巧妙に……いや俺の間抜けさを的確に、突いていた。
「……確かに少し迂闊だったな。浩介といる時間が楽しくて、隙を作ってしまったようだ」
「だけど、……美那の考えていることがわからない。こんな写真で脅して、なんになるんだ?
 人を好きになるって、そういうことじゃないだろう? 俺にはわからないよ」
 あの教室での思い詰めた美那の顔を思い出す。思いは真剣なように見えた。
 それゆえに真意が図りかねた。
 沙羅が泥棒猫などと呼ばれるような絆なんて、俺と美那にはなかったからだ。
 あったのは、俺の一方的な思いだけ。
「きっと……及川は、幸せな女、だったんだ」
 ぽつりと沙羅がつぶやいた。
 そのとき、インターホンがなった。

209:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:46:23 88r7kWnE
「はい、どなたですか?」
 豪雨の中の来客にいぶかしみながら、俺は立ち上がってインターホンのところに行き、受話器をとった。
「私だよ、浩介、開けて」
 その声に思わず受話器の口にあたる部分を押さえて、沙羅を見る。
「美那だ!」
 その言葉に沙羅は無表情のまま、玄関に向かった。
「沙羅! おい、沙羅!」
 俺の声にも振り返ることなく、沙羅は玄関に姿を消した。
 やがて鍵が開く音がして、すぐに扉の開く音とともに激しい雨音が流れ込んだ。
 美那と沙羅の会話に声は、雨音にかき消されて聞こえなかった。 
 息詰まるような時間が過ぎて、沙羅とそして美那がダイニングに入ってきた。


 美しいといえる女が二人、しかも両者とも同級生。クラスの男共であれば、例外なくうらやましい奴めというだろう。
 なのに、俺は、一分でも早くこの時間が終わることを願っていた。
 リビングで沙羅と美那が向かい合って座っていたからだ。
 とはいえ、露骨ににらみ合ってる訳ではない。沙羅はお茶なんか振る舞ったりしている。もっとも美那は手をつけてないが。
 それでも二人の間に帯電した空気が満ちていた。
 しかし、それは争う寸前の男同士の一触即発ではなく、冷え冷えとして粘っこい異質の空気である。
 それでも対決という状況には充分ふさわしかった。
 俺はといえば、長方形のリビングテーブルの長辺に座る彼女らの横にいた。
 まるでレフェリーのごとく、彼女らから等距離の部分である、リビングテーブルの短辺のところに座っていた。
 対決からはじき出されたポジションなわけだ。
 なにげなくここに座ったら、女達が対決ポジションに位置してしまい、以来うかつに声も掛けられなくなった
 そのため冷え冷えとした沈黙が俺の胃まで十分に冷やして、何か理由をつけて席を立とうと思い始めたとき、美那が口を開き始めた。

210:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:48:41 88r7kWnE
 美那の言ったことは、先ほどの繰り返しに近いものだった。  
「つまり、私が、及川の居場所を奪ってしまった。そして好きという気持ちに気づいたから、浩介を返してほしいと?」
「ごめんね、宇崎さん。ほんとうに悪いとは思う。だけど、私には浩介が必要だから」
 腹立たしい内容のはずなのに、表情を一切変えないまま沙羅は美那の言葉を要約をして返した。
 それに対して、美那は少し笑顔すら浮かべ、さらにはわずかだが頭まで下げた。
「言うことを聞かなければこの写真がばらまかれると?」
「そんなことは言ってないわ。 ただね、こんな写真をとられちゃうようなだらけたつきあいは、二人にとってよくないと思う」
 構わず沙羅は要点に突っ込み、美那はあくまでもにこやかに対応した。
「私たちは、つきあうのにふさわしくない?」
「そうよ。宇崎さんは美人だし、きっと浩介以上のいい人がすぐにみつかると思うからもったいないよ」
 ふと、沙羅の目だけが燃え上がったように見えた。
「浩介以上のいい人?」
「ええ。たとえばもっと運動ができる人とか、もっと勉強ができる人でもいいし、もっと大人の人でも似合うと思うよ」
 そこでまた沈黙が落ちる。再び雨音だけが室内を流れた。
 沙羅がすこしうつむいた。その手がスカート越しに自身の膝をつかむ。
 美那はすこし安心したように肩を落とした。だが沈黙があっても俺が口を挟める状況ではなく、黙って俺は待つしかなかった。

