【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】at EROPARO
【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】 - 暇つぶし2ch600:Y-275
08/08/30 13:48:27 oaHwTYw/

『んっ…ふぅ…はぁ…』

『シノ…』

絶頂の余韻からか未だ息の調わない私を心配そうにタカトシが覗き込む。

『ふふ…大丈夫だ…タカトシ、それより…』

『?』

私の言葉にタカトシは疑問を浮かべる。
いくらか余裕の出てきた頭はその先を促す。

『タカトシの上に乗りたい…ダメか…?』

『騎乗位ですか?』

『いや、座位だ。』

自分の中で強い憧れのある体位。
その体位で今度は挿れたい。
私は自分の考えを津田に伝える。

『わかりました。』

そう言うやいなや、私の背中に手を回し、タカトシが私を自らの胡座の上へと招く。
そこからストンと自重で挿入されるペニスから再度強い快感がもたらされる。

『くッ、あっ、あっ、ふあっ!!』

再度膣口を叩くペニスの感触と、伝わる熱で私は再び軽い絶頂を味わう。

『大丈夫?』

タカトシは不安げな表情を見せる。

『んっ…ふぅ…はぁ…キス…して…』

私は再三の要求をする。
"チュッ"
そして、タカトシはそれに答えてくれる。

『このまま…んっ、ふ、あっ、動いて…んんッ!!』

タカトシは私の背中に回した手に力を込めて私を動かしていく。

『ちゅっ、んっ、ふあっ、あっ、…あっ!ん、ふっ!…ちゅっ…』

そんなタカトシに再度キスをして、さらには舌まで絡めながら私はそれを受け止めていく。

『あ、あっ!ん、は…はぁ、ん!あっ…んっ!ふっ、それ…良い!!っあ、ふ、ん、ああぁぁ…』

強く膣口を叩かれる度、私の身体は快感にうち震える。

601:Y-275
08/08/30 13:49:26 oaHwTYw/
『くッ、あっ、俺!!』

そうしているうちにタカトシは限界が近いのか声をあげる。
その直後、今までとは段違いの熱が私の膣内に広がっていく。

『ふあぁぁぁぁぁっ!!あ、…熱っ…んっ、ふ、あっ!!タカトシの…中、私の…んっ、…あっ!!』

その熱に溺れるように私はこの日最後の絶頂を迎えた。

………………………………

家に帰りPCのアイコンをクリックする。
かなり前に全員攻略したゲームが立ち上がる。
その画面の右下にあるおまけをクリックすると、画面はハーレムルートへと進んでいく。
攻略する過程のシナリオが良くてやっていたので、ハーレムルートは初見だ。
かなり強引な気もするが話は進んでいく。
なるほど、これはこれでありかもしれない。
今だから思えるのであろう事は自明の理だが…
ヒロイン一人一人を思いながら、全員を相手する主人公。
主人公の心の中には確かに全員が存在しているのだ。
誰ひとり漏れる事なく。

津田と関係を結ぶまではただ嫌っていた形。
ただ、今は少なくとも嫌ではない。
結局の所、私もハーレムルートのヒロインの一人になってしまった。
それでも、私が津田の…タカトシの心の中にいれるのであれば文句はない。
私の好きになった人はハーレムルートのフラグを立てる天才。
そんな奴が相手でも私はこの想いを貫けるだろう。
そんな事を思う私を夜とPCの駆動音が包み込んでいった。

まだ、続くぞ。

602:Y-275
08/08/30 13:56:23 oaHwTYw/
以上です。
タイトルは
『そんな生徒会役員の恋』
で。
自分でハードルを上げ過ぎたのかどんどん書くのが難しくなりつつあります…
エロ以外の物語的部分はいっそスルーしてください(苦笑)
もう最後はほぼ見えてしまいましたが、もう一度アリアを経由して終わらす予定です。最後までお付き合いいただければと思います。

郭氏、ボルト氏、乙&GJ!!です。お2人の新作ならびに続きを楽しみにしつつ、自分も精進しようと思います。
それでは駄文乱文失礼しました。
失礼致します。

603:名無しさん@ピンキー
08/08/30 16:08:52 7JMibp6W
GJ
昼間っからなんというエロス


続きWktkしながらプリン食べてるぜ

604:名無しさん@ピンキー
08/08/30 17:00:10 A4AJuepn
一気に数週間分くらいレスを読み返したぜ
賑やかになってきてなによりだと思った
郭夫妻、ボルト氏、Y-275氏に乙&GJ&敬礼!

605:ボルト
08/08/30 23:19:14 seRZnmML
郭氏,Y-275氏,GJ&乙です。
このお二方の後で,質の劣る文章ではありますが,タカトシ×畑さんのアフターストーリーが完成したので投下させていただきます。
スルー対象ワードは
「エロはフェラのみ」
「一部,オリジナル設定」
「畑さんがエロい」
です。では6レス程ですがどうぞ。

606:ボルト
08/08/30 23:20:53 seRZnmML
 タカトシと畑が,恋人同士となるきっかけになったあの日から,約半月が経った。
 ただ恋人同士になったとはいえ,どこかに遊びに行ったり,食事に行ったりという風に,付き合っているという訳ではなかった。
 放課後,時間と場所を見つけて濃厚なキスを楽しむという,ただそれだけだった。
 でも二人とも,そんな状態を心から楽しんでいた。
 そんなある日……
 
――――
 
「……んっ……ちゅ……ちゅうっ……ちゅちゅるっ……」
「……ちゅっ……ちゅばっ…ちゅっ……じゅるっ……じゅぱっ……」
 いつものように二人は抱き合い,愛し合いながら濃厚なキスを交わしていた。
 タカトシの左手は畑の胸を揉みほぐしている。
 以前,タカトシは畑にもっと深い関係を求めようとしたが,畑は今はまだ恥ずかしいとの事で,胸までならと許していた。
 一息つくために,お互い口を離した時,畑が,
「………ねぇ,タカトシ君?」
「何ですか先輩?」
「最近,真面目にキスしてくれてないんじゃない?」
「………え?何を言っているんですか?そんな事ないですよ」
「本当に?実は,私の他に誰か好きな子が出来たんじゃないの?」
「そんな事無いです!オレが好きなのは先輩だけです!」
「会長や七条さん,萩村さんの事が気になるんじゃないの?
 いつも生徒会で放課後,一緒にいるんだから」
「………確かに,生徒会に入った頃は会長や七条先輩は,性格はちょっと変わっているけど,いいなって思っていましたよ。
 だけど,今は畑先輩の事しか考えられません」
「それだったらいいけど。確かにキスばかりなのもマンネリ化して来た感じがするわね」
「まぁ……そうですね」
「………ねぇ,次のステップに進んでみない?」
「………次?………まさか,セックスの事ですか?」
「ううん。裸を見せるのは,まだ恥ずかしいの……」
「そうですか……,じゃあどうするんですか?」
「相変わらず鈍いわね。………私がお口でしてあげる」

607:ボルト
08/08/30 23:22:30 seRZnmML
「………『お口で』って,まさかその………フェラチオって事ですか?」
「………うん。タカトシ君と抱き合ってる時,その,当たってるの………アソコが」
「え?あの,その………気付いてたんですか?………恥ずかしいなぁ………」
「硬くしたままなのも辛いでしょ?………だからお口でしてあげる」
「でもいいんですか?急に無理しなくても……」
「………いいの。これは私が望んで言っているんだから。
 それにタカトシ君も,もっと気持ち良くなりたいでしょう?」
 そう言われると,タカトシに断る理由は一つも無かった。
「………じゃあよろしくお願いします」
「でも,学校だと人に見つかった時に,流石に言い訳出来ないわね」
 
 学校では無理と判断した二人は,どちらかの家でするというのを話し合った結果,
タカトシの家は両親もいるし,思春期な妹もいる。その点,畑の家は両親が共働きの為,夜まで家を空ける事が多かった。
 こうしてタカトシのフェラチオ初体験は,畑の家で行う事になった。

608:ボルト
08/08/30 23:24:06 seRZnmML
 
……………
 
「………お邪魔します。ここが先輩の部屋ですか,とても綺麗ですね」
 畑に招かれて,部屋の中に入るタカトシ。
「適当に座ってくれる?今,飲み物を持って来るから」
「ありがとうございます」
「お茶でいいわよね?……あ,タカトシ君に見てもらいたい物があるの」
 飲み物を持って来る畑。それから,畑の子供の頃の写真のアルバムを見せてもらう。
 そんな話も尽きて来た頃,畑が,
「………ねぇ,キスしよっか?」
「………そうですね」
 お互い顔を見合わせたまま,唇と唇がゆっくりと近付いていく。
「………んっ……ちゅっ……ちゅっ……」
「………ちゅっ……ちゅぱっ……ちゅっちゅっ……」
 まずは,いつものディープキスだ。
 2~3分ぐらい経った頃,唇を離して畑が,タカトシの股間にそっと手を近付け,
「………こんなに大きくしちゃって………じゃあ……フェ,フェラチオしてあげましょうか?」
 少し顔を朱らめて言う。
「………はい」
 畑は,タカトシの股間を優しくさする。
「ちょっと触れただけなのに,すごい……脱がせていいかしら?」
 タカトシは頷く。
 畑はズボンを脱がすと,トランクス越しにタカトシのペニスが勃っているのが分かる。
「……すごい……もうこんなに……」
 トランクスもゆっくり脱がすと,畑の目の前に現れたタカトシのペニスに軽く驚く。
「……男の人の,お……,おちんちんって初めて直で見たわ……」
 畑は顔をペニスに近付けて,軽く匂いを嗅いでみる。
「…ん……んふっ………そんなに変な匂いはしないのね……」
「……まぁ,ちゃんと洗ってますから」
「じゃあ,触ってみるね?」
 畑は手を延ばして,タカトシのペニスを優しく握り,上下にゆっくりと擦っていった。
「………凄い………硬くてビクビクしてる……」
 タカトシはその動作に軽く身悶える。それに気付いた畑は,
「……!………ごめんね。痛かった?」
「いえ,驚いただけですから」

