08/06/18 22:29:42 PaoC4hC6
コウジ「お子さまの喧嘩は放っておいて……」
ツバサ「……大人の僕らはさっさと着替えますか」
夏奈「待てー、お菓子返せー!!」
601:名無しさん@ピンキー
08/06/18 23:33:28 iFvxf23u
>>634
コレはwktkせざる得ないww
602:名無しさん@ピンキー
08/06/18 23:38:42 sK5hBuoY
ハルマコまだぁ?
603:名無しさん@ピンキー
08/06/20 03:09:17 FeNJ/LfE
ここにきて思ったこと(気付いたこと)
内田は潮吹き体質。
それはもう激しい。
604:名無しさん@ピンキー
08/06/20 19:35:26 V2G9C19m
明日から休みだから吉野SS書くよ
605:「迷惑だよこの野郎!!」 ガチャッ カナ 「ただいまー」 カナが帰ってきた。 カナ 「どうしたチアキ?いつも以上に不機嫌そうだけど」 チアキ「うるさいよ!それよりさっさとおやつ出せよ!」 カナ 「わかったよわかったよ。ほら、おやつだぞー」 カナは買い物袋から大きめな箱を取り出した。 トウマ「なんだこれ?」 カナ 「ケーキ。1ホール丸々一個」 内田 「ええっ、そんなに!」 カナ 「ケーキが大安売りだったんだよ」 箱からホイップクリームたっぷりのケーキを取り出す。
606:ぬしかさ
08/06/21 03:03:52 lG6i7vLm
カナ 「じゃあ切り分けるぞー」
トウマ「オレとカナとチアキと内田と吉野で五等分だろ。切るの難しくないか?」
カナ 「いいよ四等分で。私はいらないから」
チアキ「めずらしいな、変な物でも口にしたか?」
カナ 「私はもう食べたから。シュークリーム五個」
内田 「五個!」
カナ 「シュークリームも大安売りだったんだよ」
綺麗に四等分に切り分け、それぞれの皿へと運ぶ。
内田 「一人四分の一って結構多いね」
チアキ「あれ、炭酸がないぞ」
カナ 「炭酸なら冷蔵庫にあるよ」
チアキ「取ってこいよ」
カナ 「やだよ。シュークリーム五個で腹が重いんだもん」
チアキ「やれやれ・・・」
チアキが炭酸を取りに台所へ行った。
「カァ」
チアキの姿が見えなくなった途端、さっきまでじっとしていたカラスが動き出した。
カナ 「おお、なんだ?カラス?」
トウマ「そいつ吉野なんだってさ」
カナ 「吉野?・・・ああ、そういう遊びか」
ヒョコヒョコッ バサッ
カラスは食卓に飛び乗った。
カナ 「なかなか礼儀正しいやつじゃないか」
トウマ「そうか?」
「カァッ」
ガツッ ガツッ
食卓に上ったカラスは、そばにあったケーキをついばみ始めた。
カナ 「こいつケーキも食べるのか。贅沢なやつだな」
内田 「っていうよりそれ、チアキの分じゃ・・・」
チアキ「あーーーーーーー!!」
炭酸を取って戻ったチアキが叫ぶ。
「ガァッ」
バサバサッ バサッ バサッ
チアキの声に驚いたのか、カラスはベランダの開いた窓から大空へと飛び去っていった。
607:ぬしかさ
08/06/21 03:04:44 lG6i7vLm
チアキ「待てっ、吉野ーーーーー!!」
急いで後を追うも、相手は空の彼方。
内田 「ケーキ、ほとんど全部食べられちゃったね」
チアキ「うわーーーーーん!」
ガチャッ
吉野 「おじゃましまーす」
チアキが泣き叫んでいたとき、吉野がやってきた。
吉野 「あれ、チアキどうしたの?」
カナ 「実はな・・・」
かくかくしかじか
吉野 「そうなんだ。じゃあ私の分のケーキをあげるよ」
チアキ「・・・・・・ありがとう」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
チアキ「ていうかお前が盗ったんだろ!」
吉野 「なんで?」
チアキ「口元に白いのが付いてるんだよ!」
吉野 「え?あ、ホントだ」
吉野は口元のクリームを拭って恥ずかしそうに笑った。
吉野 「実は用事っていうのがお母さんに頼まれたお買い物だったんだ」
「それでお買い物済ませて戻ったらおやつのケーキが用意してあってさ。家でおやつ済ませちゃったんだ」
チアキ「それで口元にクリームが付いてたのか」
吉野 「うん」
チアキ「じゃあなんで私の髪を突いていじめようとしたんだ?」
吉野 「いじめる?そんな、私チアキをいじめたりしないよ」
「だってチアキのこと大好きなんだもん」
チアキ「その言葉、どこまでが本当なんだ・・・」
吉野 「信じられないかな?」
チアキ「・・・いや、もういい。全部水に流そう。さっさと宿題を終わらせるぞ」
吉野 「そうだね」
こうして平凡な日常に起こった事件は、静かに幕を閉じたのだった。
内田 「でもなんであのカラス、チアキだけいじめたんだろ?」
カナ 「あれだろ。ついつい好きな子にはちょっかいを出しちゃうっていうあれ」
トウマ「まっさかー」
おしまい
608:名無しさん@ピンキー
08/06/21 06:29:34 WREALlnS
乙J!
でも、部屋にカラスを入れるのは危険過ぎるww
千秋のホイップがむしり取られなくて安心したw
609:名無しさん@ピンキー
08/06/21 11:17:57 2UMUrb0s
吉野SSまだぁ?
610:名無しさん@ピンキー
08/06/21 12:28:56 TH2SpwGs
超GJ!
吉チアいいよ吉チア
611:名無しさん@ピンキー
08/06/21 15:29:52 SKa/nuJN
アニメ見て藤岡嫌いになった……演技って大事だな
612:名無しさん@ピンキー
08/06/21 16:22:18 O7yYg7mF
それはアンチスレで言えよ
613:名無しさん@ピンキー
08/06/21 21:41:00 oBWLt1xy
藤岡いいとおもったけど??
もれはだれかっていうとアキラが最初違和感あったけど
614:名無しさん@ピンキー
08/06/21 21:48:07 CYdux6RL
チアキが可愛い。それだけで満足です。はい
615:久留里
08/06/22 01:22:03 C7M7mPF+
おばんです。メルトの影響を受けたので、無駄に長編になってしまいそうです。
『ライラック 第一幕』
・アニメ無印版ベース
・吉野×藤岡、吉野視点
・エロなし
・多分 5 レスほど使用。
・沼津のかほりがするのは、多分気のせいです。
・このSSはみなみけの(ry 間違っても過度な期待はしないで下さい。
・あと、受け付けられない人は新幹線にでも乗ってスルーしやがって下さい。
******
0.
北海道から持ってきたというライラック花が、ウチの庭で咲き乱れている。
うす紫色の花は、とても可愛らしい。
花言葉は『初恋』。
私の中にも、いつかそのうち芽生えるのだろうか。
616:ライラック 1. -1/4-
08/06/22 01:23:08 C7M7mPF+
1.
「王子様は絶対に居るって!!」
「それは外国での話だろ?」
「違う! そっちの王子様じゃないの! 王子様はね、絶対居るんだから!
王子様はいつか白馬に乗って、私の家までお迎えに来てくれるの。
それで、お城の舞踏会に連れて行ってくれるんだよ」
「分かった分かった。沼津城にでも行けばいるんじゃねーの?」
「何よ! チアキだってサンタ信じてるじゃん!」
「実際に居るんだから信じるしか無いだろ」
「だったら私にも信じる自由を!」
「いいか、内田。外国に行けば王子はいくらでもいるが、『王子様』は絵本の中での話だ」
昼休み。チアキと内田が教壇の前で激しく言い合う。
パッと見だと口げんかにも見えるけど、これは一種の漫才のようなもので、5年2組の『日常』だ。
だから、私も他のクラスメイトも2人を止めようとはしない。
もし、本当に喧嘩になりかけたら、私が止めてあげればいい。
因みに、沼津城は明治時代に無くなって、今は中央公園になっている。
「チアキの言ってるサンタって、藤岡くんのことじゃん!」
藤岡くん?
私はその単語に思わず反応した。
「何度言えば分かるんだ。藤岡とサンタはイコールだ」
「違うよ! 藤岡くんはサンタじゃないよ! チアキのためにサンタに変装したんだよ!」
何か、いつの間にか話題が変わっている様な気が……。まぁいいや。見ていて面白いから。
藤岡くんは、チアキの2番目のお姉さん─カナちゃん─のクラスメイトで、
しょっちゅうチアキの家にお邪魔しているらしい。
617:ライラック 1. -2/4-
08/06/22 01:23:33 C7M7mPF+
「ん? どうした吉野」
「えっ?!」
チアキに声を掛けられて、私はハッとした。
いつの間にかサンタの話は終わっていて、2人はどうやらぼーっとしていたらしい私を不思議そうに見つめている。
私を見たって良いこと無いよ?
「何だ? お前も藤岡が気になるのか?」
「うーん……」
ちょっとだけ。
「何々? もしかして、藤岡くんのこと、好きなの?」
「ち、違うよ! どうしてそうなるの!?」
内田にからかわれるとは思わなかった。
「えー、だって私とチアキが藤岡サンタの話をしてる時、ぼーっとしてたじゃん」
あ、本当にぼーっとしてたんだ。私らしくないや。
てか、2人の会話はサンタの話で終わったのかと思ったよ。知らない間に藤岡くんの話もしてたんだ。
「言っておくけど、藤岡くん、競争率高いらしいよ? 中学校だと女の子に人気があるみたいだし、
それに、チアキも気に入ってるみたいだし」
「なっ、そ、それは違う! お前と一緒にするな!!」
「じゃあ、内田こそどう思ってるの? 藤岡くんのこと」
「もっちろん、素敵な王子様に決まってるじゃない」
「いいや、藤岡はサンタだ。そんなに王子が好きなら製紙工場にでも行けば良い」
………あ、近所にある王子製紙の工場のことか。
というか、2人の会話がまたややこしくなってきた。
「王子様なの!!」
「サンタだ!!」
「王子様!!」
「サンタだ!!」
「「ぬぅ~~~~っ!!」」
2人が教壇を挟んで向かい合い、火花を散らす。マズい。そろそろ止めないと。
てか、どうして私は巻き込まれたんだろうか。
「と、取り敢えず、私は藤岡くんは王子様じゃないと思ってるよ。藤岡くんは藤岡くんだよ」
「サンタかどうかについてはどうなんだ?」
これも答えないといけない、か。
「チアキがサンタさんだって言うから、多分サンタさんだよ」
「なっ、ひ、ひっどーい!! 何でチアキの肩を持つ訳?」
「吉野はお前のバカさ加減に呆れてるだけだ。諦めろ。バカ野郎」
そ、そこまで思ってないよ……。
「もういいもん! 王子様は居るんだもん! 藤岡くんは王子様なんだもん」
内田は何故か泣きながら、さっさと教室を出て行ってしまった。
いつもの事だから、私もチアキも気にしない。5分もすれば元に戻るからだ。
内田をいじるのは結構楽しい。
618:ライラック 1. -3/4-
08/06/22 01:24:17 C7M7mPF+
「じゃあね」
「うん、また明日」
本当にわずか5分で立ち直った内田と別れた私は、市街地を北に進んでコクイチ(国道1号線)のバイパスを渡る。
私の家は住宅街の外れにある、地元では「地主階級」と呼ばれる人が住む地区にあって、結構歩く。
うーん、沼津駅からチアキの家に行くくらいはあるかなぁ。
結構歩くけど、今は体力も付いて来たので、この長い道のりもそれほど苦にはならない。
市道に入ってマルトモの前を通りがかった時だった。
「あれ、おかしいな………」
詰め襟を着た男子中学生っぽい人が、下を向きながらスーパーのまわりをぐるぐると歩き回っている。
何か探し物をしているようだ。
──はて、この人、何処かで見覚えのある様な。
「何か、お探しですか?」
「あ、うん。財布を落としちゃったみたいでね。それを探しているん──ああっ!!」
目が合って、彼が誰なのかがすぐに思い出せた。そう、彼は藤岡くんだった。
藤岡くんが何でこんな所に居るのか知らないけれども、
取り敢えず、彼が探しているとおぼしきモノが目に入った私は、それを指摘してみる。
「………で、そのお尻のポケットに入っているのは、何ですか?」
藤岡くんは「えっ?」と言いながらズボンのお尻のポケットに手を延ばす。
それに手が触れると、彼はそれを取り出した。
「ああ、本当だ。有り難う。えっと…………」
「吉野です。あの、チアキの友達の…」
「ああ、やっぱりそうだ。吉野…さん、でいいかな?」
「うん」
私の下の名前は覚えづらいからね。チアキに名前を忘れられた内田の二の舞にはなりたくない。
619:ライラック 1. -4/4-
08/06/22 01:25:07 C7M7mPF+
「本当に有り難う。助かったよ。こっちの方面だったんだね」
「藤岡くんもこっちだったんだね。あれ? でも、そしたら学校は門(かど)中じゃないの?」
門中とは、沼津市立門池中学校のことだ。
「あはは、おれ、学区外通学なんだ。小学校は門(かど)小だけど。色々あってね」
その『色々』で何があったかとても気になるけれども、詮索するのはやめておこう。
知っても幸せにはなれなさそうだから。
「へぇ。私がもし門池小だったら、私は藤岡くんの後輩だったんだね」
「あ、ま、まぁ、そういうことになるね」
狭い県道を歩いていくと、国道とぶつかる交差点に出る。
「じゃあ、私はここで」
「うん、気をつけてね」
彼に手を振られて、私は歩道橋の階段を上がる。
上がり掛けたところで、私は藤岡くんに呼び止められた。
「あ、待って」
「?」
「こんど、お礼させて」
「え、別にいいよ。大したことしてないし」
本当に大したことしてないし……。
「ううん。おれに何かさせてくれないかな?」
「うーん…。じゃあ、次会った時に考えさせて」
「分かった」
彼にそう答えると、彼は笑顔で手を振った。
よく考えると、彼もずいぶんと遠距離通学だ。
中学だと自転車が使えるらしいけど、使わないのかな?
…………あれ??