「中学の時」
 やがて、ぽつりと沙羅がつぶやいた。
「体育の後、なぜか制服がなくなったことがあった」
 顔を落とした沙羅の表情はわかりにくい。
「帰るときに、ジャージを貸してくれた男子がいた」
 俺は記憶が呼び覚まされるのを感じていた。
「昼休みに、弁当がなくなってたこともあった。」
 昼休みも半ばを過ぎていたのに、彼女は固まったように座っていた。あくまでも無表情に、なんでもないように。
「次の時間にパンをくれた男子がいた」
 だからジャージを洗って返してくれた礼に、彼女にパンをおごっただけだ。
「お気に入りのキーホルダーが無くなったことがあった。一緒に探してくれた男子がいた」
 その頃になると、違うクラスの俺でも何が起きているかは わかった。
 ある女子グループが焼却炉でなにかこそこそしていたから、念のために見たら、たまたまそれが見つかっただけだ。
「修学旅行の時に、班行動のはずなのに私だけ一人置いて行かれた。一緒に行こうって言ってくれた人がいた」
 その時美那は仲のいい友人とどこかに行ってしまっていた。
 そして所在なげに立っていた彼女と目があって、その時にはもう知り合いだったから、声をかけただけ。
「この学校の合格発表のとき、その人はまた同じ学校だねって声をかけてくれた」
 卒業前には俺はその女生徒をすこしまぶしく思っていた。
 集団に埋もれまいとしているように凛と背筋を伸ばし、俺のように愛想笑いを浮かべることもない。
 他の女子のようにとりとめのないおしゃべりを続けることもなく、いじめを受けてもその姿勢を変えず清冽な雰囲気を変えなかった。
 その時好きだったのは美那だ。その女生徒には異性としての感情は持ってなかった。
 それでも彼女の人柄には好感を抱いていた。……いや、尊敬すらしていた。
 だからその偶然を、俺は合格の喜びとともに、伝えたかった。それだけだ。他意はない。

211:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:51:54 88r7kWnE
「でも、その人の目はずっと別の人を追っていた。好きな女性の一喜一憂にその人も一喜一憂していた。それでも一年の時は別のクラスだったから、我慢できた」
 クラスが違っていた去年、彼女は会うたびにきれいになっていったと思う。
 陰湿ないじめがやんだから、俺はそう思って、すこしうれしく思っていた。
「彼が追う女性は、同じ女なのに明るくて華やかで、人当たりがよくて、彼が好きになるのも無理はないって思った。幼なじみと知って、あきらめようと思った。だけど……」
「宇崎さん……」
 のまれたように話を聞いていた美那が思わず声を発した。美那にもわかったのだ。
「その人は、思いをずっと我慢していたけど、端から見ればその女性を好きなのは丸わかりだった。その女性だって、彼の思いをわかっていたのに、……わかっていたのに、彼を利用するだけだった」
「違うよ!」
 美那の悲鳴のような抗議は、沙羅の激しい声にはねのけられた。

