【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】at EROPARO
【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】 - 暇つぶし2ch550:名無しさん@ピンキー
08/08/25 17:38:58 l8CIcGsF
思春期のケイの苗字が不明なので郭氏が暫定的に「木佐貫ケイ」にしたことも以前あったな
キョウコからケイ、マリアからアリアの例もあるように名前とかは結構氏家マンガじゃ適当だからなあ
畑さんの名前も下手すりゃずっと不明のままかもしれないw

とにかく応援してますよボルト氏!
これからもがんばってエースを目指してください!

551:名無しさん@ピンキー
08/08/26 00:29:55 2UYsxJ0l
>>549
ボルト氏ガンガレ!

552:ボルト
08/08/26 21:11:43 nDULRpRZ
どうもボルトです。
後編が完成しました。
スルー対象ワードは
「ややクーデレ?」
「微エロ」
です。
では『a photograph 後編』を投下します。

553:ボルト
08/08/26 21:13:01 nDULRpRZ
 
……………
 
 畑から,呼び出しのメールを貰ったタカトシ。幸い今日は,生徒会の仕事も無かっので放課後は適当に時間を潰し,新聞部へと向かって行った。
 新聞部の前に着いたタカトシは,不安に駆られながらも,観念したかのようにドアを叩いた。
「…津田ですけど,畑先輩いますか?」
「――待ってたわよ,中にどうぞ」
「…失礼します」
「いらっしゃい。あ,ちゃんと鍵を閉めてね」
 そう言われるとタカトシは部室の鍵を掛ける
「そこの椅子でいいから座ってくれる?」
 タカトシは言われるがままに椅子に座る。
 タカトシの前に立った畑は写真を片手に話を始めた。
「約束通り来てくれたという事は,私の言う事を聞くと受け取って構わないわね?」
「…はい。皆には迷惑をかけられないです。オレ一人が我慢すればいい事ですから…」
「正しい判断よ。じゃあ早速,一つ聞いてもらいましょうか」
「…分かりました。何をすればいいんですか?」
「まず目をつぶって。そのあと,手を膝に当てて,軽くかがんで」
「…これでいいですか」
 軽く中腰になるタカトシ。
「そうよ。そのままじっとしてて」
 畑の言われたままにするタカトシ。すると抱き付かれた感触があった。
「ん……ちゅっ………ちゅっ…んふっ…」
 さらに口元に何が柔らかい物が当たっている。
 タカトシは薄目になると,目の前の光景に驚く。畑の唇が自分の唇と触れ合っていたのだから。

554:ボルト
08/08/26 21:13:52 nDULRpRZ
(畑先輩がオレにキスをしている!)
 タカトシは思わず目を見開く。
 それに気付いた畑は,そっと唇を離して,
「駄目よ。目を閉じてなきゃ。ばらされてもいいの?」
 畑にそう言われると,タカトシは頭の中が混乱しながらもゆっくりと目を閉じた。
(急にキスをするなんて…何で?畑先輩は何でオレに……?)
「んっ……ちゅ……ちゅっ,……ん……んふっ……」
 優しく唇が触れ合うだけのキスをする畑。
「…ちゅっ……ちゅっ……んふっ……んふぅん………」
 暫くすると,畑は舌を入れてタカトシの口の中を無理矢理こじ開けていく。
「ちゅっ……ちゅるっ,じゅじゅ……ちゅぱっ……はふっ,んふっ……れろれろっ…」
(……!?…舌が入って来た!)
 更に予想もつかない行動に,思わずタカトシは口を離して距離をあける。
「ぷはっ…はー,はーっ………嫌っ,離れないで。……お願い,このまま続けて」
「…でも,急にこんな事…」
「……約束でしょ?」
 タカトシよりも背の低い畑は上目使いでそう答える。
 
………ぷつっ
 
 普段は一度も見せた事の無い畑の行動に,タカトシは理性が弾け飛んでしまった。
 今度は自らキスをして,舌を口の中に挿し入れていく。
「…ちゅっ,ちゅっ…………じゅるっ……ちゅぱっ……ちゅぱっ…………」
「…ちゅぱっ……ん,んんっ……じゅじゅっ……ちゅっ,ちゅっ………」
 舌と舌を絡ませる程,激しいキスをする二人。お互いの唾液が相手の喉を通っていく。息をするのも忘れたかのように二人はキスを続けていた。
 やがて息が続かなくなったのか,二人は同時に離れて大きく息を吸った。
「ふー,ふーっ………ふぅ……ふぅ…」
「はぁはぁはぁっ……はーっ……はー……はぁ……」
 すると互いに目があった二人。息を整えているのにも関わらず,二人は再び口づける。
「……ちゅっ…ちゅっ,じゅじゅじゅっ……ちゅぱっ,ちゅっ……ちゅっ………」
「………じゅっ…じゅるじゅるっ……れろっ……れろれろれろっ……ちゅぱっ…」

555:ボルト
08/08/26 21:14:38 nDULRpRZ
 
…………
 
 それから何分経っただろうか?5分ぐらいだろうか?だけど二人にしてみれば時間の流れはとても緩やかに感じただろう。
 
…………
 
「…気持ち良かった?」
「…はい,でも何で急にこんな…」
「まだ気付かないの?意外と鈍い所があるのね。実はね,私………あなたの事が好きなの」
「はい……………………はいっ!?」
「好きになったのは,あなたに初めて出会った時からよ。
 あなたの事を考えてたら,胸が張り裂けそうなほど好き。
この写真だって本当はあなたの写真を撮ろうとしたの。でも会長と二人で傘を差してるなんて思わなかった。気付いたらシャッターを押していたわ。………見て」
 そう言うと,畑は机から写真の束を取り出した。その数は裕に百枚以上はある。それらは全てタカトシの写っていた写真だった。
「軽蔑した?私が隠し撮りするような人だって」
「…知らなかったです。先輩がオレの事を好きだったなんて。
 本当の事を言うとオレも先輩の事が気になっていました。最初に会った時は正直変な人だなと思っていました。
 けど,先輩が生徒会に来る度にだんだん好きになってしまって。告白しようと考えていた時もありました。
 だけど副会長として校則を破る訳にはいかなかったから,それが出来なかったんです…」
「…嬉しい。お互いそう想っていたなんて。……校則の事は分かっているわ,でも一緒にいたいの。ただ,津田君の側に居たいの。それだけでいいの」
「…こんなオレなんかでいいんですか?」
「うん…」
「分かりました。オレも一緒に居たいです……これから宜しくお願いします,畑先輩」
「ありがとう津田君。…ねぇ,もう一つお願いがあるの。二人でいる時は下の名前で…『タカトシ君』って呼んでいいかしら?」
「…構いませんよ」
「…ありがとう。嬉しい」
 そう言うと二人はお互い顔を見合わせたまま,口を近づけて行き,再び濃厚なキスを始めた。
「……ちゅっ,ちゅぱっ……じゅじゅっ……ちゅっ………んふっ,………んんっ………」
「……ちゅるっ……ちゅっちゅっ……じゅるっ……じゅじゅじゅっ……んふっ……ちゅぱっ………」

556:ボルト
08/08/26 21:16:47 nDULRpRZ
 
…………
 
 新聞部の中をずっと見続けている人がいた。七条アリアだった。その手には部室の鍵が握られている。
 タカトシの様子が気になったのか後を付けていると,新聞部の中に入っていく様子が見えたので,生徒会室から鍵を取りに行き,再び戻って鍵を開け,ドアを数センチ開くと,まさに濃厚なキスの真っ最中だった。
(あらあら~こんな事になっていたなんて。…本当はいけない事なんだけど,二人の為にもシノちゃんには黙っておきましょう)
 そう心に思うと,そっと鍵を掛けて新聞部から離れて行った。
 
…………
 
「ごめんね,脅したりして」
「………いえ,オレを脅して下さい。一緒に居ないと写真の事をばらすぞって」
「……………ふふっ,うふふっ」
「…………ははっ,あはははっ」
 お互いに笑い出す。
「ねえタカトシ君,もう一つお願いがあるの」
「何ですか?先輩」
「写真を撮ってもいいかしら?今まで,あなた一人の写真しか撮ってこなかったから,今度は二人で一緒に写りたいの」
「…もちろんですよ先輩」
 
 そう言って畑は写真の準備をする。
 タイマーをセットしてタカトシの側に近づいていく――

557:ボルト
08/08/26 21:17:36 nDULRpRZ
 
………………………
 
 畑は一枚の写真を見ていた。
「先輩~,柔道部の取材に行くんでしょ~,先に行ってますよ~」
「ごめんね,今行くから」
 新聞部の後輩が急がすように畑を呼んでいる。
 畑はその写真を自分の机の中にそっと入れて部室を出て行った。
 
 片やタカトシも一枚の写真を見ていた。すると,
「津田,ぼっとするな。早く柔道部の応援に行くぞ」
「すみません,会長。今行きますから」
 シノに怒られたタカトシは慌てて準備をして出て行く。もちろんその写真は大切にカバンの中に入れている。
 その横でアリアが優しく微笑んでいる。
 スズは呆れたような顔をしていた。
 
…………………………
 
 二人が見ていたその写真は,タカトシと畑が仲良く寄り添っている写真だった。
 
 この先,二人の関係はばれるかもしれない。
 だけど,二人にとってそんな事は関係なかった。
 この写真のように,どんな事があっても二人仲良く居続けようと心に誓うタカトシと畑だった。
 
FIN.

558:ボルト
08/08/26 21:27:25 nDULRpRZ
これにて『a photograph』完結になります。
今回が初めてという事で苦労する所が多々ありましたが,何とか完成することが出来ました。
これも皆さんの激励があったからこそです。ありがとうございました。
また,>>501さんにはSSを書くきっかけを作って下さって,特に感謝してます。

さて,次回作ですが,生徒会3人娘の誰かor今回のアフターストーリー的な物を予定しています。
個人としてはSSは生徒会一本に絞って書こうと思っています。

最後まで読んで下さった方々,ありがとうございました。<(__)>

559:名無しさん@ピンキー
08/08/27 00:17:27 SjRg3uLM
乙です

最近久々に濱中読み直したら、ミサキが可愛い過ぎる件について

560:名無しさん@ピンキー
08/08/27 00:30:15 I6ot0m2h
ぼけーっとしてたらいつのまにやら新作が来ていたので驚いた
ボルト氏にGJ!

561:名無しさん@ピンキー
08/08/27 01:57:42 ozMyDO/P
ボルト氏GJ
これからのさらなる成長を期待してます!

562:501
08/08/27 08:54:23 kE1Geh99
ども、ボルト氏GJです。
個人的にはこの後畑さんがタカトシにシノちゃんに興味示さないようにとか言って
タカトシの(3文字ほど自主規制)を手や口で慰めるって展開を考えてたのですが
あんまり暗いのも氏家先生の漫画には合わなそうだしと思ってましたが、元ネタの
ようにほのぼのした感じでまとめて下さって嬉しいです。次回作も楽しみにしてますよ。

563:名無しさん@ピンキー
08/08/27 16:56:03 OmZgT5Yw
ボルト氏GJ!
今後に期待してますよ!

ペピトーン氏→Y-275氏→ボルト氏→ピンキリ氏→ボルト氏ときて、
さあいよいよ郭氏がマウンドにあがるのか

564:名無しさん@ピンキー
08/08/27 20:19:40 gNhoBaQL
ベテランと若手が良い感じで噛み合ってきた!


565:名無しさん@ピンキー
08/08/28 07:26:17 liwqmCj2
ボルト氏GJです!
次回作も期待していますよ。

566:名無しさん@ピンキー
08/08/28 12:09:27 XZ7OxzzD
濱中世代ではなく生徒会世代の職人参入か、感慨深いぜ
こうして歴史は流れていくんだな

567:ボルト
08/08/28 15:12:23 zLxPOfql
どうもボルトです
もう一つ訂正を
>>537の畑さんのメールで
写真部→新聞部です

どうしても写真部と新聞部がごっちゃになってしまいます
最初は畑さんは新聞部じゃなくて写真部の設定でしたっけ?

568:名無しさん@ピンキー
08/08/28 16:10:28 zuXF0nNp
どうだっけ、切り抜いて持っておいたらよかったなあ>マガスペ初期分

569:名無しさん@ピンキー
08/08/28 17:05:32 vFnbM7Hu
生徒会役員共1巻買えよww

570:ボルト
08/08/28 17:14:43 zLxPOfql
まぁ,次の投下の時によく確認します。
その投下ですが,予告通り,畑さんとの話の後日談的な物を構想中で,
話の流れはほぼ決まったので,2~3日後には投下します。
……あと,1巻はちゃんと発売日に買いました。

571:名無しさん@ピンキー
08/08/28 20:52:47 NZSny2Gf
>>567一番最初だけ写真部でした。
2回目登場以後、単行本は全部新聞部ですが。

572:名無しさん@ピンキー
08/08/29 12:05:15 q8M6j5un
訂正も氏家漫画のお約束だな

573:郭@出張帰
08/08/29 17:43:05 0nlBYPWB
はい、どうも郭でおま。前スレラスト近くでブツ切りになってた、
アキ×タカトシのミクスチュアSSと、マサヒコ×ミサキのアフターSSを投下します。
NGワードはどちらも「途中、エロこれから」です。
では、投下。

