ちりとてちんでエロパロ 第四席at EROPARO
ちりとてちんでエロパロ 第四席 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
08/05/21 03:13:42 l3L85CpP
GJ!!はじめて拝見するカプ、堪能しました!
四草すげ…こりゃふらふらっとなる子多そうだw黒清海もいい!
四草、敬語使いからの口調のシフトタイミングが見事と思ったです。
喜代美のこと思う、一箇所だけの四草主観の部分がなぜか切ないなあ…

151:名無しさん@ピンキー
08/05/21 03:19:16 l3L85CpP
連投ごめん。
他にも四草主観部分いくつかあるのに勘違いしてた。失礼しました。
自分、四草×喜代美フィルターで目が曇ってるのかもwまたの投下楽しみにしてます!

152:名無しさん@ピンキー
08/05/21 06:12:32 l3L85CpP
さらに連投になってしまいますがどうぞご容赦下さい。
小草若→喜代美 投下させていただきます。
時期は小草若失踪中。長めほんのすこしエロ。
相当鬱展開なので、そんな小草若を見たくない方はご注意ください。

153:夢から醒めた夢 1
08/05/21 06:13:21 l3L85CpP

(…兄さん。小草若、にいさん――)

愛しい愛しい、少女の面影を残したかつての妹弟子が呼ぶ。
いつも明るく笑んでいた顔を、悲しげにゆがめて。

「――!」

目が覚める。こじんまりとした簡素な部屋。既に見慣れた風景が小草若の目に映る。
そう、徒然亭でも己のマンションでも四草の家でもなく、大阪からは遠く離れた地の。
何度この夢を見たことか。
一つの場所に長くとどまるたび、この夢は頻繁に小草若のもとを訪れる。
そのたび、逃げるように別の場所へ別の場所へと移動を繰り返してきた。
まだ肌寒いこの季節なのに、体にはじっとりと寝汗をかいていた。
カーテンを引くと、外はほのかに明け始めたばかりだった。
(ここにおるのも、もう長いことはないかもしれへんな)
予感めいたものを覚えながら、小草若はそっと目を閉じた。


154:夢から醒めた夢 2
08/05/21 06:14:06 l3L85CpP

「おつかれさまでした~!」
ガソリンスタンドのバイトを終え、家路に向かいかけた小草若に聞きなれた声がかけられる。
「あ、吉田くん!」
「何ですか、店長?」
自分より少し年上に見えるその男―このガススタンドの店長―が、にこにことこちらに
微笑みかけていた。
「あのさ、申し訳ないんだけどこの時間に入ってた女の子いるだろ?紀代美ちゃん。
 あの子、遅くなっちゃったから送っていってあげてくれないかな?悪いんだけどさ。
 最近ぶっそうだし、吉田君帰り道近いし。変に下心ある奴多いからなかなか頼める人いなくって。」
申し訳なさそうにこちらを拝むジェスチャーをする店長に、いいですよと気軽に請け負って、
小草若は手持ち無沙汰に同じバイト仲間の少女を待った。

「吉田さん、ごめんね~」
甘えたような声でこちらを見上げる少女。あの子と、同じ名を持つ―
栗色のくるくると巻いた髪、リスのように輝く瞳。
バイトの若い男どもが騒ぐ少女。自分が騒がれることを十二分に知ったその仕草。
(あの子とは、対極、か…)
優しい白い顔を思い出しかけて一つ頭を振る。もう自分には、関係のない、少女…。
せわしなく話しかける少女に適当に相槌を打ちながら歩く。

「でぇ~、吉田さんの声ってすごくいいってか響くじゃないですかぁ?
 その声聞いてお客さんが吉田さんのこと見て『あの男の人、名前なんていうの?』って聞くんですよ~!
 声もそうだけど、なんかめっちゃ見たことあるんだって。そういえば前も誰か言ってましたよね~」

にこにこと話す栗色の髪の少女の言葉を聞いて、現実に引き戻される。
ずっとずっと背負ってきた、「徒然亭小草若」の名を消すことがいかに難しいかを思い知る。
いくら逃れようとしても、どこからともなくひっそりと影のように自分について回る。
もう自分は…落語家ではないのに。
捨てた名に気づかれた後も明るい顔で面白おかしく昔のことを話せるほど、自分は強くはない…
(ここもそろそろ潮時、か――)
わずかに眉をひそめた小草若の表情にも気づかずに、少女はしゃべり続ける。
「もしかして吉田さん有名人?てかカッコイイですよね~!30過ぎてるって聞いたけど信じられないし」
「…そう?もう俺おっさんやで」
「全然見えないですよ!てか、今日本当は送りなんて要らないって店長に言おうと思ってたんですけど、
 吉田さんに頼んでくれるっていうから…。あの…彼女とか、、、いますよね?」
「…おらへんけど」
栗色の髪の少女の顔がぱあっと輝く。頬をわずかに染めて。
胸が痛む。あの子の表情に、一言一言に心躍った昔の自分を見ているようで。
「あの、だったら…、私と…。私、吉田さんが…」
「…ごめん」
「……だれか、好きな人が、いるんですか?」

「もう、、ずっとずっと好きな子が…おるんや」

気が遠くなるほどの長い間、どれほど消そうとしてもその想いが途切れることはなくて。



155:夢から醒めた夢 3
08/05/21 06:14:45 l3L85CpP

(…兄さん。小草若兄さん――!)

今、どこに。

帰ってきて、兄さん。小草若兄さん。お願いだから――!


「――!!」
泣き叫ぶ声に目が覚める。いつもの夢。けれどもその生々しさは。
まるで、そばであの子が呼んでいるかのように。

(アホらしい)
あの子がこんな風に自分を捜し求める夢を見ること自体が、浅ましい願望の現われなのに。
そう、こんな風に泣いて自分を求める必要など、彼女にはひとかけらもないのだから。
あの子は、、草々の腕の中で今頃は安らかに眠りについているはず。
昨日の晩、あの子と同じ名を持つ栗色の髪の少女と話して、あの子への想いをかきたてられたから、
こんなにもあの夢が生々しいのか。
頭をひとつ振り、冷たい水を冷蔵庫から取り出し、一口含んだ。


その時。

「こそうじゃく、にいさん」

「――!」

その声は。
懐かしい、甘いまろい声。
そしてつい先ほどまで自分が眠っていた布団の枕元にひっそりと佇むその姿は。
「どないしなったんですか、小草若兄さん?」
喜代美が添う。自分の身の傍に。一糸まとわぬ姿で。
(ああ、これもまだ夢、か―)
その丸い曲線を描く肩を抱き寄せて、そっと口づける。
目を閉じて自分に体をあずける喜代美の髪を撫で、その乳房に掌を這わせる。
あっ、と花びらのような唇から甘い声が漏れる。
全身をあます所なく愛撫して、その感覚を愛しむ。
この自分の腕の中で、喜代美は乱れ、甘い息をつき、切なげな声で自分の名を呼ぶ。
「ああっ…こそうじゃく、にい、さんっ…」
やがて果てた喜代美は、放心したような目で自分を見つめてかすかに微笑みかけ。
愛しげに自分の胸に頬を寄せる。

これらすべてが、これが夢であることの証明。現実にはありえない風景。

何度も訪れた夢。けれど夢の中で、自分はただ喜代美を抱き続ける。
この小さなあたたかい体の感触が、優しい愛しい微笑が。
夢とわかっていても、たとえ夢の中でも、この身を暖かくつつみこむから。

押し寄せる快楽に身を任せ喘ぐ喜代美を腕にかき抱き、
柔らかい喜代美の中で、真っ白い快楽に包まれて――


やがて、目が醒める。
冷えきった体。それが先ほどまでのことが夢である、何よりの証拠…。
くく、とくぐもった笑いが咽をつく。
自分の妄執を、浅ましさを思い知らさせる。
部屋はまだ暗い。窓を開けると、深夜のしんしんとした冷気が身を包む。
ほ、と一つため息をつき、小草若は頭をひとつ振る。


156:夢から醒めた夢 4
08/05/21 06:15:23 l3L85CpP

その時。

「こそうじゃく、にいさん」

「――!」

その声は。
懐かしい、甘いまろい声。

「わかさ…?」

「兄さん、なんで『若狭』やなんて呼びなるんですか? 兄さんだけが私を名前で呼んでくれなるのに。」
わずかに唇を尖らせて、喜代美は少し悲しげに眉を寄せる。
なぜここに、と問うのも忘れてただ呆然とする。

「喜代美ちゃん…」

「どないしなったんですか兄さん?そんな幽霊でも見たような顔しなって」
不思議そうに、少し戸惑うように微笑む喜代美。
「そうやぞ小草若。なんかお前今日変やぞ?」
草々の声。
振り返ると、縁側の方から部屋へ入ってくる見慣れた長身。
縁側―?
いつの間にか、そこは。
障子のさんに模られたひぐらし。ちょんと鎮座する福助。古い古い、けれど懐かしい―
(大阪の、家…)

四角い座卓の下座には、穏やかな微笑を浮かべた草原兄さん。
少し離れたところで、いつもの薄い笑みでこちらを見る四草。
傍らの鳥籠では九官鳥がバタバタと羽を鳴らして「セヲーハヤーミッ!」と歌う。
そして。
上座では師匠が、面白がるような表情で一献あける。
その傍に柔らかい微笑で添うのは――。
「どないしたん?みんなでお茶するところなんよ?」

「おかん…?」

「もう、小草若兄さん!ほんまどないしなったんですか?おかみさんの顔が珍しいみたいに」

すぐ傍から自分を見上げる、少し笑いを含んだ愛しい少女の声。

これは現実にはありえない風景。
これは夢。夢から醒めた夢。
おかんは病気なんかしてへんで、師匠と幸せに暮らしとって。
草原兄さんがおって、草々がおって、四草がおって。
そして自分の傍らで喜代美が自分に微笑みかける。
自分は師匠のもとで、草々と時々いがみあったりしながら落語に精進して。

なんて自分に都合の良い夢。
ほら、その証拠に…喜代美は自分がその頬を愛しげに撫でても、くすぐったげに微笑む。幸せそうに。
「あんまり見せつけなや」と笑いを含んだ師匠の声。

あまりにも都合が良すぎて、思わず笑ってしまうくらいに。
笑って笑って――笑いながら、涙がこぼれた。



157:夢から醒めた夢 5
08/05/21 06:16:02 l3L85CpP

目が醒める。
外はまだ暗い。日の明ける気配もまだ、そこにはない。
まるで自分の裡のように、深く深く闇に閉ざされた部屋の中。
気が狂いそうだ。
いや、もう自分は気が狂っているのではないかと、時折思う。
夢から醒めてもそこはまた夢。いまも夢なのか現なのか。
狂おしいほど求めるのは、、ただ、あの場所。

帰りたい。あの場所へ。
もう師匠がいなくても、おかんはいなくても。
みんなで落語に打ち込んだ、あの場所へ。あの子の微笑む、あの場所へ。
けれど、帰れない。
自分にはもう――帰る場所などない。


翌日、小草若はバイト先の店長に辞める旨を申し入れた。
急な申し入れに店長は戸惑い、残念がり、引き止めてくれたけれど。
一つの場所に長くとどまるたびに濃密さを深めるあの夢から逃れるために。


(どこへ)
あてもない、照らすものもないただ暗闇の旅路。

その時、風が吹いた。
遅い四月の八重桜の花が風に散る。

(小浜は、鯖とお箸が有名ですけど、冬が長いさけ…)
いつか、ずっと昔あの子が言っていた。
(有名なもんやないですけど、春を知らせてくれる桜の花が、それは綺麗に思えるんですよ――)
真っ白い、優しい微笑みを浮かべて。
(いつか、春先の桜を見に来て下さいね、小草若兄さん)

自分と似た一面をもった、あの若狭塗箸製作所の和田友春を思い出す。
あいつは―どうしとるやろう?
自分のように押しつぶされる道ではなく、新しい道を選んだ男。
あいつが幸せであれば良いと、心から思った。

そう。
どうせあの夢はどこへでもついてまわるのなら、と小草若は思う。
あの子を思い出させる小浜へ行ったとしても、それは同じこと。
旅路の途中で少し、ほんの少し立ち寄るだけ。
こうなってもあの子の面影を追い求め続けるのかと、自分をあざ笑いながら。


小草若が小浜に現れたのは、それから間もなくのことだった。

その時、運命の歯車がゆっくりと音を立てて再び回り始めたことを、まだ誰も知らない――。




158:名無しさん@ピンキー
08/05/21 06:16:49 l3L85CpP
以上です。お疲れ様でした。
このスレを読んでいると触発されて、つい一気書き。
これ小草若、病気ですね…すまん小草若。
話的には前スレ>>13に続いていると思ってやってください。

159:名無しさん@ピンキー
08/05/21 07:28:35 7h9hJayC
>>141
木曽山×清海を書いた者です。
GJです!!四草パターンもあると思っていたので、
読めて感激です。黒A子は色っぽい。
ここで触発されるの分かりますw
温泉の話読んだら、温泉で何か書けそうとか思いますもんね。

小草若は泣けました。読むのが辛い…
後の復活があるからこそ読めるけど…

連投乙でした!


160:名無しさん@ピンキー
08/05/21 10:29:45 7aAVsiOH
ここの職人様方、ほんとに素晴らしい。
気がふれてしまったような小草若、ちょっと泣きました。

いつも笑ってるような人が一番溜め込んじゃうんだよな~。
いや、ほんとに素晴らしい。
自分ROM専ですが、毎日神作品が投下されてて、ほんとに凄いと思う。

161:名無しさん@ピンキー
08/05/21 20:14:33 SUk9Hm+S
>>158
GJです!
前スレのKとWの物語を書かれた職人さんだったんですね…どおりで。
小草若の切ない夢が喜代美の辻占に繋がるのかと思って読み返すと、
また違った色合いになる素敵小説。素晴らしすぎます。

162:名無しさん@ピンキー
08/05/21 22:09:54 yECfCNdq
公式やるなあ・・・
このスレでも選んでないような時間軸で切り取るあたり

底抜けに楽しみだ

163:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:02:49 SUk9Hm+S
まいご三兄弟…タイトル可愛いすぎ。しかも草々の新作落語ネタて。
夏が楽しみになってきましたよ。

盛り上がったついでにバカエロ話ひとつ投下しときます。
草々×若狭でエロあり。というかエロのみ。
草々がひたすら嫁萌えしてるだけで無駄に長いです。

164:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:03:22 PLeeGLTD
>>152
気まずい亭のその後を望んでいたひとりです
栗色ギャルイイ!!(小草若ちゃんほめてるしw)
栗色ギャルに昔の自分を重ねるくだりが切ない
タイトルもぴったり!!

