【総合】新ジャンルでエロパロpart6【混沌】at EROPARO
【総合】新ジャンルでエロパロpart6【混沌】 - 暇つぶし2ch184:名無しさん@ピンキー
08/06/03 01:33:11 XtI8cR30
女「どうせ男はわたしの事なんとも思ってないんでしょ!」
男「いや…そういう事じゃないんだが」
女「嘘!あなたはわたしを女として見て無いわ!分かってるのよ!」
男「いやー…それは…そうだけど」
女「やっぱり!やっぱりそうじゃない!わたしが機械(マシーン)だからなのね!」
男「いや…お前ミシンだし」

新ジャンル「ぼくの彼女は裁縫具」


185:名無しさん@ピンキー
08/06/03 03:23:53 Lil4UXhS
男「昔……といっても10年かそこらの話なんだが、パラサイト・イヴというホラー小説があってな」
女「ゲーム?」
男「いや、小説。ゲームの元になったんだよ」
女「ふむふむ」
男「人間が細胞の中に持ってるミトコンドリアが、突然変異を起こして人間に反旗を翻すっていう話だった」
女「怖いね」
男「怖いって言うより、ピンと来なかった。専門用語満載だったし、ガキだった俺にはちょっと難しかったから。
  ――で、反乱を起こしたミトコンドリアは主人公の嫁さんの細胞だったんだが、
  劇中でそのミトコンドリアが主人公を襲うんだ。性的な意味で」
女「………へぇー」
男「反乱のミトコンドリアは人類の枠から外れて自分たちだけで繁栄しようとしたのさ。
  そして、進化の最後の胤(たね)として主人公を選んだ。逆レイプシーンなんか、圧巻だったなぁ。
  当時毛も生え揃ってなかった俺がどんだけお世話になったか」
女「ほぉ」
男「でもなぁ」
女「うんうん」
男「顕微鏡でしか見えない彼女はいらんわ流石に」
女「えー」

新ジャンル「ぼくの彼女は細胞」

186:名無しさん@ピンキー
08/06/03 03:33:34 Lil4UXhS
男「女ー、草だぞー」
女「ブモー」
男「美味いか。そーかそーか」
女「ブルル」
男「今日も女のツノは立派だなぁ」
女「ブモーブモー」
男「あっはっは。じゃれるなじゃれるな。死ぬ。マジ死ぬ」

新ジャンル「ぼくの彼女はサイ」

187:名無しさん@ピンキー
08/06/03 09:20:21 4crEPhlo
カオス過ぎてフイタwwwwww

188:名無しさん@ピンキー
08/06/03 18:24:56 ooT9pBAM
>>184
( ´w`)<わかります

189:守ってあげたい
08/06/04 23:35:55 +7GykXr/
「はぁ、はあ、はぁはぁ」

あなたの熱い吐息が聞こえる。
わたしの中であなたの体温を感じる
凄く熱い

あなたがわたしの中で暴れる度にあなたを感じる。
なんて激しい

あなたの所為でわたしの中はもうぐっしょりと濡れている。
あなたも感じるでしょう?
それともそれも感じないくらい昂ってるのかしら。

待ってた
あなたの様な人が現れるのをずっと待ってた
ずっと

今迄何人かの男達を受け入れて来た
でもみんな駄目だった

あなたこそ男
わたしが受け入れるべき男
わたしが包むべき男
わたしが守るべき男

だから安心して暴れて

あなたはわたしが守るから
あなたを傷つけるものから守るから

そうあなたは誰にも負けない



男「せぃっ!」
主審「一本!そこまで」
(歓声)
後輩「先輩!やりましたね!今回も全部一本勝ちですよ!」
男「はぁはぁ…ああそうだな」
後輩「あ、それ外しましょうか」
男「いや、このままでいい」
後輩「また例のジンクスですか?」
男「まぁな、これ着けてると負ける気がしない。それに…なんか妙に落ち着くんだこいつと居ると」
後輩「へぇ?まぁいいですけど…」

男(それにどうせ試合が全部終わるまで絶対に外れないしな、コイツ)


絶対に勝つ
わたしがあなたを守る限り

新ジャンル「僕の彼女は防具」


>>186に先に「サイ」をやられたのでお返しな(w



190:名無しさん@ピンキー
08/06/05 00:13:27 Beecpgck
女「……男が私に見向きもしてくれない」
男「当たり前だろ。俺にそんな趣味はない」
女「とか言って、実は責められると弱いくせにー」
男「……誰が責めるんだ? ん? お前責められるのか? あ?」
女「そこはやっぱり自慰で」
男「だから俺にそんな趣味はないって言ってるだろ!」
女「……男が私に見向きもしてくれない」
男「せめて穴になって来いよっ!」


新ジャンル「僕の彼女は棒具」

191:名無しさん@ピンキー
08/06/05 00:43:48 MY4gkLi+
酷すぎる流れだwwGJwww

192:名無しさん@ピンキー
08/06/05 01:17:15 xISKBMaF
俺こういう流れ嫌いじゃないよ
嫌いじゃないっていうか……好き……だよ。うん

193:名無しさん@ピンキー
08/06/05 19:36:12 z2smhw1/
男「なんだよもうこんなになってるのか」
彼女「いや、みないで」
男「なーにが『見ないで』だ、見せつけてるくせに。もうこんなに真っ赤でビンビンじゃねぇか、ほら!」
彼女「あっ、だめ、触らないで…ひゃうん!」
男「ほらほら、こうだ、ほれ」
彼女「ひゃ、ひゃうぅうん、ひゃだ、やめ…はぁん!」
男「まったく簡単乱れやがって…シコたら直ぐじゃねぇか、この淫乱。ほぉら!」
彼女「ひゃ、ひゃぅううううん!ひゃだっ、ひゃめで、ひき、ひっちゃふ!ら、めぇえそこらめぇええ!ひゃなはらめぇえええ!

ひ、ひぐうう!」ビクッビクッ

新ジャンル「僕の彼女は天狗(弱点は鼻)」



194:名無しさん@ピンキー
08/06/05 20:47:26 z2smhw1/
男「なんだよもうこんなになってるのか」
彼女「や、やめろよ」
男「なーにが『やめろよ』だ、してほしいくせに。もうこんなにビンビンじゃねぇか、ほら!」
彼女「あっ、よせ、触るなっ…!」
男「ほらほら、こうだ、ほれ」
彼女「う…くう…や、やめろ…やめろっば!ぁあはぁっ」
男「まったく簡単に乱れやがって…シコったら直ぐじゃねぇか、この淫乱。
ほぉらいくぜ!」
彼女「!…くっ…んはぁっ…おま…や…んんっ」
男「うっ、きついな、またくやらしい身体してやがるぜ、グイグイ締め付けやがる」
彼女「ふっ…ふぐっ、うう…うる…さ、んぁ!」


男「うういくぜ!」
彼女「っあーーーーー」
ビクッビクッ

男「よかったぜ、斉藤」
彼女「…ううっ」

新ジャンル「僕の彼女は斉藤君」

195:名無しさん@ピンキー
08/06/05 21:11:17 rzHKMvz1
男「なぁ、なにツンツンしてるんだよ?」
女「知らない!!自分の彼女をベタベタ他人に触らせるなんて!!」
男「…ふふん」
女「なによ!!」
男「…知ってるんだぜ。お前、触られてる間ずっとイキっ放しだったろ」
女「!!!!」
男「ほら、今だって」
女「ちょ、やめて!!」
男「ほら。こんなに糸引いちゃってさ」
女「い、いや!!やめて!!」
男「下の穴も寂しそうだな……入れるぜ」

女「あっ!!…あん!!」
男「ありゃ、入んねぇ。…ふん!!ふん!!」
女「はぁはぁ…は……てよ…」
男「ん?何だ?」
女「早く……入れてよ……我慢出来ないの……」
男「いや…俺も入れたいんだが…入らん」
女「道具使ってよぉ…」
男「…あれ好きじゃないんだが」
女「早くぅ!!もう限界なの!!」
男「……分かった」

(30分後)

男「はぁ……終わった」
女「あんた下手すぎ」
男「…雑巾くらいミシン使わせろよ」
女「だめ!!」

新ジャンル「僕の彼女は裁縫具」


横入りごめん。

196:名無しさん@ピンキー
08/06/05 21:12:50 rzHKMvz1
ごめん。裁縫具ネタは最初にあったのかorz

197:名無しさん@ピンキー
08/06/05 23:22:58 xISKBMaF
(・∀・)ニヤニヤ

198:名無しさん@ピンキー
08/06/06 00:30:26 aF4/xZ7e
>>196
ドンマイ!って言いたいとこだが…

ゴメン、素で>>195の状況がわからん
彼女は雑巾かと思ったんだか、それだと裁縫具じゃないし、ミシンでも無いんだよな?

>>193>>194
どっちも彼女にしたくないなWW

199:195
08/06/06 00:47:30 ZZYO62up
すまん。
彼女は「縫い針」のつもりだったんだ。

…確かに分からんなorz

200:名無しさん@ピンキー
08/06/06 09:42:22 L3GpuNQ/
いや、分かりやすい気もする

201:名無しさん@ピンキー
08/06/06 11:19:36 QOZ1k7ld
「道具使ってよ」に吹いたw
あれだろ。なんかエリザベス女王っぽい女の横顔が入ってる銀色のやつだろww

202:名無しさん@ピンキー
08/06/06 19:13:49 SROz+9Qc
>>201
なんかワロタ

203:あたしの名前はハートにDQN(1/14)
08/06/07 02:24:21 jgAjOp5J
放課後の教室。
あたしは、クラスメイトの稲井 啓太郎(いない けいたろう)に呼び出されて
ぼんやりと夕日を眺めていた。何の用かは、聞いてない。
こんな、誰もいない教室に二人っきりだなんて、あいつは人をなんだと思っているんだ。
そりゃあ、あたしは目つきは悪いし背は無意味に高いしガサツだしオマケに一部の下級生からは
同性愛のケがあると思われているらしいけど、あたしはユリ目ユリ科に属する多年草の一種じゃないし、
性別は一応雌である。『もしかして告白!?』なんて、甘酸っぱいことを考えなかったわけではない。
ええ。考えましたよ。そりゃあね。あたしだって花も恥らうオンナノコですから。
そういう、枕を抱えてごろんごろん転がるような1ページに、何?憧れ?みたいなもんは、ありますよ。
でもね、冷静になって考えてみるとね。そういうの、ありえないんですよ。

だって、あたしは――P子だから。

そう。あたしはみんなからP子と呼ばれる女。もちろん本名じゃない。これはあだ名だ。
本名は大杉(おおすぎ)――言いたくない。勘弁して欲しい。恥ずかしい。
あたしの両親はいわゆる………その、世間一般の常識とは少しばかりズレてるというか、
自由な人たちだったらしいので、赤ちゃん――つまり、あたしのことだが――が生まれたとき、
世の理に中指を立てるような恥ずかしい名前を採用したのだ。
こんな名前を付けられたせいであたしがどれほど迷惑を被ったかわかりゃしない。
もし両親が生きていたなら襟を掴んで吊るし上げてがっくんがっくん揺さぶってやるところだけど、
その両親は赤ちゃんのあたしがやっと立てるようになった頃交通事故で亡くなってしまった。
よって、両親の記憶はあたしにはほとんどない。
親が死んでしまったあたしだけど、あたしは幸せなことに独りというわけじゃない。
あたしはじいちゃんとばあちゃんに引き取られてそれなりに健康に暮らしている。
じいちゃんとばあちゃんは大好きだ。できるなら、じいちゃんとばあちゃんの子供に生まれたかったくらい。
それなら、こんなヘンな名前は付けられなかったろうし――。
………素敵な彼氏だって、いるはずだし。
ああ、そうだ。あたしは今まで男の子と付き合ったことがない。
なんというか、想像できないのだ。
あたしが男の子とお付き合いしている光景が。
だって、恋人同士っていったらお互いを名前で呼び合ったりするものだろう。
それまで苗字で呼んでいたものが、敬称無しの呼び捨てで名前を呼び合う。
そんなことが。できるはずがない。恥ずかしすぎて死ぬ。むしろ殺す。呼んだら殺す。オマエヲコロス。
と、いうわけで、そんなことを気にしていたらいつの間にか男の子が寄り付かなくなってきて、
目つきがどんどん悪くなってきて、背とかもにょきにょき伸びちゃって、
気が付いたら男の子より女の子にもてるようになっていた。
おまけに友人たちに次々と彼氏が出来始め、休日とか誰とも遊べなくてちょっと悲しくなってしまう。
気が付いたら14連鎖でサンダーしてたり。はぁ。
あたしだってね。そりゃあ欲しいですよ。彼氏。ええ。
でも………ねぇ。あーあ。

なんか、失敗してるなぁ。あたしって奴ぁ。


204:あたしの名前はハートにDQN(2/14)
08/06/07 02:25:12 jgAjOp5J
机に突っ伏して、大きく溜息を吐いた。
そんな時である。がらら、と教室の扉が開いた。
顔を向けると、そこに立っていたのはあたしを呼び出したクラスメイト。
仲間内からはKタローと呼ばれる男の登場だった。
っていうか、呼び出しておいて遅れるとはどういう了見だ。

「遅いぞKタロー」
「うむ。緊張しすぎてお腹が痛くなってな。トイレに篭っていたら時間が過ぎていたのだ」

文句を言うあたしに、当然の如く、といった偉そうな態度で返すKタロー。
パッと見て不遜とも取れるほど自信満々なのはこいつの特徴だ。
でもそれが中身にまで及んでいないのは少し喋ればすぐわかる。
それが証拠に台詞の内容は全然偉そうじゃないし。と、いうか弱そうだし。
あたしは少し拍子抜けした。なにが告白だ。シチュエーションに酔いやがって。馬鹿じゃないか?
こいつはKタローで、しかも相手はあたしだぞ。どこをどう押せば告白が出てくるんだ。
我ながら恥ずかしいったらありゃしない。
きっとKタローの顔が真っ赤なのも、夕日に染められているからに決まっている。………うん。

「で、何の用?」
「うむ。そのだな――」

Kタローは、Kタローには珍しい、少しばかり俯いて言いよどむと、
キッと顔をあげ、ずんずんと近づいてきた。
何だろう。っていうか止まれそこで。近い。近い。近いってば。

「大杉」
「な、なんでしょう?」

思わず敬語になるあたし。Kタローの迫力に気圧されてしまう。
Kタローは茹ダコのように真っ赤になった顔で、鼻先と鼻先がくっつくかのような距離で、
数秒間あたしを睨み付けたあと――言った。

「お前が好きだ」

目を瞬かせる。
今、なんと言った。
こいつ――え?あたしが……なんだって?
す、き………?

