ちりとてちんでエロパロ 第四席at EROPARO
ちりとてちんでエロパロ 第四席 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
08/05/17 01:29:59 DIOzKk9A
『忍』と名づけたのは、母親ではなくて父親かも、と想像したら、めちゃくちゃ不憫になってしまった。
父が名前を付けてくれるというので、ウキウキしていた母。
なのに、貰ったた名前が『忍』。
おまえら一生影に隠れとれ!と暗示されたショックで、母は男をとっかえひっかえの生活に・・・

ごめん、スレ違いだな。

101:名無しさん@ピンキー
08/05/17 13:29:52 Y0UuqS77
>>98
ロマンチストさんなんですね~
自分は「心に刃を持つ」ってのがしっくり来るな。

激しくスレチで悪いけど
グリーンウッドの忍先輩と被る…

102:名無しさん@ピンキー
08/05/18 02:19:12 XWPJLPSG
木曽山×清海思いついたので書いてみました。
エロちょっとだけです。

A子が可哀相な話なので、
A子好きな方はすみません。先に謝ります。

103:木曽山×清海
08/05/18 02:23:42 XWPJLPSG
「話が違うじゃない」
ドアを閉めてすぐ清海は責めた。
日が暮れるまでB子は帰って来ないと言った、木曽山を。
「おそらく、って言いましたよ僕は。高座終わっても師匠たちとお茶するかもしれん、て」
悪びれることもなく、冷蔵庫から缶ビールを取り出し喉を鳴らして飲みながら
木曽山は答える。
「僕が嘘ついたみたいな言い方せんといて下さい。」

草々と二人きりで会いたかった。
自分が東京でどんな生活をしていたかという事も、
父に会社の存続のための結婚を迫られていることも話したかった。
そして、

出来ることならもう一度、無垢な心で恋していた、
あなたとやり直したいと思っていると…伝えたかった。

もちろんすぐに答えが出ると期待してはいなかったけれど、
せめて昨日は、またどこかで、徒然亭ではない場所で、
B子には知られずに二人きりで逢う約束を取り付けられたらと、ただそれだけを思っていた。
しかし現実は、想定の範囲外の悲惨な結果。
かつての恋人だった草々には、“稽古があるから、じゃあ。”と、
あまりにもあっさりと久しぶりの逢瀬―(清海にとっては、)―を断ち切られ、
咄嗟に、すがるようにあの《景清》を聞かせて欲しいと頼み…

「あなたが夜まで帰らないって言ったのを信じて私は草々さんに―!」
清海の必死な訴えにも何処吹く風の面持ち。木曽山は他人事のようにつぶやく。
「ふーん…景清ってお2人にとって特別な落語だったんですか?」
頼んだ挙句の果ては、木曽山から聞きだした時間よりもずっとずっと早く
現実に草々の妻であるB子が帰ってきて、
彼女の熟練した三味線を見せ付けられながら、思い出の《景清》を聞かせられるという
二重苦どころか三重苦まで背負った辛い訪問になってしまった。
切実な願いとは程遠く。

怒りと屈辱を収める場所が見つからないで立ち尽くす清海の横を通って、
ビールもう一本いただきますね、と木曽山はまた冷蔵庫を開けた。


104:木曽山×清海2
08/05/18 02:26:32 XWPJLPSG
小さな子供のように勢いをつけて、ベッドに腰掛ける。
スレンダーな木曽山の身体がギシギシという音と共に細かく弾む。
プシュッと音を立ててまた缶を開けて一口飲むと、上目使いに清海を見た。
「もっと有効な情報が欲しかったら、それなりの事をして下さい。
それなりの対価はありますよ。」

まさかとは思っていたが、破門されるかもしれない時に自分に声をかける
このしたたかな青年のこと─
こんな予感は当たってしまう、人生の非情さのようなものを清海はまた感じてしまい、
「それで泊まってる場所を教えろって言ったのね」
軽蔑のまなざしでキッとせいいっぱい睨み付けた。

「嫌ならええですよ。」視線を窓へ移しその向こうに広がる大阪の街を眺めながら、
あくまでも他人事のように木曽山が言う。
「でも、僕は師匠とおかみさんのことなら何でも知ってます。
24時間生活を共にしてるんやし、あなたの知りたいこと、なんでも教えてあげられる。」
ふふっと鼻で笑って畳み込むように続ける。
「それに僕は、口が堅い。」

しばしの静寂がせまい部屋を占領する。
木曽山がグビグビとビールを飲む音だけが聞こえる。

なるほど、汚い取引はするが、保身についてはそれ以上に注意深いタイプだと思う。
ずるい人間だからこそ、今以上に草々に嫌われることはしゃべらないだろう。
今の清海にとってはそのことだけが一つの救いであり、希望のように思われた。
背に腹は代えられない。

窓の方を向くと、夕陽が赤々と燃えていた。
狭い部屋に差し込む光の眩しさが自分を蔑んでいるようだ。

「どうしたらいいの」
覚悟を決めて清海は聞く。
「取引、成立ですね。」
清海とは反対に、晴れ晴れとした声と表情で木曽山が答えた。

「じゃあ、まず。服脱いで下さい。」

105:木曽山×清海3
08/05/18 02:29:11 XWPJLPSG
カーテンを閉めると、その前で言われたとおり服を脱ぎ始めた。
Tシャツもジーンズも脱ぎ、さすがに下着を取る時は少しためらったが、
は、と一つあきらめのため息をつくと、
ブラジャーもショーツも、スルスルと外していった。

「こっちに来て、僕のズボン下ろしてくれますか」
スタスタと近寄り、ベッドに座る木曽山の前に膝をつく。
ベルトを外しファスナーを下ろし、腰のあたりに手をかけ引きずり下ろす。
その後一瞬動きが止まったが、すかさず木曽山がもちろんそれも、と言い
パンツも脱がせた。

「…フェラチオして下さい」

目の前にあるそれを手に取り、清海は舌を這わせた。
幾つも年下の男にいいように扱われて、愛撫してやろうなどという気持ちは
少しもないが、草々に近づくためには逆らえない自分がいることもまた事実だった。
それに早く終わればそれだけ早くこの嫌な男から開放されるはず、
今は従順にしている方がましだろう、と、清海は言われるがままに舌を動かした。
「う…そうそう… 上手いじゃないですか… お嬢様なのに」
一気に口に含むと、手も使いながら、時々きゅっと吸い上げた。
次第に木曽山の息が荒くなる。
硬さも温度も最大限になり、張り詰めたそれにたっぷりの唾液をからませた時、
木曽山は清海の頭を両手で押さえつけて、そのままねっとりした白い液体を放った。
「…うっ──!…ああ…」

清海の薄いピンク色の唇の端から、それがこぼれる。
木曽山はまだ清海を離さずに辱めと液の苦さに耐える顔を満足そうに眺める。
透き通る白い肌、紅潮する頬にかかる乱れた細い髪…
「飲んで下さい」
しかし清海は激しくかぶりを振り、自らの力で木曽山の手を外すと、
急いでバスルームに駆け込んだ。


106:木曽山×清海4
08/05/18 02:31:04 XWPJLPSG
口を洗って部屋に戻ってくると、木曽山は眼鏡を外しベッドに寝そべっていた。
「まさか今ので終わりと思ってませんよね?」

「…わかってるわよ」
投げやりに言うと清海もベッドに上がった。
すぐに木曽山が覆いかぶさり、清海の薄い乳房の突起に舌を這わせ、
もう一つの乳房は手で愛撫する。
「感じますか?」
ただ触られているだけなら感じなかったかもしれないが、木曽山は言葉で煽ってくる。
「草々師匠ともヤッたんですか?師匠上手かったですか?」
「いや!」
「師匠のもフェラチオしたんですか?」
傷つけられているはずなのに、草々という名が発せられる度に、
身体は嫌でも反応する。

「やめてぇ…」
手が次第に下半身へ降りて行き、柔らかな繁みをまさぐる。
「草々師匠の指ってどんななんでしょうねえ」
「…ああ…」
清海の口から完全に降伏したような声が漏れると木曽山はその割れ目に指を這わせ
すでにしっとりと濡れている襞を擦った。
指の腹で突起を回すように触ると、清海の中から粘りのある液が更に溢れて来た。

「…そろそろ対価をお渡ししてもいいかな…」
指先を途中まで入れて木曽山が言う。奥まで入って来ないもどかしさが清海を襲う。
「あ…あ… ん… いやぁ…!」

指をそのままの場所で動かしながら、木曽山は言葉で責めるのも止めない。
「さっき、師匠とおかみさんのことはなんでも知ってるって言いましたよね。」
耳元で熱い息とともに囁かれる。
「師匠って…見かけどおりの絶倫ですよ。週に4、5回やってますよ。
…おかみさんと…」


107:木曽山×清海6
08/05/18 02:32:59 XWPJLPSG
「そんなこと、いやあっ…聞きたくないっ…」
まさかなぜそんなことを─清海は苦痛に顔を歪める。
懸命に木曽山から離れようと肩を押し戻そうとするが、
中に入れられた指が与える刺激からも逃れられない。

「もう、いや…やめてぇ…!」
「何をですか?」
かすれる清海の声を聞きながら木曽山は指を突然最奥へと突き入れた。
「ああっ!」
清海の身体が快感にのけぞる。やっと奥まで到達した指に腰がゆらめく。
木曽山の指の動きに合わせるように、白い美しい肢体が波打つ。
もうこの交わりからは離れられない…ついに清海はそう感じ始めていた。
「これ、やめましょうか?それとも…」
一番感じるポイントを強く刺激しながら木曽山は聞く。
「取引、やめましょか?」

指を引き抜くと、木曽山は再び大きく張り詰めた自身を
清海のぬるぬると熟れきった入り口に押し当てたが、そこで動きを止めた。
「あ・・ぁん…」
今にも突いて来そうで突いて来ない、またじらされて悶える清海に
もういちど答えを確かめる。

「僕の入れて欲しいですか、それとも
もっと聞きたいですか、師匠とおかみさんのこと─」

奥の疼きにはもう耐えられない…
快感に、朦朧とした意識の中清海は答えた。
「来て…お願い…はやく──!」

口の端をあげて木曽山は一瞬笑うと、
すぐに清海の中に猛り狂ったそれを付き立てた。


108:木曽山×清海7
08/05/18 02:36:30 XWPJLPSG
行為のすべてが終わった時にはすでに日はどっぷりと暮れていた。
いつのまにか服を着ていた木曽山がジャっと音を立ててカーテンを開けた。

大阪の夜の街はネオンや信号や電車の明かりで美しく彩られている。
「夜景が綺麗ですね」
そんなのなんの意味もないこと…と清海はうつろな目をして思った。

「僕は破門にはなりません。また師匠のところへ戻ります。」

靴を履き、部屋の鏡を見ながら髪を直す。
そして清海の足元をすっと通り過ぎ、ドアの前で立ち止まった。

「取引、再開したかったらいつでもどうぞ。」
行為に入る前と同じ、明るい声で言い置くと、部屋を出て行った。

その間、ベッドの中で清海は身じろぎ一つしなかった。
心はただ空虚だった。

私、なにやってんだろ。
そうつぶやいて、はあ…と大きくため息をつく。すると
窓の外のキラキラ光るいくつもの色が、混ざり合って、にじんで、流れて来た…







以上です。
読んで下さった方ありがとうございました。
長いだけでたいしてエロくもなくすみません。
そしてA子もごめんなさい。幸せになっておくれ。



109:名無しさん@ピンキー
08/05/18 04:39:39 QMMuToSj
>>102
淡い期待が踏みにじられた上この仕打ち。A子カワイソス…。
つうか木曽山鬼。しかもしたたか、超したたか。破門の危機に全然懲りてね~!
奴はドSだと踏んではいたけれど、こりゃ恐竜師匠とB子の手におえんね。
もう早く四草師匠に死ぬほどおごらされるといいよw
切なくも哀れなA子の姿に涙…GJでした。幸せになれよ~!

110:名無しさん@ピンキー
08/05/18 09:49:42 XWPJLPSG
>102です。
>>109さん、ありがとう。
木曽山はドSにしか書けません。
抱きながら木曽山が景清を聞かせるっていうエピも
入れたかったんですが、長くなるのでやめました。

こんなひどい話やっぱりうけないみたいですね。
反省…


111:名無しさん@ピンキー
08/05/18 10:08:46 PWWc+u1M
乙です
A子には幸せになってほしい
(´・ω・`)

112:名無しさん@ピンキー
08/05/18 11:44:01 sYOiwyQ3
>>110
ちょっと待ってくださいよ~!
朝読んでそのあと2度寝しちゃっただけです!
すごい良かったですよ!
嘘山の嘘がバレたときの黒A子と嘘山のやさぐれ具合が好きだったので、
こんなお話にしてもらえて感謝です
景清聞かせるってのもさらにドSでイイ!!GJでした

113:名無しさん@ピンキー
08/05/18 11:59:48 KRDK3o28
倉庫
enyohaku34.web.fc2.com/omoya.html
ページ内安価機能しませんのでご了承を。

114:名無しさん@ピンキー
08/05/18 12:39:31 XWPJLPSG
>>111>>112さんどうもです。
景清聞かせるの入れた方が良かったですね。
でもまた更に悲しい話になるんで、複雑です。

>>113さん感謝!多謝!