>>162
設定時期だけ知った段階では「じゃあ気晴らしに下2人で女を引っ掛けに(ry」
なんてSSを思い浮べたけど、あらすじ見てムリじゃん!とちとがっくりw

165:草々×若狭 好色嫁バカ男 1
08/05/21 23:04:28 SUk9Hm+S
徒然亭草々は悩んでいた。

上方落語四天王の一角である徒然亭草若の二番弟子にして
若手実力派噺家トリオとして絶賛売り出し中の上方三国志の一人である彼は
齢三十を越え、生まれて初めて女色に耽溺しているのである。

今年の正月に娶ったばかりの新妻がその相手だ。
草々より一廻り年下で妹弟子でもあるこの嫁は低身長、ロリ顔、巨乳のムチムチボディな上
天然キャラで自分にベタ惚れな処女というそれなんてエロゲ?を地で行く、
まさに男の妄想をそっくり具現化した女だったりするのだ。
そりゃもうハマるなというほうが無理である。

新婚当初は嫁の突然のタレント活動やら経済観念やらですれ違いが生じ
一時は離婚(この表現は正確ではない。何故なら婚姻届を提出していなかったからだ)も頭を過ぎったが、
結婚半年たった今その危機も乗り越え、まさに蜜月期の絶頂である。

繰り返そう。新妻は結婚前まで男に免疫のない自分にベタ惚れな処女だったのだ。
当然、夜の夫婦活動は一から全て夫である草々自身が手解きをしている。
何も知らない無垢な新雪の肌に、自分の身体でひとつひとつ男を教え込んで行く。
その作業の愉悦ときたら、性を覚えたての若造時代の比ではない。
その若造時代にさんざんお世話になった、玄人のおねーさんに教えてもらった
アレやコレやソレなんかも仕込んでみたいところだが、なんせ相手は素人の娘だ。
どっ引きされて「わたし実家に帰らせていただきます!」なんてことになったら元も子もない。
いや、実際にその技を使ったのは自分のほうだったりするのだが。

ともあれ若手落語家期待の星・徒然亭草々の目下の悩みは、
新妻・徒然亭若狭の肉体をいかにして開発するか?という
彼のファンや期待を寄せる師匠連、憧れの目差しを送る後輩たちが聞いたら
絶望のあまり通天閣からヒモ無しバンジージャンプに挑戦しそうな勢いで
しょーもないもんだったりするのだ。

166:草々×若狭 好色嫁バカ男 2
08/05/21 23:05:22 SUk9Hm+S
待ちに待ってた夜がきた。

パジャマ姿でドライヤーを当てている新妻の後ろ姿に、そろそろええか?と声をかけてみる。
「…はい」
恥じらいながら振り返る小さな身体。
自分のひざをぽんぽんと叩くと、失礼しますと張りのある尻が遠慮がちに乗っかり
白い頬を赤らめて、黒く長い睫毛が震える可愛らしい顔が草々に向けられる。
「キスの時は口あけえゆうてるやろ…」
きゅっと閉じていた唇がうっすらと開かれ、薄紅色の唇から赤い小さな舌がちろりとのぞく。
その素直で愛らしい様を堪能してから、まるい顎に軽く指をかけて口づける。
「…んっ」
上唇と下唇を己のそれで食み、舌を絡ませて丹念に吸う。
たどたどしく応えようとする小さな舌がいじらしい。
ので、パジャマのボタンをひとつ外すと乳首を摘み出してくにくにと弄ってやる。
途端にひくん、と震えて甘い唇が離れてしまう。
「どうしたんや急に」
「あの草々兄さん、わたし脱ぎますさけ」
「ええやろ?このままでも」
「ほやかて…」

何度か試してわかったが、若狭は全裸の時より服を着たままの行為を異常に恥ずかしがる。
イコールちょっとした刺激にも敏感になって反応が非常によろしい。
それに数年前まで妹だった女にパジャマのままイタズラするってのは
なんだかイケナイことをしているようで結構、いやかなり興奮するのだ。
そんなわけで、続行。
「草々兄さ…!」
抗議の声は唇で塞いだから聞こえない。開いたボタンから手を突っ込みもぞもぞと再開する。
パジャマの下で窮屈そうにあふれる乳房は手のひらから余るほど大きいのに
若い張りと弾力をもってつんと上を向いている。そのくせ蕩けるほど柔らかい。
「ほんまにええおっぱいしてるな」
誉めてやったのに若狭は耳まで真っ赤になってうつむいてしまった。
その耳を甘噛みすると、あんと可愛い声をあげてくたんともたれてくる。
「なんや、もうあかんのか」
つくづく感じやすい身体やな。己のしたことを棚に上げて、草々は妻を抱え直す。
「きゃっ」
「こうしたほうが楽やろ?」
若狭の背を自分の胸に預けると後ろから抱き込んで、ついでに股の間に片方の脚を割り込ませる。
「…あっ」
挟まれた堅い腿がイイトコロに当たったらしい。腕の中で女体がわななく。
「ここが、ええのか」
ひざを立て、わざと擦り付ける。布地の下で微かにくちゅ、と濡れた音がする。
「…も、かんにん…」

167:草々×若狭 好色嫁バカ男 3
08/05/21 23:06:20 SUk9Hm+S
緩い刺激の連続に耐えられなくなった若狭が懇願する。
(そろそろええか)
もうちょっとパジャマのままで楽しみたかったが、これ以上焦らすのも酷だろう。
ひざ裏に手をかけてまるい尻を浮かせると、ズボンとショーツを一気に剥ぎ取る。
「あっ…いやや…」
そのショーツからつうっと愛液が糸を引いているのが見える。
「…やらしいな、若狭は」
耳元で意地悪く囁く。と、くるりとこちらを向く潤んだ瞳。
「…ひどい……草々兄さんやないですか」
濡れたまるい唇が夫を責める。
「草々兄さんが、わたしのこと、こんなんしたんやないですか」

草々兄さんの
目線ひとつ
指先ひとつ
吐息ひとつで
とろとろに溶けなるように

「…反則やろ、それ」
突然、自分の肩口に突っ伏した草々を不思議そうに見る若狭。
(わかってへんのか、こいつは)
今、自分がどれだけ男殺しな科白を吐いたのか。
天然で鈍感なくせにこうやって無自覚に男を誑す。
ああ、どうしてくれようかこの可愛すぎる嫁を。

「……やんっ…あ…っそうそう、にいさん…」
「ほんまに、とろとろやな」
蕩ける若狭の中に指を突っ込み、丁寧に捏ね繰り回しつつゆるゆると抜き差しする。
涎を垂らして強請る下の口を弄りながら、上の小さな口を吸う。

まるでわたあめみたいやな
触るとふわふわ、仄かにあったかいのに。口に含んだ途端、熱く蕩けて甘く舌に絡みつく。
「…そうそうにいさん……」
そのとろとろに溶けたわたあめが可愛らしく誘う。堪らない。
顔を見合わせてひとつ笑うと、邪魔な寝衣を互いに脱がしっこする。
草々は若狭のパジャマを乱し、ボタンを外しながら現れる白い肌に唇を落とす。
「あん、も、脱げへんやないですか」
「ええやろ、もうちょっと楽しませえ」
くすくす身を捩る若狭は草々のシャツをたくしあげると、
なめし革のような夫の肌に白い指を這わせる。くすぐったくて笑ってしまう。
「草々兄さん、あの…」
上着を剥ぎ取ってから、夫の下肢に伸びた妻の指がぴたりと止まり。困ったように草々を見上げる。
「…あ」
完全に起立したモノがズボンを押し上げ、チャックが引っ掛かっているのだ。
「どねしよ…兄さん、ちっさくなりませんか?」
「出来るかアホ!」
言い返してからふっと妙案が浮かぶ。
「いや、出来んこともないな…若狭」
「はい?」
「一発抜いてくれ」
―間。
「えええっ!このまま!?」

168:草々×若狭 好色嫁バカ男 4
08/05/21 23:07:13 SUk9Hm+S
「ちっさくするにはそれしかないやろが」
「ほうですね…って、わ、わたしがするんですか!?」
「そらそうやろ、おまえがこんなにしたんやぞ?」
完全に責任転嫁だ。だというのに妻は真剣に悩んでいる。
(アホやな)
腹の中で舌なめずりする性悪夫。
「…わかりました」
暫しの逡巡の後、若狭はいきなり草々の股間に屈み込んだ。全裸で。
(…うっ)
小さな手でパンパンに脹れたそこをすりすりと撫でながら、白い頬を寄せる。
うっとりと睫毛を伏せて頬擦りしたかと思えば、その頂点へ柔らかく歯を立て…
「ちょ、ちょっと待て!どこで覚えたんやそんな技!?」
明らかにど素人のやることちゃうやろ!?
「え、どこって…」
ぽうっと顔を赤らめる若狭。
「…昨日、兄さんがしてくれたことやないですかぁ」
もう、恥ずかしいこと言わせんといてください、と真っ赤になる愛妻。
(…そーやった)
確かに昨夜、妻の股へそんな愛撫をした記憶が。
(ようやった昨日の俺!)
心中ガッツポーズをする草々に構わず、若狭は行為を再開する。
(…っく)
布越しに咥えられ両の手で玉を揉まれ、竿の付根から先端まで甘噛みされ。
なにより、つい半年前までキスもしたことのない口でこんな卑猥なことをしている、
という事実がこの身を熱くする。
「若狭、顔、あげ」
「へ?」
限界だ。急いでズボンとトランクスを引き下げると熱り立つモノを開放する。
……しまった。
勢いよく飛び出した精液が妻の顔に直撃してしまったのだ。
「…そーそーにーさあーん!?」
「す、すまん若狭、つい…」
「自分で脱げるんやったら、最初からそーしてください!」

―しばらくお待ち下さい。

「まったくもう、草々兄さんは!」
「悪かった、俺が悪かった」
すっぽんぽんで詫びを入れつつ、妻の顔を拭う阿呆男。大変みっともない。
他人には絶対知られたくない姿だ。
「…それにしても、おまえがあんな真似するなんてな」
先程の光景を思い返してニヤける草々。懲りてないのかこの男は。
「そ、草々兄さんがせえってゆうたやないですか!」
「俺は一発抜けえて言うただけやぞ?」
それをあーんなやらしいことしてくれるとはな。
「ほんまはドスケベやろ、おまえ」
「…草々兄さんにだけは言われたないです」
ああ、そうやな。草々は若狭の裸身を再び抱えあげた。
「なんも知らんおまえを、こんなんにしたのは俺やったな」

169:草々×若狭 好色嫁バカ男 5
08/05/21 23:08:08 SUk9Hm+S
そう。
半年前まで乙女だったこの妻を、この手で女にしたのは確かに自分なのだ。
(初夜の晩は大騒ぎやったしな…)
緊張のあまり固る妻を宥めすかし、やっとの思いでその身を繋げた時には快楽を追う余裕も無く
ただただ必死に妻の背を撫でて、破瓜の苦痛を少しでも逃すことに終始していたのだった。
あれから半年。
女の喜びを知ったこの白く柔らかな肌を抱きながらつくづく思う。
(…おまえに最初に辿り着いたのが俺で、ほんまに良かった)

独身時代を思い返せば。
若狭を単なる妹弟子としか見ていなかった阿呆な自分をよそに、
故郷の幼馴染みだというボンボンも、華やかなタレント活動をしていた弟弟子も彼女に夢中になっていた。
頓狂な性格が災いしてなかなか女として見られることが少なかったが、
これほど愛らしい容貌と魅力的な姿態を持っていたのだ。
きっと本人が気付いていなかっただけで、狙っていた男は存外いたのではないか。

大晦日の夜。
壁を叩き壊して彼女を手に入れた時、そのまま求婚した自分の決断は間違っていなかった。
もしあのまま、悠長に交際などしていたら。彼女とすれ違っていたあの暗黒の日々の間、言い寄る男が現れていたかもしれない。
それを想像するだけで身の内が冷える。

「草々兄さん…」
益体も無いことをつらつら考えながら白い肌を撫でるうちに、妻の機嫌は直ったようだ。
おずおずと夫の股間に手を伸ばし、恥ずかしそうに笑いかける。
「どや、乗っかるか?」
こくんと頷くまるい顎が実に可愛い。
脱いでしまえば意外と大胆なこの妻は。
勃起する男根に細い指をかけると、股を大きく開いて覆い被さってくる。
こっちも滴る女陰を指で割り、その尻肉を掴んで手助けしてやる。
ぞわぞわと蠢く粘膜にゆっくりと飲み込まれる快感。
「…あっ…ふ」
大きく息を吐きつつ、体重をかけて奥まで誘い込む白い女体。
すっぽりと納まると目を見合わせて笑う。唇を重ねる。
たっぷりと唾液を絡めて離れたら。開始の合図。

「あっ…は、あっ……ああっ……!」
己の上で白い乳を揺らし、踊り狂う淫らな女。跳ねる腰をがっちり掴んで叩きつける。
奥へ。もっと奥へ。
柔らかな締めつけがきつくなる。限界が近い。
「いくで、わかさ……!」
「…そう、そう、にいさ―ッ!」
痙攣する身を引き絞って全てを注ぎ込む。唇を合わせる。深く。
熱く、甘く、蕩ける女。俺専用。

170:草々×若狭 好色嫁バカ男 6
08/05/21 23:08:51 SUk9Hm+S
徒然亭若狭は悩んでいた。
夫との性生活についてである。

十八の時から片思いしてた相手がやっと振り向いてくれてだんな様になって
自分に夢中になってくれるなんて奇跡としか言いようがないのだけど。
(なんや草々兄さん、日に日にスケベになってる気ぃする…)

一度キッチリ問い詰めてみればいいのかもしれないけど。
惚れた弱みで草々の嬉しそうな笑顔を見るとメロメロになってしまうのだ。

ハッキリ断れない性格と、草々の指先ひとつで簡単に陥落してしまう身体が恨めしい。
(男の人ってみんなそうなんやろか?)
夫以外に男を知らない身で考えても詮無い。
誰かに相談したいとこだけど。
頼りの順ちゃんは妊婦となって魚屋食堂を継ぐためキリキリ働いてる。
とてもじゃないけど相談できる雰囲気じゃない。
咲さんや奈津子さんには「甘い!」と説教されそうだ。
お母さんみたいな松江さんには恥ずかしくてできそうにない。
ましてや実のお母ちゃんになんてとんでもない。

(師匠に相談するわけにもいかへんし…)
草々をよく知る兄弟子たちのうち、唯一の既婚者である草原兄さんはアットホームパパで
性生活の悩みとは無縁の人な気がする。
逆に性体験豊富そうな四番弟子の四草兄さんはというと。
男女関係において無駄にエスパー機能の働くこの兄弟子は
若狭の手のひらにそっと「まむしドリンク(女性用)」を握らせると
九官鳥の物真似でガンバレワカサと声援を送りサムズアップしてみせた。
…正直、兄弟子でなかったら必殺のカバンアタックでぶっ叩いてたとこだ。
「どうしたんや若狭、また四草にたかられたんか?」
「小草若兄さん!」
三番弟子の登場に慌てて手のひらのビンを隠す。
たかられるどころかプレゼント貰ったとこだけど、モノがモノだけに見せられない。
なんでもないですえへへと笑ってごまかしてから、ふと思いつく。
「小草若兄さんて草々兄さんと子どもの頃から一緒だったんですよね?」
「腐れ縁やけどな。それがどした?」
「あの、草々兄さんを怒らせないで、上手にもの頼みたい時ってどねしたらええんでしょう?」
ははーんそうかそうか、小草若兄さんがにやりとする。
「若狭もついにダンナの操縦法を会得するようになったんやな」
ええやんええやんキッチリ尻に敷いたり、協力するでと実に頼もしい兄弟子。
地獄に仏、渡りに船とはこのことだ。
「ぜひお願いします!」

171:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:10:59 HEEnVqe7
>>158
GJです!!
切なくも雰囲気があってすごく素敵でした。
4のくだりは涙出ました…。
また投下お待ちしております!