その言葉はゆっくりと、ゆっくりと鼓膜から脳味噌に到達し、その瞬間にあたしの顔面を真っ赤に染め上げ、
そして、あたしは――。


205:あたしの名前はハートにDQN(3/14)
08/06/07 02:26:07 jgAjOp5J
 
                  ☨☨☨

あめんぼあかいなあいうえお (水馬赤いなあいうえお)
うきもにこえびもおよいでる (浮藻に小蝦も泳いでる)
かきのきくりのきかきくけこ (柿の木栗の木かきくけこ)
きつつきこつこつかれけやき (啄木鳥こつこつ枯れ欅)
ささげにすをかけさしすせそ (大角豆に酢をかけさしすせそ)
そのうをあさせでさしました (その魚浅瀬で刺しました)
たちましょらっぱでたちつてと (立ちましょ喇叭でたちつてと)
とてとてたったととびたった (トテトテタッタと飛び立った)
なめくじのろのろなにぬねの (蛞蝓のろのろなにぬねの)
なんどにぬめってなにねばる (納戸にぬめってなにねばる)
はとぽっぽほろほろはひふへほ (鳩ポッポほろほろはひふへほ)
ひなたのおへやにゃふえをふく (日向のお部屋にゃ笛を吹く)
まいまいねじまきまみむめも (蝸牛ネジ巻まみむめも)
うめのみおちてもみもしまい (梅の実落ちても見もしまい)
やきぐりゆでぐりやいゆえよ (焼栗ゆで栗やいゆえよ)
やまだにひのつくよいのいえ (山田に灯のつくよいの家)
らいちょうさむかろらりるれろ (雷鳥寒かろらりるれろ)
れんげがさいたらるりのとり (蓮花が咲いたら瑠璃の鳥)
わいわいわっしょいわゐうゑを (わいわいわっしょいわゐうゑを)
うえきやいどがえおまつりだ (植木屋井戸換へお祭りだ)

―――演劇部発声練習『あめんぼの歌』より

                  ☨☨☨


「あれぇ?P子。今日はお弁当なんだ」

昼休みである。
学食にも行かずに突っ伏していると、不意に声を掛けられた。
顔だけあげてそっちを見る。そこにいたのは机の向きをがたがたと変えて
簡易テーブルを作っている女の子のグループ。その中の一人、原衛(はらえ)というクラスメイトだった。
あたしはひらひらと手を振って、ぞんざいに返事をする。

「まぁね」
「だったら一緒に食べようよ。一人飯ってアンタ、それでも女か?女はつるんでナンボでしょうや」


206:あたしの名前はハートにDQN(4/14)
08/06/07 02:26:51 jgAjOp5J
めちゃくちゃなことを言っている。放っておいて、と言うこともできたが、
原衛という女はこういうことを周囲への建前ではなく厚意で言えるようなヤツであり、
しかも突っぱねたら突っぱねたで余計な心配を掛けてさらに付きまとわれるのは明白だったので、
あたしは連中の仲間に入ることにした。実際、お腹すいてたし。
あたしは溜息をつきながら向かい合う机のひとつの席につく。
今日のご飯はおにぎりだ。ばあちゃん特製。
食欲はあんまりなかったから出かけにコンビニでパンでも買っていこうと思ったのだけれど、
格好つかないことに財布の中がだいぶ寂しいことになっていたのだ。

「……Pちゃん、おにぎりだけなんだー?」
「男らしいな。P子」
「うっさいな。ほっといて」

食欲がない――調子が出ない。ここ一週間ほどそんな状態が続いている。
風邪じゃあない。あたしは自慢じゃないが、医者の世話になったのは
生まれてこの方出生の時だけっていうような健康体だ。
それが、こんな。おにぎり二つしか喉を通らないほど弱っているなんて。
原因はわかっている。Kタローのバカのせいだ。あいつが、変なことを言うから――。
………………。
今思い出しただけでも顔が熱くなる。
放課後。夕日の教室。真っ赤に染まったKタローの顔。そして、告白。
告白……。

「う、うう………」

ぷしゅう、と頭が茹で上がるのを自覚する。ええい、なんなんだ。あいつは。
訳がわからない。あたしは――ヘンな名前で、自分のこの名前が嫌いで、
でも、あいつはあんなにまっすぐな目をしてあたしの名前を呼んで。

………嫌い、なのに。

それに、このあたしのどこに惚れたっていうんだ。
自慢じゃないが無愛想だし、目つき悪いし、身長だって無意味に高いし、かといって
スタイルがいいわけじゃないし。可愛い服見つけても全然似合わないから結局いつもジーンズだし。
ゲーマーだし。この前枝毛三本も見つけたし。それから――。
………ええと、自分でも悲しくなるくらいに惚れる要素がなかった。
とにかく、こんなあたしを好きだって?訳がわからない。不気味だ。

「どうしたのー?Pちゃん」

などと苦い顔をしていたら、サンドイッチをもきゅもきゅと
頬張っていた仲居戸(なかいど)が顔を覗き込んできた。



207:あたしの名前はハートにDQN(5/14)
08/06/07 02:27:36 jgAjOp5J
「調子悪いのー?」
「まさか。赤葉。P子はね、出生以来医者にかかったことがないっていうような健康体だよ?
 どーせおにぎりじゃ物足りないんでしょ」
「黙れ原衛」

ギロリと睨みつける。
原衛は笑い、そして一転してはぁ、とため息をついた。なんなんだ。

「あたしもさー、呪々のから揚げが恋しくてさ。くそぅ、小岩井のヤツめ。あたしの呪々を返せっていうのよ」
「あー」

行儀悪くお箸を咥えたままヨヨヨとくずおれる原衛に、なにやらコクコクと頷く仲居戸。
呪々……というと黒妻か。
確かあの娘は料理が得意で、信じられないことにお弁当を自分で作っていたはず。
あたしも前に摘んだことがあるけど、なるほど冷めても美味しい、
どこに出しても恥ずかしくないっていうかお金取れるんじゃないかっていうような出来だった。
………そういえば黒妻はどこ行ったんだろう。黒妻はちびっこくて大人しくて、
いつも原衛とセットになっているような娘である。朝見かけた覚えがあるから休んではいないようだけど、
そういえばこのグループに参加していないのはヘンだった。

「ところで、その黒妻は?」
「呪々?さぁ。中庭じゃない?」
「………なんで?」

確かに中庭で食べる生徒もこの学園には多いけど、あそこは芝生なのでシートを広げなきゃならない分
面倒くさいし、なによりカップルが多いために普通の生徒は寄り付かない。
あそこで男女が一緒にお弁当を食べることがこの学園の生徒たちの間では
『恋人になりましたよ宣言』だという暗黙の了解があるほどだ。
したがって、独りもんであるところのあたしには少し太陽が眩しい場所である。
黒妻も同様。あの闇属性があんな危険地帯に迷い込んだら
連中の石破ラブラブ天驚拳に当てられて消滅するんじゃあるまいか。

「あれぇ、Pちゃん知らないのー?呪々ちゃん、小岩井くんと付き合い始めたんだよー」

――などと考えていたら、仲居戸がにっこりと柔和な顔を綻ばせた。

………………………………………あ、そうなん?

初耳だったので少し驚いた。黒妻は誰かに告白されたり告白したりするタイプじゃないと思っていたから。
いや、中身は普通だってことは知ってるし、よく見れば結構可愛い顔してるんだけど。
その、何だ。オーラ的に?



208:あたしの名前はハートにDQN(6/14)
08/06/07 02:28:15 jgAjOp5J
「まぁ、呪々が嬉しそうだったから別にいいんだけどさ。
 ひとりもん同盟が減ったのはこっちとしては痛いわけですよ」
「あー」
「あー、じゃない。赤葉はいいわよねぇ。幼馴染みだっけ?そんな便利なイキモノがいてさぁ」
「え。で、でもでも、クロが幼馴染みじゃなくっても、あたしはクロを好きになったと思うよ?………えへー」
「ぐぁあ、しまったノロケられたぁ!P子、塩持ってきて塩!」

しかし……そうかぁ。黒妻がねぇ。男の子と付き合ってるんだ。
………………男女交際、かぁ。
あたしはもやもやと想像の霧を膨らませた。
休みの日には駅前とかに待ち合わせして。待った?いや全然待ってないよ、とかお約束な会話して。
見慣れた制服姿とは違う私服姿にドキドキしちゃったりなんかして。
まずは映画とか見ちゃって。薄暗い中、手を握る――ううん、
そっと重ねるだけで映画どころじゃなくなっちゃって。
その後、ファーストフード店でハンバーガー食べながらさっきの映画の感想とか話して。
でも、手を握った辺りでにドキドキして途中で二人して黙っちゃったり。
で、恋人らしく改めて手を繋いで、てくてくショッピングを楽しんだり。ゲームセンターに入って対戦したり。
UFOキャッチャーで思いのほか大きいぬいぐるみをGETして少し持ち運びに困って。
遊んで小腹がすいたら喫茶店に入って大きなパフェを二人で食べたり。
暗くなって――公園で休んでいこうか、なんて。気が付いたら周りはカップルだらけで、
ああそういえばあたしたちもカップルだったね、なんて少し笑って。
周りの真似して、キス、くらい――。

Kタロー。

「きぁあぁぁあああああああああああああ!!!!」

ぼん、と音がしたようだった。
あたしは真っ赤になって、慌ててその想像……妄想?のピンクのもやをばたばたとかき消す。
何を考えているんだあたしはッ!Kタローとはまだそういう関係じゃなくてですね。
いや『まだ』っていうか、それはいずれそういう関係になるって意味じゃなくて!
つまりは、あたしはその。ああああ。何なんだ、あたしはッ!あたしはP子だぞ?
P子がそういうの、ダメだろう!常識的に考えて!

「………何?どうしたの」

はっと気が付くと、原衛たちがびっくりした顔であたしを見ていた。
あたしは小さくなって、なんでもない、と返す。本格的にヘンだ。それもこれも全部Kタローのせいだ。
ええい、責任取れ。いや、そういう意味じゃなくて。

「P子、調子悪いなら保健室、行く?」
「Pちゃん無理しない方がいいよー?」


209:あたしの名前はハートにDQN(7/14)
08/06/07 02:29:00 jgAjOp5J
うう、なまじこいつらいい娘だから居心地悪い。そういうんじゃないのだ。
あたしはわたわたと手を無意味に動かした。ここは何か話題を変えて場を乗り切るべきだろう。
だけどもあたしは自分で思うより相当てんぱっていたらしく、

「そ、そういえばKタロー、最近学校休んでるけどどうしたんかね!?」

見事に墓穴を掘った。

そう――それもあたしの懸念のひとつ。
Kタローは最近、というかあたしに告白してきたその翌日から学校に来ていないのだ。
あたしは別にKタローを振ったわけじゃないし、いやまぁそりゃあウヤムヤにはしてしまったけれど
………そんなにショックを受けるのだろうか?あたしが原因だったとして、の話だけど。
そして時期的に考えてあたしが原因なのはまず間違い無さそうだけど。

「そういえばKタローくん、ずっと休んでるよね。どうしたんだろ?」
「んー、前に男子が話してるの聞いたんだけど、Kタロー、家に篭ってずっと滑舌練習してるらしいよ」
「………カツゼツ?」

なんだそれは。
聞き覚えのない言葉だったので、あたしは思わず聞き返した。

「演劇とかでさ、台詞を噛まないでハッキリ言えるようにする練習だよ。
 早口言葉とか。発声練習とか。それを延々繰り返してるだって」
「………なんで?」
「知らないわよそんなの」

Kタロー、訳がわからない。あたしに告白してきたと思ったら家に篭って演劇の練習?
どう考えても奇行としか思えない行動だ。この学園には確かに奇人変人が多いけど、
Kタローはそっち側の人間じゃなかったはず。
………もしかして。もしかするとだが。あたしはとんでもなく悪いことをしたんじゃないだろうか。
人が奇行に走るとき。その人の身に何か起きたんじゃないかと思うのが自然な考え方だ。
そして、その『何か』にあたしは嫌ってほど心当たりがある。いや、あたし自身は
気が付いてないけど――気が付いてないだけで、人を傷付けてしまうことだってよくあることだろう。
あたしみたいなガサツで、他人の細やかな心の機微に疎い人間ならなおさらだ。
あの日。夕日の教室で。Kタローに好きだと言われた。その対応が、間違ったものだとしたら?
そのせいでKタローはショックの余り家に引きこもって毎日早口言葉で一日を
浪費するような人間になってしまったのかも知れないのだ。
………相当嫌だなそんな一日。

「………あの、さ」


210:あたしの名前はハートにDQN(8/14)
08/06/07 02:29:41 jgAjOp5J
あたしはおずおずと、切り出した。
原衛と仲居戸がきょとんとしてそろってこっちに顔を向ける。
うう、言いにくい。でも、この娘たちは基本的に善人だ。ちょっとヘンなところはあるけど。
それに原衛はおせっかいで相談ごとには慣れているだろうし、仲居戸は彼氏持ち。
きっとあたしの話を真摯に聞いてくれるだろう。多分。


                  ☨☨☨

拙者親方と申すは、お立合いの中にご存知のお方もござりましょうが、お江戸を立って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、青物町を登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、
ただ今は剃髪なされて円斎と名乗りまする。元朝より大晦日までお手に入れますこの薬は、
昔ちんの国の唐人外郎と云う人わが朝へ来たり、帝へ参内の折から、この薬を深く籠めおき、
用ゆるときは一粒ずつ、冠のすき間より取り出だす、依ってその名を帝より「とうちんこう」と賜る。
すなわち文字には、「頂き、透ぐ、香い」と書いて「とうちんこう」と申す。ただ今はこの薬、
ことの外世上に弘まり、ほうぼうに似看板を出し、いや小田原の、炭俵の、さん俵のといろいろに申せども、
平仮名をもって「ういろう」と記せしは親方円斎ばかり、もしやお立ち合いの中に、
熱海か塔の沢へ湯治においでなさるか、または伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
お登りならば右の方、お下りなれば左側、八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、
破風には菊に桐のとうの御紋をご赦免あって、系図正しき薬でござる。

