【総合】新ジャンルでエロパロpart6【混沌】at EROPARO
【総合】新ジャンルでエロパロpart6【混沌】 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
08/06/14 01:07:43 eFHxrkBb
木陰に身を潜め、乱れた息を整えている少女。
「ふぅ。やっと撒けた…。…ルカ、あんな格好なのに油断できないわね。」
今回の騒動の黒幕、遠山理菜である。

「…さて、春くんを回収しないと…。」
呼吸と心拍数が正常に収まったところで、次の行動を開始する。
急ぎ、池のエリアまで戻る理菜。あとは黒田夕圭を血祭りに上げて、ジ・エンドである。
しかし、彼女を待ち受けていたのは、恋焦がれる相手ではなく、敵だった。…それも黒田とは別の。
「あれ?これはこれは、役立たずな豆田姉妹の片割れさん。撤退したんじゃなかったの?」
「……言ってくれる。その作戦時刻に遅刻した役立たず以下の貴女が…。」
「………喧嘩、売ってるのかしら?是非、喜んで買わせてもらうわ。」
「……覚悟!!」
双方飛び退き、一瞬後に飛び交う弾丸と飛び苦無。
…春樹たちの去った公園にて、激戦のエキストララウンドが始まった。

一方、回収されずに放置されているトウバンジャンこと豆田陽子。
そんな彼女に忍び寄る一人の影…。
「おや?これは、生徒会長さんじゃないかい?」
新任の女美術教師の千所舞。
「こんな所で寝ていると風邪を…。…いやまて。…これは意外と絵になる。」
豆田陽子…。
割とぶっ飛んだ言動や行動で名を轟かせている彼女だが、豆田貴子の姉だけに人形のような整った容貌であることはあまり知られていない。
白く、きめの細かい肌に長い睫毛。やや小柄な身体が横たわっている場所は、クローバーの絨毯に紫陽花の日傘。
意を決した舞は、やがて筆を走らせる。

後に彼女が日展で発表した作品。
この絵に描かれた眠れる美少女が誰なのか、新醤油学園内で話題となったとかならなかったとか。

新ジャンル「残された者たち」新醤油学園野望編

251:名無しさん@ピンキー
08/06/14 11:09:53 zwBttc4k
友「無人島に三人の若者がいます、彼らは島から脱出する為に船を造りました。しかし船には二人しか乗れません、あなたならどうしますか?」

俺「お前を置いて先に逃げる」
友「えっそれ酷くね?」

内気「私なら・・・」

俺『おい、助かりたかったらこれから一か月性奴隷な』
友『性奴隷ってのはな拷問、拡張、剃毛、中出し、何しても良いって意味だけどご存じ?』
俺『あれぇ?もしかして初めてだったの?性奴隷ちゃん』
友『後ろの穴も初めて?そりゃいい、試しがいがある』

二週間後

俺『二人しか乗れないってことは一人殺して乗せればいいんじゃね?』
友『じゃあお前上半身、俺下半身な』
俺『悪いけどそういうことで』

内気「・・・あれだけ尽くしたのに……殺すなんて」ポロポロ

俺「何泣いてんの?」

252:名無しさん@ピンキー
08/06/15 08:40:00 bwqIXJU6
醤油学園は転機を迎えたっぽいな
はるくんがどういう選択をするのか期待

そして内気妄想は自重しろw

253:名無しさん@ピンキー
08/06/15 09:45:18 c47Os2FI
内気妄想、なんか病んでるな

だがそれがいいw

254:名無しさん@ピンキー
08/06/15 11:31:49 NOcyH2km
エロ パロだからな
内気もアリ

255:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:05:47 AVosgSS6
深夜の繁華街、良い子は出歩いちゃマズい時間。
いい年の痴女クール&素直クールな千所姉妹は、屋台のおでん屋で酔っていた。

「ちくしょう………あと少しで、上玉ゲットだったのになー…はぁ…」
「相変わらずだな、姉さんは。気が多いのは感心しないぞ」
「お前こそ恋愛の一つもしてみろ。私の人生は、常に刺激と快楽に満ちているぞ!!」
「姉さんのは恋愛ではない、只の色情狂だ」
「色情狂で何が悪い!!」

どうやら千所姉(校長)は先日の一件で、かなりご不満な様子。
この所、満足できる獲物にありついていないのも拍車をかけている。

「…それに私を、ロボットみたいに言わないで欲しいんだが」
「舞は昔から絵にしか興味が無かったし、どうせ今も変わらんだろ?」
「…私だってもう24だ。気になる男の一人や二人はいる」

ニヤリ

はっと千所妹(舞)が傍らの姉を見れば…

「舞ちゃん~…姉さんに話してごらん…」
「ね、姉さんのその口調は明らかに面白がっているな!!」
「おほほ。きのせいよ」
「棒読みになってるし!!」


「……なんだ青山春樹だったのか」
「ううう…」
吸った揉んだの末、千所舞は姉へ白状に及んだ。店の親爺が前屈みなのは…気にしない。

256:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:07:03 AVosgSS6
「でもな、まだ高一だぞ相手は。男の色気にはまだまだだな」
「どうして姉さんは、すぐ話を下品な方向へ持っていく…」
「仕方ないだろう、私の長所なんだから」
「長所ではない!!」
先程とはうって代わり、妹の方が興奮している。どうやら似たもの姉妹のようだ。

「高一というが、あと十年もすれば立派な男だ!!更にもう十年ちょいでナイスミドルになる!!」
「……あっ!?わ、私はどうして、そんな事に気付かなかったんだ!?」
「……姉さん?」
「今だって中々顔立ちは悪くないし、何より青山先生の息子じゃないか!!結構似てるし!!」
「…もしもし?」
「決めた、決めたぞー!!舞ーっ!!!!」
「な、何よ…」
「私達姉妹で青山春樹を手に入れよう!!」

椅子から立ち上がり、大声で野望を語る千所姉。
「し、しかし私達って…き、共有はちょっと…」
「構わん。舞と青山春樹の二人、まとめて私が可愛がってやるとも!!」
「それは嫌だ!!いろんな意味でー!!orz」
「はははは!!!!明日から忙しくなるぞ!!巧く行けば青山春樹だけでなく、
囲炉裏真智子に四天王、更には青山先生まで………!!」

鼻血を出しながら、目をギラギラさせる姉を見て千所舞が一言。

「姉さん、初めては私が貰うからな」

やはり似たもの姉妹だ。


257:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:09:59 AVosgSS6
翌朝のこと。春樹が廊下を歩いていると…
「ん~、ゴホン…。青山春樹くん。ちょっと…」
「(ゲッ)こ、校長先生…お、お早うございます」
「うん、おはよう」
「い、いつもながら凄い服ですね…」
確かに古今東西、レザーのビキニ上下のみで、校内を歩く校長はただ一人だろう。
「はは、君にそう褒めて貰えるとは光栄だ」
『褒めてねぇよ!!』
心中で突っ込む春樹。
しかし視線はつい…

『こ、校長の胸…黒田以上の大きさ…まさに凶器と呼ぶしか…………!!
しかも、足長いな………あんなに綺麗で白い足なんて……』
『ふふっ、視線を感じるぞ、青山春樹。…しかし見れば見るほど父、青山先生にそっくりだ…
…いかん、濡れてきたな………舞には悪いが味見させて貰うとするか』
両者に沈黙が流れる……がそれを破る者が。

「おーす、春樹ぃ!!…と校長!?…先生……何やって…」
生徒会長、豆田陽子が通りがかる。
「うるさい、トウ…じゃない豆田。あっち行け」
「こ、校長!?いくら何でもその言い方は!!」
「あ、いーよ。校長せんせー失礼します…」
そう言うと陽子は春樹の手を取り、猛ダッシュで逃げ出す。


「ま、豆田!?」
「春樹、あたしを信じて逃げろ!!…今の校長はヤバいぞ!!」
半信半疑の春樹だが、言われるまま走り出す。
残された校長は…
「やってくれる…トウバンジャンめ!!」
ハンカチを噛み締めて悔しがっていた。

はたして春樹と陽子はこのピンチをどう乗りきるのか?


新醤油学園 青春編
「今そこにある危機」


258:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:36:48 AVosgSS6
授業開始の鐘が鳴っても二人、いや先導する陽子の足は止まらない。
「お、おい!!豆田!!授業が始まってる…」
「それどころじゃねぇ!!ヤバいんだよ!!」
陽子の声に真剣な物を感じとったのか、春樹は黙って陽子に従う。
いつしか二人は高等部の校舎を離れ、中等部の敷地へと足を踏み入れていた。

「…久しぶりに来たな」
「ん?あ、豆田は持ち上がりで進学したんだっけか。…懐かしいか?」
「まあな。とりあえずここなら大丈夫だろう」

二人が一息を入れたその時。

足下へ短剣が刺さる。

「誰ダ!!」
「……あたしだよ」
「陽子サマ!?…謝々!!」

校舎の陰から姿を表したのは、春樹達と同年代の少女だった。
黒い頭髪を頭の両側でお団子に、切り揃えた前髪と可愛らしい目の少女。
「どうしたネ、陽子サマ……と?」
「ああ。こいつは青山春樹。あたしの連れだよ、レーファ」
「…ヨイ人みたいネ」
「な!?ち、違う…いや違わないが…その!?」
慌てふためく陽子を横目に春樹が尋ねる。
「えっと…青山春樹だ。君は?どうやら豆田の知り合いみたいだが?」
「是。ワタシはレーファ=シラー。レーファと呼んでくださいネ」
「レーファ…さん。君は…中国の?」
「イヤ、中国系カナダ人ネ。陽子サマの家にお世話になってるヨ」
意味ありげに陽子を見るレーファ。
『レーファ!!あたしの正体は黙っておけよ!!』
『オー、陽子サマ。怒ったら台無しヨ、彼氏の前で』
『…くそぉ!!』


259:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:38:30 AVosgSS6
「……でどうするんだ?ここまで来て」
「そうだ。レーファ、隠し部屋を頼む」
「?…良いけど、何に使うネ?あと貴子サマにも連絡…」
「いや…貴にも内緒だ。どこから漏れるか分かったもんじゃ…」
「…了解ネ」


「はるくん…どうしたんでしょうか?」
「春樹くんがサボるなんて初めての事だし。何かあったのかしら?」
真智子と夕圭が顔を付き合わせて考えていると、夕圭の携帯が鳴った。
「はるくんですか!?」
「いやメールみたい。誰かしら……!?…」


『四天王へ
トウバンジャン離反。
同行者青山春樹共々捕縛の上、第三会議室へ連行せよ。
コードF by BB 』
痴女クール校長からの指令メールだった。

『どういう事!?一体…!?しかも、コードFなんて最優先事項の…』


一方その頃。
「……やってくれる馬鹿姉が…!!……春樹さんと駆け落ちなんて…!!」
凄まじい勘違いをした中学生が一人、怒り狂っていた。
「…捕まえたら馬鹿姉は渡すとして…浮気な春樹さんは……お仕置き二倍
……なでなでをいつもの四倍(///)に…あと…」

打算高き中学生、その名は豆田貴子。又の名を四天王XOジャンという…

新醤油学園 青春編
「逃亡者と追跡者」

260:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:41:31 AVosgSS6
獲物を狩るべく、貴子は行動を起こす。
取り出したるは、ピンクの可愛らしい携帯電話。
貴子が相手を呼び出す。

『お呼びでしょうか?貴子様』
『…姉ともう一人、至急居所を掴みたい…付近を捜索して…』
『了解です。僕一人で構いませんか?』
『…いや、貴方の恋人にも協力を』
『ち、違います!!レ、レーファとはそんな関係じゃ!!』

電話の相手、少年らしき声に焦りが混じるが、貴子は冷静に返す。
『…あれだけ愛されてよくもそんな事を…来月の給料10%カット…』
『ひぃーん!!』


春樹達は中等部校舎のとある教室にやって来た。
「…ここ、普通の教室じゃんか。隠れるのには不向きだろ」
「まあ春樹、黙って見てなよ」
陽子は電灯のスイッチを乱雑に、いやある規則性を持って素早く切り替えてゆく。
すると…

ゴゴゴ…

「こ、黒板が!!し、しかも空洞が!!」
「入るヨロシ、春樹サマ」
謎の中国系カナダ人、レーファに促されて、春樹は黒板の裏、空洞の中へ身を入れる。

「…な、なんだ!?」
そこは六畳程の小部屋、しかし学校にはふさわしくない普通の部屋。
「豆田…この部屋は?」
「説明するとちょいと長いから、また今度な」
陽子は肩をすくめて答える。
「それよりレーファ」
「…ワタシで良ければ探ってみるネ」
「頼む。…校長が一体何を…って分かるが、突然の行動だからな」
「じゃあ、マイダーリンにも手伝って貰うネ」
それまでどこか飄々としていた少女の顔が、微かに赤くなる。
「…勝手にしろ」
「陽子サマ、焼きもちは良くないネ。でも、しばらく二人でしっぽり休むと…」
「…行けっての!!」


261:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:43:39 AVosgSS6
「最近番長冷たいなぁ…姿も見せてくれないし」
芝村麻里愛は屋上で一人黄昏ていた。
「コードF発動なんて何を考えてるのかね、あの玲にゃんは…」
校長をあだ名で呼びつつも、麻里愛はしっかりと任務を分析してる。
『大体、陽子が離反なんて悪い冗談よね。なんだかんだで、あの子が一番職務熱心だし』
『となれば安易に任務遂行とは…まずは情報収集から』


「ハル~、朝御飯頂戴よぉ!!」
ルカが教室にやって来たが、見たのは主のいない机。
「夕圭ちゃん、ハルはどこ行ったの?」
夕圭はかぶりを振る。
「私にも……」
「おかしい…あの真面目なハルがサボるなんて…!!…私探してくる!!」
あっという間に出ていくルカ。夕圭は内心で自問する。
『…どうする…夕圭。春樹くんを取るか、任務を取るのか……?』

さて真智子は。
「…はるくんさがすまえに、まずははらごしらえです!!」
呑気に購買部でお菓子を大人買いしていた。


新醤油学園 青春編
「INTERMISSION」


262:名無しさん@ピンキー
08/06/15 23:57:05 bwqIXJU6
チャイナ娘……お主、できるなッ!?