「次会った、時?」
私は確かに、彼にそう言った。
無意識のうちに、そう言ってしまった。
何故だろう。何故なんだろうか。
「ああ、そうか」
私は多分、どこかで偶然会うだろうと思っているんだ。多分そうなんだ。きっとそうなんだ。
「さって、お父さんが心配するから帰ろっと」
私はやや早歩きで歩道橋の階段を下り、住宅街の外れの道へと進んだ。
***
ライラックの芽が、いつの間にか私の中に植えられていた。
この事に気付いたのは、ずっと、ずっと後の事だ。
620:ライラック 1. by久留里
08/06/22 01:27:07 C7M7mPF+
以上です。
まだまだ始まったばかりなので、何が一体どうなるのかさっぱり分かりませんねぇ。
続きはまたこんど。でも、過度な期待はしないで下さい。
621:名無しさん@ピンキー
08/06/22 02:40:06 kTvOgWqs
GJ!
ライラックと聞くと弟切草を思い出す
622:名無しさん@ピンキー
08/06/22 13:03:40 UW4tTK44
最近またゴミ職人が増えたね。この野郎氏の作品投下されるまでの繋ぎとして一応読んでやってるけど
ゴミ職人と言えばぶち切れ氏最近見かけないね。身の程をわきまえたのかな?
623:名無しさん@ピンキー
08/06/22 13:17:27 sa8GuVmu
>>661
GJ!続き投下されるまで半裸で待機してる
624:名無しさん@ピンキー
08/06/22 14:25:08 raNZnqDX
>>661
吉野の話なのに内田が気になって仕方無かったwww
続きwktkしながら待ってる
625:名無しさん@ピンキー
08/06/22 21:12:28 R/LQpaim
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626:名無しさん@ピンキー
08/06/22 21:37:53 R/LQpaim
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627:名無しさん@ピンキー
08/06/23 16:46:34 afUhp/yE
吉野続きまだぁー?
628:久留里
08/06/23 23:11:51 E/u8Lsvh
おばんです。吉野が毎晩夢に出てきて萌え死にそうなので、続きを投下します。
『ライラック 2.』
・アニメ無印版基準(but シリアス展開)
・吉野×藤岡、吉野視点
・エロなし
・多分 6 レスほど使用。
・現実の沼津市立大岡中学校とは一切関係ありません。
・このSSはみなみけの(ry 間違っても過度な期待はしないで下さい。
・あと、受け付けられない人は新幹線にでも乗ってスルーしやがって下さい。
629:ライラック 2. -1/6-
08/06/23 23:12:53 E/u8Lsvh
2.
それからというものの、私は何となくだけど、藤岡くんの事が気になるようになった。
本当に何となくで、別に好きとか嫌いとかいう考えは無いし、
そもそも『そういう意味での好き』は、まだ私には分からない。
例えば、マコトくんやシュウイチくんは確かに好きだけど、多分、『そういう意味での好き』とは違うと思う。
ただ、マコトくんやシュウイチくんのとは違い、藤岡くんは私の中でちょっと気になる…程度だった。
4月も終わりに差し掛かる。
あの一件以来、私は藤岡くんとはめっきり会わなくなった。
チアキの話によると、藤岡くんはサッカー部に入っていて、朝早く出て、夕方遅くに帰る生活をしているという。
学校から家までの距離を考えれば、朝は私よりもずっと早く出ているだろうし、
夕方は私が家に帰ったずっと後に帰宅しているのだろう。
それにしても………。
「どうしてチアキが藤岡くんのこと、知ってるの?」
ずっと気になっていたことを、訊いてみる。
「ああ、あいつたまに来るんだよ。去年の秋くらいかな?
カナが果たし状を受け取って以来、何故かうちによく来るようになった」
「果たし状?」
「ああ。ラブレターに見せかけてカナに決闘を申し込んだんだ」
ラブレター? 申し込んだ?
私の中では次々と「?」マークが浮かび上がる。
「女に不自由しない藤岡のことだ。あんなバカに用があるとしたらあいつを黙らせるくらいしか考えられない」
藤岡くん、やっぱりモテるんだ。確かにモテそうな感じがするよね。
「──という訳で、藤岡がたまにうちに来るようになった」
「へぇ~」
藤岡くんはちょっと複雑な経緯でカナちゃんと友達になったんだ。
いいなぁ。
「ん? 何か言ったか?」
チアキがいつも以上に顔をしかめて私に訊く。
「ううん、何でもない」
ほんと、何でもないよ。
630:ライラック 2. -2/6-
08/06/23 23:13:16 E/u8Lsvh
土曜日の放課後──。
「じゃなー、内田」
「明日、一緒に遊ぼうね」
「うん、2人とも、じゃあね」
内田と別れた私は、チアキと一緒に自由ケ丘団地を通り抜ける。
「本当に大丈夫なの?」
「ああ。カナの話だと、サッカー部は土曜日は昼までしか練習しないらしい」
藤岡くんやカナちゃんが通う中学校は市立(いちりつ)なので、土曜日は授業がない。
でも、その代わり部活動の練習があるので、一部の生徒は土日も学校に行くという。
「まぁ、お前がどうして藤岡に会いたいのかは知らんが、悪い奴じゃないからそんなに緊張するな。
ほら、着いたぞ」
チアキがそう言って指さしたのは、大岡中学校の校門。
グラウンドではちょうど、サッカー部が練習を終えたところらしかった。
チアキはハルカちゃんと買い物に行くからと言って、先に帰ることになった。
「じゃなー」
チアキは手を振ってその場を後にした。が、少し離れてから思い出したように私に振り返る。
「あ、カナには気をつけろよ?
あいつ、お前のことを知ったら、また妙なことをやらかすに違いないから」
『悪気は無いんだけど』と付け加えて、チアキは私に忠告した。
どうしてチアキはこうも、カナちゃんのことを警戒するのだろうか。
「カナちゃんのこと、そんなに嫌いなの?」
「い、いや、違う。あいつは本当にしょうもないバカだから、周りに迷惑掛けないか心配なんだ。
お前のことだから大丈夫だろうけど、一応、な」
「う、うん。分かった」
そして、改めてチアキは手を振り、帰途に就いた。
私がほっと一息つくと、後から突然声がした。
「誰がしょうもないバカだって?」
振り向くと、何とそこにはカナちゃんが居た。私服姿なので、おそらく学校には用は無いのだろう。
「か、カナちゃん、どうしたの?」
突然だったので、私は驚きの表情のままカナちゃんに尋ねてしまった。
「どうもこうもないよ。私はただ、コンビニで買い物をしていただけだよ」
そう言って、手に提げたビニール袋をガシャガシャと振る。
中には特大サイズのプリンが3個入っていた。みなみけのみんなは本当にプリンが大好きだ。
「チアキのやつ、またバカって言ったな。
吉野、安心しな。私は吉野と藤岡の仲を邪魔するつもりはない。むしろ応援してやるぞ。
泥船に乗ったつもりでいておくれ」
「泥船じゃ尚更心配だよ」
それに、私が藤岡くんと2人っきりで会ったのはあの時だけだし。
「ヨーシ。チアキは罰としてプリン没収の刑だ。吉野、ほれ。食べな」
「え? 悪いよ…。チアキ、多分スネちゃうよ?」
「いいよいいよ。私にバカと言ったのが悪いんだから。ほれ、持ってけ」
そう言って、袋から取り出したプリンとスプーンを半ば強引に突きだした。
私はどう答えていいか分からないまま、言われるがままにプリンを受け取る。
ホント、カナちゃんには敵わないよ。
「じゃ、そゆことで。あ、そうだ」
帰ろうとしたカナちゃんは、もう一度私に向き直る。
「藤岡は普段は間抜けな顔してるけど、仮にも番長だからな? 蹴られないように気をつけろよ?」
「カナちゃんじゃないから大丈夫だよ」
「そっか。それもそうだな…………ん? 何か吉野に非道いこと言われたような……」
「気のせいだよ。ほら、早く帰らないとプリン溶けちゃうよ?」
「お、それもそうだな。うん。じゃなー」
「じゃあね」
手を振ってカナちゃんを見送る。カナちゃんは手を少しだけ振って、鼻歌を歌いながら去ってしまった。
631:ライラック 2. -3/6-
08/06/23 23:13:41 E/u8Lsvh
その直後だった。
「あれ? どうしたの?」
カナちゃんが線路の向こうへと消えたのと同時に、藤岡くんが姿を現した。
今日は授業が無いからだろう。藤岡くんはジャージ姿にスポーツバッグを肩から掛けていた。
今の今まで練習に励んでいたのだろう。ちょっと汗臭い。
「ちょ、ちょっと、カナちゃんと話してたから……」
ここに来た理由を素直に話せないまま、中途半端な言い訳を藤岡くんにする。
「南が? 休みの日にここを通るなんて、珍しいね」
「え?! そうなの?」
「うん。南が外に出る時は買い物に行く時か、友達の家に行く時くらいで、
普段はあっちの線路沿いを歩いて沼津まで行っちゃうんだよ」
そう言って、藤岡くんは御殿場線の単線のレールを指さす。ちょうど、2両編成の御殿場方面行き列車が通過した。
「それで、吉野さんはどうしてここに?」
「あ、あの……実は……」
藤岡くんが気になるあまりに、チアキに無理言って中学校まで案内してもらったなんて、言おうにも言えなかった。
「あ、言いにくかったら別にいいよ」
そう言って、藤岡くんは私に笑顔で言った。
632:ライラック 2. -4/6-
08/06/23 23:14:14 E/u8Lsvh
「あはは、そういうことだったんだ」
私はやっとの思いで、私が中学校まで行った理由(わけ)を話した。
「おれもいつかお礼をしようと思っててね」
「あ、べ、別にいいよ。うん、大丈夫だから」
お礼のこと、覚えてたんだね。
「それにしても、私立は土曜日も授業かぁ。おれだったら土曜日は授業があってもサッカーをしてたかもね」
昔は市立も土曜日は授業があったらしい。それが、会社みたいに土日が休みになったそうだ。
「授業があるって言っても第二と第四はお休みだよ。それに、授業があるって言っても3時間だけだし、
3時間目は学活(学級活動)の時間だから、大したことはやらないよ」
「そっか」
それから藤岡くんは、小学校時代の話をしてくれた。
話を聞いていると、同じ小学校でも私立と市立はずいぶんと違うものなんだな、と感じた。
藤岡くんのイメージだと、私が通ってる学校は何だか窮屈なイメージがあるのだという。
「でも、吉野さんのこと見てると、そうでもなさそうだね」
「なんで?」
「何か、楽しそうだから」
「うん、楽しいよ」
「何だ。おれも私立に行けば良かったなぁ。
まぁ、うちは貧乏だから行くお金なんて無いし、そもそもおれがバカだから、受験しても落ちただろうね」
藤岡くんは半ば自虐的に言いながら、笑った。
「藤岡くんは、バカじゃないよ」
「どうして?」
わざと意地悪く訊かれる。
「うーん、根拠は無いけど……、藤岡くんは優しいし、しっかりしているから、それと……」
「それと?」
「えー……っと………」
「?」
藤岡くんはその場で立ち止まり、しゃがんで私に目線を合わせる。
興味深そうに私を見つめて、そして、頬笑む。
何か、恥ずかしくなって来ちゃった。胸も少しだけドキドキし始めた。
「有り難う」
「へ?」
少しだけ気まずい空気が流れた後、何故か私は彼にお礼を言われた。
間抜けな声でそれに答えた私は、恥ずかしさのあまり、思わず下を向く。
「そう言われると嬉しいよ。あと、自分で言うのもなんだけれど、サッカーだけは唯一取り柄があると思うんだ。
あまり上手じゃないけれど、もっと練習してみんなと一緒に県大会まで出場したいね」
「そっか。うん。私、応援するね」
「うん、有り難う」
話が途中で変わってしまったけれども、何とか上手くやれた。うん。私、頑張った。
633:ライラック 2. -5/6-
08/06/23 23:15:54 E/u8Lsvh
途中、コンビニに寄ってアイスを奢って貰った。
私と藤岡くんは、ソフトクリームを食べながら2人で新幹線の下をくぐる。
猛スピードで風を切り裂く新幹線は、両方向からひっきりなしにやってくる。
ヒュンヒュンヒュンヒュンという鋭い音が住宅街に響き渡る。その音は、私の家の中に居てもよく聞こえる。
「そう言えば、お礼のこと……」
「だから気にしなくていいよ」
藤岡くん、律儀で嬉しいんだけど意外としつこいかも知れない。
「じゃあ、こうしよう。お願い! おれにお礼をさせて下さい!」
ぱんっ、と手を合わせて私の前で頭を下げる。
下げられた私は呆気にとられて目を丸くする。
「そ、そこまで言うなら………」
「君がしたいこと、行きたいとこ、何でもいいよ。何なりと申してください」
絵本の召使いの様にわざとらしく手を前に添え、深々と頭を下げる。
ちょっとおかしくて、笑ってしまった。
「え、おれ、そんなにヘンだったかなぁ」
頭を掻きながら苦笑い。藤岡くんはよく笑う人なんだなぁ。
「うん、ヘンだった」
からかうつもりで、ストレートに答えてあげた。
すると、藤岡くんは「そっか」と言ってまた笑う。笑顔が絶えない人だ。
私が一番好きなタイプの人かも知れない。
634:ライラック 2. -6/6-
08/06/23 23:16:42 E/u8Lsvh
そうだ、藤岡くんの『お礼』、何にしようかな?
「うーん、だったら………」
少しだけ考えること数分。ちょっとだけ無理を言ってみる。
「魚が見たいなぁ」
当然、魚市場の方ではない。
「魚かぁ。うーん…………」
西伊豆にある、あの大きな水族館に行きたいな。
「ちょっと、遠いかな」
藤岡くんは、ややためらいがちに断った。
「藤岡くんの方だよ? 何でも願いを叶えるって言ったのは」
「うーん、おれたち、直接接点がある訳じゃないし、まだ会ったばかりだから、ちょっと……」
藤岡くんの様子を見るに、直接の関わりがない私と一緒に、
少し離れた水族館まで行くのは何かと気まずいらしい。
うーん、確かに。私と藤岡くんは、チアキとカナちゃんが居なければまず顔を合わせなかっただろうし、
いきなり遠い所へ行くのは、やはり気が引けるのかも知れない。
うん、そうだよね。歳が離れている上に、私はまだ小学生。だから、やっぱり難しいんだよね。
「うーん、それじゃあ千本浜公園に行きたいな」
千本浜公園とは、沼津駅から1kmほど離れた所にある砂浜に面した公園だ。
海水浴場もあるので、夏は毎年、内田やチアキ達と一緒に行くこともある。
「うん。それだったらいいよ」
「じゃあ、何時にしようか?」
「連休の最初の土曜日──つまり、来週の土曜なら空いてるよ。一緒に行こう」
「分かった。約束だよ」
こうして、私は藤岡くんの『お礼』をされることになった。
でも、これって、よく考えると……………、……………!!!