172:草々×若狭 好色嫁バカ男 7
08/05/21 23:12:11 SUk9Hm+S
―あいつ女の子の涙に弱いっちゅうベッタベタな性格やからな
―若狭が目ぇ潤まして『お願い』ゆうたらイチコロや
(よし!頑張ります小草若兄さん!)
今夜こそ安眠を確保するのだ。行け若狭!

日もとっぷりと落ちて、いよいよ勝負の夜。
「なあ、若狭…」
来た。
某少年マンガ主人公の如く、オラわくわくしてきたぞ!的笑顔を見せる我が愛しのだんな様。
シッポがあったらパタパタ振ってるであろう嬉しげな姿に絆されそうになるが、騙されてはいけない。
あの笑顔で考えてることときたら少年○ャンプどころか快○天なのだ。

「あの、草々兄さん…」
夫から見えない位置でこっそり親指の付根をつねる。
(あいたたた)
うるっと滲む視界。
たっぷり涙を貯めたところで、ゆっくりと振り返る。
「な、なんや若狭?」
ギョッとして固る草々。
(…いけるかも)
夫の腕にそっと指をかけて、とびっきりの上目遣い。
「お願い、あるんです…」
兄弟子のアドバイス通り、夫はかなり怯んでいるようだ。
あとひと押し。
「あの、わたし………………………ひゃあっ!?」
いきなり反転する視界。
見上げるとそこには猛禽類のぎらぎらした目がふたつ。
「…あんま俺を煽るんやない」
余裕のない掠れた声が囁いてくる。
「止められなくなるやろ」
―ぎゃ、逆効果です!小草若兄さん!

声にならない新妻の悲鳴は、いつしか湿り気を帯びて。
またいつもの夜が始まるわけだ。

めでたくもありめでたくもなし。



終了


以上です。
すみません、スピンオフに浮かれて頭が煮えてます…

173:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:18:09 SUk9Hm+S
申し訳ありません…
レスの最中に投下してしまうなんて。
空気悪くしてすみませんでした。

174:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:23:40 PLeeGLTD
>>173
いいえ、こちらこそすみませんでした

エスパー4番目に笑い、いつでもやさしい3番目にぐっときました(そのまえのSSを読んだあとだけに)
GJです

175:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:34:18 5zhyDURz
>>172
(・∀・)イイ!!サイコー!!!!
笑わせてもらいました。
若狭ちゃん、夜お断りするなら月一のあの手があるでしょうに・・・・

176:171
08/05/21 23:44:44 HEEnVqe7
ああああ~やってしまった_| ̄|●
>>173様申し訳ありません…
更新せずに打ったらこんなことに……_ノ乙(、ン、)_ 
御作は実に楽しく読ませて頂きました。
草々×若狭好きなので次作も期待しつつ、ROMの海に沈みます。


177:名無しさん@ピンキー
08/05/22 00:03:16 OauwZhk9
>>172
おもしろかった~!
文章もテンポ良くって、笑えるし、エロエロだし、かわいいし。
ラブラブ草々×若狭、いいなあ。
同じくエスパー四草と、優しい小草若にいさんがツボでした。
GJです!


178:名無しさん@ピンキー
08/05/22 01:09:58 Fs54nPgo
GJ!

そのうち若狭が鬼嫁に・・・
草々の実録鬼嫁日記

179:名無しさん@ピンキー
08/05/22 10:30:04 yHe4FSPP
子が生まれたら強くなるからねぇ…

180:名無しさん@ピンキー
08/05/22 18:12:29 yJ8vb+gh
>>172
超GJ!!
そこここに散りばめられたギャグのエッセンスに爆笑!センスに脱帽!
ほんま最高に楽しかったです。しかもエロエロ…w
無駄なエスパー機能つき四草も、優しい小草若ちゃんも、アホ夫婦もみんな最高。
またの投下を楽しみにさせて頂いております!

>>152なのですが、読んで頂いてありがとうございます。
>>164さん、気まずい亭ナツカシスwその後を楽しみにして下さっていたとは。
その後の展開は死ぬほど気まずそうで恐ろしくてなかなか書けず…w

181:141
08/05/22 18:40:08 AZOXvwX/
では便乗して…
GJくださった方、ありがとうございます
過去数回書き逃げしましたが、今回が一番反応ありました(つд`)
前スレの数々の不倫四や未来四&小四のたらしっぷりに触発され、普段のタラシーソーが読みたくなり、
そこに嘘×黒A神が現れたので、黒Aいただきました
神職人さんたちのようにもっと美しくかっこよく書けたらなぁ…


>>151
四→Bはご想像にお任せです^^
基本ROM専なので、またいつか書けたら…

>>159
相手役に困っていたので、159さんの黒Aに運命の出会いを感じましたw感謝です

182:名無しさん@ピンキー
08/05/23 02:17:35 cRidpzGc
いよいよスピンオフ始動ですね。
職人さん方の創作意欲に火がつくのを底抜けに期待してます。

どうでもいいけど、草々中の人の主役嬢への発言を目にするたび、
喜代美ちゃん喜代美ちゃんゆってた頃の小草若がオーバーラップする…

183:名無しさん@ピンキー
08/05/23 10:51:50 uWoyauN1
>>181
タラシーソーwww
ごめん、そんなところにツボってしまいました…。

184:名無しさん@ピンキー
08/05/23 13:53:58 zXnJ10OI
>>172
最高にしびれましたがな!草々×若狭スキーには堪りません。
笑いを噛み殺すのに必死です。

最近、キミ犯人じゃないよねとちりとてがかぶってしまい
メイド服や巫女姿の喜代美を見るにつけ、
「なんや、若狭、アノふざけた格好は!」と外では怒鳴りまくりながら
今夜はあのコスチュームで、と一生懸命、布団を敷いて待っている
草々師匠が浮かんでしまいます


185:名無しさん@ピンキー
08/05/23 15:13:47 OSzyrVqA
糸子母さんネタは書く人は居ないの?

186:名無しさん@ピンキー
08/05/23 18:34:58 ja8YHhvP
四草×糸子に挑んでくれるツワモノ職人さんいないかなw
特に四草ヲタってわけじゃないけど。

187:名無しさん@ピンキー
08/05/23 20:40:48 wT494I6f
また大胆なネタですね

188:名無しさん@ピンキー
08/05/23 23:24:37 XebyquNh
糸子さんなら小次郎との絡みをキボン
切ないの、4649

189:名無しさん@ピンキー
08/05/23 23:32:42 xAWc3rZF
しかし当初は師匠と四草くらいしかエロ要員がいないと言われてたけど、
ずいぶん開拓できたやないか

正典×糸子、友春×順子、小次郎×奈津子、ええ乳×静
の正統派・明るい家族計画つうのもいいかも

190:名無しさん@ピンキー
08/05/24 11:31:40 GiUSVKRZ
草々X糸子で・・・、
「草々さん、ホンマすごいモノがついておってやね、あの子も幸せもんやね」
「お父ちゃんのとは比べものにならへん・・・」
てな感じのキボンヌ。


191:名無しさん@ピンキー
08/05/24 11:47:52 9snkC2ex
若い頃の糸子さんと若い頃の草々が出会ったら
草々はすぐ惚れてそう
守ってあげたい存在そのものだもんね、糸子さん

192:名無しさん@ピンキー
08/05/24 13:12:07 uSNHuU3K
糸子さんは一見守ってあげたい系だけど(お父ちゃんもそのために結婚したんだけど)
草若師匠と漫才したり、尊徳師匠や柳宝師匠とお茶したり、なにげに最強だと思う。

193:名無しさん@ピンキー
08/05/24 15:36:16 nQgyEQ21
小浜実家のお風呂の脱衣所でばったりとかありそう>草々糸子
あと喜代美が入ってると思って草々が浴室行ってうしろからぎゅっとやったら
糸子だったとかwベタだけど。


194:名無しさん@ピンキー
08/05/24 19:14:08 N1WKZAd4
草々と糸子、草々と小梅
四草と触るなブスの女子アナ、四草と緑、四草と咲、四草と中国人女子留学生
草若と糸子、草若と若狭、草若と緑
友春と若狭があのまま結婚していたら~塗り箸製作所のアホ夫婦物語~子だくさんストーリー
秀臣と糸子
正典と静
正典秀臣と謎の女きよみ
順子と正平、順子のオナニー
順子と若狭でラスト・フレンズ

195:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:00:58 rMYJ2GxU
こうやってカップルだけ挙げてくる人って何なの?
自分で書けば?
ウザいんだけど。

196:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:44:03 q88d3UHR
確かに、どないせえっちゅうねんとは思うよなぁ。
職人さんたちも困るだろ。

具体的な妄想は、ぜひSSにして投下してくだされ。

197:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:44:37 sx7G5T8i
全くリクエストに答えてない、思いつきのものですが投下。
小草々独白。エロなし。精神衛生上とても良くないです。
このスレにあっているのかも判りませんが、宜しければ読んでやってください。


198:ウソツキより愛をこめて 1
08/05/24 23:45:21 sx7G5T8i

何の不自由も、何の不満もない生活だった。

たいした苦労もせずに入った大学は、おそらく人が聞けば感嘆の声をあげる大学。
もとより、外面を取り繕うのは得意だった。
明るく、爽やかに、嫌味なく。思っていることを顔に出さなければ、そう難しいことではない。
外面さえ取り繕えば、友人はどれだけでも出来たし、女にも不自由などしない。
親も、友人達も、教授達も―欺くのはなんて簡単。
そうやってゆくゆくは一流企業に就職して、適当なええ女と結婚して。
そんなヴィジョンが、乾いた心の中には出来上がっていた、はずだった。

大学で気まぐれに入った落語研究会。
初めは何が面白いのかと思ったが、付き合いで行った落語会は思いのほか楽しく、
徐々にのめり込むようになった。
もちろん、趣味として。
長い伝統に支えられた数え切れないほどの笑噺。知れば知るほどさらに知りたくなった。
中でも自分の心を捉えたのは、、『鉄砲勇助』。
嘘で人生をわたっていこうとする自分に、それはなんとも魅力的に映った。
嘘つきの、さらに上の嘘つき。自分と同じ名前を持つことも気に入った。
どうせ嘘で塗り固めるのなら、誰よりも上を行ってやろうではないか――

そんな落語との出会いから2年。1997年。
土佐屋や万葉亭の落語会にも友人達と通いつめ。
落語の持ちネタも徐々に増え、落研の寄席でもいくつかネタをかけるようになったりして、
素人芸ながら楽しみにしてくれる人も出てきてくれるようになり。
けれど、もうこの「趣味」もそろそろ終わりにして、就職活動に勤しむかと考え始めた頃。

「木曽山、最近復活した徒然亭の寄席、見に行ってみいへんか?結構ええらしいで。」
そんな友人の誘いに何の気なしに乗って――


彼女に、会った。



199:ウソツキより愛をこめて 2
08/05/24 23:46:04 sx7G5T8i

「ようこそのお運びで、厚く御礼申し上げます」

そう深々と頭を下げた上方でも数少ない女落語家。
頭をあげてにっこりと客席に微笑みかけた彼女を見た瞬間―時が、止まった。
こぼれんばかりに大きな瞳。笑みを刻む小ぶりな唇。
その唇から流暢にこぼれ落ちる、昔の昔の笑噺。
とんきょうな表情に笑い、愛らしくも堂に入った仕草に感じ入りながら、ただ思った。


この女に、接近したい――。


徒然亭、若狭。


「若狭か~ちょっと前までようテレビにも出とったけどな。今は寄席一本やな
 あ、お前あんまりテレビ見いへんのやったっけ?」
「つうかお前、万葉亭と土佐屋の寄席ばっかりやから、落語家なりたての若狭とか
 知らへんかったかもしれんなあ、うん。」
「まあやっとるネタは徒然亭伝統の古典なんやけど、今ひとつっちゅう、かな」
「かなり可愛いけどな。まあ顔で落語やるわけやないし」
「まああれやな、徒然亭やったら草若と、、徒然亭草々かな。若狭の旦那の」
「ああそうやな、正統派で腕は相当確かやな。何しろ上方落語三国志の一人や」

帰り道、それとなく友人達に彼女の話を振ると、こともなげに返ってきた返事。
その中の一つが、自分の胸を突き刺した。
若狭の、旦那…。
徒然亭草々は…知っている。30代半ばの若さだが、演じるネタの確かさには自分も聞き入った。
大柄で強面の、上方落語会の期待株。
自分といくつも違わぬあの少女のようなあどけない顔立ちの女は、あの男の、妻…。



200:ウソツキより愛をこめて 3
08/05/24 23:46:43 sx7G5T8i

その日から――人生が、狂い始めた。
大学の講義は単位を落とさぬ程度。
落語に、明け暮れた。
CDを聞き、本を読みあさり、ビデオを食い入るように見て。
そして時間を作っては、落語会へと足しげく通う。
落語家に、なると決めた。
大学を卒業しないなど、親はひっくり返っても承知しないだろうから、大学の残り二年は
落語の腕を磨くと決めた。