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存じない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船、
さらば一粒食べかけて、其の気味合いをお目にかけましょう。
先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、腹内へ納めますると、イヤどうも云えぬは、
胃、心、肺、肝がすこやかになりて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。
魚鳥、茸、麺類の喰い合せ、其の他、万病速効あること神の如し。
さて、此の薬、第一の奇妙には、舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。
ひょっと舌がまわり出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。

(……以下略)


―――演劇部発声練習『ういろう売り』より

                  ☨☨☨


「………それで?」

夕日の教室での出来事を話したあと、原衛たちはずいっと身を乗り出してきた。
そう。
原衛たちにはうっかり告白の流れを丸々喋ってしまったけど、肝心なのはここからだ。

211:あたしの名前はハートにDQN(9/14)
08/06/07 02:30:25 jgAjOp5J
あたしが取った行動ひとつで、Kタローが奇行に走った理由がわかるかもしれないのだから。
Kタローに告白されて、あたしは――。

「――Kタローを殴って、逃げた」
「なんで!!!?」

昼休みの教室に原衛たちの、というか原衛の絶叫が響き渡った。
何事かと教室にいたクラスメイトたちがこちらを向く。
あの時はいいのが入ったなぁ。この拳がKタローの頬にめり込み、一瞬間を置いてから衝撃が弾けて
Kタローの身体がくるくる回りながら机の列に突っ込んでいくシーンなんて昔のカンフー映画みたいだった。
多分、あんなにいいパンチはこれからの人生でもそうそうないだろう。
でも、だって。あれは仕方なかったんだ。

「………恥ずかしかったし」
「馬鹿か―――ッッッ!!!?」

がっしゃーん、と想像のちゃぶ台をひっくり返す原衛。
そんなこと言われても。
あたしは想像の秋刀魚やら味噌汁やらを頭からかぶったまま小さくなった。
だって、男の子から告白なんてされたことなかったんだし。
しかも相手が毎日顔合わせてるクラスメイトのKタローだったし。あたしはP子だし。

「いやー、Pちゃん。最後のは理由になってないんじゃないかなー」
「全部理由になっとらんわ!告白したら返事に拳て!そりゃKタローも引きこもるわ!」

………いや、いやいやいや。返事じゃないぞ。アレはいわゆるひとつの照れ隠しというやつでして。

「いらないから!そんな攻撃的な照れ隠しいらないから!普通に振られるよりキツいわ!」
「………ふ、振った覚えはない……よ?」

そう、そうだ。
あの時は返事なんかする余裕はなかったし、翌日寝不足の頭で学校に来てみたらKタローは休みだったし。
――それから、ずっとKタローは学校に来ていない。
原衛情報だと家に篭って奇行に走っているみたいだけど。
ああ、そうだ。あたしはKタローを振ったわけじゃないのだ。

「殴った時点で振ったも同然だってヴぁ」

呆れたように溜息をつく原衛。そこに仲居戸が小首を傾げて、

「じゃあ、PちゃんはKタローくんとお付き合いするのー?」

と、独特のどこか気の抜けた口調で言った。

212:あたしの名前はハートにDQN(10/14)
08/06/07 02:31:07 jgAjOp5J
 
「………………………………………」

途端、硬直するあたし。
そうだ。告白された時点でもう、付き合うか付き合わないかの二択しかなく、
そして振っていないということは、Kタローが彼氏になるということになるんだ。
Kタローが。あたしの。彼氏に。
あたしの。
P子の?

「………いやぁ、それは」
「なんだ、結局振るんじゃない」
「………うぅ」

Kタローはいいやつだ。……と、思う。
考えてみたら、同じクラスにいながらあたしはKタローのことをほとんど何も知らないに等しかった。
ますますなんでKタローがあたしを好きだと言ってきたのか謎は深まるばかりだ。
でもKタローとクラスの男子とふざけあってるのはよく見る。
無邪気で、楽しそうで、男の付き合いってやつはあたしには時々、すごく魅力的だ。
友達も多いみたいだからヤな性格はしていないんだろう。
そりゃあ人間なんだから長所も短所もあってしかりだろうけど、
それを言うならあたしだってそうそういい娘じゃないし。っていうかP子だし。
あたしは頭を抱えた。どうしよう。
男の子と付き合うなんて、そんな大事件があたしの身に降りかかってこようとは
まさか思いもしなかったからどうしていいかわからない。
ああ、なんてこった。Kタローが学校に来ていないのをいいことに、
あたしはずっとその問題を保留にしてきてしまったのだ。
Kタローはクラスメイトだ。それ以上でもそれ以下でもない。恋人?彼氏?冗談。
あたしは人を好きになるってことがどんなことかもよくわかっていないP子なんだぞ。
そんなあたしが、Kタローの彼女をできるのか――そんなの、考えてみなくってもわかるってもんだ。
いや、でもなぁ……。

「わからないんだったらさ」

うんうん唸っているあたしを見て、原衛がぼそりと呟いた。

「付き合ってみればいいじゃん。そもそもアンタ、付き合うってよくわからないんでしょ?
 Kタローと付き合ってみて、一度経験してみればいいじゃん。彼女ってヤツをさ。
 Kタロー、あんたを好きだって言ってくれてるわけでしょ?幸せなことだと思うよ。それって。
 それに彼女になったからって絶対キスとかしなきゃなんないってワケじゃないんだしさ。でしょ?赤葉」
「………うーん、てゆーか考えてみたらあたしとクロって幼馴染みだから昔っから知り合いなんだけど、
 ちゃんとカノジョにしてもらったのはえっちしてからなんだよねー」


213:あたしの名前はハートにDQN(11/14)
08/06/07 02:31:57 jgAjOp5J
………超不安。
というか、虫も殺せなさそうな顔して何してやがりますかこの女は。
ぽわぽわしてる娘だと思ってたのにヤることはヤってんのかっ!あんまり知りたくなかったよそんな情報。

まぁ、それは置いといて。原衛の言うことももっともだと思う。
あたしだって――その、何だ。青春のナニガシに興味がないわけじゃないんだし?

「………でも、あたしはP子だしなぁ……」
「だーかーらーさー」

原衛がだぁあ、と天井を仰いで、

「P子だからなんだっていうのよ。あんたはね、ヘンなところで自信なさすぎ。あんたはあんたなんだし、
 そんなイジイジしてたらあんたに惚れたっていうKタローも浮かばれないでしょ?」

死んでない。
それに、自信があろうがあかろうがあたしがP子なのは疑いようのない事実なわけで。

「………あたしがなんでP子って呼ばれてるか、原衛だって仲居戸だって知ってるでしょうが」

P子というあだ名は――関係ないかも知れない。むしろP子と呼ばれるあたしは、まだP子でいられる。
問題は、あたしが何故P子と呼ばれているのか……そこにあるわけで。
あたしは、自分の名前が嫌いだ。ヘンだし。長いし。言いにくいし。
恋人っていうのは、友達より、もしかしたら家族より、あたしの内側に入ってくる人になるのだろう。
そんな関係の男の子に、あだ名ではなく本名で呼ばれる。
それはあたしの中にあるテンプレート的な恋人関係の行動になっている。
マンガやアニメの主人公に憧れるような、幼い願望とも言っていい。でも、それはきっと大切なことなのだ。
それを、あたしは容認できるのだろうか。
――あたしは、自分の名前が嫌いだ。

「P子……」
「Pちゃん……」

傍から見たら、きっとつまらないコンプレックス。
でもそれは、あたしが一生背負わなければいけない問題でもある。


『ポンポコピー子』


―――嫌だな。


214:あたしの名前はハートにDQN(12/14)
08/06/07 02:32:30 jgAjOp5J
「P子」

沈んでしまったあたしの愛すべきあだ名を、原衛は強く、呼んだ。

「あんたさ。やっぱりKタローと付き合うべきだよ」

………?
何を言ってるんだろう、原衛は。
そりゃあ原衛にとっては他人事だからいいけどさ。あたしは当事者ですからね。
そうそうお菓子を買うみたいに手軽にはいかないのだ。

「そうじゃないよ。Pちゃん。わかんないかな。Kタローくんは――」
「赤葉」

何か言おうとした仲居戸を、首を振って止める原衛。
何?Kタローがなんだというんだ。
あたしは気になって、伏せていた顔をあげた。

「大杉」


そこには。

学校をずっと休んでいたはずのKタローが。

まるで、あの日の再現みたいなまっすぐな眼で、あたしを見つめていた。


「………あ、え?」

頭が真っ白になる。
あれ?なんだこれ。幻?いやいや、教室のあちこちからざわざわと声がする。
Kタローだ。本物の。随分と久しぶりだった。やっと学校に来たみたい。
でも、なんで?なんで今。このタイミングで。
いやいやそれはいい。まだ頬に湿布が張られている。ああ、やっぱりあのパンチはいいところに入ったのか。
っていうかこいつ、部屋に篭って滑舌練習してたんじゃなかったのか?それはもういいのだろうか。
Kタローはしばらく無言であたしの顔を見てから、口を開いた。

「俺はお前に殴られてから、考えた。何故俺は殴られたのかと。
 好きだというチープな台詞がいけなかったのか?単純に俺のことが気に食わなかったのか?
 だが俺はお前ではない。答えはわからなかった」


215:あたしの名前はハートにDQN(13/14)
08/06/07 02:33:18 jgAjOp5J
以前と変わらない、偉そうな口調。でも、響きが違う。よく通るいい声になっていた。
ホントに家に篭って滑舌練習してたのか。馬鹿じゃないか、こいつ。
というか。
そもそもなんで。なんでKタローは滑舌練習なんかしてたんだ。
まるで、まるで――。
とてつもなく長くて言いにくい誰かのヘンな名前を、
すらすらと言えるようにするための練習だというかのように。

「そしてこう考えることにしたんだ。俺が殴られたのはきっと、苗字ではなくファーストネームで
 告白しなかったからだと!!そして淀みなく大杉の名を呼べたときこそ、
 大杉の心の呪縛を解き放ち、堂々と胸を張って大杉に好きだと言えるのだと!!」
「エスパーかお前は」

握り拳をつくって吼えるKタローに、原衛のツッコミが入る。
………本当、なんでそんなしあさっての方向に答えが出るのかわからない。
どうなってるんだ、こいつの頭は。
殴られたショックで脳味噌がズレたとしか思えない。殴ったのあたしだけど。
本気の本気でそんなくだらない理由に行き着いて、そんなくだらないことのために学校を休んで、
家に引きこもってアナウンサーも驚きの練習をしていたというのか。
そんなに本気で。
こんな、あたしなんかの為に。

馬鹿じゃないのか。むしろ馬鹿だろう。
でも、それは。今まであたしが知らなかった馬鹿で。
あたしの胸の奥で、不覚にも何かがぎゅぅっ、と締め付けられてしまった。

そしてKタローは言った。あたしの忌まわしい――両親が長く、幸せに暮らしていけるようにと
願いを込めてつけてくれた、大嫌いな名前を。

「寿限無寿限無五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処
 やぶら小路の藪柑子 パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ
 グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長子」


―――ああ。
       あたしの名前―――。


「……俺と、付き合ってくれ」



216:あたしの名前はハートにDQN(14/14)
08/06/07 02:34:06 jgAjOp5J
ずっと大嫌いだったあたしの名前。
それが、こんなにも。
心に、響いて。
あたしは――。


Kタローを殴って、逃げた。


「ええええぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇぇえええ!!!?」

教室中から絶叫があがる。
あたしの拳は違うことなくKタローの湿布の上、つまり前回殴った場所に食い込み、
Kタローの顔面を陥没させたかと思うと一気に弾け飛んでKタローを身体ごと吹き飛ばしていた。
Kタローがくるくると綺麗に回転して机の列に突っ込んでいく。
それを最後まで見届けることなく、あたしは走り出した。

「ちょ、ぴ、P子!?むしろポンポコピー子!!」

後ろから原衛の焦ったような声が聞こえた気がした。
でも気がしただけだ。今のあたしにはそんなことに構っている余裕はない。
胸が熱い。顔が熱い。
身体中、火照って仕方がない。
なんだこれは。なんなんだこれは。猛烈に恥ずかしい。苦しい。
でも、嫌じゃない。それがまたわからない。

あたしは走った。
きょとんとしている生徒たちを、教師たちを追い越して。
あたしは走った。
どこへ向かっているのか、ぐちゃぐちゃの頭ではわからない。

「胸が熱いのは走ってるせい……!顔が熱いのも走ってるせい……!」

そう自分に言い聞かせ。
どこまでも、あたしは走った。



              あたしの名前はハートにDQN~新ジャンル「DQNネーム」青春伝~ 完



217:名無しさん@ピンキー
08/06/07 04:40:50 YQsYUHbN
素晴らしいwww
GJ!

218:名無しさん@ピンキー
08/06/07 05:22:12 6UT8n4bL
いいなあ!歌舞伎十八番・外郎売まで引用したことに感動。
何かエロゲネタ板のハイテンション妹思い出しちゃったよw

219:名無しさん@ピンキー
08/06/07 21:58:59 uWW4Fbf5
何と言うGJ!!!!!