 いつの間にか沙羅の顔があがって、その目が美那を貫き通さんばかりに鋭さを帯びている。
「違わない! 修学旅行の時、及川と浩介はせっかく一緒の班になった。なのに及川が仲のいい友人をもう一人入れたいといって、浩介は自分から班を出た」
 美那が楽しめるなら、それでよかった。
「夏の課題を提出したとき、まるっきり同じ内容のが二つあって、丸写しだって教師が怒ったことがあった。浩介が自分が写したと告白して再提出になったことがあった」
 ……一度やったから、もう一度だって、がんばればできるから……
「浩介がいる前なのに、友人にからかわれると及川は、ただの幼なじみだよって何度も何度も否定していた」
 それがその時は真実だったからだ……。
「あ……ああ」
 美那の顔が蒼白にゆがんでいた。家に入ってきたときの思い詰めた表情と違って、その顔から自信が抜け落ちていた
「見ていてたまらなかった。浩介はいつも笑いながら泣いてたんだ。見ているだけの私の方がつらいのに、浩介は笑いながら、好きだという気持ちを抑え込んで」
それはきっと自業自得。
「浩介の側が及川の居場所というなら、どうして浩介はそんなに苦しい思いをしなくちゃいけなかったんだ?」
「わ、私は……」
 美那の唇だけがむなしく動く。後に続くべき言葉は出なかった。
 その美那に紙が叩きつけられ、美那が思わず顔を背けた。
「こんな写真、ばらまきたいならばらまけばいい!  私は、浩介と会うために学校に行ってる! 
こんな写真で学校を辞めさせられるんなら、その時は浩介の子供を産んで、浩介のために料理を作って、帰りを待つ生活をする! 
及川一人で私も浩介もいない学校に通えばいい。 浩介は渡さない! 浩介を悲しませた女になんか絶対に渡さない!」
 ほとんど叫びに近い糾弾と宣誓の言葉は、沙羅が秘めていた熱い思いだった。
 言い終わって肩で息をつきながらも、沙羅の目は鋭さを一切減じなかった。

212:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:54:09 88r7kWnE
 その熱さが、俺の恐れや惰弱を灼いて、腑に落ちるように心が落ち着いた。
「美那、ごめん」
「こ、浩介?」
 頭はなんの気負いもてらいもなく下がった。
「俺に勇気がなかった。狂いそうに好きだったのに、幼なじみの関係を壊したくなくて、告白できなかった。
 美那の気持ちを無視して、一人で悲劇の主人公をやっていた俺が、一番の馬鹿だ」
「やだよ、浩介」
「でも、そんな一番みっともない時の俺でも、沙羅は好きだと言ってくれたんだ」
 あのときの沙羅の顔は今でも忘れたことはない。
「聞きたくないよ、言わないで」
「聞いてくれ。こんな俺でも沙羅を幸せにすることだけはできるんだ。好きだという思いに応えてもらえることがどんなに人を幸せにするかは、俺、よくわかるから」
「だったら! だったら私も!」
 その叫びの悲痛さに心がうずく。それでももう引きずられはしなかった
「でも一人だけなんだ。俺は、一人だけしか幸せにできないから、だから、ごめん。謝ってもなにも慰めにはならないけど、ごめん」
「いやだよぉ、やだぁ、なんでぇ」
「俺たちは、お互い、間違えまくってしまったんだ。……ごめん」
 美那がぼろぼろと涙を落とす。俺たちはただ無言でそれを見守っていた。
 沙羅の目から、厳しさも鋭さも消えた。ただ苦い、勝利感など無い取り返しの付かない苦さだけが、俺と沙羅を取り巻いていた。
 やがて美那は何も言わずに、泣きながら立ち上がる。
 俺たちに掛ける慰めの言葉も無く、美那もそれを待つはずもなく、しゃくりあげる声だけを残して、美那は家を出て行った。
 美那が去っても、俺たちは動かずただ手を握りあっていた。
「俺は馬鹿だ。自分が一番傷ついていると思い込んで、美那や沙羅、喜多口も傷つけて……」
「私だって偉そうに言えない。浩介はつらいときに何度も助けてくれたのに、私はずっと手をこまねいていて……。
 だから私が及川の立場であっても、全く不思議じゃないんだ。本当は私にも彼女を罵倒する資格なんかなかった……」
「俺は、……きっと罪深い」
「浩介が罪深いなら、この嫉妬と執着に支配されて、そして及川が去って安堵すらしている私は、間違いなく地獄行きだ」
「俺たちは、思っている以上に似合いのカップルなのかもな」
 沙羅はわずかに苦い笑いを浮かべる。
 雷鳴と風雨が、俺たちの罪に非を鳴らし続けていた。

213:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:56:38 88r7kWnE
 そして嵐はやがて去り、