574:郭@出張帰
08/08/29 17:43:40 0nlBYPWB
「………」
「……………」
『ブルー・ドラゴンズ』を出てからも、しばし無言のままのアキ&ヒロキ。
が、ふたりの間に気まずい空気が流れているというわけでもなかった。
(先輩………確かに、マジで感謝なんすけど、その)
(井戸田さんは、確かに悪い人じゃない感じだけど、でも)
ふたりとも、どちらが話を切り出して良いものやら、タイミングを手探りしている状態なのであった。
しかし、ようやく。ちょっとぎこちなく微笑んで、アキが口を開く。
「………面白い人でしたね、中村さんって」
「あ、中村先輩のこと?あははは。ま、長い付き合いだと面白いだけってわけにもいかないんだけど」
「なんだか、井戸田さんも思いっきり遊ばれてる感じだし」
「あた!やっぱバレてるよね?矢野さんの言うとおりで反論できないのがつらいけど」
「でもカッコいい人でしたね。センスも良いし、お店も良い感じでしたし。なんて言うか、自由人って感じで」
「はは、他の人には内緒だよ?ああ見えて先輩、つい最近までいつつば銀行に勤めてたんだ」
「え?ほ、ホントですか?いつつばって言ったら、私でも知ってるくらいの超大手銀行じゃないですか!」
「うん。しかも総合職で、エリートコースだったんだけどね。結局上司と大喧嘩して辞めちゃったんだ」
「………もったいない」
「その辞めるときのセリフが傑作でね。俺も人から聞いた話なんだけど、
『アンタみたいな金勘定しか考えてない男の下で、これ以上働けるかっつの。
だいたいクチ臭いんだよ、このセクハラオヤジ』
って言って思いっきり辞表をその人の顔面にぶつけたんだって」
「す、すごいっていうか。マンガみたいですね」
「でもさ、ひどいと思わない?“金勘定しか考えてない男”って、銀行員にそれ言っちゃおしまいじゃん」
「……確かにそうですけど。でも、いるんですね、そんな人が実際に」
「無茶苦茶やってるみたいだけど、こっからがあの人の凄いところでさ。
実は銀行員やってた頃に、株の勉強をして相当儲けていたらしくて。
その資金を元手にあの家を親戚の人から借りて住居兼自分の趣味の店にしたってわけ」
「??あそこに住んでるんですか、あの人」
「そ。二階もこれまた自分の趣味の空間にしちゃってね。
自分で作った陶器とか、気に入った画家の絵とかを飾ってあるんだよ」
「へえ~~~すごい。でも、それで生活ってできちゃうんですか?
雑誌とかで取り上げられてるくらいだから繁盛してるかもしれないですけど、
今日見てみたらホントに思いっきり趣味のショップって、感じですし」
「ん?それなりに大丈夫みたいだよ。最初はそりゃなんていうか、常連さんばっかだったらしいけど。
それにね、あの店の収入って、服とかグッズだけじゃないんだよ」
「???他に何が………あ、ネット通販とか??」
「ま、それもあるみたいなんだけどね。ほら、あの店にCDとかおいてあったよね?
ああいうインディーで活動してるバンドやシンガーのライヴを企画したりしてるんだよ。
そういう人らって、熱心なファンがついているとかで、客入りも結構良いらしくてね」
「へえ~~~すごい!」
感心した顔で、アキが呟く。それはどこか、中村への憧れが入り混じった表情で。
(ああ良かった、話繋がって………しかし、今回だけは先輩にマジ感謝だな。
ていうか、いつも振り回されてるし、これでもマイナスのような気が)
そんなことを思いながらまた苦笑するヒロキだが、気付けば結構歩いていたのだろう。
いつの間にか、目的の店の近くまで来ていた。
「矢野さん?ここなんてどうかな?」
「あ!はい。こ、ここで良いです!」
慌てたように、アキが頷く。ほどよく古びた煉瓦造りの看板に、白い漆喰の壁。
そこは、ちょっと大人っぽい感じのするカフェだった。

「えっと、じゃ、もう一回自己紹介しておこうか。俺は井戸田ヒロキ、23歳。
レイ・プリンセス事務所でスカウト兼マネージャーをやってます。担当は、トリプル・ブッキング」
「………私は、矢野アキと言います。小笠原高校の一年生です」
ヒロキがチャイを、アキがアイスティーを注文した後、ふたりはお互い照れたように見つめ合う。
その雰囲気は、やはり初々しい恋人同士のようだった。


575:郭@出張帰
08/08/29 17:45:51 0nlBYPWB
「井戸田さん?聞いても、良いですか?」
「?なにかな、矢野さん」
「なんで、私に声をかけたりしたんですか?」
「そりゃ、目立ってたからだよ」
「?私、そんなにキョロキョロしてました?」
「違うよ。一応俺もスカウトなんでね。“目立つ”ってのは、そういう意味じゃなくて。
そうだな、一目見ただけで印象に残るっていう感じかな。矢野さんも、そうだったんだ」
「印象に?」
「うん。『ブルー・ドラゴンズ』を探してたときの矢野さんなんだけど、
君の周りだけちょっと空気が違ったって言うか。それで、思わず声をかけたってわけ」
「………あんまり、良く分らないです」
「あはは、そりゃ自分じゃ分らないだろうね。芸能界の仕事をしてて思うのはね、
単にキレイな子とか可愛い子とかってのは、表現は悪いけどいくらでもいるんだよ。
ただそういうモデルどまりの子と、タレントになれる子ってのは空気が違うんだ。
矢野さんに、俺はそれを感じたってことなんだけど」
「い、いきなりそんなこと言われても、私」
「はは、ゴメン。そりゃビックリするよね?ま、俺もこんな風に言ってるけど、
正直一目見ただけじゃ分らないことも多いんだよね。でもさっき、
『ブルー・ドラゴンズ』でアクセサリーを手にしてた矢野さんを見て、俺、間違いないって思ったんだ」
「??なにが、ですか?」
「君にはね、そういう空気って言うか、オーラがあるって思ったんだ」
「??あの、私、良く男っぽいとか言われるんですけど」
「俺は、それがまた良いと思うんだけど」
「え?」
「怒んないで聞いてほしいんだけど、初めて君を見たときは確かにちょっとボーイッシュっていうか、
そんな感じだと俺も思ってたんだ。でもあのときの矢野さんは、
すごくあのショップの雰囲気にしっくりきてて。なにより………すごくキレイだった」
「!」
ヒロキの言葉に顔を赤らめるアキだが、ヒロキは真剣な表情で彼女に語りかけていた。
「人気の出る子っていうのはね、そういう意外性っていうか、ドキっとする要素を持った子が多いんだ。
それに君は男に媚びた感じもないから、同性からの人気も出ると思う。そんな風に、俺は思ったんだ」
「…………」
ヒロキは語り終えると、アキを見つめる。アキは戸惑いながら、思っていた。
(井戸田さんが、悪い人じゃないってのは分るし、怪しいスカウトとかじゃないのも分るけど………)
「あの………井戸田さん?もうひとつ、聞いても良いですか?」
ふっと思い付いたことを、アキは口にしていた。
「え?う、うん」
「井戸田さんは、なんで、そういうお仕事をしているんですか?」
「へ??な、なんでって???」
「なんとなく、思ったんです。井戸田さん、すごくお仕事に熱心っていうか。なんでかな、って」
「…………え~~~っと」
はぐらかすために聞いたのかな、と思ったが、アキの目は真剣なものだった。その強い視線に――
(はぁ~~~やっぱりキレイだな、この子)
つくづくと、ヒロキはアキという素材に惚れ込んでしまっていた。
だから。つい、話してしまっていた。自分の心の奥にしまっていたはずの、『あの』ことに。
「ヘンなこと言うようだけど俺ってさ、学生時代勉強もスポーツもそこそここなせる方だったんだよね」
「…………?」
「んでね、その、自慢するみたいだけど、女の子ともそれなりに付き合ったりして」
「ふふ、なんとなく分りますよ。モテそうですもんね、井戸田さん」
「あた。からかわないでよ。でも大学に入ってからそういう自分が全部ダメになるようなことに出会ったんだ」
「?なんですか」
「笑わないでね?失恋しちゃったんだよ」
「!?」
「大学のいっこ上の先輩でさ。俺の方から惚れて、告白して、付き合うようになったんだけど。
でも、ある日言われたんだ。『本当は、好きな人がいる、もうヒロ君とは付き合えないって』」


576:郭@出張帰
08/08/29 17:46:55 0nlBYPWB
「………それって」
「最初はそりゃキツかったけど、フラれたことだって一回や二回じゃないし、
そのうち忘れちゃうだろうって思ってたんだ。でもね、ダメだった。
その人のことを見かけるだけで死ぬほどつらくてさ。どんどん自分が無意味でダメな奴みたいに思えてきて。
うん、我ながらすごくショックだった。その人にそこまで惚れていたってことにもショックだったし、
自分がそんなに情けない奴だったってこともショックだった。それでね、ホント情けないけど……
引きこもりみたいになって、結局親に黙ってまま大学も辞めちゃったんだ」
「え!」
(…………俺、なんでここまで)
ヒロキは自分に驚いていた。中村以外の人間に、身の上話をこんなにも語ったことは、無かった。
しかし、今初対面のアキに向かって自分はかつて無いほど饒舌に―止まらず、話しかけていた。
「もうアパートとコンビニの往復だけみたいな感じの生活になってさ。それまで仲良くしてたつもりだった奴らも、
こっちから連絡しなくなったら全く切れちゃってさ。そんでもう、本当にこのまま俺、
ダメになるって思ってたときに…………助けてくれたのが、中村先輩だったんだよ」
「!さっきの人が?」
「うん。そんな状態が三ヶ月も続いた頃にね、突然俺の部屋を訪れてきて。
俺がフラれたその人とも中村先輩は仲が良かったから、正直会いたくなくってさ。
居留守を使おうとしたらいきなりドアを蹴り飛ばして入ってきて。
ゴミだらけの中で死んだふりをしてた俺をいきなりぶん殴ったうえに、
『いい加減甘ったれるのは止めたら?もう起きる時間だろうが』って言ったんだよ」
「ほ、本当に、すごい人なんですね、中村さんって」
「はは、そうでしょ?それから俺をたたき起こして、町に連れ出してさ。
気付いたら中村先輩の知り合いの芸能事務所に連れてかれて、バイトさせられてたってわけ。
「はぁ……………で、今そこの会社で働いているんですか?」
「ううん、違うんだ。ま、そこの社長がすごく良い人でさ。最初はチラシ配りとか、
そんな仕事ばっかやってたんだけど。そのうち俺、スカウトの仕事をやってみたくなって。
ちょうど知り合いの事務所でスカウトを探してるから、って社長が今の事務所を紹介してくれたんだ」
「で、でも元引きこもりからスカウトって、大丈夫だったんですか?」
「あはは、そう思うよね?俺も最初は人の目を見るのもイヤだったのに、なんでって思ったんだけど。
でも事務所で働いているうちにさ、人と一緒に頑張るのって良いなって思えるようになったんだよ」
「………?」
「前の事務所の先輩がさ、自分でアイドルとかバンドを見つけてきて契約して、
その子たちと一緒に頑張って仕事をしてるのを見ててさ。そういうの、良いなあって。
なんていうか、そうだね、毎日が学園祭みたいな感じなんだよ」
「??学園祭」
「うん。ホラ、学園祭ってみんなで一緒に頑張って準備して、当日すげえ忙しかったりして、
でも終わった後、楽しかったりするじゃん?もちろん地味な仕事もいっぱいあるんだけど、
この仕事って毎日がそういう準備とお祭り当日みたいなところがあってさ」
「…………へえ」
素直に感心するアキ。しかし、ヒロキはひとしきり話した後、苦笑いを浮かべて、言った。
「………って、でもこんな話面白い?」
「面白い……って言ったら、井戸田さんに悪いですけど。でも、
すごく井戸田さんが真面目な人なんだってことは、わかりました。あの、作り話とかじゃ、無いですよね?」
「違う違う。こんな話、今までスカウトしてきた子どころか、ウチの事務所の誰にもしたことないよ。
あ~~あ、なんで俺、君にこんな情けない過去を話しちゃったんだろう」
気まずそうな表情のヒロキだが、アキは、むしろ。
「………井戸田さん?」
「あ、ゴメンね、矢野さん。やっぱキモかった?」
「あの。もう一回、考えさせてもらっても良いですか?」
「え?」
「決めたわけじゃないんですけど………私の………友達とも話したいんです」
「!!!良いよ!良いよ、全然OK!なんなら今度その友達の子と一緒に会おうか?」
「え?い、良いんですか?」
「もちろんだよ。だって中にはご両親と同席で話をしたいって子もいるくらいだからね」
「あの、私、親はまだ」


577:郭@出張帰
08/08/29 17:48:25 0nlBYPWB
「あ、それはそういう子もいるってことで。とにかく、いつでも連絡してよ」
(やった!脈有りじゃん、アキちゃん!)
スカウト失敗と思っていたヒロキだが、アキの言葉に心が躍るのを隠せなかった。
アキはそんなヒロキを微笑みながら見守っている。
(………わからないけど。でも、お祭りかぁ。私、お祭り好きだし)
その後、ふたりはアキの高校生活やその友人の話題でひとしきり盛り上がり、カフェを後にした。
「でも………良いんですか?私、おごってもらちゃって」
「あはは、大丈夫。これもスカウトにとっては必要経費だから」
「すいません。ごちそうになります」
(ま、ホントは自腹なんだけど………今日は、いっか)
なにせ今日はアキという久々の逸材に出会えたのだ。ヒロキは上機嫌だった。
「じゃあ、またね?って言っても良いんだよね?矢野さん」
「あ、はい。連絡は、します。今日は……色々、ありがとうございました、井戸田さん」
「うん、待ってる。それじゃ、気をつけてね」
駅までアキを送った後、彼女の後ろ姿が人混みのなかに吸いこまれていくのを見つめていた。
アキの背中が消えてしまったあと、ヒロキは――心の中に穴があいたような気持ちになっていた。
そういう気持ちになったのは、久しぶりだということに、気付いていた。
(…………アイさん)
写真も、メールも、全部捨てたはずだった。それでも、その携帯の画像だけは、消去できず。
しかし、あれから、見る勇気も無く、ただ保存してあった。
ヒロキは、なぜか、今日なら。あのことがあってから、初めて。
それを、見ることが出来るような気がして。
携帯を開いて、フォルダを。
(……………………)
ふたりで撮った、画像だった。そこには笑顔のふたりが、いた。
(女々しいかな、俺って)
久しぶりに見るその画像の自分は――せいぜい三年程度前のはずだが、随分と幼い感じがした。
そして、ヒロキの隣には混じりけのない笑顔のアイがいた。
(……………バカだな、俺)
携帯を閉じて、淡い後悔と共にそう思った。本当は、分っていた。まだ、彼女のことが好きな自分を。
それなのに、なぜ今、自分がそれを見る気になったのか。見ることができたのか。
それがとても不思議なことだと思いながら、ヒロキはしばし町の空を見上げていた。

「で?どうなの、アキちゃんは?」
「どうって………話だけは聞いたんだけど、えっと、まだ迷ってるっていうか」
「アキさんの場合はまずグラビアでしょうけど」
「………勝手に決めつけるなよ」
さて、舞台は変わって城島家では、今日のヒロキとのことをマナカナコンビに相談するアキの姿があった。
「怪しいスカウトとかじゃ、ないんだよね?アキちゃんの体目当てとかの」
「う~~ん、正直初めは疑ってたんだけど、そんな感じの人じゃなかったのよね」
「具体的にその井戸田って人はどんな感じの人だったんですか?」
「話しかけてきたときはチャラ男っぽい感じだな、って思ったんだけど。
でもなんていうか、話してみると人が良さそうっていうか」
「それが作戦とか?」
「やっぱり私、だまされてるのかな?」
“ガチャ”
「はい、どうぞ。お茶入ったよ」
「ねえねえお兄ちゃん、アキちゃんってすごいんだよ!」
「あ!こ、コラ、カナミ!」
「矢野ちゃんが、どうしたんだ?」
「実はですね、アキさんがタレント事務所にスカウトされたんですよ」
「へえ~~~すごいじゃん、矢野ちゃん」
「………そんな、すごくなんてないですよ」
顔を赤らめるアキの様子をニヤニヤしながら見ると、カナミはシンジの隣で耳打ちした。
「お兄ちゃんは、どうなの?」


