スレから追い出されたSSを投下するスレPart2at EROPARO
スレから追い出されたSSを投下するスレPart2 - 暇つぶし2ch5:19/21
08/04/13 17:57:08 4q7cIQy5
「ねえ、五代さん」響子さんが体を起こし五代の名を呼ぶ。
「なんですか?」
「うん……」響子さんがちょっと考える素振りを見せる。
「どうしたんですか?」
「あたし、あなたに伝えとかないといけないことがあるんです」
「一体なんです?」五代も起き上がり響子さんの腰に手をまわして軽い気持ちで尋ねる。
「あのね……」響子さんが少し俯いてくすりと笑う。

「……あたしのことを好きになってくれて……ほんとにありがとう」そういって響子さんは五代に
軽く口づけする。
「えっ……」五代は思わず呆然とする。
「あたし、今とっても幸せなんです。あたしのことを本当に大切に思ってくれる五代さんと一緒に
なれて。でもこれはやっぱり五代さんのおかげなんだと思うの。だからちゃんと言っとかないとっ
て思ったんです」
五代は響子さんがベッドから出て床に落ちているガウンを身に着ける様子をただ何も言えず黙って
見つめる。

「五代さんが初めて出会った日からあたしのことをずっと好きでいてくれたから……あたしはこん
なに幸せになれたんです」響子さんは五代に背中を向けたまま恥ずかしそうにつぶやく。
「響子さん……」
「もう、そんな顔しないでください。今日はオールナイトで宴会なんだから早く一刻館(うち)に
帰りましょ」照れているのを隠しながら浴室に向かう響子さんの後姿を見ているうちに五代はにや
にやして笑いが止まらなくなる。

「幸せになりましょうね、響子さん……」一人つぶやく五代であった。

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「着きましたね、響子さん」
「ええ……」響子さんが相槌を打つ。二人の目の前には見慣れた古ぼけた建物がある。そう、二人
は一刻館に戻ってきたのだ。
「五代さんがちゃんと言ってくださいね、あたし達もう夫婦なんだって……」
「ええ、もちろんです」そういって五代が響子さんに力強くうなずく。
「じゃあ入りましょう」そういって五代が一刻館の玄関の扉を開くと……いつものみんなが大量の
お酒とともに待ちくたびれている姿が目に入る。
「お、戻ってきた」一の瀬さんが口を開く。
「遅いのよ、なにやってんの~?」朱美さんがいつもの口調で言う。
「もう待ちくたびれてしまいました」四谷さんがため息をつく。
「あ、あの……」五代が意味もわからず口を開こうとすると一の瀬さんがそれを遮る。
「仲直りしたんだろ?」そういって二人の顔を見る一の瀬さん。
「ええ、まあ……」響子さんがこたえる。
「じゃあこんなところでのんびりしてないで、五号室で一気に盛り上がろう!」一の瀬さんがいつ
もの扇子を手に一気にテンションを上げる。
「こっちはずっと待ってたんです」四谷さんが二人の背中を押して5号室へと向かわせる。
「どうせ別れるわけないんだから最初から喧嘩なんかしなきゃいいのに」そういって朱美さんが笑
う。どうやら3人とも二人が別れるとはこれっぽちも思っていなかったようなのだ。結局当の本人
達よりずっと二人を見てきた住人達の方が二人のことをわかっていたのだ。




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