115:名無しさん@ピンキー
08/05/18 13:39:59 +x72m4dK
>>113
ありがとう。ありがとう。

おぢさんもちょっとA子ちゃんで妄想投下しちゃおうかなハァハァ。
B子×A子。百合。ぬるいエロあり。

設定は聞かぬは一生の箸週の小浜完結編から。
駄目なかたは底抜けにスルー願います。

116:B子×A子1
08/05/18 13:42:06 +x72m4dK
小浜での落語会も無事終って。里帰りも明日までという夜。
私は家族にちょっぴり嘘を吐いた。
―草々兄さんらが心配やで、一日早く大阪に帰るわ。

今、私はエーコの家にいる。

ドアを開けたエーコはぎこちなくだけど、それでも私を迎え入れてくれた。
「今日お父さん、お母さんの病院泊まるから私ひとりなんよ」
知ってる。だから来た。
「へえ、そうなん」
知らないフリしてエーコの入れたお茶を飲む。
なんとなく、言葉が途切れて沈黙が落ちる。
「…なんであの時来たん?」
エーコの問い。あのお見合いの日のこと。

「…いやなんです。あなたのいってしまうのが」
答の代わりに詠唱する。
高校の時に読んだ、智恵子抄の一節。
「あなたがお嫁にゆくなんて」

 花よりさきに実のなるやうな
 種子よりさきに芽の出るやうな
 夏から春のすぐ来るやうな
 そんな理屈に合はない不自然を
 どうかしないでゐて下さい

初めて読んだ時、駄々っ子みたいや思とったけど。
今ならわかる。光太郎と同じ気持ちになった今なら。
「いやなんです」
 あなたのいつてしまふのが―
あの橋で別れた日のように。
今度は私がエーコを抱き締めた。

エーコの部屋でふたり服を脱いで。
一緒にベッドに入る。
なんや、初めて大阪に出た時。エーコのマンションに転がり込んだ夜を思い出す。
エーコの顔、こんな近くで見んの久し振りやな。
「ビーコ、胸おっきいね」
小学校の時からやもんね。小さく付け加えるエーコ。
「見とったん?」
「…プールの時とか体育の着替えの時とか」
はにかんで少し笑うエーコ。
「エーコこそモデルみたいやん」
エーコがかわいい。エーコが愛おしい。

お互いにお互いの胸をそっと撫でる。
啄むような優しいキス。
エーコの指がためらいがちに乳首に触れてくる。
「…ビーコ……ええかな?」
「ん……ええよ」
エーコの顔が私の胸に埋められて、おずおずと乳首に吸いついてくる。
(エーコ、赤ちゃんみたいや)
ちゅく、ちゅく、て。
無心にしゃぶっているエーコの幼い唇。

私には、小浜にも大阪にもいっぱい甘えられる人がいるけれど。
エーコはずっとひとりで。甘えることなんか許されなくて。
お母さんのこともお父さんのことも製作所のことも、みんなひとりで背負い込んで。
(…こんなに、細い肩やのに)
いじらしくなって、胸の中のエーコの頭を何度も撫でた。

117:B子×A子2
08/05/18 13:45:43 +x72m4dK
「…ありがと、ビーコ」
しばらくの間、私の胸に吸い付いていたエーコは恥ずかしそうに顔をあげた。
今度は私がエーコの胸に顔を寄せる。
「やっ……いやや、ビーコ」
「なんで?」
「だって、私、胸ないし」
「そんなことない」
エーコの胸、ぱんって上向いててすごくかっこええし。
ちょっとふざけて、ぱくんて頬張ってみる。
「や、あんっ、ビーコ…」
くすくす笑ってるエーコ。
考えたら、ずっとエーコの笑う声聞いて無かったな。
うん。ここんとこ、ずっと。
そう思って、わざと脇とかお腹とかこちょこちょくすぐってやる。
「や、も、ビーコってば!」
そんなことしてたら、お仕置みたいにエーコが下に手を伸ばしてきた。
「…あ、ひゃっ!」
「ビーコ、濡れてる…」
少し低い声で囁いてくるエーコ。
「…エーコかて」
私も、同じように触れる。
目と目が合う。キスをする。今度はもっと深く。
「……んんっ……あっ…や…」
腿と腿を絡めて。胸と胸を合わせて。
私の指がエーコの中に。エーコの指が私の中に。
なんにも考えないで、キモチイイことだけ。
ふたりで。一緒に。

疲れきって、私の隣で眠るエーコ。
エーコの寝顔を見ながら考えていた。
エーコが大阪に来た理由。
―あわよくば草々くんとより戻したい、それが大阪きたほんまの理由やって思うで
咲さんはそう言ってたけど。
咲さんには悪いけど、エーコはそんな子やない。私がよう知ってる。
―私やった筈やのに!
―草々さんの隣におって草々さんのこと支えんのは、ほんまは私やった筈やのに!
あの時、草々兄さんの名前を叫びながら、エーコが本当に呼んでいたのは。

タスケテ タスケテ タスケテ ビーコ

大阪でエーコが助けを求めてたのは、元カレの草々兄さんではなくて、私やった。
愚図で根性無しで考え無しのこの私やった。
―ごめん、エーコ。すぐに気づいてあげられんで


朝。
まだ暗い内にエーコの家を出る。
早起きのお母ちゃんに見つかったらことやし。

「…ごめん、あんなことしといてなんやけど、まだ私……」
きまり悪い顔で見送るエーコに、私は笑いかけて言う。
「ええよ、ゆっくりで」

あなたと出会ってから。
すごくすごく遠回りになってしもたけど。
今度は逃げへんから。
ずっとずっとそばにいるから。
待っててな、エーコ。

おわり

118:名無しさん@ピンキー
08/05/18 21:24:06 ZE/Qfolc
ごめ…過去ログ倉庫って、携帯からは見られへんの?(;_;)

119:名無しさん@ピンキー
08/05/18 22:03:36 KRDK3o28
倉庫、うっかり文字コードEUCやったからSJISにしたんやけど、
それでもhtmlだと重すぎなんですな。ま、そりゃそーだ。

もちょっとまっとくなはれ。再細工します。

120:名無しさん@ピンキー
08/05/19 08:20:08 SNICKga5
>>116
GJ!久々の百合ですね。はからずもドキドキ致しました…。
ビーコ攻めは今までないかも。新鮮でした。

121:名無しさん@ピンキー
08/05/19 08:20:45 SNICKga5
尊健×若狭投下させて頂きます。
はっきりいってひどい話です。レイプ系。でもエロはぬるい感じ。
時期は小草若が尊健を殴り飛ばした瞬間から。
その時草々はおらず、代わりに若狭が店から少し早いタイミングで出てきています。
前振りも長いですが、そんなので良ければ読んでやってください。

122:尊健×若狭 1
08/05/19 08:21:17 SNICKga5

それは、一瞬のことだった。

小草若兄さんが番組降ろされることになってしもた、その番組の打ち上げの最中。
自棄になったようにカウンターでお酒をあおっていた小草若兄さんは、一人で店を飛び出して。
慌てて後を追った自分の目に映ったものは、言い争う小草若兄さんと、尊健兄さんの姿。

酔っ払って足元のおぼつかない尊健兄さんが、見下すようにあざ笑う。
「お前みたいな落語家とも言えんような奴が一門会かぁ!?また寿限無でもかけるんか?」
「ああ!!?なんやとコラ! もう一回言ってみんかい!」
「おお何回でも言うたるわい! 前々からお前は気に入らんかったんじゃ! 落語も出来へんくせに
 テレビばっかり出くさって。あんな一発ネタで何年かもったんが不思議なくらいなんじゃ!
 お前とこの師匠言うたかてお前の親父やろがい! お前に才能あるとでも思とんか?
 やとしたらとんだ親バカもええとこなんじゃ!!!」
師匠の名前が出た瞬間、小草若兄さんの目がきつく吊りあがり、尊健兄さんを睨みすえる。
「師匠は…師匠は関係ないやろが!」
はん、と尊健兄さんは鼻で笑う。
「関係大有りじゃボケ!親父がおるからお前みたいなもんが落語家名のっとられるんやんけ!
 親バカ極まれりの、才能の有る無しも見分けられん耄碌した師匠なんやったら」

(やめて)

「復帰なんてせんと、さっさと引退したらええねん」
 
その言葉が、尊健兄さんの口から飛び出した瞬間。
小草若兄さんが、尊健兄さんを殴り飛ばした…。
尊健兄さんは、あざ笑った表情のままスローモーションで弧を描いて吹っ飛んで。
そして、道路に倒れこんだ。
あんまりにもそれは漫画の1コマのような風景で、現実のことのようには思えなかったけれど
自分のこぶしを見つめて呆然と立ち尽くす小草若兄さんの姿だけが…それを現実のことだと告げていた。



123:尊健×若狭 2
08/05/19 08:21:55 SNICKga5

「小草若、にい、さん…」
ゆるゆると自分を振り返った小草若兄さんの顔は。
「やって、もうた…」
はは、と漏れる空疎な笑みは、もうそれは笑顔とはとても言えないほどに虚ろに歪んでいて。
「これで…もう、、、一門会は、、わやに…なってもた」
切れ切れの声はかすれていて、もうそれは聞いていられないほどで。
「…親父にも、、見捨てられてまう…」
あまりに悲痛で、よるべない子供のように途方に暮れていて。

このままでは、このひとが、こわれてしまう。
やさしいこのひとが。あかるいこのひとが。
あんなに私を救ってくれた、このひとが。

よろめくように立ち去るその姿に、なんと声をかければ良かったのだろう?
自分は、このひとのために、いったい何ができるのだろう?
ただその場に立ち尽くすしかなかった――。

「わっ!尊健兄さんどないしたんですか!」
「あかん、完全に伸びてはる…。あ、若狭ちゃん!何があってん?」
なかなか戻ってこない尊健兄さんを心配したのか、土佐屋の若手落語家さんたちが集まってくる。
どうしたら。
迷ってる場合じゃない。私が…私がなんとかせんと。
兄さんを、徒然亭の一門会を…無くすなんて、何よりもつらいことなのだから。
すうっと小さく息を吸い、覚悟を決める。

「…私のせいなんです。ごめんなさい…」

ははは、と乾いた笑いが起きる。
「んなわけないやろ若狭ちゃん!女の子の力でこんな腫れ上がるほど尊健兄さんを
 ふっとばせるわけないやんけ」
「違うんです。尊健兄さん酔ってはって、タイミングと当たり所が悪かったみたいで…」
できるだけ信じてもらえるように、そううなだれてみるけれど。
「…若狭ちゃん。何か隠しとるんちゃうか?」
不審げに自分を見つめる目。目。目。
あかん…信じてもらえへん…

その時、ううっとうめき声を上げて、尊健兄さんがうっすらと目を開けた。



124:尊健×若狭 3
08/05/19 08:22:23 SNICKga5

上のほうから、ざわざわと声がする。聞きなれた声がいくつかと…、柔らかい、けれど必死めいた女の声。
(…あ、何や?…っ痛ぅ――!)
冷たく固い感触で、自分が道に横になっていることに気づき、尊健は身を起こしかけ、
とたん頬の激痛に襲われた。ずいぶん酔って頭がくらくらしていることがわかる。
けれどこの頬の腫れ上がった感じは何だ?
言うことを聞かない腕を無理やり持ち上げ触れてみると、鋭い痛みと予想以上に膨れた感触。
(おいおいおい…何やねんこれ? 来週師匠との二人会やいうのに)
重いまぶたを持ち上げると、そこでは弟弟子たちと…徒然亭若狭がなにやら言い争っている最中で。
(徒然亭…、、そういえば小草若の奴と――、あいつに殴られたんか)
酔った勢いもあり、小草若にはずいぶんいろいろと言ったような気が。いや言った。

「隠してなんかいません!私が尊健兄さんを殴ってしもたんです!」

叫ぶような若狭の声。
(こいつ、、、何を言うとるねん)

「ねえ尊健兄さん!そうですよね!?本当にすみません、いくら勢いとは言え、殴ってしもたりして…」

地面に横たわった自分のそばにかがみこみ、必死の表情で若狭は謝る。
その大きな目に、懇願の色を濃く宿して。
(お願い、尊健兄さん――!)
思わず、口を開いていた。

「いやええねん。急にお前の尻触った俺が悪いねんから。俺の自業自得や」
そして、あっけにとられる弟弟子達に向けて言い放つ。
「酔った勢いでのこんなんが知れたら土佐屋の恥や。お前らも師匠にも言わんといてくれや。頼むわ。
 二人会には響くけど、身から出たさびや。俺が酔って勝手に怪我したことにしてくれ。」

「兄さんがそう言いなるんやったら…。確かに女のケツ触って殴られたやなんて土佐屋の恥ですしね」
「ま、兄さんらしいけどな、はは」
「若狭ちゃんもそういうことで、頼むわ。ごめんな。」

大事にならずにすむと、少し安心したように弟弟子たちは軽口をたたく。
何か冷やすもんもらってきますわ、と店の中に戻っていく弟弟子たち。
残ったのは…若狭と、自分だけ。
そばにかがみ込んだまま呆然としたように成り行きを見守っていた若狭が、尊健を見つめる。
緊張にこごっていた表情がすうっと和らぎ、ほんの少し柔らかいあどけない微笑みを浮かべて。
「尊健兄さん…ありがとうございます、話、あわせてもろて…」
けど、と腑に落ちない表情で若狭は続ける。
「なんで、、、あんな泥を被るようなことまで言うてくれなったんですか? それに二人会て―。
 そんな時にこんなことになってしもたのに、なんで、そんなかばってくれなったんですか?」

何故だろう。
自分でもわからない。きっと師匠にはこっぴどく叱られるやろう。
何しろ楽しみにしとった二人会がわや、や。延期は可能だとは言え、練習を積んできた自分にとっても
それは身を切られるようにつらいことのはずで。
小草若に(おそらく)ひどいことを言ったのは自分だという負い目があるからか?
復帰をかけた徒然亭の一門会が、自分に怪我をさせたことで台無しになってしまうからか?
確かに徒然亭草々の上方落語会復帰を好敵手として待ち望んではいるが…。

いや。違う。

懇願するような若狭の目が、必死の表情が自分にむけられたあの時。
その願いを叶えたいと思った。どうしようもなく惹きつけられた。
自分は――若狭のために?