220:名無しさん@ピンキー
08/06/08 09:43:55 gbH4sWxx
何の意味もなく名前を音読したのは俺だけでいい

221:名無しさん@ピンキー
08/06/08 10:37:43 qVPUlj0T
ぐわーーーーーーーーーっ!
先に14/14をうっかりみてしまった俺のバカバカバカバカ!
だけど構成が効いててGJです!
エロシーンが無いと青春編になるのねw

そしてここに来て今迄の登場人物が!
流れは学園ものなのか!ww


222:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:01:50 oSuT0OWr
男「うっ・・・もうすぐ出すぞ!女」

女「うんっ、ああん!きてぇ、きてぇ!」

男「でっ、出るっ!外に出すからな!」

女「キング・クリムゾン!私以外の時間は消し飛び、行動の結果だけが残るッ!」

男「おおっ!ふー、出たで・・・なぜだッ!俺は抜いたはずだッ!」

女「ふふっ、男くんと私の赤ちゃん///」

男「お前!時を飛ばしたなッ!」


223:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:03:43 mdNsiCwy
なんつー使い方してんだwwww

224:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:05:02 oSuT0OWr
新ジャンル「ディアボロ」

225:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:12:10 McxpR16f
男「女、今日もするか?」
女「……うん♪」
男「今日もたっぷり可愛がってやるからな」
女「うーんと気持ちよくしてね」
男「じゃあ、どこでやる?」
女「……うーん……やっぱりあそこがいいなっ」
男「えぇ~? またあそこか?」
女「嫌なの?」
男「いや、別に嫌じゃないけどさ」
女「じゃあ、決まりっ♪」
男「けど、なんであそこでするの好きなんだ、女?」
女「だって、汚れても大丈夫だし、すぐに洗えるし」
男「そりゃそうだな」
女「浸かってやると……なんだか凄く温かくて気持ちいいし、ね」
男「ははは」
女「じゃあ、早速やりましょ♪ 待っててねー、愛しのお風呂ちゃ~ん♥」





新ジャンル「ディア風呂」

226:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:16:07 PS+jE9gK
俺、キングクリムゾンの能力をいまいちわかってなかったんだけど
今言葉じゃあなく心で理解した

227:名無しさん@ピンキー
08/06/08 23:18:43 oSuT0OWr
男「ハァハァ・・・かわいいなぁ、この子・・・むしゃぶりつきてぇ・・・」

男「ハァハァ・・・もう出ちゃうぜ・・・よーし、この子に決めた!」

男「うおおおおおお!ハァハァ・・・でっ」

女「キング・クリムゾン!私以外の時間は消し飛び、行動の結果だけが残るッ!」

男「出るーーー!・・・ってありゃ?射精感が・・・うおッ!グラビアに俺の精子が飛び散っているッ!」

男「いきなり賢者タイム突入だとッ!何処だッ!何処にいる、女ァ!」

新ジャンル「ディアボロ」

228:名無しさん@ピンキー
08/06/09 17:18:13 wQU0De4Z
>>227
男「女ッ!貴様、見ているな!」

229:名無しさん@ピンキー
08/06/09 20:18:43 y3x4efjO
>>227男「女ァ!!俺は童貞を捨てるぞォォォ!!」

230:名無しさん@ピンキー
08/06/09 23:28:38 5H7YRVyh
素直ヒートは静かに暮らしたい

231:名無しさん@ピンキー
08/06/11 02:54:44 rHQIO0vD
女『震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!』

232:名無しさん@ピンキー
08/06/11 07:04:37 0N8PgxLd
姉「あー疲れたー」
弟「姉貴」
姉「おー、弟よ。ただいまんこ」
弟「おかえりんこ………ん?」
姉「………」
弟「………」
姉「まんこ!」
弟「うっさい!」

新ジャンル「姉自重」

233:名無しさん@ピンキー
08/06/11 07:07:47 0N8PgxLd
姉「弟ー、風呂上りのお姉ちゃんにビールを出してくれないかい」
弟「そんくらい自分でしろよ……って姉貴、全裸で歩き回っちゃいけません!」
姉「いいだろー別にさー」
弟「恥らえ!」
姉「なんだ、弟。欲情したか?」
弟「するか!」
姉「しろよ!!」

新ジャンル「姉自重」

234:名無しさん@ピンキー
08/06/11 07:14:26 0N8PgxLd
弟「まったく、ウチの姉ときたら……ブツブツ」
姉「ひゃー、仕事帰りの風呂上り。冷えたビールが身体に染みるゥー」
弟「オッサンかよ」
姉「ときに弟。晩酌に付き合わない?」
弟「付き合わない!」
姉「えー」
弟「えーじゃない」
姉「でも、もう注いじゃったし」
弟「コップ、一個しかなかったろ……ってオイ!」
姉「さあ飲め!必殺わかめビール!!」
弟「カーペット汚すなよなー、もう」
姉「説明しよう!わかめビールとはッ!こう……正座した状態でできるふとももの」
弟「いらんわ!!」

新ジャンル「姉自重」

235:名無しさん@ピンキー
08/06/11 07:33:35 0N8PgxLd
姉「弟よー」
弟「なんだよ姉貴」
姉「彼女いないの?」
弟「いないよ」
姉「チッ」
弟「なんだよ」
姉「『昨日一緒に歩いてた女のひとは誰なのよ!』『あ、姉貴だよ!』
  『嘘吐き!あたし、キスしてるの見たんだからね!』ごっこはまだできないか……」
弟「うん、最後のセリフちょっとおかしいよね」

新ジャンル「姉自重」

236:名無しさん@ピンキー
08/06/11 07:49:31 1NJWS19R
姉自重wwwwww

237:名無しさん@ピンキー
08/06/11 12:29:45 hHrshKfp
(夜道、一人で帰宅途中の私に突然襲いかかって殴る蹴るの暴行を浴びせる
抵抗する気力を失わせ心も身体もボロボロになった私を無理矢理レイプ
処女膜を破瓜され激痛で失禁した私の映像を撮り誘拐監禁。
その様子をネットに流しレイプしたい奴を全国から募り全員一回ずつ中出しさせる。
私が俺君の名前を叫ぶが日に日に弱っていく姿をビデオに収め俺君に贈る。
お腹が大きくなり墜ろせなくなったら私を中国やタイの路上で全裸で縛り付け放置。そんな……)

俺(おいっ起きろって)

内気「…あ……なに」

俺「授業当てられるぞ」

内気「…すみません」

新ジャンル「内気な子の妄想」

238:名無しさん@ピンキー
08/06/11 19:54:59 DFZ/Tc2P
「どう見ても内気じゃねえええええwwwww
 しかし、姉自重も素晴らしいなw
 ここで逆転ホームラン!
 たまたま続けて投下されたこの二つを組み合わせた、
 内気な姉自重を誰か一つお頼み申す!」


新ジャンル「俺自重」

239:名無しさん@ピンキー
08/06/11 22:23:48 4gBTOozr
取り合えずこのスレには波紋使いとスタンド使いと自重しない人間が多い事は解ったw

240:名無しさん@ピンキー
08/06/12 10:07:13 MYeZRZBf
>>237
妄想過激だな

241:名無しさん@ピンキー
08/06/12 10:07:47 MYeZRZBf
>>237
妄想過激だな
しかも自傷的な妄想がまた

242:名無しさん@ピンキー
08/06/13 03:18:38 21JMr2tS
女「はー・・・男くん・・・」
女友「どうしたの?」
女「1組の男くんかっこいいなぁって・・・はふー」
女友「御三家か・・・アンタ勝ち目ないよ?」
女「御三家?」
女友「そう。同学年の男くん、俺くん、学年下の弟くん合わせて御三家」
女「あー、モテるもんねぇ・・・」
女友「やめときなって。ただでさえ、1組は美人の集まりなんだし。それに、男くんには三柱の護りが付いてるからね」
女「三柱のまも・・・り?」
女友「ツンさんでしょ、クールさんでしょ?あと、ヒートさん」
女「ミス学園の1位と2位・・・」
女友「そ。周りにはいつもその誰かがいるから、誰も近づけないし」
女「んー・・・」
女友「アンタもかわいいと思うけど、1組の奴らはもはや人外の集まりじゃない?」
女「うー、確かに理解できない趣味の人とかいるもんねー」
女友「1組ほどじゃないにしても、2組、3組だってそれに近しいものがあるから近づきにくいし」
女「女友ちゃん、詳しいね?」
女友「あー。私も、御三家に一度は恋しちゃったからね」
女「えっ!そうなの!?」
女友「男くんは三柱の護りが居た時点で諦めたし、俺くんには親衛隊いるでしょ」
女友「弟くんなんて、三年生と付属中学にファンクラブがあって、告白しようものなら呼び出し食らっちゃうもん」
女「ふーん・・・」
女友「ま、私たちは普通の恋しよ?その方が傷つかないって」

新ジャンル「神格化」

243:名無しさん@ピンキー
08/06/13 21:08:05 aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです

ツンデレ「わっ、わたしじゃないんだからねっ!」
男   「………ふぅん?」ニヤニヤ
ツンデレ「なっ!なによっ!しっ、仕方ないでしょ!生理現象なんだからっ!」
男   「わかってる、わかってるって。ほらほら、力むとまた」



ツンデレ「~~~~~~~~ッッッ!!////」

244:名無しさん@ピンキー
08/06/13 21:22:28 aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・素直クール編

女「ああ、すまない。わたしだ」
男「ん」
女「男の前ではしたない、と思う一方、それだけ男に心を許してしまっている現われだと思うと
  感慨深いものがあるな。ああ、知っての通りわたしは人見知りが激しい方でな。
  家族以外の人間と一緒にいて気が休まるということは今までになかった経験だ。
  そういう意味ではキミは既にわたしにとって家族のようなもの、生活に、いや人生に於いて
  最も身近に感じる者の一人になっているのかも知れん。だが反面、女性としての奥ゆかしさは
  持ち合わせておきたいとも思う。特に、キミの前では。難儀なものだよ」
男「……っていうかオナラひとつでそこまで語るか」
女「……照れ隠しだ。察してくれ」


245:名無しさん@ピンキー
08/06/13 21:29:22 aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・素直ヒート編

女「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
男「うっさいうっさい。何だよ一体」
女「聞いたか!?」
男「オナr――え?何を?」
女「とぼけるのが遅いぞ男ぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
男「うわ、悪かった。悪かったってば。っていうか別に気にしないぞ俺は」
女「そうじゃないッ!そういう問題じゃないんだぁぁぁあああ!!!!」
男「ヒート……そうか、お前にも人並の恥じらいというものが」
女「あんな小さな音しか出ないなんてッ!不覚ッッッ!!!!」
男「そっちかよ!!」
女「聞いてくれ男!わたしの実力はあんなものじゃないんだッ!
  今度は町中に響き渡ろうかという立派な音を出してみせるッッ!」
男「いいよ別に!そこ頑張らなくていいよ!」
女「うぉぉぉぉおおおおおお!!次こそはッ!次こそはぁぁぁぁぁああッッ!!!!」
男「……ヒートは元気だなぁ」


246:名無しさん@ピンキー
08/06/13 21:53:22 aCAfQ1tr
新ジャンルたちがオナラをしたようです・内気な子の妄想編

俺「ん?なぁ、なんか臭くね?」
友「……お前か」
俺「違うわ!」
友「諦めろ。この世には『いいだしっぺ』という言葉があってな」
俺「俺は無実だー!」

女(もし……わたしだってバレたら……)


俺『なんだオイ、臭すぎるだろ。なに食ってんだよお前』
友『はっはっは!鼻が曲がっちまうわなぁ!オラ、今度から人間様と間違えないように
  ケツにガス袋って書いといてやんよ!』
俺『分別はちゃんとしなきゃだもんなぁ!』
友『おーおーキレーなピンク色のケツ穴だこと。こっからあんな臭い屁が出たのかぁ?』
俺『オイ、しまりのねぇガス袋にゃあちゃんとフタしておかないとな!』
友『そりゃいいや。まさに臭いモンにゃ蓋ってなぁ!』


女「や、やだぁっ!そんなの入らない……入らないからぁ!」

友「え?何が?」
俺「……俺じゃないのに……」

247:名無しさん@ピンキー
08/06/14 01:01:52 Iy83n125
糞ワロタ
そして既に素直ヒートじゃねぇ、ヒート馬鹿だwww

248:名無しさん@ピンキー
08/06/14 01:06:24 eFHxrkBb
>>179
ごめんよ おそくなったけど、投下

自分の胸元にしなだれかかる少女。
彼女を包んでいたバスタオルは滑り落ちており、生まれたままの姿を少年の前に晒している。
『魔性』『妖艶』…。
男の級友たちの多くは彼女をそう評するが、その抗いがたい魔力は春樹の理性を蝕んでいた。
…しかも、つい今しがた、彼女の本心を打ち明けられた。
朴念仁の春樹と言えど、彼女に対して愛おしさを感じ、夕圭の肩に腕を回す。
濡れた髪の感触に、シャンプーの香り。
「…黒田。」
「ん~、50点。…どうせなら、夕圭って呼んで欲しいな。」
しかし、その瞳は愛情と信頼を湛えており、春樹は引き付けられるように黒田夕圭を抱き寄せる。
「…夕圭。」
承諾の返事として微笑みを浮かべ、目を閉じる夕圭。互いの唇が触れ合うまで残り5cm…。
そんな彼らの動きを止める電子音…。携帯電話の着信音のようだ。
「ご、ごめんね。少し待ってて。」
「あ、ああ…。」

あまりにタイミングが悪い…。内心毒づきつつ電話に出ると…。
『ゆかさん!どこにいるのですか!?おなかすきました!!』
…正直、吃驚した。囲炉裏の姿が見えなかったからこそ公園に出向き、これまでの騒ぎに巻き込まれたというのに。
『ど、どこって?…真智ちゃんこそ、どこに居るの?』
『居間でずっと待ってます!!なのにもう、ごご2じをまわってます!!はやく、おひるごはんたべたいです!!』

ため息と共に携帯電話の通話モードを解除する夕圭。
そして、申し訳なさ気な表情で、事情を春樹に告げる。…若干の脚色を加えて。
「…真智ちゃんからよ。
 熱も落ち着いて、ずっと寝てたから張り付いている必要はないかなと思って出てきちゃったけど…。
 お腹空いたってご立腹だったわ。」
真智子の体調が復調したためか、それとも良い雰囲気に水を差されたためか、軽くため息をつく春樹。
「そうか……。喜ばしいけど…何か残念な気もするな。」
どうやら、両方だったようだ。
「ふふふ。…きっと、子供に夜泣きされたらこんなのだよね。」

その、夕圭にとって何気ない一言は春樹にとって大層な衝撃だったようで…。
「…子供って…お前。」
その一言に、自分が何を言ったのかを改めて思い知る夕圭。
「…あ。」
…まるで、結婚後に子作りの相談をしている夫婦の話題そのものではないか。

お互い赤面しながら見詰め合っていたが、やがて夕圭が告げる。
「…ごめんね、春樹くん。先に帰るわ。」
「ああ、囲炉裏をよろしく頼むよ。お母さん。」
珍しい春樹の冗談…。…もっとも内容は、彼を慕う少女達…特に通い妻を自認している少女は憤死しかねないものだが。
「…もう。本気にしちゃうわよ、お父さん?………続きは帰ってからしましょ。
 あ、そうだ。…ルカちゃんもちゃんと迎えにいってあげてね?…お兄さんとして。」
『あと一歩だったけど…。…まぁこれでルカちゃんの願いは果たせるからいっか。』

夕圭の身支度も、それから5分とかからなかった。
やがて、少年と少女は部屋を後にする。

新ジャンル「夕圭 撤退」新醤油学園野望編


249:名無しさん@ピンキー
08/06/14 01:07:09 eFHxrkBb
「理菜!!止まりなさい!!」
「止まれと言われて止まる人なんて、TVの中にしかいないわよ!!」

