キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10 - 暇つぶし2ch550:貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/08 22:06:16 rvPU66XH

「兄さんが夕べ間違って私のベットで寝ちゃったんですから」
「ならお前が俺のベット使えばよかっただろうに?」
「兄さん、私の手をずっと握ってたんですよ?」

それでもですか?と、言いたげな眼で俺を貫いた雪。
これが現実だと認識する・・・とふと考えれば朝のこんなエロいシュチュ。
半勃ちしている俺のマイサンは本来の硬さを取り戻しつついたのだった。つまり気取られてはいけない。
今まで兄の威厳とやらが瓦解してしまう・・・ただでさえ家事を一手に任せてる身で・・・。


「とにかく、雪、俺の上から降りて」
「なんでですか」
「俺が起きれないだろ?」

むっ、としながら雪はベットから立ち上がる。

「兄さん、起きれるでしょう?それとも妹の匂いがしみこんだベットから出たくないんですか?」
「いやちょっとな兄さんは生理的なことから起きれないのだ」おもに陰茎とかな。
「生理的な・・・兄さん。エッチですよ」

数秒の空白を置いてその意味を理解するに当たった雪。
彼女は内股をもじもじとさせ、俺と俺の腰へ往復させる。

いや、だからお前は音夢かよ。これ、なんてエロげ?と言いたくなったぜ。
興奮していた俺は、雪を押し倒そうとする本能を無理やり追い払った。


正論で逃げ切るのは不可能と感じた俺は、正面突破することを決意した。敗戦は必至だ。

「いや、男はそういうもんなんだよ」
「妹、にもですか」
「だから、生理的なものだから勘弁しろ、してくれ、してください。の三段活用だチクョウ」
「なんですか、それはぁ」

とため息をつくと、雪は出て行った。
やっと血流が収まった俺は雪の布団から立ち上がる。熊のぬいぐるみを掌に乗せてみる。

「あいつ、俺がゲーセンで取ったこれ、まだ大切に取ってるんだな・・・」
「兄さんの、プレゼントですから」
「ああ、・・・・・・って下降りたんじゃないのか?」
「そうですけど、兄さんが触りそうな気がして・・・」
「ああ?取るわけねぇだろ」
「・・・・・・私のショーツを使わないで下さいね」
「・・・誰が妹のなんか使うかっ!!」

カッとなり、先ほどとは違った熱さを帯びながら部屋を出て行った。





551:貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/08 22:06:56 rvPU66XH
[Yuki side]

勃起してたんだ。ああ、誤魔化す兄さんったら可愛い。
少なくとも兄さんの躯は私を女として認識してくれるんだね。
でも、兄さんの頭脳はまだ私を一人の女として認識してくれない。

私のショーツ使ってもいいけど、でもそんなこと言ったら引くし、嫌われちゃうよね。

でも兄さん言いましたよね?

『・・・誰が妹のなんか使うかっ!!』

つまりは、私のショーツが嫌なわけじゃなくて、妹・・・だからなんですね。
あなたの倫理観をぶち壊してあげますよ、兄さん。

妹という一番近い立場にいられたのに。
でも兄さん、私達兄妹でも血が繋がってないから、苦労の上に結婚する事はできるんですよ?

襲って欲しいけど、そんな人間だったら私は好きに慣れなかった。二律反転かな?






苦労の末の幸福は最高ですから。

だから私と契りを結びましょ、兄さん。




552:貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/08 22:07:56 rvPU66XH
そういえば、兄さんの熊さんのぬいぐるみ・・・。

だって、忘れもしません。

あなたがくれた、人生初めてのプレゼントですよ。


『これ、お前に・・・やる』

ぶっきらぼうに、くれた、兄さん。


ちゃんと知ってます。
あのころ、なけなしの小遣いをつぎ込んたあなたを。


今でも、偶にあなたが取ってくるぬいぐるみ、
どれもこれも手入れを欠かさずに大事に取っておいてるんですよ。

愛しい、いとしい人の贈り物だから。



知っていますか?兄さん。

私が服を買わない訳。

兄さんが、デートに誘ってくれるのを、待ってるからですよ?

誰がなんと言おうと、私と兄さんのデートなんですから。


だからまた、私とデートしに行きましょうよ兄さん。
あんな雌放って置けばいいんですよ。

ぎりっと噛み締めた歯に気づきながら、
兄さんの脱ぎ捨てた上着で興奮を落ち着かせた。


「兄さん、朝ごはん用意してますから、ちゃんと食べてくださいねっ」




553:貴方だけを愛し続けます第五話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/08 22:08:53 rvPU66XH
投下終了です。お疲れ様でした。



554:名無しさん@ピンキー
08/05/09 00:18:53 jjUDoG84
一番槍GJ


555:名無しさん@ピンキー
08/05/09 07:33:01 5OqvfEPS
巨乳の妹をみてくれ、こいつをどう思う?

556:名無しさん@ピンキー
08/05/09 08:51:41 t4qpZEAu
すごく……目の光りが暗いです……

557:名無しさん@ピンキー
08/05/09 09:36:57 SKDZdfE0
すごく…揉まれたそうです……

558:名無しさん@ピンキー
08/05/09 09:46:05 hAMJVdKM
最近の妄想でメイド服で頻繁に出てくる

559:名無しさん@ピンキー
08/05/09 23:08:26 5Hp3lVYU
>>558
はいはい、お前の姉ちゃんメイドになるね。良かったね

560:名無しさん@ピンキー
08/05/09 23:13:50 DOyngtuO
はぁ……なんで俺には姉がいないんだろう……

生まれる前から負け組に決まってたなんてあんまりだ。

561:名無しさん@ピンキー
08/05/09 23:45:52 PmUzlXKa
>>560
義理姉とか生き別れとか…

562:名無しさん@ピンキー
08/05/09 23:46:23 3mIrgrUC
つ義姉
つ生き別れ



つキモウトによる記憶操作

563:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:00:38 d718vFs+
投下予告。

なんか、>>560氏がキモ姉がほしいようだから、投下。



564:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:01:01 4fkg1KoX
このフレーズは昔どっかでみた
『これは親馬鹿じゃない、馬鹿親だっ』
というどこぞの迷言から生まれましたとさ、ぱちぱち。



俺には一つ上の姉さんがいる。



      その姉さんは馬鹿だ。



いや、頭が悪いってわけじゃない。


小中高と通信簿にほとんど5以外はなく常にトップを争う成績を叩き出す。
かといって毎日机に缶詰になっているわけじゃなかったりする。
よくて精精三十分まとめる位の勉強時間がいいところだ。

容姿についても身内びいきになるが、美人というしかない。
雪のような肌の色白、飾りっけのない流した髪は濡れ羽色で艶やか。
身体もモデルに劣るとも勝らないボン、キュッ、ボンな体型だ。

性格についても頭が堅いわけでもなく、緩すぎることもなく。
ある程度の社交性を備えていて、かつ妬まれることもない。



それでも、そんな姉さんでも、馬鹿は馬鹿なのだ。



―――親馬鹿ならぬ馬鹿姉状態なのだ。



それを世の人は、ブラザーコンプレックスという。



周囲の人間は逆に僕がシスコンだ、というけれど。



・・・・・何故なんだ?





565:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:01:24 4fkg1KoX

閑話休題。


自室で読書・・・漫画を読めば、カーペットの上でクッションを抱いて寝そべる。
珍しく勉強に励んでいれば、さも家庭教師張りの要領の良さで、間違いを的確に指摘する。
入浴してのんびりしていれば、「背中を流そうか?」とバスタオル姿で浴室に入ろうとする。
寝床に着こうとすれば、いつのまにか自然にもぐりこんでいる。
姉さんを大幅な労力を費やして姉さんを三十分ほど掛けて寝かせる。
いつのまにか、その次の朝には、姉さんが、僕のベットで抱きついているのだ。



大学入試のために生徒会にでも入ろうか?と呟けば、本気で生徒会長になっている。
二流のIT大学へと進路を決めれば、それこそ第一志望にしていた東大や京都大学、早稲田大学を、
おしげもなく蹴り、そこへと進路を変更してしまう。


そこの大学生が最終目標として取る国家資格を独学で学び、
それを手柄に容易に大学を合格してみせた。

ちなみに五つもある学科の全ての推奨資格もすべて所得しやがった、のだ。

もしかすると、僕が就職するなんて言い出したら、同じ職場に勤務する羽目になりかねない。



自然と劣等感は感じなかった。



あえて言おう、才能の無駄遣いだろう、と。



だが、しかし、どこにこのような、姉がいるのだ。

いや、ここにいたか。


幾らなんでも大学生となった弟に、
異性との付き合い方を頑なに警告する姉など。





566:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:02:08 4fkg1KoX
僕は、ため息をついて見せた。


「ため息なんてついてどうしたー?」
「いや、姉さんがね」

今、姉さんは必修の講義に出ていて、僕の隣にはいない。


もっとも姉さんは国家資格を取ってしまったので、
それゆえに彼女の単位は最初から+10単位というありえないことだった。


だが、姉さんは入学してから一年で取れる全単元を取っていた。
何故かと言うといわく「これなら神楽[かぐら]と一緒に出れるでしょ?」

見事に単位を修得した姉さんは、僕の選択授業と重なるようにしていた。

必修授業は一緒になれないと悔しげに涙を流していた。
だからこそ、ありえないってわけなんだが。

まさか体育系の授業でわざと僕の敵チームに入って、
接触プレーをするほどだから笑えない。嗤えない。哂えない。

大体中盤から後半で退場になって「むきー」とか言いながらハンカチ噛んでるけどね。


しかも、男子の先輩から―女子の先輩は姉さんが遠ざけるのさ―先輩の奨めで研究室に入れば、
いつのまにか姉さんが隣の席でニコニコしている。



僕の席が末端だったため、姉さんは僕の席に積み上げられた本から、
講義に使う一類を取り出して「はいっ」と太陽のような笑顔で渡す姉さん。

あなたは残存するやまとなでしこですか?
なんて思いつつも苦笑を張り付け、受け取る俺。




567:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:03:17 4fkg1KoX



俺は講義を終えて出た教室から、姉さんの姿に気付いた。


「弟君、迎えに来たよ」
「姉さん、あのさ言ってるじゃん」
「聴こえないなー」
「まぁいいや、研究室行こう」
「うん、そうだね弟君」

研究室に向かうと、姉さんの机はチョコ菓子に溢れていた。

「姉さん、俺言ったよね?せめてお菓子は机の中に入れておいてさ」
「むぅ、弟君。君は分かってないな。チョコは頭を活性化させるんだよ」
「そして糖分の取り過ぎは頭の活動を悪化させる」

僕自身もそうだ。僕はあったら一気に食べちゃうタイプ。

「むーーー、」
「それに姉さんのぶくぶくと太った体を見たくないし、綺麗な姉さんでいてほしい」
「そうか、そうだよね、ふふふふふ」

姉さんはチョコ菓子のパッケージを掴み取り、それを全部“捨てた”


「おわっ、何するんだよ姉さん」
「ふふふ。だから、綺麗な私でいたいし」

僕は姉さんは後ろから抱きしめると、はっと我に返った姉さん。

「あっ、その駄目だよ、弟君」

「(///)そ、その私達こんな処で散らすなんて」
「何をだよっ」
「そ、の、私と弟君の、初めて」

周囲から睨まれる視線を浴び、僕は実の姉に、チョークスリーパーを食らわした。

「ちょ、弟君っ!! ギブギブッ」
「反省したか? yes or no?」
「yes!!!」
「よろしい」

やわらかくて好い香りを放つ姉さんの身体を放す。
あー、これが恋人ならばなー。

「はぁ、弟君は乱暴なんだから」
「で、話戻すけど姉さん、適量にしなよ?わかった?」
「うん、わかった」

観る者を魅了させる、母性溢れる微笑み。その笑顔で、また僕は誤魔化されるんだろーな。

はぁ、とだけため息を落として、研究室の片隅・・・自分の席に座った。

568:馬鹿姉 一話 ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:04:04 d718vFs+
いや、単にストックがあったから投下しただけですけどね。


投下終了ッ!!お疲れ様だよ、俺。

569:名無しさん@ピンキー
08/05/10 00:07:34 fpwa9p1l
>>568
リアルタイム乙!!
もちろん続きあるんだよね?答えは聞いてない!

570: ◆iIldyn3TfQ
08/05/10 00:27:41 d718vFs+
>>569 いや、プロットだけだけどな。

質問。俺は『馬鹿姉』『貴方だけを愛し続けます』を書いている。
トリップを紛失して新しく付け直した場合、連載も別トリップでまとめサイトに乗るのかな?

571:名無しさん@ピンキー
08/05/10 00:40:00 F7EVXLj1
>>568
投下自体は乙なんだが文章おかしいところ多すぎじゃね?
もしかして頭痛が痛いとか馬から落馬するとか本気で書いてしまうタイプ?

