【みなみけ】桜場コハル Part7【今日の5の2】at EROPARO
【みなみけ】桜場コハル Part7【今日の5の2】 - 暇つぶし2ch714:ライラック 3. -1/5-
08/07/02 22:05:20 /vMXv6ZP
3.

ゴールデンウィーク最初の土曜日──。

「夕方には帰るから。お父さんにも伝えておいて」
「へぇ、分かりやした」
「気をつけて行ってらして下せぇ、お嬢」
家のお手伝いさんにそう伝えて、私は家を出る。
今日は待ちに待った藤岡くんとのデー……お出掛けの日。
私と藤岡くんは同じ地区に住んでいるけど、待ち合わせ場所は敢えて沼津駅にした。
近くのバス停に着くと、ちょうどバスがやって来た。
最寄りのバス停は、1日5本しか走っていないので乗り遅れたら大変。間に合って良かった。

オンボロのバスに揺られながら、見慣れた景色を眺める。
天気は生憎の曇り空で、初夏とはいえ山風が吹くので少し冷える。
でも、私の胸の中はわくわくしていた。いや、前日からずっとわくわくしていた。
何故だか分からないけれど、藤岡くんと出掛けること自体がずっと楽しみだったのだ。
一人っ子でお姉さんやお兄さんに憧れているからかも知れない。
カナちゃんが理想のお姉さんだとしたら、藤岡くんは理想のお兄さんだ。
ちょっと頼り無いところがあるけれど、優しくて、格好良くて、サッカーも上手……らしくて、
とにかく凄いなぁ、って思う。
はぅ~、何だか緊張してきたよ。

「何か、凄く楽しそうだね」
突然後から声がした。
「ひゃっ?!」
びっくりして後を向くと、そこにはいつの間にか藤岡くんが居た!!
このバスは前から乗って前から降りるタイプ。
私は前よりの座席だったので、彼が途中のバス停から乗ればすぐに気付くハズ。
一体、いつ乗ったのだろう。
「おはよう。ごめんね、驚かせちゃった?」
「う、うん。すごく驚いたよ!」
わざと頬っぺたを膨らませて彼を少しだけ睨む。
藤岡くんは申し訳なさそうに笑いながら、頭を下げる。
「ごめんごめん。ずっと気が付かなかった?」
「うん………」
藤岡くんの家(場所はまだ分からない)は、私の最寄りのバス停よりも更に手前にあるらしく、
私がバスに乗った時には、彼は既に車中に居たという。
「おれは気付いたんだけど、全然気付いていないみたいで……」
「私こそごめんね。ちょっと慌ててたから」
本当はただ緊張してただけなんだけど。いや、今も何だかドキドキする。
「どうしたの? 顔、赤いよ?」
「なっ………ちょ、ちょっと驚いただけだよ。ホ、ホントだよ?」
「ははは、ごめんね」
「そんなに謝らないでよ」
「あ……ごめん」
あ、また謝った。もう、藤岡くんったら。



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