「美那?」
 俺の手にメモリーカードが渡される。ここは校舎裏。嵐が過ぎ去って太陽が輝いた次の日。
 俺は美那に呼び出されて二人だけでここにいた。呼び出しに応じたのは、彼女の目が、とても真摯で澄んでいたからだ。
「ごめんなさい」
 彼女は深々と頭を下げた。
「本当は宇崎さんにも謝るべきなんだけど、……まだ心に整理がつかないから」
「これに、例の写真が?」
「うん。これだけ。あの写真をコピーとかは、する気が無かったから。だってすごく悔しかったし。だからこの中にしか入れてないの」
 数gの頼りないプラスチックの板。俺は手の中でカードを二三度もてあそんだ。
「もう邪魔はしないから」
 そう告げる美那の目が、少しだけ潤む。
「でもね、これだけは言いたいの。……私、待ってるよ。浩介を好きなまま、待ってるよ」
「……美那」
 ついと涙が彼女の頬を伝う。
「待ってるだけならいいよね? そしてもし宇崎さんに振られたら、その時は、ね」
「俺が振られることは確定なのか?」
 涙を流しながら、彼女は思いっきり舌を出す。
「浩介が宇崎さんを振るなんて、生意気なんだから! 振られてへこんだら、二度と逃げられないように私が浩介の心をメロメロにしてやるんだから! 
復讐してあげるんだから! 一生、私から……はな……さ……ないん……だから」
 手で何度目をぬぐっても涙はあふれ、ついに美那は顔を覆った。
「馬鹿……浩介! きっと……、後悔……するんだから!」
 背を向けて美那が駆け出す。

でも俺が彼女を追いかけることはない。去りゆく姿を目で追い続ける俺に、クールな長身の影が寄り添う。
「……もし私が娘を産んだら、美那という名前はどうだろうか?」
「……母子で修羅場なんかごめんだ。……それに」
 見上げた空は雲一つなく晴れ上がっている。
「俺はもう、悲しい女は見たくない」
「そうだな。……そのとおりだな」
 手が握られる。少し冷たくて意外に華奢なその手こそが、俺の絆。
 空いた手のメモリカードに力を加えると、乾いた音をたてて割れた。
 二人分……いや三人分の思いを込めて、破片を放り投げると、太陽がそれを数秒間きらめかせて、やがて消えた。

214:俺と素直クールとツンデレと
08/06/19 23:57:15 88r7kWnE
投下終了 ひとまず区切り。 我追いつくGJなし てったーーーい。

215:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:01:53 iphWmvLb
連日投下GJ。
いやもう「GJ」ではなく「ありがとう」と言うべきだろう。

さぁ、殿は俺たちが引き受けるからこの勢いで前進は任せたぞ!

216:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:09:49 wrOHc4n/
>>215
ありがとう。
もはやこれしか言える言葉がないのです。
ああ、このスレがあってよかった。
そして一人で抱え込まずちゃんと「相談」した浩介の漢気に乾杯。

217:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:16:12 p51cOAq0
二番槍いきます!GJ!
あぁああああ胸がああああああきゅんきゅんするうううう

218:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:18:25 2dP8dXXA
>>215

GJェェェェェッ!!!
アナタこそ真なるネ甲だ!!

ありがとう!本当にありがとう!
素晴らしい話を読ませて頂いて!

アナタに惜しみないGJを贈らせて下さい!
そして浩介&沙羅カップルに永遠に幸あらん事を!

219:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:32:53 YG/urr5c
>>215
逃さん、GJだ!
毎回毎回読み応えがあったぜ

220:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:34:49 qMvwue8Z
自演きめぇ

221:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:38:17 1u9aeaOR
>>215
夜中のPCからGJ

222:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:40:51 O0nYLKvC
先ずはGJ!
ストーリーもキャラクターも展開もすべて素晴らしかったが
何よりもハイペースでの連載とキチンと完結してくれたことが何よりも嬉しい
やはり物語と言うのは完結まで読みきってこそ気持ち良い読後感が味わえると言うもの
本当にありがとう そしてお疲れ様でした
また何かネタが思いついたら書いてくださいね

223:名無しさん@ピンキー
08/06/20 00:42:23 UwpP07II
>>215
一先ずってことは、まさかここから・・・
ただ、俺に出来ることはGJと待つだけだ


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