572:名無しさん@ピンキー
08/05/10 01:09:22 93RsSZxB
確かに気になるところは多々あったけど、これから直していけばいいんじゃないか?
まぁ何にせよGJ

573:名無しさん@ピンキー
08/05/10 03:09:25 yU6uxvfV
>>569が答を聞いていないとわざわざ親切に言ってくれてんのに……
>>570は荒らしなのかと思ってしまう

つーか、文章がひどすぎる。小説の書き方を教えているサイトにでもいってくれ

574:名無しさん@ピンキー
08/05/10 06:51:51 yMAF6OgW
GJ。というか、どちらの続きも書いてもらわなきゃ困るな。楽しみにしているし、途中で終わったらやるせない。ちなみに560よ。俺には姉が二人いるから妹と交換で譲ろう。

575:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:09:38 +rPqSzDx
母の日間近という事で

576: ◆FsQvXx4pdE
08/05/10 07:11:23 +rPqSzDx
 夫が死んだ。
鉄製の壁の向こうではもう何十分も前から夫の身体が焼かれている。
焼き場の職員はいましがた出て行き、この場には私と息子しかいない。
「さよなら」と私は夫に別れの挨拶をした。
その言葉を聞いた息子はうつむいていた顔を上げ、
「母さん、父さんが死んで悲しいだろうけど僕がいるから」と私を慰めてくれる。
それを嬉しく思いながら、私は苦笑した。
この子、和也は私達夫婦の事をわかっていないと。
夫が死んだ事を私は悲しいとも思っていないし、淋しさの微塵も感じていないのだ。
優しさだけが取り柄のような父とその父の尻を叩く母、どこにでもいるような仲むつましい夫婦。
和也の目にはそう映っていただろう。
しかし、そうではない。そうではなかったのだ。

 夫は私を愛していなかったし、私も夫を愛していなかった。
はじめこそ二人の間に愛はあったのだろうとは思う、だからこそ和也が産まれたのだから。
けれど、私が夫の帰宅が遅い理由を知って。それを責めて、それでも夫は変わってはくれず、諦め、離婚を決意するのに時間はさほど掛からなかった。
後は離婚届に夫が判を押すだけだった。
夜、和也が眠った後静かに私達は話を進めた。


577: ◆FsQvXx4pdE
08/05/10 07:13:11 +rPqSzDx
声を荒らげる場面は双方に無かった、それなのに気が付いたら背後に和也が立っていた。
トイレで起きたのだろうか、連れて行こうと私が歩みよる前に和也は泣きだした。
「怖い夢でも見たの?」と問う私に和也はコクンとうなづく。
「大丈夫よ、ね?ほらお母さんと一緒に寝よ。そうしたら怖くないでしょう。」
あやす私に和也は首を振った。
「夢でお父さんがいなかった」和也はそう言って泣き、
「だからお父さんも一緒が良い」と泣き、
「お母さんとお父さんと三人が良い」と泣き、
結局和也を挟んで三人で布団に入るまで泣き止まないものだったから、判は押せないままだった。
そして次の日私は離婚届を破り捨てた。
夫婦間に愛は無かったがお互いに息子への愛はあったので、私と夫は和也の前では愛し合っているふりをしていることを決めた。


578: ◆FsQvXx4pdE
08/05/10 07:16:26 +rPqSzDx

 「ありがとう和也」
私は優しい和也を抱きしめる。
あの夜泣き止まない和也を抱きしめながら眠った時とは違い、
少し筋肉質な身体からは柔らかさを感じる事はない。
思春期の息子を抱きしめるなんてそうそうないからだろう、私はそれに少し驚き、ときめいた。
これからもこの子の成長を見守られる、こうしてこの子の成長を感じられると。
「母さんにはもう和也しかいないや。」
私と同じくらいになった背の拓也の肩に顔をうずめながら言った言葉は勿論嘘で、本当はずっと以前から私には和也しかいない。
しかしそれで私は幸せだった。
母である事の幸せは、女でいることの幸せも仕事で得られる幸せも他のどんな幸せさえも霞んでしまうのだから。
「うん、僕はずっと母さんの側にいるから。ね?だから二人で一緒に頑張ろう。」
だから私は和也のその言葉に嬉しさを感じる。
和也が私の側にいるかぎり、私は和也の母でいられると。


579:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:17:56 +rPqSzDx
とりあえずオワリ、スレチでしょうか?

580:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:21:51 7Ue4ybdd
明らかにスレ違い

581:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:29:19 +rPqSzDx
>>580
なんでだよぅ、お姉ちゃん妹良くて、なんでお母さんだけのっけすんだよ。 俺の頭の中にある構想はどうすりゃイインダヨ

582:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:30:40 +rPqSzDx
というかあきらかにサゲ忘れてた。ごめんなさい

583:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:51:43 0k4Cziuk
>>581
スレタイをよく読んでくれ
ヤンデレスレにでも投下すればいいんじゃない?

584:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:56:55 yU6uxvfV
>>581
日本語が読めないのか?駄文投下すんじゃねぇよ。容量の無駄遣いだ

585:名無しさん@ピンキー
08/05/10 08:08:31 yMAF6OgW
駄っ文だー(だっふんだー)

586:名無しさん@ピンキー
08/05/10 09:06:18 7EplW2j8
>>579
かなりGJ!!だけどスレ違いだよ

個人的にはヤンデレスレに続きを投下してほしい

587:名無しさん@ピンキー
08/05/10 09:47:32 o0RCoV+m
母さんじゃん、姉妹いないし完璧スレチ




再婚して義妹義姉つれてくればいいよ

588:名無しさん@ピンキー
08/05/10 09:50:01 sN5FTufJ
560だけど

>>574
残念ながら俺一人っ子なんだよね。姉が2人とかうらやましすぐる。

生き別れの姉がいると信じながら脳内キモ姉とイチャつく作業に戻るわ。

589:名無しさん@ピンキー
08/05/10 09:57:01 6khHLSV8
最初に母物だと注意を書けばキモ母でも構わないと思うが、
この母はキモくないのでスレ違い。

590:名無しさん@ピンキー
08/05/10 10:02:03 fpwa9p1l
>>589
母モノの時点でスレ違いでしょ

591:名無しさん@ピンキー
08/05/10 10:34:47 pCdP7Iej
頭のおかしい荒らしが沸いてきたのか?

592:名無しさん@ピンキー
08/05/10 10:53:03 F7EVXLj1
>>581
母親でエロパロ板検索したのか?
まあ、このSSだと該当母親スレが無いだろうから↓あたりへ行け
【うpろだ】専用スレのないSS【代わり】
スレリンク(eroparo板)
スレから追い出されたSSを投下するスレPart2
スレリンク(eroparo板)
sageない上にスレ違いでは完璧に嵐

>>586
>>589
流石にスレ違いを擁護するのはどうかと思うぞ?

593:名無しさん@ピンキー
08/05/10 11:33:48 fdlMcEVg
いや、あるって
スレリンク(eroparo板)
【熟女】母親に息子が犯されるスレ

594:名無しさん@ピンキー
08/05/10 12:03:43 v7swmWrh
子供の両親を父娘にすれば半分は、姉弟になるな

595:名無しさん@ピンキー
08/05/10 12:07:55 lEW7KQJu
>>581 だからって姉スレや妹スレにお前は母物を投下するのか?
lまずこのスレのSSの前提条件として、対象が姉妹もしくは姉妹的存在であること
お前の作品はどう考えても母親でしかない

お前のわがままで勝手にテンプレ無視してこっちをつき合わせるな
>>1を100回読み直せ

596:名無しさん@ピンキー
08/05/10 12:35:09 CnSx0WZ8
荒らしか

597:名無しさん@ピンキー
08/05/10 12:46:01 yMAF6OgW
「向こう見ずなキモウト」という言葉が思い浮かんだ

598:名無しさん@ピンキー
08/05/10 13:03:07 WAzknJmK
貸乳母車って10回書いてみ?

って巨乳のキモウトに言ってみたい

599:名無しさん@ピンキー
08/05/10 13:15:48 +rPqSzDx
おぉ……俺のキモ母の為に、みんなありがとう……
つづきは別の所でするよ、騒がせてすまなかった

600:名無しさん@ピンキー
08/05/10 13:17:01 +rPqSzDx
またサゲ忘れた、ほんとごめん

601:名無しさん@ピンキー
08/05/10 13:50:02 Oeg07Kq6
分かれば良し
これからも精進してくれ

602:名無しさん@ピンキー
08/05/10 14:13:06 3KbdBP/C
がんばってね。

603:名無しさん@ピンキー
08/05/10 14:33:14 yMAF6OgW
思ったんだが無形氏って絶対ペルソナやってるよな。「永遠の白」とか「不滅の黒」とか。知っている人としてはなんか面白いな。

604:名無しさん@ピンキー
08/05/10 14:41:25 kAzbv89q
それにも元ネタが…
いや、なんでもないっす

605:名無しさん@ピンキー
08/05/10 15:52:29 pqHJ1eZS
しろお姉ちゃんマダ?
マチクタビレター

606:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:03:08 p+A2/5kb
投下します。

607:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:03:30 p+A2/5kb
 麻里が高校に通うのは前述の通り麻里の為なのだが、では、なぜ俺も同様に通っているのだろうか。
 まあ、それはもちろん当然のごとく、麻里のためだ。
 ブラコンの麻里のことだから、俺一人が就職するなどと聞いたら、
 俺に負担を掛けまいとし、高校進学を辞退するのは目に見えていた。
 (実際、先日それとなくほのめかしたら見事なまでの強固なる意志を見せ付けてくれたため、
  俺の大学進学は確実なものとなるだろう。)
 せめて、大学までは卒業させたいしなぁ……

「どうしたの、兄さん?」

 と、隣を歩き、俺とともに学校に向かっていた麻里が尋ねてくる。 
 特に進学に執着のなかった俺たちが選んだのは、家から徒歩で十分程度の私立高校だ。
 校風は生徒の自主性を重んじるといった感じで、学校にはさまざまな種類の人間が通っている。
 赤点を取りさえしなければ、留年は間逃れるといったシステムで、
 学業が芳しくなく、進学に興味がないのに絶対に進学しなければならない、
 俺のような生徒にはぴったりの学校だったりする。

「もしも~し?兄さん?聞こえてる~?」

 さて、これまでの事を聞くとまるで俺が麻里のために渋々嫌々仕方なく学校に通っている、
 反社会的な人間に思われるようなのでここで、言い訳をさせてもらおう。
 俺は、断じて学校という閉鎖され、隔離された空間に麻里と離れ離れになって過ごすことが嫌なのではない。 
 実際、俺はクラスの人間とそれなりに打ち解けあい、そこそこの地位を確立している。
 クラスでの俺の評価は、「そこそこに面白い変な奴」だろう。
 まあ、麻里の兄なので容姿もそれほど悪くなく(友人Aに言わせると麻里は姫で、俺は王子だそうだ…)、
 たまに気がふれた女子が、先日のように告白してくる(例外なく今は我が家のオブジェと化している)。
 というように俺は別に、クラスでいじめられ人間不信になり学校という言葉に怯えながら、
 ひっそりとカタツムリライフを送りたい、などとは毛頭考えていない

608:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:04:15 p+A2/5kb
 
「もう、兄さん?そろそろ着くよ。」

 では、何故俺が学校に対しこれまでのような思考をしているのかというと、
 理由は単純明快で、全国の数多の学生と同じく勉強が嫌いだからである。
 常々、麻里さえいればチェルノブイリでも生活できる、と豪語している俺は、反面、
 麻里さえいれば世界などどうでもいい、と思っているためいまいち自分の勉強には身が入らない。
 勉強とは、社会に適合していくために必要な事柄を学ぶこと、考える俺は、
 麻里に勉強させることはあっても、自分で勉強しようという気力は一切無い。
 いっそのこと二回留年したら麻里と同じ学年になれるんじゃないかなー、などと考え始める始末だ。
 まあ、さすがにそれは兄としての面目というものがあったりしたりするので、できれば御免こうむりたい。
 つまるところ、俺は学校自体に別段不満は無くただ単に、勉強が嫌だ、というだけなのだが……

「兄さん!!いい加減にしてよね!!私もう知らないんだから!!」

 そう言うと麻里はたったと一年の校舎に向かっていってしまった。


 うむ。やはり、麻里は怒った顔もいいな。


609:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:04:41 p+A2/5kb



「おはよう」
「あっ、相馬くんおはよう」

 クラスメイトと社交辞令な挨拶を繰り返し教室への侵入を果たす。
 社交辞令。そう、社交辞令だ。
 どうせ俺は、友情、や、団結、といった学園青春ワードとは関わることができないのである。
 なぜなら俺は、言葉通り、麻里以外の人間には興味を示さないのだから……

 しかし、普段クラスやら何やらにはこれっぽちも興味を示さない俺だが、
 どこと無く今日の教室の雰囲気がいつもと違う気がする。

「ねえ…知ってる?……」
「また……」
「……行方不明……」

 なにやら日常と乖離している不穏当な単語が耳に入ったが。
 できれば聞きたくない関わりたくない忘れたいと思い、
 思考をシフトし、麻里に言わせたい語集を脳内編集することに没頭することにした。

「なあ、相馬」
「あー!!麻里の美声が醜くなった!!」
「へ?」
 
 突如として麻里の美声に割り込んできた男子に向かい俺は、
 憎しみで人が殺せればなぁ…ということは露にも思わず、挨拶の返却を実行する。

「馴れ馴れしく話しかけるなよ、この凡人が!」
「はあ!?」
「いや、冗談だ。聞き流してくれ」
 こいつが凡人なのではなく俺が変人なので…
「それでいったい何のようだ?友人A」
「友人Aって……」
「冗談だよ…なあ、御手洗?」
「御手洗じゃねえよ!誰だよ!御手洗って!」
「ああ、勘違いするなよ。『みたらい』じゃなくて『おてあらい』だ。」
「なおさら誰だよ!つうかそんな一族いるのか!?」
「ああ…御手洗は名前でフルネームだと『大便・WC・御手洗』となる。」
「ひでぇ!てか、外人!?」
「自分の名前には誇りを持て、なあ『トイレ』。」
「そして最悪なあだ名がついたなぁ!!」
「で?いったいなんなんだ?クラスメートA」
「友人から格下げされてるし……」

 そう言って嘆息する男子A。
 朝から叫んだりして元気なやつだなぁ。

610:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:05:06 p+A2/5kb

「それよりもお前、知っているか?」
「愚民風情が、お前、とは馴れ馴れしい。分をわきまえ相馬様と呼ばんか。相馬様と」
「はあ!?」
「いや、なんでもない。ところで漫画やなんかだと君みたいなキャラがそういう前フリをして、
 提供する情報はほとんどが既知のものだったりするんだが……」
「いや、何を言っているのかさっぱりわかんないから…」
 そこで、ん、と息を切りこちらを向く。
「実はな―」