263: ◆MUMUMU4yyk
08/06/16 02:02:52 C7p9RmaS
瑞穂「インポテンツなのよ、私……」
    まったく予期しなかった告白にまごつく貴子さん。
貴子「ことによると、案外、制服きているせいじゃありませんか?人間には同性愛を拒否する本能があるという噂を……」
瑞穂「インポなのよ、おしっとしっと……」
瑞穂「貴子さん、軽蔑してるでしょう、私のこと」
貴子「軽蔑?まさか外見に異常があるわけではないし、むしろ」
瑞穂「惨めなものよ、裸を見ても感じない。感じないから、見たくない。
   でも女子校の体育なんか、どれもコレも裸だらけでしょう?
   鼻風邪ひいたみたいな気分になってしまうわ」
貴子「気楽でいいですわ。羨ましいくらいです。私なんかいつも自分が色情狂じゃないかと思って、、
    めがねだとかおでこだとか、桜色の大きいリボンだとか……とたんに反応してしまって……」
瑞穂「真面目な話、どちらに手術しようかと……」
貴子「そんなに切実なものなんですか……」
瑞穂「寂しいのよ」


新おとぼく「駄目ルダー」

264:名無しさん@ピンキー
08/06/16 09:48:11 uIW14Irv
~その頃の番長~


「…………」
「番長ー、何死んでんだー?」
「死んでねぇ……なんつーか、一人の生徒として、この学校に不安が…」
「周りじゃなくて?」
「内部だ内部……」
「大変だな」
「…部外者はいいなこの野郎。腹立ったからちょっと河川敷来いや」
「ほう、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ」

---------------------------------------------

「…………」
「…………」

「オッス!オッス!」
「アッー!アッー!」

「おう、そこのいい男二人、やらないk…ちょっと待てよー」

(逃げんぞ!!)
(無論だ!!!)

新醤油学園番長編~河川敷のガチムチ兄貴~

265:前衛と後衛の日(1/11)
08/06/17 03:51:06 ezeFnkzQ
「む!」

リオルの声である。

「むむむむ……」

リオルの唸り声である。

「むぅぅぅうう……う!」

苦しげな、リオルの唸り声である。
眉間に寄せた皺がどんどん濃くなっていき、形のいい眉がつりあがる。
あまりにも力を込めているので眉と眉がくっついてしまいそうなほど。
それに伴いリオルの声も高まっていき、そしてとうとうそれが頂点に達したその時。

「うがぁ―――――ッッッ!!!!」

爆発した。
主にリオルの我慢的なモノが。
立ち上がったリオルは肩を怒らせてぐるりと辺りを見回した。
隆起した地盤がそのまま小高い丘になっている、背の低い草で覆われた緑の土地。
暖かな日差しとてくてく歩いている小鳥がやけに平和で、
岩の上には大トカゲの魔獣がぬべーっと日向ぼっこしている。
最近降った雨のおかげで普段より二割増しで生命力溢れるこの場所で、
リオルは胡坐をかき座禅モドキのスタイルで瞑想していたのだった。
しかし少し考えればわかりそうなものだがリオルと瞑想はまったく相性が合わなかったらしい。
彼女の瞑想は時計の秒針が一回りするかしないかの間しかもたず、奇声と共に中断と相成ったのだ。短っ。

そんなリオルを苦虫を噛み潰したようなジト目で見るのは、蒼い鎧と背中の長剣がトレードマークの勇者。
勇者として振舞うならさらにここに赤いマントが加わるが、普段は別に身につけていない。
町から離れて数十分ほどの距離にあるここで、今日はリオルの鍛錬に付き合っているヒロトである。

「いくらなんでも早すぎやしないか、リオル」
「ダメ。あたしこれダメ。イライラするもん。瞑想。あたしイライラする」
「集中力ないにも程があるな」

ヒロトは呆れたように言った。
そもそも、ヒロトに修行をつけてくれと言い出したのはリオルの方なのだ。

リオルの核(コア)とも言うべき賢者の石が変質し、より『本物』に近い性質を手に入れたと発覚したのは
つい先日のことだ。ジョンは貴重なサンプルであるはずのリオルの賢者の石を見逃し、
生命を優先させたためにその秘密は未だに解明されていないままになっているが、
もちろんそれは賢者の石を諦めたわけではない。ジョンはリューが魔王城書庫から召喚した
魔道書の一部を借りることによって、今まで以上に精力的に研究に励んでいる。
リオルはそんなジョンを見て、自分にも何かできることはないかと思い、
自分の体内にあるという賢者の石をどうにかして制御できないものかと考えたのだ。
その方法として思いついたのがこれ。自己の裡に潜り己を高める瞑想という手段である。
ちなみにヒロトは『なんかそういうの上手そうじゃん』という理由でつき合わされていたりする。

「なんかさー。コツみたいなのってないの?コレ」
「コツ……かぁ。それ以前の気もしないでもないが、まぁ形にこだわることはないんじゃないか?」


266:前衛と後衛の日(2/11)
08/06/17 03:52:12 ezeFnkzQ
ヒロトはそう答えた。わざわざ座禅を組んでいたことを言っているのだろう。
『とりあえず形から』という手段ももちろん有効だろうが、瞑想は瞑想であって、
特にこれこれこういうポーズをしなければならない、というものではない。
ようは集中できればいいのだ。それさえできれば、たとえ十字を切って手を組んでも、
剣を正眼に構えていても、ただ目を閉じているだけだって構わない。
ヒロトがそう言うとリオルは小首を傾げて人差し指を顎に当て、

「集中、ねぇ」
「いっそ延々と稽古をしているとかどうだ。リオルはじっとしているより
 身体を動かしているほうがかえって集中できるように思う」
「そうですわね」
「ふうむ……」

リオルは腕を組むと、考え込んだように唸った。

「って、ローちゃん!?いつの間に!」

いつ現れたのか、音もなくローラがリオルたちの背後に接近してきていた。

「……ついさっき、ですわ。リオルさん、勝手にヒロト様を持っていかないでもらえます?
 行方不明になったと思って街中探してしまったではありませんか」
「いやぁ、あははー……」

それでどうして町の外であるこの場所に行き着くのかかなり謎だったが、
乙女ちっくハートの潜在能力が無限だということは万国共通、常識以前の話だ。
そこを深く考えるのは無駄というものだろう。

「俺はモノ扱いか」

ヒロトの呟きは無視された。

「と、ところでジョンは?はかどってた?」

リオルの問いに、ローラは少しだけ眉を下げててゆっくりと首を横に振った。
わかっていたことだけど。リオルはそっか、と肩を落とした。

魔道書を調べて賢者の石に関する手がかりを見つける、というのは
勇者ジョン・ディ・フルカネリの使命のひとつでもある。
魔王と契約してこの世の全ての魔道書が集う魔王城書庫の使用許可を得るという目標は
リューと出会ったことによって達成されたが、その先、つまり実際に魔道書を調べることとなると、
これがジョンにとって大きな落とし穴だったのだ。
魔道書というものは、本それ自体がひとつの魔術式に等しい。形のある魔法のようなものだ。
魔法とは術師のマナを消費し、この世に奇跡を体現させる。その法則は魔道書も同じなのだ。
魔道書は読み手のマナを喰らう代わりに、記録されている知識を、
あるいは術式を、記憶を、叡智を、幽世の理を読み手にダウンロードする。
ジョンはリューの協力によって――リューはかつて絶命したアルラウネのククに即席の蘇生魔法を
成功させた夜のように、召喚魔法を使って魔王城の書庫から魔道書を取り寄せたのだ――念願の魔道書を
手にすることができたのだが、その魔道書を読むのに必要な魔力とジョンの魔導師としての能力には
残念ながら、大きな開きがあるとしか言いようがない状態なのだった。

まぁ、無理もない。

リューが召喚した魔道書はどれも神代級のシロモノばかり。
魔道国家ユグドレシアの王立図書館、通称『真理の森』でも何冊あるかわからないようなレベルなのだ。
魔王であるリューはそのとてつもない魔力を以って、まるで野菜スープのレシピのような気軽さで
読めるのかもしれないが、魔法使いとしては決して優秀な方ではないジョンが容易く扱えるものではない。

267:前衛と後衛の日(3/11)
08/06/17 03:53:11 ezeFnkzQ
悪くすれば魔道書に飲まれ、正気を失ってしまうようなそれらを、
ジョンはリューの張った結界の中で慎重に解析している。
そして作業が難航しているからこそ、リオルはジョンの為に頑張ろうと心に決めたのだ。

「でもなぁ」

リオルはウムムと腕を組んだ。

「正直、どうすればこの賢者の石の秘密がわかるのか、あたしにはさっぱりわかんないんだよねー。
 いや自分のことだってのはよくわかってんだけどさ」
「……まぁ、作った本人にもわからないようなものですからね」

現在わかっているこの賢者の石の性能は、まず魔力を貯蔵できること。そして魔力を解放できること。
この二つはジョンが作った賢者の石にもともと備わっていた機能である。
魔法使いにとっての魔力のサブタンクであり、飲み物を入れておく水筒と変わらない。
だが問題は、その水筒に水が勝手に溜まるようになったということ。
一度に放出する量さえ気を付けていれば、飲んでも飲んでも水がなくならない水筒。仕組みは、謎。

………………………怪しすぎる。

「気持ち悪ッ」
「しかも、それが自分の身体に入っているんですものね」
「とにかく、どうすればいいかなんて誰もわからないんだ。
 なら思いつく限りのことをやってみればいいんじゃないか」

………結局、そこに収まるのだった。


『身は心に通じ、心は真に通ずる』。


その昔、インの国で最強を謳われた拳法家、マスター・リーが残した言葉だ。
身/肉体を鍛えることで心/精神を引き締め、磨き上げられた精神で真/悟りに至るというものらしい。
その拳法家は勉学ではなく拳を極めることによって世の真理に近づこうとしたことで有名でもあり、
没後何百年も経過した今でもなお多くの人から尊敬されている。
イン国が誇る拳法流派のほとんどがその人を源流としているというのだから相当なものだろう。
イン国の人間でなくとも、武道を志した者ならマスター・リーの名は
誰だって人生の内に一度は耳にするほどの偉人である。

「真理云々はともかくとして。自己の能力を把握するのに鍛錬は欠かせないものだというのは頷ける話だと思う。
 どうせ今日はジョンやリューが宿に篭っているから俺たちは暇なんだし、軽く身体を動かしてみるか」
「うん、まぁそっちの方があたしは得意っぽいかな」

リオルは大きく伸びをすると、ぱきぱきと骨を鳴らした。

「で?」

そうして、ヒロトを見る。
ヒロトは頷いて、

「そうだな。ここなら迷惑になることもないだろうし、少しくらい派手に暴れてもいいだろ。
 じゃあ、まずは適当な距離を取って実戦と同じようにやってみるか。相手は俺がするから、
 手加減はなしの方向で構わない。ああ、さっきその辺に魔獣がいたか。
 少しどいてもらうように断っておかないとな」


268:前衛と後衛の日(4/11)
08/06/17 03:53:48 ezeFnkzQ
と、すたすた歩き出した。言葉の通じる知能があるとは思えないようなトカゲモドキまで
わざわざ追い払っている辺り、さすが人間と魔族の調和を目指す変り種というか何というか。
と、思ったら案の定襲い掛かられている。しかしヒロトの方も慣れたもので、ひらりと身をかわすと
しっぽを掴んでそのままブン投げた。ひゅるる、と彼方に飛んでいく。まぁ死にはしないだろう。多分。
ちなみに魔獣の棲む土地で勝手に暴れればそのエリアのヌシが怒って外敵と見なし、
排除しに来ることもあるだろうが、気になるこのエリアのヌシとは町に辿り着く途中で既に会っていたりする。

『城亀』の異名を持つヌシ、テラストゥードはその名の通り城ほどもあろうかという巨大な亀の魔獣であり、
背中の甲羅に象がくっついてお盆状の『土地』を支えているような恰好をしている。
性格は大変なのんびりや。十年に三日しか起きていないほど眠るのが好きで、
喋っている間に何度も眠りに落ちてたためにリューがとうとうキレて魔力波で永眠させようとしたほどだった。
まあ最終的に害はないだろうと放っておくことにしたのだが。

「んー、まぁそれはいいんだけどさー」
「……?」

リオルの声を聞いて、振り返る。まだ何かあるのだろうか。
リオルはこきこきと首を回して、

「一撃につき一回!なんでも言うこと聞くとかどうよ?」
「………………?」

ぴっと人差し指を立てた。
ヒロトがイマイチ飲み込めていないのか不思議そうな顔をしていると、
リオルはだーかーらー、と言って続ける。

「ヒロト強いでしょ?そんなことわかってんの。ムカつくけど戦闘力だけは魔王級なんだから。
 そんなのとやりあったってさー、こちとらあんま、面白くないわけ。負けて当然~みたいになっちゃったら
 鍛錬も何もなくなっちゃうでしょ?だからね?一撃ごとにご褒美が欲しいなってことよん」
「な!」

妙なしなを作って猫なで声を出すリオルに、ローラのツインロールが逆立った。
それはそうだろう。リオルの言っていることは完全なおねだりだ。
お互い歳が一桁の頃からの知り合いであるローラでさえ何度頑張って断念したかわからないような試みである。

「ああ、そういうことか。構わないぞ」
「イエー!」
「な!!」

そして軽く了承するヒロト。なんてことだ。ローラにさえ一度もそんなこと
許したことないのに(単にローラが一度もそういったことを言い出さなかったとも言う)。
灼炎龍時代のリオルの首を刎ねたことで、
最近までリオルはどちらかというとヒロトを仇として敵視していたのではないか?
グリーンドラゴンの鎮静を経て少し打ち解けたかと思えばすぐコレかっ。リオル、恐ろしい娘!

じゃなくて。

「ひ、ひひひヒロト様っ!」
「ん。何だローラ」
「何だではありませんわ!そんな、そんな勝手に決めてしまって!反則ですわ!
 ずるい――じゃなくて!私も――じゃなくて!」
「よし、まず落ち着け」


269:前衛と後衛の日(5/11)
08/06/17 03:54:30 ezeFnkzQ
ローラは深呼吸するとキッとリオルを睨み付けた。

(おのれ、ですわリオルさん。ジョンさんという者がありながらっ!っていうかライバルは
 目下リューさんだけだと思っていましたのにっ!こんなところに伏兵が!?
 考えてみれば『気に食わないけど気になるアイツ』的ポジションは神話の時代から王道中の王道……うかつ!
 うかつですわ私!無邪気さ故の天然スキンシップはヒロト様のフラグクラッシュでも防げませんの!?
 うう……そんな絶対攻撃を身につけているなんて……羨ましい!羨ましいですわリオルさん!
 そして多分ご本人にヒロト様をどうこうしようという気がまったくないのも逆に腹立たしいですわっ!!)