春樹の昏倒直後から続く、デッドヒート。
しかし、10分を過ぎた辺りから趨勢は決まりつつあった。
春樹とのデートという事で、おめかしに気合を入れてきたルカ。
お気に入りのワンピースにヒールが高めのミュールは、少なくとも運動に向いた格好ではない。

対する理菜の方は殺る気満々な格好。
黒の革ツナギ、靴も軍用の無骨なブーツ。
装備の差は決定的な戦力差となり、加えて煙球を使用した理菜は辛うじて逃走に成功する。

「…何なのよ、一体。」
残されたルカ…。これでもかという程に落ち込んでいる。
折角、兄の春樹に勇気を振り絞って告白したのに、返事の前に昏倒され、その元凶(と勘違いした)理菜には逃げられた。
気に入っていたワンピースも、理菜を追って茂みに突っ込んだ際に破れてしまったし、挙句にはミュールの踵も折れてしまった。

そんな傷心の彼女がたどり着いたのは、公園の端にある展望台。
「そういえば、ここって…。」
初めてここに来たのは、幼稚園の時…。
はしゃぎにはしゃいだ末に迷子になったルカ。この高台で一人で泣いていた時に、兄が向かえに来てくれた。
その当時から、誰よりも優しかったハル…。

…ハルと二人で遊びにきたはずなのに。…なんだか泣きたくなって来た。
涙で視界がぼやけかけたが、大きく呼吸することでどうにか堪える。
…そんな中、聞きなれた想い人の声。

「ルカ、ここに居たか…。」
「ハル!?」

やがて、春樹の手が、ルカの手を包み込む。
思わず顔を赤らめているルカに、普段どおりに話しかける春樹。

「…帰るか。」
「…うん!(…ハルから手を握ってくれたの、何年ぶりだろ。)」

往路と同じく、仲睦まじく帰路を進む兄妹。
「えへへへへ。」
春樹の腕を抱きこみ、彼の肩に頭を預けるルカ。
「随分とご機嫌だな、ルカ?」
「…だって色々あったけど楽しかったから。誰よりも好きなハルとのデートだったんだし…ね。」

頬を染めて答えるルカと対照的に、見る見る顔が青ざめている春樹。
『ゆ、夢じゃなかったのかよ!?』
改めて自分の置かれた環境を思い知る春樹。
理由はわからないが、自分に思いを寄せる少女は名乗り出ただけで3名…。
…憩いの我が家も、戦場になる日は遠くなさそうだ。

新ジャンル「総合公園の死闘 終結」新醤油学園野望編

250:名無しさん@ピンキー
08/06/14 01:07:43 eFHxrkBb
木陰に身を潜め、乱れた息を整えている少女。
「ふぅ。やっと撒けた…。…ルカ、あんな格好なのに油断できないわね。」
今回の騒動の黒幕、遠山理菜である。

「…さて、春くんを回収しないと…。」
呼吸と心拍数が正常に収まったところで、次の行動を開始する。
急ぎ、池のエリアまで戻る理菜。あとは黒田夕圭を血祭りに上げて、ジ・エンドである。
しかし、彼女を待ち受けていたのは、恋焦がれる相手ではなく、敵だった。…それも黒田とは別の。
「あれ?これはこれは、役立たずな豆田姉妹の片割れさん。撤退したんじゃなかったの?」
「……言ってくれる。その作戦時刻に遅刻した役立たず以下の貴女が…。」
「………喧嘩、売ってるのかしら?是非、喜んで買わせてもらうわ。」
「……覚悟!!」
双方飛び退き、一瞬後に飛び交う弾丸と飛び苦無。
…春樹たちの去った公園にて、激戦のエキストララウンドが始まった。

一方、回収されずに放置されているトウバンジャンこと豆田陽子。
そんな彼女に忍び寄る一人の影…。
「おや?これは、生徒会長さんじゃないかい?」
新任の女美術教師の千所舞。
「こんな所で寝ていると風邪を…。…いやまて。…これは意外と絵になる。」
豆田陽子…。
割とぶっ飛んだ言動や行動で名を轟かせている彼女だが、豆田貴子の姉だけに人形のような整った容貌であることはあまり知られていない。
白く、きめの細かい肌に長い睫毛。やや小柄な身体が横たわっている場所は、クローバーの絨毯に紫陽花の日傘。
意を決した舞は、やがて筆を走らせる。

後に彼女が日展で発表した作品。
この絵に描かれた眠れる美少女が誰なのか、新醤油学園内で話題となったとかならなかったとか。

新ジャンル「残された者たち」新醤油学園野望編

251:名無しさん@ピンキー
08/06/14 11:09:53 zwBttc4k
友「無人島に三人の若者がいます、彼らは島から脱出する為に船を造りました。しかし船には二人しか乗れません、あなたならどうしますか?」

俺「お前を置いて先に逃げる」
友「えっそれ酷くね?」

内気「私なら・・・」

俺『おい、助かりたかったらこれから一か月性奴隷な』
友『性奴隷ってのはな拷問、拡張、剃毛、中出し、何しても良いって意味だけどご存じ?』
俺『あれぇ?もしかして初めてだったの?性奴隷ちゃん』
友『後ろの穴も初めて?そりゃいい、試しがいがある』

二週間後

俺『二人しか乗れないってことは一人殺して乗せればいいんじゃね?』
友『じゃあお前上半身、俺下半身な』
俺『悪いけどそういうことで』

内気「・・・あれだけ尽くしたのに……殺すなんて」ポロポロ

俺「何泣いてんの?」

252:名無しさん@ピンキー
08/06/15 08:40:00 bwqIXJU6
醤油学園は転機を迎えたっぽいな
はるくんがどういう選択をするのか期待

そして内気妄想は自重しろw

253:名無しさん@ピンキー
08/06/15 09:45:18 c47Os2FI
内気妄想、なんか病んでるな

だがそれがいいw

254:名無しさん@ピンキー
08/06/15 11:31:49 NOcyH2km
エロ パロだからな
内気もアリ

255:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:05:47 AVosgSS6
深夜の繁華街、良い子は出歩いちゃマズい時間。
いい年の痴女クール&素直クールな千所姉妹は、屋台のおでん屋で酔っていた。

「ちくしょう………あと少しで、上玉ゲットだったのになー…はぁ…」
「相変わらずだな、姉さんは。気が多いのは感心しないぞ」
「お前こそ恋愛の一つもしてみろ。私の人生は、常に刺激と快楽に満ちているぞ!!」
「姉さんのは恋愛ではない、只の色情狂だ」
「色情狂で何が悪い!!」

どうやら千所姉(校長)は先日の一件で、かなりご不満な様子。
この所、満足できる獲物にありついていないのも拍車をかけている。

「…それに私を、ロボットみたいに言わないで欲しいんだが」
「舞は昔から絵にしか興味が無かったし、どうせ今も変わらんだろ?」
「…私だってもう24だ。気になる男の一人や二人はいる」

ニヤリ

はっと千所妹(舞)が傍らの姉を見れば…

「舞ちゃん~…姉さんに話してごらん…」
「ね、姉さんのその口調は明らかに面白がっているな!!」
「おほほ。きのせいよ」
「棒読みになってるし!!」


「……なんだ青山春樹だったのか」
「ううう…」
吸った揉んだの末、千所舞は姉へ白状に及んだ。店の親爺が前屈みなのは…気にしない。

256:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:07:03 AVosgSS6
「でもな、まだ高一だぞ相手は。男の色気にはまだまだだな」
「どうして姉さんは、すぐ話を下品な方向へ持っていく…」
「仕方ないだろう、私の長所なんだから」
「長所ではない!!」
先程とはうって代わり、妹の方が興奮している。どうやら似たもの姉妹のようだ。

「高一というが、あと十年もすれば立派な男だ!!更にもう十年ちょいでナイスミドルになる!!」
「……あっ!?わ、私はどうして、そんな事に気付かなかったんだ!?」
「……姉さん?」
「今だって中々顔立ちは悪くないし、何より青山先生の息子じゃないか!!結構似てるし!!」
「…もしもし?」
「決めた、決めたぞー!!舞ーっ!!!!」
「な、何よ…」
「私達姉妹で青山春樹を手に入れよう!!」

椅子から立ち上がり、大声で野望を語る千所姉。
「し、しかし私達って…き、共有はちょっと…」
「構わん。舞と青山春樹の二人、まとめて私が可愛がってやるとも!!」
「それは嫌だ!!いろんな意味でー!!orz」
「はははは!!!!明日から忙しくなるぞ!!巧く行けば青山春樹だけでなく、
囲炉裏真智子に四天王、更には青山先生まで………!!」

鼻血を出しながら、目をギラギラさせる姉を見て千所舞が一言。

「姉さん、初めては私が貰うからな」

やはり似たもの姉妹だ。


257:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:09:59 AVosgSS6
翌朝のこと。春樹が廊下を歩いていると…
「ん~、ゴホン…。青山春樹くん。ちょっと…」
「(ゲッ)こ、校長先生…お、お早うございます」
「うん、おはよう」
「い、いつもながら凄い服ですね…」
確かに古今東西、レザーのビキニ上下のみで、校内を歩く校長はただ一人だろう。
「はは、君にそう褒めて貰えるとは光栄だ」
『褒めてねぇよ!!』
心中で突っ込む春樹。
しかし視線はつい…

『こ、校長の胸…黒田以上の大きさ…まさに凶器と呼ぶしか…………!!
しかも、足長いな………あんなに綺麗で白い足なんて……』
『ふふっ、視線を感じるぞ、青山春樹。…しかし見れば見るほど父、青山先生にそっくりだ…
…いかん、濡れてきたな………舞には悪いが味見させて貰うとするか』
両者に沈黙が流れる……がそれを破る者が。

「おーす、春樹ぃ!!…と校長!?…先生……何やって…」
生徒会長、豆田陽子が通りがかる。
「うるさい、トウ…じゃない豆田。あっち行け」
「こ、校長!?いくら何でもその言い方は!!」
「あ、いーよ。校長せんせー失礼します…」
そう言うと陽子は春樹の手を取り、猛ダッシュで逃げ出す。


「ま、豆田!?」
「春樹、あたしを信じて逃げろ!!…今の校長はヤバいぞ!!」
半信半疑の春樹だが、言われるまま走り出す。
残された校長は…
「やってくれる…トウバンジャンめ!!」
ハンカチを噛み締めて悔しがっていた。

はたして春樹と陽子はこのピンチをどう乗りきるのか?


新醤油学園 青春編
「今そこにある危機」


258:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:36:48 AVosgSS6
授業開始の鐘が鳴っても二人、いや先導する陽子の足は止まらない。
「お、おい!!豆田!!授業が始まってる…」
「それどころじゃねぇ!!ヤバいんだよ!!」
陽子の声に真剣な物を感じとったのか、春樹は黙って陽子に従う。
いつしか二人は高等部の校舎を離れ、中等部の敷地へと足を踏み入れていた。

「…久しぶりに来たな」
「ん?あ、豆田は持ち上がりで進学したんだっけか。…懐かしいか?」
「まあな。とりあえずここなら大丈夫だろう」

二人が一息を入れたその時。

足下へ短剣が刺さる。

「誰ダ!!」
「……あたしだよ」
「陽子サマ!?…謝々!!」

校舎の陰から姿を表したのは、春樹達と同年代の少女だった。
黒い頭髪を頭の両側でお団子に、切り揃えた前髪と可愛らしい目の少女。
「どうしたネ、陽子サマ……と?」
「ああ。こいつは青山春樹。あたしの連れだよ、レーファ」
「…ヨイ人みたいネ」
「な!?ち、違う…いや違わないが…その!?」
慌てふためく陽子を横目に春樹が尋ねる。
「えっと…青山春樹だ。君は?どうやら豆田の知り合いみたいだが?」
「是。ワタシはレーファ=シラー。レーファと呼んでくださいネ」
「レーファ…さん。君は…中国の?」
「イヤ、中国系カナダ人ネ。陽子サマの家にお世話になってるヨ」
意味ありげに陽子を見るレーファ。
『レーファ!!あたしの正体は黙っておけよ!!』
『オー、陽子サマ。怒ったら台無しヨ、彼氏の前で』
『…くそぉ!!』


259:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:38:30 AVosgSS6
「……でどうするんだ?ここまで来て」
「そうだ。レーファ、隠し部屋を頼む」
「?…良いけど、何に使うネ?あと貴子サマにも連絡…」
「いや…貴にも内緒だ。どこから漏れるか分かったもんじゃ…」
「…了解ネ」


「はるくん…どうしたんでしょうか?」
「春樹くんがサボるなんて初めての事だし。何かあったのかしら?」
真智子と夕圭が顔を付き合わせて考えていると、夕圭の携帯が鳴った。
「はるくんですか!?」
「いやメールみたい。誰かしら……!?…」


『四天王へ
トウバンジャン離反。
同行者青山春樹共々捕縛の上、第三会議室へ連行せよ。
コードF by BB 』
痴女クール校長からの指令メールだった。

『どういう事!?一体…!?しかも、コードFなんて最優先事項の…』


一方その頃。
「……やってくれる馬鹿姉が…!!……春樹さんと駆け落ちなんて…!!」
凄まじい勘違いをした中学生が一人、怒り狂っていた。
「…捕まえたら馬鹿姉は渡すとして…浮気な春樹さんは……お仕置き二倍
……なでなでをいつもの四倍(///)に…あと…」

打算高き中学生、その名は豆田貴子。又の名を四天王XOジャンという…

新醤油学園 青春編
「逃亡者と追跡者」

260:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:41:31 AVosgSS6
獲物を狩るべく、貴子は行動を起こす。
取り出したるは、ピンクの可愛らしい携帯電話。
貴子が相手を呼び出す。

『お呼びでしょうか?貴子様』
『…姉ともう一人、至急居所を掴みたい…付近を捜索して…』
『了解です。僕一人で構いませんか?』
『…いや、貴方の恋人にも協力を』
『ち、違います!!レ、レーファとはそんな関係じゃ!!』

電話の相手、少年らしき声に焦りが混じるが、貴子は冷静に返す。
『…あれだけ愛されてよくもそんな事を…来月の給料10%カット…』
『ひぃーん!!』


春樹達は中等部校舎のとある教室にやって来た。
「…ここ、普通の教室じゃんか。隠れるのには不向きだろ」
「まあ春樹、黙って見てなよ」
陽子は電灯のスイッチを乱雑に、いやある規則性を持って素早く切り替えてゆく。
すると…