「で、で、デート??!!」
ぽっと、顔が赤くなったような気がした。
「ど、どうしたの? 顔、赤いよ?」
「え? う、うん……えっと、その……うん、な、ななな何でも無いよ? うん、何でもない!!」
私は必死に平静を装おうとした。でも、何かドキドキしてしまって仕方がない。
違うの! 私は藤岡くんのこと、そんな風には思ってないの! うん、そうだよ!
この時、何でこんなに必死だったのかは分からない。でも、何か、ドキドキしてしまった。
「じゃ、じゃあ、ま、ま、ま、また今度、また今度ねっ! バイバイ!!」
私はダッシュで歩道橋を渡り、住宅街を外れる一本道へと走って行った。
藤岡くんは、こんな私を見て、どんな風に思ったのだろうか。
ライラックの芽が顔を覗かせた。
芽は瞬く間に成長したけど、私はそれには全く気が付かなかった。
635:ライラック 2. by 久留里
08/06/23 23:18:59 E/u8Lsvh
以上です。
何やら少女漫画的展開でデートフラグが立った模様です。
次回はただでさえ可愛い吉野が更に可愛くなる予定ですが、
その前に今度の土曜日にリアルで沼津行ってきますノシ
自転車持って行こうかな?
636:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:19:28 QDxjD9iU
いいね。
SSで白い吉野って珍しいからよけいにね。
637:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:27:11 sLkgn2Ty
>>676
乙
っ旦~
638:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:40:49 1+qmxJFo
それからというものの、私は何となくだけど、藤岡くんの事が気になるようになった。
本当に何となくで、別に好きとか嫌いとかいう考えは無いし、
そもそも『そういう意味での好き』は、まだ私には分からない。
例えば、マコトくんやシュウイチくんは確かに好きだけど、多分、『そういう意味での好き』とは違うと思う。
ただ、マコトくんやシュウイチくんのとは違い、藤岡くんは私の中でちょっと気になる…程度だった。
4月も終わりに差し掛かる。
あの一件以来、私は藤岡くんとはめっきり会わなくなった。
チアキの話によると、藤岡くんはサッカー部に入っていて、朝早く出て、夕方遅くに帰る生活をしているという。
学校から家までの距離を考えれば、朝は私よりもずっと早く出ているだろうし、
夕方は私が家に帰ったずっと後に帰宅しているのだろう。
それにしても………。
「どうしてチアキが藤岡くんのこと、知ってるの?」
ずっと気になっていたことを、訊いてみる。
「ああ、あいつたまに来るんだよ。去年の秋くらいかな?
カナが果たし状を受け取って以来、何故かうちによく来るようになった」
「果たし状?」
「ああ。ラブレターに見せかけてカナに決闘を申し込んだんだ」
ラブレター? 申し込んだ?
私の中では次々と「?」マークが浮かび上がる。
「女に不自由しない藤岡のことだ。あんなバカに用があるとしたらあいつを黙らせるくらいしか考えられない」
藤岡くん、やっぱりモテるんだ。確かにモテそうな感じがするよね。
「──という訳で、藤岡がたまにうちに来るようになった」
「へぇ~」
藤岡くんはちょっと複雑な経緯でカナちゃんと友達になったんだ。
いいなぁ。
「ん? 何か言ったか?」
チアキがいつも以上に顔をしかめて私に訊く。
「ううん、何でもない」
ほんと、何でもないよ。
639:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:41:10 1+qmxJFo
そうだ、藤岡くんの『お礼』、何にしようかな?
「うーん、だったら………」
少しだけ考えること数分。ちょっとだけ無理を言ってみる。
「魚が見たいなぁ」
当然、魚市場の方ではない。
「魚かぁ。うーん…………」
西伊豆にある、あの大きな水族館に行きたいな。
「ちょっと、遠いかな」
藤岡くんは、ややためらいがちに断った。
「藤岡くんの方だよ? 何でも願いを叶えるって言ったのは」
「うーん、おれたち、直接接点がある訳じゃないし、まだ会ったばかりだから、ちょっと……」
藤岡くんの様子を見るに、直接の関わりがない私と一緒に、
少し離れた水族館まで行くのは何かと気まずいらしい。
うーん、確かに。私と藤岡くんは、チアキとカナちゃんが居なければまず顔を合わせなかっただろうし、
いきなり遠い所へ行くのは、やはり気が引けるのかも知れない。
うん、そうだよね。歳が離れている上に、私はまだ小学生。だから、やっぱり難しいんだよね。
「うーん、それじゃあ千本浜公園に行きたいな」
千本浜公園とは、沼津駅から1kmほど離れた所にある砂浜に面した公園だ。
海水浴場もあるので、夏は毎年、内田やチアキ達と一緒に行くこともある。
「うん。それだったらいいよ」
「じゃあ、何時にしようか?」
「連休の最初の土曜日──つまり、来週の土曜なら空いてるよ。一緒に行こう」
「分かった。約束だよ」
こうして、私は藤岡くんの『お礼』をされることになった。
でも、これって、よく考えると……………、……………!!!
「で、で、デート??!!」
ぽっと、顔が赤くなったような気がした。
「ど、どうしたの? 顔、赤いよ?」
「え? う、うん……えっと、その……うん、な、ななな何でも無いよ? うん、何でもない!!」
私は必死に平静を装おうとした。でも、何かドキドキしてしまって仕方がない。
違うの! 私は藤岡くんのこと、そんな風には思ってないの! うん、そうだよ!
この時、何でこんなに必死だったのかは分からない。でも、何か、ドキドキしてしまった。
「じゃ、じゃあ、ま、ま、ま、また今度、また今度ねっ! バイバイ!!」
私はダッシュで歩道橋を渡り、住宅街を外れる一本道へと走って行った。
藤岡くんは、こんな私を見て、どんな風に思ったのだろうか。
ライラックの芽が顔を覗かせた。
芽は瞬く間に成長したけど、私はそれには全く気が付かなかった。
640:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:41:31 1+qmxJFo
途中、コンビニに寄ってアイスを奢って貰った。
私と藤岡くんは、ソフトクリームを食べながら2人で新幹線の下をくぐる。
猛スピードで風を切り裂く新幹線は、両方向からひっきりなしにやってくる。
ヒュンヒュンヒュンヒュンという鋭い音が住宅街に響き渡る。その音は、私の家の中に居てもよく聞こえる。
「そう言えば、お礼のこと……」
「だから気にしなくていいよ」
藤岡くん、律儀で嬉しいんだけど意外としつこいかも知れない。
「じゃあ、こうしよう。お願い! おれにお礼をさせて下さい!」
ぱんっ、と手を合わせて私の前で頭を下げる。
下げられた私は呆気にとられて目を丸くする。
「そ、そこまで言うなら………」
「君がしたいこと、行きたいとこ、何でもいいよ。何なりと申してください」
絵本の召使いの様にわざとらしく手を前に添え、深々と頭を下げる。
ちょっとおかしくて、笑ってしまった。
「え、おれ、そんなにヘンだったかなぁ」
頭を掻きながら苦笑い。藤岡くんはよく笑う人なんだなぁ。
「うん、ヘンだった」
からかうつもりで、ストレートに答えてあげた。
すると、藤岡くんは「そっか」と言ってまた笑う。笑顔が絶えない人だ。
私が一番好きなタイプの人かも知れない。
641:ライラック 2
08/06/23 23:41:56 1+qmxJFo
途中、コンビニに寄ってアイスを奢って貰った。
私と藤岡くんは、ソフトクリームを食べながら2人で新幹線の下をくぐる。
猛スピードで風を切り裂く新幹線は、両方向からひっきりなしにやってくる。
ヒュンヒュンヒュンヒュンという鋭い音が住宅街に響き渡る。その音は、私の家の中に居てもよく聞こえる。
「そう言えば、お礼のこと……」
「だから気にしなくていいよ」
藤岡くん、律儀で嬉しいんだけど意外としつこいかも知れない。
「じゃあ、こうしよう。お願い! おれにお礼をさせて下さい!」
ぱんっ、と手を合わせて私の前で頭を下げる。
下げられた私は呆気にとられて目を丸くする。
「そ、そこまで言うなら………」
「君がしたいこと、行きたいとこ、何でもいいよ。何なりと申してください」
絵本の召使いの様にわざとらしく手を前に添え、深々と頭を下げる。
ちょっとおかしくて、笑ってしまった。
「え、おれ、そんなにヘンだったかなぁ」
頭を掻きながら苦笑い。藤岡くんはよく笑う人なんだなぁ。
「うん、ヘンだった」
からかうつもりで、ストレートに答えてあげた。
すると、藤岡くんは「そっか」と言ってまた笑う。笑顔が絶えない人だ。
私が一番好きなタイプの人かも知れない。
642:ライラック 2
08/06/23 23:42:16 1+qmxJFo
「あはは、そういうことだったんだ」
私はやっとの思いで、私が中学校まで行った理由(わけ)を話した。
「おれもいつかお礼をしようと思っててね」
「あ、べ、別にいいよ。うん、大丈夫だから」
お礼のこと、覚えてたんだね。
「それにしても、私立は土曜日も授業かぁ。おれだったら土曜日は授業があってもサッカーをしてたかもね」
昔は市立も土曜日は授業があったらしい。それが、会社みたいに土日が休みになったそうだ。
「授業があるって言っても第二と第四はお休みだよ。それに、授業があるって言っても3時間だけだし、
3時間目は学活(学級活動)の時間だから、大したことはやらないよ」
「そっか」
それから藤岡くんは、小学校時代の話をしてくれた。
話を聞いていると、同じ小学校でも私立と市立はずいぶんと違うものなんだな、と感じた。
藤岡くんのイメージだと、私が通ってる学校は何だか窮屈なイメージがあるのだという。
「でも、吉野さんのこと見てると、そうでもなさそうだね」
「なんで?」
「何か、楽しそうだから」
「うん、楽しいよ」
「何だ。おれも私立に行けば良かったなぁ。
まぁ、うちは貧乏だから行くお金なんて無いし、そもそもおれがバカだから、受験しても落ちただろうね」
藤岡くんは半ば自虐的に言いながら、笑った。
「藤岡くんは、バカじゃないよ」
「どうして?」
わざと意地悪く訊かれる。
「うーん、根拠は無いけど……、藤岡くんは優しいし、しっかりしているから、それと……」
「それと?」
「えー……っと………」
「?」
藤岡くんはその場で立ち止まり、しゃがんで私に目線を合わせる。
興味深そうに私を見つめて、そして、頬笑む。
何か、恥ずかしくなって来ちゃった。胸も少しだけドキドキし始めた。
「有り難う」
「へ?」
少しだけ気まずい空気が流れた後、何故か私は彼にお礼を言われた。
間抜けな声でそれに答えた私は、恥ずかしさのあまり、思わず下を向く。
「そう言われると嬉しいよ。あと、自分で言うのもなんだけれど、サッカーだけは唯一取り柄があると思うんだ。
あまり上手じゃないけれど、もっと練習してみんなと一緒に県大会まで出場したいね」
「そっか。うん。私、応援するね」
「うん、有り難う」
話が途中で変わってしまったけれども、何とか上手くやれた。うん。私、頑張った。
643:名無しさん@ピンキー
08/06/23 23:49:29 TZJOvYYk
よいか?他の作品でもいえる事だけどなんか無理して褒めてるようにしか思えない
社交辞令もいいけど、ほどほどにしないと本人のためにもならないような気がするね
644:名無しさん@ピンキー
08/06/24 00:27:38 UVyycGQS
>>676
吉野キテタァァ――!! GJ!
黒くない吉野もかわいいよ吉野。
前作の吉野が黒かったから、そのギャップに萌えますw
つづきもwktkして待ってるよ
645:名無しさん@ピンキー
08/06/24 00:35:00 zg0S0WVk
まあ野暮なこといいなさんな
社交辞令だってそれで作品が投下しやすい環境になるなら
大歓迎だな。個人的には。
実際、楽しく読ませてもらってるし
684がどれほどの高いレベルをたかがエロパロスレに望んでるのか知らないが
本人のためを思うと、このスレを見るのはやめてプロの官能小説
でも読んだほうがいいんじゃないの?まじめな話、時間とかもったいないだろう?
646:久留里
08/06/24 01:21:35 +6Ugcu8x
>>685ほか
まいどおおきに。
自分で書いておいてアレだが、吉野は下手に動かすとキャラが壊れるから、
結構神経使う。(これでも結構気を遣ってるつもり)
それと、『みなみけ』の小学生サイドと『今日の5の2』の子達を混ぜると、色々な意味で面白くなる様な希ガス。
647:名無しさん@ピンキー
08/06/24 19:25:40 PIhx0YoQ
>それと、『みなみけ』の小学生サイドと『今日の5の2』の子達を混ぜると、色々な意味で面白くなる様な希ガス。
なぜ俺の考えてることがわかった!?さては貴様エスパーだな!
648:名無しさん@ピンキー
08/06/25 19:19:44 +xJPPSdP
藤岡×マコマダー?
649:名無しさん@ピンキー
08/06/25 21:04:09 1jCCN3TS
>>689
そんな事言ったら本当に実行する者がいるから気をつけろと(ry
650:名無しさん@ピンキー
08/06/25 21:35:42 iC7zvjzq
吉野パラダイスだな
ロリコンの俺は大いに結構。
651:名無しさん@ピンキー
08/06/25 23:41:15 caBdWMqA
吉野ー!! えぇぃ! 吉野はまだかーー!!!
652:名無しさん@ピンキー
08/06/26 02:40:30 p0KHzTX9
>>689-690
え……? そ……それは書けと言う自分へのキラーパスですか?!
俺のマコちゃんは108話まであるぞ!
嘘です自重します。。。
653:ぬしかさ
08/06/26 07:22:10 oLrsTiK3
吉野SS希望かいい?
あいにくハルカSS執筆中なんだよ
また今度ね
654:名無しさん@ピンキー
08/06/26 11:53:15 8mER9/oZ
ハルカ!ハルカ!