徒然亭若狭が、欲しい。
嘘で塗り固めた自分の中で、この感情だけが…嘘いつわりないただ一つの真実。
…たとえ、狂っていると言われようとも。


徒然亭の落語会で、偶然一度だけ、兄弟子達と歩く彼女に至近で出くわしたことがある。
少しのリスクも犯すべきではない。そう思ったけれど、彼女の声を近くで聞きたい。
その思いに引きずられるように…声をかけていた。
「若狭さん、頑張ってくださいね」
そう微笑んだ自分に、花が開いたようににっこりと微笑んで。
「はい!ええ落語できるように、がんばりますさけ…」
彼女をガードするように徒然亭小草若と徒然亭四草がそれとなく送る視線を避けるように、
そっと頭を下げて立ち去る。

あまり、接近しないほうが良い。おかしなファンだと怪しまれないように。
あくまで自分は…落語好きな大学生。
「落語好きが高じて、落語家になる夢を捨てられずに徒然亭の門を叩く」日まで―彼女に接近は、しない。



201:ウソツキより愛をこめて 4
08/05/24 23:47:56 sx7G5T8i

大学四年。卒業が間近に迫った年。
あわただしく就職の準備をすすめる周りは、のん気げに構える自分を心配し、
「はあ?落語家?折角この大学入って、わざわざそんなもんにならんでええやん」
訝しげに自分を見る。
当然親は――大反対した。
けれど…もう決めた。
どうせ嘘で塗り固めてきた。落語家になるためなら、どんな嘘でもつこう。

入門するなら…徒然亭、草々。
彼女に一番近い男。上方落語界若手髄一の実力者。
弟子入りを志願したとて、何の不思議があろう?
草々に弟子入りすれば、彼女は自分のおかみさんとなる。
それは――彼女と共に過ごす時間を約束された立場。

深呼吸とともに、気持ちを落ち着ける。
記憶に刻み込んだ、徒然亭の電話番号をプッシュする。
もちろん、一度で、しかも電話で弟子入りできるなどとは思っていない。
今日は弟子入りしたい旨を伝えて、何とか会って欲しい旨を訴えるのみ。
無論、そんな約束が一度で取り付けられるとも思っていない。
何度も何度も、その熱意に相手がほだされるまで。

徒然亭草々の楽屋に何度も押しかけ、繰り返し電話をかけ。
そのたびに「まだそんな立場やない」とすげなく断られた。

けれど、徒然亭草若が亡くなってしばらく後。
まだ慌しい時期だろうからと、半ば諦めつつかけた電話で、
「一度、会いにこい」との、返事を手に入れた。



202:ウソツキより愛をこめて 5
08/05/24 23:48:39 sx7G5T8i

勝った――。
ここまでくれば、あとはもらったも同然。
後は、自分の得意分野。
落語がどれだけ好きかを伝え、徒然亭の面々を笑顔で騙しきれば。

古めかしい徒然亭の門前に立ち、呼吸を整える。
(あと少し。あと少しで。)
ゆっくりと呼び鈴を押す。

しばらくして出てきたのは―夢にまで見た、女。
少し緊張した面持ちの彼女が、あ、と何かに気づいたようにほわりと微笑む。
「ずうっと前に、私に『頑張ってください』言うてくれたひとですね――」
(覚えて、いた?)
「まだたくさんの人の前に慣れん頃やったでぇ、ほんま嬉しかったんです」
懐かしむような、優しい眼差し。
「あ、ほんま気ぃきかんでぇ…。草々兄さんに弟子入り希望のかた、ですよね?」
小さな、自分の胸ほどしかない体。白い花のような顔。
目を奪われる。返事が遅れる。抱きしめたいと欲する腕をおしとどめる。
落ち着け、と自分を叱咤する。今日を乗り切れば、毎日彼女と過ごせるのだから。
「…あ、はい!木曽山、勇助と言います」
内心の動揺を悟られないように、完璧な、緊張した笑顔を作る。
憧れの落語家の元を訪れて、弟子になれるだろうかと不安に揺れていると見えるように。



203:ウソツキより愛をこめて 6
08/05/24 23:49:20 sx7G5T8i

予想通り。何もかも予想通り。
ちょいとおだてあげると、徒然亭の面々は手もなく相好を崩し、自分を認めた。
もちろん、思ってもいないことなどは口にしてはいない。
一番効果的な嘘は、真実の中に紛れ込ませた、ほんのひとしずくの嘘。
徒然亭草原の芝居噺はかなりのものだし。
徒然亭小草若の明るい華は、真似をできるものではない。
徒然亭四草の算段の平兵衛は、抑えた演出が聞かせる。
そして若狭は…最近はじめた創作落語が、きっと古典より向いている。
ただ、それぞれが喜びそうなエッセンスを、口当たり良くまぶして感想を伝えただけ。

そして徒然亭草々を陥落させるには、情でほだすのが一番。
どうせ許可を与えない親は亡くなったことにして――チェックメイト。


その日のうちに向かいの居酒屋で入門祝いが催された。
何かネタをやってみろと促されて、そこで「鉄砲勇助」を披露する。
ほんの自己紹介代わり。名実ともに。
自分は「鉄砲勇助」。それと伊達に大学時代を落語に費やしたわけではないという証明を兼ねて。
もう明日からは、自分は徒然亭の新弟子。
何もかも、自分の描いた、いびつな設計図通り―



204:ウソツキより愛をこめて 7
08/05/24 23:50:03 sx7G5T8i

「…おい」
店を出た時、後ろから声がかけられた。
感情の読めない、低い声。徒然亭、四草の声。
たっぷり2つ数えて、無垢な笑顔を作って振り返る。
「何ですか、四草師匠?」
こちらをじっと見つめる鋭い視線。自分より上背の低い彼の、言いようのない威圧感。
「…前に、会ったことあるな。」
「え?」
「…若狭に声かけたこと、あるやろ?」
思わず、狼狽した。
(落ち着け)
何も狼狽する必要はない。ただ一度、頑張ってくださいと声をかけただけなのだから。
「え、は、はい!あの時四草師匠、おられましたよね!覚えていて下さったんですか!?」
思わぬ僥倖に感激していると見えるように、驚いた笑みを作る。

「…忘れるわけ、ないやろ?」

にいっと徒然亭四草の唇が吊り上がる。見透かすような目。背筋がぞっとする。
なんだこの感覚は――?

「あんな飢えた目で若狭を見とったら、な」

みやぶられて、いた…?
まさか。周りの誰も彼も、今まで騙しとおしてきたのに。
ひび割れそうになる表情。うわずりそうになる声。言うことを聞かない鼓動。
何とか押し隠して、抵抗を試みる。
怪訝そうな表情と、傷ついたような目線を作り上げ。
「な、なんでそんなこと…。僕はそんな――」
「…『鉄砲勇助』か。ようも言うたもんやな。見事に表情作りよる」
徒然亭四草の目がらんらんと輝く。
「筋金入りやな。けど…あの目に気づかれとる以上、無駄や」

…それもそうだ。すうっと力を抜く。
「…素はなかなかふてぶてしい顔やな」
薄くにやり、と笑う男に冷めた目線を送る。
「…で?何の用ですか、四草師匠?」



205:ウソツキより愛をこめて 8
08/05/24 23:50:46 sx7G5T8i

「若狭を手に入れるために、落語家になる、か…」
すうっと笑みをひそめて、四草が呟く。
「…そんなわけ、ないじゃないですか。おかみさんになるひとですよ?」
もちろん嘘。見破られていることも、承知の上。
徒然亭四草の顔を、真正面から見つめる。この男は。この感情を見せない男は。

「貴方は…徒然亭若狭を手に入れたいと思っているんでしょう?」

でないと、、見破れるわけがない。この自分の、あのほんの一瞬の眼差しを。

徒然亭四草の目が、すうっと細められる。
その鋭い目線を、真正面から見返す。

「そんな筈ないやろ。兄弟子の嫁の妹弟子、や。他人の女に手え出す趣味は、あらへん」

これも嘘。もちろん嘘。向こうも、見破られていることは承知の上。

「そうですよね。変なこと言ってすみません、四草師匠」
「そうやな。俺も変なことを訊いたな」

言葉とは裏腹の、燃えるような敵意を鋭い目に宿して。
徒然亭四草は、笑った――。


徒然亭若狭を手に入れるために、最も障害になるのは――間違いなく、この男。
夫たる徒然亭草々でも、気のない振りをしようと努めても彼女を目でおう徒然亭小草若でもなく。
けれど、と木曽山勇助は思う。
自分は全てを棒に振っても、あの女を手に入れると決めた。
決めたからには、必ず、手に入れる。

「なにしとんなるんですか~四草兄さん!木曽山君!」

こちらに明るく微笑みかけて小走りに駆け寄る彼女を。
例え、誰が邪魔しようとも―


<終>



206:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:51:32 sx7G5T8i
お疲れ様でした。読んでくださった方がいたらありがとうございます。
エロまで及ばないでほんますみません。
これストーカーですね。嘘山ごめんよ。
嘘山、どこからどこまでが嘘なのか良くわからないので、
いっそのこと一つを除いて全部嘘にしてみましたバージョンでした。

207:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:20:59 anZrcuAx
>>206
GJです。
けど嘘山君、このあと散々草々若狭夫妻の営みを聞かせられる羽目になるのね・・・・・

208:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:59:02 8OQlSJSx
>>206
超GJ!!
どんな人物かと思いきや、本編ではあっさり片付けられたからね
こんな裏があったらおもしろすぎる
そしてやっぱり四サマ!!かっこよすぎるー!!www
会見でさらに色気増してたし、これ読んでハァハァしますた

209:名無しさん@ピンキー
08/05/25 01:00:43 HYux3VTR
>>206
うわぁあぁGJGJGJ!!!
ぞくぞくくる素敵な作品でした。
エロもひっそり期待します

210:名無しさん@ピンキー
08/05/25 03:57:42 eTWqPakH
>>206
GJ!
鉄砲vs算段家の対決が格好いい!
どちらも胸に徒然亭若狭への欲望を秘めて…というのがなんともエロス。
ふてぶてしい素顔の木曽山に惚れました。

211:名無しさん@ピンキー
08/05/25 07:19:57 W+nGxH67
>>206
GJ!木曽山若狭に一目惚れだったんか~。
可愛いやつっちゅうか、やっぱストーカーっちゅうかw

212:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:00:43 ZoKo5PXR
>>206
GJGJ!
本編のウソヤマVS四草は笑えたけど、
あの一瞬の緊迫感がどわわーっと盛り上がって、脳裏に蘇りましたw
いいわ~。

213:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:02:01 Q4m6b7hw
>206
GJ!
ダーク嘘山いいね。4が見抜いてるのに、草々兄さんは何も気づいてなさそうだw

214:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:07:39 LUR6ddEy
>>206
GJ!!
ストーカー気質、似合いますね嘘山w
こんなこと考えてそう、と思いつつ楽しく読みました。
四草とのやり取りが大ヒットです。
第二弾も期待しておりますー。

215:206
08/05/25 23:49:56 jF1LxnyG
GJ下さった方本当にありがとうございます。
…最近なんだか微妙に精神的に病んでる系の話しか浮かんでこないので、
こう、明るい話でも書いてみたいものです…DVD待ちかな。

歴代スレの神々の名作、只今倉庫にて順に熟読中なのですが、本当最高ですね。
改めて倉庫神&歴代創作神々に感謝です…!

216:名無しさん@ピンキー
08/05/26 02:37:42 G6prBbZW
小草若兄さんのがっつりエロが読みたいなあ。
なかなか無いような気がするけど。キャラ的に難しいのかな?
なんせ喜代美抱きしめた時もえらいお上品な、はかない抱きしめ方だったしなあ…
自分で書けたらいいけど、エロエロの腕がorzだし。


217:名無しさん@ピンキー
08/05/26 03:20:22 zSCtbgAV
>>216
その二人のがっつりといえば、2スレめ35~の「アンバランスなkissをして」
それ何度も読み返してる
あとは前スレの妄想寿限無の夢実現編も官能的
でも数が少ないのは同意
書いてみたくなって投下したこともあるけど、いまいちだったwww

あの抱きしめかたはよかったね
勢いはあったけど、壊れ物のように抱き寄せて…
新鮮だったな

予告観てwktkしすぎてその部分だけリピートしまくった
そして本編観て涙…

218:名無しさん@ピンキー
08/05/26 13:13:46 m5NZpi1s
小草若基本お坊ちゃまだからエロくするの難しい…
A子との考えてみるけど二人とも育ちがいいから濃いH出来なくて
かといってギャグにもなりにくそうで。

219:名無しさん@ピンキー
08/05/26 16:10:55 inqQPF5c
すみません。
この流れに乗っかりまして、出来心で書きなぐったエロ小草若を投下してみます。
内弟子修行時代で小草若×喜代美。エロあり。

220:小草若×喜代美1
08/05/26 16:12:34 inqQPF5c
毎日俺は彼女の前で道化の仮面を被る。

「喜代美ちゃ~ん、今日も底抜けに可愛いな~大好きやで~」
「あ、おはようございます小草若兄さん」
日常茶飯時の軽い告白。彼女ももう慣れっこで、本気になどしていない。
当たり前だ。本気に取られない為の道化の仮面だ。
その下にある真実の叫びを悟られない為の。

愛してる。愛してる。愛してる。俺の可愛い、喜代美。


彼女とは、出会いからして道化じみたものだった。
落語の師である父が、母を失い自暴自棄の沼から這い出せずにいた頃。
事情を知らなかった俺は、父を非難することしか出来ずにその日も父の家に行き。
彼女に、出会った。
父の事で頭が一杯だった俺は、彼女を父が連れ込んだ女かと思い込み随分失礼な罵声を浴びせかけた。
当然、憤った彼女に鞄でぶっ叩かれる羽目になったのだが。
まさか、誰しも冗談だと思うだろう。
その時俺は、彼女に一目惚れしてしまったのだ。

当時、父からも落語からも離れタレント業に専念していた俺には。
名うての女誑しの弟弟子ほどでは無いが、言い寄る女に不自由はしていなかった。
明るくておもろい男は、ここ大阪ではモテの必須条件だ。
そこそこに女遊びも経験したし、中には名前を出せば皆が羨むようなモデルの卵と付合った事もある。
それだけに自分でも信じられなかった。
まさかこの俺が、こんな垢抜けない女の子に本気になるなんて。

しかし、その女の子―喜代美ちゃんは、知れば知るほど魅力的な少女だった。
不器用で鈍臭いけど、真直ぐで一生懸命で。他人の為に泣いたり笑ったり出来る心の綺麗な子。
彼女に背中を押されるように復活を果たした徒然亭一門に、その彼女が入門して来た時。
俺は既に彼女の虜になっていた。