609:ボルト
08/08/30 23:25:09 seRZnmML
 再び,タカトシのペニスを,優しくゆっくりと扱く畑。
「……舐めていいかしら?」
 タカトシは無言で頷く。
 畑は舌を出して,竿の部分から裏筋をそっと舐め上げる。
「……れろっ…れろっ…れろっ……」
 タカトシは,生まれて初めての体験に,身を震わせる。
「………先輩……とても気持ちいいです……口にくわえてもらっていいですか?」
 今度は,亀頭を口の中に含み,舌を動かして亀頭の部分を舐め回す。
「………ん,あーん…………ちゅるっ…ちゅるっ………じゅるるっ……じゅぽじゅぽっ……」
 口をすぼめて,ペニスの半ばくらいまでくわえ,頭を前後に動かしながらしゃぶる。
「………じゅっぽ……じゅっ………ちゅるっ………ちゅるるっ………」
「……うっ……先輩の口の中、とても温かくて気持ちいいです………」 畑は,とても初めてとは思えない巧みな動きで,積極的なフェラチオをしている。
 たまに,ペニスを口に含んだまま亀頭を舌でなめ回す。
「……れろ……れろれろ………」
 口を離して亀頭を再び吸い付く。
「………ちゅぱっ……ちゅぱっ……ちゅっ………ちゅるっ……」
 手で扱きながら音を立て,亀頭に吸い付く。
「………ちゅるっ……じゅっ……じゅぱっ………じゅっぽじゅっ!……じゅじゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 上目遣いでタカトシを見ながら,
「……こっちも舐めてあげる」
 竿に左手をそっと添え,玉袋に舌を這わせたり,玉に吸い付いたりする。
「………ん……んちゅっ……んちゅっ……れろ……ちゅぱ………ちゅ~~~っ」
 玉を口の中に含み,もごもごと吸い付き,玉を吸いながらカポッと音を出して口を離す。
 今度は竿のサイドを唇だけで甘噛みし,左右に唇をスライドさせ,そのまま亀頭を経由して,逆サイドへ同じように奉仕する。
「……ちゅる……ちゅっ……ん~……ちゅぱっ……ちゅる……ちゅ……」
「……先輩,今度はもっと奥までくわえてくれませんか?」
 そう言われると,一旦,ペニスから口を離し,大きく口を開けてゆっくりと喉の奥までペニスを含み,ディープスロートをする。
「………あっ………ん……んんっ……ん……んんっ……んん~~~!!……ゴホッ!…ゴホゴホッ!!
「先輩!大丈夫ですか?無理させてすみません」
「……ちょっと息が出来なくて,びっくりしたけど大丈夫よ。それに無理なんてしてないわ。タカトシ君が気持ち良くなってくれれば私は嬉しいの」
「……それにしても,何でこんなに上手いんですか?」
「インターネットでいろいろ調べたの。それで勉強したわ」

610:ボルト
08/08/30 23:26:08 seRZnmML
 畑は再びペニスに口を寄せて,
「……ぴちゃ……ちゅぱ……ちゅ……ろこはひもひいい?」
 亀頭を口に含みながら,そう言う。
「先輩がしてくれる事は,全部気持ちいいですよ」
「れんふひもひいいの?」
 再び,喉奥までペニスをくわえ,口から引くときに,音を立ててしゃぶる。
「…あ…んっ……んんっ……じゅずっ…じゅるっ……じゅじゅっ……じゅじゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 亀頭を舐め,今度は尿道の先を舌でつつく。
「……れろっ……れろっ……ちゅ……ちゅぱっ……んっ…んっ……」
 尿道の先を刺激され,タカトシは思わず腰を浮かしてしまう。
 畑はまた,両手でペニスを掴み音を立てながらしゃぶる。
「…んっ……ちゅるっ………ちゅるちゅる……じゅっ…じゅじゅっ……じゅっぽ……じゆっぽ……」
 口に淀(よだれ)を溜めて,その淀を垂らしながら亀頭をねっとりと舐め回す。
「……ん~~………れぇろ~~……むちゅっ…ぺちゃっ……むちゅっ……」
 裏筋にも舌を這わせる。
「………ちゆっ……ちゅぱっ…むちゅっ……ぺちゃっ……」
 ペニスを手で扱きながら,亀頭を口に含みしゃぶる。
「んっ……ちゅっ……じゅぱっ…ちゅぱ……じゅじゅっ………じゅるるるるっ…」
 手で扱きながら,おちょぼ口で舌を這わせながら音を立て,ペニスに吸い付く。
「……ちゅっ………れろっ……ちゆぱっ……ぺちゃっ……じゅじゅっ…じゅじゅっ……じゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 顔は動かさず,手で扱きながら唇と舌だけで刺激を与える。
「……ちゅぱぱぱっ!……じゅっぱ!……じゅっぱ!
「……先輩……気持ち良くて………イキそうです……出していいですか?」
 ペニスから一旦口を離して,手で扱きながら,畑は待ちに待った感じで,
「……うん!出してほしいの!いっぱい出して!」
 扱きながらペニスを半含みにしてしゃぶる。
「……じゅるっ!じゅるっ!じゅぱっ!じゅじゅっ!じゅるるっ!!!」
「もう我慢できないです!出しますよ先輩?」
「うん!出して!」
 ペニスを扱く動きを激しくしながら,舌で亀頭に最後の刺激を与える。
「……ちゅぱっ!ちゅぱっ!ちゅぱじゅぱっ!!じゅるるるっ~~!!!」

611:ボルト
08/08/30 23:27:34 seRZnmML
「もうダメです!イキます!!」
ビュッ!ビュクッ!ビュルルッ!
「………んっ!…んっ……んんっ!…んんっ!!」
 タカトシの解き放たれた精が,畑の口の中を満たしていく。
 口の中に出された畑は少し辛そうな表情していた。
「先輩,無理しなくていいですよ」
 そう言ってタカトシはティッシュを探すが、いかんせんここは他人の部屋だ。場所が解らない。
「……んっ…んんっ……こくっ……こくっ…こくんっ……」
 畑は口の中に出された精子をゆっくりと少しずつ飲み干していった。
「…んくっ……んんっ……こくっ……んくんっ……」
 タカトシの精を全てを飲み干し口を離すと,ペニスと唇の間に,精液の細い糸を引いた。
「……男の人の精子って変わった味なのね………」
「……先輩,無理して飲まなくても良かったのに……」
「……でも,男の人って飲んであげると嬉しいんでしょ……まだ汚れてるわね。綺麗にしてあげる」
 そう言うと畑は,タカトシの精子と淀で汚れているペニスに口付ける。
「……ちゅっ……ちゅっ…じゅるっ……じゅじゅるっ……じゅじゅじゅっ~~……じゅるるるっ~~~……」
 イッたばかりのペニスに口付けて,尿道にまだ残っている精子を吸い上げる。
 さっきとは違う感覚にタカトシは身悶えする。
「……じゅじゅっ………じゅぽっ……じゅじゅるっ……ずじゅじゅ……じゅじゅ~……じゅるじゅるっ………じゅじゅじゅ~~!!」 
「…先輩……そんなにされたらまた………また,イッたばかりなのに…………イ,イキそうです………」
「……じゅじゅじゅっ!……じゅるっ!……じゅぱっ!……じゅるるっ!!……じゅじゅ~~~!!!
「……先輩!もう我慢できません!!イキます!!!」
 そう言って,タカトシは畑の頭を手で押さえ,腰を前後に激しく動かす。
「……ん!…んんっ!!………じゅぱっ!じゅぱっ!…ちゅりゅっ!……じゅるっ!!………じゅじゅじゅじゅっ~~!!!」
ビュクッ!!ビュルッ!!ビュクビュクッ!!!
「………ん~~~!!……ん~……ん~~……んくっ……んくっ……んぐっ……んぐっ………じゅっ……じゅじゅっ……じゅじゅじゅっ―――――」
 
……………
 
「……はい。綺麗になったわよ」
「……先輩,とても気持ち良かったです!」
「そう?頑張った甲斐があったわ」
 恥ずかしくも,嬉しそうに畑は答える。
 その色っぽい畑を見た,タカトシのペニスは,ムクムクと再び勃って来た。
「……あら,またこんなに硬くなって………何度でもしてあげるね………」
「……あ……ん………ちゅぱっ……ちゅるっ……ちゅっ……―――」
 
 
 今はまだ決して,他人に知られる事が許されない関係。(アリアにはばれているが)
 だけど二人にとってそんな障害がもっと心を強く結び付けるだろう。
 
FIN.

612:ボルト
08/08/30 23:39:12 seRZnmML
以上が,タカトシ×畑さんのアフターストーリー
『NEXT STEP』でした。
9時過ぎに投下する予定でしたが,映画に見入ってた為この時間になりました。
一応,これで畑さんとの話は完結です。連載次第では別の話が書ければいいかなと思います。
次回作は少し間をおいて,スズかムツミの話を投下しようかなと言う事で。
(2週に1回,投下出来るのが理想ですが)
皆さんのGJ&乙を糧にして頑張ります。<(__)>
 
………
 
あと,生徒会一本でいくと言いましたが,妹や濱中キャラがちょろっとゲスト出演する事は有り得ると言う事で。

613:名無しさん@ピンキー
08/08/31 00:30:32 Q8MOCnDT
乙~

振り替えれば八月はボルト氏とY-275氏のスパートがあったり
郭氏をはじめベテラン陣の当番があったりとなかなか加速した月だったな

614:ボルト
08/08/31 01:39:41 C8qk7cJs
今さっき,スズかムツミのどっちかでと言う事でしたが,決めました!
ムツミの話にします。
次の話は自分の趣味的でマニアック的な話になってしまいますが,よろしいでしょうか?
とりあえず,スルー対象ワードを先に発表します。
「タカトシ×ムツミ」
「エロ無し」
「某人気プロレス団体」
「ボーリング場」
「桜才学園の舞台が今回関東?ではない」
以上です。
分かる人は自分(=ボルト)の住んでいる場所が分かります。
嫌だと言う方は遠慮なくおっしゃって下さい。


615:名無しさん@ピンキー
08/08/31 15:38:13 z/JKlPhn
連発GJ!ところで。
最近きずいたけどこっちに投下せずに新保管庫だけに投下してる職人さんがいるよな?
文体が過去の職人さんの誰かに似てるんだが分からん。(あえて探すとサブロー氏に似てるような。)
多分シャイな人だと思うんだが、エロ無しながら非常に完成度が高くて、
無粋とはおもうが知らない住人がいたらもったいないので一応知らせておきたい


616:名無しさん@ピンキー
08/08/31 18:52:25 Htn+7/fe
>>615
kwsk!
知らなかった…神が他にも

617:名無しさん@ピンキー
08/09/01 01:26:34 zP1IzmDK
新しいタイプの投下方法だ

しかし、保管所とここを見るに郭氏らベテラン陣からY-275氏ら若手まで間の職人がぽっかり抜けてしまっているな

618:名無しさん@ピンキー
08/09/01 17:04:19 JqltqrIl
郭氏、ペピトーン氏、ピンキリ氏は初代かその次スレからずっと継続してるんだよな
郭氏は中~長編でシリアス風味、ペピトーン氏は小ネタ中心、ピンキリ氏は短~中編でギャグ系と
まるで先発・中継ぎ・抑えのように役割が分かれているのがおもしろいなw

619:名無しさん@ピンキー
08/09/01 21:02:46 9dHOiwLx
郭氏は不動のエース、ぺピトーン氏は変則投法のワンポイント、
ピンキリ氏は連投のきくロングリリーフといったところか。あくまでも自分のイメージだけど。

620:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:53:51 avUayJYv
このお話はマガジンスペシャル時代の設定と、呼んでくださる皆様の優しさによって支えられています。
そのことを了承の上でご覧ください。
なお、全裸でのは書見は大変危険です。絶対に止めてください。
まして音読なんてしないでください。精読もNGです。

621:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:54:49 avUayJYv
衝撃的だった。
いやもう、これ以上もなく衝撃的だった。
あまりの衝撃に椅子から転げ落ちたほどだ。
「か、会長?」
「おま……お前が…そんなやつだったとは……見損なったぞ……」
搾り出されるような言葉も衝撃的だった。
頬をはたかれた衝撃以上に。
そしてそして、それ以上に。
「……帰る」
そう言って生徒会室から出ていく彼女の頬を流れ落ちる涙の存在こそが。
タカトシにとって最大の衝撃だった。
「俺が……泣かせたのか?」
呆然と、そうつぶやくことしか出来なかった。




