08/06/23 23:15:54 E/u8Lsvh
途中、コンビニに寄ってアイスを奢って貰った。
私と藤岡くんは、ソフトクリームを食べながら2人で新幹線の下をくぐる。
猛スピードで風を切り裂く新幹線は、両方向からひっきりなしにやってくる。
ヒュンヒュンヒュンヒュンという鋭い音が住宅街に響き渡る。その音は、私の家の中に居てもよく聞こえる。
「そう言えば、お礼のこと……」
「だから気にしなくていいよ」
藤岡くん、律儀で嬉しいんだけど意外としつこいかも知れない。
「じゃあ、こうしよう。お願い! おれにお礼をさせて下さい!」
ぱんっ、と手を合わせて私の前で頭を下げる。
下げられた私は呆気にとられて目を丸くする。
「そ、そこまで言うなら………」
「君がしたいこと、行きたいとこ、何でもいいよ。何なりと申してください」
絵本の召使いの様にわざとらしく手を前に添え、深々と頭を下げる。
ちょっとおかしくて、笑ってしまった。
「え、おれ、そんなにヘンだったかなぁ」
頭を掻きながら苦笑い。藤岡くんはよく笑う人なんだなぁ。
「うん、ヘンだった」
からかうつもりで、ストレートに答えてあげた。
すると、藤岡くんは「そっか」と言ってまた笑う。笑顔が絶えない人だ。
私が一番好きなタイプの人かも知れない。