彼女への恋を自覚してから。俺は仮面を深く被るようになった。
だって相手はまだ18の少女。
30近い男に本気で言い寄られては怯えさせてしまうだけだろう。
それに。彼女には想い人がいる。
俺の兄弟弟子でガキの頃からの腐れ縁の、徒然亭草々。
あの馬鹿男は彼女の恋心など眼中に無く、よりによって彼女の友人に夢中になってる始末だ。
それでも彼女は健気にあの馬鹿を想っている。
その小さな背中を見つめながら、声には出さず語りかける。
―俺じゃ駄目か?
その一言を口に出せないまま。今日も俺は道化を演じる。
彼女の笑顔を曇らせたくないから。これ以上。

221:小草若×喜代美2
08/05/26 16:13:26 inqQPF5c
午後の収録を終えて。俺はいつものように草若邸へ向かった。
喜代美ちゃんの顔を見るために。

今日は、父も草々も磯七さんとこの落語会に呼ばれていて。
草原兄さんは緑姉さんの実家へ颯太連れて泊まりに行っていて。
四草は店が忙しいらしく朝からバイトに駆り出されていて。
―今行けば、喜代美ちゃんと二人きりで過ごせる。
そんなスケベ心を抱えながら枝折戸を開けた俺は。
庭先から見える居間に目指す姿を見つけた。
無防備に横たわる愛しい少女の姿を。

「き、喜代美ちゃん!?大丈夫か?」
「………くー」
不吉な想像に駆け寄った俺をよそに、彼女の口からは健康的な寝息が洩れている。
「ったく、人騒がせやな…」
ほっと安堵した俺は、急に間近で見る彼女の寝顔を意識してしまう。
閉じた瞼に縁取られた黒く長い睫毛。ぷっくりと清潔な桃色の唇。薄紅の差す白くまるい頬。
その愛くるしい顔は、どことなく疲労の色が浮かんでいて。
(疲れてたんやな…)
男でもきつくて音を上げる内弟子修行。
それを女の子で、こんな小さな身体で必死にこなしているのだ。
誰もいないこんな時間、つい気が緩んでしまうのも仕方ない。
(けど、こんなとこで寝てたら風邪ひくで)
「喜代美ちゃん起き…」
彼女を抱え起こそうとした瞬間。
「……ん…ううん…」
くたんと。バランスを崩した女体がもたれかかってきた。

「き、喜代美ちゃん…!?」
俺の腕の中に預けられる、温かくて柔らかな重み。
ふわんと鼻をくすぐる女の子特有のいい香り。
そして。そして。
「…これ、ちょっと、マズいやろ」
俺の右手には。ちょうど彼女のふくよかな胸が当たっていた。

当たっている、なんてもんじゃない。
体重をかけてもたれてくる乳房は。
まるで俺の右手を包み込むように柔らかく押し迫ってくる。
服の上からだというのにしっかりと重くたわんでいて。
(わかっていたけど喜代美ちゃん、巨乳なんやな…)
いや、胸だけじゃない。俺の身体に当たる腰も、太腿も。
少女の身体はしっかり女の形に成長しているのだ。
(あかん、妙な気起こしそうや)
なんとか右手だけでも退かそうとした俺は。
むぎゅ
…かえって強く鷲掴んでしまった。
(あかんやないか―!)
「ご、ごごごめん喜代美ちゃんっ!」
慌てる俺の耳に飛び込んできたのは。
「……んっ…」
快感を伝える女の溜息。
―俺の中で何かが弾けた。

222:小草若×喜代美3
08/05/26 16:14:14 inqQPF5c
そこからの時間は、魔が差したとしか言い様が無い。
眠る少女を左腕に納め、右手は。少女の乳房を揉みしだいている。
「……んっ…んんっ…」
何も知らない唇から濡れた吐息が漏れる。
もっと。そうねだるように、柔らかな身体が擦り寄ってくる。
「喜代美ちゃん…」
あかん。あかん。
そう頭では警鐘を鳴らしているのに、右手は彼女に囚われてゆく。
薄手のパーカーの裾から手を差し入れると、滑らかな肌を指先に感じる。
その先には。
薄い布地に包まれた、蕩けるまでに柔らかな生の乳房が。
つ、と俺の指が触れると。
「ああ……ん…」
堪えられない、とでも言うような快楽の声。
誘われるように。ゆるりと指を食い込ませる。
掌に感じる、先端の突起。
おそるおそるブラをずらすと、ぷっくりと尖り自己主張をしているのがわかる。
そっと摘んでみる。
ぴくん、と震える。
「喜代美ちゃん、気持ち、ええ?」
欲に掠れた俺の声に。
「…ん……きもち……ええ……」
夢うつつで答える、濡れた女の声。
頭が真っ白になる。何も考えられない。
その甘い吐息に誘われ、唇を寄せたその時。
「…こ、そうじゃく、にいさん……?」
とろりと潤んだ瞳が、俺を見た。

ぎくり。
冷水を浴びたように手が止る。
彼女の瞳はそれ以上の追求はせず、またゆっくりと閉じられた。
憑物が落ちたかの如く、手を抜き彼女を横たえ。
俺はそのまま便所に駆け込んだ。

「……くっ…はっ…」
既に完勃ちだった俺のモノは、二・三度扱いただけで簡単に精を放った。
あらぬ方向へ飛び散ったそれを紙で丹念に拭う。
左腕の柔らかな重み。
右手の蕩ける感触。
耳につく濡れた吐息。
とろりと俺を捉えた目差し。
それらを全て拭い去り熱の引いた俺を襲ったのは、吐き気のする後悔と嫌悪。
(何をしたんや、俺は)
愛しい、愛しい少女に。
あんなに大事にしてちたのに。あんなに大切にしていたのに。
「終い、やな…」
悔やんでも悔やみきれない。
何の為に俺は道化を演じていたのだ? 彼女を傷つけない為ではないか。
(それを、俺が傷つけてどないすんねん)
寝ている間に、兄弟子と信じた男に無体を働かれたのだ。
(顔も、見たくないやろな…)
自業自得だ。

ともかく、彼女をあのまま冷えた座敷に置いておくわけにもいかないだろう。
鉛のように重い身体を引き摺りつつ、俺はまた、彼女の横たわる居間へと戻った。

223:小草若×喜代美4
08/05/26 16:14:52 inqQPF5c
「喜代美ちゃん、喜代美ちゃん…」
震える手と震える声で彼女を呼ぶ。
覚悟は出来ている。
どんな罵声を浴びせられても、どんな冷たい目で見られても。
それだけのことを俺はしたのだ。
青ざめた顔で待つ俺にかけられた彼女の最初は。
「…はれっ?小草若にいさんっ!?」
そのどれでもない、すっ頓狂な驚愕だった。

「すすすすみませんっ!仕事片付いて、なんやふわーって気持ちようなって気ぃついたら…」
「ええて、ええて、今はだーれもおらんのやし」
―助かった。
行為の最中夢うつつだった彼女は、完全に覚醒した今、何も覚えていなかった。
それをいいことに卑怯な俺は、妹弟子を心配する優しい兄弟子の仮面を被る。
「ほんまはあかんのやけどな、今は俺しかおらん…内緒にしたる」
「わあ!ありがとございます小草若兄さん!」
偽りの優しさにはしゃぐ彼女の声に、ちくちくと罪悪感が胸を刺す。
俺は知ってしまった。
君の身体を。
君の肌を。
君の濡れた声を。
君の―快楽に耽る、女の顔を。

無邪気な少女の中に眠る、快楽を求める、女。
でも、それは。
俺だけの秘密。
俺の胸の、一番奥の奥に仕舞い込んで鍵を掛けた、秘密。


「喜代美ちゃ~ん、今日も底抜け~に大好きやで~」
「小草若兄さん、草原兄さんがあっちで呼んどりましたよ」

今日も俺は、君の前で道化の仮面を被る。
君が本気にする筈も無い、日常茶飯時の軽い告白を繰り返す。
この仮面を外すのは。
君が、もっと大人になってから。
俺の胸に秘めた、あの日の女に君が近付いてから。
その日まで。
俺は何度でも君の名を呼ぶ。
道化の仮面の下で、真実の君への恋を叫び続ける。

愛してる。愛してる。愛してる。俺の可愛い、俺だけの、喜代美。




〈了〉


以上です。
ごめんなさいごめんなさい。なんかもうひたすらにごめんなさい。

224:名無しさん@ピンキー
08/05/26 16:48:21 35WM4SeV
何を謝る必要が。
GJです!!

若狭が結婚した後の小草若を思うと、泣ける…。

なんで普段おちゃらけてるくせに、こんなに苦悩する姿が似合うんですかね、小草若は。

225:名無しさん@ピンキー
08/05/26 17:31:41 VqZgfmSJ
底抜けにGJです!

本編でも、小草若にはぜひとも幸せになってほしかった…
切ないです

226:名無しさん@ピンキー
08/05/26 22:23:06 G6prBbZW
>>219
GJです!!
胸をつくあまりの切なさ。苦しい想いが辛すぎて涙…。
道化の仮面という悲しいフレーズが、小草若とオーバーラップしすぎる。
本当にね…幸せになってほしかったです。

>>217
「アンバランスなkissをして」、自分も何回も読みました!
今回また読んで、また小草若ものがっつりエロの腕に圧倒されながら泣いた…。
妄想寿限無の夢実現編…自分のだorzエロの腕ねえなと思い知らされたあの辺り。
官能的と思ってくれた人がいて本気で感激した。腕磨いてまたチャレンジしてみたい。

小草若の抱きしめに象徴されるあの、明るさの影の繊細さ切なさが何とも言えず良いね。
ちなみに自分も予告見てwktk→本編でorz…ってなったw
小草若×喜代美派の夢を一瞬で叩き潰してくれました…。

227:名無しさん@ピンキー
08/05/26 23:30:53 IcAjdUyH
>>223
書きなぐってこのクオリティはすごいです。脱帽。
直接的じゃないのがまたエロい!
小草若の心情が切ないのに、手を出しかけるあたりも生々しくて良かったです。

228:名無しさん@ピンキー
08/05/26 23:40:08 zSCtbgAV
>>219
タイミングも内容もGJです!
バレなくてよかったーと小草若と一緒に安堵w
道化の仮面って、なんて切ない表現…あああ・゚・(ノД`)・゚・。
次もバレないようにね(応援)

>>226
好きな作品の作者さんとはやっぱりツボが被るんですね!!
こちらも感激です
立ちバッk(ryマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

229:名無しさん@ピンキー
08/05/27 00:35:37 V1SXkaf7
うはw
過去スレ三席目の変態柳眉×若狭読み返したww
何度読んでも変態すぐるwww
この職人さんはもういないのかな…

ちなみに小草若×若狭は同じく三席目の「不信の時」が好きだ。

230:名無しさん@ピンキー
08/05/27 02:11:50 e4C5V+MG
>>219
超GJ!!!
冒頭とラストの小草若の叫びが胸に迫ってくる…。
今日のぐる関で小草若姿の茂山氏を見て、夏のスピンオフは
小草若の一番つらい時期が始まる頃か…と切なさ再到来だったので
まさにすごいタイミングで読ませてもらいました。
またの投下お待ちしています。

ところで喜代美、皆様巨乳設定は当然wで確定してるんだね。
いやそこがまたいいんだけど。中の人そんなにすごいのか…。
ゆったりした服が多かったんで微妙にわからんかったw見る目ないな自分。

231:名無しさん@ピンキー
08/05/28 04:59:34 mvjVNFvR
友春×順子投下します。
順子ちゃんの気持ちを妄想しただけです。内容薄めエロあり。
順ちゃん、はじめての恋?

232:恋歌 1
08/05/28 05:00:40 mvjVNFvR


ひとをこいする。

それはどんな気持ちなんだろう――?
自分の気持ちを誰かに傾けて、その人で心をいっぱいにする。
それは…自分には訪れたことのない感情。

たくさんの恋を見た。
誰それが好きだと頬を赤らめる高校のクラスメートたち。
下宿先の「草々さん」のことを話す、B子の恥らったような表情。
B子に何年も何年も好きだ好きだと繰り返す友春さん。
人気タレントなのに、B子の姿を見つけた瞬間に、TVカメラや体面も気にせず、
目を輝かせてB子に駆け寄った徒然亭小草若さん。
そして、偶然訪れたA子の部屋で「落語家なんかと付き合うな」と友春さんに言われた時の、
初めて目にするA子の反発する姿。

そんな感情は、自分にはとてもとても遠いように思えていた。

自分は「いつも冷静な、しっかり者の順ちゃん」で。
いつも一歩引いたところから、どこか冷静に観察していた。
少し、ほんの少し、誰かにそんな強い感情を持てる皆がうらやましかったけれど。

なのに、いつからだろう。
恋、という言葉を思い浮かべるたびに、いつも一人の顔を思い浮かべるようになったのは。
これは恋なんかじゃない。
あんなアホ。
口を開けばB子B子。
製作所の跡取りであることを自慢するかと思えば、一転「自分に製作所がやっていけるやろか?」と
泣き言をこぼし。
かと思えば能天気でなんも考えとらんし。

なのに、友春さんが泣き言をこぼすたびに、なぜか心の中がぽっと温かくなって、ふっと
あたたかく抱きしめたいような、包み込んであげたいような気持ちが浮かんできたり。
B子との恋について相談されるたびに、なぜか心のどこかがちくりと痛んだり。

これは恋じゃない。
泣き言をこぼす友春さんを叱り飛ばし励ましながら、繰り返し言い聞かせる。
この人は――B子を恋しているのだから。



233:恋歌 2
08/05/28 05:01:32 mvjVNFvR

「草々さんと結婚することになったん――」
電話でそうB子から告げられた時、あまりの急な話に驚いたけれど。
でも、B子の片思いの期間を知っているから、それが報われたことがとても嬉しかった。
結婚式の朝、白無垢姿でそっと佇むB子は…今までにみた何よりも綺麗だった。
何かを見て、こんなに綺麗だと思ったことはなかった。
綺麗に化粧をして少し恥らうようにうつむくB子は、幸せと、恋に輝いていた。

B子の家族や、徒然亭の人たちに囲まれて行われた和やかな結婚式。
のはずが…
うちのお父ちゃんとお母ちゃんが鯖持ってなだれ込んできて、徒然亭近所の居酒屋夫妻と
バトルを開始すると思えば。
それを見てみんな止めるどころか、B子の兄弟子の人とB子のおじさんは賭けを始めて、
みんなそれに乗っかりだしたり。
散々な様相を呈し始めて。
挙句の果てには――花婿のように盛装した友春さんまで現れて。