ゴゴゴ…

「こ、黒板が!!し、しかも空洞が!!」
「入るヨロシ、春樹サマ」
謎の中国系カナダ人、レーファに促されて、春樹は黒板の裏、空洞の中へ身を入れる。

「…な、なんだ!?」
そこは六畳程の小部屋、しかし学校にはふさわしくない普通の部屋。
「豆田…この部屋は?」
「説明するとちょいと長いから、また今度な」
陽子は肩をすくめて答える。
「それよりレーファ」
「…ワタシで良ければ探ってみるネ」
「頼む。…校長が一体何を…って分かるが、突然の行動だからな」
「じゃあ、マイダーリンにも手伝って貰うネ」
それまでどこか飄々としていた少女の顔が、微かに赤くなる。
「…勝手にしろ」
「陽子サマ、焼きもちは良くないネ。でも、しばらく二人でしっぽり休むと…」
「…行けっての!!」


261:名無しさん@ピンキー
08/06/15 16:43:39 AVosgSS6
「最近番長冷たいなぁ…姿も見せてくれないし」
芝村麻里愛は屋上で一人黄昏ていた。
「コードF発動なんて何を考えてるのかね、あの玲にゃんは…」
校長をあだ名で呼びつつも、麻里愛はしっかりと任務を分析してる。
『大体、陽子が離反なんて悪い冗談よね。なんだかんだで、あの子が一番職務熱心だし』
『となれば安易に任務遂行とは…まずは情報収集から』


「ハル~、朝御飯頂戴よぉ!!」
ルカが教室にやって来たが、見たのは主のいない机。
「夕圭ちゃん、ハルはどこ行ったの?」
夕圭はかぶりを振る。
「私にも……」
「おかしい…あの真面目なハルがサボるなんて…!!…私探してくる!!」
あっという間に出ていくルカ。夕圭は内心で自問する。
『…どうする…夕圭。春樹くんを取るか、任務を取るのか……?』

さて真智子は。
「…はるくんさがすまえに、まずははらごしらえです!!」
呑気に購買部でお菓子を大人買いしていた。


新醤油学園 青春編
「INTERMISSION」


262:名無しさん@ピンキー
08/06/15 23:57:05 bwqIXJU6
チャイナ娘……お主、できるなッ!?

263: ◆MUMUMU4yyk
08/06/16 02:02:52 C7p9RmaS
瑞穂「インポテンツなのよ、私……」
    まったく予期しなかった告白にまごつく貴子さん。
貴子「ことによると、案外、制服きているせいじゃありませんか?人間には同性愛を拒否する本能があるという噂を……」
瑞穂「インポなのよ、おしっとしっと……」
瑞穂「貴子さん、軽蔑してるでしょう、私のこと」
貴子「軽蔑?まさか外見に異常があるわけではないし、むしろ」
瑞穂「惨めなものよ、裸を見ても感じない。感じないから、見たくない。
   でも女子校の体育なんか、どれもコレも裸だらけでしょう?
   鼻風邪ひいたみたいな気分になってしまうわ」
貴子「気楽でいいですわ。羨ましいくらいです。私なんかいつも自分が色情狂じゃないかと思って、、
    めがねだとかおでこだとか、桜色の大きいリボンだとか……とたんに反応してしまって……」
瑞穂「真面目な話、どちらに手術しようかと……」
貴子「そんなに切実なものなんですか……」
瑞穂「寂しいのよ」


新おとぼく「駄目ルダー」

264:名無しさん@ピンキー
08/06/16 09:48:11 uIW14Irv
~その頃の番長~


「…………」
「番長ー、何死んでんだー?」
「死んでねぇ……なんつーか、一人の生徒として、この学校に不安が…」
「周りじゃなくて?」
「内部だ内部……」
「大変だな」
「…部外者はいいなこの野郎。腹立ったからちょっと河川敷来いや」
「ほう、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ」

---------------------------------------------

「…………」
「…………」

「オッス!オッス!」
「アッー!アッー!」

「おう、そこのいい男二人、やらないk…ちょっと待てよー」

(逃げんぞ!!)
(無論だ!!!)

新醤油学園番長編~河川敷のガチムチ兄貴~

265:前衛と後衛の日(1/11)
08/06/17 03:51:06 ezeFnkzQ
「む!」

リオルの声である。

「むむむむ……」

リオルの唸り声である。

「むぅぅぅうう……う!」

苦しげな、リオルの唸り声である。
眉間に寄せた皺がどんどん濃くなっていき、形のいい眉がつりあがる。
あまりにも力を込めているので眉と眉がくっついてしまいそうなほど。
それに伴いリオルの声も高まっていき、そしてとうとうそれが頂点に達したその時。

「うがぁ―――――ッッッ!!!!」

爆発した。
主にリオルの我慢的なモノが。
立ち上がったリオルは肩を怒らせてぐるりと辺りを見回した。
隆起した地盤がそのまま小高い丘になっている、背の低い草で覆われた緑の土地。
暖かな日差しとてくてく歩いている小鳥がやけに平和で、
岩の上には大トカゲの魔獣がぬべーっと日向ぼっこしている。
最近降った雨のおかげで普段より二割増しで生命力溢れるこの場所で、
リオルは胡坐をかき座禅モドキのスタイルで瞑想していたのだった。
しかし少し考えればわかりそうなものだがリオルと瞑想はまったく相性が合わなかったらしい。
彼女の瞑想は時計の秒針が一回りするかしないかの間しかもたず、奇声と共に中断と相成ったのだ。短っ。

そんなリオルを苦虫を噛み潰したようなジト目で見るのは、蒼い鎧と背中の長剣がトレードマークの勇者。
勇者として振舞うならさらにここに赤いマントが加わるが、普段は別に身につけていない。
町から離れて数十分ほどの距離にあるここで、今日はリオルの鍛錬に付き合っているヒロトである。

「いくらなんでも早すぎやしないか、リオル」
「ダメ。あたしこれダメ。イライラするもん。瞑想。あたしイライラする」
「集中力ないにも程があるな」

ヒロトは呆れたように言った。
そもそも、ヒロトに修行をつけてくれと言い出したのはリオルの方なのだ。

リオルの核(コア)とも言うべき賢者の石が変質し、より『本物』に近い性質を手に入れたと発覚したのは
つい先日のことだ。ジョンは貴重なサンプルであるはずのリオルの賢者の石を見逃し、
生命を優先させたためにその秘密は未だに解明されていないままになっているが、
もちろんそれは賢者の石を諦めたわけではない。ジョンはリューが魔王城書庫から召喚した
魔道書の一部を借りることによって、今まで以上に精力的に研究に励んでいる。
リオルはそんなジョンを見て、自分にも何かできることはないかと思い、
自分の体内にあるという賢者の石をどうにかして制御できないものかと考えたのだ。
その方法として思いついたのがこれ。自己の裡に潜り己を高める瞑想という手段である。
ちなみにヒロトは『なんかそういうの上手そうじゃん』という理由でつき合わされていたりする。

「なんかさー。コツみたいなのってないの?コレ」
「コツ……かぁ。それ以前の気もしないでもないが、まぁ形にこだわることはないんじゃないか?」


266:前衛と後衛の日(2/11)
08/06/17 03:52:12 ezeFnkzQ
ヒロトはそう答えた。わざわざ座禅を組んでいたことを言っているのだろう。
『とりあえず形から』という手段ももちろん有効だろうが、瞑想は瞑想であって、
特にこれこれこういうポーズをしなければならない、というものではない。
ようは集中できればいいのだ。それさえできれば、たとえ十字を切って手を組んでも、
剣を正眼に構えていても、ただ目を閉じているだけだって構わない。
ヒロトがそう言うとリオルは小首を傾げて人差し指を顎に当て、

「集中、ねぇ」
「いっそ延々と稽古をしているとかどうだ。リオルはじっとしているより
 身体を動かしているほうがかえって集中できるように思う」
「そうですわね」
「ふうむ……」

リオルは腕を組むと、考え込んだように唸った。

「って、ローちゃん!?いつの間に!」

いつ現れたのか、音もなくローラがリオルたちの背後に接近してきていた。

「……ついさっき、ですわ。リオルさん、勝手にヒロト様を持っていかないでもらえます?
 行方不明になったと思って街中探してしまったではありませんか」
「いやぁ、あははー……」

それでどうして町の外であるこの場所に行き着くのかかなり謎だったが、
乙女ちっくハートの潜在能力が無限だということは万国共通、常識以前の話だ。
そこを深く考えるのは無駄というものだろう。

「俺はモノ扱いか」

ヒロトの呟きは無視された。

「と、ところでジョンは?はかどってた?」

リオルの問いに、ローラは少しだけ眉を下げててゆっくりと首を横に振った。
わかっていたことだけど。リオルはそっか、と肩を落とした。

魔道書を調べて賢者の石に関する手がかりを見つける、というのは
勇者ジョン・ディ・フルカネリの使命のひとつでもある。
魔王と契約してこの世の全ての魔道書が集う魔王城書庫の使用許可を得るという目標は
リューと出会ったことによって達成されたが、その先、つまり実際に魔道書を調べることとなると、
これがジョンにとって大きな落とし穴だったのだ。
魔道書というものは、本それ自体がひとつの魔術式に等しい。形のある魔法のようなものだ。
魔法とは術師のマナを消費し、この世に奇跡を体現させる。その法則は魔道書も同じなのだ。
魔道書は読み手のマナを喰らう代わりに、記録されている知識を、
あるいは術式を、記憶を、叡智を、幽世の理を読み手にダウンロードする。
ジョンはリューの協力によって――リューはかつて絶命したアルラウネのククに即席の蘇生魔法を
成功させた夜のように、召喚魔法を使って魔王城の書庫から魔道書を取り寄せたのだ――念願の魔道書を
手にすることができたのだが、その魔道書を読むのに必要な魔力とジョンの魔導師としての能力には
残念ながら、大きな開きがあるとしか言いようがない状態なのだった。

まぁ、無理もない。

リューが召喚した魔道書はどれも神代級のシロモノばかり。
魔道国家ユグドレシアの王立図書館、通称『真理の森』でも何冊あるかわからないようなレベルなのだ。
魔王であるリューはそのとてつもない魔力を以って、まるで野菜スープのレシピのような気軽さで
読めるのかもしれないが、魔法使いとしては決して優秀な方ではないジョンが容易く扱えるものではない。

267:前衛と後衛の日(3/11)
08/06/17 03:53:11 ezeFnkzQ
悪くすれば魔道書に飲まれ、正気を失ってしまうようなそれらを、
ジョンはリューの張った結界の中で慎重に解析している。
そして作業が難航しているからこそ、リオルはジョンの為に頑張ろうと心に決めたのだ。

「でもなぁ」

リオルはウムムと腕を組んだ。

「正直、どうすればこの賢者の石の秘密がわかるのか、あたしにはさっぱりわかんないんだよねー。
 いや自分のことだってのはよくわかってんだけどさ」
「……まぁ、作った本人にもわからないようなものですからね」

現在わかっているこの賢者の石の性能は、まず魔力を貯蔵できること。そして魔力を解放できること。
この二つはジョンが作った賢者の石にもともと備わっていた機能である。
魔法使いにとっての魔力のサブタンクであり、飲み物を入れておく水筒と変わらない。
だが問題は、その水筒に水が勝手に溜まるようになったということ。
一度に放出する量さえ気を付けていれば、飲んでも飲んでも水がなくならない水筒。仕組みは、謎。

………………………怪しすぎる。

「気持ち悪ッ」
「しかも、それが自分の身体に入っているんですものね」
「とにかく、どうすればいいかなんて誰もわからないんだ。
 なら思いつく限りのことをやってみればいいんじゃないか」

………結局、そこに収まるのだった。


『身は心に通じ、心は真に通ずる』。


その昔、インの国で最強を謳われた拳法家、マスター・リーが残した言葉だ。
身/肉体を鍛えることで心/精神を引き締め、磨き上げられた精神で真/悟りに至るというものらしい。
その拳法家は勉学ではなく拳を極めることによって世の真理に近づこうとしたことで有名でもあり、
没後何百年も経過した今でもなお多くの人から尊敬されている。
イン国が誇る拳法流派のほとんどがその人を源流としているというのだから相当なものだろう。
イン国の人間でなくとも、武道を志した者ならマスター・リーの名は
誰だって人生の内に一度は耳にするほどの偉人である。

「真理云々はともかくとして。自己の能力を把握するのに鍛錬は欠かせないものだというのは頷ける話だと思う。
 どうせ今日はジョンやリューが宿に篭っているから俺たちは暇なんだし、軽く身体を動かしてみるか」
「うん、まぁそっちの方があたしは得意っぽいかな」

リオルは大きく伸びをすると、ぱきぱきと骨を鳴らした。

「で?」

そうして、ヒロトを見る。
ヒロトは頷いて、

「そうだな。ここなら迷惑になることもないだろうし、少しくらい派手に暴れてもいいだろ。
 じゃあ、まずは適当な距離を取って実戦と同じようにやってみるか。相手は俺がするから、
 手加減はなしの方向で構わない。ああ、さっきその辺に魔獣がいたか。
 少しどいてもらうように断っておかないとな」


268:前衛と後衛の日(4/11)
08/06/17 03:53:48 ezeFnkzQ
と、すたすた歩き出した。言葉の通じる知能があるとは思えないようなトカゲモドキまで
わざわざ追い払っている辺り、さすが人間と魔族の調和を目指す変り種というか何というか。
と、思ったら案の定襲い掛かられている。しかしヒロトの方も慣れたもので、ひらりと身をかわすと
しっぽを掴んでそのままブン投げた。ひゅるる、と彼方に飛んでいく。まぁ死にはしないだろう。多分。
ちなみに魔獣の棲む土地で勝手に暴れればそのエリアのヌシが怒って外敵と見なし、
排除しに来ることもあるだろうが、気になるこのエリアのヌシとは町に辿り着く途中で既に会っていたりする。

『城亀』の異名を持つヌシ、テラストゥードはその名の通り城ほどもあろうかという巨大な亀の魔獣であり、
背中の甲羅に象がくっついてお盆状の『土地』を支えているような恰好をしている。
性格は大変なのんびりや。十年に三日しか起きていないほど眠るのが好きで、
喋っている間に何度も眠りに落ちてたためにリューがとうとうキレて魔力波で永眠させようとしたほどだった。
まあ最終的に害はないだろうと放っておくことにしたのだが。

「んー、まぁそれはいいんだけどさー」
「……?」

リオルの声を聞いて、振り返る。まだ何かあるのだろうか。
リオルはこきこきと首を回して、

「一撃につき一回!なんでも言うこと聞くとかどうよ?」
「………………?」

ぴっと人差し指を立てた。
ヒロトがイマイチ飲み込めていないのか不思議そうな顔をしていると、
リオルはだーかーらー、と言って続ける。

「ヒロト強いでしょ?そんなことわかってんの。ムカつくけど戦闘力だけは魔王級なんだから。
 そんなのとやりあったってさー、こちとらあんま、面白くないわけ。負けて当然~みたいになっちゃったら
 鍛錬も何もなくなっちゃうでしょ?だからね?一撃ごとにご褒美が欲しいなってことよん」
「な!」

妙なしなを作って猫なで声を出すリオルに、ローラのツインロールが逆立った。
それはそうだろう。リオルの言っていることは完全なおねだりだ。
お互い歳が一桁の頃からの知り合いであるローラでさえ何度頑張って断念したかわからないような試みである。

「ああ、そういうことか。構わないぞ」
「イエー!」
「な!!」

そして軽く了承するヒロト。なんてことだ。ローラにさえ一度もそんなこと
許したことないのに(単にローラが一度もそういったことを言い出さなかったとも言う)。
灼炎龍時代のリオルの首を刎ねたことで、
最近までリオルはどちらかというとヒロトを仇として敵視していたのではないか?
グリーンドラゴンの鎮静を経て少し打ち解けたかと思えばすぐコレかっ。リオル、恐ろしい娘!