「遅くなっちゃったね。シノちゃんも津田君も待ってるだろうなぁ」
「仕方ないですよ」
職員室まで会議の資料を受け取りに言っていったアリアとスズ。
某ズボラ教師のせいでだいぶ時間が掛かってしまい、今は両手にファイルを持って生徒会室に戻るその途中。
「あれ? シノちゃん?」
前方から走ってきた人影にアリアが不思議そうな声を上げる。
「どうしたの? 待ちくた―」
言葉を飲みこむ。
「シ、シノちゃん……?」
「会長! ど、どうしたんですか!? 何で泣いてるんですか!!?」
シノの異常に気づき、二人とも驚いて声をかける。
「どうしたのシノちゃん? おなか痛い?」
「おなか痛いって七条先輩……会長は子供じゃないんですから」
「そ、そうだったわね」
典型的なパニックに陥っていたアリアにちびっ子天才の鋭いツッコミ。
「会長、ユーロが暴落でもしましたか? それとも中国株?」
「スズちゃん、それも違うと思う」
おおっと、天才もパニックだったようだ。所詮はちびっ子か。
そんな二人の様子にシノは首を振る。
「すまない、心配掛けて。でも何でもないんだ。気にしないでくれ」
「でも……シノちゃん泣いてるじゃない」
「ホントに何でもないんだ。ただ……今日はちょっと会議には出れそうもない」
「あ、待ってる間に津田君に何かへんなことされたとか? や~ん、津田君のえっち~♪」
場を和ませるつもりで言ったアリアの一言が、場を崩壊させる。
シノが傍目にもわかるほどビクッと身体を震わせ、
止まりかけていた涙がぼろぼろと流れ出す。
「シ、シノちゃ―」
「すまない」
搾り出すようにそうとだけ言ってシノは走り去ってしまった。
その後を追うことも出来ず、取り残されてしまったアリアとスズの二人。
「あ・い・つ・は~!!」
先に立ち直ったのはスズだった。
ファイルを投げ捨ててダッと走り出す。
「あ、スズちゃん待って!」
アリアはファイルを拾い、スズの後を追う。

622:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:55:57 avUayJYv





「津田ぁ!!」
「だからスズちゃん落ち着いて」
走り出したのはスズのほうが早かったが元々の運動神経…というよりも体格に差がありすぎる。
生徒会室につく頃にはアリアはシノに追いついていた。
「あんた会長に何をしたのよ!!……って、ちょ、ちょっと」
「つ、津田君?」
床に座りこみ、虚ろな目で空を見つめるタカトシの異様な姿をみて、
「どうしたのよ津田!?」
”何をした”から”どうした”へと質問がシフトチェンジした。
「津田君? ねえ津田君ってば」
アリアがゆさゆさと体を揺するとようやくこちらの存在に気づいたようで。
「……ああ、七条先輩、萩村先輩。遅かったですね」
虚ろな目こそ治ったものの、心ここにあらずといった表情。
アリアとスズは顔を見合わせる。
「えっと、津田君」
「はい? 何ですか?」
「さっきさ、廊下でシノちゃんと会ったんだけど」
タカトシは傍目にもわかるほどビクッと身体を震わせる。
それは先ほどのシノを彷彿とさせる動きだった。
「……やっぱりシノちゃんとなにかあったんだ?」
「……」
無言で頷く。
「なにがあったの?」
「……わかりません」
「わかりませんってあんた……会長泣いてたのよ?」
「ホントにわかんないんです。普通に世間話してて、そしたらいきなり会長が怒り出して。
俺わけわかんなくて。何とか宥めようとしたらさらに怒り出して、叩かれて、それで……」
「シノちゃんが泣き出しちゃった?」
「……はい」
苦しげな表情でタカトシは頷く。
「そっか」
「何でそんなことになったのよ?」
「だからわかんないですよ!」
ため息をつきながら呆れたような口調のスズの言葉に珍しくタカトシの言葉も荒くなった。
スズをたじろがせる程度に。
そんなスズの様子を見てタカトシは「すいません」と謝罪の言葉を口にする。
「とにかく」
重くなった空気を振り払おうとしたのは、年長者であるアリア。
「今日のところは解散にしましょ。ね? 津田君、今日は帰ろ」
アリアの言葉に促され、タカトシはのろのろと立ち上がり、
「お先に失礼します」
そうとだけ言って生徒会室から出ていった。
「……なにがあったんでしょう?」
「さあ? でも、私シノちゃんが本気で泣くところなんてはじめて見た」
「やっぱり津田が何かしたんですかね?」
「スズちゃんは津田君が何かしたんだと思う?」

623:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:56:58 avUayJYv
「それは……」
スズが言い淀んでいると、アリアはにっこりと微笑む。
「私は思わないな。だって津田君だもの」
「……」
「津田君がシノちゃんのこと傷つけるようなこと言うわけないもの」
「……そうですね」
降参だと言うかのように苦笑してスズもアリアの言葉に同意する。
「頭もよくないし、時間にもルーズですけど。人を泣かせるようなこと言うとは思えませんからね、津田は」
「うん。きっとなにか誤解があるんだと思うの。大丈夫。
明日までには私が何とかしておくから心配しないで」
「別に心配なんかしてませんよ」
「あらそうなの?」
「ええ」
そう言った後、照れたようにスズは小さな声でぽつりと言った。
「みんなのこと、信頼してますから」




開けて翌日の放課後。
「ちょっと七条先輩」
生徒会室にいるのはアリア、スズ、そしてシノの三人。
イスに座るシノから離れた場所にスズはアリアを引っ張ってきていた。
「会長今日も顔色よくないじゃないですか」
シノに聞こえないようにひそひそと小声で話しかける。
「ご、ごめん。昨日電話したんだけど、はぐらかされちゃって……」
「ダメダメじゃないですか」
「ホントにごめんね。だから、ここはひとつIQ180のスズちゃんの頭脳で何とかしてくれない?」
「そんな……」
無茶をおっしゃる書記のおねえ様。
「こら。二人とも何をヒソヒソ話をしてるんだ」
不意にシノに話しかけられて二人、ビクッと身体を震わせる。
「う、うんちょっとね……あはは」
「今日は昨日出来なかった仕事も処理しないといけないんだからな。
二人ともしゃんとしろ。まったく……生徒会役員としての自覚を持て二人とも」
厳しい言葉は、八つ当たりだろうか?
それでも二人は素直に謝罪し、席についてそれぞれの仕事をこなす。
「そーいえば、津田はまだなのか?」
シノの言葉に再びビクッと身体を震わせる。
「ま、まだだねぇ~。掃除当番かなにかじゃないかな? ねえスズちゃん?」
「ふぇ? あ、そ、そうですね」
「だったら連絡の一つもあっていいだろうにまったく……だから津田は……」
タカトシに対する愚痴を零すシノ。
その表情はなんとも形容しがたいもので、アリアもスズもなにも言うことが出来ない。
と、
「すいません、遅れました」
件の津田タカトシがやってきた。
瞬間。
シノの表情が変わる。
「遅いぞ津田!!」
激しい怒声。
それはスズも、長い付き合いのアリアでさえも聞いたことのないほどのもの。

624:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:57:46 avUayJYv
「す、すいません。俺掃除当番で―」
「だったら連絡をいれるべきだろうが!」
タカトシの言い訳を遮るシノの声。
「だいたいおまえは―」
「シノちゃん」
なおも言い募ろうとするシノにストップを掛けたのはアリア。
「その辺にしておいたら? 津田君だって悪気があって遅れたわけじゃないんだし。
クラスに生徒会役員がいるならともかく、そうじゃないと連絡を取るのも一苦労でしょ?」
「そうは言うがな、アリア。そもそも津田は生徒会役員としての自覚が足りないとは思わないか?
朝の活動では遅れてくるし、規則を破って携帯電話を持ちこむ。
そんなことで副会長の役職が勤まると思ってるのか津田!」
「……すいません」
「謝るくらいなら行動に移せ! いっそ罷免して―」
「シノちゃん!!」
何時にない、アリアの大きな声に今度はシノが口をつぐむ。
「な、なんだアリア、急に大きな声を出して」
「いくらなんでも言いすぎよ」
「っ!……」
シノは俯きぐっと唇を噛み、
「……すまん」
タカトシにそう言って、カバンを手に取って、
「……気分が悪いから帰る」
生徒会室から出ていった。
「ごめんね、津田君」
「いえ、どんな理由であれ会長のこと泣かせたのは俺ですから」
そう言って大きくため息を付くタカトシの目の下には隈が見て取れる。
「大丈夫?」
「ひどい隈だけど、昨日ちゃんと寝れたの?」
スズも心配げに話しかける。
「……いえ、あまり」
「そう……今日はもう帰っていいよ。シノちゃんも帰っちゃったし、私たちだけで何とかするから」
「……すいません」
深深と頭を下げてタカトシも生徒会室から出ていく。
残ったのはアリアとスズの二人。
二人は顔を見合わせ、
「「は~……」」
大きなため息をついた。
「シノちゃんも重症だけど津田君も……」
「大分参ってますね」
「まあ無理もないけどね。自分が何か悪いことしちゃったって事はわかるけど、
その原因がわからないのって……結構精神的に来るのよね」
「そうですね」
「どうしたものかなぁ……」
「どうしましょうねぇ……」
二人うんうんと頭を悩ませる。
と、ガラガラっと生徒会室の戸が開けられる。
「よ~、やってるか~?」
「あ、横島先生」
生徒会顧問のティーチャー横島だった。

625:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:59:15 avUayJYv
「おりょ? 天草とあの新入りはどうした?」
「え~っと……」
「ちょっとわけありで」
ホントのことをいうことも出来ずにアリアとスズが言葉を濁していると、
「あ~なるほど」
得心いったという様子の横島先生。
「やっぱこじれたか。んじゃ会議もないみたいだし、私帰るからあとよろ―」
帰ろうとした彼女の肩をがっしと力強く握る手が二本。
「先生。今な~んか聞き捨てならないことを言いませんでしたか?」
「たしか”やっぱこじれたか”みたいなことを?」
「恐い恐い、あんたら恐いって。いや、まじでまじで」
肩を握り締めるアリアとスズの様子にだいぶ引く。
「ちょ、肩! もげる! もげるから! 力抜いて!」
「「だったら知ってること全部話してくださいね」」
「わかったから! もげるから!!」
半泣きの横島先生の口から話された内容は。
なんとも間抜けな話であり、また……なんともかわいらしい話でもあった。




「はあ……」
ため息をつきながら岐路についていたタカトシ。
この一両日の出来事はタカトシの精神をだいぶ削っていた。
がりがりと。ごりごりと。めがっさめがっさと。
相手を泣かせてしまったのだから自分に非があるのだろう。
じゃあ、どこに非がある?
それがわからないのが辛い。
間違いがわからないことほど辛いことは無い。
だって直しようが無いじゃん?
対策の立てようが無いじゃん?
以上のことからタカトシの頭にに浮かぶのは、浮かんでしまうのは一つの結論。
”俺は悪く無い”
んなこたぁない。
泣かした以上タカトシに責任があるのだが……だが、だが。
「はぁ~……」
もう一生分ついただろうため息がまた零れる。
と。
音も無く、黒塗りのリムジンがタカトシに近づいたかと思った瞬間、
「うわっ!!?」
後部座席のドアが開き、タカトシを車の中に引き入れるとすぐにリムジンは急発進をした……。
のならカッコよかった(不謹慎)のだろうが。
「このっ!!」
タカトシが暴れたために車中に引き込むのに失敗。
のみならず逆にタカトシに車外へ引きずり出されそうになる。
「ちょ! ごめんごめん! ゴメンナサイ津田君! だからやめて~」
「は?……って七条先輩??」
そう。
タカトシを車に引っ張り込もうとしていたのはアリアだった。
「……なにしてんすかいったい?」
呆れかえった様子で車から半ば身体を引きずり出された格好になっているアリアを見る。

626:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:00:18 avUayJYv
「えっと……答える前に一つだけお願いしていいかな?」
「はい?」
「あの……津田君の、手が……」
「??」
言われて自分の手を見る。
片手はアリアの手をつかみ、もう片方の手は……胸をつかんでいた。
「うお!?」
意識すればそのけしからん柔らかさが脳へとフィードバック。
流石にこれには焦ったタカトシ。
きらりとアリアの目が光る。
「スズちゃん!」
「はいはい……よいしょ、と」
「へ? あ、ちょ!」
奥から出てきたスズと、アリアの二人掛りで今度こそタカトシは車内へ。
そしてリムジンは急発進をした……。




さて、タカトシの引っ張り込まれた車はリムジン。
誰のものかなんてことは考えるまでも無いから考えない。
七条家ってすごいんだと再認識しただけだ。
後部座席は広々とした対面式。
一方の側にはタカトシを引っ張りこんだアリアとスズ。
そしてもう一方には……シノの姿。
「会長……」
「……ふん」
シノはプイッとタカトシから目をそらす。
まだ御立腹のようだ。
そんなシノ様子にタカトシはどうしたものかと考え、意を決して話しかけようとした。
「―あの」
「待って津田君」
しかしアリアに止められた。
「まず私に話をさせて」
そう言ってシノの隣へと席を移し、開いた席に座るようタカトシを促す。
タカトシが座ったのを確認し、アリアはシノに話しかける。
「ねえシノちゃん、今からちょうど2週間前のこと、話してくれないかな?」
「2週間前?」
「そう。その日はシノちゃんにとってすっごく大事な日のはずだよね?」
アリアの言葉にシノは顔を赤くする。
怒り半分。
そして……照れが半分。
その両方がタカトシへと向けられている。
タカトシはわけがわからない。
「ね、話して。シノちゃん」
促され、シノはゆっくりと口を開いた。

627:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:01:26 avUayJYv
「そう。あれは今からちょうど2週間前の話だ」




~~シノさんの証言~~
あれは、今からちょうど2週間前の話だ。
その当時私はあることに頭を悩ませていた。
ん?何に悩まされていたのかだと?
それは……その……うむ。
その、恋愛に関してのことだ。
知っての通り我が校は「校内恋愛」が禁止されている。
その「校内恋愛」の定義というか、適用範囲がどの程度のものかとある女性徒に聞かれたんだ。
同じ学校の生徒と付き合うことがダメなのか、それとも校内でいちゃつかなければいいのか、とな。
彼女はすごく真剣な目をしていて、正直、私はすぐに答えられなかった。
しかしその時津田の言葉を思い出して言ったんだ。
場所をわきまえた付き合い方なら構わないんじゃないか、と。
そうしたら彼女はすごく嬉しそうな顔をして、じゃあ彼と付き合ってもいいんだ……と、大喜びしたんだ。
そのときの彼女の顔を見て思ったんだ。
恋愛とは、そんなにもいいものなのだろうか、とな。
それで、だな。
……うむ、生徒会長たるもの広い見識を有するべきであり、さまざまなことも経験もしておくべきだろうと思う。
それで……恋愛についても同じことが言えると考えたんだ。
だが私には今まで恋愛体験など無くならばこれから知り、体験するしかないわけでだな。
その……だから津田に思いきって言ったんだ。
「津田、私と付き合え」
とな。
そうしたら津田も
「喜んで」
と、それを了承した。
それが今からちょうど2週間前のことだ


~~~~~~~~~~~


「なのに、津田は……昨日……昨日……」
「うん、よくわかった。わかったらすこし落ち着いて、ね?」
感情が高ぶってきたのか、プルプル震えるシノをアリアが落ち着かせる。
「えっと、津田君」
唖然としていたタカトシに話しかける。
「津田君もシノちゃんの言ってる日のこと、2週間前のこと話してくれるかな」

628:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:02:29 avUayJYv
「……あの日のことはよく覚えてます」




~~タカトシの証言~~
その日は生徒会室に行くと会長と横島先生の二人だけでした。
会長はなにか考え込んでる様子で、今日の活動のことを聞いても「ああ」って生返事が返ってくるだけでした。
そしたら横島先生に手招きされて雑誌見せられました。
雑誌の内容ですか?いや、別にエロ本とかじゃなくて地元の情報誌ですよ。
ほら、最近おっきなショッピングモールが出来たじゃないですか?
それの特集組んでた本ですよ。
横島先生はそこにもう行ったらしくて……まあ要するに喋りたかったんですね、あれは。
ここは服が安くていいもの売ってたとか、ここの店員はイケメンだったとか。
どっちかっていったら女子向けの話ですけど、まあおとなしく聞いてました。
妹に教えてもいいかなって思ったんで。
特にこの地区初出店のクレープ屋が絶品だったって、流暢に語るから俺も食べたくなっちゃいましたよ。
そうしたら会長がいきなり立ちあがって叫んだんです。
「津田、私と付き合え」
って。
だから会長もクレープ食べたくなったんだなぁって思って。
「喜んで」
って言ったんです。
それが今からちょうど2週間前のことです。


~~~~~~~~~~~


「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙が支配し、エンジン音のみが場を支配する。
最初に口を開いたのはアリア。
「これが真実よ、シノちゃん」
「そんな……」
「いやもうなんて言うか……奇跡ですよ、これ」
「うん。そうね。まったくそのとおりね」
呆れたようなスズの意見にアリアも激しく同意。
「何で2週間も気づかないかなぁ、二人とも」
「いや、しかしだな……」
シノはちらりとタカトシを見る。
「放課後にタカトシを誘うとちゃんとエスコートしてくれたから」
アリアとスズの目もタカトシへと向く。
「えっと、俺はてっきり横島先生の喋ってたとこに行きたいんだろうなって思って案内してたんで」
「クレープも、シュークリームも、アイスも奢ってくれて一緒に食べたじゃないか。
ああいうのは……つ、付き合ってる男女がするものじゃないのか?」
「いや、妹によく奢らされるんでその延長で考えてました」

629:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:03:23 avUayJYv
タカトシの言葉にシノは絶句する。
「よーするに、シノちゃんは彼氏彼女の関係だと思ってて、津田君は会長と副会長の関係だと思ってた。
ところが昨日その認識の違いが表面化して話がこじれた、と。こんなところかな?」
「うん……昨日私が一緒に帰ろうと誘ったら津田が無理だって言うんだ。
しかもその理由が友達と遊ぶからだって言うから……」
「なるほど……彼女を放っておくとは何事だ、と……」
ふぅとアリアは大きく息をつく。
シノは居心地悪そうに
「わ、私は悪く無いぞ」
言った言葉にスズが、
「会長が悪いと思う人挙手」
すぐさま三本の手が天を衝く。
アリア、スズ、そして……笑いを堪えた様子の運転手の三人。
「う……」
その結果にシノは不利を悟ってうめく。
「津田はどう―」
話を振ったスズへとタカトシが倒れこんでくる。
「つ、津田!?」
「……あ、すいません……なんか……気が抜けちゃって」
昨日一睡もしていないタカトシ、フラフラと体を起こそうとして、パタン、と力無くまたスズの膝へと倒れこむ。
その様子を見ていたアリアの頭にピコンッと電球がともる。
「シノちゃん」
つんつんとシノをつつき、スズを指差し、シノを指差す。
「む……」
それだけで言いたいことを悟ったシノは顔を赤くするが、
「萩村」
「はい?」
「場所を代わってくれ」
それだけでシノのしたいことを理解するあたり流石天才と言うべきか。
「わかりました」
タカトシの頭を支えつつ場所を入れ替わる。
シノは自分の膝の上にタカトシの頭をそっと置く。
「会長?」
「……お詫びのつもりだ。存分に使ってくれ」
「いや、でも……」
「しばらくその辺を流してるから、ゆっくりしてて」
言いたいことを悟り、アリアが先手を打つ。
「わかりました」
「うん。あ、それとシノちゃん」
「ん、なんだ?」
「私とスズちゃん、10分ほどうとうとしてるから。運転手さん……は、うとうとしちゃまずいから。えっと……」
アリアが言い淀んでいるとスピーカーからクラシックが流れてくる。
「……うん、そう。音楽と運転に夢中になってるから、ね?」
あとはわかるよね?と言いたげにウインクをする。
「じゃおやすみ~」
「……おやすみなさい」
やれやれと言った様子でスズも目を閉じる。

630:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:03:53 avUayJYv
二人の様子にシノも意を決める。
「なあ、津田」
「……なんですか」
声はどこか夢見ごこち。
「私と、付き合え」
2週間前と同じ言葉。
「……喜んで」
こちらも同じ言葉。
だが、一言付け足される。
「シノ」
と。



END and START



631:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:08:58 avUayJYv
終了。誤字脱字表現違いナカム~ラからのパスは華麗にスルーしてください。
ただ各人の喋り方とか雰囲気に違和感が合ったら指摘をお願いします。
なにせまだキャラがつかみきれてないんで今後の参考にします。


632:ボルト
08/09/02 12:18:30 gMv4xhG+
518氏,乙&GJです!!
こんないい作品出されたら,自分の今作成中なのが,出しづらくなりそうです。

633:Y-275
08/09/02 12:46:00 Ozy9icWR
やべえ、書いてる最中の息抜きに覗きに来てみれば…

518氏、本当に本当に本当にGJ!!!!!!です。
読んでてマジで引き込まれました。ちょい感動です。

634:ボルト
08/09/02 14:11:45 gMv4xhG+
 Y-275氏,初めましてボルトと申します。
 今,このスレを御覧になられたということで,一つご相談がありますので,書かせていただきます。
 相談の内容というのは,今,私は新作をタカトシ×ムツミで作成中なのですが,よく見直してみると,話の筋が,
「ムツミがタカトシを誘う→遊びに行く→帰り際に告白」
という,Y-275氏の『ポニテシンドローム』と,あってはならないもろ被りだという事に気付きました。
 ただ,作品を消すというのも勿体ないので,ここでご相談です。
 Y-275氏の許しが頂けるのであれば,完成して投下しても宜しいでしょうか?
 もし,ダメな場合はお蔵入りにします。
 ご多忙中で在られると思いますが,ご返事頂けたら幸いです。

635:名無しさん@ピンキー
08/09/02 14:21:15 Zn7LlSpS
おお518氏、乙カレイそしてGJヒラメ
氏も郭氏と並ぶベテランですなあ、壮健なによりです

しかし贅沢な月末&月初めだ

636:名無しさん@ピンキー
08/09/02 17:16:20 o3uOPRCR
518氏GJ!氏のSSは流れるような軽妙さがいつも素晴らしいです
書き手ごとの表現の特徴がそれぞれ微妙に違うのもこのスレの味だと思います

>>631-634
スレの未来は貴兄らヤングパワー(死語?)にもかかってますぜ
応援するので頑張れ!