578:郭@出張帰
08/08/29 17:49:34 0nlBYPWB
「ん?なにが?」
「アキちゃんが、グラビアアイドルとかになって水着とかきても平気?
きっとアキちゃんのことだから、すぐに人気が出ちゃうよ~~~~」
「!だ、だからカナミ、私別に決めた訳じゃ」
「はは、照れなくてもいいじゃん、矢野ちゃん。スカウトされたってのはやっぱすごい事だと思うし」
「…………シンジさんは」
「え?」
「私が、グラビアとかやっても………その、良いと思います?」
「えっと………そうだな、分らないけど、なんとなく嬉しいような恥ずかしいような気持ちになるかな。
だって妹の友達の子が水着で雑誌とか出るわけだもんね」
「…………そう、ですか」
微妙な表情のアキと、彼女の気持ちも知らず、のほほんとした様子のシンジ。
そんな二人を見ながら、マナカナコンビはひそひそと囁き合う。
「相変わらず鈍いですねえ、シンジさんは」
「女心ってのが分ってないよねえ………だからあの年まで童貞なんだよね」
「コラ。お前らなに言ってるんだ?」
「「な~~~んでも、ありませ~~~ん」」
(ふぅ…………)
三人のやりとりを見ながら、アキは内心溜息をつくのであった。
「ねえね、それはともかく。さっきマナカちゃんとも話したんだけどね。
どうせ付き添いで行くならみんなで行くってのはどう?アキちゃん」
「え?」
「私たちだけじゃなくて、ショーコさんや金城さんにも声をかけたいんですよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。そんな、大人数じゃ」
「アキちゃん、言っておくけど冷やかしとかじゃないよ?私たちだけじゃなくて、
ショーコちゃんやカオルちゃんにそのスカウトって人を見てもらって品定めするのも重要だと思うんだ」
「私たち全員を納得させることができるくらいの方なら、アキさんを任せても大丈夫だと思いますし」
「で、でも」
「ダメだよ、アキちゃん!」
「?なによ?」
「これは冗談じゃなくね。アキちゃんは私たちの大事な友達なんだから。
怖いスカウトにひっかかって、危ない目にあわせたくないの。いくら相手が変なことを考えていても、
1対5ならビビると思うし。あとね、もしものときのことを考えて、お兄ちゃんにも来て欲しいんだ」
「え?お、俺?」
「!シンジさんにまで、そんな」
「アキちゃん、備えておいて悪いってことはないんだから」
「カナミさんの言うとおりです。チンが一、ではなく万が一相手が実力行使にでたときのために、
シンジさんにも待機してもらっておけば万全です」
「だから、マナカ。井戸田さんはそんな悪い人じゃ」
「いいえ!アキさんにもしものことがあってはいけません!」
「いや、ま、どうせ暇だから俺は良いんだけど」
「…………すいません、シンジさん」
「それじゃ当日の作戦とか、私たちで考えておくからね♪」
「さ、作戦?」
「ええ。当日のことは私たちに任せて下さい」
(…………なんていうか)
(…………逆にすごく不安なんだけど)
顔を見合わせるアキとシンジだが、マナカナコンビは実に真剣な様子で。
「じゃ、おにいちゃん、アキちゃんを送ってあげて♪」
「へ?」
「そうですね、アキさんはデビュー前の大事な身なわけですから」
「あのさ、一応私もその作戦とか聞いておかなくて良いの?」
「いいえ。こういう場合、主役であるアキさんはむしろ何も知らない方が良いのです」
「そういうもんなのか?」
「ええ。シンジさんには後で作戦をお伝えしますが、アキさんは自然体でいて欲しいのです」


579:郭@出張帰
08/08/29 17:51:18 0nlBYPWB
「はぁ………ま、じゃ、任せるけどさ」
暴走特急状態のマナカナにすっかり諦めモードのアキは腰をあげてショルダーバッグを手にした。
「じゃあ送ってくよ、アキちゃん」
「あ、別にいいんですよ、シンジさん」
「いや、どうせスーパーで今日のおかずの材料買ってこないとだし」
「そうそう。今日は『エロリスト天国』の発売日だし」
「そっちのおかずじゃねーーーーーー!!!!!」

「あの………すいませんね、シンジさん」
「ん?いや、こっちこそゴメンね、矢野ちゃん。またどうもカナミが暴走してるみたいでさ」
いつもながらの城島家を後にしたアキとシンジは、夕暮れの町を歩いていた。
「カナミもマナカも私のことを真剣に心配してくれてるんだと思います。ただちょっとズレてるだけで」
「あはは、その通りなんだけど、ちょっとじゃ済まないことが多いから困るんだよね」
「ぷっ。そうなんですよね」
苦笑するシンジとアキ。それは、ふたりが散々経験してきたことで。
「でも、本当にすいません。なんだかシンジさんまで巻き込んじゃって」
「いや、俺だってアキちゃんを危ない目に遭わせたくはないからね。全然OKだよ」
「あの…………シンジさん?」
「?なに?」
「さっきも聞きましたけど……もしもですけど、私がタレントになったりしても、良いって………思います?」
「矢野ちゃんなら、大丈夫だと思うよ。しっかりしてるし、そこらのアイドルに負けないぐらい可愛いし、
スタイルもいいしさ。はは、本人の目の前でこんなこと言うのもなんかアレだけど」
「…………そんなこと」
「ま、カナミたちの言ってることもまんざらデタラメじゃないと思うよ。
矢野ちゃんも心配だろうけど、ショーコちゃんや金城ちゃんにも来てもらえば心強いだろうし」
「それは………確かに、そうなんですけど」
「あ。矢野ちゃん、見なよ」
「え?」
シンジの目線を追うアキ。そこには、夕暮れにぽっかりと浮かぶ、白い月があった。
「キレイだよね。夜のお月様も好きだけど、俺、こういう夕方のお月様も好きなんだ」
「私も、好きです。なんていうか、儚い感じがしますよね」
「儚い………そうだね。なんとなく、消えちゃいそうな感じがするよね。あ、もう矢野ちゃんちだね。それじゃ」
「あ、はい」
シンジは軽くアキに手を振ると、矢野家を後にしていった。その後ろ姿を――
「…………………」
アキは、少しだけ切ない気持ちで見送るのだった。
(………………意気地なし)
心の中で、そう呟いていた。
それが果たして今目の前から去っていった青年のことを指しているのか。
それともそれは自分のことを言っているのか。
自分の言葉にもかかわらず、それがアキには分らなかった。

「わ~~~い、アキちゃんの言うとおり、イケメンさんなんだね、井戸田さんって!」
「ふむふむ。確かに少々チャラ男っぽくはありますが、合格点ではありますね」
「あ、私はチョコパフェ追加でお願いしま~~す」
「ちょ、ちょっとショーコ、あんたいくらなんでも」
「いいじゃん。どうせこの場は会社持ちなんだろうし。金城も頼めば?部活帰りだから小腹空いてるっしょ?」
「え~~~~じゃ、私もフローズンヨーグルト」
「…………………すいません、井戸田さん」
「ははははははは…………は。良いんだけどさ」
日と舞台は変わってとあるファミレス――そこでは、予定通り思春期メンバーが勢揃いしており。
それはそれは、姦しいことこのうえない状況になってしまっていた。
女子高生パワーの前に完全に圧倒され、ヒロキは力無く笑うしかなくて。
(しかし…………別の意味で、すごいな)
しかし、ヒロキもただ圧倒されているわけではなかった。しっかりと、今日集まったメンバーを観察していた。


580:郭@出張帰
08/08/29 17:52:23 0nlBYPWB
(普通は可愛い子の友達っていうとその子よりはレベルが落ちるもんだけど、今日は打率十割じゃん。
アキちゃんの友達って、みんなすぐにデビューできそうなくらいな子ばっかだ)
クールビューティのショーコ、ネコ系美少女のマナカ、長身スレンダー美人のカオルと、
確かにアキの友人という子たちは皆タイプは違えど美少女ぞろいなのであった。
(でも俺的にはこの子かな、ちょっと声をかけてみたいのは)
中でもアキと一番仲の良さそうなカナミという少女が、ヒロキは気になっていた。
(もちろん他の子も可愛いんだけど、この子はなんていうか、素材の良さが際だってるな)
くりっと大きな瞳が印象的な正統派美少女だが、表情にはどこか悪戯っぽさがあり、
それがなんとも男心をくすぐる感じだった。
「ホラ、カナミさん。井戸田さんが獣のような目であなたを見ていますよ。気をつけないと」
「!!!ちちちち、違うって!」
「きゃ~~!ねえねえアキちゃん、私もアキちゃんと一緒にAVデビューが決まりそうだよ!」
「そんなもんにデビューせんわああああああ!!!!」
「あのねえ…………」
(しかし………なんかこの子からはシホの匂いがするのが気になるんだが)
微妙にイヤな予感のするヒロキだが、このままグダグダモードでいるわけにもいかず、話を切り出した。
「まあ、友達も連れてきてよって言ったのは俺だから、別に良いんだけど。
改めてみんなにも自己紹介しておくよ。俺の名前は井戸田ヒロキ。
レイ・プリンセス事務所でスカウト兼トリプルブッキングのマネージャーをやってます」
「え!」
「井戸田さんってTBのマネージャーだったんですか!」
「アレ?このこと話してなかったの?矢野さん」
「あ、そう言えばみんなに話してなかったかも」
「ええ~~~早く言ってよ、アキちゃん!私シホちゃんの大ファンなんだよ!」
「私もカルナちゃんのファンなんだ!ウチの学校でも人気あるんだから」
「でも、それは本当なんですか?」
「ん~~っと、そうだな…………これで証拠になる?」
そう言うと、ヒロキは携帯の待受画像を5人の前に見せた。そこには。
「!わあ!」
「すごい、ホンモノだ!」
「確かにこれを見せられては否定できませんね」
「ていうか、なんだか井戸田さん、これって」
「言わないでよ。俺だって気に入ってるわけじゃないんだから。あの子たちがこれを待受にしろって言うから」
その画像では、シホとカルナがヒロキの両腕に抱きつき、
さらにユーリがヒロキに肩車され、三人とも笑顔で――もとい、
カルナだけは例のしかめっ面で、ピースサインをしていた。
「ふ~~ん、仲が良いんですね、マネージャーとタレントって」
「仲が良いっていうか、これはウチのHP用にいろいろ写真を撮っていたときの試しカットでさ。
なぜか三人ともこれを気に入って、で、無理矢理PCから落して待受にされたってわけなんだけど」
「でも良い笑顔ですよ、シホちゃんもユーリちゃんも。カルナちゃんはちょっと違うけど」
「カルナちゃんって普段はこんな感じなんだよ。悪気は無いんだけどね」
「へえ~~、でもマジだったんですね」
4人の空気が一気に変わったのを感じたヒロキは、ここぞとばかりに畳みかける。
「じゃ、俺が本物のスカウトだって信じてもらえたみたいなんで、本題に入らさせてもらうよ。
え~~っと、みんな矢野さんと同じ高校の友達なのかな?」
「私だけ違いますけど」
「金城さんだけ別なんだ?ま、それはおいといて。ここでもし矢野さんにOKをもらっても、
それですぐにデビューってわけじゃないんだ。矢野さんのご両親にも挨拶をさせてもらって
許可をとらないといけないし、学生の場合は学校にも話を通さないといけない。
一応俺も調べさせてもらったけど、小笠原高校は公立高校だよね?」
「あ、はい」
「そんなに厳しい学校じゃないようだから大丈夫だと思うけど、学校側からダメ出しされる場合だってある。
そういう場合は、その子が学校を卒業するまで待って契約するってこともあるんだよね」
「へえ………意外に真面目というか」
「キチンとしてるんですね」


581:郭@出張帰
08/08/29 17:53:57 0nlBYPWB
「はは、芸能界ってすごく適当なトコロに思われてるけど、一人の社会人としてプロ契約するわけだからね。
その子の周りにも筋を通さないと、後々トラブルになることだってあるし。
ウチはそんな大手じゃないけど、そのあたりはキチンとしてもらってるんだ」
「はあ~~~すごい世界に行くことになるんだね、アキは」
「あのね、だからまだ決めた訳じゃ」
「でも聞いている限りではしっかりした話のようですし」
「アキちゃんの言うとおり、井戸田さんも変な人じゃないみたいだし」
「こ、コラ、カナミ!」
「あはは、ま、良いって。そう言うわけだから、もし矢野さんが今日OKしてくれたら、
次はウチの事務所で社長と話をしてもらって、納得してもらえればご両親に挨拶って感じかな。
とりあえずこんな感じなんだけど、他になにか質問はあるかな?」
「え~~っと、ぶっちゃけアキはいくらくらい貰えるんですか?」
「あのねえ、ショーコ。アンタ、ぶっちゃけすぎ」
「でもそれも重要な話だよね。がっかりさせるみたいだけど、最初はアルバイト程度の金額になると思うよ」
「え~~~そんな~~~、アキちゃんが体を張って頑張ってるのに………」
「まだ張っとらんわぁぁぁ!!」
「初めはね、雑誌のエキストラモデルとか、そんな地味な仕事をコツコツこなすしかないんだ。
そういう歩合給にプラス基本給なんだけど、それだけだと普通のOLさんくらいの収入にしかならないよ。
ある程度人気が出て声がかかるようになればそれなりの収入にはなるけど」
「それでも高校生にしたら、結構な額なのではないですか?」
「うん、でも普通のバイトよりはマシってくらいかな?トリプルブッキングだっていきなり売れたわけじゃなくて、
最初の頃の仕事は地方の小さなイベントとかばっかりだったしね」
「はぁ…………芸能界も大変なんだね」
「ただ、そうした期間も暇なわけじゃないよ。芝居とかダンスとか歌のレッスンを受けてもらって、
その子の適正を見ないといけないし」
「え!」
「そんなこともするんですか?」
「もちろん本人が希望すればだけどね。小池マイちゃんなんかも初めはグラビアだったけど、
芝居の方に元々興味があった子だからそっちのレッスンを増やしていって、
今は完全にドラマ方向にシフトしている訳だし」
「小池マイも同じ事務所なんだ!」
「あの子キラ~~~イ!裏表あるって噂だし」
「男女関係の醜聞が絶えない人でもありますね」
「あはは………こりゃ手厳しいな。そんなに悪い子じゃあ無いんだけどね。
ま、それはともかく。俺の考えとしては矢野さんの場合、初めはモデルとかをこなしてもらって、
それから矢野さん自身の希望や適正を見ながら次のステップを決めていくって感じかな」
「へ~~~え、時間がかかるんですね」
「ん、まあね。一人のタレント育てるのには結構な時間とお金がかかるのが実際の話なんだよ」
「でもこう見えてアキさんは歌も結構お上手ですし」
「運動神経も悪くないよね?」
「それになんといっても………うう………巨乳だし」
「おまけに処女だし」
「頼むからそういうことをこういう場所で言わないでよ、ショーコ」
ショーコの発言に顔を真っ赤にして慌てるアキだが。
(ていうか今否定しなかったよな?し、処女なんだ、アキちゃん?)
ヒロキは思わず飲みかけのコーヒーを吹き出しそうになっていた。
「で、さあ。アキちゃん、ここまで井戸田さんにも説明してもらったわけだし。アキちゃんとしては、どうなの?」
「え?」
「そうですね。アキさん自身のお気持ちをそろそろ聞いてみたいといいますか」
「私も、アキがどうしたいのか聞いてみたい。どうなの?」
友人達に促され、言葉につまるアキだが――ゆっくりと、話し始めた。
「マナカみたいに将来やりたい夢も特にないわけだし、とりあえず進学できればって考えていたくらいだし。
そういう仕事が………自分に向いているかどうかも分かんないけど、
でもやってみても良いかな、って思ってるのが本当の気持ち、なんだけど………」
「ほ、本当?矢野さん」