庭先から、つかつかと近づく友春さん。
B子を…奪いにきたのだろう。
ずっとずっと思ってきたB子が、結婚してしまうのに耐えられず。

見ていられなくて、くるりとB子に背を向ける。
心が苦しくて。そんな場面は見たくないと心が悲鳴を上げて。

だから――何が起こったのか、わからなかった。
突然背中に何かがすがりついて、すごい勢いで引き寄せられて。
何が起こったのかが判ったのは、友春さんの声が耳元で響いた時。
動けなかった。友春さんに抱きしめられていると気づいて。
何も考えられなかった。
ただ一つだけ……とても、あたたかいと思ったことを除いては。



234:恋歌 3
08/05/28 05:02:38 mvjVNFvR

ひとって、あたたかい…
知ってしまった。知らなければ、その温もりが愛しくなることなんてなかったのに。
抱きしめる腕のあたたかさ。そして体のあたたかさ。
友春さんと、逢瀬を重ねる。
魚屋食堂に電話がかかる。そのたびに軽やかにはずむ胸。
「製作所やけど、鯖頼むわ」――それが逢瀬の合図。
了解ならば、「本数は?」――それは時間の指定。

いつもの場所に停められた友春さんの車。
飛び込むと、愛しげにこちらを見て微笑む顔。
それだけで、ふうっと舞い上がるこころ。
これが…恋?
恋とは、、なんて、あたたかくてしあわせな気持ちなんだろう。

「順子…」
唇が重なる。あたたかく。
頭の中が、とろけそうになる。
「順子…好きや」
友春さんのかすれた声は、胸に甘く甘く響く。
「…私も…好きや」
友春さんの手が、服の上から胸に添えられゆっくりと揉みしだく。
むさぼるようにお互いの服を脱がせあう。
友春さんの唇が胸の先端を吸い上げ、もう片方の胸の先端を指で転がす。
体に、緩やかな痺れがはしる。
「あ、、」
「順子…めっちゃ、可愛い…」
「…アホっ…、、ああっ!」
胸を思うさま揉みあげられる。首筋を舐めあげられる。
ぞくりとするような…官能。
思わず、友春さんの背中にすがりつく。その感覚が怖いような気がして。
ふっと笑って友春さんが私の頬を撫でる。
「そんな顔したら…可愛いて、どうしょうものうなる…」
「…や…っ、そん、な」
友春さんの指が、秘所を撫でる。ゆっくりと、慈しむように。
耐え切れず声が漏れる。体が反り返る。
やがて濡れた音。とめどなくあふれるそれを指に絡め、友春さんはゆっくりと中に入れる。
「ふ、ああっ…」
自分の中が犯される感覚。もっと、もっとと求める気持ちを抑えられない。
「めっちゃやらしい、顔…」
そんな言葉にさえ、もういつものように「アホ!」と返すことなどできず、
出るのはただ喘ぎ声。
2本、3本…と指が増やされるたび、その指が中をかき回すたび、体が甘く震える。
頭の中が、白くほどかれていく。
ただ、友春さんの熱を帯びた体にすがりついて、その感覚に耐えることしかできない―



235:恋歌 4
08/05/28 05:03:48 mvjVNFvR


「順子っ、じゅんこっ、」
ただ自分の名を呼びながら、友春さんがはげしく突き上げる。
「ふっ、、くぅ…ん、…と、もはる…っ!」
奥の奥まで友春さんを感じながら、絶頂を迎える。
うめくような声と共に、中まで友春さんのあたたかいもので満たされて。

その意味も考えようとせず…自分は、その温かさと朧げな官能の波に酔いしれて。
息を荒げて、けれど優しく自分に微笑む友春さんの胸の中で、幸せを感じていた。


ただただ、恋の甘さに溺れて、いた。

その代償は、とてもとても大きなものだったのに。

子供が、できた。
そんなこと、どう言えばいい?
どうすればいい?
これは…自分の引き起こしたこと。天災なんかじゃない。
友春さんは製作所の跡取り息子。自分はお父ちゃんの作った食堂を守りたい。
一緒になんか、なれるはずがなかったのに。
初めて感じるあたたかさに溺れて、取り返しのつかないことを。
どうして、どうして恋なんか。
友春さんが、、愛しい。けれど、B子みたいに祝福されて一緒になるなんて、できるはずがなかったのに。
あの幸せに輝く未来が、自分と友春さんの間にはあるはずがなかったのに。
心が引き裂かれる。
あのひとと一緒にありたいと悲鳴をあげる心。
結婚することなんて絶対出来ないと、冷静に判断する心。
苦しくて、息がつまりそうに。
誰か、誰か、助けて。
B子――


恋とは――こんなにも苦しいものだなんて。


知らなければ、良かったのに――




236:恋歌 4
08/05/28 05:05:01 mvjVNFvR
以上です。話的には暗い終わりですが、本編ベースなので
結果は本編につながります。最初あげててすみません。
お目汚し失礼しました…。

237:名無しさん@ピンキー
08/05/28 05:11:48 mvjVNFvR
あ…どうでもいい話ですが、タイトル「順恋歌」のつもりだったのにorz
なにからなにまで手落ちだらけで申し訳ないです…。

238:名無しさん@ピンキー
08/05/28 07:50:38 jryNXCLU
>>237
GJです
冒頭のみんなの恋を冷静に見つめるくだりが実にこの子っぽいし、すごく好みの書き出しでした
個人的にタイトルはそのままでGJです
連想させる人たちにあまりいいイメージがないので…

239:名無しさん@ピンキー
08/05/28 08:47:38 CxnaBoBE
>>237
いいねえ…。
なんか、ああ、順ちゃんはこうやって恋をして、
B子に相談したくなるくらい考えたんだなあ、って思った。

240:名無しさん@ピンキー
08/05/28 13:37:18 EoeEFPjI
避妊失敗して出来たのかなと思ってたけど、
アホボンだからついつい…そのままやっちゃったのかな?

241:名無しさん@ピンキー
08/05/28 19:13:54 O9w8d1rN
>237
GJ! 順ちゃんとボン、いい組合せだよね。
順ちゃんとボン父・母との会話も怖いけど見てみたい。
最初はぎこちなかったんだろうなー。
双子もすごく可愛かったから、孫可愛さにどんどん嫁とも仲良くなったのかな。

242:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:58:07 7tooivOm
>>237
GJ!
小浜のロミジュリカプにまた会えて嬉しかったです!
順ちゃん見てると本当に恋は思案の外だなって思う。

243:名無しさん@ピンキー
08/05/29 20:41:07 RFzNPNh4
ちょっと息抜き小ネタ投下。草々×糸子(若狭)っぽい。


結婚生活二年と三ヶ月。
俺は今、人生の岐路に立たされている。

「ほら草々さん遠慮せんと」
「ああっ!ずるいずるいお母ちゃんばっかり!」
妻・若狭の母で俺の義母の糸子さんは、結婚前からの馴染みで。
こうして大阪に泊まりに来るのもしょっちゅうだ。
…それはそれでいいんだが。
「ほんに喜代美は幸せもんやな~、こーんな男前の草々さんに可愛がってもらえて」
なでなでなで
「ちょっとお母ちゃん!草々兄さんはわたしのや!」
すりすりすり

久し振りだからと酒が入ったヨッパライ母娘二人、俺の右と左にぴったりくっついて。
俺の両腕に二人の胸が。俺の両耳に二人の吐息が。
まあ、なんだ。いわゆる両手に花状態?

(よう考えたらお義母さん、俺と十くらいしか違わんのやな…)
成人した子の母親とは思えない、色の白さ。肌理細かな肌。胸の豊かさ。
(…童顔やし)
こうして見ると母娘はまるで姉妹のようにそっくりだ。
(…あっちの具合も一緒やろか)
不埒な想像が頭を過ぎった瞬間。
むぎゅ
「あらあら草々さん、こっちも立派なんやね~」
お、おおおおおお義母さんんん!?
「お母ちゃん!勝手に触らんといて!」
ぎゅむ
わ、わわわわわわわかさあああ!?
勃ち上がりかけた俺のモノへ、母娘の白魚のような指が絡み付く。
「どんどんおっきくなるんやね~」
「もう!お母ちゃんがそんなんするからやろ!」
…ちょっと待て、どうしたらええんやこの状況!?

1.このまま母娘どんぶり
2.もしかして母娘どんぶり
3.やっぱり母娘どんぶり

三択の意味ねえええええええッ!!!



<糸冬>

244:名無しさん@ピンキー
08/05/29 21:08:02 7dLTxHlF
>>243
超GJ!!
めいっぱい笑わせて頂きました!
そういや意外に年齢差ないんですよね~。美味しい設定だw

245:名無しさん@ピンキー
08/05/29 22:16:16 vcSgoc7s
GJ!
新しい世界を見た気がするw

246:名無しさん@ピンキー
08/05/30 01:06:57 YAOR/sxR
GJ!面白いですね~!
おかあちゃんの年齢と比べてみるとそんなもんなんだね。
ぜんっぜん気がつかなかった…。
エロゲみたいな実質意味なし選択肢にコーヒー吹きそうになったw


247:名無しさん@ピンキー
08/05/30 06:20:57 9snEyOF/
よく考えたら、草原や四草のほうが年近いんだな>糸子さん
うっかり糸子さんとクジラの竜田あげとか給食バナで盛り上がって
若狭や小草々ら若者組に「えー知らないですー」言われて落ち込んだりする兄弟子ズとか

248:名無しさん@ピンキー
08/05/30 10:25:44 OL91N3ZX
若狭と同年代だが、鯨の竜田揚げは給食で出たぞ。
娘の小学校でも先日出たらしい。

249:名無しさん@ピンキー
08/05/30 22:08:10 DeUl+SvN
>>247
草原は小次郎とほぼ同じ歳のはず・・・
糸子と喜代美のまんなかへんに四草草々小草若なんだよね

250:名無しさん@ピンキー
08/05/30 22:50:39 3lBVIgiu
しーそうそうそうこそうじゃく

なんかいい語呂

251:名無しさん@ピンキー
08/05/31 00:27:31 sQZN3CQS
キミ犯のテロップに
青木一って出てたvW

252:名無しさん@ピンキー
08/05/31 00:33:20 4uFxgpOu
自分もそれ気になったww<青/木/一

若狭が心配で忍んで出たのかと妄想しました

253:名無しさん@ピンキー
08/05/31 00:52:33 HlsRg3+v
雨続きなので思いつきで書いてみました。
小草若→喜代美、一門復活後?くらいの曖昧な時期設定。
エロなし、小草若の片想い話です。
関西弁も小浜ことばも自信ないので、おかしかったら指摘お願いします。

254:白き花の如く 1
08/05/31 00:53:08 HlsRg3+v
「喜代美ちゃーん。って、あれ?」
いつもなら稽古中でない限りは挨拶する妹弟子の声がしない。
台所をひょいと覗いたが、求める人影はいなかった。
「若狭なら買い物行っとるぞ」
代わりにぬっと出てきた大男。
草々が鬱陶しげに自分を見ながら言うのにかちんと来る。
「お前に聞いとらんわ!って、傘持ってったんかな」
梅雨の明けきらない変わりやすい空模様、小草若が到着したときに少し降り始めていた。
「あいつ出てくときは降ってなかったんやないか」
「ほな迎えに行かな」
それより稽古!という草々の声を聞き流し、いそいそと玄関へ向かう。
傘を広げ、もう一本余分に持って歩き出した。
一年で一番日の長いこの季節だが、厚い雲に覆われた空は薄暗い。
雨が上がればきれいな夕焼けが見られるかもしれない。
隣には、誰よりも大切な女の子がいたらもっといい。
静かに降り続く雨の中、緩みがちな顔を引き締めながら歩いていく。
住宅街の中の狭い道、向こうから自動車が来たので端に寄って立ち止った。
ろくにスピードを落とさず、雨粒を撒き散らしながら車は走り去っていった。
嫌な予感、と呟いて足元へ視線を落とし、裾の水はねの跡に舌打ちする。
「ちっ、ついてへんわ」
なんやねんあの車、と毒づきながら顔を上げると、雨の匂いに混じって微かな芳香。
元を探して見上げると、視界に緑と白のコントラストが飛び込んできた。
大樹に青々と茂る葉と、その隙間を埋めるかのように咲く大きな白の花。
花のひとつが両手を広げたほどもあるそれは、芳しい香りを放っている。
「この花―」
裾の汚れも忘れ、目を奪われた。
―これは泰山木いうんやで。
―タイ、サン、ボク?
―そや。木に咲く花では一番大きいで、きれいやろ。
いつか歩いていたとき、まだ手を引かれるくらいの歳の頃、父親に名を教えられた花だった。
馥郁とした香りも、子どもの目から見ても驚くほど大きな花弁も―つながれた手も。
ひとり歩いているときに思い出すには、感傷的すぎる記憶だった。
「あかん、喜代美ちゃん困っとるわ」
さっと目を逸らして灰色の道を歩き出す。
だが、霧雨に包まれてなお鮮やかな白色の花びらは、瞼の裏に焼きついて容易には離れなかった。

255:白き花の如く 2
08/05/31 00:54:11 HlsRg3+v
五分ほど歩き、角を曲がった先で視線を留める。
「喜代美ちゃん?」
スーパーの軒下、両手にビニール袋を提げて空を見上げる女の子。
途方に暮れたように、また俯いてため息をつく。
そばまで行くとようやく気付いてくれて、その顔がぱっと輝いた。
「小草若兄さん!」
―あかん、可愛い。
自分を、というより自分の手に握られているもう一本の傘を見た笑顔であっても、内心メロメロになる。
「傘持たんと出てきたんやないか思うて、迎えに来たったで~」
「助かります! ありがとうございます。忙しいのにすいません」
「ええねんええねん。ほれ、重いやろ。ひとつ持ったる」
傘を差し出す代わりに買い物袋をひとつ受け取ろうとすると、そこは不器用な喜代美のこと。
あたふたと荷物を持ち替えて受け取ろうとして、手を滑らせて。
「あっ!!」
地面に落ちる直前でキャッチしようとしたのかどうか、地面にビニール袋と喜代美が転がった。
「そこで転ぶとは、逆に器用すぎるで喜代美ちゃん……」
ああ~卵がぁ~と足元であたふたと散らばった品々を集めながら嘆く彼女に、思わず吹きだした。
周囲を歩く人の目がやや気になるが、今はそれどころではない。
自分の傘も閉じて地面に置いて、一緒に拾ってやる。
雨と泥まみれになった食材にがっくりと肩を落とす喜代美の手から買い物袋を引き取って、傘を渡した。
「ほら、あんまり遅いと師匠に叱られるで。って、雨止みそうやな」
「あ、ほんまですね」
立ち上がった喜代美を見ると、手と膝が汚れてしまっている。
すっとハンカチを差し出すと、なにからなにまですいません~と恐縮しながら受け取ってくれた。
「擦りむいたりしてへんか?大丈夫か?」
「子どもやないんやから、大丈夫ですよ」
いや、大丈夫やないから聞いとんねん、と言おうとして、やめた。
迎えに来たことか、持つ荷物が減ったことか、ハンカチ借してもらったことか。
なにが嬉しかったのか判らないが、喜代美がにっこり笑っていた。
他の兄弟弟子に邪魔されずにこの笑顔を見られただけで、来たかいあったというものだ。
「よっしゃ、帰るで喜代美ちゃん」
戻ればこの女の子の笑顔は二番弟子の大男に向けられてしまうのだから。
今くらいは独り占めしたっていいだろう。
「ほんで、今日は晩ご飯なに作るつもりなんや?」
そんな何気ない会話ひとつも、自分にとっては大切な時間なのだと、再確認しながら歩く夕暮の道。