637:Y-275
08/09/02 22:33:37 Ozy9icWR
>>634ボルト氏
お疲れ様です。
モロ被りなんて気にしないでください。
自分、ムツミ大好きですしw
氏のSS期待してます。

638:ボルト
08/09/02 22:50:41 gMv4xhG+
>>637
Y-275氏,ありがとうございます。
これで,心置きなく作成に励む事が出来ます。
前に予告した通り,プロレスネタ(実際の団体名は迷惑になるので直接は書けませんが)が多数あるので,
分からない人には分かりずらいのですが,
精一杯タカトシ×ムツミの話を書けるように,
Y-275氏,またこのスレを御覧の皆様に楽しんで頂けるよう頑張ります。目標は,今週末までに投下する予定です。



639:名無しさん@ピンキー
08/09/02 23:58:17 7dZD+nL0
マサヒコって男キャラじゃ一番美形じゃね?チビだけど

640:名無しさん@ピンキー
08/09/03 00:51:04 VpoGzfVn
個人的にはタカトシを推したい。

641:名無しさん@ピンキー
08/09/03 01:37:22 pLidl4eW
他愛もないがFEやってたらこんな電波受信した
アイ=ロード
マサヒコ=剣士
ミサキ=プリースト
リンコ=魔道士
アヤナ=ペガサスナイト
リョーコ=アサシン
セイジ=ソシアルナイト

642:名無しさん@ピンキー
08/09/03 02:52:34 U7I40I2L
>>641
個人的にマサヒコはシグルドに似ている気がする

643:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:27:53 nSbaRVhX
せっかくなので五十嵐カエデで小ネタを書いてみました。
プロローグ的な内容なのであまり面白くないですが…
タイトルは「彼女は風紀委員長」で。

644:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:29:31 nSbaRVhX
「さて、今日の会議は五十嵐の事だが…」
「五十嵐先輩ですか?」
 風紀委員長の名を出すシノの話にタカトシが答える。
「今後我が生徒会は彼女とのやりとりは津田、君を介して行おうと思う」
「へ?」
 意味が分からずタカトシは呆気にとられる。
「でもシノちゃん、五十嵐さんは極度の男性恐怖症なんじゃ…」
「そうですよ。津田が相手じゃ会話すらままならないと思いますけど」
 アリアの言う通り、五十嵐カエデは極度の男性恐怖症である。タカトシが応対しようとしても逃げてしまうし、
応対できたとしても目をあわすこともできず、会話もガチガチに緊張してしまう有様である。
 アリアもスズもシノの真意が分からず疑問を呈している。
「これは重要事項だからな。すまないが五十嵐を呼び出してくれないか」

「ちょ、ちょっと、それどういう事なんですか!?」
 話を聞いたカエデはかなり動揺して問いただした。
「どうもこうも無い。男子に慣れてもらう為だ」
 淡々とシノが答えた。
「今はまだ男子生徒は28人と少ない。慣れるなら今のうちだ」
「ど、どうしてそんな事をしなくちゃいけないんですか?!」
「共学になったのに男子が苦手なままでは困るだろう?だからだ」
「そ、そんなの大きなお世話です!!」
「だがそうはいかない。現に風紀委員長としての務めに支障をきたしているではないか」
「うっ…!!」
 シノの言う通り、スズの報告によれば風紀委員長の務めである筈の見回りは
「男子が居るから」という理由で1年の教室の辺りへはほとんど行ってないという。

645:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:33:13 nSbaRVhX
「臆するな。何も四六時中津田と一緒に居ろと言っている訳ではない。五十嵐が生徒会に用がある時は津田に相手をさせる。
 こちらが五十嵐に用がある時は津田を向かわせる。それだけだ」
「し、しかし…」
「それが嫌なら他の誰かに風紀委員長を代わってもらう事も検討しなければならない。
 共学化に向かう桜才学園の風紀にかかわる問題だからな」
 共学化されたばかりの桜才学園は男女比が28:524の、いわばハーレム状態である。
風紀委員長が男子をまともに取り締まれないとあっては、男子が問題の温床になりかねないことを
危惧するのも無理らしからぬ所だろう。
「うう…わ、わかりました…」
 優等生であり、風紀の乱れを許せない性格のカエデからすれば風紀委員長の任を解かれるのは
耐え難いのだろう。力無くカエデは返答した。

「はぁ…女子高だったからこの学校に入学したのに何故共学に…」
 生徒会室を後にしたカエデはため息をつきながら呟いた。極力男子生徒を避けてきたカエデだったが、
これで多少なりともタカトシと接さざるを得なくなってしまった。そう考えて重い気分になっていたその時、
「五十嵐せんぱーい!」
「はぅ!?」
 いきなり当のタカトシから呼び止められてしまった。
「つ、つつつつツツツ津田君?!」

646:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:34:13 nSbaRVhX
「いや、さっきまで一緒に居たのにそんなに驚かんでも」
 本当に苦手なんだなと、少し呆れてツッコミを入れるタカトシ。
「な、なな何?何か、よ、用?」
 緊張で言葉が噛み噛みなだけでなく、今にも逃げ出しそうな及び腰である。
「明日の朝校門で生徒の服装チェックを行うから風紀委員長の五十嵐先輩も一緒にと、会長が」
「あ、ああ、そ、そう。わ、分かったわ」
 何とか返答をするカエデ。
「あの…五十嵐先輩、大丈夫ですか?」
 どう見ても大丈夫に見えないカエデを心配してタカトシは言う。
「あまり無理しないでください。どうしてもダメなら会長と話し合ってみますから」
 そう言ってタカトシは生徒会室へと戻って行った。

「…はぁ~…」
 タカトシが去って、とりあえず一安心するカエデ。 
 しかしまだまだ始まったばかりなのである。

 
 -続く?-

647:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:35:53 nSbaRVhX
これで以上です。お粗末さまでした。
これが恋愛へと発展するか、あるいは受難へと発展するかは
皆さんの妄想しだいでございます。
ありがとうございました。

648:名無しさん@ピンキー
08/09/03 07:21:43 Hu+9ce9u
んーまた新しい人か!?
乙カエデ

少年週刊誌に連載あるとやはり人がやって(戻って)くるなあ…

649:名無しさん@ピンキー
08/09/03 07:27:48 pLidl4eW
戻ってきてほしい職人いる?
俺はそら氏

650:ボルト
08/09/03 12:42:14 Mqpd77Va
皆さん,こんにちは。
当初の予定では週末に投下する予定でしたが,
あまりにも筆が進んだので,完成しちゃいました。
あとは確認のみになったので,夕方以降に投下してよろしいでしょうか?

651:名無しさん@ピンキー
08/09/03 13:15:44 zj4KK/+Y
あ、も、ぜんぜんおっけーおっけー

652:名無しさん@ピンキー
08/09/03 16:24:14 y74fSREr
>>650
祭りなどで順番整理せにゃならん時以外は投下時間の確認はナシでオッケーすよ、このスレ
最バブル期は秒単位で複数の職人が投下しはじめるなんて混雑も起こったことは確かにあったけど

653:名無しさん@ピンキー
08/09/03 19:50:37 P1c0VSV5
>>652
あれは奇跡としか思えんやったなw
普通のレスで時間がかぶるなら普通にあるんだろうけど同時にssガ来るなんてあれしか見たこと無い

654:ボルト
08/09/03 19:57:22 Mqpd77Va
じゃあ,完成したので投下しますね。
今回ははっきり言って,自己満足的なSSになった気がしますが,
嫌だという方はどうぞスルーの方向で。
 
スルー対象ワードは
「タカトシ×ムツミ」
「プロレスネタ+実話ネタ多数」
「舞台が東京じゃないよ,福岡だよ」
ですので,最後まで読んでいただけたら幸いです。
 投下~~~

655:ボルト
08/09/03 20:01:33 Mqpd77Va
すみません。改行が多すぎてエラーが出ました。
少し,分割し直すので20分ほど待ってください。
あと,今回はタカトシ目線での話です。

656:ボルト
08/09/03 20:11:54 Mqpd77Va
改めて投下~~

657:ボルト
08/09/03 20:12:45 Mqpd77Va
 夏休みもお盆が過ぎて,2学期まであと1週間となった今日,オレは生徒会の仕事の為に,学校へやって来た。
 グランドでは,陸上部の生徒が汗水を垂らして必死に練習をしている。そういえば,もうすぐ記録会だったか。
 オレも野球やサッカーを小・中学校の時にやっていたが,ここでは男子の運動部はまだ出来ていないので,部活はやっていない。
 まあ,生徒会があるので,そんな事をする暇もないのだか。
 
 
………………
 
 
 仕事も午前中にカタがつき,他の3人もそれぞれ家路に着いた。オレも帰る準備を終えて,生徒会室の鍵を閉めようとした時,一人の女子生徒に声をかけられた。
 
「……おーい!タカトシ君じゃない!今日も生徒会の仕事だったの?」
 
 そう言って声をかけたのは,オレと同じクラスの三葉ムツミだった。
 
「そうだよ。二学期ももうすぐだし,行事も沢山あるからさ,『早目に準備をして,余裕をもって迎えないといけない』って会長が言っているんだ。………三葉も部活だったのか?」
「うん。大会も近いから,毎日練習の連続だよ!」
「今日は,練習はもう終わったのか?」
「みんな疲れも大分貯まってきてるからね,午前中までにしたんだよ」
「大変だな。オレ達,生徒会も応援しに行くから頑張れよ」
「うん!皆の期待に応えれるように,目指すは全国だよ!」
 
 まだ,創部して2~3ヶ月しか経っていないのに,ムツミはまるで自信有り気に言う。
 
「じゃあ,オレ,もう帰るから」
 
 そう言って鍵をかけ,職員室に鍵を返しに生徒会室から離れようとすると,後ろから三葉がオレを呼び止める声がした。
 
「ねえ,タカトシ君まって!」
 
 無視して帰るわけにもいかないので,オレは三葉が近付いて来るのを待った。

658:ボルト
08/09/03 20:13:57 Mqpd77Va
 
「ありがとう,タカトシ君。
 あのね………ちょっと相談があるんだけど,話を聞いてもらってもいいかな?」
「オレが出来る範囲だったら,聞いてあげられるけど」
「……今度の日曜日,暇かな?」
 
日曜日といえば,ちょうど夏休み最後の日だ。課題も多く出されたとはいえ,なんとか終わらせている。
 だから暇と言われれば暇だった。
 
「……特にその日は何もする事は無いけど。」
「よかった。じゃあ,夏休み最後の日に,二人で試合を見に行かない?」
 
 急な相談に,オレは一つ疑問を抱く。
 
「何で,わざわざオレに聞いてくるんだ?
 同じクラスの女子でもよかったんじゃないか?」
「本当は,部活の仲間と一緒に行くことにしてたんだ。でも,用事が出来て行けなくなったって言われて。
 どうしようかなと考えていたら,タカトシ君を見かけて。タカトシ君なら,お願い聞いてくれそうだったから」
 
 なんだ,そう言う事だったのか。
 でも,せっかく誘ってくれる訳だし,三葉が二度も断られるのも可哀相だしな。付き合ってやるか。
 
「別にいいけど,大丈夫なのか?この学校は,校内恋愛禁止なんだから」
「もう頭が固いなぁ,タカトシ君は。『校内』でしょ?遊びに行くんだから関係ないじゃん。
 それに私達,付き合っている訳じゃ無いんだし」
 