582:郭@出張帰
08/08/29 17:55:27 0nlBYPWB
アキ×タカトシ、今回は以上。続いてミサキ×マサヒコ、ほんのさわりですが投下。

583:郭@出張帰
08/08/29 17:56:09 0nlBYPWB
「お?よ~~~っす、ミサキじゃん」
「あ!中村先生!」
場所は東が丘駅前のとある大型書店のレジ、ときは晩夏の昼下がり――
天野ミサキと中村リョーコは、偶然の出会いを喜んでいた。
「メールだけはしょっちゅうだったけど」
「会うのは久しぶりですもんね。わぁ………嬉しいです」
「なはは、そんな風に喜ばれるのもアレなんだけどね。あ、そっか。ミサキも夏休みか」
「はい。平日にここにいるってことは、中村先生もお休みなんですか?」
「そ。ま、今日は休日出勤の代休なんだけど」
「やっぱり、忙しいんですね」
「まあまあ、そんな顔しないでよ。社会人ともなれば、それなりにね。それはともかくさ。
久しぶりに会ったんだし、ちょっとお茶しない?」
「あ!はい!」
「へへ、ミサキをナンパしちゃった♪」
「?な、ナンパって、中村先生?」
「だってさっきの私の誘い方さ、いかにもって感じだったじゃん。あはは」
「もう………相変わらずですね!」
苦笑気味のミサキと笑顔のリョーコは、駅前のスターバックスへと足を運ぶのだった。
「へぇ~~~、しかし金本先生まだ独身なんだ?」
「あ、はい。あんなにキレイで優しいのに不思議ですよね」
「うん、ウチらの頃も生徒に人気があったし、絶対モテるはずなのになんで?って言ってたんだけど」
学生生活の話に花が咲くリョーコとミサキ。歳こそ離れてはいるが、
このふたりは同じ高校の先輩と後輩であり自然と共通の話題も多い。
元はと言えばリョーコは的山リンコの家庭教師であり、
ミサキはそのリンコの友人にしか過ぎないという関係だったはずなのだが、
その後読者ご承知のとおり、ミサキの思い人である小久保マサヒコとリョーコの後輩である濱中アイを通して
ふたりもいつの間にか親しくなり――中学卒業後の現在でも、
頻繁にメールのやりとりをする仲になっていた。
「ところでさ?ミサキ。どう?マサとは、順調?」
「!あの………はい、おかげさまで、はい」
突然話題を振られてちょっとしどろもどろになってしまうミサキだが、
リョーコは意外にもふざけた表情ではなかった。
「うん、なら良いんだけど。ゴメンね?あの後直接そういうことに触れたメールがこなかったから、
逆に気になっちゃって。順調ならそれで良いし、話したくなければそれも別に良いんだけど」
「…………………」
リョーコの話を聞きながら――無言で、ストローを啜るミサキ。
その表情は、むしろ言葉よりも饒舌に彼女の心情を語っていた。
それくらいのことが分らぬリョーコではなかったが、少し無言でいることにした。
(別に………からかう気も、意地悪してる気もないんだけどさ)
こう見えてリョーコは姉御肌というか、自分を頼ってくる人間を放っておけないタイプである。
ミサキからのあのメールに対しても、普段のエロボケを封印して誠心誠意答えた、つもりだった。
「あの………中村先生。本当は、相談しようかどうか、迷ってたことが、あるんです」
たっぷり3分ほども沈黙が続いただろうか。ようやく決意したのか、ミサキが言葉を発した。
「今日は別に暇あるから聞いたげるけど?なに?」
「………ちょっと、そういう話だから、えっと」
「あ~~、そうね。んじゃ、私の部屋に来る?」
「え?良いんですか?」
「こういう女子トークってのも久しぶりだしね。午前中に掃除したけどまだちょっと片づいてなくて良ければ」
「すいませんけど………中村先生がよろしかったら」
「ん、OK。じゃ、行こうか?」
「はい………あ!そんな、支払いくらい」
「良いって良いって。社会人になってから使うところもないし、こんくらい奢らせないさいって」
「………あの、すいません」
「ミサキ?」
「は、はい?」


584:郭@出張帰
08/08/29 17:57:34 0nlBYPWB
「そういうときは、ありがとう、で良いのよ?」
「はい!ありがとうございます!」
「うん、OK」
にっこりと笑顔になると、リョーコが伝票を手に席をたつ。
彼女の背中を見つめながら、ミサキはその後を追うのであった。

「はいよ、ミサキ。パックの紅茶くらいしかなくて悪いけど」
「そんな、全然」
「で、単刀直入に聞くけど、マサとの間でなにがあったわけ?初体験は、上手くいったんだよね?」
「!…………あの。はい」
ミサキが頬を赤く染めてリョーコの言葉に肯う。
「相談されたから一応確認させてもらうけど、避妊はキチンとしてくれた?」
「大丈夫です。マサちゃんもしないとダメだって自分から言ってましたから」
「うん、そのあたりはマサらしいね。初体験だと特に流れでしちゃうことが多いから。
妊娠の危険も高くなるし、本当は初体験こそしっかり避妊しないといけないんだけどね」
「はい。最初中村先生にあれを渡されたときはびっくりしましたけど………」
「おせっかいだとは思ったんだけどね」
「いつもの冗談だと思ったんです。でも、中村先生すごく真剣だったから」
「アンタ達の場合はお互いが好きあってるのは分ってたし、そうなるのも時間の問題だと思ってたから。
なおさら初めてで悲しい目にあって欲しくなくってさ。あはは、なんだかガラにもないことしちゃったけど」
「いいえ、本当にありがとございました」
ぺこり、とミサキが頭を下げる。少女の金色のつむじを、照れくさそうに中村は見つめていた。
「ズバリ聞くけど、じゃ、アンタの悩みはなんなの?マサが冷たくなったとか?
マサがからだばっかり求めてくるとか?変な体位でしたがるとか?」
「そんなことは、ないんです。マサちゃんは優しいし、変なことをしようなんてしないし。
あの………むしろ、その逆っていうか」
「?逆」
「私、マサちゃんが分からないっていうか………優しいのは良いんですけど、
私からしようって言わないと全然そういう素振りもみせないし。それに………あの」
「ま~~マサって元々淡泊な方だからなんとなく想像はできるけど」
「中村先生はするとき、声って出ます?」
「p:♯*???はぁ???」
「私はすごく声が出ちゃうんですけど、マサちゃんは全然声を出さないんです。
するときもすごく冷静だし。私なんて恥ずかしいくらい乱れちゃうのに。もしかしたら、
気持ち良いのは私だけで、マサちゃんは気持ち良くないのかなあって思っちゃうんです」
「あ、あのねえ、ミサキ」
「中村先生にしかこんなこと聞けないんですけど……男の人って、あんな風なんですか?
それともマサちゃんやっぱり………」
(これは…………しかし)
性の猛者・リョーコも爆弾発言連発のミサキにさすがに呆れてしまっていた。
恋愛に対して少女的な幻想を抱いている感のあったミサキだが、
マサヒコとの初恋が実り初体験までを順調に経過した結果、
どうもその幻想が妙な方向へと向いてしまったようだ。
(う~~~ん、だったら他の男としてみれば、とも言えないわよね)
真剣に思い詰めた表情のミサキにからかう気も失せたリョーコは、慰めるように言った。
「まあさ。あくまで私の経験だけど、男ってあんま声出さないと思うわよ。
それにアレって女の方が痛みも快楽も男よりずっと上だって言うし」
「でも、男の人ってしてるときにあんな悲しそうっていうか、切なさそうな顔になるんですか?」
「ん~~~それは多分、出すのを我慢してる表情じゃないかな」
「そうなんですか………」
「それにねえ、ミサキ。まあアンタの性格を考えたらちょっと難しいかもしれないけど。
直接マサに聞いてみるってのも手だよ?本当に信頼しあうパートナーになりたいならさ、
そういうことをふたりで相談し合うことも大切なことだと」
「聞いてるんです。でも、マサちゃん、『気持ち良かったから、大丈夫』って言ってくれるんですけど、でも」
(はぁぁぁぁ………この子のば~~い、これが惚気じゃないから困るのよね)


585:郭@出張帰
08/08/29 17:58:27 0nlBYPWB
ミサキの暴走状態に珍しくまともな回答を返し続けているリョーコだが、
相手がその上をいってしまうのだから始末に負えなかった。
「まあ、さ。高校も別になったし、マサと一緒にいる時間も少なくなっただろうから、
不安になるのも分からないじゃないけど。アイツを信用しなさいって」
「信用は、してるんです。でも………」
ミサキの様子を見ながら、リョーコは彼女が抱えるもうひとつの不安を見抜いていた。
(マサは浮気なんてするタイプじゃないけどね。でもこの子が不安になるのもちょっと分かるかな)
中学三年の頃から背が伸び始め、徐々に少年の面影が消えて男っぽくなってきていたマサヒコ。
ミサキの恋愛フィルターを抜きにしても、彼が魅力的な青年へと成長しつつあるのは中村も認めるところで。
(マサは性格も良いし、顔も良いわけだしね。リンも言ってたけど、学校でも人気あるみたいだし)
「だってマサはミサキのこと、大切にしてくれてんでしょ?それに不満はないんでしょ?」
「それは、そうですけど。でもやっぱり不安になるんです。
私とマサちゃんじゃ、本当は釣り合わないんじゃないかとか思っちゃって」
「お世辞を言うつもりもないけどさ。ミサキだって十分可愛いと思うよ?」
「………私なんて、可愛くないです。今だってマサちゃんのこと疑うようなこと言ってるし、
若田部さんみたいに美人でスタイルが良いわけでもないし」
それだけ言うと下を向いて沈黙してしまうミサキ。
リョーコはポリポリと頭を掻きながら、言葉を探すしかなかった。
(う~~~~ん。なんていうかなぁ。そういうわけか)
もともとミサキに自分を卑下する癖があるということは、リョーコも承知していた。
しかし、今のミサキの心にはそれ以外にも──
友人である若田部アヤナの存在が、小さな影を落としているようだった。
(アメリカに行く前にアヤナがマサヒコのことを嫌いじゃないって言ったっていうのを、
ま~~だ気にしてるわけね、この子は)
そのことは、ミサキからもアヤナからも聞いていた。
それはアヤナなりのミサキへの励ましであり、友情だったとリョーコは思っていたのだが。
どうもミサキはリョーコと違う風にとらえているようだった。
(でもミサキだって本当に可愛い子だと、私は思うんだけどな)
高校に入ってから大人びてきたのはマサヒコだけではない。
ミサキも幼さが消えはじめ、少しずつ大人びた女性としての魅力が備わりはじめていた。
顔立ちはもともと美少女然としたアイドル顔だったのだし、
細かっただけのからだもどこか丸みを帯びた女性的な肉体に変化しつつあるように見えた。
(セックスを経験すると女は変わるって言うけど、ミサキも………あ、もしかしてこの子は?)
ふと、気がついた。なぜ、こんなにもミサキがマサヒコとのセックスにこだわるのかを。
(自分に自信がないから、相手の男にせめてセックスで満足して欲しいって思っちゃって、
だけど満足してないって勝手に思いこんで不安になってるわけ?
あちゃあ~~~それって一番ダメになるパターンじゃん)
肉体の対価として心を縛り付けようとするのは、恋愛で一番失敗しやすい例である。
恥ずかしながらリョーコにも、そうした時期が無かったわけではない。
(う~~~ん、これは案外根が深いかも)
らしくなく、考え込んでしまうリョーコ。彼女のそんな様子を見て、少女は申し訳なさそうな声を出す。
「すいません、中村先生。変なこと相談しちゃって」
「ううん、いいんだけどね。ねえ、ミサキ?ここまで話したから、ぶっちゃけ聞いちゃうけど。
マサとのセックスで、アンタは気持ち良いんだよね?」
「あ!………はい。それは、ホントです。でも、私だけ気持ち良いのが」
「ストップ!それは、良いから。てことは、マサが気持ち良くなってくれてるかだけが気になるんだよね?」
「………はい」
「そっか。でもねえ~~~私がアンタたちのしてるところを見るとかしない限り、
マサが本当に気持ち良くなってるかなんて、分からないからねえ」
「それ、お願いしても良いですか?」
「へ?」
「中村先生に、見て欲しいんです。私たちが、してるところを」
「ちょ、ちょっとミサキ?」
「こんなことを頼めるのは中村先生しかいないんです。私たちのセックスが大丈夫なのか、
マサちゃんが気持ち良くなってくれてるのか、見てくれませんか?」


586:郭@出張帰
08/08/29 17:59:52 0nlBYPWB
以上、今回は2編とも寸止めでしたが次回はなんとか。
では股。

587:郭@携帯
08/08/29 19:43:16 Kq0qgahg
あ、さっそく気付いた。
タカトシじゃなくアキ×ヒロキでしたね。失礼ぶっこきました!