ところでチアキ分が足りなくなってきたんだが・・・
655:名無しさん@ピンキー
08/06/26 19:08:24 9e+9a0Gs
>>695
初心に戻って千秋×藤岡が見たいと申すか
656:名無しさん@ピンキー
08/06/26 19:18:07 hryVUAPW
それはまた素敵な話だ
657:久留里
08/06/26 20:55:50 dMWggcTA
>>692
私の方は『取材』してから書きますよ。
昨日第二次性徴について真面目に調べていたせいか、またネタが降ってきた。
寝る前に書けたら投下する。
>>693
つ【言い出しっぺ実行の法則】
658:名無しさん@ピンキー
08/06/27 01:14:23 ig0ole4X
>>698
寝る前に投下があると信じて、目をしょぼしょぼさせながら待ってますww
659:名無しさん@ピンキー
08/06/27 01:47:11 y9Qe8up1
>>696
千秋×冬馬とかよくね?
660:名無しさん@ピンキー
08/06/27 02:10:45 ig0ole4X
「おい、カナ。本当にちゃんと呼んだんだろうな?」
「お前は本当に姉を信用しないやつだな。さっきから何度もそう言ってるだろ?」
カナが学校から帰ってきてから、この質問はこれで5度目だろうか?
チアキはしきりに同じ事を繰り返し訪ね続け、その度にカナはめんどくさそうに同じ事を答えていた。
「ほらほら、二人ともケンカしないで。チアキもたまにはカナを信用してあげなさい。ね?」
「おい、ハルカ! 『たまには』ってなんだ! 『たまには』って!!」
――ピンポーン
「こんにちわ」
チアキの期待を一身に受け、南家の玄関に現れたのは藤岡。
チャイムの音を聞いた瞬間にチアキは走り出し、藤岡の体に飛びついた。
「会いたかったぞ、バカ野郎……」
小声でそう言う千秋。すると奥の部屋からカナが現れ、藤岡に事情を説明し始める。
「わるいな藤岡。チアキのやつがさ、『昨日藤岡が遠くへ引っ越す夢を見たからすぐに呼べ!』……ってうるさかったんだよ」
「あぁ、そう言う事……うん、オレは全然平気だから。どうせ暇だったし気にしないでよ」
「え? あっ、そう?」
あっさりと事情を飲み込んだ藤岡を見て、カナは不思議そうに首をかしげながら部屋へ戻って行く。
玄関で二人きりになったチアキと藤岡。藤岡はチアキのホイップに手を乗せ、頭を撫で始めた。
「これで少しは安心したかな?」
「わ、私は、お前が遠くに引っ越す夢を…………ほ、本当だぞ! 別に会いたいから嘘付いたとか、そんなんじゃ……」
何も言われていないのに必死に言い訳をするチアキ。
その顔は真っ赤で、嘘を付いているのは誰の目にも明らかだった。
「あははっ、声が裏返って顔が真っ赤だよ? 本当に嘘をつけない子だね。チアキは……」
「だから嘘じゃない……って! こら! 家では呼び捨てにするなとあれ程……ッ!!」
二人が玄関先でそんなやり取りをしているうちに、キッチンから玄関へ夕食のいい匂いが漂う。
中からエプロンをしたハルカが現れ、
「藤岡君、せっかくだし夕飯食べていくわよね?」
と聞くと、
「藤岡は夕飯を食べていきます」
と、藤岡よりも早くチアキが答えた。
その後もいつも以上に藤岡にべったりのチアキ。
藤岡にギュッと抱きついてみたり、体に頬ずりをしてみたり。
「カナ、今日はチアキがこんなだから、たまには洗い物するの手伝って」
「だ・か・ら!! 『たまには』ってなんだよ! 『たまには』って!! これじゃあまるで私が、普段は手伝いをしていないみた――」
文句を言いながらもハルカと共にキッチンへ消えていくカナを見送り、チアキは藤岡の体を上って肩に手をかける。
「藤岡、今なら誰も見て無いから……」
「見て無いから……何?」
「察しなさいよ…………バカ……野郎。…………ちゅッ……」
チアキは肩に掛けていた手を首に移し、藤岡の唇へ自分の唇を押し付ける。
藤岡は二人が戻ってこないかキッチンに目を向けながらも、チアキのキスに答え続けた。
「おーい、お前ら! 食後のデザートはいかがする?」
キッチンから聞こえてくるカナの声に驚き、慌てて藤岡から離れるチアキ。
「い、……いるに決まってんだろ! このバカ野郎!!」
そう答えると、チアキは再び藤岡の体にしっかりと抱きつく。
そんな姿を見て、藤岡はある事を疑問に思っていた。
「ねぇ、チアキ……ちゃん。オレ達の事、一応二人には内緒にしてるんでしょ?」
「ん? あぁ、カナにバレるとめんどくさそうだしな」
「じゃあさ、さすがにこんなにひっついてちゃ不味いんじゃないの?」
確かに二人は今日、あまりにも不自然な程くっついていた。それもカナとハルカ、二人の目の前で。
それでもチアキは余裕の表情で答えた。
「大丈夫だ。この日の為に、『カナがいなくなる夢を見た』って前にも同じ様にしといたから……多分何も疑われてないよ」
この日、策士チアキは藤岡とべったりな一日を堪能したという……
661:名無しさん@ピンキー
08/06/27 02:12:20 ig0ole4X
うへ……間違って先に投稿してしまった。
投下待ちの間に暇だったので、チアキ×藤岡(メルト)の続きをば1レスだけ書きました。
吉野はまだかーー!!
662:ぬしかさ
08/06/27 04:21:57 ztfuvsWh
「いけないこと 前編 」
速水 「やっほーーー」
ハルカ「速水先輩、いらっしゃい。マキとアツコは一緒じゃないんですか?」
速水 「とある先輩に捕まってたから、けっこう遅れてくるかもね」
ビニール袋を片手に、速水がやってくる。
今日はバレー部の面々が南家に集まろうということになっていた。
ハルカ「先輩、その袋は?」
速水 「これ?高級ジュース。もう飲んじゃおっか」
ハルカ「じゃあ私が・・・」
速水 「いいのいいのっ、私が注ぎ分けるからさ」
高級ジュースのラベルをハルカから見られないよう袋から取り出し、台所へと向かった。
ガサ・・・
放り出された袋には、まだ何か入っているようだった。
ハルカ「他にも何か持ってきてるんですか?」
速水 「ああそれ、読んでていいよ」
袋から取り出したそれは、なにやら雑誌のようだった。
ハルカ「『イチャイチャハーレム 女子高生乱舞の巻』?変わった名前ですね」
変な名前ながらも、興味が湧いたのでパラパラとめくってみた。
ハルカ「・・・え?」
ハルカの目に、女子高生のあられもない姿の写真が飛び込んできた。
ハルカ「先輩っ、これ・・・これ!?」
速水 「んー?」
ハルカ「なんですかこれは!!」
速水 「なになにー?あーそれね」
高級ジュースを注いだコップをもって速水が戻ってきた。
速水 「エロ本だけど」
ハルカ「だけどじゃありません!なんでこんなものを買ってるんですか!」
速水 「おもしろいよ」
ハルカ「おもしろくありません!こんなっ・・・その・・・あの・・・」
速水 「性交で乱交で卑猥なもの?」
ハルカ「そうです!ああっ、そうじゃなくて!いえ、そうですけど・・・」
おかしなものを見てしまったせいで、すっかり混乱してしまったハルカ。
速水 「まあまあ落ち着いて。さあ、これをグイッっといっちゃって落ち着こう」
ハルカ「はあ・・・もう、いただきますっ」
冷静さを失ってしまったハルカは、渡された高級ジュースがどんなものかを確認せずに飲んでしまった。
663:ぬしかさ
08/06/27 04:22:28 ztfuvsWh
ハルカ「ん・・・ぷはぁっ」
速水 「お、いけるじゃない」
ハルカ「それよりも、こんなものをウチに持ち込まないでくださいっ」
速水 「いやー、ハルカちゃんは興味があるんじゃないかと思って」
ハルカ「ありませんっ」
速水 「えーホントに?例えばさ、これとか・・・」
ハルカ「きゃあっ、もう!見せないでくださいっ」
速水 「これは騎乗位って言うんだって。プロレスみたいで面白いでしょ」
ハルカ「おもしろくないからっ!だいたいこんなの私たちにはまだ・・・」
速水 「あ、この上に乗ってる子中学三年生なんだって」
ハルカ「早いっ、早すぎる!」
高級ジュースの成分が回ってきたのか、ハルカの挙動がおかしくなり始めた。
ハルカ「もっと・・・こう、健全に・・・」
速水 「恋愛もエロも自由だからねー」
ハルカ「でもこんな、いやら・・・しいものなんて」
速水 「気持ちよければそれで良し、なんじゃない」
ハルカ「そんなの・・・ああ・・・」
フラ・・・ フラフラ・・・
ハルカ「やだぁ・・・・・・」
ドサッ
完全に酔いが回り、ハルカは倒れてしまった。
速水 「あら、ハルカちゃーん?」
ハルカ「う~ん・・・・・・」
速水 「こんなところで寝ちゃうと、お姉ちゃんがいけないことをしちゃうよー」
ハルカ「すぅ・・・」
速水 「ホントに寝ちゃったわ」
ハルカは速水の前で、無防備な寝顔と可愛らしい寝息をさらけ出してしまっていた。
速水 「んっふっふ~♪」
速水の目が怪しく見開かれた。
664:ぬしかさ
08/06/27 04:23:27 ztfuvsWh
速水は酔いつぶれたハルカを、ハルカの部屋へと抱えていった。
そしてハルカをベッドに寝かせる。
ここまでだったら、面倒見のいい優しい先輩だといえるのだが・・・
速水 「これはもう、どうぞご自由にーってことよね~」
これではもはやエッチなお姉さんとしかいえない。
実は速水、南家に来る前に高級ジュースを2本ほど煽っていた。
理性のリミッターはすでに完全解除されている。
速水 「じゃあまずは体を改めさせてもらおっか」
速水はハルカの服を手際よく脱がせていく。
速水 「ほほう、真っ白ですか。そそるわね~」
少しもしない間に、ハルカは白のブラとパンツのみの下着姿となった。
速水 「綺麗な体ね~、無垢な子供のようだわ」
まずは胸を鷲掴みする。
ハルカ「んっ・・・・・・」
速水 「これはっ!私といい勝負ね・・・」
大きさ、形、柔らかさ、揉みごたえをしつこく確認する。
ハルカ「んっ・・・うんっ・・・・・・」
揉むたびに、ハルカの唇から声が漏れ出てくる。
速水 「さてさて」
ブラに手をかけてめくりあげた。
ふくよかな乳房とピンク色んの乳首が露になる。
速水 「いっただっきまーすっ」
カプッ
速水はハルカの胸を甘噛みする。
そして舌先で乳首を転がす。
ハルカ「あっ・・・・・・あんっ・・・・・・」
ハルカの寝息が、卑猥な喘ぎへと変貌する。
665:ぬしかさ
08/06/27 04:23:55 ztfuvsWh
速水 「ハルカちゃんってば、ホント可愛いわね」
速水は両手を胸から腰へと、撫でるように移動させる。
ハルカの引き締まったウエストをなぞるように撫で下ろしていく手が、パンツの両サイドに掛かる。
速水 「本日のメインディッシュー♪」
そのままスルスルとパンツがずり下ろされ、ハルカの陰部が露出した。
速水 「もしかして、ハルカちゃんにここまでしたのは私が初めてだったりする?」
ハルカ「んん・・・・・・」
寝ているので返事はなし。
速水 「まいっか。それじゃ、ハルカちゃんの処女もーらい♪」
速水はハルカの陰部に顔を突っ込む
ピンポーンッ
まさにその直前、インターホンが鳴った。
『ハルカー、おじゃまするよー』
『あれ、居ないのかな?』
玄関から聞き覚えのある声。
速水 「あちゃ、残念。もー来たか」
速水はハルカの下着を元に戻し、そのまま布団を掛ける。
ガチャッ
マキ 「ハルカー?」
布団を掛け終えた時、部屋のドアが開き、そこからマキが顔を覗かせた。
マキ 「あれ、速水先輩?来てたんですか」
速水 「うん、ちょっと前にね」
アツコ「ハルカ、寝てるんですか?」
速水 「私が来た時にはリビングでうつ伏せしちゃってたからねー」
マキ 「なら起こすのもなんですし、向こうで騒ぎましょうか」
速水 「よーし、行こ行こー」
マキ、アツコ、速水がハルカの部屋から出ていく。
速水 「ふむ・・・」
速水がドアを閉める前に、ハルカのほうを振り返る。
さっきまでの喘ぎ声は止み、小さな寝息のみが聞こえる。
速水 「やれはて、ハルカちゃんのバージンは誰が奪っちゃうのかしらね」
そして速水は音を立てないよう、ゆっくりとドアを閉めた。
つづく
666:名無しさん@ピンキー
08/06/27 12:39:18 GzL958fr
GJ!
速水先輩大好き&百合大好きな俺歓喜www
そのうち冬馬も速水神への生贄になればいいのに。
667:名無しさん@ピンキー
08/06/27 18:00:02 r5a0DhgL
GJだけど他の人が投稿した直後に間隔をあけずに投稿するのはどうなのかな
668:名無しさん@ピンキー
08/06/27 18:37:13 UAV/zbMv
ならばあえて>>701にGJと言おうじゃないか!
そして>>706にもGJと言おうじゃないか!
669:名無しさん@ピンキー
08/06/27 19:42:42 q+ly1Ezz
>>708
自分が投下しようか迷いがあって、誰か投下するのをみて投下する気になるのはいいが、
間髪なく投下して感想とか書きづらいしちゃう無神経な奴多いよな。
670:名無しさん@ピンキー
08/06/27 19:51:52 SQvQT94m
何か直前の番号が飛んでるけど、構わず>>701,706に最大限のGJを送ろう!!