じゃなくて。

「ひ、ひひひヒロト様っ!」
「ん。何だローラ」
「何だではありませんわ!そんな、そんな勝手に決めてしまって!反則ですわ!
 ずるい――じゃなくて!私も――じゃなくて!」
「よし、まず落ち着け」


269:前衛と後衛の日(5/11)
08/06/17 03:54:30 ezeFnkzQ
ローラは深呼吸するとキッとリオルを睨み付けた。

(おのれ、ですわリオルさん。ジョンさんという者がありながらっ!っていうかライバルは
 目下リューさんだけだと思っていましたのにっ!こんなところに伏兵が!?
 考えてみれば『気に食わないけど気になるアイツ』的ポジションは神話の時代から王道中の王道……うかつ!
 うかつですわ私!無邪気さ故の天然スキンシップはヒロト様のフラグクラッシュでも防げませんの!?
 うう……そんな絶対攻撃を身につけているなんて……羨ましい!羨ましいですわリオルさん!
 そして多分ご本人にヒロト様をどうこうしようという気がまったくないのも逆に腹立たしいですわっ!!)

と、だいたいそんな感情を瞳に込めるもリオルのきょとんとした反応を見るにまったく通じておらず、
あげくこんなことを言い出すのだった。

「ヒロト、ヒロト。ローちゃん入れて二対一ってのはどうよ」
「ん?……んー。二対一、かぁ」
「ケチケチすんなよー。最強の勇者なんだろー」
「……別にそんなつもりはないけど。ま、いいか。ローラ、悪いけど頼めるか」
「え!?わ、私もですか?ですが……」

急に話を振られて、ローラは流石に戸惑った。
直前まで拗ねていたこともあり、そもそもリオルの為の鍛錬なのではなかったけ?

「いいじゃんいいじゃん。ヒロトに言うこと聞かせるのはローちゃんでいいからさー」

雷が落ちた。
愛剣ボルテックを抜きはらったローラが一瞬にして魔力を刃に通わせると、
戦場の指揮官の如く紫電の剣をヒロトに向けて一気に突きつけたのだ。
途端に切っ先からばりばりと稲妻が迸り、こちらにまだ顔を向ける途中だったヒロトに襲い掛かる。
いきなり直撃――するかに見えた完璧な不意打ち。が、電撃が地面を抉ったのみで
肝心のヒロトはすでにそこから消えていた。ばっと辺りを見回す。
いた。少し離れた丘の上。一足飛びでそこまで移動したのか。
――まぁ、ローラも別にこんなに簡単に一撃を当てられるとは思っていない。しかし失敗は失敗だ。

「ちっ」
「うわぁ。ローちゃんヤル気満々だね」

三白眼になって舌打ちするローラの変わりようにリオルも引いていた。

「リオルさん。知っての通りヒロト様は一筋縄ではいきませんわ。
 まずなんとかして足を奪いましょう。二人力を合わせれば糸口はある筈ですわ」
「………そだね」

リオルは頷いて、龍の能力を解放した。こめかみに冷や汗が一筋、流れ落ちるのを感じながら。



ローラが当初の目的を完全に忘れて稲妻を纏いながらシャーオラー、とかやっている頃。
町に残っていたリューは何やら一冊の本をぺらぺらめくりながら、しかし何をするでもなく、
腰掛けた椅子をひっくり返りそうなほど傾けてそのままゆらゆらと揺れていた。
今日のリューはずっと宿に篭ってジョンの研究に付き合っているのだ。
といっても実際に魔道書を捲って解析しているのはジョンだけであり、
リューはそれを手伝ったりはせずにこうして半目になって揺れているだけだったりする。
何せこれはジョンの使命であり――魔術の叡智とは、そうやすやすと伝達できるものではないからだ。
一歩間違えば簡単に意識を持っていかれる。掌に小さな種火を灯すような下級の魔法じゃあるまいし、
魔王の書庫を漁るのならばそれが当然なのである。ジョンも無論、それを承知でリューに協力を要請したのだ。

270:前衛と後衛の日(6/11)
08/06/17 03:55:22 ezeFnkzQ
だからリューができるのはこうやって結界を張って、外に被害が出ないように工房を作ってやるだけ。
それから――。

『SSSYUGURRRRRRRRRRRRRRRRッッ!!!!』
「っく、リ、リューさん!!」

ジョンが高く声をあげる。
目を向けると宿の一室がびゅごう、ごおう、と黒い大風で逆巻いており、
魔法陣の中心で倒れているジョンの背中から、
めりめりと音を立てて得体の知れない化け物が顔を出そうとしていた。
ジョンの足元に落ちている本は『レメゲトン』。存在が知れればすぐにでも専門の神官や魔導師が
回収に駆けつけるであろう第一級禁書だ。内容は主に悪魔召喚であり、
マナを仮想物質(エーテル)に変換して形を与える、高度な使い魔使役の呪法である。
今起こっているのは暴発である。魔道書に飲まれてどこぞの悪魔でも召喚してしまったのだろう。
もちろんこれは失敗であり、放っておけばジョンは悪魔に内側から身体を引き裂かれ千切れて死ぬ。
リューは溜め息をついた。ぱたん、と読んでいた――眺めていた本を閉じる。
そのタイトルは『恋するオーラ』。巷の若い女の子に人気だというつまらない恋愛小説である。
そしてがちがちと牙を鳴らしている悪魔に手をかざし、

「――五乗封印」

それだけ、呟いた。
途端、この世に生まれ出でようとしていた悪魔の黒い身体がぎしっ、と止まる。

五乗封印。

相手の四肢と首に魔力の刻印を刻み、自由を奪ってしまう『緊縛』の上位魔法である。
かつてクルミというクノイチがヒロトを拘束した術で悪魔を封じ込めたリューは
そのままツカツカと悪魔に近づくと、呪縛を解こうともがいているその顔面を思い切り踏みつけた。

『MUGYUッッ!!?』

そのままぐりぐりと踏みにじって悪魔を強制的に送り返す。
悪魔の姿が見えなくなると、リューは倒れて息を荒げているジョンに声を掛けた。

「……無理しすぎではないのか」

ジョンは顔面蒼白、汗まみれでぐったりとしているものの意識ははっきりしているのか、
視線だけでリューを見上げてぎこちなく笑ってみせる。

「……すみません。また、失敗してしまいました」
「まったくだな。傍迷惑なものだ。引き際を見誤れば死ぬ以上の苦しみが襲い掛かってくると教えただろう」
「……リューさんも、同じような目に?」
「馬鹿を言え。我こそはリュリルライア。あらゆる魔と闇の頂点に立つ魔王だぞ。我にとっては
 ネクロノミコンだろうが黒い雛鳥だろうが四神天地書だろうが、野菜スープのレシピと変わらん」
「………すみません」

――魔道書に飲まれるということは、魔道書よりも術師の格が劣るということ。
職人の世界ではしばしば道具と自分の力量が合わないことを『道具に使われる』というらしいが、
そんなものでは済まされない。文字通り『道具に食われる』のが魔導師なのだ。
そして術師の血肉を喰らって実体化した『魔道』はそのまま外の世界に解放され、
様々な災厄を引き起こす――世に言うマージハザードというヤツである。
かつて渇きの国で外道魔導師が国中のマナを吸い尽くし枯渇させるという事件があったが、
それも例のひとつに数えられるだろう。ともすれば世界の崩壊を招きかねない、
聖堂騎士団や勇者にしか対応のできない文字通りの『災害』である。

271:前衛と後衛の日(7/11)
08/06/17 03:56:09 ezeFnkzQ
 
今呼び出されようとした悪魔も同じ。それも、それこそヒロトやブレイズのような
戦闘特化型の勇者が聖堂教会の命を受けて処理に現れるような掛け値無しのバケモノだ。
……それをあろうことか踏んずけてあっけなく追い払っしまったリューはやはり、
少女の姿をしてはいても人間とは天と地よりも隔たりがある存在だといえよう。

ジョンが素直に謝ったのを見て、リューははぁ、と溜め息をついた。

「そこはツッコむところだぞ、ジョン。我に料理のレシピが扱えるものか」
「……はは、そうですね」

リューには珍しい自虐的なジョークにも、ジョンは渇いたように笑うだけだ。
そんなジョンを見下ろして、リューはまた深く溜め息をついた。
ひょい、と紙屑でも拾うかのような調子で魔法陣の上に落ちているレメゲトンを拾い上げると、ぱたん、と閉じる。
そしてそのまま放っておけば町中の人間を皆殺しにしたであろう悪魔を召喚した魔道書は
魔王の手の中で光の粒子となり、消えた。――送還されたのだ。
それからリューはしっちゃかめっちゃかに散らかった床の上のモノを乱暴に足で除け、すとん、と座り込んだ。

「いいのか」

そして、それだけを訊く。
なんのことです?ととぼけることもできない。『こんな無茶をしていていいのか』とリューは訊いていた。
ジョンは、その問いに答えるまでも無いと思った。ジョンには、リオルを殺すことはできない。
しかしラルティーグを裏切ることもジョンにはできなかった。勇者という名の希望はそんなに安いものではない。
なら、自分のこの身体を張るしかないじゃないか。ジョンはそう思っている。
しかし、リューは首を振った。

「――ならば、せめてこの事態をリオルに話すべきではないのか」
「………………」
「リオルは貴様がこうして死にかけていることを知らん。魔道書の解析に手間取っているといっても、
 せいぜい魔力切れで倒れるとかその程度だと受け取っているだろう。ジョン、貴様がそう見せているのだからな」

実際は、違う。
さっきの悪魔召喚のように、一歩間違えれば大災害を引き起こすような
術式を――ジョンのスペックを遥かに超越した無茶を繰り返している。
ハイリスクハイリターン。だが余りにも分の悪い賭けだった。
それでもリオルの前ではなんでもないように振舞って、それを隠しているのだ。
リオルに心配をかけたくない。
その一心で。

「ヒロトさんを引き摺っていった、リオルの顔を見ましたか」
「ああ」
「修行を付けて貰うんだそうです……また無茶を言っていなければいいですが」
「言っているだろうな。まず間違いなく」
「はは」

無邪気なリオル。だが、ジョンが死を賭して魔道書に挑んでいると知ったら、
今のように変わらず笑っていられるだろうか?
ジョンは思い出す。リオルの胸に埋め込まれている賢者の石が進化したと告げたあの日、
リオルは震えながら、自分の生命を差し出すと言った。
その顔を、ジョンは忘れない。

「惚れた女の笑顔を守る――か。難儀なものだな。お前も」

272:前衛と後衛の日(8/11)
08/06/17 03:57:10 ezeFnkzQ
「こう見えても男の子ですからね」

ニッと歯を見せる。さっきの自虐ジョークのお返しだ。リューは苦笑した。

「……それに、秘密はお互い様でしょう。リューさん」

だが、続けてぽつ、と呟いた声に、リューは身を硬くする。
未だ倒れたままのジョンを見た。ジョンは床に頬をつけ、手足を不恰好に折り曲げた体勢のまま、
それでもまっすぐにリューを見つめている。
リューは目を逸らし、とぼけた。

「なんの話だ」
「神は世界を創り、魔王は世界を破壊する――裏表の存在なら、神にできることは魔王にもできる。違いますか」

突然、話が飛んだ。飛んだ?違う。それはリューがまだヒロトに話していない、隠していることの中心だった。
それでも、リューは目を逸らしたままだ。

「……なんの話だ」
「お互い様、という話です。ボクはリオルとの関係が大切だから、こうやって倒れていることを秘密にしている。
 貴方だってそうでしょう。貴方がその気になれば、ヒロトさんを自分のものにすることは簡単なはずです。
 でも、それでは貴方の大切を壊してしまう。だから、秘密にしている――」
「………………………」

リューは、いや魔王リュリルライアは答えない。
だが、冷たく燃えるその瞳が、『余計なことを知ってしまったのか』と問いかけていた。

「――憶測です。ボクが観た限り、そして今までに得た知識で解釈した限り、そういう結論に達しただけのこと。
 だからリオルには秘密にしておいてくださいね。ボクがこうやって、死にかけていることを」

リューは目を閉じると、また深い溜め息をついた。

「……魔王を脅迫するか。太いヤツだ」
「こうでもしなきゃやっていけませんよ。人間なんて」

ジョンは苦笑した。
その時、ずずん、という地響きが遠くの方で起こり、窓ガラスがびりびりと震えた。
町の外だろう。煙が幾筋か立ち上っていた。結構な距離がありそうなのに
こちらにまで振動が伝わってきたところを考えると、まず間違いなくヒロトの仕業に違いない。
リオルの『修行』か。楽しんでいるといいけど。
ジョンはいまだ痺れて感覚のない身体をもぞもぞと動かして、やっとの思いで身を起こした。
リオルが帰ってくるまでになんとか回復させないと。
せめて、ヒロトに手も足もでなかったと泣いて暴れる彼女を、なだめてあげられるくらいには。