588:名無しさん@ピンキー
08/08/30 00:10:12 5vQPSIEC
郭氏夫婦乙です

ヒロキが好きだった人=アイ=アイが好きな人=マサヒコですかな?

589:名無しさん@ピンキー
08/08/30 07:37:44 tCoUfCCc
郭氏キタ━━━━━━!!
GJ&乙!

590:Y-275
08/08/30 13:35:00 oaHwTYw/
住人、職人、保管庫管理人の皆さんこんにちは。
前回投下の続きもの、シノ目線でのSS投下します。
スルー対象ワードは

『エロゲー』
『展開強引』



591:Y-275
08/08/30 13:36:22 oaHwTYw/

『早くしないと私とスズちゃんで津田くんのこと独占しちゃうよ?』

先日アリアに言われたことを思い出す。

1学期。私は自身の思いを、戸惑いを親友の彼女に相談した。
彼女は手助けをしてくれると確かに告げてくれた。
はずだったのだが気付けば津田とアリアは…

考えるだけで私の胸は張り裂けそうになる。
別にアリアのことを恨んではいない。
むしろ、『大切なことはヤリたいときにヤること。』などと言う言葉を振りかざし、積極的に私と津田に関係を結ばせたがる。
きっと、彼女は悪気はないだろう。
そして、彼女なりに私の背中を押してくれているということなのだと思う。
しかし、だからこそ戸惑ってしまう。

そう頭に考えを巡らせながら私は何気なくPCのモニターの選択肢をクリックする。
画面は切り替わり、私がお気に入りのヒロインのルートへと話は流れていく。
相手を一途に思いやり。
主人公と共に成長していく少女。
どこか甘酸っぱくて、切なくて、でも、そんな日々の中で輝く彼女は凄く可愛くて…
そんな彼女を思う主人公の思いに私は憧れを抱いた。
私もこんな風に思ってもらえたら…
そう思い、画面を流れる文章を読む。
造られた物語は進行していく。現実に生きる私達のように。

私が心から欲しているのはこのゲームのような心温まる純愛。
その昔ジャケ買いして後悔した所謂抜きゲーのような展開ではない。

しかしながら現実はどうも私の望みなど叶えてくれるような意志はなさそうだ。
私の好きな人はハーレムルートへのフラグを立てることにかけて天賦の才を発揮するらしい。
それでもこの想いは変わらない。今日も溢れ出して私を満たしていく。
アリアの言うように気軽に関係を結べるのならば苦労などしない。

………………………………

592:Y-275
08/08/30 13:38:09 oaHwTYw/
『さて、今日も会議始めていくぞ。』

最近の生徒会室の空気は正直言って微妙だ。
というよりあまりよろしくない。
アリアは相変わらず微笑みが多い。津田はなんだか落ち着かずそわそわと。萩村はむっつりと黙り込んでいる。
このような空気になってしまっている理由を私は把握している。逐一アリアが報告してくれるからな。
だからこそ私の心も陰ってしまう。
私は一つため息を吐き出す。
それでも会議は進行し、雑務も行う頃になるとそれぞれがそれぞれの仕事をこなしていく。
なのだから私もそれに習い書類の入った段ボールを持ち上げ…
きれずに私はバランスを崩した。

"グキッ"

耳からは一番遠い場所からのはずなのに強く自覚できる嫌な音と強烈な痛みが走る。

『…いっつ…』

『大丈夫ですか?会長!?』

津田が駆け寄ってくる。

『あ、ああ…』

私は生返事を返す。

『全然大丈夫そうじゃないですね…七条先輩、会長を保健室に連れていって良いですか?』

『そうね。私達はそれぞれの仕事があるし、津田くんお願いできるかしら?』

『はい!』

そういって、私の肩を抱く津田。
思わずドキリと胸が高鳴る。
生徒会室からの去り際ふと振り返って見たアリアはウィンクをしていた。

………………………………

『ただの捻挫っぽいですね。』

津田が私の足を冷やしながら呟く。その手際の良さはかなりのものだ。
それにしても校医が普通にいないとは思いもしなかった。おかげでこうして津田が私の怪我を見てくれているのだが…

593:Y-275
08/08/30 13:39:24 oaHwTYw/
『手慣れた物だな。』

津田が先程から私の足に触れるのがくすぐったくて私は言う。

『中学時代はサッカー部でしょっちゅう捻挫してましたからね。』

『いや、女性の身体に触れるのがなんだが…』

『ええ~~…なにそれ』

『まぁ、冗談だ。ありがとうな、津田。』

私のおふざけにもきちんと答えてくれる。
おかげでいくらかは私の緊張も解れるというものだ。
だからこそ、こいつとの距離感は心地が良い。それに、

『はい、これで処置は完了ですよ。』

黙々とすべき事はきちんと行う津田は頼りになる。
だからこそ、気付けば私はこいつが好きになったのだ。
本来ならば生徒会長という立場上校則違反など、あってはならないこと。
だからこそ、自分を厳しく律して来た。

『ほんとにありがとうな…』

自らの思考の流れの中で強く津田を意識してしまった為か、まともに津田の顔を見ながら言うことが出来ない。

『大丈夫ですか?』

そんな私に津田が問い掛けてくる。

『なにがだ?』

『いや、最近ずっと元気なさ気なんで。』

ふむ、どうやら、津田なりに感じるものはあったらしいな。
だが、事の原因が自分であるということに気づかないのは鈍感というかなんというか…

『まぁ、少々考え事をな。』

私は短く息を吐き出す。

『だから普段の会長にしてはらしくない怪我をしたんですか。』

らしくない…か、確かに最近はそうとられても仕方が無い気がする。
しかし、私とて完璧なわけではない。
恋だってするし、自分の体型にコンプレックスだって抱く。
私だって一人の女子高生なのだ。

594:Y-275
08/08/30 13:40:44 oaHwTYw/

『言って気が楽になるなら言ってくださいね。解決は出来無くても、力になれるよう努力ぐらいはしますよ。』

本人にその気は無くとも、こんなだから私は心配せざるを得ないのだ。
基本的には良い奴で、何気なく周りに気を配れる。
だからこそ、アリアや萩村は…
そして、彼女達は既に一歩先に踏み出していて、津田には十分に意識されている。

『それなら、私の話を聞いてくれるな。』

『はい。』

そんな状況が悔しくて、腹立たしくて、自分の意識とは関係無しに言葉は溢れ出していく。

『どうやら、私は恋をしてしまったらしい。そいつは凄く優しくて、気もきく。そんなだからライバルは多い。』

『はい。』

短く津田が相槌をつく。
それを受けて私は続ける。

『既に2人ほどと関係を結ぶ直前までは行ったらしい。』

『はぁ…』

『それ以来、その2人の変化と、そして、彼女達を意識してそわそわとしているそいつが嫌でも目につくわけだ。』

『…………』

もう、津田は何も答えない。いくら鈍くてもここまでいえば思い当たるのだろう。
だから思い切って私は直接的に告げる。

『私は津田、お前に恋をしてしまったんだ。』

『…………』

なおも津田は何も答えない。

『もうここまで言ってしまったのだ、お前の気持ちを聞かせてもらおう。』

………………………………

『俺は…』

歯切れ悪く津田はそれだけを呟く。

『………………』

私は無言で津田の顔を覗き込む。

『2人にシてもらったことは、いずれちゃんとしようと思ってます。』

声を掠れさせながら津田は呟く。

595:Y-275
08/08/30 13:42:00 oaHwTYw/

『なんて言うんでしょう、2人とは確かにそういう事はしましたけど、ここまでストレートに言われたのは初めてで、どう答えたものなのか…』

『ふむ。』

私は一つ相槌をつく。津田の戸惑いもよく分かる。
同時に煮え切らない津田を見ているとアリアの言った事もなんとなく理解できる気がする。
『ヤリたいときにヤること。』つまりは難しく考えるよりかは先に進んでしまえということか。
なるほどな。と私は思う。
それならば、この場で津田の返事を待つことよりも直接津田の身体に問いかけてしまう方が早い。
それで、事に及べるのであれば、津田の心の中に少なからず、私の居場所はある。

『津田。』

『はい?』

私は津田に呼び掛けると首に腕を回していく。

『ちょっと、会長!?』

『津田は私とシたいか?』

一言だけ呟くと、目を閉じて、津田に何も言わせまいと私は津田に唇を押し付ける。
そのまま舌で津田の唇をこじ開け侵入すると、自らの舌で津田の舌を絡め取り、しばらく感触を味わっていく。

『ぷは…』

息が苦しくなって、私は唇を離す。
頭が呆けて来ているのが自覚できる。
そのまま首に回していた手を津田の背中に回すと津田を巻き込みながら腰掛けていたベッドへと倒れ込む。

『会長?でも、俺、2人と…』

津田の言いたい事は解る。

『構わないさ。理解した上で私は津田に抱かれたいと思う。津田の事が好きだから。津田の気持ちを知りたいから。嫌か?』

596:Y-275
08/08/30 13:43:41 oaHwTYw/

すぐ側にある津田の瞳を見据えながら私は津田に問いかける。

『…嫌じゃないです。』

『そうか。』

まだ若干の戸惑いの色を見せながら、津田は私の制服へと手を伸ばしていく。
前を開き、スカートを捲りあげる。
ブラを押し上げ、ショーツをさげていく。

『妙に手慣れてないか?』

『そうすかね?』

『やっぱり、津田はエロいな。』

『否定は出来ないです。』

まぁ、それはそうだろうな。実際にここまでしておいて否定も何もないだろう。

『それじゃあ、会長しますね?』

『あぁ、初めてだから優しく頼む。それと…下の名前で呼んではくれないだろうか?』

もうこれから事に及ぶ、既に素肌を晒した状況なのに、何でこういうことを言うときは恥ずかしいのだろうな。

『わかりました、シノ。出来る限り優しくします。これで良いですか?』

『シノ』下の名前で呼ばれることはなんと甘美なのだろう。
私はうっとりとしてしまう。

『あぁ、頼むぞ、タカトシ。』

だから、少しでも津田…タカトシも私と同じ気持ちになってくれれば良い。
そう思い私は彼の名前を呼んだ。
………………………………

津田は丁寧に私の身体にキスの雨を降らせていく。

その度に私は、

『んっ、くっ、はっ…』

等と短い息を漏らしていく。
タカトシの唇は肩、肩甲骨を中心に時には耳や、首筋、うなじなど私の弱いところを中心に動き回っていく。
手の平も私の太ももや下腹部等かなりぎりぎりの所を撫で回すように動き回る。
正直言ってかなりの快感を私に与えてくるのは確かで、気を抜くと

『ん、あっ、あん…』

自分でも驚くほど艶やかな声を上げてしまう。
私の身体はこんなに敏感だっただろうか?
相手がタカトシだから。
私はそう思い込むことにする。
正直言って思考は快感の波にのまれつつある。

『ん、あっ、ん、タカトシ、もっと…』

597:Y-275
08/08/30 13:45:27 oaHwTYw/

呆け始めた頭ははしたなくもさらにタカトシを求めていく。
それに答えタカトシの愛撫にも熱がこもってくるのがよく解る。

『んあっ、…ん、ふっ…あぁ』

熱のこもりはじめたタカトシの愛撫に私は声をあげていく。

『ん!あっ、あぁっ、ふっ!!』

そんな私の反応に気をよくしたのか、タカトシが直に私の胸に触れはじめる。
思わず、びっくりしたような声を私はあげてしまう。
ただ、肌を撫でられていた時とは違う、身体に熱を与えてくるような快感が私を飲み込んでいく。

『ふっ、んんっ、あっ、…ん、あ、タカ…トシ…』

そんな快感を堪えきれなくなり私はタカトシの名前を呼ぶ。
タカトシは私の呼びかけに答えるようにあいた手で私の手を握るとキスをしてくる。

『んあっ…ふっ、んん、…んっ、ちゅっ、むう、ふぁぁ』

私の心が満たされていくのがはっきりと解る。
快感の中で不安げに揺れていた私の心はこの行為でとろとろに溶かされていく。
この人に身を任せても大丈夫。
この人から与えられる快感になら身を任せても大丈夫。
本気でそう思えた。

………………………………

『それじゃ、俺、そろそろ…』

私の身体の隅々まで、愛撫したのち、タカトシは告げてくる。
愛撫に身を委ね、嬌声をあげ、
膣に指を挿れられ、異物感に苛まれながらも、優しくキスをしてくれたタカトシのおかげでそれは快感になった。
恥ずかしくも私の膣は既に愛液でしとどに濡れそぼっている。

598:Y-275
08/08/30 13:46:25 oaHwTYw/

『あぁ、良いぞ…でも、』

私は一度言うのをためらってしまう。
それでも口から出かかった言葉をもう一度飲み込むことなど不可能に近い。
ましてや後は本番だけと火照りきった身体とその熱に呆けたこの頭では。

『…もう一度、抱きしめて、もう一度、キスをして、もう一度、名前を呼んで…』

もう一度、安心が欲しかった。
確かにタカトシの中に私はいるから、身を任せても大丈夫だという安心が。
それとともに身体だけでなく、心までも満たしていく、あの甘美な快感が欲しかった。

『わかりました。シノ…』

『ちゅっ、んっ、ふっ、んっ…』

敬語なのに呼び捨て。
物凄く違和感があるはずなのに、私の心には安心が広がっていく。

『それじゃ…』

『挿れて…』

唇を離したタカトシが告げるよりも先に私は言う。
その言葉にタカトシは一つ頷くと私を抱きしめたまま、ゆっくりと膣に体重をかけてくる。
"ズズッ"
丹念な前戯の甲斐があってか、挿入されるペニスが愛液と音を立てているのが良く解る。
幸い痛みは無い。ただただ、膣内は熱を伝えてくる。
その熱が自身の物なのか、タカトシの物なのか等と考える余裕は無い。
考える必要も無いと思う。
このまま、2人の熱が混ざり合ってしまえば良い。

『シノ…』

ふと呼ばれた声に私は目を開く。
目を閉じ、膣から血を流す私は相当痛々しかったらしく、タカトシはペニスを全て挿入した後、動き出さずに、ただ、ただ、抱きしめて待っていてくれた。

599:Y-275
08/08/30 13:47:20 oaHwTYw/

『…ん、あっ、あぁ、大丈夫だ。動いても。幸い…ん、熱いだけで、あ、ん、痛みはほとんど無い…』

声を出してみて私は驚く。
痛みが無いことに嘘はない。
ただ、異物感に私の声は自然と掠れる。

『わかりました。でも、キツかったら言ってくださいね。』

そう言って、タカトシは唇を合わせてくれる。
それだけで充分だった。
"ズズッ、ズッ、ズッ…"
室内に響くくぐもった、どこか粘着質な水音とともにタカトシが腰を動かしていく。