「クラスメイトの女子が一人、また、行方不明になったらしい」


 それを聞くと、俺は、珍しく麻里以外のことで動揺してんなぁ、と思いつつ、驚きを隠すことに失敗した。
「ほらお前もよく話していたじゃん。あの――っていう名前のやつ」

 雑音には鼓膜が揺らがない。

「なんでもさぁ、昨日の放課後から行方不明らしいんだよねぇ…」

 俺がその子に呼び出されたのを君も知っているはずなんだけどねぇ……

「なんでも親御さんにも連絡が言ってないみたいだし…友達の家にも行ってないから、
 家出じゃないらしいんだけど……」

 そりゃま、首なし死体が家に帰ってきても誰だかわかんないでしょう。

「でも昔から結構起こるよな誘拐事件…それもほとんど俺らと同い年の女ばっか狙われてんの……
 あー、かわいそう。犯人はあれかね変質者か何かかね」

 度を越えたブラコン、という意味ではある意味変質者かね。

「でもおかしな話だよなぁ…これだけ続いているのにテレビで話題になることなんかほとんどないし…」

 まったく……いったい、どうやってんだか…

「相馬も気をつけろよ…」
「ん?俺は別に性別を偽って登校している美少女、というわけじゃないんだが……」
「ちげーよ!妹さんだよ。かなりの美人だろ。狙われやすいんじゃないの?」

 ああ、そっちか。

 いや、まあ、それは。ねぇ……

「あいつなら平気でしょう……」
「おっ!なんだなんだ!妹には指一本触れさせないってか!カーッ!!熱いねぇ!」

 誰かこのオヤジを消し炭にしてくれないかなぁ……

611:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:05:33 p+A2/5kb

 キーンコーン、カーンコーン


 間の抜けた音の始業のベルが鳴る。
 それまでのクラスの騒々しい喧騒が止み、各々が席に着き始める。
「お、もう時間か。じゃあ、俺席に戻るは」
 おう、帰れ帰れ、消えちま(自主規制)
 男子Aが席に着くと同時にクラス担任が入室しHRが始まる。  
 諸々の事務的作業を淡々とこなした教師は最後の連絡事項を伝えると、
 それまでのだるそうな顔と違う、
 いかにも、私心を痛めています、みたいな顔を作り、同様の声で告げる。
「えー、我がクラスの大切な仲間の――さんが昨日より行方不明となっています。
 誰か心当たりのある人はすぐに私のところに来てください」

 どうせ誰も行けないんだろうけどねぇ…

 担任のその一言でクラスの雰囲気が暗くなったまま、HR終了した。
 授業までの間、件の彼女への同情から会話を始める者や、事件の勝手な憶測を語る者どもの会話で、
 教室は再び騒々しい喧騒に包まれる。

 まあ、どうせ二、三日もしたらみんな今日のことなんか忘れ、
 くだらない世間話を話の肥やしにするんだろうけどねぇ……

『人間は、忘れる、という素晴らしい能力を持っている。
 自分にとって都合の悪いことや、思い出したくないこと、
 私たち人間はそれらを、忘れる、という行為によって克服することができる。
 だが、人は時としてその便利な能力に頼りきってしまい、
 大切なことや、覚えておくべきことまでも忘れてしまう。
 だからこそ僕は、大切なことを忘れない、これこそが真に素晴らしい、
 人間が忘れ去った大切な能力だと思うのだよ』
 
 そう言ってニヒルな笑顔を浮かべた『先輩』を思い浮かべる。
 さてと、どうせ休み時間になったら行かなきゃいけない。いろいろと聞きたいこともあるし。 
 だから、それまでは――


 寝るか


612:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:06:33 p+A2/5kb
―――――――――――――


「まーちゃんどうしたの?機嫌悪そうだけど」

 そう言って話をかけてきたのは、私が現状、
 このクラスで一番会話をする「朝霧 風子」、通称ふーちゃんである。
 当然のごとく、まーちゃんは私のことである。
 クラスでは一定以上親しい人間を作らず、みんなと距離を置いて接している
 私にとっては、唯一の友人といえる存在である。

「別に、機嫌なんか悪くないけど……」

 そう、機嫌なんか悪くないのだ。
 ただ、ちょっと今朝あったことを思い出すと気分が沈むだけだ。
 寝起きがあんなことになって、しかもその後であんなことをしてしまい、
 それで気まずくなるのはいやだから、
 恥ずかしいのを我慢して一生懸命話しかけても、
 兄さんは上の空で聞いてくれなくて、
 結局、怒って先に行ってしまった。
 うー。わがままな子に思われなかっただろうか。
 もしかしたら私に失望したりして……
 そんなのは嫌だ!!
 
 私は兄さんの望むようになりたい。
 兄さんの声だけ聞いて、兄さん以外を視界にいれず、
 兄さん以外に体を許さず、兄さん以外を考えなず、
 兄さんの望むままに手を汚し、
 兄さんに与えられるもの意外を口にしない、そんな私になりたい。
 それなのに。それなのにあんな態度で……

「もしも~し?まーちゃん?きこえてますか~?」
「えっ!?な、なに?ふーちゃん」
「いやいやねぇ~にゃふふふ♪
 まーちゃんも恋するおとめだねぇ、と思ってさ♪」
「なっ!?」
「どうせおにーさんのことでも考えていたんでしょう?」
「う、うん//」

 図星を指されて俯いてしまう。
 ふーちゃんは私が兄さんのことを苛烈に愛していることを知っている。
 直接言ったことはないのだけれど、なんでも、
『にゃふふふ♪このボクにとっては乙女の心理などお見通しなのだよ!』
 ということらしい。
 そのため兄さんのことを私はふーちゃんによく話している。
 兄さんが今日は何時に起きてくれたとか、
 兄さんが私にどんなことを言ってくれたとか、
 兄さんが、兄さんが、兄さんが……


613:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:07:06 p+A2/5kb

「まーちゃんは二言目には『兄さんが』だからねぇ。
 ホント、こんなかわいい妹さんにここまで想われているお兄さんは、
 さぞや幸せな人なんでしょうねぇ」
 
 そんなことはない……
 おそらく兄さんは今、世界で最も幸せから遠いところに位置する人物だろう。
 でもね、大丈夫。
 私が全ぶ全ぶ終わらせて、兄さんをずっと縛っている、
 あの忌々しい女の呪縛から必ず解き放って、
 私が兄さんを幸せにしてあげるんだから……
 そのために邪魔なやつは……

「もしも~し?ありゃ、こりゃ聞いちゃいないねぇ
 ホント、あの人もそうだけど、愛の力ってやつぁ
 たいしたもんですねぇ……」

 そう言ったふーちゃんの呟きは私には届かなかったけど、
 そのとき、私は兄さんを狙うならふーちゃんも殺しちゃうだろうなぁ、と考えていた。 
 

―――――――――――――

614:妹の病んだ原因 第三話
08/05/10 17:07:47 p+A2/5kb
投下終了。
短くてすいません。

615:名無しさん@ピンキー
08/05/10 17:46:59 1olwbtRu
日常の中で、なんと禍々しい考えに満ちてる兄妹だw

616:名無しさん@ピンキー
08/05/10 18:52:51 SeAoN54X
>>614 GJ!!ところで、話の中で何度かでてきている「あの女」とは何者だろうか。

617:名無しさん@ピンキー
08/05/10 18:56:44 p+A2/5kb
>>616 そのへんは深く突っ込まれるとネタバレになってしまうので…

618:名無しさん@ピンキー
08/05/10 18:58:52 fdlMcEVg
キモウトのライバルといえば・・・

619:名無しさん@ピンキー
08/05/10 19:49:44 8gQ6HsfZ
キモ姉・キモ馴染み・キモ従姉妹・その他ヤンデレ属性持ちの女の子か
でも策士系キモウトは純粋でヤンでない一般人に兄を奪われがちだよな

620:名無しさん@ピンキー
08/05/10 20:05:02 1olwbtRu
クローバーポイントのMeteor解散したんだってねぇ
預金出して買いに行こうかな… 再販見込めないからさらに品薄になるだろうし

621:名無しさん@ピンキー
08/05/10 21:49:07 4IWcNV16
夜夜よかったな

622:名無しさん@ピンキー
08/05/10 22:07:49 sg9UUD0B
板違い

623:名無しさん@ピンキー
08/05/11 13:33:52 lrp3lbLd
紅雪白雨って閉鎖されたの?

624:名無しさん@ピンキー
08/05/11 14:08:43 boBBXlxP
あれ?
見れなくなってるな

625:名無しさん@ピンキー
08/05/11 16:10:20 TVsM7WiL
体液or体の一部を入れる食事を作ろうとする、別離の前に主人公を切り取って持っていくねと言うキモ姉/キモウト。
主人公が機転を利かせ、(性的な意味で)喰うから入れないでいい。もしくは嫌だな君と一緒にいるから大丈夫、と見事に回避する。

そんなシュチュエーションが今度作ってみようかな?と思う今日この頃。

626:名無しさん@ピンキー
08/05/11 16:31:48 NCqtecKT
>>625
今度と言わずに今どうぞ

627:名無しさん@ピンキー
08/05/11 16:54:01 c3bQSVFk
>>625
(・∀・)今日この頃?とりあいず言いたいことは一つだ。

628:名無しさん@ピンキー
08/05/11 17:49:47 TVsM7WiL
>>627

ほわっつ?


629:名無しさん@ピンキー
08/05/11 19:04:23 c3bQSVFk
>>628
>>626

630:名無しさん@ピンキー
08/05/11 21:57:36 5Jzsq/uD
鳥合図とな

631:wiki編集人
08/05/11 22:29:43 XaBXQxe3
今週分の保管完了ですが>>576は申し訳ないですが私の独断で入れてません
入れた方が良いって方が入れてください

632:名無しさん@ピンキー
08/05/11 22:39:34 NCqtecKT
>>631
乙!
入れなくていいと思うよ!
あなたの判断は正しい

633:名無しさん@ピンキー
08/05/11 23:44:14 TVsM7WiL
まとめサイトの変名おじさんの湊家の朝 ~妹・彼波~に
ぶるっと震えてしまった。(尿意じゃないよ)
次に戴くときはお兄さんの充血した何かだといいな・・・短編なのが悔しい。

634:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
08/05/12 00:43:01 deaaPdy2
>>633の方
ありがとうございます
ただ、私は基本的に短編のみの人間なもので・・・・・・申し訳ないorz
湊家~に関しては姉編の予定が一応ありますので、彼波はそこで絡みます

では、短いですが投下

635:キスプリ  キモい×シスター×プリンセス
08/05/12 00:44:53 deaaPdy2
陽の輝きの去った空に星々が上る刻限。
冷たさを増していく夜気と濃くなっていく闇が、人々に夢の中の安息を促し始める頃。

「お兄様」

キーモ帝国第一皇女フェリシア・シスタ・キーモは、遥か仰ぐ月へと憂鬱の吐息を紡いでいた。
高く遠い尖塔の頂からかけた呼びかけが、夜の帳を越えることなく溶けていく。

「お兄様・・・」

長く、膝の裏までドレスの上を流れる金糸の輝きの髪。
上等の翠玉を思わせる色と深さの、しかし無機の宝石にはない柔らかな潤みを湛えた瞳。
片頬に添えた手には絹糸の純白、余人には許さぬ高貴の肌には匠に織り上げられた銀の衣。
頭上には満ちた月の光に煌く、透き通った白の貴石を並べたティアラ。
国の内外にて『帝国の至宝』と謳われる皇女の、しかし一点だけ曇った美しさがそこにある。
二度、晴れぬ憂いを乗せたまま夜風にさらわれた声。
宮廷の楽士が揃って絶世と賛美するだろう調べを吹いた唇が、固く結ばれた。

「どうして」

月を射た視線が直下、塔より鳥が舞う距離を隔てた地上へと下ろされる。
星々だけでは拭いきれない闇の奥、狩人のように細められた翠の瞳が二つ、夜に踊る影を捉えた。

「ああっ」

喘ぎのように揺れる吐息。
だがフェリシアの体を振るわせるモノは歓喜とも快楽とも程遠く、
皇女は専用に用立てられた最高級の手袋が破れても構わぬと、強く手の平に爪を握った。
主の心に代わって絹糸が裂ける。

「どうしてなのですか・・・!」

透徹した月の光彩を浴びる顔貌へと更なる美を添える憂いから反転、
三日月の弧を描いた目が宿された熱に濁り、宵闇を刺し抜いた視線が影の片方を突く。
薄めたような黒の空間で双眸が閃いた。

フェリシアが見詰める先にある一組の影のうち、一つは背の高い男のもの。
残る一つは滑らかに、舞に似てくるくるとよく動く女のもの。
二つは時に近付き、時に僅かに離れ、また近付くのを先刻より繰り返していた。
立てられた小さな皇女の耳は、微かに聞こえてくる談笑の気配を帯びた言葉の交換も捉えている。

聞き紛うはずもない。
片方、凛として通る、涼やかな高さを備えた男の声は彼女の兄、
フェリシアより上にして最上の皇位継承権を持つエーロのもの。その事実が、姫の心を軋ませる。

「どうして、そのような女と・・・!」

普段ならば甘菓子を食み、或いは鳥の囀りのように心地良い言葉を紡ぐ口の奥がぎりぎりと音を立てる。
合わされた歯の間で噛まれた憤怒が弾け、唇の隙間から怨嗟となって漏れ出した。

「あの醜女っ!」

上げられた叫びの中、満ち満ちた憎悪に夜気が慄く。

「神代よりの血を継ぐ王族の、それも次の王位を約束された兄様に!
 至尊たる私の・・・私だけの兄様に、たかが伯爵家の子女の分際でよくもあのようなっ!」

月下、一組の男女の舞踏は尚も続いていた。込められた剣の鋭さが、皇女の瞳より月光を返す。
石欄を離れた手が左右へと伸ばされた。

636:キスプリ  キモい×シスター×プリンセス
08/05/12 00:45:27 deaaPdy2
「影、影はいますか!」

両の手の平に挟まれた夜気が鳴る。
冴え冴えとした月明かりの届かぬ背後へ投げた呼び声に、今度は応じる者があった。

「こちらに」

漆黒の帳に隠された姿は見えぬまま、確かについ先刻まではなかった気配が生じる。
闇が喋ったのだと余人に言えば信じよう。それ程に唐突であった。

「あの娘を連れて来ればよろしいのですね?」

風に似た声が響く。呼び声に現れた何者かは不思議、否、不気味に耳に残らぬ声音で問うた。
振り向きもせずに姫が応じる。

「投じる人員も方法も任せます。ですが、日を跨ぐまでには終えなさい。
 今宵はあの醜女の上げる悲鳴を聞かねば眠ること叶いません。
 明日、もし荒れた肌で兄様の前に立つようなことになれば、その時はお前の血を代わりの慰めとします」