と、だいたいそんな感情を瞳に込めるもリオルのきょとんとした反応を見るにまったく通じておらず、
あげくこんなことを言い出すのだった。

「ヒロト、ヒロト。ローちゃん入れて二対一ってのはどうよ」
「ん?……んー。二対一、かぁ」
「ケチケチすんなよー。最強の勇者なんだろー」
「……別にそんなつもりはないけど。ま、いいか。ローラ、悪いけど頼めるか」
「え!?わ、私もですか?ですが……」

急に話を振られて、ローラは流石に戸惑った。
直前まで拗ねていたこともあり、そもそもリオルの為の鍛錬なのではなかったけ?

「いいじゃんいいじゃん。ヒロトに言うこと聞かせるのはローちゃんでいいからさー」

雷が落ちた。
愛剣ボルテックを抜きはらったローラが一瞬にして魔力を刃に通わせると、
戦場の指揮官の如く紫電の剣をヒロトに向けて一気に突きつけたのだ。
途端に切っ先からばりばりと稲妻が迸り、こちらにまだ顔を向ける途中だったヒロトに襲い掛かる。
いきなり直撃――するかに見えた完璧な不意打ち。が、電撃が地面を抉ったのみで
肝心のヒロトはすでにそこから消えていた。ばっと辺りを見回す。
いた。少し離れた丘の上。一足飛びでそこまで移動したのか。
――まぁ、ローラも別にこんなに簡単に一撃を当てられるとは思っていない。しかし失敗は失敗だ。

「ちっ」
「うわぁ。ローちゃんヤル気満々だね」

三白眼になって舌打ちするローラの変わりようにリオルも引いていた。

「リオルさん。知っての通りヒロト様は一筋縄ではいきませんわ。
 まずなんとかして足を奪いましょう。二人力を合わせれば糸口はある筈ですわ」
「………そだね」

リオルは頷いて、龍の能力を解放した。こめかみに冷や汗が一筋、流れ落ちるのを感じながら。



ローラが当初の目的を完全に忘れて稲妻を纏いながらシャーオラー、とかやっている頃。
町に残っていたリューは何やら一冊の本をぺらぺらめくりながら、しかし何をするでもなく、
腰掛けた椅子をひっくり返りそうなほど傾けてそのままゆらゆらと揺れていた。
今日のリューはずっと宿に篭ってジョンの研究に付き合っているのだ。
といっても実際に魔道書を捲って解析しているのはジョンだけであり、
リューはそれを手伝ったりはせずにこうして半目になって揺れているだけだったりする。
何せこれはジョンの使命であり――魔術の叡智とは、そうやすやすと伝達できるものではないからだ。
一歩間違えば簡単に意識を持っていかれる。掌に小さな種火を灯すような下級の魔法じゃあるまいし、
魔王の書庫を漁るのならばそれが当然なのである。ジョンも無論、それを承知でリューに協力を要請したのだ。

270:前衛と後衛の日(6/11)
08/06/17 03:55:22 ezeFnkzQ
だからリューができるのはこうやって結界を張って、外に被害が出ないように工房を作ってやるだけ。
それから――。

『SSSYUGURRRRRRRRRRRRRRRRッッ!!!!』
「っく、リ、リューさん!!」

ジョンが高く声をあげる。
目を向けると宿の一室がびゅごう、ごおう、と黒い大風で逆巻いており、
魔法陣の中心で倒れているジョンの背中から、
めりめりと音を立てて得体の知れない化け物が顔を出そうとしていた。
ジョンの足元に落ちている本は『レメゲトン』。存在が知れればすぐにでも専門の神官や魔導師が
回収に駆けつけるであろう第一級禁書だ。内容は主に悪魔召喚であり、
マナを仮想物質(エーテル)に変換して形を与える、高度な使い魔使役の呪法である。
今起こっているのは暴発である。魔道書に飲まれてどこぞの悪魔でも召喚してしまったのだろう。
もちろんこれは失敗であり、放っておけばジョンは悪魔に内側から身体を引き裂かれ千切れて死ぬ。
リューは溜め息をついた。ぱたん、と読んでいた――眺めていた本を閉じる。
そのタイトルは『恋するオーラ』。巷の若い女の子に人気だというつまらない恋愛小説である。
そしてがちがちと牙を鳴らしている悪魔に手をかざし、

「――五乗封印」

それだけ、呟いた。
途端、この世に生まれ出でようとしていた悪魔の黒い身体がぎしっ、と止まる。

五乗封印。

相手の四肢と首に魔力の刻印を刻み、自由を奪ってしまう『緊縛』の上位魔法である。
かつてクルミというクノイチがヒロトを拘束した術で悪魔を封じ込めたリューは
そのままツカツカと悪魔に近づくと、呪縛を解こうともがいているその顔面を思い切り踏みつけた。

『MUGYUッッ!!?』

そのままぐりぐりと踏みにじって悪魔を強制的に送り返す。
悪魔の姿が見えなくなると、リューは倒れて息を荒げているジョンに声を掛けた。

「……無理しすぎではないのか」

ジョンは顔面蒼白、汗まみれでぐったりとしているものの意識ははっきりしているのか、
視線だけでリューを見上げてぎこちなく笑ってみせる。

「……すみません。また、失敗してしまいました」
「まったくだな。傍迷惑なものだ。引き際を見誤れば死ぬ以上の苦しみが襲い掛かってくると教えただろう」
「……リューさんも、同じような目に?」
「馬鹿を言え。我こそはリュリルライア。あらゆる魔と闇の頂点に立つ魔王だぞ。我にとっては
 ネクロノミコンだろうが黒い雛鳥だろうが四神天地書だろうが、野菜スープのレシピと変わらん」
「………すみません」

――魔道書に飲まれるということは、魔道書よりも術師の格が劣るということ。
職人の世界ではしばしば道具と自分の力量が合わないことを『道具に使われる』というらしいが、
そんなものでは済まされない。文字通り『道具に食われる』のが魔導師なのだ。
そして術師の血肉を喰らって実体化した『魔道』はそのまま外の世界に解放され、
様々な災厄を引き起こす――世に言うマージハザードというヤツである。
かつて渇きの国で外道魔導師が国中のマナを吸い尽くし枯渇させるという事件があったが、
それも例のひとつに数えられるだろう。ともすれば世界の崩壊を招きかねない、
聖堂騎士団や勇者にしか対応のできない文字通りの『災害』である。

271:前衛と後衛の日(7/11)
08/06/17 03:56:09 ezeFnkzQ
 
今呼び出されようとした悪魔も同じ。それも、それこそヒロトやブレイズのような
戦闘特化型の勇者が聖堂教会の命を受けて処理に現れるような掛け値無しのバケモノだ。
……それをあろうことか踏んずけてあっけなく追い払っしまったリューはやはり、
少女の姿をしてはいても人間とは天と地よりも隔たりがある存在だといえよう。

ジョンが素直に謝ったのを見て、リューははぁ、と溜め息をついた。

「そこはツッコむところだぞ、ジョン。我に料理のレシピが扱えるものか」
「……はは、そうですね」

リューには珍しい自虐的なジョークにも、ジョンは渇いたように笑うだけだ。
そんなジョンを見下ろして、リューはまた深く溜め息をついた。
ひょい、と紙屑でも拾うかのような調子で魔法陣の上に落ちているレメゲトンを拾い上げると、ぱたん、と閉じる。
そしてそのまま放っておけば町中の人間を皆殺しにしたであろう悪魔を召喚した魔道書は
魔王の手の中で光の粒子となり、消えた。――送還されたのだ。
それからリューはしっちゃかめっちゃかに散らかった床の上のモノを乱暴に足で除け、すとん、と座り込んだ。

「いいのか」

そして、それだけを訊く。
なんのことです?ととぼけることもできない。『こんな無茶をしていていいのか』とリューは訊いていた。
ジョンは、その問いに答えるまでも無いと思った。ジョンには、リオルを殺すことはできない。
しかしラルティーグを裏切ることもジョンにはできなかった。勇者という名の希望はそんなに安いものではない。
なら、自分のこの身体を張るしかないじゃないか。ジョンはそう思っている。
しかし、リューは首を振った。

「――ならば、せめてこの事態をリオルに話すべきではないのか」
「………………」
「リオルは貴様がこうして死にかけていることを知らん。魔道書の解析に手間取っているといっても、
 せいぜい魔力切れで倒れるとかその程度だと受け取っているだろう。ジョン、貴様がそう見せているのだからな」

実際は、違う。
さっきの悪魔召喚のように、一歩間違えれば大災害を引き起こすような
術式を――ジョンのスペックを遥かに超越した無茶を繰り返している。
ハイリスクハイリターン。だが余りにも分の悪い賭けだった。
それでもリオルの前ではなんでもないように振舞って、それを隠しているのだ。
リオルに心配をかけたくない。
その一心で。

「ヒロトさんを引き摺っていった、リオルの顔を見ましたか」
「ああ」
「修行を付けて貰うんだそうです……また無茶を言っていなければいいですが」
「言っているだろうな。まず間違いなく」
「はは」

無邪気なリオル。だが、ジョンが死を賭して魔道書に挑んでいると知ったら、
今のように変わらず笑っていられるだろうか?
ジョンは思い出す。リオルの胸に埋め込まれている賢者の石が進化したと告げたあの日、
リオルは震えながら、自分の生命を差し出すと言った。
その顔を、ジョンは忘れない。

「惚れた女の笑顔を守る――か。難儀なものだな。お前も」

272:前衛と後衛の日(8/11)
08/06/17 03:57:10 ezeFnkzQ
「こう見えても男の子ですからね」

ニッと歯を見せる。さっきの自虐ジョークのお返しだ。リューは苦笑した。

「……それに、秘密はお互い様でしょう。リューさん」

だが、続けてぽつ、と呟いた声に、リューは身を硬くする。
未だ倒れたままのジョンを見た。ジョンは床に頬をつけ、手足を不恰好に折り曲げた体勢のまま、
それでもまっすぐにリューを見つめている。
リューは目を逸らし、とぼけた。

「なんの話だ」
「神は世界を創り、魔王は世界を破壊する――裏表の存在なら、神にできることは魔王にもできる。違いますか」

突然、話が飛んだ。飛んだ?違う。それはリューがまだヒロトに話していない、隠していることの中心だった。
それでも、リューは目を逸らしたままだ。

「……なんの話だ」
「お互い様、という話です。ボクはリオルとの関係が大切だから、こうやって倒れていることを秘密にしている。
 貴方だってそうでしょう。貴方がその気になれば、ヒロトさんを自分のものにすることは簡単なはずです。
 でも、それでは貴方の大切を壊してしまう。だから、秘密にしている――」
「………………………」

リューは、いや魔王リュリルライアは答えない。
だが、冷たく燃えるその瞳が、『余計なことを知ってしまったのか』と問いかけていた。

「――憶測です。ボクが観た限り、そして今までに得た知識で解釈した限り、そういう結論に達しただけのこと。
 だからリオルには秘密にしておいてくださいね。ボクがこうやって、死にかけていることを」

リューは目を閉じると、また深い溜め息をついた。

「……魔王を脅迫するか。太いヤツだ」
「こうでもしなきゃやっていけませんよ。人間なんて」

ジョンは苦笑した。
その時、ずずん、という地響きが遠くの方で起こり、窓ガラスがびりびりと震えた。
町の外だろう。煙が幾筋か立ち上っていた。結構な距離がありそうなのに
こちらにまで振動が伝わってきたところを考えると、まず間違いなくヒロトの仕業に違いない。
リオルの『修行』か。楽しんでいるといいけど。
ジョンはいまだ痺れて感覚のない身体をもぞもぞと動かして、やっとの思いで身を起こした。
リオルが帰ってくるまでになんとか回復させないと。
せめて、ヒロトに手も足もでなかったと泣いて暴れる彼女を、なだめてあげられるくらいには。



地盤が、捲りあがっていた。

『豪剣』。
魔法の使えないヒロトが魔王にも匹敵する戦闘力を発揮できる秘密がそれだ。
魔力を放出して奇跡を起こす魔法とは違う、自分の血肉に高密度の魔力を通わせて
身体能力を向上させるヒロトが編み出したオリジナルの術。
その膂力の凄まじきは天をも斬り裂き、――大地を砕くと言われるほど。


273:前衛と後衛の日(9/11)
08/06/17 03:58:03 ezeFnkzQ
「わ、わわわっ!?」

シーソーのように傾いていく地面の上で、とても立っていられない。
ローラは放電するどころではなく、尻餅をついて放り出されないように突き立てた剣に捕まるしかなかった。

「うぇえ、ヒロトのヤツ本気出しすぎだろ常識的に考えて……」

翼を広げて空を飛ぶリオルが、呆れたように呟く。
彼女からはまるで地面がビスケットやクラッカーになってしまったかのように見えた。
ヒロトが踏み込みや踏みつけによって地面を砕き、
相手の足場を崩すという戦法を取るのはなにも今回が初めてのことではない。
先日の牙の森で猿の魔獣たちを威嚇した時は小規模ながら地震まで起こした男である。
だが、これは――女の子一人に対して、ここまでやるか。普通。

対ヒロト戦に於いて、最も有効な手段はやはり、剣の間合いの外からの遠距離攻撃だろうと言ったのは
ローラだった。接近戦でヒロトに敵う者など存在しない。たとえそれが魔王であろうとも、だ。
逆に、魔法の使えないヒロトには遠くにいる相手をどうこうできる手段はない。
いや無理をすれば、その剣が巻き起こす真空波で吹き飛ばすこともできるのだろうが、
わざわざ『技』を出さなくてはならないのはやはり離れた場所にいる敵を嫌がっている証拠だろう。
そこでリオルは空を飛び上空からの火炎弾で狙い撃ち、
ローラは中距離から雷でヒロトがリオルを撃ち落とすのを邪魔するという戦法を取っていたのだった。
ヒロトの戦い方をよく知る二人の作戦はおおむね有効といえ、
こちら側の攻撃も通らないがヒロトの力を上手く殺しているという戦況が続いていた――その時である。

ヒロトが地面を踏み砕いたのは。

しかしローラを牽制するにしてももっと手加減すればいいのに。
リオルは飛んできた岩をひらりと避けながら、あ、とローラを見て声を出した。

「ひゃぁああ!?」

隆起した地盤が自重を支えきれずにメキメキと音を立てて途中で折れる。
その勢いで、ローラは剣に捕まっていられずにポーンと放り出されていた。
地面に激突すれば、まさか死ぬことはないだろうが空を飛ぶ術がないローラが
怪我をするのは必至である。もしかしたら骨を折るかもしれない。

「ローラ!」

それを、ヒロトが空中で受け止めた。
物語に出てくるヒーローとヒロインよろしくお姫様抱っこで抱えたまま綺麗に着地を決める。
ヒロインが空中に放り投げられたきっかけを作ったのが
ヒーローその人であるという事実を除けば絵になる光景だった。

……いや、実のところヒロトだって予想外だったのだ。
少し地面を割るくらいのつもりが、岩盤を隆起させるほどの破壊を生み出してしまうとは。

ヒロトはこの特訓の最中、『豪剣』を使っていなかった。
ローラとリオル、二人掛かりでさえ身体能力の底上げをするまでもなくあしらえるはずだったからだ。
しかし流石に相手はヒロトの手の内を完全に把握している旅の仲間たち。上手いようには戦わせてもらえない。
火炎弾と雷撃、畳み掛けるような遠距離攻撃にヒロトは焦れて、
とりあえずローラの動きを止めようとして――『豪剣』を発動した。
思えばブレイズ戦以来となる本領発揮だった。ジョンとの殴り合いには
必要なかったし(ヒロトが『豪剣』を発動した状態で殴ったらジョンは首から上が吹っ飛んでしまう)、
ここいら一帯のヌシは寝てばかりで剣を交えるまでもなかったし。
だから、ヒロト自身も知らなかった。

274:前衛と後衛の日(10/11)
08/06/17 03:58:52 ezeFnkzQ
 
自分が、以前より強くなっていることに。

(――そういえば、再生能力も上がっていたっけ……)

地面を砕く程度でよかった。もしこの力を把握しないまま以前の調子で剣を振っていれば、
もしかしたらローラやリオルを一刀両断していたかもしれない。
そんな最悪の事態を想像して、ヒロトはぶるっ、と身震いした。
先日対峙したブレイズの声を幻視する。

――ホント、バケモノよねぇ。お兄さん――

……自覚はある。自分のこの剣はヒトの域を遥かに超越しているものだということくらい。
そもそも聖堂騎士団の精鋭が束になって始めて相手にできるような怪物たちを
剣一本で殲滅してきたのだ。これが異常でなくてなんだというのだろう。
少なくとも城を出て間もない頃はこうではなかった。多少腕には自身があったとはいえ、
それはまだヒトの域にあった。それどころか魔法の才能がまるでなかったヒロトはスライムに襲われても
剣で対抗するしかなく、撃退に十分も費やしたために護衛に就いていた商人に呆れられたものだ。
火や氷なら初歩の魔法でも退治できるというのに、と。
それが一閃で龍の首を刎ねるほどになろうとは――『豪剣』を編み出したにしても度が過ぎている。
望んだ力ではない。むしろ力が手に入ってしまったからこそ、ヒロトは――。

「ヒロト様……」

ローラの声がした。思わずはっとなって我に返る。
ローラはヒロトの腕の中で恥ずかしそうに小さくなっていた。

「す、すまん。力加減を間違えた」
「いえ、それはいいのですが――その」

ローラは桃色に染まった頬を緩ませると、囁くように言った。

「チェックメイト、ですわ」
「え?」

その微笑みの意味に気付いたのは、電撃がゼロ距離で直撃してからだった。



彼らは変わりゆく。
リオルはジョンの魔力供給に依存しない『生命』を手に入れたし、
ローラも未完成ながら、聖堂教会本部にさえ影響しうる『王家』の能力の片鱗を見せ始めた。
ヒロトの成長は今もなお止まらず、魔王であるリューもなにやら秘密を握っているらしい。
彼らは変わりゆく。
今はまだ予兆だとしても、いずれそれらは明らかになるだろう。
その時になによりの鍵となるのは、しかしその中で変わらなかったものとなる。
たとえば、このいつかの穏やかな日々が。
試練の時、在り方を決めることとなるように。


275:前衛と後衛の日(11/11)
08/06/17 04:00:10 ezeFnkzQ
 

……ヒロトは顔をしかめていた。
理由は簡単だ。ローラのアレは完全に不意打ちである。不意打ちというか騙し討ちに近い。
ドラゴンブレスにも耐えるヒロトの防御力を持ってすれば少しばかり痺れるだけで済んだものの、
一撃は一撃、という少女たちの言い分により結局ヒロトはひとつ言うことを聞くはめになってしまった。
口先で女の子に勝てる男はいない。まして口下手なヒロトだ。結局のところ油断したのはヒロトなんだし。
でも、納得いかない。だから不貞腐れているのである。

「……あの、ヒロト様?」
「なんだよ」

ようは拗ねているのだ。珍しい。珍しいがローラはそれを可愛いと思う余裕はなかった。
ヒロトの機嫌が悪いというのはローラにとってとても辛いことだからだ。それを自分が引き起こしたのがまた辛い。
ううん。あの時はヒロトがまたよからぬことを考えていそうだったから咄嗟に放電してしてしまったが、
これは失敗だったか、とローラはしょんぼりと肩を落とした。

「男に二言はない。で、俺は何をすればいい?」

そう言われても。

「……リオルさん、譲りますわ」
「え?マジ?じゃー、えっとね」

リオルは無邪気にウムムと唸ると、

「最初はどんぐり飴でも買ってもらおうかって思ってたけど、攻撃を当てたのはローちゃんだからなぁ。
 んー、宿に戻るまでローちゃんをお姫様ダッコしていくってのはどうよ」
「え」

顔を引きつらせるローラ。
何も言わずにひょいとローラを抱えるヒロト。

「え、わ、ヒ、ヒロト様?私は――」
「男に二言はない。これでいいな?リオル」
「うん」

リオルは妙に嬉しそうに頷いた。
ローラはわたわたと暴れるも、ヒロトに抱えられてしまってどうしようもない。
かくして、仏頂面のヒロトが困り顔のローラを抱え、
その後ろからニヤニヤしているリオルがついていくというヘンテコな三人組が出来上がった。
このまま宿に戻れば、さらに怒るリューと苦笑するジョンが加わることだろう。

「その前に買い物に行くか。リオル、お前はどうする?」
「え、ですがヒロト様。予定では買出しは明日に……」
「ついでにどんぐり飴も買ってやろう」
「わーい本当?」
「………あのぅ、ヒロト様?」
「当然、宿に戻るまではローラは抱えたままだけどな」
「うぅ、ヒロト様が怒っていますわ……」



              前衛と後衛の日~新ジャンル「悪魔」英雄伝~ 完



276:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:43:04 5aSqjqF6
GJ!
ヒロトは何処まで行くんだ…

277:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:45:46 V2rV5X2R
男「両腕骨折した」
女「赤信号なのに自転車でツッコむアンタが悪いのよ」
男「いけると思ったんだけどなぁ……」
女「どこに?スピードの向こう側に?」
男「それでこのザマさ。オナニーもできなかった」
女「……アンタさ、もしかしてアタシを呼び出したのって……」
男「そう!性処理に関することだ!」
女「バ、ババババッカじゃないの!?そんなの嫌よ!絶対!」
男「………」
女「で、ででででも、責任とってくれるなら……ごにょごにょ」
男「何を言っている?俺はオナニーはできなかった、と言ったんだぜ?
  つまり過去形だな。アンダスタン?」
女「え?でも両手は骨折して……」
男「ふっ。欲のためなら限界なんて軽く突破するのが生物の本能ってヤツさ。
  見さらせ!俺が編み出した新しいオナニーを!」
女「ああーッ!これはーッ!」

男「 セ ル フ ・ 足 コ キ ! ! ! ! 」

女「できそうでできない……セルフフェラのさらに上!驚異的な股関節の柔らかさがなくては
  実現できない幻のオナニー!ついに成功させたのね!男!」
男「おう!これでもう腕なんか必要ないぜ!」

ゴキ

男「………」
女「…………」


股関節脱臼

新ジャンル「オナニー」

278:名無しさん@ピンキー
08/06/18 01:02:15 V2rV5X2R
男「野郎……ッ!ついにッ!」
?「………」
男「ついに会えたなッ!女ッ!!」
?「…………」

ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ

友「ッ!?男ッ!そいつは両右手じゃない!女じゃあないぞッ!」
男「な……なにィ~ッ!?」

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ
ドドドドド ドドドド ドドド

女「バァカめ~!わたしがJ・ガイルだ」

ドーーン


新ジャンル「左手がない少女」

279:名無しさん@ピンキー
08/06/18 20:24:38 9ichfwwm
>>277
続編ワクテカwww

280:名無しさん@ピンキー
08/06/18 21:01:39 rvcO1aiH
GJにつぐGJ!だが色々自重しろwww

281:名無しさん@ピンキー
08/06/19 00:55:29 3RABPjaI
男「留学生」
女「うん?」
男「留学生が来た」
女「どこに」
男「俺のクラス」
女「男?女?」
男「女」
女「かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」
男「何そのタメは」
女「別に。死ねばいいのに」
男「怖っ」
女「何人?」
男「キプロス」
女「……ん?」
男「日系キプロス人」
女「……キプ……?」
男「キプロス。キプロス共和国」
女「……かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」

新ジャンル「キプロス」

282:名無しさん@ピンキー
08/06/19 01:17:12 3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ!」
男「(あ、可愛い)え、え~と、じゃあコーヒーお願いします」
女「かしこまりましたっ」
男「いいふいんき←何故か(ryの店だなぁ……店員さん可愛いし」
女「え、や、やですよぉお客さん……」
男「あ、すみません。聞こえちゃいました?」
女「あたしなんて暗いし、髪の毛長くてうっとうしいし、ドジだし……」
男「いやぁ、そんなことないですよ」
女「そ、そうですかぁ?えへへ……」
男「友のヤツにも教えてやるか。いい店があるって」
女「それは!」
男「え?」
女「男さんだけで、こうしてお話、できなくなっちゃうじゃないですか……」
男「……!!い、いやぁ、あはは……!!」
女「やだ、あたしったら……男さん、コーヒーお待たせしましたっ!」
男「(………あれ?俺、名前教えたっけ……?)うわっ!ちょ、店員さん!髪の毛入ってますよこれ!」
女「当然じゃないですか。あたしの髪の毛を男さんのカラダの一部にするためですよ」
男「え、えぇっ!?」
女「そうそう。友さん、来れなくなったみたいですよ?うふふ……よかったですね。これで一緒にいれますよ」
男「あ、あんた友に何をしたんだっ!?と、とにかく逃げ……ドアが開かない!?」
女「うふふ、うふふふ、うふふふふ……」
男「う、うわぁーーーーーーッッ!!」

新ジャンル「ヤンデレ喫茶」

283:名無しさん@ピンキー
08/06/19 01:26:55 3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませぇぇぇぇええああああ!!!!」
男「うわ!い、いらっしゃいまし……た?」
女「ご注文をどうぞうおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
男「え、あ、じゃあ、これ、コーヒーで……」
女「かしこまりRYYYYYYYッッ!!」
男(なんでいちいち叫ぶんだ……?)
女「コーヒー豆ッ!砕け散れェェェェェッ!!」
男「何やってんの!?」
女「見ればわかるだろう!コーヒー豆を砕いているんだッ!!」
男「素手で!?」
女「気合があればなんでもできるぅうあああああ!!!」
男「す、すごい……なんて熱い店なんだ……ッ!友にも教えなくては……!」
女「うぉぉぉぉおおおおおおおッッッ!!!!」
男「うぉぉぉぉぉおおおおおおッッッ!!!!」

………………………
………………
………

友「お冷ください」

男・女「そんなものは無いッッッ!!!!」


新ジャンル「素直ヒート喫茶」

284:名無しさん@ピンキー
08/06/19 08:20:02 U0XyYAa/
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」
カランコローン

内気「・・・あ、いらっしゃい…」
男「あ、内気さん、ここでバイトしてたんだ」
内気「・・・うん」
男「でも学校ってバイト禁止のはずじゃなかったっけ?」
内気「だまっ…っててほしい」
男「どうしょっかな~」

内気(私がバイトをしていることをネタに脅迫し肉体関係を勧めてくる。『ミルクコーヒー』と架空の商品の名前をあげたらそれが彼との合図。学校中の男子にもこの話が伝わり一か月もしないうちに性処理カフェと成り果て…)

男「お冷こぼれてる!こぼれてるよ!!」
内気「ご、ごめん・・・許して」フキフキ

男「じゃあミルクコーヒー奢ってくれたら…」

内気「こ、心の準備が…」
男「え?」




ごめん(´・ω・`)

285:名無しさん@ピンキー
08/06/19 10:05:59 3RABPjaI
いいや許さん。もっとやれ

286:名無しさん@ピンキー
08/06/19 11:53:40 CHUCJU1i
内気かあいいよ内気
喫茶店フィーバーもっとやれ

287:名無しさん@ピンキー
08/06/19 12:39:50 U0XyYAa/
内気「黙ってて……ね?」

男「う、うん」

内気「ご、ご注文は…何です…か?」

男「じゃあホットコーヒーを」

内気「かしこまりました…」

男(なんか学校で見るより可愛いな…)


内気「おまたせしまし…つぁ…!」ガシャン!!
男「あっつぁ!!!」

内気「あ、あ、ど、どうしよ」

内気(熱いコーヒーを下半身に零してしまい布きんで拭いていると『自慢の息子にもかかった』とイチモツを見せつけ口で奉仕させられる、コーヒーに入れるミルクを出せと小さな胸を弄れ下の口から溢れる蜜が太股を伝わり…)
男「はっ早く拭いてぇぇえ!!!」

内気「ふ、布きん…」



またやったごめん(´・ω・`)

288:名無しさん@ピンキー
08/06/19 12:56:30 U0XyYAa/
男「あ、内気さん」

内気「…お、お早う、足だいじょ…ぶ?」

男「うん何とか、内気さんこそ店長とかに怒られなかった?」

内気「ク…クビになった」

男「え?そうなの」

内気「…うん」

男「ごめん」

内気「い、や男くんがわ、悪い訳じゃな…いよ」

男「でも!」

内気「悪いの…は私だ、よ」

男(かわいい内気さんを抱き締める、すると震えた声で『…私、男くん好きなんだよ』と言ってくれる。その後学校をフケて河川敷まで歩く、川をずっと見ながら膝枕をしてもらい…その体勢からキス)

内気「学校…行くよ」
男「ひざまくら~・・・」

内気「ひ、ざまくら…?」



男の妄想でした
(`・ω・´)

289:名無しさん@ピンキー
08/06/19 13:27:36 yV7eASJo
バリエーション毎回おもろいなぁw

>>288
男自重www

>>281
男「怪鳥キプロス~空を飛べ~」
女「飛ばない」
男「飛ばない?」
女「うん」
男「ポセイ友は海を行け~」
女「行けるね」
男「行ける?」
女「うん」



友「……な、何か寒気が……」

新ジャンル「バビル二世」

290:名無しさん@ピンキー
08/06/19 13:37:36 U0XyYAa/
男「満員電車って本当ウザいわー…ってあれ内気さんじゃん」

内気「うぅ……あぅぅっ」

男「…なんか様子がおかしいな…まさか・・・痴漢?」

内気「あぁっ…傘の柄が…ぅ」

男「やっぱり痴漢だ、ちょ…ちょっと通してください」

内気(この電車は全て仕組まれている。傘はワザと当てられていて周りの人間はそれを観察して楽しんでる。この後主犯が私の身体を触れてくる、下着をカッターではぎ取り今度は直により強く傘の柄を私のアソコに押し当て中へ…)

男「内気さん!」
ガタン
男「あ!!」
内気「…ぁ」

さわり

おっさん「君痴漢?次の駅で降りなよ」

男「いやっ違う!違うんだ!!」
内気「・・・・・」ダッ

男「違~~~~~う!!」

内気(男くんに…触られた・・・気持ちよかったのかな・・・///)

291:名無しさん@ピンキー
08/06/19 13:38:37 yV7eASJo
二次災害wwww

292:名無しさん@ピンキー
08/06/19 15:54:28 U0XyYAa/
男「あっあの?」

内気「!…ど、どうしたの…」

男「昨日はごめん!!そんな触るつもりじゃなくて!!あっワザとじゃないって意味で」

内気「…気持ちよかった?」

男「気持ちよかった!…あっ」

内気「…正直ね」

男「やっ待って今のナシ!!」





やっぱ俺にはバットエンドが御似合いのようだ(・ω・)

293:名無しさん@ピンキー
08/06/20 04:30:55 le/t3DIV
ミイラ取りがミイラになるとは正にこの事か

何か違う気もするが細かい事は気にするな

294:名無しさん@ピンキー
08/06/20 09:16:54 IkvT1w5N
>>293
たとえ方おかしい

295:名無しさん@ピンキー
08/06/20 18:45:48 SoZQwXq/
>>293
はっはっは。
まったくお前ってやつは。秋の日は釣瓶落としとはこのことだ

296:名無しさん@ピンキー
08/06/20 18:47:25 aq2SI+QH
いやいや、内弁慶の外無双だろ

あれ?

297:名無しさん@ピンキー
08/06/20 19:01:47 oUHHtYfg
>>293>>295-296
この確信犯どもめ! ……ん?


新ジャンル『わざと誤用』

298:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:55:34 mNkjTtvU
あなたは電器店の中にある修理部門の担当者。あなたの目の前には今にも故障しそうなテレビがある。

* 「これで直るはず!」と思い込んで修理してみたが壊れてしまった
(過失犯)

* 「よくわからないけど...こうかな?」といじっているうちに壊してしまった
(過失犯・『壊れるかもしれない』という認識があれば未必の故意犯)

* 「修理不能扱いにして新品を店で買ってもらおう」と考え、わざと壊した
(故意犯) ←これを確信犯とするのが典型的な誤用の例である

* 「テレビは社会を汚染するから、テレビを破壊するのは正義である」との信念に基づき壊した

(確信犯)
 
こうですね、わかります。


299:名無しさん@ピンキー
08/06/20 22:58:40 mNkjTtvU
あなたはやりたい盛りの男の子。あなたの目の前には肌も露に美少女が寝息を立てている。
と思っていただきたい。

* 「俺を誘っている」と思い込んでやってみたら騒がれ、レイープになってしまった
(過失犯)

* 「よくわからないけど...こうかな?」といじっているうちに犯してしまった
(過失犯・『レイープになるかもしれない』という認識があれば未必の故意犯)

* 「何さわがれても女なんか犯っちまったら俺のモノ」と考え、レイープ
 (故意犯) ←これを確信犯とするのが典型的な誤用の例である

* 「女は自ら堕落したがるのだから、女を犯すのは正義である」との信念に基づき犯した
 (確信犯)

こうだったかもしれません、わかりません(´・ω・`)

 新ジャンル「連続婦女暴行犯」

300:名無しさん@ピンキー
08/06/20 23:12:15 dTSF0an5
女 「………」
刑事「女!男友殺害の容疑で逮捕するっ!」

ガチャ

女 「………」
男 「女……お前」
女 「ごめんね。でもいいのよ、男くん。これで……」
女友「女、あんた……まさか!」
女 「………」

ニコッ

男 「………!!」

刑事「さあ、早く乗れ!」

ピーポーピーポー

??「……女………ワタシの罪を被ってくれたのか」

新ジャンル「わざと御用」

301:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:08:35 fMTpyYlf
愛しの青山春樹と、六畳間の隠れ部屋にて二人きりの豆田陽子。
しかし事態は絶望的であり、起死回生の策を立てる陽子には、現状を楽しむ様子はまるで無かった。

しかし、普段はお馬鹿な彼女とて、新醤油学園四天王が筆頭。
喧嘩、荒事にむざむざ遅れを取るつもりなど毛頭ない。
『さて、どうするか…。』
青山春樹は戦力とカウントしないとして…現時点で味方はレーファひとり。
彼女はもう一人の奉公人を呼びに外に出たが、彼は陽子専属の従者ではなく【豆田家の執事見習い】。
『先に貴から指示が出されてたら、アイツは敵に廻ってるだろうな。』
己の妹、四天王XOジャンこと豆田貴子。
最近の春樹絡みの騒動では、妙に自分に突っかかってくる。
味方になるつもりがあれば既にコンタクトをとってくるだろが、今回はその気配がまるで無い。
…まったく、昔は自分の後ろを付いて廻っていたのに。反抗期なのだろうか。
ともかく、敵には貴子ともう一人居ると考えただけで、現時点での彼我戦力は完全に敵と同等。

『逆に味方になりそうなヤツだと…ルカは堅いだろうな。春樹を助けてくれって言えば、きっと首を振らない。
 …ルカを引き込めれば、夕圭も取り込める可能性も。囲炉裏と麻里愛は考えが読めない…こいつ等は、放置か…。』

とりあえず、ルカにメールを送る。
【春樹が狙われている。G08ポイントに居るから、夕圭に案内してもらえ。】
ルカは迷わず夕圭に連絡するだろうし、夕圭がルカをこの場所に連れてくれば、なし崩し的に味方になる確率の方が高い。

『そして、一番の問題だな…。』
今回の作戦の最大の障壁…。BB:Bitch Bossのコードを持つ女…。新醤油学園校長たる千所玲。
豆田の格闘術は先祖伝来のものだが、黒田に近接戦闘を教えたのも、芝村に偵察術を教えたのも、妹に狙撃術を教えたのも彼女である。
…勝てるか?彼女に…。おまけに彼女の妹、舞までが参戦したら、勝ち目が全く無い。

『BBとサシで戦えるヤツ…。あの人に助けを求めるか…。』
やがて、陽子は携帯電話を取り出し、ダイヤルボタンを押す。
「…はい。桜吹雪女学園 校長室です。」

交渉の後、陽子の作戦は固まった。
おそらく追手に廻った貴子…。自身は陽動の意味も込めて、彼女と闘う。
その間にルカと夕圭は青山春樹と合流…。彼女らが付けば、最悪囲炉裏と芝村が敵に廻っても、ある程度の時間稼ぎは期待できる。
その二人で守りを固めている間に、陽子が応援要請した最強の駒【クイーン】がこの戦場にたどり着き、どうにか逆転勝利というシナリオが描けた。

新ジャンル「plan operations」新醤油学園野望編

302:名無しさん@ピンキー
08/06/21 00:11:42 fMTpyYlf
隠し部屋に連れ込まれたものの、陽子は何をするでもなく、何かに考えを巡らせている。
手持ち無沙汰な春樹にできた事は、そんな彼女の顔を眺めていることくらいだったりする。
『…珍しいな。豆田が真面目な表情で考え事をしてる。』
彼女の勉強の面倒を見ている際にも、ここまで真剣になっていない。
やがて電話を切った陽子が、春樹の視線に気づく。
「ん?春樹、どうした?」
「いや。お前がそんな表情してるって珍しいと思ってな。」
と、みるみる陽子の顔に朱がさしてくる。
「み、見てたのか?…ずっと、あたしの顔を。」
「あ、ああ。そうだが…。」
「…………」
…ついには、真っ赤になって黙ってしまった。
そのリアクションに今更気づく。…ああ、こんな狭い部屋に二人っきり。
そういえば、さっき喋っていた時に顔が近い気はしていたし、豆田の吐息すら届いていた気も…(ガムを噛んでいたのか、ミントの香りだった)。
陽子の身体からは女の子特有の甘い感じのいい匂い…。…うん。コレはマズイ。
…性欲が鎌首をもたげ上げる前に、どうにか話題を変えないと。
そこで、今更ながらな疑問が生まれてくる。

「なぁ。…そもそも何でこんなことになってるんだ?」
「あ、あぁ。…春樹はこんな噂を聞いた事はないか?ウチの校長、気に入った男子生徒を【飼う】って話。」
噂どころか、公然の秘密である。
「らしいな。……もしかして!!」
「…多分、春樹も標的にされてる。」
「げ…。マジかよ…。」
「ああ、だが心配するな。春樹はあたしが守る!絶対に!!」
「豆田…。」
陽子の瞳に宿る強い意志…。
その瞳が次第に近づいたかと思うと、急に目を閉じ…。
「っ!?ま、豆田!?」
唇に伝わる柔らかい感触に、ただただ驚愕するだけの春樹。

「へへ。景気づけってことで、春樹の唇貰っちまった…。かわりにあたしの初めてをあげたから、文句ないだろ?
 …じゃ、あたしは少し出てくるけど、春樹はゼッタイにここから動くなよ!?」
「…………あ、ああ。」

いきなり校長に迫られて、豆田とその知り合いにこんな小部屋に押し込まれ、なんだか豆田を見てたらドキドキして、挙句にはキスまで…。
一言で言うと『何がなんだかさっぱり判らない』くらいに混乱している春樹を残し、陽子は一人、隠れ部屋を飛び出す。

『貴ならあの場所で待ち伏せているはず!!…ルカと夕圭が来るまで、派手に暴れてやるさ!!』

新ジャンル「make a sally」新醤油学園野望編

303:名無しさん@ピンキー
08/06/21 14:24:20 8Ssh0xzt
誤用・・・だと・・・?
俺素で間違ってたのか、辞書引き直してくる

304:名無しさん@ピンキー
08/06/21 15:59:26 jRHeRPGb
>>303
でもそれでネタになってるんだからだいじょうぶだお(^ω^)


305:名無しさん@ピンキー
08/06/21 17:07:26 8Ssh0xzt
>>304
べ、別にネタの為に間違えたわけじゃないんだからね!

結構本気だったんだがネタ振りになったと考えればそれはまぁ

306:名無しさん@ピンキー
08/06/21 23:44:09 FZZH1NGB
ふふっ>>305の奴

ばかだなぁそこが可愛いんじゃないか…

307:名無しさん@ピンキー
08/06/22 20:58:13 1XzvmK9e
ここは何書いてもおkって感じでいいなぁ

308:名無しさん@ピンキー
08/06/22 22:02:53 90t/fXni
妄想力激しい奴がネタに転換してくれるからな

309:名無しさん@ピンキー
08/06/23 01:27:19 c4bucHoJ
つまりあれだな、作者さんの中に内気妄想がまぎれこんでる訳だな

310:名無しさん@ピンキー
08/06/23 04:56:33 lxvXplKy
私は毎晩夢を見る、薄暗い廃墟で何人もの男に押さえつけられ無残にも犯される…そんな夢。
窓から漏れた一筋の光で一瞬男の顔が見える……

お前は・・・・!

内気「…朝か」


夢はここで終わる。夢なのに…起きたら身体が震える。

内気「風邪を引いたのかな…」
無理矢理自分に言い聞かせて今日も私は学校へ行く。

俺「内気ーおはよ!」

内気「お、お早ぅ」
やった朝の挨拶が交わせた、嬉しい
私は気になる人がいる、俺君だ。
友達がいない私に最初に話しかけてくれた。
彼は…好きな人とかいるのかな……

俺『今日の一時限目って理科の性処理法だよな』

内気「性しょ…!?」

俺「え?聖書?今日は理科の生物だよな」

内気「あ…あぁそうだよ」
今のは…空耳?俺君がそんな事言うわけないよ。気のせいだよ

俺「どうしたんだ?顔色悪いぞ」

内気「へ、平気だよ」

311:名無しさん@ピンキー
08/06/23 11:41:44 lxvXplKy
生徒「起ー立、礼」

先生「今日の生物は人体です52Pを男、読んでみろ」

男『はい女性性器は大陰唇と小陰唇、クリトリスで構成され…』

内気「えぇ!?」ガタン

先生「どうした内気?」

内気「いえ…何でもないです」

今ものすごく卑猥な内容だった…教科書は普通なのに


俺「上腕二頭筋は腕で一番よく使う筋肉と言われ…」

私はどうしちゃったんだろう……恥ずかしい


キーンコーンカーンコーン
俺「どうしたんだよ内気、保健室行くか?」
内気「…そうする」

私、変になっちゃったのかな…

312:名無しさん@ピンキー
08/06/23 11:54:30 lxvXplKy
内気「ベッド借りまーす、先生いないのかな?」

幻聴が聞こえるなんて今までなかったのに、このままだと日常生活すらままならないよ…




やめて…やめてください、何でもするから…
痛い…初めてなのに
嫌だ、嫌だ、嫌だ…
ごめんなさい…
ごめんなさい…
貴方は……だ…れ


俺「内気!?」

内気「・・・・俺君?」

先生「随分うなされてたよ、で保健委員に来て貰ったのよ」

俺「大丈夫か、早退する?」

内気「いや…教室に戻るよ」

もう少しで夢の最後が見れた気がする、でも見てはいけない…
そんな気がする…夢なのに

313:名無しさん@ピンキー
08/06/23 12:03:20 lxvXplKy
俺「何か悩みでもあんのか?保健の先生も心配してたぞ」

内気「…な、何でもない、よ」

俺「何かあったらいつでも力になっからな、気軽に言えよ」

内気「う、うん!」

こんな私にも声をかけてくれる、本当に俺君は優しいな…

友「おっ夫婦が帰って来たぞー」

俺「そんなんじゃねーよ」

内気「…////」

友「所で次体育だけど内気さんここにいて平気なの?」

内気「へ?」

友「みんな脱いでんだけど…」

内気「うゎ…あ、どうしよ、う」

友「一緒に着替える?」
俺「バカいうな」

314:名無しさん@ピンキー
08/06/23 12:18:18 lxvXplKy
男子の更衣室は教室、女子の更衣室は校舎から離れている

内気「もうみんないない……あ、女さん」

女「ああ内気さん、具合はどう?」

彼女は女さん、クラスで浮いてる時に声をかけてくれた。クールで頭脳明晰、運動万能
完璧だけど料理は苦手という一面を私は知ってる
同学年だけど私の憧れの人だ

女「みんな体育館に行ったよ私たちも着替えましょ」

内気「…うん」

女「あっ」カシャンッ

私の前にヘアピンが落ちた

女『悪いけどそれ床に這いつくばって口で拾って』

内気「くち…で?」

女「え?いやそっちにピンが行ったから拾ってって…口?」

内気「いや…何でも」
女さんはあんな事言わない、いつもの幻聴だ
私は最低だ…

315:名無しさん@ピンキー
08/06/23 12:32:31 lxvXplKy
私はお昼をそこそこに済ませて図書室に行く
前までは一番落ち着く場所だったんだけど
今では不良の溜まり場みたいになってる
知っていたら図書委員なんて選ばなかったのに

不良「この本借りてぇんだけどー」

内気「あ、の学生証…ある?」

不良「は?何言ってんのか分かんねー」

内気「が…くせぃしょ…ある?」

不良「がくせいしょ?なんだそれ?いいから借りんぞ」

もう嫌だな…返ってきた試しがないもん
先生も注意してくれないし、早く仕事終わらないかな

内気「ちゃんと返して、ね?」

不良「はぁ?俺が泥棒すると思ってんの?ちょっと皆聞いてくれよー」

ああ…逆効果…
早くチャイムなって…

316:名無しさん@ピンキー
08/06/23 12:46:47 lxvXplKy
不良A「泥棒疑惑かけたのテメェだろ?謝れよ」

内気「注意…しただけ」

不良B「はぁ謝るのが先だろ?」

「「あーやまれっあーやまれっ!」」

内気「ちゅうい…」グスッ
不良「じゃあ俺が借りる本のタイトルを読んでくれたら許してやんよ」
「鬼畜だなーお前」
「情け容赦なしだな」
「鍵掛けとこうぜ」

読みたくない、でも逃げられる空気じゃない。

内気「・・・・・女性器のしくみ、性交とは・・・・・
男性の・・・・ペ、ニ・・・を…」
キーンコーンカーンコーン

不良A「ちぇっ終わっちまった」
不良B「今度イチャモン付けたらマジ殺すからな」

内気「助かった・・・・・うわぁぁぁあん」

317:名無しさん@ピンキー
08/06/23 13:03:18 lxvXplKy
ジュースの缶やタバコの吸い殻を片付けて教室を出る…私の居場所はなくなってしまった

内気「顔洗いに行かなきゃ…」ガラッ

女「!?どうしたの内気さん!」

内気「…何でもない」

女「本当?」

本当は今すぐ話を聞いてほしい、でもバレたら女さんにも危害が及ぶかもしれない

内気「本当だよ」
私は偽りの笑顔を見せた
でも女さんは頭が良いから…バレたかもしれない
嘘が下手って損だなぁ…

318:名無しさん@ピンキー
08/06/23 16:41:18 9KhqNOhU
何が何だか

319:名無しさん@ピンキー
08/06/23 17:48:04 lPZx+Y98
思いつきで書いてみたやつだから期待しないでね~

ここはアースという惑星だ。
俺は元もと地球にいたんだが、何かの拍子にこの世界にきちまった。
てゆーか、この惑星に「アース」って名前付けた人は地球人に近いと思うのは俺だけ?
あ、そうそう、俺は神無 月(かみな つき)15歳だ。
自分でも珍しい名前だと思ってる
それはさておき、俺はこの異世界に来てからとある学園の理事長にお世話になった。
この世界でも俺ぐらいの年ともなると学校に行くらしい。
だがこの世界で身よりもない俺は仕方なく理事長の学園に行くことになった。
ただそこは武芸専門の学園だと知ったのは転入した時だった…
転入初日
「え~、今日から転校してきた神無 月くんだ。仲良くな」
俺のクラスの担任となった人が生徒に言う。
俺は2年生として転入した。
(正直、転校も何もこの世界で学校に通ったことないんだけど…)
「神無くんの専門は剣術だそうだ。アズリアと一緒だな。ついでだ、隣になりなさい」
「…え、何のお話ですか…?」
「だからあそこにいるアズリアの隣にいけと…」
「そうじゃなくて、剣術って?」
シーン
虚しい沈黙が流れた。
それも当然。普通は覚悟の上で入学するはずの学園なのだから。
「聞いていないのかい?」
先生が聞く
「ええ」
即答する俺
「…」
沈黙するクラスメイトたち
これからここでやってくのか、俺は…
ってか、武芸なんかしたことないってば!
どうすんだよ~っ

「武芸もできない奴が何しに来たんだ」
そう言ったのは俺の隣の席のアズリアって人だ
一見男っぽいけど、女のようだ。
「え~と、いろいろあって学園に入学することになったんだけど、それがここしかなくて…」
仕方なく本当のことを伝える
「はぁ、実力もない奴が武術専門の学園に来るとは…。正直迷惑だ。」
(何だとコイツぅ~!)
これが本音なのだが初対面の相手なので、
「自分でもそうは思うけど…」
「言い訳はいい。とにかく邪魔になるだけだ」
ブチッ
完全にキレたよ。久々にさ。
「なんだと!さっきから聞いてりゃ邪魔だの何だの、オマエこそ武術できんのか?」
「ああ、できるとも。もちろん。少なくともオマエよりはな。」
「本当か~?」
アズリアのかわりに先生が答える
「実はね、彼女はこの学園で現在武術レベルが一位なんだよ。」
…完全に冷めたおれ。
やべぇ、やばいやつにきれちゃったよ…
「そういうことだ。分かったか?」
「くっ」
こんな感じに初日は終わった。
明日が不安で眠れなかった…

320:名無しさん@ピンキー
08/06/23 18:04:24 c4bucHoJ
腹筋が爆発したwwwwwwwwwwwwwwwww

321:名無しさん@ピンキー
08/06/23 18:04:53 c4bucHoJ
ごめん超誤爆死にたい

322:名無しさん@ピンキー
08/06/23 18:05:19 91IROckd
まあ大体何やってもフリーダムなここだけどさ、
「書きながらかんがえてだらだらいつ終わるかわからないのを細切り投下」
ってのは勘弁な。


323:名無しさん@ピンキー
08/06/23 20:24:57 Fo/QZLGD
せめて最後に新ジャンル……

324:名無しさん@ピンキー
08/06/23 21:15:29 9KhqNOhU
新ジャンル「俺」

325:名無しさん@ピンキー
08/06/23 21:18:31 5SR1FUpy
女「男、実は私には秘密がある」
男「なんだよ、改まって……」
女「実は、私は男、君なのだ!」
男「なにぃ!」
女「つまり、君は私で俺は私で君は俺なんだよっ!」
男「な、なんだってー! という事は、昨日あんなに激しくまぐわったのも……」
女「ああ……凄いオナニーだったな」 ポッ
男「嘘だと言ってよ女ぁ!」


新ジャンル「俺」

326:名無しさん@ピンキー
08/06/23 21:47:51 9KhqNOhU
ほんと何でもネタにしてくれるのな

327:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:05:25 lZSPbYak
バーローwwwwwwwww

328:名無しさん@ピンキー
08/06/24 09:49:52 jHkSa0wB
なんか「内気な子の妄想」を見てもっとダークに書こうと思ったんだが…長すぎたお
(^ω^;)すぐ終わらせるお
>>317

内気「終わった…」

女「一緒に帰ろ」

内気「うん」

女「内気さんは好きな人とかいる?」

内気「い?いる…」

女「それって・・・男君?」

内気「!!!あ…なんで知ってるの」

女「そんな気がしたから、私たちライバルだね」

内気「ぉ、女さんも…」

女「うん///」

負けたくないけど女さんなら負けてもいいかなと私は思った。

今日も私は夢を見る。何人もの男に押さえ付けられ犯される夢だ。
最後に出てくる男の顔、今日はわかるかな




(;^ω^)以上だお
暫く自重するお
内気の妄想・ダーク完

329:名無しさん@ピンキー
08/06/24 20:40:11 YgP2rNUT
妄想というか既に幻覚レベルだったぜ


330:名無しさん@ピンキー
08/06/24 20:59:00 jHkSa0wB
>>329

> 妄想というか既に幻覚レベルだったぜ



(^ω^ )・・・・ですよねー
今読み返したら妄想というか幻聴だったお

やっぱ妄想の人の方が面白いお…


331:名無しさん@ピンキー
08/06/24 21:25:05 0HShNZmt
>>330
新ジャンル「内気幻聴」

こうですね!わかります!

内容自体は結構個人的にナイスだと思ったので、
次に投下する時があったら書き上げてから投下するとか、
そういう部分に気をつけてやってくれい。

332:名無しさん@ピンキー
08/06/24 21:40:35 jHkSa0wB
>>331

(^ω^ )
そうですね、書いては載せて書いては載(ryだったら収集つかないね


333:名無しさん@ピンキー
08/06/24 21:47:07 YgP2rNUT
いっぺんに書かなくてもいいからある程度纏まってると嬉しいんだぜ
何にせよ内気かわいいよ内気

334:名無しさん@ピンキー
08/06/24 21:48:39 0HShNZmt
んだね。
ある程度までまとめてくれりゃそれでおk。
書きながらだけはやめてくれれば。

内気は可愛かったのでGJ

335:名無しさん@ピンキー
08/06/25 12:57:21 jQfWGaa2
女「・・・」
男「キスしようぜ?」
女「・・・」コクッ
男「っちゅ」
女「!ふー」
男「うぷっ・・・」プクー
女「ふー」
男「おぷぷ」プクー
女「ふー」
男「っぶしゅ!」ズルッ
女「うひゃあ・・・鼻水ついた」
男「お前が口の中に空気送り込むからだろうが!」
女「・・・」

新ジャンル「口に付いたものはなんでも膨らます女の子」

336:名無しさん@ピンキー
08/06/25 13:04:28 jQfWGaa2
男「こうやって、口に風船をくっつけますと」
女「ふー」プクッ
男「風船を膨らそうとします」
女「ふー」プクーッ
男「そこで、風船を揉んで空気を口の中に送り返します」ギュッ
女「ぶへっぼ!」ズルッ
男「行き場を失った空気が勢いよく器官と鼻に流れ込み、むせるのと同時に鼻水が出ました!」
女「うー」ズルーッ
男「あっはははは、きたねぇwww」
女「む」
男「次は、女がシャーペンを咥えます。シャーペンは膨らみません」
女「ふー」プクー
男「なので、どんどん頬が膨らむばかりですが、それにも限界があります」
女「ふー」プクー
男「そして、その空気はシャーペンと同時に口から勢いよ・・・え?」
女「ぷっ!」ビシッ
男「いてぇええ!おい!目の近くに当たったぞ!一歩間違えば失明したかもしれんのだぞ!」
女「・・・」

新ジャンル「口に付いたものはなんでも膨らます女の子」


337:名無しさん@ピンキー
08/06/25 18:44:23 CS3to9JL
その子がフェラなんてしたら大変な事に・・・

338:にんじん畑でつかまえて(1/17)
08/06/26 23:19:23 d1p7Y7pA
 
ピーター・ベンジャミン・キャロットは変わり者だ、とよく言われる。
ピーターは魔導師の一族であるキャロット家に生まれた。
この小さな国で魔導師といえば、他所の国でいうところの貴族にも等しい。
先祖がかつての戦争で魔法によって手柄を立てたために、子孫である彼らもまた
生まれながらにしてなに不自由なく暮らしているのだ。
ピーターもまた毎日の贅沢を約束された日常を送っていたのだが、ある日突然実家を飛び出して
魔法技術の研究がより進んでいるラルティーグに留学してしまう。
というのも、キャロット家は魔導師として既に機能していない、『ただの』貴族になってしまっていたからだ。
折角の魔道の才と知識がありながら、土地の管理と社交界でのおべっかで
終わってしまう人生に嫌気がさしたというのがピーターの言い分だった。
そしてラルティーグから帰ってきた彼は――ここからが彼の変人と呼ばれる所以なのだが、
何を考えているのか自分に委ねられた土地をあろうことか畑にしてしまう。
しかも使用人も雇わずに、だ。たった一人で管理をしているのである。

貴族の豪奢な生活を捨て、魔導師として真理を目指すのならばそれでいい。
しかしその技を得たにも関わらず、よりにもよってたった一人で土弄りである。
これでは農夫と変わらないではないか。道楽にしても度が過ぎている。
ピーターはとうとうキャロット家からも呆れられ、半ば勘当されたも同然になってしまった。
社交パーティが開かれても、もう彼には招待状は届かない。

『変人』ピーターの噂は領地の人々にも広がり、誰も彼には近づこうとしなくなった。
それでもたまにピーターの屋敷の近くを通る人が出ると、
彼ないし彼女はピーターしかいない筈の屋敷に大勢の人影を見るという。
畑には得体の知れない魔獣を飼い、秘密の軍団を揃えて戦争を起こそうというのか。
事実、時折ピーターの屋敷からは人のものとは思えない気味の悪い叫び声がするらしいが……。
真実を知る者はいない。みな、外国の魔術を学んできたピーターが恐ろしいのだ。
実害がないので聖堂教会に応援を頼むわけにもいかず、その国の人々は困り果てていた。

そんな時である。

紅のマントを翻し、伝説の勇者たちがこの国を訪れたのは――。



「――で、引き受けたのか」
「ああ」

あからさまに顔をしかめているリューに、ヒロトは大真面目に頷いた。
今夜の宿はいつもより少し豪華だ。
と、いうのもヒロトたちは正式な客人として持て成されているからである。

この小国に入り、いつものように教会で祝福を受けた後のことだ。
この、キャロット家が治める地方に行くよう指示があったのは。
何でも勇者であるヒロト、そしてジョンがキャロット家の食事会に招待されたらしい。
珍しいことだった。勇者とはあらゆる組織に縛られず行動することを定められた者。
故に彼らに賄賂は通じない。もしおかしな真似をしようにも、勇者の動向は常に聖堂教会が目を光らせている。
それに勇者側にしても、そこらの貴族など問題ではない、世界最高権力の『聖堂教会』を
後ろ盾にしているのだからこれをわざわざ裏切るような真似はしない方が得だろうというものだ。
ほとんどの貴族はそれ故に、勇者に積極的に関わろうとはしない。
勇者を手懐けようとして、逆に藪をつついて蛇を出す結果になりかねないからだ。
ヒロトたちは首を捻りながらキャロット家の屋敷に行き――そして、
食事の後に『変人』ピーターの話を持ちかけられたのだった。

仕事の依頼である。


339:にんじん畑でつかまえて(2/17)
08/06/26 23:20:08 d1p7Y7pA
勘当したとはいえ、ピーターはキャロット家の一員。
もし、もし。万が一、ピーターが噂の通りに軍団を揃え、戦争を企んでいるのなら。
勿論それを放っておいたキャロット家も無事では済まない。
悪くすれば責任を追及されるどころか『共犯』扱いされ、一家全員打ち首になってしまう。
どうか噂の真相を確かめ、もし真実であれば、すみやかに考え直すよう説得して欲しい。
その為ならば多少、手荒な真似をしても構わないから、と――。

「……自分で行けばいいじゃん」

至極もっともな意見を言うリオルだが、しかしジョンは首を振った。

「キャロット家の魔導師としての力は衰えています。そもそもそれを憂いてピーターは
 留学を決意したのですから。キャロットの家に魔導師と戦う力なんて残っていないんですよ。
 騎士たちを動かせば大事になってしまいますしね」
「めんどくさー」
「身内の恥を他に知られたくはない、ということだな」
「ま、そういうものですわ。大抵の貴族なんてね」

ローラが訳知り顔でうんうんと頷く。今は休業しているが、そもそもローラはこんな国より
もっとずっと大きな王国・ヴェラシーラの王女である。覚えがあるのだろう、色々と。

「ま、依頼は依頼だ。別に特別なことじゃないさ。倒して来いって言われた訳じゃないんだし、
 様子を見るだけならそう危ないことじゃない。なんなら俺たちだけで行ってこようか」

ヒロトがそう言うと、ジョンは顎に指を当て、

「しかし、噂が本当だとして、ピーターが軍団を育成していたら?一人で挑むのは……」

そこから先が出てこない。危険では?と続けようとしたのはわかる。そして続けられなかった理由も、
この場にいる全員が身に沁みて知っていた。ヒロト相手に一人だろうが軍団だろうが大して変わりはない。
鬼神のような強さは世界最強、たとえ相手が何者だろうが関係はあるまい。ただ蹴散らすのみだ。

「………いや、まだそうと決まったわけじゃないから、一人で挑もうなんて思ってない。
 だから俺『たち』と言ったんだ。最低でもローラにはついてきて欲しいし」
「承知しましたわ」
「む!」

ヒロト指名にローラはどこか嬉しそうに頷き、リューはまた不機嫌そうに唇をへの字に曲げた。
いやヒロトの判断はわかる。
リューは確かに交渉に於いての切り札だ。切り札というか反則に近い。なにせ魔王である。
交渉どころか、リューを一目見ただけで逆らう気を無くしてしまう者も少なくない――魔獣相手なら。
だが相手が人間の場合、リューはただの少女に過ぎない。
人間の世界に詳しくないリューは、人間相手の交渉の席についても何の役にも立たないのだ。
そしてその際、ヒロトをサポートするのは専らローラの役目である。
王たる風格を以って威風堂々と佇む彼女を傍に置けば、それだけで相手を圧倒して有利に話を進めるのは簡単だ。
いざという時は頭も口も回る彼女のこと、舌先で相手をやり込めることもできるだろう。
さらには本人やヒロトはまだ知らない、『王気』の能力も――。
………だから、こういう時に頼りになるのがリューよりもローラであるということはわかる。
理解はしている。納得もしている。でも、ヒロトがリューよりローラを頼るのは嫌だ。つまりはヤキモチである。

「………我も行くぞ。まさか、別についていって困ることはあるまい?」

むくれ顔のままで低く呟く。ただでさえ最近はなんとなくヒロトとのスキンシップが
足りない気がするリューである。ここは乙女的に譲れないところだ。

340:にんじん畑でつかまえて(3/17)
08/06/26 23:20:55 d1p7Y7pA
 
「と、いうことは魔道書の解析ができないということですね」

ジョンが頷く。
勇者ジョン・ディ・フルカネリは己の使命のため、賢者の石の秘密を探っている。
が、その為に必要な魔道書はリューが魔王城の書庫から召喚するため、
リューの協力が得られないなら解析どころか触れることさえできないのだ。
………それに、ジョンの能力を魔道書のレベルが遥かに上回るため、ジョンの生命を守るためにも
魔道書を完璧に制御できるリューの付き添いは必要不可欠なのだが――それは、リュー以外には秘密である。

「ならボクも行きますよ。元々ボクに与えられた依頼でもありますからね」
「ジョンが行くならあたしも行くー」

リオルが能天気に手を挙げて、これで五人。つまるところ全員参加だ。

『変人』ピーターとはいかなる人物か。
それはわからないが、明日、勇者二人と魔王、王女、龍の世にも奇妙な一団が彼の屋敷を訪れることになる。
それがピーターにとって何をもたらすのか――今のところ、まだ、わからない。
今は、まだ。



翌日訪れたピーター・ベンジャミン・キャロットの屋敷は、なんというか、思ったより『普通』だった。
屋敷といってもそれほど大きなものではない。ピーターは使用人も雇っていない一人暮らしのはずなので、
あんまり広い屋敷では管理が追いつかないという理由からだろう。
造りは立派だがどこか小ぢんまりとした屋敷とは別に納屋があり、見た限り農民の家を豪華にした感じ、
という印象を受けた。あとはキャロット家で聞いた通りに畑が広がり、なにやらにんじんを育てていたりする。
のどかだった。少なくとも、噂のように反逆の軍団を人知れず育成しているなどという気配はない。

普通だ。
あまりに、普通だ。

「……なんか、逆に怪しい感じ」

リオルがぼそっと呟いた。ローラは思わず、心の中で相槌を打ってしまう。
――が、もう一人の少女。魔王たるリューはそうではなかった。
炎のような眼を煌かせ、探るように辺りを油断なく見渡している。

「どうしました?」
「……魔力の残滓だ。確かに感じる」

ローラの問いに、リューは小さく答えた。ぎょっとする。ローラには何も感じない。
優れた魔法力を持つリューだからこそ感知できる微弱な魔力。魔法を使った痕跡。だがこれは――。

「なるほど。確かに魔導師としてはあまり優秀ではないらしい。心配するな。
残り香が微弱なのはそもそもさほど大きい術を使っていないからだ。
 この程度の魔導師なら無傷で拘束するのも造作ないな」

ふん、とつまらなそうに鼻を鳴らす。

「ローラ」

と、そこにヒロトが声をかける。彼はさっきから身をかがめて、じっと畑を見つめていた。


341:にんじん畑でつかまえて(4/17)
08/06/26 23:21:47 d1p7Y7pA
「どう思う?」

ヒロトの右手は畑の土をなぞっている。土?いや違う。そこにあったのは足跡だ。
柔らかな畑の土を踏み固めた、大きく無骨な足跡が――刻み込めれている。
ローラはあ、と声をあげた。『大きすぎる』。
残された足跡は頑丈な戦士のブーツをはいたヒロトのものよりずっと大きい。およそ畑仕事には向かないほどに。
これを元に身長を逆算するなら、この足跡の持ち主は見上げんばかりの大男ということになる。
キャロット家の情報による限り、ピーターがそんな怪人だという話はなかったはずだ。
百歩譲って――いや、そんなに譲る必要もないのだが、まぁそれは置いておくとして。
『多すぎる』。
ピーターは一人暮らしだと言った。変人扱いされ、滅多に人は寄り付かないと。
なのに、この足跡の多さはなんだ。畑には大きな足跡がいくつも刻みこまれている。
とても、一人の人間によるものではない。

「――少なくとも四人。いえ、五人。この小さい足跡も含めれば六人分ですわね」
「小さいといっても普通の大きさだな。これがピーターの足跡だろうか」
「おそらく。軍団というには少ない気もしますが、少なくともピーター氏が一人で暮らしているという話は
 真実ではないということになりますわね」
「……それにしては」

二人の隣ではもう一人の勇者、魔法知識担当のジョンが首を捻っている。

「畑で育てているのは本当にただの野菜ですね。品種改良したマンドラゴラかと思いましたが、
 普通のにんじんですし。少なくとも霊草の類は育てていないようですよ?」

薬師でもあるジョンが言うのだ。ここは本当に怪しいところなどない、
普通の畑としてしか機能していないのだろう。
『変人』ピーター以外の人間が闊歩するただの畑に魔力の残滓が漂い、かと思えば作っているのはただの野菜?
なんだかちぐはぐだ。怪しい。怪しくないところがあるのがまた怪しい。
大げさな――まるで、攻城戦弓(バリスタ)で兎を狩るような違和感がある。
わざわざ留学までした魔導師が農民の真似事をしているのも十二分に妙な話だし、
野菜を作りたいならそれこそ、人を雇えば事足りるのではないのか?

「………………わけがわかりませんね」
「わかんないんだったらもう直接本人に聞きに行けばいいじゃん」

ものすごく簡単に言うリオル。だけど、正論には違いない。ここで憶測を並べているよりはよほど良い。
ヒロトは立ち上がり、頷いた。

「そうだな。じゃあ、ローラとジョンは一緒に来てくれるか」
「……我は?」

リューがヒロトを睨みつける。リューにしてみれば、今回ヒロトと行動を共にしたくて
ついてきたようなものなのだ。しかし、ヒロトは首を振るのだった。

「あんまり大勢で押しかけて警戒されるのはうまくない。それに、相手は仮にも魔導師だ。
 リューやリオルじゃ、威圧しすぎるとも限らないだろ」
「なーる」
「………………………」

交渉役のローラ、魔術知識のジョン、そして護衛としてヒロト。布陣は完璧。それが定石というわけだ。
セオリーとも言う。ならばリューは邪魔だってか?リューは唇を尖らせた。


342:にんじん畑でつかまえて(5/17)
08/06/26 23:22:33 d1p7Y7pA
「じゃーさ、あたしらは何をしてればいいわけー?」
「そうだな……周辺をぐるっと回って調べてきてもらえるか。噂にはピーターは魔獣を手懐けている、
 というものもあった。畑の様子を見る限り、それが根も葉もないものとは言い切れないだろう」
「ん。りょーかい」

リオルは手を挙げると、ぶつぶつ言っているリューを引き摺るようにして行ってしまった。
リューは腕を組んだままこっちを、というかヒロトを睨みつけていたが、
やがて引き摺られているのが苦しくなったのか乱暴にリオルの手を振り払った。
そして何やら空を仰いでうがー、と叫んでいる。なかなか面白い光景だが、彼女は仮にも、
というか紛れもなく世界最強の魔力を持つ魔王なのであって、あんまり簡単に機嫌を損ねたりしないで欲しい。
世界が滅びるから。と思うヒロトであった。それにしても、何でリューは怒っているんだろう。
別におかしなことはしなかったはずだけど。と、続けてヒロトは首を捻る。

「………リューさん……」
「……心中お察ししますわ」

ローラとジョンが何故か苦笑いしているのもよくわからないが、ヒロトはとりあえずピーターの方が
先決だと頭を切り替えた。こういう『正しさ』が万事を解決する術ではないと学ばない男である。
でもまぁ気配りが完璧なヒロトというのも考えてみれば相当に気持ち悪いが。

「周りに民家がないとはいえ、できるだけ戦闘は避けたい。ローラ、頼めるか」
「ええ」

ローラはリューに手を合わせるのをやめて、真面目な顔になって頷いた。
これからピーターの屋敷に直接訪問するわけだが、何も馬鹿正直に『御用改めである!』と
権限を振りかざすだけが手ではない。相手が警戒してしまってはやりにくくなる。
特に、相手は秘密裏に何かを企んでいる魔導師なのだ。こちらがキャロット家の回し者だと知られたら
逆上して襲い掛かってくることもなきにしもあらず。できるだけそれは避けたいところだった。

なんというか、ピーターの生命を守るために。

先日の特訓の際、威嚇のつもりで踏み込んだ足が力余って地割れを引き起こしたヒロトである。
相手が思いのほか『やる』場合、うまく手加減できるかは微妙なところだ。
今回はローラやジョンもいるため、ブレイズ戦の時のように攻撃にひたすら耐え続けるという手段も難しそうだし。

とりあえずの作戦はこうだ。

『お忍びで旅行中の良家のお嬢様が町を探索中、郊外の屋敷の前に広がる畑に興味を持って
 従者の制止も聞かずに屋敷の戸を叩いた』。

頭から尻尾まで全てを偽る嘘はかえってバレやすい。
なら、好奇心旺盛なお嬢様という設定をはなっから作ってやれば、こちらも動きやすくなるというもの。
一国の王女でありもかかわらず、ヒロトを探しに王城を飛び出したローラならその役を演じるのは朝飯前だろうし、
もし相手がその手の人間を嫌うようであっても、彼女ならば臨機応変に対応できる。
直接反乱だとか、戦争だとかいう単語を探り出せなくてもいい。
言葉の端々から情報を導き出せればこちらの目的は達成されるのだ。
もちろん、もしピーターが本当に危険な思想に染まっているなら実力で阻止するまでである。

「――というわけで、心の準備はいいな?」

ヒロトは先頭に立って、ローラとジョンがその背後で頷く。
ピーター・ベンジャミン・キャロット。
衰退の魔導師一家に生まれ、なお魔力を求めた異色の魔導師。
彼は一体いかなる人物か――。
コンコンと、扉をノックする。


343:にんじん畑でつかまえて(6/17)
08/06/26 23:23:15 d1p7Y7pA
………………………。

「――はい。どちらさま」

しばらくして返ってきたのは若い男の声だった。男、というより少年のそれに近いかも知れない。
ピーターのものと見て間違い無さそうだ。留守なら留守でもよかったのだが、本人がいるならその方がいい。
作戦続行。ヒロトは背後のローラを一瞬だけ見やって、頷いた。

「突然の訪問をまず許されたい。旅の者です。我が主が貴方と話がしたいと。どうか扉を開けて頂けますか」

凛と、丁寧な口調で言う。こういうとき、王城暮らしで叩き込まれた礼儀作法は役に立つ。
勇者とは基本的に聖堂教会の後ろ盾を得ているだけの冒険者に過ぎない。
だがマナーも何もあったものではない過酷な旅生活で、それでも身なり人なりをきちんとできるのは
信頼を勝ち得ていく上で案外重要なものだったりする。もしヒロトが礼儀知らずの乱暴者だった場合、
いくら魔獣を退治しても生きる伝説とまで謳われるような勇者にはならなかったかもしれない。
あの王城での日々が。確かに、ヒロトの糧となっている。その事実が、ローラにはとても嬉しく思えた。

「旅の――か」

中では何やらガタゴトと重いものが動く音がして、

「驚いた。お前、男の声真似ができるんだな?」

ピーターが、おかしなことを言った。
え?と思わず聞き返す。真似?なんのことだ?
中ではがたん、と一際大きな物音がして、突然扉が勢いよく開かれた。
そして――。

「ブッ飛べこの悪戯ウサギィィィイイイッッッ!!!!」

巨大な拳が。
ヒロトめがけて、襲い掛かってきた。



風はそよそよ。日差しはぽかぽか。
真っ青な空は吸い込まれるように高く、思わずあくびが出てしまうようないい陽気であった。
背の低い草に覆われた緩やかな起伏の緑の平原、あちこちに咲いている黄色いたんぽぽ。
その葉っぱをよじよじと上って、赤いテントウムシがぱっと羽を広げて飛んでいく。
畑を囲んでぐるっと立てられた柵、その周りをすたすたと探索中の少女が二人。
一人は灼炎龍リオレイアの魂をその身に宿す少女、リオル。
もう一人は世界最強の魔力を誇る少女、魔王リュリルライア。
リオルはなかなかにこの『散歩』を楽しんでいるようだが、
リューはというと、ぶっすぅぅう、と膨れっ面で不機嫌なのを隠そうともしていない。
リオルはそんなリューを振り返って、呆れたように言った。

「リュリルライア様ー。いい加減、機嫌直しましょうよー。ほら、テントウムシいますよテントウムシ!
 うわっ、なんか黄色いの出した!」

けらけら笑う。リオルは楽しそうだ。リューは楽しくない。
ヒロトがリューを追い払ったのは、その理由は理解できる。それに対して文句を言うつもりもない。
間違っているとも思わない。ヒロトは依頼された仕事をこなすために最善の手段を取っただけだ。
他意はない。ないと理解できる。理屈では。ヒロトは決してリューがうざったいから
『外回り』に回したわけではない。ローラが特別好きだからローラを傍に置いたわけでもない。

344:にんじん畑でつかまえて(7/17)
08/06/26 23:24:00 d1p7Y7pA
そんなこと、わかっているのだ。わかっているから文句は言えない。
だからこうやって、ただふてくされているのである。
本当は、もっと大事にされたいのだ。
我が侭だと分かっていても、触れることができる距離にいたいのだ。

「ふん」

リューは足元の小石を蹴飛ばした。
畑の周りを調べるといっても、ここはジョンが言うとおり何の変哲もないただの野菜畑である。
反逆の軍団どころか、スライム一匹出くわさない。微弱な魔力の残滓は相変わらず畑全体に感知できるが、
それはほとんど無視できるレベルだ。結界も張っていないし、ここには死守するべきものなどないのかも知れない。
それとも、単に結界の張り方を知らないとか。
魔法障壁、絶対無敵の盾を持つリューから見れば――見るにも値しない脆弱さ。
失笑が漏れる。漏れないけど。拗ねてるから。

「だいたい、ヤツは我のことをナメきってる。そうは思わんかリオル。一応アレだぞ。好きだと言ったんだぞ我は。
 自分を好いている女だと知っているくせに、ビフォーアフターで態度が全ッ然変わらんのはどういうことだ。
 おい、どういうことだリオル!」
「知りませんよそんなの」

テントウムシをぱっぱと空に逃がして、リオルは半目で憤っているリューにどうでもよさそうに返す。

「じゃー、言えばいいじゃないですか。ヒロトに。もっと構ってくれって」
「そんなこと言ってウザイとか思われたらどうする!」

ほな聞くなや。
リオルはそう思ったが、相手は魔王。魔族の魂に刻み込まれた絶対的上下関係(カースト)が
それを口に出すことを許さない。
だいたい、リオルに恋の駆け引きなどわかるものか。灼炎龍時代はオスなんか興味はなかったし、
ジョンに助けられてからは割と好きな時にじゃれてるし。
ジョンがリオルを大切にしてくれているってことは知ってるし。
不満があるとすれば、最近だろうか。リオルが賢者の石で魔力を自己回復できるようになったために、
定期的に行っていた魔力補充――つまり性行為のことだが――がめっきり減ってしまったのだ。
いや減ってしまったというか考えてみれば、あの賢者の石事件以来一度もシてないんじゃないか?
いやいや、賢者の石が自己回復能力を得たと発覚したのはグリーンドラゴンのゾーラとガチ勝負をした後。
それ以前もなんやかんやで機会を逃していたから……あれ。もしかして結構シてない?

「倦怠期到来かっ!?マズくないあたし!」

リオルは大変なことに気付いてしまった。これが世に言うセックスレスというヤツかっ。

「……ふふん。それ見ろ。貴様とて楽観している場合ではないではないか。
 もっと、こうだな。それと気付かれることなく相手を意識させるにはどうすればいいかを考えるべきなのだ」

セックスとか性行為とか、リオルとジョンの関係はリューとヒロトのそれより大分オトナちっくなので、
聞いてるリューの頬は少し赤くなってしまう。
が、そこは魔王としてのなけなしの威厳を保ってウンウンと頷いておく。

「いやぁ別に。あたしの場合ジョンに直訴すればいいだけの話ですし」
「なんだと貴様!裏切るのか!」
「裏切るも何もないですよう。っていうかホラ。ちゃんと探索しないと後で怒られますよヒロトに」
「ええい構わん!どーせ何もないのだから適当に……」

嫌な先輩さながらにリオルに無理矢理ヘッドロックをかけようとするリュー。
嫌がってる後輩そのままに超迷惑そうな顔でヘッドロックをかけられるリオル。
二人のヒトならぬ少女はほとんど同時に、はたと気が付いた。


345:にんじん畑でつかまえて(8/17)
08/06/26 23:24:45 d1p7Y7pA
畑の一角。
丁度柵に隠れて見えないが、何かいる。

「たーらららららんなないろっ♪にんじ~んらっちゅーぃえー♪」

ご機嫌な歌を口ずさむ謎の影。
何をしているのかと覗き込んでみれば、むくりと起き上がり
一仕事終えたいい顔で額に浮いた汗なんかを拭いている。
おしりをふりふり、白くて丸いしっぽをぴこぴこ。
空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ。腰には金色の懐中時計が揺れている。

「ふー、これで今日の収穫はおしまいですぅ。にんじんにんじん。さて、あとは落とし穴を掘って、と!」

少女だった。
ただし、人間ではない。人間の耳はあんなに白くて長くない。頭のてっぺんから生えてない。

ワーラビット。

人間を素体にウサギのパーツをブレンドしたような外見をしているそのイキモノは、
パッと見、カジノで働くおねーさんに見えなくもないがこれでも獣人。魔族の一員だ。
人間を凌駕する身体能力を持ち、特に逃げ足のスピードは相当なもの。
主な生息地、草原。

「………………」
「……………………」

柵に寄りかかってじぃーっとウサギ少女を観察する。
ウサギ少女の隣には山積みになった野菜。主ににんじん。そして、荒らされた畑。
ウサギ少女は引っこ抜いたにんじんの生えていた一角を、またサクサクと掘っている。

「………………」
「……………………」

野菜ドロだ。
リューとリオルは同時にそう思った。

「うに?」

と、その思念を聞き取ったかのようにウサギ少女の耳がぴくぴくと動いた。
驚異的なスピードで掘り進んでいた穴からひょこっと顔を出し、
きょろきょろ辺りを見回した。かと思うとこっちを向く。

「………………」
「……………………」
「……………………………」

「「「………………………………」」」

沈黙が流れた。
ウサギ少女がそのどんぐり眼をぱちぱちと瞬かせる。
リューとリオルは変わらず、柵に寄りかかった姿勢のままウサギ少女を見つめている。
じー、と二人と一人の視線が交差して約一分。

「きぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」


346:にんじん畑でつかまえて(9/17)
08/06/26 23:25:33 d1p7Y7pA
ウサギ少女が絶叫した。
目に一杯の涙を溜めてわたわたわたと両手両足をバタつかせ、
ひと蹴りで身長の二倍ほども跳ぶと穴から一瞬で脱出、文字通り脱兎の如く逃走を――

「どこへ行く」

――リューの威圧的な声に、ぴたりと止まる。
駆け出していた体勢のままギギギと首だけ錆びた鉄門の蝶番よりぎこちなく回し、るるると泣きながら振り返る。
柵に腰掛け、頬杖をついているリュー。柵に寄りかかったままのリオル。
リオルの方は何やらのほほんとしているが、リューは炎の瞳を揺らめかせ、にいっ、と笑う。
さっきまで恋する男の愚痴をぶつくさ呟いていた少女とは思えない、魔王に相応しい壮絶な笑み。
かわいそうに、ウサギ少女は失禁寸前、といった様子でふるふる震えている。

「何故逃げる。まだ我は貴様に『去れ』と命じてはおらぬぞ?」

吹き荒れる魔力の奔流。雲ひとつない青空の下、絶好のお昼寝日和に間違い無しの陽気が嘘のようだ。
この畑の一角。ここだけ魔界になってる。限りなく黒に近い紫色の空気になってる。
屈強な戦士の亡骸が埋葬もされずに白骨化し、路傍に積みあがっているような、そんな感じ。

(な、ななななんで魔王サマがここここんなところにぃぃぃいいいっ!!?)

ウサギ少女が悲鳴をあげるのも無理はない。洗濯物がよく乾きそうな平和なある日、
ふと振り返ったら魔王がいたなんてシュールすぎてリアリティにも欠ける。
が、肌に痛いほど感じるのは夢かと疑う余地すらない威圧感。これはまさしく現実。
ウサギ少女のなけなしの魔族としての本能がビンビンに告げている。今目の前にいる
燃え盛る炎の如き鮮やかな赤い髪をした少女が、この世全ての闇と魔を司る魔王・リュリルライアであることを。

「こんなところで何をしている。見たところにんじんを収穫していたようだが。持っていかなくていいのか?
 まさかこそこそと野菜を盗んでいたわけでもあるまいに。まぁ、万が一。本当に野菜ドロなどという
 小賢しい真似をしていた場合――この魔王の名を穢したとして、相応の罰を受けてもらうが構わんな?」
「ひ、ひぃぃぃいいいい!!?」

リューの指先に炎が灯る。ランプの火よりも小さなそれは、しかしひとたび放てばドラゴンブレス以上の
破壊を巻き起こす地獄の業火だ。哀れ、ウサギの丸焼きがひとつこんがりと出来上がるかと思われたその時――。

「リュリルライア様ー、八つ当たりはへっぽこですよ」
「馬鹿者。冗談だ。それとあんまりへっぽこって言うな。傷つくから」

ふ、と。
張り詰めていた空気が弛緩する。リューの纏うそれも魔王から普段の少女のものに戻り、
ウサギ少女は危機が去ったと悟って緊張の糸が切れたのか、へなへなとその場に崩れ落ち、
そのままぱったりと倒れてしまった。



「いやぁ、申し訳ない!!」

ピーター・ベンジャミン・キャロットは後頭部に手を当てて、あっはっはと笑った。

「人間のお客さんは本当に久し振りでして!てっきり魔獣と勘違いして攻撃しちゃいましたよ!」


347:にんじん畑でつかまえて(10/17)
08/06/26 23:26:14 d1p7Y7pA
空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ、よれよれ白衣といった格好の青年は陽気に過失を告白した。
扉が開け放たれた時、先頭にいたのがヒロトでよかった。ヒロトでなかったら突然のことに驚いて
その怪力に吹き飛ばされていただろうし、もちろんそれでは無事では済まなかったに違いない。
しかし戦闘力なら史上最強の一人とも謳われる勇者はその奇襲にも動じず、襲い掛かってきたそれを
ひょいとかわすと背中の長剣を抜き払い一閃した。硬い石で出来ているはずのそれは
肩口から腰に掛けて真っ二つに両断され、今は玄関先で転がっている。

ゴーレム。

魔導師が操る動く人形である。ポピュラーなものでは粘土を捏ねて魔力を通し、
形を作って使役する使い魔であるが、その汎用性は高い。
ジョンがダンジョン探索の時、複雑なマップを掌握するために使うマウスもそのひとつなら、
リューがその無尽の魔力を体現するように喚び召すクレイドラゴンもそのひとつ。
他にも人間そっくりの外見を持つほど精巧な『ガイノロイド』や
門を守護する『ガーゴイル』など、様々な種類を持つ術である。

「しかし、自分のストーン・ゴーレムを剣で斬り裂くとは!剣士さん、すごい腕していらっしゃる!」

何故か嬉しそうなピーターの言葉に、微妙な顔をするヒロトたち三人。
そりゃあそうだろう。ヒロトがその気になれば石どころか山だって斬れるのだ。
その辺の魔導師が造ったゴーレムなんぞ目ではない。
――と、いうことは胸の中に置いておいて、ローラはにこやかに微笑んだ。

「私の従者をお褒め頂き、ありがとうございますわ。ですが貴方のゴーレムもなかなかのものとお見受けしました。
 もしや名のある魔導師様のお弟子様では?」
「いや、いやぁ!自分なんて!自分なんて!少しばかりラルティーグで基礎を学んだだけですので!」

美人のローラに笑顔を向けられて顔を真っ赤にし、ピーターはがりがりと頭を掻きながらアハハとさらに笑う。
ラルティーグ、と聞いてジョンの耳がぴく、と震える。しかしそれだけだ。ジョンはゴーレムに関しての
技術的な話が出ない限り、ローラの従者として黙って静かに出された緑茶を啜っている。

しかし――と、ジョンは思う。

彼の操るさっきのゴーレム。あれはたいしたものではない。
造形からして雑なのが見え見えだ。シルエットこそ辛うじて人型に見えるものの、首はない。
盛り上がった上体から直接頭が生えており、身体のパーツパーツがごつくて大きい。腕が妙に長く、
地面に届きそうなほどに対して足は短く、膝はどこかと思うほど。はっきり言って不細工だ。
あれではパワーのほうはともかく、精密な動作なんてとても叶わないだろう。
ゴーレムの外見は術師のイメージに寄るものが大きい。
より高度なゴーレムはそれだけ精密なイメージを必要とするのだ。
リューの召喚するクレイドラゴンとは比べるのも馬鹿らしい、月とすっぽんである。
ラルティーグで学んだ、と言うのならもっとマシなものになるまで帰ってこなければいいのに――。
ラルティーグが誇る天才、ジョン・ディ・フルカネリは心の中で溜息をついた。

「ですがなんだか申し訳ありませんわ。私は魔術のことはよく知らないのですが、
 その、貴重なのでしょう?ゴーレムって。急に襲い掛かられたからといって、それを真っ二つに」
「ああ、それは構いません。悪いのはこちらですし、それにストーン・ゴーレムはまだ代えがありますから!」
「そうなんですの?」
「あはは。元々畑仕事をさせるためにいくつも創った試作品のひとつでね。まぁ、貴重といえば貴重ですが、
 修理すればまだ動きますから!」

ローラはにこにことした笑顔を崩さず。
ヒロトは従者らしく、瞑想するように控えたまま。
そしてヒロトの隣で緑茶を啜るジョンの目がすっと細まった。



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