『あっ、んっ、はあっ…!ふあっ、ん、ん、あ、つッ……!』

私の膣に鈍い痺れと熱が広がっていく。

『あっ…あっ、ん、ふ、はぁ、ん…』

やがてそれは疼きへと変わり…
"ズチュ、グッ、ズッ、ズチュ…"

『あ、あっ!ん、は…はぁ、ん!あっ…』

快感へと変わっていく。

『ん!あっ、あっ、はっ!ん、あぁぁ!タカトシ、ん!…はっ、もっ…と!!』

その快感が私を飲み込んで、私は先をねだる。
やがて、タカトシのピストンは力強い物へと変化していき、再奥の膣口を叩いていく。

『ふああぁぁぁっ!!んっ!ふっ、それ…良い!!っあ、ふ、ん、ああぁぁ…』

自分でもはしたない声だなと思う。
それでも、快感の前に追い詰められている自分自身にはこれが限界なのだ。

『あっ、あぁぁぁ、ん、あっ、ふぁ…ん!あぁぁぁぁ!!ん………!!』

嬌声が室内に響き渡る。
呆気ないほど簡単に私は達してしまった。

………………………………

600:Y-275
08/08/30 13:48:27 oaHwTYw/

『んっ…ふぅ…はぁ…』

『シノ…』

絶頂の余韻からか未だ息の調わない私を心配そうにタカトシが覗き込む。

『ふふ…大丈夫だ…タカトシ、それより…』

『?』

私の言葉にタカトシは疑問を浮かべる。
いくらか余裕の出てきた頭はその先を促す。

『タカトシの上に乗りたい…ダメか…?』

『騎乗位ですか?』

『いや、座位だ。』

自分の中で強い憧れのある体位。
その体位で今度は挿れたい。
私は自分の考えを津田に伝える。

『わかりました。』

そう言うやいなや、私の背中に手を回し、タカトシが私を自らの胡座の上へと招く。
そこからストンと自重で挿入されるペニスから再度強い快感がもたらされる。

『くッ、あっ、あっ、ふあっ!!』

再度膣口を叩くペニスの感触と、伝わる熱で私は再び軽い絶頂を味わう。

『大丈夫?』

タカトシは不安げな表情を見せる。

『んっ…ふぅ…はぁ…キス…して…』

私は再三の要求をする。
"チュッ"
そして、タカトシはそれに答えてくれる。

『このまま…んっ、ふ、あっ、動いて…んんッ!!』

タカトシは私の背中に回した手に力を込めて私を動かしていく。

『ちゅっ、んっ、ふあっ、あっ、…あっ!ん、ふっ!…ちゅっ…』

そんなタカトシに再度キスをして、さらには舌まで絡めながら私はそれを受け止めていく。

『あ、あっ!ん、は…はぁ、ん!あっ…んっ!ふっ、それ…良い!!っあ、ふ、ん、ああぁぁ…』

強く膣口を叩かれる度、私の身体は快感にうち震える。

601:Y-275
08/08/30 13:49:26 oaHwTYw/
『くッ、あっ、俺!!』

そうしているうちにタカトシは限界が近いのか声をあげる。
その直後、今までとは段違いの熱が私の膣内に広がっていく。

『ふあぁぁぁぁぁっ!!あ、…熱っ…んっ、ふ、あっ!!タカトシの…中、私の…んっ、…あっ!!』

その熱に溺れるように私はこの日最後の絶頂を迎えた。

………………………………

家に帰りPCのアイコンをクリックする。
かなり前に全員攻略したゲームが立ち上がる。
その画面の右下にあるおまけをクリックすると、画面はハーレムルートへと進んでいく。
攻略する過程のシナリオが良くてやっていたので、ハーレムルートは初見だ。
かなり強引な気もするが話は進んでいく。
なるほど、これはこれでありかもしれない。
今だから思えるのであろう事は自明の理だが…
ヒロイン一人一人を思いながら、全員を相手する主人公。
主人公の心の中には確かに全員が存在しているのだ。
誰ひとり漏れる事なく。

津田と関係を結ぶまではただ嫌っていた形。
ただ、今は少なくとも嫌ではない。
結局の所、私もハーレムルートのヒロインの一人になってしまった。
それでも、私が津田の…タカトシの心の中にいれるのであれば文句はない。
私の好きになった人はハーレムルートのフラグを立てる天才。
そんな奴が相手でも私はこの想いを貫けるだろう。
そんな事を思う私を夜とPCの駆動音が包み込んでいった。

まだ、続くぞ。

602:Y-275
08/08/30 13:56:23 oaHwTYw/
以上です。
タイトルは
『そんな生徒会役員の恋』
で。
自分でハードルを上げ過ぎたのかどんどん書くのが難しくなりつつあります…
エロ以外の物語的部分はいっそスルーしてください(苦笑)
もう最後はほぼ見えてしまいましたが、もう一度アリアを経由して終わらす予定です。最後までお付き合いいただければと思います。

郭氏、ボルト氏、乙&GJ!!です。お2人の新作ならびに続きを楽しみにしつつ、自分も精進しようと思います。
それでは駄文乱文失礼しました。
失礼致します。

603:名無しさん@ピンキー
08/08/30 16:08:52 7JMibp6W
GJ
昼間っからなんというエロス


続きWktkしながらプリン食べてるぜ

604:名無しさん@ピンキー
08/08/30 17:00:10 A4AJuepn
一気に数週間分くらいレスを読み返したぜ
賑やかになってきてなによりだと思った
郭夫妻、ボルト氏、Y-275氏に乙&GJ&敬礼!

605:ボルト
08/08/30 23:19:14 seRZnmML
郭氏,Y-275氏,GJ&乙です。
このお二方の後で,質の劣る文章ではありますが,タカトシ×畑さんのアフターストーリーが完成したので投下させていただきます。
スルー対象ワードは
「エロはフェラのみ」
「一部,オリジナル設定」
「畑さんがエロい」
です。では6レス程ですがどうぞ。

606:ボルト
08/08/30 23:20:53 seRZnmML
 タカトシと畑が,恋人同士となるきっかけになったあの日から,約半月が経った。
 ただ恋人同士になったとはいえ,どこかに遊びに行ったり,食事に行ったりという風に,付き合っているという訳ではなかった。
 放課後,時間と場所を見つけて濃厚なキスを楽しむという,ただそれだけだった。
 でも二人とも,そんな状態を心から楽しんでいた。
 そんなある日……
 
――――
 
「……んっ……ちゅ……ちゅうっ……ちゅちゅるっ……」
「……ちゅっ……ちゅばっ…ちゅっ……じゅるっ……じゅぱっ……」
 いつものように二人は抱き合い,愛し合いながら濃厚なキスを交わしていた。
 タカトシの左手は畑の胸を揉みほぐしている。
 以前,タカトシは畑にもっと深い関係を求めようとしたが,畑は今はまだ恥ずかしいとの事で,胸までならと許していた。
 一息つくために,お互い口を離した時,畑が,
「………ねぇ,タカトシ君?」
「何ですか先輩?」
「最近,真面目にキスしてくれてないんじゃない?」
「………え?何を言っているんですか?そんな事ないですよ」
「本当に?実は,私の他に誰か好きな子が出来たんじゃないの?」
「そんな事無いです!オレが好きなのは先輩だけです!」
「会長や七条さん,萩村さんの事が気になるんじゃないの?
 いつも生徒会で放課後,一緒にいるんだから」
「………確かに,生徒会に入った頃は会長や七条先輩は,性格はちょっと変わっているけど,いいなって思っていましたよ。
 だけど,今は畑先輩の事しか考えられません」
「それだったらいいけど。確かにキスばかりなのもマンネリ化して来た感じがするわね」
「まぁ……そうですね」
「………ねぇ,次のステップに進んでみない?」
「………次?………まさか,セックスの事ですか?」
「ううん。裸を見せるのは,まだ恥ずかしいの……」
「そうですか……,じゃあどうするんですか?」
「相変わらず鈍いわね。………私がお口でしてあげる」

607:ボルト
08/08/30 23:22:30 seRZnmML
「………『お口で』って,まさかその………フェラチオって事ですか?」
「………うん。タカトシ君と抱き合ってる時,その,当たってるの………アソコが」
「え?あの,その………気付いてたんですか?………恥ずかしいなぁ………」
「硬くしたままなのも辛いでしょ?………だからお口でしてあげる」
「でもいいんですか?急に無理しなくても……」
「………いいの。これは私が望んで言っているんだから。
 それにタカトシ君も,もっと気持ち良くなりたいでしょう?」
 そう言われると,タカトシに断る理由は一つも無かった。
「………じゃあよろしくお願いします」
「でも,学校だと人に見つかった時に,流石に言い訳出来ないわね」
 
 学校では無理と判断した二人は,どちらかの家でするというのを話し合った結果,
タカトシの家は両親もいるし,思春期な妹もいる。その点,畑の家は両親が共働きの為,夜まで家を空ける事が多かった。
 こうしてタカトシのフェラチオ初体験は,畑の家で行う事になった。

608:ボルト
08/08/30 23:24:06 seRZnmML
 
……………
 
「………お邪魔します。ここが先輩の部屋ですか,とても綺麗ですね」
 畑に招かれて,部屋の中に入るタカトシ。
「適当に座ってくれる?今,飲み物を持って来るから」
「ありがとうございます」
「お茶でいいわよね?……あ,タカトシ君に見てもらいたい物があるの」
 飲み物を持って来る畑。それから,畑の子供の頃の写真のアルバムを見せてもらう。
 そんな話も尽きて来た頃,畑が,
「………ねぇ,キスしよっか?」
「………そうですね」
 お互い顔を見合わせたまま,唇と唇がゆっくりと近付いていく。
「………んっ……ちゅっ……ちゅっ……」
「………ちゅっ……ちゅぱっ……ちゅっちゅっ……」
 まずは,いつものディープキスだ。
 2~3分ぐらい経った頃,唇を離して畑が,タカトシの股間にそっと手を近付け,
「………こんなに大きくしちゃって………じゃあ……フェ,フェラチオしてあげましょうか?」
 少し顔を朱らめて言う。
「………はい」
 畑は,タカトシの股間を優しくさする。
「ちょっと触れただけなのに,すごい……脱がせていいかしら?」
 タカトシは頷く。
 畑はズボンを脱がすと,トランクス越しにタカトシのペニスが勃っているのが分かる。
「……すごい……もうこんなに……」
 トランクスもゆっくり脱がすと,畑の目の前に現れたタカトシのペニスに軽く驚く。
「……男の人の,お……,おちんちんって初めて直で見たわ……」
 畑は顔をペニスに近付けて,軽く匂いを嗅いでみる。
「…ん……んふっ………そんなに変な匂いはしないのね……」
「……まぁ,ちゃんと洗ってますから」
「じゃあ,触ってみるね?」
 畑は手を延ばして,タカトシのペニスを優しく握り,上下にゆっくりと擦っていった。
「………凄い………硬くてビクビクしてる……」
 タカトシはその動作に軽く身悶える。それに気付いた畑は,
「……!………ごめんね。痛かった?」
「いえ,驚いただけですから」

609:ボルト
08/08/30 23:25:09 seRZnmML
 再び,タカトシのペニスを,優しくゆっくりと扱く畑。
「……舐めていいかしら?」
 タカトシは無言で頷く。
 畑は舌を出して,竿の部分から裏筋をそっと舐め上げる。
「……れろっ…れろっ…れろっ……」
 タカトシは,生まれて初めての体験に,身を震わせる。
「………先輩……とても気持ちいいです……口にくわえてもらっていいですか?」
 今度は,亀頭を口の中に含み,舌を動かして亀頭の部分を舐め回す。
「………ん,あーん…………ちゅるっ…ちゅるっ………じゅるるっ……じゅぽじゅぽっ……」
 口をすぼめて,ペニスの半ばくらいまでくわえ,頭を前後に動かしながらしゃぶる。
「………じゅっぽ……じゅっ………ちゅるっ………ちゅるるっ………」
「……うっ……先輩の口の中、とても温かくて気持ちいいです………」 畑は,とても初めてとは思えない巧みな動きで,積極的なフェラチオをしている。
 たまに,ペニスを口に含んだまま亀頭を舌でなめ回す。
「……れろ……れろれろ………」
 口を離して亀頭を再び吸い付く。
「………ちゅぱっ……ちゅぱっ……ちゅっ………ちゅるっ……」
 手で扱きながら音を立て,亀頭に吸い付く。
「………ちゅるっ……じゅっ……じゅぱっ………じゅっぽじゅっ!……じゅじゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 上目遣いでタカトシを見ながら,
「……こっちも舐めてあげる」
 竿に左手をそっと添え,玉袋に舌を這わせたり,玉に吸い付いたりする。
「………ん……んちゅっ……んちゅっ……れろ……ちゅぱ………ちゅ~~~っ」
 玉を口の中に含み,もごもごと吸い付き,玉を吸いながらカポッと音を出して口を離す。
 今度は竿のサイドを唇だけで甘噛みし,左右に唇をスライドさせ,そのまま亀頭を経由して,逆サイドへ同じように奉仕する。
「……ちゅる……ちゅっ……ん~……ちゅぱっ……ちゅる……ちゅ……」
「……先輩,今度はもっと奥までくわえてくれませんか?」
 そう言われると,一旦,ペニスから口を離し,大きく口を開けてゆっくりと喉の奥までペニスを含み,ディープスロートをする。
「………あっ………ん……んんっ……ん……んんっ……んん~~~!!……ゴホッ!…ゴホゴホッ!!
「先輩!大丈夫ですか?無理させてすみません」
「……ちょっと息が出来なくて,びっくりしたけど大丈夫よ。それに無理なんてしてないわ。タカトシ君が気持ち良くなってくれれば私は嬉しいの」
「……それにしても,何でこんなに上手いんですか?」
「インターネットでいろいろ調べたの。それで勉強したわ」