仮にも皇女たる者の証か、フェリシアは空恐ろしい内容を些かの震えもなく言い終えた。

「御意」

影もまた抑揚なく返す。

「それと、行く前に香水を此処に。
 お前がことを終えるまでに、私はあの下賎の匂いを兄様から落としておくことに──」

風が吹いた。夜気を揺らす夜風に攫われて、皇女の言葉が途切れる。
過ぎ去った無礼者に冷えた肌を揺らして、フェリシアが口を開いた。

「いいですね」

尋ねるのではなく、命じる。影からの答えはなかった。数秒、闇が静けさを取り戻す。

「────影?」

振り向いた皇女に応じる気配はなく、塔の頂に差し込む月明りと闇の境界に小瓶が一つ置かれていた。
影の迅速さに置いて行かれた皇女はそれを確認すると、一度目を閉じてから歩き出す。
照らし出される彼女の影がゆらゆらと揺れ、その足元が小瓶にかかった所で止まった。
絹糸の裂け目から肌を除かせる手で取り、霧吹き音を二度。
ただの一吹きで庶民の日給に匹敵する香りを浴び、よく擦り付ける。
何度か鼻梁を震わせて兄との逢瀬に不足がないかを丹念に確かめると、漸く視線を頭上へと戻した。
塔の下の不快に代わり、瑕疵のない月の輪郭が幾らかの慰撫となる。薄く、吐息が紡がれた。

637:キスプリ  キモい×シスター×プリンセス
08/05/12 00:45:57 deaaPdy2
「兄様・・・」

何故こうも上手くいかないのか、とフェリシアは思う。
王族という地位、限りある自由と逢瀬の時間、王権を狙う簒奪者、王の意向に擦り寄ろうとする者。
たとえ何処だろうと誰かが、何時だろうと何かが彼女の邪魔をしていた。フェリシアは兄を愛している。
次期王に対する臣下として、生誕の時より溢れんばかりの愛を以って接されてきた妹として、一人の女として。
そして、それが故に苦悩していた。
兄と添い遂げるべく進む道には幾つもの障害が立ち塞がり、それらは何度取り除こうともなくならない。
まさしく下賎、雑草や害虫の類である。根絶し難く、殖え易い。これまで幾度、憂鬱の吐息を紡いだことか。
意識の端で、影にも苦労をかける、と思う。ただ愛を遂げるだけであるというのに、何と困難な道か。
命じて兄を攫えば追っ手がかかり、邪魔者は排すれば排しただけ現れる。
幼少より高等な教育を受けて育った皇女にも、憂鬱以外の言葉が見付からなかった。

「それでも」

踵を返す。

「私は諦めません」

彼女たっての希望で尖塔の先に設けられた皇女専用の私室。
迷いなく踏み込まれた足が、闇と光の境目の先に消えた。

「いずれ至高たる王位に就く兄様に相応しいのは、同じ血を分けた私のみ」

漆黒を肌に触れさせながら皇女が進む。

「兄様の邪魔となる者にも、私の邪魔をする者にも、等しく死を、死を、死を」

刻まれる足音は一定の調子を保ちつつ、
時折何かを爪先で蹴るような音を伴い、そしてある時からゆっくりと遠くなり始めた。

「たとえどれ程の時をかけようとも、兄様に相応しくない下賎は全て滅ぼしてご覧に入れます」

尖塔を下りてゆく皇女が尊顔に浮かべる表情は、闇の仮面に覆われて窺い知れない。
皇女自らを除けばほとんど訪れる者もいない塔の中に、ただ足音と独白だけが響いて行く。

「兄様。フェリシアは兄様を愛しております。
 兄様を、兄様だけを。どうか、それをお忘れにならないで」

月下にて光の差さぬ螺旋の階段。その呟きもまた、底へ続く暗闇に吸い込まれて消えて行く。
後には、兄を目指すフェリシアの歩む音だけが、その長い長い時の終わりまで繰り返された。





それよりおよそ十刻を数えた頃、傾いた満月が尖塔の頂を横から照らす。
差し込む月明りに闇を取り払われた皇女専用の私室の中。
そこにはうず高く積み上げられた人骨の山と、散らばった幾本もの骨が物言わずに横たわっていた。

638:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
08/05/12 00:47:22 deaaPdy2
投下終了
短過ぎて申し訳ないorz

639:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
08/05/12 00:49:34 deaaPdy2
>>633の方
あ、それと、彼波は一応兄のアレを頂いていますよ? 口でですが
私の都合で描写されなかっただけです
orz

640:名無しさん@ピンキー
08/05/12 01:30:49 RNxl3kU8
西洋風姫様キモウトってええなぁ
つーか死屍累々が似合いすぎw

641:名無しさん@ピンキー
08/05/12 02:24:21 kciuMzZc
ごめん、綾を読み返してて突然に
「綾、俺一人暮らししようと思うんだ……」
という展開になったらどうなるんだろうという電波を受信してしまった

642:名無しさん@ピンキー
08/05/12 03:39:09 7XZuohbs
>>641
そしてアニメ版シャッフ・・・・・・げふんげふん
「お兄ちゃん、おそいな・・・」と言いながらキモウトが空鍋をかき混ぜる展開になるんですね。分かります

643:名無しさん@ピンキー
08/05/12 06:29:02 bxv/+Zcb
>>641
頼む
来ないと分かっているのに、その投下を待つようになってしまう事を言うのはやめてくれorz

644:名無しさん@ピンキー
08/05/12 12:44:25 X+fo9r5i
>>641
理理のように媚薬を盛って兄貴を引き留めるんじゃね?

645:名無しさん@ピンキー
08/05/12 13:28:11 fVLXDiJP
>>641
俺らが言いたいことは、もう分かるよな?

「「「その電波をうまく抽出するんだ!」」」

646:名無しさん@ピンキー
08/05/12 13:47:54 kciuMzZc
ばっ、俺なんかが書いたらおゆき氏に失礼すぎる

>>643
すまなかった、以後気を付けるorz

647:名無しさん@ピンキー
08/05/12 14:35:13 eSYy5xMh
メールで活動どうしてるのか聞いてみようと思ったらサイト見れなくなってるのな

648:名無しさん@ピンキー
08/05/12 19:11:48 J1y0sJPd
お、保管庫更新されとる
>>631編集の人、毎度お疲れ様です
でも、おじさんの双子シリーズの二話が見れなくなっているんだぜ

649:wiki編集人
08/05/12 19:20:54 raa+Z4ES
>>648
ども編集ミスってましたスイマセン
取り合えず月曜が仕事休みなんで基本日曜の夜にまとめて更新してます

650:名無しさん@ピンキー
08/05/12 19:25:04 J1y0sJPd
>>649
もう修正されてるwなんという仕事力
ほんと乙です

651:名無しさん@ピンキー
08/05/13 00:24:31 Bm7S8icX
なんつーか過疎だな
前は平日でももうちょい活気があった気がするけど





みんな黄金週間中の旅行先で監禁されちまったか

652:名無しさん@ピンキー
08/05/13 00:34:38 HOgyoFkP
題名考えてるのだよ

653:名無しさん@ピンキー
08/05/13 01:21:52 bGF78XjE
>>651
一応書いてはいる
いつかからプロットを立てたまでは成長したがまだ原稿用紙8枚なんだ

654:名無しさん@ピンキー
08/05/13 01:33:54 Bm7S8icX
レスの職人率が高えw
オレも頑張ろうorz

655:名無しさん@ピンキー
08/05/13 02:04:38 ICFJom6s
>>651
これが過疎・・・・?君は他のスレを見ているかい?

656:名無しさん@ピンキー
08/05/13 02:54:58 /aJEotCD
「なんつーか、お前って胸ないな」
「これが『胸ない』…?お兄ちゃんは他のオンナの胸を見ているかい?」
「い、いや…そういうわけじゃ」
「わたしのFカップの胸に謝りなさい!」

657:名無しさん@ピンキー
08/05/13 03:36:09 YG7e3Bxg
>>656
本当にどういう視神経してんだw

658:名無しさん@ピンキー
08/05/13 04:15:14 Bm7S8icX
>>656
眼胞からやりなおせw

659: ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:07:00 HOgyoFkP
投下します

660:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:09:03 HOgyoFkP
某県秋日市。
南は太平洋に接し、周囲を低い山々に囲まれたこの街は、海風に吹かれる穏やかな気候にある。
春は温和、夏は炎天、秋風は涼しく、冬は冷えても雪はめったに降らない。
周囲の山々の色の移り変わりに四季の変化を強く感じさせられるが、その変化はあくまで人に優しいものである。
その優しい自然に包まれて暮らしてきたためか、街に住む人々の気性はどこか落ち着いた印象があった。
人々にはその自覚がほのかにあって、自分達の集まるところはそうにぎやかになることはないとわかっている。
市内にある唯一の県立高校、県立秋日高校は、秋日市民が生徒の七割を占めているだけあって、やはりその住民性の雰囲気に浸った学校だった。
黄金週間も明けた週半ば、午前中の授業を終えて、秋日高校の生徒達は各々昼休みを過ごしていた。
教室の窓も廊下の窓も開け放たれ、通り過ぎる海風がカーテンを揺らしている。
時折校庭から聞こえてくる球技を楽しむ生徒達の声を聞きながら、澄川文雄はもくもくと昼食をとっていた。
「お前の弁当、日に日に豪華になっていくな」
机を挟んだ向かいから声をかけたのは、夏江統治郎。
高校入学以来の友人で、文雄にとって最も親しい人物と言えた。
彼が感想を述べた文雄の弁当は、白いご飯がきっちり半分詰められて、おかずは煮物に焼き魚、色とりどりの野菜と、なるほどなかなかに手の込んだものである。
「それにどんどん美味くなっていく」
おかずを一つつまんで、夏江がまた感想を言った。
「まあ……凝り性だからな」
困ったように笑う文雄に、夏江は深々と頷いた。
「ああ、凝り性だな。尋常じゃない凝り性だ。何しろ弁当箱まで日を追って豪華になっていくからな」
「そうだな。気付いたらこうなっていたな」
「初めはただのプラスチックの箱だったのに、今じゃこの通り漆塗りの綺麗な木箱だ。おまけにこの味となると、料亭の仕出し弁当顔負けだぜ。たった一ヶ月で大したもんだ

よ」
「ああ、本当、心から思うよ。大したものだ」
そう言ったところで、教室の入り口の方からまた別の級友の声がした。
「おーい、澄川。いつものお客さんだぞ」
文雄が振り返る。
教室の入り口に、少女が一人立っていた。
長く艶のある黒髪と、雪のように白い肌。
端正な顔立ちに、少し鋭い形の目を光らせている、凛とした雰囲気の美少女だった。
少女は無表情に入り口近くの生徒に礼をすると、一直線に文雄のもとへとやってきた。
「文雄さん、今日のお弁当はどうだった?」
小さな口から流れでた言葉に、夏江がにやりと笑う。
文雄はまいったというふうに頭をかいた。
「あのな、その文雄さんというのはやめてくれと言ってるだろ」
「どうして?」
「違和感があるんだよ」
「私はこの呼び方が一番違和感がないのよ、文雄さん。それで、今日のお弁当の味はどうだった?」
無表情に質問を繰り返す少女に、文雄は渋い顔で沈黙してしまう。
夏江が大きく笑いながらその肩を叩いた。
「いいじゃないか。答えてやれよ、文雄さん。いくら頑張ってもこの子はお前が答えるまでここにいるぜ。前に一度やって懲りただろう」
「統治郎、お前はなんでいつもこいつに甘いんだよ」
「甘くもなるさ。あんな美味い弁当作ってもらっておいて呼び方一つにこだわってどうするよ。感謝の気持ちってやつはお前の中に無いのか?」
夏江の言葉に文雄は小さく唸り声をあげた。
二人がそんなやり取りをしている最中も、少女はじっと文雄を見つめて机の傍らに立っている。
相変わらずその表情に動きは無かった。

661:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:09:26 HOgyoFkP
「ほれ、いつまでも待たせると気の毒だぞ」
夏江の再度の促しに、文雄はため息をつき、少女を見つめ返して小さく笑った。
「……美味いよ。また上手になったと思う」
「そう」
「毎日ありがとうな」
「いえいえそんな」
文雄の礼に抑揚の無い声で答えて、少女は頷いた。
しばしの沈黙。
結局それ以上何も言わないまま、少女は踵を返し、すたすたと入り口に向かって歩き出す。
が、教室の中ほどでふと思い出したように文雄の方を振り返った。
「そうそう、文雄さん」
「だからその文雄さんというのは、みんなの前では……」
「もし本当に感謝してくれているのなら、今日の放課後少し付き合ってくれないかしら」
文雄の言葉など聞こえなかったかのように、用件を伝える。
文雄はまた渋い顔をして頭をかいた。
「……わかった」
「じゃあ放課後、校門で待ってるわね」
今度こそ少女が教室から出て行くのを見送ると、文雄はがくりと机に肘を突いてうなだれた。
「何だ文雄、弁当を食わんのなら俺が食ってしまうぞ」
「食べるよ。食べるがね」
「やたらと疲れているなあ、おい」
「疲れもするよ。どうしてあいつはああなんだろうな」
文雄は何度目かのため息をついた。
「名前で呼ぶのはやめてくれってずっと言ってるのに、いつまでたってもやめてくれない」
「いいじゃないか、親しみの証だろう。あんな可愛い子に名前で呼ばれるなんて、俺だったら喜びに震えてしまうぜ」
「そうは言うけどな。俺はれっきとしたあいつの兄なんだ。あの呼び方はおかしいだろう。それに、年上としての威厳ってものもある」
「威厳……威厳か、なるほど!」
夏江が文雄の肩を二度三度と叩いて笑った。
「わからんでもないがな、文雄よ。威厳てのは呼び名なんかじゃなくて、日頃の行いで決まるもんだ。お前が千鶴子ちゃんに対して威厳を身につけるのは、少し無理があると

思うぜ」
「お前、普通にひどいこと言ってるぞ、それ」
「はは、嫉妬だよ。出来の良い妹を持った己が身を呪うんだな」
「やれやれ……」
呟いて時計を見ると、昼休みは既に半分ほど過ぎていた。
再び箸を手に取り、弁当を口に入れる。
「ん……美味いな、やっぱり」
作り主に色々と言いたいことはあったが、弁当は文句無しに美味しかった。
毎日文雄の弁当を作り、昼休みに教室にやってきて無表情に感想を求め、去っていく少女。
彼女の名は澄川千鶴子。
紛れも無い、澄川文雄の実の妹であった。


662:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:10:46 HOgyoFkP
千鶴子は昔から少し変わった妹だった。
まず泣かないし、笑わない。怒りもしない。
とにかく感情の起伏に乏しく、十数年をともに過ごした兄弟の文雄ですら、いまだ何を考えているのかまったく読めない人物だった。
文雄が千鶴子についてはっきりと言えることは、知的好奇心に人並み以上に溢れた娘であるということくらいだった。
本が好きで、その時々で色々なことに興味を持つ。
一度興味を持つと飽きるまで徹底的にその分野を追求し、知識や技術を蓄え、別のものに興味を移す頃にはかなり高度なところまで身につけてしまう。
毎日文雄の弁当を作っているのも、一月ほど前から料理に興味を持ち始めたからで、初めはお世辞にも上手といえなかった料理の腕も、持ち前の学習力を発揮して短期間で信じがたい成長を遂げてしまった。
(本当、大した妹だよな)
文雄は隣を歩く妹を見た。
放課後、二人は約束どおり校門で待ち合わせ、図書館へと向かっていた。
傾きかけた日の光が、街路樹の緑を淡く照らしている。
千鶴子はというと、文雄の視線には気付かぬようで、歩道の先をただじっと見つめて歩いていた。
何を見ているのかと、釣られて文雄も道の先に目を向ける。
少し先で、老婆が一人、荷を乗せた台車に身を預けるようにして立っていた。
千鶴子の視線は、どうやらその老婆に向けられているようだった。
「……あのお婆さんがどうかしたのか?」
文雄は何の気なしに聞いた。
「どうするのかと思って」
「ん?」
「あのお婆さん、道を渡りたいみたいだけど、車が多くて渡れないのよ。すぐ近くに歩道橋があるけれど、あの荷物があるせいでそれも渡れない。信号のある横断歩道はまだずっと先になる」
「なるほど」
「危険を冒してここで道を渡るのか、少し体に無理をさせてでも信号のあるところまで歩くのか、何とかして歩道橋を渡る方法を考えるのか。あの年頃の人間がどんな手をとるのか。楽しみだわ」
「楽しみも何も無いだろう」
言って文雄は小走りに老婆に近付いた。
話を聞いてみると、なるほど、千鶴子の言うとおり、老婆は道路を渡ろうにも渡れないという状況にあるようだった。
文雄は老婆の荷物を持ち、台車をたたみ、歩道橋を一緒に渡った。
老婆の足は遅かったが、五分近くかかってなんとか歩道橋を渡り終え、文雄に何度も礼を言って去って行った。
全てを終えて文雄がふと道を挟んだ向こう側を見ると、千鶴子が長い髪を風になびかせて、じっと文雄を見つめていた。
やれやれとため息をついて、文雄はまた歩道橋を渡り、千鶴子のもとへと戻った。
「お前な、見ているくらいなら手伝ったらどうなんだ」
「手伝う?」
「ああやって荷物を運んであげるとか、手を引いてあげるとかすれば、お婆さんが困ることもなくなるんだから」
「私はあの人が独力でどう解決するのかを見たかったのよ。だから手伝う理由なんてないわ」
「そうだな……お前はそういう奴だよ」

663:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:11:05 HOgyoFkP
千鶴子は物静かながら好奇心旺盛で、優秀な娘である。
本をよく読み、身の回りの色々なものを観察しているということもよくあった。
しかし、その好奇心の陰に、人間らしい温かみが欠落してしまっているのではないかと、文雄は思っていた。
先ほどの老婆のように、人間や生き物に興味を示すこともそれなりにあるが、その対象に対する人間としての心遣いが何も感じられない。
化学反応や、あるいは虫や動物を観察するのと同じように、人間を見ているのではと感じさせられる節があった。
「千鶴子、前にも言ったかもしれないけど、俺はそういうのはどうかと思うぞ」
「そういうのって?」
「困っている人がいてもただ見て楽しむような、そんな態度だよ」
「文雄さんがしたように、お手伝いしなさいということ?」
「その方がいいと思うね。人間は助け合って生きるものだからね」
「文雄さんはいい人ね」
千鶴子は平坦に言って、歩き出した。
文雄はまだ言い足りなかったが、言ったところでどうにかなるものでもないとわかっていた。
何しろ、ずっと昔からこうだったのだ。
両親は二人とも健在で、千鶴子の出来の良さを昔から喜んだものだったが、文雄の胸の内にはいつも不安な気持ちがあった。
自分や両親も、千鶴子にとってはただの観察対象に過ぎないのではないか。
自分が千鶴子に家族としての愛情を抱いていても、千鶴子は何の感情も抱いていないのではないか。
そんな不安だった。
家族なのだから愛情に見返りを求めるつもりはないし、千鶴子の他人に対する淡白な振る舞いもいつものことなので今更腹を立てることもない。
しかし、もし千鶴子が自分や両親のことを何とも思っていないのだとしたら、やはり悲しいことだと思えた。
自分のことを兄と呼ばず、名前で呼ぶ。
文雄がそれを嫌がるのも、本当のところは、千鶴子との関係の希薄さが際立つように感じるからだった。
「文雄さん、早く。日が暮れるわよ」
「ああ……」
文雄と千鶴子は、そんな兄妹だった。

664:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:11:30 HOgyoFkP
事件はその数日後に起こった。
その日澄川家は両親が不在で、千鶴子が夕飯を作ることになっていた。
千鶴子に愛想が無いのはどこであろうと変わりない。
誰も居ない家の中、無言でただてきぱきと夕飯の準備を進めていた。
日も沈み、あとは文雄が帰るのを待つのみというくらいになって、居間の電話が鳴った。
「もしもし」
「あ、もしもし。澄川さんのお宅ですか? こちら秋日警察署生活安全課の者ですが」
「はい」
突然の電話にも、千鶴子は声を震わすことはなかった。
「お宅の息子さん……澄川文雄君が、ちょっと暴力事件に巻き込まれまして」
「はい」
「色々話を聞いてはいるのですが、ともかく親御さんに来ていただけたらと思いまして―」
「わかりました。とはいえ今は両親が不在なので、家族の者が行くことになります」
千鶴子は受話器を置くと、すぐに警察署に向かった。
紫色の空の下自転車を飛ばし、息を切らせて警察署に駆け込むと、苦笑いをする文雄の姿があった。
「お前が来たのか」
「父さんも母さんも居ないんだから、当然でしょう」
「……迷惑をかけたな」
「そう思うなら、事情を話してもらうわよ、文雄さん」
文雄の話す内容はこうだった。
午後六時過ぎ、文雄は学校から自宅への帰り道の途中、公園から女性の悲鳴が聞こえてくるのに気が付いた。
ただ事ではないと公園の中に駆け込むと、隅の茂みの方で文雄と同年代の少年達数人が、会社帰りと思しき女性を囲んでどこかに連れて行こうとしていた。
文雄はその輪の中に乱入し、女性の手を引いて逃げようとしたが、文雄は少年達に囲まれてしまい、逃げることはできなかった。
「で、袋叩きにあったのね」
文雄の顔は一目でそれとわかる、殴られた痕があった。
千鶴子は部屋の警官たちに向けていった。
「今の話を聞くに、文雄さんは悪くないのでしょう? もう帰らせていただいてよろしいですか?」
傍に控えていた警官の一人が申し訳ないと言った。
「もう少しここに居てもらわなければならないんだ」
「何故です? 傷の手当てもきちんとしたいのですが」
「その……少年たちの言っていることが澄川君の言っていることとは違っていてね。まだ私たちにはどちらが悪かったのか判断がつかないんだよ」
「と言いますと?」
「少年たちは、女性を襲ってなどいない、自分たちが話をしていたところに文雄君が突然殴りかかってきたんだ、と言っていてね」
「当の女性に話を聞けばよろしいのでは?」
「実は、文雄君は少年たちに囲まれて乱闘騒ぎをするに至ってしまったけれど、襲われていたという女性は逃げることができたんだよ」
警官は千鶴子の冷たい視線を避けるように目を逸らしながら言った。
「それで、その逃げた女性がまだ見つからなくてね。澄川君の言っていることが本当なのか、少年たちの言っていることが本当なのか、わからないんだ」
「なるほど。公園にたむろしている方々については私も知っています。あのいかにも野蛮で低俗な言動の方々でしょう? それの発言が文雄さんと同等に信じるに足るとは到底思えませんが」
「おい、千鶴子。そんな言い方はやめろよ」
諌めながら、おやと文雄は思った。
千鶴子は相変わらずの無表情で、声もごく落ち着いたものだったが、その言葉の中にあからさまな棘のようなものを感じたのだ。
「……とりあえず、手当てをする道具を貸していただけますか? もっと丁寧にしておきたいので」
言って、千鶴子は用意された椅子に座り、文雄の手当てを始めた。
どこか厳しい目つきで文雄を見ていたが、治療をするその手は優しく繊細なものだった。

665:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:13:07 HOgyoFkP
文雄が解放されたのはそれから三時間後のことだった。
結局件の女性は見つからず、少年たちの言うことも綻びなかったため、双方が悪かったという形で決着となった。
「馬鹿ね、文雄さん」
「面目ない……」
警察署からの帰り道、春の夜空を見上げて千鶴子が言った。
「見ず知らずの他人を助けて、その当人は文雄さんを見捨てて一人で逃げたわけでしょう?」
「そうなるけど、それだけ怖かったんだろう。仕方ないよ」
「それで文雄さん一人袋叩きに遭って、やり返したら警察沙汰。おまけに妙な言いがかりのせいで、自分まで悪いことにされちゃって。何一ついいことないじゃない」
「まあ、そうだね……」
「これに懲りたら、もう赤の他人を助けるなんてことはやめることね。損しかないわよ」
「……」
千鶴子の言葉に、文雄は返事をしなかった。
文雄の前を歩いていた千鶴子は振り向いて文雄を見つめた。
「と言っても、文雄さんはやめないのよね、きっと」
「うん……損得の問題じゃないからなあ。目の前で女性が襲われているのを無視することもできないだろ」
「理解を超えるわね」
二人は並んで歩き出した。
闇の中、歩道のタイルの合わせ目を見ながら、文雄はぼんやりと考えていた。
千鶴子の言うとおり、自分は馬鹿なのだろうか。
自分はもっと他人のことに首を突っ込むのを控えるべきなのだろうか。
(でも、せいぜい人並み程度の倫理観しか持ち合わせてないつもりなんだけどな……)
だとしたら、やはり千鶴子が人よりも冷たいということなのだろうか。
「どうしたの、文雄さん。ぼーっとして」
不意に千鶴子が声をかけてきた。
「いや、別に……」
「何か考えてたんでしょう」
「いや、えーと……」
さすがに、「俺が馬鹿なのかお前が冷たいのか考えていた」と馬鹿正直に話すのは気が引けた。

666:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:13:31 HOgyoFkP
「あれだ。あの公園について考えてたんだよ」
「公園?」
「あの不良たち、今日に限らずいつもあそこにたむろしてるだろ」
「まあ、そうね」
「どうにかした方がいいかなと思って。他に被害に遭う人がいたらいけないし」
千鶴子は小さく息を吐いた。
「言ってるそばからまた……そんなのは警察に任せておきなさいよ」
「うん。そうなんだけどな。でも、お前だってあそこの近くを通るわけだしさ。兄としては心配になるんだよ」
「あらそう」
実際、本気で公園の不良たちをどうにかしようと考えていたわけではない。
ただその場繋ぎに口から出た言葉だった。
しかし、後半の心配については本当だった。
ひょっとしたら性格に問題はあるのかもしれないが、千鶴子は兄としての贔屓目抜きで美人と言えるだろうと文雄は考えていた。
もしもああいった連中の目に入れば、それこそ身に危険が迫るのではないかと思われた。
「文雄さんに心配されるなんて、私も落ちたものね」
「酷いこと言うね、お前も……」
「……ねえ、文雄さん。私があの公園の不良たちを追い払うから、一つ無茶を聞いて欲しいって言ったら、聞いてくれる?」
「へ……?」
突然の発言に、文雄は間抜けな声をあげてしまった。
「追い払う? お前が?」
「ええ、できないかも知れないけど」
千鶴子が立ち止まり、つられて文雄も立ち止まった。
街灯の光が二人を包むように照らした。
「あのな、俺は兄としてお前に危険なことをさせるわけには……」
「まさか。私はどこかのお馬鹿さんと違って他人のために損を受け入れることなんてしないわよ。自分が危険に晒されることなんて絶対にしないわ」
「じゃあどうやって……」
「それは秘密。それよりどうなの? 無茶を聞いてくれる気はあるのかしら」
街灯の灯に千鶴子の黒髪が妖しく光る。
その視線がいつにも増して鋭く感じられた。
「まあ……いいけど。よほどのものじゃなければ」
「ええ、大したものじゃないわ」
千鶴子は確認するように頷き、文雄の手を引いた。
「じゃあ帰りましょうか。夕飯はもう出来ているから」
そうして二人は、何年ぶりかで手を繋いで家に帰った。

667:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:18:38 HOgyoFkP
また数日後、新聞の地方欄に一つの記事が載った。
『秋日市東町公園狂犬騒ぎ 少年一人死亡、三人重傷』
朝食の席で朝刊を読んでいた澄川武雄はふむ、と声を出した。
「なんだ、うちの近くじゃないか。危ないこともあったものだな」
「? 何かあったの?」
テーブルの向かいに座った文雄が尋ねると、武雄は新聞をたたんで寄こした。
「そこの公園で、人が亡くなったらしい。犬だとさ」
「犬?」
「そう言えば、昨日の夜サイレンの音が聞こえたわね。救急車だったのかしら」
武雄の左隣の席についた千鶴子が言った。
その千鶴子の向かいの椅子に座っていた澄川鈴子が、こら、と声をあげた。
「千鶴子。だめよ、ものを食べながら喋るなんて」
「ごめんなさい、お母さん」
素直に謝る千鶴子を横目に、文雄は新聞を広げた。

『秋日市東町公園狂犬騒ぎ 少年一人死亡、三人重傷

5月10日深夜、秋日市東町公園で少年数人が犬に襲われるという事件が発生した。
少年たちのうち一人は死亡、三人が重傷を負った。
警察は無事だった一人から話を聞いている。
少年たちを襲った犬は近隣の家で飼われていたものであり、事件のあった夜に姿を消していたという。
警察によって捕らえられたが、ひどく興奮した状態にあり、調べによると薬物などを投与された可能性が高いという。
警察は事件当夜に周辺で不審な人物を見なかったか、聞き込みを続けていく方針である。』

「なるほど……これは怖いな……」
呟く文雄を、また八重子がこら、と叱り付けた。
「ご飯を食べるときにするような話題じゃないでしょ。もう新聞はたたみなさい」
「あ、うん。ごめん」
澄川家は、平日は両親と子供で家を出る時刻が違うため、家族揃って食事をとることはほとんど無い。
自然と、日曜日の朝食は必ず家族全員でとることになっていた。
もう何年もずっと続いている習慣だった。
文雄と千鶴子の母である澄川八重子は、礼儀作法に厳しい母親で、とりわけ女である千鶴子には厳しく指導することもある。
毎週の日曜の朝食では、母の指導とそれに素直に従う千鶴子の姿が見られて、文雄は何とも微笑ましい気持ちになれた。
いつも抱いている不安。
千鶴子にとっては家族すらもどうでも良い存在なのではないかという不安を、この時は忘れることができた。
「文雄、にやにやしていないで、しっかり食べなさい」
「おいおい、八重子。笑うくらいはいいだろう。厳しすぎるぞ」
「でも、武雄さん……」
そんな会話がなされる朝食の席。
窓から差し込む朝の日差しが、眩しく、温かかった。

668:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:19:54 HOgyoFkP
その日特に予定の無かった文雄は自分の部屋で過ごしていたが、昼前についうとうととしてしまい、目を覚ますと部屋の中は午後の柔らかな光りに満ちていた。
「ん……」
ベッドの上で身を起こし、伸びをする。
何時になったのかと時計を見ようとすると、視界の隅に千鶴子の姿が映った。
「千鶴子? 何してるんだ、そんなところで……」
千鶴子は開け放たれた窓の枠に腰をかけ、文雄をじっと見つめていた。
風にカーテンが舞い、千鶴子の髪や服の裾を揺らした。
「文雄さんがいつ目を覚ますのかと思って。よく寝てたわね」
「ああ……まいった……母さんに怒られるな、こりゃ」
「大丈夫、母さんは居ないわよ。父さんと一緒に出掛けたわ」
「あれ? そうなの? そんなこと言ってたっけ」
「私が外出させたのよ。文雄さんと二人きりになりたかったから」
何を言っているのか、文雄には理解できなかった。
「ええと……俺起きたばかりだから、頭がぼけててよくわからないんだけど……」
「母の日だからって、映画のチケットとレストランの予約チケットを渡して二人に出掛けてもらったのよ。夜まで帰らないわ」
「あ、そうか。今日母の日か。偉いな、お前」
「別に。私にとって都合がいいからしただけよ」
窓枠から離れ、千鶴子はベッドに腰掛けた。
「文雄さん、覚えているわよね。約束」
「約束?」
「公園から不良を追い払ったら、無茶を一つ聞いてくれるって」
「え……」
「ちゃんと追い払ったわよ。あの不良たちを。仲間が死んだのだから、もう二度とあの公園には来ないでしょう」
文雄は頭を振った。
まだ自分は寝ぼけているのだろうかと思った。
「え、と……何を……」
「新聞に出ていたでしょう。一人死亡、三人重傷」
「あれは犬が……」
「私が近所の犬を慣らして、ドラッグを飲ませて公園に放ったのよ」
「……!」
「というわけで、一つ言うことを聞いてちょうだいね」
文雄は絶句してしまった。
千鶴子が、自分の妹が、間接的とはいえ人を殺したと言っているのだ。
気付けば千鶴子は、文雄に擦り寄るように近付いていた。

669:ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:20:57 HOgyoFkP
「私ね、最近あることに興味を持ったのよ。だから、兄さんに協力してもらって、それを確かめてみたいの」
「あること……?」
「ええ、そのために頑張ったんだもの。いいわよね」
千鶴子がベッドの上に身を起こす文雄の肩に手を置いた。
端正な顔は表情を変えず、口から流れる言葉も淡白ではあったが、その手には思いのほか強い力がこもっていた。
「な、何を……」
「文雄さん、私とセックスして」
「え」
「男女の情愛というものに興味を持ったのよ。だから文雄さんとセックスをしたいの。いいわよね」
妹が犬をけしかけて不良を殺したと言っている。
妹が自分とセックスをしたいと言っている。
あの妹が、いつもと変わらない様子で、自分に迫っている。
「あ……あー……えーと……」
文雄は混乱していた。
考えがまとまらず、何を言えばいいのかわからなかった。
ただ眼前に迫った千鶴子の顔を見ることしかできず、千鶴子もそんな文雄の目を見つめ返した。
どうしよう。
どうすればいい。
いや、どうこもうもない。
本当に人を殺したのなら、まずは自首を勧めなければならない。
「ち、千鶴子……! 俺は……」
「冗談よ」
「俺はお前の味方だから……て、え……?」
文雄は思わず目をぱちくりさせてしまった。
意を決して口を開いたところに、思わぬ肩透かしをくらったからだ。
千鶴子は文雄の肩に置いていた手を離し、ベッドの端に座りなおすと、繰り返し言った。
「冗談、嘘よ。驚いた?」
「え……」
「遅くなったけど、お昼ご飯作ってあるから。食べるわよね」
立ち上がり、部屋の入り口に向かう千鶴子を、文雄は呼び止めた。
「ちょ、ちょっと待て、千鶴子」
「何よ」
「冗談……なんだな? 不良たちを追い払ったっていうのも、俺とその……したいっていうのも」
「当たり前でしょ。何慌ててるのよ」
さも当然とばかりに言う千鶴子に、文雄は安堵の息をついた。
「そ、そうか……良かった……俺はまたてっきり……」
「本当だと思った?」
「だって……お前、真顔で言うから……」
「あら、私がこんな顔なのはいつものことでしょう」
言って、千鶴子はクスリと笑った。
「ああ、おもしろかった。やっぱり文雄さん、おもしろい」
そうして、千鶴子は鼻歌を歌いながら階下に降りていった。
残された文雄は、ベッドの上で動けずにいた。
性質の悪い冗談だけに、怒ってもいいところなのだろうが、安堵の思いが強くて怒りが湧いてこなかった。
「だめだ……やっぱりあいつのことはよくわからない」
何を考えているのか、何をしたいのか、本当にわからなかった。
ただ、この日わかったことがあった。
それは、澄川千鶴子が、兄と一緒に過ごすことを意外と楽しんでいるらしいということ。
彼女も笑うことがあり、その笑顔はとても可愛らしく温かなものであるということだった。

670: ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:21:44 HOgyoFkP
投下終わりです
次がいつになるのか知らねーけど続きます

671: ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:29:01 HOgyoFkP
読み返してみたら作中の暦に無理があったけど気にしないでくだせい

672:名無しさん@ピンキー
08/05/13 05:32:34 z14WY9oX
GJ
ところで澄川鈴子とは誰?

673: ◆7d8WMfyWTA
08/05/13 05:34:31 HOgyoFkP
ああ……母親の名前最後まで鈴子か八重子かで悩んでたんだ
そこ八重子にしといてくだせー

674:名無しさん@ピンキー
08/05/13 05:43:35 Bm7S8icX
>>670
GJ!
これはまたしっかりした文章の投下が来たなあ
妹の視点や心理描写が来るのが楽しみだ

犯人は千鶴子、ってことに兄が気付くのはいつだろな
兄を袋にしたのでどの道生かしておくつもりはなかった、とかが動機だったら個人的にツボ

675:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:06:57 OMUHiuoW
朝一で投下します


676:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:07:27 OMUHiuoW
『人間は自分のことを傷つけるものを遠ざける、
 もしくは自分から忌避することによって自分の身を守ろうとする。
 人によってはこれを愚かな行為と見なすだろう。
 何故それに立ち向かっていかない、何故戦わないのか、とね。
 しかし僕はそれを愚かな行為だとは思わない。
 なぜならそれは全ての生きとし生ける物が持っている本能なのだから。
 百獣の王たる獅子でさえ、自分の身を脅かす存在に立ち向かうことなどしない。
 生きることは戦いだと僕は思う。
 だからこそ逃げるという選択肢をとることは、
 立ち向かうわけではないが、決して戦わないわけではない。
 だが、もし、本能が逃げろと告げているにもかかわらずに、
 立ち向かうことがあるのならば、
 それこそが愛というものだと僕は思うのだよ』

 先輩と始めてした会話(向こうが一方的に喋っていただけだが)が以上である。
 この発言からわかるように、先輩は非常に難儀なお方で、
 いくら俺といえどもできればお近づきになりたくない人だ。
 にもかかわらず、今現在休み時間において俺は、
 そのできればお近づきになりたくないお方に、
 わざわざ歩を進め謁見(比喩や冗談ではなく本当にそんな気分だ)しにいっている。
 
 そもそも最初に話をかけたのは俺のほうなのだ。 
 高校入学を果たしてすぐに、俺はある厄介ごとのため、
 先輩に接触する必要があった。
 そして初対面にもかかわらず上のような発言をされ、俺はとっさに
『愛が立ち向かうということなら、
 少年誌はさぞや純愛に満ち溢れているんでしょうね』
 と返した結果、
『うん、合格だ』
 と言われ、厄介ごともすっかり解決してしまった。
 どうも最初から俺の来訪を知っていたらしく、
 俺をどのような人間か試していたらしい。
 曰く、面白くない人間に手を貸すほど暇ではないらしい。
 ホント、自由というかなんというか。


677:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:07:48 OMUHiuoW

 そんなこんなで屋上に到着。
 ちなみに先輩は、晴れの日は屋上、雨の日は図書室に生息している。
 どちらもエンカウント率は100%とという脅威の出没率を誇る。
 一回授業をサボって会いに行ったときも、
 平然と屋上で読書をしていた。
 そのときは、
『僕には授業よりも大切なことがある。
 それは、常に思考し続けることさ。
 僕は思考の結果よりも過程を重視する性質でね。
 授業という、結果を教師という自分より無能な人間から与えられるという所業が、
 僕には時間の無駄に思えて仕方がないんだ。
 だから僕はいつもここで思考に励んでいるのさ』
 などということをのたまっていた。
 つーか、そんなこと言っているからいつまでたっても卒業証書がもらえないんだよなぁ。
 まあ、卒業したらしたで困るんですけどね。

 いつまでもドアの前で思考にふけっているわけにもいかんので、
 さっさとドアを開けますか。
 
 キィィ
 
 若干錆び付いたドアを開けるとそこには、
 夏の到来を告げるような雲ひとつない空が広がっていた。
 ワー広いですなー。
 しかし先輩が見あたらんねぇ。
 トイレかな?
 ところで空を見てると死にたくなってくるのは俺だけかねぇ。


「空を見ていると」
 
 
 不意に、
 それまで誰もいないように思えた屋上に、はっきりとした声が響く。


「自分が如何に矮小でちっぽけな存在か、ということが思い知らされてしまう。」



678:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:08:16 OMUHiuoW


 それって死にたい、ってことかね。
 ワー嫌だ。嫌なお仲間が見つかっちゃったよ。
 それよりどこにいるんだろうか。
 自分が如何に矮小でちっぽけな存在か思い知らされて、
 フェンスの向こうにダイブしてなきゃいいんだけど。
 
 手遅れになっちゃマズイ、と本腰を入れた気分で辺りを見回す。
 いた。
 先輩はドアのほうからは死角になっている一角の、
 フェンスによじ登り、腰をかけていた。
 う~ん。後一歩みたいだったね。惜しい。

「今君は、僕が落ちていなくて少し残念に思っただろう」
「何言ってるんですか。
 今だっていつ落ちてしまうのかと思うと、
 ハラハラドキドキ、ワクワクテカテカですよ」
「ほ~う。君は自分たち兄妹のことを影ながら支えていてあげている、
 優しい優しい先輩に向かってそのようなことを言うんだな」
「残念ながら、俺の脳内データベースに『優しい先輩』と打ち込んで検索しても、
 先輩の名前はかすりもしないので、安心して逝って下さい」
「ハッハッハ。だったら今すぐ君の頭を切り開いて、
 君の脳味噌に僕の名前を直接刻んであげよう」
「ハッハッハ。先輩こそ、そのままじゃ落下したときに真っ先に脳天から逝っちゃいそうなので、
 俺が先輩の頭を切り開いてその頭でっかちな脳味噌の中身をくりぬいて、
 ダイエットに協力してあげますよ」
「いやいや謹んで遠慮させてもらうよ。
 僕の脳味噌を見たら君の貧困なキャパシティでは、
 あっという間に限界を迎え破裂しかねないからね」 
「いえいえ俺のほうこそ遠慮させてもらいますよ。
 俺の脳味噌なんか見た日には、麻里が如何に素晴らしい人間かということを思い知り、
 自分のあまりの醜さを嘆き、先輩が自殺しかねませんからね」 
「相変わらず殺してあげたくなるほど気持ち悪いシスコン野郎だな、君は」
「先輩のほうこそ、思わず突き落としたくなるくらい頭がいかれていますね」
「あっはっはっはっは」
「あっはっはっはっは」