256:白き花の如く 3
08/05/31 00:55:17 HlsRg3+v
「そや、来るときここで車に思いっきり水引っ掛けられてなぁ」
行きの途中、アクシデントの起こった場所まで戻ってきていた。
ほら、水跳ねとるやろと立ち止まって裾を指差す。
「ほんまですね。こすれば落ちる思うでえ、帰ったら洗いますね」
「ああ、ええねん。そんなつもりで言うたんやないで。そろそろクリーニング出さな思うてたとこやし」
「でもそれくらいなら」
しばしその場で押し問答して、クリーニングするからと納得してもらったそのとき。
「なんや、ええ香りしますねここ」
喜代美がきょろきょろと辺りを見回した。
―泰山木だと、すぐに気付いた。
小柄な喜代美の視界には入っていない。
「この花の匂いやで」
垣根越しの頭上を指すと、喜代美が空を仰ぐように見上げた。
雨雲が去って、沈みかけた夕陽が世界をオレンジ色に染めている。
「わあ、大きい花」
夕暮れの風の中、喜代美は微笑んだ。
ふわりと空気を孕んで、彼女のスカートが揺らめいた。
その姿ごと風にさらわれてしまいそうで、思わず手を伸ばしかけた。
―この瞬間を、一枚の絵として閉じ込めてしまえたら。
不意に、そんなことを思った。
変わらない時間、咲き続ける花を望む愚かさを知らない歳ではない。
それでも。
「小草若兄さん、きれいですね」
じっと眺めていた喜代美が、自分を振り返った。
大樹の花々はなにかを主張するように咲き誇っている。
白い花びらは夕陽に染まり、橙色の濃淡を見せていた。
「ああ、きれいやな。……きれいやで」
掛け言葉に気付くはずもなく、彼女は再び垣根越しの樹木を仰ぎ見る。
風はまた、喜代美の黒髪を乱していく。
唇に微笑を刻んで見上げているその横顔を、まばたきも忘れて見つめる。
今だけは―
目の前にいるこの子が花に見飽きるまで、この幻想のような時間に身を任せていたい。
だからどうか、美しく咲け。
少しでも、一秒でも長く。
止まない胸の痛みも愁いもなにもかも含めて。
鮮やかな白の大輪に、そっと祈った。



ゆふぐれの泰山木の白花はわれのなげきをおほふがごとし(茂吉)

257:名無しさん@ピンキー
08/05/31 00:56:45 HlsRg3+v
読んで下さった方、どうもありがとうございました。
茂吉ファンがもしいらしたら謝りますスイマセン。
しかし……キミハン見てたのにテロップに気付かなかったorz

258:名無しさん@ピンキー
08/05/31 01:09:29 fXBgCIvW
>>253 GJ~
茂吉をみて茂山吉弥と変換したのは内緒だ

259:名無しさん@ピンキー
08/05/31 01:31:02 TxK8eZqM
GJ!
優しいね。季節にもぴったりで素敵です!雨の後の夕暮れに薫る白い花と彼女と、
それにただ見とれる小草若が映像つきで目に浮かんできました。

260:名無しさん@ピンキー
08/05/31 05:48:45 NGPlwZd0
良かったなあ。
時期も今ころか。
天満宮に泰山木が
あるんかなあ。

261:名無しさん@ピンキー
08/05/31 16:03:51 0cxS/xCf
>>253
GJ!
なんという繊細な情景。
引用された詩ともあいまって、この一編のSSそのものがまるで一枚の水彩画のよう。
素晴らしい。としか言いようが無いです。

262:名無しさん@ピンキー
08/05/31 23:23:53 wbmDvAnq
GJ!綺麗にまとまってますね~
小草若ってこういう純情テイストは勿論、シリアスも本格エロもギャグも
みんな不思議と嵌まるキャラだよね。

263:名無しさん@ピンキー
08/06/01 00:54:25 9UFlRpcn
ここで空気読まずに四草もの投下しますが、始めにお断りを。
アニメxxxHoLiC主題歌19才の歌詞丸パクリという厨丸出し文なんで、
嫌悪を感じるかたはスルーお願いします。
第11週の捏造設定で若狭→草々前提の四草×若狭。エロあり。

264:四草×若狭 1
08/06/01 00:56:52 9UFlRpcn
その年の夏は、今思い返しても不快指数の高い日が続いていた記憶がある。
だからなのだろう。
あの無性に苛ついていた日々は。

茹るような蒸し暑さは午後の陽射しを一層不快なものにさせていた。
肌に纏わりつく熱気が鬱陶しい。
うんざりするようなアスファルトの照り返しに焼かれながら、天狗座からの出前を受け取りに行った俺は、
さらにうんざりするような光景と出くわす羽目になった。

兄弟子と若い女の二人連れ。それを物陰から見ている阿呆。

「なに油売ってんのや、こんなとこで」
案の定、見ているこっちが惨めになるくらい慌てふためく阿呆娘。
あまつさえご丁寧に電信柱と激突してひっくり返ってやがる。
心底うんざりして舌打ちが鳴る。
―まるで俺が転ばせたみたいやないか
呆然とへたりこむ阿呆をそのままにする訳にもゆかず。
俺はしぶしぶながらその阿呆―妹弟子の徒然亭若狭を自室へ連れ帰ることとなった。

「ほんまにすいません、四草兄さん…」
ちっこい体をさらに縮めながら俺について部屋に入って来る。
とりあえず薬箱から消毒液と軟膏を取り出し。
「腕、見せえ」
細かに擦り傷のついた白い腕に処置を施す。
びくん
痛みに震えるその身体に、顔を合わせず質問を浴びせる。
「つけてたんか、草々兄さんのこと」
「ち、違います!……お使いの途中で、偶然見てしもて…」
「で、咄嗟に隠れたと」
こくんと頷く白い顎が目に入る。
(とことん、間の悪い奴や)
妙に苛立ちが募る。

「…ありがとうございました」
礼を言って腕を引っこめる若狭を止める。
「待て、まだ足もケガしとるやろ…ジーパン脱げ」
「はあああああっ!?」
盛大に後ずさる阿呆。なに考えてんねんこいつ。
「アホ、おまえジーパンぱっつんぱっつんやから手当て出来んやないか」
「あ。ほうですね…」
えらいすいません、とぺこぺこしながら素直に脱ぎだす妹弟子。
(おまえ、目の前にいるのは棒きれかなんかとちゃうねんぞ)
自分で命じといた癖にその素直さが面白くない。
変に煩悶する俺をよそに、するすると厚手の布地が取り払われる。
下から現れる、むっちりとした太腿とすんなりと伸びる白い脛。
だぼっと垂れるシャツの裾で下着を隠し、所在無げに座り込む。
なんてことはない。
部屋に来る女で見慣れている姿だ。しかも、その女たちより数段下のガキだ。
―なにを興奮してんねん、俺は。

265:四草×若狭 2
08/06/01 01:01:23 9UFlRpcn
幸い、布に包まれていた膝はかすり傷程度で済んでいた。簡単に消毒液を吹きかける。
「ひゃっ!」
滲みるのか、ふるんと揺れる白い太腿。
今更ながら思う。
こいつが入門して随分経つが、こんなあられもない姿曝してんのはまだ誰も見たこと無いだろう。
師匠も、こいつに惚れてる兄弟子も。…あの、男も。

「なっ!なにするんですか四草兄さんっ!」
太腿に手を這わせてのしかかる俺に激しく抵抗する若狭。
その目は恐怖と困惑で揺らいでいる。
(まあ、そらそうやろな)
判ってたら、幾ら阿呆でもこんな男の部屋に来てこんな無防備な姿になってない。
なおも暴れる四肢を押さえつけ、その耳に囁く。
とっておきの毒を。

「…今頃、草々兄さんはあの女としてるんやろな」
こういうことを。

ひくん、と身を震わせて抵抗が止む。
此処ではない何処かを見つめる瞳。
「悔しくないんか?…同じ『きよみ』やのにな」
はっとしたようにみるみる潤んでゆくその目。
暗い嗜虐がじわりと拡がる。
卑劣な罠。
「…内弟子修行中は、恋愛禁止です」
最後の抗い。
「これは恋愛違う」
逃げ道を用意。
「ただの色事や」
噺家なら修行の内やで?
欺瞞。

「…あっ…はぁっ……ああ……」
もはや抗う気も失せたのか、素直に俺に従う肌。
絹のように滑らかな肌。19歳の、生娘の肌。
(処女抱くんは久し振りやな)
陶器を扱うようにそっと触れてゆく。
壊したくない。…これ以上、傷をつけたくない。
我ながら勝手な言い草だ。何も知らぬ少女を騙してこんなことをしている癖に。
(あの恐竜頭にこんな芸当出来る訳ないやろ)
あの女には一指も触れていない。賭けてもいい。
こうしたかったのだ。おまえを、俺が。
苦痛を取り除くように。緊張を解すように。ゆっくりと指を這わせる。

無垢な肌が快楽に染まる頃。
おずおずと俺の背にまわされる細い腕。
「…すき……にいさん…」
甘く、切なく、愛しげな呟き。
かっと血が滾る。鼓動が高鳴る。歓喜に身が震える。
「……すき」
今一度、甘い吐息を紡ぐ愛しい唇。
目眩がする。
ついぞ言う筈のなかった科白が知らず口を吐く。
「……喜代美」
俺もや。そう囁きかけた瞬間。
大きな瞳がはっと見開き。諦めたかのようにすぐ閉じられた。
瞳に浮かんでいた落胆の色。
違う。
こいつが抱かれているのは、俺ではない。此処にいる筈もない、あの男。

266:四草×若狭 3
08/06/01 01:02:38 9UFlRpcn
冷静になってみれば至極当然のことだ。
あれほど虐げられても兄弟子を恋うているこの娘が、
たかが肌を合わせたくらいで心移りする筈もない。
(…おまえ騙した報いやな)
こんな年端もゆかぬガキの言動に一喜一憂する己が滑稽だ。

腕の中の少女を見下ろす。
半裸に乱れて露わになる白い肌は薄紅色に染まり、蒸れて女の香が立ち上ぼる。
このまま帰すのか。
あの男の元へ。
この女に想われる価値も判らぬ男の元へ。
否。
答は否、だ。

「ああ…っ!…やあっ……!」
申し訳程度に引っ掛かっていたシャツを剥ぎ、ブラをむき、白い果実に喰らいつく。
あの野暮ったい身形からは想像もつかないほど艶めかしい女の正体。
柔らかく弾んでは包み込み、俺を誘う。蠱惑する。
(これが、ほんまのおまえなんか)
零れ出る嬌声を押し殺そうと、赤く熟れた唇を噛む少女。
傷になるのを恐れて咄嗟に己のそれで塞いだ俺は。

―ああ…
その甘やかな感触に囚われる。熱い吐息が絡む濡れた唇。
重ねるだけでこの身を蕩かすそれは、無情にも俺以外の男の名を紡ごうとする。
それを封じる為に深く舌を捩じ込む。
愚行。
閉じられた瞳は俺を映すことなど無い。
その瞳を抉じ開ける為に、張り付いた最後の下着に指をかける。
びくりと見開かれた恋しい瞳は、俺を映して怯える。
求めるものとはかけ離れた現実。
「しい、そう、にいさ…!」
「濡れたパンツ穿いて帰りたないやろ?」
布の下の蜜を指の腹でつっとなぞり。
「――ッ!」
くぷ、と浅く指を沈め震える少女に突き付ける。
「判るか?…ここに、入れるんや」
男のアレを。

丹念に解した未通の箇所がしとどに濡れる。腕の中の憐れな獲物は既に忘我の境地だ。
手早く服を脱ぎ、尻ポケットに突っ込んでいた財布からゴムを取り出し。
袋を破って少女の小さな口に押し込む。
「っん……?」
「初めては痛いからな…ようしゃぶっとけ」
何を強いられているのか漸く合点がいったらしい。悲痛に揺れる瞳。
それでも言われるまま舌を絡める従順を哀しく思う。
無垢な少女の唾液に濡れたそれを嵌め、その身に押し入る。
圧迫に軋む少女の純潔。愚劣な征服欲に満たされる己を嘲笑い、果てる。


全てが終り。
力無く横たわる白い裸身が呟く。
「…色事も修行の内、なんですよね」
俺に向けられる何も映さぬ瞳。
「またこの部屋来てもええですか…四草兄さん」

267:四草×若狭 4
08/06/01 01:08:08 9UFlRpcn
苛立っていた。何もかもに。
鬱陶しい残暑の熱。
算段の平兵衛を教えてくれない師匠。
そして。
俺の嘘に乗っかる体裁を取り、この部屋に来る妹弟子。

「あっ…はぁんっ…ああ……んっ」
貪婪な若い肌は瞬く間に快楽を得て、溺れ耽る。
俺はただ一個の性具となり、女の欲を満たす。
勘違いしてはいけない。
これは情交などではない。妹弟子の自慰に付合っているだけだ。
瞼を閉じてその裏に愛しい男を映す、情欲に濡れた艶めかしい媚態。
囚われそうになる恋慕に気付かないふりをする。ただ行為に集中する。
考えるな。
目ヲ開ケテクレ
俺ヲ見テクレ
今オマエヲ抱イテイルノハ誰ナノカ
オマエヲ欲ッシテイルノハ誰ナノカ
俺ハズットオマエヲ―
五月蠅い。
羽虫のように繰り返す耳鳴りを振り払う。
愛撫の指に一層力を込めた時。
「―そう、にいさん……」
一瞬、呼ばれたのかと錯覚する。
判っている。九分九厘無い。
それでも、しっかりおっ勃っている己が無様だ。
戒めるように、熟した唇へ齧り付く。暖かな感触に身が千切れるほど痛む。
―これは、俺への罰や。
叶う筈も無い愚かな欲望のままに、無垢な少女を蹂躙した己への。
「…どうして」
ふいに。離れた唇が開き、問いかけてきた。
この、俺に。
「どうして、キスしてくれなるんですか…」
四草兄さん。
「…なにひとつ出来ひん、私に」
(…おまえこそ、その唇に毒塗ってこの部屋に来てるやろ)
でなければ説明がつかない。
こんなガキのキスひとつで、身体も脳も溶けてしまいそうなこの俺の。