 確かに,そう言われればそうだ。オレと三葉は付き合ってはいない。
 別に男女で遊びに行く事は,軽く注意はされても,処分されるまでは無いだろう。
 
「まぁ,そうだな」
「だよね~」
「それはそうとして,何の試合に行くつもりなんだ?」
「あ,ごめんごめん。まだ話してなかったね。
 実はこれの事なんだ」

659:ボルト
08/09/03 20:14:38 Mqpd77Va
 
 そう言うと,三葉は二枚のチケットを取り出した。
 
「あれ?これって何?」
「実はね,プロレスのチケットなんだ~」
 
 野球だろうか,サッカーだろうかと予想したが,違う結果が出たので,三葉に聞き返した。
 
「プロレスのチケット?」
「うん。知らない?福岡では有名だよ?」
 
 そう言われたので,オレは思い返してみる。
 確か,深夜に放送してた気がするな。名前が『ドラ…………』だった気がする。
《※さすがに,実名をエロパロに出す訳にはいかないので,抽象的ということで。》
 
「テレビでやってるやつだよな」
「そうだよ。タカトシ君も知ってたんだ」
「名前だけなんだけどね。でも三葉がプロレス好きだなんて知らなかったな」
 
 三葉にそんな趣味があるんだと思ったが,自分から柔道部を作ったぐらいだ。格闘技系がとても好きなんだろう。
 そう思うと,すごく納得できた。
 
「あ,ちょっと馬鹿にしてない?ここって女の子にも人気あるんだよ」
「ごめん。そういう意味で言った訳じゃないんだ。でも,少し興味はあるかな」
「じゃあ,一緒に行くって事で決まり?」
「構わないよ」
「よかった。時間や場所は後から電話するね?」
「うん。待ってるよ」
 
その夜,さっそく三葉から電話が来た。場所は近くの○○駅,時間は14時に集合との事だった。
 電話の向こう側で三葉が嬉々として話をしているのが分かった。
 
 それからオレと三葉は,生徒会と部活,それぞれの事をこなし,日曜日を迎える事となった。


660:ボルト
08/09/03 20:15:34 Mqpd77Va
 
 
―――
 
 
 今,オレは○○駅の広場で三葉を待っている。時間は13時50分だ。約束の時間より,10分早く待ち合わせている。
 生徒会で,会長より『10分前行動は基本だぞ』と,言われて以来,遅刻する事はほとんど無くなっていた。
 ………5分くらい経った頃だろうか,道路の向こう側から「おーい!」と呼ぶ声がした。
 声の方向を見てみると,三葉が大きく手を振りながら呼んでいた。歩道橋を渡り,オレの方に近付く。
 
「タカトシ君,もう来てたんだ。早いんだね」
「生徒会で,早く行動するように言われてるから,慣れちゃったよ」
 
 三葉をよく見てみると,ボーイッシュな格好で来るんだろうと思っていたが,予想に反して,とても可愛らしい服装だったので,つい見取れてしまった。
 
「タカトシ君?どうしたの,ぼーっとして?」
 
 三葉の言葉にはっと気付く。
 
「……三葉の私服って初めて見たよ。とっても可愛いじゃん」
 
 三葉の顔が一瞬朱くなったような気がした。
 
「本当に?久し振りに遊びに行くから,気合い入れてオシャレしたんだけどよかった!」
 
 オレにほめられて,三葉はとても喜んでいるようだ。
 
「そろそろ,電車も来る頃だし,中に入ろうか?」
「そうだね。……あ,そういえば電車代,タカトシ君が出してくれるんだよね?ありがとう」
「そんな,お礼を言われるまでの程でも無いよ」
 
 電話の時に知ったんだか,あのチケットは特別リングサイドという席らしく,一席なんと7000円もするらしい。二人分だから,14000円もする。
 三葉にこんな大金を使わせているのに,割り勘って言うわけにもいかないので,それ以外はオレが全て払う事にした。男だったら当然だ。
 博多駅までの電車代二人分を払い,ホームに行くと,ちょうど電車が入って来た所だ。オレと三葉は、その電車に乗って博多に向かって行った。

661:ボルト
08/09/03 20:18:13 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 電車に乗って,博多に着くまで約数十分。隣に座っている三葉がオレに話しかけて来た。
 
「タカトシ君,これ,今日見に行く団体のパンフレットなんだ。よかったら見てくれる?」
 
 そう言いながら,バッグからパンフレットを取り出した。結構大きい。
 中を見てみると,いろんな選手の紹介写真が載っている。マスクを被った選手や,コスプレ?みたいな選手もいた。
 ……あ,この選手は,バラエティ番組に出演していた選手だ。他にも,過去の試合などを振り返るページなどがあった。
 横から,三葉がオレに「この選手はね…………」といろいろ教えてくれる。結構楽しかった。
 ちょうど,話も終わった頃,電車が博多駅に到着した。パンフレットをカバンにしまい,準備をして,電車から降りる。
 三葉が言うには,会場は駅から近いらしい。三葉に連れられて,会場に向かう。
 駅を出て2~3分経った頃,三葉が,
 
「着いたよ。タカトシ君」
 
 会場を見てみると,ここはボーリング場だった。……ここなのか?三葉に尋ねる事にした。
 
「なあ三葉?ここってボーリング場だよな?まさか,レーンの上で試合をするのか?」
 
 すると,三葉が
 
「まっさか~,面白い事言うんだね,タカトシ君は。
 ここの2階に大きな広間があるから,そこで試合をするんだよ」
 
 確かにそう言われればそうだ。少し恥をかいた気だ。
 会場内の自販機は値段が高いので,近くのコンビニで飲み物を買った。
 
「もう開場しているから,中に入ろうか?はい,チケット」


662:ボルト
08/09/03 20:18:57 Mqpd77Va
 
 三葉からチケットを受け取り,会場の中に入ると,結構人が多かったので驚いた。
 
「こんなに人が来てるんだ」
「そうだよ~。いつも満員なんだ。さらに今日はテレビ中継もあるしね。帰ってビデオ録らなきゃ」
 
 生で試合を見るのに,帰ってからも見る気なんだ。
 
「じゃあリングは2階だから,そこの階段を昇って行こうね」
 
 階段を昇り,チケットをスタッフの人に渡し,入場すると,1階以上の人数にただただ驚くしかなかった。
 
「なぁ三葉?何でこんなに人が詰まっているんだ?」
「ここはね,グッズ売り場なんだ。あ!新しいパンフレットが出てる!」
 
 何だかほしそうな顔をしてたので,買ってあげる事にした。
 
「じゃあ買ってあげようか?」
「そんな,悪いよタカトシ君。そこまでしてもらわなくても………」
「大丈夫だって,オレがそうしてあげたいんだから,遠慮なんかしないでよ」
「…………ありがとうタカトシ君。すみませーん!パンフレット一部くださーい!」
 
 喜びながら,売り子の人に声をかける三葉。
 一冊,2000円らしい。………高い。でも,三葉が喜んでくれるなら,まあいいや。
 オレは売り子にお金を払い,他にも見て回ると,ガラガラがあった。 どうやら,選手のお宝グッズが当たるらしい。一回500円だったので,三葉にさせてあげようと思った。
 
「なあ三葉?やってみる?」
「いいの?じゃあ,やってみようかな」
 
 マスクを被っている売り子にお金を払う。どうやら選手も売り子をするらしい。
 
 三葉がレバーを持って勢いよく回すと,球が出て来た。金色だった。
 すると,マスクマンの売り子が鐘を鳴らして,「大当りー!」と叫んだ。
 
「やったぁ!タカトシ君!大当りだよ!」
 
 三葉が喜んでいる。商品は選手のコスチュームらしい。陸上選手みたいなコスチュームだった。

663:ボルト
08/09/03 20:20:12 Mqpd77Va
 
 三葉を見てみると,マスクマンに記念撮影をされていた。
 後で聞いたら,ブログに載せるらしい。選手も色々と大変みたいだ。三葉は恥ずかしかったのか,手で目を隠すようにしていたが。
 とりあえず,一通り見終わったので席に向かう。
 中に入ると,レーザー光線と大音量の音楽が流れていた。野球やサッカーでは味わえない感覚だった。
 三葉に,座席の位置を確認してもらう。前から3番目の席だ。ただ段差があったので見ずらい感は無かった。座席に座ると三葉が,
 
「いや~,まさか大当りが出るとは思わなかったよ,タカトシ君。今まで一度も大当りが出なかったのに。
 タカトシ君のおかげだね」
 
 そう言いながら三葉がオレに微笑みながら話しかけて来た。
 
 ……何だろう?三葉を見てたら,胸がドキってした気がした。他の女子と話をしてもこんな事無かったのに。
 
 それから,オレと三葉は二人で新しいパンフレットを見ながら時間を潰していった。
 時間も4時を回った頃,大きな音楽が流れ,リングアナとレフェリーの二人がリングインした。ボールを投げている。
 このボールを拾うと,何かプレゼントが貰えるらしい。………来なかった。
 どうやら,前説をしてるようだ。今日の対戦カードを発表してるみたいだ。
 その前説も終わり,照明が暗くなると,歌が流れて来た。この団体のテーマ曲らしい。
 明るくなると,試合の前に調印式なるものを行うらしい。
 今日はタイトルマッチが2試合あるみたいで,4人の選手がリングインした。その内,2人はベルトを持っている。
 サインも終わり,選手がマイクを持って言い争いをしている。
 一通り,言い終わった後,選手はそれぞれ控室に戻って行った。ようやく,第1試合が始まるみたいだ。


664:ボルト
08/09/03 20:21:37 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 試合が始まった。いろんなコスチュームを身にまとったレスラー達が戦っている。
 第4試合の時,レスラーの1人が,さっきのガラガラで当たった色違いのコスチュームを着ている。
 どうやら,このレスラーのコスチュームだったらしい。
 
 第5試合だ。タイトルマッチらしい。結果は,悪者,つまりヒールのレスラーが,反則をしまくって勝ったみたいだ。
 隣で,三葉が残念そうにしていた。負けた方を応援していたみたいだ。慰めてやるか。
 
「残念だったな,三葉」
 
「うん,そうだね。次,戦う時はきっと勝つはずだよ」
 
 休憩に入ったので,飲み物を買うために,一旦,会場から離れてさっきのコンビニに寄る。もちろん,オレの奢りだ。
 再び座席に戻り,少し時間が経つと,後半戦の開始の音楽が流れた。
 
 第6試合も白熱した試合が終わり,いよいよメインイベントだ。この試合は,団体No.1を決めるタイトルマッチらしい。
 選手が入場し,リングアナウンサーがそれぞれコールする。
 チャンピオンの番になると,三葉が立ち上がってバッグから紙テープか取り出す。
 名前を言うのと同時に,手にした紙テープをリングに向かって投げ付けた。他の方向からもたくさんの紙テープが舞っている。
 
 試合が始まり,少し経過した頃,場外乱闘が始まった。オレ達が座っている方向にやって来た。
 レスラーの大声とともに,近くの客が荷物を持って,その場から一斉に離れていく。オレ達も離れることにした。
 ヒールレスラーがチャンピオンを,椅子の列に投げ飛ばしていく。かなり痛そうだ。
 さらに椅子を持って背中に振り下ろしていった。そんな乱闘が目の前で繰り広げられている。