地盤が、捲りあがっていた。

『豪剣』。
魔法の使えないヒロトが魔王にも匹敵する戦闘力を発揮できる秘密がそれだ。
魔力を放出して奇跡を起こす魔法とは違う、自分の血肉に高密度の魔力を通わせて
身体能力を向上させるヒロトが編み出したオリジナルの術。
その膂力の凄まじきは天をも斬り裂き、――大地を砕くと言われるほど。


273:前衛と後衛の日(9/11)
08/06/17 03:58:03 ezeFnkzQ
「わ、わわわっ!?」

シーソーのように傾いていく地面の上で、とても立っていられない。
ローラは放電するどころではなく、尻餅をついて放り出されないように突き立てた剣に捕まるしかなかった。

「うぇえ、ヒロトのヤツ本気出しすぎだろ常識的に考えて……」

翼を広げて空を飛ぶリオルが、呆れたように呟く。
彼女からはまるで地面がビスケットやクラッカーになってしまったかのように見えた。
ヒロトが踏み込みや踏みつけによって地面を砕き、
相手の足場を崩すという戦法を取るのはなにも今回が初めてのことではない。
先日の牙の森で猿の魔獣たちを威嚇した時は小規模ながら地震まで起こした男である。
だが、これは――女の子一人に対して、ここまでやるか。普通。

対ヒロト戦に於いて、最も有効な手段はやはり、剣の間合いの外からの遠距離攻撃だろうと言ったのは
ローラだった。接近戦でヒロトに敵う者など存在しない。たとえそれが魔王であろうとも、だ。
逆に、魔法の使えないヒロトには遠くにいる相手をどうこうできる手段はない。
いや無理をすれば、その剣が巻き起こす真空波で吹き飛ばすこともできるのだろうが、
わざわざ『技』を出さなくてはならないのはやはり離れた場所にいる敵を嫌がっている証拠だろう。
そこでリオルは空を飛び上空からの火炎弾で狙い撃ち、
ローラは中距離から雷でヒロトがリオルを撃ち落とすのを邪魔するという戦法を取っていたのだった。
ヒロトの戦い方をよく知る二人の作戦はおおむね有効といえ、
こちら側の攻撃も通らないがヒロトの力を上手く殺しているという戦況が続いていた――その時である。

ヒロトが地面を踏み砕いたのは。

しかしローラを牽制するにしてももっと手加減すればいいのに。
リオルは飛んできた岩をひらりと避けながら、あ、とローラを見て声を出した。

「ひゃぁああ!?」

隆起した地盤が自重を支えきれずにメキメキと音を立てて途中で折れる。
その勢いで、ローラは剣に捕まっていられずにポーンと放り出されていた。
地面に激突すれば、まさか死ぬことはないだろうが空を飛ぶ術がないローラが
怪我をするのは必至である。もしかしたら骨を折るかもしれない。

「ローラ!」

それを、ヒロトが空中で受け止めた。
物語に出てくるヒーローとヒロインよろしくお姫様抱っこで抱えたまま綺麗に着地を決める。
ヒロインが空中に放り投げられたきっかけを作ったのが
ヒーローその人であるという事実を除けば絵になる光景だった。

……いや、実のところヒロトだって予想外だったのだ。
少し地面を割るくらいのつもりが、岩盤を隆起させるほどの破壊を生み出してしまうとは。

ヒロトはこの特訓の最中、『豪剣』を使っていなかった。
ローラとリオル、二人掛かりでさえ身体能力の底上げをするまでもなくあしらえるはずだったからだ。
しかし流石に相手はヒロトの手の内を完全に把握している旅の仲間たち。上手いようには戦わせてもらえない。
火炎弾と雷撃、畳み掛けるような遠距離攻撃にヒロトは焦れて、
とりあえずローラの動きを止めようとして――『豪剣』を発動した。
思えばブレイズ戦以来となる本領発揮だった。ジョンとの殴り合いには
必要なかったし(ヒロトが『豪剣』を発動した状態で殴ったらジョンは首から上が吹っ飛んでしまう)、
ここいら一帯のヌシは寝てばかりで剣を交えるまでもなかったし。
だから、ヒロト自身も知らなかった。

274:前衛と後衛の日(10/11)
08/06/17 03:58:52 ezeFnkzQ
 
自分が、以前より強くなっていることに。

(――そういえば、再生能力も上がっていたっけ……)

地面を砕く程度でよかった。もしこの力を把握しないまま以前の調子で剣を振っていれば、
もしかしたらローラやリオルを一刀両断していたかもしれない。
そんな最悪の事態を想像して、ヒロトはぶるっ、と身震いした。
先日対峙したブレイズの声を幻視する。

――ホント、バケモノよねぇ。お兄さん――

……自覚はある。自分のこの剣はヒトの域を遥かに超越しているものだということくらい。
そもそも聖堂騎士団の精鋭が束になって始めて相手にできるような怪物たちを
剣一本で殲滅してきたのだ。これが異常でなくてなんだというのだろう。
少なくとも城を出て間もない頃はこうではなかった。多少腕には自身があったとはいえ、
それはまだヒトの域にあった。それどころか魔法の才能がまるでなかったヒロトはスライムに襲われても
剣で対抗するしかなく、撃退に十分も費やしたために護衛に就いていた商人に呆れられたものだ。
火や氷なら初歩の魔法でも退治できるというのに、と。
それが一閃で龍の首を刎ねるほどになろうとは――『豪剣』を編み出したにしても度が過ぎている。
望んだ力ではない。むしろ力が手に入ってしまったからこそ、ヒロトは――。

「ヒロト様……」

ローラの声がした。思わずはっとなって我に返る。
ローラはヒロトの腕の中で恥ずかしそうに小さくなっていた。

「す、すまん。力加減を間違えた」
「いえ、それはいいのですが――その」

ローラは桃色に染まった頬を緩ませると、囁くように言った。

「チェックメイト、ですわ」
「え?」

その微笑みの意味に気付いたのは、電撃がゼロ距離で直撃してからだった。



彼らは変わりゆく。
リオルはジョンの魔力供給に依存しない『生命』を手に入れたし、
ローラも未完成ながら、聖堂教会本部にさえ影響しうる『王家』の能力の片鱗を見せ始めた。
ヒロトの成長は今もなお止まらず、魔王であるリューもなにやら秘密を握っているらしい。
彼らは変わりゆく。
今はまだ予兆だとしても、いずれそれらは明らかになるだろう。
その時になによりの鍵となるのは、しかしその中で変わらなかったものとなる。
たとえば、このいつかの穏やかな日々が。
試練の時、在り方を決めることとなるように。


275:前衛と後衛の日(11/11)
08/06/17 04:00:10 ezeFnkzQ
 

……ヒロトは顔をしかめていた。
理由は簡単だ。ローラのアレは完全に不意打ちである。不意打ちというか騙し討ちに近い。
ドラゴンブレスにも耐えるヒロトの防御力を持ってすれば少しばかり痺れるだけで済んだものの、
一撃は一撃、という少女たちの言い分により結局ヒロトはひとつ言うことを聞くはめになってしまった。
口先で女の子に勝てる男はいない。まして口下手なヒロトだ。結局のところ油断したのはヒロトなんだし。
でも、納得いかない。だから不貞腐れているのである。

「……あの、ヒロト様?」
「なんだよ」

ようは拗ねているのだ。珍しい。珍しいがローラはそれを可愛いと思う余裕はなかった。
ヒロトの機嫌が悪いというのはローラにとってとても辛いことだからだ。それを自分が引き起こしたのがまた辛い。
ううん。あの時はヒロトがまたよからぬことを考えていそうだったから咄嗟に放電してしてしまったが、
これは失敗だったか、とローラはしょんぼりと肩を落とした。

「男に二言はない。で、俺は何をすればいい?」

そう言われても。

「……リオルさん、譲りますわ」
「え?マジ?じゃー、えっとね」

リオルは無邪気にウムムと唸ると、

「最初はどんぐり飴でも買ってもらおうかって思ってたけど、攻撃を当てたのはローちゃんだからなぁ。
 んー、宿に戻るまでローちゃんをお姫様ダッコしていくってのはどうよ」
「え」

顔を引きつらせるローラ。
何も言わずにひょいとローラを抱えるヒロト。

「え、わ、ヒ、ヒロト様?私は――」
「男に二言はない。これでいいな?リオル」
「うん」

リオルは妙に嬉しそうに頷いた。
ローラはわたわたと暴れるも、ヒロトに抱えられてしまってどうしようもない。
かくして、仏頂面のヒロトが困り顔のローラを抱え、
その後ろからニヤニヤしているリオルがついていくというヘンテコな三人組が出来上がった。
このまま宿に戻れば、さらに怒るリューと苦笑するジョンが加わることだろう。

「その前に買い物に行くか。リオル、お前はどうする?」
「え、ですがヒロト様。予定では買出しは明日に……」
「ついでにどんぐり飴も買ってやろう」
「わーい本当?」
「………あのぅ、ヒロト様?」
「当然、宿に戻るまではローラは抱えたままだけどな」
「うぅ、ヒロト様が怒っていますわ……」



              前衛と後衛の日~新ジャンル「悪魔」英雄伝~ 完



276:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:43:04 5aSqjqF6
GJ!
ヒロトは何処まで行くんだ…

277:名無しさん@ピンキー
08/06/18 00:45:46 V2rV5X2R
男「両腕骨折した」
女「赤信号なのに自転車でツッコむアンタが悪いのよ」
男「いけると思ったんだけどなぁ……」
女「どこに?スピードの向こう側に?」
男「それでこのザマさ。オナニーもできなかった」
女「……アンタさ、もしかしてアタシを呼び出したのって……」
男「そう!性処理に関することだ!」
女「バ、ババババッカじゃないの!?そんなの嫌よ!絶対!」
男「………」
女「で、ででででも、責任とってくれるなら……ごにょごにょ」
男「何を言っている?俺はオナニーはできなかった、と言ったんだぜ?
  つまり過去形だな。アンダスタン?」
女「え?でも両手は骨折して……」
男「ふっ。欲のためなら限界なんて軽く突破するのが生物の本能ってヤツさ。
  見さらせ!俺が編み出した新しいオナニーを!」
女「ああーッ!これはーッ!」

男「 セ ル フ ・ 足 コ キ ! ! ! ! 」

女「できそうでできない……セルフフェラのさらに上!驚異的な股関節の柔らかさがなくては
  実現できない幻のオナニー!ついに成功させたのね!男!」
男「おう!これでもう腕なんか必要ないぜ!」

ゴキ

男「………」
女「…………」


股関節脱臼

新ジャンル「オナニー」

278:名無しさん@ピンキー
08/06/18 01:02:15 V2rV5X2R
男「野郎……ッ!ついにッ!」
?「………」
男「ついに会えたなッ!女ッ!!」
?「…………」

ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ

友「ッ!?男ッ!そいつは両右手じゃない!女じゃあないぞッ!」
男「な……なにィ~ッ!?」

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ
ドドドドド ドドドド ドドド

女「バァカめ~!わたしがJ・ガイルだ」

ドーーン


新ジャンル「左手がない少女」

279:名無しさん@ピンキー
08/06/18 20:24:38 9ichfwwm
>>277
続編ワクテカwww

280:名無しさん@ピンキー
08/06/18 21:01:39 rvcO1aiH
GJにつぐGJ!だが色々自重しろwww

281:名無しさん@ピンキー
08/06/19 00:55:29 3RABPjaI
男「留学生」
女「うん?」
男「留学生が来た」
女「どこに」
男「俺のクラス」
女「男?女?」
男「女」
女「かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」
男「何そのタメは」
女「別に。死ねばいいのに」
男「怖っ」
女「何人?」
男「キプロス」
女「……ん?」
男「日系キプロス人」
女「……キプ……?」
男「キプロス。キプロス共和国」
女「……かわいい?」
男「かわいい」
女「……へー」

新ジャンル「キプロス」

282:名無しさん@ピンキー
08/06/19 01:17:12 3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ!」
男「(あ、可愛い)え、え~と、じゃあコーヒーお願いします」
女「かしこまりましたっ」
男「いいふいんき←何故か(ryの店だなぁ……店員さん可愛いし」
女「え、や、やですよぉお客さん……」
男「あ、すみません。聞こえちゃいました?」
女「あたしなんて暗いし、髪の毛長くてうっとうしいし、ドジだし……」
男「いやぁ、そんなことないですよ」
女「そ、そうですかぁ?えへへ……」
男「友のヤツにも教えてやるか。いい店があるって」
女「それは!」
男「え?」
女「男さんだけで、こうしてお話、できなくなっちゃうじゃないですか……」
男「……!!い、いやぁ、あはは……!!」
女「やだ、あたしったら……男さん、コーヒーお待たせしましたっ!」
男「(………あれ?俺、名前教えたっけ……?)うわっ!ちょ、店員さん!髪の毛入ってますよこれ!」
女「当然じゃないですか。あたしの髪の毛を男さんのカラダの一部にするためですよ」
男「え、えぇっ!?」
女「そうそう。友さん、来れなくなったみたいですよ?うふふ……よかったですね。これで一緒にいれますよ」
男「あ、あんた友に何をしたんだっ!?と、とにかく逃げ……ドアが開かない!?」
女「うふふ、うふふふ、うふふふふ……」
男「う、うわぁーーーーーーッッ!!」

新ジャンル「ヤンデレ喫茶」

283:名無しさん@ピンキー
08/06/19 01:26:55 3RABPjaI
男「友との約束までちょっと時間あるな。お、喫茶店がある。コーヒーでも飲みながら待つか」

カランコローン

女「いらっしゃいませぇぇぇぇええああああ!!!!」
男「うわ!い、いらっしゃいまし……た?」
女「ご注文をどうぞうおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
男「え、あ、じゃあ、これ、コーヒーで……」
女「かしこまりRYYYYYYYッッ!!」
男(なんでいちいち叫ぶんだ……?)
女「コーヒー豆ッ!砕け散れェェェェェッ!!」
男「何やってんの!?」
女「見ればわかるだろう!コーヒー豆を砕いているんだッ!!」
男「素手で!?」
女「気合があればなんでもできるぅうあああああ!!!」
男「す、すごい……なんて熱い店なんだ……ッ!友にも教えなくては……!」
女「うぉぉぉぉおおおおおおおッッッ!!!!」
男「うぉぉぉぉぉおおおおおおッッッ!!!!」

………………………
………………
………

友「お冷ください」

男・女「そんなものは無いッッッ!!!!」


新ジャンル「素直ヒート喫茶」


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