唇はなおも言葉を紡ぐ。切れ切れに。
「…厭やのに」
こんな気持ちも。
こんな毎日も。
「…四草兄さん」
兄さんを、こんなことに利用してる、汚い私も。
「……喋るな」
頼むから、もうこれ以上。
俺もおまえも。
汚れてる魂だけを取り除くのが無理なら、何処へ向かって歩けば良いというのだろう。
宙ぶらりんな嘘と偽りの恋を抱えたままで。

ただ無心に、乳房を吸う。ただ無心に、蜜を啜る。
白く滑らかな19歳の肌を存分に味わう。
細い指が髪に絡む。白い腕が首にまわる。舌を絡める。唾液が交わる。
無言で膝を割る。女の腰があがる。誘い込まれる。
身を進めながら今一度、己に言い聞かせる。
(これは恋愛違う)
(…ただの色事や)
原始の雄と雌に返り、互いを貪る。後はただ、背中のふたつある獣。

268:四草×若狭 5
08/06/01 01:08:47 9UFlRpcn
その夜の寝床寄席は散々なものだった。
まず、二人の兄弟子が直前に喧嘩を始めて出番を削られ。
急遽三人会となった本番で、俺の高座はボロボロに終った。
師匠に無断でかけた算段の平兵衛。…あいつが見ていなかったのが唯一の救いだ。
激怒した草原兄さんが冷えきった客席を盛り返し、師匠に繋げて幕を引いたが。

「今日はもう遅い。話は明日や」
いつの間にか師匠の隣に来ていた妹弟子を横目に、お疲れ様でしたと頭を下げて帰路につく。
(…破門、か)
そんな考えがちらちら脳裏を掠める。
それもいいかもしれない。どうしようも無い想いを抱えたまま、半端な落語を続けるよりは。
埒も無いことを自問しつつ自宅に帰り着いた俺は。
「お疲れ様でした」
部屋の前に佇む妹弟子に無言でドアを開けた。

「遅かったですね四草兄さん、どこか寄りなったんですか?」
それには答えず逆に聞く。
「…なんで来た」
よもや俺に抱かれる為ではあるまい。何故かそう直感した。
「四草兄さんにお礼言わな思って」
寝床に居た時は気付かなかったが、彼女は妙に晴れ晴れとした顔をしていた。

「今日、エーコに会いに行っとったんです」
エーコ。彼女の幼馴染みの恋敵。
「…全部、ぶちまけて来ました。私の汚い気持ちも、全部。ほんで」
東京には行かんといて。草々さんの側におったげて。
「そう、言いに」
「ええんか、それで」
「…悔しいです。今は悔しい」
でも、胸はって生きたいから。草々兄さんの前でも。エーコの前でも。
「四草兄さんの、前でも」
その吹っ切れた表情は、今まで見た中で一番美しいと思った。

「…もう、ここ来る必要ないな」
「ご迷惑、おかけしました」
「別に、なんでもないことや」
嘯く俺に彼女は囁いた。
とっておきの毒を。
「四草兄さんには、沢山の女の人のひとりなんやろけど」
―私には、初めての男のひとやから。
唇に落とされた、甘やかな感触。

去って行く女を見送りながら、ぼんやりと考える。
何故、抱き締めなかった。何故、引き止めなかった。
さもしい未練。
「…下らない」
最初から判りきっていたことではないか。この結末は。

「ク、ク、ク、クダラナイ クダラナイ」
俺の呟きの何がそんなに気に入ったのか、籠の中の平兵衛が高らかに鳴く。
「言うな平兵衛」
黒く誇らしげな羽を撫でて彼に告げる。
「こんな人生がええんや…俺は」



〈幕〉

269:名無しさん@ピンキー
08/06/01 01:24:20 jxRzgGvz
GJ!!!!

久しぶりの四草×若狭で萌えた!

270:名無しさん@ピンキー
08/06/01 02:18:03 kqIEK1k2
>>263
GJ!!
久々のCPにwktkして投下完了待ってました!
3で終わりか…と思ったら続いていてしっかり完結、しかも本編生かしつつ…すばらしいです
性描写が新鮮
共犯ってのもいい
女に対して(苦悩しつつも)とにかくかっこいい四の話が好きだー
また投下してください!

271:名無しさん@ピンキー
08/06/01 04:03:47 95tNZpqj
GJです!!
読みながら本当、ドキドキしました…。
クールな描写&四草×喜代美独特の背徳感に惚れ惚れ。
また楽しみにさせて頂いております。


272:名無しさん@ピンキー
08/06/01 10:27:17 jgwHJOvg
GJ
いつもながら四草の熟達っぷりには脱帽
裸見ただけで他の事が頭から飛んでしまう人種には、遠い道のりだよなあ…

273:名無しさん@ピンキー
08/06/01 18:30:12 95tNZpqj
本当に素敵な話の後で恐縮ですが、小草々→若狭投下します。
時期は小草若が失踪から復帰した年の夏あたり。
小ネタ系でエロなし。なのに何でか長いです。
お暇つぶしに、よろしければドゾ。

274:小草々→喜代美 1
08/06/01 18:31:35 95tNZpqj

「さ、師匠どうぞもう一献!」
「あ、ああ。おおきに」

草々の盃が空くや否や、小草々がさっと酒を満たす。

「ささ、どうぞ!あ、おつまみ足りませんね。何にしましょ?」
にこにこと笑いながらも、小草々は気遣いを忘れない。

「あ、すみません草々兄さん…私気ぃつかんでぇ…」
「ホンマ小草々は気ぃがきくっちゅうか、底抜けに抜かりないな~」
「目ざといっちゅうか、計算高いんでしょ」

ここは寝床。久しぶりに一門揃っての夏の酒盛りの真っ最中。
家族の待つ草原兄さんは、酒に後ろ髪をひかれつつも家へ帰り、皆程よく酒が回り
落語以外の話にも舌が軽くなり始めた頃合いである。

「で…何の話やったっけ?」

すでに少し呂律の回らなくなりかけた草々が、真っ赤な顔で盃に手を伸ばす。

「やだなあ師匠!おかみさんとのな・れ・そ・めの話ですよ~!」
小草々が明るく笑う。その顔には『興味津々』とでかでかと書かれているかのよう。
「なれそめ言うても…、、もともと若狭が師匠んとこ来て…なぁ若狭?」
振られた若狭は、真っ赤な顔でうつむく。
(可愛ええなぁ…)
そんな某数名の心の声はさておき。
「ほぅですよね…、、私が草々兄さんのこと好きになってぇ…片思いでぇ…
 って何でこんな話しとりなるんですか!恥ずかしいやないですか!きゃあ!」
酔っ払ってはいてもあんまりの恥ずかしさに限界を超えたのか、若狭は突然立ち上がる。
「ごめんなさい!だいぶ酔うたみたいやでぇ、ちょっと外で頭、冷やしてきますさけ!」
言い残して、ぱたぱたと慌しく駆け出して行ってしまった…。

残された男4人。あっけにとられてその小さな後姿を見送る。



275:小草々→喜代美 2
08/06/01 18:32:15 95tNZpqj

そやけど、と酒をあおりながら口を開いたのは小草若。
「若狭がお前のこと好きやったんはともかく、お前がいつから何で若狭に惚れたんか、
 底抜けに俺も疑問やってん。」
なんでや?と物問いたげな目を草々に送る。
「ああ…、、俺が破門になって、京都の北の町で土方やっとった時、な…」
そこまで言って、草々は果たして口にして良いものかと少し迷う。
今日は…どうも酒を飲みすぎたらしい。自分でもずいぶんと口が軽いなと思う。
「なんやなんや!そこで止めるんかい!底抜けに気になるがな!」
「そうですよ師匠!あ!お酒足りませんか?さささ、どうぞ!」
「…」
徳利を手にしようとした小草々を制するように、四草は黙って草々の盃に酒を注ぐ。
…どうやら聞きたいようである。
期待に満ちた眼差しと無言の圧力。草々はぐいっと酒をあおり。

「雨に濡れて俺、風邪ひいてもて。廃屋で一人熱にうなされとったんや。
 親父の形見の座布団は犬にかじられるし、なんや一人やいうんを身にしみて感じとって…。
 で、その晩、夢見たんや。何やあったかいもんが、ずうっと側におってくれて。
 俺は一人やない言うてくれて…。おかみさん、みたいなあったかさやった。」

そこまで話して、草々は少し後悔する。やっぱり話すべきやなかったんやないかと。
これは、誰にも話したことない、若狭と自分だけの…思い出。
けれど、酒にしびれた頭は言うことを聞いてくれず、舌が勝手に回り続ける。
…ええい、ままよ!

「目ぇ覚めたら…若狭が微笑んどって。いっつもあんなおどおどしとるのに、なんや包み込むみたいな…
 そんな微笑で見とったんや。看病してくれとったんはあいつで、俺は一人やない言うてくれたんも
 あいつで…。その時…」

呂律の回らない口でひとしきり喋り終えたと思う間もなく。
「すまん若狭!」
そう一言叫んで、草々は撃沈した。どうやら酒量が臨界点を越えたらしい。


276:小草々→喜代美 3
08/06/01 18:32:55 95tNZpqj

「あああ…つぶれてまいよった。ま、俺らも初耳のそんな話するくらいやから、相当酒まわっとったんやな」
少し複雑な顔の小草若。
「それにしても、あれがきっかけやったんかあ…」
あ~あ、とため息をつく。
「俺が尊建の奴殴ったんがある意味きっかけ、みたいなもんやん…。なんちゅうこっちゃ」
あああ俺のアホ!と一人で勝手に暗くなる小草若はさておき。
「おかみさん、それまでずうっと片思いやったいうことですよね?うわ、けなげですね…」
感じ入ったように小草々がもらす。
「…相当ひどい扱い、草々兄さんにされとったけどな。俺が会った時にはもう草々兄さんに惚れとったな」
ちろり、とウーロン茶をなめながら四草が呟く。
「そうやったんか…俺かなり長いこと気づかへんかったからなあ…」
「小草若兄さん、何自分で気づいたようなこと言うてはるんですか。教えてもろてやっと知ったくせに」
「ま、そやけど…。まあそれはええがな!それにしても若狭の看病で落ちたんやなあ草々。
 俺も熱出した時一回看病してもろたけど、あの時はそれどころちゃったんやけど、
 ホンマあれは今考えると…うひょひょひょひょ!」
いきなり自分の世界に入る小草若。
はぁ、と嫌そうな顔でため息をつく四草。
「熱って、あれ仮病の時やないですか」
そう突っ込みをいれるが、妄想の世界に突入した小草若には聞こえていない。
いつの間にか、小草々も黙って…何かに思いを馳せている、ようだった。


(そっか…おかみさん、看病属性、あるんや)

「大丈夫、小草々くん?」
自分の側について、看病してくれるおかみさん。
心配そうに揺れて自分を見つめる大きな瞳。自分を気遣う言葉を紡ぐちいさな紅い唇。
額に伸ばされる白魚のような手。おかみさんの手作りの、特製病人用メニュー。
「小草々くん、食べられる?あ~ん、して…」
熱いお粥をそっとよそい、ふうふうと冷まして自分の口に…

あ~ん、と口を開きかけて、小草々は我に返った。
誰にも…見られていない。ほっと胸をなでおろす。
(アホや僕…でも。)
正直…おかみさんは、ほんま可愛い。何しろ小草々が一番年が近いという若さだし。
つまりアレだ。師匠の奥さんやのに、そんな目で見てしまう。
(アホアホ僕のアホ!師匠おかみさんほんますいません!)
でももしも、一度だけ、一度だけでもそんな風に看病してもらえたら。
(男の、ロマンや…)

よし。



277:小草々→喜代美 4
08/06/01 18:34:54 95tNZpqj

「おはよう…ございます…」
「あ、小草々くん、おはよ…ってどないしたん!?」
よろよろと入ってきた小草々の姿に、若狭は仰天して駆け寄る。
なにしろ顔は真っ赤、目はうつろで…足元はふらふらとおぼつかず、今にも倒れそう。
「風邪、引いてしもたみたいで…ホンマすみません…でも大丈夫ですから…」
そう言いながらも咳き込んで、柱にもたれかかる小草々の姿に、若狭はおろおろする。
「大丈夫やないやない!今日は家の仕事なんかええから、部屋で寝とかな!
 ええと、くすりくすり…」

おろおろと自分を心配するおかみさん。
熱でふらふらしながらも…小草々の心は浮き立っていた。
(すみませんおかみさん…こんな不埒で不肖の弟子で)
この数日、夏とは言え冷水風呂に入り裸で寝るという涙ぐましい努力の末、やっと手に入れた熱。
小草若師匠は仮病でも看病してもらえたということだが、それはあんまりにも申し訳ない。
何しろあの忙しい可愛いおかみさんに手間をかけさせるのだ。
(おかみさんに看病してもらえるんやったら、、ガチで熱、出しますて)
内弟子部屋の自分の布団で、うっとりと妄想にひたる。
なにしろ高熱。自分の体感的には39度近い…ような気がする。
熱にうかされて妄想も走る走る。

額にそっと伸ばされたおかみさんの手を引き寄せて。
驚いて自分を見つめるおかみさん。
「ごめん…なさい。熱なんて久しぶりで、なんや不安に…なってもて。こどもみたい、ですね…」
弱々しく微笑む自分。そんな自分を慈愛に満ちた微笑でつつむおかみさん。
「ええよ…それで不安やのうなるんやったら…。早う元気になってね」
自分の手をその柔らかい白い手でそっと握り返し。
もう一方の手は自分の髪を、あやすように柔らかく撫でて。
いつしか夢うつつ、優しいその膝に甘えるように頭をもたせかけ、そして。
柔らかい腿の感触を感じながら、これは熱のせいだと自分に言い聞かせながら。
おかみさんのたおやかな手にそっと口づけて――あとはその腕ごと、自分の体に引き寄せるように。


それはないやろ、と普段の自分なら冷静に突っ込みを入れるレベルの妄想にふけっていると。




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