125:尊健×若狭 4
08/05/19 08:22:53 SNICKga5

徒然亭若狭。
すっかり廃れた徒然亭に好き好んで入門した少女のことは、ちょっとした話題になっていた。
「見ましたか尊健兄さん?徒然亭に入った子。ちょっとええですよね」
好色めいた薄ら笑いを浮かべながら自分にそう言ったのは誰だったか。
ちょこまかと小草若や草々の周りで駆け回る、小柄な少女。
あどけない可愛らしい童顔に、それとは不釣合いなほどのやけにグラマラスな肢体。
確かに抱き心地はよさそうだと思ったが…ただそれだけだったはずなのに。
けれどあの時自分にむけられた眼差しが、悲壮な覚悟をのせた表情が――
目に焼きついて、離れない。

「何でやろな。それより若狭、お前何で自分が殴ったなんて言うたんや?小草若に惚れとるんか?」
とたん若狭は真っ赤になって首をふる。
「そんなんやありません!もうすぐ一門会が…何とかせなって思うたら」
「そう言うたかて、お前が殴っても一門会に響くんは同じやないか。」
「あ…」
今更気づいたかのように言葉を無くす。
小草若を…守ろう思うた、か。
自分が破門になるかもしれへん危険も忘れて。
そこまで大事か、あの男が。
そのことに気づくのとほぼ同時に、心にゆっくりとどす黒い影が広がり始める。
先ほどまでは考えもしなかったはずの卑劣な言葉が口から滑り落ちるのを、止めようもないほどに。

「一門会…大事か?大事やろな。徒然亭の復活がかかっとるんやもんなあ。
 俺がほんまのこと、言うたら…わややけどな。」

わけがわからないと言うような訝しげな顔で、自分を見つめる若狭。
ゆっくりと身を起こしながら、その可愛らしい顔ににやり、と笑いかける。
自分が自分ではないような感覚。どうしてこんなことを。

「取引、といこうやないか。若狭ちゃん?」

すうっと蒼ざめる若狭。自分がどれほど今、下劣な笑みを浮かべているのか。

「明日、仕事明けのTV局前で待っとるさかいに、な」

   ************************

「へぇ…約束、守ったんか。若狭」
凍てついたような固い表情で、彼女はそこに佇んでいた。
思うとる男のために、そこまでする…か。
その姿は実に――
「健気なことで」
けれど…その健気さがいっそう、尊健の胸に影を落とし込む。

なんでこんなことに。若狭は思う。
尊健兄さんは自分を、小草若兄さんをかばってくれたのだと。
ちょっと怖そうだけど、口はとんでもなく悪いけど本当は優しいひとなんやと思ったのに。
何故?急に表情が険しくなって、自分を脅迫するようなことを。
けれど…昨日の小草若兄さんの顔を思い出すと、それはとても断れることではなくて。
怖い、とても。よほど兄さん達に相談しようかと思ったけれど、それも出来なかった。
怖い。怖い。怖い。
たすけて、、――兄さん…。

「ほな、いこか」
軽い口調で言って、尊健兄さんは歩き始める。

  

126:尊健×若狭 5
08/05/19 08:23:27 SNICKga5

だん、と部屋のドアを閉じて鍵を閉める。がちゃり、という音に、若狭が身をすくめるのがわかる。

「さて、と。なにからしてもらおうか」

そう振り返りにやりと笑うと、若狭ののどからひっと怯えたような声が漏れる。
蒼ざめた白い顔。極度の怯えで見開かれた大きな目。

「初めてなんか?何しろ徒然亭若狭は、兄弟子に大事にされとるいう評判やからな。
 他のとこの男には手え出されてへんかっても、兄弟子らにやられとるか思うたけど」

それは真実、上方落語界ではもっぱらの評判だった。
徒然亭の兄弟子どもは、そろいもそろって妹弟子につく虫を払いまくる。
若狭に声をかけようとすると、決まって誰か一人はついとる兄弟子にぎろりと睨みとばされる。
若狭をガードするかのように、できるだけ一人にさせない。
若狭のことをいろいろ聞こうとしただけで、不穏な気配が漂う。
そうやって掌中の珠のように守ってきた可愛い可愛い妹弟子を、自分に汚されるとは。

「そんな、兄さん達は――、あっ!」

抗議の言葉を口にしかけた若狭の後ろに回り抱きすくめ、その滑らかな白い首筋を吸い上げる。
両の手のひらで胸を揉みしだく。噂どおりの手のひらに余るボリュームの柔肉が手のひらの中で
心地よく踊る。たまらず、カットソーの下から手を潜り込ませ、ブラを上にずらし上げ、直接に
胸をもみ上げ、指の間でその先端を挟み込むように刺激する。
「や、いやぁ…」
細い涙声が若狭の口から漏れる。けれどその涙声も、今は自分を煽り立てる材料にしかならない。
乳首を押しつぶすように指先でこね回す。
そのまま左手をジーンズの前に滑り込ませる。薄いショーツの感覚を指でたどり、秘所をその上から
ゆっくりと撫でる。
その瞬間、若狭の体がびくりと震え、自分から逃れようとする。
「いやあっっ!だめぇ、お願いやから…っ!」
けれどがっちりとその腰を抱え込み、逃れようとするその体を引き寄せる。
「もう遅いて、若狭…。ここに来てもうた以上は、覚悟、あったんやろ?」
「やけど、やっぱり、、、ああっ!」
構わずジーンズのジップを引き下げ、ショーツの前からあたたかい茂みへと指をすすめる。
つぷり、とした感触を探り当て、指の腹を滑らせた瞬間。
「ひゃあああんっ!や、何、そこ嫌ああっ!止めて嫌あっ!」
「へぇ…ここが好きなんか。自分でしたこともないんか?」
言いながら執拗に蕾を指の腹でこねる。奥から蜜があふれ出し、指にまとわりつく。
「ひ、あう…んっ、や、ああっ…」
答えることも出来ず、若狭はびくびくと体を震わせて喘ぎをもらす。
蜜をからめて蕾をなぞるたびに、面白いように跳ね上がる細い体。
やがて、その声に淫靡なものが混じり始め。尊健の指の腹がその蕾を押しつぶすように力を込めた時。
細い悲鳴を上げてがくがくと身を震わせ、若狭の膝が崩れ落ちた。
荒い息をついて座り込む若狭の顔を覗き込む。
自分の身に何が起こったのか把握していない、呆然とした表情。
その目は涙と熱で潤みきって、半分開いて荒い息をつく唇はしどけなく、けれど艶かしくつやめいて。



127:尊健×若狭 6
08/05/19 08:24:05 SNICKga5

「若狭。いってもうた、な」
まだ呆然としたままの若狭を四つんばいにさせ、ジーンズとショーツを引きおろす。
「初めては好きな男が、良かったやろうに、な。」
そう耳元でささやいて、ぬるぬると潤みきった秘所に己自身をあてがう。
「…ひ…っ!いやああっ!助けてぇ!兄さん!そうそう、にいさぁん…っ!」
四つんばいの体勢のまま、必死で前にのがれようとする若狭。草々の名を呼びながら。
「へぇ…てっきり小草若に惚れとるんかと思っとったけど、草々やったんか」
けれど逃さない。白い腰を抱え込み、自分へと引き寄せる。
「好きでもない男守るために、ここに来たんか。ほんまに健気やな、けど…」
その健気さが、草々を呼ぶ声が。
自分の思いは決して叶うことがないと、尊健に痛いほどに思い知らせるから。

「残念やったな、若狭」

己自身を、後ろから若狭の中へと突きたてた。

上がる悲鳴。自分の一物を拒む狭い狭い若狭の中へ、無理やりに奥までねじ込む。
硬直する若狭の体。反り返る白い背。苦痛に耐えかねて漏れるうめき声。
すかさず腰を引き、また最奥まで突き上げる。
それを繰り返すたび、若狭の中は徐々に柔らかに、ざわざわと尊健自身に纏わりつきはじめる。
秘所からあふれ出す蜜が、激しい動きに白く泡立ち滴る。
「くっ、ああっ、、、はあっ」
のどから漏れる苦痛のうめきが、少しづつ色を帯びる。
腰をたたきつけるたびに揺れる白い尻。ふるふると震える腰。
柔らかくあたたかい若狭の中は、尊健をきつくきつく締め上げる。
心の中のどす黒くよどんだ澱を振り払うように、尊健は繰り返し腰をたたきつける。
そして――若狭の中がひときわ大きくたわんで尊健自身を締め付けた瞬間。
尊健は若狭の中に、自分自身を放つ。
頭の中に閃光が走るような感覚と、そして限りない罪悪感とともに。


若狭はくたり、と力を失って倒れこむ。
秘所からは、尊健と…自身の蜜がまじりあったものがつうっと白い太股を伝って落ちる。
半ば気を失ったその顔は、幾筋もの涙の跡で汚れて。

俺は。
俺は、なんということを。

ただ、、ただこの女を。
自分のほうへと目を向けるはずもないこの女に、ひと時でも自分を見つめてほしいと。
それが。
限りない自己嫌悪。どうしようもない執着心。
自分の本性を――思い知らされた、気がした。

意識を失った若狭の汚れた体をそっと清め、その涙を指でぬぐう。
力を失った体をベッドへと運び、そっと横たえる。
柔らかい曲線を描く体にシーツをかけ、ゆっくり髪を撫でる。その瞬間。
「そうそう、にいさん…」
花びらのような唇が、小さくその形に動いた。



128:尊健×若狭 7
08/05/19 08:24:37 SNICKga5

目が覚めたとき、なぜかベッドに横たわっていた。
体が、泥のように重い。まぶたさえ持ち上げるのがおっくうなほどに。なぜ。
(ああ、そうか――)
尊健兄さんと、自分は。
けれど、心が乾いてしまったかのように何の感情も浮かび上がってこない。
目を開けて辺りを見回すと、それに気づいた尊健兄さんがこちらを見つめた。
その顔は…なぜか今にも泣きそうな子供のように見えた。

「……すまんかった、な」

小さく、小さく尊健兄さんの声が響く。

「こんなこと言うても、もうどう償いようもないんやけど、な…」

「やくそく…お願いします。小草若兄さんのことは…」

「わかっとる。言うたりせえへん。…初めから、そんなつもりはなかった」

「…え?」

「…何でもない。ほんま、悪かった…。今日のことは忘れ。言うても忘れられん、か。
 こんなひどいことされたんやからな。恨んだらええ」

自嘲するように言う尊健兄さんの顔は、言いようのないほど苦しげで。
今にもその目からは涙がこぼれ落ちそうに思えて。
なぜだろう。あんなことをされたのに。乱暴に扱われたのに。
心から憎むことなど、なぜか出来そうには、なかった…。

 ****************************

「やくそく、お願いします。小草若兄さんのことは…」
想い人ではない男を、徒然亭を守ろうと一心に自分を見つめる若狭の目は。
あの、自分を虜にしたときと同じ眼差し。
どうしようもなく惹きつけられて。
自分の思いはもう決して叶えられることはありえないのに。

この想いから、逃れられる日がいつかくるのだろうかと。

ただ、それだけを思った――。


<終>



129:名無しさん@ピンキー
08/05/19 08:25:14 SNICKga5
以上です。お粗末さまでした。
エロ以外の部分がとんでもなく長くて申し訳ありません。
いや、尊健はもっとええ男やと思ってます。尊健ごめんなさい。

130:名無しさん@ピンキー
08/05/19 15:44:52 HVYJZRyO
GJです!
前の方のスレで同じシチュをリクエストしたことがあるんすよ
今になって願いが叶うとは!
しかもリク以上に切ないストーリーで嬉しいっす
アリガトございます!

131:名無しさん@ピンキー
08/05/19 20:51:18 Aeh4KfYw
GJ!
ひどい話と言いつつ、苦しい片恋で思わず鼻の奥がツーンと…
手に入らないとわかりきってるのがまた切ないなあ。
なにげに若狭親衛隊と化してる兄弟子エピにも萌えました。

132:名無しさん@ピンキー
08/05/19 22:13:42 TcBRc0da
GJです!!
ひそかに尊建→若狭好きだったので読めて嬉しいです。
しかもメイン二人に加えて小草若の心情を考えるとさらに切ない…
話に引き込まれて長さも全然気になりませんでした。

133:名無しさん@ピンキー
08/05/19 23:24:36 yCdj5HTs
こそっと倉庫復活

134:名無しさん@ピンキー
08/05/20 00:48:03 x1gr6u0+
>>133
管理人さんですか?
底抜けに乙です!
当方携帯専ブラ使いですが、ばっちり取り込んで読めました
ありがとうございます
あらためて読み返すと名作多くて楽しい!
職人の皆様ありがとうございます

135:名無しさん@ピンキー
08/05/20 00:49:28 sQ/VFe8Q
おお倉庫のちりとてカラーが素晴らしい!
>>133さん乙です

136:名無しさん@ピンキー
08/05/20 01:10:12 vvAifnA5
>>133
底抜けに~乙です
二席目の草々×若狭初夜の話が読めて嬉しい・・・

137:名無しさん@ピンキー
08/05/20 03:19:38 pfohCRNW
>>136
あれはほんに名作だったねぇ

138:名無しさん@ピンキー
08/05/20 03:45:01 LEPqD4FE
>>133さん、自分も携帯からなんですがやっぱり読めませんでした。どうやったら読めたんですか?
それと専ブラって何でしょうか?
質問ばかりですみませんが、良かったら教えて下さい。

139:129
08/05/20 06:16:55 sLwJv+DL
>>133
底抜けに感謝です!いつでも職人さん達の名作の数々が読み返せると思うと
もうこれでDVD発売&スピンオフまで生きていけそうな気がします。
噂の2席目草々×若狭初夜も、早速読んできました。感激。
そのほかの作品も、笑いあり涙ありの名作があって本当幸せ。

>>130-132
需要少なめカプしかもレイプ系で拒否反応示す方も多いと思われる内容で、
実は戦々恐々として投下しましたので、読んで頂けてとても嬉しいです!
>>130さん以前リクなさっていたとは!第二席でしょうか?
実はさっき読んだら、第二席>>70さんと尊×若の基礎設定丸被りだった…
今まで過去スレ読めず存じ上げなかったとはいえ、申し訳ありません。

しかも今気づいた。 尊健→× 尊建→○  ごめん鼻毛…orz

140:名無しさん@ピンキー
08/05/20 22:25:09 sot938Rr
>>138
ヒント
半年ROMれ

自分の力で何も調べようとせず、他力本願で楽して美味しい汁をすすろう
とする行為は、2chでは忌み嫌われるよ

141:名無しさん@ピンキー
08/05/20 23:46:45 x1gr6u0+
えー、祝・保管庫!ということで、ひとつ投下させてください。

四×黒A子でエロあり
わりきった大人の関係

少し前に投下された職人さんの嘘×黒Aがすばらしかったので、四バージョンで作ってみました
最初少しだけ草原兄さん&小草若ちゃんが登場
お好みでないかたはスルー願います

142:四×清1
08/05/20 23:49:49 x1gr6u0+
「エーコちゃん、今日はえらいすまんかったなぁ!いろいろバタバタしてしまって。また暇なときに遊びに来てや!」
徒然亭をあとにして、草原、小草若、四草、そして清海の4人での帰り道。
小草若が懐かしさと生来のサービス精神からあれこれ話し掛けていたものの、清海は半分うわの空だった。
二人の絆の強さを見せつけられ、さらには妻として、人としての懐の広さまで…。
悔しさや情けなさで清海の頭はいっぱいだった。
「まぁなんか後味悪かったし、飲みなおすか!」
これまた気遣いの人─この場合、単なる酒好きの人、かもしれないが─草原が誘う。
「どうやエーコちゃん、みんなでどっかで飲みなおさへんか?」
「えっ…いえ…、せっかくですけど、明日早いんです。すみません。また今度誘ってくださいね」
今は小草若のペースについていけない。それにあの二人の話が出たりしたら耐えられない。
「そうかー。残念やなぁ。」
「じゃあ僕が送っていきますよ」
「えっ!?いえ、いいです…みなさん飲みにいかはるようやし…一人で大丈夫です」
「僕酒飲めないんで帰ろう思うてたんで。ほな兄さんらまた。」
「そうかー。じゃあ気ぃつけて帰りやー」
「しーそぉ、エーコちゃんに変なことしたら承知せーへんからな!エーコちゃん、またなぁ!」