メルトは大のお気に入りなんですぜ、兄貴。
671:名無しさん@ピンキー
08/06/28 01:32:21 n1oEgjha
>>706
乙
内容そのものは悪くないけれど、投下宣言や、注意書きを書く等、
それから台本形式なところは直した方が良いと思います。
>>708
>>710
間と言うだけなら、二時間は空いてる訳だけどな。
672:名無しさん@ピンキー
08/06/28 02:10:29 qh3iYJs2
この野郎氏はここを離れてスクライドスレに住み替えたのか…
せめて藤岡×アツコ完結させとほしかったぜ
673:名無しさん@ピンキー
08/06/28 02:20:28 iRl/xgt7
>>708
>>710
>>712
ごめん 配慮が足りなかった
これからはちゃんと投下OKか確認するように努めるよ
674:名無しさん@ピンキー
08/06/28 03:05:46 hhObO8/f
>>714
中途半端に1レスだけ投下してすまなんだです……小ネタだったし、全然気にしないで下さい。
そしてGJ。無抵抗なハルカいいなぁ……わっふるわっふる! 何気にケイコの続きも期待してます。
>>713
漏れは今もこのスレに寄生しているよ!!
675:名無しさん@ピンキー
08/06/28 12:12:11 /9qIB7DB
何気に
佐藤×相原を見てみたくなったww
676:名無しさん@ピンキー
08/06/29 15:20:20 IAm21cpb
佐藤・マコト×チカ・千秋というのも(ry
677:名無しさん@ピンキー
08/06/30 03:17:20 GX/wUr/7
チカちゃんは可愛いよ、と
何気に今日の5の2の方が好きだったりするのは俺だけだな‥‥多分
678:名無しさん@ピンキー
08/06/30 05:01:42 RlWMN3jC
やっぱりチカxカズミかな
そして返り討ち
679:名無しさん@ピンキー
08/06/30 08:25:59 +IMjdqI3
>>718
まさか同志を発見できるとは思わなかった。みなみけも好きだけど。
680:名無しさん@ピンキー
08/06/30 12:13:20 y0KoEpGK
これは、みなみけ×今日の5の2でクロスSS書いても良い流れなのか!!?
681:名無しさん@ピンキー
08/06/30 18:40:58 N6eGJPID
>>721
神がそれを聞くか?
神のお望みのままにお書きくだされ
682:名無しさん@ピンキー
08/06/30 23:57:53 hCs1gJug
マキ×藤岡って今まであったっけ?
なかったら見てみたい…あの二人面識なさそうだが
683:名無しさん@ピンキー
08/07/01 00:31:54 p1knmSwO
シュウイチの一人称って「オレ」「僕」のどっちだかわかるヤツいる??
>>717っぽいものを書いてるんだが、援護射撃とかしてくれるとうれしいかもしんない
684:名無しさん@ピンキー
08/07/01 01:07:07 F1HQhGHd
>>724
シュウイチが一人称を話してるシーンはないみたいだから、
好きにしちゃっていいんじゃないかな
685:名無しさん@ピンキー
08/07/01 01:14:56 p1knmSwO
>>725
サンクス。じゃあ適当に「オレ」ってことにしときます
686:名無しさん@ピンキー
08/07/01 03:09:37 9pCmhY2G
真っ先に相原×マコが思い浮かんだのは自分だけなのか?!
687:名無しさん@ピンキー
08/07/01 14:26:52 p1knmSwO
>>717っぽいものが出来たので投下します。
*このSSは「みなみけ」と「今日の5の2」のクロスオーバーです。片方しか知らない方、ゴメンナサイorz
*エロもなければチラもなし、オチすらありません。過度な期待はしないでください。
*チカちゃんを嫁にしたいです。
688:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:27:39 p1knmSwO
「必殺っ!チョーク手裏剣!!!」
「こらっ、やめろよマコト──」
些細なことから始まった追いかけっこ。
距離が開いていたための最終手段としてマコトが取った行動だった。もはや『掃除の時間』などという単語は既に彼の頭の中からは消え去っているだろう。
だが、そこへ一人の少女が通りかかる。
箒を片手にせっせと教室のごみをかき集めているその頭には、そう・・・あえて形容するならば、泡立てたホイップクリームのようなトンガリが一つ。
標的となったシュウイチとチョークを投げたマコトの直線状を、ちょうどさえぎるようにして少女は立っていた。
「あっ!チアキ危なっ・・・・あれ?」
「‥‥ん?何だ、マコト」
「い、いやぁなんでも・・・」
チアキの質問に苦笑いで答えつつも、視線はキョロキョロと床をさ迷っている。
ハテナ顔で去っていくチアキを冷や汗ながらに見送って、本当ならば今頃チョーク手裏剣の直撃を喰っていたであろうシュウイチと合流した。
「おい、投げたチョークはどこに行ったんだ??」
「お、俺もいま目つぶってたから・・・」
二人して辺りを見渡す。
あれほどピカピカで、使った形跡すら皆無だった赤いチョークは欠片すらも見当たらない。
「まさかシュウイチ、お前・・・給食のコッペパンじゃ食い足らず、チョークにまで手を出したんじゃねーだろうなっ!!」
「誰があんなもん食うかっ!!そもそもチョークなんて食べられるわけ──」
自分が知る限りの世間一般的常識をマコトに叩き込もうとした、その時。
饒舌にまくし立てるシュウイチの口が誰かの手で覆われた。
689:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:28:06 p1knmSwO
ツンツン頭の小さな少年・・・佐藤リョータ。
「ふっふっふ・・・キミタチ、チョークは実は美味しいという事実を知らんのかね・・・?」
「「はぁ??」」
面白いように揃って首をかしげる二人の目の前に、先ほどなくしたはずの赤いチョークが差し出された。
「なんだよリョータ、いきなり見えすいたウソを言いやがって・・・」
「分かってないねぇ。最近のチョークは安全性を踏まえて、小さい子供が間違って食べてもダイジョーブなように・・・」
怪訝な目を向ける二人に向かって、さも美味な食べ物だと言わんばかりにずいずいっとチョークを突き出すリョータ。
「甘くて美味しくて、しかも女性に優しいカロリーオフなのだよ!!」
「ほ、本当かっ!!?」
目をきらきらと輝かせ、いち早くその手からチョークを奪い取ったのはマコトだった。
未知の『食べ物』を前にして、ごくっと唾を飲み込む。
一呼吸おいて、いざかぶりつこうとめいっぱい口を開けた。
「コラーっ!リョーターっ!!」
「あてっ!」
歯とチョークが触れる数ミリ手前の時に横から聞こえたのは、スパーンという小気味いい音。
遠くから投げられた上履きが見事にクリーンヒットし、頭から倒れこむリョータ。
690:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:28:52 p1knmSwO
踵に書いてある上履きの主の名前。そこには“小泉チカ”と記されていた。
「何ヘンなこと教え込んでるのよ!チョークなんて食べられるわけないじゃない!!」
「何だよ!だいたい最初にチョーク食べられるなんてウソついたのお前だろ!?」
自分が投げた上履きをしっかり履きなおしてから、寝そべったままの幼なじみに仁王立ち。
お互い知った仲だからなのか、遠慮の欠片もないすごい剣幕で言い争いを始めた。
「アレは引っかかるリョータが悪いのよっ!大体あんなの少し考えたら分かることでしょ?!」
「じゃあ今のだって騙されたマコトが悪いってことになるだろっ!!」
「自分が騙されたからってそれを人にやっちゃいけないの!」
「じゃあお前はオレがどうなってもいいっていうのかよっ??!」
「いいもーん!!リョータなんか、こうしてやるっ!」
「ちょっと待っ、ぐあっ!」
うつ伏せのまま反論し続けていた幼なじみにヒップドロップをかましてそのまま馬乗りになる。
他人が入り込む余地など、ここにはありはしなかった。
周りが口々に「また痴話ゲンカがはじまったよ・・・」と呟く。
しかし、その流れを断ち切らんかのごとく、大きく踏み出した一歩の地響きが教室に響いた。
「・・・おい、そこのバカ野郎ども」
ゆらり。
まさにそんな言葉がふさわしい。何やら不気味なオーラに包まれながら、今までおとなしく掃除をしていたはずのチアキが渦中に飛び込んできた。
「誰がバカ野郎だ!誰がっ!」
「たとえば・・・お前だよ。そこの女の尻に敷かれたハリネズミ」
「オレかよ!!」
普段は一見おとなしく、何を考えているか分からないミステリアスな雰囲気を纏ったチアキは、リョータにとってカズミと並んで苦手な存在だった。
それ故にあまり話したこともなく自分が話を振られることはない・・・と、たかをくくっていたのだが。
「お前、さっきのチョーク‥‥いったいどこから取ってきた?」
「え・・・それは、その」
691:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:29:36 p1knmSwO
リョータは急に気まずそうな顔をする。
それもそのはず。もしかしたら本人の所有物かも知れないものを、その場のノリで勝手に奪い取ったのだから・・・。
「ゴメンナサイっ!南の頭に刺さってたヤツを抜き取りましたっ!!」
「・・・そうか」
呟きながら、チアキは自分の頭にあるホイップの部分に手をやる。
そこには確かに、指が一本入りそうな‥‥チョークがさっきまで刺さっていたような形跡があった。
「なぁ、南・・・ひとつ聞いていいか」
「何だ」
「その・・・頭にチョークを刺して髪飾り代わりにするのも、お前のファッションのひとつだったのか‥‥??」
「そんなファッションがどこの世界にあるんだこのバカ野郎ッ!!」
リョータのまるで珍獣を相手にするような、たどたどしい問いかけに呆れつつも答える。
チアキは大きなため息を一つついて、くるりと回れ右。
そこには、チョークを野に放って今回の騒動となる元凶を作り出した張本人がいた。
チアキの眼力がもう既に言葉を発していた。
『またお前か』・・・と。
「‥‥イヤっ、何でそこでいきなりオレになるんだよチアキっ!!」
「ここまでバカなことをするヤツを、私は二人しか知らない」
グーになったままの右手を出すと、その人差し指と中指でたった二つのカウントを開始する。
「一人は私の愚姉であるカナ・・・だがカナは中学生だ。当然、小学校(ここ)にいるはずもない。となると・・・」
チョキの指を、そのまま目の前の人間‥‥マコトに突き出した。
「お前以外に誰がいるんだよ、このバカ野郎!」
「だから勘違いだって言ってんだろ!!オレはシュウイチにチョークをぶつけようとしただけで・・・・あ」
隣にいたシュウイチが小さく「バカ‥‥」と呟いて顔を伏せた。
692:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:30:19 p1knmSwO
「・・・ポリバケツを持ってこい。今すぐだ」
「イヤソレ無理むりっ!いくら何でも腕が──」
「うるさいよっ!バカでどうしようもないバカ野郎はバカみたいに大きなポリバケツでも持ってればいいんだよこのバカ野郎ーっ!!」
「う・・・うあああぁあああぁああぁぁぁあぁんっ!!!ハルカさぁあーんっ!!」
泣き叫びながら、廊下へと走り去っていくマコト。
「‥‥アイツ、今ハルカ姉さまの名前を口にしたな・・・せっかく空のポリバケツで我慢しといてやろうと思ったんだが、やっぱりいつも通り水も追加しておくか」
「あ、あははは・・・」
遠ざかっていく叫び声を苦笑いで見送る一同。
ふと、聞こえてくるチャイム。
‥‥それは授業開始、5分前を告げる予鈴のチャイムだった。
「‥‥ありゃ?」
「このバカ野郎ども・・・今が、いったい何の時間だったか言ってみろっ・・・!」
チアキの獲物は箒。だが他の面々の手には・・・何もない。
戦いで言うならば、戦意喪失。ぶっちゃけ掃除する気なんかありませんよー、という何よりも明確な意思表示でもあった。
「よ、よーし!みんなっ、頑張って掃除をするぞーっ!!」
「「「おーっ!!」」」
いち早くチアキの怒りを察したチカが号令をかけると、まるで蜘蛛の子でも散らすようにそれぞれの持ち場へと離れていった。
チアキの「まったく・・・」という呟きは、みんなの耳に入ったのか入っていないのか。
「チアキちゃん、ごめんね・・・うちのリョータが」
「‥‥いえ、こちらこそうちのマコトが迷惑をかけまして」
693:みなみけ×今日の5の2
08/07/01 14:30:44 p1knmSwO
向かい合ってお辞儀する二人。
一致団結した時の力は小学生といえどもすごいもので、予鈴がなるまでほとんど手付かずだった掃除を瞬く間に終わらせてしまう。
やるべきことをやり終えて一息ついてるチアキの横には、同じく先ほどまで掃き掃除をしてたチカがいた。
「アイツ、昔っからあぁなのよね・・・普段はただのバカなのに、遊びや食べ物のことになると途端に悪知恵を働かせるよーなヤツで」
「マコトなんて何があっても常にバカだぞ」
「あはは・・・でもいいじゃん、分かりやすくて」
「どうだろうな。私の明晰な頭脳にはあのバカは合わないらしい」
「ふふ、どうだろうね‥‥」
意味ありげな笑みを浮かべながら、またいつもの二人とバカ笑いをしているリョータを一瞥する。
「でもあんなバカなやつだけど、たまに私じゃ思いもつかないようなことをやってたり‥‥なんかアイツといると、飽きないのよね」
「そうか・・・チカは大人だな」
「そうかな?慣れてるだけだと思うよ」
5の2の教室に本鈴のチャイムが鳴り響いた。
それに伴い、各々教科書やノートなどの勉強道具を準備し始める。
「私も行かなきゃ。じゃ、また後でね!」
軽く右手を上げて自分の席へと走り去っていくチカ。通りすがりにリョータの頭をこつんと小突く姿が見えた。
チアキも席へと歩を進める。マコトはというと、いまだに教室の端で律儀にポリバケツを抱えている。
自分とは全く思考回路が異なる人間。
でもそれゆえに、自分じゃ考えもつかないことを思いついてしまう人間。
「まぁ、そういう考え方もあるか・・・」
授業が始まる。
5年2組は今日も平和だ。
694:名無しさん@ピンキー
08/07/01 14:32:26 p1knmSwO
以上です。チアキが鬼畜キャラになってしまって少し後悔。
プレーンヨーグルト?何それ美味しいよね!!
最後のチカとの絡みでさり気なくチアキ→マコトな描写をしようかとも思いましたが、これ以上チアキのクセが強くなってもアレなのでやめときました。
695:名無しさん@ピンキー
08/07/01 18:16:03 Lpfc9rfo
3年後もみなみけ17話から見れないんだけどこれって
696:名無しさん@ピンキー
08/07/01 19:23:06 hoWj6Kfy
マキ×藤岡マダー?
697:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:38:44 9pCmhY2G
>>735
乙J
ちょっと5の2を見返してみたら、チカちゃん可愛いよチカちゃん
698:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:44:51 Wb+zKk1B
>>735
神ktkrwww
みなみけと5の2の設定が両方生きてるな。上手いわ
699:名無しさん@ピンキー
08/07/02 01:28:08 /vMXv6ZP
>>735
激しくGJ!!!!
ところで、ここに出てくる小学校は私立? 公立?
チアキの学校の制服来たチカちゃん達を見てみたい。
どうでもいいけど、沼津市実際に行ってきた。
みなみけ沼津化計画は可能と判断した。
700:名無しさん@ピンキー
08/07/02 03:34:10 yQ13lnsn
5の2はメグミが好きです。
ところで黒ケイコ続きマダ?
701:名無しさん@ピンキー
08/07/02 06:34:13 Fknn3IYR
まだ待って
702:名無しさん@ピンキー
08/07/02 11:40:08 T1Be7oQl
ハル×マコまだ?
703:名無しさん@ピンキー
08/07/02 12:54:06 soOZA9I3
ここはクレクレ厨ばっかりですか
704:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:31:06 S0USGzo/
みなみけ×5の2のクロスSSな流れと言う事で、
相原(5の2)×マコト(みなみけ)を4レス程。
微エロ
705:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:31:40 S0USGzo/
――バキンッ……バキッ…………ガリッ……
給食を終え昼休憩の時間、
チアキは一人、椅子に座ったまま教室で考え事をしていた。
(なんだ、このラップ音の様なものは……?)
確かに、教室に響く奇妙な音。チアキはその正体が気になってずっと考えていたのだ。
と、その時、大慌てで内田が千秋に駆け寄ってくる。
「チ、チアキ!! 大変だよ、大変!!」
「うるさい。私は今考え事をしてるんだ。後にしてくれ」
「うぅ……っ」
いつも通りの少し冷たい目でチアキにそう言われ、思わず後ずさりする内田。
しかし今日は内田にも引けない事情があった。
思い切って一歩前に踏み出し、チアキの耳元で囁く。
「あのね……相原さんの方、見て……」
「なんだ? 相原? 相原がどうかしたの……――あっ……」
――バキッ! ガジガジッ、ボキッ!!
チアキの目に映ったのは、チアキより不機嫌な様子でシャーペンや鉛筆、果ては消しゴムまでかじる相原の姿。
それを見たチアキと内田の二人は、顔を見合せてプルプルと震えだす。
「おい、相原が変な物をかじってる時って……」
「うん。多分、乳歯が抜けそうなんだと思う……」
チアキの頭に、鮮明に残る苦い思い出ならぬ痛い思いで。
約3ヵ月程前、同じ様な光景を目にした千秋は、
「おい、相原。いくらお腹が空いてるからって、そんな物食べたらお腹こわしちゃうぞ?」
と、鉛筆を取り上げ助言したことがあった。
……しかしその時、相原は何も言わず千秋の手を掴み、そのまま指を――ガブッ!
チアキが驚いて小さな悲鳴を上げると、相原は
「ごめん、間違えちゃった……」
そう謝って、その後も鉛筆をかじり続けた。
後にチアキは、その行動は乳歯の生え変わりの時に行われるものだと知ったのだ。
その事を思い出したチアキは、思わず眉をひそめてかじられた人差し指を隠し、
内田も同様に耳たぶを隠した。
706:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:32:04 S0USGzo/
「リョータは……リョータのバカ野郎はどうした!」
「それが……今日は風邪ひいて学校お休みなんだって……」
「何?! バカが風邪ひいてどうする! あいつがいないと誰が生贄になるんだ!」
二人の会話に出てくるリョータと言う少年。
どうやら相原の口には彼の指が一番落ち着くらしく、
歯が抜けそうになる度に、リョータの指を咥えたりかじったりしていた。
そうして今まで『5の2』の平和は保たれていた……
しかし、今日はその生贄リョータが不在。相原はいつ誰に襲いかかってもおかしくないと言う危険な状態。
「……あっ、筆箱の中身……全部無くなっちゃった……」
「な゙っ!!」
「ひぃっ!!」
相原の一言に己の身の危険を感じた二人は、慌てて代わりの生贄を探す。
一番どうでも良くて……上手い事話しに乗せる事が出来そうなバカな子供を……
「マコトだ!!」
「マコト君!!」
二人は声を合わせてそう叫び、窓の外を眺めながらハルカの事を考えていたマコトを呼び寄せた。
「なんだなんだ? 南から俺に声をかけるなんて珍しいじゃないか!」
「いいか、良く聞けマコト。お前を男と見込んで頼みたい事がある」
「俺を……男と見込んで?!」
チアキからの予期せぬ一言にマコトのテンションは一気にMAX。
「よ、よし! この男気あふれる俺に任せとけ!!」
と、頼みごとの内容を聞く前にOKをしてしまった。
「そうかぁー、俺は男と見込まれてしまったのか……あははっ、いやぁー、まいったなぁ」
顔をニヤつかせて浮かれるマコトをよそに、
チアキと内田は、それはそれは不気味な笑みを浮かべた。
そしてチアキからマコトに出された命は一つ。
『――相原の前に指をさし出してこい。バカ野郎』
「相原に? ……って、南! 今バカ野郎って言わなかったか?」
「いいから行ってこい。お前、男だろ?」
最後の『バカ野郎』の一言と、命令の意味がよく分からない事に首をかしげながらも、
男と見込まれたと思っているマコトは、言われた通り相原の方へと向かったのだった。
707:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:32:49 S0USGzo/
「おーい、相原。ほらっ!」
「何? これ……?」
マコトは相原の一つ前の席に座り、言われた通りに人差し指を差し出した。
「んー、俺も良く分からないんだけどさ、南がこうしろって」
「チアキが……?」
相原がチアキの方を見ると、チアキは何も言わず歯をガジガジさせ、コクリと頷く。
それを見た相原は、何かに気づいたように頷き返し、マコトの手を握った。
「そう言う事だったの……それじゃあ遠慮なく……」
「え? あっ、あぁ! なんてったって、俺は男と見込まれてるからな! 遠慮なく……って、えぇ?!」
「あむっ……ちゅぱっ、んっ……」
突然指を咥えられ慌てるマコト。
そして、何かを確かめるかのようにその指を咥え、丹念に舐めまわす相原。
マコトの指を相原の柔らかい唇の感触と、ヌルヌルした舌の感触が襲う。
「あ……相原、どどど、どうしたってんだよ、急に!?」
「んっ、んんー……ちゅぷっ…………んー、やっぱり佐藤くんの方が太くて大きいかな……」
もちろん指的な意味で言ったのだが、この一言がマコトの心に引っかかる。
「なっ! お、おい、相原! 何だか良く分からないけど、今の言葉は俺の男気的にNOだぞ!!」
思わず興奮して立ち上がったマコト。すると、相原の視線は大きく膨らんだマコトの股間へ注がれた。
「マコト君……それ……」
「え? あっ、うわぁ! ちっ、ちがうぞ相原! これは、その、唇が……えっと……」
「指より太くて大きそう……それならしっくりくるかも……」
そう言って相原が股間へ手を伸ばすと、マコトは慌てて飛んで逃げる。
「お、落ち着け相原! こんな人前でそんな事……」
「そっか……人前じゃ恥ずかしいもんね。トイレ……いこっか……」
逃げようとするマコトを、ネコの様な持前の瞬発力で背後に回り込み首根っこを掴むと、
相原はそのまま教室を後にしたのだった。
「あ、相原。俺、男だから一緒にトイレは無理だぞ? だから、な?」
「大丈夫。マコト君女の子みたいな顔してるから……平気……」
「いや、でも俺にはあふれ出るワイルドさが……あっ、ちょ、ちょっと? ねぇってば! 俺の話しをきいてー……!」
――バタンッ
相原、マコトをトイレに連行完了。
708:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:33:22 S0USGzo/
「相原、やっぱまずいって……こんな事……」
「大丈夫……ちょっと試してみるだけだから……」
抵抗空しくマコトは結局ズボンをおろされ、ついに最後の砦トランクスまでもおろされてしまった。
「すごい……思ってたよりずっとおっきくて太い……」
喜んでいるのか、相原は少し頬を赤らめてそう言うと、
マコトの前でしゃがみ込み、ゆっくりとソコへ向けて口を近づけてゆく。
「これ……汗のにおい……?」
近くまで寄ると、その独特のにおいに一瞬ピタッと動きを止めた相原。
しかし、すぐに動きを再開すると、今度は怯むことなくマコトのソレを口の中へ頬張った。
「んっ、んー……ちゅぱっ、んっ、……ちゅっ……」
「ふぁっ、あっ、……相原、そんな……だめ……だって」
相原はさっき教室でしたように、唇と舌を使い同じ事を繰り返す。
しかし、マコトは違う。さっきは指先だけに感じた快感が、
今度はソレを通じて体全体を強烈な快感が襲っていた。
「ちゅぷっ……んっ、ぷはぁっ、……すごい、コレだった。しっくりくる……太さも、硬さも……」
「はぁっ、ハァッ……そう、ハァッ…………ふあぁっ!」
息を荒くして顔を真っ赤にしているのは、相原と言うよりもマコトの方だった。
まるで余韻に浸る様に、行為が終わった後も体をブルッと震わせて喘ぎ声を上げている。
「ねぇ、マコト君。次は本番……してみて良いよね?」
「本番って……な、なに?」
「んー……さっきは舐めただけだから、今度はもっと激しく……本番」
いまいち理解できないマコトだったが、この『本番』と言う言葉に何故かものすごい魅力を感じてしまい、
本能のおもむくままに、思わず首を縦に振ってしまう。
「それじゃあ……本番。いくね…………あむっ……んっ……ちゅぷっ……」
「うっ……ぁ、そんな奥まで……き、気持ちいぃ……」
「……………………ガブッ……」
「……え? ガ、ガブッ? あの……ま、まさか噛ん……」
「ガブガブ……ガジガジ……」
『――い、いやあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
この時のマコトの悲鳴は、約30m離れたチアキの耳にまで届いたという……。
そして後にマコトは語る。
「あの時、本当に女の子になりそうになった……」
……と。
おしまい
709:この野郎 ◆9iVe4Scw5Q
08/07/02 15:38:47 S0USGzo/
もうハルカ×マコと、藤岡×チアキが長すぎて完成する気がしない
誰かスタイリッシュにSSを短く納める方法を教えてくれ!
710:名無しさん@ピンキー
08/07/02 17:46:11 sS+bQViE
まだ続いてるSSはいくつあるの?
711:名無しさん@ピンキー
08/07/02 19:46:41 oIe4/dEn
>>750
GJ!
ならば触りだけ書いたアツコ×藤岡や速水×藤岡を先に完結させるか、新天地としてマキ×藤岡を書く作業に取り掛かるんだ!
712:プレーンヨーグル
08/07/02 21:34:56 wCu2uuQK
みなさんお久しぶりです。ちょいと忙しかったのでカナ×藤岡の裏側で繰り広げられている小学生組恋愛を急ピッチで書いてます
当初はチアキ×シュウイチにしようかと思ってたら、他の小学生組も絡ませて誰と誰を結ばせるか思考しながら書いてる所存です
713:久留里
08/07/02 22:04:02 /vMXv6ZP
容量は………まだまだ余裕ですね。
>>753 先に投下しますよ?
『ライラック 3.』
・アニメ無印版基準(but シリアス展開)
・吉野×藤岡、吉野視点
・エロなし
・多分 5 レスほど使用。
・現実の沼津市とは一切関係ありません。
・このSSはみなみけの(ry 間違っても過度な期待はしないで下さい。
・あと、本物の『イーラde』は噂の通り本当にショボかったです。
714:ライラック 3. -1/5-
08/07/02 22:05:20 /vMXv6ZP
3.
ゴールデンウィーク最初の土曜日──。
「夕方には帰るから。お父さんにも伝えておいて」
「へぇ、分かりやした」
「気をつけて行ってらして下せぇ、お嬢」
家のお手伝いさんにそう伝えて、私は家を出る。
今日は待ちに待った藤岡くんとのデー……お出掛けの日。
私と藤岡くんは同じ地区に住んでいるけど、待ち合わせ場所は敢えて沼津駅にした。
近くのバス停に着くと、ちょうどバスがやって来た。
最寄りのバス停は、1日5本しか走っていないので乗り遅れたら大変。間に合って良かった。
オンボロのバスに揺られながら、見慣れた景色を眺める。
天気は生憎の曇り空で、初夏とはいえ山風が吹くので少し冷える。
でも、私の胸の中はわくわくしていた。いや、前日からずっとわくわくしていた。
何故だか分からないけれど、藤岡くんと出掛けること自体がずっと楽しみだったのだ。
一人っ子でお姉さんやお兄さんに憧れているからかも知れない。
カナちゃんが理想のお姉さんだとしたら、藤岡くんは理想のお兄さんだ。
ちょっと頼り無いところがあるけれど、優しくて、格好良くて、サッカーも上手……らしくて、
とにかく凄いなぁ、って思う。
はぅ~、何だか緊張してきたよ。
「何か、凄く楽しそうだね」
突然後から声がした。
「ひゃっ?!」
びっくりして後を向くと、そこにはいつの間にか藤岡くんが居た!!