 よし、朝の挨拶終了。
 そう、これは挨拶。
 こうでもしないと先輩とは会話にならんのだ。
 この人は下手するとすぐ自分の考えを述べたがるからな。 
 演説癖のある思想家は政治家にでもなりゃいいのに。

679:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:08:47 OMUHiuoW

 さてさて、挨拶も済んだので俺は改めて先輩のほうに目を向ける。
 そこにいたのは、青年のような口調からは想像出来ないような美女だった。
 細身の長身でありながらスタイルも抜群。
 ボブカットの髪は夏特有の湿り気をはらんだ風になびき、
 細められた目には達観した光を宿らせている。
 まあ、美人といってもそれは世間一般の評価であり、
 俺個人の評価としては、少女A<先輩<<越えられない壁(鉄板舗装)<<<麻里、である。
 兄さんは浮気してないですよー
 だからこの人には手を出さないでねー
 いろいろ厄介な人なんだからー 
 俺は今頃クラスメートと、アハハ、ウフフ、と会話をしているであろう、
 麻里に向かって心の中で呼びかける。
 俺たちは心と心でつながっていたらいいなぁ、という願望。

 おっと。すっかり話がそれてしまった。
 どうも俺は麻里抜きでは話が進められないらしい。
 まったく進んでないけどね。
 さりとて先輩。
 
「いつまでそこに上っているんですか。
 先輩は煙と同じくらい高いところが好きな人ですか?」
「いやなに、君らみたいな社会のヒエラルキーにおいて、
 最底辺に位置する奴らをたまには上からの視線で観察したくてね」
 そう言ってまろやか(誤字)に着地する。
 本人が気にしてないなら別にいいんだが、黒ね。
 なんというか、まあ、先輩のイメージにぴったりで。
「たまには……ああ。
 いつも、卑屈な上目遣いで俺たちのことを見上げるような場所にいるってことですな」
「ああ。いつも日向にいる人間の残飯を処理しているからね。
 たまには、高いところから世界を観測してみるのも悪くはないさ」
 それはそれは、いつもご苦労様です、と皮肉のひとつでもかまして、
 労ってやろうかと思ったが、その言葉で今日来た目的を思い出し、あわてて口にチャックをする。
 そ、くらいは漏れ出したかもしれないがそこは気にしないことにしよう。
 それよりも用事用事。 
 何も俺は、暇だからと先輩に会いに来るほど酔狂な人間ではないのでね。
 麻里にばれると血を見ることになるような危険を冒してまで、
 この人に会いに来たのにはそれなりに理由があるわけで……

680:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:09:08 OMUHiuoW
あー。
 昨日の件。どもどもでした」
 俺はここに来た目的を圧縮して相手に送る。
 先輩は一瞬、何のことやら、みたいな表情をして合点がいったのか、
 ああ、と頷いて返事をする。
「なに、気にしなくていいさ。
 僕と君の仲だろう。なにを畏まる必要がある。
 友情とはいかに相手に見返りを求めずに尽くすか、ということだと僕は思う。
 自分に利益を求めてはそれは仕事であり、契約である。
 相手のことを自分の都合よく使い、自分も相手に都合よく使われる。
 それこそが互いを認め合ったものたちの、あるべき友情の姿だと僕は思う。
 だから君は僕の事を存分に使ってくれてもかまわないんだ。
 友人である君が望むのなら僕は喜んで今ここで純潔を散らして見せるだろう」
 
「いや、俺と先輩の関係はまさしく仕事でしょうが。
 先輩みたいな変人は俺一人で十分ですし。
 それと、ありもしない純潔を散らすとか言わないでください。
 麻里に聞かれたら殺しますよ」
 まったく心臓に悪い。
 まあ、先輩のことだからそのあたりは心配要らないのだが。
「おやおや。ずいぶんと嫌われてしまったものだね。
 反抗期かい?」
「反抗しようにも親はいませんし、
 そもそも別に嫌いじゃないですし」
 ただ単に苦手なだけで。
「まったく、君はほんとにシャイだな」
 ああ、ホントに。この人は口さえ開かなきゃ…

「冗談はさておき、昨日のことだろ?
 なに、あの程度なら本当にたいしたことなんかないさ」
 たいしたことがないんですって。


 一夜にして、俺が少女Aに呼び出されて告白を受けたことをみんなが忘れてしまっているのに。
 

681:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:09:43 OMUHiuoW
いくら放課後だったといっても俺が少女Aに呼び出されたときは、
 まだ教室にはクラスメートがいて、
 一緒に帰ったときも校内には俺と少女Aを目撃した生徒がいなかったわけではない。
 また、彼女は友人が多く、そのうちの何人かは彼女が俺に好意を持っていたことを知っていた。
 にもかかわらず、俺には疑いのまなざしは一切向かない。
 まるで、彼女と俺の間には何もなかったかのように、誰の記憶にも残っていない。
 それだけのことをやっておいて『たいしたことない』と言う。
 まったくこの人は……

「ホントにいったいどうやったんですか?
 みんなの記憶を消すなんて荒技。
 なんですか、催眠術でも使ったんですか?」
「まあ、方法なんかいくらでもあるさ。
 『起きたこと』を『無かったことに』にして闇に葬り去る。
 そういったことは僕みたいな『始末屋』の専売特許だしね」
 そう、なにを隠そうこの人は裏社会では有名な『始末屋』である。
 
 高校入学当初、いい加減麻里の殺人行動を自力で隠し切ることに、
 限界を感じた俺は名のある情報屋からこの高校にそういったことの専門家がいる、
 という情報を買い取り、接触した。
 依頼人の都合の悪いことをどんな手を使ってでも抹消する、
 忘却のスペシャリスト、それが『始末屋』である。
 本来なら莫大な報酬を必要とするのだが、
 俺は先輩に『気に入られた』らしく、今のところ報酬らしい報酬は払っていない。
 タダならタダでいいんだけれども…

「ん?どうしたんだい?」
「いや、こんなことをしてもらっておいてタダと言うのには、
 何か裏があるんじゃないかと思いましてね……」
「ほう」
 その言葉を聞いた途端、目を細めいやらしく笑う先輩。
 しまった。余計なことしか言わない口だよな。
「つまり、君はどんなことをしてでも僕に報酬を支払いたいと、
 そういうわけかな?」
「いえ、べつに、そういうわけじゃ……」
 まいったな。
 俺は攻めるほうが好きなので、こういう風に攻められるのは弱いんだよな。
「そうだな……僕は基本、物欲とか俗世のものとはかけ離れているからな……」
「仙人か、あんたは…」
 かく言う俺も麻里以外には興味がないのだが……
「まあ、お礼云々は別にいいさ。
 君たち兄妹には楽しませてもらっているからな。
 くふふ、本当に君たちは面白い」
「はあ……」

682:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:10:18 OMUHiuoW
 別に俺たちは夫婦漫才師でもないんだよな……自然に間違えた。 
 そういえば……
「先輩はなんで『始末屋』なんてめんどくさいことしているんですか?」
「ん?ああ。そういえば君にはまだ話していなかったね。」
 先輩はこちらを向き、真剣の『し』の字を申し訳程度に隠した目で語る。
 いや、そんなの分かんないけど。
「前にも話したと思うけど、僕は物事の結果よりも過程を重視するタイプなんだ。
 結果を考えず、思考することにこそ意味があると僕は思う。
 僕の人生はきっとこれからも、死ぬその時ですら、
 ひたすらにいたずらに思考し続けるだろう。
 なぜならそれこそが僕のアイデンティティであり、至高の楽しみであるからだ。
 僕にとって、結果を与えられるということは思考を停止しろ、と言っているのと同義だ。
 そして、それは僕にとって何よりも耐えがたいものであり、
 それに甘んじるくらいであるなら僕は喜んで外道となり、思考の探求を続ける。
 僕が満足しない結果、僕が十分に思考しきったと考えられる結果以外は僕は認めない。
 そんな結果は、そもそも思考自体をなっかたことにする。
 そんなことを、飽くなき思考への探求を続けているうちに、
 気がついたら『始末屋』と呼ばれるようになっていた、というわけさ。
 わかったかな?」

 あー

 とりあえず、先輩が話を埋めるにはものすごく役に立つことはわかったな。
 いや、自分でも何を言っているのかはさっぱりなんだけど。
「先輩が自己中の身勝手人間だというのはわかりました。
 とりあえず、その語り癖を生かして政治家にでもなればいいんじゃないですか」
 と、さっき心の中で思い描いたことを口から吐露する。
 まあ、この人が指導者になるんだったら政治家よりも教祖様のほうがお似合いな気もするが。
 そしたら俺は、まあ、麻里教でも立ち上げようかな…
 いや、それだと麻里に群がるゴミ虫どもが……
 と、俺がシスコンがおそらく一生に一回は直面するだろう(おれだけではないと願いたい)
 命題に頭を悩まされていると、
「別に僕は自分の考えに同調してもらうために、延々と話しているわけじゃない。
 僕は単に自分が思っていること、思考の途中経過を誰かに報告したいにすぎない。
 それは決して誰かと分かりあうためではなく単なる僕のエゴ。
 それを聞く相手は別に君ではなく、そこら辺を歩いている幼稚園児にだって、
 僕は君に聞かせたのと全く同じ内容を話すだろう。
 まあ、僕は一度として同じ考えを別の人に話したことはないんだが」


683:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 07:14:44 OMUHiuoW
投下終了です
中途半端ですいません

684:名無しさん@ピンキー
08/05/13 08:13:26 TIf2LNhD
女性的な体つきなのに口調が男性的な美女ってエロいと思いませんか? 俺は思います。
朝一GJ

685:名無しさん@ピンキー
08/05/13 08:28:30 zWnVA7a9
>>670>>683 GJ!!それにしても、683氏の投下速度には驚かされる。


686:名無しさん@ピンキー
08/05/13 12:57:09 cLV1eClp
ああ、結局兄と結ばれることもなく千鶴子も死ぬんだろうな、と思うと涙が・・・

687:名無しさん@ピンキー
08/05/13 13:32:43 7EO4C+LE
千鶴子か
かわいいじゃねえか!

688:名無しさん@ピンキー
08/05/13 16:24:19 YEThxTAP
>>686
諦めるな! まだ早い!

689:名無しさん@ピンキー
08/05/13 16:58:38 SdRVyW2u
>>688
でもタイトルからして、露骨にこう言いたげだよなw

        _,l;;;;;;;;;;;;;l,,_
      ,.r'´;:  八  '::..゙ヽ
      ,.'___ _立_ __;;ミ゙;、     フT
      l厄巳厄 i王i ,.巳厄巳l     夕 ヒ
   ,.-'l i,.:'  ヽ:.、 ;.:' ' ヽ |,.、  
   /{´iY´ヾーtッ-ヽ'' kーtr-,'´lri   _l_
   {_i,入::.. ` ̄ ̄,'i!ヽ;` ̄´ ゙::.}rリ    i,_
   ヽ_ノiヾ ;:. _ i': ll!:,ィ ._ .: j,ノ
  ッジ::;;| ,r'´;;:> ̄弋´;;::ヽ;r1:゙'イィ   ┬‐宀
  弍::::::::l i':;r'´ ,.-ーー-、.ヾ;:;i. |:::::::ス   ノ□隹
   彡;:::l l::l  '  ---;:, ゙ l::l |::;;ャ`   、
   ,r',广ヽl::l ::. .:   ゙:.  l:lノ^i`、   三刃
  ,イ(:::j   i::iヽ  :.    .: /l:l'" l:ヽヽ  口心
 |;:;.\\ l::l  ', :;:::..::. /  l:l,r''/;::;;|

690:名無しさん@ピンキー
08/05/13 17:45:13 YEThxTAP
>>689
とりあえずAAは止めといた方がいいと思うが、懐旧・郷愁ということで古き良きキモウト、
つまり道徳常識なんのそのでひたすら兄とのゴールに向かうキモウトを書くってことじゃね?
あとは描写の雰囲気か

全ては職人次第だけど、まだ死ぬと決めてかかるには早い

691:名無しさん@ピンキー
08/05/13 18:40:14 7EO4C+LE
このスレキモウトの最終勝率そんな低かったっけ?

692:名無しさん@ピンキー
08/05/13 18:44:01 Pw5gcwBJ
キモウトは難しいんだよなぁ 女性上位ってだけじゃあその領域に届かないし

693:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 19:31:56 OMUHiuoW
すいません
諸事情で投下終了してしまいました。
残り1レス投下します

694:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 19:32:38 OMUHiuoW

 いや、幼稚園児に聞かせたら確実にトラウマになるでしょう。
 まあ、なんだ。
「とにかくあなたはおかしいってことで……」
 そういう結論に墜落。
 おっと、結果を出したら怒るんだっけ。
 じゃあ、あくまで暫定変人ということで。
「僕自身は多少なりとも自分のことは変わり者だと思っているけど、
 それを、君に、言われるのは甚だ疑問なんだが」
 先輩は自分のことを語る時よりも、鋭さを増した声と視線で俺を射抜く。
 な、なんだ!い、いきなりマジになりおったぞ!!
「君が君自身のことをどう思っているかは知らない。
 僕はこれでもいろいろな人種の人間を知っているつもりだが、
 それでも君のような人種はほとんど見たことはない」
 ほとんどってことは、稀に俺みたいなシスコンがいるわけね。
 先輩はそこで一息、区切って、


「君のように、妹に殺させるために告白を受ける人間はね」 

695:妹が病んだ原因 第四話
08/05/13 19:33:06 OMUHiuoW
これで四話投下終了です。

696:名無しさん@ピンキー
08/05/13 20:19:59 LwBPr/S/
乙!