とまどいつつも二人に会釈をして、さっさと先を歩く男のあとについていく。
「ホンマにすいません…気ぃ遣ってもろて…」
「ええんですよ。つかまったらなかなか帰られへんし。ちょうどよかった」

─沈黙が続く。沈黙を避けるために無理やり話す男は青くさい、黙っていれば女が勝手に話すのに、
というのをどこかで読んだ記憶があるが、いざ平気で無言を押し通されるとそれはそれで困るものだ。
でも今はこの沈黙が心地よかった。ぺらぺら話したい気分ではなかったが、
かといって一人になったら孤独で胸が張り裂けそうだ。あの騒々しくも温かい空間から一人、ホテルの狭い部屋に戻るなんて─
嫌でも今日のできごとを振り返り、後悔の念にさいなまれる。それは嫌…。

「あの…もし、お時間あったら、ちょっとだけつきあってもらえませんか?飲まなくてええですから…」
「……」
四草は少し驚き、鋭い目を清海に向けた。
ややあって、
「……ええですよ。」
考えの読めない顔をしてひとこと答えた。
「ありがとうございます…」
「でも、僕も一応芸人の端くれなんで、このあたりで元キャスターの子と二人っきりいうのは、ちょっと。」
そこまで考えていなかった。そういえばそうだ。
「…それもそうですね…」
「部屋、行ってもええですか?」
「え…」

143:四×清2
08/05/20 23:52:50 x1gr6u0+
「狭いですけど…どうぞ」
清海の泊まっているホテルの部屋。自分はベッドに腰かけ、四草には鏡台の前のいすをすすめた。
「よかったらこれ、使うてください」
備え付けのスリッパを差し出す。二人して外履きからスリッパに履き替える。

突然の訪問だったが、荷物は整理整頓されていた。これがもう一人のキヨミなら、
いまごろ慌てふためいて片付けるところやろな、と四草の頭に浮かび、ふっと笑みがこぼれた。

清海はグラスを用意し、途中、コンビニで買いこんだビールやつまみ、それに四草用の烏龍茶を袋から取り出した。
四草がビールを開け、グラスに注ぐ。自分用に烏龍茶も。
清海にグラスを手渡すと、自分もグラスを手に取り、何も言わずに清海のグラスとあわせた。
かちりという音だけが部屋に響く。
「か~んぱ~い!」などという、この状況にふさわしくない言葉を言われなくてよかった、と清海はほっとした。

「ふぅー。おいしい…」
「酒はイけるクチでしたっけ」
「まぁ、そうですね…」
「そりゃ、ええですね」
「ええ…」
四草は酒を無理にすすめるでもなく、かといって無関心でもなく、ビールが残り少なくなるとさりげなく継ぎ足した。
「落語家さんて…みんなそない気遣いのできるかたばかりなんですか?やっぱり、修行が厳しいせいやろか…」
「さぁ、どうでしょうね…草々兄さんはどないでした?」
「…!」
いきなり核心に迫られた。こうして近くで見つめられるとますます動揺してしまう。
何もかも知っている、とでも言いたげな瞳が怖い。
「…ええ、やさしかったです…」
「今でも兄さんのこと好いてるんですか?」
「えっ…」
「…」
「べつに…過去のことやし…私は…」
清海はグラスを強く握り締めて、のどの奥から絞りだすように答えた。…これじゃあ全然ごまかせていない。
目の奥がかっと熱くなってきたが、なんとか涙はこぼさないように耐えた。きっともう目元は赤いだろう。

144:四×清3
08/05/20 23:54:42 x1gr6u0+
「…っ」
酔いが回ったせいだと思ってほしい。グラスに残っていたビールを一気に飲み干す。
再び静かにビールが注がれた。そして、
「…あんたはなんも悪ぅない。悪いのは全部草々兄さんや」
そう言いながら四草の右手が清海の髪の毛をなで、耳のあたりから頬までやさしく触れた。
さっきまでとは違う、おだやかな笑み。
ちょっとどきりとしてしまった。

──この人はシラフだ。だからこれはこの人の手なんだろう…女を口説くときの。
わかっているが、今夜はその手に乗ってみよう。
私は酔っているし、すべてはお酒のせい。このルックスと女の扱いのうまさなら、遊び慣れているはず。
お互い後腐れなく、一晩だけのお遊び──

触れられるがまま、清海は目を閉じた。冷たい手のひらが熱いほおを冷やしていく。
いすから立ち上がる衣擦れの音がして、上からそっと抱きしめられた。
髪にひとつ、それから目元、そして唇にくちづけられた。
そのまま何度かくちづけを交わしたあと、シャワーを浴びてくるように促してくれた。
待たせぬよう、メイクを落としてさっと身体を洗い、清海と入れ替わりに四草がバスルームにいる間、ほんの少しだけメイクをした。
(何してるんやろ、私…。)
ふと虚しさがこみあげてきた。また目元が潤んでくる。
そんな思いを打ち消したくて、先ほどのビールを飲み、缶ビールのプルタブに爪をかけた。
「痛っ」
「どないした?…貸してみ」
髪をタオルでふきながら浴衣姿の四草が出てきて、プルタブを開けた。
「あ…ありがとう…」
「ん」
四草も烏龍茶を手に取り、コツリと清海の缶にあて、飲み干した。
清海も缶を傾けた。
「ええ飲みっぷりやな」
あごを少しあげてビールを飲む清海は、首から浴衣の胸元まで白い肌がのぞき、ほんのりと赤く染まっている。
「色…白いな」
四草の手が首筋から鎖骨のくぼみに触れた。
そのまま浴衣のえりもとを横に広げ、鎖骨にくちづけられた。
「…っ!」
酒のせいか敏感になっている肌に、甘く鋭い痛みが走る。
もう片方のえりもとも広げられ、今度は鎖骨の下、胸の上あたりにくちづけをひとつ。
「んっ…!」

145:四×清4
08/05/20 23:57:05 x1gr6u0+
実家に戻って以来、正直にいえばそういう機会はめっきり減っていた。要するに欲求不満だった。そこに酔いと手慣れた男。情欲は止められない。

四草はいすから立ち上がり、鏡台の明かりを落としてベッドに座る清海の横に移動した。
明かりはベッドサイドのオレンジ色の光だけ。
目を伏せてかすかにほほえむ四草の顔には、長いまつ毛が影を作っていた。
清海が四草の表情から目を離せないでいると、手が伸びてきて、清海の細い身体はすっぽりと腕のなかにおさめられた。
厚い胸板に顔が触れる。わずかに鼓動が速い。
髪をなでながら唇がおりてくる。清海は軽く唇を開き、舌を受け入れる。
どこか探りあっていたようなキスがどんどん深いものになる。
(気持ちいい…)
内から外から人肌に触れ、久々の感覚に清海は震えた。
素肌を求めて互いの手が互いの肌を暴いていった。
清海の両腕は四草の背中を抱き、四草は唇から首筋、鎖骨へとくちづけ、舌をはわせる。
同時に清海の身体のラインを確かめるかのように、指でなぞる。
耳の裏から首の横、肩を通って腕、指先、手のひら、腕の内側、わき…そして胸に触れ、
手のひら全体でゆっくりとその感触を堪能する。
そして先端に指先が触れると、清海の唇からこらえきれない吐息が漏れた。
「はぁっ…ああっ…!」
再び唇が重ねられ、この快感を伝えるかのように清海は四草の舌にからみついた。
「…兄さんとは…どこまでしたんや…?」
「…なんでっ…そんなことっ…あっ」
胸を攻めながら、もう片方の手は足に伸びていた。内股を指がはっていき、また緩慢な刺激が与えられる。
「答えなここでやめる」
「あっ…んっ…何も…何もしてへんっ…!」
「ふぅん…ほんまに?」
「…っ、ほんまですっ!」
予想通りではあるが一応確かめておきたかった。一晩限りとはいえ、兄弟子と肉体的にも「兄弟」は少々気分が悪い。
「そうか…」
そうつぶやくと四草は顔をはずし、胸の先端を口に含んだ。
「あぁん…いやぁ…っ」
待ち望んでいた刺激を与えられ、清海は高い声をあげた。
四草の背中にしがみついていた両手は、片方が四草の頭に回され、髪を乱した。
焦らすように内股をなぞっていた指は、熱く濡れた中心に差し入れられた。
「ああん、はぁ、ああ…!」
先ほどまでと同様、ゆるゆると鈍い刺激が繰り返し与えられた。身体がうずいてたまらない。もっともっと欲しい…!

146:四×清5
08/05/20 23:59:23 x1gr6u0+
「…っ!うっ…!」
清海は手を伸ばし、四草の昂ぶった中心を握り、動かしはじめた。
突然の愛撫に四草から思わず声が漏れ出た。
四草の唇と指から繰り出される刺激が心地よすぎて、清海の手は止まりがちになるが、
それがまた焦らされているようで、四草にはたまらないものだった。

すぐに挿れたい気持ちを抑え、四草は茂みに顔を埋めた。
「いやっ!…んっ!あんっ!いやぁっ…」
なめて転がす。舌を差し入れる。ひととおり試してから「中と外、どっちが気持ちええ?」と尋ねた。
「…んっ…そ…と……きゃあっ!」
執拗に舌で攻められ、清海からひときわ高い声があがる。
「あんっ!あんっ!あっ…いやぁ…!」
清海の身体が震え、果てた。
「はぁっ…はぁっ…」
清海がぐったりしている間に四草はゴムをつけ、両足を広げてぐっと中に入り込んだ。
「…んっ!ああっ」
「……はぁっ、、気持ちいい…」
互いの体温を感じ取り、中の感触を味わってから、四草が腰を動かしはじめた。「んっ!…はあっ!はあっ!」
久しぶりの圧迫感に清海は快感とも不快ともとれない妙な感覚であったが、少しずつそれが快感に傾き、
もっと奥まで欲しい、もっとなかをえぐって欲しい、と感じるようになった。
やがて清海も四草を求めて腰を揺らし、小刻みに四草自身を締めつけた。
清海の大きな瞳に官能の色が濃くにじむ。
「はぁっ…はぁっ…!」
四草のいつものポーカーフェースも崩れ、余裕のない表情を見せていた。
互いに高揚が抑えられなくなり、どちらからともなく唇を求め、激しく交わった。
キスのせいで清海の腰は高くかかげられ、挿入がよりきつくなる。
ますます二人は追い詰められ、ついに限界を迎えた。
「あっ!ああん!ああっ!」
「…はぁっ、出るっ…!」
ゴムをつけてはいたが、念のため直前に身体から引き抜き、外で吐き出した。
「…はぁっ…」
四草は自分の身体の後始末をすませ、ぐったりとしている清海の身体をタオルでふいてやった。
「…意外に…やさしいんですね…」
「…」
いつもならシャワーを浴びるところだが、情事の疲れと酔いに負け、清海はそのまま眠ってしまった。
薄れゆく意識のなか、「ごちそうさまです、エーコさん」という声が聞こえた気がした──

翌朝。清海が目を覚ますと、四草の姿はなかった。
空き缶やつまみがきれいに片付けられ、四草の着ていた浴衣は畳んで隅に置かれていた。
自分は…浴衣が着せ付けてある。
「さすが…ようやるわ」
清海の口から苦笑がこぼれた。

(終)

147:名無しさん@ピンキー
08/05/21 00:11:06 UYkAFKCR
初めてリアル投下に遭遇した!
GJです!!
いやぁ四草のキャラの立ってること立ってることw

148:名無しさん@ピンキー
08/05/21 01:15:56 Uiu/iruO
>>146
最後の黒A子がかっこいいw
乙です

149:名無しさん@ピンキー
08/05/21 01:15:58 AGSw8SLM
うお~!GJです!
今夜はイイ夢が見れそうです

150:名無しさん@ピンキー
08/05/21 03:13:42 l3L85CpP
GJ!!はじめて拝見するカプ、堪能しました!
四草すげ…こりゃふらふらっとなる子多そうだw黒清海もいい!
四草、敬語使いからの口調のシフトタイミングが見事と思ったです。
喜代美のこと思う、一箇所だけの四草主観の部分がなぜか切ないなあ…

151:名無しさん@ピンキー
08/05/21 03:19:16 l3L85CpP
連投ごめん。
他にも四草主観部分いくつかあるのに勘違いしてた。失礼しました。
自分、四草×喜代美フィルターで目が曇ってるのかもwまたの投下楽しみにしてます!

152:名無しさん@ピンキー
08/05/21 06:12:32 l3L85CpP
さらに連投になってしまいますがどうぞご容赦下さい。
小草若→喜代美 投下させていただきます。
時期は小草若失踪中。長めほんのすこしエロ。
相当鬱展開なので、そんな小草若を見たくない方はご注意ください。

153:夢から醒めた夢 1
08/05/21 06:13:21 l3L85CpP

(…兄さん。小草若、にいさん――)

愛しい愛しい、少女の面影を残したかつての妹弟子が呼ぶ。
いつも明るく笑んでいた顔を、悲しげにゆがめて。

「――!」

目が覚める。こじんまりとした簡素な部屋。既に見慣れた風景が小草若の目に映る。
そう、徒然亭でも己のマンションでも四草の家でもなく、大阪からは遠く離れた地の。
何度この夢を見たことか。
一つの場所に長くとどまるたび、この夢は頻繁に小草若のもとを訪れる。
そのたび、逃げるように別の場所へ別の場所へと移動を繰り返してきた。
まだ肌寒いこの季節なのに、体にはじっとりと寝汗をかいていた。
カーテンを引くと、外はほのかに明け始めたばかりだった。
(ここにおるのも、もう長いことはないかもしれへんな)
予感めいたものを覚えながら、小草若はそっと目を閉じた。


154:夢から醒めた夢 2
08/05/21 06:14:06 l3L85CpP

「おつかれさまでした~!」
ガソリンスタンドのバイトを終え、家路に向かいかけた小草若に聞きなれた声がかけられる。
「あ、吉田くん!」
「何ですか、店長?」
自分より少し年上に見えるその男―このガススタンドの店長―が、にこにことこちらに
微笑みかけていた。
「あのさ、申し訳ないんだけどこの時間に入ってた女の子いるだろ?紀代美ちゃん。
 あの子、遅くなっちゃったから送っていってあげてくれないかな?悪いんだけどさ。
 最近ぶっそうだし、吉田君帰り道近いし。変に下心ある奴多いからなかなか頼める人いなくって。」
申し訳なさそうにこちらを拝むジェスチャーをする店長に、いいですよと気軽に請け負って、
小草若は手持ち無沙汰に同じバイト仲間の少女を待った。

「吉田さん、ごめんね~」
甘えたような声でこちらを見上げる少女。あの子と、同じ名を持つ―
栗色のくるくると巻いた髪、リスのように輝く瞳。
バイトの若い男どもが騒ぐ少女。自分が騒がれることを十二分に知ったその仕草。
(あの子とは、対極、か…)
優しい白い顔を思い出しかけて一つ頭を振る。もう自分には、関係のない、少女…。
せわしなく話しかける少女に適当に相槌を打ちながら歩く。

「でぇ~、吉田さんの声ってすごくいいってか響くじゃないですかぁ?
 その声聞いてお客さんが吉田さんのこと見て『あの男の人、名前なんていうの?』って聞くんですよ~!
 声もそうだけど、なんかめっちゃ見たことあるんだって。そういえば前も誰か言ってましたよね~」

にこにこと話す栗色の髪の少女の言葉を聞いて、現実に引き戻される。
ずっとずっと背負ってきた、「徒然亭小草若」の名を消すことがいかに難しいかを思い知る。
いくら逃れようとしても、どこからともなくひっそりと影のように自分について回る。
もう自分は…落語家ではないのに。
捨てた名に気づかれた後も明るい顔で面白おかしく昔のことを話せるほど、自分は強くはない…
(ここもそろそろ潮時、か――)
わずかに眉をひそめた小草若の表情にも気づかずに、少女はしゃべり続ける。
「もしかして吉田さん有名人?てかカッコイイですよね~!30過ぎてるって聞いたけど信じられないし」
「…そう?もう俺おっさんやで」
「全然見えないですよ!てか、今日本当は送りなんて要らないって店長に言おうと思ってたんですけど、
 吉田さんに頼んでくれるっていうから…。あの…彼女とか、、、いますよね?」
「…おらへんけど」
栗色の髪の少女の顔がぱあっと輝く。頬をわずかに染めて。
胸が痛む。あの子の表情に、一言一言に心躍った昔の自分を見ているようで。
「あの、だったら…、私と…。私、吉田さんが…」
「…ごめん」
「……だれか、好きな人が、いるんですか?」

「もう、、ずっとずっと好きな子が…おるんや」

気が遠くなるほどの長い間、どれほど消そうとしてもその想いが途切れることはなくて。



155:夢から醒めた夢 3
08/05/21 06:14:45 l3L85CpP

(…兄さん。小草若兄さん――!)