このバスは前から乗って前から降りるタイプ。
私は前よりの座席だったので、彼が途中のバス停から乗ればすぐに気付くハズ。
一体、いつ乗ったのだろう。
「おはよう。ごめんね、驚かせちゃった?」
「う、うん。すごく驚いたよ!」
わざと頬っぺたを膨らませて彼を少しだけ睨む。
藤岡くんは申し訳なさそうに笑いながら、頭を下げる。
「ごめんごめん。ずっと気が付かなかった?」
「うん………」
藤岡くんの家(場所はまだ分からない)は、私の最寄りのバス停よりも更に手前にあるらしく、
私がバスに乗った時には、彼は既に車中に居たという。
「おれは気付いたんだけど、全然気付いていないみたいで……」
「私こそごめんね。ちょっと慌ててたから」
本当はただ緊張してただけなんだけど。いや、今も何だかドキドキする。
「どうしたの? 顔、赤いよ?」
「なっ………ちょ、ちょっと驚いただけだよ。ホ、ホントだよ?」
「ははは、ごめんね」
「そんなに謝らないでよ」
「あ……ごめん」
あ、また謝った。もう、藤岡くんったら。
715:ライラック 3. -2/5-
08/07/02 22:05:59 /vMXv6ZP
バスは自由ケ丘から私が通っている私立校の前を通り、学園通りに出る。
2車線の道路だけど、両側にはさらに家の前の県道が2本余裕で入りそうな歩道まである。
沼津の大通りは本当に道幅が広い。でも、内田の家の近くを通るリコー通りはもっと広い。
ハルカちゃんが通ってる、真新しい校舎の市立高校の前を通り過ぎると、いよいよ市街地へ。
車内もだんだん混雑してきた。くるま社会の沼津とはいえ、バスの利用者は意外と多い。
「さ、着いたよ」
運賃箱に整理券とお金を入れて、私は藤岡くんと一緒にバスを降りる。
北口は後から開発されたせいか、とてもさっぱりしている。
バスターミナルは数年前に整備されたばかりで立派なんだけど、肝心な駅舎はある意味シンプルだ。
北口は基本的に電車に乗る人のためにあるようなものなので、
私達の様に南口へ行くには一旦駅を外れて地下道を通らねばならない。
橋のひとつでも造ってくれるとすごく便利なんだけどなぁ。
「あまねガード」で東海道線の下をくぐると、真新しい通路が左手に別れる。
時々突っ込んでくる自転車に注意しながらゆるい坂を登ると、南口のターミナルに着いた。
ここからはバスを使う予定だったんだけど、残念、ちょうど出て行ってしまった。
途中まで行って歩くのも良いけど、散歩がてら私達は歩いて行くことにした。
私も藤岡くんも、毎日2キロの遠距離通学をしているので、歩くことには慣れている。
それに、歩くと時間が掛かる分、私はそれだけ藤岡くんと一緒に居られる。
「結構距離あるけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
私を気遣ってくれる藤岡くんは、まさに憧れのお兄さんだった。
内田は王子様に憧れているけれど、私も人のこと言えないや。
『ねぇねぇ、あれ、見て』
『なになに?』
『ほら、あの子。いいなぁ、お兄さんとお出掛けかぁ』
交差点で信号を待っている途中、女の子達の声が耳に入った。
ちらりと横目で見ると、同学年っぽい子が2人いた。
手には青いレジ袋を提げていることから、アニメイトにでも行っていたのだろう。
どうやら私と藤岡くんは兄妹だと思われているらしい。
尤も、藤岡くんは彼女達にはまったく気付いていないらしく、ただ信号機の「のこり何分」のグラフを眺めている。
私達がまさに『お出掛け中』なのが分かったのは、多分、私達の服装を見てのことだろう。
私も藤岡くんも、余所行きの服を着ている。私においてはこの日のためにわざわざ買ってもらったものだ。
そう言えば制服以外で会うのは、今日が初めてだなぁ。
『いいなぁ、お兄さんとお出掛けかぁ』
『何言ってるの、チカちゃん。チカちゃんには佐藤君が居るでしょ?』
『な、何言ってるの?! あ、あいつはた、た、ただの幼馴染みで……その……あの…………』
信号が青になって、『富士山』のメロディが流れる。一緒に交差点を渡って永代橋通りに入る。
ずっと歩いている間、私と藤岡くんは色んな事を話した。
学校のこと、家のこと、友達のこと、などなど。
藤岡くんはサッカー部に入っていて普段は土日も練習をしているという。
今日はたまたまお休みだったから、今こうして私の一緒に居るんだけど。
2年生になったばかりだけど、既に準レギュラーなんだという。凄いや。
あれこれ話しているうちに住宅が途切れて松林が現れる。これが今日の目的地・千本浜公園だ。
716:ライラック 3. -3/5-
08/07/02 22:06:20 /vMXv6ZP
千本浜公園は東西1km近くある大きな公園だ。
公園と言うだけあって遊具もあるけれど、敷地の殆どは松林。
その名の通り、松の木が本当に1000本近く生えている。いや、それ以上あるのかも知れない。
市街地を歩いていた時は潮風が結構吹いていたけれども、公園の中は市街地ほど風を感じない。
たくさんの松の木が防砂林の役目をしているのだろう。ただ、今日はちょっと肌寒い。
市街地の喧噪はまるで嘘のよう。園内はとても静かで、聞こえるのは潮風になびく松の木と、鳥の声、
それに、遠くから微かにだけど、波の音が聞こえる。
地面は土で、潮風で運ばれた砂も少しだけ積もっている。
しっかりと踏み固められているけれど、アスファルトほど固くはないので、足に負担が掛からなくて良い。
スニーカーがちょっと汚れちゃったけど。
「だいぶ歩いたね。ちょっと一休みしようか」
「うん。たくさん歩いたから疲れちゃった」
ベンチに腰掛けて、備え付けのテーブルの上にバッグを置く。
少し大きなバッグの中にはお弁当も入っている。これは後で一緒に食べるんだ。
藤岡くんもトートバッグをテーブルの上に置いて、何かを取り出そうとしている。
出てきたのは小さな水筒。ふたを開けると、中からコップがもう一つ出てきた。
藤岡くんは中から出てきた方のコップに麦茶を注いで、私に差し出す。
「はい、どうぞ」
藤岡くんの何気ない気遣いに、何故か躊躇ってしまう私。
「いいの?」
「喉、乾いてるでしょ? あ、ジュースの方が良かったかな?」
「ううん。お茶、好きだよ。有り難う」
藤岡くんもふたをコップ代わりにして麦茶を注ぐ。
受け取った麦茶を口へと運ぶ。
ごく……、ごく……、ごく……、
ちょっと濃いけど、適度に冷えている麦茶が喉を潤す。とっても美味しい。
「?」
ふと、藤岡くんの視線に気付く。藤岡くんが私の様子を眺めていた様だ。
ちょっと、恥ずかしいよ……。
「ごめん、すごく美味しそうに飲んでたから、つい……」
「もう……////」
なんか、顔が火照ってきちゃったよ。麦茶は冷たいけど、顔が熱い。
「あ、大丈夫? 何だか顔赤いよ?」
「もう、ふ、藤岡くんのせいだよ!!」
藤岡くんはさっきみたいな気遣いは出来るのに、どうしてこういう気遣いは出来ないんだろう。
藤岡くんは思ったよりも不器用みたい。
あ、だから、そういう目で見られると恥ずかしいんだってば!!
「あ、謝るよ。ごめん」
「藤岡くんなんて、し、し、知らないっ!!」
「ま、待ってよ。ごめんよ」
別に私は彼に怒ってる訳じゃない。自分でもどうしたらいいか分からなくなってしまったからだ。
ぱたぱたと走ってブランコの方へ。
「待ってよ。ホントにごめん」
「知ーらない♪」
困った顔で私を追いかける藤岡くんが面白くて、私はわざと意地悪して松林の中を走り回った。
こんな風に走り回るのは久し振りかな? 普段はこんなにはしゃいだりしないからね。
717:ライラック 3. -4/5-
08/07/02 22:07:45 /vMXv6ZP
「はぁ、はぁ、はぁ」
松林を抜けて護岸の階段を一気に駆け上る。その先は千本浜と駿河湾。
ちょうど空も晴れてきた。遠くには伊豆半島が見える。
護岸自体はサイクリングロードになっていて、今日も速そうな自転車に乗っている人から犬と散歩を楽しむおじいさんまで、色んな人が居た。
遅れて藤岡くんもやって来た。あ、私のバッグ。そう言えばテーブルに置きっぱなしだったんだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……、い、意外と速いね、足……はぁ……」
松林の中を散々走ったのだろう。体力には自信があるという藤岡くんは、汗だくになってその場に崩れ落ちてしまった。
ちょっと意地悪しすぎたかな。
放り出した私のバッグを拾い、彼のトートバッグから勝手に水筒を取り出す。
コップにお茶を注いで電池切れ状態の藤岡くんの口元へ。
「はい、どうぞ。それとも海で身体を冷やす?」
「………………」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
(ってシーンがこの前チアキがやってたゲームの場面にあったなぁ)
「ほ、ホントに大丈夫?」
「……………」
本当に彼が心配になってきた。
「ねぇ、藤岡くん、大丈夫? ねぇ、ねぇ、大丈夫?」
荒れた息をしているものの、藤岡くんはピクリとも動かない。
「ご、ごめんね。ちょ、ちょちょちょちょっと意地悪しただけゃーさ」
かなり焦っているせいか、舌が回らない。
すると、顔が少しだけ上がった。心配になって顔を覗き込む───。
「わぁっ!!!!」
「きゃっ!?」
心臓が止まりそうになった。いや、コンマ数秒だけ止まったような気がした。
藤岡くんがお腹を抱えて笑っている。ひ、酷いなぁ。
「あはは、今のはお返し」
「ほ、ホントに驚いたんだから!!」
「でも、おれも走りすぎて疲れちゃったよ」
「なっ───。うん……」
私は何かを言おうとしたんだけど、言いかけて何を言おうとしたのか忘れてしまった。
「汗かいたずら? はい」
「ってこれ、おれのだよ」
藤岡くんはちょっと意地悪く言って、私からコップを受け取って麦茶を飲み干す。
それから、水筒の内ぶたを開けて、直接ゴクゴクと一気に飲んでしまう。
小さな水筒はこれで空っぽになってしまった。
718:ライラック 3. -5/5-
08/07/02 22:08:07 /vMXv6ZP
それから、また一緒にサイクリングロードを歩いて港の方へと向かう。
私達地元の人は釣り以外ではあまり行かない所だけど、今日は特別。
会話が無いのは喧嘩をした訳じゃない。ただ、2人で海を眺めながら歩いていたからだ。
千本浜が埋め立て地の壁でプッツリと途切れると、海側は殺風景な景色が広がる。
大きな倉庫にレジャーボート。スクラップの山の前を走るのは大型ダンプカー。
そんな中をクーラーボックスと釣り竿を持った親子が、自転車で通り抜ける。
海の反対側は延々と防砂林が続いている。ゴミが落ちていたりして見栄えが悪い。
ホームレスのおじさんが住んでいそうなテントの側を通って下水処理場が見えると、
サイクリングロードはちょっとキツいスロープでお仕舞い。
トラックがたまに出入りする道路を渡ると、また公園が現れる。
港口公園という、名前の通り沼津港の入口にある公園だ。
「あ、ネコだ!」
そこには内田が追っかけ回しそうなネコが2匹居て、こちらの様子を見ていた。
私達が近付いても逃げる様子は無く、むしろ近付いてきた。
「ちょっと痩せてるけど、可愛いネコだね」
藤岡くんが葉桜の木の下で立ち止まってしゃがんで手を延ばす。
2匹のネコが寄り添うと、藤岡くんは2匹の頭と喉を軽く撫でる。
ネコは警戒する様子も無く、ゴロゴロと喉を鳴らす。気持ちよさそう。
「ほら、撫でてごらん。可愛いよ」
「うん」
藤岡くんが立ち上がると、ネコはちょっと驚いたのか少し後ずさる。
代わりに私がしゃがんで手を延ばす。ところが、ネコは鳥居の方へと逃げ出してしまった。
軽くショックを受ける私に藤岡くんもどうフォローしようか迷っている様子。
「ちょ、ちょっと驚かせちゃったみたいだね。あはは、ほら、む、向こうにも居るから行ってみようよ」
「う………うん」
私、ネコに嫌われる体質なのかなぁ。
ランダムに生えている松の木を縫うように、遊歩道はぐねぐねと続いている。
松の木の下にはライトの様なものがあった。夜はライトアップされるのだろうか。
公衆トイレが見えると遊歩道はそこで途切れ、ブロックが敷き詰められた広場に出る。
広場に出たけど辺りは薄暗い。実は、この真ん前に大きな建物があるせいだ。
もしかして、もしかすると………??
「あれ、登ってみようか」
藤岡くんが指さしたのは、その建物だった。
719:ライラック 3.5 -1/1-
08/07/02 22:08:35 /vMXv6ZP
「こちらカナ。応答してください、どうぞ」
ザッ
「はい、こちらユカです。何でしょうか、どうぞ」
ザッ
「ユカって誰ですか、どうぞ」
ザッ
「ひっどーい!! ユカって、私の事です。私は内田ユカですっ!! どうぞ!!」
ザッ
「了解。そういうことにしておく。そちらの状況はどうですか、どうぞ」
ザッ
「はい、今、2人は『びゅうお』の中へ入っていきました………って!」
ザッ
「どうした内田? 応答してください、どうぞ」
「いつまでやってるのよ!!」
内田は手に持っていた無線機を投げ出して、『となり』に居たカナに文句を言った。
この赤い無線機はカナが家から持ってきたものである。
珍しく部屋の片づけをしていた所、自分の部屋のクロゼットから見付け出したものだ。
もちろん、おもちゃなので免許は要らない。でも、数メートルならちゃんと交信が出来るスグレモノだ。
カナは内田が投げた無線機を拾い上げ、彼女に顔を近づけて言った。
「内田、見たか」
「うん、見た」
「あれは本当に吉野か?」
「実は本当だよ」
「本当に本当か? 人違いじゃないよな?」
「隣に居たのが明らかに藤岡くんだから間違いないよ」
相手が藤岡だからといって、隣に居るショートヘアの少女が吉野であるとは限らない。
「本当に本当に本当に本当だな?」
「うん、本当に本当に本当に本当だよ」
「そうか。本当に本当………うーん」
カナは危うく無限ループになりそうなやりとりを中段して、今日のこれまでの彼女の様子を振り返る。
そう、カナと内田は吉野と藤岡の後をコッソリと尾行していたのだった。
「うーん、一体どっちが本当の吉野か分からんな」
「私もあんな風にはしゃいでるの、初めて見たよ」
「まるで吉野が子供みたいにはしゃいでるじゃないか。あれは絶対おかしいぞ」
「子供みたいって…、私達だって子供じゃん」
「これはアレだ。藤岡が吉野に妙なマネをしたに違いない。一体どんな魔法を掛けたんだ?」
「そ、それは…………あ。も、もしかして……」
「もしかして?」
「もしかすると………」
「お、お、お………おかしなこと!?」「違うよ!!」
即座にツッコまれるカナ。
「そ、そうか。いや、しかし、これはつまりアレだ。今日の2人、凄く面白いぞ。
ヨーシ内田、寿司ご馳走してやるから私に付いてこい」
「あれ? そんなにお金持ってたっけ?」
因みにみなみけには小遣い制度は無い。
「まぁまかせろ。今日は激レア吉野祭りだ。存分に楽しもうではないか」
「あ、あまり2人の仲を邪魔しない方が……」
「邪魔なんてしないよ! 私は吉野の味方だ。むしろ後からコッソリ応援してやるんだ!