665:ボルト
08/09/03 20:23:00 Mqpd77Va
 
 ヒールレスラーが落ちていたペットボトルを,チャンピオンに向かって投げ付けた。
 その時,ペットボトルが弾んで,近くにいた三葉の頭に当たってしまった。
「痛っ!!」
「大丈夫か,三葉!?どこか怪我はしていないか」
 
 痛そうにしている三葉を,オレは庇うようにして様子を見る。
 
「…うん,平気。そんなに強くは当たらなかったから……」
 よかった,怪我はなさそうだ。
 その時,ヒールレスラーのセコンドに付いていた別のヒールレスラーが,オレを強烈に睨み付けてる。
「いちゃついてんじゃねぇぞ!」と叫んでいるらしい。
 どうやら,三葉を庇った行為が,抱き着いているように見えたんだろう。まだ睨み続ける。
 正直,オレは怖かった。でも,なぜか視線は避けなかった。逆に睨み返す。
 そうしたら,レスラーはオレの態度に根負けしたのか,その場から離れて行った。
 回りの人がオレ達を見ている。すると,なぜか拍手の音が聞こえた。………かなり恥ずかしかった。
 
 試合はチャンピオンが勝ち,驚きあり,笑いありのマイクパフォーマンスがあり,最後は記念撮影で幕を閉じた。
 これで今日の試合は全て終わりだ。客も各々出口に向かっている。
 オレ達も,帰ろうかと思ったところ,三葉が,
 
「ねぇ,帰る前にサイン会に寄っていいかな?」
 
 そう言われたので,最後だしいいかと思って列に並ぶことにした。
 サインをしてもらうにはTシャツを買わないといけないらしい。高かったが三葉が喜んでくれるなら,それは別によかった。


666:ボルト
08/09/03 20:23:45 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 駅までの帰り道……
 
「タカトシ君!今日はすっごく楽しかったよ!一緒に来てもらってよかった。
 それにいろいろ買ってくれてありがとう!」
 
 よかった,喜んでくれてる。
 
「三葉が喜んでくれたのなら,オレも付き添った甲斐があるよ」
「………あのね,タカトシ君。実はその事なんだけど………」
 
 三葉が立ち止まって,オレに話し掛ける。
 
「どうしたんだ,急に?」
「………私が誘った時の事なんだけど,友達が来れなくなったって言ってたじゃない?」
「確か,そう言ってた」
「実はね,あれって嘘なんだよ………。本当は,最初からタカトシ君を誘うつもりだったの。
 あの時も,タカトシ君が生徒会室からずっと出て来るのを待っていたの。………嘘をついてごめんなさい」
 
 帰路に付いている客が何事かとオレ達の方を見る。それでも三葉は話を続けた。
 
「でも…,今日はすごく楽しかった。……今まで男の子と遊びに行った事はあったけど,タカトシ君と遊びに行った今日が1番よかった。
 一日中タカトシ君といて,すごくドキドキしたの。最初は何でだろうと思っていたけど,時間が経つ度に,分かった気がする。
 タカトシ君の事が,友達としてじゃなく一人の男の子として『好き』になったんだって」
 
 オレも今,やっと分かった。オレが胸に抱いていたドキドキ感が。三葉と同じ事を感じていたんだ。
 回りには沢山の人がいる,でも言いたい事を今言うしかない!
 
「………オレも三葉と来れてとても良かった。今の言葉を聞いてオレも分かったんだ,同じ想いをしていたんだって。
 ………三葉に伝えたいことがあるんだ。聞いてくれるか?」
「うん。私も改めて伝えたいことがあるの。聞いてちょうだい?」

 時間の流れが緩やかになった気がした。お互いタイミングを見計らったかのように叫び出す。

667:ボルト
08/09/03 20:24:43 Mqpd77Va
 
「オレは!」
「私は!」
 
「三葉の事が!!
「タカトシ君の事が!!」
 
「大好きだ!!!」
「大好き!!!」
 
 通行人がいきなりの叫び声に一斉にこちらを向いた。
 しばらくの間,オレ達は無言のままだったが,
 
「………あは,あはははは!」
「………えへっ,えへへ」
 
 二人して笑い出す。
 
「よかった。オレ達,同じ想いで」
「私達,今から恋人同士だね」
「そうだな,じゃあ帰ろうか?三葉………いや,ムツミ」
「………初めてタカトシ君に名前で呼んでもらった……私,この日を忘れない!」
「………オレも,忘れないよ。……ムツミ,手を繋ごう」
 
 オレはそう言って,ムツミに左手を差し延べた。
 
「………うん!」
 
 ムツミも右手を出して,一緒に手を繋ぐ。
 こうして,オレ達は家に帰る事にした。

 
 
……………
 
 
 ○○駅に帰り着いたオレ達は,この暗い中,ムツミを一人で帰らせるわけにもいかないので,家まで送る事にした。もちろん,手を繋いで。
 ムツミの家の玄関で,
 
「タカトシ君,今日は楽しかったよ。恋人になれて,とても嬉しい。
 ………また明日,学校で会おうね。じゃあ,お休みなさい」
 そう言って,ムツミはドアを開け家の中に入って行った。
 オレも家に帰ろう。
 ムツミの家から近い所にオレの家があるので,徒歩で帰ることにした。
 帰り道で,今日の事を思い出す。夏休みの間,生徒会の仕事で大変だったが,最後の1日で,すべての苦労が報われた気がした。


668:ボルト
08/09/03 20:26:01 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 10分ほど歩いたところでオレの家が見えた。玄関を開けると,妹のコトミが出迎えてくれた。
 
「お帰り~,タカ兄」
「ただいま」
「ねぇ,タカ兄?今日,一緒にいた女の人ってタカ兄の彼女?」
 
 コトミの言葉に,オレは驚く。
 
「ちょっと待て。何でコトミがそれを知っているんだ?」
「否定しないって事は本当なんだ。だってタカ兄,結構オシャレして出掛けたじゃない。
 だから気になってタカ兄の後を付けてみたの。そしたら,駅で女の人と一緒に電車に乗っていったから」
 
 まさか,コトミがストーキングしていたとは思わなかった。隠していても仕方がないので,
 
「そうだよ。その人がオレの付き合う事になった彼女だよ。今度お前にも紹介してやるから」
「そっか~,あの人が将来私の義姉になるんだね」
 
 コトミがぶっ飛んだ事を言う。
 
「あ,タカ兄。ちょっとまってて」
 
 そう言うと,コトミは自分の部屋に戻って行った。30秒ほどすると,コトミが出て来て,
 
「はい,タカ兄。突き合うのはいいけど,ちゃんと避妊しなきゃだめだよ」
 
  オレに何故かコンドームを手渡してくる。なんで,そんな発想になるんだ?字が違うんだよ。まさに,妹は思春期だ。
 
 疲れたので,風呂に入ってすぐ寝ることにした。明日は始業式だ。生徒会の仕事があるから早く行かなきゃいけない。ベッドに入るとすぐに眠りについた………
 
 
……………
 
 
 翌日。
 オレは校門の前に立っていた。服装チェックをするためだ。
 すると,遠くから一人の女子生徒の声が聞こえる。
 
「お~~~い!タカトシ君!おはよう!!」
 
 オレの方に向かって来る。昨日,オレの彼女になった子だ。
 
 その子の名は,三葉ムツミ――。

669:ボルト
08/09/03 20:29:41 Mqpd77Va
以上で終了です。
タイトルは「FIRST DATE」で。
次からはおまけ投下です。
スルー対象ワードは
「百合要素あり」

670:ボルト
08/09/03 20:31:11 Mqpd77Va
おまけ。
 
 服装チェックも終わり,教室に帰ろうとすると,会長が,
 
「津田,ちょっといいか?」
 
 そう言われたので,オレは立ち止まる。
 
「何ですか,会長?」
「昨日の事だが,お前,柔道部部長の三葉ムツミと付き合っているのか?」
 
 何で,会長まで知っているんだ?
 
「どうしたんですか?いきなり」
「昨日,博多駅でお前と三葉が二人でどこかに行くのを目撃したからな。………そんな事よりも付き合っているのか?」
 
 ………十分,注意はしたはずなのにバレバレじゃないか。正直に言おう。
 
「………はい。付き合っているというか,昨日から付き合い始めました」
「そうか,だがウチの校則は知っているな?」
 
 確かに,ウチは校内恋愛禁止だ。
 
「しかし,私だって鬼ではない。津田,場所をわきまえて行動するんだぞ。別に,付き合うなと言っているわけじゃないからな」
 
 そう言って,会長は自分の教室へ戻っていった。よかった,別に怒っているわけじゃないんだ。
 オレも教室に戻ろう。ムツミの顔を見るのが楽しみだ。


671:ボルト
08/09/03 20:32:33 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 時間は過ぎて,放課後。
 生徒会室には会長のシノと書記のアリアがいた。
 
「はぁ………」
 
 シノがため息をついている。
 
「………はぁ………」
 
 その様子を見ていたアリアが,
 
「シノちゃん,ため息ばかりついていると幸せが逃げちゃうよ?」
「………幸せが逃げる,か……。今の私にはもう逃げられているけどな………」
「どうしたのシノちゃん?」
 
 シノは事のいきさつをアリアに伝える。
 
「………そうなんだ。タカトシ君,あの子と付き合う事にしたんだ………だから,ため息をついていたんだね。
 でも,そっか~,シノちゃんもタカトシ君の事が好きだったんだね?」
 
「な,何を!?………………うん」
 
 シノは顔を真っ赤にして答える。
 
「会長としての立場もあるし,何より先を越されたということもあってな。
 だから,ため息が止まらなかったんだ」
「シノちゃん?タカトシ君が自分で選んだ人なんだから,ちゃんと見守ってあげようね。
 ……………それに,シノちゃんには,私がいるじゃない?」
 
 アリアの最後の一言にシノは顔を見上げる。すると,アリアの目が怪しく光ったような気がした。
 アリアがシノに近づいて,制服を脱がそうとする。
 
「おい,アリア!
 なんで,私の服に手をかけるんだ?それに顔を近づけているんだ?」

 しかし,アリアはその言葉を無視して,自分も服を脱ぎだした。

 「おい!聞いているのか!……やめろ!やめろーーー!!!」


672:ボルト
08/09/03 20:33:22 Mqpd77Va
 
 
……………
 
 
 クラスの掃除を終え,オレは生徒会室に入ると会長と七条先輩が先に来ていた。
 ………なぜか,会長はぐったりしていて,七条先輩の肌がつやつやしている。
 
「………すみません,遅れました」
「大丈夫よ津田君。もうすぐ始まるところだから」
 
 笑顔で七条先輩が答える。
 会長はいまだぐったりしている。
 
「………会長はどうかしたんですか?」
「何でもないのよ,津田君」
 
 ………何が起こったか聞かない方が良さそうだ………
 
おまけ……終わり。

673:ボルト
08/09/03 20:38:32 Mqpd77Va
以上で,全投下終了です。
容量が足りるかどうかヒヤヒヤしました。
自己満足なSSでしたが,いかがでしょうか?
次回作は未定ですが,…………タカトシ×スズ+スズママって需要あります?
 