今、どこに。

帰ってきて、兄さん。小草若兄さん。お願いだから――!


「――!!」
泣き叫ぶ声に目が覚める。いつもの夢。けれどもその生々しさは。
まるで、そばであの子が呼んでいるかのように。

(アホらしい)
あの子がこんな風に自分を捜し求める夢を見ること自体が、浅ましい願望の現われなのに。
そう、こんな風に泣いて自分を求める必要など、彼女にはひとかけらもないのだから。
あの子は、、草々の腕の中で今頃は安らかに眠りについているはず。
昨日の晩、あの子と同じ名を持つ栗色の髪の少女と話して、あの子への想いをかきたてられたから、
こんなにもあの夢が生々しいのか。
頭をひとつ振り、冷たい水を冷蔵庫から取り出し、一口含んだ。


その時。

「こそうじゃく、にいさん」

「――!」

その声は。
懐かしい、甘いまろい声。
そしてつい先ほどまで自分が眠っていた布団の枕元にひっそりと佇むその姿は。
「どないしなったんですか、小草若兄さん?」
喜代美が添う。自分の身の傍に。一糸まとわぬ姿で。
(ああ、これもまだ夢、か―)
その丸い曲線を描く肩を抱き寄せて、そっと口づける。
目を閉じて自分に体をあずける喜代美の髪を撫で、その乳房に掌を這わせる。
あっ、と花びらのような唇から甘い声が漏れる。
全身をあます所なく愛撫して、その感覚を愛しむ。
この自分の腕の中で、喜代美は乱れ、甘い息をつき、切なげな声で自分の名を呼ぶ。
「ああっ…こそうじゃく、にい、さんっ…」
やがて果てた喜代美は、放心したような目で自分を見つめてかすかに微笑みかけ。
愛しげに自分の胸に頬を寄せる。

これらすべてが、これが夢であることの証明。現実にはありえない風景。

何度も訪れた夢。けれど夢の中で、自分はただ喜代美を抱き続ける。
この小さなあたたかい体の感触が、優しい愛しい微笑が。
夢とわかっていても、たとえ夢の中でも、この身を暖かくつつみこむから。

押し寄せる快楽に身を任せ喘ぐ喜代美を腕にかき抱き、
柔らかい喜代美の中で、真っ白い快楽に包まれて――


やがて、目が醒める。
冷えきった体。それが先ほどまでのことが夢である、何よりの証拠…。
くく、とくぐもった笑いが咽をつく。
自分の妄執を、浅ましさを思い知らさせる。
部屋はまだ暗い。窓を開けると、深夜のしんしんとした冷気が身を包む。
ほ、と一つため息をつき、小草若は頭をひとつ振る。


156:夢から醒めた夢 4
08/05/21 06:15:23 l3L85CpP

その時。

「こそうじゃく、にいさん」

「――!」

その声は。
懐かしい、甘いまろい声。

「わかさ…?」

「兄さん、なんで『若狭』やなんて呼びなるんですか? 兄さんだけが私を名前で呼んでくれなるのに。」
わずかに唇を尖らせて、喜代美は少し悲しげに眉を寄せる。
なぜここに、と問うのも忘れてただ呆然とする。

「喜代美ちゃん…」

「どないしなったんですか兄さん?そんな幽霊でも見たような顔しなって」
不思議そうに、少し戸惑うように微笑む喜代美。
「そうやぞ小草若。なんかお前今日変やぞ?」
草々の声。
振り返ると、縁側の方から部屋へ入ってくる見慣れた長身。
縁側―?
いつの間にか、そこは。
障子のさんに模られたひぐらし。ちょんと鎮座する福助。古い古い、けれど懐かしい―
(大阪の、家…)

四角い座卓の下座には、穏やかな微笑を浮かべた草原兄さん。
少し離れたところで、いつもの薄い笑みでこちらを見る四草。
傍らの鳥籠では九官鳥がバタバタと羽を鳴らして「セヲーハヤーミッ!」と歌う。
そして。
上座では師匠が、面白がるような表情で一献あける。
その傍に柔らかい微笑で添うのは――。
「どないしたん?みんなでお茶するところなんよ?」

「おかん…?」

「もう、小草若兄さん!ほんまどないしなったんですか?おかみさんの顔が珍しいみたいに」

すぐ傍から自分を見上げる、少し笑いを含んだ愛しい少女の声。

これは現実にはありえない風景。
これは夢。夢から醒めた夢。
おかんは病気なんかしてへんで、師匠と幸せに暮らしとって。
草原兄さんがおって、草々がおって、四草がおって。
そして自分の傍らで喜代美が自分に微笑みかける。
自分は師匠のもとで、草々と時々いがみあったりしながら落語に精進して。

なんて自分に都合の良い夢。
ほら、その証拠に…喜代美は自分がその頬を愛しげに撫でても、くすぐったげに微笑む。幸せそうに。
「あんまり見せつけなや」と笑いを含んだ師匠の声。

あまりにも都合が良すぎて、思わず笑ってしまうくらいに。
笑って笑って――笑いながら、涙がこぼれた。



157:夢から醒めた夢 5
08/05/21 06:16:02 l3L85CpP

目が醒める。
外はまだ暗い。日の明ける気配もまだ、そこにはない。
まるで自分の裡のように、深く深く闇に閉ざされた部屋の中。
気が狂いそうだ。
いや、もう自分は気が狂っているのではないかと、時折思う。
夢から醒めてもそこはまた夢。いまも夢なのか現なのか。
狂おしいほど求めるのは、、ただ、あの場所。

帰りたい。あの場所へ。
もう師匠がいなくても、おかんはいなくても。
みんなで落語に打ち込んだ、あの場所へ。あの子の微笑む、あの場所へ。
けれど、帰れない。
自分にはもう――帰る場所などない。


翌日、小草若はバイト先の店長に辞める旨を申し入れた。
急な申し入れに店長は戸惑い、残念がり、引き止めてくれたけれど。
一つの場所に長くとどまるたびに濃密さを深めるあの夢から逃れるために。


(どこへ)
あてもない、照らすものもないただ暗闇の旅路。

その時、風が吹いた。
遅い四月の八重桜の花が風に散る。

(小浜は、鯖とお箸が有名ですけど、冬が長いさけ…)
いつか、ずっと昔あの子が言っていた。
(有名なもんやないですけど、春を知らせてくれる桜の花が、それは綺麗に思えるんですよ――)
真っ白い、優しい微笑みを浮かべて。
(いつか、春先の桜を見に来て下さいね、小草若兄さん)

自分と似た一面をもった、あの若狭塗箸製作所の和田友春を思い出す。
あいつは―どうしとるやろう?
自分のように押しつぶされる道ではなく、新しい道を選んだ男。
あいつが幸せであれば良いと、心から思った。

そう。
どうせあの夢はどこへでもついてまわるのなら、と小草若は思う。
あの子を思い出させる小浜へ行ったとしても、それは同じこと。
旅路の途中で少し、ほんの少し立ち寄るだけ。
こうなってもあの子の面影を追い求め続けるのかと、自分をあざ笑いながら。


小草若が小浜に現れたのは、それから間もなくのことだった。

その時、運命の歯車がゆっくりと音を立てて再び回り始めたことを、まだ誰も知らない――。




158:名無しさん@ピンキー
08/05/21 06:16:49 l3L85CpP
以上です。お疲れ様でした。
このスレを読んでいると触発されて、つい一気書き。
これ小草若、病気ですね…すまん小草若。
話的には前スレ>>13に続いていると思ってやってください。

159:名無しさん@ピンキー
08/05/21 07:28:35 7h9hJayC
>>141
木曽山×清海を書いた者です。
GJです!!四草パターンもあると思っていたので、
読めて感激です。黒A子は色っぽい。
ここで触発されるの分かりますw
温泉の話読んだら、温泉で何か書けそうとか思いますもんね。

小草若は泣けました。読むのが辛い…
後の復活があるからこそ読めるけど…

連投乙でした!


160:名無しさん@ピンキー
08/05/21 10:29:45 7aAVsiOH
ここの職人様方、ほんとに素晴らしい。
気がふれてしまったような小草若、ちょっと泣きました。

いつも笑ってるような人が一番溜め込んじゃうんだよな~。
いや、ほんとに素晴らしい。
自分ROM専ですが、毎日神作品が投下されてて、ほんとに凄いと思う。

161:名無しさん@ピンキー
08/05/21 20:14:33 SUk9Hm+S
>>158
GJです!
前スレのKとWの物語を書かれた職人さんだったんですね…どおりで。
小草若の切ない夢が喜代美の辻占に繋がるのかと思って読み返すと、
また違った色合いになる素敵小説。素晴らしすぎます。

162:名無しさん@ピンキー
08/05/21 22:09:54 yECfCNdq
公式やるなあ・・・
このスレでも選んでないような時間軸で切り取るあたり

底抜けに楽しみだ

163:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:02:49 SUk9Hm+S
まいご三兄弟…タイトル可愛いすぎ。しかも草々の新作落語ネタて。
夏が楽しみになってきましたよ。

盛り上がったついでにバカエロ話ひとつ投下しときます。
草々×若狭でエロあり。というかエロのみ。
草々がひたすら嫁萌えしてるだけで無駄に長いです。

164:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:03:22 PLeeGLTD
>>152
気まずい亭のその後を望んでいたひとりです
栗色ギャルイイ!!(小草若ちゃんほめてるしw)
栗色ギャルに昔の自分を重ねるくだりが切ない
タイトルもぴったり!!

>>162
設定時期だけ知った段階では「じゃあ気晴らしに下2人で女を引っ掛けに(ry」
なんてSSを思い浮べたけど、あらすじ見てムリじゃん!とちとがっくりw

165:草々×若狭 好色嫁バカ男 1
08/05/21 23:04:28 SUk9Hm+S
徒然亭草々は悩んでいた。

上方落語四天王の一角である徒然亭草若の二番弟子にして
若手実力派噺家トリオとして絶賛売り出し中の上方三国志の一人である彼は
齢三十を越え、生まれて初めて女色に耽溺しているのである。

今年の正月に娶ったばかりの新妻がその相手だ。
草々より一廻り年下で妹弟子でもあるこの嫁は低身長、ロリ顔、巨乳のムチムチボディな上
天然キャラで自分にベタ惚れな処女というそれなんてエロゲ?を地で行く、
まさに男の妄想をそっくり具現化した女だったりするのだ。
そりゃもうハマるなというほうが無理である。

新婚当初は嫁の突然のタレント活動やら経済観念やらですれ違いが生じ
一時は離婚(この表現は正確ではない。何故なら婚姻届を提出していなかったからだ)も頭を過ぎったが、
結婚半年たった今その危機も乗り越え、まさに蜜月期の絶頂である。

繰り返そう。新妻は結婚前まで男に免疫のない自分にベタ惚れな処女だったのだ。
当然、夜の夫婦活動は一から全て夫である草々自身が手解きをしている。
何も知らない無垢な新雪の肌に、自分の身体でひとつひとつ男を教え込んで行く。
その作業の愉悦ときたら、性を覚えたての若造時代の比ではない。
その若造時代にさんざんお世話になった、玄人のおねーさんに教えてもらった
アレやコレやソレなんかも仕込んでみたいところだが、なんせ相手は素人の娘だ。
どっ引きされて「わたし実家に帰らせていただきます!」なんてことになったら元も子もない。
いや、実際にその技を使ったのは自分のほうだったりするのだが。

ともあれ若手落語家期待の星・徒然亭草々の目下の悩みは、
新妻・徒然亭若狭の肉体をいかにして開発するか?という
彼のファンや期待を寄せる師匠連、憧れの目差しを送る後輩たちが聞いたら
絶望のあまり通天閣からヒモ無しバンジージャンプに挑戦しそうな勢いで
しょーもないもんだったりするのだ。

166:草々×若狭 好色嫁バカ男 2
08/05/21 23:05:22 SUk9Hm+S
待ちに待ってた夜がきた。

パジャマ姿でドライヤーを当てている新妻の後ろ姿に、そろそろええか?と声をかけてみる。
「…はい」
恥じらいながら振り返る小さな身体。
自分のひざをぽんぽんと叩くと、失礼しますと張りのある尻が遠慮がちに乗っかり
白い頬を赤らめて、黒く長い睫毛が震える可愛らしい顔が草々に向けられる。
「キスの時は口あけえゆうてるやろ…」
きゅっと閉じていた唇がうっすらと開かれ、薄紅色の唇から赤い小さな舌がちろりとのぞく。
その素直で愛らしい様を堪能してから、まるい顎に軽く指をかけて口づける。
「…んっ」
上唇と下唇を己のそれで食み、舌を絡ませて丹念に吸う。
たどたどしく応えようとする小さな舌がいじらしい。
ので、パジャマのボタンをひとつ外すと乳首を摘み出してくにくにと弄ってやる。
途端にひくん、と震えて甘い唇が離れてしまう。
「どうしたんや急に」
「あの草々兄さん、わたし脱ぎますさけ」
「ええやろ?このままでも」
「ほやかて…」