ほら、寿司が呼んでるから行くぞ」
「う、うん」
カナと内田は、吉野と藤岡が『びゅうお』のエレベータに乗ったことを確認してから港をぐるりと廻って反対側へと急ぐ。
「ま、待ってよぉ、カナちゃん、何でそんなに足速いのぉ?!」
720:ライラック 3 by 久留里
08/07/02 22:10:19 /vMXv6ZP
異常……いや、以上………ええい、どっちでもええわ。
異常でございます。
吉野が白すぎてモハや別人になっておりますが、
まぁ、恋の病に掛かってもうたというコトで堪忍したって下さい。
721:名無しさん@ピンキー
08/07/03 22:17:54 /MRsXcZ0
>>751
多分他スレ全部で7つ程+このスレで書いてるいくつか……かな。
とりあえず今は地道に一つづつ追わらせてます。
>>752
マキの誘い受けですね、わかります
722:名無しさん@ピンキー
08/07/03 22:28:42 Hn6ry3sK
くるりが丸一日スレストしてたかw
723:名無しさん@ピンキー
08/07/03 23:05:59 Zm9rkGFu
>>761
GJ!
しかし藤岡って万能キャラだよな…年上相手でも年下相手でも活躍できるし
724:名無しさん@ピンキー
08/07/03 23:40:50 LgODE6WG
みなみけは知ってるけど、今日の5の2は知らないって人は結構いるのだろうか?
725:名無しさん@ピンキー
08/07/04 01:20:56 UOeFoI51
>>761
いいよいいよー。
わかりやすく黒くしないで、そこまで動かせるのはすごいよ。
726:名無しさん@ピンキー
08/07/04 01:29:01 Gv12ZUTC
>>761
GJ!!
本物の市立高の前を通るバスに乗る者としていいたかった
727:名無しさん@ピンキー
08/07/04 21:44:30 zyFulF6C
SSを投下しようかと思っているのだが、Yahoo! BBが規制喰らって連投出来ないorz
保管庫の管理人さん、セルフ投下の許可を!
728:名無しさん@ピンキー
08/07/04 22:13:27 DDBgTZDH
セルフ投下なるものが何かはしらないけど、
保管庫の管理人はいないよ。絶賛行方不明中…
そろそろ諦めて新しい保管庫作ったほうがいいのかな…?
作り方しらんけど…
729:768=久留里
08/07/04 22:24:09 zyFulF6C
お、アニキャラ個別スレ以外は書き込み出来るようだ。ヨカタヨw
>>769
「二次保管庫」という形で私が作りましょうか。
今の保管庫は「atWiki」というWikiを使ってるけど、実はアカウントを持っていて、
サイトを構築することなら出来ます。
てか、みんながおkなら私がwiki作りますよ。
ただ、私は生憎6スレ目から来た人だから、保管は6スレ目以降になります。
過去ログの提供があれば1~5スレも保管出来るんですけどねぇ……orz
730:名無しさん@ピンキー
08/07/04 22:47:32 DDBgTZDH
>>770
3月以上更新が止まって音信不通なので、管理人さんにはわるいですが個人的にはそうしてくれると激しくありがたいです。
ただ、一人で決める訳にもいかないので…
他の方はどうでしょうか?
731:名無しさん@ピンキー
08/07/04 23:43:25 UOeFoI51
やって頂けるのは大賛成ですよ。
保管庫が動いてれば、作品も把握しやすいし。
自分も過去ログはあまり持ってないんだけど
URLリンク(www.geocities.jp)
この辺で読めますね。
732:名無しさん@ピンキー
08/07/05 00:41:57 lGrNMqW0
作ってくれるなら大歓迎です!
多分自分が散らかした未完なSSが山ほどあると思うので、
無知な自分でも手伝えることがあれば喜んで馬車馬の如く手伝わせてください
そして何気に出来たと言うSSの投下を待ってたりする自分……
733:久留里
08/07/05 01:07:57 tkF1oyx4
>>771-773
了解です。早速準備に取り掛かります。
下地が出来たらアナウンスしますよ。
ところで、喧嘩するほど仲が良いって言いますよねぇ。
ハルカとチアキも時には喧嘩することもあるでしょう。
という訳で勢いで書いてしまったものをそのまま投下します。
『けんか』
・アニメ無印版基準
・エロなし
・多分 4 レスほど使用。
・このSSはみなみけの(ry 間違っても過度な期待はしないで下さい。
・あと、加藤学園暁秀初等学校(沼津の私立小)の校章は可愛過ぎです。
734:けんか -1/4-
08/07/05 01:08:53 tkF1oyx4
「チアキぃ、どうしたの?」
「吉野。悪いが今はひとりにさせてくれ」
本当に済まない。今、真面目な考え事をしているんだ。
『どうしたんだろう、チアキ。酷く落ち込んでるよ?』
『うーん、私も心当たりは無いなぁ。マコトくん、何か知ってる?』
『さぁ、オレもよく分からない』
親友の、私を心配する声が向こうから聞こえる。
『喧嘩でもしたのかなぁ』
『でも、カナちゃんと喧嘩っていつものことじゃない』
『あ、もしかしてハルカさんとかも知れない』
『ハルカちゃんと?』
『まさかぁ。チアキがハルカちゃんと喧嘩なんて、有り得ないよ』
マコトの分際でハルカ姉さまの名前を出すな。このバカ野郎。
それに、私に聞こえないように向こうで話しているのだろうが、お前らの話は全部丸聞こえだよ。
そして、吉野と内田が察する通り、私の機嫌が悪いのは今朝の喧嘩が原因にある。
「はぁ。私は一体、どうすればいいんだ」
元はといえば私が悪い。でも、ハルカ姉さまもあそこまで怒ることはない。
『よし、オレが確かめてくる』
『それはやめなよ』
『チアキが可哀相だよ』
『ここは私達に任せて』
『何でだよ。こういう時こそオレが"男"としてだなぁ…』
『マコトくん、男だったの?』
『何の話? 内田』
『こら、内田!』
『な、な、何でもないよぉ、ほ、ホント、な、何でも無い!!』
一体何の話をしているんだ?
てか、マコト、今私に余計なことしたら、問答無用で廊下に立たせるからな!
735:けんか -2/4-
08/07/05 01:09:46 tkF1oyx4
「おーい、チアキ~、どうかしたのか~」
ああ、もう五月蠅いなぁ。
私の隣の席には、無駄に元気な大バカ野郎ことマコトが居る。
こいつは私に構ってもらいたいのか、毎日のように余計なことをしてくる。
悪いが私はお前にその気なんて無い。
特にハルカ姉さまの件はまだ許していないんだから───、
「───ハルカ姉さま、かぁ」
私にとって、ハルカ姉さまはお母さんの様な存在であり、世界で一番尊敬する人だ。
優しくて、頭が良くて、スタイルも良くて、何でも出来る、そんな素晴らしい姉さまだ。
一応、私にはもう1人姉が居るが、あいつは救いようのないバカだから困る。
まぁ、アレはアレで私は別の意味で尊敬はしているのだが……。
(初対面の人でも直ぐに仲良くなれる性格は、正直羨ましい)
ハルカ姉さまと喧嘩をしたのは本当に久し振りだ。
そりゃ私だってハルカ姉さまと喧嘩するさ。姉妹だもの。
でも、あの時、私はとても酷い事を言ってしまった。
『もう、ハルカ姉さまなんて、大嫌い!!』
そう言って、今朝、私は家を飛び出したのだ。
いくらなんでもあれは言い過ぎた。本当のバカ野郎は私ではないか。
「チアキ~、ハルカさんがどうかしたのか」
「さっきから1人にしてくれと言ってるのが分かんねぇのか? このバカ野郎」
ハルカ姉さまへの怒りはとっくに消えていた。
代わりに、隣のバカに対して怒りがこみ上げる。でも、今はコイツを怒鳴る気など、全くない。
「ほ、本当にすみませんでした! チアキ様!!」
「…………もういいよ」
「え? あれ? チアキ? お、怒ってないのか?」
「お前があまりにもバカ過ぎて、怒る気すら失せたんだよ」
「え………えっと…………それは…………」
私は必死に謝るマコトを素直に許してあげれば良いものの、結果的に当たってしまった。
「掃除の時間までには戻ってくる。じゃあな」
それだけ言い残して私はひとり、図書室へと向かった。
***
「どうしたんだ? マコト」
「オレ、チアキに怒られないで済んだはずなのに、何でだろう。複雑な気持ちだ」
736:けんか -3/4-
08/07/05 01:10:08 tkF1oyx4
放課後、私は2人(無論、内田と吉野のことだ)の誘いを断って、1人で学校を出た。
トウマが追いかけてきて『家に行ってもいいか?』と訊いてきたけど、今日は無理だと言った。
自由ケ丘のバス停を過ぎて、大きな工場沿いの道を歩く。
途中から小道に入る。右手は工場、左手は中学校に挟まれた道で、国道に通じているのでクルマも多い。
因みにこの大岡中学校はカナが通ってる中学だ。
私は私立受験を希望しているけれど、結局私は、この中学に通うことになるのだろう。
その時はカナの(元はと言えばハルカ姉さまの)制服を着ることになるのか。
小道はどん突きで左に直角に折れる。少し歩けば四ツ辻が現れる。
四ツ辻を右に曲がれば国道へ、左に曲がれば中学の正門だ。
「よう、チアキ」
四ツ辻を曲がりかけた所で声を掛けられた。
それは10年間耳にしている、本当のしょうもない程のバカで、何だかんだ言って尊敬している私の下の姉だった。
「ちょうど帰りか。たまには寄り道しようぜ」
「寄り道って、何処へ行くつもりだ」
この界隈にはガソリンスタンドと駐車場が無駄に広いコンビニがあるが、レストランもファストフードも小洒落た喫茶店も無い。
「ちょっと遠回りしようって事だよ。私にツッコむ余裕を与えるとは珍しいな。
どうした? いつものチアキじゃないぞ?」
「どうもこうも無いだろ。お前、朝のこと、忘れたのか?」
「忘れるわけねーだろ? だからこの賢いカナお姉ちゃんが話を聞いてやろうってんだ」
お前が賢くなるのは悪戯をする時だけだろ? チーズレモンカスタード……何だっけ、あれだって……まぁいいや。
私はカナに今の気持ちを全て話した。
カナはこういう時だけは姉ヅラをする調子の良い奴だが、
どんな時でも話相手になってくれるというのはとても心強い。今もしっかりと話を聴いてくれている。
カナは本当に本当に本当に本当に本当にしょうもないバカだけど、嫌いにはなれない。
おっと、ちょうど蹴りやすそうな石を見付けた。何となく『山田』に似ている。
「どうしたー? チアキ。その石がどうかしたかー?」
「よーし、お前は今日から『畠山』だ」
名前の由来は、この石が『畠山工業』という建物の前にあったからだ。
「はたけやま?」
「そうだ。この石は今日から畠山だ」
「変な奴」
「お前より変な奴を、私は見たことがないぞ」
「ほぅ? 朝、ちゃんと鏡見たか?」
このしょうもないバカは、私がこんな時でも『日課』を遂行したい様だ。
737:けんか -4/4-
08/07/05 01:10:33 tkF1oyx4
カツーン。
414号線の横断歩道を、畠山を蹴りながらカナと一緒に渡る。
次の難関は御殿場線の踏切だ。線路の周りは砂利が敷いてあるから、畠山が行方不明になりかねない。
「カナ。夕飯のおかずは無いと思え。野菜以外は」
「何だよ、どうせ取るなら野菜も取れよ」
「いいよ。むしろやるよ、野菜」
「ハルカが悲しむぞー」
「そ、それは…………」
カツーン。
「ひっひっひ。お前は本当にしょうがない奴だな。いいか、チアキ。
ハルカはお前の事を嫌いになんかなってないぞ。私が保証しよう」
「お前の保証なんか、信用出来るか。バカ野郎」
「だからお前なぁ、もう少し素直になれって。
チアキが100%悪いって訳でも無いんだぞ? そうだな。半分はハルカも悪い」
「そ、そうなのか?」
「だからさっきから言ってるだろう? だから元気出せよ。それから、家帰ったらちゃんと謝ろうぜ?」
「で、でも………でも、だ。私は家を出る時、あんな事言ってしまったんだぞ?」
「分かんねー奴だな。だから、ハルカは大丈夫だって。いい加減私を信じろよ!」
何か、今日は私とカナの立場が逆転しているようだ。ここまでコイツに押されるのも今日くらいだろう。
カツーン。
私達は御殿場線の踏切に差し掛かった。
畠山は山田と違って跳び方にクセがあり、コントロールするのが難しい。
カツーン。
「………そうか」
勢いよく足を片足を振る。畠山は辛うじて踏切をクリアした。
カン、カン、カン、カン………。
「何ぼさっとしてんだよ。電車来るぞ?」
「お、おう、そうか」
踏切の真ん中で立ち止まってしまった私の腕を、カナが強く引っ張る。
「カナ」
「何だ?」
「信じるよ。お前のこと」
何だかんだ言って、お前も世界で二番目に尊敬している姉だからな。バカだけど。
「そっか」
カナの返事は素っ気ない。しかしこれは、カナ流の照れ隠しだ。
「でも、カナ」
「何だ?」
「私は一人で謝る。お前にこれ以上心配掛けられるのも癪だしな」
本当は、これ以上カナに迷惑を掛けたくないだけだ。
「ちぇー、何だよ。折角私が話を聴いてやったってのに」
「五月蠅い奴だな。ほら、赤信号だぞ。お前こそ挽肉になりたいのか?」
「おわっと、危ない危ない」
「ったく、世話の焼ける奴だ」
「お前だって世話の焼ける奴じゃないか」
「何だとー?!! お前と比べたらマシだ!!」
「いーや、お前の方が焼ける!!」
「ふーん、いい度胸だな。お前、さっきの事をもう忘れたのか? この恩知らずめ」
「うるさい! それとこれとは話が別だっ!!」
「やるかー!!」
「上等だ、バカ野郎!!」
「何してるの、2人とも」
私とカナの闘いのゴングが今鳴ったところで、後から声が掛かる。
振り返ると、そこには───。