610:ボルト
08/08/30 23:26:08 seRZnmML
 畑は再びペニスに口を寄せて,
「……ぴちゃ……ちゅぱ……ちゅ……ろこはひもひいい?」
 亀頭を口に含みながら,そう言う。
「先輩がしてくれる事は,全部気持ちいいですよ」
「れんふひもひいいの?」
 再び,喉奥までペニスをくわえ,口から引くときに,音を立ててしゃぶる。
「…あ…んっ……んんっ……じゅずっ…じゅるっ……じゅじゅっ……じゅじゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 亀頭を舐め,今度は尿道の先を舌でつつく。
「……れろっ……れろっ……ちゅ……ちゅぱっ……んっ…んっ……」
 尿道の先を刺激され,タカトシは思わず腰を浮かしてしまう。
 畑はまた,両手でペニスを掴み音を立てながらしゃぶる。
「…んっ……ちゅるっ………ちゅるちゅる……じゅっ…じゅじゅっ……じゅっぽ……じゆっぽ……」
 口に淀(よだれ)を溜めて,その淀を垂らしながら亀頭をねっとりと舐め回す。
「……ん~~………れぇろ~~……むちゅっ…ぺちゃっ……むちゅっ……」
 裏筋にも舌を這わせる。
「………ちゆっ……ちゅぱっ…むちゅっ……ぺちゃっ……」
 ペニスを手で扱きながら,亀頭を口に含みしゃぶる。
「んっ……ちゅっ……じゅぱっ…ちゅぱ……じゅじゅっ………じゅるるるるっ…」
 手で扱きながら,おちょぼ口で舌を這わせながら音を立て,ペニスに吸い付く。
「……ちゅっ………れろっ……ちゆぱっ……ぺちゃっ……じゅじゅっ…じゅじゅっ……じゅじゅじゅじゅ~~~!!」
 顔は動かさず,手で扱きながら唇と舌だけで刺激を与える。
「……ちゅぱぱぱっ!……じゅっぱ!……じゅっぱ!
「……先輩……気持ち良くて………イキそうです……出していいですか?」
 ペニスから一旦口を離して,手で扱きながら,畑は待ちに待った感じで,
「……うん!出してほしいの!いっぱい出して!」
 扱きながらペニスを半含みにしてしゃぶる。
「……じゅるっ!じゅるっ!じゅぱっ!じゅじゅっ!じゅるるっ!!!」
「もう我慢できないです!出しますよ先輩?」
「うん!出して!」
 ペニスを扱く動きを激しくしながら,舌で亀頭に最後の刺激を与える。
「……ちゅぱっ!ちゅぱっ!ちゅぱじゅぱっ!!じゅるるるっ~~!!!」

611:ボルト
08/08/30 23:27:34 seRZnmML
「もうダメです!イキます!!」
ビュッ!ビュクッ!ビュルルッ!
「………んっ!…んっ……んんっ!…んんっ!!」
 タカトシの解き放たれた精が,畑の口の中を満たしていく。
 口の中に出された畑は少し辛そうな表情していた。
「先輩,無理しなくていいですよ」
 そう言ってタカトシはティッシュを探すが、いかんせんここは他人の部屋だ。場所が解らない。
「……んっ…んんっ……こくっ……こくっ…こくんっ……」
 畑は口の中に出された精子をゆっくりと少しずつ飲み干していった。
「…んくっ……んんっ……こくっ……んくんっ……」
 タカトシの精を全てを飲み干し口を離すと,ペニスと唇の間に,精液の細い糸を引いた。
「……男の人の精子って変わった味なのね………」
「……先輩,無理して飲まなくても良かったのに……」
「……でも,男の人って飲んであげると嬉しいんでしょ……まだ汚れてるわね。綺麗にしてあげる」
 そう言うと畑は,タカトシの精子と淀で汚れているペニスに口付ける。
「……ちゅっ……ちゅっ…じゅるっ……じゅじゅるっ……じゅじゅじゅっ~~……じゅるるるっ~~~……」
 イッたばかりのペニスに口付けて,尿道にまだ残っている精子を吸い上げる。
 さっきとは違う感覚にタカトシは身悶えする。
「……じゅじゅっ………じゅぽっ……じゅじゅるっ……ずじゅじゅ……じゅじゅ~……じゅるじゅるっ………じゅじゅじゅ~~!!」 
「…先輩……そんなにされたらまた………また,イッたばかりなのに…………イ,イキそうです………」
「……じゅじゅじゅっ!……じゅるっ!……じゅぱっ!……じゅるるっ!!……じゅじゅ~~~!!!
「……先輩!もう我慢できません!!イキます!!!」
 そう言って,タカトシは畑の頭を手で押さえ,腰を前後に激しく動かす。
「……ん!…んんっ!!………じゅぱっ!じゅぱっ!…ちゅりゅっ!……じゅるっ!!………じゅじゅじゅじゅっ~~!!!」
ビュクッ!!ビュルッ!!ビュクビュクッ!!!
「………ん~~~!!……ん~……ん~~……んくっ……んくっ……んぐっ……んぐっ………じゅっ……じゅじゅっ……じゅじゅじゅっ―――――」
 
……………
 
「……はい。綺麗になったわよ」
「……先輩,とても気持ち良かったです!」
「そう?頑張った甲斐があったわ」
 恥ずかしくも,嬉しそうに畑は答える。
 その色っぽい畑を見た,タカトシのペニスは,ムクムクと再び勃って来た。
「……あら,またこんなに硬くなって………何度でもしてあげるね………」
「……あ……ん………ちゅぱっ……ちゅるっ……ちゅっ……―――」
 
 
 今はまだ決して,他人に知られる事が許されない関係。(アリアにはばれているが)
 だけど二人にとってそんな障害がもっと心を強く結び付けるだろう。
 
FIN.

612:ボルト
08/08/30 23:39:12 seRZnmML
以上が,タカトシ×畑さんのアフターストーリー
『NEXT STEP』でした。
9時過ぎに投下する予定でしたが,映画に見入ってた為この時間になりました。
一応,これで畑さんとの話は完結です。連載次第では別の話が書ければいいかなと思います。
次回作は少し間をおいて,スズかムツミの話を投下しようかなと言う事で。
(2週に1回,投下出来るのが理想ですが)
皆さんのGJ&乙を糧にして頑張ります。<(__)>
 
………
 
あと,生徒会一本でいくと言いましたが,妹や濱中キャラがちょろっとゲスト出演する事は有り得ると言う事で。

613:名無しさん@ピンキー
08/08/31 00:30:32 Q8MOCnDT
乙~

振り替えれば八月はボルト氏とY-275氏のスパートがあったり
郭氏をはじめベテラン陣の当番があったりとなかなか加速した月だったな

614:ボルト
08/08/31 01:39:41 C8qk7cJs
今さっき,スズかムツミのどっちかでと言う事でしたが,決めました!
ムツミの話にします。
次の話は自分の趣味的でマニアック的な話になってしまいますが,よろしいでしょうか?
とりあえず,スルー対象ワードを先に発表します。
「タカトシ×ムツミ」
「エロ無し」
「某人気プロレス団体」
「ボーリング場」
「桜才学園の舞台が今回関東?ではない」
以上です。
分かる人は自分(=ボルト)の住んでいる場所が分かります。
嫌だと言う方は遠慮なくおっしゃって下さい。


615:名無しさん@ピンキー
08/08/31 15:38:13 z/JKlPhn
連発GJ!ところで。
最近きずいたけどこっちに投下せずに新保管庫だけに投下してる職人さんがいるよな?
文体が過去の職人さんの誰かに似てるんだが分からん。(あえて探すとサブロー氏に似てるような。)
多分シャイな人だと思うんだが、エロ無しながら非常に完成度が高くて、
無粋とはおもうが知らない住人がいたらもったいないので一応知らせておきたい


616:名無しさん@ピンキー
08/08/31 18:52:25 Htn+7/fe
>>615
kwsk!
知らなかった…神が他にも

617:名無しさん@ピンキー
08/09/01 01:26:34 zP1IzmDK
新しいタイプの投下方法だ

しかし、保管所とここを見るに郭氏らベテラン陣からY-275氏ら若手まで間の職人がぽっかり抜けてしまっているな

618:名無しさん@ピンキー
08/09/01 17:04:19 JqltqrIl
郭氏、ペピトーン氏、ピンキリ氏は初代かその次スレからずっと継続してるんだよな
郭氏は中~長編でシリアス風味、ペピトーン氏は小ネタ中心、ピンキリ氏は短~中編でギャグ系と
まるで先発・中継ぎ・抑えのように役割が分かれているのがおもしろいなw

619:名無しさん@ピンキー
08/09/01 21:02:46 9dHOiwLx
郭氏は不動のエース、ぺピトーン氏は変則投法のワンポイント、
ピンキリ氏は連投のきくロングリリーフといったところか。あくまでも自分のイメージだけど。

620:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:53:51 avUayJYv
このお話はマガジンスペシャル時代の設定と、呼んでくださる皆様の優しさによって支えられています。
そのことを了承の上でご覧ください。
なお、全裸でのは書見は大変危険です。絶対に止めてください。
まして音読なんてしないでください。精読もNGです。

621:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:54:49 avUayJYv
衝撃的だった。
いやもう、これ以上もなく衝撃的だった。
あまりの衝撃に椅子から転げ落ちたほどだ。
「か、会長?」
「おま……お前が…そんなやつだったとは……見損なったぞ……」
搾り出されるような言葉も衝撃的だった。
頬をはたかれた衝撃以上に。
そしてそして、それ以上に。
「……帰る」
そう言って生徒会室から出ていく彼女の頬を流れ落ちる涙の存在こそが。
タカトシにとって最大の衝撃だった。
「俺が……泣かせたのか?」
呆然と、そうつぶやくことしか出来なかった。




「遅くなっちゃったね。シノちゃんも津田君も待ってるだろうなぁ」
「仕方ないですよ」
職員室まで会議の資料を受け取りに言っていったアリアとスズ。
某ズボラ教師のせいでだいぶ時間が掛かってしまい、今は両手にファイルを持って生徒会室に戻るその途中。
「あれ? シノちゃん?」
前方から走ってきた人影にアリアが不思議そうな声を上げる。
「どうしたの? 待ちくた―」
言葉を飲みこむ。
「シ、シノちゃん……?」
「会長! ど、どうしたんですか!? 何で泣いてるんですか!!?」
シノの異常に気づき、二人とも驚いて声をかける。
「どうしたのシノちゃん? おなか痛い?」
「おなか痛いって七条先輩……会長は子供じゃないんですから」
「そ、そうだったわね」
典型的なパニックに陥っていたアリアにちびっ子天才の鋭いツッコミ。
「会長、ユーロが暴落でもしましたか? それとも中国株?」
「スズちゃん、それも違うと思う」
おおっと、天才もパニックだったようだ。所詮はちびっ子か。
そんな二人の様子にシノは首を振る。
「すまない、心配掛けて。でも何でもないんだ。気にしないでくれ」
「でも……シノちゃん泣いてるじゃない」
「ホントに何でもないんだ。ただ……今日はちょっと会議には出れそうもない」
「あ、待ってる間に津田君に何かへんなことされたとか? や~ん、津田君のえっち~♪」
場を和ませるつもりで言ったアリアの一言が、場を崩壊させる。
シノが傍目にもわかるほどビクッと身体を震わせ、
止まりかけていた涙がぼろぼろと流れ出す。
「シ、シノちゃ―」
「すまない」
搾り出すようにそうとだけ言ってシノは走り去ってしまった。
その後を追うことも出来ず、取り残されてしまったアリアとスズの二人。
「あ・い・つ・は~!!」
先に立ち直ったのはスズだった。
ファイルを投げ捨ててダッと走り出す。
「あ、スズちゃん待って!」
アリアはファイルを拾い、スズの後を追う。

622:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:55:57 avUayJYv





「津田ぁ!!」
「だからスズちゃん落ち着いて」
走り出したのはスズのほうが早かったが元々の運動神経…というよりも体格に差がありすぎる。
生徒会室につく頃にはアリアはシノに追いついていた。
「あんた会長に何をしたのよ!!……って、ちょ、ちょっと」
「つ、津田君?」
床に座りこみ、虚ろな目で空を見つめるタカトシの異様な姿をみて、
「どうしたのよ津田!?」
”何をした”から”どうした”へと質問がシフトチェンジした。
「津田君? ねえ津田君ってば」
アリアがゆさゆさと体を揺するとようやくこちらの存在に気づいたようで。
「……ああ、七条先輩、萩村先輩。遅かったですね」
虚ろな目こそ治ったものの、心ここにあらずといった表情。
アリアとスズは顔を見合わせる。
「えっと、津田君」
「はい? 何ですか?」
「さっきさ、廊下でシノちゃんと会ったんだけど」
タカトシは傍目にもわかるほどビクッと身体を震わせる。
それは先ほどのシノを彷彿とさせる動きだった。
「……やっぱりシノちゃんとなにかあったんだ?」
「……」
無言で頷く。
「なにがあったの?」
「……わかりません」
「わかりませんってあんた……会長泣いてたのよ?」
「ホントにわかんないんです。普通に世間話してて、そしたらいきなり会長が怒り出して。
俺わけわかんなくて。何とか宥めようとしたらさらに怒り出して、叩かれて、それで……」
「シノちゃんが泣き出しちゃった?」
「……はい」
苦しげな表情でタカトシは頷く。
「そっか」
「何でそんなことになったのよ?」
「だからわかんないですよ!」
ため息をつきながら呆れたような口調のスズの言葉に珍しくタカトシの言葉も荒くなった。
スズをたじろがせる程度に。
そんなスズの様子を見てタカトシは「すいません」と謝罪の言葉を口にする。
「とにかく」
重くなった空気を振り払おうとしたのは、年長者であるアリア。
「今日のところは解散にしましょ。ね? 津田君、今日は帰ろ」
アリアの言葉に促され、タカトシはのろのろと立ち上がり、
「お先に失礼します」
そうとだけ言って生徒会室から出ていった。
「……なにがあったんでしょう?」
「さあ? でも、私シノちゃんが本気で泣くところなんてはじめて見た」
「やっぱり津田が何かしたんですかね?」
「スズちゃんは津田君が何かしたんだと思う?」

623:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:56:58 avUayJYv
「それは……」
スズが言い淀んでいると、アリアはにっこりと微笑む。
「私は思わないな。だって津田君だもの」
「……」
「津田君がシノちゃんのこと傷つけるようなこと言うわけないもの」
「……そうですね」
降参だと言うかのように苦笑してスズもアリアの言葉に同意する。
「頭もよくないし、時間にもルーズですけど。人を泣かせるようなこと言うとは思えませんからね、津田は」
「うん。きっとなにか誤解があるんだと思うの。大丈夫。
明日までには私が何とかしておくから心配しないで」
「別に心配なんかしてませんよ」
「あらそうなの?」
「ええ」
そう言った後、照れたようにスズは小さな声でぽつりと言った。
「みんなのこと、信頼してますから」