何度か試してわかったが、若狭は全裸の時より服を着たままの行為を異常に恥ずかしがる。
イコールちょっとした刺激にも敏感になって反応が非常によろしい。
それに数年前まで妹だった女にパジャマのままイタズラするってのは
なんだかイケナイことをしているようで結構、いやかなり興奮するのだ。
そんなわけで、続行。
「草々兄さ…!」
抗議の声は唇で塞いだから聞こえない。開いたボタンから手を突っ込みもぞもぞと再開する。
パジャマの下で窮屈そうにあふれる乳房は手のひらから余るほど大きいのに
若い張りと弾力をもってつんと上を向いている。そのくせ蕩けるほど柔らかい。
「ほんまにええおっぱいしてるな」
誉めてやったのに若狭は耳まで真っ赤になってうつむいてしまった。
その耳を甘噛みすると、あんと可愛い声をあげてくたんともたれてくる。
「なんや、もうあかんのか」
つくづく感じやすい身体やな。己のしたことを棚に上げて、草々は妻を抱え直す。
「きゃっ」
「こうしたほうが楽やろ?」
若狭の背を自分の胸に預けると後ろから抱き込んで、ついでに股の間に片方の脚を割り込ませる。
「…あっ」
挟まれた堅い腿がイイトコロに当たったらしい。腕の中で女体がわななく。
「ここが、ええのか」
ひざを立て、わざと擦り付ける。布地の下で微かにくちゅ、と濡れた音がする。
「…も、かんにん…」

167:草々×若狭 好色嫁バカ男 3
08/05/21 23:06:20 SUk9Hm+S
緩い刺激の連続に耐えられなくなった若狭が懇願する。
(そろそろええか)
もうちょっとパジャマのままで楽しみたかったが、これ以上焦らすのも酷だろう。
ひざ裏に手をかけてまるい尻を浮かせると、ズボンとショーツを一気に剥ぎ取る。
「あっ…いやや…」
そのショーツからつうっと愛液が糸を引いているのが見える。
「…やらしいな、若狭は」
耳元で意地悪く囁く。と、くるりとこちらを向く潤んだ瞳。
「…ひどい……草々兄さんやないですか」
濡れたまるい唇が夫を責める。
「草々兄さんが、わたしのこと、こんなんしたんやないですか」

草々兄さんの
目線ひとつ
指先ひとつ
吐息ひとつで
とろとろに溶けなるように

「…反則やろ、それ」
突然、自分の肩口に突っ伏した草々を不思議そうに見る若狭。
(わかってへんのか、こいつは)
今、自分がどれだけ男殺しな科白を吐いたのか。
天然で鈍感なくせにこうやって無自覚に男を誑す。
ああ、どうしてくれようかこの可愛すぎる嫁を。

「……やんっ…あ…っそうそう、にいさん…」
「ほんまに、とろとろやな」
蕩ける若狭の中に指を突っ込み、丁寧に捏ね繰り回しつつゆるゆると抜き差しする。
涎を垂らして強請る下の口を弄りながら、上の小さな口を吸う。

まるでわたあめみたいやな
触るとふわふわ、仄かにあったかいのに。口に含んだ途端、熱く蕩けて甘く舌に絡みつく。
「…そうそうにいさん……」
そのとろとろに溶けたわたあめが可愛らしく誘う。堪らない。
顔を見合わせてひとつ笑うと、邪魔な寝衣を互いに脱がしっこする。
草々は若狭のパジャマを乱し、ボタンを外しながら現れる白い肌に唇を落とす。
「あん、も、脱げへんやないですか」
「ええやろ、もうちょっと楽しませえ」
くすくす身を捩る若狭は草々のシャツをたくしあげると、
なめし革のような夫の肌に白い指を這わせる。くすぐったくて笑ってしまう。
「草々兄さん、あの…」
上着を剥ぎ取ってから、夫の下肢に伸びた妻の指がぴたりと止まり。困ったように草々を見上げる。
「…あ」
完全に起立したモノがズボンを押し上げ、チャックが引っ掛かっているのだ。
「どねしよ…兄さん、ちっさくなりませんか?」
「出来るかアホ!」
言い返してからふっと妙案が浮かぶ。
「いや、出来んこともないな…若狭」
「はい?」
「一発抜いてくれ」
―間。
「えええっ!このまま!?」

168:草々×若狭 好色嫁バカ男 4
08/05/21 23:07:13 SUk9Hm+S
「ちっさくするにはそれしかないやろが」
「ほうですね…って、わ、わたしがするんですか!?」
「そらそうやろ、おまえがこんなにしたんやぞ?」
完全に責任転嫁だ。だというのに妻は真剣に悩んでいる。
(アホやな)
腹の中で舌なめずりする性悪夫。
「…わかりました」
暫しの逡巡の後、若狭はいきなり草々の股間に屈み込んだ。全裸で。
(…うっ)
小さな手でパンパンに脹れたそこをすりすりと撫でながら、白い頬を寄せる。
うっとりと睫毛を伏せて頬擦りしたかと思えば、その頂点へ柔らかく歯を立て…
「ちょ、ちょっと待て!どこで覚えたんやそんな技!?」
明らかにど素人のやることちゃうやろ!?
「え、どこって…」
ぽうっと顔を赤らめる若狭。
「…昨日、兄さんがしてくれたことやないですかぁ」
もう、恥ずかしいこと言わせんといてください、と真っ赤になる愛妻。
(…そーやった)
確かに昨夜、妻の股へそんな愛撫をした記憶が。
(ようやった昨日の俺!)
心中ガッツポーズをする草々に構わず、若狭は行為を再開する。
(…っく)
布越しに咥えられ両の手で玉を揉まれ、竿の付根から先端まで甘噛みされ。
なにより、つい半年前までキスもしたことのない口でこんな卑猥なことをしている、
という事実がこの身を熱くする。
「若狭、顔、あげ」
「へ?」
限界だ。急いでズボンとトランクスを引き下げると熱り立つモノを開放する。
……しまった。
勢いよく飛び出した精液が妻の顔に直撃してしまったのだ。
「…そーそーにーさあーん!?」
「す、すまん若狭、つい…」
「自分で脱げるんやったら、最初からそーしてください!」

―しばらくお待ち下さい。

「まったくもう、草々兄さんは!」
「悪かった、俺が悪かった」
すっぽんぽんで詫びを入れつつ、妻の顔を拭う阿呆男。大変みっともない。
他人には絶対知られたくない姿だ。
「…それにしても、おまえがあんな真似するなんてな」
先程の光景を思い返してニヤける草々。懲りてないのかこの男は。
「そ、草々兄さんがせえってゆうたやないですか!」
「俺は一発抜けえて言うただけやぞ?」
それをあーんなやらしいことしてくれるとはな。
「ほんまはドスケベやろ、おまえ」
「…草々兄さんにだけは言われたないです」
ああ、そうやな。草々は若狭の裸身を再び抱えあげた。
「なんも知らんおまえを、こんなんにしたのは俺やったな」

169:草々×若狭 好色嫁バカ男 5
08/05/21 23:08:08 SUk9Hm+S
そう。
半年前まで乙女だったこの妻を、この手で女にしたのは確かに自分なのだ。
(初夜の晩は大騒ぎやったしな…)
緊張のあまり固る妻を宥めすかし、やっとの思いでその身を繋げた時には快楽を追う余裕も無く
ただただ必死に妻の背を撫でて、破瓜の苦痛を少しでも逃すことに終始していたのだった。
あれから半年。
女の喜びを知ったこの白く柔らかな肌を抱きながらつくづく思う。
(…おまえに最初に辿り着いたのが俺で、ほんまに良かった)

独身時代を思い返せば。
若狭を単なる妹弟子としか見ていなかった阿呆な自分をよそに、
故郷の幼馴染みだというボンボンも、華やかなタレント活動をしていた弟弟子も彼女に夢中になっていた。
頓狂な性格が災いしてなかなか女として見られることが少なかったが、
これほど愛らしい容貌と魅力的な姿態を持っていたのだ。
きっと本人が気付いていなかっただけで、狙っていた男は存外いたのではないか。

大晦日の夜。
壁を叩き壊して彼女を手に入れた時、そのまま求婚した自分の決断は間違っていなかった。
もしあのまま、悠長に交際などしていたら。彼女とすれ違っていたあの暗黒の日々の間、言い寄る男が現れていたかもしれない。
それを想像するだけで身の内が冷える。

「草々兄さん…」
益体も無いことをつらつら考えながら白い肌を撫でるうちに、妻の機嫌は直ったようだ。
おずおずと夫の股間に手を伸ばし、恥ずかしそうに笑いかける。
「どや、乗っかるか?」
こくんと頷くまるい顎が実に可愛い。
脱いでしまえば意外と大胆なこの妻は。
勃起する男根に細い指をかけると、股を大きく開いて覆い被さってくる。
こっちも滴る女陰を指で割り、その尻肉を掴んで手助けしてやる。
ぞわぞわと蠢く粘膜にゆっくりと飲み込まれる快感。
「…あっ…ふ」
大きく息を吐きつつ、体重をかけて奥まで誘い込む白い女体。
すっぽりと納まると目を見合わせて笑う。唇を重ねる。
たっぷりと唾液を絡めて離れたら。開始の合図。

「あっ…は、あっ……ああっ……!」
己の上で白い乳を揺らし、踊り狂う淫らな女。跳ねる腰をがっちり掴んで叩きつける。
奥へ。もっと奥へ。
柔らかな締めつけがきつくなる。限界が近い。
「いくで、わかさ……!」
「…そう、そう、にいさ―ッ!」
痙攣する身を引き絞って全てを注ぎ込む。唇を合わせる。深く。
熱く、甘く、蕩ける女。俺専用。

170:草々×若狭 好色嫁バカ男 6
08/05/21 23:08:51 SUk9Hm+S
徒然亭若狭は悩んでいた。
夫との性生活についてである。

十八の時から片思いしてた相手がやっと振り向いてくれてだんな様になって
自分に夢中になってくれるなんて奇跡としか言いようがないのだけど。
(なんや草々兄さん、日に日にスケベになってる気ぃする…)

一度キッチリ問い詰めてみればいいのかもしれないけど。
惚れた弱みで草々の嬉しそうな笑顔を見るとメロメロになってしまうのだ。

ハッキリ断れない性格と、草々の指先ひとつで簡単に陥落してしまう身体が恨めしい。
(男の人ってみんなそうなんやろか?)
夫以外に男を知らない身で考えても詮無い。
誰かに相談したいとこだけど。
頼りの順ちゃんは妊婦となって魚屋食堂を継ぐためキリキリ働いてる。
とてもじゃないけど相談できる雰囲気じゃない。
咲さんや奈津子さんには「甘い!」と説教されそうだ。
お母さんみたいな松江さんには恥ずかしくてできそうにない。
ましてや実のお母ちゃんになんてとんでもない。

(師匠に相談するわけにもいかへんし…)
草々をよく知る兄弟子たちのうち、唯一の既婚者である草原兄さんはアットホームパパで
性生活の悩みとは無縁の人な気がする。
逆に性体験豊富そうな四番弟子の四草兄さんはというと。
男女関係において無駄にエスパー機能の働くこの兄弟子は
若狭の手のひらにそっと「まむしドリンク(女性用)」を握らせると
九官鳥の物真似でガンバレワカサと声援を送りサムズアップしてみせた。
…正直、兄弟子でなかったら必殺のカバンアタックでぶっ叩いてたとこだ。
「どうしたんや若狭、また四草にたかられたんか?」
「小草若兄さん!」
三番弟子の登場に慌てて手のひらのビンを隠す。
たかられるどころかプレゼント貰ったとこだけど、モノがモノだけに見せられない。
なんでもないですえへへと笑ってごまかしてから、ふと思いつく。
「小草若兄さんて草々兄さんと子どもの頃から一緒だったんですよね?」
「腐れ縁やけどな。それがどした?」
「あの、草々兄さんを怒らせないで、上手にもの頼みたい時ってどねしたらええんでしょう?」
ははーんそうかそうか、小草若兄さんがにやりとする。
「若狭もついにダンナの操縦法を会得するようになったんやな」
ええやんええやんキッチリ尻に敷いたり、協力するでと実に頼もしい兄弟子。
地獄に仏、渡りに船とはこのことだ。
「ぜひお願いします!」

171:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:10:59 HEEnVqe7
>>158
GJです!!
切なくも雰囲気があってすごく素敵でした。
4のくだりは涙出ました…。
また投下お待ちしております!

172:草々×若狭 好色嫁バカ男 7
08/05/21 23:12:11 SUk9Hm+S
―あいつ女の子の涙に弱いっちゅうベッタベタな性格やからな
―若狭が目ぇ潤まして『お願い』ゆうたらイチコロや
(よし!頑張ります小草若兄さん!)
今夜こそ安眠を確保するのだ。行け若狭!

日もとっぷりと落ちて、いよいよ勝負の夜。
「なあ、若狭…」
来た。
某少年マンガ主人公の如く、オラわくわくしてきたぞ!的笑顔を見せる我が愛しのだんな様。
シッポがあったらパタパタ振ってるであろう嬉しげな姿に絆されそうになるが、騙されてはいけない。
あの笑顔で考えてることときたら少年○ャンプどころか快○天なのだ。

「あの、草々兄さん…」
夫から見えない位置でこっそり親指の付根をつねる。
(あいたたた)
うるっと滲む視界。
たっぷり涙を貯めたところで、ゆっくりと振り返る。
「な、なんや若狭?」
ギョッとして固る草々。
(…いけるかも)
夫の腕にそっと指をかけて、とびっきりの上目遣い。
「お願い、あるんです…」
兄弟子のアドバイス通り、夫はかなり怯んでいるようだ。
あとひと押し。
「あの、わたし………………………ひゃあっ!?」
いきなり反転する視界。
見上げるとそこには猛禽類のぎらぎらした目がふたつ。
「…あんま俺を煽るんやない」
余裕のない掠れた声が囁いてくる。
「止められなくなるやろ」
―ぎゃ、逆効果です!小草若兄さん!

声にならない新妻の悲鳴は、いつしか湿り気を帯びて。
またいつもの夜が始まるわけだ。

めでたくもありめでたくもなし。



終了


以上です。
すみません、スピンオフに浮かれて頭が煮えてます…

173:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:18:09 SUk9Hm+S
申し訳ありません…
レスの最中に投下してしまうなんて。
空気悪くしてすみませんでした。

174:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:23:40 PLeeGLTD
>>173
いいえ、こちらこそすみませんでした

エスパー4番目に笑い、いつでもやさしい3番目にぐっときました(そのまえのSSを読んだあとだけに)
GJです

175:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:34:18 5zhyDURz
>>172
(・∀・)イイ!!サイコー!!!!
笑わせてもらいました。
若狭ちゃん、夜お断りするなら月一のあの手があるでしょうに・・・・

176:171
08/05/21 23:44:44 HEEnVqe7
ああああ~やってしまった_| ̄|●
>>173様申し訳ありません…
更新せずに打ったらこんなことに……_ノ乙(、ン、)_ 
御作は実に楽しく読ませて頂きました。
草々×若狭好きなので次作も期待しつつ、ROMの海に沈みます。


177:名無しさん@ピンキー
08/05/22 00:03:16 OauwZhk9
>>172
おもしろかった~!
文章もテンポ良くって、笑えるし、エロエロだし、かわいいし。
ラブラブ草々×若狭、いいなあ。
同じくエスパー四草と、優しい小草若にいさんがツボでした。
GJです!


178:名無しさん@ピンキー
08/05/22 01:09:58 Fs54nPgo
GJ!

そのうち若狭が鬼嫁に・・・
草々の実録鬼嫁日記

179:名無しさん@ピンキー
08/05/22 10:30:04 yHe4FSPP
子が生まれたら強くなるからねぇ…

180:名無しさん@ピンキー
08/05/22 18:12:29 yJ8vb+gh
>>172
超GJ!!
そこここに散りばめられたギャグのエッセンスに爆笑!センスに脱帽!
ほんま最高に楽しかったです。しかもエロエロ…w
無駄なエスパー機能つき四草も、優しい小草若ちゃんも、アホ夫婦もみんな最高。
またの投下を楽しみにさせて頂いております!

>>152なのですが、読んで頂いてありがとうございます。
>>164さん、気まずい亭ナツカシスwその後を楽しみにして下さっていたとは。
その後の展開は死ぬほど気まずそうで恐ろしくてなかなか書けず…w

181:141
08/05/22 18:40:08 AZOXvwX/
では便乗して…
GJくださった方、ありがとうございます
過去数回書き逃げしましたが、今回が一番反応ありました(つд`)
前スレの数々の不倫四や未来四&小四のたらしっぷりに触発され、普段のタラシーソーが読みたくなり、
そこに嘘×黒A神が現れたので、黒Aいただきました
神職人さんたちのようにもっと美しくかっこよく書けたらなぁ…


>>151
四→Bはご想像にお任せです^^
基本ROM専なので、またいつか書けたら…

>>159
相手役に困っていたので、159さんの黒Aに運命の出会いを感じましたw感謝です

182:名無しさん@ピンキー
08/05/23 02:17:35 cRidpzGc
いよいよスピンオフ始動ですね。
職人さん方の創作意欲に火がつくのを底抜けに期待してます。

どうでもいいけど、草々中の人の主役嬢への発言を目にするたび、
喜代美ちゃん喜代美ちゃんゆってた頃の小草若がオーバーラップする…

183:名無しさん@ピンキー
08/05/23 10:51:50 uWoyauN1
>>181
タラシーソーwww
ごめん、そんなところにツボってしまいました…。

184:名無しさん@ピンキー
08/05/23 13:53:58 zXnJ10OI
>>172
最高にしびれましたがな!草々×若狭スキーには堪りません。
笑いを噛み殺すのに必死です。

最近、キミ犯人じゃないよねとちりとてがかぶってしまい
メイド服や巫女姿の喜代美を見るにつけ、
「なんや、若狭、アノふざけた格好は!」と外では怒鳴りまくりながら
今夜はあのコスチュームで、と一生懸命、布団を敷いて待っている
草々師匠が浮かんでしまいます


185:名無しさん@ピンキー
08/05/23 15:13:47 OSzyrVqA
糸子母さんネタは書く人は居ないの?

186:名無しさん@ピンキー
08/05/23 18:34:58 ja8YHhvP
四草×糸子に挑んでくれるツワモノ職人さんいないかなw
特に四草ヲタってわけじゃないけど。

187:名無しさん@ピンキー
08/05/23 20:40:48 wT494I6f
また大胆なネタですね

188:名無しさん@ピンキー
08/05/23 23:24:37 XebyquNh
糸子さんなら小次郎との絡みをキボン
切ないの、4649

189:名無しさん@ピンキー
08/05/23 23:32:42 xAWc3rZF
しかし当初は師匠と四草くらいしかエロ要員がいないと言われてたけど、
ずいぶん開拓できたやないか

正典×糸子、友春×順子、小次郎×奈津子、ええ乳×静
の正統派・明るい家族計画つうのもいいかも

190:名無しさん@ピンキー
08/05/24 11:31:40 GiUSVKRZ
草々X糸子で・・・、
「草々さん、ホンマすごいモノがついておってやね、あの子も幸せもんやね」
「お父ちゃんのとは比べものにならへん・・・」
てな感じのキボンヌ。


191:名無しさん@ピンキー
08/05/24 11:47:52 9snkC2ex
若い頃の糸子さんと若い頃の草々が出会ったら
草々はすぐ惚れてそう
守ってあげたい存在そのものだもんね、糸子さん

192:名無しさん@ピンキー
08/05/24 13:12:07 uSNHuU3K
糸子さんは一見守ってあげたい系だけど(お父ちゃんもそのために結婚したんだけど)
草若師匠と漫才したり、尊徳師匠や柳宝師匠とお茶したり、なにげに最強だと思う。

193:名無しさん@ピンキー
08/05/24 15:36:16 nQgyEQ21
小浜実家のお風呂の脱衣所でばったりとかありそう>草々糸子
あと喜代美が入ってると思って草々が浴室行ってうしろからぎゅっとやったら
糸子だったとかwベタだけど。


194:名無しさん@ピンキー
08/05/24 19:14:08 N1WKZAd4
草々と糸子、草々と小梅
四草と触るなブスの女子アナ、四草と緑、四草と咲、四草と中国人女子留学生
草若と糸子、草若と若狭、草若と緑
友春と若狭があのまま結婚していたら~塗り箸製作所のアホ夫婦物語~子だくさんストーリー
秀臣と糸子
正典と静
正典秀臣と謎の女きよみ
順子と正平、順子のオナニー
順子と若狭でラスト・フレンズ

195:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:00:58 rMYJ2GxU
こうやってカップルだけ挙げてくる人って何なの?
自分で書けば?
ウザいんだけど。

196:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:44:03 q88d3UHR
確かに、どないせえっちゅうねんとは思うよなぁ。
職人さんたちも困るだろ。

具体的な妄想は、ぜひSSにして投下してくだされ。

197:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:44:37 sx7G5T8i
全くリクエストに答えてない、思いつきのものですが投下。
小草々独白。エロなし。精神衛生上とても良くないです。
このスレにあっているのかも判りませんが、宜しければ読んでやってください。


198:ウソツキより愛をこめて 1
08/05/24 23:45:21 sx7G5T8i

何の不自由も、何の不満もない生活だった。

たいした苦労もせずに入った大学は、おそらく人が聞けば感嘆の声をあげる大学。
もとより、外面を取り繕うのは得意だった。
明るく、爽やかに、嫌味なく。思っていることを顔に出さなければ、そう難しいことではない。
外面さえ取り繕えば、友人はどれだけでも出来たし、女にも不自由などしない。
親も、友人達も、教授達も―欺くのはなんて簡単。
そうやってゆくゆくは一流企業に就職して、適当なええ女と結婚して。
そんなヴィジョンが、乾いた心の中には出来上がっていた、はずだった。

大学で気まぐれに入った落語研究会。
初めは何が面白いのかと思ったが、付き合いで行った落語会は思いのほか楽しく、
徐々にのめり込むようになった。
もちろん、趣味として。
長い伝統に支えられた数え切れないほどの笑噺。知れば知るほどさらに知りたくなった。
中でも自分の心を捉えたのは、、『鉄砲勇助』。
嘘で人生をわたっていこうとする自分に、それはなんとも魅力的に映った。
嘘つきの、さらに上の嘘つき。自分と同じ名前を持つことも気に入った。
どうせ嘘で塗り固めるのなら、誰よりも上を行ってやろうではないか――

そんな落語との出会いから2年。1997年。
土佐屋や万葉亭の落語会にも友人達と通いつめ。
落語の持ちネタも徐々に増え、落研の寄席でもいくつかネタをかけるようになったりして、
素人芸ながら楽しみにしてくれる人も出てきてくれるようになり。
けれど、もうこの「趣味」もそろそろ終わりにして、就職活動に勤しむかと考え始めた頃。

「木曽山、最近復活した徒然亭の寄席、見に行ってみいへんか?結構ええらしいで。」
そんな友人の誘いに何の気なしに乗って――


彼女に、会った。



199:ウソツキより愛をこめて 2
08/05/24 23:46:04 sx7G5T8i

「ようこそのお運びで、厚く御礼申し上げます」

そう深々と頭を下げた上方でも数少ない女落語家。
頭をあげてにっこりと客席に微笑みかけた彼女を見た瞬間―時が、止まった。
こぼれんばかりに大きな瞳。笑みを刻む小ぶりな唇。
その唇から流暢にこぼれ落ちる、昔の昔の笑噺。
とんきょうな表情に笑い、愛らしくも堂に入った仕草に感じ入りながら、ただ思った。


この女に、接近したい――。


徒然亭、若狭。


「若狭か~ちょっと前までようテレビにも出とったけどな。今は寄席一本やな
 あ、お前あんまりテレビ見いへんのやったっけ?」
「つうかお前、万葉亭と土佐屋の寄席ばっかりやから、落語家なりたての若狭とか
 知らへんかったかもしれんなあ、うん。」
「まあやっとるネタは徒然亭伝統の古典なんやけど、今ひとつっちゅう、かな」
「かなり可愛いけどな。まあ顔で落語やるわけやないし」
「まああれやな、徒然亭やったら草若と、、徒然亭草々かな。若狭の旦那の」
「ああそうやな、正統派で腕は相当確かやな。何しろ上方落語三国志の一人や」

帰り道、それとなく友人達に彼女の話を振ると、こともなげに返ってきた返事。
その中の一つが、自分の胸を突き刺した。
若狭の、旦那…。
徒然亭草々は…知っている。30代半ばの若さだが、演じるネタの確かさには自分も聞き入った。
大柄で強面の、上方落語会の期待株。
自分といくつも違わぬあの少女のようなあどけない顔立ちの女は、あの男の、妻…。



200:ウソツキより愛をこめて 3
08/05/24 23:46:43 sx7G5T8i

その日から――人生が、狂い始めた。
大学の講義は単位を落とさぬ程度。
落語に、明け暮れた。
CDを聞き、本を読みあさり、ビデオを食い入るように見て。
そして時間を作っては、落語会へと足しげく通う。
落語家に、なると決めた。
大学を卒業しないなど、親はひっくり返っても承知しないだろうから、大学の残り二年は
落語の腕を磨くと決めた。

徒然亭若狭が、欲しい。
嘘で塗り固めた自分の中で、この感情だけが…嘘いつわりないただ一つの真実。
…たとえ、狂っていると言われようとも。


徒然亭の落語会で、偶然一度だけ、兄弟子達と歩く彼女に至近で出くわしたことがある。
少しのリスクも犯すべきではない。そう思ったけれど、彼女の声を近くで聞きたい。
その思いに引きずられるように…声をかけていた。
「若狭さん、頑張ってくださいね」
そう微笑んだ自分に、花が開いたようににっこりと微笑んで。
「はい!ええ落語できるように、がんばりますさけ…」
彼女をガードするように徒然亭小草若と徒然亭四草がそれとなく送る視線を避けるように、
そっと頭を下げて立ち去る。

あまり、接近しないほうが良い。おかしなファンだと怪しまれないように。
あくまで自分は…落語好きな大学生。
「落語好きが高じて、落語家になる夢を捨てられずに徒然亭の門を叩く」日まで―彼女に接近は、しない。



201:ウソツキより愛をこめて 4
08/05/24 23:47:56 sx7G5T8i

大学四年。卒業が間近に迫った年。
あわただしく就職の準備をすすめる周りは、のん気げに構える自分を心配し、
「はあ?落語家?折角この大学入って、わざわざそんなもんにならんでええやん」
訝しげに自分を見る。
当然親は――大反対した。
けれど…もう決めた。
どうせ嘘で塗り固めてきた。落語家になるためなら、どんな嘘でもつこう。

入門するなら…徒然亭、草々。
彼女に一番近い男。上方落語界若手髄一の実力者。
弟子入りを志願したとて、何の不思議があろう?
草々に弟子入りすれば、彼女は自分のおかみさんとなる。
それは――彼女と共に過ごす時間を約束された立場。

深呼吸とともに、気持ちを落ち着ける。
記憶に刻み込んだ、徒然亭の電話番号をプッシュする。
もちろん、一度で、しかも電話で弟子入りできるなどとは思っていない。
今日は弟子入りしたい旨を伝えて、何とか会って欲しい旨を訴えるのみ。
無論、そんな約束が一度で取り付けられるとも思っていない。
何度も何度も、その熱意に相手がほだされるまで。

徒然亭草々の楽屋に何度も押しかけ、繰り返し電話をかけ。
そのたびに「まだそんな立場やない」とすげなく断られた。

けれど、徒然亭草若が亡くなってしばらく後。
まだ慌しい時期だろうからと、半ば諦めつつかけた電話で、
「一度、会いにこい」との、返事を手に入れた。



202:ウソツキより愛をこめて 5
08/05/24 23:48:39 sx7G5T8i

勝った――。
ここまでくれば、あとはもらったも同然。
後は、自分の得意分野。
落語がどれだけ好きかを伝え、徒然亭の面々を笑顔で騙しきれば。

古めかしい徒然亭の門前に立ち、呼吸を整える。
(あと少し。あと少しで。)
ゆっくりと呼び鈴を押す。

しばらくして出てきたのは―夢にまで見た、女。
少し緊張した面持ちの彼女が、あ、と何かに気づいたようにほわりと微笑む。
「ずうっと前に、私に『頑張ってください』言うてくれたひとですね――」
(覚えて、いた?)
「まだたくさんの人の前に慣れん頃やったでぇ、ほんま嬉しかったんです」
懐かしむような、優しい眼差し。
「あ、ほんま気ぃきかんでぇ…。草々兄さんに弟子入り希望のかた、ですよね?」
小さな、自分の胸ほどしかない体。白い花のような顔。
目を奪われる。返事が遅れる。抱きしめたいと欲する腕をおしとどめる。
落ち着け、と自分を叱咤する。今日を乗り切れば、毎日彼女と過ごせるのだから。
「…あ、はい!木曽山、勇助と言います」
内心の動揺を悟られないように、完璧な、緊張した笑顔を作る。
憧れの落語家の元を訪れて、弟子になれるだろうかと不安に揺れていると見えるように。