697:名無しさん@ピンキー
08/05/13 20:37:47 KrPUpSYQ
ミリタリーキモ姉・キモウトネタが読みたくなった。
しかし俺は文章力無いから投下出来ない…orz
だから電波の一部を書いておく。ネタにでも使ってくれ。
・姉(または妹)はミリタリーオタク兼主人公大好き
・主な武器はモデルガンの金属ストックから自作竹槍、改造拳銃
・主人公の同級生(女)の写真が標的
・軍事知識、総合格闘術を用いて女を殺害(女との死闘)
・女は武道と知略によって武装している。


698:名無しさん@ピンキー
08/05/13 20:43:11 ETtIreZR
ミリタリーときいててっきりクーデターを起こして泥棒猫を政治犯として収容するキモ姉っていうのかと思った

699:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:29:42 U79N7lvp
元スペツナズでシステマの使い手、AKの扱いならまかせな!そんなキモ姉かとおもった

700:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:32:34 KrPUpSYQ
>>698 それもアリかもな。
ただし歴史物・ファンタジー物にしか使えないかもしれないが。

701:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:38:26 jP7D/hyh
あえて学園バトルものという手もある
生徒会長が多大なる権力を持つ学園
そこで主人公は生徒会長に気に入られ生徒会役員となり、毎日のように生徒会室に呼ばれるのだが
1年下の主人公のキモウトが入学
最初は主人公と同じ学園になったことに喜んでいたが
生徒会長の権力により主人公から引き離される

それによりぶちきれたキモウトは反生徒会派を1年生ながら纏め上げ、
クーデターを起こすのだった

702:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:41:57 XkiRfdPg
>ミリタリーキモ姉・キモウトネタ
作戦を無視して勝手にビスマルクお兄ちゃんに付きまとう
キモウト・ティルピッツたんみたいなのかと思った

703:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:51:26 U79N7lvp
>>701
似たようなラノベをどこかでよんだ記憶がある

704:名無しさん@ピンキー
08/05/13 21:53:09 jP7D/hyh
>>703あれ俺は天上天下からぱくったんだけどな・・・

705:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:05:15 ETtIreZR
>>700
自分で書いた後にふっと思いついたけど
ある日突然
「今日から我が家は日本国から独立するから!」
と言い出すキモ姉を思いついた

元ネタは沈黙の(ryと星新いch(ry

706:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:08:06 Pw5gcwBJ
「だって血が繋がってるだけで結婚出来ないだなんておかしいもの!」

707:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:13:30 jP7D/hyh
>>705,>>706それ最高だわww

708:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:22:12 J7+fDp+I
元ネタはヘンリー8世じゃないのか?w

709:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:30:40 KrPUpSYQ
試しに文章書いてみた。
姉「今から家は防衛戦に入ります。総力を以てあの女を懺滅するわよ!」
妹「主人公兄は渡さないわ。」
主人公「ただいま~そうそう、紹介したい人がいるんだ。」
女「おじゃましま~す」
主人公「廊下に米袋積んで何して…」
姉妹「帰って!そして家の主人公(兄)に近づかないで!!!!!」
二人の手には違法改造のM-16A1が握られている。
アルミ缶をも貫通する高出力だ。
主人公「二人共!エアガンを人に向けたら危ないだろ!」
妹「主人公兄、射線上に立たないで、誤射しちゃうから。」
姉「あいつは敵であって人の区分に入らないわ。」   そして、主人公の初恋は終わった。 

710:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:32:48 E1B1hSw+
なら、最初からそう言え!

711:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:41:05 FxVM0tJC
>>709
むしろこうだな
ドタドタ
猫「誰!?」
姉「泥棒猫は死ねぇっ!」
猫「待って。話せばわかる!」
姉「問答無用」
ドキューン

すまん不謹慎だった


712:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:51:49 ra3GZ/Vl
>>705
「今日から我が家は日本国から独立するから!」
「は?」
「王政をしくから弟君が王様で私がお后さまね!」
「俺が王様なら俺が何もかも決めていいんだよな」
「うん」
「なら主権を日本国に返還して今後は日本国の保護下に入る」
「……ならクーデターよ!!弟君は退位させて私が女王になるわ!前国王は私の部屋に幽閉ね!」
「うわ姉ちゃんなにを(ry」

713:浩戦線異常アリ
08/05/13 23:52:59 KrPUpSYQ
709+ 投下
[変更点]タイトル追加 名前代入。発展版。彼女強化。火力向上。
主=山本浩
姉=山本凛 軍事オタ
妹=山本蘭 軍事オタ(姉の影響)
女=敷島零 敷島道場の娘。浩の初恋の人 

714:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:53:29 aYD5f+gW
>>711
ふむ、泥棒猫の名前は犬養さんですかね。

715:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:54:26 KrPUpSYQ
スマン!sage忘れた!

716:浩戦線異常アリ
08/05/14 00:27:19 Ju8avIxj
「あっ、凛ねえ。今日、敷島さん家に連れて来るから。」
俺、山本浩は自宅に電話を掛けた。
そして委員会が終わり、敷島さんと二人で帰る。
「ここが山本君の家か~大きいね。」
敷島さんの家は大きいが、三分の二は道場だから居住部は小さいのだそうだ。
俺がドアを開けた時、家の中は真っ暗だった。
あれ?確か凛ねえも蘭もいるはずなんだが。
「ただいま~紹介したい人がいるんだ。」
その瞬間、電気スタンドが一斉に付きこちらを照らし出した。
「うわっまぶしっ…何の冗談なんだ!」
その時後ろから敷島さんが入って来た。
「おじゃましま~す」
居間への廊下には、こしひかり陣地が形成されていた。まさか二人共こんな事の為に買いだめしてたのか?
「これが俺の姉さんと妹。こんなんだけど仲良くしてやってくれ。」
俺はそう言った後二人に向かって片づけるように言おうとした。
「廊下に米袋積んで何して…」
「帰って!そして家の浩(浩兄)に近づかないで!!!!!!」
二人は完璧に合わせていた。 

717:浩戦線異常アリ
08/05/14 01:03:23 Ju8avIxj
二人は米軍制式アサルトライフルM-16A1を構えている。
市販品の三倍の出力を誇る、凛カスタムは5m離れたアルミ缶を貫通させる程の威力だ。
慌てて俺は二人を止める。
「二人共!エアガンを人に向けたら危ないだろ!」
蘭が笑顔でこう言った。
「浩兄、射線上に立たないで、誤射しちゃうから。」
凛ねえもやはり笑顔でこう言った。
「アイツは敵であって人の区分には入らないわ。」
ダメだ!こうなったら敷島さんを逃がさなきゃ!
「敷島さん!走ってここか…」
「お二人はいい加減浩君離れをするべきかと。」
って、何、火に油注いでるんですかアナタは!
「お姉ちゃん、こいつフルオート射撃で蜂の巣にしてみたくなっちゃった。」
「奇遇ね、私もそう思ったわ、でも今はダメ。浩も巻き添えになる。」
敷島さんは通学鞄を投げつけた。
二人が鞄に気を取られている隙に二人で逃げた。
彼女の道場まで後少しと言った時、突然彼女が倒れた。
敷島さんは死んだ。
後頭部に三つの穴が空いていた。
多分、凛カスタムの狙撃銃で撃たれたに違いなかった。
俺は初恋の人を失ったのだ。
新聞によると、亜鉛の弾だったらしい。
二人を守る為、家の事は何も喋らなかった。


718:浩戦線異常アリ
08/05/14 01:17:06 Ju8avIxj
敷島さんと俺は一躍時の人となった。
俺は少年Hとして憶測飛び交う中暮らして来た。
その時支えになってくれたのはやはり二人だった。
結局、事件は近くの銃器マニアの仕業と言う事になった。
本人が名乗り出たのと、奴の愛用していた猟銃の弾が決め手となった。
だが、何か上手いこといってるような?
彼女の死から一年が経ったその日、俺達三人はついに肉体関係を結んでしまった。
罪の意識はもう、無かった。

   完

719:名無しさん@ピンキー
08/05/14 01:19:38 rIlTL510
敷島さんの携帯小説のような死に様に吹いた

720:名無しさん@ピンキー
08/05/14 16:07:03 CTh7ecgD
急に打ち切りが決まった連載みたいだ。

721:浩
08/05/14 17:48:22 Ju8avIxj
俺初の小話 情けねー!
709に肉付けたのは良いけど、発展させられ無かった。
今度はもう少し考えてから投下しよう。
駄作でスマン

722:浩
08/05/14 17:51:42 Ju8avIxj
スマン、sage忘れた!! 

723:名無しさん@ピンキー
08/05/14 19:46:11 lTCxooZd
sageることもできない厨房か
くっだらないのを投下すんじゃねえ

724:名無しさん@ピンキー
08/05/14 20:37:09 ifucNMCC
投下自体はsageているのでおk
次から専ブラ使うなりsageを習慣づけるなりしてくれればいい

725:名無しさん@ピンキー
08/05/14 21:20:59 Ypxk7SKA
キモウトにねっとりと監視されたい

726:名無しさん@ピンキー
08/05/14 23:49:57 Ju8avIxj
大戦略やってて思いついたネタ。
201X年、日本が大陸諸国と海洋資源を巡って戦っている時
ある地方の都市に姉弟が二人きりで住んでいた。
親父は戦争に行き、母親は自衛軍の事務官として帰ってこない。
姉は16歳、弟は15歳で、今年から弟も姉と一緒の高等戦車学校に入学する。
姉の友人の弟が戦死してから姉は段々変わっていって…



727:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
08/05/14 23:51:23 kunBldfF
気が付けば初投下から早一年
ぎりぎり間に合いました

投下します

728:Ⅳ 妹-I-妹 Ⅵ
08/05/14 23:55:26 kunBldfF
夢を見た。これまでも繰り返し繰り返し、気が遠くなる程に何度も見てきた夢。
まだ私達が幼かった頃、今よりもずっと脆弱だった時の夢を。

私達の前に立つ兄様と、二人で手を繋いでその後ろに隠れている私達。
夢の中の私達は常に泣いているか怯えているかで、兄様の顔を見ることは出来ない。
そんな私達を背にする兄様は手を横に伸ばして、背後を庇うみたいに立ちながら周囲へと何かを言う。
その内容だけが、いつも私達には思い出せない。
出来るのは、想像することだけ。ただひたすら、思い巡らすことだけ。
同時に同様の姿で兄様の後に生を受け、同等に育った一心同体の双子である私達。
物心ついた時から周囲より向けられる視線は好奇と奇異で、目にする反応は吃驚(きっきょう)と驚嘆。
行く先には常に周りからの違和があり、ただ目にする兄様の背にだけ安堵があった昔。
少しずつ上昇して行く意識が境目に見せる記憶が流れて行く。徐々に水面が近付いてくる夢幻の中は心地良く、
睡眠の快楽と合わせて苦々しい過去を忘却へと押しやろうとして────自分で反吐が出そうになった。

「久し振りでしたね、断海」
「久方振りでしたね、射空」

緩やかな目覚め。荒れた床を覗かせる薄闇と、肌に絡む冷え込んだ夜気。
視覚と触覚の刺激に、自らの半身の声が合わさって覚醒を促す。
同時に顔を見合わせて、兄様のいない隙間を視線で埋めた。

「気分の悪くなる夢でした」
「胸糞の悪くなる夢でした」

ぼんやりと見える相手の肩が落ちる。お互いに憂いの篭もった吐息を胸に吹き掛け合ってから顔を戻した。

「まだ、射空と断海が兄様と手を繋げなかった頃」
「まだ、断海と射空が兄様と手を繋がなかった時」

言いながら思い出すのは夢の内容。
まだ幼い私達を取り囲んで見詰めている人間達の、無遠慮で不気味な、珍獣の類を見る時に似た瞳。
ゆらゆらと揺れる無数の光に震えることしか出来ない私達と、そんな妹達をかばって前に立つ兄様の背中。

「兄様を守れず、兄様と並び立つことの叶わなかった嘗て」
「兄様に守られ、兄様の前に立つことの叶わなかった過去」

あの夢を見る度、心臓が締め上げられる心地がする。当時の自分を殺せるものなら殺しているだろう。
愛する兄様の優しさに甘えるばかりで、状況を変える努力もせずただただ兄様に縋っていた己を。

「懐かしいものです。そして呪わしく、救い難い」
「忌わしいものです。加えて愚かしく、度し難い」

双子というのは世間一般では珍しい。特に私達くらいに似ている双子となると皆無絶無の域にある。
そう考えると、幼い頃の私達が年の近い子供から、
時には大人からも無遠慮な目を向けられたのも当然ではあったのかもしれない。
その頃の私達は自分で思い返しても怒りを覚える程に弱く、そういった、
本来の社会全体に比べれば片鱗にしか過ぎない他人の反応にさえ怯えていたように思える。

「正しく惰弱、虚弱」
「正しく脆弱、軟弱」

そんな私達の前には、いつも兄様がいてくれた。今でも憶えている。
ほとんど違わない年齢なのに、私達を庇って立つ背の力強さ。
身を竦ませている私達の手を取ってくれた時の温もりと、向けられた顔の優しさ。
悪戯をしてくる苛めっ子を追い払ってくれた時の頼もしさ。
今になってようやく、それらが得難いものだったということが理解出来る。
私達を好奇の視線から守り、時には私達が周囲へと馴染めむための切欠を作り、
そうやって二人の妹を助けた分だけ自分の自由に過ごせた時間を削って、
他の子供達と同様に遊びたい盛りだったはずの兄様は、どれだけの愛情と忍耐でそうしてくれていたのだろう。
思い返す度に胸が痛む。


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