開けて翌日の放課後。
「ちょっと七条先輩」
生徒会室にいるのはアリア、スズ、そしてシノの三人。
イスに座るシノから離れた場所にスズはアリアを引っ張ってきていた。
「会長今日も顔色よくないじゃないですか」
シノに聞こえないようにひそひそと小声で話しかける。
「ご、ごめん。昨日電話したんだけど、はぐらかされちゃって……」
「ダメダメじゃないですか」
「ホントにごめんね。だから、ここはひとつIQ180のスズちゃんの頭脳で何とかしてくれない?」
「そんな……」
無茶をおっしゃる書記のおねえ様。
「こら。二人とも何をヒソヒソ話をしてるんだ」
不意にシノに話しかけられて二人、ビクッと身体を震わせる。
「う、うんちょっとね……あはは」
「今日は昨日出来なかった仕事も処理しないといけないんだからな。
二人ともしゃんとしろ。まったく……生徒会役員としての自覚を持て二人とも」
厳しい言葉は、八つ当たりだろうか?
それでも二人は素直に謝罪し、席についてそれぞれの仕事をこなす。
「そーいえば、津田はまだなのか?」
シノの言葉に再びビクッと身体を震わせる。
「ま、まだだねぇ~。掃除当番かなにかじゃないかな? ねえスズちゃん?」
「ふぇ? あ、そ、そうですね」
「だったら連絡の一つもあっていいだろうにまったく……だから津田は……」
タカトシに対する愚痴を零すシノ。
その表情はなんとも形容しがたいもので、アリアもスズもなにも言うことが出来ない。
と、
「すいません、遅れました」
件の津田タカトシがやってきた。
瞬間。
シノの表情が変わる。
「遅いぞ津田!!」
激しい怒声。
それはスズも、長い付き合いのアリアでさえも聞いたことのないほどのもの。

624:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:57:46 avUayJYv
「す、すいません。俺掃除当番で―」
「だったら連絡をいれるべきだろうが!」
タカトシの言い訳を遮るシノの声。
「だいたいおまえは―」
「シノちゃん」
なおも言い募ろうとするシノにストップを掛けたのはアリア。
「その辺にしておいたら? 津田君だって悪気があって遅れたわけじゃないんだし。
クラスに生徒会役員がいるならともかく、そうじゃないと連絡を取るのも一苦労でしょ?」
「そうは言うがな、アリア。そもそも津田は生徒会役員としての自覚が足りないとは思わないか?
朝の活動では遅れてくるし、規則を破って携帯電話を持ちこむ。
そんなことで副会長の役職が勤まると思ってるのか津田!」
「……すいません」
「謝るくらいなら行動に移せ! いっそ罷免して―」
「シノちゃん!!」
何時にない、アリアの大きな声に今度はシノが口をつぐむ。
「な、なんだアリア、急に大きな声を出して」
「いくらなんでも言いすぎよ」
「っ!……」
シノは俯きぐっと唇を噛み、
「……すまん」
タカトシにそう言って、カバンを手に取って、
「……気分が悪いから帰る」
生徒会室から出ていった。
「ごめんね、津田君」
「いえ、どんな理由であれ会長のこと泣かせたのは俺ですから」
そう言って大きくため息を付くタカトシの目の下には隈が見て取れる。
「大丈夫?」
「ひどい隈だけど、昨日ちゃんと寝れたの?」
スズも心配げに話しかける。
「……いえ、あまり」
「そう……今日はもう帰っていいよ。シノちゃんも帰っちゃったし、私たちだけで何とかするから」
「……すいません」
深深と頭を下げてタカトシも生徒会室から出ていく。
残ったのはアリアとスズの二人。
二人は顔を見合わせ、
「「は~……」」
大きなため息をついた。
「シノちゃんも重症だけど津田君も……」
「大分参ってますね」
「まあ無理もないけどね。自分が何か悪いことしちゃったって事はわかるけど、
その原因がわからないのって……結構精神的に来るのよね」
「そうですね」
「どうしたものかなぁ……」
「どうしましょうねぇ……」
二人うんうんと頭を悩ませる。
と、ガラガラっと生徒会室の戸が開けられる。
「よ~、やってるか~?」
「あ、横島先生」
生徒会顧問のティーチャー横島だった。

625:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 11:59:15 avUayJYv
「おりょ? 天草とあの新入りはどうした?」
「え~っと……」
「ちょっとわけありで」
ホントのことをいうことも出来ずにアリアとスズが言葉を濁していると、
「あ~なるほど」
得心いったという様子の横島先生。
「やっぱこじれたか。んじゃ会議もないみたいだし、私帰るからあとよろ―」
帰ろうとした彼女の肩をがっしと力強く握る手が二本。
「先生。今な~んか聞き捨てならないことを言いませんでしたか?」
「たしか”やっぱこじれたか”みたいなことを?」
「恐い恐い、あんたら恐いって。いや、まじでまじで」
肩を握り締めるアリアとスズの様子にだいぶ引く。
「ちょ、肩! もげる! もげるから! 力抜いて!」
「「だったら知ってること全部話してくださいね」」
「わかったから! もげるから!!」
半泣きの横島先生の口から話された内容は。
なんとも間抜けな話であり、また……なんともかわいらしい話でもあった。




「はあ……」
ため息をつきながら岐路についていたタカトシ。
この一両日の出来事はタカトシの精神をだいぶ削っていた。
がりがりと。ごりごりと。めがっさめがっさと。
相手を泣かせてしまったのだから自分に非があるのだろう。
じゃあ、どこに非がある?
それがわからないのが辛い。
間違いがわからないことほど辛いことは無い。
だって直しようが無いじゃん?
対策の立てようが無いじゃん?
以上のことからタカトシの頭にに浮かぶのは、浮かんでしまうのは一つの結論。
”俺は悪く無い”
んなこたぁない。
泣かした以上タカトシに責任があるのだが……だが、だが。
「はぁ~……」
もう一生分ついただろうため息がまた零れる。
と。
音も無く、黒塗りのリムジンがタカトシに近づいたかと思った瞬間、
「うわっ!!?」
後部座席のドアが開き、タカトシを車の中に引き入れるとすぐにリムジンは急発進をした……。
のならカッコよかった(不謹慎)のだろうが。
「このっ!!」
タカトシが暴れたために車中に引き込むのに失敗。
のみならず逆にタカトシに車外へ引きずり出されそうになる。
「ちょ! ごめんごめん! ゴメンナサイ津田君! だからやめて~」
「は?……って七条先輩??」
そう。
タカトシを車に引っ張り込もうとしていたのはアリアだった。
「……なにしてんすかいったい?」
呆れかえった様子で車から半ば身体を引きずり出された格好になっているアリアを見る。

626:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:00:18 avUayJYv
「えっと……答える前に一つだけお願いしていいかな?」
「はい?」
「あの……津田君の、手が……」
「??」
言われて自分の手を見る。
片手はアリアの手をつかみ、もう片方の手は……胸をつかんでいた。
「うお!?」
意識すればそのけしからん柔らかさが脳へとフィードバック。
流石にこれには焦ったタカトシ。
きらりとアリアの目が光る。
「スズちゃん!」
「はいはい……よいしょ、と」
「へ? あ、ちょ!」
奥から出てきたスズと、アリアの二人掛りで今度こそタカトシは車内へ。
そしてリムジンは急発進をした……。




さて、タカトシの引っ張り込まれた車はリムジン。
誰のものかなんてことは考えるまでも無いから考えない。
七条家ってすごいんだと再認識しただけだ。
後部座席は広々とした対面式。
一方の側にはタカトシを引っ張りこんだアリアとスズ。
そしてもう一方には……シノの姿。
「会長……」
「……ふん」
シノはプイッとタカトシから目をそらす。
まだ御立腹のようだ。
そんなシノ様子にタカトシはどうしたものかと考え、意を決して話しかけようとした。
「―あの」
「待って津田君」
しかしアリアに止められた。
「まず私に話をさせて」
そう言ってシノの隣へと席を移し、開いた席に座るようタカトシを促す。
タカトシが座ったのを確認し、アリアはシノに話しかける。
「ねえシノちゃん、今からちょうど2週間前のこと、話してくれないかな?」
「2週間前?」
「そう。その日はシノちゃんにとってすっごく大事な日のはずだよね?」
アリアの言葉にシノは顔を赤くする。
怒り半分。
そして……照れが半分。
その両方がタカトシへと向けられている。
タカトシはわけがわからない。
「ね、話して。シノちゃん」
促され、シノはゆっくりと口を開いた。

627:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:01:26 avUayJYv
「そう。あれは今からちょうど2週間前の話だ」




~~シノさんの証言~~
あれは、今からちょうど2週間前の話だ。
その当時私はあることに頭を悩ませていた。
ん?何に悩まされていたのかだと?
それは……その……うむ。
その、恋愛に関してのことだ。
知っての通り我が校は「校内恋愛」が禁止されている。
その「校内恋愛」の定義というか、適用範囲がどの程度のものかとある女性徒に聞かれたんだ。
同じ学校の生徒と付き合うことがダメなのか、それとも校内でいちゃつかなければいいのか、とな。
彼女はすごく真剣な目をしていて、正直、私はすぐに答えられなかった。
しかしその時津田の言葉を思い出して言ったんだ。
場所をわきまえた付き合い方なら構わないんじゃないか、と。
そうしたら彼女はすごく嬉しそうな顔をして、じゃあ彼と付き合ってもいいんだ……と、大喜びしたんだ。
そのときの彼女の顔を見て思ったんだ。
恋愛とは、そんなにもいいものなのだろうか、とな。
それで、だな。
……うむ、生徒会長たるもの広い見識を有するべきであり、さまざまなことも経験もしておくべきだろうと思う。
それで……恋愛についても同じことが言えると考えたんだ。
だが私には今まで恋愛体験など無くならばこれから知り、体験するしかないわけでだな。
その……だから津田に思いきって言ったんだ。
「津田、私と付き合え」
とな。
そうしたら津田も
「喜んで」
と、それを了承した。
それが今からちょうど2週間前のことだ


~~~~~~~~~~~


「なのに、津田は……昨日……昨日……」
「うん、よくわかった。わかったらすこし落ち着いて、ね?」
感情が高ぶってきたのか、プルプル震えるシノをアリアが落ち着かせる。
「えっと、津田君」
唖然としていたタカトシに話しかける。
「津田君もシノちゃんの言ってる日のこと、2週間前のこと話してくれるかな」

628:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:02:29 avUayJYv
「……あの日のことはよく覚えてます」




~~タカトシの証言~~
その日は生徒会室に行くと会長と横島先生の二人だけでした。
会長はなにか考え込んでる様子で、今日の活動のことを聞いても「ああ」って生返事が返ってくるだけでした。
そしたら横島先生に手招きされて雑誌見せられました。
雑誌の内容ですか?いや、別にエロ本とかじゃなくて地元の情報誌ですよ。
ほら、最近おっきなショッピングモールが出来たじゃないですか?
それの特集組んでた本ですよ。
横島先生はそこにもう行ったらしくて……まあ要するに喋りたかったんですね、あれは。
ここは服が安くていいもの売ってたとか、ここの店員はイケメンだったとか。
どっちかっていったら女子向けの話ですけど、まあおとなしく聞いてました。
妹に教えてもいいかなって思ったんで。
特にこの地区初出店のクレープ屋が絶品だったって、流暢に語るから俺も食べたくなっちゃいましたよ。
そうしたら会長がいきなり立ちあがって叫んだんです。
「津田、私と付き合え」
って。
だから会長もクレープ食べたくなったんだなぁって思って。
「喜んで」
って言ったんです。
それが今からちょうど2週間前のことです。


~~~~~~~~~~~


「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙が支配し、エンジン音のみが場を支配する。
最初に口を開いたのはアリア。
「これが真実よ、シノちゃん」
「そんな……」
「いやもうなんて言うか……奇跡ですよ、これ」
「うん。そうね。まったくそのとおりね」
呆れたようなスズの意見にアリアも激しく同意。
「何で2週間も気づかないかなぁ、二人とも」
「いや、しかしだな……」
シノはちらりとタカトシを見る。
「放課後にタカトシを誘うとちゃんとエスコートしてくれたから」
アリアとスズの目もタカトシへと向く。
「えっと、俺はてっきり横島先生の喋ってたとこに行きたいんだろうなって思って案内してたんで」
「クレープも、シュークリームも、アイスも奢ってくれて一緒に食べたじゃないか。
ああいうのは……つ、付き合ってる男女がするものじゃないのか?」
「いや、妹によく奢らされるんでその延長で考えてました」

629:518 ◆8/MtyDeTiY
08/09/02 12:03:23 avUayJYv
タカトシの言葉にシノは絶句する。
「よーするに、シノちゃんは彼氏彼女の関係だと思ってて、津田君は会長と副会長の関係だと思ってた。
ところが昨日その認識の違いが表面化して話がこじれた、と。こんなところかな?」
「うん……昨日私が一緒に帰ろうと誘ったら津田が無理だって言うんだ。
しかもその理由が友達と遊ぶからだって言うから……」
「なるほど……彼女を放っておくとは何事だ、と……」
ふぅとアリアは大きく息をつく。
シノは居心地悪そうに
「わ、私は悪く無いぞ」
言った言葉にスズが、
「会長が悪いと思う人挙手」
すぐさま三本の手が天を衝く。
アリア、スズ、そして……笑いを堪えた様子の運転手の三人。
「う……」
その結果にシノは不利を悟ってうめく。
「津田はどう―」
話を振ったスズへとタカトシが倒れこんでくる。
「つ、津田!?」
「……あ、すいません……なんか……気が抜けちゃって」
昨日一睡もしていないタカトシ、フラフラと体を起こそうとして、パタン、と力無くまたスズの膝へと倒れこむ。
その様子を見ていたアリアの頭にピコンッと電球がともる。
「シノちゃん」
つんつんとシノをつつき、スズを指差し、シノを指差す。
「む……」
それだけで言いたいことを悟ったシノは顔を赤くするが、
「萩村」
「はい?」
「場所を代わってくれ」
それだけでシノのしたいことを理解するあたり流石天才と言うべきか。
「わかりました」
タカトシの頭を支えつつ場所を入れ替わる。
シノは自分の膝の上にタカトシの頭をそっと置く。
「会長?」
「……お詫びのつもりだ。存分に使ってくれ」
「いや、でも……」
「しばらくその辺を流してるから、ゆっくりしてて」
言いたいことを悟り、アリアが先手を打つ。
「わかりました」
「うん。あ、それとシノちゃん」
「ん、なんだ?」
「私とスズちゃん、10分ほどうとうとしてるから。運転手さん……は、うとうとしちゃまずいから。えっと……」
アリアが言い淀んでいるとスピーカーからクラシックが流れてくる。
「……うん、そう。音楽と運転に夢中になってるから、ね?」
あとはわかるよね?と言いたげにウインクをする。
「じゃおやすみ~」
「……おやすみなさい」
やれやれと言った様子でスズも目を閉じる。


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