203:ウソツキより愛をこめて 6
08/05/24 23:49:20 sx7G5T8i

予想通り。何もかも予想通り。
ちょいとおだてあげると、徒然亭の面々は手もなく相好を崩し、自分を認めた。
もちろん、思ってもいないことなどは口にしてはいない。
一番効果的な嘘は、真実の中に紛れ込ませた、ほんのひとしずくの嘘。
徒然亭草原の芝居噺はかなりのものだし。
徒然亭小草若の明るい華は、真似をできるものではない。
徒然亭四草の算段の平兵衛は、抑えた演出が聞かせる。
そして若狭は…最近はじめた創作落語が、きっと古典より向いている。
ただ、それぞれが喜びそうなエッセンスを、口当たり良くまぶして感想を伝えただけ。

そして徒然亭草々を陥落させるには、情でほだすのが一番。
どうせ許可を与えない親は亡くなったことにして――チェックメイト。


その日のうちに向かいの居酒屋で入門祝いが催された。
何かネタをやってみろと促されて、そこで「鉄砲勇助」を披露する。
ほんの自己紹介代わり。名実ともに。
自分は「鉄砲勇助」。それと伊達に大学時代を落語に費やしたわけではないという証明を兼ねて。
もう明日からは、自分は徒然亭の新弟子。
何もかも、自分の描いた、いびつな設計図通り―



204:ウソツキより愛をこめて 7
08/05/24 23:50:03 sx7G5T8i

「…おい」
店を出た時、後ろから声がかけられた。
感情の読めない、低い声。徒然亭、四草の声。
たっぷり2つ数えて、無垢な笑顔を作って振り返る。
「何ですか、四草師匠?」
こちらをじっと見つめる鋭い視線。自分より上背の低い彼の、言いようのない威圧感。
「…前に、会ったことあるな。」
「え?」
「…若狭に声かけたこと、あるやろ?」
思わず、狼狽した。
(落ち着け)
何も狼狽する必要はない。ただ一度、頑張ってくださいと声をかけただけなのだから。
「え、は、はい!あの時四草師匠、おられましたよね!覚えていて下さったんですか!?」
思わぬ僥倖に感激していると見えるように、驚いた笑みを作る。

「…忘れるわけ、ないやろ?」

にいっと徒然亭四草の唇が吊り上がる。見透かすような目。背筋がぞっとする。
なんだこの感覚は――?

「あんな飢えた目で若狭を見とったら、な」

みやぶられて、いた…?
まさか。周りの誰も彼も、今まで騙しとおしてきたのに。
ひび割れそうになる表情。うわずりそうになる声。言うことを聞かない鼓動。
何とか押し隠して、抵抗を試みる。
怪訝そうな表情と、傷ついたような目線を作り上げ。
「な、なんでそんなこと…。僕はそんな――」
「…『鉄砲勇助』か。ようも言うたもんやな。見事に表情作りよる」
徒然亭四草の目がらんらんと輝く。
「筋金入りやな。けど…あの目に気づかれとる以上、無駄や」

…それもそうだ。すうっと力を抜く。
「…素はなかなかふてぶてしい顔やな」
薄くにやり、と笑う男に冷めた目線を送る。
「…で?何の用ですか、四草師匠?」



205:ウソツキより愛をこめて 8
08/05/24 23:50:46 sx7G5T8i

「若狭を手に入れるために、落語家になる、か…」
すうっと笑みをひそめて、四草が呟く。
「…そんなわけ、ないじゃないですか。おかみさんになるひとですよ?」
もちろん嘘。見破られていることも、承知の上。
徒然亭四草の顔を、真正面から見つめる。この男は。この感情を見せない男は。

「貴方は…徒然亭若狭を手に入れたいと思っているんでしょう?」

でないと、、見破れるわけがない。この自分の、あのほんの一瞬の眼差しを。

徒然亭四草の目が、すうっと細められる。
その鋭い目線を、真正面から見返す。

「そんな筈ないやろ。兄弟子の嫁の妹弟子、や。他人の女に手え出す趣味は、あらへん」

これも嘘。もちろん嘘。向こうも、見破られていることは承知の上。

「そうですよね。変なこと言ってすみません、四草師匠」
「そうやな。俺も変なことを訊いたな」

言葉とは裏腹の、燃えるような敵意を鋭い目に宿して。
徒然亭四草は、笑った――。


徒然亭若狭を手に入れるために、最も障害になるのは――間違いなく、この男。
夫たる徒然亭草々でも、気のない振りをしようと努めても彼女を目でおう徒然亭小草若でもなく。
けれど、と木曽山勇助は思う。
自分は全てを棒に振っても、あの女を手に入れると決めた。
決めたからには、必ず、手に入れる。

「なにしとんなるんですか~四草兄さん!木曽山君!」

こちらに明るく微笑みかけて小走りに駆け寄る彼女を。
例え、誰が邪魔しようとも―


<終>



206:名無しさん@ピンキー
08/05/24 23:51:32 sx7G5T8i
お疲れ様でした。読んでくださった方がいたらありがとうございます。
エロまで及ばないでほんますみません。
これストーカーですね。嘘山ごめんよ。
嘘山、どこからどこまでが嘘なのか良くわからないので、
いっそのこと一つを除いて全部嘘にしてみましたバージョンでした。

207:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:20:59 anZrcuAx
>>206
GJです。
けど嘘山君、このあと散々草々若狭夫妻の営みを聞かせられる羽目になるのね・・・・・

208:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:59:02 8OQlSJSx
>>206
超GJ!!
どんな人物かと思いきや、本編ではあっさり片付けられたからね
こんな裏があったらおもしろすぎる
そしてやっぱり四サマ!!かっこよすぎるー!!www
会見でさらに色気増してたし、これ読んでハァハァしますた

209:名無しさん@ピンキー
08/05/25 01:00:43 HYux3VTR
>>206
うわぁあぁGJGJGJ!!!
ぞくぞくくる素敵な作品でした。
エロもひっそり期待します

210:名無しさん@ピンキー
08/05/25 03:57:42 eTWqPakH
>>206
GJ!
鉄砲vs算段家の対決が格好いい!
どちらも胸に徒然亭若狭への欲望を秘めて…というのがなんともエロス。
ふてぶてしい素顔の木曽山に惚れました。

211:名無しさん@ピンキー
08/05/25 07:19:57 W+nGxH67
>>206
GJ!木曽山若狭に一目惚れだったんか~。
可愛いやつっちゅうか、やっぱストーカーっちゅうかw

212:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:00:43 ZoKo5PXR
>>206
GJGJ!
本編のウソヤマVS四草は笑えたけど、
あの一瞬の緊迫感がどわわーっと盛り上がって、脳裏に蘇りましたw
いいわ~。

213:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:02:01 Q4m6b7hw
>206
GJ!
ダーク嘘山いいね。4が見抜いてるのに、草々兄さんは何も気づいてなさそうだw

214:名無しさん@ピンキー
08/05/25 08:07:39 LUR6ddEy
>>206
GJ!!
ストーカー気質、似合いますね嘘山w
こんなこと考えてそう、と思いつつ楽しく読みました。
四草とのやり取りが大ヒットです。
第二弾も期待しておりますー。

215:206
08/05/25 23:49:56 jF1LxnyG
GJ下さった方本当にありがとうございます。
…最近なんだか微妙に精神的に病んでる系の話しか浮かんでこないので、
こう、明るい話でも書いてみたいものです…DVD待ちかな。

歴代スレの神々の名作、只今倉庫にて順に熟読中なのですが、本当最高ですね。
改めて倉庫神&歴代創作神々に感謝です…!

216:名無しさん@ピンキー
08/05/26 02:37:42 G6prBbZW
小草若兄さんのがっつりエロが読みたいなあ。
なかなか無いような気がするけど。キャラ的に難しいのかな?
なんせ喜代美抱きしめた時もえらいお上品な、はかない抱きしめ方だったしなあ…
自分で書けたらいいけど、エロエロの腕がorzだし。


217:名無しさん@ピンキー
08/05/26 03:20:22 zSCtbgAV
>>216
その二人のがっつりといえば、2スレめ35~の「アンバランスなkissをして」
それ何度も読み返してる
あとは前スレの妄想寿限無の夢実現編も官能的
でも数が少ないのは同意
書いてみたくなって投下したこともあるけど、いまいちだったwww

あの抱きしめかたはよかったね
勢いはあったけど、壊れ物のように抱き寄せて…
新鮮だったな

予告観てwktkしすぎてその部分だけリピートしまくった
そして本編観て涙…

218:名無しさん@ピンキー
08/05/26 13:13:46 m5NZpi1s
小草若基本お坊ちゃまだからエロくするの難しい…
A子との考えてみるけど二人とも育ちがいいから濃いH出来なくて
かといってギャグにもなりにくそうで。

219:名無しさん@ピンキー
08/05/26 16:10:55 inqQPF5c
すみません。
この流れに乗っかりまして、出来心で書きなぐったエロ小草若を投下してみます。
内弟子修行時代で小草若×喜代美。エロあり。

220:小草若×喜代美1
08/05/26 16:12:34 inqQPF5c
毎日俺は彼女の前で道化の仮面を被る。

「喜代美ちゃ~ん、今日も底抜けに可愛いな~大好きやで~」
「あ、おはようございます小草若兄さん」
日常茶飯時の軽い告白。彼女ももう慣れっこで、本気になどしていない。
当たり前だ。本気に取られない為の道化の仮面だ。
その下にある真実の叫びを悟られない為の。

愛してる。愛してる。愛してる。俺の可愛い、喜代美。


彼女とは、出会いからして道化じみたものだった。
落語の師である父が、母を失い自暴自棄の沼から這い出せずにいた頃。
事情を知らなかった俺は、父を非難することしか出来ずにその日も父の家に行き。
彼女に、出会った。
父の事で頭が一杯だった俺は、彼女を父が連れ込んだ女かと思い込み随分失礼な罵声を浴びせかけた。
当然、憤った彼女に鞄でぶっ叩かれる羽目になったのだが。
まさか、誰しも冗談だと思うだろう。
その時俺は、彼女に一目惚れしてしまったのだ。

当時、父からも落語からも離れタレント業に専念していた俺には。
名うての女誑しの弟弟子ほどでは無いが、言い寄る女に不自由はしていなかった。
明るくておもろい男は、ここ大阪ではモテの必須条件だ。
そこそこに女遊びも経験したし、中には名前を出せば皆が羨むようなモデルの卵と付合った事もある。
それだけに自分でも信じられなかった。
まさかこの俺が、こんな垢抜けない女の子に本気になるなんて。

しかし、その女の子―喜代美ちゃんは、知れば知るほど魅力的な少女だった。
不器用で鈍臭いけど、真直ぐで一生懸命で。他人の為に泣いたり笑ったり出来る心の綺麗な子。
彼女に背中を押されるように復活を果たした徒然亭一門に、その彼女が入門して来た時。
俺は既に彼女の虜になっていた。

彼女への恋を自覚してから。俺は仮面を深く被るようになった。
だって相手はまだ18の少女。
30近い男に本気で言い寄られては怯えさせてしまうだけだろう。
それに。彼女には想い人がいる。
俺の兄弟弟子でガキの頃からの腐れ縁の、徒然亭草々。
あの馬鹿男は彼女の恋心など眼中に無く、よりによって彼女の友人に夢中になってる始末だ。
それでも彼女は健気にあの馬鹿を想っている。
その小さな背中を見つめながら、声には出さず語りかける。
―俺じゃ駄目か?
その一言を口に出せないまま。今日も俺は道化を演じる。
彼女の笑顔を曇らせたくないから。これ以上。

221:小草若×喜代美2
08/05/26 16:13:26 inqQPF5c
午後の収録を終えて。俺はいつものように草若邸へ向かった。
喜代美ちゃんの顔を見るために。

今日は、父も草々も磯七さんとこの落語会に呼ばれていて。
草原兄さんは緑姉さんの実家へ颯太連れて泊まりに行っていて。
四草は店が忙しいらしく朝からバイトに駆り出されていて。
―今行けば、喜代美ちゃんと二人きりで過ごせる。
そんなスケベ心を抱えながら枝折戸を開けた俺は。
庭先から見える居間に目指す姿を見つけた。
無防備に横たわる愛しい少女の姿を。

「き、喜代美ちゃん!?大丈夫か?」
「………くー」
不吉な想像に駆け寄った俺をよそに、彼女の口からは健康的な寝息が洩れている。
「ったく、人騒がせやな…」
ほっと安堵した俺は、急に間近で見る彼女の寝顔を意識してしまう。
閉じた瞼に縁取られた黒く長い睫毛。ぷっくりと清潔な桃色の唇。薄紅の差す白くまるい頬。
その愛くるしい顔は、どことなく疲労の色が浮かんでいて。
(疲れてたんやな…)
男でもきつくて音を上げる内弟子修行。
それを女の子で、こんな小さな身体で必死にこなしているのだ。
誰もいないこんな時間、つい気が緩んでしまうのも仕方ない。
(けど、こんなとこで寝てたら風邪ひくで)
「喜代美ちゃん起き…」
彼女を抱え起こそうとした瞬間。
「……ん…ううん…」
くたんと。バランスを崩した女体がもたれかかってきた。

「き、喜代美ちゃん…!?」
俺の腕の中に預けられる、温かくて柔らかな重み。
ふわんと鼻をくすぐる女の子特有のいい香り。
そして。そして。
「…これ、ちょっと、マズいやろ」
俺の右手には。ちょうど彼女のふくよかな胸が当たっていた。

当たっている、なんてもんじゃない。
体重をかけてもたれてくる乳房は。
まるで俺の右手を包み込むように柔らかく押し迫ってくる。
服の上からだというのにしっかりと重くたわんでいて。
(わかっていたけど喜代美ちゃん、巨乳なんやな…)
いや、胸だけじゃない。俺の身体に当たる腰も、太腿も。
少女の身体はしっかり女の形に成長しているのだ。
(あかん、妙な気起こしそうや)
なんとか右手だけでも退かそうとした俺は。
むぎゅ
…かえって強く鷲掴んでしまった。
(あかんやないか―!)
「ご、ごごごめん喜代美ちゃんっ!」
慌てる俺の耳に飛び込んできたのは。
「……んっ…」
快感を伝える女の溜息。
―俺の中で何かが弾けた。


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