08/05/04 12:55:05 umQ2YmK/
女「唐突だが男くん。キミは文通というものをしたことがあるかね」
男「文通ね。……いや、ないな」
女「そうだろう。ならばコレを受け取るがいい」
男「大学ノート?なになに。……最初の1ページだけ使ってある。びっしりと。
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ……なんだこれは。新手の呪いか」
女「鉛筆を貸してやろう。次のページに返事を書き込んで私に返せ」
男「ふむ。……おれは、そうでも、ない……と。ほら」
女「確かに。ふっふっふ。罠に落ちたな男よ」
男「何」
女「これで私はお前にとって『はじめて文通した女』になったのだ。
この調子でお前のはじめてをどんどん奪ってやる」
男「なんて女だ。動機を聞こう」
女「しらばっくれるな。男よ。盗みを働いたろう」
男「いや、俺は窃盗など犯した覚えはないが」
女「いいえ、お前は私から大変なものを盗んでいきました。私の心です」
男「ならば返そう」
女「返品は受け付けない。生ものなのでお早めにお召し上がりください。スキあり」チュ
男「む」
女「……初キスだ。ふははははは」スッタカター
男「おい、どこへ行く」
女「知れたこと。恥ずかしくてお前の顔を見ていられん。今日はもう家に帰って布団で悶えることにする。
また明日くるから顔を洗って待っているがいい。ふははははははははは」
男「そうか。楽しみにしていよう」
新ジャンル『淡々とかたり合う二人』