最後まで見て頂き,ありがとうございました。<(__)>

674:名無しさん@ピンキー
08/09/04 01:33:11 NpMCNwyw
絶好調なペースだな乙
あとあまり自分を卑下せんようにな、誘い受けに取られかねんから

しかし、あっという間にスレ埋まったなw

675:名無しさん@ピンキー
08/09/04 11:23:50 GC6KlurU
【あかほん・濱中】氏家ト全 26時間目【妹・生徒会】
スレリンク(eroparo板)
こちらへ逃げ込め。

676:名無しさん@ピンキー
08/09/04 15:34:16 XkvYNZGs
ボルト氏乙
なんかボルト氏とY-275氏のラッシュからは「書くことが楽しくてしょうがない」といった雰囲気がうかがえるなw

>>675
あなたも乙

677:名無しさん@ピンキー
08/09/05 12:54:05 KyAPMBdF
>673
需要だと?
供給されれば需要など後からついてくるのだぜ……?

678:名無しさん@ピンキー
08/09/05 14:53:05 bc3D/gyF
ケイちゃん埋め

679:名無しさん@ピンキー
08/09/05 16:56:41 fOdlWJZ0
新しい職人さんのハイペースな力投ぶりはありがたいな
目指せ追い越せ、郭・ピンキリのワンツー両氏の合わせて200オーバーのSS投下
518氏とペピトーン氏も合わせたらたぶん300近いはずだ

680:ピンキリ ◆UsBfe3iKus
08/09/06 01:19:07 bbbzf+D7
お疲れ様です。
埋め用に濱中小ネタ無題で投下しておきます。

681:ピンキリ ◆UsBfe3iKus
08/09/06 01:20:56 bbbzf+D7
「はぁ、や、やっと着いた……」
「全く、天気予報はアテになんないわね」
「あーん、パンツまでぬちょぬちょだぁ」
「リン、せめてぐっしょりとかべっちょべちょ辺りの表現を使いなさい」
「先輩、結局卑猥です」
 天野ミサキ、若田部アヤナ、的山リンコ、中村リョーコ、濱中アイの五人は、不意に降りだした雨から逃げるようにとある家へと飛び込んだ。
もちろん、見ず知らず赤の他人の家ではない。
彼女達に関係深い、一人の少年の実家である。
「マサー、シャワー浴びさせてよ」
「そりゃ別にいいですけど」
 それでその少年が誰かと言うと、今更いちいち説明の必要もないだろうが、小久保マサヒコに他ならない。
「ですけどって何さ、なんか問題でもあるわけ」
「いえ、うちの風呂場そんなに広くないですから……せいぜい二人が限度ですよ」
 正確に言うと、雨の襲来を受けたのは五人ではない。
マサヒコを含めて六人である。
毎度のことだが、この面子で外出していたのだ。
休日ともなるとリョーコが音頭を取ってやれショッピングだの食事だのとよく出歩くが、
今回もその例に漏れず、というわけだった。
「マサちゃん、おばさんは?」
「多分また町内の婦人会でカラオケに行ってるんだと思う」
 俺も父さんもいないと思って好きにやってんじゃないかな、とマサヒコはミサキの問いにさらに答えた。
マサヒコ父、出張とか何とかで休日も仕事に出ていることが多い。
さすがは一家の大黒柱である。
家庭での主導権(特に夜)はほとんど妻に握られっ放しだが。
「よっしゃ、じゃあ順番決めましょ。六人いるから二人づつ浴びるということで」
「……ちょっと待て」
「ん?」
「俺は最後に一人で浴びます。だから先に女性陣で」
「えー、せっかく堂々と女とシャワーを浴びるという、年頃の男の子垂涎の権利を与えようとしているのに」
 六人で二人づつということは、男がマサヒコしかいないので女性が誰か一人マサヒコとペアになる計算である。
「ミサキはまぁマサと十分裸の付き合いしてると思うので除外して、えーと」
「おいこら、勝手に話を進めるな!」
 ちなみに小久保邸のすぐ側に天野邸があるのはご存じの通りだが、何の因果かこちらも両親共に出かけている。
ほしたら女性陣は天野邸に行けばいいのでは、というツッコミは残念ながら成立しない。
何故なら、マサヒコは家の鍵を持っていたがミサキは持っていなかったから。
じゃあ全員それぞれの家に戻れば、というツッコミもこれまた無力。
外出先から一番距離が近かったのが小久保邸であり、そこから各自の家に帰るにはそれなりに時間がかかってしまう。
表はバケツの水をひっくり返したような大雨で、傘をさしても結構な濡れ鼠になるのは間違いない。
「ならアヤナ、あんたがマサとシャワー浴びなさい」

682:ピンキリ ◆UsBfe3iKus
08/09/06 01:23:22 bbbzf+D7
「え、ええええ!? い、い、イヤですよそんな、こここ、小久保君となんて!」
「そしたらアイで」
「わ、私が!? マサヒコ君のシャワーを!? そそ、それはいきなりハードルが高すぎます!」
「リンは?」
「えー、私アヤナちゃんみたいにでこぼこしてないから小久保君つまんないと思います」
 三者三様とはまさにことのこと。
しかし、マサヒコが一人で浴びればいいという至極当たり前の結論に誰もたどり着けていない。
まぁこれはリョーコが会話のペースを握っているからだが。
「ちっ、しょうがないわね。じゃあ私がマサとシャワー浴びるか」
「だ、だ、ダメですっ! マサちゃんとは私が一緒に!」
 ミサキも脳細胞がショート。
自分がいかにとんでもないことを言っているかおそらく、いや絶対に気づいてないであろう。
「んー、でもあんたら二人だと浴びるだけじゃ済まないでしょ」
 マサヒコとミサキは中学を卒業すると同時に恋人同士になった。
それから一年半近く経つが、ゆっくりとながら確実にオトナの階段を上っている二人である。
「ふ、ふ、風紀が乱れまくりだわ天野さん! だ、だ、ダメ、ダメよっ! 絶対ダメッ!」
「ミサキちゃんいけないわ! 身体の外の汗と雨は流しても、身体の中にマサヒコ君のを流し込まれたら! まだ二人は高校生! 家族計画!」
「でもお風呂場でするのって蒸し暑そうですよねー、のぼせちゃいそう」
「まぁどうしてもって言うならいいけどさ。あ、何ならゴム貸そうか? 持ってるし」 
「え? あ? う? 私はマサちゃんと入る入られ浴び浴びられ」
「なあ、このままだと風邪ひくと思うんで、俺が一番最初に浴びていいか? 一人で」
 雨の襲来を受けた六人、リョーコを中心に毎度の如く毎度の展開。
雪が降ろうと雹が降ろうと、それこそ槍が降ろうとも。
おそらく変わらぬに違いない――



     F  I  N

683:名無しさん@ピンキー
08/09/06 02:18:33 EsbBMXAD
GJ

684:名無しさん@ピンキー
08/09/06 07:06:48 EskWVHYK
埋めよう

685:名無しさん@ピンキー
08/09/06 07:25:22 0MCX07OM
ピンキリ氏、いつも乙です。

686:名無しさん@ピンキー
08/09/06 17:20:39 pBk42r8i
恒例のしりとりいくかい?
天草シ「ノ」

687:名無しさん@ピンキー
08/09/06 21:16:51 EsbBMXAD
ノーブラのケイとナツミ

688:名無しさん@ピンキー
08/09/06 21:54:42 pUEVhLpr
「見たわね、いやらしい目で!」
ナツミの鉄拳制裁を正面から受け止めるカズヤ

689:名無しさん@ピンキー
08/09/06 22:38:36 EskWVHYK
ヤらせろ!
とは決して言わない氏家漫画のイケメン男性主人公たち

「ち」

690:名無しさん@ピンキー
08/09/07 06:31:23 7lqsOJlr
『痴漢プレイで朝から濡れ濡れですか…』

『ちげーよ!!本物にあったの!!』

自身の痴漢体験をマナカにエロボケにされ、ツッコミを入れるアキ。

『キ』

691:名無しさん@ピンキー
08/09/07 08:25:49 tKbF3MoN
「今日の議題:今一度校内恋愛について再考する」

シノがホワイトボードにこう書いた時、生徒会室の空気はピリッと張り詰めたものになったのをタカトシは感じた。

『た』

692:名無しさん@ピンキー
08/09/07 11:39:13 26LLYY7B
「他校と比べる…と言っては何だが、この校則はいささか厳し過ぎると思う。
 共学化になった今、この校則のせいで学業に支障がでれば困ったことになる」

シノは言う。

『う』

693:名無しさん@ピンキー
08/09/07 15:00:53 W6rRLklL
「うん、そうね。
でもいきなり校内恋愛を完全許可してしまうと風紀が乱れてしまうわ
まずは同性間の恋愛を許可して様子を見ましょう」

と言うアリアの意見が可決

694:名無しさん@ピンキー
08/09/07 19:05:24 W6rRLklL
「つかこれ女子校時代からの校則だったんですか」
「深く考えてはだめよ」
↓スズヘッド

695:名無しさん@ピンキー
08/09/07 19:25:55 Zgq13TGc
百合は好きだからどんどんやってくれて構わない

696:名無しさん@ピンキー
08/09/07 20:51:10 7lqsOJlr
五十嵐カエデ乱入してきて一言↓

697:名無しさん@ピンキー
08/09/08 07:19:26 uPm80/1A
とりあえず今すぐこの学校は女子校に戻すべきです!
「す」

698:名無しさん@ピンキー
08/09/08 18:52:54 UxSyudkF
スズが一言↓

699:名無しさん@ピンキー
08/09/09 02:59:19 52SSUzs5
「とりあえず津田、なんかつっこみなさいよ」

「よ」

700:名無しさん@ピンキー
08/09/09 05:43:20 s1GVo1EH
「よ、欲求不満なのか、萩村は?」シノ脳に毒された
タカトシであった。
「た」

701:名無しさん@ピンキー
08/09/11 07:17:12 7//gPHpX
「叩かれたい?」
スズ、きれる


る↓

702:名無しさん@ピンキー
08/09/13 18:39:21 slOWEUoL
留守中に楽しそうな話になってるわね
横島登場




703:名無しさん@ピンキー
08/09/16 00:15:03 5zuAhf1V
『うっちゃり!!』
続いて乱入しようとしたムツミが前で道を塞いだナルコを突き飛ばす。
『柔道部なのに何故相撲!?』
ツッコミをいれるタカトシ。


『シ』

704:名無しさん@ピンキー
08/09/21 23:26:33 FW1uzYCC
しからばまた次スレが終わる頃に会いましょう

黄金期とはいかずとも、再びスレが賑わいを見せる日が来ることを祈って

705:名無しさん@ピンキー
08/09/26 20:19:45 diu3+45/
手が遊んでいるぞ!

706:名無しさん@ピンキー
08/09/29 02:44:21 VWrfq4Q4


707:名無しさん@ピンキー
08/09/29 23:53:44 MefsI9zy
テスト

708:名無しさん@ピンキー
08/10/05 10:34:04 B2f041Z7
埋め

709:名無しさん@ピンキー
08/10/05 11:38:04 YSh/Vep3
産め?

710:名無しさん@ピンキー
08/10/05 15:19:57 f8lbDSt0
シホ

711:名無しさん@ピンキー
08/10/05 21:03:08 5e/l/IGw
うめええええええええええ

712:名無しさん@ピンキー
08/10/12 06:36:20 V+1PjhZD
うめ


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch